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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年3月の記事

2016年3月31日 (木)

3月に見たマイ年間ベストテン級映画

●日本映画

★「海よりもまだ深く」(阿部寛主演・是枝裕和監督・5月21日公開)

http://gaga.ne.jp/umiyorimo

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●外国映画

★「グランドフィナーレ」(マイケル・ケイン主演/イタリア&フランス&スイス&イギリス合作)

http://gaga.ne.jp/grandfinale/

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★「ヘイル,シーザー!」(ジョエル&イーサン・コーエン兄弟監督/アメリカ&イギリス合作)

http://HailCaesar.jp/

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★「スポットライト 世紀のスクープ」(本年度アカデミー作品賞受賞/アメリカ)

http://www.spotlight-scoop.com/

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●日本映画は、定番と思われるかもしれませんが、是枝裕和監督の新作「海よりもまだ深く」が良かったです。

「海街ダイアリー」(2015年製作・弊ブログ分析済み)撮影を間に挟んで、撮り上げた作品でして、「歩いても 歩いても」(2008年)の続編的なカンジで僕は見ました。

阿部寛らがビンボー生活にあがく現実を描きつつも、それでも将来こんな人間になりたいという、

夢を追いかけることの意味を久々に、問いかけるという点において、傑作でした。

練り込まれたセリフのやり取りも快感を覚えます。

一方、洋画は3作品を、チョイスしました。

シニア映画を、変形グランドホテル形式で撮った「グランドフィナーレ」、

1950年代のハリウッド映画界を描いた「ヘイル,シーザー!」。

そして、今オスカーで作品賞をゲットした「スポットライト 世紀のスクープ」。

新聞社と記者たちを、本格的に描いた映画としては、初の作品賞獲得ではないでしょうか。

主人公が新聞記者役だった名作「ローマの休日」(1953年・アメリカ)や

「大統領の陰謀」(1976年・アメリカ)などが、作品賞を逃してきました。

ということで、全作は後日、弊ブログで分析いたします。

(選=映画分析評論家・宮城正樹)

日本映画「蜜のあわれ」⇒二階堂ふみ主演

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老境のエロスを描く傑作です

石井聰亙改め、石井岳龍監督の、会心の1作

http://www.mitsunoaware.com/

4月1日エイプリルフール金曜日から、ファントム・フィルムの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「蜜のあわれ」製作委員会

老境の大杉漣が、メス金魚が擬人化した二階堂ふみと、同棲生活をする、幻想ファンタジー。

大杉漣は、既に死んでる元愛人役の真木よう子や、生きてる韓英恵やらとも絡み、

恋の三角・四角関係が、波乱に満ちて展開してまいります。

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老境のエロスを描いた映画です。

そんな老境エロス映画の、邦画マイ・ベスト・スリーを言いますと…。

①本作②鍵(1959年製作・市川崑監督)③鍵(1974年・神代辰巳監督)

●このタイプの映画は、文豪・谷崎潤一郎原作の②③に、とどめをさすようなカンジが、長らく続いておりました。

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でもしか、ここに来て、谷崎と同時期に活躍した詩人・室生犀星の小説(1959年発表)原作を元に、

石井岳龍監督が、大胆果敢にドラマ映画化。

谷崎「鍵」の、ストレートなエロチックとは違う、ユニークな老境エロスを、多彩な感覚で撮り上げたぞい。

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ヒロイン役の、二階堂ふみチャン。

今やすっかり日本映画の若き女優陣で、ひっぱりダコになっていますが、

かつても披露したけど改めて、彼女のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたしますと…。全作弊ブログ分析済みです。

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●ベスト⇒①ヒミズ(2012年)②この国の空(2015年)③味園ユニバース(2015年)

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●カルト⇒①本作②日々ロック(2014年)③劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まない(2011年)

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●二階堂ふみチャンの特質は、おそらく日常生活と同じく自然体で演じて、

観客はその個性にハマッて、魅かれるカンジではないでしょうか。

役作りなしの、自然体の個性。

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邦画の女優系譜で言いますと、

1970年代・桃井かおり・秋吉久美子・大竹しのぶ・原田美枝子ら、

1980年代・富田靖子・工藤夕貴・松坂慶子ら、

1990年代・中山美穂・清水美沙・鈴木京香ら、

2000年代・蒼井優・宮崎あおい・上野樹里・麻生久美子ら。

そして、2010年代は、二階堂ふみが、トップ・リーダーでしょう。

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脇を固める演技陣も多彩です。

まずは男優陣。

マイ・ベスト&カルトが披露できる、大ベテラン大杉漣。

2010年代の男優陣の、トップ・クラスの高良健吾。

1990年代にブレイクも、未だ健在の永瀬正敏のアニキ。

インディーズ系の、シブミで魅せる渋川清彦。

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片や、女優陣。

2010年代にブレイク・ポイントを迎えた、真木よう子ネーさん。

シブミある演技を、披露し続ける韓英恵(画像上から、11枚目)。

とにかく、ドラマ映えする、キャスティングの妙に浸れます。

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石井岳龍監督の最新作です。

かつて「シャニダールの花」(2013年・分析済み)のところで、

石井監督のマイ・ベスト&カルト・スリーを、披露いたしましたが、

本作はカルトの上位に入る作品でしょうか。

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「シャニダールの花」に続き、金魚など赤色にこだわった作りといい、

大杉漣と二階堂ふみの、噛み合わない会話の妙といい、

1~2分のシーンを見せる長回しの撮影といい、

石井監督流儀が、思う存分に発揮されていました。

監督の21世紀発表作品の中で、最高傑作と言ってもいい仕上がりです。

2016年3月30日 (水)

日本映画「あやしい彼女」⇒年齢タイムスリップな作品

1
ユニークな音楽バンド・ムービーの快作

ピークを示す多部未華子の、コメディエンヌ演技ぶりに注目

http://ayakano.jp/

4月1日のエイプリルフールな金曜日から、松竹の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画・音楽分析評論家 宮城正樹

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Ⓒ2016「あやカノ」製作委員会 

Ⓒ2014CJ E&M CORPORATION

本作は、73歳のオバンが精神年齢はそのままに、20歳に若返って、

孫と共にバンドを組んで、コンサートをやって、大ブレイクするナンチュー、トンデモないトンデルコメディ作品だす。

時代はそのままなんで、いわゆる年齢が、タイムスリップする映画でおます。

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精神はそのままに、容姿が変わるタイプの作品として、思い出されるんは、

アニメ「名探偵コナン」(第1弾は1997年製作)など。

今年には、毎日主人公の容姿・年齢が変わる、韓国映画「ビューティー・インサイド」(2015年・弊ブログ分析済み)や、

精神年齢はそのままに、コドモ時代にタイムスリップする「僕だけがいない街」(2016年・ブログ分析済み)など、論理的解釈のできないタイプが、次々に出てきておます。

でもしか、そういうタイプの作品は、シリアス系よりも、どちらかといえばコメディ系に、ふさわしいものでおましょう。

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ほんで、本作は音楽バンド・ムービーとしても、心地良い仕上がりになっとります。

そこで、日本映画の音楽ムービーの、マイ・ベスト&カルト・スリーを言いますと…。

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●ベスト⇒①ロックよ、静かに流れよ(1988年)②スウィングガールズ(2004年)③青春デンデケデケデケ(1992年)

●カルト⇒①本作②NANA(2005年)③リンダ リンダ リンダ(2005年)

●シリアスなベスト①カルト②③に対し、コミカルに展開するベスト②③。

そんなコミカル・フレイバーに加え、SF設定と家族ドラマ性を加えたのが、本作でおましょうか。

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久しぶりに見たオバン役の倍賞美津子が、珍しいコミカル演技を披露し、

オバンの娘役の小林聡美なども、シリアス・コミカル系を飄々と見せ、

そして、圧巻のコメディエンヌぶりは、多部未華子が熱演しはりました。

前作のラブコメ「ピース オブ ケイク」(2015年)と同じく、元気印なコミカル。

でも、本作では悩み深さも、プラスアルファして、コメディエンヌ未華子の、ピークを示す作品になっとります。

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なんせ、歌手でもないのに、吹き替え・口パクなしに、未華子ネーは歌を歌いやるねん。

ミスチル(Mr.Children)で有名な、小林武史プロデューサーの特訓があったとはいえ、見事な喉を披露しはります。

しかも、昭和の名曲ばかりどす。

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美空ひばりが、ブルーコメッツをバックに歌った「真赤な太陽」。

ラテン・スパイス入りのマイナー歌謡曲を、流れのままにかもしれへんけど、スムーズに披露。

ザ・フォーク・クルセイダーズの曲。

「パッチギ!」(2004年)で主人公が歌った「イムジン河」が、当時販売禁止となり、その想いを彼らが歌に込めた「悲しくてやりきれない」を、

そのキモチ通りに、ブルージーに聴かせてくれはります。

さらに、坂本九の「見上げてごらん夜の星を」。

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劇中で、要潤プロデューサーを驚かせる、未華子の歌唱力とゆう設定を、納得させられるような歌唱ぶりでおました。

ほんで、クライマックスで歌われる、バンド・メンバーの孫が作った設定の、オリジナル・ナンバー「帰り道」の披露で、ググッと魅了されてしまいます。

この「帰り道」は、男女2人組ユニット「anderlust(アンダーラスト)」の歌で、ラストロールで余韻深く流れてまいります。

ちゅうことで、音楽ムービーとしても、ホンマ、ノリのいい映画でおました。

2016年3月29日 (火)

「見えない目撃者」⇒中国のサスペンス・ミステリー

1
韓国ミステリーの、中国リメイク・リブート版

「暗くなるまで待って」とは違う、盲目ヒロイン映画の新しさ

http://gaga.ne.jp/mokugekisha

4月1日のフライデーから、ギャガ・プラスの配給によりまして、TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ梅田などで、全国順次のロードショー。

本作は2015年製作の、中国映画112分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 New Clues Film Co., Ltd. All rights reserved.

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韓国映画の、他国によるリメイク作品は、21世紀になってから何やら、かしましくなってまいりました。

対して、他国作品も、ケッコー韓国でリメイクされとります。

そんな作品の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・オリジナル製作年・製作国を表記)を、元タイトルでゆうてみますと…。

2
●ベスト⇒①本作(元ネタは、2011年の韓国映画「ブラインド」)

②あやしい彼女(2014年・韓国・日本映画リメイク版は後日分析します)③黒い家(1999年・日本)

●カルト⇒①オールド・ボーイ(2003年・韓国)②世界の中心で、愛をさけぶ(2004年・日本)③クワイエット・ファミリー(1998年・韓国)

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●ハリウッド・アメリカでの韓国映画のリメイクも、カルト①などそれなりにありますが、

むしろ韓国と日本(ベスト②③カルト②③)、韓国と中国(本作・ベスト②・「あやしい彼女」は多国でリメイクされとります)

とゆうカンジで、アジア国間でのリメイクの、相互交換が多いように思います。

それに、日韓・韓中作品のリメイクにも、国家間なりの特質があって面白い。

コミカル、ラブ・ストーリーなどイロイロあるけど、本作はサスペンス、ほんでミステリーでおます。

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盲目設定のヒロインなんちゅうたら、

ボク的には「暗くなるまで待って」(1967年・アメリカ)の、被害者ヒロイン役オードリー・ヘプバーンを、思い出したりしたけども、

弱々しさゆえに、犯人との対決ぶりを、ハラドキで捉えた「暗くなるまで…」とは違い、

本作は盲目の女刑事が、真犯人を探して男まさりに活躍しはります。

さらに、サスペンスある室内劇的を、ヒロインの退きの演技で描いた「暗くなるまで…」とは違い、

本作はより正攻法で真っ向な、ヒロイズムが創出されとるかと思います。

5
盲目のヒロイン(ヤン・ミー)が、真犯人を探してゆくタイプの映画やけども、

いかにも日本の、二時間ドラマ的流れがありながらも、

また、ヒロインが盲目になってしもたとこらが、少し強引なカンジがしたけども、

犯人呼ばわりされた若者(ルハン)との、共同捜査過程は、

ラブ・ストーリー部も抜かれて、日本の「相棒」並みの、面白さと同時に、

シリアスなミステリー性もあって、ドラマ映えする説得力をもたらしておます。

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主演の盲目ヒロイン役はヤン・ミーのネーさん。

中国テレビドラマの女王として、君臨してるらしい彼女やけど、盲目演技を、できるだけ抑制された演技で披露。

好感を呼ぶかどうかは別にして、二時間ドラマのヒロインのように、フツーのようにスムーズに、犯人に迫ってまいります。

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ヒロインが過去を思い返す時に、周囲を薄暗くして盲目視点にするカットやらにも、チョイ渋みがありましたやろか。

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韓国の音楽グループEXOのメンバーで、中国出身のルハン。

ヒロインをサポートする演技ぶりには、好感が集中することでおましょう。

9
灯を消してのクライマックス、犯人を追うシーンなど、アクション・シーンも見どころやけど、

ヤッパ、ボク的には、本作のサスペンス度合い・ミステリー度合いに、目がいってしまいました。

4
サスペンス・ミステリーとしての演技としては、ヒロインの演技は盲目とはいえ、定番系をいってるかもしれへんけど、魅せてくれはります。

むしろ難役をスムーズにこなした点では、評価されるべきかも。

テレビの二時間ドラマのファンには、映画的二時間ドラマの粋に、魅せられる作品になっとるハズでおます。

ちゅうことで、真犯人は一体誰か?  お楽しみくだされ。

2016年3月25日 (金)

韓国のエロティック時代劇「背徳の王宮」⇒大人の金曜映画劇場

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韓国映画お得意とも言える、エロティック時代劇

やりたい放題の王に対し、セクシャルな復讐劇が展開

http://www.haitoku-movie.com

3月26日の土曜日から、ツインの配給で、シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。東京では、シネマート新宿などで上映中。

本作は2015年製作の韓国映画131分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

さっそくですが、順不同で、韓国時代劇映画の、マイ・カルト・スリーを披露しますと…。

①本作②後宮の秘密(2011年製作・弊ブログ分析済み)③スキャンダル(2003年)。

本作でも描かれる、女の復讐劇映画の、マイ・ベストワンは「キル・ビル」(2003年・アメリカ映画)ですが、

ここ数年で見た、マイ・カルト・スリーを言うと…。

①本作②マジカル・ガール(本日分析)③後宮の秘密

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●かなりと大ざっぱな選択に、見えるかもしれへんけど、

メッチャヤラシーで勝負する、女の大胆な復讐劇とゆうのは、

ボク的には韓国映画が、かなりと鮮烈な印象があります。

日本のポルノ映画にも、そういうのんはあったかもしれへんけど、

女への虐待・もてあそびぶりに対する、女からの反抗・復讐とゆうスタイルは、いかにもストレートでありそうやけど、なぜかボクはあんまし見ておません。

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ほんで、時代劇・史劇で、メッチャ・ヤラシーを披露する韓国映画のイメージちゅうのんは、

「後宮の秘密」のインパクト以降、ボクの頭の中では、警戒警報発令が、鳴り響いておまんねん。

しかも、「後宮…」は、三角関係での復讐劇やったけども、

本作では、何人もの女(史実的には1万人を超えとったらしい)が、王の愛人となり、もてあそばれたとこが、まずはディープ・インパクト。その描き込みにも注目や。

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1505年。朝鮮王(キム・ガンウ)は、朝鮮全土から、1万人以上の若い女たちを、強制徴収させた。

そして、そんな王に仕えるチュ・ジフンは、王にふさわしい女の選別をやってはります。

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ベッド・インはもちろん、そんな女たちにレズをやらせて、どっちがエロイかを競わせたりして、王は女たちをもてあそび続けます。

そのあたりが、そのまま容赦なく描かれとりまして、ウーンとうなったりしてまいます。

ほんで、余りの横暴ぶりにでんな、王への嫌悪が増し、観客のキモチは、誰かあいつを止めてくれへんかと、なってゆきよります。

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さてはて、それをやってもらわないかんのは、当然チュ・ジフンどす。

そして、王に復讐せんとする、イム・ジヨンのネーさんでおます。

2人が剣戟特訓するシーンもあるし、

モチ、クライマックスでは、女を武器に「後宮の秘密」と同じく、ジヨン・ネーさんが、王と対決しはります。

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思わせぶりで大仰な女のナレーションが、当時の異界(異常な世界)へと、連れていくのに打ってつけでおました。

電気のない時代に合わせた、ダークで薄色な配色具合も、時代の雰囲気を醸し出しとります。

セピア、薄グリーンの使い方も、決まっとりました。

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正直に言いますと、ボク的には、ヤラシサよりも、王の残虐度合いに目がいってしまいました。

それによって、王をどう倒していくのかに、興味の比重が移っていったんどす。

また、一部シェークスピア悲劇的な作りにも、ハラドキを増長させてくれとったかと思います。

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ラスト30分で、復讐劇のカラクリと、登場人物たちのその後が、明かされるんやけど、

重々しくはないサプライズと、そこはかとない感動の余韻に浸れる、そんな映画でした。

スペイン映画「マジカル・ガール」

1
ワル・ヒロイン映画の、新しいカタチとは?

前向き果敢やなく、弱々しきナイス・バディー演技が鮮烈や

http://www.bitters.co.jp/magicalgirl/

3月26日のサタデーから、ビターズ・エンドの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国漸次のロードショー。

東京のヒューマントラストシネマ有楽町や、YEBISU GARDEN CINEMAやらでは、公開中でおます。

本作は2014年製作のスペイン映画。シネスコ・サイズの127分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservadocⒸ

魔性のヒロイン映画なんてゆうたら、ハリウッドでは、

「白いドレスの女」(1981年製作)や「氷の微笑」(1992年)や「危険な情事」(1987年)などのように、

男を惑わしたり、男に復讐したりするヒロイン像が、よく見受けられます。

また、サスペンス・ミステリーなタッチで、展開する作品が多い。

確かに、本作もそんなタッチなんやけど、

ヒロイン像の設定が、ストレートでアグレッシブやなく、大いに異なっております。

また、妖しさ・妖艶さも、あんましカンジられまへん。

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本作ヒロイン(バルバラ・レニーのネーさん)は、不幸な女とゆうことになっとります。

彼女は、ナイスバディーな元高級娼婦やったんやけど、今は愛するダンナからは、精神的に虐待を受け、

しかも、衝動的に、ベッドインしてしもた男からは、ダンナにバラされたくなかったら、金払えとの脅迫を受けてまい…。

ほんで、ヒロインは、自分で金を工面するために、娼婦に戻ったんやけど、そこでエライ目に遭うことに…。

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不幸のヒロイン映画とゆうたら、それなりにあるんやけど、

でもしか、本作の感触は、ヒロインの魔性が濃厚に、浮き上がってくるような作品に見えました。

なぜなら、代理を使うとはいえ、相手を間違えた、エグイ復讐がなされるからです。

とゆうか、そこには、間違えても、ヒロインのそれとない意志が入っておます。

とにかく、本作はこれまでの、魔性ヒロイン映画の方程式には、決してそぐわない新しさを醸しております。

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その異能な新しさは、冒頭から発揮されます。

何と、白血病の少女と、失業中のオトンの話から、始まりますねん。

その少女は日本のアニメに夢中で、アニメのコスプレに憧れてます。

固定の食卓長回し撮影シーンやけど、オトンから欲しいものを聞かれて、娘はんはそのコスチュームを言います(写真上から6枚目)。

金のないオトンは、それを手に入れるために、店のショーウインドーを叩き割って盗もうとした。

ところが、その時、上からトンデモないものが、降ってきたがな~。

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不治の病の少女とオトンの、泣かせるキズナもののような、ドラマの流れが、その降ってきた何かのシーンから、ガラリと転換。

夫妻の物語へと変わります。そうして、魔性ヒロインの映画が始まるんだす。

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ほんで、冒頭とラストシーンが、対応する作りになっとりまして、ある意味でサプライズをもたらしますやろか。

今は演歌歌手の長山洋子が歌う、アニメチックな歌謡曲「春はSA-RA SA-RA」、

美輪明宏「黒蜥蜴の唄」のスパニッシュ・カヴァー版などが流れて、

さらに異質で異様な雰囲気が表出されてまいります。

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かなりとひねられた展開で話は進むけど、後半の容赦のないシーンの連続には、少し賛否両論があるかもしれまへん。

特に、ヒロインの代理復讐暗殺者として登場する、出所した元教師のキャラクター造形の、ゆがみ具合が強烈。

ディープ・インパクトでした。

2016年3月24日 (木)

「映画 暗殺教室~卒業編~」⇒二宮和也・桐谷美玲共演

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「殺せんせー」の前身は、二宮和也だった!

VFXアクションが、より強靭になった後編だ

http://www.ansatsu-movie.com

3月25日のフライデーから、東宝の配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016フジテレビジョン 集英社 ジェイ・ストーム 東宝 ROBOT

Ⓒ松井優征/集英社

本作は、今や映画化かしましい、コミック原作映画なんだけども、

ここでは、その括りとは違うタッチで、分析してみます。

学園もの日本映画と言えば、ザックリ言って、部活もの、ラブ・ストーリー、生徒と教師のキズナもの、

そして、そのどこにも包括されない、ケンカもの含むアクション系などに、分岐してるかと思います。

そこで、ここで、ツッパリ・ケンカ系を除いて、学園・学生アクション(学園を主舞台にしてない作品もあります)日本映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままの気ままに、披露してみましょうか。

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●ベスト⇒①バトル・ロワイアル(2000年製作)

②セーラー服と機関銃(1981年)

③ぼくらの七日間戦争(1988年)

●カルト⇒①本作

②高校大パニック(1978年)

③スケバン刑事(デカ)(1987年)

●高校生・中学生たちの、対決アクションというのは、ある程度の、限定されたものとなりがち。

生徒同士の殺し合いベスト①や、生徒同士の対決カルト③、生徒たちと教師たちのカルト②、生徒たちと大人たちのベスト③など。

異例のタイプとしては、女子高生のヤクザ対決ベスト②などがあります。

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ところが、本作の場合は、大仰ではあるけども、対決構図のスケールが違います。

政府筋国家バーサス生徒たちという、トンデモない破天荒なところを描出。

おまけに、教師と生徒間のキズナを、これまでにないトンデモ設定で、描いた映画として、

カルティックかもしれないけど、“ああ、あのトンデモ映画か”とため息ものになって、後世に残るようなカンジになっております。

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そもそも、教師と生徒のキズナもの映画と言えば、みなさんにも、いろんな映画が思い起こされることでおましょう。

しかし、本作は、教師と教師の暗殺を狙う生徒たちという、教師VS生徒の構図の中で、

やがては、殺しにまつわるキズナなどという、常識を覆すような領界へと入っていくのです。

見ていただいたら分かるかと思うけど、この信じられないキズナが、

どうみなさんに、納得してもらえるように描かれているか、

そのあたりは賛否両論あるかもしれないけど、何はともあれ、お楽しみください。

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第1弾「暗殺教室」(弊ブログ分析済み)の主人公“殺せんせー”の正体は? 

暗殺者として世界一の“死神”が、捜査当局に捕まり、

そして、彼をモルモットとして、その体内・精神構造やらを、実験的に分析していきます。

その博士役に成宮寛貴がやり、その婚約者で中学教師の役に、前作に続き、桐谷美玲。

“殺せんせー”の前身役には、本作の1つのサプライズで、ニノこと「嵐」の二宮和也のアニキが、キャスティングされました。

薄ブルー・トーンと、明るいセピア色の対照で描かれる、ニノと美玲ネーさんの、キズナぶりはメッチャ感動的。

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実は死んでしまう美玲ネーの代わりに、生徒から命を狙われる教師役として、ニノが変身した“殺せんせー”が、赴任してきたという流れです。

オリジナリティーある“殺せんせー”に対し、生徒たちのキャラも、マンガチックにしてユニーク。

ボク的には、フツーの女子高生役が、印象的だった「桜ノ雨」(弊ブログ2月27日付けで分析)の主演女優・山本舞香ちゃん(写真上から4枚目)が、

美玲ネーの妹役で、VFXな触手を出して、“殺せんせー”と対決。

「桜ノ雨」とは180度違う、アクション演技に驚いたし、

「セーラー服と機関銃-卒業-」(弊ブログ3月1日付けで分析)で主演した、橋本環奈ちゃんの、デジタル人間演技にもビックリ。

いずれにしましても、VFXが自由自在に繰り出される、学園アクションの快作品でした。

2016年3月23日 (水)

「無伴奏」⇒成海璃子・池松壮亮・斎藤工共演

1
学生運動・全共闘世代を描いた日本映画の、歴代マイ・ベスト・スリー

三角関係ラブ・ストーリーの、ヒロイン映画の渋い傑作

http://www.mubanso.com

3月26日の土曜日から、新宿シネマカリテ、大阪ステーションシティシネマなど、全国ロードショー。

本作は、2015年製作の132分、「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015「無伴奏」製作委員会

いきなりで申し訳ありません。かつて存在した全共闘世代の、ドラマ映画の日本映画の、順不同でマイ・ベスト・スリーを言いますと…。

ちなみに、連合赤軍ものは外してます。

①本作②マイ・バック・ページ(2011年製作)③69 sixty nine(2004年)

6
●全共闘世代映画なんて言うと、若い人たちには、歴史の教科書の太字の言葉やなんてなるし、そんな時代がありましたかーで終わりそうやけど、

1960年代末から、1970年代初頭のこの時期は、歴史的な連合赤軍やらの事件を始め、メッチャ波乱に満ちた時代どした。

4
そんな世代の学生運動の状況を、ビビッドに描いた②やらが、当時の時代性を伝えてるけど、

地方の高校生たちの、様子を伝えた③(当時の雰囲気が似合う、妻夫木聡アニキが、②③で主演)、

そして、当時をかなりと反映した、ビミョーな三角関係ラブ・ストーリーを描く本作などは、

人間ドラマとして、じっくり見て考えられる作品になっています。

5
映画化は3度目となる、小池真理子ネーさんの小説が原作です。

同じく全共闘世代を描いた、故・藤原伊織の「テロリストのパラソル」(フジテレビで二時間ドラマ化)と、「恋」で、直木賞を同時ゲット。

その「恋」は映像化されてないけど、本作は「恋」と同じく、ビミョーな恋愛関係を描いておます。

3
でも、本作は小池真理子ネーさんの体験が、濃厚に出た作品らしいですわ。

1969年の東北の高校で、ヒロインの成海璃子ネーは、制服ボイコットな運動を起こし、

そして、大学の学生運動絡みで、斎藤工や池松壮亮のアニキと出会います。

10
斎藤工には彼女がいるけど、璃子と壮亮にはいない。

で、この2人が付き合うことになります。

「無伴奏」というクラシック喫茶店で、3人が音楽を聴くシーンが、照明を含め、

当時のダークでセピアな雰囲気を醸して、ドラマ映えしております。

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池松壮亮、斎藤工共に、当時のアンニュイな大学生像を、巧みに演技。

そんな2人に巻き込まれてしまう、成海璃子ネー。

徐々に激しくなっていく、池松とのセックス・シーンなども、大胆果敢どすけども、

ナレーションを含めて、ヒロインとしての立ち位置をキチンと披露しはります。

彼女の映画キャリア最高の演技を見せてると、ボクは思います。

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矢崎仁司監督の新作です。

フツーのヒロイン映画やラブ・ストーリーやないところを、常に視野に入れているんやないか。

そんなカンジが、最初から最後まで、ビンビンに伝わってまいります。

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ローリングストーンズのミック・ジャガーやチャイコフスキー。

「共同幻想論」の吉本隆明や、サガンの小説「悲しみよこんにちわ」など、

時代のキーワードを、セリフに散りばめつつ、ドラマ展開しはります。

エレクトーン、サックスなどのサントラ使いや、フォーク・タッチのスロー・ナンバー(ギャルバン5人組Drop'sの「どこかへ」)など、

当時の雰囲気を盛り立てる、いろんなとこにも注目してくだされ。

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何はともあれ、2人の男の間で揺れる、成海璃子ネーさんの演技ぶりこそ、本作の大いなる見どころだす。

とゆうことで、時代を映すヒロイン映画の快作どした。

「ザ・デクライン」「ザ・メタルイヤーズ」「ザ・デクラインⅢ」

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女性監督が描いた、LAパンク・ロック&ヘヴィメタ音楽ドキュ・シリーズ3部作

黎明期・栄光時代・衰退期を、鋭角的に捉えた問題作

ビーズインターナショナルの配給によりまして、

3月19日~3月25日「ザ・デクライン」(1981年製作)、

3月26日~4月1日「ザ・メタルイヤーズ」(1988年)、

4月2日~4月8日「ザ・デクラインⅢ」(1998年)、とゆう日程で

新宿シネマカリテやらで、全国順次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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いきなりですが、音楽ドキュメンタリーの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに、披露いたしますと…。

ちなみに、音楽ジャンル的に言いますと、クラシックやジャズもあるけども、

ロックンロールを始めとした、ポピュラー・ミュージックに限定してます。

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●ベスト⇒①ウッドストック 愛と平和と音楽の三日間(1970年製作・アメリカ映画)②ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年・ドイツ&アメリカ&フランス&キューバ)③ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!(1964年・イギリス)

●カルト⇒①本作シリーズ②不確かなメロディー(2000年・日本・主演は忌野清志郎)③レット・イット・ビー(1970年・イギリス)

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●ロックやらをポイントにした、音楽ドキュは、これまでに多数のタイトル数があります。

そのほとんどが、ベスト①②カルト②のように、ライヴ・ドキュだったかと思います。

また、ポピュラー史に名を刻むビートルズの、ベスト③カルト③のように、アーティストをポイントにしたものが、大概だったかと。

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ところが、本作シリーズのように、特定の音楽ジャンルに焦点を当てて、

その経緯や、それを目指したミュージシャンの、人間ドキュ的な音楽ドキュは、あんましなかったかと思います。

しかも、社会性あるドキュとしても、昇華された傑作シリーズ。

さらに、LAとゆう特定の地域を、背景にしています。

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パンク・ロックと言えば、イギリスのセックス・ピストルズを基点に、1970年代半ばに起こった、音楽ムーブメント。

そして、それがLAに流入して、どんな風にパンク・ロックが派生していったのか、

アーティストたちの生き方を含めて、生々しく捉えた作品が本作シリーズです。

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第1弾「ザ・デクライン」(画像上から1~3枚目)では、

1980年のLAを舞台に、そんなパンクに魅せられた、いろんな若きミュージシャンたちの、観客とも乱闘を繰り広げる、トンデモ・ライブ模様を中心に、

彼らのプアマン・プアウーマンな生活ぶりも、披露されてまいります。

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続く第2弾「ザ・メタルイヤーズ」(画像上から4~6枚目)では、

パンクのあとに、パンクにも影響を受けたヘヴィメタルが、これまたイギリスから登場。

それが、1980年代にLAで、華々しくメジャー音楽として大ブレイク、開花いたしました。

ポイズン、オジー・オズボーン、アリス・クーパーなどに加え、

1970年代前半のハードロック期から活躍してる、エアロスミス、キッスなどまで、

成功したバンド・ミュージシャンたちへの、インタビューを通じて、第1弾の貧しかった黎明期との、格差ぶりを披露します。

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そして、第3弾「ザ・デクラインⅢ」(画像上から7~9枚目)。

シアトル発のグランジ・ロックを経て、またLAでは、1990年代始めの、ヒップホップ志向の黒人たちの暴動を経て、

ヒップホップと同じく、メロディのないパンク・ロックが、パンク次世代たちにどう波及し、どういう結末へと向かったのかが、

絶望的なところにも、決して目を背けずに、イタリアン・ネオリアリズム的にもえぐり出してみせた!

いやはや、スゴイ。そのあたりは、ぜひとも劇場にてご体感あれ!です。

2016年3月22日 (火)

「幸せをつかむ歌」⇒メリル・ストリープ主演

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音楽ムービーと家族ドラマが合体した逸品

アル・パチーノ「Dearダニー」のオカン・ロッカー版

http://www.Shiawase-uta.jp

3月19日の土曜日から、ソニー・ピクチャーズの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸やらで上映中だす。

本作は2015年製作のアメリカ映画101分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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メリル・ストリープが長いキャリアの中で、初めてロック・ミュージシャン役に挑んだ作品だす。

アル・パチーノが、初ロッカー役を演じて話題を集めた「Dearダニー 君への歌」(2015年製作・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)の、女版と言えるやろか。

そして共に、息子や娘との関係性が、メイン・ソースなドラマ・ポイントとなる作品だす。

フツーのバリバリの音楽ドラマ映画とは違い、共に大ベテランなだけに、若々しくてストレートに魅せる音楽ものやなく、

あくまで、深みある熟成のロッカーとしての、演技ぶりが胸を打ちます。

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メリルは息子2人と娘1人(メリルの実の娘メイミー・ガマーがやってはります)を産みながらも、家出し夫(ケビン・クライン)と離婚してまで、LAでミュージシャンとして、生きていこうとしはりました。

ほんで、今は、パートをしながら、身入りのほとんどない、ライブハウス専属のバンドの、リード・ボーカルをやってはります。

「ダニー」のパチーノは、コンサート・アーティストとしてリッチなんやけど、こちらのメリルはプア・ウーマン。

さらに、バツイチのバンドのギタリスト(リック・スプリングフィールド)と、恋人関係にあります。

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男や女が家出までして、ミュージシャンや何かを目指すスタイルのドラマは、ある程度の予測が付きます。

けども、本作のメリルは、既にプロとしてレコードまで出してるのに、コドモたちを見捨てて行ってまう。

そのあたりの事情がよく分からんけども、

メリル・オカンが結婚式にも出なかった、娘はんのダンナが浮気して家出してもうて、再婚もしてる元ダンナが、メリルにSOS。

ほんで、娘を慰めるために、メリルがパートも仕事も休んで、元ダンナ・娘のとこへ。

そこで、娘や息子たちから、いろんな非難に遭ってまうちゅう流れやけども…。

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そのあたりの家族の摩擦あたりは、オモロク見られる。

けども、メリルのキモチが、少しく分からんとこもあります。

いわゆる、ドラマ的ファクターとして、わざとのように、いろんな人間関係の摩擦や確執が、設定されとるように思われるからです。

でもしか、それらも、クライマックスやらの、メリルの熱唱ぶりで解消されます。いや、解消されへん人もいるかもしれへんけど、

メリルが冒頭から、トム・ペティ&ハートブレイカーズの「アメリカン・ガール」を歌い、傷心シーンでU2を、ヤマ場では、ミスター・アメリカン・ロッカーの、ブルース・スプリングスティーンを歌う。

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その意外性とマジ真剣な熱気には、ホンマ、ヤラレテまいます。

アカデミー賞を始め、演技賞ものの演技を、披露し続けてきたメリルやけど、

本作では、ギターや歌を特訓して、アーティストらしさを演技し、

しかも、家族を捨てたけど、今も家族を思う、かつてない複雑ビミョーな、演技を見せてはりまして、

メリルにしかできないような演技性が、濃厚に出ております。

何はともあれ、音楽映画と家族映画の合体作として、オリジンの高い作品やったと思います。

2016年3月18日 (金)

「ちはやふる 上の句」⇒広瀬すず主演・週末日本映画劇場

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広瀬すずチャンが大活躍する、コミック原作のアイドル映画

文化系部活映画の、チーム・プレイとキズナが感動的な作り

http://www.chihayafuru-movie.com

3月19日の土曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショー。

二部作の後篇となる「ちはやふる 下の句」は、4月29日の「昭和の日」に公開。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016 映画「ちはやふる」製作委員会 Ⓒ末次由紀/講談社

広瀬すずチャン映画初主演どす。

その意味で、アイドル映画の日本映画の、系譜なんてやり始めたら、1冊の本くらいの文章量になってまうんでやめまして、

コミック原作学園ものにするか、それとも、部活もの映画にするかと考えて…。

最近、時代のトレンドのコミック原作もんは、ケッコー分析してるんで、部活ものの切り口でいきます。

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部活もの映画とゆうても、体育会系と文化系があるんで、文化系を手前勝手に選択。加えて、高校に限定。

部活に入らずとも、みんなでやってる分も入れまして、

そのマイ・ベスト&カルト・スリー・プラスワン(各順不同)を、思いつくままに言うてみますと…。

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●ベスト⇒①桐島、部活やめるってよ(2012年製作・弊ブログ分析済み)

②スウィングガールズ(2004年)③青春デンデケデケデケ(1992年)+①リンダ リンダ リンダ(2005年)

●カルト⇒①本作(前篇だけなので、暫定順位だす)

②ロボコン(2003年)③櫻の園(1990年)+①恋は五・七・五!(2004年)

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●文化系では、今回は入れてへんけど、合唱ものとかもあって、音楽映画がドラマ映えして、分かりやすうてノレます。

そんな中で、映画のベスト①や、演劇のカルト③は、新しい文化ジャンルもんを、打ち出してはります。

けども、もっとハードルが高いのんは、文字や文章をポイントにした、映像映えしない、部活もんでありましょうや。

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ここでは挙げへんかったけど、書道部の「書道ガールズ」(2010年・ブログ分析済み)やら、

俳句部のカルト+①、そして、本作の、かるた部。

文芸部なんかが、映画になってないとこを見てみまするに、

でもしか、これらの作品は、カルト②のように、コンテスト対決とゆうポイントを、持ってくることでドラマ映えし、

ほんで、単なる文字が、ダイナミックになりまんねん。

コンテスト・シーンは、ナンチューても、波乱とハラドキがありますよってに。

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さらに、メイン・ポイントになるのは、体育会系の団体競技にも匹敵する、チーム・プレイとキズナと情熱だす。

高校野球ものや、ボート部の「がんばっていきまっしょい」(1998年)やらと、変わらない感動を、覚えはる人もいるハズ。

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そんな熱情を、かるた部の各メンバーが示さはるねん。

「上の句」のクライマックスでは、そこんとこがストレートに描出されます。

モチ、ナンチューても、かるた部を作るために、メンバーを集めた、広瀬すずチャンの熱血ぶり。

時々、チョイマンガチックに外したり、コメディエンヌチックに、コミカルにはなるけど、

何はともあれ、この情熱ぶりには魅せられました。

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幼い頃に、競技かるたに目覚めた、紅1点の3人組。

すずチャンが好きな男の子は関西へ。で、残った2人は東京の同じ高校へ。

こんな3人が競技かるたで対決し、さらに、三角関係的ラブ・ストーリーも、展開するのでは、とゆう流れでおます。

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すずチャンと野村周平クンとの、恋とは言えない関係性が

「下の句」で、どうなっていくのかも楽しみどす。

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競技かるたのルールが分からずとも、とにかくノリノリのワクワクで見られます。

スローやアップの使い方、川が紅くなったりするCGアニメ部、富士山などの風景シーン、

Perfumeが歌う主題歌「FLASH」の、テクノ・ポップなキャッチー・ナンバーなど、

映画リズムの心地いい「上の句」どした。

2016年3月17日 (木)

「リリーのすべて」⇒アカデミー賞助演女優賞ゲット

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ダンナの性別移行を、ヨメがサポートする異色の夫妻映画

エディ・レッドメインもアリシア・ヴィキャンデルも、複雑な演技性を披露

http://www.lili-movie.jp

3月18日のフライデーから、東宝東和の配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショー。

本作は、2015年製作のイギリス映画、本編120分の「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 Universal Studios. All Rights Reserved

1926年から1928年くらいに、デンマークにあった実話どす。

ベースにあるんは、性別適合手術を、世界で初めて受けた主人公の、人間ドラマ映画でおます。

でもしか、ボクは異色にして異能の、夫妻映画として捉えました。

ちゅうことで、ここで、かつても披露しましたけども、英語圏映画で、夫妻のどちらかに、問題ありな夫妻映画の、マイ・ベスト・スリーを申しますと…。

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①本作②ビューティフル・マインド(2001年製作・アメリカ映画)③酒とバラの日々(1962年・アメリカ・モノクロ)

●あくまでザックリなベストやけど、いずれも邦画に多い、不治の病系を、大いに外した異色の作品だす。

また、ドラマ映えする記憶喪失系もありまへん。

ダンナのアル中が、ヨメに移った展開の③。共に実話の①②は、②がノーベル賞を受賞した、統合失調症のダンナ。

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ほんで、本作は結婚してから、共に画家やけど、ダンナがヨメが描く絵の女装モデルやら、パーティーに女装して参加してるうちに、女に目覚めてまうとゆう、ユニークな展開。

つまり、ヨメがダンナの女性を、引き出したような具合なんどす。

でもしか、男とダンナがベッド・インするやなんて、ヨメが許せるハズないやん。

それでも、イロイロ話し合ったりしてるうちに、ダンナの性別移行の、性別適合手術を了承しはるんどすえ。

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ナンチュー役やねん、なんやけど、ヌードも辞さない、このヨメの献身(!?)的演技は、かなりと難解な演技になります。

でも、その難しさをスルスルと、自然体ですり抜けるような演技ぶり。ある種さわやかに、見えるとこさえあります。

そんなヨメ役に扮しはった、アリシア・ヴィキャンデルのネーさんが、今アカデミー賞で助演女優賞をゲット。

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対して、ダンナ役のエディ・レッドメインのアニキ。

昨年の「博士と彼女のセオリー」(2014年・イギリス・弊ブログ分析済み)で、オスカー主演男優賞を既にもうてはりますが、

考えてみたら、その作品も夫妻映画で、病に罹ったダンナ役を、やったとゆうてもエエでおましょう。

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ちなみに、ここで、“性別違和”の演技の、マイ・ベスト・スリー演技(順不同)を言いますと…。

①本作のエディ・レッドメイン

②「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年・アメリカ)のヒラリー・スワンク

③「わたしはロランス」(2012年・フランス・ブログ分析済み)のグザヴィエ・ドラン

●③は現代性もあって強烈やけど、ルーツ演技性としては、本作の方が、微妙に難役でおましょうか。

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監督は、「英国王のスピーチ」(2010年・イギリス・ブログ分析済み)で、

作品賞や監督賞やらをゲットしはった、トム・フーパー監督だす。

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15年も掛けた作品らしいどす。

それだけに、主人公人間ドラマの新領域へと、踏み込んだ傑作になっとりまっせ。

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デンマークの風景シーンを始め、パリ、ドイツなどへもロケーション。

時代に合った、シックな薄色配色と共に、熟成のスクリーン展開で魅せてくれはります。

「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」

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ホームズ・パスティーシュ映画の、最高傑作かも

ミステリー映画としての、着地具合も素晴らしい

http://gaga.ne.jp/holmes/

3月18日のフライデーから、ギャガの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、神戸国際松竹やらで、ロードショー。

本作は、2015年製作、イギリス&アメリカ合作による104分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸAI FILM PRODUCTION LIMITED/BRITISH BROADCASTING CORPORATION(2015)

イギリスのミステリー作家コナン・ドイルが創出した、シャーロック・ホームズ探偵。

ホームズに心酔するシャーロッキアンが、今やそこかしこにいてる状況を見るにつけ、

1人歩きしてチョー有名になってもうた、フィクションの主人公の嚆矢とも、言えるんやないやろか。

さてはて、そんなホームズが活躍する、映画を中心としたフィクションの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば言いますと…。

●ベスト⇒①シャーロック・ホームズの冒険(1970年・アメリカ)②シャーロック・ホームズの素敵な挑戦(1976年・アメリカ)③シャーロック・ホームズ(2009年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②ヤング・シャーロック ピラミッドの謎(1985年・アメリカ)③小説「ホック氏の異郷の冒険」(1982年・加納一朗著・角川文庫・未映像化)

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●原作をベースにした作品をベストに、ドイルが書かなかった、いわゆるパスティーシュ(パロディもしくはトリビュート)ものを、カルトに持ってきよりました。

ミステリー部もモチあるけど、ホームズのヒューマン・ドラマとなった、ビリー・ワイルダー監督のベスト①や、

ハーバート・ロス監督のベスト②は、ホームズ映画の、ボク的には2大傑作。

大ヒットした、アクション映画として、21世紀に進化させたベスト③が、確かにベストの方やけども、

カルト作品も、スゴイのんが揃っておます。

特に、ミステリー部は、ベスト以上にオリジナリティーを、追究した作品が並んどります。

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ホームズと日本との関係性を、描いた作品としては、カルト③が、ボク的にはスゴイと思う。

何せホームズがアナグラムな名前で、日本の明治時代に海外からやってきて、殺人事件を推理し解決するとゆう、トンデモない小説どして、

でもしか残念ながら、映像化はされとりません。

でもしか、本作でも、ホームズが晩年に日本に来て、イギリスの未解決やった事件の、ヒントにするなどの、特異性を見せてはります。

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老人になったホームズ役には、イアン・マッケランはん。

シニア映画としてのシブミも、そこはかとなく醸してはります。

家政婦役ローラ・リニーを雇って、田舎に引っ込み、養蜂をやってはるちゅう設定どす。

ローラの息子はんとも関わります。

そんなホームズが、解決できなかった最後の事件を、本人が小説として、したためてゆくとゆう展開。

その事件がいわゆる、ミステリー・ポイントになるちゅう次第どす。

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スピルバーグが製作した、カルト②で、ホームズの少年時代を演じた、ニコラス・ロウが、バリバリやってた時のホームズ役を演じはり、

また、日本編では、真田広之が、老人ホームズと関わらはります。

どうやら昭和時代のエピソードらしく、広島原爆ドームやらが会話に出てまいります。

ただ、なんでホームズが日本へ行ったのかは、旅行とゆうくらいで、余り詳しくは描かれておまへん。

けども、この日本のエピソードは、重大なとこでおます。

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いずれにしても、パスティーシュながら、ミステリー映画として、どんでん返しに酔える作品になっとりました。

一番下の写真が、そのポイント・ゲットになっとります。

ちゅうことで、推理しもって、ご覧くだされませ。

2016年3月16日 (水)

「あまくない砂糖の話」⇒オーストラリアのドキュメンタリー映画

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ハンバーガーの「スーパーサイズ・ミー」に続く、

主人公の砂糖摂取映画の、命懸けの怪作品どす

http://www.amakunai-sugar.com

3月19日の土曜日から、アンプラグドの配給によりまして、東京・シアター・イメージフォーラムやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作のオーストラリア映画、本編102分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Madman Production Company Ply Ltd, Old Mates Productions Ply Ltd, Screen Australia ALL RIGHTS RESERVED

主人公自らの体を使って、砂糖摂取の実態を捉えた、命懸けのドキュメンタリーどす。

それを聞いてボクが思い出したんは、

砂糖をハンバーガーにした「スーパーサイズ・ミー」(2004年製作・アメリカ映画)でおます。

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その設定について申しますと…。

ファーストフードを1日3食、1カ月食べ続けたら、人間の身体は一体どないなるのかに、チャレンジした「スーパーサイズ・ミー」に対し、

本作は、1日スプーン40杯分の砂糖摂取を、60日間続けたら、どないなるんかに挑まはりました。

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いやはや、一見バカバカしいけど、でもしか、これがなんでか、メッチャオモロイねん。

ファーストフードやったら、そのまま食べたらエエんやけど、

砂糖摂取量やから、砂糖そのものを食べるんやなく、イロンな砂糖の入った食べ物を、毎日食べ続けるちゅうことなんで、

そのビミョーな摂取量の在り方やけど、そこんとこは、説得力あるカンジで描かれておます。

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さらに「スーパーサイズ・ミー」とは違って、ストレートな一本調子やありまへん。

その都度のことを、多彩な角度から検証しはりまんねん。

途中経過を、主人公の体内に入って、CGを使って、

サスペンス・ドラマ映画「ミクロの決死圏」(1966年・アメリカ)みたいにヤッテみたり、

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主人公が、コカ・コーラを世界一飲む時期があったらしい、

オーストラリアのアボリジニの人々の街へ行って、街の現状と共にレポートしたり、

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アメリカのケンタッキー州の街へ行って、マウンテン・デューとペプシ・コーラの大量飲料が、

その街の人々をどう変えていったのかを、大マジに描出したり…。

そのダイジェスト・シーンもあります。

特に全ての歯を、抜かなければならなくなってしもた、青年のエピソードは、強烈至極どすえ~。

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サウンドトラックも、この種のドキュメンタリーでは、多種多彩どした。

歯抜きシーンで、弦楽オーケストラを流したり、ポップ・ミュージックも。

ギター、フォーク、ファンキー、U2的ロック・ナンバーまで。

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ほんで、結果分析のあとには、ヒップホップなオリジナル・ナンバーに乗って、何とトンデモ・ミュージカルが披露されまんねん。

いやはや、ビックラコンや。このシークエンスは、本作一番の見どころやと思います。

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ほんでもって、ヨメが妊娠中の主人公とゆう、実話やけども、キャラクター設定も良かったわ。

ヨメの不安感も映しつつ、結果後に、赤ちゃんが生まれ落ちて…とゆう、チョイ感動もあったりしてでんな、

何やら見終わったあと、ゲップ出して満腹感に浸れるような、そんな映画でありましたえ~。

 

2016年3月15日 (火)

「父を探して」⇒ブラジリアン・アニメの傑作

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手書きアニメの究極型を示す、サイレント・アニメの快作

フルート・メインの、哀愁のサントラが渋い

http://newdeer.net/sagashite

3月19日のサタデーから、ニューディアーの配給によりまして、東京・シアター・イメージフォーラムほか、全国順次のロードショー。

本作は、2013年製作のブラジル映画80分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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本年度のアカデミー賞長編アニメーション賞部門で、ブラジル・アニメとして、初めてノミネートされた作品。

でもしか、受賞したんは、ディズニーの①「インサイド・ヘッド」(2015年・アメリカ・弊ブログ分析済み)どしたが、

弊ブログで分析した作品では、スタジオジブリの②「思い出のマーニー」(2015年・日本)や、

クレイ・アニメ③「ひつじのショーン」(2015年・イギリス)なんぞも、ノミネートされとりました。

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ハイレベルとゆうか、従来のアニメには、あんましなかったような、実験的かつ斬新な作品が並んでおました。

人間の頭の中を描き、感情を擬人化した①は、ディズニーお得意の動物を始めとした、擬人化アニメの究極型やろうし、

②はジブリの宮崎駿・高畑勲の大御所を外して、ジブリお得意の少女ヒロイン映画ながら、トリッキーな作品。

③はサイレント映画な動物アニメ。

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ほんでもって、本作もまた、サイレント映画タッチをキーにしつつも、多彩なサントラを終始流し続けて、最後まで観客を飽きさせまへん。

また、手書き100パーセントの作品どす。

クレヨン、色鉛筆、切り絵、油絵具やらを使ったその作りは、

CGアニメを見過ぎた世代には、ある意味で衝撃的やと思います。

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まず、サントラについて申しますと…。

コドモ少年が探すオトンが、吹いてたフルートが、まずサウンドのポイントになっとります。

ラテン・コーラスなお祭りソングがあったり、哀愁のギター、アコーディオン、スリリングなバイオリン、エレクトーン、マーチ、ヒップホップまで、多彩も多彩。

音楽の万華鏡的な装いでおましょうか。

特に、お祭りソングの、ツボを心得た使い方には、感心いたしました。

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セリフ・字幕がないので、サントラによって映画リズムが、作られてまいります。

出稼ぎに出たオトンを探して、コドモ少年がロードムービーするとゆう、シンプル・イズ・ベストな映画なんやけど、

少年が行く先々で遭遇する、体験や出会いが、波乱をはらんでおまして、ケッコードッキリしながら見られます。

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手書きであるにも関わらず、CGの人工性以上に、多彩かつ淡い色合いが新鮮どした。

紫・ピンク・赤茶色など、上下三層に分かれた構図とか、夜のダーク・グリーン・トーン、万華鏡的切り絵感覚など、

これまでのアニメには、あんましなかった配色具合に、最初から最後まで、ボクは目を点にして見ておました。

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単なるアニメやなく、ブラジルの社会性も実は出とるんだす。

武器作りの工場や、軍隊の行進、戦火、貧富の差、田舎と都会の対比描写、巨大な怪鳥のイメージなど、

黙って見ていても、何もかもが感じ取れるような、そんな映画でおます。

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果たして、少年はオトンを探せるのか。

実は、そのハラドキが、本作のポイントやありまへんねん。

スタジオジブリ作品に影響を受けたとゆう、アレ・アブレウ監督やけど、

ジブリにはない意外性あるタッチは、監督のオリジナルなとこでおましょう。

いずれにしても、ディープ・インパクトある作品でおました。

2016年3月13日 (日)

「僕だけがいない街」⇒藤原竜也・有村架純共演・日曜邦画劇場

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タイムスリップ系ドラマに、新たな視点が加わったSFミステリー

大ヒット作「orange-オレンジ-」と、対を成す快作

http://www.bokumachi-movie.com

3月19日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016映画「僕だけがいない街」製作委員会

タイムスリップ系の映画は、「タイム・マシン」(1959年製作・アメリカ映画)以来、多数出てまいりました。

ただ、かつては時間旅行が主体にあり、過去を、歴史を、改ざんするようなタイプの映画は、ほとんどありまへんどした。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ(1985年・1989年・1990年・全3作・アメリカ)や「時をかける少女」(1983年・日本)などが、その種のスリップ映画のピークどしたが、

21世紀になると、果敢にも過去改ざん系に、挑む作品が現れてきました。

そして、ここ1~2年の邦画界では、単なる改ざん系ではないもんが現れとります。

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例えば、共にコミック原作どすが、「orange-オレンジ-」(2015年・弊ブログ分析済み)と本作でおます。

過去改ざんをすることで、当然現在改ざん系にもなる作品だす。

彼を救うために、パラレル・ワールド観でいった「orange」に対し、本作はどないやろか。

主人公・藤原竜也のアニキは、事件が起こった近過去をリバイバルし、つまり再生して、矯正できる能力を持ってはります。

まあ、「時をかける少女」と似てるかもしれへんけど、最初の方で、そんな能力を何度か発揮しはります。

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でもしか、2006年現在に、藤原竜也のオカン(石田ゆり子)が何者かに殺されたことで、

それをリセットせんと祈念すると、どういうわけか、1988年の小学校時代へ、少年に戻ってタイムスリップしてまいます。

さてはて、そのあたりから、ミステリー的タッチが加わってまいります。

一体、その時の何を矯正・改ざんすればエエのんか、

ココロは藤原竜也でカラダは少年は、「名探偵コナン」のように、推理して行動に移すんだす。

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ほんで、3度にわたり戻って、過去を正そうとするんやけど、でも、ハードルがいくつか用意されとって、一筋縄やありまへん。

また、現代に戻れば、オカン殺しの嫌疑を掛けられて、逃げるようなことになっとります。

藤原竜也を慕う役に、有村架純ちゃん。

現代における2人の関係性も、ラブ・ストーリーチックやないところで、本作のキー・ポイントを握っておます。

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藤原竜也的個人的に、2つの現代が存在するとゆう意味では、「orange」的パラレル・ワールドとも取れるけど、2作品の着地具合は、大いに異なっております。

見知らぬ他人のように再会する、藤原竜也と有村架純の、もう一つの現代シーンは、「天国から来たチャンピオン」(1978年・アメリカ)を、一時は思い出しました。

でもしか、着地具合の感触は、「orange」同様かなりと違います。

泣けるのか、ハッピー・エンドなのか、感動的なのか、そのあたりは、人によって違うかと思います。

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ボクが思ったのは、コドモ虐待とゆう現代的問題を、SFチックながら、ミステリー的に魅せる展開は新しいし、

過去改ざんSFとして見ても、現実的・理論的よりも、心理的・イメージ的にやってみたとこらが、ある意味では斬新なんやないかと。

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ミステリー小説やSF小説原作やなく、コミック原作ゆうとこにも、ボクは驚きました。

ちゅうことで、タイムスリップ系SFミステリーの、新境地を見せてくれる傑作です。

2016年3月12日 (土)

「家族はつらいよ」⇒山田洋次監督の新作

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「男はつらいよ」シリーズの、次なるシリーズになるか

あの喜劇テイストが、家族編でブレイク弾けます

http://www.kazoku-tsuraiyo.jp

3月12日の土曜日から、松竹の配給で、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016「家族はつらいよ」製作委員会

日本の喜劇シリーズのプログラム・ピクチャーゆうたら、「釣りバカ日誌」終了以来ありまへん。

ところがどっこい、ここに、遂に登場か、ちゅうのんが出てまいりました。

メッチャ大きな期待に、胸が膨らんでまいります。

松竹系は、確かに喜劇シリーズの宝庫なんやけど、

ナンチューても、「男はつらいよ」シリーズが、余りにもスゴイんやけど、

それを継承するような本作が、「男はつらいよ」の、山田洋次監督作品として出てきたんでおます。

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マイ・ベスト邦画喜劇シリーズは、「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」「駅前旅館」なんやけど、

それぞれ寅屋・鈴木建設・旅館とゆう、基点となる場所は、何世代かの家族が集うような、純粋な家庭とゆうスタイルやありまへんどした。

ところが、本作は、ストレートに家庭に、焦点を当てた群像喜劇になっとります。

そして、家族映画の宝庫やった松竹らしさが、満開になっとる映画だす。

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さてはて、ボクは本作を見て、最近見た洋画で「クーパー家の晩餐会」(公開中・弊ブログ2月19日付けで分析)との、シンクロナイズや既視感を、勝手に覚えよりました。

一家の長老が、病気で倒れるなど、ケッコーシンクロするとこがあるんで、お暇なら、一度チェックしてみなはれ。

でもしか、「クーパー家」との大きな違いは、各人の群像劇よりも、家族会議をクライマックスにもってきたりして、夫妻(橋爪功・吉行和子)のドラマに収束したあたり。

確かに、「クーパー家」でも、ジョン・グッドマンとダイアン・キートン夫妻は、離婚の危機にはあったんやけど、本作とはビミョーに違います。

そのあたりは、日本とアメリカの違いなんかもしれまへん。

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小津安二郎監督の「東京物語」(1953年)の、山田洋次監督による、21世紀現代版リメイク・リブート作品「東京家族」(2013年)の、

家族一同が、各関係性は同じやけど、新たなシチュエートで紡がれとります。

橋爪功の大仰と吉行和子の冷静、妻夫木聡の誠実と蒼井優の柔軟など、

各役者のスタンスは、「東京家族」を継承しとります。

歌やポスターでの「男はつらいよ」や、作品の一部を映す「東京物語」など、名作へのオマージュ・シーンも、

若い世代には目立たない程度に、入れてはるんも良かったやろか。

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「男はつらいよ」の「寅屋」的群像カット(写真一番下)の妙味や、

妻夫木と蒼井優のツーショットなど、1分くらいの見ごたえある、長回し撮影もあって、よろしおます。

蒼井優が橋爪に「言葉です」と説教するシーンも、「男はつらいよ」にもよくあったシーンで、押しつけがましくはなかったどす。

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橋爪功を調べる探偵役の小林稔侍は、橋爪とは同級生で、近々に同窓会もやってて、よく知ってるハズどして、

見知らぬ人間しか調査せえへんのに、なんで調査を引き受けたのかとか、

ツッコめる疑問があるとこも、こおゆう喜劇には、重要でオモロイとこだす。

ちゅうことで、妻夫木と蒼井優の結婚式など、今後も多彩に作れる家族映画なんで、

ぜひともシリーズ化を、お願いしたい作品でおました。

2016年3月11日 (金)

「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」⇒岡田准一・阿部寛共演

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ヒラリーの「そこに山があるから」じゃない

「ここに俺がいるから」山に登る、積極果敢さが凄すぎる

http://www.everest-movie.jp

3月12日の土曜日から、東宝とアスミック・エースの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の日本映画、本編122分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会

まず、最初にゆうときますと、本作は今のところ、今年の日本映画の、マイ・ナンバーワンでおます。

片や、洋画では、レオナルド・ディカプリオが、初のアカデミー賞主演男優賞をゲットした、

激烈サバイバル映画「レヴェナント 蘇えりし者」(4月22日公開・弊ブログ後日分析)がマイ・ナンバーワンなんやけど、

実はこの2作は、男たちのトンデモない執念と熱情ぶりに、驚きを隠せない作品なんどす。

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さてはて、遭難系を含め、山岳登山もの映画てゆうたら、イロイロあります。

日本映画に限定して、マイ・ベスト・スリー(順不同)を言いますと…。

①本作②八甲田山(1977年)③剱岳 点の記(2009年)

●②③は、日本の山もので、時代的には明治時代のお話どした。

ところが、本作は、昭和から平成へと到る、より現代的な時代背景の元、

ネパールの山岳ロケを、日本映画史上初めて敢行。

エヴェレスト映画の多い洋画山岳ものに、挑戦状を叩きつけるような、凄みのある作品になりました。

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その作りは、最初はミステリー的タッチから始まります。

1968年、1970年代、1985年と、過去の追想シーンを、カットバック的に入れながら、

カメラマン役の岡田准一が、行方をくらました伝説の登山家役・阿部寛を、思いがけずネパールで発見したことから、

阿部寛の人間性の謎に、迫ってゆくとゆうカンジで、ストーリーは展開してまいります。

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その過程で、阿部の元恋人役で、尾野真千子が登場します。

岡田准一や阿部寛の、熱気あふれる演技に対し、

尾野真千子ネーさんは、彼女のキャリアにおいて、河瀬直美監督作品でもやらはりましたが、近作にないような弱々しい演技を、久々に披露しはります。

そんな演技の対比ぶりもまた、本作の男たちの熱気を、いや増してゆくんでおます。

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ドキュ映画「エベレスト征服」(1953年・イギリス)でも伝えられとりますが、

イギリスのエドモンド・ヒラリーらが、エヴェレスト世界初登頂と認められたんやけど、

それより30年前に、登頂に成功したかもしれない人たちの、存在についての謎にも言及。

そのポイントが、阿部寛の登頂への執念へ、そして、阿部寛を追う岡田准一へと伝播して、

男たちのモノゴッツーな、命懸けのドラマへと発展してゆくんだす。

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山に登るのはなんで?とゆう問いに対し、ヒラリーは「そこに山があるから」と、淡々と答えはったそうやけど、

本作は実話やないけども、阿部寛は「ここに俺がいるから」と、積極的挑戦姿勢を見せはります。

そのあたりもまた、メッチャな凄みが、ビンビンと伝わってまいりました。

平山秀行監督、初ともいえる大作。監督の執念も、モチ伝わってくる傑作です。

2016年3月10日 (木)

「アーロと少年」⇒ディズニー&ピクサーの最新作

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恐竜とコドモ原始人間の、交流映画どす

実写以上に素晴らしい、自然描写シーンの数々に見とれて…

http://www.Disney.jp/Arlo

3月12日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの配給により、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 Disney/Pixer

ディズニーとピクサーの、共同製作の最新作どす。

恐竜が滅びなかったとゆう設定の、紀元前の太古の時代を背景にしてはります。

恐竜と少年が交流するとゆう展開は、メイン・ソースではあるんやけど、

そのあたりの定番的イメージは、フツーっぽく見えますが、

ロードムービー部やらを設定して、オリジナリティーをば加えはりました。

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恐竜もの映画てゆうたら、ヤッパ、

「ジュラシック・パーク」シリーズ(第1弾は1993年製作・アメリカ映画)みたいに、恐竜的オトロシサやらを、期待したりしがちやけど

本作では、ディズニーらしく、恐竜たちは、フランクでフレンドリーでおます。

恐竜と人間、しかもコドモとゆうコンビぶりは、ディズニー・アニメだけやなく、映画アニメ史上でも、かつてありまへんやろ。

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川の激流にハマッてもうて、恐竜家族とはぐれてしもた、臆病なコドモ恐竜。

人間の野生児との出会いで、2人で生き抜くとこを模索してゆかはります。

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いろんな敵との対決シーンや、親の元に戻るまでの波乱のロードムービー・タッチなど、

ディズニー・アニメたるところの、一部定番的なとこを見せつつも、

本作の自由ホンポーな、映画作り度合いは高い。

そやからちゅうて、エエんかどうか分からんけど、最後までハラハラドッキリは、キープされとりました。

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そんな中で、実写以上に美しい、こまやかな自然描写シーンが、

本作のメイン・ソースやと、ゆうてもエエくらいなんやけど、とことん当たり前のように描かれとりました。

アッとゆう驚きが、隠しきれへんくらい、素晴らし過ぎるカットの連続。

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一方で、こんな完璧な自然描写が、果たしてあり得るのか。

そんな疑念も、脳裏にはありましたが、

何げに見ても、この美しさにはほれぼれしてしもて、どないもこないも、素晴らしきことこの上ありまへんどした。

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自然描写に酔ったからとゆうて、決して素晴らしい作品とは言えません。

また、原始的少年と恐竜の交流部などに、少し疑問もあったけども、イロイロあっても、結果オーライな着地が待っとる作品。

フル・オーケストラの使い方、いろんな対決シーンの作りなど、魅せる映画として、オモロイ映画やったです。

ディズニーを意識せずに、見に行った方が、予想外の感動に、出会える作品なんかもしれません。

2016年3月 9日 (水)

「エスコバル/楽園の掟」⇒トンデモワル映画やん

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アウトロー映画を超えた、極悪映画の究極型

しかも、静かな展開で進行する恐ろしさや~

http://www.movie-escobar.com

3月12日のサタデーから、トランスフォーマーの配給によりまして、テアトル梅田、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は、2015年製作の、フランス・スペイン・ベルギー・パナマ合作による119分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Chapter2 - Orange Studio - Pathe Production - Norsean Plus SL - Paradisr Lost Film A.I.E - Nexus Factory - Umedia - Jouior Development

ヒーロー映画、もしくはヒロイズム映画は、いわゆるアウトロー映画とは、対極にあるハズなんやけど、

そんなアウトローものも、決して悪の映画やなく、ヒロイックな見ごたえも、それなりにあったかと思います。

ところがどっこい、本作はアウトロー映画でも、血も涙もない、非情極まりない極悪人間の、お話でおます。

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しかも、それが静かな展開で進んでまいりますと、余計にココロ寒々、背筋も凍ってきよるんでおます。

極悪人間ドラマ映画ちゅうたら、例えば、マフィア・ヤクザ・ギャング系映画に多いとは思うけど、

人口に膾炙した「ゴッドファーザー」(1972年製作・アメリカ映画)なども、その代表的作品やと言えましょう。

でもしか、「ゴッドファーザー」の、マーロン・ブランドやアル・パチーノには、

まだちょっとであっても、感情移入できるような、人間らしさがあったかと思います。

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しかし、本作はコロンビアの麻薬王の実話やけど、武骨で静謐にして、非情・残酷を示すタッチは、この種の悪人映画の気分の悪さを強調しとりました。

ある意味でスゴイんやけど、さらにゆうと、神を冒涜するようなセリフがあるとこにも、この主人公像のトンデモなさがあります。

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「神は何もしていない」とか、「最近、神はなまけてないか」とか、神を非難するセリフが頻出。

その傲慢ぶりが、最後まで持続する作品どす。

そんな悪の麻薬王に扮したのは、ベニチオ・デル・トロのアニキどす。

「トラフィック」(2000年・アメリカ)では、麻薬犯罪を追う刑事役に扮したけど、今作は真逆の犯罪者役。

革命者チェ・ゲバラを、ヒロイックに演じて、カンヌ国際映画祭で主演男優賞ももらったけど、

一方で、本作の演技は、キャリア最悪に憎たらしくなる悪役やと思います。

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つまり、みんなから嫌がられる役。いやはや、これこそ悪役冥利に尽きるんやないやろか。

対して、彼によってエライ目に遭う、いわゆる正義派としての役柄は、ハリウッドの次世代俳優の、ジョシュ・ハッチャーソンが演じてはります。

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デル・トロのかわいい姪と結婚した、カナダ人役のジョシュ君。

でもしか、ファミリーだけやなく、麻薬組織の全てを掌握し支配する、デル・トロにとっては、

自らに破滅の危険が迫った時には、粛清の対象人物でもありました。

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しかも、ジョシュ君の実のアニキもそう。

ちゅうか、後半の展開では、デル・トロは、親族を抜きにして、自らをおとしめるほとんど全ての関係者を、殺人者を使って抹殺しようとしはります。

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その非情さを示す流れは、サスペンスフルではあるけども、目を背けたくなるようなとこもあります。

デル・トロのさりげない命令で、殺人をやらされる羽目になったジョシュ君が、

殺人をせずに、逃げるような展開になっていくプロセスは、波乱とドキドキに満ちておました。

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悪を倒す正義の味方は、映画やドラマのように、果たして存在するんやろうか。

実話なだけに、経過や結果は分かっとるんやけど、

それでも、最後の最後まで、正義のヒーローの出現を期待したくなる、そんな作品やったです。

2016年3月 8日 (火)

「これが私の人生設計」⇒イタリアのヒロイン映画

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“いつも心に太陽を”のような、明るく大衆的なイタリア映画

これぞNHK朝ドラの、イタリア映画版やでー

http://www.korewata.com

3月5日の土曜日から、シンカの配給によりまして、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやらで、ロードショー中。

本作は、2014年製作のイタリア映画103分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Italian international film s.r.l

イタリアで大ヒットした、ヒロイン映画の快作品どす。

前向きポジティブなヒロイン映画といえば、これまでに多数の作品がござります。

そんな中で、イタリア映画ときたら、ボク的にはあんまし思い出されへんかったけど、

イタリア女優ソフィア・ローレンなんかが、主演した作品は、

例えば、イタリア映画やないけど「島の女」(1957年製作・アメリカ映画)など、肝っ玉なカンジがありましたが、

本作の建築士ヒロイン役の、パオラ・コルッテレージは、意外にも、アメリカン・ラブコメに登場するような、

とことん明るくて、身近で、めげずに前向きなタイプのヒロイン。

NHKの朝ドラ・ヒロインとも通じる、大衆的・国民的なキャラクターでおます。

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しかも、ラブコメというより、ラブをチョイ抜いた、コミカル・モード・キャラもあります。

ユーロ映画でゆうたら、イギリスの「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年)や、

フランスの「アメリ」(2001年)なんぞの、テイストがあるやろか。

この種の映画にふさわしく、ヒロインの快活で饒舌なナレーションから、本作は始まります。

いきなり、スピードフルに乗せられていってでんな、世界的建築士になるかと思いきや、

故郷・イタリアに帰ってきて、バイトをしもって、地元で一級の建築士を目指さはりまんねん。

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スロー・モーションと劇的なサントラを使って、運命の出会いと思わせながら、彼はゲイやったとか、

エンブレムやないけども、公営住宅の建築デザインの公募に、女ではアカンやろと、男を騙(かた)って応募して、

採用されたんはエエんやけど、ヒロインは東京に出張中の応募者の、アシスタントやと騙って、建築会社を騙し続けようとしはります。

さらに、応募した建築デザイナーに、ゲイの男になってもらって、騙しを続けるんやけど…。

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騙しのユーモアに加え、嘘やとバレた場合の、ヒロインの対処の仕方など、

ある意味で、イタリア映画とは思えない、アメリカン・ヒロインチックな、ストレートなところで魅せてくれはります。

そういうところが、この映画を、リズミカルに弾けさせはりまんねん。

この前向き・ポジティブな感触と見ごたえは、かつてのイタリア映画のイメージをば、変えるとまでゆうても、エエかもしれまへん。

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また、ヒロインとおばとのエピソード部なんぞも、ほほえましく楽しく見れます。

ドラマティックなナンバー、「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年・アメリカ)で使われた「アンチェインド・メロディ」のカヴァー・ナンバー、スタンダードなナンバーなど、

少しミスマッチなとこもあるけど、シーンに合わせた歌ものサントラ使いの妙に加え、

ピアノをポイントにした、ブラス・バンド・サウンドなどが、ヒロインの元気印をサポート。

最後までスルスルと見られて、当然元気ももらえましたで。

タイトルが1人歩きした、教師と生徒たちを描いた「いつも心に太陽を」(1967年・アメリカ)のような作品。

ちゅうことで、イタリア映画のイメージを変える、明るくてゴキゲンさんな作品でおました。

2016年3月 7日 (月)

「抱く(HUG)」⇒異色の社会派ドキュメンタリー

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震災ドキュと、妊娠ドキュが複合化

ヒロイン映画の、新しいセンスも、見え隠れしとります

http://www.kanatomoko.jp/hug

ユナイテッドピープルの配給により、3月5日から京都シネマで上映中。以降、3月19日からの第七藝術劇場など、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸHorizon Features

本作の海南友子(かなともこ)監督の、実体験を描いたドキュメンタリーでおます。

海南監督作品てゆうたら、弊ブログでは、

山田洋次をプロデューサーに迎えた、セレブ・ドキュの快作「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」(2012年製作)を採り上げましたけども、

本作は、震災・福島原発な社会派ドキュを撮ろうとして、思いがけず、私的に反転していくドキュメンタリー。

つまり、ドキュらしい、意外性に満ちた作品になりました。

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福島原発事故の撮影中に、監督自身の妊娠が判明。

取材をやめて、子どもへの影響を危惧しながら、休養に入ります。

冒頭部は、臨場感とキレのある、東日本大震災・福島原発事故の、社会派ドキュになっとりまして、

本人によるナレーション「今まで経験した現場より恐ろしい現場」や「パニック映画の中にいるみたい」が、緊張感を増してゆきよります。

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でもしか、撮影を終えたあと、「もう疲れた」と言って、監督は数週間寝たきりにならはります。

ほんで、40歳で卵巣に病気もあるけども、妊娠が発覚。

それからは、子どもへの影響を検証・振り返るドキュへと反転しよります。

「いわきで過ごした、恐ろしい真っ暗な夜」とかを振り返り、放射能の妊娠への影響をば、考えはりますねん。

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さてはて、1971年生まれの海南監督は、同時期に出来た福島原発に、大いなるこだわりがありまして、

そのポイントが、産声を上げる赤ちゃんと、シンクロナイズしてゆく流れは、

プライベート・フィルムの領域を超えて、映画作家性に満ちておます。

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取材した「あの日を消したい。全てを消したい」と、監督は声高に叫び、イロイロあって、帝王切開へ。

社会派ドキュの流れがよどんで止まり、原発事故の影響を、自らが不安視する、プライベート部へと入ってゆく、かつてないドキュ展開。

妊娠ドキュとの合体とゆうよりも、ドキュらしい波乱に満ちた展開になっとります。

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桜の移動撮影シーンや、雲が浮かぶ空のシーンなど、日本的風景や情景が、

違和感をもって映されるとこなんか、この意外性あるドキュに、ぴったりな感がありました。

大震災以降、モノゴッツー出てきた震災ドキュどすが、パターン化された震災ドキュの在り方が、180度転換するとこに、本作のオリジナリティーがあります。

しかも、女性らしい、妊娠ドキュのテイストが妙味。

さらに、そこに社会派的問題も付加して、一筋縄を超えとります。

定番の震災ドキュを破壊した、画期的な1本だす。

2016年3月 4日 (金)

「ひつじのショーン スペシャル~いたずらラマがやってきた!~」

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これぞファミリー映画の、雛形アニメやがな

世界の老若男女誰にでも、分かるタッチが素晴らしい

http://www.aardman-jp.com/shaun-llamas

3月5日のサタデーから、東北新社の配給によりまして、全国ロードショー。

本作(28分)は、2015年イギリス製作。「ひつじのショーン テレビシリーズ ベストセレクション」(35分)との2本立て上映だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸAardman Animation Ltd 2015

動物アニメ・動物擬人化アニメとくれば、ほとんどの方が、ディズニー・アニメを思い出すことでおましょう。

まあ、ちょっと狂っても、「ドラえもん」とか「となりのトトロ」とか「スヌーピー」とかやろか。

でもしか、人形アニメもあるけど、クレイ(粘土)アニメちゅうのんもありまして、

イギリスのアードマン社は、上記の作品ほど大ブレイクはしてはりませんが、そんなクレイ・アニメの権威でおます。

「ウォレスとグルミット」「チキンラン」などが、ここ日本でもスマッシュ・ヒットしましたが、

本作シリーズの映画版「映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」(弊ブログ分析済み・そこでは動物アニメの、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露しとります)は、

日本でも週間興収ランキングで、ベスト5に入る大ヒットをかまし、

今年のアカデミー賞の長編アニメ賞にも、受賞はしとりませんが、ノミネートされとります。

確かに、ディズニーに加え、ディズニー以外のハリウッド大手映画会社による動物アニメなどは、時として、幼少のコドモには、分かりにくいもんも含まれておます。

たぶんそれは、セリフがあるからやないやろか。

文字を解せない、未就学児童たちにも分かる映画。

それでいて、大人も楽しめる作品ちゅうのは、よう考えたら、メッチャ難易度の高い映画なんやないやろか。

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牧場主が何か喋ってるとこもあるけど、基本はサイレント映画でおます。

但し、サントラはしょっちゅう流れとります。

映画として、日本でのみ劇場公開される「ひつじのショーン~いたずらラマがやってきた!~」では、28分の短編ながら、

羊たちと犬側と、牧場主が見本市で、買ってしまったラマたちとの、

「キャッツ&ドッグス」(2001年・アメリカ)まがいのバーサスが展開いたします。

アドリブチックなジャズ・ナンバーや、笛・マンドリン・ジャギー・バクパイプなどを流して、

スリリングにトリッキーに展開して、誰もが楽しめる作品になっとりますで。

また、テレビ・シリーズから、各7分5作品をセレクションして、同時上映しはります。

ディスコティークなノリノリを出した「サタデー・ナイト・ショーン」や「パーティーをしよう」、

ユニークなラブ・ストーリー「ショーンの恋」、

ネコと羊の争奪戦「ティミーのぬいぐるみ」、

サントラではテルミンまで使い、モノクロも入れた郷愁感ある「おもいでの木」。

各オープニングに掛かる、口笛と羊の声をフィーチャーした、グリーングラスなテーマ曲が、メッチャゴキゲンさんなカンジでよろしおます。

ちゅうことで、映像とサントラで、ファミリー全員がノリノリになれる作品。

ディズニー映画以上に、ファミリー向けやと断言いたします。

2016年3月 3日 (木)

「不屈の男 アンブロークン」⇒アンジェリーナ・ジョリー監督作品

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戦争ヒューマンドラマ実話の、波乱に満ちた作品

脚本コーエン兄弟・主題歌コールドプレイなど、バックアップも強力

http://www.unbroken-movie.com

3月5日のサタデーから、ビターズ・エンドの配給によりまして、シネマート心斎橋、京都シネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2014年製作のアメリカ映画137分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 UNIVERSAL STUDIOS

アンジェリーナ・ジョリー監督が、2014年に撮った映画監督作品第2弾。

女性監督らしくない骨太な作りは、ジェームズ・キャメロンのヨメはん、キャスリン・ピグロー監督作品やらと匹敵しよります。

しかも2人共に、戦争映画を主に撮ってはりまんねん。

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例えば、ピグロー監督のアカデミー賞作品賞受賞作「ハート・ロッカー」(2009年製作・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)は、イラク戦争を背景に描いておますが、

本作とのシンクロを考えて、もっと細かく見てみれば、

戦争によってエライ目に遭った人たちの、波乱に満ちたドラマに、なっとるとこでおましょうか。

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ここで、タイトル数もメッチャ多いけど、そんな戦火人間ドラマ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに披露してみますと…。

●ベスト⇒①人間の條件(1959年~1961年・日本・ブログ分析済み)②戦場のピアニスト(2002年・ポーランド&フランス)③プライベート・ライアン(1998年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②アメリカン・スナイパー(2015年・アメリカ・ブログ分析済み)③ハート・ロッカー

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●ベストは第二次世界大戦映画を、カルトは21世紀に公開された作品から選びました。

カルト②③は、21世紀の戦争ものやけど、本作は名作戦争映画の宝庫、第二次世界大戦下ものどす。

しかも、実在の兵士とゆう個人を描きながらも、

そのトンデモ波瀾万丈ぶりは、ベストの名作以上に、モノゴッツーなものがありました。

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ビビッドな空中戦と、主人公の過去の、オリンピック・ランナーになるまでの、経緯がカットバック。

ほんで、空中戦で海へ不時着。ここから、漂流パニック・ムービーとなり、やがて日本兵に捕まります。

そして、次は日本ロケによる、捕虜収容所ものへと転換。

ちゅうことで、戦争映画のフレイバーが、多彩に盛り込まれたボリュームになっとります。

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出演陣について。

「ベルファスト71」(2014年・イギリス&アイルランド・ブログ分析済み)に続き、受難系の兵士役をやったんは、イギリス俳優ジャック・オコンネル。

その汚れ演技ぶりは、ハンパやありまへん。

日本からは、ミュージシャンのMIYAVIが参戦。

「戦場のメリークリスマス」(1983年・イギリス&日本)のビートたけし以上の、エグイ冷酷な捕虜収容所署長役を、演技してはります。

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コーエン兄弟の、随所に波乱を織り込んだ脚本の巧み。

ブリティッシュ・ロックの現代の雄、コールドプレイのメロディアス・バラードの主題歌なども、エエ感じ。

戦火の日本軍を描いた映画は、ハリウッドでもケッコーありますが、日本国内にここまで食い入った映画は、そうそうありまへん。

その意味では、戦争ヒューマニズム映画ベスト①にも迫る、快作やと言えましょう。

2016年3月 2日 (水)

「マネー・ショート 華麗なる大逆転」⇒ブラッド・ピット製作・出演作品

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本格的経済映画の、ハンパやない問題作

かつてこれほど経済専門用語を、散りばめた作品はないかも

http://www.moneyshort.jp

3月4日のフライデーから、東和ピクチャーズの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2015年製作のアメリカ映画・本編2時間10分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

今回のアカデミー賞でも、ボクは注目しとりました。

ブラピことブラッド・ピットと、レオ様ことレオナルド・ディカプリオ。

ブラピの方が10歳も年上なんやけど、1990年代から、共に大活躍し、アカデミー賞でも、ノミネート常連の2人。

今回はレオの方に、主演男優賞ゲットで、栄光の光が射しましたけども、

それでも本作は、脚色賞を確保しておます。

いずれにしても、2人は映画製作に、情熱を燃やし続ける、映画愛に満ちた映画人間どす。

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さてはて、本作。

リーマンショックの内実に、初めて深く切り込んだメスを、入れた作品でおます。

しかも、経済専門用語が頻出するセリフが、次々に出てまいりまして、

戸惑いもひとしおに、なりかねへん作品。

でもしか、見ていったら、何となく分かり、ほんで、各人の逼迫演技で、ドトウのサスペンス・タッチで、

最後までアッとゆうてる間に、見れてしまう作品どした。

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1929年に世界恐慌の因を起こした、ウォール街を背景にした映画は、ボクは見てへんけど、たぶんなかったんやないかな。

で、今回の21世紀の経済恐慌。

リーマンショックをラストの決着にして、トレーダーの4人を主要とした、いろんな人間たちが、

恐慌を予測しつつも、どう生き抜いていったのかを、描いた群像劇でおます。

4
波乱に満ちたドラマでおます。

さてはて、タイトル数は少ないけども、ここでウォール街などの、株式証券をポイントにしたアメリカ映画の、

順不同で、マイ・ベスト・スリーを言いますと…。

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①本作②ウォール街(1987年製作)③大逆転(1983年)

●エディ・マーフィ主演のコメディ③は、理屈抜きにオモロかった。

②は、マイケル・ダグラスとチャーリー・シーンが、証券マンのハラドキのドラマを、誰にでも分かりやすく演じておました。

そして、本作は、クセ者揃いのトレーダーたちが、分かりにくい言葉を駆使しつつも、②以上のハラドキを、クリエイトした作品どす。

5
3組の話が、ラスベガスなどで、シンクロナイズしますが、3話の人間関係は交わることなく、話は展開してまいります。

カットバック的・オムニバス的ではなく、同時進行形並列的に進みますんで、

その意味では分かりやすく、物語についていきやすい、流れや構成になっとります。

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実話ながら、キャラクター造形にも魅せられます。

クリスチャン・ベール(写真上から3枚目)の、1人でいるのがいいと言う、クールな無表情演技。

スラッシュの「メタリカ」など、ヘヴィメタを常に聞いてるキャラも特異。

対して、不満足を常に放言する、スティーブ・カレル(写真上から4枚目)のワメキ演技。

一方で、冷静沈着をゆくブラピ(写真上から2・9枚目)や、ライアン・ゴズリング(上から5枚目)。

総じて、クールを旨とするトレーダーや、アナリストらしい演技ぶりに、なるほどなと、納得できます。

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1970年代映画的色合い。

合わせて、70年代のニール・ヤング、レッド・ツェッペリン、ファンキー・サウンドなどの、サントラ使いの妙味。

ダイジェスト・シーンに、無関係なシーンをフラッシュ的に、挿入する意味深的作り。

そして、黒澤明監督が「素晴らしき日曜日」(1947年・日本・モノクロ)で、映画史上初めてやった、出演者が観客に向けて、話しかけるシーン。

それが頻出して、ドラマにアクセントを加えてはります。

とゆうことで、ワケ分からん経済用語を、スルーしながらも、スムーズスルスルハラハラドッキリに、見られる作品でおました。

2016年3月 1日 (火)

「セーラー服と機関銃-卒業-」⇒火曜日本映画劇場

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日本映画史に残る、アイドル映画の続編

前作以上に、アクション・シーンが、ヒートアップ!

http://sk-movie.jp/

3月5日の土曜日から、KADOKAWAの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016「セーラー服と機関銃-卒業-」製作委員会

タイトルだけを見れば、公開年の邦画最大ヒット作で、

相米慎二監督・薬師丸ひろ子主演「セーラー服と機関銃」(1981年製作)のリメイクのように見えますが、

実は、時は経ていても、本作は続編のオリジナル作品でおます。

時を経た続編とリメイクは、邦画・洋画関わらず、一ジャンルかと思うくらい出とりますが、

そんな作品の日本映画で、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露してみますと…。

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●ベスト⇒①ビルマの竪琴(1985年製作)②野火(2015年・弊ブログ分析済み)③GONIN サーガ(2015年・ブログ分析済み)

●カルト⇒①本作②時をかける少女(角川春樹監督による、1997年のモノクロ版)③東京家族(2013年・分析済み)

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●市川崑監督のセルフ・リメイクのベスト①、

市川崑監督の作品を、塚本晋也監督がリメイクしたベスト②、

小津安二郎監督「東京物語」(1953年)に、リスペクトした山田洋次監督のカルト③など、

リメイクの源に縛られつつも、ルーツ作を超えられずとも、オリジンを示す作品がありますし、

石井隆監督のベスト③などのように、続編でオリジナルを、凌駕する作品もあります。

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作品も十人十色でイロイロやけども、本作はベスト③と同じく、製作年という意味において、時を経た続編でおます。

でもしか、前作のテンションを維持することは、かなりと難しい。

とゆうか、本作の場合は、アイドル映画性を持った前作なだけに、歌は世につれ世は歌につれと同じく、

時代時代のアイドルチックが、ポイントになるだけに、続編そのものが、オリジナリティーを示す必要があります。

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つまり、オールド・ファンは別にして、薬師丸ひろ子を知らない世代に、どうアイドル性で魅了していくのか、でおます。

今回、ひろ子ネーの役は、オーディションで選ばれた、ほとんど無名に近い、橋本環奈ちゃんがやらはりました。

オールド・ファンはどないしても、ひろこネーと比較して見るやろし、

前作を知らない若い世代は、新ヒロインにモチ、注目しはります。

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ヒロインは小柄なだけに、ワメキの演技も少々カスレぎみ。

アイドル映画としての、クローズアップもあるけども、ひろ子ネーと比べたら、迫力がないやんと、思わはる人もいてはるでおましょう。

けども、本作は、スーパー・ヒロインでなくても、エエんだす。

ヤクザの娘でも、フツーでええやん。フツーな子が頑張るとここそが、共感を呼ぶんやないやろか。

吊り上げられたりの、シーンもあるけど、銃撃戦などのアクション・シーンも、映えてはりますで。

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ヤクザ映画「仁義なき戦い」(第1弾は1973年・分析済み)やらに、女子高生アイドル映画のノリを加えたら、どないなるんか。

そのミスマッチぶりの面白さゆうたら、本作はオリジナル以上に、濃厚になっとります。

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「快感!」のセリフとか、“さよならは別れの言葉じゃなくて”のあの主題歌が、ヒロインによって、カヴァーされていたりと、

オリジナルをかなりと意識しながらも、それらが一つのブランドにもなっていて、映画を高揚させはります。

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監督は、吉高由里子主演「婚前特急」(2011年)や、永作博美主演「夫婦フーフー日記」(2015年・)などの、前田弘二監督。

ヒロイン演出は、説得力あるもんで魅せてくれはります。

相米慎二監督印な長回し撮影も、大げさやなくても、1~2分のミニ長回しで使ってはりますし、

アップと同じくミディアム、ロングショットのバランス感、

セピア配色や陽光の使い方など、映画作家的こだわりのシーンも満載どす。

前作の「カイカ~ン」なインパクトを、維持・継承した快作になっとります。

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