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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年2月の記事

2016年2月29日 (月)

2月に見たマイ年間ベストテン候補作品

●外国映画

★レヴェナント 蘇えりし者(アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督/レオナルド・ディカプリオ主演・アメリカ映画・4月22日公開・弊ブログ後日分析)

http://www.foxmovies-jp.com/revenant/

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★ルーム(ブリー・ラーソン主演・アイルランド&カナダ・4月8日公開・ブログ後日分析)

http://gaga.ne.jp/room

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★マネー・ショート 華麗なる大逆転(クリスチャン・ベール、ブラッド・ピット出演・アメリカ・3月4日公開・後日分析)

http://moneyshort.jp

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★父を探して(アニメ・ブラジル・3月19日公開・後日分析)

http://newdeer.net/sagashite

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●日本映画

僕だけがいない街(藤原竜也・有村架純共演・3月19日公開・後日分析)

http://www.bokumachi-movie.com

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★太陽(入江悠監督/神木隆之介・門脇麦共演・4月23日公開・後日分析)

http://www.eiga-taiyo.jp

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●洋画は、2月29日発表のアカデミー賞で、受賞したりできなかったりの作品が、偶然ながらも並んでしまいました。

ディカプリオ初の主演男優賞・監督賞・撮影賞の3部門でゲットした「レヴェナント」。

アンチ西部劇として、作品賞を受賞した「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年・アメリカ)を超えた傑作。

サバイバル劇としても、映画史上記憶に残る大作になっとります。

主演女優賞をゲットしたのは「ルーム」のブリー・ラーソン。

オカン演技としては、最も複雑で難しい演技を、説得力ある演技でこなさはりました。

「マネー・ショート」は主要部門では落選しましたが、脚色賞を確保。

経済専門用語を散りばめたセリフながら、チンプンカンプンでも、とにかく、サスペンスフルに魅せる群像劇。

アニメ賞にノミネートされとった「父を探して」。

日本からは「思い出のマーニー」がノミネートされとりましたが、

結局、ディズニー作品「インサイド・ヘッド」がもらいましたけども、

いずれも、定番系のアニメ方程式を、大いに外した実験的作品。

ボク的には、どれが獲ってもよかったと思います。

ちなみに、作品賞をゲットした「スポットライト 世紀のスクープ」は未見で、3月に試写室へ見に行く予定どす。

さて、日本映画では、タイムスリップ映画の新味を打ち出した「僕だけがいない街」と、

舞台劇原作の、近未来SF「太陽」がよかったどす。

全ては後日、分析いたします。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2016年2月27日 (土)

「桜ノ雨」⇒週末日本映画劇場

1
「くちびるに歌を」と甲乙付けがたい、合唱コーラス学園映画

山本舞香ちゃんの、ヒロイン・アイドル映画としても注目

http://www.sakuranoame-movie.com

3月5日の土曜日から、AMGエンタテインメントの配給で、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

2
Ⓒ2015 halyosy、藤川遼、雨宮ひとみ、スタジオ・ハードデラックス/PHP研究所/『桜ノ雨』製作委員会

地方ロケーション映画にして、学園もの、さらに部活もの、ナンチューたら、これまでにモノゴッツーな数の、日本映画があります。

音楽ものに限定しても、山形県ロケの「スウィングガールズ」(2004年製作)などは、ボク的には、この種の映画の、歴代ベストテンに入ります。

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音楽でも、さらに限定して、コーラス合唱ものにしてみますと、どないやろか。

前世紀にもあったけど、21世紀に限定して、順不同で思いつくままに、マイ・ベスト・スリーをば言いますと…。

()には、主演女優とロケ地の都道府県を追記。

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①本作(2016年・山本舞香・静岡県)

②くちびるに歌を(2015年・新垣結衣・長崎県・弊ブログ分析済み)

③歌魂♪<うたたま>(2007年・夏帆・北海道)

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●本作以外の映画にも、ほぼ共通する要素として、地方・学園・部活の3つ以外に、アイドル映画性ちゅうのんがあります。

②の新垣結衣ガッキーは、教師役やったけど、

ヤッパ学園ものアイドルの基本は、元来は生徒側に主導権があります。

3
コーラスに懸ける、女子高生ヒロイン役は、山本舞香ちゃん。

映画初主演やけど、アイドルアイドルしてなくて、初々しさよりも、自然体が強調されとりまして、

また、例えば「朝ドラ」的な、元気印な目立つとこもなく、

あくまで普遍的な、そこらにいてる女子高生役でおまして、そこにこそ、身近な好感が生まれてまいるのどす。

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合唱するヒロインたちを、導く役者陣にも、好感ある人たちが、キャスティングされとります。

ピアノを弾く先輩役の、浅野航大クンの誠実さ。

ヒロインの舞香ちゃんとの間で、ほのかなラブがあるとこも、この種の学園ものの定番ながらも、さわやかな見ごたえどす。

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特筆すべきは、指揮者となる先生役・田畑智子ネーさんの演技ぶりやろか。

これまでになく、キレのあるハキハキ演技ぶり。

子役やったけど「お引越し」(1993年)や、弱々しかった「血と骨」(2004年)なんかと比べると、真逆の感がありま。

②の新垣結衣や木村文乃(彼女はやや自然体か)の、生徒への、

ドラマを意識したような、ワザトラな指導ぶりより、説得力ある熱意ぶりには、グッとホレました。

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さてはて、あの大ヒットした、ピアノ・バラード・ナンバー「桜ノ雨」を、ヒロインたちは歌いたかったんやけど、

田畑智子センセーの進言で、難度の高いクラシック・ナンバーが、課題・披露曲になってまいます。

それの方を完璧にこなした方が、コンテストで優勝しやすい、ちゅうことやったんやけども…。

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クライマックスのコンテスト・シーンでは、モチ、ドラマティックなサプライズが用意されとります。

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そこへ持っていくまでに、ヒロインのいろんな想いを話すナレーションがあったり、

チョイゆるいけど三角関係な構図、薄色配色、花火シーンなどが使われとります。

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ボク的に最も印象的やったんは、ヒロインの迷いながら歩く中で、練習風景をフラッシュに束ねてゆく、シークエンスどした。

さらに、写真にもある、キレるロングショットもあり、また、地方ロケらしい桜シーンなど、自然風景の描写にも癒やされます。

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大林宣彦監督の尾道三部作「転校生」(1982年)「時をかける少女」(1983年)「さびしんぼう」(1985年)と比較すると、

三部作に顕著やった、SF・ファンタジックなとこはなく、

あくまで正攻法の、青春映画に終始してはります。

ドラマ的計算のない、そういうストレートな直球映画こそ、見ていてピュアになれて、泣ける作品なんかもしれまへん。

2016年2月26日 (金)

「黒崎くんの言いなりになんてならない」⇒週末日本映画劇場

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コミック原作・テレビドラマ劇場版・ジャニーズ俳優主演映画

現代日本映画ヒット方程式の、3拍子が揃った作品

http://www.kurosakikun-movie.com

2月27日の土曜日から、ショウゲートの配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ「黒崎くんの言いなりになんてならない」製作委員会

見出しにも書きましたが、ここ最近の日本映画のヒット・キーワードが、揃った作品でおます。

さらに、ジャンル的にも、学園ドラマにしてアイドル映画は、ケッコー調子がよろしおます。

一方で、そんな学園ものやけど、シリアスであれ、コミカルであれ、

内容的にはラブ・ストーリーが、圧倒的にメインになっとります。

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ここ最近に見た、アイドル学園ラブ・ストーリー日本映画で、ベスト、カルト関係なく、ボク的に印象的やったんを上げますと、

シリアス系では「ストロボ・エッジ」(2015年製作・弊ブログ分析済み)や「オレンジ」(2015年・分析済み)、

ラブコメ系では「ヒロイン失格」(2015年・分析済み)と本作やろか。

3つのキーワードのうち、全作コミック原作やけど、あとの2つを備えてはるんは、本作のみでおます。

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男2人女1人の三角関係に、女1人が入ってチョイ四角にもなる、恋愛ものやけど、

ありきたりやない設定や展開で、オリジナリティーを示す1作だす。

そんな変形ぶりの中で、女アイドル的魅力をふりまくのは、

小松菜奈(こまつ・なな)チャンと、高月彩良(たかつき・さら/画像上から6枚目)チャンや。

男たちは、ジャニーズ・グループ「Sexy Zone」の中島健人(なかじま・けんと)クンと、

千葉雄大(ちば・ゆうだい/画像に写る男は全て彼)クン。

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女アイドル側から言いますと、モチ、ヒロインとして光るのは、小松菜奈チャンでおます。

悪女を演じた「渇き。」(2014年・分析済み)、教師との恋「近キョリ恋愛」(2014年・分析済み)、

声優を目指す役の「バクマン。」(2015年・分析済み)などと、比較してみますと、

本作が最も自然体にして、フツーの女子高生役やと思います。

中島健人クンに支配される役を、もっともらしく、コミカルに演じてもいて、コメディエンヌとしての才も、見え隠れしとります。

中島クンとのキスのあとに、「体中に毒が回ってるみたい」なんて嘆いたり、最後にはタイトルのセリフを、ビシッと決めたり…。

高月彩良ちゃんは、今アカデミー賞のアニメ作品賞にノミネートされた「思い出のマーニー」(2014年・分析済み)で、ヒロインの声を担当しやった女優。

初めて顔を見ましたが、長澤まさみ的でエエし、まさみネーより、何やらしっかりしてそうどすえ。

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そして、女性ファンにしてみれば、気になる男優陣。

中島健人クン。「バカ犬」なんてゆうて、小松菜奈チャンを服従させる、

メッチャ、ヤなカンジやけど、でもしか、硬派男ぶりを遺憾なく発揮しはります。

ピアノでショパンの曲を弾く、繊細なシーンもあって、魅了しはります。

一方、菜奈チャンに、優しく接する千葉雄大クン。

この2人の菜奈チャンを巡る、スローモーションなどで映される、バスケット・シュート対決は、本作の大きなポイントを握っておます。

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菜奈チャンのココロの呟きの、タイトなナレーション、

アップ・クローズアップの多用、

マーチ・サウンドなど、映画のメリハリを、フレキシブルに作るフレイバーが、そこかしこにあります。

テレビドラマの青春ラブに、映画的にエロキュンを、加えたらしいんやけど、

いずれにしても、ラブ・ストーリーの爽快さへと、着地するスタイルは、チョーキモチエエ作品でおました。

2016年2月25日 (木)

怪作「断食芸人」⇒日本映画劇場

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ワケ分からん映画やけど、日本の近現代史を俯瞰する

実験的前衛映画の、究極型を示す怪作品や~

http://danjikigeinin.wordpress.com

2月27日の土曜日から、太秦の配給によりまして、渋谷ユーロスペースやらで、全国順次のロードショー。

関西やったら、3月19日から、シネ・ヌーヴォやらで上映。

3月4日~3月13日に開催される「第11回大阪アジアン映画祭」では、特別招待作品として上映されます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015「断食芸人」製作委員会

ワケの分からへん、シュールな映画体験ちゅうのは、時おりあります。

ボク的には、その嚆矢とも言える、ルイス・ブニュエル監督の「アンダルシアの犬」(1928年製作・フランス映画)で、何じゃこらーを体験しました。

ほんで、日本映画にも、そんなワケ分からん映画は、たまにありまんねん。

まあ、アート系の映画なら、しょっちゅうあるちゅうても、エエかもしれまへん。

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断食を続ける主人公(山本浩司)の物語が、ベースにあります。

ハンガー・ストライキをする人やらは、少なくとも何らかの意図をもっておます。

けども、本作の主人公は、誰に何を聞かれても黙ったままで、断食をとことん続けてまいります。

ほんで、そんな主人公に対し、いろんな人たちが、ちょっかいを出してきはるとゆう展開だす。

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マスコミを始め、彼の健康を気にする、エロ女医・ナース集団の国境なき医師団、

断食をビジネスにしようとする組織、僧侶から軍人、無差別殺人をしようかとする若者まで。

しかも、あり得ない人たちを、わざとのようにこしらえて、人を食ったアンチ・リアリティーを、とことん追求するような作品になっとりまんねん。

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単なる個人の断食が、波紋を呼んでゆくスタイルは、ワケ分からんながらも、

強引に突き進んで、迷彩度合いを、深めてゆきよります。

前衛演劇を、主人公を入れて勝手にやったり、

断食を見世物とする「見世物協会」が現れたりと、波乱の展開が次々にやってまいります。

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ほんで、本作は東日本大震災の津波と原発事故から、突然のように始まります。

ただ、本作は栃木・宇都宮ロケ。冒頭のシーンが、映画的には、スーッと溶け込んでいないようにも見えます。

でもしか、意図は見ていて徐々に分かってきよります。

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戦中・戦後の話が、時おり出ます。

テロリストのザラザラ映像、露光ぎみのカット・シーン、紅照明のアングラ感。

「自由の牢獄」とゆう、矛盾めいたセリフがもたらす効果など、イロイロ見せてくれはります。

日本の戦後史を、21世紀の現代地点を舞台にして、俯瞰するような作りとでも、ゆうたらエエやろか。

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そして、「アンダルシアの犬」のブニュエル監督の「自由の幻想」(1974年・フランス)やらにも近い、シュールをキモとするところもあります。

ただ、そのシュールがもたらす映画的感興が、

どこまで観客のココロに食い入るかは、はっきり言うて分かりまへん。

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文学小説「変身」が有名な、フランツ・カフカの原作でもあります。

ただ、内容を見てみるに、懸念は、頭の中だけで考えた妄想映画、とゆう非難が出るかもしれへん、ちゅうとこやろか。

でもしか、それでも、断食を続ける主人公の、ダンマリとクールイズムが、ドラマの盛り上げに、ケッコー貢献しとりました。

ほんでもって、真相ネタ部では、サプライズもあります。ハチャメチャの中にも、それなりの統一感はある作品。

言い古されとりますが、現在における“日本の混迷ぶり”。それをシュールな手法で、アプローチしたとゆう芸術映画でおました。

2016年2月24日 (水)

「Maiko ふたたびの白鳥」⇒バレリーナ人間ドキュメンタリー

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プリマドンナ西野麻衣子の、セカンド・サクセス・ストーリー

正統派ヒロイン・ドキュの、お手本的作品や

http://www.maiko-movie.com

2月27日の土曜日から、ハピネットとミモザフィルムズの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、布施ラインシネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作のノルウェー映画70分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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これまでに、バレエ映画は多々あります。

ドラマ映画なら、少年の「リトル・ダンサー」(2000年製作・イギリス映画)は別格にして、

「赤い靴」(1948年・イギリス)から、「ブラック・スワン」(2010年・アメリカ・弊ブログ分析済み)やらまで、バレリーナ・ヒロイン映画が花形でおました。

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モチ、バレエ界の実情や競争原理を、描いた映画もあります。

ドキュメンタリー映画でも、バレエ団の話が、ポイントにあったように思います。

「エトワール」(2000年・フランス)やら、ドキュ映画の巨匠フレデリック・ワイズマン監督による「パリ・オペラ座のすべて」(2009年・アメリカ&フランス)など。

で、本作もまた、背景にあるんは、ノルウェー国立バレエ団どす。

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でもしか、バレリーナのプリマドンナ・ヒロインを描く映画は、ドキュでは珍しおす。

しかも、大阪出身の、西野麻衣子ネーさんのお話どす。

しかもしかも、妊娠して、ナンバーワンの地位を脅かされながらも、

コドモを無事出産し、再び戻ってくるとゆう、ドラマティックなお話・実話でおます。

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総じて、バレエ・ヒロイン・ドラマには、「赤い靴」「ブラック・スワン」など、悲劇的な結末を迎えたりしがちなんやけど、

本作はドキュながら、ハッピー・エンドで終わって、あと味がよろしおま。

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大阪のオカンの援助と励ましで、海外のバレエ団で、ナンバーワンになった西野麻衣子。

ノルウェー人と結婚し、妊娠。

そんな妊娠のことを、オカンと相談しつつ、ストーリーは展開いたします。

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オカンとのキズナ部は、本作の今一つの見どころだす。

麻衣子ネーも、自らの成功について、オカンへのリスペクトと感謝を、まず上げはりまんねん。

妊娠中に、彼女は実家・大阪へ、ノルウェーから帰省しはるんやけど、

道頓堀やらの大阪ロケによる、このシークエンスは、ボク的には、本作の大いなる隠し味と、フックになっとりました。

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妊娠・出産を間近に、彼女の代役がアメリカ・ヒューストンから、来たりしますけども、

競争原理な面白さとゆうか、彼女と彼女をポストとする、後輩バレリーナたちとの確執部が、あんまし描かれとりまへん。

たぶんそのあたりを描いたら、ドロドロが出てしもて、本作の瑕瑾になるやろかと思たんやろか。

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でもしか、出産後、復帰するまでの激しい練習・特訓シーンは、メッチャ説得力あるシーンになっとりました。

ほんで、クライマックスは、復帰公演「白鳥の湖」でおます。

全てを見せるわけやないけど、その渾身の演技ぶりは、ビビッドに伝わってまいりました。

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感動的なラストが待ち受ける、バレエ・ドキュメンタリー。

ナンチューたら、大いなる期待を持って、見に行こうかとなるねんけど、エエとこだけを、捉えてるような感触は別にして、

人間ドキュとしての、前向きな着地ぶりには、ケッコー好感がありました。

期待を持たずに見に行って、思いがけない感動が味わえる。そんな映画やと思います。

2016年2月23日 (火)

日本映画ドキュメンタリー「牡蠣工場」

1
台本・ナレーション・サントラなしで、そっくりそのまま映してはります

そこにオモロサは、あるんかどないやろか?

http://www.kaki-kouba.com

2月27日の土曜日から、東風の配給によりまして、第七藝術劇場で、全国順次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸLaboratory X, Inc.

ドキュメンタリーちゅうのは、元来は脚色(台本)なしに、そのまま映してゆくことが、基本にあるでおましょう。

モチ、編集作業の切った張ったで、見やすいように並べてはゆかはります。

さらに、現状をそのまま映すんで、劇映画的サントラやら、ナレーション的案内や解説やらは不要でおます。

それらの作りをこしらえたんは、アメリカのドキュ監督のフレデリック・ワイズマンやと、ドキュ映画業界内では言われとります。

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確かに本作も、その基本ラインに沿ってはって、監督の想田和弘はんは、対象物を観察して、そのままを映すとゆう「観察映画」やとゆうてはりますが、

ワイズマンの手法と、そない変わりはありまへん。

但し、そのまま映すんでも、映画なだけに、映画作家的作り込みは、ボク的には、少なくとも必要やと思ておます。

その意味では、ワイズマンより早かったのは、定番のオリンピック・ドキュでも、

ドラマ作家として、初めてドキュに挑んだ、市川崑監督の「東京オリンピック」(1965年製作)やったんやないやろか。

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ほんでもって、本作も、ワイズマンや市川崑とは別にして、映画作家性を、

作品そのものは、分かりやすく捉えてはるんで、分かりづらいかもしれへんけど、そこはかとなく発揮してはります。

日本の地方の今を映すとゆうのは、これまでに、映画・テレビに関わらず、それこそ多岐にわたり、出回ってきよりました。

また、社会派系では、東日本大震災ものなら、星の数ほどあります。

モチ、本作は社会派を気取ってるわけやないし、ただ、岡山の漁業町の今を、捉えてるだけの映画。

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でもしか、これまでの地方産業を捉えたドキュとは、かなりと違っとります。

監督は最初は、漁師の現状を捉えようとしたらしい。

けども、現地へ行ってみたら、労働者が手作業を繰り返す、マニュファクチャーな牡蠣工場があった。

ほんで、そんな工場の一つを、福島原発で岡山に逃れてきた人がやってはる。

人手不足で求人をするでなく、求人しても誰も来ないらしいんやけど、中国人の出稼ぎに頼っとる。

何やらオモロイ素材が、転がっとるやんっちゅうことで、思わずカメラを回してみた。

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それだけやったら、映画作家性は出まへん。フツーはそうだす。

最初は、牡蠣漁から、工場の手作業・工程を、詳細に淡々と映してゆかはります。

でも、アドリブがもたらす効果はモチ、いろんな出来事・エピソードがあって、一筋縄の漁業・工場の実情を、映すとゆうことにはなりまへん。

特に、中国の労働者たちの様子が、映画に異様なイントネーションを刻みます。

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また、牡蠣漁に行くコドモたちの様子、

「シロ」と呼ばれる白猫の様子、

海にハマった人を救出する、手持ちカメラによる、サプライズなアクション・シーン、

白波の海のロングショットの、タイトな挿入など、

周辺のどうでもよさそうな、エピソードやシークエンスが、あとあと効いてくるようなことに、なっとるかと思います。

いずれにしても、145分にわたり、撮り上げた映画。余韻の深い快作どした。

2016年2月22日 (月)

「ヘイトフル・エイト」⇒クエンティン・タランティーノ監督の新作

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「レザボア・ドッグス」的サバイバル系へと、着地するミステリー

西部劇へのオマージュと、アイロニーが満載どす

http://gaga.ne.jp/hateful8

2月27日のサタデーから、ギャガの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、あべのアポロシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショー。

本作は、2015年製作の、アメリカ映画168分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Artwork Ⓒ 2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved

クエンティン・タランティーノ監督は、基本的には、バイオレンス映画の監督やと思います。

ほんで、サバイバル劇・復讐劇・群像劇やらで、独特のセンスを発揮しはりますが、

アメリカの監督らしく、名作・伝統的アメリカ映画への、オマージュとアイロニーを、いっしょくたにして、撮り上げたりもしはります。

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本作は、犯人(裏切り者含む)は誰やねんを、ポイントにしつつ、

室内劇・群像劇的タッチで、ミステリーが繰り広げられます。

さらに、監督の栄光のデビュー作「レザボア・ドッグス」(1991年製作・以降の引用映画は指定国以外は、全てアメリカ映画)のサバイバル系が、濃厚に採り上げられておます。

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そして、祖国アメリカ映画への、オマージュ・アイロニーとしては、「駅馬車」(1939年・弊ブログ分析済み)などを始めとした、西部劇へとアプローチがありま。

監督が撮った西部劇「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012年・分析済み)でも、

フツーの西部劇の定番を、外すようなとこがありましたが、本作でも意表を衝くとこが、モチあります。

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室内劇では「フォー・ルームス」(1995年)などでも、魅せてくれはりましたが、室内劇メインでも、本作はいちおう監督初の、本格ミステリー・タッチでおます。

しかも、ミステリー・ファンを刺激する、雪山の山荘ものみたいに、閉ざされた密閉空間でのミステリー。

アガサ・クリスティ原作の、島もの「そして誰もいなくなった」(1945年)的タッチも、見え隠れしとります。

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室内劇的ながら、山荘の背景描写もタイトに映される、3時間近い大作にして、70ミリ・フィルムでの撮影。

70ミリの映画なんて、ボクは久々に見ました。

劇場で見た作品としては、「2001年宇宙の旅」(1968年)か、「アラビアのロレンス」(1962年・イギリス)以来やないやろか。

室内劇の70ミリは意外やけど、雪山風景の横長シーンをタイトに挿入して、

雪にまみれたキリスト像を、カメラを引きつつ映す、長回し撮影のタイトルバックなど、冒頭から引き込まれますで。

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群像劇的で犯人は誰やねんなだけに、役者陣の各演技が、モノゴッツー重要になってまいります。

サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ティム・ロスやらクセモノ揃いなんやけど、

カート・ラッセルから何度も殴られ(ホンマにやられてるかも)、最後は血まみれスプラッターになってまう、

女優ジェニファー・ジェイソン・リーが、狂気じみた怪演技ぶりをば、披露しはります。

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常に部屋内には、吹雪の効果音が流れとりまして、犯人探しのサバイバル劇を、盛り上げます。さらに、サウンドトラックや。

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音楽監督は、ボクのダイスキなイタリアの巨匠、エンニオ・モリコーネはんどす。

哀愁の「荒野の用心棒」(1964年・イタリア&西ドイツ&スペイン)、サスペンスフルかつ壮大な「アンタッチャブル」(1987年)、ほんで本作のサントラが、

モリコーネはんの、マイ・ベストスリー映画サントラでおまして、

本作は荘重で静かなるオーケストラ・サウンドが、ドラマをピリピリさしてはります。

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一方で、殺人シーンで、キャッチーな軽ポップ・ナンバーを流したりするんは、タランティーノ監督のセンスやろか。

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タランティーノのオリジナル脚本による、第1章から第6章まで。

第5章で物語は転換し、タネ明かしがされます。

黒人差別や女性差別など、時にエグイとこはあるけども、19世紀末の当時のアメリカを、リアリスティックに反映してはります。

また、タランティーノチックな、残虐バイオレンス・シーンは健在どす。

ほんでもって、犯人よりも、誰が最後まで生き残るんか。そいつを当ててみてみなはれ。

2016年2月20日 (土)

「ジョーのあした 辰吉𠀋一郎との20年」⇒週末日本映画劇場

1
阪本順治監督が20年間、辰吉を追いかけたドキュメンタリー

トンデモ迷言の、オン・ザ・パレードだす

http://www.joe-tomorrow.com

2月20日の土曜日から、マジックアワーの配給により、シネ・リーブル梅田やらで、全国順次のロードショー。

2月27日からは、テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで上映だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ日本映画投資合同会社

スポーツ選手のドラマ映画は、モノゴッツー多いけど、

ドキュメンタリーちゅうたら、オリンピックもの以外、ボクはなかなか思いつけまへんどした。

でもって、本作。

元ボクサー赤井英和を主演にした、本格的ボクシング映画「どついたるねん」(1989年製作・以下の引用は指定以外は全て日本映画)で、

映画監督デビューしはった、阪本順治監督の、キャリア初とも言える、ドキュメンタリー映画どす。

洋画の「ロッキー」(1976年・アメリカ)なんかは別格にしても、

邦画の場合の、ボクシング・ドラマ映画ちゅうたら、

寺山修司監督「ボクサー」(1977年)、「あしたのジョー」(2012年・弊ブログ分析済み)、「ボックス」(2007年)とかがあるけども、

「どついたるねん」は、モチ邦画のマイ最高傑作どす。

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「どついたるねん」は洋画を含めても、マイ・ベストとしては、

「ロッキー」シリーズ、「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年・アメリカ)、「シンデレラマン」(2005年・アメリカ)、「レイジング・ブル」(1980年・アメリカ)と、

順不同で並んでの、ベスト・ファイブでおます。

そんな名作をデビュー作で、撮り上げた阪本監督やけど、

その後のキャリア的には、第2作でもボクサー映画「鉄拳」(1990年)を撮り、

ほんで、辰吉𠀋一郎をば、ドキュ・ドラマのタッチで採り上げた「BOXER JOE」(1995年)が、本作を撮り上げる起因になっとります。

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現在までのボクサー辰吉𠀋一郎を、監督のインタビューを中心に撮り上げはったんやけど、

阪ピー・タッちゃんと呼び合う仲になってる、監督・辰吉だけに、

シビアなスポーツものとは違う、オモロイとこがケッコー、クローズアップされとるんだす。

監督はインタビューのたんびに聞かはります。

今現在の心境を聞くんやけど、「習字に例えたら」どんな墨と筆の状況やらとか、

「トンネルの向こうに光は見えてきましたか」とか。

それらに対し辰吉は、トンデモ迷言で応じて、楽しませてくれます。

モチ、グッとくるカッコエエ言葉もあるし、おいおい、そんな…ちゅうのんもありま。

2
辰吉と家族との、エピソードにも言及されとります。

オトン・オカンとのこと、家族4人のショット。

でもしか、それらはあくまで、辰吉のその時々のインタビューが、メインなんで、フック的な打ち出し方のように見えますが、

でも、オトンとの逸話は、胸にきます。

プロテストに合格した息子との関係性や話も、ディープやなくそれとなくやけど、

なるほどな~と、納得させる作り方でおました。

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人間ドキュメンタリーとしての、客観性を維持しつつも、

ダチ的感覚で、辰吉のココロに入り込んでゆく、阪本監督の撮り方は、

ドキュとしてのセオリーを、大いに外して爽快どす。

気難しげなドキュが多い中で、暗い暗いドキュ映画トンネルの向こうに、

ほのかであっても、光が見えてきよったで~と言えるような、そんな作品でおました。

2016年2月19日 (金)

「クーパー家の晩餐会」⇒アメリカン家族映画

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クリスマスに4世代ファミリーが集う、軽快なホーム・ドラマ映画

家族群像劇としての、面白さも秀逸な作り

http://gaga.ne.jp/coopers

2月19日のフライデーから、ギャガの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作のアメリカ映画107分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 CBS FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

アメリカン家族映画なんちゅうたら、これまでにモノゴッツーなタイトル数が、出回っておます。

ただ、アカデミー賞で作品賞をもらうような家族映画は、

「普通の人々」(1980年製作)「アメリカン・ビューティー」(1999年)「ビューティフル・マインド」(2001年)など、

核家族・夫婦系のドラマが、主になっとるけど、

本作は、親戚一同がクリスマスに、実家に集うお話になっとりまして、

いわゆる少人数やなく、群像劇タッチで展開してゆく、親戚一同のファミリー映画な様相を呈しておます。

2
オスカーをもらうシリアスな作品もあるけど、異論もあるやろけど、総じてアメリカン家族映画は、コメディ映画に偏するようなもんが、多いやろかと思います。

但し、本作はコメディとまではいかず、でも、シリアスに重たくもなく、軽みのタッチで、誰もが楽しめる作品になっとります。

また、大家族もの映画としての括りでは、シリアス・シニカルな「ホテル・ニューハンプシャー」(1984年)やらと、真逆となるような、軽(かる)チャー・モードな快作。

でも、家族それぞれが、悩みを抱えとる状況は変わりありまへん。

その描き方やけど、みんなが集まるまでを、各人がカットバック的に、描かれてまいります。

つまり、群像劇的タッチをメインにして、家族ドラマでも、各人のヒューマン・ドラマを、オムニバスにしたような作りになっとるんだす。

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ロードムービー調を含め、5話ほどがシンクロナイズしてまいります。

中でも、ボクの好みは、一族の祖父(アラン・アーキン)と、行きつけの喫茶店のメイド(アマンダ・セイフライド)のエピソード。

ここでは、2人の間で名作映画に関する会話があり、

チャップリンのサイレント映画「街の灯」(1931年)の名シーンが映されたり、

恋愛映画「ボーン・イエスタデイ」(1993年)のセリフが喋られたりと、映画ファンを刺激する内容。

ちなみに、ラスト・シーン近くでは「素晴らしき哉、人生!」(1946年)のワンカットが映されて、

この映画のハッピーで、ポジティブなエンド具合を、象徴しはります。

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離婚の危機にある、ダイアン・キートンとジョン・グッドマン夫妻サイド、娘と息子の各サイド、孫たちの小さな恋サイド。

これらがカットバックされて、また、同時進行の4分割カットもあります。

いわゆる、5話がクライマックスへ向けて、ヒートアップしてゆくようなカンジやろか。

クライマックスのエピソードは、山田洋次監督の新作「家族はつらいよ」(3月12日公開・後日分析します)と、実は似ておます。

とゆうか、家族ドラマとしての見どころが、邦画洋画関わらず、定着化しているとゆうことなんかもしれまへん。

ほんで、ボブ・ディランのフォーク系からソウル・ナンバーまで、歌ものサントラも充実。

最後はハッピー・エンドで締めくくるんが、この手の映画のセオリーやけど、でもしか、サプライズ・エンディングが用意されておます。

ナレーションの声どすが、スティーヴ・マーティンはんがやってはんねんけど、その声の主は一体、誰なんか?

それを推理しもって見るんも、おもろいかもな。

2016年2月18日 (木)

「火の山のマリア」⇒アッと驚くグアテマラ映画

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第三世界には珍しい、ヒロイン映画でおます

マヤ文明のネイティブたちの、21世紀の現代やいかに?

http://hinoyama.espace-sarou.com/

3月5日のサタデーから、エスパース・サロウの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国順次のロードショー。東京では、3月25日まで、岩波ホールで上映中。

本作は、2015年製作の、フランスとの合作による、グアテマラ映画93分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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CLA CASA DE PRODUCCIÓN y TU VAS VOIR-2015

 
ボクが初めて見た、グアテマラ映画でおます。

第三世界の映画には、少年・少女ものが、多いと思とったんやけど、

本作はヒロイン映画を主軸に据えた、家族映画どす。

しかも、そのテイストは、ネイティブ=原住民の話に沿って、現代の話とはとても思われない、前近代的なものでおました。

少しく戸惑いつつも、小作農・貧農家族に、生まれついた娘はんマリアの生き方を、

名作ヒロイン映画と対照して見てみますと…。

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農家の娘という意味では、「風と共に去りぬ」(1939年製作・アメリカ映画)のヒロインとおんなじどす。

ただ、本作のヒロインは、ググッと消極的。

親の命令で、富農の男と婚約し、その男から家と農園を、提供してもらわはります。

一方で、娘は現地の若い男と、できてしまいます。ほんで、妊娠。

「奇跡の海」(1996年・デンマーク)などでは、不倫を続ける人妻が、村八分的な目に遭うけど、ここではそんなことはなし。

とゆうか、妊娠がオカンに分かっても、そんなに深刻ぶったとこがありまへんねん。

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娼婦になる農家の娘の話「にっぽん昆虫記」(1963年・日本)とか、

農家の主婦役でコン・リー主演の「秋菊の物語」(1992年・中国&香港)の、たくましさみたいなものが、ほとんどカンジられずに、

なりゆき・流れに身を任せるようなタイプの、本作のヒロイン像なんでおます。

総じてヒロイン映画は、ポジティブ系に人気がありますが、

消極系でいくと、コブ付き女ながら「ピアノ・レッスン」(1993年・オーストラリア)とかの傑作もあるんで、コレはコレなんやもしれまへん。

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しかも、21世紀の現代の話とは、とても思われへん、前近代的なことが、次々に出てまいります。

電気も水道も通っていない住まい。

ヒロインが樹木でオナニー。娘が寝る隣で、オトンとオカンがセックスしたり…。

トウモロコシ不作は、ヘビが原因。そのヘビ退治を霊導師に頼り…。

豊作を祈って、火山にお供えに行ったり…。

ヒロインの彼氏が、カネを求めて、グアテマラからメキシコを経て、徒歩でアメリカへ不法入国しようとする話など、

今さらながらも、ウーンとゆうカンジどす。

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でもしか、これらはあくまで、映画作家性に基づいた、設定なんやないかなとも思われます。

例えば、ハッとさせる3~4分の長回し撮影が、随所にあります。

酔っ払ってる彼氏と、ヒロインが初めてセックスするまでのシーン。

ヒロインが彼氏に、妊娠を告げるシーン。

ヒロインが彼氏を追っていくシーン。

物語の進展に合わせた使い方も、巧妙どした。

また、オカンと娘の会話シーンでも使われとります。

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そして、毒ヘビに噛まれて、瀕死の重傷を負ったヒロインを、両親が街の病院まで運ぶ、クライマックス・シークエンス。

ロングショットから、手持ちカメラの揺れる映像と、近接撮影へ。

それまでのユルリとした流れを、一変させるこのシーン。

さらに、その後に明かされる、トンデモ・サプライズ。

木琴パーカッションを、ベースにしたサントラと共に、ココロに神秘を植え付けます。

今までに見たことがないような映画、などとは言いまへんが、

とにかく、新しい映画を見たい方には、打ってつけの映画やと思います。

2016年2月17日 (水)

韓国映画「探偵なふたり」⇒クォン・サンウ主演

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チョイユーモアや新設定があるけども

ベースは、本格的な謎解きミステリー映画でおます

http://www.tantei-movie.jp

2月20日のサタデーから、CJ Entertainment Japanの配給によりまして、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の韓国映画120分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 CJ E&M CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED

刑事ものの相棒映画てゆうたら、映画史を俯瞰せずとも、モノゴッツーなタイトル数が、あるやろかと思います。

但し、本作は、刑事同士やありまへん。刑事と素人のコンビ。

その素人・主人公のキャラ付けが、ユニークな設定やねん。

主人公は漫画喫茶の店主やけど、未解決事件のブロガーどして、ヨメは仕事してるんで、わが赤ん坊を守りしてはります。

ほんで、事件に興味を持つと、しょっちゅう警察署に顔を出し、いろいろ探りを入れはりまんねん。

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いわゆる、現実的には、あり得ない相棒キャラ設定なんやけど、いつまでも刑事同士の相棒でも、つまらないやろな。

ちゅうことで、大胆なとこもあるけども、ホンモノの刑事と、素人の一般市民が、コンビを組んで捜査するちゅう、展開の映画でおます。

刑事と囚人・犬やらナンチュー、コンビもんもありましたが、時にコミカルに、捜査ドラマは流れたりします。

本作も、最初はコミカル・モードが入っとります。

赤ん坊連れで捜査したりなんぞは、おいおい、そんな…となるかも。

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でもしか、ミステリー映画としてみたら、正統系の作りになっとりますねん。

ホームズやらマーロウやら金田一やら明智やらは、私立探偵とゆうとこもあったけど、

本作は、事件をブログで書くだけの、全くの素人だす。

見ていて最初は、破天荒な刑事コメディ映画かなと思たけど、

どうしてどうして、見事な推理と解決ぶりが、披露されますで。

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素人刑事役には、クォン・サンウのアニキ。

ラブ・ストーリーのロマンティック、戦争映画のワイルド感などとは違い、

今作では、コミカルからシリアスへと移行しつつも、人間臭さも示す演技でおます。

最もリラックスして、できそうな演技でありながらも、要所ではビシッとした演技が要求される。そんな役どころだす。

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ホンマモンの刑事役は、ソン・ドンイル。

みんな、知らんかもしれへんけど、どちらかとゆうたら、マジ・コミカルの中間色で、渋い演技を見せてくれる方どす。

DVD化されとる「怪しい彼女」(2014年・韓国・弊ブログ分析済み)「ミスターGO!」(2013年・韓国・分析済み)なんかを、チェックしてみてくだされ。

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でもって、ドンイルはん。今回は、危険な水中アクションにもチャレンジ。感電死の危険を、乗り越えたこのアクトは、必見どす。

2人の捜査の、ダイジェスト・シーンのリズム感も特注。

次第にシリアスに、ハラドキになってゆく展開に、刑事映画としての粋が、見え隠れしてゆきまっせ。

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トランペット、ハーモニカやらを駆使した、ラティーナなサントラ使い、

サンウと妻役ソ・ヨンヒとの、最後は裁判沙汰にはなるけども、サブ・ストーリー的絡みやらも、

メイン・ストーリー部に、巧妙なフックを加えてはります。

そして、ミステリー・ファンも、唸らせるような着地ぶり。

ミステリー映画としても、侮れない作品でおます。

2016年2月16日 (火)

「ドリームホーム 99%を操る男たち」

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アンドリュー・ガーフィールドとマイケル・シャノン

「ウォール街」に似た、ドラマ映えする2人の関係性に注目

http://www.dreamhome99-movie.com

2月20日のサタデーから、アルバトロス・フィルムの配給によりまして、テアトル梅田やらで、全国順次のロードショー。東京は公開中。

本作は、2014年製作のアメリカ映画112分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Copyright Ⓒ2014 99 Homes Productions LLC All Rights Reserved

リーマン・ショック以来、アメリカでは、住宅ローンの滞納で、マイ・ホームを追い出される事態が、頻繁に起こっておます。

その実態をモチーフに、悪徳不動産会社の経営者と、追い出された若者の、対決ではなく、

雇う・雇われの関係で協力し合って、悪ギリギリを渡り合ってゆくとゆう物語。

決してキモチよう、見られるもんやないけども、

でもしか、2人の関係性は、徐々に緊張をはらんでゆきよりまして、遂には…、ちゅうカンジなんで、

一筋縄ではゆかんような、話になっとりますねん。

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追い出し不動産会社社長役に、マイケル・シャノンはん。

若い頃のチャールトン・ヘストンみたいな、顔立ちをしてはるけど、

アメリカン・ヒロイズムを体現した、ヘストンに比べて、ワルぶり怪優ぶりを、遺憾なく発揮。

対して、家を家族もろとも追われたけど、日々の生活のために、シャノンはんの会社に入り、

ノルマ制の追い出し仕事をやってまう、アンドリュー・ガーフィールドのアニキ。

「アメイジング・スパイターマン」(2014年・アメリカ・弊ブログ分析済み)などで、アメリカン・ヒーローもやってはるけども、

今作ではワルの道へ、否応なく入ってまい、それでも、追い出しの手腕を、発揮してゆく役柄どす。

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この2人の関係を見て、ボクが思い出したんは、

「ウォール街」(1987年製作・アメリカ映画)の、証券マンの師弟関係的な、マイケル・ダグラスと、チャーリー・シーンの関係どした。

但し、マイケル&チャーリーより、見ていての気分の悪さは、本作の方が上やと思います。

でも、最後には、定番にはなるけども、ココロ洗われるような、ゆうたらどうやろか~な、とこもあるんやけども、いちおうな浄化シーンはありま。

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冒頭。マイケル・シャノンはんの非情な仕事ぶりが、3分くらいの長回し撮影で披露されます。

ほんで、主人公ガーフィールド一家(オカンと息子と同居・ヨメはどないなってんのんかは?)が、追い出されるシーンへ。

主人公のオカン役の、ローラ・ダーンはん。

ボクの好きな俳優、ブルース・ダーンの娘はんどす。

オトンゆずりかどうかは分からへんけど、渋みある演技派どして、不安感ある演技をば、絶妙に演じてはりました。

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空撮でタイトに映される、画一化された一戸建てが、並ぶ街の風景。

無機質な打ち込み系シンセなサントラなど、クールなドラマに合った作りどした。

マイケル・シャノンに言わせる「(アメリカは)勝者の勝者のための勝者による国」などのセリフやらには、ディープ・インパクトに、グサリときまっせ。

日本でゆうたら、バブル期前の土地の買い占め・転がしの、ドラマを思い出される人も、いてるかもしれへんけど、

そんなんよりも、本作は、もっとずーっとイビツだす。

そのあたりのネジレ具合も、見てみてくだされ。

2016年2月13日 (土)

「ライチ☆光クラブ」⇒週末日本映画劇場

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演劇原作の、特殊シチュエーション未来図映画

サバイバル映画の、タブーを犯した画期的な1作

http://www.litchi-movie.com

2月13日の土曜日から、日活の配給により、新宿バルト9やらで全国順次のロードショー。

関西では、2月27日から梅田ブルク7で上映。

本作は「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016「ライチ☆光クラブ」製作委員会

本作は漫画化もされたけど、1985年発表の演劇原作映画どす。

演劇・舞台原作の映画ちゅうのは、これまでに、モノゴッツーのタイトル数がありますが、

いわゆるSF的特殊設定による邦画が、このところケッコー出てきておます。

故井上ひさし作品がベースにあった「母と暮せば」(2015年製作・弊ブログ分析済み)などの、戦時・戦後ものは、ある種定番やったけど、

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平田オリザ原作の「さようなら」(2015年・ブログ分析済み)や、貧富の2派に分かれた「太陽」(2016年・4月23日公開・後日分析予定)などがあります。

少年たち9人が集い、タイトルの秘密組織を結成しはりまして、女教師に制裁を加えて死なせたり、

ロボット「ライチ」を作り上げ、「ライチ」に美少女を誘拐拉致させて、その少女を玉座に据えて、崇めたり…。

ほんで、少年たちのサバイバルなドラマが、ゆえなくして行われてゆきよります。

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「光クラブ」なるものが、なぜ存在するのか、ナンチュー疑問やらは、ケッコー出るやろけど、そおゆう疑問はこの際抜きにした方がエエかも。

なぜなら、特殊シチュエーション系の映画やから。

「さようなら」なんかは、東日本大震災のような、現実的な因子を取り入れてはりますが、こちらは夢想型やと思てください。

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少女とロボットと、少年たちが絡んでまいります。

特に、少女とロボットの関係性なんかは、「キングコング」的なとこもあって、大きな見どころやし、

少年たちの裏切り・裏切られのサバイバル模様も、一瞬も目が離せへんカンジになっとります。

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ほんで、サバイバル映画の定番を大きく外すようなタブーが、本作にはあります。

そのへんは本ネタ部になるんで、言えませんが、想像は付くやろかとは思います。

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「美しい希望の光をもたらすことだ」とか、十カ条の復唱など、何やら違和感あるシーンが不安をあおり、

美麗な夕景のセピア・シーンもあるけども、ダークな作りがメインになっとりまして、最後の最後まで徹底されとります。

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ロボットに美しきものとは何かを、学ばせるシーンなどのユーモア感、

少女がロボットに対し、エレクトーンで歌を聴かせる潤いのシーンやら、コドモ時代の回想シーンやら、

逼迫のサバイバル・シーンとは別に、ほのぼの心地いいシーンも挿入されて、物語は展開します。

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静かにヒロイズムを体現する野村周平と、ワル的イケズなリーダー役の古川雄輝の対比演技は、本作を最もドラマティックにしたところやろけど、

でもしか、アイドル映画としても、ロボと関わる中条あやみの存在は、アップ・シーンも多くて、かなりと光っておました。

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「連合赤軍浅間山荘事件」を、思い出させるようなサバイバル劇調は、1985年当時としては、画期的やったかと思います。

残酷・残虐の向こうには、何があるのか。それを考えさせてくれるような作品でおました。

2016年2月12日 (金)

韓国映画「ネコのお葬式」

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韓国ラブ・ストーリー映画の新しいテイスト

ネコをフック的に使った快作

http://www.catfuneral-movie.com

2月13日の土曜日から、ハークの配給によりまして、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2014年製作の韓国映画107分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸIndieplug All Rights Reserved.

韓国のラブ・ストーリー映画とくれば、みなはんのイメージには、どないなもんがあるやろか。

記憶喪失やアルツハイマーやらのビョーキを、仕込んだ泣ける純愛ものやったり、

ラブコメ・スタイルで笑いを誘い、時にトリッキーを示したり…。

前者の代表作は、日本で一番売れた韓国映画「私の頭の中の消しゴム」(2004年製作)、

後者は「猟奇的な彼女」(2001年)あたりやろか。

不倫ものもあり、W不倫の変形版「四月の雪」(2005年)も、ペ・ヨンジュン主演で、日本でも売れとります。

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でもしか、それらの作品から、10年以上を経た今。

売れる・売れないは別にして、いろいろ工夫を凝らした、ラブ・ストーリーが出てきておます。

ほんでもって、今年も年頭から、ユニークな恋愛映画が本邦上陸。

ヒロインと、毎日容姿が変わる男との恋愛を描いた「ビューティー・インサイド」(2015年・弊ブログ分析済み)。

これはスマッシュ・ヒットしました。ほんで、本作でおます。

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男女2人が付き合っていた過去と、別れた現代を、カットバック的に交錯させ、

しかも、飼っていたネコを、狂言回しとゆうか、フック的ポイントにして、撮り上げた作品どす。

2人が同棲してた時に、女が拾ってきたネコやけど、別れて男が引き取り、ほんで、死んでしもて…。

そして、冒頭で、2人が再会して、猫の葬いをするために、男の生まれ故郷の島へ、一緒に行くちゅう展開どす。

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ミュージシャン志望の主人公役は、K-POPグループの「SUPER JUNIOR(スーパージュニア)」のカンイン。

最近では、音楽グループのミュージシャンたちが、恋愛映画・青春映画に、出演することが多くなっとります。

けども、ミュージシャン的特性を生かして、歌を披露したりして、自然体な感じが、好感を呼びまっせ。

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また、漫画家志望のヒロイン役の、パク・セヨン。

美人女優はんなんで、演技の巧拙をチェックせずに、思わず見とれてしまいましたが、

こちらも総じて、明るい演技で魅せてくれはります。

恋愛映画に向いてそうなカンジやし、これからも楽しみな逸材どす。

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「愛を探す旅に出る」とか「男は何度も初恋をする」とか、少々気恥ずかしいような、セリフなんぞも出てきますが、そこはそこ。

ネコ映画のテイストは、フック的なんで、ネコと人のキズナみたいなとこへは行きませんが、

こおゆうフック的に、犬猫を使うラブ・ストーリーは、韓国では珍しおす。

ちゅうことで、少しでも、韓国恋愛映画の新味を、味わってくだされませ。

2016年2月11日 (木)

フランス映画「ディーパンの闘い」⇒カンヌ国際映画祭最高賞パルムドールをゲット

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疑似家族映画プラス、ヒロイズム映画の快作

「ダイ・ハード」的ヒーロー映画でもありま

http://www.dheepan-movie.com

2月12日のフライデーから、ロングライドの配給によりまして、TOHOシネマズ シャンテやらで、全国ロードショー。

本作は、2015年製作のフランス映画、本編115分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015-WHY NOT PRODUCTIONS-PAGE114-FRANCE 2 CINEMA

テロリストとして追われとるスリランカから、フランスへ亡命するために、主人公ディーパンは、

家族としていったら、それなりに認められるちゅうことで、疑似娘と疑似ヨメを、無理矢理とのようにこしらえて、ゆかはります。

疑似家族映画としての、イントロ部でおます。

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さてはて、何とかフランスへ行き、マンション管理人の仕事を得たディーパン。

疑似ヨメ、疑似娘も、それなりに主婦・小学生を、無難にこなさはります。

最初は3人の関係は、冷たいもんやったけど、徐々にキズナが、芽生えてまいるとゆう流れどす。

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ほんでもって、ディーパンが、疑似ヨメが、偶発的に関わることになってしもた、麻薬組織に対し、

疑似家族を守るために、ヒロイズム的に組織へ、闘いを挑んでゆくとゆう展開でおます。

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疑似家族映画は、これまでにイロイロ出回っておますけども、

本作みたいに、スリリングな展開が、待ち受けとるような映画は、かつてないんやないやろか。

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ヒーロー・ヒロイズム映画は、映画史的に見て、ハリウッド映画がオハコやと思うけど、

フランス映画ながら本作も、ヒーロー映画としてのスタイルがあります。

疑似家族を守る、個人的な闘いやけど、「ダイ・ハード」(1988年製作・アメリカ映画)なんぞにも通じる、ヒロイズムがありまんねん。

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疑似家族3人、オトン・オカン・娘はんの、それぞれの関係性とキズナぶりを、緻密に魅せはるシーンは、

本作の今一つの、感動的な見どころでおましょうか。

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監督は、ジャック・オディアール。

ヒロイン映画「真夜中のピアニスト」(2005年・フランス)や、変格恋愛映画「君と歩く世界」(2012年・フランス・弊ブログ分析済み)など、

世界の映画祭で、賞をゲットする作品を、いくつも作ってきはりました。

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そして、本作でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールをば、ゲットしはりました。

そういうとこを抜きにしても、本作は監督の最高傑作になったかと思います。

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ロングショットのキレ、近接撮影の妙など、映画作家的にも、充実のショットが満載どす。

さらに、ゴスペルに加え、タブラや笛など民族楽器を、駆使したサントラ使いにも、魅せられました。

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ハリウッド映画に多いけど、本作もハッピー・エンドで終わります。

ただ、ハリウッド映画にはなかった、テイストがござります。

そのあたりを、ジックリ味わってくだされませ。

2016年2月10日 (水)

アメリカ映画「スティーブ・ジョブズ」

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伝記ものを覆した、楽屋裏ネタの作品どす

「バードマン」にも迫る、楽屋裏スッタモンダ映画

http://www.stevejobsmovie.jp

2月12日のフライデーから、東宝東和の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 UNIVERSAL PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

スティーブ・ジョブズを描いた映画は、本作に先行して同じタイトルの「スティーブ・ジョブズ」(2013年製作・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)がありました。

でもしか、伝記的とゆうか、ジョブズの足跡を追っていた先行作に対し、

本作は、歴史的な発表の場の、楽屋裏話をポイントにした点において、先行作とは違う作りをば示さはります。

この種のタイプでは、後発に傑作的軍配が上がることが多いやろか。

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過去を見てみますと、コロンブス、忠臣蔵ものなど、ボクの見た中では、数例しかないけど、

この後発・傑作方程式は、基本的には当たっとるかなと思います。

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さてはて、楽屋裏をポイントにした洋画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)をば言いますと…。

①本作

②バードマン(2014年・アメリカ・弊ブログ分析済み)

③プレタポルテ(1994年・アメリカ)

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●群像劇的に展開する点では、ロバート・アルトマン監督作品③やらに、ケッコーオモロイ作品があるけども、

演劇、音楽コンサートの楽屋もんやらが、この種の映画の花形なんやないやろか。

でもしか、本作は新製品を、発表するイベントの場。あんましないタイプでおます。

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世界最長の長回し撮影が、根幹にあった②が、アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞やらをば、もらわはりましたが、

本作は今年のアカデミー賞(日本時間2月29日に発表)で、演技部門を主に、ノミネートされてはります。

演技陣が魅せる映画としては、②③を凌駕してるやもしれまへん。

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今アカデミーでは、ジョブズ主人公役の、マイケル・ファスベンダーが主演男優賞に、

その秘書役のケイト・ウィンスレットが、助演女優賞に、それぞれノミネートされてはります。

愛人と娘、元スポンサーらとのやり取りを、戸惑うことなく、とことんクールに対応する、ファスベンダーの演技には、

彼の過去の演技と、照らし合わせてみても、クール性に加えて、冷静沈着ぶりがあり、キャリア最高の演技ぶりどした。

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対して、既に「愛を読むひと」(2008年・アメリカ)で、アカデミー賞主演女優賞を、ゲットしてはる、ケイト・ウィンスレットのネーさん。

劇的な演技で魅せた「タイタニック」(1997年・アメリカ)のヒロイン像とは違い、

彼女もファスベンダーと同じく、クール演技が持ち味でおます。

本作でも、そのあたりが反映されておます。

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監督は、アカデミーの作品賞も監督賞も「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年・イギリス)でもろてはる、ダニー・ボイル監督どす。

過去シーンを、フラッシュ的にタイトにカットバックしたり、

練り上げられたセリフの、やり取りで魅せたりと、映画作家性は健在でおます。

何はともあれ、マイケル・ファスベンダーと、ケイト・ウインスレットの演技が、際立っておます作品どす。

2人が受賞できるんかどうか、見守っときましょう。

2016年2月 9日 (火)

アメリカ映画「キャロル」⇒女優の静かな演技対決に魅せられて

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ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの、女友情・恋愛もの

1952年のニューヨークの、雰囲気がグッディーな作り

http://www.CAROL-MOVIE.COM

2月11日の「建国記念の日」ホリデーから、ファントム・フィルムの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸNUMBER9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

本作の主演・助演の女優2人(ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ)が、

アカデミー賞(今年・日本時間2月29日に発表)にノミネートされてはります。

ほんで、この2人が女同士の恋愛を、紡ぐ作品でおます。

さてはて、女同士の愛やら友情やらを、キモにした、マイ・ベスト&カルト・スリー洋画(各順不同)をば、思いつくままに、披露してみますと…。

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●ベスト⇒①ジュリア(1977年製作・アメリカ映画)②テルマ&ルイーズ(1991年・アメリカ)③噂の二人(1961年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②アデル、ブルーは熱い色(2014年・フランス・弊ブログ分析済み)③バウンド(1996年・アメリカ)

●ベスト①を始めとした、マットーな女友情ものは、

アメリカン・ニューシネマなベスト②や、室内劇サスペンスのカルト③など、傑作が多いんやけど、

ほなら、女同士の愛、いわゆる2人がレズビアンやったら、どないなるんやろか。

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ディープでヘヴィーな、濡れ場シーンがあるカルト②は、女同士の肉体恋愛を、臆面もなく描いた、かつてない画期的な作品やったけど、

本作でもディープやないけども、2人のベッド・シーンは、あることはあります。

けども、ボク的な解説を施しますと、アメリカ映画的には、このあたりが限界ちゅうか、ライン的には最高潮やったかと思います。

例えば、オードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーンが、共演したカルト③の控えめラインが、本作の2人によって、大胆果敢に打ち出された点は、特筆すべきとこでおましょう。

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クールで笑わないルーニ・マーラの演技と、主婦・妻役のケイト・ブランシェットの、オトコ女のような骨太感が、

ミスマッチ的に融合し、妙に物語映えするような、演技ぶりでおました。

2人で西へとぶらりと旅する、ロードムービー的なとこなんかは、ベスト②にもつながるカンジ。

ちゅうことで、2人の演技が、本作の大いなるキーになっとります。

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1950年代(1952年)の、ニューヨークが舞台。

そんな舞台設定の映画は、かつていっぱいあったけど、現代においてそれを撮るには、当時の風景を再現、もしくは当時の風景を、求めてロケハンせないきまへん。

本作の場合は、当時のNYっぽい風景があるらしい、シンシナティ・ロケを敢行しはりました。

撮られとる風景が、映画の出来を左右するワケやないけども、薄色配色で統一したシーンは、違和感なくスムーズに、見られたちゅうことをゆうときます。

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監督はトッド・ヘインズ。

1950年代ものでは、「エデンより彼方」(2002年・アメリカ)などが、ボクのお気に入りどす。

いつもながらの映画的な撮り方に、それとなく魅せられました。

例えば、車や部屋の外からのカットなどに、キレがありました。

サントラは、オーケストラ・サウンドやけど、1952年当時のナンバーなどを、タイトに使用してはるとこも、当時の雰囲気を醸して良かったどす。

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犯人側から描いた、アラン・ドロン主演の最高傑作「太陽がいっぱい」(1960年・フランス&イタリア)、

ヒッチコック監督による、交換殺人「見知らぬ乗客」(1951年・アメリカ)など、

サスペンス映画史に残る名作の、原作者・小説家、パトリシア・ハイスミスの短編が、本作の原作でおます。

そやから、随所にハラドキの展開がありまんねん。

女と女の不倫恋愛を、サスペンスに彩った快作でおました。

2016年2月 8日 (月)

三浦貴大主演「マンガ肉と僕」

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「ローリング」と変わらない、三浦貴大の自然体演技

百恵・友和主演「春琴抄」のことも、セリフで出まっせ~

http://www.manganikutoboku.com

2月11日の木曜日より、新宿K's cinemaにて先行上映。

2月13日の土曜日から、大阪のシネ・ヌーヴォやらで、全国順次の公開。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ吉本興業

三浦貴大が、大学時代から、社会人になってバリバリ働くまでの間に、

3人の女たち(杉野希妃・徳永えり・ちすん)と関わって、三角関係含め、イロイロやってゆかはるお話だす。

女(杉野希妃)に寄生されるナンチュー、エピソードがありながらも、

あくまで彼は、自然体の演技をば、貫いてはります。

ちゅうことで、ここで、貴大クンのマイ・ベスト・スリー(順不同)。

①ローリング(2015年製作・弊ブログ分析済み)②サムライフ(2014年・ブログ分析済み)③本作

●自然体演技やちゅうても、イロイロあります。

前向き系の②を除いては、女からのモーションで、自然体を惑わされるとゆう意味では、

濡れ場シーン込みの①と、3人の女との絡みがある、本作が秀逸どす。

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でもしか、それでも、自然体は揺るがないとこが、貴大クンのオリジナリティーなとこどすやろか。

さらに、プライベートなとこを想起させるシーンやセリフが、彼の映画キャリアで初めて出ます。

谷崎潤一郎原作の映画化作品「春琴抄」の、内容にまつわるセリフのやりとりが、彼と友達の間であります。

「春琴抄」ちゅうたら、何度か映画化されとりますが、

彼のオトン・オカンの(山口)百恵・(三浦)友和が、主演・共演した作品(1976年)もあり、見ていてオッと、コレは…ときました。

さてはて、次に、本作は京都ロケーション映画でおます。

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京都ロケ映画ナンチューたら、そらモー、モノゴッツーのタイトル数がありますが、

そんな中でも、最近ボクが見た、京都ロケ映画で、気になった作品を、3本挙げてみますと…。

①木屋町ダルマ(2015年・ブログ分析済み)②醒めながら見る夢(2014年・辻仁成監督・分析済み)、ほんで、本作でおましょうか。

中でも、本作は、作品性とは別に、京都ロケをかなりと意識した内容になっとります。

ボク的には、大学時代に思い出がある、八坂神社脇の料亭「かがり火」が出てきたり、

高瀬川の、①とは違う、風流あるロケーションぶりに、魅せられましたやろか。

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監督・主演の杉野希妃ネーさんがゆう、予期しない奇跡的なシーンでは、高瀬川と白鷺が印象的どした。

杉野監督は溝口健二監督的を、意図したとゆうてはりますが、

カット割り以外には、尺八などの雅楽を駆使したサントラ使いやら、クレジットの「配役」や「終」などの、細かいとこにも配慮してはります。

また、本作は「女による女のためのR-18文学賞」受賞作が原作なんやけど、

過去に本作を含め、「花宵道中」(2015年)など、4作が映画化されとりますが、本作が最も映画作家性が、発揮された1本やったと思います。

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デブ役をメーキャップで披露した、杉野希妃の鬼気迫り演技、

逼迫系の演技で魅せる徳永えりなど、

自然体の貴大クンに対する、女優陣の個性あるバラエティーな演技ぶりは、楽しくもあり、嬉しくもあります。

三浦貴大VS女優陣の構図で、映画を見れば、ハラドキもある作品どした。

お楽しみあれ! な快作です。

2016年2月 5日 (金)

三浦貴大会見

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「マンガ肉と僕」主演の、三浦貴大アニキのお話

初監督・主演の杉野希妃ネーさんも、熱弁を奮う

http://manganikutoboku.com/

「マンガ肉と僕」は2月11日の木曜日より、新宿K's cinemaにて先行上映。

2月13日の土曜日から、大阪のシネ・ヌーヴォやらで、全国順次の公開。

●作品分析は、この次にやります。作品内容については、上記映画公式ホームページをご覧くだされませ。

取材・文・写真=映画分析評論家・宮城正樹

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三浦貴大「本作の役・ワタベという人間性(キャラクター)には、自分の中でしっくりするところが、たくさんあって、

とゆうか、しっくりきてしまってるし、自分とリンクするところが多過ぎて…、

この話を友達にすると、それで、おまえ、どうなんだよ、などと言われたり…、でも、メンタリティーに役作りしやすかったです。

自分を出すとゆうのは、演技とはまた別のものだと思います。

この映画の話がくる前くらいに、小学校の担任の先生に再会したんですけど、

その時、おまえ、机の下にずーっと隠れていたよな、だから友達ができないんだよと、言われたことを思い返したんですよ。

そんな担任の先生の忠告のおかげで、友達ができたんだけど、でも、高校くらいまでは、人見知りして社交的でなく、

そういう意味では、成長の仕方とかが、主人公のワタベと似てるかなと。

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女たちがワタベに、寄生してるという点ですが、

『生態系を保つために(男に)寄生して生きる』という、杉野希妃さんのセリフがありまして、

ワタベの周りに、女3人がいて、ワタベ自身も成長していくんですけど、

でも、男も成長してるように見えるけど、女の方が先をいってるような気がします。

女に寄生される側なんだけど、実生活では最近、周囲の変化の仕方が凄くて、

置いていかれているな~という気持ちを、そのまま演じているような感じです。

映画の聖地・京都ロケも、本作の撮影向きだったと思います。

場所が演技に与える影響は大きく、グリーンバックのセット撮影とかだと、なかなか気持ちが乗ってこない。

東京はどこで撮っても狭いですが、京都は通りも長く、歴史のある街だし、この街だとこのイメージというところがあります。

ということで、その場所で撮れるってことは、僕にはとてもありがたかったです」

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杉野希妃「三浦さんには、『東京プレイボーイクラブ』(2012年製作・弊ブログ分析済み)の時から注目していて、

本作は三浦さんに宛書きという想いで、脚本を書きました。

三浦さんの吸収力は凄かったですね。

10パーセント伝えただけで、100パーセント返ってくるというか、

ひと言私が言うだけで、私の思っていた通りに、修正してくれるんですよ。

天性の吸収力というか、飲み込みが普通じゃありません。

同じ年代の同志として、一緒にやれて、とても良かったです。

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溝口健二監督には、女性を描いた作品が多いですが、

本作は京都ロケということもあり、『祇園の姉妹(きょうだい)』(1936年・弊ブログ分析済み)を参考にしました。

カット割りの多くない、クラシックな映画撮りを採用しています。

一カ所だけ琵琶湖ロケで、あとは全て京都ロケです。

知恩院前の一本橋とか、映画撮影していても、街や人々から見守られながら、撮影できたと思います。

ラストシーン直前でした。

鴨川で、ある動物がこちらが意図せずに、奇跡的なところを見せてくれました。

映画の神様が、舞い降りて来たような、このシーンは必見ですよ。

そして、映画は全員関西弁ながら、ポップかつシリアスな作りになりました。

みなさん、ぜひ映画館へと、足をお運びください」

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             Ⓒ吉本興業

2016年2月 4日 (木)

「ドラゴン・ブレイド」⇒ジャッキー・チェン最新作

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ジャッキー・チェン主演の、紀元前時代劇大作

ハリウッドからジョン・キューザックと、エイドリアン・ブロディが参戦

http://www.dragon-blade.com

2月12日のフライデーから、ツインの配給によりまして、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショー。

本作は2014年製作の、中国・香港合作映画の本編103分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION HUAYI BROTHERS MEDIA CORPORATION SHANGHAI FILM GROUP CO., LTD. SHENZHEN TENCENT VIDEO CULTURE COMMUNICATION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

紀元前ものの史劇と言いますれば、ハリウッド映画の大作として、主に作られてきたとこがあります。

イエス・キリストがいた時代背景ものから、聖書のエピソードの映画化、

さらに、トロイやクレオパトラやシーザーやらの、出てくる戦争ものなど、

大たいにおいて、大量の資金投下を要する、ハリウッドに見合う映画が、多かったように思います。

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ほんでもって、本作も中国・香港映画ながら、約80億円の資金と7年もの歳月を費やして、作られた大作でおます。

しかも、ハリウッドで名声を得たジャッキー・チェンが、製作・アクション監督・主演やらを兼ねてはります。

中国映画では、「レッドクリフ」(2008年製作・香港&中国&日本&台湾合作)などの大ヒット時代劇がありますが、

それらは、「三国志」「水滸伝」などの中国の古典が、ベースになっとりました。

でもしか、本作では、中国ものでも、紀元前の話。

しかも、シルクロードでの、ローマ帝国と中国(当時は前漢)の決戦を、映画史上初めて描くとゆう、画期的なものになっとります。

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「ライジング・ドラゴン」(2012年)で、アクション俳優を引退すると、ジャッキーはゆうてはったんやけど、

モチ、本作は7年前に撮入しとるんで、「ライジング…」より以前に始動しておますし、また、「ライジング…」以降にも、危ないアクトを披露する、刑事映画に出てはります。

そやから、あくまで、体力の限界がくるまでは、やり続けはるはずでおます。

そして、何よりも、ハリウッド映画に負けないような、祖国製作の大作映画を作るとゆう、ジャッキーの想いが、本作で存分に炸裂しておるんだす。

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ほんで、映画史に燦然と輝く、かのブルース・リー主演「燃えよドラゴン」(1973年・アメリカ&香港)に、

スタッフとして関わって以来、ジャッキーには、“ドラゴン“へのこだわりと共に、

かの名作に少しでも迫り、できるならば超えたい作品を作りたいと、おそらく胸にずーっと、秘めてはったかと想像いたします。

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そして、本作。

この種の中国映画では、アジアのオールスターが、メインにありましたが、

アジアとユーロのローマ帝国との戦いなんで、キャスティングに、ローマ人として、ハリウッド・スターを起用できる内容になりました。

でもって、ハリウッドからは、ベテランのジョン・キューザックと、

「戦場のピアニスト」(2002年・ポーランド&フランス)で、アカデミー賞主演男優賞をゲットしはった、エイドリアン・ブロディが参戦してはります。

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「戦場の…」では、ヤワな役やったけど、本作では、ブロディは冷酷無比な悪役になり、ジャッキーとクライマックスで激闘を披露します。

また、キューザックもジャッキーと対決するけど、こちらはよりヒロイックな役柄どす。

いずれにしても、2人の出演により、これまでの香港・中国時代劇の、イメージが変わっておます。

それは、例えば、日本の時代劇が、ハリウッドの参入によって変わった「ラスト・サムライ」(2003年・アメリカ)に、近いノリがあるやもしれまへん。

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中国側のジャッキーと、ローマから追われたキューザックが、共同戦線を張り、ローマ帝国のブロディ組と、対峙・対決するとゆう構図。

砦造り、剣戟、騎馬戦、肉弾戦、弓矢や投石など、紀元前の戦いらしさが、ビビッドに迫力をもって、展開してゆきます。

とにもかくにも(略して、とにかく)、最初から最後まで、血わき肉躍る戦いぶりに、メッチャ(漢字で書けば、滅茶)楽しめた作品どした。

2016年2月 3日 (水)

「十字架」⇒小出恵介&木村文乃共演

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イジメとその後遺症を描いた、重たい作品ながら、

各演技陣の想いが、胸に迫りくる傑作

http://www.jyujika.jp

2月6日の土曜日から、アイエス・フィールドの製作・配給により、東京・有楽町スバル座、シネ・リーブル梅田やらで、全国順次のロードショー。

1月30日から、イオンシネマ下妻やらで先行ロードショー中。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015「十字架」製作委員会(アイエス・フィールド ストームピクチャーズ BSフジ)

学園内のイジメを、テーマにした作品てゆうたら、それなりにあって、今さらながらやけど、

そんなイジメの後遺症を、重々しく描いた映画は、さほどありまへん。

高校時代に、主人公・小出恵介の幼なじみフジシュン(小柴亮太)が、露骨なイジメに、しょっちゅう遭ってました。

イジメる側やないけども、どちらかとゆうたら、第三者的に静観するカンジやった、小出恵介やけど、

そんな小出に対し、彼は僕の唯一の友人だったとゆうような遺書を残して、イジメを苦にして、フジシュンは自殺してまいます。

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ほんで、フジシュンがスキだった木村文乃やけど、文乃にフラれてしもたにも関わらず、彼女のこともメッチャ好意的に、遺書に書いてはったんどす。

ほんで、葬式やら葬式以降に、フジシュンのオカン・オトン(永瀬正敏・富田靖子)が、

2人に対し、モチ好意を寄せはりまして、それが2人のプレッシャー(十字架)に、大人になってもなる、っちゅうような展開でおます。

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映画は、過去の学園時代を、大人になった小出恵介の、ココロの呟きを、ナレーションにして、回想するタッチで展開してまいります。

現代地点から、学園時代(小学校含む)をプレイバックする映画としては、

ボク的には、邦画では友情映画「帰らざる日々」(1978年製作)、洋画では人口に膾炙した「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ映画)が、

邦画・洋画の各ナンバーワンなんやけど、どちらも、感動的なラストが、ココロに残る仕上げぶりどした。

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そして、本作もまた、渋みがあるんで、分かりにくいかもしれへんけど、

感動の在り方は、そんなマイ・ベスト2作と、テイストはおんなじやったかと思います。

また、近作の邦画では、学内のイジメ裁判にまで発展した「ソロモンの偽証」(2015年・弊ブログ分析済み)、

過去を改ざん・修正するタイプの、学園もの「orange-オレンジ-」(2015年・弊ブログ分析済み)、

藤原竜也&有村架純共演「僕だけがいない街」(2016年・3月19日公開・弊ブログ後日分析)などと比較しますれば、

過去は変えられないけど、その重圧をどう乗り越えるのかに、焦点が当てられとりまして、

シリアス度合いの、ヒジョーに高い作品どす。

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鬼気迫るやったり、重みを受けての、複雑な演技など、各演技陣の、役者冥利に尽きるような演技ぶりに、ボクはココロが揺り動かされました。

正攻法の演技は、小出恵介と永瀬正敏やろか。

それでいて、ビミョーな心中を、巧妙に演技してはりまして、ここに、胸に、きよりますし、

また、演技派・富田靖子の“鬼気”、そして、木村文乃の“哀”。

どちらも強烈な印象を残します。

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永瀬正敏、富田靖子てゆうたら、1980年代から1990年代にかけて、日本映画界を牽引してきた、役者はんだけに、

その説得力ある演技ぶりは、特筆すべきとこでおましょう。

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ほんでもって、本作の監督は、ボク的には、「地雷を踏んだらサヨウナラ」(1999年)やらに、衝撃を覚えた五十嵐匠(いがらし・たくみ)はんどす。

葬式シーンの長回し撮影など、重たさを意図しつつも、

優しいピアノやら、ポップな歌ものなど、ポスト・プロダクション(クランク・アップ後に、映画としての体裁を整える最終作業)で、

重みを緩和する柔和なとこを、付加してはりますんで、決して重さを引きずるような、鑑賞後感やありまへん。

いや、むしろ、ボクは、上記でも書いたけど、渋みある感動ある作品やったです。

そのあたりは、ぜひとも、映画館で、ご体感あれ!

2016年2月 2日 (火)

中国・香港合作「最愛の子」

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前半は、コドモ誘拐・捜索ミステリー・サスペンス

後半は、ヴィッキー・チャオがキーを握る作品

http://www.bitters.co.jp/saiainoko

1月30日の土曜日から、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで公開中どす。

配給は、ハピネットとビターズ・エンド。

本作は、2014年製作の中国・香港合作、本編130分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 We Pictures Ltd.

前半は、誘拐サスペンス。

後半は、コドモが見つかってからの丁々発止と、コドモを巡るリーガル・サスペンスが入っとります。

つまりは、最後までスリリングに、展開してゆく映画なんでおます。

前半部の、コドモ誘拐部は、

犯人側・被害者・警察側を、バランス良く描いた、黒澤明の名作「天国と地獄」(1963年製作・日本映画)やらとは違い、

メル・ギブソン主演「身代金」(1996年・アメリカ)のように、被害者側がメインに捉えられとります。

でもしか、身代金目当ての誘拐やないんで、そのあたりの被害者側の描写は、ビミョーな立場になっとるんだす。

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どおゆうことかとゆうと、コドモのオトン・オカン(ホアン・ボー、ハオ・レイ)は、誘拐時には離婚してはりまして、

コドモは再婚したオカンが、養育してはりました。

ほんで、オトンにコドモを預けとる時に、誘拐されてまいました。

本作は実話がベースなんやけど、その誘拐が起こった2009年当時は、中国では一家庭に、コドモは一人だけとゆう“一人っ子政策”があり、

それが、いろんな意味で、コドモ誘拐・拉致事件が、蔓延していたとゆう経緯があります。

身代金よりも、コドモそのものが欲しいとゆう、背景があったんどす。

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離婚した元夫婦やけど、そういう事件の“被害者の会”に、2人で参加して、コドモの行方を探ってゆかはるんどす。

このあたりの展開は、身代金要求なしの誘拐ものとしては、新味ある展開やと申せましょう。

容姿的には、香川照之を思い出させるホアン・ボーの、真摯な演技。

「天安門、恋人たち」(2006年・中国)のシリアス演技に、喜怒哀楽の“哀“をメインにした、ハオ・レイ。

共に、演技派だけに、この前半の展開には、ググッと引き込まれます。

コドモを巡る追逃走劇の、アクション・シーンのあと、

後半へ。誘拐映画の定番とは全く違った、サプライズをば示さはりまんねん。

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さてはて、コドモをネタにした作品として、本作は、福山雅治主演の「そして父になる」(2013年・日本)やら、

誘拐も入った、クリント・イーストウッド監督の傑作「チェンジリング」(2008年・アメリカ)などにある、メイン・ソースなとこを持った作品でおます。

たったの3年で、誘拐した側のオカンを、ホントのオカンと慕うコドモ。

その造形に、少しく疑問もあったけど、そのあたりは、後半から登場しはる、ヴィッキー・チャオの、素朴やけど、コドモを想うイチズな姿勢が、

3年の間に、コドモに対して、深い愛情を注いではったんやろなと、説得力ある演技でおまして、そんな疑問をねじふせはりまんねん。

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既に死んでもうたヴイッキー・チャオのダンナはんが、コドモが産めない体のヨメを想って、拉致してきたらしい2人のコドモ。

そんな幼い義理のコドモ兄妹と、チャオ扮する義母のキズナぶりが、後半で、泣ける映画的なカンジで見せてくれます。

でも、それでも、なんで実の両親に、ガキは冷たいんか。ここが、ホンネをゆうと、ボク的には最後まで、謎でおました。

実話やから、そのままを、描いてはるんかもしれへんけど、この謎は解けないままどした。

けども、ボクの好きな、ピーター・チャン監督の新作どす。

ボク的最高傑作「ラヴソング」(1996年・香港)の、スマートな感動が忘れられませんが、

本作も、コドモの謎に加え、チャオの素朴で熱血演技ぶりと、彼女にまつわる、サプライズ・エンディングぶりに、何とも言えないような、作品になったかと思います。

リピーターとして、何度も見てみたい。そんな1作になりました。

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