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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2015年12月の記事

2015年12月31日 (木)

2015年に見た、2016年マイ・ベストテン候補作

★日本映画

●ピンクとグレー(1月9日公開/行定勲監督/中島裕翔・菅田将暉・夏帆共演)

http://pinktogray.com/

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Ⓒ2016「ピンクとグレー」製作委員会

●の・ようなもの の ようなもの(1月16日公開/松山ケンイチ・北川景子共演)

http://www.no-younamono.jp

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●十字架(2月6日公開/五十嵐匠監督/小出恵介・木村文乃共演)

http://www.jyujika.jp

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★外国映画

●白鯨との闘い(1月16日・2Dと3D同時公開/ロン・ハワード監督/クリス・ヘムズワース主演/アメリカ)

http://www.hakugeimovie.jp

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●不屈の男 アンブロークン(2月公開/アンジェリーナ・ジョリー監督/ジャック・オコンネル主演/アメリカ)

http://www.unbroken-movie.com

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●殺されたミンジュ(1月16日公開/キム・ギドク監督/韓国)

http://www.u-picc.com/one-on-one/

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●ビューティー・インサイド(1月22日公開/ハン・ヒョジュ主演・上野樹里出演/韓国)

http://gaga.ne.jp/beautyinside

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●メモリーズ 追憶の剣(1月23日公開/イ・ビョンホン&チョン・ドヨン共演/韓国)

http://www.memories-movie.com

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●大晦日とはいえ、関係なしどす。毎月月末に披露しとります、マイ・ベストテン候補作(但し2016年分)でおます。

今回は多めに選択いたしました。

全作は全て後日、弊ブログで分析いたします。

実話に基づくサバイバル映画の「白鯨との闘い」と「不屈の男 ブロークン」は、共に、アメリカ作品らしく、映画的ダイナミズムあふれる作品。

「アカデミー賞最有力」を標榜した作品も、数本見たけど、こういうエンタなアメリカ映画らしい作品の方が、妙にココロにきました。

一方で、韓国映画も、年頭から元気あり!どすえ。

キム・ギドク的バイオレンス系を示した「殺されたミンジュ」、

ラブ・ストーリーの新型「ビューティー・インサイド」、

アクション時代劇「メモリーズ…」まで、よりどりミドリだす。

日本映画では、行定勲監督久々の傑作「ピンクとグレー」、

森田芳光監督「の・ようなもの」(1981年製作)の、リメイクやなく、その後を描いた「の・ようなもの の ようなもの」、

いじめをテーマにした作品ながら、ヒット中の「オレンジ」のように、過去と現在を交錯させた「十字架」。

「十字架」の方が、重たい仕上げかもしれへんけど、余韻ある作品どす。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2015年12月30日 (水)

2015年マイ・カルト日本映画ベストテン

①木屋町DARUMA(遠藤憲一主演)

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②龍三と七人の子分たち(北野武監督)

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③イニシエーション・ラブ(前田敦子主演)

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④ラブ&ピース(園子温監督)

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⑤ギャラクシー街道(三谷幸喜監督)

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⑥ピース・オブ・ケイク(田口トモロヲ監督/多部未華子・綾野剛共演)

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⑦セシウムと少女

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⑧世界の終わりのいずこねこ

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⑨ヒロイン失格(桐谷美玲主演)

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⑩ワンダフル・ワールドエンド(橋本愛主演)

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次点⑪野火(塚本晋也監督)

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●カルト作品とは何やねん。

イロイロ意味づけできるやろけど、一つの見解としてどすが、映画的な仕上がり具合は別にして、

ジコチュウでハマッてしもて、どないにもこないにも、たまらへんかった作品やろか。

他人がどない非難してもかまわへんやん。ボクチンのハマれるポイントさえあれば、エエっちゅうことやろか。

そんな意味でゆうと、今年の邦画は、カルト作品がメッチャ豊富やったように思います。

そやから、10本に絞るんが大変やったです。

演技陣から見ると、まずは、遠藤憲一エンケンの、手足を失くした芋虫・ダルマ的ヤクザ役に、目が点になった①。

メジャー・インディーズに関わらず、アイドル映画的タッチの、イロイロがあった⑦⑧⑨⑩。

ヒット中の「オレンジ」など、今年もコミック原作映画は、多彩に花開きましたが、中でも、ユニークなラブ・ストーリーを、構築した⑥が秀逸。

ミステリー小説原作ものでゆうと、映像化不能の作品に挑んだ③の、原作以上の手際の良さ・分かりやすさに、感服いたしました。

ほんでもって、監督サイドから見てみると…。

園子温監督は、今年は4作を製作・公開。中でも、怪獣映画をパロッた④が、カルト的には、マイ・ナンバーワンどす。

北野武監督がコミカルに描いた、ヤクザ映画のトンデルシニア版②、

三谷幸喜監督の、思いっきり遊びまくったSFコメディ⑤、

名作リメイクに臆せずに挑んだ⑪など、余裕綽々の作品性が、ツボにきよりましたで。

全作弊ブログで分析済みどすんで、興味ある作品がござりましたら、弊ブログ内検索でご覧くだされ。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)


2015年12月29日 (火)

2015年マイ・カルト外国映画ベストテン

①人生スイッチ(アルゼンチン)

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②イタリアは呼んでいる(イギリス)

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③絶叫のオペラ座へようこそ(アメリカ)

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④フレンチアルプスで起きたこと(フランス)

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⑤海賊じいちゃんの贈り物(イギリス)

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⑥スポンジ・ボブ(アメリカ)

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⑦ピクセル(アメリカ)

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⑧クーキー(チェコ)

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⑨コングレス未来学会議(イスラエル)

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⑩Mr.タスク(アメリカ)

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次点⑪スペシャルID 特殊身分(中国・香港)

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●敢えてタイトルと製作国だけを、並べて出しましたが、

全ては弊ブログで分析しとりますんで、弊ブログ内検索で、詳細やら映画ホームページやらを、ご覧くだされませ。

さてはて、カルト作品とは、好き嫌いが分かれ、賛否両論ある作品が多いとは思うけど、

今年の洋画の選択では、ボク的には、トンデモ驚かされた作品を中心に、ピックアップしました。

また、その驚きには、これまでの映画にない、新しさがありましたやろか。

人がヤケクソ・ハチャメチャになる物語を、オムニバスにした①。しかも、中途半端やなく、テッテー的にやってもうた。

グルメ・ロードムービーとゆう、新鮮味を描いた、マイケル・ウィンターボトム監督の②。

演劇メイキングと学園ホラーを合体させた③。

夫のモロさをポイントにした、家族崩壊もの④。そのモロさは、かつて描かれなかったものどす。

コドモたちだけの、勝手なオジンの葬送を描いた⑤。まあ、過去にはありまへん。

物(スポンジ)の擬人化アニメ⑥。

日本産テレビゲームを、地球侵略SFに応用した⑦。

実写人形主人公の、ロードムービー⑧。

実写部とアニメ部をくっきり分けて、実在の女優の未来図を描いた⑨。

人間が動物になってまう⑩。

ほんで、次点には、久々に見た香港アクションの、ハリウッド映画的快作。

ボク的には、全ての作品が、何年後かに見返しても、

ウーンと唸れる作品ばかりやと思いました。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2015年12月27日 (日)

2015年外国映画マイ・ベストテン

①サイの季節(バフマン・ゴバディ監督、モニカ・ベルッチ主演)

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②バードマン(マイケル・キートン主演)

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③イマジン(ポーランド映画)

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④セッション

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⑤アメリカン・スナイパー(クリント・イーストウッド監督)

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⑥独裁者と小さな孫(弊ブログ12月17日付けで分析)

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⑦マッドマックス 怒りのデスロード(ジョージ・ミラー監督)

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⑧私の少女(ペ・ドゥナ、キム・セロン共演・韓国映画)

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⑨悪党に粛清を(デンマーク映画)

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⑩アクトレス 女たちの舞台(ジュリエット・ビノシェ主演、フランス映画)

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次点⑪薄氷の殺人(中国&香港映画)

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●各国の映画を、できるだけ万遍なく、採り上げられたかと思いますけども、

でもしか、ハリウッドを含むアメリカ映画②④⑤⑦が、個人的には、今年は元気があったかと思います。

しかも、これまでのハリウッド映画とは、また違った、あるいは、進化系となった作品ばかりどす。

今年のアカデミー賞作品賞ゲットの、ワンカット長回し撮影の、映画世界記録を作った②。

ゴキゲンな音楽映画の、定番を覆した怪作④。

イーストウッド監督の戦争映画⑤。

そして、久々のシリーズものが、トレンドとなっていた中で、モノゴッツー・スゴイ・ウルトラ・アクションを構築した⑦。

ハリウッド映画らしさを、改めて如実に示した快作どす。

さて、アメリカ以外の国では、まずは、ユーロの③⑨⑩。

障害者のヒューマニズム映画として、出色の出来となった③。

西部劇を再構築し、よりリアリズムを加えた⑨。

女優映画の新境地を、群像劇的に描いた⑩。

次にアジア。韓国映画では⑧、中国では⑪。

共にヒロインのスリリング・謎めき妖し度が、高かった作品どした。

そして、祖国を追われて、他国での映画製作を、余儀なくされてはる、監督による作品①⑥。

そんなプレッシャーの中においても、トコトンなおのが作家性をば、発揮しはりました。

特に、①は映画的衝撃度の、スゴイ作品どしたえ。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2015年12月26日 (土)

2015年日本映画マイ・ベストテン

①友だちのパパが好き(吹越満主演)

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②海街ダイアリー(是枝裕和監督・綾瀬はるか、長澤まさみ出演)

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③岸辺の旅(黒沢清監督・浅野忠信、深津絵里共演)

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④百日紅(さるすべり)

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⑤チョコリエッタ(風間志織監督、菅田将暉・森川葵主演)

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⑥GONIN サーガ(石井隆監督)

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⑦恋人たち(橋口亮輔監督)

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⑧人の望みの喜びよ

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⑨母と暮せば(山田洋次監督・吉永小百合、二宮和也共演)

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⑩バケモノの子

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次点⑪ソロモンの偽証 前篇&後篇

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●毎月末に、その月のマイ・ベストテン候補映画を書いとりましたが、そこで取り上げなかった作品も入れとるんは、

やはり見終わって数日経ってから、おお、コレはええやんっちゅうのんが、ケッコーありましてな、その結果、こんなカンジになりました。

総体的には、歴代日本映画の約50パーセントに当たると思われる、家族ドラマ映画(夫婦映画・兄弟姉妹映画・疑似家族もの含む)やけど、

今年もまた、21世紀的進化型と思われる作品が、ケッコーありました。

家族崩壊映画の新型①、

姉妹だけで家を守る②、

死んでる系の夫妻映画を、シュールレアリスムのタッチで示した③、

ジブリよりも泣ける、姉妹のキズナを、示したアニメ④、

震災遺児の2人の、幼い姉弟のキズナ⑧、

戦中・戦後の、母・息子のキズナ⑨、

疑似家族アニメの快作⑩など、イロイロ傑作がありました。

さてはて、そのほかを言いますと、

女性監督からは⑤。

2015年の洋画では、シリーズものが、活気がありましたけども、邦画のシリーズものもありますで。そのサーガ編の⑥。

橋口監督の久々の傑作⑦。

次点となりましたが、学園サスペンス映画の傑作⑪も、メッチャ楽しめました。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2015年12月25日 (金)

「アンジェリカの微笑み」⇒マノエル・ド・オリヴェイラ監督作品

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カメラマン主人公が見る、死んだ美女の幻想

マジック・イマジネーションの、粋を魅せる快作どす

http://www.crest-inter.co.jp/angelica

12月26日のサタデーから、クレストインターナショナルはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、2016年1月2日から、京都シネマやらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は、2010年製作の、スペイン・フランス・ブラジルとの合作となった、ポルトガル映画97分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸFilms Do Tejo II, Eddie Saeta S.A., Les Films De l' Apres-Midi, Mostra Internacional de Cinema 2010

現役最高齢監督やった、ポーランドのマノエル・ド・オリヴェイラ監督が、2015年4月2日に逝去されました。享年106歳。

そんな監督が、2010年に発表しはった作品が、本邦初上陸だす。

映画作家の1つの手法、幻想的なマジック・イマジネーション(MI)を駆使しはった、超円熟・熟練の作品どす。

監督の晩年の作品には時に、MIを使う作品をば撮ってはったけど、

本作は最もMIが活かされた、作品やったかと思います。

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主人公カメラマンのとこに、娘はんの死体の写真を撮ってくれ、とゆう依頼がありましてな、

ほんで、主人公が仕事しに行って、写真を撮ろうとすると、ファインダーの中の娘が、目を開けて、彼に微笑みかけてきやるねん。

幻覚・幻想なんやけど、撮った写真までが、そないなことになり、

ほんでもって、遂には、MIなモノクロ含む、主人公と娘はんのシーンへと、発展しまんねん。

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主人公が、とあるもの(本作では死んだ女)に取り憑かれて、遂には…、とゆうスタイルは、

映画作家的には、興趣をそそられるもんやろか、ケッコーあるんやけど、

監督の意識下には、とゆうより意図的に、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「ベニスに死す」(1971年製作・イタリア映画)が、頭の中にあったんやないやろか。

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本作は若者主人公で、「ベニス…」は老人主人公やし、

本作は幻想の女に、「ベニス…」は現実にいる美青年に、ゾッコンになり、やがて…とゆうタッチやけど、

その流れやテーマ性は、似通っておます。

つまり、監督は、「ベニス…」のような作品を、残りの人生が僅かな中で、作りたかったんでおます。

「ベニス…」の老境の、幻覚・脳裏だけでの、やる瀬ないラブを、

若者主人公に投影して、作りたかったんでおましょうか。

ボクは、そう分析いたします。

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さらに、映画的な作りをば、巨匠らしく、当たり前のように、随所に施してはります。

MIはモチ、遠近感ある構図のカット、街のロングショットのタイトな挿入。映画的な長回し撮影シーンもありま。

ピアノ・ソロ・サントラに加え、ラストロールでは、アカペラの労働歌、もの悲しい旋律を奏でる、ピアノへと続いてゆきよります。

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個人的には、主人公が「アンジェリカ!」(死んだ娘はん)と叫ぶシークエンスは、

名作「望郷」(1937年・フランス)の、愛する人を呼ぶ、ジャン・ギャバンのカットと、ダブりましたやろか。

監督の全作品の4分の1くらいしか、見てへんボクなんやけども、

それでも、本作が監督の最高傑作やないかと、恐る恐るながらゆうてみます。

2015年12月24日 (木)

「禁じられた歌声」⇒モーリタニア映画

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初めて見た、モーリタニア映画どす

不条理な支配への、静かな反抗を描く問題作

http://www.kinjirareta-utagoe.com/

12月26日の土曜日から、ユーロスペースやらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2014年製作の、フランスとの合作によるモーリタニア映画、本編97分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Les Films du Worso ⒸDune Vision

フランスとの合作やけど、アフリカのモーリタニア映画やなんて、初めて見たわ。

ほんで、本作は、フランスのアカデミー賞・セザール賞で、7部門ゲット。

さらに、2015年のアカデミー賞外国語映画賞にも、ノミネートされてはります。

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第三世界の国の映画に多い、少年・少女コドモたちが、それなりに活躍する映画ではあるんやけど、

不条理な支配を受ける中での映画展開どす。

そんな不条理支配映画の、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)を思いつくままに、ゆうてみますと…。

ちなみに、ナチものは余りにも多いんで、外しとります。

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①アルジェの戦い(1966年製作・イタリア&アルジェリア合作)②アフガン零年<ぜろねん>(2003年・アフガニスタン&日本&アイルランド)③亀も空を飛ぶ(2004年・イラク&イラン)④1984(1984年・イギリス)⑤本作

●SF映画④の抑圧系は、SF映画設定でいっぱい出てきとりますが、

現実的なとこでは、やはり紛争・戦争・内乱・テロ的なとこが目立ちます。

古くは、フランスVSアルジェリアの①があり、アフガン②、イラク③などがあるけども、

本作は、タリバン以上にかしましくなってきよった、新種イスラム過激派の支配ぶりを、描いてはります。

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原住民同士のささいな争い、抵抗する精神障害ある女などを、サブ的に捉えつつ、

メインは支配体制の抑圧ぶりをば、描いてゆかはります。

ある男に、矢を刺されて死んでしもた牛。その抗議に行って、オトンはその男を、銃の暴発で殺してもうた。

望遠のロングショットの長回し撮影で、捉えられたこのシーンは、映画的に映えるシーンどす。

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サッカー禁止なんやけど、ボールなしに、シャドウ・サッカーをする人たち、

歌を歌った罪で、むち打ち40回の刑を処されるおばはん、

「まぼろしの市街戦」(1967年・フランス)的に抵抗する人など、

抑圧ぶり抵抗ぶりやらは、ドキュ的タッチで、当たり前のように描かれてまいります。

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オトン・オカン・幼い娘はんの3人家族を、支配にさらされる一家族として描かれて、その流れや結末は、本作のキモとも呼べるやろか。

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弦楽オーケストラをポイントにした、サントラ使いに加え、

「禁じられた遊び」(1952年・フランス)的な、ギター使いの哀愁にも、注目しときたい作品どした。

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パリ・テロがあった昨今。

計算はないかもしれへんけど、いかにもなとこが見える中でも、最後まで冷静な視点ぶりは、良かったと思います。

娘はんの必死のパッチの、ラストシーンには、たぶん、みんな、魅了されるに違いありまへん。

ちゅうことで、登場するコドモたちが、メッチャ好きになるような作品どしたえ。

2015年12月23日 (水)

「光のノスタルジア」「真珠のボタン」⇒チリのドキュメンタリー2作

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今年のドキュメンタリー映画の、マイ・ナンバーワンな2部作

ネイチャー・ドキュと社会派ドキュが、ものの見事に融合

http://www.uplink.co.jp/nostalgiabutton/

12月19日のサタデーから、第七藝術劇場で上映中。その後、京都シネマ、元町映画館やらで、順次上映どす。

この2作は、フランス・ドイツとの合作となった、チリ映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸAtacama Productions(Francia), Blinker Filmproduktion y WDR(Alemania), Cronomedia(Chile) 2010

ⒸAtacama Productions, Valdivia Film, Mediapro, France 3 Cinema-2015

チリのパトリシオ・グスマン監督による、

ドキュメンタリー2部作「光のノスタルジア」(2010年製作・写真上から3枚目~7枚目)と、

「真珠のボタン」(2015年・写真上から8枚目~10枚目)でおます。

ボク的には、チリとゆうか、ラテンアメリカのドキュメンタリーちゅうもの自体を、初めて拝見させてもろたかと思います。

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この2作は、基本的には、ネイチャー・ドキュと、

チリの独裁政権時代の、政治・社会派ドキュをば、融合合体させたような作りなんやけど、

はっきりゆうて、かつてないドキュ映画のフレイバーが、モノゴッツー感じられました。

天と地。天文学から始まる、宇宙への夢想と、地上の現実が、壮大なオーケストラ・サントラをバックに、綴られてまいるんどす。

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いやはや、見てもうたら分かるかと思うけど、ドキュに慣れない方でも、ヒジョーに分かりやすい作りどして、

しかも、芸術的映画構図の頻出。

そして、収容所、大虐殺、砂漠に遺骨を探す遺族など、現実のむごたらしさも描きつつ、

多彩で美しき自然風景との対比ちゅうか、

むしろ現実が浄化されてゆく、みたいなシーンの連続に、何やら癒やされるようなカンジやねん。

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最新作「真珠のボタン」では、アンデスの原住民の歴史を描きながらも、

ステリー的タッチもあって、一筋縄ではいかへん作りになっとります。

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ボク的には、原住民の宇宙への憧れを描く、天文学的SF的シーンと共に、

自然風景の美しさに、ウットリなれましたやろか。

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瀬せらぎが歌として聞こえる河川、空や海のいろんなシーン、星空・夜景など、自然描写にも、

かつてないニュアンスを、加えてゆかはります。

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それでいて、ドキュには必須の、いろんな関係者へのインタビューも、ソツなく行われておます。

モノクロ・カットなども、随時に挿入してはります。

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ドキュとしての体裁を整えながらも、ある種文学的な香りも、そこはかとなくする映画どして、

ボクが見たドキュ映画の範囲では、かつてなくユニークで、新機軸なもんになっとりました。

そんなとこもありまして、本作2部作は、邦画・洋画含む今年のドキュ映画の、マイ・ベストワンどすえ~。

2015年12月22日 (火)

「クリード チャンプを継ぐ男」⇒「ロッキー」シリーズ最新章

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「スター・ウォーズ」に負けない、1970年代発シリーズもの最新作や

臨場感が圧倒的な拳闘シーンに、目が点になりまっせ

http://www.creedmovie.jp

12月23日の天皇誕生日から、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

本作は、拳闘イコール・ボクシング映画どす。

そんなボクサー・スポ根アメリカ映画の、20世紀&21世紀の、各マイ・ベスト・スリー(順不同)をば、披露させてもらいますと…。

●20世紀⇒①ロッキー(1976年)②レイジング・ブル(1980年)③チャンピオン(1949年)

●21世紀⇒①本作②ミリオンダラー・ベイビー(2004年)③シンデレラマン(2005年)

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●モノクロの20世紀②、女ボクサーの21世紀②など、映画作家性を示した作品。

実話ベースの21世紀③、八百長がポイントの20世紀③やらに対し、

本作は、あくまで、スポ根としてのボクシング・バトル映画に、集約される作品どして、シリーズ化されとります。

1970年代発のシリーズものでゆうたら、モチ「スター・ウォーズ」(第1弾は1977年)が、ドル箱やけど、本作もお忘れなきよう。

しかも、主演クラスの役者、シルベスター・スタローンが、シリーズ第1弾から、ずーっと出てはります。

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「スター・ウォーズ」の過去遡り系ではなく、時代順に続けてきたシリーズどして、ゆえにスタローンが、新章でも出てはるわけどして、

闘う立場から、今回は、コーチ&トレーナー役へと転身。

ベスト②の主演ロバート・デ・ニーロと、闘う作品「リベンジ・マッチ」(2013年・弊ブログ分析済み)なんぞは、

「ロッキー」シリーズの1本にしても、よかったとは思うんやけど、

でもしか、トレーナーに回っても、スタローンの演技は熱いわ。

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ちなみにゆうときますと、本作を見る前には、「ロッキー」シリーズは、見といた方が、エエかとは思います。

スタローンのかつての、好敵手の息子はんが、出てきはって、スタローンのコーチを受けるっちゅう設定なんで、

そのあたりのビミョーな心理が、分かるやろかと思います。

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ロッキーのライバルやった、アポロの息子はん役には、マイケル・B・ジョーダン。

ほんで、彼のラブ・ストーリー部も、初代「ロッキー」以上に紡がれてまいります。

そのあたりに、シリーズとはチョイ違う、見どころがあるやもしれまへん。

スタローンが「エイドリアン!」と、叫んだインパクトはないけども、もっと癒やしあるシーンがありまんねんで。

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でもしか、大いなるポイントは、試合シーンの迫力・臨場感でおましょうか。

かつては観客視点の、リング上の闘いシーンが主流やったけど、

モチ、リングにカメラが入っての、近接撮影もそれなりにあったかと思うけど、

本作の臨場感・スリリング・激熱ぶりは、それらの撮影も駆使しながらも、

最大のポイントは、打ち合いの激しさを演出して、目が点になるような、モノゴッツーな、アクショナブルぶりでおますで。

次なるシリーズ化へとつなげられる、熱血あふれるシークエンスやったどすえ~。

ちゅうことで、「ロッキー」ファンはもちろん、「スター・ウォーズ」シリーズと同じく、

みんなで楽しめる快作品やから、映画館へとレッツラ・ゴーでおます。

2015年12月20日 (日)

「ディーン、君がいた瞬間(とき)」

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ジェームズ・ディーンを、みんな知っとるか~

セレブ伝記映画を、新しい視点で描いた作品

http://dean.gaga.ne.jp

12月19日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、ロードショー中だす。

本作は、2015年製作の、カナダ・ドイツ・オーストリア合作映画112分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Photo Credit: Caitlin Cronenberg, Copyright: See-Saw Films

実在の人物を描いた映画、映画業界人を描いた映画は、ケッコーありま。

本作は、3作だけで映画史に、永久に刻印されはった、ハリウッド・スター、ジェームズ・ディーンを、採り上げた映画でおます。

しかも、製作でアメリカ資本が、入っとらへん作品だす。

ちゅうことで、ここで、実在の映画人映画の、役者陣に限定した、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・ドキュメンタリーは除く)をば、思いつくままに披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①バレンチノ(1977年製作・アメリカ映画)②三文役者(2000年・日本)③本作

●カルト⇒①ノーマ・ジーンとマリリン(1996年・アメリカ)②チャーリー(1992年・アメリカ)③本作

●映画俳優の映画は、ケッコーあるかと思いきや、記憶を探ってみまするに、映画監督の実話もんの方がやや多く、また傑作も役者もんより多そうや。

カルト②にしても、監督兼俳優のチャップリンの話やから、純粋には、俳優の話とは、ちと違(ちご)とります。

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でもしか、本作は、マリリン・モンローのカルト①みたいに、謎があるわけやなく、

また、役者ものでも、役者の特異性を引き出して、映画作家性を示した、ベスト①②でもありまへん。

それでも、本作には、ベストにもカルトにも採り上げたい、ユニークな作品に、なったんやないやろか。

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ジェームズ・ディーンの伝記を、そのままやってしもたら、つまり、そのままやんかちゅうことで、彼の人生がいかにドラマティックであっても、あんましオモロない。

そのあたりのパターン化を脱却すべく、監督らはテッテー的に取材し、模索を重ねはりました。

その結果、ジミー(ディーンの愛称)を、写真に撮ろうとするカメラマンに、今一つの焦点を当ててでんな、ジミーとの交流を描くとゆう、スタイルでいかはったんでおます。

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暗室の雰囲気から始まり、カメラマンが、映画業界のパーティーでジミーと出会い、彼の写真を撮ろうとする過程が、スリリング&ドラマティック・ポイントになっとります。

ジミーに扮した、デイン・デハーン。単なるモノマネ演技やなく、自らのオリジンも投入した快演技。

ほんで、カメラマン役は、吸血鬼役「トワイライト」シリーズでブレイク役者の、ロバート・パティンソン。

「トワイライト」とは全然違う、喜怒哀楽をば、緻密に冷静に演技。胸にきますで。

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さらに、ワーナー・ブラザース映画の社長役を、やらはったアカデミー賞俳優、ベン・キングズレーの、飄々としたシブミ。たまりまへんどした。

6
1950年代当時の映画作品が、セリフや看板やらで、出てきますけども、

ラスト・シーンでジミーが、故郷へ帰りたいと願うシーンには、「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ)の、ヴィヴィアン・リーのセリフと、シンクロナイズするやもしれまへん。

ジャズ・ナンバーを主体にした、サントラ使いもまた、当時の雰囲気をば、そこはかとなく示してはる、快作ヒューマン映画でおました。

2015年12月18日 (金)

演劇映画の快作「マイ・ファニー・レディ」

1
ピーター・ボグダノヴィッチ監督、久々の会心の1作

シビアな演劇映画の系譜に、フッと肩の力を抜いた作品

http://www.myfunnylady.ayapro.ne.jp

12月19日のサタデーから、彩プロの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテやら、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマやらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2014年製作のアメリカ映画93分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸSTTN Capital, LLC 2015

2
映画やから、映画メイキング映画が、映えるかと思いきや、

実は、演劇メイキング映画もまた、かなりと名作を輩出しとりまんねん。

ほんで、本作もそんな1作。

ここで、演劇映画の歴代マイ・ベスト&カルトをば、やろうかと思たけど、

あくまで本作は、カルトな1作で、名作演劇映画へのオマージュが、ケッコーある、軽コメディ・タッチの作品どす。

3
本作は入らへんけど、ちなみに、演劇映画マイ・ベスト・ファイブを、手前勝手に言いますと…。

①イヴの総て(1950年製作・以降の引用は、指定以外はアメリカ映画)②バードマン(2014年・弊ブログ分析済み)

③ブロードウェイと銃弾(1994年)④オール・ザット・ジャズ(1979年)⑤Wの悲劇(1984年・日本)なんやけど…。

●本作は、①にチョイ出演してた、マリリン・モンローにも言及し、

②のトンデモ系の、逆パターンとも取れる道筋どして、

③のスッタモンダ、④の演出家の苦悩、さらに、⑤の役者同士の確執までが、キチンと入っておます。

10
そやから、どやねんと言われたら、まあ、それまでかもしれへんけども、

本作はそおゆうシビア系を、役者陣やストーリー展開の軽みで、新種になり、

どの方向へ進化したかは別にして、これまでの演劇映画にはないような、センスをば披露してはります。

4
イモージェン・プーツちゃん演じる、娼婦がヒロインちゅうのんも、

オードリー・ヘプバーンが、娼婦役やった「ティファニーで朝食を」(1961年)とか、

ジェーン・フォンダの「コールガール」(1971年)、ジュリア・ロバーツの「プリティ・ウーマン」(1990年)まで、想起させはる演技ぶりどした。

しかも、雑誌のインタビューを受けて、自らのナレーションも加えて、娼婦ヒロインの、ある種のサクセス・ストーリーが、描かれてまいります。

ほんで、それらの作品と通じる、NY舞台もの。

でもしか、本作は②と同じく、群像劇仕様になっとります。

5
ボク的には、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の、チョー久々の新作ちゅうことで、試写前から、胸ワクの状態どした。

モノクロの2作。

映画愛を描いた「ラスト・ショー」(1971年)と、コドモと大人のロードムービーの大傑作「ペーパー・ムーン」(1973年)。

この2作だけで、ボク的には、ピーター監督は、ルーカスやスピルバーグより、スゴイ監督やがな、ちゅう位置づけをしとります。

7
ピーター監督が大きな影響を受けたらしい、都会派ロマンチック・コメの巨匠、

エルンスト・ルビッチ監督への、オマージュ・シーンもまた、かなりの頻度で、本作で披露されとります。

ルビッチ監督の「小間使」(1946年)のセリフが、そのまま引用されたり、

フランク・キャプラ監督の「或る夜の出来事」(1934年)で披露された、

スクリューボール・コメディ的センスが、本作にも反映されとります。

8
1~2分の長回し撮影なんぞも、駆使しもって、

クライマックスのスッタモンダへと、持っていく演出ぶりは、ピーター監督の新味やもしれまへん。

決してハデやないけど、監督の健在ぶりを、示した1作でおます。

2015年12月17日 (木)

今年の洋画ベストテン級映画「独裁者と小さな孫」

1
逃亡ロードムービーの、ハットトリッキーな快作どす

「ブリキの太鼓」と勝るとも劣らない、カリカチュアされた傑作

http://www.dokusaisha.jp

12月19日のサタデーから、シンカの配給で、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーだす。

東京では既に公開中。

本作は、2014年製作の、ジョージア・フランス・イギリス・ドイツ合作映画・本編119分どす。

3
タリバン支配下のアフガンを描いた、ヒロインのロードムービー「カンダハール」(2001年製作・イラン&フランス合作)の、

監督モフセン・マフマルバフの、新作でおます。

「カンダハール」と同じく、ロードムービー・スタイル。

ほんで、描かれる背景が、戦争と革命に関わらず、逼迫した流れが、ずーっと続いておまして、

最後の最後まで、目が離せない仕上げになっとります。

2
カリカチュアされた戦争・革命もんなんやけど、孫コドモと、オジンの独裁者2人が、

テロからとことん逃げまくるとゆう、スタイルの映画でおまして、逃亡劇のイロイロが、大いなる見どころとなっとります。

コドモを象徴的に使うカンジとしては、狂言回しとしての、コドモの使い方「ブリキの太鼓」(1978年・西ドイツ&ポーランド&フランス)やら、

内戦下のスペインでの、少女の幻想を描いた「パンズ・ラビリンス」(2008年・スペイン&メキシコ)なんぞが、思い出されましたやろか。

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とある国で、革命テロがあり、国を統治してはった、独裁者家族・親戚が、他国へ逃げるちゅうことやったんやけど、

イロイロあって、独裁者と孫だけが、逃げれへんかって、この国の中を、2人で逃げまどう、ちゅうことになってまいました。

本作のキモは、この逃亡系ドラマにあります。

逃げる前の、混乱ぶり描写。

農夫・牧羊から、旅芸人へと続く、身分詐称で逃げまくる2人の姿には、ある種の執念が、カンジられましてな、

手に汗握る緊張感と共に、面白い独特なドラマツルギーをば、発揮してはります。

6

イントロは、ドライバー視点の、前へ前へのカットが、

「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)で使われた「美しき青きドナウ」を、バックに展開しよりまして、

グッと物語の中へと、スムーズに胸ときめかせて、入り込めました。

4
オジン独裁者の「これから役者ごっこをするんだ」ちゅう、セリフがありまして、

それにまつわる偽装の演技は、スリリングを助長しはります。

孫の、宮廷で付き合った、ダイスキなマリアとの回想シーンが、何度か出てまいります。

そんなシーンが、本作をフック的に、ビミョーなニュアンスを示してはります。

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ロードムービーとしての映画としては、単に逃げるだけやのに、かなりハランバンジョー系の、ドラマになっとりました。

ロードムービーでも、逃亡系としては、映画史に残るようなとこをば、描いてはるかと思いますで。

それだけやなく、ロードムービー映画の、歴代ベストテンにも入るような、仕上がり具合どす。

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クローズアップの長回し撮影、ギターの弾き語りのほかに加え、

潮騒・波の音・カモメの鳴き声など、効果音の使い方も、絶妙やったな。

ちゅうことで、今年のベストテン級映画でおました。

2015年12月16日 (水)

犯罪映画「クライム・スピード」

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エイドリアン・ブロディと、ヘイデン・クリステンセンが兄弟役

4人組で銀行強盗を、やってまうけども…

http://www.CRIMESPEED.JP

12月19日のサタデーから、東京テアトルと日活の配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国漸次のロードショー。

本作は、2014年製作のアメリカ映画94分。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Glacier Entertainment SARL of Luxembourg ALL RIGHTS RESERVED.

モノゴッツーある、銀行強盗映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、思いつくままに披露してみますと…。

●ベスト⇒①狼たちの午後(1975年製作・以降の引用は、指定以外はアメリカ映画)②俺たちに明日はない(1967年)③アルビノ・アリゲーター(1996年)

●カルト⇒①本作②バンディッツ(2001年)③スペーストラベラーズ(2000年・日本)

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●金塊もの強奪、現金輸送車襲撃、穴を掘っての、直撃やない、別ルート路線などは、ハズしとります。

あくまで、直撃系どす。

ほんで、ヤッパおもろいのは、銀行内の犯人と、外の警察陣との、駆け引きや、やり取りのスリリングが、この種の映画の、キモとなりまっしゃろか。

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ベスト②やカルト②などは、襲撃オンリー系やけど、

あくまで、メイン・ストーリーを支える、設定ポイントではあるけども、メイン・ソースやありまへん。

銀行内外の駆け引き。これこそが、この種の映画をエンタ化する、一大ポイントでおましょうか。

ベスト①は、その種の嚆矢(こうし=ルーツ)的映画やと思うけど、

その内外設定緊張スリリングが、その後、イロイロ開花しました。

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ベスト③カルト③などは、サプライズをイロイロ考えて、練り上げられとりましたが、

本作は、ストレートな原点回帰系やけど、サプライズは、先行作にもあるとこはありま。

けども、これまでの銀行強盗ものを踏まえた上で、できる限りの新味を加えんと、腐心してはるのんが、見ていてよーく分かりましたえ。

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ほんで、ラスト30分の襲撃シーンへ、持っていくまでの、プロセス・シーン。

セリフを含め、丁寧に描き込まれとりまして、

「アメリカン・ドリームは、ただの夢にすぎない」とかのセリフが、

貧しさゆえ、あるいは出所後スグの、銀行強盗とはいえ、

これまでの銀・奪ものにはない、やる瀬なさみたいなんが、カンジられます。

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銀行強盗に走る、兄弟の兄役には、エイドリアン・ブロディのアニキ。

アカデミー賞主演男優賞をゲットしはった「戦場のピアニスト」(2002年・ポーランド&フランス)での、弱々しさ・軟弱ぶりが、

アクションもあるとはいえ、今作でも反映されとりました。

ムショでカマを掘られ、銃撃されると「血が出てる」と泣き叫ぶ、情けない役柄どす。

でもしか、いやはや、エエカンジやわ~。

悪役に扮した「ドラゴンブレイド」(来年1月公開・弊ブログ後日分析)との対比も、見てほしい演技の振幅度どす。

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弟役には、「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(2002年)で、カッコイイ・イケメン役をやらはった、ヘイデン・クリステンセンのアニキや。

「スター・ウォーズ」最新作が満員やったら、こっちを見に行こうで~。

そういう時に見た映画こそ、掘り出しもんやん、おもろいやん、となるハズでおますよ。

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街の空撮シーンが、本作のフックのように、繰り出されよります。

さらに、ヒップホップをメインにした、歌ものサントラのリズミックとつぶやきは、本作のリズムに、メッチャ合っとりました。

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とにもかくにも、犯人側が2手に分かれての、警察との銃撃戦の連続に加え、

いろんなサプライズを取り込んだ、着地具合のハットトリック。

ラスト30分の、スリリング・アクションぶりに、酔ってくだされ。

2015年12月15日 (火)

アイスランド映画「ひつじ村の兄弟」

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羊飼いの老兄弟の、キズナを渋~く描く

アイスランドの、荒涼とした風景をバックに…

http://ramram.espace-sarou.com

12月19日の土曜日から、エスパース・サロウの配給によりまして、新宿武蔵野館ほか、全国順グリのロードショー。

関西では、12月26日から、テアトル梅田で上映後、京都シネマ、元町映画館でもヤラはります。

本作は、2015年製作の、デンマークとの合作となった、アイスランド映画。「R-15+」指定映画だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 Netop Films, Hark Kvikmyndagerd, Profile Pictures

本作は、今年のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」で、

監督賞を得た日本代表「岸辺の旅」(2015年・弊ブログ分析済み)より上の、グランプリに輝いた作品でおます。

しかも、日本にはほとんど上陸することのない、アイスランド映画なんどすえ。

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さてはて、珍しいアイスランド映画に加え、「ある視点」なだけに、ある種の特殊かつ独特な視点で、捉えられとりまんので、

映画史的には俯瞰でけへんような、何やら突然変異的なタイプの映画のようやけど、

でもしか、基本的には、兄弟のキズナやったり、人間の動物への愛着やら、

映画的に普遍性のあるテーマが、採り上げられておます。

4
そのポイントを、見ていきますと…。

まずは、兄弟のキズナ。

兄弟姉妹のキズナを描く映画は、多々ありますが、本作では老兄弟どす。

しかも、近隣に住んどるのに、40年もの長きの間、口をきいていない2人とゆう設定だす。

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老兄弟の話てゆうたら、病の兄やんを見舞うべく、弟がトラクターを駆って向かう、

デヴィッド・リンチ監督のロードムービー「ストレイト・ストーリー」(1999年・アメリカ)なんかを思い出したけど、

孤独なシニア・ムービーとしての、色合いもあり本作とは、かなりニュアンスが違(ちご)とります。

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ほんで、クライマックスでは、兄弟のキズナを取り戻し、必死のパッチの、逃亡ロードへと出はりまんねん。

ほな、なんで逃亡しはるんか。

ここで、関わってくるんが、人間と動物の、生活にまつわる関係性でおます。

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アイスランドちゅうたら、牧羊の国なんどす。

飼ってる羊たちを競う、コンテストなんかもありましてな、

生活をする上で、羊たちは、人間にとって、メッチャ大切な動物なんどす。

ところがどっこい、そんな羊たちが、伝染病スクレイピーちゅう、羊の病気に罹ってしもた。

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病気になった牛やらと同じく、かわいい羊たちを一斉に、殺さなければならなくなってしもた。

もちろん、廃業の危機でもありま。

そんなパニック的状況を、淡々と描きつつも、

でもしか、羊たちを守るために、兄弟が協力して、羊たちと共に、逃亡するんでおますよ。

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生活を懸けた、老兄弟の行動。

ほんで、羊たちを守るべくの、必死のパッチさには、ある種の感動さえカンジさせてくれはります。

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緑のほとんどない、冷え冷えと荒涼とした、アイスランドの風景は、久々に映画映えするような、背景やと思いました。

空と大地を映す、望遠カメラによるロングショットなんかが、メッチャ映画的にキレとりました。

さらに、羊や人のアップ・シーンも、織り込まれておます。

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アコーディオン、ピアノ、オルガンなど、オーケストラやなく、単楽器を中心とした、サントラ使いやけど、

クライマックスのオルガンなどは、シークエンスを引き立たせておましたえ。

そして、2人が抱き合う、ラストシーンの衝撃。

賛否両論あるやもしれへんけど、ボクは傑作と見ました。

2015年12月14日 (月)

「人の望みの喜びよ」⇒今年の邦画ベストテン級の1作

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震災でオトン・オカンを亡くした、幼い姉弟の物語

少年・少女映画に通底する、ケレンで魅せる傑作

http://www.nozomi-yorokobi.com

来年公開映画かと、勘違いしてもうとったけど、今年の映画どした。

そやから、気づいてあわてて書きました。すんまへん。

今年のベストテン級邦画どす。

12月25日まで、第七藝術劇場で上映後、京都みなみ会館、神戸・元町映画館やらで、順次公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ344 Production

ベルリン国際映画祭で賞をゲットしはった、邦画のインディペンデント映画。

有名な役者が出てへんから、公開の扱いもレイトや1週間限定やったけど、

劇場関係者におかれましては、ヤッパ映画の仕上がり具合で、映画館でかけてほしいものだす。

とかくインディーズ映画は、単館系上映ちゅうだけやなく、ヒット戦線に乗れない点で、軽視されがちやけど、本作のような傑作は、ケッコーあります。

ジャンル的には、少年・少女もの。

しかも、幼い兄弟姉妹ものの、キュンと胸が鳴ってまう、キズナものでおます。

これぞ、コドモものの、ケレンある傑作だす。

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さてはて、ここで、思いつくままに、少年・少女もの邦画の、マイ・ベスト、ファイブくらいまでを、順不同で言いますと…。

①本作②にあんちゃん(1959年)③少年時代(1990年)④夏の庭(1994年)⑤キクとイサム(1959年・弊ブログ分析済み)

●この種の映画は、仰山ありまんので、みなはんにも、こだわりの映画があるやろし、ボクも思いつけずに、ハズしとるんがあるかとは思うけど、

戦時下の少年もの③、少年たちと老人のキズナ④などもあるけども、

やはり、本作を始め②⑤など、兄弟姉妹のキズナを描く映画とゆうんが、映画的にドラマ的に、最も感動あるものへと、昇華するもんやろか。

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でもしか、本作は、②⑤もそうやけど、日本映画的なお涙ちょうだい節的なとこへとは、もっていかはりまへん。

このあたりの映画的ケレン、つまり、そこはかとなく感じる映画としてのポイントが、ありまんねん。

確かに、作劇術的には、意図的に狙いをもって、こしらえてはるとこはあります。

大震災でオトン・オカンを亡くしたコドモたち、彼らを引き取る親戚筋との関係、そして…。

いかにも、お決まり・定番のように見えながらも、セリフよりも、心理の襞を見せる2人の動作に、演出的工夫を凝らすことで、

説明するんやなく、描写により、2人のキズナを、深く感じさせる作りをば、施してはるんだす。

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オトン・オカンの死を、弟に知らせないままの中、ネーさんは両親を探しに行こうと、2人のロードが展開してゆく、本作のクライマックス。

そして、画像一番下のラストシーン。弟の挙動に、グッときますで。

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2人が引き取られた先の、雲仙ロケとゆう地方ロケ映画でもあります。

説明を極度に排し、映像によって、2人の遺児に視線を当てた作りは、まさに映画ならではのものどす。

ちゅうことで、新人監督・杉田真一の、映画作家的才能をば、遺憾なく発揮したデビュー作どした。

2015年12月13日 (日)

「友だちのパパが好き」⇒今年のマイ・ナンバーワン日本映画

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家族崩壊ドラマの、新次元を示した大傑作

「東京物語」のタッチが、21世紀にここまで進化したで~

http://tomodachinopapa.com

12月19日の土曜日から、SPOTTED PRODUCTIONSの配給によりまして、東京・ユーロスペースほか、全国順グリのロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 GEEK PICTURES

夫婦2人だけの映画を含め、家族ドラマの日本映画ちゅうたら、

おそらく歴代日本映画の、50パーセントくらいをば、占めとるジャンルやないやろか。

松竹系のハッピーエンドな家族ドラマが、大多数を占めとる、そんな中でも、

家族崩壊のドラマも、ちょこちょこありまんねん。

2
ほんでもって、本作も家族崩壊ドラマやけども、

でもしか、これまでの崩壊ものとは、一線を画し、しかも新しき進化型を、提示してはりまんねん。

ダンナの浮気で離婚、1人娘はんは1人暮らしを始め、ヨメは仕事に出て、さらに愛人は妊娠し…。

このあたりまでは、ようある崩壊の方程式どすけども…。

7
そこへ、ダンナが好きでたまらへん、娘はんの友達を、メイン・ポイントで配することで、

家族崩壊のドラマが、全く違った様相を呈し始めるんだす。

5
いやはや、スゴイ。

長回し撮影を多投し、室内劇としての会話セリフを、アドリブチックに見せながら、

実は、緻密に練り込まれとりまして、その時に唸れたり、見たあとに唸れたりしまっせ。

3
傑作にした貢献度でゆうたら、一番はナンチューても、演技陣の、作り込まないフツーの、演技ぶりやないやろか。

演技陣で最も有名なんは、オトン役の吹越満やろけど、

全くもって、フツーのオヤジ演技ぶりで、終始してはります。

いや、でも、スゴイ。ボク的には、今年の主演男優賞級の演技やったです。

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さらに、吹越オヤジに恋する安藤輪子。

おいおいて、つい言いたくなるくらいの、イチズに恋する役柄を、最後まで貫いて、

しかも、ディープ・インパクトある結末をば、見せてくれはりまんねん。驚きました。驚かざるを得まへんわ。

4
娘役の岸井ゆきの。

オトンを名前で呼ぶ輪子チャンに、気持ち悪いと言いつつも、この変曲ドラマの中で、飄々と自然体で演技。

さらに、ダンナと別れるヨメ役の、石橋けいネーさん。

とことん、抑揚のない喋り方に、耳をそばだてたくなるような怪演技ぶり。

彼女は、今年の助演女優賞級の、演技ぶりやったと思います。

ほかに、愛人役・平岩紙ネーも、良かったどす。

11
家族ドラマにふさわしい、食卓シーンもあるけど、あくまで、崩壊ドラマに見合った作りどす。

ほんで、多彩な室内劇シーンを駆使し、小津安二郎監督的な、ローアングルはないけども、

セリフ・挙動で詳密に、魅せてゆく演出ぶりどす。

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家族崩壊ドラマ映画としては、小津安二郎監督・原節子主演の「東京物語」(1953年製作・モノクロ)が、特に有名やと思うけど、

また、今までにも、崩壊ドラマは多々あったけど、本作は、それらの定番を覆す、進化型な傑作になっとります。

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サントラは、ピアノ・ソロ。

陽気に聞こえてたピアノが、最後ではもの悲しい響きになる…、なんて流れもグッドやね。

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ラストシーンの、吹越と輪子チャン2人のやり取りには、ウーンと、唸れるやろかと思います。

ちゅうことで、今年のマイ・ナンバーワン日本映画でおました。

2015年12月11日 (金)

「母と暮せば」⇒吉永小百合・二宮和也・山田洋次のコラボレート

1
オトン・娘はん「父と暮せば」の、オカン・息子はんバージョンだす

長崎原爆ものドラマ映画の、後世に残るベスト作品

http://www.hahatokuraseba.jp

12月12日の土曜日から、松竹の配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015「母と暮せば」製作委員会

本作は戦後70年映画にして、長崎原爆もの日本映画でおます。

ここで、手前勝手に思いつくままに、広島原爆もの・長崎原爆ものの、各マイ・ベスト・スリー(順不同)を、ゆうてみますと…。

●広島ベスト⇒①黒い雨(1989年)②父と暮せば(2004年)③夕凪の街 桜の国(2007年)

●長崎ベスト⇒①TOMORROW 明日(1988年)②本作③爆心長崎の地(2012年・弊ブログ分析済み)

●広島原爆ものは、多数作られておますけども、長崎ものは、広島よりも約3分の1くらいやろか。

けども、そのインパクトは、おんなじどす。

各現在地点から、過去を振り返る各ベスト③、

モノクロで激しさを、緩和したけどもな広島ベスト①、原爆投下の前日を描いた長崎ベスト①など、

衝撃・静謐絡みのビミョーさで、傑作を紡いではります。

4
本作の長崎ベスト②は、同じく井上ひさし原作やった、広島ベスト②と対応・シンクロナイズしよります。

広島ベスト②は、オトン役で死んだ原田芳雄&娘役・宮沢りえ(監督は黒木和雄)。

本作は、オカン役・吉永小百合&息子役で死んだ二宮和也(監督は山田洋次)。

原爆への恐怖が、最後まで底辺や心理にあった広島②に対し、本作は、さほどそのあたりが強調されとりまへん。

ちゅうか、原爆以前の思い出や記憶に、こだわってるような作りなんでおます。

そやから、黒木華扮する、二宮和也ニノのフィアンセの、関係性とかが、オカン・息子関係と絡めて、本作の2大ポインツになっとります。

3
長崎に原爆を落とす前の米軍の状況、

一方、地上の長崎はモノクロ・シーンから始まり、

主人公ニノが、長崎医大で講義を受けている時に、原爆投下のドッカーン・シーンがあります。

このカットは、一瞬の壮絶カットどして、原爆投下シーンでも、かつてないインパクトがありました。

また、アカデミー賞ももろてはる、坂本龍一音楽監督の、抑制の効いたオーケストラ・サウンドは、癒やしの戦争映画としては、見事に映えておました。

2
モチ、演技陣の凄みは、永く忘れられへんもんどした。

吉永小百合の、いつも通りの、落ち着いた優しの演技は、ウーンときて癒やされるけども、

彼女以外でも、黒木華の当時の、日本女を示す絶品の演技、

加藤健一の当時ケッコーいたやろうっちゅう、ワイルドなエエ男やらの、演技ぶりに、グッときま。

また、子役・本田望結の泣き、浅野忠信の退き演技も、子役・大人役を別にして渋い。

これらは、山田洋次監督らしい演出ぶりの、いつもながらなんでおましょうか。

小津安二郎監督や、伊丹万作監督の引用。

さらに、「ヘンリー五世」(1945年・イギリス)などの、当時日本公開の映画に加え、

クラシックのメンデルスゾーンや、ジャズのエディ・ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」などが、取り上げられとります。

さてはて、小百合とニノのエピソードは、本作のキモでおましょう。

最後の方の「代わっていたら」とゆう、小百合はんのセリフには、個人的には泣けました。

山田洋次監督作品やからとか、吉永小百合主演作やから、ナンチューとこを忘れてもうて、自然体で見てもらいたい作品どす。

いずれにしても、最後には、感動がある作品でおます。

2015年12月10日 (木)

「orange-オレンジ-」⇒土屋太鳳・山崎賢人主演

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コミック原作のSF学園もの、さわやかアイドル映画の登場や

朝ドラ「まれ」から続く、2人の連投・共演だす

http://www.orange-movie.com

12月12日の土曜日から、東宝の配給で、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015「orange」製作委員会 Ⓒ高野苺/双葉社

本作は、弊ブログ11月30日付けで、今年のマイ・ベストテン級候補作品で、選んだ1本でおます。

SF学園もの・恋愛映画・青春映画、さらにアイドル映画とゆうジャンルの、日本映画だす。

ちゅうことで、思いつくまま気ままに、そんな邦画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば披露しよりますと…。

●ベスト⇒①本作②時をかける少女(1983年)③転校生(1982年)

●カルト⇒①本作②江ノ島プリズム(2012年・弊ブログ分析済み)③ねらわれた学園(1981年)

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●本作は、ベストでもカルトでも、キモチ的には、1位に挙げたい傑作。

この種の学園もの系ちゅうのは、これまでは、三角関係構図とか、男女2人だけにクローズアップしたりとか、

アイドルの1人に焦点を当てたりとかが、大がいどした。

でもしか、本作は、2人の恋の成就のために、4人の仲のエエ同級生たちが、メイチで協力するタイプ。

しかも、高校時代10年後のヒロインから、ヒロインに届いた手紙で、ヒロインの愛する主人公は、数年後に死んでる運命や、とゆう状況・運命なんです。

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この運命を、果たして変えられるんか。

最終的には、みんなが協力することになるんやけど、過去改ざん系映画は、ほとんどない中において、

パラレル・ワールド(並行世界・つまり2つの世界がありましてな、一つの世界では主人公は死んでても、もう一つの世界では、生きてはるとゆうもの)を、

映画史上初めて設定し、主人公の死をば、回避するドラマを構築しはりましてん。

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また、この種のドラマの、チームワーク系のドラマは、学園ものを除いても、かつてありまへん。

つまり、ボク的には、大林宣彦監督のベスト②③と比べても、勝るとも劣らへんし、

この種の映画の、最高レベル・ラインとして、永く後世に残る傑作に、なっとると確信いたしました。

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土屋太鳳ちゃんが、ヒロイン役やけど、

ボク的には、インディーズ映画やけど「赤々煉恋」(2013年・弊ブログ分析済み)での、学園SFチック・ミラクルが再演されとりまして、

本作ではより分かりやすく、より感情移入しやすく、より感動できるような、そんな快演技ぶりでおました。

ベスト②を、より好感度を高くしたような作りは、朝ドラ「まれ」以上に、

特に若い子を中心に、彼女のファンが、増えるんやないやろか、っちゅうようなカンジどす。

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「まれ」に続いての、太鳳チャンの恋のお相手役・山崎賢人クン始め、

仲間たち役の、竜星涼、山崎紘菜、桜田通、清水くるみらの、若手俳優・女優の、

好感あふれる演技ぶりには、時にググッと、泣きを含めてキマすで。

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ほんで、21世紀になって、従来より目立ち始めた、地方ロケ映画でおます。

長野県ロケ映画どすが、「阿弥陀堂だより」(2002年)や「さよなら、クロ」(2003年)や「サウダージ」(2012年)やらの傑作があるけども、

本作は、マイ長野ロケ映画の、最高傑作となりました。

観光名所もそれなりに入れつつ、仲間たちのキズナに深く収束してゆく作りが、ナンチューても素晴らしいわ~。

コブクロの、ポジティブなフォーク・バラード「未来」も、感動のツボにハマりました。

2015年12月 9日 (水)

「わたしはマララ」⇒ヒューマン・ドキュメンタリー

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ノーベル賞受賞者の、初のドキュメンタリー映画か

少女ヒロイン映画の新鮮味も、盛り付けられた快作や

http://www.foxmovies-jp.com/malala/

12月11日のフライデーから、20世紀フォックス映画の配給によりまして、全国ロードショーでおます。

本作は、2015年製作のアメリカ映画88分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

ノーベル賞をゲットしはった方を描く、ヒューマン映画ちゅうのんは、これまではドラマ映画ばかりやったけど、

本作は初と言ってもエエ、ドキュメンタリー映画での製作・公開どす。

さてはて、思いつくままに、ノーベル賞受賞者映画のマイ・ベスト・スリー(順位通り)を言いますと…。

①ガンジー(1982年製作・イギリス&インド合作)②ビューティフル・マインド(2001年・アメリカ)③本作

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●主人公の特異な人間性を、浮き彫りにした②は別にして、

ヤッパ、ノーベル平和賞受賞者のドラマが、ケッコー感動を呼びまんな。

でもしか、マザー・テレサや、アウンサン・スーチーはんらのドラマよりも、

本作の最年少受賞者マララ・ユスフザイの方が、映画的には上やと見ました。

ドキュとはいえ、ありがちな押し付けの感動もなく、実に淡々と、等身大かつ自然に、少女ヒロインを描きもって、

ゆるりと感動へと持ってゆくあたりが、癒やしもカンジられてよろしおま。

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マララの名前の由来となる、女闘士の話を、手書きアニメで紹介したり、

パキスタンの山の向こうの故郷の描写、ほんで、家族の様子とかが、作為的ではなく、あくまで自然体で、披露されてまいります。

弟がマララネーちゃんは横暴やとか、マララが弟がかわいいから、つい殴ってまうとかの、エピソードなんかが、ほほえましく伝わってきよります。

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もちろん、マララの活動やオトンとの活動ぶりは、キチンと捉えられとりま。

バスで登校中に、タリバンに撃たれてもうた事件が、前半と後半で展開し、

マララの話、事件の検証など、やや逼迫ぎみのエピソードも、それほどエゲツナサを、カンジずに見られました。

ただ、タリバンの現在の悪辣ぶりは、学校の爆破シーンを含め、容赦なく押さえられとります。

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マララへのインタビューは、彼女の志や意気込み部よりも、

どこにでもいてる、フツーの女の子とゆうとこが、ココロに残るとこ大でおましょうか。

車に乗って、窓から街の様子を、ボーッと見てる時が好き、ナンチュー発言も、なるほどそうかいな、と唸れました。

でもしか、ケガから生還しての、国連での演説、ほんで、ノーベル賞受賞のスピーチなど、

ここぞとゆう時の、ヒロイズム・ヒューマニズムあふれる話しぶりには、グッと魅了されました。

さらに、ハリウッド映画らしい、壮大なオーケストラ・サントラも、感動を募らせますで。

「不都合な真実」(2006年・アメリカ)に続き、デイヴィス・グッゲンハイム監督、

本作で、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ゲットは、確定やもしれまへんな。

2015年12月 8日 (火)

韓国映画「ベテラン」

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アクション主・ミステリー従の、刑事ドラマ映画の快作

ファン・ジョンミンが、ワイルドな刑事役を披露

http://www.veteran-movie.jp

12月12日のサタデーから、CJ Entertainment Japanの配給によりまして、シネマート新宿、横浜ブルク13、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都やらで、全国順グリのロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

最初の展開を見ていると、犯罪映画・サギ映画かと思たら、これが何と、警察のおとり捜査でおまして、

警察のチーム捜査・刑事の単独捜査も含めてでんな、トンデモアクショナブルな作品になっとります。

でもしか、推理するミステリー部も、キチンとある作品でもあります。

意表を衝く刑事映画どすが、韓国映画でも、大人しい展開の「殺人の追憶」(2003年製作・韓国映画)などとは違い、

とことんアクションに、こだわってはる作りだす。

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犯人たちを殴るために、刑事になったとゆう、ファン・ジョンミンのアニキが主役でおます。

ボクは今年、彼の主演作品を、本作を含めて、3作も拝見させてもらいました。

美女と野獣な恋愛もの「傷だらけのふたり」(2014年・韓国・弊ブログ分析済み)、

大河な家族ドラマの、オトン役をやった「国際市場で逢いましょう」(2014年・韓国・分析済み)やけど、

本作が最もワイルドで、それでいて最も正義の味方的な役をばやらはりました。

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さてはて、日本の映画興行界では最近は、韓国映画がかつてよりは奮っておまへんけども、

本作なんかを見れば、かつての韓流ドラマ・イメージな延長線の、ラブ・ストーリー映画とは、全く違うとこを認識してもらえるハズどす。

しかも、ハリウッド映画と比べても、遜色のないアクション映画仕様。

冬ソナなラブだけが、韓国やないとこを、今一度認識してもらいたい1作でおます。

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刑事ものとしては、ユニークかもしれへんけど、おとり捜査含む、広域捜査刑事チームの物語どす。

そんな中に、ファン・ジョンミンがいてはります。

刑事ものとしては、映画映えする相棒もの、あるいは単独捜査ものが主流やけど、

あくまでチーム系を維持しながらも、ジョンミン刑事の個性が、際立った作品になっとります。

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小道具を緻密に駆使した、派手なバトル戦やら、カーアクションやらが、際立つようやけど、

それでいてでんな、映画のベースとしては、1対1対決へと持ってゆくような、流れになっとりまんねん。

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ハリウッドの「ヒート」(1995年・アメリカ)やら「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」(1985年・アメリカ)など、刑事対犯人の1対1対決のキモが、クライマックスにキチンと、据えられた作品でおます。

しかも、善悪のくっきりとした対照により、正義の味方としての、刑事の活躍ぶりに、ハラドキな見ごたえがある作品になっとるんだす。

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おとり捜査で流れる、ブロンディのキャッチーな「ハート・オブ・グラス」やら、被害者が殴られるシーンでの、荘厳なオペラなど、

サントラとは違う、劇中の設定で、登場人物たちが使う音楽もまた、ドラマ映えする小道具やったかと思います。

ちゅうことで、刑事もの映画として、推理するミステリー部もあるけども、アクション・シーンに比重が置かれた、快感スリリングな娯楽作品でおました。

2015年12月 7日 (月)

「杉原千畝 スギハラチウネ」⇒ただ今大ヒット中

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日本のシンドラーの、ヒューマンドラマ映画どす

唐沢寿明アニキと小雪ネーさんが、夫婦役で共演

http://www.sugihara-chiune.jp/

12月5日の土曜日から、東宝の配給で、全国ロードショー中。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会

スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」(1993年製作・アメリカ映画)で描かれた、オスカー・シンドラーに例えられる、

日本人外交官・杉原千畝を描く、実話に基づく、ヒューマン映画でおます。

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実在の人物を描く映画は、多数ありますが、

戦時にユダヤ人を助けたとゆう、感動のエピソードを持つ人物を描く場合は、有名・有名でないに関わらず、

ともすると、お涙ちょうだいスパイスが、振りかけられたりしよります。

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でもしか、本作は少しく違(ちご)とります。

毅然とした唐沢寿明の演技は、お涙ちょうだい節的に、激しい感情を示したり、ブレるとこはありまへん。

そこが、まず、その種の映画と、一線を画しとるかと思いました。

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さてはて、ここで、日本人主人公が、海外で活動する日本映画の、

思いつくままの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、申し述べますると…。

●ベスト⇒①沈まぬ太陽(2009年)②化石(1975年・弊ブログ分析済み)③本作

●カルト⇒①カポネ大いに泣く(1985年)②モスクワわが愛(1974年)③本作

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●本作はベストでもカルトでも入りそうな、ビミョーな位置付けができるような作品やと、勝手にジャッジいたしました。

ベスト②のような、翳りある人間性はないけども、ベスト①のヒューマニズムはバチバチ。

一方で、カルト①のような、時代の大勢・趨勢に反逆するヒロイズムありやし、

カルト②のように、ストレートやないけど、夫婦の間に、恋愛映画モードが、ホワッと発生しよりまんねん。

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ビシッとした夫役・唐沢寿明アニキに対し、妻役の小雪ネーさんは、出番は少なめやけど、癒やしの和やかムードで、最後までいってはります。

唐沢の友達の妹役なんやけど、最初の出会いで「チウネさんよね」とゆうとこは、ボク的には、本作最高の隠し見どころでおました。

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でもしか、メインの見どころはモチ、唐沢寿明アニキの、押したり退いたりの、ヒロイズム演技ぶりやろか。

但し、そんなにヒロイズム・ヒロイズムしてないとこが、若い人には少々物足りなく思うかもしれへんけど、

これこそが、戦時のヒロイズムぶりなんでおますよ。

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ソ連へ赴任したかったけど、リトアニアへ行かされてもうた唐沢アニ。

けども、外交官、あるいはヨーロッパの情報収集・分析官として、実に落ち着いた冷静果敢なカンジを披露。

終戦70年映画の1本としても、位置付けられる映画やけど、戦中なのに、あんまし逼迫したとこはないにしても、

「おまえの予想はよく当たる」と言う、小日向文世との絡みなど、ウーンと唸れるシーンもありどすえ。

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アップの多さに加え、オーケストラ・サウンドを据えたサントラ展開など、分かりやすさ、

そして盛り上げぶりの背景描写も、作品の心地良さに貢献してはります。

ちゅうことで、最後まで、好感をもって見られる、良質の映画でおました。

2015年12月 5日 (土)

「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE」

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「ドラえもん」に多大な影響を与えた、漫画「ピーナッツ」が3Dアニメ映画化

http://www.foxmovies.jp/snoopy/

12月4日のフライデーから、20世紀フォックス映画の配給により、3D・2D同時全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015 Twentieth Century Fox Film Corporation, All Rights Reserved.

Peanuts Ⓒ Peanuts Worldwide LLC.

1950年に漫画「ピーナツ」(作:チャールズ・M・シュルツ)の連載が始まり、2000年に作者が逝去するまで続いたそうどす。

この長い間には、テレビや映画で、何度か映像化されたそうやけど、

3Dアニメ映画化は、本作が初めてどして、しかも、随所に新しい工夫を、凝らした作品になっとります。

何をやってもダメな主人公、チャーリー・ブラウン少年と、

その飼い犬のスヌーピーを始めとした、多彩な少年・少女との交流が、展開してまいります。

ほんで、大人がいっさい出ないとゆう、原作の設定を、見事なカンジで描いてはります。

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いちおう大人も出るんやけど、顔を見せずに、何を言ってるのか分からないムニャムニャ節でおまして、

それでもコドモたちに通じまして、ほんでコドモたちだけで、スイスイとお話が運ばれるんだす。

また、主人公の好きな女の子の顔を、最後の方まで見せないとゆう、仕掛けがありまして、

これがラブ・ストーリーを盛り上げる、ドラマチック・ポイントになっとりま。

一方で、スヌーピーが、タイプライターで書いとるとゆう小説のお話が、

チャプター4までありまして、コドモたちの話と、カットバックされとります。

スヌーピー編は、空飛ぶ犬小屋とレッドバロンの空中戦アクションが、エッフェル塔などで展開。

ポップな歌に加え、スヌーピーが活躍する場面では、壮大なオーケストラ・サウンドが流れて、ミスマッチな面白さがあります。

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コドモたち編でも、ダンス・シーン、図書館からトルストイの、重くてブ厚い文学小説「戦争と平和」を、家まで運ぶくだりなどで、スリリングなアクションが待ち受けとります。

雪の街の見事な造形ぶりや、チャップリン映画を意識したような、シークエンスなども映画的どして、

映画で映像化したことの意義が、散見できよりました。

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さてはて、チャーリー・ブラウンとスヌーピーのキズナは、「ドラえもん」の「のび太」とドラえもんのソレと、何やらリンクしとるようどすが、

明らかに、「ピーナツ」は「ドラえもん」に、多大な影響を与えとりますで。

さらに付け加えると、ディズニー・アニメみたいに、動物が喋ることはありまへん。

スヌーピーやらには、セリフはありまへんねん。

つまり、動き、アクションで見せるとゆう点で、サイレント映画タッチやとも言えるでおましょう。

ちゅうことで、映画的要素が詰まった、快作アニメでおました。

2015年12月 2日 (水)

「SAINT LAURENT サンローラン」⇒フランス映画151分の大作

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イヴ・サンローランの、人間ドラマ映画だす

スキャンダラスなとこに、クローズアップした、ディープ・インパクトな作品

http://SaintLaurent.gaga.ne.jp

12月4日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 MANDARIN CINEMA - EUROPACORP - ORANGE STUDIO - ARTE FRANCE CINEMA - SCOPE PICTURES / CAROLE BETHUEL

実在の人物・セレブを描いた人間ドラマ映画は、これまでに、映画の1ジャンルと言えるくらい、多数出てまいりました。

そんな中でも、ファッション・デザイナー、イヴ・サンローランを描いた映画さえも、数作出回っとります。

ドキュメンタリー映画を皮切りに、今年は本作含め、2作のドラマ映画が、本邦上陸しまんねん。

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中でも本作は、映画化に対し、イヴ・サンローラン財団の公式認可を得られへんかっただけに、

より自由な翼を広げてでんな、PRとかキレイ事とかやなく、サンローランの自堕落、かつスキャンダラスな領域にまで、食い入ることができて、

ある意味で、映画的に、第七芸術的にアーティスティック、かつドラスティック、かつドラマティックな作りになっとりまして、

映画ファンを大いに、刺激する作品になっとりまんねん。

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特にスキャンダラスやった、サンローランの1970年代をば、メインに描いてはります。

1970年代ムービーとしての、作りを誇示すべく、35ミリ・フィルムで撮られとります。

構成も巧みのワザ。

1974年から始まり、1967年に戻って1974年まで、年代順に描き、

その後、1975年~1976年へと進むかと思いきや、突然飛んで1990年代へ。

さらに1990年代から、1976年をプレイバックするっちゅうような、ビミョーに凝った構成になっとります。

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刺激的・挑発的なシーンが、頻出しとります。

酒飲み・クラブ・シーンを前触れに、サンローランがゲイとして男と出会い、

男たちの乱交パーティー、男とのセックス・シーン、

飼ってる愛犬まで、ヤクを飲んで死んでまう、ヤク飲みハイなシーンなど、

倦怠的シーンにこそ、本作にしか出せない、凄みをカンジました。

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ハット・トリップなシーンとしては、アメリカン・ニューシネマ「イージーライダー」(1969年製作・アメリカ映画)やらの、名トリップ・シーンと相通じよります。

ほんで、老年期のサンローランを演じた、ヘルムート・バーガーはん。

かつて「地獄に堕ちた勇者ども」(1969年・イタリア&スイス)、「ルートヴィヒ/神々の黄昏」(1972年・イタリア&西ドイツ&フランス)など、

エキセントリックな役柄で、ボクをビビらせてくれはった役者はんやけど、

老年を迎えたからか、エキセント・エキスが、すっかり剥がれとったけど、

でもしか、その丸うなってもうた具合もまた、渋みがありましたやろか。

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逆に女優陣は、エキセントを見せつけるような演技ぶりや。

レア・セドゥのネーさんなんか、本作の作品性に、メッチャ合った演技ぶりどしたえ。

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ファッション・ショーを中心に、2・3・7分割などの分割カットの挿入、

サントラというより、劇中で登場人物たちが、曲を掛けているとゆう設定で、

70年代的ソウル・ファンキー・ディスコ・ナンバーから、フランスを代表する、マリア・カラスの歌までが流れて、

ノリノリやったり、グッとしんみりやったりして、映画が見られます。

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ラストはあくまで、サンローランの栄光シーンで、シメはるけども、

忌憚のない描き方で、ヒューマン映画の複雑怪奇、一方で、人間臭さもカンジられて、

見たあと、じっくり考えてみて、ほんでシブミに浸りたい。そんな作品になっとります。

モーツァルトを描いた名作「アマデウス」(1984年・アメリカ)にも、迫る作品やったと思います。

2015年12月 1日 (火)

「パリ3区の遺産相続人」

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アカデミー賞ゲット・候補級の3人の、渋き演技アンサンブル

複雑系ラブ・ストーリーが、淡々と綴られて…

http://www.souzokunin-movie.com

11月28日のサタデーから、シネ・リーブル梅田やらで、熱帯美術館の配給によりまして、全国順グリのロードショー中だす。

本作は、2014年製作の、パリを舞台にした、イギリス・フランス・アメリカ合作映画107分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Copyright Ⓒ 2014 Deux Chevaux Inc. and British Broadcasting Corporation, All Rights Reserved.

アンサンブル演技によって、魅せる家族映画でおます。

しかも、かつて映画では採り上げられへんかった、フランスの特殊な住居マンション相続が、

本編のベース設定として、仕込まれた作品だす。

パリのアパルトマンに住んではる、オカンと娘はん(マギー・スミス、クリスティン・スコット・トーマス)。

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そのアパルトマンを、オトンの死で遺産相続することになり、息子(ケヴィン・クライン)が、その物件を見に、現住のニューヨークからパリに来はりました。

ところがどっこい、住んではる人が、優先のフランスの法律から、

オカン・娘はんを追い出すことができず、息子は売りに出して、金を得ることができまへんねん。

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ほんでもって、この3人のビミョーな関係性ドラマが、室内劇をメインに、繰り広げられるちゅう展開でおます。

死んだオトンの遺産を得る息子役には、「ワンダとダイヤと優しい奴ら」(1988年製作・アメリカ映画)の、

胸に真意を秘めた、穏やかな若者役で、アカデミー賞助演男優賞をゲットしはった、ケヴィン・クラインはん。

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本作では、「ワンダとダイヤ…」の演技の熟成版といった趣きの、渋い演技を披露しはります。

ほんで、娘はん役の、クリスティン・スコット・トーマスのネーはん。

アカデミー賞主演女優賞にノミニーされた、不倫する人妻役の「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年・アメリカ)ほどの、

往年のハリウッド・ラブ・ストーリー的演技やないけども、彼女もそんな演技の熟成版を、本作で見せはります。

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そして、オカン役のマギー・スミスはん。

前向きヒロインを演じはった「ミス・ブロディの青春」(1968年・アメリカ)で、アカデミー賞主演女優賞を、

チャキチャキ・コメディエンヌな「カリフォルニア・スイート」(1978年・アメリカ)で、アカデミー賞助演女優賞を、

各ゲットしはったマギーはんやけど、本作では、お年寄りなだけに、さすがにチャキチャキとはいかへんけども、

それでも、ある意味では、老人元気系の演技やと言えましょうか。

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住居にまつわる駆け引きやらがあるけども、本作のメイン・ソースは、ラブ・ストーリーにありま。

娘のオカンと、息子のオトンの不倫ラブ。娘と息子のラブ。

この2つがシンクロナイズする、複雑系恋愛どす。

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さらに、恋愛映画ながらも、息子の「家族の家だ」のセリフが、ラストシーンで披露され、

家族ドラマとしての全体像が、俯瞰されるちゅう作りになっとる、ホンマ渋~い映画でおます。

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室内劇としては、シックな薄色配色で展開。

サントラ部では、弦楽オーケストラを始め、アコーディオンなども入れて、穏和な流れを作り出してはります。

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セーヌ河畔で、ケヴィンと見知らぬ女が、オペラチックに歌い合うシーンなど、ミュージカルチックなシーンも用意されとりますで。

ちゅうことで、二世代にわたるラブ・ストーリーとして、ハッピー・エンドやけど、かなりと渋く、妙味ある快作どした。

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