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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2015年11月の記事

2015年11月30日 (月)

11月の今年のベストテン級映画

今年の日本映画ナンバーワン級作品

「友だちのパパが好き」が見られたで~!

年末には、2015年マイ洋画・邦画ベストテンを披露いたします

●日本映画

●「友だちのパパが好き」(12月19日公開・弊ブログ後日分析)

http://tomodachinopapa.com

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●「母と暮せば」(12月12日公開・後日分析)

http://www.hahatokuraseba.jp

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Ⓒ2015「母と暮せば」製作委員会

●「orange-オレンジ-」(12月12日公開・後日分析)

http://www.orange-movie.com

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●洋画は11月には、ボク的にはなかったけど、それまでにかなりのベスト・ラインが揃っとりまして、ほぼ心中では確定しとりますが、

邦画はビミョーなG線ライン作品が、これまでは多く、曖昧・不確定やったけど、

11月には、遂にこれぞマイ・ナンバーワンやがな、ちゅう作品に巡り会えました。

「友だちのパパが好き」どす。

その作品を含めた上記3作品は、近日中(12月中)に、弊ブログで分析紹介いたします。

●一方で、来年2016年の作品も、試写室では拝見でき始めとりまして、その中に来年の、マイ・ベストテン級候補作品も見られました。

邦画では、「ピンクとグレー」(1月9日公開)、「の・ようなもの のようなもの」(1月16日公開)など。

洋画では、韓国映画「殺されたミンジュ」(1月16日公開)、スピルバーグ監督の新作「ブリッジ・オブ・スパイ」(1月8日公開)なんぞが良かったどすえ。

後日の分析紹介を、お楽しみに。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2015年11月29日 (日)

「びったれ!!! 劇場版」⇒日曜邦画劇場

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ヤクザものと民事ものが、合体した~やなんて…

田中圭バーサス山本耕史・竹中直人の構図

http://www.bittare.jp

11月28日の土曜日から、太秦の配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ田島隆・高橋昌大(別冊ヤングチャンピオン)2013/2014「びったれ!!!」製作委員会

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地方テレビドラマ、しかも深夜枠ドラマの劇場版ちゅうたら、

キーの東京・中央に比べたら、そら予算の関係もあってやね、チャッチーになりかねないんやけど、

ところがどっこい、本作は、映画のキモでもあるキャスティングを始め、

おいおい、フジテレビや東宝が、製作してんのとちゃうのんと、見まがってしまいそうな布陣やねん。

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内緒やけど、元ヤクザ・極道の顔を持つ、司法書士の主人公役は、

東宝配給の「図書館戦争」(弊ブログ分析済み)に出てた田中圭のアニキ。

そのアシスタント役は、週間映画興収No.1となった「レインツリーの国」(11月22日付けで分析)に、出てやった森カンナちゃん。

悪徳弁護士役には、堀北真希ちゃんをファンからさらい、

東宝・フジテレビの「ギャラクシー街道」(分析済み)に出てた、山本耕史のアニキ。

ほんで、大手の映画に多数出てはる、御大俳優の竹中直人はん。

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ほんで、田中圭アニは、死んでもうた姉の女コドモ・姪(岩崎未来ちゃん)を引き取って、義理のオトンになってはります。

このオトン・娘のキズナ・ドラマも、本作の大きな見どころどす。

松山ケンイチと芦田愛菜の「うさぎドロップ」(2011年・分析済み)なんぞを、思い出させるカンジがあります。

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ほんでもって、田中圭は元ヤクザなだけに、その種の極道つながりも、隠しきれずにあり、

ヤクザのボスみたいに、幅を利かすオトン・竹中直人との確執シーンも、

キズナ部とはまた違った、異彩な見どころがあります。

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さらにでんな、本作のメイン事件となる、山本耕史、森カンナやらとの絡みによる、土地買収問題。

スリリングにして、ミステリー的ハットトリッキーある展開で、物語が進むんで、

アクション・シーンも含めて、ハラドキで見られるようになっとります。

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ほんで、旬な地方ロケ映画やけど、本作は広島ロケ映画どす。

「仁義なき戦い」(1973年)も、広島が舞台やったんで、ヤクザチックなシーンは、ついかの名作をば、思い出したりしてまいます。

一方で、司法書士な民事ドラマでもあるんで、民法やらの法則が、大文字字幕入りで出たりして、ハッとさせはったり、

過去の追想・幻想シーンでは、モノクロ脱色を使ったりして、シブミも仕込まれとります。

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ハードロックなインスト・サントラを始め、

3人組ギャルズ・バンド「あゆみくりかまき」がプレイする、バンド・サウンド・ロック「森森森」が、胸を熱く焦がしますで。

本作の作品性に、メッチャフィットしとりました。

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地方ロケ映画と同じく、コミック原作映画も今や旬やけど、コミック原作らしくないリアリズムは、

ボク的には、劇場版にはなってへんけど、傑作テレビドラマ「ナニワ金融道」に、勝るとも劣らない仕上げぶりやったと思います。

2015年11月28日 (土)

終末映画「さようなら」⇒週末日本映画劇場

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平田オリザの前衛演劇を、深田晃司監督が映画化

アンドロイドを媒介にして、日本の終末観を描いた問題作

http://sayonara-movie.com

12月12日の土曜日から、ファントム・フィルムの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国順次のロードショー。東京では、新宿武蔵野館で上映中。

本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「さようなら」製作委員会

アンドロイドと人間の間で、果たしてキズナは築けるもんなんか。

そんな命題を、実際にアンドロイドを作り上げて、平田オリザはんが、演劇上演しはったんが、本作の原作でおます。

ボクは未見やけど、そんな30分くらいの演劇を、深田晃司監督が、112分とゆうロング・バージョンで、映画化しはりました。

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実際のアンドロイド「ジェミノイドF」と、ヒロイン(ブライアリー・ロング)のやりとりを中心に、

ヒロインの彼氏(新井浩文)や、友達との恋や交流も、描かれてまいります。

ほんで、舞台背景の設定が、原発が次々に爆発してもうて、日本人が日本を脱出し、海外へ逃れるんやけど、

それが政府の統制により、どこへ移住するのか、連絡がくるまで、自宅で待機するようなことになりまんねん。

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かつて世界の終末観を描いた映画の、マイ・ベスト&カルトなんぞを、やりましたけども、本作は日本1国のみが、終末を迎えつつあるちゅう設定どす。

「日本沈没」(1973年・2006年製作)的な設定やけど、自然災害やなく、本作では原発爆発でおます。

なんで爆発しとんのかは、よう分からへんので、取って付けたような感はあるけども、

その不安感・異様感・ただならぬ空気感は、抽象的・雰囲気的であるにせよ、作品に通底しとります。

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そういう不穏でSFチックな、終末設定だからこそ、アンドロイドが映えるんでおましょうか。

ヒロインと女アンドロイドの会話は、ご主人とメイド、もしくは執事の関係性に、似たものになっとります。

また、ヒロインが、アパルトヘイト禁止後、黒人たちに攻められ、南アフリカから日本へ逃れてきた一家の、娘だという設定も、

作品に何とも言えへん、イントネーションをば、加えてはりますやろか。

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問題となるのは、アンドロイドとヒロインが、果たして、心の交流、キズナにまで、どこまでいっとるもんなんか、どす。

彼氏にフラれ、アンドロイドと2人だけになったヒロインが、自宅で不治の病で倒れた時…。

ドラマティックな展開と、結末が待っておます。

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濡れ場もヌードも大胆に披露しやはる、ヒロインのブライアリー・ロングのネーさんやけど、

つたない日本語でもって、弱々しきヒロイン役を、ああっかわいそうやん! なノリで演じてはって、

決してお涙ちょうだいな映画やないんやけど、ボクはついつい泣いてまいました。

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映画的な長回し撮影や、間(ま)の使い方、ロングショット、風景シーンが頻出しとるし、

ピアノ、弦楽オーケストラなどでの、静謐な美しきサントラ使いなど、深田監督の映画作家性も、遺憾なく発揮されとります。

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監督の最高傑作やとボクが思てる、家族映画「歓待」(2011年・弊ブログ分析済み)と比べても、本作は甲乙付けがたい作品どした。

2015年11月27日 (金)

イスラエル映画「ハッピーエンドの選び方」

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ハッピーエンドを請け負う老人たちのお話

 

老人ホームものシニア映画の新味を紡ぎ出す

http://happyend.asmik-ace.co.jp

11月28日のサタデーから、アスミック・エースの配給によりまして、シネスイッチ銀座、テアトル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都やらで、全国順次のロードショーだす。

本作は、2014年製作のイスラエル映画93分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 PIE FILMS/2-TEAM PRODUCTIONS/PALLAS FILM/TWENTY TWENTY VISION

本作は、以下の2つの要素がある映画どす。

 

老人ホームでの群像劇、人生の終焉にまつわる映画。

 

それらは確かに、負のイメージの強い、暗い映画かもしれへんけど、そんな映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露してみますと…。

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●ベスト⇒①旅路の果て(1947年製作・フランス映画)②海を飛ぶ夢(2004年・スペイン&フランス)③愛、アムール(2012年・オーストリア&フランス)

 

●カルト⇒①本作②死に花(2004年・日本)③半落ち(2003年・日本)

 

●老人ホーム舞台の群像劇ちゅうたら、つい後ろ向きな暗みがあるし、

 

人生の終わりナンチューたら、モチ死を描くわけなんで、明るいはずがありまへん。

 

ベストでは、その暗さをば、映画的に象徴的に描いた、

 

ある意味、第七藝術としての映画の芸術度で、魅せるようなとこな作品を選んどりま。

 

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片や、カルトでは、死を前にして暗いけども、それでも明るい曙光が、少しでも見えるような作品を選んでみました。

 

中でも本作は、カルト3作の中でも、最も明るい作品になっとります。

 

しかも、欧米日やなく、本作が中東・イスラエルから出てきたとこに、ボクは驚きを禁じえまへんどした。

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しかも、老人ホームものと、人生の終末ものを合体。

 

老人ホームの5人が、依頼を受けて依頼人のハッピーエンドを、密かに請け負い実行するんでおます。

 

ヨメがアルツハイマーになりかけとる主人公が、点滴に毒液を注入するシステムを開発(!?)しはり、

 

それが5人チームの手法になります。

 

ほんで、5人のメンバーには、元獣医と元刑事がいとるとゆう設定。

 

このあたりのキャラ付けは、エンドのスムーズな成功に、説得力を持たせておます。

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ほんで、今一つのキモは、主人公夫妻の認知症問題どす。

 

そんなヨメは、よくホームに訪ねてくる娘はんと孫娘との関係で、その認知症ぶりを見せてしもて、入院してもうてエライ方向へ、行ってまうことになりますねん。

 

でもしか、希望あるサプライズがありますんで、ご安心くだされ。

 

老人・老女5人の、連帯感・キズナぶりにも、グッときますんで。

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「憧れの癒やしの地へ」と歌う、スロー・ナンバーを、劇中で老人ホームのみんなが、アカペラで交代交代に歌う、シークエンスがあるんやけど、

 

その歌は死を前向きに歌った歌で、妙に癒やされてまうような、聞きごたえがありました。

 

ラストロールでは、その歌のオリジナル・ナンバーが、ピアノ・スロー・ナンバーとして、ドラマティックに流れよります。余韻を深めて、グッドな使い方どした。

 

老人ホーム映画、死の映画は決して暗くはないんや。作り方によっては、希望ある映画にもできるんや。

 

本作はそんなとこを、認識させてもらえた逸品どす。

2015年11月26日 (木)

「黄金のアデーレ 名画の帰還」

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「ダ・ヴィンチ・コード」に迫る、名画絡みのスリルなドラマ映画

ナチもの込み映画でも、100パーセントな新鮮味あり!どす

http://golden.gaga.ne.jp/

11月27日のフライデーから、ギャガの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、あべのアポロシネマやらで、全国ロードショーでおます。

本作は、2015年製作の、アメリカ・イギリス合作109分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸTHE WEINSTEIN COMPANY/BRITISH BROADCASTING CORPORATION/ORIGIN PICTURES(WOMAN IN GOLD)LIMITED 2015

第二次世界大戦時に、ナチが名画を没収しよった。

そのオバを描いたクリムトの、名画「アデーレ」の正統の所有者、ヘレン・ミレンはんが、

オーストリア政府に対し、絵画の返還を求めて、訴訟を起こしたとゆう、実話ベースのお話だす。

3
絵画の名画を、ポイントにした映画としては、

本作は「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年製作・アメリカ映画)と比べても、勝るとも劣らないハラドキがありま。

そのあたりの仕上がり具合は、演技陣の演技ぶりの、妙味によるところが、大やないかなと思います。

アカデミー賞女優のヘレン・ミレンはんの、いつもながらの落ち着いた演技ぶりしかり、

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演技の巧拙を問われない娯楽作に、ケッコー出てはったライアン・レイノルズやけど、

今作では、抑制を利かせた弁護士役を、クールに演じはって、彼の最高傑作とも言うべき作品になっとります。

また、雑誌記者役のダニエル・ブリュールの、鋭いジャーナリスト役なんかも、映えとりました。

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さてはて、ナチもの映画とくれば、収容所ものはじめ、ナチ残党追及ものなど、戦中・戦後を背景において、

おおむね出尽くした感がするんやけど、それでも本作は、かつてないとこに目を付けはって、サスペンスある快作にしはりました。

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絵画の取り戻しに、最初はさほど積極的やなかった、ヘレン・ミレンを説得し、ライアン・レイノルズは、オーストリアへ一緒に行かはります。

地元の記者ダニエル・ブリュールの協力のもと、オーストリア政府へ掛け合ってゆく過程、さらに、紆余曲折と波乱ある、その後の展開。

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裁判スタイルは、本編の後半から展開しますけども、そこでも、裁判ものとしてのハラドキがあり、

さらに、過去のシーンを、随時挿入してゆく作りで、ドラマティックになる効果を呼んどります。

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特に過去の、ヒロインの結婚式での、ダンス・シークエンスは、印象的なもんになっとります。

ヘレン・ミレンの幼い頃の、絵画のモデルになった、おばアデーレとのエピソードも、

現在シーンとの対応で、重要なシーンでおます。

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オーストリア・ウィーン・ロケ入り映画どして、CGなしで、当時の雰囲気を醸し出した映像は、本作のもう一つの魅力やと申せましょうか。

ロンドン、LAロケも、時代考証は、完璧でおました。

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絵画をどないして取り戻したんか。取り戻すまでのイロイロ。裁判の行方・弁論。そして、取り戻したあとの展開や、サプライズ。

実話ベースとは申せ、最後の最後まで、目が離せない映画どした。

派手なアクション・シーンはないけども、ミステリー・サスペンス映画としては、上々の娯楽作品でおます。

2015年11月25日 (水)

韓国の男性アイドル映画「二十歳」(はたち)

1
男3人の恋愛と友情の青春映画どす

「2PM」のジュノ、新韓流四天王キム・ウビン、韓国ミュージカル界のカン・ハヌル

http://www.kandera.jp/sp/hatachi

11月28日のサタデーから、NBCユニバーサル・エンターテイメントの配給によりまして、東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、韓国映画116分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD. All Rights Reserved.

20歳になった男3人たちの、青春映画どす。

韓国にはラブ・ストーリーをメインに、青春映画もモチ、ケッコーあるけども、

クォン・サンウ主演「マルチュク青春通り」(2004年製作・韓国映画)のようなシリアスよりも、本作は、よりソフトなコミカルなノリで作られた映画どす。

女たちの「サニー」(弊ブログ分析済み)の男版とも言えるけど、ボク的分析では、

「スター・ウォーズ」のルーカス監督の、青春映画アメグラこと「アメリカン・グラフィティ」(1973年・アメリカ)をば、本作は意識してはったんやないかなと思います。

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同じ高卒後の3人の生き方、ほんで、各人のラブ・ストーリーが展開するんやけど、

いつも会する全員が、同じ大学とかやなく、バラバラの立場とゆうのんが、あんましない作りになっとります。

ほんで、3人の間の、1人の女(チョン・ソミン)への三角関係もなく(3人をつなぐ設定の、高校時代の逸話)、各人それぞれなりに、愛へと向かうちゅう流れだす。

まがうことなき、男性アイドル映画の、青春映画とゆうノリで、ストーリーは展開してゆきよりまんねん。

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その3人をば、紹介しますと…。

まずは、K-POPのアイドル・グループ「2PM」(ツーピーエム)のジュノ。

自然体演技で、小細工なし。

いい女を自認するオカンや、カン・ハヌルの妹(イ・ユビ)との、下ネタから始まるラブなど、自然体で好感を呼ぶ、落ち着いた演技を披露。

対して、3人のうちで、最も特異な役柄をやらはるんは、

新韓流四天王(ボクは無知なんやけど、調べてみると、イ・ミンホ、キム・スヒョン、イ・ジョンソクが、ほかの3人)の、1人と称されるキム・ウビン。

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「友へチング」(2001年・韓国)の第2弾「チング 永遠の絆」(弊ブログ分析済み)で、エキセントリックな暴れん坊役をやり、インパクトある映画デビューぶりどした。

そんなウビンは、今作では、親のすねかじりのプレイボーイで、昼はじっとして、夜は酒を飲むちゅう、エキセントリックとは真逆のぐうたら役。

でもしか、女子高生女優の卵との出会いから、彼女のマネージャーを称して、映画界へ出入りすることになり、映画監督とのやり取りなどに、妙味がありました。

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ほんで、あとの1人は、本作の語り手で、唯一の大学生役のカン・ハヌル。

とにかく、3人共に、ほのぼのユーモアある、好感ある演技ぶりどして、恋愛、友情部共に、ギスギスしたとこもなく、最後までスムーズに見られます。

でもしか、クライマックスの、エア・サプライのスロー・ナンバー(カヴァーか)を流しての、スロー・モーション・アクションは、トンデモ楽しい、ワクワクの仕上がりぶりどした。

この5分のアクション・シークエンスは、スロー・アクトの記憶に残る、名シーンやと思います。

大げさかもしれへんけど、「アンタッチャブル」(1987年・アメリカ)の、「戦艦ポチョムキン」(1925年・ソ連)を獏した、階段の揺りかご落下・銃撃戦アクトに、迫る仕上げかも。

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キム・ウビンがゆう、誰か1人が死ぬとゆう青春映画のセオリーを、意図的に外し、

さらに、「漢江の怪物」(2006年)「オールド・ボーイ」(2003年)「母なる証明」(2008年)など、21世紀の韓国映画の傑作を引用しもって、

青春映画をスイスイと作り上げてゆくセンスは、ある意味で爽快でもありました。

韓国の男性アイドル映画として、見ごたえある1本でおます。

2015年11月24日 (火)

「みんなのための資本論」⇒社会学ドキュメンタリー

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アメリカの所得格差の原因と、対策を探る講義ドキュメンタリー

謎めいたミステリアスな展開で、お話は進みまっせ~

http://www.u-picc.com/shihonron/

11月21日のサタデーから、太秦の配給により、東京・ユーロスペースやらで、全国順グリのロードショー中。

本作は、2013年製作のアメリカ映画89分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Inequality for ALL, LLC

大統領府(クリントン大統領の時代)の、元労働長官やった経済学者、ロバート・ライシュの講義を、

映画的に描いた、経済学的社会学のドキュメンタリー映画どす。

こおゆう講義・論理・ハウツーものなどの映画は、特に、観客を限定し選ぶような、専門的なノリがあるようどすが、

本作の場合は、そんな小難しげなとこは、ほとんどありまへん。

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基本ラインを言いますと、富裕層は一部しかいず、第三世界と見まがうような、所得格差の格差社会となっとる、

現代のアメリカの実情を、原因を探りながら、その対策と未来への希望を描いとります。

カリフォルニア大学での講義シーンと、その内容を、グラフや図表以外に、

ドキュらしい実態映像を、カットバック的に盛り込みつつ、描かれてまいります。

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格差社会の原因と謎を追究してゆくとこは、ある種のミステリー・ドラマ的に、ハラドキとサスペンスがありますやろか。

1970年代後半に、何が起きたのか。一部の超富裕層の行動心理の真意など、

リーダビリティー(引き込む力)は、この種のドキュでは、異例なほど高かったどす。

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アメリカの実態を描いとるんやけど、格差社会の実態としては、日本ともそない変わらないんで、

身近なテーマとして、見ることができるやろかとも思います。

70パーセントの中間層にかかる、税金の問題なんかは、消費税率のアップやらと、関わる問題かも。

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でもしか、ガチガチに分析と対策を、描いてはるわけやありまへん。

あくまで、映画としてのエンターテインメント性に、描き方の基本があります。

先述したミステリー性もあるし、さらに、映画の引用もありまんねん。

3
例えば、OLの実態を、ユーモラスに描いた「9時から5時まで」(1980年製作・アメリカ映画)が、

その主題歌を流して、印象深く、あるいは本作のシンボライズ的に、引用されております。

その映画に出演した、アメリカの国民的カントリー歌手、ドリー・パートンが、映画に見事なフックを加えてはるんどす。

4
さてはて、これぞアメリカ国民のための、社会派ドキュとゆうとこがあるにしてもでんな、

むしろロバート・ライシュの、人間ドキュメンタリーの趣きもありまして、

彼のいろんなエピソードも、随所に見どころになっとります。

ちゅうことで、ユニークな社会派ドキュとして、おすすめしたい逸品どすえ。

2015年11月23日 (月)

「劇場霊」⇒アイドル・ホラー日本映画どす

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AKB48の島崎遥香が、映画初主演

ホラー日本映画の巨匠・中田秀夫監督との、コラボレートだす

http://www.gekijourei.jp

11月21日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国ロードショー中どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015「劇場霊」製作委員会

本作は、アイドル映画とホラー映画の、合体やと言えるやろか。

怪談映画をルーツとする、日本のホラー映画では、元来はアイドル映画とは、真逆のノリやったんやけど、

本作の中田秀夫監督「リング」(1998年製作)を、ルーツとする「Jホラー」のジャンル定着化以降、

怖がる側の主人公・ヒロインを打ち出すことで、アイドル映画ノリが、顕著に見られるようになったかと思います。

ちゅうことで、そんなカンジの日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(製作年・怖がる男女優・各順不同)をば、披露してみよりますと…。

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●ベスト⇒①HOUSE ハウス(1977年・池上季実子・大場久美子)②呪怨(2002年・奥菜恵)③回路(2001年・加藤晴彦・麻生久美子)

●カルト⇒①本作(2015年・町田啓太・島崎遥香)②着信アリ(2003年・柴咲コウ)③クロユリ団地(2013年・前田敦子・弊ブログ分析済み)

●「リング」以前の、この種の邦画の嚆矢は、大林宣彦監督のベスト①やと思うけど、

明らかにその作品も意識した上で、21世紀に作られてきとるんが、カルトの3作どす。

この3作に関わってはるんは、映画監督もやらはったことがある、秋元康はん。

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カルト②は、「リング」を意識してるとは申せ、あとの2作は、ベスト①が打ち出した、館ホラーの変型応用編だす。

カルト③は団地で、ほんで本作は、館としての劇場でおます。

しかも、アイドル映画としての作りとしては、自らプロデュースしてはるAKB48から、OGの前田アッチー主演カルト③、

そして本作では、現メンバーの島崎遥香ちゃんを起用。

アイドルにふさわしい、ヘタッピー・カワイイ演技をば、披露してやるねん。

幽霊が「ちょうだい」と言うのに対し、「あげないんだから」とクルストレートさは、

「セーラー服と機関銃」(1981年)の、薬師丸ひろ子の「カイカ~ン」をつい、思い出したりしよりました。

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遥香ちゃんのUPも多いし、意図的なぎこちない間合いなんかも、ケッコーよかったどす。

彼女を守るんは、劇団EXILEの町田啓太クン。

嬉し恥ずかしドッキリな「スキマスキ」(2015年・弊ブログ分析済み)より、こっちは彼女を守る正統派演技。

加えて、「でーれーガールズ」(2015年・分析済み)などの足立梨花ちゃんの、アイドル演技ぶりにも注目やで~。

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吸血女・エリザベートを描いた舞台の、演劇メイキング・スタイルが、話の本筋にあり、

ほんで、そこに、小道具としての、いわくありの人形が、ホラー部のメインとして、関わってきよるお話だす。

エリザベートの話とも絡んで、過去ある人形が、人を襲うとゆうスタイルは、ありきたりかもしれへんけど、

誰にでも分かりやすいノリどすんで、娯楽映画として、上々の仕上げやと言えましょうや。

ちゅうことで、友達と一緒に、劇場へ見に行こうで~。

2015年11月22日 (日)

「レインツリーの国」⇒日曜邦画劇場

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若者向けラブ・ストーリーの快作

アイドル映画としての、ラブ・ストーリーの快作でも

http://raintree-movie.jp

11月21日の土曜日から、ショウゲートはんの配給によりまして、全国ロードショー中だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015「レインツリーの国」製作委員会

若者向けの、アイドル映画・ラブ・ストーリーの日本映画は、これまでに多数出てまいりました。

そんな邦画の、21世紀公開のマイ・ベスト&カルト・スリー(製作年・対象アイドル・各順不同)をば、披露さしてもらいますと…。

●ベスト⇒①世界の中心で、愛をさけぶ(2004年・大沢たかお・長澤まさみ)②雨鱒の川(2004年・玉木宏・綾瀬はるか)③パッチギ!(2004年・塩谷瞬・沢尻エリカ)

●カルト⇒①本作(2015年・玉森裕太・西内まりや)②ホットロード(2014年・登坂広臣・能年玲奈・弊ブログ分析済み)③ただ、君を愛してる(2006年・玉木宏・宮崎あおい)

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●邦画恋愛映画でも、主流やと思うけど、

アイドル・ラブには、一方が病気系、あるいは、死んだり、生死をさまようことなんかが、ポイントになっとります。

ベスト①カルト②③やらやけど、本作も、そういうとこはあるんやけど、

あくまで、そのポイントが、2人の仲を深める因子になっとる点では、3作とは一線を画しとります。

ほんで、ベスト②③のように、ラブ・ストーリーとしての、恋の行方を、ハラドキな見どころにしたとこは、

恋愛映画の、ベースとなるとこでおます。

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さてはて、21世紀では、コミック原作のアイドル・ラブが、多く輩出されとんねんけど、本作は有川浩の小説原作もの。

しかも、小説らしく文章や言葉を、ポイントにしたラブなんどす。

メールでのやり取り。

ほんで、そこからデートへと発展してゆき、紆余曲折を経て、恋愛成就してゆくとゆう、

王道編とも取れる、ラブ・ストーリー展開になっとるんだす。

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ジャニーズのアイドル・グループ「Kis-My-Ft2」の、玉森裕太クンが、

映画初出演・主演となる、歌手の西内まりやチャンと、恋をしはります。

メッチャ純粋にして、キ1本な恋愛どして、

2人の恋の行方は、どないなんのんちゅうカンジで、目が離せない仕上げとなっとります。

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東京ロケがメインも、玉森クンの実家のある大阪ロケも、敢行されとります。

その大阪ロケやけど、よく取り上げられる通天閣・道頓堀などもあるけども、

大阪ステーションシティなど、現代の新名所にもロケしてはります。

ほんで、大阪弁の使い方。

関西弁は、大阪・京都・滋賀・和歌山・奈良やら、ビミョーに違うとこがあるんやけど、

大阪弁としては、少しクエスチョンなとこがありましたやろか。

細かくゆうと、大阪弁でも泥臭い河内弁なとこが、あんまし反映されとらへんように思いました。

大阪市営地下鉄の(天王寺)動物園前駅・新世界に、主人公の実家があるんやったら、ヤッパ河内弁はキモどっせ。

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でもしか、そんなとこは、ほんの瑕瑾にすぎまへん。

ラストロールで流れる、声をなくした大阪出身の「つんく」が、作詞・作曲した、

「Kis-My-Ft2」の、ラブ・バラード「最後もやっぱり君」で、余韻も深まりますで~。

ちゅうことで、現代のラブ・ストーリー映画の、快作でおました。

2015年11月21日 (土)

「アレノ」⇒大人のための、土曜ワイルド邦画劇場

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山田真歩が、大胆な濡れ場演技を披露し続け…

ほんでもって、渋川清彦も、とことんイカはりまんねん

http://www.areno-movie.com

11月21日の土曜日から、スローラーナーの配給によりまして、新宿K`s cinemaやらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015 ユマニテ

今でもレンタルDVDで見られる、日活ロマンポルノてゆうたら、

みなはんが思うような、ただ単に、ヤラシー映画だけやありまへんねん。

渋~い、セックスを通した、人間ドラマやったりが、幾作品もござりまんねんで。

ほんで、本作はちゅうたら、その遺伝子が十二分に、受け継がれた作品となりましたがな。

エミール・ゾラの「テレーズ・ラカン」を原作にした、文芸作品なんちゅうたら、

おいおいなカンジが、あるかもしれへんけど、本作は、そこんとこは、あくまで表層的でおます。

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なんせマー、全編の約半ばに当たる、気だるいセックス・シーンの連続にでんな、

うれし恥ずかしな、股間キュンなカンジに、なってまいまんねん。

夫妻とヨメの愛人とゆう、三角関係ドラマなんやけど、そんな3人が湖でボートが転覆してしもて、

ヨメと愛人は助かったけど、ダンナの生死は分からず。

ほんで、取りあえず生き残った2人は、ダンナの安否を待ちつつ、

ラブホで、セックス三昧にふける、っちゅうような映画でおます。

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ダンナの亡霊が、出てきたりしよります。

大島渚監督の「愛の亡霊」(1978年製作)やら、ハードコアの「華魁」(1983年・弊ブログ分析済み)やらの設定に、似とるんやけども、

ヒロイン、主人公の、ココロの複雑さ・やるせなさ・けだるい感を、見せてゆく点においては、稠密・緻密な演出になっとります。

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大胆果敢な脱ぎっぷりを、見せるヒロイン役は、山田真歩のネーさんどす。

この種の映画としては、ピンでゆうと、名女優・宮下順子の気だるさに、迫る演技ぶりどした。

つまり、単にヤラシサを見せるセックス演技やなく、

心情やらトラウマやら鬱屈ぶりをば、緻密に演じる演技でおまして、相当レベルの高い演技力が必要とされよります。

相米慎二監督の「ラブホテル」(1985年)で、主演した速水典子の柔軟性とは、少しニュアンスは違うけど、シンクロするとこは、まあまあござりますやろか。

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ほんで、ヨメの愛人役の、渋川清彦のアニキ。

大手の映画からインディーズまで、イロイロイッパイ出てはるんやけど、ここまでヤリまくりの映画には、たぶん初でおましょう。

最近弊ブログで分析した作品では、「モーターズ」(11月13日付け)があるけど、

柔軟・柔和・人の良さみたいなとこは、ヤリまくりの本作でも健在どす。

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吹奏楽的トランペットなどを、使ったサントラ、

神奈川県・相模原ロケらしい、ひなびたような湖畔の風景描写など、作品性に妙に合っておました。

よう見てみると、何やら「土曜ワイド劇場」チックな、ミステリー・テイストも、そこはかとなくあるんで、

ワイドとゆうよりワイルドな、大人の映画ではあるんやけど、ミステリー・ファンにも、遡求するような作品やと思います。

2015年11月20日 (金)

波瑠主演「流れ星が消えないうちに」

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波瑠ちゃん主演の、ラブ・ストーリーだす

「セカチュウ」の女版的作りが、静かな感動を呼ぶで

http://www.nagareboshi-movie.com

11月21日の土曜日から、アークエンタテインメントの配給で、角川シネマ新宿やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 映画「流れ星が消えないうちに」製作委員会

本作は「10月に見た、マイ年間邦画ベストテン候補作」(10月31日付け)として、採り上げた1本でおます。

最近の邦画のラブ・ストーリーてゆうたら、コミック原作ものやらが多くて、

恋する2人の心理の襞に食い込んだ、渋い恋愛映画は、少なくなったな~と思とりましたが、

本作は、ストレートなハッピーラブとは、違(ちご)うとりまして、トラウマある複雑系。

さらに、メロドラマ的潤いも、排した作りになっとります。

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高校時代の彼氏が、別の女の子とデート中らしき時に、共に事故死してもうた。

そんな嫌な過去を持つ、大学生ヒロインが、彼氏を忘れられず、その傷心を抱えたまま、生きているちゅう状況だす。

ほんで、高校当時、ヒロインとも友達やった、彼氏の同級生が、彼女と今は付き合っているちゅう設定どす。

過去を引きずる人との恋愛としては、

ボクは「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)の、女性版にも見えました。

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悩めるヒロイン役は、現在朝ドラ「あさが来た」で、元気系の演技を披露して、国民の好感を呼んでやる、波瑠ちゃん。

それとは違って、本作では、ツイートっぽい、ココロのナレーションを入れて、少々かげりある演技をやってはります。

ほんで、しっとり穏やか。あくまでも、朝ドラの好感度を、維持したままの快演技だす。

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武蔵野市の一戸建ての家に、1人で住む波瑠ちゃん。

両親と妹は、オトンの会社の人事異動で、大分へ引っ越してもうた。

こっちの大学に受かって通てるんで、波瑠ちゃんだけが、いてはるわけでおます。

ほんで、元彼のトラウマからか、玄関の板間でいつも、蒲団を敷いて就寝してはるんだす。

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そんな時、オトンが家出してきて、波瑠ちゃんと一緒に、住まわはりまんねん。

オトン役の小市慢太郎はん。

ボクと同じく、同志社大学出身やから、ちゅうわけやないけど、この穏和で理知的なオトン役には、しみじみとホレてまいました。

また、波瑠ちゃんの妹役に扮した、黒島結菜(ゆいな)ちゃんの、

大手映画でも披露してやる、持ち味とも言える、ツン・カワイサがエエカンジや。

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今の彼氏役の入江甚儀(じんぎ)、死んだ彼氏役の葉山奨之(しょうの)らの、若手男優にも注目。

武蔵野市ロケとゆう意外性もあり、ほんで、サントラ使いも巧みやで~。

穏やかな弦楽オーケストラなどに乗って、みんなの交流ダイジェスト・シーンなどを造形。

桐嶋ノドカの挿入歌「柔かな物体」(11月20日配信限定リリース)。女性らしいピアノ・バラード・ポップスで、交流シーンで流れます。

また、エンドロールで流れる主題歌は、塩ノ谷早耶香の「S with」。グッド・バラードで、映画の余韻を深めはります。

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死んだ友人、恋人を忘れないままに、2人が恋をするとゆう、ラブ・ストーリー的な新味。

そして、プラネタリウムとゆう、絶妙な小道具・装置を入れながら、展開する恋の行方が、スロー・テンポで描かれて、ゆっくり胸に染みてまいります。

ちゅうことで、邦画ラブ・ストーリーの、久々に見た傑作どした。

2015年11月19日 (木)

「放浪の画家 ピロスマニ」⇒デジタルリマスターで名作リバイバル

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画家ヒューマン・ドラマの最高傑作や

アート映画としての描き方も、ドラマにマッチング

11月21日のサタデーから、パイオニア映画シネマデスクの配給によりまして、東京・岩波ホールで、全国順次のロードショー。

本作は、1969年製作の、ソ連映画(今ではグルジア映画)87分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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1978年に日本公開され、キネマ旬報の洋画年間ベストテンで、4位にランクインした、渋~い芸術映画が、

このたび、37年ぶりに、デジタルリマスターを施されて、リバイバル上映でおます。

実在の画家ヒューマン映画ちゅうたら、イロイロあるけども、

アートする人間ドラマとしては、なぜか芸術映画のノリで撮り上げられるんは、マレでおました。

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でもしか、本作は、映画としての芸術性を繰り出しもって、

放浪の画家ピロスマニの、人間性に肉迫した作品どして、

ボクは今回再見さしてもろて、画家アーティスト人間ドラマ映画の、最高傑作やと、改めて認識いたしました。

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絵画的な芸術的ロングショットの、数々があるけど、

そういうのんは、イロンな映画で、さんざん披露されとるんで、むしろ芸術性のベースにはなっとるけど、

実は、そこが本作の芸術度の高さをば、魅せてるんやありまへんねん。

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あくまで、それは、画家ヒューマン映画の、フック的・サブ的ポイントにすぎまへん。

ピロスマニとゆう人間を、どない描き、その人間性ヒューマニティーを、どう観客のみんなのココロに、染み込ませるんか。

その大いなるポイントとなる、演技であり、演出とゆうベース・ラインが、

キチッとしてるとこを、見てもらいたいと、ボクは思います。

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最初は人当たりのいい、饒舌な商売人とゆう人間造形が、商売をやめてから、

酒飲みの寡黙な放浪画家となり、やがてデカダンで孤独な中へと入ってゆく、

そういう人間を、映画的作りにより、見事に浮き彫りにしてゆかはります。

この、何気な、さりげないとこにこそ、本作のキモがあると言えましょうや。

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さてはて、本作は、ピロスマニの絵画を見て、彼をモスクワのソ連中央美術界に、スカウトせんとする2人の話があり、

そこからピロスマニの過去を、振り返るちゅう構成を、採ってはります。

今ではよくある手法やけど、映画的にこう撮ったら、ドラマティックになるちゅうような、意図的なとこはなく、

そんな何気な作りや流れが、分かりにくいかもしれへんけど、ボク的には、他作品と、一線を画しとるような気がしました。

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映画に妙に合っとる、オルガンの音色。

作品のヒントになった、ピアノに乗って舞台で、踊って歌う、踊り子のシークエンス。

画像にもある、ピロスマニの絵画作品も、いくつか見せてゆかはります。

イロンな効果があって、ほんで、無頼派主人公の生き様が、ココロに残るようになっとります。

ボク的には、「これから死ぬところだ」と言う、ピロスマニのラストシーン間近の、セリフに痺れよりました。

ちゅうことで、アートな人間ドラマ映画の、名作リバイバルでおます。

2015年11月18日 (水)

「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)」

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かつてないスリリングな、ドッグ・パニック・ムービー

ディズニーには決して出せない、犬ドラマの傑作

http://www.whitegod.net

11月21日のサタデーから、シンカの配給によりまして、東京・新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、109シネマズ大阪エキスポシティやらで、全国順グリのロードショー。

11月28日からは、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都などで上映。

本作は、2014年製作の、ドイツ・スウェーデンとの合作となった、ハンガリー映画119分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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2014ⒸProton Cinema, Pola Pandora, Chimney

本作は、「10月に見たマイ年間ベストテン級映画」(10月31日付け)で、採り上げた作品だす。

これまでにイロイロ出た犬映画やけど、本作は、見てもろたら分かるやろと思うけど、

これまでの犬映画の常識を、トンデモなく覆した作品なんでおますよ。

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さてはて、ここで、そのトンデモ感を、洋画の犬映画マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露して、検証してみましょか。

●ベスト⇒①本作②アーティスト(2012年製作・フランス映画・モノクロ・サイレント)③犬の生活(1918年・アメリカ・モノクロ・サイレント)

●カルト⇒①名犬ラッシー/家路(1943年・アメリカ)②ベンジー(1974年・アメリカ)③クジョー(1983年・アメリカ)

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●かつて書きましたけども、人と犬のキズナをメインに、人情節的に描かれることの多い、日本映画の犬映画に対し、

洋画、特にアメリカ映画では、ディズニー・アニメを始め、ベスト②カルト①②のような、犬がヒーローとして活躍する、犬ヒロイズム映画が多うおます。

それを基本に、犬が悪役になるカルト③とか、犬が人間と相棒になって、事件を捜査する映画とか、イロイロ出てまいりました。

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でもしか、本作は、これまでの犬映画とは、180度真逆とゆうくらい、テイストが違います。

理由なく、犬が人を襲うカルト③とは違い、

人間たちへ、抑圧・虐待されたことに対して、犬たちが反逆するとゆうカンジは、かつてなかったもんでおます。

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さらに、人と犬のキズナも、飼い主の女の子と犬の間で、邦画ほどベタやないけど、渋くにじみ出とる映画なんどす。

しかも、ラストシーンでは、それが感動的なキー・ポイントに、なってきよるんどすえ。

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雑種犬を飼うには、多額の税を払わなければならず、それが嫌なら、犬は保健所のようなとこに、収容されて殺されてまう。

そんな法律がある架空の国が、本作の舞台でおます。

女の子リリが飼う、雑種犬ハーゲンやけど、オトンが税を払いたくないんで、ムリヤリ捨てられさせられま。

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でも、リリはその後、犬を探し続けはります。

一方、犬は悪い男につかまってまい、闘犬にさせられ、ほんで、逃亡し、やがて保護施設へ収容され…。

リリ・サイドと犬サイドが、カットバック的に構成されとりまして、

クライマックスの、犬たちの反抗アクション・シーンへと、なだれ込んでまいります。

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犬サイドの、セリフなしの、動きと鳴き声だけで示されるとこは、

サイレント映画のベスト②③以上に、ビビッドでアクショナブルでスリリング。

加えて、雌の子犬ちゃんとの逸話なんかは、メッチャハートフルどして、リリ・サイド以上に、見ごたえがありま。

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ヤマ場では、ハーゲンをボスにした、野良犬たちの脱走・反抗と、トランペットを吹くリリが参加したコンサートが、繰り出され、

そして、リリがチャリンコに乗って、ハーゲンを探しに行き…。

日本映画的に、ある種のお涙ちょうだいものではなく、また、犬たちのパニック・ムービーもかつてなく…。

ちゅうことで、犬映画の進化型を、表現した傑作どした。

2015年11月17日 (火)

「天皇と軍隊」⇒意外なフレンチ・ドキュメンタリー

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フランス製作で撮った、日本の天皇関連ドキュメンタリー

どこまでかつての問題作に迫れたやろか

http://www.kiroku-bito.com/article1&9

11月14日の土曜日から、「きろくびと」の配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショー中。

本作は、2009年製作のフランス映画90分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

メイン:広島市民と昭和天皇 Ⓒ英王立戦争博物館

日本の天皇制にまつわる、さまざまな問題をば、俯瞰した映画どす。

戦争・天皇・靖国神社・日本国憲法第9条、韓国の慰安婦問題など、これまで日本製ドキュメンタリーとして、イロイロ作られてきた素材を、

ドキュ映画の名門・岩波映画出身で、フランス在住の渡辺謙一監督が、フランス製作で撮り上げはりました。

この種のこれまで撮られた作品としては、新鮮味はさほどないんやけど、

俯瞰的に検証してゆくとゆう点では、あんましない作りになっとります。

その俯瞰の仕方も、年代順に構成してゆくんで、メッチャ分かりやすうなっとります。

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ともすると、現代の安保法案問題やら、沖縄の米軍問題やらに関連して、作られたようにみえたりしますが、

むしろ視点は冷静沈着で、天皇制にまつわる現代までの流れが、淡々と綴られてまいります。

故人の政治家・田英夫(でん・ひでお)、左翼団体の代表者など、ドキュには欠かせないインタビューも、

随時挿入されとりますが、それらよりも、歴史的検証部の方が、メイン・ソースだす。

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皇居の俯瞰撮影から始まり、天皇の終戦テープを流し、

ほんで、ドラマ映画「太陽」(2005年製作・ロシア&イタリア&フランス&スイス合作)でも、採り上げられた昭和天皇のエピソードを、小出しにしながら、

マッカーサーの動向、東京裁判、三島由紀夫の事件、俯瞰撮影を入れた、靖国神社の問題など、飄々としたカンジで、天皇制と戦後の流れが、点綴されてゆきよります。

防衛大学への取材など、これまであんまし描かれなかったとこへも、カメラは入ってまいります。

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ダイジェスト解説的に見えながらも、誰にでも分かりやすいノリなんで、従来の難解なドキュものとは、一線を画す仕上げでおます。

この種のドキュを見続けた方には、既視感と共に、新味はあんましないように、見えるかもしれまへんが、こおゆうノリこそ、一般大衆には必要でおましょう。

「リンゴの唄」、「こんにちわ赤ちゃん」など、歌は世につれ、世は歌につれな使い方も、快感やったしな。

ちゅうことで、こおゆうドキュの入門編として、みなはんに、おすすめしたい逸品どした。

2015年11月15日 (日)

「恋人たち」⇒日曜邦画劇場

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橋口亮輔監督の「ぐるりのこと。」以来、7年ぶりの新作

やるせない主人公・ヒロインの、やるせない物語

http://www.koibitotachi.com

11月14日の土曜日から、松竹ブロードキャスティングとアーク・フィルムズの配給により、テアトル新宿、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ

数人の登場人物たちが、オムニバス的に物語を紡ぐとゆう、ストーリー展開の映画でおます。

本作では、3人くらいのドラマがありま。

こういうドラマの場合は、各人のシンクロはどうなんのんとか、共通するテーマは何やねんとか、イロイロ言われますけども、

何話オムニバスとかの括りでも、群像劇的ではあるけど、あくまで、主人公、ヒロインの心理に、即した各ドラマどして、

いわば、ヒューマン・ドラマ・オムニバスちゅうような作りでおます。

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今年公開された映画でゆうたら、尾野真千子サイドと高良健吾サイドが、シンクロせずに、クッキリ分かれとった「きみはいい子」(2015年製作・弊ブログ分析済み)みたいなカンジやろか。

同じく、主人公とヒロインは、本作の中では、人間関係図としては絡みまへん。

さてはて、橋口監督は、東日本大震災後の、人々の鬱屈ぶりを、よくある震災後遺症とは違うノリで、描きたかったところがおます。

それで、イロンな今の日本人の生き様を、提示するちゅうか、観客のみなさんに、そんな生き方をば、考えてもらいたいちゅうか。

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無差別殺人、サギ商売、コドモ虐待やら、震災などの自然災害と同じく、21世紀の今もはびこる、社会問題の被害に遭った人たちに、焦点を当てて、物語は紡がれてまいります。

橋口監督流儀の、ゲイの生き方もまた、それとなく仕込まれとりま。

無差別殺人で、ヨメを殺されてしもた主人公(篠原篤)が、リリー・フランキーから紹介された、弁護士(池田良)を介して、その犯人に対し、裁判を起こそうとしはります。

主人公の日常描写を中心に、ヨメを想う述懐の長ゼリフ・長回し撮影など、チョイ暗くて重たいシーンが続きよります。

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一方、ヒロイン(成嶋瞳子)・サイドは、主人公よりは軽めやけど、名作を何作も輩出しはった巨匠・今村昌平監督の、重喜劇的なノリで展開してまいります。

こちらは、W不倫となりますが男(光石研)と、そのヨメ(安藤玉恵)に、サギ商売で騙される役をばやらはります。

ほんで、ゲイの弁護士サイドの物語で、コドモ虐待の話が、インサートされとります。

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震災の後遺症的とも取れる、各人の演技と演出ぶりは、監督の計算の中に、キチンと入っとったやろかと思います。

映画作家的に、意図的に作られた物語に、少し暗いし、わざとらしいな~と、思われる方もいてはるかもしれまへんが、

でもしか、本作は何げにも絶妙に、練り込まれとる1作でおます。

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今村昌平の傑作。

例えば、主人公もの「豚と軍艦」(1961年)や、ヒロインもの「にっぽん昆虫記」(1963年)やらと見比べても、決して見劣らない出来になっとります。

ちゅうことで、ボク的には、今年の日本映画の、ベストテン級の仕上がりやと思いました。

2015年11月14日 (土)

「ラスト ナイツ」⇒メッチャメガヒットするかも

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「忠臣蔵」のハリウッド・バージョンが登場

紀里谷和明監督の、ハリウッド映画初監督作品

http://LASTKNIGHTS.JP

11月14日のサタデーから、KIRIYA PICTURESとギャガの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 Luka Productions

紀里谷和明監督の、初のハリウッド映画どす。

ハリウッド映画を、監督した日本人監督は、「トラ・トラ・トラ!」(1970年製作)での、共同監督の舛田利雄と深作欣二、

単独監督では「ザ・リング2」(2005年)の中田秀夫、「THE JUON/呪怨」(2004年)の清水崇くらいで、稀少でおますよ。

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そんな中で、日本の時代劇の剣劇アクションに、インスパイアーされた作品として、本作は位置づけられますやろか。

でもしか、今までもハリウッド映画が撮る、日本的時代劇は、

「ラスト・サムライ」(2003年)「将軍」(1980年)「黒船」(1958年)なんぞがありましたが、

それらは全て日本が舞台どして、日本人が見たら、少しく違和感のあるもんどした。

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けども、本作は、舞台となる国を架空の国に設定し、

しかも、日本の時代劇の定番(あえて名作とは申しません)とも言える「忠臣蔵」を、ハリウッド映画に翻案した作りなんでおます。

かつては、黒澤明時代劇「七人の侍」(1954年)やらが、ハリウッド・リメイクされとりますが、

どちらかとゆうと、当時はアメリカ映画のお家芸・西部劇へと、翻案展開する場合が多く、

剣劇メインの、本格的時代劇アクションとは、少し異にしておました。

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でもしか、本作は「三銃士」や「ロビン・フッド」などの、ハリウッド的時代劇に、日本時代劇的殺陣演出を付加した上で、

さらに、「忠臣蔵」の話を、ほぼ正確に映画化したもんとして、画期的どした。

主君の仇討ち、仇を討った後は、全員死刑(切腹)。この日本的主君・家臣スタイルが、違和感なく導入されとります。

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「忠臣蔵」と対応すると、モーガン・フリーマンが浅野内匠頭、

クライヴ・オーウェンが大石内蔵助、アクセル・ヘニーが吉良上野介…などとなるんやけど、

「忠臣蔵」を知らない人が見ても、納得し感情移入できるもんになっとります。

その根幹にあるのは、仇討ち・復讐に仮託した、勧善懲悪のドラマツルギーでおましょうか。

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吉良役のアクセル・ヘニーはんが、メッチャ憎らしい役をやってはり、

また、大石役オーウェンも、酒浸りでヨメにも見離されまう、あの見せかけ落ちこぼれ演技を、見事に披露。

最大の見どころの、クライマックスを除いて、「忠臣蔵」を知る知らずを別にして、

観客の、ヘニーのこのヤローとゆう怒りや、おいおい、オーウェン、おまえ何やっとんねん、ちゅうもどかしさやらを、

大いに募らせてくれはる演技ぶりなんで、何ともこたえられまへんでー。

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ほんでもって、韓国のベテラン俳優、アン・ソンギのシブミ。

オーウェンとの、手に汗握る剣戟対決が、見せ場の伊原剛志。

日韓代表の俳優が、印象深き演技を見せてはります。

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そして、クライマックスの、20分にわたる城攻めアクションは、

これぞハリウッド映画やでー、ちゅうとこを見せつけはります。

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アップも多めやけど、映画的にキレるロングショットなど、映画作家性も示した、紀里谷和明監督の、第3作にして、ハリウッド・デビュー作。

共に異能な感覚があった、過去の2作、ロボットSF「CASSHERN」(2004年)、

変型戦国時代劇「GOEMON」(2008年)も、DVDでチェックしてみようで。

本作へと至る作品性が、そこはかとなく見られて、思わずニンマリやと思います。

2015年11月13日 (金)

「モーターズ THE MOTORS」⇒金曜邦画劇場

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「ビーマイベイビー」のフレーズが、ココロにこびり付く仕上げ

主演・渋川清彦と、ミュージシャン映画監督・渡辺大知の、コラボレートや

http://the-motors.com/

SPOTTED PRODUCTIONSの配給によりまして、11月14日の土曜日から、11月27日の金曜日まで、新宿武蔵野館でレイトショー上映。

その後、全国順次のロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 team モーターズ

関西発のロック・バンド「黒猫チェルシー」のリーダー、渡辺大知のアニキが、映画初監督どす。

ナイーブな役柄として、映画「色即ぜねれいしょん」(2009年製作)やら、

NHKの朝ドラ「カーネーション」「まれ」やらでの、俳優業も目立っとるけども、

基本はヤッパ、ミュージシャンどすやろか。

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さてはて、ここで、ミュージシャン映画監督の日本映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)をば、言いますと…。

①稲村ジェーン(1990年)②本作③緑の街(1997年)

●サザンオールスターズの桑田佳祐監督による①、元オフコースの小田和正監督の③。

この2人は共に、既にビッグになった中での、かつて経験したことのない、映画業界進出どした。

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ところが、本作の渡辺監督は、売れてへんけど、ミュージシャンとして、おのがロック魂を炸裂させながら、

映画界では俳優もやらはり、音楽界と映画界を結び付けるような、作品作りをばしてはります。

ミュージック・ビデオのノリで、サーフィン青春映画を構築した①、ミュージシャンが映画を撮る、そのメイキングぶりを示した③とは違い、

あくまで、映画製作としてのスタンスが、キチンとした作りになっとります。

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田舎の車整備工場で働くちゅう、しがないブルーカラーの喜怒哀楽、ほんで、ナイーブなラブ。

良質の日本映画映えする、舞台背景を設定。

渋川清彦を主人公に、彼と関わる人たちの群像劇的に描写。

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そういう邦画イズムに、音楽映画的なスパイスを、注入するちゅうノリで、本作は作られておます。

そやから、映画と音楽のミキシングが、なされた映画やと、言えるんどす。

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主演は、渋川清彦のアニキや。

大手製作の映画にも出てはるけど、彼は基本的には、インディーズ映画に映える、渋い役どころが、似合う役者はんどす。

これから公開される映画では、「アレノ」(弊ブログ後日分析)なんぞがありますが、

そこでは倦怠的セックスに、溺れる役をやっとるかと思えば、

本作では、逆にナイーブで、表裏のない、お人良しなカンジ。つまり、真逆の演技を披露してはります。

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故障車を整備会社に、持ち込んだカップル(前田裕樹・木乃江祐希)の、木乃江(このえ)チャンに、渋川アニキは、惚れてまいます。

このあたりは、1分以上の長回し撮影で、2人の立ち話やらのツーショットで表現。

また、一方で、彼女の彼氏の前田裕樹とも、交流しはりまんねん。

こんな、みんな好きみたいなキャラが、何とも言えへん好感を呼びま。

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ミュージシャン志望の若い従業員(犬田文治)とも、男2人の部屋での、3分くらいの長回しやらで、

ひょっとして、2人はゲイかいや!っちゅうくらい、愛ある(!?)シークエンスが、幾度か出てまいります。

また、「ローリング」(2015年・弊ブログ分析済み)やらで見せた、一筋縄やない川瀬陽太の、サポート演技も印象深かったどす。

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そして、音楽映画部。

イメージチックにも流れる「ビーマイベイビー」の、ロッキン・フレーズが、耳にこびり付いてまいります。

迷彩(サイケデリック)チック、ヘヴィメタ・パンク、タテノリ・アップロックなど、ドラマに溶け込むカンジの、サントラ・劇中ライヴな、取り込み具合どした。

ちゅうことで、ヒューマン・ドラマとしても、音楽映画としても、かなりとイケてる、快作でおますよ。

2015年11月12日 (木)

イタリア映画「ローマに消えた男」

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替え玉・影武者映画の、究極型を示す作品

ミステリー的サプライズもある、刺激的な怪作どす

http://romanikieta-otoko.com

11月14日のサタデーから、トランスフォーマーの配給によりまして、東京・YEBISU GARDEN CINEMAやらで、11月21日からテアトル梅田やらで、全国順次のロードショーでおます。

本作は、2013年製作の、フランスとの合作となった、イタリア映画94分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸBibi Film ⒸRai Cinema

本作は、替え玉・影武者が大活躍する映画の、究極タイプの映画どす。

例えば、黒澤明監督の「影武者」(1980年製作・日本映画)などと比較しても、

強いられた影武者やなく、本作は影武者こそが、スゴイと思わしてくれはる映画どした。

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しかも、政治映画のノリで、政治家の替え玉になる作品どす。

ヒトラーなど、代わりに犠牲になってくれる替え玉やなく、本物の替え玉となる、メインどころの主役でおます。

そんな替え玉を、どないして見つけるんかやけど、双子の兄弟とゆうのんを、設定しはりました。

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野党の大物政治家・書記長が、職務に嫌気がさして突然、失踪しはります。

彼の側近は、イロイロ考えて、彼の替え玉として、彼の双子の兄弟を探して、彼の代わりにしはりました。

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ところがどっこい、その男が、本物以上の活躍ぶりを、見せることになりま。

大統領始め女首相との、タンゴに乗ってのダンスやらでの懐柔やら、

マスコミへの対応、大群衆を前にしての、素晴らしい演説など、見事にキメはりまんねん。

ところが、そんな替え玉が、本物と同じく、ある日、行方をくらましてまいます。

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片や、本物はんは、どないしてはったかと言いますと、

何と夫もコドモもいてはるのに、元カノのとこへ行って、隠れはるんどすえ。

ほんで、このサイドでは、本物主人公と3人家族との交流が、展開しよります。

ダンナは有名な映画監督で、元カノのヨメは映画スクリプターや。

かつて映画現場に、憧れとった主人公は、彼らの仕事を、手伝うちゅうとこまでやってまうんだす。

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いわゆる、2つの話が、同時進行で展開するとゆう、物語でおます。

ほんで、この2つの話が、ラストのミステリアス・サプライズで、見事に融合するんでおますよ。

つまり、ミステリー映画としても、楽しめる快作なんどす。

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双子の兄弟・1人2役を演じはったんは、

アカデミー外国語映画賞をゲットした「グレート・ビューティー/追憶のローマ」(弊ブログ分析済み)で、愛に迷える老人を微細に演じた、トニ・セルヴィッロはん。

そんな役柄を、本作では本物役で演じ、ほんで、替え玉の政治家役では、ミラクルなカリスマ的演技で魅せはります。

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側近役の、ヴァレリオ・マスタンドリアの、ストイックな演技ぶりやら、

久々に見た、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキのネーさんが、

元愛人・ヨメ・オカンとゆう複雑な演技を、涼しい顔でスイスイ演じて爽快。

ちゅうことで、ボク的ジャッジでは、「影武者」と、勝るとも劣らない作品になっておます。

2015年11月11日 (水)

「コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)」

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年間ベストテン級の、究極のスパイ映画が誕生した

「007」や「MI」以上に、練り上げられた設定とストーリー展開

http://www.codename-uncle.jp

11月14日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND PATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED

弊ブログ10月31日付けで披露した通り、本作は今年のマイ・ベストテン級の洋画でおます。

1960年代のアメリカとソ連の、東西冷戦時代を背景にした、スパイ映画となれば、

これまでに出たスパイ映画から鑑みても、ある程度どんなもんなんかは予測できます。

あるいは、「007」や“MI”こと「ミッションインポッシブル」みたいに、ミラクル・アクション・バリバリに展開する映画とか。

でもしか、本作はお決まりのスパイ映画のセオリーを、大いに外した作りなんでおます。

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アメリカのテレビドラマ「ナポレオン・ソロ」を、ベースにしたらしいんやけど、

ええ? アレってこんな話やったんか?  ちゅう驚きもあったやろか。

アメリカのスパイ、ナポレオン・ソロ(ヘンリー・カビル)と、ソ連のスパイ、イリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)が、

お互いにイガミ合いながらも、スパイ・ミッション的に手を結んで、

ナチスの残党がイタリアで、著名な博士を使って、画策しとるらしい原爆テロをば、阻止すべくのミッションに挑むお話どす。

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さらに、博士の娘はん(アリシア・ヴィキャンデル)が、イギリスのスパイとして、2人をサポートしはるっちゅう設定でおます。

米ソ英の紅一点3人組スパイの、チーム・プレイぶりに、メッチャ魅せられる映画となりました。

そのコンゲーム映画なスリリングに加え、アクション・シーンも「007」「MI」並みに、強烈で壮烈やねん。

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ベスト・スリー・アクションは…。

①東ベルリンから西ベルリンへ、博士の娘はんを逃がすだけの、ソロのアクション。それを阻止するはクリヤキン。

詳密な逃亡劇から、カー・アクションへと流れるスリリングは、タイトなサントラとも相まって、冒頭からインパクト大。

そのサントラ。ドラムとパーカッションをベースに、16ビートに展開。

時おりフルートやエレクトーンが入るアレンジは、メッチャ巧妙で、

映画サントラ史に刻まれても、何らおかしゅうない仕上がり具合どした。

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②核製造工場へと乗り込んだ2人が、そこから海へと逃げるアクション。

ストレートには描かれず、1度陸に上がったソロが、トラック車内でワインを飲み、窓には海でのクリヤキンのチェイスが映され、

そして、その後のソロの、クリヤキン救出具合のハットトリック。

いやはや、こういうアクト演出は、従来のスパイ映画にはないもんどす。

③第1クライマックスの、トンデモカーチェイス。

敵につかまった娘はんが、乗せられたカーを、ソロはトランザムで、クリヤキンはバイクで追いかけはります。

いやはや、スゴイ。カーチェイス・アクトの、新次元が見られますで。

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第2クライマックスでの、分割映像のダイジェスト・シーンや、朱色バックの戦中・戦後カットなど、時々、渋いカットを挿入しもって、

どんでん返し、サプライズを含め、思う存分のスパイ・アクションを創り上げた、ガイ・リッチー監督。

間違いなく、彼の最高傑作やと思います。また、エンディングから、シリーズ化もされそうどすえ。

個人的に魅了されたんは、「ローマの休日」(1953年製作・アメリカ映画)などの、オードリー・ヘプバーンを思い出させるような、

娘役ヒロインの、アリシア・ヴィキャンデルのネーさんの、造形ぶりどした。

「ボーン」シリーズ最新作にも、主役級で出はるらしいんで、今後も、注目しときたい女優はんでおます。

2015年11月10日 (火)

大ヒット中「エベレスト3D」

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実話を基にした、遭難・救助系映画の最新作

エベレスト・ロケによる、初のドラマ映画かも

http://www.everestmovie.jp

11月6日の金曜日から、東宝東和はんの配給で、全国ロードショー中。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸUniversal Pictures

山岳映画ちゅうたら、登山・遭難救助・山での対決など、イロイロありますが、

そんな山ドラマ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、手前勝手に披露してみまするに…。

●ベスト⇒①八甲田山(1977年製作・日本映画)②山(1955年・アメリカ)③アイガー・サンクション(1975年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②クリフハンガー(1993年・アメリカ)③バーティカル・リミット(2000年・アメリカ)

●山岳映画は、ドキュメンタリーを始め、その過程を含めて描く、登頂ものが多いんやけど、

ドラマ映えするとゆうたら、やっぱし、遭難救助もんでおましょうか。

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山での対決を志向した、ベスト③カルト②などの、アクション系も娯楽的にはエエんやけど、

遭難・救助もののハラドキこそ、山岳映画のキモやと、ボクは思います。

救助なしの遭難・絶望系を描いたベスト①は、究極のカタチを示したかとは思いますが、

でもしか、やっぱ救助ラインも、この種の映画では、お決まりながらも、ハイライトでおましょう。

不時着・遭難の自力脱出系映画に加え、ストレートに遭難・救助を描いた映画は、ドラマティックでもありま。

さらに、本作はベスト①と同じく、実話ベースのドラマでおます。

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しかも、エベレストでおます。CGやらでごまかすことなく、まがうことなきの、エベレスト・ロケをば、敢行してはります。

アルプス・エベレストちゅうたら、これまでは登頂を目指す、いわゆる、プロの登山家・冒険家の実話が、映えとりましたけども、

エベレストの一般人登山の、実態を捉えた映画は、本作が映画史上初ものでおましょう。

1996年の実話を基に、その遭難ぶり・救出ぶりをリアルに再現してはります。

なぜ山に登るのかについて、「そこに山があるから」以外の、新しい理由もあって、ああ、なるほどなっちゅうとこもあります。

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遭難中の演技は、ロケならそのままの状況演技ではあるんやけど、

特に遭難側では、ジェイク・ギレンホールやジョシュ・ブローリンやらの、遭難究極中演技が光っておました。

日本人女優の森尚子ネーさんも、自然体でエエし、

ほんで、戻ってくるんを願う側では、遭難中のダンナと電話でやりとりする、キーラ・ナイトレイや、不安げに待つロビン・ライトなど、ハラドキを募らせる好演技ぶり。

そして、救助側。吹雪で困難を極める中なんで、スイスイとはいかんけど、そのもどかしさを、サム・ワーシントンやエミリー・ワトソンが、巧妙に演じてはります。

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かつてないエベレスト・ロケの壮絶感は、ビビッドに伝わってくるし、カルト③もオモロかったけど、

リアルなとこは、さすがにドラマ的・スタジオ撮影的小細工を、遥かに凌駕した作りでおました。

壮大なオーケストラ・サウンドも、堂々のサポート。

ドキュ以上に凄みあるシーンを、いくつも創出してはります。

公開中なんで、今すぐ映画館へ、レッツラゴーや。大画面でぜひ、ご体感あれ!

2015年11月 8日 (日)

西島秀俊主演「MOZU 劇場版」⇒日曜邦画劇場

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ハリウッド的アクションが、次々にやってくる作品

従来のテレビドラマ劇場版に、なかったものとは?

http://www.mozu-movie.jp

11月7日の土曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「劇場版 MOZU」製作委員会 Ⓒ逢坂剛/集英社

かつてもやりましたが、リセットしまして、いきなりやけど、

テレビドラマの劇場版で、刑事ドラマ日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露してみますと…。

●ベスト⇒①踊る大捜査線シリーズ(第1弾は1998年製作)②本作③あぶない刑事(デカ)シリーズ(第1弾は1987年)

●カルト⇒①ストロベリー・ナイト(2010年・2012年)②七人の刑事(第1弾は1963年)③新宿鮫(1993年)

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●テレビの刑事ドラマの映画版どすが、事件が起こって捜査に乗り出すとゆう、オーソドックス・タイプが、ほとんどなんやけど、

そんな中でも、ハードボイルドなタッチを入れた作品として、本作とカルト③は、異色の作品やと言えましょうや。

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ちなみにカルト③は、劇場版から、WOWOWへのテレビ・ドラマへとスライドしたもんどして、いわゆる逆バージョン(映画化⇒テレビドラマ化)なんやけど、

本作とは、原作を通じて、濃厚なるシンクロがござります。

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本作の原作となる、逢坂剛のハードボイルド小説「百舌(もず)」シリーズは、大沢在昌の小説「新宿鮫」シリーズに、実は大きな影響を与えはったんどす。

そんなハードボイルド感が、ハリウッド映画的アクション・ノリで、映像化された本作。

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劇場版も作られた、日本のテレビドラマとしては、このハリウッド的は、かつてあんまし、ないもんやったかと思います。

ハリウッド的ちゅうのんは、ほとんど死んでんのに、ミラクルに生き抜いて、さらなるアクションを展開するちゅう、スーパー・ヒーロー的なノリでおます。

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そんなヒーロー刑事役に、西島秀俊のアニキが扮しはりました。

今やブレイク中の秀俊アニやけど、紆余曲折の俳優人生をば、生き抜いてきてはりまして、

これまでの鬱屈ぶりを、大胆に解放してゆくような演技ぶりに、トンデモなく魅せられますわ。

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カルト①では、ヒロイン刑事・竹内結子の、引き立て役っぽいながら、ラブリーな役を演じたけど、

本作はとことんクールで、男のハードボイルド演技を、遺憾なく発揮しはりました。

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バイプレーヤー陣も、キレまくっとりま。

本作映画版のゲスト陣としては、松坂桃李の、気狂いエキセントリック演技。

対して、伊勢谷友介のクール演技。

さらに、ビートたけしの怪演。

チョチョギレのゲスト・プレーヤー陣に、目が点になってまいます。

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モチ、テレビドラマ・シリーズからのレギュラー陣も、快演技で魅せはりまっせ。

私立探偵役の香川照之、女刑事役の真木よう子、ヤバ・エキセントな長谷川博己やらが、

好感あふれる、正義節演技を、見せてくれはります。

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監督は、「海猿」シリーズ(2004年・2006年・2010年・2012年)で、ハリウッド映画的日本映画の、礎を築いた、羽住英一郎はんどす。

「セブン」(1995年・アメリカ映画)のような、暗示的血まみれシーンから、

銃撃戦、トンデモ・カーアクションまで、待ったなしのアクション演出が、ズゴ過ぎるわ~。

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ちゅうことで、ハリウッド映画にも負けない、ちゅうか、ひょっとして超えたかもしれへんような、

アクショナブルかつスリリングな、刑事ドラマ映画をば、構築しはりました。

これは何が何でも、映画館へ、見に行くしかありまへんな。

2015年11月 7日 (土)

「グラスホッパー」⇒土曜ワイド邦画劇場

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ヒッチコック監督的巻き込まれ型・主人公を造形した作品

各演技陣の群像劇的アンサンブルが快感

http://www.grasshopper-movie.jp

11月7日の土曜日から、KADOKAWAと松竹の配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「グラスホッパー」製作委員会

いきなりやけど、伊坂幸太郎原作映画の、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)をば、かつてもやったけど、言いますと…。

①本作②アヒルと鴨のコインロッカー(2007年製作)③重力ピエロ(2009年)④ゴールデンスランバー(2010年)⑤ポテチ(2012年)

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●伊坂幸太郎ちゅうたら、映画ダイスキの作家どす。

そんな作家の作品が、次々に映画化されるとゆうんは、ある意味で快感どす。

映画的な仕掛けも、存分に施されとるだけに、映画映えしやすい作品が続いておます。

中でも顕著なのは、巻き込まれ型主人公を、創出した作りが、①から⑤まで、多かれ少なかれ、通底しとるとこどす。

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モチ、映画的にすぐ思い出すんは、アルフレッド・ヒッチコック監督作品とのシンクロでおます。

本作は、伊坂作品としては、初のハードボイルドとして、上梓されたもんなんやけど、

主人公の造形ぶりから見ても、ヒッチコック作品を意識した作品やと思て、間違いおまへん。

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また、伊坂作品には顕著なとこやけど、群像劇的に、多彩な人物が、登場するっちゅうとこがありま。

まずは、主人公役の生田斗真のアニキ。

渋谷のハロウィンまつりで、ツッコむ車に彼の彼女役・波瑠ちゃん(写真上から3枚目)が、轢き殺されてまいます。

それは誰かが、仕組んだことやったんやけど、

斗真アニは、現場に残された誰かのメッセージから、その仕組んだ組織に、潜入しはります。

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さてはて、あんましリアル感はないと思うけども、殺し屋たちが、フツーのように出てきて、イロイロ暗躍してはります。

イロンナ殺し屋像がありま。

浅野忠信アニキ(写真上から2枚目)は、統合失調症まがいに、今まで殺した奴の幻覚を見はりまんねん。

初めて殺した自分のオトン(宇崎竜童はん・写真上から7枚目)は、しょっちゅう出てきて、忠信アニに、イロイロ忠言しはります。

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村上淳に雇われた山田涼介は、ハードロックなサントラに乗って、ナイフで次々に、ターゲットの人たちを殺してゆきます。

このあたりのバイオレントな描写は、時々ハデめに展開しよります。

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悪の組織のボスは、邦画史上ベスト悪役とも言える、石橋蓮司はん(写真上から9枚目の一番前)が、マイペースでやらはります。

ほんで、ボスの指令を受けた菜々緒ちゃん(写真上から4枚目)が、

逼迫アクションを、かつての日活アクションのノリで披露しやるねん。

また、逃亡する斗真を匿うことになる、ワケあり夫妻役に、吉岡秀隆(写真8枚目)と麻生久美子(写真5枚目)が、涼しい感じで演じはります。

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いずれ劣らぬクセ者揃いの、演技陣の演技が、本作のミステリアス度合いをば、増してゆくんどすが、

中でも、最も柔(ヤワ)なんが、主人公・斗真アニどして、恋人の復讐をしようと、積極的にやろうとしたわけやないのに、

巻き込まれもって、ストーリーの流れに乗って、アレアレちゅうてる間に、復讐を完結させるとこなんか、ハットトリッキーでありました。

カッコイイヒロイズム映画の、逆手を取った作りが、逆に爽快感を呼ぶ快作でおました。

2015年11月 6日 (金)

ヒラリー・スワンク主演「サヨナラの代わりに」

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ビョーキ介護系で、女2人のキズナを描く

ヒラリー・スワンクと、エミー・ロッサムの女の友情や

http://www.sayonarano-kawarini.com

11月7日のサタデーから、キノフィルムズの配給によりまして、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマやらで、全国ロードショー。

本作は、2014年製作のアメリカ映画102分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Daryl Prince Productions, Ltd. All Rights Reserved.

本作は、多彩な映画ジャンルのカタチで、分析できる映画となりましたえ。

介護系映画、病系映画、歌がポイントにもなる映画、夫妻・家族映画、ヒロイン映画など。

でもしか、ボク的には、本作の最大ポイントは、女の友情ものやないかなと思いま。

ちゅうことで、女の友情もの映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、手前勝手に言いよりますと…。

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●ベスト⇒①ジュリア(1977年製作・アメリカ映画)②テルマ&ルイーズ(1991年・アメリカ)③噂の二人(1961年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②アデル、ブルーは熱い色(2013年・フランス)③下妻物語(2004年・日本)

●ベストは20世紀もの、カルトは21世紀ものとなりましたが、20世紀も21世紀も、友情ものとしての、基本的スタイルは変わっとりまへん。

確かに、カルト②などは、レズ映画的な友情ちゅうか、愛ものラブ・ストーリーどすが、そこでも、

女友情ものには、男友情ものとは違い、女性的に繊細かつ優しさが、そこはかとなく漂っておます。

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本作もまた、女性の友情らしさが、顕著に表現された傑作どす。

不治の病ALSになってしもた女と、彼女を介護する、介護経験ゼロの女。

ALS女のダンナやオカン、素人介護女のオトン・オカン、さらに、介護女の恋の行方など、2人の友情とは関係ないとこでも、

ビミョーかつフック的に、友情ものを盛り立てます。

最後には、病系映画にはありがちとはいえ、お涙ちょうだいとは違う、2人の感動的なシークエンスへと、着地しはります。

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ALSヒロインは、本作の製作にも関わらはった、ヒラリー・スワンクのネーさん。

アカデミー賞主演女優賞を、2度もゲットしてはる彼女の、キャリアに見合った作品どした。

その2作品、性同一性障害の「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年・アメリカ)、女ボクサーとして致命的なダメージを受けた「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年・アメリカ)。

つまりは、悲劇的なヒロイン役を、悲愴なカンジで演じ抜いた、そのスタイルが、本作でも踏襲されておます。

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ほんで、彼女を介護しはるヘルパー役の、ミュージシャンでもある、エミー・ロッサムちゃん。

歌手志望の大学生どして、とてもやないけど、介護なんてようできへん役柄。

でもしか、そんな彼女が、ヒラリー・ネーさんと、絶妙に交流していかはります。

このあたりの描写は、友情を深める描き方としては、見事でおました。

ヒラリーが全てを、エミーに託す逸話、そして、エミーのヒラリーに捧げる、歌パフォーマンスなど、感動的なシーンが展開いたします。

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オーソドックスながら、普遍的な友情映画へと昇華された本作。

ボクも泣いたけど、涙なしには見られない作品どした。

でも、従来の病系映画とは違い、前向きなとこももらえる作品。

ぜひ映画館で、ご体感あれ!

 

2015年11月 5日 (木)

アメリカ映画「午後3時の女たち」

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セックスワーカーが、3人家族の中に入った時に何が?

女たちが、メッチャヤラシ過ぎる映画やでー

http://www.gogo3ji.com

11月7日のサタデーから、アット エンタテインメントの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は2014年製作のアメリカ映画98分で、「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 AFTERNOON DELIGHT, LLC ALL RIGHTS RESERVED

男たちよりも女たちの方が、メッチャヤラシー系の映画でおます。

つまりは、女たちの方が、積極的・赤裸々・奔放大胆ちゅう映画どす。

「セックス・アンド・ザ・シティ」(2008年製作・アメリカ映画)とか、

ヒロインのセクシャル・スタイル的には、オードリー・ヘプバーン主演の名作「昼下りの情事」(1957年・アメリカ・モノクロ)とも、何やらリンクしよるかもな。

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幼い息子が1人いてる、セックスレス夫妻の話どして、基本は夫婦映画なんやけど、

そこへセックスワーカー(聞こえはエエねんけど、つまりは売春婦)が家庭に入ってくることで、

トンデモない波紋が起こり、遂には…ちゅう内容の映画でおます。

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いきなり家内で丸ハダカになってる、ヨメ・ヒロイン(キャスリン・ハーンのネーさん)。ダンナから「服着ろよ」と言われま。

ストリップ・バーへ、ダンナと2人で行ってでんな、ピンク照明の個室プレーで、ジュノー・テンプルちゃんと、ヤッテまいます。

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ほんで、後日街角で再会し、思いがけずホームレスになってしもたジュノーちゃんを、ヨメは家に連れてきて、そして、住まわさせはりまんねん。

そして、ジュノーちゃんは売春をやり、一方でヒロインの息子の子守りもし、そして、夫やその友達へもちょっかいを出し…。

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でもしか、ヒロインのヨメとも、ベッドでマッサージをしたり、客のとこへ連れて行って、ヤッテるとこを見せたりして、ホンマ、ヤラシサ全開。

彼女に釣られて、ヨメも大胆不敵になってゆかはります。アラマ・ポテチン(ビックリ)やがな。

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酒を飲んでの乱れ具合やらを、見せる女子会シーンも。

「告発の行方」(1988年・アメリカ)や、男優マイケル・ファスベンダーの、ヤラシーどころを、

女たちが下半身ネタで喋り合ったりと、女ヤラシー系映画としての見どころが、随所にイロイロ控えとりまっせ。

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これまでは、おバカなコメディエンヌ役やらで笑わせ、

「ヴィジット」(弊ブログ分析済み)では、ワケありのオカン役をやらはり、ミステリアスやった、キャスリン・ハーンのネーさんやけど、

今作では、大胆果敢にも、セクシャル演技をば披露しはりました。

ヤラシサでは、ジュノーちゃんに負けるかもしれへんけど、セラピストとの話し合いも入れつつ、迷いつつ恐れつつ、嬉し恥ずかしの、ビミョーな演技で魅せてくれはりましたえ。

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歌ものサントラも快調だす。

さわやかな女ギター・ポップス、ストリップ・バーで流れるヒップホップ、ポップ・ナンバーやスロー・ナンバーまで、多彩どす。

また、映画の内容とも、キッチュに合っておました。

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もしかして…女の方が男よりヤラシーかも…そんなところが、映し出された作品やと言えましょうか。

ラストシーンも、ヒロインが歓喜してまうセックス・シーン。ウーン、これはたまりまへんで。

ちゅうことで、快感ステキな、アメリカン・インディペンデント映画の会心作でおました。

2015年11月 4日 (水)

ノルウェー映画「1001グラム ハカリしれない愛のこと」

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静かでクールな展開の、ヒロイン映画どす

後半のラブ・ストーリーへの転回が、異色・快感な作品

http://www.1001grams-movie.com

10月31日の土曜日から、ロングライドの配給で、Bunkamuraル・シネマ、シネ・リーブル梅田、京都シネマやらで上映中。全国順次公開どす。

本作は2014年製作の、ドイツ・フランスとの合作となった、ノルウェー映画91分や。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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BulBul Film, Pandora Film Produktion, Slot Machine Ⓒ 2014

ノルウェー映画のヒロイン映画なんやけど、ノルウェーやからやないやろけど、異色の作品になっとります。

まずは、ヒロインの生活環境・仕事場・家庭を、静かに描かはります。

ヒロイン(アーネ・ダール・トルプ)は、キログラム原器なるものを扱う、国立の研究所に勤めてはります。

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その原器を映すシーンから、本作は始まるんやけど、それがどういうものなんかは説明されまへん。

まあ、見ていったら、大たいのことは分かるんで、何とかなるやろけど。

テーマはあくまで、ヒロインの映画どして、後半では、ラブ・ストーリーが展開します。

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狭い電気自動車で会社に通勤したり、ヒロインが一戸建ての家で、1人で暮らすといった、1人のとこを、実は、しつこいくらいに映さはります。

ダンナと別居中やし、研究所の重役のオトンとは、別々に暮らしてはります。

オトンは家業の農家を継いで、今は1人暮らしどす。

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ヒロインのシーンを中心に、セリフの少ない描写シーンが、束ねられてまいります。

サントラは流れるけども、あくまで静かに物語は、スローテンポで進行してゆきよります。

ほんで、オトンが倒れて入院とゆう事件(後日逝去)が起こり、

オトンに代わってヒロインが、原器の世界セミナーに参加すべく、パリへ出張しはります。

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この原器の大会も、雰囲気で見せるカンジで、細かい説明は省かれとります。

雨も降ってへんのに、青い傘を持って、参加者たちが連なって、歩いていくシーンなど、映画芸術的に、映えるシーンはあるんやけども、

とことん描写に徹して、物語を押し進めはります。

こういうとこが、北欧映画らしいクールさなんやろか。

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決して笑わないヒロインも、パリで運命の男と出会うまで、クールかつ無表情で、何を考えとんのか、よう分からんとこがありました。

謎めいた挙動でもなく、そのキモチは分かるんやけど、イマイチ感情移入でけへんような、距離感があります。

おそらく、コレはベント・ハーメル監督の、演出意図に即したもんでおましょう。

後半に展開するヒロインの、ラブ・ストーリーを際立たせたい、っちゅうような狙いどすか。

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ノルウェー・サイドでは、車のブルーなど主に寒色系を、パリ・サイドでは、セピアなどの暖色系の色使いをして、ヒロインのキモチをば、対比させる仕上げをしてはります。

けども、その打ち出し方は、さりげないものなんで、はっきりと意識して見ない限りは、分からへんやろな、たぶん。

派手なラブ・ストーリーを見慣れた人こそ、このビミョーな仕掛けを施した、恋愛映画を見てもらいたいわ~。

地味やけど滋味がある、渋みある映画に、静かに浸ってみておくんなまし。

2015年11月 3日 (火)

大ヒット中の「PAN ネバーランド、夢のはじまり」

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「ハリー・ポッター」的少年が、大活躍するルーツといえば…

ピーターパンって、みんな知っとるよな?

http://www.pan-movie.jp

10月31日から、ワーナー・ブラザース映画の配給で、全国ロードショー中だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPACDUNE ENTERTAINMENT LLC.

「ハリー・ポッター」てゆうたら、今のとこ、21世紀の最大ヒット・シリーズでおますが、

ハリポタゆうたら、やっぱ少年冒険ものでおますわな。

ほんで、少年冒険ものちゅうたら、イギリスが伝統的に宝庫なんやないやろか。

スティーヴンソンの宝島も、そうやったし。

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さらに、異世界を設定した、ファンタジーな物語とゆうのんも、イギリスもんに、有名なんが多いと思うわ。

21世紀現代のハリポタを始め、「指輪物語」が原作の「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年~2003年・全3作)に加え、「ナルニア国物語」なども。

そして、本作の原作のネバーランド舞台の、ピーターパンの話も、イギリス発の物語なんでおます。

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そんなイギリスものを原作に、大胆に解釈・アレンジして、ハリウッド的ゴージャスで、オリジンを示したんが、本作でおます。

原作のポイント・ネタに、ブレはないんやけども、いやはやトンデモネー話に、

換骨奪胎(かんこつだったい・元ネタを基本にしつつも、全く違った話にすり替えた)したんやないやろかいな。

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第二次大戦下のイギリス・ロンドンの、孤児院から始まり、そこの描写が日常生活ラインで、描かれとったかと思いきや、

いきなりピーター少年を拉致する、空飛ぶ船が現れ、空から宇宙へ、ほんで海へ落ち、ほんでネバーランドへとちゅう流れは、トンデモ強引な急流やったけど、

この急流転回が、本作には何度か訪れまして、ほんで、そこが大いなる見どころになっとります。

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空飛ぶ海賊船アクションを始め、クライマックスのフェアリー世界での、ミラクルな対決など、

「パイレーツ・オブ・カリビアン」(2003年~・アメリカ)の、SFファンタジック版な展開アクションに、目が点になるスリリングがあります。

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何千里とかもある、母を探しての話は、古典的なもんがあるけども、

ピーターがオカン(アマンダ・セイフライド)を探す話を、こういう波瀾万丈的・アクショナブルに見せるとこは、

原作の本質でもあり、娯楽としての映画の、基本でもありましょうか。

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イギリスのジョー・ライト監督の、初のハリウッド的アクション・エンターテインメント作品どす。

文芸作品をベースに、渋いヒロイン映画をば、撮ってきはった監督はんどすが、

個人的なことをゆうと、「つぐない」(2007年・イギリス)が、一番ダイスキやねん。

けども、本作は監督としては、初の少年ものでもあるんやけど、

でもしか、確かに「ハリー・ポッター」と、甲乙付けがたい楽しさが、ベースにあるやろかと思います。

ちゅうことで、家族みんなで見に行って、楽しい時が過ごせる作品どす。

そして、エンタ作品としても、王道な一作でおますよってに、1人よりも、みんなで一緒に見に行こうで~。

2015年11月 2日 (月)

「犬に名前をつける日」⇒月曜邦画劇場

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動物ドキュメンタリーの、新しいカタチとは?

小林聡美主演で贈る、犬ドキュメントの感動作

http://www.inu-namae.com

10月31日から、スールキートスの配給により、シネスイッチ銀座やらで、全国順次の上映中。関西では、11月21日から、シネ・リーブル梅田やらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒスモールホープベイプロダクション

犬映画とゆうのは、アメリカでは、ディズニーものや、名犬ラッシーやベンジーやらがあるし、

日本でも「ハチ公物語」(1987年製作)を始め、イロイロあります。

アメリカでは、主に犬そのものが活躍するタイプ、ほんで日本では、犬を通した感動作が主流だす。

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犬が登場しない映画はないと言ってエエくらい、映画には犬が登場しますが、

最近では、アカデミー賞作品賞をゲットした「アーティスト」(2012年・フランス映画・弊ブログ分析済み)などでは、カンヌ映画祭で主演犬が、賞をもらうくらいの大活躍ぶりでおます。

ほんで、今年も、これまでにないもんが、出てきております。

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後日分析いたしますが、「アーティスト」と同じく、カンヌで犬が受賞した、ハンガリーからの「ホワイト・ゴッド」など、スゴイ犬演技を演出した作品があるかと思えば、

一方で、本作のように、犬ドキュメンタリーを、新しいタッチで、押しつけがましくない、感動のノリで描いた映画など、かつてないものが出てきました。

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ドキュメンタリーなんやけど、ヒロインの主演女優・小林聡美と、ヒロインの元ダンナの上川隆也が、フィクション設定で紡がれます。

ドラマをドキュ・タッチで描く、モキュメントとゆうジャンルがありますが、本作はあくまでドキュどす。

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小林聡美ネーさんが、飼い主のいない日本の犬事情を、映画で撮るとゆうスタイルで、ドキュは進行してまいります。

聡美ネーが事情を取材するとゆうスタイルは、例えば、アメリカのマイケル・ムーア監督の、社会派ドキュのノリとさほど変わりまへん。

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社会派としてのシビアな視線とは違い、本作はどこまでも温かい。

かわいそうな犬たちに、寄り添うようなとこもあるけども、なんでこんなことになっとるねんちゅう、訴え的視線はそれほど強くなく、

むしろ癒やしを探るような作りが、スゴク自然でほんわかとなりますで。

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ナンチューても、聡美ネーさんの演技ぶりが、ナレーションを含めて、メッチャ自然で温かく、

彼女でなければ、できへんような演技やと思いました。

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犬や猫たちを助ける、2つの団体・個人に、ディープなアプローチをしてゆく、ドキュではあるんやけど、

元ダンナの上川隆也との、犬を散歩しもっての話し合いも、ドラマ部なんやけど、ドキュにほんのりとしたフックを加えてはります。

また、人だけやなく、いろんな個性ある犬たちの、描写も絶妙どした。

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音楽監督「つじあやの」の、和みのウクレレ・サントラ、

ラストで流れる、ウルフルズの、前向きガッツな元気ポップ・ナンバーなども、映画を盛り上げてはります。

ちゅうことで、動物ドキュとして、大ヒットした「子猫物語」(1986年)や「キタキツネ物語」(1978年・ブログ分析済み)に、匹敵する作品どすえ。

2015年11月 1日 (日)

「俺物語!!」⇒日曜邦画劇場

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少女コミック原作とは思われへん、男気主人公の学園映画どす

しかも、何と純情系のラブ・ストーリーやなんて…

http://www.ore-movie.jp

10月31日の土曜日から、東宝の配給で全国ロードショー中。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒアルコ・河原和音/集英社 Ⓒ2015映画「俺物語!!」製作委員会

番長・ガクラン系暴れん坊・男っぽい体育会系など、そういうのんを、コンセプトにしはったコミックで、みなはんが思い出すのは、何どすやろか。

ボク的には、映画化された「嗚呼!!花の応援団」シリーズ(1976年~1977年製作・全3作)とか、

テレビアニメ化された「ハリスの旋風」(1966年~1967年オンエア・フジテレビ)とか、

スポーツものでは「ドカベン」(1977年に映画化)とかやろか。

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さてはて、そういう男気・番長系ものでは、主人公と女子とのラブ・ストーリーちゅうたら、

あくまでサブ的フック的に、綴られるもんやったかと思います。

加えて、そういうのんは、男の子向け漫画雑誌やらで発表されとるもんで、大たいが男の漫画家による作品どした。

ところがどっこい、本作は女流漫画家・河原和音が、少女コミック雑誌「別冊マーガレット」で発表・連載中のもんが、映画原作になっとります。

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そういうのんは、少女コミックでは初ものやろし、

また、女性の視点で捉えられとるんで、男気的な描写も、女性の憧れ的なとこがあり、男の漫画家とはビミョーに違います。

ほんで、三角関係的な純情ラブ・ストーリーを、そんな男気ドラマに仕込むとこなんかは、

男作家・男性コミック誌には、できへんとこやないやろか。

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コミック原作の学園ラブ・ストーリーが、最近ケッコー出とりまして、ヒットしておます。

ラブコメチックやったり、マジなラブ・ストーリーや、三角関係ラブやったりが多いけど、

本作は、男気とミキシングしたことにより、それらの作品とは、一線を画する異色の作品となっとります。

見どころの基本は、三角関係なんやけど、ヒロイン(永野芽郁=ながの・めい)は、番長系主人公(鈴木亮平)がスキやのに、

主人公は、彼女はイケメンの友達(坂口健太郎)がスキやと、とことん思い込まはりまんねん。

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観客はモチ、そこんとこは分かっとりまんので、おいおい、どんだけ鈍い男やねんと、思わはるやもしれまへん。

でもしか、最後の最後まで、勘違いで引っ張るとこの面白さが、本作ラブ・ストーリーの、最大のポイントなんでおます。

もどかしさやじれったさが、笑いもっても、最後まで付きまとってきよります。

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主人公の幼い頃からの、竹馬の友・坂口健太郎は、ヒロインと話し合っとるし、そこんとこが分かっとんのに、なんで主人公に、そのことを早く伝えたらへんのか。

とことんクールに、演技し続けてはるんやけど、このへんにも、もどかしさが発生しよります。

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みんな、元の顔を知ってるかどうか、分からへんけど、鈴木亮平が顔を変えて、演技に挑まはりました。

初のコメディアン役と違うやろか。

とにかく、彼の今までの演技を見てきた方には、どんでん返し的サプライズ演技だす。

そして、永野芽郁ちゃん。

今どきのアイドルにも、ぜひマネしてもらいたいくらいの、アイドル的カワイサぶりを披露。

しかも、観客にじれったさを、募らせる演技ぶりどして、ウ~ン、これは今後も楽しみな逸材やで~。

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