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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2015年7月の記事

2015年7月31日 (金)

「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」⇒イギリスのバンド映画

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紅2点男1人の3人組バンドの、ひと夏のライブ映画

ミュージシャン監督による、バンド作りドラマ映画どす

http://www.godhelpthegirl.club

8月1日のサタデーから、アット エンタテインメントの配給によりまして、

東京・新宿シネマカリテやらで、全国順グリのロードショーどして、

関西やったら、8月15日から、シネ・リーブル梅田やらで上映だす。

本作は、2014年製作のイギリス映画111分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸFINDLAY PRODUCTIONS LIMITED 2012

イギリス・スコットランドの、ベル・アンド・セバスチャンちゅうバンドを、みんな、知っとるか~。

もし知らんでも、ユーチューブやらで聴いてみなはれ。

ゴリゴリのロックやなく、さわやか系のポップス。

アメリカのフィリー・ソウルや、カリフォルニア西海岸な清涼ポップスをば、思い出すハズやわ。

そんなバンドのリーダー&フロントマンの、スチュアート・マードックのアニキが本作を、10年間の仕込みを経てでんな、

映画オリジナル脚本にして、自らの映画初監督で撮り上げてきはりました。

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ミュージシャンが監督した映画ちゅうたら、みなはんは何を思い出さはるやろか。

ボクチンでゆうたら、サザンオールスターズの桑田佳祐が撮った「稲村ジェーン」(1990年製作・日本映画)とか、

小田和正の2本撮った映画やらしか、情けないことに、思い出されへんのやけど、

また、プリンスやらが撮った映画もあったけど、「パープル・レイン」(1984年・アメリカ)以外は、残念ながら未見どす。

また、共にバンドやってた、青山真治や辻仁成やらもいとりまして、海外ミュージシャンでは、いてんのかいてへんのか、ようは思い出せまへん。

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ボク的には洋画で初かも。マードック監督がバンドのフロントマンだけに、設定において、偶然の出会いとかもあるけども、

バンド作りの実際が、緻密にリアリティーをもって描かれてまいります。

但し、でおます。

リード・ボーカル&コンポーザーとなる、ヒロイン(エミリー・ブラウニング)が、うつ病と拒食症で施設に、入ってるっちゅう設定になっとるけど、

この病系がバンド活動とは、切り離されとるようなカンジで、バンド・ドラマ的には機能してへんのが、少しく気になったけど、まあ、些末なとこでおましょう。

前向きに生きるヒロイン・ドラマとしては、病系はありきたりかもしれへんけど、ラストの方では、ドラマのキモとして機能しとります。

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さてはて、スコットランドのグラスゴーあたりが舞台どす。

ミュージカル映画とゆうよりは、室内劇的に、チョイ振り付けなダンスはあるけども、

あくまで楽曲勝負の、ライブ音楽ムービーでおます。

ミュージック・ビデオなノリに見えながら、ビミョーに映画的モンタージュでいってはるんで、そのあたりもチェックやろか。

アメリカ製ミュージカルを模倣する作品も、イギリス製で作られとるけども、

本作はあくまで、ブリティッシュ・スコッチ・ミュージックのオリジンを示すような、音楽映画になっとるかと思いま。

とにかく、ギター・サウンドをポイントにした、オリジナル・ナンバーの数々に、魅せられます。

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オーケストレーション入りの、壮大なスロー・ナンバー、

さわやかなギター・ポップス、

踊れるダンス・ポップ、

みんなでダンシング、オーバーラップ的に魅せるスロー、

ピアノに乗ってのビデオ撮りシーン、

クライマックスでは、永くみんなの記憶に残るようなナンバーを、ドラマティックに披露したりと、

そらモー、とことんポピュラー音楽映画の粋に、満ちておるんでおますよ。

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ミック・ジャガーのいてるローリングストーンズ、レッド・ツェッペリン、モリッシー、デヴィッド・ボウイ、精子量を示すとゆうバンド「10cc(テン・シーシー)」など、

実在のバンドやミュージシャンを、セリフに散りばめながら、正攻法の音楽映画へと、着々と進行してゆくとこに、好感を覚えました。

バンドの3人の絆ぶりもベタやなく、

またヌーヴェルバーグ映画「突然炎のごとく」(1961年・フランス)的なとこもあるし、

一方で、「NANA」(2005年・日本)のように、あっさりさわやかな関係性もあって、良かったどす。

最終的なポイントは、ヒロイン・ドラマなんやけども、

でもしか、メイン的には、青春バンド映画として、聴きごたえ見ごたえ充分な、映画になったと、ボクは思います。

2015年7月30日 (木)

「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」

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ヴィム・ヴェンダース監督が描く、人間ドキュメンタリーの傑作

写真家サルガドを、息子はんとの共同監督で追う

http://www.salgado-movie.com

8月1日の土曜日から、東京・Bunkamuraル・シネマやらで、全国順次のロードショー。

関西やったら、8月8日から、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋やらで上映。

本作は2014年製作の、フランス・ブラジル・イタリア合作の110分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSebastiao Salgado ⒸDonata Wenders ⒸSara Rangel ⒸJuliano Ribeiro Salgado  ⒸDecia films - Amazonas Images - 2014

ヴィム・ヴェンダース監督て言うたら、映画史に残る傑作「パリ、テキサス」(1994年製作・フランス&西ドイツ合作)などを撮ってはる、ドイツ出身の監督はんどす。

でもしか、ドラマ映画もスゴイんやけど、ドキュメンタリー映画でも、スゴイのんを作り続けてはりまして、

ドラマ・ドキュの両面で、傑作をものしてはる、稀有な監督はんなんどす。

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しかも、ドキュはドキュでも、社会派ドキュより、人間ドキュへとフォーカスしはります。

東京を舞台に、故・小津安二郎監督の人間性に迫った「東京画」(1985年・西ドイツ)、

音楽ドキュながら、キューバのミュージシャンの熱き想いに迫った「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(1999年・ドイツ&アメリカ&フランス&キューバ)やら。

でもって、映画監督、音楽家らに続き、写真家にアプローチどす。

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描かれる主人公はブラジル出身の、セバスチャン・リベイロ・サルガドはん。

息子はんのジュリアーノと共に、ヴェンダース監督は、オトンの業績や作品以外に、人間性に迫ってゆくんやけど、

それらを単に、羅列したりしてゆくんやったら、フツーの人間ドキュにしかなりまへん。

けども、ヴィンダース監督はんはやはり、チョイと違いまっせ。

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絵画的映画的構図で、作品解説をやったりして、映画的作りにこだわってはるとこが、映画の隅々にまで、浸透しておました。

写真作品に負けず劣らずの、芸術度高しの構図が、頻出してまいります。

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ほんでもって、作品メイキングの、印象深いエピソードが満載どす。

最初の方の金鉱探しの、群像写真のメイキング。

ラテンアメリカの原住民なとこへ行って、その神秘のワザを撮り、アフリカの悶着や飢餓を撮り…

それらは全て、旅の連続で撮られたもんどして、

たまに家に帰ってきたオトンを、息子はんはヒーローやと、慕ってはったらしいどす。

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中でも、オトンと息子が、一緒に冒険した北極行は、アザラシとの関係も含め、緊張感がありました。

故郷の山の向こうに、何があるのかから始まった、オトンの写真家としての冒険ロード。

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その想いを、モノクロ作品やらを、そのまま映すだけやなく、

絵画的ロングショット、オーバーラップ、光と影の使い方などで、シブミとコクで捉えられておます。

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ほんで、最後の方では、オトンは森を作るとゆう方向へと、向かわはります。

社会派がネイチャー派へと移行する、この描写は事実そのままとはいえ、ウーンと唸るとこどした。

でも、バイオリンやらの、癒やしのサントラ使いで、違和感は緩和されとります。

1人の異能の写真家を捉えた作品としては、普遍性はどうかはあるにしても、

戦場カメラマンのルーツ、ロバート・キャパを捉えた作品やらと、決して遜色のない1作に、なっとると思いました。

2015年7月29日 (水)

韓国映画「コンフェッション 友の告白」

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男たちの友情、そして、やるせなさ

「友へ、チング」並みに、グッとクルかも

http://www.confession-movie.info

ツインの配給により、8月1日からシネマート新宿、8月8日からシネマート心斎橋やらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 OPUS PICTURES, All Rights Reserved.

男たちの友情映画ナンチューたら、これまでに、世界各国でそら、モノゴッツーなタイトル数が出ておます。

ラブ・ストーリー、家族映画、時代劇、シリアスな南北問題もの、アクション含むR指定なエグイのんなどが、主に韓国映画の定番になっとる今やけど、

本作みたいに「男の友情」を、キーワードにした映画も、実のとこケッコーあります。

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ボクはその種の友情映画を、全部見てるワケやないけど、順位通りに、韓国映画のマイ・ベスト・スリーを言いますと…。

①友へ、チング(2001年)②JSA(2000年)③王の男(2005年)③本作

●本作を3位同率でわざと入れようと、やったワケやないんやけど、

最近は男の友情もんは、少なく思いますゆえ、新鮮どした。

南北問題に仮託して、兵士同士の友情も描いた②や、時代劇でゲイに近い友情を描いた「王の男」など、

韓国映画潮流に、乗ったもんが目立つけど、

真っ向勝負のストレート、さらに現代ものとなれば、①が突出した仕上がり。

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ほんでもって、本作は、①と同じく幼なじみ、もしくは学生時代の友達が大人になって、どない友情や絆を結んでゆくのかに、こだわった仕上げでおます。

エキセントリックなヤクザ映画的ノリで描かれた①に対し、

本作は裏業界の話もあるけども、小市民的に大人になった3人のお話でおまして、

でもしか、友のためにやったことが、エライことになり、

そして、キズナが壊れゆくっちゅうとこは、背景は違うけど①とシンクロしておます。

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ただ、泣きと感動は、①の方が上かもしれまへん。

けども、ミステリー的な面白さでは、直情系の①とは違って、ヒネられておます。

さてはて、男の友情を奏でる演技者たちは、チソン、チュ・ジフン、イ・グァンスの3人どす。

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3人は中学卒業時に、キズナを深めるエピソードがあり、ほんでそれから17年後。

未だ同じ町に暮らす3人やけど、チソンのために、あとの2人が保険金サギ事件を、やろうとしたんやけど、

チソンのオカンを死なせ、チソンのオトンを意識不明の重体にさせる、っちゅうような事態になってまいます。

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チソンはそんなことを知らぬまま、事件の主犯の2人と共に、事件究明に動き出すとゆう展開。

①と同じような“やるせない”シークエンスが頻出しよります。

保険調査員、警察などと競合しつつ、やがて、真相にたどり着いた時…。

チソンのクールと、追いつめられて逼迫モードになってゆくチュ・ジフンの、対照的な演技ぶりもまた、ドラマ的ハラドキを増します。

ちゅうことで、韓国映画まだまだいくでー、を感じさせる逸品どした。

2015年7月28日 (火)

「ベルファスト71」⇒イギリスの逃亡劇の傑作

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イギリスVSアイルランド映画の、新しき視点で描かれる

スリリング・サスペンス度合いは、かつてない仕上がりや~

http://www.71.ayapro.ne.jp

8月1日のサタデーから、彩プロの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やらで、全国順次のロードショー。

関西やったら、9月19日の土曜から、テアトル梅田やらで上映でおま。

本作は2014年製作のイギリス映画。本編99分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION/BRITISH FILM INSTITUTE/SCREEN YORKSHIRE LIMITED AND RUN 71 LTD 2014

アイルランドのイギリス支配と、イギリスへのアイルの抵抗運動とゆう図式は、映画作りにも当然波及しております。

とゆうことで、イギリスVSアイルもの映画の、

マイ・ベスト・フォー(順位通り・4本にしたのは、5位以下とはかなりの差があったからどす)をば、披露いたしますと…。

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①ライアンの娘(1970年製作・イギリス映画)

②マイケル・コリンズ(1996年・アメリカ)

③本作

④麦の穂をゆらす風(2006年・アイルランド&イギリス&ドイツ&イタリア&スペイン)

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アイル側の抵抗運動をそのまま、ドラマティックに描いて、ヴェネチア国際映画祭の最高賞をゲットした②や、

カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールをもろた④やらが、

抵抗運動の中の兵士・運動家の、ヒューマニズムを描いた作品の、雛形でおましょうか。

また、IRA軍のアメリカへの抵抗やテロを、ハリウッドのアクション映画として描いた娯楽作品も、

一時はブーム的に作られておました。

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でもしか、アイルのストレート系やなく、違った視点から作品を描いた映画は、実はさほどありまへんねん。

中でも①は、「ロミオ&ジュリエット」の作品性を、アイルの娘とイギリス軍兵士の間で、展開させた大作やったな。

ほんで、本作。アイルやなく、イギリス側の視点から描かれた作品としては、かつてほとんどなく、

しかも、イギリス対アイル映画としては、最もスリリングかつ、ハラドキのサスペンスあふれる1作になっとります。

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また、アメリカVSアイル・IRAな、ハリウッド映画流アクションとは違い、

イギリスVSアイルのイギリス視点は、ドッカーンもあるけど、あくまでハラドキに徹した作り。

イギリス出身の、アルフレッド・ヒッチコック監督サスペンス的に、展開するんでおます。

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ヒッチコック作品の、「北北西に進路を取れ」(1959年・アメリカ)とか、「間違えられた男」(1956年・アメリカ)みたいに、

1人の男が、敵から攻撃を受けながらも、逃げてゆく話やけど、但し、応戦して敵をやっつけようとはなりまへん。

あくまで、逃亡劇に徹した作りでおます。

本作は、「71」のタイトルにあるように、1971年の実話がベースになっとります。

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アイルの街・ベルファストへ、イギリス軍が派遣され、

主人公(ジャック・オコンネル)ら兵士たちが、任務を遂行しようとしたら、いきなり民衆の暴動に遭い、

ほんで、銃を奪われ、仲間が銃殺され、主人公はたった1人で、逃げ回るっちゅうような事態になってまいます。

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この逃亡劇こそが、本作の大いなる見ものでおます。

1人のか弱き兵士を、大マジで追うアイル側の者たちも、モチいとります。

ほんで、危機を助けてくれた少年が、バーで爆死してまう。

その後、シンセだけを流すサイレントになって、手持ちカメラの揺れる映像で、主人公がさまよっていくシーンなど、

たびたびやってきよるヤバイ・シーンに、見ていてワクドキ・ハラドキになるっちゅうような、作りになっとりまんねん。

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セピアなシーンを始め、夜の逃亡なだけに、ダークなトーンで、画面作りがなされているんも、緊張感やスリルを増してゆく因子になっとります。

逃亡劇映画としても、出色の仕上がりの本作は、

洋画のマイ年間ベストテン級の仕上がりやと、ゆうてもエエ作品どしたえ。

2015年7月26日 (日)

「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」⇒日曜邦画劇場

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日本の特撮映画の、最高ラインを示した快作

人間対巨人のシンプルさは、世界共通の分かりやすさ

http://shingeki-seyo.com

8月1日の土曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。本作は前篇どして、後篇は9月19日公開。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 Ⓒ諌山創/講談社

特撮映画というのは、日本映画界では「ゴジラ」(1954年製作)以来、

東宝映画の十八番のドル箱でおます。

21世紀になってさらに進化。

ハリウッド版ゴジラを除いた、21世紀の東宝映画のマイ・ベスト・スリーは、

戦争映画「永遠の0」(2013年)、パニック・ムービー「日本沈没」(2006年)、そして本作だす。

3
コミック原作、前後篇に分けての公開と、21世紀以降、トレンドになっとるスタイルを踏襲し、

人類と人類の未来の敵との対決とゆう、オーソドックスやけど、シンプルで分かりやすい作りになっとります。

しかも敵は、エイリアンとか悪の組織やなく、怪物。

でもしか、怖~いモンスター的造形やなく、人間をベースにした巨人でおます。

モチ、巨人たちが敵になるのは、映画史上初。

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その巨人は、原始人みたいにハダカやけど、フツーの人間に付いてるモンはなく、ほとんど無表情。

でもって、フツーの人間を、手づかみで食べてまうんどす。

ほんで、突然変異的に、顔や体が変わったり(写真上から2枚目)しよります。

モチ人間に対し、敵対的どして、集団で襲ってきよりま。

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その巨人対策で防御壁を作った結果、100年は壁を越えてけえへんかったのに、壁の向こうの海を見に行こうと、

主人公役の三浦春馬と本郷奏多(かなた)と、水原希子(きこ)が、壁を乗り越えようとしたら、遂に越えてきよりましたがな。

追う巨人たちに、逃げ惑う群衆。

このトンデモパニック・シーンの造形から、ググッグイッとドラマへと、引きずり込まれます。

ほんで、赤ん坊を助けようとした希子チャンが、春馬クンの目の前で、巨人に食われてしまい…。

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2年後。居住地区が後退した人類は、新たに壁を修復し、巨人を倒すために、戦闘チームを結成しはります。

ところがどっこい、集められたんは、若(弱)年層の男や女たちやった。一部どすが、各人の演技を見ると…。

春馬としょっちゅうケンカする、三浦貴大(たかひろ)のアニキは、ワイルドながらも、ビビルとこはビビル妙演。

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食い意地の張ってる、弓矢の名手・桜庭ななみチャンは、ボクは久々に見たけど、ツッパリな強気系。

巨人は延髄を抉られると消滅するらしく、その延髄斬りの名手で、長谷川博己(ひろき)アニやんが出演。

このところコミカル演技が続いてたけど、ここはピリッと辛口演技どす。

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ほんで、長谷川博己に救われたんか、希子チャンは生きてはりました。

2年前の柔和な演技とは正反対で、クールでシリアス。

まあ、当たり前やろけど、自分を見捨てた春馬クンに、冷たく接しはりまんねん。

ほかでは、石原さとみネーさんが、これまでになかった、喚(わめ)き散らすセリフ回しをば、ドカーンと披露しはります。

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さてはて、本作は「日本沈没」も撮った、樋口真嗣監督作品どす。

日本の特撮映画の、今や巨匠的存在やろか。

クライマックスの対決アクション・シーンなども、現在の日本特撮の最上級を示さはります。

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後篇は9月19日公開。

その前に、dTVオリジナル・ドラマ「進撃の巨人 ATTACK on TITAN 反撃の狼煙」が、8月15日「第1話」、8月22日「第2話」、8月29日「第3話」の順番で配信されます。

桜庭ななみ、石原さとみら、兵士の姿が描かれとるんで、こちらも要チェキだす。

2015年7月24日 (金)

「人生スイッチ」⇒トン・トン・トンデモない映画やで~

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ディープ・インパクトな、6話オムニバスが展開

狂気と逼迫とエスカレートが満載

http://jinseiswitch.gaga.ne.jp

7月25日のサタデーから、ギャガの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、京都シネマ、イオンシネマ京都桂川、シネ・リーブル神戸やらで、全国順次のロードショー。

本作は2014年製作の、アルゼンチン&スペイン合作。本編122分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Kramer & Sigman Films / El Deseo

一言でオムニバス映画ゆうても、いろんなバージョンがあります。

ちゅうことで、マイ・ベスト・ファイブ(順不同・監督共演オムニバスは外す)をば、思いつくままに列記いたしますと…。

①本作②運命の饗宴(1940年製作・フランス映画)③パルプ・フィクション(1994年・アメリカ)④怖がる人々(1994年・日本)⑤デカメロン(1971年・イタリア)

●ジュリアン・ディヴィヴィエ監督②や、クエンティン・タランティーノ監督③は、狂言回しやらで、話をつなげてゆくようなカンジやけど、本作・④⑤は、1話完結でいってはります。

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但し、トータリティーや、一貫したテーマがありまして、原作のある④⑤とは違い、本作はオリジナル脚本でおます。

狂気と逼迫。エスカレートしていく物語を、6話で披露。

作品性におけるトータリティーとしては、イロイロオムニバスは出回っとるけども、

スマートさや登場人物を含めたシンクロを、求めたもんが多い中で、

これほどトンデモないとこをば、全話にわたって採り上げたもんは、稀でおましょうか。

ちゅうことで、1つ1つ見ていきましょか。

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①「おかえし」⇒航空パニック映画どす。なんてゆうたら、ハリウッドのパニック映画を、思い出すかもしれへんけど、ココは少しく違うとこからアプローチ。

ネタバレせんように言うと、アガサ・クリスティ原作映画「そして誰もいなくなった」(1945年・アメリカ&1974年・イギリス)の航空版なんどす。

「そして誰も…」は、主犯を貶めた者たちに対し、島に招待して、全員に復讐するちゅう映画どした。

島=航空機となったとこの衝撃を、お楽しみくだされ。

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②「おもてなし」(写真上から3枚目)⇒作品の内容に対し、メッチャアイロニカルなタイトルどす。

こちらも①の復讐ドラマが、ポイントなんやけど、少し違ったとこから描いてはります。

③「エンスト」(写真上から4枚目)⇒ボク的には、6話の中で一番オモロかった。

スピルバーグ監督の「激突!」(1971年・アメリカ)のストレート版。

「激突!」では、主人公のクルマが、トラックを追い抜いただけで、その謎めいたトラックから、カーチェイスされてもうて、襲われるカンジやったけど、

コレは運転手のイチャモン付けから、カー同士の対決へと、エスカレートしてゆく物語どす。

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④「ヒーローになるために」(写真2枚目)⇒コレもアイロニーある、タイトル付けでおます。

駐車違反への抗議が、大バクハツ・シーンへと発展する、エスカレートぶりをば描いてはります。

⑤「愚息」⇒カネ払うから、代わりに犯人になってやもんやけど、

これまでとは違う、アイロニーに満ちたタッチに、注目しておくんなまし。

⑥「HAPPY WEDDING」(写真5枚目)⇒結婚式映画なんやけど、いきなりの花婿の浮気疑惑から、花嫁がトンデモ・エスカレートしてゆくお話どす。

いやはや、ビックラコンな結末が待っとりまっせー。

ちゅうことで、ボク的には、本作は、今年の洋画ベストテン級の映画どした。

2015年7月23日 (木)

「共犯」⇒台湾の学園ミステリー映画

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女子高生の自殺の真相を、3人の男子高校生が追う

前半と後半が、合わせ鏡のように織りなされた結末は?

http://www.u-picc.com/kyouhan/

7月25日のサタデーから、ザジフィルムズとマクザムの配給で、東京・新宿武蔵野館、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国漸次のロードショー。

本作は2014年製作の、台湾映画89分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Double Edge Entertainment Ⓒ 2014 All rights reserved.

高校の学園ミステリーどす。

学園ミステリー映画は、これまでにいっぱいあり、生徒たちが事件の、真相究明をするパターンも多いわ。

例えば、今年も邦画では、前篇と後篇に分けた「ソロモンの偽証」(弊ブログ分析済み)なんぞが、公開されました。

「ソロモン」は本作の高校と違い、中学校舞台で、学生同士の校内裁判にまで発展しますけども、

実は、本作はビミョーに「ソロモン」と、シンクロしておるんどすえ。

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生徒の飛び降り自殺と見られる事件。発見者たちが、その真相を究明しようとするノリ。

いじめやらが、1つのキーワードになっとるとこなど。

さらに、ネタにも関わるとこまで、実は…なことになっとりまんねん。

そやから、「ソロモン」を見た人が本作を見たら、ウーンと唸ること間違いないやろな。

でもしか、人物関係やら設定は、モチ違うし、宮部みゆき原作だけに、ミステリー度の高い「ソロモン」に対し、

本作はミステリー的サプライズもあるけど、むしろ映画的な作りは「ソロモン」より上やと思いました。

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自然光による山の緑、夜のセピア照明など、色使いの工夫、あるいは対比。

スローモーションの使い方。アップ少なめ。空をバックにしたショットなど、キレ味鋭いロングショットが頻出。

映画的作りとしては、計算された撮り方に目がいきます。

サントラもダイジェスト・シーンで、ギター・フィメール・ポップスを流し、

ラストロールでは、flumpool(フランプール)の、中国語歌詞のポップ・ロックを流して、カッコ良さ・センスの良さも垣間見せはります。

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さてはて、ストーリー的なことを申しますと、

女子高生の死体を発見した3人が、自殺と決着を見たあとに、自殺の原因を知りたくて、彼女の飛び降りたマンションの部屋へ侵入し、意外なものを発見。

彼女がある同級生の女に、いじめられとったんやないかとなり、

その女を学校の裏山におびき出して、懲らしめようかいなと、3人は考えて実行。

ところが、懲らしめられたと思った快感のあと、3人が裏山の湖ではしゃいで泳いどったら、1人が溺死してまいまんねん。

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その第2の事件が、第1の自殺事件とシンクロナイズしてゆく後半の展開こそ、

本作のミステリー的ハットトリックが、楽しめる仕掛けになっとりまんねん。

つまり、前半と後半は、合わせ鏡のようになっとりまして、

いじめや孤独など、よくあるパターンながらも、そのよくあるを超える、サプライズがありま。

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そのミステリー的意外性は「ソロモン」と比べても、勝るとも劣らへんもんでおます。

写真上から2枚目は、登場人物たちの集合写真やけど、シーン写真やありまへん。

この6人が織りなす、学園ミステリーちゅうことどす。

この6人の中に、本作の事件をば、演出した者がいてはります。ちゅうことで、そいつは誰かを、当ててみておくんなまし。

2015年7月22日 (水)

「バトルヒート」⇒トンデモ・バトル・アクションやー

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ドルフ・ラングレンの最高傑作になったでー

リベンジのリベンジで、真っ向勝負な、ストレート・アクションや~

http://www.battleheat.jp

7月25日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオの配給で、全国順次のロードショー。

関西では、8月1日から、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映だす。

本作は、2015年製作のアメリカ・タイ合作の96分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSC FILMS THAILAND Co., LTD 2014

ドルフ・ラングレンとトニー・ジャーが、アクションを披露する作品。

ちゅうても、はっきりゆうて、どちらも知らんな~ちゅう人が、かなりいてはるやろかと思います。

ボクチンもまあ、そんなみなはんの、部類に入る1人かもしれへんけど、取りあえず、ドルフ作品は少しは見とるんで、

彼のマイ・ベスト・スリーを、順不同でチョイゆうてみると、

①本作②ユニバーサル・ソルジャー(1992年・アメリカ)③ロッキー4 炎の友情(1985年・アメリカ)

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ボク的ドルフは、ベスト②が、圧倒的な面白さ・醍醐味があったかと思とります。

「ターミネーター」シリーズのシュワちゃんと、当時、張り合うくらいの凄みをば、感じとりましたけども、

その後シュワちゃんとは、出てはる作品のヒットのいかんにより、だいぶと差を、付けられてしもた感はあるんやけど、それでも、アクション一筋。

けども、本作では、久々に見たドルフやったけど、

ヒューマン・ドラマとしても、渋みのアクションものとしても、間違いなくドルフの最高傑作になったと、確信できた1本どした。

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昔からあり、映画でもケッコーある、女たちや子供たちの身売りビジネス、人身売買を、ポイントにしとるんで、新鮮味はないように見えるけど、本作はちょっと違います。

リベンジのやり合いで、アクション・シーンの連続シュート。

「マッハ!!!!!!」(2003年・タイ)やらの格闘アクション、「ワイルド・スピード」シリーズで暴れてくれてはった、

タイ出身のトニー・ジャーの、アクションも見どころどす。

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人身売買ビジネスを捜査するんが、カンボジアのトニー・ジャー刑事はん。

身売りされた女を、スパイと恋人にして、犯罪組織に肉迫。

一方、ドルフ刑事はアメリカで、密売・密輸の組織のボスの息子を射殺。

その報復で、家を燃やされてしもて、妻が焼死、娘はんが組織にさらわれてまいます。

ほんで、ドルフは、隠れるボスやらを追って、カンボジアへ潜入しはります。

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カンボジアで、カーとバイクのチェイスを始め、銃撃戦から格闘バトルな肉弾戦まで、スリリングに展開してまいります。

2人バーサスと、政府軍との対決などが繰り広げられる、クライマックスは、本作の一大ハイライト。

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ハリウッド映画アクションの、新型オリジンを示すようなとこはないけども、ドキドキで魅せてくれはります。

ラストロールの、フィメール・シンセ・ミディアム・スローも、余韻ありや~。

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さてはて、リベンジ映画は、イロイロ進化しておまっせ。

本作は、身内を殺した人間への復讐。

進化系とは言えへんかもしれんけど、海外を舞台にドルフが、警察や犯罪グループと対決や。

ヒューマニズムある映画に、さほど出てこなかったドルフの演技は、今回は別格の仕上げになっとります。

ロボット的やけど凄かった「ユニバーサル・ソルジャー」のノリに、人間ドラマ性を付加して、

本作は、ドルフ・ラングの最高傑作になった作品やと、断言いたします。

2015年7月21日 (火)

「Mr.タスク」⇒トンデモない映画どす

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生き物系人間ドラマは、本作ではセイウチ人間や~

監禁系映画としても、トンデモ系でゆく作品

http://www.kibasan.jp

8月8日の土曜日から、武蔵野エンタテインメントの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国順次のロードショー。

東京では、7月18日より上映中。

本作は2014年製作のアメリカ・カナダ合作。本編102分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Big Oosik, LLC, and SmodCo Inc. All Rights Reserved.

WEBラジオのDJとして人気の2人(ジャスティン・ロングと、子役の時とは見違えてもうた、ハーレイ・ジョエル・オスメント)の1人、ジャスティンが、

カナダへ取材に行って、本命の取材とは別の件で、エライ目に遭うっちゅう話どす。

狂気に満ちた男が、ジャスティンを監禁する話でおまして、ミステリー映画的なノリも加えつつ、

ジャスティンの彼女や、もう1人のDJのオスメントが、ジャスティンを救出すべく、奮闘しはりまんねん。でもしか…ちゅうカンジやろか。

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主人公が誘拐拉致された友を探し、拉致した犯人と対決するとゆうのんは、まあ、ようあるけども、

作り方によっては、サスペンスと緊張感に満ちた、作品になるハズなんやけど、

ところがどっこい本作は、相当作品性をば、異にしてはります。

なんでかとゆうと、拉致監禁の目的が、かつてあった事例にないもんやからどす。

身代金を目的とした誘拐ものは、この種の映画のルーツやろけど、

なんせ監禁する奴は、フツーの人間やありまへんねん。

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ファンが作家を監禁する「ミザリー」(1990年製作・アメリカ映画)やら、男が無差別に女を監禁する「コレクター」(1965年・アメリカ)やらイロイロあるけど、

この犯人は、人質を別の人間に、変えようとするものでおます。

出しにもあるけど、セイウチ人間を作りたい、っちゅうトンデモないもの。

その経緯は、過去のシーンも織り交ぜつつ、犯人の口から発せられるんやけど、

その数奇な半生模様は、本作を異能かつカルトな作品に、仕立て上げる重大なポイントになっとります。

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人間をセイウチにするためには、いろんな拷問めいたシーンがあるハズなんやけど、

それらはハショって、結果だけがあります。

麻酔をしても、そんなんスイスイと、うまくいくかどうやろか。まあ、リアリティー以上に、そのトンデモ感に目がいってまいますけども。

ハエ男の「ザ・フライ」(1986年・アメリカ)はモチ、視野に入っとったやろけど、

「ザ・フライ」が意図せずに、ハエ人間になったのに対し、こちとらは意図的に作るんでおます。

その作り方が描かれてへんねんけど、セリフやら特撮やらメーキャップやらで、脳裏で想像できるような作りにはなっとります。

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ホラーチック、ミステリーチックなとこもあるんやけど、あくまで、異能な作品を作らんとするとこがおまして、

アイロニカルなラスト・シーンやらで、ブラック・ユーモアな後味がありま。

クライマックスで流れる、2ビートなタイト・ロック、ラストロールでの哀切のスロー・ナンバーなど、

カッコよくてドラマティックな、サントラやと思うけど、ミスマッチな感覚がありまんねん。

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鬼才とゆうより、異能と呼ぶにふさわしい、ケヴィン・スミス監督の新作だす。

「チェイシング・エイミー」(1997年・アメリカ)などは、さわやかな青春ラブ・ストーリーやったけど、

本作のようなトンデモなヤツも、ケッコー作ってはるんで、おヒマやったら、チェックしてみておくんなまし。

2015年7月19日 (日)

「野火」⇒日曜邦画劇場

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あの市川崑監督のモノクロ名作をリメイキングや

塚本晋也監督らしい、情け容赦のない描写で

http://www.nobi-movie.com

7月25日の土曜日から、怪獣シアターの配給によりまして、ユーロスペース、立川シティやらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、8月1日から、シネ・リーブル梅田、京都シネマやらで上映だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

戦後70年ちゅうことで、いろいろと反戦映画な邦画が作られておます。

でもしか、戦争を知らない世代たちが作ってるだけに、

オリジナルを作るのんは、想像の翼を広げても、ヤッパ難しいんやろか。

名作をベースに、リメイク・リブートする作品になってまうんやけど、

でも、個性ある映画作家性が、自由奔放に打ち出された作品にはなっとるんやないやろか。

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ちなみに、日本映画の戦時体験者監督による、太平洋戦争関連映画の、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)をば言いますと…。

①ビルマの竪琴(1956年製作・市川崑監督)②野火(1959年・市川崑)③日本のいちばん長い日(1967年・岡本喜八・弊ブログ分析済み)④ひめゆりの塔(1953年・今井正・ブログ分析済み)⑤黒い雨(1989年・今村昌平)

●全てモノクロ映画やけど、⑤のような広島・長崎の原爆ものは、多数の作品があるんで、1本だけに絞りました。

①から④まではリメイクされておます。監督自身によるセルフ・リメイク①④、今年公開される、本作のオリジナル②と③。

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リメイクとは申せ、新しい反戦映画を期待したいのは、モチ③と本作だす。

共にオリジナルの非情で過酷な描写に、どこまで食い込んだんかもあるやろけど、

本作は塚本晋也監督の、情け容赦なきエグイ描写が際立っておます。

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冒頭。塚本晋也が肺炎に罹り、イモを持って兵舎と野営病院を行き来するタイトなリフレインから、すでにサバイバル映画模様。

1人さまよってのロードムービーでは、女を銃殺し塩を手に入れたりイロイロやって、

ほんで、中村達也やリリー・フランキーやらと合流してからは、味方同士のサバイバルに加え、敵の攻撃を受けてでんな、エライ目に遭わはります。

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自分の撮ってる映画やからか、塚本晋也のアップ率が高(たこ)うおます。

そのほとんどが怯え・驚き・逼迫した表情どして、オリジナルの船越英二より大仰ながら、でもしか、魅きつけま。

中村達也のワイルド演技や、リリー・フランキーの不気味な怪演技やらで、

最低最悪の過酷な状況が、演技者のアンサンブルで、臨場感をもって演技されるんでおますよ。

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敵の姿を見せずに、日本軍のヤラレまくり状態が演出されておますが、爆撃シーンなどはCGやVFXやろけど、

ポイントはやはり、メーキャップやろか。

本木雅弘主演「双生児」(1999年)や、Cocco主演「KOTOKO」(2011年・ブログ分析済み)やらで魅せた、顔の造形ぶり。

エライやられましたなーと、思わせるキモイ顔。

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そして、手持ちカメラのグラグラ感で戦闘・殺戮シーンのあとに、3人サバイバルへと繋いでゆかはります。

人肉を食べるちゅうのが、オリジナルでも衝撃のシーンどしたが、本作ではそこがどう作られているのか、お楽しみくだされ。

戦後のシーンとなる、ラストのサプライズにもドッキリでっせ。

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また、入道雲・積乱雲・青空・野原・海などの自然描写や、

不安感を募らせるシンセのサントラ使いなど、細部もキチッとしておます。

ちゅうことで、ここで、塚本監督作品のマイ・カルト・スリー(順不同)を言いますと…。

①本作②KOTOKO③双生児の3本だす。

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その理由は上記の通りどして、メーキャップがポイントでおます。

ちゅうことで、塚本監督の最新カルト傑作どした。

2015年7月18日 (土)

「海のふた」⇒菊池亜希子主演・週末日本映画劇場

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よしもとばなな原作の、ホワっとしたヒロイン映画

菊池亜希子ネーさんは、食系サービス業役がよう似合うで~

http://www.uminofuta.com

7月18日の土曜日から、ファントム・フィルムの配給で、新宿武蔵野館やらで全国順次公開。

関西では、7月25日から、テアトル梅田、神戸国際松竹やらで上映でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 よしもとばなな/『海のふた』製作委員会

よしもとばなな原作映画は、「白河夜船」(2015年・弊ブログ分析済み)に続き、今年2本目だす。

しかも、ヒロイン映画どす。

よしもとばなな的ヒロインちゅうたら、フワッとしてホワッとして、弱々しくて骨細やけど、

ガンバルゾーほどやないにしても、それなりに前向き。未来はあやふや。でもしか、生きてる。

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ディスコグラフして見ると…。

「つぐみ」(1990年)の、病弱わがままな牧瀬里穂。

「キッチン」(1989年)の、さわやかな川原亜矢子。

「白河夜船」の安藤サクラは、チョイクセ者的・眠り姫なとこはあったけど、

本作の菊池亜希子ネーさんは、そんなばななネーさん原作映画に、

何やら最もふさわしき、ヒロイン・キャラをば、披露しやはります。

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ばなな映画に出た4人の中では、最も好感度の高い女優はんやないやろか。

変に演技力を見せることもなく、全くの脱力な自然体。

誰もが接したことがある、食の販売系サービス業役。

これまでに出はった「深夜食堂」(2015年)や「ファの豆腐」(2010年・弊ブログ分析済み)などと同じく、そんな役が妙に似合ってはります。

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亜希子ネーさんはかき氷屋をやりたいと、東京から故郷・西伊豆に突然舞い戻ってきて、3品しかない、こだわりの店を始めはりまんねん。

酒屋をやってる元カレの小林ユウキチや、店を手伝ってくれる、顔にヤケド痕がある、ワケあり娘の三根梓ちゃんらと、とことんな自然体で関わってゆかはります。

海辺でバックから、三根梓ちゃんに抱きつかれる長回し撮影シーンなど、印象深いシーンが、ケッコーあります。

個人的には、亜希子ネーのオトン役・伝説のJ-ポップ・バンド「ムーンライダース」のリーダー鈴木慶一はん。渋枯れの弱々しき演技に、ウッとなりましたやろか。

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さてはて、本作はさびれた西伊豆ロケーション映画。

静岡県の伊豆ロケ映画は最近、本作を含めて3本見ました。

ほかの2本は、問題化する前の大涌谷ロケを敢行した、大島優子主演の「ロマンス」(8月29日公開・後日分析)と、

常盤貴子主演の「向日葵の丘 1983年・夏」(8月23日公開・6月28日付けで分析済み)どす。

ところがどっこい、海辺の町ながら、本作のさびれ具合は、ウーンと唸れるもんやったな。

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あえて観光スポットを避けた作りが、今どきの地方ロケ映画の在り方に、もの申してはるようにも見えます。

さびれた町の、ロングショットを含むシーンの数々、草がぼうぼうに生えとる寺の境内、海辺の花火シーン、白い海と、ほんのり色ある空の対比など、

久々に地方映画で、“さびれの美学”を見た思いどした。

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サントラ的には、アドリブチックなパーカッション、ギター、バイオリンなど、シンプルに展開しはります。

ラストロールでは、ヒロイン映画にふさわしい、蘭華のフィメール・ピアノ・スロー・ナンバー「はじまり色」(avexより、7月22日リリース)が流れます。

ヒロインの前向きなキモチが伝わる快曲で、心地よいあと味がありますで。

2015年7月17日 (金)

「チャップリンからの贈りもの」

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実話をベースにした、ペーソスある犯罪映画どす

チャップリンへのオマージュに満ちた逸品

http://Chaplin.gaga.ne.jp

7月18日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は、フランス映画・本編115分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸMarie-Julie Maille/Why Not Productions

実在の映画関係者を、ポイントにした映画とゆうのんは、ケッコーあります。

そんな中で、本作はかなりと異彩を放ってるんやけど、その種の洋画で、マイ・カルト・ファイブ(順不同)をば申し述べますと…。

①本作②チャーリー(1992年製作・アメリカ映画)③ヒッチコック(2013年・アメリカ・弊ブログ分析済み)④ノーマ・ジーンとマリリン(1996年・アメリカ)⑤フェデリコという不思議な存在(2013年・イタリア・後日分析)

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映画監督②③⑤や女優④など、ドキュメンタリーを含めて、監督やスターを描くのんが多いし、

また映画業界内の話で、通す場合もおます。

でもしか、本作は映画業界を離れて、一般人2人の犯罪を描いた1978年の実話どす。

しかも、チャップリン(1977年12月25日没)の墓を暴いて死体を隠し、遺族に身代金を要求するちゅう、かなりとヘンテコな死体誘拐犯罪どす。

カルティックな犯罪映画としても、ケッコーイケテル映画でおました。

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しかも、本作は何と、被害者側のチャップリンの遺族の、協力・出演が得られただけやなく、

チャップリン作品へのオマージュが、多数盛り込まれておます。

しかも、チャップリンのデビュー100周年の、記念作にもなっとりまんねん。

本来なら、死体とはいえ、チャップリンが被害者なだけに、そういうことは、不可能に近いハズなんやけど…。

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おそらく2人の犯罪者の、何とも言えへんマヌケでペーソスあるとこらに、チャップリン的なとこが、あったからやろかちゅうのんが、ボクの分析だす。

身代金要求電話のぎこちなさしかり、

事件報道のテレビを必死に見る2人に、幼い娘にすぐに気づかれてしもたりと、どないもこないもありまへんねん。

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でもって、犯罪者の1人が、サーカスに魅せられ、サーカスの道化師になったりなど、

チャップリン映画を単に映すだけやなく、

シーンで「ライムライト」(1952年・アメリカ)などに、オマージュしてゆくとこやらに、ハッとさせられま。

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そして、メッチャゴージャスなんは、フランスの音楽監督の巨匠ミシェル・ルグランはんの、オーケストラ・サントラでおます。

主人公1人のシーンやらで、「ライムライト」のテーマ曲を、オリジナル・アレンジの、フル・オーケストラで聴かしてくれはります。

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ともすると、豪華なサントラと、ストーリー展開やキャラが、ミスマッチなんやないかと、思えるとこもあったけども、

それはユーモアとシリアスが、時に同居したチャップリン作品に、ふさわしい作りなんかもしれまへん。

ボク的には、フェデリコ・フェリーニ監督にオマージュした⑤と、ぜひ見比べてもらいたい逸品。

共に、サントラの素晴らしい、あと味のいい作品です。

2015年7月16日 (木)

「奇跡の2000マイル」

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ヒロインとラクダとイヌの、オーストラリア砂漠横断ロードムービー

ミア・ワシコウスカの、野性美に魅せられまっせ

http://www.kisekino2000mile.com

7月18日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオの配給により、東京・有楽町スバル座、新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、8月15日からシネ・リーブル梅田やらで上映だす。

本作は、2013年製作のオーストラリア映画、本編112分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 SEE-SAW(TRACKS)HOLDINGS PTY LIMITED. AP. FACILITIES PTY LIMITED. SCREEN AUSTRALIA SOUTH AUSTRALIA FILM CORPORATION, SCREEN NSW AND ADELAIDE FILM FESTIVAL

ロードムービー映画ちゅうたら、これまでにモノゴッツー作られてまいりました。

ボク的には、軽~く100本以上は、見てると思うんやけど、

でもしか、本作みたいに、イヌやラクダやらと一緒やけど、人間は1人やっちゅう、1人ロードムービー・スタイルは、

ちょい思い返してみたんやけど、そないないんとちゃうやろか。

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1人ロードもんは、男1匹の「ウディ・ガスリー わが心のふるさと」(1976年製作・アメリカ映画)とか、

冒険家の「植村直己物語」(1986年・日本)とか、老人と猫1匹の「ハリーとトント」(1974年・アメリカ)なんかが、個人的にはスキなんやけど、

本作みたいに、女1人が往くパターンちゅうのは、珍しおます。

しかも、これが探検・冒険を狙って、なんちゅうもんとなると、さらに稀少。さらにさらに、実話となると、もっと稀少だす。

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1977年の実話・エピソードなんやけど、ようやく21世紀も10年以上経って、映画化されました。

いろんな問題があったかとは思います。

でも最大の問題ゆうたら、この過酷な砂漠のロケーション撮影に、耐えられる女優はんが、ホンマにいるんかどないか、やったんとちゃうやろか。

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アクション映画やったら、スタントマンがいとるし、

本作を、冷暖房の効いたスタジオ撮影を、メインに撮れるんやったら、どんな女優でも、それなりに対応できるでおましょう。

でもしか、本作は冒険的な実話なだけに、その過酷な現実を追体験できる女優はんをば、キャスティングせなあきまへんねん。

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ほんでもって、その映画的試練に耐え抜いたんは、映画の舞台となるオーストラリア出身の、ミア・ワシコウスカのネーさんどす。

大ヒットした「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年・ブログ分析済み)での、アイドルチックでスマートなCGアクションぶりもよかったけど、本作はとことんヨゴレでおます。

ワイルドで野性味ある演技性で、ラブ・ストーリー部はチョイあるものの、演技的なとこでは、彼女の最高傑作やないやろか。

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ヒロインと、ラクダやイヌとの絡み。特に、ラクダと人間の交流ちゅうたら、映画的にはかつてないものどす。

原住民との交流、「デルス・ウザーラ」(1975年・ソ連)的な、現地の案内人とのキズナなど、

女1人のロードながら、しみじみ感動できるエピソードが、いっぱい挿入されておます。

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砂漠らしい砂嵐シーン、オーストラリアの大陸的な風景、

スロー、ボカシ・カット、リズミカルなダイジェスト・シーンなんかも、エエ感じや。

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ヒロイン1人のロードムービーとしての、新鮮味が随所にあってでんな、

相棒ロードやグループ・ロードとは違う、女性らしいセンスや思いやりがあって、時おり泣かしてくれはります。

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195日目に、彼女とラクダたちが、オーストラリアの西海岸の海にたどり着いた時、感動はモチ、ピークをば迎えまっせ。

映画は映画やと、突き離して見る映画の多い中、本作はヒロインに感情移入して見られる映画やったです。

2015年7月15日 (水)

「戦場ぬ止み」(いくさばぬどぅどぅみ)⇒社会派ドキュの問題作

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辺野古を舞台にした、正攻法の社会派ドキュメンタリー

傑作「標的の村」以上に、群衆ダイナミズムが増したで

http://www.ikusaba.com

7月18日の土曜日から、東京・ポレポレ東中野、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸDOCUMENTARY JAPAN/東風/三上智恵

社会派ドキュメンタリー。

特に、一般人がお上・体制・政府側に対して、抵抗する映画とゆうのは、日本に上陸しない洋画も多いやろけど、ボク的には、邦画ドキュでかなり見ました。

ちゅうことで、抵抗、もしくは運動ドキュの、邦画マイ・ベスト・スリー(順不同)を、手前勝手に申し述べますと…。

①三里塚シリーズ(1968年~1977年製作・全7作)②本作③沈黙を破る(2009年)

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海外の問題を採り上げた③は別にして、

①②の場合は、飛行場、軍基地が出来ることによって、地元民がこれまでの生活ができなくなってまう、っちゅうことでの抵抗もんどす。

戦争とか支配への群衆的抵抗やなく、生活に根差したこうした抵抗運動は、

グローバルやなく、マニアックに捉えられがちやけど、その細部をキチンと捉えることで、映画的に映えるもんがあります。

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モチ、沖縄の米軍基地移転問題は、安保関連法案の成立が、大注目の日本の今においては、注目されるべくして、注目される素材ではあるんやけど、

どこまで映画作家的にブレることなく、客観的にドキュとして捉えることができるんかが、映画ドキュ的評価につながるとボクは思うんやけど、

本作は事実を事実として捉えつつも、抵抗側からの描写が大半なために、製作側は抑圧される側に、かなりと肩入れしてはります。

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ならば、その種のドキュの在り方としては、プロパガンダ映画や五輪などの祭典を捉えるPRドキュと、そう変わらへんやんと思わはるかもしれまへん。

それに、今、問題になっていることを、捉えるとゆう意味では、テレビのニュース・ドキュと変わらへんやんかとも。

でもしか、ボクのゆう映画的とは、運動を支援するとかそおゆうことやなく、映画として本作を見た場合に、どないな感興や感動があるんかです。

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群像ドキュ的に、抵抗する各人の様子が捉えられておます。

その作りは、群像ドラマにもあるかもしれへんけど、一つの目標に向かって、各人が熱くなってゆくタイプなので、

見ていて監督と同じ視点で見られ、また感情移入度も高うおます。

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冒頭は沖縄の海中へカメラがもぐっての、美しきサンゴ・シーンから始まります。

さらに、沖縄出身のミュージシャン、Coccoの優しい癒やしのナレーションがかぶさって、ドキュの中へと引きずり込まれま。

ほんで、タイトルにもなった、琉球歌「戦場ぬ止み」(いくさばぬどぅどぅみ)が、映画に絶妙なフックを加えます。

沖縄戦の写真カットと字幕と、三線の弾き語りによる歌、サックス、バイオリン、ギター、ピアノなど、単一楽器による、小室等のサントラも、

基地建設問題ドキュをば、映えさせはります。

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さてはて、本作は女性監督、三上智恵のネーさんの作品だす。

アナウンサーながら、沖縄関連のテレビ・ドキュを多数作ってきはり、ほんで、「標的の村」(2013年・弊ブログ分析済み)は劇場版にもなって、高評価を得はりました。

本作は「標的の村」以上に、抵抗運動の詳細が描かれ、しかも群衆ダイナミズム的に、熱い仕様になっとります。

沖縄ドキュのルーツ作「モトシンカカランヌー」(1968年・ブログ分析済み)などの熱気が、存分に継承された傑作です。

2015年7月14日 (火)

「約束の地」⇒年間マイ・ベストテン級の1作

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ラテンアメリカの西部劇タッチから、繰り出されるものとは?

ヴィゴ・モーテンセンのシブミが、突出したシュールな怪作

http://www.jauja-yakusokunochi.com

7月18日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオの配給によりまして、テアトル梅田やらで、全国順次のロードショー。東日本では、ユーロスペースやらで上映中。

本作は2014年製作。アルゼンチン・デンマーク・フランス・メキシコ・アメリカ・ドイツ・ブラジル・オランダ合作の、多国籍出資のアルゼンチン映画どす。

第67回カンヌ国際映画祭で、国際映画批評家連盟賞をゲット。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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載せとるカット写真は、全部長方形やけど、本作の本編は、正方形スタンダードの、四角は角丸で統一されておます。

かつて楕円で描いた、映画なんぞがありましたが、こおゆうスクリーンにちょいと違ったとこを示す映画は、ほぼアート系の映画でおます。

「野菊の如き君なりき」(1955年製作・日本映画)は、アート系やなく、ストレートな泣ける・泣かせる映画系を、引き立たせておましたけども、

でもしか、この種はまず、その形態を示すことで、芸術としての映画性を、見せてはるかと思います。

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しかも、撮影をロングショットをメインにする場合、長方形よりも正方形の方が、より映えるっちゅうか、上下の幅が広がるので、

特に空の描写が、長方形よりも際立つようになっとります。

そやから、あくまで細部としての描写やけど、空模様がドラマの進行に合わせて変化しながら、ビミョーなアクセントを見せる。まあ、そんな作品になっとります。

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ストーリー的には、すごく単純ちゅうか、シンプルだす。

1882年のパタゴニアで、支配せんとするアルゼンチン政府軍と、反抗する原住民とゆう、

インディアンとの戦いを思い出させる、初期アメリカン西部劇的な設定の中で、

政府軍の大尉の娘はんが、イケメンの軍人と駆け落ちしはりましてな、

オトンが1人荒野へと、娘を探してさまようっちゅう話だす。

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娘とオトンの仲睦まじきシーンの、長回し撮影(写真上から2枚目)から、本作は始まります。

2~3分の長回しは、しょっちゅう使われとりますが、全体としては静かなるカンジで、物語は進行してまいります。

特に、オトン大尉が娘を探して、1人荒野をさすらうシーンは、地味ながらも、滋味あるシークエンスどして、本作のハイライトでもありま。

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1人芝居とも言えるそんなシーンで、オトン役のヴィゴ・モーテンセンは、これまでの静かで孤独で渋~い役を、淡々とこなしてはります。

本作と同じく、西部劇タッチのあった、今年公開の近作「涙するまで、生きる」(弊ブログ分析済み)と同様、

その静謐な演技性が、妙にクセになってまいります。

アクション・シーンもあるんやけど、でもしか、男は黙ってなとこが目立ちますし、じわじわとココロにきます。

マカロニ・ウエスタンのキーでもあった、哀愁のギター・サントラにも、メッチャ映えとりました。

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娘はんを探して果たして、感動の再会はあるんか。モチ、ドラマティック・ポイントは、そこにありま。

でもしか、本作はかつてない、ハットトリッキーな結末をば提示しはります。

シュールレアリスティックこと、シュールなタッチちゅうんは、実験的前衛映画・芸術映画には、ケッコーあるんやけど、

ボク的には「エル・トポ」(1970年・アメリカ&メキシコ・ブログ分析済み)に近いもんをカンジましたやろか。

西部劇的。でも、シュールでアートで、西部劇の向こうを捉えた斬新な作品。

映画史に残る前衛映画「アンダルシアの犬」(1928年・フランス・モノクロ)みたいに、犬の使い方もお見事やったし、

ボク的には、洋画の年間マイ・ベストテン候補な作品となりました。

2015年7月12日 (日)

「HERO」⇒日曜邦画劇場

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キムタクと松たか子が、検事同士として再会

治外法権をポイントにした、密売事件に挑む!

http://hero-movie.com

7月18日の土曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 フジテレビジョン ジェイ・ドリーム 東宝 FNS27社

連続テレビドラマの劇場版は、21世紀を迎えると、ますます活性化してまいりました。

ほんで、そのほとんどに、ミステリー色が入っておます。

日本映画の劇場版のルーツは「七人の刑事」シリーズ(第1弾は1963年製作)やと思うんやけど、それも刑事ものミステリーどした。

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それ以降、出てきた劇場版は、ガードマンなどの変形はあったけど、刑事ものが花形となりました。

これは米英の劇場版の流れと、何やらよう似ております。

それはともかく、21世紀になると、刑事1本槍やなく、法曹界からの検事・弁護士なども、ヒーロー(主人公)として登場。

ほんで、弱者の味方的な弁護士やなく、検事に焦点を当てたんが本作どす。

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みなさんの検事のイメージは、どないどすやろか。

「アンタッチャブル」(1987年・アメリカ製作・テレビドラマ版もあり)の、ケビン・コスナーなんかを、思い出す人はいてるやろか。

でもしか、本作の検事たちもまた、「アンタッチャブル」的に正義の味方であり、

真相究明に命を燃やす人たちであり、ほんでもって、弱者の味方でもあります。

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また、刑事と同じく、チーム捜査で、真相を探るとこもあります。

ちゅうことで、従来の検事イメージを覆した、検事ミステリーやと言えましょう。

さてはて、テレビドラマで、すっかりお馴染みやと思うけど、主人公キムタクの起床時の、朝の省略カットや、

3分くらいの長回し撮影で、事務所に出入りするメンバーを紹介していったりと、いつも通りやし、

コメディー・リリーフ的に、コミカル・カットを挿入するんも、事件の重たさを緩和しはります。

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さて、冒頭は事件シーンから始まります。

ある国の大使館の近くで、交通事故死が発生。大使館員が、何やら事件に関わっているみたいや。

でも、大使館内は治外法権なんで、日本の捜査陣は入れない。ほな、どないするねん、なんやけど…。

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一方、大阪で検事にならはった松たか子が、別の事件の重要証人の聴き取りのため、キムタクらがいてる東京地検へ来はります。

実は、その証人は、交通事故の被害者やったわけどして、2つの事件のつながりを求めて、

松たか子はキムタク、北川景子と共に、苦肉の調査を開始しはるんどす。

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どないして事件のキーを握る、大使館員に聴取するのか。

そのプロセスに加え、チーム・プレイ捜査で、意外な事実が物証と共に、次々に判明してゆくとこらは、

ミステリー的興趣にあふれておますよ。

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犯人を追い込んでゆく中で、キムタクの熱演を始め、各メンバーたちの好感ある演技にも、魅せられてくだされ。

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また、真相に迫るキムタクと松たか子を狙って、おでんの屋台へトラックで突っ込むアクション・シーンや、「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)へのオマージュ・シーンなど、細部のキレも冴えておました。

個人的には、市庁舎前淀屋橋付近の、大阪ロケ・シーンに目がいきました。

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ほんで、もう一つの見どころは、ラブ・ストーリー部だす。

現在フィアンセがいとる松たか子やけど、キムタクへの想いは、一体どないなるのんか。

こちらの結末も、お楽しみくだされ。

2015年7月11日 (土)

「インサイド・ヘッド」⇒ディズニー&ピクサーの映画的最高傑作

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喜怒哀楽の世界をアニメ化した、ディズニー&ピクサー最新作

現実世界と精神世界の、かつてないシンクロナイズ

http://Disney.jp/HEAD

7月18日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

人間の脳の中、精神世界を描く映画ちゅうのんは、例えば、夢を描いた映画なんぞは、ケッコーありましたけども、まあ、珍しおます。

しかも、脳の中の登場人物たちに、キャラクター付けをして、感情キャラの5人を設定。

少女キャラの「ヨロコビ」「カナシミ」、男キャラの「イカリ」と、ここまでは喜怒哀楽の全てを表しとるけど、

加えて、「ムカムカ」と「ビビリ」を追加し、感情の機微を表現。

ユングやフロイトの心理学に対して、ディズニー&ピクサー的にエンタメ・アンサーし、

さらに、単なる感情キャラ同士の、ストレートなもつれ合いとかやなく、

脳内世界での波瀾万丈の冒険を、描くちゅうトンデモスタイルをば、打ち出してはりまんねん。ビックラこきました。

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でもしか、頭の中は混沌としたドラマなんやけど、そんな脳を持つ少女ヒロインの、現実世界のドラマは、驚くほどに単純なストーリー展開どす。

親の都合で、ネブラスカからサンフランシスコへ転居した、アイスホッケー得意の少女が、シスコの学校に馴染めず、過去の女友達との思い出に泣き、遂にはネブラスカへ向けて、家出するっちゅう話。複雑やないやろ。

けども、ヒロインのキモチに合わせて、脳内の感情たちは、ドエライドラマを、展開させられはりまんねんで。

5人の感情たちの司令室があり、現実のヒロインの生活の基盤となっとる各種の島があり、なんてカンジなんやけど、

ヒロインのキモチによって、島が崩れたり、さらに脳内ヒロイン「ヨロコビ」が、「カナシミ」と共に、司令室外へ飛ばされてしもたりします。

そんな明るい色合いの「ヨロコビ」と、全身ブルー・トーンの「カナシミ」の2人(写真上から3枚目)が、司令室まで戻って、ヒロインのキモチを調節するまでの、

映画的に映える、ロードムービー・スタイルが、脳内でドラマティックに、紡がれていきよりまんねん。

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現実のヒロインが空想で作り出した、イルカ・ネコ入りのゾウ系キャラとの出会いと同行、

ダーク世界な潜在意識界、2次元・1次元になって、キャラが平面化してゆく抽象世界、

夢製作スタジオでのエピソード、多彩な空想ランド、思い出のゴミ捨て場など、カラフルかつ破天荒に、ドラマが次々にやってまいります。

表のシンプル・ドラマと、裏の冒険ドラマとの対比効果に加え、かつてない脳内世界の面白さ。

しかも、実写やなくアニメ。アニメでここまで、精神世界を描いた映画はないやろな。

しかも難解さは全くなく、逆にキャラたちに、親しみを覚えてしまう作りやねん。

ちゅうことで、脳内世界のアニメ・エンタ化。あり得ない領域を打ち出した本作は、

ディズニー&ピクサー・アニメの、映画的最高傑作やと思います。

2015年7月10日 (金)

モニカ・ベルッチの最高傑作「サイの季節」

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モニカ・ベルッチ・ネーさんの、熟成の演技がココに

祖国イランを逃亡中の、バフマン・ゴバディ監督の決死の1本

http://www.rhinoseason-espacesarou.com/

7月11日のサタデーから、エスパース・サロウの配給によりまして、シネマート新宿やらで全国漸次のロードショー。

関西やったら、7月18日からシネ・リーブル梅田、8月8日から京都シネマやらで上映だす。

本作は、2012年製作のイラク・トルコ合作映画。本編93分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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モニカ・ベルッチのネーさんを、みんな、知っとるかー。

ハリウッド大作「マトリックス」シリーズ出演や、「007」の2015年製作の最新シリーズで、007史上最年長の、ボンド・ガールに選ばれた彼女(1964年生まれ)。

ちゅうことで、ここで、彼女のマイ・ベスト・スリー(順不同)をばゆうてみます。

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●ベスト⇒①本作②マレーナ(2000年・イタリア&アメリカ)③アレックス(2002年・フランス)

●イタリア出身女優としては、その豊満なナイス・バディーやらで、

ボク的には、かつての麗しの名女優、ソフィア・ローレンなんぞを、思い出したりするんやけど、

ヤラシー感が開眼した③と、気品ある②との対比など、ソフィア・ローレンとは違い、一筋縄ではいけへん女優はんどす。

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でもって、本作。

夫婦が社会的な革命やらで、共に逮捕・収監され、

ほんで、夫婦が元雇ってた運転手の、ヨメ(モニカ・ベルッチ)への執着で、トンデモないムショ内の再会設定により、

嫌々ながらの三角関係になってまい、ほんで、ヨメの釈放後に、ダンナが死んでもうたと言われて、ダンナの入れ替えが起こってまうっちゅう、信じがたい実話がベースどす。

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ソフィア・ローレンの名作「ひまわり」(1970年・イタリア)もまた、否応ことなしの夫婦の別離を描いとりましたが、

戦争を因子とした「ひまわり」に対し、こちらはイランのイスラム革命がポイントどす。

さらに、その間に、ヨメを慕う男の存在が、クローズアップされとって、

自然な流れの「ひまわり」よりも、意図的に略奪婚を狙ったカタチの本作は、よりワイルドでサスペンスあるもんになっとるやろか。

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ミステリー色も高いどす。

ヨメがダンナを探した「ひまわり」とは逆どして、こちらは出所したダンナが、ヨメを探す展開。

その構成は、過去と現在を稠密にカットバックさせて、クライマックスに向けて、徐々に盛り上げてゆかはりまんねん。

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監督はイラン出身のバフマン・ゴバディ。

「酔っぱらった馬の時間」(2000年・イラン)や「亀も空を飛ぶ」(2004年・イラン&イラク)など、

イランとイラクを舞台に、クルド人たちやコドモたちを描く妙味が、感動的かつ映画的どして、

映画評論家受けの、ヒジョーに高い作品をば、作らはる監督はんどす。

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ところがどっこい、前作の音楽映画「ペルシャ猫を誰も知らない」(2009年・イラン)が、ゲリラ撮影やらで、イランの法律に触れるようなとこがあり、

バフマン監督はイランを亡命しはりました。

本作も、イラン舞台設定の映画やけど、トルコでロケしてはります。イランからの出資もありまへん。

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でもしか、過去の作品で魅せた、映画的な撮り方や、静かにひたひたとくる、ドラマティック性は健在どした。

夫婦の再会シーンはモチ、本作のハイライトだす。

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フロントガラスを通した、前へ前への映像や、ガラスに映る樹木の影やら、絵画的構図の、ロングショットの数々に加え、

ほんのりのセピア配色やら、薄グリーンの色使いやら、細部のほとんど全てが、映画的設計に満ちておました。

映画でしか味わえない粋に満ちた傑作です。

2015年7月 9日 (木)

「ゾンビーバー」⇒ゾンビとビーバーが合体

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かつてないやろな~ちゅう、動物パニック・ムービーやねん

サバイバル・ムービーにも、新味がありまっせー

http://www.interfilm.co.jp/zombeavers/

7月11日の土曜日から、新宿武蔵野館やらで全国順次のロードショー。

本作は、2014年製作のアメリカ映画で、本編77分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 ZONBEAVERS, LLC. All Rights Reserved

動物パニック・ムービーやなんちゅうて、みなはんが思い出してでんな、恐怖に凍る映画て何やろか。

スピルバーグ節な「ジョーズ」(1975年製作・アメリカ映画)や、最新作も楽しみな「ジュラシック・パーク」(1993年・アメリカ)やら、ヒッチコックな「鳥」(1963年・アメリカ)やらやろか。

でもって、ボク的にゆうと、本作は1970年代的生物パニック映画の、ノリやら色彩感があって、懐かしくも楽しめた1作どした。

さてはて、動物パニックにも、イロイロあるねんけど、異能の動物もんちゅうことで、マイ・カルト・ファイブ(順不同)をば、思いつくままに披露してみますと…。

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①本作②テンタクルズ(1977年・イタリア)③オルカ(1977年・アメリカ)④クジョー(1983年・アメリカ)⑤クリズリー(1976年・アメリカ)

●20世紀の作品ばかりの中で、ポツンと21世紀作品も、10年以上を経過して作られた作品をば、チョイスするやなんて、妙に説得力がないやもしれまへん。

けども、動物パニックとしては、ビーバーはかつてなく、ビックラこきながらも、映画の中へはスムーズに入れました。

ちなみに、ほかの作品は、タコ②、イルカ③、狂犬④、熊⑤となっとります。

犬猫なんかの、愛玩動物やないけども、決して凶暴やないと思われる動物を、パニックの核に据えるんは、モチ珍しいけど、

そこに、ビーバーに噛まれた者が、ゾンビになってまうとゆう設定は、さらにさらに新しくて、奇妙で変な設定やけど、

これぞカルティックな極みをば、示す映画やないかとボクは思いま。

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ストーリー的なとこを申しますと…。

女3人が犬1匹を連れて、湖畔の宿に来はりました。でもって、湖で泳がはります。さらに、彼女らの彼氏もあとで来て、6人でアバンチュール模様に。

セックス・シーンもあるんやけど、けども、ビーバーたちが野獣化凶暴化怪物化して、みんなを襲い始めるっちゅう展開へといって…。

メッチャ単純かもしれへんけど、でもしか、みんなとビーバーの対決は、ハラハラドッキリコンどす。

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ネタバレにならんようにゆうと、サバイバル・ムービーとして、かつてない設定をば施してはるんが、ビックラどしたやろか。

そこんとこは見てのお楽しみやけど、でも、大たい想像が付くやろか。

さてはて、B級映画としてのスタンスと矜恃に、あふれた快作にして怪作どした。

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率直に言って、本作はボクはB級映画やと思うねんけど、ほなら、B級映画とは何か、ちゅう問題が出てまいります。

その定義ははっきりしとりまへんが、まあ、カルト映画やとゆうて逃れることもあるけども、

傑作映画やと目される映画では、決して採り上げられへんようなもんが、入っとる映画とゆうか、

トンデモ意外性ちゅうか、そういうのんがポイントになっとるやろか。

本作では、それはビーバーであり、ゾンビ映画とのミスマッチな融合ぶりやらであるやろか。

出来不出来は別にして、いずれにしても、ケッタイな映画の最新版。

曖昧なまま、はっきりしてへんねんけど、恐れながらも、本作をB級映画の傑作やと、断言いたします。

2015年7月 8日 (水)

「フレンチアルプスで起きたこと」

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家族の亀裂を新たな視点で描いた、問題提起型ムービー

正統系映画の、ウラ街道をゆく映画どすやろか

http://www.majichour.co.jp/turist/

7月18日の土曜日から、マジックアワーの配給で、シネ・リーブル梅田、京都シネマやらで、全国順次のロードショー。関東では、ヒューマントラストシネマ有楽町やらで、上映中。

本作は、スウェーデン&フランス&ノルウェー&デンマーク合作によるスウェーデン映画。2014年製作の本編118分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸFredrik Wenzel

まあ、この映画をジャンル的に規定したら、家族映画とゆうことになるんやろか。

さらに、家族の亀裂を、ポイントにした映画なんやろかな。

でもしか、これまでにその種の映画には、ある種のパターンちゅうもんがありました。

浮気や不仲なんぞによる、夫婦のキズナの瓦解が、家族崩壊に到るちゅうのんが、セオリーやったかと思うけど、

モチ、本作もその種なんやけど、起因やプロセスが、これまでの映画やドラマにないタイプどす。

男女の心理に食い込んだ、複雑系問題化の多かった中において、

本作は単純シンプルに、命に関わる何かが起こった時に、家族の各人は一体、どないな行動を取るのんかっちゅうとこが焦点だす。

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スウェーデンの、夫妻と幼い姉弟のコドモたち4人家族が、フランスのアルプスのスキー場へ、遊びにきはりました。

家族のスキー場バカンスの5日間が、日付け順に撮られていくんやけど、2日目にエライことが起こりました。

雪崩が起こったんやけど、あくまで試験的なものやったんやけど、それがケッコー凄いもんになってしまいましてな、

雪崩がドカーンとくる中で、テラスで家族と共に夕食を摂ってはったオトンは、イの一番に1人で、家族のことを顧みずに逃げはりまんねん。

でも、オカンは二人のコドモを、必死に守ってゆかはりました。

結局、試験的なんで、被害はほとんどないんやけど、この時の行動を巡って、夫妻2人の間で、わだかまり並びに、疑いやらが生じてきよります。

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自分のことしか頭になかった、ダンナ・オトンの行動ぶりは、

その後、夫妻の友人夫婦との会話などで、徐々に問題化し、夫婦の間に亀裂が生じて…。

オトンの言い訳ぶりやら、なんでそんなことをしてもうたんやろかっちゅう悩み深きも、興味はあるんやけど、

そもそも、夫婦の問題ぶりを、パニックに託して描いてみた映画ちゅうのは、単純明快やけど、ボクの記憶にはなく、

「タイタニック」(1997年製作・アメリカ映画)なんかの、犠牲精神なヒロイズムが、映画映えすると思われとる今においては、

逆にでんな、新鮮なる問題提起やと思いましたえ~。

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家族の亀裂、そして再生。

ちゅうことで、これまでにいっぱいあった映画の中でも、本作は特異な位置づけの、できる映画やと言えましょうか。

スキー・シーンを含めたロングショット、ロックやシンセのサントラ使いなど、細部の描写も、妙な違和感がありましてな、

何やらフツーらしさを、逸脱したとこがあり続けてでんな、異能・異質の映画ぶりで、魅せてはりますやろか。

家族映画の新味は新味も、むしろカルティックでユニークなカンジが、ココロに残るような怪作どした。

2015年7月 7日 (火)

「踊るアイラブユー♪」

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ブリティッシュ・ミュージカルのゴキゲンな1本

イタリアを舞台に、3角関係ラブが展開

http://www.odoru-iloveyou.com

7月10日のフライデーから、ファントム・フィルムの配給により、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショー。

本作は2014年製作のイギリス映画。本編97分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸWO S DISTRIBUTION(IRELAND) LTD. 2014

本作は、ハリウッド・ミュージカルにはない、イギリス映画らしい、オリジナリティーを示した快作。

そこで、21世紀のミュージカル映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、思い付くままに披露いたしますと…。

●ベスト⇒①シカゴ(2002年・アメリカ)②レ・ミゼラブル(2012年・イギリス)③ジャージー・ボーイズ(2014年・アメリカ・弊ブログ分析済み)

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●カルト⇒①本作②モテキ(2011年・日本・ブログ分析済み)③バルフィ(2013年・インド・分析済み)

●ハリウッドのミュージカル映画は、ベスト①③(イギリス発の②もそうやけど)のように、

ブロードウェイ経由のものが主流にあり、オリジナルはオリジナルでも、映画オリジナルやありまへん。

また、ミュージカルも、1960年代を最後に、恒常的に製作・公開されまへんどした。

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一方で、カルト③のインドでは、ハリウッドの肩代わりのようなカンジで、1990年代以降、大量にミュージカルが作られてまいりました。

一方で、良より質とゆう意味では、アメリカ以外の各国で時おり、

ハリウッド・ミュージカルにはない、特異かつオリジンある作品が、輩出されとります。

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日本ではミュージカルは、映えないとゆわれとったけど、カルト②は、そんな汚名をそそいだ作品やったと思うし、

でもって、本作は、ハリウッド・ミュージカルに、追随するようなカタチやったイギリス・ミュージカルに、明るい光をもたらした1作やないかと思います。

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ダンサブルで集団ダンスティークな在り方を、かつてのハリウッド・ミュージカルにあったノリノリを、進化させたようなスタイルで披露し、

して、バックで掛かり、アフター・レコーディングながら、主演・出演陣アクター・アクトレスが歌うのは、1980年代の欧米の、ポピュラー・ミュージックなんどす。

3
ボクはプレスシート(マスコミ用パンフレット)やチラシにある、サントラ歌ものリストから、

オリジナル・ナンバーを流して、ダンス・シーンを披露するんかなと思いきや、出演陣が見事な喉を、披露するとゆうスタイルどした。

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かつて、ハリウッド映画では、1980年代をピークに、歌ものサントラを流しまくる映画が、量産されとりましたが、

本作はその手を逆手に取っただけやなく、1960年代のビートルズに続き、

ブリティッシュ・インベイジョンの第2次ブーム、1980年代の歌を採り上げたとこらに、

ボクはイギリス・ミュージカルの、矜恃を見た思いどした。

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ほんで、既発曲に合わせて、ストーリーを展開させるとゆうのも、

オリジナルが主体のミュージカルには、あんましないタッチやろかと思いま。

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歌がまずあってのものだけに、ストーリーはメッチャシンプル。

イタリアを舞台に、イギリス姉妹が男を巡っての、三角関係構図。

歌に合わせての、ご都合主義なとこはあるけども、暗みはほとんどなく、明る~い、明るいわ~。

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ココロウキウキになるんは、モチ、多彩に展開されてゆく、ミュージカル・シーンでおます。

チョイブルージーなとこで、スローやバラードが掛かるけど、とにかく、全編にわたりノリノリのイケイケどす。

とにもかくにもでんな、パッといこうで! をジでいく、メッチャ楽しいミュージカルやねん。

ちゅうことで、みんなで見に行ってみようで~。

2015年7月 5日 (日)

「バケモノの子」⇒日曜邦画劇場

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2つの世界を描いたアニメ映画の傑作

ジャパニメーション的には珍しい、少年主人公もの

http://www.bakemono-no-ko.jp

7月11日の土曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 THE BOY AND BEAST FILM PARTNERS

同時代・同次元であれ、時空を超えた世界であれ、2つの世界を設定して描く映画は、これまでに多数作られてまいりました。

そんな中で、アニメ映画に限定いたしますと、かなりと限られてまいりますが、

そんなジャパニメーションの、マイ・ベスト・スリー(各順不同)を言いますと…。

①千と千尋の神隠し(2001年製作)②本作③平成狸合戦ぽんぽこ(1994年)

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異世界をメインにした①、人間界とタヌキ界をくっきり分けた③に対し、

本作はバケモノ世界とゆう異世界で育てられ、その後、人間界ともシンクロナイズする、主人公を描いた映画。

2世界が主人公を通して、シンクロするとゆう作りは、ありそでなさそなアニメ映画やと思いま。

いかにも、ディズニー映画にもありそうやけど、でもしか、「トイ・ストーリー」(第1弾は1995年)なんぞもある、ピクサーとの最新作「インサイドヘッド」(7月18日公開・後日分析)は、

ヒロインの実生活と、脳内世界の2界をシンクロさせて、本作と甲乙付けがたい出来を示してはります。

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でも、本作は、少女ヒロイン・アニメものが、蔓延し定着化しとる中で、少年主人公アニメを核とした作り。

さらに、生みの親より育ての親とゆう、使い古された手法の、さらに向こう側を捉えた、親子のキズナの傑作にもなっとります。

また、人間界のところでは、淡い青春ラブ・ストーリー的なとこもあります。

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本作の細田守監督的にも、「時をかける少女」(2006年)、「サマーウォーズ」(2009年)、「おおかみこどもの雨と雪」(2012年)と、

ヒロインものが続いとったけど、ここにきての意外性ある少年もの。

疑似やけど親子が師弟関係を結んで、特訓してゆく設定も、少年ド根性系アニメに見られるけど、こちらは、互いに教え合うとゆう、あんましない設定。

ほんで、それが2人のキズナをば、増してゆくっちゅう作りになっとります。

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声優のプロをメインにしないんは、ディズニーやジブリやらと、一緒かもしれへんけど、

起用された声優は、はっきりゆうて豪華どす。

役所広司のワイルド感、宮崎あおいのツンツン調、染谷将太のブッキラ節、広瀬すずチャンの優しき自然声やら、見事に声で演技してはります。

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そんな中で、ボク的には、育てのオトンと共に、主人公に常に寄り添う2人、リリー・フランキーと大泉洋のキャラに、シブミを感じました。

また、2人の役柄にも似合った声優ぶりで、グッときよります。

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色使いでゆうと、セピア・トーンのイロイロを始め、通りの地下を泳ぐクジラのブルー・トーン、入道雲などの空の造形、花火シーンのカラフルやら。

ほんで、キレるロングショットが多かったところも、映画的で良かったどす。

ポケモン的な、白いちっちゃな生き物を始め、ジブリ的キャラも登場。

ほんでもって、ラストロールでは、Mr.Childrenの「Starting Over」が流れます。

ジョン・レノンの同タイトル・ナンバーを意識しながらも、ミスチルチックなサビで熱唱系のスタイルは、本作の余韻を深める効果がありました。

さてはて、ボク的には「インサイドヘッド」と見比べてほしい作品どす。

2界を描く映画の、ツー・バージョン。どちらも傑作やと思います。

2015年7月 4日 (土)

「リアル鬼ごっこ」⇒週末日本映画劇場

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ホラー映画か、ゲーム系映画か、それが問題や~

シュールなノリをエンタ化した、トンデモない怪作

http://www.realonigokko.com/

7月11日の土曜日から、松竹とアスミック・エースの配給で、全国ロードショー。

本作は「R15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会

あの「リアル鬼ごっこ」シリーズ(2008年製作・2010年・2012年に3作・全5作・弊ブログ分析済み)の、スタイルや設定はそのままに、

トンデモないシュールな怪作が、登場してきよりました。

リアリズムではモチ、説明不能のシュール(形而上)な展開で、女子高生たちが次々に粛清・殺戮されてまいります。

本作は原作小説を始め、基本はホラー映画なんやけど、そのサバイバル系のノリは、

「バトル・ロワイアル」(2000年)チックな、理由なきゲーム映画ノリが付加されておます。

でもって、総合的に見ると、ホラーもゲームもサバイバルも入った、シュール・レアリズムなエンターテイメントでおました。

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本作には、「シュールに負けない」とゆうセリフがあるんやけど、それが大いなる伏線にもなっとります。

シュール映画は、ある意味で芸術映画とほぼイコールとされ、いわゆる娯楽作とゆうイメージはないんやけど、

でもしか、シュールな不条理映画でも、エンタ作品ではSF映画を始め、多数輩出されておます。

最近でゆうたら、夢の意識層を映画化した「インセプション」(2010年・アメリカ映画・ブログ分析済み)などが、大ヒットしておます。

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ほんでもって、本作のベース・ポイントをゆうたら、ホラー映画とサバイバル映画でおましょうか。

いきなり女子高生が乗る観光バスが、風が落ち葉に乗ってスパッと切るっナンチュー、

シュールな自然現象で、真っ二つに切られてもうて、ヒロイン(トリンドル玲奈)を除いて、全員死亡。

血しぶきなスプラッター、かつ衝撃の冒頭部でおます。

さらに、ヒロインが生き残って戻った学園では、これまでの学園ホラーにはなかった、メチャクチャな展開が待っておました。

女教師たちが、生徒を殺そうと、マシンガンをブッ放し、爆弾を爆発させ、地雷攻撃まで。

一体どないなってんのんなとこが、次々に繰り出されてきよるねん。

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叫んだり怖がったりの、学園ホラーのセオリーを、思いっきり外してはりまして、

ヒロインには次から次へと、トンデモないシュールな災難が降りかかってまいりま。

ヒッチコック映画な、受難系・災難をハネとばして系の、映画でもあるんやけど、

これまでの受難ものとは違い、かなりとハメを外し、また、人格転移などの新味も加えてはります。

ほんで、アイドル・ムービーとしての、見どころもあるやろか。

どぎまぎカワユイを見せる、ヒロイン役トリンドル玲奈ちゃん。

元AKB48の篠田麻里子ネーさんの落ち着き、ハロプロ出身の真野恵里菜ネーさんの妖しさ。イロイロ楽しめまっせ。

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ともすると、この種の映画では、チャッチーになりやすいCG・VFX使いも、

エグイとこもあり、でも笑えるとこもあるとゆう、バラエティーな作りで魅せる使い方。

上からの撮影・俯瞰カットでサスペンス感をあおり、

バンド・サウンド、癒やし系ギター、骨太なチェロ、ソフトなバイオリンなど、多彩なサントラと共に、シーン、シーンを映えさせてゆかはります。

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「新宿スワン」(ブログ分析済み)、「ラブ&ピース」(分析済み)に続く、園子温監督の今年の第3弾どす。

ジャンル映画を、トンデモ・レベルへと、エンタ昇華させる才能は、稀有なるものやと思います。

今年の第4弾、5弾もありまんので、お楽しみにしとってくだされ。

2015年7月 3日 (金)

「映画 ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」

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スピードフル&コミカルな、イギリスのクレイ・アニメ

サントラを流しまくる、サイレント映画のノリ

http://www.aardman-jp.com/shaun-movie/

7月4日のサタデーから、東北新社の配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 AARDMAN ANIMATIONS LIMITED AND STUDIOCANAL SA. A STUDIOCANAL. RELEASE

クレイ・アニメ映画ちゅうたら、イギリスのアードマン・アニメーションズちゅうくらい、唯一無二のもんがあります。

アメリカにも日本にもほとんどない、アニメの手法やろな。

まあ、人形アニメゆうたらそうなんやけど、立体的なとこはある意味で3Dやし、それでいて、懐かしいほのぼのアニメな感覚もありまんねん。

「ウォレスとグルミット」シリーズ(1989年~2005年製作・全3作・イギリス映画)「チキンラン」(2000年・イギリス)などが、DVD化されとりますんで、本作を見る前後に、予習・復習をしてみなはれ。

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さて、本作とディズニー・アニメを、チョイ比較してみますと、

動物の擬人化は似てるかもしれへんけど、こちらは基本的に、動物は喋りまへん。

サイレント映画のノリながら、ディズニーよりコミカルにしてスピーディーに、物語が展開してゆきよります。

動作で魅せるからか、ディズニー以上に楽しくて笑えますやろか。

また、ダイジェスト・シーンのタイト感を始め、ある意味で、ディズニーより、ピクサーチックやもしれまへん。

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セリフなしのサイレントやけど、サントラをしょっちゅう流してはる作りでおます。

アルバム「アビイロード」のジャケットを模したシーン(写真上から4枚目)も入った、ビートルズチックなバンド・ナンバーあり、

ロック・バンド・サウンド、ブギー・ロック、レゲエ、ダンスなヒップホップ、ギター・ピアノ・バイオリン・パーカッション・ハーモニカやら、

シーンに合わせて、ホンマ多彩に流れるんでおますよ。

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さてはて、羊たちを始め、イヌ、ブタ、ニワトリなどが登場。

いたずらで寝入った主人を車に入れて、みんなは母屋で好き放題にしやはります。

ところがどっこい、車がアレアレ走り出して、街まで行ってまいます。

で、交通事故って、入院した主人は記憶喪失となってまいます。

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ほんで、主人を探して、みんなは人に仮装して、街まで繰り出さはりまんねん。

片や、主人は病院をこっそり抜け出して、羊毛切りを手が覚えとって、ヘアーカットの仕事をば、やらはり始めまして…。

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記憶喪失系をドラマに入れる場合は、これまではほとんどがラブ・ストーリーやったけど、こういう設定で入れるんは新しいかも。

さらに、カー・アクション、銃撃戦など、ハラハラのアクション・シーンも、大いなる見どころになっておます。

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「チャップリンの黄金狂時代」(1925年・アメリカ)や「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)など、

名作へのオマージュ・シーンも、用意されておまして、映画ファンもニンマリどすやろか。

とゆうことで、ディズニー・アニメに勝るとも劣らない、良質のファミリー・ムービーになっとりますんで、

コドモ連れの家族一同で、ご覧くだされまし。

2015年7月 2日 (木)

「ルック・オブ・サイレンス」⇒今年のマイ・ベストテン級作品

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緊張に満ちた、社会派ドキュメンタリーの傑作

社会派ドキュ映画のマイ・ベスト・スリーや~

http://www.los-movie.com

7月4日のサタデーから、トランスフォーマーの配給で、東京・シアター・イメージフォーラム、大阪・テアトル梅田、シネマート心斎橋やらで、ロードショーだす。

本作は2014年製作の、デンマーク・インドネシア・ノルウェー・フィンランド・イギリス合作映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸFinal Cut for Real Aps, Anonymous, Piraya Film AS, and Making Movies Oy 2014

いきなりやけど、社会派ドキュ映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)をば言いますと…。

①本作②ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年製作・カナダ映画)③ゆきゆきて、神軍(1987年・日本)

●全ての作品が、インタビュアーが主人公となった映画でおます。

マイケル・ムーア監督自らが、突撃的に関係者に切り込んだ②。

エキセントリックな主人公が、凄まじい攻撃性を見せる③。

でもしか、②③に比べて、本作の主人公は、とことん冷静沈着に、いろんな関係者に対してゆかはります。

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その関係者とは、1965~1966年のインドネシアで、100万人以上の共産主義者の、虐殺に関わった奴らでおます。

しかも、兄を殺された弟が、主人公でインタビュアーどす。

本作と同じ監督、ジョシュア・オッペンハイマーが撮らはった、

そんな虐殺者を主人公に、当時の残虐ぶりをメイキング映画として再現したドキュ「アクト・オブ・キリング」(2012年・弊ブログ分析済み)のDVDを、

主人公が無表情で見るシーンから、本作は淡々と始まります。

ほんで、メガネ検査やらを名目にして、殺戮に関わった親戚や、近所に住む人々と、会ってゆかはるんどす。

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②や③の攻撃型が、この種の映画では、衝撃的なところを醸し出すもんなんやけど、

本作の主人公は激することなく、兄を殺した陳謝の言葉を求めて、相手と会ってゆかはります。

それでいて、間(ま)を取り込んだ、緊張感あるやり取りの連続が、ボクらを息苦しくさせ、

ほんで、ジワジワと真綿を締めるような、インパクトがやってまいります。

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その緊張感の一方で、癒やしのシーンや、親子のキズナや泣きのシーンなどが、重たいシーンと、対比されるようなカンジで、点綴されます。

緑に満ちた自然や澄んだ青空など、インドネシアの明るい風景。

主人公と娘たちとの、ほのぼのとしたエピソード。

アルツハイマーのオトン、殺戮の事情を知るオカンとの、泣けるシーン…。

サントラは流さず、ラストロールでは、オトンの歌声を、しみじみと聞かせてくれはります。

緊張と感動のバランスが、見事に構成されとりまして、

何とも言えない鑑賞後感がありま。

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世界3大映画祭のヴェネチア国際映画祭で、最高賞はもらわれへんかったけど、5冠をゲット。

ボク的にも、今年の洋画のベストテン級の映画どした。

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