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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2015年6月の記事

2015年6月30日 (火)

6月に見た、年間マイ・ベストテン候補作品

★日本映画

●赤い玉、(9月11日全国順次公開)

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Ⓒ「赤い玉、」製作委員会

●バケモノの子(7月11日全国公開)

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★外国映画

●インサイドヘッド(7月18日全国公開・アメリカ映画)

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●クーキー(8月22日全国順次公開・チェコ映画)

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●約束の地(関西は7月18日公開・東京は公開中・アルゼンチン映画)

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●サイの季節(7月11日全国順次公開・イラク&トルコ合作)

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●全ての作品は後日、詳しく分析いたします。

日本映画の特筆は「赤い玉、」どす。

高橋伴明監督と奥田瑛二主演で贈る、ポルノティック映画やけど、高齢期男のヤラシさへの執着感が、何とも言えへん、映画的やるせなさをもたらす傑作。

東宝配給の「バケモノの子」と、ディズニーとピクサーの「インサイドヘッド」は、

共に2つの世界を描いた映画どすが、今夏共に大ヒットしそうなアニメの快作。

洋画の単館系では、各国のアート系映画をチョイスしました。

後日の分析を、お待ちくだされ。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」

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アメコミ「アベンジャーズ」シリーズ最新版どす

今夏日本でも、大・大ヒットが狙える1本やー

http://www.marvel-japan.jp/avengers

7月4日のサタデーより、全国拡大ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸMarvel 2015

さてはて、今夏の日本の夏祭り映画興行。

10大くらいの映画の、大乱舞とゆわれとりますが、洋画の目玉としては、本作がイチバンヤーの期待作品どす。

「HERO」(日本映画・弊ブログ分析済み)、「ジュラシック・パーク」(第1弾は1993年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)、「ターミネーター」(第1弾は1984年)やら、そのほぼ半分が、シリーズもんでおます。

でもしか洋画では、21世紀から始まったシリーズもんとしては、本作シリーズのみ。

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21世紀のキーワード、アメコミ(マーベルコミック)をポイントに、21世紀型のハリウッド映画の、在り方を示すシリーズ。

「アイアンマン」(2008年)から始まっとりますが、シリーズものでも、

2本シリーズをベースに、スピンオフもあるっちゅうのんは、史上初の派生型シリーズもんでおましょうか。

ベースの1本は3本も出てる「アイアンマン」やけど、オールスター揃い踏みとなる「アベンジャーズ」シリーズは、今年でまだ第2弾でおます。

シリーズもんは、バラやなく、第1弾から見ようちゅう方程式になっとりまして、

テレビ放送やらを未見の方は、レンタルDVDやらで第1弾は、ぜひとも見とかんといけまへん。

第1弾未見のままやと、おそらく何が何やらさっぱりやろな。

なぜなら、登場人物たちのキャラクターが、大いに見どころに、機能しとるとこでおますゆえ。

1
さてはて、何はともあれ、本作の見どころをば見てみましょか。

アクション・シーンこそが、従来のハリウッド大作の基本となっとった、見どころなんやけど、動体視力が付いていけへんくらい、スピードフルにアクションが展開しよります。

3大アクション・シーンは、①韓国サイドで展開する、電車脱線までの、トンデモ対決アクション。

②冒頭から繰り出される、6人スターのミッション・シーン。

③6人+2人が、人類の敵と対決するクライマックス。地面が上昇してゆく中での、この対決シーンの造形は、アクション映画シーンに残るような、凄まじきものとなっとります。

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さて、各キャラの活躍ぶりは、第1弾に続き快調や。

アイアンマンに扮する、ロバート・ダウニーJr.のアニキ。

彼がいちおうのチーム・リーダーなんやけど、彼のせいで新たな敵を作ってまうちゅう、皮肉な設定がありま。

「シャーロック・ホームズ」シリーズ(2010年・2011年・ブログ分析済み)など、21世紀になって、ブレイクした俳優の見本なんやけど、

チャップリンを演じた「チャーリー」(1992年)のなり切り型やら、「グッドナイト&グッドラック」(2005年)などのシブミやらが、本作にキチッと反映しておます。

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女スパイの雛形的な、スカーレット・ヨハンソンのネーさんを始め、

ジキルとハイドな2面性を見せる、ハルク役のマーク・ラファロ、

アカデミー作品賞「ハート・ロッカー」(2010年・ブログ分析済み)主演のアクション性が、にじみ出るジェレミー・レナー、

ほんで、本作シリーズが、ブレイク・ポイントとなった若手陣など、

スター映画の多彩感もまた、本作の大いなるチェック・ポイントどすえ~。

ちゅうことで、みんなで一緒に、見に行ってみようで~。

2015年6月28日 (日)

映画愛に満ちた傑作「向日葵の丘 1983年・夏」⇒日曜邦画劇場

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映画メイキング映画にして、学園青春映画の傑作

往年のハリウッド映画が、多数引用されて…

http://himawarinooka.net/

8月22日のサタデーから、品川プリンスシネマやらで、全国順次のロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

学生時代に映画を撮ったエピソードを、映画にする場合、現在形であれ過去形であれ、そこには深い映画への愛があります。

洋画では、プロの映画メイキング映画が、大多数を占めていますが、8ミリ小僧(本作では少女)の多かった日本では、映画撮影の青春映画がケッコーあります。

ボクの記憶では、16ミリで撮られた大森一樹監督の「暗くなるまで待てない!」(1975年製作)あたりが、この種の日本映画のルーツではないでしょうか。

しかし、タイトル数は少ないことは少ないけど、21世紀以降で言うと、

ミステリー・モードな「カミュなんて知らない」(2006年)、現在進行形の「桐島、部活やめるってよ」(2011年・弊ブログ分析済み)。

そして、今年は、フェデリコ・フェリーニ的作品を撮ろうとする「チョコリエッタ」(ブログ分析済み)などが出てまいりました。

しかし、本作の場合は、それらの作品とは違って、21世紀の現在地点から、1983年の過去を振り返るという、カットバック的手法を採っています。

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映画館の撮影技師と、のちに映画プロデューサーとなる少年とのキズナが、感動的だった「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年・イタリア&フランス合作・ブログ分析済み)。

本作はその日本版と言うよりも、映画館の閉館はあるものの、「ニュー・シネマ…」とは違い、

セリフとシーンなどで示される、引用映画のテンコ盛りで、映画・映画・映画に、こだわった作品になっています。

引用映画のタイトル数は、映画史上過去最大数ではないだろうか。

名画座で見たミュージカル「雨に唄えば」(1952年)、当時テレビで毎日のように、オンエアされていた洋画、アメリカン・ニューシネマ「俺たちに明日はない」(1967年)などのアメリカ映画。

でも、部屋に飾ってあるポスターは、ヌーヴェル・バーグなフランス映画「大人は判ってくれない」(1959年)。

今はシナリオライターやってる、常盤貴子ネーさんの映画嗜好です。

ワケあって、実家・故郷(静岡の田舎)には、30年も帰っていないらしい。

一方、アルフレッド・ヒッチコック監督サスペンスに、今もノメっている藤田朋子。

そして、末期の病気になり、死期迫る田中美里は、常盤貴子に会いたくて、メールでコンタクトを取って…。

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高校時代の映画製作シーンは、本作の一つのハイライトです。

最後に、その全貌が明らかにされるのだが、8ミリでモノクロで、サントラだけが入ってるサイレント映画。

モノクロ・フィルムは1983年当時も、入手困難だったのは、ボクも曲がりなりにも撮っていたから分かる。

けども、いろんな8ミリ映画青年が、モノクロをメッチャ志向していた。

そういう流れで、本作を見れば、17歳という年齢で、なぜモノクロ・サイレントなのかとゆう、疑問は解消されます。

さらに、彼女たちは、映画の内容的なことに言及すると、犯罪映画の「俺たちに明日はない」と、お気楽ミュージカルの、トンデモない融合映画を、撮ろうとしていたんですよ。

写真上から3枚目の3人(芳根京子・藤井武美・百川晴香)の映画作家性だけど、かなりの前衛。かなりと実験映画のお手本「アンダルシアの犬」(1928年・フランス)でした。

いずれにしても、映画愛がひしひしと感じられる逸品。その熱気をぜひとも、映画館でご体感あれ。

2015年6月27日 (土)

「飛べないコトリとメリ~ゴ~ランド」⇒週末日本映画劇場

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岡野真也(マヤ)演じる、今どきのヒロイン・ドラマ映画どす

姉妹ミュージシャン・ユニット、チャラン・ポ・ランタンとのコラボレート

http://www.kotori-merry-go.com

7月4日の土曜日から、SPOTTED PRODUCTIONSの配給によりまして、新宿シネマカリテで、全国順次のロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1

Ⓒ2015 Sony Music Artists Inc.

ヒロイン映画やらのドラマ映画を、実在のミュージシャンと絡めて紡ぎ出す映画。

この種の映画は映画史でも珍しく、ドラマ映画はドラマ映画、サントラはサントラとくっきり分けた映画が、圧倒的に多い中でも、異彩を放っておます。

ミュージカルでもなく、ミュージシャンを描く映画でもない、このタイプ。ある意味で、日本独特のもんがあるかもしれまへん。

2
てゆうか、MTVから始まった、アメリカのミュージック・ビデオクリップの波が日本にも浸透し、それが恒常的になったところで、

ドラマとのシンクロを考えるようになった、ちゅうとこがあるんやないかと、ボクは分析すんねんけど、

そんな中でも、インディーズ系ながら、本作の配給会社SPOTTED PRODUCTIONSは、

その種の作品をば、ケッコー配給してはります。

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マイ・ベスト・スリーをば申しますと、

①劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ(2011年製作・弊ブログ分析済み)

②自分の事ばかりで情けなくなるよ(2013年・ブログ分析済み)

③本作

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●ロックバンド「神聖かまってちゃん」と、今をときめく二階堂ふみチャンとのコラボ①、

同じくロックバンド「クリープハイプ」と、池松壮亮と黒川芽以の、ラブ・ストーリーとのシンクロ②。

ほんでもって、本作は、共に売り出し中の姉妹ユニット「チャラン・ポ・ランタン」と、ヒロイン岡野真也チャンとのコラボレートでおます。

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①②はあくまで、バンド部とドラマ部のつながりは、さほどなかったんやけど、

こちらは、「チャラン・ポ・ランタン」の2人が、ヒロインを励ましたり、アドバイスしたりして、ヒロイン・ドラマに積極的に関わってきはります。

奥田民生と木村カエラがコラボした「カスタムメイド10.30」(2005年)のノリがありました。

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「チャラン・ポ・ランタン」の2人は、主人公を励ます幻想的なシーンを始め、イロイロ登場しはります。

アコーディオンによる、大正歌謡のような、どこか懐かしくて癒やしを感じさせる2人の楽曲は、ヒロインを慰めかつ鼓舞するには、打ってつけのもんでおましょうか。

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ほんで、就職難・恋愛難の、今どきの時代のヒロインをば、岡野真也チャンが、消極的退きの演技で、

意味もなく頑張ろうとか、虚勢を張ることもなくやってはりまして、そこんとこが、若い人たちには、感情移入しやすい演技性なんかもしれまへん。

「俺俺」(2013年・ブログ分析済み)にも出てやったらしいけど、ボクの記憶にはなし。けども、今作で、しっかり覚えましたで~。

7
出版社に試験就職し、本採用になったヒロインやけど、実地になると、過酷な現実が待っとりまして、あたふたドキマギの毎日が続きます。

そんな時、試験就職で一緒だった男の子と、エエ感じになって、同棲時代に入らはんねんけども…。

いかにも、今どきのヒロイン物語なんやけど、ヤッパ、「チャラン・ポ…」の2人とのコラボによって、一歩前に進んだヒロイン・ドラマになっとります。

過去の人の話が多い、朝ドラみたいなさわやかさはないにしても、

ここには現代の悩める、乙女の実相がおます。悩みを超えた向こうを、感じてみたい作品どした。

2015年6月26日 (金)

「チャイルド44(フォーティフォー) 森に消えた子供たち」

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ソ連・ロシアを舞台にした、アメリカ映画の最高傑作が誕生

ミステリー映画としても、1級品の仕上がり

http://child44.gaga.ne.jp

7月3日の金曜日から、ギャガの配給により、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

1
旧ソ連映画やロシア映画やなく、ソ連・ロシアを舞台にした、アメリカ映画ときて、みなはんの思い出す映画て何があるやろか。

おそらく、オードリー・ヘプバーンが主演した「戦争と平和」(1956年製作・アメリカ&イタリア合作)とか、

「スターリングラード」(2001年・アメリカ&ドイツ&イギリス&アイルランド)とか、戦争映画がメインになるんやないやろか。

ラブ・ストーリーでは、「ドクトル・ジバゴ」(1965年・アメリカ&イタリア)なんかも傑作やけど、

ミステリー映画なんてきた日には、どないどすやろ。

ほぼ皆無に近いんやないやろか。

3
そこへ、登場してきたんが本作でおます。

1950年代のスターリン支配の、粛清時代を取り込んだ原作やけど、ロシアやなく、イギリスの作家トム・ロブ・スミスが書いたもの。

スターリン時代ちゅうたら、日本の作家にも「スターリン暗殺計画」ナンチューのんがあったけど、

本作の原作は内容的に、ロシア人やないと、書けないんやないかっちゅうとこがありました。

6
その意味では、取材力の凄みある原作どして、それを反映した、重厚なるサスペンス、ほんでミステリーになっとります。

でもしか、殺人は起こり得ないとゆう、スターリンの考えが浸透していた時代。

さらに、東西冷戦下。西側の色が少しでもあるヤツは、容赦なく銃殺される時代や。

第二次大戦後の、平和な時代の話やと思たら、ナチス並みの、メチャメチャな圧政下の話でおます。

2
コドモ殺人がありましてな、殺人やない、事故死として処理されたんやけど、

主人公(トム・ハーディ)が単独調査したら、当局から目を付けられ、

さらにヨメ(ノオミ・ラパス)が、西側のスパイやないかと、疑われはります。

7
フツーやったら、夫婦2人共、いっぺんに銃殺なんやけど、温情があってか、田舎の警察へ、左遷ちゅうことになったんやけど…。

ミステリーはミステリーでも、真相を追えば、身が危険になるとゆう、ある意味で、アンチ・ミステリーなノリどす。

でもしか、かつてもあった、その種のミステリーとは違い、真相を追ってほしくないんは、国家でおます。

8
国家に反逆してでも、ヨメと共に、事件を追ってゆく主人公のヒロイズムは、

まさに映画ヒロイズムに、見合った造形ぶりどした。

5
モスクワを追放されたのに、事件調査のために命懸けで夫婦でモスクワへ行ったりの、いろんなサスペンス感あるシーンがあり、

ほんで、泥だらけの格闘アクションなど、アクション・シーンも展開します。

4
悪役が板に付いてるけど、田舎の警察署長役のゲイリー・オールドマンはんが、渋~いキャラを披露や。

主人公トム・ハーディとのやり取りは、ミステリー部の大いなる伏線部になっとります。

そのトム・ハーディ。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(6月13日付けで分析)の、ワイルド・アクションとはまた違った、

ミステリーの中でのアクションに、こだわったようなヒロイズム・アクトで魅せてくれはりますし、

また、ヨメのナオミ・ラパスとの恋愛部にも、怪しいとこがあって、サスペンス感を増しておました。

ちゅうことで、5月末に披露した通り、年間マイ・ベストテン級の作品です。

2015年6月24日 (水)

「レフト・ビハインド」⇒ニコラス・ケイジ主演作

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航空パニックに、超常現象を取り込んだ逸品や~

異能系パニック群像劇に、慌てふためく怪作や~

http://www.leftbehind-movie.jp

6月27日のサタデーから、クロックワークスの配給によりまして、新宿バルト9、梅田ブルク7、T・ジョイ京都やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 LEFT BEHIND INVESTMENTS, LLC.

昨日分析した「悪党に粛清を」のとこで、

アメリカ映画のお家芸映画について、言及いたしましたが、その1つであるパニック・ムービーどす。

しかも、パニックでもさらに限定してでんな、本作は航空パニックでおます。

ちゅうことで、ここで、航空パニック・アメリカン映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、勝手に披露いたしますと…。

1
●ベスト⇒①エアポート'75(1974年製作)②ユナイテッド95(2007年)③フライト(2012年)

●カルト⇒①本作②乱気流 タービュランス(1997年)③スネーク・フライト(2006年)

●ベスト①は「大空港」(1970年)を第1弾とする、全4作シリーズもんの第2弾でおましたが、

あくまで航空パニックの、パニックらしさを打ち出したものでおました。

実話系のベスト②③も、同様でおます。

けども、カルトでは、フツーの航空パニックに、新味を加えたもんをば取り上げとりま。

6
カルト②は乱気流と、犯罪ものを合体。カルト③は、動物パニックとの合体。

ほかに、ハイジャックやら消失ものやら、それなりにイロイロあるけど、

本作は、超常現象系を取り込み、地上のパニックとの2部構成で描いた、世紀末的航空パニック・ムービーとなりました。

コドモたちを中心に、衣服をそのまま残して、突然消えるっちゅう、意味不明の現象。

航空機内と地上で、この異常現象が起こってきよります。

4
なんでコドモたちの突然消失を、航空機パニックと絡めようとしたんかは、不明やけども、

地上での混乱ぶりとの、対比みたいなんを狙ったんやろかな。

神の仕業なんちゅうのんは、リアリティーのないもんやけど、

また、地上の混乱ぶりと、航空機内でのミステリアスな展開が、乖離してるようなとこもあんねんけど、

でもしか、チカラワザとも言える群像劇が、グイグイと押し進められてまいります。

2
ニコラス・ケイジが、「コン・エアー」(1997年)のアクションは控えめに、機長役・冷静沈着な役で主演だす。

聖書狂いのヨメはん。地上で弟の消失を、目の当たりにする娘はん。キャビン・アテンダントと、不倫してそうなケイジはん。

こんな設定で、航空機内パニックと、地上の人消失パニックが、リンクしてゆくみたいな展開なんやけど、

これまでのセオリーを、外すようなとこもあってオモロイわ。

5
確かに本作は、かってないような異能系の、パニック・ムービーやないやろか。

でもしか、不時着シーンのスリリングや、パニック映画お約束の帰結ぶりなど、オーソドックスなとこも、キチンと見せてくれてはります。

「セブン」(1995年)などの、聖書を引用したトリッキーな作り。

「インディ・ジョーンズ」や「スーパーマン」やらの、スタントマンを務めた、ヴィク・アームストロング監督が、

スリリングと、ハッとハッとを、キモに作ったような作品。

てなわけどして、イロイロ納得できるとこがある、快作でおました。

2015年6月23日 (火)

「悪党に粛清を」⇒復讐のウエスタンや~

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アメリカを舞台にした、デンマークの西部劇や~

リベンジ劇をベースに、ウエスタン・スパイスが満載

http://www.akutou-shukusei.com

6月27日のサタデーから、クロックワークスと東北新社の配給で、新宿武蔵野館、梅田ブルク7、シネマート心斎橋やらで、全国ロードショーだす。

本作は「R-15+」指定映画。2014年製作の本編93分。デンマーク&イギリス&南アフリカ合作による、デンマーク映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Zentropa Entertainments33 ApS, Denmark, Black Creek Films Limited, United Kingdom & Spier Productions(PTY), Limited, South Africa akutou-shukusei.com

アメリカ映画のお家芸ジャンルちゅうて、みなはんが思い出すんは何があるやろか。

ハリウッド的アクション、ミュージカル、ウットリのラブ・ストーリー、ラブコメ、SF、パニック・ムービーやら、いろいろあるかと思うんやけど、

最大のお家芸は、アメリカのエリアを冠した、西部劇イコール、ウエスタンやないやろか。

ところがどっこい、1950年代をピークに、アメリカの西部劇は、徐々に作られなくなってまいりました。

時おり、傑作を披露するものの、むしろ逆にアメリカ以外の国から、オッと驚くべき作品が登場しておます。

5
1960年代に、一世風靡したイタリアのマカロニ・ウエスタンを含めまして、そんなアメリカ以外の国が製作したウエスタンの、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、手前勝手に思いつくままに、披露してみますと…。

●ベスト⇒①本作②荒野の用心棒(1964年製作・イタリア&西ドイツ&スペイン・弊ブログ分析済み)③夕陽のガンマン(1965年・イタリア&スペイン)

●カルト⇒①ビッグ・バッド・ウィアード(2009年・韓国)②エル・トポ(1970年・メキシコ・ブログ分析済み)③EAST MEETS WEST(1995年・日本)

3
●中国を舞台にしたカルト①以外は、西部劇としての文字通りの、アメリカ西部を舞台にした作品どす。

アート的カルト的な作りのカルト②、岡本喜八監督の怪作カルト③など、本家西部劇とは、一味違った作りの作品もエエんやけど、

王道の西部劇を、模倣ナンチューたらアレやけど、ベースにしたベストの3作は、分かりやすくて、ココロにグサッときよります。

1
西部劇の中身的には、2派の対決やら、そこに流れ者が関わったり、単独で悪を倒すなどの、スタイルがあるけど、本作はリベンジ・復讐が根幹にあります。

また、「駅馬車」(1939年・アメリカ)などのロードムービー、あるいは追跡劇としての西部劇タッチは、さほどないけど、

でもしか、冒頭部では、復讐の原因を描かれる重要なとこで、披露されておます。

2
ほんで、本場のオーソドックスな西部劇よりも、エグイ作りになっとりまして、冒頭のシーンから、ギラギラした欲望と、そのはけ口としての、バイオレンスなとこが見せられま。

息子はんとヨメを、殺されてもうた主人公は、すぐにリベンジで相手を銃殺してまいます。

6
でもしか、殺した相手の実のアニキが、主人公が住む街の支配者どして、殺した弟のヨメもいてはります。

ここで、リベンジのやり合いちゅう、設定が生じるんやけど、

このヨメはアニキにヤラれてしもて、アニキを憎んではります。そのあたりの憎悪演技は、チビチビ発火してまいります。

4
モノクロっぽい闇夜の作り、雨の中のモノクロっぽい追逃劇など、緊張感作りのための、モノクロ使いが巧みやし、

また、効果音としての風の使い方、哀愁のギターと弦楽オーケストラの、シーンに合わせた、サントラ使いなども上手だす。

ちゅうことで、正義と悪にくっきり分けた、キレ味鋭い西部劇でおました。

何はともあれ、必見や!

2015年6月21日 (日)

「ラブ&ピース」⇒日曜邦画劇場

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ファンタジー映画と音楽映画と特撮映画と喜劇映画やらを、1つの映画にブチ込んでみたら…

トンデモない作品が、出来上がりましたとさ

http://love-peace.asmik-ace.co.jp

6月27日の土曜日から、アスミック・エースの配給によりまして、TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015「ラブ&ピース」製作委員会

1
園子温監督の今年2作目だす。

ところで、みなはん、本作を撮った、園子温監督って知っとるかー。

常に作品の中に、トンデモ・パワーを注入し、これまでにないような映画を創らんとゆう、モノゴッツーな熱気が身に染みて、カンジられる監督はんでおます。

恋愛映画の極北「愛のむきだし」(2008年製作)、冷酷映画の極北「冷たい熱帯魚」(2011年)、

染谷将太と二階堂ふみの2人の演技が、ブッとんどった「ヒミズ」(2012年・弊ブログ分析済み)、

片や癒やしのノリで、東日本大震災を捉えた「希望の国」(2012年)、

トンデモ映画メイキング映画「地獄でなぜ悪い」(2013年・ブログ分析済み)など、

既にDVD化されとるんで、本作を見る前に、予習しときましょう。

2
ほんでもって、今年は、「不夜城」(1998年)以上に過激やった、新宿映画「新宿スワン」(ブログ分析済み)。

シュールなエグサ満載の、学園ホラー・アクション「リアル鬼ごっこ」(7月11日公開・後日分析)。

ほんで、その2作の間に公開されるんが、本作でおます。

本作は、園監督が、映画監督以外に、ミュージシャンも目指してはったらしい、1990年代初期に、

ボロアパートの一室で、しこしこ書き上げたオリジナル脚本が、ベースにあるらしいどす。

そやから、その生活感やらが、ペーソス深く染み込んでおます。

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ミュージシャン志向的には、音楽映画のノリどす。

主人公役・長谷川博巳のアニキは、「地獄でなぜ悪い」の巻き込まれ型の、オロオロ系演技に冴えを見せ、

ヒッチコック監督系映画の主人公みたいに、濡れ衣やプレッシャーをば、ハネ飛ばすようなとこもなく、淡々と流れに身を任せはります。

ちっちゃなカメを買って、カメに自分のミュージシャンへの夢を話し、自ら作った歌を聞かせ、

でもしか、そんなん現実的には空しいはずなんやけど、

博巳アニキは、カメへの愛玩ぶりを、勤める会社の社員たちにいじめられてしもて、カメをトイレから思わず流してしまいます。

5
そのカメが行き着いた下水の地下エリアには、西田敏行はんがいて、いろんな捨てられてしもた人形やらペットやらと共に、暮らしてはります。

彼らの願いを叶える、この西田はんの演技ぶりは、「ジヌよさらば」(2015年・ブログ分析済み)でもそうやったけど、

イメージを定着させた「釣りバカ」ハマちゃん演技の、まさにファンタジー・バージョンでおましょうか。

「釣りバカ」的喜劇性も、そこはかとなくありまして、バカバカしいと思う以前に、何とも言えない哀愁味やらペーソスをば、カンジさせてくれはります。

3
捨てられたカメが、主人公の願いを叶えるたんびに大きくなってもうて、遂には「ガメラ」みたいに巨大になり、愛する主人公の元へ。

本格的特撮シーンは、「ゴジラ」の東京破壊特撮シーンやらに、オマージュしてはるんやろか。

でもしか、「ゴジラ」とは違い、ユルユルなペーソス・ペースや。

麻生久美子ネーさんと、主人公・長谷川博巳アニキの、ラブ・ストーリーへと行きそうになりながら、

いろんな映画ジャンルが、混在したこの流れや、唖然となってまう決着ぶりには、OH!でおました。

ラストに、忌野清志郎率いたバンド、RCサクセションのタイトル通りの「スローバラード」が流れ、

笑っていいのか泣いていいのか、何とも言えないとこへといってまいます。

ちゅうことで、トンデモ楽しめて驚ける、荒唐無稽・破天荒な怪作エンタでおま!

2015年6月20日 (土)

「きみはいい子」⇒週末日本映画劇場

2
先生役・高良健吾と、ママ役・尾野真千子の話が、別々に展開

コドモにまつわる群像劇映画の、新味を打ち出した快作

http://www.iiko-movie.com

6月27日の土曜日から、アークエンタテインメントの配給によりまして、テアトル新宿、テアトル梅田やらで、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

3

Ⓒ2015 アークエンタテインメント

コドモの虐待と、虐待を緩和するには、どないしたらエエねんを、テーマにした作品どす。

それを、小学校の教師(高良健吾)サイドと、我が子を虐待するオカン(尾野真千子)サイドに分けて描いてはります。

しかも、この2話は、シンクロナイズしまへん。

11
教師サイドの物語についてやけど、これまでは教師と生徒の関係性を、ベタに説教がましく、あるいは先生のヒロイズム的に、描かれてきたように思うんやけど、

本作の高良と生徒たちの関係性は、どちらかとゆうたら、あっさり地味に展開しよります。

小学生ものでゆうたら、例えば「ブタのいた教室」(2008年)の、妻夫木聡みたいなとこはなし。

骨細の高良アニキだけに、先生の弱さが際立っとりま。

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でもしか、ラストの方では、一大決心や。生徒を虐待から救うために、ひた走りまんねんで。

片や、尾野真千子サイドはどやろか。

原田美枝子が、コドモをとことん虐待した「愛を乞うひと」(1998年)ほどの、メチャクチャなとこはないけども、

でもしか、真千子ママがかつて親から、虐待を受けた経緯がありましてな、

そのトラウマが、自分の娘はんに対し、ついつい出てもうてまうっちゅう、虐待の連鎖ちゅうとこがありま。

4
そんな真千子ママに対し、近所の主婦オカン役の池脇千鶴ネーが、実にドラマティックなとこをば、見せはりまんねん。

ヒロイズムのキモやキーは、千鶴ネーさんにあるんやないやろか。

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さてはて、この2話以外に、チョイアルツハイマーな老人役・喜多道枝はんと、

自閉症のコドモを持つ、富田靖子オカンとの間で、いかにもみなさんが感情移入できそうな、渋いキズナが結ばれてまいります。

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コドモ虐待のさまざまなケースを、過不足なく取り上げ、

ほんでもって、映画的な決着や解決法を、提示する本作は、

この種の映画では、かつてない新味・オリジナリティーを、示してはるんやないやろか。

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監督は、前作「そこのみにて光輝く」(2014年・弊ブログ分析済み)で、かつてATG作品などにあった、日本的恋愛映画の粋を打ち出した、

女性監督・呉美保(おう・みぽ)ネーさんや。

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ネチッこさのあった「そこのみ…」に対し、本作は、サラリどすやろか。

ほんでもって、最後には、さわやかなカンジもあって、アート性の高かった「そこのみ…」とは違って、

より大衆受けする内容をば、内包してはります。

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「そこのみ…」に続き、北海道ロケを敢行どす。

小樽・札幌ロケやけど、ご当地ものの定番を外して、どこのロケか分からないような作りで、普遍性を追究してはります。

ちゅうことで、静謐かつ穏やかな作りの、群像劇映画どして、見たあとの癒やし度合いも、メッチャ高い快作どした。

2015年6月18日 (木)

韓国映画「皇帝のために」⇒エグイ度満点や~

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闇組織の上司と部下・男2人の変形相棒映画

イ・ミンギとイ・テイムの、激セックス・シーンも強烈

http://www.emperor.ayapro.ne.jp

6月20日の土曜日から、彩プロはんの配給によりまして、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。

本作は「R-18+」指定映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 OPUS PICTURES, All Rights Reserved.

世界各国に、闇組織の犯罪ノワール映画は、いっぱいありますが、

韓国映画の場合は、特にどこの国よりも、エグイ度がスゴ~うおます。

「R-18」、「R-15」バイオレンスはザラどす。過激な暴力シーン、過激なセックス・シーン…おそらく、エグイ度は世界ナンバーワンでおましょうか。

そんな韓国映画の、手前勝手に、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば申しますと…。

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●ベスト⇒①甘い人生(2005年製作)②チェイサー(2008年)③オールド・ボーイ(2003年)

●カルト⇒①本作②スカーレットレター(2004年)③後宮の秘密(2011年・弊ブログ分析済み)

●ベストは暴力シーンのエゲツナイのんを、カルトはセックス・シーンのヤラシー度でいってみましたが、

本作は、格闘バイオレンス・シーンも、目が点のウワアーが際立っておまっせ。

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八百長騒ぎでプロ野球界を、追放された主人公(イ・ミンギ)が、

釜山(プサン)の闇金業者(パク・ソンウン)に雇ってもらって、

暴力的な取り立て役をやり、また、野球賭博サイトの管理人もやって、

やがて、その闇業界で、のし上がってゆくちゅうドラマでおますが、

最後には、でもしか…がありま。

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冒頭からいきなり、セックス・シーンを回想カットにして、主人公たちの、ナイフ片手の抗争シーンから始まります。

残虐シーン、セックス・シーンがWで披露され、インパクトは大どした。

その後も拷問含む、バイオレントなシーンが繰り出され、

また、セックス・シーンでも、クラブでの乱れ具合から、女社長イ・テイムと主人公の、濡れ場まで容赦なし。

モロ出しのストレート的に見せるので、もうたまりまへん。

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でもしか、メイン・ポイントは、イ・ミンギとパク・ソンウンの、アウトローたちの相棒ぶりどす。

日本のヤクザ映画的な、相棒センスある映画でおまして、

近作ではヤクザ映画やないけど、「新宿スワン」(2015年・日本・ブログ分析済み)の、綾野剛と伊勢谷友介の関係に似とるやろか。

漁火のことなど、2人の会話セリフも、渋く練られておます。

そして、ラストシーンは、アメリカン・ニューシネマなノリがありま。

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薄ブルー、グリーン照明や、都会の摩天楼描写など、夜の描写と、昼間の自然光による撮影部の融合。

不穏な効果音的サウンドや、リズミックなシンセやラテン音楽などを、シーンに合わせて流して、映画リズムを構築。

男たちのドラマを盛り上げます。

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うっとりの純愛ラブやら、南北問題をテーマにした、社会性ある映画やら、大人しくてマジメな作品から、日本に本格的に流入してきた韓国映画やけど、

今やそんなんは昔の話どす。

次から次へと、過激な作品が惜しげもなく登場や。

そんな中でも、本作は最高ラインにエグ~。心して、見に行っておくんなはれ。

2015年6月17日 (水)

「ターナー、光に愛を求めて」⇒マイク・リー監督の新作

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カンヌ国際映画祭で主演男優賞と、芸術貢献賞の2冠をゲットや

画家アーティスト映画の人間臭さと、絵画的構図に酔うてもうたわ

http://www.cetera.co.jp/turner

6月20日のサタデーから、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作はイギリス・フランス・ドイツ合作による、イギリス映画150分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸThin Man Films

画家を描いた映画どす。

ちゅうことで、アーティスト(最近は、ポピュラー・ミュージシャンに対しても、この言葉が使われておますが、元来は画家を意味しておます)を描いた映画(ドキュとアニメは除く)の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、思い付くままにゆうてみますと…。

●ベスト⇒①本作②ピロスマニ(1969年製作・ソ連)③写楽(1994年・日本)

●カルト⇒①本作②バスキア(1996年・アメリカ)③葡萄酒色の人生 ロートレック(1998年・フランス&スペイン)

●有名無名の画家に関わらず、人間臭さあるヒューマン・ドラマに、ボクは目がゆきよりました。

女や男との人間関係性の中で、フツーの人間らしさを見せる、これらの映画は、ある意味では親近感があります。

もしか、一方で、創作の過程を描いたり、ベスト②のように、描くことへの想いが、押しつけがましくなく渋く描かれたりして、ジワ~ときよる映画もあります。

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本作もまた、同様どす。

「第三の男」(1949年・イギリス)のように、光と陰を絶妙に配した映画と同じく、

その種の絵画の嚆矢的存在の画家、イギリスのウィリアム・ターナーを採り上げました。

彼の作品を単に見せるだけやなく、その創作過程・取材具合も、見せてゆくとゆうタッチ。

絵画的構図による、写真上から2枚目は、代表的シークエンスでおましょうか。

ほんでもって、人間臭さ。

オトン亡きあと、家政婦との本宅での生活と、ぶらり旅で出会った、旅館の未亡人との生活。

この2界を行き来しもって、あくまでマイペースで演技してゆかはる、ターナー役のティモシー・スポールはん。

「ハリー・ポッター」にも出てはったけど、その時の役と、そんなに変わらへんとは思うんやけど、

本作の演技では、カンヌ国際映画祭で主演男優賞をば、ゲットしはりました。

持ち味は、地味なシブミ。じっくり演技を見てもらいたい俳優はんどす。

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さてはて本作は、イギリスのマイク・リー監督作品でおます。

みなはんは、監督なんて、主演男優以上に地味やから、なんぼのもんやねんて、思わはるかもしれへんけど、

サプライズある、家族ドラマや人間ドラマに、アラマ・ポテチンがあり、余韻と感動を、胸に残してくれはる監督はんでおます。

カンヌで最高賞のパルム・ドールをゲットした「秘密と嘘」(1996年・イギリス)を、本作を見る前にぜひ見てみてくだされ。

ほんで、本作へと進むと、よりワクワク度は増すはずどす。

エキセントリックな人物を、少なくとも1人は設定し、波紋とゆう名の波を経て、グッとくる着地へと到ります。

本作は画家主人公映画で、家族映画的キズナは稀薄かもしれへんけど、家政婦の最後のブルージーなど、哀切の余韻は深うおます。

監督の「秘密と嘘」と並ぶ傑作やと、ボクはジャッジしとるんで、どちらが監督の最高傑作なんやろかと、見比べてみるんも、オツなもんやろかと思います。

2015年6月16日 (火)

「コングレス未来学会議」⇒映画の未来は?

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映画の未来・人類の未来を、ハットトリックに描いた大傑作

実写サイドとアニメ・サイドを、本編の半々にした、かつてない作り

http://www.thecongress-movie.jp

6月20日の土曜日から、新宿シネマカリテやらで、全国順次ロードショー。

関西では、6月27日から、シネ・リーブル梅田やらで上映。

本作は、2013年製作、イスラエル&ドイツ&ポーランド&ルクセンブルク&フランス&ベルギー合作で、英語セリフの本編120分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 Bridgit Folman Film Gang, Pandora Film, Entre Chien et Loup, Paul Thiltges Distributions, Opus Film, ARP

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いやはや、ホンマのホンネを言いますと、こんなスゴイ映画を見たんは、久々でおました。

SF映画どす。でもしか、映画界の未来の話とゆうのは、まず、これまでにありまへん。

ほんで、実在の現役女優が、実名で主演。

アカデミー作品賞「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994年製作・アメリカ映画)で、主人公トム・ハンクスの憧れのマドンナ役をやらはった、ロビン・ライトのネーさん。

実名で主演ちゅうのは、ジョン・マルコヴィッチが助演的に出演した「マルコヴィッチの穴」(1999年・アメリカ)なんぞがありましたが、主演的には、ドラマ映画史上初やないやろか。

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映画初もの的なオリジナリティー性は、ほかにもあります。

特にメイン・ソースとなる、現在形実写部と未来形アニメ部や。

実写とアニメを混在させたり、融合したりは、確かにかつてもありました。

そやけど、実写とアニメをくっきりと分けて、しかも本編の半々で描くんは、実はボクの記憶においてはありまへん。

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SF映画の歴史に残る「惑星ソラリス」(1972年・ソ連)の原作者、スタニスワフ・レムのSF小説「泰平ヨンの未来学会議」が、本作の原作どす。

女優として、オカンとしての、ヒロイン未来図映画で、一方において映画の未来だけやなく、人類の未来についても描かれておます。

共にスタンリー・キューブリック監督作やけど、1人の宇宙飛行士に託し、未来を描いた「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)や、

1人の非行少年を通して描いた「時計じかけのオレンジ」(1971年・イギリス)。

混沌とした未来、例えば、レプリカントと人類の諍い「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)や、

抑圧され国から監視される人類「1984」(1984年・イギリス)なんぞのテイストが、本作にもカンジられま。

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監督は、イスラエルのアリ・フォルマン。

みなはん、誰やねんと思わはるかもしれへんけど、

本命と言われながら、アカデミー外国語映画賞を、日本代表「おくりびと」(2008年)にさらわれてしもた、戦争アニメ「戦場でワルツを」(2008年・イスラエル)を撮らはった方どす。

もし、本作やったら、「おくりびと」は負けとったかもしれまへん。

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さてはて、ストーリーや設定について言いますと…。

男優・女優をCG化して、映画に出演しなくても、また死んでも、恒久的に映画に出られるとゆう契約が、

エージェント役のハーヴェイ・カイテルはんを通して、ロビン・ライトのネーさんのとこにきました。

最初は断ってはったけど、イロイロあって、アクションものへの出演もOKして、

キアヌ・リーブスも済ませたとゆう、スキャン(写真一番下)をやらはりま。

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ほんで、2014年から20年後へと話は飛びまして、

アニメ専用地帯で行われる、映画会社主催のコンベンションに参加するため、ロビンはんは、クルマで向かわはります。

ここで、実写からアニメへと転換。

アニメ世界で、イロイロやっているうちに、実写部が現実の世界であることを知り、アニメ界では、娘はんと息子はんと離れ離れになり、また、爆発するセックス・シーンもあるけど、新恋人と出会わはります。

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幻覚誘発剤で、アニメ化されたロビンの、迷彩的にいろんなトリップ・シーンが展開します。

このあたりの破天荒な作りが、強烈至極なインパクトや。

ほんで、恋人を選ぶのか、それとも息子を選ぶのかっちゅう、二者択一のとこへと…。

女優キャラのヒロイン映画、しかもSF映画となれば、モチ、未だかつてありまへんけども、とにかく、ボクは最初から最後まで、目が点になっとりました。

映画業界SF映画。そのトンデモトンデル感を、ご堪能あれ!

2015年6月14日 (日)

「ストレイヤーズ・クロニクル」⇒日曜邦画劇場

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チーム岡田将生と、チーム染谷将太の対決やけど…

21世紀的特殊能力人間たちの、群像アクションドラマ

http://www.strayers-chronicle.jp

6月27日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画はんの配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ本多孝好/集英社 

Ⓒ2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

製作陣は当初、超能力人間のアクション娯楽作は、日本では珍しいとのことで、それをば作ろうとしたらしいんやけど、

超能力以上の、オリジナル特殊能力を創出した、本多孝好のアクション小説「ストレイヤーズ・クロニクル」3部作と出会い、映画化しはりました。

この種の映画では、「デスノート」(2006年)や「寄生獣」(2014年・2015年・弊ブログ分析済み)、「GANTZ」(2011年・ブログ分析済み)など、コミック原作が多いんやけど、そのあたりも珍しおす。

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また、特殊能力ものでは、1対1あるいは、ソロとかはあるけど、2派に分かれたグループが、アクションを披露するとゆうのも珍味やし、

さらに、各人の心理に食い込んだ、群像劇であるとこもそうでおます。

加えて、「バトル・ロワイアル」(2000年)以降、日本映画で本格化した、ゲーム性あるシチュエーション系映画のノリへと、

安直に流れることなく、物語は進行し、ほんで、キチンとした着地ぶりをば示さはります。

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さてはて、まず設定について申しますと、脳内ホルモン操作で、生まれた特殊能力チーム①と、

遺伝子操作で、人間と違う生物との融合になってもうた、チーム②がありまんねん。

ほんで、どちらも、超絶能力に対する反動として、「破綻」ちゅう名の精神の死が、いつくるやら分からんような状況にありまして、

そこもまた、ハラドキのサスペンス・ファクターになっとります。

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チーム①は政府筋直系の元に、いろんなミッションをこなしてはりまして、いわゆるドラマ的には、いちおうは正義の味方的ヒーロー・グループやねん。

対して、チーム②は、俺たちを勝手に作りやがってと、人間に対し、反抗的なテロリストたちでおまして、

いわゆる悪のヒーロー(アウトロー)たちとして、復讐と称して、いろんな奴らを血祭りに上げてゆくのどすえ。

そこで、チーム①がチーム②を捕えろとの、指令がかかり、2派の対決へと、展開してゆくんやけども…。

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5人チーム①のリーダーは、岡田将生のアニキや。

彼らしい人情味もある、さわやかな快演。この種の映画にふさわしき、ヒーロー像をば演じてはります。

本作の瀬々敬久監督の、ボク的最高傑作「アントキノイノチ」(2011年・ブログ分析済み)の爽快演技を、思い出させてくれはって良かったどす。

また、聴覚鋭い成海璃子ネーさんも、走ってるだけのアクトが多いけど、これまで以上に、強気な女をひけらかす演技ぶり。

一方の、チーム②では、リーダー役は染谷将太のアニキや。

「寄生獣」でも魅せた、クールでぶっきら棒節、でもヒロイズムある演技でゆくそれは、まさに岡田将生アニとは好対照どす。

また、アイドル性の高い女優・黒島結菜ちゃんの、キーを握る役での出演なんぞにも、注目やで~。

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さてはて、空虚感を漂わせた「ヘヴンズ・ストーリー」(2010年)やらでの演出力がスゴイ、瀬々敬久監督やけど、

アクション演出はVFXに頼って、イマイチなとこもあるやもしれへんけど、

各俳優への逼迫度ある演技指導ぶりには、やはり目を点にさせてくれはりました。

それにでんな、今どきのアクション映画には珍しい、オール・ロケーション映画でおます。

セピア・赤色・メタルブルーな照明使いに加え、何げに自然光を生かしたとこにも、さりげなく魅せられた作品でおましたえ。

2015年6月13日 (土)

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

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30年ぶりの続編とゆう、シリーズもの最長のインターバル

トンデモ・カーチェイスのルーツ作は、さらにトン・トン・トンでもうてまっせー

http://www.madmax-movie.jp

6月20日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、2D・3D同時公開で、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

本作は、リメイクやリブートやありまへん。

いわゆるシリーズ最新作どして、しかも、第3弾「マッドマックス サンダードーム」(1985年製作・オーストラリア映画)以来、

30年ぶりとゆう、かつてないインターバルで、登場するもんでおます。

一定のローテーションやなく、ある程度の年月を経て、21世紀になって、シリーズ最新作が発表されたもんでは、

「インディ・ジョーンズ」「ターミネーター」「ダイ・ハード」「プレデター」などがあり、今後は「エイリアン」なんぞが控えとりますが、

この30年ちゅうのんは、映画シリーズもの最長の、お久しぶりでおますな~な年月になっとります。

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さてはて、1960年代末から1970年代には、カー(バイクとレース含む)チェイス映画が、それなりに出回っておりましたが、

例えば、「グラン・プリ」(1966年・以下の引用は指定以外は、全てアメリカ映画)「ブリット」(1968年)

「フレンチ・コネクション」(1971年)「激突!」(1971年)「続・激突!カージャック」(1974年)「バニシング・ポイント」(1971年)「トランザム7000」(1977年)「ザ・ドライバー」(1978年)などがありました。

それらは、カーチェイスもしくはカーアクトが、ポイントとしてあったかと思いますが、

本作の第1弾「マッド・マックス」(1979年・オーストラリア)は、単にチェイスだけやなく、

チェイスしもって、銃撃戦やら格闘やらがあるとゆう、対決スタイルのチェイス・アクションをやってはりまして、

カーチェイスに、西部劇タッチなんぞも加わったとゆう、オリジナリティーあふれるもんでおました。

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ほんで、第2弾「マッドマックス2」(1981年・オーストラリア)以降、荒廃してもうた地上の、未来のSF映画のスタイル型を踏襲し、

ほんで、第4弾の本作では、トンデモ、アリエネーなカーチェイス・アクション対決の、ハチャメチャ進化型を、バクレツに披露しはるんどす。ビックラこきました。

理屈抜きなんで、なんで、車に乗って走って、対決せなあかんのんなとこがあるけども、

ここまで徹底的に、動体視力が付いていけへんくらい、スピードフルにやられてまうと、もう唖然としもって、見とるしかありまへんがな。

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ちゅうことで、「ワイルド・スピード」シリーズ(2001年~2015年)以上に、破天荒な仕上げどす。

そして、環境破壊・環境汚染された未来を舞台に、荒野だらけの地上で、緑ある場所を目指すとゆう意味では、

海上を舞台にした「ウォーターワールド」(1995年)の、大陸版の趣きがありま。

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故郷・緑の世界を目指し、仮面の支配者に囲われた女たちを逃がそうと、トレーラーを駆ってゆく、シャーリーズ・セロンのネーさん。

彼女らを追いかける、支配者たちの軍団。

そんな中から、行きがかり上や流れの中で、彼女らに加担することになってまう、主人公役トム・ハーディやニコラス・ホルト。

2派のカーチェイス対決が、とことんどこまでも、っちゅうカンジで、繰り出されてまいります。

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トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン共に、過去最高のワイルド・ワイルドな野獣演技をば、披露しやはります。

トムはんは時々やってはるけど、セロンのネーさんは、お上品なアクションはあったけど、ここまでハードで骨太アクションは、まあ、初めてやろな。

シリーズを通して、監督のジョージ・ミラーはおんなじやけど、

前3作主演のメル・ギブソンは、さすがに年老いて、このアクトには…やけど、

でもしか、監督と共にトム・ハーディ主演で、シリーズを続けていきそうな、雲行きがありまんので、

本作をしかとココロに、焼き付けときましょうや。

2015年6月11日 (木)

「しあわせはどこにある」⇒1人ロードムービーのニュー・タイプ

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精神科医が突然、ロードムービーする作品や~

波乱万丈ドラマの向こうに、あるものとは何やろか~?

http://www.shiawase-movie.com

6月13日の土曜日から、トランスフォーマーの配給によりまして、梅田ブルク7、シネマート心斎橋やらで、全国順繰りのロードショー。

本作はイギリス、ドイツ、カナダ、南アフリカ合作による、イギリス映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Egoli Tossell Film/ Co-Produktionsgesellschaft"Hector 1" GmbH & Co. KG/Happiness Productions Inc./ Wild Bunch Germany/ Construction Film, 2014 All Rights Reserved.

ロードムービーを、少しユニークな視点で、描いてみた作品どす。

しかも、たった1人のロードどして、イギリスの精神科医(サイモン・ペッグ)が、

タイトルの「しあわせはどこにある」の通り、幸せとは何かを探して、衝動的に世界旅行へと旅立つのでおます。

中国、アフリカ、アメリカLAと、巡るんでおます。

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さてはて、ここで、思いつくままの気ままに、洋画の1人ロードムービーの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、申し述べますと…。

●ベスト⇒①ハリーとトント(1974年製作・以下の引用作品は全てアメリカ映画)②ジャッカルの日(1973年・弊ブログ分析済み)③ストレイト・ストーリー(1999年)

●カルト⇒①本作②食べて、祈って、恋をして(2010年・ブログ分析済み)③イントゥ・ザ・ワイルド(2007年)

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●普通1人ロードムービーちゅうのんは、特定の目的があってでんな、道ゆく場合が多いと思うねん。

猫と一緒やけど、1人には変わらないベスト①や、ベスト③は、娘や兄貴のとこへと向かいますし、

ベスト②は暗殺のためのロードやし…。

でもしか、21世紀になると、確たる目的もなく、自由気ままに旅に出る、っちゅうタイプの作品が出回っておます。

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ジュリア・ロバーツ主演のカルト②、無銭・野宿生活を志向するカルト③など、

いちおうヒロイン・主人公には、理由があるんやろけど、ドラマ映えしやすいような動機やありまへん。

でもしか、滞在する現地で、いろんなハプニングやらドラマティックがあり、ロードムービーらしい、見どころと骨格を備えてはります。

ちゅうことで、本作も動機に説得力はないけど、現地でのエピソードで魅せる作品でおます。

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中国では、ディスコへ行ってもうて、女子学生との騙されアバンチュールがあったり、

寺院へ行って、修行僧のキモチになったり…。

アフリカでは、誘拐拉致されて、命からがらのサスペンスがあったり…。

地元のフィクサーチックな、ジャン・レノとのエピソードは面白い。

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LAでは、昔愛した女(トニ・コレット)と再会。

その後、大学でクリストファー・プラマーはんの講義を聞き、プラマーはんに、脳の電子図を取られて、見せられたりしはります。

オーロラのような脳味噌電子図は、かなりのインパクトがありましたやろか。

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主人公は患者たちとのイロイロから、悩ましくなり、旅に出るんやけど、ロードムービーをベースにしつつも、

本作は、同棲してる恋人役の、ロザムンド・パイクのネーさんとの、愛を確かめるとゆう、ラブ・ストーリーにもなっとるんどす。

パイク・ネーさんちゅうたら、「007/ダイ・アナザー・デイ」(2002年)で、ボンド・ガールをやらはったくらい、セクシーなんやけど、

本作では、代表傑作「ゴーン・ガール」(2014年・ブログ分析済み)の怪しい女とは正反対の、清純さわやかモードがおますで。アラマ・ポテチン(ビックリ)!

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本作の監督は、ピーター・チェルソムはん。

ジョン・キューザック&ケイト・ベッキンセールのNYラブ「セレンディピティ」(2001年)やら、

日本映画のハリウッド・リメイクの、リチャード・ギア&ジェニファー・ロペスの愛「Shall we Dance?  シャル・ウィ・ダンス?」(2004年)やらで、ラブ・ストーリーはお手のもんだす。

そやから、ロマンティックでウットリなれるかどうかは別にして、

恋愛映画としても、充分に楽しめる快作になっとります。

2015年6月10日 (水)

「赤浜ロックンロール」⇒東日本大震災関連ドキュメンタリー

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震災後の2つの生き方を通して、再興の可能性を見る

8ビート・ロックンロールに乗った、冒頭とラストが爽快

http://www.u-picc.com/akahama_rocknroll/

6月13日の土曜日から3週間、太秦の配給によりまして、大阪・第七藝術劇場で、全国順次のロードショーだす。

以降、京都みなみ会館、神戸・元町映画館やらでも上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒソネットエンタテインメント株式会社

東日本大震災関連のドキュメンタリー、ドラマ映画は、これまでに多数出てまいりました。

特に、震災直後1年間あたりでは、ドキュのタイトル数はかなり出ました。

でもしか、年を経るにつれて沈静化し、今や製作・公開されても、またかと食傷ぎみで、インパクトもそうそうありまへん。

そんな中で、あえて出てきたんが本作どす。

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震災後の街や人々の姿を描くとゆう意味では、震災後復興ドキュの在り方を問うものどして、

悲惨さや哀悼や絆などをポイントにした、震災ドキュとは違い、一歩前に出た作品になっとります。

さらに、岩手県大槌町とゆう、漁業の街をクローズアップ。

震災後の漁業の復興問題を、震災ドキュの中では、初めて本格的に捉えた作品になっとりまして、

老人と若者とゆう、2人の震災後の動向を、並行的に描きながら、進行してまいります。

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最大22メートルとゆう大津波に飲まれた、孫の死体が依然として見つからない、街づくり懇談会の会長は、県から提示された復興案に、必死に抵抗しはります。

海や船の様子が見えないくらいの、バカ高い防波堤を築かれてまうと、沿岸漁業がうまくいかないやんけ、っちゅうことどす。

一方で、見つからない孫のことを、想う言葉にも、震災ドキュにはありがちやけど、グッときますが、

それよりも、前へ前へとゆう姿勢こそが、この映画のキモでおます。

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そして、もう一人の人物、阿部力(つとむ)のアニキ。

牡蠣養殖を、黙々とやっていかはりまんねん。

漁師でいるから、ここにいるとゆう確固とした信念が、インパクト大。

オカンと弟と住む仮設住宅を、ロックンロール仮設と称し、ロックを嗜好。

復興のまつりを自ら企画し、ロック・バンドの演奏から、花火まで、豪快に展開させはります。

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共に漁に出る、冒頭とラストでは、意表を突いて、8ビート・ロックンロールが流れますが、

これが震災の悲惨さトーンを、すっかり掻き消してくれてはりますし、

また、空と雲を映すロングショット、ブルーの海、海上から映す緑の山など、風景シーンの爽快感にも、目がいくハズどす。

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モノゴッツー出た、震災関連ドキュの中でも、

希望の灯が具体的に、見えてくるような映画でおました。

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ボク的には、ドラマ映画の「救いたい」(2014年・弊ブログ分析済み)と共に、大切にしときたい1本やと思とります。

ちゅうことで、震災ドキュは、もうええでーっちゅう方こそ、ぜひ見てもらいたい作品どす。

2015年6月 9日 (火)

鈴木杏樹主演「ライアの祈り」

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鈴木杏樹ネーさんと宇梶剛士アニキの、癒やしの大人のラブ・ストーリー

成熟度を示す、地方ロケ映画の在り方とは?

http://www.raianoinori.com

青森全県先行公開を経て、6月13日の土曜日から、アイエス・フィールドの配給によりまして、東京・有楽町スバル座ほかで全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015「ライアの祈り」製作委員会 Ⓒ森沢明夫/小学館

鈴木杏樹のネーさんって、みんな、知っとるかー。

映画女優としては、映画にあんまし出てはらへんので、有名やないけど、

1990年代のトレンディー・ドラマでは、癒やしの美人女優として、「朝ドラ」的な国民的人気女優はんでおました。

共に助演ながら、キムタクと共演した、フジテレビの「あすなろ白書」(1993年)「若者のすべて」(1994年)には、ボクもついついハマッとりましたがな。

特に「あすなろ白書」の、共に癒やし女優の石田ひかりとの掛け合いには、マニアックながらも、しみじみと思い出させてくれはります。

そんな杏樹ネーさんの、おそらく初めての主演映画となるんが、本作でおます。

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しかも、1990年代のあの頃のノリのままに、演技してはるんが、何ちゅうてもスゴおます。

アラフォーのバツイチ。前の夫とは、未だにくすぶってる状態。いやはや、このあたりも全く、逼迫したような演技を見せず、

ほんで、今どきの街コンで、武骨な遺跡発掘家の、宇梶剛士アニキと出会って、杏樹ネーの人生が変わりま。

宇梶アニキの実直・素朴な演技には、「お父さんのバックドロップ」(2004年)以来、地味ながらも、ボクは注目しとりました。

癒やしの杏樹ネーと、武骨でナイーブな宇梶アニ。

ある種「美女と野獣」の変型バージョンやけど、2人のラブ・ストーリーには、宇梶が「好きなんだー」と叫ぶラストシーンまで、

トレンディー・ドラマにおける、1つのラブ・ポイントチックなスパイスやったとこも、それとなく振りかけられておます。

また、売り出し中の武田梨奈ちゃんの、2人の愛への、好サポートぶり演技にも注目だす。

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さてはて、本作は青森県八戸市ロケによる、地方ロケ映画どす。

地方ロケ映画は、かつての邦画にも多数あったけど、最近は、文化庁の地方ロケ・コミッションの充実で、次々に傑作・快作が輩出されとります。

ちなみに、本作は青森ロケ映画では、阿部サダヲと管野美穂の夫婦映画「奇跡のリンゴ」(2013年・弊ブログ分析済み)と並ぶくらい、ポピュラリズム・大衆性ある映画になっとります。

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八戸出身の宇梶と弘前出身の杏樹の、八戸VS弘前な会話など、青森ならではのやり取りとかも、地方映画らしさを強調。

しかも、縄文時代を、現代ドラマのキーにするとゆう、かつてないワザを披露しやはりまんねん。

ある意味で、一筋縄ではゆかない、熟成・進化した地方映画やと言えましょう。

日本で一番長く続いた時代は、公式的には江戸時代だけど、縄文時代は1万年も続いたちゅうとことか、ラブ&ピースな縄文時代分析とか、

ほのぼのとしたサントラを掛けての、ダイジェスト・シーンによる、2人の絆を深めてゆく、縄文時代の遺跡発掘シーンとか、

新鮮味あふれるとこに、魅了されてくだされませ。

目に優しい、ミドリある風景描写も、日本の地方映画の良さを示す快作どした。

2015年6月 7日 (日)

「愛を積むひと」⇒日曜邦画劇場

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佐藤浩市と樋口可南子の、夫婦映画の快作品

北海道ロケーションが、爽快な仕上がり

http://www.ai-tsumu.jp

6月20日の土曜日から、松竹とアスミック・エースの共同配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「愛を積むひと」製作委員会

夫婦映画・家族映画の、滋味ある作品どす。

ちゅうことで、まずは、日本の夫婦映画の、20世紀マイ・ベスト・フォーと、21世紀マイ・ベスト・フォー(各順不同)を、比較して見てみましょうか。

●20世紀⇒①夫婦善哉(1955年)②愛妻物語(1951年)③HANA-BI(1997年)④死の棘(1990年)

●21世紀⇒①本作②ぐるりのこと。(2007年)③明日の記憶(2006年)④阿弥陀堂だより(2002年)

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●20世紀は百年あったんやから、そら、いっぱいあるんやけど、21世紀は15年なんで少し。

けども、基本ラインは20世紀作品がベースとしてあるんで、分かりやすい。

夫婦の在り方・様態を描く、20世紀①④などは、夫婦、ひいては家族映画の中での、夫婦映画としての雛形でもありました。

けども、夫婦のどちらかが、病気になってるとゆうタイプの映画は、20世紀②あたりがあり、

そして、20世紀③や、21世紀になると、より進化系な作品が出てまいりました。

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コドモが死んでもうたことに関する、ヨメのトラウマ入りの②、ダンナがアルツハイマーになってもうた③、ヨメにストレス障害があった④など、

ビョーキ系も、それをどう克服し、夫婦のキズナを深めてゆくんかに、執心してはりました。

でもって、本作は、一方が死んでしまったバージョンでおます。

「フーフー日記」(2015年・弊ブログ分析済み)も、ヨメが死ぬとゆう、本作と同じようなカンジやったけど、どちらも感動系へと着地してまいります。

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さて、ソフトバンクのCMもアレやけど、21世紀③④やらで、夫妻映画の、今やヨメ役代表格女優とならはった、樋口可南子はん。

③の渡辺謙、④の寺尾聰、21世紀ではほかに、「アキレスと亀」(2009年)のビートたけしなど、日本の代表的男優はんとの、ヨメ役が際立っておます。

で、本作では佐藤浩市はん。

彼は、相米慎二監督との「魚影の群れ」(1983年)や「あ、春」(1998年)なんかで、ダンナらしき演技はしてはったけど、

夫婦映画としての、本格的なダンナ役は、本作がキャリア史上初めてなんやないやろか。

優しい樋口可南子はんに釣られるように、渋いダンナ役をばやってはります。

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さてはて、本作は、洋画や外国小説を原作にした系列の、邦画にあたります。

そんなマイ・ベスト&カルト・スリーも披露さしてもらいま。

●ベスト⇒①天国と地獄(1963年)②幸福の黄色いハンカチ(1977年)③幸福(1981年)

●カルト⇒①本作②許されざる者(2013年)③道(1986年)

●小説原作がベストに、映画原作②③込みのが、カルトになってまいましたが、本作は小説原作でおます。

サスペンスや刑事もの、西部劇やラブ・ストーリーがある中で、

本作はベスト②のように、若い男女とのラブも取り込んだ、夫婦のキズナ映画になっとります。

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若いのんは、野村周平クンと杉咲花ちゃんの恋。

家族部では、娘役の北川景子ネーさんなど、

夫婦映画の感動を映えさせるための、サブ・テーマとして、絶妙に機能し、各人、演技をばやってはったと思います。

そして、オープンセットまで作り、撮影に1年間を費やした、北海道ロケ映画どす。

四季の自然の美しさはもとより、四季折々を取り入れた夫婦映画・家族ドラマ日本映画の、新たな癒やしの映画が、また1本、誕生いたしました。

家族一同で、ご覧くだされませ~。

2015年6月 6日 (土)

三浦貴大主演「ローリング」⇒週末日本映画劇場

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三浦貴大が柳英里紗と、初の濡れ場シーンを披露

冨永昌敬監督の、ATG的作家性を感じる作品

http://rolling-movie.com

6月13日の土曜日から、マグネタイズの配給により、新宿K'sシネマやらで、全国順グリのロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「ローリング」製作委員会

三浦貴大(たかひろ)のアニキ。

今やヒッパリだこの盛況ぶりどす。

オカン山口百恵は、オトン三浦友和とのプログラム・ピクチャー作品が、メインやったけど、

オトンは長いキャリアを経て、今は熟成のぶっきら棒節演技がエエねんけど、

でもしか、息子はん貴大アニキは、デビュー数年のうちに、かなりとオトンの領域に、迫ってまいってはります。

二世アクター・アクトレスは、日本映画だけでも、いっぱいいてはるけど、

でも、彼は国民的カップルの息子はんだけに、プレッシャーは凄くあるはずどす。

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オトンオカンのイメージを壊さんような、誠実な演技もやってはるけど、

本作なんぞは、ある意味で、アウトサイダーな初の汚れ役。

初の濡れ場、ベッドシーンも、当たり前のようにやってはりますしな。

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ほんで、かつての日本の低予算のインディーズ作品の名作の宝庫、ATG(アート・シアター・ギルド)作品と、シンクロナイズしとる作品でおます。

さて、ここでATG作品の、メッチャヤラシー濡れ場シーンの、マイ・ベスト・スリー(順不同)をば申し述べよりますと、

原田美枝子が丸裸になり、水谷豊と絡んだ①「青春の殺人者」(1975年)、

石田えりが濡れた②「遠雷」(1981年)、

高橋恵子がヤッテもうた③「TATOO<刺青>あり」(1982年)あたりやろか。

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それらロマンポルノ、ハードコアまがいの、ヘヴィーな濡れ場シーンに比べると、

本作は大人しい方かもしれへんけど、

ATG作品に多かった、男のやる瀬なさを描く点においては、大いにシンクロナイズしとりますで。

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さてはて、本作は、三角関係構図の映画でおます。

女子更衣室を盗撮して、教師を辞めた茨城県・水戸市の先生(川瀬陽太)が、東京へ逃れたけど、

愛人(柳英里紗ちゃん=やなぎ・えりさ=オッパイ見せるセックス・シーンもいとわずが潔し)を作って、

彼女を連れて、何を思たか、水戸に舞い戻ってきはりました。

ほんで、教え子(三浦貴大)に愛人を寝取られてしまい、

また、盗撮事件によって、被害を蒙った者たちから、非難されてしまい…。

川瀬はんは、最低最悪のダメ男ぶりをば、披露してはります。

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川瀬陽太アニキが、シニカルな視点で、淡々とナレーションをしてはります。

「私は死んで雛鳥になりました」を始め、

「教師はいつまでも、教え子がカワイイもんです」とか、「原発でも雇ってくんないよ」ほか、皮肉っぽい面白ナレーションがあります。

反面教師を地でいく、ある種狂気に満ちた、演技やと言えましょう。

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茨城県・水戸ロケーション映画どす。

地方ロケ映画はイロイロあるけど、美しき自然なども過不足なく、しっかり捉えられた1作やと思います。

同じ茨城県ロケ映画では、秋吉久美子と根津甚八の「さらば愛しき大地」(1982年)も思い出されました。

冨永昌敬(とみなが・まさのり)監督の、オリジナル脚本による作品どして、ボク的には監督の最高傑作やと思います。

2015年6月 4日 (木)

「トゥモローランド」⇒ディズニーの実写SF映画

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ウォルト・ディズニーの途轍もない夢を、映画化した作品

ディズニー映画らしからぬ、未来世界がパラレルする

http://Disney.jp/TOMORROWLAND

ジューン6月6日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 Disney Enterprises, Inc.

SF映画の系譜なんてゆうたら、これまでにいろんなとこらで、メッチャやられてきとりまして、もはや食傷ぎみの状態やとゆうてもエエでおましょう。

やっぱ、切り口や趣向を変えんと、いかんっちゅうことで、15年も経ってへんけど、21世紀の洋画SF映画(アニメ除く)の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①本作②インセプション(2010年製作・以下全てアメリカ映画)③ゼロ・グラビティ(2013年)

●カルト⇒①第9地区(2011年)②スパイダーマン(2002年)③トゥモロー・ワールド(2008年)

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●みんなが知ってる、20世紀の映画史を飾った、SF映画てゆうたら(タイトル数が多いんで、製作年・製作国を省いとりま)、

「スター・ウォーズ」「E.T.」「マトリックス」「エイリアン」「猿の惑星」「ターミネーター」「2001年宇宙の旅」、「インデペンデンス・デイ」、アメコミ原作系など、

1960年代末から1999年まで、イロイロあったかと思います。

1960年代前半までは、「メトロポリス」「博士の異常な愛情」「渚にて」「宇宙戦争」など、渋い作品が多いけど、大ヒットした作品はさほどなかったかと…。

そして、21世紀になると、ビミョーな差でボクは選んでおまへんが、大ヒットした「アバター」(2009年)なんぞは、みなはんがナンバーワンにしそうな映画やろし、

また、20世紀の遺産を継承したり、覆したるで~な作品が、チビチビと出ておます。

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ほんでもって、本作は、地球外の未来世界と、地球の未来を描いておます。

これまでのディズニーのイメージからは、明るい未来が展開するかと思いきや、さにあらず。

20世紀でも盛んに描かれた、終末的未来観が描かれとるんですわ。

でもしか、「猿の惑星」「博士の異常な愛情」「渚にて」やカルト③やらとの違いは、

それでも、明るい未来へ向けた着地をば、見せはるとこらでおましょうか。

おそらく、ピクサーとの共同製作やけど、ディズニー・アニメで初めて、滅亡した地球を描いた「ウォーリー」(2008年)あたりの世界観が、ディズニー色を変えたんかもしれまへんな。

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さてはて、本作はウォルト・ディズニーが夢見たものを、映画化しつつも、21世紀的な未来予想の観点から、終末観と、それをはねのけるパワーを、対立的に描きつつ、進行してまいります。

1964年にディズニーは、ニューヨークの万国博覧会に参加したとゆう。

そのエピソードに則り、とある少年が空を飛べる機械を万博に持ち込むとこから、本作のお話は始まります。

そこで、出会った少女アテナ(実はロボット)が、いきなり少年を未来世界へ連れて行ってくれはりまんねん。アラマ・ポテチン(ビックリ)!

そして、その少年が大人になった博士役をば、ジョージ・クルーニーはんが冒頭から演じはるんどす。

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いきなりの慌ただしい展開なんやけど、

ヒロイン・ケイシー役(日本語吹替え版の声は、志田未来)ブリット・ロバートソンちゃんとの、未来がどうのこうのとゆう、逼迫したシークエンスへは、

クライマックス前に、カットバック的に2度戻ってまいります。

1964年の逸話披露後に、現代のケイシーの様子が映されて、ふとしたことから、フツーのように見えるピンバッヂを手に入れ、

ほんで、それを使うと、セピアの小麦畑の向こうに、未来世界「トゥモローランド」が、束の間見えよるんやけど、

そのピンバッヂを巡る争奪戦が、石を巡る「フィフス・エレメント」(1997年・フランス&アメリカ)のように展開して…。

ほんでもって、3人脱出の「スター・ウォーズ」とは違い、アテナとクルーニーとケイシーの3人が、

エッフェル塔をロケットにした、宇宙でのワープを経て、トゥモローランドへ行ってでんな、

人類の未来を懸けた戦いを、やってまうっちゅう流れどす。

ケイシーの正義感、クルーニーとアテナの絆など、震えるようなシーンが多々ありますんで、せいだい興奮して涙しておくんなまし。

2015年6月 3日 (水)

カナダ映画「エレファント・ソング」

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精神病院が舞台の、演劇原作映画

「カッコーの巣の上で」とシンクロナイズ

http://www.uplink.co.jp/elephantsong/

6月6日のサタデーから、アップリンクはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館、渋谷アップリンクやらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、6月13日から、シネ・リーブル梅田やらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSebastien Raymond

精神病院を舞台にした、室内劇映画とゆうのんは、それなりに輩出されとりますが、

マイ・ベストは、その種の映画のルーツ作品とも言える、アカデミー賞作品賞をゲットした「カッコーの巣の上で」(1975年製作・アメリカ映画・以下ベストワンの①で表記)でおます。

そやから、本作分析をば、①と絡めて分析いたします。

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本作は、①と同じく演劇原作映画どす。

ブロードウェイを席巻した①とは違い、こちらはカナダのニコラス・ビヨンが、若干26歳で書いた戯曲が原作。自国・カナダでは、それなりに有名らしいわ。

原作戯曲は1980年代が舞台やけど、映画では1966年へと舞台転換。

主人公がベトナム戦従軍を回避して、アル中を理由に精神病院に入った①の時代性と、合わせるようなとこが見られます。

おそらく、映画化に際し、製作者側には、①がかなりと意識下にあったように思われます。

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群像劇やった①に対し、本作では、主要キャストを5人くらいに絞り込み、

院長(ブルース・グリーンウッド)と患者(グザヴィエ・ドラン)の、1対1のストレート・プレイをメインに、院長の元カミはんのナース(キャサリン・キーナー)や、

自宅にいてはる、院長の妹はん(キャリー=アン・モス)やらとの絡みも入れて、室内劇が展開しよります。

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監督も兼ねた、性同一性障害者役の「わたしはロランス」(2012年・フランス&カナダ・弊ブログ分析済み)や、

エキセントリック性を示した「トム・アット・ザ・ファーム」(2013年・フランス&カナダ・ブログ分析済み)やらの、グザヴィエ・ドランのアニキ。

カンヌやベネチアで賞をもろてはる彼が、本作では演技に徹しはりました。

①の主演、ジャック・ニコルソンのヒロイズムに対し、

本作では、複雑怪奇でサイコチックな、パーソナリティー障害的な役で、魅せてくれはります。

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ドランと冷静系の院長とのやり取りは、本作のイチバンヤーの、見どころやと申せましょう。

さらに、ドランのコドモ時代の、エピソードも披露ちゅうか、本編はそこから始まるんやけど、1対1の対決中に、過去も映されよります。

キューバからアフリカまで、明るい画像が、病院内の陰影描写と対比されておます。過去との対比描写は、①にはありまへんどした。

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「マルコヴィッチの穴」(2001年・アメリカ)やらで、異能ぶりを示さはった演技派、キャサリン・キーナーのネーさんが、

ラストシーンでの、院長・元ダンナとの、ツーショットを始め、熟成の渋みを出してはるし、

また、「マトリックス」シリーズ(1999年~2003年・全3作・アメリカ)の、あのアクション・ネーさんの、キャリー=アン・モスが、おしとやかな(!?)演技で魅せてくれはりまっせ。

さてはて、ミステリーチックなとこやけど、①を上回っとるかと思います。

ドランの担当医師は何で失踪したんか、ドランとドランの歌姫やったオカンとの、過去の秘密など、徐々に明らかになってまいりまんねん。

対話による作術劇は、刑事と容疑者の聴取にも似た、スリリングとサスペンスがあるんどすえ。

ちゅうことで、ミステリーとしての、面白さもある快作どす。

2015年6月 2日 (火)

佳子様が泣いた「奇跡のひと マリーとマルグリット」

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佳子様だけやなく、紀子様も泣かはったでー

ヘレン・ケラー以上に、過酷な実話物語が展開

http://www.kiseki-movie.jp

6月6日のサタデーから、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル梅田ほかで、全国順次のロードショーだす。

本作は、2014年製作のフランス映画94分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 - Escazal Films / France 3 Cinema - Rhone-Alpes Cinema

皇室の紀子様・佳子様の母娘が、本作を劇場試写会にて鑑賞されて、感動の涙をおこぼしになったんは、ニュースとしても伝えられとります。

そおゆうとこを聞いて、何や、単なるお涙ちょうだいの映画かいなと、思わはる方もいてはるやもしれまへん。

ところがどっこい、それが違いまんねん。

さてはて、障害者映画とゆうのは、かつて数限りなく作られてまいりました。

いかにも、泣きを誘発すべくの、ストレート系もあったけど、

今年はマイ・ベストテン級になっとります、ポーランド映画でスペインの盲目学校の話「イマジン」(弊ブログ分析済み)なんかの傑作も公開されとりますが、

本作は、映画ではかつてないハンデを、背負った少女の物語を描いてはりまして、しかも実話どす。

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五感のうちの、視覚と聴覚がなく、ほんで喋れまへん。

モノクロで、ヘレン・ケラーと先生を描いた「奇跡の人」(1962年製作・アメリカ映画)以上に、過酷な現実。

そして、介護し教育してゆく先生は、不治の病に罹ってはって、いつまで命が持つやら、分からへん状況でおます。

そんな中で、ヒロイン・マリーと、必死のパッチで接してゆかはりまんねん。

19世紀のフランスの実話どして、これまでに映画化されへんかったのは、

おそらく、ヘレン・ケラーみたいに、チョー有名なエピソードやなかったからでおましょうか。

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でも、マリーを教育し、マットーな人間へと導いてゆくマルグリット先生と、

最初は野獣でしかなかったマリーの、緻密に描かれる、細部の関係描写は、息を飲むほどの緊迫感に満ちておました。

暴れるマリーとの格闘、触覚で手話を覚えさせるまでの、粘っこい描写。

ほんで、人間らしくなったマリーが、オトン・オカンとの感動の再会シーン。

さらに、その後、先生が倒れて入院。先生を探し、先生やないと、あかんねんなマリー。

病をおして、遠くの病院から、マリーの元へと戻ってくる先生。

死期迫る先生を、介護までするマリー。そして…。

いやはや、最後の最後まで、深いキズナ、その在り方、その行方を、しつこいくらいに描いてはります。

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2人の触覚・嗅覚での触れ合い描写は、鮮烈な印象を残します。

自然光による撮影。緑の自然の中でのやりとり。薄色のグリーン・トーンが、目に優しゅう入ってまいります。

バイオリン・チェロなどの弦楽を、ベースにしたサントラ使いも、しっとりきましたで。

家族一同で、ぜひ見に行ってもらいたい作品。

後ろ向きな泣きよりも、前向きな生き方とは何かが感じられて、勇気がもらえる作品やと思います。

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