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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2015年5月の記事

2015年5月31日 (日)

「トイレのピエタ」⇒日曜邦画劇場

1
「セカチュウ」的な、不治の病系のラブ・ストーリー

緊張感あるラブ・シークエンスに、震えるような感動が…

http://toilet-pieta.com

6月6日の土曜日から、松竹メディア事業部の配給により、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「トイレのピエタ」製作委員会

主人公やヒロインが不治の病になってもうて、ほんで死んでまう。

恋人や家族が嘆き悲しんで…ナンチュー映画は、これまでに掃いて捨てるくらい、いっぱいありましたわな。

お涙ちょうだい系の映画として、かつての日本映画では、大ヒットするための、方程式ドラマでもありました。

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でもしか、21世紀になると、落涙するとこもあるけども、少しく違った病系の映画が出てきておます。

例えば、「セカチュウ」こと「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)は、いかにもソレ系に見えるけど、

恋人が死んだあとに、主人公が悲しみを払拭し、どう再生してゆくんやろうかな~な、ポイントと見どころが、あったかと思います。

4
そして、本作は、ヒロインの恋する彼氏が、死んだあとのキモチもあるけども、

それ以上に、主人公の死を間近にしての、この世に何かを残そうかとする行動ぶりに、胸が打たれます。

そんなことをゆうと、いわゆる、黒澤明の「生きる」(1952年)の、末期ガン告知された志村喬が、

死ぬまでに公園を作ろうと決意する、あの黒澤ヒロイズムをば、思い出さはる方もいてはるかもしれません。

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でもしか、本作には、そおゆう映画作術的な意図性はなく、むしろ主人公は、もっとずっと自然体やねん。

ガン告知されて、突然のように落ち込んだ、志村喬ほどのとこはないけども、

知らされても主人公は、そうですかっちゅうくらいに落ち着き払ってはります。

けども、例えば、時間を経て感じるとことか、高校生ヒロインの彼女との間でのやり取りによって、じんわり胸を突いてくるとことか、

なるほど、そうなんやろな~ちゅうとこがあり、ウーンと胸にきます。

2
主人公が、オトン・オカン(岩松了・大竹しのぶ)のいる故郷へ東京から帰り、

「威風堂々」を口ずさみながら、故郷の森で泣くシーンだったりとかは、さりげないけども、

高校生の彼女との間での、セリフのやり取り「死んでしまえ」「ガキに言われたくない」のあとに、展開するプールでのやり取りなど、

死にゆく恋人との逼迫度を、凝縮したシークエンスが、鳥肌もんの作りになっとります。

7
主人公役は、Jポップバンド「RADWIMPS」のボーカル&ギター&作詞・作曲の、野田洋次郎のアニキやけど、

ミュージシャンで初俳優役で主演とゆうとこを、全く感じさせないボウとしたとこが、魅力やねん。

主題歌も、ラストロールで流れる、彼のギター弾き語りバラードやけど、とにもかくにも、ミュージシャンミュージシャンしてへんとこが、魅力的でもありましたやろか。

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彼の恋のお相手役を務める、ヒロインの杉咲花ちゃん。

本作では、反抗的な演技のあとの複雑系の柔和さやけど、

その正反対の、ストレートな優しさを見せる「愛を積むひと」(6月20日公開・後日分析)と同じ着地具合どして、

でもしか、やっぱり、好感度あるわ~な演技性で魅せてくれはりまんねん。

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バイプレーヤーにも注目や! 

ちゅうよりも、むしろ脇役の方が、エエ味出してる映画でもありま。

同じ入院患者として、主人公と病院でイロイロ関わらはる、リリー・フランキー。2人の会話のやり取りやらは、特に本作のテーマにも、関わってくる重要シーンどした。

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「なぜ生きているのか」「死にたくないから」や、

「どうやったら死ねるのか」「分からない」やらの、リリーと野田のやり取りは、

表層的でありながら、妙に生きることの意味を、カンジさせてくれはります。

宮沢りえと主人公のやり取りなども、渋味あり。

何はともあれ、手塚治虫を原案に、松永大司監督が、10年間練り込んで形にした作品だけに、熟成度合いの高い傑作になっとります。

「セカチュウ」と比べても、勝るとも劣らないっちゅうか、仕上がり具合は、勝ってるかもしれへん作品どした。

2015年5月30日 (土)

5月に見た、年間マイ・ベストテン候補

★外国映画

●コングレス未来学会議(6月20日より全国順次公開・弊ブログ後日分析)

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●ターナー、光に愛を求めて(6月20日より全国順次・後日分析)

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●チャイルド44(7月3日公開・後日分析)

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●ベルファスト71(8月1日より全国順次・後日分析)

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★日本映画

●ラブ&ピース(6月27日公開・後日分析)

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●予告犯(6月6日公開・分析済み)

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●邦画は目立ったもんはなかったけど、

園子温監督の、特撮モンスター・スパイス入りの、トンデモ・ラブ・ストーリー「ラブ&ピース」には、チョイやり過ぎかなとは思たけど、取りあえず、度肝を抜かれたやろか。

同監督の「リアル鬼ごっこ」(7月11日公開・後日分析)も、トンデモ・サプライズにアッと驚きました。

「予告犯」は現代でしか描けない、犯罪映画として秀逸どした。泣けるとこもありまっせ。

洋画はヨーロッパの快作に酔えたやろか。

イスラエルの監督やけど、欧州各国の出資を得て、スゴイのんを作ったんが「コングレス未来学会議」どす。

アニメ部と実写部をくっきり分けて、映画と人類の未来を予見する作りが、これまでにないタイプ。今月一番の驚きがありました。

1971年のアイルランド・イギリス抗争で、かつてないスリリングな追逃劇が展開する、イギリス映画「ベルファスト71」と、

イギリスの名匠マイク・リー監督が描く、画家偉人伝「ターナー」。

ハラドキとじっくり鑑賞で見られました。

アメリカ映画からは、「チャイルド44」。

旧ソ連のスターリン時代を捉えた、ミステリー・アクション映画。

真相を追えば、自ら危険になるちゅう、アンチ・ミステリーなノリで、

ロシア・ソ連を舞台にしたアメリカ映画では、過去最高のサスペンスとリアリティーをば、示してはります。

未分析の映画は、後日詳しくやってみますんで、よろしゅうに。

(映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2015年5月29日 (金)

「何を怖れる フェミニズムを生きた女たち」

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ヒロイン映画を撮り続けた、松井久子監督の、初のドキュ映画も女性ドキュメンタリーやー

70年代ウーマン・リブの時代を生きた、後期高齢者たちの今

http://feminism-documentary.com

5月30日の土曜日から、大阪・第七藝術劇場(5月31日には、松井久子監督が登壇)やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1970年代のウーマン・リブ以降、女性の地位向上問題や、女性学とゆう論理的なとこから、

社会に関わってきたオンナたちの、後期高齢者となった21世紀の今から、当時を回顧するドキュメンタリーどす。

そんなオンナたちと、同世代とも言える松井久子監督が、本作を撮り上げはりました。

松井監督ちゅうたら、アメリカに嫁いだ日本人妻ヒロイン映画「ユキエ」(1998年製作)、

認知症の老女ヒロイン映画「折り梅」(2001年)、

朝ドラ「マッサン」的な、日本に嫁いだ外国人妻を描いた「レオニー」(2010年・弊ブログ分析済み)と、

今まではあんまし描かれてこなかったヒロイン映画に、才能を発揮しはる、女性監督でおます。

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そやから、本作の初ドキュメンタリーもまた、女性映画の新領域へと、分け入ってはります。

オンナたちを、群像的に撮ったドキュちゅうたら、女優たちを捉えた「デブラ・ウィンガーを探して」(2002年・アメリカ映画)、

女革命家を採り上げた「革命の女たち」(2013年・ドイツ&日本)やら、

AKB48のアイドル・グループ・ドキュあたりしか、ボクは見てへんねんけど、

いずれにしても、貴重かつ稀少な作品性をば、持ってはるかと思います。

そして、ドキュらしい手法を、自在に駆使しながら、滋味ある作品に、仕立て上げはったんどすえ。

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ドキュ的手法とは、各人へのインタビューを、畳み掛けるように続けて、

その合い間には、過去の映像なんかを、巧みに挿入し、また、自然描写のカットなどを、フック的に編集していくといったカンジどして、

本作はそこんとこが、カチッとしておました。

夕陽の海、四万十川、川辺の夕景などが、目に優しゅうきよります。

また、サントラなきドキュが多い中で、作品性に合わせて、テンポある女コーラスを、タイトに流してはります。バイオリンとかにも、ウットリやねん。

3「フェミニズム」(女性解放思想&運動)を標榜し、日本の女性の地位向上運動史が、俯瞰されるような作りにも、注目すべきところどすやろか。

1954年の原水爆禁止運動、1970年代の優生保護法、1975年の国連婦人年のスタートなどと続き、

21世紀以降も、慰安婦問題、米軍沖縄のレイプ問題、ほんで、高齢化社会問題まで。

そんな流れの中で、14人にわたる運動家・思想家へのインタビューが、束ねられてゆきよります。

述懐的な回顧から、女性学なんかの理屈っぽいトークまで、一本調子なインタビューやないとこも、抑揚の効いた作りやし、

彼女たちの再会シーンを、ラストにもってくるとこなど、ドラマティックな演出も、施されておました。

老いも若きも女性たちが、こぞって見に行くべき映画やもしれへんけど、

でもしか、夫や彼氏を連れて、見に行ってもええんとちゃう?

2015年5月28日 (木)

「欲動」「禁忌」の杉野希妃インタビュー

共にブルーレイ&DVDが、6月3日リリース

『欲動』は、女を犯す男視点のベッドシーンではなく、女視点としてのベッドシーンを撮ろうとしたらしい

『禁忌』は、この人をメチャメチャにしてやりたいとゆう、人間誰しもが持っているところを、複雑に破滅的に演じたらしい

http://www.u-picc.com/taksu_sala/

●「欲動」⇒弊ブログの2014年11月8日付けで分析。

●「禁忌」⇒弊ブログの2014年11月9日付けで分析。

インタビュー&テキスト=映画分析評論家・宮城正樹

Cimg0151

ー「欲動」(杉野希妃・監督・出演)も「禁忌」(杉野希妃・主演)もですが、日本映画には珍しい映画オリジナル脚本ですが、「欲動」の発想の経緯を教えてください。

「『欲動』は、今から6年前に私が企画したものが原点です。その時の話は、歌手がバリ島へ行って、自分の殻を打ち破るというものだったんですが、その時は映画化せずに、いったん温めていたんです。

それで、2年前に、主演の三津谷葉子さんと出会い、人間的に素晴らしい、太陽みたいな人柄に惚れまして、女優として、今までと違う激しいものを開花させてもらいたいと思って、この『欲動』と向き合いました。

で、1年前から、私と三津谷さんが一緒に企画開発していったんですよ。和島香太郎さんが書いた脚本をベースにしながら、人間関係を膨らませたり、こうしたらいいんじゃないかとか、ディスカッションしながら、作っていきました。

 だから、三津谷さん自身の想いも存分に入っているはずです。ですから、夫婦の話なんですけど、女性が性的に解放されていく話ですので、ベースはヒロイン映画ですね」

 

ー三津谷さんや斎藤工(たくみ)さんへの演技指導は、いかがでしたでしょうか?

 

「どういう質の演技をしてもらいたいかを、現場に入る前にあらかじめ伝えていたし、三津谷さんには、こういうキャラ、こういうヒロインを見てくださいと、1年以上かけて練ってきたので、現場では私は、微調整をする程度でした。

 

でも、煙草を吸うシーンは、斎藤さんからの提案です。死が迫る絶望感と、ヒロインの妻ユリに対する罪悪感で、自暴自棄になっている、夫役のキャラに見合った動作でした」

ー濡れ場(セックス・シーン、ベッドシーン)は、

アカデミー賞外国語映画賞の日本代表になった「そこのみにて光輝く」

(2014年・弊ブログ分析済み)のシーンにも通じますね。 

演出で心掛けられたところはありますか。

 

「突然ミュージカルみたいなベッドシーンや、

最近の日本映画に出てくるみたいな、

男性客へのサービス・ショットというか、

男性の欲望を満たすためだけにあるようなシーンには、

絶対したくないなと臨みました。

男性の欲望に巻かれて女性が、受け身オンリーになるのは、

 違和感があると思っていたし、女性にとっては、子供を産むためとか、

自分を見つめるためとかのセックスがあるので、

 女性が見て違和感のないベッドシーン、 

自分の作品にとって、意味のあるシーンを作ろうと、

 かなり狙って撮りました」 

ーなるほど。

 斎藤さんと三津谷さんのセックス・シーンは、 

本作のクライマックスですね。

 

「夫と現地の人と2回、三津谷さんのベッドシーンがあるのですが、

 

最初は2つのシーンは逆だったんですよ。

 

つまり、現地人とは激しく、夫とはいたわるような感じ。

でも、シーン撮りの前日に、私と三津谷さん、斎藤さんの3人がホテルの部屋に集まって、

 

明日のベッドシーンは、どうしようかと話し合いました。

 

その結果、ユリの抑えていた感情が爆発するというか、

 

制御できなくした方が、やっぱり物語として活きるよねということになったんです。

 

ユリが泣くっていうのも、脚本には書かれていなかったんですけど、

 

義理の妹の生まれた子供と直面した時に、

 

夫の子供は産めないんだということで、

 

一つのアクションが必要だと考えたんです」

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ーバリ島オールロケですね。

 

「神さまはバリにいる」(今年1月17日公開・堤真一&尾野真千子&玉木宏共演)もバリ島ロケでしたが、

 

そちらは人情コメディなだけに明るかったんですが、

 

本作のバリはどんよりしてますね。

 

「確かに、主人公が死に向かうのと、

 

生命力あるバリ島を対比させたかったのですけど、

 

私がバリへ行った時の、そのまんまを捉えたかもしれません。

 

撮ってた時期が雨季じゃなく乾季だったし、

 

カメラワークの違いもあるかも。

 

人気(ひとけ)のない海岸とか、

 

神聖な場所としての沐浴場など

2人の感情に寄り添うような場所を選んで撮っています。

 

バリのイベントの挿入ですが、

 

バリの伝統芸能のケチャとガムランは、

 

私がバリにハマった2つでして、

 

ケチャを初めてロケハンで見た時に、

 

中国の京劇みたいに物語がありまして、

 

そのラーマ・ヤーナの物語が『欲動』と、

 

すごくリンクしてるなと思いました。

 

だから、2つをパラレルに描くことで、

 

映画の世界観が立体的になり、広がっていくだろうと」

 

ーどこを取っても、映画的な撮り方を心掛けられていますね。

「もちろん、映画ですから。

 

ワンシーンをワンカットで収めて、

 

足りないところを補充していく感じ。

 

で、インドネシアの撮影監督(シディ・サレー)が、

 

挑戦的なカメラワークをする方でしたし」

 

ー3分強の長回しによる、ラスト・シーンなんか、

 

素晴らしい構図ですよね。

 

「あれはいろいろあったハプニングが、

 

いい方向に転じたんです。

 

正面から海岸を撮ろうとしたら、

 

曇っていて真っ暗だった。

 

でも、こちら側は夕陽が、

 

ちょうどグラデーション的に空にあったので、

そこをポイントにして撮ってみたんですよ」

 

ーさて、「禁忌」では主演ですが、

 

何やらホラーチックですね。

 

役作りはされましたか。

 

「『歓待』や『おだやかな日常』(共に弊ブログ分析済み)でも、

 

ホラーだねって言われることも多かったですよ(笑)。

 

これまでは、ナチュラルな延長線上で、役作りしてましたけど、

 

『禁忌』は複雑な役で、アプローチの仕方が多少違っていました。

 

けれど、どうでもいいとか、この人を、こういう状況を、

 

メチャメチャにしてやりたいとかの気持ちは、

 

人間誰しもが持っている部分なので、

 

自分とは全く違う役とは思えませんでした。

 

ああいう部分は、私の中にもあります」

ーこれからのことですが、

 

コメディエンヌの役柄とかは、いかがですか。

 

「『三泊四日、五時の鐘』(今年公開)では、

 

ツッコミ満載のキャラクターを演じましたよ。

 

激怒してたのに、好きな人が現れるとニヤニヤしたり…。

 

ラブコメとかもやってみたい。

 

それと『欲動』は監督第2弾でして、

 

第1弾『マンガ肉と僕』(今年公開)も

 

公開待機中です。

 

主人公をベースに3人の女性を配した映画でして、

 

男に嫌われるために太る女など、

 

社会や男に抗っている女たちが登場いたします。

 

こちらも楽しみにしていてください」

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●杉野希妃プロフィール⇒1984年広島県生まれ。

 

 

慶應義塾大学経済学部在学中にソウルに留学。

 

 

2006年、韓国映画「まぶしい一日」宝島編主演で、映画女

 

 

優デビュー。キム・ギドク監督「絶対の愛」ほかに出演。

 

 

その後、主演兼プロデュース「歓待」(2010年・弊ブログ分析済み)、

 

 

同じく「おだやかな日常」(2012年・弊ブログ分析済み)が、

 

 

各国の映画祭で受賞。

 

出演兼プロデュースの「ほとりの朔子」(2013年)は、

 

ナント三大陸映画祭でグランプリ。

 

2014年には、メガフォンを執った第1弾「マンガ肉と僕」、

 

 

第2弾「欲動」を、続けざまに撮り上げた。

 

今後の主演作として、

 

 

佐々部清監督の「群青色の、とおり道」(今年公開)などが待機中。

 

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2015年5月27日 (水)

フランス映画「涙するまで、生きる」

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男たちのロードムービーの粋を魅せる快作

ヴィゴ・モーテンセンの、渋きヒロイズムに酔えるで

http://www.farfrommen.com

5月30日の土曜日から、東京[シアター]イメージフォーラムを皮切りに、全国順次のロードショー。

関西では、6月13日から、シネ・リーブル梅田やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 ONE WORLD FILMS ⒸMichael Crotto

犯罪者を、裁きの場まで、引き連れてゆくとゆう、単純シンプルな作品なんやけど、これが一筋縄やありまへんねん。

犯罪者を、リベンジのために襲う奴らがいてる。

護送するのんは、警察やなく、元軍人の一般人。

ほんで、舞台となる1954年の、フランスの植民地・アルジェリアは、フランス軍と独立派の間で、戦闘状態になっとるような状況でおます。

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そんな危険に満ちた、ロードムービーやけど、この設定はかつての西部劇に、ケッコーあったもんでおます。

ちゅうことで、ここで、特殊設定の、男たちのロードムービー洋画の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・本作以外はアメリカ映画)をば、手前勝手に披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①ミッドナイト・ラン(1988年製作)②激突!(1971年)③ガルシアの首(1974年)

●カルト⇒①本作②さらば冬のカモメ(1973年)③決断の3時10分(1957年)

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カーチェイスなスタイルなロードの、スピルバーグのベスト②や、首を運ぶ西部劇ベスト③以外は、いわゆる護送系の作品を選んでみました。

本作は、逃げるかどうかに、一つのポイントがあった、カルト②とは違い、

逃げれば、復讐者たちの、餌食になってまう危険があります。

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また、ギャングからの逃走であったベスト①は、

カルト②のアメリカン・ニューシネマなタッチで、ユーモラスな余裕もあったけど、こちらは逼迫系どす。

さらに、アメリカン・ニューシネマよりも、ウエスタン系のノリ。

21世紀にリメイクもされた、カルト③のセンスとも、シンクロナイズしとります。

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銃撃シーンもあるんやけど、どちらかとゆうたら、静かなる展開で、物語は進行してまいります。

特に、冒頭の静謐さは秀逸。そおゆう渋き演技に似合う主演は、護送役主人公のヴィゴ・モーテンセンのアニキでおます。

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「ロード・オブ・ザ・リング」3部作(2001年・2002年・2003年)や「ザ・ロード」(2009年・弊ブログ分析済み)など、ロードムービー入りの映画やらで、

決してハデやないけど、ココロにじんわりくるようなアクションや演技をば、魅せてくれはりました。

モーテンセン映画のマイ最高傑作は、サプライズが強烈やった「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005年)やけど、

犯罪系映画の「イースタン・プロミス」(2007年)もグー。

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でもしか、本作は、彼の過去最高のヒロイズムが、打ち出された傑作でおました。

それも、前に出るヒロイズムやなく、退きのヒロイズム。

躍動的な「アラビアのロレンス」(1962年・イギリス・弊ブログ分析済み)とは、正反対の造形ぶりでおます。

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ロングショットで見せる荒野、砂嵐や雨、雲がわだかまる空など、自然描写もロードムービーに、メッチャふさわしゅうおました。

ロックンローラーのニック・ケイヴの、ロック調を排した、バイオリンやらの弦楽主体のサントラ使い、

ノーベル賞作家カミュの原作などと、いろんな驚きがある本作。

フランスとアルジェリアの、当時を描く映画としては、名作「アルジェの戦い」(1966年・イタリア&アルジェリア)とも、表裏を成す作品やと思います。

2015年5月26日 (火)

「誘拐の掟」⇒リーアム・ニーソン主演ハードボイルド映画

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リーアム・ニーソンはんが、アル中探偵役になったで~

アメリカン・ハードボイルド&私立探偵映画の、粋を示す傑作や~

http://YUKAI-MOVIE.COM

5月30日のサタデーから、ポニー・キャニオンの配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 TOMBST ONES MOVIE HOLDINGS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ハードボイルドとは、アメリカの小説から生まれた言葉でおます。ハードボイルド・エッグ、つまり、固いゆで卵どす。

そんな固い意志を持って、調査に携わる私立探偵(アメリカならではの職業)を主人公にした、ハードボイルド小説が原作となったのが、本作でおます。

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そんなハードボイルド・アメリカン映画の、まずは、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、申し述べますと…。刑事主人公ものはモチ、外しとります。

●ベスト⇒①チャイナタウン(1974年製作)②ミッドナイト・ラン(1988年)③エンゼル・ハート(1987年)

●カルト⇒①ロング・グッドバイ(1973年)②動く標的(1956年)③本作

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ベストには、③を除き、映画オリジナルもので、かなりヒネリを加えて、映画的精度を高めた作品を選びました。

対して、カルトの方では、小説原作のストレートな、私立探偵ものを選択。

推理小説のハードボイルド・ジャンルにおいては、カルトの方が正統系でおまして、

ハードボイルド探偵らしさが、遺憾なく発揮されとる作品でおます。

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いわゆる、銃撃戦メインのアクション・シーンやらは、この種の映画の定番ではあるんやけど、

犯人を特定していく推理の流れやら、シャレたセリフやら、刑事ミステリーにはない特殊設定などが、際立った一作となっておます。

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主演は、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(1999年)への出演を皮切りに、21世紀になって以降、アクション・スターぶりが際立ってきた、リーアム・ニーソンはんや。

特に、ハードボイルド・アクションでは、大ヒットした「96時間」(2008年)以降、ひっぱりだこの盛況ぶりでおます。

年老いてのアクション・スターへの方向転換は、かつてのハリウッド映画俳優にはいてはりまへん。

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ほんでもって、これが単なるアクションをば、披露するわけやありまへんねん。

悩み深き心理演技も、表情演技を含めて渋いし、相棒となる少年やらとの、やり取りの妙味やら、アル中とゆう設定なども見逃せまへん。

しかも、最近公開されヒット中の主演作「ラン・オールナイト」(弊ブログ分析済み)と比べても、

全く遜色のない、見ごたえあるアクションと演技ぶりで、魅せてくれてはります。

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さてはて、私立探偵小説には、アメリカには長い歴史があります。

カルト①の原作者のレイモンド・チャンドラー、カルト②のロス・マクドナルド、ほんで、ダシール・ハメット。

以降、キラ星のごとく出てきてはりますが、本作は、ローレンス・ブロックが原作。

これまでに映画化されたのでは、「800万の死にざま」(1986年)などがありますが、

本作含めて、主人公マット・スカダー探偵ものでおます。

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アル中探偵とゆうキャラ付けは、ハードボイルド小説史上、初めてのもんでおまして、

本作でもそのあたりが、ビミョーに機能しておました。

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断酒なんぞを、ニーソンはんが悩み深げにナレートしつつ、チビチビ私立探偵的行為を示しつつ、

クライマックスの対決へと持っていく流れは、ハードボイルド映画にふさわしい展開でおました。

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スロー・モーションやクローズアップの、ドラマティックを呼び込む、フック的な使い方、

ラストロールの、フィメール・ピアノ・スロー・ナンバーが作る余韻など、

細部の描写も、ハードボイルドにふさわしい作りどしたえ。

2015年5月24日 (日)

日曜邦画劇場「海街diary」⇒綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すず共演

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「そして父になる」に続く、是枝裕和監督の、年間ベストテン級の家族映画

姉妹映画の中でも、日本映画史に残る傑作

http://umimachi.gaga.ne.jp

6月13日の土曜日から、東宝とギャガの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ

本作は今年のカンヌ国際映画祭で、日本から唯一コンペティション部門で出品されとりましたが、結果は残念ながら、無冠となりました。

けども、本作のような日本的情緒のある映画が、外国人審査委員のココロの琴線に、触れるのは難しく、そして、

カンヌでもてはやされるアート映画性よりも、分かりやすい大衆性、家族ドラマ的娯楽性で、勝負してるみたいな作品は、確かに、カンヌには合いません。

でもしか、是枝裕和監督作品としては、

カンヌでゲットした「そして父になる」(2013年製作・弊ブログ分析済み)以上に、

国民的大ヒットが、狙える作品となったことは、間違いありまへん。

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大衆性は別にしても、個人的には、今年のマイ・ベストワン級候補な、仕上がりになっとりまして…、

とゆうか、姉妹映画の邦画としては、日本映画史に残るべくな傑作に、なったんやないやろかと、ボクは思います。

ちゅうことで、ここで、家族映画含む、姉妹映画のマイ・ベスト&カルト邦画(各順不同)を、思いつくままに披露しますと…。

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●ベスト⇒①本作②祇園の姉妹(1936年・弊ブログ分析済み)③細雪(1983年・分析済み)

●カルト⇒①四季・奈津子(1980年)②阿修羅のごとく(2003年)③ふたり(1991年)

●2人姉妹の関係性に集中した、ベスト②カルト③などに、姉妹ものの粋があることは確かやけど、

家族の中での、3姉妹・4姉妹の複数形を描く家族ドラマでは、ベスト③カルト②、家族ドラマ性は稀薄やけど、4姉妹を描くカルト①などの傑作がありました。

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ところがどっこい、本作は異母妹を含む、4人姉妹だけが同居するとゆう家族映画でおます。

マンガが原作やっちゅうのんも、驚きがあったけど、この種の設定の家族ドラマは、おそらく映画史上初やないやろか。

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普通の家族もの、疑似家族ものなどの設定とは違う、この姉妹たちだけの家族構成ぶりに驚いたし、

女ばかりやから、ドロドロやイケズがあるかと思たら、

看護師・長女役の綾瀬はるかネーさんと、銀行員のビール好き・次女役の長澤まさみネーさんが、時々口ゲンカはするものの、

ボクはさわやかで、仲のいい4人の関係に、日本映画の家族ドラマの良心が、変型型やけど、あったかーく感じられたんでおます。

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中味は、メッチャ複雑系の家族ドラマどす。

コドモたちが巣立ち、実家を守るんはオトンオカンとゆう、定番系を覆し、

逆に両親の方が離れてしまい、コドモたちが実家に住みついて愛着を示すとゆう、

「東京物語」(1953年)などへのアンチテーゼを、さりげなく提示してはりまんねん。スゴイわ!

ヨメと3人の娘(綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆)を捨てて、別の女に走ったオトン。

ヨメ=オカン(大竹しのぶ)も、別の男に走ってもうて、鎌倉の一戸建ての実家は、3人姉妹だけ。

まあ、オカンのオバン(樹木希林)は、近くにおるけども…。

山形の温泉宿の女将と再婚した、オトンが死んでもうて、葬式に3人が行って、そこで、オトンの腹違いの遺児・広瀬すずチャンと出会い、

長女のはるかネーさんが、4人で鎌倉で一緒に住もうよと誘ったところ、すずチャンは快諾。

4人姉妹の生活の、始まり始まりどす。

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長澤まさみネーさんの、衝撃(!?)のベッド・シーンから始まり、

綾瀬はるかネーさんは、しっかりしてはるように見えながら、医者役・堤真一アニキと不倫してはったり、オカン・大竹しのぶとの確執部など、

ドロドロしてそうなカンジなのに、なぜかそこんとこが、ほとんど緩衝ノリで濾過されて、清水な水心へと流れます。

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さらに、日本的冠婚葬祭の葬シーンが3回もあり、

また、みんなの馴染みの店(リリー・フランキーと風吹ジュンが、やってはります)の閉店など、

決して「さわやか」では、ありそうにない映画やのに、不思議と、清涼感ある鑑賞後感がありまんねん。

おそらく、すずチャンと3人の姉との、ほほえましき関係描写が持続し続けてるところが、見どころのキー・ポイントやろな。

加えて、すずチャンのアイドル性にも、癒やされましたやろか。

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日本の四季の情景描写が、またまた素晴らしいわ~。

チャリンコに乗っての、流れるような桜並木のシーン。ラストシーンの長回し撮影を含む、海辺のロングショット・シーン。高台の林から見る風景、空の様子など、日本的風景の挿入も、

本作の家族ドラマを、親近感あるドラマにしてはりました。

国民的どすから、朝ドラチックなとこもありますんで、

ぜひとも家族全員で、見に行っておくんなまし。

2015年5月21日 (木)

「ゆずり葉の頃」⇒日本映画の良心を鑑賞

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日本映画の古き良き、クラシックな香りが詰まった快作

八千草薫・仲代達矢・岸部一徳・岡本喜八監督未亡人の中みね子監督…

http://yuzurihanokoro.com/

5月23日の土曜日から、パンドラはんの配給によりまして、東京・岩波ホールで、全国順次のロードショー。

関西では、6月20日からシネ・リーブル梅田、7月18日から元町映画館やらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ岡本みね子事務所

主演女優は八千草薫、助演男優・仲代達矢、今やバイ・プレーヤーの帝王・岸部一徳。

ほんで、監督は、故・岡本喜八監督未亡人の、中みね子監督。

岡本喜八監督作品のプロデューサー業を、やってきはりましたが、76歳にしての初の映画監督どす。

さてはて、このメンツを見れば、若い人たちは、どないな反応を、この映画に対して示すんやろか。チョイ考えてみました。

おそらく、今の東宝映画なんやらと比べて、古臭いとか、ジジババむさいとか思うんやろか。

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けども、こおゆう作品を見ることこそ、日本映画の古き良き、クラシックな芳醇な香りを、味わうことでありまして、

かつての名作共々、見てみてウーンと、唸りたくなる作品なんどす。

そのクラシック・ポイントを言いますと…。

まずは、戦時を振り返るスタイルが、ヒロイン八千草薫の、過去を通して描かれる点。

懐古趣味やないやろけど、過去の古き良きものへと、ヒロインがこだわってゆく作り。

そして、そんなヒロインをサポートする、岸部一徳や仲代達矢の演技ぶり。

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かつての邦画へのオマージュも、展開されておます。

所詮、20世紀ヒロイン日本映画への、懐古趣味的やんと言われれば、それまでなんかもしれへんけど、

おっとり系女優・八千草薫やからこそ、今こそ癒やしの日本映画として、見るべき作品なんどす。

拡大系でハデにやってる、東宝映画やらもエエんやけど、こおゆう滋味ある、しっとり系の作品もお忘れなく。

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八千草薫のための映画に見えるけど、脇役もエエ感じ。

20世紀末のテレビのトレンディー・ドラマで活躍した、八千草の息子役の風間トオルを始め、

竹下景子、六平直政、嶋田久作、本田博太郎やら、20世紀邦画に、代表傑作がある人ばかりどす。

ドラマは、八千草薫ドラマをメインに、風間トオル息子サイド・ドラマとの、カットバック的作りで進行してまいります。

そんなカットバックを始め、いみじくも、オーソドックスやけど映画的作りが為された作品でおました。

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少女時代のモノクロ・カット、しかも、フツーのモノクロ使いやありまへん。

池に映るカットやら、スローモーションの使い方。

セピア照明での歌披露シーン。Kトラに乗っての、フロントガラスを通した遠近カット。

ツーショット、ロングショットの、ここぞとゆう時の出し方。

さらに動的には、八千草薫と仲代達矢の、シャル・ウィー・ダンスなダンス・シーンの、オルゴールを流しての、造形ぶりの妙。

そして、サントラ部にも妙味がありました。

渡辺貞夫と並ぶ、日本ジャズ界の巨匠、山下洋輔が、まさに絶妙なサントラを構築しはりました。

ジャジーやないピアノから、軽快なジャズ・ピアノまで、畳み掛けと癒やしを、フレキシブルに披露。

本作の、今一つの見どころ・聴きどころでおますよ。

2015年5月20日 (水)

「チャッピー」⇒ロボットSF映画の最新型

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「第9地区」に続き、ジャンル映画の意表を衝く怪傑作

「A.I.」と「ロボコップ」の、トンデモ・ミキシングや~

http://www.Chappie-movie.jp

5月23日のサタデーから、ソニー・ピクチャーズの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

本作は、南アフリカを舞台にしたハリウッド映画で、本編2時間どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ロボット系主人公SF映画の、洋画マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・アニメは除く)をば、思いつくままに言いますと…。

●ベスト⇒①ロボコップ・シリーズ(第1弾は1987年製作・以下の引用は、指定以外は全てアメリカ映画)②ターミネーター・シリーズ(第1弾は1984年)③A.I.(2001年)

●カルト⇒①本作②メトロポリス(1926年・ドイツ)③アンドリューNDR114(1999年)

●あくまで人間をポイントにした、人造人間ロボ造形は、ベスト作品の全てと、カルト③に顕著どして、ロボットと人の合体系、あるいは人の姿でおました。

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でもしか、ロボット映画のルーツ作品のカルト②など、人を離れた、ロボット・オリジナル造形ものは、その後も作られてまいりましたが、

大人の鑑賞に堪え得るような実写作品は、あんましなかったように思います。

ところがどっこい、本作は、ロボット・キャラクターをキチンと作った上で、ロボ刑事とし、しかもAIとゆう主人公は、まさに、ベスト①とベスト③を合体させたものでおます。

しかも、キズナをポイントにした、ロボ・ヒューマン・ドラマとゆう、オリジン性も打ち出した仕上がりや。

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恐怖の「エイリアン」(1979年)を、弱者としてのエイリアンに変換し、度肝を抜いたデビュー作「第9地区」(2009年・弊ブログ分析済み)の監督、ニール・ブロムカンプが、またまたやってくれはったがな。

「第9地区」と同じく、監督の祖国・南アフリカを舞台に、犯罪者側にロボットとその発明者を配し、

AI供給側や政府側と対立させるとゆう、正悪逆転のドラマツルギーをば、追求してはります。

ほんで、犯罪グループがAI・チャッピーとの絡みで、家族化していったりするとゆう、

ロボと人のキズナ描写も描かれて、ベスト②③以上のものを出してはります。

エイリアンの心理に迫った「第9地区」以上に、AIの心理に迫るとこにも、胸打たれましたどすえ。

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いわば正義側やった、「エイリアン」のシガニー・ウィーヴァーや、

「X-MEN」シリーズ(第1弾は2000年)の、ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンが、悪役的役柄で登場しとるんも、

正悪逆転ものとしての面白さを、増しておます。

また、ロボコップとして利用されとった、AIロボたちの1人が、犯罪者とのつながりで、現金輸送車を襲ったりする変種となり、

発明者と共に、ロボ供給側と対決してゆく後半の展開は、ある種ハットトリッキーでもありました。

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ほんでもって、トンデモサプライズがあることによって、本作はシリーズ化されても、全然おかしゅうないカンジになっとります。

映画音楽の現代の巨匠、ハンス・ジマーの、シンセをベースにした、攻撃的なサントラ使いも、アクショナブルな本作を、盛り立ててまいりますで。

いずれにしても、大人が楽しめる、ロボット映画の進化型どす。

「ロボコップ」に酔いしれた方は、ぜひとも映画館へ見に行ってみなはれ。

2015年5月19日 (火)

韓国映画「パイレーツ」⇒ハリウッド級の海洋アクション

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ソン・イェジン初のアクション映画が、韓国で大ヒット!

韓国版「パイレーツ・オブ・カリビアン」か…

http://www.pirates-movie.info

5月22日のフライデーから、ツインはんの配給によりまして、TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、やらでロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

最近の韓国映画やけど、ボク的には評価が高いねんけど、なぜか日本の各種の、年間ベストテンには全く入らず、

また、エンタ性の高い作品でも、大ヒットしとりまへん。

何でかを考えると、2000年代初頭の、ラブ・ストーリーをメインにした、韓流テレビ・ドラマの一大隆盛が、

韓国映画に波及し、その時に大ヒットした作品が、一時的な現象で終わってしまったこと。

ほんで、映画評論家筋で、評価の高かったアート作品も、そのテイストを汲んだ作品の頻出で、食傷気味となってしもたこと。

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そんなとこらやろけど、でも、改めて問いたいのは、作品そのものを新鮮なキモチで、見てみるべきやとゆうとこどす。

本作は韓国映画にしては、いかにもエライ大金が投下されとんな~、っちゅう印象やけど、

ハリウッドの娯楽大作と比べても、決してヒケを取ってへんし、

あの大ヒット・シリーズ「パイレーツ・オブ・カリビアン」(第1弾は2003年製作・アメリカ映画)と比べても、

単なる海洋アドベンチャーのラインを逸脱し、時代劇に託し、オリジナリティーあふれる発想で描かれた、快作アクション映画でおます。

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日本で公開された韓国映画の、歴代興行収入ランキングのワンツーになっとる、

①「私の頭の中の消しゴム」(2004年)②「四月の雪」(2005年)。

韓流ドラマ・ブームに乗った、ラブ・ストーリーのこの2作に、共に主演してはったんは、ソン・イェジンのネーさんどした。

共に感動ある大人の恋愛映画やったけど、今回は、ネーさんのキャリア史上初めて、自らアクションをば、披露しやはる映画でおます。

アクション映画での、日本での大ヒットを狙うべく、剣戟アクションから、ワイヤー・アクト、流動アクションまで、多彩に披露しはり、

「パイレーツ・オブ・カリビアン」の女優、キーラ・ナイトレイと比較しても遜色なしや。

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また、韓国アクション女優としてのイメージの強い、ハ・ジウォンのネーさんと比べては、ハ・ジウォンの剛に対する、柔のイメージやろか。

さてはて、クジラに飲まれた重大なものを、クジラを殺して奪取するとゆう、その争奪戦ちゅうのも、破天荒な時代劇ものどして、

海賊・山賊・宮軍の、三つ巴のバーサスが、モノゴッツーなことになっとります。

山賊の頭領役には、キム・ナムギルのアニキ。

ソン・イェジンのシリアスに対し、コミカル・モードな演技やけど、好敵手との1対1対決では、見事な剣戟を魅せてくれはります。

但し、ソン・イェジンとのラブ・ストーリー部は、アクション映画における、コメディ・リリーフなシーンになっとります。

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14世紀末の、朝鮮の時代劇映画どす。

韓国映画の時代劇アクションは「群盗」(2014年・韓国・弊ブログ分析済み)のように、西部的騎馬戦がポイントとしてあったけど、

剣戟メインとはいえ、クジラとの絡みなど、海洋アクションを、大いに打ち出したんは、特筆もんやと言えましょう。

ちゅうことで、久々に大ヒットしそうな予感ある、韓国映画でおました。

2015年5月17日 (日)

生田斗真・戸田恵梨香共演「予告犯」⇒日曜邦画劇場

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コミック原作の、ネット犯罪ミステリー・サスペンス

チーム犯罪ものの新味を示した快作

http://www.YOKOKU-HAN.JP

6月6日の土曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2015「予告犯」製作委員会 Ⓒ筒井哲也/集英社

チーム犯罪もの日本映画の、新味を打ち出した快作品どす。

さて、ここで、その種の邦画の、20世紀と21世紀の、マイ・ベスト・スリー(各順不同)をば言いますと…。

●20世紀⇒①新幹線大爆破(1975年製作)②大誘拐 Rainbow Kids(1991年)③銀嶺の果て(1947年)

●21世紀⇒①本作②OUT(2002年)③地獄でなぜ悪い(2013年・弊ブログ分析済み)

●本作の新味を、過去の作品と照らし合わせて見てみましょか。

被害者と加害者がつるんだ、20世紀②の新味やけど、本作では、加害者たちの、被害者とも言える、チョー弱者仲間への、何とも言えないキズナぶりに、メッチャ酔えるんです。

そんな底辺に生きる人間たちの、泣ける仲間意識としては、20世紀①のストレート系を、よりミステリアスに変換。

そして、守ってやりたい精神は、20世紀③のところが、変型タイプで出ておます。

ほんで、21世紀作品との比較では、逃亡するために、仲間たちで何ができるかを、主婦たちの犯罪に託した②に対し、

本作は就職難で、現代社会からドロップアウトした、いかにも21世紀の今にふさわしい男たちが、登場しはります。

ヤクザ抗争の中に巻き込まれる、映画青年たちを描いた③と共々、新味を出してはりまんねんで。

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さらに、本作のオリジンを見ていきましょか。

映画化ミステリーはほとんどが、小説原作が多いんやけど、ボクの知る限りにおいては、初のコミック原作でおます。

そして、今では珍しくはないネット犯罪もので、犯罪グループと警視庁のサイバー犯罪対策課との、対決構図なんやけど、

そんなネット犯罪ものでも、これまでにない新しどころが、そこかしこに見受けられます

生田斗真をリーダーとする、鈴木亮平・濱田岳・荒川良々の4人の犯罪者でおまして、彼らの出会いが過去シーンとして映されます。

カットバック的ではないけど、伏線的カットとして、絶妙に配されておます。

新聞紙をかぶって、ネット動画で犯罪を予告するとゆうのんは、かつてないもんやないやろか。フォロワーの文字が入るのも、リアリティーありどす。

戸田恵梨香ネーさん扮する刑事が、生田アニキと絡むシーンなど、

「チェイサー」(2007年・韓国映画)や「ボーン」シリーズ(2002年~2008年・アメリカ)のように、シンプル・イズ・ベストな追いつ追われつがあったり、

最後の最後には、涙なしでは見れへん、サプライズ・シーンが用意されとったりと、トンデモたまらない仕上げぶりをば、提示してはります。

「誰かのために、小さなことでも、人は動く」のセリフが、本作のキー・ポイントでおます。そのセリフに見合った感動やと言えましょうや。

さてはて、本作は、ミステリー映画を多数撮ってきはった、中村義洋監督の新作。

ボク的監督の最高作「白ゆき姫殺人事件」(2014年・弊ブログ分析済み)を、超えた傑作どした。

2015年5月16日 (土)

ハリウッド映画「メイズ・ランナー」

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ゲーム系もある、シチュエーション系映画な1本

サバイバル映画としての、ハラドキ度はどないやろか

http://www.foxmovies-jp.com/mazerunner/

5月22日のフライデーから、20世紀フォックス映画の配給で、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 Twentieth Century Fox Film

ある種リアリティーなしの、ゲーム系やったり、シチュエーション(この場合は、現実的やない設定をムリヤリのように作る)・サバイバル映画は、SF映画を中心に、これまでに多数出てまいりました。

その種の映画は、ボク的には、「バトル・ロワイアル」(2000年製作・日本映画)などを除き、カルティックな作品に入ることが多うおます。

そんなマイ・カルト・ファイブ(順不同)をば、手前勝手に言いますと…。

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①本作②CUBE(1997年・カナダ)③バトルランナー(1987年・アメリカ)④ハイアーゲーム(2011年・アメリカ)⑤カイジ(2009年・日本)

●⑤のタイプの日本映画は、21世紀には「バトル・ロワイアル」以降、多数出回っておます。

エイリアン対人間やら、人間同士の闘いではなく、ゲーム設定を通してのサバイバルは、③④などがあるけども、

本作や②は、ある日突然、見知らぬ限定エリアに放り込まれて、

そこから脱出しようとする映画どして、比較的新しいタイプの、サバイバル脱出映画でおましょうか。

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でもって、屋内のメイズ(迷路)やった②に対し、本作は屋外どす。

しかも、そのメイズの前には、野外の広場と森とゆう、居住空間が広がっとりまして、

さらに、ほぼ青年たちが、1年ごとに、彼らの意志に関わらず、エレベーターに乗せられて、この場所へと、送り込まれてきよります。

そして、みな記憶があれへん。何が何やら分からへんねんけど、時間限定で戸が開く、メイズの向こうにはどうやら、元いた世界があるらしい。

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シンプルやった②に対し、いろんな設定を設けて、複雑化してるように見えるけど、

やはり、②の世界観を、広げたようなとこが見受けられます。

さらに、メイズの中にいとる、クモ系モンスターとの対決とか、「蝿の王」(1990年・イギリス)的な、青少年たち同士の序列関係や争いとか、

モンスター・パニック映画、群像映画としてのジャンル幅の広がりもありまんねん。

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イケメンのディラン・オブライエン君が、主人公役。ジャニーズ以上に、男性アイドル性高しどす。

ほんで、美女のカヤ・スコデラリオちゃんが、サバイバル・メンバーたちの、紅一点で登場しはります。

2017年公開の「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ最新作に、ヒロイン役に抜擢されやったんで、本作でまずは目を付けときましょか。

ボク的にも初めて見る、若きハリウッド俳優はんたち。次代のスターを見つけたいわーちゅう人にも、ピッタリの映画かもしれまへん。

2
なぜ彼らがこの場所に、集められたんか。

本作の最後の方で明かされますが、意外な理由どした。

でも、3部作の第1弾とのことで、今後も物語は続いてまいります。

3部作映画のマイ・ベスト&カルトなんぞも、そのうちやってみたいと思とります。

ちゅうことで、まずはその第1弾をば、お楽しみくだされ。

2015年5月15日 (金)

孫悟空映画「モンキーマジック 孫悟空誕生」

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中華3大「三国志」「水滸伝」と並ぶ「西遊記」孫悟空映画や

「スター・ウォーズ」ばりに、遡り系が今やトレンドやねん

http://www.monkeymagic-movie.info/

5月16日の土曜日から、ツインの配給によりまして、東京・シネマート六本木やらで、

5月23日からは、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショーだす。

本作は、2014年製作の中国・香港合作の本編119分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Filmko Entertainment Limited. All Rights Reserved.

中国オリジナル物語の古典の3大っちゅうたら、本作の「西遊記」、「三国志」、ほんで「水滸伝」やろか。

中でも「西遊記」ものには、カルティックな面白さがあって、オトナもコドモも楽しめる作品どす。

そんな孫悟空ものの、マイ・カルト・スリーをば言いますと…。

①本作②西遊記~はじまりのはじまり~(2013年製作・中国映画・弊ブログ分析済み)③西遊記(2007年・日本)

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3大作品の映画化ものでは、「三国志」の「レッド・クリフ」(2008年・香港&中国&日本&台湾)など、大ヒットした作品はあるんやけど、映画評論家筋では、総じて評価は低うおます。

あくまで、エンターテインメントとして、老若男女関わらず楽しめる作品を、志向し続けてはるんやろか。

中でも、本作は、西遊記ものベストの中では、CG・VFXバチバチ。

生身のアクションは、ほとんどないんやないかと思うくらいに、繰り出してはります。

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香取慎吾主演の③などは、西遊記オリジナルを、あくまで、なぞるようなカタチで描かれとりましたが、

一方、オリジナルを新解釈した作品が、中国側からイロイロ出てまいっとります。

中でも、孫悟空らが出てくるまでのプロセスを描く、「スター・ウォーズ」チックな遡り系映画が、本作と②と、連続して出てまいりました。

共にCGシーンが多いけど、メンバー全員を捉えた②とは違い、本作は孫悟空に集中しはりましたやろか。

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孫悟空役には、意外にもドニー・イェンはん。

アクション俳優として、香港を代表する俳優はんの、猿を意識したベタな作り込み演技に、ボクは驚きました。

「猿の惑星」(1967年・アメリカ)やらの、猿たちよりもユニークで、ユーモアやら親近感もありました。

陛下役のチョウ・ユンファはん。どっしりと落ち着いた、ベテランワザを魅せ、

悪役役のアーロン・クォックは、悪役ばえしないイケメンぶりを披露。

アクション・シーンを含めて、スムーズに進行してゆきよります。

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久々に見た、ケリー・チャンの可憐やったり、アイドルチックなジジ・リョンちゃんにも、胸キュンやろか。

でもって、中国的な長寿の不老不死観やったり、変身系VFXの綾、ほとんどCGやけど、セピアな日の出シーンや空模様など、ツッコミ入れたりして、見られるシーンも満載。

こおゆうのんは、この種の娯楽作には、重大なポイントやろかと思います。

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サウンドトラックは、中国・香港映画らしい作りでいってはります。

つまり、胡弓やらの中国楽器があり、ラストロールでは、中華・香港系のスロー・ポップスや、バラードが流されたり…。

打楽器をメインにしたオーケストラ・サウンドや、男女デュエット・ナンバーなど、定番化しているサントラ使いを、チョイと覆すようなとこもあって、ウーンと唸れたりしまっせ。

結論を述べまするに、ベスト②を見た方は、ぜひ見てほしい快作でおます。

2015年5月13日 (水)

テリー・ギリアム監督の新作「ゼロの未来」

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21世紀のSF映画は、どないなるんやろか~

抑圧されるキャラクターや、バーチャル・ワールドがポイントか…

http://www.zeronomirai.com

5月16日のサタデーから、ショウゲートの配給で、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都やらで、全国漸次のロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 ASIA & EUROPE PRODUCTIONS S.A. ALL RIGHTS RESERVED.

SF映画のキャラクターは、本格ヒーロー正義系も、エエねんけど、

いわゆる災難に遭ったり、抑圧されたりの、巻き込まれ系キャラが活躍する作品に、ボクは妙に魅かれまんねん。

ヒーロー系でも「ブレードランナー」(1982年製作・アメリカ映画)のハリソン・フォードの、ダークな泥臭さやったり、

仮想世界の「マトリックス」(1999年)のキアヌ・リーヴスの、クールに涼しい顔でアクションやったりの、

ヒーロー系の変格キャラに魅かれます。

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さてはて、抑圧・巻き込まれ系キャラが主人公の、SF映画マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①2001年宇宙の旅(1968年・アメリカ)②未来世紀ブラジル(1985年・イギリス&アメリカ)③惑星ソラリス(1972年・ソ連)

●カルト⇒①本作②トータル・リコール(1990年・アメリカ)③マイノリティ・リポート(2002年・アメリカ)

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さらに、21世紀のSF映画のマイ・ベスト・スリー(順位通り)を言いますと、

①ゼロ・グラビティ(2013年・アメリカ・弊ブログ分析済み)②インセプション(2010年・アメリカ・ブログ分析済み)③本作どす。

●21世紀ベストでも、①は災難に巻き込まれた系になるやろか。

但し、抑圧系となると、これが意外と少のうおます。

また、プレッシャーをハネのけてまう、タイプやないのんは、もっと稀少でおましょうか。

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それがベスト②であり、カルト①21世紀ベスト③の本作でおます。

共にテリー・ギリアム監督作品どす。

タイムスリップ系でも、ブルース・ウィリス主演「12モンキーズ」(1995年・アメリカ)とゆう傑作があり、

ギリアム監督は、ある意味で、SF映画の隠れ巨匠やと、申せましょうやろか…。

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そして、本作は抑圧系のSF映画で、ベスト②の、姉妹編のようなカンジになっとります。

また、ベスト②が強引に抑圧される系であるのに対し、

本作では抑圧を受け入れて、マインド・コントロールされたような主人公が登場しはりまんねん。

でもって、本作は、そんな彼がパーティーで出会ったセクシー・ギャルと、バーチャル世界で、恋に落ちる展開の映画でおます。

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主人公には、クリストフ・ヴァルツはん。アカデミー賞で2度も助演男優賞に輝いてはる演技派どす。

クセモノ的演技がいっつも素晴らしゅうおまして、本作では、洗脳された男を孤独演技をベースに、妙演技を披露しはります。

バーチャル恋愛でも、妙にセクシーな赤髪の女、メラニー・ティエリーのネーさんと絡まはりますで。

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主人公を惑わせるポイントとして、メラニーの演技は合格点やけど、でも、もっと妖しくやってもよかったかも。

ただ、ハワイ風トロピカルな、ミュージカル「南太平洋」(1958年・アメリカ)のような、バーチャル世界での絡みには、書き割り・CGっぽいけど、唸れましたやろか。

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主人公が何をやっているのか分からないとこも、ドラマの謎めき度を増します。

但し、解決・着地がない。分からないままでもエエんやけど、ゼロの定理については、個人的にはもっと知りたかったやろか。

でもしか、21世紀の今撮るSF映画とは、どうあるべきかを、示してはる映画ではあります。

また、21世紀の孤独映画としても、描き方の巧みな映画やったと思いますわ。

2015年5月10日 (日)

綾野剛・山田孝之の対決「新宿スワン」⇒日曜邦画劇場

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綾野剛と山田孝之と、脇で伊勢谷友介や沢尻エリカらが登場

「不夜城」「東京難民」「さよなら歌舞伎町」なんかに通じる作品

http://www.shinjuku-swan.jp

5月30日の土曜日から、ソニー・ピクチャーズの配給で、全国ロードショーや。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「新宿スワン」製作委員会

東京の夜の歓楽街・飲み屋街を背景にした、日本映画とゆうのんは、かつてもありました。

けども、そこに過激なアクションやったり、意外なウラを見せる映画は、それほどなかったように思うんやけど、どないやろか。

それだけに、これまでに、妙に痺れるカルティックな、快作・怪作がありま。

ここで、その種の邦画に加え、新宿を舞台にした映画の、

マイ・カルト・ファイブ(順不同)をば、思いつくままに、チョイと披露いたしますと…。

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①不夜城(1998年製作)②本作③眠らない街 新宿鮫(1993年)④さよなら歌舞伎町(2015年・弊ブログ分析済み)⑤新宿泥棒日記(1969年)

●新宿がタイトルに入った映画を、ついつい選んでしもたけど、新宿舞台映画はそれこそ、かなりとあるやろなとは思うけど、

新宿タイトルものとしては、大島渚監督の⑤がルーツやろか。

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ミステリー小説原作の①③やけど、本作のような、縄張り争い的ヤクザチックなんを、作った上において、①は画期的やったかと思います。

ほんで、本作は①を、日本人だけの争いにして、スカウトマンたちの闘い、ほんで、スカウトされた風俗嬢の実情までも描いてはります。

さらに、コミック原作らしい、トンでるシーンも多い作品やし、

ホストを描いた「東京難民」(2014年・弊ブログ分析済み)とも通じる快作。

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対抗する派のスカウトマン役の、綾野剛のアニキと山田孝之アニ。

さらに、風俗嬢役の沢尻エリカのネーさんや、クラブのママ役の山田優ネーら。ほんで、綾野剛を指導する、伊勢谷友介やら。

往年のヤクザ映画のノリや、Vシネマのノリを付加しつつも、園子温監督らしい、コンテンポラリーな人間性を創出した快作どす。

特に、綾野剛と山田孝之の、ビルの屋上での1対1対決シーンへと、もっていくまでの演出ぶりは、

手堅いかもしれへんけど、うまいアクション演出どした。

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ボウリングを当てられるシーンなどの、拷問シーンなど、エグイけど、でも、山田孝之のムゴサを示す意味では、許容範囲。

逆に最後に、エライ目に遭う点では、アウトロー役として映える演技やと言えましょうや。

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片や、女優陣。

沢尻エリカの、ヤクチュウ・シーンや、綾野剛と逃げるシーンなど、エロ・カワを持続。

また、山田優も、凛としたママ役どして、あくまで、主人公たちをば、サポートする役に徹してはります。

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新宿に海はないのに、何で港町やねんちゅうツッコミがある、森進一の「新宿・みなと街」の演歌が流れ、

逃げるシーンや雨中対決の、流れるようなシーンで流れる、UVERworldのビート・ロック「Collide」、

ラストロールで流れる、かぶりものバンド「MAN WITH A MISSION」の、16ビート「Dive」やら、

新宿の今昔を奏でる、サントラ使いなどにも、妙味がありました。

「地獄でなぜ悪い」(2013年・弊ブログ分析済み)に続く、トンデル・アクション映画を撮った園監督。

これから見させてもらう、後日分析予定の「ラブ&ピース」も、メッチャ楽しみになってきました。

2015年5月 9日 (土)

「真夜中のゆりかご」⇒デンマークのミステリー映画

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取り違えとは違う、赤ん坊にまつわるミステリーの新味

女性監督スサンネ・ビアが撮った、今年のマイ・ベストテン級映画どす

http://www.yurikago-movie.com

5月15日のフライデーから、ロングライドの配給で、TOHOシネマズ シャンテやらで、全国ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Zentropa Entertainments34 ApS & Zentropa International Sweden AB

北欧のデンマークからやってくる、赤ちゃん誘拐ミステリーの傑作。

見てからしばらくの間、ボクは呆然自失になっとりました。それほどの衝撃がある、ミステリー・サスペンスでおました。

ちゅうことで、ここで、21世紀に発表された、ユーロ・ミステリー・サスペンスの、順不同のマイ・ベスト・スリー、いや、ファイブをば、披露さしてもらいますと…。

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①本作②8人の女たち(2002年製作・フランス映画)③善き人のためのソナタ(2008年・ドイツ)④トーク・トゥ・ハー(2002年・スペイン)⑤ゴスフォード・パーク(2001年・イタリア&イギリス&アメリカ&ドイツ)

●前世期も今世紀も、洋画としては、アメリカ映画が圧倒的に、この種の映画の宝庫やったけど、

イギリス、フランスからも、「第三の男」(1949年・イギリス)「太陽がいっぱい」(1960年・フランス&イタリア)「恐怖の報酬」(1952年・フランス)など、

歴史的傑作が、多数輩出されとります。

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さてはて、21世紀マイ・ベストについて、軽く解説いたしますと…。

ミュージカル・タッチのミステリー②、「個人情報保護法」を覆す、内偵スパイ映画③、記憶喪失をキーにした、ラブ・ミステリー④、「オリエント急行殺人事件」(1974年・イギリス)ばりに、犯人探しの本格ミステリー⑤など、

前世期のスタイルも組み込んだ上で、どこか何やら新しいセンスをば、感じさせる作品ばかりどす。

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でもって、21世紀になると、ユーロでも映画製作が盛んやない国から、突然変異のように、新タイプの傑作が現れたりしとります。

デンマーク映画の本作は、その代表的傑作でおましょうか。

誘拐ミステリーの、かつてない新味を打ち出した快作どす。

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赤ちゃん絡みのミステリーてゆうたら、フツーは病院での取り違えやったりやろうけど、

ストレートな誘拐ものちゅうたら、でもしか、赤ちゃん誘拐ものやて、まずありまへんやろ。

自分の赤ちゃんを死なせてしもたから、別の赤ちゃんを誘拐・拉致してきて、自分のもんにする。

とゆうのんが、本作の話のベースにあります。

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単純なように見えて、実は単純やありまへんねん。

主人公・刑事夫妻と、刑事が捜査する、夫が前科者の夫妻。それぞれの夫妻の赤ちゃんがおって…、とゆう設定どす。

で、刑事のヨメが、自分の子が死んでしもて傷心。ダンナの刑事は、それにどう対処するのんか。

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赤ちゃんの取り替えが、ポイントにはなるんやけど、それによって、いろんな齟齬(そご)が生じ、

ある自殺事件によって、拉致した真犯人が、追いつめられてゆくとゆう流れやけど、

このあたりはメッチャスリリングやし、倒叙もの(犯人視点で描く)としては、

「太陽がいっぱい」の、アラン・ドロンばりの演技性をカンジました。

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サプライズがあり、ラストに感動もあるとゆう作品。

ミステリー・サスペンスを志向したユーロ映画の、今世紀の最高傑作やとゆうても、エエくらいの仕上げぶりどした。

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家族映画「未来を生きる君たちへ」(2010年・デンマーク)で、アカデミー賞外国語映画賞をもらわはった、

デンマークの女性監督スサンネ・ビアの、その作品を超える傑作やと、ボクはジャッジいたします。

2015年5月 8日 (金)

韓国青春映画「レディアクション-4つの青春-」

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韓国のアイドル・ムービー4話オムニバスどす

学園ものから犯罪映画まで、多彩な作りではあるんやけど…

http://www.cinemart.co.jp

ツインはんの配給によりまして、5月9日の土曜日からシネマート六本木、5月23日のサタデーからシネマート心斎橋やら、全国順次のロードショーでおます。

本作は「韓国映画セレクション  2015 SPRING」の1本として上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 INVENT STONE, ALL RIGHTS RESERVED.

韓国のアイドル映画でおます。

しかも、オムニバスで4話。その4話がつながったり、シンクロすることもなく、バラで展開。

男アイドルと女アイドルを、バランス良く配して、男女アイドル・ファンのどちらにも、遡求できるんやないか…。

そんな思惑通りに、いったんかどうかは別にして、それぞれの話は、韓国らしさやら、ネット時代らしさやらを、加味した作品になっとります。

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アイドル映画やオムニバス映画の系譜やなんて、そんなんをやってもエエんやけど、

いずれにしても、本作は韓国のアイドルたちを、とにかく売り出そうと、取りあえず映画出演してもろたとこがあり、

また、トータリティーもないこともあって、テーマの方向性が見えない作品でもあります。

各アイドルを主演にして、長編映画を撮ることもできたはずやけど、それをしなかったんは、イロイロあったんでおましょうか。

でもしか、各話は、話を膨らませれば、間違いなく見ごたえある作品になる、エピソードになっとります。

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さてはて、あえて統一テーマをゆうたら、青春映画になるんやろか。

でもって、第1話「噂」(写真上から2~4枚目)は、エンタ・アイドル・グループ「SUPER JUNIOR」(スーパージュニア)の、イ・ドンへ君が主演。

生徒会長に選ばれた主人公が、イタズラ・メールから危ない立場へと、陥りかける話。

演劇の練習に、「ハムレット」(1948年・イギリス)をバックに流したり、薄色配色で寒々感を出したりして、映画的作りをケッコー意識してはります。

イ・ドンヘの悩める演技は、それなりに母性本能を、くすぐるかもしれへんけど、悩み深きの綾にまでは…。

長編での主演が、見てみたいわ~。

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第2話「訓練所へ向かう道」(写真5枚目)。

5人組ガールズ音楽グループ「4Minute」(フォーミニッツ)の、リーダー&ボーカルの、ナム・ジヒョンちゃんが出演。

アイドルらしく、初々しくてエカったで。

韓国らしい兵役で服役する2人の、男優に挟まれての演技。ロードムービー・スタイルを採ってはります。

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第3話は、犯罪映画「世間に信じられる者はなし」。

ネットを通じて集まった、見知らぬ男3人の、銀行強盗後を描いた作品や。

仲間割れのタッチは、「レザボア・ドッグス」(1991年・アメリカ)みたいにベタやないけど、かなり意識してはるように見ました。

5人組ラップ・バンド「FTISLAND」(エフティー・アイランド)の、ソン・スンヒョン君が出演。

クール・イズ・ベストを目指した、好演ぶりやったかな。

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第4話は、学園もの「プレイガール」(写真7枚目)。韓国の新人クラスの、アイドル女優が多数出演。

タイトルの「レディアクション」は、この作品をポイントにしてはったのかも。

つまり、これが4作の中で、一番のメインなんでおましょうか。

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ソ・ウナちゃん、パク・ソダムちゃんら、4話の中で、一番の演技派ぶりをば、示してはるかと思います。

スロー・モーションで、女生徒たちを紹介。

ほんで、エレキ・サウンド、ヒップホップ、シンセサイザーやらを流して、ノリノリにストーリーは展開。

タンゴを掛けての、2人の女バーサス・シーンは、特に強烈な印象をば、残してくれはりました。

そして、ラストロールでは、しっとりピアノの、フィメール・スロー・ナンバーが流れて、余韻は深まり…。

シメの話が、しっかりしてるからこそ、心地良さの残るオムニバス作品どした。

2015年5月 7日 (木)

韓国ミステリー映画「朝鮮名探偵2 失われた島の秘密」

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韓国時代劇で珍しい、歴史ミステリー・シリーズ

その第2弾は、日本とコドモ絡みのミステリーや

http://www.cinemart.co.jp

ツインはんの配給によりまして、5月9日の土曜日からシネマート六本木、5月23日のサタデーからシネマート心斎橋やら、全国順次のロードショーでおます。

本作は「韓国映画セレクション  2015 SPRING」の1本として上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND GENERATION BLUE FILMS ALL RIGHTS RESERVED.

韓国の時代劇もので、ボクが初めて見た歴史ミステリーどす。

しかも、「朝鮮名探偵 トリカブトの秘密」(2011年製作・韓国映画)に続く第2弾で、シリーズもんやけど、

DVD化されとるねんけど、実は、ボクは第1弾を見とりまへん。

そんなシリーズものを、第2弾で初めて見ました。

けども、1話完結もんらしいんで、メイン・キャラクターのキャラ付けは別にして、メッチャ分かりやすいミステリーでおました。

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韓国版シャーロック・ホームズやとゆわれて、本国で大ヒットし、今後もシリーズは続くみたいや。

1話に続くらしい設定から始まるんやけど、ホームズに当たる、王の特使で名探偵役は、キム・ミョンミンが扮し、その助手のワトソンにはオ・ダルスがやらはりました。

本家の「シャーロック・ホームズ」(2010年・2011年・イギリス&アメリカ)ばりに、推理部分よりも、アクション・シーンに見ごたえがありま。

いきなりの逃走アクションがあり、崖から川へ飛び込むシーンは、「明日に向って撃て!」(1969年・アメリカ)を、チョイ思い出しよりました。

鉄砲による銃撃戦、夜に光る、薄グリーンの塗料を塗っての格闘、手製のハングライダーで空を飛んだり、ほんで火薬による大爆破まで、

時代はさかのぼっても、「シャーロック・ホームズ」ばりのアクション・シーンが続いてまいります。

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さてはて、1795年が背景になっとります。

日本は江戸時代で鎖国なんやけど、日本から銀が密輸的に、朝鮮に運ばれとったらしいんやけど、その銀がなぜかニセの銀に、すり替えられとるらしいわ。

なんでニセ銀が朝鮮で蔓延しとるんか、そのナゾの究明が、まず一つ。

ほんで、主人公の探偵のとこに、ある少女が訪れて、蒸発した妹を探してとゆうてきはります。

この2つの調査が、やがて一つになるっちゅう作りでおます。

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娼婦役やけど、事件の鍵を握る、謎の日本人美女ヒサコ役に、イ・ヨニちゃんが扮しはりました。

彼女と探偵やらとのやり取りは、本作の一つの見どころになっとりまして、怪しさ・妖しさを振りまいてはります。

さらに、盲目を装う琴弾きの男が、これまたキーを握っとります。

頼んできた少女の死を、探偵が知って以降の展開は、探偵の正義心に魅かれて見れます。

コドモたちを助けるためにとゆうとこも、今やったらありきたりやもしれんけど、映画映えしやすい素材やろか。

ラストロールで流れる、コドモが歌う子守唄的スローも、余韻を深めとるしな。

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さて、2人の捜査ぶりも、当然オモロイ。

謎めいたイ・ヨニちゃんを探すために、店へ行って、いろんな女を見たり、接客してもろたり、盲目の琴弾きを使ったり、そして、クライマックスは島への、潜入とアクションや。

奴婢(ぬひ・奴隷)のコドモたちが売られて、何をやらされていたのか。

銀のすり替えは、どないなトリックで行われたんかやら。謎解き部もお楽しみどす。

ちゅうことで、日本絡みの朝鮮時代劇・歴史劇は、韓国映像史上初ものやないやろか。

ちゅうことで、「シャーロック・ホームズ」並みに楽しめた、アクション・ミステリー映画でおました。

2015年5月 6日 (水)

闘病ブログの映画化「夫婦フーフー日記」⇒GW日本映画劇場4

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佐々木蔵之介アニキと永作博美ネーさんの、2人が演じる夫婦映画の快作

泣きの「いま、会いにゆきます」よりも、泣き笑いでいってまっせー

http://fu-fu-nikki.com

5月30日の土曜日から、ショウゲートの配給で、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会

夫婦映画はいっぱいありますが、ヨメかダンナのどちらかが死んでしもて、

ところがどっこい、生き返って、イロイロやってまう映画ちゅうのんは、そないありまへん。

そんな映画の邦画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)をば言いますと…。

①本作②居酒屋ゆうれい(1994年製作)③いま、会いにゆきます(2004年)

●マイ・ベストは、ヨメが死んだバージョンやけど、ダンナ編では、

現実に再会はせえへんけど「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年・アメリカ映画)の日本リメイクやら、

最近では、大泉洋と新垣結衣の「トワイライト ささらさや」(2014年・弊ブログ分析済み)なんぞがあります。

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さてはて、本作は②の幽霊やなく、誰かの体に憑依しての、タイムリミット系「トワイライト」でもなく、

夫にしか見えない、夫を励ますために現れた、幻としてのものどして、③とよく似ておます。

でもしか、③との大きな違いは、シリアスな泣きで魅せる③に対し、こちらはコミカル・モード。

でもって、ポジティブ。泣きもあるけど、決して押しつけがましい泣きやありまへん。

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2人の夫婦役・役者の個性が、この泣き笑いポジに、大いに貢献してはります。

ダンナ役・佐々木蔵之介のアニキと、死んでまうヨメ役・永作博美ネーさんでおます。

前篇と後篇に分けて公開された、「ソロモンの偽証」(2015年・弊ブログ分析済み)にも、共に役柄で絡むこともなく出てはったけど、

そちらでは逼迫のシリアス系。

そして、こちらでは、コメ入りのほんわかゆったり系。

シリアスとコメディを、行き来できる2人なだけに、柔軟フレキシブルな演技で魅せはります。

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闘病ビョーキ系の映画、ほんで、死んでからどないなるのん?な映画なのに、暗さはほとんどなし。

むしろ、夫の幻影で現れるヨメが、過去をプレイバックしつつも、ダンナを励ましてゆくとゆうノリで、お話は展開。

ダンナが書いたブログが、原作映画ちゅうのんも、かつてないものでおます。

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個人的には、2人の馴れ初めやら、蔵之介はんのライター業やらに、メッチャなリアリティーをカンジました。

ハンバーガー屋で紹介され、その後仲間たちと居酒屋へ飲みに行くのが定番になりつつも、年を経るにつれて人が減ってゆき、やがては2人だけになってまうとこやったり、

蔵之介が小説の公募に応募しても、1次選考にも引っ掛からず、それでも永作ネーが、書き続けろと励ますとことか、

2人が結婚するまでのエピソードが、ボクの場合と重ね合わせられてグッときました。

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編集プロダクションに所属しながらも、フリーライターの厳しさやら、ブログを出版化しようとするとこなども、リアリティーバチバチ。

ほんで、死んでからの、2人の掛け合いの面白さ、泣きの部分での述懐部など、万人受けする魅力も満載や。

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主人公が死に際して、明るいお別れパーティーを催された「ビッグ・フィッシュ」(2003年・アメリカ)などに仮託したシーンも、セリフと共に引用されとります。

そして、ダンナが、ヨメがビョーキに罹りながら産んだコドモと共に、生きてゆこうとなるラストシーンまで、目が離せまへん。

ポジティブな結末が待っとる、良質の夫婦映画でおました。

2015年5月 5日 (火)

今年のカンヌ映画祭オープニング上映作「あん」⇒GW日本映画劇場3

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樹木希林と孫娘の初共演が、話題の作品やで~

料理映画のように見せかけといて、実は…

http://www.an-movie.com

5月30日の土曜日から、エレファントハウスの配給で、全国公開どす。

本作は、日本・フランス・ドイツ合作の日本映画でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 映画「あん」製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE

河瀬直美監督って、みんな、知っとるかー。

尾野真千子ネーさんとの、奈良を舞台にした作品「萌(もえ)の朱雀(すざく)」(1997年製作)や「殯(もがり)の森」(2007年)で、カンヌ国際映画祭で賞をゲットし、

スピルバーグやらと、カンヌの審査委員までやらはった監督はんどす。

で、本作は、今年のカンヌで、「ある視点」部門とはいえ、オープニング上映となる作品でおます。

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河瀬監督は、日本での大ヒット作がないだけに、TVコマーシャルに出ても、知名度はイマイチやけども、

モチ、監督は有名であっても仕方ないんやけど、でもしか、本作こそ、大ヒットをかませる話題作となっておます。

カンヌのオープニング作品は、世界的に大ヒットしてる作品が、多いことでも知られておますしな…。「ある視点」部門は少しくマニアックではあるんやけど。

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今年のカンヌのコンペティション部門では、是枝裕和監督の「海街ダイアリー」(後日分析)が選ばれとるんで、そちらの結果も楽しみなんやけど、

でも、日本の作品が、どの部門であれ、オープニング上映されるんは、かつてないことだす。

さてはて、奈良を舞台にした作品ばかりやった、河瀬監督やけど、タイや奄美など奈良を出ての作品の中で、本作は東村山市が舞台の作品どす。

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ほんで、海外資本も入っとるんで、海外向けを意識してか、桜や餡(あん)がイノチのドラ焼きなど、日本的なもんを妙に意識して作ってはります。

料理もん日本映画ちゅうのんは、食堂もん、うどん・ラーメンの麺類、スイートから弁当・焼き肉までメッチャあるんやけど、

ドラ焼きは日本映画初でおましょうか。

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最初はドラ焼きの、近接撮影をメインにした料理映画のように見せかけといて、樹木希林の老人・老女映画へとシフトしてまいります。

ハンセン氏病・らい病とゆうのも、「砂の器」(1974年)、「私が棄てた女」(1969年)と、そのリメイク作「愛する」(1997年)などで採り上げられとりますが、

21世紀の映画的には、古っぽさはあるけど、妙味はありましたえ。

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永瀬正敏のアニキがやってはるドラ焼きの店に、雇ってくれと老女・希林はんがくるとこから、物語は始まりまんねん。

永瀬のアニキは、最初は断ってはったんやけど、しつこくクルんで、仕方なく雇ってみたら、餡の作り込みと旨さが、余りにも凄かった。

店に来る学生役の内田伽羅(きゃら・本木雅弘モックンの娘はんで、希林はんの孫娘)ちゃんが、素直な自然体の演技を披露。

オバン希林はんとの初共演シーンも、見ていて納得のいくカタチでこなしてやるで。

希林はんと、テレビの家政婦役が染みてる市原悦子はんとの、何と初共演にも、目を瞠(みは)りましたがな。

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永瀬正敏アニの映画のようやけど、実は希林はんのための映画やないかと、ボクは見立てました。

長めの述懐シーンやら、アナログな手紙やテープでの語り。

ほんで、仮想家族・母と息子と孫の人生ドラマに、大いに貢献してはります。

ほんで、いつもながらに、河瀬監督の自然描写(風の使い方や、桜や月など)にも癒やしがあったし、

秦基博のラストロールで流れる、ピアノ・スロー「水彩の月」にも、しっとりしましたで。

2015年5月 4日 (月)

「Zアイランド」⇒GW日本映画劇場2

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芸能生活30周年記念・哀川翔アニキの通算111本目の、ゴッタ煮の怪作品や

ゾンビ映画とヤクザ映画と、島もの映画と群像劇と家族映画と…

http://WWW.Z-ISLAND.JP

5月16日の土曜日から、KADOKAWAと吉本興業の共同配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやらで上映だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015『Zアイランド』製作委員会

哀川翔のアニキちゅうたら、ボク的には、柳葉敏郎ギバちゃんとも、一緒にやらはった「一世風靡セピア」(1984年デビュー)のパフォームと歌が、耳と目にこびりついとりま。

でもしか、一世風靡解散以降は、映像の方で活躍してはります。

ギバちゃんは、テレビのトレンディードラマでも、活躍して人気やったけど、哀川のアニキは地味やったかも。けど…。

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本作を含め、111作の映画に出てはるねん。

そんな哀川アニキの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露しますと…。

●ベスト⇒①本作②DEAD OR ALIVE・犯罪者(1999年製作)③ゼブラーマン(2004年)

●カルト⇒①借王(シャッキング)②修羅がゆく③勝手にしやがれ

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●本作は哀川アニキの、集大成的作品になっとるけど、トンデモハチャメチャ系の作品になっとります。

カルトのシリーズもので披露される、ヤクザチックな抗争系映画やアクション、

本作みたいな、ベスト②にある1対1対決。ベスト③のような、アメコミチックなヒーロー系…。

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見たら分かるやろけど、とにかくゾンビ映画から家族映画まで、ゴッタ煮でメチャメチャに、やってみた映画どして、

このバクレツ・ノリが、快感になる映画やろか。

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ヤクザの裏稼業の薬が、ゾンビになる薬どして、それがある孤島に持ち込まれた結果、その島でゾンビが大量発生。

ムショから出てきた弟分・鶴見辰吾の娘を、面倒見てた哀川やけど、その娘が家出し、ゾンビ島へ行ってしもた。

そやから、鶴見の離婚した元ヨメ・娘のオカン役の、鈴木砂羽ネーと共に島へ。

裏稼業の薬を追い、木村祐一らのヤクザも島へ。

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でもって、島では、ゾンビから逃げて、応戦するための戦いのため、銃を撃ってみたい警官役・窪塚洋介アニらがいてはります。

何はともあれ、ゾンビ対ヤクザ対哀川組の三つ巴の対決へと、ワケも分からんノリノリで、発展してゆくチュー展開でおます。

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さてはて、本作は、品川ヒロシ監督の新作どす。

ケンカ系青春アクション映画「ドロップ」(2009年)、

ケンカもある、自伝的漫才映画「漫才ギャング」(2011年・弊ブログ分析済み)、

スリリングな犯罪映画「サンブンノイチ」(2014年・ブログ分析済み)と、

アクト活劇にエンタの新味を、見出そうとしはる監督はんどす。

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ともすると、やり過ぎて、そんなバカなや、リアリティーがないんやないかとの意見もあるけど、

でもしか、アクション映画は、ハリウッド映画を始め、それらのアリエネー系要素が、グググッと楽しむためのポイントでもありま。

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群像劇ドラマとしても、各役者がハイテンションの演技を見せはります。

哀川アニは主人公なだけに、硬軟両用を巧みにやってはるけど、格闘アクションを魅せる、高校生役の女優(山本舞香ちゃんや水野絵梨奈ちゃん)や、

窪塚洋介らが、キレてる演技を見せ、また、鈴木砂羽ネーさんにも、オオッとなりまっせ。

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薄色配色、陽光の使い方、スローモー入りアクション演出、「湘南乃風」の、タイトなヒップホップ・ナンバーなども、快調・快適。

ゾンビ映画メイキング映画やった「キツツキと雨」(2011年・ブログ分析済み)と、ボク的には、妙にシンクロする作品やと思いました。

2015年5月 3日 (日)

「明烏 あけがらす」⇒GW日本映画劇場1

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最後にアッとがある、室内劇群像コメディ

菅田将暉や城田優らが、ハイ・テンション演技で魅せはりま

http://akegarasu-movie.com/

5月16日の土曜日から、ショウゲートの配給で、梅田ブルク7、なんばパークスシネマやらで、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「明烏」製作委員会

本作は、戸外がチョロッと映されるだけの、室内劇映画でおます。

この種の映画の名作としては、「十二人の怒れる男」(1957年製作・アメリカ映画)などがありますが、

邦画に限定してですな、室内劇をメインにした邦画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、思いつくままの気ままに、披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①しとやかな獣(けだもの・1962年)②12人の優しい日本人(1991年)③紙屋悦子の青春(2007年)

●カルト⇒①本作②きさらぎ(2009年)③愛のコリーダ(1976年・フランス&日本)

●やはり、室内劇なだけに、演劇原作もの、「十二人の怒れる男」にインスパイアーされたベスト②、黒木和雄監督の戦争映画③は外せまへん。

そして、心理サスペンスとしてのベスト①。

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但し、カルトは、室内劇的には欠かせない、セックス映画から、③を1本選んだけど、

でもしか、21世紀のフレッシュな作品を選んでみました。

アームチェアー・ディテクティブの推理ドラマ②。

そして、本作は、喜劇としての室内劇を、吉本喜劇とは違うノリで、フレキシブルに描いた快作どす。

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東京のホストクラブの、ホストたちの話やけど、シリアス系の「東京難民」(2014年・弊ブログ分析済み)とは違い、どこまでもコミカルなノリで展開。

菅田将暉のアニキの、長めの1人パフォームなど、笑いを取らんと、必死のパッチや。

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タイムリミットを設けて、借金を返さないと、殺されるちゅう菅田アニの役やけど、コミカル・モードなだけに、逼迫するようなとこがほとんどありまへん。

そやから、最後まで安心して見られよります。

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城田優アニも、菅田アニほどは、チョチョギレてへんけど、いちおうは、初のコメディアン役と言えるやろか。

ほんで、オーディションで選ばれはった、吉岡里帆ちゃん。

本作のポイント・ゲッター的な役どして、アアーちゅうて、泣いてるようなコミカル演技が、メッチャ印象的やったわ。紅一点として、映画の華になってはります。

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借金取りの新井浩文や、菅田のオトン役・佐藤二朗など、それぞれの持ち味を活かした、好サポーターぶりをば披露してはりま。

さて、撮り方としては、夜の仕事に合わせてか、セピアなシックな配色を、メインに撮られておます。

室内劇における、映画的照明使いの在り方とは?をも、考えさせてくれはるような緻密さどす。

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サントラ使いも多彩どす。

但し、よく見てみると、コメディに合わせた、ユニークな使い方をしてはりまんねん。

バンド・サウンド、都都逸(ドドイツ)な音頭(オンド)音楽、ナイトクラブなムード・タッチ、ラストロールでは、ワタリドリのキャッチーなJロック「Alexandros」が流れて…。

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映画的引用も多いけど、でもしか、それ以上に喜劇映画としてのセンス、ほんで、サプライズにアッと驚ける作品。

女たち映画「女子ーズ」(2014年・弊ブログ分析済み)に続き、今度は男たち映画を撮った、福田雄一監督の、最高傑作やと、ボクは思います。

2015年5月 2日 (土)

韓国映画「国際市場で逢いましょう」⇒今年の韓国映画のマイ・ナンバーワン

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韓国映画の、大河家族ドラマの傑作

韓国版「喜びも悲しみも幾歳月」か「フォレスト・ガンプ」か

http://www.kokusaiichiba.jp

5月16日のサタデーから、CJ Entertainment Japanの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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本作は家族ドラマの韓国映画の、マイ・ベスト・スリーに入る傑作どす。

あとの2作は「グエムル 漢江の怪物」(2006年製作・韓国映画)と、「大統領の理髪師」(2004年・韓国)でおます。

中でも、本作は、大河系の家族ドラマでおまして、韓国では稀少なタイプの映画。

日本でゆうたら、「喜びも悲しみも幾歳月」(1957年)、

アメリカでゆうたら、「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994年)みたいなテイストの映画でおましょうか。

特に、主人公役ファン・ジョンミンのアニキは、「フォレスト・ガンプ」のトム・ハンクスと、妙にカブって見えたりしよりました。

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ハンクスみたいに障害者役やないけど、朝鮮戦争、ベトナム戦争を経ての現在形など、どない生き抜いたかのとこで、

実際は重たいのに、軽く飄々と生きてきたみたいなとこが似ておました。

さらに、キム・ユンジンのネーさんとの、ドイツで出会ってのラブ・ストーリーから、韓国で再会・結婚し、家族ドラマの核を成すところは、

メインとは別に、本作の大きな見どころになっとります。

ファン・ジョンミンとキム・ユンジン。

共にメッチャ渋い、演技派ぶりをば見せてくれはります。

今では、若い頃と年老いた時期の演技は別人で、あんまし同一俳優がやるとゆうのは、少なくなってきとりますが(コドモ時代は子役が演技)、

その流れに反して、2人共にフケ役を、メーキャップなどを施して演技し、感動のラストシーンまでつなげていかはります。

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現代の年老いたファン・ジョンミンの様子やらから始まり、ほんで、1950年のコドモ時代の、朝鮮戦争へとプレイバック。

現在と過去を、カットバックさせるような作りではなく、それ以降、時代の流れ順に物語は展開してゆく、オーソドックスな大河ドラマの方程式でいかはりました。

そおゆうとこも、「フォレスト・ガンプ」と似とるとこやろか。

朝鮮戦争で逃げる時に、主人公は手を離してしもたばかりに、妹を見失い、さらにオトンも妹を探して家族から離れ、家族は2人を欠いて、現代まで生きてきたちゅう流れでおます。

主人公ファン・ジョンミンは、朝鮮戦争後、家族のためにドイツ炭坑へ出稼ぎし、そこで、キム・ユンジンと出会い、韓国に帰ってきて結婚。そして、ベトナム戦にも、家族のために出ていって…。

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波乱に満ちた展開のようどすが、でもしか、ジョンミンは決して苦労してるでー、な演技は見せはりまへん。

そのあたりも「フォレスト・ガンプ」のトム・ハンクスチックでもありましたやろか。

むしろテレビを通じて、妹と再会するシーンは、確かにクライマックスになるんやけど、

でもしか、そこへ持っていくまでのドラマ展開こそ、本作のキモやと思います。

薄色、脱色、モノクロ、イエロー・トーンなど、過去描写には色使いに工夫が凝らされとります。

また、サントラ使いも、シーンに合わせて多彩や。

基本はオーケストラ・サウンドやけど、ボク的には、アコースティック・ギターの使い方に、グッと魅了されました。

ちゅうことで、今年の韓国映画の、今のところ、マイ・ナンバーワンでおます。

2015年5月 1日 (金)

韓国映画「神の一手」⇒チョン・ウソン主演

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韓国映画で初めての囲碁映画で、しかもアクションや~

「タチャ」の花札に続く、衝撃あり!

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ツインはんの配給によりまして、5月9日の土曜日からシネマート六本木、5月23日のサタデーからシネマート心斎橋やらで、「2015春 韓国映画セレクション」として、ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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恒例の「韓国映画セレクション」特集上映の1本だす。

韓国映画で、まさかの囲碁映画どす。

花札の「タチャ」(弊ブログ分析済み)にも驚いたけど、

日本映画でも、将棋映画はケッコーあるけど、囲碁もんは、見渡してみますれば、「とらばいゆ」(2001年製作)くらいとちゃうやろか。

囲碁やったら、大人しい室内劇な心理戦ドラマかと思いきや、

メッチャな格闘アクションまであるやなんて、室内ゲーム系のドラマを、覆すような映画でおます。

ギャンブル系映画には、名作は多々あるんやけど、そっこにバトル・アクション映画ノリを、加えるとゆう新味ある快作やねん。

しかも、シーン写真にあるように、上半身ハダカで、囲碁を打つやなんてのも、珍しおますわな。

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さてはて、チョン・ウソンのアニキ主演の、「愛のタリオ」(弊ブログ分析済み)に続く、今年日本公開2本目でおます。

不倫ラブ・ストーリー「愛のタリオ」が、お気の毒な役やったのに対し、

本作は攻撃的ストレートな、アクション・ヒーローをばヤラはりました。

日本で一番ヒットした韓国映画「私の頭の中の消しゴム」(2004年)での演技で、ラブ・ストーリー俳優映えイメージの強いチョン・ウソンやけど、

アクション映画としての、チョン・ウソン映画は、不思議とこれまでそんなになかったと思うんやけど、本作はその代表作となるべき、会心作になっとります。

しかも、囲碁映画とゆう室内劇的大人しさを、装いつつのアクション演技どす。

ギャンブル映画の心理的スリリングは、向こうに置いて、ストレートな格闘戦。

ムショ内での格闘戦から、アクションが展開。

ライマックスとなる、ナイフを持っての1対1対決は、その種の映画の中でも、印象深い決戦シーンでおました。

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斜めカット、スロー・モーションなどに加え、薄グリーン、セピア・トーンなどの配色で、囲碁と格闘の対決シーンを盛り上げはりますし、

加えて、カッティングなエレキ・ギター、速弾きピアノ、シンセサイザーなど、ドラマティックを彩る、サントラ使いが目立たへんけども、巧みやったなー。

ちゅうことで、細部の作りも、カチッとキチッとしてはりました。

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碁のことが分からなくとも、とゆうより、碁はそんなにポイントやありまへんねん。

「タチャ」の花札と同様に、あくまでドラマ・ポイントとして、仮にフェイク的に設定されたもの。

それでいて、碁で生死に関わる対決を造形しはりますし、いずれにしても、かつてない室内ゲーム映画の活劇をば、クリエイトしはりまんねん。

指導対局、イカサマ、マージャンや花札との対比など、囲碁的なとこも入れつつも、最終的にはやはり、アクション映画としての醍醐味に、酔える作品どす。

ちゅうことで、「人生に神の一手はあるか」とゆう、カッコイイ命題にもグッときた、韓国映画の新潮流どした。

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