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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2015年3月の記事

2015年3月31日 (火)

今月のマイ・ベストテン級映画

邦画・洋画マイ・ベストテン級作品を、毎月下旬に披露

今回は、新たに見たベストテン候補を、順不同で列挙いたします

文=映画分析評論家・宮城正樹

●邦画

○駆込み女と駆出し男(5月16日公開・後日分析)

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☆夫婦フーフー日記(5月30日公開・後日分析)

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△きみはいい子(6月公開・後日分析)

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●洋画

★私の少女(5月1日公開・韓国・後日分析)

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▲イマジン(東京公開中・ポーランド・分析済み)

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■パレードへようこそ(4月4日公開・イギリス・明日分析)

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●上記のほかでは、

洋画で「黄金時代」(3月30日付けで分析)、「ゼロの未来」(後日分析)、「パプーシャの黒い瞳」(4月2日分析予定)。

邦画では「エイプリル・フールズ」(3月21日分析)あたり。

今後は、月ごとに見た、マイ・ベストテン級を披露いたし、年末に、邦画・洋画の各マイ年間ベストテンやら、マイ・カルト・ベストテンやらを披露いたします。

さて、今月見たんでは、邦画では、時代劇の女版新味な「駆込み女と駆出し男」、

夫婦映画の新味「夫婦フーフー日記」など、新鮮味を味わいました。

「そこのみにて光輝く」(2014年)の呉美保監督の新作「きみはいい子」は、前作以上の逼迫感はないけど、同じ北海道を舞台にして、より優しい仕上げ。

洋画は、既に分析紹介した▲、■など群像劇にケッサクあり。

韓国映画★は、今年の韓国映画では、今のところ、マイ・ナンバーワンな仕上げぶりどしたえ。

「ガルーダの戦士ビマX」⇒インドネシアの特撮ヒーローもの

1
日本に100パー影響を受けた、海外特撮テレビ・ヒーロー映画

ウルトラマンやらの日本スタッフたちが、ドカーンと参戦やで~

http://www.rcti.tv/satriaseries/

「第10回大阪アジアン映画祭」(2015年3月6日~3月15日)で特集上映され、現在日本公開待機中の作品。

文=映画分析評論家・宮城正樹

円谷英二の円谷プロダクションから、始まった日本の特撮ヒーローもの。

テレビでは「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などと続きました。

「ウルトラマン」は余りにも有名になったけど、モノクロの「ウルトラQ」なんぞは、

ボクチンは恐怖感を募らせるとゆう意味では、「ウルトラマン」より、よりショッキングな作りをしてはるかと思いました。

一方で、東映なんぞが、アニメやらを手始めに、「仮面ライダー」など、今なお健在のヒーローものを、作ってきはりました。

ほんでもって、本作なんやけど、「ウルトラマン」シリーズを継承した、監督たちやスタッフによる、海外への進出もの映像になっとります。

かつてのウルトラマンものは、確かに今から見たら、チープやったかもしれへんけど、

そおゆう初期イメージも取り込みつつの、アジア圏・インドネシアのテレビ界への進出だす。

3
本作を見て、“くだらない”ちゅう、日本のエエ大人は、いっぱいいてはるかもしれまへん。

あくまでコドモ向けかもしれへんけど、でもしか、ボクらがコドモやった頃に夢中になり、時には成り切り型で遊んだこともある、

ヒーロー・ヒロイズム・テイストちゅうのんが、いっぱいあるように思いますし、

コドモはんはモチ楽しいやろし、一緒に遊んで童心に帰るのんも、オツなもんとちゃいますやろか。

でもしか、本作は映画やなく、インドネシアでオンエアしてる、テレビ・シリーズもんどすんで、日本の映画館での上映は、待機中とは申せ、ビミョーなとこかもしれまへん。

けども、テレビではそのうち、ヤルやもしれまへんので、注目やろか。まあ、深夜枠での、オンエアかもしれへんけども…。

2
兄弟設定の正義のヒーロー2人が、変身型でヒーローをヤラはるんやけど、

ウルトラマン兄弟のイメージとカブルけど、こちらは、宇宙からの使者やなく、人間らしく、より地上の日常生活密着型。

さらに、正義方としては、ほかのメンバーもいてはって、つまりは、正義と悪のグループの、完璧なる勧善懲悪のドラマになっとります。

そのシチュエートどすが、正義・地球と侵略悪・他の星とゆう、オーソドックスな構図は、そのまま維持されとるんで、分かりやすく、ノリやすい仕上げでおます。

洞窟探索から始まるイントロどして、その後の火山など、悪のエイリアンが地球上のアジトとするような、ポイントを示しつつ、

3人のモンスター隊長の、指令によるモンスターとの対決が、CG・VFXシーン豊富に展開してまいります。

「ウルトラマン」シリーズや、「仮面ライダー」やらと比べても、決して遜色はありまへん。

既視感あるやろけど、大人なら童心に帰って、コドモたちと一緒に、理屈抜きに楽しんで見れまっせ~。

そして、毎回最後に流れる主題歌は、日本のflumpool(フランプール)の、キャッチーなポップ・ロックどす。

従来のアニソン・特撮ヒーロー・ソングとは、一味違うとこも、お楽しみくだされませ。

2015年3月30日 (月)

中国映画「黄金時代」⇒3時間近いベストテン級大作

1
女流作家の実話も、ヒロイン映画の稠密な作品

夫妻映画・三角関係ドラマ映画としても、魅せはります

http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=117

http://www.oaff.jp

2014年東京国際映画祭での特別上映。その後、3月6日~3月15日の「第10回アジアン映画祭」で特別招待上映のあと、日本公開待機作品でおます。

本作は、2014年製作・中国&香港合作映画となる、本編178分の作品どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸEdko Films Ltd.

作家の生涯を捉えた、実話系ヒューマン・ドラマ映画どす。

この種の映画は、ボクはそんなに見てへんねんけど、思いきってマイ・ベスト・スリーをゆうてみます。

①本作②ゾラの生涯(1937年製作・アメリカ映画)③カポーティ(2005年・アメリカ)

●アート系の偉人伝的実話にも、ケッサクはあるんやけど、ここでは、もの書き・作家・ライターの筆1本で、勝負な人たちに限定いたしました。

文豪作家伝もケッコーあるかと思たら、日本でゆうたら、

与謝野晶子、太宰治、三島由紀夫やら、作家業だけやなく、ドラマティックなことをしはった有名な方などの、作家伝が目立つんやけど、

②のようなアカデミー賞作品賞を、ゲットした作品や、主演男優賞をゲットした③などは、文句なしの傑作やとは思います。

4
でもしか、本作のような、有名やない作家の話。

しかも、全生涯を、大河系映画のノリで紡がれるっちゅうのんは、かなりと珍しいおすえ。

さらに、女流作家、シャホ・ホンの生涯どす。

太平洋戦争・戦前の1942年に、31歳の若さで死亡。

そんな彼女の幼年時代から、1930年代をメインに、カットバックも駆使しつつ、

日本に支配されとったプレッシャー部も示しつつ、三角関係部も描きつつ、重厚に撮り上げられたんが、本作でおます。

作家同士が結婚した、夫妻映画としてのとこも、事細かに描かれるけど、でもしか、そのあたりは薄味どして、

むしろ、魯迅夫妻との出会いと交流で、ヒロインが生き生きしてゆくとこに、妙味があるように見えよります。

3
セクシーな女スパイ役をやらはった、アン・リー監督の「ラスト、コーション」(2008年・香港&中国)が、メッチャ際立ってはる、タン・ウェイのネーさんが主演どす。

本作では、ヤラシー度よりも、より緻密に作家女ヒロインを、演じてはりまして、彼女の最高傑作になったかと思いまっせ。

思わず唸ってしもた、貧乏ぶりの描写に加え、孤独演技の妙味は、かなりシブミのあるもんどす。

大河ドラマ的に描かれとりまして、そんな彼女の孤独性性格演技ぶりは、明るいヒロイン・ドラマの多い中で、異彩を放つ作りになっとります。

恋愛部も描かれるけど、彼女の孤独ぶりは、最後まで映画トーンとして貫かれておます。

2
彼女の著作も、映像と本人のナレーションで披露されます。

ボクは彼女の作品を、読んだことないんやけど、描写がメインの文章なんで、ナレーションでも、ビビッドに映像と共に脳裏に浮かんでまいりました。

弦楽オーケストラによるサントラも、感動的に貢献しとりました。

ヒロイン映画としては、中国映画として、かつてない仕上げやと思います。

チャン・イーモウ監督のヒロイン映画「秋菊の物語」(1992年・中国&香港)「初恋のきた道」(2000年・アメリカ&中国)にも匹敵するし、

「宗家の三姉妹」(1997年・香港&日本・弊ブログ分析済み)並みの大作感も、十分にカンジられる傑作。

日本劇場公開を、楽しみにしといてくだされませ。

2015年3月29日 (日)

「ソロモンの偽証 後篇・裁判」⇒日曜邦画劇場

1
「告白」より希望ある、前向きな作りどす

宮部みゆき原作ミステリーらしい、あと味の良さに好感

http://www.solomon-movie.jp

4月11日の土曜日から、松竹の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「ソロモンの偽証」製作委員会

「前篇」(3月1日付けで分析)は問題編。ほんで、本作は解決編となる、2部作品公開映画の後篇どす。

中学を舞台とした、ミステリー映画どして、同じ中学ものでは、

全部ミレニアム以降21世紀の、邦画作品やけど、サバイバル・バイオレンスな「バトル・ロワイアル」(2000年製作)、

生徒と先生の心理的1対1対決を、ミステリアスに描いた「告白」(2010年)なんぞが、印象的な作品としてありました。

2
でもしか、本作は同じ中学学園ものでも、かなりとテイストが違いまんねん。

生徒だけの自分たちだけで、裁判劇に仮託して、真相を究明するスタイル。

「バトル・ロワイアル」の無情さや、「告白」の復讐モードなんぞの、エゲツナイ感はなしどす。

“いじめ”をコンセプトに、いじめがこの世から消えれば、どんなにステキやろうかと、そんな前向きなココロで、宮部みゆきネーさんが、描かはったんが、本作の原作でおます。

5
宮部みゆきの作品性は、どんなに暗い内容でも、最後には、希望やら前向きが、必ずあるようになっとります。

映画化された「理由」(2004年)や「模倣犯」(2002年)やらは、

犯人キャラのエグサがあったけど、でもしか、微かにしても、希望の光が射しておました。

ほんで、本作は、裁判劇のアレコレな、暴露部分のヨゴレを描きつつも、

最終的には、さわやかな結末へと着地する。そんな内容になっとります。

7
中学校内裁判は、1991年の8月15日から、一週間続けられる設定どして、

まあ、お盆に果たして傍聴者が、集まるかと思いきや、生徒の親たちを中心に、いっぱい集まらはります。

チョイえ~ってカンジなんやけど、それだけ注目度合いが、高いとこをば示してはります。

6
ほんでもって、裁判映画のミステリアス度は、やはり喚問される証人たちにあります。

小日向文世はん、黒木華ネーさん、生徒役の石井杏奈ちゃんやらの、喚問のたんびに、徐々に緊張感が募ってまいります。

8
検事役のヒロイン、原作のヒロイン名と同じ芸名の、藤野涼子ちゃんが、最後の最後でサプライズな真相をば、暴くことになっとりまして、

涙を流したり、喋りにくかったりなとこで、思わず頑張りやー、と声を掛けたくなってまいります。

4
キーパーソンとなる、弁護士役の板垣瑞生(みずき)クンの、ハットトリッキーこそ、本作最大の見せ場でおますが、

ネタ部でもありまんので、詳述は控えますけども、ホンマ、アッと驚くとこでおます。

これはミステリー的に正統なんかと、思うとこでもあるんやけど、

でもしか、さわやかなラストへ持っていくためには、これがベスト決着やったかと思います。

3
いずれにしましても、希望ある前向きな作りどして、宮部みゆきミステリーらしき、あと味のエエ映画どす。

ほんでもって、ラストロールでは、U2の最高傑作なナンバー「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」が、フル・バージョンにて流れます。

いやはや、ボク的には、この曲だけで、メッチャグッとくるんやけど、成島出監督か宮部みゆきの、趣味なんかもしれへんけど、

告白するとでんな、この曲だけで、この映画がダイスキになりました。

とにもかくにも、トンデモ・サプライズある、ミステリー映画でおます。

2015年3月28日 (土)

「ジヌよさらば~かむろば村へ~」⇒週末日本映画劇場

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松田龍平・阿部サダヲ・松たか子・西田敏行・二階堂ふみ

各人が紡ぎ出す、コメディアン・コメディエンヌ映画の、最高に近い快作

http://www.jinuyo-saraba.com

4月4日の土曜日から、キノフィルムズはんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1
Ⓒ2015 いがらしみきお・小学館/『ジヌよさらば~かむろば村へ~』製作委員会

地方ロケーション映画(本作は福島ロケ)で、コミカル度満載の映画。

地方ロケがキモでもあった、プログラム・ピクチャー「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」的な、ある種社会から、ドロップアウトした男の、国民的好感度ある映画でおます。

本作の主人公は、寅さんやハマちゃんにも通じる、松田龍平のアニキ演じる、ユニーキーな役柄どす。

5
銀行の営業マンやったけど、カネにまつわる仕事でカネに麻痺し、カネを一切使わない生活を求めて、田舎へ引っ越してきはったキャラクターをば、やらはりました。

いやはやオモロイわ~。ワケ分からんカンジで、逃げるとゆう意味では、蒼井優ネーが演じた「百万円と苦虫女」(2008年製作)の、男版っちゅうとこやろか。

2
「男はつらいよ」的な人情コメディになっとるんやけど、やはり、各演技陣の、国民的好感あるコメディ演技は、トンデモ見逃せまへん。

しかも、各人のキャリア史上、最高ラインとも言えるコミカル演技なんどす。

主人公役・松田龍平はモチやけど、ユニーク夫妻映画「夢売るふたり」(2011年)の、再演となった、阿部サダヲのアニキと、松たか子のネーさんの共演。

今までと違って、シリアス入りコメの阿部サダヲ。

松ネーさんは、シリアス系ドッカーンな「告白」(2010年)とは、真逆のコメディエンヌぶりを、披露してはります。

3
既に死んではる設定の、神様役の西田敏行はん。

コメディアンぶりを「釣りバカ日誌」を代表作に、披露してきはったけど、

本作では、渋く人情深い、いわば幽霊役をやらはり、まさに本作に通底する人情節をば、体現してはります。

さらに、21世紀的女優の演技派・二階堂ふみチャンは、気紛れ系の女を披露。

ある意味で、ふみチャン的コメディエンヌぶりが、開花しておます。

6
そして、ナンチューてもスゴイんは、カネ嫌いの演技を徹底的に追究した、松田龍平のアニキどす。

特に、「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ映画)で使われた「美しき青きドナウ」を流しての、

銀行からカネを引き出す、スロー・モーション・シーンの、トンデモ妙味には唸りました。

また、恋絡み殺人事件の導入なんぞも、ドラマ的膨らみを感じさせてくれはりましたやろか。

4
松尾スズキのアニキの監督作品だす。

ほんで、今どきのコミック原作映画やけど、本作はスズキ監督の最高傑作になったかと思います。

過去の作品より、映画的スパイスやトリビュート度合いが、高い作品どした。

ジョン・マルコヴィッチやら三谷幸喜の引用。

ザリガニが降るとこなんか、カエルが降った「マグノリア」(1999年・アメリカ)へのオマージュやろか。

サントラ使いも、前監督作品より、先鋭化しておます。

ラテン音楽寄りのギターやピアノ。ラストロールでは、8ビートロックのカッコヨサで締めたりと、ノリの良さがありま。

ちゅうことで、ラストのサプライズも含めて、人情コメディの快作でおました。

2015年3月27日 (金)

ポーランド映画ニューウェイヴ「イマジン」

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今年の洋画マイ・ベストテン級の作品どす

盲人を描いた、ヒューマンドラマ映画の、過去最高の傑作

http://mermaidfilms.co.jp/imagine/

4月25日のサタデーから、マーメイドフィルムの配給によりまして、東京・渋谷シアター・イメージフォーラムやらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は2012年製作の、ポーランド・ポルトガル・フランス・イギリス合作のポーランド映画で、本編105分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸAdam_Bajerski

ポーランド映画を、みなはん、見はったことはありますか。

アンジェイ・ワイダ監督の抵抗運動もの、労働者の実態映画とか、ハリウッドに進出して久しい、ロマン・ポランスキー作品とかの、御大監督らの作品以外に、

21世紀も10年を過ぎて、ポーランド映画のニューウェイヴが、チラホラと日本に、上陸してまいりました。

「エクソシスト」(1973年製作・アメリカ映画)より早かった、悪魔祓いの傑作「尼僧ヨアンナ」(1961年・ポーランド)に、トリビュートした「イーダ」(弊ブログ分析済み)は、今年のアカデミー賞外国語映画賞をゲット。

重度障害者を主人公に据えた「幸せのありか」(ブログ分析済み)は、昨年の洋画マイ・ベストテンに入れました。

そして、本作。またもや、ベストテン級の仕上がりどす。

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盲目の主人公が活躍する、人間ドラマ映画どす。

映画で描くには、難易度の高い設定なんやろな。

かつての映画で、盲目主人公映画は、ヘレン・ケラーをヒロインにした実話「奇跡の人」(1962年・アメリカ)が目立つ程度で、あんましありまへん。

盲目のコドモたちを描いた、これまた実話「ミルコのひかり」(2006年・イタリア)、盲目の少女を描いた、チャン・イーモウ監督の「至福のとき」(2002年・中国)なんぞもありますが、

本作はより本格的どして、ボク的ジャッジでは、盲目ヒューマン映画の、過去最高の傑作やと思います。

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盲目の男の教師が、盲目のコドモたちがいる診療所に来て、白杖の要らない「反響定位」を教え込むとゆう内容。

その「反響定位」とは、目の見える人と同じく、自由に外出してイロイロ楽しめるっちゅうものどして、その教え方の専門的なとこも見どころやし、

教師の部屋の隣室に引き籠もる、盲目の女性との、ラブっぽいとこなど、いかにもなドラマティックを、さりげない自然体で描いてゆかはります。

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しかも、ポーランド映画には珍しい、全編海外ロケ。

ポルトガルのリスボン・ロケどして、さらに、ほぼ英語セリフで通した内容。

自然光を活かした風景シーン、盲目者視点をポイントにした足元カットやらに加え、

盲目者の周辺にフツーにいてる、ハト・スズメ・犬猫などの生き物の使い方、ベース、ギター、パーカッションなどのサントラ使いほか、盲目者ドラマに見合った作り込みが、ナンチューても斬新。

特に、主人公がヒロインを連れて、外へ出るシークエンスは、緊張感と癒やしがミキシングされた、心に残る名シーンになっとります。

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ほんでもって、ラストシーンは、今年見た映画では、マイ・ナンバーワンの、サプライズと感動がありましたんえ~。

ヒロイン役の、アレクサンドラ・マリア・ララのネーさんの、盲目設定やけど、目をパッチリ開けて、大型船舶の音を聞くシーン。鳥肌が立ちました。

主人公役のエドワード・ホッグのアニキも、ボクは初めて見たけど、カッコえかったどす。

盲目でもフツーの人間なんだとゆう威厳、そして、障害者同士のほんのりラブ・ストーリー具合など、

映画映えするところをば、ググッと見せてくれはる作品どした。

2015年3月26日 (木)

最新フランス映画「間奏曲はパリで」

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明るいイザベル・ユペールのネーさんが、メッチャ光ってる快作

パリをタイトルにした、フランス映画の最新版や~

http://www.kansoukyoku-paris.jp

4月4日のサタデーから、KADOKAWAはんの配給によりまして、テアトル梅田やらでロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Avenue Bet Vino Films, Tous grolis reseries.

パリを舞台にした映画、パリ(巴里)をタイトルに入れた映画は、これまでにモチ100本以上あるし、ボクも100本近く見とります。

ここでは、パリをタイトルに入れた映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(順不同・以下の引用は、指定以外はフランス映画)をば、身勝手に披露してみます。

●ベスト⇒①パリ、テキサス(1984年製作・フランス&西ドイツ)②巴里のアメリカ人(1951年・アメリカ)③巴里の屋根の下(1930年)

●カルト⇒①本作②パリの恋人(1967年・アメリカ)③巴里の恋愛協奏曲(2003年)

3
カルト③やベスト②のミュージカルや、恋愛映画ベスト③カルト②など、パリ・イメージを壊さない映画が、圧倒的多数にわたるんやけど、

パリが舞台とならへんベスト①など、みなさんに知られた傑作もあり、パリそのものが、映画史に刻印すべきとこは、いっぱいあるようどす。

そんな中で、本作は憧れのパリの今を、描く映画でおまして、ビジターとしてヒロインが、パリへ行く話どす。

海外からやなく、フランス国内からなんで、日本の上京物語の、イロイロみたいな感じやろか。

でもしか、ポイントはあくまで、人妻の奔放ぶり度合いを示す、ヒロイン映画でおます。

1
ヒロイン役は、イザベル・ユペールのネーさんどす。

昨日分析した「やさしい女」(1969年)では、アイドル・ノリ歴代フランス女優の、マイ・ベストを披露したけど、

歴代マイ演技派となると、彼女は大御所のカトリーヌ・ドヌーヴ、ジャンヌ・モローと肩を並べますで。

でもしか、その演技の質は、総じて暗うおます。

まあ、暗いキャラの方が、演技派ぶりを示すにはエエんどすが、

そんな彼女が、明るいキャラ、しかもチョイコメディエンヌっぽさも入って、演じてはるんが本作なんでおます。

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世界3大映画祭の2つ、カンヌとヴェネチアの国際映画祭で、各2度主演女優賞をゲットしてはる女優なんて、まずこれまでにいてまへん。

そおゆう表面的な情報は別にして、例えば、本作を見る前に、「ピアニスト」(2001年・フランス&オーストリア)なんぞを見たら、

無表情なクールさが示す、狂気の演技に、鳥肌が立つはずどすえ。

でも、本作はリラックス、リラックス。

時に、そのクールさが見え隠れしよりますが、好感度ある女優演技をば、本人にとっては失礼やろうけど、初めて披露いたさはりましたとゆうても、エエやろかと思います。

2
牧畜業をフランスの地方で、ダンナとやってはるヒロイン。

でも、パリの若い男と、パーティーでダンスティークして、その男と会いに、ダンナには、皮膚科の名医のとこへ行くちゅうて、パリへ1人で上京しはります。

ほんで、パリでいろんなことをば、やらはるっちゅう映画どす。

また、ダンナもヨメを疑い、パリへと行かはりまんねん。

不倫をするつもりが、トンデモない方向へとながれてゆくとこが、本作の大いなる見どころでおまして、

イザベル・ネーさんの新境地の、見せどころでもありま。

6
現状から脱皮したいとは、いちおう願うけど、でもしか、そんなに願ってもいない、中途ハンパなヒロイン映画。

そんなファジーで、ふらふら迷うヒロインを、彼女特有のあのクールさで演じられると、妙に説得力がありまんねん。

時おり見せる笑顔も、胸にキュン(!?)ときたりしますで。ホンマかいな~?

ちゅうことで、恋したい! に迷えるヒロインの、チョイと火遊びな物語をば、お楽しみくだされませ~。

2015年3月25日 (水)

フランス映画「やさしい女 デジタル・リマスター版」

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ドミニク・サンダのネーさんって、みんな、知っとるかー

ロベール・ブレッソン監督って、みんな、知らんよなー

http://mermaidfilms.co.jp/yasashii2015

エイプリル4月4日のサタデーから、コピアポア・フィルムはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は、1969年製作フランス映画のデジタル・リマスター版どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

我が麗しのフランス女優、ドミニク・サンダのネーさんのデビュー作や~。

若い映画ファンには、ムムムかもしれへんけど、マイ往年のフランス女優で、大人のアイドル性の高い、マイ・ベスト・スリーをば、勝手に申しますと…。

ドミニク・ネーさん、イザベル・アジャーニ、ソフィー・マルソーでおます。セックス・シンボルのブリジット・バルドーは、別格にしときます。

1
ソフィー・マルソーみたいに、いかにもなアイドルやありまへん。

脱ぐのも脱ぐけど、ベタには脱がず、ほんで、フランス女優らしい品格も備えてはる方。

エキセントリックな演技でも魅せる、イザベル・アジャーニとも違い、あくまでクールな、演技を作り上げない自然体。

そういう意味では、渋~い隠れたフランス女優の、名優はんどすやろか。

4
でもって、本作の監督はんは、既に故人のロベール・ブレッソン監督(1901年~1999年)。

ボクは監督の全作を見てへんけど、「抵抗」(1956年製作・フランス映画・モノクロ)の、緻密に細かく見せる脱獄法の凄みに、目が点になりました。

映画作家性も凄いんやけど、でもしか、本作は監督の初のカラー作品で、

また、カラーに見合った美しさを、追求しようとしはったんでしょう、

メッチャ分かりやすい、娯楽ラブ・ストーリーをば紡がはりました。

2
男からのモーションに、控えめ静かゴゼンなドミニクが、求愛を受けて結婚。

どこまでもとことん受け身どして、映画館の痴漢と不倫もしそうになり、ほんで、ビョーキになり…。

ドストエフスキーの原作もんやけど、恐ろしいくらいに、オールド・スタイルの、病系の恋愛を描いてはります。

しかも、ベタになりがちなその種の映画では、あくまでクールに徹底した仕上げどす。

5
そやから、その種のベタものに感染した方々には、あっさりし過ぎやんと、思わはるかもしれへんけど、

でもしか、たぶん作りは、ドミニク・ネーさんの控えめな演技ぶりに、合わせたもんどして、

ドミニク・ネーのために、撮ろうとしたとこが、アリアリになっとります。

そやから、眩しい彼女の上目遣いのアップやら、バストもヒップもちょっとだけよ!、で見せるカットとか、アイドル映画としてのノリが、そこはかとなく漂っておます。

3
夫婦映画としても見れるけど、これまでに出てきた夫妻映画のスタイルを、踏襲してるように見えつつも、どこかクールな仕上げは、やはりドミニク・ネーの演技によるとこが大きいやろな。

部屋では、競馬やカーレースのテレビを流したり、映画鑑賞デートなど、当時も今も、そない変わらないとこもまた、普遍性あるドラマを、示してゆかはります。

そやから、古さを感じさせまへん。

1960年代的バンド・サウンドや、クラシックなど、サントラ使いも妙味ありどした。

今の映画よりも、どこかしら新鮮味ある快作。

そんなかつての隠れた名作を、デジタル・リマスターで現代に蘇らせてくれはる企画は、ぜひとも今後も、続けてほしいと思います。

2015年3月24日 (火)

「傷だらけのふたり」⇒韓国ラブ・ストーリー最新版

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ファン・ジョンミンのワイルド感ある野獣性と、

ハン・ヘジンの美女感が融合

http://www.alcine-terran.com/maninlove/

4月4日の土曜日から、アルシネテランの配給で、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 NEXT ENTERTAINMENT WORLD Inc. & SANAI PICTURES Co. Ltd All Rights Reserved.

昨年のマイ韓国映画のベストテン(2014年12月31日付け)では、恋愛映画は1本も選ばへんかったんやけど、

韓国映画のラブ・ストーリーは、韓流ドラマほどではないけど、それなりに作られております。

そこで、そのマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、初披露してみますと…。

1
●ベスト⇒①オアシス(2002年製作)②八月のクリスマス(1998年)③私の頭の中の消しゴム(2004年)

●カルト⇒①本作②四月の雪(2005年)③愛のタリオ(2014年・弊ブログ分析済み)

●ドラマ「冬のソナタ」の日本への影響度合いからか、青春ラブや純愛ものにも快作はあるんやけど、

「冬のソナタ」が純愛ものとゆう見立てもあるけども、

男女のどちらか一方が、記憶喪失を始めとした、病気に罹ってるちゅうのんが、韓国ラブもので定番化しとるように思いました。

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無論、この傾向は、韓国映画だけやなく、日本映画や欧米の恋愛映画にも通じとります。

ただ、韓国の場合は、かなりベタなものが多いように思われます。

でもしか、ドラマツルギーを、先鋭化させるためのベタでありまして、作為的とはいえ、ドラマ映えする因子でもありま。

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連れ合いを亡くした、不倫ものカルト②などは、静謐な展開で、韓国映画としては異例な仕上げどしたが、

身体障害者のベスト①、末期ガンのベスト②、アルツハイマーのベスト③などは、その種の恋愛映画のストレート系と申せましょうか。

片や、21世紀も10年以上も過ぎると、病気系に変種が見られるようになりま。それが、本作やカルト③であります。

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不倫劇から一転、女の復讐劇となり、それで男が盲目になるカルト③。

ほんで、本作は、美女と野獣の恋愛を装いながら、終盤で病系へと反転させる、ある種トリッキーな恋愛ものとなっとります。

フツーの病気もの純愛が、今やフツーに作られないんでおます。

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しかも、本作は3度、時制や2人の仲などが転換します。

取り立て屋のワイルドな演技でゆく、ファン・ジョンミンのアニキが、取り立てられる病気の男の娘(ハン・ヘジンのネーさん)に一目惚れし、

ほんで、彼女とデートすることを条件に、親の借金を帳消しにしようとしはるんどす。

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最初は嫌がってはったヘジン・ネーやけど、徐々にジョンミンに、ココロ魅かれていかはります。

但し、そのココロの移ろい具合は、フツーには描かれまへん。

2年後へ行き、また2年前に戻り、献身的に彼を看病するシーンへ、スライドしたかと思たら、彼の葬式シーンへ転換したり…。

このあたりの変形構成ぶりには、目が点になります。

ソン・イェジンのベスト③との相違は、時制に合わせて展開するんやなく、その構成の妙にあります。

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ボクは数年前、ヘジン・ネーを単独インタビューしたことがありまして、

その時、同じソウル芸術大学出身のソン・イェジンを、かなり意識してはりました。

いつかイェジン・ネーさんを超えてあげるわと、思てはるようにも見えましたが、

本作は、ベスト③と対等に渡り合えるような、演技ぶりを示してはるかと思います。

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韓国のラブ・ストーリー全般に言えるんやけど、サントラ使いも多彩どした。

ラテン・ノリのギター、センチメンタルなピアノ、アコースティック・ギターの弾き語り、ポップス・スロー・ナンバーなど、インストから歌ものまで、癒やしをポイントに流れてまいります。

ちゅうことで、カルトにしたけども、久々に見た韓国映画の、正統派ラブ・ストーリーでおました。

2015年3月23日 (月)

「ジュピター」⇒「マトリックス」の姉弟監督による新作SF映画

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ウォシャウスキー姉弟監督が創り出す、SFアクション映画

SFの名作「トータル・リコール」や「未来世紀ブラジル」やらとシンクロナイズ

http://www.jupitermovie.jp

3月28日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI)LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

「マトリックス」3部作シリーズ(1999年・2003年製作・以下の引用映画は、指定以外はアメリカ映画)が、映画史に残る傑作であるんは、みなはんも見はって、認知してはるハズどす。

香港映画がルーツとなる、あのワイヤー・アクションの、初めてのハリウッド映画への取り込みなど、まさに斬新・快感の画期的映画でおました。

やらはったんは、ウォシャウスキー姉弟の2人はん。“きょうだい”監督どす。

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「マトリックス」後のアクション造形では、プレッシャーがあったんやろか、映画史を揺るがすような、際立ったもんは作ってはらへんねんけど、

「クラウド・アトラス」(2012年)やらでは、チョー大河時代映画アクションとしての、トンデモ豪快さを示さはったし、

ほんで、本作でもでんな、新しいアクション映画を作らんと、必死のパッチなとこが分かりまんねん。

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空中スケボーな空中アクトや、上下アクト、モンスター的な敵との対決など、

「エイリアン」(第1弾1979年)や「スター・ウォーズ」(第1弾1977年)ラインやらは、超えてへんとは思うけども、それなりの分かりやすいアクトを披露。

冒頭の地球上の高層ビル街やら、クライマックスの宇宙船ドームでの対決シーンは、ビビッドに臨場感をもって、やってまいりまっせ。

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ヒロインのミラ・クニスちゃんが、自分の知らないとこで、キー・パーソンになってる、なんてとこなんぞは、

シュワちゃん主演の「トータル・リコール」(1990年)やら、

本作にもチョイ出演してはる、テリー・ギリアム監督の「未来世紀ブラジル」(1985年・イギリス&アメリカ)やらのセンスが感じられます。

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地球外の星で、兄・姉(兄から見れば妹)・弟が、地球にまつわる覇権争いをば、してはるっちゅう話が、ベースにありまして、

そこに、その星の正統後継者として、地球で掃除婦として働く女、ミラ・クニスちゃんが、本人は知らへんけど、三兄姉弟にイロイロ狙われ、

ほんで、星の兵士、チャニング・テイタムのアニキが、彼女を守らんと、関わってきはる、そんな話でおます。

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透明な空中バイクに乗った、韓国女優ペ・ドゥナのネーさんやらも、ユニークな活劇シーンで魅せてくれはります。

テリー・ギリアム監督はんも、役人役で渋いとこを見せはって…。監督の新作で、「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」(1995年)につながる、

「ゼロの未来」(5月16日公開)は、後日分析しますが、本作とも大いに、シンクロするとこがありまっせー。

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アクション・シーンで頻出する攻撃的なサントラや、ラストロールでのフル・オーケストラなど、

サントラ使いもまた、ドラマを盛り上げますで。

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主人公らの突撃シーンと、その後の対決展開は、本作の大いなる見どころなんやけど、

でも、「マトリックス」第1弾のインパクトが凄かったんで、どないしても、比較して見るような具合になってまいます。

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また、個人的には、ウォシャウスキー姉弟の最高傑作は「マトリックス」よりも、サスペンス映画「バウンド」(1996年)でおまして、あのトリッキーさやらインパクトよ、今一度と、思たりするんどすわ。

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でもしか、ご都合主義なとこもあるにしてもでんな、本作にも、サプライズ・シーンはありまんねん。

「マトリックス」以上は、期待できないかもしれへんけど、きっと楽しめるハズやねん。

ちゅうことで、みんなでこぞって、見に行ってみようでー。

2015年3月22日 (日)

戸田恵梨香・松坂桃季共演「エイプリルフールズ」⇒日曜邦画劇場

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群像劇コメディのトンデル、究極タイプを示す快作品

レストラン人質事件から、誘拐拉致引き回し事件まで、今までにない仕様で

http://www.aprilfools.jp

モチ、4月1日エイプリルフールから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 フジテレビジョン

日本映画の群像劇映画の最新作やけど、

一昨日分析した「正しく生きる」のとこで、邦画群像劇マイ・カルト・ファイブを披露いたしましたが、

ここでは、チビチビのビミョーさですんまへんが、21世紀のマイ・ベスト・スリー(順不同)を披露いたします。

①本作②理由(2004年製作)③大停電の夜に(2005年)

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●群像劇は、「グランド・ホテル」(1932年・アメリカ映画)を嚆矢としてるんは、一般的になっとりますが、

その後、群像劇はオムニバスもの、パニックもの、アメリカでは群像劇の巨匠、ロバート・アルトマンやらが輩出され、

また、室内劇だけやなく、街全体に広がり、「バベル」(2007年・アメリカ)のような、ワールドワイドに同時進行な群像劇も出てまいりました。

ザックリの系譜やけど、日本映画の群像劇も、その種のタイプが、ポイントとしてあったように思います。

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でもしか、21世紀になると、もっと複雑系を帯びるスタイルに、なっとるように思います。

モチ、その典型は「バベル」どすが、日本でも、パニックとクリスマスの日を、ミキシングした③やら、

殺人事件にまつわる、各人の証言を取り込んで、裁判劇やない群像ミステリーを作った②など、

群像劇・進化型は、日々開発されておます。

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ほんでもって、本作は、かつても多数の娯楽群像劇を送り出した、フジテレビ製作の群像劇どして、

よくあるクリスマスやバレンタイン・デーやらとは違う、4月1日「エイプリルフール」をポイントに、

つまり、嘘をポイントにして、嘘の話に塗り固められた、トンデモ群像劇を構築してまいりました。

ガンで余命いくばくもない、妻と夫のドラマやらは、よくあるタイプやけど、

でもしか、メインやらは、今までにない破天荒な設定を施してはります。

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戸田恵梨香ネーさんが、偽医者・松坂桃李アニキのコドモを宿して、認知せんかーいで、松坂らを人質に取って銃を持って、レストランに立てこもる話。

一番のメインはコレなんやけど、この話から既に、おいおい、があります。

フツーなら、警察陣との内外に分かれた、駆け引きになるとこが、そないにはなりまへん。

ちゅうか、警察が関わらないとこで、どこまでトンデモ話が紡げるかに、挑戦しはったみたいに見えよります。

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父娘のキズナへとつなぐ、コドモ誘拐・拉致・引き回し事件やら、

イントロから始まる、少年のUFO呼び出しエピソード、サギ占い師を聴取する刑事、ゲイの2人の話など、

オーソドックスに見えながら、着地はサプライズを、それぞれなりに取り入れて、メインの話を盛り立てるような作りになっとります。

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最終的には全ての話が、つながってゆく作りは、「正しく生きる」よりは、群像エンタの法則に則ってはるようどす。

戸田恵梨香と松坂桃李の、ラブ・ストーリー部が、確かにメイン・ソースやけど、

ゴタゴタした群像劇を、最後には一つに収束するとこには、爽快感がありました。

そんな中で、戸田恵梨香ネーさん。

「駆込み女と駆出し男」(後日分析予定)と共に、個人的には、キャリア最高の演技を、見せてはるかと思います。

ちゅうことで、コメディとしては、21世紀の日本映画群像劇の、最高傑作になったかも。

2015年3月21日 (土)

「忘れないと誓ったぼくがいた」⇒週末日本映画劇場2

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記憶喪失系の逆をゆく、学園ラブ・ストーリーの快作

フレッシュな村上虹郎クンと、早見あかりチャンが共演

http://wasuboku.com

3月28日の土曜日から、日活の配給によりまして、ヒューマントラストシネマ渋谷、横浜ブルク13、テアトル梅田、T・ジョイ京都やらで、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015『忘れないと誓ったぼくがいた』製作委員会

Ⓒ2006平山瑞穂/新潮社

日本映画の学園ラブ・ストーリーの検証につきましては、現在ヒット中の「ストロボ・エッジ」(3月14日付けで分析)のページで、披露しましたけども、

本作はカルトになるかもしれへんけど、学園ラブの新しどころを、クリエイトしはった作品でおます。

ヒロインの造形ぶりが、みなはんの好感を呼ぶかどうかは別にして、まずはこれまでになく異色どした。

ビョーキ系のヒロインは、ある種定番になっとりますが、本作でも、タイムトラベルしてきたヒロインの「時をかける少女」(1983年)と同じくらい、異彩を放つヒロインだす。

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まずは、ヒロインは不治の病やありまへん。

みんなから忘れられやすい設定の女子高生役どして、記憶喪失する系やなく、記憶喪失される系のヒロインとゆう造形。

そのあたりに、説得力あるとこはないねんけど、設定としては、かつてないものや。

わざと忘れるちゅう設定の、橋本愛主演「アナザー」(2012年・弊ブログ分析済み)よりも、より映画的ミラクル度をば発揮してはります。

主演女優は、元「ももいろクローバー」の早見あかりチャン。

「百瀬、こっちを向いて。」(2014年)も、学園ラブやったけど、それ以上に、ファンタジックが増した作りどす。

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「百瀬」のナイーブにして元気系はそのままに、謎めき度合いを増して、演技的には、アイドル系のノリを崩さずに演じてはります。

ほんでもって、村上淳とUA(ウーア)の息子はん、村上虹郎との共演。

デビュー作「2つ目の窓」(2014年・ブログ分析済み)でも、ピュアな恋愛映画を演じた彼やけど、本作でもそのノリは健在で、

さらに、彼女を絶対に忘れないとゆう、誠実度合いが好感を呼んで、ファンを広げそうなエエ役に扮してはります。

ほんで、みんなに忘れられてまう彼女を、絶対忘れへんために、彼女を主演にした、プライベート・フィルムを撮るんでおます。

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高校の映画研究会で映画を撮る「桐島、部活やめるってよ」(2012年)とか、

今のところ、今年の邦画マイ・ナンバーワンの「チョコリエッタ」(2015年・分析済み)でも、アマチュアの映画撮影部が、大いなるキモ・ポイントになっとりましたが、

本作はラブ・ストーリーに即した、メイキング・シーンとゆう設定どして、ラスト3分のサプライズ・シーンにも、大いに機能しとる伏線シーンになっとります。

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2人が高速道路の高架で向かい合い、主人公が「忘れない」と叫ぶシーンなどの、長回し撮影部や、街のロングショットな風景を取り込んだ、ツーショット・シーンなど、映画的にグッときよります。

ツタヤで借りる「大人は判ってくれない」(1959年・フランス)とか、「幕末太陽傳」(1957年・ブログ分析済み)のポスターなど、主人公・ヒロインの映画へのこだわりも、さりげなく示さはりまんねん。

陽光・夕景のセピアを使った、登場人物たちのシーンやら、色使いにも注目やし、

また、ラストロールで流れる主題歌、クリープハイプの16ビートロック「2LDK」も、カッコえかったどす。

新味ある学園ラブ、ほんでもって、アイドル映画のノリを、お楽しみくだされませ。

2015年3月20日 (金)

岸部一徳主演「正しく生きる」⇒週末日本映画劇場1

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京都ロケーションによる、群像劇の怪作が登場

プロと学生による、未来に向けたコラボレート作品

http://www.tadashikuikiru.com

3月21日の土曜日から、マジックアワーの配給によりまして、京都シネマで上映。その後、3月28日から大阪・第七藝術劇場やらで、順次のロードショーだす。

東京では、3月7日から、[シアター]イメージフォーラムで上映中。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 北白川派

さてはて、いきなりやけど、ジャパニーズ群像劇の、マイ・カルト・ファイブ(順不同)を、思いつくままの勝手気ままに、披露いたします。

①本作②救いたい(2014年製作)③どっちにするの。(1989年)④恋と花火と観覧車(1997年)⑤大失恋。(1994年)

●かつてのテレビのトレンディー・ドラマ・ブームと、相乗するような③④⑤など、

映画芸術的やないとこで、群像劇を披露するのは、日本的やと思うし、

また、一大事件やその後の人々の姿を映す、本作や②なども、

アメリカならパニック・ムービーになるところが、より人々の心理に、食い込んだ作品になっとります。

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但し、「グランド・ホテル」(1932年・アメリカ映画)形式的に、映画作術的に意図的でない場合は、

群像劇には、トータリティーが必要やないかと、ボクは思います。

本作は最後の方で、まとめるようにそれぞれがすれ違ったり、シンクロする作りにしてはりますが、劇的に唸れるようなとこはありまへん。

また、「世界の終わりのいずこねこ」(3月7日付けで分析)でもそうやったんやけど、

「3.11」とその後を意識し過ぎたために、どこかその種の映画の、マニュアル通りの仕上げに見えたりします。

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でもしか、実験的・前衛的でありながらも、社会性ある4つの話を、強引に紡ぐ姿勢には、映画的パワーがありました。

さてはて、本作は「北白川派」とゆう、映画製作集団の第5弾どす。

京都造形芸術大学の映画学科の学生を中心に、学生とプロがコラボレートする画期的な映画。

撮影所システムがなくなって久しい今、いわゆる、未来の映画人を育てるべくのこの企画は、かつてなかったものでおましょう。

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メインとなる話は、京都出身の大ベテラン岸部一徳はん。

「博士の異常な愛情」(1963年・イギリス)にも似た、放射能へのこだわりを見せる、美術学校の教授役で、怪演技ぶりを披露。

女生徒役の学生女優・水本佳奈子との、やり取りは見ものや。

また、放射能会社の柄本明も、謎めいた役柄を怪演。

真っ向勝負のストレート演技ではない、複雑怪奇な演技性を、共演する学生たちに教え込むように、演技してはります。

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3.11の津波を逃れて、ダンナに内緒でコドモを連れて、京都に逃げてきた女。

自分のコドモを虐待し、カラオケボックスで歌い、不倫もやってるちゅう、ワケの分からない女を、大学OGの青山理紗が、怪演を意識しもって披露。

刑務所を脱走した、理紗ネーの弟のエピソードでは、宮崎あおいの実兄・宮崎将(まさる)が、ハイ・テンションな演技を見せ、

さながら、アレコレな演技の、コレクションにもなっとります。

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いずれにしてもでんな、プロの役者と学生役者のコラボレートぶりが、本作一番のキモでありましょうか。

「オズの魔法使」(1939年・アメリカ)を意識した、オーバー・ザ・レインボウの赤文字、

「世界を終わらせ、最後には愛が復活する」ナンチュー、岸部一徳はんのセリフなど、

怪異さが妙にクセになる、群像劇の怪作でおました。

2015年3月19日 (木)

「ナイトミュージアム エジプト王の秘密」⇒大ヒット3部作の完結編

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シリーズ最高の、ドッカーンがやってくるでー

これぞエンタ映画、ハチャメチャ映画の究極型を示すでー

http://foxmovie-jp.com/nm-3/

3月20日のフライデーから、20世紀フォックス映画の配給によりまして、全国イッセーのロードショー。

本作は2014年製作のアメリカ映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Twentieth Century Fox

本作は、ハチャメチャやけど、理屈抜きにメッチャオモロイやんっちゅう映画どす。

こおゆう映画は、映画評論家筋では、高くは評価されへん運命にありまんねん。なんでやろか。

けども、映画は娯楽100パーセントやねん、っちゅう方々には、文句なしに楽しめて、長らく記憶に残るような作品になるんやないやろか。

ボクはモチ、楽しめました。

ちゅうことで、ここで、マイ・メッチャオモロイ、ハチャメチャ映画の、カルト・ファイブ(ベストやないんは、マイやから・順不同)をば、披露さしてもらいます。

①本作②ハンキー・パンキー(1982年・以下の引用映画は、指定以外はアメリカ)③ファール・プレイ(1978年)④永遠(とわ)に美しく…(1992年)⑤トゥルーライズ(1994年)

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●リアリティーを逸脱し、思いっきり遊んでくれる映画は、いっぱいあるねんけど、

モチ、選んだ5本以外にも、例えば、ジェットコースターに乗った気分で、楽しめてまう作品は多々あります。

ボク的には②は、間違えられた男のドラマを、とことんコメディに託して、ジェットコースターした映画としては、マイ・ハチャメチャ・ナンバーワンどす。

シュワちゃんがハチャメチャ・アクションを、仮想で展開した⑤、

マイ・コメディエンヌNo.1な、ゴールディ・ホーンのネーさんが、ヤッテくれはった③④。

でもって、本作は3部作となった(!?)けど、シリーズ化されて、理屈抜きに“お楽しみはこれからだー”精神で、魅せてくれはる映画どした。

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本作の第1弾が、日本で大ヒットした時には、ボクは実は首をひねった組どした。

いわゆる、バック・トゥー・ザ・フューチャーなノリを、博物館のキャラに託して、時間旅行して、アクションするスタイルっちゅうのは、

あくまでタイムスリップSF映画の、オーソドックスなシチュエーションやと思たからどす。

きっと陳腐極まりない映画に、なるやろなと思たんやけど、その想定は大いに狂ってまいました。

何しろ、タイムスリップする各キャラが、イキイキしとって躍動感があって、ヒロイズムあり。

さらに、アクションやパニックやらと違うとこでも、ラブ・ストーリー部や親子のキズナ部で、マジなとこを見せたりと、

ハチャメチャな面白さを、緩和するシーンが、妙にグッときよったりしよりまんねん。

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ハリウッド映画に多い、本格的オーケストラ・サウンドトラックに乗って、物語は紡がれてまいります。

博物館に陳列されとるもんが、真夜中になって動きだし、ダンスティークするちゅうのんを、1つのヒントにして、今回は古代史の時代まで、話は大きく広がってまいります。

主人公役は、ベン・スティラーのアニキ。

日本ではあんましやけど、アメリカでは、国民的人気のある俳優はんどす。

一方で、本作が遺作となった、ロビン・ウィリアムズはん。いつもながらの穏やかで優しい演技に、見てるとつい、ホロリときました。

アクション・シーンがモチ、キモになるんやけど、国民的俳優たちの、かつてのヒロイズムとは違う、

コミカルな演技性に、これぞアメリカン寅さんやろかと見ました。

屁理屈抜きに、とにかく、モノゴッツーオモロイ作品なんどすえ~。

2015年3月18日 (水)

「陽だまりハウスでマラソンを」⇒ドイツ映画の感動作

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シニア映画のキモが、全て入った1作なんやけど、

オリンピック選手の現在を捉えた、スポ根映画の爽快な作品

http://www.hidamarihausu.com

3月21日のサタデーから、アルバトロス・フィルムの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、京都シネマやらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は2013年製作のドイツ映画105分でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Neue Schonhauser Filmproduktion, UniversamFilm, ARRI Film & TV

個人的には、久々にドイツ映画の快作を、拝見させていただきました。

ドイツ映画ちゅうたら、このところ、映画的には仕上がりはエエかもしれんけど、総じて暗い映画が多いように思いました。

本作は「ラン・ローラ・ラン」(1998年製作・ドイツ映画)以来とも言える、さわやかな後味のある、気持ちのいいドイツ映画。

しかも、家族映画的ドラマ性も、併せ持ってはりまして、感動ある作品にもなっとります。

また、ドイツだけやなく、ヨーロッパ映画には珍しい、元気旺盛系シニア映画の傑作や。

「老人と海」(1958年・アメリカ)ともシンクロする、見ていて活力をもらえる1本だす。

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かつてオリンピックのマラソンで、金メダルをゲットした老人がいてはります。そんな老人が妻と共に、老人ホームに入ったところから、物語は始まります。

オリンピック・ドラマはフツーは、五輪のシーンを、大いなるポイントにしてはるけども、

現在では、例えばインド映画の「ミルカ」(2013年・弊ブログ分析済み)のように、そんな選手の現在型をば、描く映画が出てきておます。

でも、本作は実話をベースにはしてはりまへん。

実話がベースのオリンピックものが多い中で、本作は、映画オリジナルとしての、シニア・スポ根ドラマを紡がはります。

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倒れた妻と共に、老人ホームに入った主人公やけど、人形作りなどの緩い介護療法を拒否し、ホームの周辺で勝手に走り始めはります。

ギター片手に癒やす、介護側の女と反発し、ホームの若手スタッフと競走して勝ち、老人介護にもの申すカンジで、とんとん拍子でベルリン・マラソンへ出場しはります。

あまりにもストレート過ぎて、ホンマ、そんな風にスイスイいくもんやろかとは思うけど、

妻の死などのハードルも、ドラマ的に設定して、盛り上げてまいります。

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シニア版「ロッキー」(1976年・アメリカ)のような、趣きもある本作。

ホームのみんなが応援に来る、クライマックスのベルリン・マラソン・シーンは、モチ、本作の感動のハイライト・シーンなんやけど、

でもしか、少しあまりにも…ちゅうとこは、あるにはありま。

それでも、やってくれるところ。潔いやんと、ボクは思いました。

批判もできるやろけど、そないなると、サクセス・ハッピー・エンドの映画は、全て“良くない”映画になってまいます。

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シニア映画の、一切の暗みを排した本作。

リアリティーは薄いけども、かつてないマラソン映画の爽快さを、示した1本やと思いました。

ピアノをポイントにしたり、クライマックスではフル・オーケストラ、

ほんで、ラストロールでは、ユーロなオールド・ポップスが流れて、余韻を深めます。

ギター女の部屋にある「アメリ」(2001年・フランス)のポスターが示すように、「ロッキー」と共に、「アメリ」のシニア版とも取れる映画なんでおます。

ちゅうことで、我が道をゆく素晴らしさが、心地いい作品でおました。

2015年3月17日 (火)

「ディオールと私」⇒フランスのファッション・ドキュメンタリー

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クリスチャン・ディオールの今を描いた、ファッション業界ドキュメンタリー

オートクチュールのメイキングを、ビビッドに描く

http://www.dior-and-i.com

3月14日から、アルシネテランの配給で、シネ・リーブル梅田で上映。その後、3月21日からシネ・リーブル神戸、5月から京都シネマやらで上映だす。

本作は2014年製作のフランス映画で、本編90分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCIM Productions

生活密着型“衣食住”のドキュメンタリーは、これまでに数知れず出とりますが、

本作は“衣”どして、しかも、あまりにも有名なクリスチャン・ディオールの今を、描いたものどす。

この種のドキュでは“食”ものが、圧倒的に多いんやけど、

そんな中において、本作は老舗ブランドの、オートクチュールのメイキングをば、シリアスにビビッドに描いてはります。

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ドラマ映画やなく、衣食住のドキュとなれば、かなりマニアッキーになるやろし、

ボクチンも、はっきり申し上げまして、そんなに積極的に見てる方やないんで、気が退けるんやけど、

それでも、本作はチョー有名ブランドやとゆうことで、人口に膾炙するとこは、多々あるやろかと思います。

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「私」と名乗る方のナレーションで、話は進行しますが、一体、私て誰やねんやけど、ようわかりまへん。

モノクロ・シーンの過去描写を含めて、そのへんをボカすことで、ある種のドラマティークは、あるやもしれまへん。

フルート、ピアノ、シンセやらを駆使したサントラも、効果的に配されとるように見えますが…。

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メインは、それまでは男のファッションを専門としていた、ディオールに新しく就任したディレクター、ラフ・シモンズが、

どんなオートクチュールを、初のコレクションを、見せてくれはるのか、そこがポイントどして、

彼の仕事ぶり指示ぶり差配ぶりが、オートクチュールのメイキングとゆう仕様で、撮られてまいります。

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ディオールの霊が、夜な夜な出るっちゅうエピソードやら、

会場を花で飾ることなどを閃く、シモンズのセンスとか、

また、製作過程で起こるトラブルなど、興味深いとこは幾つかあるけども、

でも、やはり、映画ファンやなく、ファッション・ファンへと、訴求するところが、大のように思えました。

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でもしか、タイトなシンセ・ポップを流しての、ドレス作りのメイキングのダイジェスト・シーンやら、

締切りギリギリまで粘るとこやら、

モデルたちの華やかさなど、映画映えするとこもケッコーありました。

シモンズへのインタビューも、ケッコーありまして、彼の作家性や創作態度が、見えてくるような作品でもありま。

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ファッション業界を描いたドラマ映画では、パリ・コレを描いた「プレタポルテ」(1994年製作・アメリカ映画)やらの傑作があるけど、

本作みたいにオートクチュールのメイキングを、本格的に描いた映画は稀でおましよう。

但し、専門的なとこに偏りすぎるきらいもあって、万人受けするかどうかは未知数どす。

でも、ファッション業界を目指す人にとっては、メッチャ参考になる映画やもしれまへん。

ファッション・オンチのボクにしても、その熱気にあおられてノメりましたがな。

地味やけど熱くて、それでいて冷静で静かに渋い。そんな職人魂がステキどした。

2015年3月16日 (月)

「恐怖分子 デジタルリマスター版」

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エドワード・ヤン監督の、知られざる大傑作

「ゴースト ニューヨークの幻」より早かった「アンチェインド・メロディ」の使い方

http://www.kyofubunshi.com

http://www.oaff.jp

3月14日の土曜日から、フルモテルモとコピアポア・フィルムの配給によりまして、シアター・イメージフォーラムやらで、全国順グリのロードショーだす。

関西やったら、「第10回大阪アジアン映画祭」(3月6日~3月15日)での特別上映を経て、4月以降、第七藝術劇場、京都みなみ会館、神戸アートビレッジセンターやらで上映や。

本作は、1986年製作・リマスター前日本公開1997年・香港&台湾合作・本編109分の作品でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCENTRAL PICTURES CORPORATION

エドワード・ヤン監督やて、みなはん、知ってはるやろか。

ラブ・ストーリーの、芸術的作品もあるんやけど、本作はミステリー映画でおます。

犯人視点もある、倒叙系でもあるんで、誰がこの騒動を巻き起こしたんかは、冒頭の数分で、分かるようになっとるんやけど、

ストーリー的には、各人のココロに住みついた恐怖が、どないな波紋を呼ぶんかを、捉えた作品どす。

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小説家のヨメはんと、医院に勤める医者のダンナはん。ヨメはんは、かつての彼氏と浮気に走り…。

運動家の彼氏に釣られて、反政府運動をしとったんやけど、彼氏が逮捕されてしもて、警察に追われて逃げ隠れしてやるヒロイン。

刑事と友達の医者のダンナ。ヒロインを追う写真家。

大たい、こないな人間たちが織りなす、群像劇的ミステリーでおます。

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ライチャス・ブラザーズの名曲ソウル・バラード「アンチェインド・メロディ」が、映画の伏線的なとこで流れてまいります。

「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年製作・アメリカ映画)でも流れとったし、その曲もそれで、リバイバル・ヒットしたけども、

その作品よりも早く、映画に取り込んではったんどすえ。

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本編の随所に、日本のミステリー小説の影響が、見られよります。

逃亡劇なとこ、固定電話の使い方、不倫部の扱い方、不安や恐怖を植え付けるとこ、やがてはそれが、復讐劇へと発展してゆくとこや、ネタ部の着地具合など、なるほどと思わせてくれはりました。

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心理的サスペンスとしては、アルフレッド・ヒッチコック監督作品ともシンクロするやろし、

サプライズ的には、例えば、ヒッチに影響を受けたブライアン・デ・パルマ監督の「キャリー」(1976年・アメリカ)なんぞも視野に入るやろか。

本作発表後に、本作が影響を与えたと思われる、アジア映画について見てみるとでんな、

例えば、今のところ、今年のマイ・ベストスリーに入る「薄氷の殺人」(2014年・中国&香港・弊ブログ分析済み)。

妖しのヒロインとゆう意味で、その造形ぶりに影響が見られよるやろか。

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最初にある、ヒロインの1人芝居部、ベッドシーンの長回し撮影、2分にわたる小説家ヨメの長ゼリフ、

セピアのヒロインの写真のインパクト、キレる映画的構図のロングショットやら、

映画的仕掛けも、随所に施されとりました。

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ヨメが書いた小説が、現実になってゆく展開のスリリングなど、

大いなる見どころなんで、お楽しみくだされませ。

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さてはて、既に逝去してもうてはる、台湾映画の巨匠エドワード・ヤン監督。

でもしか、本作のデジタルリマスター・リバイバルで、彼の作品に再び、光が当たればと思います。

恋愛映画「エドワード・ヤンの恋愛時代」(1994年・台湾)やら「カップルズ」(1996年・台湾)やら、デートムービーに対応できる作品もエエし、

ほのぼのな少年映画「ヤンヤン/夏の思い出」(2000年・台湾&日本)も、心地よい癒やしがありま。

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さらに、本作と同じく、ミステリー・タッチの映画としては、

彼の最高傑作と言われる「クーリンチェ少年殺人事件」(1991年・台湾)は、絶対見るべしどす。

その前に、まずは本作で、入門編として、気軽にご覧くだされ。

2015年3月15日 (日)

「映画 暗殺教室」⇒日曜邦画劇場

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「バトル・ロワイアル」とシンクロする、トンデモ学園もの

先生と生徒のキズナを、ブラックユーモアなタッチで

http://www.ansatsu-movie.com

3月21日のサタデーから、東宝の配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015フジテレビジョン 集英社 ジェイ・ストーム 東宝 ROBOT

Ⓒ松井優征/集英社

いきなりやけど、学園ドラマ日本映画の、21世紀のマイ・カルティック・ベスト・ファイブ(順不同)をば、思いつくままに、披露さしてもらいます。

①本作②桜蘭高校ホストクラブ(2012年製作・弊ブログ分析済み)③悪の教典(2013年・ブログ分析済み)

④ソロモンの偽証(2015年・前篇は分析済み・後篇は後日分析)⑤くちびるに歌を(2015年・分析済み)

1

●正統系の学園ドラマ映画とは、全く違う映画が中心になったけど、

正統系をより実直に描いた映画⑤もまた、カルトな作品になるやろかと思います。

それぞれの変形ポイントを申しますと、生徒同士の法廷裁きを取り込んだ④。

先生1人と生徒の対決が、究極のカタチで昇華した③。高校にホストクラブがある設定の②。

3
そして、本作。

これまでの学園ドラマのスタイルを、トンデモ逸脱した作りに、唖然呆然となりました。

基本ラインは、学生同士がサバイバルを懸けて殺し合う「バトル・ロワイアル」(2000年)のセンスや③のタッチを、

生徒たち対先生1人の対決にスライド・進化させ、

ほんで、生徒と先生の交流系の⑤を、全く違った角度から描くっちゅう、実験的・前衛的とも取れる作品になっとります。

4
さてはて、本作はコミック原作、TVアニメ化を経ての作品だけに、一見ハチャメチャな作りのように見えよります。

写真の黄色いマンガチックなエイリアンが、センセーとなり、政府が生徒たちに、そんな変なセンセーを、1年以内に暗殺させようとする、破天荒な設定。

それが叶わなければ、人類はエイリアンに侵略されるそうどす。なんじゃそらーっと言いたくなるんやけど、

5
でも、生徒たちとセンセーの掛け合いにより、生徒とセンセーの間に、ある種のキズナが結ばれ、

ほんで、ラストのサプライズでは、大げさかもしれへんけど、「二十四の瞳」(1954年)的な感動もあるっちゅう、

まさに21世紀の、トンデル学園ドラマになっとるんだす。

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各キャラたちに注目どす。

ジャニーズ「Hey!Say!JUMP」のメンバー山田涼介クンは、大人しいけど、最後には、見事な一発をキメるキャラ。

演技派・菅田将暉クン(写真上から2枚目・10枚目)は、アクション・シーンを含めて、ワイルド感あふれる演技ぶり。

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久々に見た加藤清史郎クン(写真9枚目)は、エイリアン・センセーと、対等に渡り合うキャラ。

生徒たちを管轄・指導する、政府の椎名桔平(写真4枚目)のアニキの風格、

キレる怪演技を見せる、高嶋政伸(写真7枚目)のアニキやら、男優陣、個性派揃い。

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片や、女優陣も、男優陣に負けず劣らずの、トンデル系演技で魅せます。

暗殺者にして、セクシー教師役の知英(exKARA・写真5枚目)、

「三井のリハウス」ガールの山本舞香(写真6枚目)ちゃん、「ホリプロ・スカウトキャラバン」グランプリの優希美青(ゆうき・みお・写真8枚目)ちゃん、

「がじまる食堂の恋」(2014年・分析済み)で、好感ある演技で魅せた竹富聖花ちゃんやら、

女性陣もアイドル性の高い、かわいい演技で魅せてくれはりまっせ。

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「海猿」シリーズ(2004年・2006年・2010年)を大ヒットさせはった、羽住英一郎監督の新作。

リアリズムにあふれた「海猿」シリーズとは違い、リアリティーを逸脱したところで、CGやらを駆使して、どう本作を紡ぐのか。

そのあたりの手腕に、ぜひ期待して、ご覧くだされませ。

2015年3月14日 (土)

福士蒼太・有村架純共演学園ラブ・ストーリー「ストロボ・エッジ」⇒週末日本映画劇場

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日本映画の学園ラブ・ストーリーに、果たして傑作はあるんやろか?

それでも、福士蒼太クンは、挑戦し続けはります

http://www.strobe-movie.com

3月14日の土曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015映画「ストロボ・エッジ」製作委員会

Ⓒ咲坂伊緒/集英社

見出しにも書きましたけども、日本の学園ラブ・ストーリーに、傑作はあるのか。みなはんはどないどすか。

自らが発したその命題に対し、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露してみます。

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●ベスト⇒①翔んだカップル(1980年製作)②GO!(2001年)③パッチギ!(2004年)

●カルト⇒①本作②江ノ島プリズム(2013年・弊ブログ分析済み)③世界の中心で、愛をさけぶ(2004年・分析済み)

●20世紀作品はベスト①だけで、それ以外は、21世紀から選んでみよりました。

モチ、20世紀にも、大林宣彦監督の尾道3部作や、黒澤明、今井正、大島渚らの巨匠監督の、学園ラブはあるんやけど、

よりラブ・ストーリーに、特化した点においては、ボク的には、21世紀作品に快作がありま。

8
本作と同じくコミック原作の、相米慎二監督のベスト①は、おそらくコミック原作学園ラブの、嚆矢的作品やないやろか。

在日韓国人と日本人の、恋愛を取り込んだベスト②③は、20世紀にはなかった、恋愛映画のオリジナリティーを示さはります。

3
定番となったビョーキ系を、取り入れたカルト③も、エエねんけど、本作はビョーキは一切抜きだす。

とゆうか、むしろ学園ラブ・ストーリーの本質に、原点回帰したような、ピュアな純愛ぶりが、

小細工なしのストレート系で描かれて、驚くほどにさわやかな作りになっとります。

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その爽快さ・清涼さの一番の素は、福士蒼太クンの演技性やないやろか。

「好きっていいなよ。」(2014年・ブログ分析済み)では、チョイキザやったけど、

本作の原作者映画化の「アオハライド」(2014年・分析済み)に、出てやった本田翼ちゃんと共演した、カルト②の誠実さ、

そして、本作での、メッチャ好感度の高い演技ぶり。

主に女性ファンが痺れるやろけど、男のボクが見ても、ウーン…、キザっぽいけど、

でもしか、その魅力を認めざるを得ない、真摯さぶりどした。

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彼女がいてるにも関わらず、駅のプラットフォームで有村架純ちゃんが、蒼太クンにコクるシーンから、本作は始まりま。

駅や電車内シーンの多さも、この種の映画では、特異でおましょうか。

2人のツーショットと、電車の移動シーンを、カットバック的にモンタージュしたり、

ラストシーン(写真一番下)も含め、学園内だけやなく、別れと出会いの象徴となる、プラットフォームの使い方が、絶妙でおました。

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架純ちゃんの蒼太クンへの、片想い映画なんやけど、三角関係な映画でもありま。

架純ちゃんを狙う、蒼太クンの友達・山田裕貴クンや、蒼太クンと付き合ってる佐藤ありさチャンやら、敵対的な演技はほとんどなく、エエ人なとこを演技しはります。

ともすると、エエ人ばっかしやんと、不満も覚えたりするかもしれへんけど、

さわやかさを旨とする、こおゆうタイプの映画には、それらは必須でおましょう。

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さてはて、廣木隆一監督の今年3作目どす。

廣木監督作品は、主に真逆となる2タイプがあります。

大人の映画と、青春さわやか系の映画どす。

モチ、本作はさわやか系どすえ。

1分くらいの長回し撮影は、いつものように繰り出し、

花火シーンや海辺の夕景シーン、自然光・陽光の使い方など、

いつもながらに細部の撮影部に、映画ながらではを、取り込んではります。

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ユニゾン・コーラスによる、GReeeeN(グリーン)の名曲ラブソング「愛唄」が、2人の仲を結ぶような設定で流れるのも、サントラ使いの妙味をカンジました。

片想いが両想いになる、とにかく、メッチャハッピーな恋愛映画どす。

「小さな恋のメロディ」(1970年・イギリス映画)にも似た、純愛さにグッと胸にくるし、

モチ、デートムービーには、最適な作品やと思います。

2015年3月13日 (金)

「イントゥ・ザ・ウッズ」⇒ディズニーのミュージカル

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「シンデレラ」「塔の上のラプンツェル」「赤ずきん」「ジャックと豆の木」の、4話のその後を描いた、本歌取り作品

夫妻映画の中に、新たな進化系を取り込んだ快作品

http://DISNEY.JP/WOODS

3月14日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 DISNEY ENTERPRISES, INC.

「ファンタジア」(1940年・1999年製作・アメリカ映画)は、ディズニー・キャラクター・オールスターズのノリで展開しましたが、

本作では、ディズニー以外のおとぎ話も入れた、全4話を盛り込んだ夫妻の物語。

単なるパロディには辞さずに、各おとぎ話のその後の続編を、後半で展開するちゅう作品だす。

本歌取りやパロディの域を超越して、物語は続くんやーちゅうとこを捉えた、快作になっとりまっせー。

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本歌取りされるんは、人口に膾炙した、有名なおとぎ話ばかりでおます。

グリム童話が有名な「赤ずきん」(写真上から3・4枚目)、イングランド童話の「ジャックと豆の木」(8枚目)、

ディズニー映画で著名な「シンデレラ」(7枚目)や「塔の上のラプンツェル」(6枚目)の4話。

少年少女もの2話に、ヒロイン・ドラマの2話。

これらの話が、みんなが願かけする森を、主な舞台設定として、波乱万丈的に進行してまいります。

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コドモが欲しいちゅう、パン屋の夫妻の話がまずありま。

そこへ、魔女が現れて2人に、コドモを儲けるための、4つの課題を課さはりまんねん。

それは、4つのおとぎ話にまつわる、4つのアイテム入手でおました。

夫妻は4話がシンクロする森に入り、4つの物を獲得せんと、キバらはりまんねん。

2
本歌取りとは申せ、各話は本編の前半で、夫婦の話と共に、並行的に紡がれてまいります。

各話は、映画でも作られとるんで、みなはんもよう分かってはるやろけど、

やはり、それらの話の全貌を、まずは示すことは重要だす。

なんせ夫婦の話とシンクロするとこを、こまめに織りなしつつの、ストーリー進行なんで、

このへんのタペストリーぶりは、妙味と巧緻を極めておました。

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「赤ずきん」ちゃんの、オオカミ役のジョニー・デップ(写真4枚目)、

悪魔役の演技派メリル・ストリープ(5枚目)やら、大物俳優が出て、映画に重みをもたらします。

でもしか、ポイントは、各俳優が、セリフと共に歌うミュージカル部でおましょう。

各登場キャラの、ソロ・パートも多数盛り込んではりまして、

ボク的には、久々に見た、ハリウッド映画の本格派ミュージカルでおました。

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さて、各話完結後に披露される、後半の各話の続編こそ、本作の大いなるキモであり、見どころなんどすえ~。

みんながお互いに罪をなすりつけ合う、歌セリフ回しのシークエンスから、いよいよ続編が始まるでーのノリで、グッとスクリーンの中へ。

各続編は、全てがサプライズある展開でおます。

ネタの一部をゆうと、ジャックにやられた巨人のヨメはんが、リベンジで登場。

さらに、シンデレラと結ばれた王子が、浮気をし…。

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それ以上はチョイ言えへんけど、とんでもない各続編が待っとります。

薄ブルーで、チョイダークな色合いにした、メイン舞台・森の描写シーンは、本作にメッチャ合っとりました。

さてはて、ミュージカルの名作「ウエスト・サイド物語」(1961年・アメリカ)も、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」の、本歌取りをしてはりましたけども、

本作は4作も束ねて、さらに、夫妻映画の新領域へと、踏み出すような会心作でおました。

また、家族一同で安心して見に行ける、娯楽作品でもありましたえ~。

2015年3月12日 (木)

「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」

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暗号解読のヒューマン・ドラマ映画がスリリングに展開

今アカデミー賞では、脚色賞をゲットや

http://Imitationgame.gaga.ne.jp

3月13日のフライデーから、ギャガの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショー。

本作は2014年製作の、イギリス&アメリカ合作映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 BBP IMITATION, LLC

今年のアカデミー賞に、8部門でノミネートされとった作品どす。

いつもながらに、作品賞はヒューマン・ドラマ映画が、多数ノミネートされとりましたが、ボクの直前予想(2月21日付け)では、

戦争アクションのない、過去の戦時下のエピソードは、苦戦傾向にあると書いた通りどして、作品賞は残念ながら逃しました。

でもしか、脚色賞をゲット。話の面白さは、高く評価されとりま。

1
第二次大戦後の1951年の、主人公のゲイ事件捕捉から始まり、主人公と刑事の聴取シーンから、

1939年から1942年くらいまでの、ナチの暗号機「エニグマ」のグループ解読へとカットバック。

さらに、1928年の主人公の高校時代の逸話を、時おり挿入するちゅう、構成パターンとしては、アカデミー賞作品賞方程式の1つに、ハマッとりましたやろか。

4
また、演技賞では有力視される、実話人間ドラマでもありま。

さてはて、エニグマをモチーフにした映画は、そのものズバリの「エニグマ」(2001年製作・イギリス映画)がありましたが、

本作は実話なだけに、暗号解読がよりリアリスティックに描かれとりますし、登場人物たちもキャラ付けが、人間臭くなっとります。

2
エニグマ解読を果たした、アラン・チューリングに扮したのは、ベネディクト・カンバーバッチのアニキ。

昨日分析した「博士と彼女のセオリー」で、ホーキング博士役でアカデミー賞主演男優賞を、ゲットしたエディ・レッドメインと、イギリス俳優対決を演じはりました。

レッドメインと共に、あんまし日本では知られとりまへんが、レッドメインと同じく、ハリウッド大作に出てはるんで、みなはん、ひょっとしたら知ってはるかも。

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ストイックなクールなキャラを終始貫徹。

レッドメインとの差は、その演技の派手さや目立ち度合いの、違いだけやないやろか。

また、本作でオスカー助演女優賞に、ノミネートされてはった、キーラ・ナイトレイのネーさんも、快演技を見せはりまんねんで。

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本作と同じ第二次大戦下ものでは、彼女は既に「つぐない」(2007年・イギリス)で、シックで落ち着いた看護師役を披露。

でもって、本作でもやはり、時には熱くならはるけど、喜怒哀楽を見せながらも、総合的にはシックで上品やったと思います。

いわば、大ヒット作シリーズ「パイレーツ・オブ・カリビアン」(シリーズ第1弾は2003年・アメリカ)やらとは、真逆の演技やと申せましょう。

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ほんで、彼女とカンバーバッチのラブ・ストーリー部も見どころだす。

但し、カンバーバッチは、高校時代の友が忘れられへんゲイどして、そのあたりが2人の愛に、ビミョーな翳りをもたらしまんねん。

でもしか、2人のつながりは、最後まで見逃せまへん。

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さてはて、モチ最大のクライマックス的シーンは、暗号解読のシークエンスでおます。

酒を飲みながら、暗号解読のヒントが見つかり、その後の素早い行動ぶりは、爽快感にあふれておました。

解読メンバーの兄を見殺しにするとことか、メンバーの中にいる、ロシアの二重スパイは一体誰やねんなど、緊張感あるスパイスも、随所に盛り込まれておます。

ちゅうことで、落選したけども、アカデミー賞作品賞級に仕上げた傑作どした。

2015年3月11日 (水)

「博士と彼女のセオリー」⇒夫婦映画の傑作

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激戦本年度アカデミー賞で、主演男優賞をゲット!

「ビューティフル・マインド」と、甲乙付けがたい仕上がり

http://www.hakase.link

3月13日のフライデーから、東宝東和の配給により、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Universal Pictures

今年のアメリカ・アカデミー賞で、実在のスティーヴン・ホーキング博士役をやらはった、エディ・レッドメインのアニキが、主演男優賞をゲットや。

本作は、夫妻映画としても、映画史に残る仕上げぶりや。ちゅうことで、ここで、歴代夫妻映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくがままに披露さしてもらいま。

●ベスト⇒①夫婦善哉(1955年製作・日本映画)②ビューティフル・マインド(2001年・アメリカ)③かくも長き不在(1960年・フランス)

●カルト⇒①本作②妻への家路(弊ブログ3月2日付けで分析)③ぐるりのこと。(2007年・日本)

1
●夫妻・夫婦映画ちゅうたら、これまでにモノゴッツーなタイトル数がござります。

そんな中で、本作はカルトにしてまいましたけど、ベストと比べても、そない遜色のない作りでおます。

日本映画の夫妻映画の雛形を示す、関西版ベスト①と関東版カルト③は、世界3大映画祭に出しても、最高賞をもらえるような大傑作。

家族映画込みの夫妻映画は、ある意味で、日本映画の専売特許やもしれまへん。

片や、洋画に目を転じてみますれば、夫妻のいずれかが、ビョーキになってる系が、ケッコー評価が高(たこ)うおます。

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旦那やヨメが、記憶喪失系のベスト③やカルト②。ほんで、実話をベースにした、ベスト②、カルト①の本作や。

この2作は、夫がビョーキちゅうことで、メッチャシンクロナイズするとこがありました。

ベスト②は、ノーベル賞までもろた夫は、精神分裂の統合失調症やった。

片や本作は、体がマヒする運動ニューロン疾患。

共に夫の方が、エライ病気に罹ってしもて、ヨメが献身的に支えるタイプの作品。

そやから、どっちゃも感動的やねん。

特に本作は、豪華な花火シーンを始めとした、2人の出会いから、結婚、罹病、献身愛、ほんで、夫からの離婚申し出にヨメが応じ…。

プロセスを重視した、ラブ・ストーリーとしての仕上げは、ベスト②より上やろか。

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特に、ホーキンス博士が論じた学説に基づき、ラストで、2人の出会いまで、逆に辿るシークエンスは、絶品どした。

冒頭から、ラストシーンへと通じる、フォーカス・アウトからスタート。

ほんで、1963年の、ブルー・フィルター入りのシーンへと、プレイバック。

過去シーンは主に薄色配色で、照明含むセピア配色も時おりあって、稠密に時代感を表現してはります。

博士が論じた宇宙論、ブラックホール、万物の法則など、壮大な学説に合わせて、

サントラは弦楽オーケストラ、ピアノを駆使、ラストロールでは、ゴージャスな交響曲スコアが、流れてまいります。

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博士役はイギリスのエディ・レッドメインのアニキ、ヨメ役もイギリスのフェリシティ・ジョーンズのネーさん。

日本では無名に近いかもしれへんけど、共にハリウッド大作にも出てはるんで、どっかで見たな~とゆう方は多いかも。

ただ、本作のような、緻密な演技で魅せる映画は、2人共にボクとしても、初めて見させてもろたかと思います。

病気が重くなっていく過程を、リアリスティックに演じたレッドメインは、オスカー主演賞は当然やと申せましょう。

でもしか、フェリシティ・ネーさんの献身演技は、簡単にできそうでいてそうやないもの。不倫部もあるんやけど、全く不倫感を感じさせない、さわやかさやねん。

このあたりも、ぜひチェックしてみてくだされ。

2015年3月10日 (火)

音楽フェス・ドキュメンタリー「メイド・イン・アメリカ」

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ビヨンセのダンナ、ジェイ・Z主催の音楽フェスティバル・コンサート

ヒップホップの最初のヒット・ランナーのランDMC、グランジの雄パール・ジャムも出演

3月11日の水曜日から、3月14日の土曜日まで、ショウゲートの配給によりまして、シネ・リーブル梅田にて、各日1回上映。

本作は2013年製作の93分のアメリカン・ドキュメンタリーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 Anheuser-Busch, LLC All Rights Reserved.

本作は、音楽フェスティバル・コンサートを、描いたドキュメンタリーなんやけど、

音楽ライブ・ドキュを含めて、その種の映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・邦画は除く)をば、披露してみますと…。

●ベスト⇒①ウッドストック 愛と平和と音楽の三日間(1970年製作・アメリカ映画)②ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年・ドイツ&アメリカ&フランス&キューバ)③ラスト・ワルツ(1978年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②ストップ・メイキング・センス(1984年・アメリカ)③ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(2008年・アメリカ)

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●音楽フェス・ドキュの嚆矢(ルーツ)は、ベスト①やと思うけど、ベトナム戦争への反戦が、大いなるテーマになっていたりの、社会性が注目された、ある種の社会派ドキュ。

キューバ音楽に熱く特化し、熱気が凄まじいベスト②。

ほんで、ザ・バンドのラスト・コンサートを、ドラマティックに捉えたベスト③。

ベスト作品には、熱き音楽魂の反映された作品が、メインやけど、モチ、カルトやけど、トーキング・ヘッズの②、ローリング・ストーンズの③共に、熱血のコンサートぶりどした。

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ほな、カルト①にした本作は、どないやねん、なんやけど、

いろんなアーティストが出演するフェスには、大たいテーマやチャリティーやら、イロンナ口実があるんやけど、

そういうのんとは関係なく、純粋に音楽をやろうやんちゅうとこで、やってはるとこに、ボク的には、凄く好感を覚えたんでおます。

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でもしか、いくら売れてるとは申せ、また、ビヨンセの旦那とは申せ、ジェイ・Zとゆう、元ギャングが主催しはる、音楽フェスティバルだす。

本人はんもそのあたりに、引け目みたいなんも持ってはるみたいやし…。

音楽の3大要素の一つ、メロディのないヒップホップが、まさかヒットするやなんてと、本人は思ってたようやけど、

でもしか現実的には、ヒップホップはアメリカの音楽市場では、今やヒット街道の王道だす。

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そして、リーダー&フロントマンのジャム・マスター・ジェイが逝去したとはいえ、ヒップホップの嚆矢やないけど、ランDMCが参加。

ビルボード・チャートで、ヒップホップ最初のNo.1を刻んだ「ウォーク・ジス・ウェイ」(エアロスミス・ナンバーのカヴァー&サンプリング)の、ランDMCのメンバーたちがフェスでライムしはります。

ヒップホップの何たるかを示すだけやなく、ロック、ソウル界からも多数参加しはりました。

特に、ニルヴァーナなきあと、シアトルのグランジ・ロックの雄にして、国民的バンドの地位を築いた、パール・ジャムの参加は、本作フェスを意味あるものにしはりました。

つまり、ジャンル関係なしに、音楽は素晴らしいってとこやろか。

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ロン・ハワード監督にとっては、珍しいドキュメンタリー。

でも、フェス会場の近所に、住んではるおばあちゃんや、出店、警備の人までへのインタビューやらで、このフェスについての意味を、さりげなく問いたださはりまんねん。

このあたりのセンスは、フツーの音楽ドキュと、一線を画してます。

音楽の前では誰もが平等や。そううゆうとこを何気に示してはるようどして、ボクはこのドキュに渋く痺れました。

ちゅうことで、音楽ドキュの新味をば、チビチビ隠し味で、入れてみはった快作どした。

2015年3月 9日 (月)

第二次大戦秘話「パリよ、永遠に」

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戦争にこだわる、フォルカー・シュレンドルフ監督の新作

名作「パリは燃えているか」の裏エピソードや

http://www.paris-eien.com

3月7日から、東京テアトルの配給によりまして、テアトル梅田、京都シネマやらで上映。シネ・リーブル神戸は、3月14日からでおます。

本作は2014年製作の、フランス&ドイツ合作、本編83分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Film Oblige-Gaumont-Blueprint Film-Arte France Cinema

パリ(巴里)がタイトルに入った映画の、マイ・ベスト&カルトなんかを、やろうかと思てんねんけど、後日、「間奏曲はパリで」(4月4日公開)の分析でやりま。

いちおうゆうとくと、本作はカルトの方に入るやろか。

さてはて、本作は戦争映画に、こだわり続けてきはった、ドイツのフォルカー・シュレンドルフ監督の新作でおます。

ハリウッド映画のように、戦場シーンに製作費を、大量投下するようなタイプの戦争ものやなく、

あくまで心理的・象徴的・群像劇的に描く手法でいかはります。

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彼の最高傑作「ブリキの太鼓」(1978年製作・西ドイツ&ポーランド&フランス合作)は、

大人になれない太鼓叩きの少年を、大河戦争ものの中で、狂言回し的にシンボリックに据えて、戦争とゆうものの本質を、見事に捉えはりました。

その後、ジョン・マルコヴィッチ主演で、ナチス兵のさまよいを描く「魔王」(1996年・フランス&ドイツ&イギリス)などを撮り、

ほんで、最近はナチス占領下のフランスの、捕虜処刑の実態を、情け容赦なく描いた「シャトーブリアンからの手紙」(弊ブログ分析済み)に続き、

フランスの緊張感ある、戦時下エピソードを描いたんが、本作なんでおます。

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1944年8月25日。パリを破壊せよとの、ヒトラーの指令に基づき、ナチスのフランス駐在将軍は、パリの各所に爆弾を仕込みます。

そして、爆破の24時間のカウントダウンが、始まりま。

でもしか、不穏なそこを察知しはった、パリ育ちのスウェーデン総領事が、将軍の元を訪れ、ヒトラーのパリ破壊を懐柔してゆかはります。

これは、モチ実話やけど、それをベースにした舞台劇を原作に、映画化しはったもんどす。

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2人のやり取りのアレコレや妙味に、渋く酔える室内劇になっとりまして、

ルネ・クレマン監督の傑作で、ナチスのパリ破壊戦略を描いた「パリは燃えているか」(1966年・フランス&アメリカ)の、裏エピソード秘話でおます。

これまで、変則系で戦争に迫ってきはった監督やけど、

前作の「シャトーブリアンからの手紙」から、小細工なしのストレートなタッチで、実話を紡ぐスタイルでいってはります。

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「シャトーブリアン…」は悲劇的どしたが、本作は大いなる救いがござります。

将軍への説得を果たすまでの、正統論理や弱みに付け込んだりのとこなど、室内劇ながら、ハラハラドキドキの展開で、魅せてくれはります。

主人公役で、先頃逝去したアンドレ・デュソリエはんの、逐一変わるセリフの喋り方は、

駆け引き映画の巧緻な演技性に満ちておました。

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当時のモノクロ映像を、冒頭とラストロール前にもってきて、

また、現代のパリ・セーヌ川を、船に乗っての移動撮影で示し、エピソードを巡るパリ風景が、ドラマティックを膨らませます。

ベートーヴェンの交響曲第7番のダークな響きから、弦楽オーケストラへと前向きになり、

ほんで、ラストロールでは、癒やしあるフレンチ・フィメール・ポップスを流してゆく、サントラの流れも、本作の作品性に、ピッタリどしたえ。

2015年3月 8日 (日)

「映画ドラえもん のび太のスペースヒーローズ 宇宙英雄記」

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SF映画としての、ドラえもんを打ち出した、シリーズ第35弾

ヒーロー映画メイキングのノリを、シリーズで初導入

http://www.doraeiga.com

3月7日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2015

ドラえもんの映評やなんて、今どきオオマジでやる人なんて、まあ、いてへんやろかと思うねんけど、

弊ブログではこれまでも、“ワンパターンにならずに”、に気を付けてやってきよりました。

動物キャラがアニメ化して、主人公・ヒロインとして活躍するちゅうのは、モチ、ディズニーが嚆矢やけど、

現在までに出た分での、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、チョイ挙げてみますと…。

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●ベスト⇒①ドラえもん・シリーズ(第1弾は1980年製作・日本映画)②となりのトトロ(1988年・日本)③平成狸合戦ぽんぽこ(1994年・日本)

●カルト⇒①ライオン・キング(1994年・アメリカ)②ファンタジア(1940年・アメリカ)③崖の上のポニョ(2008年・日本)

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●カルト②やらはオムニバス系やけど、ミッキー・マウスやバンビ、クマのプーさんやらの、ディズニー・アニメの動物キャラ。

確かに、アニメ映画の主人公として出ますが、それらはあくまで、映画としてより、コドモたちを楽しませるために、存在するキャラやったと思います。

もちろん、テレビを含めた日本のアニメも、コドモ向けが主流どした。

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でもしか、映画として見てみると、やはりディズニーより質度の高いのんを、輩出してはるんが、

みなはんの方がよう分かってはるやろけど、スタジオジブリ映画のベスト②③カルト③どす。

大人たちの方こそ、唸らせるこれらの作品は、ディズニーにはないもの。

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ほな、ドラえもんは、どないやねんってなるけど、1980年から始まった、本作の新作を含めた全35作品。

確かに当初は、コドモ向けやったかもしれまへん。

昨年夏公開の3D「STAND BY ME ドラえもん」(弊ブログ分析済み)は、番外編やったらしいけど、映画としても素晴らしい仕上げぶりどした。

ほんで、シリーズの中には、いろんな映画的趣向が凝らされて、毎回コドモだけやなく、大人まで、映画として楽しませてくれてはります。

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35周年記念となる本作は、初めてとなる映画メイキング映画のノリ、ヒーロー映画としての品格、ほんで、SF映画の面白さがある映画になっとります。

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のび太の仲間たちが、ヒーロー映画を撮ろうとやってるとこに、ドラえもんとのび太の参入で、素人的映画は、ドラえもん的ミラクル度でいきまんねん。

映画にふさわしいロケ場所に、バーチャルで変えたり、撮り直しで過去をリセットできたり…。

そのあたりが、クライマックスのネタ部で、大いに機能するんやけど…。

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彼らのヒーロー映画の撮影を見て感動し、自分の星の危機を救ってほしいとゆう宇宙人が、現れましてな、

撮影の延長線のカンジで、みんなは、その星へと演技気取りでイザ、行かはりまんねん。

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ほんで、それが演技やなく、マジな現実やと知らされたみんなは、でもしか、ヤッパ、戦うで~となり…。

それぞれのキャラに合わせた、パワー攻撃の多彩さ・ユニークさ、

敵の目的を探る、各人の緻密なミッションなど、ハラドキがありま。

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敵側がゲスト声優によるキャラたちやけど、観月ありさネーのブルー女、市村正親はんの、ミドリのフニャラ・ボスなど、あんまし強くないけど、異彩に満ちてバラエティーや。

ほんで、ラストで流れる、miwaちゃんの「360°」。

ポップかつポジティブなナンバーで、心地よいフィナーレを迎えられまっせ。

2015年3月 7日 (土)

「世界の終わりのいずこねこ」⇒週末日本映画劇場

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世界の終末映画の在り方とは?

WEBコミックからの、初の映画化作品

http://www.we-izukoneko.com/

http://www.oaff.jp

3月7日の土曜日から、SPOTTED PRODUCTIONSの配給によりまして、K's cinemaで上映。

また、関西では、「第10回大阪アジアン映画祭」(3月6日~3月15日)で、3月9日と3月14日に、シネ・ヌーヴォで上映後、4月11日から大阪・第七藝術劇場、4月18日から神戸・元町映画館、5月2日から京都・立誠シネマやらで上映だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014「世界の終わりのいずこねこ」製作委員会

世界の終末映画ナンチューたら、ボクなんかは、スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情」(1963年製作・イギリス映画)なんぞを、思い出したりするんやけど、

いやはや、モチ、インディーズの日本映画に、そこまでの仕上げは求めてはおまへん。

でもしか、本作を見て、モチ低予算やろけど、ハリウッド大作やった「ポストマン」(1997年・アメリカ)なんかよりは、よっぽどオモロかったがな。

終末後をネタ部で描いた、小松左京原作の「復活の日」(1980年・日本)やとか、

終末後をメインに描いた、ディズニー・アニメの「ウォーリー」(2008年・アメリカ)やとかにも近い本作は、ある種の斬新さも兼ね備えた終末映画どした。

その前振りの設定が、「3.11」であるところは、ちょっと現実っぽくて、少しく首をひねったけど、

その種の映画の中では、破天荒ながら、オリジンあるトンデモ感があって、うなりました。

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2011年の新型の伝染病によりパンデミックに到り、東京が死の街と化し、ほんで、日本政府は大阪に、新東京市を作ったちゅう設定どす。ほんで、2035年の大阪が舞台や。

大阪そのままでエエのに、なんで東京にこだわるのか、わからへんねんけど、東京の人は大阪に移住してきたり、ほんで、さらに地球外では、木星に移住したちゅうことになっとりまして、

ホンマ、頭の中だけで、妄想的に作り上げたことがありありどして、でもしか、そのあたりはWEBでも、コミック原作らしいとこなんやろなと思ったりしま。

カレーライスもオムライスも、木星では食べれるけど、地球では食べれないとことかも、あくまで根拠のない妄想系でおます。

そして、ネコ缶しか食べないヒロインが登場。

妄想系の映画は、彗星の迫る人類滅亡を前にして、ヒロインのドラマへとスライドしてまいります。

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ヒロイン役の茉里ちゃんは、高校生役どして、オカン役・宍戸留美ネーと、元シンガーソングライターのオトン役・いまおかしんじハンと、大阪で暮らしてはります。

また、マンガ原作者の西島大介のアニキが、妙に理屈っぽい先生役やってはるんも、ご愛嬌やろか。

茉里ちゃん以外は、総じて暗めの演技を見せ、終末観らしさを演出していかはりまんねん。

コミックなCGカット、フック的なセピア配色などを配して、ヒロインの、

人類滅亡の終末に背を向けた、熱い歌ゴコロを、クライマックスに持ってきてはります。

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終末映画でありながら、でもしか、全面に出てるんは、茉里ちゃんのアイドル映画のように見えよります。

終末映画を、アイドル映画でくるんでまう。そういうセンスを感じました。

ネットの配信シーンと、写真のように、拡散の返信Eメール文字での視聴者の反応が、画面に字幕で伝えられるとこは、まあ、現代的やろか。

「ニャンニャン」ちゅう言葉を頻出させ、統合失調症なネコ人間らしさを見せ、ほんでもって、歌の披露やがな。

キャッチーなテクノ・ポップ・ナンバー「ジュピターガール」など、きゃりーぱみゅぱみゅやパヒュームも、ビックラコンの、熱唱系のインパクトある歌をば披露しやはります。

ラストのオチも、ありふれてまへん。

ちゅうことで、終末パニックやと思わせといて、ユニークなアイドル・ヒロイン映画の怪作でおました。

2015年3月 6日 (金)

「ゴッド・ギャンブラー レジェンド」⇒17年ぶりのシリーズ新作

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チョウ・ユンファのギャンブル・アクションの名シリーズ

本作ではニコラス・ツェーとの迷コンビぶりを発揮や

3月7日の土曜日から、ツインはんの配給によりまして、シネマート六本木、シネマート心斎橋やらで上映でおます。

本作は「2015春の香港中国エンターテイメントまつり」の、1本として上映されま。

2014年製作の中国・香港合作映画で、本編94分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Mega-Vision Project Workshop Limited All Rights Reserved

香港映画のシリーズもので、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに言いますと…。

●ベスト⇒①本作(1989年製作が第1弾・未公開フィルムと本作を含めて全7作)②燃えよドラゴン(第1弾は1973年、ブルース・リー主演シリーズ)③男たちの挽歌(1986年~1989年・全3作)

●カルト⇒①燃えよデブゴン(第1弾は1980年)②Mr.Boo!(1976年~1978年・全3作)③少林寺(1982年・1983年)

●ベスト②のシリーズ以来、ベスト③カルト③など、やはり格闘やアクションする主人公の、闘いを描いたシリーズが、いかにもな香港映画の、シリーズのようやけど、

でもしか、ユニークなコメディ・シリーズにも、迷作ちゅうか、理屈抜きに、みんなで楽しめる作品があります。

ベスト②のパロディーチックなカルト①、マルクス兄弟ものをパロッたカルト②、ほんで、ベスト①にしたんが、本作のギャンブル・コメディどす。

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実在のギャンブラーをモデルに、

「ハスラー」(1961年・アメリカ)や「シンシナティ・キッド」(1965年・アメリカ)などの、ギャンブル映画のノリだけやなく、

コメディ、アクションと多彩に、繰り広げられるシリーズやったけど、

そのノリをキープして、1997年以来、17年ぶりに蘇ったんが本作でおます。

主人公役は、第1弾からズーッとやってはる、チョウ・ユンファのアニキや。

ベスト①③で主演。ベスト③や「グリーン・デスティニー」(2000年・アメリカ&中国)やらで魅せた、アクション演技に加え、

ギャンブル・シーンやらで魅せる、珍しいコミカルなとこやら、ユンファ・アニキの演技の、レンジの広さを見せてくれはります。

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ほんでもって、ユンファの相棒役には、ニコラス・ツェーのアニキが、メッチャカッコヨク演じてはります。

アクションバリバリの作品もエエけど、こおゆうクールと熱血を併せ持った演技の妙は、彼本来の持ち味やもしれまへん。

また、女刑事役で、「スペシャルID 特殊身分」(弊ブログ2月16日付けで分析済み)に出てやった、ジン・ティエンちゃんが、キリリとした演技を見せてくれはります。

さてはて、トランプやマージャンなどの、ギャンブル・シーン以上に、この「レジェンド」版では、豊富なアクション・シーンを披露して、アクション映画に特化してはるんどす。

カードが凶器になったり、コミカル・アクションの数々、ビルからのパラシュート逃亡、対して女刑事のシリアスさ、自白剤やら、潜入捜査アクトやら、まあ、イロイロありま。

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マカオ・ロケの華やかさに加え、短カットの流れでスリリングに見せたりと、アクション映画を展開する、細部の作りも巧みや。

軽快なピアノ、ダイジェスト・シーンで流れる、ノリのいいフィメール・ポップ、

ラストロールでは、ダンサブルでファンキーなナンバーで、ノリノリのままに締めたりと、

モチ、サントラ使いも、アクション並みに軽快で、快感を呼びまっせー。

2015年3月 5日 (木)

「ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官 最後の戦い」

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中国で大ヒット・シリーズ3部作の、シメの1本だす

車椅子女と狼変身男の、ヒロイン・ヒロイズムな快作シリーズ

3月7日の土曜日から、ツインの配給により、シネマート六本木、シネマート心斎橋やらで、ロードショーでおます。

本作は、2014年製作の、中国・香港合作の本編104分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 BEJING ENLIGHT PICTURES CO., LTD/HONG KONG PICTURES INTERNATIONAL LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

3部作シリーズの第3弾。

前2作は弊ブログで分析しましたが、本作だけを見ても分かりやすい、伝奇時代劇アクションどす。

特殊能力を持った人たち同士が、味方と敵に分かれて対決する構図なんやけど、ポイントはやはりキャラクター設定の面白さが、まず挙げられるやろか。

テイストは、「キョンシー」シリーズ(第1弾は1985年製作・香港映画)やったり、

日本なら「陰陽師」シリーズ(2001年・2003年)や「五条零戦記」(2000年)やら、

時代考証もそれなりにベースとしてありつつも、特殊能力設定で、ある種のSF映画っぽいノリを、加えつつの時代劇仕様。

まさに、これこそが伝奇映画でおましょうか。

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ところがどっこい、時代劇SFとゆう、二律背反なアンビバレンツなスタイルゆえか、目の肥えた映画ファンや映画評論家筋からは、この伝奇ジャンルは、あんまし高評価を得てはりまへんねん。

でもしか、ボクが本作シリーズを見たところでは、3作を通しての感想は、理屈抜きに楽しめる作品でおました。

まずは、キャラ設定を見てみると…。

正義の味方や敵側の全員が、ハンドパワー(=功力・念力みたいなもんやろか)を使わはりまして、それがブルー、グリーン、ピンク、炎なイエロー・セピアなど、多彩なCGカラーで描かれます。

はっきりゆうて、香港アクション的な肉弾戦的根拠のない、荒唐無稽なワザなんやけど、これぞ中国何千年のパワーなんやろか。

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確かに、そのあたりは、マンガチックかもしれへんけど、でもしか、2派の戦いの構図としては、正統系のスタイルやと思います。

頻出するワイヤー・アクションも、リアル感はないけども、アクションの流れの中では、さほど違和感はありまへんどした。

読心術に長けた(超能力も)車椅子のヒロイン(リウ・イーフェイちゃん)、暴発すると狼化してまう主人公(ドン・チャオ君)。

さらに、チーム・リーダーのアンソニー・ウォンが、いつも冷静沈着、敵の攻撃にも平然として、鍋料理に舌鼓みを打ってはりまんねん。

功力を吸い取られても、「無こそが最強だ」と開き直って言わはるし、そのほかのメンバーも、ひと癖もふた癖もあるキャラや。

そんなチームが陛下を保護しつつ、王位を転覆せんとする奴らと対決するちゅう、分かりやすいストーリー展開どす。

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でもしか、陛下はヒロインのオトンを殺した、ヒロインのカタキちゅう設定やったりで、少々の複雑系もまぶしてはります。

そこをアンソニー・ウォンが、「白の中の黒」「黒の中の白」とゆう白と黒の話をすることで、絶妙にヒロインのココロを緩和しはります。

とにかく、シンプルな作りなのに、ケッコー面白い。

それは多彩な色使いや、壮大なオーケストラ・サントラ使いや、男のバラード・ポップスやらも、チョイ貢献しとるやろけど、

ヤッパ、役者たちの群像劇的演技による絡み合いが、オモロサに拍車を掛けておます。

キャラたちがシリーズを推進する。そんな絶好のサンプルどした。

3作で終わらずに、次もあるかもしれまへんので、期待しときましょう。

2015年3月 4日 (水)

中国&香港合作「アイスマン」

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傑作「スペシャルID」に続き、ドニー・イェンのアニキの、本気印アクションが炸裂や~

現代の香港アクションの、粋を示す快作

3月7日の土曜日から、ツインの配給によりまして、シネマート六本木、シネマート心斎橋やらでロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 ZHONGMENG CENTURY(BEIJING)MEDIA CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

好評の特集上映「2015春の香港 中国エンターテイメント映画まつり」の1作として、公開される1本だす。

香港アクション映画は、かつてのブルース・リー・アクション映画以来、格闘技系のアクションが、パブリック・イメージとしてあるんやけど、

本作なんかを見てみると、そういうところは自然に溶け込んどって、別アクションに目がいったりします。

さてはて、本作主演のドニー・イェンのアニキは、日米ではさほどブレイクしてへんけど、香港・中国では、ジャッキー・チェン級どして、

ジャッキー以上に、よりシリアス・アクションをば、アクロバティックに披露しはりまんねんで。

本作もそうやけど、主演・出演作品を中心に、アクション監督もやってはりますんで、ハンパやありまへん。

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もちろん、香港映画伝統のバトル・アクションもやってきはりましたが、最新作の「スペシャルID」(弊ブログ分析済み)など、

刑事アクションとして、バトルから銃撃戦、カー・アクションまで、仕様はハリウッド級の仕上げどして、本作もまた、その例に漏れまへん。

ハリウッド・アクションや、本作以外の香港アクションに魅了された方は、モチ必見どして、

また、過去から現在に、タイムスリップちゅうか、タイムカプセル的装置が、意図的に解除されての、現代への復活アクション劇。

フツーのタイムトラベラーものやありまへん。

それに合わせて、明朝時代と現代とのカルチャー・ギャップやらも、キチンと描き込まれて、天衣無縫・荒唐無稽やない、説得力もあります。

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雪崩の中での、過去の雪上決戦の因縁が、現代に引き継がれて、

白馬に乗ってを含めた、バイク、カー・チェイス・アクションなんかが、ド派手に繰り出されよります。

クラブでの格闘シークエンスや、クライマックスの橋上での3人バーサスやら、バトル・アクションも過不足なく披露されよるし、

ユニークな小細工で、ドッカーンとくる爆破シーンやら、ビルからの壁面逃走アクトなんかの、細部のアクトも盛り立てま。

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一方においては、アクション一辺倒の映画やありまへん。

過去のイェンのオカンとのエピソードなど、薄色にしてみたり、ヒロインのホアン・シェンイーのネーさんとの交流部など、

シンセやピアノを流して、人情っぽかったり、ラブコメチックなとこもありで、アクションに、ヒューマンチックなアクセントを、加えてはります。

さらに、タイムスリップしたイェンのアニキが、現代の女を見て堕落しておると唸ったり、

ハロウィンにラーメンを食ったりと、時にコメディ・リリーフなとこで、ウフフフッちゅうて笑えたりしまっせ。

傑作格闘技映画「激戦 ハート・オブ・ファイト」(ブログ分析済み)での、熱演が記憶に新しい、ワン・バオチャンのアクションに加えてでんな、

香港で大人気の日本女優・蒼井そらネーさんの、カメオ出演もお楽しみやで~。

ちゅうことで、旬な香港アクションを、ご覧くだされませ。

2015年3月 3日 (火)

「オキュラス 怨霊鏡」⇒アメリカン・ホラーの怪作

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「サイコ」以来続く、心理的ホラーの迷妄作

過去の幻想・妄想を、オオマジで追求してゆくでー

3月7日のサタデーから、ショウゲートの配給によりまして、特集上映「未体験ゾーンの映画たち2015」全49作品の1本として、シネ・リーブル梅田で上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Lasser Productions, LLC.

映画館での「未体験ゾーンの映画たち」とゆう特集上映は、ここ数年開催されておまして、

いわゆる、かつては日本未公開フィルムと言われ、

日本上陸=DVDリリースとなっとった作品を、映画館で見てもらうっちゅう趣向の企画でおます。

洋画の未公開フィルムちゅうのんは、毎年日本で公開される分より多いと言われておまして、

そんな中に、トンデモないスグレモノが、ポーンと当たり前のように、入ったりしておます。

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今年の開催上映分では、弊ブログでは既に、バンパイア映画「美しき獣」、ホラー・ミュージカル「絶叫のオペラ座へようこそ」、室内劇SF「ランダム 存在の確率」の3作を、分析いたしました。

いずれも、胸騒ぎを覚える、新味ある作品でおました。ほんでもって、本作どす。

今や激戦区ジャンルでもあるホラー映画に、一石を投じる快作にして、怪作となりましたで~。

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ニュー・ホラー映画には、これまでにない、刺激的な狂言回し物がござります。

例えば、それは「リング」(1978年製作・日本映画)では、“呪いのビデオ”やったんやけど、本作は鏡や。

鏡のせいで、忌まわしい事件が起こったとゆう展開は、オーソドックスやけど、単純に怖いとゆう、シンプルなホラー・イズムに回帰したもんでおましょうか。

鏡と現実のこちら側とゆう2面性。いわゆる二重以上人格なるサイコパスを、意識させてくれはります。

ヒッチコック監督の「サイコ」(1960年・アメリカ)や、「ジキル博士とハイド氏」(1932年・アメリカ)やらの名作も、

本作では大胆に挑戦的に、視野に入っとると申せましょうや。

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オカンを殺したオトンを、殺した弟は、11年も精神病院に入っとりました。

けど、退院の日に、姉はんヒロインが迎えに来はって、11年前の事件の真相を探ろうと、弟をけしかけはります。

ほんで、謎を追う現在と、オトン・オカンが死んだ過去が、カットバックされるようなカタチで、話が進んでまいります。

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サスペンス、ミステリー、ホラーの各要素が交錯。

当時の忌まわしき、くすんだ鏡との再会と、そこから滲み出る、幻覚かトリックかとゆう、迷妄めいたシーンが、映画的照明によるグリーン・トーンやらで、紡がれてゆきよります。

過去と現在の時間軸が、幻想的に同じになってゆく作りは、

この種の映画の方程式では違法的やけど、違法なだけに斬新さも、垣間見れまんねん。

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ほんで、「サイコ」やらに見られる、心理的ホラーの騙しのスリリングが、漂っておりま。

その意味では、鏡とゆう物を使って、ビデオの「リング」的のようでありながら、

心理サスペンス的には「サイコ」チックであるっちゅう、なかなか凝った作りをば、してはりまんねんで。

さらに、定番とも言える、効果音によるショッカーよりも、サントラによる不気味さを、浮き彫りにしたんが良かったやろか。

エレキギター、ピアノ、バイオリン、打ち込み系やらを使いつつ、“ポンパポン”と聞こえる音なんかに、ボクはショックを覚えよりました。

ちゅうことで、ヒッチコック作品にも通じんこともない、怪作ホラーどしたえ。

2015年3月 2日 (月)

中国映画「妻への家路」⇒チャン・イーモウ監督の新作

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チャン・イーモウ監督と女優コン・リーの、熟成のコラボレート作品

記憶喪失系夫婦映画の、極北を示す大傑作や

http://cominghome.gaga.ne.jp

弥生3月6日の金曜日から、ギャガの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらで全国ロードショー。

本作は、2014年製作の中国映画で、本編110分でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved

中国の巨匠チャン・イーモウ監督の、胸ワクワクの新作だす。

本作は、彼のマイ・ベスト・スリーに、入る傑作やと思うわ。

あとの2作は、あまりにもかわいかった、チャン・ツィイー主演「初恋のきた道」(2000年・アメリカ&中国合作)、

コン・リーの攻撃的演技で、度肝を抜かれてしもた「秋菊の物語」(1992年・中国&香港)。

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女優とのコラボレートが、メッチャ印象的な、ちゅうより、凄みある監督はんなんやけど、

高倉健さんや、香港の人気男優との作品も、忘れがたいものを撮ってはるけど、

でもしか、最もスゴイのは、コン・リーのネーさんとの、監督・主演作品だす。

特に、夫妻映画。本作のような、「秋菊の物語」の演技とは真逆で、ほんでもって、対も成す、弱・弱者演技の粋。

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世界には夫婦映画はいっぱいあるけど、夫妻のどちらかが、記憶喪失系の夫婦映画ちゅうたら、どないやろか。

マイ・ベスト・スリーは、本作はモチ入れて、「かくも長き不在」(1960年製作・フランス映画)、「私の頭の中の消しゴム」(2004年・韓国)やろか。

でも、戦争などの衝撃的な事件があっての、記憶喪失になってもうたっちゅうのは、ドラマティックでもあり、重みもシビア度合いも違いよります。

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ヨメはん役のコン・リーが、記憶喪失になる前の描写が、ビビッドで説得力がメッチャあります。

単に記憶をなくしたり、アルツハイマーやった、ちゅうようなとこやありまへん。

戦時とも取れる、中国の悪革命・文化大革命の時代に、反抗分子やった夫を、守るべく必死のパッチで、行動しはったコン・リーやけど、

ここのとこは、ビビッドな臨場感あふれる演出ぶりで…、

ほんで、結局、夫は当局に拘束されてもうて、長ーい間、会えなくなってしもた。

その間に、彼女は、心因性記憶喪失になってまうんだす。

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文革が終わってダンナが帰ってきても、ヨメのコン・リーは、ダンナやとは認められへんのどす。そないな病気だす。

2人の娘はんのチャン・ホゥイウエンちゃんは、そんなオカン・オトンを、ハラハラの感じで見守らはります。

夫はヨメの記憶を戻すべく、イロイロな作戦を練り、実行しはるんやけど…。

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ベテラン俳優の、夫役チェン・ダオミン。

まさに渋き演技とは、何ぞやを示す演技ぶりで、終始、彼に寄り添ってハラドキで見られます。

また、娘はん役のチャンちゃん。チャン・ツィイーのかわいさに、少しキリリが入った演技。これからも期待できる、快演技ぶりどした。

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とりわけ夫が戻ってきてからの、心理的にもゆるりとスリリングな展開が、メッチャ素晴らしく、

そして、記憶に残る、名ラスト・シーンへと、つながってまいります。

意図的作為的に見える、このラスト・シーンやけど、

でもしか、ハリウッド映画の往年の、ハッピー・エンドにはない、愛の凄まじきカタチが見えて、強烈な印象を残してくれはります。

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文革を背景にした映画としても、「太陽の少年」(1995年・中国)と双璧を成す、中国映画どすやろか

サントラ的には、ピアノ・ソロの哀愁が、ことに胸に響いてまいりました。

泣きを意図せずとも、自然に泣けてくる、そんな感動的な映画になっとります。

2015年3月 1日 (日)

「ソロモンの偽証 前篇・事件」⇒日曜邦画劇場

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宮部みゆき原作の究極の、学園群像ミステリー映画

21世紀のアイドル映画としての、センスにも注目だす

http://www.solomon-movie.jp

マーチ3月7日の土曜日から、松竹の配給・2部作の前編として、全国拡大ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015「ソロモンの偽証」製作委員会

いきなりやけど、学園ミステリー日本映画の、歴代マイ・ベスト&カルト(各順不同)をば披露いたします。

●ベスト⇒①告白(2010年製作・弊ブログ分析済み)②時をかける少女(1983年)③転校生(1982年)

●カルト⇒仮想暫定で①本作②カミュなんて知らない(2008年)③ねらわれた学園(1981年)

●本作は解決編とも言える後編も、見てみいへんことには、総体的な評価は下されへんねんけど、

こおゆうミステリー映画を、前編の本作・問題編と後編・解決編に分けて、製作されたちゅうのんは、

前代未聞、映画史上初のことでおます。

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前編だけの評価で、暫定やけど、マイ・カルトの①位にしましたけども、学園ミステリー映画としての質度も高く、同じ中学校ものとして、ベスト①と似たテイストがあります。

ベスト②③カルト③は、高校ものでSFテイスト、カルト②は大学もので、形而上的どして、

本格ミステリー度合いは、ベスト①のインパクトも凄いけど、途中経過としては、本作の方が上回っとるかもしれまへん。

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でもしか、問題編・解決編の2部構成やったら、犯人当ての賞金公募をしたら、もっと売れるんと違うやろかと思うけど、

でもしか、本作は映画オリジナルやなく、宮部みゆきの、既に発表されとる小説の映画化どす。

本人の許可を得ない限りは、犯人を勝手に変えることはできまへん。

なぜ2部構成なのかと問われれば、やっぱり長編やったからになるんやろか。

「模倣犯」(2002年)は、でも、2時間くらいの作品やったけども…。

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この公開日を離した、前後作上映は、テレビのない時代の「君の名は」(1953年・1954年)やらとは違い、

前を見てへんと、決して後は見れへんちゅう、大いなるマイナス・ポイントがござります。

意図的なところがないならば、前後同時上映がエエやろけど、そないなると、4時間以上の作品になり、映画館で日に何度も回せないっちゅう、弊害が出てまいります。

また、大長編の原作を、2時間くらいの映画にしてまうと、「模倣犯」みたいに、中味の薄いものになってまいます。

ちゅうことで、苦肉の策なんやろけど、でも、ゴールデンウイークの言葉を作った、映画黄金時代の1950年代にあった、こおゆう上映形式は、

ヒットの1つの、ヒントになる、上映形態やもしれまへん。

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21世紀の現代。

東京ミステリーの巨匠・宮部みゆき原作だけに、いきなり、東京スカイツリーを見せる、校庭のロングショットから始まります。

OGの尾野真千子ネーが、現校長の余貴美子はんを訪ねてくるところから、映画はスタート。

真千子ネーの、過去の追想とゆうカタチで、話は始まります。

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事件の起こった1990年の12月25日から、1991年にかけての話どして、

ネット、ケータイ、防犯カメラやらがない時代でおます。

男生徒の死体を、2人の生徒が発見。カメラの俯瞰撮影が、衝撃を与えよります。

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1人の生徒の死が、徐々に波紋を呼び、遂には、生徒たちの裁判で犯罪者を、あぶりだしたいとなる展開は、

大いなるクエスチョンがあるものの、ドラマティックな展開ではありました。

ヒロイン名と同じ芸名で主演する、藤野涼子ちゃんを始め、オーディションで選ばれて、次代のアイドル・スターが、多数出演してはります。

これぞ学園ドラマの粋とも、言えるところやろか。

さらに、黒木華、永作博美らの演技派の、ひと癖もふた癖もある演技が、作品のミステリアス度をば、増してゆきよりまんねん。

果たして、真犯人は誰やねん? 

原作を読み切ってへん方、映画を見てから読む方は、後編をお楽しみくだされ。

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