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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2015年1月の記事

2015年1月31日 (土)

2015年洋画邦画マイ・ベスト⇒1月下旬時点でのベスト・スリー

刻々と変わる、洋画・邦画マイ・ベスト・スリー&プラス・アルファを、ひと月ごとに、ご報告いたします

その第1回目はどないやろか?

選=映画分析評論家・宮城正樹

●日本映画ベスト

①チョコリエッタ(1月11日付けで分析)

1
②味園ユニバース(2月14日公開・明日分析いたします)

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③でーれーガールズ(2月21日公開・後日分析いたします)

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●外国映画

①薄氷の殺人(1月5日分析済み)

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②妻への家路(後日分析いたします)

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③激戦 ハート・オブ・ファイト(1月17日分析)

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●それ以外で、邦画で気になる映画は、

「さよなら歌舞伎町」「スキマスキ」「ワールドワイドエンド」「ジヌよさらば」「くちびるに歌を」「サムライフ」あたり。

洋画では、

「ジミーとジョルジュ」「シン・シティ2」「ビッグ・アイズ」「愛のタリオ」「タチャ」「KANO」あたり。

各マイ・ベスト・スリーについて、ひと口的コメントをば申しますと…。

邦画①③は、女性監督によるもので、女性監督にしか撮れないような、センスある作品どした。

邦画②は関西モノ音楽映画として、かつてない仕上げぶり。

そして、洋画ベスト。

アジア映画、特に、中国・香港映画に傑出した作品が、ドッカーンとありました。

雰囲気あるミステリー映画①、夫妻映画の妙味②、格闘技映画のイメージを変えた③。

ちゅうことで、今後は、毎月末に、

その時点での、邦洋マイ・ベストを、披露させてもらいます。

「マンゴーと赤い車椅子」⇒週末日本映画劇場

1
ビョーキ系映画の定番系をいきながら、好感度ある着地へと…

元AKB48の秋元才加と、「三代目J Soul Brothers」のNAOTOが共演

http://www.akaikurumaisu.com

2月7日の土曜日から、アイエス・フィールドはんの配給によりまして、全国順次のロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「マンゴーと赤い車椅子」製作委員会

ビョーキ・ハンデを背負った、人間のドラマ日本映画ちゅうたら、そら、モノゴッツーなタイトル数があり、

みなはんの中には、またかいやーと思わはる方も、いてはるやろな。

事故による、脊髄損傷系でゆうたら、加藤晴彦がやった「AIKI」(2002年製作)なんぞがあるけど、

本作は、卒業済み元AKB48の、秋元才加が、女の立場から巧妙に演じてはります。

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不治の病も含むビョーキ系の、しかもアイドル系の入った映画としては、こりゃまった、これまでにいっぱいあんねんけど、

秋元才加のネーさんは、アイドル系よりは、もっとずっとリアリティーあるシリアス系どした。

病気になって入院して、やがては死にゆくタイプ、ちゅう定番とは、大いに違っておます。

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ヒロインは、リハビリのイロイロ、いろんな人との関わりで、前向きになってゆくんやけど、その作りはありきたりのようでいて、少しく違っとりました。

そのポイントは、ラブ・ストーリー系に流れそうな、「三代目J Soul Brothers」のリーダーの、NAOTOとの、絡みやありまへんどした。

ヒロインが車椅子でいく、シーンのイロイロとか、

特に久々に見させてもろた、ヒロインのオバン役・三田佳子はんとの絡みは、感動ポイントどした。

7
三田佳子はんの演技は、いつもながらのカンジやったけど、

ヒッチコック監督「間違えられた男」(1956年・アメリカ)の、主題歌となった「ケ・セラ・セラ」を聞くとことか、

トランペット・サントラで、ドラマティックに演出された、ヒロイン孫娘役の、秋元才加ネーとの再会シーンなど、

三田はんの目立ち度合いも、本作の重大なキー・ポイントになっとります。

3
サントラ的をゆうたら、

日本のトレンディー・ドラマの主題歌にもなった「サイレント・イヴ」で有名な、辛島美登里ネーさんの、

新作ピアノ弾き語りバラード「名前のない空」の、ウットリ感。

ラストロールで流れる、「もののけ姫」(1997年)の主題歌で有名な、米良美一の、クラシカル・スタンダードな「Truth」など、

感動的な、歌ものの使い方は秀逸どした。

さらに、音楽監督・難波弘之はんが、ピアノ、チェロ、バイオリン、トランペット、ギター、バンド・サウンドなどを駆使して、

印象深いシーンに映えるような、サントラを作ってはります。

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ダイジェスト・シーンのリズム感、スクリーンハミ出しクローズアップ、才加とNAOTO2人の、ラブ・シーンの作りなど、映画的にグッと、乗れるシーンも満載どす。

ほんでもって、本作は、地方ロケーション映画でおます。

鹿児島ロケ映画どす。

地方ロケ映画の系譜やベストについては、また、のちに披露しようと思とります。

また、47都道府県の甲子園的ロケ映画対決も、いつかやろうかと…。

でもしか、本作は鹿児島県ロケ映画としては、マイ・県代表映画になってもおかしゅうない作品でおました。

ほんでまた、本作は、ヒロイン映画としても、朝ドラ的に、みんなの好感度の高い快作でおました。

2015年1月30日 (金)

ジョニー・デップの新作「チャーリー・モルデカイ ~華麗なる名画の秘密~」

1
ジョニデ、「パイレーツ・オブ・カリビアン」な、コミカル・ハード・アクションに挑むの巻

美術商役やけど、騙しのコンゲーム・ノリの快作になっとるで~

http://Mortdecai.jp

フェブラリー2月6日のフライデーから、KADOKAWAはんの配給によりまして、全国超拡大ロードショーだす。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで上映。

本作は2015年製作の、本編107分のアメリカ映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 Lions Gate Entertainment Inc.All Rights Reserved.

ジョニー・デップの新作でおます。

ジョニデ以降の今までのハリウッド男優で、目立った人は、そない輩出されとりまへん。

言うならば、51歳のジョニデで、ハリウッド男優(あくまで人気男優・あくまで日本限定)は、停滞しとるような状況でおます。

ボク的には、なんで止まっとんねん。ほんで、なんでジョニデやねん。ゆう疑問が、ズーッと付きまとっておました。

9
ジョニデ限定のブログまで、ケッコー人気やし、おいおい、いつまでジョニデやねん、なんて思うけど、

本作を見てふと思ったんは、こいつは「寅さん」の、ハリウッド版なんやないかな、ちゅうとこでおました。

初期には映画史に残っても、おかしゅうない傑作に出てはりました。

そのほとんどは、ティム・バートン監督作品やったと思うけど、

でもしか、彼が演じてる作品は、ほとんどがシリアスやなく、コミカル、もしくはファンタジー・モードなんが大がいどした。

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レオナルド・ディカプリオの、守りをした家族ドラマ「ギルバート・グレイプ」(1993年・アメリカ)や、

大御所アル・パチーノと絡んだ「フェイク」(1997年)の潜入刑事役など、シリアスもんもエエんやけど、

ジョニデの作品で売れてんのは、あくまで、シリアスよりは、ドハデなアクションはあっても、コミカル・ファンタスティックなノリ入りのものやないやろか。

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そこには、ジョニデのお茶目やカワイサが、随所に反映しとります。

アメリカン・ヒーローを体現する、正義派系のシリアス・モードや、正攻法の肉体アクション系が、これまでのハリウッド男優の系譜やったかと思うけど、

実は少しく、そんな王道路線から逸れてんのが、ジョニデなんやないやろか。

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ジョニデ以降にも、いっぱいハリウッドの若手俳優は次から次へと出てるんやけど、

日本でトレンディーになれないのは、イケメンかどうかも古来から、ポイントにあるかもしれへんけど、

実のところ「寅さん」的な親しみや、身近さの無さやないやろか。

そんな在り様を、ジョニデが遺憾なく発揮したんが、本作でおましょうか。

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香港から始まり、ロンドン、ロシア、アメリカと、ワールド・ワイドに、広がってまいります。

トム・クルーズ主演の、大作アクション・シリーズものと比べても、決して遜色はありまへん。

カー・アクトあり、追逃劇、銃撃、格闘と続き…。

ドハデ感よりもタイト感、ベタよりもアッサリ、モチ、ユーモラスも含め、サスペンス感よりも、すぐに分かってまう、分かりやすさの、積み重ねなど、

コドモから大人まで、楽しめる作りがよろしおま。

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それまでにもヒット作はあったけど、おそらく「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(2003年~2012年・アメリカ)が、

ジョニデの演技性の、ターニングポイントやったんやないやろか。

はっきりゆうて、映画評論家的な見解からは、21世紀のジョニデには、評論家受けする傑作は、そないありまへん。けども…。

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コンゲーム・ノリの本作は、ドガの絵画の名画をキーにしもってでんな、

シリアスな「華麗なる賭け」(1968年・アメリカ)とは違った、ユニークさを打ち出し、家族一同で見に行ける、娯楽作品になっとりまんねん。

コンゲーム映画としても、クライマックスのオークションまで、展開がスルスルといくけど、意外性がいくつか配されておます。

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チャップリンのような、チョビひげの、美術商役のジョニデ。

夫妻映画部としてのコミカル、

ほんで最後には、ハリウッド・ラブ・ロマンを見せる、グゥイネス・パルトロウ。

コミカル・アクションのキモで魅せる、ジョニデの用心棒役のポール・ベタニー。

ジョニデとは、オックスフォード大学で同窓やったけど、今はマジな刑事になっとる、ユアン・マクレガー。

それぞれが演技する、シリアス・コメな演技ぶりにも、ご注目あれ!でおます。

2015年1月29日 (木)

チョン・ウソン主演韓国映画「愛のタリオ」

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復讐映画の多い韓国から、新たな恐るべし作品が、本邦上陸

「眼には眼を」な女の、男への復讐劇が、壮絶に展開!

http://www.ainotalio.com

2月7日の土曜日から、CJ Entertainment Japanの配給によりまして、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2014年製作の本編112分の韓国映画。「R-18+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 CJE&M Corporation, All Rights Reserved.

韓国映画は実は、こんなことゆうて何やけど、復讐映画の宝庫でもあります。

そんな韓国映画の、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)を申し上げますと…。

①本作②オールド・ボーイ(2003年製作)③悪魔は誰だ(2013年・弊ブログ分析済み)④サマリア(2004年)⑤テロ、ライブ(2013年)

1

●誰がヤラれ、エライ目に遭わされたことに対する、復讐やねん、ちゅうとこでは、

元来、復讐映画は娘や妻や父など、家族がポイントになっとるのんが、多いように思われます。

また、恋人の復讐も、ケッコーありま。

でもしか、本作みたいに、女の男への復讐映画は、多いようでいて、案外希少価値があるようどす。

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②の監督パク・チャヌクは、復讐映画をいくつも撮ってはりますが、その復讐のやり方などに、オリジナリティーあるところやらに目がいくんやけど、

本作は小細工なしの、観客にも、最初からよく分かる、ストレート系でヤッてはります。

まあ、ゆうてみたら、欧米の復讐映画でも、直系は多いけど、悪女としての「危険な情事」(1987年・アメリカ映画)や、

正義としての「キル・ビルVol.1」(2003年・アメリカ)の、中間色みたいな感じやろか。

3
女の男への恨み節では、ある意味で、日本映画では、「東海道四谷怪談」(1959年)や「リング」(1998年)など、ホラー映画として、機能したりしとりますが、

でもしか、本作も身内が震えてまうようなホラー色は、確実に存在しとります。

ほんでもって、いわゆる、復讐の復讐とゆう次元も、代理やけど、展開しはるんどすえ。

復讐のやり合いが、スリリングに展開した「眼には眼を」(1957年・フランス)のサスペンス感ある、このあたりが本作のオリジンやろけど、

さらに、ラブ・ストーリーとしての、どんでん返しもあって、強烈なインパクトを与えてくれはります。

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前半は、復讐すべきとゆうところの原因部が、不倫愛、裏切りとゆう展開で、みなはんにスゴク納得できる形で、分かりやすく描かれてまいります。

このあたりは、不倫映画のプロトタイプ的な形で紡がれるんで、みなはんの感情移入度も、モノゴッツー高いかと思います。

被害に遭うイ・ソムのネーさんの、かわいそうやんちゅうとこが、存分に描かれとるんどす。

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そんな彼女の復讐相手役の小説家役に、チョン・ウソンのアニキが、好感度ある汚れ役として、演じ抜かはりました。

ある意味、日本で一番ヒットした韓国映画の「私の頭の中の消しゴム」(2004年)でも、

汚れ度は本作よりは、ゆるやかやったけど、好感度は高(たこ)うおました。

イ・ソムのネーさんを裏切る、女にだらしない役なんやけど、

男のボクが見とっても、何や知らん憎めない。

たぶん、後半でお気の毒なくらいに、エライ目に遭ってまうんで、そのあたりも影響しとるんかもしれまへんな。

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さてはて、チョン・ウソンと絡む、女優の2人。

イ・ソムのネーさんは、観覧車や部屋でのセックス・シーンを始め、かなりと演技性を試されるキャラどす。

後半で示してくれはる、冷酷なカンジなど、ココロ冷え冷えとなりまっせ。

片や、日本に売られてまう、ウソンの娘役のパク・ソヨンちゃん。

汚れ役なのに、でも、あくまでアイドルチック。

「レッド・ファミリー」(2014年・弊ブログ分析済み)でも、アイドルっぽいけど、そうやないとこをば見せはったけど、

本作でも、そこんとこは、キチンと演じてはりまんので、要注目どすえ。

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さて、本作の監督は、イム・ピルソン監督。

「南極日誌」(2005年)は、ホラーチックな南極探検に、身を凍らせてもろたけど、

本作では、復讐心と熱烈な愛もある、女ゴコロの在り方に、「危険な情事」に、勝るとも劣らない震えを、覚えましたがな。

でもって、究極の愛のカタチも、紡いだ映画とも取れましたで。

ちゅうことで、大人のデートムービーとして、打ってつけの作品でおます。

2015年1月28日 (水)

「トレヴィの泉で二度目の恋を」⇒アメリカン恋愛映画

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映画デビュー60周年のシャーリー・マクレーンの、ウフウフなラブ・ストーリー

フェリーニ「甘い生活」に、トリビュートした逸品や~

http://www.torevinoizumide.com

2月7日のサタデーから、アルバトロス・フィルムの配給によりまして、テアトル梅田、京都シネマやらで、全国順繰りのロードショー。東京では、1月31日より公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 CUATRO PLUS FILMS, LLC

シャーリー・マクレーンはんて、みんな、知っとるかー。

クリストファー・プラマーはんて、みんな、知っとるか~。

この2人の、いわゆる老いらくの、恋愛映画ちゅうんが、本作でおます。

そんなシャーリーはんの、まずは、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露いたします。

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●ベスト⇒①アパートの鍵貸します(1960年製作・以下の引用は指定以外は、全てアメリカ映画)②愛と追憶の日々(1983年)③愛と喝采の日々(1977年)

●カルト⇒①本作(2014年)②ハリーの災難(1955年)③バーニー/みんなが愛した殺人者(2011年・弊ブログ分析済み)

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●1960年代から1980年代にかけ、正統派女優系の演技を続けて、アカデミー主演女優賞ベスト③に、輝かはったシャーリーはんやけど、

でもしか、変局系の演技にも、おいおいな演技を見せてくれはりました。

ヒッチコック監督とのデビュー作となった、カルト②からして、そんな変局系を示してはりまっせ。

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そして、21世紀以降は、年齢的にも、老女演技となるんやけど、決して老女らしい演技はしてはりまへん。

「イン・ハー・シューズ」(2005年)での、孫娘キャメロン・ディアスとの絡み、カルト③での、被害者役のミステリアスなキャラ。

ほんでもって、本作では、往年のハリウッド・ラブ・ストーリーの晩年版を、余裕綽々で演じてみせはる凄みやがな。

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彼女のお相手はクリストファー・プラマーはん。

「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年)の、オトン役でブレイクしはって、以来、名バイ・プレーヤーとして、いろんなアメリカ映画に出演。

ほんで、本作で初のシャーリーはんとの、初共演でおます。

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ガンコなプラマーと、積極的なシャーリー。

そんな2人が、ラブラブになってゆくプロセス描写は、往年のハリウッド恋愛映画ばりのもんがありました。

いわゆる、ロマンティックどすか。

そのポイントとなるんは、シャーリーがゾッコンの映画、フェデリコ・フェリーニ監督の「甘い生活」(1960年・フランス&イタリア)でおます。

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シャーリーには、「甘い生活」の、主演女優アニタ・エクバーグになりきって、彼氏とローマへ行って、同じシチュエーションで、ヤッてみたいちゅう夢がありまんねん。

それは、トリビアの泉のシーンどす。

「甘い生活」を見てへん人には、何じゃそら~やけど、まあ、無料で見れる機会もあるはずなんで、「甘い生活」をチェックしてみておくんなまし。

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フェリーニ作品へのトリビュートは、邦画「チョコリエッタ」でもあったけど、

本作では、ネタ部にも関わるくらいの、濃厚な作りでおました。

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スイスイと進んでゆく、老いらくの恋物語ながら、

プラマーはんの娘役の、マーシャ・ゲイ・ハーデンの、一筋縄やない渋演。

「甘い生活」では行われなかったらしい、ローマ・ロケを敢行。

そして、ラブ・ストーリーとしてのキモとなる、どんでん返しなど、胸にズキーンとクル作品どす。

ちゅうことで、本作を見て、シャーリーはんの過去の作品を、ぜひ見てみたいと思えるような、そんな作品になっとりまんねんで~。

2015年1月27日 (火)

「バベルの学校」⇒フランス産学園ドキュメンタリー

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いろんな国の生徒たちの、白熱の論議ぶり

押しつけがましくない、先生と生徒たちのキズナが胸に

http://www.unitedpeople.jp/babel/

1月31日のサタデーから、ユナイテッドピープルの配給によりまして、新宿武蔵野館、渋谷アップリンクやらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸPyramide Films

学園ドラマ多々あれども、多国出身にわたる生徒たちが集まって、おのが実情と希望を話す映画ちゅうのは、まあ、あんましありまへん。

ほんでもって、本作は、ボクはネイチャー・ドキュ以外、あんまし見たことがない、フランス製作のドキュメンタリーでおます。

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学園ドキュそのものを、ボクはあんまし見たことがないんやけど、ドラマ映画として、生徒たちの群像劇として見ても、全然、違和感のない作品でおます。

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実話系のドラマ映画でゆうたら、校内銃撃事件を描いた「エレファント」(2003年製作・アメリカ映画)やらがあるし、

イロイロな問題入りの学園映画は、各国でいくつも作られてまいりました。

でもしか、本作の最もオリジナリティーなとこは、世界各国の各生徒たちの話を、本人の口から発せられたものを中心に、構成してはる点やろか。

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そんな各生徒たちの話は、それぞれをドラマ映画化してもエエくらい、ドラマティックやったり、泣きのあるもんでおます。

寡黙な中国娘、学期途中でみんなと別れることになる、明るく前向きな女生徒、友達は誰もいないとゆうセネガルの娘、

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マンガを書いてるチリの男の子、コーランを手離さないモロッコの男子、歌手になりたいと言う、ウクライナの女の子、アスペルガー症候群に罹ってる、アイルランドの生徒、女性器切除問題のあるギニアの子など、

ホンマに色んな子の話が、描かれてまいります。

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フランスの高校では、適応クラスと普通クラスの2つがあり、本作で描かれる多国籍なコドモたちは、異質な適応クラスになっとります。

生徒たちのダイジェスト・シーンなど、タイトにリズミカルに進行するとこもあるけど、やはり、ポイントは、生徒たちの悩みや主張どす。

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各生徒たちの話を始め、それを皮切りに、

いろんな生徒間の論議に、発展してゆくところは、本作の最大の見どころやと思います。

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宗教に関するディスカッションなども、リアリティーと説得力あるシークエンスになっとります。

各人のクローズアップ・シーンも、畳み掛けるようなサスペンス感がありま。

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サントラ使いは、ピアノ、アコーディオン、笛、バイオリンやチェロの弦楽なんぞを、

ソロやオーケストラやらで、多彩に流して、話に軽快なリズムを刻まはります。

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学園ドラマやなくて、学園ドキュやちゅうんで、見る前は少し不安があったんやけど、

見てみると、あくまで正統系の、好感ある学園映画でおました。

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今さらながらやけど、学園ドラマ映画は多々あるんやけど、

こういうドキュで見る学園ものも、オツなもんやなーと思いました。

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先生と生徒たちが、抱き合ってのシーンは、これまでにもイロイロあったかとは思うけど、

ヤッパ、泣けるシーンのイチバンでおました。

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ちゅうことで、ドキュ学園青春映画とゆう、新たなジャンルを切り拓いた快作どす。

2015年1月26日 (月)

全10作収録「武智鉄二全集」DVD-BOXプレゼント

「エマニエル夫人」に肉迫する、

ハードコア・ポルノの快作「白日夢」「華魁(おいらん)」などの、セル・オンリーな作品を、

1名の読者にプレゼントします。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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★プレゼントDVDボックス・ボリューム

☆『武智鉄二全集 異端の美学』DVDBOX  Vol.1、Vol.2

Vol.1⇒●白日夢'64●白日夢'81●源氏物語●日本の夜 女・女・女物語●紅閨夢

Vol.2⇒●黒い雪●華魁●浮世絵残酷物語●戦後残酷物語●白日夢2

各14,000円(税抜)・発売中(発売元:彩プロ・販売元:東映ビデオ)

公式ホームページ

http://www.takechitetsuji.com

■応募の要領⇒2015年1月31日午後10時までに、件名欄に「武智全集希望」とお書きになり、住所・氏名・年齢・電話番号を明記の上、下記アドレスに送信ください。

抽選で1名様に『武智鉄二全集』DVDBOX Vol.1&2をプレゼントいたします。但し、18歳未満は応募できません。

「個人情報保護法」に基づき、抽選後は速やかに、応募メールは削除いたします。発表は発送をもって、代えさせていただきます。

miyagi.j@nifty.com

各作品は1月12日~1月16日にかけて、分析いたしました。1月のバックナンバーを、ご覧ください。

ちゅうことで、武智鉄二監督全10作品の中で、映画的正統系のマイ・ベスト・スリーと、ヤラシー度合いの高いカルト・スリーをば、言いますと…。

●映画的正統系ベスト

①黒い雪

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②戦後残酷物語

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③紅閨夢

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●ヤラシー度合いベスト

①白日夢'81

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②華魁(おいらん)

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③白日夢2

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●本番ヤッテるハードコア・ポルノが、順当にちゅうか、マットーに、ヤラシー映画の、マイ・ベスト・スリーになったけど、

でもしか、今どきのAVでは、決してあり得ない映画的な作りは、モチ当然なんやけど、

例えば「キネマ旬報」の年間ベストテンでは、

武智の全10作では、「白日夢'81」だけが、1人の投票者が1票入れただけで、

映画評論家を称する、ちゅう選考委員の誰もが、入れてはりまへん。

でもしか、マイ・ベスト・スリーは、当時のベストテン入り映画と比べても、決して遜色がないちゅうか、

ベスト・スリーに選ばれても、おかしゅうない傑作です。

映画ファンには、ベスト①~③を、映画も楽しみたいけど、

大人の楽しみも味わいたい方には、ヤラシー・ベスト①~③をおススメいたします。

ちゅうことで、みなはん、どしどしと、ご応募くだされませ。

2015年1月25日 (日)

青春ラブコメ「スキマスキ」⇒日曜邦画劇場

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劇団EXILEの町田啓太と、セミ・ヌードな佐々木心音のラブ・ストーリー

男女視点を過不足なく捉えた、恋愛映画の快作どす

http://sukimasuki.com

2月7日の土曜日から、AMGエンタテインメントはんの配給によりまして、シネマート六本木、シネマート心斎橋やらで、全国順繰りのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 宇仁田ゆみ・小学館/「スキマスキ」製作委員会

洋画ではラブコメは、多数出回っておりますが、邦画ではどないやろか。

どちらかとゆうたら、ラブコメ邦画は、ボク的には、カルティックな仕上がりの作品に、魅せられとりまして、

ちゅうことで、ここで、その種のラブコメ邦画の、マイ・カルト・ファイブ(順不同)をば、披露いたしますと…。

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①本作②愛と誠(2012年製作・弊ブログ分析済み)③のだめカンタービレ(2010年・2011年・分析済み)④どっちにするの。(1989年)⑤恋と花火と観覧車(1997年)

●マイ・ベストとなりよります、寅さんの喜劇ながら、ラブコメ要素が、非常に高いと思う「男はつらいよ」シリーズとかが、オーソドックスやけど挙げるんやけど、

マイ・カルトは、あくまで日本的ながら、ユニークなオリジンあるもんにしました。

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ミュージカル仕様の②、本格的クラシック音楽ムービー色もある③、中山美穂や宮沢りえを配した、アイドル映画ノリの④、群像劇の⑤。

ほんでもって、本作は裏的青春恋愛映画のノリが、メッチャ好感を呼ぶ仕上げになっとりました。

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「劇団EXILE」の町田啓太クンが、向かい合うマンションの部屋で、スキマを通して(いわゆるピーピング=のぞき)、

向かいの女の子(佐々木心音ちゃん)に、一目惚れゾッコンになる映画どす。

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前半は、町田クンの視点で描かれるんやけど、彼女と一緒に行った飲み会以降は、彼女の心音ちゃんの視点に変換。

彼女も彼の部屋を、のぞいてたちゅう、サプライズ・ポイントへ。

さらに、中村映里子ちゃんとの、三角関係も描かれたりと、ドラマは面白くなってきよります。

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でもしか、モチ、町田クンと心音ちゃんの恋愛部が、大いなる見どころとなっとります。

お互いにのぞいて、意識し合っていたことが分かるや、ラブ・ラブ・モードへと突然変異し、バストアップのヌードを、心音ちゃんは披露しはります。

部屋の1、2階に分かれた設定の「七年目の浮気」(1955年・アメリカ映画)も思い出す、絶妙なシチュエートどした。

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2人のセックス・シーンを始め、印象的なラブ・シーンが続きます。

「このスキマから生まれてきた」ナンチューセリフなど、スキマ・フェチとゆう素材のユニークさ。

ほんで、コミック原作とゆう意外性。

コミック原作映画は、いっぱいあるけど、この種のラブコメは、異彩を放っとります。

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それまでにもチョクチョク流れとるけど、最後にフルで流れる、THE PRISONERの主題歌「LETTER」。

タテノリ系の8ビート・ロック・ナンバーやけど、「汗かいて、恥かいて」「何回も知る」などの歌詞と共に

元気と勇気をくれる、爽快なロック・ナンバーどす。

本作の作品性と、メッチャ合っとる歌どした。

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ラブコメとしては、ウディ・アレン監督の諸作とも、シンクロナイズするんやないやろか。

また、アメリカのニューヨーク・ラブコメの、オシャレなセンスとは違う、東京ラブコメの繊細さが、フワーンと打ち出されておました。

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何はともあれ、ボクチン的には、佐々木心音ちゃんの、潔いヌード・シーンのアッパレに、感動いたしました。

心音ちゃんの今後にも期待したい、そんな胸躍る1作でおます。

2015年1月24日 (土)

インドのスポ根映画「ミルカ」

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インドの国民的ランナーの、実話を描いた作品

「炎のランナー」など、五輪ランナーの生き方を描いた快作

http://www.milkha.com

1月30日の金曜日から、東宝東和はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

本作は、2013年製作の、本編153分のインド映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Vlacom Media Pyt. Ltd & Rakeysh Omprakash Media Pictures

オリンピック選手を描いた作品は、これまでに多数出回っとりますが、ここで、そういう映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露さしてもらいま。

●ベスト⇒①炎のランナー(1981年製作・イギリス映画)②東京オリンピック(1965年・日本)③民族の祭典(1938年・ドイツ)

●カルト⇒①本作②陽だまりハウスでマラソンを(2013年・ドイツ・後日分析いたします)③ミュンヘン(2005年・アメリカ)

●五輪を描くドキュメンタリーのベスト②③こそ、まさにそのままなんやけど、ドラマ映画となると、それほどござりまへん。

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そんな中でも、アカデミー賞の作品賞をゲットし、

その後の五輪のたびに、その主題歌のヴァンゲリスのシンセサイザー・ナンバー「炎のランナー」が、受賞式で流れるとゆう、

画期的なとこまでいってるベスト①は、五輪ドキュをしのぐ、ドラマ映画となりました。

その作品以降にも、五輪関連映画は、それなりに出てまいりました。

でもしか、ここ最近に出てきた映画に、なぜか魅力的な作品がありましたがな。

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実話の五輪テロを描いた、スピルバーグのカルト③。

そして、実在の五輪選手を描いた、カルト②と本作。

選手を描く映画こそ、ベスト①と同様、ドラマ映えする作品なんでおますよ。

カルト②はその晩年を描いとりますが、本作はその選手の一生を、緻密に娯楽性豊かに、描いてはりまんねんで。

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選手人間ドラマとしても、出色の作りになっとります。

1960年の五輪400メートル走で、後ろを振り返ってしもて、メダルを逃し、インド国民を裏切ってしもた、主人公ミルカのアニキ。

本作は、そんな彼の、波瀾万丈の一生を描いてまいります。

過去に何があったのか、ちゅうミステリアスな作りで、過去がプレイ・バックされてゆきよります。

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インドとパキスタンが拮抗するような場所で、生まれた主人公は、パキスタンの攻撃に遭い、家族が殺戮されてまいます。

ほんで、命からがら逃げた幼い主人公は、やがて、同じく逃げた姉と再会。

姉のとこに身を寄せるけど、姉をテゴメにして、夫妻となった男との間で、軋轢が生じ、家出してホームレスに。

泥棒グループなゴロツキたちと一緒に、成長しはります。

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ほんで、一目ボレした彼女との逸話。

彼女との絡みで、立派な男になるべく、軍へ入って、「インディア」のブレザーを目指して、ランナーにならはります。

やがて、国民の期待を担う、ヒーロー・ランナーとなり、彼女の元へ、プロポーズすべく行ったんやけど…。

家族のキズナをポイントに、モノゴッツー感動的なドラマに仕上がっとります。

スポーツ選手の人間ドラマ映画としても、記憶に残る快作どした。

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このところ、インド映画が日本上陸しとりますが、インド映画のパブリック・イメージ「ミュージカル」も、それなりに仕込まれとります。

カントリー&ウエスタンなダンス・シーン、軍人たちのインド・ダンスティーク、バンジョーの弾き語りや、バンド・サウンドによる、ミルカを歌った歌もの。

さらに、スロー・モーションの使い方や、1950年代的なセピアな薄色配色など、映画的な作りも、随所に。

今年日本上陸インド映画の、今のところのマイ最高傑作どす。

家族一同で、見に行っておくんなまし。

2015年1月23日 (金)

ケヴィン・コスナー主演「ドラフト・デイ」

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21世紀のケヴィン・コスナーも、健在なりや

映画史初とも言える、スポーツ・ドラフト映画のスリリング

http://www.draft-movie.com

1月30日のフライデーから、キノフィルムズはんの配給によりまして、全国ロードショーだす。

本作は、2014年製作のアメリカ映画、本編110分でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

映画史に残るハリウッド俳優、ケヴィン・コスナーの21世紀は、どないやねん? ちゅうことで、

20世紀末1990年代に、一世風靡したコスナーはんの、21世紀のマイ・ベスト・スリー(順位通り)をば、申しますと…。

①本作②ママが泣いた日(2005年製作・以降の引用は、全てアメリカ映画)③ワイルド・レンジ(2003年)

●アメリカン・ヒロイズムを、継承してきた名優なのに、21世紀になると、パワー・ダウンしよりました。

けども、本作は、彼のヒロイズムなカッコヨサを、久々に見させてもろた、快作映画となりましたで。

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正統系ヒロイズムなハリウッド俳優には、映画創世記から綿々と続く、伝統ちゅうもんがありまして、

今でゆうたら、ジョニー・デップ(ジョニデ以降は、突出したのんは、いてへんと思うんやけど…)あたりどすやろけど、

コスナーはんは、アメリカ映画の伝統劇・西部劇でも、③でグッとくるアクション演技で魅せ、家族映画のセンチメンタリズムも、②で示さはりました。

ほんで、本作は、21世紀では最高の、アメリカン・ヒロイズムを演技した、コスナーはんの傑作となりましたがな。

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スポーツ関連の映画としては、コスナーはんには、野球の名作「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)やら、ゴルフの「ティン・カップ」(1996年)やらがありますが、

本作は、全米プロ・フットボールのドラフトを描く映画どして、そのGM役をば、コスナーはんはやらはりました。

ドラフトがメインにある映画は、ボク的には初めて見ましたが、たぶん映画史上初のもんやろかと思います。

そんな中で、心理的駆け引きを始めとして、コスナーはんは、絶妙で微細で緻密な演技を、娯楽作を意識しつつ見せてくれはりました。

ウ~ン、久々に見た、コスナーはんのヒロイズム演技。グッときました。

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サスペンスな作りにも、当然魅せられま。

ドラフトまでの時間を、小刻みに字幕で示しつつ、徐々にサスペンスを募らせてゆく作り。

ほんで、駆け引きの面白さや、狙ってる選手の穴を探ったりと、事細かな水面下の調査やらが、同時進行してまいります。

2分割カットを始めとした、分割カット・シーンの2シーンをつなぐような、ユニークさやら、ケータイやスカイプで変わった、室内劇の在り方やとかが、巧妙に示されておます。

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さてはて、本作の監督は、アイヴァン・ライトマン監督や。

この方は、映画評論家筋からの評価は、そない高くないんやけど、理屈抜きに面白く楽しめるヒット作を、いっぱい撮ってはります。

モチ、本作もエエけど、本作を除く、マイ・ベスト・スリー(順不同)を言いますと…。

①ゴーストバスターズ(1984年)②ツインズ(1988年)③夜霧のマンハッタン(1986年)③デーヴ(1993年)

●アクション映画より、ユニークな仕掛けを施した人間ドラマや、ユーモアSF①みたいに、遊び心を決して忘れへん監督はんどす。

そやから、シリアス・ドラマの中にも、緊張感よりも、楽しんで見てもらえるとこをば、重視してはります。

お決まりのサプライズある本作も、それゆえに、さわやかな後味ある、快作になっとりまっせー。

2015年1月22日 (木)

オランダのドキュメンタリー「みんなのアムステルダム国立美術館へ」

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「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」の続編どす

前作のいろんな問題は果たして、解決されたんかどないや?

1月24日のサタデーから、ユーロスペースの配給で、シネ・リーブル梅田やらで、順グリのロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸPieter van Huijstee/Column Film

本作は美術館を捉えたドキュでも、改修・閉館時の美術館と、そのスッタモンダを描いた、特異な作品だす。

ドラマ映画やったけど、「エルミタージュ幻想」(2002年製作・ロシア&ドイツ&日本合作)やらの、幻想的とは真逆の、現実的な問題をば取り上げてはります。

2004年に、大規模な修繕・改修工事のため、アムステルダム国立美術館が閉館しよりました。

そして、その後の様子が、前作「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」(以下①と表記・2009年・オランダ・弊ブログ分析済み)で、描かれたんどすが…。

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でもって、本作は①の続編なんやけど、①で描かれた問題は解消せず、

新装オープンが2008年の予定やったんが、工事が中断してもうて、延び延びになっとったんでおます。

その延び延びのところの事情をば、事細かに描いたんが本作なんどす。

①でも描かれた、オランダの国民の足・チャリンコが通りにくくなる設計図に、市民が反対するとこが、再び反復するように映されよります。

でもって、本作では、悩み深き館長が、突然辞任しはりまして、次の新しい館長が、スタッフと共に対策を練っていかはります。

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一方で、美術館は作品を、100万作以上収蔵してんねんけど、新規オープンのための、新作開拓にも余念がありまへん。

①でも描かれとりますが、日本の彫刻作品が1つもないっちゅうんで、仏像へのアプローチをし、その現物が日本から届けられま。

もっとほかのもんは、なかったんかいなと思うんやけど、何とキュレーターが選択したのは、金剛力士像でおますがな。

さらに、新館長になれるやろかなと期待しとった、若きコレクション・ディレクターの視点で、美術館ビジネスを見せはりまんねん。

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緊張感ある、オークションの入札シーンや、ルーブル美術館への視察、名画の修復作業、レンブラントやフェルメールの取り扱い方、壁の色についてなど、多彩な見どころで魅せはります。

また、解体工事の様子やら、改修の建設労働者の「俺の家が壊されたよう」ナンチュー嘆き節も、ご愛嬌でおまんねん。

ほんで、ここぞとゆう時に流される、熱い弦楽オーケストラ・サントラが、何やら大仰に聞こえてきよりまして、ミスマッチ感をあおらはります。

ほんでもって、2013年4月15日のリニューアル開館までの、イロイロな丁々発止が、またまたまた描かれるんどすわ。

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ドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマンが描いた、美術館ドキュ「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」(1月6日付けで分析済み)と比べると、

美術館内部の裏事情は、かなり掘り下げられておるかと思います。

ただ、そこに、映画作家的意図が「ナショナル・ギャラリー」に比べ、少し希薄に思えるんは、

市民とのやり取りの中に展開する、熱い想いや熱気が、こちらに伝わってこないとこらがあるんやないやろか。

なんせ、自転車道の問題やなんて、そんなん大したことないやん、と思うんやけど、それはみなはんも思わはるとこやろな。

でもしか、そのあたりに、オランダの人の気質とか、この美術館ドキュのオリジンが、あるんかもしれまへんな。

2015年1月21日 (水)

イスラエルのドキュメンタリー映画「私の恋活ダイアリー」

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60歳の老女映画監督の、あくなき恋の執念を描く

7人の男たちとの見合いの果てに、たどり着いた境地とは?

http://www.koikatsu-diary.com/

1月24日のサタデーから、パンドラはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国順次のロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

結婚と離婚を繰り返し、それでも2児を設けて、8人の孫がいてはるけど、

現在、イスラエルで1人暮らしの、60歳の女ドキュメンタリー監督の、ニリ・タルのネーはん。

そんな彼女が、何とヤッパ、晩年に1人では、寂しいわーちゅうことで、自らの出会い系サイトやらでの、ネット恋活の記録を、

自らの主演で撮ろうやなんて、ホンマ、どないかしてまっせーな、超プライベート・フィルムやん。

ところがどっこい、そんなに悲愴感もなく、むしろお気楽なノリで、展開するんで、

いつの間にやら、こちらもフランクに、映画の中へ入ることができよりました。

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こおゆうプライベートまがいの、ドキュメンタリーちゅうのは、実はケッコーあるんやけど、

イスラエル映画やとか、恋活ドキュやとか、それも老いらくの恋活もんどして、

それも、イスラエルだけやなく、パリやアメリカにまでも、ワールド・ワイドに展開したりとか、

既製のドキュの概念を、かなりと外す作りをば、ワザとのようにやってはります。

おそらく、ニリ・タル監督としては、世界で初の恋活ドキュを、撮ろうとしたけど、出演してくれる適当な人が見つからんかった。

そこで、ほな、うちがやるしかないかーっちゅうて、やらはったようなカンジがしました。

また、今やユーチューブやらで、誰もがドッキリな映像を、いつでも手軽に世界発信できる時代どす。

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そんな中で、映画としてのドキュメンタリズムの粋を、プライベート・フィルムを装って、作るような流れが出てまいりました。

いわゆる、誰にでも撮れるものではないとこを、誰にでも撮れるようなスタイルで、撮るわけでおます。

そして、本作は、そおゆう意図を隠しながら、エンタとしてのドキュの面白さを、追求した快作どす。

ヒロインは7人の、見知らぬ男と会わはります。

ほんで、その合い間には、注射やアイロンかけやらの美容対策や、友との作戦練り、結婚アドバイザーとのエピソード、

ナンパのために、ディスコへ行ったり、恋活を話題にした、実の息子との対話など、面白さを倍加させるようなシーンが、頻出しよります。

 

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地下の防空壕的なとこで、自称・元歌手と2人だけで会ったり、揺れる手持ちカメラ撮影で、真夜中の海で会ったり、一夜を共にする初デートもあります。

ハラドキよりも、お気楽感が上やろか。

最初は自国で会ってはったけど、やがては、パリへ。息子家族が住むニューヨークへと、繰り出さはりまんねん。

ほんで、ロサンゼルス発の50~60代対象の、婚活クルーズに参加しはります。

ほんでもって、遂に、運命の人に!? ネタバレは言いまへんが、

そこまでのもって行き方や流れは、モチ、素人にはできない匠の作術がありました。

サスペンスフルなトランペット。ラストロールでは、男女のボサノバ・デュエット・ナンバーを流して、ムードや余韻を高めるサントラ使いも、巧妙やったと思います。

2015年1月20日 (火)

SFスリラーの怪作「ランダム 存在の確率」

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サスペンス・恐怖感ある、8人の群像劇ドラマどす

ドッペルゲンガーな分身たちの存在が、迷宮度を増す仕上がり

1月24日の土曜日から、アット・エンタテインメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順繰りのロードショーだす。

本作は、2013年製作の88分アメリカ映画。「シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭」で、脚本賞と審査員賞の2冠をば、ゲットしてはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

GLOWSTICK LLC Ⓒ 2013

映画のチラシのコピーでは、SFスリラーとなっとりますが、

群像劇、ある種サバイバル映画にして、シチュエーション系のミステリーでもありま。

彗星が地球に接近する時には、かつていろんな不思議現象があったちゅうのんを、話の1つの設定的核にしもって、

友人夫婦の家に集まった、8人の一夜の不安、

そして、サスペンスな話が、室内劇をメインに、撮られてまいります。

「ソウ」シリーズ(2004年~2010年製作・アメリカ映画)やら、「CUBE」(1997年・カナダ)やらの、異様な設定映画の系譜に入る映画どすやろか。

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ボク的には、この種の設定系映画としては、マイ・ベストな作品なんやけど、ハリウッドの大手映画会社の大量投下製作費による、そんな「インセプション」(2010年・アメリカ)やらと、本作を比べると、

そら、低予算なインディペンデント映画なだけに、チャッチーのように見えるかもしれへんけど、

でもしか、描こうとする異世界へのこだわりや、そのココロ具合は、一緒でおまんねん。

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8人が1家に集まり、彗星がクル1夜を、一緒に過ごすちゅう、単にそれだけの話なんやけど、

彗星との絡みなんやろか、なんでか、ケータイやスマホやネットが、使えない状況になり、

ほんで、いろんな問題が起こりまして、ほんでほんで、自分らの分身・ドッペルゲンガーたちが、近くの家に住んでるで~ちゅう、衝撃の嘘のような話がありましてな、

みんなソワソワ、彼らの様子を見るための、いろんな作戦行動を画さはりまんねん。

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特に、年長の男が、その家を探りに行き、ブラックボックスか玉手箱かパンドラの箱か、ちゅうような箱を、取ってきはったとこらあたりから、

話は一気に、不安いっぱいのモードへと、突入しよります。

2つの運命があるのかちゅうことで、映画「スライディング・ドア」(1997年・アメリカ&イギリス)なんかが、セリフで引用されたりしとります。

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ほんで、何人もの分身を見たヒロインは、ホントの自分を取り戻すべく、あることをヤラはります。

ネタバレはできるだけ避けたいけど、トンデモないことでおます。

でもって、衝撃のサプライズ・エンディング。

近接撮影をメインにした、ハッとくるビビッド感、シーンからシーンをつなぐ、黒場のタイトな挿入、明るいセピア照明と闇シーンの対比やら、

ラストの衝撃へとつなぐ、意味深長な映画的作りにも注目や。

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サントラ部は、バイオリン、ピアノ、シンセなんぞを使ってはりますが、歪みの不協和音を旨としてはるだけに、しょっちゅう不安感をあおってきはりまんねん。

ラストロールでは、キャッチーなフィメール・ギター・ポップ・ナンバーが流れよります。

そこはカッコエエんやけど、決して見たあとの衝撃をば、和らげるもんやござりまへん。

まさに、異能の異端の、SFショッキング・スリラー。

ボク的には「ソウ」以上の傑作やったです。

2015年1月19日 (月)

ホラー・ミュージカル「絶叫のオペラ座へようこそ」

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「ロッキー・ホラー・ショー」「オペラ座の怪人」に肉迫する、絶叫ミュージカルどす

「キャリー」「ブラック・スワン」「Wの悲劇」など、劇団系ミステリー映画色もあり!

1月24日のサタデーから、アット・エンタテインメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作は、2014年製作の本編88分のカナダ映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Stage Fright Film Limited

本作みたいに、本格的ミュージカルやない、いわゆる変形型のミュージカルちゅうのは、これまでに多数出とります。

変形やから、ボク的にはカルトな括りで、その種の映画のマイ・カルト・ファイブ(順不同)をば、披露いたしますと…。

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①ファントム・オブ・パラダイス(1974年製作・アメリカ映画)②バルフィ(2013年・インド・弊ブログ分析済み)③本作④クライ・ベイビー(1990年・アメリカ)⑤ロッキー・ホラー・ショー(1975年・イギリス)

●ミュージカルはミュージカルでも、サブとゆうよりメインで、もう一つのジャンル映画が仕込まれとる。そんな映画を選びました。

名作映画へのオマージュを、多数盛り込んだ②、ジョニー・デップ主演の青春もの④、SF怪奇映画へのオマージュある、ロック・ミュージカル⑤。

そして、①と本作は、ホラー映画としての、メイン・ソースが仕込まれておます。

しかも、本作は、連続殺人事件が起こる、ミステリー映画としてのとこもありまんねん。

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ミュージカル含む演劇ものミステリーとしては、

主演舞台女優を射止めるのんは、誰かちゅう、丁々発止のドラマが展開する「Wの悲劇」(1984年・日本)、

主演女優の幻想的なとこも含む、ミステリアス映画「ブラック・スワン」(2011年・アメリカ・分析済み)、

ほんで、学園ものヒロイン・ホラーの「キャリー」(1976年・アメリカ)やらのセンスが、本作にはあります。

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「オペラ座のたたり」なんちゅう、ミュージカルをやってはった、ヒロイン(大人の役は、アリー・マクドナルドちゃん)のオカン(ミニー・ドライヴァーのネーさん)が、その公演後に、楽屋で誰かに刺殺されてまいます。

それから10年後。

オカンと関わってはった演劇オーナー(ミートローフ)が、主宰する舞台芸術キャンプの、ミュージカルのオーディションに、

キャンプの調理場で働いてはるヒロインが、参加しはるとゆうんが、本作のイントロでおます。

ほんで、Wやけど、ヒロイン役を勝ち取り、そのライバルの女との、公演前の心理的駆け引きが、描かれてまいります。

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でもしか、演出家の男が公演を前にして、殺されてまいます。そして、公演の時には、次から次へと裏方のスタッフが殺されて…。

ミステリーとしての真相に加え、その後のサプライズを含めて、ミュージカル以上に、ホラー・ミステリー度の高い作品でおました。

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モチ、冒頭からある、マーチ的に披露される、学生たちのミュージカル・シーン、

クライマックスの舞台と、観客席と楽屋をカットバックさせる、ハラドキのシーンも用意されとって、ミュージカル映画としても楽しめますで。

ボク的に印象深かったんは、ミュージカルの素晴らしさを歌うシーンと、仮面を付けた人間が、ハードロック調でミュージカルをくさすシーンの、対比描写のキレやったやろか。

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「オペラ座の怪人」(2004年・アメリカ)にも出はった、ミニー・ドライヴァーのネーさん、

「ロッキー・ホラー・ショー」にも出てはった、ミュージシャンのミートローフはんの、渾身の演技ぶりにも注目どす。

さてはて、ミュージカルと、ほかのジャンル映画をどう融合するんか。

本作は、その好例を示した快作でおました。

2015年1月18日 (日)

社会派ドキュメンタリー「三里塚に生きる」⇒日曜邦画劇場

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あの名作ドキュ「三里塚」シリーズの完結編や~

昨年公開の邦画ドキュで、マイ・ナンバーワン映画どす

http://sanrizukaniikiru.com

1月24日の土曜日から、スコブル工房の配給によりまして、第七藝術劇場で、全国順繰りのロードショーでおます。

本作は、140分にわたる映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

弊ブログ「日曜邦画劇場」初の、ドキュメンタリー映画分析どす。

いやはや、昨年末に、2014年邦画・洋画込みの、マイ・ドキュ・ベストテンをやったけど、

やったあとに見させてもろた本作は、ベストスリーに入るような傑作どした。

ちゅうことで、ここで、社会派邦画ドキュの、歴代マイ・ベスト・ファイブ(順不同)をば、披露いたしますと…。

①ゆきゆきて、神軍(1987年製作)②三里塚シリーズ(1968年~1977年・全7作)③不知火海(1975年)④本作(2014年)⑤沈黙を破る(2008年)

●本作はベスト②のシリーズの、37年ぶりの新作にして、完結編でおます。

そして、②③で撮影監督をしてはった、大津幸四郎はんの、共同やけど、監督作品どす。

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②のシリーズは、抵抗運動を描いた邦画の、嚆矢的な作品どして、「アルジェの戦い」(1966年・イタリア&アルジェリア合作)を意識した傑作。

成田空港建設反対を掲げた、農民たちが「百姓一揆」のノリで、三里塚の鉄塔を足場に、抵抗運動を続けた記録が、モノクロでネットリと描き込まれて、

ボクの脳裏には当時、胸を激しく打たれた記憶が残っておます。

1978年に結局、成田空港は作られて開業しました。

でもしか、抵抗した農民たちは、決してそれをよしとはしてはりまへんどした。

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そうして空港開港から、36年の時を経た21世紀の今、彼らはどうしているのか。

今も生きる、数多くの当時の運動家たちに、インタビューを繰り返しながら、

三里塚闘争の今を、ある種の癒やしを持って問いかける、何とも言えへん、完結編が作られてまいりました。

ボク的には全くもって、アラマ・ポテチン(驚き)どした。

今も抵抗してはる人が、いてはるんでおます。

同志を殺された男の、泣きのインタビューなど、センチなとこもあるけど、あくまで、当時の運動を冷徹に、回顧するちゅう視線で撮られておます。

モチ、冷徹の向こうにあるんは、あくまで今の落ち着いた日常を、捉えたシーンの数々でおましょうか。

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ロングショットでタイトに捉えられる、飛行機が飛ぶシーンの数々。

蜘蛛の巣を通した朝日シーン、田畑で1人働くシーンなど、激しかった闘争とは真逆の、現在の、ある種静謐なシーンの数々が、ココロにきよる、そんな仕上がりになっとります。

モチ、②のいろんなモノクロ・フィルム映像が、しょっちゅうプレイ・バックされとりますが、

あくまで回顧やなく、現在との対比を示すための、使い方でおましょうか。

ほんで、当時の抵抗運動家が残した文や言葉を、女優・吉行和子はんと、男優・井浦新のアニキが、朗読ナレーションしはります。

グッときました。落涙する人も、いてはるかもしれまへん。

激しい作りとは真逆の、社会的抵抗運動の今を、静かに捉えた作品。

現代の社会派ドキュの在り方も問う、大傑作でおます。

2015年1月17日 (土)

香港・中国合作「激戦 ハート・オブ・ファイト」

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主演ニック・チョン&ダンテ・ラム監督のコラボレート作品

「ロッキー」を超えた、格闘技選手の感動の1作や~

http://gekisen-movie.jp

1月24日の土曜日から、カルチュア・パブリッシャーズはんと、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館、大阪のシネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Bouna Entertainment Company Limited All Rights Reserved.

香港映画界のダンテ・ラム監督って、みんな、知っとるかー。

いやはや、香港映画界には、素晴らしい監督がいっぱいいてはるんやけど、

ラム監督は、どちらかとゆうたら、ほとんど目立ってはりまへんどした。

でもしか、大器晩成型なんやろか、このところ極上のアクション映画、しかも人間のキズナ・ドラマとしても、感動的な作品をば、次々に撮ってはりまんねん。

ちゅうことで、ここで、監督のマイ・ベスト・ファイブ(順不同)を披露いたします。

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①本作②ビースト・ストーカー/証人(2008年製作・香港映画)③ブラッド・ウェポン(2012年・香港&中国・弊ブログ分析済み)④密告・者(2010年・分析済み)⑤クリミナル・アフェア 魔警(2014年・香港&中国・2月14日公開・後日分析いたします)

●ニック・チョンとの出会いが、ラム監督を変えたんやないやろか。

本作始め、②⑤が、ニック・チョンが出とる映画でおます。

単なるアクション映画やなく、人間臭さが濃厚に出た作品群どす。

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そして、本作はアクションと、人間たちのキズナ・ドラマが、まさに一体となり、素晴らしい感動へと導く、監督の最高傑作となりました。

母娘の母子家庭の部屋に、ニック・チョン扮する元ボクサーの主人公が、Wブッキングで入ることになり、

精神を患ってはるオカン、その生意気な幼い娘と、ココロの交流を持たはります。

一方で、異種総合格闘技戦に、主人公がトレーナーになって、エディ・ポン扮する若人を、チャンピオンにするべく、特訓の日々が続いてまいります。

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いったんはエディ・ポンは、激戦の末、王者になります。

けども、第1回目の防衛戦で、病院送りになるくらいの、敗戦を喫しまんねん。

でもって、元ボクシング王者のニック・チョンは、エディ・ポンのリベンジ・マッチをすべく、敢然と立ち上がらはります。

ほんで、母娘への肩入れの物語も、同時進行で描かれてまいります。

確かに「ロッキー」(1976年・アメリカ)を思い出すシーンは、それなりにはあります。

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シンセを流しての、特訓シーンのダイジェスト・シーンなど、「ロッキー」っぽさはあるんやけど、

でも、男のキズナ、母子とのキズナを、違和感なく取り込んで、感動の着地へと持っていくセンスは、

一筋ナワではいかない、映画作術劇の匠のワザやと思います。

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サントラ的には、アコーディオンやギターも使い、

ほんで、「卒業」(1967年・アメリカ)で使われた、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」が、

インスト、オーケストラ、女性によるカヴァーと、3パターンで、映画の中で流れてまいります。

それも、ドラマティックに使われとるんで、ココロが夢見心地に弾みましたがな。

個人的には、子役娘のカワイサや、モノクロを巧みに使ったところ、なんかにも魅せられました。

ちゅうことで、泣ける感動的な香港映画をみたい方は、映画館へ、レッツラ・ゴーでおますよ。

2015年1月11日 (日)

「チョコリエッタ」⇒日曜邦画劇場

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2015年の早くも、日本映画マイ・ナンバーワン候補の登場や~

昨年のマイ・ナンバーワン「そこのみにて光輝く」に続く、女性監督による作品どす

http://www.suzufukudo.com/chokolietta

1月17日の土曜日から、太秦はんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館ほか、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、1月31日から、テアトル梅田やらでヤラはります。

本作は、159分にわたる長尺映画でおま。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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2014Ⓒ寿々福堂/アン・エンタテインメント

いきなりやけど、21世紀の日本映画の女性監督の、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)をば、披露いたします。

●ベスト⇒①本作②そこのみにて光輝く(2014年・弊ブログ分析済み)③ディア・ドクター(2008年)④0.5ミリ(2014年・分析済み)⑤ゆれる(2006年)⑤かぞくのくに(2013年・分析済み)

●西川美和監督による、③と⑤は、偽医者③、兄弟の話⑤「ゆれる」と、女性を描いた作品やなかったけど、他の作品は、女性監督が女性の視点(男視点もあるけど…)から、女性の恋や家族ドラマを、描く作品になっとります。

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特にヒロイン映画は、女性監督ならではを、試される素材どす。

実際の姉妹が監督・主演した④とは違い、

本作の監督・風間志織ネーさんは、ファミリーには頼らず、映画作家として、距離を置いて、ヒロイン映画を構築しはりました。

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しかも、大きな影響を受けた、フェデリコ・フェリーニ監督に、インスパイアーする作品をば、作ってきはったんどす。

過去の名作のリメイクやなく、あくまで、現代視点からフェリーニの「道」(1954年製作・イタリア映画)を、作品の中に溶かし込む作り。

この種の映画は、映画愛とかのお決まりが定番っぽくて、つい臭みが出たりするもんやけど、本作にはそういうとこがありまへんどした。

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フェリーニの名作も、セリフで出てくるけど、ポイントは、フェリーニの男女のロードムービー「道」的作品を、

菅田将暉(すだ・まさき)クンを監督に、森川葵ちゃんを主演に映画を撮るとゆう、2人の男女の駆け引きをば、取り入れた映画でおます。

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ほんで、10代の若い2人やのに、何でフェリーニやねんとゆうとこも、この2人の過去の逸話が、フェリーニ作品とつながってくることで、説得力を持たせておます。

葵ちゃんの死んだオカンが「道」がスキやったとか、

飼ってた犬の名が「道」の主演女優ジュリエッタ・マシーナから取って、ジュリエッタやったとか、

オカンがそのジュリエッタにちなんで、彼女をチョコリエッタと呼んでいたとか、

ほんで、菅田クンは、映画好きのオジン・中村敦夫がいたとか…。中村敦夫はん、久々やん。

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今は、オカンも犬もオジンも死んではるんやけど、そういう因縁も含めて、2人は旅に出て、「道」的ロードムービーを、撮ろうとしはるんでおます。

写真上から2枚目などは、「道」の有名なシーンの、オマージュだす。

「道」はレンタルでも、ネットでも無料で見られるんで、見てへん方は、本作を見る前には、見とかはった方がエエやもしれまへん。

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菅田将暉クンは、「そこのみにて光輝く」のチャラチャラした役柄とは違い、シャキッとしてはります。

「海月姫」(2014年・分析済み)で、能年玲奈ちゃんを指導したように、森川葵ちゃんへの演出ぶりも、堂に入ってはります。

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一方、葵ちゃんは、犬になりたいなんて言いながら、不安なココロの揺れを見せつつ、思春期のあやうさ、

でも、やがては前向きになっていく姿を、みんなの好感度の高い演技で魅せてくれはります。

共に、叫ぶシーンがあるんやけど、そこに込められた想いこそ、本作のキモやないやろか。

ほんで、共に21世紀の第2世代として、今後も活躍しはることでおましょう。

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さて、ラストロールで、忌野清志郎の隠れた名曲「jump!」を、森川葵ちゃんが、しっとりの癒やしのモードで、カヴァーしはりました。

映画の2人の今後を、予感させるような、余韻にあふれたナンバーどして、より深い鑑賞後感に浸れました。

ちゅうことで、見出しにも書きましたが、早くも出てきた、今年の日本映画の、マイ・ナンバーワン候補な作品です。

2015年1月10日 (土)

「山本慈昭 望郷の鐘 満蒙開拓団の落日」⇒週末日本映画劇場

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実話をベースにした、人間ドラマ映画の傑作

満蒙開拓団の悲劇を描く、初のドラマ映画どす

1月17日の土曜日から、東京・シネマート新宿やら、大阪やったら、1月31日からシネマート心斎橋やらで、全国順繰りのロードショー。

大阪では1月15日に、吹田市のメイシアターで、先行上映しはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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太平洋戦争中、日本に占領された中国領土の満州。

そこへ、日本から農業開拓民として移住した、満蒙開拓団がござりました。

日本が敗戦となってからの、開拓団たちの集団逃走劇を、初めてドラマ映画化されたんが、本作でおます。

ドキュやったら、「嗚呼!満蒙開拓団」(羽田澄子監督・2008年製作)がありますけども、どちらも女性監督による、渾身の作品どす。

ほんで、敗戦直後の日本の、現状を描いた映画として、ソ連侵攻の樺太を描いた「氷雪の門」(1974年・弊ブログ分析済み)と、対を成す傑作となりました。

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本作は、「現代プロダクション」の、山田火砂子監督による、作品どすが、「現代プロ」の作品は、社会問題性の高い作品を作り続けてはります。

そんな現代プロの、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)をば言いますと…。

①真昼の暗黒(1956年・弊ブログ分析済み)②蟹工船(1953年)③本作④はだしのゲン(1978年・アニメ)⑤筆子その愛-天使のピアノ-(2006年)

●実在の冤罪の話①や、数年前に話題となった労働者秘話②、広島原爆の後遺症をアニメで描いた④など、現代プロの作品は、今に引き継がれる、社会派の傑作が多うござります。

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ほんでもって、本作は、山田監督の最新作にして、久々に現代プロ魂に、酔えた作品でおました。

満蒙開拓団のサバイバルチックな逃走から、日本に生還した山本慈昭(じしょう)の、ヒロイズムあふれる作品どす。

慈昭の、ヨメ(NHKの朝ドラ主演経験女優の、渡辺梓のネーさん・写真上から5枚目)や娘はんらを、やむなく見殺しにしなければならなかったサバイバル。

戦後、中国残留孤児の中に、わが娘がいてるかもしれへん可能性を、調査追究してゆく、スリリングなプロセス描写。

そして、感動的なラストシーンへと、紡いでゆかはります。

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主人公・山本慈昭役は、内藤剛志(ないとう・たかし)のアニキがヤラはりました。

ここで、突然やけど、内藤剛志アニキの、マイ・ベスト・スリー(順不同)をば、披露いたしますと…。

①本作②幻の光(1995年)③闇打つ心臓(1981年・八ミリ版)

●内藤のアニキゆうたら、元来は渋い、名バイ・プレイヤーの資質で魅せてくれはったんやけど、

一方で低予算映画・自主映画では、主演を張って、グッとくる演技ぶりをば、見せはりまんねん。

是枝裕和監督作品の、好感ある演技ぶりの②、ネットリした渋演の③。

本作では、③とは真逆の、ヒロイズムあふれる演技ぶりどした。

まさに、カッコイイ内藤アニキの、最高演技になったかと思います。

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ほかの演技陣について。

州ものでは「赤い月」(2003年)で、ヒロインを演じはった常盤貴子のネーさんが、

本編の最後の方で、エエ感じの役をやってはりまんので、要チェックどすえ~。

さてはて、色使いや、サントラや、劇中で出演者たちが歌う、歌やらについてどす。

最初は時代感を示すためか、色褪せた色使い。

濃いセピアの夕景シーンやら、桜の花散る薄グリーン・トーンでの、内藤剛志の泣きなど、思わずハッとするような、色使いに魅了されます。

「ふるさと」や「家路」の、ほのぼのとした、コドモたちのコーラス部やインスト・サントラ部。

ほんでもって、ラストロールでは、朱夏の、癒やしのスロー・ナンバー「僕たちは忘れない」が、しっとりと流れてまいります。

社会派を旨にしつつも、感動的な着地へとゆく、山田火砂子監督、会心の作品でおます。

2015年1月 9日 (金)

「ビッグ・アイズ」⇒ティム・バートン監督の新作

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ティム・バートン、「エド・ウッド」以来、実話系ドラマに挑むの巻や

特殊事情系の夫婦役として、エイミー・アダムスとクリストフ・ヴァルツが、迫真の演技対決や~

http://bigeyes.gaga.ne.jp

1月23日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、あべのアポロシネマ、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸やらで、全国ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸBig Eyes SPV, LLC. All Rights Reserved.

さてはて、いきなりやけど、ティム・バートン監督の、20世紀と21世紀の、各マイ・ベスト・スリー(各順位通り)をば披露いたします。

●20世紀ベスト⇒①シザーハンズ(1990年製作・以下の引用は指定以外、全てアメリカ映画)②エド・ウッド(1994年)③マーズ・アタック!(1996年)

●21世紀ベスト⇒①本作②ビッグ・フィッシュ(2003年)③チャーリーとチョコレート工場(2005年)

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●監督の持ち味は、一般的には、ファンタジーやと言われておます。

本作以外は、ほとんどがファンタジー仕様どす。

父子のキズナの21ベスト②や、ユニークな侵略SF映画の20ベスト③、モノクロで実話となった、20ベスト②でさえ、ファンタジー色が、チョコチョコ入っておます。

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ところがどっこい、本作は実話に基づいて、リアリティーあるシビアな仕上げをしてはりまして、キャリア史上、かつてないシリアスなもんに、なっとるんやないやろか。

1960年代にアメリカで、一大ブームとなった、絵画「ビッグ・アイズ」の作者は、夫のウォルター・キーンやなく、実は、妻のマーガレット・キーンやったちゅう実話。

ゴーストライターの話は、音楽家も含めケッコーあるけど、本作ではゴーストペインターどす。

しかも、夫妻の間で、その種の秘密があったとゆう点でも、一線を画する実話やし、メッチャおもろいところだす。

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ちゅうことで、ここで実話系アメリカン夫妻映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)を言いますと、

ノーベル賞を受賞した旦那は、統合失調症やった①「ビューティフル・マインド」(2001年)。

一緒にコカイン中毒になってしもて、ヨメが中毒死してもうた②「ラリーフリント」(1996年)。

ほんで③が本作。

でもしか、本作は、夫婦愛というよりも、夫婦がいがみ合う映画どして、離婚やら何やらで、決してハッピーな夫婦映画やありまへん。

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でも、ハートブレイクな悲しい映画でもありまへん。

そうなるんは、夫婦とゆうよりも、ヒロイン映画としての魅力が、際立った仕上がりやからやろか。

ヒロイン妻役の、エイミー・アダムスのネーさんが、フツーっぽく見せながら、細部の挙動で細やかに、ヒロインの心理を演じはります。

わめいたり、激昂するとこもなく、とことんフツーの妻役。

クライマックスの裁判劇でも、冷静沈着やし。

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むしろ夫役の、クリストフ・ヴァルツはんの方が、エキセントリックやったどすな。静と動のサイコな二面性も見せはるし。

でもしか、おとなしい中において、感情の機微を見せる演技とゆうのは、役者としては、最も至難のワザなんでおますよ。

バートン監督も、本人にお任せやったかと思いますが、そこんとこをエイミー・ネーさんは、緻密に演じてはりました。

演じてるとこを、観客に感じさせない、こういう演技こそ、演技賞ものやないでおましょうか。

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ほんでもって、色使い。

1958年・1960年・1963年から1968年くらいまでを描くんやけど、監督はそんな時代性をば、色あせたような天然色色彩の、当時の雰囲気で披露しはります。それは、最後の最後まで徹底してはりました。

ちゅうことで、監督の新境地。ほんで、これからの作家性も予感させてくれはる、そんな意味深な快作でおました。

2015年1月 8日 (木)

「ジミー、野を駆ける伝説」⇒ケン・ローチ監督の新作

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アイルランドの革命家を描いた「マイケル・コリンズ」とは違い、文化なソフトウェアな闘士・ジミー・グラルトンを描く傑作

ケン・ローチ監督の、革命映画ベスト・スリーに入るで~

http://www.Jimmy-densetsu.jp

1月17日のサタデーから、ロングライドはんの配給によりまして、関西やったら、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映でおます。

本作は、イギリス&アイルランド&フランスの合作となった、2014年度製作の、本編1時間49分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸSixteen Jimmy Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Element Pictures, France 2 Cinema, Channel Four Television Corporation, the British Film Institute and Bord Scannan na hEireann / the Irish Film Board 2014

イギリスのケン・ローチ監督って、みなはん、知ってはるやろか。

世界3大映画祭の、カンヌ・ベネチア・ベルリンの全てで、賞をもろてはる監督はんどす。

まあ、アメリカのアカデミー賞では、もろてはらへんし、日本でも単館系公開が多く、大ヒットしたちゅう作品はありまへん。

けども、革命家やら、ブルーカラーな労働者たちを、描き続けてきはり、その哀愁や痛切な想いが、胸に染みてくるような作品が多うござります。

でもって、弊ブログでは、ケン・ローチ監督作品分析は、本作で3作目となりま。

イラク戦争を採り上げた「ルート・アイリッシュ」(2010年)、

ウイスキーにまつわる逸話「天使の分け前」(2012年)に続く、

本作の分析どす。3作中では、本作が一番の仕上げやもしれまへん。

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ケン・ローチ監督の、革命家・闘争・戦争を描いた、マイ・ベスト・スリーは、順不同で、

カンヌで最高賞をゲットした①「麦の穂をゆらす風」(2006年・アイルランド&イギリス&ドイツ&イタリア&スペイン)。

スペイン内乱へ、イギリスの若者が飛び込む②「大地と自由」(1995年・イギリス&スペイン&ドイツ)。

ほんでもって、本作なんやけど、①と同様、アイルランドと支配側イギリスとの闘争を、描いたもんでおます。

アイルランドとイギリスの、闘争を描いた映画としては、ベネチアで最高賞を獲得した、リーアム・ニーソン主演「マイケル・コリンズ」(1996年・アメリカ)なんぞがあります。

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闘争を闘争らしい、アクションやらで描くとゆうのは、この種の抵抗運動ものでは、定番やけども、でもしか、本作はそうゆうとこはほとんどありまへん。

モチ、実話をベースにはしてはるんやけど、イギリスから弾圧される主人公は、逃げるだけどして、ほとんど抵抗しはりまへん。

アメリカからアイル祖国に戻ってきはった、元活動家ではあるんやけど、

あくまで、ダンスや歌を歌う田舎のホールを、推進しただけやのに、イギリス当局から睨まれ、ほんで、遂には…。

素人はんも含め、日本では全く無名に近い、俳優・女優によって、あえてこの話を紡がはりまんねん。

このあたりは、イタリアン・ネオリアリズムを意識したんか、

それとも、有名やないだけに、一般市民的視点から、誰にでも分かりやすく描こうとしたんか。

いずれにしても、有名無名関係なく、この話にはボクは魅かれました。

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主人公役バリー・ウォードの、ハデさのない地味なヒロイズムぶりは、しっくりと好感を呼びますで。

人妻となった主人公の元恋人と、主人公の、2人だけの静かなるダンス・シークエンス。

この2人の抑制の効いた交流具合は、この映画の隠れた渋いキーワードやもしれまへん。

自然光による、遠近感ある風景ショットも、目に優しい仕上がりや。

色使い、会議でのセリフのやり取り、ジョージ・フェントンのジャジーなサントラなど、細部もシックで渋いねんで。

ケン・ローチ監督の最高傑作と、言ってもエエかもしれへん傑作どす。

2015年1月 7日 (水)

ピアース・ブロスナン主演スパイ映画「スパイ・レジェンド」

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ロシア・セルビア・ロケを敢行したアメリカン映画どす

「逃亡者」のように、緊迫の逃亡劇をしもって、真相に迫りゆく作りや

http://www.spylegend.jp

1月17日のサタデーから、KADOKAWAはんの配給によりまして、全国ロードショーだす。

本作は「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 No Spies, LLC. All Rights Reserved

ピアース・ブロスナンはんてゆうたら、

かのスパイ映画の最高傑作「007」シリーズで、ジェームス・ボンド役をば、やらはったことがある俳優はんどす。

そやから、スパイ役はお手のものでおまして、今作では、引退したスパイが復活するとゆう、最新のトレンドを反映した役柄。

「007」の時と全く衰えを見せない、銃撃戦を始めとした、バリバリのアクションで魅せてくれはります。

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ロシアの大統領候補の、スキャンダルの漏えいを巡っての、攻防戦が展開しよります。

その鍵を握るんが、ヒロイン役の、ウクライナ出身の、オルガ・キュリレンコのネーさんどす。

「007/慰めの報酬」(2008年製作・イギリス映画)で、ボンド・ガールもやってはりますので、本作では、メッチャなハマリ役やろかと思います。

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オルガのネーは、ブロスナンはんと一緒に、敵側から逃げもって、真相(裏切り者は誰やねん?)へと迫ってゆく、とゆう流れになっとりまして、

いわば、ハリソン・フォードの「逃亡者」(1993年・アメリカ)の、男女2人バージョンとも言えるやろか。

そんな中で、オルガ・ネーの謎なんかも、徐々に明らかになってまいります。

妖しの女とゆう点では、彼女はむしろベタやなくて、あくまで淡泊にして冷静。

エキセントリックなとこも見せはらへんけど、中庸を得た妖し度で魅せ、最後はヤッパ、好感度ある演技へと着地しはります。

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「ボーン」シリーズや「ミッションインポッシブル」シリーズやらと同様に、

本作はモチ、アメリカを舞台にはせず、世界各国なワールドワイドやないけども、ロシアとセルビア・ベオグラード・ロケをば、敢行しはりました。

冒頭部。ブロスナンはんが復活しての、第1ミッションが、ビビッドな銃撃戦とカーアクトで演出されて、いきなりドラマの中にのめり込める感じになっとります。

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さてはて、本作は、ロジャー・ドナルドソン監督作品どす。

みんな、あんまし知らんやろけど、監督のマイ・ベスト&カルト・スリーを、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①世界最速のインディアン(2005年・アメリカ)②追いつめられて(1987年・アメリカ)③スピーシーズ/種の起源(1995年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②ダンテズ・ピーク(1997年・アメリカ)③ゲッタウェイ(1994年・アメリカ)

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●映画評論家受けのする作品は、あんまし作ってはりまへん。

けども、監督の作品を、ボクは全部見てへんけども、採り上げた作品は、全部面白い。

氷上レースのスポ根ものベスト①、ポリティカル・サスペンスのベスト②、女エイリアン映画のベスト③、

火山パニック・ムービーのカルト②、犯罪映画のリメイクのカルト③。

多彩にエンタ・ジャンルを、監督してはりまんねん。

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ほんでもって、本作は、スパイ映画っちゅうことでおます。

東西冷戦は今いずこやけど、その21世紀の変局系とも取れる素材を、巧妙に演出しはりました。

スパイ映画の新たな地平とは申しまへんけども、とにもかくにも、ハラドキで楽しめた1本どした。

2015年1月 6日 (火)

ドキュメンタリー「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」

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ドキュメンタリー映画の、アメリカの巨匠監督フレデリック・ワイズマンの最新傑作

絵画ドキュを包括した、美術館ドキュの凄みを、見せる3時間1分

http://www.cetera.co.jp/treasure

1月17日のサタデーから、セテラ・インターナショナルはんの配給によりまして、東京・Bunkamuraル・シネマやらで、全国順グリのロードショーだす。

関西やったら、1月31日の土曜日から、シネ・リーブル梅田やらで上映や。

本作は、アメリカ&フランス合作の、アメリカ映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Dallery Film LLC and deale Audience. All Rights Reserved.

フレデリック・ワイズマン監督の新作どす。

ゴリゴリの映画ファン以外は、よう知らん監督かもしれへんけど、

ボクも全ての監督作品を見てへんねんけど、ちゅうか、ほとんど見てへんねんけど、

それでも恐れ多くもビビリもって、ちょっとその監督の、マイ・ベスト・スリーをば、ゆうてみます。

①本作②パリ・オペラ座のすべて(2009年製作・フランス映画)③クレイジー・ホース・パリ 夜の宝石たち(2011年・アメリカ&フランス)

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●1967年から、ドキュメンタリー映画を撮り続けはって、これまでに、40作以上を撮ってはる監督はんどす。

日本公開も、ズーッとされとるんやけど、ボクが見てるんは、恥ずかしながら、ベスト・スリーの3本だけやねん。

ほかの映画も、見たいとは思てんねんけど、DVD化もあんましされとらへんし、

旧作はなかなか映画館でも、再上映されとりまへんので、見る機会は、ほんの僅かでおます。

でもしか、21世紀の作品を見れば、このアメリカのドキュの巨匠監督のスゴサが、如実に見えてまいりました。

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バレエの殿堂①、ナイトショーの殿堂②、ほんで、本作のイギリスの名美術館。

例えば、フツーやったら、美術館を描くんやったら、美術館そのものを描いたり、コンサート会場やったら、演目を中心に見せて、撮ったりするやんか。

ところがどっこい、この巨匠の撮り方は、ありきたりを常に外す方向性で、作品を構築しはります。

パリ・オペラ座を描いた①は、演目シーンもあったけど、建物の細部を、説明なしに描写で描き、建物そのものが主人公になっとったり、

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③も演目シークエンスが多彩ながらも、経営戦略的なとこも見せてゆく、いわばショービズの裏側も、さりげなく捉えてゆく作りどした。

そして、本作でも、そのスタイルは健在。

美術館の経営戦略を、会議シーンのいくつかで見せ、

ほんで、各アート作品のガイドぶりを、詳細に見せて、絵画ドキュメンタリーとしての、威厳ぶりも描くとゆう、

単に一つの美術館だけではない、多彩にして広角度な仕上げで、魅せてゆかはるんどす。

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ハダカのモデルをクロッキーする人々を、女美術講師が教えるシーン。

さらに、絵画の修復の実際を、事細かに描いていったりしはります。

ほんでもって、ラスト・シークエンスでは、男女2人が、絵画の名画を前にして、弦楽オーケストラをバックに、バレエ的パフォーマンスで魅せはります。

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ボク的には、いろんなガイドたちが、名画を前にして、その名画にまつわる薀蓄やエピソードを、披露するシーンが、

この種の美術館ドキュにはない、キモとも呼ぶべきシーンやと思いました。

また、絵画史を俯瞰的に、見ていける作りも良かったわ。

そして、いつもながらに、画面に集中してもらわんがために、サントラをいっさい流さない作りどす。

年頭からいきなり登場の、巨匠の作品。

モチ、ドキュの年間マイ・ベストテンな作品でおます。

こいつぁ春から、ドキュの真髄を、ご堪能あれ! どす。

2015年1月 5日 (月)

「薄氷の殺人」⇒早くも2015年ベストワン候補が出現

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「第三の男」のカラー版「光と影」といった、渋い色使いに唖然呆然

ミステリー映画としても、出色の仕上がりぶりやがな

http://www.thin-ice-murder.com

2015年1月10日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオの配給によりまして、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪やったら、シネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおま。

本作は、2014年2月開催の世界3大映画祭・ベルリン国際映画祭で、最高賞・金熊賞と主演男優賞(リャオ・ファン)をゲットしはった、中国・香港合作映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Hangsu Omuijoi Movie Co., Ltd. / Boneyard Entertainment China (BEC) Ltd. (Hong Kong) All rights reserved.

描かれとる事件は、バラバラ殺人。

容疑者は、妖しの女。

捜査するは、冴えない元刑事。

2人のダマシ・騙しの恋愛チックを入れつつ、静かな中で、真相がゆっくりと、あぶり出されてゆくタイプの映画どす。

ミステリー映画の傑作は、これまでに多々あるけども、21世紀に限ったら、どないやろか。

ちゅうことで、21世紀のミステリー映画、洋画のマイ・ベスト&カルト・フォー(各順不同)をば、思い付くままに披露いたします。

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●ベスト⇒①本作②殺人の追憶(2003年製作・韓国映画)③ゴスフォード・パーク(2001年・イタリア&イギリス&アメリカ&ドイツ)④悪魔は誰だ(2013年・韓国・弊ブログ分析済み)

●カルト⇒①マルホランド・ドライブ(2001年・アメリカ&フランス)②別離(2012年・イラン)③ゴーン・ガール(2014年・アメリカ・ブログ分析済み)④マッチポイント(2005年・イギリス)

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●ミステリー映画は、無数にあるとゆうても、エエくらいのジャンルどす。

サスペンス映画やらとの、ビミョーな違いやらもあるけども、スリラー、アクションなんぞを加えたら、およそ歴代映画の半ばは、

恋の行方に謎めきとハラドキがある、ラブ・ストーリーやらも含めて、ミステリー・タッチ入りの映画やと、言えるやもしれまへん。

21世紀に入っても、斬新かつ挑戦的なミステリーは、ひっきりなしに出てまいっとります。

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いわゆる殺人事件があって、警察やらの捜査があって、最後に解決編が流れるゆうような、2時間テレビドラマとは、全然違う映画を選択しました。

全ての作品に謎があり、それをなんとか解決してゆく過程が、描かれるんやけど、描き方が、フツーのテレビドラマやらとは、一線を画す作品ばかり。

本作とベスト④と、公開中のカルト③以外は、全てDVD化されとるんで、見ておくんなまし。

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ほんでもって、迷宮入り事件を追うベスト②やら、犯人当て本格ミステリーのベスト③は別にして、

極上のミステリーには、絶対付きものの、正義側・悪役側を別にして、謎めいた女の登場やがな。

本作では、そんな役を、夫をバラバラ殺人で殺されてしもた妻役を、台湾のグイ・ルンメイのネーさんが、演じはりました。

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「張込み」(1957年・日本)の高峰秀子、「第三の男」(1949年・イギリス)の、アリダ・ヴァリやらを彷彿とさせる、彼女の、

その怪しくないけど、怪しそうな演技ぶりには、本作の最大の目くらましになっとります。

また、ベルリン国際映画祭で、本作で主演男優賞をゲットした、中国のリャオ・ファンの、

複雑なキモチを、緻密に演じ抜いた、これまでにない刑事役ぶりが、渋うおましたえ。

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そして、色使いやらについて。

カラー映画として、例えば「第三の男」のような、光と影の使い方を、さりげなく駆使してはります。

影や暗がりの多用、吐く息の白さ、イエロー・グリーンなスケート場、薄グリーンの雪景色、ダンス場のシックな赤葡萄酒色など、

いろんなシークエンスで、色使いがシックにして巧妙。作品性にメッチャ似合っておます。

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それが恋愛と呼べるんかどうかは別にして、刑事と女の恋愛が密かに進行していく中で、捜査はゆっくり進行してまいります。

たった1日で、死体をバラまける人間とは? ほんで、ヒロインはホンマに、事件に関わっとるんかどうか。ラストシーンまで目が離せまへん。

ちゅうことで、今年のマイ・ナンバーワン候補を、早くも見させていただきました。

2015年1月 4日 (日)

「映画ST 赤と白の捜査ファイル」⇒お正月日曜邦画劇場

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刑事テレビドラマの映画版の最新バージョン

科学特殊捜査班とゆう、21世紀的現代に特化した捜査チームの、手並みやいかに?

http://www.st-movie.com

1月10日のサタデーから、東宝の配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2015 映画「ST 赤と白の捜査ファイル」製作委員会

刑事・警察ものテレビドラマの映画版ちゅうのは、世界で日本映画が最も多く、今や専売特許、悪くゆうたら定番になっとります。

ほんで、弊ブログでは、その種の邦画の、マイ・ベスト&カルトなんぞも披露しましたが、

ほなら、洋画も含めた上でやってみたら、どないなるんかを、思いつくままの勝手気まま、手前勝手にやってみよりました。

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●ベスト⇒①踊る大捜査線シリーズ(1998年~2011年・全4作)②マイアミ・ボイス(2008年・アメリカ)③ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間(1992年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②相棒シリーズ(第1作は2008年)③Xファイル ザ・ムービー(1998年・アメリカ)

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アメリカのテレビドラマの映画版ばかりが、日本版の対抗格になってまいましたけども、

イギリス、韓国、その他の国やらにも、その種の刑事ものはあるんで、ボクが見てへんだけなんで、その点はご容赦くだされませ。

男の相棒刑事ものちゅうたら、テレビドラマ的にはやはり、アメリカがルーツとなるんやないやろか。

St3
単独捜査系となり、メイン・ソースは捜査もんやない、デヴィッド・リンチ監督のベスト③を除いては、基本はコンビ捜査ものどして、

また、チーム捜査もあるっちゅう映画どすが、その2つを、最もバランス良く魅せてくれはるんが、本作でおました。

St4
テレビドラマ系を外せば、コンビ・相棒刑事ものでゆうたら、ボク的には、「夜の大捜査線」(1967年・アメリカ)がルーツでありまして、

最もダイスキな作品やけど、白人のロッド・スタイガーと黒人のシドニー・ポワチエが、人種的差別を乗り越えて、キズナを結ぶんが、メッチャ渋い感動があったけど、

この種の拮抗関係が、徐々に緩和してゆくタイプの、刑事コンビものちゅうのは、最もドラマ映えしやすいもんやないやろか。

刑事と受刑者が組む「48時間」(1982年・アメリカ)なんかも、その種やろか。

ほんでもって、本作は、そのいがみ合う関係が、如実に出た上に、ユーモラスな余裕も見せるとゆう、相棒ぶりをば披露しはります。

St5
チーム捜査ものとしても、説得力ある、出色の仕上がりぶりどす。

捜査群像劇としては、黒澤明作品「天国と地獄」(1963年)のような、リアリティーある骨太感はないけども、

21世紀的にしっくりしとる点では、これでエエんかもしれへんけど、

ただ、スルスルと、その方法論が示されるのは、少し緊張感がなかったかもしれまへん。

St8
パソコン・プロファイリングで、お茶の子さいさいでケロッとやる志田未来、

プロファイリングとは何の関係もないけど、お色気で迫る芦名星、

臭いで真相を見極める格闘家の窪田正孝、お坊さんの三宅弘城やら、

ヒト癖もフタ癖もあるST(科学特捜班)の、捜査具合も、大いなる見どころになっとります。

St10
でもしか、モチ、ポイントは、藤原竜也アニキと、チーム・リーダーの岡田将生クンの、トンデモな相棒ぶりどすえ。

早口の長ゼリフを、お互いに披露。

逼迫節の藤原竜也に対し、ピントはずれのオオマジの、ボケ系で応じる岡田将生とゆうスタイルは、テレビドラマ以上に、大仰に打ち出されておます。

また、ビルの屋上から屋上へと飛ぶ、アクション・シーンも、おいおい、ちょっと待ってぇやーな、波乱とコミカルがござります。

St9
もろさが目立ちリアリティーは薄いけども、捜査一課刑事役の瀬戸朝香と林遣都の、必死のシリアス・モード、

渡部篤郎や田中哲司の、ひょうひょうとした妙演、

犯人役ユースケ・サンタマリアの、自然体的クールな不気味さ。

脇役たちも、刑事ドラマらしき演技ぶりをば、各人のベスト演技で魅せてくれはります。

ちゅうことで、字幕やらでタイムリミット系ドラマを見せつつ、緊張感を膨らませて、クライマックスを迎え、

ほんで、どんでん返しもあるっちゅう、刑事ミステリーの快作どした。

2015年1月 3日 (土)

フィンランドの音楽ドキュメンタリー「パンク・シンドローム」

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知的障害者4人による、ロック・バンドを描く爽快な1本や

これぞ純粋に、ロックに捧げる映画とちゃうやろか~

http://www.punksyndrome.net

2015年1月17日のサタデーから、エスパース・サロウはんの配給によりまして、東京のシアター・イメージフォーラムほか、全国順繰りのロードショーでおま。

本作は、2012年製作の、フィンランド・ノルウェー・スウェーデン合作による、フィンランド映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸMouka Flimi Oy

音楽ドキュメンタリー映画に、遂にトンデモないのんが、出現しよりましたがな。

知的障害者の、男4人バンドを描くんやけど、

精神治療をやりもって、ライヴを数多くこなし、遂には、シングル・レコード・デビューも、果たしたやなんて、ホンマですか~やで~。

しかも、フィンランド映画とゆう、これまたサプライズや。

ボクチン、フィンランド映画やなんて、ほとんど見たことないんやけど、

ましてや、ドキュメンタリーやなんて、初めて拝見させてもらいましたがな。

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とにかく、これまでの音楽ドキュや、音楽ドラマ映画のセオリーをば、大いに外しまくった作品どして、

素人まがいの人たちがプレイする、音楽映画はあったけども、

知的障害者でも、立派に音楽を発信できるとゆうのは、そこまでゆくと、はっきりゆうて、前代未聞でおます。

言語障害のボーカリスト兼ギタリスト、多動性障害のベーシスト、ダウン症のドラマーなど、

しかも、それぞれの担当パートで、大きなハンデがありながら、スイスイとこなしてまうとゆう、モノスゴサやねん。

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さらに、メンバー全員が、障害をものともしない躍動ぶりに、われら健常者も、すっかり乗せられてしまいよります。

障害者への「お涙ちょうだい映画じゃない」点を、バンド・リーダーが強調。

あくまで「ロックに捧げる映画」なんやと、力説しはります。

歌われる歌の内容も、パンク・バンドらしくて、ディープ・インパクトや。

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「権力者はペテン師。俺たちを(精神病院に)閉じ込める」とか、

「みんな、ハメを外そうぜ。こんな社会、国家なんか大嫌いだ」とかの歌詞。

MCでは「パンクなんてクズ音楽は捨ててやる」なんて息巻いて、

一方では、粗削りなアップ・ナンバーとは違う、マイナー系のブルージーな、スロー・ラブ・ソングを披露したりと、

硬軟両用も、巧みに魅せてくれはります。

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各メンバーのプライベート部も、惜しみなく披露されます。

グループホームなんてクソくらえ、施設を出たいという、ホンネ部を始め、

結婚まで進むラブ・ストーリー部や、オトンオカンと息子のキズナ部もあり、

ほんで、もちろん、ケンカもありながらも、4人の深き友情部も、大いなる見どころでおましょうか。

そして、ライブ、コンサート・シーンの、タイトな挿入もまた、見どころやろな。

フィンランド・ヘルシンキから、ドイツ・ツアーへロード。ドイツの観客を魅了しバクレツさせ、

ほんでもって、本国での野外コンサートへ。大盛り上がり大会となった、このライブ・シーンで、本編はシメられます。

ちゅうことで、これまでに多数出回ってきた、プロのミュージシャンたちの、コンサート映画とは違って、

異色異彩やけども、音楽魂・ロック魂が、存分に伝わってくるような、会心の音楽映画でおました。

2015年1月 2日 (金)

2014年カルト邦画ベストテン

脱ぐも脱がずも、映画内のヒロインが、ダイスキになれる映画を選びましたで

ある意味で、マイ・アイドル映画をば並べてみました

選=映画分析評論家・宮城正樹

()は主演・出演女優

①捨てがたき人々(三輪ひとみ主演・内田慈助演)

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②女子ーズ(桐谷美玲主演)

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③海を感じる時(市川由衣主演)

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④百瀬、こっちを向いて。(早見あかり主演)

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⑤禁忌(杉野希妃主演)

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⑥日々ロック(二階堂ふみ主演)

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⑦舞妓はレディ(上白石萌音主演)

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⑧海月姫(能年玲奈主演)

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⑨ホットロード(能年玲奈主演)

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⑩寄生獣(橋本愛助演)

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次点:⑪1BR(ワン・ビー・アール)-ラブホテル

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●全ての作品は、弊ブログで分析済みどす。

はっきりゆうて、染谷将太クン主演の⑩以外は、ヒロイン映画ばっかしになってまいましたが、すんまへん。

しかも、ヤラシー度と清純度が、半々みたいなカンジなんも、すんまへんやろか。

ヤラシーのは①③⑤⑪。

次点の⑪は、ロマンポルノの今を描いてはると思うんやけど、

ヤラシー度は、はっきりゆうて、セックス・シーンなどを、ストレートに描き込めるにも関わらず、映画的出来においては、①③⑤には勝っとりまへんどした。

共に、脱いではるんやけど、その脱ぎっぷりの潔さは①③やけど、単に脱いでセックスするだけやありまへん。

ヒロイン・ドラマの中でも、絶妙なとこがあります。

強姦まがいの①、伝説の原作小説のヒロイン像と、決してヒケを取らへん、受け身ヒロインの微妙さを演じる③。

そして、プロデューサー・映画監督までやってる、女優の杉野希妃ネーさんが、少年をテゴメにしてまう⑤。

映画的なヤラシー映画は、昨年も健在やったし、今年もぜひともイロイロやってもろて、公開してほしいかと思います。

片や、清純派・アイドル系や。

かつてアイドルチックな女優が、主演するパターンには、約2つがありました。

メッチャ簡単なんやけど、既にアイドルとして認知・人気の人が主演するか、

もしくは、ここでアイドルチックをば、認識してもらわんかとする作品。でもって、その2界をブレンディーした作品やろか。

認知系は⑥⑧⑨⑩。

よう知らん系・新規は④⑦。

グループ系で、混成アイドルチックを出した②。

モチ、アイドル映画の王道系を、シリアス⑨とコメディ⑧で示した能年玲奈ちゃんは、特筆すべき存在感を示してはりました。

朝ドラ「あまちゃん」に出た、橋本愛ちゃんの⑩と共に、ボク的には、2人にますますゾッコンになるような、仕掛けの映画やったかと思います。

アイドル映画は軽視されがちやけど、これらの映画こそ、未来の日本映画の、指標を担う映画なんやないやろか。

④⑦も、そのスタイルをば外してはりまへん。その時代時代のアイドルは、その時代においては、フォーエバーやから。

もって、そのアイドルへの熱き想いは、自らが死んでも残っていくハズやから。

ちゅうことで、脱ぐも脱がずも、ボクチンの女アイドル映画への想いを、手前勝手に書かせてもらいました。

女性の方にはすんまへんやけど、男アイドル映画のベストも、ゆくゆくは披露さしてもらいますので、

よろしくお願いいたします。

ちゅうことで。

2015年1月 1日 (木)

2014年カルト洋画ベストテン

明けましてやけど、

昨年のカルト映画の、年間マイ・ベストも、2015年の年頭からやりまっせー

まずは外国映画から、いってみよか~

選=映画分析評論家・宮城正樹

●カルト映画とは、ワーストとか裏ベストではなく、見る人によって素晴らしい映画になり、

また、何らかの引っ掛かりが、あとあとに効いてきて、それがココロに残り、永く引き継がれてゆくような映画。

分かりやすくて単純、そやけど、ウーン…とか、分かりにくくて難しいけど、何度も見てその作品性を、追求してやりたいとか、

映画的な仕上がりよりも、個人的に、偏愛したりとか…そんな映画を対象にしとります。

①So Young~過ぎ去りし青春に捧ぐ~(中国映画)

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②闇のあとの光(メキシコ)

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③ニンフォマニアック(デンマーク)

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④ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪(中国・香港)

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⑤パラダイス3部作・希望・神・愛(オーストリア)

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⑥めぐり逢わせのお弁当(インド)

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⑦メビウス(韓国)

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⑧マチェーテ・キルズ(アメリカ)

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⑨効遊 ピクニック(台湾)

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⑩ヴェラの祈り(ロシア)

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次点:⑪ミニスキュル 森の小さな仲間たち(フランス)

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●全作、全て弊ブログで分析済みやけど、ボク的には、はっきりゆうて、順不同に勝手に偏愛・寵愛しとる映画どす。

全てに、何らかの変種スタイルがあるんやけど、最後まで見たら、これは歴史的な傑作やと思うこともあり、

それが、数日後には、イロイロ考えて、リピートしてもう一回なんて、思たりする映画どすやろか。

アート映画から、トンデモ・アクション映画までイロイロやけど、

全作において、破天荒あるいは予想外が、ボク的には、キーワードになっとる作品をば選んどります。

中国の大学生男女たちの交流と恋の行方、ほんで、社会人になってからのその後を描く①は、一見、非常に分かりやすい、恋愛青春映画になっとります。

けども…。中国映画で、こういう映画はまずありまへん。そのあたりの変形ぶりが、最後まで尾を引いてきよりました。

さわやかさの中にある、クエスチョンな余韻は、未だに続いておます。分かりやすい作りなのに、なんでやねんちゅうとこで、この作品を1位にしました。

アート映画の変局家族映画②。何で妻だけが、夫の了解のもと、乱交パーティーに参加すんねんとか、イロイロ疑問が噴出。

同じく、⑩も謎めいた、コドモのいてはる夫婦映画。

一方で、同じ家族ものでも、オカンが息子のあそこを切り取って食べ、オトンが合わせてあそこを切る、ナンチューのんを、ストレートに平気で冒頭に持ってくる、キム・ギドク監督作品の⑦。

ラース・フォン・トリアー監督の、表層上はヤラシー度の高い③ともども、性としての人間性の問題を、突きつけてきはります。

そやから、ヤラシー・シーンもヤラシク浸れない。そこは問題やないんやけど、実のとこ、そこがポイントの映画なんかもしれまへん。

インド映画の常識を覆した⑥や、家族映画を別々に奇妙なテイストで描いた、3部作長尺映画の⑤。

さらに、オトンとコドモ2人のホームレス家族と、そのオトンの孤独ぶりを、ワケ分からへんタッチで描いた⑨など、引っ掛かりはズーッと続いてまいります。

ツイ・ハーク監督の、キャリア最高傑作と言える④や、ロバート・ロドリゲス監督の⑧やらで、スカッとしたいとこなんやけど、この2作も従来のハリウッド・アクションとは異質な、カルトと呼ぶしかない、大アクションでウーンと唸らせます。

ディズニー的のように見えながらの⑪さえ、ディズニーとは違うセンス。

その異色な仕上がりぶりで、100年後、200年後にも、カルティックな作品として、この11作の何作かは残っていくやもしれまへん。

映画館で見るのはモチ、DVDで見られる機会があれば、ぜひチェックしてみてくだされ。

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