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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2014年11月の記事

2014年11月30日 (日)

本田翼&東出昌大共演「アオハライド」⇒日曜邦画劇場

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コミック原作らしくない、誠実で真摯な学園ラブ・ストーリー

ボク的には、4度にわたる感動のシークエンスに、ホンマに泣いた!

http://www.aoha-movie.com

12月13日の土曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014映画「アオハライド」製作委員会

Ⓒ咲坂伊緒/集英社

高校学園もの日本映画は、これまでに多数の傑作を輩出してきよりました。

日本映画史を俯瞰すると、本作はマイ・ベストテンに入ると思うねんけど、

取りあえず、ボクがこのブログを始めた2009年年末から、今までの作品を対象に、

ラブ・ストーリーも含む高校学園もの映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・全て弊ブログ分析済み)をば披露いたします。

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●ベスト⇒①本作②桐島、部活やめるってよ(2012年)③ホットロード(2014年)

●カルト⇒①江ノ島プリズム(2013年)②書道ガールズ!!!わたしたちの甲子園(2010年)③ランウェイビート(2010年)

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●本作の主演の本田翼ちゃんの「時をかける少女」(1983年)的、変則ラブのカルト①。

同じく主演の東出昌大(ひがしで・まさひろ)クンが、デビュー作で出演しはった、21世紀の学園ものの、最高傑作とも言えるベスト②。

ほんで、本作でトラウマ少女を演じた、高畑充希ちゃんが、豪快な元気演技を示したカルト②。

ちゅうことで、ただ今、旬な学園ものに映える、若きスター候補生たちが、共演しはったんが、本作なんでおます。

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本作の男優3人・女優4人共に、平成初期生まれの、21世紀の第2世代が演じてはります。

第2世代については、これまでにもイロイロ論じてまいりました。

ベスト③の能年玲奈ちゃん、カルト③の桜庭ななみチャンも、そんな世代に入ってはります。

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でもって、本作は高校ラブ・ストーリーとして、出色の仕上がりを示してはります。

アイドル映画としての側面も、キチッと押さえながらも、7人のキャラクターは、実に魅力的に演出されておました。

まあ、トラウマがあるんは、東出クンと高畑充希ちゃんだけで、主にマットウかつ前向きなセリフで、みんないい人やねん、みたいなノリは、

毒がないやんなんて、思わはる人がいてはるかもしれへんけど、名作「青い山脈」(1949年)も、そんなカンジの青春映画どした。

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本田翼ちゃんの誠実さ、東出クンも基本ラインは誠実やし、

新川優愛(ゆあ)ちゃんは、単にかわゆいを超えた、エエ人柄を示し、

「神戸在住」(2015年1月17日公開・後日分析予定)では、女子大生役やったけど、藤本泉ちゃんの癒やし系。

そして、吉沢亮クン、千葉雄大クンらの男優陣も、メッチャ好感度の高い演技で、魅せてくれはりまっせ。

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感動ポイントちゅうか、ボクが思わず泣いたシーンは、4シークエンスもありましたがな。

「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)でも泣いたけど、4回はいくらなんでも多過ぎるわ。情けない!!

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でも、ホンマに泣いたんやから、どないしょうもありまへんがな。

傑作やから泣いたちゅうよりも、ヤッパ、演技陣の誠実で真摯な演技に、ついつい絡め取られたもんやろか。

東出を翼ちゃんが励ますシーンやら、東出のキモチを知って、翼ちゃんが彼の元へ走ってゆくシーン。

ほんで、末期ガンで死んでしもたオカンの、ホントのキモチを知った時に、東出が泣いてまうシーンなど、

過剰な演出を控えてはるだけに、ついついキテまうねんな、多分。

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ベスト③も撮った、アイドル映画の名手、三木孝浩監督の新作でおます。

日の出シーンをポイントに、いつもながらに、陽光の使い方が上手やったな。

4度あるキス・シーンの演出ぶりも、それぞれ違うシチュエートで撮って、実にシャイでうまいわ。

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でもって、ラストロールで流れる、「いきものがかり」の、キャッチーなポップ・ミュージック「キラリ」。

ヒット方程式の「クリシエ」(サビでベース音が、1音ずつ下がる)を使った仕上げ。

21世紀のドリカムとして、最後のシメは見事にキメはります。

ほんで、ホンマのホンマのラストシーン(写真一番下)へ。

お正月のデートムービーとして、打ってつけの快作やと思います。

2014年11月29日 (土)

フランス映画「サンバ」⇒ヨーロッパ映画特選5

1

国外退去を命じられても、明るい明るいオマール・シーや~

燃え尽き症候群に罹っとっても、脱がないシャルロット・ゲンズブールや~

http://samba.gaga.ne.jp

12月26日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸQuad - Ten Films - Gaumont - TF1 Films Productions - Korokoro

フランス映画は長らく日本では、大ヒットする作品はありまへんどした。

でもしか、年の差を超えた友情映画「最強のふたり」(2011年製作・フランス映画)が、単館系から始まって徐々に広がり、大ヒットしましたがな。

誰が見ても、感情移入できた作品どしたわな。

ほんでもって、それをば監督したエリック・トレダ&オリヴィエ・ナカシュが、今度も大ヒットを狙い打ちするカタチで、本作を作ってきはりました。

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一見して、メッチャ気合いが入っとるなと思いました。

「最強のふたり」に続き、オマール・シーのアニキを、主演に据えはったんやけど、今度も友情ものかと思たら、友情ものは友情ものでも、

ラブ・ストーリーやない、描くのには難易度の高い、男女の友情ものをば、作ってきはりましたがな。

しかも、男女のどちらにも、前向きな好感を覚える作りどす。

男2人女1人の友情「冒険者たち」(1967年・フランス)の頃のステキな、好感度がある映画になっとりましたで。

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セネガルからフランスに来て、10年居ついてはるオマール・シーのアニキやけど、どおゆうわけか、祖国への退去を、裁判所から命じられてまいまんねん。

伯父のとこで、一緒に住んできたんやけど、そんなの関係なし。

そこで、移民を支援する団体から、相談員シャルロット・ゲンズブールのネーさんが、オマール・シーと話し合わはります。

ほんで、2人の間に、ラブもあるんやけど、しみじみな友情のキズナが、結ばれてまいりまして…。

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このところ脱いで演技派ぶりをば、示してきはったシャルロット・ゲンズブールのネーさんが、正攻法で複雑なヒロイン役を演じはります。

燃え尽き症候群に罹ってはるんやけど、明るいオマール・シーと、話し合い付き合っていくうちに、徐々に前向きになってゆかはります。

2人のわめきの口論シーンも、2人のキズナを深めるための、絶好のシークエンスになっとりました。

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オマール・シーは、サンバちゅう名前の主人公なんやけど、音楽のサンバと絡めてか、サントラ部もメッチャ充実しとります。

冒頭の長回しの移動撮影。ホテルのサンバ・イベントを映して、皿洗いの主人公のとこまで来るシーンから、ググッといきなり魅了されました。

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歌ものサントラが、メインどす。

サンバを始め、ノリノリのポップ・ロックから、しっとりのスロー・ナンバーまで、胸キュンどすえ。

ビルの窓ガラス拭きそうじをしながら、ダンスするシーンなど、ハットトリッキーでもありましたえ。

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さてはて、フランス映画やらで、これまで不法滞在者を描いた映画は、ケッコーありますけども、ここまで明るく描いた映画は稀でおます。

ラブ・ストーリー部、最後の方で展開する、バトル・アクション・シーンなども、見どころとなっとります。

そして、2人の再生シーンを、カットバック的に魅せてゆくラスト・シークエンス。

イロイロあっても、最終的には前向きになれる映画なんで、お正月映画として、メッチャふさわしき映画やと思います。

2014年11月28日 (金)

ロマン・ポランスキー監督「毛皮のヴィーナス」⇒ヨーロッパ映画特選4

1

ワン・シチュエーション映画の名手でもある、ポランスキー監督の最新傑作が登場や

デビュー作「水の中のナイフ」を凌駕したかも…

http://www.kegawa-venus.com

12月20日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、関西やったら、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

本作は、2013年製作の、フランス・ポーランド合作映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 R.P. PRODUCTIONS - MONOLITH FILMS

間違いなく映画史に残る監督、ポーランド出身のロマン・ポランスキー監督の新作でおます。

特殊設定のヒロインもの、ミステリー&サスペンスに、逼迫系の男のドラマも構築し、まさに何でもありのようやけど…。

1960年代に「水の中のナイフ」(1962年製作・モノクロ・ポーランド映画)でデビュー。

いきなり、世界3大映画祭(アカデミー賞は除く)の、ヴェネチア国際映画祭で批評家連盟賞をゲット。

ハリウッドに進出以降、1970年代にはピークを迎えはります。

まあ、いろんな事件はあったけども…。

ほんで、1980年代以降は、それなりにやってはったんやけど、奮わなかった。

けども、21世紀に入り、「戦場のピアニスト」(2002年・ポーランド&フランス)を発表。

カンヌの最高賞を始め、アカデミー賞で監督賞やらを得たこの作品は、監督的にもボク的にも、過去最高の傑作となりました。

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そして、見出しにも書きました、ワン・シチュエーション映画についてどす。

あるシチュエーションを設定して、少人数ドラマを心理的部分を重視しもって、スリリングに展開してゆく話。

で、湖での男女の三角関係が緻密に描かれた「水の中のナイフ」。

室内劇的に、ヒロインの不安を示すホラー「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年・アメリカ)。「マクベス」(1971年・アメリカ)、「戦場のピアニスト」さえも、特殊設定もんやと思いました。

「ローズマリーの赤ちゃん」の、男版とも取れる「ゴーストライター」(2010年・イギリス)もそうやろか。

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ほんで、最新作では、監督のシチュエートぶりが、より先鋭化しておます。

コドモにまつわる大人のケンカを、2組の夫婦でやってまう「おとなのけんか」(2011年・弊ブログ分析済み)に続きまして、本作を作ってきはりました。

演劇のオーディションにまつわる、男女2人だけの話でおます。

室内劇・ホール劇はそれなりにあったけど、中でも、2人芝居とゆうのは、より潰しの効かないストレート・プレイが、要求されよります。

しかも、刑事と容疑者の男2人の「探偵スルース」(1972年・イギリス)とは違い、男女2人の密室劇。

しかも、「愛のコリーダ」(1976年・日本&フランス)みたいなセックス・シーンは、一切なしやねん。

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オーディションする男側と、される女側とゆう、シンプルな2人の物語が、いやはや、稠密に紡がれて、メッチャスゴイわ。

モチ、監督の演出もあるやろけど、監督の要望に応える、2人の演技ぶりこそがキモなんやろな。

男はマチュー・アマルリックのアニキ。みんな、知らんやろな~。

でも、現在のフランス男優では、おそらくベタやないけど、最高の渋い演技を見せる方やと思います。

ヒロインへの演技指導とはいえ、女役までやってもうて、フレキシブルさがエエわ。

対して、エマニュエル・セニエのネーさん。

監督の現ヨメはんやけど、この方は佇まいそのものが、エロく見えんねんけど、

表情演技を含めて、メッチャ微細なとこを見せはる、これまた、かゆいとこやらに手が届く渋演どす。

彼女も映画にケッコー出てはるんで、マチュー共々検索して、本作を見に行く前や後に、レンタルDVDで予習・復習してみておくんなまし。

ちゅうことで、映画ファンにはこたえられへん、お正月映画でおました。

2014年11月27日 (木)

「暮れ逢い」⇒ヨーロッパ映画特選3

1
パトリス・ルコント監督の久々の傑作恋愛映画

「髪結いの亭主」「仕立て屋の恋」に迫る仕上がり

http://www.kure-ai.com

12月20日のサタデーから、コムストック・グループはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショー。

本作はフランス&ベルギー合作映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 FIDELITE FILMS - WILD BUNCH - SCOPE PICTURES

ヨーロッパ映画の日本拡大系ロードショーは、久しくないんやけど、でもしか、日本の大手映画やハリウッド映画とは、確実に色合いの違う、ストーリー展開や映画性があります。

例えば、本作の恋愛映画について見てみよりますと…。

本作は、フランスのパトリス・ルコント監督による作品でおます。

ゆうても、ゴリゴリの映画ファン以外は、誰やねん? なんて思わはるやろな。

DVD化されとる代表傑作として①「仕立て屋の恋」(1989年製作・フランス映画)②「髪結いの亭主」(1990年・フランス)やらが出とるんで、見てみてくだされ。

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さてはて、本作は映画評論家受けの高かった①②のセンスの、延長線上にある、ラブ・ストーリーでおます。

フランスの恋愛映画てゆうたら、ハリウッド映画やらとは違い、明るい恋愛とゆうのはそないありまへん。

ハッピーエンドにしても、妙にしんみりしたりしよります。

そんなフランス恋愛映画チックを、押し出した本作。

デートムービーとして楽しめるとゆうよりは、2人の恋を見つめて、自分たちの関係性へと見返るようなカンジやけど、

でもしか、それこそが2人して共に、感情移入できるような、恋愛映画の在り方やもしれまへん。

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ハリウッドや日本にもない、恋愛映画やとボクは思うたな。

例えば、①は片想い映画やけど、その片想いが、命を賭して男として無償の愛へゆくあたり、今やあり得そうであり得ない展開。

②は、人情コメディ節が入っとるけど、コドモの頃の憧れが、大人になってとゆうスタンスの妙味。ほんでもって、本作や。

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1912年のドイツが舞台どす。

いわゆる、世界大戦前の恋愛を、かつてオーソドックス・定番的に、描かれていた恋愛映画を、なぞるようでありながら、

そこに、ルコント監督節とも言える、観客側からして主人公を見て“もどかしい”やったり、“がんばれよー”やったりが、付きまとってきよりまんねん。

そこが、ルコントらしさなんやけど、不倫を描きながらも今回も、そのもどかしさやらが付きまとっておます。

そやから、最後までハラハラドッキリで、見られる恋愛映画やねん。

5
スリリングなオーケストラ・サントラで、往年の大仰な恋愛映画ノリを示しつつも、セピアの照明使いや霧のもやうシーンなど、シックさを心掛けつつ、

あのラストシーンへと持っていく、アナクロニズムな感覚。ウーン…たまらんで。

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シルエットにした2人のラブ・シーン、ゲーテの「世界は音楽なしには存在しない」とゆう名言や、

ベートーベンのピアノ・ソナタなど、2人の恋愛を包み込むシーンが、ルコント監督作品的を超えてウットリなったりしよりました。

ボク的には、女優レベッカ・ホールのネーさんに、魅せられた1作でもありました。

ちゅうことで、ルコント監督の渾身の恋愛映画どした。

2014年11月26日 (水)

「おやすみなさいを言いたくて」⇒ヨーロッパ映画特選2

1
戦場カメラマンがオカン・ヨメの場合の、家族ドラマ・バージョンどす

アカデミー賞女優ジュリエット・ビノシェのネーさんのための映画とも

http://www.oyasumi-movie.jp

12月13日のサタデーから、KADOKAWAはんの配給によりまして、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2013年製作のノルウェー&アイルランド&スウェーデン合作映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒparadox/newgrange pictures/zentropa international sweden 2013

PHOTOS Ⓒ Paradox/Terje Bringedat

フランスの女優はん、ジュリエット・ビノシェのネーさんの新作どす。

みなはん、フランス女優のイメージって、どないやろか。

また、ビノシェ・ネーさんの主演・出演作品を、見はったことはありますやろか。

取りあえず、まずは、ネーさんのマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露さしてもらいま。

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●ベスト⇒①存在の耐えられない軽さ(1988年製作・アメリカ映画)②トリコロール/青の愛(1993年・フランス)③本作

●カルト⇒①イングリッシュ・ペイシェント(1996年・アメリカ)②ショコラ(2000年・アメリカ)③ポンヌフの恋人(1991年・フランス)

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●ベスト&カルトの違いは、ほとんどありまへん。

強いてゆうなら、ベストは強気な女役、カルトは優しい女役といったとこやろか。

また、アカデミー賞作品賞に加え、自身が助演女優賞をゲットしはったカルト①などを除いて、ほとんどが単館系の傑作なんで、特に、地方の方は、劇場で見る機会はなかったかもしれへんけど、

本作を除き、全てDVD化されてるんで、お近くのレンタル店で借りて見ておくんなはれ。ほんで、本作へ、っちゅうようなカンジやろか。

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1980年代に、映画デビューしはった彼女。

それまでのフランス女優の妖しさ、妖艶さ、気まぐれなカンジ、あるいはファッショナブル、もしくは美しーい、といったイメージをことごとく覆し、

ベスト①で魅せる、正攻法のストレートさやったり、癒やしや優しさのカルト①②③やったり、うん? この人、ホンマにフランスの女優はん? といったとこらを示さはり、

それまでのフレンチ女優はんにはないとこをば、示し続けてきはりました。

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確かに、彼女以降、ハリウッドに進出した女優として、アクション女優ミラ・ジョヴォヴィッチやら、ユニークな女優のオドレイ・トトゥやらが出てきはったけど、

でもしか、彼女は演技を作り込まず、あくまで自然体に見えるところをメインにし、しかも観客の好感を呼ぶ形で、演技派ぶりを示さはるとこなんか、

他の追随を許さない、庶民派的演技派であらはりまっせ。

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そんな彼女の最新作は、男勝りの演技でおます。

アフガンやらへ行き、冒頭から命からがらの戦場カメラマン役。

しかも、人妻どす。しかも、2人の子持ちや。

最近でも、戦場へ行く兵士がヨメで、ダンナがコドモたちと、ヨメ・オカンの帰りを待っているっちゅう、映画なんかがありましたけども、いずれにしても、珍しいタイプの映画どす。

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その上で、戦場から帰ってきはったヨメ・オカンの、夫との関係に加え、コドモたちとのつながりが、主に描かれてゆくんやけど、

映画の流れ的には、家族のキズナは戻るんか、あるいは、戦場への想いが断ちきれずに、オカンは戦場へ戻るんか。

いろんなドラマ的ジレンマや命題が、綴られてまいります。

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アフガンやケニア・ロケもあるけども、オカンの故国アイルランドが主舞台。

ロングショットの海辺シーンや、どんよりした海辺の空模様などを挟みつつ、家族の日常、ほんで、相克ぶりがじわじわと、描かれていきよります。

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イントロやビノシェ・ネーさんの過去描写など、無音の描写に映画らしさが垣間見えたり、

バイオリン合奏に加え、ピアノなどのサントラで抒情味あるサントラ。

さらに、ギターとストリングスによる、癒やしのフィメール・ポップスなど、悩み深きヒロインのキモチを、柔和に包んでゆきよります。

家族ドラマ性以上に、ビノシェ・ネーさんのヒロイン映画性が濃厚やけど、家族のキズナへと、単純に着地する映画よりも、新鮮やったし、サプライズ・エンディングにもグッときました。

ボク的には、ビノシェ・ネーさん映画の、久々に見た傑作どしたえ。

2014年11月25日 (火)

「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」⇒ヨーロッパ映画特選1

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ロマン・デュリスと、女優3人オドレイ・トトゥ&セシル・ドゥ・フランス&ケリー・ライリーの、キズナを描くシリーズ第3弾

ファンキーな歌ものサントラなど、ノリノリの展開でお届けやで~

http://www.nyparisian.ayapro.ne.jp

ディセンバー12月20日のサタデーから、彩プロはんの配給によりまして、東京・Bunkamura ル・シネマやら、大阪のシネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

その後、関西やったら、12月27日から京都シネマ、1月10日からシネ・リーブル神戸やらで、お正月ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 Ce Qul Me Meut Motion Picture - CN2 Productions - STUDIOCANAL - RTBF - France 2 Cinema

フランスのセドリック・クラピッシュ監督が描く、男1人と女3人(ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、セシル・ドゥ・フランス、ケリー・ライリー)たちの、群像劇フランス映画どす。

第1弾は主人公がスペインの大学時代を捉えた「スパニッシュ・アパートメント」(2001年製作・フランス映画)、

第2弾は大学卒業後の、彼・彼女らを捉えた「ロシアン・ドールズ」(2004年・フランス)。

そして、第2弾発表より9年。彼女らの1人(ケリー・ライリー)と結婚し、2人の子持ちとなった40歳のロマン・デュリス。

小説家として頑張り、新作を書こうとする中で、男を作ったヨメと別居し、2人のコドモとはたまにしか会えず、ほんで、離婚調停中。

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レズのセシル・ドゥ・フランスに精子を提供して、コドモを儲けさせ、でもって、かつての彼女、オドレイ・トトゥとの間に、再び愛が再燃し…。

そんなこんなの中で、ダメ人生なのかと悩める男を、ロマン・デュリスのアニキが、豪放果敢、自在奔放に演技してくれはります。

第1弾の青春映画のノリは、さすがに褪せておますが、主人公と主人公を巡る女たちの物語、加えて人情的コメディ的センスとしては、かなりとハイブリッドな、大人のコメディに仕上がっておます。

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アメリカの監督やけど、リチャード・リンクレイター監督の、パリを含むヨーロッパを舞台にした、恋人(のちに夫妻)「恋人までの距離(ディスタンス)」シリーズ(1995年・2004年・2013年・アメリカ)と、対を成すような、3部作シリーズやないかと思いますわ。

パリを舞台にした、アメリカ人の話「巴里のアメリカ人」(1951年・アメリカ)とは真逆で、ニューヨークを舞台にした、フランス人たちのお話どす。

フランス映画らしい明るい画像で、終始紡がれるだけやなく、

ファンキーな歌ものサントラ流しの、冒頭のスローモーション・カットを始め、ギター・ソウルやタイトなヒップホップなど、

ノリノリのサントラを流して、終始ゴキゲンなノリとリズムが、本作に一貫してあります。

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さてはて、ロマン・デュリスのアニキ。

出版エージェントと小説「難問(仮題)」のやり取りをば、スカイプでやってはるけど、実はパリを離れ、ニューヨークに行ってしもた妻とコドモたちを、追ってNYに来はったんでおます。

ほんで、セシル・ドゥ・フランスと恋人のとこに、一時厄介になってたんやけど、チャイナタウンに部屋を見つけて住み、

ほんで、中国女と偽装結婚してまで、NYに居付こうとしはりまんねん。このあたりの展開は、はっきりゆうてトンデモありゃしまへんで。

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さらにさらにでんな、オドレイ・トトゥと再会し、「もっと奥よ!」ナンチュー、ベッドシーンを経て、この4人の関係性は、何やらこんぐらがってまいりましてな…。

ほんでもって、最後には、鉢合わせのスリリングなシーンへと、滑り込んでまいります。

ラストロールでは、出演者全員が、NYの街をパレードするんやけど、

いやはや、大人の見るお正月映画としては、メッチャ打ってつけな、トラブル回避の喜劇に、なっとるやろかと思いまっせ。

ちゅうことで、こいつぁ春から、見に行っておくんなまし。

2014年11月24日 (月)

安藤サクラ主演「百円の恋」⇒サクラ節全開のヒロイン映画

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サクラ・ネーさん、何と、なあ~んと、女ボクサー役やで~

「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンクと、甲乙付けがたしな演技ぶりや~

http://www.100yen-koi.jp

師走12月20日の土曜日から、SPOTTED PRODUCTIONSはんの配給によりまして、テアトル新宿やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作は「R-15+」指定映画だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014東映ビデオ

21世紀の日本映画女優の第1世代(1980年代半ばに生まれた宮崎あおい・蒼井優・上野樹里・上戸彩ら)の中で、

最も演技派やと、ボクがジャッジする、安藤サクラ・ネーさんの最新作でおます。

いやはや、今回は前作「0.5ミリ」(2014年・弊ブログ分析済み)より、さらにスゴイ。女ボクサー役やがな。

3
女ボクサー役ヒロインをやった日本女優は、主演としては、日本映画史上初めてやないやろか。

戦前は「チャンプ」(1932年・リメイク版1979年・アメリカ映画)、

ほんで、1970年代には「ロッキー」(1976年・アメリカ)が誕生して、その後シリーズ化され、男ボクサー映画はピークを迎えました。

ほんで、日本映画でも、寺山修司監督の「ボクサー」(1977年)、元ボクサー赤井英和が演じた「どついたるねん」(1989年)などが出ました。

1
でもしか、女優がボクサーをやる映画ちゅうのは、世界中を見渡しても、ほとんどありまへん。

クリント・イーストウッド監督が、ヒラリー・スワンクを主演に撮り、アカデミー賞作品賞を始め、監督賞・主演女優賞やらをゲットした、

「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年・アメリカ)にしても、21世紀に入ってから出たものでおました。

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「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリーは、あくまで自らのハングリー精神に満ちて、ボクサーを目指すとゆう、オーソドックスな動機付けやったけど、本作のサクラ・ネーさんは違います。

ボクサー志望の彼氏(新井浩文のアニキ)と出会い、彼と同棲までして、ほんで、彼と別れ、ほんで、ボクサーを辞めた彼に代わり、ボクサーをやるとゆう、これまでにない動機。

何ゆえにやないんどす。彼の魂・精神を体現すべくの、この行動ぶりは、はっきりゆうて、かつてないインパクトがありました。

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練習を経て、対戦へと向かうクライマックス。そして、その後の展開。新井浩文との再会。ココロの琴線に触れるシーンが続きます。

はっきり言います。サクラ・ネーさんのマイ・最高演技でした。

“不器用ですから”は、故・高倉健さんの名言やけど、そんな健さん節を、女優バージョンで見るようなとこがありましたえ。

8
サクラ・ネーのオトンの、俳優・監督の奥田瑛二にも、出せなかった凄みを、ボクは感じました。

評価の高い、複雑系心理を演じた奥田の「海と毒薬」(1986年)や、「深い河」(1995年)さえも超えたかもしれまへん。

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脇役では、根岸季衣(としえ)ネーさんにググッ。

ボク的には、1970年代の日活映画での、根岸ネーさんの演技、特にダイスキなのは「帰らざる日々」(1978年)やけど、ホレとりまして、あの頃の延長線にあるような演技ぶりに、グッときたんですわ。

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さてはて、本作は「第1回松田優作賞」グランプリ受賞の脚本の、映画化作品でおます。

その点で本作を見てみると、サクラ・ネーさんは、確かに松田優作の演技に通じるとこもあります。

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また、ハーモニカ・ギター・口笛など、サントラ使いに、松田優作主演映画にあったような、感じを出してはりました。

クリープハイプの、カッコイイ主題歌にも注目や。

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ちゅうことで、本作は、「かぞくのくに」(2012年・弊ブログ分析済み)、「0.5ミリ」(2014年・弊ブログ分析済み)と並んで、サクラ・ネーさんの、マイ・ベスト・スリーでおます。

2014年11月23日 (日)

能年玲奈ちゃん主演「海月姫」⇒日曜邦画劇場

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モチ、能年玲奈ちゃんのアイドル映画にして、コメディエンヌぶりを遺憾なく発揮した作品や

コミック原作らしさが濃厚に出た、快作品なお正月映画どす

http://www.kuragehi.me

師走12月27日の土曜日から、アスミック・エースの配給によりまして、お正月ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014『海月姫』製作委員会

Ⓒ東村アキコ/講談社

本作は、21世紀の日本のアイドル女優・能年玲奈ちゃんのための映画になっとります。

玲奈ちゃんは、ボク的には、21世紀の第2世代女優に当たる女優はんやと思います。

1980年代半ば生まれの第1世代(宮崎あおい・蒼井優・上野樹里・安藤サクラら)に対し、第2世代は平成初期生まれどすやろか。

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そんな女優はんの中で、ボクのマイ・ベスト・スリーをゆうてみますと、二階堂ふみチャン、橋本愛ちゃん、ほんで、玲奈ちゃんどす。

映画女優的に演技派として、特化してはる二階堂ふみチャン。

映画女優のアイドル性を、演技派ぶりも示しつつ、魅せてくれはる橋本愛ちゃん。

ほんで、NHKの朝ドラ「あまちゃん」で、国民的アイドルになってもうたけど、映画女優的には、これからが勝負となる玲奈ちゃんやと思う。

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でもって本作は、ボクとしては、玲奈ちゃんの、マイ最高傑作となった作品でおます。

シリアス系やった「ホットロード」(2014年・弊ブログ分析済み)も、凄く良かったんやけど、

でもヤッパ、玲奈ちゃんの持ち味は、本作で改めて認識することになったんやけど、トンデル・コメディエンヌぶりやで~。

そのトンデモ爆裂ぶりは、「スウィングガールズ」(2004年)上野樹里や、「NANA」(2005年)宮崎あおい、「亀は意外と速く泳ぐ」(2005年)蒼井優(主演の上野樹里も)らの演技と、シンクロナイズして、対比できる快演技どしたえ~。

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オタクらしき5人の女たちが住む、古めかしき昭和チックなアパートを舞台に、かつてのアパートもの映画の懐かしきがある映画どした。

「トキワ荘の青春」(1996年)とか、恋愛映画的には「翔んだカップル」(1980年)とかのセンスやろか。

でも、本作は女たちだけどして、むくつけき漫画家志望の男たちだけの「トキワ荘の青春」や、ラブ・ストーリーとなった「翔んだカップル」とは、一線を画してはります。

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でもって、オカマというよりは美女役として、このアパートに入る菅田将暉(まさき)クン。

ヒロイン玲奈ちゃんを輝かせる、キーパーソンとなる役どす。

ほんで、クライマックスとなる、ファッション・ショーまでもっていく流れと展開は、スゴイの一言。

で、菅田クンの兄貴役で出てきはる、長谷川博己のアニキ。弟に連れられて家に来た玲奈ちゃんに、一目惚れしてしまわはりまんねん。

ほんで、奥手でありながらも、弟を牽制しもって玲奈ちゃんに、アプローチ・アタックしはります。

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オタク女たちのキャラも、本作をコミカルに弾けさせるポイントでおま。

シリアスとコミカルの、演じ分けの段差が、強烈な池脇千鶴のネーさんを始め、

モデルやのに「三国志」オタクで、戦闘的な太田莉菜ちゃん、

漫才「アジアン」の馬場園梓ネー、

久しぶりに見た、シノラーこと篠原ともえネーの怪演技ぶりに、ググッと魅せられよりましたがな。

メッチャ嫌味な役柄の片瀬那奈や、対して、彼女たちのサポーター役の、好感ある速水もこみち。

共にドラマに、メリハリを加えはります。

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中でもモチ、菅田クンや長谷川アニのツッコミ系に対して、ボケまくりを、大マジにやってくれはる玲奈ちゃん。

「あまちゃん」よりも進化してやるで~。

ほんでもって、玲奈ちゃんは、兄弟のどっちを選ぶんか。そこんとこも、メッチャ興味深いとこどす。

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セット撮影の妙味。クラゲ・ファッションの衣裳作り。海中シーンなどのCG使いなど、細部が魅力的なお話を包んでまいります。

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そして、ファッション・ショーの準備の、ダイジェスト・シーンや、玲奈ちゃんが菅田クンのとこへ走るエエ・シーンで、「SEKAI NO OWARI」の、キャッチーなポップ・ナンバーが、カッコよく流れよります。

ラストロールでも、アップテンポのノリのいい曲が流れて、カッコよくシメはります。

ちゅうことで、お正月映画として、「あまちゃん」チックに、全国民的に、とっておきの1本だす。

ぜひとも、家族一同で見に行っておくんなまし。

2014年11月22日 (土)

「寄生獣」⇒週末日本映画劇場

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コミック原作による、ホラーチック・モンスター映画や~

「エイリアン」以降の流れを汲んだ怪作品や~

http://www.kiseiju.com

11月29日の土曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショー。本作の続編「寄生獣 完結編」は、来年4月25日のゴールデンウィーク・ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ映画「寄生獣」製作委員会

本作は日本のVFXの第1人者の、山崎貴監督の新作映画でおます。

コミック原作やけど、ハリウッドに映画化権があったんやけど、日本に権利が戻ってきて、いち早く監督が映画化しようとアプローチし、それが実現しよりました。

さてはて、ここで、山崎監督のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露さしてもらいますと…。

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●ベスト⇒①永遠の0(2013年製作・弊ブログ分析済み)②STAND BY ME ドラえもん(2014年・弊ブログ分析済み)③ALWAYS 三丁目の夕日シリーズ(2005年・2007年)

●カルト⇒①本作②SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010年)③BALLAD 名もなき恋のうた(2009年)

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●山崎監督は、コミックものの実写CG・VFX化に、執念を見せてはる監督やと思います。

でもって、そういう作品を、ボク的にはカルトに持ってきたけど、でもしか、監督のやりたいとこは、カルト作品にあるんやないやろか。

モチ、ベスト作品は、戦争映画①、ドラえもん映画の最高傑作②、「男はつらいよ」などの、昭和映画の家族人情映画へトリビュートした③など、評論家受けの高い作品も、メッチャエエどす。

さて、採り上げた作品においては、ベスト①を除き、コミック原作映画となっとります。

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さてはて、本作はホラーチックな、人間に寄生し人間を食うモンスターをば、採り上げた映画でおます。

海中生物として出現したんやけど、基本は人類を滅ぼすための寄生行為なんどす。

人間の頭脳に寄生しはるんやけど、ところがどっこい、怪物ミギーは、主人公・染谷将太の脳味噌に入ろうとしたけど、抵抗に遭い、彼の右手に入ってしまいます。

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フツーやったら、寄生された人間は、勧善懲悪の悪役になるらしい。

けども、染谷クンの場合は、右手だっただけに、何とこのミギーと共生しもって、何やら正義の味方的なとこへといかはりまんねん。

ココこそが、本作の見どころとキモをば、成してはりますやろか。

多彩な寄生モンスターとの1対1対決シーンは、メッチャ興奮いたしますで。

「エイリアン」(1979年・アメリカ映画)的な造形ぶりが目立つけど、そこはもはや、映画史的に定着したところのもの。進化系も、チョイ示したりしてはるで。

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橋本愛ちゃんを守る、東出昌大との一大決戦、でもって、その後の寄生されてしもた、余貴美子オカンとの、クライマックスのバーサス。

とにかく、ハラドキで見られるシーンが、最後の方に用意されとります。

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本作において、ナンバーワン・アイドルチックを示してくれはる、橋本愛ちゃんにも注目や。

明日分析予定の「海月姫」主演の能年玲奈ちゃんに加え、「日々ロック」(弊ブログ11月2日付けで分析)の二階堂ふみチャンやら、21世紀の邦画女優の第2世代の、今後の活躍ぶりを、示してくれてはるような演技ぶりどした。

高校がいわゆる主舞台の、学園ものとしてのテイストも、橋本愛ちゃんの、ディスコグラフィー的にも合っておました。

ちなみに、21世紀の第1世代女優については、「禁忌」(11月9日付けで分析)で述べとります。

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でもって、ヤッパ、イチバンヤーなとこを、示してはるんが、深津絵里のネーさんどす。

クールにしてミステリアスな、フカエリネーに、ついついハマッてまうような演出が施されておます。

ちゅうことで、続編では、浅野忠信、北村一輝、大森南朋、新井浩文、ピエール瀧らが、トンデモ演技を見せてくれはるらしいんで、お楽しみにしとってくだされ。

2014年11月21日 (金)

「イラク チグリスに浮かぶ平和」⇒感動の泣けるドキュメンタリー

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イラク戦争後の現地の人々を、描いた傑作ドキュメンタリー

2014年日本映画の、マイ・ベストテン級の仕上がりどす

http://www.peace-tigris.com

12月6日の土曜日から、東風はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで、全国漸次のロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒソネットエンタテインメント/綿井健陽

21世紀の、アフガンやイラクにまつわる、ドラマ映画やドキュメンタリー映画は、かなりのタイトル数(おそらく100本を超えとるかも)があります。ちゅうことで、ここで、その種のマイ・ベスト・ファイブ(各順不同)をば、披露さしてもらいますと…。

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①本作②亀も空を飛ぶ(2004年・イラク&イラン合作)③ハート・ロッカー(2009年・アメリカ)④アフガン零年(2003年・アフガニスタン&日本&アイルランド)⑤ゼロ・ダーク・サーティ(2013年・アメリカ)

●ドキュメンタリーでは、アフガン報復戦・イラク戦争ものでは、突出した傑作てゆうたら、これまではそないなかったかと思います。

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でもしか、ここに、戦争後の後遺症やら人々の姿を捉えた、ドキュ映画が出てまいりました。

総じて、戦争の惨状を描いたり、震災とかならば、直後の惨状を捉える映画が多いんやけど、

終戦後の人たちのその後と今を描くドキュは、ドラマ映画なら映えるけれど、これまではそんなになかったように思います。

原爆の後遺症ものドラマ映画などは、邦画の1ジャンルを築くような時期もあったけども…。

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ちゅうことで、イラク戦でエライ目に遭った一般の人たちの、その後がシビアに捉えられたんが本作どす。

綿井健陽(わたい・たけはる=写真上から2枚目)が、戦傷で病院で出会った1人の男(アリ・サクバン)を、追いかけるとゆうカタチで紡がれていきまんねん。

で、この2人は取材される側・する側を超えて、ある種の友情を結ばはりまんねん。

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フセイン像の倒壊以降の、戦後の方が、2派に分かれた宗派や民族の内戦が、激しくなってしもて、銃撃、拷問で死ぬ人が、あとを断たない、ちゅうような具合になってしまいました。

そのあたりや、戦争障害者たちの話も、いくつか織り込みながら、モチ、メインは、アリ・サクバンと、その家族の話でおます。

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戦争時に子供を2人亡くし、1人娘となったゴフランちゃんを、かわいく愛おしく映しながらも、

ヨメはんの苦悩ぶりや、主人公アリの、艱難辛苦の挙動ぶりが、描かれてまいります。

米軍の戦後の、アフターケアもままならず、アリは次第に生きる気力を失せていきまんねん。そして…。

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ネタとなるところで、映画は大きな心理的映画的ウネリを見せます。

その後に、感動、ほんで泣きが、ドッカーンとやってきよります。

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ドキュメンタリーを見慣れていない人にこそ、見て感動してもらいたい作品どす。

生き残った家族たちのショット(写真1枚目・3枚目)が、最後の方でグーンと胸に迫ってきますで。

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イラクのチグリス川で船に乗って、家族一同で憩う時こそ、爆弾も銃撃も何もないんで、癒やされるちゅう言葉通りどして、川の夕景シーンやらが、ホワ~ンときよりましたわ。

むごいシーンもあるんやけど、戦後の人々を捉えた映画としては、特にドキュとしては、過去最高のラインの、傑作になったんやないやろか。

そこんとこは、ぜひ鑑賞してもうて、ご確認くだされませ。

2014年11月20日 (木)

シンガポール映画「イロイロ ぬくもりの記憶」⇒ハウスメイド映画の快作

Photo_6シンガポール映画とゆう、そんな驚きが、そこかしこに…

薄色配色でお贈りする、ぬくもりある作品どすえ~

http://www.iloilo-movie.com

師走12月13日のサタデーから、Playtimeはんの配給によりまして、東京・K's cinemaやらで、全国順繰りのロードショーでおます。関西では1月以降、シネ・リーブル梅田やら神戸元町映画館やらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 SINGAPORE FILM COMMISSION, NP ENTERPRISE (S) PTE LTD, FISHEYE PICTURES PTE LTD

先々週から先週にかけて、アジア映画特選をやったけど、アジア映画はアジア映画でも、あんまし日本に上陸せえへん国の映画にも、注目したいところ。

ほんで、本作はシンガポール映画でおます。

たぶんボクが見たんは、片手にも及びませんわ。意識して初めて見るシンガポール映画やと、ゆうてもええかもしれまへん。

一体、どないなシンガポールを見せてくれはるんやろかと、えらい緊張して見ました。

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でもしか、内容は実に分かりやすく、日本人もメッチャ感情移入できるような作品になっとりました。

昨日分析した韓国映画「メビウス」と同様に、3人核家族の話でおまして、そこへ住み込みのハウスメイド、家政婦が入ってくるっちゅう、よくある話。

けども、その中味は、かつてのイメージからくる家政婦もの映画を、大いに覆す仕上げどした。

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“家政婦は見た”みたいな、ミステリーチックなエンタ性もなく、また、日本の人情ものみたいな、家族と家政婦のキズナなどが、感動的に描かれるわけでもありまへん。

いや、むしろ見始めの当初は、そのキズナ系を期待して見とったんやけど、

でも、スーッと自然体で流れて、泣ける映画を求めてはる人には、ひょっとしたら、ちょっと肩すかしなとこがあるやもしれまへん。

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家族の中に他人が入る話としては、家政婦だけやなく、家庭教師なんかがオーソドックス的にはありまして、

ボク的には洋画では「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年製作・アメリカ映画)、邦画では「家族ゲーム」(1983年)がマイ・ベストワンやったけど、

ハウスメイドものには、大したものはなかったかと思っとりました。

多分にヒッチコックの「レベッカ」(1940年・アメリカ)なんかを見て、家政婦のイメージに、ワルを見とったからやろかな。

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シンガポールの父母息子の3人家族が、子守りをポイントにしながら、フィリピンの家政婦を雇わはります。

その息子は、家政婦に対し、悪いことばっかりしはります。

ああ、息子と家政婦が、やがてはキズナを結んで、ハッピーハッピーになるんやろなと思とったら、

確かに、そういう流れにはなるんやけど、これまでのその種の映画やドラマとは、ビミョーに感覚を異にしとりまんねん。

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感動すべきところで感動できない。泣けるところで泣けない。

不思議やと思わはるかもしれへんけど、ボク的には、そういう流れの映画どした。

つまり、キズナや泣きがポイントやないんどす。

自然体てゆうたらアレやけど、家政婦ヒロインのフツーっぽい造形が、最後までドラマを、フツーっぽく見せてゆきながらも、

その流れにある“さりげなさ”が、映画のキモになっているとゆう映画どした。

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シンプル・イズ・ベストな人間関係図を始め、薄イエローな配色をほぼ全編にわたり徹底し、時おりシンガポールの街の、ロングショットの挿入などをして、分かり易き映画的作りでいってはります。

万人に共感できる作りなんやけど、でも、作りが押し系やなく退き系なんで、その渋みが分かりにくいやもしれまへん。

何回か見て、映画の良さが分かる作りかもしれへんので、リピートしてみておくんなまし。

2014年11月19日 (水)

韓国映画「メビウス」⇒倒錯系のセクシャル映画や~

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異端・異能のセクシャル映画の、極北やで~

キム・ギドク監督の、実験映画性の凄みが、放出された怪作品

http://www.moebius-movie.jp

師走12月6日の土曜日から、武蔵野エンタテインメントはんの配給によりまして、東京・新宿シネマカリテ、大阪・テアトル梅田、京都シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作は、2013年製作・本編83分・「R-18+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.

韓国のキム・ギドク監督てゆうたら、インディーズ系の異能の傑作が多いねん。

彼の作品には、「冬のソナタ」みたいな、ウットリ系のラブ・ストーリーは、まずもってありまへん。

しかも、これまでに取り上げられたことのない素材に肉迫しはるんで、映画評論家たちにしても初もの系が多く、いっつも驚かしてくれはりまんねんで~。

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キム・ギドク作品を見たことのない人のために、監督のマイ・ベスト・スリー、特に、初心者向きを考慮して、分かり易きベストを言いますと…。

①春夏秋冬そして春(2003年製作・韓国映画)②サマリア(2004年・韓国)③本作③嘆きのピエタ(2012年・韓国・弊ブログ分析済み)

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●少年の成長物語①、娘を殺されたオトンの復讐譚②、息子を想うオカンの話③嘆きのピエタ…、

コピー的に見てみると、ああ、今までにあったような話なんやなーと、思うかもしれへんけど、

シンプルやけど、一筋縄ではいかへんような設定やカラクリを設けて、さらにヒネリとサプライズを、付け加える内容になっとります。

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でもって、本作や。メッチャなスゴイ設定の、核家族映画どす。

ちなみに、本作の作品性に合わせて、トンデモ性をポイントにした異能の作品の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば言いますと…。

●ベスト⇒①本作②愛のコリーダ(1976年・日本)③愛の嵐(1973年・イタリア)

●カルト⇒①本作②悶絶!!どんでん返し(1977年・日本)③ディープ・スロート(1973年・アメリカ)

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●本作はベストでもカルトでも入れました。

ちゅうのは、家族映画の中に、ベスト②の性器切りシーンを入れて、しかも何と、息子はんの息子を切るんはオカンどす…、

下半身の一物を狂言回しに、物語を展開するやなんて、はっきりゆうてタブーやったかもしれへんけど、とにもかくにも、これまでにない映画でおます。

そのインパクトは、ストレートなカルト③や、戦時下のセックスのベスト③はモチ、性転換をトリッキーに取り込んだカルト②さえ、スーッと超えてみせた設定どしたえ~。

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恐れ多くも、ストーリーを言いますとでんな…、

オトンが浮気をしたっちゅうんで、オカンがオトンのアソコを切り取ろうとしたら、逃げられてしもたんで、

代わりっちゅうか、大人しく寝てる息子のアソコを、オカンが切ってもうて、しかも、食うてまいましたがな。アラマ・ポテチン。

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ほんで、その後、オトンの浮気相手と、アソコなしの息子が関わったりしたり、学友らにいじめられたりしながら、

やがて、オトンの究極の、息子のアソコなしの対案が、息子に実演されまして…。

さらに、家出しとる、アソコ切りオカンが、さらなるエゲツナ感を求めて戻ってきよったがな…。

信じがたい、3人核家族のドラマが展開して、遂には…嗚呼(ああ)…。

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呻(うめ)きなどの声以外は、ほとんどセリフなしのサイレント映画のノリで、本作は展開してまいります。

但し、いかにもなサイレント部を、つなげていかはるんで、人物の挙動やストーリー的には、分かりやすく進んでまいります。

監督のサイレント映画へのオマージュが、わざとらしいかもしれへんけど、濃厚に出た作品となりました。

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全体的に静かな流れなんやけど、サントラ的には、アラブチックな民族系のリズムやったり、弦楽オーケストラも入れたりしてはります。

見終わって、総体的にみてみると、なんや知らん、メッチャヤラシーだけやなく、メッチャ変な映画やったな~ちゅう印象どした。

でも、もう1回見てみたいわ~。そんなキモチにさせる、リフレイン度の高い怪作でもありましたえ。

2014年11月18日 (火)

「ふたつの祖国、ひとつの愛~イ・ジュンソプの妻~」⇒ジャパニーズ・ドキュメンタリー映画

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夫妻映画のドキュメンタリー・バージョンどす

夫が死してから50年以上も、妻は夫を愛し続けはって…

http://www.u-picc.com/Joongseopswife

師走12月13日の土曜日から、太秦はんの配給によりまして、東京・ポレポレ東中野やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 天空/アジア映画社/太秦

夫婦・夫妻映画は、ドラマ映画を中心に、名作・傑作がメッチャ揃っておます。

けども、ドキュメンタリー映画となればでんな、さほど目立ったものが、ないわっちゅうことになっとったんやけど、

でもしか、ここにドラマティックなんがありましたがな。

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与謝野晶子らが教鞭を取ってた、日本の文化学院で、山本方子(まさこ)と、韓国の国民的画家の、イ・ジュンソプは出会いまして、

1945年に北朝鮮で結婚し、ほんで、その後、朝鮮戦争が勃発しよりまして、夫妻はコドモを連れて釜山(プサン)へ避難・疎開。

さらに、ドラマ「冬のソナタ」のロケ地やらで有名な、済州(チェジュ)島へ。

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済州島の狭すぎる部屋で、一家は寄り添うように住まわはりました。

本作ヒロインの方子はんの、オカンへの手紙を、女性ナレーターが読み上げながら、狭い街区と通りを移動撮影で見せていかはります。

でもしか、再び釜山へ戻り、絵だけで食うてゆくとゆう夫なだけに、絵は売れず、収入は全くない生活が続き、

結局、貧しさゆえに、方子はんは、夫と離れて2人の息子を連れて、日本のオカンのとこへと、身を寄せはるんどす。

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当時の日本・韓国の事情で、日本に夫が来ても、一時的にしか会えず、

結局、手紙のやりとりが、2人のキズナを結ぶ、生命線になってゆくんだす。

ほんで、1956年に、肝炎と栄養失調で、夫ジュンソプは、1人孤独に、39歳で死なはります。それは電報で、日本の方子はんに伝えられるんやけど…。

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夫が死んでも、21世紀を10年を超えた今も、生きてはる妻の方子はん。

映画は、この方子はんの現在形と、過去の資料や、夫の多彩な絵画作品を点綴し、

今も生きてはる、当時の関係者へのインタビューやらを、織り交ぜながら、紡がれてまいります。

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中でも、夫妻の手紙のやりとりを、落ち着き払ったナレーションによって語られるシーンの、癒やしであったり、しみじみな感動やったりが、胸にきまんで。

「どうかお元気で」のナレートには、グッときたやろか。

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21世紀の現代も生きる方子はんが、夫への愛と思い出を胸に、韓国まで出向いて、

夫とのキズナと足取りをば、確認してゆかはるシーンこそ、本作のハイライトやと申せましょう。

彼女へのインタビューも見どころやけど、あの当時の、今のところへ出かけて、しみじみと感慨にふけるシーンこそが、本作のキモやと思います。

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息子の1人である弟夫妻や孫と、遊びに出かけたり、海辺のロングショットやら、昔の友人と、ソウルで再会し会食したり、

済州島訪問で、当時の貧しさを思い出したり、今の風景シーンを散りばめつつ、披露されてまいります。

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「台湾人生」(2009年)、「台湾アイデンティティー」(2013年)など、台湾のドキュを作ってきはった、女性監督・酒井充子のネーさん。

今作は同じアジアでも、韓国・日本とゆうとこに、その女性らしい優しの作家性をば、見出さはりました。

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哀愁の「禁じられた遊び」(1952年・フランス)より、メジャー系になった、

アコースティック・ギター・ソロによる、ラストロールで流れる、インスト・ナンバーも、癒やしと前向き系を、表現してはったで。

家族一同で、正月映画として見ても、全然OKな作品やと思いました。

2014年11月17日 (月)

女優監督・杉野希妃インタビュー⇒監督作「欲動」と主演作「禁忌」

『欲動』は、女を犯す男視点のベッドシーンではなく、女視点としてのベッドシーンを撮ろうとしたらしい

「『禁忌』は、この人をメチャメチャにしてやりたいとゆう、人間誰しもが持っているところを、複雑に破滅的に演じました」

http://www.u-picc.com/taksu_sala/

●「欲動」⇒弊ブログの2014年11月8日付けで分析。

●「禁忌」⇒弊ブログの2014年11月9日付けで分析。

インタビュー&テキスト=映画分析評論家・宮城正樹

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ー「欲動」も「禁忌」もですが、日本映画には珍しい映画オリジナル脚本ですが、「欲動」の発想の経緯を教えてください。

「『欲動』は、今から6年前に私が企画したものが原点です。その時の話は、歌手がバリ島へ行って、自分の殻を打ち破るというものだったんですが、その時は映画化せずに、いったん温めていたんです。

それで、2年前に、主演の三津谷葉子さんと出会い、人間的に素晴らしい、太陽みたいな人柄に惚れまして、女優として今までと違う激しいものを開花させてもらいたいと思って、この『欲動』と向き合いました。

で、1年前から、私と三津谷さんが一緒に企画開発していったんですよ。和島香太郎さんが書いた脚本をベースにしながら、人間関係を膨らませたり、こうしたらいいんじゃないかとか、ディスカッションしながら、作っていきました。

だから、三津谷さん自身の想いも存分に入っているはずです。ですから、夫婦の話なんですけど、女性が性的に解放されていく話ですので、ベースはヒロイン映画ですね」

ー三津谷さんや斎藤工(たくみ)さんへの演技指導は、いかがでしたでしょうか?

「どういう質の演技をしてもらいたいかを、現場に入る前にあらかじめ伝えていたし、三津谷さんには、こういうキャラ、こういうヒロインを見てくださいと、1年以上かけて練ってきたので、現場では私は微調整をする程度でした。

でも、煙草を吸うシーンは、斎藤さんからの提案です。死が迫る絶望感と、ヒロインの妻ユリに対する罪悪感で、自暴自棄になっている、夫役のキャラに見合った動作でした」

ー濡れ場(セックス・シーン、ベッドシーン)は、来年のアカデミー賞外国語映画賞の日本代表になった「そこのみにて光輝く」(2014年・弊ブログ分析済み)のシーンにも通じますね。演出で心掛けられたところはありますか。

「突然ミュージカルみたいな、ベッドシーンや、最近の日本映画に出てくるみたいな、男性客へのサービス・ショットというか、男性の欲望を満たすためだけにあるようなシーンには、絶対したくないなと臨みました。

男性の欲望に巻かれて女性が、受け身オンリーになるのは、違和感があると思っていたし、女性にとっては、子供を産むためとか、自分を見つめるためとかのセックスがあるので、

女性が見て違和感のないベッドシーン、自分の作品にとって、意味のあるシーンを作ろうと、かなり狙って撮りました」

ーなるほど。斎藤さんと三津谷さんのセックス・シーンは、本作のクライマックスですね。

「夫と現地の人と2回、三津谷さんのベッドシーンがあるのですが、最初は2つのシーンは逆だったんですよ。

つまり、現地人とは激しく、夫とはいたわるような感じ。

でも、シーン撮りの前日に、私と三津谷さん、斎藤さんの3人がホテルの部屋に集まって、明日のベッドシーンはどうしようかと話し合いました。

その結果、ユリの抑えていた感情が爆発するというか、制御できなくした方が、やっぱり物語として活きるよねということになったんです。

ユリが泣くっていうのも、脚本には書かれていなかったんですけど、義理の妹の生まれた子供と直面した時に、夫の子供は産めないんだということで、一つのアクションが必要だと考えたんです」

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ーバリ島オールロケですね。最近試写で見た「神さまはバリにいる」(来年1月17日公開・堤真一&尾野真千子&玉木宏共演)もバリ島ロケでしたが、そちらは人情コメディなだけに明るかったんですが、本作のバリはどんよりしてますね。

「確かに、主人公が死に向かうのと、生命力あるバリ島を対比させたかったのですけど、私がバリへ行った時の、そのまんまを捉えたかもしれません。

撮ってた時期が雨季じゃなく乾季だったし、カメラワークの違いもあるかも。

人気(ひとけ)のない海岸とか、神聖な場所としての沐浴場など、2人の感情に寄り添うような場所を選んで撮っています。

バリのイベントの挿入ですが、バリの伝統芸能のケチャとガムランは、私がバリにハマった2つでして、

ケチャを初めてロケハンで見た時に、中国の京劇みたいに物語がありまして、そのラーマ・ヤーナの物語が『欲動』と、すごくリンクしてるなと思いました。

だから、2つをパラレルに描くことで、映画の世界観が立体的になり、広がっていくだろうと」

ーどこを取っても、映画的な撮り方を心掛けられていますね。

「もちろん、映画ですから。ワンシーンをワンカットで収めて、足りないところを補充していく感じ。

で、インドネシアの撮影監督(シディ・サレー)が、挑戦的なカメラワークをする方でしたし」

ー3分強の長回しによる、ラスト・シーンなんか、素晴らしい構図ですよね。

「あれはいろいろあったハプニングが、いい方向に転じたんです。

正面から海岸を撮ろうとしたら、曇っていて真っ暗だった。

でも、こちら側は夕陽が、ちょうどグラデーション的に空にあったので、そこをポイントにして撮ってみたんですよ」

ーさて、「禁忌」では主演ですが、何やらホラーチックですね。役作りはされましたか。

「『歓待』や『おだやかな日常』でも、ホラーだねって言われることも多かったですよ(笑)。

これまでは、ナチュラルな延長線上で、役作りしてましたけど、『禁忌』は複雑な役で、アプローチの仕方が多少違っていました。

けれど、どうでもいいとか、この人を、こういう状況を、メチャメチャにしてやりたいとかの気持ちは、人間誰しもが持っている部分なので、自分とは全く違う役とは思えませんでした。ああいう部分は、私の中にもあります」

ーこれからのことですが、コメディエンヌの役柄とかは、いかがですか。

「『三泊四日、五時の鐘』(来年公開)では、ツッコミ満載のキャラクターを演じましたよ。激怒してたのに、好きな人が現れるとニヤニヤしたり…。ラブコメとかもやってみたい。

それと『欲動』は監督第2弾でして、第1弾『マンガ肉と僕』(来年公開)も公開待機中です。

主人公をベースに3人の女性を配した映画でして、男に嫌われるために太る女など、社会や男に抗っている女たちが登場いたします。こちらも楽しみにしていてください」

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●杉野希妃プロフィール⇒1984年広島県生まれ。

慶應義塾大学経済学部在学中にソウルに留学。

2006年、韓国映画「まぶしい一日」宝島編主演で、映画女優デビュー。キム・ギドク監督「絶対の愛」ほかに出演。

その後、主演兼プロデュース「歓待」(2010年・弊ブログ分析済み)、同じく「おだやかな日常」(2012年・弊ブログ分析済み)が、各国の映画祭で受賞。

出演兼プロデュースの「ほとりの朔子」(2013年)は、ナント三大陸映画祭でグランプリ。

2014年には、メガフォンを執った第1弾「マンガ肉と僕」、第2弾「欲動」を、続けざまに撮り上げた。

今後の主演作として、佐々部清監督の「群青色の、とおり道」(来年公開)などが公開待機中。

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2014年11月16日 (日)

今年の邦画マイ・ナンバーワン「バンクーバーの朝日」⇒日曜邦画劇場

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日本映画の野球映画において、コレは歴代最高の傑作やで~

戦争がどうのこうのより、あくまで野球映画に徹した作りがスゴイわ~

http://www.vancouver-asahi.jp

師走12月20日のサタデーから、東宝の配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「バンクーバーの朝日」製作委員会

日本映画の野球映画てゆうたら、みなはん、思い出せるような作品はありまっしゃろか。

アメリカは野球のルーツ国なだけに、さすがに野球映画の傑作がそれなりにありますが、邦画はどないやろか。

ちゅうことで、ここで、邦画の野球映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順位通り)をば、披露さしてもらいま。

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●ベスト⇒①本作②瀬戸内少年野球団(1984年)③ダイナマイトどんどん(1978年)

●カルト⇒①ミスター・ルーキー(2002年)②ドリーム・スタジアム(1997年)③英霊たちの応援歌・最後の早慶戦(1979年)

●野球を映画で描く、映画的に描く映画とゆうのは、アメリカ映画を含めても、そないありまへん。

少年野球のすがすがしさを描くベスト②、ヤクザが野球するベスト③、阪神タイガースに特化したカルト①、プロ野球映画のカルト②、大学野球のカルト③。

ほかに、「タッチ」(2005年)など、高校野球ものもあります。

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確かに、野球を描く映画は、それなりにあるんやけど、野球そのものの楽しさに加え、

そんな野球をする選手たちの人間ドラマ的タッチに加え、男たち、サポーターたちのキズナを、押しつけがましくなく、描き込んだ映画ちゅうのは、稀でおます。

ちゅうか、邦画・洋画を含めても、かつての野球映画にはなかったとボクは断じたい。

本作は、マイ野球映画のナンバーワン「ナチュラル」(1984年・アメリカ)を、抜いたとまで思える大傑作どした。

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主人公役の妻夫木聡を核にして、彼と各メンバーやサポーターたちとの、触れ合いやキズナは、さりげなくシーン作りされとります。

主に、1分強の長回し撮影を中心に、描かれとるやろか。いわゆる、2人のココロの交流が、ジワーッとクルような作りと申しますか。

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妻夫木とピッチャー役の亀梨和也の、素振りシーンや、敵チームに謝りに行くシーンやったり、チームを離れる池松壮亮との話し合いなど、あとあとジワッと効いてきよります。

また、妻夫木の4人家族(オトン佐藤浩市・オカン石田えり・妹はん高畑充希)のケンカ・シーンやら、

高畑充希ちゃんが、みんなを前にして挨拶する、ロングショットで捉えられる長ゼリフ・長回しシーンなど、

強烈なインパクトと、感動あるシーンも満載どす。

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太平洋戦争が勃発したことによって、日本チームは解散し、みんなバラバラになるんやけど、戦争の悲惨さや無情さを示すことなく、

あくまで、野球愛へと結んでゆく作りは、はっきりいって潔くて爽やかで、スゴイインパクトを感じました。

妻夫木と亀梨の別れのシーンは、そのスゴサを象徴する印象深いシーンでおますんで、ぜひともご堪能あれ!でおます。

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モチ、試合シーンは、大いなる見どころどす。

外国人に勝つためには、どうすればいいのか、それをば考える過程と、その実践ぶりも、ハラドキで見られてスリリングでおました。

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さてはて、本作は「フジテレビ開局55周年記念作品」と銘打たれとるんで、モチ、フジテレビが製作に関わってはります。

フジテレビ製作映画で見ても、本作は、これまでのマイ・ナンバーワンやった「踊る大捜査線」(1998年)を抜いて、1位になりましたわ。

ちゅうことで、今年の日本映画の、マイ・ナンバーワン作品でおました。

2014年11月15日 (土)

サスペンス映画特選3「ゴーン・ガール」⇒デヴィッド・フィンチャー監督の新作

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ベン・アフレックとロザムンド・パイク夫妻の、ハットトリッキーな妻失踪ミステリーや~

ヒッチコック監督サスペンスを、進化させた極上の作品や~

http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

December12月12日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおま。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 TWENTIETH CENTURY FOX

サスペンス映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコック監督の、後継者たちはどないやろか。

ブライアン・デ・パルマ監督が、模倣も含めて、第一人者やったかもしれへんけど、

でもしか、1990年代以降、21世紀も10年以上を経過した今までにおいては、

ヤッパ、デヴィッド・フィンチャー監督が、ボク的にはイチバンヤーや~、やないかと思いよります。

ちゅうとこで、フィンチャー監督の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①本作②セブン(1995年製作・アメリカ映画・以降の引用作品は全てアメリカ映画)③ソーシャル・ネットワーク(2010年・弊ブログで分析済み)

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●カルト⇒①本作②ファイト・クラブ(1999年)③ドラゴン・タトゥーの女(2011年・弊ブログ分析済み)

●実話をベースにした「ゾディアック」(2007年)や、ハラドキの室内外サスペンス「パニック・ルーム」(2001年)なども、モノゴッツーオモロおます。

ヒッチコック「サイコ」(1960年)のサイコ・サスペンスを、聖書に絡めて描いたベスト②。

21世紀的ネット実話を、スリリングに描き込んだベスト③。

秘密クラブの怪しさを、アイロニカルに描いたカルト②。

とにかく、監督はサスペンスやミステリーでも、ヒネリの練り込み系スパイスを入れ込んで、一筋縄ではゆかへん、サスペンスやミステリーを、構築しはりまんねん。

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本作は、ベストとカルトのWで選んだけど、どちらでも入るちゅうことは、監督のマイ最高傑作とゆうても、エエかもしれまへん。

本作とカルト③は、ミステリー小説として、高評価を得た作品の映画化でおます。

共に、トンデモヒロインが、犯人側・捜査側を別にして、活躍するタイプの映画どす。

ほんで、本作は夫妻の、静かなる攻撃・応戦から、妻役ヒロインの犯行計画吐露ナレーションから、物語はガラリと転換し、

そして、後半の、妻の恐るべしが次々に出てきて、アッとアッとの驚きが、続いてまいります。

タイムリミット的を示す時間字幕も、何やらサスペンスに拍車を掛ける、仕掛けになっとるやろか。

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妻が失踪し、妻は殺されたんか、それとも…で事件が紡がれる中で、

夫がフレキシブルに警察やマスコミに対応し、ほんで、夫対妻の構図が、ハラドキの展開で開陳されてゆきよります。

ボクははっきりゆうて、唸りました。

ただの誘拐か失踪かの事件が、悪妻とも取れる妻の巧妙さが、絶妙に加味されて、アレアレ、いつの間にやら、なんとも言われへん、ただ今、極上の傑作サスペンス映画を見ているでーとゆう、

見ていてそんなキモチになれてでんな、そういう映画は経験的には、間違いなく、傑作になることが多いどすえ。

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さて、ベン・アフレック主演作品でおます。

惑いや戸惑いがありながらも、冷静沈着に事件に対応してゆかはる演技ぶりには、メッチャな好感を覚えよりました。

対して、妻役のロザムンド・パイクのネーさんは、はっきりゆうて悪女役やろか。

あんまし、悪女役に見えへんのも、「冷たい月を抱く女」(1993年)なんかの、ニコール・キッドマンやらと、シンクロナイズするんやないやろか。

ちゅうことで、私的には、フィンチャー作品としては、「セブン」と甲乙付けがたい、サスペンス映画の傑作になったと、ジャッジいたします。

2014年11月14日 (金)

サスペンス映画特選2「ランナー・ランナー」⇒アメリカン・サスペンスの快作

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インターネット絡みの、映画最新版は実話どす

最後までハラドキの、ネット・サスペンス犯罪映画

http://www.runner-runner.jp

11月21日のフライデーから、プレシディオはんの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、レオナルド・ディカプリオ製作の、2013年アメリカ映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved

さてはて、ベン・アフレック主演・出演作品分析を、2日続けてお届けいたします。

本日はネット絡みの、サスペンス映画どす。

インターネットはコンピューター。そこで、ネット・コンピ絡みの映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば披露してみます。

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●ベスト⇒①ソーシャル・ネットワーク(2010年製作・アメリカ)②ウォー・ゲーム(1983年・アメリカ)③(ハル)(1995年・日本)

●カルト⇒①本作②ザ・インターネット(1995年・アメリカ)③ユー・ガット・メール(1998年・アメリカ)

●インターネットやコンピは、現実的にはワールドワイドに見られるとはいえ、あくまでアクションのない、固定のハコものどす。

そんなツールを使って、どのようなドラマを構築するんかが、大いなるポイントになるでおましょうか。例えば「マトリックス」(1999年・アメリカ)のように。

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ベスト③やカルト③は、ネットで知り合っても、実際に会わなければ、恋愛ドラマは始まらないことを、伝えとるようやし、

ベスト②カルト②は、コンピがベースの舞台とはいえ、描く上では、あくまで、コンピ内外のアクトを、フツーのアクション・サスペンス映画のように、見せてゆかはりました。

そして、本作やベスト①のような実話系も、スリリングでサスペンスフルやけど、あくまで、人間対人間の中で展開し生まれる、オーソドックスなサスペンスどす。

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ほんでもって、本作は映画史初の、オンライン・ギャンブルを採り上げてはりまして、ギャンブル映画としても、分析できる作品になっとります。

ただ、この種の映画に多い、賭ける側やなく、賭けの元締め側が、クローズアップされとります。

ほんで、ギャンブル界を摘発する刑事らとの、丁々発止が繰り広げられるちゅうお話でおます。

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役者陣について申しますと、一番上のポスター画像にありますように、刑事役のアンソニー・マッキーを除いて、約3名の役者が活躍しはります。

まずは、ベスト①に続き、ネットもの実話役をやらはった、ジャスティン・ティンバーレイクのアニキ。

ベスト①に続き、正攻法のマジな主人公役で、ドラマがピリッとしておます。

ほんで、ネット・カジノの元締めのオーナー役は、ベン・アフレックのアニキや。

この2人のやり取りは、本作サスペンスの素になっとりまして、セリフなどにも注目しておくんなまし。

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ほんで、エロかった「アリスクリードの失踪」(2009年・イギリス・弊ブログ分析済み)や、

女吸血鬼役「ビザンチウム」(2012年・イギリス・弊ブログ分析済み)やらが、メッチャエカッた、ジェマ・アータートンのネーさん(写真上から4枚目)。

男2人に比して、大仰やないけども、謎めきのセクシーぶりで魅せてくれてはります。

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ほんでもって、コスタリカ・ロケなんかも、新味があるやろかな。

さらに、サントラ。歌もののポップ・ミュージックを始め、シンセ・インストや、ロケ地に合わせたワールド・ミュージックなど、スリリングな使い方をば、心がけてはりました。

ちゅうことで、最後のサプライズまで、終始ハラドキで見られる快作でおます。

2014年11月13日 (木)

サスペンス映画特選1「オオカミは嘘をつく」⇒アジア映画特選10

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イスラエル映画とゆう、驚きあるミステリー・サスペンス

時代を突くところの、意表のサスペンス映画の誕生や~

http://www.bigbadwolves.jp/

ノウベンバー11月22日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やら、シネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は2013年製作のイスラエル映画で、「R-18+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Catch BBW the Film, Limited Partnership. All Rights Reserved.

本作の核は、サスペンス映画にして、ミステリー映画であり、ほんで、ホラーチックあり、犯罪映画チックあり、リベンジ映画チックあり…

などの要素が混然一体となった、ミステリアスかつスリリングな、ハラハラドッキドキッな作品になっとります。

ほんでもって、これまでのサスペンス映画の流れとは、ビミョーに違う、新しどころが加わっておます。

それは雰囲気的なものであったり、感覚的なものであったりしまんねん。

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これまでを見てみますと、サスペンス映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコック監督的正統スタイルが、サスペンス映画の王道路線やったと思うんやけど、

時おり、異質でインパクト大な名作・傑作が、舞い降りてまいっとります。

古典的名作から数例を挙げますと、

死んだ男が、実は生きていた「第三の男」(1949年製作・イギリス映画・弊ブログ分析済み)、

運ぶ物(ニトログリセリン)が、サスペンスをあおる「恐怖の報酬」(1952年・フランス)、

犯人側から描く、倒叙ミステリー「太陽がいっぱい」(1960年・フランス&イタリア)など。

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上記の3本は、アメリカ映画やなく、全てヨーロッパ映画作品であるとこも、注目していただきたい。

つまり、アメリカ以外の作品でも、傑作の芽は、いっぱいあるっちゅうとこでおますやろか。

次に、1990年代(ハリウッドのサスペンス・ネタが飽和状態になった頃)以降から今までの中で、そんな作品のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、チョイスしよりますと…。

ほかにもいっぱいあるんやけど、思いきって絞り込んでみました。

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●ベスト⇒①レザボア・ドッグス(1991年・アメリカ)②羊たちの沈黙(1991年・アメリカ)③セブン(1995年・アメリカ)③メメント(2000年・アメリカ)

●カルト⇒①リング(1998年・日本)②本作③悪魔は誰だ(2013年・韓国・弊ブログ分析済み)

ハリウッド映画では、やはり、クエンティン・タランティーノの監督デビュー作ベスト①が鮮烈やったな。

シチュエーション室内劇的サバイバル・サスペンス、ナンチュー新味を出し、本作の大いなる見どころとなる、4人の室内劇やり取りに、影響を与えてはります。

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ベストはアメリカ作品、カルトはアメリカ以外の作品にしましたけども、ベスト、カルトの差異は、ほとんどありゃしまへん。

さてはて、ヒッチコックの「サイコ」(1960年)から始まった(厳密には、1932年のアメリカ映画「ジキル博士とハイド氏」がルーツやけど)、サイコパス・サスペンスは、

ベスト②を皮切りに、デヴィッド・フィンチャー監督のベスト③セブンに加え、

記憶喪失系も駆使した、クリストファー・ノーラン監督のベスト③メメントなどで、

多様な広がりと応用が生まれ落ちましたけども(この2監督は、現代のニュー・ヒッチコックやも。フィンチャーの新作は、後日分析いたします)、

本作もまた、1人の人物にある二重性を、作品に心理的に組み込んでおます。

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でもって、本作は、多彩なサスペンスの要素を、撮影シーンの中に盛り付けもって、お話が展開しよるんどす。

誘拐され殺された、コドモたちの生前の姿を、スロー・モーションで描く、ホラーチックなイントロ。

犯人への被害者の報復を含んだ、最新作でゆうたら、「プリズナーズ」(2013年・アメリカ・弊ブログ分析済み)のようなところ。

バーナーやらを使っての拷問ぶりは、思わずエグイ! 

4人の室内劇丁々発止と駆け引きがあり、ほんで、サプライズ・エンディングへ。

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さてはて、サントラは、ハリウッド映画的な、ゴージャスなオーケストラ・サウンドがメインやけど、時に陽気なポップ・ナンバーを流したり、ヒッチコック的スリリングなサントラも入れたりして、シーンに合わせて魅せてくれはります。

ちゅうことで、ボク的には初めて見たと思います、イスラエル映画とゆうサプライズが、ディープ・インパクトどした。

2014年11月12日 (水)

インド映画「チェイス!」⇒アジア映画特選9

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シカゴ・オール・ロケーションによる、ハリウッド的ボリウッド大作

ダンス・シーンもアクション・シーンも、超一級のエンタ作品

http://www.chase-movie.jp

師走12月5日のフライデーから、日活はんと東宝東和はんの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸYash Ral Films Pvt. Ltd All Rights Reserved

ハリウッド的に、ボリウッドと称されるインド映画。

今年はそんなインド映画が、例年になく日本公開されよりました。

ほとんど見させてもろて、弊ブログで分析したんやけど、ほとんどがかつての、インド映画のイメージを逸脱し、また、洋画ベストテン級とも取れる作品が、多かったように思います。

でもって、本作は、真打ちのようなカタチで、日本公開されよりまんねん。

今年10作品以上、本邦上陸したインド映画の中で、本作はハリウッド映画的エンターテイメントが、最も濃厚に出た作品となりました。

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インド映画の大衆的パブリック・イメージは、インドの民族音楽やダンス・ミュージックを、バックにしたミュージカル映画が、まず第一番にあります。

これまでは、アクション映画としてのイメージとしては、日本人的に見れば、さほどのインパクトはありまへんどしたやろか。

ところがどっこい、本作では、カーチェイス、バイク、水上ボート、銃撃戦など、

これまでのインド映画にはなかった、モノゴッツーなハリウッド映画的アクションを、大胆果敢に披露してはります。

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シカゴ・オールロケとゆう、ボリウッド映画初の、アメリカ全面ロケ映画でおます。

銀行強盗をし、ビルの屋上から札束をバラまいて、高層ビルの壁を上から走り降りて、

バイクに乗って、パトカーとのチェイスを振り切り、ビルから綱渡りのように、バイクで渡って逃げ切るやなんて、アリエネーアクションを披露。

チェイス・シーンは3度もあり、意図的に作られたクラッシュ・シーンなども、ハリウッド的やねん。

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川へ逃げて、バイクは水上ボートになり、水中にも潜るし、空まで飛んでまうとゆう、「007」まがいのアクトも、スムーズに披露しはります。

見どころとなるアクション・シーンは、まさにハリウッド級の仕上げどす。

但し、リアリティーなとこで疑問もありますが、そこはそこ、これまでのハリウッド映画にも、いっぱいあったとこでおます。

例えば、シカゴの事件を、インド人がやってるからとゆうて、インドの2人の刑事が、シカゴで捜査するナンチューパターンは、フツーはありまへん。

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さてはて、アクション・シーンは、大いなる見どころなんやけど、インド映画らしいミュージカル・シーンも充実しとります。

ちゅうか、さらに進化し、ダイナミックになってるんやないやろか。

集団でのタップ・ダンス・シーン、ヒロイン役カトリーナ・カイフのネーさんが、サーカス団に売り込みすべくの、ダンス・シーンの変幻自在、

そして、カトリーナと、主人公役アーミル・カーンの、アクロバットな公演ぶりのゴージャス感など、たまらないような仕上がりになっとります。

バンド・サウンド的攻撃的なサントラや、マサラ・ダンス・ポップなど、シーンに合わせたインスト使いにも注目どす。

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さてはて、メイン・トリック部は、本編の半ばあたりで判明しますが、

ポイントは、その後このネタが、どうドラマに機能し、どうドラマティックに、なってゆくんかでおます。

リベンジ・ドラマとしての、新味もある本作。

主人公が経営するサーカス団の行方と共に、波乱に満ちた展開と結末が、待っとりまっせー。

2014年11月11日 (火)

チャウ・シンチー監督の新作「西遊記 はじまりのはじまり」⇒アジア映画特選8

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西遊記と妖怪退治ものが、想像力によってミキシング

「カンフーハッスル」の「ありえねー」から「とんでもねー」へと進化したで

http://www.saiyu-movie.com

霜月11月21日の金曜日から、日活はんと東宝東和はんの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、昨年中国で年間ナンバーワン・ヒットとなった、2013年製作の中国映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Bingo Movie Development Limited

チャウ・シンチー監督の新作だす。

彼にしか出せない、コミカル・アクション映画の粋があふれておます。

コミカルもある、ジャッキー・チェン映画やらとは違い、群像劇的仕様で、お届けしはる面白さが、オリジナリティーに満ちとるんだす。

サッカー「少林サッカー」(2001年製作・香港映画)、カンフー「カンフーハッスル」(2004年・中国&アメリカ)やらに続きましては、中国の古典に挑まはりました。

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さてはて、本作では、シンチー監督の意外なとこが、ケッコー出とりました。

その一番のとこは、日本の1970年代のテレビドラマに、ハマッてはったんやろかな~なとこでおます。

数多くあるアクション・シークエンスでは何度も、スポコン・ドラマ「柔道一直線」の対決シーンで使われた、躍動感とスリル感あるインストが流れてきよります。

まあ、「柔道一直線」を知らん方には、映画オリジナル・サントラのように、響くやもしれまへんが、でも、この使い方は、実に的を射ていたかと思います。

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ほんでもって、三蔵法師や孫悟空やら4人が、天竺へ向けて旅立つラストシーンでは、

何と刑事ドラマ「Gメン75」の、癒やしのエンディング・テーマの歌ものが、しっとりと流れてきよるんどすわ。アラマ・ポテチン。ビックラこきましたがな。

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「スターウォーズ エピソード」シリーズ(1999年・2002年・2005年・アメリカ)と同じく、

「西遊記」の遡り系とゆうドラマを、監督の想像力を目いっぱい駆使して、妖怪退治と絡めて描くちゅう、ミラクルぶりがメッチャ大注目やで~。

ほんで、冒頭から、トンデモ造形の魚モンスターが出てまいります。

魚系てゆうたら、「グエムル 漢江の怪物」(2006年・韓国)やら、「ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪」(2013年・中国&香港・弊ブログ分析済み)やらがあるけど、

本作では、造形的にはアニメチックで、全然怖くないんやけど、少女まで食ってまうちゅう、オトロシーぶりをば見せよりま。

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ほんでもって、「カンフーハッスル」の「ありえねー」が、本作では「とんでもねー」へと進化しとります。

PRコピーとは申せ、見てもろたら、そのコトバ通りどして、「ありえねー」も含み込んだ「とんでもねー」なんでおますよ。

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のちに三蔵法師となる、妖怪ハンターの、ウェン・ジャンのアニキと、同じくハンターのスー・チーの、スー・チーからの片想い的設定で展開する、ラブ・ストーリー部をヨコ糸に、

ブタの妖怪ハンティングを、タテ糸にしもって、物語は監督らしいコミカルなとこをば、いっぱい盛り付けて進んでまいりまんねん。

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でもって、トンデモなアクション・シーンや、バトル・シーンが、ドッカーンとシューティングでおます。

魚怪獣との、陸へ揚げれば勝てるで作戦バーサスが、破天荒に展開して、主人公とスー・チーが出会い、

ほんで、スー・チーが部下たちと共に、主人公を騙す狂言アクションや、妖怪ブタとカゴ車のカーチェイス、西遊記キャラたちのオリジナル・アクション。

そして、孫悟空が姿を現し、一大対決シーンが繰り広げられるクライマックスは、モチ、本作のハイライトでおます。

西遊記をここまで、メチャクチャにしてくれはった、天才チャウ・シンチー監督。もう何も言うことはありまへん。

2014年11月10日 (月)

インドネシア映画「ザ・レイド GOKUDO」⇒アジア映画特選7

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潜入捜査の大バクレツ・アクション系インドネシア映画

日本ヤクザ組として、松田龍平・北村一輝・遠藤憲一が参戦

http://www.theraid-gokudo.jp

ノウベンバー11月22日のサタデーから、KADOKAWAはんの配給によりまして、梅田ブルク7、OSシネマズ神戸ハーバーランドやらで、ロードショー。

本作は、2014年製作の146分にわたる映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 PT. MERANTAU FILMS

ハリウッド・リメイクが決定しとる前作「ザ・レイド」(2011年製作・インドネシア映画・弊ブログで分析済み)に続く、シリーズ第2弾でおます。

前作が、マンション・ビルに巣食うギャング団と、警察陣の、ビル内対決な「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ)的展開が、強烈やったけど、

今度は、あの主人公刑事が、潜入捜査をばしはります。

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本作第1弾と同じくハリウッド・リメイクされて、「ディパーテッド」(2006年・アメリカ)のタイトルで、アカデミー作品賞までゲットした、その元ネタ映画「インファナル・アフェア」(2002年・香港)の潜入捜査ものと比べると、

2派の抗争の一方に入り込んで、モノゴッツーなバトル・アクションの連続展開になるという意味では、静の「インファナル・アフェア」に対して、剛の本作ちゅうカンジやろか。

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さてはて、ここで、思い付くままに、潜入もの映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば披露いたします。

●ベスト⇒①インファナル・アフェア②ディパーテッド③フェイク(1997年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②新しき世界(2013年・韓国・弊ブログ分析済み)③ミッション:インポッシブル(1996年・アメリカ)

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●カルト③みたいなスパイもんも入れましたが、基本は刑事の潜入捜査もんでおます。

採り上げたのは、潜入捜査の新しいカタチを、提示した作品ばかりどす。

警察とギャングの双方にそれぞれ潜入させて、最後はその2人の対決へともっていくベスト①②。

潜入捜査に友情節を入れたベスト③。潜入捜査官が、ギャング側のボスになってまうカルト②。

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でもって、本作は2派の抗争のただ中に入り込んで、主人公がかつてない、凄まじい激闘の連続で魅せてくれよりました。

黒澤明の「用心棒」(1961年・日本)や深作欣二の「仁義なき戦い」(1973年・日本)より、

よりハードに激烈に、アクション・シーンが、目くるめく次々に展開してまいります。

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潜入刑事のキャラの魅力も、この種の映画のお楽しみやろかと思います。

ジョニー・デップのベスト③など、スターが活躍したり、一方で、日本には馴染みのない、インドネシアの俳優イコ・ウワイスが、

必死のパッチの泥臭み感で、スピードフルに魅せてもらうと、ジョニデよりスゴイやん、なんて思たりします。

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イントロ。刑事はワザと捕まって、ムショに2年間も入り、ターゲットを分析しはります。

そして、出所後、地元マフィアに潜入し、対立する日本ヤクザとの抗争アクションやらに、モノゴッツーのアクション・シーンの連続で挑まはりまんねん。

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「バリー・リンドン」(1975年・アメリカ)やらで掛かった、クラシック・ナンバーをバックに、上からのアクション・カットを始め、

カーチェイスとカー内バトルを、ミキシングしたり、バット男・トンカチ女・マサカリ男やらとの、非情な1対1対決やら、エグイ・エグサさが満開。

ハリウッドのスムーズなアクションとは、大いに違っておます。ほんで、そこがまた、泥臭くて、エエカッコシー無視のとこがエエんだす。

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遠藤憲一をボスに、松田龍平や北村一輝らの、日本ヤクザ組と、潜入刑事との絡みもあり、ラストシーンでは、サプライズにも関わってまいります。

ダークな灰色的配色ぶり、時おりのキレるロングショット、インドネシアのワールド・ミュージックを始め、雑然としたサントラ使いの妙味やら。

映画の作品性に合わせた、映画作りがステキどしたえ。

2014年11月 9日 (日)

杉野希妃主演「禁忌」⇒アジア映画特選6・日曜邦画劇場

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禁断の愛に踏み込んだ、取り扱いご注意くだされませ~な作品どす

希妃ネーさんの、キャリア最高の鬼気迫る演技が、シュートしとりまんがな

http://u-picc.com/taksu_sala/

師走12月6日の土曜日から、太秦はんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やらで、全国漸次のロードショーや~。

関西やったら、12月20日から、シネ・ヌーヴォで上映だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014『禁忌』製作委員会

本作は、女優としての杉野希妃ネーさんの、最高傑作となったと、ボク的にはジャッジいたしました。

21世紀の日本映画の女優論を、チョイと披露いたしますと…。

希妃ネーは、21世紀的女優の第1世代(1980年代半ば生まれ)とも言える、宮崎あおい・蒼井優・上野樹里らの世代(上戸彩や安藤サクラらも)でありまして、

そんな中でも、最も映画に特化し、映画を愛してはる女優はんやろかと思います。プロデューサーをやり、監督までやってはんねんもん。

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演技的には、NHK朝ドラ主演で、国民的女優になった宮崎あおいを始め、蒼井優や上野樹里も、シリアスとコメディエンヌといった、硬軟両用タイプの女優やったけど、

希妃ネーは、あくまでとことん、シリアス・自然体を通してはります。

希妃ネーのコメディエンヌぶりも、一度は見てみたいとは思うねんけど、

本作では、シリアス度に、ビミョーな複雑系を加味し、キャリア史上最高の演技を、しはったかと思うとります。

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なんせ、メッチャな役やねん。

女子高の女教師役なんやけど、生徒とレズまがいをやり、入院してはる佐野史郎扮するオトンと、20年ぶりかとゆう再会を果たし、

その腹違いの弟(太賀クン)を、自分の家に引き込んで、監禁的にセックスまでやってまうとゆう役柄。

はっきりゆうて、近親相姦どす。

上半身の裸を見せて、オッパイポロ・ポロリなシーンもあるけども、ヤラシー感よりも、違和感あるセックス・シーンやったやろか。

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弟をフロで強姦したり、振った人間にヤラれたり、モーツァルトの歌を、口ずさんでさまよったり、オトンの佐野史郎との、ぎこちない関わりやら、

異能のヒロイン役を、我が道をゆくノリで、飄々と演じはる姿には、今までの希妃ネーを覆す、怪演技ぶりやったやろか。

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ボクの希妃ネーの、最高の良質演技作は、「歓待」(2010年・弊ブログ分析済み)なんやけど、

それとは真逆の演技ぶりに、驚きもあり、ウーン…もありーのの、難解な演技。

けども、彼女のキャリアにおいて、かつてない演技派ぶりを示すには、絶好の作品やったんやないやろか。

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いろんな映画とのシンクロナイズを申しますと…。

冒頭から、さっそく「第三の男」(1949年・イギリス)の、ラストシーン的カットから始まりま。

ワザトラ的に見えたけど、こおゆうシーンはその後も出てきよりまして、希妃ネーや監督やらは「第三の男」がメッチャ好きなんやろな~、なんて思たりもしました。

腹違いやけど、姉と弟の絡み具合には、手を縛り合った「おとうと」(1960年市川崑監督版・2010年山田洋次監督版・日本)のタッチがあったりします。

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モーツァルトの音楽が、終始流れてるようなカンジがありました。

しっとりうっとりの、ピアノ・ナンバーから、ロマンチックな、バイオリン・メインの弦楽オーケストラまで、本作を終始、ロマンティック・ドラマティックに、牽引する使い方やったかと思います。

でもしか、サントラ使いとは別に、アンニュイな作風が持続して、最後にドッカーンなサプライズに、遭ったりするやもしれまへん。

希妃ネーの、鬼気迫るような、ラストのアップに震えてみておくんなはれ。アッときまっせ、ビックラコン。

ちゅうことで、最終結論は、希妃ネーの、演技における最高作どした。

さてはて、後日、杉野希妃ネーさんのインタビューをば、お届けいたしますんで、お楽しみにしとってくだされ。

2014年11月 8日 (土)

斎藤工&三津谷葉子共演「欲動」⇒アジア映画特選5・週末日本映画劇場

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女優監督・杉野希妃ネーさんの、監督作品第2弾や~

メッチャヤラシー映画的な、セックス・シーンが強烈やねん!

http://www.u-picc.com/taksu_sala/

霜月11月22日の土曜日から、太秦はんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーだす。

関西やったら、12月20日のサタデーから、大阪九条のシネ・ヌーヴォで上映。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014『欲動』製作委員会

女優にして映画監督っちゅうのは、最近では、海外ではアンジェリーナ・ジョリーとかナタリー・ポートマン、フランスのジュリー・デルピー、カナダのサラ・ポーリー、中国のヴィッキー・チャオやらが出てはります。

ところが、日本ではどうかてゆうたら、近年はさっぱりやねん。

かつては田中絹代はんや左幸子はんらが、やってはったし、21世紀では桃井かおりネーさんが、海外の映画祭で賞を獲るくらいの快作を監督しはりました。

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でもしか、本作の杉野希妃ネーさんみたいな、若い女優はんが、30歳代を前にして、映画監督をやってまうとゆうのは、邦画史上初やないやろか。

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さてはて、肝心な本作やけど、2方向性で分析できる作品となりました。

夫婦・夫妻映画としてと、ヒロイン映画としてのポイントでおます。

どっちもやってもエエんやけど、取りあえずは夫妻映画。

で、前世紀には名作がテンコ盛りなんで、いちおう21世紀の日本映画とゆう括りで、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば披露いたします。

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●ベスト⇒①ぐるりのこと。(2006年)②阿弥陀堂だより(2002年)③武士の一分(2006年)

●カルト⇒①本作②夢売るふたり(2012年)③さよなら渓谷(2013年)

●本作は夫妻映画としては、夫が爆弾を抱えとるタイプどして、

妻がビョーキのベスト①②、妻の不貞が問題化するベスト③、妻が一筋縄やないカルト②、夫とのなれそめに、かつてない設定のあるカルト③など、

本作以外は、妻がキー・パーソンを握っておました。

本作も確かに、夫のビョーキが夫妻の仲に、影を落とすカンジやけど、でもしか、メインは妻のヒロイン映画としての、生き方のとこへと、フォーカスしてまいっとります。

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「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で受賞しはった、三津谷葉子ネーさんが、そんなヒロインに扮しはりました。

夫役・斎藤工(たくみ)に、死に別れる前に、離れようなんて言われてもうて、つい外国人のモーションに、不倫してまいます。

夜の海岸での、長回し撮影を取り込んだ、濡れ場シーン。

さらに、ラストの方では、齋藤工との、濃厚なるベッド・シーンが展開。

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メッチャヤラシーとゆうか、映画的にヤラシー・シーンを、希妃監督は構築しはりました。

ある意味パターン化された、日活ロマンポルノのセックス・シーンや、ハードコア・ポルノの、生々しき激しさでもない。

そこには、ヒロインのキモチに即した、ビミョーなとこが捉えられておるんどす。

ボクは男やけど、でも、ヒロインのキモチになって、セックス・シーンが見れるちゅう、かつてない体験をしたような気がしよりました。

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本作の見せ場となる、そうした濡れ場シーンへと、持っていくとこの描写でも、映画的作りや撮り方に魅せられました。

まずは、目立つのは、2分くらいの長回し撮影の多投やろか。

アドリブっぽい4人の食卓シーンを始めとして、自然体なとこで終始貫かれとります。

ほんで、ラストシーンの映画的構図と、夫妻のやり取りの妙味は、

日本映画史に残ってもおかしくない、ラストシーンの造形ぶりやったと、ボクは思います。

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アップも少ない。けども、アップが少ないとゆうのが、映画的やとゆうのは、今や形骸化しておますが、

そのセオリーを、ロングショットのタイトな挿入で、キメ込む作りは、目新しさはないけど、映画ファンにはこたえるとこでおましょうか。

スクリーンの観客側から見て右端に、人物を配置してゆくショットやったりとか、

「救いたい」(11月3日付けで分析)でもゆうたけど、空や太陽を映さずに、日射しシーンを示す描写やったり、

海も青くなく、むしろダークな映し方をしていたりと、ハッとさせられるシーンは、多々ありましたえ。

いかにもなマジック・アワー(海の日没シーン)なんぞを、狙ったりはしてはりまへん。そういう自然体でフツーなとこが、ステキやったわ。

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さてはて、本作はインドネシアのバリ島ロケどす。

でも、リゾート・ムービー色は、全くと言ってエエほどカンジまへんどした。

民族楽器を使った、現地のイベント・シーンが、ケッコー出てくるんやけど、

映画的照明をほとんど入れず、自然光による撮影を、メインにしてはるからやろか、そのままに映されるんで、

観光PR的な側面よりも、ゴミが散乱する海辺のシーンなど、むしろ逆バリエーションでの、バリ島描きになっとるかと思います。

さて、ボク的には、ヒロイン映画以上に、夫妻映画としてのインパクトがありました。

画面から消えた斎藤工が、「ユリ、こっちへこいよ」とゆうセリフが、見終わってからも、ずーっと頭ン中で響いておました。

女性監督の撮った、夫妻日本映画の、マイ最高傑作になるかもしれへん傑作どす。

2014年11月 7日 (金)

韓国映画「俳優は俳優だ」⇒アジア映画特選4

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ヤラシー・シーンを含め、俳優業界の裏側を、赤裸々に描いたで~

「映画は映画だ」に通じる、韓国メイキングもの映画の怪作品や~

http://www.actor-movie.com

11月15日のサタデーから、クロック・ワークスの配給によりまして、東京・シネマート六本木、シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 Next Entertainment World Inc. & Luz Y Sonidos Co. Ltd. All Rights Reserved.

映画メイキング映画は、これまでにモノゴッツーなタイトル数があります。

そんな中で、本作は、演技者を主人公・ヒロインにした映画でおます。

弊ブログでは、映画そのものメイキング映画の、マイ・ベスト&カルトを、やってみたことはありましたが、

ここで、思いつくままに、男優・女優設定の主演ドラマ洋画の、それ(各順不同)をばやってみます。

ちなみに、有名俳優の実話ドラマものはハズシとりますが、もっとエエのんがあったら教えてくだされ。

●ベスト⇒①イヴの総て(1950年製作・アメリカ映画)②サンセット大通り(1950年・アメリカ)③アーティスト(2012年・フランス)

●カルト⇒①本作②ブギーナイツ(1997年・アメリカ)③雨に唄えば(1952年・アメリカ)

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●本作や②のブルーフィルム(いわゆるAV)業界を除いて、ハリウッド映画界を舞台にした映画が、圧倒的に多いんやけど、

男優主人公や女優ヒロインの、心理キモチをメインに、深く描き込んだ映画となれば、表層的に前向きに見えるベスト①よりも、

ナーバスで人間のダークなとこを、ビミョーに表現する点においては、本作は突出した仕上げどした。

いわゆるスターの心理の暗部を、やらしくいびつに描く点において、かつて各国から出た、あくまで観客の好感を意識した作品とは、趣きをかなりと大胆に、異にしておます。

つまり、こんな俳優にはなりたくないなんてゆう、汚れ部があからさまやないけども、表出されておるんですわ。

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韓国映画でゆうたら、「映画は映画だ」(2008年・韓国)とゆうメイキングもんがありましたが、

そちらはもっとストレートに、主人公はアクション映画への情熱に燃えとったけども、本作はそうやありまへん。

殴られるシーン、女優と車内やらで、ヤリまくりのセックス・シーン、アイドルとの嫌味な絡み具合、演技で本気で女優を殺そうとしたりと、

演技への情熱やらが、さっぱり見えてこない変型的シーンが、続いてきよります。

なんやねん、こいつは、なんて思たりするけど、そう思わせることこそが、本作のキモなんやろと思いまっせ。

俳優の持ってる変態チックな心理を、あぶりだすんが、本作のキモなんやもん、たぶん。

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演技で勝負しますと言い、脇役から人気を得て、私生活でも女優とのヤラシーな、セックス・シーンを織り込んで展開してまいります。

K-P0Pの男性アイドル・グループ「MBLAQ」のイ・ジュンのアニキが、映画初主演とは思えへんような、汚れな演技派ぶりをば示さはりまんねん。

そんなんアイドルやなんて、大がいの大人の日本人は分かりまへんやん。でもしか、こいつ、嫌な奴やなーて、見とって心底から思てまう。そんな演技は、なかなか見せられまへんで。

そういえば、本作は異能の傑作が多い、キム・ギドク監督の製作・脚本による作品でおます。

ああ、なるほど、そうなんや~とゆうとこが見え隠れしとりました。

一点集中照明による、シーン作りやら、薄グリーンな配色など、薄色を基調としたダークな作りが、映画的作りを示してはりました。

ソン・ガンホ、ソル・ギョング、ハ・ジョンウらが、セリフに出てくるとこも、要チェックかも。

いずれにしても、一筋縄ではゆかない、俳優心理を描いた怪作品どした。

2014年11月 6日 (木)

「ドラゴン・フォー2 秘密の特殊捜査官/陰謀」⇒アジア映画特選3

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シリーズ第2弾も、チーム・プレイ・アクションが満載

主人公やヒロインの、秘密の一端が明かされて…

http://www.cinemart.co.jp

11月8日のサタデーから、ツインはんの配給によりまして、東京・シネマート六本木、12月6日の土曜日から、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 BEIJING ENLIGHT PICTURES CO., LTD. DONG YAN ENLIGHT PICTURES CO., LTD. HONG KONG PICTURES INTERNATIONAL LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

単独パフォーム・アクションも入れつつ、チーム・プレイに徹した、正義の味方アクション。

その香港・中国映画の最新版の、昨日分析した作品の第2弾どす。

1960年代の香港映画界では、この種のチームものは、単独ソロ系が主流やったけど、製作会社ショウ・ブラザースを中心に、それなりに作られておました。

その全部は見てへんねんけど、一部はDVDやらで拝見しとります。

カンフー・アクションが主流やったかと思います。そのカンフー・アクトの流れは、かなりの間、香港映画のメイン・アクションになっとりました。

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1980年代の「キョンシー」シリーズあたりから出てきた、香港映画がルーツの、ワイヤー・アクション以降も、その主流の流れは変わりまへんどした。

でもしか、本作は、カンフー・アクトが、ほとんどない作品になっとります。

一体、その転換点的作品は、どこにあったんやろか。

ボク的分析では、一昨日分析したポリス・アクションやら、「三国志」やらを原作とした、時代劇アクションなんかがあり、それらの混合タイプが、チビチビ出てきた結果の、今なんやないやろか。

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まあ、ハリウッド資本が入り、アカデミー賞でも健闘した「グリーン・デスティニー」(2000年製作・アメリカ&中国合作)あたりから、惜年との違いが、はっきりしたとは思うねんけど、

その監督のアン・リーやら、ジョン・ウー、ツイ・ハークら、ハリウッドに進出してる監督たちの作品性も、大いに貢献しておます。

ブルース・リー、ジャッキー・チェン、ジェット・リーらの、カンフー・アクトの流れを、そんな監督陣営たちが変えていったと申せましょうか。

でもしか、本作は、1980年代頃から香港で活性化した、時代劇にしてファンタジックな伝奇系アクションを、大いに踏襲した作品になっとります。

その意味では、「キョンシー」シリーズやらの流れを、汲んだ作品やろか。

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ヒロインが活躍するという意味でも、「キョンシー」とシンクロ。

でも、男たちも、ヒロインを始めとした女たちと、おんなじくらい活躍するんで、まあ、いろんな香港・中国製時代劇アクトの、混合型ではあるんやけど。

でも、やっぱ本作は、ファンタジー性において、「グリーン・デスティニー」やらとは違う、系譜の中に位置する作品どす。

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CG、VFXの表出が際立っとります。

以前なら、実写部との調和がチグハグ、ギクシャクしとったけど、本作やらの最新作は、それほど違和感を感じさせまへんどした。

ブルー、グリーンやらのCG色に加え、実写部では、薄色配色。薄ブルーをメインに、「ハリーポッター」のような世界観を、フワーンと出してはるんが、裏ワザとして、ボク的にはオモロかったやろか。

最後に、ヒロイン役リウ・イーフェイちゃんの、秘密が明かされて、オオッとなるし、主人公役ドン・チャオ君も、第1弾の活躍ぶりで魅せてくれはります。

シリーズ化は、間違いなしの作品どした。

2014年11月 5日 (水)

「ドラゴン・フォー 秘密の特殊捜査官/隠密」⇒アジア映画特選2

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正義のチーム・アクション映画の、中国版最新バージョン

ベテラン俳優アンソニー・ウォン率いる、魅力的キャラ勢揃いのチームやで~

http://www.cinemart.co.jp

11月8日の土曜日から、ツインはんの配給によりまして、「2014 秋の香港中国エンターテイメント映画まつり」の1作として、東京・シネマート六本木ほか、全国順グリのロードショーだす。

関西やったら、12月6日から、大阪・シネマート心斎橋で上映。

続編は、明日分析いたします。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012 BEIJING ENLIGHT PICTURES LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

観客が正義の味方的に、登場人物たちに感情移入し、肩入れして応援できるタイプの、チーム・グループ系アクション映画における、

中国映画・香港映画として、日本公開される最新バージョンが、本作でおます。

さてはて、この種の映画のルーツ作は一体、何でおましょうや。

人によって、違うかとは思いますが、西部劇、戦争映画、「忠臣蔵」的時代劇やら、まあ、ケッコーあることは、あるやろかとは思います。

でもしか、映画史的に重大な作品に、絞ってみたらでんな、ボクは、黒澤明監督の「七人の侍」(1954年製作・日本映画)が、

このジャンルのルーツ作であり、映画史的に見ても、仕上がりにおいて、超えることのチョー難しい、最高不倒傑作やと思うとりますが…。

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でもしか、こおゆう映画は、ある意味、日常茶飯事的に作られておるんで、いつなんどき傑作が現れよるか、予測のつかんジャンルでおま。

ほんでもって、仕上がり具合は別にしてでんな、1人にだけ感情移入できる、ヒーロー映画とは違い、

チーム仲間たちのいろんなキャラの、いずれかに感情移入して、なり切り型のヒロイズムを、体感できるちゅうのが、チームものの面白さであり、楽しさなんやろな。

大衆受けのする、娯楽性の高さもあるねんけど、中国・香港に限っても、メッチャモノゴッツーの、タイトル数がありまんねんでー。

中国・香港映画に限定して、マイ・ベスト&カルトもやってみたいんやけど、ボク的には未見の作品もケッコーあるんで、いずれまたにして…やけど、

でも、本作は2作作られとるんで、シリーズ化されそうな雲ゆきもあり、

コミック原作っぽい、アニメチックの実写版なオモロサもありーので、

21世紀製作作品としては、カルティック作品のマイ・ベスト・スリーに入るような、手ごたえ・見ごたえがありましたえ~。

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ジャンル的基本ラインは、中国の時代劇的仕様どす。現代の話やありません。

けども、CG、VFX使いを始め、時代劇とは申せ、あくまで伝奇的SFファンタジー的仕様の作りなんで、剣戟メインの時代劇感を、感じさせへん作りになっとります。

設定を申しますと、いわゆる政府筋公認の公務員警察的捜査チームと、香港俳優の重鎮的存在のアンソニー・ウォン率いる、私的一般会社的チームの2派が、競い合うように、事件を追いかけるとゆう図式で、物語が展開してまいります。

偽造貨幣を製造して、流通さしとる犯罪軍団と2派の対決、特に、ウォン・チームとのバーサスが、メインになっとります。

CGによるチャッチーな実写部は、かつての香港映画よりは、随分見やすく、またリアル感を伴っておるんで、ビックラこきました。

香港映画がルーツとなる、ワイヤー・アクションも、フツーのように使われておまして、アクション・シーンに溶け込んでおます。

むしろ、このタイプの映画では、今ではキャラクターの造形ぶりのオリジナル性が、重視されとるんやないかなと思います。

手の念力パワーで対決する、車椅子の女役のリウ・イーフェイちゃんの、無表情のカワイサに、ウーンときたり、

激昂すると、狼男に様変わりするイケメン、ドン・チャオ君らに魅せられよりますで。

ちゅうことで、理屈抜きに、楽しめる快作になっとります。

2014年11月 4日 (火)

アンディ・ラウ主演「ファイヤー・ストーム」⇒アジア映画特選1

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香港刑事アクションの、ビビッドなピークを示す傑作

クライマックスの20分にわたる、警察VS強盗団シーンが圧巻!

http://www.cinemart.co.jp

11月8日の土曜日から、ツインはんの配給によりまして、東京・シネマート六本木やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、12月6日より、大阪・シネマート心斎橋やらで上映だす。

本作は、2013年製作の香港・中国合作映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013, Edko Films Limited, Sil-Metropole Organisation Ltd., Focus Films Limited, Good Friends Entertainment Sdn Bhd, China Dream Film Culture Industry Limited, Ample Ideas International Limited, He Xin Zhongshan Jin Investment Management Co., Ltd., Elegance Media Guangdong Co., Ltd., Youku Tudou Inc. All Rights Reserved.

香港のポリス・アクション映画と言いましたら、

香港ノワール映画でも、刑事が活躍するケースはあるんやけど、前世紀においては、ジャッキー・チェン主演映画が隆盛でおました。

その雛形は、「ポリス・ストーリー」シリーズ(1985年~1996年製作・全4作・香港映画)やろか。

ジャッキーの高層ビル降りやらの、危険なアクションがポイントになっとりまして、ジャッキーのカンフー・アクトやらの、延長線のようなアクトが、多かったように思います。

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けども、その流れを変えた作品が、2002年に出現しよりました。

第1弾と第3弾で、アンディ・ラウが主演した「インファナル・アフェア」3部作(2002年~2003年)でおます。

しかも、第1弾はハリウッドで、マーティン・スコセッシ監督により、「ディパーテッド」(2006年・アメリカ)のタイトルでリメイクされて、アカデミー賞作品賞をばゲットしてはります。

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いわゆる、それまでの肉体派ミラクル・アクトやなく、より香港警察の内情をリアルに投影し、潜入捜査やスパイに加え、銃撃戦、カーチェイスなどが、よりリアリスティックに描き込まれておったんであります。

また、サスペンス度合いも、モノゴッツー高く、それまでの香港ポリス・アクションの、イメージを変えはったんでおますよ。

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でもって、本作では、警察VS強盗団とゆう、シンプルな対決の構図ながら、銃撃戦や弾薬戦がよりビビッドに、臨場感をもって捉えられておます。

それだけやありまへん。2人バーサスも、ビルを使ってスリリングやし、

ジャッキーみたいな、スイスイのミラクルさよりも、人間らしいヨレヨレしもっての肉弾戦で、生々しさがあふれておますよ。

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でもしか、警察の情報屋潜入スパイが、強盗団に正体がバレて以降、情報屋と娘が殺されるとゆう、残虐なシーンがありますが、

モラルの問題以上に、シリアスな描写に背筋が凍り、

またその後のアンディ・ラウ刑事の、必死のパッチに向かう人間臭いアクションに、グッと感情移入できまんねん。

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そして、クライマックスの、20分にわたる2派の、一大激戦シークエンスは、アクション映画史に残っても、決しておかしくない仕上げを見せてはります。

香港ポリス・アクションとしては、ジャッキー・チェンの「ポリス・ストーリー 香港国際警察」での、ビルの壁面降りシークエンスと、双璧を成すアクション・シーンやないやろか。

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ビビッドな銃撃戦、爆破の連続、スローと俯瞰撮影を、バランス良く散りばめ、

ほんで、ガス管破裂爆発の、大地震的シーンへと、ダイナミックにつなげていく、一連のショットがたまりまへん。

そして、タイトルにまつわる、皮肉に満ちたラストシーンなど、印象深いどすえ~。

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さてはて、アンディ・ラウ的にも、マイ・ベスト・スリーに入る熱血演技となりました。

ちなみに、あとの2作は「インファナル・アフェア」と、青春恋愛映画「欲望の翼」(1990年・香港)でおます。

アクション映画的には、大ヒットした時代劇「LOVERS」(2004年・中国)より上の、出来と奮闘ぶりやったどす。

ちゅうことで、中国で「香港ポリス・アクション映画歴代No.1ヒット」となった本作を、ぜひご堪能くだされ。

2014年11月 3日 (月)

「救いたい」⇒今年の邦画のベストテン級作品

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医療系映画と東日本大震災ものが融合した感動作

鈴木京香&三浦友和の夫妻をメインに、多様な群像劇が展開

http://sukuitai-movie.jp

霜月11月22日の土曜日から、AMGエンタテインメントはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「救いたい」製作委員会

あれから、3年半あまりの時が経ちました。

東日本大震災を背景にした映画は、これまでにドラマやドキュ共に、多数出てまいりましたけども、

大震災より3年後の、宮城県の地元の人々の姿を、捉えたんが本作でおます。

かつて、弊ブログで東日本大震災関連の映画を、ドキュとドラマの双方で、マイ・ベスト&カルトなんぞをやったけど、

はっきり言いまして、両ジャンルを入れた中でも、本作が最高傑作やないやろか。

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ちゅうのは、やはり、当時の衝撃よりも、数年後の人々のキモチやら、当時の医療のその後を描いてはりまして、タイトル通り「救いたい」キモチが、濃厚に出た作品でおます。

ほんで何より、今の被災された人たちのキモチと、救いたい側のキモチが、ピッタリ一致した仕上げになっとります。

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ちゅうことで、ここで、病院・診療・医療系日本映画の、マイ・ベスト・ファイブ(順位通り)をば、披露いたします。

①白い巨塔(1966年製作)②ディア・ドクター(2009年)③本作④華岡青洲の妻(1967年)⑤孤高のメス(2010年)

●震災後の医療の在り方とゆう意味においては、本作が最もシビアで、リアリティーがあると申せましょう。

被災現地で診療所を始めた夫と、仙台で麻酔医として働く妻。

仕事の関係上、別居中のこの夫妻が、愛以外に、人を救いたいキモチでつながって、実にヒューマニズムに満ち満ちた快作になっておます。

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妻役・鈴木京香ネーさんと、夫役・三浦友和のアニキが共に、キャリア史上マイ・ベスト・スリーに入る、演技で魅せてくれはりました。

特に、ヒューマニズムあふれる系の演技では、それぞれのベスト演技やったかと思います。

また、群像劇として脇役たちも、それぞれのベスト・プレイを披露。

震災のトラウマを持った、貫地谷しほりネーやら、夫が震災で死んだあとも、義理のオカンと住んで、介護してはる中越典子ネーなどが、感動や泣きのあるシーンやらで、魅せてくれはりますで。

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一面的には、地方ロケ映画の巨匠とも呼べる、神山征二郎(こうやま・せいじろう)監督の新作でおます。

神山監督のマイ・ベスト・ファイブを言いますと、

①本作②ふるさと(1983年)③ハチ公物語(1987年)④白い手(1990年)⑤月光の夏(1993年)

●初期・中期の20世紀に偏りましたけども、21世紀以降も、ヒット作を出してはります。ほんで、本作は通算29作目となる監督作品にして、ボク的には、神山監督の最高傑作となりました。

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京香&友和の、夫婦映画としての演出ぶりも、落ち着いて堂に入っておますし、

中越典子ネーと義母役・藤村志保はんの、5分近くの泣きの長回し撮影など、随所に巨匠らしい演出ぶりを、見せてくれてはります。

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小津安二郎監督的ローアングルがあったり、

最後の方では、海の夕景シーンはあるけども、夕景や朝日シーンを、太陽そのものを映さずに、風景シーンだけで感覚的に示してゆくところとか、シブミもさりげなく入れてはります。

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ほんでもって、ラストロールで掛かる、小田和正の主題歌「その日が来るまで」(最新アルバム『小田日和』収録曲)の癒やし。

いつものピアノやキーボードやなく、アコースティック・ギターをポイントにした、グッド・ナンバー。

この曲が最後に流れたことで、さらに感動は倍加したようどす。

今年の日本映画の、マイ・ベストテン級の仕上がりどした。

2014年11月 2日 (日)

野村周平&二階堂ふみ共演「日々ロック」⇒日曜邦画劇場

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16ビートロックを、ヘタッピーに熱演する、野村周平クン

人気アイドルにして、目指すはロッカーの、二階堂ふみチャン

そんな2人のココロが、一つになった時、「セカチュウ」的感動が押し寄せる

http://www.hibirock.jp

ノウベンバー11月22日のサタデーから、松竹の配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「日々ロック」製作委員会 Ⓒ榎屋克優 / 集英社

いきなりやけど、日本映画のドラマ音楽ムービー(ミュージカル含む)の、21世紀のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露いたします。

●ベスト⇒①スウィングガールズ(2004年製作)②モテキ(2010年・弊ブログ分析済み)③劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ(2011年・弊ブログ分析済み)

●カルト⇒①SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者(2012年・分析済み)②愛と誠(2011年・分析済み)③本作

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●本作の入江悠監督作品を、ベスト③カルト①を含めて、3作も選んでまいました。

ブラバンのベスト①、ミュージカルのベスト②カルト②なんかも、傑作やしエエねんけど、

本作やベスト③のロックンロールや、シリーズ第3弾にして最高傑作の、カルト①の現代の音楽ヒップホップやら、

今を生きる若者たちが、今の音楽にのめり込む姿を、ビビッドに捉えてはって爽快どす。

いわば、入江監督は、21世紀型音楽映画の名匠やと申せましょう。

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確かに21世紀に入ってから、ロックやポップスをポイントにした邦画は、大手の映画会社を中心に、ケッコー作られてきよりました。

弊ブログで採り上げたのでゆうたら、「BANDAGE」(2009年)やら「BECK」(2010年)やら。

でもしか、入江監督作品とそれらの違いは、パフォーマー(演技者)たちの熱気でおましょうか。

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そして、本作では、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)の、激烈ロック版といった趣きがあります。

昨日分析した「神さまの言うとおり」と同じく、コミック原作なんやけど、二階堂ふみチャンの暴れっぷりなど、コミックらしい、破天荒なシークエンスはありますけども、

でも、あくまで、彼女の演じる、二面的キャラクターに合わせたもんでおます。

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男ロッカー役の主演は、野村周平クン。

今年はホラー映画「パズル」(2014年・分析済み)なんかで見たし、その時はシリアスな役柄やったけど、本作は軟弱で弱気なキャラでおます。

口を大きく開けて、目を剥き出しにして大仰に驚いたり、ヨレヨレのうつむき歩きをやったり、演技幅を広げようと、もがいてる姿にも映る演技ぶりが、スゴク好感を覚えました。

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そやから、16ビートロックをギター片手に、ヘタッピーに熱唱するシーンも、ついつい、のめり込むように見てまいました。

ほんで、台風の大雨の中、感電覚悟の上で、ビルの屋上でライヴするシーン(写真一番下)の熱気と感動が、本作の命懸けの、一大クライマックスになっとります。

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さてはて、野村周平クンの恋のお相手役やないけど、売れっ子アイドルにして、ホンマはロッカーになりたがってはる女の子役に、二階堂ふみチャンが演ってはります。

周平クンのバンド(ザ・ロックンロールブラザーズ)がやってる最中の、ライブハウスに飛び入りし、忌野清志郎の歌を、エレキの弾き語りで聞かせて、度肝を抜いたり、

ブルーライトに照らされて、テクノチック・ダンスを披露する、大ホールでのコンサート・シーンでの華やかさやら、

段差の大きい2演目をこなしたりして、絶妙どした。

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ベスト③に続く、ふみチャンと入江監督とのコラボレートどす。

ベスト③では歌ったりも踊ったりも、してへんかったけど、ここで、全面的に才能が開花やがな。

ラブ・ストーリーはないけど、周平クンとの関わりとキズナも、女ロッカーらしいとこがあって、何やら男同士の友情っぽくて、熱・熱やったやろか。

最後の感動シーンで、2人のキズナは、ドッカーンと、沸騰点をば迎えます。

ちゅうことで、ロックをベースにした、青春映画の会心作でおました。

2014年11月 1日 (土)

福士蒼汰主演「神さまの言うとおり」⇒週末日本映画劇場

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「バトル・ロワイアル」以降の、シチュエーション・サバイバル映画の進化型

福士蒼汰を主演に、若手の売り出し中の男女優が共演

http://www.darumasanga.com

11月15日の土曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「神さまの言うとおり」製作委員会

本作はある特殊な状況を設定し、ゲーム感覚チックに、何人かが生き残りを掛けて、対戦するとゆうタイプの映画どす。

シチュエーション映画とサバイバル映画の、いわば混合型。

この種の映画のルーツ作は、ボク的には、アメリカン・ニューシネマの「ひとりぼっちの青春」(1969年製作・アメリカ映画)やと思うけど、

日本映画の場合は、どないやろか。

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それまでに、それらしいものもあったやろけど、エポック・メイキングな作品は、2000年に現れました。深作欣二監督の「バトル・ロワイアル」でおます。

孤島に中学生たちを集めて、殺し合いをさせるとゆう、この残虐なスタイルで、しかも無差別やから“理由なき設定”どして、

その種のタイプがこの作品以降、多数輩出されてきておます。

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ほんで、それだけやありまへん。

藤原竜也、柴咲コウ、栗山千明ら、若手の売り出し中の男女優たちを、のちの活躍に結びつけたとゆう意味でも、エポックな作品どした。

ほんでもって、本作もまた、そのスタイルを踏襲し、さらなる進化型を編み出すべく、製作されたもんでおましょうか。

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「バトル・ロワイアル」は小説原作やけど、のちにコミック化されておます。

本作はコミック原作どして、コミックらしいリアリティーさのない、ハチャメチャな設定のように、終始見えよります。

だるま、巨大招き猫、こけし、巨大シロクマ人形、マトリョーシカと、その順番で人形たちが、高校に突如現れて、生徒たちを次々に殺してゆきます。

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殺されるのんを回避できる方法を、考えて実行し、生き残った者たちだけが、次のステップへと進むとゆう流れどして、

最後まで生き残るんは、果たして誰やねんっちゅうのんが、ネタの一つになっとります。

けども、最後まで見ると、ハチャメチャやと思とったんが、ガラリと様変わりする展開があります。

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まず、本編の途中で、学園外の描写シーンがありまして、全世界の高校でテロが起こっとるのと、その戦いぶりが街頭の巨大スクリーンに映されておまして、

また、生き残った生徒たちが、巨大白箱飛行船に閉じ込められとるらしい、とこなんかが映されます。

いろんな人たちの反応ぶりも、ミステリアスに描かれ、最後には、神の領域へと踏み込むとゆう、大胆さを示さはります。

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さて、若手の出演男女優に、目を向けてみまひょか。

福士蒼汰クンが主演。

ロマンチックで甘やかやった「好きっていいなよ。」(2014年・弊ブログ分析済み)とは違い、

同じ学園ものでも、逼迫系の防御し、逃げるアクションぶりを演技。

今後も、藤原竜也みたいな、リアル感ある逼迫演技が見られそうや。

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「るろうに剣心」(2014年・弊ブログ分析済み)に続き、悪役演技を見せる神木隆之介。

観客の嫌悪感は無差別なだけに、「るろう」以上やも。

一方、女優陣はどやろか。

長澤まさみネーさんの十代の頃みたいな、山崎紘菜(ひろな・写真上から8枚目など)ちゃん。

『東宝シンデレラ』で受賞してデビューやから、東宝女優の王道だす。本作ではアイドル女優として、彼女の魅力がキラめいておました。

また、こちらは『ホリプロタレントスカウトキャラバン』で、グランプリをゲットしはった、優希美青(ゆうき・みお/写真上から5枚目の左)チャン。

クール・ビューティーなカンジが、よかったでおます。

ほんで、本作の監督は三池崇史はん。以前、監督のマイ・ベスト&カルト・スリーなんかもやったけど、本作はカルト・スリーに入る怪作どした。

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