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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2014年9月の記事

2014年9月30日 (火)

アニメと実写の融合「ミニスキュル~森の小さな仲間たち~」⇒フランス映画の今1

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てんとう虫をサポートする黒アリ軍団と、赤アリ軍団の、仁義なきトンデモ戦争映画

ディズニー・アニメへの、アンチ・テーゼが満載

http://minuscule.jp

10月18日のサタデーから、東北新社はんの配給によりまして、全国イオンシネマ系劇場にて、2D&3D同時ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸMMXⅢ Futurikon Films - Entre Chien et Loup - Nozon Paris - Nozon SPRL - 2d3D Animations. All rights reserved.

昆虫を描いた映画てゆうたら、みなはん、思い出さはるもんて、どんな映画やろか。

この映画を見る前は、ボク的最高傑作は、ドキュメンタリーの「ミクロコスモス」(1996年製作・フランス映画)でおました。

ドキュやのに、昆虫たちがメッチャ生き生きしとるとこが、たまらん作りになっとったからどす。

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でもしか、「ミクロコスモス」と同じく、フランス映画の本作を見たら、いやはや、コレはモノゴッツーなもんが、あるやんと思たんでおます。

アニメを思い出さはる人は、ケッコー多いと思うねんけど、本作はドキュ的リアル感を取り込みつつ、

そこに縛られずに、最終的には自由奔放大胆に、昆虫たちのドラマを、それこそドラマティックに、かつヒロイズムチックに、アクション映画として展開した、稀有なる傑作でおました。

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確かに、生き物を擬人化して主人公とし、人間世界と変わらないような人間的なドラマを、見せてくれはる映画として、

ディズニー映画とゆう、人口に膾炙した映画ジャンルがござります。

でもしか、本作とディズニーの違いは、大人と子供が見る映画の違いくらいの、段差があるんやないやろか。

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ちゅうのは、例えば、本作とディズニー・アニメの「バクズ・ライフ」(1998年・アメリカ)なんかと、見比べてもろたら、明らかになるかと思います。

一つの種類の虫・バッタが擬人化して喋りまくり、虫同士の戦いを展開した「バクズライフ」と、本作の違いを、5つばかり列挙いたしますと…。

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①虫たちは、決して人間語を喋らない。

②自然界のリアリティーをば、キチンとベースにしてる。

③2種類のアリたちの戦いに、てんとう虫とゆう、異種の存在を取り込んだ作り。

④実写とCGアニメの合成ながら、これまでにない実写部分の、自然描写シーンの美しさ。

⑤アクション・シーンの斬新さ。

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…あたりやろか。

特に、多彩な名作映画から引用して展開する、アクション・シーン、サスペンス・シーンの見どころは、絶品の仕上がりとなっとります。

黒アリ群と赤アリ群の、川にまで及ぶ追逃走アクションの凄み。

ハエとてんとう虫主人公の、空中追逃走アクション。

でもって、クライマックスの、2派アリ軍団の、戦争シーンのトンデモなさ。

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ハリウッド映画的フル・オーケストラ・サウンドも駆使しつつ、「スター・ウォーズ」から「インディ・ジョーンズ」まで、映画史に残るハリウッド娯楽大作への、

フランス映画からの、オマージュ・シーンの数々に、どこがどの映画のシーンやろか、なんてことは考えずに、浸ってみておくんなまし。

でもって、黒アリとてんとう虫の、押しつけがましくない友情部も、その種のキズナ映画と比較しても、決して遜色のない仕上げになっとります。

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ソフトタッチの、てんとう虫の夢想シーン、

チャップリンなどのサイレント映画へのオマージュ、

主人公とクモとカエルとの絡みによる「サイコ」(1960年・アメリカ)チックな造形シーンなど、細部の描写のこだわりも、秀逸どした。

さてさて、本作はフランス映画とゆう意外性だけやなく、NHKのEテレで短編アニメとして、オンエアされとったのんの、映画バージョンでおます。

その種の映画版ちゅうたら、大たいが映画的には、見るもんがないのんが大がいやったけど、本作は100パーセント違っとりました。

そこんとこを、ぜひとも、映画館のデッカイスクリーンで、ご確認くだされませ。

2014年9月29日 (月)

「ミンヨン 倍音の法則」⇒新しい切り口の音楽映画

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韓国人ヒロインが、日本の戦中へタイムスリップ

「永遠の0」の、逆バージョンが爽快な作り

http://www.sasaki-shoichiro.com/

10月11日の土曜日から、シグロはんの配給によりまして、東京・岩波ホールやらで、全国漸次のロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014 SIGLO/SASAKIFILMS

素人だけの出演で、作り上げた日本映画どす。

この素人だけちゅうのは、かつてのイタリアン・ネオリアリズム映画な、世界を感じさせよりますが、

当時のイタリアンは、第2次大戦や戦後の混乱を描くのに、そのやり方がベターやったからやけど、本作ではどないなもんやろか。

同じく、太平洋戦争下の家族を描いてはるんで、この種の手法を採用したんやろか。

でもしか、設定を見てみると、韓国人のヒロインが、祖母の日本人の女友達のことが気になって、日本に来てでんな、

祖母友に夢想仮想して、2時間20分の本編の後半で、彼女の戦中の生活へと、タイムスリップしはる映画でおます。

2
戦争下の生活やから、素人でいこかやなく、何で日本人やなく、韓国人がヒロインなんか。

そのあたりがこじ付けのように見えるし、素人なだけに、棒読み的なとこも、目立ったりしとります。

日本語に堪能やないからゆえに、棒読み的を韓国人設定でカバーしようとしたんか。

そのあたりは分からへんけども、この設定が、戦争の話をこれまでとは全然違った、視点とテーマで描こうとゆう、かなり野心的なとこが見え隠れしとります。

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「永遠の0(ゼロ)」(2013年製作・日本映画・弊ブログで分析済み)みたいに、現代を生きる青年が、祖父の戦時を探って、その謎に迫ってゆくようなスタイルではありまへん。

祖母の友達の戦時に同化し、祖母友の人生を体験するちゅうスタイルなんで、その動機やらに、どないしても、クエスチョンが付きまとうんやけど、

本作はそこんとこを、音楽への情熱で解消するだけやなく、歌うことの素晴らしさや自由感を、テーマ的に伝えようとしはります。

違和感はあります。

何で太平洋戦争を、バックにせなあかんねんとか、

現代を生きる2人を、夢想やろけど引っ張ってきて、無理矢理な家族設定にしてまうとことか、ウーン…があります。

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NHKのテレビドラマを作って、その芸術性を示してきはった佐々木昭一郎監督、御年78歳の、初映画監督作品でおます。

本来なら、戦争下映画を、オーソドックスな手法で撮るのがフツーなんやけど、そういう定番的を完全に外して、

監督のモーツァルトを始めとした、音楽への愛を、こういうカタチで示すスタイルは、

それが大衆受けするかどうかは、別にしてでんな、まあ、かつてないものやろかと思います。

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しょっちゅう流れるピアノの響きやら、ヒロイン・ミンヨンちゃんの歌声などに、妙に癒やされてまいます。

ハーモニカと笛から韓国歌「アリラン」へとか、ヒロインのクローズアップで魅せる日本歌「箱根の山」とか、モチ、モーツァルト・ナンバーなど、音楽映画としてのとこをば、随所に示してゆかはりまんねん。

総体としてはシュールな仕上がりやけど、でも、ヒロインのキモチが、押しつけがましくなく、さりげなく、ココロに入ってくる演出ぶりは、特筆すべきとこやろかと思います。

いつの間にか、異邦人のミンヨンちゃんが、メッチャ愛しくなってきよる、そんな作品どしたえ。

2014年9月28日 (日)

「まほろ駅前狂騒曲」⇒日曜邦画劇場

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相棒バディ・ムービーの、歴代日本映画の最高傑作

ベタな友情ものとは違う、コミカルなやり取りの妙味

http://www.mahoro-movie.jp

10月18日の土曜日から、東京テアトルとリトルモアはんの配給よりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸やらでロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「まほろ駅前狂騒曲」製作委員会

いきなりやけど、バディ・ムービーの、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)をば披露いたします。

①本作シリーズ(2011年・2014年製作)②スケアクロウ(1973年)③真夜中のカーボーイ(1969年)④明日に向って撃て!(1969年)⑤スティング(1973年)

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●アメリカン・ニューシネマの相棒映画が、ほとんどやけど、ボク的相棒映画とは、ニューシネマが根幹にありました。

ニューシネマの相棒映画とは、弱きと強きが組んだ②や③、

ロバート・レッドフォードとポール・ニューマンの、対等の関係となる④⑤など、相棒映画の雛形が、ニューシネマで開眼したと思います。

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これまでの日本映画の相棒ものてゆうたら、ニューシネマな関係性やら、刑事ものなんかが定番やったけど、

でもしか、ここに、これまでの相棒映画のタッチとは違うもんが、出現しよりましたがな。

対等の関係やけど、2人のキズナが、フワーンとした関係性。

ベタな②③や、シャキッとしとった④⑤とは、ビミョーに違っておます。

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大森立嗣監督の作品性の1つに、この相棒もんがあります。「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」(2010年・弊ブログ分析済み)しかり、

本作シリーズの第1弾「まほろ駅前多田便利軒」(弊ブログ分析済み)しかり。

ほんで、本作はコミカルなやり取りが、見どころの1つになっとります。

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相棒・松田龍平の別れた妻(本上まなみ)との間にできた女の子を、数カ月引き取って、守りをするっちゅう仕事について、

瑛太と松田龍平の間に、展開するビミョーなとこを、字幕のタイムリミット系やらを入れて、絶妙なカンジで魅せてくれはります。

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クライマックスのドタバタ調の、バス・ジャック事件でも、チョイ・シリアスにドラマティックなとこでも、2人の関係性はあくまで、ペーソスなコミカル・モードを外さはりまへん。

ラストシーンの再会も、ビバ!は万歳の意味など、どうでもエエカンジで、ボケとツッコミが披露されとります。

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瑛太と松田龍平の相棒ぶりはモチ、本作のデッカイ見どころやけど、一方で、多彩な助演陣の演技ぶりにも注目どす。

新興宗教の教祖的を、自然体で演じる永瀬正敏しかり、

インテリ・ヤクザらしきとこを、クールに演じる高良健吾、

瑛太とバツイチ同士の恋を、のほほんと演じる真木よう子、

ほんわかな大森南朋、渋い岸部一徳まで、見逃せまへん。

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原作は三浦しをんの小説どす。

しをんネーさんの原作ものには、外れが少のうおます。

女流やのに、男・主人公の話がメインになっとりまして、本作シリーズを始め、

男ランナーの友情「風が強く吹いている」(2009年)や、男編集者の地味な仕事を描いた「舟を編む」(2013年・弊ブログ分析済み)など、

男の心理に食い入ってきはり、ほんで、それがまた、いかにもな説得力を持っておます。

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ほんでもって、サントラ部や。

音楽監督の「くるり」の岸田繁ちゅうたら、「ジョゼと虎と魚たち」(2003年)以来、渋くてしっとり、それでいて、キモではカッコイイギター・ポップロックを、披露してくれはります。

今回も見事にハマッとりました。

ちゅうことで、本年度邦画マイ・ベストテンに入る傑作。

2014年9月27日 (土)

「ザ・テノール 真実の物語」⇒日本・韓国合作映画

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ユ・ジテ、伊勢谷友介、北乃きい、チャ・イェリョンらが好演・快演

韓国ものでは珍しい、音楽実話ドラマ映画

http://the-tenor.com

10月11日のサタデーから、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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COPYRIGHT Ⓒ2014 BY MORE IN GROUP & SOCIAL CAPITAL PRODUCTION & VOICE FACTORY. ALL RIGHTS RESERVED.

韓国と日本の合作映画の最新作どす。

日韓合作映画は、2000年製作の「純愛譜」あたりから、出てきとりますけども、これまでは、それほど作られてはおまへん。

でもしか、本作は日韓合作でなければいけないとこが、如実に示された上に、

音楽人間ドラマとゆう、韓国映画では、ほとんどない領域に入らはりましたがな。

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ドイツにいる韓国のオペラ歌手(ユ・ジテ)の公演を、日本に招聘すべくアプローチしていく、コンサート・プロデューサー(伊勢谷友介)。

でもしか、ユ・ジテは甲状腺ガンになり、歌手生命を断たれてしまいます。

しかし、そこから奇跡的に復帰する姿を捉えるっちゅう、感動的な作品。実話がベースになっとります。

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ユ・ジテと伊勢谷の、音楽を通した友情のキズナ部。

北乃きいネーさんの、伊勢谷をサポートする演技。

ほんで、ユ・ジテの妻役チャ・イェリョンのネーさんの、しっとりな癒やし系の演技ぶり。

ボクチン的には、このチャ・ネーさんの演技に、ググッと痺れました。

その演技が作品的に機能するとこは、少しかもしれへんけど、その美人ぶりも含めて、見逃せまへんどした。

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北乃きいチャンも、ベリー・グッドや。

音楽業界もの「BANDAGE」(2010年・日本)に、マネージャー役で出て、また、歌手デビューもしてはりまして、本作では、ユ・ジテと伊勢谷をつなぐ、キー・ポイント的演技で魅せてくれはります。

さりげなくて、当たりさわりはない。

けども、ライブハウスで、ギターの弾き語りによる、スロー・フォークを披露するとこなんか、本編とはほとんど関係ないけど、妙に胸にきよりました。

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モチ、音楽映画としての見どころも見逃せまへん。

冒頭では、ユ・ジテが「誰も寝てはならぬ」を、ゴージャスに披露。

クライマックスの復活コンサートでは、「アメイジング・グレイス」を、巧妙に歌唱しはります。

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また、伊勢谷の熱意あふれる演技にも、元気がもらえますで。

伊勢谷のポジティブ演技としては、「ワンダフルライフ」(1998年)の癒やし系と、対を成す演技なんやないやろか。

また、ユ・ジテとの友情部でも、ベタでも押しつけでもなく、さわやかがキーになっとるんで、お涙ちょうだいものとは、一線を画しとります。

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ユ・ジテとしても、過去作品を見ても、演技的には、最もゆったりリラックスしての、演技ぶりやなかったやろか。

「春の日は過ぎゆく」(2001年・韓国)で共演したイ・ヨンエと、勝るとも劣らない美人ぶりの、チャ・イェリョンのネーさんとの共演が、かなりと効を奏したんやないやろか。

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でもしか、実話とゆうとこもあるけど、この種の復活劇には、定番的なストーリー的流れがあり、それに呼応した作りは、少々そのままやん!  なとこはあったけども、

でも、泣きの感動には、ブレはなかったかと思います。

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ドイツ(セルビア・ロケらしい)と韓国と東京サイドで、色合いを変える作りも、好感を覚えよりました。

復活ドラマ映画の、マイ・ベスト&カルト・ランキングも、いつかやろうかと思うとるけど、本作はベスト・カルトは別にして、ぜひとも選びたい作品どした。

日韓合作映画でも、ベストに入る快作でおます。

2014年9月26日 (金)

日本映画「幻肢」⇒谷村美月主演のラブ・ミステリー

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谷村美月ちゃんの、最高傑作とゆうてもエエ傑作

「ゴースト」や「シックス・センス」を、逆手に取った作りにサプライズあり

http://www.genshi-movie.com

9月27日の土曜日から、ディーライツはんの配給によりまして、新宿 K's cinemaやらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014映画「幻肢」製作委員会

大阪出身の女優ゆうんは、モノゴッツー出とります。

でもしか、玄人受けするタイプとしては、

今年のアカデミー賞外国語映画賞の日本代表となった「そこのみにて光輝く」(弊ブログ分析済み)の主演・池脇千鶴ネーさんが、ボク的には、メッチャスキやねんなんやけど、

本作主演の谷村美月ちゃんも、アイドル系ぶりと演技派ぶりを絶妙に配合して、エエカンジやねん。

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ちゅうことで、ここで、独断と偏見に満ちとるけど、谷村美月ちゃんの、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)を披露や。

①本作②カナリア(2005年製作)③おにいちゃんのハナビ(2010年)④ボックス!(2010年)⑤かぞくのひけつ(2006年)

●大阪弁バリバリの④⑤は、大阪出身女優の持ち味やから、特にセリフ的には、印象は深くはないんやけど、人々の情緒に訴える演技ぶりが、スゴイねん。

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池脇千鶴ネーは、どちらかとゆうたら、強気とクールとホワーンを、フレキシブルにまぶしもっての、ミキシング演技が味わい深いけど、

美月ちゃんの場合は、もっとストレートに、感情に訴えかけてきはります。

②の悲愁さや、③の抑制された泣きの演技など、今の日本人の琴線に、グッとくる演技やと思うけどなあ…。

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そして、本作の演技は、癒やし系演技も取り込んだ、美月ちゃん最高の演技ぶりを、目立たずさりげなく、披露しはりました。

ああ、ボクチンのスッキヤねんが、止まりまへんがな。

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美月ちゃんのことばかりゆうて、すんまへん。

美月ちゃんと恋に落ち、しかも事故って記憶喪失になってまう、主人公役の吉木遼クンも、映画初出演ながら、ラブ・ストーリーに見合う、ナイーブな演技ぶりを披露しはります。

チョイダークさや、薄色配色に加え、過去シーンのセピアな配色など、照明やフィルターを含めた色使いも、作品の内容に合わせた、仕掛けを施してはるんで注目どすえ。

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記憶喪失系ドラマは、1つのジャンルを形成しとるけど、でも、それを有効に使って、現実的で論理的なミステリーとして、昇華できるような作品とゆうのんは、そうそうありまへん。

綾辻行人らを発掘した、日本の本格ミステリー小説の巨匠・島田荘司の、何と初の映画化作品でおます。

意外やったけど、綾辻行人原作映画の「アナザー」(2012年・弊ブログで分析済み)にも、通じる仕上げになっとりますが、こちらの方は、もっと論理的な結末が待っとります。

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彼女の美月ちゃんとドライブ中に、口論して事故った吉木クンは、事故当時の記憶を喪失して入院。

友人から、美月ちゃんは死んだと、伝えられるんやけど、彼女のことが全く思い出せまへん。

けども、うつ病を治療するらしい「TMS療法」をやってみたら、彼女が現れ、でもって、吉木クンにしか見えない、彼女との交流が始まります。

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2人の恋の行方は?とゆうよりも、所詮、幻想やんかとゆうイメージをもって、みなはんは見られることでおましょう。

主人公や特定の人にしか、その死んだ人が見えない設定の映画とゆうのは、いっぱいあるかと思うけども、

本作は、「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年・アメリカ)とか、「シックス・センス」(1999年・アメリカ)とかの設定に思わせておいて、ひっくり返されるような作りになっとります。

ラブ・ストーリーやけど、でも、これはミステリーやったんやと、最後に分かる作りがうまいと思います。

2014年9月25日 (木)

アメリカ映画「グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの」⇒音楽映画の傑作

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実在のミュージシャンを描いた作品の1本どす

素晴らしき感動のラストシーンまで、お楽しみあれ!

http://www.buckleys.jp

10月18日のサタデーから、ミッドシップはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラスト渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画・音楽分析評論家/宮城正樹

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ⒸBuckley Greetings, Inc. All Rights Reserved.

さっそくやけど、実在のポピュラー(ジャズを除く)ミュージシャンを描いたアメリカ映画(ミュージカルとドキュメンタリーは基本的に除く)の、マイ・ベスト&カルト・ファイブを披露いたします。

●ベスト⇒①Ray/レイ(2004年)②ウディ・ガスリーわが心のふるさと(1976年)③ローズ(1979年)④ドリームガール(2007年)⑤インサイド・ルーウィン・ディヴィス(今年弊ブログ4月15日で分析済み)

●カルト⇒①本作②ジャージー・ボーイズ(8月30日付けで分析)③ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(2005年)④ドアーズ(1991年)⑤ラ・バンバ(1987年)

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●ボブ・ディランなどのドラマ映画もあるんやけど、実話に沿ったもんやないんで外しました。

レイ・チャールズのベスト①以外は、若い世代の方はもちろん、大人たちにとっても、よう知らんミュージシャンの、お話になっとるかと思います。

けども、実話をベースにしながらも、ドラマ映画としてはどれも秀逸な作りになっとります。

しかも、今年日本公開のベスト⑤、カルト②、本作と、最近も次々に輩出されておます。

そんな中でも、本作は実在の父子ミュージシャン(共に若死にしてしもたとこも、インパクト大)を描くとゆう、実話ミュージシャンものでも、かつてない内容になっとります。

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個人的な話ですんまへんけども、ボクがかつて音楽業界紙・レコード新聞の編集長をしとった時期に、ジェフ・バックリィのサンプル・テープを聴く機会がおました。

オトンのティム・バックリィの音楽は、映画「帰郷」(1978年)以外では、全く聴いてなかったんやけど、息子はんジェフの音楽は、まさにボブ・ディランを思い出させる、アコギ(アコースティック・ギター)の弾き語りによるフォークどした。

ほんで、オトンのティムも、本作を見るに、いっしょなんでおます。

「帰郷」では、ビートルズ「ヘイ・ジュード」や、ローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」や、映画のエンディングで流れた「アウト・オブ・タイム」と共に、映画の背景・ベトナム戦争の時代性を反映した、トラウマのとこで絶妙に使われとりました。

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本作は、そんなオトン(ベン・ローゼンフィールド扮します)と息子(ペン・バッジリー)のキズナを、描く映画かと思いきや、息子はんはオトンと、会ったことがないっちゅうんでおます。

1991年。そんなジェフのとこに、オトンのトリビュート・コンサートに出てくれへんかと、お話がきよりまして、ジェフはしぶしぶ了承し、

いろんな音楽関係者と会って話す中で、見知らぬオトンの姿や心を、知っていかはりまんねん。

そのいろんなとこでのジェフの姿は、これまでの音楽映画にはなかったとこが示されとります。

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オトンのかつての仲間と、アドリブチックに音鳴らし・音合わせをやっていくとこの妙味やったり、

「くだらないものだらけの、1970年代からやってきた」などと言いつつ、レコード店で見せる音楽趣味的なエピソードやったりに、

細かいとこやけど、音楽映画としての、渋き新味が見えとります。

ジェフの恋人役かな~ちゅう、イモージェン・プーツちゃん。ジェフをサポートしはります。

特に、彼女が話す、日本の歌舞伎に関する逸話は特注もん。

クライマックスのコンサート・シーンへ向かうとこで、渋き隠し味を付加してはります。

教会でのオトンへの追悼コンサートの、ジェフの渋い演奏歌唱ぶりは、グーンと胸にくるし、そのあとのラブ・ストーリー部も充実しとります。

そして、ラストシーンの感動やでー。フツーの音楽映画の定番を超えた、このラストシーンにもグーンと酔ってくだされ。

2014年9月24日 (水)

ハンガリー映画「悪童日記」⇒恐るべきコドモたちのお話

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ホンマかいな~な、異常な設定と展開が次々に…

戦争下コドモもの映画の、定番を覆す仕上げや~

http://www.akudou-movie.com

水無月10月3日の金曜日から、アルバトロス・フィルムはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテ、大阪・TOHOシネマズ梅田やらで、全国漸次のロードショー。

大阪以外の関西では、10月18日の土曜日から、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映。

本作は2013年製作の、ドイツとの合作によるハンガリー映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 INTUIT PICTURES - HUNNIA FILMSTUDIO - AMOUR FOU VIENN

第2次世界大戦下の、コドモたちの話でおます。

オトンは戦場へ行き、オカンは疎開先の田舎の、オカンのオカン・オババのとこに双子の息子を預けて、どこかへトンズラ。

双子はオババに虐待的に酷使され、また田舎の大人たちに、嫌な目に遭わされて、世を拗ねた、冷酷な人間になってゆきよります。

フツーやったら、コドモたちがかわいそうやん!  ちゅうのんが、定番的に作られるもんなんやけど、本作はそういうなんとは、大いに違っておます。

ちゅうことで、ここで、第2次世界大戦下の少年・少女を描いた映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、思い付くままに披露いたします。

思い付くままなんで、いっぱい名作が抜けとるかもしれへんけど、ご容赦あれ。

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●ベスト⇒①禁じられた遊び(1952年製作・フランス映画)②ライフ・イズ・ビューティフル(1998年・イタリア)③ブリキの太鼓(1978年・西ドイツ&ポーランド&フランス)

●カルト⇒①本作②ミツバチのささやき(1973年・スペイン)③少年時代(1990年・日本)

●戦争の悲惨さをポイントに、戦争下のコドモたちの現実を描く映画が、この種の映画では圧倒的に多いし、

みんなの涙を誘うちゅう意味でも、映画映えしやすいんやけど、本作はそんなストレートさを外した作品でおます。

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いつの時代にも変わらぬ、少年の純情・素朴さを捉えたカルト③、少女の夢想に焦点を当てたカルト②、太鼓叩きの少年を狂言回しに、ナチス時代を大河的に捉えたカルト③など、

戦争ものを外装としながら、これまでと違ったアプローチで、戦争時代のコドモを捉えた映画群は、本作へも通じておるんどす。

いずれにせよ、本作は奇妙な感覚が、見ていて絶えず付きまとっている点においても、異能の怪作でおましょうか。

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ちゅうことで、虐待を受け、徐々に悪魔的になってゆく、双子の兄弟の話やけど、

女流アゴタ・クリストフはんの小説「悪童日記」が原作とはいえ、ホンマかいな~な、かなり異常な設定と展開がありま。

そのベスト・セブンを言いますと…。

①メス犬の息子と双子を呼ばわる、悪魔と呼ばれる、オババ祖母の造形ぶり。

②2人が好きな靴屋のアニキを、ユダヤ人と密告した女へ、仕返しをするシーン。

③隣の女と交流するも、彼女が強姦されて殺されたあとに、2人がやったこと。

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④司教への脅し方。

⑤オカンが戦死して、2人がオババと埋めるシーン。

⑥虐待に耐えるため、2人同士で殴り合って鍛え合うシーン。

⑦ラストの、オトンと共に逃げるシーンの違和感。

●双子が日記に書く内容を、双子の1人のナレーションで伝えるんやけど、そのあたりのクールな残虐性をバックに、7つの設定や場面は展開しよります。

ボク的には、「大いなる幻影」(1937年・フランス)へのオマージュがある⑦のシーンに、違和感を覚えつつも魅了されました。

最後までココログラグラする映画やけども、かつてない映画感覚が、きっと感じられるハズの映画やと思います。

2014年9月23日 (火)

「FRANK-フランク-」⇒ユニークなロック・バンド映画

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マスク被りのリード・ボーカル率いる、6人バンドのケッタイな物語

でも、演ってる音楽は、本格的バンド・サウンド・ロックや~

http://frank-movie.jp

10月4日のサタデーから、アース・スター エンターテイメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国漸次のロードショー。

関西やったら、10月18日から、大阪のシネ・リーブル梅田やらで上映やねん。

本作は、2014年製作イギリス&アイルランド合作の95分でおます。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

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Ⓒ2013 EP Frank Limited. Channel Four Television Corporation and the British Film Institute

15歳の時に精神病に罹り、それ以来、写真のような仮面を付けて生きてきはったフランク(マイケル・ファスベンダーのアニキ)が、

自らリーダー&リード・ボーカルになって、ロック・バンドを結成しはりました。

いずれ劣らぬクセ者揃いな、メンバーが揃っておます。

精神病院を出たり入ったりしてるっちゅうドン(この方はレコーディング中に死亡し、水葬に伏されます)。

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ロック・バンドにはまずない楽器「テルミン」(楽器ドキュメンタリーとして、映画化されておます・1999年製作・アメリカ映画)をプレイし、すぐにキレる暴力的な性格の、マギー・ギレンホールのネーさん扮するクララ。

ほんで、否応ことなしにバンドに誘われはる、ドーナル・グリーソン君扮するジョン。

ドーナル君は、現在撮影中の「スター・ウォーズ」シリーズの、最新作にも出てはるそうどす。

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ビートルズチックな、メロディアスなナンバーを作曲しようと、日夜ガンバッてはるドーナル君の様子から、本作は始まるんやけど、

フランクのバンドのキーボード担当が、入水自殺未遂して入院してもうたんで、ライブのピンチヒッターとして、ドーナル君にお声が掛かりました。

で、続いては、バンドのレコーディング合宿にまで行かはります。

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変形バンドの、ケッタイな話のように見えよりますが、演ってるロックは、かなり本格的なものでおます。

「みんな愛してる」をキーにした、ワケ分からない歌詞やけど、アップテンポのオルタナティブなバンド・サウンドなど、なかなかのもんやし、

スロー・ナンバーも、ボブ・ディランやビートルズとまではいかんけど、それなりに肉迫してはります。

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6人から5人になったバンド(男3人女2人)は、アメリカ・テキサスの音楽祭に出演することとなります。

けども、現地へ行って、イロイロな問題があってでんな、エライことになりまんねん。

出場はするにはするんやけど、その後の展開も波乱に満ちておます。

このドラマのドラマティック・ポイントをば、握るところでおます。

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変なバンド、変なボーカルの話やけど、意外にも結末は感動的どす。

最後の方ではちょっと脱ぐけど、仮面を被って演じ抜く、マイケル・ファスベンダーのアニキが、感動的なドラマの行方を担ってはります。

表情が表に出ないけど、セリフのトーンによって、キモチを示す演技でおまして、

その意味では、相当レベルの高い演技ぶりを、示してはると申せましょうか。

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バンド映画は、実話ものやフィクションものなど、これまでに多数輩出されとるけど、

キャラクターにこだわりを見せる映画は、さほどありまへん。

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それでいて、ボク的には、友情ものとしてもイケた「ロックよ、静かに流れよ」(1988年製作・日本映画)や、

ナイーブなセンチメンタリズムを感じさせた「あの頃ペニー・レインと」(2000年・アメリカ)やらのニュアンスを、本作にカンジた次第どす。

決してあなどれない、ロック・バンド映画の快作。

2014年9月22日 (月)

「リヴァイアサン」⇒本年度洋画ドキュのマイ・ナンバーワン

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近接撮影の連続で、トンデモ前衛映画になった怪作やん

「なんじゃこらー」って言いもって、見てもらいたい漁業ドキュやねん

http://www.leviathan-movie.com

10月11日の土曜日から、東風はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場で公開。その後、11月8日から神戸アートビレッジセンターやらで上映どす。

本作は、アメリカ・フランス・イギリス合作映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸArrete Ton Chinema Copyright 2012

やってくれましたがな。

ワケはよう分かんねん。何を映してんのかも分かる。

そやから、ワケ分からへん、アート映画やありまへん。

壁をえんえんと、映してるような映画でもなく、画面にちゃんと動き=アクションはあります。

ひと口でゆうたら、漁業映画やねん。漁業の様子を、87分にわたり捉えたドキュ映画どす。

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でもしか、小細工がスゴイ。

漁業系で、人間対生き物のバーサス「白鯨」(1956年製作・以下の引用は、指定国以外は全てアメリカ映画)やら「老人と海」(1958年)やら、「ジョーズ」(1975年)やら、

海洋・海中のエイリアンもの「アビス」(1989年)やら「リバイアサン」(1989年)やら、もっとずっとエンターテイメント大作な航海ものやら、

ドラマ映画的には、海洋系はエンタの宝庫やったかと思います。けども、本作がドキュメンタリーとして覆さはりました。

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「こんな映画見たことない」と宣伝コピーにはありま。

そのミソ・ポイントは撮り方にあります。

フツーに撮れば大したことない。

けども、近接撮影、アップ、長回し、臨場的なとこなど、ほとんど全編にわたり、そういう撮り方が徹底されとります。

ゆえに、そおゆうとこの連続シーンから、これまでに見たことのない感覚なんかが、視覚に作用してまいります。

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聴覚的には、サントラはなく、風や波や機械音や、カモメの声や魚の跳ねる音などの効果音が、絶えずしとりまして、

耳障りやったり、耳鳴りやったりの、イメージを植え付けてきよります。

意図的かつ、やり過ぎなんとちゃうのんかいな、ちゅうとこもないとは言えへんけど、でも、ボクはヤラレましたがな。

でも、映画に娯楽を求めてはる人は「こら、なんじゃー」てゆうんやろな、たぶん。

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それでええねん。思いっきりゆうたってくだされ。

でもしか、最後まで見終えた時には、怒りには違った感情が入っておるハズどす。

“これまでにない映像を追求する”ことの意味を、考えてるんやないやろか。

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ドラマティックでスマートやったドキュ「かもめのジョナサン」(1973年)は、本作では汚れ役をやり、ある種ホラーチックでもあります。

ドラマなら活気ある漁業する男は、黙々と仕事をして、タバコを吸い、ほんで疲れてぐったりの長回し撮影と、淡々と事物の一部みたいに映されてゆきよります。

モチ、ヒロイズムとは程遠い作りや。

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前衛映画ちゅうか、ゆうまでもなく、これは実験映画どす。

でも、前衛をドキュで示すような映画は、これまでにはあんまし見られまへん。

何かを訴えようかとするドキュでもなく、ホンマ、ストレートにアート系実験ドキュをば、志向してはります。

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その作りは、17分の短編やけど、ワケ分からへんかった前衛映画の、マイ最高傑作「アンダルシアの犬」(1928年・フランス)に、肉迫する仕上がりでおました。

本年度洋画ドキュの、マイ最高傑作です。

2014年9月21日 (日)

大泉洋主演「ぶどうのなみだ」⇒日曜邦画劇場

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北海道・空地(そらち)ロケによる、ワイン造りの物語

女性監督らしい癒やしの、優しい作りにしっとりきます

http://budo-namida.asmik-ace.co.jp

10月4日の土曜日から、アスミック・エースはんの配給によりまして、北海道先行ロードショー。ほんで、10月11日から、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「ぶどうのなみだ」製作委員会

大泉洋のアニキ主演の最新作どす。

フツーの自然体で演ってんねんけど、不思議なことに、ココロにクル演技。熱血でもない。激情系よりも、どちらかとゆうたら、しっとり系が似合う。

謎めき系演技もフツーなんで、騙されやすい。

そんな大泉アニの映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①探偵はBARにいる(2011年・弊ブログ分析済み)②清須会議(2013年・分析済み)③アフタースクール(2008年)

●カルト⇒①本作②青天の霹靂(2014年・分析済み)③しあわせのパン(2011年・分析済み)

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●フツーの演技で、トリッキーで魅せて…。

ハードボイルド①やミステリー③、歴史ものベスト②や、タイムスリップ系のカルト②など、意外性のある演技ぶりでも魅せてはりました。

けども、本作は違っとります。

パン作りのカルト③、そして、ワイン作りの本作。

共に、癒やし系の優しい演技ぶりで、グッと魅了されます。

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しかも、大泉アニの出身・北海道ロケーション映画でおます。

ベスト①も確かに北海道・札幌ロケもんやけど、でも、彼の人のいい性格ぶりが、反映されておました。

「トワイライトささらさや」(11月8日公開・後日分析予定)も、国民の好感度の高い、いいカンジの癒やし系演技やそうどすえ。

さてはて、北海道ロケ映画はこれまでに、多数輩出されとるけど、北海道らしさをポイントにした映画は、さほど多くはありまへん。

場合によっては、なんで北海道やのん? ちゅう映画もあるんやけど、本作はそこんとこがキチンとしておました。

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北海道・空地ロケは、日本映画史上初。

そこでは、ワインが作られておます。そのワイン造りを見せてゆく映画でもありま。

農業・漁業・林業など、その種の映画はそれなりにあるけど、ワイン造りを取り込んだ映画とゆうのんは、洋画も含めてドラマ映画として、初めてなんやないやろか。まあ、ボクが見るのんは初めてどす。

丘の上に1本立つぶどうの木から、象徴的に映画は始まり、ぶどう畑の全景ロングショットがあり、

ほんで、ぶどうが水を出すシーンを涙に例えて、雨粒が落ちて大雨になり、ヒロイン(シンガーの安藤裕子ネーさん)が、空を見上げて泣くシーンへと、シンボライズしていくとこなんか、なかなかの映画的抒情がありました。

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「しあわせのパン」に続き、三島有紀子監督が、女性監督らしさを、遺憾なく発揮しはりました。

北海道の美しき自然風景、食べ物、アンモナイト採取、白犬など、繊細かつ優しさ・癒やしが満載でおます。

みんなでアコースティックなナチュラル・サウンドを、唐突に演奏するとこなんかも、女性らしいセンスがありました。

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ヒロインはどれくらい、フロに入ってへんかったんか。周りの人は気にならなかったのか。

警官や郵便屋さんが、仕事中にワインを飲んでもエエのんか。特に、警官は公務員やしな。

コンサートマスターとしてやってた主人公は、難聴で故郷に帰り、なんで唐突にワイン造りを始めたんか。

でもって、大泉アニの弟役・染谷将太クンが兄に問う「父の葬儀になんで帰ってこなかったのか」。

ほんで、難聴の治療はしたのか。今はどないなんか。いろんなクエスチョンがあります。

けども、それらはスルーして見といてくだされ。

あくまで癒やし映画として、感じてもらう映画なんで、瑕瑾は別にして、見てゆったりとしたキモチになってくだされ。

そして、ハッピー・エンドを、お楽しみあれ!

2014年9月20日 (土)

「ニンフォマニアック」(Vol.1/Vol.2)⇒女色情狂の性なる遍歴映画

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ドラマティック&映画的に紡がれる、究極のヤラシー映画のケッサク

ピチピチの若手女優から、シャルロット・ゲンズブールのネーさんまで、オオッと…

http://www.nymphomaniac.jp

10月11日から「Vol.1」、11月1日から「Vol.2」が、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショー。

本作は、デンマーク・ドイツ・フランス・ベルギー・イギリス合作による、「R-18」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31 APS, ZENTROPA INTERNATIONAL KOLN, SLOT MACHINE, ZENTROPA INTERNATIONAL FRANCE, CAVIAR, ZENBELGIE, ARTE FRANCE CINEMA

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近年マレに見る、ヤラシー度100%満開の映画でおます。

しかも、前編と後編の1、2に分けて、思春期のヤラシさと、大人のヤラシさを描き分けるとゆう、念の入り様どす。

そもそもタイトルの“ニンフォマニアック”とは「色情狂」の意味やねん。

色情狂の女のヤラシー人生を、映画的に描き抜かれた怪作品。

監督はラース・フォン・トリアーや。キャリア的に、ヒトクセもフタクセもあるヒロインを描く作品に、才能を発揮してきはった監督どす。

ニコール・キッドマンなんかとも、ケッタイな作品を撮ってはるけど、彼のマイ・ベスト・スリーは、まずは本作。

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ほんで、エミリー・ワトソンのネーさんが、意味深にハダカになった「奇跡の海」(1996年・デンマーク)、

ミュージシャンのビョークが、脱がへんけど、激情を演技して、カンヌ最高賞ゲットの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000年・デンマーク)あたりやろか。

で、監督の近作で、本作主演のシャルロット・ゲンズブールのネーさんが、

カンヌ国際映画祭で主演女優賞を、ゲットしはったモノクロ映画「アンチクライスト」(2009年・デンマーク)のノリが、

よりヤラシーくなって描かれたんが、本作でおます。

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シャルロットのネーさんは、後半(Vol.2)でヤラシー度を披露しはるんやけど、

前半(Vol.1)は、ネーさんの若い頃を演る、ステイシー・マーティンちゃん23歳が、色情狂ぶりを遺憾なく、発揮しはります。

処女破りを、近くにいた青年(シャイア・ラブーフ)にお願いし、前から2発、バックから3発ちゅうリズムに酔い、

電車内で女友達と、男漁り対決をやって勝ち、シャイア・ラブーフと上司と部下の関係になって、会社内における色情狂ぶりとは何かを演じ、

バッハの三重唱に合わせて、別場所でのトリプル・セックスを見せたり、ホンマ、どうかしとんでーなヤラシーぶり。

ユマ・サーマンのネーさんの、“叫びの美学”演技も披露されま。

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でもって、シャルロット・ネーさんサイドになると、これがより大人の応用編ちゅうカンジで続きます。

ヤリまくりすぎて、カンジられなくなってしもたヒロインは、オーガニズムを取り戻すべく、さまざまなことにチャレンジしはります。

黒人との2Pを始め、ジェイミー・ベルが極秘にやっとる場所で、サド・マゾに目覚めて、その快感に狂いまくり、

ほんで、「断セックス会」に出て、でも、あたしはそんなんやめられまへんわーとなり、ケツをまくって…。

そして、「アンチクライスト」で共演した、ウィレム・デフォーはんの元で、性なる拷問をやる、借金取り立て屋にならはります。

ナンチュー数奇な人生やねんと、呆れ返るような作り。

しかも、トンデモどんでん返しまで用意してはります。

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そんな変態もどきの、ヤラシーさの一方で、監督は、映画作家らしきとこも、十二分に発揮しはりました。

釣りからポーやバッハまで、いろんな薀蓄を、映画とリンクさせもって展開したり、現在から過去をカットバックする構成やったり、

オトン(クリスチャン・スレイター)とヒロインの、キズナぶりと死に別れを、モノクロで描いたり…。

でもって、サントラ使いの妙や。

「イージー☆ライダー」(1969年・アメリカ)で使われた、ステッペンウルフの8ビートロック「Born To Be Wild」を、2人の女が車内で男漁りに、いざ出陣のとこで使われたり、

トーキング・ヘッズのタイトなロック「Burning Down The House」が車爆破シーンに使われたりと、絶妙な使い方を披露しはります。

ラストロールで流れる、シャルロットのネーさんがボーカルを披露し、BECKとコラボした、ジミ・ヘンドリックス「Hey Joe」の、妖しきカヴァーなど、映画の余韻を深めよりまっせ。

いずれにしても、ラース・フォン・トリアー監督の、キャリアの総決算とも呼べるケッサクでおます。

2014年9月19日 (金)

「花宵道中」⇒安達祐実がオールヌードを披露

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花魁(おいらん)役の安達祐実ネーさんが、2度にわたりセックス・シーンを披露

ヤラシー度よりも、セツナ度の高い作品どすえ~

http://www.hanayoidouchu.com

霜月11月8日の土曜日から、東京テアトルはんの配給によりまして、テアトル梅田、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらで上映。

本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 東映ビデオ

花魁(おいらん)を描いた日本映画てゆうたら、

これまでにそれなりに、メッチャヤラシかったり、ソフトなヤラシさやったりなどと、イロイロ出てまいりました。

遊郭もんやけど、地方のもんもないことはないけど、この種の映画では、吉原遊郭が、デッカイ・ポイントとなっとりまんねん。

花魁の人間ドラマなんてゆうたら、まあ、どっちかとゆうたら、一般的とゆうよりは、マニアックな人間性が出てまいます。

ちゅうことで、ここで遊郭ものを始め、娼婦ものも取り入れた日本映画の、マイ・カルト・ファイブ(順不同)をば、思い付くままの気ままに披露いたしますと…。

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①肉体の門(1948年製作・マキノ雅広監督版)②赤線地帯(1956年)③吉原炎上(1987年)④華魁(1983年)⑤本作

●娼婦ものには、なぜかポルノを別にして、ヤラシーよりも人間ドラマ性の強調されたもんが、多いように思われます。

そやから①②は、時代時代の制約もあったやろけど、ヤラシー部はあっさりしておます。

でも、共にハードコアの「黒い雪」(1965年)、「白昼夢」(1981年)を撮り、④の吉原もので、さらに度肝を抜いた武智鉄二監督作品。

武智作品が、今もDVDで見られるんかは別にして、映画的な出来は別にして、また、ボカシまくりやったけど、本番もやってるんで、ホンマのホンマにやらしかったどす。

でもしか、ともすると、エゲツナイとも見える、そのホンマモンのヤラシさとは違い、本作は、ヤラシさの中のカワイサを描く点において、ある意味で、突出した出来になっとりました。

ラブ・ストーリー部も、デート・ムービーとして、いけないこともない作りになっとります。

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主演は安達祐実のネーさんや。

「同情するなら金をくれ」なんて、ゆうてはった頃と比べて、ボク的にはほとんど変わってへんやんと、思う演技ぶりどした。

スレタ花魁や娼婦役なんて、最も似合わへんようなファニー・フェイスやん。

そやから、どうも最初から見ていて、しっくりけえへんかったんやけど、

愛する人(淵上泰史)を前にして、津田寛治にバックから犯されるシーンあたりから、オッときましたがな。

でも、そのヤラシー・ノリはセクシーよりも、「家なき子」(映画は1994年)のように、かわいそうやん! をそそりよりまんねん。

そこんとこは、安達祐実ちゃんノリを、継続してのセクシー・シーンでおましょうか。

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でも、愛する人との、ラスト近くの長めの、セックス・シークエンスは、ヤラシー度よりも、ウットリ度の方が高かったようにも思います。

祐実ネーは、弱々しいキャラが通底しとるようどして、ネタ部も含め、かわいそうなキャラが目立っておるかと思います。

③の続編みたいなカンジで、吉原を出て、市中の店で花魁を、やらなあかんかった時代の話ちゅうとこも、セツナ度を高める設定やもしれまへんな。

祐実ネーを、ネーさんと慕う小篠恵奈ちゃんの、好感度ある魅力的な助演ぶりや、

高岡早紀ネーさんの出演など、脇役陣も祐実ネーを、見事にサポーティングしてはります。

サントラがあまり目立たない静かな流れも、祐実ネーのキモチに食い入ってきよります。

エンディングロールで流れる、黒色すみれのスロー・ナンバーも、セツナ系をあおりますで。

安達祐実ネーさんの哀切が、妙にココロに染みる作品でおました。

2014年9月18日 (木)

「毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスへ行く編」

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母娘・オカン娘はんのキズナを描く、癒やしのドキュメンタリーの続編

イギリスまで行ってアルツハイマーを探求

http://www.maiaru2.com

10月4日の土曜日から、シグロはんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで公開。その後、11月8日から、神戸アートビレッジセンターほかで上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 NY GALS FILMS

アルツハイマーや認知症の人を描く映画やけど、本作はドキュメンタリーでおます。

アルツハイマーのドラマ映画は、日本に多く、欧米では記憶喪失ものが、多いとゆうカンジなんやけど、

でもしか、ドキュでは、そうした作品は稀少でおます。

認知症ものは演技ならまだしも、実話で捉えるのは、至難のワザなんかもしれまへんな。

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そんな稀なドキュの中で、シリーズ化までして映画化しはったんが、本作でおます。

まあ、“1”は見といた方がええやろけど、ここから始めても、なんの問題もないやろかと。

ほんで、“続”やなく“2”なんで、これからも撮り続けるちゅうことなんやろか。

その第1弾も弊ブログで採り上げましたけども、本作では、前作の現況を示すも、より治療するための細部へと、食い入った作りになっとります。

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本作で描かれる、アルツハイマーのオカンの娘はんで、本作の関口祐加監督が、イギリスまで行って、認知症治療のアレコレを模索しはるんどす。

どの方が関口監督かは、写真をご覧になって判断してもらいたいんやけど、

いかにも、プライベート・フィルムな外装を呈しつつも、描かれるリアル感は、特筆もんなものになっとります。

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アルツハイマーを抜きにして、オカンと娘はんのキズナを、描く映画にも見えるんやけど、そこはドキュらしく、ドラマティックとはかけ離れて、ドラスティックな自然体。

欲を言えば、ヤバいシーンも、ハラドキで採り上げてもらいたいとこやったけど、

でも、あくまで、まったりの癒やし系の作りが、心地いいカンジになっとりまんねん。

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インタビューや対談などのシーンが、ほとんどながら、話にじっくり耳を傾けてみると、ムムムと引き込まれてまいります。

認知症は、ERみたいなものをテーマにした、イギリスの考え方は、少々大げさやけども、説得力も確かにあります。

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押しつけがましくない、オカンと娘の関係性なんかに、妙にココロ魅かれる作りになっとりまっせ。

最後の最後まで対立はなし。でも、そこかしこに亀裂の芽がありましてな、本作以降に、エライ展開が待っとるやもしれまへん。

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アコーディオンの軽やかな響きや、陽光射すシーンなど、癒やし効果を狙ったようなシーンにも、モチ、癒やされよります。

ほんでもって、次回はどないなるのんっちゅう、興味も続くような終わり方。

森繁久彌主演「恍惚の人」(1973年製作)や、渡辺謙主演「明日の記憶」(2006年)など、男がアルツハイマーに、傑作は多いと思うんやけど、

女の認知症もんとしては、本作は吉行和子主演「折り梅」(2001年)なんかに通じるとこもあって、

また、シリーズ化されそうなとこも含めて、これからの期待は大でおます。

本編51分は、見慣れたテレビの1時間ドキュっぽいカンジで、みなはんの親近感を、きっとあおるハズやから、見やすいほど良い具合になっとるかと思います。

ちゅうことで、次も期待したい映画なんどすえ~。

2014年9月17日 (水)

「アンナプルナ南壁 7,400mの男たち」⇒スペインのドキュメンタリー映画

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本作は登攀ドキュやなく、遭難救助ドキュでおます

パニック部をいっさい外して、ハラハラドキドキを演出

http://www.7400-movie.com

セプテンバー9月27日のサタデーから、ドマはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪のシネ・リーブル梅田やら、シネ・リーブル神戸やらで、全国漸次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Arena Comunication SL

山岳遭難救助ドラマちゅうたら、これまでにパニック・ムービーの1つとして、ケッコー出てまいりました。

そこでの見どころてゆうたら、雪崩などのパニック部、ほんで、遭難した者を救助するプロセスの、ハラドキの展開やらやったと思います。

でもって、本作も、ドキュメンタリーとゆうカタチで、そこんとこをば示さはります。

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山岳ドキュちゅうたら、今年も弊ブログでも、3作ほど分析しとりますが、その全てが登攀ドキュでおました。

そやから、本作を見る前は、タイトルからしても、ボクはてっきり、その種の内容の作品やろなと思とったんで、

予想を外しまくりの、意外性の連続で、ついつい驚いた次第どす。

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最初に、遭難者の登山家を映し、アンナプルナ南壁からの、登頂への抱負なんぞが語られよるんで、ああ、またまた登攀ドキュかと思たら、そうやありまへんどした。

その方が遭難ちゅうか、エライことになっとるとゆうことで、その詳細は、伝聞でしか伝えられへんねんけど、

それを聞いた各国の山岳仲間が、それぞれの想いを持って、救助に向かうとゆうお話でおます。

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しかも、遭難のビビッドなとこ、もしくはパニック部や、どない救助してゆくんかとゆうプロセスなど、

パニック救援ムービーとしての、ハラドキなアクション展開部がほとんどなく、それでいて、ハラドキで見せるとゆうとこを示そうとしはります。

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遭難しとる者、あるいは、救援に向かう者たちに、密着撮影すれば、それらのアクション部は、間違いなく捉えられるハズでおます。

けども、あえて、とゆうか、わざと、とゆうか、本作では、それらは残念ながらありまへん。

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まあ、撮影すんのも命懸けになったやろけど、臨場感を外して、クリエイトするとゆう姿勢は、エンタとしてはマイナス・ポイントでおましょう。

でもしか、本作はあくまで、山岳仲間の心意気やキズナぶりを示すとこが、比重ちゅうか、メインになっとります。

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そんな仲間の、救援に向かう、登山家たちの話が、次々に披露されてまいります。

カッコイイ言葉が頻出しよります。一方で、彼らの個性的な信念や想いも。

かつてあった、「そこに山があるから登るんだ」ちゅう名言に、匹敵するような言葉が、

さりげなくか、あるいは意図的にか、披露されて、思わずウーンと唸ったり…。

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前へ前へと道行くシーンのカットの多さ、スリリングに見せる山の不穏な様子、モノクロのみんなのクローズアップなど、

ドラマティックを促進するようなシーンは、ケッコーあるんやけど、パニック映画らしさを求める人には、ウーン…かもしれまへん。

ネタ部もさりげなく、出してくるとこがあるんやけど、でも、そこが逆にエエねん。

上から2枚目の写真に注目や。そこに、ネタバレがありまんねん。

ちゅうことで、ボクが初めて見た、遭難救助ドキュでおました。

2014年9月16日 (火)

フランス映画「不機嫌なママにメルシィ!」

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フランス映画界の最高賞セザール賞で作品賞をゲット

ゲイ映画の進化型を示した、フレンチ・エスプリあふれる1本

http://www.cetera.co.jp/merci

9月27日のサタデーから、セテラ・インターナショナルはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、10月4日からシネ・リーブル梅田、11月1日から京都シネマ、11月29日からシネ・リーブル神戸やらで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 LGM FILMS, RECTANGLE PRODUCTIONS, DON'T BE SHY PRODUCTIONS, GAUMONT, FRANCE 3 CINEMA, NEXUS FACTORY AND UFILM

本作は1976年から始まっとる、フランス映画界の「セザール賞」で、最新の2014年に、作品賞を含む5部門をゲットしはった作品でおます。

セザール賞て、何をせざーる賞やねんって、ゆわはる方も、まあ、いてへんかもしれへんけど、

フランソファ・トリュフォー監督「終電車」(1981年製作・フランス映画)や、ロマン・ポランスキー監督「テス」(1979年・イギリス&フランス)などの名作が、過去に作品賞をもろてはります。

でもって、21世紀のセザール賞作品賞受賞作品(過去14回分)の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①愛、アムール(2013年・オーストリア&フランス)②戦場のピアニスト(2002年・ポーランド&フランス)③アーティスト(2012年・フランス)

●カルト⇒①本作②アメリ(2001年・フランス)③みなさん、さようなら(2003年・カナダ&フランス)

●フランス映画として初の、アカデミー賞作品賞ゲットのベスト③、アカデミー賞監督賞・主演男優賞ゲットのベスト②、アカデミー賞外国語映画賞ゲットのカルト③、カンヌ国際映画祭最高賞ゲットのベスト①②など、

21世紀も、モノゴッツー評価の高い作品をば、セザール賞は輩出してはります。

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そんな中で、ベストはシリアス系のドラマを、カルトはコミカル・モードの高い作品をば、ピックアップしよりました。

日本でも大ヒットしたカルト②など、それまでのヒロイン映画やラブコメの定番を、くつがえす鮮やかな仕上がりどしたが、本作もおんなじどす。

カンヌ最高賞ゲットの「アデル、ブルーは熱い色」(2013年・フランス)を下して、セザール賞作品賞ゲット。

本作のゲイ系とは違う、レズ系シリアスでいった「アデル…」が、本作に負けたのは、いわゆるその種の映画の、進化系を示した点で、こちらに軍配が上がったんやろか。

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ゲイ映画ちゅうたら、「真夜中のパーティー」(1970年・アメリカ)以来、元来はマジメにゲイ・コミュニティーを、考える映画とゆうんが、多かったと思うんやけど、

明らかなるコメディの「Mr.レディ Mr.マダム」(1978年・フランス&イタリア)や、ロードムービー群像劇「プリシラ」(1994年・オーストラリア)なんかのセンスを、本作は取り込みつつも、

ゲイ映画に、これまでになかったスパイスを入れて、話を展開しはります。

オカンとゲイかも~な息子・主人公の関係性を、大きなテーマにしながら、かつてないサプライズを、用意した作品どす。

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自分は女だとゆう男が、1人芝居の演劇をしもって、過去をカットバックする、っちゅう構成の映画なんやけど、

“今ボクがあるのは、オカンのお蔭”ナンチューとこに着地する、いわばオカンと息子はんのキズナを描くんやけど、

コレがフツーのありふれた、親子のキズナやないとこに、大いなる見どころがござります。

シリアス系やけど、「オール・アバウト・マイ・マザー」(1999年・スペイン)に近いニュアンスやら、

ゲイを公言してはばからなかった「わたしはロランス」(2012年・フランス)やらとは、真逆の作り具合どす。

そして、歌ものサントラを流す映画としても、カッコエエ作りなんで、今どきの若い人も、グッとドラマの中に、入れるやろかと思います。

でもって、一番のサプライズは、そんなオカンと息子を、1人2役で演じはって、

なおかつ、監督・脚本までやったちゅう、ギヨーム・ガリエンヌのアニキの、マルチ・オールランド・プレイヤーぶりどした。

いやはや、モースゴイねん。

ちゅうことで、みなはんの評価はこれからやけど、セザール賞作品賞映画にふさわしい、快作・傑作でおました。

2014年9月15日 (月)

「近キョリ恋愛」⇒山下智久主演映画

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コミック原作による、ツンデレ・ラブストーリーの、ウットリ作品

山下智久先生と生徒・小松菜奈ちゃんの、禁断の愛どすえ

http://www.kinkyori-movie.jp

10月11日のサタデーから、東宝映像事業部はんの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014「近キョリ恋愛」製作委員会

Ⓒみきもと凛/講談社

ツンツンしてるのんと、デレデレしてるちゅう、正反対の状況が共存した男女の恋愛関係を、ツンツンデレデレ、略してツンデレと呼ぶらしいわ。

そおゆうツンデレ恋愛映画やけど、21世紀に入ってから言われたらしいんやけど、

そおゆう恋愛ものは、20世紀には主にテレビドラマで、多数オンエアされておったかと思います。

ゆうてみたら、ケンカすることの多い男女が、最後には結ばれるってなタイプやろか。

ボク的には、1970年代に日テレ系でやってた、連続ドラマ「おれは男だ!」の森田健作とか、「俺たちの旅」の、中村雅俊と壇ふみの関係とかの、ツンツン系が、グッときとったんやけど、

ツンツンがやがて、両想いになるっちゅうとこに、ハラハラドキドキと見どころがあったと思うんやけど、その両想い部は、最後の回やらで披露されておました。

けども、ツンツンを、ラブラブなとこと、ミキシングするとゆうのんは、そして、それを同時制軸で披露してゆくんは、実はヤッパ、21世紀になってからやもしれまへん。

1980~1990年代のトレンディー・ドラマにおいても、ツンデレ系は確かにあったかと思いよります。

でもしか、ツンツンとデレデレは、そもそも相反するもんなんで、

その2つがバランスよく仕込まれた、映画やテレビドラマは、そないになかったかと、ボクは思いまんねんけど、どないなもんやろかな。

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ほんで、本作はコミックを原作とした映画でおます。

この種のタイプは21世紀以降、次々に出てきとるんどす。

最近やったら、「好きっていいなよ。」(2014年製作・弊ブログ分析済み)なんぞがあります。

で、それらに共通するんは、ほとんどが学園ものであるところ。

ツンデレとゆうのんは、社会人たちの大人社会では、

現実的なとこがあり過ぎて、不倫やら大人の駆け引きやら、ついネバネバギトギトが、出たりするんかもしれへんけど、

こちとらは、ゆうてみたら、メッチャ清純かつ純粋やんか。

そういうとこが、真っ向のストレートに打ち出されておまして、それゆえに逆にでんな、爽快かつ気持ちのいい、仕上がりになっとりまんねん。

さて、出演陣に目を向けますと、主演は「あしたのジョー」(2012年・弊ブログ分析済み)以来の映画出演・主演となる、山下智久のアニキ。

ワイルドな「あしたのジョー」に対し、本作はナイーブにして複雑系、練り込まれたセリフで、愛を表現する、難しいビミョーなとこを演技しはります。

小松菜奈ちゃんを愛するとこが、少し唐突なカンジはしたけど、ツンデレに似合う、ぎこちなさと甘やかが、絶妙にブレンドされた演技ぶりどした。

教師と生徒の恋愛ものちゅうたら、「高校教師」(1993年・テレビドラマも1993年)を出すまでもなく、妙に暗いトーンが付きまとっておますが、本作はむしろさわやかやねん。

そのさわやかさに嫉妬して、物申したい人もいてるかもわからんけど、

とにかく、ツンデレにあてられてまう1作でおます。

でもって、アイドル映画としても、王道の快作になっとるんどすえ~。

2014年9月14日 (日)

家族時代劇「蜩ノ記」(ひぐらしのき)⇒役所広司・岡田准一・堀北真希共演

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「赤ひげ」の師弟的ヒューマニズムあり!

「雨あがる」と甲乙付けがたしな、夫婦・家族時代劇映画の粋

http://www.higurashinoki.jp

神無月10月4日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014「蜩ノ記」製作委員会

黒澤明ヒューマニズムを継承する、小泉堯史(たかし)監督の最新作。

本作は確かに、「赤ひげ」(1965年製作)の三船敏郎&加山雄三の師弟関係性を、

役所広司&岡田准一に、敷衍したような作りやけど、黒澤との違いは、あくまで家族ドラマ性の強さどす。

小泉監督はこれまでに、本作を含めて5作しか作ってへんけど、時代劇は本作を含めて2作。

どの作品も、夫婦や家族のキズナをメインにした、感動的な作品ばかりでおます。

して、本作は、黒澤明脚本による小泉監督の「雨あがる」(2000年)と、「阿弥陀堂だより」(2002年)をば、フレキシブルにミキシングしはりました。

共に夫婦映画であり、本作では娘との3人家族(役所広司・原田美枝子・堀北真希)の中で、そんなキズナを展開しはります。

また、娘役の堀北真希ちゃんも、静かな中で、岡田准一との恋愛を紡ぎます。

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そして、「阿弥陀堂だより」みたいに、春夏秋冬の、目に優しい四季シーンの素晴らしさに、グーンと胸にきて癒やしも、もらえよりまんねん。

ここは家族映画性を含め、黒澤映画には、あんましなかったところやないかと思います。

桜、紅葉、雪、夕景の空、林のそよぎ、鮮やかな稲穂、溜め池のきらめきなど、溜め息もんの美風景が、満載で満開。それこそ多彩に、映されてゆくんでおます。

さて、ここで、日本映画の夫婦・家族時代劇の、21世紀のマイ・ベスト・スリー(順不同)を披露してみます。

①本作②たそがれ清兵衛(2002年)③武士の一分(2006年)

●山田洋次監督の②③に、比肩しうるべき本作。

伝統的に家族映画が強力な、松竹系の作品は、時代劇においても強いけど、

でも、小泉監督のタッチは、ベタやドラマティックというよりは、押しつけがましくなく、より静かにしみじみ系でいっておます。

ある種、癒やしの時代劇とも取れる本作やけど、名作時代劇映画に多い、小説原作もの。

②③も、藤沢周平の小説が原作でおました。

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本作は、葉室麟(はむろ・りん)はんの小説が原作やねん。

知ってはる人は、そんなにいてへんかもしれへんけど、55歳で文壇デビューしはった、大器晩成型の作家どす。

ほんで、本作の原作は、2011年に直木賞をもろてはります。

直木賞原作の時代劇映画は、本作を含めて、かつて5作ほどあります。そんな中でも本作は、最高の仕上げとなっとると思います。

ちなみに、ボクが見たあとの4作は、「利休にたずねよ」(2013年)「あかね空」(2007年)「梟の城」(1999年)「お吟さま」(1962年・1978年)どす。

それらは全てDVD化されとるんで、本作を見てから、見比べてみるんも、ちょっとオモロい鑑賞法かもしれまへんな。

老齢の作者にしか出せないシブミが、本編のそこかしこに見られよります。

でもしか、殺陣シーン、アクション・シーンは、皆無ではありまへん。

ただ、それらのシーンは見どころとゆうよりも、人情節的アクションなとこがありまして、本作の作品性と機能しておます。

10年後の切腹っちゅうのも新しいけど、

その場へと向かう役所広司の後ろ姿は、余韻深きラスト・シークエンスになっとります。

ココロにしみじみと、長く残る傑作です。

2014年9月13日 (土)

「太陽の坐る場所」⇒水川あさみVS木村文乃

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高校時代を振り返る系のヒロイン's映画

山梨ロケによる「セカチュウ」的な作りとは?

http://www.taiyo-movie.jp

9月27日の土曜日から、TOHOシネマズ甲府、シアターセントラルBe館やらで、山梨県先行ロードショー。

ほんで、神無月10月4日の土曜日から、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、東京・有楽町スバル座や、大阪・TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショーどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014『太陽の坐る場所』製作委員会

男女共学の高校時代を、社会人になって振り返る系の映画でおます。

高校時代だけを描くんやなく、カットバック的手法やらで描く、この種の映画は、それなりにあるんやけど、

そんな日本映画の、21世紀のマイ・ベスト・スリー(順不同)をば、勝手気ままに披露いたします。

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①世界の中心で、愛をさけぶ(2004年)②本作③白雪姫殺人事件(2014年・弊ブログで分析済み)

●オーソドックスに、男女のラブ・ストーリーでいった①は、その種の映画のバイブル的作りをば、示してはりましたけども、

男や女たちの友情やらしがらみやらを、描く系においては、本作と③は特注でおます。

友情系でいった③に対し、本作は、友情系よりも、相反する2人の過去と現在の葛藤ぶりを描く、相克あるビミョーな作りをしてはります。

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女同士の友情もんやったら、傑作が目白押しなんやけど、こうした敵対的関係を描く映画っちゅうたら、

「セカチュウ」みたいに、泣ける感動系へと着地するんは、

至難のワザやろかと思います。

けども、本作はそこんとこを、滋味ながらも表現し、挑戦しはりました。

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響子(水川あさみネーさん)と今日子(木村文乃ネーさん)とゆう、読みが一緒の高校時代の女学生2人の、過去と現在とそのつながりを、カットバックを駆使しもって、描かれてまいります。

現在、響子は地元・山梨の売れっ子アナウンサー、今日子は東京で、映画女優ちゅうことになっとります。

まあ、2人共、派手めの仕事をしてはります。

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そんな2人の相克・葛藤ぶりを、同窓会とゆう場を一つのきっかけとして、浮き彫りにしてゆくとゆう展開どす。

同窓会の幹事役の三浦貴大のアニキ、森カンナのネーさんなど、メインの2人にまつわるところで、絶妙な助演ぶりをば披露しはるんやけど、

そこは本作において、見事なフックを形成しはります。

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山梨ロケ映画としては、ブルーカラーの男たちの泥臭さを、打ち出した「サウダージ」(2011年・弊ブログで分析済み)とは違い、

あくまでヒロイン映画らしい、スマートな作りでいってはります。

でもしか、スマートとはいえ、ミステリアスな謎めき度合いは終始、付きまとっておます。

あさみネーさんの、いかにもナゾめいたナレーションやら、高校時代の男女恋愛関係のイロイロなど、ミステリーもんとしてのとこも、興味をあおらはります。

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高校時代の過去に一体、何があったんか。

まず、冒頭部でそのナゾの、一端が披露されよります。

閉じ込められると閉じ籠もりの違い。ほんで、シンプルな、やる側とやられる側の提示。

でもしか、そこから派生して、多様な人間関係を描かはります。

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でもやっぱ、メインは水川あさみネーと、木村文乃の対決どすえ。

陽光射す体育館でのクライマックスは、思わず息を飲んでまいました。

直木賞作家の辻村深月(みづき)ネーさんの原作を、矢崎仁司監督が撮ったんやけど、

男監督が描く、女たちの心理なだけに、脚本を30回以上もやり直さはったらしいどす。

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その成果は、見事に出てたとは思うんやけど、但し、映画的なとこでは、少し散漫になっとるとこも、なきにしもあらずなんやけど、でも、ようガンバッテはるかと思います。

さらに、レミオロメンの藤巻亮太の、ソロ・ナンバー「アメンボ」や。

メロディアス・ナンバーの感動的なノリで、ググッと締めて、ウーン、やっぱエエカンジやわあ~。

2014年9月12日 (金)

「劇場版 零 ゼロ」⇒ゲーム原作の女子学園ホラー

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「あたしの呪いを解いて」の、ささやきにホワ~ン

女の子だけが掛かる、呪いの設定どす

http://www.zero-movie.jp

9月26日の金曜日から、KADOKAWAはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「劇場版 零~ゼロ~」製作委員会

日本映画の“呪いのホラー”ちゅうのんは、「リング」(1998年製作)から活性化しとるんやけど、

そのポイントには、いろんなアイテムがありました。

邦画の1950年代からある、ストレートな恨めしや~、館ホラーな家、「リング」のVHSビデオ、ケータイやらパソコンなど、イロイロありましたわな。

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そんな中で、本作は、邦画怪談ホラーの、原点回帰とも言える、恨めしや~のささやきでおます。

「あたしの呪いを解いて」で、みんながおかしくなり、次々に失踪し、死んでいってまうとゆう展開やねん。

ほんでもって、本作は学園ホラーゆうとこを、ストレートに見せてゆかはります。

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学園ものホラーゆうのは、都市伝説ものを含め、おおむねカルティックな作りになるんやないかと、ボクは思うんやけど、

そんな学園ホラーの、洋画も含む、マイ・カルト・ファイブ(順不同)をば、手前勝手に披露いたしますと…。

①本作②ラストサマー(1997年・アメリカ)③スクリーム(1996年・アメリカ)④ファイナル・デスティネーション(2000年・アメリカ)⑤サスペリア(1977年・イタリア)

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●本作以外、邦画はないんやけど、いっぱいあったハズなんやけど、チョイ思い出せまへんどした。すんまへん。

男女共学の学園ホラー②③④などが、メインになっとる中で、

本作は女子学園ものどして、映画史にカルトに残る傑作⑤と、おんなじようなテイストをカンジよりました。

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女の子が女の子に掛ける呪いでおまして、女の子だけが掛かる呪いちゅう設定で、本作は進行してまいります。

いろんな多彩な女の子が出てきはります。

AKB48以来、アイドルチックな集団系ドラマ映画として、本作はピークをなす1作やろかな。

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呪いの主・アヤ(中条あやみチャン・写真上から2枚目の左)と、アヤをフォロワーするミチ(森川葵ちゃん・写真2枚目の右)を始め、

山谷花純ちゃん(写真7枚目)、萩原みのりチャン(写真6枚目)、小島藤子ちゃん(写真8枚目)、美山加恋ちゃん(写真5枚目)など、よりどりみどりのキャラクターが揃っておます。

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そんな中で、メリーさん役の中越典子ネーさんのミステリアス演技やら、

学園長役の美保純ネーさまの、ネタのポイントを握る演技なんぞに、グッと魅せられまんねんで。

ほかに、中村ゆりネーや、浅香航大クンの演技など、

一体、誰がホンマの犯人やねんっちゅうとこが、ミステリー的興趣をそそりま。

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セピア・シーンとブルー・トーン・シーンの、絶妙な配合具合などが、映画的に、サスペンス度合いに貢献しとります。

ヒロインの謎めいた、ナレーションぶりにもウッときます。

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そして、サントラ部の粋や。

ピアノの卒業歌の「ハムレット」のオフィーリアの歌が妖しさをあおり、女コーラスとシンセサイザー。

ラストロールで流れる、JAMOSA(ジャモーサ)の「LOVE AIN'T EASY」。ギター・サウンドをポイントにした、ロックポップ。

作品性に合わせた流し方が巧妙どした。

ゲームを原案とした本作。ゲーマーたちにも、遡求する作品やと思います。

2014年9月11日 (木)

「ミリオンダラー・アーム」⇒アメリカン野球映画の新鮮味

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野球スカウト映画の新味は、インドにあり!

目の付けどころが違う、実話系野球映画

http://www.disney.jp/mda

10月4日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

大リーグをポイントにした、アメリカン野球映画やねん。

その種の映画の、マイ・ベスト&カルトは、かつて披露したんやけど、

その時は、選手のドラマやら試合を、ポイントにした映画やらが多かったんやけど、21世紀になると、少し違ってきよりました。

つまり、単に試合を見せても、オモロないやんちゅうことなんやろか、スカウト陣に焦点を当てた映画が、最近出てきておます。

まあ、スポーツ・エージェントですやろか。トム・クルーズが主演した「ザ・エージェント」(1996年製作・アメリカ映画・以下の引用映画は指定以外はアメリカ映画)なんぞは、その種の映画のルーツ的なとこもあるかと思うけど、

野球スカウトマンに限ると、彼らが主役になるんは、実は最近になってからでおました。

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選手を採り上げる方が、映画映えしやすいことはしやすいんやけど、ブラッド・ピットが主演した「マネーボール」(2011年・弊ブログで分析済み)、

クリント・イーストウッドが監督し、老スカウトマンを演じた「人生の特等席」(2012年・分析済み)など、

スカウトマンに焦点を当てた映画は、21世紀も10年を経過してからの登場でおました。

そして、本作もその最新版どす。

しかも、球団側の人間やなく、エージェント側。

さらに、ヒネリを加えて、インドにスカウトしてゆくとゆうところで、意外性を示すんやけど、

でもしか、これが実話がベースなんで、二重に驚きを提示するような作りになっとります。

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今年は、日本で公開されたインド映画は、例年になくケッコーありまして、その仕上がり度合いも総じて高いんやけど、

そんなインド・ロケを敢行し、ユニークな大リーガー・スカウト映画をクリエイトしはりました。

インドを作品の1ポイントにし、ロケまでしたアメリカン映画や英語圏映画は、それなりにあります。

オスカー作品賞までゲットした「ガンジー」(1982年・イギリス&インド)や「スラムドッグ$ミリオネア」(2010年・イギリス)、

「インドへの道」(1984年・イギリス)やら「ダージリン急行」(2008年)、主人公がインド出身設定の「ライフ・オブ・パイ」(2012年)やら。

でもって、本作の特質は、インドとアメリカのカルチャー・ギャップも取り入れた、ユニークな仕上げやとゆうとこやろか。

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主人公のエージェントが、クリケットにヒントを得て、インドで球速コンテストをやって、球速に加え、コントロールなどの制球力を備えた2人を選び、

ほんで、LAに来てもろて、大リーガー目指して練習に励んでもらい、でもって、入団テストへ。

スタイルは正統系のように見えながらも、これまでにないスカウトぶりが、ハラハラドキドキの展開で映されてまいります。

主人公と女友達が見る、モノクロの「甦る熱球」(1949年)など、野球映画へのこだわりを示す、シーンなどにも魅せられ…。

インド流のヒップホップやら、スロー・ナンバーやらに乗せられつつ、最後まで楽しく見られよります。

選手が入団してからあとは、どないなったのかが描かれてへんとこが、少し気になったけど、

でもしか、いろんなギャップを超えた、男たちのキズナに、グッとくる作品になっとりまっせー。

2014年9月10日 (水)

「ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古」⇒演劇ドキュメンタリー

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演劇のワークショップ・ドキュメンタリー

映画メイキング映画にも通じる面白さ

http://www.peterbrook.jp

9月20日の土曜日から、ピクチャーズデプトはんの配給によりまして、渋谷シアター・イメージフォーラムやらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、9月27日から、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

本作はフランス&イタリア合作映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸBrook Productions/Danie Bardou

演劇のワークショップを描いた映画なんて、公開ワークショップは見たことあるけど、映画として見るんは、ボクは今回が初めてでおます。

演劇の先生による、講義並びに稽古の模様をば、映すわけやけど、本作は、ピーター・ブルックはんとゆう、演劇界の巨匠級の方が、役者陣に対して、講義&指導をばしてくれるっちゅう極上のもんどす。

でもしか、演劇ワークショップとゆうのんは、演劇を目指す方には、そらモノゴッツー重要かもしれへんけど、そんなん関係ない人にとっては、この映画はどないなもんなんやろか。

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正直にはっきり申し上げて、マニアックにして難解な映画どす。

やってることは分かりやすい。でも、それを解説するセリフが、いわゆる役者への、ある種の難しき訓示めいたことでおまして、

また、抽象的でもあり、一体そんなんを見せられてナンボのもんやねんと、怒り出す人もいてはるかもしれまへん。

ボクも見ていて、演劇の稽古を映画にして、どないなるのんっちゅう感想を、覚えたんも事実でおます。

しかも、演劇的ステージでの稽古やから、空間スケール的にも、映画的ダイナニズムにはほど遠い。

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演劇でもミュージカルとの対比やったら、どないやろか。

例えば、ステージだけで話が転がる「コーラスライン」(1985年製作・アメリカ映画)とかと、比べたらどないやろか。

「コーラスライン」にはエンタがあったけど、こっちはほとんどカンジられまへん。

無論、本作はドラマ映画やなく、ドキュメンタリーどす。

でも、固定の長回し撮影はないんやけど、凄く狭量的なカンジがしたんも、事実でおましょうか。

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2組がチームになって、即興劇を稽古としてやらはります。

「綱渡り」をお題にして、最初はソロ・パフォームで、ほんでやがて2人1組でのチームで、話を紡がはります。

ワークショップのお題やと申せ、渋く酔えるシーンも用意されておます。

ピアノ、太鼓、笛、アコーディオンなどの、サントラも用意されておます。

日本からは、土取利行が参加。ピーター・ブルックはんとは、30年以上の付き合いやそうどす。

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何よりも、御年89歳のピーター・ブルックの、指導ぶりのセリフやらにはグッとくるとこ多々やったし、日本人の役者と音楽家が関わってるなんて話をすると、それもまた気になってきよります。

欧米の若い役者たちと共に、熱心に関わらはる、役者の笈田(おいだ)ヨシはん。

本作では他の役者を尻目に、チョイおもろいやんなとこをば、即興で演じてはります。

映画では、弊ブログで分析したとこでは、「最後の忠臣蔵」(2010年・日本)なんぞに、渋い役で出てはりました。

映画メイキングものとも通じる、各人のパフォーム・シーンは、役者のココロを示す点で粋がありますし、

ブルック御大のコトバの哲学性も、ワケ分からんとこを孕みながらも、ここに、胸に、きたりしよります。

特に、観客が喝采する前に、息を飲む瞬間があるっちゅう分析なんぞは、ボク的にはウーンと、唸れましたやろか。

背伸びしてもよろしおま。その芸術的雰囲気に、チョイ浸ってもらいたい作品でおました。

2014年9月 9日 (火)

「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」⇒クラシック音楽ドキュメンタリー

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有名音楽家ドキュの、クラシック・ジャンル版

娘が映画監督になって、ピアニスト母を撮るの巻

http://www.argerich-movie.jp/

9月27日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・Bunkamura ル・シネマやらで、全国漸次のロードショー。関西やったら、10月4日から、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都、10月11日からシネ・リーブル神戸やらで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸIdeale Audience & Intermezzo Films.

有名なオカンに関するドキュメンタリーをば、その娘はんが映画監督をして撮るっちゅう映画どす。

少し限定されてるかと思いきや、今年はその種のタイプが、本作以外にもありましたえ。

「物語る私たち」(8月12日付けで分析)でおます。

違いはどこにあんのかと、言いますと、「物語る…」は、オカンを媒介に、監督自らのミステリアスを披露する感じやったけど、本作は、あくまでオカンを描くんが、メイン・ソースになっとります。

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まあ、オカンは世界的にも有名やけど、インタビュー嫌いなとこもあって、そのプライベートは、別に謎めいてはいないんやけど、あんまし公にはなっとりまへんどした。

そこをでんな、三女の娘はんが、オカンの許可を取って、真相を暴露ちゅうほどでもないんやけど、撮り上げはったんが、本作でおます。

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そのオカンは、クラシック畑のピアニストとして、世界的に有名なマルタ・アルゲリッチはんどす。

既に逝去してはる方の、セレブ・ドキュが多い中でも、今も生きてる有名音楽人ドキュ。

身内が監督するんで、オカンの素晴らしい音楽を、ピーアールすると共に、

チョイ間違えたら、普遍性のないプライベート・フィルムなものに、なってまいそうなんやけど、

そこんとこは微妙に違った、ニュアンスを感じよりました。

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つまり、娘はんだけに、よりホンネに近いトークがあり、また、義理の長女のミステリアス部など、誰にでも興味深いとこを、クローズアップしたり、

マニアックなファンだけのためやないとこも、キチンと捉えてはるんでおます。

でもって、ポイントは家族映画としての、普遍性どすやろか。

別れたオトンのことも、詳細に描かれ、音楽一家としてのところ、そしてキズナを、

家族へのインタビューやら、過去のモノクロ・シーンも織り交ぜて、進行してまいります。

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一方で、オカンの性格描写やらも、インタビュー向きに構えたところ以外に、

出番前にいつも不安がってる様子とか、マネージャーに愚痴ばかりゆうたり、また、監督とのやり取りでも、ビミョーな発言があったりします。

また、日本の大分公演に向かう、のぞみの車内での様子(写真上から4枚目)など、どこにでもいてはる、おばはんやんっちゅう親近感も、ほの見えよりまんねん。

フレームいっぱいの、ハミ出しクローズアップなどもあります。

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モチ、音楽ドキュらしいとこも満載どすえ。

フル・バージョンでは聴けへんけども、オカンのピアノ・プレイを始め、長女やオトンとの共演シーンなど、

彼女のファンだけやなく、クラシック・ファンにも、広く遡及できるシーンがありまっせ。

ちゅうことで、音楽人映画としての風格も、備えた作品でおました。

2014年9月 8日 (月)

名作「幕末太陽傳 デジタル修復版」⇒新・午前十時の映画祭

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フランキー堺&川島雄三監督の、各最高傑作や

石原裕次郎・裕ちゃんも、渋い役で出演どす

http://www.asa10.eiga.com

長月9月20日の土曜日から、神無月10月3日の金曜日まで、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズやら、大阪ステーションシティシネマやらで、午前10時から1回モーニングショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ日活

本作はかつての名作を、デジタルリマスターして現代に伝える、21世紀になって顕著になった復刻版。

黒澤明監督「羅生門」(1950年製作)なんかも、そんな1本でおました。

共に時代劇ながら、チャンバラのない作り。で、本作は幕末時代劇でおます。

その種の映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)なんぞを、思い付くままの気ままに、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①本作(1957年)②ラスト・サムライ(2003年・アメリカ映画)③ええじゃないか(1981年)

●カルト⇒①本作②壬生義士伝(2002年)③御法度(1999年)

●本作はベストにもカルトにも入る、快作にして怪作どす。

幕末ちゅうたら、カルト②③のように、新撰組やったり、ベスト③みたいに、実話に基づいたもんが、大がいやけど、本作やベスト②は、定番を排して、映画としてのエナジーを追求した大傑作どす。

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さてはて、本作はフランキー堺の最高傑作やし、川島雄三監督の最高傑作でもありま。

若いみなはんは、フランキー堺はんなんて、知らへんかもしれへんけど、まあ、コメディに似合う演技をば、やってはる俳優はんでおました。

でもしか、本作では、いろんな芸者や幕末の志士やらの間を、調子よく行き来し、べらんめえ調の喜劇をやりながらも、鬼気が迫っておました。

ちゅうことで、ここでフランキーはんのマイ・ベスト・スリー演技(順位通り)を開陳。

①本作②駅前シリーズ(~1969年)の第1弾・駅前旅館(1958年)③写楽(1994年)

●②の喜劇役者としての、ピークを示した快作から、企画にも関わり、シリアス演技を示した時代劇③まで、その演技幅にも魅せられます。

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でもって、石原裕次郎はんが、高杉晋作役で出てはります。

ちゅうことで、ここで、裕ちゃんの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)演技を見てみます。

●ベスト⇒①太平洋ひとりぼっち(1963年)②陽のあたる坂道(1958年)③黒部の太陽(1968年)

●カルト⇒①本作②嵐を呼ぶ男(1957年)③夜霧よ今夜も有難う(1967年)

●孤独ものベスト①、青春さわやか系ベスト②、実話系の男を骨太に演じたベスト③。

ベストは演技力を示す演技を、カルトは逆に演技力よりも、裕ちゃんの個性をば、遺憾なく発揮しはったんを選びました。

中でも本作は、裕ちゃんが大ブレイクした、テレビの刑事ドラマ「太陽にほえろ」のボス的なキャラを、おそらく最初に示さはったもんでおましょうか。

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さてはて、本作はモノクロやけど、モチ、リマスターでツヤツヤでおます。

また、時代劇には珍しく、発表当時の現代から始まるスタイル。

幕末の江戸・品川の遊郭街が、ジトジト系の多い吉原遊郭ものとは違った、ビリー・ワイルダー監督作品みたいに、アメリカン・コメディな軽妙洒脱感が、お見事なカンジやねん。

ちゅうことで、「羅生門」にも負けない名作どした。

2014年9月 7日 (日)

「るろうに剣心 伝説の最期編」⇒週末日本映画劇場2・大剣劇アクションが展開する後編

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福山雅治と佐藤健の師弟関係が、ドラマにシブミを付加

佐藤健の剣戟アクションは、最後まで揺るぎなし

シリーズ化は決定的か

http://www.rurouni-kenshin.jp

長月9月13日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ和月伸宏/集英社

Ⓒ2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

第1弾や前編については、弊ブログで既に分析済みやけど、それらのとこで、論述した観点とは違うところから、本作を論じてみます。

本作は時代劇でおます。これまでの邦画時代劇ちゅうのは、映画オリジナル、小説原作、コミック原作の約3パターンに分かれとります。

マイ・ベスト・カルトについてやけど、邦画時代劇は圧倒的に、小説原作ものに傑作が多うござります。コミック原作はどちらかとゆうたら、カルトチックになるとゆうか…。

ちゅうことで、コミック原作時代劇のマイ・カルト・ファイブ(順位通り)をば披露いたします。

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①忍者武芸帳(1967年製作・モノクロ)②本作シリーズ③子連れ狼シリーズ(1972年~1974年・全6作)④あずみシリーズ(2003年・2005年)⑤RED SHADOW・赤影(2001年)

●コミック映えするのは、なんでか忍者もんが多いみたいやけど、

時代時代に、一世風靡した作品とゆうのは、コミック原作に関わらず、それまでの時代劇にはない側面を持っておました。

例えば③は、子連れロードムービーとゆうスタイル。

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ほんで、本作はかつてほとんどなかった、明治時代のチャンバラ時代劇どす。

復讐もの「柘榴坂の仇討」(8月31日付けで分析)なんかは、明治時代にまで復讐が、引き延ばされてまいましたけども、それも「廃刀令」が出る前の、明治初期の話どして、

本作みたいに、明治維新も10年近く経っての、チャンバラっちゅうのは、まあ、ありまへん。

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ほんでもって、時代劇は基本的に、史実をベースにした歴史ものと、フィクションとして、剣豪伝や長屋の人情譚なんぞを描く時代ものとゆう、2つに分かれると思うんやけど、

本作はその2界を、絶妙につなげた上で、アクション展開をしてはります。

幕末の2派の争いが、明治まで延びて、明治政府筋とテロリストとの戦いへとなってまいります。

そして、主人公・剣心役の佐藤健(たける)は政府側に付き、テロによる国盗りを目指す藤原竜也と、対決するっちゅう構図どす。

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幕末部は史実に則っとるけど、この藤原のテロ部は、完璧なるフィクションであります。

それゆえに、いかにもコミック原作やんっちゅう、派手なミラクル・アクション・シーンが多いどす。

でも、そこが本作の一番の見どころでおまんねん。

佐藤健の叩けるけど斬れない剣とか、藤原竜也の炎を出す剣とか、あり得ないアイテムを使っての、対決シーンの造形ぶりが、モノゴッツーなことになっとります。

また、佐藤健と、師匠役・福山雅治との絡みは、前半のハイライトやったやろか。少々説明ゼリフに偏してたのが、気にはなったけど…。

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唐突なシーンの頻出も、リアル感な縛りを外して、爽快に見えよります。

黒船軍艦内での藤原とのクライマックス対決で、なんで、江口洋介や伊勢谷友介まで、出てきよるねんっちゅうとこも、オールスター勢揃いなご愛嬌なんやろな。

でも、武井咲(えみ)ちゃんや蒼井優ネーさんらの、女優陣の出番が、今回は少なかったで。土屋太鳳(たお)ちゃんはケッコー出てたけど。

まあ、その辺は、ミラクルな剣劇アクションや、肉弾戦の連続なんで、女優はんには過酷やったんやろかな。大人しいとこでの出演どす。

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でもしか、ラブ・ストーリーなシメで映画は終わるんで、そこも唐突とゆうたら唐突なんやけど、

凄まじいアクションを見せられたあとやけども、胸キュンなキモチになって、映画館をあとにできまっせ。

壮大なオーケストラ、大仰な打楽器類のリズム隊のサントラが、耳にこびり付き、

ほんで、ONE OK ROCKがプレイする、スロー・ナンバー「Mighty Long Fall」にも、ウットリかもな。

ちゅうことで、極上の娯楽大作どす。

2014年9月 6日 (土)

「小川町セレナーデ」⇒週末日本映画劇場1

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変格形で描く、オトンとオカンと娘はんの、家族のキズナ

須藤理彩ネーさん・安田顕アニキ・藤本泉ちゃんら、全ての人が、メッチャ愛しくなってきよりまっせ~

http://www.ogawacho.com

神無月10月4日の土曜日から、アイエス・フィールドはんの配給によりまして、角川シネマ新宿やら川崎チネチッタやらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「小川町セレナーデ」製作委員会

水商売ドラマで人情節ある作品てゆうたら、邦画においては、これまでに多数出てきておます。

総決算的・系譜的にやってもええんやけど、本作はゲイの男の方が関わっておまして、その種の邦画は、イロイロ活性化して現在地に到っておます。

そこで、女オトコ(ホモ・ゲイの関係含む)が関わった邦画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)なんちゅうのんを、恐る恐るながら披露してみます。

●ベスト⇒①メゾン・ド・ヒミコ(2005年製作)②ハッシュ!(2001年)③おこげ(1992年)●カルト⇒①本作②渚のシンドバット(1995年)③非・バランス(2000年)

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●この種の映画は、そんなオカマ・キャラを、どおゆう設定にするかによって、物語の奥行きや深みが違ってまいります。

また、その後の展開もビミョーに違ってきて、ドラマの行方を左右しま。

ほんで、浜崎あゆみのカルト②や、小日向文世がホモ役のカルト③など、意外な人の出演にも、オッときたりしま。

でもって、独身者や恋人がいるパターンが、ほとんどの中で、本作みたいに、オトンがその対象者となる映画は、ベスト①以外はありまへんどした。

その意味においては、本作はかつてない設定が、施された作品やと言えましょうか。

冒頭部では、娘はんが生まれた経緯が、オトンとオカンのやり取りの、モノクロ・シーンで披露しはります。

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舞台俳優やってたゲイのオトンと、マットーなオカンが、酒を飲んでついやってもうて、コドモが仕込まれ、

ほんで、オカンは娘を生んででんな、1人で娘を育てんと、スナックを始めはります。オトンはタイで手術して、ホンマの女になりました。

「時代屋の女房」(1983年)の夏目雅子を、思い出させてくれはる、須藤理彩ネーさんの、水商売演技。ほんで、娘を思う演技。押しつけがましくなくて、フラットどす。

娘はん役の藤本泉ちゃん。東京へ出たけど、いろんな男とは結ばれず、オカンのとこへ帰ってきはります。

ほんで、その後、借金まみれの店を、オカマバーへとチェンジし、彼女はオトンとは知らへんけど、オトンの指導の元、オカマ・ダンサーとしての指導を、受けはりまんねん。

まあ、オカマやない女が、オカマバーのダンサーになるっちゅうのんも、ある意味で騙し営業やけど、それが、借金を返せるくらい儲かりまんねん。

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さてはて、唐突なとこもあるけど、泉ちゃん、熱演どす。

オカマ・オトン役の安田顕のアニキなんか、オカマ演技で、しかもオトン役をば、絶妙に演じ抜いてはります。渋い。渋すぎま。

ピアノやアコーディオンや琴やシンセなど、多彩にサントラを流しつつ…。

そして、ラストロールでは、「ももくろクローバーZ」の妹分グループらしい、「私立恵比寿中学」の、ローレライなチロル系を取り入れた、分かりやすいポップ・ナンバーに、思わず胸キュンやん。

オトン・オカン・娘のキズナを、変則的に描いた家族映画やけど、その作り込みはベタやなく、あくまでサラリとやってはるとこにも、妙味がありました。

でも、キズナはココロに残る仕上げどす。ベスト①のキズナ描写に迫る快作どすえ。ラストのオチも、ご愛嬌。

2014年9月 5日 (金)

アメリカ映画「ファーナス 訣別の朝」⇒今年のマイ・ベストテン級洋画

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弟のために兄がリベンジする「波止場」の逆パターン

西部劇やアメリカン・ニューシネマの、現在形を示す傑作

http://www.furnace-movie.jp

9月27日の土曜日から、ポニーキャニオンはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Furnace Films., LLC All Rights Reserved

アメリカン映画の系譜を踏まえた上で、それを21世紀のアメリカの、ブルーカラー労働者階級に敷衍して展開した、今年のマイ・ベストテン級の大傑作。

簡単にゆうたら、リベンジ映画なんやけど、「狼よさらば」(1974年製作・以下の引用映画は指定以外は、全てアメリカ映画)みたいに、

最初からストレートに復讐するっちゅうタイプやなく、緻密に難関を乗り越えて、徐々に相手に迫ってゆく、サスペンスフルな展開どす。

まずは、シンクロナイズする作品について、語らしてもらいまひょか。

見てまず一番に感じたんは、兄弟の1人が殺されたとこでの、リベンジものやとゆう点において、弟役マーロン・ブランドが挑んだ「波止場」(1954年・アカデミー賞作品賞)に対し、

こちとらは、弟殺しのリベンジを、兄役クリスチャン・ベイルがヤラはります。

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マーロン・ブランドと比べても、決してヒケを取らない、ベイルのアニキの演技は、モチ、特注でおます。

舞台はペンシルベニア州の、製鉄所が生活の基盤になっとる田舎の街。

ベイルが働く製鉄所の溶鉱炉(ファーナス)が、象徴的に出てまいりますが、

主人公の造形ぶりにおいては、アメリカン・ニューシネマの「ファイブ・イージー・ピーセス」(1970年)の主演、ジャック・ニコルソンなんかを思い出すけど、ニコルソンとベイルの違うところは、信念と行動力の違いどす。

また、休日の使い方で、鹿狩りシーンが出てまいりますが、こちらはロバート・デ・ニーロ主演「ディア・ハンター」(1978年)を思い出すけど、

ある種のすっきりした、ヒロイズムがあった「ディア・ハンター」に対し、本作はワイルド感やダサイ感を、そのまま示して、必死のパッチのベイルの行動が、リアル感にあふれとります。

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そやから、西部劇のタッチもあるにはあるけど、決してスタイリッシュやありまへん。

リアルを前提にするんやったら、フツーはこないなるやろな、っちゅうとこが示されとります。

西部劇的なアクション様式を、アドリブ的に外したこれらのシーンこそ、本作のキモやと思います。

合わせて、ある意味で、濃い人たちが登場しはります。

ベタなワルぶりを冒頭からさっそく、徹底して演技しはるウディ・ハレルソンしかり。

田舎のワルのボス役ウィレム・デフォーしかり。

ヤワなカンジのケイシー・アフレックさえ、「地上(ここ)より永遠(とわ)に」(1953年)みたいな、賭け拳闘シーンで、ワイルド感を披露。

ベイルはんやらとの、やり取りやアクションは、男臭ささえ超えた、ケダモノ系の臭いがプンプンや。

ヤラレましたがな。これぞ男たちの、本能的究極のドラマやもしれまへん。

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紅一点的に登場しやる、ゾーイ・サルダナのネーさん。

ここでネーさんが「アバター」(2009年)や最新作「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」(2014年・弊ブログ分析済み)みたいな、アクション演技をやらはったら、

そらモー、メッチャな野獣性のオン・ザ・パレードに、思わずのけぞってまうけど、本作では、しっとりなヒューマン系演技。束の間、ホッとしまっせ。

会話シーンの間(ま)の使い方。セリフ少なめの、雰囲気を伝える演出ぶり。

グランジ・ロックの雄のパール・ジャムの、最後に流れる壮大なスロー・ナンバーなど、細部やサントラにも、グッと胸にきよります。

リドリー・スコット監督や、レオナルド・ディカプリオが、本作の製作に関わってんのも、注目印やけど、

「バベル」(2006年)などで有名な、日本人撮影監督のマサノブ・タカヤナギにも、目がいきましたがな。特に、ロングショットのキレには魅せられました。

ちゅうことで、今年の洋画の、マイ・ベストテン級の作品でおます。

2014年9月 4日 (木)

「駅馬車 デジタル・リマスター版」⇒西部劇のチョー名作

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エンタテインメントとしての西部劇の原点的名作

ロードムービー、追逃劇アクション、男のラブ…イロイロ

http://mermaidfilms.co.jp/johnford/

9月27日のサタデーから、10月17日のフライデーまで、マーメイドフィルムはんの配給によりまして、シネマート新宿やらシネマート心斎橋やらで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸMCMXXXIX BY WANGER PRODUCTIONS, INCORPORATED. ALL RIGHTS RESERVED.

第二次世界大戦終戦以前の映画群ちゅうたら、映画創生記からのいろんなジャンル映画が、ほぼ確定した時代どす。

ほんでもって、若い世代やこれからの未来人に向けて、貴重な映画遺産を引き継ぐべく、企画されたんが、本作の上映でおます。

懐古趣味的は、まあ、ないとは思うけど、映画オールド・ファンも見るやろけど、でもやっぱ、若い人たちにこそ見ていただきたいねん。

ちゅうことで、ここで、マイ終戦前映画の、アメリカ映画ベストテン(順不同といきたいけど、やっぱ、ここは、ボクチンの独断と偏見やから、順位通りといたします)をば披露いたします。

いずれも、若い人にこそ見てもらいたい、名作中の名作どす。

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①モロッコ(1930年製作)②カサブランカ(1942年)③風と共に去りぬ(1939年)④オズの魔法使(1939年)⑤本作(1939年)

⑥怒りの葡萄(1940年)⑦暗黒街の顔役(1932年)⑧西部戦線異状なし(1930年)⑨市民ケーン(1941年)⑩チャップリンの黄金狂時代(1925年)

●メッチャ悩んだけど、ボクチンが男やからではないけども、女優はんがメッチャ輝いてはる作品を、上位にしました。

けども、男アメリカン・ヒロイズム映画としては、どないあっても、本作は絶対的に外せまへん。

ベスト②のボギーこと、ハンフリー・ボガートと共に、本作主演のジョン・ウェインは、アメリカン・ヒーローの在り方をば、表現してはるんどすえ。

ちなみに、歴史に残る映画評論家の故・淀川長治先生は、オールタイム・ベストの投票において、本作を1位に選んではりました。

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簡潔にゆうたら、21世紀の今は、オマージュ的にしか作られへんようになってしもた、

西部劇=ウエスタンの、ルーツ作と言えまんねん。

確かに、本作以前にも、西部劇はいくつか作られておましたが、本作みたいに娯楽的なとこを、大いに発揮しはったんは、映画史上初めてでおましょうか。

アメリカン・ネイティブのインディアンと、白人との対決ぶりが、いわゆる善悪ドラマでも、インディアンに対し、差別的やんとゆう非難もあったけど、

あくまで、エンタとして見ることによって、そういうとこは気になりまへん。映画を楽しもうやんちゅうとこが、顕著なんでおます。

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いくつかある西部劇としての要素が、本作で初めてベース化されておました。

例えば、ロードムービーとしての在り方。追逃劇としてのアクションぶり。酒場の女と主人公の恋など、イロイロモロモロ。

特に、スタントマンを使った、追いつ追われつの中で、馬から馬へと乗り移って、相手を倒すクライマックス・シークエンスの造形ぶりは、

その後、西部劇だけやなく、いろんなアクション映画の雛形となりました。

ちゅうことで、それらが、ニュープリントのツヤツヤのモノクロで、映されてまいります。

フィルムのヒビ割れ感も入れたDVDも、エエ感じなんやけど、本作を劇場で見比べてみんのも、一興やろかと思います。

ジョン・フォード監督やジョン・ウェインの、マイ・ベスト&カルトなんかもやりたかったけど、

いずれにしても、2人のベスト・スリーに入る作品であるんは、間違いありまへん。

2014年9月 3日 (水)

カンボジア映画「消えた画(え) クメール・ルージュの真実」

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これぞチョー珍しい、カンボジアの社会派ドキュメンタリー

文学的ナレーションと、土人形アニメとモノクロ・シーンが合体

http://www.u-picc.com/kietae/

セプテンバー9月13日のサタデーから、太秦はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やら、9月27日から京都シネマやらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCDP / ARTE France / Bophana Production2013 - All rights reserved

「独自で特異な」作品を対象とした、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の、最高賞のグランプリをば、ゲットしはった作品でおます。

1998年から、この部門賞は始まっとるんやけど、そのマニアックさゆえに、日本公開本数が少ないとは申せ、

恐る恐るながら、その部門受賞作の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露さしてもらいます。

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●ベスト⇒①本作②トウキョウソナタ(2008年製作・日本映画)③彼女を見ればわかること(2000年・アメリカ)

●カルト⇒①アリラン(2011年・韓国・弊ブログ分析済み)②籠篭の中の乙女(2009年・ギリシャ・分析済み)③輝ける青春(2003年・イタリア)

●特異な視点の範囲が、曖昧な作品が多うおます。

採り上げた全ての作品が、カンヌのホンチャンのコンペティションで、賞をもらっても、全然おかしゅうありまへん。

まあ、日本未公開作品は、マニアッキーにやってんのかもしらんけどな。

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そんな6作の中でも、最大にマニアックなんが、本作やろな。

ドキュ作品にしても、かつてない作りを施してはる作品どす。

政府筋に抑圧された民衆を、描くタイプなんやけど、かつての名作「アルジェの戦い」(1966年・イタリア&アルジェリア)のように、民衆の反旗を熱く描くものとは違い、

あくまで、抑圧され続けての、どこまでも悲愁に満ちた作品やから、ある種のカタルシスを、感じられるもんではありまへん。

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そして、現実を直視する側面よりも、抽象的にドキュ物語は紡がれてまいります。

その伝えるためのツールは、土人形(いわばクレイ人形)によるもんどす。

なんでかてゆうたら、1975年から始まっとる、カンボジアのポル・ポト政権てゆうたら、民衆への奴隷的抑圧以外に、いろんな文化的遺産を、ことごとく廃棄しとったそうどす。

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そやから、当時を伝えるべき映像(「消えた画」ちゅうタイトルはそこを象徴してはります)が、モノクロによる、ドライなニュース的映像しかなく、

よって、当時の人民の苦悩ぶりを描くには、新たにアニメやらで、創造するしかなかったんでおますよ。

本作では、アニメやなく、土人形っちゅうことどす。

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そんな土人形と、ひび割れたモノクロ映像を混成しもって、ポル・ポト政権のエゲツナサが、伝えられてまいります。

吐き気を催すくらいの、エゲツナサなんやけど、でもしか、文学的な表現に満ちたナレーションにより、そのエゲツナサは緩和され、

ある種のアート映画的な領域へと、昇華しておます。これはスゴイで!

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かつて多く輩出された、戦争やら強制やらの収容所もの映画の、スパイスも感じられよりました。

ボク的には、シベリア強制収容所を描いた「イワン・デニーソヴィチの一日」(1971年・アメリカ&イギリス)を思い出しました。

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ラストで、女ボーカルのバンド・サウンドが、カッコヨクとゆうてええかは、分かりまへんけども流れます。

若い映画ファンは、そのあたりにグッとくるかも。

いずれにしても、「恐怖映画」の言葉が出るように、背筋の寒うなってきよる、トンデモ・ドキュメンタリーでおました。

2014年9月 2日 (火)

「バツイチは恋のはじまり」⇒ラブコメなフランス映画

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シチュエーション・ラブコメのさわやかな1本

ダイアン・クルーガーのネーさんの、コメディエンヌぶりに注目

http://www.batsu-koi.com

9月20日のサタデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH'TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEAR DAWN

本作の主演女優はんの、ダイアン・クルーガーのネーさんは、ドイツ出身やけど、フランス映画界で活躍し、ハリウッド映画にも進出してはる人気女優はんどす。

ちゅうことで、ここで、フランス(で活躍してる)女優の21世紀(21世紀に活躍してる方やけど、21世紀にデビューしはった方やありまへん)的マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)、なんちゅうのんをやってみます。

代表作をカッコで入れとりま。

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●ベスト⇒①オドレイ・トトゥ(「アメリ」)②ミラ・ジョヴォヴィッチ(「バイオ・ハザード」)③マリオン・コティヤール(「愛の讃歌」)

●カルト⇒①ダイアン・クルーガー(「ナショナル・トレジャー」)②メラニー・ロラン(「イングロリアス・バスターズ」)③レア・セドゥ(「アデル、ブルーは熱い色」)

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●ベストもカルトの女優はんも、ハリウッド映画に進出してはります。

で、ダイアン・ネーさんやけど、ベスト③みたいに、アカデミー賞の演技賞をもらってもいないし、ベスト①みたいに、チョー個性的でもない。

ベスト②みたいにアクションが、映えるわけでもあらしまへん。セクシー系でもなく、アイドルと呼ぶにしては、年齢がビミョー。

カルトは、そういうビミョーな女優はんをば、採り上げましたけども、美人女優とゆうとこでは、ダイアンのネーさんは、6人の中では、ボク的にはナンバーワンどす。

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ほんでもって、初めてコメディエンヌちゅうか、それっぽい演技をばやらはったんが、本作なんでおます。

まあ、ラブコメなんやけど、フランス映画的なエスプリあるタイプやなく、ハリウッドの6大映画製作会社のユニバーサル映画が、製作に関わってはるだけに、アメリカンなラブコメ色が入っております。

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シチュエーション・ラブコメ的やけど、その設定は、バツイチやないと、夫婦仲が続かないちゅう、ダイアン・ネーさんの家系どして、

好きな人と結婚しようにも、その前に別の男と結婚して、すぐに離婚しとかなあきまへん。

その結婚サギまがいの男のカモを求めて、本命との結婚を前に、ダイアン・ネーさんが右往左往する、結婚式までのタイムリミット系でもあるコメディーどす。

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しかも、パリからデンマーク経由でアフリカへ。

でもって、ロシアへと広がる、スケールある(!?)作品や。

アフリカの原住民族式の結婚式をやって、カモる男と結婚し別れたハズやけど、男の方が婚姻届をキープしとったために、

嫌な女ぶりを発揮して別れてもらおうやんけと、ネーさんはいざ、男の現住地ロシアへ。

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「ロマンシング・ストーン」(1984年製作・アメリカ映画)的な、アフリカ冒険サイド。

ライオンと出会って危機一髪やったり、珍道中なロードムービー的なとこやらで、魅せたりしはります。

ほんで、ロシアでは、無重力宇宙空間体験アクションやら、コザック・ダンスやらを披露や。

現代から10年前を振り返る、ダイアンの妹はん(アリス・ポルのネーさん)の回想で始まるとこも、構成の妙味がありましたえ。

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相手役のコメディアン、ダニー・ブーンはんのおとぼけぶりにも注目どす。

とにかく、ダイアン・ネーの、ハチャメチャな弾けぶりをば、楽しんでおくんなまし。

2014年9月 1日 (月)

中国映画「So Young~過ぎ去りし青春に捧ぐ~」⇒ツンデレ恋愛映画の中華版

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「レッドクリフ」「少林サッカー」やらの女優ヴィッキー・チャオ(写真上)ネーさんの、初監督作品どすえ~

ツンデレ・ヒロインの造形ぶりが、キョーレツ至極な作品になっとりまっせー

http://www.alcine-terran.com/soyoung/

長月9月13日の土曜日から、アルシネテランはんの配給によりまして、東京・新宿シネマカリテやらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、9月20日から、テアトル梅田やらで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 HS Media(Beijing) Investment Co., Ltd. China Film Co., Ltd. Enlight Pictures.PULIN production limited. Beijing Ruyi Xinxin Film Investment Co., Ltd. Beijing Max Times Cultural Development Co., Ltd. TIK FILMS. Dook Publishing Co., Ltd. Tianjin Yuehua Music Culture Communication Co., Ltd. All rights reserved.

中国4大美人女優(チャン・ツィイー、ジョウ・シュン、シュー・ジンレイ)の1人、ヴィッキー・チャオのネーさんが、何と映画初監督をしはりました。

女優監督作品てゆうたら、ケッコーあります。

最近やったら、アンジェリーナ・ジョリー、ナタリー・ポートマン、フランスのジュリー・デルピーなども、作品を発表してはりますが、

男優監督が幅を利かせる中でも、本作は、女優らしい繊細なとこが紡がれておました。

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そして、本作は、いかにもハチャメチャにも見えんこともない、ヒロイン'sドラマ(ヒロイン役は、写真上から4枚目のヤン・ズーシャンちゃん)を、

チャオ・ネーさんの優しさで、とことんくるんでみせるとゆう、作りにはなっとるかと思います。

メインで描かれるんは、大学時代どす。

フツーは学園ものてゆうたら、高校時代が圧倒的に多く、大学とゆうのんは、今の中国のキモにもなってるとこかもしれず、中国映画の現代性を示してはるとも言えます。

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大学時代、そして後半は、卒業後10年を経た現代、とゆう作りになっとります。

フツーやったら、現代からあの頃を振り返るっちゅう、カットバック的手法を使うもんやけども、

チャオ・ネーさんは、意表を突くことを旨にしてはるかのように、フツーのマニュアル的作りを、ワザトラマンのように、排してはります。

誰にでも分かりやすく、ストレートに、時代に合わせて、順番に作ってゆかはります。

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でもって、中でも特注は、ヒロインの造形ぶりでおました。

こんな女いるんやろか~、っちゅうキャラ造形ぶりに、首をひねりつつも、思わず魅せられ、魅入らせてしまうのんは、スゴミがありました。

女の子が相手にケンカを売りながらも、スキになってゆく展開とゆうのんは、これまでのラブコメ、ラブ・ストーリー映画の展開にはまずなく(日本のツンデレ系にはありま)、このあたりのオリジンは突出しとりまして、

ひょっとして、チャオ・ネーさんの特殊な実話なんぞが、反映されとるんかとも、思えるようなリアリティー感どした。

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ラブコメ調が、中盤・後半に向かうにつれ、シリアス・モードになってゆく作りは、最近のラブコメでは、定番化しとるけど、

本作はその段差がかなり強烈で、印象に残ってきよります。

ヒロインの女友達3人に加え、男友達たちも断片的に描かれて、整理されてへん雑多なカンジになっとるんが、少々気にはなったけど、

さらに、ヒロインの美人女友達の、唐突な交通事故死なんぞは、かなりと首ひねりやったけど、

それでも、本作の素晴らしさや好感度は、ヒロインの生き方にありましたどすえ。

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大好きになる男にケンカを売り、付き合ってる男をボートから蹴落とし、ヒロインの心理的な流れには、かなり違和感をカンジたんやけど、

それこそ力技ちゅうんやろか、強引にも納得させられてまうところへと、着地させるとこが、ある意味でトンデルような作りなんやろな~、たぶん。

大事マンブラザーズバンド「それが大事」の、中国語の歌を熱烈に歌い、「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ)の、スカーレット役ヴィヴィアン・リーみたいに、故郷へ帰ることを選択するヒロインの、

波瀾万丈的にも、見えんこともない姿が、奇妙奇天烈にも、胸にくる1本。

ちゅうことで、現在日本でもケッコー出てきてる、ツンツンデレデレなツンデレ系の、ラブ・ストーリーの快作でもありました。

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