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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2014年8月の記事

2014年8月31日 (日)

「柘榴坂の仇討」(ざくろざかのあだうち)⇒日曜邦画劇場

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中井貴一キイッちゃんと、阿部寛アニキの決闘や~

マンネリ定番「忠臣蔵」を超えた、忠臣復讐ものの新鮮味に注目どす

http://www.zakurozaka.com

長月9月20日の土曜日から、松竹の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014映画「柘榴坂の仇討」製作委員会

最近は日本のチャンバラ映画ちゅうのんは、あんましないように思えるんやけど、でもしか、それなりに出てきてはおます。

ほんで、本作は浅田次郎原作もん。ちゅうことで、突然やけど、ここで、浅田次郎原作映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば披露いたします。

●ベスト⇒①鉄道員(ぽっぽや)(1999年)②壬生義士伝(2003年)③本作

●カルト⇒①地下鉄(メトロ)に乗って(2006年)②日輪の遺産(2011年)③ラブ・レター(1998年)

●恋愛ものであれ、浅田作品には、主人公の過去をポイントにした、作品が多うござります。

時代劇にしても、おんなじどす。

同時代性の少ないこれらの作品群は、現在と過去をドラスティックかつドラマティックに魅せる点で、映画映えしやすい素材なんどす。

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時代劇においても、そのノリはいっしょだす。

例えば、ベスト②は、過去を背負った男が、新撰組に入って活躍し、その過去に縛られて死にゆく話やし、

でもって、本作も、江戸時代の過去の事件に対する復讐を、明治時代において、主人公が遂行するとゆうカンジでおます。

ベスト②や本作で、主演を張らはった中井貴一キイッちゃん。

現代劇での妙演も多いんやけど、ここで、キイッちゃんの、時代劇マイ・ベスト&カルト(各順不同)をば、やってみまひょか。

●ベスト⇒①壬生義士伝②本作③四十七人の刺客(1994年)

●カルト⇒①本作②国士無双(1986年)③梟の城(1999年)

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●本作は、ベストにもカルトにも入る逸品や。

ベストはチャンバラ。カルトは時代劇に、新味を加えた作品にしとります。

ほんで、本作は忠臣リベンジものでも、「忠臣蔵」が全てやと思われとる中で、

「桜田門外の変」(映画では何度か描かれとりまして、最新バージョンは2011年)で、やられてしもた井伊直弼(いいなおすけ)を、警護できへんかった家臣役・中井貴一のお話どす。

悪イメージの強い井伊大老を、本作では好感ある方として描いとりまして、歌舞伎界の長老・中村吉右衛門はんが、チョー久々の映画で演じてはります。

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復讐が明治時代までに延びてしもたとこは、明治の剣戟もの「るろうに剣心」(弊ブログで分析済み)なんかと、シンクロするやろかと思います。

キイッちゃんと阿部寛アニキの決戦が、クライマックスになっとるんやけど、

総じて、間の使い方とか、静謐なシーンの多さで、動よりも静に魅了されてまうような、時代劇になっとりますやろか。

キイッちゃんと妻役・広末涼子ネーさんとの、雪舞う別れ的シーンの造形は、本作一番のハイライト・シーンやと思いました。

久石譲のピアノを始め、管弦楽を駆使した、癒やしと壮大なサントラやらも余韻を深めますで。

しみじみとした感動がある時代劇どす。

2014年8月30日 (土)

「ジャージー・ボーイズ」⇒クリント・イーストウッド監督最新作

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監督初の、ミュージカル・シーンに大注目どすえ~

実在の音楽グループ、ザ・フォー・シーズンズを描く

http://jerseyboys.jp

9月27日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、全国ロードショー。

文=映画・音楽分析評論家 宮城正樹

Ⓒ2014 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. AND PATPAC ENTERTAINMENT

クリント・イーストウッド監督が描く音楽映画てゆうたら、ジャズもの「バード」(1988年製作・アメリカ映画)なんかはあったけど、ミュージカル映画の演出は初やろな。

しかも、初とは思えへんくらい、堂にいった本格的な作りなんどす。

ちゅうことで、かつても披露しよったけど、ここで、実在のミュージシャンを描くドラマ映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(描かれる音楽家・製作年・製作国・各順不同)をば、披露させていただきます。

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●ベスト⇒①Ray(レイ・チャールズ、2004年製作・指定以外は全てアメリカ映画)②グレン・ミラー物語(グレン・ミラー・オーケストラ、1954年)③アマデウス(アマデウス・モーツァルト、1984年)

●カルト⇒①本作②最後のマイ・ウェイ(クロード・フランソファ、2012年・フランス)③ローズ(ジャニス・ジョプリン、1979年)

●ジャンルを特定せえへんかったら、いっぱいあるんやけど、本作は、ビートルズやローリングストーンズやらの、

日本人なら誰でも知ってる、ミュージシャンやないとこに、目を付けてはるちゅう意味で、異彩を放っておました。

はっきりゆうてでんな、みなはん、ザ・フォー・シーズンズなんて、知ってはりますか。カルト②の「マイ・ウェイ」の作曲者も、あんまし知らんやろ。

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でもしか、本作は、シブミあるミュージシャンのドラマ。

特に、アメリカでは、そういうなんは、ケッコー作られてきよりました。

ザ・フォー・シーズンズ。デビュー作「シェリー」から、レコード売り上げを示す、全米チャートの「ビルボード」ナンバーワンになり、その後の2曲も、3連続でナンバーワンや。

この3曲は、よく似ているような、タイトなポップ・ロックなカンジやったけど、

主人公フランキー・ヴァリ(グループ・リーダー)がソロで歌った、「君の瞳に恋してる」は、彼らとゆうか、彼ら関連のナンバーの、最高傑作やと思います。
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フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」的な、スローな展開からサビで転調し、一気にディスコティークになるこの「君の瞳に恋してる」は、

多くのカヴァー・ナンバーを、輩出しとります。

そこんとこは、本作では描かれへんけども、その最初のカヴァーについてゆうときますと、

1980年代に、ボーイズ・タウン・ギャングなるグループがカヴァーし、ビルボードNo.1を刻んだんが、ボク的にはココロに残っておます。

そして、イーストウッド監督初のミュージカル・シークエンスでは、「シェリー」が使われ、ハリウッド映画のミュージカル、

例えば「ウエスト・サイド物語」(1961年)なんぞを、絶妙にオマージュしとりました。

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ほんでもって、4人のメンバーたちの、ミュージシャン・ドラマが、本作の骨格をなしておます。

彼らの出身地・イタリア系マフィアのいてる街・ニュージャージー(ちなみに、ボン・ジョヴィもここの出身)。

その描写には、「ゴッドファーザー」(1972年)や「暗黒街の顔役」(1932年)などの、ダークなセンスがありましたえ。

さてはて、4人のライヴ・シーンは、大いなる見どころやけど、

グループの仲間割れ的危機的状況を、室内劇でスリリングに示すシークエンスでは、改めてイーストウッドの演出力のスゴミに、魅せられよりました。

クリストファー・ウォーケンの「フューネラル 流血の街」(1996年)を思い出す、マフィアのボス役もグー。

ちゅうことで、イーストウッド監督の音楽ムービーの、ケレンに浸っておくんなまし。

2014年8月29日 (金)

「ぼんとリンちゃん」⇒今年の日本映画のマイ・ベストテン級

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今どきの、トンデモ・ヒロイン映画な怪作品

「アメリ」もビックリの、アンチ・アイドル映画

http://bonlin.jp/

9月20日の土曜日から、フルモテルモはんの配給によりまして、新宿シネマカリテやらで、全国順グリのロードショーでおま。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒぼんとリンちゃん

ヒロイン映画は今月、イロイロ分析しとりますが、

本作は映画史上初めて描かれる、

腐女子(男同士の恋愛を描いたコミックに、ハマってる女子。例えば、三島由紀夫「仮面の告白」みたいな、小説やない点に注目)ヒロイン映画でおます。

一見してみたら、あらあら、ヒロイン映画の、トンデモ変テコな逸品になっとりました。

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ちゅうことで、ここで、スーパー・ヒロイン系でもなく、エロ系でもない、おいおい、付いていかれへんで~な、

ヒロイン・ニッポン映画(マトモなんも、取りあえずは入れよりました)の、マイ・ベスト&カルト・スリー(主演女優・製作年・各順不同)をば、思い付くまま気ままに披露いたします。

もっとスゴイのんもあるで~って方は、また教えてくだされませ。

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●ベスト⇒①砂の女(岸田今日子・1964年)②しとやかな獣(けだもの)(若尾文子・1962年)③スウィングガールズ(上野樹里・2004年)

●カルト⇒①本作(佐倉絵麻ちゃん・2014年)②Keiko(若芝順子・1979年)③下妻物語(深田恭子・2004年)

●その時代時代に合わせて、トンデモ・ヒロインは出現しよります。高度成長時代の計算高いベスト②や、ヤンキーの21世紀型を示したカルト③、

デジタルライフが進化してる現代を、背景にした本作など、その時代でなければ出てこなかった傑作映画やろな。

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妖しい女ベスト①、元気印な女子高生ベスト③、フツーのOLカルト②などは、いつの時代にも通用する作品やとは思うけど、

いずれにせよ、本作の現代性は、特筆すべきもんでありました。

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今でなければ描けないヒロイン像。

それを、臆面もなく披露しはったんが、本作でおます。

しかも、アンチ・アイドル性を、意識してはったんかどうかは、分からへんけども、かなり濃厚に香り立っておました。

ほんで、長回し撮影が多投されておます。

故・相米慎二監督が、ようやってはった移動撮影の長回しとは違い、セリフに集中させるような使い方やけど、映画ファンにはグッとくるやもしれまへん。

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でもしか、もし売れ線でいきたいなら、この種の長回し撮影シーンは、画面が固定されてたりして、観客の目を集中しておくんなはれを、強制するもんなんで、

ボクがもしプロデューサーやったら、あんまし推奨せえへんかと思います。

固定の画面で、セリフを追うのがしんどい、しかも肝心要のセリフが聞き取りにくい、なんてとこが、観客の退屈を誘い、思わず睡魔に襲われるような事態になりかねまへん。

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しかし、それでも、なお、本作は素晴らしい。

そこんとこを、映画ファンやない一般の方々に、どう示してゆくんか。大変重大なとこどす。

有名な俳優は出てへん。コミックやゲームなど、マニアックな要素が散らばり、セリフも、誰にでも分かりやすいもんやない。

「アナルは出口じゃなくて、入り口」なんてセリフ。

ホンマ、一体誰が共感をもって、理解できますやろか。

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でも、ストーリーは、すごくシンプルで分かりやすいねん。

同棲相手に虐待を受けてる、女友達を救うべく、“りぼん”から名付けられた“ぼん”ちゃんこと佐倉絵麻ちゃんが、彼女を取り戻しに、男の子リンちゃん(高杉真宙)と共に、東京へいざ出動やがな。

ほんで、ぼんちゃんがネットで知り合った、不惑40歳過ぎの童貞男(桃月庵白酒・ナンチュー芸名や~)のサポートを得て…。

このおっさんの演技も、オタクを体現する、絶妙極まりない演技ぶりどした。

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同人誌の漫画カットが、イントロとアウトロで披露され、ほんで、サントラ的には、初音ミクちゃんの歌が披露されとります。

アニソン・イメージとは違う、キャッチーなポップ・ナンバーなんで、お楽しみに。

ちゅうことで、売れる、売れないは別にして、

今年の邦画の、ボクのマイ・ベストテンに、入るケッサクでおました。

2014年8月28日 (木)

イギリス映画「ウィークエンドはパリで」⇒渋いパリ映画やねん

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老夫婦のキズナに、ほろ酔う快作品どすえ

フランス映画以外で描かれるパリは、チョイと違いまっせ~

http://www.paris-weekend.com

9月20日のサタデーから、キノフィルムズはんの配給によりまして、シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、10月11日の土曜日から、シネ・リーブル梅田やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Free Range Films Limited/ The British Film Institute/Curzon Film Rights 2 and Channel Four Television Corporation.

かつてイタリア映画についても、やりましたけども、

本作みたいに、パリが舞台、もしくはパリを想定して描いた、フランス映画以外の映画(フランス合作は除く)について、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露してみますと…。

思い付くままなので、もっとピッタリな映画があれば、教えてくだされ。

●ベスト⇒①巴里のアメリカ人(1951年製作・アメリカ映画)②化石(1975年・日本)③雨の朝パリに死す(1954年・アメリカ)

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●カルト⇒①本作②パリの恋人(1957年・アメリカ)③ムーラン・ルージュ(2001年・アメリカ)

●1950年代には、ハリウッドが、パリを舞台にした映画を多数作りました。

そやからやないけども、アメリカ映画が多いけど、他国でもイロイロあるやろかなと思います。

セット撮影のミュージカルのカルト③、イタリア、ロシアなど、当時外国舞台設定の映画に、多数出てはったオードリー・ヘプバーン主演のベスト②など、

パリでないとあかんねんっちゅう映画もあるんやけど、

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本作などは、あくまでビジター感覚、観光客感覚を、ストレートに押し出した作品でおます。

まあ、本作公開に合わせて、無理矢理入れたんとちゃうのんと、思わはる方もいるかもしれまへんけども、

元来フランス映画には、観光色は稀薄どして、そこんとこを大いに押し出すんは、フランス以外の作品なんでおます。

ベスト②もビジター作品やけど、でもしか、人間ドラマ性も併せて押し出す点においては、本作と共通しておます。

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本作は、老夫婦がパリへ、結婚記念日を祝う旅行に来て、イロイロあるとゆう映画やけど、老夫妻映画としてのキズナ映画としては、ビミョーに三角関係を織り交ぜつつ展開しよります。

そこには、「東京物語」(1953年・日本)から、21世紀では「愛、アムール」(2012年・ドイツ&オーストリア&フランス・弊ブログで分析済み)までの、センスや感動が、

それらの作品とは違ったカタチで、肯定的に存在しとりました。

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夫役のジム・ブロードベントはんやけど、本作と同じくワケありの老夫妻映画「アイリス」(2001年・イギリス)で、アカデミー賞助演男優賞をゲットしてはりますが、

それと比肩する演技ぶりを見せはりますし、

また、アメリカ俳優ジェフ・ゴールドブラムの、主人公との盟友ぶり演技など爽快やし、

妻役リンゼイ・ダンカンはんも、「突然炎のごとく」(1961年・フランス)の、ジャンヌ・モローが老女になったらな、演技ぶりを見せてくれはりました。

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ピアノ・ソロ、ギター・ソロ、パーカッションやキーボード、ジャジーなけだるい感などを駆使した、サウンドトラックも、盛大なオーケストラ・サウンド使いとは違い、押し付けがましくなくて良かったどす。

エッフェル塔など、パリの観光部もほど良く披露されて、こちらの方でも満足できる仕上がりやと思います。

あと味もよろしおまな、夫婦映画の会心作。

2014年8月27日 (水)

「世界一美しいボルドーの秘密」⇒ワイン・ドキュメンタリー

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飲食ものドキュメンタリーやなんて、ほとんど皆無やん

意外性ある現代の事情にも、ドッキリきよる逸品やねん

http://www.winenohimitsu.com

セプテンバー9月27日のサタデーから、アット エンタテインメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は、2013年製作の、オーストラリア&中国&フランス&イギリス&香港合作とゆう、多国籍製作の75分どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Lion Rock Films Pty Limited

飲食ドキュメンタリーやなんて、みなはん、見たことありまっかー。

ドラマ映画では、まあ、それなりに散見できました。モチ、人間ドラマが“主”で、飲食物はあくまで“従”でおました。

媒介とされる物は、ウイスキーなんかの、アルコール類であったり、

ラーメンなどの麺類、スイートから焼き肉まで、イロイロあったけど、ワインは、ボクが見たところでは初めて。

モチ、ワイン・ドキュメンタリーは、映画史上初の逸品なんやないやろか。

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さてはて、食関係のドキュ作品で、弊ブログで紹介した中での、マイ・ベスト・スリー(順不同)をゆうてみよりますと…。

①本作②二郎は鮨の夢を見る(2011年製作・アメリカ映画)③エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン(2011年・ドイツ)

●食ドキュは、どちらかとゆうたら、社会派系の問題ドキュなんかが注目されがちなんやけど、

例えば、「スーパーサイズ・ミー」(2004年・アメリカ)が描いた、ファーストフードへのアンチ・テーゼとか、

「ありあまるごちそう」(2005年・オーストリア・弊ブログで分析済み)なんぞが描いた、飽食の時代へのブラック・ユーモアとか。

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でもしか、ここでは、前向きなスタイルで、食を捉えたドキュ作品に焦点を当てました。

ミシュラン三ツ星レストランを描く③、オバマ・アベの接待場所として、話題を呼んだ②など、

みなはんにも分かりやすく、ほんで興味深く見てもらえるのんを選んどります。

そして、本作は、世界一のワイン、ボルドー・ワインの今をテーマにした作品でおます。

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ビールやウイスキーやら日本酒などの、酒ドキュとゆう観点よりも、ブランドもの映画としての骨格を備えとりました。

但し、単なるPR映画には堕してはおまへん。

ボルドー・ワインとゆうブランドが、今はどないなことになっとるんか、とゆうところを、シビアに容赦なく描いてはります。

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そして、ボルドー・ワインの、かつての欧米の愛飲者よりも、現代は中国の愛好家が幅を利かし、しかも、自らも生産するっちゅうとこへといってるとこを、

ある意味警鐘を鳴らす的に描いてはるんが、かなり印象的で、センセーショナルどしたやろか。

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この種のドキュには欠かせない、多数の関係者へのインタビューが採録されておます。

まあ、フランシス・フォード・コッポラ監督(写真上から2枚目の中央の方)なんかもいてはるけど、ボルドー・ワインへの賞賛に満ちた言葉が、次々に語られてまいります。

一時は、やっぱPR映画かと思いきや、さにあらず。そのあたりのとこを、じっくりと見ておくんなまし。

ナレーションやってはるんは、ラッセル・クロウのアニキだす。「グラディエーター」(2000年・アメリカ)ばりの興奮度はないけども、落ち着いたナレートぶり。

でもって、空撮俯瞰撮影のタイトな導入、女ポップ歌手のスリリングなナンバーなど、映画的かつハットトリックなとこも、ケッコーあって、ドッキリしよりまっせ~。

2014年8月26日 (火)

アメリカ映画「フランシス・ハ」⇒オチャメなヒロイン映画の快作

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「アメリ」に迫るくらい、ヒロイン's映画のユニーク節に満ちて

アメリカン・インディペンデント映画魂がギュッと詰まっとります

http://www.francesha-movie.net

9月13日の土曜日から、エスパース・サロウの配給によりまして、東京・ユーロスペースやらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸPine District, LLC.

例えば、「アメリ」(2001年製作・フランス映画)みたいな、お茶目なヒロイン(共同で脚本も担当しやった、グレタ・ガーウィグのネーさん)が、全編にわたって活躍する映画どす。

でもしか、「アメリ」と違うのは、妙に貧乏性やのに、それが表立って出ずに、

まるで、「ティファニーで朝食を」(1961年・アメリカ)の、オードリー・ヘプバーンのような清潔さを、ヒロインが持っている点やろか。

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かの作品のオードリーも、いちおう設定としては、貧乏でおました。

また、本作のヒロインものは、ニューヨークを舞台にしております。

NYを舞台にしたヒロイン映画は、これまでにも多数出とるし、グレタのネーさんは、ウディ・アレン映画に影響を受けたとまで、ゆうてはります。

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でもしか、フツーのNYものと違うのは、ヒロインはNYだけでなく、故郷のカリフォルニア州サクラメントにも帰省するし、パリへも行かはりまんねん。

ルームシェアしてた女との間に、ベタやない友情ドラマが展開したり、

売れないダンサーとしての生き方や、男たちとの付き合いなど、ドラマ的には、レンジの広さも感じられよります。

ほんで、最終的には、NY大好きとなる感じのNYものなんで、あと味もよろしおますよ。

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また、ダンサーのサクセス・ストーリーを正攻法で描いた「フラッシュダンス」(1983年・アメリカ)とは、真逆のようなセンスがありまして、

それでいて、サントラの使い方が、「フラッシュダンス」ばりにカッコエエねん。

特に、ヒロインがNYの街を走るシーンや、ラストロールで流れる、デヴィッド・ボウイの、モータウン調のダンス・ナンバー「モダン・ラブ」は、爽快極まりない使い方になっとりますで。

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歌もの以外にも、ジャック・タチ監督チックなフレンチ・ペーソスなサウンドやら、

マーチング、ギター・サウンド、流麗な弦楽オーケストラまで、多彩どす。

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ほんでもって、アメリカン・インディペンデント映画の粋をば、感じさせてくれはる作りにもなっておます。

「動物映画は嫌い。擬人化されていないと」のヒロインのセリフや、「グレムリン3」の脚本を書いているとゆう青年やら、映画にこだわったシチュエーションが、随所に盛り込まれてもいます。

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しかも、ここまで言いまへんどしたが、モノクロ映画どす。まあ、写真を見たらバレバレなんやけど…。

ツヤツヤしてて美しきモノクロやから、白黒映画の苦手な若い方にも、十二分に魅力的に映るはずでおます。

さてはて、21世紀のモノクロ映画のマイ・ベストワンは、「ニーチェの馬」(2011年・ハンガリー)やけど、

本作のように、現代の大都会を舞台にした、モノクロ映画、加えてアメリカ映画とゆうのんは、まあ、ほとんどありまへん。

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その種の名作へのオマージュが、濃厚に感じられます。

例えば、ウディ・アレン監督の「マンハッタン」(1979年・アメリカ)とかやろか。

ちゅうことで、アレン監督のファンにも、遡求するはずの会心作でおました。

2014年8月25日 (月)

「リトル・フォレスト 夏/秋」⇒橋本愛ちゃんの独壇場やん

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ド田舎映画の自給自足生活を、四季に合わせて描く

地方ロケ映画にして、レシピ料理映画の粋を魅せる会心作

http://www.littleforest-movie.jp

葉月8月30日の土曜日から、松竹株式会社メディア事業部の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ「リトル・フォレスト」製作委員会

はっきりゆうて、こうゆう映画は、かつてありまへんどした。

自給自足とゆうか、カレーやスパゲティやらは作れないんで、完全自給自足やないんやけど、そんな生活でのいろんなレシピを、ほとんど全編にわたり見せてゆきます。

しかも、橋本愛ちゃんのナレーションを、メインにしもって、愛ちゃんが、そんな自給自足生活をばやらはります。

しかもしかも、愛ちゃんは全くもって1人やねん。

桐島かれん扮するオカンとの、過去の話もあるけど、オカンは5年前に家を、出て行ってしもたらしいわ。

愛ちゃんは一時、田舎を出て、都会で彼氏と同棲してたらしいわ。

オトンはもう死んでんのんとかは、全くもって説明されまへん。結局、彼女は戻ってきて、何やしらん、1人で生活してはりまんねん。

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でもしか、その状況説明はついでのように、映されもってでんな、愛ちゃんのレシピ説明と調理具合が、これでもかーっちゅうくらい、当たり前のように続いてまいります。

米作りの田んぼ。まあ、これがメインやけど、甘酒、ぐみや栗を使った調味料、ホウレン草やニンジン、トマトの野菜・果物系、魚からカモまで、フツーのように見せてゆかはります。

何やねん、これは、なんてゆう文句が、出るかもしれへんくらいに、やってはりまんねん。

一体、映画的に、何を映し、何をみなはんに伝えようとしてるんか、分からんようになる時も、ひょっとしてあるかもしれまへん。

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料理映画としての、レシピや料理過程を見せる映画としても、ここまでやるかっちゅうノリやし、

一方においては、地方ロケ映画としての妙味や癒やしを入れて、自然・風景・生き物たちのシーンを、次々に入れ込んではります。

夜の訪問者としての、フクロウやカブトムシやら、リスなどのシーンに加え、ネコもいるけど、

長雨で水蒸気が、立ち込めてるような村の様子など、ヒロイン・愛ちゃんの背景描写にも、風流ある見ごたえありどす。

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ボク的には、空シーンの多彩感に、魅了されよりました。

積乱雲から茜空、雨雲、いわし雲など、癒やしの自然風景シーンの数々にホッコリしたり。

でも、ひょっとして、アイドル映画かな~、ちゅう勘違いにも、溺れてしまうような、不思議快感な映画やろか。

橋本愛ちゃん。かわいいもんな。でも、部分的にクエスチョンはありま。

愛ちゃんは働いてへんのに、ガス代・水道代などのいろんな請求書に対し、支払えるのんかいなとか、周りの人は岩手の東北弁やのに、何で愛ちゃんだけ、標準語のタメ口やねんとか。まあ、ツッコメるとこは、イロイロあることはありまんねん。

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本作は、夏・秋の前編と、冬・春の後編(2015年2月14日公開)に分けて、公開されるっちゅうことになっとります。

意味深なセリフを言わはる、三浦貴大(たかひろ)のアニキや、愛ちゃんの桐島かれんオカンとのイロイロが、後編では、ドラマティックを紡ぐのかどうかは、分かりまへんけども、

今までにない映画とゆう感覚は、後編でも通底しとるかもしれまへん。

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個人的に、田舎系の日本映画としては、「阿弥陀堂だより」(2002年)に近い癒やしがあったと思います。

モチ、後編を見んことには、全体像は見えまへんけども。

さて、サントラ部では、休養してたYUIが、リード・ボーカルで参加してる「FLOWER FLOWER」が、春夏秋冬の四季をテーマにした、4曲の主題歌を提供してはります。

本作では2曲が聞けますが、夏のミディアム・ナンバー、秋のスロー・ナンバーなど、季節に合わせたキャッチーな曲がエエ感じなんどすえ。

ちゅうことで、後編がメッチャ楽しみになってくるような、そんな仕上がりでおました。

2014年8月24日 (日)

周防正行監督「舞妓はレディ」⇒日曜邦画劇場

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大和風ミュージカルの、これぞ決定版どすえ~

オードリー・ヘプバーン主演「マイ・フェア・レディ」の舞妓版

http://www.maiko-lady.jp

長月9月13日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国ロードショーどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014フジテレビジョン 東宝 関西テレビ放送 電通 京都新聞 KBS京都 アルタミラピクチャーズ

ミュージカルどす。京都・祇園の舞妓はんに、なりたいヒロイン映画どす。

ちゅうことで、ここで、京都を舞台にした、舞妓・芸妓日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同どす)を披露しよります。

●ベスト⇒①祇園の姉妹(1936年製作・弊ブログで分析済み)②祇園囃子(1953年)③偽れる盛装(1951年)

●カルト⇒①本作②舞妓Haaaan!!!(2006年)③おもちゃ(1998年)

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●京都を舞台にした芸者映画は、戦前から戦後の1950年代あたりまで、多数作られてきとりました。

今もあるけども、まあ、映画撮影所が京都にあって、時代劇を含め京都もの映画が、多数作られてきた歴史はあります。

けども、それらでは、京都弁がどうちゃらこうちゃらとか、正しい京都弁の在り方とか、そんなんは一切なく、フツーの芸者生活が描かれておました。

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ところがどっこい、ここに、舞妓になりたいちゅう、10代の女の子を主演に据えて、あくまで京都の花街(かがい)に、こだわった作品が作られてまいりました。

ドラマの中にフツーのように、その世界観が溶け込んでるベスト作品に対し、その世界を詳しく描くようにやってはるんを、カルト側に持ってきましたえ。

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圧巻なんは、カルト②③に比べて、圧倒的な深い取材力や調べによって、コミカルながらも、リアリティーある作品になっとるとこが、大きなミソやと言えるやろか。

監督の周防正行監督も、すっぽり祇園の花街にハマッた末に、編み出したとゆうその作りは、

シビアなタッチやなく、あくまで周防流ダンス・エンターテインメントになっとります。

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舞妓さんになりたいちゅう若い娘を、いろんな方がよってたかって、訓練し磨いてゆくちゅうとこが、ヒロイン映画としての大きなポイント。

オードリー・ヘプバーン主演の「マイ・フェア・レディ」(1964年・アメリカ映画)の舞妓版を、周防監督は狙ってはったんやないやろか。

本格的な舞妓成長映画としても、かつてない映画やったかと思います。

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ただ、京都弁のレクチャー部やけど、いかにも京都弁なとこを拾って、少しもの足りなくも思いました。

声の機械で、ゆるやかなヤマ型を形成するとこなんか、おっとり系やけど、定番的分析になってるちゅうか。

でもしか、京都弁をここまで執念深く、分析的にやったんは、もちろん、映画史上初やろな。

ちなみに、このブログは関西弁混成系どして、いろんな近畿の方言を入れ込んどります。

そんな中でも、ボク的には、京都弁が最もやりやすうて、親しみやすいノリがござります。

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さてはて、日本映画のミュージカルてゆうたら、そないええもんがないっちゅうのんが、かつては定説やったんやけど、

「モテキ」(2010年・弊ブログで分析済み)あたりは、チョイ違うとこを示してはりましたわな。

本作も、日本のミュージカル映画イメージを変える、そんな1本になっとります。

ちゅうことで、ここで、本作のミュージカル・シーンの、マイ・ベスト・ファイブを披露や。

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①京都弁先生役・長谷川博己と、教えられる上白石萠音(かみしらいし・もね)ちゃんが奏でる、「京都盆地に雨が降る」。イロイロ出てきた京都カヨー曲を、パロッたようなユニークさ。

②「お座敷小唄」的都都逸(どどいつ)を取り入れた、舞妓はんらによる、独特なダンシング・ワークス。

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③萌音ちゃんが橋のとこで歌う、壮大なラブ・バラード。

④メイン・ポイントとも言える、主題歌「舞妓はレディ」の披露部。松田聖子が歌っていたような、カヨー曲になっとります。

⑤草刈民代ネーさんが歌う、ラテン・ダンス・ナンバーの妙味。

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ほかにも、田畑智子と中村久美と萌音ちゃんによる、ジャズ・タッチやら、

草刈民代と高嶋政宏の、イタリアン・オペラチックやら、

富司純子(ふじすみこ)の若かりし頃のとこで、妻夫木聡との恋で、「カノジョは嘘を愛しすぎてる」(弊ブログで分析済み)でデビューした、大原櫻子ちゃんが披露するシーン。

さらに、竹中直人はんの、タイトなナンバーやら、アコースティック・ギターをバックにした、フォークチックまで多彩も多彩。

映画パロもありま。出演もしてる富司純子はんの、ブレイク作「緋牡丹博徒」シリーズ(1968年~1972年)的を、草刈民代が演じるとこなんか、思わず唸りましたえ。

ちゅうことで、トンデモ楽しい映画どした。

2014年8月23日 (土)

イギリス映画「アバウト・タイム 愛おしい時間について」

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タイムスリップ系ラブ・ストーリーの、久々の傑作

過去改ざん系を、絶妙なカタチで取り入れた逸品

歌ものサントラ映画としても、映画史に残る快作

http://www.abouttime-movie.jp

セプテンバー9月27日のサタデーから、シンカとパルコの配給により、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2013 UNIVERSAL STUDIOS

今年の洋画の、マイ・ベストテン級の作品どす。

ちゅうことでここで、まずは、タイムスリップ系の映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、思い付くままの気ままに、披露してみまひょか。

かつても披露したけど、改めてリセットしてやってみま。

●ベスト⇒①本作②バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年製作・アメリカ映画)③時をかける少女(1983年・日本)

●カルト⇒①ペギー・スーの結婚(1986年・アメリカ)②イルマーレ(2000年・韓国)③スローターハウス5(1972年・アメリカ)

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●古典的名作「タイム・マシン」(1959年・アメリカ)は、残念ながら外してもうたけど、より進化型が出てきとるんで、こんな具合になりました。

現在・過去・未来を往来しよる、ベスト②やカルト③なんぞは、この種の映画では定番化されとりますが、

過去と現在の交信型カルト②とか、近過去の改ざん系ベスト③、過去へ戻るタイプのカルト①など、イロイロ出てきました。

けども、本作は、過去のそれらの名作を踏まえた上で、より新領域へと、踏み出した作品になっとります。

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ラブ・ストーリーで過去へ戻り系は、カルト①なんかがあるけど、ポイントはラブながら、やがては家族ドラマへと、転化してゆくスタイルは、まあ、タイム・スリップ系ではありまへん。

後半に展開する、主人公と主人公の妹や、オトンとのキズナ部など、むしろラブ・ストーリー部より、意味深いと思えんこともないとこでもありま。

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主人公の家系の男たちは、タイムスリップでき、歴史的なとこやらは改ざんできないけど、

プライベートなとこは、過去に戻ってやり直しが利くやなんて、主人公はオトンから聞かされます。

主人公は半信半疑やったけど、でも、その通りになりまんねん。

過去改ざん映画はイロイロ出たけど、個人の愛やらに関するとこだけ、改ざんできるっちゅうのは、かなり極端やけど、

そこんとこが、ドラマ的にメッチャ、ワクワクドキドキできる見どころになっとるんは、不思議快感どした。

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でも、自分以外の人間の過去は、変えられへんチューとこもありまして、

ここで、妹やオトンとの間で、ドラマティックやったり、泣きやったりの感動のドラマが、出てまいるんどす。

でも、メインはラブの過去に戻っての、矯正具合やろか。

主人公役はシリーズ最終章「ハリー・ポッターと死の秘宝」(2011年・アメリカ)にも、出てやったドーナル・グリーソンのアニキ。

そのお相手ヒロインは、ラブ・ストーリー「きみに読む物語」(2004年・アメリカ)の爽快なカンジで、全編を押し通さはる、レイチェル・マクアダムスのネーさんどす。

2人の恋愛部は、かなりとドラマチックに造形されておます。

特に、雨の日の2人の結婚式を、短カットでつないでゆく、トラブルチックなシークエンスは、個人的には印象的どした。

また、1970年代的映画フィルム質感と、ロンドンの現代の、明るいデジタルな色彩感の対比なんぞにも、グッと魅せられよりましたで。

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ほんでもって、極め付けは、歌ものサントラを流しての、映画のリズム感どす。

イギリスの歌もの映画としては、マイ・ベスト作品「トレインスポッティング」(1996年・イギリス)を抜いたかも。

いや、マイ最高傑作の「イージー☆ライダー」(1969年・アメリカ)にも、ドーンと迫る勢いやったで~。

ザ・キュアーのスローや、ニック・ケイブ&バッドシーズの渋い曲など、ほとんど全ての曲が、シーンと共にグーンと胸にきました。

特に、キャッチーで耳に残る、イギリスのエリー・ゴールディングの「How Long Will Love You」は秀逸。

思わず映画のサウンドトラック盤も、買いたくなる仕上がりの映画どした。

2014年8月22日 (金)

韓国映画「悪魔は誰だ」⇒今年の韓国映画のマイ・ナンバーワン

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本年度ベストテン級の仕上げの、誘拐ミステリー・サスペンス映画やで~

このトリッキーさは、かつてないもんどすえ~

http://www.albatros-film.com/movie/akumahadareda/

9月13日のサタデーから、アルバトロス・フィルムはんと、ミッドシップはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国漸次のロードショー。

関西やったら、10月11日から、シネ・リーブル梅田やらで上映だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 NEXT ENTERTAINMENT WORLD Inc. & MIIN PICTURES Co., Ltd. All Rights Reserved

誘拐サスペンスやミステリー映画の、みなはんのイメージは、どないなもんがありますやろか。

誘拐して、身代金要求して、その授受があってとゆう、セオリー通りに進むやなんて思うでしょ。

ところがどっこい、その種のストレート系の誘拐ものは、ほとんどないのんに、ボクははたと気づいたりしました。

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そこで、ここで、誘拐をポイントにした映画(拉致監禁ものも含む)の、マイ・ベスト&カルト・フォー(各順不同)をば、披露いたします。

●ベスト⇒①本作②天国と地獄(1963年製作・日本映画)③羊たちの沈黙(1991年・アメリカ)④チェンジリング(2010年・アメリカ)

●カルト⇒①大誘拐(1991年・日本)②ファーゴ(1996年・アメリカ)③身代金(1996年・アメリカ)④プリズナーズ(2013年・アメリカ・弊ブログで分析済み)

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●ベスト、カルト共に、全てフツーやなく、ヒネられてる誘拐映画どすけども、

中でも本作は、いろんなネタが出まくった中においても、この種の映画の21世紀的最新バージョンとして、出色のヒネリとトリッキーと新味を、取り込んではりました。

今年の日本で公開される韓国映画の、マイ・ナンバーワンだけやなく、

洋画のベストテンにも(どれだけの評論家が、本作を見ているのかもあるけど)入るはずの傑作です。

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ネタバレせんように、慎重に言いよりますと、キーとなる要素は、時効・復讐・模倣犯やろか。

チョイ、ネタ入っとるかも…、ヤバイわ。

こおゆうキーワードで、誘拐映画を作るとなったら、何やらハードルは、メッチャ高いように思われます。

でも、本作では、過去の誘拐事件と現代の誘拐事件を、スリリングにシンクロさせていく中で、飛びっ切りのサプライズと、どんでん返しを、2度にわたり展開しはります。

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はっきりゆうて、スゴイ。

誘拐映画を描くにしても、さほど新鮮味は期待できないはずやし、ほとんどネタは、小説上でも出尽くしておます。

マイ・ランクには入れなかったけど、東野圭吾「ゲームの名は誘拐」が原作の「ゲーム」(2003年・日本)など、トリッキーどしたけども、

本作はさらにその上を、映画的にもいってはりました。

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現在と、主人公やヒロインの想いに合わせて、過去の回想シーンを、束ねてゆくとゆう作りなんやけど、その構成のトリッキーぶりにも、目が行きましたやろか。

そやから、真相が次々に判明してゆく後半の展開は、メッチャなハラハラドッキリどした。

ラスト20分はスクリーンに、目が点とクギになっとるかもな。

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刑事が真相に迫ってゆかはる、細部の描写も緻密やねん。

刑事役主演ソン・ガンホの、若手の相棒役をやった「殺人の追憶」(2003年・韓国)は、迷宮入り・時効事件の、その後の捜査やったけど、

本作ではメインで真相に迫ってゆく、キム・サンギョンのアニキ。

「殺人の追憶」以上の熱血刑事ぶりに、グーンと魅せられます。

真犯人との対峙シーン。胸が震えましたがな。

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ほんでもって、娘が誘拐されて死んでしもた、オム・ジョンファのネーさん。

泣き叫ぶ彼女の姿は、この映画のキモ演技にもなっとります。

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15年前の未解決の誘拐事件と、同じ設定の誘拐事件が起こり、2つは同じ犯人によるものやろな~ちゅうとこから、転がってゆくこの映画。

でもしか、真相は唖然とするもんでおます。

そして、その唖然が、映画的サプライズな感動へとつながってゆくんで、この映画はタダモノやないんどす。

韓国映画史上においても、歴代ベストテンに入ってもおかしくない傑作やと、ボクはジャッジいたします。

2014年8月21日 (木)

「ゲッタウェイ スーパースネーク」⇒カー・アクション・ミステリー

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本編の8割近くがカー・アクションの連続や

イーサン・ホークのアニキと、セレーナ・ゴメスちゃんがタッグ

http://www.getawaymovie.jp

セプテンバー9月20日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 ADF Acquisitions, LLC. All Rights Reserved.

スーパーカー「スーパースネーク」が、カー・アクションの主役となる映画どす。

約8割近くやけども、何や知らん、最初から最後まで、カーチェイスをメインにした、カー・アクトの嵐映画のようにも、見える映画どす。

ちゅうことで、ここで、レーサーものを除いた、カー・アクション映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露いたします。

かつても披露しましたけども、改めてリセットさしてもうて、やってみます。

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☆ベスト⇒①フレンチ・コネクション(1971年製作・以下の映画は指定以外アメリカ映画)②激突!(1971年)③バニシング・ポイント(1971年)

☆カルト⇒①本作②ダーティ・メリー、クレイジ・ラリー(1974年)③「ワイルド・スピード」シリーズ(第1弾は2001年)

●レース系と違う、カー・アクションを取り込んだ、映画の嚆矢は「ブリット」(1968年)やと思うけど、

大都会でのカー・チェイスを、本編のワン・シークエンスとして採り上げた、印象的な映画としては、ベスト①が画期的どしたやろか。

1970年代ものが多くて、すみまへんなんやけど、でもしか、1970年代は、このカー・アクトの黎明期でもあり、

これまでにあった、カー・アクト・スタイルのベーシングが、作られた時期でもあり、外すことはできしまへん。

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その後のエポック・メイクをゆうと、「TAXi」シリーズ(第1弾は1997年・フランス)と、カルト③どすやろか。

共にシリーズ化されとる、ちゅうのんも特筆や。

本編のほぼ半分以上にわたり、カー・アクトを展開する点でも、この2シリーズは共通しとりました。

でもしか、本作のように8割近いちゅうのんは、映画史において、過去最長不倒の、カー・アクト・シーンの創出なんやないやろか。

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しかも、ただ単にカー・チェイスを、意味もなく展開する映画やありまへん。

ミステリー映画としてのポイントをば、入れ込んではるんどす。

ヨメはんを拉致誘拐されてもうた、主人公役イーサン・ホークのアニキ(写真上から2枚目)が、従わなければヨメを殺すでとゆわれ、

犯人からの指示に従い、監視カメラ付きの、とある車を奪って、猛スピードで走りまくらはります。

クリスマス・イベント中の公園・ステージも突っ切らさせられ、ほんで何度もくる、パトカーとのチェイスを切り抜けて…。

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チョイ駐めて休んどったら、盗まれた車の持ち主の、童顔のセレーナ・ゴメスちゃん(写真3枚目)が、イーサンに拳銃突きつけて現れよったがな。

ほんで、この2人が同乗して、犯人の指示に基づき、走って走って走りまくり、ほんで犯人側からも、バイクで追われて、大バクハツな展開が、2度あるっちゅう展開。

カー・チェイス・シーンが、あまりにも速いんで、どないして振り切ったんか、分かりにくいとこもあるんやけど、

そこはそこ、ハリウッド的ミラクル・アクションに回帰したような、信じられないシーンが続出しよります。

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さてはて、ブルガリア全面ロケは、ハリウッド映画史上初めてらしいどす。

これだけのカー・アクトを作るには、アメリカでは、叶わんかったんでおましょう。

ミステリー部が波乱に満ちとんのも、スリリングどした。

犯人役の顔は、最後に見えよります。アンジェリーナ・ジョリーのオトンの、ジョン・ヴォイトはんがやってはりました。

ほんで、ミステリー部の結末はどないやねん、やけど、ウーンとみなはん、唸ってまうかもね。

2014年8月20日 (水)

フランス映画「イヴ・サンローラン」⇒セレブ・ドラマ映画

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ドキュメンタリーもあったけど、こちらはドラマらしい衝撃がいっぱいや

三角関係もある、男同士の恋愛映画どす

http://www.ysl-movie.jp

9月6日のサタデーから、KADOKAWAはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸やらで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸWY productions - SND - Cinefrance 1888 - Herodiade - Umedia

セレブを描いたドラマ映画。

故イヴ・サンローランてゆうたら、

本作と同じタイトルのドキュメンタリー「イヴ・サンローラン」(2010年製作・フランス映画・弊ブログで分析済み)でも描かれとりました。

また、ファッション界のセレブを描く映画では、近作では、オドレィ・トトゥが主演した「ココ・アヴァン・シャネル」(2009年・フランス)なんぞもありましたが、

こちらはドラマとしての衝撃度は、「ココ…」よりかなり上どす。

むしろセレブの実話映画という括りよりも、男同士の恋愛映画の色合いが濃いんやわ。

しかも、今も存命のイヴの彼氏やった、ピエール・ベルジェが関わる、イヴ・サンローラン財団が、イヴの映画として初公認しはりました。

ピエール役の役者のナレーションにより、2人の仲を映画で描くことを、初めて認めはったんどすえ。

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ちゅうことで、ここで、ゲイ映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露いたします。

ちなみにレズ映画は、ゲイに比べて少ないねんけど、「アデル、ブルーは熱い色」(2013年・フランス・弊ブログで分析済み)は、マイ・レズ映画の最高傑作でおます。

●ベスト⇒①ブロークバック・マウンテン(2005年・アメリカ)②真夜中のパーティー(1970年・アメリカ)③ミルク(2009年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②ブエノスアイレス(1997年・香港&日本)③ハッシュ!(2001年・日本)

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●単純にベストはアメリカ映画、カルトはアメリカ以外の作品にしましたけども、

ゲイの恋愛をベタに描いたベスト①やカルト②、実話系のベスト③、ゲイ・コミュニティーを描いたベスト②なんかとは違い、

本作は2人の関係性描写や、ゲイを全面に出すようなスタイルやなく、どちらかとゆうたら控えめどす。

ゲイ恋愛に、女との浮気や絡みも、取り入れたスタイルとしては、変形三角関係のカルト③と、似たようなとこもござります。

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ゲイ同士の三角関係描写もあり、2人の関係を男女入り乱れた感覚で、描いてはりまんねん。

セピア照明の下での、男たちの乱交シーンなど、ヘヴィーな描写もあるけど、

2人の関係性においては、付かず離れずなとこを、キープしてはります。

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イヴは2008年にガンで逝去したけど、ドキュメンタリー版では、その葬式のシーンから始まっとったけど、

本作では、1957年から1976年までの、イヴの生き方を描いてはりまして、いわば最盛期のイヴが捉えられておます。

また、ファッション・ショーのシークエンスも、ケッコーありますんで、イヴ・ファンにもたまらへん、仕上がりになっとります。

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劇中で流れる設定を含めて、サントラ部も、イヴのファッションと同じく、多彩なんどすえ。

ジャジー、ピアノと弦楽オーケストラ、ポピュラー洋楽、オペラ、フィメール・スロー・ポップスなど、シーンシーンを彩りまんねん。

ちゅうことで、ゴージャスな気分にもなれる、ファッショナブルな映画でもあります。

2014年8月19日 (火)

スカーレット・ヨハンソン主演「LUCY ルーシー」⇒リュック・ベッソン監督作品

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ミラクル・ワザが展開する、ベッソン流ヒロイン・アクションの爽快作や~

スカーレット・ネーさんの、異能ぶりを示す1本どす

http://www.lucymovie.jp

オーガスト8月29日のフライデーから、東宝東和はんの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 Universal Pictures

ハリウッド映画に負けへんような、映画を製作し、撮り続けるフランス「ヨーロッパコープ」を率いる、

リュック・ベッソン監督が、お得意のヒロイン・アクション映画を披露した作品。

新人を起用することが多い監督さんなんやけど、本作では、ハリウッドの人気女優、スカーレット・ヨハンソンのネーさんとの、コラボレーションでおます。

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スカーレットのネーさん。「アイアンマン2」(2010年製作・以下の引用映画は全てアメリカ映画)や「アベンジャーズ」(2012年)の「ブラック・ウィドウ」役で、アクションづいてはりますが、

最近では、奇妙な役柄を、わざと選んで出てはるような気味がありま。

本作では、「ブラック・ウィドウ」の正攻法のアクションぶりとは、かなり違ったアクトぶりをば披露しはるねん。

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このところの彼女の作品は、弊ブログでは、チョイ・エロぶりを示した「ドン・ジョン」(2013年)やら、

喘ぎ声も出すOSの声での出演となった「her/世界でひとつの彼女」(2013年)やらがありますが、

本作を含め、いずれの場合も、彼女のセクシー度をどっかで出そかいなちゅう、製作陣の意図が、見え隠れしとるような気がいたします。

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胸が透けて見えそうな格好して(写真上から5枚目)、百発百中でキメる銃撃アクトやらで、セクシー度全開やねん。

さてはて、フツーは人の脳ミソは、10%くらいしか機能しとらんらしいねんけど、

コレが20%、30%と上がって、100パーになったらどないなんのんを、描いとるんやけど、今イチようわからんとこもありました。

ミラクルなワザが、次々に披露されるんやけど、脳の機能度の上昇とミラクル度の相関に、科学的な根拠やリアル感がないんで、妄想型の話にも思われよります。

でもしか、その流れに身を任せてみれば、たぶん大丈夫でおましょう。

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スカーレット・ネーが運転する車は、絶対クラッシュしないとゆう、カー・アクション・シーンの造形など、不思議快感なとこどす。

ほんでやっぱ、CG、VFX使いが、1つの見どころになると思うんやけど、

原色系やない薄い色の、多彩な配色でいってはって、押しつけがましかったりはしまへん。

細胞をコントロールできる、っちゅう才能なんかは、本作のオリジナル・ワザやろかな。

他人の脳内描写や、見えないものが見えるシーン(写真2枚目)なんかもオモロイ。

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ヒロインの動きと同時進行で、謎めいて展開する、博士役モーガン・フリーマンの講演シーン。

大きなフックになっとります。

モーガンはんの落ち着き払った、安心して見てられる演技ぶりは、今回も健在。

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それに対し、マフィアのボス役の、韓国俳優チェ・ミンシクの冷酷無比な残酷ぶりは、目を覆いたくなるくらいのスゴサや。

スローモーションで、最終決戦場へ向かうシーンなんかも、印象的どした。

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そんでもって、最後にボク的な感想やけど、クライマックス部のシーンで、かなりとカンジたんは、

公開当時ワケ分からへん結末と言われた、スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」(1968年)に対する、ベッソン監督のアンサーなんやないやろかと。

猿のシーンから地球カットへの転換など、表層的なとこだけやなくて、かのワケ分からん作品を、分かりやすく伝えようとしてる、みたいな…。

でも、そこんとこが、うまくいってるのかどうかは、劇場にてご確認くだされ。

いずれにしても、1人の人物を通して、人類の未来形を描こうとした作品やと思いました。

2014年8月18日 (月)

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」⇒マーベル・スタジオ最新作

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正義の味方的キャラ「アベンジャーズ」とは真逆

5人の犯罪者たちが、チームを組んで大活躍やねん

http://www.marvel-japan.jp/GOG

9月13日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、2D、3D同時公開(日本語吹替え版もあり)で、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 Marvel. All Rights Reserved.

アメコミのマーベル・コミック原作映画でおます。

本作は、その種の映画だけを作る、「マーベル・スタジオ」で製作されました。

マーベルのヒーロー・キャラちゅうたら、「アイアンマン」(2008年製作・以下の引用作品は全てアメリカ映画)なんぞの、単独スーパー・ヒーローの、イメージが強いけど、

21世紀に入って10年を過ぎてから、大ヒットをかました「アベンジャーズ」(2012年)が登場して、チーム・プレイものへと目が向けられておます。

そもそも「アベンジャーズ」は、マーベル・コミックのオールスター勢揃いとゆう、イメージや触れ込みやったんやけど、

チームもんの方も売れるんとちゃうかと、事ここに到って、過去のチームもの原作を掘り返さはって、本作を映画化しはりました。

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正義のヒーローたちやなく、刑務所から脱獄したアウトローたちが、チームを組んで活躍するスタイルどして、マーベル的には初のアウトローものと取れるけど、

でもしか、最初は個人的な思惑(金への妄執)で寄り添ったのに、いつの間にやら、ある星を守るために、悪との戦いへと転化しとりますんで、基本ラインははっきりゆうて、正義の味方チームなんどす。

でも、キャラが正統系ヒーローやありまへん。確かにマーベルは伝統的に、カッコイイヒーロー像とは、チョイ違うとこがあります。

けども、本作はそれよりもさらに、ダサダサ・カッコヨサを、取り入れたキャラ作りでいってはります。

映画のポイントとなる魔法の石を盗んだ、チームー・リーダーの主人公役クリス・プラット君(写真上から2枚目)こそ、イケメンやし、カッコヨサはそれなりにあるやもしれまへん。

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でもしか、あとの4人はダイブとおかしおます。

ディズニーらしい動物喋る系キャラの、アライグマ「ロケット」(写真4枚目・声はブラッドリー・クーパー)なんか、5人の誰よりも攻撃的にしてタフネスや。

自分は何々ですとゆう、名乗るコトバしか喋らない、ピノキオをでっかくしたような、樹木人間「グルート」(声はヴィン・ディーゼル)もケッコータフ。

ほんで、仲間を救うための、自己犠牲の精神を示すシーンは、感動的でありましたえ。

「アバター」(2009年)のヒロイン役やらはった、ゾーイ・サルダナのネーさんも、女人造人間として、チームに加わらはります。

最後まで、ダンスは踊らないを貫く、シビアなとこなんか、ロマンティックを排した野性野獣味が、むしろセクシーにも見えます。

そして、肉体派の悪役的キャラ「ドラックス」を入れて、5人はん御一行となりよります。

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メイキング的には、1950年代のカラーSF映画の色調を、参考にしたと、本作のジェームズ・ガン監督はゆうてはります。

それらしき色合いは、そこかしこに散見できます。

一方で、アクション的には「スター・ウォーズ」シリーズ(第1弾は1977年)の、濃厚な影響が見られよります。

また、西部劇的な、5人が横並びに、スローで出動するシーンとか、

セリフに出てくる「ビリー・ザ・キッド」(1973年)や「俺たちに明日はない」(1967年)のキャラ「ボニーとクライド」など、過去の映画をそれとなく取り込んではります。

中でも、ダンスを一緒に踊るかどうかで、プラットとサルダナが揉めるシーンでの、「フットルース」(1984年)のセリフ引用には、思わずニヤリどした。

そして、サントラ使い。

主人公と、冒頭のシーンで死んでまう、主人公のオカンとのキズナを象徴する、オカンの遺品・1970年代ポピュラー・ミュージック収録テープが、

サントラとして、シーンに合ってようが合ってまいが、しょっちゅう流れてまいります。

何せ、冒頭からいきなり、10cc(テンシーシー)の哀愁のスロー・ナンバー「アイム・ノット・イン・ラブ」(1975年)やもん。最後はマイケル・ジャクソンのおった、ジャクソン5のダンス・ナンバーやしな。

ミスマッチな使い方がたまりまへん。ちゅうことで、おっとおっとおっとな快作どす。

2014年8月17日 (日)

波瑠ちゃん主演「がじまる食堂の恋」⇒週末日本映画劇場2

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アイドル映画の向こう側を、捉えたラブ・ストーリーの傑作

懐かしきテレビの、トレンディー・ドラマのタッチが、麗しき逸品や

http://www.gajimaru-shokudo.com/

9月13日の土曜日から、BS-TBSはんの配給によりまして、沖縄・名護先行公開。9月20日から全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 名護まち活性計画有限責任事業組合

男2人女2人の、四角関係となるラブ・ストーリーどす。

アイドル映画ノリの、ラブ・ストーリーの名手、大谷健太郎監督が撮り上げた最新作。

そんな監督の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露しますと…。

●ベスト⇒①とらばいゆ(瀬戸朝香主演・2002年)②NANA(中島美嘉・宮崎あおい・2005年)③本作

●カルト⇒①ランウェイ☆ビート(桜庭ななみ・2011年・弊ブログで分析済み)②ラフ ROUGH(長澤まさみ・2006年)③LOVE  まさお君が行く!(香取慎吾・2012年・弊ブログで分析済み)

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●学園ものカルト①②、男のアイドルもんカルト③などを、カルトにしてまいましたけども、

夫妻ものベスト①、女の友情入りベスト②など、アイドルチックなラブはラブでも、パターン化してはらへんとこが、大谷監督の持ち味なんやないやろか。

そやから、本作でも、これまでとは違うとこをば、披露してはります。

三角関係以上のラブものにして、キャリア初の地方ロケ映画。しかも、沖縄ロケ・名護ロケ映画でおます。

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沖縄ロケ映画は、これまでに多数ありますが、名護の観光色も入れ、しかも、食堂ものをフィルターにしながら、ラブ・ストーリーへと、着地させる仕上がりは、なかなかの高等ワザでありましょう。

「かもめ食堂」(2005年)や「食堂かたつむり」(2010年・弊ブログで分析済み)などのセンスは、最後の最後に見せはるけど、

メイン・テーマは、波瑠(はる)ちゃんと小柳友(ゆう)、桜田通(とおり)、竹富聖花(たけとみせいか)の4人の間で、繰り広げられる恋愛模様でおます。

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波瑠ちゃんと桜田君は、元カノ元カレの関係。

小柳君は、強引なカンジで、波瑠ちゃんと関係を持たはり、聖花ちゃんは、桜田君の絵のモデルになるんやけど、この4人が、ダブルデートなんかもしていかはります。

小柳君と聖花ちゃんは、東京からのビジター。桜田君も東京から久々に、故郷・名護へ帰ってきたっちゅうことになっとります。

名護ネイティブは、波瑠ちゃんだけ。

2人のビジターが作る偶然が、ラブ・ドラマを推進するんやけど、かつてのテレビのトレンディー・ドラマな恋愛映画に、ハマッた方は、文句なしに楽しめる作りになっとります。

キス・シーンでエンディングを迎える、恋愛映画の王道節にもうなれますで。

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唐突なとこもあるにはあるけども、波瑠ちゃんが、最後の方ではたと何かに気づき、スロー・モーションで走るシーンは、

「ザ・エージェント」(1996年・アメリカ)のトム・クルーズを思い出させるような、ハッとするシーンどした。

波瑠ちゃんの、戸惑いや迷いを示す、ぎこちない受け答えや、「はあ?」やら、会話の間合いなど、巧妙に演技してはりまして、

また、アップとロングショットのバランスも良く、好感度の高い演技を見せ続けてくれてはります。彼女のナレーションもエエ感じ。

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名護市のガジュマルの木が、シンボライズ的にしょっちゅう出てまいります。

また、海シーン、桜シーンなども、自然描写的に美しおます。

さらに、印象的やったんは、サントラ部やろか。

ピアノ・ソロの切なさ。そして、ボサノバティックな、ギター・サウンドの癒やし感。

ゆったりしっとりと、あと味のいい作品どしたえ。

2014年8月16日 (土)

「鬼灯さん家(ほおづきさんち)のアネキ」⇒週末日本映画劇場1

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義理の姉弟のキズナが、お色気モードを濾過して描かれた快作

変形三角関係構図が、ドラマを転調の連続へ

http://www.hozuki-movie.jp

9月6日の土曜日から、KADOKAWAはんと、SPOTTED PRODUCTIONSはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014『鬼灯さん家のアネキ』製作委員会

四コマ漫画が原作どす。

童貞っぽいおぼこい男の子が、セクシーな女と出会って、悩ましき妄想に悶えてしまう映画なんちゅうたら、

これまでにも、イロイロあったかと思うけど、そんな映画の中でも、本作は特殊。

童貞らしき男と女2人しか、ほとんど出ない作品やから、どないあっても、三角関係なドラマ映画になってまいります。

ちゅうことで、そんな悩ましき男たちを描いた邦画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば披露しよりまするに…。

●ベスト⇒①本作②の・ようなもの(1981年)③青春の殺人者(1976年)

●カルト⇒①童貞物語(1986年)②悶絶!!どんでん返し(1977年)③正午なり(1978年)

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●カルト①と本作以外は、ベスト②カルト②の日活作品、ほんで、ベスト③カルト③のATG作品となったけど、

本作は、シビアなATGやなく、お色気路線の中に、ペーソスや人情がある、日活路線を踏襲してはるように見えます。

それでいて、カルト①のような、コメディ・タッチもありまんねん。

さてはて、オトンは一緒やけど、オカンが別々の、腹違いの姉と弟が、2人だけで一つ屋根の下で、同居するちゅう設定から、本作は始まります。

義理の関係の2人てゆうたら、姉妹・兄弟・姉弟・兄妹の4パターンしかないんやけど、本作はありそうでなさそうな、姉弟パターン。

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市川崑監督の「おとうと」(1960年)や山田洋次の「おとうと」(2010年・弊ブログで分析済み)なんかは、実の姉弟パターンやったけど、

本作はネーちゃんが、しょっちゅう家で水着姿の露出ぎみで、高校生の弟を悩ましくさせやるけど、

そういうセクシーさは、実は映画のキモではなく、あくまでフィルターとして、あるいはフックとして使われておます。

姉弟のキズナへと、着地するスタイルは、「涙(なだ)そうそう」(2006年)の、義理の兄妹(妻夫木聡と長澤まさみ)の話や、2作の「おとうと」の感動と、遜色のない仕上げを示してはります。

ほんでもって、ゆうてみたら、モノゴッツーナイーブな作品やねん。

主人公と同級生の佐藤かよ(写真上から4枚目)の、つつましき演技など、思春期のナイーブを表現。三角関係のサプライズ部でも魅せます。

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モチ、弟役・前野朋哉を、悩ましくさせたり、挑発的行為をしたりしながらも、好感度の高いキズナぶりを、絶妙に披露しやはる、谷桃子(写真2枚目)ネーさんは、特筆演技やと申せましょうや。

2人で食卓で食べるシーンの多さも、かつての家族映画へのオマージュがあるし、

テントの中で2人で寝たり(写真5枚目)、会話を魅せるツーショット・シーンの多さなど、キズナ映画の粋へと導いてくれはります。

ラストロールでかかる、元フライングキッズの浜崎貴司が歌う、ギター・フォークな「家族」とゆう曲の、熱唱ぶりやらも余韻を深めますで。

若者群像劇映画の傑作「サッドティー」(2014年・弊ブログで分析済み)に続く、今泉力哉監督の今年の第2弾。

家族映画の新味はモチ、三角関係ドラマの新しいスタイルも、構築した1本どした。

2014年8月15日 (金)

アメリカ映画「アイ・フランケンシュタイン」

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フランケンシュタイン映画の進化型か

天使と悪魔の対決の構図に、正義の味方フランケンが登場や!

http://www.ifranken.jp

9月6日から、ポニーキャニオンはんの配給によりまして、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都やらで、ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC AND LIONS GATE FILMS INC.

フランケンシュタインちゅう、モンスターについて、みなはんは、どこまで知ってはるやろか。

ゾンビのようでゾンビやないけど、いちおうは人造人間。

ほんで、フランケンシュタイン博士が作ったんで、その名が冠された怪物どす。

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ちなみに、戦前(第二次世界大戦前)には、ハリウッドでは、モンスター映画として、3大がありました。

全部ユニバーサル映画やけど、「キング・コング」(1933年製作・アメリカ映画)は別格として、狼男、吸血鬼、ほんで、フランケンシュタインどす。

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その3大の応用編や亜流としての映画は、戦後に多数作られてまいりました。

狼もんはあんましないんやけど、吸血鬼が最も多く、それに続くんがフランケンでおます。

モンスターやから、基本は悪なんやけど、時に、正義のヒーローとして、転化する場合がありまんねん。

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吸血鬼もんでは、「トワイライト」シリーズ(2008年~2012年・アメリカ)が、ヒーローとゆうか、好感度の高いとこで、ラブ・ストーリーとしてのサプライズで、披露されました。

ほんで、狼男も「トワイライト」でも、エエ感じやったけど、ユーモアチックな「狼男アメリカン」(1981年・アメリカ)やらでも、オトロシーやないとこで、みなはんの好感を呼んでまいりました。

けども、フランケンは何でか知らんけど、これまでは悪者イメージでしか、機能しとりまへんでした。

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ところがどっこい、21世紀の今になって、遂にとゆうか、ようやくとゆうか、フランケンが正義のヒーローとして、描かれる時が訪れましたがな。

しかも、天使と悪魔とゆう対決の構図の中で、もともとは感情のない人造人間たるフランケンが、正義とゆう名目に覚醒しはるんどす。

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そのきっかけは、フランケン役のアーロン・エッカートのアニキが、リケジョ理系女子の女博士役、イヴォンヌ・ストラホフスキーちゃんとの出会いがポイントでおます。

彼女を守りたいと思たとこから、正義のヒロイズムは始まっとります。

愛しの女を守るために戦うとゆう、カビのはえまくった理由・動機が、今だからこそ、新鮮に見えたりしよりまっせ。

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イヴォンヌちゃんはセクシー度は、それほど見せへんけど、魅力的なリケジョ役に扮してはります。

アクション・シーンでも、清楚系をキープ。

もっとバカバカしく弾けてほしいと思たけど、スカーレット・ヨハンソンやらと堂々と、渡り合えるセクシー感が、十二分にあるやろとか見ました。

次が楽しみどす。

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主人公のアーロン・エッカート。初のスーパー・ヒーロー役を、ソツなくこなしてはります。

スパイダーマンやバットマンやらとは違う、フランケンらしいワイルド感を、ググッと押し出したカンジどす。

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「美女と野獣」といったセンスもあるし、醜悪なモンスターのヒーロー系とゆうとこで、

ハラハラドキドキの、正義のアクション・ドラマが展開しよります。

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薄ブルーの冷色使いと、炎などを使ったオレンジ・セピアな暖色使いの対比なんぞも、渋く光っておます。

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妖しのハードロックな女ボーカル・ナンバーや、ニューウェイヴ的シンセ使いの、重たいスローなど、

天使と悪魔とフランケンとゆう構図に、見合ったサントラ使いにも注目や~。

ちゅうことで、フランケン映画の進化型が、楽しめる逸品でおました。

2014年8月14日 (木)

「チャイナタウン」⇒新・午前十時の映画祭から

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私立探偵ものサスペンス・ミステリーの隠れた名作

ロマン・ポランスキー&ジャック・ニコルソン&フェイ・ダナウェイ

10月18日~10月31日。TOHOシネマズ日本橋、立川シネマシティ、TOHOシネマズ二条やらで、午前10時から1回上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

アメリカの私立探偵ちゅうたら、日本では興信所員やらになるんやけど、でも、フィクションとしての探偵ものも、ちゃんと存在しとります。

そこで、日米の探偵もの映画の、マイ・ベスト・スリー・プラスワン(各順不同)をば、チョイ比較考察してみまひょか。

●アメリカ⇒①本作(1974年製作)②マルタの鷹(1941年)③ロング・グッドバイ(1973年)★エンゼル・ハート(1987年)

●日本⇒①犬神家の一族(1976年)②燃えつきた地図(1968年)③屋根裏の散歩者(1976年)★探偵はBARにいる(2010年)

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●探偵主演映画は多々ありまんので、もっとベスト・フィットな作品があるやろかとは思いますが、これは思いつくまま気の向くままの選択でおますんで、あしからず。

アメリカでは私立探偵業が、職業として認められとりますんで、その種の映画が、ハードボイルド・ジャンルを起点として、メッチャ出てきておます。

原作ものとしては、アメリカの2大巨匠、ハメット原作②、チャンドラー原作③が、オーソドックスやけど、一ポイントやろか。

一方、日本では、金田一耕助の①やら明智小五郎の③など、調査・推理する探偵を始め、現代的にアクションもしはる、プラスワン「探偵は…」やらがあるけど、

日本的に地に足付いた、興信所ものの②などは、それほど目立っておまへん。

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でもしか、アメリカでは、ハードボイルドをベースに、私立探偵ものは刑事ものほどではないけども、進化型が次々に作られておるんどすえ。

チョー進化型のプラスワン「エンゼル…」は別にして、本作なんぞは、映画オリジナルにして、ハメット・チャンドラー原作ものを、ひょっとして凌駕するかもな~な作りになっとるんが、

映画としての威信を示して、爽快にして傑作でおます。

今では、むしろ隠れ名作とゆう位置づけが、できるやもしれまへん。

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当時、ハリウッドで活躍してた、ロマン・ポランスキー監督の、ホラー映画の金字塔「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)と比肩する、私立探偵ミステリーの最高傑作どす。

探偵役のジャック・ニコルソンは、1970年代から1980年代にかけて、キャリアのピークを示してはったんやけど、

70年代はフリーキーでワイルドで、メッチャなシブミで魅せてくれはりました。

オスカー主演男優賞の「カッコーの巣の上で」(1975年)の、前兆となるワイルド感が、エエカンジやねん。

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「ブラック・ダリア」(2007年)に大いなる影響を与えたところの、サプライズを演技する、フェイ・ダナウェイのネーさん。

妖しの怪しい女優演技は、これまでに数限りなく出てきとるんやけど、本作は、1970年代のハリウッドを代表する、演技派女優やったネーさんの、まさに本領発揮の1作やったと申せましょうか。

タフガイのニコルソンとは正反対の、静なる怪しの演技にググッときよりますで。

環境汚染を絡めた展開なんぞも、1930年代の話ながらも、今も古さを感じさせない仕上がりや。

ハメットやチャンドラーにも負けない、映画としてのオリジナル性に、魅かれてしもた作品どした。

2014年8月13日 (水)

オーストリア映画「クライマー パタゴニアの彼方へ」⇒ロック・クライミング・ドキュメンタリー

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山岳ドキュメンタリーも、ロック・クライマーの実話どす

「クリフハンガー」並みの、臨場感がこたえられまへんで~

http://www.climber-movie.jp

8月30日の土曜日から、シンカはんの配給によりまして、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Red Bull Media House GmbH

山岳ドキュメンタリーや、山岳ドラマ映画は数々あれど、岩壁をよじのぼる、ロック・クライミングのドキュっちゅうたら、ほとんどありまへん。

ボクが見る範囲やねんけど、本作が初めてなんやないかな。

ドラマ映画やったら、クリント・イーストウッド監督・主演の「アイガー・サンクション」(1975年製作・アメリカ映画)や、

大ヒットしたシルベスター・スタローン主演の「クリフハンガー」(1993年・アメリカ)やら。

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ほんでもって、映画に一部取り込んだシーンを入れたら、そらもーモノゴッツーな、タイトル数になってまいります。

けども、本作はそこんとこがメイン。

世界イチバンヤーの高さにして、パタゴニアにある絶壁の岩山「セロトーレ」に挑むクライマーの、その詳細が、リアリティー満載で届けられるんが、本作でおます。

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オーストリア出身で、1990年生まれのデビッド・ラマ君(写真上から6枚目)の、この世界最高峰の岩山へのチャレンジが、詳細かつビビッドに描かれてまいります。

ただ、ビビッドちゅうても、ドラマ映画的にメッチャなアクションで、捉えられてはおまへん。

さらに、岩山でも、どこからよじ登るか、ちゅうとこにも焦点がありまんねん。

エベレストやK2やったら、登攀ルートがあるけど、岩山はどこから登ってもOK。

でもって、本作では、最難関と言われとるルートに、チャレンジしはりました。

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登る2人にカメラを装着し、登るシーンが近接撮影で描かれると同時に、登るシーンをヘリで全体図を捉えて、

いわば近接・遠景カットが、バランス良く編集されてゆくとゆう、作りになっとります。

ゴーグル的な薄グリーンの映像と、俯瞰シーン、セピア・シーンなども束ねられて、「クリフハンガー」などには出せない、臨場感とゆうより、ドキュならではのリアル感がありました。

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それによって、映画では今までに、捉えられなかったようなシーンが現出しとります。

それも、さりげなく登場してくるんで、オッオッと、そのたんびに、ボクは見ながら唸っておました。

中でも、実際のロック・クライミングを見せる、ヘリ撮影の移動空撮シーンやろか。

ハリウッド映画でも、CGやVFXやなくて、スタントマンを使っても、ここまでのリアルな映像は、クリエイトできないんとちゃうやろか。

つまりは、ホンマモンにしか出せへん映像が、満載やねん。

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サウンドトラックも、後押しや。

ギターの弾き語りナンバーの哀愁、弦楽オーケストラで奏でられる壮大なカンジ、8ビートロックの、男のロマンなノリノリ感。

ケッコー、サントラが、ドキュとはいえ、ドラマティックに寄与してはります。

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また、ロック・クライミング、フリークライミングに初心者の方にも、ダイジェスト・シーンなんかで、分かりやすく伝えてくれる作りが、エエんどすえ。

モチ、デビッド・ラマ君の岩登りは、メッチャなクライマックスでおますが、その後に登りきった5人が、狭い岩山山頂に立つシーンが、俯瞰で映されて、ググッときよりました。

ロック・クライミングをテーマにした映画の、最初の傑作です。

2014年8月12日 (火)

カナダ映画「物語る私たち」⇒衝撃の家族ドキュメンタリー

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女優・監督のサラ・ポーリーの、プライベート・フィルムながら、

トンデモなミステリー・ドキュとしても見られます

http://www.monogataru-movie.com

8月30日のサタデーから、ユーロスペースはんの配給によりまして、渋谷・ユーロスペース、シネ・リーブル梅田やらで、全国漸次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 National Film Board of Canada

カナダ出身・女優兼映画監督の、サラ・ポーリーのネーさん(1978年生まれの、2014年で36歳)て、みんな知っとるか~。

全然知らんでも、本作の鑑賞には何ら影響はありまへん。

知ってる方は、本作のネタも、知ってはるかもしれんけど、まあ、一部ニュースでも流れとったけども、

でもしか、その見せ方においては、知ってても、サプライズを喚起する作りをばしてはります。

自らのドッキリ部を、自らの監督で赤裸々に、暴いてゆくっちゅうタイプの、ドキュ映画なんやけど、

これが何と、ミステリー映画としての、ハラハラドキドキを兼ね備えた、ある種の怪作となりました。

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いちおう、サラ・ネーさんの、舞台女優やった、オカンのダイアン・ポーリーはんを、採り上げた映画でおます。

自分のオカンやオトン、ほんで兄弟姉妹やらを描いた、ドラマ&ドキュ映画ちゅうのんは、それなりに出てまいっとります。

後日分析するドキュ「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」(9月27日公開)なんかも、娘はんがオカンのことを、映画で描くちゅうスタイルなんやけど、

こちらは、フツーのように始まりながら、やがてミステリアスなタッチへと流れてゆき、

サプライズやら、ドラマティックやらなとこを披露してゆくとゆう、ドキュよりもドラマ映画で撮った方が、衝撃はもっとスゴイんやないかなと、思えるような映画どした。

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最初はオカンとオトンのなれ初めやとか、サラ・ネーの親戚縁者が、アフレコの吹き込みスタジオに集結しはって、

何やら家族の交流でも、ヤラカスんかいやとゆう、雰囲気もありつつ、やがて徐々に、メインの謎へと食い入っていく構成どす。

そこには、わざとらしさはなし。まさに、自然体で流れてゆくスタイルどして、このあたりの作りは、フツーのドキュを超越しとりました。

一言でゆうたら、オカンの恋愛遍歴と、サラ・ネーの実のオトンは、誰やねんとゆう謎を、サラリと描いてゆかはります。

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衝撃的なハズなんやけど、何でかそのサプライズやらが、ドッカーンとこない。

それは、たぶん、当事者のサラ・ネーさんが、さほど驚いてはらへんとこに、起因するんかもしれまへん。

むしろ、実のオトンが分かってからの展開が、本作のキモとなるとこやろかと思います。

家族のキズナなど、この種の映画にありきたりなとこへと、流れていかへんとこも、新味がありましたやろか。

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オカン・オトンの出会いの、きっかけとなった演劇を、その映画版「ああ結婚」(1964年製作・イタリア&アメリカ)になぞらえて語ったり、

オカンが42歳で妊娠した1978年を、1つの謎めきファクターにして、いろんな関係者にサラ自身が、聞いてゆくところのオン・パレードは、

「デブラ・ウィンガーを探して」(2002年・アメリカ)みたいな、サスペンス感がありました。

そういえば、「デブラ…」も、女優監督のロザンナ・アークエットがメガホンを執ってはりました。

個人的なことをゆうと、1970~1980年代を描く、8ミリやけど、ざらついたフィルム質感が、映画的ノスタルジックを、妙に誘ってきはりました。

ひょっとして、サラ・ポーリー監督の最高傑作になったかもしれまへん。

2014年8月11日 (月)

フランス映画「グレート デイズ!-夢に挑んだ父と子-」

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映画史上初の、トライアスロン映画かもしれまへん

父と車椅子の息子コンビが挑む、スポーツ・ドラマ映画の快作

http://greatdays.gaga.ne.jp

オーガスト8月29日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ西宮OSやらで、ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 NORD-OUEST FILMS PATHE RHONE ALPES CINEMA

フランス映画でスポーツ映画てゆうたら、アメリカ映画に比べたら、記憶に残るべき作品は、そないありまへん。

でもしか、ここに、父子のキズナをベースにした、スポーツ映画が誕生いたしました。

しかも、ボク的には初めて見る、トライアスロン映画なんやけど、かつてドキュはあったかもしらんけど、おそらく映画史上初の、トライアスロン・ドラマ映画とちゃうやろか。

しかもしかも、ヘヴィーで過酷な、アイアンマン(鉄人)レースなんでおますよ。

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ボクシング映画「ロッキー」(1976年製作・アメリカ映画)をデジタルテレビで、親子で見るシーンがあるんやけど、

裏読みすれば、本作はそんな「ロッキー」を意識しはった作品なんやないやろか。

ハリウッド映画なスポーツ・ドラマっぽさもあり、ハッピー・エンドの爽やかさなんかも、そのあたりを裏付けます。

また、「ロッキー」的には、練習ダイジェスト・シーンなどで、使われるサントラ使いが、「ロッキー」みたいに高揚感あふれるもんやないけども、

デジロックを始め、シンセとドラムのタイト感や、さわやか系の音をクリエイトしはって、メッチャカッコええわあ~。

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歩けない障害者の息子、でも、メッチャ明るい。

むしろ、失職してしもたオトンの方が、暗いねん。

息子のことを、心配し続けてはるオカン。時に悪人やと言われても、息子を保護してまいります。

で、自立してはるアネキ。弟に贈る、美化されたコトバやけども、弟への愛があふれておました。

そんな家族の物語としても、本作は機能しておます。

でもって、トライアスロンへの参加は、息子からの希望やったけど、オトンの強さを見せたるでーな、映画にもなっとりました。

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トライアスロンちゅーたら、水泳、自転車、マラソンがミキシングされておます。

父子2人で参加するちゅうても、息子は障害者やから、はっきりゆうてオトンにしてみたら、お荷物。

息子とゆうハンデを背負った上で、1人でガンバらなあきまへんねん。

でも、オトンはそんなことは、微塵も言わはりまへん。

かつて途中棄権してしもたトライアスロンに、息子を抱えて挑む姿は、まさに「ロッキー」の、アメリカン・ドリーム・ヒーローならぬ、

これぞ必死のパッチの、フレンチ・ヒロイズムを体現してはります。

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さてはて、本作は海への空撮から始まりま。

空撮シーンや俯瞰撮影シーンは、ケッコーありましてな、ここぞとゆう時に、フック的に使われておます。

また、練習シーンでの流麗な映し方とか、海・滝・緑・山々など、フランスの美風景ショットが捉えられて、フッと癒やしや憩いをば、カンジさせてくれはります。

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「最強のふたり」(2012年・フランス)と同じく、障害者とのキズナを描いておます。

友情節の「最強のふたり」に対し、本作では父子のキズナ。

共に、感動的なラストがあります。

そやから、「最強のふたり」にココロ震えた方々は、絶対見にいかなあかん、作品やと思います。

2014年8月10日 (日)

韓国映画「さまよう刃」⇒復讐劇ミステリーの傑作

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東野圭吾原作日本映画の、韓国リメイク版第3弾や

犯人役チョン・ジェヨンと、刑事役イ・ソンミンの、スリリングな丁々発止や

http://samayouyaiba.net

9月6日のサタデーから、CJ Entertainment Japanはんの配給によりまして、東京・角川シネマ新宿やら、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、9月20日の土曜日から、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

復讐劇映画は、これまでに多数作られておます。

そんな中で、韓国映画に限って、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露しよりますと…。

●ベスト⇒①オールド・ボーイ(2003年)②サマリア(2004年)③復讐者に憐れみを(2002年)

●カルト⇒①本作②テロ、ライブ(2013年・弊ブログ7月24日付けで分析)③悪魔を見た(2010年)

●世界の映画祭で賞をゲットしたベスト①②。女復讐もの「親切なクムジャさん」(2005年)なども撮ってる、復讐劇の名手、パク・チャヌク監督のベスト①③。

ベスト①も異能の復讐ぶりやけど、カルトはフツーの復讐劇やないもんを採り上げました。

とことんエグかったカルト③、メディアを使ったカルト②。ほんで、本作は警察との三つ巴による、スリリングな展開。

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さてはて、日本原作(小説・コミック・映画)もの韓国映画にも、目を向けてみまひょか。

そのマイ・ベスト&カルト・スリー(順不同)。

●ベスト⇒①オールド・ボーイ②容疑者X(原作は「容疑者Xの献身」・2012年・弊ブログで分析済み)③本作

●カルト⇒①カンナさん、大成功です(2006年)②白夜行(2011年)③凍える牙(2011年・弊ブログで分析済み)③僕の、世界の中心は、君だ。(2005年)

●コミック原作のベスト①カルト①。

でもしか、コミックよりも、カルト③「僕の、」の「セカチュウ」リメイクの、文学系もあるんやけど、日本のミステリー小説からの映画が、目立っておます。

しかも、直木賞ゲット原作は、ベスト②とカルト③「凍える牙」。

中でも、東野圭吾はん原作もんは、特注やろか。ベスト②カルト②に、第3弾として、本作がリメイクされました。

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そして、東野圭吾ものは、日本で映画化されて、その韓国映画リメイク版とゆうカタチをば、3作にわたって取ってはります。

作を日本版と比較してみますと、出来としては、こちらの韓国版の方が上やと、ボクは思います。

日本版の復讐者犯人役の寺田聰は、落ち着いた演技ぶりやったけど、こっちのチョン・ジェヨンは、作品に見合ったエキセントリックさ。

日本版の刑事役の竹野内豊の、スマートなカンジは、こっちのイ・ソンミンでは、悩ましさを打ち出した苦悩の演技ぶり。

2役は間違いなく、原作にメッチャ似合っておますよ。

しかも、クライマックス部は、原作にはないとこを打ち出して、映画オリジナルなとこを示さはります。

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ケータイ、スマホでのやり取りが、ストーリーを進ませてゆくとこも、新味どすやろか。

ラスト・シークエンスの、2人の刑事のセリフのやり取りやらも、映画の余韻を深めます。

冬の韓国らしい、冷え冷えとした空気感を、織り込んだ薄色配色。雪降るペンション街など、意外にダークな配色も、作品性に合っておます。

過去シーンは、フラッシュ的カットが多いけど、長めに見せるシーンでは、明るい色彩感になっとるとこも、エエカンジやねん。

でもって、サントラはピアノ、弦楽オーケでしっとりも、スリリングなとこでは、畳み掛けるようなシンセと打楽器で、ググーンときよりまっせ。

ちゅうことで、復讐ミステリー映画の会心作でおました。

2014年8月 9日 (土)

日本映画「ハニー・フラッパーズ」⇒キャバクラ映画の爽快作

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11人のキャバクラ嬢を描いた群像劇どす

ヤラシーさより人情節に満ちた、癒やしある快作や~

http://www.honeyflappers.com

9月13日の土曜日から、アイエス・フィールドはんの配給によりまして、東京・シネマート六本木やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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大人の女たちの群像劇てゆうたら、日本映画界だけを見てみても、ケッコーイロイロ出てまいりました。

でもしか、女子学園ものには、傑作はあんねんけど、大人バージョンは、傑作とゆうのんがそうないのんも、玉にキズなジャンルどす。

どちらかとゆうたら、男性ファンを取り込むようなカタチで、お色気路線が多いのも特徴的やろか。

海外では、ミュージカル「8人の女たち」(2002年製作・フランス映画)など、お色気なしの傑作もあるんやけど、

そんな中で、邦画の女群像劇(学園ものも含む)の、マイ・ベスト&カルト・スリー・プラスワン(各順不同)をば、思いつくままに披露させてもらいます。

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●ベスト⇒①女の園(1954年)②櫻の園(1990年)③極道の妻たち(第1弾は1986年)③女囚さそり(第1弾は1972年)

●カルト⇒①本作②すべての女に嘘がある(2012年・弊ブログで分析済み)③華魁(おいらん・1983年)③プレイガール(2003年)

●ベスト①②のような女子学園ものは、定番の安定型やと思うし、シリーズ化されたベスト③「極道」など、大人気になったんもあります。

「キル・ビル」(2003年・アメリカ)に影響を与えた、女刑務所ものベスト③「女囚さそり」シリーズも入れたけど、ベストは主に、本格的女もの群像劇だす。

でもしか、カルトは男たちをそそる系にしてみました。

本番もやってる、ハードコアなカルト③「華魁」。

女たちが容疑者となる、ミステリーのカルト②。女たちが探偵アクションするカルト③「プレイガール」。

ほんでもって、本作は、キャバクラ嬢たちの群像劇が展開してまいります。

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でもしか、ポルノチックを見たい男の方にとっては、残念ながら、ヤラシー・シーンはほとんどありまへんねん。

むしろ、男向きよりは、女向きになっとるような、仕上げを示してはります。

ちゅうのは、女たち同士の駆け引き・相克・連帯なんぞが、描かれとりますんで、

女たちの人間関係や絆が、女の方には、凄く分かるようなタッチで描かれとるんやな、これが。いや、多分。

20代の若き女性監督・笹木恵水ネーさんが、監督してはんのも、女性のキモチを描くには、ベストなカンジどした。

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女たちのキャバクラに対し、最近では、「東京難民」(2014年・弊ブログで分析済み)みたいな、男のホストクラブもんも出てきとります。

でもしか、やっぱ、女性群の方が、ボクチンを含めた男どもには、出来は別にして、メッチャエエねん。

ヒロイン役の坂口杏里ちゃん。スリム・イズ・ビューティーで、就活のまにまに、バイトでキャバ嬢やってまうとこの、自然体・天然系のうまさ。

ナンバーワン嬢の矢吹春奈(写真一番下)ネーさんの、キリリとしたカッコヨサ。

JOYと恋する、森下悠里(写真上から5枚目)ネーの、癒やしなカンジ。

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ほんでもって、メインの人情節を披露するとこでは、川村ゆきえネーさんが、デッカイポイントゲッターになってはります。

松村邦洋や、バンド「湘南乃風」のリーダー高崎修一の、チョイ出演も楽しめまっせ。

キャバクラの照明作り、丸い光の集まりなど、夜の女の仕事ぶりを示すための、細部も緻密な作りや。

でもって、サントラ部。

アコースティック・ギターのテンポある快曲、片平里菜ちゃんの曲や、

ラストロールで流れる、キャッチーなポップ・ダンス・ナンバー、女の子アイドル・グループ「Honey Flappers」が歌う「Believe myself」など、ノレる曲も流れてまいります。

とにかく、癒やしと元気をくれる、快作なんどすえ~。

2014年8月 8日 (金)

韓国映画「チング 永遠の絆」⇒「友へ チング」の続編

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前作以上に、アクション・バイオレンス・シーンが、大増量やで~

歴代韓国映画のベスト・スリーに入る、大ケッサクどす

http://www.ching-kizuna.com

9月6日の土曜日から、東京テアトルはんと日活はんの配給によりまして、テアトル梅田、シネマート心斎橋やらで、全国漸次のロードショーどす。

本作は「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

あの韓国映画の大ヒット作にして、ケッサク印の「友へ チング」(2001年製作・韓国映画)の、何と12年ぶりとなる、続編でおます。韓国本国で大ヒットした作品どす。

ちゅうことで、ここで、歴代韓国映画の、マイ・ベストテン(順不同)をば、披露さしてもらいま。

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①本作(2013年)

②オアシス(2002年)

③シュリ(1999年)

④オールド・ボーイ(2003年)

⑤春夏秋冬そして春(2003年)

⑥グエムル 漢江の怪物(2006年)

⑦猟奇的な彼女(2001年)

⑧殺人の追憶(2003年)

⑨JSA(2000年)

⑩風の丘を越えて(1993年)⑩友へ チング⑩息もできない(2009年)

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●韓国映画が日本で、次から次へと公開されとった、2000年代前半の作品が、主流になっとりますが、

最近は、韓国映画の公開が、少なくなってきとりまして、なかなかケッサクをば、見させてもらえへん時期が続いとりました。

でもしか、本作が韓国映画の閉塞した状況を、ドッカーンと解消してくれはりました。

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過去をば見てみよりますと、南北問題を入れた③⑨、ラブ・ストーリー②⑦、パニックもの⑥、ミステリー⑧、アート系⑤などと出とりましたが、

本作はおそらく、韓国映画史上初の、本格的ヤクザ映画になっとるんやないやろか。

前作でも確かに、ヤクザ映画なタッチはあったけど、

本作ではさらに進化させはって、日本の「仁義なき戦い」(第1弾は1973年)と、肩を並べるようなケッサクになっとります。

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前作で、チャン・ドンゴンが演じた友を、殺した罪で、ムショ入りしたジュンソク(ユ・オソンのアニキ=写真2番目の左)が、17年のお勤めをやらはって、めでたく出所しはります。

この17年の時を示すために、たぶん長らく続編が、作られへんかったとこでおましょうか。

その前に、かつて付き合った女が面会に訪れ、自分の息子(チュ・ジンモ君=写真4枚目・5枚目)が暴れて、1年の刑期でムショ入りしてもうたんで、面倒見たってと、依頼されはります。

でもって、ジュンソクと、息子の付き合いが始まります。

ほんで、共に出所して、2派に分かれたヤクザ組織の抗争が、始まるっちゅう展開どす。

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ジュンソクのオトンの、1960年代のヤクザ組織立ち上げをば、「ゴッドファーザーPARTⅡ」(1974年・アメリカ・弊ブログ内検索で出ます)のように、プレイバックしもって、

いわゆる変形3世代の、ヤクザの系譜を示すとゆう、大河ドラマ風な味付けがなされておます。

ほんで、ナンチューても凄いのは、空中戦の銃撃戦を一切排し、バットやナイフや体一つで、対決するとゆう、ガチ・バトル・シーンの連続に、目が点になってまいます。

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ベストテン抗争バトル・シーンを、出せるくらいのモノすさまじさどして、

こんだけ生身の激闘シーンを、盛り付けはったんは、映画史上初めてなんやないやろかと、思えるくらいなんどすえ~。

そして、後半に明かされる、息子チュ・ジンモの出生の秘密。

それにまつわるサプライズなど、男たちのやる瀬なさが胸を打ちます。

ちゅうことで、韓国映画久々の大ケッサクをば、お楽しみくだされ。

2014年8月 7日 (木)

台湾映画「効遊 ピクニック」⇒ツァイ・ミンリャン最後の作品

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多投される固定の長回し撮影や、サントラが流れへん映画どす

果たしてあなたは最後まで、居眠りせずに見れるやろか、どないや?

http://www.moviola.jp/jiaoyou/

東京では、ムヴィオラはんの配給によりまして、8月下旬に全国漸次の公開。

大阪やったら、9月6日の土曜日から、シネ・リーブル梅田やらで上映どす。

本作は、フランスとの合作となった台湾映画138分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Homegreen Films & JBA Production

漂流する家族映画。いわゆる、ホームレスな3人家族。オトンと、息子・娘の幼い兄妹。

そんな3人家族の生活を描く映画ちゅうたら、モノゴッツー分かりやすいやんかと、みなはんは思わはるかもしれまへん。

その種の映画はこれまでに、多数出てまいりました。

コドモたちも描く映画やて標榜してはるけど、今までのその種の映画とも違っとります。

また、家族映画やなくても、ホームレス系では、チャップリンの「キッド」(1921年製作・アメリカ映画)みたいな名作もあるけど、そういうのんともかなりと違っておます。

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はっきりゆうて、ワケの分からへん映画どす。

ツァイ・ミンリャン監督作品。しかも、これが引退作やとゆうてはります。

ツァイ・ミンリャンやて、みんな知っとるかー。

ゆうても、ゴリゴリの映画ファンやったらまだしも、首を横に振るしかないわなー。

「河」(1997年・台湾)や「Hole」(1998年・台湾&フランス)やらが、ミニシアターで公開されて、国際映画祭での受賞や、映画評論家筋でも評価は高いんやけども…。

本作も、世界3大映画祭の1つ、ヴェネチア国際映画祭で、審査員大賞をばゲットしてはります。

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ストーリーとゆうより、設定を言いますと、3人の浮浪家族が、空き家を転々として生活。

オトンは写真上から4枚目にあるように、看板持って立ち続ける仕事をやってはります。夜の方やなく、マットーな不動産系やらの看板。

そんな仕事が今どきあるんかどうかはアレなんやけど、コドモたちは、学校にも行かんと、スーパーの試食をやったり、海辺やらで遊んではりまんねん。

路頭で3人で弁当を食べて(写真5枚目)、公衆トイレで歯磨き・洗顔、ほんでもって、空き家へ行って就寝や。

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当たり前の日常生活シーンが、2分以上のほとんど固定の、長回し撮影によって披露されてまいります。

描かれとるんが、ドッキリなとこのないシーンの連続なんで、この種のアート映画に慣れてない人は、ついつい睡魔に襲われるやもしれまへん。

けども、踏ん張って見ても、トンデモない何かを感得できるわけでもありまへん。

悩ましきアート映画やけど、でもしか…、と言いたいところやけども…

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ワケ分からへんシーンが、頻出しよります。

そのベスト・スリーをゆうと、①主人公のオトンの、看板持ちバイト・シーン②廃墟での、おばはんの挙動③主人公がキャベツをベッドでかじるシーン。

首をひねってまうシーンが、ケッコーあるけども、まあ、これがアート映画ちゅうもんどす。

みなはんそれぞれに、見て考えてもらいたいちゅうシーンが多いねん。

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監督的には、現代(あくまで台湾の)や孤独を、描こうとしたとゆうてはります。

そやから、家族のキズナ部なんかからの感動は、ほとんどありまへん。

廃墟にある岸部を描いた単色の壁絵に、女が魅せられ涙する、女と主人公との、ツーショットのアップで見せる、10分以上の長回し撮影シーン(写真2枚目)や、

女が去ってから、男が1人たたずむ長回しシーン(写真3枚目)など、強烈にワケ分からん感を、観客に植え付けはります。

ワケ分からんけど、でも、凄いわ。観客をうーんと、深く悩ましくうならせる映画として、本年度ナンバーワンでおましょうか。

ちゅうことで、家族映画を通して孤独を描いた、映画史初の作品でおました。

2014年8月 6日 (水)

「坑道の記憶~炭鉱絵師・山本作兵衛~」⇒人間ドキュメンタリー

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日本初のユネスコ世界記憶遺産アーティストを描く

斉藤由貴の優しいナレーションに導かれて

http://rkb.jp/koudou_no_kioku/

9月20日の土曜日から、RKB毎日放送はんの配給・製作によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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2011年に、日本初のユネスコ「世界記憶遺産」に登録されたアーティストの、人間ドキュメンタリーどす。

「世界遺産」に対し、永遠に人々の記憶に残すべき、歴史的に貴重な文書やらを、選んではるこの登録。

過去には、本作でも語られるんやけど、「アンネの日記」やら、ベートーベンの交響曲第9番の自筆楽譜やら、グリム童話の原画やら、モノゴッツー有名なんが選ばれておます。

そんな中で、日本からは、なんとほとんど無名に近い、炭鉱労働者の絵師・山本作兵衛(1892年~1984年)はんの作品群が選ばれました。

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なんでやねん?やけど、本作を見れば、ようよう分かるようになっとります。

今はなき福岡県の筑豊炭坑の様子を、炭鉱で働きながら、しかも50歳代半ばになってから、描き続けはった作兵衛はん。

筑豊炭坑を描いた映画てゆうたら、ボクなんかは「青春の門」(1975年製作)やらを思い出しま。

でもしか、ドキュやけど、この作兵衛はんを、ストレートの直球で描いたんは、本作が初めてやありまへん。

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「炭鉱(ヤマ)に生きる」(2004年)ちゅう、ドキュがありました。

その意味では、記憶遺産登録前・登録後とゆうカタチの2部作として見れんこともないけども、残念ながら「炭鉱…」はDVD化されておまへん。

しかし、本作は「炭鉱…」以上に、作兵衛はんの作品を見せるところに、比重を置いてはります。

また、親戚縁者や親しかった人たちへの、インタビューも多数収録されておます。

女たちの上半身ハダカになっての坑道作業など、サプライズな逸話や、それに従事しはった、今や100歳を超えた老女へのインタビューなど、細部の深みを感じよりました。

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ほんでもって、正方形のビスタサイズで、生前の作兵衛はんの談話や人柄をば映してゆかはります。

日本酒を1日1升飲むっちゅう、酒豪ぶりとかの逸話や、炭坑夫らしい朴訥なとこも、愛嬌がござりまんねん。

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福岡の今も美しい風景シーンや、穏やかでゆったりした斉藤由貴ネーさんのナレーション。

加えて、小室等はんのサントラや。

ピアノ、バイオリン、ギター、アコーディオンなど、シンプルやけど多彩どす。

それらがもたらす作品への癒やしの効果は、本作をより余韻深きもんにしとりまんねんで。

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そして、現代の炭坑の様子までも捉えたとこが、本作のミソやないやろか。

現代日本唯一の、北海道・釧路の掘り出し炭坑を詳細に見せたり、さらにベトナムの炭坑まで捉えて、現代のエネルギー事情の一端をば、垣間見せはりまんねん。

そこんとこと作兵衛さんの作品を、つなげていくとゆう作りは、「炭鉱…」をググーンと進化させた、仕上げやと申せましょう。

若い方々にこそ、見てもらいたい逸品どす。

2014年8月 5日 (火)

フランス映画「ジェラシー」⇒21世紀のヌーヴェルバーグか!?

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映画的変形ラブ・ストーリーの在り方とは?

モノクロ・シネマスコープの、クラシック映画スタイルどす

http://www.jaloucie2014.com

9月から、boidとビターズ・エンドの配給によりまして、渋谷シアター・イメージフォーラムやらで、全国順次のロードショーでおます。

関西やったら、大阪・第七藝術劇場やら京都シネマやらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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妻子と別れ、愛人と同居する主人公。

そんな愛人と主人公のラブ・ストーリーが、紡がれてゆくんやけど、

これまで多種多彩に出てきた、映画史で最も多いラブ・ストーリーでも、本作は異能なカンジがあります。

共に、舞台俳優の主人公と愛人。2人と交流する主人公の娘。主人公の元妻と主人公の妹。

メッチャ分かりやすい人間関係図やのに、アート映画的策略によって、2人の心理がなんでか見えにくい。

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主人公と同居する部屋が、あまりに空疎にカンジ、空疎な部屋に愛はない、なんてゆう愛人役ヒロイン。

バーで出会ったゆきずりの男とヤッたり、俳優とは違う事務仕事をやったり、その仕事をもらった経営者の家に移り住んで、主人公の嫉妬を誘発したり、

やってはることに、矛盾はないんやけど、妙に映画ドラマ的に動かされてはるようなとこが、なきにしもあらずやねん。

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片や、主人公サイドでゆうたら、何で妻子と別れて、愛人と生活することになったんか。

まず、そこんとこが詳しく描かれてはおらず、冒頭で別れたあとの、妻子の様子が描かれておますが、まあ、いきなり同居生活てなカンジ。

ほんで、愛人の気まぐれによって、愛人とも別れることになってしもて、主人公は衝動的に、拳銃自殺をするんやけど…。

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フランスのヌーヴェルバーグの影響が濃厚でおます。

それが、現代的立ち位置からの、新しい視点では描かれず、あくまでヌーヴェルバーグ視点を維持しながら、映画を作ってはるような気が、ちょっとしましたやろか。

フランソワ・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」(1961年製作・フランス映画・モノクロ)を始めとした恋愛映画や、

ジャン・リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」(1959年・フランス・モノクロ)や「気狂いピエロ」(1965年・フランス&イタリア)、

ルイ・マル「鬼火」(1963年・フランス・モノクロ)などの、主人公キャラ造形やら、チョイ思い出したりはするんやけど…。

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ヌーヴェルバーグ次世代の旗手と呼ばれはった、フィリップ・ガレル監督(写真一番下)の2013年製作の本作。

自身の家族の実話を、ベースにしてはるらしいんやけど、でもしか、ヌーヴェルバーグの巨匠には、見られへんかったとこもあります。

主人公の娘役の子役(オルガ・ミシュタンちゃん)の、明るくてかわいいキャラクター造形やらどすやろか。

さらに、モノクロのシネマスコープの、往年の映画表現に見るノスタルジーや、

ピアノ、ギターのサントラを始め、ラストに流れる、アンニュイな女のギター・スロー・ナンバーなど、雰囲気作りは、メッチャうまかったどす。

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監督の息子はん、主人公役のルイ・ガレル(写真上から5枚目)のアニキの、アンニュイなイケメンぶりは、女性観客にしたらどないなんやろか。

ボク的には、決してエキセントリックに弾けない、抑えたクールな演技ぶりに、若い頃やったら、見てマネしてみたいなっちゅうとこがありました。

また、愛人役ヒロインの、アナ・ムグラリス(写真6枚目)のネーさん。

「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」(2006年・フランス・弊ブログで分析済み)なんかで、知的な女をこれまたクールに演じてはったけど、

本作ではアップ率も一番高く、その知的な美しさに、さらに魅了されました。

何はともあれ、ヌーヴェルバーグの名作群を見てから、本作を鑑賞すれば、その深みや滋味が分かる作品どすえ~。

2014年8月 4日 (月)

「靖国・地霊・天皇」⇒社会派ドキュメンタリー

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「天皇ごっこ」の監督が描く、ファンジックでアイロニカルな靖国

海シーンなど、シンボライズなシーンを、タイトに挿入

http://yasukuni-film.com

葉月8月9日の土曜日から、大阪・第七藝術劇場で、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ国立工房 2014

「靖国」(2008年製作)ゆうドキュメンタリーが、上映中止になったりしてでんな、

本作でも描かれる靖国神社は、映画ドキュの鬼門やちゅうても、エエかもしれまへん。

何でかについては、ここで今さらながらのように、詳述はいたしまへんが、そんな神社を、イメージ・テイキングに描いたんが本作やろか。

イメージチックやから、その描き込みは、ファンタジックに見えたり、アイロニカルチックやったり、芸術的アーティスティックに見えたりと、見る方によってイロイロでんねん。

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社会派ドキュメンタリーの手法としては、こおゆうイメージも入れて示すんは、

攻撃的・問題追求的なとこを、オブラートに包んで、潔くないやん、なんてゆうたりする人もいてはるかもしれまへん。

でも、社会派ドキュを、イメージ的に示す手法は新しく、ドキュ映画の可能性を広げてはります。

まず、そのイメージ的のメインとして、劇団態変の金満里(キム・マンリ=写真上から3枚目)はんの、パフォーマンスがタイトに挿入されておます。

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金さんは、在日韓国人で、しかも身体障害者なんやけど、身体障害者だけがパフォームする、関西・大阪発の「劇団態変」を主宰しはり、知る人ぞ知る方なんどすえ。

かつてボクも取材して、その異彩ぶりに身を震わせたりしよりました。

そんな金さんの、妖しのパフォーマンスが、随所に織り込まれておます。

特に、写真の靖国神社前での踊りは、奇々怪々の、ウルトラ・パフォームどした。

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ドキュに必須の、関係者インタビューもあるんやけど、いろんな人にチビチビ聞くんやなく、ほぼ2人に絞ってはります。

共に、弁護士はんやけど、徳永信一(写真4枚目)と大口昭彦(写真5枚目)です。

共に、靖国関連の問題や裁判に、関わらはった方やけど、徳永はんが時に、熱い口調にならはるのんに対して、大口はんは冷静沈着に、言葉を発しはります。

その対比ぶりも、見ていて興味深かったでおます。

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ボク的に鮮烈やったんは、海シーンをケッコー挿入してはるとこやろか。

「海ゆかば」ちゅう軍歌を流すとこなんかに、オッときましたわ。

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大浦信行監督は「天皇ごっこ」(2011年・弊ブログで分析済み)を、原作小説を書き、その映画監督までやらはりました。

昭和天皇をストレートに描かず、とある人物の行動から、迂回的に、天皇のイメージを浮き上がらせる手法は、本作でも機能しておました。

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デジタルで撮ってはるんやけど、でもしか、何でか映画フィルム的質感がありましてな、そのへんも良かったどす。

また、フィルターを入れたりしてはるんやろか、変な空色やら、パープル、ダーク・オレンジなど、フツーの映画には見られへん色合いシーンに、ハッとしたり、

バイオリンやら詠歌などの使い方、兵士の言葉のナレーションやら、ポスターやイラストのリアル感など、

ドキュ映画の定番と異彩が、交じり合った会心作どした。

2014年8月 3日 (日)

片岡愛之助主演「マザー」⇒週末日本映画劇場2

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ホラー漫画家の巨匠・楳図かずおの初映画監督作品やー

オカン幽霊演技を演じる、真行寺君枝はんの怪演にオー

http://mother-movie.jp/

9月27日の土曜日から、松竹メディア事業部の配給によりまして、全国ロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「マザー」製作委員会

「漂流教室」「まことちゃん」「おろち」など、独特の怪奇ホラー漫画を描いてきはった、漫画界の巨匠・楳図かずおが、77歳にして初の、映画監督をばやらはった作品どす。

でもって、今どきの映画界では珍しい、オリジナル脚本やし、さらに、1時間24分とゆう短さ。

しかも、自分自身を主人公にして、やってもうたがな。

さらにさらにでんな、既に逝去してはる自分のオカンを、怖がらせる側で描くやなんて、おいおい、やでー。

でも、マニアックでカルティックかもしれへんけど、巨匠・楳図のホラー映画への、こだわりに満ちた怪作や。

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主役の楳図かずお役は、テレビの「半沢直樹」でブレイクしはった、片岡愛之助のアニキや。

ある種、好感ある正統系の主人公や。自分のことを描くのに、そら、カッコ悪くは描きたくはないわな。

楳図はんの、既に故人のオカンの過去の、秘密を探る役の女編集者役には、元ヅカジェンヌの舞羽美海(まいはね・みみ)ちゃん。

怖がるヒロインの、一番手どす。

海老瀬はなチャンも、ヒロインと一緒に恐怖にさらされて、チョイとやってはりま。

カヨー曲な主題歌を歌ってはる、ショコタン中川翔子も、チョイ役で怖がっとるで。

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でもって、怖がらせる側の女王ヒロイン・楳図はんのオカン役は、

チョイ役を除いて「鮫肌男と桃尻女」(1999年製作)以来、15年ぶりの映画出演となった、真行寺君枝のネーさんやで~。

女幽霊演技でも、貞子やお岩みたいに、ホンマに怖いわ~やなく、笑うことはないけど、カルティックなシブミや軽薄調に、トンでおます。

例えばそれは、吸血鬼俳優として、カルトな人気があった、岸田森とかのセンスどすやろか。

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両目を赤くしたりする、メーキャップやったり、アップ・クローズアップで、オトロシサを示そうとしはるんやけど、これがほとんど怖くない。

むしろ、ペーソスな哀愁感が、漂っとったりしとります。

フランク永井の「君恋し」を歌いもって、フラフラ歩いたり、楳図はんや美海ちゃんを襲う前に、妖しく歌ったりしはって、怪演技ぶりをば、披露してゆかはります。

クライマックスの対決シーンちゅうか、対峙アクション・シーンに、取りあえず浸ってみましょか。

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館ホラー性もあり、大林宣彦監督の「ハウス」(1977年)やら、「アダムス・ファミリー」(1991年・アメリカ)やらの怖さよりも、特殊設定な映画体質に魅かれたりしよります。

でもしか、決してホラー・コメディやありまへん。

一方で、オカンと息子のキズナはあるんかとか、オカンの実態を暴露してもエエんかとか、本編とは違うとこで、不思議をカンジたりする映画どした。

いずれにせよ、オカンと息子の関係性は、本作のデッカイ・ポイントやと思います。

怪しいパープルの煙の帯に、フワーンと魅せられて、サプライズがあるんか、ないんかにも、ドッキリ。

怖さを求めるよりも、お気楽に楽しんでもらいたい1本どす。

2014年8月 2日 (土)

高橋愛ちゃん主演「カラアゲ★USA」⇒週末日本映画劇場1

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元「モーニング娘。」のリーダー、高橋愛ちゃんのための映画どす

アイドル映画と地方ロケ映画と食映画と家族映画の粋が、奏でられて…

http://www.u-picc.com/karaageUSA/

9月20日の土曜日から、太秦はんの配給によりまして、東京・有楽町スバル座やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、9月27日からシネマート心斎橋やらで上映。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 カラアゲ★USA製作委員会

アイドルが主演する映画の、系譜に入る1本どす。

これまで、この種の映画は、その時々の時代時代に応じて、メッチャ多彩に花開いてまいりました。

でもって、本作は、2011年に卒業した元「モーニング娘。」のリーダー、高橋愛ちゃんが主演でおます。

あのボケまくりのキャラが、メッチャキリリな、しっかり演技をばやってやるで~。

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女性アイドル映画で、地方ロケ映画の邦画は、これまでに、これまた多彩にありまんねん。

その種の映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・アイドルの言葉が、浸透して以降の作品が対象・そやから、美空ひばりや吉永小百合は、外しておます)をばやってみます。

●ベスト⇒①時をかける少女(原田知世主演・1983年製作)②フラガール(蒼井優・2006年)③スウィングガールズ(上野樹里・2004年)

●カルト⇒①本作②風立ちぬ(山口百恵・1976年)③釣りバカ日誌12(宮沢りえ・2001年)

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●ホンマ、メッチャあんねんけど、思い付くままなんやけど、

カルトはまさに、1970年代から始まったアイドルの系譜を、駆け足でいったような、カンジになりました。

松田聖子やらAKB48やらにも、地方をキーにしても、あることはあるんやけど、3本指にはっちゅうとこがありました。

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さてはて、本作のロケは大分県でおます。

大分ロケの名作としては、大林宣彦監督の「なごり雪」(2002年)なんぞがあるけど、そのシリアス系よりも、

本作は日本映画の、かつてのプログラム・ピクチャーな、コメディ・ノリで展開してまいります。

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ほんでもって、食ムービーどして、メニューはカラアゲどす。

うどんやラーメンの麺類、焼き肉、ケーキなど、いろんなもんが映画で取り上げられとったけど、このカラアゲはモチ、映画史上初めて。

しかも、かなり本格的なとこをば、採りあげてはります。

アメリカのフライドチキンと、日本のカラアゲの違いはとか、高橋愛ちゃんの修行度合い、愛ちゃんの夫役のダンテ・カーヴァーとの共同作業など、ハンパやないとこがありました。

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ダンテと結婚して、アメリカに渡った愛ちゃんやけど、ある日、夫の連れ子を連れて、故郷・大分に出戻りしてきはります。

子役の連れ子は黒人少女。「キクとイサム」(1959年・弊ブログで分析済み)の時代とは違い、黒人は日本の風景にも、当たり前のように溶け込んではります。

この少女が、子役にしてはメッチャな自然体。一挙手一投足に注目してまいました。

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で、愛ちゃんはオトンオカン(石丸謙二郎・浅田美代子)はモチ、オババ(渡辺美佐子)を始め、キズナを深めてゆき、

ほんで、幼なじみの海東健のアニキからは、今でも好きやねんと言われるんでおます。

でも、夫のダンテが、アメリカから大分まで、愛ちゃんを追いかけてきよった。

でもしか、泥っぽい三角関係がどうちゃら、ゆうとこへは流れまへん。

写真一番下の、ラスト・シークエンスの1カットに、何かを感じてくだされ。

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ニワトリの効果音をタイトに入れて、コミカル度を強調。

一方で、美しき地方の風景が映されたり、夕景や月の癒やしやったり、ギターやピアノをシーンに合わせて、効果的に流したりして、細部の作りもキチンとしておます。

日本的癒やしの喜劇を、構築した1本です。

2014年8月 1日 (金)

インド映画「バードシャー テルグの皇帝」⇒164分の超大作

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主人公役NTRジュニアの、アクション・シーンが満載や~

6シークエンスにわたる、ミュージカル・シーンもエエわ~

http://u-picc.com/Baadshah/

8月9日のサタデーより、太秦はんの配給によりまして、東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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インド映画はインド映画でも、本作はハイダラバード市を中心とした南インド映画作品で、テルグ語セリフによって、全編が覆われとりまんねん。

大たい日本に上陸するインド映画は、ボンベイ市(現在はムンバイ市)で作られたもんが多く、ハリウッドとボンベイに模して、通称ボリウッド映画て言われとるんやわ。

テルグ語の南インド映画も、トリウッド映画と呼ばれとりまして、直で日本に入るんやなく、ボリウッド映画でリメイクされて日本へちゅうのんが、従来の形態やったんやわ。

ところがどっこい、本作はテルグ語版トリウッド映画が、直輸入のカンジで日本に入ってまいったんやわ。

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内容としては、インド映画の定番っぽくありながらも、テルグ語映画としては、過去最大の製作費を投入したらしい作品どして、

イタリア、香港などへのロケも敢行されとります。

メイン・ソースは、NTRジュニアが魅せる、格闘アクションやら銃撃戦や。

一部スローモーションや、ワイヤー・アクトを駆使しもって、「マトリックス」(1999年製作・アメリカ映画)な弾除けシーンも、披露しやはります。

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ただ、相手が弱すぎるんが、玉にキズやもしれまへんな。

そやから、主人公の危ないシーンが、ほとんどないんやけど、全体としては、コミカル・モードが入っとりまして、

後半のウエディング・プランナーに化けるとこらからは、コンゲーム・ノリ・コメディが、付加されてまいりまんねんで。

騙される1人は、映画「インセプション」(2010年・アメリカ)は、その器具のPR映画やったなんてゆわれて、

自分の夢の中に入れる器具で、その気になって大活躍しやはります。

2派の西部劇的仁義なき戦いの中に、潜入捜査映画ノリを、入れたりしてるとこなんかも、巧妙でおました。

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でもしか、やはり凄いのは、6シークエンスにわたる、ミュージカル・シーンのゴージャスどすやろか。

特に、イタリア・サイドから登場する、美人でナイスバディーな、カージャル・アグルワルちゃんの、魅力がメッチャ全開しとります。

早口セリフの多い本編前半の彼女は、コメディエンヌとしてのセンスも飛び切りどしたえ。

さてはて、音楽。打ち込み系のダンス・ナンバーや、ヒップホップなインドチックに乗っての、全員ダンス・シーンやったり、

カージャルちゃんと主人公の愛を示す、雪上でダンスや、ロック・タッチのハイスピード・ノリやったりと、イロイロありま。

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男の方へもお贈りする、セクシー・ダンス・ミュージカル・シーンもありやで。

ピンク、レッド、グリーン、薄ブルーなどの、きらびやかな照明に照らされて、ワイルドな「バードシャー」の歌に乗って、クラブの女たちがセクシーに踊りまくったり、

「インセプション」器具で夢見させられ男の、夢想シーンでは、ブルーライトから始まる、妖しのダンス・シークエンス(写真上から2枚目・3枚目)が披露されよります。

「アッアアア、アッアアア」の女声のイントロやら、シーンと共に流れる、大仰な効果音的サントラなど、耳にいつまでもこびり付いてきよりまっせ。

ちゅうことで、インド映画のエンタの全てが、詰め込まれた爽快作でおます。

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