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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2014年7月の記事

2014年7月31日 (木)

「リスボンに誘われて」⇒異色のミステリー映画

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衝動的に人のことを、探偵するミステリーどす

ユーロ・オールスターで描かれる、渋みある傑作

http://www.lisbon-movie.com

9月13日のサタデーから、キノフィルムズはんの配給によりまして、Bunkamura ル・シネマ、シネ・リーブル梅田やらで、全国漸次のロードショー。

本作はドイツ・スイス・ポルトガルの合作。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Studio Humburg FilmProduktion GmbH / C-Films AG / C-Films Deutschland GmbH / Cinemate SA, All Rights Reserved.

ミステリー映画はイロイロあれど、本作は殺人事件の起こらないミステリーどして、しかも、衝動的に探偵化していく主人公の物語どす。

ある人のことを調べてゆくスタイルで、その人物の実態や真相が、徐々に明らかになってゆく映画。

人探しのミステリーものとも、シンクロするものでおます。

そこに共通するんは、その探られる人物の謎が、魅力的なものなんかどうなんか。

また、探偵役がその人物にどう迫っていくのか、その過程のスリリングにあるかと思います。

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本作はそのどちらも、兼ね備えた快作でおました。

主人公はスイスの高校教師。自殺しようとしてた女を助けたけど、持ち物を残して消えてしもた。

その持ち物から、とある本とポルトガル行きの切符が出てきた。ほんで、その本を読んで魅了されてしもて、その作家のことを探ろうと、

切符があるんで、スイス・ベルンから、その作家の出身地・ポルトガルのリスボンまで行かはります。

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ほんで、作家は既に故人なんやけど、その妹やら旧友やらに話を聞き回るとゆう、単純な展開。

でもしか、これがオモロイ。

なんでかちゅうたら、作家の過去が、波乱に満ちておったからどす。革命、テロ、男女の三角関係。

定番っぽいけど、その過去も、真相が次第に分かるように、カットバック的に描かれますんで、ドラマティックどす。

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そして、作家との重大な関係を握る、今も生きている人物との会見。

ほんでもって、真相。ここんとこがサプライズになっとります。

また、さらなるサプライズとして、主人公のラブ・ストーリー部が、付加された作りでおます。

その種の映画のセオリー通りやし、人物の謎に迫る映画としては、「市民ケーン」(1941年製作・アメリカ映画)や「サンダカン八番娼館 望郷」(1974年・日本)など、名作がケッコーあるんやけど、

それでも、本作はグッときよりました。

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何でか?

たぶん、探られる人物の謎よりも、主人公の何でそんなん探るのん?ちゅうとこにも、魅かれるからやろか。

キチンとした原作、キチンとした脚本、さらに、キチンとしたキャスティング。

それらがホンマ、キチンとしてるがゆえに、オモロイちゅうとこもありま。

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ユーロの新旧スターが揃っておます。

主人公役は、イギリス出身のジェレミー・アイアンズはん。

一時ボクはトミー・リー・ジョーンズはんと、間違うようなこともあったんやけど、この方は、変形ラブ・ストーリー「運命の逆転」(1990年・アメリカ)で、アカデミー賞主演男優賞をもろてはります。

本作の渋く光るラブ部は、彼の控えめな演技ぶりに、寄与するとこがありま。

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作家の妹役の、イギリスのシャーロット・ランプリングはんや、スイス出身のブルーノ・ガンツはんなど、謎めき演技で魅せはるし、

過去シーンで出はる、フランスのメラニー・ロランのキリリ感。

で、サプライズ・シーンを彩る、スウェーデンのレナ・オリン。

主人公とのラブを握る、ドイツの女優マルティナ・ゲデックなど、ホンマにユーロ俳優たちの競演でおます。

でもって、ビレ・アウグスト監督作品や。

前世紀に、カンヌ国際映画祭の最高賞を2度ゲットし、アカデミー賞外国語映画賞も得た、デンマーク出身の監督はん。

そして、本作は、監督の21世紀の最高傑作やと思います。

2014年7月30日 (水)

アメリカ映画「フルスロットル」⇒ポール・ウォーカーの最期の主演作

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「ワイルド・スピード」を思い出す、ポール・ウォーカーの潜入捜査官アクション

身を活かしたアリエネー・アクションの、オン・ザ・パレードだす

http://www.0-g.asmik-ace.co.jp

9月6日のサタデーから、アスミック・エースはんの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 EUROPACORP-BRICK MANSIONS PRODUCTIONS INC.

カーチェイス映画「ワイルド・スピード」シリーズ(第1弾は2001年製作・アメリカ映画)で有名にならはった、ハリウッドのアクション俳優ポール・ウォーカーのアニキ。みなさん、知ってはるやろか。

彼は昨年交通事故で、突然逝去(享年40歳)しはりました。合掌どす。

そんな彼の遺作(まだ1本あって、その1本の撮影中に逝去)やないけど、最期(最後やありまへん)の主演作となったんが、本作でおます。

彼はいろんな作品に出てるんやけど、ボク的には「ワイルド・スピード」シリーズがベストやったです。

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けども、本作なんぞを見てみまするに、「ワイルド・スピード」のキャラクターを引き継ぎながらも、トンデモないアクションを披露してはるんで、アラマ・ポテチンどす。

そんな交通事故くらいで、死ぬやなんてチュー、ミラクルぶりをば発揮し続けてまいります。

さてはて、本作は、フランスのリュック・ベッソン監督が脚本を担当しはりましたが、自身の脚本作「アルティメット」(2004年・フランス)「アルティメット2」(2009年・フランス)が原案となっておます。

無重力(ゼロG)アクションちゅうアクションが、ベースとなった作品なんやけど、

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それってなんでんねん?ちゅうとこを、まず、ポール・ウォーカーの相棒役となる、ダヴィッド・ベルのアニキが披露しやはります。

敵グループに追い込まれた部屋から、敵に向かって走り、壁伝いやら、飛んでサーカスチックに、スルスルと逃げてゆき、ビルの屋上をスルスル、遂には爆発物をかわして逃げ切るちゅう、高難度の技巧派アクションどす。

「パルクール」とゆうワザらしいんやけど、振り返るに、リュック・ベッソンが製作した「YAMAKASI」(2001年・フランス)で、映画で初めて披露されたんやないやろか。

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これまではスロー・モーションやら、ワイヤー・アクションやら合成やらで披露されとった、そのアクション・シーンが、生身の体でスタント的に披露されるんは、インパクト大でおました。

また、ポール・ウォーカーも、逃げるカーを追いかけ、バックからループ、中まで入って運転手と犯人をやっつける、ミラクル・アクションを手始めに、超絶アクトを次々に、涼しい顔で披露してゆかはります。

ほんでもって、クライマックスでは、2人対ワルらの銃撃戦を始め、核爆弾にまつわるスリリングな攻防が、展開してゆきまんねん。

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リュック・ベッソンらしい、アクトレス・アクションもありま。カタリーナ・ドゥニのネーさんの、凄まじいカー・アクションなどが特注どす。

また、相棒ものとしては、「48時間」(1982年・アメリカ)なんぞのアクション進化型のように、ボクは見ました。

さて、本作と同じく、LAの潜入捜査官役で、ド派手なカーチェイスをやった「ワイルド・スピード」以上に、超絶アクトで驚かしてくれたポール・ウォーカー。

これからさらに、アクション俳優として飛躍やでー、ちゅう時の悲報は、メッチャ残念どした。冥福を、お祈りいたします。

2014年7月29日 (火)

アメリカ映画「フライト・ゲーム」⇒航空パニック・ミステリー・アクション

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リーアム・ニーソンのオヤジが、丁々発止の大活躍どす

ミステリー&パニック&アクションを、トリプル調合した娯楽エンタ

http://flight-game.gaga.ne.jp

9月6日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんば、やらで全国ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2014 TF1 FILMS PRODUCTION S.A.S STUDIOCANEL S.A.

パニックとミステリーを調合して、メイン・ソースとし、室内的アクション・シーンも取り込んだ、ハリウッド映画でおます。

でもって、まずはパニックについて。

パニック・ジャンルは航空・ヒコーキもの。

でもしか、個人的には、ヒコーキ・パニックに大の付く傑作は、あんましないな~なんて、思たりするんやけど、

それでも、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①ユナイテッド93(2006年製作・以下の引用映画は、指定以外は全てアメリカ映画)②大空港(1970年)③エアポート75(1974年)

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●カルト⇒①本作②飛べ!フェニックス(1965年)③フライトプラン(2005年)

●実話をベースにしたベスト①や、1970年代パニック・ムービーの先駆けベスト②と、そのシリーズの1本ベスト③と、1960年代にその礎ポイントをこしらえた、サバイバル・ムービーとしても出色なカルト②など。

そんな中、王道パニック路線をしっかり踏まえもって、ミステリー色を打ち出した作品が、カルト①であり、カルト③でおます。

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パニック・ムービーとミステリーを結び付けるんは、ボクは至難のワザやと思とります。

しかも、乗り物内外やなく、その乗り物内で同時発生的に展開するものとゆうたら、さらに難易度は高くなってまいるかと思います。

その意味では、飛行機内蒸発のナゾを取り入れたカルト③は、よく考えられとるかとは思うけど、パニック部が希薄でおました。

その2ジャンルを、バランス良く取り込んだんが、本作やと言えましょうか。

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しかも、銃撃戦やら、トイレ内での1対1対決など、アクション・シーンもありま。

比重的には、ミステリー、パニック、アクションの順番やろか。

乗客全員が被疑者となる展開は、ミステリーの名作「オリエント急行殺人事件」(1974年・イギリス)なんぞを、思い出させてくれはります。

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探偵役となる、航空保安官の主人公役リーアム・ニーソンでさえ、ハイジャックしてんのんと、違うのんと疑われて、本事件の最大容疑者に目されたりしよります。

冒頭でアル中探偵的なとこをば、スローで示し、ハードボイルド・タッチかなと思うまもなく、

ヒッチコック監督の「北北西に進路を取れ」(1959年)とか、「間違えられた男」(1956年)とかの、主人公的雰囲気へと移行。

そやからチューても、リーアムはんがホンマモンの犯人やないとも、ボクはよう言いまへんので、見もって、みなはんで一体、犯人は誰やねんと、アレコレ推理しておくんなはれ。

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ジュリアン・ムーアはんも怪しいし、怪しい登場人物は次々に、めまいが起こりそうなくらいに出てまいります。

操縦士を含め、3人の人間が殺されます。

それも、21世紀的にスマホのメールが、犯人側のトリッキーになっとりまして、このあたりのデジタル・トリックの妙味も、見逃せまへんな。

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さてはて、スタジオ・セット撮影がメインやったらしいですわ。

そやから、近接撮影が多いことは多いんやけど、クライマックスの犯人が判明してからの、

航空パニック・シークエンスの臨場感は、「エアポート75」なんかよりも、スリリングで過激でドッカーンな迫力でおました。

まだまだ進化の余地を期待させる、航空パニック映画です。

2014年7月28日 (月)

イタリア映画「ローマの教室で~我らの佳き日々~」

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熱血とかじゃない、フツーの教師像が描かれた作品

いかにもな高校の、教室の生徒たちの様子がリアル

http://www.roma-kyoshitsu.com

8月23日のサタデーから、クレストインターナショナルはんの配給によりまして、岩波ホールやらで、全国順グリのロードショーだす。

関西やったら、8月30日土曜日から、シネ・リーブル梅田やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCOPYRIGHT 2011 BiancaFilm

「ローマ」をタイトルに冠し、舞台にした映画は、この間、

「ローマ環状線」(7月9日付けで分析)やら「グレート・ビューティー/追憶のローマ」(7月22日付け)やらを分析したんやけど、

本作はローマはローマでも、ローマを感じさせない、普遍的な作りになりました。

しかも、教師と生徒の関係ゆうとこを、3タイプで取りあげただけやありまへん。

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授業シーンが、最近の映画では、あんましないような中において、本作はそれを基本にしてはるとこなんか、

学園ドラマのルーツ的なとこをば、掘り返そうとしてはるようなとこがありまんねん。

描かれる教師は3人はん。

女校長(マルゲリータ・ブイはん)と、若手の臨時代理男性教師(リッカルド・スカマルチョのアニキ)と、ベテランの老教師(ロベルト・エルリツカはん)。

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3人3様の、各1人の生徒との、ビミョーなつながりが描かれてまいります。

3話オムニバスてゆうても、エエくらいなんやけど、カットバック的に3人の話が映されよります。

女校長は、シングルマザーのオカンが家出した上に、ビョーキになって入院してしもた、男子生徒と関わらはります。オカン代わりに見舞って、イロイロ物を持っていったりしはって…。

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国語教師の臨時教師は、ハデな服着て来る女生徒に、目を向けはります。

授業中に、詩を読ませたら、こんなキモチが滅いる詩は読みたくないと、教室を出ていきます。

オカンが死んで落ち込んでるらしいんやけど、それがウソかホントかは、先生が生徒の自宅を、訪ねてゆくまでは分かりまへん。

女生徒は先生に「私がスキ?」って挑発するけど、先生はノリまへん。

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生徒はみんなアホやと思てはって、授業にも生徒にも熱のない老教師。

臨時教師に朗々と詩を披露し、全部記憶したんで本をほかし、突然ハイになって踊ったり、教室でもタバコ・スパスパ吸うてはります。

そんな教師にも、ある日OGが電話してきはり、先生に伝えたいことがあるやなんて、伝言を残さはります。

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この元教え子との間に、ほのかなキズナが生まれまんねん。

そして、3人3様のハグ・シーンがあります。

この3シーンこそが、分かりやすいシンプルな3話の、いわゆるクライマックスやろか。

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いかにもな、高校の教室の様子など、リアルあるシーンやらも付加。

フツーやないように見えんこともないけど、でも、これがフツーなんやろなちゅう、学園ドラマをば、紡いでゆかはります。

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ベタな教師と生徒の関係でもなく、熱血教師の物語でもなく、先生や生徒がサヨナラするんでもなく、ドラマティックなとこは極力排した仕上げが、特筆もんどす。

先生対生徒とかの構図もなく、あっさりしてるようやけど、渋くココロに入ってきます。

文部科学省選定の映画やけど、自然体に紡がれる学園ものに、ホッコリできる1本でおました。

2014年7月27日 (日)

「ルパン三世」実写版⇒さっそく見てきましたでー・日曜邦画劇場

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人気アニメの実写版に、果たして傑作はあるんやろか?

有名セリフも入っとるけど、アニメ・イメージを無にして、見てほしい作品

http://www.lupin-the-movie.jp

8月30日の土曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析研究所・所長・宮城正樹

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Ⓒ2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会

アニメを実写化した映画。みなはん、これまでにイロイロ見てこられたかと思います。

でもしか、果たして、アニメの出来を凌駕した作品は、これまでになんぼあるやろか。片手の指が折れませんやろ。

特に、人気アニメの実写化作品については、よりシビアなもんになってきよります。

見るのは、アニメのファンが大半ですやろ。好きなキャラのイメージが壊されたとかゆわはって、ミスキャストやらを突つかれます。

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洋画にはなんでか、この種のタイプは少ないねんけど(ディズニーにも逆パターンはあるねんけど…)、邦画は矢継ぎ早に近い状態で、製作されておます。

今年も「魔女の宅急便」(2014年)やら「るろうに剣心」(弊ブログ分析済み)やらが、全国公開されとります。

でも、常に付きまとうんは、アニメのイメージが実写で、どないなるんかとゆう不安どす。おそらく、本作も賛否両論となるでおましょう。

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「ルパン三世」オリジナル・キャラは、約5人ばかりいてはります。

主人公・ルパン三世は小栗旬(写真上から3枚目)。

峰不二子は黒木メイサ(写真4枚目)。

ルパンの相棒、ガンマンの次元大介は玉山鉄二(5枚目)、剣豪・石川五ェ門は綾野剛(6枚目)。

インターポールの刑事役・銭形幸一は浅野忠信(7枚目)ちゅう、キャスティングなんやけど、

オリジナルにこだわるあまりに、各人、大仰かつ、ぎこちなくてわざとらしい、キャラ意識演技が頻出しまくりどす。

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でもしか、ミスキャストと見るんは早計どす。

ホンマ、この種の演技は、演技派ぶりを示すもんやないだけに、メッチャ大変なんでおます。

どんな素晴らしい役者がやっても、苦労しはりまんねん。

むしろ、アニメ・キャラのイメージを無にして、一から演技を見てみるんが、ベストな鑑賞法なんやないやろか。

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シンガポール、香港、タイ、日本などと、アジア圏ロケのスケールで、物語は展開します。

海外公開も視野に入れてはります。全編はおそらく、英語セリフで撮られとるんでおましょうか。

日本語吹替え版の口の動き方が違うんで、日本語版で見ると少々、違和感を感じるかもしれまへん。

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しかし、アクション・シーンの連続シュートに、そおゆうとこは忘れてしまいます。

カーチェイス、格闘シーンなど、小細工なしのオールド・スタイルが、今だからこそ新鮮味ありやし、

五ェ門役・綾野剛の「つまらないものを斬ってしまった」とか、ルパン三世役・小栗旬が言う「裏切りは女のアクセサリー」など、

「ルパン三世」決めゼリフも出て、チョクチョク喜ばしてくれはります。

クライマックスの、ルパン三世たちの、クレオパトラ・グッズを取り返すための突撃シーンは、本作の一大ハイライト。

フュージョンやったり、ファンキーやったりのサントラが、しょっちゅう流れて盛り上げてくれはります。

布袋寅泰のギターがうなる、インストのメインテーマにも注目。

ボクは残念ながら、テレビや映画を始めとした「ルパン三世」シリーズに、そんなに入れ込んできたわけやないんやけど、

それでも本作は、理屈抜きに楽しめた1本どした。

2014年7月26日 (土)

コン・ユ主演「サスペクト 哀しき容疑者」⇒サスペンス韓国映画特選3 

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復讐ドラマと逃亡者ドラマを、合体させたミステリー・アクション

そして最後には、泣ける感動が仕込まれた快作どす

http://www.suspect-movie.net

9月13日から、ツインはんの配給によりまして、新宿武蔵野館やらで、9月27日から、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸やらで、全国漸次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND GREEN FISH ALL RIGHTS RESERVED.

今さらながらやけど、韓国と北朝鮮に分かれた朝鮮を仕込み、その対立ぶりやら相克ぶりを描いた韓国映画は、これまでに多数出てまいりました。

ちゅうことで、そんな映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば言いますと…。

●ベスト⇒①シュリ(1999年製作・以下の指定国以外は、全て韓国映画)②JSA(2000年)③ブラザーフッド(2004年)

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●カルト⇒①本作②トンマッコルへようこそ(2005年)③ベルリンファイル(2011年)

●朝鮮が北緯38度線を境界とした、南北に分かれてしもたんは、第二次世界大戦のアメリカ・ソ連の分割統治から始まるんやけど、その頃を背景にした韓国映画は、ボクは見とりません。

今後作ってほしいと思うけど、北緯38度線がより先鋭化したんは、モチ朝鮮戦争どした。

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朝鮮戦争を背景にしたベスト③カルト②は、激烈のベスト③癒やしのカルト②などと、多彩に花開いておます。

「冬のソナタ」で日本ブレイクした、韓国流儀のテレビドラマ的ラブ・ストーリーとは違い、韓国映画のブレイクは、南北の確執を描いたベスト①から始まっておます。

ラブもエエことはエエねんけど、こおゆうシリアスに南北問題を仕込んだ作品にも、ハマッてみておくんなまし。

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ほんで、本作は、北朝鮮のスパイもの、ほんで脱北者のお話でおます。

ストレートな南北対立ものから、さらにいろいろと進化した作品の一つとして、捉えられるでおましょうか。

同じく第二次大戦で、東西に分かれたベルリンを舞台に、韓国・北朝鮮の丁々発止を描いたカルト③なども、同様の進化型。

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北朝鮮でスパイの時に、妻娘を同僚のスパイに殺されたコン・ユのアニキが、共に脱北して韓国へ行き、そこで、コン・ユが同僚スパイに、復讐しようかちゅうとこが、ベースになってんねんけど、

一方で、冤罪者として追われる事件にも遭遇し、いわば、復讐ドラマと逃亡ドラマが、いっしょくたになった映画になっとります。

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そやから、「オールド・ボーイ」(2003年)や「親切なクムジャさん」(2005年)など、復讐者の映画で有名な、韓国のパク・チャヌク監督作品と、

ハリソン・フォード主演「逃亡者」(1993年・アメリカ)なんぞのハリウッド映画を、合体させたような作りになっとります。

特に、チャヌク監督の「復讐者に憐れみを」(2002年)は、そのものが、本編のネタ部に関わってまいります。

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アクション・シーンのオンパレードは、スパイ映画の「ボーン」シリーズ(2002年~2007年・アメリカ)や「ミッション・インポッシブル」シリーズ(第1弾は1996年・アメリカ)並みとは言いまへんけど、魅せてくれはります。

特に、近接撮影による格闘シーンやカーチェイス・シーンなどに見ごたえがありまっせ。

冒頭のフラッシュ・シーンや、過去の色褪せたシーンなども、効果的に使ってはります。

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さてはて、泣けるラスト・シークエンスで、披露されるサプライズを含め、主演コン・ユのアニキには魅せられました。

テレビのラブ・ドラマで人気を得たらしいけど、そっちはボクは未見。

けども、本作なんかは、肉体派アクション演技ぶりをば、惜しみなく披露しはります。むしろ、ラブ・ストーリーにホンマに出てはったんかいな、とゆう驚きさえありま。

昨日分析した「マルティニークからの祈り」も、どっちかとゆうたら、汚れ役やったし。

ちゅうことで、コン・ユのファンは、今までとは違うらしいコン・ユに酔ってくだされ。

2014年7月25日 (金)

チョン・ドヨン主演「マルティニークからの祈り」⇒サスペンス韓国映画特選2

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お涙ちょうだい系入りで、何はともあれ胸にきまっせ~

明日分析映画主演のコン・ユが、夫役で好演してはります

http://www.martinique-movie.com

8月29日のフライデーから、CJ Entertainment Japanはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマやらでロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED.

実話ベースの映画。

貧しさゆえに、ボロ儲けの簡単な仕事(麻薬の運搬)をして妻が捕まり、ほんで、妻は韓国やない異国のフランスで逮捕されてしもて、2年の間(2004年~2006年)、カリブ海の刑務所でエグイ拘束をされてしもた。

その間、韓国の夫と幼い娘は…。夫は必死のパッチで素人調査をしはり、妻は家に帰りたいと思う日々を、信じがたいヨゴレな現実の中で、過ごしてゆかはります。

実話なだけに、ある程度、内容や結末が分かっとる映画なんやけど…。

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妻が過酷な刑務所生活から韓国に戻って、夫と娘と再会を果たすとゆう、マニュアル通りのドラマが展開するんやけど、

率直にゆうて、ありきたりなお涙ちょうだいもんに、なるやろな~と思とったんやけど、

演技陣の演技ぶりが、それを容易に許しまへんどした。

演技が映画のキモである点を、改めて思い知らされるような作りになっとります。

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不当な拘束をされて、何年も不遇な時間を過ごした映画としては、ボクはまず「ミッドナイト・エクスプレス」(1978年製作・アメリカ映画)なんかを思い出したりするんやけど、

刑務所ものやらもあるし、また本作は女刑務所もんでもありま。

でもしか、娯楽ラインとして描かれた「女囚さそり」シリーズ(1972年~1977年・全6作・日本)なんぞと比べたら、かなりと違った作りになっとります。

現実の話なだけに、あくまでリアリスティック。そんな役柄をチョン・ドヨンのネーさんが、女優汚れ演技の、映画史に残ってもおかしくないようなカンジで、ヤッてくれはりました。

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シングルマザーの演技を、狂気もはらんで演じはった「シークレット・サンシャイン」(2007年・韓国)で、カンヌ国際映画祭で主演女優賞をゲットしはりましたけども、

本作では、試練のエグイ度演技をば、何度もこなしてはります。

これぞ、チョン・ドヨンやんちゅうとこが、そこかしこにあるんどす。

でもしか、夫役コン・ユのアニキも負けてられまへん。

明日分析の「サスペクト」でも、家族を思うばかりに繰り出されるアクション演技が、粘っこく披露されとりまして、その粘りに感動を覚えたりしよります。

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再会シーンの感動も、これまでの映画とは、ビミョーなとこが描かれておます。

ヒロインと主人公コン・ユの、現地カリブでの再会シーンなど、サプライズあるシーンが充実しとるとこは、特筆しときます。

フランスの韓国大使館のエエ加減な描写も、感動を損なうとこはありまへん。

女性監督パン・ウンジンのネーさんの、女性監督らしい、女のキモチを描くとこやらにも、ウーンと唸れましたやろか。

母娘の再会シーンの演出も、男性監督には描けない、ナイーブなとこを示してはるし、男のキモチも把握しはった、コン・ユの汚れ演技演出も、良かったどすえ。

ソウル・パリ・カリブの映画的色彩感覚を、意図的に変えてはるとこにも、妙味がありました。

2014年7月24日 (木)

ハ・ジョンウ主演「テロ, ライブ」⇒サスペンス韓国映画特選1

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テレビ局から一歩も出ない、密室パニック映画どす

それでいて、爆破シーンの臨場感にクラックラや~

http://www.terror-live.com

葉月8月30日のサタデーから、ミッドシップ&ツインはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテやら、大阪・テアトル梅田やらで、全国漸次のロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

唐突やけど、テレビ局・ラジオ局を主舞台にした映画の、マイ・ベスト・スリーに、本作は入ります。

その順位通りで言いますと、

①ネットワーク(1976年製作・アメリカ映画)②ラヂオの時間(1997年・日本)③本作

●②はラジオ・ドラマを作るメイキングを、コミカルに描いたもんやけど、本作は報道番組の、数秒先にはどないなるやら分からへん、ハラハラドッキリなメイキングやと申せましょうや。

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また、視聴率を取るためやったら、殺人放映までやってまう①のインパクトが、本作でも、実にビビッドに撮られとるんどすえ。

ほんでもって、密室劇として、テレビ局から一歩も出ないシチュエーションで、描かれる点においては、

最後には外に出てしもたけど「十二人の怒れる男」(1957年・アメリカ)に近い、映画的企みに満ちておます。

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橋爆破などのパニック・シーンは、テレビ映像を通して見せたり、主人公の報道キャスター(ハ・ジョンウのアニキ)が窓から見るシーンとして、捉えられておまして、

とことん、ほんで最後まで、映画カメラは戸外には出まへん。

にも関わらず、メッチャビビッドやねん。

特に、テレビ局の隣のビル爆破で、テレビ局ビルまでエライことになる、クライマックス・シーンは壮絶どす。

しかも、ハ・ジョンウは、爆破テロ犯人と、そのスタジオで1対1対決するんやもん。

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アラマ・ポテチン。たまげました。

犯人は金も要求しはるけど、基本的には、韓国大統領の謝罪のみを求めとりまして、

かつて国民的人気を得たテレビの報道キャスターやったけど、いろいろあって、ラジオの方に降格されてしもた、ハ・ジョンウがDJの番組に、電話しはりまんねん。

視聴率を優先する局長の思惑。ほんで、かつてのテレビに戻り、報道記者の妻とのヨリも戻したい、ハ・ジョンウの思惑が一致し、テロ犯人との電話やり取りの、テレビの独占生中継が行われます。

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橋が爆破され、橋の真ん中あたりが残って孤立した人々。まだ爆弾を仕込んでるらしく、ヘリでの救助をしたら、犯人は爆発ボタンを押すらしいわ。

とにかく、大統領の謝罪さえあれば、それでエエっちゅうんどす。

ほんでもって、犯人との交渉のため、生中継のスタジオに出てきはった警察長官が、犯人の心証を害したため、イヤホンに仕込まれた爆弾で殺されまんねん。

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なぜ単独犯の犯人は、テレビ局内のイヤホンを含めて、いくつもの爆弾を仕込めたのか。

のプロセスは、テレビ局内オンリーの設定を意識したためなのか、説得力あるカタチでは描かれておまへん。

しかも…ちゅうとこはあるんやけど、ハ・ジョンウの1人芝居的な緊張感の持続で、サスペンスフルにスリリングに展開してゆくんで、そのへんはあんまし気にはなりまへん。

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短カットの連続、揺れるスクリーン。ほんで、テレビ画像を通した爆破シーン。無機的なシンセのサントラ。

これまでの、セリフに妙味を見せていた室内劇ドラマに、新たな視点と作り方を付加した本作。

本作とは違い犯人役やった「チェイサー」(2008年・韓国)に、勝るとも劣らない、ハ・ジョンウの傑作どす。

2014年7月23日 (水)

泣けるインド映画「バルフィ!人生に唄えば BARFI!」⇒今年のマイ・ベストテン級洋画

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12年にわたる、主人公と女2人の、三角関係ドラマ

多彩な映画へのオマージュと、カッコイイ歌ものサントラに乗って、感動的な愛の物語が紡がれて…

http://barfi-movie.com

8月22日のサタデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

5
ⒸUTV Software Communications Ltd 2012

インド映画てゆうたら、ミュージカル。けども、ここに、かつてない傑作インド映画が誕生したで。

サタジット・ライ監督とかが追求した、アートとしてのインド映画と、インド的お気楽ミュージカルを、見事に合体させ、

しかも、映画的感動と泣きに覆われた、奇跡の映画。それが本作でおま。マイ・インド映画のベストワンどす。

1
いろんな意味で本作は、映画史を視野に入れた上で、意図的に映画にこだわった作りをしてはります。

構成的の妙しかり、ラブ・ストーリーとしての仕掛け具合しかり。

ミステリー的なスタイルもあるし、ロードムービーとしての妙味もありやし。

よう考えたら、ちゅうか、よう考えなくとも、ゴリゴリの映画ファンさえも、ココロ打ち震わせるカンジの、映画なんでおますよ。

2
それだけにでんな、過去の名作を思い出させるシーンやシークエンスは、多々あります。

ボク的にチョー印象的で、ココロに深く突き刺さったオマージュは、

男女のロードムービーとしての、名作フェリーニ監督の「道」(1954年製作・イタリア映画)であったり、

ヒロインのキャラ造形ぶりの「アメリ」(2001年・フランス)であったり、

歌ものサントラを、映画史的に最初に印象深く使った「卒業」(1967年・アメリカ)であったり、

聾唖者の恋愛としては、「名もなく貧しく美しく」(1961年・日本)であったり、

チャップリンの「街の灯」(1931年・アメリカ)なんぞに通じる、愛の無償であったりしました。

3

早い話が、男女の三角関係のドラマなんやけど、その作りや構成が、映画的にゆうても、ハンパやない作りをばしてはりました。

1978年のエピソードから始まり、ほんで、そこんとこをベースに、

1972年のエピソード、そして、1984年のエピソードと、カットバック的に、自在に行き来するようなカンジで、物語は綴られてまいります。

4
まずは、最初に、言葉の喋れへん主人公(ランビール・カブール)と、フォーリン・ラブしはる女優はん、イリヤーナー・デクルーズのネーさんの、

清楚なたたずまいに、魅せられよりました。オードリー・ヘプバーンさえ、思い出させてくれはりました。

7
主人公と同じく喋れへんけど、「アメリ」のヒロインのオドレイ・トトゥみたいな、お茶目で闊達、

何の悩みも、この世にはないでーちゅうような、プリヤンカ・チョープラーのネーさんの演技は、本作のキモ演技をば成してはります。

6
プリヤンカー・ネーさんは、3度にわたり、謎めいた失踪をしやはるんやけど、そのたんびに、ラブ・ストーリーとしてのドラマティックな厚みを増してゆきよります。

感動的な泣きの一番は、ラスト近くにあるんやけど、

そこで泣かない人はまず、いてはらへんのとちゃうかなーと、ボクは思います。

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イリヤーナーのネーと主人公の、列車でゆくとこで流れる、スロー・バラードを始め、思わずグッとくる、歌ものサントラ流してのシークエンスが、多々あります。

アコーディオン・バイオリン入りの、夢見ゴコチ入りのポップ・ナンバーや、マサラ系ワールド・ミュージックもあったりと、それこそ多士済済の多種多彩どす。

さてはて、本作は2度、3度見てこそ、味わいと感動が深まるような作りをしてはりまんので、リピートして見るには打ってつけの作品やと思います。

何はともあれ、傑作どすんで、大いなる期待を持って、映画館へと見に行っておくんなまし。

2014年7月22日 (火)

イタリア映画「グレート・ビューティー/追憶のローマ」

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21世紀になって初めて、アカデミー賞外国語映画賞ゲットのイタリア映画

セレブ老人のいろんな女たちとの絡みを描く、「甘い生活」老人版

http://www.greatbeauty-movie.com

8月23日のサタデーから、シネマート心斎橋、梅田ブルク7、京都シネマやらで、全国漸次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 INDIGO FILM, BABE FILMS, PATHE PRODUCTION, FRANCE 2 CINEMA

ⒸGianni Fiorito

今年のマイ・ベストテン級洋画作品を、2日にわたり披露いたします。

さてはて、ローマを描いた映画は、自国イタリアを始め、モノゴッツーなタイトル数にのぼっとります。

でもしか、一般大衆的には、アメリカ映画の「ローマの休日」(1953年製作)が“人口に膾炙”(一般的に広く知られていること)しとりますが、

観光的でないところを引き出すのんは、さすがに地元・イタリア映画の方が、圧倒的にスゴイ作りをばしてはります。

最近弊ブログでは、世界三大映画祭のヴェネチア国際映画祭で、地元開催のイタリア作品とはいえ、ドキュ初の最高賞をゲットした「ローマ環状線~」(7月9日付け)をば、分析いたしましたが、

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そこでは、「フェリーニのローマ」(1972年・イタリア)と見比べておくんなまし、なんてゆうとりましたが、本作もその作品とは、シンクロナイズはしよります。

雑然とした「フェリーニのローマ」やなく、すっきりしたアート的佇まいで描かれるんやけど、

冒頭のローマの各所を、カメラの移動撮影で映してゆくシークエンスは、映画の入り方としては絶品どした。

ほんでもって、そこにはもう一つの、大きなポイントがあります。

ローマ・シーンの直後に始まるんやけど、ローマの夜のパーティー・シーンの、昼間の静謐さとの対比シーン。

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そして、そこには、40年間一切書いていないんやけど、ローマのセレブやっちゅう老作家・主人公が登場しはりまして、いろんな女たちとの絡み具合をば、映してまいります。

この主人公役のトニ・セルヴィッロはんは、フェリーニ監督の「甘い生活」(1960年・イタリア&フランス)やら「フェリーニの8 1/2」(1963年・イタリア)のマルチェロ・マストロヤンニはんの、老人版とゆうイメージだす。

ここがもう一つの、おっきなどす。

ちゅうことで、フェリーニ作品から、大きな影響を受けてはるんは事実やろけど、

多彩な女との関わりにおいては、本作ではより深く、主人公の心理に分け入った内容になっとります。

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主人公のベッドの天井に映る海のイメージから、若かりし頃の「見せたいものがある」ちゅう女とのことやら、ほんで、現代のストリップ小屋の、支配人の娘との交情。

さらに、アバズレと呼ぶ主人公の女中、ちっちゃなコビトみたいな女編集者、主人公が取材する、ヌードな前衛演劇の女、ペインティング・アートで魅せる女の子、100歳超えの聖女ババア。

そして、メインとなる2人の女は、ビョーキやら自殺やらで死んでゆき…。

主人公の女遍歴と、束の間の女たちとの関わりから、浮かび上がってくるものとは? 

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男のデカダンなとこを描くにしても、ストレート系の「甘い生活」とは違い、21世紀の現代的にとゆうか、複雑性を帯びておます。

サウンドトラック的には、ジャズ系でいった「甘い生活」とは違い、こちらはディスコティーク・ナンバーや、ラテン音楽を始めとしたダンス・ナンバーで、主人公の心理とは、ミスマッチかもしれへんけど、そこが妙にココロそそられますで。

さてはて、本作を含め、アカデミー賞の外国語映画賞を、ゲットしはったイタリア映画は、11作品もありましてな、国別で最多受賞どす。

本作の評価はこれからやけど、全てが映画史に残る名作や。

「フェリーニの8 1/2」もゲットしてはります。フェリーニは3度も受賞。

でもしか、本作は「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年・イタリア)以来、15年ぶりの受賞となりました。大傑作なんで、ぜひ見に行っておくんなまし。

2014年7月21日 (月)

「プロミスト・ランド」⇒マット・デイモン主演作

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ヒューマン演技のマット・デイモンの、最高傑作かもな

ホンマは自分で、監督するつもりやったらしいで~

http://www.promised-land.jp

オーガスト8月22日のフライデーから、キノフィルムズはんの配給によりまして、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマ、シネマート心斎橋、京都みなみ会館やらで、ロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

「ボーン」シリーズ(2002年・2004年・2007年製作・以下の引用は指定以外はアメリカ映画でおます)や「オーシャンズ」前後編(2001年・2004年)、

スピルバーグの「プライベート・ライアン」(1998年)やらが、突出して世界的にヒットしたけど、

マット・デイモンのアニキちゅうたら、ホンマのとこは人間ドラマとしての演技を、やりたいねん、ちゅう人でおます。

そんな彼の、ヒューマン演技マイ・ベスト・ファイブ(順不同)をば、披露いたしますと…。

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①本作②グッド・ウィル・ハンティング旅立ち(1997年)③ヒア アフター(2010年)④インビクタス/負けざる者たち(2009年)⑤ディパーテッド(2006年)

●ガス・ヴァン・サント監督との①②、クリント・イーストウッド監督との④⑤、ほんで、マーティン・スコセッシ監督の、アカデミー作品賞ゲット作⑤。

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彼の持ち味をゆうてみましょか。

特殊な才能②③を持っていてもおごらずに、常に冷静沈着。訴える時は、力強く論理的に訴えはるし、逆境演技でも渋く魅せはる。そんな代表的演技は、本作で見られます。

決してイケメン俳優とちゃうけど、2007年には、ハリウッド男優ギャラ・ナンバーワンになってはりまんねん。

いやはや、こおゆう男優は、今までのハリウッドには、なかったタイプやないやろか。

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ほんで、本作。俳優のジョン・クラシンスキー(ヨメはんは女優のエミリー・ブラント)はんとの話し合いで、オリジナル脚本を執筆、製作・脚本・主演に加え、監督もしよかと思たけど、

スケジュールの都合上、監督まではしんどいちゅうことで、ベン・アフレックとの共同脚本やった②の因縁で、サント監督に監督をばしてもらいました。

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さてはて、アメリカの国家的な資源事業として、天然ガスを掘削するちゅうことがありましてな、ほんで、デッカイ企業にそれを任せることになり、そこに営業マンのマットが登場し、

いろんな農家に掘削を持ちかけて、企業も個人も共に億単位以上の儲けを、得るっちゅう話を持ってゆき、次々に掘削エリアを広げてゆかはります。

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マットの相棒役で登場しはるのは、フランシス・マクドーマンドのネーさん。

田舎の妊娠女刑事役で、なんともいえへん味を示した「ファーゴ」(1996年)でオスカー主演女優賞を得はったんやけど、

本作でも、そんな田舎に似合うユニークなとこをば、示さはりまんねん。

さてはて、スムーズに農地を買収できそうかと思いきや、そこに、反対派が現れ、また、環境破壊運動家役のクラシンスキーはんが、出現しはりまんねん。

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買収掘削賛成・反対の投票ちゅうとこまでいってまい、遂にアブなそうになった時、マットが考え出した状況反転作戦とは?

かなりのとこまでは、賛成派・反対派の一騎打ちにハラハラドキドキどしたけども、トンデモないサプライズがやってまいります。

そうどす。ミステリーとしての面白さや驚きがありまんので、お楽しみくだされ。

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個人的には、田舎のバー、パブの造形に、ウーンと唸れましたやろか。

バーでの、イベント的な酒飲み対決があったり、バンド演奏によるカラオケ(実際の演奏があるんでカラやないけど)披露シーンがあったり、

また、アメリカ映画に多く見られる、酒場のケンカ・シーンなどもあります。

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アメリカの全国民のスターらしく、ミスター・アメリカン・ボスと呼ばれる、ブルース・スプリングスティーンの、ダンサブル・ロック「ダンシング・イン・ザ・ダーク」が歌われるとこなんか、アメリカらしいシーンどした。

環境汚染問題入りの「エリン・ブロコビッチ」(2000年)や、「南部の人」(1945年)など、各種の農業映画などとも、シンクロする映画どす。

2014年7月20日 (日)

「STAND BY ME ドラえもん」⇒シリーズ最高傑作・週末日本映画劇場2

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「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が放つ、シリーズ初の3DCG

「スター・ウォーズ」な遡(さかのぼ)り系にプラス、未来図も描いた大傑作

http://www.doraemon-3d.com

葉月8月8日のフライデーから、東宝はんの配給によりまして、2D&3D同時公開でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014「STAND BY ME ドラえもん」製作委員会

「ドラえもん」シリーズの、過去最高の傑作となった作品やと、ボクチンはジャッジいたします。

「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年製作・日本映画)で、CG使いのキモをば示さはった、山崎貴監督(八木竜一との共同監督やけど)が、その絶妙ぶりを、遺憾なく披露しやはります。

しかも、原作オリジナルのテイストを維持しながら、大人の鑑賞にも堪え得る作品へと、昇華しはりました。

子供の時「ドラえもん」にココロ震わせた世代こそ、見に行くべき作品でおましょう。

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ドラえもんを連れて、のび太の未来の孫が、現代ののび太のとこへと、タイムスリップしてきやはります。

このイントロ部は、藤子・F・不二雄の原作においても、大変重要なポイントどす。

なぜドラえもんがやって来たのか。でもしか、ドラえもんは無理矢理来させられたちゅうて、半ば嫌がってはります。

でも、現代ののび太を、励ますとゆう使命。

でもって、のび太は未来において、ダイスキなしずかちゃんと、結ばれるんかどうかチュー命題。

現代のいじめに、耐え抜けるかどうかチューところも。

のび太とドラえもんの友情とゆう、本作シリーズの基本ラインが、しっかりと押さえられておます。

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そんなツボを押さえた上で、「スター・ウォーズ エピソード」3部作(1999年・2002年・2005年・アメリカ)な遡り系の前日譚を披露し、

ほんで、「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」3部作(1985年・1989年・1990年・アメリカ)みたいな、タイムスリップSF系のノリで、物語を紡いでいかはりまんねん。

タイトルに入っとる「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)な、ドラえもんを始め、子供たちの友情なとこも、モチなきにしもあらず。

山崎監督が影響を受けたはずの作品が、そこはかとなく仕込まれておますよ。

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3D的臨場感ある見どころは、ドラえもんグッズなとこで、大いに発揮されとります。

竹コプターで空を飛び跳ねるシーンの、ビビッド感が特注もんどす。

どこにでも行ける「どこでもドア」や、一目惚れを誘発する「すりこみタマゴ」など、ミラクル・アイテムが、次々に惜しみなく披露されてまいります。

2
そして、本作の最大のサプライズは、現代から14年後の、大人になった、のび太としずかちゃんが、登場するとゆうとこどす。

雪山遭難シーンのスリリング、2人の恋の行方はどうなるのん?など、実に興味深い、ドラマティックなラブ・ストーリー部になっとりまんねんで。

大人ののび太の声優を、妻夫木聡のアニキが担当してはります。

のび太が二十歳になったら、どないなるのんなとこを、いやはや、エエ感じで声で表現しはりました。

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で、一番のポイントは、ドラえもんとのび太の、出会いと別れ。

ほんで、その後のサプライズにありま。

ここから、ドラえもんシリーズが始まるんやと思うと、オールド世代はきっと泣けるハズ。

さて、ラストロールで流れる、秦基博(はた・もとひろ)の主題歌「ひまわりの約束」。

「ドラえもん」が描かれ始めた1970年代に、一世風靡していたニューミュージック的な曲調どして、サントラ的にも遡り系やったんは、これもサプライズやろか。

大人のためのドラえもんどす。

ここから、新しいシリーズが始まることは間違いありまへん。

2014年7月19日 (土)

「海を感じる時」⇒市川由衣がオールヌードを披露・週末日本映画劇場1

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4度のセックス・シーン始め、市川由衣ネーが熱いねん

池松壮亮もクールに、スケベ度の高さを披露や~

http://www.umiokanjirutoki.com

9月13日から、テアトル梅田やらで、全国ロードショー。

本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014『海を感じる時』製作委員会

「呪怨」(2002年製作)や「サイレン」(2006年)なんぞのホラーで、スクリームしてはった市川由衣のネーさんが、由々(ユユ)しき衣(コロモ)を、脱いでの脱皮演技どす。

オトナの演技やなんてゆうたら、それまでなんやけど、アイドルチックを残しもってのオトナな演技は、そうそう誰にでもできるもんやありまへん。

さてはて、女優のヤラシー演技には、一定の法則があります。その第一義には、売れんようになったから、脱いでみよか、がありま。

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ところがどっこい、最初から脱いではる女優はんは、別にしてでんな、フツーの女優から始めて、売れへんからとゆうて、やがて濡れ場披露をやって、人気的に盛り返した女優は、ほとんどいてはらへんことに、はたと気付くんでおます。

沢尻えりかのネーなんか、その次がありまへんやろ。

そんなマイナス・ポイントがありながらも、由衣ネーは、あえてやらはったんやないやろかなと思います。

セックス・シーンは、4度ばかりあります。

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主人公の池松壮亮(そうすけ)とのセックス・シーン。イントロのツーショットの長回しから、セックス・シーンへ。

その後、セックスをするためだけに来る池松君との、自室でのセックス。

浮気的にヤルところ(写真上から4枚目)では、ガムテで両手縛られ、目隠しでヤッてまいます。

ああ、ヤラシー度満開やけど、由衣ネーの哀切度も、同時に感じられる作り。

浮気がバレての、バックから一発ナンチューのんは、クエスチョンなとこもあったけども、池松君は、とことんクールに演技してはりました。

そこがまた、ヤラシー感を増大させよるっちゅうか。

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荒井晴彦はんの脚本どして、ヤラシー映画で評論家受けの高い映画をば、ズーッと作ってはる方やねん。

そやから、映画的にも、ヤラシー的にも、どっちも満足させられる作りをば心がけてはりま。

もともとは1980年代に、根岸吉太郎監督・荒井晴彦脚本で、映画化するはずやったんやけど、原作者の中沢けいネーさんからのNGが入ってしもて、今年までえらい長い間、延びておったとゆう経緯がありまんねん。

池松君みたいなクールな俳優が、当時はおらんかったチュー理由らしいねんけど、そんなことないやろーと、ボクは思うねんけどな。

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ただ、根岸監督のロマンポルノ作「狂った果実」(1981年)やら、石田えりがオールヌードを披露した「遠雷」(1981年)やらのセンスとは、ビミョーに違うとこが、本作にはあります。

共に、オールヌードを披露しながらも、本作はベタベタ感やネットリ感がないんどすわ。

あっさりやら淡泊チューことでもないんやけど、ヤラシー感はこっちの方が上やと思うねんけど、そのあたりのなぜ?は、ボクチンよう分からへんけど、たぶん由衣ネーの演技なとこにあるんかも。曖昧ですんまへん。

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1976年~1978年を舞台にした、いわゆる昭和映画なんやけど、個人的には、原作にあった、バスの中でもみ合って出てきたヘビが、どう映画として描かれるんかに興味があったんやけど、

モチ、映画的には描けないとこどして、残念ではあったけど、でもしか、市川由衣ネーさんの脱皮演技は、ヘビがどうちゃらを超えた、まさに「海を感じる」セクシーな演技ぶりどしたえ。

AKB48などには出せへん、清純派アイドルのホンマのセクシーが、ここにあるんやないやろか。

最後に「群像新人賞」を受賞した小説の映画化作品としては、村上龍原作「限りなく透明に近いブルー」(1979年)と、村上春樹原作「風の歌を聴け」(1981年)の間に、中沢けいネーさんが受賞しはったもんどす。

スゴイやんって思わはるでしょ。ボク的には、映画的には本作は、W村上原作作品を超えた仕上がりに、なっとると思います。

2014年7月18日 (金)

スペイン映画「ジプシー・フラメンコ」⇒音楽・ダンスドキュメンタリー

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これぞ年間ベストテン級的映画な、ドキュメンタリーや~

説明を排した、描写によるドキュの、ものの見事さ

http://www.gypsy-flamenco.com/

8月9日のサタデーから、パンドラはんとピカフィルムはんの、配給によりまして、渋谷ユーロスペース、テアトル梅田やらで、全国漸次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

本作を一言でゆうたら、音楽ドキュメンタリー。

ジャンルは、ワールド・ミュージックとされるフラメンコ。

でもって、ダンスが欠かせないジャンルなだけに、ダンス・ムービーとしてのとこが、映画のほとんどを占めるとゆう作りどす。

これまでに、フラメンコ・ドキュは、コンサート模様を中心に、イロイロ出てきたし、ドラマ映画でも、それなりにサントラに使われ、また、フラメンコのルーツとされる、ジプシーたちの人間ドラマも展開されてまいりました。

けども、ここまで描写に徹した、ドラマ映画のようなドキュメンタリーは、まあ、あんましありまへんやろ。

1
そもそも、ドキュの手法としては、ナレーション、説明字幕は基本的には必須となるんやろけど、本作はまず、それらがほとんどありまへん。

踊りをそのままに、見せてゆくとゆうスタイルをば、最後まで貫いてはります。

足元だけのアップから、ミディアム・カットまで、長回し撮影やらを駆使しもって、音楽と踊りに魅せられてゆくとゆう作りどして、

これぞ本格系の音楽ドキュ、ダンス・ドキュやと申せましょう。

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でもって、話は2つばかしありま。

2つは同時進行な流れで紡がれてまいります。

映画では、ロミオ&ジュリエットな「バルセロナ物語」(1961年製作・スペイン映画)なんぞに出てはった、カルメン・アマジャはん。

その姪御はんが、プレイヤーたちと共に、室内リハーサル・練習してはるシーンがあり、ほんで、一方で、フラメンコ・ダンサーになりたいとゆう、女の子みたいな男の子の話が、純粋無垢に描かれてゆきよります。

この男の子が、ウブなだけに、メッチャええ感じやねん。

冒頭の、「バルセロナ物語」をテレビで見て興奮するシーンから、そのウブぶりにグッと魅せられます。

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哀愁のスパニッシュ・ギターが、本編のいろんなとこで、自在に流れてまいります。

そんなギターと踊るステップ音が、絶妙に絡み合い、調合され、ほんで、耳にいつまでもこびり付くようなとこをば、形成してゆくんどす。

フラメンコがどうの、ジプシーがどうの、カルメンがどうのといった説明なんかいらないで~といった、描写に徹したこれらのシーンが、

本作をば、音楽に集中できる、至福のドキュとゆう高みへと導いてゆくんどすえ。

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ライヴを見せる音楽ドキュの多い中において、フラメンコの真髄を、ライヴ・シーンもあるけど、こういう形で示してゆくのは、かつてない妙味があります。

さらに、フラメンコにまつわるマジカルなシーンも、描かれとりまして、ビビーンどした。

特に、絵の具を塗っていろんな鳩を操るとことか、カルメンの泉とか、奇跡を感じさせるシーンが、そこはかとなくファンタジーどしたやろか。

ちゅうことで、ドキュのベストテンやなく、洋画の年間ベストテンに入っても、決しておかしゅうない1本でおます。

2014年7月17日 (木)

韓国映画「Mr.パーフェクト」⇒ゴルフ・島もの・先生&生徒ものが合体

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喋れない「機関車先生」が、元ゴルフ選手やなんて…

スイスイスイのトントン拍子が、ある意味で爽快

http://www.cinemart.co.jp

8月より、ツインはんの配給で、シネマート六本木、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Cinema Zenith All Rights Reserved.

コミカル人情節でスイスイ進んでゆく、単純シンプル・イズ・ベストか、ベストでないか、といった作品どす。

いろんなところで、リアル感やサスペンス感を催させる、じっくりと描き込むとこが、少々少なめなため、ハラハラドキドキをあんましカンジへんけども

スイスイトントン拍子で物語が進んで、その感動をスピーディーにダイジェスト的に、見せはった作品でもありま。

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日本のかつての、人情喜劇の調子の良さが、最初から最後まで一貫しとるような、韓国映画どす。

日本でゆうたら、かつてのプログラム・ピクチャーの2本立ての、もう一つのおまけの、1本みたいなとこもあるんやけど、

まあゆうたら、武田鉄矢主演「プロゴルファー織部金次郎」シリーズ(1993年~1997年製作・日本映画)みたい…なんやけど、

もう少し濃厚に緻密に、描いてほしかったやなんて、ボクチンはそんな贅沢は言いまへん。

けども、島もの・教師と生徒の関係に、ゴルフを取り入れたとこに、違和感はありつつも、最後まで押し切ってまうとこは、爽快感さえある作品どした。

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単純なとこに感動できるんかを問う、ちゅうか、問われずともそのまま見てもろたら、大たいちゅうか、何もかもがわかる作りになっとります。

はっきりゆうて、スイスイスダララッターな安直、分かりやすい、けども、パッパラパーさでパッパラパーでいってまおやんちゅう、マジ・おバカの中庸を得たコメディでおます。

ショーもない、くだらない、なんてゆわはる人もいてはるやろけど、こういう韓国映画の軟派ぶりには、韓国映画らしいオモロサがあります。そこんとこを、さらに分析してみると…。

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そもそもでんな、喋れない「機関車先生」(2004年・日本)みたいな、島もの教師もので、生徒と先生の交流を描くにしてもでんな、そこに、ゴルフっちゅうんを注入しようやなんて、かつての学園島もんにはあり得まへんわな。

そもそも、ゴルフ映画そのものに、傑作がありまへん。

ボク的には、ロバート・レッドフォード監督の「バガー・ヴァンスの伝説」(2000年・アメリカ)がエエなとは思うけど、ゴルフと学園ものをつなげるっちゅうんは、はっきりゆうて無謀だす。

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主人公の教師役は、「ファイ 悪魔に育てられた少年」(弊ブログで分析済み)で、その少年役を演じはったヨ・ジング君。

スター・ゴルフ選手やったけど、女性スキャンダルやら飲酒運転やらで、ゴルフ界を追われるようなことになりましてな、ほんで、交通事故のショックで、口がきけんようにならはりました。

でもしか、かつての恩師の依頼で、閉校になりかねへん島の学校の、教師にならはりまんねん。これが冒頭部。

ようやく来てくれはった先生を、こんな仕事つまらんと、帰らせへんようにしようとする、島民たちの作戦行動とか、

生徒と先生の交流とか、生徒の1人の呑んだくれのオトンが出てきて、息子が何でゴルフやらなあかんねんと、暴れたりとか、

ある意味でパターン化したとこを、それなりに魅せてゆかはります。

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先生が島に来て、生徒たちのココロを揺るがし、ほんで、先生との練習の末に、生徒の1人が、ジュニア・ゴルフ大会で優勝し、島民たちも騒ぎ、

ほんで、なんでか知らんけど、教師役主人公が、生徒たちとの別れを涙節にしながら、去ってゆくやなんて…、あまりにも…なんて思うけど、このセオリー通りが、逆に感動できるとこでもありまんねん。

「待てば海路の日和見主義」ナンチュー変な言葉や、クイック・モーションのコミカル・ルーツな使い方など、なるほどと思わせてくれはります。

ヨ・ジング君が、「王の男」(2005年・韓国)の、主演イ・ジュンギのアニキような容姿をしてたり、キャッチーな男性ポップ・ナンバーのキレ味など、売れ線映画のための装置は、そこかしこにありまんねんけど。

定番的らしく見えるにしても、とにかく、プログラム・ピクチャー的な面白さをば感じてくだされ。

2014年7月16日 (水)

インド映画「めぐり逢わせのお弁当」⇒これぞ新鮮味どす

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インド・オリジナルな珍しどころが、表出された逸品

トム・ハンクスとメグ・ライアンの「めぐり逢えたら」みたいに、果たして2人は、会えるんやろか?

http://www.lunchbox-movie.jp

オーガスト8月9日のサタデーから、ロングライドはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座で、全国順次のロードショー。

関西やったら、8月16日のお盆から、シネ・リーブル梅田、京都シネマやらで上映だす。

本作は、フランスとドイツとの合作となったインド映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸAKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm-2013

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インドのお弁当にまつわる映画てゆうたら、昨年日本公開された「スタンリーのお弁当箱」(弊ブログで分析済み)ちゅうのんがありました。

そっちは少年が、学校へ持っていくお弁当の話どしたが、こちらは、社会人・企業戦士が、ランチタイムに食べるお弁当のエピソードだす。

インドでは、オフィス街での、ランチお弁当配達システムちゅうのんが、充実しとるらしいどす。

実際そのシステムは、600万の1で誤配達のない、正確無比なもんらしいでおます。

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ところがどっこい、ヨメ(ニムラト・カウルのネーさん)の作った弁当が、ダンナのとこに届かず、別の男ヤモメんとこに届けられよりま。

まあ、ボクら日本人にしてみたら、ダンナが愛妻弁当を、会社へ持っていくもんやろと、ついつい思うんやけど、インドではどうもちゃうらしいわ。

配送システムが、一般の家庭でも利用されとんのが、今一つ理解できへんかったんやけど、その誤配に乗じて毎回誤配されて、

ほんで、ヨメとヨメの見知らぬ男ヤモメとの間に、弁当やらにまつわる文通が、始まるやなんて、まあ、チョイ日本ではあんまし、とゆうか、ほとんどないケースどす。

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トラック宅急便やなく、鉄道で輸送され、各会社の社員の机まで届けられるそのシステムが、一体どんな風になっとんのか、ボクはモノゴッツー興味深かったんやけど、映画のポイントはあくまで男女の関係性。

それが恋と呼べるかどうかは、別にしてでんな、そんな男女の、弁当食べる側、作り手送り手側においても、日本には珍しどころがありまんねん。

1~2分の長回しで、主人公(ハリウッド映画にも出てるイルファーン・カーンのアニキ)が見せる、弁当食べる仕草や表情などは、アドリブ的やけど、妙にオモロイ。

スプーンで食を小皿に取って、手で食べるとゆうインド流儀以上に、興味あったで。

四段重ねのアルミ弁当の中身も見せる作りなんで、それもOKどした。

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浮気しとるらしいダンナとの仲を、弁当で盛り返そうとしはったヨメやけど、この男ヤモメとの間に、文通を通じてほのかな交流が生まれてまいります。

ヨメは上に住むオバハン(親戚やない)に、弁当絡みのつながりを、しょっちゅう大声で相談してはりまして、このあたりのチョーご近所付き合いも、最近の日本にはない、日常風景やろか。

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主人公の会社は一体、何の会社やのんちゅうのにも、大いに興味をそそられました。

主人公は会社を辞めるんで、その引き継がれる後任の、孤児だとゆう男性キャラも、インドやったら、いてるんかなーと思わせてくれはります。そのキャラが、明るい明るい。うーん、いてるんやろか、ホンマ。

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さてはて、このヨメ・ヒロインと、男ヤモメ主人公。いっぺん会うことと相成りましたけども…。

ヨーロッパで大ヒットをば、カマさはった映画やけど、あえてああいう結末にしはったのは、メッチャよろしかったどす。

トム・ハンクスとメグ・ライアンの「めぐり逢えたら」(1993年製作・アメリカ映画)なんぞを思い出して、その違いの妙に、フウーンとうなったりしよりました。

かの2人の「ユー・ガット・メール」(1998年・アメリカ)より、仕上がりは個人的には、グーンと上でおましょうか。

ミュージカルだけが、インド映画やないとゆうとこが、垣間見えた快作どした。

ラブ・ストーリーやけど、今年の日本公開インド映画マイ・ナンバーワン「バルフィ!人生に唄えば」(8月下旬公開)は、後日分析いたします。

2014年7月15日 (火)

「石川文洋を旅する」⇒戦場カメラマン・ドキュメンタリー

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ベトナム戦争のカメラマンの、50年を捉えたドキュメンタリー

出身地・沖縄の、米軍関連問題にも肉迫や~

http://www.tabi-bunyo.com

7月26日の土曜日から、東風はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場で、順グリの上映やねん。8月16日~神戸アートビレッジセンター、その後京都シネマやらでも上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ大宮映像製作所

戦場カメラマンを描いた映画とゆうのんは、ボク的には、そんなに見れてまへん。

取材中に死んでしもたロバート・キャパやら、浅野忠信が一ノ瀬泰造を演じたドラマ映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」(1999年製作・日本映画)や、

本作の石川文洋と同じく、ベトナム戦争の戦場カメラマンで、銃弾に倒れた沢田教一を、捉えはったドキュ「SAWADA サワダ」(1996年・日本)なんぞを思い出しよります。

ちなみに、「地雷…」と「SAWADA…」は同じ監督、五十嵐匠による作品どす。

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さてはて、戦場で死んだら、そら、ドラマティックやもしれません。今も戦場で死す、ジャーナリストやカメラマンはいてはります。

でも、本作のポイントは、そういうドラマティックや悲劇とは無縁のものどして、あくまで1人のカメラマンの、50年のカメラ人生を辿る、人間ドキュメンタリーとしての滋味にあふれておます。

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出身地・沖縄での取材と、ベトナム戦争取材が取り上げられとります。

最近、天皇が心を配られた対馬丸の悲劇やら、普天間基地のオスプレイなど、今も問題となっとる話も出ますが、

メインは彼のベトナム戦争取材時代を、回顧する感じになっとります。

ベトナム戦争は、今や過去のものと思われがちどすが、アメリカのベトナム戦争のドラマ映画では、決して描かれていないところが、随所に散りばめられておます。

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そやから、新たな鑑賞眼をもって、映画が見られるちゅう次第でおます。

ベトナムの若い女に魅せられて、取材にのめり込んでゆかはったとゆう石川文洋はん。

75歳になった現在、従軍時代のサイゴンの下宿を訪ねて、当時を振り返るシーンもあります。

日本のドキュでも捉えられたことがある、米軍の枯れ葉剤による、子供たちの奇形問題なども入っておます。

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ただ、社会派的に問題をえぐり出す視点よりも、優しい女性ナレーションなどで、癒やしなとこもありまして、そのあたりは中庸を得た作りになっとります。

沖縄民謡チックな女歌に乗って、文洋はんのモノクロの写真作品を見せたり、高峰三枝子の歌「湖畔の宿」の思い出話や、笛やバイオリンのサントラなど、ココロ温まるとこがケッコーありまんねん。

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イエローやわだかまる雲の、空の風景シーンの点綴もOK。文洋はんの穏やかな話しぶりも、エエ感じや。

でもしか、作品を見せる、時おりのシャープなカットには、心震えよりまっせ。

その意味では、少女が銃を突きつけられて震える、ラストシーンは強烈どしたえ。

今年の日本のドキュメンタリーでは、今のところ、マイ・ベスト・スリーに入る、仕上がりやろかと思います。

個人的には、文洋はんが若い時分は、映画評論家になりたいと、思ってはったとゆうコメントが、ココロに残りました。

2014年7月14日 (月)

ポーランド映画「イーダ」⇒初期ロマン・ポランスキー的な作品

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21世紀的モノクロで描かれる、ヒロイン映画の傑作

修道尼映画の新味に加え、ロードムービー的な面白さも

http://mermaidfilms.co.jp/ida

8月2日のサタデーから、マーメイドフィルムはんの配給で、東京・渋谷・シアター・イメージフォーラムなど、全国順次のロードショー。

関西やったら、8月9日からテアトル梅田やらで上映どす。

本作は2013年製作の、デンマークとの合作によるポーランド映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸPhoenix Film Investments and Opus Film

今のヤング世代は、モノクロ映画はほとんど見まへん。

でもしか、映画作家的こだわりなんやろか、モノクロ映画が21世紀になっても、ケッコー出ておます。

かつて21世紀に輩出されたモノクロ映画の、マイ・ベスト&カルトをば、披露しましたけども、それらのほとんどは、描かれる時代の雰囲気を、出すためちゅうとこがありました。

SF映画でもモノクロ「シン・シティ」(2005年製作・アメリカ映画)なんぞがあるけど、

でも、モノクロで撮ったら、ショーもない映画でも、それなりに誤魔化せるんとちゃうかなチュー、とこもなきにしもあらず…。

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さてはて、本作は、そんな誤魔化しの意図やらはありまへんねん。

1962年の話なんやけど、ユダヤ人とゆう自らのルーツを、ヒロインが探る点やらにおいては、時代性に合わせてのモノクロやったり、正方形なスタンダード・サイズが、ふさわしいやろとは思います。

修道女がヒロインの映画としては、オードリー・ヘプバーン主演の「尼僧物語」(1959年・アメリカ)は、カラーやったけど、カンヌ国際映画祭で、賞をもろた「尼僧ヨアンナ」(1961年・ポーランド)はモノクロ。

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ちゅうか、本作はポーランドの過去の作品に対し、ある種のオマージュを捧げてはるんやないやろか、ちゅう意図も見え隠れしとるんやないやろか。

ロマン・ポランスキー監督のデビュー作「水の中のナイフ」(1962年・ポーランド)なんぞは、ケッコー意識してはったんやないやろか。

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修道女のヒロインが、院長のススメで、自分の過去を探るためにでんな、唯一の肉親の伯母とともに、過去を掘り返すために、クルマでのロードに出はりまんねん。

意外なことが分かり、その実証もやらはるし、一方で、ヒロインはジャズ・プレイヤーと恋に落ちたりと、スリリングにドラマは展開してまいります。

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アル中・ニコチン中毒の、判事やってはる伯母と、清楚なヒロインとの、世代ギャップや相克ぶりは、「水の中のナイフ」を思い出したりもするけども、でも、二人の別れのシーンなどでは、ついホロリとくるシーンがあります。

また、ジャズ・プレイヤーとの恋なとこでは、ラストシーンやけど、別離を象徴する、ピアノをバックにした、印象的な長回しがあったりしよります。

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映画的なカットが多いのも特徴的どす。

ロングショットを始め、ラストシーンのヒロインの移動撮影の長回し、車窓を通したカット、車内のアップ・クローズアップの突然の挿入、ツーショットのユニークな構図など、映画芸術的なとこも示しとこかちゅうとこも、ケッコーあります。

一方で、サントラよりも、劇中で流れる音楽に妙味がありました。

特に、コルトレーン・ナンバーのジャズ演奏は、本作のポイントにもなっとるかと思います。

ブルージーなジャズ・ダンス・ナンバーに、乗って踊るシーンや、ポップなダンス・ナンバーも流れて、音楽がドラマを牽引してるようなとこもあってオモロイ。

スカウトされて初めて映画に出たけど、今後、女優をやるつもりはないちゅう、主演のアガタ・チェシェブホフスカちゃん。

でもしか、あの清楚と不機嫌をまぶしたような、ビミョーな自然体演技を、またいつか見てみたいわあ~。

2014年7月13日 (日)

スタジオジブリ新作「思い出のマーニー」⇒週末日本映画劇場2

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ディズニー初「アナと雪の女王」と同じく、ジブリ初のWヒロインもの

伏線シーンもある、ミステリー映画としても見れます

http://marnie.jp/

7月19日の土曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 GNDHDDTK

スタジオジブリの宮崎駿と高畑勲が、いっさい関わらへんジブリの新作どす。

ジブリを継承・進化させるとこで、必死のパッチが行われた結果、今までのジブリには、ないとこまで表現された快作となりよりました。

ところで、ジブリとディズニーは提携してはるんやけど、ディズニーの、今年日本公開されて、記録的なヒットをかました「アナと雪の女王」(弊ブログ3月1日付けで分析)が、ディズニー・アニメ映画史上初の、Wヒロインもんどした。

それに追随したワケやないやろけども、本作もジブリ初のWヒロインものや。

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けども、「アナ雪」は、実の姉妹の相克やったけど、こちらはヒロイン杏奈(アンナ)と、ヒロインの夢想シーンで登場する、マーニーとの交流どす。

でもしか…がありま。ジブリではこれまでは、ミステリー映画とは少しとゆうか、だいぶ懸け離れた作品性やったと思うんやけど、

本作では、ミステリー的にもメッチャきました。ジブリ初やろな。

しかも、伏線シーンも披露して、いったんマーニーの真相を示し、ほんでもって、最後にデッカイどんでん返しサプライズをば、披露しやはりまんねんで。驚きました。

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ぜんそくの療養のために、北海道の海辺の田舎に、札幌の実家から来やった杏奈ちゃん。

養父母の母方の親戚の家なんやけど、その近くに湿地帯の向こうにある、海辺の洋館(写真上から5枚目)がありましてな、そこに行ってるうちに、そこに住んでるマーニーちゃんを、夜に見る夢でまず見て、

ほんで現実的とは思われへんけども、夢想・白昼夢・幻覚的に会わはり、交流しはりまんねん。

交流シーンがプツンと途絶え、いつも道で倒れてるとこが、発見される杏奈ちゃん。

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この流れやと、どないあっても、杏奈ちゃんの1人よがりな、夢想としか思われへんわな。

でも、イギリスの児童文学が原作らしいんやけど、「ハリー・ポッター」やら「ロード・オブ・ザ・リング」やらが構築した、イギリス原作映画のファンタジー性も、そこはかとなく感じさせてくれはります。

ひと夏の冒険ものやらの映画として見ても、これまでとは異彩を放つ作り。

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でもって、北海道のロケハン・取材までしての、北海道の風景描写にこだわった、凄みと癒やしどすえ~。

海辺の自然シーンを始め、湿地帯、森中、草木の緑やら。朝焼け、夕景など、空の風景もあるんやけど、空シーンには快晴の青空シーンはほとんどなく、雲を散りばめ、黒雲をわだかまらせたりと、微細に北海道の空を、表現してはるとこが、何とも渋かったやろか。

声優陣に目を向けてみますと、杏奈声優役・高月彩良(たかつき・さら)ちゃんと、マーニー声優の有村架純(ありむら・かすみ)ちゃん。

優はアニメ・キャラより、目立たないちゅう定説はあるけども、2人共にメッチャスムーズどした。

架純ちゃんはホラー映画なんかで、ケッコー見たけど、彩良ちゃんは、ボクは初めて。まあ、声だけやけど。アイドルチックな容姿をしてはるんで、これからが楽しみやろか。

ほんでもって、ラストでは、プリシラ・アーンのネーさんの「ファイン・オン・ザ・アウトサイド」チュー曲が流れます。

エンヤやサラ・ブライトマンみたいな、アコースティックな癒やし系の、スロー・ポップスが、潤いある余韻を残してくれはります。

2014年7月12日 (土)

染谷将太&黒川芽以共演「ドライブイン蒲生」⇒週末日本映画劇場1

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名映画撮影監督75歳たむらまさきの、初監督作品

姉弟を始め、4人家族のフワ~ンとしたキズナどす

http://drive-in-gamo.com

葉月8月2日の土曜日から、コピアポア・フィルムはんの配給によりまして、東京・シアター・イメージフォーラムやらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014伊藤たかみ/キングレコード株式会社

いろんな家族映画がこれまでに、多彩に花開いてまいりましたけども、ドライブインを経営しはる、4人家族の物語ちゅうのんは、ボクは初めて見ました。

しかも、その家族映画スタイルは、バカ一家と言われながらも、姉妹、そして父との確執など、日本の正統系家族ドラマを、ビミョーに外すようなとこがありました。

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母や娘の女コドモは、あんまし描かれてへんねんけど、メインは姉弟を中心に、今は死んでしもたオトンでおましょうか。

でもって、姉役・黒川芽以ネーさんは、いかにもなヤンキーにして、ヤンママ役をこなし、ボク的には、これまでの最高演技を見せてはるかと思います。

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弟役・染谷将太クンは、今やベストワン演技を選ぶんが、困難なくらい映画に出てはるけど、

いつものぶっきら棒節より、自然体とゆうか、芽以ネーやオトン永瀬正敏はんやらに、合わせるような、演技ぶりでいってはります。

そして、永瀬はんの、ぐうたらオトンぶりは、初披露やろか。

まあ、元ヨメのキョンキョンと共演した「毎日かあさん」(2010年・弊ブログで分析済み)でも、ぐうたらやったけど、それ以上に進化させはった、仙人に近いような演技ぶりや。

でもって、入院して死期迫るオトンを、姉弟が見守るシーンでも、泣ける系やありまへん。

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ちゅうか、映画全体として、泣ける系は、極力排してはるような作りなんどす。

そやから、お涙ちょうだい的な家族ドラマは、あんまし期待できまへんけども、

これまでの家族ドラマとは、ちょっとテイストが違うやんな感じで、渋く楽しめるやろかと…。

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さてはて、ストーリー的構成的には、ロードムービー・スタイルでいってはります。

姉弟と姉のコドモが、車に乗ってどこかへ出かけはりまんねん。

ほんで、高校時代やら、過去のオトンの死とかを、思い出してゆくとゆう作りどす。

しかも、映画作術的なカットバック的で進行しないとこも、特筆やもしれまへん。

過去と現在が、同じ時間軸にあるように思わせて、今も昔もそない変わらへんとこが、示されとるんやないやろか。

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加えて、遠近感あるシーンを中心に、長回し撮影で魅せてくれはります。

また、エレキ・ギター・サントラの、耳にこびりつくような粘りにも、注目しておくんなまし。

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本作は、撮影監督の名匠たむらまさき75歳の、初映画監督作品でおます。

木村大作やら、撮影監督の映画監督デビューは、超晩年がこのところ、定番っぽくなっとるけど、

そんな中でも、木村大作監督「春を背負って」(2014年・公開中・弊ブログで分析済み)と同じく、ヤング世代にも遡求するような1本になっとります。

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そんな監督の撮影監督作品の、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)を言いよりますと…

①竜馬暗殺(1974年)②EUREKA(2001年)③三里塚シリーズ(1970年~1977年・全4作)④さらば愛しき大地(1982年)⑤ダイアモンドは傷つかない(1982年)

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●ボクが学生やった、1970年~1980年代からの作品が、多うなってもうてすんまへん。

カラー時代のモノクロ撮影の妙味を示さはった①②③。で、濡れ場撮影もうまい。秋吉久美子の④、田中美佐子の⑤。

特に⑤は、エロ好き男子にはチョーおすすめやー。

本作でも、そんなエロエロ・シーンはあるんで、要チェックやろか。

でもしか、家族ドラマの新しい滋味やシブミに酔ってくだされ。

2014年7月11日 (金)

「収容病棟」⇒ワン・ビン監督の、本年度ベストテン級の新作

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237分にわたる、中国の精神病院ドキュメンタリーどす

究極の群像ドキュをば、感じさせてくれはりまっせ

http://www.moviola.jp/shuuyou/

7月19日の土曜日から、ムヴィオラはんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やら京都シネマやらで、全国順グリのロードショーやー。

本作は、香港・フランス・日本の合作となった、2013年製作の作品。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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精神病院ドキュメンタリーちゅうのんは、本作が映画史上初の作品でおまっせ。

精神病院を舞台にしたドラマ映画も、「カッコーの巣の上で」(1975年製作・アメリカ映画)など、かつて数本しかござりまへん。

その意味では、画期的な作品なんやと思うけど、その実態描写は、ドキュメンタリーなだけに、かつてないリアリズムが付加されとります。

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精神病院だけやなく、刑務所・収容所やらを含めた、閉鎖環境における群像ものの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば披露いたしますと…。

●ベスト⇒①戦場にかける橋(1957年・アメリカ)②戦場のメリークリスマス(1983年・イギリス&日本)③カッコーの巣の上で

●カルト⇒①本作②イワン・デニーソヴィチの一日(1971年・アメリカ&イギリス)③大いなる沈黙へ(弊ブログ検索で出ます)

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●戦争収容所ものてゆうたら、メッチャあるんやけど、ベスト①②が特注。

収容所ものでも、犯罪を犯して送り込まれる、ソ連収容所のカルト②。

で、刑務所ものもケッコーあるんやけど、今回はパスしたカタチになっとります。すんまへん。

ほんで、ドキュでゆうたら、今年公開されたカルト①③が、閉鎖性を見事に取りあげた、傑作になっとります。

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さてはて、本作は中国のワン・ビン監督作品。

でもしか、製作国を見てもろたら分かる通り、ワン・ビンの祖国・中国はいっさい、製作資金を出してはりまへん。

なんでかちゅうたら、中国の恥部をあからさまに描かはるんで、中国当局としては、とてもそんなんに、資金を投入するやなんてことはありまへんねん。

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ワン・ビンのこのところの作品は、「キネマ旬報」の洋画年間ベストテンに、連続で入っとります。

トンデモ内乱の実態を描いた、初のドラマ映画「無言歌」(2010年・弊ブログで分析済み)。

中国は田舎ほど、貧しいことになっとるらしいんやけど、その実態を少女ヒロイン視点で描いたドキュ「三姉妹~雲南の子」(2012年・分析済み)。

そして、本作は中国の精神病院ちゅうか、精神病者収容所の、トンデモ実態をば描かはりました。

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しかも、いろんな精神病者を、素のままに見せてゆくとこが、ものすごいねん。

で、サントラはいっさい流れず、現状をそのままに伝えてゆくとゆう、ドキュの基本を押さえてはります。

また、映画的照明かは判然とはせんけども、セピア照明のタイトな使い方にも、妙味がありました。

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どうしてこんなことになったのか、と嘆く人。

面会に訪れる家族に、「帰れ!」を連呼する夫。

収容所内を、スッパダカのフルチンで走ったり、ベッドで小便の処理やらをヤルとこを、長回しで映したり、そらモー、異界めいた汚れの世界が、当たり前のように描かれておます。

退院しても、どないしたらええんか、分からん男のエピソードとか、男同士の恋愛を始め、男女の恋愛も描かれよるんどすえ。

奇行のオンパレードに、アッと驚き続ける作品どした。

ちゅうことで、本作もベストテン級の映画やったです。

2014年7月10日 (木)

フランス映画「ぼくを探しに」⇒アニメ監督が実写映画を撮ったら?

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記憶喪失系映画の、新しいカタチとは?

喋れない主人公の、キャラクターが愛しおまっせ

http://www.bokuwosagashini.com

8月2日のサタデーから、トランスフォーマーはんの配給によりまして、東京・シネマライズ、シネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都やらで、全国順次のロードショーやー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 EUROWIDE FILM PRODUCTION-PATHE PRODUCTION FRANCE 3 CINEMA-APPALOOSA

オバンが孫をサポートしはるアニメ「ベルヴィル・ランデブー」(2002年製作・フランス&カナダ&ベルギー合作)やらで有名な監督、

フランスのシルヴァン・ショメ監督が撮り上げた、初の長編実写映画どす。

短編では、オムニバス「パリ、ジュテーム」(2006年・アメリカ&フランス)のワン・エピソードで、監督しはったけど、今回が初めての本格系でおます。

主人公をサポートする、いろんな人たちが、いてはる点においては、「ベルヴィル…」の延長線なんかもしれまへん。

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両親が死んでから、過去の記憶もなくなり、喋れなくなった主人公が、その記憶を取り戻してゆくんを、描くんやけど、

監督的には、マルセル・プルーストの、世界一長い小説「失われた時を求めて」(何度か映画化もされとります)に、構想を求めはったらしいわ。

記憶喪失ちゅうポイントは、戻った時の感動とかが、大いにドラマ映えしよるんやけど、それをミステリーチックにやらずに、

夢想シーンなどで、ファンタジックにやったとこが、本作のオリジナル・ポイントやろか。

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記憶取り戻し系を、ラブ・ストーリー的に描いた「かくも長き不在」(1960年・フランス)や、「心の旅路」(1942年・アメリカ)やら。

記憶の戻らないままに、物語を推し進める「過去のない男」(2002年・フィンランド)とか。

はたまた、「ボーン・コレクター」シリーズ(2002年・2004年・2007年・アメリカ)みたいに、ハリウッド的大作的に取り入れたりとか、記憶喪失のキーは、いろいろ展開しとりまんねん。

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けども、本作はラブやミッション・アクションやミステリーではなく、主人公が記憶を取り戻す過程をば、ストレートに描いた作品なんどす。

つまり、どおゆう方法で、記憶を取り戻すんか。その記憶はどおゆう内容なんか。

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過去の記憶シーンは、写真上から6枚目~8枚目なんやけど、つまりは主人公の、オカンとオトンの姿っちゅうことですわな。

6枚目の赤ん坊視点による、シーンなんかが頻出しよるけど、特に、両親の死のシーンまで、とことんその視点をやってみはるとこなんかは、臨場感を含めリアリスティックどした。

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冒頭では、ディスコティークなファンキー・サウンドが流れ、ベイビー視点による、オカンの歌披露とか、海辺のミュージカル・シーン。

プロレス・シーンで流れる、ピアノやアコーディオン。

バイオリンや、極上のポップス・バラードも取り入れて、ドラマを盛り上げはります。

主人公が弾くピアノに乗っての、シーンなんかも印象的やったな。

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ラストシーンは、どんなもんやろか。

結局、主人公の赤ん坊時代の記憶は戻るんか、戻らへんのか。

でも、赤ん坊視点はかなりあるんで、戻りまへんでしたチューわけにもいかへん。

賛否両論みたいな、大げさなことやないけども、満足・不満足の分かれるラストやろか。

でも、ボク的には、家族再生のドラマのようにも見れて、ケッコー良かったどすえ~。

2014年7月 9日 (水)

「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」⇒群像ドキュメンタリー

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ローマの高速道路GRAの、周辺に住む人々を活写しはります

ドキュとは思われへんような、群像劇が展開しまっせ

http://www.roma-movie.com/

オーガスト8月16日のサタデーから、シンカはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ポスター画像にもありますが、本作は、アカデミー賞を除いた、世界三大国際映画祭のヴェネチアで、最高賞の「金獅子賞」をばゲットしはりました。

ヴェネチア国際映画祭史上では、ドキュメンタリーの最高賞は初めてどす。

日本代表ジブリ宮崎駿のアニメ「風立ちぬ」(2013年製作・弊ブログ分析済み)を、退けての受賞どした。

そおゆうたら、アカデミー賞長編アニメ賞を、「風立ちぬ」をしりぞけて受賞しはった「アナと雪の女王」(分析済み)は、歴史的な大ヒットになっとるな~。

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そやからとゆうて、本作も大ヒットするかは、ビミョーでおます。

なんせドキュにして、バリバリに近いアート映画やもん。

家族一同で見に行ってえなー、ナンチュー謳い文句が、機能せえへんような映画なんやけど、でもしか、ボクチンは言いたいわ~。

ここには、日本人のボクチンらには感情移入しにくい、異能の人たちが多いけど、でも、こおゆう人たちとゆうか、キャラクターこそが、映画を面白くさせる原動力に、なっとったんやないやろか。

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とにもかくにも、群像ドキュでおます。

ドキュとは思えへん、人たちが出てきはります。

群像劇の巨匠の、故ロバート・アルトマン監督作品なんかと比べたら、かなり異質な感じ。

ちゅうのんは、高速道路をポイントにしてるんやったら、フツーは、その道路を走っとる車を、対象にした人間ドラマが、展開するもんどすやろ。

それが、道路周辺で生活してはる人の群像もん。でもって、それがコミュニティもんかと思たら、違いまんねん。

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描かれる人々の間で、シンクロナイズ、もしくは交流はありまへん。ホンマ、ちょっとのすれ違いさえないねん。

バラバラで描かれとるんで、一種のオムニバス映画とも言えるやろか。

でも、各人の話に、ドラマ的感動はなくとも、違和感なく入ってきよります。ちゅうか、意図的やないとこに、渋みがあるっちゅうか。

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描かれる対象としては、救急救命士や、ホームレスに近い車上生活者もいてはるけど、時代錯誤な方々も入ってはって、まあ、そらもー、いろんな人が、登場してきはりまんねん。

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人間ドキュ部より、個人的には、タイトに映される、ローマの高速道路の描写にノレました。

運転手視点による、フロントガラスを通しての描写、道路のロングショット、前へ前への映像のビビッドな臨場感に、見ている間、しょっちゅう魅せられとったやろか。

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分厚い雲が広がる、空の下の描写は、何やら不穏な雰囲気。

で、夜のクラブのセクシー・ダンサーたちや娼婦たち、映画撮影シーンなどの派手めなとこと、陽光眩しい日照りのミサ・シーンや放牧シーンやらの、静かなるとこの対比に加え、

1~2分の長回し撮影やら室内カットも、ドキュ芸術映画的に練られておました。

ラストロールで流れる、男のスタンダードチックなポップスも、映画の雰囲気をば、にじみ出してはりました。

さてはて、アカデミー作品賞をゲットし、LAの街と住民を取り上げはった、ドラマ群像劇「クラッシュ」(2005年・アメリカ)やら、

本作と同じく、ローマを取り上げはった名作「フェリーニのローマ」(1972年・イタリア)やらと、見比べてみはったら、オモロイかもしれまへんな。

2014年7月 8日 (火)

「ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪」⇒ツイ・ハーク監督の大作

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製作費32億円で、3倍返しの96億円を売り上げた作品や

中国版「シャーロック・ホームズ」は、ハリウッド版に負けない破天荒ぶり

アンジェラベイビーちゃんが、エエ感じやねんで

http://www.u-picc.com/seadragon/

葉月8月2日の土曜日から、ツインはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿、シネマート六本木やらで公開やねん。

関西やったら、8月9日サタデーから、シネマート心斎橋、京都みなみ会館、神戸・元町映画館やらで上映どす。

本作は、2013年製作の中国・香港合作映画で、本編133分でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 HUAYI BROTHERS MEDIA CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.

製作費約32億円の投下ちゅうのんは、中国映画史上過去最高額やそうでおます。

でもって、中国国内で3倍返しの、96億円の興行セールスや。

確かに、中国・唐の時代劇ながらも、娯楽映画の全てを、ブチ込んだような仕上げになっとります。

「シャーロック・ホームズ」シリーズ(2010年・2011年製作・アメリカ映画)の中華版やと思たら、いきなり、海洋・怪獣パニックからスタートや。

いっぱいある木造りの船が、怪獣のシッポだけで、次々に壊されてゆく、冒頭のインパクトは強烈どす。

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しかも、怪獣の全体像は、最後の方では開陳されよるけど、最初はシッポだけしか見せず、不気味な雰囲気がありま。

ただ、この謎の怪獣「シードラゴン」やけど、「ゴジラ」(1953年・日本)や「グエムル 漢江の怪物」(2006年・韓国)みたいに、どのように生まれたのかは不明だす。

まあ、ドラゴン=龍は、中国生まれの伝説があるよってに、太古からいるっちゅうことで、エエんやろか。

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そんな海のドラゴン怪獣「龍王」の怒りを、鎮めるためにでんな、龍王をまつる寺に、美女・花魁が閉じ込められます。

そんな美女役に、中華アイドルのアンジェラベイビーちゃんが、清楚に凛として演ってはります。

でもしか、ベイビーちゃんは脇どして、主人公のシャーロック・ホームズばりの、名探偵ディー判事役の、台湾男優マーク・チャオのアニキが、主役をば張ってはりまんねん。

ベイビーちゃんの恋のお相手役を、演ってはるんやないけど、ホームズばりに、観察眼によって推理してゆくスタイルは、妙味がありま。

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アンディ・ラウがディー探偵役で主演しはった「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」(2010年・中国&香港・弊ブログで分析済み)のシリーズ第2弾ちゅうか、

「スター・ウォーズ」のエピソード・シリーズみたいに、遡り系の話なんやけど、

前作は忘れて、本作から見ることこそが本道やし、前作を知らん人こそ、メッチャ楽しめる作品なんで、本作を見て驚かはった方は、前作はレンタルやらで見ておくんなまし。

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ああっと、モトイしよりまするに、ベイビーちゃんの恋のお相手は、

かつてはイケメンやった、韓国男優キム・ボム君どして、謎の一味によって、醜い半魚人な化けもんになってはります。

それでも、ベイビーちゃんは、彼がダイスキ。

2人の恋は「美女と野獣」(1946年フランス・1991年アメリカ=ディズニー・アニメ)ほどの格差感はないけど、とにかく、イチズな両想いやねん。

変なクスリで醜くなってもうたんやけど、それをば荒唐無稽なやり方で直そうかちゅう、トンデモ博士の存在など、

本作はいろんなとこで、トンデモ逸脱、トンデモ爆裂系のエピソードやキャラが、頻出しよりまんねんで。

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さてはて、「マトリックス」(1999年・アメリカ)で世界的に有名になった、ワイヤー・アクションが頻出しよります。

本作の監督ツイ・ハークはんが、1980年代に編み出したこのアクション手法は、今やいろんな映画で、当たり前のように使われておますが、

本作では、剣戟などで、別にワイヤーせんでもエエやんなとこで、大仰に魅せてくれはります。

このフツーに見えへん、無理矢理ワイヤーなとここそが、弾よけのためより、本来の使い方どして、その原点回帰な使い方が、ボク的には嬉しかったやろか。

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クライマックスはダブル仕様どす。

ワイヤーを駆使した、絶壁での3対1対決の凄み。

ほんで、ドラゴン怪獣とのドハデな激戦ぶり。

アホらしいやなんてゆう人はまず、いてへんやろかと思います。唖然呆然としはるはずやで。

ハリウッド大作と比べても、決して遜色のない仕上げをば示してはります。

さらに追記。日本のミュージシャン、川井憲次はんが、ハリウッド映画にも負けへん、壮大なオーケストラ・サントラを、盛大に披露してはります。

ちゅうことで、パニック映画・怪獣映画・ミステリー映画・恋愛映画・剣戟時代劇・海洋冒険活劇…。

いろんな要素がゴッタ煮にされた、特大エンターテインメントどしたえ。

2014年7月 7日 (月)

インド映画「あなたがいてこそ」⇒歌って!踊って!インド映画祭

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インド版「ロミオ&ジュリエット」なミュージカルどす

一族の対立劇を、ほとんど感じさせない楽しさでおます

http://www.u-picc.com/anataga/

7月26日のサタデーから、太秦はんの配給によりまして、東京・シネマート六本木、8月2日サタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

インド・ミュージカル映画の粋を示す、2010年度製作のインド映画どす。

田舎の2家の過去の対立が、2010年の28年後にも、続いとるとゆう設定ながら、

その殺伐さが、対立する2家の2人の、ラブ・ストーリー・ミュージカルによって、緩和とゆうより、全く関係ないようなノリで展開してゆくとこが、本作の大いなるポイントでおましょう。

そやから、緊張感あるべき対立関係ドラマ部と、突然ミュージカルのお気楽度合いが、全くかみ合わず、

でもしか、そのミスマッチ感が、めまいをもたらすくらいの眩惑感と、理屈抜きの楽しさをば、もたらしてくれよるんどす。

矛盾めいてるかもしれへんけど、見れば、南インド映画の陽気さとは何ぞやが、分かるやろかと思います。

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冒頭で、28年前の2家の争いが描かれて、いきなり28年後へと場面転換。

いがみ合った家族の、息子たる主人公は大人になり、都会で冴えない、自転車での運搬屋をばやってはります。

スピーディーな自転車アクションが、展開するんやけども、その自転車の電燈がCG仕様で喋ったりなど、ディズニーっぽいとこもありーので、話は進んででんな、

やがて、宅配便に比べて遅いチューことで、お払いバコになってまいます。

ところがどっこい、捨てる神あれば拾う神ありどして、実家のあった田舎の土地が、モノゴッツーな値で売れるっちゅうんで、

主人公はいそいそと、愛するチャリンコを捨てて、田舎へと向かわはりまんねん。

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でもって、主人公役ラームは、実家へ向かう電車の中で、美女(アパルナちゃん・写真2枚目)と出会い、ひと目惚れやがな。

しかも、その女は田舎で敵対する一族の、妹はんやった。やなんて、まあー、唐突かつ偶然やんかやけど、こういうとこも、インド映画らしい作りどして、お約束に近いようなもんでおます。

対立する2家の男と女が、恋をするとゆうルーツ作「ロミオ&ジュリエット」のタッチへと、強引に持ってゆくようなとこが、むしろ逆に新鮮にも見えたりもしまっせ。

ほんで、そんなラブをメインにすることで、対立2家の争いが、見どころとしては、どうでもエエようなとこへと流れてゆくんも、インド映画らしいとこやろか。

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シビアさよりも、お気楽でいこかな~ちゅうとこやろか。とにもかくにも、インド・ミュージカルの見せどころが満載やで~。

車をクラッシュさせる、主人公の失業ミュージカル。マサラ・ノリのミディアム・ダンス・ナンバーや。

ホタル・シーンの、ルーズな女声コーラス。列車の中での2人の、口笛入りの軽快ダンス・ナンバー。

モチ、クライマックスでは2人のデュエットも披露されま。

ほんでもって、男女組に分かれての、インドチック・ダンサブルで踊って歌っては、爽快極まりない仕上げになっとります。

スロー・モーションや、ワイヤー・アクションなんかは、当たり前のようにありますが、

車とチャリンコの追逃劇とか、メチャクチャなコミカル展開もあったりと、予断を許してくれはりまへんで。

ちゅうことででんな、おまつり気分で、みんなで、家族で、見にいこかー。

2014年7月 6日 (日)

能年玲奈主演「ホットロード」⇒日曜邦画劇場

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「あまちゃん」とは180度違う、玲奈ちゃんの低血圧演技どす

湘南・1980年代・暴走族・マンガ原作などの、イメージを覆す仕上げや~

http://www.hotroad-movie.jp

8月16日の土曜日・盆休みから、松竹はんの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「ホットロード」製作委員会

Ⓒ紡木たく/集英社

「あまちゃん」では、ノリノリのハイ・テンションな高血圧演技をば披露しやった、国民的女優の能年玲奈ちゃん。

そんな玲奈ちゃんが、「あまちゃん」後の、主演映画第1弾として選んだんが、本作でおます。

「あまちゃん」のイメージを追いかけて見にいったら、快く裏切られるかもしれまへん。

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ちゅうのは、「あまちゃん」とは真逆の、演技をば披露してはるからどす。

低血圧で血糖値も何やら低い、クールこそイノチな演技ぶりどす。ウ~ン、こりゃ、考えてきはったなーと思いました。

つまり、演技の幅を示して、能年はフツーやないんやで~を、示すっちゅうか。

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でもしか、玲奈ちゃん的には、もともとこの種の演技が似合っとりました。

弱々しかった「グッモー・エビアン!」(2012年・弊ブログで分析済み)、ナイーブな「カラスの親指」(2012年・分析済み)。

デビュー初期には、「告白」(2010年)、「アバター」(2011年)など、主演・橋本愛ちゃんの、後塵を配してはったけど、そこでも、低血圧演技ぶりどした。

そやから、本作で描かれる玲奈ちゃんこそが、玲奈ちゃんらしさやし、

パッパラパーな元気系より消極系は、演技のビミョーなとこをば示せて、演技派ぶりも示せる、絶好の機会なんでおます。

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さてはて、本作は1986年発表の、コミック原作でおます。

暴走族絡みちゅう映画は、たぶんに「イージー☆ライダー」(1969年・アメリカ)あたりからの影響が、あるかと思いよります。

日本映画としては、「星空のマリオネット」(1978年)や「狂い咲きサンダーロード」(1980年)やら。

さらに1980年代としては、本作と同じくコミック原作で、江口洋介と織田裕二が共演した「湘南爆走族」(1987年)なんぞもありました。

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不良系ものとして、また、男たちの対決ものとして、暴走族が一世風靡しとった1980年代は、ドラマ的にも映えとったんやろな。

けども、本作は同じ1980年代とはいえ、男たちの対決ぶりがメインにはなく、

その正反対とも取れる、暴走族絡みとしては、当時としてはほとんどなかったタイプの、純愛ラブ・ストーリーなんでおます。

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さらに、“湘南”ゆうのも、キーワードになっとります。

音楽的世相としては、サザンオールスターズやTUBEの湘南サウンドが、世の中を席巻しとった時代。

今でも、「江ノ島プリズム」(2013年・分析済み)やらの湘南恋愛映画があるけど、当時は、暴走族をポイントにしたら、湘南がイチバンヤーの時代やったんです。

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でもしか、主題歌は尾崎豊の切ないスロー・ナンバー「OH! MY LITTLE GIRL」や。

かつてフジテレビのトレンディー・ドラマ「この世の果て」(鈴木保奈美&三上博史主演・野島伸司脚本・1994年オンエア・平均視聴率22.9%)で、主題歌として使われとりました。

でも、こっちの方が、作品性に似合っとるように思いました。ラストロールで1回しか流れないだけに、より印象深いでおましょう。

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でもって、玲奈ちゃんと関わらはる俳優陣についても、語っときま。

EXILEから派生した「三代目J Soul Brothers」のボーカリスト・登坂広臣クン。

映画初主演とはとても思えへん、好感ある演技ぶり。自然体なんやろか。ワルぶりも披露しはるけど、全然憎めないキャラやな。

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「告白」にも出てはったけど、玲奈ちゃんとの共演シーンはなかったと思うんやけど、木村佳乃の「告白」に続く、狂気に満ちたオカン役のスゴミ。

オカン佳乃・玲奈ちゃん・登坂の3人が絡むシークエンスは、本作のハイライトの1つどす。

さらに、間(ま)の使い方、スローの使い方などが巧妙な、作りにも魅せられておくんなまし。

2014年7月 5日 (土)

韓国映画「ソウォン/願い」⇒家族映画の傑作どす

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実話に基づいた、家族再生の物語

恐るべきコドモ虐待事件の、あとさきとは?

http://www.hopemovie2014.com

8月9日のサタデーより、アット エンタテインメントはんの配給によりまして、東京・新宿シネマカリテやら、大阪のシネ・リーブル梅田やらで、公開やねん。

大阪以外の関西やったら、京都シネマ、神戸元町映画館やらで、順次ロードショーやー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved

実話をベースにした韓国映画どす。しかも、フィクション以上に、恐るべき事件に、取材しはったもの。

後日分析しますけども、「マルティニークからの祈り」(8月下旬公開)も、実話ベースの家族映画とゆうカンジなんやけど、

フツーの家族ドラマ性を、進化もしくは逸脱した仕上げに、共にアラマ・ポテチンな驚きを、隠せない作品どした。

トンデモない事件によって、家族が離れ離れ、あるいは家族に亀裂が走る映画とゆうのんは、ある程度、結末を予想できるようなとこが、あるようにも思います。

本作も、最終的には家族のキズナが戻り、感動的なラストヘ、とゆう作りなんやけど、

そのプロセス描写とその後の展開に、今までのその種の映画に、ないとこがありま。

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ソル・ギョング演じるオトンと、オム・ジウォン演じるオカン。

写真に写っとる、ひと粒ダネの娘はんやけど、彼女が雨の日、小学校へ登校中に、見知らぬオッサンに、メッチャなひどい虐待を受けます。

虐待シーンは映されへんけど、ヤラレたあとの描写が、強烈極まりまへん。

入院した傷だらけの娘はんと、オトンとの対話シーンから、そのムゴサが見え隠れしとります。

韓国映画は、日本映画に比べて、タブーなとこを、あからさまに見せるような傾向があるかと思うんやけど、本作もそんな1作どした。

けども、そうゆうエグサを見せることによって、その後の更生と癒やしのドラマが映えよるんどす。

でもしか、娘はんの試練も、同時進行的に描いてゆかはります。

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オンナ心理療法士を入れた警察の聴取しかり、裁判で証言せなあかんようになったりと、娘はんの試練は、ハンパやないもんどした。

でもって、裁判の結果は…。家族は今後、一体どないなるんかとゆう、波乱スレスレのドラマが展開してゆきよります。

「私たちの幸せな時間」(2006年)や「ブレス」(2007年)などで、描かれたようにでんな、韓国では、被害者と加害者が面会できるとゆうとこも、キチンと描かれておます。

但し、本作のキモはそんなエゲツナイ事件を、描くとこにはありまへん。

家族が再生するために、どのような経緯があったんか、そこがポイントなんどす。

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娘はんの好きなキャラクター「ココモン」の着ぐるみを着て、オトンやオカンが必死のパッチで、癒やしてゆくシーンは、本作の大きな見どころでおます。

家族再生のドラマとして、これまでの手法とは違うとこを押し出して、出色の仕上げを見せてはります。

ソル・ギョングやオム・ジウォンの演技はまさに自然体。小細工なしの素を出す系でいって、さすがの大人の演技。

そして、傷つけられ癒やされる、子役娘はん役のイ・レちゃんの演技が、特筆級の演技をば見せてはりました。

映画史上の子役演技の、マイ・ベストテン級どすえ。ラスト・シークエンスの、明るいナレーションぶりも印象的やったな~。

ちゅうことで、新しい切り口で魅せる、家族映画の傑作です。

2014年7月 4日 (金)

韓国映画「朝鮮美女 三銃士」⇒オナゴ時代劇アクション

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アクションづいとるハ・ジウォンの最新ケッサク

「チャーリーズ・エンジェル」以上の、バカバカしさが爽快や~

http://www.cinemart.co.jp

オーガスト8月9日のサタデーから、ツインはんの配給によりまして、シネマート六本木、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 WILLMADE AND SHOWBOX / MEDIAPLEX ALL RIGHTS RESERVED.

ハ・ジウォンのネーさんが、アイドルチックに、メッチャええわ~な作品どす。

今をときめく松たか子ネーさんに、よく似てる容姿やけど、彼女の持ち味はアクション映画やと思います。

そんな彼女の、アクション映画マイ・ベスト・スリー(順不同)をば披露いたします。

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①本作②第7鉱区(2011年製作・韓国映画)③デュエリスト(2005年・韓国)

●ジウォン・ネーさんは、キャリアの最初は、ラブ・ストーリーなウットリ系に出てやったんやけど、

でもしか、アクションの方がメッチャ映えるやんチューことで、このところは、アクション系に多数出てはります。

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「エイリアン」(1979年・アメリカ)の、シガニー・ウィーヴァーを、思い出させてくれはる②。

「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)のジョデイ・フォスター的な、時代劇の女刑事役③。

そして、本作の時代劇では、「チャーリーズ・エンジェル」(2000年・アメリカ)の、キャメロン・ディアスをばヤラはりましたで。

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韓国内の評価は、あんましよくないらしいけど、でもしか、ボク的には、ジウォン・ネーの最高傑作やと、ジャッジしよりました。

ワン・パターン・アクションやなく、多彩なアクションぶりをば披露しはるんで、飽きさせへん仕上がりになっとるねん。

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「スケバン刑事」(1987年・日本)みたいな、ヨーヨー使いアクトをポイントにしながらも、

男になっての姿やスローモーや、ファッショナブルなアクトもありーので、たまりまへん。

加えて、親子のキズナやら、大人になった幼なじみの男の子との、哀切のラブ・モードなど、ヒューマン・ドラマ部も充実しとりました。

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さてはて、あとの2人のアクトレス・アクトはどないやろか。

カン・イェウォンのネーさん。サブ的アクションやけど、そんなんあるんか分からんけど、人妻アクションを、華麗に繰り出してはりま。

で、ソン・ガインのネー。弓打ちアクトに加え、ナイーブな男とのラブ・シーンなんかに、魅せられよりました。女の男っぽい演技としても、印象的でエカッたどす。

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韓国産の朝鮮の時代劇てゆうたら、今やいっぱい本邦上陸しておます。そのマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を言いますと…。

●ベスト⇒①王の男(2006年)②スキャンダル(2003年)③神弓(2010年)

●カルト⇒①本作②後宮の秘密(2011年)③ファンジニ(2006年)

●ベスト①の監督の現代劇新作は、明日分析いたしますが、ベストは男が主役やけど、カルトは女が主役でおます。

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時代劇のマジ・ヒロイン系の③、セクシー・ヒロイン系の②、でもって、本作はヒロインが3人や。

しかも、賞金稼ぎの3人とゆう設定どす。

モチ、「チャーリーズ・エンジェル」と同じく、司令塔となるチャーリーがおります。でも、本作はチャーリーなんか、どうでもええわーっちゅう、暴れっぷりどす。

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そんな中でも、写真9枚目のような、イエロー・ブルー・ピンクの衣裳で、パフォームしてくれはるシーンなどに、ヒロインたちの女の子らしさがありま。

でも、基本は、男勝りのアクションぶりや。

冒頭でそれを示し、何度かアクションを披露しながら、クライマックスのアクションへとつなげる作りは、

清の時代の朝鮮とゆう時代考証なんか、どうでもエエやんな面白さどした。

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さらに、ファンキーなサントラ使いが、彼女たちのアクションを映えさせてはります。

でもって、ボクの分析としては、ハ・ジウォンのネーのための映画やと思いました。

ハ・ジウォン・ファンには、トンデモたまらん映画やろか。

また、桐谷美玲主演「女子ーズ」(弊ブログ分析済み)とも、リンクするやろか。

ちゅうことで、韓国映画版「チャーリーズ・エンジェル」をば、楽しんでくだされ。

2014年7月 3日 (木)

「バトルフロント」⇒ジェイソン・ステイサム主演作

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ステイサムの、都会を離れた田舎のアクション編どす

前作「ハミングバード」共々、新味の披露やー

http://battlefront.jp/

8月9日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸHomefront Productions, Inc. 2013

ジェイソン・ステイサムのアニキてゆうたら、みなはんにとっては、どないなもんやろか。

代表ケッサク「トランスポーター」シリーズ(第1弾は2002年製作・フランス映画)の、あのクールなアクション俳優としての存在感なんか。

あるいは、「エクスペンダブルズ」シリーズ(2011年~・アメリカ・弊ブログで分析済み)の、クール感を極めた、あのワイルド・クールな演技ぶりなんか、それはボクにはわかりまへん。

けども、冷酷・冷血漢や極ワルとはビミョーに違う、その境界線をゆく、あのクール・イズ・ベストなアクトは、映画史に残ってもおかしゅうない、アクション俳優なんやないかな。

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そんなステイサムのアニキに、このところ異変が生じとります。

ステイサムも人間やったんやなー、とゆう人間臭さが、ググッと感じられよる作品が、2作続けて出てまいりましたがな。

既に公開中の「ハミングバード」(分析済み)では、ステイサム初のラブ・ストーリーが展開したんやけども、

本作では、オトン役として、父娘のキズナぶりやねん。

これまでの、アクション1本ヤリをやめて、ウルウルなとこを挿入するんは、ステイサム・ファンにとったら、チョイ違和感がないとも言えへんねんけども…。

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しかも、これまでは大都会での、カーチェイスやら格闘ぶりが披露されとったんやけど、ここでは、冒頭部を除いて、アメリカの田舎でのアクションや。

川や森の緑の俯瞰撮影やらで、舞台背景を描写。

潜入捜査官役で、自ら手を下したわけやないけど、思わず犯人を殺してまうことに、なってしもたステイサムは、失意の中で辞職して、妻も亡くして、田舎へ引っ込むちゅうイントロ。

でもしか、一粒ダネの娘と共に、ある種の余生を謳歌してはりました。

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けども、コドモのケンカに大人が出てしもて、そこから思いもよらない、ステイサムや娘が命を狙われるとこまで、発展してしまいよるねん。

ケンカ相手の夫妻の、ヨメのアニキが麻薬絡みのヤクザな方どして、しかもでんな、ステイサムの最後の事件で、殺してしもた息子のオトンと、付き合いがあって、オトンは復讐やーちゅうことで、ステイサムの元に刺客を、送ってきよるちゅうような流れやねん

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ヨメのアニ役は、ジェームズ・フランコのアニキ。決して極悪にはなりきれへん、ワル演技ぶり。

ほんで、彼の恋人役には、久々にスクリーンで見た感がある、ウィノナ・ライダーのネーさんや。

出て、いきなりロングショットでの、性行シーンを披露。その後も、妖しくて危ないカンジで、演技してゆかはります。

また、女優陣では、スカーレット・ヨハンソンと同年代の、ケイト・ボスワースのネーさんが、渋い不機嫌な演技を見せはります。

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モチ、ステイサムの娘役・子役の、イザベラ・ヴィドヴィッチちゃんの演技は、本作のポイントや。

アクションも示す、硬軟両用の演技どして、ミュージカルで歌も披露してるらしいんで、多彩な役柄に挑める子役なんやろな。

さてはて、陽光の使い方に加え、薄ブルー、赤、セピアなんぞを映画的照明で、巧みに使ってゆくとこなど、細部の作りにも妙味がありましたえ。

写真1枚目のポスターにありますように、「エクスペンダブルズ」でステイサムと意気投合しはった、シルベスター・スタローンの製作・脚本や。

スタローンが脚本と演技で示した、アカデミー賞作品賞受賞作「ロッキー」(1976年・アメリカ)の、男のロマンチシズムが、見え隠れしとるような快作どす。

2014年7月 2日 (水)

イギリス映画「サンシャイン♪ 歌声が響く街」⇒イギリスのミュージカル

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上のポスターに見どころが、ほとんど全部書かれとるんやけど、

家族映画・街映画を、ミュージカルで示す新しさに注目や!

http://sunshine.gaga.ne.jp

8月1日から、ギャガはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸDNA Films

ミュージカル映画は、ソラモーいっぱいあります。

昨日分析したインド・ミュージカルもそやけど、ハリウッドがイチバンヤーなミュージカルが、インドだけやなく、他国にも波及しておます。

ほんでもって、本作はスコットランドを舞台にした、イギリス映画のミュージカルや~。

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アラマ・ポテチンどした。ハリウッドのミュージカルは、主にラブ・ストーリーが、メインにあります。

ミュージカル映画が、今一つの日本でも「モテキ」(弊ブログで分析済み)など、ラブをポイントにしたミュージカルは、異彩を放っとります。

でもしか、本作はラブだけやありまへんねん。

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根幹にあるのは、家族映画。ほんで、そんな家族を彩るんは、街なんどす。

スコットランドのリース。酒のスコッチで有名なんやけど、そんなスコッチ映画は、最近やったら、老人と若者の友情「ダブリンの時計職人」(分析済み)やら、

老年パワーを見せる「人生はマラソンだ!」(分析済み)なんぞで、不景気やけど、登場人物は元気やでーな作品が続いとるけど、

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本作では、若者たちがメイン主役のミュージカルどす。

ラストシーンをゆうてアレやけど、「ウエスト・サイド物語」(1961年製作・アメリカ映画)みたいに、2派に分かれて踊りまくる、群像白熱プレイやらに、オールド・ミュージカルの心意気が、垣間見えとります。

アラン・パーカー監督の「ザ・コミットメンツ」(1991年・アイルランド)とも、シンクロするやろな。

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家族映画としての粋や絆は、やや意図的に出してはるとは申せ、ミュージカル的には、大げさかもしれんけど、「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年・アメリカ)に近い感動をば、出してはるかと思いました。

兵役帰りの主人公とその友。主人公のオトンとオカンと妹。妹と付き合ってる友。

妹の会社の女友と、合コンをきっかけに付き合う主人公。物語は、この主人公の4人家族を、メインに作られておます。

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①オトンとオカンの夫妻の物語。②主人公と妹の友との、ラブ・ストーリー部。③妹のラブと自立。

その3つの話が調和融合されて、スコットランドの首都エディンバラとゆう街を、もう一つの主人公としながら、ハリウッド的突然ミュージカルも、ありーのな展開で、映画は構成されとるんどす。

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主人公を含む4人の若手俳優の、ラブ・ストーリー部が大きなキモとなっとるんやけど、一方で、

オトン役ピーター・ミュランはんの、必死のパッチの、吹き替えなしの歌いっぷり。

対して、「リトル・ヴォイス」(1998年・イギリス)で、歌唱ぶりにも定評のある、オカン役ジェーン・ホロックスはんの、ツボを押さえた歌いっぷり。

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夫妻の物語としてのポイントも、息子のラブ・ストーリーとしてのポイントも、キチンと捉えられておます。

ラストの、みんながダンサブルな曲で踊りまくるシーンは、ミュージカル映画としてのハイライト・シーンどすが、

それまでにいくつも展開される、ミュージカル・シーンの1つ1つに、イギリス映画として、ハリウッド・ミュージカルには負けへんでー、みたいなとこがありましたえ~。

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演奏される歌もの音楽は、スコットランド・リース出身の、双子の兄弟によるユニット「プロクレイマーズ」の楽曲どす。

今も現役らしいけど、1987年にデビューし、1993年には、ビルボードでシングルが3位になるなどしはって、大ヒット・アニメ「シュレック」(2001年・アメリカ)にも、楽曲が使われておます。

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アメリカのマウンテン・ミュージックと並び、2大ロックのルーツとされる、スコッチのフォークロア(フォーク・ロックの源)をポイントにした、この2人組。

ラブソングだけやない、多彩な歌詞内容に乗る、フォーキー・ロックから、スロー・ナンバーまでを披露。

この映画で、登場人物たちによって歌われると、地味めの曲が、酒場でのみんなの熱唱などで、派手なダンスティーク・ナンバーになったりしまっせ。

豪華なミュージカルに映えない、ミュージシャンの楽曲選定もまた、メッチャ渋いで~な作品どした。

2014年7月 1日 (火)

インド映画「ダバング大胆不敵」⇒歌って!踊って!インド映画祭

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インド映画らしいミュージカル・シーンがテンコ盛りや

ハリウッドを意識したアクション・シーンも満載

http://www.u-picc.com/dabangg/

7月26日のサタデーから、太秦はんの配給によりまして、東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋やらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸEros International Ltd.

今夏、「歌って!踊って!インド映画祭」と題して、インド映画の特別上映会が開催されるで。

どの作品も娯楽に徹した仕上げどして、本作なんぞは、インド映画らしさが満喫できる、単純明快なお祭りムービーでおます。

その見どころポインツをば、大どころ3点あたりで、見てまいりますと…。

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①まずはナンチューても、ミュージカル映画としての面白さ。

「マサラ・ムービー」と呼ばれる由縁は、このミュージカルにありや! 

ハリウッド・ミュージカルにもある、突然ミュージカル・シーンへちゅうんが、お約束のように、決め手となっとります。

インドらしい民族系なワールド・ミュージックを、ハイビートなダンス・ミュージックで歌って踊るシーン。

マサラチック男ダンス・ナンバーに乗ったり、女歌のダンス・ナンバーなどが、

ストーリーに合わせた歌詞とゆう、ミュージカルの基本ラインを、押さえもって展開しよるねん。

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飲んべえ・ヨッパライたちが、お祭り騒ぎ的に歌い踊るシークエンスは、圧巻やったな。

ほんで、主人公役のサルマーン・カーンが、特別出演のセクシー・ダンサー、マラーイカー・アローラー・カーン(写真上から5枚目)と共演やなんて、インドではスゴイ豪華らしいですわ。

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②「ボリウッド映画」と呼ばれる由縁の一つ。ハリウッド映画ばりのアクション。

ややコミカル・モードや、パロディチックが入っとるけども、かつての1990年代の、ミュージカル・オンリーの頃と比較すると、格段の進化をば見せてはります。

マカロニ・ウエスタンなサントラに乗っての、銃撃戦に加え、水道ホースやらを使った水攻めなどの、オリジナル・アクションも披露。

スローやストップ・モーションを駆使し、「マトリックス」(1999年・アメリカ)やらの、パロディ・アクションなんぞも入れて、魅せてくれてはりまんねん。

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フラメンコ・ダンス・サントラを使った、鉄道での銃撃アクションも見ものどす。

電車アクションは、今やインド映画では、定番中の定番になっとります。また、赤い照明を使った肉弾戦なんぞも、インドっぽいやろか。

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③ミュージカルを媒介としながらも、ラブ・ストーリーとしてのウットリ感は、少しく自家薬篭中or我が道をゆくとはいえ、インド映画ならではの、特記事項でおます。

主人公の刑事と、ヨッパライのオトンの娘との、ラブ・ストーリー部は、主人公の片想いと、一方的なアタックで始まるけども、

サントラを流しての2人の、交遊ダイジェスト・シーンは、リズミカルでタイトで、ミュージカル・シーン以上に乗れまっせー。

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何より、出てきはる主演女優の美女ぶりには、いつもながらにため息もんでおます。

ソーナークシー・シンハー(写真上から2枚目)ちゃん。本作が女優デビュー作なんやけど、演技よりも、清楚とした美しさがたまりまへん。

終始一貫ワイルドな演技で魅せる、主人公サルマーン・カーンの、お相手役やけど、最後まで揺るがぬ美を貫いてはりまっせ。

彼女が出るしっとりシーンと、アクション・シーンとの対比効果は、本作の隠し風味やとも取れます。

さてはて、この「歌って!踊って!インド映画祭」では、本邦初上陸の作品が、本作を含めて3本もありま。

あとの2本につきましては、後日、紹介分析いたします。

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