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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2014年2月の記事

2014年2月28日 (金)

早見あかり主演「百瀬、こっちを向いて。」⇒週末日本映画劇場1

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今年の日本映画の、ベスト・ラインを構築した快作

片思い映画の切なさを、久々に映画で体感した作品だ

http://www.momose-movie.com

5月10日より、スールキートスの配給により、全国ロードショー。

本作は、関東ロケーション映画でもあり、いつもの関西弁を封印して、標準語バージョンにて披露いたします。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014  映画「百瀬、こっちを向いて。」製作委員会

今年のマイ・ベストテン級(ベスト・スリーかも)の日本映画が登場する。

高校生たちの学園ドラマ、ヒロインが元気なドラマ、そして、高校生のラブ・ストーリー。

ということで、ジャンル・内容特定系の2パターンにて、歴代日本映画のマイ・ベスト・ファイブ(順不同)を、披露いたします。

まずは、ヒロインが元気印な高校もの。①がんばっていきまっしょい(1998年)②スウィングガールズ(2004年)③転校生(1982年)④台風クラブ(1984年)⑤本作…です。

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続いては、高校学園ものラブ・ストーリーについてはどうだろうか。

①GO(2001年)②さびしんぼう(1985年)③パッチギ!(2004年)④チルソクの夏(2003年)⑤本作

●学園ヒロインものの恋愛映画については、映画的には出尽くした感がある。

しかし、本作は、その新しいところを探りながら描かれ、それが功を奏した稀なる傑作だ。

しかも、採り上げた本作以外の8作の中で、片想いの切なさを描いた映画はなく、

僕は本作で久々に、片想い映画の傑作、しかも“大”が付く傑作作品を、見た想いがあった。

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男が女に対し、フタマタをかける恋愛というのは、邦画・洋画関わらず、これまでにも、多数作られてきている。

男が2人の女に対して隠すというところに、スリリングが生じて面白かったのだが、本作は、本命の人(石橋杏奈チャン)以外の1人にはオープン。

さらに、先輩に助けられたキモチで、主人公がヒロイン(早見あかりチャン)と嘘で付き合うとこを、演出するところに、現実的ではないけども、ストーリー的に面白さや緊張感が生まれてくる。

けども、本作のスゴサは、ダブル片想いを描き込むことに、映画で、世界で初めて、成功したところにあるのであーる。

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フタマタ掛けられて、それでも愛する人の意向に沿って、全く愛していない主人公(竹内太郎クン)と、付き合う早見あかりチャン。

最終的には、あかりチャンを愛することとなる、竹内クン。

でもしか、2人の間には、この流れからでいくと…W片想いの方向へ。

となると、どうしても、この2人がその後、どうなったのかが、1つの大きな、ドラマ・ポイントにもなってまいります。

それはネタバレにもなるけど、でも、決して暗さはない。

むしろ、前向きに今後も生きていこうという視点も、見え隠れしているのだから。

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原作小説がキチンとあるし、それをベースにしてるけど、ココロにグッとくる素晴らしいセリフの数々に、酔える仕上がりにもなっている。

主人公と前の席にいてる男の子との、最後の方の喫茶店における、愛についてのセリフは絶妙だ。

愛と言う名のモンスターは、とても美しいだろうな…。もちろん、美しいに決まってるだろ。

竹内クンとあかりチャンの間で、披露されるセリフ。

フツーっぽい「いい人」や、「バカヤロウ」が言われるシークエンスもまた、ココロにグッとくるとこがあるんだな、コレが。

タイトルのセリフは、最高に素晴らしいところで、主人公の口から発せられます。僕は、痺れた。いや、かなり、痺れまくった。

過去と現在を、カットバックさせる手法としては、男の友情映画「帰らざる日々」(1978年)なんかを思い出したし、

引用部での、恋には障害があるんだねと、ヒロインがいみじくも言う「刑事ジョン・ブック/目撃者」(1985年・アメリカ映画)とか、

郷ひろみ主演で映画化もされた、森鴎外原作小説「舞姫」(1951年・1989年)が、1つのキーワードになってる点にも注目したい。

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演技陣は当然、最高級の演技を披露している。

「ももいろクローバー」を、卒業した早見あかりチャン。今どきの女子高校生役を、実に見事に演じ抜いた。

溜め口セリフは、この種の低年齢層出演映画では、当たり前だが、あかりチャンはチョイと違って、21世紀も10年を過ぎたとこでの、セリフ回しを披露している。

アイドル映画性を体現するし、単なるアイドル映画を超越した演技にも魅了されるし、元気ももらえる作りなのだ。

現代を演じる向井理にも、大注目。この人の演技は、ストレート系が多かったけど、本作では、微妙で複雑なキモチを披露して、グッときた。

ということで、映画ファンにもすすめたいけど、デートムービーとしては、もっともっと、おすすめの作品なので、ご期待くだされ。

2014年2月27日 (木)

「ジャッカルの日」⇒「新・午前十時の映画祭」

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暗殺者映画の最高傑作や

ドキュメンタリーとドラマを融合した作りやで~

3月8日から3月21日まで、「TOHOシネマズなんば」やらで、午前10時からモーニングショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

かつて「日曜洋画劇場」で、淀川長治解説により、何度もオンエアされた作品(1973年製作・以下の引用は、全てアメリカ映画)どす。

フランスを舞台にしたアメリカ映画にして、暗殺者映画の歴史的傑作。

それまでにも、暗殺者を描く映画はありましたけども、ここまで緻密に細部にこだわりもって、描かれた映画はありまへんどした。

本作の原作者は、イギリスの作家、フレデリック・フォーサイスはんどす。

本作以外にも、「オデッサ・ファイル」(1974年・イギリス)、「戦争の犬たち」(1980年・アメリカ)なんかが、映画化されとりますが、

本作がボク的には、フォーサイス原作映画の最高傑作でおます。

でもって、本作の原作小説は、ロバート・ラドラム「暗殺者」なんぞに、大きな影響を与えましたがな。

「暗殺者」を原作とした「ボーン」シリーズ(第1弾は2002年・アメリカ)は、スパイ映画性もあり、大ヒットしたんは、みなはんも、ご存知やと思います。

さて、監督はフレッド・ジンネマンはん。

ここで、監督のマイ・ベスト・スリーをば披露いたします。

①本作②真昼の決闘(1952年)③ジュリア(1977年)

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●共に、アカデミー作品賞に加え、監督賞までゲットしはった、「地上(ここ)より永遠(とわ)に」(1953年)や、「わが命つきるとも」(1966年)は、入れとりまへん。

パールハーバーな戦争映画や、史劇なども撮ってはるんやけど、その素晴らしさを認めつつも、ボクはこの3作を推奨いたします。

②は西部劇、③は女性の友情映画の、それまでとは違う、新たな地平を切り拓かはった、画期的な作品や。

ほんで、本作はモチ、暗殺者映画としての新味。実話ベース映画は今や、いっぱい出回っとりますが、本作はドキュメンタリー・タッチやけど、フィクションでおます。

フランスの当時のドゴール大統領を、暗殺する指令を受けた暗殺者の、緻密で慎重な行動ぶりが、静かに話は進行しながらも、手に汗・握るコブシな、緊張感が、モノゴッツーありまんねん。

パリ警察の、犯人を追う刑事役は、フランス語読みで、ミシェル(英語ならマイケル)・ロンズデールはん(2月25日付け分析の、「家族の灯り」にも登場しはります)。

犯人との直接対決はないけど、犯人を追うロンズデールはんやけども、熱血刑事ぶりをば、小細工なしにストレートにやってはって、好感がありましたえ。

とある組織からの依頼により、ドゴール大統領暗殺を目指す、主人公のエドワード・ホックスはん。

そのクールさは、特筆もんどす。

メッチャ静かなシークエンスなのに、圧倒的な衝撃に見舞われる暗殺シーン。

静と動という意味では、例えば、「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)のロバート・デ・ニーロはんと、対を成すような名演技ぶりでおましょうか。

ぜひとも、映画館でご体感くだされまし。

2014年2月26日 (水)

「伝説のレーサーたち-命をかけた戦い-」⇒アメリカン・ドキュメンタリー

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「ラッシュ/プライドと友情」で描かれた、2人のシーンも登場や~

アイルトン・セナまでの事故死と、その後を描くF1ドキュメント

http://www.1-movie.info

3月1日のサタデーから、ツインはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ日劇、大阪・TOHOシネマズ梅田やらで、上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012 FAST Track Films USA, LLC ALL RIGHTS RESERVED

F1のドラマ映画とゆうのんは、数は少ないけどあります。

ボク的記憶では、ジョン・フランケンハイマー監督の3時間近い大作「グラン・プリ」(1966年製作・アメリカ映画)あたりを嚆矢として、

レニー・ハーリン監督&シルベスター・スタローン主演「ドリヴン」(2001年・アメリカ)、

最新の実話をベースにした「ラッシュ/プライドと友情」(2013年・弊ブログ内検索で出ます)なんぞがあります。

さらに、F1ドキュメンタリーも作られておますが、ボクが見た中では、「アイルトン・セナ~音速の彼方へ~」(2010年・イギリス)と、本作(2013年・アメリカ)などがあります。

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はっきり申し上げまして、こおゆうF1に特化したドキュとゆうのんは、たくさん作られとるはずですが、

ドラマ映画ならまだしも、興行的採算が取れないなどの理由で、日本に上陸するんは稀でおます。

本作が上陸できたんは、「ラッシュ」の全国的ロードショーの影響でおましょう。

その映画で描かれた、ジェームス・ハントとニキ・ラウダの2人。彼らの様子はレース模様を中心に、本編1時間51分中の、約4分の1が割かれとります。

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「ラッシュ」を見ずして、果たしてこっちを見る人はいてはるやろか。

ニキ・ラウダの、F1史上エポックメイキングな、ドイツGP(グランプリ)での大事故と、そこからの大復活。

ハントとの友情ぶりなどは、ドラマよりかなりクールに、描かれておます。

2人に集中せず、F1全体を俯瞰する作りなので、冷静な見方が披露されますんで、「ラッシュ」と見比べても、ドラマとドキュの違いが分かります。

今も生きるニキ・ラウダや、既に逝去したハントの息子はんへの、インタビューなども、ドキュらしさを付加しはりました。

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レースのハラドキや緊張感、レースの覇者を描く視点よりも、どちらかと申せば、レース中に事故ったとこの、歴史みたいなカンジで、クローズアップされとるんどす。

観客席へカーが飛び込んで、観客4人が死んだけど、レーサーは無事やったとか、11人11カーの多重クラッシュも、誰も死ななかったとか、死んだエピソード以外の“奇跡”も、描かれてまいります。

でもしか、1994年のアイルトン・セナの事故死以降、2012年まで事故死はゼロやったとこが、事故死の系譜の中で示されよります。

レース中に事故っても、すぐに別のカーでレースに復帰する人がいたりと、事故死防止のために、何がどう改良されてきたんかも、詳細に描かれるんでおます。

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いろんなレース関係者への、一言、二言のインタビューも含めて、タイトに綴り、

また、モノクロ映像・写真、かすれたようなカラー映像のシブミを、スリリングに織り込んで、

ジャンル特定の俯瞰ドキュの、見どころあるリアリズムで、魅せてくれはりました。

そして、サントラもシーンに合わせて、緻密に変えるとゆうところをば、見せはるんどす。

攻撃的なハードなバンド・サウンドと、ストリングス入りの、しっとりサウンドの対比。オペラやヴィバルディ「四季」、ヘンリー・マンシーニのオシャレ・インストやら。

でもって、クリーム、スティーヴ・ウインウッド、ポール・マッカートニー&ウイングスら、当時のロック・ナンバーなどを、カッコヨク流してくれて、随所でキメてまっせー。

F1ファンだけやなく、広く大衆にアピールできる作品になっとるかと、ボクは思います。

2014年2月25日 (火)

「家族の灯り」⇒105歳オリヴェイラ監督の新作

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ポルトガルの世界最長老監督が描く、家族映画のアート作品

イタリアのクラウディア・カルディナーレはんと、フランスのジャンヌ・モローはんが共演どすえ~

http://www.alcine-terran.com/kazoku/

3月15日のサタデーから、アルシネテランはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やら、3月29日から、京都シネマやらで上映どす。

本作は、2012年製作のポルトガルとフランスの合作映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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共に映画史に残る名女優、クラウディア・カルディナーレはんとジャンヌ・モローはんが、初共演しはった家族映画どす。

共に最盛期だった、1950~1960年代には、家族映画的な作品とは無縁だった2人が、そんな作品で共演するっちゅうのんは、ある意味で強烈や。

オールド・ファンは、アッと驚かはることでおましょう。ジャンヌはんは、「クロワッサンで朝食を」(弊ブログ内検索で出ます)のとこで、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露いたしましたが、

本作では老いてもなお、渋いセリフを連発して驚かしてくれはります。

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出番的には、老夫婦のヨメ役にして、8年間行方をくらましとって突然舞い戻った、息子のオカン役とゆう、クラウディアはんの方が、多うおますけども、

写真にもあります、ツーショットによる、食卓でのジャンヌはんとのやり取りは、アート映画的にも、シブミがござりました。

室内劇の会話劇がメインどすが、ツボと構図を押さえた、固定の長回し撮影(4、5分はザラで、8分以上の長いのんもあります)が頻出し、

また、セリフも映画芸術的に、意味深長なものがありま。

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日常会話らしくなさを、敢えて作り込み、息子が戻ってからの混乱ぶり。

そして、息子のモノローグを含め「俺の魂は不可解」とか「(家族に対して)あんたらは全員、生き埋めにされた存在」とか、不穏なセリフを連発しはります。

家族崩壊のドラマのようでありながらも、予想外の結末が待っとります。

帳簿係とゆう仕事柄からか、金と数値にこだわる夫役、マイケル・ロンズデールはんも、怪演技ぶり。

ボク的には、「ジャッカルの日」(1973年製作・アメリカ映画・後日分析いたします)のパリ警察の刑事役が、脳裏に焼き付いておます。

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さてはて、105歳とゆう世界最長老の映画監督、ポルトガルのマノエル・ド・オリヴェイラはんの、2012年の新作でおます。

弊ブログでも、何作かの監督作を分析してまいりましたが、中でも本作が、映画芸術的には、一番の仕上げになっとるかと思います。

もちろん、出演陣の有名度合いも、過去最高のもんでおましょう。

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サントラ使いもアート的どすえ。本格的なオーケストラ・サウンドをいきなり流して、ドラマティックなバイオリンなどが、随所に配されとります。

ほんで、ラストでは、穏やかにしてスリリングな、二重構造ある弦楽オーケストラが、緊張感をもって流れてまいります。

音楽と映像との一体感も、存分に味わえる会心作どす。

ちゅうことで、映画芸術の粋を、お楽しみくだされ。

2014年2月24日 (月)

ヒッチコック監督「サイコ」⇒「新・午前十時の映画祭」

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アルフレッド・ヒッチコック監督の、最高傑作どすえ~

現代のサスペンス&ホラーの、ルーツとも言える作りがスゴイわ~

3月8日から3月21日まで、TOHOシネマズ六本木ヒルズやら、大阪ステーションシティシネマやらで、午前10時からモーニング・ショーでおます。

本作は、アルフレッド・ヒッチコック監督による、1960年製作のアメリカ映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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「サイコ」とゆうコトバの、ルーツとなる作品が本作どす。

そのメイキングの、ビビッドで詳細な様子については、「ヒッチコック」(2013年製作・アメリカ映画・弊ブログ内検索で出ます)で披露されとります。

コレをば見ずして、サイコの何たるかは語れまへん。そんな映画なんどす。はっきり言いますれば、シンプルな作りにはなっとります。

会社の金を持ち逃げしはった、ジャネット・リーのネーさん。

彼女が逃亡中に、アンソニー・パーキンスはんが、やってはるホテルに宿泊しはって、そこで、エライ目に遭わはります。

シャワー・シーンでの、トンデモ・シークエンスは、映画史に残ってもおかしくないシーンどした。

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さて、ここで、ヒッチコック監督のマイ・ベスト・セブンあたりをば、披露してみまひょか。

どの作品が、みなはんのマイ・ベストになっても、おかしゅうない作品を取りあげたつもりやけど、なんせヒッチコックはんの傑作は、余りにも多うござりますよってに、選ぶのも大変どす。

①本作②レベッカ(1940年)③北北西に進路を取れ(1959年)④鳥(1963年)⑤めまい(1958年)⑥断崖(1941年)⑦裏窓(1954年)

●大巨匠だけに、選ぶのんが大変やし、いろんな人がこの作品、あの作品がスキやとゆう感じで、傑作が多いんやけど、本作は少なくとも、ベスト・スリーを外さへん作品でおましょう。

ほかにもいっぱい名作品があり、戦前の作品には、サスペンス映画の傑作が、目白押しナンチューことになっとりますんで、

全作がほとんどDVD化されとるハズなんで、ぜひとも、ヒッチコック・ヒッチの全作品をば、味わってくだされまし。

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前半のヒロイン部と、後半のホテル部、アンソニー・パーキンスはんのとこが、少しく分裂しとるような、きらいがあるんやけど、

しかし、そんなん関係なしに、犯人役のアンソニーはんの謎へと、フォーカスしてゆく作りが圧巻どした。

サプライズ・シーンのキレは、その種の意外性・どんでん返しもんでは、歴代ベストテンにも入るようなケッサクどす。

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さてはて、若い映画ファンには、どうなんやろか、カラーやなく、モノクロ映画でおます。

ヒッチはんは1950年代は、カラー映画を撮り続けてきてはったのに、本作はなぜかモノクロどした。

しかも、久々に撮らはったモノクロどした。

モノクロの暗みを存分に生かした作りでもあり、暗い素材を、ストレートに暗い白黒でやってみるところが、ある意味での作家性を示してはるとも言えるとこでおましょうか。

その通りでおまして、サプライズを含めて、不穏なる暗さが、本作の一大ポイントになっとります。

暗い映画は数々ありますが、暗い映画のベストも、やってみたいとは思とりますが、そんな中でも、本作の暗みは、強烈至極でおます。

いずれにしても、映画史に残る大ケッサクどす。

見てる方も、見ていない方にも、ぜひとも推奨したい1本です。

2014年2月23日 (日)

「映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ペコと5人の探検隊」⇒日曜邦画劇場

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ドラえもんシリーズ第3弾「ドラえもん のび太の大魔境」(1982年)の、リメイクでおます

冒険アドベンチャーをキーワードに、ディズニー系&ジャパニメーション系を、過不足なく網羅しはりました

http://www.doraeiga.com

弥生3月8日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国ロードショーどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2014

「男はつらいよ」寅さんシリーズ(1969年~1995年製作・日本映画)の、48作超えを目指して、ドラえもん・シリーズは、どこまでも続いてまいりまっせー。

ちゅうことで本作は、シリーズ第3弾「のび太の大魔境」のバージョン・アップ・リメイクを目指さはりました。

その結果、シリーズ中、ベスト・スリーに入るようなケッサクと、相成りましたえ~。

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見出しにも書きましたけども、ディズニー・アニメや、ジャパニメーションのトップを走る、スタジオジブリ・アニメのエッセンスを取り込みつつ、

実写映画の名作とも、大いにシンクロナイズする作品になっとります。

犬の国の造形ぶりなど、「千と千尋の神隠し」(2001年・日本)の影響が、顕著やったかと思います。

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冒険アドベンチャーとして、前人未踏の秘境を、アフリカに求める作りやらは、いかにも一般的とは申せ、

トラ・ライオン・大蛇・ワニ・クマなど、いろんな動物との対決と、ドラえもんグッズを使った、懐柔シーンの妙味で、

緊張感もありつつも、楽しく見られるシークエンスになっとります。

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さてはて、実写映画とのシンクロをゆうてみましょう。

犬たちが喋る系は、モロ、ディズニー・アニメのセンスバリバリなんやけど、

ドラえもんら5人と犬1匹の、ロードムービー部は、「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)のタッチもあり、

蒸気船でのとこでは、沈没シーンもあり、「タイタニック」(1997年・アメリカ)やらをば、チョイと思い出したりしましたで。

ロードムービー的には、後日分析いたします「アナと雪の女王」(2012年・アメリカ)とも、シンクロしよるでおましょう。

また、犬の国の石造りの巨人などは、「大魔神」(1966年・日本)を、モロに思い出しました。

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ドラえもんのマジック・マジカル・グッズは、今回も絶好調どした。

お馴染みの、どこへでも行けるドアなんやけど、今回は、ひょんなることで整理されてもうて、エライ目に遭います。

そして、今回のグッズのキーとなるんは、未来に託して今を願うとゆう、絶妙なグッズどす。

ドラえもんグッズの中でも、ボクは最も素晴らしいもんやと、ジャッジいたします。

このグッズは、本ネタ部にも大きく関わってくるんで、お楽しみくだされ。

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色使いの明るさ・鮮やかさにも注目どす。

もともとこのシリーズは、明るい色合い・配色が、コドモ向きでもあって、ヒジョーに心地よく、見やすいとこがありました。

白雲が流れ、薄ブルーの夏の空の、風景描写とゆうたら、ドラえもんらしいとこやけど、

夏の夕景らしい日本的雰囲気の、セピアの黄昏シーンは、アフリカのそのシーンと、見比べたらどないか。

そういうとこも楽しみたいとこどす。

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そして、サントラどす。

いつものフィメール・アニソンしかり、ジャイアン声優役・木村昴アニキのグッド・スロー・ナンバーしかり…。

ほんで、ラストロールで流れる、Kis-My-Ft2(キスマイフットツー)が歌う「光のシグナル」。

彼らの過去の曲では、最もキャッチーになった、ポップ・ナンバーやと思います。

だから、最後のシメも、ピタッと決まっとります。

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さてはて、このシリーズの最大の見せ場となる、いつもながらの感動的な、キズナ描写部。

犬とのび太のキズナこそ、本作のメイン・ポイントでおましょう。

出会いから別れまで、キチッとした仕上げを示してはります。

ちゅうことで、大人の鑑賞にも、充分な本作。ぜひファミリー一同で、ご覧くだされまし。

2014年2月22日 (土)

「ウォルト・ディズニーの約束」⇒週末ハリウッド映画劇場

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映画メイキング映画の実話系作品の、最高傑作とちゃうやろか~

トム・ハンクスはんとエマ・トンプソンはんの、演技戦がスゴイわ~

http://www.disney.jp/walt

3月21日の「春分の日」フライデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2013 Disney Enterprises,Inc.

映画メイキング映画てゆうたら、それはそれはモノゴッツーな数にのぼっとります。

そんな中で、実際の映画製作にまつわる、実話系ちゅうのんは、それほど多くはありまへん。

ボク的には、見たところ、10作もあるかないかなんやけど、そんな稀少価値の高いのんの、マイ・ベスト・ファイブをば、披露させていただきます。

①本作②ヒッチコック(2013年製作・アメリカ映画・弊ブログ内検索で出ます)③チャーリー(1992年・アメリカ)④はじまりのみち(2013年・日本)⑤マリリン・モンロー瞳の中の秘密(2013年9月3日付け)

●各元ネタ作品について言いますとでんな、①メリー・ポピンズ(1964年・アメリカ)②サイコ(1960年・アメリカ)③モダン・タイムス(1936年・アメリカ)ほか④二十四の瞳(1957年・日本)ほか⑤王子と踊り子(1957年・アメリカ)

●本作のスゴサは、製作者(ウォルト・ディズニーはん)の、原作者(P.L.トラヴァースはん)へのアプローチから始まるとこどす。

ベストのほとんどの作品は、メイキングものであったり、監督の生涯やら、作品性の意味を、問うようなもんになっとります。

でも、本作は映画製作の最初から最後までを、全て描き抜かはった、映画史上初の作品やと思います。

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本作が特に素晴らしかったんは、演技陣のスゴミでおます。

まずはナンチューても、ウォルト・ディズニー役のトム・ハンクスはんと、イギリスの名女優エマ・トンプソンはんの、演技対決ぶりどすえ。

正式契約ができないままに、台本作りやサントラ作りに、メイキングとして、原作者が関わってゆかはります。

作品の流れや出来栄えに関して、エマ・トンプソンが随時見て検討してゆくとゆう、カンジなんやけど、結局は最終契約をしないままに、エマはんは、ハリウッドからイギリスへと帰ってきはります。

でもしか、トム・ハンクスはんが、諦めきれずに、エマはんを訪ねてゆかはります。

彼女を説得しはる、トムはんの長ゼリフは、メッチャなシブミがありました。

そこには、父とのキズナとゆうのんが、大きなキーワードになっとるんどすえ。

エマはんの1906年のオーストラリア・サイドから、物語は始まるんやけど、そんな過去シーンと、1961年を現在としたストーリーが、絶妙なカタチで、カットバックされてまいります。

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過去と現在をカットバックさせる手法は、目新しいもんやありまへんけども、でも、本作では、ユニークなカットバックの在り方を示してはります。

過去のシーンはワンカット、あるいは短めのエピソードに終始しはり、記憶の断片みたいな感覚が、見事に表現されとりました。

そして、オトンとヒロイン少女娘の、深きキズナへと向かってゆく作りが、サプライズを含めて、圧倒的な仕上げになっとるんどすわ。

そんなオトンに扮しはった、コリン・ファレルはん。

アル中からビョーキになる演技を、「失われた週末」(1945年・アメリカ)のレイ・ミランド(アカデミー賞主演男優賞ゲット)はんの演技と、勝るとも劣らない、テンションで演じ抜かはりました。

また、エマはんを送り迎えしはる、気のいい専属タクシー・ドライバー役のポール・ジアマッティはんも、印象的な演技ぶりどす。

「サイドウェイ」(2004年・アメリカ)以上の、好感度ある演技どした。

でもって、完成披露試写会で、トムはんと一緒に、映画を見はるエマはんの、涙・涙・涙のシーンに、感動は最高潮になりましたえ。

いずれにいたしましても、実話系映画メイキング映画の、最高傑作でおます。

2014年2月21日 (金)

新生「ロボコップ」⇒リブート・リメイクの会心作

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オリジナルと同等・同格に、張り合えるケッサクになりましたえ~

1980年代作品のリメイク作としては、ひょっとして最高傑作やも

http://www.robocop-movie.jp/

3月14日のフライデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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本作は「ロボコップ」(1987年製作・アメリカ映画)のリメイクやなく、リブートらしいわ。

みなはん、リメイクは分かるやろけど、リブートはリメイクやなく、オリジナルを素材にしつつも新たに、作品を構築するっちゅうようなカンジやろか。

でもしか、コトバは変わっても、よう考えんでも、リメイクやんかとゆう作品は、ケッコーちゅうか、ほとんどでありました。

でも、マジで本作は、違っとりましたえ~。

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ボクのブログでは、かつて「華麗なるギャツビー」(2013年・アメリカ・弊ブログ内検索で出ます)のとこで、1970年代作品のリメイク作ベスト、なんかをやったけど、

ほな、1980年代をばヤッてみよりますと…、ヤッパ1位は本作やろな。

恐れながらも以下は、2位「時かける少女」、3位は「エルム街の悪夢」。

1980年代は、今から30年余前ということもあり、これまではそんなにリメイク・リブートされとらへんけども、

でもしか、オリジナルと同等以上の仕上げを、示さはったんは、本作が初めてやないやろか。

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「ロボコップ」は、老若男女多くの方が見て、堪能したハズの娯楽作にしてケッサクやけど、本作は、そんなケッサク・テイストが崩れることなく、リメイクされた1本どした。

「華麗なるギャツビー」みたいに、ボク的には、オリジナルを超えた、リメイク作品もケッコーあります。

そして、本作は、オリジナルとはまた別の、オリジンを示して、オリジナルと同格の仕上げに、なった作品やと思います。

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アメコミ原作映画的なヒーロー像(バットマン、スーパーマン、スパイダーマン、アイアンマンほか)へと、オリジナルよりも、さらに進化させはったり、

その一方で、1980年代以降の傑作SF映画で、同じ原作者(フィリップ・K・ディック)による、

「ブレードランナー」(1982年)や「トータル・リコール」(1990年)、「マイノリティ・リポート」(2002年)なんかの、感触や感覚のある映画になっとりました。

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その貢献ポイントとして、挙げられるのは約3つやろか。

一つは演技陣、一つはアクション・シーンの創出、一つはサントラなどの、フックなポインツ。

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ロボコップ役のジョエル・キナマンのアニキ。

いろんなハリウッド映画のオーディションを受けて、アカンかったんやけど、悲愴なるヒーロー像的存在感は、オリジナルのピーター・ウェラーより、やや上やったかも。

でもって、その妻役のアビー・コーニッシュのネーさんが、ボク的には、メッチャエエ感じやったな。

異能演技の何たるかを示してくれはる、ゲイリー・オールドマンはんや、マイケル・キートンはん、サミュエル・L・ジャクソンはんらの演技には、

時々、気色悪うなったり、鳥肌だったりしよりましたわ。

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クライマックスのロボットたちと、主人公の壮絶なアクションを始め、主人公視点の赤色・サーモスタットな映像による、アクション・シーンの色彩設計やら、

ストレートなバイク・アクトなど、豪放磊落とも言えるアクション演出に、骨太感がありましたえ。

シンセをメインにした、攻撃的なサントラも、アクション・シーンにピッタリはまって、良かったかと思います。

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モチ、アクション部の充実だけやありまへん。

妻子や刑事の相棒を含めた、キズナ部の感動は、オリジナルを超えとったかもしれまへん。

骨太感と共に、じんわりとココロにクル、感動もある作品どした。

ぜひオリジナルと見比べて、イロイロ楽しんでほしい作品でおます。

2014年2月20日 (木)

「グロリアの青春」⇒スペイン・チリ合作のヒロイン映画

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「小さいおうち」黒木華の前年に、ベルリン国際映画祭銀獅子賞(主演女優賞)ゲットの1作

ヒロイン映画の進化型を狙い打ちした会心作どす

http://www.gloria-movie.com

3月1日のサタデーから、トランスフォーマーはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西では、3月8日の土曜日から、シネ・リーブル梅田、京都シネマやらで上映どす。

本作はスペインとチリの合作やけど、チリ映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Fabula - Muchas Gracias

アメリカのアカデミー賞とは、別の存在として、世界3大国際映画祭がありま。

それは、2月開催のドイツ・ベルリン、5月のフランス・カンヌ、9月のイタリア・ベネチアどす。

ほんでもって本作は、ベルリンで最高賞・金獅子賞に次ぐ次点となる、銀獅子賞・主演女優賞をばゲットしはりました。

作品に対する評価となる、1等賞の金獅子賞の次点に当たる銀獅子賞は、男女優に関わらず、主演賞のために設けられたもんでおます。

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今年のベルリンでは、日本代表の「小さいおうち」(2014年・弊ブログ内検索で出ます)が、この賞を、黒木華(はる)チャンがゲットしはりました。

日本人としては、左幸子「にっぽん昆虫記」(1963年・今村昌平監督)、寺島しのぶ「キャタピラー」(2010年・若松孝二監督・弊ブログ内検索)に続く、3人目のゲットでありました。

そんな銀獅子賞の、昨年の分をゲットしたんが、本作なんどす。

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しかも、チリの映画で、チリの女優はんや。

ボクなんか、映画をケッコー見てると思とっても、さすがに、チリの映画ちゅうのんは、ほとんどっちゅうか、全く見てへんのに等しおまんねん。

そもそも、ラテンアメリカ映画そのものが、商業的採算を含めてでんな、日本には上陸しにくいもんになっとります。

でもしか、本作はチリの国を思わせるようなスパイスは、モノゴッツー稀薄どして、アメリカのヒロイン・ヒューマン映画として見ても、見ごたえがあり、娯楽性もありーの、普遍性もありーのな、会心作になっとります。

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中でも、やはり、イチバンヤーの貢献は、ベルリン銀獅子賞をゲットしはった、50歳を超えた、チリのベテラン女優パウリーナ・ガルシアはんの、

まるで10代の青春ラブ・ストーリーを見るような、はつらつとした演技ぶりでおます。

50歳過ぎなのに、濡れ場シーン、ヌード・シーンもへっちゃら。しかも、男にとったら、そそるシーンにも、十二分に対応してはるだけやありまへん。

セックス・シーンの演技だけを見ても、同じく50歳過ぎのアメリカン女優ジュリアン・ムーアと比べても、全くヒケを取ってはりまへん。

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ヒロインが全編にわたり、常にいてるような作りを、監督らは目指したらしいんやけど、受賞を目指してやらはったんかどうかは別にして、それはカンペキになされとりました。

別れた妻、特に娘たちから、しょっちゅう相談を受けてはる、老年の男との恋愛。

ある意味では、不倫でもないし、老いらくの恋とゆうほどには、年寄りじみたとこもない。

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ほんでもって、あくまで、ヒロインのプライベート部を中心に、しつこいくらいに、ヒロインの挙動を、セリフなしに伝えていく作りをばやってはります。

恋のお相手とのデート部なんぞも、若いカップル的なとこも演出し、

でも、亀裂ポイントは、少々ビミョーでオリジンなとこをば、示してはるんは、本作を特異なもんにしてはるやろか。

ラストの方のサプライズも、なるほどなと、納得できました。

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ヒロインがクルマを運転しもって、チリのフィメール・ポップスを聞き、口ずさむシーンなど、大したシーンに見えなくても、あとあとで効いてきたりしよります。

 ヒロインの息子や娘との、キズナ描写のあっさり感や、女中のノアの方舟にまつわる逸話など、ヒロインを巡る話の、本作のユニークなとこなど、

 アート的でありながらも、いくつもあるシブミあるとこを、じっくり味わいたい作品どす。

 さらに言いますと、アメリカの歌手ローラ・ブラニガンが歌い、ビルボードで2位になった、1980年代の名曲「グロリア」が、チリのカヴァー版として流れて、

 それが大きなヒロイン・ドラマ効果を、生み出しとりますんで、注目あれ! どっせー。

2014年2月19日 (水)

「マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマン」⇒ドキュ映画3

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ジョニー・デップのアニキの、ナレーション&インタビュアー役でお贈りする、人間ドキュメンタリーどすえ~

http://www.zaziefilms.com/steadman/

3月1日のサタデーから、ザジフィルムズはんの配給によりまして、東京・シアター・イメージフォーラムほか、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸITCH FILM LTD 2013

ジョニー・デップの愛すべき人たちを描く、ある意味においては、シリーズ化されとるようなカンジの、映画ではおます。

ジョニデのアニキは、日本でも大人気のハリウッド俳優やし、「ブレイブ」(1997年製作・アメリカ映画)では、映画監督もやってはりますんで、映画への傾倒ぶりは並みたいていのもんやありまへん。

そこへもってきて、ドキュメンタリー映画については、どないやねん、と申せば、これもハンパやありまへんねん。

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自らが主演した、テリー・ギリアム監督による、ドラマ映画「ラスベガスをやっつけろ」(1998年・アメリカ)は、

ジョニデが敬愛する、ハンター・S・トンプソン(またの名はゴンゾー)の、実話まがいの小説が原作やったけど、ジョニデはこのハンターはんに、ゾッコンやねん。

ハンターはんのドキュや、ドラマ映画にもハンターはん役として主演しはり(共に弊ブログ内で分析済み)、

ある意味では、ジョニデの本質が見えてくるような作品になっとります。つまり、正統派やなく、異形やねん。

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サブカル、もしくは異形のアーティストに、ジョニデが魅せられた結果、そんな彼役でドラマに主演してなりきり、また、彼らを描くドキュメンタリーで、解説しインタビューしたりしやはるわけでおます。

でもって、本作は、イギリスの漫画家、ラルフ・ステッドマンはんをば、採り上げはったんでおます。

ジョニデとのツーショット(写真2&3枚目)から、想像されますように、大スター・ジョニデは、このカルティックなラルフはんに、すっかりイカレてしまわはりましたんどすえ。

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さてはて、この方、ラルフ・ステッドマンはんについて、ゆうてみまするに、ゴンゾーはんとも深い親交があり、ジョニデを含めて3人は、アーティスト的キズナで結ばれてはるようどす。

まあ、ジョニデが出てくることで、ゴンゾー&ラルフの2人の再評価が、あったチューとこはあるんやけど、

でもしか、この映像だけではモチなく、ラルフの作品を見てみれば、なんでジョニデが、えらく魅かれたのかが分かります。

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時代を映す風刺漫画。

ラルフはん本人の弁では「人々に考えさせる作品」やとゆう通りで、どれも一筋縄やありまへん。

それらの作品or創作姿勢なんかを見てみよりますると、ユーモアには少し狂気があるべきとか、漫画は笑いだけでなく物事をエエ方向へ…とか。

酔ってる方が、うまく描けるのではとゆう、その創作姿勢。ほんで、酔ってるだけに、何が出てくるか分からない。

アートはトリックであるとか。ラルフはんの異才ぶりを、ジョニデがこってりと、引き出してはりまっせー。

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謎めいた画家レンブラントやら、巨匠ピカソに影響を受けたラルフはん。

そんな彼の創作の極意も、メイキング的に披露されるんで、漫画家志望の方やらは、必見なとこどす。

さらに、ジョニデも音楽を歌ってるけど、ロック史に残るハードロック・バンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」のスラッシュが、

ハードやない、スローなアコースティック・ソウル・ナンバーを歌っているとこなんぞも、クグッときますで。

ジョニデが心酔した人間ドキュメンタリーやけど、パーソナルを超えて、普遍性のある、ヒューマン・ドキュでありましたえ~。

2014年2月18日 (火)

「僕がジョンと呼ばれるまで」⇒ドキュ映画2

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アルツハイマーのアメリカン老女を、描いた作品どす

介護士の彼の名前を、老女は果たして覚えてはるやろか?

http://www.bokujohn.jp

3月1日のサタデーから、仙台放送はんの配給によりまして、東京都写真美術館ホール、シネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作は、アメリカと日本の合作映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 仙台放送

さてはて、本作は人間ドキュメンタリーでおます。

人間ドキュやゆうても、いろんなパターン分けができるんやけど、明日はセレブ系。でもって、本日は名もなき庶民系。

でもしか、その老女は、認知症・アルツハイマーにかかってはります。

本作は、日本との合作になっとりますけども、アメリカ映画的には、これまでには、記憶喪失系はあるんやけど、

あんましアルツハイマー関連の映画は、日本と比べて少のうおます。

そやから、稀少価値はあるんやけど、ビョーキのままで終わってまう映画が多い中で、

本作は何と回復するチュー、方向性で描かれる、それ自体稀少価値の高い作品となっとります。

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エブリンとゆう名の93歳のオババが、本作のヒロインでおます。

かつて彼女は、婦人服売り場の販売員サービス業に、従事してはりまして、その頃の記憶が1つのポイントになっとります。そのあたりは、モノクロ写真などで説明されよります。

で、認知症とのことで、アメリカはオハイオ州にある、高齢者介護施設に、彼女は入らはりまして、いろんなことをばヤラされます。

読み書き、簡単な計算、駒の置き方など、誰にでもできるようなことを、要介護者はんたちに、ヤラさはります。

でもしか、彼女はそんな中でも、優秀どしたんえ。聞こえないフリもしたりして、余裕さえ見せはるくらいやもん。

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自分らしさを取り戻すことナンチュー、ありきたりなナレーションなんぞがあるけども、

老女ヒロインに匹敵するポイントは、介護士のジョンとゆう名の若者(写真2枚目の右の青年)どす。

ナンチューても、その自然体な介護士ぶりの、さわやかさでおましょう。

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そんなジョン・ロデマン君。

オフには、ピアノに乗って恋人とのデートをし、その一方で、介護士としての心構えや日常を、肩の力を抜いてナレートしたりと、実に好感あふれる青年ぶりどす。

ほんで、彼は名刺を渡したりしもって、要介護者と接し、対話療法のあとに、必ず相手に聞かはりまんねん。

「僕の名前は何ですか?」と。「ジョン」と答えてくれる人は、ほとんどいてはりません。

でも、ヒロインのオババは…。とゆう流れでおます。

感動的とまではいかんかったけど、妙にココロのヒダをば、くすぐってきはる映画どした。

「時は過ぎてゆくのね」とゆうセリフも効きました。

そして、ラストロールで流れるサントラでおます。

アカペラからポップス・ナンバーへと、転移してゆく流れに、ゾクッときましたえ。

ちゅうことで、前向きなとこが心地よい、認知症ドキュでおました。

2014年2月17日 (月)

「いのちをつくる」⇒ドキュメンタリー映画3連発の第1弾

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iPS細胞などの未来を語る、命のドキュメンタリーどす

ノーベル賞の山中伸弥教授の、語りが熱いで~

http://www.uplink.co.jp

2月22日の土曜日から、アンプラグドはんの配給によりまして、渋谷・UPLINKやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、3月1日~3月7日に大阪・第七藝術劇場にて上映どす。

本作はイギリス映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 The University Court of the University of Edinburgh. All Rights Reserved

本日より3日間にわたってでんな、ドキュメンタリー映画のイロンナところをば、分析し伝えてまいります。

そもそもドキュ映画チューのんは、多彩なカタチで伝えられるもんがあります。

ドラマ映画以上に、自由な気風があるようにも思われよりまんねん。

人間ドキュ、ネイチャー・ドキュ、社会派ドキュ、ほかイロイロ。

中でも、本作は上記に挙げたドキュ・ジャンルではなく、事実をベースに、現状や未来を予想するとゆう、人類、そして生命に関わる、壮大とも思えるようなドキュでおます。

そういうタイプは、ボクとしては、あんまし見てへんねんけど、でもしか、この種の映画としては、ドキュとしての手堅さみたいなんもカンジよりました。

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30歳の神戸の女の研究者が、新しい道を切り拓いたちゅうのんは、最新ニュースとしてありますけども、

でもしか、ヤッパ、ノーベル賞をゲットしはった、山中伸弥教授(写真2枚目)の談話をポイントに、

幹細胞生物学への道が、タイトに描かれてゆきよります。

山中教授がいかにスゴイかを、描いてはるような映画でもありまんねん。

発見は50年前とゆう、幹細胞についての説明が、緻密に詳細に綴られてまいります。

この最初の方の説明的描写は、いかにもドキュ的な骨太感があるんやけど、ココをおろそかにしてへんところに、まずは好感があります。

モノクロの広島原爆シーンと、患者の話が続き、ほんで、骨髄に目を付けていく流れは、実に説得力がありましたえ。

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さらに、ドラマ映画の整形映画や「他人の顔」(1966年製作・日本映画)などで、採り上げられた培養皮膚のポイント、

盲目の人が世界で最も多いらしい、インドの眼科の例であったり、オーダーメイド医療、クローン技術など、

学者・医師・専門家のインタビューを重ねながら、新しい命の可能性をば、探ってゆかはります。

iPS細胞の現場での応用を探るとこなど、映画を見終えた最後には、ボクたちはひょっとしてズーッと、生き続けられるんやないか、なんて錯覚も覚えたりします。

でも、その感触は、決して悪いもんやありまへん。

ストレートに言及して、そのままなカンジで、終わるようなドキュに見えるけど、そのストレート感がエエんどす。

ラストロールで流れる、軽~いシンセ・サウンドが、癒やしと共に、未来をカンジさせてくれはって、

しみじみとグッときましたえ~。

2014年2月16日 (日)

「偉大なる、しゅららぼん」⇒日曜邦画劇場

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京都「鴨川ホルモー」、大阪「プリンセス・トヨトミ」に、続きよります本作どすが、

万城目学原作映画の、荒唐無稽ぶりは、絶好調でおます

http://shurara-bon.com

弥生3月8日の土曜日から、東映はんとアスミック・エースはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014映画「偉大なる、しゅららぼん」製作委員会

Ⓒ万城目学/集英社

万城目学原作小説の映画化作品チューたら、ボクが見さしてもろたんは、本作を含めて3作ほどあります。

大阪出身・京大卒の学アニの作品は、そんなキャリア通りに、関西が主舞台になっとります。

でも、その関西も、フツーの関西やありまへん。

こんな関西おかしいやんか!  ちゅうのんが、関西出身・在住のボクにも、ケッコー見えとります。でもしか、そのトンデモ感が、彼の大きな魅力になっとるんどす。

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京都を舞台にした「鴨川ホルモー」(2009年製作・日本映画)。大学生たちを主人公にしたこの作品は、学生映画としてもセンスが良く、万城目映画の最高傑作でおましょう。

大阪を舞台に、豊臣秀吉の末裔に言及した「プリンセス・トヨトミ」(2011年・日本)。豊臣映画の定番をくつがえす作りが、時代考証を超えて、圧倒的にオモロかったどす。

ほんで、本作はボクの出身地・滋賀県が舞台どす。

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さてはて、滋賀県を舞台にした映画としては、ボクがすぐに思い出したんは、「幻の湖」(1982年・日本)でおます。

監督が橋本忍御大だけに、ケッサクであるハズなんやけど、なんでか、滋賀県ロケ映画には、本作も含めて、ケッタイなカンジの作品があります。

でもしか、「幻の湖」よりは、カルト感は少なめも、ポピュラリティーは、圧倒的どしたやろか。

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地方ロケ映画。CG入り映画…。いかにもフツーな映画感覚がありそうやけど、でも実は、違っておます。

ナンセンスで荒唐無稽な映画でありながらも、本作にウルウルできるポイントがあるんは、

友情を主にしたキズナ・ポイントが、感動を呼んだりするとこがあるからでおましょうか。

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観光的ではないけども、竹生島やらの滋賀県ロケ・シーンのとこのオモロサもあるけど、根本的には観光色は稀薄どす。

あくまで、映画のロケ地として出てくるだけの領域をば、超えてはいはりまへん。

観光推進映画性は皆無で、映画としての面白さに集中しはった作りでおます。

「十戒」(1956年・アメリカ)のように、琵琶湖の水がひらけていくシーンなど、思わずなるほどな~やったり、そそられるシーンが、ところどころにありますんで、お楽しみくだされまし。

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「鴨川ホルモー」よりも、シャキッと感があった、濱田岳のアニキ。

弱々しき演技が、むしろ逆に好戦的にも見える、岡田将生クン。

フテクサレ演技の妙味を魅せはる、フカキョンこと深田恭子ネーさん、

オオマジの渡辺大クン、ピチッともしてるけど、ヤワ演技の渋みを魅せはる、貫地谷しほりネーら。

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でもって、笹野高史はんや村上弘明はんの、ベテラン陣の演技にも、ネタ部も含めて、注目しておくんなはれ。

ラストロールで流れる、今どきのブレイク・グループによる、テクノ・ポップ・ダンス・ナンバーも、キャッチーで余韻を深めますで。

誰が歌ってはるんかは、メッチャなお楽しみなんどすえ~。

2014年2月15日 (土)

「1BR(ワン・ビー・アール)-らぶほてる」⇒ニッポンのピンク映画どす

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ラブホテルの一室での密室ドラマでおます

愛よりもセックスに傾倒した、ピンク映画の会心作や~

http://d-kokuei.com/1br/

3月1日の土曜日から、ポレポレ東中野はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで上映どす。

ピンク映画なんで、「R-18+」指定映画でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ラブホテルを舞台にした、ピンク映画どす。

しかも、男女2人芝居による、密室ドラマでおます。

さらに、愛よりもセックスを重視した映画やから、ピンク映画らしいピンク映画になっとります。

にっかつロマンポルノ、大蔵映画、そして本作の国映など、日本のピンク映画には、ケッコーなブランドがありますが、

ここで、ホンマにやってるハードコア作品も含めまして、セックスに傾倒した作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

まあ、ボクはそんなに、ピンク映画を見てへんねんけど、もっとスゴイのんがありますれば、みなはん、教えてくだされまし。

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●ベスト⇒①愛のコリーダ(1976年製作・フランス&日本合作)②ラストタンゴ・イン・パリ(1972年・フランス&イタリア)③実録・阿部定(1975年・日本)

●カルト⇒①本作②エマニエル夫人(1974年・フランス)③白昼夢(1981年・日本)

●ボクチン、にっかつロマンポルノは、ケッコー見とったんやけど、大蔵や国映については、若松孝二監督作品以外は、ほとんど見ておまへん。

そやから、セックス映画について、知ったかぶって大マジに、論じてもエエんやけど、

やはり、映画としてのキチッとしたとこがあっての、ピンクやと思いますので、その観点から選びました。

ベスト①③は、おんなじ実話をベースにしとるけど、室内劇やけど、共に時代観も入れた上での、セックスへの執着度合いが強烈どした。

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でもって、本作も東日本大震災とゆう大事件を、さりげなく取り込んではります。

ほんで、そういうのんは無視して、ラブホテルに住みたいとか、絶倫になりたいとか、セックス三昧への道を、何気にひたすら突き進む、男女の在り方に、オーっと密かにココロにきますで。

愛のないセックスをヤリまくる、ベスト②、ハードコアのカルト②③など、そこまで徹底してないとこが、むしろ新鮮にも思えるんどすえ。

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本作の新味は、まず、ラブホの楽しみ方を描いてゆくところやろか。

フロ、バイブ、AV、コスプレ、ルームサービスほか。従業員のサービスの悪さに、「カンジ悪いわ~」なんて言いながらも、ラブホの楽しさが、コッテリ詰まった作りどした。

何度も出てくるメイン・ソースの、セックス・シーン以上に、ボクはスゴク興味を魅かれました。

さらに、ピンク映画の室内劇では、ボクがあんまし見なかった、1分から3分の長回し撮影が、効果的に使われとりました。

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映画的照明により、ラブホのホノグラ感を出したりと、こだわりある作りもあります。

ほんでもって、ラスト近くの、女が1人残されてからの展開が、フツーのポルノやピンクやないところをば、示さはりますんで、乞うご期待どす。

ヤラシさも重要やけど、ヤラシさよりも、セックスのあとさきまで捉えた描写が、ココロに残る作品でおました。

2014年2月14日 (金)

「渚のふたり」⇒韓国のドキュメンタリー映画どす

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男女共に障害者夫婦のキズナを、描かはったドキュメンタリー

しかも、アラマ、珍しい韓国産ドキュどすえ~

http://nagisanofutari.jp/

MASCはんとシグロはんの配給によりまして、2月15日から東京・シネマート新宿、2月22日から大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

韓国のドラマ映画や、テレビドラマは、ハチャメチャなくらいいっぱいあるけど、

韓国映画のドキュメンタリーてゆうたら、日本にクルんはメッチャ稀少価値がござります。

描かれるんは夫婦映画で、夫妻共に身体障害者。

本来ならば、ドラマ映画になってでんな、みんなを泣かせるべき素材やと思うけど、

あえてドキュとゆう手法を採ったんは、俳優の出演料やらを、始末したかったからやありまへん。

唯一無二の2人を描くのに、その代役としての役者では、不可能とゆうことなんやけど、ハリウッドや日本やったら、無理にでもキャスティングするやろけど、

本人たちが出てはる本作以上の、リアルや感動が作れるかどうかは、本作を見たら、最初は少し疑問に思いましたわ。

なんせ、夫は盲目で聾唖者、妻は脊椎障害で、そのせいでホビットみたいに、コビトな大人どす。

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共に身体的障害のある夫妻の映画てゆうたら、ボクがまず思い出すんは、

共に聾唖者夫婦を描いた名作「名もなく貧しく美しく」(1961年製作・日本映画)なんやけど、本作は少しビミョーなところ。

でも、作り方によったら、スゴイ映画ができる可能性もあります。

まあ、そのあたりは、本作をじっくり見ていただいた上で、みなはんがそれぞれに考えてもろたら、エエやろかと思います。

でもしか、本作そのものは、ドキュとして見ずとも、夫婦映画の感動的な1本になっとります。

そこには愛があるナンチューたら、あまりにもわざとらしいんやけども、そんなワザトラを、リアル感あるドキュだけに、自然なカタチで魅せてゆくとこに、妙味ちゅうもんがあります。

ボクは感動はしたけど、泣かへんかった口やけど、見る人によっては、大泣きする人も、かなりいてはるハズどすえ~。

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盲目・聾唖者は、宇宙人みたいなもんと自ら仮定し、話せないことをオリジナル詩に託して、綴ってゆかはる夫。

ある意味では、この夫の存在そのものが、ドラマ映えするもんどすが、モチ、本作でもその前向きな生き方が、インパクトあるカタチで描かれよります。

また、そんな夫を支えはる、小柄な妻の献身ぶりにも、見たあとにも、ググッと胸にきよります。

手と手の、肌の触覚だけで触れ合うシーンなど、さりげなく描かれていながらも、ヤッパ、あとあとに、ココロにググーンと、響いてくるシーンでおました。

実話を映画化した映画は、あまりにも多いんやけど、本作をドラマ映画化したら、ひょっとしたら、スゴイもんができるやもしれまへん。

ここ2年あたりの邦画でゆうたら、「奇跡のリンゴ」や「抱きしめたい」(共に、弊ブログ内検索で出ます)以上に、ドラマティックどすんで、

ぜひ日本で、ドラマ映画化してもらいたいチューのんは、ボクの勝手な妄想やけど…。モチ、ハリウッド映画界リメイクもOKどっせ~。

本作の感動を、ぜひドラマでも、味わいたいと思います。

2014年2月13日 (木)

「はじまりは5つ星ホテルから」⇒女性監督によるイタリア映画

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世界各国の5つ星ホテルを査定する、女ヒロイン・ドラマどす

旅行好き女性のための映画かもしれまへん

http://www.alcine-terran.com/fivestar/

2月15日のサタデーから、オープンセサミはんとアルシネテランはんの配給によりまして、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Biancafilm Licensed by RAI S.p.A-Rome, Italy. All Rights Reserved.

さてはて、ユーロ映画でも、久々に取りあげるイタリア映画どすが、みなはんのイタリア映画のイメージって、どないなもんがありますやろか。

以前にも書いたけど、イタリア映画の新作が毎年、日本の特定の都市で、特集上映されたりしておますけども、

日本の津々浦々までかかるようなイタリア映画とゆうのんは、久しくありまへん。

特に21世紀以降は、それが顕著になっとりまして、ボクの記憶するところでは、アカデミー賞外国語映画賞をゲットしはった「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年製作・イタリア映画)以降は、傑作は多々あれど、

多くの日本の観客に、映画館で見てもらえる機会がなかったように思います。

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本作もまたそんな、日本における、イタリア映画流通ラインに乗ってしもた映画なんやけど、

でもしか、はっきりゆうて、描かれとる中味は、マニアックな映画ファンよりも、日本では圧倒的な数にのぼるハズの、旅行好きの女性に、ストレートに訴求する作品となっとります。

モチ、作品そのものは、ヒロイン映画どす。

でもって、21世紀以降、トレンドにもなっとる、アラフォー女性設定どす。

そんなヒロインが、世界各国のホテルへとおもむき、「5つ星ホテル」を極秘に査定するちゅう、スパイ的調査員の役をばやらはりまんねん。

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ちゅうことで、本作では、世界の7つの5つ星ホテルが出てまいります。

「グランド・ホテル」(1932年・アメリカ)以来、群像劇に特化したホテル舞台映画は、多々出とりますけども、

料理みたいに何とか星を、ホテルでヤルっちゅう映画は、本作が映画史上初めてやないやろか。

フランス、本国イタリア2、ドイツ、スイス、モロッコ、中国の計7つのベスト・ホテル(本作ホームページを、ご参照くだされまし)を、本作では網羅しはりました。

まあ、その1つ1つのホテル描写は、そない長くはありまへんけども、旅行好きの方々には、間違いなくウットリとなれるもんやと、ボクは確信いたしまっせ。

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さてはて、肝心の映画は、そんな調査員ヒロインの生き方を描くわけやけど、監督は40歳過ぎの女性監督マリア・ソーレ・トニャッツィ。

主演は1962年生まれの、マルゲリータ・ブイ。

共にアラフォーを経験してるorした人たちだけに、アラフォー心理の演出・演技は、

ありきたりのように見えながらも、ボク的にはのちのちに、ココロにジワリとくるような感触がありました。

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ちゅうことで、ヒロインはアラフォー独身の設定。

でもしか、妹夫婦のコドモたちを預かって交流したり、新しい彼女がいてる、かつての彼氏と酒を飲み、流れに乗ってヤッてしもたりしますが、基本ラインはジミにして孤独節。

そのあたりのジミ部が、映画的娯楽性やドラマティックに、欠けるんかもしれへんけど、

でも、結末的なとこも含めて、女の方から男を誘うような、デート・ムービー的には、ピッタリの作品やないかと、ボクは思います。

壮大なオーケストラから、さわやかなギター・ポップスまで、サントラもウットリできる、仕上げになっとりますよ。

2014年2月12日 (水)

「パラダイス 希望」⇒3部作の第3弾完結編や~

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ヒロイン映画の異能の極北を示す、3部作「パラダイス」シリーズどすえ~

3者3様のケッタイなヒロイン・ドラマに、泥酔してくだされませ

http://www.paradise3.jp

フェブラリー2月22日のサタデーから、ユーロスペースはんの配給によりまして、東京・ユーロスペースで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、3月17日から、シネ・ヌーヴォにて上映どすえ~。

本作はドイツとフランスとの合作となった、オーストリア映画どして、「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸVienna 2012 | Ulrich Seidl Film Produktion | Tatfilm | Parisienne de Production | ARTE France Cinema

第1作「愛」は、本作のティーンエイジャー・ヒロインのオカンの、アバンチュール・ラブなお話。

ほんで、第2弾「神」は、本作ヒロインの伯母ハンの、洗脳されたような布教ぶりを示す異質な作品。

前2作のどっちもが、ケッタイなんやけど、これまでに正統系人間ドラマでは、描かれてこなかったけど、その異能ぶりに、ついついハマリ込んでまう作品になっとりました。

でもって、本作は取りあえずは、学園ものやなんてゆうてもエエんやろか。

「ダイエット合宿」やナンチュー、学生たちの合宿やなんて、ホンマにあるんかどうかは別にして、それをば大マジメに披露しはるんが、本作でおます。

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太っているティーンたちが、ダイエットできるプログラムをやらはるんやけど、その内容に関しては、メッチャ違和感あるもんどした。

12人が合宿に参加してはりまして、みんながトレーナー先生やらに付いて歩くカットの連続に、ニヒリズムやら、ブラックなカンジがありました。

なんせ前2作が、ケッタイやけど、ユニークなケッサクになっとっただけに、3部作第3弾のシメには、大いに注目したいキモチがあったんやけど、

でもしか、デブでもかわいいヒロインの、先生との片想いを描く映画としても、かなりと異質感のある作品でおました。

その理由としては、先生が全く彼女を拒否してはらへん、中途半端なとこにも見出されよります。

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保健室勤務のその男の先生は、彼女のそれとない誘惑するような誘いに乗らはって、誰も見てない森の中で、彼女と抱き合うし、

また、クラブでヘベレケになった彼女を、保護者・先生代表で迎えに行った際も、彼女を森の中へ連れて行って、ヤリはせんけど、変態チックな行為に出はりまんねん。

おいおい、この先生、どこか変やで~と、思うんどすけども、この先生については、さほど深く細かくは追求されてはおりまへん。

もっと、ディープにやったら、どないなことになったんかは分かりまへんが、謎めいた先生の、ワケの分からへんヤラシさは、本作を大いに不可解にはしてはります。

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これまでの青春映画や、ヒロインもの学園映画に、新たな謎めきを付加するような作品でおました。

ヒロインの恋が実らへん嘆きは、オーソドックス的にはあるけども、本作には何やらよう分からへんような、曖昧さがあったかと思います。

アフリカのケニアに行ってるオカンとは、娘はんがケータイからケータイに電話しても、いっつも留守電になっとります(第1弾「愛」とリンクするカット)。

娘はんのオカンへのコトバは、本作の大いなるキモにもなっとりますんで、要注目どす。

「しあわせなら手をたたこう」が、登場人物たちの合唱や歌声で、皮肉っぽく引用されとります。

片思い映画の切なさとゆうか、グラグラな不安定感がよく出た、なんとも言えへんような作品でおました。

2014年2月11日 (火)

パラダイス3部作の第2弾「パラダイス 神」⇒ユーロ映画の傑作

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キリストを溺愛するヒロインの、途方もなさを描いたシリーズ第2弾

布教人間映画の定番を、完全にひっくり返す作りにビックラこきます

http://www.paradise3.jp

フェブラリー2月22日のサタデーから、ユーロスペースはんの配給によりまして、東京・ユーロスペースで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、3月17日から、シネ・ヌーヴォにて上映どすえ~。

本作はドイツとフランスとの合作となった、オーストリア映画どして、「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸVienna 2012 | Ulrich Seidl Film Produktion | Tatfilm | Parisienne de Production | ARTE France Cinema

3部作第1弾「愛」のヒロイン役をば、やらはったオカン役の、おネーさんが主役とならはった、第2弾でおます。

第1弾で、オカンが娘はんを、おネーさんのとこにつれて行って託してでんな、自分はケニアへと、いそいそと遊びに行かはったわけやけど、このドラマでは、その娘はんは出てまいりません。

そのカラクリは、第3話の主役とならはる、娘はんの話「希望」を、見ていただければ分かるし、それは明日に分析いたしますよってに…やけど、このオバハンは、かなりと特異なキャラクターでおます。

イエス・キリストにかぶれてしもて、布教のためにいろんな家庭を訪問しはり、ほんで、入院してた病院から帰ってきたダンナはんと、イロイロとやり合わはります。

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夫婦のキズナがどうちゃらチュー映画は、いっぱいあるんやけど、この夫婦の在り方は、フツーやないし、

また、仮面やら義務とか演技とかとは、完全に超越し、新しい夫婦の冷え方をば示さはります。

このやり取りの1つ1つが、見どころになっとります。

それに、ヒロインの布教シーンのイロイロも、首をひねったりするとこもあるけど、面白さがあります。

マリア像をどこにおいて、お祈りするんかを、指示しはる独身者への、5分以上の長回し撮影による、布教シーンやら、

酒を飲む女に酒はやめろと、揉めるシーンなど、彼女の布教ぶりは正統的なんやけど、どこかぎこちない危ういとこがあって、見ていて静かなスリリングやハラドキがありまんねん。

そんなぎこちなさは、夫婦生活以外にも、彼女の日常生活にも、まとわり付いておます。

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自らをムチ打つシーン、イエスの歌をカーステで流して歌って車を運転し、部屋でオルガンを弾いて歌い、

「イエス様、ハンサムです」「愛しています、イエス様」などのセリフを次々に呟いて、ある種の異常性をば表現しはります。

彼女の行動には、鳥肌立ったり、ウーンとうなるシーンがケッコーあります。

ピタッと鳴る靴音シーンの軽やかさなんぞも、気色悪さとゆうか、フックとなる、ドラマ効果音的なとこが、あったやろかと思います。

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夫とのやり取りでも、長回しが出ます。

テレビを見る見ないの1分、フロでのやり取りなどの2分強など、ぎこちなさが、ドラマをグラグラと揺らがせはって、見ているボクらの心も、しょっちゅうザワつかせてくれはります。

いつもうなっているネコの存在なんぞも、ヒロインの性格を表しとるとこどした。

昨日分析した「愛」と同じく、変形ヒロイン映画の妙味が、思わずクセになりそうな怪作でおます。

変なヒロイン映画として、いつまでもココロに、粘り付くような映画になっとりまっせー。

2014年2月10日 (月)

パラダイス3部作の第1弾「パラダイス 愛」⇒ユーロ映画の傑作

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ヒロイン映画の新次元を描いた、シリーズの第1弾

ケニアでアバンチュールしはる、オーストリア人太っちょオカンの、トンデモラブ・ストーリーでおます

http://www.paradise3.jp

フェブラリー2月22日のサタデーから、ユーロスペースはんの配給によりまして、東京・ユーロスペースで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、3月17日から、シネ・ヌーヴォにて上映どすえ~。

本作はドイツとフランスとの合作となった、オーストリア映画どして、「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸVienna 2012 | Ulrich Seidl Film Produktion | Tatfilm | Parisienne de Production | ARTE France Cinema

これまでにはさほど描かれへんかった、ヒロイン映画のユニークでケッタイなところを、

大マジ・モードのアート系のノリで描かはった、いちおう3部作もんの、第1弾でおます。

第1弾の本作「愛」は、母子家庭とも取れるところのオカンの話。

第2弾「神」はオカンの姉の話。ほんで、第3弾「希望」は、娘はんの話が綴られよります。

ヒロイン・ドラマが、3話共に描かれよるんやけど、実は、どれも普遍性のある、ドラマもんやありまへん。

ヒネッてはるとゆうか、なるほどな~と、全ての話は分かりやすいんやけど、過去の映画監督たちが、積極的にはアプローチせんかったとこに、目を付けてはります。

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さらに、太ってはるチュー女優キャラやったら、ウットリのラブ・ストーリーは果たして、スムーズに成立するんかとゆうとこも、ヤッテはります。

ちゅうか、むしろアイロニカルな視点が、3作を通して見えよりまんねん。

サブ・タイトルもゼンブ、そのコトバを反転させるような、シニカルさに満ちておます。

オーストリアで、本作ヒロインのオカンが、高校生くらいの娘はん(共に太ってはります)を、オカンの姉のとこに預けはって、自らはアフリカのケニアへと、バカンスに出かけはります。

ほんで、そこで、金が目当ての黒人青年たちから、アタックを受けて、約3名の男と遊ばはって、

ほんで、1名にエライ惚れてしもて、騙されとんのも関わらずに、彼を追いかけはりまんねん。

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デブセンとかの妙な言葉がありまっけど、本作はそういうポイントをいっさいはずして、オカンのイチズな愛がとことん描かれていきます。

見ているボクたちが、騙されてホンマ気の毒やな~と、思えるような作りにはなっとるんやけど、オカンの対応はあくまで冷静沈着どす。

オカンの後ろ姿を追う、カットの多さやったり、太っちょの女の人たちが、並ぶシーンやツーショットやらの、タイトな挿入なんぞが、ドラマの異質なとこをば見せはります。

まあ、ボク的には正直、少々グロテスクなとこもありましたんやけども…。

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本作もそうどすが、3部作に共通するんは、1分、2分、3分の長回し撮影が、頻出しよります。

また、異国ロケだけに、ロングショットによる美しき海風景シーンや、夕景ほかの空のシーンもまた、目を引きます。

ケニアの民族的な歌ものも、演奏シーンを含めて、サントラでも披露されよります。

何か文句なしな作りやんかと思たら、それは大間違いやもしれまへん。

映画作家としての作家性とかもあるんやけど、往年のハリウッド・ラブ・ストーリーにあった、リゾート映画らしい美風景やロマンティックが、本作では全く違った表情を見せます。

「南太平洋」(1958年製作・アメリカ映画)なんかとは、大いに違う、リゾート・ラブの、トンデモ感を味わってくだされまし。驚きや作品の粘着性が、あとあとに残る作品どした。

2014年2月 9日 (日)

アニメ映画「ジョバンニの島」⇒週末日本映画劇場3

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宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を、ファンタジックに取り込んだ1作

「火垂るの墓」に迫る、幼い兄弟のキズナが描かれて…

http://www.giovannimovie.com

2月22日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸJAME

本作とシンクロする映画について、まずは取りあげます。

日本の敗戦後映画やけど、北方四島の1つ・色丹(しこたん)島の人々の姿が、アニメとはいえ、「氷雪の門」(1974年製作・弊ブログ内検索で出ます)以来、描かれた日本映画どす。

天皇の玉音放送は、この種の敗戦映画では定番やけど、その細部の事情を捉えた「日本のいちばん長い日」(1967年・弊ブログ内検索)や、

昭和天皇を描いた「太陽」(2005年・ロシア&イタリア&フランス&スイス)よりはベタやないけど、なるほどな~ちゅうとこはあります。

戦前を描いた宮崎駿監督「風立ちぬ」(2013年・弊ブログ内検索)とも、ビミョーにシンクロしとるかも。

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敗戦後にソ連軍の攻撃に遭い、故郷・色丹島を追われた日本人たちが、シベリアの収容所へと連れていかれます。

シベリア収容所生活も描いた「人間の條件」(1959年~1961年)などともシンクロしよります。

その島を出ていく時には、ソ連の女の子と幼い兄弟の兄やんが、小さな恋をばしてはりました。

本作は戦時中やないけども、戦時真っタダ中の「禁じられた遊び」(1952年・フランス)などともつながってくるやろか。

ほんでもって、幼い兄弟のキズナ部は、兄妹の「火垂るの墓」(1988年)を、ストレートに思い出させてくれはりました。

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オカン亡きあと、オトンと兄弟・祖父の4人で暮らしてはったけど、オトンの弟はん・叔父さんが戦地から帰ってきはりました。

この叔父さんと兄弟の、キズナ描写もあるんやけど、最もポイントとなるのんは、オトンが兄弟に植え付けた、宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」でおました。

宮沢原作のアニメゆうたら、ケッコーあります。「グスコーブドリの伝記」(2012年・弊ブログ内検索)なんかも、勇気をくれる1本どした。

でもって、この「銀河鉄道の夜」が、本作の大いなるキーワードになっとるんどす。

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兄弟はすっかり「銀河鉄道の夜」に、ゾッコンでハマッてはりましてな、夢にまで見はります。

ファンタジックなシーンが、「風立ちぬ」以上に出てまいります。

ダークブルーと紫と星々で、クリエイトする夜空の造形。ほんで、そこに、薄グリーンの透明っぽい電車。

従来のセピアやない、赤入りオレンジな夕景シーンの造形にも、目が点になったりしたけども。

さてはて、「この(銀河鉄道の)切符でどこへでも行けるんだ」と、クライマックスで弟を兄が励ますとこなんか、メッチャ感動的でおました。

感動シーンは、後半に向かうにつれ、出てまいりますが、鉄条網を間にした、オトンと息子たちの再会シーンしかり、

「銀河鉄道」の話をしながら、兄が弟をおぶって船に乗っていくシーンなど、涙腺をウルウルさせるシーンが満載やねんで。

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 サントラや劇中で歌う歌にも、工夫がなされとりました。

日本とソ連の生徒たちの交流部では、「赤とんぼ」と「カチューシャ」が、実に効果的に使われとりました。

ラストシーンはみんなで踊る、ソ連のダンス・ナンバーや。さらにその後のラストロールは、さだまさし提供の、日本のココロを感じさせてくれはる、壮大なナンバーが流れます。

コドモ合唱から、大人たちへの合唱へと変わっていき、そして、感動的なフィナーレへと。

ボク的には、「風立ちぬ」を超えたと思う、ジャパニメーションの傑作。世界の映画祭で、受賞してほしい作品どした。

 

2014年2月 8日 (土)

「銀の匙(さじ) Silver Spoon」⇒週末日本映画劇場2

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今も昔も変わらへんアイドル映画性に、魅了される爽快作品どす

地方ロケ映画の高校生もの邦画では、マイ歴代ベストテンに入りまっせー

http://www.ginsaji-movie.com

3月7日の金曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014映画「銀の匙 Silver Spoon」製作委員会

本作とシンクロナイズする邦画を、ちょろっと挙げますと…。

畜産科の高校と馬術部としては、「三本木農業高校、馬術部」(2008年製作)。

“ばんえい競馬”のシーンが、大きなポイントになっとるとこらは、「雪に願うこと」(2005年)。

経済動物であるブタやらと、生徒との絡み具合とかは、「ブタがいた教室」(2008年)などと、シンクロしよるんやないかな。

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でもって、本作はいろんな切り口から、分析できる作品になっとります。

北海道などの地方ロケもの、高校生もの、コミック原作映画、アイドルチックな映画性など、多彩に検証できるちゅうのんは、いい映画の証拠やと思います。

ちゅうことで、ここで、地方ロケによる、高校生日本映画の、マイ歴代ベストテン(順不同)をば、披露いたします。

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①時をかける少女(1983年)②スウィングガールズ(2004年)③がんばっていきまっしょい(1998年)④帰らざる日々(1978年)⑤青い山脈(1949年)

⑥本作⑦チルソクの夏(2003年)⑧転校生(1982年)⑨青春デンデケデケデケ(1992年)⑩パッチギ!(2004年)

●本作を始め、ラブ・ストーリー絡みの作品が、ヒジョーに少ないっちゅう傾向になっとります。

本作の基本ラインは、友情やと思うけど、その友情もベタな関係やありまへん。

泣ける友情節④よりも、あっさりしてるけど、むしろそれがあとあと、ココロに残ったりしよります。

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 そんな友情節としての、キズナを奏ではるんは、畜産高校の男2人女1人の同級生たちどす。

男と女の間には、友情は成り立たないとゆう、昔ながらのテーマにも、反旗をひるがえさはりまんねん。

アイドル映画のノリはモチ、エエ感じやけど、むしろ最後まで、③や⑤のさわやか感を維持し、

ほんで、サプライズ感まで示してくれはります。

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アイドル・グループ「Sexy Zone」の中島健人クンが、メガネを掛けて、ヤワな性格から、みんなの人気者になってゆく過程の描写が、素晴らしおました。

育てたブタとの別れを、これまでにない感じで捉えてみせたとこなど、思わずうなりましたで。

タイトに展開するダイジェスト・シーンの、リズミックな妙味もあります。

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でもって、広瀬アリスちゃんの、オトコの子の熱視線を集めそうな、好感度ある、元気快感な演技ぶりどす。

女だてらに、ばんえい競馬の騎手を目指すアリスちゃんは、アイドル映画的にも、本作のメイン・キャラクターどした。

ええオッサンのボクなんかが見ても、メッチャ魅力的やったどす。

吉永小百合ネーが、初めて出てきた頃の、元気系がありましたえ~。ホンマかいな? と思う人こそ、ぜひ見ておくんなまし。

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友情ポイントの1人でもある、市川知宏クンにも注目や。

さらに、強力バイ・プレーヤーの存在が、本作をさらに強靭な快作へと、導いてまいります。

「雪に願うこと」では、ばんえい競馬の騎手をやらはった吹石一恵ネーさんが、今回はアリスちゃんにその役を渡し、クールな先生役に扮しはりました。

また、北海道の開拓者の心意気を語る、中村獅童先生やら、

好感度あるクールさで魅せはる、黒木華(はる)ちゃんら、いっぱいいてはりますで。

そして、ラストロールでは、キャッチーなデュオ・ナンバー「ひだまり」を「ゆず」が歌います。いいね~やわ。

本作の吉田恵輔監督論も、やりたかったけど、それは監督の次の作品の機会に、披露いたします。

2014年2月 7日 (金)

松山ケンイチ主演「家路」⇒週末日本映画劇場1

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福島の警戒区域で生きる、人間ドラマ映画どす

東日本大震災関連ドラマ映画の新展開

http://www.bitters.co.jp/ieji

弥生3月1日の土曜日から、ビターズ・エンドはんの配給によりまして、

新宿ピカデリー、テアトル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014『家路』製作委員会

東日本大震災関連のドラマ映画、ドキュメンタリー映画のそれぞれにつき、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、かつて披露いたしましたけども、改めてドラマ映画のベスト5(順不同)を披露いたします。

①本作②おだやかな日常(2012年・弊ブログ内検索で出ます)③希望の国(2012年)④遺体(2013年・弊ブログ内検索)⑤ヒミズ(2012年・弊ブログ内検索)⑤今日子と修一の場合(2013年・弊ブログ内検索)

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●福島原発をポイントにした、震災ドラマ映画は、ベスト③もあるけど、あんましありまへん。

反・原発系の映画は、震災前にもケッコーあったんやけど、本作はそれも、ピンできはった映画でおます。

しかも、家族ドラマとしての滋味、兄弟、母子のキズナへと、押しつけがましくなく、さりげなく、着地していくスタイルなんか、見たあとあと、グッと染みるっちゅうような、作りになっとります。

泣けるよりも、希望のある映画やろな。そやから、被災者がかわいそうやんと思うより、むしろ逆に、見て元気がもらえるような、そんな映画になっとるかと思います。

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警戒区域に指定されて、息子(内野聖陽)とヨメ(安藤サクラ)とコドモと、息子のオカン(田中裕子・オトン役石橋蓮司はんは、震災前に死んではります)は、故郷を離れて、今は仮設住宅で暮らしてはります。

一方、無人の農村と化した故郷に、10代で家を出て東京で生活してた、弟・松山ケンイチのアニキ(内野が兄やけど、腹違いの兄弟設定・弟は後妻・田中裕子の息子どす)が、

勝手に警戒区域の実家に戻って、米作農業を1人でやってはるんどす。

なんでやねんとゆうのんが、あるんやけど、後半でそれは本人の弁で、説得力をもって解消されてまいります。そのセリフには、ウーンと、うなれるもんがありました。

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仮設住宅の家族ドラマ部と、警戒区域の実家で、家族とは連絡を取らずに、1人で生活するケンイチの話が、同時進行のカットバック的に、映されてゆきよります。

松ケンの演技はあくまで自然体どす。小細工はいっさいない、チューてもエエやろな。

田中裕子オカンとの関わりも、なるほどそうくるかと、自然に納得できるもんになっとります。

「米」(1957年・弊ブログ内検索)とか、「裸の島」(1960年)などの農業映画の、良質なセンスも感じました。

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オカンを背負うシーンなど、「楢山節考」(1958年・1983年)「わが母の記」(2012年・弊ブログ内検索)を思い出させたりします。

でもって、対話での1分から2分強の、長回し撮影シーンの頻出なんか、ドラマ効果を高める、シブミあるシーンが、エエ感じどした。

田中裕子が缶ビール片手に、ヨメ・安藤サクラと対話するシーンや、ケンイチと友達の夕食シーン、内野とサクラの夫婦の会話などが、ドラマをビミョーにフック的に推進してまいります。

警戒区域外の仮設住宅などの描写と、警戒区域内の描写の対比なども、静かに胸にきよりますし、ナンチューても、ラストのエピソード・シークエンスは、ググッときよりました。

泣ける映画やないとは思うけど、でもしか、泣けなくとも感動のある映画でおました。

 

 

2014年2月 6日 (木)

「マチェーテ・キルズ」⇒アメリカン映画劇場4

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そんなアホなバカなな、トンデモ変形アクション映画どっせー

メル・ギブソンからレディー・ガガまで有名どころがシリアス・バカチン・アクションを披露やー

http://www.finefilms.co.jp/machetekills

3月1日の土曜日から、ファインフィルムズはんの配給によりまして、

新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマメディアージュ、

梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショーでおます。

本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

7Ⓒ2012 Vrelonovama LTD

ハリウッド系アメリカン・アクション映画の、マットー系やない変形アクション映画とゆうのんは、ハリウッド映画界が積極的に、推進しとるもんやありまへん。

アカデミー賞やら大作ハリウッド映画とも無縁の、これらの映画にこそ、これまでのアクション映画をドカーンと、破壊するもんがありましてな、メッチャ楽しいんでおます。

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 前世期においては、そういう遊びゴコロなユーモアあふれる、トンデモ・アクション映画は、さほど目立っとりまへんし、まあ、今もそないブレイクの“ブレ”もありまへん。

けども、パロディやないけども、ストレート・アクションにもの申すみたいな、こうした映画が、フツーのアクションの裏ワザから入る映画の面白さを、つつましくも牽引してきはりました。

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そんな映画は、実はこれまでにもいっぱいあったんやけど、時代の荒波にもまれて、DVDとしても、残念ながら、今にはあんまし残っておまへん。

「大陸横断超特急」(1976年製作・以下の引用は、全てアメリカ映画)とか、「メル・ブルックスの大脱走」(1983年)とか、コミカルな中に、ハリウッド的アクションを意識した映画。

そんな映画の21世紀における、マイ・ベスト・スリー(順不同)は…。

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①キル・ビル(2003年)②本作③キック・アス(2011年)チュー感じなんやけど、

本作は①や③とは違い、主役はヒロインやなく、あくまで男・主人公。

しかも、渋がれのおっさん(ダニー・トレホはん・写真上から6枚目・下から4枚目)どす。

でもしか、本作はベスト①のヒロインの、男版としても見えよりましてな、しかも無愛想にしてブ男だけに、カルト・オリジナルとしても、カンペキに近いわ。

3

ベスト①の監督クエンティン・タランティーノ、ほんで、本作の監督ロバート・ロドリゲスてゆうたら、盟友も盟友。

ほんで、ハリウッド映画界に背を向けた作りに、ある種の生きがいを見出してはる方どす。

そやから、ストレートなハリウッド・アクションにはない面白さが、満載でおまんねん。

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「キル・ビル」やらを思い出す、女暗殺者レディー・ガガに加え、

オッパイ・マシンガンを駆使しはる、娼婦館の女支配人ソフィア・ベルガラのネーさんやら、ミスコンを目指してはるスーパーモデル役で、暗殺指示者役のアンバー・ハード(ジョニー・デップの恋人)ちゃんなど、

女スナイパーやら女クセモノ揃いにも、ココロ魅かれるんやけど、

男の方はもっと、アリエネー系を造形しはりました。

まあ、出番は少ないけど、ミシェル・ロドリゲスのネーさんなんか、いつも通りのマジ・モードやけど。

5

銃に撃たれても死なへん、主人公ダニーはんはモチ、善悪の二重人格なサイコパス役の、デミアン・ビチルのアニキ。

ロドリゲス監督とツーカーの、アントニオ・バンデラスやら、でもって、メル・ギブソンはんの、冷静なヒーロー的悪役ぶりの造形ぶりやら、

女もチョチョギレとるけど、男キャラはさらにキレまくっておます。

大統領役のチャーリー・シーンも、大統領にはあり得ないとこも見せはって…。

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トレホとビチルが2人で、メキシコからアメリカを目指すロードムービー部しかり、

その延長線上ある、トンデル・クライマックス・アクションの見ごたえなど、今どきのハリウッドの大マジ・アクション映画をば、凌駕する仕上がりになっとりまっせ。

ちゅうことで、トンデモ・アクションの連続攻撃に、爽快に撃たれてくだされまし。

 

 

 

 

 

2014年2月 5日 (水)

「オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~」⇒アメリカン映画劇場3

ロバート・レッドフォードの、1人芝居が始まりまっせ~

1人サバイバルもの映画に、原点回帰した作品どす

http://www.allislost.jp/

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3月14日のフライデーから、東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマやらでロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 All Is Lost LLC

ロバート・レッドフォードはんが、主催する「サンダンス映画祭」は、今やメッチャなブランドどす。

そこで受賞しはった監督はんが、レッドフォードはんと仕事するのんは、恐れ多いチューとこもあるんやろけど、今作が初めてのケースと相なります。

しかも、レッドフォード主演でのオファーなんやけど、これが1人芝居とゆうことになっとります。

1人芝居は、これまでにイロイロあるけど、本作は徹底して、106分とゆう時間を、レッドフォードはんのための、映画のように魅せはります。

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でもしか、全編を通しての1人芝居映画とゆうのんは、それほど多くはありまへん。

少なくとも、映画本編には、2人から何10人までくらいは、出てきはるもんでおましょう。

ところがどっこい、本作では、ヨットで漂流・遭難する、レッドフォードはんの1人しか、出てきはりまへんねん。

ホンマやったら、芝居の前後の、人間関係ちゅうもんが、フツーは発生するもんやと思います。

さらに、過去や現在シーンと、カットバックして、臨場感・ドラマツルギー(ビミョーには違うけど、一言でゆうたら、ドラマティック)を高めたりするもんやけど、そうゆうなんは一切ござりまへん。

実験ゆうたら、実験やけど、実験を感じさせへん作りで、しかも、なるほどなっちゅう自然体やったら、文句あらへんかと思います。

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さてはて、ここで、まずは演技者としての、レッドフォードはんの、マイ・ベスト・&カルト・スリーをば、披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①本作②ナチュラル(1984年)③大統領の陰謀(1976年)●カルト⇒①モンタナの風に抱かれて(1998年)②追憶(1973年)③愛と哀しみの果て(1985年)

●レッドフォードはんの演技てゆうたら、イケメン俳優らしいとこが出てでんな、カルトのラブ・ストーリーやら、傑作「スティング」(1973年)、「明日に向って撃て!」(1969年)など、カッコエエねんけど、

カッコエエそれを超える、ディープで観客を鳥肌立たせるような演技性は、どの作品においても、稀薄なように見えます。でもしか…。

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ヨットが漂流物に当たって、一時は急場しのぎのリペアをしたけど、大海を漂流し、遂には…ナンチューことになる話なんやけど、

全編を通して1人しか出てこない映画は、10本指にも満たない数なんとちゃうやろか。

青年がトラと漂流するとゆう「ライフ・オブ・パイ」(2012年・弊ブログ内検索で出ます)に、影響か刺激を受けた作品やとは思うけど、

ロビンソン・クルーソーな話を、「ゼロ・グラビティ」(2013年・公式ホームページから)と違って、地球次元でやってまうお話てゆうたら、いかにもいくらでもできそうな雰囲気があります。

モチ、そうやなくとも、かつてない話やないんで、ある程度、先の見える、予想できそうな話なんで、評価ポイントはどないあっても、監督・脚本・演技に集中してきよります。

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ヨットのことがようわからへん人には、そのサバイバルの在り方については、でもしか、雰囲気で何とかなりまっせー。

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完全1人もの主演映画(ホンマに1人しか出ない映画)の、ベストなんかを、選んでみようかとしたけども、5本以上は思い当たらへんかったんで、やめときますけども、

スペンサー・トレイシー主演版「老人と海」(1968年)的にも、匹敵せんこともない、レッドフォードの演技には、イケメン演技の延長線を超えて、彼の最高傑作な演技にも見えないこともないもんどした

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フツーのシーンを撮る撮影監督以外に、海中撮影監督まで据えての海中撮影シーンは、写真一番下を含めて、「沈黙の世界」(1956年・フランス映画)並みに美しゅうおましたえ。

予定調和なとこがあるとは申せ、感情移入してハラドキで見られる1本でおました。

2014年2月 4日 (火)

「それでも夜(よ)は明ける」⇒アメリカン映画劇場2

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今年度アカデミー作品賞をゲット!

黒人奴隷映画も、最も過酷な試練の作品となった1作や~

ブラピが久々に、正義の味方的役柄で登場どす

http://yo-akeru.gaga.ne.jp

マーチ3月7日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 Bass Films, LLC and Monarchy Enterprises S.a.r.l. in the rest of the World. All Rights Reserved.

黒人差別もの映画につきましては、マイ・ベスト・カルトを含めまして「大統領の執事の涙」(1月25日付け)のとこで分析いたしましたが、

もっとドライで過酷なとこでゆうたら、“黒人奴隷”もの映画についての分析は、できとりまへんどした。

黒人差別てゆうたら、まだ黒人を人間と見ての差別やけど、黒人奴隷とゆうのんは、“人間”やなくて“物”でおます。

白人ご主人様の、私的所有物でおます。そして、迫害と虐待でおます。

チューことで、むしろ人道的に、取り扱い注意の作品やと思うけど、黒人奴隷もの映画について考えてみます。

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南北戦争より以前の、奴隷制が公然と蔓延しとった、アメリカの時代を捉えた映画は、

アメリカの恥部をさらすもんだけに、それほど多くはないというより、本作が出るまでは、ほとんどなかったんやないやろか。

確かに、スティーヴン・スピルバーグ監督は、黒人女性(ウーピー・ゴールドバーグ)をヒロインにした、大河ドラマ「カラーパープル」(1985年製作・アメリカ映画)で、

南北戦争以前も捉えてはったけど、本作ほどエゲツナイ描写は少ないちゅうか、ほとんどなかったかと思います。

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こっちは男が主演で、あっちは女が主演やん…なんて…。

女の方の描写はどないあっても、ゆるめで優しくなるやろな~なんて思てはったら、大間違いどす。

本作では、拉致誘拐され、売り飛ばされ、奴隷に無理矢理させられてもうた、主演のキウェテル・イジョフォーのアニキも、確かに気の毒やけど、

マイケル・ファスベンダーはん扮するご主人の、愛人ちゅうよりもオモチャになる、パッツイー役ルピタ・ニョンゴちゃんなんか、メチャメチャにされまんねんで、ホンマ。

見とってメッチャ気分が、悪うなってきよりましたがな。

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黒人奴隷を物としてしか考えない、ファスベンダーはんを始め、嫌われ俳優をジでゆくようなキャラクターはんが、どっさり出てまいります。

特に、ファスベンダーはんは、気まぐれ、冷酷、異常性に加え、いろんな意味での、イヤラシサを備えてはりまして、おいおい、こんな人間ホンマにおるんかいな~、チューような限界ラインまでいってはります。

奴隷が逃げる異質な歌を、異様な雰囲気で披露するポール・ダノとか、

奴隷商人役ポール・ジアマッティの、人を食い物みたいに売る態度とか、

気分を害するシーンが、「おしん」なんか以上に次々に出てまいります。

見てる方が、プッツンしそうな時、正義のヒーローみたいなカンジやないけど、エエ感じで、ブラッド・ピットのアニキが出てきはりますんで、それまでは辛抱しておくんなはれ

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アメリカ映画、特にアカデミー賞にノミネートされるような作品には珍しく、1分~2分の長回し撮影が多投されております。

中でも、印象的やったんは、ボク的にはツー・カット。サントラを流さず、主人公が木に首を吊られて、爪先立ってるシーンの2分くらいとか、

主人公が主人の代わりに、女を鞭打つ4分くらいの近接撮影シーンとか、鳥肌立つキモイ・シーンでおました。

一方で、そんなキモさを解消する、感動的なシーンもモチ、ちゃんと用意されとります。

主人公がイロイロ耐え抜くシーンはモチ、老黒人の死に鎮魂歌を、みんなで歌うシーンとか、泣けるし、

ほんでネタ部では、主人公とルピタちゃんの、抱き合うシーンとか、そして…ラスト・シークエンスどすか。

さてはて、もし本作がアカデミー賞で、作品賞をゲットすれば、かつてない画期的なことやと申せましょう。

黒人奴隷ものは、アメリカにとっては、ある種タブー視されとるもんどす。

戦争ものなんかやと、そんなことはないんやけど、アメリカの自由主義に、最も暗い影を落とした奴隷制。

アカデミー会員が、その恥部や壁を越えて多数投票し、受賞できるんか、ぜひ注目しといてくだされ。

 

2014年2月 3日 (月)

「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」⇒アメリカン映画劇場1

今年度アカデミー賞で、6部門ノミネーションの傑作

モノクロイズムに加え、ブルース・ダーンはんのシブ味に酔う

http://www.nebraska-movie.jp

フェブラリー2月28日のフライデーから、ロングライドはんの配給によりまして、

TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館やら、

大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんばやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 21世紀のモノクロ映画のベスト・カルトにつきましては、「ふたりのアトリエ」(昨年12月2日付けで分析)のとこでやってみとりますけども、

今回は少しく趣向をば変えまして、カラー時代の1970年代以降の、モノクロ・アメリカン映画に限定して、マイ・ベスト・セブン(順不同)をやってみよります。

①本作

②ペーパー・ムーン(1973年製作)

③ラスト・ショー(1971年)

④レイジング・ブル(1980年)

⑤シンドラーのリスト(1993年)

⑥グッドナイト&グッドラック(2005年)

⑦レニー・ブルース(1974年)

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●本作は一部ロードムービー的に加え、空や荒野・土地を映す、アメリカン風土タッチの、渋い雰囲気あるロングショットの多さで、

それだけでも、ケッサクになり得る、資格のある快作どした。

オトンの故郷の町を描くあたりは、ベスト③の雰囲気。

ロードムービー的には、ベスト②⑦の雰囲気。

ちゅうことは、1970年代に映画で描かれた、アメリカのタッチが、メッチャ濃厚でおまして、グッときよりました。

2010年代を描くのに、このタッチは、異質に見えるかもしれへんけど、

ボク的には、むしろかつてのフィルム的映画手法で描く点で、モノゴッツー魅了されましたがな。

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オトン役のブルース・ダーンはん。

今年のアカデミー賞で、主演男優賞にノミニーされてはるけど、個人的には、ボクのダイスキなバイ・プレーヤーでおます。

ベトナム戦争帰りの、トラウマある兵士を演じはった「帰郷」(1978年・アメリカ)なんか、ボクは10回以上、映画館で見ましたえ。

なんせ渋いねん。主演のジョン・ボイトやジェーン・フォンダを、食うてはったと思うんやけど。

そして、本作では、渋枯れの老人役。

本作と同じ、アレクサンダー・ペイン監督の、「アバウト・シュミット」(2002年・アメリカ)では、ジャック・ニコルソンはんが元気な老人をやらはったけど、

ココでのダーンはんの演技は、硬軟両用を使い分けて、ニコルソンの演技以上のもんをば出してはります。

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「ビールは酒ではない」てゆうて、酒浸りの設定も、酒好きのボクには、妙味を覚えよったどす。

父子のキズナを中心として、4人家族の家族ドラマとゆう設定。

中でもヤッパ、ダーンはんと、甲乙つけがたい印象を残す、主人公のヨメ・オカン役の、ジューン・スキッブはんが強烈。

今アカデミーでは、助演女優賞候補どす。

人の悪口しか言わはらへん、その毒舌ぶりは、特注もんの演技ぶりやったかと思います。

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作品的には、 宝くじに当たったこと(ホンマは当たってなくて、騙されとるんやけど)をポイントにしもって、そこをうまく生かしながら、

父子のキズナへと、着地させるワザが見事でおました。

これは脚本の力なんやろか。いや、監督含めたスタッフ、演技陣の力もモチ、あります。

遠近感あるカットや、会話を始め、ユニークなとこを示す、1分前後の長回し撮影が多投されとって、 映画としての作家性が示されとりました。

ラシュモア山への観光シーンなど、ラシュモア山の岩彫刻が使われた「北北西に進路を取れ」(1959年・アメリカ)への、軽~いオマージュがあったりもして、

本作への妙味を付加するフック・ポイントになっとります。

アコギとバイオリンをメインに、フォークチックなサントラ使いもまた、アメリカ的で良かったどす。

アカデミー賞でも、演技部を中心に、健闘しそうな作品どした。

2014年2月 2日 (日)

生田斗真主演「土竜モグラの唄」⇒週末日本映画劇場3

生田斗真アニキ初の、ハチャメチャ系コメディアン演技や~

三池崇史監督・宮藤官九郎脚本による、トンデモコミック原作映画どす

http://www.mogura-movie.com

2月15日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM

Ⓒ高橋のぼる・小学館

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松田優作もホンネで、ナンジャ、コラーやて、言いそうな映画でおます。

この間、潜入捜査もんは、「毒戦」(1月13日付けで分析)、「新しき世界」(1月14日付け)、「ザ・イースト」(1月18日付け)やら、今年は既に3作も分析しとるんやけど、

本作もそんな潜入捜査もんなんやけど、ここまでアホらしく弾けてくれはるなんて、

大マジな潜入捜査映画を、パロってるちゅうか、そういうパロもんは、かつてありゃしまへんで。

しかも、コミック原作もんだけに、マンガチックなリアリティーのない、大仰なシーンがドカーンと、頻出してまいります。

一体、なんやねんと思わはる方も、いてはるやろけど、ボクはどっちかとゆうたら、

「仁義なき戦い」(第1弾は1973年製作)やらへの、パロディ&オマージュをカンジよりました。

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ドッカーンとバクレツ系の方々が、揃い踏みしてはります。

そもそも監督の、三池崇史はんからして、メッチャなクセモン。

さらに、クドカンこと宮藤官九郎アニキの、ハチャメチャな脚本家ぶり。

さらにさらに、出演陣の、テンションのメッチャ高い、トンデモ演技ぶりや~。

「ヤクザは面白くなきゃな~」ナンチュー堤真一のアニキ。

「地獄でなぜ悪い」(2013年・弊ブログ内検索)の、ヤクザ・コメディアンぶりに続く演技やろけど、どっちもテンションはメッチャ高いわ。

生田斗真アニとの、ユニークなSEXシーンも面白い、仲里依紗(写真2枚目)ネーさん。大いに笑えましたで。

遠藤憲一・吹越満・皆川猿時の、潜入捜査の心構えを歌う、トンデルシーンの、オバカな面白さは特注どした。

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一方で、シリアスを通す役者陣も、また快感や。

山田孝之アニや上池雄輔アニ。

マジとフマジがミキシングされた、岡村隆史アニのアクション演技ぶりなんか、本作を代表する見どころがありまっせー。

ほんでもって、主演の生田斗真のアニキや。

これまでは、ラブ・ストーリーやらカッコイイ・アクション演技ぶりで、女性ファンを大いに取り込んできはりました。

ところがどっこい、本作では初のコメディアン役。しかも、ハンパやない、ハチャメチャ系の演技をば、やらなあきまへんどした。

でもしか、なんとかこの難役をば、こなさはったかと思います。ベタで個性的な演技者の多い中で、彼らと合わせるように、堂々のコメディアンぶりどした。

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「ロボコップ」 (第1弾は1987年・アメリカ)みたいによみがえる、堤真一アニキのカッコヨサ。

さらに、クライマックスの三つ巴の対決の中で、ヤッテくれはる、1対1のガチ対決。

中でも、生田アニと山田アニのバトルは、今年見た日本映画では、最高にココロにくる、アクション・シーンやったやろか。

また、岡本隆史アニのアクション・シーンも、笑えるけど鮮烈どした。

関東対関西ヤクザとゆう、正統的ヤクザ対決構図を駆使しながらも、アンチ・ヤクザ映画、アンチ・潜入捜査もの映画の、雰囲気があってでんな、

ボク的には、大好きな映画になりました。

高額クスリを運ぶイヌたちやら、愛の防弾チョッキやら、ネタ部に関わるけど、これまでにない新しいところにも、目がいった作品でおました。

ちゅうことで、理屈抜きに楽しめる快作品どす。

2014年2月 1日 (土)

「ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック」⇒週末日本映画劇場2

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ゲームソフトの画面を、映画内でそのまま映すのんは、映画史上初かも

昭和映画性よりも、1980年代を意識しはった仕上げどす

http://www.gccx-movie.jp

2月22日の土曜日から、シンカはんとハピネットはんの配給によりまして、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX八尾、T・ジョイ京都やらで全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014ハピネット/ガスコイン・カンパニー

テレビのバラエティー番組の劇場版でおます。

ゲームソフトの名作に、漫才コンビ「よゐこ」の有野晋哉のアニキが、チャレンジしてエンディングを目指す、チュー番組どす。

そんなんを映画化するとなればでんな、ゲームソフトの画面をひたすら映すしかないやん。

でもしか、確かにゲームソフト画面は、本編の3分の1くらいあります。

ゲーム画面を映画的スクリーンで、大幅に流すとゆうのんは、かつての映画ではありまへんどした。

一方で、素材としてのソフトが、人気になっとった時代を、現代と交互に描くチューのんは、構成的にも挑戦的でありました。

「マイティボンジャック」なるゲームが、本作のある意味での主役どす。そのゲームソフトは、1986年に作られ販売してはります。

そんな1986年を舞台にした、中学生の学園ドラマが、番組の中身とカットバックされるとゆう、ユニークな作りなっとります。

「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)の過去シーンも、この1986年が舞台となっとりました。

「セカチュウ」との違いは、振り返る過去の違いでおましょうか。

病気系の「セカチュウ」に対し、本作は「セカチュウ」と同じく、学園もの(稀少な中学校もん)として取りあげはって、片想い系のラブ・ストーリーとしても、妙にオモロイ仕上げになっとります。

昭和映画でもあるんやけど、むしろ昭和以上に、1980年代を強調してはる作品どす。

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表層的かもしれへんけど、1980年代カルチャーが、どっさり出てまいります。

テレビ的アニメ的映画的に言いますと、アニメの「タッチ」や、「おまえはもう死んでいる」で有名な「北斗の拳」、「ドラゴンボール」や「Dr.スランプ アラレちゃん」。

さらに、「スケバン刑事(デカ)」(1987年)などのシーンもお楽しみどす。

ほんで、ゲーム原作映画のアニメ「ファイナルファンタジー」(2001年・アメリカ映画)や、「バイオハザード」(第1弾は2002年・アメリカ・ドイツ・イギリス合作)への、変形オマージュ的なとこもあります。

で、何はともあれ、少年・少女の片想い系の、ラブ・ストーリー性もあります。ゲームを通しての小さな恋やけど、結末ではサプライズもあって、フツーの小さな恋やない作りになっとりました。

でもって、現代とのシンクロ部。ヤッパ、この種の映画では、タイムスリップ系は、欠かせへんもんやろな。

月曜発売やけど金曜発売のとこもある、マンガ雑誌「少年ジャンプ」なんぞの、1980年代エピソードを盛り込みつつ、

そんな本屋はんが、タイムスリップの入り口になっとるのんも、エカッたどっせー。

その他では、平祐奈チャンのアイドル性、逃走シーンのスロー・モーション、そしてサントラ。

ラストロールで流れる、怒髪天の、8ビートでタイトでタテノリな「プレイヤーⅠ」のカッコヨサ。

映画的な魅力とは違うかもしれへんけど、イロイロ魅力的なとこの多い映画どす。

個人的に思たんは、21世紀と1980年代を結ぶ、昭和映画の妙味やろか。

テレビの劇場版としても、オリジンあふれる映画でおましたえ

 

 

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