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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2014年1月の記事

2014年1月31日 (金)

「そこのみにて光輝く」⇒週末日本映画劇場1

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早くも今年の日本映画の、ベストワン級作品の登場でおます

日本映画らしいラブ・ストーリーの在り方が、ココにあります

http://www.hikarikagayaku.jp

エイプリル4月19日のサタデーより、東京テアトルはんと「函館シネマアイリス」(北海道地区)はんの配給によりまして、東京・テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、函館シネマアイリス(4月12日より先行上映)、

札幌・シアターキノ、横浜・109シネマズMM横浜、大阪・テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸、名古屋・伏見ミリオン座、福岡・KBSシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

今年の「第9回大阪アジアン映画祭」(3月7日~3月16日)の、クロージングを飾りまっせー。

本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014「そこのみにて光輝く」製作委員会

今年の日本映画のマイ・ナンバーワン候補が、4月に登場いたします。

ウーン、ナンチューたらエエんやろか、かつてのATG映画にあった、アート的けだるい感が濃厚に感じられる映画どす。

かつてATGにスッポリはまったボクなんか、メッチャやられましたがな。

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さてはて、ここで、ATG的を継承する作品で、ケダル感ある、21世紀のニッポン映画の、マイ・ベスト・ファイブをば、披露いたしますと…。順不同どす。

①誰も知らない(2004年)②本作③赤目四十八瀧心中未遂(2003年)④サウダージ(2011年・弊ブログ内検索で出ます)⑤さよなら渓谷(2013年・弊ブログ内検索)

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ちなみに、20世紀のATG映画限定の、ケダル感ベスト・ファイブも披露しま。①青春の殺人者(1976年)②家族ゲーム(1983年)③遠雷(1981年)④儀式(1971年)⑤津軽じょんがら節(1973年)

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●本作はラブ・ストーリーどす。

シンクロするのは、心中もの21世紀③、加害者と被害者の変形ラブの21世紀⑤や、ヤケクソ・ラブな20世紀①、農家の夫婦映画20世紀③、盲目の少女の片想いもの20世紀⑤どすが、

本作は男と女のガチな恋愛ものどして、いわゆる正攻法でいってはります。

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山で岩石の発破仕事をやっていたけど辞めて、函館の街に帰り、今はパチンコと散歩をやって、ブラブラのプータロウやってはる綾野剛のアニキ。

「シャニダールの花」(2013年・弊ブログ内検索)は、まだカッコヨサがあったけど、こちらはしょっちゅうタバコスパスパ、けだるい感を意図的に、やってるとゆう印象がありました。

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その恋のお相手役は、池脇千鶴のネーさん。

綾野アニがパチンコ屋で出会った菅田将暉クンの、海辺の家へ行ったら、菅田クンの姉役の千鶴ネーさんと、運命の出会いをしやはるチュー展開どす。

初めての饒舌演技を披露する菅田クン。「共喰い」(2013年・弊ブログ内検索)以上に弾けまくってはります。

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で、千鶴ネーは、生涯最高の演技ぶりやないやろか。

車椅子の障害者役やったけど、メッチャ元気やった「ジョゼと虎と魚たち」(2003年)の流れをくみつつも、より大人な複雑系の演技で魅せはります。

綾野アニ、菅田クンと合わせて、演技賞ものの演技ぶりどして、中でも、「ジョゼ」以来の濡れ場シーンも、大胆にこなさはって、ヤッパ千鶴ネーがイチバンヤーどしたえ~。

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 モチ、ラブ・ストーリーどすから、濡れ場以外にも、海でのキス・シーンなど、ラブ・シーンの造形も美しゅうおまっせ。

監督は、女性監督の呉美保ネーさん。前作の「オカンの嫁入り」(2011年)は、宮崎あおいネーにトラウマがあったとは申せ、明るい系の映画やったけど、

今作はケダル感もある、いわくの恋愛ものだけに、どない演出しはるんやろと思とったけど、心配は杞憂に終わりました。

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映画的構図を全編で、意識してはるんはもちろんのこと、セピアやパープルの照明使いやら、ギターやアコーディオンのブルージーなサントラ使いなど、細部の作りも巧緻を極めておりました。

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また、地方映画としての作り込みも、今までにはない函館のイメージをば、クリエイトしはりました。

北海道ロケ映画の史上ベストテンに入るのはモチ、函館ロケ映画としては、邦画史上過去最高の仕上がりでおましょう。

山との対比に加え、海辺を1つのポイントにしてはる点も、良かったと思います。

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長尺映画「海炭市叙景」(1911年・弊ブログ内検索)と同じ、故・佐藤泰志の原作やけど、オムニバス劇やった「海炭市」に比べて、人間関係を絞り込み、男女の機微へとフォーカスした作りは、女性監督らしからぬ重厚感さえカンジました。

今のところ、ボクの今年の邦画ベストワンやけど、海外の映画祭へ出品しても、好結果が得られるハズなんで、その動向にも注目しときたい作品どした。

 

 

2014年1月30日 (木)

「ダリオ・アルジェントのドラキュラ」⇒イタリアン・ホラーの怪作

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あの「サスペリア」の巨匠の、ドラキュラ映画でおます

ヤラシー濡れ場もある、3人の美人女優をば、キャスティングしはったでー

http://www.dracula-argento.net

マーチ3月8日のサタデーから、アンプラグドはんの配給によりまして、東京・渋谷シネパレスほかで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 MUL TIMEDIA FILM PRODUCTION s.r.l. - ENRIQUE CEREZO P.C. s.a. All Rights Reserved.

映画史に残るホラー映画「サスペリア」(1977年製作・イタリア映画)が、チョー有名なダリオ・アルジェント監督が、

キャリア史上初のドラキュラもんに、果敢に挑まはった作品が本作でおます。

チューことで、ココで、映画「ビザンチウム」(弊ブログ内検索で出ます)のとこで、過去にもやりましたけども、

改めて、ドラキュラ・吸血鬼映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①ビザンチウム②吸血鬼ドラキュラ(1958年・イギリス)③インタビュー・ウィズ・バンパイア(1994年・アメリカ)

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●カルト⇒①本作②吸血鬼(1931年・フランス&ドイツ)③吸血鬼ゴケミドロ(1968年・日本)③血を吸う宇宙(2001年・日本)

●ベスト②カルト②のような、吸血鬼ドラキュラもんの原点に、リターンしはったかのような作品が、本作でおます。

モチ、吸血鬼映画の進化型を示す、アイルランド出身のニール・ジョーダン監督による、ベスト①ベスト③もエエし、

かなり歪曲的にパロッた、阿部寛主演のカルト③「血を吸う宇宙」なんかも、クセになりそうでよろしおま。

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でもしか、正攻法によるドラキュラもんも、ココロくすぐってくれはります。

フランシス・フォード・コッポラ監督によるハリウッド大作「ドラキュラ」(1992年・アメリカ)なんかと比べると、

製作資金的にVFX部などが、チャッチーに思えるやもしれへんけども、

3人のイタリアン美人女優をバッテキしはって、吸血鬼映画の1つのお楽しみ、

ヤラシーとこが、盛りだくさんなとこなんか、オオッと目を奪われてしまいますで。

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さてはて、監督が「サスペリア」で示さはった、原色系の色使いやけど、本作では、自然な天然系の配色、もしくは、シックな色合いどす。

樹木のグリーンや、照明によるイエローの使い方なんかも、監督らしくないとこにも、グッと酔えたりしまっせ。

映画監督らしき、構図のカットなんかもエエし、重要シーンでの、クローズアップのやり取りもあるけれど、基本はアップ少なめで、お話は進行してまいります。

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ルトガー・ハウアーはんを、ドラキュラと対決するヴァン・ヘルシングに、キャスティングしはりました。

ヒュー・ジャックマンが、ヴァン・ヘルシングに扮した「ヴァン・ヘルシング」(2004年・アメリカ)と比べてみるとでんな、

スーパー・ヒーロー性は稀薄やけど、渋~い演技ぶりどしたえ。

悪役レプリカント役で名を馳せはった「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)の、アクションぶりがよみがえったようで、ボク的にはケッコー魅了されよりました。

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ほんでもって、サウンドトラックの妙にも魅かれました。

ピアノ、バイオリン、オーケストラ・サウンドなどを、繰り出してはる中で、テルミンの使い方が絶妙やったな~。

テルミンは、かつての1950年代あたりの、ハリウッドのSF映画で使われとった、気色悪い音なんやけど、それがケッコー流れて、ホラー映画らしさを際立たせておました。

ほんで、ラストロールでは、女ボーカルによるバンド・サウンドの、ロック・ナンバーが流れて、カッコヨク、映画をシメはります。

「サスペリア」の、21世紀的に進化した作りが、存分に楽しめました。

2014年1月29日 (水)

「ROOM237」⇒名作を分析するアメリカン・ドキュメンタリー

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キューブリックの「シャイニング」を解析する、メイキングとは違う、映画史上初の、特定映画分析批評ドキュメンタリーやろな~

監督ドキュよりも、オモロイ作りになっとりまっせー

http://www.room237.jp

2月15日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

スタンリー・キューブリック監督てゆうたら、映画ファンには、カリスマ的存在どす。

そんな監督の作品の中で、「シャイニング」(1980年製作・アメリカ映画)を俎上に取り上げはりまして、イロイロ分析しはった作品が、本作ドキュメンタリーでおます。

キューブリック監督のドキュやらはありましたけども、メイキング映画やドキュやなくて、作品そのものへのドキュで、

単一の映画を徹底分析しはったんは、希少価値のあるもんやと申せましょう。いわゆる、映像による、映画評論でおます。

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「シャイニング」の分析なんやけど、モチ言うまでもなく、その作品を見とかんことには、このドキュを前向きに、あるいは批判的に見ることはできしまへん。

少なくとも、「シャイニング」を見ていることが、本作ドキュを鑑賞するところの、最大公約数的条件の1つやと申せましょう。

最少公倍数的に見ても、個人の自由どすからエエんやけど、見てない人には,さっぱりワヤやと思います。

レンタル店にはまあ、よほどのことがない限りは置いたるんで、買って見なくとも、見ておくべしどす。

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さてはて、ここで、キューブリック作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば言いますと…。

●ベスト⇒①2001年宇宙の旅(1968年・アメリカ)②時計じかけのオレンジ(1971年・イギリス)③フルメタル・ジャケット(1987年・アメリカ)

●カルト⇒①博士の異常な愛情(1963年・イギリス)②アイズ・ワイド・シャット(1999年・アメリカ)③本作

●本作「シャイニング」は、個人的には決してキューブリックの、重要作品やとは思いまへんどした。

けども、ここでは、本作に関し、彼のベスト作を俎上に挙げて、映像的に論じてはります。

ベスト①から③に加え、家族崩壊のドラマとしての本作に対し、夫妻の再生とも言えるカルト②との対比なども、面白い分析ぶりや。監督の「ロリータ」(1962年・イギリス)ともシンクロしよります。

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冒頭の空撮シーンや、少女2人が出てくるシーンなどが、いろんな方の分析シーンやらで、何度も繰り返し出てまいります。

登場人物の表情についての相似も、分析されとりまして、本作の子役の表情が、ベスト①~③の登場人物のものと、似ていると語られます。これは監督の演出性のオリジンを魅せる意味で、興味深いところでおました。

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キューブリック作品以外では、出演陣と小道具の絡みでの「シンドラーのリスト」(1993年・アメリカ)「ジーザス・クライスト・スーパースター」(1973年・アメリカ)。

表層的なところでは、「マイ・フェア・レディ」(1964年・アメリカ)「ドリトル先生 不思議な旅」(1967年・アメリカ)「おもいでの夏」(1971年・アメリカ)などが、出てまいります。

また、トーマス・マンのノーベル賞受賞作小説「魔の山」に、影響を受けたシーンの分析なども、ウーンとうなれるとこでおました。

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往年の名優グレゴリー・ペックなんかの映画も、出てまいりまして、意表を突かせてくれはります。

少し強引な解釈もないとは言いまへんけども、サブリミナル・カットの検証やら、色彩の対比効果、オーバーラップについてほかの、撮り方の考察などは、映画分析的らしくて良かったやろか。

スティーブン・キング原作映画としての分析もやったら、さらに大衆的には、オモロかったとは思うけど、いずれにしても、映画分析ドキュとしての新しさは、特筆もんどしたえ~。

2014年1月28日 (火)

インド映画「神さまがくれた娘」⇒少女がメッチャカワユ~イ映画

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アメリカ映画「アイ・アム・サム」の、インド版どすえ~

インドっぽいミュージカルと、裁判劇がミキシングや~

http://www.u-picc.com/kamisama.com/

2月15日のサタデーから、太秦はんの配給によりまして、東京・渋谷ユーロスペースやら、シネマート六本木やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、3月上旬から、シネマート心斎橋やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸAP International All Rights Reserved.

いやはや、個人的には、ベイビー・サーラーちゃんのカワイサに、すっかりやられてしもた作品どした。

「メイジーの瞳」(1月20日付けで分析)のとこで、21世紀の少女ヒロイン映画の、ベスト・カルト・スリーをばやりましたけども、

本作は少女だけでなく、オトンとのキズナの中で、物語を感動的に描いてゆくところこそ、

大衆的であり、お涙チョーダイ節も快調やった。泣くしかありまへん。

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さてはて、オトン役のヴィクラムはん。チャップリン的なとこも見せはるんやけど、

知恵遅れ(この言い方はひょっとしてNG?)どして、娘を育てていくことが、ホンマにできるんかと、裁判沙汰へと発展してまいります。

その作品を見てはる方は、すぐにピーンとクルはずどす。その作品とは「アイ・アム・サム」(2001年・アメリカ映画)でおます。

実を申せばでんな、本作とメッチャシンクロしよりまんねんで。

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オトン役ショーン・ペンと、娘はん役ダコタ・ファニングちゃんが、泣ける感動を届けてくれはった映画どす。

しかも、オトン1人の娘の養育権を巡って、裁判が開かれる過程など、「アイ・アム・サム」そのものやん。

2人の交流ダイジェスト・シーンでの、ブランコに一緒に乗るシーンなんかもな。

ほんで、サントラ的にも、ビミョーにシンクロしよるんどすえ。

ビートルズ・ナンバーで包み込んだ「アイ・アム・サム」に対し、こちらはインドの伝統的なミュージカルで、対抗しようとしはります。

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ピアノ、口笛とギター、ドラムなどを前触れに、インドっぽい民族的呪文的な、ヒップホップ・ダンスを始め、

いつものインド映画のように、踊らへんけども、スロー・ポップスを中心に、歌もの音楽が披露されてまいります。

女声コーラス入りの、美しき男ピアノ・バラードなど、ついついウットリになってまいます。

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さらに、オトンがスーパーマンになって、恐竜を退治してまう、夢想的な戦闘アクション・シーンでの、攻撃的なギター・サウンドやら、

それでいて、ラストロールでは、ハリウッド映画並みの、本格的オーケストラ・サウンドが、大仰に流れてまいります。

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インド映画らしい夕陽シーンのドラマティックに加え、ブルーな快晴の空の爽快感など、

自然描写のタイトな挿入も、お楽しみやと言えましょう。

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インド映画は、ボクチンはそんなにゆうほど見てへんので、アレなんやけど、インド映画のマイ・ベスト・スリーをば、唐突にゆうてみます。

①大地のうた・大河のうた・大樹のうた(1955年・1956年・1959年)②ボンベイ③本作どすか。

ラジニカーン出演作やら、スゴイのんもあるし、ハンパやないミュージカル映画もあるんやけど、

本作はシリアス①とミュージカル②の、ちょうど中庸を得た、快作やったと思います。

インド映画らしい5分の休憩もある、2時間半の映画どす。ちゅうことで、存分に楽しめる作品なんどすえ~。

2014年1月27日 (月)

「エヴァの告白」⇒マリオン・コティヤール主演ヒロイン映画どす

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1920年代アメリカNYを舞台にした、移民系映画の傑作

マリオンと三角関係となる、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナーの、アンサンブル演技にも注目や~

http://ewa.gaga.ne.jp

2月14日のバレンタイン・デーのフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショーでおます。

本作はアメリカ・フランス合作映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Wild Bunch S.A. and Worldview Entertainment Holdings LLC

禁酒法施行中の1920年代のアメリカへ、ユーロの国を中心に移民が、夢を抱いて移住してきはった頃を、素材にした作品でおます。

さてはて、その頃を背景にした作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、思い付くままに披露さしてもらいますと…。

●ベスト⇒①アンタッチャブル(1987年製作・アメリカ映画)②シカゴ(2002年・アメリカ)③華麗なるギャツビー(2013年・アメリカ・リメイク版・弊ブログ内検索で出ます)

●カルト⇒①本作②欲望のバージニア(2013年・アメリカ・弊ブログ内検索)③カポネ大いに泣く(1985年・日本)

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●禁酒法絡みのベスト①カルト②③。ロスト・ジェネレーション世代に当たるこの時期を、反映したベスト③。

そんな中でも、意外と本作みたいな、移民系のドラマ映画は、少なめやと思います。

しかも、アメリカへの移民系ものは、「アンジェラの灰」(1999年・アメリカ&アイルランド)とか「イン・アメリカ」(2003年・アイルランド&イギリス)とか、家族で移住していくのんが常套やったんやけど、

本作みたいに、アメリカにいてるオバはんを頼って、両親を亡くした姉妹が、移住するちゅうのんは、チョイと珍しおます。

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しかも、この姉妹の姉の、不幸のつるべ打ちとなる、ヒロイン・ドラマ映画として、展開させるところなんか絶妙どした。

でもしか、「嫌われ松子の一生」(2006年・日本)などみたいに、堕ちてゆくヒロイン・ドラマ性は、それほどカンジまへんどした。

むしろ、「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ・弊ブログ内検索)の、スカーレット・オハラ役的な、カンジがあったように思います。

つまり、不幸であっても、前向きに生きていこうとする姿勢どす。

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そんなヒロイン役をばやらはったんは、「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」(2007年・フランス映画)でアカデミー賞主演女優賞をゲットしはった、マリオン・コティヤールのネーさんどす。

でもって、本作はその「エディット…」と「君と歩く世界」(2013年・フランス・弊ブログ内検索)と並んで、彼女のベスト・スリー作品でおましょうか。

彼女のための映画でもありましてな、アップ率はモチ、出演陣の中で最も高いどす。

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彼女は妹とエリス島(アメリカへの入国審査が行われるところ)にたどり着くんやけど、妹は肺炎と見なされて、島の病院へ。

で、彼女は、何やら力のありそうな、ホアキン・フェニックスのアニキに助けを求めて、何とか移民局をパスし、でもって、ホアキンの経営する、ストリップ小屋へと、連れていかれます。

で、売春までやって、妹の治療費を、稼ごうとしはるんどす。

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ホアキンはマリオンに惚れてはります。

一方で、ホアキンのいとこでマジシャン役の、ジェレミー・レナーのアニキも、またマリオンに惚れてまうんどす。

で、ここに、三角関係が発生いたしまして、3人はんの丁々発止が展開していって、オモロイことになってゆきよります。

三角関係ドラマとしても、魅せてくれはる映画どした。

ほんで、ホアキンのオシとヒキの、抑揚ある演技性は特注やろか。

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1921年の話なんやけど、その時代感を出すために、撮影部分でかなりの渋味を出してはります。

ダークでシックな、薄暗いトーン。それでいて、セピアもところどころにマブして、独特なとこをば見せて、メッチャシブイわ~。

ヒロインの30秒ほどの夢シーンでは、露光ぎみのソフト・タッチの明るいカット。対比ぶりが印象的や。

サントラも、シックにしてしっとり系。ピアノやバイオリンがグッときます。

ラストシーンも、長回し撮影で印象的な、シブミある傑作どす。

2014年1月26日 (日)

「東京難民」⇒日曜邦画劇場

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早くも今年の、日本映画ベストテン級作品の登場どす

佐々部清監督の、現代的孤独を描いた傑作でおます

http://www.tokyo-nanmin.com

2月22日の土曜日から、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショーでおます。

本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2014『東京難民』製作委員会

佐々部清監督の新作でおます。

唐突やけど、ここで、佐々部監督の、マイ・ベスト・ファイブをば、披露さしてもらいます。いちおう順位付けとるけど、順不同でおます。

①夕凪の街 桜の国(2007年製作)②本作③チルソクの夏(2004年)④カーテンコール(2005年)⑤半落ち(2004年)

●ちゅうことで、本作は監督の久々の傑作印となりました。

21世紀も10年を超えた中で、現代的な素材に挑んだ監督のいわゆる冒険心が、如実に現れた作品どす。

現代的な孤独を描いた点でも、名作孤独映画「タクシードライバー」(1976年・アメリカ映画・弊ブログ内検索で出ます)や「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)とも、シンクロナイズしてまいります。

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また、男が堕ちてゆく映画としても画期的なとこがあってでんな、「嫌われ松子の一生」(2006年)男版としても見られよるんどすえ。

その堕ち方を、ストーリー的に見てゆくと…。

大学生の主人公の元に、内容証明書郵便がきて、大学を除籍となり、授業料払ってくれとるハズの、親も行方不明となり、

しかも、鍵レンタルだけのマンションを追われ、住まいをなくしてもうて、ネットカフェで寝泊まりしもって、アルバイトを探さはります。

で、ティッシュ配り、1日1万円報酬の病院の検査モデルを経て、タカリの女に騙されてもうて、ホストクラブでえらい散財をしてもうて、金が払われへんから、仕方なくそこでホストになって、

ほんでもって、客の看護師の女と出会い、恋に落ちて…。

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でもしか、先輩ホストとの関係で、看護師から金を借りるハメとなり、しかも、その金が盗まれてもうて…。

でも、店にドエライ借金しとる、先輩の彼女の例のタカリ女が、店に捕捉されてまい、彼女は売春女として売られることになりそうやったんやけど、主人公・先輩の2人に助けられ…。

ちゅうことで、主人公・先輩が逆に、店から追われるハメとなるんどす。

男2人は、隠れ蓑的なところから、土工屋の仕事に就いたんやけど、結局、店側にバレてまい、ほんで2人はエライ目に遭わされるんやけど。

メタメタに殴られて、川辺に放り出された主人公。彼がたどり着いた先とは…。

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何とも言えへんくらいの、ハランバンジョー節が、本作にはあります。

ほんで、主人公役の中村蒼(あおい)のアニキ、先輩ホスト役の劇団EXILEの青柳翔アニキ、

オール・ヌードを披露する、看護師客の大塚千弘のネーさん、加えて、タカリ女をやった山本美月ちゃん。

演技のアンサンブル、カルテットぶりが、ものの見事な作品どした。

2人を追い込む店のオーナー役の、金子ノブアキのアニキの非情性、主人公とはラストの方で、ディープに絡む井上順の穏和節。

演技の緩急、激しいと癒やしが、絶妙なカタチで奏でられておました。

モチ、監督の演出ぶりが、そういう演技ハーモニーをこしらえたんやろけども。

ラストの方で、中村蒼と大塚千弘が絡むシーンは、実に感動的どした。

「終わってはいないわ」と言う、千弘ネーのシーンは鳥肌もんどした。

奥歯にものをはさまずに、はっきり言います。佐々部清監督の最高傑作が、誕生いたしましたえ。

ぜひ劇場へ、足を運ばはって、ご確認くだされまし。

2014年1月25日 (土)

「大統領の執事の涙」⇒週末アメリカン映画劇場

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黒人差別もの映画の、大河ドラマ新次元どすえ~

メイン・オトン&サブ・息子はんの、ドラマツルギーがキズナ的に熱いわ~

http://butler-tears.asmik-ace.co.jp

2月15日のサタデーから、アスミック・エースはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013, Butler Films, LLC. All Rights Reserved.

黒人差別もの映画なんてゆうたら、ボク的には、アメリカが何を今さら~なんて思うんやけど、

でもしか、この素材は、アメリカ映画としては、永遠に作られ続けるもんやないかな~と、本作を見て思いました。

建国以来、テロ問題よりも、より根深く、染みついとるのんは、黒人差別問題どして、他の国においても、差別については、ユダヤ人などを始め、多数の問題作にして、映画史に残る映画が作られておます。

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そして、ここで、過去にもやったけど、改めて、黒人差別映画、あるいはその種の問題入り映画の、マイ・ベストテンをば、今までのベスト&カルトをやめて、マジに考えて披露いたします。

①夜の大捜査線(1967年製作・以下の映画は指定以外は、全てアメリカ映画)②遠い夜明け(1987年・イギリス)③本作④カラーパープル(1985年)⑤マルコムX(1992年)

⑥招かれざる客(1967年)⑦ミシシッピー・バーニング(1988年)⑧ヘルプ!(2012年・弊ブログ内検索で出ます)⑨リンカーン(2013年・弊ブログ内検索)⑩野のユリ(1963年)⑩アミスタッド(1997年)

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●本作では、主人公家族の会話のやり取りで、①⑥⑩野のユリの、シドニー・ポワチエ出演作品が出てまいります。⑩は差別的なんは控えめやけど…。

そこで、本作では、印象的なセリフとして、主人公の息子がゆう“白人の視点で描かれた黒人”の話や、とゆうのんが出てまいります。

黒人監督の黒人視点で描かれた本作との、あからさまな違いを、出演者に託してゆうてるとは申せ、このシーンにはボクは驚きました。

この時、オトンと息子はんはケンカするけど、2人の違いは、実話とは申せ、家族間の対立構図として、意図的に作られておます。

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オトンでホワイトハウスの執事役の、フォレスト・ウィテカー。

対して、公民権運動に身を投じ、本編の最後まで運動家であった息子はん。

大統領・政府側と革命家・庶民側との、激しくはないけど、密やかなる相克を、ドラマの水面下で展開しつつ、それでも、最後は父子のキズナへと、結ばれてゆく仕上げが素晴らしく、感動的やったどす。

単に黒人差別なんてゆうたら、語弊があるかもしれへんけど、黒人差別とゆうもんを超えたとこにある、誰にでも分かりやすいキズナ描写こそが、本作のキモやったと思うんどす。

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南アフリカのアパルトヘイトを捉えた②。本作でも、その反対運動ぶりが、ラストの方で描かれておます。

とゆうか、南北戦争ものの差別を中心としはった、スティーヴン・スピルバーグ作品ベスト④⑨⑩アミスタッド、以外の作品性については、本作の中では、大なり小なり取り込まれておるんでおます。

1950年代から1980年代をメインに、オバマが大統領になった、2008年までを描いとるんやけど、

この主人公ウィテカーの話は、ヒロイン版の傑作④と比較しても、やや上やと思うくらい、リアリスティックにしてリリカルどした。

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オトンが主人から銃殺されたのを、間のあたりにしたコドモ時代。何の抵抗もできず、家内給仕人となり、その後、雇い主の家を出てフリーに。

荒波を超えて、白人との接し方で「空気のようになれ」とレストランの先輩に言われ、それを実践し、

でもって、ワシントンのホテルへ先輩の代わりに行き、そこで、ホワイトハウスの幹部の目に止まり、ほんで、ホワイトハウスの執事にバッテキや。

この流れの中で、主人公のナレートを入れつつ淡々と、物語は進行してまいります。

そして、主人公オトンと息子の運動部を、シンクロさせもって描いてゆかはります。

何気ない主人公の、ホワイトハウスでの給仕ぶりと、運動に緊張感を持って臨む息子のシーンが、カットバックされたりして、意表を突かせてくれはります。

でもしか、それらは、最後の感動へと導くための、伏線であります。ボクは泣きました。

加えて、最後はポジティブ・エンディングやしね。

差別を背景とした、黒人人間ドラマとしては、そのヒロイン版④を超えた傑作どした。

2014年1月24日 (金)

フランソワ・オゾン監督「17歳」⇒週末ユーロ映画劇場

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「R-18」指定映画だけに、フツーの女子高生もんやありません

マリーヌ・ヴァクトちゃんの娼婦ぶりに注目!

http://www.17-movie.jp

フェブラリー2月15日のサタデーから、キノフィルムズはんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座やら、大阪・なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸMANDARIN CINEMA-MARS FILMS-FRANCE 2. CINEMA FOZ

フランソワ・オゾン監督てゆうたら、フランスの監督として、精力的に作品を、発表してはる監督はんどす。

大作エンタ派の、フランスのリュック・ベッソン監督はんとは、ちょうど真逆に近い、アート系のように見えるけど、その作りはあくまで分かりやすいノリ。

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そんなオゾン監督の本作を含む、全18作品(日本未着の「Je suis femme」含む)の中で、10代思春期の女の子をヒロインにした、初の作品でおます。

ほんでもって、男子高校生のヤバイを描いた「危険なプロット」(弊ブログ内検索で出ます)に続き、今度は女子高生や~。

初とは申せ、監督のポイントは、一言でゆうたら、どんなジャンルであれ、サスペンス&ミステリーチックなとこを必ず入れはる点。

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最高傑作は「まぼろし」(2001年・フランス)やと思うけど、老年ヒロイン「まぼろし」の若年層ヒロイン版にして、変形ミュージカル・サスペンス「8人の女たち」(2002年・フランス)の、ヒロイン1人バージョン。

しかも、売春やってる女子高生もんであります。

その種の映画好きの方には、大胆不敵にも、ヌード&セクシー・シーンがケッコーあるんで、大満足かもしれへんけど、

むしろ、そういうシーンは、サスペンス・ムードを高めるための、シーンにも見えました。

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老人(写真上から5枚目)を相手にしやるんやけど、彼女はケッコーこの老人がスキやった。

けども、売春セックス中に、老人が死んでまいます。

で、ここから、サスペンス・モードの始まりどして、彼女は逃げやるんやけど、結局警察当局に特定されてしもて…。

オゾン監督の事件の作り方は、実に巧妙どす。

話がスムーズに流れている中で、急にハッと(時にゆっくりもあるけど)驚くポイントを、入れてまうセンスは絶品。

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ヒロイン役やったマリーヌ・ヴァクトちゃんが、クールにさりげなく、ヤラシー・シーンをやってはって、胸を、体を、刺激します。

容姿はジュリア・ロバーツみたい。

ハードコア作品「エマニエル夫人」(1974年・フランス)などをルーツとし、傑作「愛人/ラマン」(1992年・フランス&イギリス)みたいに、フランス映画伝統のエロティックが、根付いとる作品どす。

ボク的には、ソフト・タッチやったけど、ルイ・マル監督「プリティ・ベビー」(1978年・アメリカ)の主演、ブルック・シールズなんかを、ついつい思い出したりしよりました。

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フランソワーズ・アルディのネーさんの曲を流しての、セクシャル・ダイジェスト・シーンなど、メッチャノリが良かったどす。

ミディアム・ポップス、ギター系やピアノ系のスロー・ナンバーなど、随所に流れるアルディの歌とドラマが、ムーディーに合っておったかと思います。

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でもって、サプライズ的に、シャーロット・ランプリングはんが出てきはります。

若い頃、「愛の嵐」(1973年・イタリア)でヌードを披露。セクシー・シーンの芸術性も、心得てはる方だけに、ヒロインとのやり取りには、メッチャ渋味が充満しておました。

とめどなく、落ち着き払った演技ぶり。オゾン監督との「かげろう」での稠密な演技の、延長線上にある渋演技どした。

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ヒロイン役のマリーヌちゃんは、「昼顔」(1966年・フランス)やらのカトリーヌ・ドヌーヴ的な、けだるい感があるとゆわれとりますが、

もっと21世紀的な、理由なきクール感に魅了されます。

娼婦らしくない、コンテンポラリーな感覚。彼女の不思議な魅力にも、目を見張ってみなはれな。グッときますでー。ウ~ン、よろしおま。

2014年1月23日 (木)

「ゴッドファーザーPARTⅡ」⇒「新・午前十時の映画祭」

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「ゴッドファーザー」3部作シリーズの第2弾も、アカデミー作品賞をゲットしたで~

第1弾より人間ドラマ性を増した仕上げどす

2月22日の土曜日から、3月7日の金曜日まで、「新・午前十時の映画祭」として、楽天地シネマズ錦糸町、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ出雲、宮崎セントラルシネマやらで、上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ハリウッド映画の3部作で完結シリーズの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、まずは手前勝手に披露いたします。

●ベスト⇒①本作シリーズ(1972年・1974年・1990年)②スター・ウォーズ(1977年・1980年・1983年)③ロード・オブ・ザ・リング(2001年・2002年・2003年)

●カルト⇒①ボーン(2002年・2004年・2007年)②ジュラシック・パーク(1993年・1997年・2001年)③スター・ウォーズ エピソード(1999年・2002年・2005年)

●かつて1970年代には、ベスト②カルト③のジョージ・ルーカス監督、カルト②のスティーヴン・スピルバーグと共に、ハリウッド最前線の3大監督やった、本作シリーズのフランシス・フォード・コッポラ監督。

ボクらの世代にとって、この3人の監督は憧れの的やったです。

そこに、「タクシードライバー」(1976年)のマーティン・スコセッシ監督や、「ビッグ・ウェンズデー」(1978年)のジョン・ミリアス監督、「ザ・ドライバー」(1978年)のウォルター・ヒルらを合わせれば、ここに、黒澤明監督の影響派ハリウッド監督が、並ぶっちゅうことに相なります。

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彼らの作品はモチ、黒澤監督の作品を見はった方は、彼らの作品が、どれだけ黒澤に影響を受けているのかがわかります。

まあ、それはヨコに置いといて、さてはて、次にフランシス・フォード・コッポラ監督の、マイ・ベスト&カルト・スリーの披露どす。

●ベスト⇒①ゴッドファーザー(1972年)②本作③地獄の黙示録(1979年)

●カルト⇒①タッカー(1988年)②アウトサイダー(1983年)③ゴッド・ファーザーPARTⅢ(1990年)

●ハリウッドの黒澤明キッズの中でも、コッポラが最も影響外の監督かもしれへんけど、出てくる男たちの、骨太なカンジなんぞは、まさに黒澤節やん。

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前作に続き、アル・パチーノ(写真1枚目)主演やけど、悩み深きことが多い中で、前作のボス役マーロン・ブランドの重厚感には、劣るかもしれへんけども、モロさを含めたシブミを披露。

その後のアル・パチーノ節を、確立した作品やろな。

で、過去の追想シーンでは、大ボスのマーロン・ブランドの若き時代をやらはった、ロバート・デ・ニーロが登場やん。

演技派とは、どないなもんなんかを、徹底的に実践しとったデ・ニーロはんだけに、ハンパやありまへん。

ボク的に映画史に残る、アメリカン演技派俳優ベスト・スリーは、まずデ・ニーロ。あとは、ダスティン・ホフマン、ジャック・ニコルソンどす。

トム・ハンクスもスキやし、パチーノもスキではあるんやけど、まあ、これは個人的な問題どす。

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でも、パチーノのマイ・ベスト・スリーには、この本作と前作は欠かせまへん。

一方で、「スケアクロウ」(1973年)や「セルピコ」(1973年)などの、弱々しさや強がりや退きの演技なんかも、忘れがたい演技ぶりや。

ほんで、女優陣としては、前作に続き、パチーノの嫁はん役のダイアン・キートンや、コッポラ監督はんの妹はんのタリア・シャイア(写真3枚目)が活躍しはります。「ロッキー」(1976年)でも魅せた、男優を映えさせはる、控えめ演技がエエ感じ。

そして、映画としては、現在と過去の、ミキシングぶりの構成の巧みさ。

前作の哀愁のサントラに、さらにプラスアルファしたとこを聞かせる、ニーノ・ロータはんの音楽ほか。

いずれにしてもでんな、3部作シリーズとしては、3作通してテンションも高く、映画史に残るもんやろかと思います。

第2弾から見てもエエんやけど、まずは第1弾「ゴッドファーザー」(昨日分析)を見て、本作へと進むんが、ベスト鑑賞法でおましょう。

2014年1月22日 (水)

「ゴッドファーザー」⇒「新・午前十時の映画祭」

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ギャング映画の、イメージを変えた一大傑作

1972年度のアカデミー作品賞を、ゲットした大ヒット作どす

2月8日のサタデーから2月21日のフライデーまで、「TOHOシネマズなんば」やらで、午前10時より1回上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

唐突やけど、ギャング映画とかヤクザ映画とか、そのへんのジャンルのヤツの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、手前勝手に披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①本作(1972年製作・以下の引用映画は指定以外、全てアメリカ映画どす)②暗黒街の顔役(1932年)③仁義なき戦い(1973年・日本)

●カルト⇒①ゴッドファーザーPARTⅡ(1974年・明日分析しま)②暗黒街(1927年)③カジノ(1995年)

●ファミリーであったり仁義であったりと、人と人のキズナなとこを出しつつも、結局は抗争をやってまい、仁義なきになってまう映画たち。ベスト②やカルト②で描かれる世界は、非情どす。

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でもしか、ベスト①とした本作は、非情さは相変わらずやけど、少なくとも血のつながらへん、ファミリーとしての表層的にも見える、人間のキズナを描き、

で、実際には、より残酷度合いを増した映画として、映画史に残る傑作となっとります。

敵対して対決する2派の抗争やと、どこまでも非情やと思うけど、中途半端にキズナとしての、仁義なんかを持ち出すと、

結局は裏切りが横行するわけやから、より、非情度合いは増してきよります。

でもって、本作は、そんな嘘っぽいキズナを取り込んで、さらにエゲツナイ度を増した、映画史上最初の、ギャング映画でおましょうか。

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映画史に残る傑作やけど、見る人によっては、かなりと気分を害するかもしれへん作品どす。

描かれるんは、言うまでもなくギャングやヤクザ。血も涙もありゃしませんで。

ベスト&カルトに選んだ作品はモチ、それ以外でも、ヤッパ中途半端に仁義やらキズナを、描こうとしとる映画は、今に残っておまへん。

テッテーして血涙なしの無情性どす。でもしか、そういう中においてもなお、一縷の光を差し込むような映画もまた、後世に残るでおましょうや。

「ロード・トゥ・パーディション」(2002年)や「アンタッチャブル」(1987年)やら。

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ボス役のマーロン・ブランドはん。いかにもな、役柄。

「地獄の黙示録」(1979年・アメリカ・本作と同じくコッポラ作品)ともシンクロする、この重厚かつハリボテな演技性は、唯一無二のもんでおましょう。

見ているこっちも、ググッと身を引き、落ち込むような演技ぶりどす。

一方において、のし上がるアル・パチーノの、緊迫度あふれる演技性。銃殺するシーンの緊張感と演出ぶりは、本作最大の見せ場になっとりました。

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全世界的に大ヒットしただけやなく、当時のアカデミー作品賞をゲット。

主演男優賞をゲットしたのに、主演のマーロン・ブランドはんは、受賞拒否やて、そんなんやったら、ノミネートされた時点で拒否しとけよ。

マーロンはん、あくまで映画ファンあってこその映画なんで、この拒否はいただけまへんな。いろんな問題があると思うんやったら、最初から映画に出なさんな。

哀愁感ある名スコアを作った、ニーノ・ロータはんや、娘はんのソフィア・コッポラに負けず、今も現役のフランシス・フォード・コッポラ監督やらを、無視したようなブランド。オゴリタカブリ以外の、何ものも見えてこんかったで。

でも、老優は消えるのみやから、どうでもエエわ。

本作はアル・パチーノの映画やと、ボクは思うとります。この3部作シリーズ全てに出演した彼の、本作第1弾は、ナンチューても、彼の最高傑作なんどすえ~。

アカデミー賞選考期間にこそ、ぜひ見てもらいたい1本どす。

2014年1月21日 (火)

カナダ映画「CHAINED チェインド」⇒監禁系映画の怪作や~

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デヴィッド・リンチ監督の娘はん、ジェニファー・リンチ監督の、オトンまさりのサスペンス映画や~

「エレファント・マン」的なとこも、見え隠れしとりまっせ~

http://www.chained-movie.com

2月1日のサタデーから、インターフィルムはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、3月29日から、シネ・リーブル梅田やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Rabbit Productions Inc., Chained Production LLC Envision Media Arts & RGB Productions Inc. All Rights Reserved.

映画監督やら、役者の息子・娘はんが、遺伝子に基づき、映画監督、俳優をばやらはるのんは、生活環境上やろか、ケッコーありまんな。

二世監督作品のマイ・ベスト&カルトだけやなく、親の作品との関連でやってみたら、チョイオモロイことが書けるかもしれへんねんけど、

まあ、それは後日にしてと…。でも、ベスト50くらいいけるかもな。

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で、本作。巨匠デヴィッド・リンチ監督オトンの娘はん、ジェニファー・リンチのネーさんが、メガホンをば執らはりました。

フランシス・フォード・コッポラ監督の娘はん、ソフィア・コッポラのネーさんと、カブッて見えたりしてまうんやけど、作品性はかなりと違っておます。

オトンが持ってはった、サスペンス映画性をば、かなりと意識、あるいは遺伝子でやろか、意識してはるような作品になっとります。

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誘拐拉致もの映画てゆうたら、ある程度のイメージがありますわな。

ところがどっこい、本作は、そんな拉致・監禁のイメを、少しくビミョーに変えてはります。

でもしか、なんやしらん、オトンの作品からの影響を妙に考えてまいます。

「イレイザーヘッド」(1977年製作・アメリカ映画)、「エレファント・マン」(1980年・アメリカ&イギリス)、「ブルーベルベット」(1986年・アメリカ)、「マルホランド・ドライブ」(2001年・アメリカ)など、オトンの名作の雰囲気を、それなりに継承してはります。

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それなりとは申せ、サスペンス部のスリリングや、スピード感あるカット割りなどには、オトンとは違う形で、描こうとしはるとこらが見れます。

妄想に駆られる、3場にわたるカットのグラグラ感。

タイトでダークで、ワケ分からへんけど、混乱する中でのバーサス・シーンの感覚。加えて、クライマックスの打ち出し方の妙味なんぞが光っておます。

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疑似父子の物語てゆうたら、体裁はええかもしれへんけど、ネタになるけど、後味やらを含めたらどないやろかな。

ボクが引っ掛かったのは、なんで拉致されたオカンが、すぐに殺されてしもたんか…どす。

息子はズーッと生かし、ほんで、オトンみたいになって、イロイロ助言しはるのに。

特に、オンナを引っかけてヤレっちゅう、エロ・アドバイスの連続は、説得力がありましたで。

ドラマの流れ的には、歪曲しとったかもしれんけど。

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家や空を映すショットのタイトな挿入も、本作の怖~くてハラドキのリズムを、作ってはりました。

特に、空と家を映す、ロングショットの数々は、本作の方向性を決定するようなくらい、緊張感にあふれとったかと思います。

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変形家族もののサスペンス。

でもしか、ネタ部のサプライズは、キョーレツどした。

例えば、「オールド・ボーイ」(2003年・韓国)やらに近い意外性。

サプライズ度では、オトンの作品を、超えてはるやもしれまへん。

ちゅうことで、インディペンデントやけど、万人受けするサスペンスの快作どす。

2014年1月20日 (月)

「メイジーの瞳」⇒少女ヒロイン映画の傑作でおます

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少女ヒロイン視点100パーセントで、描かれた画期的な1本どす

少女を看る4人の、カルテット演技もオモロイどすえ~

http://maisie.gaga.ne.jp

1月31日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 MAISIE KNEW, LLC. ALL Rights Reserved.

幼い少女が、ヒロインになった映画てゆうたら、少年ものも含めたら、全世界の映画で、モノゴッツー多いタイトル数に、なるんやないやろかと思います。

恋愛映画、アクション映画、家族映画に次いで、多いジャンルやないやろか。

少年・少女が出るという点でも、コドモ連れの家族一同で、安心して見にいけるっちゅう利点もござりますしな。

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でもって、ここで、少女もの映画の21世紀の、マイ・ベスト&カルトスリーをば披露しまんねんけど、

ちなみに、20世紀のベスト・スリーを言いますと…。

①禁じられた遊び(1952年製作・フランス映画)②ペーパー・ムーン(1973年・アメリカ)③ミツバチのささやき(1973年・スペイン)…ナンチューカンジなんやけど…。

20世紀も傑作は、多かったチュー印象。ほんで、21世紀になると、どないなカンジになりまっしゃろか~。

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●ベスト⇒①千と千尋の神隠し(2001年・日本)②冬の小鳥(2009年・韓国&フランス)③パンズ・ラビリンス(2010年・スペイン)③アイ・アム・サム(2001年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②神さまがくれた娘(インド映画・2月15日東京公開・後日分析いたします)③アフガン零年(2003年・アフガニスタン&日本&アイルランド)③ハッシュ・パピー(2012年・アメリカ・弊ブログ内検索で出ます)

●同率を繰り出してもうて、ベスト・フォーな具合になってまいましたけども、この種の映画は、少年ものを含めたら、かなりの数があるだけやなく、

いわゆる同情やら、泣きを誘うものが多く、映画としての正当な評価が、ある意味ではできにくくなっとるやもしれまへん。

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そんな中で本作は、少女視点を、ほぼ100パーセントのカタチで貫く作品になっとりまして、少年主人公の「赤い風船」(1956年・フランス)やらに近い作りどす。

コドモ視点で描く、家族ドラマとして見ても、かなりと画期的なもんになっとります。

今までのスタイルとはチョイ違うし、それだけに、コドモ視点の大人たちの世界が、実にリアリスティックに、生々しく描かれておるんどすえ。

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アートディーラーのオトンと、ロック歌手のオカンとゆう父母からして、異質な組み合わせなんやけど、

この2人が離婚して、裁判所の裁定で、コドモの親権がドッコイ・ドッコイになってまい、少女は2人のとこを、10日間ずつ行き来する、ナンチューことになってまいます。

ダブル親権ものは、作家ヘンリー・ジェイムズはんが、小説で初めて描かはり、本作はその21世紀の換骨奪胎バージョンやけど、

こおゆうパターンは、21世紀の今でも珍しいもんでおます。そやから、ヒジョーに興味深く、見せてもらえる作品になっとるんどす。

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少女のオカン役で、ロックの歌姫役をばやらはった、ジュリアン・ムーアはん。

演技派でもある彼女やけど、そのエキセントリック節は今作でも健在。

演技を見てるだけで、緊張感が募ってきよる、彼女の存在は、本作の負のスパイラル面で、かなりのドラマ効果があったと思います。

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そして結局、少女を守りする、血のつながりのない2人の役者(写真一番下の、少女をはさんだ2人)の演技が、メッチャ好感度の高いもんになっとるとゆう構図が、今的を反映しとって、オモロイとこどしたえ。

ヌーボーとした、アレキサンダー・スカルスガルドのアニキ。

ほんで、キャメロン・ディアスより、美人はんやと思う、ジョアンナ・ヴァンダーハムのネーさん。

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この2人の、この映画での存在感は、圧倒的でおました。

オトン側・オカン側の2つの話が、ほぼ交互に描かれる中でも、この3人(写真一番下)の疑似家族のとこが、最もエエカンジになっとるとこなど、

皮肉っぽいかもしれんけど、でも、何やらさわやかなんどすわ。

ちゅうことで、家族映画の新しい癒やしも加えはった、少女映画の、21世紀的傑作でおました。

2014年1月19日 (日)

「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」⇒週末アメリカン映画劇場3

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アメコミ原作映画「キック・アス」の第2弾どっせー

「ウエスト・サイド物語」の、アメコミ・パロディ版となった、大ケッサクどす

http://www.kick-ass-movie.jp/

フェブラリー2月22日のサタデーから、東宝東和はんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作は「R-15+」指定映画でおま。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

アメコミ原作の映画版の、マイ・ベスト&カルト・スリーにつきましては、「マイティ・ソー…」(1月11日付けで分析)のとこでやりましたけども、

本作シリーズは、「アベンジャーズ」シリーズを抜いて、カルト1位になる大怪作でおます。

しかも、シリーズ第1弾より、スケール的・アクション的・ストーリー的にも、数段進化したボリュームで、いってはりまっせー。

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アメコミ原作ものとしては、初のアメコミ・パロディものやと思います。

「アベンジャーズ」のように、アメコミ・オール・キャラで勝負するんやなく、あくまで過去のアメコミ・ヒーローを、思い出させはったりはするものの、

オリジナル・キャラで堂々と勝負しはるとこなんか、モノゴッツー快感で、スゴ過ぎるわ。

しかも、アンチ・ヒーローものとも、シンクロナイズしてまいりまんねん。

後日分析します「マチェーテ・キルズ」(3月公開予定)なんかとも、シンクロしとりま。

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ほんで、前作の第1弾は、ぜひ見ておかはった方が、エエかと思いま。

レンタルもあるけど、「キック・アス<スペシャル・プライス版>」(1月24日発売・価格:税込1260円・発売元:カルチュア・パブリッシャーズ)もあるんで、よろしゅうに。

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さてはて、多彩なキャラクターが次々に、登場してまいりますが、ナンチューてもメインは、アーロン・テイラー=ジョンソン君が演じる「キック・アス」。

ほんで、クロエ・グレース・モレッツちゃんが演じる「ヒット・ガール」(写真2&3枚目)や。

2人が写ってる写真は、特訓中の写真4枚目。2人のラブ・ストーリー的なとこをば、予感させはる写真5枚目。

ほんでもって、クライマックスの、悪との一大対決シーンの、イントロとなるツーショット(写真9枚目)やら。

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悪の集団(写真7枚目)との対決やけど、今作では、2人が正義のヒーロー・ヒロインに、目覚めてゆくプロセス描写が、緻密かつ渋~い作りになっとります。

特に「ヒット・ガール」部は、フツーの学園生活を、大人しくやってゆくとゆうのんを、

オトン亡きあと、保護者代わりの刑事にゆわれてしもて、それをば実践しはるんどす。

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そんな中でも、かつてないような素晴らしい、アクション・シーンがござります。

それをば具現化してんのは、ヒロインのダンス・シーンどす。

格闘パフォーム・アクションで、ダンスを魅せるとゆうアクロバティックは、本作の大いなる見どころどす。

ロシア女VS警察、ゲロやゲリを誘発させる、病気棒のユニークなども、本作のオリジナル・ポイントやと申せましょうや。

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さらに、ボク的の、3大アクション・シーンのスゴミどす。

①墓場での、善悪に分かれた戦闘シーン。墓場アクションが新しい。

②カー・アクション。ヒロインがクルマの屋根にいて、車中の敵と対決しはります。

ヒロインが、下からの銃撃を避けてゆくカットなんぞは、あの「マトリックス」(1999年製作・アメリカ映画)的な、ハットトリッキーがありましたで。

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③でもって、クライマックスの一大決戦どす。

かつてのアメコミ原作映画と、比較して見ても、完全にオリジナル・アクト・ポイントで、いってはるんで、そらモー、アホみたいにスゴイ!  の一言や~。

前作ではニコラス・ケイジはん、で、今作では、ジム・キャリーはんがゲスト出演やで~。

首を斬られてまうけど、さすが「マスク」(1994年・アメリカ)のジム・キャリーはんっちゅうようなとこが、ありまんので、お楽しみに! 

チンポなど、下半身セリフの頻出も…。

でもしか、ボクチンは、アメコミ・パロディ版「ウエスト・サイド物語」(1961年・アメリカ)として、大いに楽しめました。

2014年1月18日 (土)

ニュー・サスペンス「ザ・イースト」⇒週末アメリカン映画劇場2

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潜入捜査・調査もの映画の、またまた新しいボリューム(内容)やで~

20世紀FOX映画のサーチライト系から、またまたケッサクが登場どす

http://www.foxmovies.jp/theeast/

1月31日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで公開どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2013 Twentieth Century Fox Corporation. All Rights Reserved.

今週は、潜入捜査・調査もの映画の新しどころを、本作を含め、3本も分析しよりました。

毒をもって毒を制する、潜入もの中国&香港映画「ドラッグ・ウォー 毒戦」(1月13日付け)。

ミイラ取りがミイラになる、韓国映画「新しき世界」(1月14日付け)。

ほんで、本作の新味は、クライアントの企業のテロ対策に対し(新味)、民間企業の調査員(新味)が、テロ組織に潜入するとゆう、これまでにないようなスタイルどす。

加えて、潜入する調査員が女である点。男がメインのこの種の映画では、異例でおましょう。

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でもって、ハリウッドの大製作・配給会社の20世紀フォックスが、

インディペンデント系のケッサクを積極的に製作しはる「フォックス・サーチライト・ピクチャーズ」の作品でありま。

サーチライト作品は、これまでに多数の名作を輩出してはりますが、そんな中の作品群で、21世紀発表作品に限定して、マイ・ベスト・ファイブを披露いたしますと…。

●⇒①ブラック・スワン(2011年)②サイドウェイ(2004年)③本作④サンキュー・スモーキング(2005年)⑤ダージリン急行(2007年)⑤JUNO/ジュノ(2007年)⑤リトル・ミスサンシャイン(2007年)

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●ヒッチコック監督も、アッと驚く、サスペンス映画の①や本作。

でもって、その真逆で、何とも言えない、癒やし映画の②や⑤ダージリン。

皮肉な社会派裁判劇④やら、ヒロイン映画のたくましい系⑤ジュノやら、家族映画のロードムービー系⑤リトル・ミス。

多彩な作品があるんやけど、基本は、リーダビリティー(後半に向かうにつれ、緊張感を持って、面白くなってゆくタッチ)の、メッチャ高い作品のオン・パレードでおます。

でもって、本作。サスペンスが似合う潜入もの。

ほんで、後半に向かうにつれ、ハラハラドキドキがズーッと持続いたし、

そして、サプライズが2度にわたって展開して、ジ・エンドとなる、この種の映画の、お手本的な作りになっとります。

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ヒロインやらはる、ブリット・マーリングのネーさん。日本では無名に近いけど、本作では製作・脚本もやってはりまして、映画センス抜群や。

繊細な演技を中心に、ヒロインを好演。「エイリアン」(1979年)以来、力強いヒロインが、もてはやされとったけど、ここに新しいタイプが、登場しはったんやないかと、ボクは思います。

「アンタッチャブル」(1987年)の、ケビン・コスナーのヨメはん役が、ズーッと好きやったけど、今作では、ヒロインの上司役を渋く演じはった、パトリシア・クラークソンはん。

ヒロインに対し、潜入後は「エゴは、ゆっくり出していくべき」とゆうとこなんか、渋いセリフが頻出してまいります。

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で、エレン・ペイジのネーさんの、⑤ジュノもそうやったけど、いつもながらのサド的役入りの、強気な女役。

みんな知らんやろけど、若手男優アレキサンダー・スカルスガルドのアニキのカッコヨサにも、注目しておくんなはれ。

環境テロ集団の、3企業へのテロをば描いてはりますが、新薬へのテロ、環境汚染へのお仕置き、と続き、ほんでもって、3つ目がドエライサプライズになっとります。

このサプライズの連続は、はっきりゆうて、どんでん返し映画の系譜の中で、ベストテンに入るくらいのスゴサどす。

ぜひ、アッと驚いて、その余韻に浸ってくだされまし。

2014年1月17日 (金)

恋愛映画「風と共に去りぬ」⇒「新・午前十時の映画祭」でおま&週末アメリカン映画劇場1

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「映画の中にいるみたい」なんてゆわれとる、往年のハリウッド恋愛映画の、実態とは何ぞやねん?

 恋愛成就する映画なんて、ほとんどありまへんで~

2月8日のサタデーから2月21日のフライデーまで、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズやら、大阪ステーションシティシネマやらで、午前10時から1回上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

往年(1950年代以前・この往年がゆわれたんは、1980年代に入ってからやったと、ボクは思います)のハリウッド映画の恋愛映画や。

今やDVDなどが主流やろけど、みなはんは何本くらい見てはるやろか。

そういう映画鑑賞から出たらしい、広告コピー「映画の中にいるみたい」(ウットリなロマンティック・ストーリーの中で、美しきヒロインのキモチになれる、あるいは、同化できるみたいな意味なんやろな~)があったりするんやけど、

それにふさわしい、往年のハリウッド映画は、どれだけあるんやろか。

ちゅうことで、ここで、往年のハリウッド・ラブ・ストーリー映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①本作(1939年)②ローマの休日(1953年)③カサブランカ(1942年)

●カルト⇒①慕情(1955年)②哀愁(1940年)③旅情(1955年)

●いずれも日本公開当時、大ヒットした作品でおます。

でもしか、いずれの作品も、恋の成就のない作品どす。何とまあー、全てが、男女の別れる運命やらを、描いてはりまんねん。

DVDでも大ヒットしとるベスト②でさえ、キスをするくらいまでで結局、別れまっしゃろな。

「映画の中にいるみたい」なウットリ感なんぞは、実は、それらの作品には、あらへんのどすえ~。“映画の中にいたら、エライ目に遭う”作品だらけどっせー。

なんでかとゆうたら、悲劇のヒロインこそ、映画映えしそうやんとゆうとこらが、あるかと思います。

で、今に残るのは、すんなり結ばれへん、ちゅうか、最後まで結ばれへん作品。

でもしか、結ばれずとも、ヒロインは今後もたくましく、生きていきまっせーな作品なんどすわ。それを最も具現化した代表作品こそが、本作なんでおます。

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コレは太平洋戦争前に作られた作品なんやけど、戦後の1952年に日本初公開されて以降、1970年代前半頃まで、リバイバル上映のたんびに、多くの観客を集めた作品でおました。

今ではDVDで、なんぼでも見れるし、ボクもDVDを買って持っておますけども、でも、これは確かに、映画館のデッカイスクリーンで見て、ナンボの映画でおましょう。

かつてボクは数度、映画館で見たけど、スタジオ撮影とはいえ、鮮やかな夕陽の色に圧倒されて、目が点になったことを覚えとります。

DVDだと、スーッと見過ごしてまうとこがあるけど、明度の濃いシーンのインパクト。ほんで、その色合いに映えるような、ヴィヴィアン・リーのネーさんや、クラーク・ゲーブルのアニキの、緩急自在の演技ぶりどす。

マーガレット・ミッチェルの原作に出てくる「明日になればきっとまた、明日の風が吹くわ」の、ヒロイン・スカーレットのセリフは、本作では出てきまへんけども、

ヒロインの、明日を前向きに生きるべきなセリフを、絶妙なセリフに託して描いてはります。

かつてのように5分の休憩が、あるんかどうかは分からへんけども(各劇場にお問い合わせくだされ)、232分にわたる大作やけど、

もし「映画の中にいるみたい」を味わいたいのなら、本作こそ、そのコトバにふさわしき作品やと申せましょう。

2014年1月16日 (木)

スペクタクル映画「ベン・ハー」⇒「新・午前十時の映画祭」どす

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「タイタニック」と並ぶ、アカデミー賞最多11部門受賞作品どすえ~

どこがどないオモロイんか、解説いたしまっせー

3月8日の土曜日から、3月21日の金曜日まで、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで、午前10時より上映どすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

スペクタクルな映画とゆうのんが、1950年代のハリウッド映画界では、ヒット・キーワードの、大いなる1つになっとりました。

ちゅうことで、ここで、今に残る、1950年代製作のハリウッド・スペクタクル、もしくは大作と呼べるもんの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露してみまひょか。

●ベスト⇒①本作(1959年製作)②80日間世界一周(1956年)③戦場にかける橋(1957年)

●カルト⇒①十戒(1956年)②戦争と平和(1956年)③地上最大のショウ(1952年)

●1950年代の日本映画興行界てゆうたら、「ゴールデンウイーク」の流行語を生み出したくらい、日本映画がメッチャ活気にあふれとった時代でござります。

ロハで見られるテレビのない時代やから、映画は圧倒的な娯楽の王様やったんらしいどすえ~。

でもって、今の時代以上に、洋画より断然、邦画の方が字幕を読まんでエエから、大人気やったんやけど、

でもしか、ハリウッド映画はシネラマと大作、あるいはラブ・ストーリーの攻勢で、洋画ではフランス映画やらを抑えて健闘。

その後の、邦画を圧倒する礎をば築かはりました。

その大作の中味をば見てみよりますと、マイ・スリーには、ミュージカルと恋愛映画はありまへんが、それらも重要なんやけど、

1つはベスト②カルト③の、アトラクション・ムービー。

2つ目は、ベスト③カルト②の戦争映画。

ほんで、本作やカルト①の、聖書系、もしくは紀元前の歴史もんでおます。

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でもって、今1つのデッカイキー・ワードは、アカデミー賞作品賞ゲット作品とゆうとこでおます。

ボクが挙げた6作中、本作含む4作(ベスト②③・カルト③)が受賞作品どす。

中でも本作は、オスカー史だけやなく、映画史に刻印されるべき、メモリアルな大作となっとります。

「タイタニック」(1997年)と並び、オスカー史上最多11部門をゲット。

見世物としての騎馬戦などのアクションの、今のゲーム感覚なアクション・タッチと違う、生々しゅうて臨場感あふれまくりの、ビビッドな作り。

しかも、低階級の奴隷が立ち上がっていく、観客の好感度の高いヒーロー性。

「グラディエーター」(2000年)などが、古代史に基づいた作品で、オスカー作品賞をゲットしとるけど、本作が大いに意識下に入っとります。

ほんでもって、本作以降に出た古代史ものや紀元前アクションものは、本作の亜流にしか、ボク的には思えまへん。

DVDで「グラディエーター」を見て、本作を映画館で見て、比較してみはったら、ある程度は納得してもらえるでおましょう。

ただ、本作の方はキリストを出して、キリスト教的世界観でそれとなく、主人公のドラマを包むようなとこがござります。

いわば、キリストの投影としての、主人公とゆう描き方どす。

そのあたりが、宗教と映画は別ものやとのことで、賛否を呼ぶやもしれまへん。

キリスト関連の映画は、本作以降も、いろいろ物議を醸しておりましたんで、アレなんやけど、でも、それらを差し引いても、ハリウッド大作としての威厳が、胸をワクワクさせてくれはる作品どした。

シュワちゃんらのルーツ俳優、チャールトン・ヘストンはんの肉体派アクションに、素直に酔いしれてみてくだされ。

2014年1月15日 (水)

「ブエノスアイレス恋愛事情」⇒新しきラブ・ストーリーどすえ~

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こんな恋愛映画もありーのな、楽し~きなる傑作どすえー

それも、アルゼンチン・スペイン・ドイツ合作やて、オモロイやん!

http://www.action-peli.com/medianeras

2月8日のサタデーから、Action Inc.はんの配給によりまして、梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおまっせ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸRizoma Films

恋愛映画てゆうたら、みなはんのイメージは、「映画の中にいるみたい」なウットリな、往年のハリウッドの恋愛映画をば、思い浮かべはるかもしれまへんな。

でもしか、そんな往年のハリウッドもんやけど、名作として今に残る映画は、実は決してウットリな、恋愛映画ではありまへん。

むしろそうゆうのんは、時代の荒波の中で、消えとるかと思います。

そのあたりは後日、「風と共に去りぬ」(1939年製作・アメリカ映画)の分析でヤラカシまっけども、本作の恋愛もんは、ハリウッド産ではござりまへん。

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ハリウッド以外の恋愛映画てゆうたら、ハリウッドも相当なタイトル数があるんやけど、そらモー、モノゴッツーな無尽蔵・無限大なくらいありますやろな。

まあ、いつか、恋愛映画のマイ・ベスト100みたいなんを、ヤレたらエエなとは思うとりますが、

本作は、そんな恋愛映画の中でも、ユニークで特殊で特異なとこから、オリジンを出さはった傑作でござります。

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さてはて、ここで21世紀(ミレニアム含む)の作品に限定してでんな、恋愛映画の新しどころをば打ち出した作品の、マイ・ベスト・ファイブを、やってみよりますと…。

●⇒①本作②花様年華(2000年・香港)③アーティスト(2011年・フランス・弊ブログ内検索で出ます)④猟奇的な彼女(2001年・韓国)⑤モテキ(2012年・日本・弊ブログ内検索)⑤きみに読む物語(2004年・アメリカ)

●21世紀でさえ、イッパイあるんで、ソラモー大変どすが、何も調べんと、頭の中だけで思い浮かんだんを、ピックアップいたしました。

そやから、かなりエエ加減なもんかもしれまへんけども、ご了承くだされ。ツッコミも頼んます。

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記憶喪失系を取り込んだ⑤「君に読む…」などは、仮想「映画の中にいるみたい」を、味あわせてくれはる作品どすが、往年のハリウッド的に見えて、そうやないとこが妙にエエわ~。

今どきの若者恋愛を描く⑤モテキ、出会いに工夫を凝らした④、

不倫恋愛も「逢びき」(1945年・イギリス)なんかより、数段進化した②など、日本・アジア映画の、ハリウッドにはない素晴らしさは、特注もんどす。

また、ユーロにも傑作が多数あるんやけど、オスカー作品賞の②を選択しました。

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ほんでもって、本作のアルゼンチン映画。何がどう新しいのか。

フェデリコ・フェリーニ監督の「フェリーニのローマ」(1972年・イタリア)みたいな、ブエノスアイレスの街を、建物外観的なタッチで描き込みつつ、

そこに現代的な病気やら、ネット的孤独を織り込みつつ、

ウディ・アレン監督「マンハッタン」(1979年・アメリカ・モノクロ)を、主演の2人が別々に見ていたりの、監督の趣味的なとこやったり、

男女のチャットでの出会いを「ユー・ガット・メール」(1998年・アメリカ)的に組み込んだりと、

出会わなければ、どないあっても恋は、始まらない恋愛を、大胆果敢に、ハットトリッキーを弄して描いた、1大(!?)ケッサクどっせー。

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日本では1990年代に流行した「ウォーリーを探せ」が、本作のキー・ポイントになっとる点は、一番のサプライズやったです。

スペイン女優のピラール・ロペス・デ・アヤラのネーさんの、ペネロペ・クルスと対抗できるような、フレキシブルな演技力に魅了されたり、

街の建物を中心に、短カットの連続でナレートする、イントロ部の意味深やったり、

ラストのユーチューブで、主演の2人がダンス・ナンバーを歌ったりと、突出的なカットに目を奪われ、

ほんで、最後はそうきよったか~となる、恋愛映画の新・傑作なんどすえ~。必見やー。

2014年1月14日 (火)

「新しき世界」⇒韓国映画の潜入もの

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男たちの演技が、ベタで熱くてクールで、渋みある映画どすえ~

昨日に続き、潜入捜査ものの新境地を、示さはる作品や~

http://www.atarashikisekai.ayapro.ne.jp/

フェブラリー2月1日のサタデーから、彩プロはんの配給によりまして、東京・丸の内TOEI、シネマート新宿やら、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都、シネマート心斎橋(2月15日から)やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 NEXT ENTERTAINMENT WORLD Inc. & SANAI PICTURES Co. Ltd. All Rights Reserved.

昨日分析したようにでんな、潜入捜査もん映画ちゅうのんは、単に捜査側が犯罪組織に、潜入するちゅうパターンだけやなく、多彩な応用やら変形ぶりがござります。

でもって、本作のオリジンなとこは、フツーの潜入捜査官が、アレアレ、暗黒組織・ヤクザ組織のボスにまで、なってまうとゆう、かつてないスゴサでおます。

いきなりネタバレかもしれんけど、本作の妙味は、主人公の複雑な心理描写と演技こそが、大いなる見どころなんでおますよ。

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イ・ジョンジェのアニキが、そんな潜入捜査官役をばやらはりました。

彼の映画は、ボクはあんまし見てへんねんけど、少なくとも、チャン・ドンゴンのアニキと渡り合った「タイフーン」(2005年製作・韓国映画)よりは、数段演技者冥利につきる演技ぶりどした。

おそらくやけど、彼の最高傑作となる演技でおましょう。

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画像のほとんどに写ってはりますが、

潜入捜査官となり、やがて組織の幹部となり、ほんでいろんな抗争やら粛清を経て、遂にはとゆうところを、実にクールかつ繊細な演技ぶりで見せはりました。

いやはや、スゴイ。

ハリウッド・リメイクが、既に決定しとるらしいけど、ハリウッド映画でもぜひ主演して、魅せてもらいたいわ~。

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イ・ジョンジェと、兄弟仁義を交わしてはる、ファン・ジョンミンのアニキも、恐るべしな怪演技ぶりどす。

中国人設定の彼は、韓国では、ある種差別的な目で、見られがちやけど、最初の登場シーンでは、ヤケクソでハンパなヤクザチックな演技。

それがやがて、悲劇のヒーロー的な、重くてシビアな役柄へと、ガラリと変わらはります。いや、モー、キョーレツやん。

「黒い家」(2007年・韓国)の逼迫演技と、甲乙付けがたい演技派ぶりやで~。

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ほんでもって、イ・ジョンジェを管理する、ソウル警察の刑事課長役には、バリバリの演技派、チェ・ミンシクはんがやってはります。

彼の最高傑作「オールド・ボーイ」(2003年・韓国)の、エライ目に遭った人間性演技とは、真逆のように見えながらも、

けだるいやる瀬ないとこを披露し、骨太感ある見ごたえある演技でやってはります。

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脇役陣では、パク・ソンウンはんが特筆もんや。韓国映画界で、こんだけ憎たらしげな悪役を、ヤレルんは彼しかいとりまへんで。

2人シーンでの、アップのやり取りなどが、臨場感や緊張感を増しよりましてな、タバコを吸うシーンの、ある種の雰囲気作りやったり、

棒やナイフを持っての2派にわたる、抗争アクション・シーンのビビッドなんかも、映画映えしておます。

紫がかりな、ブルー・トーンなシーンや、ピアノをメインにした、ブルージーなサントラ使いにも酔いまっせ。

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潜入捜査ものを超えた暁に、立ち現れる最終情景は、

ボクとしては、これは韓国版「ゴッド・ファーザー」(1972年・アメリカ・後日分析予定どす)やないやろかと、思いましたで。

ちゅうことで、男たちの熱くてクールな対決に、酔いしれてくだされ。

2014年1月13日 (月)

「ドラッグ・ウォー 毒戦」⇒香港・中国合作映画

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ジョニー・トー監督による、手堅いアクション映画の1本どす

潜入捜査もの映画に、新たな地平を切り拓く快作やで~

http://www.alcine-terran.com/drugwar

1月18日の土曜日から、アルシネテランはんの配給によりまして、大阪・シネマート心斎橋やらで全国順グリのロードショー。

東京では、1月11日から新宿シネマカリテやらで公開中。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Beijing Hairun Pictures Co., Ltd. All Rights Reserved

まずはストレートに、香港の名匠監督、ジョニー・トー監督のマイ・ベスト・ファイブをば、披露さしてもらいます。

●⇒①エグザイル/絆(2007年製作)②冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(2009年・弊ブログ内検索で出ます)③本作④ブレイキング・ニュース(2004年)⑤エレクション(1999年)

●銃撃戦を一つの見どころに、男たちの熱き戦いを、描く作品が圧倒的やー。

ベスト④みたいに、ヒロイン(ケリー・チャン)が、警察陣VS犯罪組と絡むのんも稀少やけど、

あくまで、監督の持ち味は、男たちの対決構図どす。

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さて、次に、本作は麻薬捜査もんとなっとります。

中国の村ぐるみで、覚醒剤を作っとった問題やら、アメリカのある州では、マリファナの公式販売が認められたりと、麻薬絡みの報道がある中で、注目の作品やと申せましょう。

麻薬絡みの映画は、ケッコー多いんやけど、そんな中のマイ・ベスト・ファイブを、思い付くままに、披露いたしますと…。

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●⇒①トラフィック(2000年・アメリカ映画)②本作③悪の法則(2013年・アメリカ・弊ブログ内検索)④ラリー・フリント(1996年・アメリカ)⑤シャブ極道(1996年・日本)

●麻薬捜査もの映画としては、本作は徹底しておました。

①や③は捜査側・犯罪側を、それなりに描いてスリリングでオモロイんやけど、本作みたいな、“毒を食らわば皿まで”みたいな、泥臭さやスゴミは圧倒的どしたえ。

ヤクチュウ夫婦を描く④、2派に分かれた、覚醒剤ヤクザ抗争⑤も、壮絶どすけども。

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でもって、本作の3番目のファクター。

麻薬組織に入っての、潜入捜査もんとゆう、特異なとこがござります。潜入捜査ものを含め、そおゆうタイプの、マイ・ベスト・ファイブをば披露いたします。

●⇒①フェイク(1997年・アメリカ)②インファナル・アフェア(2002年・香港)③本作③新しき世界(2012年・韓国・明日分析いたします)③アメリカン・ハッスル(2013年・アメリカ・今年1月3日付けで分析)

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●3位を同率の3作としとりますが、この3作は全て今年公開される、新しどころの作品どす。

刑事のストレートでオーソドックスな、マフィアへの潜入もの①。

潜入のやり合いをして、新味を出した②。

ほんでもって、刑事と共に犯罪者を、潜入捜査に入れるとゆう、ユニークなスタイルを構築しはったんが、本作や「アメリカン・ハッスル」どす。

一方、「新しき世界」はまた違ったタイプどして、それは明日披露さしてもらいます。

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トー監督の大いなる持ち味であります、銃撃戦のビビッドリズムは、今作でも快調。

快調すぎて、少々ユルミが出たりしとるけど、そんなんは微々たる瑕瑾でおまして、

銃撃映画の映画史に残る監督であることは、間違いござりまへん。

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ブルー・トーンの監視ビデオの使い方など、最新捜査スタイルも、キチンと構築されとります。

また、シンセをメインにしたサントラ使いも、このアクション映画に、妙味を付加してはりました。

皮肉なラストシーンを含め、潜入捜査ものの、新しい可能性を開いた傑作やと思います。

2014年1月12日 (日)

「エンダーのゲーム」⇒週末アメリカン映画劇場3・ファミリー向け

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映画「スター・ウォーズ」と同時期に、映画原作小説が登場した作品どす

21世紀のSF映画として、「プロメテウス」やらと共に、目の離せない快作や~

http://www.ender.jp/

ジャニュアリー1月18日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

これまでのSF映画を総括すると、えらい大変な文量になってまいますんで、

今回は21世紀に製作・公開された、SF映画(アメリカ映画に限定)に関し、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①ゼロ・グラビティ(映画公式ホームページから出ます)②スター・ウォーズ エピソード2(2002年製作)③A.I.(2001年)

●カルト⇒①本作②プロメテウス(弊ブログ内検索で出ます)③アベンジャーズ(2012年)

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●20世紀のSF映画としては、スタンリー・キューブリック監督「2001年宇宙の旅」(1968年)、ジョージ・ルーカス「スター・ウォーズ」(1977年)、

スティーヴン・スピルバーグ「E.T.」(1982年)、リドリー・スコット「ブレードランナー」(1982年)などが、

ボク的には(一般的にもそうかもしれへんけど)、SF映画の上位を形成する、ブランド作品でおます。

ほんでもって、21世紀だけに限っても、やはり彼らの関連作品は、根強いもんがあります。

ベスト②、キューブリックとスピルバーグの、唯一のコラボとなったベスト③、「エイリアン」(1979年)絡みの新シリーズを描く、スコット監督のカルト②など。

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でもしか、21世紀らしき新種映画、そして傑作は、日々作られております。

「トゥモロー・ワールド」(2008年)も凄かったけど、アルフォンソ・キュアロン監督のベスト①。

昨日分析した作品のシリーズ、アメコミもんのカルト③。

ほんでもって、20世紀の名作SF小説を、21世紀的進化バージョンで描き出す、本作でおます。

1977年に発表された小説が原作やけど、ちょうど「スター・ウォーズ」が公開された時と、おんなじ時期に当たっとります。

異星人(エイリアンとも言えるけど)と人類の対決とゆう、それまでのSFの1つのスタイルは、ある意味では共に共通しとるけど、

こちらは、少年少女をポイントにしはった点が、まず新しおました。

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アリ型巨大昆虫のエイリアンに、かつて多くの犠牲者を出してしもて、大敗した人類は、次なる攻撃に備え、コドモたちに未来の対決を託さはり、

ほんで、猛特訓して彼らを、エイリアン惑星へと送り出さはります。

凄くシンプルな話のようでいて、複雑な展開も、時おり挿入されとります。

夢想シーンやゲーム・シーンの挿入もあり、それらが物語に、大きく関わってきよるんどすわ。

空や宇宙の戦闘シーンでの、CGやらVFXやらの使い方も、3Dにしてもおかしくないくらい、ビビッドどした。

遊泳しながらの訓練シーンの造形も、目を見張りましたで~。

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一方で、小さな恋の物語やないけど、ラブを抜いて、2人の少年少女(主演のエイサ・バターフィールド君&ヘイリー・スタインフェルドちゃん・写真2枚目~4枚目)の、小さな友情節も描かれます。

この2人のつながりもエエねんけど、ボク的にもっとエエと思うんは、

主人公をスカウトし鍛える、ハリソン・フォードはんや、ベン・キングズレーはんとの、絡み具合や渋さどした。

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魅力は主演やないと、モチあかんのやけど、脇もしっかりした映画は、長ーくシリーズをやってゆく場合は、特に重要やと、ボクは思とります。

その意味では、「スター・ウォーズ」に主演しはったハリソン君の、本作への参加はメッチャ大きいわ。

そのいちいちの演技の渋みが、グッグッときよりまんねん。

主人公の姉役の、アビゲイル・ブレスリンちゃんの優しさ、オスカー候補にもならはった、ヴィオラ・デイヴィスのネーさんの引き締まった演技。

少し攻撃的なとこもあったけど、「ガンジー」(1982年・イギリス&インド合作)を思い出すベン・キングズレーはんの、冷静で落ち着いた演技ぶり。

ちゅうことで、若手の主演と脇のベテラン陣が、絶妙なハーモニーを奏でる、SF映画どした。

2014年1月11日 (土)

「マイティ・ソー ダーク・ワールド」⇒週末アメリカン映画劇場2・若者向け

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アメコミ原作映画の、最新モード作品でおます

「アベンジャーズ」のソーこと、クリス・ヘムズワース君が大活躍しやるでー

http://www.thor2.jp

フェブラリー2月1日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、2D/3D同時ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 MVLFFLC. TM & Ⓒ2013 Marvel. All Rights Reserved.

個人的にはほとんどアメコミを読めへんし、映画もそんなにダイスキってこともないんやけど、まあ、とりあえず、アメリカン・コミック、アメコミ原作映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①シン・シティ(2005年製作)②スーパーマン・シリーズ(第1弾は1978年)③スパイダーマン・シリーズ(第1弾は2002年)

●カルト⇒①本作アベンジャーズ・シリーズ(2012年ほか)②バットマン・シリーズ(第1弾は1989年)③アイアンマン・シリーズ(第1弾は2008年)③X-メン・シリーズ(第1弾は2000年)

●カルトの①③アイアンマンは、シリーズもの・スピンオフものも含めて、下記の写真のように、同系列に入るみたいなんやわ~。

そのあたりが、ボクチンにはようわからへんねんけど、ボクの浅はかなアメコミものの記憶によるとでんな、ベスト②③カルト②が、3大ヒーローやと思うとりました。

ほんでもって、それぞれシリーズ化されて、シリーズ映画の映画史に残るような、娯楽作品になっとります。

モノクロで渋く描かれた、ベスト①なんかは、映画ゴコロを震わせるとこがありましたけども、

やっぱこの種の映画は、勧善懲悪の正義のヒーローものこそ、ドラマ映えするもんでおます。

でもって、そのアメコミ映画化最新型が、本作でおます。

やはり、そうどした。つまり、アメコミらしい、伝統的なヒーローものを踏襲。

善悪対決の構図を構築し、それをクライマックスにもってくるとゆう、お馴染みのスタイルどす。

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とゆうことで、安心して楽しく見られるんやけど、でもしか、他の作品とは違うファクターも、随所に取り込まれ、盛り付けられておます。

色使い、CG、VFXの使い方も、他作品と比べて、それほど突出してオリジンはないんやけど、ボク的には、3箇所ほどでグッとくるとこがありました。

①赤色をメインにしはったエーテルとゆう兵器の打ち出し方。

②重力がチェンジできる機械ソフトにより、多彩な対決シーンがクリエイト。

③星と地球をつなぐ、光のルートの造形ぶり。

●なんてカンジやろか。ほんでもって、演技陣の魅力や。

「アベンジャーズ」の戦士ソー役のクリス・ヘムズワース君。他作品のヒーロー像以上にカッコエエやん。

アカデミー賞で有力視されとる「ラッシュ」(1月2日付けで分析)では、プレイボーイなカー・レーサーを、カッチョ良く演じはり、期待できるハリウッド次世代俳優として、頭一つ抜きんではりました。

ほんで、主人公の人間の恋人役として、ナタリー・ポートマンのネーさんが出てはります。

ナタリー・ネーてゆうたら、「スター・ウォーズ エピソード1~3」(1999年・2002年・2005年)のアミダラ姫のイメージが強いけど、今作でもあのイメージを消すことなく、演じてはるのが好感を呼びますで。

また、「スター・ウォーズ」的なダーク・サイドが、形を変えて取り込まれとりまして、

そんな黒雲広がる、ダーク・ワールドでのバーサスも、モノゴッツーな見どころになっとりますんで、お楽しみあれ! どす。

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2014年1月10日 (金)

「ビフォア・ミッドナイト」⇒週末アメリカン映画劇場1・アダルト向き

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夫婦の会話が、のべつまくなしに続く映画どす

シリーズ第3弾の今回は、ギリシャで喋り続けはりまんで~

http://www.beforemidnight-jp.com/

1月18日のサタデーから、アルバトロス・フィルムはんの配給によりまして、

Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9やら、

シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2013 Talagane LLC. All rights reserved.

リチャード・リンクレイター監督、主演の男女、イーサン・ホークのアニキと、ジュリー・デルピーのネーさん。

この3人による、男女会話映画の新境地をば、切り拓いたシリーズの第3弾が本作でおます。

オーストリア・ウィーン舞台の第1弾「恋人までの距離(ディスタンス)」(1995年製作・アメリカ映画)、フランス・パリ舞台の第2弾「ビフォア・サンセット」(2004年・アメリカ)に続き、

今作の第3弾では、ギリシャでの2人のやり取りが、果てしなく続いてまいります。

会話劇とゆうのんは、本作シリーズの第1弾が出る前は、室内でエイエイとやってまう室内劇が、主流やったんやけど、

本作は歩きもっての対話に加え、台本では「間(ま)」となっとる間合いが、ほとんどないくらいに、のべつまくなしに喋り合ってるとゆう、印象の作品でおます。

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つまりは、セリフのやり取りが、キモとなる作品なんどす。

1作目で出会った2人(女は独身・男は妻子あり)が、3作目では夫婦となり、2人の双子の娘が、いとるっちゅう設定でおます。

ほんで、男はモチ前妻と離婚してるんやけど、前妻との間に1人息子があり、彼は前妻の方にいてはります。

そんな息子が夏休みに、在住のパリから、ギリシャにバカンスに来とるオトンのとこに、アメリカはシカゴから遊びに来て、ほんで、オトンに空港まで見送られて帰るとこから、本作は始まります。

今までと、チョイ違った始まりやな~と思てる間に、数分後からは、夫妻の終わりなき対話へと、チェンジしてまいります。

主人公は作家なんやけど、作家の先輩からの誘いで、ギリシャに来てはりまして、そんな作家仲間との会食シーンやらもあり、

2人の会話がずーっと、続いとるわけやないんやけど、何や知らん、2人の対話は、果てしないように映るんどすわ、これが。

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まずは、自家用車内。フロント側からの長回し撮影による、2人の会話が映されま。

続いて、夫役のイーサンの単独シーンやら、団体会食シーンを経て、2人並んで、宿泊ホテルまで歩きもっての会話。ほんで、ホテルでの会話へと、続いてゆきよります。

とにかく、沈黙してる時間ちゅうのんは、ほとんどありまへん。ウディ・アレン監督映画みたいに、一方的に男がしゃべくるスタイルやなく、あくまで、2人均等に交互に喋ってはります。

で、会話はアレアレいつの間にやら、ケンカ・モードになってしもて、ナンチュー展開なんやけど、

でもしか、こんなに喋り続けられる夫妻って、ホンマにいとるんやろかとか、こんなん毎日エンドレスでやってんの~、大丈夫かいや、などとゆう、余計なお世話までしてまうような具合。

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2人の対話にハマッてまうと、いい意味でも悪い意味でも、ウーンと唸ってしまうカンジどす。

夫妻映画としても特異な映画となるやろな。

モチ、重要なのは、脚本であり、セリフを喋る主演男女優の2人の、演技ぶりでおましょう。

入り込めればスムーズやけど、引っかかるようなセリフがあると、ついバカバカしくなったり、このセリフの流れは、どないやねんなんて、思たりもするけども、でもしか、最後まで引っ張って魅せてくれはります。

それに、イーサンもジュリーも、映画監督までやってはるくらいやから、演技派としても安心して見られますで。

ボク的には、軽快なピアノ・サントラに乗って、最後まで軽快に、心地よく見られた映画でおました。

2014年1月 9日 (木)

「炎のランナー」⇒オスカー作品賞をゲットしはった、イギリス映画どす

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ソチ冬季五輪&アカデミー賞ウイークに、見たい1本どす

ヴァンゲリスのシンセの映画テーマ曲は、1人歩きしておます

2月22日から3月7日まで、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、大阪ステーションシティシネマやらで、「新・午前十時の映画祭」として、モーニングショーでおます。

本作は、1981年製作のイギリス映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

アカデミー賞作品賞をゲットした作品で、スポーツ映画とゆうのんは、それほど多くはありまへん。

野球やサッカーなど、チーム・プレーものは皆無で、1対1、あるいは、1人もののみ。

ボクシングの「ロッキー」(1976年製作・アメリカ映画)、「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年・アメリカ)、ほんでランナーを描く本作くらいどす。

しかも、ランナーを描いた映画としても、映画映えするような、マラソンランナーやありまへん。

本作と同じく、イギリス映画の「長距離走者(ランナー)の孤独」(1962年)と比べると、ランナーとしての心理描写よりも、よりドキュメンタリーなタッチをば、重視してはります。

なぜなら、本作は実話ものやからでおましょうか。

2人の五輪ランナーを、淡々と対象に距離を置いて、描いてゆかはります。「ロッキー」みたいに、熱くはありまへん。

その意味でゆうたら、今年オスカーで有力視されとる作品の中では、カー・レースもの「ラッシュ/プライドと友情」(1月2日付けで分析)に、通じるもんがありましょうか。

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さて、ここでボクチンの、この映画に関する、個人的なお話をばいたします。

大学卒業後、ボクは2人の女性と本作を、別々に2度、デート・ムービーとして見に行きよりました。二股掛けとかやなく、2人と付き合ってたわけでもありまへん。まあ、友達同士で見に行くみたいな、気軽なカンジどす。

最初の女性と見に行った時、ボクはこの映画に感動いたしました。泣けるような感動やなく、見たあと、ココロにジワリとくる感動。

でも、彼女はツラい勤務後に見る映画としては、重たすぎると言いやった。なるほど、OLにしてみたら、もっとストレス発散できるような、アクション映画が良かったんでおましょうな。

ほんで、ボクはもう1度見たくて、別の女性を誘って見に行きました。彼女もOLはんどす。

でも、彼女の見たあとの感想は違っとりました。「重たい」やなく、「ショーもない映画」。

ボクはそれを聞いて、愕然としました。その“ショーもなさ”についても、彼女は10項目くらい挙げやったけど、今はあんまし覚えとりまへん。

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ただ、一つだけ覚えとるんは、「(当時の)今から10年後には、誰も話さず、跡形もない作品」どした。

あれから、30年以上の時が経っておます。DVD化もされとるんで、跡形もないナンチューのんはないけども、確かに、誰も話題にしないとゆう点は当たっとります。

当時、候補になって敗れてもうた、インディ・ジョーンズ・シリーズの第1弾「レイダース」(1981年・アメリカ)の方が、少なくとも話題の端には、時おりいてはります。

でもしか、本作のエポック・メイキングなところ。映画史やなく、みんなのココロに、フォーエバーに刻まれたところのものは、実は、サウンドトラックでおました。

みんなが海辺の砂浜を走る、冒頭とラストで、カッコヨク流れる、シンセのインスト・ナンバー。

ギリシャのヴァンゲリスが作曲・プレイする、映画テーマ曲「炎のランナー」どす。

当時、アメリカン・チャートの老舗ビルボードで1位になり、オスカーでも作曲賞をゲット。オリンピックでも、必ず流れるナンバーでおます。

ピアノがメインのメロディアスなメロディーを奏でるけど、シンセの使い方は、音楽史に残ってもおかしくない、ビビッドで強烈なインパクトがあります。

この主題歌をば、みなはんに、ぜひ映画館で味わってもらいたいわ~。

ちゅうことで、重たいやらショーもないやらを超越して、絶対、元気になれる映画やと、ボクは思います。

2014年1月 8日 (水)

3部作の第3弾「遥かなる勝利へ」⇒ロシアの戦争映画の傑作

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「戦争と平和」に迫るような、3部作の完結編でおます

戦争映画史に刻印されるべき、紛れもない傑作どす

http://www.haruka-v.com/

1月18日の土曜日からシネマート心斎橋、1月25日サタデーから、京都シネマやらで上映どす。配給は、コムストック・グループはんとツインはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011, GOLDEN EAGLE

ロシアの戦争映画どす。

ハリウッドの戦争映画大作に、対抗してはったかどうかは別にして、かつて、旧ソ連のロシアは、いくつかの製作資金をかけた、戦争大作をば作ってきてはりました。

ちゅうことで、ここで、ロシア・ソ連邦の戦争映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①本作シリーズ(1994・2010年・2011年)②戦艦ポチョムキン(1925年)③僕の村は戦場だった(1962年)

●カルト⇒①戦争と平和(1966~1967年)②イワン雷帝(1944~1946年)③スターリングラード大攻防戦(1972年)

●映画史に残る監督、セルゲイ・M・エイゼンシュテインが撮ったベスト②カルト②は、確かに映画ファンや、映画の仕事をしたい人にとっては、絶対見とかんといかん映画なんやけど、

でもしか、映画技術的にも進化した本作との比較では、あくまで映画創生期の、映画ちゅう印象は免れまへん。

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ハリウッド映画を意識した上で、人間関係ドラマ映画としても練り込まれた本作は、

敵と味方をストレートに見せ、対抗させる戦争ものとは、ビミョーに異にしとりました。

ドキュメンタリー・ノリのカルト③は別にして、少年とゆう人間ドラマ性を重視したベスト③など、少年ガンバ系戦争映画とも違っておます。

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戦争映画の激烈さを、娯楽的アクションで見たい方。

一方で、戦争時に繰り広げられるところの、悲喜こもごもな人間ドラマの見たい方。

また、最近作なら「永遠のO」(弊ブログ内検索で出ます)みたいな、兵士人間ドラマのやるせなさに加え、家族やらのキズナまで描いて、感動させる映画を見たい方。

それらの全てを、満足させてくれはるんが、本作であります。

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但し、3部作の3作を、順番に見ていかなあかんところの映画どす。

そやから、本作だけを見てとゆうのんは、実はあり得ない映画なんでおます。

ちゅうことで、本作を見に行く場合は、前2作「太陽に灼かれて」「戦火のナージャ」は、見ておく必要があります。

一部シリーズものやら3部作ものには、別に単体で第3作を見ても、大丈夫ナンチューのんがあるけど、

本作第3弾は、それがほとんど効きまへんので、本作だけ見はる方は、ココロしてくだされ。

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さてはて、ハリウッド映画に対抗して作られた、旧ソ連映画ちゅうのんは、大仰なハリウッドとは違い、リアル感ある描写がスゴかったけど、

本作はそれを継承した上で、考えられないような戦場・戦闘シーンを、作ってはってビックラこきます。

例えば、本作ならば、戦闘機群の地上のトラックへの、激しい攻撃シークエンスで、

トラックの荷台で産気づいた女が、爆撃を避けもって、赤ん坊を産むとこまで、いってまうシーンのスゴミと、アラマ・ポテチン(驚き)。

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因縁の男2人の再会と、森の中の静かな、緊張感あふれるやり取り。

ほんで、主人公と元妻との再会。

ほんでもって、続く主人公と娘の再会。

第3弾はドラマティックが次々に続くんやけど、ヤッパ前2作を見とかんことには、感動度合いが、全然違ってきよります。

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えてしてハリウッド産の3部作やシリーズは、どこから見ても、分かるようになっとるようどすが、このロシア産は、そんなハリウッド方程式には乗っかっとりまへん。

ゼーンブ見てナンボのもん、っちゅう作品でおます。

ロシアの巨匠監督ニキータ・ミハルコフ監督が、主演までして撮り上げた、メッチャ渾身な本作。

ハンパやない仕上げに、驚くしかない傑作なんどすえ~。

2014年1月 7日 (火)

「カッコーの巣の上で」⇒「新・午前十時の映画祭」

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1975年のアカデミー賞で作品賞をゲット!

精神病院を舞台に、自由への希求を描いた傑作

2014年2月22日のサタデーから、3月7日のフライデーまで、TOHOシネマズ二条や、TOHOシネマズ西宮OSやらで、午前10時から上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ジャック・ニコルソンはん主演映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、まずは披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①本作②チャイナタウン(1974年)③シャイニング(1980年)

●カルト⇒①恋愛小説家(1997年)②アバウト・シュミット(2002年)③女と男の名誉(1985年)

●ベスト①の本作とカルト①で、2度アカデミー賞の主演男優賞をゲットしてはるけど、

彼の持ち味は豪放磊落、「まあ、ええやないか」ちゅうようなとこ。

ほんで、汚れヒーローなベスト②、悪役ベスト③、シニア映画でも、やりたい放題なカルト②なども、そのラインでいってはるとゆうても、エエかもしれまへん。

さらに、ラブ・ストーリーのカルト①など、恋愛映画映えせえへんけど、何とかカッコがついとりま~、なんてのんも、エエわ~。

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でもって、本作は彼の持ち味が、遺憾なく発揮された作品でおます。

しかも、ヒューマン・ドラマにおける、正義と悪の構図の中で、観客の好感を呼ぶシーンを、クライマックスに持ってきはりました。

悪役として、精神病院の看護婦長役のルイーズ・フレッチャーはんを配し、メッチャイケズな役をやってはります。

ニコルソンはんと同時に、オスカー主演女優賞をもらわはりました。

本作は、精神病院を舞台にしてはる映画の、嚆矢(こうし=ルーツ)的作品やと思うけど、戸外に出るシーンもあるけど、

演劇としても名作どして、基本的には室内劇・会話劇が、メインになっとります。

そやから、役者の演技が、モノゴッツー重要になってきよります。

精神病者役ゆうのんは、メチャメチャやっとったら、エエゆうもんやなく、ある意味で緻密な演技力が、必要となるでおましょう。

そういう人たちの、群像劇である点。

そこに、健常者のニコルソンはんと、悪役ルイーズはんが、絡むとゆう演技構図どす。

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患者たちの話し合いや意見の交換、喋れるけど聾唖者を装う、インディアンの巨人と、ニコルソンのやり取りなど、随所にウーンと唸れる描写が、頻出してまいります。

あんまし目立たへんけど、ダニー・デビートはんや、吃音症のイケメン青年なども、渋かったり目立ったりと、群像劇的なドラマツルギーは、快調やったかと思います。

アップのやり取りで、緊張感をあおる撮り方も、強烈やったし。

でもって、あの悶着のあとの、あの結末。

ドラマ意図的には、やり過ぎかな~ちゅうとこもあるし、なんでやねんとゆう人も、いてはることでおましょう。

ミロス・フォアマン監督的には、「アマデウス」(1984年)と並ぶ2大傑作やけど、どっちも悲劇性の高い作品。

でも、自由への希求を、こういうカタチで描くスゴミは、ボクは賞賛されるべきやろかと思います。

DVD、ブルーレイでも出とるけど、ぜひ映画館で、味わってもらいたい1本でおます。

2014年1月 6日 (月)

「皇帝と公爵」⇒ポルトガル&フランス合作戦争映画

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あまり描かれてへん戦争を描いた1作どす

ナポレオンは出えへんけど、フランスVSポルトガル&イギリス連合軍や~

http://www.alcine-terran.com/koutei

1月11日のサタデーから、アルシネテランはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ ALFAMA FILMS / FRANCE 3 CINEMA 2012

ナポレオン関連の映画だす。

けども、本作にはナポレオン皇帝が出まへん。

そんなアホな~やけど、そんなナポレオンと、好敵手であった、アイルランド貴族のウェリントン将軍(のちに公爵・イギリス首相にも)の、戦争を描いたんが本作でおます。

ちゅうことで、フランスのナポレオンは、マッセナ元帥はんに、ポルトガル征服を命じはります。

ポルトガルはイギリスに支援を求め、ここにウェリントン将軍率いる連合軍ができ、フランス軍と戦争する、っちゅうことに相なります。

いわゆる、皇帝と公爵の、代理戦争みたいなもんどすか。でもしか、歴史的事実をゆうと、4度対決して、ナポレオンは1度も、ウェリントンはんに勝ってはりません。

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19世紀前半に起こった「ブサコの戦い」が、本作で描かれる戦争どす。

ウェリントンに扮する、ジョン・マルコヴィッチはんの手腕に期待なんやけど、実は彼もそんなに、出番はありまへんねん。

また、カトリーヌ・ドヌーヴはんやらの有名な方も、チョイ役みたいなもんどして、メインは、オールスター・キャスティング的な、戦争映画やないんどす。

激しい戦闘シーンもそれほどないし、ほな、一体、何が描かれとんのん? やけど、兵士や庶民たちの、サバイバルチックな群像劇なんどす。

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あまり描かれたことのないっちゅうか、おそらく映画では初めて取り上げられる、実話の戦争やと思うけど、

大げさな戦争アクションよりも、人々の追いつめられゆく姿を描く方が、胸にきよるもんどす。

みんなが逃げていってでんな、フランス軍をポルトガルのある場所におびきよせて、やっつけるちゅう戦略を、ウェリントンはんは取らはるんやけど、

むしろそいつを、緻密に見せても良かったやろうけど、

でも、どこまでも、いろんな人たちの、戦争における人間関係に、こだわった描写をば、やり抜いてはります。

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アップはメッチャ少なく、いろんな方が仰山出てきはるんで、人物関係図を、映画の公式ホームページなんぞで、チェックし整理しとく必要が、あるやもわかりません。

基本はフランス軍、イギリス軍、ポルトガル側とゆう3派やけど、ポルトガル・サイドが最も濃厚な作りになっとるかもしれません。

また、時代感を示すために、映画的照明はあまり入れず、薄色の、ほの暗めの配色。そやから、自然光でのシーンは、映画的に映えとります。

役者の演技を魅せる、1分、2分の長回し撮影も頻出。お色気シーンもケッコーあって、男の方には、別な意味でのお楽しみもありまっせ。

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そして、本格的オーケストラ・サウンドによる、サントラ使いなど、ハリウッド映画チックなとこもあって、ヨーロッパ映画らしい大作感をば示さはります。

ポルトガル映画の娯楽色を、堪能してくだされ。

2014年1月 5日 (日)

「アイドル・イズ・デッド-ノンちゃんのプロパガンダ大戦争-」⇒日曜邦画劇場

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アンチ・アイドル映画の、大奇作の第2弾やで~

「時計じかけのオレンジ」から「仁義なき戦い」まで、パロッてはります

http://www.idolisdead.com

1月11日の土曜日から、SPOTTED PRODUCTIONSはんの配給によりまして、東京・テアトル新宿やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2014『IID2』製作委員会

第1弾「アイドル・イズ・デッド」(part1)が、1月8日にキングレコードはんから、DVD&ブルーレイ発売されますが、

本作を見る前には、ぜひ予習として、見ておいてもらいたいと思とります。でも、本作を見てから、第1弾に戻るとゆう見方も、OKやろかな。

これまで綿々と作られてきた、アイドル映画を、ブラック・ユーモア・ノリの、大げさスタイルで皮肉ってみせはる、アンチ・アイドル映画の大怪作でおます。

こういう映画は、今までにそれほどないかと思います。ゆえに、オリジナル度合いは、高いどすえ~。

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第1弾のストーリーを、ザックリ言いますと、

アイドル3人組を殺してしもた2人が、「モーニング娘。」をパクッて振り付けしたノンちゃんを、仲間に引き入れて、3人の代わりに、ライヴやらに出ようとしはります。

ところがどっこい、殺されたアイドルが、蘇って復讐しようとしたりで、彼女ら3人の行く手には難題が…。

はっきりゆうて、メチャメチャなノリどす。

でもしか、それを最後のライヴ・シーンで、グッとまとめる作りがよろしおま。

でもって、第2弾の本作も、そんなノリをば継承してはります。

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2人が殺人容疑でムショ入りしてしもて、ノンちゃんは今は1人やけど、アイドル養成のための、青空学校をやってはります。

でもしか、2人は電気仕掛けの「時計じかけのオレンジ」(1971年製作・イギリス映画)みたいな療法で、出所し、ノンちゃんと再び、アイドル組を結成しはります。

一方、「エレクトリック★キス」なるアイドル3人組がおって、原発再稼働との絡みで、エレクトリック・ポップを歌ってはります。

そんな2組の、サバイバルチックな争いが、展開するっちゅうカンジなんやけど、いろんなアイドルが、次々に殺されてゆきよります。

「仁義なき戦い」(第1弾は1973年・日本)みたいに、死んだ時は字幕入りで、紹介するとゆうタッチどす。

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「ヘルター・スケルター」(弊ブログ内検索で出ます)とか「ぼくらの七日間戦争」(1988年)とか「HOUSE ハウス」(1977年)とか、

ユニークなアイドル・ノリの邦画は、あるかもしれへんけど、アイドル戦争を、本作みたいなカタチで描くのんは、まあ、ありまへん。

「アイドルは偶像であり、神であり…」とか、「アイドルなんて、命懸けてやる価値ないじゃん」とか「ホントのアイドルを、見せてやる」とかの、

アイドルにこだわったセリフの数々が、とにかく、オモロイどす。

BiSという、現役のアイドル・グループが主演やけど、本作では、ノンちゃん役のヒラノノゾミ(写真1枚目のセンター)と、プー・ルイ(写真4枚目)の2人が参加。

従来のアイドル・イメージとは違うとこを、おぼこく素朴に演じて新鮮どした。

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血しぶきのCG、スローモーション、風の使い方、ピンク色やったりセピアやったりの夕空など、映画的な使い方や映し方を心得てはるんで、

変な話やけど、その変が映画に溶け込むとゆう、絶妙味になっとるかと思います。

3人がクライマックスで、ポップ・ダンス・ミュージックを歌い踊る、長回し撮影部は、特に、ココロにクルことでおましょう。

ちゅうことで、ボク的には、アイドル版「仁義なき戦い」として、楽しませてもらいました。

2014年1月 4日 (土)

「ダラス・バイヤーズクラブ」⇒アカデミー賞有力作品検証3

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「フィラデルフィア」に迫る、エイズ人間ドラマ映画の傑作どす

マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナーのアンサンブル演技が、好感を呼ぶ仕上がりや~

http://www.finefilms.co.jp/dallas

2月22日のサタデーから、ファインフィルムズはんの配給によりまして、東京・新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 Dallas Buyers Club, LLC. All Rights Reserved.

マシュー・マコノヒーやて、みなはん、知ってはるやろか。

ボク的に言いますと、随分ご無沙汰やな~とゆう印象があります。ちょいここで、彼の主演・出演作のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、やってみますと…。

●ベスト⇒①本作②マジック・マイク(2013年・弊ブログ内検索で出ます)③アミスタッド(1997年)

●カルト⇒①評決のとき(1996年)②U-571(2000年)③バーニー/みんなが愛した殺人者(2013年)

●ベスト③やカルト①など、正義の弁護士役を始め、カッコイイヒーローチックなとこが、20世紀の彼の持ち味やったかと思います。

でもしか、21世紀になって、久しぶりにボクらの前に現れた彼は…人間臭い、さらに変格系の渋い演技を、やる人になってはりました。

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弁護士役でも変格系で魅せるカルト③、男ヌード・ダンサー役のベスト②を前触れに、

本作ではエイズに罹った実在の人間を、ヒューマニズムある演技で好演しはりました。

今回のボク的アカデミー賞推理では、主演男優賞は「キャプテン・フィリップス」のトム・ハンクスやと思とるんやけど、好敵手のライバルの出現となるやもしれまへん。

そのトム・ハンクスが主演し、1度目のオスカー主演男優賞をゲットしはった「フィラデルフィア」(1993年)も、エイズ病者役どした。

その時のトムが徐々に顔に斑点ができ、弱々しくなっていったのに対し、こちらのマシューのアニキは、後半の音を失くしてフラフラになるシーンまで、それほどエイズ患者然とした演技はしはりません。

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それよりも、エイズを宣告されたことへの、ショック度合い。

でも、酒とロデオと女に生き、ヤケクソでも人生を謳歌。

で、効かない薬を認定する公的機関に対し、もの申すように、自らエイズ薬を見つけて、売っていこうとしはるんどす。

ヒューマニストなカンジやなく、エイズ患者や医者との関わりの中で、患者の視点から演技していくところに、この主人公演技の妙味があります。

患者としての演技が、ありきたりやとは申しませんが、いずれにせよ、難しい役柄ではありま。

さてはて、昨日・一昨日に分析した「ラッシュ」や「アメリカン・ハッスル」の1970年代とは違い、本作は1980年代の実話でおます。

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1980年代実話ものも、ケッコーあるんやけど、エイズというテーマはよくあるように見えて、そないありまへん。

ほんでもって、マシューを始め、ニューハーフ役のジャレッド・レトのアニキ、女医者役のジェニファー・ガーナーのネーさん。

この3人のアンサンブル演技が、見ていて好感度ある関係性を演じてはります。

ジャレッド・レトのオカマ演技なんて、ハンパやありまへん。その種の演技では、「プリシラ」(1994年)やらも超える演技ぶりどす。

マシューとの友情部では、感動的なシーンも披露しはりますで。

ただ、時代考証で、少しクエスチョンはありました。

1985年当時の東京に、果たしてTSUTAYAはあったんかとか、

エイズで死んだ、ロック・ハドソンについてのセリフとか(一般人設定キャラの発言なんで、わざとしてはるんかもしれんけど)、チョコチョコあるけど、

そんな瑕瑾(かきん・ちょっとしたキズ)に目をつぶっても、お釣りはちゃんとくる仕上げでおます。

ボク的には、3人の演技賞に期待したい作品どした。

2014年1月 3日 (金)

「アメリカン・ハッスル」⇒アカデミー賞有力作品検証2

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演技賞での健闘が見込める、演技陣の凄みに注目どすえ~

1970年代の実話ベースものとしても、トンデモ怪作やも

http://www.american-hustle.jp

1月31日のフライデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013CTMG

今年のアカデミー賞では、演技賞での健闘が見込める作品どす。

本作のデイヴィッド・O・ラッセル監督的にも、過去の作品では、演技賞でのノミニーや受賞が多く、いわゆる監督としての、演技を引き出す演出力の、素晴らしさが特注となっとります。

これぞ監督としての本領発揮やと申せましょうや。

しかも、本作では、演技陣の緻密で絶妙な絡み具合、駆け引きこそが、大いなる見どころとなっとりまして、演技力と演出力が、特に重要なポイントとなっとります。

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1970年代の実話が、ベースになっとります。ちゅうことで、ここで1970年代実話もんアメリカ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、思い付くままにやってみよりますと…。

●ベスト⇒①アルゴ(2012年製作・弊ブログ内検索で出ます)②大統領の陰謀(1976年)③ラッシュ/プライドと友情(昨日分析)③アポロ13(1995年)

●カルト⇒①本作②ニクソン×フロスト(2008年)③ニクソン(1995年)

●妙にウォーターゲート事件とか、その当事者ニクソン大統領ものが多いし、ロン・ハワード監督作品が、半分を占めとるんやけど、ベトナム戦争ものとかもあるように見えますが、ボクは見てまへん。

そんな中で、昨年オスカー作品賞をゲットしたベスト①とか、昨日分析のベスト③、そして本作など、

ここ最近の1970年代の実話もんは、これまであんまし取り上げられなかったとこに、目を付けて作った作品が、ケッコー出てきておます。

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中でも、本作は、最もユニークなとこを描きました。

サギ師の男女コンビと協力して警察側が、政治家絡みの汚職を摘発するために、いわゆる潜入捜査をするとゆう、トンデモ実話を、役者陣のトンデモ演技ぶりで、魅せるとゆう作品になっとります。

別に1970年代でなくとも通じる、面白さとゆう点でも、本作は特注でおます。

ほんで、こういう話とゆうのは、有名な実話事件に縛られることなく、多彩なバージョンで応用できるとゆう、特異点があります。

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オーソドックスなマフィア捜査の「フェイク」(1997年)や、潜入組が入れ替わる「インファナル・アフェア」(2002年・香港)とは、また違う、潜入捜査ものの新味が、シリアス系のコメディ・ノリで展開しよります。

笑えるシーンやセリフが頻出しますが、あくまでホーっと、うなれるような笑いどす。

コンゲーム・ノリとしては、2人組の「スティング」(1973年)にも迫る出来とも取れますし、コーエン兄弟監督の「バーン・アフター・リーディング」(2009年)チックな、人間関係でのサプライズなとこもありますで。

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5人の役者の絡み具合は、とにかくうなるとこ多しどす。

男女サギ師コンビ(クリスチャン・ベイル&エイミー・アダムス)、FBI捜査官(ブラッドリー・クーパー)、

ベイルの妻役、ジェニファー・ローレンス(監督の前作「世界にひとつのプレイブック」でアカデミー賞主演女優賞ゲット)、汚職市長役ジェレミー・レナー。

いろんなシチュエートで絡む演技ぶりの、名シークエンスのベストテンを、出せるくらいイロイロあるけど、ボク的に一番やったんを言いますと…。

愛人エイミーと本妻ジェニファーの、トイレットでの凄まじい口論シーンどす。

無理矢理キスするシーンでシメる、このシーンは、本編の筋とはあんまし関係ないけど、これまでの映画にはなかった特注シーンどした。

ほかにも、演技陣たちの特注絡み具合は、いっぱいあるんで、ご堪能くだされまし。

2014年1月 2日 (木)

「ラッシュ/プライドと友情」⇒アカデミー賞有力作品検証1

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本格カー・レース映画の、かつてない傑作どす

友情映画としての魅せ方も、かつてない仕上がりや~

http://rush.gaga.ne.jp

フェブラリー2月7日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマなど、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 RUSH FILMS LIMITED/EGOLITOSSELL FILM AND ACTION IMAGE. ALL RIGHTS RESERVED.

ボクが先行して見てる作品では、「ゼロ・グラビティ」(弊ブログ内検索と、映画の公式ホームページからでも出ます)がアカデミー賞作品賞と主演女優賞(サンドラ・ブロック)やらが、

ほんで「キャプテン・フィリップス」(弊ブログ内検索)が主演男優賞(トム・ハンクス)やらが有力やと見ておます。

そやから、それらとの比較において、どうなんかを見ていくようなことに相なりますが、それは本作を分析したあとに、検証さしてもらいます。

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さてはて、本作はかつてない本格的なカー・レース映画にして、1970年代の実話もの、好敵手=ライバル的な友情ものやらの、映画史的な流れで分析できるんやけど、

1970年代ものは、明日分析の「アメリカン・ハッスル」でやりまんので、ここでは、それ以外の2つを見てゆきます。

まずは、カー・レース映画。

マイ・ベスト&カルト・スリーを披露しようにも、これぞダントツのベストな仕上げなんで、もはややる意味がありまへん。

カルトは「ワイルド・スピード」シリーズ(第1弾は2001年製作・アメリカ映画)とか「トランザム7000」シリーズ(第1弾は1977年・アメリカ)、トム・クルーズ主演「デイズ・オブ・サンダー」(1990年・アメリカ)とか、イロイロあるけど、

積極的にベストにしようとは、ちょっと思われへん。

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ベストに入れるなら、「グラン・プリ」(1966年・アメリカ)やら「栄光への5,000キロ」(1969年・日本)やらアニメ「カーズ」(2006年・アメリカ)かなと思うけど、

どれも本作と比べると、映画的にも人間ドラマ的にも、大きな差があって、釣り合いが取れまへん。

ちゅうことで、本作は映画史において、カー・レース映画の、最高傑作やと断定いたします。

何より、実話ベースだけに、リアリティーがバチバチなんがスゴイどす。

そのリアル感を出すために、レース・シーンでは、人物やそれ以外のアップ・シーンと、

この種の映画では珍しいロー・アングルなど、多彩な角度からの撮影シーンを束ねて、独特な臨場感描写を示さはります。

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タイトルにも入っとる友情節について言いますと、はっきりゆうて、これまで見てきた男と男の、ベタで感動的な友情名作ものとは、趣きを異にしておます。

ほな、スポーツ選手の友情節かと思えば、でも、ライバル同士でも、本作はビミョーに違うわ。

フツーの友情やないとゆうか、ネタバレせんようにゆうと、そのあたりが本作の、オリジナル・ポイントなんかもしれまへん。

2人(ジェームス・ハントとニキ・ラウダ)のうち、今も1人(ラウダ)が生きていて、彼の助言もあって、ライバル同士の友情節において、新しいところが渋く描かれとります。

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そんな2人に、「アベンジャーズ」(2012年・アメリカ)のクリス・ヘムズワースと、ドイツの売れっ子俳優、ダニエル・ブリュールが演じてはります。

強いてゆうたら、動のクリス・静のダニエルちゅーカンジやけど、

1976年の出来事を冒頭に少し描いて、本編半ばで戻るとゆうドラマティックで、野心的な構成の中で映えるのは、どちらかとゆうたら、ダニエルのアニキの方どすやろか。

2度も男優賞を獲ってる、トム・ハンクスやけど、対等に戦えるとこがあるやもしれまへん。ただ、アメリカ俳優やないとこが、少し気になるけども…。

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「ビューティフル・マインド」(2001年・アメリカ)で、既にアカデミー作品賞をゲットしてはる、ロン・ハワード監督作品どす。

その作品と比較してみると、夫婦映画の新境地を描いたそれに続き、本作は友情映画の新境地やもしれまへん。

でもしか、「ゼロ・グラビティ」と、比べてはどうやろか。ボク的には、1、2点くらい低いかも。

でも、それ以外の監督賞や、構成の上手さにおける脚本賞などは、期待できる仕上げになっとると思います。

2014年1月 1日 (水)

韓国映画「7番房の奇跡」⇒ムショもの映画の快作

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脱獄ものやなく、トンデモないものを獄に入れる、アリエネー系のドラマ映画や~

朴訥なリュ・スンリョン、シリアスなパク・シネ、かわいい子役と、3拍子が揃って…

http://www.7banbou.com

1月25日のサタデーから、コムストック・グループはんの配給によりまして、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、2月1日から、梅田ガーデンシネマ、シネマート心斎橋、109シネマズHAT神戸で、2月8日から、T・ジョイ京都やらで公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 NEXT ENTERTAINMENT WORLD Inc. & FINEWORKS Co., Ltd. All Rights Reserved.

刑務所ものと裁判ものが融合し、さらに親子(父と幼い娘)のキズナや人情節が織り込まれた、韓国映画の新しどころでおます。

ちゅうことで、多彩な視点で分析できるんやけど、取りあえず、脱獄ものやない刑務所ドラマの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①ショーシャンクの空に(1994年製作・アメリカ映画)②刑務所の中(2002年・日本)③グリーンマイル(1999年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②塀の中の懲りない面々(1987年・日本)③私たちの幸せな時間(2007年・韓国)

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●従来は、刑務所ものと言えば、脱獄ものが主流どして、本作のように、刑務所生活を前向きに描くような映画は、そないなかったかと思います。

刑務所はあくまで、刑に服する懺悔の場。決して明るくポジティブであったら、割りに合いまへん。

ところがどっこい、本作の場合は、妙に明るい刑務所生活が描かれておます。

むしろ塀の外の方が、暗い描写をするとゆう、かつてない作りでいってはります。

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何しろ、オトンと幼い娘はんの2人家族やのに、オトンが冤罪で刑に服してまい、娘っ子1人では、生活でけへんしで、どもなりまへん。

そこで、一計が案じられよります。

何と娘を慰問ショーに参加さして、そのスキを突いてでんな、オトンのいるチーム7番房へ、娘を段ボールに入れて運んで連れてきて、何とまあ~、受刑仲間と一緒に生活するやなんて…。

現実的にもあり得ない設定を、涼しげにやってくれはるこの映画は、リアリティーがどうのなんてゆわれたら、どおショーもないけれど、

個人的には、メッチャステキで、楽しい映画になっとりました。

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父娘のキズナの、後半につれ、大上段に構えるように展開する、ナニワ節的に泣けるドラマティック。

ほんでもって、オトンの冤罪を晴らそうかとゆう、シリアス・モードバチバチの裁判劇が、冒頭と結末部をつないで描かれてまいります。

ムショものを大いに逸脱し、ある種荒唐無稽なとこがありながら、本作が忘れがたい仕上がりになっているのは、もちろん、役者陣の感動的な演技ぶりどす。

「アイ・アム・サム」(2001年・アメリカ)のショーン・ペンのような、知的障害を持ったオトン役に、リュ・スンリョンのアニキが扮しはりました。

「神弓 KAMIYUMI」(2011年・韓国・弊ブログ内検索で出ます)など、正攻法のアクション演技に対し、本作は複雑系の役柄ながら、目いっぱいの渾身さで、演じ切ってはります。

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そして、娘役・子役のカル・ソウォンちゃん。「冬の小鳥」(2009年・フランス&韓国)や「アジョシ」(2011年・韓国)の名子役、キム・セロンちゃんに迫る演技ぶりや。

しかも、理屈っぽいセロンちゃんより、より子役にふさわしい、甘えたでカワイソーな演技ぶり。「セーラームーン」にこだわるとこも、かわいいやろかと思います。ちゅうことで、子役も1本筋やありまへんで~。

さらに、スンリョンを弁護する、弁護士役のパク・シネちゃん。テレビドラマ「美男ですね」の、コメディエンヌぶりとは、真逆のシリアス演技が、好感度をさらに高めましたやろか。

韓国映画の新展開を示す快作どした。

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