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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2013年10月の記事

2013年10月31日 (木)

フランス映画「ヴァン・ゴッホ」⇒モーリス・ピアラ監督の名作

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あの洋画アーティスト、ゴッホの最期の37歳を描くの巻どす

1991年製作のフレンチ映画の、3つ星が日本初上陸やで~

http://www.zaziefilms.com/pialat

東京では11月2日のサタデーから、ザジフィルムズはんの配給によりまして、シアター・イメージフォーラムで公開。

大阪では、11月23日の勤労感謝の日から、第七藝術劇場で、全国順次ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ1991 GAUMONT

アーティスト(芸術家)てゆうたら、今どきはポップ・ミュージシャンを思い出すし、洋画てゆうたら、絵画やなくて外国映画を思い出しますわな、たぶん。

そういう由縁からやないけども、なんでか絵画芸術家の実話映画とゆうのんが少なく、そのためかは知りまへんけども、洋画では傑作もあんましない。

でもしか、そういう絵画関連もので、実話ものを中心に、強引にマイ・ベスト&カルト・スリーをばやってみました。

1
●ベスト⇒①本作②ピロスマニ(1969年製作・ソ連映画)③写楽(1994年・日本)

●カルト⇒①ミステリアス ピカソ・天才の秘密(1956年・フランス)②葡萄酒色の人生 ロートレック(1998年・フランス&スペイン)③北斎漫画(1981年・日本)

●ベスト③などは、フィクション部が大半やけど、やはり画家の人間ドラマとなればでんな、ドキュメンタリーのカルト①などを除き、

恋愛部やら家族部やら孤独部などの、プライベーツがポイントとなるでおましょう。

2
孤独部に焦点を当てて、シブミを出したベスト②は、この種の映画の白眉どしたが、それを凌駕する勢いのある映画が本作でおます。

しかも、恋愛、家族、孤独の3要素を過不足なく描いた上に、対象に対して感傷的に入り込まない、突き放した描き方や。

ベスト②やカルト②③のように、ポピュラリズムやドラマティークを意識して、妙に観客にコビたりするような、作りはしてはらしまへん。とことんドライにしてクールどす。

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さてはて、ストーリー的には、本作は37歳で拳銃自殺をした画家ゴッホの、最後の2カ月を描いておます。

娼婦とのエッチがたたってか、性病にも罹ってはったらしいゴッホはんやけど、ある種の精神病(うつ病か)を患わはって、花のパリから田舎へ引きこもらはります。

安宿に泊まって、地元の医者に診てもらうけど、病気は特定されまへん。

一方で、絵を描き続けて、そうした絵を画商の弟はんが売ってくれるんやけど…。

そのうち、医者の娘との間に、娘からのアプローチで、恋らしきものが芽生えて…。

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はっきりゆうて、描き方は地味どす。

芸術家の一生を大河的に描かず、数カ月に集中した描き込みなら、もっと逼迫したせわしない作りになるはずやけど、そういうとこもない。

いわゆる絵画を描く過程を描くかのように、淡々と静かに物語は進行してまいります。

恋愛部も、もっと派手にやってもよかったんやけど、分かりやすいアップのやり取りや、ベッド・イン・シーンもあるけど、ベタに描き込むちゅうとこまではいきません。

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1~2分の長回し撮影、ピアノ・サントラや風などの効果音、ダンス・シーンやらが、効果的に使われているかどうかは別にして、全体を見通してココロに残るのは、画家的な孤独どした。

それでも、ラストシーンの心温まるエピソードは、モロにココロにきよります。本格的なオーケストラ・サウンドでシメはる作りも、深みを増してきよるんどす。

「ピロスマニ」の孤独とは、また違った描き方。

地味かもしれへんけど、あとあとでゆっくり染み入るように、ココロに残る何かがある映画どした。

2013年10月30日 (水)

「マラヴィータ」⇒リュック・ベッソン監督の新作

Photo
マフィア・ファミリーを描いた、トンデル感がオモロ過ぎやん

夫妻役でロバート・デ・ニーロ&ミシェル・ファイファーが初共演や~

http://www.malavita.jp

11月15日のフライデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショー。

「PG12」の本作は、アメリカ・フランス合作映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸEUROPACORP. TF1 FILMS PRODUCTION - GRIVE PRODUCTIONS  Photo:Jessica Forde

フランス映画界で、最もハリウッド映画志向の強い監督、リュック・ベッソンはんの新作でおます。

ヨーロッパコープちゅう映画製作会社まで作って、ハリウッドに真っ向勝負をば挑んではります。

でもって、本作は、ハリウッドの裏ワザ伝統芸でもある、マフィア映画どす。

まあ、往年のギャング映画が進化して、マフィア関連に特化したんが、ハリウッド映画界での大まかな流れなんやけど、

ギャングもんがマフィアへと特化したんは、言わずと知れた「ゴッド・ファーザー」(1972年製作・アメリカ映画)からでおます。

ほんでもって、本作は、そのマフィア映画のファミリーっちゅうか、義理・任侠やないとこの、モノホンの家族ドラマを、

余裕シャクシャクの、ややコミカル入りの逼迫系で、描くナンチュー、トンデモないことをヤラかさはりました。

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ちゅうことで、ここで、チョイ一服してでんな、その種の映画のマイ・ベスト&カルト・スリーを披露いたしますと…。

●ベスト⇒①ゴッド・ファーザー②ゴッド・ファーザーPARTⅡ(1974年・アメリカ)③グッドフェローズ(1990年・アメリカ)③ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②カジノ(1995年・アメリカ)③ミラーズ・クロッシング(1990年・アメリカ)③スカーフェイス(1983年・アメリカ)

●ギャングものまで広げますと、モノゴッツーなタイトル数になるし、収拾がつかんようになりそうやけど、選んだ中には、マフィアもんやないもんもあります。

でもって、本作の主演でもあるロバート・デ・ニーロはんが、いかにマフィア映えする役をば、やってきはったんか~でおます。

ベスト②、③(2作共)、カルト②などと、ケッコーなもんでおます。

そして、主演した本作では、FBIが重要証人を保護するとゆうプログラム下で、公式逃亡する家族ものとゆう、特殊な映画に出はりました。

2
要するに、デ・ニーロはんは、マフィアの不正を暴露してもうて、ほんで、マフィアから、裏切り者やちゅうて、追われる身になったとゆうことなんやけど、

でもしか、それを守る合衆国の法律ちゅうもんがあり、デ・ニーロはん一家(写真1&2&4枚目)は、FBIの保護の元、逃げ隠れしてはって、今は、南フランスのノルマンディーにいてはります。

そんな設定で、物語は進行するんやけど、見ていていろんなクエスチョンが生じるやも分かりまへん。

ちゅうのは、両親息子娘の4人家族が、メッチャ目立つ犯罪やら、イロイロやってんのに、いっさいおトガめなしやなんて、気分次第のやりたい放題系が、顔をのぞかせはります。

ある程度のリアリティーは必要やろけど、一部限界を超えてるとこは、まあ、大目に見たっても、ええんかもしれまへんけどな。

杓子定規(シャクシジョウギ)やなく、フィクションなとこも残しとかんと、そらねえ~…、オモロないわな~。

ただ、ベスト③の引用シーンなんか、知らん人には、ハテナ・マークが入るやもしれまへん。

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デ・ニーロの人を殺しながらも、自分はいい人だと思えるところをベストテンで披露したり、刑事役の似合う、ぶっきら棒節のトミー・リー・ジョーンズはん。

フケタかもしれへんけど、必死のパッチ演技をやらはる、ミシェル・ファイファーのネーさん。

そんなベテラン陣に交じって、娘役ディアナ・アグロンちゃんや、息子役ジョン・ディレオ君が、それまでに銃をさわったこともないハズやのに、見事なミラクル・アクトを魅せてくれはります。

学園ドラマ・サイドと、家族ドラマ・サイドの融合ぶりも、強引かもしれへんけど、楽しめる作りになっとりました。

決してケッサクやないけど、ボクの大好きな家族犯罪映画「ファミリービジネス」(1989年・アメリカ)の、キズナ的なセンスも感じて、好感を覚えましたがな。

理屈抜きに楽しめるっちゅうか、理屈みたいヘッタクレやんけ~な、オモロイ映画なんどっせ~。

2013年10月29日 (火)

女は強い!「サプライズ」⇒アメリカ映画の今4

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家族を襲う、日常型サバイバル映画の、究極のカタチどす

「エイリアン」を持ち出すまでもなく、ヤッパ女は強うおまっせ

http://surprise.asmik-ace.co.jp

11月14日の木曜日から、アスミック・エースはんの配給によりまして、全国ロードショーどす。

本作は「R-15+」指定映画どす。あ~オトロシイ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 SNOOT ENTERTAINMENT, LLC.

本作はアメリカのチョー大手の、ハリウッド映画作品やありまへん。インディペンデント映画の方どす。

ところがどっこい、アメリカのこおゆうマイナー系の映画には時々、大化けしよるもんが混ざっておます。ほんでもって、低予算の日常的なものを描きながらも、グググイッとくるもんがあります。

年老いたオトン・オカンに加え、そのコドモたちの家族を含めた10人が、両親の結婚35周年を祝うために、田舎の別荘に集うとゆうイントロでおます。

でもしか、そんな室内にいてる10人の1人1人が、外部からの攻撃によって、無情にも殺されてゆくとゆうお話でおまして、いわゆるサバイバルチックな映画でおます。

1
家の内と外の攻防で展開するドラマながら、あくまで家庭とゆう日常生活レベルラインでの攻防でおまして、こおゆう映画は、より身につまされるカンジどして、怖さは強烈やと思います。

夫妻の家へ、集団暴動系が襲いかかる「わらの犬」(1971年・アメリカ)とかの怖さに加え、「不法侵入」(1992年・アメリカ)などは、少しゆるいカンジやったけど、

ある種戦争まがいのサバイバル・シーンが、繰り広げられますねんで。あ~コワ! ですわ。

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犯人側は写真にもあります通り、動物のカブリ顔で犯行をしよります。「JUDGE」(10月25日付けで分析済み)もカブリもんがあったけど、こちらは加害者側。

どないな意味があるんか、それともないんかは別にして、不安感と恐怖感やらをあおってきはります。

ヒッチコック監督「サイコ」(1960年)のシャワー感やら、斧で暴れる「シャイニング」(1980年)とか、デ・パルマ監督の「ボディ・ダブル」(1984年)に出てはった女優はんのオカン役とか、イロイロ怖さをそそるシーンが満載どした。

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それにしても、女はサバイバル映画では、なんでかメッチャ強いを、実感した映画でもありました。

敵をやっつけて(やっつけんでもええけど)、生き残ってゆく映画とゆうのんは、今やオーソドックス・ラインかもしれへんけど、

チョイとお遊びでヒネって、その種の映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをばやってみますと…。

いっぱいあり過ぎるんで、みなさんなりに考えてみておくんなまし。

●ベスト⇒①エイリアン(1979年・アメリカ)②タイタニック(1997年・アメリカ)③ニキータ(1990年・フランス)

●カルト⇒①本作②ウィークエンド/デッドエンド・ホリデイ(1976年・カナダ)③パニック・ルーム(2002年・アメリカ)

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無名に近い本作のヒロイン役、シャーニ・ヴィンソンちゃんは、カルト②のブレンダ・バッカロの応戦防御ぶりを、完璧に超越してはりました。

手持ちカメラによるグラグラなカンジ、ドワイト・トゥイリー・バンドの、モダン・ポップなナンバーのノリの良さで示す、ミスマッチな怖さなど、細部の作りにも、恐怖感が仕込まれとるんやな。

動機が単純かもしれへんけど、銃撃戦を極力排した作りに、そそられました。ボウガンって、意外とオトロシイんやなー、なんて思いましたでー。

2013年10月28日 (月)

リメイク版「キャリー」⇒アメリカ映画の今3

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スティーヴン・キング原作&ブライアン・デ・パルマ監督の、アノ作品がリメイクされてしもた!

主演のクロエ・グレース・モレッツちゃん、どないでしょうかね~

http://www.carrie-movie.jp

11月8日のフライデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ネタ切れが言われてから久しい、ハリウッド映画なんやけど、そやからとゆうて、温故知新やないやろけど、

過去の作品のリメイクは、他国の作品を含めて、恒常的に行われとります。

1970年代のアメリカ映画リメイク作の、マイ・ベスト&カルトは、「華麗なるギャツビー」(弊ブログ内検索で出ます)のとこで披露してしもたんで、

ここでは、ホラー映画のリメイク作の、ベスト&カルトをやります。

けども、オリジナルを超えたホラー作は、ボク的ジャッジでは今のところ皆無なんで、申し訳ないけど、カルト・ファイブで披露さしてもらいます。

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●カルト⇒①本作②ザ・リング(2002年・アメリカ)③テキサス・チェーンソー(2003年・アメリカ)④エルム街の悪夢(弊ブログ内検索)⑤THE JUON/呪怨(2004年・アメリカ)

●オリジナルとタイトルの違う作品もあるけども、検索で出ますんで、それはええとしまして、

オリジナルが1970年代作なのは、①と③どすが、この70年代はアメリカのホラー映画の成熟期であり、この時期のマイ・ベスト&カルト・スリーも、ついでにやってみますと…。

●ベスト⇒①エクソシスト(1973年・アメリカ)②キャリー(1976年・アメリカ・弊ブログ内検索)③悪魔のいけにえ(1974年・アメリカ)

●カルト⇒①サスペリア(1977年・イタリア)②オーメン(1976年・アメリカ)③悪魔の棲む家(1979年・アメリカ)

●本作のオリジン作はモチ、ベストに入ります。

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悪魔が主流のアメリカン・ホラーの中でも、あくまで悪魔やないとこで、勝負しはった本作のオリジナル。

まあ、超能力的特殊能力やろか。手の動きや叫びだけで、物をぶっ壊すチューカンジどして、これで火災も起こせるんどすわ。アラマ、怖いわ。

いじめの問題が取り上げとりまして、オリジナル共にエグイけど、本作の方がもっとベタで、エグサ度は高(たこ)うおます。

初潮シーンで、みんながよってたかってなとこで、叫びまくるキャリーちゃんは、インパクト大や。

1
オカンと娘はんのやり取りのテンションも、カメラの寄りなどで緊張感がありま。

オカン役のジュリアン・ムーアが、ベテランはんなだけに、ビミョーな狂いの演技は、お手のもんどす。

でもしか、クロエ・グレース・モレッツちゃんは、どないやろか。

ちょっと危ないわ~な、壊れやすいカンジどしてな、アイドル・ノリもないとはいえへんけど、いじめの対象になってもうて、わめいたり悲しんだりと、イロイロやってはるんやけど…。

オリジナルのシシー・スペイセクと比べると、ワザトラなとこもないとは言えへんけども、

でも、弱々しさとオトロシサの段差は、それなりに付けてはったやろか。

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女性監督キンバリー・ピアース監督による、ヒロイン映画やけど、彼女の出世作「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年・アメリカ)の、衝撃のキモ・イジメ具合が、本作でも威力を発揮しておました。

オリジナルと違い、スロー・モーション使いも控えめやし、サプライズの衝撃度合いもオトナしめ、手練れていないCG・VFX使いなども含めて、オリジナルを超えたとは言えないんやけど、

女性的観点が入って、ただ怖いだけの、ホラー映画とは違う感触がありました。

特異で不幸なヒロイン映画として見れば、ココロにクルかもしれまへん。

2013年10月27日 (日)

「ジ、エクストリーム、スキヤキ」⇒週末日本映画劇場3

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窪塚洋介と井浦新が「ピンポン」以来、映画で再会を果たすの巻

現代の「勝手にしやがれ」は、とことんファジーに展開

http://ex-sukiyaki.com

11月23日の「勤労感謝の日」から、スールキートスの配給によりまして、東京・テアトル新宿、大阪・テアトル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで全国ロードショー

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

■本作批評は、いつもの関西弁ではなく、標準語バージョンです。

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Ⓒ2013「ジ、エクストリーム、スキヤキ」製作委員会

表層的に、ファジー(あいまい)に、アドリブ的に、何げに、さりげなく、何となく、映画を作ってみましたというカンジが、最初から最後まで一貫してる、実験的とも言える、浮遊感あふれる映画である。

だから、論理的な展開とか、まともな会話とか、具体的な動機づけとかは、ほとんどなし。

映画の流れに身を任せていたら、なんじゃこらーと、怒りを覚える人もいてるかもしれない。ふざけ過ぎなんじゃないかとか、きちんと決着付けろよとか、イロイロ文句はあるかもしれないけど、

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実は、こういうファジーな映画とゆうのは、わざと意図的に、やっているところが大であり、

それによって何かを示すとか、何かを訴えるというような映画ではないのである。

井浦新が自殺しそこねて、どういうわけか、かつて大学時代に、ある共通の友達との絡みで、仲違いした男(今やアニキの窪塚洋介クン)に、15年ぶりに会いに行くのである。

理由なんてない。というか、説明されない。嫌々ながらも、これをナアナアで受け入れた窪塚クンは、寄ってくる井浦のアニキに付き合うのだけど、首をひねりたくなる人は何人もいるだろうな。

ちなみに、井浦と窪塚の共演も、卓球スポ根青春映画「ピンポン」(2002年製作・日本映画)以来、15年ぶりだ。

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でもって、映画の後半では、窪塚の彼女(倉科カナのネーさん)や、2人の大学時代の女友達(市川実日子ネーさん)の4人で、ブーメランを飛ばしに、海にでも行くかと、相なります。

このロードムービー部も、とことんいい加減。まあ、気の向くままの旅と言えばそうなのだが、ストーリーの面白さを映画に求める方には、不向きな映画かもしれないな。

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もちろん、本作はストーリー・テリングを売りにした、娯楽作ではない。

そして、日常会話としては、とてもじゃないけど機能しない、フツーじゃないセリフが頻出する。

例えば、市川実日子ネーが言う「未来なんて真っ暗でしょ。まだないんだから」とか、

「ジュラ紀(で止まっているの)を変えなきゃ」とか、確かにスーッと頭の中には入ってくるんだけど、ヤッパ、変だよね。

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でもしか、それらが妙チキリンなくらいに、クセになってしまう映画なんだよな~、これが。

井浦新は自殺しようとするくらい、死んでもいいわけだから、なんでもヤケクソにバカやっちゃえるわけで、そのあたりのノリが、

他の3人に伝播していって、みんなでダラダラタラタラしようぜ~な、雰囲気になっていくってことなんでしょうかね。

でも、その流れは決して不快ではない。いや、むしろ爽快にして、癒やしさえあるかもしれない。

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見出しにも書いた「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)と比較すると、その心理的逼迫度の段差はあるけど、気持ちが向いてるところは、一緒だとボクは思う。

むしろ、そんなヤケクソで、どうでもいい感を、本作のようなカンジで描かれると、ウーン、これが今風の「勝手にしやがれ」なんだな~と、思ってしまうんだよな~。

フツーのサントラ流しではなく、主人公たちが聴いてる設定で流れる、16ビート・ナンバーやスロー・ナンバーなど、ムーンライダースのヒネリ系ポップスもまた、このストーリーやキャラたちに、ピッタリとマッチングしていた。

2013年10月26日 (土)

「ペコロスの母に会いに行く」⇒週末日本映画劇場2

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森崎東監督作の人情喜劇で、89歳赤木春恵が映画初主演

インディペンデントな長崎ロケ映画で、家族の絆はメッチャ強い

http://www.pecoross.jp

11月9日の土曜日から、東風の配給によりまして、長崎先行公開。11月16日から、梅田ガーデンシネマ、シネマート心斎橋、京都シネマやらで、全国順次のロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

◇本作は標準語バージョンです。

Ⓒ2013「ペコロスの母に会いに行く」製作委員会

若い映画ファン向けに、まず森崎東監督について言うと、松竹系の喜劇で監督キャリアを始めている。

しかも、山田洋次監督印の「男はつらいよ」だが、その公式シリーズの第3弾「男はつらいよ・フーテンの寅」(1970年製作)ではメガホンを執り、本作のような地方ロケの妙味を示した。

原発被爆者を登場させる「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」(1983年)は、彼の最高傑作だと思うが、

もちろん長崎ロケの本作でも、ワンカットのCGながら、長崎原爆投下シーンも衝撃的に映されている。

それでも、本作の作りはあくまで喜劇である。

しかも、人情喜劇であり、登場人物たちがホンネで渡り合い、そしてキズナを結んでゆくとゆう森崎節が、遺憾なく発揮された。

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でもって、本作は、アルツハイマーの母親と介護する息子(ペコロス=小さなタマネギと自称)に加え、孫まで含めた3代の、キズナが紡がれるのだけど、

メインは、老女ヒロインものとして捉えられるだろう。

母の暗い過去も描かれるものの、暗みに偏した感じではなく、奇妙にも軽みの味がある。

そんなヒロインに扮した赤木春恵。テレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のロングヒットで、ある意味で、国民的人気女優とも言えるのだが、もともとの彼女のキャリアは、映画界から始まっている。

しかも、これまでに映画主演作はなく、本作が89歳にして初の映画主演となるのだ。

高齢初主演女優のギネス記録を持つ菅井きんの記録を、打ち破る快挙なのだが、ギネスに申請するのかどうか。

まあ、それはともかく、いかにもな認知症役も、凄く自然に見えて、実に巧くてシブミ満点の演技ぶり。「くじけないで」(弊ブログ内検索で出ます)の八千草薫と、甲乙付けがたい。

他の役者陣では、ハゲ3トリオとなる、息子役・岩松了に加え、竹中直人、温水洋一のアンサンブルも笑える。

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森崎監督や岩松了と同じく、ロケ地長崎出身の原田貴和子と原田知世の、「私をスキーに連れてって」(1987年)以来となる姉妹共演。共に快演技。

赤木が思い出す昭和の過去シーンで、神経症の夫を演じる加瀬亮も怪演技だ。

さて、本作はマンガ原作映画である。原作者の実話がベースとなっている。今どきのコミック原作ものとは違い、古っぽく見えても、ほのぼのとした作りで統一されている。

冒頭では、手書きの水彩スケッチのタッチのアニメで、母子の関係が示されて、映画の世界へ入りやすい。

坂の多い長崎のロングショットも、多数盛り込まれて、かつての長崎ロケ映画でも地元密着性は、「長崎 爆心の空」(弊ブログ内検索)と同じくらい濃い作りだ。

そして、サントラ部。最後に流れる一青窈(ひとと・よう)の和風ポップスの主題歌に加え、本格オーケストラや「おくりびと」(2009年)なチェロなども流れて、癒やしの空間をクリエイトする。

アルツハイマー入りマイ・ベスト・スリー邦画として、本作は、「恍惚の人」(1973年)、「明日の記憶」(2006年)と並ぶ傑作となった。

2013年10月25日 (金)

「JUDGE/ジャッジ」⇒週末日本映画劇場1

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特殊シチュエーション系+ゲーム系+サバイバル系+室内劇サスペンスなど…

シンプルな設定の中に、多彩な要素を盛り付けた作品だ~

http://judge-seyo.com

霜月11月8日のフライデーから、東宝映像事業部の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

※本作の批評は標準語バージョンです

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Ⓒ2013「JUDGE」製作委員会

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“ソリッド・シチュエーション・スリラー”なる言葉が出回り始めたのは、

「SAW」(第1弾は2004年製作・アメリカ映画)とゆう映画からですが、実はそれまでにも、そういうタイプの映画はいっぱいありました。

見出しに掲げました要素が、入ったような映画なんですが、その種の映画のマイ・ベスト&カルト・ファイブを申し述べますと…。

ちなみに、カルトは都合により、順不同といたします。

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●ベスト⇒①バトル・ロワイアル(2000年・日本)②十二人の怒れる男(1957年・アメリカ)③そして誰もいなくなった(1945年・アメリカ)④SAWシリーズ(2004年~2010年・アメリカ)

⑤狼たちの午後(1975年・アメリカ)⑤必死の逃亡者(1955年・アメリカ)⑤レザボア・ドッグス(1991年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②CUBE(1997年・カナダ)③インシテミル④カイジ⑤ライアーゲーム(③~⑤は弊ブログ内検索で出ます)

●一部の作品には、ゲーム系や室内劇系の要素が入ってませんが、

ベスト②の裁判劇や、調子に乗って3作も挙げちゃったベスト⑤の、銀行強盗系や逃亡中に室内閉じこもり系は、ゲームものとして打ち出しても、OKなとこがありますし、

また、ベスト①③は室内劇ではないけれど、島ものとゆう、ある限られた範囲内での話という点では、室内劇と相通じるものがあります。

3
そして、ベスト①や本作を始めとした、ベスト④前後や以降に出たカルト作品のルーツ作は、ベスト③だと思います。

さらに、それらの諸作は、ほとんど全てが、特殊設定とゲーム系を強調した仕上げとなっています。

時に、最後まで意味不明の設定でいく作品もあり、リアリティーの問題が指摘されたりするのですが、

ベスト①の登場以降、ゲーム感覚のルールを掲げることにより、リアル感のなさは解消されてきました。

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さて、本作のことです。

拉致されて手錠で拘束され、部屋に閉じ込められた7人の、サバイバル劇ですが、

各人は重軽に関わらず悪いことをやった人たちで、7人がそれぞれ、テーブル備え付けのプラズマ画面の選択式でジャッジし、そのつど一番悪いと判定された者が、殺されるとゆうことになっています。

各人の体に毒液が仕込まれていて、拉致した側の操作で毒が注入されて、死に至るとゆうことになっているのですが、

いずれにせよ、リアル感はなくとも、ゲーム的ルール設定で面白く見せてくれます。

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ということで、本作は、カルト作品の中でも、ベスト②の裁判ジャッジ系を、取り入れた点が新しいでしょう。

そして7人とゆうスタイルは、黒澤明監督の「七人の侍」(1954年・日本)をルーツに、ドラマ映えする人数設定です。

まあ、キリストの7つの大罪もポイントにあり、全員が最初は、動物の“かぶりもの”を被っているとこも新味か。

後日分析予定の「サプライズ」(2013年・アメリカ)なども、“かぶりもの”を象徴的に、本編に取り込んでいました。

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監視ビデオ視点による、ザラついた感覚で終始画面を統一しています。

ドキュメンタリー・タッチとも言えるこの手法もまた、リアル感のなさをチャラにしてくれているのでは…。

横倒しカット、下から視点、ユガミやブレ、黒じゃなく画面が白くなるホワイトアウトなど、観客に不安感を植え付けてまいります。

でもって、写真の3人へとフォーカスされます。

瀬戸康史(せと・こうじ=写真4枚目)クン、有村架純(ありむら・かすみ=写真3枚目)チャン、佐藤二朗(写真5枚目)アニキ。

それぞれの逼迫演技がサスペンスを増し、そして、どんでん返しへ。

サバイバル映画に新鮮味を施した、このサプライズに、驚いてください。

2013年10月24日 (木)

「スティーブ・ジョブズ」⇒アメリカ映画の今2

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企業人間ドラマ・実話伝記系ドラマの最新バージョンどす

アシュトン・カッチャーのアニキの最高傑作やー

http://jobs.gaga.ne.jp

11月1日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013 The Jobs Film.LLC.

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社長はんから平社員まで、企業の人間ドラマ映画とゆうのんは、骨太で見ごたえ充分なハズなんやけど…。と思いつつもウーンどす。

ほんで、実話系となると、結構ありそうでいて、そうないんどすわ、これが。

ボクもそれなりに見てるんやけど、自動車業界の「タッカー」(1988年製作・アメリカ映画)とか、VHS誕生秘話を描いた「陽はまた昇る」(2002年・日本)とかくらいで、パッと思いつきまへん。

しかも、実話系の企業人間ドラマとなれば、ウーンとうなってしまうんどすわ。社長はんやCEOの実話ちゅうのんは、意外に少のうおます。

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そんな中で、21世紀に逝去した企業人の実話映画やなんて、よう考えんでも、メッチャ希少価値がござります。

業種的には、「ソーシャル・ネットワーク」(弊ブログ内検索で出ます)とも、リンクするかもしれへんけども…。

iMac、iPod、iPhone、iPadなどを次々に開発し、映画でもアニメ制作のピクサー社を設立。ディズニーと提携し、「トイ・ストーリー」(1995年・アメリカ)ほかの大ヒット作を生んだ。

現代の偉人とも言える、そんな彼やけど、2011年にすい臓がんで逝去。享年56歳。

で、2年後には映画が完成して、日本でも公開。こおゆう最速映画化の企業人は、ジョブズはんが世界初やないやろか。

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誰がジョブズをやるんかやけど、彼の生前から似てるとゆわれてはった、アシュトン・カッチャーのアニキが、キャスティングされはりました。

みなはん、よう知らはらへんかもしれへんけど、弊ブログ内検索で見られるのんは、群像劇「バレンタインデー」(2010年・アメリカ)とか、恋愛サスペンス「キス&キル」(2010年・アメリカ)とかやけど、

はっきり申し上げて、これこそ彼にしかできへんやろなーとゆう作品は、なかったように思います。

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でもしか、ここにおいて初の当たり役を、やらはったんやないかなと思います。

モノマネ演技を超えてでんな、ともかく入り込んだ演技。

みんなも大たいそうやろけど、ジョブズの人間性をボクはよう知らへんねんけど、知らへんだけに、

自然体にして、少し猫背で手を振らずに歩くところ(フランケンシュタインかゾンビかちゅうとこも)なんかの、なり切り感が、あとあとチビチビと効いてまいりました。

ジョブズ言語録もあるけど、そういうセリフをキメゼリフとしてではなく、さりげなく発するところも、好感やったやろか。

ボク的には彼の最高演技なんで、アカデミー賞主演男優賞も視野に入れられるかと思います。

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ジョブズはオトンオカンに捨てられたんやけど、育てのオトンオカンとの話や妻子や、愛人とそのコドモのことなど、プライベートはちょっとしか描かれずに、

仕事人間ぶりをメインに、取締役会を含んだ室内劇やり取りやらで、人間性を浮き彫りにしてゆかはります。

中でも、プライベート部で最も割かれる大学時代に加え、退学後の起業ぶりなど、1970年代アメリカ映画的な色合いで描かれて、印象的やったです。

その色合いとは、自然光で撮った上に、テカリ感ある色づけをしたようなカンジて、ゆうたらええでしょうか。70年代作品にドップリはまっとったボクは、凄く懐かしかったどす。

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でもしか、そんな70年代調も年代を経るにつれ、今調へと変わっておます。そのあたりの細かいとこも楽しめました。

ジョブズがスキやったらしい、ボブ・ディラン・ナンバーなどの、歌ものが中心に本編で流れますが、弦楽オーケストラを流しての、ダイジェスト・シークエンスなどにも魅せられよりました。

2人だけのアップル立ち上げ時の、その友との別れのシーンなどは、セリフを含めて渋かったどす。

こういう流れでゆくと、ジョブズよりも、ヤッパ、カッチャーのファンになれるような、そんな1本やったと思います。

デミ・ムーア(ブルース・ウィリスに続き、昨年末2度目の離婚)はんが見離しても、ボクチンらは決して見離しまへんで~、なんてな。

2013年10月23日 (水)

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海」⇒アメリカ映画の今1

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「ハリー・ポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」「ナルニア国物語」やらと、シンクロナイズな冒険ファンタジーや~

ギリシャ神話を現代に取り込んだ、初の作品かもな~

http://www.percy.jp

11月1日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーをヤラかしまっせー

2D&3Dの同時公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 Twentieth Century Fox

ハリウッド映画最前線ナンチューもんをでんな、3日間連続の週末邦画劇場を間に挟んで、4日間にわたりお届けいたします。

ハリウッド映画は、そない変わってへんと思うけど、それをば受け止める日本人の意識や嗜好が、ビミョーに変わっとるかどうかやけど…。

最近はハリウッド映画は、日本映画以上に大ブレイクするのはマレでおます。

その理由について語ったり、分析を繰り返すのは、映画業界にとっては、とても大事なことなんやけど、

でも、観客の嗜好性より、やはり、映画評論家としては、作品性の分析をやり続けていくしか、その明るい未来を見出すための方法論はありまへん。

みなさんと同じく、作る側やなく、あくまで完成した映画を見て、どうのこうのとゆうのは、おんなじなんです。

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本作はシリーズものとして、作ろうとしてはる娯楽作どして、今回で第2弾どす。

さらに、ラストでは、次へのつなぎをばやってはります。

さて、ここで、ハリウッド映画の、実写ヒット作品を見てみましょか。

アメコミ原作のシリーズものてゆうたら、ハリウッドのドル箱映画なんやけど、ブランドとなっとる「スター・ウォーズ」「ミッション:インポッシブル」なんかも。

21世紀的には、ジョニデ主演「パイレーツ・オブ・カリビアン」や、「トワイライト」シリーズなんぞの、大ヒット・シリーズを出しつつも、

一方においては、イギリス系となるファンタジーの「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」などを超えるべくの作品も、日夜研究開発にいそしんではる、とゆうような状況なんやろなと、ボクは勝手に思とります。

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そんな流れの中から出てきたのが、本作やと思います。

ファンタジー。ほんで、アドベンチャー。

無数に近いくらいある作品群の中で、紀元前ものでも、神話ものとゆうフィクションをベースに、現代へとスライドさせるとゆう、トンデモ荒ワザなんやけど、

それを当たり前のように展開し、そして面白いもんに作り上げられておます。

ギリシャ神話を応用した現代ものは、ボクの浅はかな記憶によれば、かつてはほとんどありまへん。

ベースとなるギリシャ神話は、徹底的にかどうかは分からへんけども、フィクションを構築するための、取材や研究なんぞは、細かくやられとるかと思います。

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紀元前映画は紀元前のままで完結する、いわゆる歴史もんが主流なんやけど、本作はギリシャ神話に登場する人たちの息子や娘やらの、21世紀における大活躍を採り上げてはります。

その意味では、仮に聖書系でも、イエスやマリア様の後継者たちの話とかの、あり得ない路線で、勝負してはるお話どす。

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でもしか、あくまで、エンタに徹するちゅう姿勢がええカンジ。

意味不明のワケ分からへんところが出てくるのんも、大いなるお楽しみやしね。

目のない(つまり、目の見えない)3人おばさん(写真7枚目)がやってるタクシーとか、海馬に乗って敵方の船を追うとか、波乗りサーフィンなアクションに加え、

冒険ものとしては、オーソドックスやけど、いわくつきの島でのアクションなど、それなりに魅せてくれてはります。

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それにしても、日本ではほとんど知られていない若手俳優たちが、主演級で出てはります。

実は、この流れは「ハリー・ポッター」あたりから、盛んに出てきているとこでおます。

日本にとって無名に近い人を使って、どれだけブレイクできるんか、それを日本の観客に向けて、試してはるようなとこさえ感じました。

でも、「ハリー・ポッター」世代やらには、ギリシャ神話とは申せ、そういうややこしいとこはスルーして、分かりやすいし、ノリやすい作りになっとります。

また、ファミリー向けとしても、メッチャOKなんどすえ~。家族一同で見に行って、みんなでせいだいお楽しみくだされ。

2013年10月22日 (火)

フランス映画「寄生体X」⇒SFホラー映画の怪作や~

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変形エイリアンもの映画でも、さらにユニークな1本どす

終始ダークな画面構成による作りが、怪しさをそそってきはります

http://www.kiseitaix-movie.com

11月2日のサタデーから、インターフィルムはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国漸次のロードショーどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸDC Medias / Section 5 production, 2012 All right reserved.

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B級映画という言葉が最近では、あんまし使われんようになりました。

マニアックとかカルトとかが、使われたりするけども、アルファベットで表記したらZまであるんで、Z映画なるもんまであるとするならば、

ランク的に見たら、B級はAの次点なので、ちゅうか、ポストAの位置づけができる映画ちゅうことになります。

一方で、日本未公開フィルムとゆうジャンル(!?)もあり、

映画館で見ることのない、それらの作品にもまた、傑作印がござります。

まあ、ゆうならば本作は、そうゆうタイプの映画なんやけども、映画館でも公開されるんで、決して侮れない作品でおますよ。

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まず、フランス映画とゆうサプライズがありました。フランスでこの種の映画は、稀少価値があります。

俯瞰やロングショットで捉えられる、自由の女神とかやなく、エッフェル塔などが入ったシーンなどが、ある意味では新鮮どした。

でもしか、アメリカをマネるにしても、それなりの体裁を整えてはります。

デビッド・チョレワ監督は「遊星からの物体X」(1982年製作・アメリカ映画)「スペースバンパイア」(1985年・アメリカ)「ニューヨーク1997」(1981年・アメリカ)などの、ジョン・カーペンター監督作品に影響を受けたと、ゆうてはるそうどすが、

それらの作品と比べても、決して遜色はありまへん。ただ、トレースなのか、オマージュなのか。そのあたりはビミョーかもしれまへんけども…。

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但し、ストレートにブッチャケますとでんな、本作の基本ラインは、SFの侵略者ないしは、エイリアンものでおましょうか。

そこで、本家や監督の好きな監督作品を抜いて、マイ・カルト・ファイブを、思いつくままに披露しよります。

●カルト・ベスト⇒①本作②スピーシーズ 種の起源(1995年・アメリカ)③メン・イン・ブラック(1997年・アメリカ)④花嫁はエイリアン(1988年・アメリカ)⑤エイリアン・ビキニの侵略(2010年・韓国)

●弊ブログ内検索で「エイリアン」でやってもらいますと、ここ3年間のいろんなヤツが出てまいりますけども、

ホンマ、けったいなんのオンパレードなんやけど、寄生や憑依をポインツにしたんは、意外と少のうおましたやろか。

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「エイリアン」があまりにもオモロ過ぎて、それ以降に出た作品が、亜流にとられがちどした。

ほんで、本作もそおゆう作品に見えるけど、でもしか、飛び切り怖かった「エイリアン」に追随することなく、自由な発想でクリエイトするとこは立派やろか。

オトンがオカンを殺すとこを見た少年の、10年後のお話がメインでおます。

彗星が地球と衝突するかもなを未来背景に、終末パーティーを開いてヤケクソになろうぜなお話が、アレアレゆうてる間に、いつの間にか、バーサス系のサバイバルもんへと徐々に転化しておました。

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スクリーンのほとんどが、ダークな感じやけど、グリーン、ブルー、レッドなどは部分的に使われて、さらにダーク感を増してはります。

寄生されたら、顔がボロボロになってまうやなんて、メッチャシンプルやん。カネボウ化粧品もビックリどっせ。

殴り合いやバットでの攻撃など、アクション部もメッチャシンプルとゆうか、原初的アクト。ほんでもって、最後は大バクハツや~。

10年後にもきっと残っとるはず(!?)やと思う、フランス映画の怪心作どしたえ。

2013年10月21日 (月)

メキシコ映画「父の秘密」⇒カンヌ国際映画祭で受賞

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シェークスピア的家族悲劇ドラマの、現代バージョンをクリエイトや~

サントラなしで描写に徹する凄みに、打ちのめされまっせ~

http://www.lucia.ayapro.ne.jp

11月2日のサタデーから、彩プロはんの配給によりまして、東京・渋谷のユーロスペースやらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Despues de Lucia Ⓒ 2012

残念なことなんやけど、メキシコ映画とゆうのは、日本にはあんまし入ってきよりません。

かつてはルイス・ブニュエル監督作品とか、最近では「バベル」(2007年製作・アメリカ映画)のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の、メキシカン作品なんぞがあるけども、いずれにしても少のうおます。

そんな中で、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で、グランプリをゲットしはった本作が、日本に上陸いたします。

「ある視点」て、何やねんとゆう方も、いてはることでおましょう。

文句なしの傑作は、最高賞のパルム・ドールやろけど、「ある視点」は、これまでにない視点や、かつてない斬新なテーマを、捉えた作品が多うござります。

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オカンが交通事故で死んでしもて、失意の中にあるオトンと娘はんが、メキシコシティへ引っ越してきはりました。

ほんで、オトンと娘のそれぞれの話が、紡がれてゆくんやけど、メイン・ポイントは娘サイドにあります。

娘はんは学校で、イジメられまんねん。

ネットで同級生との、一夜だけのセックス動画が流失してしもて、それだけをきっかけに、男子から女子から、陰湿なイジメを受けはります。

でも、本作のマイケル・フランコ監督は、イジメ映画ではないとゆうてはりますけども、これほどエゲツナイのんを、描いた映画はマレでおます。

誕生日にケーキを、無理矢理食わされるナンチューのんは、序の口どして、ここでは書けへんような仕打ちを、幾つも受けはるんどすえ。

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オトンの秘密とゆうよりは、娘はんの秘密と置き換えた方が、すんなりと頭の中に入ってきよります。

メキシコ映画としては、3話群像劇の「アモーレス・ペロス」(1999年)以来の、傑作でおましょう。ちゅうことは、21世紀のメキシコ映画の、マイ最高傑作とゆうことに相なります。

ほんで、ラストの方では、謎が提示されてでんな、そして、急展開があります。

悲劇的なドラマなんやけど、現代的なシェークスピア悲劇、あるいはギリシャ悲劇として見れば、映画的にもシブミやらが味わえるやろかと思います。

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冒頭から4分近い長回しがあり、でもって、1分やらはザラで、2~3分の長回しが、よう使われておます。

自動車内カットは、後部座席からのカットが中心。最初の方では、登場人物たちの顔が、よう分からない撮り方をしてはって、興味をそそらせます。

でもしか、唯一あるヒロインのクローズアップは、ここぞとゆう撮り方で、ショッキング度合いは高うおますで。

加えて、サントラは流れまへん。音楽のない映画やなんてと、不平をゆわはる人もいてはるやろけど、経費節約でのサントラ代の始末やありまへん。

むしろ作品的には、作品に集中できて効果的やったやろかと思うけどな。

ボク的には、イングマール・ベルイマンやルキノ・ヴィスコンティ監督的なとこを継承する、家族の悲劇性を持った傑作やと、断定いたします。

2013年10月20日 (日)

「劇場版 SPEC 結(けつ) 漸(ぜん)ノ篇」⇒週末日本映画劇場3

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あのTBSのSF・刑事・コメディドラマ映画版、第2弾にして完結編の前編だ

刑事コンビ・戸田恵梨香ネーさんと、加瀬亮アニキ

ゲストには、向井理アニと大島優子ネーが、悪役コンビで登場

http://www.spec-movie.jp

11月1日のフライデーから、東宝の配給によりまして、全国各地イッセーのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

※本作の紹介は、標準語バージョンにてお届けいたします

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Ⓒ2013「劇場版 SPEC 結 漸ノ篇」製作委員会

テレビの50分10話連続ドラマ⇒2時間スペシャル・ドラマ⇒映画版「劇場版 SPEC~天~」(弊ブログ内検索で出ます)⇒

遡り系で描かれる、2時間ドラマ「SPEC~零~」(10月23日ウエンズデーの午後9時から、全国TBS系でオンエアされます)⇒

そして本作と流れてきた、このシリーズ。

でもって、本作は前編と後編「爻(こう)ノ篇」(11月29日公開・後日分析予定です)に分けて公開される。

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それまでの話を見ていなくても、見ていくうちに分かるというのは、この種のドラマ映画のPRにはよく使われるが、本作はどうだろうかというところがある。

特殊設定が多いというのが、まず1つ。

それに、刑事は刑事でも、ステレオタイプではなく、かなり異能のキャラ付けをしているだけでなく、出てくる人たちが、フツーにはいないキャラたちばかりだからだ。

そういう設定を、前もって知っておく必要があるのだ。

ドラマ版は深夜放送でやっていたりするし、レンタルもやってるんで、ぜひそれらをチェックしてから見に行くのが、ベスト鑑賞法だろう。

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加えて、相棒ドラマといっても、変格系を繰り出し続けている堤幸彦監督作品なだけに、

一筋縄ではいかないし、シリアスものとコミカルものが混成しているだけに、見る人によっては、戸惑いを覚える方もいるかもしれない。

特に、祖父母・父母世代の方は、おいおい、ちょっと待ってくれとなるかもしれない。

でも、堤監督作でも本作は、本格系のトリックを多数配し、仲間由紀恵・阿部寛をコンビにした「トリック」(弊ブログ内検索)の、アクション&SFバージョンと捉えて、見るのもいいかもしれない。

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餃子好きで時々、関西弁を操る戸田恵梨香のネーさん。左手が包帯でぐるぐる巻きになっていて、フツーの人間にはない特殊能力がある。

女刑事にまあ、こんな設定なんて、かつてないし、リアリティーもないかもしれないが、

マジとフマジを変幻に魅せる、彼女の演技ぶりは、コメディエンヌとしての鬼気が見え隠れしている。時々、鳥肌ものの演技も披露しているのだ。

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彼女のモリをしているわけじゃないけど、加瀬亮アニキと彼女のやり取りは、高等レベルの漫才の、ボケとツッコミを見るようだ。

さらに、特殊捜査課の上司役・竜雷太はんの存在が光っている。

ボクなんかは、かつての刑事ドラマ「太陽にほえろ」の、刑事ゴリさんの誠実なイメージが、なかなか抜けないんだけど、

前編だけだが、本作では一番面白くて、一番ドラマ映えするところで、活躍している。

彼の初のコメディアンぶりは、ゴリさんをはるかに超えた、大化け役になるかもしれないな。

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で、ゲスト陣についてだ。シメのゲストなので、相当重要な役柄にして役作りが、要求されているということになる。

いつも以上に、クール・ダンディーぶりを見せる、向井理のアニキ。

片やその相棒役の、AKB48の大島優子ネーさん。

いやはやスゴイ、コメディエンヌぶりだ。ズーッとシャックリしながら、喋り続けるという難しい役柄。

まあ、みなさん、見てください。見れば分かります。ビックリです。

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前編の最後の方に出てくる、香椎由宇(写真7枚目)のネーさん。

殺傷力のある水鉄砲攻撃などという、サプライズ攻撃で見せる演技は、彼女のキャリアにおいて、かつてないくらいにエキセントリックでした。

シリーズに出た変なキャラは、後編も含めて揃い踏みすることだろう。変な日本語を喋る栗山千明ネーや、3分お湯を掛けたら、一時的に蘇える北村一輝アニなんかも、健在だし。

ということで、後編の分析は、後日ということで。

2013年10月19日 (土)

「自分の事ばかりで情けなくなるよ」⇒週末日本映画劇場2

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クリープハイプのプロモーション・ビデオが、アレアレいつの間にやら、群像ドラマ映画へとスライド

4話オムニバスが緊密につながった作品だ

http://www.jibun-bakari.com

10月26日の土曜日から、11月15日の金曜日まで、連夜午後9時から、SPOTED PRODUCTIONSの配給によりまして、ユーロスペースにてレイトショー。その後、全国漸次のロードショーです。

文=映画・音楽分析評論家 宮城正樹(昨日に続きまして、本作分析は標準語バージョンです)

Ⓒ2013 Victor Entertainment, Inc.

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「神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴りやまない」(弊ブログ内検索で出ます)などのように、

主役となるべきロック・バンドを脇において、いろんな人間ドラマを展開させるというタイプの群像劇だ。

その裏ワザには、映画業界ではなく、音楽業界のプロモーション・ビデオの変遷が、実は大いに関わっている。

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アメリカのMTV(ミュージック・テレビ)が1980年代に、プロモーション・ビデオ、いわゆるクリップなるものを始めた。

当初は音楽を流し、あるいはアーティストが歌って、歌のイメージ感を作り出すというタイプが主流であった。

プロモ・ビデオで、初めてモノクロのライヴ映像を使った、ポリスの「見つめていたい」などは、ディープ・インパクトだった。

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まあ、絶頂期のビートルズなんかは、ビデオならぬ映画で、自分たちのPRをしていたものだが、またライヴ・ドキュメンタリーも海外では、恒常的に作られてきた経緯がある。

日本もそれに負けてられません、勝つまでは…なんてね。日本にもプロモ・ビデオは伝播いたし、俳優さんを使ったイメージものなどが、いろいろ作られてきたわけだ。

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ということで、どうせならドキュメンタリーじゃなく、本格的なドラマ仕立てにして、長編映画バージョンでやってやろうじゃないかとゆうのが、本作なのである。

でもしか、あくまで4人組クリープハイプを、売り出そうというのが、本作を作ったそもそもの狙いなので、

彼らの歌に合わせたドラマ展開であるとか、彼らのライブを見に来る人たちの、ドラマとかになっていくもんだろう。

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しかし、本作を見通してみると、そういうプロモーション度合いが、ゼロとは言わないけれど、希薄であった。

まあ、アイドルやダンス・グループが全盛で、バンドが今一つピリッとしていない、今の邦楽界においては、こういう変則スタイルでバンド・ファンを獲得していく手法は、新しいのかもしれない。

忌野清志郎やサザンの桑田圭祐みたいに、特異なリード・ボーカルの、しかも早口で、8ビート・16ビートのロックンロールをやってくれているのだが、あくまで小細工なしのオーソドックス。

基本がしっかりしているから、いつどんな形で大化けしてもおかしくない、音楽性を持っているバンドなのだ。

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音楽に目を向けたいところだけど、ドラマ映画の方が、音楽に輪を掛けたように、強靭な仕上がりになっているので、

両雄並び立たずで、果たして両者揃い踏みなんて結末は、あるんでしょうかねえ~。

はっきりジャッジして、本作は松居大悟監督の、「アフロ田中」(弊ブログ内検索)を抜きん出て、過去最高の傑作になっているんだよなー、これが。

一体どうする、クリープハイプさんよー。

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第1話は曲名にもある「イノチミジカシコイセヨオトメ」。

ピンサロ・ヒロインに扮する安藤聖ちゃんが、愛した彼氏との思いに浸りつつの内向的な作品も、モノクロをメインに、突如の薄色カラーをサプライズにしたりして、映画監督作家性バリバリの仕上げぶりだ。

続く、クリープハイプのファンであるOLの話も、今どきのF1OLの、内省的なとこを打ち出して妙味があった。

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3話のオタクの話も面白いが、彼とダチになってる池松壮亮(いけまつ・そうすけ)アニキと、黒川芽以ネーさんのラブ・ストーリー部・第4話が、

触れなば感電しそうな、ヒリヒリピリピリの話になっていて、4話中、最大の見ごたえあるエピソードになっている。

長回し、インタビュー的カット、芽以ネーさんのクローズアップなどで謎を膨らませ、そして、ショッキングな結末へと持っていくあたりの、技巧派ぶりにヤラれてしまう。

ということで、ホント、クリープハイプ、大丈夫か~と、言いたくなるような、映画としてのケッサクだった。

2013年10月18日 (金)

「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」⇒週末日本映画劇場1

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音楽ライヴ・ドキュメンタリー邦画版の、かつてない大ケッサク

「ウッドストック」を意識した、野外ライヴ・ドキュのチョー問題作

http://www.beatchild.jp

10月26日のサタデーから、ライブ・ビューイング・ジャパンとマイシアターの配給により、全国のイオンシネマ・TOHOシネマズ・Tジョイ系列の映画館で公開。

関西なら、TOHOシネマズ梅田、T・ジョイ京都などで上映。

文=映画・音楽分析評論家 宮城正樹

●本作は、いつもの関西弁ではなく、標準語バージョンにて論評いたします。

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ⒸBEATCHILD1987製作委員会

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日本では本来、音楽ドキュメンタリー映画は、海外に比べてあまり作られてこなかった。

なぜなら、レコード会社がリリースする音楽関連作品は、セル・オンリー(再販売価格維持制度に基づく)という縛りがあり、本作のようなライヴ・ドキュメンタリーが映画館でかかるなんていうのは、ほとんどなかったのだ。

ところが、21世紀になって、ライヴ・ビューイングが盛んになって以降、活性化し始めた。そういう流れの中から、本作も過去のライヴではあるが、発掘されたのである。

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九州・熊本・阿蘇山で、1987年の8月に開催された、野外イベント・コンサートの模様を映し出す。

それまでの日本では、1970年の岐阜県・中津川のフォーク・ジャンボリーや、1976年の静岡県・つま恋コンサートなど、オールナイト野外ライブ・イベントはそれなりにあったのだが、

本作はその特異な状況でのライヴによって、歴史に名を刻んだ。

リハーサル中のミサッちゃんこと渡辺美里(写真3枚目)が、そのロケーションにおいて「(この会場は)ウッドストックみたい」と言うシーンがある。

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「ウッドストック 愛と平和と音楽の三日間」(1970年製作・アメリカ映画)のタイトルで映画化され、アカデミー賞のドキュメンタリー賞をゲットした。

1969年に開催されたこのイベントは、反ベトナム戦争という、明確なる社会的テーマがあった。

その後の9.11や、いろんな自然災害へのチャリティー・コンサートなど、野外コンサートには、開催者たちの利益追求とは違う視点で開催されたものほど、エポック・メイキングなものとなる場合が多い。

そして、本作のライヴは、豪雨の中で行われた点。

加えて、プレイヤー側も観客も命懸けであったというところに、凄まじさがあったのだ。

夏場の九州の豪雨は今も恐ろしいが、この時も猛威をふるっていた。

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ブルハことザ・ブルーハーツの(甲本)ヒロト(写真6枚目)は、悪天候ぶりに「最高じゃないか」と嬉しそうに話す。

ステージ・パフォームでは、ノリノリで「リンダリンダリンダ」などを披露したが、「感電したくないんで、このあたりでやめとくわ」なんてMCで言ったりするものの、まだ最初の方は大したことはなかった。

「君とセックスがしたいんだ」なんてMCが有名な、岡村靖幸(写真7枚目)あたりから、徐々におかしな具合になっていく。

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そして、遂に大豪雨がやってきた。

長い時間待ちのあと、ビビリながらステージに出ていく白井貴子(写真4枚目)ネーさんが、最も気の毒に見えた。

でもしか、徐々にヤケクソ気味にヒートアップし、映画「雨に唄えば」(1952年・アメリカ)的な、雨を楽しむような姿勢で歌い踊るステージは、爽快でさえあった。

そして、以降も感電の危険にも関わらず、さまざまなアーティストが、7万2千人(うち500名余が倒れる)を気遣うセリフを言いながら、命懸けのパフォーマンスを披露していくのである。

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MC少なめに、ライブ・パフォーマンスに徹したBOOWY(ボウイ・2番目のOには、右斜め串刺し棒があります)の、リード・ボーカル氷室京介(写真1枚目)と、ギタリスト布袋寅泰(写真2枚目)。

リハーサル・シーンもあるけど、歌うアップが多めの尾崎豊(写真5枚目)の激唄ぶり。

ダイヤモンド☆ユカイが在籍していたRED WARRIORS(写真8枚目)、泥臭いロックが信条のTHE STREET SLIDERS(写真9枚目)、大友康平がリード・ボーカルを取る、ハウンド・ドッグ(写真10枚目)など、感電覚悟の、雨中のロックが展開していく。

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音楽業界的視点では、ソニー・グループ所属のアーティストに、2、3組の他レーベルのアーティストが、参加するという構図だったが、

その流れでかは知らないが、最後の方は、EPICソニー所属アーティストが、ヤマやシメを任される。

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夜明け前に、感電しやすいらしい裸足で歌う渡辺美里。

作詞=美里・作曲=小室哲哉の、あの前向きナンバー「My Revolution」パフォームは、強烈だった。

感電死の危険もあったのに、ホントに危ないぞー、ミサッちゃん。

そして、夜明けには雨も上がり、トリの佐野元春(写真下から2枚目)アニキが登壇。

佐野のアニキだけ濡れないのか、なんて誰の文句も聞こえずに、

ブルース・スプリングスティーンに影響を受けた、ポジティブ・ソング「サムデイ」などが、感動的に歌われていく。

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さて、冒頭とラストは、祭りのあとの描写だ。観客たちを映している。

いわゆる、パフォーマンス以外のところの描写も大事だ。

でもしか、ナレーションのコンサートを美化するセリフとか、当時のプロデューサーが映画の観客らに向かって謝るシーンとかは、

観客に固定イメージを植え付け、戸惑うだけかもしれないので、基本的には要らないのではないかと、ボクは思った。

DVD化するならば、必要かもしれないけれど。

説明を排し、描写に徹すれば徹するほど、ドキュ映えする。これは、ドキュメンタリー映画の本道である。

一方で、本作の映画関係者たちは、当時の観客のコメントを求めているらしい。

そこで、1つ言いたいのは、当時デビュー前で長崎にいた福山雅治は、このイベントに観客として参加していなかったのかどうか。

ということで、行っててもノーと言うかもしれないけどさ、1つ福山クンに聞いてみてくださ~い、なんてね。

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2013年10月17日 (木)

「もったいない!」⇒ドイツのドキュメンタリー映画どす

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みなはんにメッチャ身近な、食いもん系のドキュでおます

衣食住ドキュでも、社会性の味が入っとりまっせ~

http://www.mottainai-eiga.com

11月2日のサタデーから、大阪・テアトル梅田やらで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSCHNITTSTELLE Film Koln,THURN FILM

生活ドキュや衣食住ドキュメンタリーとゆうのんは、ケッコー出ております。

でもしか、ほとんどの場合が、はっきりゆうて売れまへん。

とゆうか、日本全国各地の映画館やシネコンで掛かるのは、ドキュ映画としては、ほんの一部だけでおます。

その場合は、壮大な感じや親しみがある、ネイチャー・ドキュや動物ドキュ、

あるいは、マイケル・ムーア監督作品みたいな、有名な賞をもらって、ほんで現代的な社会性もあって、ハデで話題性のある作品。

そういうのんに、人々は集まる傾向がありま。

2
しかし、ドラマ映画ならともかくも、地味なドキュにはあんまし人は入りまへん。

ああ、それこそ“もったいないなー”なんやけど、それでも、本作は社会的に、食ドキュのコンテンポラリー(現代的)な問題へと、切り込んではります。

しかも、ドイツ映画とゆうサプライズ。しかもしかも、ドイツを始め、フランス、日本、アメリカへと、ネイチャー・ドキュ並みの、ワールド・ワイドなロケーションぶりを見せはります。

3
ほんで、ドキュとしての作り方にもこだわってはります。

字幕解説はあるんやけど、ナレーションはなし。ナレーションで説明してしまうと、イメージが固定化してしまう。観客に自由に感じてもらう余地がありまへん。

その一方で、いろんな人へのインタビューを、インタビューをしているとゆう形式感を見せずに、自然な感じで魅せるところが、

ドキュドキュしてへんので、ドキュに慣れてない人にも入りやすい作りになっとります。

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ホームレスみたいに、生ゴミをあさる人たちの真意とか、フードバンクとゆう、余り知られてへんとこへの取材とか、サプライズもそこかしこに用意してはります。

ロック・インストを流しての、日本のスーパーやらのダイジェスト・シーンの、ノリの良さ。

産地側、スーパー側らの話を相対的に展開したり、見せ方の工夫にも、時おりハッとさせられよります。

捨てられた余りにも多すぎる、食いもんが飼料として使われ、それを食うて大きゅうなったブタのブタ肉を、レストランで出すとゆう、ちょっと気色悪いとこなんかも、オモロかったどす。

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映すことに徹した「いのちの食べ方」(2006年製作・ドイツ映画)、本作と同じような作品性を持つ、オーストリア作品の「ありあまるごちそう」(弊ブログ内検索で出ます)など、

クールでシビアな食ドキュの中でも、容赦のなさをゆうならば、本作は3作の中では、イチバンヤーでおましょうか。

日本の世界的なユニークな言葉「もったいない」の、少しユーモアある感覚を、シリアス・モードで採り上げはったとこが、日本人には新鮮に映るやもしれまへん。

個人的には、捨てられとる食料シーンの、しつこいくらいの映し方に、キモサもあるけど、作品への粘着を感じて、チビチビと圧倒されました。

ある種、怖さのあるドキュでおました。

2013年10月16日 (水)

「もうひとりの息子」⇒フレンチ映画の新次元か?

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東京国際映画祭でサクラ・グランプリ(最高賞)と監督賞をゲットしはりました

大ヒット中の「そして父になる」と、ぜひ比較して見てくだされ

http://www.moviola.jp/son/

10月19日のサタデーから、ムヴィオラはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショー。

ほんで、関西やったら、11月2日から、梅田ガーデンシネマやら京都シネマで、11月23日から、神戸アートビレッジセンターやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1

ⒸRapsodie Production/ Cire Films/ France 3 Cinema/ Madelcine Films/ Solo Films

日本映画「そして父になる」(弊ブログ内検索で出ます)が、日本でただ今、大ヒットしとります。

福山雅治アニキの人気に、便乗しとるかもしれへんけども、ケッサク印どす。

ほんでもって、イスラエルを舞台にした、本作のフランス映画なんやけど、「そして父…」と同じく、コドモの取り違え事件ナンチューのんが、メイン・ソースになった作品どす。

しかも、2012年に製作されとる映画なんで、2013年製作の「そして父…」よりも、どうやら前に製作されとる映画なんどすえ。

さてはて、本作を①、「そして父…」を②として、チョイと比較してみまひょか。

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その前にゆうときたいんやけど、パクリかどうやらを、言いたいわけやおへんし、どっちがパクッたんかとかの、そんなんはどうでもよくて、

むしろ2作品共に、映画的質の高さに、ココロ奪われるような次第になっとります。

けども、2作品には、大いなる違いがあります。

②を見はった方は、多いやろうから分かるやろけど、取り違えられたのが分かったんは幼少時代どして、①みたいに18歳になってからやありまへん。

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ところがどっこい、間違えられた同士の2人は、すっかり大人どして、大人の事情なるもんが、分かるかどうかは別にして、2人は仲良くなり、ある種のキズナを結ぶとこまでいきまんねん。

オトンの方はあんまし描かれへんねんけど、オカン同士が悩んだり、息子との話し合いで不安を覚えたりと、悩みはしつこくやってくるんやけど、2人はそうでっかーと、涼しい顔や。

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でもしか、薄ブルー・トーンを基調色にした、ディスコ・シーンやらで、悩みの中にいる主人公像やらが、描写されるんやけど、

それらは、一瞬のショットのように流れよりまして、メイン・ポインツは、もっと違うとこにありました。

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2人の家族は、確かに揺れますが、大地震並みには揺れません。

特に、フランス女優のシブミ、エマニュエル・ドゥヴォスのネーさんの、何とも言えへんような、巧妙なる自然体どす。

フツーやったら、息子のために、もっと激しい演技をやるハズやのに、あくまで肩の力を抜かはって…。

見終わって、ああっとクル演技ぶりどした。

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ピアノをバックにした詠唱、ピアノ・スローなど、主にブルージーなサントラ使いながら、映画は前向きモードで、最後まで貫かれていきよります。

何はともあれ、感動できるのは、立場を超えた友情であり、キズナどす。

ちゅうことで、最後の最後まで、目が離せへん1本でおました。

2013年10月15日 (火)

「恋するリベラーチェ」⇒最新ハリウッド映画4

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マイケル・ダグラスとマット・デイモンの、初共演作でおます

ソダーバーグ監督の、ホンマのホンマの引退作やろか!?

http://www.liberace.jp

11月1日のフライデーから、東北新社はんの配給によりまして、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで、全国ロードショーや~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 HOME Box Office, Inc. All Rights Reserved

実在した音楽家&エンターテイナーの、実話ドラマ映画どす。

そんな映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをばまず、披露いたします。

余りにも多い、クラシック畑は外しとります。

●ベスト⇒①Ray/レイ(2004年製作・以下は指定国以外は、全てアメリカ映画どす)②グレン・ミラー物語(1954年)③ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(2005年)

●カルト⇒①本作②マイ・ウェイ(2012年・フランス・弊ブログ内検索で出ます)③ドアーズ(1991年)

●ゲイだった、実在の歌手リベラーチェを描いた本作は、ほかの作品のような、ミュージシャンとしてのポイントで描いた作品とは違い、

私生活部がかなりクローズアップされた、特異な仕上げになっとります。

その意味では、ボク的にはカルトな作品の、ナンバーワンにご指名いたしました。

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さてはて、次にマイケル・ダグラスはんと、マット・デイモンのアニキの恋愛映画なんやけど、2人の初共演ながら、

共にそれぞれのキャリアにおいて、今までやらへんかった演技性に挑戦しはりました。

ゲイ役演技なんて、メッチャ難しいんやけど、2人共に、それらしき妙演技を披露。

特注は、ダグラスはんやろかな。オスカーの演技賞も狙えそうな演技ぶりどした。

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1977年⇒1979年⇒1981年⇒1984年⇒1986年と、物語は時代順に進む構成なんやけど、音楽とはいえ映画的なとこも採り上げてはります。

ヴァンゲリスが音楽担当やった「炎のランナー」(1981年・イギリス)とか、ジェーンとヘンリーのフォンダ父娘が、初共演した「黄昏」(1981年)なんぞが、セリフで出てまいります。

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スティーヴン・ソダーバーグ監督の新作なんやけど、

「マジック・マイク」「サイド・エフェクト」(共に弊ブログ内検索)と続いて、映画界から引退するてゆうてはったのに、ここにまた新作を作ってきはりました

そやから、本人はそんなことゆうてるけど、はっきり言って無視しまひょ。

しかもここ3作は、全て作品性を変えた、巧妙巧緻を極めた作りでおます。しかもしかも、まだ50歳やん。まだまだこれからやん!

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ほんでもって、エポック・メイキングなとこも、カンジさせる映画どした。

特に音楽やろか。

ダグラスはんが、自ら弾いてはるかどうかは別にして、ピアノを弾きもってのエンターテイナー・ショーでは、観客にシング・アウトを逆リクエストし、8ビートから16ビートへと、変換してゆくワザなど、素晴らしい。

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そして、ピアノを生かしたサントラ使いの、音楽監督マーヴィン・ハムリッシュはん。

彼は、「スティング」(1973年)や「追憶」(1973年)やらで、オスカーやグラミーを次々にゲットしはった、伝説の音楽監督でおます。

残念ながら、本作が遺作となってしまいました。合掌! 

でもしか、遺作にふさわしい渾身の仕上げやったです。

ほんで、隠し味エポックは、メーキャップ担当で、大阪出身の日本人が参加してはるんどすえ。

来年のアカデミー賞も期待できるような、メーキャップぶりなんで、楽しみにしときまひょ。

2013年10月14日 (月)

「2ガンズ」⇒最新ハリウッド映画3(1日おいて)

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デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグの初共演作品

アメリカン相棒ものに、メキシカンものが加わって、ハチャメチャ化合した結果は…

http://www.2guns-movie.jp

ノーベンバー11月1日のフライデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

今やいろんなドラマ的なとこで、展開されとる相棒映画、バディ・ムービーやけど、

本作は、そういうマジメな相棒もんを、かなりとヒネッた仕上げになっとります。

そのヒネリ具合をゆう前に、映画初共演となる、デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグの、各マイ・ベスト&カルト・スリーについてゆうてみましょう。

デンゼルはんについては、以前もマイ・ランキングを書きましたけども、新たにリフレッシュして、再度やってみよりました。

デンゼル⇒●ベスト⇒①トレーニング・デイ(2001年・アメリカ・以下の引用は指定以外は、全てアメリカ映画どす)②グローリー(1989年)③フィラデルフィア(1993年)

●カルト⇒①本作②ペリカン文書(1993年)③ボーン・コレクター(1999年)

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続いては、マーク⇒●ベスト⇒①ディパーテッド(2006年)②ブギーナイツ(1997年)③ザ・ファイター(2010年・弊ブログ内検索で出ます)

●カルト⇒①テッド(2012年・弊ブログ内検索)②NYPD15分署(1999年)③パーフェクト・ストーム(2000年)

●改めて振り返ってみたら、2人共にケッコー、相棒映画に出とるやんと思いました。

デンゼルはんは、刑事相棒系のベスト①しかり、

女優とのコンビ系となった、ジュリア・ロバーツとのカルト②。

刑事相棒系で、アンジェリーナ・ジョリーとの、コンビとなったカルト③など、多彩なカタチで、コンビネーションを披露してはります。

しかも、相棒を強引に支配し、抑え込むようなスタイルどして、本作でもそれが少し、アダになったりしよります。

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マークの場合は、どないやろか。

ポルノ男優ベスト②やら、レスラーのベスト③など、1人演技の妙や真価を、問われる映画主演も多いんやけど、

潜入捜査系の変種ベスト①や、トンデル相棒系のカルト①やら、変化球系の作品で健闘してはります。

ほんで、そんな2人の初タッグ。モチ、初相棒を、本作で組まはりました。

シリアス「トレーニング・デイ」とコミカル「テッド」が絶妙に配合されて、バディ・ムービーの新しどころを、愉快に追求しはりました。

イントロの爆破シーンから、朝食をどないするかの、2人のケータイでのやり取りなど、会話の洒脱感が秀逸。最後の最後まで、そんなノリで魅せてくれはります。

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アメリカン・ニューシネマな相棒ものなど、アメリカ映画の相棒ものには、友情をベースにしたりと、1つのスタイルっちゅうもんがありますけども、

それと、メキシコを主舞台にした、アクション映画との融合。

例えば、ロバート・ロドリゲス監督作品「デスペラード」(1995年)なんかとの調合を試みた、アクション映画やと思います。

でもしか、お互いが何者か知らない中での、相棒ぶり描写こそ、本作のオリジナル・ポイントやろか。

そやから、お互いに警戒・牽制しながらの付き合いどす。

でもって、爆破シーン、カー・アクション、銃撃シーンなど、これまでのその種のアクション入り映画とは、ビミョーに違ったとこをば、披露しはります。

ほんで、CIA、軍を巻き込んだ、4つ巴のクライマックスは、見ごたえ充分や。

相棒映画の、新味と妙味と珍味が、絡まった1本どしたえ~。

2013年10月13日 (日)

「タイガーマスク」⇒日曜邦画劇場

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1970年代アニメの、実写作品の真打ちやもな~

ウエンツ瑛士のアニキ、夏菜ちゃん、哀川翔はんが、アニメ・キャラのポイントを演じはります

http://www.tigermask-movie.jp

霜月11月9日の土曜日から、アークエンタテインメントはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショーどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012「タイガーマスク」製作委員会

1970年代のテレビアニメが、実写映画化されるとゆうのんが続いておます。

個人的にアニメ・イメージをキープするために、絶対に実写化してほしくないチュー人が、ケッコーいてはるみたいなんやけど、

1970年代やったら、今は時効やし、新しいファンも獲得したいとこどす。

そこで、まずは、1970年代テレビアニメ実写化作品の、マイ・ベストテンを披露してまいります。

「ガッチャマン」(弊ブログ内検索で出ます)のとこで披露しましたが、ここでは、映画的にどうかとゆうよりも、ただ、面白かったらエエやん、ちゅう視点で選んでみました。

●⇒①ガッチャマン(弊ブログ内検索で出ます)②本作③ゼブラーマン(弊ブログ内検索)④宇宙戦艦ヤマト(弊ブログ内)⑤ゲゲゲの鬼太郎(2007年製作)

⑥ひみつのアッコちゃん(弊ブログ内)⑦ハレンチ学園(1970年)⑧忍者ハットリくん(2004年)⑨ベルサイユのバラ(1979年)⑩野球狂の詩(1977年)

●ベストテンを選ぶくらいあるんかなーと、思とったけど、70年代当時の実写化もんも入れたら、ケッコーありました。

当時ヒットした⑦⑨⑩は、ヒロインものどして、当時の時代で完結しとるけど、21世紀バージョンもぜひ見てみたい作品どす。

特に⑦は、シリーズ化され、一世風靡したエロもんなんで、若き世代にも注目すべき作品やろか。

さてはて、個人的には、やはり本作が、最も刺激的で挑戦的どした。

注目度の高さも、ナンバーワンやないやろか。

ロボット系のベスト①③などもエエけど、ヤッパ生身の人間が、人間らしいドラマを紡ぐ方向性は、それなりに感情移入できます。

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その意味では、本作は肩入れできる作りやと思います。

決して傑作とゆうことやないけども、人間らしい、ほんでヒロイズムあるキャラへの、観客の感情移入度合いは、ベスト④のキムタクやらと比べても、決して遜色はありまへん。

特に、3人のコラボレートに魅せられます。

まずは、主人公役のタイガーマスク役の、ウエンツ瑛士アニキ。

「ゲゲゲの鬼太郎」でのアニメ・ノリを、より人間的キャラにシフトして、あのタイガーマスク=伊達直人を演じはりました。

ともすると、アニメ・イメージをそのまま実写化してまうと、リアル感が希薄になり、違和感が募るもんでおます。

けども、本作の瑛士は何とか踏んばっとるし、明るい色合いで映される、夏菜ちゃんの前向き節やら、

哀川はん的には、「ゼブラーマン」に主演で出てはっただけに、演技的なこだわりもあったらしいけど、ミスターXの造形ぶりやらに、なるほどなーと、クルとこはありました。

CG、VFX、ワイヤー・アクションなど、ともすると性急になり過ぎて、シラケるシーンになったりするけども、それらはできるだけ回避されとります。

虎の穴の造形ぶりも、低予算ながら魅せてくれてはりました。

そして、AAA(トリプルエー)のダンスビート・ポップも、映画のシメには似合っとったかと思います。

瑕瑾はないけど、カンペキでもない。

そのあたりの不完全なとこを、むしろ逆に、楽しみたい1本やろかと思います。

タイガーマスクを知らない若い方は、ここから始めてみておくんなはれ。

2013年10月12日 (土)

「42 世界を変えた男」⇒最新ハリウッド映画2

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実話をベースにした、大リーグ野球映画の傑作や~

ハリソン・フォードはんの渋演技に、グッときたで~

http://www.42movie.jp

11月1日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

1947年に、大リーグで初の黒人選手となった、ジャッキー・ロビンソンの実話でおます。

ちゅうことで、ハリウッドの野球映画の実話ものに絞って、まずは、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①プリティ・リーグ(1992年製作・以下の映画は、指定国以外は全てアメリカ映画)②マネー・ボール(弊ブログ内検索で出ます)③甦る熱球(1949年)

●カルト⇒①本作②打撃王(1942年)③オールド・ルーキー(2002年)

●戦時中に男に代わり女が、大リーグをやったトンデモ実話なベスト①は、エポックな傑作やったけど、

主に実話系は、選手やオーナーなどに焦点が当たっとります。ベスト②はオーナー・サイドやけど、あとは選手が主人公でおます。

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ルー・ゲーリックのカルト②など、有名どころが中心やけど、中でも、本作は、カルト②とおんなじくらい、アメリカ国民ならみんな知ってそうな選手を、採り上げてはるんやけど、

でも、黒人差別のあった時代背景の、シビアさを取り込んだところでは、実話やけど、本作は圧倒的なオリジナリティーを示してはります。

ちゅうことで、次にここで、黒人差別を採り上げた映画の、マイ・ベスト&カルトについてゆうてみます。

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●ベスト⇒①夜の大捜査線(1967年)②カラーパープル(1985年)③遠い夜明け(1987年・イギリス)

●カルト⇒①本作②招かれざる客(1967年)③マルコムX(1992年)

●刑事相棒もの、バディ・ムービーのベスト①。ヒロインもののベスト②。室内劇となったカルト②など、多彩感はあるんやけど、

ヤッパ中でも、ベスト③・本作・カルト③など、実話をベースにした作品は、説得力もあって、重厚なカンジでやってくれはります。

けど、本作は重々しさは、さほどカンジまへんどした。

黒人差別の定番のように見せながらも、キズナ部の、自然体を心がけた描写の数々が、重さを解消し、

むしろ爽やかで、癒やしさえある、1本になっとります。

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そのポイントは、主人公役チャドウィック・ボーズマンの妻になる、ニコール・ベハーリーのネーさんの、好感度の高い柔和な演技が、まず、挙げられま。

どんな厳しい状況でも、前向きな自然体で対応し、日本では全く有名やないけど、見ていて凄くキモチがよろしおました。

また、チーム・メンバーとの交流部なんぞも、ある種のユーモアもあって、ほのぼのなカンジ。

でもって、チームのオーナー役の、ハリソン君ことハリソン・フォードはんの、老けたな~チュウとこがありつつも、

むしろそれを逆手に取って、渋いコクある演技を披露しはります。

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中でも、特筆のシーンは、「ニガー」とボロクソに相手の監督に言われまくり、

ほんで、主人公がヤケを起こしてる楽屋裏で、ハリソン君が説得力ある言葉で、前向きにしてゆくシーン(写真上から3枚目)の渋さ。

この1分強の長回し撮影シーンは印象的どした。

試合シーンの撮り方も、これまでの映画やテレビ放送分やらとは、ビミョーに違っておます。

ビビッドではあるんやけど、それを意識させない、自然な映し方てゆうたらエエやろか。

オーケストラ・サウンドに乗る、感動シーンの創出やら、グッとくるシーンが続出。

ぜひ、映画館で、ご体感あれ!

2013年10月11日 (金)

「グランド・イリュージョン」⇒最新ハリウッド映画1

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大がかりなマジックで、犯罪やりまっせーな映画どす

大金奪取犯罪映画の、21世紀進化型を提示する快作

http://www.grandillusion.jp

10月25日のフライデーから、角川書店はんの配給によりまして、全国ロードショー。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都やらで上映でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

マジック映画なんやけど、実在のフーディーニやらの、マジシャンの話とかやありまへん。

でも、マジシャン映画で、ボクが見た範囲では、大掛かりなもんは、そんなになかったかと思います。

しかし、本作はそれをヤラはりました。しかも、フツーのマジック映画やありまへん。

犯罪映画と絡ませるとゆう、ウルトラ・ワザを披露しはるんどす。そんな映画は、未だかつてボクは見たことがありまへん。

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マジックの基本、ステージ・ショーで魅せはるんやけど、

ラスベガスにいて、遠隔操作でパリの銀行強盗を、やってみるナンチューのんは、ワケ分からんシークエンスどす。

本編全体的に見てみると、果たしてそんなことが、現実にできるんかとゆうとこが、頻出してまいります。

強引なとこもあるし、大風呂敷きを広げたとこもあるんやけど、

力ワザ的なところで魅せはるのに、リアリティー云々を抜きにしてネジ伏せられました。

その後、ニューオーリンズで資産移動の術を、そして最後のNYサイドでは、警察の警戒網をすり抜けて、見事なワザを見せはります。

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核にあるんは、犯罪映画どす。

でもしか、例えば、「黄金の七人」(1965年製作・イタリア映画)なんかの、胃もたれを感じさせへん、軽妙洒脱なとこがあります。

それでいて、「オーシャンズ11」シリーズ(2001年・2004年・アメリカ)的な、集団犯罪系映画チックな面白さやワクワク感が、本作にはありました。

モチ、騙しの美学も、そこかしこに散りばめられとります。鏡を駆使した騙しのトリックなど、思わず唸るとこもありま。

但し、カーチェイス中に、当該車から別の車に、果たして乗り換えられるもんやろかとか、

遠隔のパリの銀行強盗のクエスチョンなど、イロイロ納得できないとこは、あるかと思います。

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マジックをやるイリュージョン・メンバーは、上から写真2枚目のように4人メンバーなんやけど、5人目の謎の黒幕がいるらしく、

そいつを推理してゆく楽しみもあるんやけど、決してその伏線部の描写は、完璧とはいっとりません。

けども、役者陣はひょうひょうと、演技をこなしてはりました。

個人的には、アイラ・フィッシャー(写真2枚目の左端・写真4枚目で命懸けのマジックを披露)ちゃんの、クセのない好感演技。

ほんで、フランスからアメリカに来た、女刑事役のフランス女優メラニー・ロラン(ちっちゃく映ってはるけど、写真一番下の真ん中)ちゃんの、

刑事役には全く似合わない、優しさに魅了されましたやろか。

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監督は「トランスポーター」(2002年・フランス)「タイタンの戦い」(弊ブログ内検索で出ます)など、日本でも売れた作品を撮らはった、フランス出身のルイ・レテリエはん。

一部のハリウッド映画的に、長くても5秒以内の短カットの、連続オンパレードに、目が点になりました。明らかに動体視力の高い、若者向けの映画でおます。

ライブ会場のスケール感ある撮り方、薄ブルー照明の使い方、ピコピコの電子系のサントラ使いなど、

映画の内容にこだわった作り込みにも、魅せられた1本どした。

2013年10月10日 (木)

「南の島の大統領-沈みゆくモルディブ-」⇒アメリカのドキュ映画どす

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インドのすぐ南の海に浮かぶ島・モルディブのお話でおます

レディオヘッドのロック・ナンバーが、ゆったりきよりまっせ~

http://www.urayasu-doc.com/minaminoshima

10月19日のサタデーから、大阪・第七藝術劇場にて、全国順グリのロードショーや~。その後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターでも公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 AfterImage Public Media

ⒸChara Goia ⒸLincoln Else  ⒸActual Films

CO2削減とかの必死のパッチの論議など、地球温暖化問題で、モルディブの島が、海中に沈むかどうかは分からへんけども、

沈んでしもて国家消滅を避けたい、モルディブの大統領が、世界各国に訴えかけるっちゅう、ドキュメンタリー映画どす。

CO2二酸化炭素の排出で、温暖化が促進され、北極や南極の氷が解けて、ほんでもって、海の水位が上がってでんな、低いとこは水没してまうんやないかの問題が、かしましゅうなっておます。

中国、インドなど、石炭中心の工業推進国が出す、CO2を抑えてもらわんことには、モルディブは崩壊する。そういう理屈と主張と嘆願でおます。

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果たして、ホンマに地球温暖化で、水位・海抜の低いとこが沈んでまうんかは、実際の事例がないだけに、まあ、フィフティー・フィフティーといったところなんやろけど、

当事国にとっては、死活問題であるんは間違いござりまへん。

そのあたりのところが、誰にでも分かりやすく伝えられるんが、本作のドキュメンタリーでおます。

小さな国にありがちな専制政治やらを、民主化へと変える政治運動があり、ほんでもって、お次の試練は、気候変動の環境問題でありま。

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テロやクーデターによる国家転覆なるもんは、人為的なもんどす。

ところが、気候の猛威は自然的なもんで、全くの正反対や。

その真逆な2つを、大真面目にシリアスに採り上げられた、珍しいドキュが本作なんどすえ。

人為性よりも、環境問題を中心としたイロイロが、スリリングに展開するドキュどした。

でもしか、主人公の大統領は2012年に、クーデターに遭い、今は退任してはります。

モルディブの未来に暗雲を投げかけて、決してさわやかなハッピー・エンドやありまへん。

3
けども、そんな中でも、美しきモルディブの風景描写に、ウットリとなれたりしよります。

今にも危なそうな、写真5枚目のモルディブの空撮シーン。

マジック・アワーや夕景のセピア(写真6枚目)などのシーンに加え、薄ブルーで透明なマリン・ブルーの清澄感やらのシーンが、多数盛り込まれておます。

世界初の、海中閣僚会議シーン(写真4枚目)なんぞもアラマ・ポテチン(驚き)どした。

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そして、サプライズ感あるサントラ部や。

イギリスの名バンド、レディオヘッドが、全面的に参加してはります。

オルタナティブなロック・インストのサントラが、前半からケッコー掛かっとるんやけど、それが妙に美しき自然シーンと、マッチしとるんが、一種のボク的サプライズどしたやろか。

ラストロールで掛かるスロー・ナンバーなどは、絶品の仕上げぶりどした。

2013年10月 9日 (水)

「ハンナ・アーレント」⇒ドイツのシビアな、ナチス関連映画どす

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ナチスもの映画に、終わりはありまへん

20世紀最悪の悪魔たちを、シビアに捉えた実話映画どす

http://www.cetera.co.jp/h_arendt

10月26日のサタデーから、セテラ・インターナショナルはんの配給によりまして、東京・岩波ホールやらで上映どす。

関西やったら、11月23日から、梅田ガーデンシネマ。ほんで、その後、京都シネマ(11月30日~)、シネ・リーブル神戸(12月21日~)やらで公開や。

本作は、ルクセンブルク・フランスとの合作となった、ドイツ映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Heimatfilm GmbH+Co KG, Amour Fou Luxembourg sarl, MACT Productions SA, Metro Communicationsltd.

ナチスもの映画やて、みなはん、暗いな~と思わはるかもしれまへん。

でもしか、その残虐さ、その後遺症的なとこを描く映画は、今後もずーっと作られ続けるでおましょう。

そのエゲツナサを、実体験はなくとも、いろんなものを通じて、知ってはるあなたのためやなく、次世代の人たちのためにどす。

フセインとかビンラディンとかキムGとか、自分は神であり、悪いことはなんぼでもできる、なんて思とるアホ・ボケが、これからも出てきよるんですわ。

でもしか、そんなヤツを永遠に出さないために、映画ができることの意味を、鑑賞して感じていただきたい。

映画評論とは何の関係もない、まがいものなことを言いましたけども、すんません。

とゆうことで、映画として、物凄い数がある、ナチスもの入り映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリーをば、次世代に伝えるべきをポイントに、手前勝手に披露さしてもらいます。

1
●ベスト⇒①ヒトラー~最期の12日間~(2004年製作・ドイツ映画)②シンドラーのリスト(1993年・アメリカ)③ライフ・イズ・ビューティフル(1998年・イタリア)

●カルト⇒①本作②白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々(2005年・ドイツ)③チャップリンの独裁者(1940年・アメリカ)

●ドイツ作品を中心に選ぼうとしたけど、いっぱい作られとるんやろけど、恥ずかしながら、ボクはそんなに見てへんのどす。

映画に感動を求める人たちには、モチ、ベスト②③やらが、グッときよったになるんやろうけど、

当時のエグサを、ピンで支配者側から描いたベスト①が、見て見ぬ振りできへんくらいの、エグサやったやろか。

反対運動の弾圧を描いたカルト②。

ほんで、本作は当時ものではなく、1960年~1961年が時代背景の実話もんとなっとりまして、

フィクションの「オデッサ・ファイル」(1974年・イギリス)やらとは違います。

逃げたナチの残党がイスラエルで捕まり、裁判となり、それを伝える女哲学者ハンナ・アーレントの、ヒロイン映画でおます。

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従わなければ、自分が殺されてまう。悪くゆうたら、自己保身やし、メッチャ単純なのにも関わらず…。

ほんで、人間誰もがそうするところのもんを、哲学者ヒロインは、哲学によって、その心理をば分析しようとしはります。

アーレントはんは、ハイデガーはんの一時期は愛人どした。でも、ハイデガーも貶めて、おのが哲学的論評を披露するシーンは、まさにマイ・ウェイ一直線どす。

但し、ハイデガー主張の「思考の哲学」も、哲学にこだわった論どす。

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哲学と映画が融合した例は、ほとんどないと思うんやけど、ヒロイン役のカンヌ主演女優、バルバラ・スコヴァはんが大健闘しはりました。

カルト②のユリア・イェンチのネーさんらも、忘れがたき演技節どす。

そして、本作でボクが最もシビレたのは、裁判シーンどしたやろか。

モノクロの実写部と、ドラマ部をミキシング。

被告人を誰かが演じるんやなく、実写のままで通すとこなんか、メッチャ渋い。

ウディ・アレンとかがやってた手法やけど、わざとらしさのないとこが、巧みのワザやったかと、ボクは思います。

2013年10月 8日 (火)

「眠れる美女」⇒イタリアの群像劇映画どす

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尊厳死を狂言回しにした、3話オムニバス映画どす

「海を飛ぶ夢」や「愛、アムール」などへも通じる作りや~

http://www.nemureru-bellocchio.com/

10月19日のサタデーから、エスパース・サロウはんの配給によりまして、東京のシアター・イメージフォーラム、梅田ガーデンシネマやら、10月26日からの京都シネマやら、全国順次のロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Cattleya Srl - Babe Films SAS

3話オムニバスの、いわゆる群像劇でおます。

1話の父娘のドラマをバラして見たら、4話オムニバスやもしれまへん。

ほんで、イタリア映画や。イタリア映画のオムニバス映画は、ケッコーあるんやけど、いずれもメイン・テーマに沿って、稠密な芸術性を示さはる場合が多いどす。

そして、本作のテーマは何と、安楽死とも言われる尊厳死。

重いなー、暗いなー、なんてゆわれそうやけど、でもしか、3話は決して暗い話やありまへん。

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植物死となってる、エルアーナ・エングラーロを、いつまで延命措置を取って生かしておくんか。安楽死措置を取ったらいかんのか。

それがイタリアで社会問題となり、尊厳死を巡って、政府で話し合い、決を取るなんてことになりました。

ほんでもって民衆も、尊厳死反対派・賛成派で揉めとるような状況。ここまでが実話どす。

でも、彼女は自然に死んでゆく。その前後を背景にして、3つの死にまつわるフィクションが、展開されてゆくんどす。

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尊厳死をストレートに描いた映画てゆうたら、

主人公が積極的に、尊厳死を求めてゆく「海を飛ぶ夢」(2004年・スペイン&フランス合作)を、ボクはまず思い出しました。

この作品はアカデミー賞の外国語映画賞だけやなく、ヴェネチア国際映画祭で、主演のハビエル・バルデムが、男優賞やらをもろてはります。

でも、本作は積極的ではありまへん。

尊厳死にまつわるニュースが、周りに渦巻いとるけど、むしろ彼らの話は、生きていくことの意味を、イロイロ考えさせるような作りになっとります。

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さらに、具体例を挙げますと、昨年のカンヌ国際映画祭で、最高賞のパルム・ドールに輝かはった「愛、アムール」(弊ブログ内検索で出ます)。

老夫婦の映画やけど、コレなんかはモロでおました。

でもしか、本作はそんなストレートやモロを、はずした上で、物語を構築してまいります。

ほんで、尊厳死を取り込む映画の、ハードルの高さと稀少感からやろか、評価は非常に高く、

本作も、1枚目のポスター写真に書いてある通り、世界的な映画祭で賞をゲットしてはります。

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さてはて、3話について解説してみましょう。

写真2枚目と3枚目が、まず一つの話どして、植物状態で“眠れる美女”状態になっとる娘を、女優やってるオカンが、看病してるっちゅう構図どす。

「愛、アムール」にも出てはった、オカン役イザベル・ユペールはん。

カンヌやヴェネチアで主演女優賞をもろてはるし、フランソワ・オゾン監督の「危険なプロット」(弊ブログの9月30日付けで分析)でも、妖しき演技を披露。

今回も、複雑な演技を、魅せてくれてはります。

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写真4・5枚目の話は、自殺願望の強い女と医者の、やり取りが中心。アップのやり取りによる、死ぬ・死なないの2人の会話シーンに、妙味がありました。

写真6・7枚目の話は、父(写真7枚目の一番左)娘(写真6枚目の右)のキズナを着地に、娘のベッド・シーンを含む、ラブ・ストーリーも描いてはります。

深刻なテーマを狂言回しにしつつも、多種多彩な人間ドラマを、描いてみせた、コクのある傑作どした。

2013年10月 7日 (月)

「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義」⇒香港の刑事映画どす

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「インファナル・アフェア」に迫る、香港警察捜査ものの話題作や

ミステリー色を始め、銃撃戦・爆破シーンのアクション部も強烈どす

http://www.coldwar-movie.com

10月26日のサタデーから、ツインはんの配給によりまして、シネマート新宿やらで公開。

関西やったら、11月9日の土曜日から、シネマート心斎橋やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012, Irresistibie Delta Limited, Edko Films Limited, Sil- Metropole Organisation Limited. All Rights Reserved.

香港映画の刑事捜査もの。あるいは、刑事アクションものは、これまでにモノゴッツーな、タイトル数が出てまいりました。

ボクは全部を見てるわけやないけども、取りあえずは、

香港の刑事・警察映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、手前勝手に披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①インファナル・アフェア(2002年製作)②ポリス・ストーリー 香港国際警察(1985年)③本作

●カルト⇒①男たちの挽歌Ⅱ(1987年)②冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(2009年)③ジェネックス・コップ(1999年)

●刑事と暗黒街のギャングが、対決するパターンのカルト①②は、正統派の刑事捜査ものやないんで、カルトにしたけど、

ベストは香港警察の、まさに本格系を、ストレートに採り上げたもんを選んでおます。

カルト③は警察学校の生徒に、捜査をやらせるとゆう、リアル感のない新しさやったけど、新味に挑戦する意欲はグッド。

ほんで、ベスト3作共に、少なくともリアル感あるとこで、新味を加えてはります。

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「ディパーテッド」(2007年)のタイトルでハリウッド・リメイクされて、アカデミー賞の作品賞までゲットした、元ネタ映画のベスト①は、潜入捜査における新しさを出しはりました。

ベスト②は、集団捜査とアクション・シーンが、見事に融合。

ほんで、ベスト③にした本作。

本ネタ部は、香港映画ではあまりないんやけど、世界の映画界を見渡せば、ケッコーある素材ではあります。まあ、日本映画でもあるにはあります。

でもしか、仕込みが大胆どした。

そのポイントは約3つ。

①捜査チームが集団で、丸ごと誘拐されてしもた点。

②黒社会の鎮圧に貢献したけど、報復を恐れた警察が、そんな刑事たちを、よその国に潜伏させとった。そんな彼らが、もやもやを胸に、香港に舞い戻ってきたとゆう設定。

③身代金奪取の新味。なんてとこやろか。

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でも、まあー、ツッコミがいのある作品でもありました。

大作ハリウッド映画ではお馴染みやけど、チョイとやってみましょか。

爆破シーンのダイナミックなんは、エエといたしまして、最初の爆破事件で、特殊な発火方法なんは分かってたハズやのに、何度も事件があってから、思い出したようにでんな、これができる人間は数名しかいない、なんてことになるんやろか。

警察の捜査班5人が、拉致誘拐されるやなんて、もうその時点で、犯人像が分かってしまうような、モロさがあるんやないやろか。

身代金授受についても、結局アレをするんやったら、札の控えを取られる前の段階で、最初にアレをやっとったらええやん。

そんなんするから、ますます犯人像が分かってまうやん。

などと、いろいろゆうてまいりましたが、これは全部のカラクリが分かった段階で、ほざいとることでおまして、

ミステリー的にもサプライズ的にも、よう練られとったかと思います。

ちゅうことで、くれぐれも騙されへんように、みなはん、ご注意くだされまし。

2013年10月 6日 (日)

永作博美主演「四十九日のレシピ」⇒日曜邦画劇場

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既婚娘役・永作博美ネーさんとオトン役・石橋蓮司はんが、急逝したオカンを天国へ送る、感動のキズナ映画どす

2人の名サポーター役・岡田将生クンと二階堂ふみチャンの、明朗快活ぶりにも注目やで~

http://49.gaga.ne.jp

霜月11月9日の土曜日から、GAGA★(ギャガ)はんの配給によりまして、全国ロードショー。

関西やったら、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 映画「四十九日のレシピ」製作委員会

本作は、歴代邦画界では最も多い、家族ドラマ映画ジャンルの、進化型なんやけど、まずその家族構成・設定を中心に見てまいります。

コブ付きシングル・オトン(石橋蓮司)が、オカンと出会って再婚。女コドモは義理オカンに、最初は馴染みまへんどしたが、徐々にキズナを深めはります。

ほんで、その娘(永作博美)は結婚して、実家の岐阜あたりから東京へ。でもしか、夫(原田泰造)が外にオンナ作って、コドモまで作ってしもた。

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ああ、失意の永作ネーさん。離婚届を夫に預けて、実家に戻ってまいります。

しかし、それに前後して、義理オカンが急逝してもうた。ああ、Wショックのネーさん。オトンと2人で一体、どないするねん? 

とまあ、このあたりがイントロとなるんやけど、そこへ、2人家族のとこへ、イモ役・二階堂ふみチャンを先陣として、ハル役・岡田将生(マサキ)クンが続いて、入ってきはります。

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実は義理オカンは、ボランティアで養護施設を手伝ってはって、そこで知り合った少年・少女にメッチャ慕われてはったんです。

そのあたりの描写はないんやけど、突然現れるイモの明朗快活ぶりに、彼女を前向きにした、オカンの想いが表現されておました。

四十九日法要は、楽しい大宴会にしてほしいとゆう、そのオカンの願いを、イモが2人を巻き込んで、叶えてゆこうとしはります。

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涙もろかったり、人生マイナス志向の永作ネーさんも、怖いくらいの大声を上げはる、石橋蓮司はんも、キャリアに即した演技かもしれへんけども、

イモやハルの演技によって、新たな光が当てられたような気がしよりました。

喜怒哀楽演技を多彩に魅せてきた、ふみチャンやけど、このメッチャな明るさは特注もん。見てるこっちにも、伝播してくる明朗演技ぶりどした。

さらに、トンデモ日本語を喋る、日系ブラジル三世のハル役の岡田クン。キャリア初のコメディアン演技やろか。寅さん的な余計なお世話ぶりにも、笑えるし納得もできました。

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コミカルな葬い映画で思い出されるのは、伊丹十三監督の「お葬式」(1984年製作・日本映画)やろけど、

そちらが男の視点からの、剛力があったのに対し、本作は女性監督(タナダユキ)視点の、柔力があふれておました。

余りにも全員が善人過ぎて、毒気のないんが気にはなりましたけども、

ともすると、時に、ヒネクレ鑑賞してまうボクチンどすんで、そんなん大した問題にもならへんでしょう。

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そして、送られる本人が死んでるとこからが、物語の始まりなんやけど、

送られる人間が、物語を仕切る、あるいは狂言回しとなるカタチとなった「みなさん、さようなら」(2003年・カナダ&フランス合作)と、ちょうど正反対のバージョンでおましょうか。

家族の中に他人が入ってくるあたりも、「家族ゲーム」(1983年・日本)なんぞがあるけども、

家族を元気づける、ポジティブ人間の他人は、意外と少のうおます。

夫妻ドラマとしての、サービス部もあって、見ているこちらも前向きになれました。

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でもって、「フラガール」(2006年・日本)やないけども、フラダンスがサプライズ的に披露されます。

ラストで流れる、安藤裕子ネーさんの曲も、ハワイアン・カヴァーやし、癒やしの音楽使いにも和んでくだされ。

2013年10月 5日 (土)

「ダイアナ」⇒イギリス映画傑作選3

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遂に登場した、ダイアナの実話映画どすえ~

ナオミ・ワッツのネーさんの、メッチャ当たり役やで~

http://diana.gaga.ne.jp

10月18日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマなど、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Caught in Flight Films Limited. All Rights Reserved

ダイアナの実話映画が、ダイアナのお膝元UKから、遂に登場し日本公開されまっせー。

これまでは、ダイアナ事件を中途半端なカタチで描いた「パパラッチ」(1998年製作・フランス映画)やとか、

エリザベス女王を描いた「クィーン」(2007年・イギリス)の、ワン・エピソードとして描かれたりと、ダイアナの核心へと迫る映画は、なかなか現れまへんどした。

企画はずーっとあったやろけど、誰がダイアナ役をやるんかとか、誰が監督するんやとか、イロイロあったみたいどすえ。

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そして熟考の末、イギリス出身女優のナオミ・ワッツのネーさんが、ダイアナに扮しはりました。

ともすると、この種の演技に付きものの、モノマネ演技ちゅうのんがあります。

実在の人物に扮する場合、例えば極端な例やけど、クレオパトラに扮する場合やと、今の人たちは全くもって知らへんから、それなりに自由に演じとったら、それなりにカタチにはなりますわな。

ところがどっこい、ダイアナてやうたら、現人類の何人もが知ってはります。それだけに、慎重かつ緻密な演技ぶりが必要となるでおましょう。

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21世紀に逝去した、スティーブ・ジョブズなんかもそうやけど…。

でもしか、21世紀のアカデミー賞だけを取ってみても、実在の人物に扮した俳優が、演技賞をもらい続けてはります。

ただ、それらの役柄は、逝去してから時を経て、今はその人物のことを知ってはる人は、できるだけ少ないちゅうんが、目安になっとるようなとこがござります。

チ、今も生きてはる人を、演じる場合もあるんやけども、

でも、ダイアナほどに有名な方を演じる場合は、大きなプレッシャーが掛かると、考えてもよろしいでおましょう。

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ダイアナとナオミ・ワッツのネーさんが、会ったことはありまへん。会ってれば、たぶんナオミ・ネーは、オファーを断ってはったやろなと、ボクは思います。

それでも、ナオミ・ネーさんは、意識してモノマネをせず、ごく自然にダイアナを、演じてはるように見えました。

これはもう、開き直りどすやろか。ダイアナ以上に、ダイアナらしいとこもありましたがな。

ちゅうことで、ここでナオミ・ワッツの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、突然炎のごとく、披露さしてもらいます。

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●ベスト⇒①本作②マルホランド・ドライブ(2001年・アメリカ)③キング・コング(2005年・アメリカ)

●カルト⇒①ザ・リング(2002年・アメリカ)②21グラム(2003年・アメリカ)③ステイ(2005年・アメリカ)

●妖しき女やないんやけど、そんな風に見えてまうベスト②カルト②③などが、ネーさんの特質のように見えるけど、

でも、日本映画のハリウッド・リメイクのカルト①での、フツーに怖がる演技やとか、

ベスト③みたいに、コングと絡む優しい演技ぶりなど、好感度の高い演技。名演とは違うけど、好演どす。

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そして、本作や。

サスペンスな妖しを完璧に封印して、好感度の高さを、彼女のキャリア史上過去最高の、テンションで魅せてくれはります。

ダイアナの実話エピソードに沿った、好感ぶりながらも、ラブ・ストーリー部では、「ローマの休日」(1953年・アメリカ)のオードリー・ヘプバーンや、

「ノッティングヒルの恋人」(1999年・アメリカ)のジュリア・ロバーツみたいに、ナイーブやけど、堂々としたとこをば見せはります。

てはて、監督はイギリスの方やありまへん。何と「ヒトラー~最期の12日間~」(2004年・ドイツ)が有名な、ドイツの監督オリヴァー・ヒルシュビーゲルはん。

ヒトラーを描くノリでもちろん、ダイアナを描くことはできへんねんけども、時代の趨勢や流れを、ひねり出す演出ぶりは良かったやろか。

冒頭のスロー・モーションが、最後の方につながってゆく作りも、練られたカットでおました。本作は「ヒトラー」とは真逆ながらも、対をなす傑作なんどすえ~。

2013年10月 4日 (金)

「トランス」⇒イギリス映画傑作選2

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アカデミー賞監督ダニー・ボイルが撮り上げた、ヒッチコック監督応用編サスペンスや~

記憶喪失を逆手に取った、ウルトラ級のケッサクどす

http://www.trance-movie.jp

10月11日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーどす。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ西宮OS、TOHOシネマズ二条やらで上映や。

本作は、アメリカとの合作によるイギリス映画どして、「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Twentieth Century Fox

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歌ものサントラ入りムービーとして、映画史上に残る傑作「トレインスポッティング」(1996年製作・イギリス映画)。

そして、アカデミー賞作品賞・監督賞を含む8部門で、ゲットした「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年・イギリス&アメリカ)。

それらの監督やったダニー・ボイルはんの、新作が本作どす。

決して素晴らしい作品をばズーッと、作り続けてきはったわけやありまへん。

けども、ここぞとゆう時に、エポックメイキングな1本を、突然変異のごとくに発表しやはるんで、おいおいなんじゃこらーっ、ちゅうことに相なりまんねん。

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しかも、同じイギリス出身のアルフレッド・ヒッチコック(略してヒッチ)監督は、サスペンス映画を生涯通して撮り続けはりましたけども、

ボイルはんの場合は、一貫性のない、バラバラのバラエティー。

何かのジャンルに組み込まれることを、拒否するかのように、毎回違ったタイプの作品を、クセのように発表しはります。

ほんでもって、今回はでんな、ゆうてみたらサスペンス映画。

でもしか、ヒッチ直系のタイプやなく、新次元を披露しはります。

確かに、妖しきセラピスト・ヒロイン像なんぞに、「めまい」(1958年・アメリカ)なんぞの色や、いろんな騙し系のポイントでは、大いにシンクロするやもしれまへん。

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記憶喪失がキー・ワードになっとるんやけど、ヒッチにも「白い恐怖」(1945年・アメリカ)などの作品はありました。

けども、その記憶の蘇りシーンを何パターンも披露して、話を複雑化しはって、最後の最後まで真相が見えてまいりまへん。

名画強奪のシークエンスから、始まるもんどすさかい、その種の犯罪映画になるんかなと思とりますと、盗んだフタを開けてみたら名画はなし(写真5枚目)。

競売人の主人公(ジェームズ・マカヴォイのアニキ)と、ギャングのボス(ヴァンサン・カッセルのアニキ)たちが釣るんで強奪したんやけど、

隠し場所を知っとるハズの競売人やけど、演技でボスに殴られてしもた結果、場所が分からへん、部分記憶喪失になってしまわはります。

ほんで、何とかその記憶を思い出させるべく、登場しやはるのんが、催眠療法セラピスト役の、ロザリオ・ドーソンのネーさんどした。

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このロザリオ・ネーさんが、サスペンス映画映えするような、謎めきの一癖も二癖もといった、怪しきオンナ役をばやってはります。

「白いドレスの女」(1981年・アメリカ)のキャスリン・ターナーや、「氷の微笑」(1992年・アメリカ)のシャロン・ストーンやらを思い出させる妖しさ・怪しさどす。

分け前を要求しはるだけやありまへん。ボスと競売人の2人と、駆け引き的にベッド・インしはる、丸裸の熱演ぶりどした。

まあ、このあたりのセックス・シーンや、銃殺などのバイオレンス・シーンなどの過激さで、「R-15」指定になってしもたんやろけど、とにかくハンパやありまへん。

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冒頭のモノクロ・シーン、赤い照明、セピア配色、ネタ部の雨のブルー・トーンを背景にしたカットなど、色使いも工夫されとりまして、

また、斜めカットやボカシ・カットなどで、不安感をあおらはります。

さらに、監督としてはお得意のサントラ部では、トランスっぽいシンセや打ち込み系を多用。こちらもココロ、ガクガクくる仕上げや。

けだるい女スロー、ブリット・ロック、明るいフィメール・ポップなど、要所要所で歌ものも流してくれてはります。

ネタ明かし後のアクション。そして、結末のサプライズ。

映画化はされてへんけど、ボクが最近読んだミステリー小説では、統合失調症を取り込んだ「数学的にありえない」(上下巻・文春文庫)の凄みが、映画的にありましたやろか。

最初に書いた2作を含め、監督の3本指に入るケッサクやと、ボクはジャッジいたします。

2013年10月 3日 (木)

「いとしきエブリデイ」⇒イギリス映画傑作選1

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マイケル・ウィンターボトム監督の、正統派家族映画どすえ

風景シーンに加え、極楽のサントラにもグッときまっせー

http://www.everyday-cinema.com

11月9日のサタデーから、クレストインターナショナルはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ7 DAYS FILMS LIMITED 2012 ALL RIGHTS RESERVED.

昨日までのフランス映画3連投に続き、本日より、イギリス映画の3連投分析をばヤラかしてみます。

ヨーロッパ映画には、ハリウッドや日本やらにはない、映画としてのコクっちゅうもんがありまして、そのあたりを分析してみました。

さてはて、本作の監督は、マイケル・ウィンターボトム監督やて、みんながみんな知ってるわけやないやろけど、イギリスを代表する監督はんの1人でおます。

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過去の作品群が、日本で大ヒットしたこともないし、キネ旬なんかの各種の洋画年間ベストテンにも、入ったことはないんやけども、それはみんながみんな、見る機会が少ないからでおましょうか。

でもしか、本作は、彼の初とも言える、本格的家族ドラマ映画どす。

モチ、泣けるシーンもある、感動の映画なんどすえ。

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家族映画は家族映画でも、変形的なカンジどす。フツーの家族映画やありまへん。

夫は、何かの罪でムショ入り。何の罪で入ったんかは最後まで明かされへんねんけど、たぶん5年くらいやったら、マリファナを違法販売したとかの罪やろか。

ほんで、残された家族は、ヨメはんに加え、4人の2人ずつ男女のコドモたちや。

でもって、ヨメはんは昼間と夜に、サービス業の仕事をしもって、家計を支えてはります。

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月1回やろけど、面会日ちゅうもんがあります。

そんな日に、ヨメ=オカンをメインに、いろんな組み合わせで、ムショ生活のオトンのとこへ会いにいかはります。

それが何度かあって、ほんで、軽罪なだけやろか、イギリスでは、囚人に1日自由に外出できる日なんぞがありましてな、

そんな日には、家族一同会って、行楽地へ行って楽しんで、ほんでもって、ついでにヨメと2人だけになって、一発か二発ハメたりしはるんどす。

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そういう日々の暮らしが、淡々と描かれてまいります。

いかにも、ヤバそうなとこがあってもおかしくない家族関係なんやけど、それをあえて外して、

キズナをメインに描こうとするあたりに、少しくビミョーに不満を覚える方もいてはるかもしれまへん。

いろんなヤバヤバなとこも描かれるけども、それらはあっさりと消化されて、鎮火されとります。

でもしか、負の部分の描き方の緩み具合は、それほど気にはなりまへん。

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あくまで、家族のキズナへと結ぶ作りこそ、この映画の本道やと申せましょう。

おかしいやんかと、ゆう人もいてはることでおましょう。

まあ、しかし、そのあたりは目をつむって、大目に見たってくだされ。コドモたちは、メッチャ清らかなんやから。

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ちゅうことで、とことん癒やしを、旨としてはる映画どした。

ロングショットによる、絵画的風景シーンの美しさは特注やし、チェロやらピアノをメインにした、オーケストラ・サウンドも胸にきよりました。

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個人的には、監督の最高傑作やと思いました。

監督はカンヌ映画祭やベルリン映画祭で、受賞してはるけども、これまではリアルなドキュ・タッチを入れて物語を転がすのが、一つのパターンになっとりました。

確かに本作でも、素人のコドモたちを使って、リアル感を追求してはるけども、じっくり見ていくと、かつてとは違うキズナ描写に深みがあります。

特に、ラストシーンのロングショットによる、海辺の長回し撮影などが印象的や。

ちゅうことで、観客に泣かせる意図を持たずに、描かれるシーンのシブミなんぞも、じっくりと味わってくだされ。

2013年10月 2日 (水)

168分の「わたしはロランス」⇒フランス映画傑作選3

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1990年代をバックにした、変形ラブ・ストーリーや~

タイトに奏でられる音楽ムービーとしての、一面もあり! やで~

http://www.uplink.co.jp/laurence/

10月5日のサタデーから、梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ゲイの男とフツーの女が恋愛するタイプの映画、ナンチューたら、そうでっかと、あっさりしとるように思えるかもしれまへんけど、本作はネチネチ度合いが違っておました。

その濃度について言う前に、ゲイ入り映画のマイ・ベスト&カルト・スリーといってみましょか。

●ベスト⇒①オール・アバウト・マイ・マザー(1999年製作・スペイン映画)②真夜中のパーティー(1970年・アメリカ)③本作③ハッシュ!(2001年・日本)

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●カルト⇒①ミルク(2008年・アメリカ)②ブエノスアイレス(1997年・香港&日本)③ブロークバック・マウンテン(2006年・アメリカ)

●レズ映画もそうやけど、ゲイ映画も、ある種パターン化されとるとこがありま。

でもしか、ココではあくまで普遍的な、人間のキズナをポイントにした作品を中心に選んでみました。ベストとカルトが入れ替わってもエエし、ベスト6、カルト6と捉えてもらってもOKだす。

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採り上げた7本を見てみますと、やはり、ゲイとゆうとこを逸脱して、人間ドラマ部へと希求するタイプが、ほとんどどすえ。

但し、ベスト3作は、そんな中でも、ゲイ映画の新しどころを追求して、異彩を放ってはります。

ゲイ同士が恋愛して、物語が転がってゆくタイプとは違って、ユニークかつ、一部の作品においては、挑戦的ですらありますえ。

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オトコになったオカンを描くベスト①。ゲイたちの群像劇ベスト②は、男女の三角関係から離れたとこで、ここぞと描かれるベストなシーンの連続に、ゲイを超えた男たちのキズナすら感じさせました。

でもって、本作はそれらとは違い、ラブ・ストーリーでおます。

ゲイ・ホモ込み男女の恋愛映画とゆうのは、ほとんどないといってもエエ世界どす。世界初やてゆうてもええやもしれまへん。

カルト3作に共通するようにでんな、男同士の愛が中心やけど、本作は男女の恋愛を、最後の最後まで貫いて、爽快な仕上がり具合になっとります。

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音楽ムービーとゆうてもエエくらい、歌ものサントラ使いが的を射ておました。

1989年を手始めに、1990年代を背景にした映画どすが、ギター・ポップス、フィメール・スロー、ピアノ・スロー、タイトなニューウェイブのタッチ、壮大な男ポップスなど、主人公・ヒロイン2人のシーンをメインで、流れてまいります。

それがカッコ良かったり…。また、家族ドラマ部としても、主人公とオカンのやり取りやらに、シブミや妙味がござりました。

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性同一性障害を採り上げた映画としても、アート系にありがちなファジーな作りではなく、本作はストレートでわかりやすうおます。

朱色照明、ブルー・トーン、パープルのディスコ・シーンなどの、色彩設計に加え、ノリのいい流れで終始、展開してまいります。

真ん中あたりに焦点を当て、あとは暗くしたカットの頻出。スロー・モーションの使い方。自動車内での、後ろからのアップ・カットをメインにした作り込みなど、一部は作為的に見えつつも、映画作家性を示すとこは、随所にありました。

カナダを舞台にしたフランス映画は、これまでにもケッコー出てきとったけど、本作はその種のベストワン級かも。

恋愛映画としても、ハリウッドの恋愛とはビミョーに違うけども、ココロは「タイタニック」(1997年・アメリカ)な恋愛と、おんなじでおましょう。

「私はロマンス・アリアだ」と、彼女に言う、ラストの主人公の、クローズアップにはグッときました。普遍的な恋愛映画の感動が、メッチャ味わえる傑作どす。アラマ(嗚呼)・ポテチン(吃驚)や。

2013年10月 1日 (火)

「椿姫ができるまで」⇒フランス映画傑作選2

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ドキュメンタリーやけど、芸術メイキング映画のコッテリ感がハンパやありまへん

オペラ「椿姫」については、本作を見る前に予習しときましょー

http://www.traviataetnous.jp

10月5日のサタデーから、熱帯美術館の配給によりまして、梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

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ⒸLFP - Les films Pelleas. Jouror Developpement. Aete Ⅱ visa d'esploilation n' 129 126 - deput legal 2012

昨日はチョイ珍しい、小説メイキング・ドラマ映画を論じたけども、

映画・演劇・音楽ほか芸術作品・エンタ作品をメイキングで魅せるとゆう作品は、これまでに多数出回ってまいりました。

そこで、各種作品メイキング映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、思いつくままに披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作・フランス&イタリア合作)②オーケストラ・リハーサル(1978年・イタリア&西ドイツ)③コーラスライン(1985年・アメリカ)

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●カルト⇒①本作②危険なプロット(昨日分析)③ラヂオの時間(1997年・日本)

●何かのジャンルに限定しないと、この種の映画は多岐にわたるんで往生しますけども、

でも、ドキュとしては、いかにもメイキングもんは多そうに思えますけども、実はここまで徹底的に描かれた作品は、ドラマ映画を含め、かつてござりまへん。

映画のベスト①、クラシック音楽のベスト②、オーディションやけど、ミュージカルのベスト③。

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小説カルト②、ラジオ・ドラマのカルト③、ほんで、本作はオペラどす。

ちゅうことで、全部ジャンルをバラケさしましたけども、でもしか、本作はカルトの①位にしたけど、ホンマ、これぞメイキング映画ちゅうくらいに、ディープかつ徹底的にヤラはりました。

ここまで、メイキングに命を懸けた映画は、未だかつてないんやないやろか。

ともすると、メイキングはサブとなり、本筋のメイン・ソースはラブ・ストーリーなんぞの、違うとこにありがちなんがあるけども、本作はそのものズバリどす。

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デュマの同名小説を物語のベースにした、ヴェルディのオペラが「椿姫」なんやけど、それを知らずして本作を見に行けるかちゅうと、首をひねらざるを得まへん。

少なくとも、DVDで発売されとる映画「椿姫」(1937年・アメリカ)なんぞを見てから、本作を見に行くんがベストやろけど、

ネット検索なんぞで見て、ある程度の知識を得た上で、見に行くんもよろしおすやろか。

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娼婦役ヒロイン・パフォーマーの、フランス人のナタリー・デセイのネーさんやけど、ボクチンはあんましよう知らへんねんけど、

ソプラノ歌手としてオペラ界で、モノゴッツーな人らしいどす。

ほんで、そんなとこが、素人見で見ても、リハーサル・特訓の最初から最後まで、ようわかるようになっとります。

イントロやら時おりの演出家との、長回し撮影を含む打ち合わせ的な、やり取りの連続シーンなど、重くなく、実にひょうひょうと軽くこなしてはる姿が絶品どした。

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クラリネットやピアノ部、そして遂には、オーケストラ・リハーサルもやっていく中でも、彼女のノリはメッチャ軽くて自然体どした。

眉をしかめて話し合うのんもええねんけど、まずはパフォーマンスありきどす。

ラストの、ヒロインが倒れるシーンのリフレインでしまいなんやけど、でも、最初から通して見たら、ヒロインのドラマが、リハーサルの中でも、キチンと構築されとるんどすえ。

メイキングなのに、メイキングやない。そのあたりに、スゴミを感じた1本どした。

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