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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2013年8月の記事

2013年8月31日 (土)

「エリジウム」⇒マット・デイモン主演映画

1
地球の2世界を描く、SF映画の系譜に入る映画どす

「ボーン」シリーズとおんなじくらいの、デイモン・アニキの熱演ぶりやで~

http://www.elysium-movie.jp/

9月20日のフライデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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「第9地区」(弊ブログ内検索で出ます)で、地上SFとして、宇宙人と人間との格差社会を描かはった、

ニール・ブロムカンプ監督が、またまたスゴイSFをば、作ってきはりましたがな。

地球の上と下の2界を描くもんやけど、この2界ものは、これまでにケッコー出てまいりました。

最近やったら、「アップサイドダウン 重力の恋人」(8月23日付けで分析)なんぞがありました。

2
上の世界が富裕層で、下の世界が貧困層とゆうのは、この種の映画では定番になっとるし、

環境汚染によって、地球がダメになったちゅうのんも、ようあるパターンどす。

また、ネタバレせんようにゆうと、

下にいるヒーローがクローズアップされるちゅうんも、パターン化されとるやも分かりまへん。

けども、新味となるファクターは、そこかしこに仕込まれとるんどすえ。

3
さてはて、SFとゆうのんは、今さら言うまでもなく、サイエンス・フィクションの略どす。

日本語でゆうたら、空想科学や。

でもって、本作やけど、そのSFのルーツとも呼べる空想部を、果敢にやらはった作品となりました。

ストーリー的なことを言いますと…。

下の世界にいてる、主人公マット・デイモンのアニキが、5日間で死ぬようなビョーキになってしまいます。

でも、上の世界へ行って、どんなビョーキでも治せる、万能機械システムを使えば治りまんねん。

でもしか、上の世界へ行くには、幾多の試練があるとゆう流れどす。

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マット・デイモンが、「ボーン」シリーズ(2002年・2004年・2007年製作・アメリカ映画)に勝るとも劣らへん、アクション・シーンを披露しはります。

「ボーン」の記憶喪失系とは違い、タイムリミット系やけど、目的の明確なアクト。

しかも、幼い頃に仲良しこよしやった、女の娘のために、必死のパッチでアクトを繰り広げる姿には、感涙もんやもしれまへん。

「泣けるSF」の宣伝コピーに偽りのない、描き込みやったです。

でも、あのラストは…。衝撃あるラストシーンを、お楽しみくだされ。

6
「コンタクト」(1997年・アメリカ)ナンチュー映画にも出てはったけど、

基本的にはSF映画には似合わない、ジョディ・フォスターのネーさんやと思うんやけど、

上の世界の長官役も、ワルになりきれへんとこが、妙にココロに残りましたやろか。

7
手持ちカメラによる、不安感をあおるブレブレ感。

前へ前への俯瞰撮影部。

「第9地区」の南ア・ロケに続き、本作はメキシコ・ロケをやってはります。

2154年のLA貧民街を想定すると、メキシコシティにそんなロケ場所があったらしいどす。

そこんとこは、実に説得力もリアリティーもありました。

アクション・シーンの造形も、スロー・モーションと動きある短カットを、バランス良く配置して、ボク的には動体視力が弱くても、十二分に見やすい作りでおました。

ちゅうことで、「第9地区」に続く、ケッサクになっとります。

2013年8月30日 (金)

「ウルヴァリン SAMURAI」⇒「X-MEN」シリーズのスピンオフ

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本格的日本ロケを敢行した、ハリウッド映画どす

現代日本を描きながら、サムライ、ニンジャ、武士道やなんて…どないですやろ?

http://www.foxmovies.jp/wolverine-samurai/

9月13日のフライデーから、3D&2D同時公開で、全国各地イッセーのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Twentieth Century Fox.

本作は、本格的に日本ロケーションを敢行した、アメリカ映画どす。

ちゅうことで、ここで、日本ロケ入りアメリカ映画の、マイ・ベスト&カルト・ファイブをば、披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①ブラック・レイン(1989年)②キル・ビルVol.1(2003年)③ラスト・サムライ(2003年)④バベル(2007年)⑤ロスト・イン・トランスレーション(2003年)

●カルト⇒①本作②黒船(1957年)③将軍(1980年)④SAYURI(2005年)⑤はりまや橋(2009年)

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●現代の日本を舞台にしているのにでんな、いつまでサムライ魂やら武士道やら忍者やねんとゆう不満が、まずありましたやろか。

さらに、アメリカの原爆投下の件においては、長崎原爆について描いてるんやけど、その描き方にはマジで見たら、クエスチョンがありました。

いちおう、アメリカの日本イメージの古さを、捉えた映画をカルトにしておます。

ベスト③は時代劇なんで、このあたりでサムライ・イメージは、ホンマのホンマに、ラストにしてもらいたかったんやけど…。

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ハリウッドが、未だにサムライにこだわった映画が、出てきている。ある意味ではそのしがらみにも似た固定イメージぶりに、賞賛を送りたいくらいどしたやろか。

さて、本作は、アメコミ原作の「X-MEN」シリーズ(2000年・2003年・2006年・2009年・2011年・アメリカ)の、主人公ウルヴァリンのスピンオフ企画やと申せましょうか。

モチ、第6弾として見てもエエんやけど、お馴染みのキャラが約2名しか出てはりまへんので、ヤッパ番外編やろな。

ラストでは、次へと引き継ぐシーンも出てまいりますんで、日本編はチョイと横道っちゅうカンジやろな。

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ヒュー・ジャックマンのアニキがやっとる、ウルヴァリン役やけど、彼が長崎原爆投下の時に、日本にいたっちゅうエピソードから、驚きをもって始まります。

おかしいやろ~やけど、その時に彼が助けた日本人が、2013年の今、不治のビョーキで死にかけとって、

死ぬまでにもう1度会いたいと、福島リラちゃんに伝言を託さはり、

ほんで、リラちゃんの説得で、ウルヴァリンは日本に来はりまんねん。

ほんでもって、とんでもない激戦アクションの中へと、入らはるっちゅう展開どす。

ウルヴァリンの持つ不老不死が、1つのポイントになっとるんやけど、それを巡る対決構図な映画やと言えましょうか。

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役者陣には、ハリウッド的に有名やない役者、あるいは無名の新人はんを、選ぶようにバッテキしてはります。

父役の真田広之はベスト③にも出てはったんで、それなりに知られとるやろけど、娘役のTAOちゃんに、養女でTAOちゃんの義理の妹役の、福島リラちゃん。

共に映画初出演やけど、ベスト③の小雪ネーさんのようなキャラっぽいTAO。

そして、ベスト②の栗山千明のようなアクトぶりで、魅せはるリラちゃん。

加えて、ロシア出身女優や韓国出身男優など、多国籍的にキャスティングしはり、しかも、彼らに重要な役柄をばヤラせてはります。

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日本のチャンバラ時代劇タッチで、剣戟アクションがメインになっとります。

日本の時代劇映画を参考にしたらしいけども、黒澤明監督作品に、かなりの影響を受けてはるように見受けられました。

いずれにしても、ハリウッドの日本イメージが、今も昔も変わらないとこに、ボク的には衝撃を覚えた1本どした。

2013年8月29日 (木)

「美輪明宏ドキュメンタリー~黒蜥蜴を探して~」⇒セレブ・ドキュの1本

1
美輪ネーさんの、文字通りのドキュでおます

若い人たちへの、入門編になっとるやろか

http://www.uplink.co.jp/miwa/

8月31日の土曜日から、アップリンクはんの配給によりまして、東京都写真美術館ホール、渋谷アップリンクやらでロードショーでおます。

関西やったら、9月14日のサタデーから、梅田ガーデンシネマやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸKIREI

セレブ・ドキュメンタリーは、ドキュの1ジャンルになっとりますが、今も現役の方を描くドキュちゅうのんは、既に故人の方のもんと比べると、少なくなっとります。

しかも、現在進行形で活躍するのんを、バックアップするような、いわゆるプロモーション的なもんが結構多いと思うんやけど、

本作で描かれる美輪明宏はんの場合は、チョイと違っておました。

つまり、プロモーション部をカンジさせずに、美輪明宏の人生をストレートに描くスタイルどして、

彼女(彼!?)を何かで知った美輪・初心者にとっても、実に分かりやすい作りをしてはるんどす。

美輪はんが、元オトコやったこと。性同一障害のオトコ女を描いた映画は、これまでに多数出ておますけども、

本作は実話そのものだけに、彼らの心理を描く映画としては、最も説得力ある映画になっとりました。

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彼女がかつて出演した、映画のシーンなども出てまいります。

イケメンの青年として出た、黒澤明監督の「醜聞(スキャンダル)」(1950年製作)、川島雄三監督の「女であること」(1958年)など。

ほんで、三島由紀夫原作の「黒蜥蜴」(1962年・1968年)の、1962年版主演の、京マチ子との違いを見せたり…。

1968年版では、当時の芸名・丸山明宏での主演どした。

「もののけ姫」(1997年)「ハウルの動く城」(2004年)の、スタジオジブリの作品での声優ぶり。

加えて、寺山修司との演劇や映画での仕事ぶりも披露されます。

さらに、歌手としての仕事ぶりも、映画と同等に紡がれてまいります。

昨年のNHK紅白で目と耳にした、あの「ヨイトマケの唄」(1966年)のエピソードも披露。

本人が作詞・作曲した、あの語り部的歌い込みには、胸を突かれよりました。

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その後、エディット・ピアフの名曲「愛の讃歌」を、フランス語バージョンで歌ったりと、彼女のキャリアが、スムーズに描かれてまいります。

何の仕事もなくなった一時期とか、性的な問題部などの描き方が、ヤワになっとるとこもあるんやけど、重たい社会派ドキュやないんで、コレはコレで正解やと思います。

イラストレーター・横尾忠則や深作欣二監督の、コメント部のシブミに加え、モチ、現役やから、美輪はんのインタビューは、いっぱい収録されておます。

美輪はんの好感度を高めるための、映画のように見えながらも、1人のユニークな芸能人を捉えた映画としては、異彩を放つ1本やと思います。

63分とゆう短い映画でもあるんで、フラッと寄って、一服するようなカンジで見に行ったら、エエやもしれまへんな。

2013年8月28日 (水)

「ウォーム・ボディーズ」⇒ゾンビと人間のラブ・ストーリーや~

1
「トワイライト」シリーズの吸血鬼・狼男が、ゾンビになりましたで~

クリステン・スチュワートの妹はんみたいな、テリーサ・パーマーちゃんが活躍しはります

http://dead-but-cute.asmik-ace.co.jp

9月21日のサタデーから、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved

「ワールド・ウォーZ」(弊ブログ内検索で出ます)など、ゾンビ映画の新しどころが、このところ出回っておます。

でもしか、ゾンビ映画とゆうのんは、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生」(1968年製作・アメリカ映画・日本劇場未公開)以来、

長らくそのイメージを、破壊するような映画は、出とりまへんどした。

3
人がゾンビから逃れる。または、人とゾンビが対決するパターンが、主軸どした。

「ワールド・ウォーZ」も、世界レベルの戦いになったことと、ゾンビの動きが早まったくらいで、この基本ラインは変わっておません。

でもしか、本作は、もう一つ進化したとこをば、狙わはりました。

ゾンビと人間が恋をするっちゅう、一見まがいものラブ・ストーリーにも、見えるような展開どす。

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「トワイライト」シリーズ(2008年~2012年・全5作・アメリカ)の狼男と吸血鬼と人間の、三角関係ラブにも似た、男モンスターと女人間の恋でおます。

人間ヒロインは、人とゾンビの対決で、彼氏をゾンビ男にカブられて、殺されてまいます。

このヒロイン役に、テリーサ・パーマーちゃんがバッテキ。

「トワイライト」のクリステン・スチュワート姉さんを、思い出させるような容姿どす。

対して、男ゾンビは「ジャックと天空の巨人」(弊ブログ内検索)の、主人公をやったニコラス・ホルト君や。

5
ホルト君は彼女に一目惚れしてしもて、ゾンビの世界へ人質のようにして、彼女を連れてまいります。

周りのゾンビたちが彼女を欲しがる中で、彼女を守ってゆかはり、

ほんで、レコード鑑賞からドライヴまで、2人はデートしはって、次第に心を通わせてまいるという流れでおます。

彼女のオカンや彼氏が、ゾンビに食われとるのに、

また、彼氏はホルト君にヤラレとんのに、彼女は果たして彼を、スキになるでおましょうか。

6
そのあたりの説得力が本来ならば、重大なとこになるんやけど、人によって見方は、さまざまやろかと思います。

「ロミオ&ジュリエット」以上の壁になるはずの、ゾンビと人間の敵対に対して、本作で描かれる平和主義的帰結や、

もう一つのゾンビに関するネタなどは、首をひねる人もいるやも分かりまへん。

ボク的には安直なハッピー・エンドよりは、工夫が凝らされとったかと思います。

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さらに、ネットが消滅しているとゆう未来の話どして、こちらもなぜネットが消えたのかの、説明はありまへん。

ゾンビが聴く音楽も、アイポッドやなく、アナログのレコードでおます。

でも、ブルース・スプリングスティーンやボブ・ディランなどの曲が、ゾンビ世界にミスマッチなカンジをもたらして、むしろ逆に新鮮やもしれまへん。

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一方、最初の方で示される、ホルト君のナレーションによる、オールド・ゾンビ世界の、ユーモラスな描写などは、かつてのゾンビ映画にはない描写どした。

とゆうことで、ゾンビ映画とラブ・ストーリーが融合した、ユニークな1本なんどすえ~。

2013年8月27日 (火)

「ベニシアさんの四季の庭」⇒癒やしのドキュメンタリー

1
スローライフな生活ドキュメンタリーの、心地よい作品どす

「ノルウェイの森」でも描かれた、京都・大原の自然風景がグッドどすえ

http://venetia.jp

9月14日の土曜日から、テレコムスタッフはんとNHKエンタープライズはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座、大阪・テアトル梅田、京都シネマやらで、全国順次のロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒベニシア四季の庭製作委員会

生活ドキュメンタリーなんやけど、異色のヒロイン・ドキュにして、家族映画でもあります。

ヒロインのベニシアはんは、イギリスの貴族一家の出身やったけど、19歳の1969年にインドへ行って、インド式の生活をしはります。

ほんで、さらなる高みの癒やしを目指して、ニッポンへ。上陸地・鹿児島から東京へ。そして、京都へと生活の駒を進めてまいりました。

でもって、京都・大原に定住し、家族を作らはります。

さらに、自宅の築100年の家の庭に、“庭は天国”と称する楽園を作って、うっとりするナンチューお話でおます。

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ウーン…、なんて唸らはる人も、いてはることでおましょう。自己完結・自己満足の世界を見せられたって、それがどないやねんといった向きの方も、いてはるかもしれまへん。

けども、今やクラシックとなった、日本の四季を描く映画の、改めての再発見ぶりに、まず驚きました。

薄色配色による、ヒロイン・ベニシアはんの故郷、イギリス・ダービーシャーの風景を撮り込みつつも、

京都・大原の春の花々、夏のひまわり、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季映画の定番のような風景を映しながらも、

イギリス人のヒロインが、センターにいることで、これまでとは全く違った情景に見えたりします。それは不思議でもあり、癒やしでもありました。

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一方においては、夫の浮気や事故、娘の統合失調症などの暗い事件も、それなりに描写されとります。

けども、暗さをほとんど感じさせへん作りなんは、ヤッパ、ヒロインへの観客の感情移入度合いや、好感度の高さゆえなんでおましょうか。

ベニシアさんの、誰でもが馴染みやすい人柄は、特注にして特殊やろか。

スローライフが、ベースにはあると思うけど、中でも、京都人とヒロインの、ユニークなやり取りを始め、彼女のオリジナル・ハーブレシピ作りシーンの、面白さなどで魅きつけはります。

サントラのピアノ・サウンドにも、心地よくなれる作品どした。

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さて、最後に、本作とリンクする映画についてどす。

ドキュやないけど、京都を舞台にした映画としては、カナダのクロード・ガニオン監督が撮った、OLヒロインの日常「Keiko」(1979年製作)。

日本の四季の変遷の中で、捉えた映画も多いけど、「阿弥陀堂だより」(2002年)やら。

自然と人の関わり、自然と人の愛とゆう意味では、最新作「奇跡のリンゴ」(弊ブログ内検索で出ます)も関連しよります。

で、京都の冬を作品に取り込んだ「ノルウェイの森」(弊ブログ内検索)も、本作鑑賞前のDVD鑑賞としては、大きなキー・ポイント作品やろかと思います。

テレビ・ドキュの宝庫NHKはんでも、異色の1本やと思うねんけど、シビアなドキュが多い中においても、

本作では、肩の力を抜いた上での、底力とゆうもんを、見た1本でおました。

2013年8月26日 (月)

「オン・ザ・ロード」⇒「華麗なるギャツビー」とシンクロナイズ

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様々なロードムービーが、展開する異色の逸品や~

話題的には、クリステン・スチュワートのネーさんの、ヌード披露やろかな~

http://www.ontheroad-movie.jp

8月30日のフライデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、9月7日の土曜日から、大阪ステーションシティシネマ、京都・TOHOシネマズ二条やらで上映どす。

本作は、フランス&ブラジル合作(英語セリフ)による映画。

ほんで、「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸGregory Smith

ピンで簡潔に申しますと、プレイボーイのお話でおます。

映画的・文学的ピンやと、「華麗なるギャツビー」(6月12日付けで分析)やらが思い当たってきよります。

でもしか、ギャツビーのイチズとは違いまして、こちとらはホンマにええ加減でおます。

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ギャツビーと同じく、語り部ナレートする友人が出てまいります。

ところがどっこい、こちとらはかなりディープに、語り部主人公は、ギャツビー的友達と関わらはります。

とゆうか、主人公は、トンデモキャラを探すように、相手との関係を求めてはりまして、そのポイントは、ユニークな主人公が登場する、小説を書くためどした。

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そやから、小説を書くためのメイキング映画としても捉えられまんねん。

最後に小説を書いていたことが分かる「スタンド・バイ・ミー」(1986年製作・アメリカ映画)、映画脚本家が主人公の「バートン・フィンク」(1991年・アメリカ)、最後に小説を書く姿を描いた「苦役列車」(弊ブログ内検索で出ます)などと連関いたします。

いずれも評価の高い作品やったように、本作も仕上がりは十二分でおます。

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ほんでもって、ロードムービーとしても、出色の仕上がり。

実話をベースにした原作小説のジャック・ケルアック著「路上/オン・ザ・ロード」は、1957年に発表されておます。

この小説は映画にも影響を与えた節がござります。例えば、アメリカン・ニューシネマなどへ。

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但し、本作はどこからどこまでのロードを、1本筋のように描くんやなく、路線は3タイプほど詰め込まれておます。

ヒッチハイクと徒歩の1人旅。紅1点4人組からスタートし、中継地で1人降りてのドライブ。男2人のドライブなどと、組み合わせもイロイロや。

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監督は「セントラル・ステーション」(1998年・ブラジル)「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2003年・イギリス&アメリカ)などを撮った、

ロードムービーの名手とも言える、ウォルター・サレス。

空、荒野、セピアの夕景など、アメリカの風景描写のほか、

車がスクリーンの左右を走る、ロングショットの頻出に加え、運転手視点の、前へ前へのショットなど、ロードを魅せるカット割りが巧みや。

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作家役主人公にサム・ライリー、プレイボーイ役にギャレット・ヘドランド。2人の遊びっぷりも面白いんやけど、

この無名に近い役者2人と絡む、クリステン・スチュワート姉さんの、

「トワイライト」シリーズ(2008年~2012年・アメリカ)とは180度違った、脱皮ぶりがスゴかったわ。

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ベッド・シーン、カーセックス・シーン、丸裸での乗車シーン始め、ヌード・シーンを、大っぴらに、かなりとヤラシーく、披露してはりまんねん。

そして、この3人のロードぶりは、本作の大きな見どころやと思う。

出番は少なめやけど、キルスティン・ダンスト(写真7枚目)やエイミー・アダムス(写真6枚目)、各ネーさんの演技派の演技に加え、

ヴィゴ・モーテンセン(写真8枚目)はんの、作家バロウズ役が、渋くハマッとります。

個人的に好きやねんの、アメリカン・ニューシネマなタッチを思わず感じて、ボクはこの映画に惚れました。

2013年8月25日 (日)

「許されざる者」⇒洋画の邦画リメイク作品

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クリント・イーストウッド監督のアカデミー賞作品賞受賞作を、日本映画として大胆にリメイク

渡辺謙のアニキが、オリジナルに迫る渾身の演技を、披露しやはりまっせ

http://www.yurusarezaru.com

9月13日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマほかで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Warner Entertainment Japan Inc.

邦画をリメイクする洋画とゆうのんは、ベスト・スリーを選べるくらい、ケッコー多いんやけど、

対して、洋画をリメイクする日本映画とゆうのんは、それほど多くはござりまへん。

ボクが見た範囲では、「シェーン」(1953年製作・アメリカ映画)の、山田洋次監督作「遥かなる山の呼び声」(1980年)とか、

「ヘッドライト」(1956年・フランス)の「道」(1986年)なんぞがあるけど、いずれにしても、稀少価値のある作品でおましょうか。

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しかも、本作リメイクの元ネタは、アカデミー作品賞をゲットした、クリント・イーストウッド監督・主演の「許されざる者」(1992年・アメリカ)でおます。

イーストウッド監督の了承を得て、製作へとなりました。たぶん、「硫黄島からの手紙」(2007年・アメリカ)で主演に起用した渡辺謙の助言、ほんで、本作で謙さんが主演するっちゅうこともあったんでしょうか。

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元ネタは、アメリカ映画の伝統となる西部劇どす。

ほな、それを日本に移植するとなれば、やっぱり広大な土地と自然が必要になるし、西部劇はアクション的には騎馬戦が基本なんで、時代劇とゆうスタイルでゆくんがベターや。

あとは、その時代をどこに設定するかやけど、オリジナルとほぼ同じ時期の、日本を舞台にしはりました。

明治時代・1880年・北海道。渡辺謙のハリウッド・ブレイク作品「ラスト・サムライ」(2003年・アメリカ)を始め、「るろうに剣心」(弊ブログ内検索で出ます)など、

幕末から明治にかけた時代を、背景にした映画でも、ある程度の時代考証はしてはるけども、自由奔放にやってまうとゆうとこには、好感がありました。

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一番若い女郎(忽那汐里ちゃん=写真5枚目)が、客にキズつけられてまいます。

北海道当地の警察署長役の、佐藤浩市のアニキは、2人の客たちを軽罪に処しはります。

でもしか、それに不満を覚えた女郎たちが、2人を殺してくれた者に、大金の賞金を払うとゆう前振りでおます。

賞金稼ぎを引き出すためのポイントとしては、オリジナルと同じやけど、少々リアリティーがありまへんけども、そこはそこ。多目に見てやっても、エエかと思います。

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演技陣の健闘ぶりが目立ちました。

オリジナルのイーストウッドよりも、経歴が違うだけに、複雑な演技をやらなあかんかった渡辺謙さん。ワイルド感を増量して熱演してはります。

本来の敵やなかったのに、謙さんの友を殺したことで、謙さんの敵となる佐藤浩市。オリジナルのジーン・ハックマンより、スマート感があるけど、ワル度合いは同等とも見れます。

何より、モーガン・フリーマンがやった役を演じた、ベテラン柄本明はんの、緻密な渋がれ演技は特注どした。

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柳楽優弥クンの、かつてないワイルド感も、映画を映えさせはりました。

「爆心 長崎の地」(弊ブログ内検索)で久々に見たけど、撮影中に演技性をイロイロ揉まれた結果の、この演技。

渡辺謙、柄本明の演技と比べても、決してヒケを取ってはりません。

忽那汐里ちゃんの憂愁に満ちた、演技にも注目しておくんなはれ。

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そして、個人的には、北海道ロケを存分に生かした、風景シーン(写真7・8・9枚目)の見事さにもメッチャ酔いましたで。

キレる映画的ロング・ショットも、多数盛り込まれておます。

ハリウッド大作的な、オーケストラ・サントラ使いもグッド。

オリジナルを超えたとは申しませんけども、李相日(リ・サンイル)監督は、リメイクとゆう視点よりも、作品へのトリビュートとゆう視点を、重視してはったように思います。

ポピュラリティーも存分に盛り込まれとるんで、李監督作の「フラガール」(2006年)「悪人」(弊ブログ内検索)以上のヒットが、期待できる仕上がりになっておりまっせー。

2013年8月24日 (土)

「共喰い」⇒芥川賞受賞作品の映画化

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「もらっといてやる」が話題になった、あの作品の映画化どすえ~

青山真治監督は、果たしてどない撮らはったんやろか~

http://www.tomogui-movie.jp

9月7日の土曜日から、ビターズ・エンドはんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやらで、全国ロードショーでおます。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ田中慎弥/集英社・2013『共喰い』製作委員会

芥川賞ゲット小説の映画化作品は、エンタ系の直木賞と並んで、日本映画界で一つのブランドを築いておます。

「苦役列車」(弊ブログ内検索で出ます)のとこで、芥川賞受賞小説の映画化作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたしましたが、

本作も、どっちかとは申しまへんが、入るような作品になっとります。

芥川賞以外のキーワードとしては、昭和映画であり、地方ロケ映画やらでおます。

昭和映画としては、昭和の最後の1日を、捉えてもいてはる映画どして、貴重なとこもあります。

そして、地方映画としても、地方映画にしか撮れへんようなカンジが、かなりと際立っておます。

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但し、北九州や山口・下関にロケしてはるんやけど、決して地方色を意図的に出すような映画やありまへん。

また、川辺の風景やら、夕景シーンもあるんやけども、ココでないといけないとゆうもんでもありまへん。

それでも、佐々部清監督の山口3部作「チルソクの夏」(2003年)「カーテンコール」(2004年)「四日間の奇蹟」(2005年)と比べてみると、より地元密着型の映画作りをしてはります。

青山真治監督作品どす。九州ロケの「ユリイカ」(2000年)が出世作となったので、その流れに応じて、本作を含めて、九州3部作にしようと…意図してはります。

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石原慎太郎元都知事は、芥川賞の選考委員でもあるんやけど、田中慎弥のアニキは芥川賞の候補になりながらも、落とされて続けてきはりました。でも、ようやくゲットした。

「もらっといてやる」と発言しはった、田中アニの言葉は、ユニークでオリジンがおました。

そやからとゆうて、作品にオリジナリティーが、あるんかどうかは別問題どす。でもしか、彼のある種、傲慢とも言える言葉が、映画化作品にも反映してるようにも思えました。

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菅田将暉クンが主役で、オカン役の田中裕子や、傲慢を演技するオトンの光石研、オトンの愛人・篠原友希子ネーさん、同級生の木下美咲ちゃんやらと、ディープに関わらはります。

特に、長回し撮影の多かった、田中裕子の演技ぶりやセリフには、グーンとくるとこが多かったどすやろか。

●●●ことアソコが映されてまう、主人公のオトン役の光石研、「おだやかな日常」(弊ブログ内検索)に続き、か弱き優しい女を演じた篠原友希子ネーさん。主人公との絡みを含めて、観客の好感度の高い演技ぶりやったどすやろか。

ちゅうことで、青山監督の最高作「ユリイカ」に迫る作品どしたえ。

2013年8月23日 (金)

「アップサイドダウン 重力の恋人」

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2重引力の上下世界とゆう、シチュエーション・ファンタジー

2界の禁断の男女の、ラブ・ストーリーが展開や~

http://www.upside-down.jp/

9月7日のサタデーから、角川書店はんの配給によりまして、テアトル梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショー。

本作は、フランス・カナダ合作による、フランス映画でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 / UPSIDE DOWN FILMS - LES FILMS UPSIDEDOWN INC - ONXY FILMS - TRANSFILMITNL - STUDIO37 - KINOLOGIC FILMS(UD) - JOUROR PRODUCTIONS - FRANCE 2 CINEMA

SFファンタジー・ラブ・ストーリー…ナンチュージャンルの映画でおます。

ハリウッド映画にはこの種のタイプはまま、あるけど、フランス映画としては珍しおます。

しかも、英語セリフによるもの。

かつてフランスが関わった作品としては、リュック・ベッソン監督の「フィフス・エレメント」(1997年製作・アメリカ&フランス合作)なんぞと、大いにシンクロナイズしてまいります。

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シチュエーションとしては、2重力世界が平行して、上の世界と下の世界があり、その2界に住む男女が、許されない愛を紡ぐとゆう物語どす。

上が富裕層、下が貧民層とゆうのんは、よくあるパターンやし、

また、平行世界なのに、摩天楼と山頂の高さは違うハズなのにでんな、同じラインで接し合っているとゆうのんは、リアリティーがないんと違うんかなと、思たりもしたけども、

リアルにこだわると、この種の映画は成り立たないとこもござります。空に大都会が逆にある造形ぶりなどには、目が点になりましたがな。

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ナンチューても、イロイロと写真にあります、上下逆カットの多さは、圧倒的な仕上がりどした。

その意味では、よく言われる、“かつて見たことがない映画”を、体現できる映画やと思います。

上下世界の描き方を、変えてもいてるシブミ。薄紫な下世界の配色具合など、渋かったどすえ。キレあるロングショットも、多々ありま。

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ほんでもって、2界のそれぞれの男女の、禁断のラブ・ストーリーが展開しよります。

「ロミオ&ジュリエット」を思い出させはるタッチやけど、かの作品に影響を受けた作品はいっぱいあれど、

ボク的には「ウエスト・サイド物語」(1961年・アメリカ)が最高傑作なんやけど、本作もなかなかのもんどした。

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幼い頃に山頂で、上下逆向きに出会った2人は、2界の掟を破って、愛をはぐくんでまいりまんねん。

も、禁じられとるんで、上の世界からの摘発に遭い、上の彼女は頭を打つ大ケガを負い、記憶喪失とならはります。

但し、よくある記憶喪失系の映画とは、一線を画しておます。

一方、下の彼氏は数年後に、大ケガで死んだと思ってた、上の彼女が生きていた事実を知り、

彼女が勤めるとゆう、上下世界にまたがる巨大ビルの会社に就職し、彼女に接近をはからはります。

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上の友人の協力の元、上の世界へ行って、イロイロやる主人公のシーンは、

ハットトリッキーなとこもあって、本作のハイライト・シークエンスになっとります。

めでたく彼女と再会した時には、彼女は記憶喪失でおます。

さてはて、果たして彼は彼女の記憶を、蘇えらせることができるんやろか。

そのあたりのとこは、ハラハラドキドキで見られまっせ。

いずれにしても、ユニーク極まりない1本でおました。

2013年8月22日 (木)

「素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー~」

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シニア映画とロボ映画の融合やなんて…まあ、ありまへん

老人とロボットのキズナが、渋くグッとくる仕上げどすえ

http://www.sutekinaaibou.com

8月24日のサタデーから、角川書店はんの配給によりまして、梅田ガーデンシネマなどで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo
Ⓒ2012 Hallowell House, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

老人の介護をロボットがするとゆうお話を、映画史上初めて採り上げた作品でおます。

アニメを除いたロボット映画では、人間の姿をしたロボット設定が、多いように思うけど、本作ではロボットそのものどす。

また、現在ヒット中の「パシフィック・リム」(7月21日付けで分析)では、モンスターたちと対決する、人間操作型のロボが出ますけども、本作では人間らしきロボでおます。

フランク・ランジェラ演じるオトンの老後を心配しはった、息子はん役ジェームズ・マースデンのアニキが、介護ロボットをば、大マジでプレゼントしはりますねん。

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ところがどっこい、オトンはロボを手なづけてでんな、かつてやった盗みの犯罪を、ロボと共にやろうとしはりまんねん。

プログラム化されとるロボやけど、プログラム外にも対応できます。

人間としての対応もスムーズやねん。そやから、ここで、老人とロボの間で、キズナみたいなもんが生まれてまいります。

さらに、老人の娘役のリヴ・タイラーのネーさんや、友達としてスーザン・サランドンはんらが出てまいります。

ロボットと役者陣の対比描写は、随時行われよりまして、ロボの方が観客の好感度が、よくなる方向性や仕組みに作られておます。

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シニア映画とロボット映画なんてゆうのは、確かに“介護”とゆうキーワードがなかったら、そら、水と油に近いやもしれまへん。

でもしか、この2ジャンルを統合した上に、老人とロボのキズナにまで、持ってゆくドラマ性は、いかにもとは申せ、新鮮でもありました。

サプライズもあるし、ロボの犠牲精神を取り込んだ、感動っぽさもありま。

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ロボットものらしく、シンセサイザーをメインにした、サントラ使いの妙味もあるし、

親子が交流するダイジェスト・シーンでは、女性コーラスによる聖歌的なナンバーも流れて、うっとりなところもあります。

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サプライズなネタ部は、約ツー・ポインツありますけども、どちらもオーソドックスなもんかもしれへんけど、余韻は残ってくるハズどす。

ロビン・ウィリアムズがロボ役主人公になった「アンドリューNDR114」(1999年・アメリカ)や、スピルバーグとキューブリックの共作とも言える「A.I.」(2001年・アメリカ)など、

ロボを感じさせない、ヒューマニズム・ポイントがキチンとある、心地よい1本どした。

そして、シニア映画の新しい描き方も、披露しはった点においては、高めの評価をすべき作品やと思いました。

2013年8月21日 (水)

「ソレイユのこどもたち」⇒ニッポン映画の新しき波⑤

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浮浪者ホームレスと犬の話を、主に描くドキュメンタリーや~

チャップリンの「犬の生活」やなんて、言いまへんけども…

http://www.cinetonium.com/

8月31日の土曜日から、スリーピンはんの配給によりまして、大阪のシネ・ヌーヴォやらで、全国順次のロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Copyright Ⓒ 2012 Yoichiro Okutani All Rights Reserved.

30代のドキュメンタリー映画監督、奥谷洋一郎のアニキが撮り上げはった作品。

本作は、消えゆく者たちの、美学をカンジさせた、監督の公式デビュー作「ニッポンの、みせものやさん」(2011年製作)より前に、撮らはったもんどす。

東京・多摩川沿いに打ち捨てられた、小型船に住む孤独なホームレスを描かはりました。

ほんで、プラスアルファで、彼を慕う野良犬たちの話が綴られます。

特に「ソレイユ」とゆう犬と彼の話は、大きなポイントになっとります。

ドキュメンタリーで弱者を描くとゆう作家性は、日本だけやなく海外でも、あんまし見られへん素材どす。

いっぱしの社会派がはびこるドキュの中でも、この種の映画はあんまし歓迎されまへん。

けども、そこんとこの関所を突き抜ければ、大化けする可能性も秘めた1本どした。

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サントラなし。字幕なし。ナレーションなし。

予算の関係上ちゅうのんは、大人の事情でおましょうけども、

ドキュの名匠フレデリック・ワイズマンの手法を、低予算にかこつけてかどうやらは、分かりまへんけども、かなりと意識してはるようにも見受けられました。

いかにも、ドキュメンタリー映画の教科書通りに、仕上げたとこはあるんやけど、

カメラマンでもある監督に、主人公ホームレスが声を掛けてきたりします。

でもしか、奥谷監督は一切答えまへん。

徹底して対象を、そのままありのままに映すとゆう、姿勢をば貫いてはります。

「ニッポンの…」では、描く対象に対して、感情移入するようなとこもあったけど、本作ではそれが、全くといっていいほどありません。

長回し撮影の多さ。風の音を始めとした、効果音の使い方なども、そのまま流をサポートしております。

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浮浪者と犬を描くてゆうたら、すぐに思い浮かぶんは、チャップリン作品でおましょうか。

特に「犬の生活」(1918年・アメリカ)は、モロかもしれまへん。

主人公と犬のやり取りのいくつかは、ある種の汚れが基本になっとるやもしれまへん。

犬映画なんてゆうたら、勘違いの元かもしれませんが、あくまでドキュとして描かれているんで、ドラマ的感動映画やお涙頂戴ものやらとは、かなりと一線を画しておます。

また、「荒川アンダーブリッジ」「ハッシュパピー」(共に弊ブログ内検索)やらの、ホームレスチックな共同社会を描く映画とも違い、

孤独で生々しい現実が冷徹に…、のように描かれてまいります。

主人公のネガティヴや人生諦念感が、最後まで付きまとっております。

それでも、犬は立派に、生きてゆくのでありました…ナンチュー展開どすか。

続編があるんかどうかは、ビミョーなところやろけど、彼らのその後を心配しはる方は、チョイと多摩川あたりを、のぞいてみはったらどないやろか。

いずれにしても、ラストシーンの、そのあとこそが、モノゴッツー気になってきよる映画どしたえ。

2013年8月20日 (火)

「恋の渦」⇒ニッポン映画の新しき波④

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コレぞドンピシャやん

今の日本の若人(ワコウド)の、群像劇ラブ・ストーリーやで~

「ラブ・アクチュアリー」やらのスマート感とは、真逆の猥雑な作りが、スゴイッす~やろか~

http://koinouzu.info/

オーガスト8月31日のサタデーから、シネマ☆インパクトはんの配給によりまして、東京・オーディトリウム渋谷で、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、9月14日から神戸アートビレッジセンターやら、10月19日からシネ・リーブル梅田やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 シネマ☆インパクト

合コンから始まる、男女9人の群像劇どす。

ほんでもって、タイムリミット系やないけど、経過時間の字幕カットを入れながら、9人の合コン以降のその後を、室内劇だけで展開してゆくとゆう、群像劇ラブ・ストーリーでおます。

「ラブ・アクチュアリー」(2003年製作・アメリカ&イギリス合作)ナンチュー映画なんかと比べると、スマートや全然なく、

日本の若者の生態を、猥雑感をもって、そのままありのままを切り取るっちゅうスタイルが、ドンビキしてまうようなとこも、あるやも分かりまへんな。

「チョー」とか「メッチャ」とか「マジ」とかの、セリフが頻出。

アドリブ満載なんかもしれへんけど、ホンマらしき合コンノリを手始めに、今どきの若者の軽薄さを追求してはります。

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さてはて、大根仁(おおね・ひとし)監督作品でおます。

大根アニキてゆうたら、あの恋愛群像劇「モテキ」(2011年・弊ブログ内検索で出ます)を監督しはりました。

「モテキ」のイメージで本作を見ると、出ている方々はみんな素人やなく、役者はんなんやけど、有名やないちゅうだけで、ほとんど作品性としての本質は、一緒なんですわ~。

つまり、コメディーという映画形式で包み込む「モテキ」に対して、自然主義なドキュメント性でいった本作。

低予算やったとゆうとこも、あるかもしれまへん。

でもしか、じっくりと本作と向かい合ってみると、恋愛の駆け引きを超えた、人間心理のズルイ感やサプライズ感が、巧妙に描かれとるんが分かってまいります。

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はっきりゆうて、ココに描かれとる恋愛のカタチは、日本の今の若者たちの恋愛模様の縮図であるかと思います。

しかも、美しく感動的に見せる映画的浄化を経ずに、そのままを暴露してゆくとゆう演出ぶり。

こういう映画はモチ、大手の映画会社の路線には合わないんやけど、しかし、山田洋次監督らがこういう映画を、大ヒットさせようとゆう方向性で撮ってみたら、日本の映画界はもっとずっと、刺激的でワクワクドキドキになるんかもしれまへん。

それは残念ながら叶わんやろけど、大根監督の作品として、ココに厳然として存在する以上は、本作を見ていただくしかござんせん。

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彼女のいない友達のために、男友達たちが相談して、彼らの彼女たちの関係筋から、飛び切りの彼女を連れて来てもらい、引き合わせようとする冒頭の合コン・シーンから、アンチ恋愛映画をジでゆくような展開がござります。

連れてこられた女はブスだった。男たちにとって、最もホンネなところを最初から打ち出し、

その後、それによる波紋を、各カップルの間で持続させてゆく流れは、かつてない恋愛映画の流れやったかと思います。

でもしか、当の2人たちは、それなりによろしゅうやっていってはって…。

各カップルの間で、次から次へと、問題が起こってまいります。

スクリューボールはブスな彼女やけど、その波紋ぶりの面白さが、最後の最後まで続きます。

「モテキ」の裏版・ホンネ版かもしれんけど、ボクは「モテキ」と同じくらい面白く見られました。

「モテキ」みたいに全国津々浦々まで、いかへんかもしれへんけど、みなはん、近隣の映画館でかかった際には、ぜひ見に行っておくんなまし。

2013年8月19日 (月)

「日本の悲劇」⇒ニッポン映画の新しき波③

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パート(一部)カラーやけど、21世紀にモノクロで描く意味とは?

仲代達矢はんと北村一輝アニキが、真っ向勝負の演技バーサスや~

http://www.u-picc.com/nippon-no-higeki

8月31日の土曜日から、太秦はんの配給によりまして、東京・ユーロスペース、新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、9月7日から、シネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場やら、9月21日から、京都みなみ会館、神戸アートビレッジセンターやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 MONKEY TOWN PRODUCTIONS

今から振り返りますれば、カラー映画時代のモノクロ映画とゆうのんは、映画監督的作家性を発揮するには、1つの方法論でもありました。

アメリカやったら、ウディ・アレンが「マンハッタン」(1979年製作)で、スティーヴン・スピルバーグが「シンドラーのリスト」(1993年)で、

デヴィッド・リンチが「エレファント・マン」(1980年)で、ティム・バートンが「エド・ウッド」(1994年)なんかでやりました。

日本を見ても、1980年代に傑作が偏っとるけども、

今村昌平「黒い雨」(1989年)、熊井啓「海と毒薬」(1986年)、小栗康平「泥の河」(1981年)、和田誠「麻雀放浪記」(1984年)などがあります。

でもしか、今の若い映画ファンの方々は、モノクロ映画を見ないとゆう、都市伝説的か地方伝説的か、よう分からんけど、通説があります。やなんて、ホンマですか~?

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さてはて、2000年と21世紀以降を、見てみるとどないやろか。

3Dの時代にもなっとるちゅうのに、モノクロで発表するやなんて、よう考えてみんでも、メッチャ無謀に近いわな。

パート(一部)カラーやてゆうたって、ホンマちょっとだけや。

それでも、取りあえず、2000年以降に発表された、邦洋合わせたモノクロ(パートカラー含む)作品の、マイ・ベスト・ファイブを発表いたします。

①アーティスト(2012年・フランス製作・弊ブログ内検索で出ます)②グッドナイト&グッドラック(2005年・アメリカ)③ユリイカ(2000年・日本)④鬼が来た!(2000年・中国)⑤本作⑤シン・シティ(2005年・アメリカ)

☆別格⇒ニーチェの馬(弊ブログ内検索で出ます。フィルム・アート映画の最後の作品ゆえに)

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⑤位の「シン・シティ」はCG入りなんで、クラシックなモノクロ映画とは言えへんかもしれへんけど、モノクロにもまだまだ可能性はあるんやで~、の意味で入れました。

①位から④位までは、オスカー作品賞の①を始め、世界3大映画祭(カンヌ・ヴェネチア・ベルリン)で賞を獲得してはります。

ミレニアムの2000年作品は別にして、21世紀の時代に、モノクロで描く意味とゆうのんは、作家性やらを別にして、ますます難しい状況をば、呈してきとるんやないでおましょうか。

なんでモノクロやねん? の若き人たちからの問いに、しっかり答えられるんでおましょうか。

例えば①やったら、サイレント映画へのオマージュとかの理由をば、宣伝コピーに添付せなあかんようになります。

でも、小林政広監督の本作は、どないやろかな~。

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さてはて、分析しまするに、21世紀になってからの、ここ数年の家族映画において、本作やったら、家族崩壊の映画やけど、モノクロで描かれた映画はありまへん。

タイトルを見るに、木下惠介監督の「日本の悲劇」(1953年・モチ白黒作品)と一緒やけど、その名作でもオカンをヒロインにした苦労話が、描かれとりましたが、

もしや小林監督の脳裏には、この作品がそれとなく、インプットされとったんかも分かりまへん。

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モノクロにする意味を改めて問われたら、ないかもしれまへん。

しかし、松竹やらの家族映画の明快・明朗感との違いを示すために、あえてモノクロにしたんやったとかやったら、このスタイルは正解でおましょう。

幸せやった時を、カラーで描くのは、少しワザトラマンやったけど、

とにかくオトン役仲代達矢はんと、息子役の北村一輝アニキの、室内劇によるやり取りが、ネットリしとって、ココロに粘り付きよりましたがな。

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冒頭の10分以上の固定長回し撮影を始め、2人の演技対決を見せるところでの長回しは、特にネバリ気や演技テンションは、モノゴッツー高いどす。

仲代の暗いシーンでのアップや、背中で魅せる演技なども、シブミを増します。

また、「真夏の方程式」(弊ブログ内検索)などでは見せない、北村一輝アニの、悲嘆にくれた喚(わめ)きや嘆き節など、インパクトは強烈やし、キャリア最高の演技ぶりでっしゃろな。

サントラは流れまへんので、より役者の演技に集中して、見ることができますで。

オトンと息子の演技バーサスやらに、酔ってくだされ。

2013年8月18日 (日)

「ジェリー・フィッシュ」⇒ニッポン映画の新しき波②

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“R18文学賞vol.2”映画化作品でおます

レズ・シーンに加え、女子高生たちの性が、メッチャあからさまに

http://www.r18-jellyfish.com

8月31日の土曜日から、よしもとクリエイティブ・エージェンシーはんの配給によりまして、東京・シネマート六本木で、全国順グリのロードショー。

関西では、今秋に、シネマート心斎橋やらで上映どす。

本作は「R-18+」指定映画でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013「ジェリー・フィッシュ」製作委員会

本作にもチョイ出てはる、竹中直人が主演した「自縄自縛の私」(2012年製作・弊ブログ内検索で出ます)に続く、危なっかしいヤラシー映画の、シリーズ第2弾でおます。

身をナワやらで縛るのに快感を覚えた、ヒロインが活躍した前作に対し、本作では、ストレートなレズの世界。

変態色は前作よりも、やや劣るかもしれへんけど、レズ・シーンに加え、男女濡れ場シーンを含むヤラシー度は、かなり高いどす。

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本作のメガホンを執らはった、金子修介監督てゆうたら、日活ロマンポルノからキャリアを始めてはるんやけど、

日本の監督の中でも、かなり特異な作品性を渉猟してはります。

かつてボクチンがインタビューしたこともある、金子監督の、マイ・ベスト&カルト・スリーを、披露さしてもらいます。

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●ベスト⇒①毎日が夏休み(1994年)②ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年)③ばかもの(2010年・弊ブログ内検索)

●カルト⇒①本作②どっちにするの。(1989年)③クロスファイア(2000年)

●怪獣映画でも「ゴジラ」(シリーズ第1弾は1954年)並みに、評価の高かったベスト②、

家族ドラマや恋愛映画の、時代性を取り込んだベスト①③など、ベストからして多彩やろ。

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ほんで、カルトに移っても、宮部みゆき原作映画カルト③や、アイドル映画の群像劇カルト②など、

ある種のアイドル性の打ち出し方が、メッチャうまい監督でもあります。

ほんで、最近では、高校学園もの、青春ものなどに、異彩を放つ作品多数や。

2013年は本作で早くも、第3弾となる監督作品どす。

ロマンポルノで培った部分と、青春学園映画部の絶妙なミキシングが、施された快作となっておます。

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写真をご覧いただきまするに、2人の女子高生役女優に、目が行くかと思います。

大谷澪ちゃん(写真3枚目)と花井瑠美ちゃん(写真4枚目)の2人。

2人が公園ツーショットなどから、恋に落ち、キス・シーンから、遂にはセックス・シーンへ。

ほんで、「愛のコリーダ」(1976年・日本&フランス)まがいの、首締めシーンまで披露しはります。

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レズ映画の嚆矢とも取れる、ウイリアム・ワイラー監督の「噂の二人」(1961年・アメリカ)に、インスパイアーされたらしいけど、

その2人やった、オードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーンを、引用に出すんは、かなり大いなる差があるとは思うけど、

そのニュアンスは、より大胆により野放図に、描かれてまいります。

2人の恋の行方は、しかし、「噂の二人」とは全く違った結末へ。

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写真にある、クラゲのいる水族館の、ブルー・トーンなどのイントロ。脱色系で示される過去シーン。薄ブルーの空、雨、草花などの、自然シーンの適度な挿入。

ロングショットとアップ・シーンの編集具合。シンセ・ピアノ・バイオリンなど、映画リズムを、しっとりさせるサントラ使い。

「R-18」映画ながらも、青春映画らしいトーンは、最後まで通底しとります。

ラストのサプライズさえ、自然な結末だと思えた、逸品どしたえ~。

2013年8月17日 (土)

「貞子3D2」⇒ニッポン映画の新しき波①

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「リング」シリーズの第6弾が、世界初の「スマ4D」で登場!

瀧本美織チャンが、必死のパッチの、怖がり役を披露やー

http://www.sadako3d.jp

葉月8月30日の金曜日から、角川書店はんの配給によりまして、3D&「スマ4D」にて、全国ロードショー。

関西やったら、梅田ブルク7、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸やらで上映どす。

「スマ4D」とは、スマートフォン専用のアプリを、起動させもって映画鑑賞する、映画史上初の試みらしいわ。

「スマ4D」専用の無料アプリは、ダウンロード中。詳しくは、上記の公式ホームページをご覧くだされ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013『貞子3D2』製作委員会

4作続いた「リング」シリーズ(1998年に2作・1999年・2000年に各製作)の、3D新シリーズになってからの第2弾(第1弾は弊ブログ内検索で出ます)どす。

「スマ4D」での試写やない、いつもの3D試写やったけど、邦画3Dの中では、かつてないビビッド感がありました。

観客側、特に観客の目へと来るシーンの、シミュレート感はキョーレツ至極や。

内臓内を見せるカット、血の海など、こっちへ気色悪く来て、思わず身をのけぞらせますで。「スマ4D」やったら、一体どないなんねんやろと、恐ろしさも募りました。

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さてはて、肝心な内容やけど、「リング」第1弾の頃と現在とでは、状況は随分と変わっておます。

VHSは消滅する予定やし、「呪いのビデオ(VHS)」設定は厳しい。ほな、DVD、ブルーレイかとゆうたら、そうやない。

パソコン、スマホ、ケータイで見られる動画へと、スライディングしてはります。でもしか、そのネタ部はおんなじどす。

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井戸やら貞子の呪いやらの設定が、第1弾からズーッと続いておます。

第1弾の出来がスゴイんで、その亜流まがいに見えないこともないとは言えず、そろそろ新種の何かを入れて、複雑化してもエエやろなとは思うんやけど、

でも、貞子に憑依される人間が、少女やとゆうんは、シリーズとしては新味かもしれまへん。

怖がらせる側が少女とゆうのんは、「エクソシスト」(1973年・アメリカ映画)以来、イロイロありますが、

ボク的には少年ホラーより、怖がらせる度合いは高いと思います。

ほんで、それに見合った不気味さを、全くの無名やけど、子役・平澤宏々路(ひらさわ・こころ)チャンが演技しはりました。

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片や、怖がる側の役者はんはどないやろか。

主演は瀧本美織チャン。NHKの朝ドラ主演以降、さわやかな元気印で、国民的アイドル性があるんやけど、

見る前は、ボクはどうみてもホラーには、似合わないんやないかと思とりました。

例えば、「クロユリ団地」(弊ブログ内検索)の主演・アッチー前田敦子チャンやらと、比較してみたらエエかと思うけど、

あくまでアイドル性を維持しながら、怖がる演技を見せはります。

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アッチーとの違いはビミョーなとこやけど、でも、美織チャンには、ホラー・リズムに入り込めないとこが散見。

ただ、アッチーの場合は、特殊設定がされとったんで、入りやすかったんはあるかと思います。

片や美織ちゃんも、いちおうオカンの死にまつわるトラウマを、設定はしてはるんやけど、そのトラウマぶりが、観客に身につまされるくらいには、残念やけど、伝わってまいりません。

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幻想シーンやらによりかかりながら、怖さを表現するカタチになっとるけど、でも、ボクは美織ちゃんが、決してミス・キャストやとは申しません。

かつてアイドルたちが出た映画群と比べたら、上等やったし、必死のパッチで演技しようとする姿勢にも、好感を覚えました。

7
脇役では、美織チャンの兄役・瀬戸康史や、その死んだ妻役の石原さとみが出とるけど、

その2人の娘・宏々路チャンを、美織チャンが主に面倒見てるちゅう設定やけど、出番も少なめやからか、そんなに目立ちまへん。

むしろ、「リングウイルスは、絶望の種だ」とゆう、死刑囚役の山本裕典が怪演して、シリーズを繋ぐようなセリフを発しはります。

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そして、薄暗さ、ほの暗さなどの薄色配色に加え、観客をビビらせるショッカー(効果音)などにより、怖がらせるための背景は、万全の態勢を敷いてはるんどすえ。

ラストロールで流れる、B'zっぽい、デジロック・ポップな曲。

韓国人2人組の東方神起「SCREAM」(9月4日発売)が、次なる新・第3弾を期待させてくれはりました。

2013年8月16日 (金)

「大統領の料理人」⇒フランス映画の今③

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実話・料理人間ドラマ映画の、究極のスタイル映画どす

料理レシピ専門用語頻出の、リアリティーある作りは、今までにないで~

http://daitouryo-chef.gaga.ne.jp

9月7日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、梅田ガーデンシネマ、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸLes Saveurs du Palais Ⓒ2012-Arinoda Films-Vendome Production-Wild Bunch-France 2 Cinema

テレビや映画を問わず、国民的な人気を得る映像作品とゆうのんが、フランスにも当然ござります。

日本やったら、かつてはそうやなかったけども、朝ドラ、テレビドラマからのブレイクが多うござりますが、欧米では、テレビよりも映画が主流どす。

そして、本作は本国フランスで大ヒットしました。

主演はカトリーヌ・フロのネーさん。ネーさんとゆうより、50歳を過ぎてはるんで、もはやベテランはんどす。けども、日本では無名に近い。

しかし、この方の演技を見ると、なるほど、日本の場合にも通じる、国民的人気性にあふれた役者やとゆうことが、ようよう分かります。

2
モチ、その根底にあるんは、好感度どす。

アイドル的なポイントやったら、若き世代にしか浸透せえへんわな。つまり、国民的やない。老若男女を選ばずに、人気にはならない。

けども、このカトリーヌ・フローはんは、50代やのに本国フランスで人気を得ました。つまり、年齢なんて今や関係あれへんねん。コドモから老人まで、どの国でもどの年齢でも国民的人気を得られます。

そんな中で、本作のヒロインやけど、なるほど、こんな実話で、こんな料理人間の話だと、隠しきれない日常生活密着型。

大統領の料理人になって、大統領とも交流するなんてところも、分かりやすいし感動もあるしで、フランス国民としては、思わず感情移入できる素材でおましょう。

そして、普遍性もあるんで、フランス映画としては、「最強のふたり」(弊ブログ内検索で出ます)に続きまして、日本での大ヒットも期待できる仕上がりに、なっとるかと思います。

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ナンチューても、後味のエエ、さわやかな作りでおましょうか。「最強のふたり」と比べても勝るとも劣らないもんになっとりますんで、ぜひ見に行っておくんなまし。

さてはて、本作の中味やけども…。

フランスてゆうたら、ボク的にはファッションやろかと思とったんやけど、料理も同等にあります。

ミシェランの本社はフランスにあるし、2日前に分析した「タイピスト!」では、「(フランスのイメージは)料理」のセリフも出とりました。

フランスの田舎で、フランス料理のイメージとは違う“ふるさと料理”、いわゆる日本でゆうところの“おふくろ&おばあちゃんの味”を、作ってはったヒロインのとこに、

ある日、政府筋から意味不明のスカウトが来よりまして、拉致されるように連れられてまいります。

そんな冒頭からの、車の走る俯瞰撮影カットが、映画リズムを刻みます。

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4

大統領が定番の料理やなく、おばあちゃんの味を欲したところからの、彼女の料理人バッテキでおました。

ワケ分からんままに、ヒロインが主厨房に入った、移動撮影を含む描写シーンは、思わずドラマの中に引き込まれるような、出色の仕上がり。

さらに、大統領の料理人になった過去と、現在形となる南極料理人シーンとの、カットバックで描いてゆく作りは、

 「愛の讃歌」(2009年・フランス)に迫る、シブミある構成具合どした。

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料理グルメ映画はケッコーありますけども、料理専門用語が次々に頻出するんは、あんましありまへん。

料理を作るシーンとも含めまして、料理映画のリアリティーが、キチッとしておました。

よくある宮廷料理人ものやらとは、細部のリアル感で、完璧に一線を画しておました。

サルコジ大統領の、いてへん間に撮ったらしい、エリゼ宮ロケも前代未聞。

そんなリアルを追求しながらも、大統領との話し合いや交流を含め、ヒロインの落ち着き払った演技ぶりに、ボクは魅せられました。

ちゅうことで、朝ドラと比べても、全然遜色なしや。

日本でもヒットできる方程式に、ピタッとハマッた、ヒロイン映画の会心作でおましたえ~。

 

 

2013年8月15日 (木)

「黒いスーツを着た男」⇒フランス映画の今②

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アラン・ドロンの現在形を演出した快作

ところで、アラン・ドロンって、一体誰やのん?

http://www.cetera.co.jp/kurosuits/

8月31日のサタデーから、セテラ・インターナショナルはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、9月7日から、シネ・リーブル梅田、京都シネマ。ほんで、9月14日から、神戸アートビレッジセンターで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 - Pyramide Productions - France 3 Cinema

日本映画興行界における、かつてのフランス映画の最盛期(1960年代から1970年代)に、メイン役者としていてはった方てゆうたら、アラン・ドロンはんでおます。

今の若い方に聞いてみたら、誰やねん? やろうけど、本作はそんなアランの現在形を作るべく、製作されたようなとこがあるんやないやろか。

昨日分析の「タイピスト!」のアメリカナイズとは逆に、

“栄光の”フランス映画のフランス映画らしさを、取り戻すべくな映画魂をば、そこはかとなくカンジよりました。

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かつて日本で売れ筋やったフランス映画のベースてゆうたら、主にノワール(犯罪)映画でおました。

フィルム・ノワールとゆうジャンルは、フランス映画界がルーツになっとります。

「死刑台のエレベーター」(1957年製作・フランス映画)やら、アラン・ドロンが出はった「太陽がいっぱい」(1960年・フランス&イタリア合作)やとか、

日本の興行界では、アランは1970年代にピークを迎えとったけど、

ボク的には、フランス映画の1大俳優ジャン・ギャバンとの、共演第3作「暗黒街のふたり」(1973年・フランス)が、彼の私的最高作。

ノワールやないけど、紅一点3人のキズナを描いた「冒険者たち」(1967年・フランス)も、特注の仕上がり。

さてはて、ちゅうことで、彼の作品性は、そんなノワールに加え、

プレイボーイぶりを示す恋愛映画性が、ポイントにもなっとりました。

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ほんでもって、本作は、新人はんやないけども、そんなアランを投影したような男優はん、ラファエル・ペルソナーズのアニキが主演し、

犯罪ものと恋愛ものを、ビミョーにミキシングした作品となりました。

まさに、アラン・ドロン的世界を、21世紀的に再構築したような作りになっとります。

本作によって、かつてのアラン・ドロンのようなブームが、突然炎のごとくに、巻き起こるとは申しまへんが、

そのきっかけとしては、決して侮れへんもんになっとりまっせ。

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車のひき逃げとゆう、シンプルな犯罪。

この種のスタイルとしては、ひき逃げしたヤツに、リベンジするタイプとかが、主流になっとるし、

加害者側と被害者側が、恋に落ちたりもする犯罪映画もあるけども、

本作は、どちらのタイプでもないところをば、シンプルな分かりやすいカタチで描いてはります。

「チョコレート」(2001年・アメリカ)や「さよなら渓谷」(2013年・日本・弊ブログ内検索で出ます)なんぞも、スゴかったけど、本作もそんなスゴミを維持しつつも、

でもしか、クールな作りにもなっとりました。

アラン・ドロンもクールやったけど、それ以上のもんをカンジたりもしました。

女性監督カトリーニ・コルシニによる作品どす。

女性監督らしい繊細さよりも、クール&ドライな感触は、特注やもしれまへん。

その意味では、フランス映画の新しさが、垣間見えてくるような1本どした。

2013年8月14日 (水)

「タイピスト!」⇒フランス映画の今①

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「アーティスト」など、アメリカナイズされたフランス映画の快作

オードリー的とボギー的らと、1950年代節とはなんぞやねん?

http://typist.gaga.ne.jp

葉月8月17日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、全国ロードショー。

関西やったら、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 - copyright : Les Productions du Tressor - France 3 Cinema - France 2 Cinema - Mars Films - Wild Bunch - Panache Productions - La Cle Cinematographque - RTBF(Television beige)  Ⓒ Photos - Jair Staz.

フランス映画やて、みなはん、特に若き方々…、これまでに見たフランス映画で、こりゃココロに残るケッサクやわー、なんて映画がありますやろか。

また、フランス映画のベスト・スリーを出してくれへんか~の要望に、すぐに対応できますやろか。

「最後のマイ・ウェイ」(7月19日付けで分析済み)のとこでも、ボクは書きましたけども、傑作はいっぱい出てるんやけど、日本で大ヒットした“栄光の”フランス映画とゆうのんは、久しく出ておりまへん。

1990年代末に、リュック・ベッソンがハリウッドナイズを意識して、監督・製作した作品群以降、ないしは、それらの作品を除いてゆうと、

「アメリ」(2001年)、ほんで「最強のふたり」(弊ブログ内検索で出ます)くらいのもんやないでしょうか。

アカデミー賞の作品賞を、フランス映画として初めてゲットした「アーティスト」(弊ブログ内検索)でさえも、モチ傑作やけど、DVDを含め、大ヒットしたとゆう感触とゆうか、事実はありまへん。

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さてはて、ここで、“フランス映画の今”について、3作3日連続でやってみるんやけど、

いずれの作品も、金のかかったハリウッド大作と比べても、日本で大ヒットしてもおかしくない作品どす。

そして、3作共にヒット・パターンの違う作品。つまり、ここに、今のフランス映画の、多彩感があります。

まずは、本作や。

アメリカ(往年のハリウッド)ナイズされたフランス映画なんやけど、一切の偏見や予備知識を抜いて、まっすぐに見ますと、こんなにオモロイ作品は、そうそうないやろなとゆう、キモチになるハズどす。

でもしか、ボクは取りあえず、分析してみます。

見に行って楽しみたい方は、以下の記述は、読まれないことをオススメいたします。

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サイレント映画を模した「アーティスト」以前にもあったんやけど、フランス映画の、アメリカ映画へのオマージュはありました。

でも、本作は完全に、モロでベタどす。

1958年から数年を背景にしてはりますが、まあ、日本やったら、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ(2005年・2008年)の時代に相当しとりますが、

1950年~1960年代のハリウッド映画の、パターンや演技やらを、思いっきし入れ込んだ作品になっとります。

オードリー・ヘプバーン的や、ボギーことハンフリー・ボガート的演技とかが続きます。それらはオマージュなのか、パロディなのか、模倣なのかと考えてみるに、ボクは模倣やとみました。

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悪い意味での模倣やありまへん。模倣は模倣でも、ボクはアンサーやと捉えました。

実は本作の背景の1950年代には、ハリウッド映画界から、フランス・パリへの憧れを描いた映画が、多数輩出されとります。

いわゆる、アメリカのパリナイズ、フレンチナイズどす。

アカデミー作品賞をゲットした「巴里(パリ)のアメリカ人」(1951年)を始め、当時の巨匠ビリー・ワイルダー監督が撮った「翼よ!あれが巴里の灯だ」(1957年)、

本作主演女優の雛形となった、オードリー・ヘプバーンが主演した「パリの恋人」(1957年・9月にリマスター版で、リバイバルされますで。後日分析予定)など、

振り返りますれば、かなりのタイトル数がござります。

そして、それらアメリカのパリゴコロへの、21世紀的なアンサー、つまり返信として、フランスのアメリカンナイズを、こしらえ上げたとも取れるんですわ。

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ストーリーは、モノゴッツー単純とゆうか、シンプル。

「ロッキー」(第1弾は1976年・アメリカ)のボクシングが、タイプライターとなり、男が女になったとゆう展開どして、

タイピストの早打ち選手権に出て、師匠(社長)と共に1等賞を、目指すとゆうもんどすが、

前向きヒロイン・ドラマの根性ものとしては、映画やないけど、NHKの朝ドラにゾッコンの方々には、ピッタリフィットな作品になっとります。

いろんなハリウッド作品が、ゴッタ煮的に引用されとるけど、それらの作品を見ていなくとも、鑑賞やお楽しみには全く関係なしやねん。

また、「地下鉄のザジ」(1960年・フランス)みたいな、コミカルなタッチのサントラ使いを始め、メレンゲ・チャチャチャ・サルサのラテン音楽の使い方も、的を射ておました。

そして、ナンチューても、往年のハリウッド映画と比べても見劣りしない、ハッピーなラブ・ストーリー・エンディングに、ゴッツー胸を打たれますで。

アメリカン・ラブコメチックな前半から、後半にはオードリーを超えたと、一時的にも思わせてくれた、主演のデボラ・フランソワちゃん。

彼女と恋に落ちたいわ~と、アホチンなボクチンが、思わず思てしもた、シーンの数々をお楽しみくだされ。

2013年8月13日 (火)

「エンド・オブ・ウォッチ」⇒アメリカン相棒刑事映画や~

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手持ちカメラや近接撮影のブレブレ感で、ビビッドな臨場感演出や~

巡回パトカー警察官映画の、生々しいライブ感がココにありま

http://www.eow-movie.jp

8月17日の土曜日から、プレシディオはんの配給によりまして、東京・丸の内TOEI、梅田ブルク7、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 SOLE PRODUCTIONS, LLC AND HEDGE FUND FILM PARTNERS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

刑事・警官の相棒映画は、これまでにもイロイロと出回っておます。

日本映画にもモチあるし、アジア、ユーロなどと広げても、それなりにあるんやけど、

ここでは、これまでのハリウッドorアメリカ映画に限定して、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①夜の大捜査線(1967年製作)②48時間(1982年)③ダイ・ハード(1988年)

●カルト⇒①本作②トレーニング・デイ(2001年)③ターナー&フーチ すてきな相棒(1989年)

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●アメリカやったら、ホンマメッチャなタイトル数が、あるとは思うんやけど、

ボクが全部カバーできてるとは、到底思われへんので、隠れたエエのんがあったら、いつでも教えておくんなはれ。

でもしか、アメリカン・ニューシネマの1作とも呼べるベスト①は、本作へも多大な影響を与えとるかと思います。

白人・黒人の人種差別の超越を、刑事ドラマに初めて取り込んだベスト①。

相棒の組み合わせがユニークな、刑事と囚人のベスト②や、刑事と犬のカルト③。

アクション・シーン以外としては、刑事としてのキズナ&友情的シーンこそが、映画としての感動を呼んだベスト③。

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でもって、本作は、それらの名作の分析素因が、滞りなく詰められた上に、現場の警官相棒たちの、アクションと悲哀を描いた点において、

現場主義的刑事ものとしては、出色のリアリスティックを描き出しておます。

「事件は現場で起こってるんだ」と、織田裕二がいみじくも言った「踊る大捜査線」(1998年・日本)なんかもケッサクなんやけど、

本作はスマートなホワイトカラー感よりも、刑事職におけるブルーカラー感、そして危険度合いが、相当ハチ切れそうなくらいの、作品性をば呈しておました。

ベタで泥臭い。ほんで、メッチャ危ないんどすわ。

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いきなり「フレンチ・コネクション」(1971年・アメリカ)の、クライマックスのカーチェイスを思い出させる、

ドライバー視点をメインにしはった、前へ前への移動撮影シーンが、臨場感をもってスクリーンに現れてまいります。

さらに、近接撮影においては、スピードフルなアクション編集がなされておまして、

ブレブレなカンジによる、ビビッドでグチャグチャなところが、オーッ、エーッと、ため息吐息もんでおました。

刑事役ジェイク・ギレンホールのアニキが、捜査現場にまで、趣味の手持ちカメラを持ち込んでるちゅう設定も、

この臨場感やらに、拍車を掛けておったように思います。

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ロサンゼルス市内を巡回する、パトカー警官の2人の相棒なんやけど、

2人のセリフのやり取りの面白さや猥雑なカンジに加え、各人の家族描写のキズナ節もあるんやけど、

ヤッパ、メイン・ソースは、LAの新興勢力なギャングたちと対決する、アクション・シーンでおましょうか。

薄グリーンなざらついた映像などによって、ワイルドなとこを示しつつ、クライマックスの銃撃シーンへと持っていくあたりは、渋くて唸れましたで。

コレはLA警察もんやけど、いつしかNY警察ものと、東西十番私的対決をやって遊んでみたいで~、とも思とります。

カルト②ほどのエグさはないけども、刑事ものの定番を超えるような、相棒ぶりの在り方やら感動ぶりに、驚いておくんなまし。

2013年8月12日 (月)

「マン・オブ・スティール」⇒特撮映画②ハリウッド編

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あのスーパーマンが誕生するまでを描いた、アメコミ原作にはないオリジナル・ストーリーやで~

動体視力を超えた、アクション・シーンの数々は、ヤッパ3Dで見た方がエエかも

http://www.manofsteel.jp

 8月30日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国2D、3D同時公開でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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TM & ⒸDC COMICS.Ⓒ2013 WARNER BROS. ENT,.

チラシやポスターを見ると、

「新スーパーマン、始動。」などとコピーされておます。

確かに始まりではあるんやけど、

スーパーマン始めであって、“新”スーパーマンではありまへん。

というのは、スーパーマンが誕生するまでの話が、「スターウォーズ」を持ち出すまでもなく、

今や大ヒット作に付きものとなった、遡り系で描かれるというんでおます。

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いわゆる、原作のアメコミにはない「スーパーマン」の作り方を、同じくアメコミの「バットマン」を進化させはって、

大ヒットに導いたクリストファー・ノーランはんが、オリジナル・ストーリーを考案して、映画化したんが本作ちゅうことどす。

でもしか、監督はノーランではなく、「300<スリーハンドレッド>」のザック・スナイダーや~。

基本は3Dで作るので、この3D臨場感を存分に、表現できそうな監督が必要となったみたいやな。

 

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しかし、この3Dアクションが、かつてないくらいの高速スピードとなっておまして、

動体視力の素晴らしいスポーツ選手が見てさえも、果たして分かるものなのかどうかといった速さなんやなー、コレが。

もちろん、老眼鏡の世話になりかけのボクチンには、とてもとても…。

但し、3Dで見てこそ映えるシーンは、メッチャ満載やねん。

スーパーマンと、スーパーマンが生まれた星から来た地球侵略グループとの対決は、数度にわたって展開しよります。

そのメイン・アクションは、何とシンプルな格闘=バトル系なんやで。

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超高速でぶつかり合い、その衝撃で背後へ、これまた高速で吹き飛ばされてまう。

侵略組と地球軍隊との対決では、爆弾兵器による爆発が主流や。

しかし、地球の気圧やら環境条件を変えて、高層ビルを次々に潰してゆくシーンは、これまでの映画にはなかった、新しいところみたいやったわ。

でもって、地球侵略組がでんな、エイリアン的おぞましき造形キャラではなく、

あくまで人間タイプである点も新味ってヤツかもな。

スーパーマンの故郷を、地球ではない別の星に設定したことで、

人間造形のスーパーマンだから、別の星にも人間がいたという設定にしなければならなかったんやろかな。

人間の住む惑星同士の対決という構図の、SF映画はかつてあったやろか。

いや、なかったんやないやろか。

つまりは、発想の逆転的面白さにも、魅かれる作品となったわけどすわ。 

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て、ヘンリー・カビルとエイミー・アダムスが、ハツラツとしてはります。 

ただ、若手の2人のアクションと恋が物語の芯にあるけども、名バイプレーヤーにも注目してほしいわ。スーパーマンの、地球の育ての両親役やねん。

久々に見たケビン・コスナーやダイアン・レインの、人間味あふれる演技にグッときまっせー。

スーパーマンの実父役ラッセル・クロウも、ヒューマン演技に比重が置かれてんのが心地エエ。

高速アクション・シーンを見て、フラフラになりながらもでんな、それ以外のところにも、酔って酔いまくって、酩酊しまくりたいような、そんな娯楽大作な作品になっとるんやで~

アラマ・ポテチン(ビックリ)や~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2013年8月11日 (日)

「ガッチャマン」⇒特撮映画①日本編

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日本アニメの実写化作品の、最新バージョンどす

松坂桃李と綾野剛の各アニキに加え、剛力彩芽チャンや初音映莉子ネーさんらが、渾身の特撮演技を披露

http://www.galchaman-movie.jp

8月24日の土曜日から、東宝はんの配給で、全国各地イッセーのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒタツノコプロ/2013 映画「ガッチャマン」製作委員会

日本アニメの実写版どす。特に、1960年代末から1970年代のテレビ・アニメの実写版とゆうのんが、21世紀以降、結構かしましくなっておます。

さらに、同じ時期における、テレビの特撮ヒーローもんとも呼応し、邦画の1つの潮流を作っておます。

そんな中で、ボクチンのそういうタイプの映画の、マイ・ベスト・セブンを披露いたしてみます。

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①本作②ウルトラマン・シリーズ③RED SHADOW・赤影(2001年製作)④ひみつのアッコちゃん(弊ブログ内検索で出ます)⑤妖怪人間ベム(ブログ内検索)⑥宇宙戦艦ヤマト(ブログ内検索)⑦忍者ハットリくん(2004年)⑦仮面ライダー・シリーズ

●本作は、特撮ものとしての新しさに加え、人間ドラマ的なとことしても、この種の映画では、かつてないキズナ映画にもなっておました。

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冒頭で、さっそく5人コスプレ・チーム(写真1枚目)による、ロボット・スーツ・タイプの地球侵略者たちとの、トンデル特撮対決シーンが、豪快に披露されます。

チャッチーに見えるとこもないとは、言えませんけども、明日分析するハリウッドの「マン・オブ・スティール」や「パシフィック・リム」(ブログ内検索)やらと比べても、金の掛け方くらいが違う程度で、決して遜色はありまへん。

さらに、ブラピ主演の「ワールド・ウォーZ」(ブログ内検索)と比べても、決して見劣りまへんで~。

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特撮シーンに、かなりの比重をかけてはります。

冒頭以外にクライマックス部を含むと、本編のほぼ半分近いシーンが、特撮アクションでおましょう。

加えて、いろんな色付きのCGシーンやら、計器類の反射や照明を含んだ多彩な色使い、過去のシーンのざらついた作りなど、

21世紀的な多色感で魅せるカンジが、エかったどすえ。

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でもって、特撮部がメインになっとる中でも、仲間のキズナなどの描写が、際立っておました。

まずは、ナンチューても、隊員としては同期やとゆう、松坂桃李(写真3・4枚目)と綾野剛(写真5・6枚目)の各アニキの友情部。

ほんで、1人の女・初音映莉子ネー(「終戦のエンペラー」での演技とは、180度違っておました)を巡って、2人に確執が生じる中で、

映莉子ネーが敵対する側になって、2人と対決してくる展開になっとります。

いやはや、このあたりが、この種の特撮もので描く場合は、かなり難易度が高いと思うんやけど、

それをスリリング、かつ感動的にクリアーしてはります。

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「掟を守るよりも仲間を守れ」「バカだ、バカだ、大バカだ」のセリフを言う綾野剛に対して、

松坂のアニキはどこまでも冷静、そしてクールに対応してゆかはります。

ウーン、エエ感じ。

でもって、ボクもエエなて思うんやから、異性の剛力彩芽(写真7枚目)チャンも、松坂アニにゾッコンやねん。

そのあたりはユーモアチックやけど、彩芽チャンの真っ直ぐな元気印は、ヒクとこもあったけど、

見てはるみんなを、きっと明るくしてくれはることでおましょう。

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鹿児島弁の隊員役の鈴木亮平アニキ、彩芽チャンの弟役で、サイバー担当の濱田龍臣クンも、仲間としてのキズナ描写に、大いに関わってまいります。

その一方で、ミッションとは何の関係もない、くだらない会話のやり取りが、

絶妙なコメディ・リリーフとなって、逆にオモロうなっておました。

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モチ、家族みんなで見に行って、楽しめる作品になっとります。

ちゅうことで、夏休みのシメに、ドット行ってみましょか~。

2013年8月10日 (土)

「サイド・エフェクト」⇒スティーヴン・ソダーバーグ監督作品②

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ソダーバーグ監督の最後の映画作品やて、ホンマですか~

巻き込まれ型ヒッチコック監督的サスペンスを、応用した快作品やで~

http://www.side-effects.jp

9月6日のフライデーから、プレシディオはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズみゆき座ほか、全国ロードショー。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Happy Pill Productions.

昨日の「マジック・マイク」に続く、スティーヴン・ソダーバーグ監督作品の分析でおます。

監督は今作で映画は引退して、今後はテレビなんぞをやるて、ゆうてはるそうやけど、ホンマやろか~。

でもしか、本作は、見る人によっては、最後の作品にして、キャリア史上最高ケッサクと、ジャッジできるような作品になっとります。

ボクは昨日の分析で、カルトの1位にしたけども、ベストワンにしてもエエくらい。

ベストワンはアカデミー賞監督賞をゲットした「トラフィック」(2000年製作・以下の引用は指定製作国以外は、全てアメリカ映画)にしたけども、娯楽作品としての爽快度や売れ線でいくと、本作の方が上やと思います。

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これまでにない映画を創出するんは、ネタ切れが、かしましい、ハリウッドの今となっては、かなり難しい。

けども、先人たちの残した遺産をベースに、21世紀的に新たな地平を、切り拓く作品を作ることはできるハズや。そのお手本的な作品が、本作やないやろか。

「ソラリス」(2002年)は「惑星ソラリス」(1972年・ソ連)のリメイクやったけど、

「第三の男」(1949年・イギリス)が意識下にあったハズの、モノクロ映画「さらば、ベルリン」(2006年)や、

本作みたいに、アルフレッド・ヒッチコック監督的な巻き込まれ型主人公を、現代に蘇らせる作りは、まさに痛快やったで~。

具体的にゆうと、「間違えられた男」(1956年)や「北北西に進路を取れ」(1959年)やら。

確かに、ヒッチな巻き込まれ型映画は、イロイロ出ておます。けども、そこに、新たな進化型やらを、仕込んで展開する作りは、そうそうありまへん。

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さてはて、悪女タイプの映画ちゅうのんも、主人公とは対角線にいる位置づけで配置してはります。

ほんで、ココが本作の、大いなるミソとなっとります。

キャスリン・ターナーの「白いドレスの女」(1981年)や、シャロン・ストーンの「氷の微笑」(1992年)、ニコール・キッドマンの「冷たい月を抱く女」(1993年)など、イロイロあるけど、

悪女もんでも、悪女らしくない女優をキャスティングして、最後の最後まで結末が見えない仕上げにしてはるんで、ソラモー、ハラハラドキドキ、オウジョウしまっせー。

伏線もしっかり入れてはるんで、1度目で分からへんかった人は、もう1度見に行って、確認してみなはれな。

その意味では、リピーター率も高い作品でおましょうか。

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そして、サスペンス的が、後半ではミステリー的へと転換してゆくあたり、あとあとココロにきよる、サプライズがありましたやろか。

不正なインサイダー取引でムショ入りし、ツトメを終えて、夫役チャニング・テイタムのアニキが出所しはります。

しかし、妻役のルーニー・マーラのネーさんやけど、夫が戻ってきてから、不審な行動をしはります。まあ、ゆうてみたら、ウツ病みたいなもんどすか。

「ドラゴン・タトゥーの女」(弊ブログ内検索)で、男勝りを演じたルーニーやけど、今作では謎めいているわけやなく、実に自然体の、大人しい美女役に扮しはります。

ここらの演出ぶりは、監督演出のオリジナル・ポイントやろか。

ヒッチコックの「めまい」(1958年)のキム・ノヴァクの妖しさと、ある意味ではシンクロするやろけど、でもルーニーの方が、煙に巻く度は高しどすやろか。

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ルーニーは病院へ行って、精神医役の主人公の、ジュード・ロウのアニキの診察を受け、新薬を処方されます。

ほんでもって、それを飲んでたら、映画タイトルの意味「(薬の)副作用」に悩まされて、遂には、夫を包丁で刺殺してまうねん。

でもしか、彼女には何の覚えもありまへん。つまり、副作用による夢遊状態やったと主張。

薬害訴訟を含めて、裁判沙汰へと発展し、ほんで、二転、三転のお話へと転がってまいりますねん。

ルーニーを担当した前任の医者、キャサリン・ゼタ=ジョーンズも、落ち着いた怪演技ぶりや。

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ちゅうことで、最後の最後まで、目が離せまへんどした。

ヒッチコック・サスペンスの、21世紀次元に酔える傑作どす。

ソダーバーグはん、引退しても、またこういう映画を、死ぬまでに作ってくだされまし。待っておりま。

2013年8月 9日 (金)

「マジック・マイク」⇒スティーヴン・ソダーバーグ監督作品①

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「フル・モンティ」をさらにバージョン・アップした、男ストリッパーたちのエンタ作品や~

ソダーバーグ監督らしい、ラブ・ストーリー展開がオモロいで~

http://www.magic-mike.jp

8月10日のサタデーから、梅田ガーデンシネマ、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

東京では8月3日から、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマやらで上映中。

本作はカルチュア・パブリッシャーズとブロードメディア・スタジオの共同配給どす。でもって、「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 The Estate of Redmond Barry LLC. All right reserved.

スティーヴン・ソダーバーグ監督やて、みんな、知っとるか~。

明日分析する「サイド・エフェクト」(9月6日公開)で、映画監督引退宣告をしてはるんやけど、そんなん、どないなるやらは分かりまへん。

ちゅうことで、ソダーバーグ作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露してみます。

●ベスト⇒①トラフィック(2000年製作)②セックスと嘘とビデオテープ(1989年)③オーシャンズ11(2001年)

●カルト⇒①本作①サイド・エフェクト③アウト・オブ・サイト(1998年)③エリン・ブロコビッチ(2000年)

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●ベスト③は彼の最大ヒット作やから、オー、あの映画を撮った人か~と思ってもらえるやろか。

彼の持ち味は、大作もインディペンデント作でも、練り込みがスゴイってところ。

加えて、ここには入れへんかったけど、「チェ」2部作(2008年)の男ドラマを始め、男たちのドラマをポイントに、

カルト③「エリン…」のジュリア・ロバーツが演じた、ヒロイン・ドラマでも、男勝りな女を描く、骨太感が強烈や。

そして、ラブ・ストーリーでも、フツーを逸脱したスタイルできはります。

それは、カンヌ国際映画祭で最高賞をゲットした、監督デビュー作のベスト②を見れば、一目瞭然や。

その変形ラブものは、本作でも、カルト③「アウト・オブ…」(ジョージ・クルーニーとジェニファー・ロペスのラブ)でも、顕著。

でもしか、本作ほど、ナイーブかつストレートなスタイルは、監督作品史上初めてやないやろか。

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本作を明日分析の作品と、カルトの同率1位にしたんは、ワザトラマンのように見えるかもしれまへんが、共に引退宣言最後の2作品としては、屈指の傑作となっとります。

カルトにしたんが、申し訳ないくらいどした。

加えて、引退作の3作・4作前に撮らはった、新型ウイルスの群像もの「コンテイジョン」や、女ヒロイン・アクションもの「エージェント・マロリー」(共に2011年・共に弊ブログ内検索で出ます)も、傑作どした。

前述しましたスタイルをベースにしつつも、常に新しい素材を仕込む作りは、驚きと新鮮度に満ちておます。

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本作は、「フル・モンティ」(1997年・イギリス映画)が描いた、男たちのストリッパーの話を、ビジネスとして派手に描いた点において、

映画史では、ほぼ初ものやと申せましょう。

いろんな演目が、ダイジェスト・シーンを含めて、多彩に描かれます。

そんなパフォーマンスを彩る、歌ものサントラ(劇中で流れている設定)使いも、ノリノリ。

フォリナーのハードロックなナンバーなど、男っぽさを際立たせる曲などが、エエ感じどした。

マシュー・マコノヒーのギターの弾き語りや、ストリップ・シーンなど、彼のこれまでの演技をハズすようなとこやらにも、キモかったりオモろかったり…。

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主演のチャニング・テイタムもエエんやけど、彼にはラブ・ストーリー部で威力を、発揮してもらわなあきません。

そのお相手役の、コディ・ホーンのネーさん。

彼女の魅力にいつの間にか、取りつかれるような作りを施してはります。

長回し撮影も2人のシーンが中心やし、アップの多さも目立ちました。

コディ・ホーンの弟役のアレックス・ペティファー君の、お話のように装いつつ、

最後には、2人のラブ・ストーリーへと持っていくあたりの、演出の上手さは秀逸や。

ソダーバーグ流の恋愛映画表現に、グッときた作品どした。

2013年8月 8日 (木)

「標的の村」⇒沖縄・琉球朝日放送製作ドキュメンタリー

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オスプレイ配置問題を採り上げた、社会派のドキュメンタリーどす

オキナワのテレビ局が、全国発信するドキュ映画の問題作

http://www.hyoteki.com

8月10日の土曜日から、東風はんの配給によりまして、東京・ポレポレ東中野やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、8月31日から、第七藝術劇場ほかにて上映どす。

Photo
Ⓒ琉球朝日放送

イギリスBBC放送などの、ネイチャーなドキュな大作もあるけれど、低予算ながら、日本のテレビ局のドキュメンタリー映画は、社会問題を中心に、次々に作られてきておます。

社会派系のドキュてゆうたら、各国で盛んに作られとるやろうけど、日本に上陸するんは、アメリカ映画を中心に、そない多くはありません。

まあ、あんまし売れへんやろなーっちゅうことで、大人の事情があるんかもしれへんけど、

日本のドキュは、大人の事情を超えて、単館系やけど、しょっちゅう上映されておます。

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そんな中で、地方発信のテレビ局もので、オキナワ発は珍しおます。

かつてオキナワ・ドキュには、隠れた名作社会派ドキュ「沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー」(弊ブログ内検索で出ます)を始め、音楽ドキュなんぞがありますが、

アメリカ基地告発ものの社会派系でゆうたら、それほど輩出しておりまへん。

しかも、抵抗する住民たちの抗議行動を、ストレートに映した映画は、稀少価値があるでおましょうか。

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さてはて、その闘争・運動具合をどのように撮り、どのように押しつけがましくなく、みんなに伝えていくのかどすが、

この種の映画は、一部の人だけに伝わるのみで、問題そのものは残るけど、大がいは、映画そのものは残らないとゆう運命を辿りがちどす。

「三里塚」シリーズ(1968年~1977年製作・全7作)や、水俣病関連の映画なども、衝撃的な傑作やけど、

今はDVD化されていないので、見られる機会は、映画館での特別上映以外は、まずありません。

そして、本作も、そんな運命をたどってしまうんか~を危惧してまう、傑作となりました。

でもしか、テレビ局が関わっているので、そういう危惧は、杞憂に終わるんかもしれまへんけども…。

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そして、この種の抗議ドキュやけど、日本においては、市民・学生側が勝てるとゆうスタイルが、ほとんどありまへん。

ドラマ映画やけど、実話を基にした「アルジェの戦い」(1956年製作・イタリア&アルジェリア合作)のような、

抵抗する民衆の熱気が、うねるような作りは、なかなか難しいもんどす。

でもしか、本作は21世紀の抗議行動の過程を、シビアに映して、抵抗運動の“今”をば捉えようと、踏ん張ってはります。

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オスプレイが、160人くらいの高江にやってくる。

それに対し、住民はガンジーの運動精神・無抵抗主義に満ちた、座り込みをメインに抵抗しはります。

そして、何と7歳のコドモまで、国から訴えられる裁判沙汰へとゆきよります。

でも、そのあたりを大仰に描くのやなく、あくまで現実を映しとる姿勢を、製作側は貫いてはります。

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そして、本作は海のシーンから始まるけど、空模様などを含む沖縄の風景描写を織り込み、ほんで、ピアノ・ソロなどのサントラを流して、ノリやすいリズムを刻まはります。

ほんでもって、クライマックスへ。

昨日分析した作品と同じく、女性監督ドキュ。三上智恵監督作品どす。

ネバネバした骨太の社会派もの「沖縄エロス外伝…」とは違う、女性監督らしい、ネバネバをオブラートに包む、スマートフォンな作りを、カンジてほしい1本どした。

2013年8月 7日 (水)

「そしてAKIKOは…~あるダンサーの肖像~」⇒ドキュメンタリーどす

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人間ドキュメンタリーの、自然体を示す作品どす

老ダンサーヒロイン映画の、シブミが最後まで…

http://www.jiyu-kobo.com/akiko/

8月10日の土曜日から、自由工房はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

本作はドキュメンタリー映画でおます。羽田澄子ネーさんの新作どす。

彼女は岩波映画出身。岩波映画てゆうたら、日本映画のドキュメンタリー製作の、ルーツ的存在のとこどす。

そんな羽田ネーさんてゆうたら、「嗚呼 満蒙開拓団」(2008年)なんぞの、映画評論家の間で評価の高い、戦争実態・社会派的なもんも撮ってはるんやけど、

基本はドキュにおける、女性らしい描き方に、ある意味では、こだわってはるようにも見えます。

「早池峰の賦」(1982年)など、村を描いたかつての、名ドキュなんぞも撮ってはるし、何でもありやなんてゆうたら、失礼やけども…。

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岩波映画を始め、1950年代頃からの日本では、文化映画・記録映画などの呼称で、ドキュメンタリーを紡いではりましたけども、

ドキュとしては、事実を記録してゆくとゆう側面が、大いなるポインツになっとるとこが、多かったように思います。

そこに、監督の私的な思いとかのキモチはそない描かれまへんし、関係者インタビューをするにしても、そのままが映されてまいります。

ナレーター(本作では監督自身)を通しての、感想部分もあるけども、監督と描かれる対象は、距離を置いた作りが一般的やし、海外に広げても、

「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年製作・カナダ映画)やらのマイケル・ムーア監督が、作品内に入り込んで、突撃するパターンはあるけども、

それをするんやったら、ドラマ映画にすべきやとゆうとこも、ないとは申せまへん。

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監督が知人やらについて、ドキュで描く場合は、どうしても描く側の、個人的感想など、

見る側にとっては、どうでもエエもんが突出して、単なるプライベート・フィルムの域に、滞ってまう場合があります。

しかし、本作の場合は、そういう素人まがいのもんとは、当然違います。

羽田監督の知人、2011年の9月に逝去した、モダン・バレエのダンサー、アキコ・カンダの生涯なるものを、描かはったんが本作でおます。

監督はあくまで、自らの感傷をいっさい抜いてはります。

対象をそのまま映すとゆう、ドキュメンタリズムの基本中の基本を、ベースにしながら、

しかし、最後には泣きがあるとゆう、非常にレベルの高い、ドキュメンタリズムを披露しはりました。

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正直に申しますと、ボクはアキコ・カンダが、何者かも知りまへんどした。

しかし、彼女の演目を淡々と映してゆくだけのシーンと、彼女の日常を、まるで親しき隣人みたいに映してゆく、ショットなんぞを束ねてゆく中で、

アレアレいつの間にか、入院中でも公演する彼女の、ダンスへの執念に、魅入られてゆくことと相なりました。

美しき海のシーンを映したり、クラシックをさりげなく流したり、談話や過去のシーンなど、彼女を描くための装飾は、多彩やけども、

その向こう側にある、監督の深きキモチが、しみじみと伝わってくるような、そんな仕上げになっとります。

故新藤兼人が師匠を描いた「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」(1975年)やら、

監督が愛しの女優のナゾを捉えた「監督失格」(弊ブログ内検索)やらに迫る、個人的を完全に超えた、普遍性のある作品どした。

ほんでもって、癒やしある作りにも、ホッとできますで~。必見でおます。

2013年8月 6日 (火)

「オゾンビ」⇒ビンラディンのゾンビ映画やて…

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ゾンビ映画と対テロ映画を、融合しようやなんて…そんなんムチャやろ

でもしか、マニアックなB級映画の、粋に満ちた怪・怪作になってしもたやん

http://www.interfilm.co.jp

8月10日の土曜日から、インターフィルムはんの配給によりまして、東京・池袋シネマ・ロサやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、9月21日から、大阪・第七藝術劇場にて上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 ARROWSTORM ENTERTAINMENT LLC.ALL RIGHT RESERVED.

ゾンビ映画は、単体ジャンルで機能するには、限界があるんやないやろか。

昨日分析した「ワールド・ウォーZ」や本作など、これまでのゾンビ映画とは、違うとこを示す映画が、大作・インディペンデント映画に関わらず、このところケッコー出てきておます。

そして、本作はマニアックかもしれへんけど、最も冒険的な路線で、ゾンビものを採り上げはりました。

ビンラディンを殺害した映画が、話題になりましたけども、そのビンラディンが、実は殺されずに、ゾンビ化して生きているちゅう、トンデも設定を設けてはりますねん。

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そんなゾンビ化したビンラディンを、ホンマのホンマに、殺そうと志した男がおりました。

ほんで、男の妹やら、アフガン現地の傭兵やらが、つるみ合ってでんな、ビンラディンを殺すためのロードムービーを、やってまうとゆう映画が本作でおます。

バラバラで行ったりはするけども、向かうんは、女2人男5人による総計7人でおます。

このロードムービー部は、本作の一番の見どころになっとるかと思います。

々に現れるゾンビを銃撃で始末しもって、一行はビンラディンが隠れとる想定場所へと。

さらに、サバイバル映画としての側面も、併せ持ってはりました。

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ゾンビ映画と対テロ戦争映画を、ミキシングしようやなんて、フツーは誰も考えまへんやろな。

ところがどっこい、本作はそんなムチャな領域に入って、物語を進行してゆかはります。

で、最近はあんまし聞かれへんようになった、B級映画とゆうジャンルやけども、本作はそのものズバリの、隠しきれへんB級映画でおましょう。

しかし、B級とゆうのは、A級では絶対に描けないとこに、食い入ってはるので、違和感があっても、

よくあるコピー“今まで見たことのないような映画”を、飄々と表現しはります。

でもって、本作はそんな映画な1本となりました。

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アラビア海のセピアな夕景シーン、アフガンのイロイロと表情を変える、空を映すシーンなど、自然風景の抒情的なシーンを、盛りだくさん挟みながら、

また、シンセの無機的な音や、ハードなバンドサウンドなんぞを取り込みつつ、攻撃的なカンジで物語が進行するのんは、

ある意味においては、映画的センスにこだわった作りやろかと思いました。

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ボクはゾンビ映画を全部見とるわけやないけど、また、ゾンビ映画の何たるかも、ボク的には分かっておまへんけども、

ゾンビ映画のマイ・ベスト&カルト・スリーを、恐る恐るながら、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①ゾンビ(1978年製作・イタリア&アメリカ)②ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド(1968年・アメリカ)③ワールド・ウォーZ

●カルト⇒①ウォーム・ボディーズ(後日、分析いたします)②本作③キツツキと雨(弊ブログ内検索で出ます)

●最新作がケッコー多いけど、本作の位置づけとしては、カルトかもしれへんけども、意外に楽しめる作品やったどす。

ベスト③の予算を掛けたワールドワイドな作りと、ある意味で対角線の低予算系かもしれへんけども、

ぜひベスト③を見たあとにでも、本作を見てみておくんなはれ。

ホラー映画としてやなく、ゾンビ映画の新味ある娯楽度合いの妙味に、共に酔える仕上げになっとりまっせ~。

2013年8月 5日 (月)

「ワールド・ウォーZ」⇒ブラピの新作や~

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ブラッド・ピットが製作・主演した、大マジのゾンビ映画どす

かつてないゾンビ映画の、スケールの大きさに驚きやで~

http://worldwarz.jp

オーガスト8月10日のサタデーから、東宝東和はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。3D/2D同時上映。

大阪やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

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ブラッド・ピットが作った映画製作会社が映画化し、ほんでブラピが主演しはった映画どす。

ほな、ブラピのための映画かと申せば、ビミョーに違っとりましたやろか。

確かに、ブラピ以外は、大した役者が出ていない。

でもしか、原作の小説を書いたんは、コメディ・カルトの巨匠メル・ブルックス監督の息子はん、マックス・ブルックスのアニキや。

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監督は「チョコレート」(2001年・アメリカ)でハル・ベリーを、オスカー主演女優賞に導き、

「ネバーランド」(2004年・アメリカ&イギリス)でジョニー・デップのシリアス演技を引き出し、

一方で「007/慰めの報酬」(2008年・アメリカ)などで、大作ラインにも十分に対応できはる、マーク・フォースターはんどす。

ここに、スティーヴン・ソダーバーグ監督の、パンデミック映画の野心作「コンテイジョン」(2011年・アメリカ・弊ブログ内検索で出ます)に出てはった人がいたら、そらもー、無敵のオールスター・パニック映画状態になっとったやろな。

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ゾンビ映画とゆうのんは、ボク的には、後世に残りそうな映画は“皆無”とゆうジャッジを下しとります。

その嚆矢となる映画やらには、ある程度の敬意を表しつつも、個人的にはウーンどした。

けども、コレをワールドワイドな、パニック・ムービーとして展開されると、チョイと、かなりと、ココロが揺らぎましたやろか。

マニアックな範疇にあったゾンビ映画が、はみ出して逸脱したかのような猥雑感に、ドキューンときましたがな。

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ゾンビたちは以前にあったノロノロの、スロー・モートやありまへんねん。

速く動くゾンビどすねん。それだけに、数秒でアッちゅうてる間に、何人もがカブられてゾンビ化してまいます。

後日に分析予定の「ウォーム・ボディーズ」(9月公開)では、ゾンビのヒューマニズムを描いて斬新やったけども、

本作もまた、これまでのゾンビ・イメージを、くつがえすような作りをやってはります。

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アメリカ・フィラデルフィアの、交通渋滞下のアクションから始まり、

海上⇒韓国サイド⇒ゾンビ対策に壁を作ったけど、エライことになるエルサレム・サイド⇒イギリス・ウェールズに逃げるところが、その航空機が1人のゾンビによってエライ目に遭って…⇒命からがらで生き延びて、

クライマックスのWHOビルの、室内劇的ゾンビ・バーサスへ。

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ウイルス・パニックとゾンビ映画を合成したオモロサに加え、

ハリウッド・アクション映画に伝統的な、そんなアホな~な中で、主人公が生き残ってゆくセンスの、

わざとらしいけど、ハリウッドらしさに、理屈抜きに楽しめる作品になっとります。

3Dで見はったら、上下感や観客側へくるとこなどの立体感を始め、

逃亡・対決シーンの臨場感が圧倒的どしたえ~。

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最後の方では、ゾンビの大量殺戮シーンが出てまいりますが、

無機的なシンセの音に乗った、ブラピの「戦いは終わっていない」などの、ナレーションやらに見られる、無情感描写が、シビアな鑑賞後感をもたらします。

コカコーラの瓶がカランコロンの「渚にて」(1959年・アメリカ)の、空しいイメージに近い、この世の終末感が、ココロをえぐってきよりました。

ブラピのカルティックな傑作の1本として、後世に伝えられそうな、ケッタイ至極な大怪作なんどすえ~。

2013年8月 4日 (日)

「タワーリング・インフェルノ」⇒「新・午前十時の映画祭」

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1970年代パニック・ムービーの雄が再登場や~

パニック映画の系譜ってヤツを、やってみまひょか

本作は、スティーブ・マックィーンとポール・ニューマンが、ヒロイズムあふれる快演技ぶりや~

http://www.

11月30日のサタデーから、12月13日のフライデーまで、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、大阪ステーションシティシネマやらで、午前10時から1回上映でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

映画史を振り返ってみますと、パニック映画とゆうのんは、本作が公開された1970年代に、一つのデッカイウェーブを築いてたことが分かります。

とゆうことで、ここで、1970年代のパニック映画の、マイ・ベスト&カルト・ファイブをば、披露さしてもらいます。

●ベスト⇒①ポセイドン・アドベンチャー(1972年製作・指定国以外は全てアメリカ映画)②ジョーズ(1975年)③本作(1974年)④カサンドラ・クロス(1976年・イギリス)⑤新幹線大爆破(1975年・日本)

●カルト⇒①エアポート'75(1974年・1970年製作の「大空港」の、シリーズ第2弾)②日本沈没(1973年・日本)③大地震(1974年)④サブウェイ・パニック(1974年)⑤パニック・イン・スタジアム(1976年)

●今の時代を見ますと、未来の自然環境をかんがみて、ディザスター・ムービーが、パニック・ムービーのトップ・リーダーになっとるけど、

確かに、そのルーツ映画は「ハリケーン」(1937年)やらにあるとは思います。

でもしか、この70年代には、多彩なパニック・ムービーが発生した点において、映画史において特異な時期に当たっておます。

ディザスターな荒れ海絡みでは、「タイタニック」(1997年)へと通じるベスト①。

日本代表とも言えるカルト②。地震のカルト③。

さらにベスト①を含め、ベスト④カルト①④など、電車・飛行機・船舶などの乗り物絡みのパニックもんが、大量発生いたしました。

遊園地の乗り物系「ジェット・ローラー・コースター」(1977年)なんぞも、ボクの記憶の中にござります。

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そして、次に多いのは、大ヒットしたベスト②などの、動物パニックもんどすやろか。

ディザスターものと、乗り物系と含めて3大パニックもんやろか。

加えて、無差別殺人を描いたカルト⑤などの、特殊もんも異彩を放っとります。

でもって、本作みたいなんは、3大に入らないタイプやけど、誰もが身近な危機としてある火災もんどす。

そして、これらの映画はほとんどが、「グランド・ホテル」(1932年)形式から始まった群像劇と、誰が生き残ってゆくのかとゆう、サバイバル映画スタイルなどと、シンクロナイズしとります。

その形態は、本作でも、鮮やかにクッキリと描かれておました。

サンフランシスコの135階建ての超高層ビルが、完成披露パーティーをやってる最中に、火災に見舞われるとゆう、シンプルな設定。

韓国映画「ザ・タワー」(7月27日付けで分析済み)などが、モロ本作に影響を受けて作られておますが、

この種の高層ビル火災ものは、バリエーションをこしらえにくく、ワン・パターンになりがちや。

そやから、結局、最初に作った作品が、ワン・アンド・オンリーであり、CGなどの技術革新で魅せるにしろ、結局あとは亜流になるしかありまへん。

ほんで、役者陣の演技ぶりでおましょうか。群像劇部でのラブ・ストーリーやらよりも、やはり救命救急部なヒーローたちの演技ぶりに、視線は集中しよります。

ビル設計技師役のポール・ニューマン、消防士役のスティーヴ・マックィーン。それぞれ命懸けの、必死のパッチの演技を披露しはります。

でもしか、この種の映画では、そんな演技は当たり前やろうけども、でも、リメイクが作られても、2人の演技を超えられる役者が、現れるかどうかは分かりまへん。

彼らの演技の最高傑作やないけども、パニック映画向きの演技としては、最高級の演技ぶりやったと思います。

とにもかくにも、サントラを掛けずに、緊張感あふれる救助シーンの連続には、手に汗やし、クライマックスはチョー爽快なダイナニズム。

映画館の大画面で、見てこその作品でおましょう。

2013年8月 3日 (土)

「劇場版 タイム スクープ ハンター 安土城 最後の1日」や~

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NHKの映画版は、メッチャなことになっとりまっせー

タイムスリップ時代劇の、ノリやなんて新風やんかー

http://timescoop.jp/

葉月8月31日の土曜日から、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、あべのアポロシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo

Ⓒ2013 TSH Film Partners

NHKドラマの映画版どす。このところ、NHKの映画版が、よーく出てきておます。

民放の劇場版が、次から次へと出てくるもんどすさかい、ほな、NHKもやろか~になったんやろか。

ドキュもあるけど、経済もの、琉球時代劇、サラリーマンものなどと多彩。

そんな中でも、本作はNHKらしくないとこを、大いに発揮しはった1本どす。

歴史の話をドキュにして、後世に残したいと、タイムスリップして調査員役・要潤のアニキが、歴史上の庶民の隠れた話へと、突っ込んでゆくっちゅうんやけど、大事件についてはハズされとります。

でもしか、本作は異例。「本能寺の変」と、安土城の焼失事件について、やってはりまんねん。

NHKの2本柱の、大河ドラマと朝ドラのイメージを、トンデモ外すカンジが、妙にたまりまへんどした。

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本作はタイムスリップもんの映画なんやけど、そのマイ・ベスト&カルト・スリーをば、久々に披露してみますと…。

●ベスト⇒①バック・トゥ・ザ・フューチャー(第1弾は1985年製作・アメリカ映画)②時をかける少女(1983年・日本)③12モンキーズ(1995年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②テルマエ・ロマエ(弊ブログ内検索で出ます)③Returner リターナー(2002年・日本)

●ベスト③やカルト②③のように、昔や未来から現代へ来るパターン。短時間のトラベルもののベスト②などとは違い、

本作は、あくまでベスト①や「タイムマシン」(1959年・2002年・アメリカ)のように、現代から過去へゆくとゆう、タイムトラベラーものの、オーソドックスを旨としてはります。

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現代人が過去の時代へ行って、取材するんやけど、どうして誰も「おまえは誰やねん」などと言われないとこを、要潤が「企業秘密」としてるとこなどは、興味深いわ。

自分は宇宙人だと、説明してるとこもあるやなんて、ホンマですか~。

ほんで、要アニは、股旅ロードムービーなとこに、関わることになるんやけど…。

そこに、歴史改変は許されないことが起こってまい、その修正のために、1980年代や、太平洋戦争中の時代へと、イロイロ行ったりしはります。

しかも、助手の夏帆チャンを連れてどす。

フツーの股旅もののハズが、大いに歪んでまいります。このあたりの流れは、時代劇の定番を揺るがすような、オリジナル・ポイントがありました。

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タイムトラベラーもので紡ぐ、戦国時代劇とゆう、「戦国自衛隊」(1979年・2005年・日本)のアイデアをしのぐセンスに、驚きがあったかと思います。

時空を利用した盗みの新しさに加え、安土城焼失のナゾへと迫る作り。

さらに、大仰なオーケストラ・サウンドの、ミスマッチ感などにも、ビックリしよりました。

杏チャンのアクションや、時任三郎アニキの渋演技やらにも、目がいきました。

ちゅうことで、スリルとサスペンスある、意外性に満ちた1本どしたえ~。

2013年8月 2日 (金)

「上京ものがたり」⇒北乃きいチャンがガンバってはりま

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西原理恵子ネーさんの原作映画でも、最も自然体やも

昭和映画やなく、現代の話として紡ぐとこに、新鮮やら驚きやらが…

http://www.jyokyo-movie.com

8月24日の土曜日から、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、全国ロードショー。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマやら、TOHOシネマズなんば、

京都・TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 西原理恵子/小学館/「上京ものがたり」製作委員会

漫画家の西原理恵子はんによる原作映画は、ナンやしらん、ケッコー出てまいっておます。

映画化された「ぼくんち」(2002年製作)「毎日かあさん」(弊ブログ内検索で出ます)「いけちゃんとぼく」(2009年)「パーマネント野ばら」(弊ブログ内検索)など、

かつての小説における自然主義を、コミックでやったようなとこがござります。

中でも、私小説的なタッチの作品としては、本作は「毎日かあさん」と匹敵する、快作になっとります。

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地方からの上京物語なんやけど、上京ちゅう設定が、今や昔の物語的になっとるけども、

本作は21世紀の現代の話で、そいつをやってはるので、少々違和感めいたもんはありました。

原作の昭和末設定を、現代に置き換えてはるみたいやけど、ケータイ、スカイツリー、野口英世の千円札など、物によって表層的に示すようなとこがあり、登場人物たちの心理にまで食い入って、21世紀的人間にはしてはりません。

むしろ「横道世之助」(弊ブログ内検索)や「苦役列車」(弊ブログ内)みたいに、

1980年代末設定で撮った方が、良かったのかもしれへんけども、でも、演技陣を含めてガンバってはります。

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ヒロイン物語どして、主演は北乃きいチャン。「爆心 長崎の空」(弊ブログ内検索)でも、

現代の地方の20代前後の女性を演じはりましたけども、その純粋で素朴なテイストが、今作でも十二分に生かされとりました。

いわゆる、NHKの朝ドラ的な、国民の好感度の高いような演技ぶりとでも申しますか。

モチ、きいチャンのアップ・シーンは最も多いし、その表情演技にも魅せられます。

例えば、同棲する彼氏とのセックス・シーンで見せる、オチョボ口な顔やったりとか、

キャバクラ・バイトのせいで、罹ってしもた顔面神経痛の演技とか、思わず納得させられる表情が上手いわ。

泣くまでのシーンの長めの撮影にも、感動的な演技として魅せはります。

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彼氏役の池松壮亮(いけまつ・そうすけ)クンの、ヒモ的プータロー演技を始め、

きいチャンを支える名バイ・プレーヤーたちの、快演技ぶりにも注目しておくんなはれ。

岡本太郎の「芸術は爆発だー」の名言を、オトン役の岸部一徳はんが彼女に伝えたりするシーンやとか、父娘の海辺の再会幻想シーンやとか印象的。

セリフにも、オモロイのんがあります。

キャバクラ嬢の先輩役・瀬戸朝香ネーさんが「最下位には最下位の戦いがあるのよ」と言い、

先輩漫画家役の小沢真珠ネーが「七転び八転びよ」などと喋り、きいチャンを励まさはります。

彼氏の元カノ役の木村文乃ネーでさえ、彼女を励まさはりますねんで。

そうじのおばちゃん役の、チョイ役で出てはる、原作者・西原理恵子はんも、見事なコメディ・リリーフぶりやしな。

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さてはて、東京風景が映されるものの、大都会のイメージよりも、地方的に見える東京的な映し方で、

全体的に静かに物語が進むカンジの、この映画の背景描写には、ピッタリはまった撮り方やったかと思います。

何度も出てくる、きいチャンが電車に乗ってるシーンなんか、地方都市のイメージっぽいしな。

そんなこんなで、「大嫌いな東京に、ありがとう」とナレートする、ラストのキイちゃんのセリフが、グッと胸に染み込んできよりました。

現代ものやけど、1980年代的な懐かしい気分で味わえるような、そんな作品どす。

2013年8月 1日 (木)

「ホワイトハウス・ダウン」⇒テロ・アクション映画どす

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「エンド・オブ・ホワイトハウス」に続く、政治テロもの

ローランド・エメリッヒ監督の、破壊の美学が炸裂や~

http://www.whitehousedown.jp

オーガスト8月16日のフライデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、全国ロードショーや~。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズ梅田、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんば、ほかで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ホワイトハウスがテロに遭って、エライ目に遭うっちゅう映画が、このところ2本、立て続けに作られました。

どちらもハリウッド映画どすが、①「エンド・オブ・ホワイトハウス」(弊ブログ内検索で出ます)と、②本作でおます。

ちゅうことで、2作の違いはどこにあるねん? とか、どっちがエエねん? とかの疑問に答えさしてもらいます。

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①はかなり緻密な取材に、基づいてはるようどしたけど、②はあくまで娯楽作品に終始してはります。

そやから、そんなんおかしいやろー、などの、かつてのハリウッド大作に多かった、アクション・シーンなどが頻出しとります。

でもしか、そういうミラクル・アクションなとこを外してしまうと、この種の映画は成り立ちまへん。

早々に主人公が死んでしもたら、どないもこないも…でおましょう?

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①にも②にも、モチ、大統領役が出ます。

①はアーロン・エッカート、②はジェイミー・フォックス。

今のUSA大統領のことをかんがみたら、黒人大統領役の②の方が、リアル感があるように見えますが、そこはみなはんの好み次第やと言えましょう。

要はどんなハラハラを、魅せてくれはるかやけど、②の方がリアリズムに縛られていない分においては、行動的にアクショナブルでおました。

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さてはて、そんな大統領を支える「ダイ・ハード」(1988年製作・アメリカ映画)的主人公は、①がジェラルド・バトラーで、②はチャニング・テイタム。

①はベタなネットリ系のアクションが有名なんで、「ダイハード」的をやり抜かはったけど、

②は「マジック・マイク」(後日、分析いたします)のヌード・ダンサー役みたいな、ヤワなイメージもありで、

①よりスムーズには、テロリストたちと戦えまへん。

そやから、どっちかてゆうたら、大統領との2人3脚的2人「ダイハード」なタッチで、アクションが紡がれてまいります。

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ほんでもって、①はいきなりクライマックス状態やったけど、

②は“静と動”を、緻密に計算しはりました。

最初は、室内劇を中心に、静かな展開で物語が進みます。

あくまで、オーソドックスな映画展開かもしれへんけども、このあたりは観客への物語への入りやすさを、配慮したもんどす。

観客を意識した映画の作り方においては、②の方が上やと申せましょう。

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そして、ネタ部でおます。

どんな奴らがテロを企んだのか、どすけども、この2作では明確に、犯行グループは分かれとります。

①は現代風で社会問題にもなりそうやったけど、対して②は、これもまたオーソなネタを披露しはります。

このあたりに、冒険がないやんとゆうのは簡単やけど、でもしか、ハリウッドとしては、何らかの“描いてはいけない”自己規制な部分がありまして…。そういうとこもビミョーに見えて、考えさせられたり…。

例えば、話題になった高野和明の小説「ジェノサイド」(2011年上梓・角川書店)などは、USA上層部の暗闇を描いてはりましたが、おそらくハリウッド映画的にはタブーな世界でおましょう。

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つまりは、結局、ひたすらエンタとして、楽しんでもらいたい1本でおましょうか。

ホワイトハウスは爆破してもエエ。けども、それをやった者は誰だには、万人に認めてもらえる説得力ある説明が、必要になってきよります。

その意味においては、①の犯人組は問題を起こしそうやけど、でも、あくまで国家間やなく、個人レベル・ラインで逃れてはったかと思います。

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さて最後に、監督のローランド・エメリッヒはんについてどす。

ドイツ出身の監督としては、ウォルフガング・ペーターゼン監督と、シンクロするように見えます。

共に、ドイツでは大作は作れないと、ハリウッドを目指し、ヒット作を連発する監督とならはりました。

でもしか、エメリッヒはんは、ザックリとしたラフな作りながら、正攻法でグイグイ押してきはります。

2人には、十番対決もできそうなとこもあるんやけど、それは、いずれまた…。

エメリッヒの作品性の1つとして、壊しの美学を追求するとこがありますが、破壊の向こうにあるもんは、常に多彩どす。

ということで、その結末の向こう側を、余韻として見てほしい作品でおました。

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