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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2013年3月の記事

2013年3月31日 (日)

ハリウッド映画の今②スティーヴン・スピルバーグ監督の新作「リンカーン」

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スピルバーグの戦争もの映画でも、政治系映画のケッサクやー

ダニエル・デイ=ルイスはんはモチ、“この国の”トミー・リー・ジョーンズやらが、渋い演技を披露しはりましたで

http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/

4月19日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION and DREAMWORKS Ⅱ DISTRIBUTION CO., LLC

スティーヴン・スピルバーグ監督の新作どす。

これまでのスピルバーグ作品てゆうたら、ジャンル的には、大たい5パターンくらいに分けられます。

①SF②車やらを含む、襲うモンスター系③ヒーロー型のアクション④戦争映画⑤人間ドラマ映画系、ちゅうカンジやろか。

でもって、本作は④と⑤のフレイバーが入っとります。

ちゅうことで、ここで、スピルバーグの戦争系映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、まずは披露いたします。

●ベスト⇒①プライベート・ライアン(1998年製作)②シンドラーのリスト(1993年)③本作

●カルト⇒①太陽の帝国(1987年)②戦火の馬(2011年)③1941(1979年)

●戦争ものとは申せ、本作はイントロで、南北戦争の過酷な現場をば見せはるけど、おおむね政治映画でもある本作に合わせ、室内劇を中心に展開してまいります。

室内劇ながら、セリフを含めてビビッドな作りが、本作のポイントになっとります。

リンカーン大統領の人間ドラマとしても、ケッサクどした。奴隷制の裁判劇となった「アミスタッド」(1997年)やら、黒人女性の悲哀を描いた、大河ドラマ「カラーパープル」(1985年)とも濃厚に、本作はシンクロしよります。

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さてはて次に、大統領映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば見せます。

●ベスト⇒①本作②JFK(1991年)③大統領の陰謀(1976年)●カルト⇒①ニクソン(1995年)②13デイズ(2000年)③リンカーン(弊ブログ内検索で出ます)

●大統領本人の人間ドラマ性を描いた映画としては、本作はディープに描いた最高傑作でおましょうや。

ほんで、次は南北戦争を背景にした、映画のマイ・ベスト&カルトどす。

●ベスト⇒①風と共に去りぬ(1939年)②グローリー(1989年)③コールドマウンテン(2003年)

●カルト⇒①本作②パトリオット(2000年)③アミスタッド

●ベスト①の庶民系のヒロイン・ラブ・ストーリーとは、真逆の作りになっとるのんが、本作やと思います。

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そのココロをば体現するんは、俳優陣の凄味でおましょうか。

本年アカデミー賞で、3度目の主演男優賞をゲットしはった、ダニエル・デイ=ルイスはん。

「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2002年)では、本作と同じく南北戦争下の中で、エキセントリックな役柄を演じはったけど、本作のリンカーン役では、長めのセリフを中心に、重厚で落ち着き払った演技を、とことん貫きはりました。

ラスト・シーンの演説シーンなど、感動的なシーンもあります。

そのセリフの妙味は、ストレート系であったり、どうでもよさそうなエピソードを絡めて論理を展開したりと、多彩なカンジや。

そして、「この国の住人は…」のCFで有名な、トミー・リー・ジョーンズはんのシブミある演技ぶりやら、リンカーンのヨメはん役の、サリー・フィールドはんの演技も凄かったどす。

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ほんで、スタッフ陣のシブミがさらに映画を、縁の下から盛り上げはります。

室内シーンが多い中でも、ランプの灯やら陽光の自然な取り込みなど、時代感を示す撮影ぶり。

スピルバーグ組とも言える、音楽監督のジョン・ウィリアムズはんの、絶妙なサントラ使い。

ピアノ・ソロやらをメインに、映画の作品性に合わせはったような、控えめで静かな音楽が、シブミを増しておましたえ。

スピルバーグの21世紀の映画としては、最高傑作でおましょう。

2時間31分の長尺映画やけど、存分にスピルバーグ節が、堪能できる作品どした。

2013年3月30日 (土)

ハリウッド映画の今①シュワちゃん主演「ラストスタンド」どす

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シュワちゃん、ハリウッドへアイルビーバックな作品どすえ~

西部劇的銃撃戦、カーチェイス、ガチ・バトルまで、ハデハデオレオレでおます

http://www.laststand.jp

4月27日の土曜日・ゴールデンウイーク突入日から、大阪ステーションシティシネマやらで、全国イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 LIONS GATE ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

カリフォルニア州知事の仕事を全うして、アーノルド・シュワルツェネッガーはんことシュワちゃんが、ハリウッド・アクション映画に復帰しはりました。

その第1弾は、まさにシュワちゃんのパブリック・イメージに、ふさわしい1本となりましたで。

但しでんな、彼がハリウッドを離れて以来、日本興行界でのハリウッド映画の市場は、凋落の一途を辿ってきたという経緯がありま。

つまり、これは売れ筋のハリウッド・アクション映画を継承する役者たちが、不足している現状とも合致しておまんねん。

これまでに弊ブログで何回も分析してきましたけども、アメリカ本国ではヒットしているんやけども、日本ではヒットしてへん現状が続いておるんどすわ。

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「エクスペンダブルズ」(2010年・2012年・アメリカ)などでも感得できたんやけど、“昔の名前で出ておます”みたいな、シルベスター・スタローンはん、ブルース・ウィリスはんなどと、3羽ガラスみたいな形で彼は出てはったけど、はっきり言って、懐古趣味に近いもんがあったんやないやろか。

しかし、本作では、それでも必死にハリウッド・アクションにこだわるシュワちゃんに、ある種涙もんのとこが見受けられたりしまっせ。

作品的には、ブルース・ウィリス主演の黒澤明「用心棒」(1961年・日本)のリメイク「荒野の用心棒」(1964年・イタリア&西ドイツ&スペイン合作)を、さらにリメイクした「ラストマン・スタンディング」(1996年・アメリカ)と対を成すような、西部劇的アクションの1本になっておます。

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意外にも、シュワちゃんは西部劇ウエスタンに出演したことがありまへん。

そこで、初ものを狙ったのかどうかは別にして、西部劇的な銃撃戦はあるけども、とうもろこし畑でのカーチェイスや、クライマックスの1対1による格闘バトル・シークエンスなど、西部劇的アクトを超えたとこの、アクション・シーンが満載になっとるんどすわ。

一方においては、製作側がシュワちゃんを意識しはった(気を遣わはった)とこなんぞも結構あります。

「もうおまえは終わっている」(彼はそのセリフをはね返す)とか、彼を賞賛する「大したもんだ」のセリフとか、少々定番に走っているのではの、勘繰りもあるんやけども…。

でもでんな、理屈抜きにアクションを楽しめて、スカッとなれる娯楽作としては、何とか踏ん張ってはると見よりましたで。

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さてはて、本作の監督はてゆうたら、韓国のキム・ジウンのアニキや。

イ・ビョンホンとの仕事「甘い人生」(2005年・韓国)や「ビッグ・バッド・ウィアード」(2008年・韓国)などで、多彩なアクション映画に対応できる資質は、十二分にあらはりました。そして、本作で初のハリウッド映画監督進出やねん。

銃撃アクション・シークエンスの練られ方など、思わず目を見張ってまうシーンが続きます。全編にわたってのアクション演出には、まだ物足りないものがあるかもしれへんけど、日本を含んだアジアの監督のハリウッド・アクション映画としては、かなり健闘してはるかと思いまっせ。

最後に一言。個人的には、逃亡者側をヒロイックに描いた「ゲッタウェイ」(1972年・アメリカ)の、逆バージョン的な快作やったどす。

2013年3月29日 (金)

旬の日本映画分析⑦亀梨和也クンが33役に挑戦しはった「俺俺」やー

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ドッペルゲンガーな分身映画の、究極型を示さはりました

内田有紀ネーのミステリアスやら、加瀬亮アニキのぶっきら節やらも、絶好調でおまっせ~

http://ore-ore.jp

皐月5月25日の土曜日から、ジェイ・ストームはんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリーやら、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 J Storm Inc.

最初に思いっきし、本作とリンクするような作品をば、出してみまっせー。

全てDVD化されておますんで、ツタヤやらのレンタル店で借りて、本作鑑賞の予習として、ご確認あそばされませどすえ~。

「トータル・リコール」(1990年・2012年・アメリカ映画・以下の映画は指定国以外は全てアメリカ映画どす)、「マイノリティ・リポート」(2002年)などの、SF作家の巨匠フィリップ・K・ディックの原作映画。

「エンゼル・ハート」(1987年)やら、その作品性を汲む「メメント」(2000年)。

アルフレッド・ヒッチコック監督のサスペンス「北北西に進路を取れ」(1959年)「間違えられた男」(1956年)やらの、身に覚えのない男たちの逃亡系。

そんなヒッチに影響を受けはった、ブライアン・デ・パルマ監督の「殺しのドレス」(1980年)やら。

内田有紀(写真1枚目)の謎めき演技なんぞは、ヒッチ監督の「めまい」(1958年)における、キム・ノヴァクを意識してはるやろか。どうやろかな?

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そのほかでは、デヴィッド・リンチ監督の「ブルーベルベット」(1986年)やら、「マルホランド・ドライブ」(2001年)やらの、謎めき危うしサスペンス・ミステリー度合い、なんぞも入っとります。

さてはて、33人分の俺役をやらはった、KAT-TUN(カツゥーン)の亀梨和也クンやけど、分身もん「ドッペルゲンガー」(2002年・日本)やら、クローン映画やらのノリでは、遥かに映画的ポイントとしては上の作品でおました。

一方では、本作はジャニーズ俳優主演映画どす。ネット上の写真としては、ジャニーズ的には未だに解禁されておまへんので、亀梨クンの肖像画像はあれへんねんけど、彼の演技ぶりは、本作で多彩感と共に、彼のこれまでの映画の最高演技ぶりどした。

「映画 妖怪人間ベム」(弊ブログ内検索で出ます)の演技ぶりとは、濃縮度合いが全然違っておました。

主に3人分の俺を演じ分けはるんやけど、マジメな主人公、クールなリーマン、明るくチョケた学生役の3人を描き分けはるんは、特筆もんの演技やったと思います。

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三木聡監督(写真3枚目)の作品でおます。

ユルユルなコミカル・ユニークな映画を作ってきはったし、本作でも、笑いのポイントは、加瀬亮アニキやら「ふせえり」ネーさんのシークエンスやらで、チビチビとイロイロと笑わせてくれはります。

けども、ヒッチコック的なサスペンス映画としても、出色の仕上がり具合をば示さはりました。まあ、ネタバレに関することやら詳しいことは、あんまし言いたくないんやけども…。

1分前後のミニ長回し撮影部による、作品テーマとのシンクロ具合。シンセサイザー、リズムボックスを基調とした、サントラ使いの浮遊感。

モチ、ラストロールで流さはる、KAT-TUNの、キャッチーなアップ・テンポ・ナンバー「FACE to Face」のノリの良さなど、ミステリアスなエンディングも絡めて、ココロに深く残るようなカンジを、引き出してはったかと見ます。

全編にわたり説明を極度に排し、リアリティーもあれへんけども、それでいて着地部はキチンとしてはって、サプライズを見せるっちゅうとこなんぞは、グッとハマりました。

ボク的やけど、三木監督の最高傑作は、これまでは上野樹里主演の「亀は意外と速く泳ぐ」(2005年・日本)やったけど、本作はそれをば超えた、三木監督の最高傑作やと断じますわ。

家族一同で見に行っても十二分に、楽しく鑑賞できる作品なんどすえ~。

2013年3月28日 (木)

旬の日本映画分析⑥「映画 体脂肪計タニタの社員食堂」どす

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ベストセラー・ダイエット食レシピ本から、オリジナルなドラマ映画が誕生いたしましたで~

今はなき日本映画の、プログラム・ピクチャーの良心が、受け継がれたかのような快作になっとりまっせー

http://www.tanitamovie.jp

皐月5月25日の土曜日から、角川映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013「体脂肪計タニタの社員食堂」製作委員会

ベストセラーの映画化やゆうても、ダイエット食のレシピ本どす。

例えば、「スマスマ」の「ビストロスマップ」もレシピ本が出とりますが、それをベースに映画化しようやなんて話は、まずありまへんやろ。

ところがどっこい、たかがレシピ本されどレシピ本を、原作にはない人間ドラマやらコメディを、大幅に追加してでんな、オリジナルなお話をば作ってきはったんどす。

これがまあー、「釣りバカ日誌」シリーズ(1988年~2010年)を、今のところ最後にした、日本の良質あるプログラム・ピクチャーの精神が、しっかり根付いてるような仕上がり具合に、ボク的にはメッチャ嬉しおました。

サラリーマンものだけやなく、メインはレシピ映画としての粋でおます。しかも、未だかつて映画では取り上げられへんかった、ダイエットなヘルシー定食なんどすえ。

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それらを巧妙に本編内で見せつつも、見逃してもうたお客はんのために、ラストロールで紹介全メニューをば見せてくれはります。

レシピ映画については、かつてマイ・ベスト&カルト・スリーを披露しましたけども、今回は日本映画に限定して、新たにリフレッシュしてやってみよります。

●ベスト⇒①タンポポ(1985年)②南極料理人(2009年)③しあわせのかおり(2008年)

●カルト⇒①本作②スーちゃんマイちゃんさわこさん(弊ブログ内検索で出ます)③UDON(2007年)

●ラーメンのベスト①やら、讃岐うどんのカルト③など、麺類根性ドラマが映画的には、映えるやもしれまへん。オトコ料理人の群像劇ベスト②もエエんやけど、それ以外に採り上げたんは、女性シェフもんどす。

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洋画では、「マーサの幸せレシピ」(2001年・ドイツ製作)など、女性シェフもんがオシャレでおます。

中谷美紀ネーが、素晴らしき食にこだわったベスト③やら、カルト②やらもお客はんを満足させるサービス度合いをば、グルメ系映画としてのポイントにしてはります。

しかし、本作は前述しましたように、今までとは全く違った、メニュー内容になっとります。

でもって、本作主演の優香ネーさんやけど、久々に映画で見たけども、コメディエンヌとして茶目っ気たっぷりの、演技ぶりにグッときました。

上野樹里やら吉高由里子やらの後輩の、オリジナルあるコメディエンヌぶりと比較すると、そら、まあ、ストレート過ぎるやもしれまへん。でも、凄く好感度があります。

CGで示される、昔ポッチャリ太ってた姿を映したり、頭デッカチで料理が作れない栄養士ぶりなど、オリジンなキャラに挑んではります。

「料理は現場で起こってるのよ」の、優香ネーが料理人の先輩に言われるセリフなど、「踊る大捜査線」(1998年)へのパロディ・セリフなんかも楽しめまっせ。

ほんで、そんな優香ネーが、スロー・テンポながら、料理を覚えてゆくシーンには、ホッコリとする癒やしやらがありま。

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浜野謙太の、「釣りバカ」の西田敏行に迫らんとする、人情チックな演技ぶり。3カ月の間に体脂肪率を落とそうとする、浜野以外の3人の演技ぶりも個性的どした。

ほんでもって、コメディには全く似合わない草刈正雄はんが、それが逆に活かされたり、壇蜜はんとのやり取りやらが笑えまっせ。

また、夢シーンやらでは、優香らがインド・ダンスを披露しはったり、カラオケ内のマイナー歌謡曲やら。加えて、バンドネオンやアコースティック・ギターを使った、ナチュラルなサントラ使いが、本作の作品性にマッチしとりました。

ダイエット・ムービーとしては、「カンナさん、大成功です」(2008年・韓国)を超える楽しさどしたえ~。

2013年3月27日 (水)

旬の日本映画分析⑤岡田准一&榮倉奈々共演「図書館戦争」どす

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ツンデレ(ツンツンデレデレ)映画の、最高傑作やもな~

焚書坑儒とゆうコトバやら、トリュフォーの「華氏451」やらへの、濃厚なるトリビュートあり! どすえ~

http://www.toshokan-sensou-movie.com/

エイプリル4月27日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 “Library Wars”Movie Project

本作はゆうまでもなく、まがうことなき、ジャニーズ男優映画でおます。

ほんで、主演してはるのんは、V6の岡田准一のアニキや。

但し、ジャニーズはんはネットでの画像公開をば、ズーッとやってはらへんので、岡田アニキの写真はありまへん。

でも本作は、榮倉奈々チャンの映画やとゆうてもええくらい、彼女がメッチャ光っておました。

むしろ、岡田アニの方が、タジタジになりそうな演技ぶりどしたえ。

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アクション・ノリのヒロイン映画としては、自衛隊の「守ってあげたい!」(2000年・日本)の菅野美穂ネーさんは、もちろんのこと、「G.I.ジェーン」(1997年・アメリカ)のデミ・ムーアのネーさんさえも、彼女は凌駕しはったかと思います。

映画的設定としては、昭和が終わり、実際は平成の時代に変わったんやけど、その“平成”が“正化”やったとして紡がれる、仮想設定もんどす。

図書館・書店など、検閲される違法図書を巡って、2派による争いやバトル・戦争を、まことしやかに描こうっちゅう映画でおます。

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でもでんな、今の時代を標準ラインとして本作を見てみますと、妙にしっくりとこないとこがあります。

図書館やら書店の維持を守りゆくスタイルは、今のネット時代やら電子書籍の時代においては、少しく古っぽいのんと、ちゃうのんとゆうとこがありよります。

そやから、今からの未来型やなく、平成初期にまで遡っての描き方なんやろかな。

今よりさらに進化した未来図の、SFスタイルで描くとなれば、本作は21世紀的には、コンテンポラリー(現代的)やありまへん。

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それでも、本作は設定は別にして、アクション映画やらラブ・ストーリーやらの、新味をば追求してはります。

最初は、焚書坑儒(悪書やらを燃やしてまうこと)やら、フランソワ・トリュフォー監督の、唯一のSF映画「華氏451」(1966年・イギリス&フランス)やらへの、ある種のトリビュート的なとこをカンジましたけども、でも、最終的には本作のオリジナルなとこが、シューティングされるような作りとなりました。

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再々ゆうけども、図書館の攻防戦とゆうのんは、現実的なリアリティーはまあ、ありまへん。

それでも、そのあたりを無視して、銃撃シーンやらのアクション・シーンを、理屈抜きに楽しんで見るっちゅう感じで、エエんやないやろかな。そんな中で、役者陣の健闘ぶりが、本作のキモになっとるかと思います。

「天地明察」(弊ブログ内検索で出ます)の、“軟”の演技のあとは、硬軟両用の“硬”を示す演技ぶりの、岡田准一のアニキ。

「SP」(弊ブログ内検索)に近い、ハリウッド映画ばりのアクション演技ぶりどす。

榮倉チャンの友・栗山千明(写真4&5枚目)の、キズナある感動ある演技、岡田と男の友情的にディープに関わる、田中圭のアニキ(写真7枚目)、奈々チャンにコクらはる、福士蒼汰クン(写真6枚目)の誠実演技など、好感度の高い演技が続きます。

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そんな中で、最も映えてはるんは、モチ榮倉チャンでおます。「アントキノイノチ」「のぼうの城」「だいじょうぶ3組」(全て弊ブログ内検索で出ま)などで披露しはった、強気な演技ぶりが、本作で100パーセント花開いておますんどすえ~。

ほんで、ラストシーンでは、チャップリンの「街の灯」(1931年・アメリカ)を思い出させはる、感動の感触(触れ合い)シーンがあります。

でもって、シリーズ化されそうな終わり方やから、次を楽しみに待ちたい作品でおますよ。

2013年3月26日 (火)

旬の日本映画分析④北海道ロケーション映画最新版「じんじん」どす

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「北のカナリアたち」を超える、地方ロケ映画の熟成型を示す感動作でおます

寅さんみたいな大地康雄はんの、最高傑作どすえ~

http://www.jinjin-movie.com

皐月5月18日の土曜日から、“『じんじん』全国配給委員会”の配給によりまして、北海道の旭川・札幌を皮切りに、全国順次のロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013『じんじん』製作委員会

さてはて、「県庁おもてなし課」やらのとこでも言いよりました、地方ロケ映画は21世紀以降、地方のフィルムコミッションの充実により、メッチャ活性化しよりました。

ほんでもって、本作は地方ロケ映画でも、北海道ロケ(宮城県の日本3大景勝地の松島やら、栃木県にもロケしてはるけど…)をメインにしはりました。

北海道ロケ映画てゆうたら、東京を除いて、ロケ頻度数のベスト・スリーに入りまっしゃろ。その3大は、アバウトやけど、沖縄と京都でおましょうか。

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ちゅうことで、20世紀にもいっぱいあったんやけど、最新型を示すとゆう意味で、21世紀以降の北海道ロケ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①本作②雨鱒の川(2004年)③探偵はBARにいる(弊ブログ内検索で出ます)

●カルト⇒①北のカナリアたち(弊ブログ内検索)②北の零年(2004年)③釣りバカ日誌ラスト(弊ブログの第1弾で分析)

●素晴らしき北海道ロケ映画は、多数あるんやけど、本作ほど美しき自然描写を、織り込んだ1本はマレどした。

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ともするとでんな、ドラマ性にこだわってしもて、北海道ロケでなければならんとこが、おろそかになったりする映画があるように思うんやけど、本作はそこんところは明確でおました。

パンを中心とした近接撮影やらロングショットで魅せられる、北海道の北海道にしかないような美しく、ほんで広大な自然風景カットの数々に、酔わされ癒やされよります。

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ほんで、演技陣どす。大地康雄はんが、この映画を企画し、自ら主演しはりました。大地はんくらいのベテランやったら、大手の映画会社のサポートを得られるハズなんやけど、彼にはある種のこだわりがあったんやろなと推察します。

最近は2時間ドラマの帝王になりつつある彼やけど、でも、彼の持ち味はあくまで映画でおます。

ちゅうことで、ココで、唐突に大地康雄出演映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露させてもらいます。

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●ベスト⇒①本作②マルサの女(1987年)③病院へ行こう(1990年)

●カルト⇒①ミンボーの女(1992年)②砂の上のロビンソン(1989年)③武士の一分(2006年)

●間違いなく、本作は彼の最高傑作やとジャッジいたします。

「寅さん」的な演技性はズーッと感じとったんやけど、本作で本格的にそれに、チャレンジしはったようなとこがありました。

ゆうてみたら、寅さん的マドンナ役は、若村麻由美ネーさんやし、サクラみたいな役柄は、いやはや久しぶりの、中井貴一キイッちゃんの実のネーさん、中井貴恵ネーがやってはりまっせー。

角川映画の横溝正史原作映画で、一世風靡しはった貴恵ネーの存在は、本作のオリジナル・ポイントにもなっとるかと思います。

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そして、最もキモになっとるんは、父と娘(大地はんと、写真上から5枚目の小松美咲ちゃん)のキズナ描写でおます。モチ、それをば描くのに別に、北海道ロケをする必要性はないんやけど、でも、その作りは北海道でなければならないような設定でいってはりました。

ココにこそ、本作のオリジンなとこがござります。

でもって、父娘の再会やら別れのシーンが、泣ける感動的なナニワ節ちゅうことになっとりまんねん。

特に、クライマックスの作り方には、どんな映画でも絶対に泣かなかったボクチンを、泣かしてくれよりましたがな。

いやはや、このシークエンスだけで、本作はボクにとってケッサクとなりました。

でも、ボク的だけやなく、本作は今年の邦画ベストテン級の、仕上がりになっとるやろと思います。

2013年3月25日 (月)

旬の日本映画分析③宮崎あおい主演の女友情映画「ペタル ダンス」どす

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宮崎あおい、安藤サクラ、吹石一恵の各ネーさんに、忽那汐里ちゃんが関わらはる、女性4人のミニ群像劇でおます

物語を作るスタイルよりも、あくまで描写によって、最後まで貫くスタイルどす

http://www.petaldance.jp

4月20日の土曜日から、ビターズ・エンドはんの配給によりまして、東京・シネクイント、新宿武蔵野館やら、梅田ブルク7、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都やらで、全国漸次のロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013『ペタル ダンス』製作委員会

久々に見た、女友情ものの快作でおました。

男の友情もの映画は、女の友情映画より圧倒的に多いんやけど、みなはんの女友情もんへの思い入れは、どんなもんでおましょうか。

ちゅうことで、思いつくまま気ままにでんな、女同士友情映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、披露させてもらいま。

●ベスト⇒①ジュリア(1977年製作・アメリカ映画)②テルマ&ルイーズ(1991年・アメリカ)③サンダカン八番娼館 望郷(1974年・日本)

●カルト⇒①バウンド(1996年・アメリカ)②花とアリス(2004年・日本)③本作③スーちゃん マイちゃん さわこさん(弊ブログ内検索で出ます)

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●最初は方向性があやふややったけど、女性たちの友情ものが、押しつけがましくなく、さりげなく紡がれてまいります。

アドリブ感満載の自然体に徹した作りなんやけど、それでも、いかにもな女友情もんが描かれます。

但し、あくまで静粛で静謐な作りでいってはります。

ベスト①やらで顕著な静かな友情ぶりに、ジワ~ッとココロにくる仕上がりになっとりまんねん。

いかにも熱いベスト②やらベスト①とは、少しとゆうか、かなりと違った作りでいってはるやろか。

ベスト③の世代や年齢差を超えた、カンジの作りとしても、3人と1人の間で展開します。

学園もののカルト②やらの、ピュアなセンスも感じるし、大人になった女たちの友情ぶりとしては、カルト同率の③とも、シンクロナイズしよります。

但し、明るい「スーちゃん…」とは、やや真逆とも言える、暗みもある作りなんやけど、暗みがあっての未来への明るさを、描く点においては、本作は出色の仕上がりになっとるかと思います。

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本作は、物語をストレートに構築するようなタイプやありまへん。メイン・ポイントをビミョーに外すようなカットの多さにこそ、本作のキモがあるかとカンジました。

曖昧なとこで紡がれてゆく映画に合わせるように、各女優陣が絶妙にして渋い演技ぶりで魅せはります。

宮崎あおいネーさんの、余裕ある演技ぶり。

安藤サクラのネーやんの、ホワ~ッとしたアンニュイな独特の演技。

ほんで、吹石一恵ネーの、これまたフツーのような演技。

忽那汐里ちゃんがナレーションを含めて、3人とは画する青春お悩み系の演技をば、やってはります。

3人と1人のアンバランス感やらが、ドラマを映えさせはります。

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空と海を映すカットが、頻出してまいります。

冷えた感覚の薄い色合いの空気感。映画的照明をあまり入れない作り。潮騒、風の音、車やグライダーの音など、効果音も、もう一つの主役やとゆうてもエエくらい、ドラマ効果を増しておました。

「風に乗る点では、グライダーも鳥(カモメ)もおんなじ」とゆう、サクラ・ネーのセリフなど、ところどころにおいて、印象に残るセリフ・シーンがあります。

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長めの撮影カットも、それなりにありました。

4人が海を見る背中を映すロングショットなど、絵画的構図も随所に見られよります。

青森までゆくロードムービー部やらも、オモロかったやろかな。

哀切なピアノ・ソロをメインにした、サントラ使いにも魅せられます。

みなはんにとっては、演技や撮り方に、余白部やら想像部の多い作りやもしれへんけど、あくまで描写に徹して、一貫してみようかとゆうとこがあります。

こうゆう作りが、映画的な作りといえばそうなんやけど、でも、演技の抑制が利いた4人の演技ぶりには、見たあとあとに、ココロに効いてクルようなカンジでおました。

安藤政信アニキやら風間俊介クンらの男優が、出てたことが忘れてしまうくらいの渋~い演技ぶりどしたえ~。

付け加えよりまするに、宮崎あおいネーさんの、演技幅の広さと柔軟性にも酔ってくだされ。

2013年3月24日 (日)

旬の日本映画分析②松田龍平&宮崎あおい共演「舟を編む」どす

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編集部もの映画でも、ハデやなくジミ編やけど、クセになりそな渋作りどっせー

2人の演技以外に、バイプレーヤーたちのシブミが光っとります

http://www.fune-amu.com

4月13日の土曜日から、アスミック・エースはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013「舟を編む」製作委員会

「舟を編む」とは何ぞや? やけども、舟=書籍・辞典などの出版物を、編む=編集する(映像業界の編集とは、中身が違います)とゆう隠喩どす。

編集を旨とする編集部を描いた映画てゆうたら、新聞社・スクープ誌・ファッション誌やら、社会的やったり華やかなんやったりと、映画的にも映えるようなとこが、これまでは目立っておました。

編集部の縁の下の力持ち的やったり、ハデやなくジミヘンな地味な編集部を描く、ナンチューのんは、これまではそれほど描かれてはおまへん。ほんでもって、本作は出版社の日本語辞典編纂(さん)の過程をば、緻密に見せてゆかはります。

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個人的な話で恐縮どすが、ボクは新聞社・出版社にとって、最も地味で縁の下の力持ちバチバチの、校正・校閲の仕事を何年もやってきたし、その地味で忍耐力を要する仕事については、メッチャ愛着を覚えるもんでおました。

で、本作みたいな日本語辞典やなく、映画辞典に関わりましたけども、本作のセリフを引用しますれば、「映画(日本語)をダメにしたくない」なんて思ってへんかったけど、新たな日本語が造語されてゆくのと同じように、新たな映画は日々作られて、まさに映画は永遠。

加えて、そんな作品を辞典化してゆくのんも永遠。そう、ボク的には、言葉と映画のフォーエバーぶりを再認識できて、本作は個人的にはまさに、メモリアルな1本となりよりました。

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でも、そんな個人の感傷をば抜いても、本作は今年の邦画のベストテン級やとゆうてもエエような、仕上がりになっとります。

一番のポイント・ゲッターは、松田龍平アニキと宮崎あおいネーさんの演技ぶりやけど、オダギリ ジョーやらの名サポート演技ぶりのシブミも、映画の出来に貢献してはります。

演技陣のシブミあるスゴミにこそ、本作のキモやと申せましょうか。一つ一つ見ていきまするに…。

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まずは、宮崎あおいのネーさん。明日分析の「ペタルダンス」では、また違った顔を見せはるけど、彼女は現代日本映画界において、最高ラインの女優やと断言いたします。

「篤姫」なんぞのテレビドラマで、有名にならはったかもしれんけど、あおいネーは心底の映画女優どす。

そんな彼女の演技性の中で、ここ最近ようやってはる、夫妻もんのヨメはん役について、マイ・ベスト&カルト・スリーまで言えまんねんで。いやはや、スゴイわー。

●ベスト⇒①本作②きいろいゾウ③ツレがウツになりまして

●カルト⇒①天地明察②神様のカルテ③剱岳 点の記(2009年)

●カルト③以外は、弊ブログ内検索で出ます。一部はDVD化されとりますんで、確認していただいたら分かるやろかと思います。

中でも本作のヨメはん役は、なれそめ部を含めユニーク感と共に、ココロに残るヨメ像を演じてはりました。

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一方、松田龍平アニやけど、大人しいオボコサ感が絶品。これまでにやらはったフツーのクール感演技とは、ビミョーに違うとこがありました。

映画への出番が増え続けるにつれ、オトン松田優作はんとの距離が、縮まってゆくようなカンジにはクグッときよります。オトンを超えるんは、時間の問題やもしれまへん。

「伊能忠敬・子午線の夢」(2001年)の、地図作りへの情熱が、辞書作りに転化したかのような、加藤剛はんの演技やら、オダギリのフランクでフリーキーな演技に加え、小林薫はんやら伊佐山ひろ子はんやらの、今の年齢でなければできない滋味な味わいに、ウーンと唸りよりました。

池脇千鶴ネーとオダギリのラブ部なんぞも、ドラマに自然体でエエ雰囲気をば、構築してはりましたえ。デート・ムービーとしても、存分に機能する傑作どす。

2013年3月23日 (土)

旬の日本映画分析①錦戸亮&堀北真希共演「県庁おもてなし課」どす

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地方ロケーション映画の観光誘致系をば、惜しみなく披露しはった快作どすえ~

錦戸亮クンのさわやか笑顔と、堀北真希ちゃんのナイーブな表情演技が、エエ感じどすえ~

http://www.omotenashi-movie.com

5月11日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2013映画「県庁おもてなし課」製作委員会

本作には、21世紀以降の日本映画の、良いも悪くもトレンディー・ポインツが、仕込まれとる作品でおます。

とゆうことで、約3ポインツほどについて見てみまひょか。まずは、地方ロケーション映画ポイントでおます。

地方ロケ映画は日本映画が始まった当初から、イロイロ綿々と作られ続けておるんやけど、21世紀以降、地方ロケを管轄する各府県の、フィルム・コミッションの充実により活性化し、静かなる地方ロケ・ブームを呼び込みました。

これまでにもイロイロ書いてきよったけど、反復するカタチやけど、21世紀の代表作はをゆうと、「フラガール」(2007年)「おくりびと」(2008年)「悪人」(2010年)「八日目の蝉」(2011年)なんぞがあります。

でもって、本作は高知ロケ映画どして、かつての高知ロケ映画でも、郷土愛に満ちたイ、チバンヤーな作品になっとりまっせー。

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地方ロケ映画は、ともすると、観光誘致やら地元のPRを兼ねた映画が、ケッコーあったりして、時おり、映画製作を利用してなんやねん! ナンチュー、ボク的な不満やらがあったんやけど…。

そんな観光誘致系ドラマ映画をば逆手に取って、モロストレートに惜しみなくそのスタイルで、徹頭徹尾いくなんてゆう映画が登場しよると、むしろ逆にオオーッてなカンジの驚きと共に、新鮮味を覚えたりしよります。

最近でゆうたら、佐賀県の「綱引いちゃった!」(弊ブログ内検索で出ます)とかに顕著でおました。

高知市役所の職員が主人公で、高知の観光客増加を狙うためには、どうするかを考えてゆく、試行錯誤なドラマてゆうたら、まさにピン! しかも、実話系のノリどす。

いさぎよい。自分の故郷のPRを、映画にしてなんで悪いねん? とゆう開き直りにも近いとこをば見せられると、ボクは両手を挙げて降参でおました。

でも、本作はベースを観光誘致に置いた上で、それ以上の見ごたえある、サムシングがある快作品どした。

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さてはて、2番目の要素やけど、3月中の後日に「図書館戦争」やら「俺俺」を分析しよりますけども、本作もジャニーズ事務所所属アーティスト主演の映画どして、関ジャニ∞(エイト)の錦戸亮クンが、笑顔がステキな公務員役で、好感度の高いさわやかな演技をば披露してはります。

一方では、彼のお相手役として、朝ドラ「梅ちゃん先生」主演やら「紅白歌合戦」司会やらのNHK絡みで、国民的女優にならはった堀北真希ちゃんが、錦戸クンに合わせるようなカンジで、まさに守ってあげたいみたいなアイドルチックな、かわいらしさやナイーブ感をもって演技してはります。

2人のアップはモチ多いんやけど、あくまで清涼感をキモにした2人の演技性には、演技派なとこを見せたろかいやなとこもなく、自然体で素直に見れて、好感度が重要なこの種の映画には、大変重要なところやろかと思いました。

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でも、しかし、ほな、映画としての面白さはどこにあるのん? なんてゆわれたら、はたと困ることになるんかもしれへんけど、こういう庶民におもねるような、プログラム・ピクチャー的な仕上げにこそ、本作のレーゾン・デートル(存在理由)があるやろかと思ってみたり…。

第3のフレイバーとして、ポピュラリティーある家族映画性やら、ラブ・ストーリー性も、過不足なく仕込んではるんどす。錦戸クンと真希ちゃんのラブ・ストーリーの行方もお楽しみやけど、家族ドラマとして、船越英一郎&関めぐみ&高良健吾の間に展開するドラマは、本作のもう一つの大きな見どころポイントでおます。

そして、地方映画のもう一つの主役。地方でしか見られない、美しい自然風景カットの数々に、ウットリになれまっせー。

ちゅうことで、地方ロケ映画の新たな側面を、垣間見せてくれはった1本どした。

2013年3月22日 (金)

アジア映画特選③ジャッキー・チェン最後のアクション映画「ライジング・ドラゴン」

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ジャッキー・アクションの締めくくりは、凄まじい5大アクションを自ら披露しはります

特に、スカイ・ダイビングの空中戦は、かつてない新しさやでー

http://rd12.jp

エイプリル4月13日のサタデーから、角川映画はんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで全国ロードショーどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 Jackie and JJ International Limited, Huayi Brothers Media Corporation and Emperor Film Production Co Limited All rights reserved

明日から、旬な日本映画を連日分析してまいりますが、邦画を外してるとは申せ、このアジア映画特選の最後は、ジャッキー・チェン主演・監督によるアクション映画どす。

しかも、本編のラストロールで、ジャッキー本人がコメントしてはります。

アクション映画は危険なので、本作出演を最後にする。けども、アクションには出ないけど、それ以外には出る可能性があるからか、本作で引退するとゆうことではないと、明言してはります。

さてはて、邦画を除いたアジア映画の、世界的な潮流を振り返りますれば、これまでは香港映画が、映画史的ヒット・トレンド的にも、ズ抜けておったかと思います。

ブルース・リー以降、ジャッキーやジェット・リー、チョウ・ユンファやらが、ハリウッド進出しはりましたけども、アジアのほかの国を見渡しても、ジャッキー以上に世界的に人気を獲得した、アジア俳優はいてへんかと思います。

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そんなジャッキーのマイ・ベスト&カルト・スリーをば、身勝手に披露させていただきますと…。

●ベスト⇒①ポリスストーリー 香港国際警察(1985年)②プロジェクトA(1984年)③ドランク・モンキー 酔拳(1978年)

●カルト⇒①WHO AM I?(1998年)②ベスト・キッド(2010年)③80デイズ(2004年)

●カルトは②③のリメイクや、アクションがメインやない作品を選びました。方やベストの方は、初期の作品に偏ってしまいましたが、出てきた当初の、ブルース・リーのマジ本気モードとは違う、コミカルなカンフー・アクションぶりの、インパクトは絶大どした。

しかもスピードフルな動きに、ボクチンは目をデッカクして衝撃を受け、トリコになりよりました。

ブルース・リーの本格カンフー・アクトに、クイック・モーションなんかによるチャップリンやキートンらの、スラップスティックなコミカル・モードが加味したような、アクション造形がクセになりました。

ジャッキー映画は、ほぼDVD化されとるハズなんで、レンタルで確認する機会がありましたら見ておくんなはれ。

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映画史に残るアクション・スターには違いないジャッキーやけど、コレを最後とするには、チョイ意外なとこもありましたやろか。

相棒映画「ラッシュアワー」シリーズ(第1弾は1998年)や、「タキシード」(2002年)など、ハリウッドではスリリング・スピーディーなアクトを、見せ続けはりましたけども、最近ではさすがに、よる年並みには勝てずやろか、部分的にはアクトも見せはるけど、大っぴらにはやってはりまへん。

それでも、近作のカルト②などは、師匠役やけど、オリジナル・シリーズ(1984年~1994年・全4作・アメリカ)の師匠役・ボクと同じ姓のミヤギ役の、ノリユキ・パット・モリタの演技性を、超えてはるように見ました。

「ミッション・インポッシブル」「オーシャンズ11」やらの、スパイ・ミッション系やら犯罪ものやらのセンスを濃厚に取り込みつつも、ジャッキーらしいユーモアにあふれた展開は、今さらながらも、見たあとにスッキリさわやかになりまんねん、これがね。

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5大アクション・シークエンスについて、若干の解説を施しよりますと…。

①車輪を体にイロイロ付けて、自在にどこでも移動できるモンでのアクション。ボク的には、ボブスレーをやってはるようにも、見えましたやろか。韓国男優クォン・サンウのアニキも含む、紅一点4人チームの犯罪アクトが、どんなもんなんかを、まずはさわりで示さはります。

②迷路めいた庭を、番犬のイヌたちに追いかけられて逃げまどうシーン。庭の造形は「シャイニング」(1980年・アメリカ)の設定とよく似ておましたか

③宝島チックな島探索アクト。

④これまでのアクションのベスト選集的な作りを、工場内で魅せはるシークエンス。

ほんでもって、極め付けは⑤スカイダイブを使った、空中アクト・シーンどす。クライマックス・シーンとも言えましょうや。こういう定番を外す、意外な驚きのあるシーンは、時おり出まっせ。

スー・チーのカメオチョイ出演役も、ご愛嬌どすか。ちゅうことで、とにもかくにも本作は、理屈抜きに楽しめる1本にはなっとりまっせー。

2013年3月21日 (木)

アジア映画特選②韓国映画ラブ・ストーリーの新展開「建築学概論」

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「猟奇的な彼女」「ラブストーリー」やらとは、ビミョーに違った新味を加えた1本でおます

ラブ・ストーリーの定番を外す、サプライズ・エンディングに注目どす

http://www.kenchikumovie.com

皐月5月18日の土曜日から、アット エンタテインメントはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら初夏から、シネマート心斎橋やらで上映どす

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved

今さらゆうまでもありまへんやろけど、韓流(ハンリュウ)のコトバは「冬のソナタ」など、韓国テレビ・ドラマ界から出てきたもんでおます。

一方、韓国映画のラブ・ストーリーはと申せば、そんな韓流ドラマともシンクロはあるやろけど、独自のスタイルで、これまで名作を輩出してきはりました。

ちゅうことで、ココで韓国ラブ・ストーリー映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、手前勝手ながら披露させていただきます。

●ベスト⇒①猟奇的な彼女(2001年)②私の頭の中の消しゴム(2004年)③オアシス(2002年)

●カルト⇒①本作②八月のクリスマス(1998年)③ラブストーリー(2003年)③リメンバー・ミー(2000年)

●病気もののベスト②やカルト②に加え、障害者の恋愛を描いたベスト③やらやけど、あくまで映画的な作りに徹してはるんは、DVDで借りて韓流ドラマと較べはったら、一目瞭然どす。ベストもカルトもモチ、テレビでは味わえへん映画らしさは、当たり前のように仕込まれておます。

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そんな中で本作は、学園ものでも大学生時代をポイントにしはった、ベスト①やカルト③の両作とは、ビミョーに違った作りをばしてはります。

日本映画の最近作では、「横道世之介」(弊ブログ内検索で出ます)やらとも、シンクロするやもしれまへん。

その3ポインツほどを申しますと…。

(Ⅰ)カルト③「リメンバー・ミー」みたいな「イルマーレ」(2000年)的な、タイムスリップ系の仕掛けやありまへん。現在(写真2&4枚目)と過去(写真3&5枚目)をカットバックさせるとゆう、まさにオーソドックスな構成ながら、その対比によって、ラブ・ストーリー・ドラマを徐々にヒート・アップさせはるような作りは、韓国映画ではそれほどござりまへん。

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(Ⅱ)タイトルのインパクトもあるんやけど、家を建てるとゆう中で文字通り、これぞホームドラマやないんかな、とゆうとこがありました。三谷幸喜監督の「みんなのいえ」(2001年・日本)なんぞの、ストレートなカンジやない変化球系が、妙に気になりました。

(Ⅲ)着地の新しさでおます。この種の韓国映画にありがちな、ハッピー・サプライズやったり、悲恋的結末などではありまへん。フツーのラブ・ストーリーのようにいかないとこにこそ、本作のオリジナル・ポイントが、あるんやないかなと思いました。

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ストーリー的なことをば申しますと、大学時代に淡い恋仲になった2人が、大人になって彼女から彼へのモーションで、関係が復活するとゆうさわりでおます。

彼女は建築士になってはる彼に、自宅を改築してほしいと持ちかけましてな、彼がそれをばヤラはるとゆう展開どす。

自宅はチェジュ島にあるんやけど、この島てゆうたら「冬ソナ」以来、イロンなドラマや映画で取り上げられとりますが、本作こそ、観光地やない最も自然な島の様子を、描いてはるんやないかな。

でもって、アップとロングショット、ミディアム・カットのバランス感で、映画的な編集を施してはるんが、好感を覚えよりました。

さらに、展覧会とゆうグループの、ピアノ・メランコリーな歌「記憶の習作」を、2人の思い出の曲として、大学当時とラストロールで流さはるんは、メッチャドラマティックと余韻をば、深める要素となっておます。

ちゅうことで、韓国恋愛映画の新しどころが、見えてきよる1本どしたえ~。

2013年3月20日 (水)

アジア映画特選①実験的韓国映画「裏話 監督が狂いました」

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ペ・ヨンジュン主演「スキャンダル」の監督イ・ジェヨンはんの、遠隔操作演出による、挑発的モキュメンタリーどす

映画メイキング映画の新しき地平をば、切り拓く野心的な1本や~

http://www.oaff.jp

「第8回大阪アジアン映画祭」(2013年3月8日~17日)で上映のあと、日本公開待機作品となりま。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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まずは、「大阪アジアン映画祭」で来日しはった、イ・ジェヨン監督のコメントからどす。

「世界初のスカイプによる遠隔操作で、監督をした映画でしょう。10パーセントのシナリオとコンセプトによるフィクションと、残りはドキュメンタリーに近い。いわゆる、フェイク・ドキュであり、モキュメンタリーです。

もともとは、ケータイ会社から依頼された、10分のCMを作ってくれというものが、こういう形で映画になったんですね。実際にCMも完成して、現在韓国で流れています。だから、そのメイキングものとして見ていただくこともありでしょう。

俳優やスタッフの間では、韓国の現場近くにいるんだろうと言う人もいたんですが、その時は本当に、ロサンゼルスにいたんですよ。監督が現場にいないんで、各男女優たちが、自分たちだけでやろうとした映画とも言えるでしょうか。自分も演技していたけど、さすがにプロの彼らにはかなわず、ヘタでしたね(笑い)」

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●本作は、100パーセント明確なる、映画メイキング映画どす。ちゅうことで、ココで映画(映画以外のジャンルも可)メイキング映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作・フランス&イタリア合作)②オール・ザット・ジャズ(1979年・アメリカ)③キネマの天地(1986年・日本)

●カルト⇒①フェリーニの8 1/2(1963年・イタリア)②雨に唄えば(1952年・アメリカ)③本作

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●映画メイキング映画てゆうたら、ベスト①②・カルト①のようにでんな、監督の苦悩めいたもんを描くとゆうのんが、常套やったかと思います。つまり、自らをさらけ出すことによって、映画作家性を示すとゆうか…。

一方で、映画そのものの製作過程を、日本的情緒を入れて描くベスト③とか、ミュージカル・エンタで示すカルト②など、メイキングそのものを、娯楽映画にするとゆうスタイルもござりました。

しかし、本作はそのどちらのタイプでもありまへん。

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むしろ監督の苦悩ぶりよりも、現場の混乱ぶりを示す映画になっとりまして、この遠隔操作演出撮影方法を、スクリュー・ボールにしたような面白さがありました。

俳優たち、スタッフたちのいろんな話し合いやら、スッタモンダやらが、意図的やないにしても、エンタ化されておるんどすわ。

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さてはて、イ・ジェヨン監督てゆうたら、日本でもスマッシュ・ヒットしたラブ・ストーリー「純愛譜」(2000年・日本&韓国)、ペ・ヨンジュン主演の恋愛時代劇「スキャンダル」(2003年・韓国)やら、ヒット性の高い作品を作る一方で、本人が韓国映画で最低点を取ったと語らはる「多細胞少女」(2007年・韓国)など、マニアックな作品へも積極的に挑んではります。

ほんで、そのマニアック節の頂点を迎えたんが、ボクは本作やと思います。カルト③に入れましたけども、本作は監督の最高傑作でおましょう。

韓国映画としては、まずないところの、モキュメンタリー(ドキュメンタリーのように見せかけたドラマ映画)を描いた点。

役者・スタッフ陣の混乱ぶりを示す、手持ちカメラによる近接撮影と、ヨリとヒキの絶妙なバランス感。

この種の映画では珍しおます、弦楽オーケストラをメインにした、サントラ使いの大仰感。加えて、ラストロールで流れる、ボサノバ・テイストのナンバーなど、細部も行き届いた怪(!?)快作でおました。

2013年3月19日 (火)

少女ヒロイン映画のケッサク「ハッシュパピー バスタブ島の少女」

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無冠に終わったけど、本年度アカデミー賞で作品賞含む4部門にノミネートやー

史上最年少の主演女優賞ノミニーとなった、クヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんの演技が、映画史に残るような素晴らしさどす

http://www.bathtub-movie.jp

東京は4月20日から、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、4月27日のサタデーから、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマやら、シネ・リーブル神戸、MOVIX京都やらで、ゴールデンウイーク・ロードショーだす。

文=映画分析評論家 宮城正樹

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Ⓒ2012 Cnereach Productions, LLC. All rights reserved.

実は毎週1本から2本は、ボクチンのお気に入り映画を、それとなくひっそりと批評分析しとるんやけど、本作はそんな1本でおます。

ちゅうことで唐突に、少年少女主人公orヒロイン映画の、マイ・ベスト・カルト・スリーをば披露いたします。

但し、全世界に対象作を広げると、傑作もトンデモない数になりますんで、いちおうアメリカ映画に限定させてもらいました。

●ベスト⇒①スタンド・バイ・ミー(1986年製作)②キッド(1921年)③ペーパー・ムーン(1973年)

●カルト⇒①本作②アイ・アム・サム(2001年)③E.T.(1982年)

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●少年たちものベスト①、少年ものベスト②を除けば、本作は少女もの、もしくはカルト③のように、コドモ・メンバーに少女が入っとるパターンでおます。

そんな中で本作はベスト③、カルト②やらとシンクロするところが、それなりにあるやもしれまへん。3作に共通するんは、男の大人もしくはオトンと、少女たちの交流やらキズナぶりが、感動的な、もしくは印象深い結末へと、結ばれる点でおましょうか。

オトンと娘はんのキズナやけど、実はこれまでの映画にはなかったような、関係性をば構築してはります。

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まずは、今年のアカデミー賞で、オスカー史上最年少で主演女優賞にノミネートされやった、クヮヴェンジャネ・ウォレスちゃん(全ての画像に写ってる少女やー)。

「魔女と呼ばれた少女」(今年3月4日付けで分析)と同じく、少女ヒロイン・ナレーションを取り入れた、1人称スタイルで物語は展開しよります。

ほんで、自分の住むコミュニティーや生き物や地球に対する、彼女のユニークなセリフや挙動が、現実は過酷な暮らしぶりやのに、妙にドリーミーなファンタジー性を付加するとゆう、不思議快感な効果をもたらしておました。

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ハリケーンがきたら水浸しになってまう、南ルイジアナの川辺の、島めいた強制退去エリアで、少女はオトンと2人暮らしなんやけど、そのハリケーンにも耐え、2人を置いて家出しはったオカンを探しに行ったり、氷河期で滅亡したハズの人食い動物が復活し、少女1人で果敢に対峙したり(写真6枚目)と、冒険的なシーンもあります。

ほんで、アル中のオトン役ドワイト・ヘンリーはんの、エエ加減でテキトーながらも、娘をココロから愛してるとゆうキモチが、ひしひしと伝わってくるような演技ぶりに、ついホロリとなったりして魅せられよりました。

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父娘のキズナの感動的なシーンはモチ、クライマックスの方に用意されとるんやけど、ビョーキなのに娘と戯れるシーンとか、娘に「カニはかぶれ!」と食い方を指南したり、そういうフツーやない父娘のやり取りシーンに、本作の隠し味があるように思いました。オバマ大統領も、魅せられたはったとこらしいどすえ~。

ちゅうことで、大げさやもしれまへんけども、ボク的に言いますと、本作は少女版「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ)やと、勝手にジャッジいたします。

公開までにはまだ時間がありますが、でも、みなはんが見ていただければ、なるほどな~と思ってもらえるハズやと思とります。とにもかくにも、ココロに残るケッサクどした。

2013年3月18日 (月)

東日本大震災後を描いた「桜並木の満開の下に」

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震災前は観光誘致系ノリの予定やったんが、震災後にはガラリと変換いたしました

静謐に展開する、臼田あさ美ネーさんと三浦貴大クンの、ラブ・ストーリーでおます

http://www.office-kitano.co.jp/sakura/

「第8回大阪アジアン映画祭」で特別上映のあと、4月13日の土曜日から、東京テアトルはんとオフィス北野はんの共同配給によりまして、東京・テアトル新宿、大阪・テアトル梅田、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012「桜並木の満開の下に」製作委員会

本作の製作の経緯についてまず、ゆうてみますと…。茨城県・日立市のPRをポイントにした、映画製作を画してはったんやけど、東日本大震災が起こってしもて、一時製作は頓挫しよります。

でも、震災1年後に映画製作は再開されました。でもって、当初の日立の観光誘致系やなく、震災のあとさきの中での、なんとも言えへんラブ・ストーリーが紡がれてまいります。

監督の船橋淳(ふなはし・あつし)のアニキは、本作再開前には、震災ドキュ「フタバから遠く離れて」(弊ブログ内検索で出ます)を作ってはるだけに、ドラマ映画とは申せ、震災の後遺症を濃厚にカンジさせはる快作をば、作らはったんでおますよ。

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ストーリー的なことを申しますと…。震災後の茨城の工場を舞台に、厳しい経営状況の中で人身事故が発生し、三浦貴大(たかひろ)クンの操作ミスで、高橋洋アニキを死なせてしまいました。

ほんで、夫・高橋洋と共に、工場で働いてはった妻・臼田あさ美ネーさんが、失意にくれる日々を送らはり、イロイロ謝ってきはる三浦クンへ「夫を返して」と抗議しはります。

しかし、やがて、三浦クンと臼田ネーが恋に落ちてまうとは…とゆう展開でおます。

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被害者と加害者の恋とゆうのんは、これまでにもあったかとは思うけど、そんな中でも本作は、2人のココロの襞(ひだ)に分け入るような、作りをしてはりました。

一見、鈴木砂羽ネーさんみたいな外見を、ボクチンはカンジたんやけど、臼田ネーさんの演技は砂羽ネーより、より内省的な演技ぶりを見せはります。

激演技なとこもあるけど、それほど印象には残らへんかったかな~。死んだ夫のために夕食を用意するとこなど、あくまで静かな演技ぶりで、ボクらの想像力を掻き立てるような、余裕を持たせた演技ぶりどす。

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一方の三浦クンは、友和・百恵の三浦友和&山口百恵夫妻の、息子っぽい優等生的な演技に見えながらも、どこまでも実直な演技には、ここまで徹底するとはと感心いたしましたがな。

そして2人の恋愛は、静謐な中で展開しよります。モチ、サントラもそれなりにかかるんやけど、映画のジャマにならん程度を心がけはったんか、ピアノやチェロ・バイオリンを厳かに流しもって、作品の背景を支えてはります。

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韓国でプライマリー・グレーディングをしはりました。つまり、画像の色調やらを整える作業やけど、ビミョーな色合いのオリジナリティーは、従来の邦画とは一線を画してはります。

セピアなシーンでも、濃い目とウッスラ目を調整したり、イロイロとある海辺のシーン、昼間の桜シーンの鮮やかさと、写真2枚目のような夜桜シーンの対比描写やら、ベタやなくて地味で滋味やけど、見たあと色合いが、脳裏に焼き付いておるハズやと思います。

本作には、オフィス北野がディープに関わってはるけども、北野武監督の純愛映画「あの夏、いちばん静かな海。」(1991年)や「Dolls(ドールズ)」(2002年)やらとも、シンクロナイズする作品どした。

2013年3月17日 (日)

ジャニーズ映画特選「桜、ふたたびの加奈子」

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ジャニーズでゆうたら、本作はSMAPの稲垣吾郎ちゃんが主演や~

広末涼子ネーさんが、過去最大級の複雑系演技ぶりどす

http://sakura-kanako.jp/

エイプリル4月6日のサタデーより、ショウゲートはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2013「桜、ふたたびの加奈子」製作委員会

ジャニーズ俳優主演・出演映画の分析なんやけど、本作ではその対象の御人は、SMAPの稲垣吾郎ちゃんでおます。

但し、本作では広末涼子ネーさんの夫の役ながら、最後の方ではやや変わるも、いかにも吾郎ちゃんらしい、現実重視の演技性ぶりで魅せはります。

ホンマはリメイク版「十三人の刺客」(弊ブログ内検索で出ます)みたいな、とことんな悪役ぶりにこそ映える、役者なんかもしれへんねんけど、彼の演技は本作では、冷静沈着系を保つ役柄を果たしてはるようどす。

少しワザトラマンなとこもあるんやけど、つまり、吾郎ちゃんの嫁はん役の涼子ネーはんの、演技開眼しはったかのような、これまでとは違う怪しの演技ぶりに、とことん付き合わされなあかんもんどすさかい、夫婦揃って狂ってるのんは、バランスシートが悪いもんどすさかい…。

でも、感動もある逸品なんやけど…。ちゅうことで、夫役の吾郎ちゃんやけど、現実的とは言いながら現実的なとこで、妙に足踏みしてはるようにも見えよりました。

そやけどまあ、広末の演技をサポートする姿勢をば、貫いてはるようにも見えましたやろか。

その広末の演技やけど、明日分析予定の「桜並木の満開の下に」と同じく、見えてへんねんけど死んだ人が、見えてるようにふるまう演技をやってはります。

死人が見えて話し合えるとなれば、ある種のファンタジー性が付加されたりするけど、本作はあくまで狂気じみたところが見え隠れして、ゆるやかなホラー・リズムがあったりします。

ほんでもって、この映画の映画史的シンクロやらから見てみよりますと、「秘密」(1999年製作)やら「黄泉(よみ)がえり」(2002年)やらの東宝系映画と、同調ラインで見られるんやないかと思います。

特に、本作と同じく広末主演で、広末も出た「おくりびと」(2008年)の滝田洋二郎監督と、原作・東野圭吾による「秘密」が、本作の栗村実監督の意識下にあったんやないやろかと分析しとります。

「転校生」(1982年)や「秘密」や「四日間の奇蹟」(2005年)やらてゆうたら、体やなくココロが入れ替わる設定もんどすが、こちらはオーソドックスな輪廻転生(りんねてんしょう)による、生まれ変わりがポイントでおます。

そやからとゆうて、「秘密」以上に、暗みの演技が必要とは思われへんけども、監督は広末にその方向性で、演技をしてもらわはったようどす。

その結果、家族を亡くした者のトラウマを描いた作品、例えば「まぼろし」(2001年・フランス)のシャーロット・ランプリングはんのような、マトモ半ば狂気半ばの妙演技ぶりになったかと見ましたで。

でもって、画面作りやらも、その作品性に合わせて意図的に構築してはります。

ピンクも明度の高いピンクやない桜色に合わせて、薄色配色を通してはるし、長回し撮影は使わずに、移動撮影に加え、ロングショットを含みつつ、いろんな方向からのカットを束ねて、1シークエンスをクリエイトしはりまんねん。

この手法の採用は、登場人物たちの迷いや不安感を表現するに、最もふさわしかったやろかと思います。

そして、サントラはバイオリンをメインにした、室内弦楽オーケストラ調どして、悲哀を表すカンジの響き方が、絶妙に調整されておました。

とゆうことで、ラストシーンのサプライズまで、目が離せまへんでよ~。

2013年3月16日 (土)

週1or2回連載のジャニーズ映画分析「京都太秦行進曲!」

Photoジャニーズ映画の勢いは一体、どこまで続くんやろか~

でもしか、本作はアイドル映画のアイドル映画らしき良さを、示さはった1本どすえ~

http://www.uzumasa-koshinkyoku.com

3月30日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

いきなりでスンマヘン。

ボクチンのジャニーズ俳優主演映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、突然炎のごとく、披露させてもらいまっさ。

但し、グループなら、ソロで主演しはった分はハズしておます。

●ベスト⇒①ロックよ、静かに流れよ(1988年製作)②シュート!(1994年)③さらば夏の光よ(1976年)

●カルト⇒①嵐を呼ぶ男(1983年)②黄色い涙(2007年)③本作

●ジャニーズ男優たち映画としては、映画評論家筋に最も高評価を得たんは、男闘呼組(おとこぐみ)のベスト①でおましょう。イロイロ難関があった上での、キズナ部を描くとゆう点では、出色の仕上がりどした。

SMAPのベスト②、嵐のカルト②など、メンバー全員出演系では貴重な1本どす。まあ、ソロでは、事務所移籍の時期がビミョーやけど、郷ひろみのベスト③やら、近藤真彦のカルト①やらがあるけど、最近やったら、生田斗真の主演作品も、ケッコーオモロい逸品が揃っておます。

でもって、本作。関ジャニ∞(エイト)の作品もあるんやけど、残念どすがボクは見逃しとるんやけど、彼らの後輩たる関西ジャニーズJr.たちの本作をば、カルト3内に入れよりました。

確かに演技だけを取ってみたら、いろんな意味での甘いとこがあるやもしれまへん。でも、男アイドルたちのオボコサやったりとか、オトナから見たら危なっかしさやらが、妙に気になってもうて、仕方があれへんような、仕上がりになっとります。

本作は映画的基本は、映画業界内映画でおます。本作の配給会社の松竹はん的には「蒲田行進曲」(1982年)「キネマの天地」(1986年)なんやらとシンクロナイズするんどすが、ナンセ若手の役者陣どすさかい、時に観客のみなはんをモテナすどころか、いたらないとこが、あるやもしれまへん。

それでも、映画愛を必死のパッチで伝えんとする彼らに、加担しサポートしたくなるようなキモチになってまいります。まあ、ガチガチの映画ファンは、ゆめゆめそんなことはあれへんかもしれへんけど…。

さらにそれでも、セリフやらに出よる映画とのシンクロなんぞも、ケッコー楽しめます。「ラスト・サムライ」やら「パイレーツ・オブ・カリビアン」やら「丹下左膳」やら…。

ほんで、京都ロケ映画としての見どころも当然ありまんねん。嵐電やら渡月橋やら、地下鉄の御池やら、京都太秦の松竹撮影所近辺の描写やらに、ホッコリとさせられまっせー。

本作の本木克英監督的には、京都もんとしては、監督の最高傑作とも言える、本作の現実感とは違った、ファンタジーな「鴨川ホルモー」(2009年)と、チョイ対をなしとるやろかな。

いずれにしても、若手たちのフレッシュな演技に新鮮味を覚える、そんな作品どしたえ。

2013年3月15日 (金)

大人向けの不倫ラブ・ストーリー「アンナ・カレーニナ」

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何度目の映画化になるやろかー…5度目やて…もっとやってんのんとちゃあうん?

今どき文芸大作を、映画化することの意味とはなんやねん?

http://anna.gaga.ne.jp

March3月29日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 Focus Features LLC. All rights reserved. photography by Eugenio Recuenco, Laurie Spatham

文豪トルストイの大作の映画化作品どす。「戦争と平和」も大がい長かったけど、こちらも読むのには時間がかかりますわな。そやから、映画で2時間やそこらで見せてもらえるんやったら、そら嬉しおますわな。

長い小説を映画にするのんは、今に始まったことやおまへん。でも、やっぱ映画を見て気に入ったら、よほどの活字嫌いの人を除いては、小説も読もうとなるでおましょう。で、本作はぜひ原作小説も、チェックしていただきたい1本どす。

さてはて、ボクの調べでは、これまでに日本公開されたもんでは、この文芸作品は本作を含めて5度目の映画化やと思いますが、ひょっとしたら、抜けもあるやもしれまへん。

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その最初の映画化は、グレタ・ガルボ(イングリッド・バーグマンと同じく、スウェーデン出身のハリウッド大女優)がアンナ役で主演した①「アンナ・カレニナ」(1935年製作・アメリカ映画)。

ほんで、次が本作と同じくイギリス製作の②「アンナ・カレニナ」(1948年・イギリス)。同じく文芸大作のラブ・ストーリー「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ)でチョー有名にならはった、ヴィヴィアン・リーのネーさんが主演どす。

①②は本作とは違いモノクロ作品やけど、演技陣と演出ぶりで、共に甲乙つけがたい傑作ぶりを示してはります。

そして3度目は遂に、トルストイの祖国ソ連・ロシアが製作しはります。③「アンナ・カレーニナ」(1968年・ソ連)やけど、①②のロシア舞台の英語セリフとは違い、ロシア語でのもので、よりリアリティーがあります。

ほんで、4作目はフランスのソフィー・マルソーちゃん主演の④「アンナ・カレーニナ」(1997年・イギリス&アメリカ)。オスカー作品賞の時代劇「ブレイブハート」(1996年・アメリカ)出演で、勢いに乗った中での主演やったけど、本作のキーラ・ナイトレイのネーさんの緻密な演技ぶりには、はっきりゆうて負けてはります。

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キーラ・ネーの演技は、①のガルボの妖艶な怪しさも秘めつつも、②のヴィヴィアンの、時に感情をあらわにする激演技ぶりと比較しても、なんら見劣りはありまへん。

むしろそれだけに、一時はキーラ・ネーのためのヒロイン映画かと、見まがうくらいどした。

でも、男2人との三角関係どして、夫がいてんのに、若いもんにホレてしもて、そんでもって両想いにならはって、夫は全く見て見ぬ振りな状態やったんやけど…。

このアンナの夫役、ジュード・ロウ(写真5枚目)はんは、激シーンがほとんどなく、どこまでもクール一途なカンジが渋かったわ。ラスト・シーンのホッコリするシーンでも、その冷静沈着ぶりは機能しておました。

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本作のジョー・ライト監督やけど、キーラとは文芸シリーズみたいなカンジで、3度目のコラボレートでおます。

3作の中でも最も、キーラの持ち味を引き出してはるだけやなく、作家性も遺憾なく発揮しはりました。

流れるような舞踏会シーン、競馬シーン、鉄道シーンまで、徹底して屋内セット撮影にこだわらはり、①と②の21世紀的進化型を示そうとしはります。

今アカデミーで衣裳デザイン賞を受賞しはったし、本格的なオーケストラ・サウンドを駆使した、クラシカルなスコアによるサントラも、ゴージャスどすえ。

名作文芸作を今、映画化することの意味が、雰囲気的に伝わってくるような仕上がりどした。

2013年3月14日 (木)

コレは珍しおますルーマニア映画「汚れなき祈り」

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2006年の実話をベースにした、修道院の悪魔祓(ばら)い映画でおます

でも、「エクソシスト」やなく、「尼僧(にそう)ヨアンナ」「マグダレンの祈り」などを意識してはるかも…

http://www.kegarenaki.com

3月16日の土曜日から、マジックアワーはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やらで、全国順グリのロードショーどす。

ほんで、関西やったら、3月23日からテアトル梅田、3月30日からシネ・リーブル神戸などで上映やー。

本作はフランス、ベルギーも出資してはるけど、ルーマニア語によるルーマニア映画の152分「PG12」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Mobra Films-Why Not Productions-Les Films du Fleuve-France 3 Cinema-Mandragora Movies

世界各国の映画では、日本にほとんど入ってけえへん映画とゆうのんがあります。東ヨーロッパのルーマニアなんぞも、その一国でおましょうか。

でも、本作のルーマニア出身の監督クリスティアン・ムンジウのアニキやけど、前作の「4ヶ月、3週と2日」(2007年製作・ルーマニア映画)が、世界3大国際映画祭のカンヌで、最高賞の「パルムドール」をば射止めはりました。

ほんで、ポスター画像にも印字されてますように、今作ではカンヌでW受賞となっておます。

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まあ、受賞をきっかけに日本でも公開されるんはエエんやけど、カンヌだけにどうあっても芸術映画へと、ややウェイトがかかっておます。初めて見はる新鮮なルーマニア映画やとしても、なんや暗くて鬱陶しそうやなーと思われたら、どないしても敬遠されてまいます。

そこをなんとかフォローしようにも、確かに本作はかなり暗くて重たいどす。堕胎が描かれた前作「4ヶ月…」でも、女の生理なるもんが生々しく描かれましたけども、今度も修道院やからシスターたちのお話どす。

シスターの話やったらそない暗くないやろ、「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年・アメリカ)なんか明るかったやんかと言われても、全くもって180度違っとります。

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2006年にルーマニアの田舎の修道院であった実話が、本作のベースになっておます。

修道院に幼な友達を訪ねてきはったオンナの方が、そこで暮らすうちに狂気をまとい始め…、ちゅうか単なる我がまま、ないしは神経衰弱みたいなもんやったんやけど、それが悪魔に取りつかれたっちゅうて、神父はんが先導してシスターたちに、機密という名の悪魔祓いで監禁そのほかの、イロんなことをやらせはった結果…。

過去のヨーロッパ映画としては、悪魔祓いを1対1でした「尼僧ヨアンナ」(1961年・ポーランド)とか、更生修道院の過酷な実態を描いた実話「マグダレンの祈り」(2002年・イギリス&アイルランド)などと、シンクロするやもしれまへん。

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悪魔祓いやゆうても、モチ「エクソシスト」(1973年・アメリカ)やないけども、実は「エクソシスト」以上に、凍り付くシーンが頻出してまいります。

そこに大きく貢献してはるんは、本作が共に映画デビュー作となった、訪ねられる友役のコスミナ・ストラタン(写真3枚目の右)と、訪ねてお祓いをされはるクリスティナ・フルトゥル(同・左)の、各ネーさんの演技ぶりやろか。

2人共にカンヌで女優賞ゲットなんやけど、コスミナ・ネーの清楚で冷静系と、クリスティナ・ネーの次第におかしくなってゆく演技の、対比やアンバランス感が、映画の不安な雰囲気を増幅させてまいります。

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でもって、前作でも顕著やった監督の、長回し撮影の多投ぶりどす。

長回しはともすると、映画の流れを止めたり、お客はんとしては退屈になったりしますけども、祓いをするこの映画の登場人物たちは、それをいたってマトモな行為やと信じてはります。その異様な雰囲気を伝えるには、長回しで見てもらうんが、イチバンヤーの選択なんやないかなと思います。

ラストロールで流れる、モーツァルトの子守唄も、皮肉な余韻を深めておました。

2013年3月13日 (水)

ファミリー映画の洋画版分析③ディズニー・アニメ「シュガー・ラッシュ」

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映画史上初の、この映画上のオリジナル・ゲームの、キャラたちの活躍ぶりどす

しかも、80年代と90年代と現代設定の3ゲーム・キャラの、画期的なアンサンブルやー

http://www.disney.co.jp/sugar-rush/

3月23日の春休み・土曜日から、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ梅田、梅田ブルク7やら、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 Disney. All Rights Reserved.

ファミリー映画の分析を6日間連続で行ってまいりましたが、真打ちはディズニー・アニメの最新版でおます。

ちゅうことで、ココで唐突やけど、ディズニー・アニメのマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①本作②「トイ・ストーリー」シリーズ(1995年・1999年・2010年製作)③美女と野獣(1991年)

●カルト⇒①白雪姫(1938年)②ウォーリー(2008年)③モンスターズ・インク(2001年)

●実を申せば…個人的にはディズニー・アニメは、ボクチンはあんまし好きやないんやけど、本作にはディープにハマりましたがな。

家族ドラマ性はないんやけど、仲間たちのキズナを、これまでのディズニーのファクトリー性を溶け込ませつつ、オリジナリティーあふれるケッサクにしはりました。

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現総理大臣の安倍ノミクスはんが、世界に誇れる日本の文化として、ゲームとアニメやらを挙げてはりましたけども、本作はまさにそのことをば、象徴しはるような1本になっとります。

まず、ゲームの世界でのキャラを、メインにしてドラマを紡がはります。「ストリートファイター」(1994年)「ファイナルファンタジー」(2001年)や「バイオハザード」(2002年)のように、日本のゲームを原作にしたもんやなく、まず、オリジナル・ゲームを3本クリエイトした上で、お話をば展開しはります。

しかも、ゲーム・キャラたちを捌(さば)くゲーム・ステーションを、中間地帯として造形しはるんどす。

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1980年代的な破壊修復ゲームの悪役ラルフが、自分も金メダルを獲得したいと、別のゲームの世界へと侵入しはります。

そこは増殖するモンスターを、女兵士率いる兵士たちが次々に退治して、上がりを目指すとゆうシューティング・ゲームどして…コレは21世紀の現代的な作りを施してはります。

そこで、ズルをかまして金メダルを、ゲットしはったラルフやけども、モンスターと一緒に脱出用ポッドに乗ってしもて、別のゲームソフトの世界へ行ってまいます。

ほんで、そこはお菓子の国のカー・レース・ゲーム「シュガー・ラッシュ」どして、1990年代的造形とゆうか、ジャパニメーションのカラフルなカンジを、移植しはったみたいどすえ。

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そして、増殖するモンスター壊滅のために女兵士が…、悪役がいないと故障の張り紙がされてしもて、失業してまうんで、正義のヒーローがラルフを探して、お菓子の世界へ行かはりまんねん。

ほんで、ラルフは時々チカチカして消滅しそうになる、少女ヴァネロペちゃんの、カー・レース優勝をサポートしはります。

カワイイ少女を守るとゆう、一種のディズニー・モードは、ここでも健在どす。

かくして、3ゲームのキャラが揃い踏みしよります。

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ほんでもって、クライマックスでは、ディズニー・アニメには珍しおます、派手なカー・アクションと、モンスター・バトルが待っておまんねん。

特に印象的なカットやけど、ゲームを通して少女の活躍ぶりを見る、ラルフのシブミある、ラストシーンが忘れられまへん。

さらに、その後のラストロールでは、AKB48のテクノ風ダンス・ポップが、キャッチーに流れてまいりますで。

大げさやありまへん。ディズニー・アニメの最高傑作やと、ボクチンはジャッジいたします。

また、本編上映前には、本年度のアカデミー賞で、短編アニメ賞をゲットしはった「紙ひこうき」が上映されますで。

口紅だけを赤にしはった、モノクロのラブ・ストーリーどして、「赤い風船」(1956年・フランス)のようなテイストがありました。

こちらも要チェキ! どすえ~。

2013年3月12日 (火)

ファミリー映画の洋画版分析②「パラノーマン ブライス・ホローの謎」

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ストップ・モーション・アニメの粋が、詰まった快作品どすえ~

5人の素人ゾンビ・ハンターたちの、ミッションぶりに注目やー

http://www.paranorman.jp

3月29日のマーチ・フライデーから、東宝東和はんの配給によりまして、全国イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 LAIKA, Inc. All Rights Reserved.

ファミリー映画への希求とゆうことで、洋画編の第2弾なんやけど、モチ、本作はアニメなんで5カ条原則の内、アニメ系で視野内どす。

でも、本作はファミリー映画を、志向して作ってきはった作品やおまへん。描かれるんは、ストップ・モーション・アニメどす。その作り方をゆうたら、ワンカットワンカットをストップにして作り続けて動画にしはるとゆう、長~い作業が必要となるもんでおます。

かつては、ティム・バートン監督はんが、「コープス・ブライド」(2005年製作・アメリカ映画)なんぞで、労作やけど、それをば全くカンジさせへんアニメ作品を披露しはりましたけども、本作はより人間味あふれる演技性を付加しはりまして、5人のミッション系の素人スパイぶりの試行錯誤を、ハラドキ感覚でヤッてはりまんねん。

でもでんな、見てる側としては、キャラのみんなが親しみやすくて、最後まで好感度高しでお付き合いしたい、キャラばかりどしたか。

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軽~くストーリー部について申しますと…。

イロンな死者たちと話せる、主人公の少年とゆう設定。そんな少年系をとことんやったら、ケッコーオモロいもんが作られるハズなんやけど、本作はあくまで理屈抜きの自然体どす。

ほんで、主人公少年を中心にした5人組(写真5枚目)が、活躍しはるとゆう物語どすえ。ほんでもって、町でゾンビやらとの対決が待っとるとゆう、シンプルな展開。

家族ドラマへと着地する仕上げも、ファミリー・アニメの真骨頂やと申せましょうか。

でも、各キャラのディテール深し作り込みがあるがゆえに、アニメ・ドラマとしてのメンツを保ってはるかと思いました。ゾンビもんにプラスして、魔女狩り伝説を入れてでんな、21世紀的ドラマへとシフトしてゆくカンジに、まずは感嘆しよりましたか。随所に挑発的なシーンがあります。

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モチ、ストップ・モーション・アニメとしての粋も、遺憾なく発揮されておます。人形アニメの3D化も初めてやろか。ラストロール後には、本作の主人公がどないな風に作られたんかの、ダイジェスト・カットもあります。

この種の映画に多い、ホラー映画へのパロディ的な作りに、なっとるかもしれへんけど、細部においては緻密にオリジンなとこをば誇示してはります。

例えば、恐怖のキモチが異常な心理を作るといったセリフやったり、住民たちへの波紋や連鎖など、ホラーはあくまで人間の性から生じたもんとゆう視点があるんは、特異的どした。

はいえ、カー・アクションやらチェイスの見せ方とか、理屈抜きのアクト・シーンの醍醐味。ほんで、弦楽オーケストラやらによるシーンの見せ方。いろんなキズナを見せてゆく感動系も、ところどころあるしなー。少年の成長物語としても印象深い作品どしたえ~。

2013年3月11日 (月)

ファミリー映画の洋画版分析①「ジャックと天空の巨人」

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ブライアン・シンガー監督的な「ロード・オブ・ザ・リング」どすえ~

あの“ジャックと豆の木”がスペクタクル・アクションを進化させて、現代によみがえりましたがな

http://www.jack-kyojin.jp

3月22日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC

ファミリー映画の在り方の洋画版をば、分析してまいりますで~。

いわゆるスペクタクル・ムービー色が、ドカーンとクルようなタイプが本作でおます。聖書系の「十戒」(1956年製作・アメリカ映画)とか「天地創造」(1966年・アメリカ)なんぞをビビッドに、思い出させてくれはるような仕上がりどす。

ファミリー一同で見にゆくのんに、こういう映画館でしか味わえへんスペクタクルは、テレビの比やなく、家族みんなが映画らしい映画世界へとハマるには、最もふさわしいもんやもしれまへん。

お茶の間では決して味わえない迫力。それこそが映画館でしか味わえない、映画らしき映画らしさが、ドーンとあるんでおますよ。

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「ドラえもん」の項で示した、ファミリー映画の5大原則中においては、本作は⑤の理屈抜きに、どこまでも誰にも分かりやすくて、ほんでみんなが楽しめる映画の系列に入るでおましょうか。

基本ラインはおとぎ話どす。しかも、中世以前に原作のお話が作られ、ほんで作者不詳とゆうパターンでおます。

簡単にストレートにゆうたら、「ジャックと豆の木」みたいなパターンなんやけど、そのお話がどんなものやったんかは、若い世代を始め、ボクチンらの世代でも、表層的にしか知らへんやろかと思います。

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そして、「ジャックと豆…」は映画界でも、何度か映画化されておます。

原作をなぞるようなんが当たり前のようやけど、でも、本作はオリジナル・ポインツをいくつか入れた上で、まさに原作を換骨奪胎(かんこつだったい=名作を新たな視点でリニューアルし、新たな地平を切り開いたようなカンジ)したような会心作になっとりましたで。

「ロード・オブ・ザ・リング」やら「ハリー・ポッター」シリーズやらへ、大いなる影響をもたらした原作だけに、ヤッパ結局は、コレを見なきゃどもなりまへんで~な快作でおますよ。

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とにかく、スペクタクル・アクション・シーンこそが、大いなる見どころどす。そんなシーンのマイ・ベスト・スリー・シークエンスを申しますれば…。

①木が天まで生えてゆくシーンのパニック・ムービー色。この臨場感アクトは、イントロだけやなく、クライマックス・シーンでも機能しとりました。木を切られての2組の、天から地への着地シーンは、本作の大きなアクロバットなキモ・シーンどす。

②城の内外攻防戦。実質上のクライマックス・シーンやー。このシーンをメインに、その前後のアクション・シーンにも、目が点になるとこがござりましたで。

③天へと上ってゆく、山岳スペクタクルなところ。この天地をつなぐところのロードムービー部は、地味かもしれんけど、物語の中では隠れ味にして、芯的なとこがあってエエ感じどっせー。

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2人の若手俳優はんが、主演級でヤラはりました。ユアン・マクレガーのアニキやらのサポート演技にも魅せられるけども、ヤッパ主演の2人が映えてもらわんと困ります。

まずはニコラス・ホルト君。トム・クルーズのアニキをば、線を細くしたみたいなカンジやけど、フレッシュ感は圧倒的。

ヒロイン役エレノア・トムリンソンちゃん。容姿的にはキャメロン・ディアスっぽいけど、はっきりゆうて、キャメロンより美貌系の顔立ちや。みなはん、よう知らんやろけど、本作でファンになっとくんなはれ。

こんな2人のアクトに、きっと魅せられるハズやと思います。本作のブライアン・シンガー監督論もゆうてみたかったけど、それはまたのちのちに。

巨人をポイントにしはった「ガリバー旅行記」と、対を成す1本やろと思います。モチ、ファミリー映画の粋やと思うんで、家族一同で見に行っておくんなまし。

2013年3月10日 (日)

邦画ファミリー映画分析③国分太一&乙武洋匡(おとたけひろただ)共演の「だいじょうぶ3組」

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「五体不満足」のアノ乙武のアニキが、教師役で映画初主演やー

TOKIOの国分さんが、テレビキャスターのノリで、乙武アニを名サポートしはります

http://www.daijyobu-3.com

コドモたちの春休み。3月23日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013「だいじょうぶ3組」製作委員会

ファミリー映画の在り方として、この種の学園もんは定番的やと思わはるかもしれへんけど、良質もん映画としては外せまへんし、家族一同で見に行く映画のまずは、一番候補となるやろか。モチ、中身が問題やけど…。

でもって、これまでにも、現在の邦画のトレンドを探る意味で、多数分析してきたけれど、3月は毎週末に1本から2本の、ジャニーズ事務所所属男優主演・出演映画をやっとる、あるいはやる予定でおます。そんなここ最近のジャニーズもんでも、本作がファミリー映画度合いは、イチバンヤーと思います。

学園ものでも小・中・高・大とある中で、小学校の教師と生徒たちの交流を描いた映画については、「ぼくたちのムッシュ・ラザール」(昨年7月10日付けで分析)のとこで、マイ・ベスト&カルトスリーをば披露いたしました。ほんでもって、その後も出てきておまして、本作はどちらかのスリーに入れてもエエような、そんなエエ感じなんどすわ。

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まずもって、身体障害者が教師役になるとゆう、恐ろしく限定されとるバージョンでおます。本作の廣木隆一監督としては、かつて「機関車先生」(2004年製作)で、聾唖者教師を取り上げはりましたが、本作はモノゴッツーなシチュエートでおます。

乙武アニはモチ、メッチャ有名やし、本作の原作も乙武はんが、小学校の教師をやらはった実際の話を、ベースにして書かはった小説どす。ほな、映画化しようかとなったら、あの乙武はんの役をやれるような男優はんは、CGやらVFXやらを駆使しても土台ムリでおましょう。

そやから、乙武はん自身をキャスティングしたんやろなー、と思われるやもしれまへん。確かに、彼を描くドキュメンタリー映画のノリがあるでしょう。でも、この教師役には、かつての映画やテレビドラマでは描かれへんかった、渋すぎる教師の在り方みたいなんがありました。

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熱血教師ではない。好奇や奇異の目で見る生徒たちがいてる。生徒と教師の立場が肉体的ハンデで、逆転しそうなあやういとこもある。しかし、乙武アニは必死のパッチで、生徒たちを前向き指向な生き方の方向へと、導いてゆかはります。

1つ1つのエピソードを挙げとったら、キリがないんやけど、「○○じゃないけど、○○はできる」なんてゆうのんを、生徒たちに書かせる中で、作品のポイントとなるネタが表れてくるところなどは、大いなる見どころであり、サプライズ・シークエンスどした。

ほんで、ジャニーズはTOKIOのリーダー、国分太一のアニキやで~。乙武はんをサポートする付き添い教員役やけど、乙武はんとはキズナ深き同級生的な関係で、彼に対し相当深く肩入れをばしはります。

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国分さんの恋人役をやらはる榮倉奈々チャンを、顧みないくらいの入れ込みようどす。榮倉チャンの出番はそんなに多うないんやけど、ラストシーン近くの長回し撮影では、国分はんとの愛を回復しはります。校長先生役の余貴美子はんの、いつも通りの自然体な説得力ある、演技ぶりにも注目やろかな。

さて、メッチャ長い長回しは、廣木監督的には、本作では控えめやけど、キモとなるとこでは1分から2分の長回しを使ってはります。

ほんでもって、ボクの出身地の滋賀県ロケどす。長野の名ロケ地の校舎が燃えてしもたけど、豊郷町の学舎も雰囲気のあるとこやと思います。

日本の自然の美しさに、映画のアクセントとして魅せられます。桜やヒマワリなど、春夏秋冬の自然シーンの、優しい挿入シーンにもお楽しみくださいませ。

2013年3月 9日 (土)

邦画ファミリー映画分析②TBSドラマの映画版「コドモ警察」やて~

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アラマ・ポテチンや~! 特殊ガスで7人のオトナ刑事たちが、コドモ刑事になってしもたで~

往年の高視聴率の刑事ドラマ「太陽にほえろ」「Gメン75」「七人の刑事」「西部警察」やらのパロ・パロ・パロディが満載どすえ~

http://www.kodomokeisatsu.com

マーチ3月20日の秋分の日・コドモたちの春休みから、東宝映像事業部はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、同なんば、同二条、同西宮OSやらで拡大的にヤラはりまっせー

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013 映画「コドモ警察」製作委員会

ファミリー映画とはなんぞや? を映画史的に解明するシリーズの、第2日目でおます。

本作のポイントは、地上デジタル・テレビで見られて家庭に浸透し、ほんでもって、家族一同で親しみをもって映画館へと、レッツラゴーなパターンどす。

コドモたちが主役やし、大人も安心してコドモたちに、見せられる映画は映画なんやけど…。

でもしか、テレビの映画版なんやけど、関西やったら4チャンネルの深夜枠で、オンエアされとった連続ドラマどす。

そんなん、コドモらは起きてへんやろなんやけど、今やハードディスク録画で充分やし、そいつをゴールデンタイムにみんなで見よかやわな。

ちゅうことで、本作。イロイロあって深夜放送なんやろけど、ファミリー映画のお手本的な仕上げになっとります。

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「ドラえもん」シリーズ最新作(昨日分析)の項で提示した、5大ファミリー映画の原則のうち、コドモたちが主役で徹頭徹尾前向きでゆくことと、コドモたちとオトナたちとが、最終的にはキズナを結び合うとゆう、2大のフレイバーが入っておます。

さらに、どこまでも分かりやすくてノリやすくて、理屈抜きに楽しいとゆうのんも入れたら、本作はほぼ完璧な、ファミリー向き映画とゆうことになります。

ほんでもって、ボク的には、江戸川乱歩の少年探偵団の、現代的警視庁バージョンとして見させてもろて、えらいノレましたがな。

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福田雄一監督的には、往年のテレビの刑事ドラマへの、深きオマージュがあったそうどす。

子役スターの鈴木福クンに、「太陽にほえろ」の石原裕次郎ボス役を、子役ノリでヤラセはったり(写真1枚目)、あげくには「ブランデーグラス」まで歌わせたろかやなんて、チョイやり過ぎの感があるんが、ホンマに嬉しいわ~。そんな遊びゴコロは、そないにありまへんよ。

写真2枚目の吉瀬美智子ネーさんとの屋上でのやり取りなんか、メッチャやり過ぎの渋みがあるやんか。そのあとの2人の記念日がどうちゃらこうたらも、オモロイけどシツコサに、ついクセになってしもたり…。

体がコドモになる敵のガス攻撃に、7人のオトナ刑事が、みんなコドモになってまいました。それでも、みんな、任務を続行しはるし、コドモとしての日常生活ぶりも同時並行的に、身内には知られずに、隠密に行われてまいります。

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主役の福クン以外の6人にも、モチ、ユニークなドラマがやってきよります。

「家政婦のミタ」の子役が有名な本田望結ちゃんは、ドラマ「キイハンター」のある人(野際陽子も出てたけど…)をイメージさせはるけど、学園ドラマ部でも、チョイラブ・ストーリーも披露。

北乃きいネーさんの、コドモ彼氏との再会デート(写真4枚目)やら、サプライズある出番シーンとか、勝地涼アニキの、コドモたちの下っ端役の従順感演技など(写真3&5枚目)、フツーの映画では演じられへん演技を、自由に演じてはるカンジが、何やら和やかそうでよかったかと思います。

ジャニーズの「Sexy Zone」のメンバーたちが演技を始め、キャッチー・ダンス・ナンバーなサントラの歌で、映画を彩ってはるんもOKやろか。

ボク的には、コドモたちのアップをメインにした、舌ったらずな打ち合わせシーンに、パロディとは申せ、これまでの刑事ドラマにはない面白さを、カンジ入ってでんな、思わず笑うしかありまへんどしたがな。

敵がチョイと弱いのが気になりましたけども、シリーズ化も見込める作品やと思いました。

2013年3月 8日 (金)

邦画ファミリー映画分析①「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」

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シリーズ全33作中、最もミステリー色が濃厚になりましたで

懐かしのロボット・アクション部も披露されよります

http://www.doraeiga.com

マーチ3月9日のサタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2013

ファミリー映画とは一体、なんでおましょうか。

まあ、映画史を振り返りますれば、ディズニー・アニメの「白雪姫」(1938年製作・アメリカ映画)とか、ミュージカル「オズの魔法使」(1939年・アメリカ)あたりから、チビチビと出てきたもんやろかな。

簡潔にゆうたら、家族一同で見に行ける映画どして、家族を描く映画やありまへん。

ほんでもって、本作シリーズは、プログラム・ピクチャーなき今の時代においては、邦画としては、ファミリー映画に最もふさわしいもんでおましょうか。

さてはて、これまでの映画史を見て、5箇条の御誓文ならぬ、ファミリー映画の5大原則なるもんをば、こっちで勝手に作ってみよりました。

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①コドモたちが主役になって、前向きに行動してゆく映画。

②コドモたちとオトナたちが、キズナを結んでゆかはる映画。

③家族や仲間がユーモアある、ほのぼの人情節で描かれてゆくような映画。

④ディズニー映画を嚆矢としたアニメ系。

⑤どこまでも分かりやすく、理屈抜きに楽しめる娯楽作品。

ナンチューカンジどすやろか。ほんで、本作シリーズは、5大要素が全て入った1本となっとります。

1980年に始まった第1弾から数えて、本作はシリーズ第33弾となります。この調子でいったら、「寅さん」シリーズの48作を超えるのは、間違いあれへんように思われまっせ。

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弊ブログでは、この3年間の間に、シリーズの2本をば採り上げました(ブログ内検索で出ます)。

本作の原作者、藤子不二雄はんやけど、最初は2人漫画家やったけど、作風の違いから、1987年にコンビを解消してもうて、現在に到ってはります。

そんな2人の連続テレビドラマが、本作シリーズが始まった1980年の前後に、NHKの銀河テレビ小説枠でオンエアされておました。

2人の情熱により、ドラちゃんが出来上がったことが分かるような作りどした。

主題歌で流れた長渕剛アニキの、夢を追いかけるナンバーもピタッとハマッとりました。NHKのアーカイブにあるやもしれまへん。

そのドラマと本作は、妙にシンクロするようなとこが、雰囲気・イメージ的にありましたやろか。

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ネタ部になるやもしれへんけど、本作はのび太とドラちゃんのキズナへと着地する、感動的な作りになっとります。

そこへと持っていくまでの作りが、シリーズの今までにはない、複雑系ドラマでいってはるようどした。

特に、シリーズ上かつてないミステリー色が入ったことで、謎めき度合いとも絡まってでんな、ハラハラドキドキで終始見られてまうとゆう効果がありました。

のび太が体現する、シャーロック・ホームズ・ファッションやら、手がかりが見えてきよる虫メガネ、冒頭ではのび太が、怪盗ルパンの夢を見たりなど、ミステリー部が前半のハイライトやろか。

怪盗デラックスは一体誰なのか? など、謎を巡る物語としては、この種のアニメでは出色の仕上がり具合やと思います。

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007の武器並みに多彩な、ドラえもん秘密道具がいっぱい出てくるなど、本作でしか伝えられへんポインツが、イロイロあります。

その道具はラストロールでまとめて紹介されますんで、本編で見逃しても大丈夫どす。

ほんで、アニメには欠かせない色使いやー。ジャパニメーションらしい、明るい色使いがメインどす。

後日分析しますディズニーの「シュガー・ラッシュ」の配色と似通っておますが、そっちは日本アニメの色合いを取り入れはったそうでおます。

そして、サントラ使い。ドラちゃんのテーマ曲が歌われたり、いかにもアニソンっぽい歌とかもあるし、ラストロールではPerfumeの3人ネーさんの、ノリノリのテクノ・ポップ「未来のミュージアム」が軽快に流れまっせ。

一方で、ピアノ・ソロを始め、オーケストラ・管弦楽サウンドの使い方にも魅せられましたやろか。

とゆうことでボク的には、シリーズのベスト3本指に入るケッサクどしたえ~。

2013年3月 7日 (木)

イタリア映画の癒やしの1作「ある海辺の詩人-小さなヴェニスで-」

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出稼ぎ中国女と、仮想オトン的な老漁師との、ココロの交流が渋く綴られて…

ベニスに似てるけど、イタリアの田舎町の描写が絶品どすえ

http://www.alcine-terran.com/umibenoshjin/

3月16日の土曜日から、アルシネテランはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、3月30日からシネ・リーブル梅田、4月6日からシネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Jolefilm S.r.l.-AEternam Films S.a.r.l-ARTE France Cinema

本作はフランスとの合作になっとるけども、イタリア映画でおます。みなはんのイタリア映画のイメージって、どんなもんでおましょうか。久しゅう見てへんな~とゆう方もいてはるかも。

ちゅうのんは、21世紀になって以降、特別上映のイタリア映画祭なんてのんが開催されとるけども、単館系でも通常の興行にノルとゆうケースが、日本ではめっきり減ってきとります。

なんでか分かりまへんけども、決してイタリア映画が衰退しとるわけやありまへん。日本人の嗜好の問題なんかもしれまへんが、取りあえず、1980年代以降のイタリア映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露してみます。

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なんで1980年代以降やねん? なんやけど、戦後のイタリアン・ネオリアリスモ(リアリズム)、フェリーニ、ヴィスコンティ、アントニオーニ、パゾリーニ、ベルトルッチ、オルミなんぞと続いた、映画芸術作家の流れが、実はこの1980年代頃から途絶えるからでおます。

ちゅうことで、思いつくままにやってみます。●ベスト⇒①ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作・イタリア&フランス合作)②ライフ・イズ・ビューティフル(1998年・イタリア)③イル・ポスティーノ(1995年・イタリア)

●カルト⇒①息子の部屋(2001年・イタリア)②ポー川のひかり(2006年・イタリア)③本作

●今も現役のエルマンノ・オルミのカルト②やら、新作も待機中のベルナルド・ベルトルッチも、1980年代以降にもオスカー作品賞をもらうくらいの、傑作を出してはるけど、少なくともイタリア映画やと、断定できるものがありまへんどした。ちなみに、イタリア家族を描くチョー大作もあるんやけど、ベスト①~③を凌駕するもんはありまへんどした。

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さてはて、本作をばカルト③に入れて、ついでのようなPRかと思わはるかもしれまへん。でも、本作には、ベスト①から③にある、人と人のキズナや愛、そして、カルト①の親子の愛なんぞが、わざとらしくも押しつけがましくもなく、まさに自然体の流れで描かれておます。

ベスト①~③に感動した方は、間違いなく本作にも感動しやはることでおましょう。

イタリアてゆうたら、有名な観光都市や町やらが舞台になるし、イタリア映画以外でも、ローマやベニスが大繁盛やけど、本作のロケ地はキオッジャとゆう漁村。

日本人には新鮮やろうし、美しき自然風景と共に、癒やしを運んでくれはるような撮り方をしてはります。オルミのカルト②の、ポー川の美しさとも通じ合うやろかな。

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いわゆるビジターが、イタリアの猟師町コミュニティーに来て、酒場を経営するかもしくは働き、そこを通じて交流が深まってゆくタイプの映画てゆうたら、「バクダッド・カフェ」(1987年・西ドイツ)とゆう名作を思い出したりしよりますが、ホテルの「ミモザ館」(1935年・フランス)やらにも、近いニュアンスがあるかも。

そんなビジターとならはる、中国人ヒロイン役のチャオ・タオのネーさんが、好感度の高い演技をば魅せはります。あんまし日本では売れへんかったけど、評論家筋の評価が高うおした「長江哀歌」(2007年・中国)では、哀愁感ある表情を見せてはったけど、本作ではその流れもあるけど、どっちかとゆうたら前向き。ほんで、癒やし系の演技性をまぶしてはります。

現地の仮想オトンみたいな老漁師との、交流シーンなどもあり…。ほんでもって、ラストの静かな感動へといざなわれてまいります。ちゅうことで、ボク的には久々に見た、イタリア映画の快作どした。

2013年3月 6日 (水)

レオン・カラックス監督の13年ぶりの新作「ホーリー・モーターズ」

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映画史を俯瞰するような、リムジン・ロードムービーやー

過去のイロンな映画が、眩暈のように洪水のようにやってきよりまっせ

http://www.holymotors.jp

エイプリル4月6日のサタデーから、ユーロスペースはんの配給によりまして、梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。京都シネマや神戸アートビレッジセンターやらは、5月以降の公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸPierre Grise Productions

日本の単館系洋画興行収入の歴代ナンバーワンは、いまだにレオン・カラックス監督の、ポンビキならぬ「ポンヌフの恋人」(1991年製作・フランス映画)でおます。

底辺の若者たちの、前向きなラブ・ストーリーを捉えたソレは、当時の若者たちのハートを射止めはりました。

モチ、今の若者にも十二分に感動できるハズどす。あれから20年以上、前作「ポーラX」(1999年・フランス)からも13年が経っとります。

監督の新作がついに、みなはんやボクチンの目の前に現れよります。カラックス監督は、本作は映画初心者にこそ見てもらうにふさわしい作品や、なんてゆうてはります。

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多彩な過去の名作映画への、パロディやなくオマージュを捧げ、ほんでもって、ワケの分からへん不条理なオムニバス系になっとる本作は、例えば、映画を初めて見る人にしたらでんな、そのワケ分からなさに、2度と映画なんか見るかいやーって思われかねまへん。

はっきりゆうて、本作は映画上級編。しかも、チョーの冠詞が付きまっせ。イロンな映画が眩暈のごとく、次々に脳みそを襲ってくる作品なんどす。

つまり、映画史を俯瞰するような、24時間のロードムービーどして、ドニ・ラヴァン(「ポンヌフの恋人」で主演)のアニヤンが、1人何役もこなして張りきらはりました。1人多役系ではSF映画「クラウド アトラス」(2月23日付けで分析)っぽいけど、ソチラは何世紀にもわたる話で、凝縮された1日の話やありまへん。

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映画作家性を遊びゴコロ的に示す、装置としての映画とゆうのんが、確実に存在します。それは映画監督なら、誰でも1度はやってみたいもんでおましょう。自分の撮りたい映画を、フリーキーに撮ってみる。

それは素人のボクチンらでさえも、やってみたいと思うもんどす。でも、製作資金がないだけどしてな…。まあ、ひと言でゆうたら、マニアック。たかがマニアック、されどマニアックでおます。

110年以上にわたる映画史をカラックス監督は、自分なりにトリュフォーの「アメリカの夜」(1973年・フランス&イタリア)みたいに、映画への愛を込めてやってみはったんでおましょう。でも、いっぱしの映画評論家もどきのボクなんぞには、ついていかれへん挑発性をもった映画やったです。

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例えば、1つのエピソードで、「第三の男」(1949年・イギリス)から「ゴジラ」(1954年・日本)へ「甘い生活」(1960年・イタリア&フランス)へ「美女と野獣」(1946年・フランス)へなんぞと、目まぐるしく変転してゆくような流れは、映画トリビュートのジェット・コースターやし、思い出せへん映画も多々ありで、ウーンと唸るしかござりまへん。

でも、初心者なら、ある意味ではそんなん関係あれへんから、ストーリーにのみ集中できるやろかな。但し、そのストーリーは、メチャメチャの破天荒どす。そやから、論理的な流れで追うことは不可能でおます。

端折って申しますと、モノクロ・サイレント映画のタッチ、サイレントなダンス・ワークなパントマイム。ほんで、父娘やらおじ・孫娘のキズナ演出。かと思うと、「ゴジラ」なモンスター映画があり、暗殺者映画があったりしよります。

さらに、カイリー・ミノーグのネーさんが披露する、ミュージカル映画タッチや。「赤い靴」(1948年・イギリス)なんぞを濃厚に思い出させる、このシークエンスは、本作におけるボクの一番のお気に入りどした。それぞれのマイ趣味感で見ても、イケる映画やと思います。

2013年3月 5日 (火)

フランス映画の快作恋愛映画「君と歩く世界」

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南フランスの美しき風景と共に紡がれる、トラウマある2人のラブ・ストーリーやー

フランス女優マリオン・コティヤール・ネーさんの最高傑作やも

http://www.kimito-aruku-sekai.com

エイプリル4月6日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマほかで、全国順グリのロードショーでおます。

本作はフランス&ベルギー合作のフレンチ映画どして、「R-15+」指定映画どす。

ユーロ映画の傑作印を、本日より3日間にわたり披露いたします。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸWhy Not Productions - Page 114 - France 2 Cinema - Les Films du Fleuve - Lunanime

トラウマやら障害のある2人の、恋愛映画でおます。トラウマ持ち恋愛では、最近では「世界にひとつのプレイブック」(弊ブログ内検索で出ます)なんぞを分析いたしました。

トラウマがありながらも、暗さのない作りは両作に一致しておます。しかし、本作は特に、そのトラウマがリアルで生々しいどす。

原作があるんやけど、ヒロインものと子連れ主人公ものの、2つの短編小説を合体させはりました。ほんで、2作にはなかったラブ・ストーリーをば構築しはりました。その意味では、本作はほとんどオリジナル・ストーリーやと、ゆうてもエエでおましょう。

「チャンプ」(1979年製作・アメリカ映画)のような父子の子連れもんと、悲劇のヒロイン映画がミキシングされとります。ともすると、ビミョーな細部でノレへんとこもあるんやけど、それでも、恋愛映画としての心理の細部も含めて、今年の洋画のベストテン級の仕上げを見せてはります。

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「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」(2007年・フランス)で、記憶が混濁するヒロインを絶妙に演じて、オスカー主演女優賞をゲットしはった、マリオン・コティヤールのネーさんが主演どす。

ほんで、本作ではその演技をば超える、キャリア最高演技ぶりを見せはりましたと確信いたします。

21世紀に限定したフランス女優の系譜としては、ミラ・ジョヴォヴィッチ⇒オドレイ・トトゥ⇒本人とゆうような流れやろか。中でも、マリオン・ネーは、3人の中でもイチバンヤーな、映画映えする演技派やと思います。

両足をシャチに食われてもうて、その両足をCGで見せながらも、悲劇のヒロインをあくまで前向きなカンジで演技しはるとこなんか、見ていて勇気までもらえるような熱演ぶりどす。アップ・はみ出しクローズアップを含むカットにも、ハッと魅了されよりました。

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アップもそうやけど、近接撮影によるシークエンスの多さが、モチ臨場感をば促進しはります。特に、ヒロインが災難に遭う事件部は、インパクト大どしたやろか。

また、美しき南仏の風景描写に、ココロをそそられよりました。車移動による朝焼けシーンとか、日に当たっての白っぽい海シーン、陽光の眩しさを伝えるシーンなんぞが、心地エエんどすえ。

サントラ部は、歌ものがケッコー流れよりましてノレました。ダンス・ミュージック以外に、グラミー賞の最優秀新人賞をゲットしはった、ボン・イヴェールのアニキのでんな、シンセとギターによるタイトなミディアム・ナンバーのシーンが、実に印象的でおますよ。

イヴェールの歌を流しての、ヒロインが主人公の「ストリートファイター」(1975年・1994年・アメリカ)ぶりを仕切る、ダイジェスト・カットなんぞはゾクゾクしよりましたがな。

ちゅうことで、最近ケッサクを多く輩出してはるフランス映画界に、新たなケッサクが生まれ落ちましたで~。

2013年3月 4日 (月)

コンゴを舞台にしたカナダ映画「魔女と呼ばれた少女」

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戦争映画のノリやけど、小さな恋、トンデモヒロイン映画性も内包した作りや~

少女ヒロインの活躍ぶりに、注目しておくんなまし~

http://majo.ayapro.ne.jp/

3月9日のサタデーから、彩プロはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら4月中旬から、第七藝術劇場やらで上映どす。

本作は「R-15+」指定映画になっとります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012 Productions KOMONA inc.

第三世界の映画には、少年・少女ものが多いとゆうのんは、「駈ける少年」(今年1月17日付けで分析)のとこで披露いたしました。その時には、少年もののマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたしましたけども、今回は少女もんのソレをばやってみよります。

●ベスト⇒①變臉(へんめん) この櫂(かい)に手をそえて(1996年製作・中国&香港合作・弊ブログ内検索で出ます)②冬の小鳥(2007年・韓国)③アフガン零年(2003年・アフガニスタン&日本&アイルランド)

●カルト⇒①本作②15歳、アルマの恋愛妄想(2月6日付けで分析)③少女の髪どめ(2001年・イラン)

●中国や韓国が第三世界ナンチューのんは、今や昔どすし、ノルウェーのカルト②もそうやけども、あえて入れました。

イロイロあるんやけど、コチラはアフリカの少女ものとゆう、これまでにないお話どす。ほんでもって、トンデモ数奇な運命を描く点においては、ベスト・カルト各作品を凌駕するような作りになっとります。

この少女ヒロインやけど、第三世界やないとこでは、スペインの「パンズ・ラビリンス」(2007年・スペイン&メキシコ)やら「ミツバチのささやき」(1973年・スペイン)で描かれた少女とも違い、逼迫と癒やしを行き来する、幅の広い演技で魅せてくれはりました。

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その少女役には、ラシェル・ムワンザちゃんがヤラはりました。世界3大国際映画祭の1つである、ベルリン国際映画祭で何と主演女優賞をゲットしはりました。アフリカの女優としては、初の快挙らしいどす。

ほんで、彼女やけど、コンゴのキンシャサで、両親から見離されてホームレスな、ストリート・キッズをばやってはりました。まさに本作のイメージに、ピタッとくる好素材やったんやな。

でも、コレはまさにシンデレラ・ストーリーをば、ジでゆかはりました。両親を反政府軍に強いられて、自ら銃殺してまいました。ほんで、軍としての過酷な訓練を経て、敵・政府軍を察知できる魔女的な能力を獲得し、リーダーのおそばに仕えるようにならはります。

でも、軍で知り合ったオトコの子と、駆け落ち的に逃亡。この2人のロードムービー&ラブ・ストーリー部は、殺伐とした本作に対比されるようにでんな、癒やしの効果を持っておます。

「小さな恋のメロディ」(1970年・イギリス)やら「リトル・ロマンス」(1979年・アメリカ)やらのセンスはあるけども、コンゴには珍しい白いニワトリを探す、エピソードとかで和みを見せつつも、最終的には、暗いエピソードが待っておます。

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そして、その後もヒロインには、シビアな試練がネチネチと付きまといまんねん。この厳しい運命の連続は、おそらくかつての少女もんにはないものでおましょうか。

とにかく、プロフェッショナルでなければ演技できないようなとこが、次々にやってくるスゴミは、本作の一番のキモやろかな。キム・グエン監督的には、彼女の演技によりかかってるようながらも、映画作家性もそこはかとなく、仕込んではるんどすえ。

手持ちカメラと近接撮影による臨場感演出しかり、サントラなんぞも。アフロなムード歌謡あり、アフロなボサノバあり、エレキと太鼓によるサスペンス感あるタッチ、ラストロールではコドモたちの合唱曲もありーので、作品性にめっちゃマッチしとりました。

白っぽいゾンビな造形による亡霊、カンフーのマネ事シーン、ヴァン・ダムのアクション映画を見るとこやら、過去の映画への引用シーンも、サラリと描いてはるとこに、ボク的には好感がありましたやろか。衝撃もあるハズのケッサクなんやけど、でも肩の力を抜いてでんな、レッツラ見に行っておくんなまし。

2013年3月 3日 (日)

家族みんなで見に行きなはれな「ひまわりと子犬の7日間」

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イヌと「ココロの友になる」ナンチュー、人と犬のキズナをストレートに描きまっせー

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宮崎出身の堺雅人アニキが宮崎に帰って、みんなを泣かせはりますでー

http://www.himawari-koinu.jp

弥生3月16日の土曜日から、松竹はんの配給で、全国各地イッセーのロードショー。

本作のロケ地になっとる宮崎県では、3月9日から先行上映どすえ。

金曜=大人の映画、土曜=若者向け、日曜=ファミリー向け、ちゅうことで、最近もやっとります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013「ひまわりと子犬の7日間」製作委員会

イヌ映画てゆうたらモロ、ファミリー向け映画が主流どす。そやから、イヌやらそのほかのペットが、主流で描かれる映画てゆうたら、大ヒットするような方程式が敷かれておます。

まあ、本作も売れるかどうかは別にしてでんな、イヌ映画のテーマ的ポインツをば、4つばかりゆうてみまひょか。

①人とイヌのキズナを描く。②イヌを通して人を描く。③イヌそのものを描く。④イヌをエンタ要素の1つとして、フックとして入れる。

●イヌの出てくる邦洋映画で、最も多いのが④やろか。イヌを始め、ペットがいっさい出てこない映画ちゅうのんが、珍しいくらいでおます。②パターンは、描くならばええカンジやろけど、あんまし例がありまへん。「さよなら、クロ」(2003年製作)あたりが例示作になるやろけど…。

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さて次に、イヌ映画限定の日本映画マイ・ベスト&カルト・スリーなんやけど、以前にも披露しよりましたが、それをば忘れていただきまして、思いつくままのアトランダムでいってみまっせ。

●ベスト⇒①さよなら、クロ②ハチ公物語(1987年)③南極物語(1983年)

●カルト⇒①本作②クイール(2003年)③いぬのえいが(2004年)

●ベスト②③は、ハリウッドでリメイクされるほどのヒット作品どす。一方でカルトは、③のイヌ映画はイヌそのものを、バラエティー感覚で描いてはるけど、カルト①②は、人とイヌのキズナを描いてはります。しかも、本作はそれを徹底的に、やってみはった作品やと思います。

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イヌ映画のある種の鬼門となる、保健所をメイン舞台に描かれておます。イヌ映画としては、かつてない設定どす。

ほんでもって、ダイジェストなシーンが、結構ノレましたやろか。3つほどござります。

①動物園の飼育係として、堺雅人と檀れいが知り合うシーン。

②字幕付きのサイレント映画ノリで、イヌの過去を語るシーン。ココはピアノと弦楽オーケストラのサントラで、壮大な作りを志向してはります。

③本作のクライマックス的なところ。堺雅人が中谷美紀に語る設定で展開。堺の声を弁士的に見立てて、イヌの半生が描かれよります。イヌのラブ・ストーリーもある、野心的な仕上げや~。

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山田洋次監督の後継者たるような方が、本作で映画監督デビューをばしてはります。しかも、女性監督どす。平松恵美子のネーさんやでー。山田洋次節が随所に詰まっておます。

ほんで、地方ロケーション映画や~。宮崎県でおます。宮崎ロケ映画はこれまでにはほとんどなく、稀少価値をば持ってはります。北海道ロケやった「犬と私の10の約束」(2008年)とは、ちょうど南北の対になっとるでおましょうか。宮崎の美しい風景も随所に挿入されとります。

さて、最後にイヌについて。この種の映画では、ほとんどが血統書付きなイヌが活躍しておまして、まあ、本作では柴犬どすか。ダックスフンドなんか捨てるか、なんて思たりするし、雑種の野良犬らしいイヌ映画がないのには、少しクエスチョンどしたか。

でも、本作は堺とイヌのキズナ描写などに、泣ける感動のある映画どす。家族一同でぜひとも見に行っておくんなまし。

2013年3月 2日 (土)

東野圭吾原作ミステリー映画「プラチナデータ」

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「逃亡者」的から「サイコ」へとゆく、展開の妙味ありどす

近未来設定で示す、現代ミステリーの在り方とは?

http://www.platinadata.jp

マーチ・サタデーの3月16日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

これまでにも、それなりにやってたんやけど、今後は基本的に、毎週金曜は大人向き、土曜は若者向き、日曜はファミリー向きの映画をば、分析してまいります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013『プラチナデータ』製作委員会

いきなりでスンマヘン。東野圭吾はん原作映画のマイ・ベスト&カルト・スリーを披露させてもらいま。

●ベスト⇒①秘密(1999年製作)②白夜行(2011年)③容疑者Xの献身(2008年)●カルト⇒①本作②変身(2005年)③新参者 麒麟の翼(2011年・弊ブログ内検索で出ます)

●21世紀以降のミステリー小説で現代を描くてゆうたら、今やメッチャハードルの高いもんになっとります。セキュリティしかり科学捜査の進化しかりで、密室トリックとかそのほかのトリックもんは、作りにくい状況になっとります。

かつての名作などは、今の時代には通用せえへんもんが、大がいになっとりまして、今は昔のような古さが目立っとります。古さをカンジさせへんとゆう、かつての宣伝文句が通用せえへんようどす。

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それでも、東野圭吾のアニキは、現代よりさらに未来の時代を睨んで、密室ミステリーに挑まはりました。いわゆる、実験的手法なんかもしれんけど、過去のアニキの作品が今では通じないとこに、発奮しはったんかもしれまへん。

ほんで、圭吾アニは、映画化を狙って書かはったらしいどす。でも、うまくいかずに、1度は諦めかけたんやけど、何とか完成させはりまして、本になり、本作の映画になったとゆうことでおます。

防犯カメラとゆうより監視カメラの徹底配置以外に、全国民のDNA、遺伝子データ(プラチナデータ)が作られるとゆう、まさに個人情報保護法(2005年に法令化)を逸脱したもんが、当たり前のように作られる、近未来図が描かれてまいります。

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主演はそんなプラチナデータを作り上げた、写真には写ってはらへんけど、嵐のニノこと二宮和也クンなんやけど、殺人をしてへんのに、自分に嫌疑が掛かることが分かって、逃げはります。

逃げもって、真犯人を探すとゆう方向性は、モチ「逃亡者」(1993年・アメリカ映画)のスタイルなんやけど…。

その後の意外な展開から、ニノは2人分の人格を持ってることが判明します。いわゆる、「サイコ」(1960年・アメリカ)ちゅうことやけど、それでも表側人間性のニノ君が必死になって、真実へと迫ってゆかはります。

そこに、写真1枚目の刑事役・豊川悦司トヨエツが、最初はニノと敵対しとったけど、協力関係を結ばはります。そんな2人が到達した真犯人とは?

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刑事が犯人とゆうことも、まま、ありますんで、取りあえずは、写真1枚目から5枚目までの1人が、真犯人やとゆうときましょうか。2枚目の生瀬勝久アニキは、警察側の人でおます。

3人目の鈴木保奈美ネーさんは、大学病院の教授。まあ、ゆうてみたら、「脳男」(弊ブログ内検索)の松雪泰子ネーみたいな役柄やろか。

そして、4枚目はニノ君の同僚の研究員役の杏さんで、5枚目は殺された、ニノとは仲のエエ数学者役の水原希子チャン。まあ、殺された被害者からやとゆうて、犯人やないとは申せまへん。

とゆうことで、犯人当ても一つ、頭の中に入れつつ、映画をお楽しみくだされ。

2013年3月 1日 (金)

伊藤淳史&小出恵介のアニキたちの友情映画「ボクたちの交換日記」

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長澤まさみ&木村文乃ネーさんやらが、花を添えるサポートぶりどす

感動のラストシーンに、みなはんは果たして泣けるか泣けへんか? どないやろか~?

http://koukan-nikki.jp

マーチ3月23日の土曜日から、ショウゲートはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013「ボクたちの交換日記」製作委員会

ウッチャン・ナンチャンの、ウッチャンこと内村光良のアニキが、映画監督(本作で第2作目)するやなんて、どうせ大したもんやないやろな~と思たら、それは大きな間違いでおました。

コメディアン出身の映画監督てゆうたら、チャーリー・チャップリン、ウディ・アレン、北野武など、これまでに映画史に残る仕事をば、やってきてはる方々がいてはります。

ほんで、日本の漫才出身の映画監督にしても、1980年代の島田紳助、北野武=ビートたけし以降、五月雨的に輩出されておます。ともすると、笑いを取るべき漫才との対比で、シリアス狙いでいくことで、ついついドラマ的破綻をきたしたりする作品もあるんやけど、本作は画期的どした。

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どこがどない画期的なんかを申しますと、漫才芸人の在り方を、ここまでディープに描いた映画がまずあれへん点。北野武でさえ、漫才部は「キッズ・リターン」(1996年製作)の学生漫才部くらいで、なぜかその詳細を避けるようにしてはるようどした。

その後「漫才ギャング」(弊ブログ内検索で出ます)やらが出ましたけども、コンビのプライベートな関係やらネタ仕込み、合わせ、練習シーンなど、リアリティーあふれる感じでは本作ほど、詳細には描かれてはおまへん。

2人が舞台やコンテストで披露する、漫才シーンのビビッド感、間違いシーンのリアルなとこなど、この種のタイプの裏側や心理を描く映画としては、未だかつてない本格的な作り込みをしてはります。

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モチ、ウッチャンは、漫才界のことはよう知ってはるんで、そんなん当たり前やんかと思わはるかもしれまへん。しかし、その詳しさを披露した上で、尚かつ映画としての感動性を、追求してゆかはりまんねん。

伊藤淳史と小出恵介(写真1・3・4枚目)が漫才コンビどす。伊藤と結婚する、共にツタヤでバイトしてた木村文乃ネーさん(写真5枚目)、キャバクラ嬢をやりもって、小出を支える長澤まさみネーさん。

この2人のサポート演技やらに支えられよりまして、伊藤&小出コンビの2人の友情が、感動的に紡がれてまいります。

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以降、ネタバレにご注意どす(結末を知りたくない方は、読まんといて~)。

さてはて、大マジに本作のネタ部へと分け入ってまいります。

漫才コンテストまでの飄々としたコミカルなスタイルが、ラスト30分でガラリとシリアスへと方向転換しはります。この変わり身やらが、みなはんの評価の分かれ目になるかもしれまへんな。

但し、イロイロあってでんな、2人がコンビ解消をしはります。そして、1年後。さらに、17年後へとスライドしてまいります。ある種の大河ドラマチックな様相を呈しながらも、あくまで漫才という領域を維持しもって、話を展開するワザは並大抵のことやおへんで。

ほんでもって、再会のラストシーン。恋愛映画に多いやもしれまへんけども、このシーンはマスコミ試写室でも、珍しくすすり泣きが見られました。

ちなみに、ボクは泣いてへんけども…。素直に泣ける人が圧倒的やろけど、ヒネくれて泣けない人も、いてはるかとは思います。ボクチンはそんな稀少な1人やなんて、ゆうてる場合やないんやけど、その理由は、なぜ2人は17年間も会わなかったのか、にありました。そのあたりが種明かしで披露されますけども…。

このあたりの描写は、大変難しいもんがあるかとは思います。でも、泣ける映画に変わりはありまへん。せいだい泣いてください。そして、そのあとに残るキズナへの信頼を、みなはんそれぞれの胸の内で、大切にしてもらいたい作品どした。

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