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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2013年2月の記事

2013年2月28日 (木)

これぞ介護映画のニュー・スタイル「暗闇から手をのばせ」どす

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風俗映画と介護映画が合体やなんて、そんなことあり得まへんやろ~?

意表を突く、風俗ヒロイン映画の癒やし系の快作やー

今年の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」オフシアター部門で、グランプリ&シネガーアワードのW受賞しはりました

http://kurayamikara.com

弥生ちゃん3月23日の土曜日ウイークエンドから、SPOTTED PRODUCTIONSはんの配給によりまして、東京・渋谷ユーロスペースにて、全国順グリのロードショーでおます。

本日より4日間にわたり、日本映画の今をカンジさせはる野心作や、ヒット確実作をば、連続批評分析してまいります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2013 戸田幸宏事務所

風俗映画やなんて、そんなジャンルは今までにあったやろか。

まあ、突っ込まれてゆうんやったら、一般的にはピンク映画やらポルノ映画になるんやろけど、でも、ピンク映画やらが風俗を描いとるとゆうのも、仰山(いっぱい)あるわけやおまへんし、ボクチンもあんまし見ておまへん。

そんなボク的には分の悪い中やけど、風俗嬢がポイント(主演級以外も)になっとる日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、恐る恐る披露してみます。

かなりコアな括りやけど、ハードコアもんと花魁・吉原やらの時代もん・花街もんは、現代的な意味における風俗とは、ビミョーにニュアンスが違うやろかと外しておますんで、ご了承くだされ。

●ベスト⇒①の・ようなもの(1981年製作)②キャバレー日記(1982年)③赤線地帯(1956年)

●カルト⇒①本作②片翼だけの天使(1986年)③ゼロの焦点(1961年)③桜蘭高校ホストクラブ(2011年)

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●思いつくままでスンマヘン。意外にもロマンポルノ系は、ベスト①②以外選べまへんどした。同率カルト③「桜蘭…」はホストに、オトコ女が主演でいてた点を考慮しておます。

大たいにおいては、男がゆくところの風俗店のイメージに基づいて、女もその線にすなり(合わせよう)とゆうタッチで、紡がれとるもんが大がいでおます。男から見た一方通行な、トルコ嬢やったりキャバ嬢やったり…。

ただ、ベスト③の溝口健二監督作品や、松本清張原作のカルト③「ゼロ…」のように、娼婦の悲哀を描いた映画は、あくまで娼婦の立場から作られておます、ヒロイン映画どす。

でも、大たいが定番の中に収まってるように思います。娼婦との恋なんぞは、まさにソレやしね。

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でも、本作は、風俗嬢の恋も悲哀も関係ありまへんねん。障害者専門の派遣型ヘルス風俗嬢とゆう変わったスタイルが、本作をいろんな方向へと飛び火させられる、ネタ・ポインツをば持っております。

恋へもヒロインの哀しみへも、道筋としてはルートは通じとるんやけど、本作はそうゆう方向へとはゆきよりまへんねん。

いうならば、ヒロインは介護師の免許を持ってへんけど、自分なりに障害者とココロを通じ合わせて、フツーっぽいけど、癒やすとゆう方法論でヤラはります。

テレビドラマやけど「家政婦のミタ」やない、一時の癒やしの松嶋菜々子節を、自我流で魅せてくれはるようなこのヒロイン、小泉麻耶チャンに注目やー。

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写真1枚目に写っておます、津田寛治アニキは「自縄自縛の私」(弊ブログ内検索で出ます)のウラワザは見せずに、ひたすら銭儲け至上主義のクール感で勝負。

その圧力下にあるヒロインは、それでも、写真3枚目から5枚目までの障害者と、カラダやなく、ココロの交流をばしはります。

「健常者も障害者も同じ」とか、死んでしまったお客のことを思って泣いたりとか、何げなとこに、感動の芽があります。

現代の介護の在り方などさえもが、押しつけがましくなく、それとなく見えてくるようなとこも見られよりまして、介護映画としての新しさも見え隠れしとりまんねん。

例えば、男がヤラシー映画を見に行こうとして見に行ったら、裏切られるけど、代わりに何とも言えん癒やしがもらえるっちゅう、そんな映画どすやろか。女性も、できれば彼氏と一緒に見に行ってもらいたい1本でおます。そんなワケどして、好感度の高さがある、ヒロイン映画でおました。

2013年2月27日 (水)

恐竜映画のモキュメンタリー「ダイナソー・プロジェクト」

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ドキュメンタリーのように見せはる、イギリスのドラマ映画でおます

「ジュラシック・パーク」やら「E.T.」やら、スピルバーグ監督作品をかなり意識したとこがござりまっせー

http://www.dinosaurproject.jp

マーチ3月16日のサタデーから、シンカはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸDinosaur Productions Limited/Moonlighting Dino Productions 2011

この3日間は、ドキュメント映画の多彩色をば見てまいりました。ほんで、本作はモキュメンタリーこと、ドキュのように見せかける、ドラマ映画のドキュ・ドラマでおます。

こういうモキュメントが出てきたのんは、1990年代の後半あたりからでおましょうか。ハリウッド映画界では、ネタギレがささやかれ始めた頃でおました。

定番を覆す意味において、大きな波にはならへんかったけど、ドキュ・タッチのドラマ化は過渡期には有効やったかと思います。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年製作・アメリカ映画)なんか、ボク的にはバッタもんやと思うんやけど、それなりに売れよりました。

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モキュメンタリーはどちらかとゆうと、ドキュにはふさわしくなさそうな素材が選ばれておました。ホラー映画、超常現象ものやら…。ドキュらしくないもんが、モキュにはふさわしいんやろか。

本作は恐竜もんどす。これまでには、モンスター系のモキュもありましたが、恐竜は初めてでおましょうか。ハリウッド級の醍醐味を示さはった「ジュラシック・パーク」(1993年・アメリカ)には、迫力の面で及ばずとも、「ジュラシック・パーク」並みのハラドキ・サスペンス、ほんで恐怖感をばクリエイトしてはります。

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アフリカへ、伝説の恐竜モンスターを探して、調査探検隊がいかはります。でも、ヒコーキが蝙蝠(こうもり)チックなモンスター(写真3枚目)の襲撃によって墜落。

無人の荒廃した、原住民の村へと逃れるんやけど、そこでも襲撃に遭い、隊員の若い女の子が咥え込まれてまいます。そして、その後、写真4枚目にあるように、みながボートに乗って、苦境を乗り越えんとしはるんやけど、恐竜たちは待ったなしや。

写真5枚目のように緊張感をはらませながら、恐竜が出てまいりまして、みなはんをビクッとさせてくれはりまんねん。とはいえ、写真1&2枚目のように、主人公と恐竜たちが、ココロを通わせてゆかはるシーンもあります。

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主人公とミニ恐竜のキズナ部やらでは、スピルバーグの「E.T.」(1982年・アメリカ)なんぞのキズナ・センスもありましたやろか。このイギリスのドキュ監督のシド・ベネットやけど、相当スピルバーグに影響をば、受けてはるように見受けられました。

一方で撮り方は、デジタル・ビデオ視点による、手持ちビデオの揺れや近接撮影で、グラグラきよるような作り方をしてはります。画像ブレ、斜めカット、タイトに続く黒場シーン、ヒズミある液晶カットやら、不安感をあおってそれを持続させるとこらは、見事やったかもしれまへんな。

2カ月にわたるアフリカ・ロケーションも、リアル感を増さはります。適当なCG・VFX映画が多い中において、本作もCGバチバチやけど、それでいて怖~い臨場感演出には、特筆すべきもんがありました。「ジュラシック・パーク」シリーズやらと比較して見はったら、面白さは倍加するやろかと思います。お楽しみくだされ。

2013年2月26日 (火)

社会派実話映画「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」

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ドキュメンタリーとドラマ映画が融合した、シャープな仕上がりやー

仲代達矢はんと樹木希林はんが、渋演技で魅せはって…

http://www.yakusoku-nabari.jp

東海テレビ放送の製作・配給によりまして、3月下旬から、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順繰りのロードショーでおます。

その後、関西やったら、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ東海テレビ

今やフツーのようにある、テレビ局が製作した映画でおます。でも、キー局製作やありまへん。地方局の東海テレビはんどす。

キー局のんはテレビドラマを、そのまんま映画版にしたようなもんがありますが、本作はビミョーに違っておました。映画の映画たるところを打ち出す姿勢があるんどす。

確かに本作は、東海テレビで2012年に、その放送エリアでオンエアされておます。映画で見てもいっしょやろな、ちゅう見解も出てきよるやもしれまへん。でもしか、本作は映画館で見てこその醍醐味がある作品やと、ボクはジャッジいたします。

なんせドキュとドラマを融合した実話映画とゆうのんは、そないになく、稀少価値があるとゆうとこもあるでおましょうか。

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1961年に三重県名張市の村で起こった事件やけど、冤罪事件かどうかは未だに分かっておりまへん。

「真昼の暗黒」(1956年)「袴田事件」(弊ブログ内検索で)「私は貝になりたい」(1959年)「それでもボクはやってない」(2007年)などの日本映画に加え、共にフランク・ダラボン監督&原作スティーヴン・キングによるアメリカ映画、ムショ生活を描く「グリーンマイル」(1999年)「ショーシャンクの空に」(1994年)なども、本作の作品性と関わってまいります。

群像劇にもなった邦画「刑務所の中」(2002年)の、リアリティーあふれる作りとは違い、死刑囚は癒やしとキズナも結べる集団生活やなく、拘置所の独房どして、いつ死刑の朝を迎えるやら分からへん中での、不安で孤独な日々…。

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実際のモノクロ・シーンやらを取り込み、ドキュとして検証していくとこや、弁護士やらの地道な行動などを映すシーンなど、ドキュ部としては、ミステリー&サスペンス感ある作りに徹してはるようどした。

対して、ドラマ部はあくまで人間ドラマとしての、打ち出し方にこだわってはります。

そこを、演技派の2人やらによって、十二分に魅せてくれはりました。仲代達矢はんの名古屋拘置所での、淡々とした生活描写の滋味。二葉百合子の「岸壁の母」とゆう流行歌が、彼の趣味における時代感を示さはります。

息子役・仲代はんの、オカン役の樹木希林はん。その生活描写も実に淡々節どす。

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しかも、2人の面会シーンは映されまへん。コレはネタバレやろか。いや、ネタとゆうより、会わせないことによって得る、映画的効果とゆうもんを考えたりしよります。

いくらでもできるやろけど、本作は泣ける映画をば志向してはらへんのやと思います。会えば泣いてのナニワ節は演出できるやろけど、この映画の流れの中では、メッチャ浮き上がったもんになってまうでしょう。

ナレーション担当の寺島しのぶネーさんの、淡々とした語りも良かったかと思いますわ。

ほんでもって、全くもって個人的なことをば言いますと、本作のプロデューサー阿武野勝彦のアニキは、ボクチンの同志社大学のゼミ(美学及び芸術学)の1年先輩に当たる方どす。

この流れからゆうのんも変やけど、本作はこれぞ真の、ドキュ・ドラマとなった1本でおました!

2013年2月25日 (月)

ミュージシャン・ドキュメンタリー「シュガーマン 奇跡に愛された男」

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本国アメリカでさっぱり売れへんかったミュージシャンが、ある国で突然大ブレイクやー

そんな謎の男を追う、ミステリー・タッチで物語は展開しまっせ~

本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞をゲッティング

http://www.sugarman.jp

マーチ3月16日サタデーから、角川映画はんの配給によりまして、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作はスウェーデンとイギリス合作による映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCanfield Pictures/The Documentary Company 2012

無名のミュージシャン、ロドリゲス(写真1枚目)を描いたドキュメンタリー映画でおます。音楽業界のことをゆうたらでんな、無名、アマチュア、売れずに業界から消えたミュージシャンなんやら、そらもーこれまで無数に近いくらいの人数に及ぶでおましょうな。

それでいて、彼をば採り上げはったんは何でやろか。ドキュだが、実にドラマティックで型破りなところがあるからやろか。

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彼は1968年にスカウトされて、1970年から1971年に2枚のアルバムをリリースした。ところが、発表したアメリカでは全く売れず、その後、彼は行方をくらまさはりました。しかし、1980年代に南アフリカで、50万枚以上も売れる珍現象が起きたんどっせ。

アパルトヘイトの抵抗運動にピッタリの、歌詞内容を含めた音楽性が、現地の人々を魅了したらしいんやわ。ロドリゲスのビートルズ・タッチのキャッチーな曲「シュガーマン」などに魅せられはった1人の南アの男(写真2枚目)が、謎めいたロドリゲスの消息を探っていくことになりまんねんで。

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というわけで、前半はミステリー・タッチで物語は進行してまいります。

但し、ミステリー部は本編の半ばでストップし、後半は1人のミュージシャンのサプライズが、なだれるように映し出されてゆきよりまんねんで。

音楽ドキュメンタリーは多々あるんやけど、今までは有名ミュージシャンを核にしたものが多かったように思うんどすわ。というか、そうでなければ、映画館に人が入りまへんねん。でも、それでは知名度によりかかって、ヒットを狙う映画のように見えなくもありまへんな。

しかし、本作は全く違うんどす。最近でいうと、「フラッシュバックメモリーズ3D」(弊ブログ内検索で出ます)のような、アーティストが無名に近くても、特筆すべきエピソードがあるかないかが、大いなるキー・ポイントになるんでおます。ぜひ、そのあたりを堪能していただきたい作品やと思いますわ。

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さてはて、以下、商業音楽的なことをば、チョロッと申し述べますと…。

それで、ビートルズやボブ・ディラン級の音楽をクリエイトしていたのに、なぜ彼は売れへんかったんか。音楽業界にディープに関わっている人ならば、大たいは分かるやろか。

彼はレコード会社「A&M」からメジャー・デビューしてしまった。レコード会社によってファクトリー(会社的)・サウンドなるものが存在しよります。「A&M」はさわやかさがキーどしてな、所属アーティストでいえば、たとえばカーペンターズやバート・バカラックやら。

ジョン・レノンのように内省的な音楽性があった彼が、ブレイクするには程遠いレコード会社だったんやな。

1人のアーティストが、いろんな要素を絡めてどのようになってゆくんか。それを巧妙に分かりやすく描いた映画として、本作は記憶されるべき作品になったかと思うんどすえ~。

2013年2月24日 (日)

クエンティン・タランティーノ監督の新作「ジャンゴ 繋がれざる者」

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レオナルド・ディカプリオのアニキが、悪役で出てまいります

レオ様と対決する、ジェイミー・フォックス&クリストフ・ヴァルツの相棒映画ノリも、ゴキゲンなカンジやでー

http://www.django-movie.jp

マーチ3月1日フライデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズ梅田やらで上映どす。

本作は、「R-15+」指定のアメリカ映画どして、昨日の「クラウド アトラス」に続く、2時間45分にわたる長尺もんやー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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今期アカデミー賞(脚本賞をばゲット!)の作品賞やらにノミネートされてはる、クエンティン・タランティーノ監督作品の新作、通算第8作目でおます。マカロニ・ウエスタンの今をば、志向しはったらしいどす。まあ、マカロニ系よりもアメリカン西部劇へのアプローチが、ボクチン的には、主になっとるようには見えましたけども…。

ゆうてみたら、マカロニとアメリカの西部劇を、絶妙にブレンディーしてはるような、そないな映画やと思うておくんなまし。バウンティ・ハンター・ドラマから、奴隷売買を口実に愛すべき人を奪回する、複雑系のドラマへと転移してゆく作りやら、新らしどころが紡がれてまいります。

中でも、黒人奴隷時代に、黒人が西部劇ガンマンの主人公になるやなんて、まず考えられへんタッチから、本作は当たり前のように始まりま。

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ゆうたら、「シャフト」(2000年製作・アメリカ映画)とか、黒人が主人公になってアクションするタイプの、ウエスタン・バージョンやろかな。西部劇がすたれて久しいおますけども、黒人が主人公になるような西部劇は、これまでにありまへんで。

そんな中で、ヤッパ役者陣の演技ぶりに魅せられます。ジェイミー・フォックスのアニキの冷静系。

クリストフ・ヴァルツ(25日付け、本年度アカデミー賞助演男優賞ゲット)はんの、フランクでもっともらしいシャベリと、無表情で銃弾を人に撃ち込んで殺す、非情さの対比演技性。

言い古されとるけど、レオナルド・ディカプリオのワイルド感。本作では、クライマックス直前で本性を剥き出しにして、激昂してゆくシーンやら、レオ様の荒々系演技性がピタッとハマッとるようにも思いました。ほんで、サミュエル・ジャクソンはんの、粘々した演技ぶりも特注もんどっせー。

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イタリアの巨匠エンニオ・モリコーネはんを音楽監督に使ったり、いかにもマカロニ西部劇映えする哀愁のポップスの使い方。

カロニ・ウエスタンがまず、監督の頭ん中にあったやろかと思いますけども、でも、決してマカロニ西部劇やありまへん。あくまで表層的にすぎまへん。

冒頭シークエンスのインパクトを始めとして、2人が徐々にキズナを深めゆくのんは、エエ感じどすえ。賞金稼ぎでロードしもって、次々にターゲットを始末してゆくダイジェスト・シーンなどは、西部劇映画のルーツ的な映し方なんやないかなと思いよります。

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タランティーノ的映画作家節は、モチ随所に配置されておます。但し「キル・ビルVol.1」(2003年・アメリカ)でも見せへんかった、流血シーンがタイトにドバーッ~と出てきよります。それでも、目をそむけたくなるようなとこは、ほとんどありまへん。

ほんでもって、主人公役ジェイミーはんが、命懸けの銃撃戦シーンへとなだれ込んでゆかはります。主人公のトラウマになっとる過去シーンやけど、1970年代的テカッてるようなシーンやらが、メッチャ渋かったやろか。

南北戦争勃発(1860年)の2年前とゆう時代背景やら、かつての名作がやった、西部劇的アメリカン・ロケーションを踏襲した作りなどが、ヒロイズム映画としては、ノレる快作になっとるやろかと思います。

スロー・モーションと実動を、ビミョーにミキシングしはったような、ある意味でシブミあるシーンの創出ぶり。「タクシードライバー」(弊ブログ内検索で出ます)的な、上からの撮影部やらを含む、アクショナル・アート性なんぞにも目が魅かれよりました。ついでかもしれへんけど、ラブ・ストーリー的なとこにも注目しておくんなはれ。

ラストのダイナマイトによる、ドッカ~ンなとこも爽快感を増しよります。いずれにしても、傑作印のハンコを付かしてもうてもエエどすえ。ちゅうわけで、映画館へとレッツラ・ゴーでおます。

2013年2月23日 (土)

今までにない映画を追求しはった「クラウド アトラス」

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オムニバス映画の常識を逸脱、もしくは超越したスーパー・ウルトラC映画172分やー

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トム・ハンクス、ハル・ベリーらの、1人何役がスリリングでトリッキーやー

http://www.cloudatlas-movie.jp

March3月15日Fridayから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショーでおます。

映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 Warner Bros.Entertainment. All rights reserved.

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本作には原作小説があるんやけど、6話エピソードのオムニバスとゆうスタイルでおます。但しでんな、メッチャユニーキーなカンジで、物語が進行していきよります。

チビチビ、カットバックのシンクロをしもって、時代ごとのお話が進むとゆうスタイルどす。ちゅうことで、ココで、洋画オムニバス映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①めぐりあう時間たち(2002年製作・アメリカ映画)②パルプ・フィクション(1994年・アメリカ)③バベル(2006年・アメリカ)

●カルト⇒①運命の饗宴(1945年・アメリカ)②本作③アモーレス・ペロス(1999年・メキシコ)

●本作は時代ごとに、3人のオンナたちを追ったベスト①と違って、時代ごとにリアル感を一切はずした上で、6つの話がバラバラに展開しよります。

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ベスト②のセンスとの比較では、同時間軸でイロンな話が紡がれるのに対し、本作は多時間軸を張り巡らせはった、複雑系の物語どす。そして、それらをイロンな役者陣が、1人何役もこなしつつガンバッてはるんどっせー。

ほんでもって、それぞれのエピソードでは、過去の映画とのシンクロナイズがそれとなくカンジられます。で、ベスト③カルト③は、同じ監督によるもん。

カルト①みたいな、帽子や衣服の物を狂言回し的に使いつつ、映画を撮ってゆくのんは、多くの話が見られて、みんなにも分かりやすい作りになっとるかと思います。

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さてはて、本作6話の過去の映画との、シンクロ具合を見ていきまひょか。

①1849年の航海もん。黒人奴隷もの映画など、今までイロイロ出てきよったやろけど、「アミスタッド」(1997年・アメリカ)なんぞを思い出しました。

②1936年のゲイ映画込みの映画。ほんで、音楽家を描く映画性。ピアノと弦楽オーケストラの壮大なサントラにも酔えるパートどす。

③1973年のサンフランシスコ。スクープ&告発系の「大統領の陰謀」(1976年・アメリカ)、原発もん「チャイナ・シンドローム」(1979年・アメリカ)など、1970年代の告発・社会問題もん映画的なとこがあって、渋い作り込みやったかと思います。

④2012年のロンドン・サイド。老人ホームものとしては、その種のルーツ作とも言える「旅路の果て」(1939年・フランス)なんぞのセンスもあったやろかな。

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そして、本作のキモ・ポインツともなる、変形SF映画タッチの⑤&⑥やー。

⑤は「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)を、かなり意識した作りやろか。クローン人間役の韓国女優ペ・ドゥナが、過去の出演作とのシンクロ具合もありーので、アップ・シーンやセックス・シーンなどが、ビビビビビ~ンときよりました。

ほんで、トム・ハンクスはんやら、ハル・ベリーのネーさんやらが、1人何役ものシメとして、ピチッと決めてくれはりましたがな。

「マトリックス」シリーズ(1999年~2003年・全3作・アメリカ)のウォシャウスキー姉弟監督と、「ラン・ローラ・ラン」(1998年・ドイツ)が出世作となった、ドイツのトム・ティクヴァ監督の、3人共同監督による作品でおます。各人のキャリアがブレンディーされた、彼らにはかつてなかった、ワールドワイド・スケールな作品性に酔える1本どした。

とにもかくにもぜひとも、みなはんも、劇場でご堪能あれ! でおますよ。

2013年2月22日 (金)

若松孝二監督の遺作「千年の愉楽」

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オトコたちのわがままを、オバハンは見続けはりましたで~

ジャニーズ役者陣にはない、男優陣の渋みをば見ておくんなまし

http://www.wakamatsukoji.org/sennennoyuraku/

弥生3月9日の土曜日から、関西やったら、テアトル梅田、第七藝術劇場、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

本作の配給は、スコーレ株式会社と若松プロダクションはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ若松プロダクション

若松孝二監督が死なはりました。本作はいみじくも監督の遺作どす。しかしながら、ボク的ジャッジでは、若松節が遺憾なく発揮された作品やありまへんどした。

それでも、家族系とゆうか、自治会コミュニティ系の人間キズナ映画としては、若松監督映画の、一般大衆的普及版のようなカンジで描かれておます。いわゆる、これぞ若松監督流の家族大河ドラマちゅうか、まあ、そないなノリどす。

ベルリン国際映画祭で評価を得た、変形夫婦ドラマ「キャタピラー」(弊ブログ内検索で出ます)やらやけど、家族ドラマはあったけども、妙にヒネくれておました。モチ、そこが妙味なんやけど、本作はある意味で、山田洋次監督的なとこを、ヒネリを加えて斜めから見てみたら、どないやねん? が見えてくるような、そんな映画やったです。

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若い人にスタデイしますと、若松監督は、映画撮影所時代(映画監督候補生が映画会社で採用されていた時代やろか)が斜陽化し始めた1960年代に、日本のインディーズ映画界(簡単にゆうたらポルノやろか)から、ひっそりと出てきはった方でおます。マニアックな方々を魅了してはりました。

でも、このインディー・スタイルは、本作を含めてもズーッと一貫しておったかと思います。昨日分析した、ミヒャエル・ハネケ監督作品とも、語弊はあるやもしれまへんが、その売れない作品性は一貫しておます。

故・原田芳雄とのコラボレート作品。例えば、全共闘世代の当時を描いた「われに撃つ用意あり」(1990年製作)や、全国公開の旅芝居一座の「寝盗られ宗介」(1992年)など、売れてもおかしくない作品もありました

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寺島しのぶネーさんは、若松監督の後期作品の、ポイントとなった女優はんどす。本作でも、語り部的な役柄で出はりました。

でもって、彼女が語るんは、女たらしな1家系に生まれた、3人の男たちの年代記どす。若松監督は王手の邦画会社からの依頼もあったらしいけど、これを断らはったらしいどす。

そして、ジャニーズ系アイドルの主演映画に背を向けて、俳優を抜擢してはったみたいどす。出てくる3人の男優…高良健吾、高岡蒼佑、染谷将太。

まあ、何の偏見もなしに見たら、3人共ジャニーズみたいと思われてもエエような、外見めいたもんは皆無やありまへん。演技派・高良クンのとこが、突出して描かれてはおましたが、高岡、染谷もアンニュイな、アイドル演技性に背を向けた演出ぶりが、意識的に目立ちます。

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それが功を奏したのかは別にして、一方で、本作の原作者である故・中上健次が描く、女好きの男の身勝手な演技性が、目立っておました。水谷豊が体現した「青春の殺人者」(1976年)ほどのディープ・インパクトはなくとも、高良クンらはケッコー頑張ってはりまっせ。

昭和映画の地方(三重県)ロケ映画らしさもあり、また海辺の定カットを始めとした、日本の田舎の原風景らしさを、随所で披露してはるんどす。サントラとしての三味線の使い方など、日本にこだわった作りもまた、渋く作品にアクセントを加えてはりますやろか。

ちゅうことで、最も分かりやすい、若松監督映画やと思います。若い方は、本作をまず見てでんな、気にいったら、徐々に監督の過去の作品へとさかのぼって、鑑賞してゆくのがベターやろか。とゆうことで、監督の最後の才気をば、お楽しみくだされ。

2013年2月21日 (木)

ミヒャエル・ハネケ監督の新作「愛、アムール」やー

カンヌ国際映画祭で2度目の最高賞・パルムドールをゲッティング!

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ほんで、今期オスカーでも作品賞&外国語映画賞やらにノミニーやー

本作が高評価を得てる理由とは何ぞやねん? を検証しま

http://www.ai-movie.jp

マーチ3月の9日サタデーから、ロングライドはんの配給によりまして、東京・Bunkamura ル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館、吉祥寺バウスシアターやら、関西やったら、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸なんぞで、全国順グリのロードショーでおます。

本作はフランスやドイツの出資も得た、オーストリア映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Les Films du Losange-X Filme Creative Pool-Wega Film-France 3 Cinema-Ard Degeto-Bayerisher Rundfunk-Westdeuscher Rundfunk

ミヒャエル・ハネケやて、みんな、知っとるか~。老夫妻役の主演男優ジャン=ルイ・トランティニャン、主演女優エマニュエル・リヴァやて、みんな、聞いたことあるか~。

そんな2人の娘はんは、イザベル・ユペールはんやけど、みんな、大丈夫かあ~。あと約1名。

出演もしてはる、フレンチ・クラシック界の名ピアニストらしい、アレクサンドロ・タローやて、みんなは知ってるやもしれんけど、ボクチンはさっぱりワヤでおます。

若い人らが見たら、この映画に対してどないな風な感想を持たはるんか、実はボク的にはそっちの方が興味がござりまんねんで。

でもしか、本作は間違いなく傑作です。但し、はっきりゆうて、ヒマやから映画でも見に行こか~ちゅう人とか、映画初心者やらには、全く向いてへん作品やと思います。

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ボクチンごとですんまへんが、ボクが傑作とジャッジした「桐島、部活やめるってよ」(2012年製作・日本映画)を、とある若い子に奨めたところ、見に行ってその子は「どこがオモロイんですか。金返してください」なんて、抗議してきましたがな。

いわゆる、フツーの映画的定石を外した映画、マニアックかつ映画芸術的映画、一見してもよう分からへん映画…。映画評論家筋では、それらをチョー上級編映画として規定してきたけど、でも、それでは後世に伝えられるような映画にはなり得ない。

素晴らしい映画であるんは分かるんやけど、永遠には残らないとゆうことなんどす。一般大衆的には、公開された当初から見に行きたくない、あるいは忘れられてしもとるわけどす。

でも、本作は違っておました。実に分かりやすい。でも、若い人にしてみたら、退屈なところがあります。例えば、説明ゼリフを駆使する2分、3分の固定の長回しシーンなんかが続くと、ついつい眠気が忍び寄ってきたりしよります。

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でも、こらえてくだされ。そのうちエエことが出てまいります。

ほんでもって、本作やけど、欧米の賞レースでは、メッチャ高い評価を得てはります。なんでやろか。ビョーキ・ドラマで介護系、しかも夫婦映画となれば、欧米ではこれまでに、ここまで徹底して描かれたんは、皆無に近いかと思います。

ガン、アル中、アルツハイマー、ヤク中やらイロイロあるし、日本映画にも多々あります。しかし、老々介護ものは、これまでにあったやろか。いや、ありまへん。その新しさが、まずあります。

夫婦映画をベースにして、室内劇・密室劇を長回しを入れて展開し、そして2段構えのサプライズを、用意するといった作りどすか。

しかも、それらをサントラなしの静けさで、映像と演技そのものの力で魅せてゆくところに、本作のキモがあると申せましょうや。冒頭のあわただしい流れと、ラスト・シークエンスの娘はんの静かなカットの、段差ある対比が、夫妻ドラマの渋みを囲っておました。

みなはん、上級編かもしれんけども、何とか頑張ってトライしておくんなまし。

2013年2月20日 (水)

コレは珍しおまっせ~な、デンマークの戦争ドキュ「アルマジロ」どす

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アメリカやらの映画先進国にはない、作り込みに圧倒されよります

戦闘シーンのグラグラなカンジに、眩暈が起こるやもな~

http://www.uplink.co.jp/armadillo/

弥生3月の2日土曜日から、アップリンクはんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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これまでの戦争ドラマ映画や戦争アクション映画やらは、映画好きなみなはんやったら、ケッコー見てはることでおましょう。ほしたら、本作を見たら、それらの映画と本作の違いは、よう分かるかと思います。

見出しにもあるんで、コレは珍しおま~なとこをば、チビチビ言いよりま。

さてはて、本作はまずドラマやなくドキュメンタリーどす。戦争ドキュてゆうたら、ほとんどの場合、戦場シーンを映し、その惨状ぶりをさらけ出すのんが、大がいやったかと思います。

ところがどっこい、本作はドキュにも関わらず、妙にドラマ的な作りで進行しとるように見えよりました。ドキュのように見せるドラマ、いわゆるドキュ・ドラマの反対、ドラマ・ドキュとでもゆうたらよろしおまっしゃろか。

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しかも、21世紀以降、特に9.11以降の戦争ものてゆうたら、モチ、過去の戦争ものも出とるけど、イラクやらアフガンもんの、対テロ戦争もんがかしましく出回っておます。

そんな中で本作は、例えばアメリカ作品と比較しても、ビミョーに違うとこがござります。但し、実話をベースにしたドラマ映画「ゼロ・ダーク・サーティ」(今年2月2日付けで分析)やらとは、同テイストがあり、共に衝撃的な作品なんやけど、こちらはあくまでドキュどす。

撮影スタッフは従軍撮影隊みたいなもんで、戦闘シーンでは、近接撮影による命懸けの撮影が続きよりまんねん。その意味では、臨場感は嘘っぽくホンマらしく見せるドラマより、生々しさが強烈至極やと申せましょうや。

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で、戦争映画でデンマーク映画やなんて、それだけでもサプライズがあります。

従来のアメリカ映画やそのほかの国が製作した戦争映画とも、ビミョーな違いがござりました。ネタバレに近いかもしれんけど、製作者側の感情をいっさい排して、そのままを映してはりまして、この種の映画の定番とも言える、戦争の空しさやらは訴えてきはりまへん。

むしろ好戦的とも取れるとこが、見え隠れしたりしよります。そのあたりは、完璧にアメリカ映画とは真逆の作りやと言えますやろか。

まあ、その点においては、「ゼロ・ダーク・サーティ」と同じ監督が作った、オスカー作品賞「ハート・ロッカー」(弊ブログ内検索で出ます)と似たようなとこがあるやもしれまへん。戦争に慣れて麻痺してまうとゆうか。

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タリバンと戦うアフガン南部のアルマジロ基地へ、6カ月の期間限定でデンマークの若人が、従軍志願しはります。

ほんで、現地で退屈なパトロール、休憩時間にはポルノを見たり、戦争ゲームやったりと、最初は全然平和やん!なんやけど、最初やクライマックスの戦闘シーンでは、ハンパやないとこが映されよります。

この静と動の作りは見た後も長く、余韻を深めよるやろと想像します。夜のグリーン・トーンやら薄暗いトーン(写真1枚目~3枚目)と、昼間のチョイ明るいシーン(写真4・5枚目)の対比効果もあるけど、総じて画面暗めのトーンに傾いておます。

モチ、作品性に合わせたもんやろか。バイオリン、チェロの弦楽をベースにしはった、重たい響きのサントラ使いも、戦争映画としてのダーク感を増しておます。

戦争ドキュとしては、マイ3本指に入る傑作やと、勝手にジャッジいたします。

2013年2月19日 (火)

刑事ドラマ「ブラインドマン-その調律は暗殺の調べ-」やー

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フレンチ・フィルム・ノワールの、新次元を示す会心作どす

ハリウッドに負けへん、リュック・ベッソンのヨーロッパコープ印やー

http://www.at-e.co.jp/2012/blindman

マーチ3月16日の土曜日から、アットエンタテインメントはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 EUROPACORP-FRANCE2 CINEMA

アクション映画が多い、リュック・ベッソンはんのヨーロッバコープ作品としては、こういうノワールもの刑事ものは、新領域に近いもんがござります。

フィルム・ノワールとゆうジャンルは、フランス映画界がルーツでおます。でも、ベッソンはんはこれまでは、ハリウッド映画に負けへんようなフランス映画として、アクション映画に力を注いできはったように思います。

でも、刑事もんでも、渋い1本をば作ってきはりました。今までの刑事ものとのビミョーな違いはでんな、刑事キャラクターの設定でおましょうか。女房亡きあとイヌ1匹と暮らす、うつ病の刑事キャラで、息子はんはゲイでおます。

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主人公の刑事(ジャック・ガンブランのアニキ)は、愛犬を相棒にして捜査しはるんやけど、ホンマの相棒は女刑事(写真4枚目)はんどす。ほんで、この女刑事が主人公に好意を寄せてはるんどすえ。

そやから、2人が歩き去る、遠近感あるラストシーンまで、ヒロインの熱い想いが、何気ないシーンで映されてまいります。本作を恋愛映画の視点で見ますと、ケッコー面白いとこがあったりしよります。アップのやり取りなんかも、エエ感じを加速しはるんどす。

一方で、ヨーロッパコープ作品としては、アクション・シーンが控えめになっとります。カー・アクションや銃撃戦や格闘シーンは、それなりにはあるんやけど、決してメイン・ソースやありまへん。

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キャラのユニークさで、魅せはるタイプの映画でおましょうか。

犯人役の造形も変わっておます。盲目のピアノ調律師なんやけど、アフガンへの従軍で失明し、別の名前で軍からIDをもろて、ほんで、軍の上司からゆわれて、5人の仲間のリベンジのために、イロンな軍の関係者を始末してゆかはりまんねん。

ほんでもって、主人公刑事との対峙・対決(写真1枚目と2枚目)が、大いなる見どころになっておます。ブルース・ウィリスなとこもある、ランベール・ウィルソンはん(写真5枚目)のドライでクールな演技ぶりは、ジャック・ガンブランはんの複雑系刑事演技ぶりと、妙に波長が合っておました。男対男の対決シーンに酔ってくだされ。

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雨の日のグリーン・トーンから始まる冒頭部から、さっそくサスペンスな胸騒ぎをカンジよりました。大仰なオペラが流れたり、ハリウッド映画にも負けへん、壮大なオーケストラ・サントラなど、音楽的にも魅了されたんどすえ。

とにかく、フレンチ・ノワールの新しい息吹が、そこはかとなく仕込まれた映画やったです。ぜひとも映画館で味わってもらいたい1本どす。

2013年2月18日 (月)

変種特撮ヒーローもん「ダークシステム-完全版-」

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日本のインディーズ映画に、果たして未来はあるんやろか?

男女の三角関係を、かつてのアニメ・ヒロイズムでさばいた1本やろか

http://www.dark-system.com/

弥生3月2日サタデーから、3月15日フライデーまで、SPOTTED PRODUCTIONSはんの配給によりまして、東京・池袋シネマロサで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

かつての正義の味方系アニメ・ヒーローものは、タダで見れたテレビを中心に、みんなのココロに深く強く入り込んでまいりました。

今の若者世代においても、その理屈はいっしょやと思います。ちゅうことで、そんな正義の熱きココロをば、少し変革系で取り込んでみはった作品が本作でおます。

恋愛の三角関係の構図の中で、大好きな彼女を恋敵に取られてしもて、それを取り戻すためのイロイロをやってやるっちゅう、単純かつ明快なストーリー展開の映画でおます。

なんやねん、コレは…とかなんじゃー、ソラーとか、まあ、モロモロ苦情もどきが出てきよるやろけども、でも、インディーズな自主映画の世界の、低予算で作った場合の作品レベルにおいては、上々の仕上がりになっとるかと思います。

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正義の味方系アニメをマジ・ドラマの中に取り込むと、どないしても理屈に合わへんとことか、リアリティーの問題、ほんで、安直感みたいなもんが付きまといよります。それらの余分な感じ方を、どこまでそぎ落とせられるんかが、この種の作品をオモろう見れるかどうかの分岐点やろか。

一番の不能点は、彼女のキモチが全く無視された上で、ドラマが構築されとるとこでおましょうか。女性の心理描写は、特撮的ヒーローものとは、ほとんどマッチしとりまへん。

「キング・コング」(第1弾は1933年製作・アメリカ映画)にしても、あくまでストレートなもんに終始しとりました。そのあたりにはタッチせずに、とことん2人の男の駆け引きでやってまうとこにこそ、本作の核がござります。

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結局、ナンチューの、男と男のバーサスとゆうのんを、どんな風に見せてゆくんかに、演出やらが集中しとるんどすわ。コンピューター仕掛けの引きこもり系の主人公が、相手をどう倒してゆくのんか。

ボク的にはコンピューター・ゲーム性を、映画史上初めて採り上げた「ウォー・ゲーム」(1983年・アメリカ)のセンスも、それとなくカンジられよりました。

でも、最も濃厚に感じるんは、ヤッパ特撮ヒーローもんやら、ヒーロー・アニメの世界でおましょうか。予算の関係上、チャッチーに見えてまう兵器類やけど、コレはコレで童心で楽しく見ようとしたら充分どす。あんまし突っ込んでもうたら、むしろ逆につまらなくなりよるかと思いまっせ。

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「おまえはもう既に死んでいる」とかの「北斗の拳」的セリフとか、トム・クルーズやら小説「タイムマシン」の文庫本やら、随所に本作を盛り立てるアイテムが仕込まれとります。

無名役者による映画やけど、でも、クライマックスのファントムと主人公の対決シークエンスには、胸が躍りましたえ。

インディーズ映画でアクション映画は、当然低予算なんで、そんなんハリウッド級なんか、とても見込めまへんけども、でも、見せたいとゆうキモチは、ひしひしとこっちに伝わってまいります。

映画への熱情に元気をもらってほしい映画こそ、自主映画の根幹やと思います。ぜひ映画館へ見に行って、体感してくだされ。

2013年2月17日 (日)

こんな戦争映画「メッセンジャー」もありますで

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戦死を知らせて回る2人の、相棒映画のノリなんやけど…

知らされる側の悲しみと、知らせる側のやるせなさがブレンドされて…

http://www.messenger-movie.jp

マーチ3月9日のサタデーから、インターフィルムはんの配給によりまして、東京・新宿シネマカリテやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2009 All the kings Horses, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

戦争映画てゆうたらヤッパ、イメージ的には過酷な戦場アクション・シーンが、展開するとゆうんが常套でおましょう。しかし、本作は室内劇・会話劇をメインにした戦争もんでおます。

捕虜収容所ものなどもありますが、戦争人間ドラマとして繰り広げられるもんなんやけど、本作は戦地ではなく、祖国にいて任務に就く兵士たちのお話どす。

任務とは、イラク戦争戦死者の最近親者に、戦死を伝える任務どすえ。告知するだけなのにも関わらず、知らせる側のやるせない思いと、知らされる側の悲しみが混じり合って、いくつかの告知シークエンスで感動的やったり、泣ける映画になっとったりしておます。

渥美清はんが主演しはって、仲間の戦死を知らせて日本を回る「ああ声なき友」(1972年製作・日本映画)などとも、シンクロするやもしれまへん。

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知らせるのんは2人で行くんで、知らせる側のドラマは、相棒ノリの映画にもなっとります。ウディ・ハレルソンのアニキとベン・フォスター君や。

「ラリー・フリント」(1996年・アメリカ)を出すまでもなく、ウディはんの持ち味は、ナンチューてもエキセントリック。本作でもメッチャ弾けては、いてはりまへんけども、エキセンなエキスがカンジられよります。酒と女にハマったり、キモなとこでは男泣きしてみたりと、エエ具合や。

ほんで、ベン君やけど、ボクはほとんど知らへんかったけど、抑制の利いたストイックな演技が、ケッコーうまかったどすわ。

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片や、知らされる側の演技者も、喜怒哀楽の怒哀を絶妙に演技してはります。チョイ役やけど、スティーヴ・ブシェーミはん(写真4枚目)の、いつも通りの怪演技性を散らつかせはる、怒りの演技。

そして、サマンサ・モートンのネーさんやー。5分以上の長回し撮影で長ゼリフをキメたり、フツーの怒哀やなく、ふつふつと渋くクルような演技によって、みなはんのココロにじわじわと迫ってまいります。

主人公役ベン君とモートンはんとのエピソードは、本作のキズナ部の、Wポイントの1つを担っておます。ラブ・ストーリーになりそうでならない、このポイントは重要どす。

もう一つは言うまでもなく、ベン君とハレルソンはんの、バカもやってまうっちゅう、相棒としてのキズナ描写どすか。

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冒頭やけど、イラクから凱旋したベン君が、別の男と婚約してる元カノと逢い引きし、派手なセックス・シーンをば披露しはります。ほんでコレが、クライマックスに当たる、ベン君とハレルソンはんが一緒に、主人公の元カノの結婚式へと、乗り込むシークエンスと連関しておます。

男2人がキズナを結ぶための、装置的伏線的なシーンとして印象的どした。

モチ、モートンはんと主人公の、別れのラストシーンは格別。その後に続くラストロールで流れる、ギターの弾き語りフォークの哀愁感なども。ココロに残るシーンが満載やと思いますし、泣ける戦争映画としての新生面がありまっせ。

ちゅうことで、映画館へ見に行くべしやで~。

2013年2月16日 (土)

オリバー・ストーン監督の新作「SAVAGES 野蛮なやつら」やー

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アメリカン・ニューシネマの現代バージョンでおます

クライム・ラブもんやけど、犯罪と恋愛は別々に描かれて…

http://www.yabanna-yatsura.jp

MARCH3月8日のフライデーから、東宝東和はんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで上映どすえ。

本作は「R-15+」指定映画でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

3_5ⒸUniversal Pictures

犯罪映画とラブ・ストーリーを融合させるナンチューのんは、至難のワザやないやろか。アメリカン・ニューシネマの名作「俺たちに明日はない」(1967年製作・アメリカ映画)でも、ラブ部よりもクライムの方が突出しとったかと思います。

まあ、この2ジャンルをミキシングするとゆうよりは、やっぱそれぞれに描くとゆうのがフツーやけど、それが自然な流れなんやないやろか。本作では、ミキシングをば志向してはりまへん。

但し、ラブ部では、男2人女1人の三角関係の構図を、三角をカンジさせずに、自然な恋愛関係に見せようと描いてはります。しかし、そのスムーズな関係を描いた映画は、これまでにはない! とボクは断言いたします。

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確かに本作は、ニューシネマ「明日に向って撃て!」(1969年・アメリカ)が、本編でもセリフに出てくるように、それを意識した作品やもしれまへん。でも、ビミョーな違いがあります。

本作を①とし、「明日に…」を②にして、2作品を比較してまいりますと…。②の列車襲撃強奪、銀行強盗は、①では麻薬密売稼業の、2組織の争いとゆう構図になっとります。ほんで、②では女役のキャサリン・ロスはんは、途中退場しはるけど、①では最後の最後まで付き合わはります。

3人の関係描写も、さりげなくさわやかにいった②とは違い、①はセックス・シーンやらを含め、バリバリの描写をキモにしてはります。そやからR指定なんやろけど、ボクは試写室では、映画館では映されへん「R-18」版で見よりました。

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おそらく首を切られる惨殺シーンとか、ホンマにヤラシーセックス・シーンとか、麻薬吸ってのハイ・テンション・シーンやらは、カットされるやもしれまへん。でも、隠さずに描き込まれるベタなシーンにこそ、本作の凄味があるとは思うんやけど、まあ、仕方ありまへん。

さてはて、主演の若手3人の役者よりも、脇役に回った俳優陣に、妙味がありましたやろか。悪徳刑事役のジョン・トラボルタはんや、麻薬ルートを描いた「トラフィック」(2000年・アメリカ)では刑事役やった、ベニチオ・デル・トロのアニキが、犯罪者役に回り、エキセントリックな役をばやってたり…。

サルマ・ハエックのネーさんも、わめき演技を含めて、キャリアのこれまでにないような、ユニークな演技ぶりどした。

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決着部は2パターンで、披露されてまいります。一番目は「トワイライト」最終版(2012年・アメリカ)にもあったような妄想系なんやけど、コレがケッコー、ボクチンのココロにきよりましたやろか。

アメリカン・ニューシネマな決着てゆうたら、みなはん、想像できますやろか。「俺たちに明日はない」や「明日に向って撃て!」はもちろん、「イージー☆ライダー」(1969年・アメリカ)、「バニシング・ポイント」(1971年・アメリカ)やら…。

でも、そのあとに披露される二番目の着地。ボク的にはウ~ンやったけど、楽しいサプライズやったかと思います。でもって、人質のやり合いをヤル犯罪部は、オモロい展開やったどすやろか。

1990年代後半以降冴えてへん、オリバー・ストーン監督やけど、本作は復調の兆しが見える快作やったです。

ちゅうことで、みんなで映画館へ見に行っておくんなまし。

2013年2月15日 (金)

フランス映画の傑作集③「ベルヴィル・トーキョー」

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本作の基本ラインは、夫婦のラブ・ストーリーなんやけども…

イロンな映画を薀蓄的に入れてんのが、今までと違う作りになっとりまっせー

http://mermaidfilms.co.jp/ffnw

マーチ3月から、マーメイドフィルムはんの配給によりまして、東京・渋谷[シアター]イメージフォーラムにて、全国順グリのロードショーでおます。

本作は「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」の1本として上映されます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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女性=フィーメイル監督による、フレンチ映画の第3弾でおます。監督は女優もやらはったけど、アート系映画館の仕事もしてはったとゆう、エリーズ・ジラールのネーさんどす。

そやから、映画館での現場シーンが、リアル感ある作りになっとるのが特注項目やろかな。でもしか、本作のベースになっとるんは、ラブ・ストーリーでおます。

映画館が1つの舞台になっとるだけに、映画的な薀蓄がケッコー出てまいります。しかし、そういうとことストーリー展開は、全くシンクロしとらへん状況やないかなと思いました。

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唯一ビビビときたんは、妊娠しとるヒロインと夫が、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「イノセント」(1975年・イタリア)をば鑑賞するシーンでおましょうか。赤ちゃんを殺してまうとゆうタブーなとこを出した「イノセント」の、一部を見せるとゆうのんは、そんな名作によりかかっとるとこもありながらも、本作へのビビビはあるかと思います。

「黒い罠」「夜」「ガンファイター」「風雲のチャイナ」「夜」「ラストムービー」「極楽闘牛士」などの映画が、セリフの中で言われよります。黒澤明ことクロサワ論についてのとこなどもありで、いろんな映画へのトリビュート的なとこが紡がれよるんやけど…。どこまで映画的視野が入っとるんかは、よう分かりまへんどした。

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音楽監督のエンニオ・モリコーネはんへの、トリビュート・シーンに加え、サントラ使いにも魅せられる作りになっとります。アドリブっぽいピアノ、本編で主人公&ヒロインがアカペラで歌ったり、ムーディーな男ポップスなど、ドラマ映えする音楽掛けシーンがイロイロありました。

トーキョーがタイトルに入っとりますが、ヒロインの夫が東京へ行ったとゆう逸話まがいがあるだけで、ほとんど意味をなしとりまへん。それでも、このトーキョー・東京の響きは、ビミョーに本作に影響を与えとるみたいどしたか。

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本編の中に出てきよる、映画館でやってる映画の渋みには、つい目が惹かれてまうんやけど…。確かに、一部の映画ファンには遡及しよる、ラインナップかも分かりまへん。しかし、そういう映画愛めいたもんを入れた映画とゆうのんは、これまでに多数出回っておます。

それでも、本作のレーゾンデートル(存在理由)をばゆうならば、ラブ・ストーリーよりも、ヒロイン映画としての、それでも前向きに生きてゆくとゆうとこらでしょうか。ありきたりかもしれんけど、つまりはでんな、一般の人には、メッチャ分かりやすい仕上げになっとる映画なんどすえ~。

2013年2月14日 (木)

フランス映画の傑作集②「グッバイ・ファーストラブ」

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基本は初恋映画やけど、その後の再会と別れまでを描出

歌ものポップスを流して、ラブ・ストーリー演出も巧みや

http://mermaidfilms.co.jp/ffnw

マーチ3月から、マーメイドフィルムはんの配給によりまして、「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」の1本として、東京・渋谷[シアター]イメージフォーラムやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2ⒸPaolo Woods

フランス女優監督による、フランス映画分析の第2日目でおます。

映画批評もやり女優もやってはる、ミア・ハンセン=ラブのネーさんの、映画監督作も早くも第3弾どす。彼女の前2作はボクチンは見てまへんどして、今作が初の鑑賞となりました。

初恋映画とゆうのんは、ケッコーござります。しかし、その初恋の行方を、2人が大人になってからも追いかけて、再会、そして再会後の別れまでを、しつこく描き切るとゆうのんは、そないありまへんでしょう。

高校時代。2人の親も公認の2人の恋愛が、まず描かれます。中学生やった「小さな恋のメロディ」(1970年製作・イギリス映画)より年齢は上、妊娠までしてまう駆け落ちの「フレンズ~ポールとミッシェル~」(1970年・アメリカ&イギリス)よりは温和な初恋どす。

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しかも、本編の前半では、歌ものサントラがケッコー流れてきよります。ギター弾き語り系フィメール・ポップス、男のポップス、男女デュエットによるギター・フォーク、穏やかなスロー・ナンバーなど、2人の恋をサポートするようなカンジで流れます。

また、2人の野山の散策デート部では、ギターやアコーディオンやらがアップ・テンポで軽快に流れて、ノリノリやとゆうてもよろしおます。

2人のラブラブ度合いの高さを映したまま、終わってまうんかとゆう恐れさえも、抱かせる前半の描写どした。しかし、後半は一転しまんねん。

高校を退学し、長期の南米旅行へ出かけたまま戻らない彼氏に、見切りを付けたヒロインは、建築事務所に入り、そこの社長と不倫から結婚へと発展し…。

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後半は、あまりサントラは流れてきまへん。ヒロインが結婚してる中での、彼氏との再会。ほんで、恋の再燃焼。こんな流れなんやけど、ヒロインの行動を淡々と映すことに終始し、ヒロイン映画としての渋みある静かなコクが、胸に刻み付けられてまいります。

不倫劇としても、三角関係の泥沼部はほとんどありまへん。あくまで、初恋相手とのつながりを強調して、最後までゆかはります。いくらでも過激にドラマチックに見せられたかとは思うんやけど、あえてそれをしなかったとゆうとこが、本作のミソになっとるようにも思いました。

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夫の不倫をメイン・ポイントにしてたけど、フランスの女流監督アニエス・ヴァルダはんが撮った「幸福<しあわせ>」(1965年・フランス)のタッチと、本作は妙に関連しとるようどした。不倫感を覚えない男や女の、ある種のエゴイズムが、見ていて違和感を感じさせるくらいに描かれておます。

初恋、不倫に関係なく、男と女のビミョーなラブ・ストーリーの綾や心の奥底は、イロンなテイストで描き込める、永遠のテーマなんかもしれまへん。ラブ・ストーリーに終わりはない。そんなことも考えさせてくれはった作品でおました。

2013年2月13日 (水)

フランス映画の傑作集①「スカイラブ」

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3日間連続で、フレンチ女優にして映画監督もしはった作品を分析いたします

初日は、大人部とコドモ部に分かれた、家族群像劇の快作やー

http://mermaidfilms.co.jp/ffnw

3月のとあるサタデーから、マーメイドフィルムはんの配給によりまして、東京・渋谷【シアター】イメージフォーラムにて、全国順グリのロードショーでおます。

本作は「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」の1本として上映されます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸPaolo Woods

フランス映画の、みなはんのイメージて、どないなもんどすやろか。

昨今では、アカデミー作品賞をば、フランス映画として初めてゲットしはった「アーティスト」(弊ブログ内検索で出ます)やったりとか、フランスで大ヒットし、ハリウッド・リメイクもされる「最強のふたり」(弊ブログ内検索)など、一時の不振がホンマかいな~と思えるくらい、全世界的に活気を取り戻してきはりました。

でも、それらの作品はいわゆる、メジャー系列とゆうことになるでおましょうか。一方においてはでんな、マイナー系の作品も日々作られておましてな、イロイロありまんねん。

そんな中で、女優はんが監督しはった作品のフレンチ最新型を、本日より3日間にわたり、分析批評してまいります。

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「トリコロール」シリーズ(1993~1994年製作・全3作・基本的にフランス映画)やらで、映画史に残るような演技を披露しはった女優はん、ジュリー・デルピーのネーさんが、自身も出演して監督しはったんが本作でおます。

ほんで、彼女の映画的嗜好やら映画的趣味やらが、存分に発揮されておます。彼女の趣味に付き合う気のない人でも、それなりに楽しめる仕上げにはなっとるかと思います。

群像劇は群像劇でも、親戚一同が会するタイプの、ファミリー群像劇でおます。まあ、「ゴッドファーザー」(第1弾は1972年・アメリカ)の血縁家族版とでも考えておくんなはれ。また、ロバート・アルトマン的群像劇なんぞが、彼女の意識下にあったそうどす。

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最初と終(しま)いがつながっとるタイプどすか。1家族が指定列車に乗って旅行に行くんやけど、その時、ワイフにしてオカンが、過去の家族パーティーを思い出すとゆうカンジで、お話が紡がれてまいります。

1970年代末期に、オバンのバースデー・パーティーに、親戚一同が会するとゆう映画でおます。ほんで、大人たち部とコドモたち部を、スパッと分けたような作りでおまして、それぞれのとこでイロンなエピソードが、描かれるっちゅう段取りどす。

それぞれが別々の話をして、バラバラな作りな感覚があるにはあるんやけど、でも、ラストではモチ、この種の映画のお約束のように着地してまいります。

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大人たちのディスカッション部シークエンスやら、小さな恋がナイーブに花咲くシーンとか、硬軟両用がバランス良く披露されてゆきます。バラバラのような群像劇が最後には一つに収斂してゆく作りなど、デルピー監督の映画作家センスの見せ場でおましょうか。

そんな中で、イロンな映画が時代性に合わせて、セリフに出てきよります。共にカンヌ国際映画祭で最高賞を射止めてはる、成長を止めた少年の話「ブリキの太鼓」(1978年・西ドイツ&ポーランド&フランス)やとか、戦争トラウマ映画「地獄の黙示録」(1979年・アメリカ)。少女が見たいとゆう「エイリアン」(弊ブログ内検索)など、時代背景を映画によって示すとこなんか、グッときました。

群像劇映画の新しどころを追求しはって、さわやかな鑑賞後感もある快作なんどすえ~。

2013年2月12日 (火)

主演男女優共に難役をこなした「体温」やー

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人形役と人間役を演じ分けはる、ヒロイン役・桜木凛ちゃんの巧みのワザや~

今どきのヘンタイ男を大マジにやってまう、石崎 チャベ太郎アニキのキモさやー

http://paranoidkitchen.com/movie/bodytemperature/main.html

如月2月23日の土曜日から、東京・オーディトリウム渋谷を皮切りに、全国順グリのロードショーやで~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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人形と人間のキズナを描くドラマ映画とゆうのんは、「ピノキオ」やらをルーツとしてそれなりに出回っておます。最近やったら、ヒットしてる「テッド」(弊ブログ内検索で出ます)なんぞも、その範疇に入るやろかと思います。

で、本作なんやけど、そんな人形が擬人化することもなく、描かれるタイプ。どちらかといえば、ブラック・ユーモアな視点がそれとのう入っておます。

最近でその前例を挙げると、人形は人形のままで描かれた「ラースとその彼女」(2007年・アメリカ)やったり、邦画では擬人化する「空気人形」(2008年・日本)なんぞがありました。でも、本作は人形はそのままで、その人形に似た実在の人物がいたとゆう、ユニークな導入部どす。

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但しでんな、冒頭部では、どこといってヘンなとこもなさそうな主人公(石崎 チャベ太郎)が、そんな人形とイロンなデート・スポットへ一緒にゆかはる、いわばケッタイなシーンが続きよります。

車椅子に人形を乗せての公園デートやったり、ボウリング場、ゲーセン、プリクラ、動物園に加え、バースデー・シーン。ほんで、人形とのセックス・シーン。フツーのような男が、こういうなんを映してゆくと、メッチャ奇怪に見えてまいります。

ほんでもって、そこへ愛する人形にソックリの生身の人間に出会い、ストーク。彼女が勤めてはるキャバクラへと、彼は行かはり(写真4枚目)、彼女からのモーションで、2人はエエ関係へと進行してまいるんどす。

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男女優2人共に、ゆうてみたら難役っちゅうことになりよるやろか。特にヒロインにおいては、人形役と人間役の1人2役をやってはります。瞬きできへんし、一つの表情のみをやり続けなあかんシークエンス(写真1~3枚目)。

一方で、モロ人間らしい気さくな演技や、ヌードも辞さずに、セックス・シーンをば披露するシーン(写真4&5枚目)など、その2つのキャラの演じ分けに、妙味がござりました。こういう1人2役演技は、そないありまへん。

松たか子ネーさんみたいなとこもあり~ので、魅せてくれはる桜木凛ちゃんには、今後も注目しといても、そんなに損はないと思います。

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確かに、生身の人間と人形の接し方の違いを、意図的に見せてゆくのは、ある種の違和感が伴うかとは思いますが、それでいて、それをできるだけスムーズに見せられるような工夫が、随所に張り巡らせておりました。

長回し撮影で見せたり、アップ・シーンの意表を突いた使い方、サントラを流さないやら。嘘の話を現実っぽく見せるとこにこそ、本作の映画的フィクション性になっとるんやないやろかな。

恋愛映画の少し違ったような、ハートブレイクな終わり方にも、哀愁感が深まったやろか。まあ、ノレル人にはノレル作りかもしれんけど、チョイ倒錯したとこに夢が見られるっちゅう、そんな映画にもなっとるんかもしれまへんな。

2013年2月11日 (月)

トラウマ・ヒロイン・ドラマ映画「マーサ、あるいはマーシー・メイ」

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いかにも若手監督の芸術性を見せるには、ピッタリの素材やー

「欲望という名の電車」や「ブラック・スワン」やらに、ヒロイン役の新人女優はんは、どこまで迫れたんやろか~?

http://www.marcymay.jp

2月23日から、エスピーオーはんの配給によりまして、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、3月2日のサタデーから、シネマート心斎橋やらで公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Twentieth Century Fox Film Corporation and MMMM, LLC. All Rights Reserved.

ロバート・レッドフォードが作った、アメリカのサンダンス映画祭で、監督賞をもらわはった作品でおます。サンダンスどすから、若手監督の登竜門どす。

ほんでもって本作は、アメリカの29歳の若手監督ショーン・ダーキンが、いかにもアメリカ・インディペンデント低予算映画のアート系映画をば、ここぞとばかりに作ってきはりました。

そして、本作の仕上がりは、最近妙に元気がなかったアメリカン・インディーズ界に、活気をもたらせる1作になっとります。とはいえ、若手監督の芸術性を示すのに、ピッタリの素材を選んでいるのは、少々わざとらしさは覚えはしよりましたけども…。

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過去にトラウマのある人間の、現在を描く映画とゆうのんは、これまでに多数のタイトル数があるんやけど、また、名作も多おますけども、作家性を示すには、これ以上ないくらいの好素材なんどす。

しかも、本作はヒロインもんどす。男の監督が新人女優はんを使って、作家性やら演技性のアート性を示すとゆうのんは、これまでに最も使われてきた、新人監督の手法なんやないやろか。ほんでもって、それを最も模範的な作り方で、捉えはったんが本作やと思います。

ともすると、いかにも優等生的な撮り方やら、演出度合いが鼻に突いたり、実験的な作りにポピュラリティーがカンジられないなど、いろんな弊害みたいなんがあるんやけど、そんなマイナス面を差し引いても、本作は実にシャープに、ココロをえぐるように魅せてはりまんねん。

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トラウマあるヒロイン映画としても、オスカー主演女優賞をゲットしはった、ヴィヴィアン・リーはん主演の「欲望という名の電車」(1951年製作・アメリカ映画)や、同じく主演賞をもらわはった、ナタリー・ポートマン・ネーさんの「ブラック・スワン」(2010年・アメリカ)に、勝るとも劣らない演技ぶり。

それをば実践しはったのは、22歳の新人エリザベス・オルセンちゃんどすえ~。

現在形と思い返す過去を、カットバックするとゆうより、まるで同時間軸に、交互に起こってるような編集ぶりで描かれるんやけど、まあ、こういう区別しないスタイルが、過去(写真4&5枚目)と現在(写真1~3枚目)がイッショクタになっとるヒロインの姿を描くに最もふさわしく、観客にもヒロインの混乱ぶりが伝わってきよるんでおますよ。

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簡単にゆうと、2年間カルト集団の元で、異様な生活を送ったヒロインが、そこを逃げ出して、既婚の姉のとこへ身を寄せるとゆう流れどす。ヒロインの異様な行動がチビチビと描かれ、ほんで姉やら姉のダンナはんと口論し、そして遂には…ちゅう展開でおます。

さてはて監督は、撮り方やらでも芸術性を示さはります。1~2分のミニ長回しやら、センターラインを視野に入れたカット(写真1枚目など)、頻出する1人に焦点を合わせて、あとはボカしてる構図やとか、映画的照明を余り入れない撮り方とか、映画的な撮り方ちゅうもんを、常に頭の中に入れて撮ってはります。そやから、本編全部が映画的な撮り方になっとる、とゆうても過言やありまへん。

夕景のセピアをバックに、車の後部座席に乗るヒロインをアップにした、2分近い長回しのラストシーンなど、余韻の深さやら謎めきなどに、見たあとウーンと考えさせられます。ちゅうワケでおましてな、後世に伝えたいヒロイン映画なんどすえ~。

2013年2月10日 (日)

東日本大震災のドラマ映画「遺体 明日への十日間」

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「おくりびと」の、東日本大震災バージョンとも取れるやろか

何度も込み上げてきよるシーンがあります

http://www.reunion-movie.jp

如月2月23日の土曜日から、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ西宮OS、MOVIXココエあまがさき、ほかで公開どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2013フジテレビジョン

震災映画としては、パニック・ムービーとしての括りやありまへん。震災の様子やら津波シーンやらは、いっさい映されまへん。そういうのんは、テレビ報道やらで吐き気を覚えるくらい見せられてまいりました。パニック映画のウラ版とゆうことになるやもしれまへんが、本作には胸に染み入るシーンが多々ござります。

釜石市の全景カットから始まり、被災前の人々の日常シーンが淡々と映されて、その次には死体安置所へとスライドしよります。その後は、廃校の体育館の死体安置所をベースにした、ホール室内劇がズーッと続いてまいります。震災ドラマやドキュでゆうたら、フツーは避難所やらへの取材をしはるもんやけど、安置所ベースはかつてありまへん。

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ほんで、静かに静かに、群像劇ドラマが、ドキュ・ドラマ・タッチで紡がれてゆきます。死体が次々に運ばれてきて、それを死体検案し、身元を特定してゆくとゆうことなんやけど、ナンチューても、周辺にいてはるボランティアや市役所の人や、被災家族たちの静謐なるドラマが、そのままのカンジで映されてゆくんどす。

そして、民生委員ボランティア役の西田敏行はんが、キャリア最高の演技で魅せてくれはります。安置所の様子を見に来て、その死体を扱う手荒さ・ヒドサに、市長に掛け合ってボランティア志願しはります。このおろおろさ加減は、リアリティーがバチバチどす。

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市役所職員役の筒井道隆アニキの「なぜ死体に話しかけるんですか」の問いかけに、西田はんは「人間としての尊厳を取り戻してもらうため」と答えはります。「死体じゃない。ご遺体だ」ともゆわはります。

葬儀社に勤めてはった過去がある西田はんの、徹頭徹尾、死体に優しく話しかけ続ける姿勢には、もうどうにもたまりまへん。「釣りバカ日誌」のあのお気楽ハマちゃん節とは、真逆の演技ぶりどす。

演技的において、死体にへつらい過ぎとちゃうかとゆう意見も、あるやも分からんけど、それは違います。本作には原作があるんやけど、コレはそれをナゾッていず、まさに西田はんのスタイルで通してはるんどす。孤独死に関する述懐シーンもシブかったわー。とにかく、グッときよります。泣けます。さらに、何気ないシーンに、泣ける要素が詰まっておます。

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例えば、僧侶役の國村隼が安置所に来て、読経するんやけど、あまりのむごさに途中で止まらはるシークエンス。例えば、何をやってええか分からへん市役所員役の志田未来が、こんなコドモたちが死んで私が生きてるなんてと、泣くシーンなど、泣かしたろかいとゆう視点は、ほとんどカンジられへん自然体なとこに、泣けるようになっとったり…。ほかにも、泣けるシーンがイロイロあります。

さて、本作はフジテレビが製作した1本で、君塚良一監督の新作なんやけど、フジテレビ的ファクトリー映画ノリは全くありまへんどした。むしろフジテレビが作ったのが、不思議なカンジさえありました。何はともあれ、感動的な傑作どす。今後もフジテレビはんがこういう作品を、いっぱい作ってくれはるよう、お願いいたします。

2013年2月 9日 (土)

動物パニック・ムービー「バーニング・ブライト」

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自宅内に姉弟2人が、シベリアン・タイガーと一緒に閉じ込められてもうたら…

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トラとの駆け引きが、スリリングな緊張感に満ち満ちて展開しよります

2月23日のサタデーから、ミッドシップはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷を皮切りに、全国順グリのロードショーでおます。本作は2010年製作のアメリカ映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2009 SOBINI FILMS ALL RIGHTS RESERVED

パニック・ムービーの新味や、新しき描き方を取り込んだ作品を、2日連続で分析いたします。本日は動物パニック・ムービーどす。本作は「ライフ・オブ・パイ」(昨年12月30日付けで分析)より、先行して描かれたトラ・パニックでおます。

ちゅうことで、ここで、恐怖の動物パニック映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露します。ここでは、モンスター、エイリアンはモチ、恐竜やら、巨大化した蛇やら蛸やらはハズしておます。

●ベスト⇒①ジョーズ(1975年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)②鳥(1963年・アメリカ・弊ブログ内検索で出ます)③ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

●カルト⇒①本作②クジョー(1983年)③クリズリー(1976年)

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●本作は実は、ベスト③と入れ替えても、エエんとちゃうかなとも思える映画どす。ベンガル・トラをCG、3Dで駆使したベスト③は、海洋パニック・ムービーも加味してモノゴッツーな迫力やったけど、対して本作は、室内劇によって展開するとこに、妙味・珍味がござります。

低予算とゆうとこもあるんやろけど、その代わり、トラと人の駆け引きが、緻密にハラハラドキドキをもって展開する、サスペンス度合いが強靭な作品になっとりまんねん。この種の映画で、室内劇でいくパニックもんも、珍しいやろかと思います。

自宅前の広い庭を利用して、サファリ・パーク業をやろうとしはるヒロインの義父が、サーカスのトラを闇で購入しはるとこから、本作は静かに始まります。

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オカンは故人なんやけど、ヒロインとその自閉症の弟がいはります。義理オトンとの間で、遺産的なことを巡って、対立してるようなとこも映されます。ほんで、カトリーナ級のハリケーンが迫りくる中で、自宅をクギ付けにしてでんな、閉ざさはります。

そこへ、UPシーンにより、誰かが家内に向けて、トラを檻から放つシーンがあります。その時、義理オトンは酒場にいてはり、家内はヒロインと弟の2人だけでおます。かくして、トラとの丁々発止の凄まじいやり取りが、展開してまいるとゆうことなんどすけども…。

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最初は静かなシーンが続きよります。それだけに、いつどないなことになるんかとゆうハラドキが、持続してまいります。そして、遂にヒロインがトラを発見や~。冷静かつ慎重な対応が求められます。でも、自閉症の弟は全くもって、命の危険をば認知してはりまへん。そんな弟を守りもって、ヒロインとトラとの仁義なき戦いが続くんでおます。

トラ視点による臨場感やら、近接撮影によるビビッドな恐怖感やら、クローズアップの連続で緊張感をあおるなど、狭い室内アクションに縛られながらも、ハラドキ度は絶品の仕上がりなんどすえ。

大ヒット中の「ライフ・オブ・パイ」を見たあとは、ぜひとも本作をご賞味あれ! でおまっせー。いやはや、逆でもよろしおま。

2013年2月 8日 (金)

本年度アカデミー賞8部門ノミネート「世界にひとつのプレイブック」

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今年のアカデミー作品賞は、コレやないやろか~

ラッセル監督、ラジー賞候補から本チャン奇跡の頂点へ、もうすぐかもな~

http://playbook.gaga.ne.jp

2月22日の金曜日から、ギャガはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸やらでロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.

今期オスカーで最多12部門にノミネートされとる、スピルバーグ監督の「リンカーン」は、まだマスコミ試写が行われておまへんけども、「リンカーン」未見の上で言いよりますと、ボクとしては本作が、最もアカデミー作品賞に近いんやないかと思いました(発表は日本時間2月25日)。

まず表層上のことをば言いますと、故シドニー・ポラック監督と故アンソニー・ミンゲラ監督が、本作の原作の映画化権を持ってはったんやけど、この2人が絡んだ映画は、作品賞をケッコーもうてはります。

ほんで、ボク的には、久々にメッチャ楽しめた、ハリウッド映画のラブ・ストーリーの、王道的快作やったです。男女がお互いトラウマを持つ映画のように見せながら、暗さなしのコミカル・ノリで終始し、ツボになるとこでは、ピシッとキメてくれよる作りがオスカー級なんどすわ。

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さらに、ラブ・ストーリーが、最近はそないないんやけど、総じて作品賞で健闘しとるとゆう過去もござります。

ほんでもって、デヴィッド・O・ラッセル監督のことを申しますと、監督第2弾「アメリカの災難」(1996年製作・アメリカ映画)が、オスカーの裏版ゴールデン・ラズベリー賞こと通称ラジー賞(最低作品賞)にノミニーされて、受賞はなんとか免れたちゅう過去がありま。でも、そんな最低ラインから、徐々に回復させはって、遂にオスカーの作品賞に、王手を掛けはったわけでおます。

さらにさらにでんな、「愛と追憶の日々」(1983年・アメリカ)以来31年ぶりに、オスカー主演助演全演技部門に、ノミネートされるっちゅう快挙になっとります。ほんで、そういう作品が作品賞に、最も近いのんは当然やろかと思うんどすえ。

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ちゅうことで、ナンチューても各役者陣が、キャリア最高とも言える演技ぶりを披露してはるんどすえ。そんな役者陣を分析してまいります。「HIT&RUN」(2月4日付けで分析)で、マジ・モードのハイテンション演技を見せた、ブラッドリー・クーパーのアニキ。「ハングオーバー」(弊ブログ内検索で出ます)の、コミカル・ハイテンションとミキシングして、本作の最高演技をクリエイトしはりました。

次に、写真4枚目のジェニファー・ローレンスちゃん。「ウィンターズ・ボーン」(2010年・アメリカ)やらで野性味あふれる、「島の女」(1957年・アメリカ)のソフィア・ローレンのような演技を、見せてくれはりましたけども、本作ではビミョーな複雑系を取り込んで、グッとくる演技へと昇華しはりました。

息子役のブラッドリーとのやり取りに渋みを見せる、オトン役ロバート・デ・ニーロはん。「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)的なとこもありで、21世紀のデ・ニーロ演技では、最高ラインを示してはるかと思います。

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あんましよう知らへんねんけど、主人公のオカン役ジャッキー・ウィーヴァーはんや、ダンス指導シーンでのクリス・タッカーの、当意即妙な演技ぶりにも、存分に魅せられました。

スティーヴィー・ワンダーのソウル・ナンバーが、ポイント・ナンバーになっていたり、共にノーベル文学賞をもろてはる、ヘミングウェイ「武器よさらば」とかゴールディング「蠅の王」とかを、主人公&ヒロインのエピソードの中に溶け込ませたりと、ディテール描写の素晴らしさにも目がいきよりました。

ダンス・コンテスト・シーンがクライマックスながら、その後の展開にこそ、恋愛映画としての感動がござります。21世紀最高のハリウッド・ラブ・ストーリーやと、ボクはジャッジいたします。

2013年2月 7日 (木)

下ネタ・オンパレード「バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!」

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「ハングオーバー」の、女たちバージョン狙いやろかな~

NYコメ「セックス・アンド・ザ・シティ」やらとの違いとは?

http://bachelorette.gaga.ne.jp

フェブラリー2月22日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらで上映どすえ。本作は「R-15+」指定映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Strategic Motion Ventures, LLC

女たちのニューヨーク・ラブコメにして、下ネタ旺盛のハチャハチャ系てゆう映画でおます。しかも、友達の結婚式に合わせて、その前夜に独身最後にバカをやってまおうとゆうお話なんで、まさに、おバカ男たちの「ハングオーバー」シリーズ(弊ブログ内検索で出ます)の、完全完璧無欠なる女たちバージョンでおます。

それに、NYコメの女3人バージョンてゆうたら、最新作ではどないしても、「セックス・アンド・ザ・シティ」(2008年・アメリカ)なんぞも視野に入ってまいります。しかし、そういうオトナな作品とは、相当違うタッチで描かれてゆく、若年層ヒロインたち映画でおます。バラバラ系なんやもしれんけど、最後はピチッとしとりまっしゃろか。

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結婚式とゆうのんが、大いなるポイントになっとります。まあ、ボク的にはあんまし見てへんねんけど、結婚式をベースにした映画の、マイ・ベスト&カルトを申しますと…。

●ベスト⇒①ウエディング(1978年製作・アメリカ映画)②モンスーン・ウェディング(2001年・インド)③ベスト・フレンズ・ウェディング(1997年・アメリカ)

●カルト⇒①ハングオーバー②本作③ウェディング・プランナー(2001年・アメリカ)

●ロバート・アルトマン監督方式の群像劇ベスト①、映画作家性がにじみ出たベスト②やら、世界的に大ヒットしたさわやか系のベスト③なんかのノリは、本作にはそんなにありまへん。ベースがどないしてもコメディになっとりますんで、そういう流れでドラマが展開するんやけども…。

結婚式を大マジにプレゼンするカルト③もあるんやけど、やっぱり結婚前のみんなによる、トンデモ行動具合が「ハングオーバー」と同じく、デッカイ見どころやと申せましょうや。

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キャメロン・ディアスのネーさんも恥じることなく、大がいフツーのように、下ネタコメをやってはりましたけども、女たちが思いっきし下ネタを、ペラペラシャベッてヘヴィーにやってはります。ゆうてみたら、そんなアホなとゆうてもエエくらいの、頻出度合いなんやけど、コレがケッコー楽しめまんねんで。

「ポーキーズ」シリーズ(1981年~1985年・全3作・アメリカ)やら「アメリカン・パイ」(1999年・アメリカ)なんぞの、学園もの男子たちのスケベ度よりも、はるかに上のジョークぶりどして、昨日分析した「15歳、アルマの恋愛妄想」のチョイ・シリアス調が、クエスチョンに思えるくらいの、お気楽度合いなんでおますよ。

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LAからNYへの航空機内で、隣り合った見知らぬ他人の男に、セックスについての実演系エピソードを、惜しげもなく披露する女とか、結婚式の挨拶で、男が昨夜元カノとやり続けて良かった話なんかを、大マジにするはずもなく、そのあたりの下ネタ・フィクション性が、大仰にヤラれ続けて、ついついなんじゃこら~、なんて思たりもするんやけど…。

本編の問題的には、友達なんやけど、ブタ女の花嫁のウエディングドレスを、2人で着て裂いてしもて、一晩の間に、それをどない修復するんかとゆう単純さが、キー・ソースになっとります。このシンプルさこそ、下ネタ・コメはモチ、オバカ・コメにとっても重要なソースで、それによって、クライマックスのスッタモンダがイキてまいります。

NYラブコメとしては、舞台がNYでなければアカンようなとこはないんやけど、これまでのもんとは異質な作りになっとるやろか。ノレない人にはウーン…やろけど、会話のアドリブっぽさもオモロイと思いました。

2013年2月 6日 (水)

青春ノルウェー映画「15歳、アルマの恋愛妄想」

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女の子版青春エッチ系映画が、北欧から登場するやなんて…

ハリウッドに多い男の子スケベ映画の、逆バージョンどすえ~

http://www.earthstar.jp/movie/aruma.html

如月2月23日サタデーから、アース・スター エンターテイメントはんとエプコットはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷(15歳以下は入場不可)やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Motlys

オンナのコたちの青春エッチ系映画どす。それが、なんとまあー、ノルウェーから出てくるやなんて、サプライズもエエとこどっせ。昨日もノルウェー映画をば分析しよりましたけども、ノルウェーのイメージがほとんどない点においてまず、本作はインパクトをば与えてくれはります。女子高生がスケベな妄想に浸るちゅうイントロから、ムムム…なんやけど。

まあ、ゆうてみたら、アメリカン若年層スケベ映画のオンナのコのバージョンなんやけど、この種のタイプはアメリカではそんなにないし、日本でも日活ロマンポルノであったかもしれへんけど、稀少価値がござります。しかも、ユーロ映画のこのタイプてゆうたら、ほとんどなかったと思うんやけど、どないでしょうか。

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ある意味では、青春映画にとって重要な、さわやかなとこもありまんねん。ヒロインの妄想は確かにヤラシーんやけど、見ていくうちに、なぜかスケベさがそれほどカンジられへんようになり、ほんで、ラストの方では、青春ラブ・ストーリーのノリになっておまして、なんちゅうのん、不思議なマジカルさのある映画でおました。

それでも、いやはや、ヤラシー言葉が頻出しよります。「アソコで突かれた」「チンチンアルマ」なんかのセリフが、日常会話のようにでんな、当たり前のように出てまいります。

でも、そんなセックス妄想好きのヒロイン物語は、ボクチン的にはなんかもしれへんけど、意外にも清純系の女子高生物語と比較しても、おんなじような感触がありまんねん。ストーリーの道行に、ヤラシー・モードがあるだけどして、そのヤラシサは決してベタで粘り気のあるヤツとは、趣を異にしておます。

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ヒロインのアルマだけやなく、アルマの同級生のオンナのコの話も、並行的に綴られてでんな、その対比ぶりや、2人のチョイと友情ぶりも、チョイ身に染みるようなことになっとるんどすわ。オンナのコたちの青春ぶりとしては、「ヴァージン・スーサイズ」(1999年・アメリカ)なんかもあるけど、でも、彼女たちは自殺はしはりまへん。

いかに悩みが深かろうとも、それでも前向きに生きてゆこうとゆうとこがあります。そやから、ボク的には、スカーレット・ヨハンソンとソーラ・バーチが共演した「ゴーストワールド」(2001年・アメリカ)的なセンスがあったかと思います。本作の隠れて話し合う場所が、「ゴーストワールド」のポイントやったバス停留所やったりも、そのあたりを匂わせます。

一方で、ノルウェーらしさもありましたえ。ノルウェーの田舎の冷えたような空気感が、終始画面に張り付いてるようなカンジが、グッときよりました。ロングショットとアップのバランス感もよかったどす。ノルウェー映画を見てへん方にこそ、必見の1本やもしれまへん。

2013年2月 5日 (火)

ノルウェーの今どきのファンタジー映画「テール しっぽのある美女」

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森の精霊を取り込んだ、北欧らしさはあるんやけど…

ナチュラルでさわやかな曲も、流れてきよりましてな…

http://www.at-e.co.jp/2012/tail

2月16日の土曜日から、アットエンタテインメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012 Yesbox Productions.

北欧ノルウェー映画をば2日連続で、ナビゲート分析してまいります。ボクチン的には、そんなにノルウェー映画を見てへんので、恐れおののきつつの分析でおます。

当然、ノルウェー映画らしさが盛り込まれとります。ノルウェーの森やなんてゆわれて、日本では小説でエライ有名なんやけど、そんな森が主な舞台となっておます。ほんで、ノルウェー、森、妖精・フェアリーの連想によりましてな、本作の骨格が形成されておます。

民話的伝説ともいえる、森の精霊フルドラなんちゅーのんが出てまいります。でも、ファンタジー的な作りやおまへん。ゆうてみたら、ノルウェーらしからぬ、ホラー映画チックなノリと申しましょうか。スウェーデンに、ハリウッド・リメイクされた「ぼくのエリ」(弊ブログ内検索で出ます)のような快作ホラーがあるように、ほな、ノルウェーもやってみましょかといった、軽いノリなんかもしれまへん。

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バラバラ殺人現場の処理に来た男2人の1人が、その凄惨さに吐くシーンやらの短カットから、本作は始まります。不穏どす。続いて、ブルー・トーンによる雪の森シーンが、イミシンな謎めき男のナレーションで映されます。ほんで、イエロー・トーンをメインにした、現場の地下室に入った2人は、水槽から突然出てきた謎の女に遭遇しはりまんねん。

地下室では従来のホラーの定番にのっとり、ハッとビビらせるシーンをば、いくつか設定してはります。そして、ビビリの核たるはヒロインでおましょう。驚きの尖ったデッカイ目。時に攻撃的やけど、膝を抱えて震えて怖がる女でもあります。そんな彼女のコドモ時代が、フラッシュ映像込みで時おり流されて、緊張感やら謎めき感を増してゆくカンジどすか。

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写真1枚目にありますように、過去にはしっぽのある少女ではあったんやけど、切られとる状態で出てきはります。虐待なんぞの今どきの問題やらも入れつつ、マトモな人間と、しっぽのある野獣的な人間の、「美女と野獣」(1946年製作・フランス映画)的な、絡み具合が示されてゆくんどす。

彼女と少しでもキズナの交流があった主人公たちが、なんらかの幸を得るところなど、フェアリー的な奇跡のシーンもあります。VFXなどはチャッチーかもしれへんけど、それなりに楽しめまっせー。

ほんでもって、サントラやー。チェロ、ベース、バイオリン、フルート、ギター、シンセまでもが、ナチュラルなさわやかさを運んでまいりました。出来のどうこうは横に置いといて、爽快な鑑賞後感のある作品やと思いましたえ~。

2013年2月 4日 (月)

アメリカらしい犯罪コメディ「HIT&RUN」やー

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カーチェイス始め追逃劇コメディのユニーク感が、テンコ盛り盛りどっせー

各俳優のハイ・テンションな演技ぶりが、物語を面白うする映画でおます

http://www.earthstar.jp/movie/hit&run.html

フェブラリー2月16日サタデーから、アース・スター エンターテイメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Exclusive Media Group Holdings, Inc. All rights reserved.

ハリウッド映画を含めたアメリカン映画が、大作やらセレブが出てへん映画は、日本興行界ではほとんど売れへん状況が、ズーッと続いておます。これまでにも、弊ブログで何度もゆうてきよりましたけども、でも、本作なんぞは見なけりゃ損やでーっちゅう、ユニークな新味を加えた、オモロイ作品になっとるんどすえ。

ブラッドリー・クーパー、ダックス・シェパード、クリスティン・ベルやなんて、みなはん、名前聞いて分かりまっかー。まあ、クーパーはんは日本公開された「ハング・オーバー」(弊ブログ内検索で出ます)なんぞで、ツッコミ系のマジ・コメディアンぶりを披露しはりましたけども、本作ではエキセントリックにしてマジギレな、コメディにはとても似合わへんとこを演技しはりました。

日本時間2月25日に発表されるアカデミー賞で、8部門にノミネートされとる「世界にひとつのプレイブック」(後日分析)では、キャリア最高とゆうてもええ演技をば披露。オスカー主演男優賞も十二分にありますで~。

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写真2枚目に写ってはる男女カップル。ダックス君とクリスティンちゃんやけど、冒頭からこの2人の、ラブラブ・シーンから始まります。ほんで、彼女がLAでの仕事の面接に行くとゆうんで、彼氏が改造した高級車もどきで一緒に、ロードするっちゅう前振りどす。

で、そのあとを、クーパーはん一味やら、彼女に恋しとる男やらホモの警察やら執行官やらが、追いかけてきよるとゆう展開でおますか。いやはや、トンデモ・キャラが満載どす。まあ、いちおうマトモそうなんは、2人カップルだけやろか。でも、言うほどには、オバカなシーンやアクションはあれへんかと思います。

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中でも大いなる見どころと申せば、カーチェイス・シーンでおましょうか。ストレートに2台のクルマが、追いつ追われつする「ブリット」(1968年製作・アメリカ映画)やら「フレンチ・コネクション」(1971年・アメリカ)やらのカンジとは違いよります。また、1台のクルマが爆走するタイプでもありまへん。昨日分析した「逃走車」とも違いますで。

ゆうてみたら、流れのままに適当にやってるちゅうカンジのカー・アクション。「トランザム7000」(1977年・アメリカ)みたいなシンプル系やろけど、滑り込みを随所に盛り込んだ本作のカーチェイスは、見ていてつい笑いとうなるような、コミカル・モードを付加してはるようどした。

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また、これまでに数度は映画で出てきよりましたけども、主人公のダックス君は、証人保護プログラムに認証されとって、いわゆる裁判まで保護されるべき証人とゆう設定になっとります。この種のパターンを駆使した映画としては、最もその設定を映画設定に、組み込み得た作品なんやないやろか。

さらにゆうとでんな、歌ものロック・ポップスをタイトに流すサントラ使いどす。同じくロードムービーやった「イージー☆ライダー」(1969年・アメリカ)も、そういう映画のルーツ的な名作やけど、本作もそういう作りを施してはります。「イージー…」ほどのシーンと音楽の融合性はないにしても、音楽と共にシーンが楽しめる逸品にはなっとりまっせー。

2013年2月 3日 (日)

全世界に先駆け、日本先行公開のカーアクション「逃走車」やー

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「ワイルド・スピード」のポール・ウォーカーのアニキが、サスペンスフルな逼迫演技で魅せるの巻

撮り方において、映画史上初の試みがなされよったでよ~

http://www.tousousha.com

フェブラリー2月23日のサタデーから、アスミック・エースはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 Vehicle 19 Films CC

カー・アクション映画ちゅうのんは、カーとカーの追逃劇が、あくまでメインどした。あるいは、一台のカーが走りまくったり、カー・レース映画やったりと、車を車外から捉えて、そのアクションぶりを魅せてゆくのんが、ほとんどやったかと思います。

そこをあえてでんな、車内にカメラを置いて車内カットだけで、85分とゆう全編を貫き通すとゆうのんは、映画史上未だかつてござりまへん。但し、ラスト・シークエンスだけ車外に出ますけども、それも数分程度だす。まあ、室内劇「十二人の怒れる男」(1957年製作・アメリカ映画)みたいに、最後はカメラは外に出るタイプと似ておるやもしれまへん。

ほんでもって、臨場感が薄れることを覚悟の上で、そういうカットばかりで撮り続ける効果とは何なんやろか。

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写真2枚目などは、外で撮ってるように見えますが、車内から車窓を通しての撮影シーンどす。確かに本編全体を通して見ると、実験的には見えよります。アクション映画を車内カットだけでいくことで、どんな風になるんやろかと、スタッフ陣も恐る恐るの撮影やったんやないやろか。

閉塞感を観客にカンジさせようとしたらしいけども、ボク的にはそんなに、息詰まるようなことはありまへんどした。それなのに、フツーのカー・アクション映画的なタッチが、濃厚にカンジられたんは、不思議やといえば不思議どした。車内から見るアクトもそう変わらないんかもしれへんけど、ヤッパ演技陣の健闘ぶりでおましょうか。

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なんちゅーても特筆すべきは、「ワイルド・スピード」シリーズ(2001年~2011年・アメリカ)で、21世紀のカー・アクション俳優の代名詞になってはる、ポール・ウォーカーのアニキの逼迫演技ぶりどす。

南アフリカのヨハネスブルグに、アメリカから妻に会いに来た主人公の役なんやけど、レンタカーに乗って妻が勤めるアメリカ大使館へ向かうだけやのに、大小関わらずの連続するトラブルに見舞われます。

ヒッチコック監督映画の「間違えられた男」(1956年・アメリカ)とか「北北西に進路を取れ」(1959年・アメリカ)なんぞの、ワケ分からへん災難に遭うとゆう映画どす。事件の内容は凄くシンプルなんやけど、ポールの演技や、前半のワケ分からへん系の災難ぶりが、物語を複雑そうに、謎めき度合いをば高めてまいります。

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南ア・ロケ映画はこれまでにそれなりにあるけど、世界一危険な街度合いを示したのは、本作が初めてやないやろか。

ほんで、撮り方に工夫を凝らしたクルマ映画とゆうたら最近では、トランク内をほぼ全編にわたって映した「ブレーキ」(弊ブログ内検索で出ます)やら、ドライバー犯罪者視点を貫く「388」(ブログ内検索)なんぞがありますが、サスペンス度、アクション度においては、本作がイチバンヤー、やろかな。

「96時間」(ブログ内検索)と同じく、性的人身売買に関わる事件やけど、その内実は車内カットの連続なんで、深くは描かれまへんけども、よう分かるようにはなっとります。イロイロと制約があるにも関わらず、ハラドキの逸品に仕立て上げはったんは、評価されるべき作品でおましょう。ちゅうことで、カー・アクションというよりは、カー・サスペンスのケッサクどした。

2013年2月 2日 (土)

ビンラディン殺害の実話ドラマ映画「ゼロ・ダーク・サーティ」

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日本時間2月25日に発表されるアカデミー賞で、作品賞含む5部門にノミネート中の作品どす

ドキュ・ドラマ・タッチの中で展開する、ヒロイン・ドラマとしての新しさとは?

http://zdt.gaga.ne.jp

如月2月15日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

本作は、2時間38分にわたるアメリカ映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Jonathan OlleyⒸ2012 CTMG. All rights reserved.

実話を描く場合には、ある程度の冷却期間やリサーチが、必要になってきよるでおましょうや。実話を基にした映画で、今年のオスカーの作品賞にノミネートされとるのんでは、本作と「アルゴ」(弊ブログ内検索で出ます)がおます。

「アルゴ」が1970年代末から1980年代初めの話やったのに対し、本作は2011年5月1日に起こった、ごくごく最近の大事件どす。事件から2年も経っておまへん。それでいて、凄まじい早業とも思える取材力により、ココまで詳細なリアリティーを持ち得た、骨太の作品をば作ってきはったんどすえ。

ただ、ドラマ的な練り込み度としては、時間的熟成がないだけに、「アルゴ」ほどのドラマティークを築けてへんかもしれへんけど、それでも、なかなか魅せてくれはりました。

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そのポイント・ゲッターはゆうまでもなく、主演のジェシカ・チャステインのネーさんなんどすえ。今期オスカーの主演女優賞の、大本命でおましょうか。ヒロインのプライベート部やら家族との関係やキズナやらは、一切描かれまへん。そういうスタイルで描かれるヒロイン映画は、まあ、新しいと申せましょう。

あくまで対ビンラディンへの執念で、CIA局員として言動してゆくドライな演技性にこそ、生々しいリアリズムがござります。最初は上司の拷問なんかをただ、付いて見てるだけやったんが、徐々に変わってゆかはります。特にCIAの女の同僚とのつながりは、彼女のココロの芯のように描かれます。

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一緒に赴任地・パキスタンの高級ホテルで食事中に、爆破に遭って命からがら2人で逃げたシークエンス。ほんで、その同僚がアフガンで自爆テロに遭って、死んでまうシーン。このシーンの演出は、ロングショット使いや間合い的にも、印象深いサスペンスあるシーンになっとります。

ヒロインが支局長に言い寄るあたりから、彼女の押しの演技が始まります。CIA局長らとの会議では、「(ビンラディンとの)連絡係を見つけたのはクソッタレ(私)」やとか、軍人たちに任務内容を説明して、「(国のためではなく)私のためにやって」なんて言ったりと、彼女が任務に深く入れ込んでゆく姿が描かれてまいります。

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モチ、重大事件の実話なんで、みなはんはほとんどのことを、いろんな情報によって知ってはるかとは思います。そのミッションぶりが大いなる見どころにはなるんやけど、でも、ヒロインの連絡係への執着ぶりに加え、作戦行動までへともっていくまでの言動ぶりには、熱気バチバチでおます。「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」(弊ブログ内検索)での、人に依存するような軟弱型の演技とは真逆どす。

暗視ゴーグル視点の薄グリーン映像と、照明を入れないドキュ・ドラマのタッチで魅せる、クライマックスの突入シーン。ほんでもって、その後のヒロインの、表情演技の奥の深さやー。ちゅうことで、男っぽい映画を撮り続けてきはった、女性監督キャスリン・ビグローはんらしい、ヒロイン映画の傑作となりましたでー。

2013年2月 1日 (金)

柴咲コウ&真木よう子&寺島しのぶ共演「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」

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ニッポン映画のコンテンポラリーな女性映画らしさが、満開した会心作どすえ~

明るい未来(!?)が見えてくる、癒やしの1本でおまっせ~

http://sumasa-movie.com/

マーチ3月2日のサタデーから、スールキートスはんの配給によりまして、全国ロードショーどす。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映や。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』製作委員会

女性3人の交流を描く映画どすが、ポイント・ゲッターは柴咲コウのネーさんどす。ちゅうことで唐突ながら、コウ・ネーやんの主演・出演作のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、手前勝手に披露いたします。

●ベスト⇒①GO(2001年製作)②メゾン・ド・ヒミコ(2005年)③バトル・ロワイアル(2000年)●カルト⇒①本作②県庁の星(2005年)③食堂かたつむり(2010年)

●柴咲コウ・ネーやんは、最初はベスト③やらで平成の梶芽衣子(「キル・ビル」でパフォーム曲「怨み節」が流れとった、オトコ勝りのオンナ役が映えてた女優はん)やなんてゆわれてはりましたが、ラブ・ストーリーのベスト①やら「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)やらに出て、徐々に女性らしいイメージをば回復しはりまんねん。

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ほんでもって、カルト作品は全て、サービス業の役をやらはったんを選んでおます。織田裕二と絡んだ、スーパーマーケットのパート従業員役のカルト②やら、自ら食堂をやらはったカルト③やら、徐々に接客の癒やし系演技を高めてきはりましたが、本作では遂にそのピークをば迎えはった感があります。

2人の女友達との関係性においても、好感度のメッチャ高い好演ぶりを見せてはります。2人を慰める演技性には光るもんがあり、感動もありま。しかも、ラブ・ストーリー的ポイントにおいても、井浦新との間に展開する、ナイーブな恋ゴコロ演技も新鮮どしたえ。

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さてはて、女友達役の2人の演技ぶりは、どないやったでしょうか。OL役の真木よう子ネーさん。「モテキ」「SP」(共に幣ブログ内検索で出ます)などの、攻撃的エキセントリックな役はやや控えめながら、自己ナレーションによるココロのツイート部では、ピリリとカラいことを呟いてはります。

寺島しのぶネーさんは、演技力を出すよりも、例えば「東京タワー」(2001年)みたいに、映画の流れに乗っての自然体な演技ぶりや。

柴咲コウを中心に、各人とのやり取り。そして、3人の交流シーンが、癒やし系をポイントに展開してまいります。女同士のキズナってなんなのか、女はモチ、男にも理解できよる作品やと思います。

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「自縄自縛の私」(1月25日分析)と同じく、コミカルな入り方の前半から、中盤・後半からはシリアス・モードが付加されてまいります。但し、本作は癒やしモードも入っとるんで、ホッとする和み度合いは、かなり高(たこ)うおますえ。

矢野顕子のピアノ・ポップスを聴いてる設定で、コウ・ネーが東京上空をヘリでゆく、俯瞰シークエンスは、そんな癒やしシーンのハイライトでおましょうか。

それなりにアップもあるんやけど、総じてロングショットを含む、映画的映像作りにこだわってはるとこにも、好感を覚えよりました。ちゅうことで、日本映画の女性映画としては、上々の仕上がりになっとります。

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