無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »

2013年1月の記事

2013年1月31日 (木)

イギリス&南アフリカ合作SF映画「ジャッジ・ドレッド」

Photo
アメコミやなく、イギリスのコミック原作のSF映画やー

シルベスター・スタローン版と、比較して見るも良しどすえ

http://www.judge-dredd.jp

如月2月16日の土曜日から、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、大阪・TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都やらで、全国ロードショー。

2D・3D同時公開どして、「R-15+」指定映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1_2

ⒸRena Films(RTY)Ltd. And Peach Tree Films Ltd.

本作のUK産原作のコミックは、1995年にハリウッドでシルベスター・スタローンを、主演にして映画化されておます。アメリカン・ヒーロー像として描かれたそっちの方は、原作のダークでバイオレントな感覚が、あんまし反映されておまへんどした。そこで、今回はそのあたりを矯正しはりました。

未来のNY舞台ながら、「第9地区」(弊ブログ内検索で出ます)で有名になった南アフリカ・ロケで対応し、イギリス映画として製作されましたで。未来都市の造形としては、スラム・フロアーもある高層ビルと廃墟エリアに2分して、明快さを強調。「ブレードランナー」(1982年製作・アメリカ映画)や「フィフス・エレメント」(1997年・アメリカ&フランス)みたいな、凝った造形はやってはりまへん。

2
それに合わせて、ストーリーも分かりやすうしはりました。その場でリー即処刑もできる、法の番人たるジャッジ・ドレッド(写真1枚目/カール・アーバンのアニキがやってるけど、最後まで顔の上半分は見せはらしまへん)が、バイクを駆って悪人退治に赴かはるんどす。そう、このバイカーとゆうスタイルは「マッドマックス」(1979年・オーストラリア)あたりから活性化しよりました。

ほんで、新人女性はん(写真2枚目/オリヴィア・サールビーちゃん)と実践試験の名目で、一緒にミッションをやらはりまんねん。彼女は相手のココロや過去が見えたり、「ザ・セル」(2000年・アメリカ)のジェニファー・ロペスのネーさんみたいに、相手の頭の中に入れるちゅう、エスパーな特殊能力をば持ってはります。それらはフラッシュ映像込みでタイトに示されます。

3
そして、2人が対する敵は、200階建てのアパート・ビルの最上階にいる女ギャング(写真3枚目)どす。こいつは、ビル全体を支配しとりまして、踏み込んできた2人をば、セキュリティ・システムを駆使して、ビル内に閉じ込めてしまいよるんです。ほんで、大勢いとる手下らとの対決が、始まるっちゅうカンジどすか。

「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ)以来、こうしたビル内バーサスはイロイロ出回っておりますが、ビルを高くしたり、たった1人でなく2人にしたり、銃撃戦の臨場感などに、工夫が凝らされとるやろかな。

4
特にオリジナリティーを覚えたのは、女ギャングが密売しとるスローモーとゆう薬どすか。どういう薬害があるのかは不明なんやけど、飲むと時間が長く感じられ、全てがスロー・モーションに見えるらしいどす。

そんなスロー・シーンを、遠近感あるカットでとらえると、3Dで見たら、メッチャ立体的躍動的に映っとるんどすわ。冒頭の俯瞰カットやら、連弾速射砲の銃撃に加え、最上階から落とされるスローなど、3Dで見た方が映えよるかと思いますで。

2013年1月30日 (水)

イ・ビョンホン待望の新作韓国映画「王になった男」

Photo

王と王の影武者の1人2役を、演技色を変えてヤラはります

室内劇がメインも、カッコイイ演説ぶりに魅せられまっせー

http://www.becameking.jp

如月2月16日の土曜日から、CJ Entertainment Japanはんの配給によりまして、東京・新宿バルト9やら、大阪・梅田ブルク7、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo

Ⓒ2012 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

突然やけど、イ・ビョンホンのアニキの、マイ・ベスト&カルトスリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①JSA(2000年製作)②甘い人生(2005年)③グッド・バッド・ウィアード(2008年)

●カルト⇒①本作②悪魔を見た(2010年)③誰にでも秘密がある(2004年・以上は全て韓国映画)

●彼の持ち味とゆうのんは、ベスト②のクールな殺し屋やったり、カルト②のリベンジ系の殺戮者などが主流どして、これまでにはヒューマニズムあふれる演技性は、それほど披露してはりまへんねん。

ベスト①もクールやったし、アクションで魅せたベスト③、チェ・ジウと共演したラブ・ストーリーのカルト③でも、感動のヒューマン映画とはいきまへんどした。でも、本作は大いに違っておましたえ。

1

確かに、イ・ビョンホンのために、作られた映画やもしれまへん。正義の味方的に、好感度の高い方向性で流れてゆくあたりも、彼のためのピン・ポイントになっとるでおましょう。

但し、演技性においては、気難しい攻撃的な男と、ヤワやけど人情味あふれる男の1人2役を演じ分けるとゆう、彼のキャリア史上かつてない難役でおます。

しかも、初の韓国の時代劇映画での主演や~。王役と王の影武者役どして、黒澤明の「影武者」(1980年・日本)なんぞを思い出させたりしますが、こちらはアクション・シーンよりも、室内劇にウエイトが置かれておます。

3
政治をばポイントにもしてはるんで、やはり映画映えするシーンてゆうたら、演説シーンやらのインパクトどすやろか。王の影武者たる男が、人民を想う熱烈な演説をするっちゅうのんは、少し説得力がないようにも思われますけども、その正当性ある論理やら熱弁節には、思わず食い入るように聞き入ってしもてまうんどすわ。

ヒューマニズムを示す映画としては、彼の作品では初なんやないやろかな。ほんで、宮廷エリア内の室内劇タッチも、妃と逃げるシーンのスローモー・シークエンスやら、最後の方では剣戟アクションもあるんで、アクション映画好きの人たちにもそれなりにアピールできるとこもありまんねんで。

2
法律など分からない用語が、セリフで頻出しよりますが、それはあくまで徹底的に時代考証をしはった結果どして、他意はありまへん。むしろイロイロ勉強できる点でもOKやろかなと思います。

日本では本作の背景の1616年てゆうたら、江戸時代初期の時代背景でおます。中国では明の時代どして、「ドラゴンゲート3D」(今年1月1日付けで分析)の時代感とも、シンクロするかなと思います。

でも、やはりナンチューても、本作はイ・ビョンホンの魅力に支えられた映画でおます。そやから、彼のファンにとっては、100パーセントこたえられへんような作品になっとるんどすえ。ほんでもって、ラスト・シークエンスの、彼の笑いのクローズアップは、深くココロに残る仕掛けになっとりまっせ~。

2013年1月29日 (火)

「コリドー」って一体なんやねん?

Photo_2
5人はなんで全員狂ってしもたんか?

意味不明の殺し合いの説得力のなさが、本作の見どころか

http://www.at-e.co.jp/2012/corridor

フェブラリー2月16日のサタデーから、アットエンタテインメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Kulwar Films Inc.

本作はカナダ映画どす。シチュエーションものサスペンスとしては、カナダ映画界では、「CUBE」(1997年製作・カナダ映画)とゆう快作がござりました。その設定には意味不明、説得力なし、説明不足などの、見る人によって不満を覚えはる点が、いくつかありましたわな。それでも、おもろかったやん。

それをセンスと呼ぶべきかどうやらは分からんけど、そんなセンスが本作にも入っとります。冒頭で超常現象的なホラーチックな、エピソードをばドーンと描き、ほんで数年後の、事件関係者たちの再会シーン、イコール高校時代の5人の同窓会が、描かれてゆきよります。

Photo_3

過去の事件の大仰そうな逼迫度合いに対し、再会シーンは最初はゆるやかなトーンで始まるんでおます。うん? なんでやねん。事件は5人の1人(写真2枚目の人)が、オカンを殺してしもたかもしれへん事件どして、その時そいつが4人の1人の手の平をナイフで刺し貫き、その後精神病院に入り、ほんで治ったかどうかは別にして、退院してきよったとゆうタイミングでの、この同窓会の開催なんどす。

ムムム、この流れはチョイムリヤリ感があるみたいやけど、まあまあ、そのへんは流しときましょか。もっともっと、どういうことなん? が続くもんどすさかい、ここはフツーどす。

2_3

コリドーとゆう名の“光の道”ナンチューのんが出てきよります。なんでんねん、それは? なんやけど、ボクもよう分かりまへん。

透明っぽいガラスっぽい空間の、ユガミみたいなカンジなんやけど、そいつを見たら、鼻血を出して、やがて気が狂ってもうて、意味不明の殺し合いを始めてしまいよるっちゅう、ワケ分からん設定どす。

ほんで、5人全員が見てもうたもんやから、いきなりサバイバル映画的なノリになり、最後までいってまうとゆう映画なんですわ。サバイバル映画には、モンスターや極限状況などの芯があるんやけど、本作はその芯を曖昧なもんにしてはるんどす。

1_2
説明できないもんによって、サバイバルが展開するんは、超常ものの根幹かもしれんけど、本作はかなり強引で異質。でも、マニュアル外しの冒険性は十二分にあります。

そういったところが重なった上での、殺し合いシーンこそがデッカイ見どころやし、最後には1人が生き残る(写真4枚目のロングショット)とゆう定番も、それゆえにユガミ感のあるオリジナル性にもなっとります。ラストシーンをフォーカス・アウトで、終わる点やらも渋いやろか。

ギターの弾き語りスロー・ナンバーが、冒頭とラストロールで流れるんやけど、本作の奇天烈な作品性とは、素晴らしくも合っておりまへん。そうゆうミスマッチなとこも、ココロそそらせる逸品なんどすえ~。

2013年1月28日 (月)

チェルノブイリ原発もの映画「故郷よ」

Photo

ヒロインものをメインに、群像劇スタイルでいった社会派映画でおます

フランス・ウクライナ・ポーランド・ドイツ合作の2011年作品どす

http://kokyouyo.ayapro.ne.jp/

2月9日の土曜日から、彩プロはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座やら、大阪・梅田ガーデンシネマやらで全国順グリのロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Les Films du Poissons

チェルノブイリ原発事故の実態を描いた、ドラマ映画どす。原発事故もんのドラマもんは、実はそれほど多くはなく、まあ、希少価値の高いもんやと申せましょうや。

ゆうてみたら、スリーマイル原発の事件を描いた「チャイナ・シンドローム」(1979年製作・アメリカ映画)やら、邦画なら「原子力戦争」(1978年・日本)あたりが、その種の社会派ドラマとしてはルーツ作となるやろか。

しかし、福島原発事故に合わせるようにでんな、チェルノブイリもんがチョクチョク出回るようになりました。いわゆる、過去を振り返り今を探ろうとゆう、温故知新的なスタイルもんどすか。但し、本作は事故から25年の歳月を経て、立ち入り制限区域内で撮影された、初のドラマ映画となっておます。

1

それは映画PRポイントになるんやろけど、それをヒロイン映画をメインに、群像劇スタイルでやらはったんは、モチ、珍しいどす。また、ラストシーンなどで示される、運命的なすれ違い再会の描写など、泣かしたろかいなとゆうストレートな意図やなく、あくまで自然体の流れに即してはります。

ほんで、ミハル・ボガニムとゆう女性監督の作品だけに、ヒロイン部の描写を始め、女性らしい繊細さも打ち出してはるんどす。ヒロイン役のオルガ・キュリレンコ・ネーさんの美しさなんぞも見逃せまへん。

3
オルガ・ネーはウクライナ出身どして、「007/慰めの報酬」(2008年・イギリス)のボンドガール役で一躍、世界中の人々に知られる存在とならはりました。ハリウッドやらでは稀なロシア系の美人女優はんで、本編ではヌード・シーンも披露しやはります。

基本ラインは1つの映画の中で、3話オムニバスをヤルっちゅうカンジなんやけど、ベース的には、ヒロイン・ドラマ部と父子ものの2話(写真1枚目と2枚目)があるような体裁でしょうか。1986年の事故当時とその直後をまず描き、そして、1996年へと場面転換する構成なんやけど、中途ハンパなカットバックを使わずにやらはったんは正解でおましょう。

2_2
事件前・事件後が時の流れと共に、分かりやすく示されるんで、商業映画に慣れ親しんではる人にも、十二分に理解できる作りになっとります。「アウトブレイク」(1995年・アメリカ)なんぞを思い出させはる、事件直後の様子(写真3枚目)も、よう分かります。

ほんで、自然光をメインにした配色使いなんで、薄グリーンな雨の日とか、グリーンな放射能の煙とか、ダーク感より色のない薄ら寒さ感(写真4枚目)とかが、如実にこちらに伝わってまいります。

さらに、サントラ使いも計算されとるようどしたえ。アコーディオン、ピアノと打楽器、ピアノ・メインのフュージョンっぽさなど、シーンに合わせて使い分けてはりまんねん。ヒロインが歌う「百万本のバラ」披露シーンなども、歌もの使いとしての効果がありました。

ほんでもって、みなが故郷を想う姿には、ひとしおの感慨を覚えよりました。原発うんぬんを抜きにして、人間ドラマを味わってほしい逸品どす。

2013年1月27日 (日)

高良健吾&吉高由里子共演「横道世之介(よこみちよのすけ)」

Photo

「苦役列車」や「セカチュウ」やらと同じく、昭和末期の青春模様を捉えたケッサクでおます

トンデモフツーの大学生キャラと、トンデモお嬢さんキャラが巻き起こす、プラトニック・ラブ・ストーリーやでー

http://yonosuke-movie.com/

2013年の如月(きさらぎ)2月23日の土曜日から、ショウゲートはんの配給によりまして、全国ロードショー。関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

4
Ⓒ2013『横道世之介』製作委員会

学園ものでも、大学生たちをメインに捉えた1本でおます。過去を振り返ると、小中高もんでゆうたら、高校もんが圧倒的に多いかとは思うけど、大学生もんも、往年の加山雄三の「若大将」シリーズ(1961年~1971年製作・全17本)やら、実はケッコーなタイトル数がござります。ただ、最近はなんでか、あんまし出とりまへんどした。

長崎から上京して東京の大学に通う青年が、恋や友情やらをはぐくんでゆくストーリー展開なんやけど、コレがフツーっぽいようでいて、フツーやありまへん。

その主人公役・高良健吾クンの平々凡々たる消極的なキャラが、いろんな面白いエピソードを紡いでゆくとゆう、青春恥ずかし嬉しや面白系どす。ほんで、ナンチューても、吉高由里子ちゃんが演じる、主人公の恋のお相手役でおます。

1
富豪のお嬢はん役なんやけど、彼女はなんと、ダサそうなそんな主人公にホレはりまして、モーレツなアタックを掛けはります。初対面では、彼の言葉にいちいち大笑いしはり、おいおいナンチュー、コメディエンヌなキャラやねんとゆう驚きがありました。

例えば、彼女のオトンが「東京湾を埋める仕事をしてる」に対し、彼が「東京湾に(死体を)埋める仕事」と返すと、大笑いして、オトンに伝えときますときはります。でも、この2人の初対面シーンは、その後のラブコメ・ストーリーの流れを決定づけます。

でもって、現代へとスライドした時に、由里子ネーさんが過去を思い出して泣くシーンの、クローズアップへとつながります。笑いながら見ていたのに、いつの間にか「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)的な、シリアスな感動シーンへと変換するのんは、ハットトリッキーどした。

3
そして、本作は昭和映画でも、昭和末期もんどして、1986年をキーにした「セカチュウ」、最近やったら「苦役列車」(2012年6月24日付けで分析)やらの雰囲気が濃厚に宿っておました。

アドリブ的な流れをキープする、1分から3分くらいまでのミニ長回し撮影が、よう出てきよりまして、そのつど印象的なシーンをばクリエイトしはりまんねん。中でも、クレーンを使いながら、雪降る中で2人がキスするシークエンスは、絶妙どしたえ。

2
「苦役列車」と同じく、芥川賞作家・吉田修一の小説が原作でおます。吉田修一原作ものやったら、「パレード」(幣ブログ内検索で出よります)や「悪人」(同じくブログ内検索)やらがござります。

しかし、本作は最も人口に膾炙(かいしゃ=人気を得る)しそうな、みんなが感情移入できて、ウーンとうなれる、彼の原作もんの普及版的な仕上がりになっとります。ある意味で、「寅さん」の消極型大学生版とも、取れるカンジなんでおますよ。

主人公のオカン役・余貴美子はんの、ラストシーンのナレーションを含む渋みやったり、「渾身」(2012年12月7日付け)とは真逆のハスッパぶりを、示さはる伊藤歩ネーさんやら、バイプレーヤーたちの好サポートぶりも光っとりました。

ちゅうことで、本編2時間40分がアッとゆうてる間に過ぎてまい、今少し主人公と付き合ってみたかったと思う、妙に名残り惜しささえカンジる作品でおました。

2013年1月26日 (土)

3話オムニバス・ムービー「同じ星の下、それぞれの夜」

Photo
アジア各国を舞台に、各日本人ビジターが右往左往するお話でおます

メジャーやないタイ、フィリピン、マレーシアの3カ国が舞台どす

http://www.onajihoshi.com

よしもとクリエイティブ・エージェンシーの配給によりまして、2月9日の土曜日から、東京・テアトル新宿やらシネ・リーブル池袋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

大阪やったら、2月23日から第七藝術劇場やらでヤラはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1
Ⓒ2012「同じ星の下、それぞれの夜」製作委員会

短編・中編オムニバス映画とゆうのは、これまでにケッコーなタイトル数が出ておます。各監督はんは一つのテーマに沿って、映画を構築してゆくんやけど…。

洋画やったら、ボクは9.11ものみたいな社会的なもんより、「ボッカチオ'70」(1962年製作・イタリア&フランス合作)的な、縛りなくフリーキーにやるのんがスキどすやろか。

ほんで、ここで、日本映画に限定して、マイ・ベスト&カルト・スリーをばやってみます。1人の監督のオムニバス系も入れておます。

●ベスト⇒①怪談(1964年)②にごりえ(1953年)③怖がる人々(1994年)

●カルト⇒①バカヤロー!私、怒ってます(1988年)②いぬのえいが(2004年)③本作

4
●実は、この種の短編集は20世紀末から21世紀の0年代にかけて、邦画ではかなり作られとったかと思います。「Jam Films」(2002年)など、3作が作られてシリーズ化されそうやったけど、やはり、トータリティーでの収束力を、持続するのは難関なんやろかな。

ベストの方は1監督によるもんなんで、監督の作家性を存分に披露できよります。監督がバラバラのヤツは、みんな違う方を向いてるみたいやし、結果としてはショート・ショート・フィルムの、寄せ集めにしか見えてこなくなったりしよります。

でも、カルトはシリーズ化された①、イヌをテーマにコミカル・モードで統一した②など、方向性・ポイントがキチッとしとるんで、分かりやすくて面白い。

2
そして、本作もそうなんやけど、この種の統一設定もんにおいては、今までにはないようなシチュエートをば、やらはったかと思うんでおますよ。アジアの国へ日本人が訪れる中で展開する、ドラマとゆう設定どす。

しかも、韓国・中国・香港・インドやら、映画的にも先進してるようなとこやなく、タイ、フィリピン、マレーシアでおます。そんな中で、ユニークでオリジンあふれる3話が届けられましたで。

各3話のタイトルは⇒①チェンライの娘(写真1&2枚目)②ニュースラウンジ25時(写真3&4枚目)③FUN FAIR(写真5枚目)

①は、どうでもええ加減な男のドラマどして、オンナ2人とのタイ・ロードムービー仕様。②は、日本本社ニュース男アナウンサーと、フィリピン現地女レポーターとの遠恋。ほんで、③はヤギとのロードもほのぼのな、オンナのコのロードムービーや。

3
①は「サウダージ」(弊ブログ検索で出ます)の富田克也監督の逸品や。「サウダージ」で描かれた、どうでも男像はここでも健在どす。1分から2分あたりのミニ長回し撮影を駆使しもって、娼婦女の故郷へと、主人公が一緒に帰るっちゅう、ヘンテコなロードが描かれます。なんやねん、コレはってとこもあるんやけど、妙にクセになりまんねん。

②はムーディ勝山の、東京とフィリピンを日々日帰りするテンションに、笑えるコメやろか。主人公を振り回す恋のお相手役の、阿部真理ネーさんやけど、長澤まさみと鈴木京香をブレンドしたような、演技性に魅せられましたやろか。

③が、ボク的には3本の中で最高傑作やろか。ほとんど差はないんやけど。言葉が通じない中での、写真の3人のやり取りは、大いに笑わせてくれはりました。「ロッタちゃん、はじめてのおつかい」(1992年・スウェーデン)なんぞを、遥かに超えた傑作どしたえ。

2013年1月25日 (金)

竹中直人監督作品「R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私」

Photo

自縄自縛癖の変なヒロインの、人間ドラマ映画でおます

でも、コミカル・モードがシリアス・モードへと、転回する快作どすえ

http://www.r18-jijojibaku.com

2013年2月2日の土曜日から、よしもとクリエイティブ・エージェンシーはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、109シネマズHAT神戸やらで上映やー。「R-15」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

4
Ⓒ吉本興業

竹中直人監督の新作どす。竹中作品の1つの特徴として、女優はんを美しく撮らはるとこがござります。鈴木京香の「119」(1994年)やったり、中山美穂ミポリンの「東京日和」(1997年)、天海祐希との「連弾」(2000年)、原田知世「さよならCOLOR」(2004年)やったりしよります。

でも、本作はイロが付いてへん、無色透明な女優・平田薫ちゃんを起用しはりました。ほんで、セックス・シーンなど、メッチャヤラシー作りをしてはりまんねん。

竹中直人はんは俳優もモチやってはるんやけど、かつては日活ロマンポルノにも出て、「ヌードの夜」シリーズ(1993年・2010年)では、余貴美子はんや佐藤寛子ちゃんと絡んで、いわゆるヒロインものとしての、オンナのサガみたいなんに、興味を覚えはったんでしょう。今作で遂にとゆうか、やっととゆうか、変態チックなヒロイン映画に挑まはりました。

1
明日分析しよります、柴咲コウ主演の「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」のマットウな日常系ヒロイン映画とは、真逆の作りになっとります。

ストレスが高じると、一人部屋で自縄自縛のナワ縛りをして、自己を解放しはるヒロインとなりますれば、どないしても暗いカンジの映画になりがちどす。ところがどっこい、竹中監督は、その重たいカンジを、製作に関わってはる吉本らしい、コミカル・ノリを付加して緩和しはります。

監督のナレーションに乗って、手書きのイラストを挿入し、登場人物たちをオチャラケ調で解説しはるとこなんか、絶妙でおました。でも、後半以降はシリアス・モードが増して、映画作家性を遺憾なく発揮しはるんどす。

2_2
そのポイントになっとるのは、構図が考え抜かれた、2~3分の長回し撮影部でおましょうか。狭いエリアの室内劇では、鏡とゆう小道具を使って、ヒロインと彼氏のやり取りを見せたり、居酒屋で酔っ払う上司役・安藤政信アニキとヒロインのツーショットやら、ナワ縛り中のヒロインの部屋へ入る安藤のカットやら、カメラのヨリとヒキを巧みに使った構図がエエカンジどす。

その安藤のヨッパライ演技、津田寛治のもだえ演技など、各役者はんがこれまでに披露せえへんかった、新領域の演技へと挑戦してはります。

3
LOVE PSYCHEDELICOのタイトなミディアム・ナンバーが、ラストロールで流れて、ある種さわやかな余韻を残してエンディングとなりま。入りは暗そうでも、出口は明るい快作なんどすえ~。

さてはて、ここでチョイ個人的なお話を披露いたします。本作の美術監督やっとる斎藤岩男は、ボクの同志社大学時代の同窓どした。当時、映画会社の現場の求人てゆうたら、ロマンポルノの日活しかなく、仲間の何人かと共に就職試験に臨みました。ほんで、彼だけが美術監督として日活に採用されよったんどすわ。「きっとSMのナワ縛りの具合とかを、調節するんだろうな」なんてゆうとったんやけど、本作こそまさにソレやがな。

でも、彼は「リング」(1998年)を始め、全米No1になった「THE JUON/呪怨」(2004年・アメリカ)やらでハリウッドにも起用された、まさに世界の美術監督なんどす。ホンマかいや~。ホンマやで~。縁の下の力持ちをチェキ視点で、映画を見てみんのもええかな~と思います。

2013年1月24日 (木)

セレブ・ドキュのアメリカ映画「ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」

Photo
今やアッチの世界へ行ってしもた人のお話でおます

既に逝去してはる有名人のドキュ的描き方とは?

http://dv.gaga.ne.jp

2月9日のサタデーから、ギャガはんとシネマライズはんの共同配給で、シネ・リーブル梅田ほかで、全国順グリのロードショーでおます。シネ・リーブル神戸は3月2日から、京都シネマは4月13日からどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2
ⒸMAGO MEDIA, INC. ALL RIGHTS RESERVED

既に死んでしもたセレブ・ドキュメンタリーやて、そんなん今までにいっぱいありましたわなー。まあ、ジャンルでゆうたら、本作のヒロインはファッション、モードなんやけど、イヴ・サンローラン、ココ・シャネル(共にドキュやドラマ映画で採り上げられておます)やらのデザイナー・アーティストとは違いまして、ファッション雑誌の編集者・編集長でおます。

さてはて、ボクチンやけど、衣食住についての映画については、ことに急所がありましてな、苦手な項目となっとります。そやから、ファッション雑誌は単にファッションを、紹介するだけやと思とったんどすわ。

ダイアナやてイロイロいてはるけども、このダイアナはんはファッションをコーディネートまでしはって、ほんで単なる雑誌モデルはんを、ハリウッド女優、大ヒット・シンガーにまで昇華させはりまんねん。ローレン・バコール、シェール、バーブラ・ストライサンドやら。うーん、スゴイわ。

1
映画的シンクロとして、時代的に出てくるとこでは、ヒロインが息子たちと見たとゆう、リンドバーグを描いた「翼よ!あれが巴里の灯だ」(1957年・アメリカ)とか、本作ヒロインのモデルが出てくる、オードリー・ヘプバーン主演「パリの恋人」(1957年・アメリカ)や、「ポリー・マグー お前は誰だ」(1966年・フランス・モノクロ)とか…。

ダイアナはんはハリウッドへも、アプローチしてはった逸話がありますし、ジャック・ニコルソンはんのファンどした。ハーレムの黒人たちだらけの映画館の観客の中で、ニコルソンが私立探偵役に扮した「チャイナタウン」(1974年・アメリカ)を、初めて見た時のエピソードなど、ナレーションでしか示されませんけども、なるほどなと思いました。

Photo_3
さて、ダイアナはんの親戚の方が撮らはった映画らしいどす。親戚が撮ると、どうしてもプライベートになったり、普遍性がなかったり、偏向系のトリビュートもんになりがちなんやけど、本作は何とかそのラインをば、避けられるような作りにはなったんやないやろか。

逝去前の1980年代のヒロインの、インタビューがベースになっとりまして、雑誌関係者や息子たちに加え、セレブやモデルたちのインタビューも織り込んで、ドキュらしさを形成しつつ、オリジナルでフィクションなとこも随所に入れてはるんどす。モノクロ写真・映像などを、談話とは直接関係ない視点で挿入したり、アニメ・カットや、緑の草原のイメージ・カットなんかも、フィクション的な面白さがあります。

但し、息子たちを含め、家族部の描写が弱いやろか。夫が浮気してたらしいけど、そうしたとこは描かれへんのは、少々不満やけども…。でも、彼女が生きた当時の音楽をタイトに流してたんは、OKやろかな。特に、日本エピソードで、平浩二の哀愁歌謡曲「バス・ストップ」が、流れてきた時にはメッチャ驚いたわ。ゆうてみたら、時代考証もカチッとしとる作品どした。

2013年1月23日 (水)

スシ職人ドキュのアメリカ映画「二郎は鮨の夢を見る」

Photo
アメリカ人監督が、日本人を見てみた映画とゆう体裁どすえ

ミシュラン三つ星に輝く、この87歳オジンの魅力とは?

http://www.jiro-movie.com

如月(きさらぎ)2月2日の土曜日から、トランスフォーマーはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やら、ユーロスペースやらで全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、2月16日から、大阪・テアトル梅田やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1

Ⓒ2012 Sushi Movie, LLC

アメリカの若手監督デヴィッド・ゲルブが描く、アメリカ製の日本映画でおます。かつて外国人監督が、日本を舞台に撮り上げはった映画とゆうのんは、日本人の我々が見た場合にでんな、かなりと違和感を覚えるもんが、大がいやったかと思います。でも、ケッサクも時おりござりました。

とゆうことで、思いつくまま気ままに、その種の映画の独断と偏見に満ちた、マイ・ベスト&カルト・スリーをばやってまいます。

●ベスト⇒①ラスト・サムライ(2003年製作・アメリカ映画)②ブラック・レイン(1989年・アメリカ)③ロスト・イン・トランスレーション(2003年・アメリカ)

●カルト⇒①Keiko(1979年・日本)②新しき土(1937年・日本&ドイツ・弊ブログ内検索で出ます)③本作

2

●かつて1950年代の頃には、ジョン・ウェインが出た「黒船」(1958年・アメリカ)とか、マーロン・ブランド主演の「八月十五夜の茶屋」(1956年・アメリカ)とか、首をひねりたくなるハリウッド映画があったし、「将軍」(1980年・アメリカ)とかも目を覆ったけど、時代の流れと共に、徐々に矯正されてきよったんやないやろか。

時代劇ベスト①、大阪舞台のSFチックなベスト②、アメリカ人東京ビジターのキモチを描いたベスト③など、ボクらが見ても納得の、日本描写やったと思います。

ほんで、カルトでは、より日本映画らしさを打ち出した作品を選んでおます。OLの日常を描いた①。原節子映画のルーツ的な1本の②。そして、日本職人の職人らしさを、小細工なしにそのまま捉えた本作どす。

3
歪み系もなく、フツーっぽく見えたりするんが少し不満やったり、スローやらクイック・モーションを、別に使わんでもええとこで使ったりして、若い監督はんだけに日本人に気を遣ったり、ツボを外す撮り方やらをしてはりますが、でも、そのオボコサみたいなんが妙にかわいく見えたりする、そんな映画どしたかな。

食ドキュの「エルブリ」(弊ブログ内検索)みたいなガチガチ系やないんで、むしろホッとできるやもしれまへん。また、料理映画でスシとゆうのがメインとゆうのは、初めてやないやろか。マグロの重要性について撮るとこは、グルメ・ファンにも訴求するとこやろか。

4

主人公の息子はんが、築地市場でエエ食材を探し求め(写真3枚目)、その料理工程を手元のアップやらで見せてゆき(写真4枚目)、ほんでお客はんの元への写真5枚目。スシ作りの仕込みから仕上げまでを見せてゆく、ハウツー的な作りもありました。

ミシュランガイド三つ星に輝く、87歳スシ職人主人公のインタビューを始め、料理評論家やら主人公の息子たちやらの、いろんな関係者へのインタビューを絡めて、ドキュのドキュたるところを示さはります。

らに、クラシック系を中心にしはった、サントラ使いが意表を突いておました。日本人にしてみたら、クラシックとスシなんて、メッチャミスマッチなんやけどな。でも、フィリップ・グラスの環境音楽やらに癒やしがあって、ボク的にはエエ心地どしたえ。

2013年1月22日 (火)

東海テレビ製作のドキュメンタリー映画「長良川ド根性」

Photo
本日より3日間、ドキュ映画3連投でおます。

本作は川釣りやおまへんで。

川漁師たちの映画やなんて、これまでにほとんどありまへんで。

http://www.nagaragawadokonjo.jp

1月26日の土曜日から、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1
Ⓒ東海テレビ放送

見出しに“ほとんど”と書きましたが、川漁で生活する人も描いた「米」(1957年製作・日本映画)など、部分的にはあるやろけど、メインはまあ、ありまへんやろ。

漁師主人公もん映画は海へ出るのんが大がいやし、川は川でも川釣りもんやったら散見できるんやけどな。名作「リバー・ランズ・スルー・イット」(1992年・アメリカ)なんて、親子代々にわたり、フライ・フィッシングに命を懸けてはったけど、本作でもドキュとは申せ、親子代々の見どころポイントも釣れますで。

それに、グローバルな社会問題やなく、ミニコミ的であるにしろでんな、自然環境の問題の縮図系をば示してはります。

2
普遍的なテーマである、人間と自然。ほんで、国家と人間のひずみ。反目。そうしたもんが仕込まれとるドキュなんどすえ。

木曽川・長良川・揖斐川てゆうたら、地理の教科書にも太字で出てくる、並んで流れとる3つの川やけど、本作の焦点は長良川に当たっとります。長良川の河口で、シジミ(写真5枚目)・ハマグリ漁をやって生きてはる漁師たち。

そやけど、その河口に海と川を分断する河口堰(写真4枚目)が、政府の事業として造られました。シジミやハマグリの生態系は、海水と川水がほどよくまぶさっとるとこで生育するんで、これによって、ほとんど全滅に近い状態となったんどすえ。

3
ここで、地元漁師たちと行政側との対立が生まれよります。そもそも堰を作ったんは、工業用水を確保するためどした。でも、それによって生態系が変わり、人間の営みが逼迫することとなってもうた。

それらのことを、関係者たちへのインタビューをメインに、過去のモノクロ映像や状況を図表で示しつつ、紡がれてまいります。川で漁をする薄セピア・トーンの夕景シーン、夜のブルー・トーン、川をメインにした自然描写、街の風景描写など、随所に癒やしあるシーンを挿入して、重たいハズの素材をフッと和らげてくれる、アクセント・シーンになっとります。

4
ナレーションは宮本信子はん。初期の役柄には元気系の演技が多かったけど、女優生活も晩年に入り、声としても落ち着き払った冷静さを、心がけてはるように思います。

宮本はんが主演した「マルサの女」(1987年・日本)で、音楽監督をやらはった岡田こずえハンも、「マルサ…」のトランペットを駆使した、派手めの音やなく、目立たへんけど笛やらで本編にしっとりとくる、サントラをば構築してはります。

そして、本作は地方局の東海テレビが製作したドキュ映画どす。NHKやキー局製作のドキュに加え、イギリスのBBC製作の、スケール感あるネイチャー・ドキュやらはあるんやけど、地方局でしか出せない色合いにこそ、本作のオリジンがあると申せましょう。

地味やもしれんけど、地味は滋味にも変わるんで、その渋みをご賞味あれ! どす。

2013年1月21日 (月)

ジョニー・トー監督の中国・香港合作の新作「奪命金」

Photo

3話が1つのストーリーの中で決着する、ある種のオムニバス・ドラマどす

犯罪ものにプラス、コメディ・ノリを加えた監督の新境地やー

http://www.datsumeikin.net

2月9日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、東京・新宿シネマカリテやら、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_2

Ⓒ2011 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved

みなはん、ジョニー・トー監督って知ってはりますやろか。弊ブログでは、この3年余りの間に、2本ほど批評分析しましたえ。それは、トー監督印とも呼べる犯罪ノワール映画「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」(2010年3月1日付けで分析)。ほんで、ノワールやらアクションやらとは、180度違うラブコメ「単身男女」(日本未公開・2011年8月17日付け)どす。

トー監督としては、ラブコメやらコメディは全くもって似合わない方どして、ああ、それなのに、それなのに、なんやけど、そんな「単身男女」のノリを組み込みつつでんな、犯罪ノワール映画をば、映画オリジナルとしてクリエイトしはったんが本作なんでおます。

但し、コメノリなんやけど、コンゲームなノリでもなく、偶然がポイントになって展開します。ちゅうのんは、3話が1つの映画の中で展開し、それぞれが単体の話やないんで、どないしても偶然ちゅうのんが入ってきよりまんねん。

3
こういうスタイルの映画は、グランドホテル形式の群像劇として、これまでにイロイロ応用されてきよりました。21世紀以降やったら、ロサンゼルスという一つの都会を、ホテルに見立ててオムニバスした「クラッシュ」(2005年・アメリカ)が、アカデミー賞で作品賞をもらわはったり、3場で3話を繰り広げた「バベル」(2006年・アメリカ)なんぞがござります。

そして、最近やったら、「愛について、ある土曜日の面会室」(今年1月9日付け)を分析しました。いずれにしても、ネタとゆうか、キモになるんは、本作やったら3組の話がどう決着し、どない結ばれてゆくんかなんやけど、そのあたりはヒジョーにビミョーやったかと思います。3話を分析してみますと…。

①香港の歌手として有名らしいデニス・ホーのネーさん(写真4枚目)は営業レディ役どす。本編の最初の方から、銀行での電話営業シーンやら接客営業シーンなどが、いかにもつまらなさそうで退屈な室内営業劇として続き、おいおいこんなんで大丈夫かいやと思とったら…。前半部の殺人発見シーンのインパクトで、一気に謎めきサスペンス度が、グググーンと急上昇や~。

2
②ヤクザなチンピラで、いかにも調子のよさそうな男、ラウ・チンワン(写真1枚目)のアニキや。逮捕されたヤクザな先輩アニキ分の、保釈金を2度も工面して支払い、ほんで、株で儲けた同志の社長と、本人にとって未知の世界の、株取引のバクチ路線でゆかはりまんねん。

彼のサイドがコメディ部をば、牽引してはります。シリアスな「ウォール街」(1987年・2010年・アメリカ)や、エディ・マーフィ主演のコミカルな「大逆転」(1983年)なんぞを、共に思い出させてくれはりまんねん。

③刑事ドラマ部やで~。リッチー・レン扮する刑事(写真3枚目)が、フィアンセと事件の公私をスルスルといかはります。どっちも大団円なんやけども…。

3話がどうつながるかとゆう点では、偶然はありつつも、③①から始めて、②へ行き、ほんで3話が結合して、3人のその後を描くってなカンジやけど、少し各話の分離度があるとは申せ、また不自然感もあるやろけど、うまくそれなりにまとまって着地したかと思います。目をつぶるとこもあるにしても、まずは楽しく見られる1本どしたえ。

2013年1月20日 (日)

佐藤江梨子&北村一輝&杉本哲太のアンサンブル「ナイトピープル」

Photo

久々に映画で見たサトエリに、ゾッコンになってもうた快作品

犯罪映画として、どんでん返しのどんでん返しありの逸品どすえ~

http://www.u-picc.com/nightpeople

太秦はんの配給によりまして、1月26日の土曜日から、東京・シネマート新宿にて全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、2月16日のサタデーから、シネマート心斎橋やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_2
Ⓒ「ナイトピープル」製作委員会

逢坂剛はんの原作映画でおます。彼の冒険小説にして直木賞をゲットしはった「カディスの赤い星」が、ボクチン的には彼の最高傑作なんやけど、そっちは資金的にも金のかかりそうなスケールなんで、未だに映画化されておまへん。

その意味では、世界的スケールの船戸与一作品もまた、いくつかは映画化されておますけども、日本を舞台にしたもんが大がいどした。本作もまた、逢坂はんの、日本を舞台にした短編集の1本からの映画化どして、犯罪映画にしてハードボイルド・アクションな1本になっとります。

但しでんな、地方ヤクザ、アウトローな刑事、バーの店主、謎めいたワケありの女など、日本のハードボイルドの定番的な作りが、少し気になりましたやろか。

2
さらに、発表された当時の設定をば、21世紀の2010年代へと、設定変換してはりまんねん。まあ、発表当時の設定でいっても、よかったんやろけど。ケータイやらググるなどの、今どきの設定を取って付けたようにやってはりますが、やはり置き換え度はカンペキやありまへんどした。

佐藤江梨子サトエリのネーさんの、活劇部を含むぎこちなさやら、決してスムーズに魅せてくれる犯罪もんやありまへん。しかし、それでも尚、本作が見たあと妙にシコリめいたもんを、脳裏に植え付けはるのんは、ぎこちなくあっても、強引とはいえ、3人の駆け引きやら、サプライズやらで、ググッと引き付けてくれはるからでおましょうか。

1
2億円の金を巡る、奪取攻防戦なんやけど…。過去の日本映画では、金を巡る点において「アドレナリンドライブ」(1999年製作)とか、「GONIN」(1995年)とか、「アンラッキー・モンキー」(1997年)やらとシンクロしますやろか。

ほんで、写真3枚目にある、3人の思惑が交錯するシーンの意外性。大げさかもしれへんけど、タランティーノ監督の「レザボア・ドッグス」(1991年・アメリカ映画)をば、チョイ思い出させてくれはりました…やろか。

ほんでもって、見事に決まってへんとは申せ、サトエリの新境地開拓の心意気に、ナンやコレとか、おいおいなんて心中で思いつつも、応援したくなるような演技ぶりどしたえ。

3
キス・シーンやらベッド・シーンでの、北村一輝アニキとのラブ・ストーリー部の大胆さ(写真4枚目・5枚目)。それに、刑事役の杉本哲太アニを加えた、変形駆け引き3角関係のユニーク感。アクション部のラストでの衝撃やら。「おっさん、話が長いんだよ」のセリフのオモロサ。魅了されよりました。

付け加えよりますと、若村麻由美ネーの、珍しおます銃撃アクション・シーンにも、インパクトがござりました。そのほかで言いよりますと、山梨ロケによる、繁華街やら林間での銃撃アクト演出。薄色配色に加え、過去シーンでは脱色も使(つこ)てはります。

そして、サントラはシーンに合わせた作りどす。ハイテンポなジャジーなアドリブ的やったり、ナイト・ムードにピッタリの、ベースとピアノでの音作りやら、巧妙に仕込まれておました。

モチ、原作にもあれへん、どんでん返しのどんでん返しを披露するラストシーンに、グッとクルはずや。みんなでイロイロツッコミもって、映画館で楽しみたい1本でおます。

2013年1月19日 (土)

生田斗真アニキがキャリア最高の演技を示す「脳男」だ

Photo_2

原作小説をバージョン・アップして作られた、ハリウッド映画級の作品

セラピスト役の松雪泰子や、刑事役の江口洋介らが、ヒロイン・ヒロイズム系にバッチリの、サポート演技ぶりを示す!

http://www.no-otoko.jp

2013年2月9日の土曜日から、東宝の配給で全国各地一斉のロードショー。「PG-12」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹(本作批評は関西弁ではなく標準語です)

1_2
Ⓒ2013 映画「脳男」製作委員会

江戸川乱歩賞ってみんな、知っているだろうか。本作は、乱歩賞受賞作を原作にした映画としては第4弾となる。ちなみに、過去を振り返ると「花園の迷宮」(1988年製作)「破線のマリス」(1999年)「13階段」(2003年)と続いてきた。

だが、本作は「13階段」より前に受賞した作品だが、10数年を経て映画化されるに到ったのは、原作の中身がハリウッド映画ばりの、爆破アクションが描かれていて、その映画化にはどうしても多額の製作資金が、必要だと思われていたのである。

その長い間に映像化権を持っていたフジテレビから、日本テレビへと権利が移譲された。まあ、それは大したことではないように思われるかもしれないが、テレビ局製作映画が隆盛を極める今の邦画界では、各テレビ局のオリジナルなイロを持った映画が、バラエティー豊かに花開いている。そんな中で、日テレにとっては、この種のハリウッド映画ばりとゆうのは初めてではないだろうか。

2
しかし、製作陣はこのプレッシャーを、ものの見事にハネのけてみせた。ハードを含めてハリウッドの正式な撮影システムを採用して、ハイ・クオリティーな絵作りが実現した。デジタルだけど、鮮やかなフィルム感がある映り方だ。セピアの夜景や雨の日のブルー・トーンなどの細部も、くっきりと見える。

そして、ハリウッドばりのアクション・シーンのクリエイト。何度も出てくる爆破シーンの臨場感や迫力。鑑定シーンなどの室内シーンとの、対比効果は強烈だった。アクションをドトウのごとく頻出させるよりは、静と動のバランス感によって魅せていくのは、観客に与えるインパクトはディープであろう。

特に、生田斗真アニキの静の不気味さと、動のアクション・シーンが大きな見どころだ。痛みを全く感じない不痛病に罹っている彼の格闘シーンやら、感情のないサイコパスチックなヒーロー像、加えて、正義の殺人ロボット人間という難役をこなしている。

クールな無表情演技は、いかにも誰にでもできそうに見えるが、そうではないとボクは思う。ラストでは、微妙に頬をゆるませるけれども…。表情豊かなサイコパスをやった「悪の教典」(弊ブログ内検索で出ます)の伊藤英明と、比べてみるのも面白いかも。

1「フラガール」(2007年)とは真逆の、冷静入りでいく松雪泰子。生田とのやり取りのいくつかのシーンが印象的で、ラストの「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)を思い出させる(携帯)電話での話し合いなど、ドラマティックでもある。

テレビドラマで見せるヒロイズムはそう感じないけど、熱血刑事としての演技ぶりに酔える江口洋介。

ベルリン国際映画祭で共に賞をもらった「ヒミズ」(本ブログ内検索)以降、「悪の教典」などを含めて、ニコイチで出ることが多い、染谷将太クンと二階堂ふみチャン。エキセントリックな怪演技を初めて見せる、ふみチャンに対し、染谷クンはクールなサイコパス役。共に「悪の教典」とは、正反対の演技ぶりだ。

ラストロールで流れる、キング・クリムゾンの、不協和音なプログレ・ロック「21世紀のスキッツォイド・マン」(写真4枚目のデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』に収録)が、映画の余韻をグラグラとした感じで深めてくる。原作に続編はないけど、続編も期待できそうな作品だ。

2013年1月18日 (金)

宮崎あおい&向井理が夫婦役で初共演の「きいろいゾウ」

Photo

宮崎あおいネーのヨメはん役は、刻々と進化してはります

いつもながらに安心して見てられる、向井理アニキの演技にも熱視線やでーやろかな

http://www.kiiroizou.com

2013年2月2日の土曜日(夫婦の日らしいわ)から、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリーやら、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

3
Ⓒ2013西加奈子・小学館/「きいろいゾウ」製作委員会

かなりと異色の夫婦映画となった1本でおます。ボクが見たカンジやと、最近の作品を例に取ったら、シリアス系でいかはった松たか子・阿部サダヲの「夢売るふたり」(弊プログで分析済み・検索で出ます)とは90度くらい違う、癒やし系とか柔和感でいってはります。

イロンな動植物と話ができるとゆう、ヨメ役の宮崎あおいネーやん。ファンタジー色があるように見えて、何や知らん、あおいネーには、トラウマみたいなんが、あるんとちゃうのんっちゅうカンジ。

片や、ダンナ役の向井理アニ。小説家やけどさっぱりワヤで、気分転換も兼ねてヨメと共に、西日本の方(映画のロケ地は三重県どす)へ移住してきはりました。

4
実は、ヨメより彼の方が、ビョーキっぽいのんになってはるとゆう、いちおうの設定なんやけど…。

かつての夫婦映画・夫妻映画では、ヨメかダンナのどっちかに問題ありのタイプが、フツーのスタイルでおました。ところがどっこい、夫妻両名共にオカシイデーっちゅうのんは、そないありまへん。そんなマレなとこに分け入らはったんが、本作なんでおますよ。

ほんで、あおいネー。このところ、「ツレがウツになりまして」(分析済み)など以降、ヨメ役(オカン役も含む)をばズーッと続いてやってはります。このあおいネー妻役のイロイロを分析するだけでも、オモロイもんが出てきよるんやけど、本作の妻役はそんな中でも、最もユニークなキャラクターぶりになっとりまっせ。

1
向井理アニは、いつも通りに安心して見られる演技ぶり。向井理ファンの期待は、裏切らはりまへんので、ご安心あそばされませやー。

後半では、トラウマの元に向かい合うシーンがありまっけど、そんなに追い詰められたような、シリアス演技ぶりは見せてはりまへん。むしろ、あおいネーの方がエキセントリックなとこをば、見せはるんどすえー。

共にNHKの朝ドラからブレイクのきっかけをつかんだ、この2人の映画初共演やけど、とにかくスムーズに夫妻役をやってはります。共に関西弁セリフを初披露してはるとこにも注目どすえ。

2
そして、色使いの新境地や。例えば、これまでの邦画では、あんまし使われへんかった、イエロー配色のシーンやらに、目がグッといきよりました。

さらに言いよりますと、目立つとこでは、1分から4分くらいまでの長回し撮影シーンの、イロイロが際立っておるとこでおましょうか。

廣木隆一監督らしき映画監督の作家性が、そこかしこに散りばめられておるんでおます。「RIVER」(分析済み)では、冒頭で10分以上の長回し撮影を披露しはりましたが、本作でも適宜、長回しを採用してはります。

マイカー車中での夫妻2人の、ツー・ショット・シーンを始め、主に2人をポイントにしてやってはります。さらに、キレる映画的ロングショットが頻出してまいります。冒頭の自宅の庭でのロングショットの長回しが、ラストシーンの2分くらいの長回しと呼応しとるとこやら、メッチャ渋い作りなんどすわ。

ちゅうことで、夫妻映画のケッサク集に、新たな1本が加わったチューことでおました。

2013年1月17日 (木)

1985年製作イラン映画「駆ける少年」が日本初上陸

Photo
第三世界の映画に多おます少年・少女映画やけど、その究極系をば示さはりました

イタリアン・ネオリアリズム的雰囲気も注入やー

http://www.runner-movie.jimdo.com

フェブラリー2月2日のサタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒkanoon

イランてゆうたら、イラクとアフガニスタンを東西の隣国にした、いわゆる爆弾を両脇に抱えたような第三世界の国でおます。そういう危なっかしい国ちゅうのんは、世界を見渡しても、イラン以上の危険ラインはありませんやろ。

そんな中で、映画を作るとゆうのんは、相当な難関やと思います。それでも、傑作は作られ続けとるんどす。驚きや。ちゅうことで、イラン映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①別離(2009年製作)②亀も空を飛ぶ(2004年・イラクとの合作)③桜桃の味(1997年)

●カルト⇒①本作②運動靴と赤い金魚(1997年)③友だちのうちはどこ?(1987年)

●第三世界に多い、素朴感をポイントにした少年・少女もの映画、特に少年ものやけど、ベスト②、本作、カルト②③など、やはり少年ものが主流を占めました。アカデミー賞外国語映画賞をゲットした、家族映画のベスト①や、カンヌ国際映画祭で、日本の「うなぎ」(1997年)と最高賞を分け合った、自殺したい男のドラマやったベスト③など、コドモものやない傑作も出ております。

1
さてはて、本作のことどす。1985年に製作されたもんどすが、イラン映画が日本に上陸して、単館系であれ公開されるには、厳しい時期に当たっておました。まあ、営業的に採算が取れへんからちゅうことなんやけど、特集上映はあったやもしれまへんが、ロードショーに乗るという意味では、本作は初乗りとゆうことになりますやろか。

いきなり、少年の日々の生活ぶりが描かれます。海辺の壊れた船に住んでて、ほんで1人だけで生計を立ててはります。家族は誰もいてはりまへん。オトンやオカンやらはどないしたんかは、いっさい描かれへんし、語られまへん。いやはや、スゴイ。

ちゅうのは、21世紀の今に到っても、かつてそんな映画は1本もなかったからどす。少年は、ただ、1人で、生きている。そういう設定なんどすわ。少年の周りにいてる大人たちや少年たちも、いっさい少年の家族のことについては、タブーのように話さへんのですわ。最初から最後まで貫かれる、この徹底ぶりには驚きました。

2
つまり、そういう孤児の少年たちが当たり前のように、本作の舞台背景になっとる1970年代初頭の当時のイランには、いてたんやとゆうことなんでおます。ほんでもって、少年はビン拾い、水売り、クツ磨きやらの仕事をしもって、文字を覚えるために夜間学校へも行きまんねん。

このあたりの描写は、「自転車泥棒」(1948年・イタリア)などの、イタリアン・ネオリアリズムにおける、庶民の生活感リアル感が顕著に反映されとるようでした。しかし、その向こうも捉えてはるんどす。チャリンコでいったり、走るカットの多さ。どこまでも前向きに生きていこうとゆうとこが示されます。

少年のヒコーキへの興味など、スピルバーグ監督の「太陽の帝国」(1987年・アメリカ)の少年(クリスチャン・ベール)的なとこもありま。青くない白っぽい海のシーンなどと、クライマックスのスローで描かれる炎のシーンの対比やら、色使いにも妙味が見える作品どしたえ。

2013年1月16日 (水)

ニュープリント版「タクシードライバー」

Photo
これまでに語られへんかった本作の、未開の映画批評をばやってみましたで

http://asa10.eiga.com

1月19日から1月25日の間、東京・立川シネマシティで、朝の10時から1回上映どすえ。

写真1枚目は公開当時のチラシ&ポスターで、2枚目はDVDのジャケット写真どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

5

1976年製作のアメリカ映画どすが、これまでに余りにも数多く語られてきたり、批評されてきたりした映画どす。今さら、そんなおんなじことを、何回も口酸っぱく言われてもな~、なんちゅうカンジでおましょう。

ボクチンは全ての本作に関する批評を、読んだわけやありまへんが、コレはもうゆわれとるで、なんてのがあったら遠慮会釈なくゆうてくだされ。見出しに書いたことをば、実践してみます。

ちなみに、ボクの映画評論の在り方みたいなんを、手前勝手にゆうときますと、

①ストーリーを語るのは小説・演劇でも一緒なんで、筋を一切語らずに、映画としての映像オリジナル論をどこまで語れるんか。

②110年以上にわたる映画史において、分析作品が過去のどんな作品とシンクロし、どのような位置付けができるんか。

③演技者、スタッフたちにおいても、シンクロナイズについては同等であること。などですやろか。

3
本作は撮り方において、映画史に刻印されるべきとこがござります。おおむね、撮り方とか照明・配色具合とかは、映評的にはどうでもええとこやと思われがちどす。でも、映画は活字やなく映像なんで、撮られたもんに対する映像的評価をば下さねば、映画評論とは言えまへん。

シビル・シェパードちゃんとデートしに行く前の、ロバート・デ・ニーロはんのけだるいスロー・カットなど、スロー・モーション使いが的を射ておました。写真4枚目にありますカットからのシーンにも顕著どした。銃撃アクション後にデ・ニーロはんは拳銃自殺しようとしたけど、弾切れでできず、ほんで、「プシュ~、プシュ~」ゆうて、ホンマは死にたいんやちゅうとこを、やってきよった警察官たちに示さはります。

そして、その直後のカメラは天井からの俯瞰カットとなり、長回し撮影やないけど、スローの移動撮影へと移ります。映画芸術の粋を魅せるこのシークエンスは、本作のハイライト・シーンでおましょう。有名な冒頭シーンでも、スローがしっかり使われておました。

4
タクシーのフロントガラスをベースにした、プリズム的な眩惑カットなども、車の車窓を駆使した芸術的カットの、映画的には最初の試みやと申せましょう。

ほんで、ニューヨーク舞台映画としては、それまでは明るい系が多かったんやけども…。但し、アメリカン・ニューシネマ「真夜中のカーボーイ」(1969年製作・アメリカ映画)はチョイ暗かったけど、でも、孤独映画のヒューマン映画としては、哲学的な「鬼火」(1963年・フランス)以上に、明快な作りになっとりました。

アメリカン・ニューシネマが終わってから出てきた1本やけど、ニューシネマ的な見ごたえだけやなく、デ・ニーロがフランスのヌーヴェル・ヴァーグ作品の「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)「気狂いピエロ」(1965年・フランス&イタリア)の主演ジャン・ポール・ベルモンドはんと、カブッて見えたりしよりました。

また、カーチェイスなしのドライバーもの人間ドラマちゅうのんも、本作が初めてでおましょう。ちなみにゆうときますと、マーティン・スコセッシ監督作としては、自身がチョイ出演した唯一の監督作品どす。ほかにも、語られへんかった点はイロイロあるんやけど、このへんで矛をおさめときますわ。…なんてな。

2013年1月15日 (火)

岩手県ロケの実話映画「しあわせカモン」

Photo
お蔵入り映画が何とまあ復活して、全国公開へと駒を進めはります

「愛の新世界」のノリで、オカン役をやる鈴木砂羽ネーさんが主演どすえー

http://shiawase-comeon.jp

1月26日の土曜日から、アークエンタテインメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、大阪のシネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2
Ⓒ2012 TCエンタテインメント

製作頓挫・中止やなく、何とか完成したけど、お蔵入りになってしもた映画とゆうのは、実は毎年かなりの数にのぼっております。実数については正確には把握できまへんが、毎年100本近くあるんやないでしょうか。

日本映画全盛の今やとゆうても、やはりシネコン系での全国公開となる、大手映画会社の作品に観客が押し寄せておりまして、単館系上映の低予算の映画とゆうのんは、作品の良し悪しに関係なく、大苦戦の傾向にあるんですわ。

そんな中で、蔵入りした作品を集めて「お蔵出し映画祭」ナンチューのんがありましてな、本作はそこで最高賞のグランプリをばゲットしはって、劇場公開されることと相なりました。何で蔵入りしてたんか、見ていると何となく分かるような気がしました。でも、素材は売れ線映画の、幾つかの路線へとアプローチしてはります。

1
箇条書き的に羅列してみますと…。

①大ヒットした「フラガール」(2007年製作)やらを思い出す、地方ロケーション映画。②「砂の器」(1974年)とはゆわんけど、親子のキズナをポイントにした感動作。③全国公開されたYUI主演「タイヨウのうた」(2006年)など、ミュージシャンの実話をベースにした映画化。④一時ブレイクした、昭和映画のノリがある映画。⑤「嫌われ松子の一生」(2007年)など、波乱のヒロイン映画としての面白さ。

でも、蔵入りしはったマイナス・ポイントも、モチありまんねん、コレがな。クレーム調で言いますと…。

①いくら主演の鈴木砂羽ネーさんが、メジャー俳優はんやとはいえ、メッチャ有名な人が出てへんやん。②昭和の岩手が、ここやないとあかんちゅうようなポイントが、さっぱりあらへんやん。③母子のキズナ描写に、泣けるようなもんがないんとちゃうかあ。…とかやろか。

2
しかし、確かに、砂羽ネーさんやら、その息子役やらに、観客のみなはんはどこまで感情を入れ込むことができるんか、そういう問題はあるかとは思います。2人の周辺にいてる人たちも、子役を始め、いかにも取って付けたようなキャラやしな。そこで、ドラマが止まってまうやん、なんやけど、でも、砂羽ネーは踏ん張ってはりまっせー。

「愛の新世界」(1994年)で魅せはった、アンニュイ感を維持しもって、息子を愛する演技性を披露しはるんやからたまりまへん。ある意味では、砂羽ネーのための映画にも見えよりますが、四の字固めかけたろかとか、ブーッてゆうたり、母子のやり取りのオモロサやら、コミカルな人情シーンが笑えますで。

ほんで、マイナス部③についてやけど、ベタやから感動するとゆうのんは、今や昔なんやないやろか。「お涙頂戴映画」論については、ボクチンは何度か語っとりますが、静かにエンディングを迎える本作は、泣きのツボがキチンとある映画どす。傑作かどうかは別にして、涙をこぼさずとも、心の中で泣いてるかもな…なんて思いつつ、映画館をあとにできる映画やと思いますで~。

2013年1月14日 (月)

ライヴ・ドキュメンタリーとして映画初の3D「フラッシュバックメモリーズ3D」

Photo
ドキュメンタリーとしても、3D映画は珍しおます

記憶喪失系ドキュ・ドラマを、ドッキングさせるナンチュウ面白さどす

http://www.flashbackmemories.jp

睦月1月19日の土曜日から、SPOTTED PRODUCTIONSはんの配給によりまして、東京・新宿バルト9、大阪・梅田ブルク7、T・ジョイ京都やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2
Ⓒ2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.

「アバター」(2009年製作・アメリカ映画)の歴史的大ヒット以来、今や隆盛を極めておます3D映画やけど、ドキュメンタリーにまで導入されるっちゅうんは、稀少価値がおます。

振り返りますれば、その「アバター」の監督ジェームズ・キャメロン監督が撮ったドキュ「ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密」(2002年・アメリカ)も3Dで撮られとったけど、10年以上も経過すれば、3D技術も向上しとるわけどして、本作もその技術力を反映したもんでおます。

しかも、アクションやスペクタクル映画にこそ映える臨場感ある3Dを、ライヴ音楽ドキュで採用するとゆう、意外性あふれる作りに加え、人間ドラマには3Dは似合わないにも関わらず、人間ドキュとしても展開するナンチュー、ある種冒険心あふれる作品なんどすえ。アラマ・ポテチン(ビックリ)やー。

1
本作の監督・松江哲明アニキてゆうたら、革新的なドキュをケッコー作ってきてはります。ほんで、音楽ドキュでゆうても、実験的なんを作ってはります。

本作は、ワンカット長回しで撮った「ライブテープ」(弊ブログ内検索で出ます)に続き、その続編で東日本大震災後の東京を舞台にした、ロードムービー・ライブ「トーキョードリフター」(弊ブログ内検索)と、同じような斬新さがござりました。

ライヴ・シーンやったら、やっぱ動きのあるライヴを撮れば、立体的やんかと思われるやもしれまへんけども、本作で採り上げられたGOMAのライヴは、手の動きくらいで大したアクションもなく、ほとんど固定的なカンジなんやけど、それでもビビッドどした。

スクリーン左右上下の動きやなく、オーバーラップ的に画面を立体的に、重ねてゆくとゆうスタイルでおます。そやから、固定的なシーンの向こうに映像があったりして、奥行きのある映像空間を創り出してはるんどすわ。

2
ほんで、GOMAアニキがプレイしはる楽器、ディジュリドゥやなんて、みなはん、そんなん聞いたことないでやろけど、これがでんな、ウィヤ~ウィヤ~とまるでお経のようなサウンドやのに、スルメのような音ちゅうか、コレがしょっちゅう鳴っておますんで、見終わってからもしつこく耳にこびり付いて離れへんような、そんな音でんねん。困ったもんでおます。

ほんでもって、人間ドキュとしての打ち出し方どすか。このGOMAはんが交通事故に遭わはりましてな、記憶障害にならはりまんねん。記憶喪失もんのドラマ映画てゆうたら、これまでにいっぱい出回っとりますが、そんな喪失もんが色あせるくらい、現実のリアリティーを追求してはります。

ドキュに多い関係者インタビューを極度に排して、GOMAの行動やら、そのまんまのライブ・シーンを見せて、描写に徹してはるんも、リアル感を増してはるんどすえ。ちゅうことで、本作は音楽ドキュの新生面を打ち出した、会心作やと申せましょう。

2013年1月13日 (日)

ハリウッド級の香港アクション映画「ブラッド・ウェポン」やー

Photo
でも、ハリウッドにはない、リアリティーを追求しはります

かつてないマレーシア・ロケーションが斬新どす

http://www.bloodweapon.jp

1月19日のサタデーから、角川映画はんの配給によりまして、梅田ガーデンシネマやらで全国順グリのロードショーでおます。本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_2

Ⓒ2012 Emperor Motion Picture Limited. All Rights Reserved.

香港映画でハリウッド映画クラスの、アクション映画の系譜と申しますれば…。ハリウッド資本が入った、ブルース・リー主演映画「燃えよドラゴン」(1973年製作・アメリカ&香港合作)やら、ハリウッドに進出しはった、ジャッキー・チェン主演作品など、カンフー・アクションやらを、ベースにした作品が主流を呈しておました。

香港がイギリスから中国へ返還以降は、台湾出身のアン・リー、中国のジョン・ウー、チェン・カイコー、チャン・イーモウ監督らが、香港に代わって中国資本をメインにした、時代劇アクションを作って、ハリウッド級を示さはりました。

「グリーン・デスティニー」(2000年・アメリカ&中国)とか「HERO」(2002年・中国)「LOVERS」(2004年・中国)とか「レッドクリフ」(2008年・2009年・中国&台湾&香港&日本)やらです。でも、現代劇アクションには、そんなにピリッとしたもんがありまへんどした。

1
ところがその頃、そんな中国に対し香港では、のちにハリウッド・リメイクされて、オスカー作品賞までゲットする現代劇「インファナル・アフェア」シリーズ(2002年~2003年・全3作・香港)が作られたんでおます。そして、本作はその刑事対犯人の構図を、兄弟の図式に変えて展開してまいります。しかも、それは表面的なもんにすぎまへん。

香港アクション映画としては珍しい、海外ロケ映画なんやけど、それもハリウッド映画でさえも、滅多にロケせえへんような国、マレーシアへとアプローチしはりました。イントロ部は死海のあるヨルダン・ロケやし、こっちも定番外しどすやろか。

2
そのヨルダン・サイドで示される、バクハツ・銃撃戦の迫力からさっそく、オオッと唸りましたがな。敵に主人公が撃たれてしもて、倒れる時のスローモーションやら、スクリーン横倒しの転倒カットなど、シブミをチビチビ入れつつやってはります。

銃撃音のリアリティーやらに加え、ハリウッドのそんなアホなっちゅう、ミラクル・アクションを極度に廃し、カー・チェイスやらヘリ・チェイスやらを繰り広げはるんどす。転倒したバンやら室内アクションの近接撮影部でも、細部のリアリティーを重視しもって演出しはるんどす。

スピードフルにしてファジーにするよりも、決め手を分かりやすく見せてくれるだけに、よりリアルな臨場感も増すカンジどすか。

3
新種のウイルスを蔓延させて、ワクチンで儲けるとゆうサイバー商業テロを描いてはるんやけど、こうしたところも、ウイルス問題入り映画に、少しでも新味を加えようとゆうとこが見受けられよります。

写真5枚目にあります、ウイルスを盗み出す薄ブルーのシーンやら、冒頭の死海に浮かぶ主人公のグリーン・トーンやら、配色の妙味も時おり味わえますで。

カンフー・アクトをやった「孫文の義士団」(2010年・香港)とは違い、そんなカンフーを一切排除したアクトで魅せる、兄役ニコラス・ツェー。

「グリーン・ホーネット」(2010年・アメリカ/1967年・アメリカ)で、かつて故ブルース・リーが演じた主人公の相棒をやった、弟役主人公のジェイ・チョウ。カブリもんやないだけに、より素(ス)が出て、生真面目で朴訥とした役柄に好感があります。

ほんで、母・その息子兄弟・孫娘のキズナが紡がれる、ラストシーンに大いに泣いてくだされ。

2013年1月12日 (土)

アイルランド映画「アルバート氏の人生」

Photo
アイルランド単独製作映画は、かなりと珍しおますで~

グレン・クローズはんが「危険な情事」と、正反対のように見える演技ながら、実は…

http://www.albert-movie.com

1月18日のフライデーから、トランスフォーマーはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテ、大阪ステーションシティシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_2
ⒸMorrison Films

アイルランドを舞台にした映画とゆうのんは、ケッコーあるんやけど、アイルランドが製作に関わるとゆうのんは、そない多うはござりまへん。本作みたいにアイル1国出資の製作映画は、メッチャ貴重でおます。

ほんでもって、いつものように突然ながら、アイルランド舞台映画の、マイ・米英系ベスト&アイル出資系ベスト・スリーをば披露いたします。

●米英ベスト⇒①ライアンの娘(1970年製作・イギリス映画)②マイケル・コリンズ(1996年・アメリカ)③ブレイブ・ハート(1995年・アメリカ)

●アイル系ベスト⇒①本作②麦の穂をゆらす風(2006年・アイルランド&イギリス&ドイツ&イタリア&スペイン)③アンジェラの灰(1999年・アメリカ&アイルランド)

1
●かつてイギリスの支配下にあったアイルランドだけに、どないしても歴史ものの英米③やら、抵抗運動を描く英米②やアイル②やらが主流になったり、IRAのテロなんぞが描かれたりしよります。確かに、世界3大国際映画祭の最高賞や、アカデミーの作品賞をもろてはる作品があるんやけど、でも、巷の庶民の生活実態やら人間性を取り上げた作品にこそ、アイル映画のアイル映画たる渋みがあるかと思います。

ヒロイン映画として描かれる英米①、貧しい家族の実態を描くアイル③、そして、本作は変形ながらも、ヒロイン人間ドラマ映画として、オリジンあふれるケッサクになっとります。

2
19世紀のアイルの不況下と女性蔑視の中で、女が1人で生き抜く道とは何かを、役者陣の抑えた演技と静かな展開と流れで、ココロにじんわりとくるように描かれるんでおます。

男装しながら女やのに男として周りを騙しもって、ホテルのウェイターをやるグレン・クローズはんの演技が特注もんどす。「クライング・ゲーム」(1992年・イギリス)やら、これまでは女装男性が目立っとったし、「恋におちたシェイクスピア」(1998年・アメリカ)やらで男装女が活躍したけども、ココまでマジ本格的なんは、まあ、ありまへんやろ。

クローズはんやけど、不倫で激情の不気味なホラー系やった「危険な情事」(1987年・アメリカ)の演技が有名どすけども、ウェイターになり切った無表情と、抑制の演技を見せながらも、実は演技の心理的内実は「危険な情事」と一緒なんですわ。

3
変形やけど、不倫同様、三角関係にならはりまんねん。彼氏がいてるホテルの従業員役の、ミア・ワシコウスカちゃんに恋しはるんどす。まあ、簡単にゆうたらレズやけど、クローズはんは独立して自分の店を出した時に、彼女を引き抜こうとしはりまして、その流れで彼女と接してるうちにでんな、片思いに落ちてしまわはるんでおますよ。このあたりの演技は抑えをキモにした、なんともいえへん複雑で、巧緻を極めた演技ぶりをば示さはります。

対して、「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年・アメリカ)でアクションするアイドルチックで、有名になったミアちゃんは、あくまでかわいらしさ・清楚さをポイントにやってはります。

ほんで、写真5枚目となる、男オンナ同士の女の友情部どす。お互い男として生きていく人生としての、哀愁をば共有しはりまして、胸をしみじみと打ちよります。クローズはんの暗い人生に、一条の光が射すラストシーンに、みなはん、震えてくだされ。

2013年1月11日 (金)

イタリア映画「塀の中のジュリアス・シーザー」

Photo

ベルリン国際映画祭で最高賞をゲットしはった作品どす

兄弟監督のルーツ・タヴィアーニ監督の渾身の1本や~

http://www.heinonaka-c.com/

1月26日のサタデーから、スターサンズはんの配給によりまして、東京・銀座テアトルシネマ、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸やらを始め、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2
イタリアのパオロ・タヴィアーニ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟監督てゆうたら、兄弟監督のルーツ的存在とちゃうかなと思います。なんせ1954年に短編ドキュメンタリーやけど、監督デビューしてはるからな。

ほんで、カンヌ国際映画祭で最高賞をゲットした、父子のキズナを描く「父/パードレ・パドローネ」(1977年製作・イタリア映画)やら、ハリウッド映画創世記の実態を描いた「グッドモーニング・バビロン!」(1987年・イタリア&フランス&アメリカ合作)なんぞの、映画史に残る傑作を輩出してはるんどすえ。

イタリアには巨匠と呼ばれる監督が、いっぱいいてはりますが、先人たちを引き継ぐカタチで、アート系映画をば、21世紀の今に到っても作り続けてはります。

1
ほんでもって、本作や。昨日分析した「東ベルリンから来た女」を抑えて、2012年ベルリン国際映画祭で、最高賞の金熊賞をゲットしはりましたんどすえ~。本作は彼らのキャリアを仕込みつつ、塀の中のドラマとシェークスピア映画を、見事に合体させた快作でおます。

ちゅうことで、ここで、刑務所を舞台にしたドラマ映画の、マイベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①ショーシャンクの空に(1994年・アメリカ)②ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年・デンマーク)③抵抗<レジスタンス>死刑囚の手記より(1956年・フランス)

●カルト⇒①本作②ロンゲスト・ヤード(1974年・アメリカ)③刑務所の中(2002年・日本)

3
●ムショ・ドラマてゆうたら、ムショの日常を描くベスト①カルト③やらが多く、ビョークのミュージカル・スタイルで贈るベスト②やら、脱獄を克明に描くベスト③やらが緊張感に満ちた傑作どした。

そんな中で、ムショで囚人たちが団体戦で何かをヤルっちゅうのでは、スポーツ系のカルト②やらがありますが、本作はシェークスピア演劇でおます。

かつては、精神病院やらで患者たちが、演劇をするナンチューのんがありましたけども、ムショ内ちゅうのんは初めてやないでしょうか。本作はそういうとこも視野に入れた上で、アート映画の可能性をば追求した、渾身の1本になっとります。

2
囚人たちによる演劇披露シーンを、最初と最後にカラーで映し、ほんでモノクロの演劇練習シーンを間に挟み込むとゆう、いかにも作家性バリバリの展開でお話は進みよります。しかも、モノクロ・シーンの合い間には、風景描写でカラー・カットを挿入してはります。

囚人の履歴を字幕でハーモニカ・サントラ入りで表現し、最後には各囚人のその後について語ってでんな、まるで実話のように錯覚させよる、ラストシーンも強烈やったどすか。

シェークスピア演劇の映画化はメッチャありますけども、こういうカタチで描かれるんは、おそらく初めてやないやろか。ちゅうことで、久々にタヴィアーニ兄弟監督の傑作を見ましたで。アート映画好きの映画ファンは、ぜひとも見に行っておくんなまし。

2013年1月10日 (木)

ドイツ映画「東ベルリンから来た女」

Photo
本年2013年度アカデミー賞外国語映画賞のドイツ代表作品どす

日本代表の「かぞくのくに」と、実はよく似た作品性がありまんねん

http://www.barbara.jp

アルバトロス・フィルムはんの配給によりまして、1月19日より東京・Bunkamuraル・シネマ、2月9日よりテアトル梅田、2月16日よりシネ・リーブル神戸やら、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1

ⒸSCHRAMM FILM / 2DF / ARTE 2012

本作の分析を前に唐突やけど、情報的なことをば申します。本作は世界3大国際映画祭(2月開催のドイツ・ベルリン/5月開催のフランス・カンヌ/9月開催のイタリア・ベネチア)のうち、ベルリン国際映画祭で次点の賞・銀熊賞(監督賞)をもろてはります。ほんで、本年度のアカデミー賞の外国語映画賞部門に、ドイツ代表として送り込まれることと相なりました。

前年の世界3大映画祭で健闘してるのんが、受賞の1つの目安になっとるらしいんやけど、日本からは「かぞくのくに」(2012年7月25日付けで分析)が出品されとりますけども、「かぞくのくに」は3大映画祭に出品もしてへんので、「おくりびと」(2008年製作・日本映画)と同じ立場とは申せ、苦戦を強いられるんとちゃうやろか。

最終候補に選ばれるかどうかは別にして、実は本作の作品性はそんな「かぞくのくに」やら、オスカー作品賞候補が確実視されとる「アルゴ」(2012年10月8日付け)やらと、メイン・テーマ部で似通っておりますねん。

2
東西冷戦もの映画てゆうたら、今は昔っちゅうカンジやけど、北朝鮮と日本の関係性を仕込んだ「かぞくのくに」やら、1970年代末から80年代の、米と中東のキシミをベースにした「アルゴ」と同じく、緊張状態の2国間の間で展開する、人間ドラマとゆう点で共通しておます。

そして本作は、ベルリンの壁崩壊以前の1980年を背景に、西の自由社会へと東ドイツから、ヒロインが恋人と共に逃げようかとゆう、緊張感に満ちたドラマが展開してまいります。

オスカーの外国語映画賞をゲットしはった、ドイツ映画「善き人のためのソナタ」(2008年)と同じく、謎めき系の描写に徹した作りで、後半に向かうにつれグイグイ緊張度を増してゆき、ほんで、最後のネタ部では、ウーンと唸れるような作りになっとりま。

3
ヒロインの行動を映す、サントラなしやけど風なんぞの効果音はある、静かなシーンの連続性によって、ヒリヒリするくらいのミステリアス&サスペンス度合いが、ゆっくりじっくりと胸に迫ってきよります。

東ドイツの東ベルリンから、片田舎の小児病院へやって来はったヒロイン。でも、その病院には彼女を監視しはるドクターがおるし、自宅では変な人らに身体検査やら、イロイロ調べられたりされま。その一方で、彼氏と逢引きして、西側へ亡命・逃亡する算段をば相談してはります。さらに、病院で患者となる2人に、妙に肩入れしはって…。

病院の内装造形の寂寞感やら、チャリンコでヒロインがゆく森の、風の吹き方とか、灰色のダークな夜の海描写やら、作品性に合わせた細部の描写が、ほぼ完璧に近かったかと思いよります。

違和感や不安感が、最初から最後まで付きまとうようなヒロイン映画やけど、ラストシーンはシャキッと決まっとります。ジャジーなフィメール・ポップスと共に、余韻を深める傑作どした。

※「かぞくのくに」も本作も、オスカー外国語映画賞にノミネートされまへんどした。アラマ、アレマ、どす。

2013年1月 9日 (水)

女流監督によるフランス映画「愛について、ある土曜日の面会室」

Photo
刑務所の面会室をポイントにした、群像劇でおます

3話オムニバスが、静謐やけど緊張感にあふれとりま

http://www.bitters.co.jp/ainituite/

ビターズ・エンドはんの配給によりまして、1月12日のサタデーから、梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2
本日より4日間は、久々に(昨年11月30日「マリーアントワネットに別れをつげて」以来)イギリス以外ユーロ映画の良質の、アート系映画をば分析批評いたします。

ムショの面会室をポイントにしはった、3話オムニバスっちゅうカンジの群像劇なんやけど、各話を1つ1つ描くんやなく、1本のストーリーの中で、3話を交互に描くなんてゆうスタイルでおます。その3話とは…

①息子を殺されたオカンの、ヒロイン映画(写真2枚目・5枚目)。②若者たちによる、三角関係のラブ・ストーリー(写真3枚目)。③ムショにいてる人間とシャバにいてる人間が、すり替わるトリッキーなサスペンス(写真4枚目)。

1_2
①について。被害者遺族と加害者が、面会室で対峙するとゆうのんは、これまでの映画ではそないありまへん。まあ、黒澤明監督の「天国と地獄」(1963年製作・日本映画)みたいに、犯人と被害者が最後に面会するちゅう名作もありまっけども、とにかく希少でおます。

それをば達成するための、プロセス描写においても、ヒロインが加害者家族へと接近してゆくとこやら、スムーズに説得力あるカタチで描かれておますよ。

3
②についてどす。未成年の女の子と、ムショ入りしてもうた成人男性の恋なんやけど、面会するのんに、未成年の子には付き添いが必要どして、その付き添い人との間で、恋の三角が生じるっちゅう展開どす。三角関係の恋愛映画て、いっぱいゴロゴロしとるんやけど、こういう面会室を通しての三角は異例でおましょう。

フランスの面会室では触れ合うことができるらしく、日本の面会との大いなる違いも味わえよります。カンヌ国際映画祭でパルムドールをゲットした「ある子供」(2005年・ベルギー&フランス合作)なんぞは、それをばシメのでっかい見どころにしはった映画どした。

2_2
ほんで、③について。囚人と囚人に似た人が入れ替わるちゅうのんは、これまでにはありまへん。その方法論についても、微妙な心理描写を入れながらやってはりまんねん。ハラハラドキドキのサスペンス感もありまっせ。

ちゅうことで、3話の面会室の室内劇がクライマックスになっとりまして、ある種室内劇映画の粋を、見せてくれはるようなとこがござりました。3話がつながるようなスタイルは、どうなんやろか? コレはネタにも関わることなんで、あんまし語れまへんけども、クライマックスの面会シーンの見せ方には、メッチャ妙味がありましたがな。

室内劇にとってはキーとなる、アップ・シーンのやり取りで緊張感をあおり、そして最後は、ピアノは流れるけど、静かな余韻を持たせて終わるゆうんが、決まっておましたで。ムショで働いたこともあるらしい、1981年生まれの若き美人女性監督、レア・フェネール監督の、会心の長編デビュー作どすえ~。

2013年1月 8日 (火)

ニュープリント版「キャリー」やー

4
今年5月公開リメイク版の、元ネタ・オリジナルでおます

ホラー映画ジャンルで、いろんなルーツ的スパイスが詰まった、画期的な1本どすえ~

http://www.asa10.eiga.com

1月12日のサタデーから、1月18日のフライデーまで、TOHOシネマズ梅田やらで上映どす。本作は1976年製作・1977年に日本に上陸したアメリカン・ホラーや~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

アメリカのホラー作家の巨匠、スティーブン・キングはん作品のおそらく、公式的には最初の映画化が本作でおましょう。ちゅうことで、ここで、歴代キング原作もんのマイ・ベスト&カルト・スリーをば、いつもながらやけど、唐突に披露しまっせ。

●ベスト⇒①スタンド・バイ・ミー(1986年・以下の引用は指定国以外は、全てアメリカ映画)②ショーシャンクの空に(1994年)③グリーンマイル(1999年)●カルト⇒①シャイニング(1980年)②本作③ミザリー(1990年)

●感動のヒューマン映画をベストにしてしもたけど、キングはんの持ち味はモチ、ホラーどす。それをばカルトに持ってくるんは逆やんか!やけど、別に他意はありまへんどして、入れ替えても別に構いまへんねん。

1
ホラーとして、作家が狂うタイプのルーツ的なカルト①、「危険な情事」(1987年)とかの先行作はあるけど、恐るべき女をクリエイトしはったカルト③。ほんで、本作もまた、それまでのホラー映画にはなかったスパイスを、仕込んではる作品なんでおますよ。

まず、学園ホラー・スタイルや。本作以降は、「サスペリア」(1977年・イタリア)を始め、イロイロ出てきよりましたけども、まあ、本格志向としては本作が初やろか。イジメ問題とゆうのんがポイントになっとりまして、イジメを、ホラーとゆうより映画として取り上げるのんも、当時としては斬新どした。ほんで、イジメに対して本人がリベンジするちゅう、復讐ものとしてのとこも、日本では「四谷怪談」(1949年・1956年・1959年・1965年ほか)などで定番やったけど、洋画としてはそうそうあれへんもんやったかと思います。

そして、最も怖~いラストシーンのサプライズどす。それまでにも背筋の凍る、サプライズ・エンディング映画はあったけど、ホラー映画的には、21世紀の現代までも入れても、ボクチン的には、歴代3本指に入るオトロシサでおました。

2
さてはて、本作はブライアン・デ・パルマ監督作品どす。ちゅうことで、監督の今までの作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーもやってみましょか。

●ベスト⇒①アンタッチャブル(1987年)②本作③殺しのドレス(1980年)●カルト⇒①ミッション:インポッシブル(1996年)②フューリー(1978年)③スカーフェイス(1983年)

●デ・パルマ監督の作品の特徴は、ベスト③の「サイコ」(1960年)のように、本人も敬愛するアルフレッド・ヒッチコック監督作品への、オマージュ・シーンを入れたり、過去の映像作品のリメイクに合わせて、ベスト①のように「戦艦ポチョムキン」(1925年・ソ連)へのアプローチをやったりと、イロイロ多彩なんどす。ちなみにカルト①は全米テレビドラマ・シリーズの「スパイ大作戦」、カルト③は「暗黒街の顔役」(1932年)のリメイクでおます。

5
そやけどヤッパ、監督のオリジナル節がにじみ出とるんは、本作やらカルト②やと思います。

ほんで、ここぞとゆう時に使われる、スロー・モーションのシークエンスやー。スローを映画史上初めて映画で使わはったんは、「姿三四郎」(1943年・日本)の黒澤明監督やけど、スローモーを大胆フィーチュアする監督としては、20世紀後半にはジョン・ウーとか出てきたけど、サム・ペキンパー監督とデ・パルマ監督が2大巨匠やったとボクは思います。

スローの長回し撮影を駆使した本作は、個人的には、印象的なスロー・シークエンス入り映画のマイ・ベストテンに入るやもしれまへん。ちなみにベストワンは、ベスト①の階段シーンどす。

ほんでもって、今年の5月ロードショーで、本作のリメイク版(写真4枚目)が、ハリウッドから上陸しよりまんねん。そっちは、本作と比較対照するようなカンジで、後日分析いたします。とゆうことで、まずは本作へ、レッツラゴーでおます。

2013年1月 7日 (月)

ロードムービー「しんしんしん」どす

Photo_2
テキ屋・疑似家族のロードムービーの新しさとは?

長回しの多投やらロングショットの構図やら、映画的な撮り方にこだわった1本どすえ~

http://shingshingshing.com/

1月12日の土曜日から、東京・渋谷ユーロスペースやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ロードムービーとゆうのんは、これまでにモノゴッツーなタイトル数が出回っておます。ロケを兼ねてロードするタイプの映画は、ある意味においては、作りやすいし、映画的にも映えよるんでしょうな、たぶん。

弊ブログを始めて3年以上にもなりますが、これまでにも、ロードムービーを分析する機会はたびたびござりました。1人孤独に行ったり、2人でゆくもんから、家族やら集団でロードするもんまで、組み合わせやらは多種多彩でおます。

ちゅうことで、ここで唐突ながら、日本映画に限定したロードムービーの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露させてもらいます。

●ベスト⇒①家族(1970年製作)②砂の器(1974年)③八甲田山(1977年)

●カルト⇒①竹山ひとり旅(1977年)②股旅(1973年)③本作

●取って付けたようにでんな、本作を無理矢理ランクインさせたように見えよりますけども、組み合わせにメッチャ工夫を凝らしてはります。血族家族のベスト①、父子やら刑事のベスト②、1人や2~3人でゆくカルト①②、雪中行軍の軍隊組織系のベスト③。本作はこれらのいずれとも相違する、スタイルでいってはりまんねん。

1_2
団体ご一行はんのロードムービーとゆうのんは、家族か組織(会社、芝居一座含む)のどちらかが、大がい多いかと思うんやけど、コレは組織もんでも、お好み焼きの屋台をやるテキ屋はんどす。テキ屋たちが旅をするとゆうのんは、寅さんもテキ屋やったけど、まあ、あんましあらへんように思います。しかも、疑似家族系もんどすんで、さらにヒネってはりまんねん。

そして、そういういかにも映画映えしそうな素材を、映画的な作りを意図して、本作の監督・眞田(さなだ)康平アニキが撮らはりました。

冒頭の海岸の6分くらいの長回し撮影など、長めの撮影はケッコー使ってはりまして、しかもアップは少なめどしてな、キレるロングショットが頻出しよりまして、映画的世界観を十二分に味わえますで。まあ、そやからオモロイんかとゆうと、人によって千差万別やろから、あくまで映画作家性にこだわってはるっちゅうことどす。

2_2
しかし、そんな監督の熱意に合わせて、各役者陣が、各人のキャリア最高の演技に近いもんをば、噴出させてはりますやろか。主演やってる石田法嗣クンは、「カナリア」(2005年)でのロードムービー部やらの逼迫演技に、近いもんを出してはるし、その時の相手役女優やった谷村美月に対し、本作は我妻三輪子ちゃん。

「恋に至る病」(2012年10月4日付けで分析)のコミカル・モードやなく、親近感あるキッチュ系で、魅せてくれてはりまんねん。園子温監督の嫁はん、神楽坂恵ネーさんの好感度ある演技ぶりも見逃せまへん。

ほんでもって、みなはん知らんやろけど、佐野和宏はんの渋演技や~。彼はテキ屋チームのリーダーどして、テキ屋の仕事にプライドをば持ってはって、ずっと酒飲んでるようなシーンが頻出しよるんやけど、本作のドラマのキーをば握ってはるキャラどすえ。このキャラの創出こそが、本作をドラマティックかつ感動的にしたとこやろかな。最後には、泣ける(かもしれへん!?)映画どっせー。

2013年1月 6日 (日)

ウェス・アンダーソン監督のアメリカンな新作「ムーンライズ・キングダム」どす

Photo
本年度アカデミー賞で、チョイ有力視されとる1本でおます

小さな恋をサポートする、ブルース・ウィリスはんらの役者陣が強力どすえ~

http://www.moonrisekingdom.com

2月8日のフライデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。「PG-12」指定映画どす。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1

ⒸFocus Features

本作は、昨日分析した「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」と共に、ゴールデングローブ賞のコメディ・ミュージカル部門作品賞に、ノミニーされておます。アカデミー賞でもそれなりに期待できそうな作りやけど、でも、オスカーの歴代作品賞受賞作品とは、ビミョーに作りを異にしはったもんになっとります。

まあ、ゆうてみたら、アンチ作品賞的な作りと申しましょうか。メッチャ遊びゴコロ満載の仕上がりになっとりまんねん。今やなく、1965年を舞台背景に、アメリカ領となるチッチャな島で、ちいさな恋が花開き、ほんで、その2人をば取り巻く関係者やらの、アタフタとした騒動を描いてはります。

2
個人的には、「小さな恋のメロディ」(1970年製作・イギリス映画)への、パロディチックなとこが見え隠れしとるように思いました。時代感を1960年代にしてはるんも、そのあたりがあるんやろか。「小さな恋…」はトロッコで2人が去ってゆきよりますが、本作は小型船でゆかんとしはるんやけど、それでジ・エンドやなく、その後の展開が破天荒に満ちておます。

落雷やら洪水やらVFX入りの、チャッチーなパニック・ムービー部やったりが、2人の恋をば波乱に富んだもんにしはるんどすえ。ウェス・アンダーソン監督的にも、過去の自身の監督作で使った手法を、自在に繰り出さはります。

4
2人が結婚し、船出しようと歩いてゆくカットでは、監督の「ダージリン急行」(2007年・アメリカ)などで使ったスローモーション・カットが、ここぞとゆうとこで出てまいります。冒頭で2パターンでカマされる、横移動撮影の妙味やらも監督節や。

ほんで、監督の出世作「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001年・アメリカ)と同じく、クライマックスで登場人物一同が会してパニくり、騒動の中で話を収めてゆくスタイルは、健在でおました。

さらに、サントラ使いもフツーを排して、さまざまな楽器が徐々に入っていっての、ユニークなオーケストラ・サウンドで、サントラ的にも存分に遊びゴコロをば発揮してはるんどす。

3
少年・少女役の2人の島巡りにラブ・ストーリー部も、定番な作りを外して進行してゆきよります。ほんで、2人の演技をサポートする助演陣に、大物・実力派俳優をばキャスティングしはりました。

「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ)と同じく刑事役で、少年との交流部では、「キッド」(2000年・アメリカ)やら「シックス・センス」(1999年・アメリカ)やらのタッチも、そこはかとなくカンジさせはるブルース・ウィリスはん。「ダイ・ハード」とは違う、丸うなった穏やかな演技ぶりに渋みがありま。

タイトなコメディアンぶりを演じる、エドワード・ノートンのアニキ。共にアカデミー賞で演技賞をゲットしてはる、家庭で拡声器で喋ってトンデモ・コメディエンヌぶりを示す、フランシス・マクドーマンドはんやら、ピリリと辛い演技のティルダ・スウィントンのネーさんやらが、作品性に合わせた演技を披露しはります。

コメディ映画やけど、異色にして異能な作りが、クセになりそうな作品なんどすえ~。

2013年1月 5日 (土)

「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」やー

Photo
本年度のアカデミー賞でも、チョイ期待できそうな1本どすえ~

シニア群像劇映画でも、前向きなスタイルがエエ感じや~

http://www.marigold-hotel.jp

2月1日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで上映やで~。

本作はイギリス、アメリカ、アラブ首長国連邦の合作による、イギリス映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

本作は、アカデミー賞の前哨戦・ゴールデングローブ賞(1月13日に結果発表)の、コメディ・ミュージカル部門の作品賞にノミネートされておます。ほんで、作品性においても、過去のアカデミー作品賞ゲット作品とも、それなりにシンクロしよります。

オスカー作品賞を受賞した「グランド・ホテル」(1932年製作・アメリカ映画)とゆうのんは、「グランド・ホテル」形式と呼ばれる、ホテルを舞台にした群像劇のルーツ作品でおますが、本作はそのスタイルをば応用してはります。

しかも、ベルリンの都会設定やった「グランド・ホテル」とは違い、こちとらはインドの、ゴールドとは名ばかりの貧相なホテルが舞台どすえ。

3_2

いろんなワケありの老人・老女たちが、イギリスからこのホテルにやって来はります。このノリはまるで、老人ホームもの。例えば、引退した俳優たちが集った名作「旅路の果て」(1939年・フランス)なんぞを想起させはりますが、そのネガティブなノリとは違って、本作はあくまでポジティブ志向で展開してまいります。

さらに、インド舞台ものイギリスもんてゆうたら、先行して「スラムドッグ$ミリオネア」(2009年・イギリス)が作品賞もろてはるし、本作のジョン・マッデン監督にしても、「恋におちたシェイクスピア」(1998年・アメリカ)で、作品賞受賞経験がござります。いろんな意味で、オスカー・スパイスがホワ~ンと漂ってきよるんどすえ。

2_2
インドへ向かうイギリスの空港では、写真2枚目のように7人が揃てはりまして、ほんでこの7人が、ホテルに一同に会するワケでおます。7人とゆう数は、イロンナかつての名作に、登場した人数と合致しとります。

そして、各老人・老女たち役者のフレキシブルな渋い演技ぶりには、おそらく若い人たちが見ても、しみじみと通じるもんやと思います。そんな中で、やはり主役はジュディ・デンチはんどすえ。これまでオスカーの演技賞でも、何度かノミネートされてきはった女優はんやけど、最近ヒットしたんやったら、「007 スカイフォース」(昨年11月11日付けで分析済み)がありま。

1_2
デンチはんのナレーションに乗って、癒やし系のノリで、インド生活をダイジェストしてゆかはるシーンが、タイトに挿入されよります。ほんで、シリーズ第2弾も作られるらしいんやけど、彼女のラブ・ストーリーのサプライズで終わる展開や~。

老女ヒロイン・ドラマ部としては、これまでのマニュアルをモノゴッツー外す作りが、メッチャ新鮮でおます。若者たちの恋愛も同時進行で取り上げてはりますし、ゲイ老人役のトム・ウィルキンソンはんの、インドの幼なじみとの再会シーンの感動など、押しつけがましくなく、すんなりココロに入ってまいります。

インドの夕景のセピア・シーンを始め、スラム街の雑然とした描写でさえもホッと和みをカンジさせはります。インドの民族音楽をベースにしたサントラ使いも、前向きにして癒やしドラマでもある本作に、絶妙なアクセントを加えてはりまっせー。

2013年1月 4日 (金)

“午前十時の映画祭”の1本「エイリアン」どす

Photo_2
みなはん、あの名作を今一度、大スクリーンで見てみまへんか

ヒロイン・アクションやら、モンスターSF映画やらの流れを変えた1本やで~

http://asa10.eiga.com

1月5日のサタデーから、TOHOシネマズ梅田やらでヤラはりますえ。マスターポジから新たにニュープリントに起こした分での上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸBOBPENN/20THCENTURYFOX/TheKobalCollection

/Wire Image.com

「エイリアン」のコトバは、今や日常用語の1つみたいに、当たり前のように使われておます。そのルーツとなるんのが、1979年に製作されたアメリカ映画の本作でおましょう。

製作年と同じ年に日本に上陸して大ヒット(興収14億超)をカマし、ほんで、その後ビデオ化されて、さらにヒット網を広げ、今やイロイロ出とるエイリアン映画の、シンボル的ルーツ的名作とゆうことになっとります。

ほんで、今から見てみればでんな、いろんなジャンル映画の嚆矢(こうし)とゆうか、それまでの流れを変えた1本でおましょうか。そのジャンル・ポイントは大たいにおいて、5ポインツほどやろかな。

1
①ヒロイン・アクション映画②サバイバル映画③SF映画④ホラー映画⑤モンスター映画⇒ちゅうカンジやけど、それをば21世紀の今から俯瞰して、分析してみまひょか。

①について。ヒロイン映画の中でも、アクションに特化したヤツっちゅうのんは、それまでにも出てることは出ておました。但し、②のサバイバルとゆう観点と併せて考察してみますと、あんましなかったかと思います。

男勝りのヒロインの活躍ぶりも、男を心理的に振り回すようなんはあったやろけど、ストレートにモンスターやらと戦うんはどうやろかな。ほんで、このスタイルは今でゆうたら、「バイオハザード」シリーズ(第1弾は2002年)なんぞに、濃厚に影響を与えておます。

2

さてはて、この映画に出るまでは無名やった、シガニー・ウィーヴァーの映画初主演作どして、この「エイリアン」シリーズが今に至るまで、彼女最大のブレイク作品になっとります。

ほんで、②としては、それまでのパニック・ムービーやらにはなかった、いわゆる女1人だけが生き残るとゆうスタイルを、本格的にクリエイトしはりました。

そして、③④⑤のジャンルを一体化させるとゆう、トンデモない作りが先鋭的でおました。それまでは地球上での対決が多かったんやけど、モンスターと宇宙空間で対決する展開などは、当時でも新鮮やったし、ホラー映画としての凄まじさも特注もんどした。

3
「ハリー・ポッター」にも出てた、ベテラン男優ジョン・ハートはんの顔を覆うエイリアン(写真4枚目)のインパクトを手始めに、遂にはハートはんの腹から、エイリアンがおぞましくもドカーンと飛び出してきよる(写真2枚目)衝撃と恐ろしさは、1970年代に大ヒットした「エクソシスト」(1973年・アメリカ)の怖さを、凌駕するほどのスゴミがござりました。

さらに、ハラドキの宇宙船脱出シーンに続いて、ドッキリのサプライズを用意しはるあたりなど、まさにそれはホラー映画の王道やと申せましょう。

また、本作はリドリー・スコット監督はんの出世作なんやけど、本シリーズのロングヒットを受けて、昨年から、エイリアン・シリーズの遡り系シリーズの第1弾「プロメテウス」(2012年8月10日付けで分析)をば始めはりました。「スター・ウォーズ」シリーズで、ジョージ・ルーカス監督がやったのんと同じ主旨なんやろけど、本作を見れば、そちらの方の動向も注目しときたくなってきよります。

いずれにしても、映画史に残る1本を大画面でご鑑賞あれ! でおます。

2013年1月 3日 (木)

香港ミステリー映画「狼たちのノクターン 夜想曲」

Photo

刑事側と犯人側を交互に描いて、サスペンス度を増す作りやで~

変形リベンジもんで、父娘のキズナも描いてはります

http://www.cinemart.co.jp/theater/special/hongkong-winter/

1月26日のサタデーから、ツインはんの配給によりまして、東京・シネマート六本木やらでロードショーでおます。関西では、シネマート心斎橋で上映中。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012, Irresistible Delta Limited, Edko Films Limited, Sil-Metropole Organisation Limited. All Rights Reserved.

テレビの二時間ドラマのサスペンス&ミステリーのタッチもある、香港のミステリー映画でおます。但し、二時間ドラマとの大いなる違いは、当たり前のことやけど、映画的な作りをしてはることどす。

でもって、同じくミステリーやった「殺人犯」(弊ブログ内検索で出ます)に続く、ロイ・チョウ監督の新作やねん。「エンゼル・ハート」(1987年製作・アメリカ映画)やら「メメント」(2000年・アメリカ)やらを思い出させてくれはった「殺人犯」に続く本作は、ハリウッドのリベンジもの。

例えば「96時間」シリーズ(ブログ内検索)やら、タイトル的にも「狼よさらば」シリーズ(1974年~1993年・全5作・アメリカ)などへとつながっとるかと思います。

1
でも、ハリウッドのリベンジものてゆうたら、リベンジャー視点を中心に描いてゆかはるのが常套なんやけど、本作はリベンジ側あるいは容疑者側と、捜査する刑事側を大たい交互に描くことで、ミステリー色だけやなく、追う者・追われる者の構図的に、ハラハラドキドキのサスペンスを生むのんに成功しておます。

謎解きミステリーとサスペンスをミキシングし、調合調理するんは、なかなかうまくいかん場合がありま。ところがどっこい、本作は往年のヒッチコック監督作品ばりに、ストーリーを巧みに展開させてゆかはります。

2

20年の刑を終えて出所した男(ニック・チョン)が、とある一家(父母娘の3人核家族)を監視するようなとこに住まわはります。ほんで、その一家のダンナはんが、殺されるっちゅう殺人事件が起こりましてな、刑事はん(サイモン・ヤム)らが捜査するとゆう、ミステリーとしてはオーソドックスなイントロから始まります。

ところがどっこい、ニック・チョンの喋れない怪演技ぶりと、サイモン・ヤムの、ステレオタイプとは申せ、いかにもな刑事役ぶりが、見事な対照をば示してはります。この種の映画には欠かせへん、刑事&容疑者の対比効果てゆうたら、サスペンス・ドラマ効果としては必須の一条件でおましょう。

3

特に、この2人による、ガラス床ロープウェイでの対決シーンは、本作アクション部のハイライトになっとります。ガラス床やから、空中バトルのような趣きがあって、臨場感は秀逸や。

色使い的には、セピア照明による冒頭部のシーン、グリーン・トーン、色を薄めにしてテカらせた過去シーンに加え、香港の都会の夜景シーンなど、アクセント的に挿入されて魅了されます。

ほんでサントラ部や。バイオリンの使い方がシーンにマッチしとるだけやなく、ワルツ・オーケストラやら、ラストロールではギターとピアノに乗った、哀愁の香港製男性AORがキャッチーに響きよります。

そして、ナンチューてもラストシーンの感動やで~。父娘のキズナを雰囲気で魅せるこのラストシーンは、いつまでもココロに残りそうな名シーンになっとると、ボクはジャッジいたします。

2013年1月 2日 (水)

マジック映画「大魔術師Xのダブル・トリック」やー

X
トニー・レオンのアニキとジョウ・シュンちゃんの、ラブ・ストーリーやと思ったら…

大どんでん返しが待ってるタイプの、トンデモ騙しの映画やったやんけー

http://www.cinemart.co.jp/theater/special/hongkong-winter/

睦月1月5日の土曜日から、ツインはんの配給によりまして、シネマート六本木でロードショーでおます。関西やったら、シネマート心斎橋で上映中。

文=映画分析評論家・宮城正樹

X3

ⒸEmperor Motion Picture Limited Bona Entertainment Company All Rights Reserved.

20世紀前半の中国を舞台にした映画とゆうのんは、戦争やら他国の支配下を背景にした映画を中心に、ハリウッドやらで作られてきとりました。中国・香港映画的にも、中国側からの視点でシリアスに、描かれたもんが大がいでおました。

でも、ココにこれまでの流れとは違う作品が出てきよりました。そんな時代を背景にしてでんな、マジカルなカラクリと騙しで魅せたろかいやとゆう代物が、本作なんどすわ。

遊んどるようなとこもあるにはあるんやけど、1920年頃の北京を舞台設定にしながら、香港映画の嚆矢時代の映画界世界を、裏ワザとして使いもって、展開しはるカンジがかなりとユニークどす。

X2
ほんで、表ワザの騙しとしては、トニー・レオンが魅せはる、マジシャンとしてのイロンな、ワケ分からんシーンの数々でおます。マジシャン映画は基本的にはカラクリの素も披露されるんやけど、本作はクライマックス部の演目を除いては、いっさい明かされまへん。火炎をポッと出して飛ばす術やなんて、ケッコー出てくんのに、謎のままで、ファンタジーやSFのノリでいってしまわはります。

一方で、ジョウ・シュンちゃんを巡り、軍の大将格と三角関係になるっちゅう構図なんやけど、舞踏会シーンなど部分部分のシーンでは、それなりに説得力を持たせる方向性でやってはりまんねんけど、こちらのドラマ的流れも、なぜかピリリとせずに淀みがあるようどした。

X1

マジシャン映画、ラブ・ストーリー部、三角関係の3者の駆け引きやらは、そんなことはないんやろけど、全てが大どんでん返しと大団円のための、まやかし部なんやないかなとさえ思いよりました。

それだけ、どんでん返しのサプライズが、強烈てゆうたら強烈なんやけど、でも、ものには限度ちゅうもんがござりますわね。伏線はちゃんと仕込んどったんかとか、論理性はあるんかとか。でも、本作は潔くも、荒唐無稽なお話やてゆうてはります。

X4
結局、つまりは、昨日分析の「ドラゴンゲート」と同じく、破天荒・ハチャメチャっちゅうことやろけど、こちらはアクションやらダイナニズムよりも、心理劇やらでそれなりに魅せてゆかはります。

その道筋によって生まれる結末には、なんやねん!と、文句をゆわはる人もいてはることでしょう。でも、映画スクリーンから戦車が飛び出てきたり、虹色の煙で夢を見る幻想シーンの妖しさとかに、ボクチンはオオッとうなりました。

ラストロールで流れる、トニー・レオンとジョウ・シュンの、哀愁の歌謡曲チックなデュエットも妙にエカッたどっせ。ボク的には、心地よく騙された1本どした。

2013年1月 1日 (火)

中国の時代劇ハイパー・アクション「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」3D

Photo
こいつぁ春から、ジェット・リーのアニキとジョウ・シュンちゃんとツイ・ハーク監督やてぇ…

荒唐無稽のミラクル・アクションが、3Dでドトウのごとくや~

http://www.dragongate-movie.jp

ジャニュアリー1月11日のフライデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで、3D全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2

Ⓒ2011 Bona Entertainment Company Limited, All Rights Reserved

中国映画の3Dやなんて、ボクチンは初めて見ました。ほんで、共にハリウッド進出をしはったジェット・リーとツイ・ハーク監督が、久々にタッグを組んだ作品なんどす。

今では当たり前のようにハリウッドで使われておますが、ワイヤー・アクションてゆうたら、1980年代の香港映画がルーツどして、ほんで、その流れを組んだアクション映画をば、監督は次々に作ってきはりました。

それが3Dになったことで、さらなる立体感が出て、ハリウッド映画もビックリの、集団抗争劇によるワイヤー・アクトが実現したんどすえ。香港・中国映画的には、余り取り上げられてへん明(みん)の時代の話なんやけど、銃のない時代を反映してか、剣撃戦をメインにしてはるんやけど…。

1
日本の時代劇映画には欠かせへん、殺陣(たて)的な剣アクトよりも、ワイヤーワークだけにでんな、跳んでハネテでんぐり返っての、いわゆる荒唐無稽なスタイル・アクトでおます。でも、モチハリウッド映画やら日本の時代劇と、イロイロシンクロしよります。

さらに、竜巻のパニック・ムービー部やら、クライマックスの黄金の城での、ハットトリッキーな上下アクションなど、3Dで見るとググッとくるシーンが満載なんどす。

映画の冒頭などで見られる、前へ前への移動撮影のシーンやら、観客側へ向かって弾けるようなカットなどの、前後のカットがビビッドやし、スクリーン左右上下もワイヤー・アクトの立体性で、これまで以上に臨場感が強烈でおました。

2_2
竜巻を起こす風雲急な空模様描写、砂漠シーンや空などのセピア配色の、ハッとさせるような使い方なども印象的どす。バーサス・アクション、パニック・ムービー色、ほんで宝探しの醍醐味なども加わって、娯楽色の豊かな快作になっとりまんねん。

さてはて、役者陣に視線を転じよりますと、イントロからいきなり示されるジェット・リー・アクション。でも、中盤はジョウ・シュンちゃんがドラマを牽引しはります。

ジョウ・シュンてゆうたら、中国4大美女女優(彼女以外は、チャン・ツィイー、ヴィッキー・チャオ、シュー・ジンレイ)の1人どす。明日分析する「大魔術師Xのダブル・トリック」でも、美人女優にふさわしい演技を見せてくれてはります。

3
そして、映画的シンクロをさらに言いますと、多彩なキャラ揃いの盗賊団を加えると、計7人のメンバーとゆうことになっとります。「七人の侍」(1954年製作・日本映画)をルーツとする、この7人編成はオーソドックスながら、ドラマ映えアクション映えしよります。

次に、タイトルを見ると、まるで「ハリー・ポッター」的やと思えまへんか。そう、「ハリー・ポッター」なマジカル性も存分に入っとります。

加えて、4大女優やないけど、実在した中国4大美人になっとる、楊貴妃が出てまいります。邦画では溝口健二監督の「楊貴妃」(1955年・日本&香港合作)が有名やけど、なんでか中国映画では、そない楊貴妃役が出とる映画をば、ボクは見れてまへん。サブ・ポイントやもしれんけど、その意味でも新鮮味のある映画どした。

« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »