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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年12月の記事

2012年12月31日 (月)

連続テレビアニメの「劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影(ファントム・ルージュ)」

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日本テレビ系テレビアニメ・シリーズの劇場版でおます

6000万部突破ベストセラー・コミックの、初の映画化どすえ~

http://www.hxh-movie.jp/

2013年1月12日のサタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーやー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸPOT(冨樫義博)1998-2012 Ⓒハンター協会2013

ボクチンは映画をマスコミ試写室で見続けて、1日1本批評をば書いておまして、それだけで、まあ、手一杯な毎日でおますやろか。

そやから、テレビドラマやらまで、チェックしとるような時間ナンチューのんは、ほとんどありまへん。本作は日本テレビ系全国30局で、毎週オンエアされとるアニメらしいんやけど、そないなワケどして残念ながら見ておまへん。「週刊少年ジャンプ」に連載されとって、大ヒットをばカマしとるらしいコミックも読んでへんので、本作で生涯初めて目にするとゆうことでおます。

冒頭の前振りでは、相棒キャラらしき2人(キルアとゴン)が、初の劇場版のために、チョイと解説をばやってはるんやけど、やっぱ、テレビの方を見てへんと、よう分からんとこらが出てきよります。

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分からないなりに見ていったら、そのうち分かるんかとゆうと、それもテレビ&コミック未見・未読の方には、保障はなんともできへんかもしれまへん。でも、大ざっぱには分かります。

相棒2人とハンター試験で知り合った2人(クラピカとレオリオ)が仲間どして、クラピカの種族を彼を除いて全滅させた「幻影旅団」が、敵役ちゅうことになりますか。その「幻影旅団」にかつておったヤツ・オモカゲが、悪だくみを働くとゆうのんが、本作のメイン・ソースっぽいとこになるやろか。

オモカゲには妹・レツがおって、ほんで、クラピカにはかつて親友やったヤツ・パイロがおって、さらに、キルアには実の兄貴・イルミがおって…ナンチュー風になっとりま。

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目が赤くなったらパワー・アップするとか、そのポイントとなる相手の目を奪うとか、人形がどうちゃらこうちゃらとかとゆう、特殊シチュエーションなとこがあっても、悪だくみの内容は、そないややこしくはないんやけど、すんなり脳ミソに入ってけえへんとこもあるやもしれまへん。

よう知らん「幻影旅団」の連中も、当たり前のように出てきよりますんで、テレビシリーズはチョビッとでも齧っとった方が、エエやもしれまへんな。

配色的には、イントロの夢シーンの造形に、いきなり魅せられよったかな。雨が降ってモヤがかってボケた、大都会の描写シーンのファジーな感覚どして、ウーン、これはちょっと違うでと思ったんやけど…。確かに、全体的にはテレビアニメ的色合いが、主流を占めとるかもしれんけど、分かりやすい背景色としては、ポピュラリティーがあると申せましょうか。

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さてはて、おそらく本作はハリウッド映画のハンター系の映画に、影響を受けとるようなとこがあるようどす。西部劇とかもあるやろけど、例えばバンパイア・ハンターものなんぞでおますか。その路線で本作を見てみると、妙にしっくりきたりしよります。

一方で、手塚治虫アニメからの影響も大どして、例えばキャラの絵作りとかに、「鉄腕アトム」などの、名作からの影響が見え隠れしとります。

弱々しさやったり、素直な少年の声を表現する川島海荷ちゃんや、オモカゲの声を悪らしいイメージで、ヤラシーくやらはる藤木直人アニキやら、ゲスト声優にも注目や。ラストロールで流れる「ゆず」の、いつもと変わらないキャッチーなデュオ節も、作品の出来に貢献してはるかなと思いましたえ。

2012年12月30日 (日)

アカデミー賞で11部門ノミネート中の「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」

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アカデミー賞有力作品分析の第1弾でおます

漂流サバイバル映画のスゴ味が出た強烈作品どす

http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/

2013年1月25日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、3D・2D字幕版、日本語吹替版同時公開で、全国各地イッセーのロードショーでおます。

大阪やったら、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Copyright Ⓒ 2012 Twentieth Century Fox

2012年全米公開作品を対象にしたアカデミー賞の前哨戦・ゴールデングローブ賞のドラマ部門の、作品賞にノミネートされている1本でおます。受賞式は2013年1月13日に開催されるんやけど、ボクとしては現在、ノミニー作品5本中、3本が未見で、「アルゴ」(2012年10月8日付け)は既に分析済みどす。

オスカーの予想は、候補作が出揃って全部見てから予想しますけども、とりあえずボチボチでんなっちゅうことで、本作の受賞度合いを分析してみまっさ。

1977年から1978年にかけての、実話のように見えるフィクションでおます。インドで動物園をやってはった4人家族一同が、カナダへ移住しはるんやけど、動物たちも載せて日本船で船出しはります。ところがどっこい、船が突然沈んでしまいましてな、人間も動物ももろとも、海中へ沈んでしまいます。

このあたりは、「タイタニック」(1997年製作・アメリカ映画)や「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年・アメリカ)なんぞの、パニック・ムービー部のダイナニズムとシンクロナイズするやもしれまへん。

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さらに、その後の主人公と動物たちとの漂流ドラマは、聖書の「ノアの箱舟」を取り上げた「天地創造」(1966年・アメリカ)を思い出させよります。全ての引用作品は、なぜか本作の製作会社・20世紀フォックスはんの作品でおます。つまり、過去の自社作品のおいしいところを、つまみ食いしてはるようなカンジでおましょうか。

でも、後半の主人公とトラの漂流サバイバルは、本作のモノゴッツーなオリジナル・ポイントでおます。しかも、3Dで見れば、凄まじい臨場感があり、主人公と疑似体験ができますで。

ほんでもって、ボートに乗ってたシマウマ、ハイエナ、オランウータンやらをトラは食うてしもたんやから、フツーに考えたら、人間もすぐ食われるはずなんやけど、それがどっこい、主人公は手に汗握る、トラとの駆け引きの連続で生き延びていかはります。そんなアホなと唸るとこもあるんやけど、ドラマ的にもギリギリのとこで踏ん張ってはるかと思います。

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大量にやってくるトビウオのシーンや、大嵐のパニックを経て、主人公とトラが寄り添うナンチュー、信じがたいシーンが現出します。ミーアキャットがいっぱいいてる、謎の食人島など、サプライズが次々に訪れて…。

ロビンソン・クルーソーを始めとした、サバイバルものの系譜としては、1人もしくは集団系が多いんやけど、イヌと共にとかはあるけど、人とトラは初めてでおましょう。加えて、主人公は漂流中、神に向かってナレーションで、しょっちゅう問いかけてはります。神についての話でもあると、最後にも出てきますが、それをトラと奇跡の生還とゆうカタチで描いたとこに、本作の新味があると申せましょうや。

また、構成的にも、大人になった主人公から作家が話を聞くとゆう現代と、過去をカットバックする手法をば採ってはります。そないすると、ドラマはよりドラマティックになりまんねん。

ちゅうことで、オスカー受賞度合いの結論は、50パーセントくらいやろか。でも、娯楽作品としては、作家が本編でゆうアメイジング・ストーリー(スゴイお話)になっとりまっせ。

2012年12月29日 (土)

ドイツ映画の名作「フィツカラルド」リバイバル

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1人の男の狂気じみた、凄まじい熱情を描いた大怪作やー

アマゾン川をさかのぼる、アクロバットなロードムービーどす

2月16日サタデーから、大阪のシネ・ヌーヴォで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

みなはん、ドイツ映画って最近見られましたやろか。若い方やったら、近年はドイツ映画はそない日本公開本数そのもんが少ないんで、見れる機会は少ないやもしれまへん。ちゅうことで、ここで、ドイツ映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露してみます。

●ベスト⇒①ブリキの太鼓(1978年製作・西ドイツ&ポーランド&フランス合作)②バクダッド・カフェ(1987年・西ドイツ)③ベルリン・天使の詩(1987年・西ドイツ&フランス)③善き人のためのソナタ(2006年・ドイツ)

●カルト⇒①本作(1982年・西ドイツ)②カリガリ博士(1919年・ドイツ)③会議は踊る(1931年・ドイツ)③民族の祭典/美の祭典(1938年・ドイツ)

●第二次世界大戦以前のドイツ映画は、ハリウッド映画界と同じくらいの勢力を築いてはったらしいどす。カルトの方は、戦前の映画を主に取り上げましたけども、ドイツ映画の革新性がカンジられます。オリンピックを描くカルト③や、オペレッタを使ったミュージカル仕様の、もう一つのカルト③。ベスト作品は本作もそうやけど、ユニークな主人公もんになっとるかと思います。

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さてはて本作は、アマゾンの奥地に、オペラの殿堂を造りたいと思わはった主人公が、チョイ考えづらい夢に向けて、走り実行しはりまんねん。写真1枚目から3枚目を見て頂けますと、白い上下の服を着た主人公が映ってはります。

この演技をしてはるのは、クラウス・キンスキーはんどす。1つの夢に向かって邁進する、熱情的な怪演技ぶりは、オトロシーくらいにスゴイどす。

「地獄の黙示録」(1979年・アメリカ)などのシーンやらとシンクロする、ロードムービー的なシーンが、見どころの一つでおますが、最大の見どころポイントは、船が山越えする、ポスターやらDVDジャケットにあるシークエンスなんでおます。写真2、3枚目がそれを示してはるんやけど、「十戒」(1956年・アメリカ)並みのスペクタクルな作り込みは、絶品やと申せましょう。

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とにもかくにも、エキセントリックなクラウス・キンスキーはんの怪演技ぶりは、余りにも印象的どして、鬼気迫るスゴミがござりました。夢にまで出てきそうなオトロシサがありま。川をゆく船上で、オペラを流さはるシーンの、ウットリするような、それでいてドッキリするような、ドラマティックぶりも快感どした。

「山猫」(1963年・イタリア&フランス)やらで美人演技ぶりを示さはった、クラウディア・カルディナーレのネーさん。メッチャエエカンジどすえ~。

ほんで、本作のヴェルナー・ヘルツォーク監督的には、本作が最高傑作やとゆうても、過言ではありまへん。見たら人生が変わってまうような、そんな渾身の1本でおました。アラマ・ポテチンどすえ~!

2012年12月28日 (金)

ニュープリント・バージョン「荒野の用心棒」

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クリント・イーストウッドはんの、最初のブレイク作でおます

黒澤明映画のリメイク作としても、有名やけど…

http://asa10.eiga.com

1月26日から2月1日まで、TOHOシネマズ梅田やらで上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸUnited Artists/Pho to fest/Media Vast Japan

本作(1964製作・イタリア&西ドイツ&スペイン合作)の出来はともかくとしても、はっきりゆうて、映画史的にはエポック・メイキングな1本でおましょう。その約5ポインツのメイン・キーワードを見てみまひょか。

①クリント・イーストウッド②黒澤明監督③マカロニ・ウエスタン④セルジオ・レオーネ⑤エンニオ・モリコーネ

●中でも①については、彼の俳優としての、最初のブレイク・ポイントでおました。スチール写真も全部、彼の分でまとめとります。しかも、今や②と肩を並べるくらいの映画監督ぶりを示してはります。

③はハリウッドを発祥とする西部劇=ウエスタンを、イタリア資本が入ったものとしての呼称どす。映画評論家の淀川長治はんが作った造語どすが、そんなジャンルの嚆矢とも呼べるのんが本作でおます。

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④は本作の監督はんやけど、イタリア出身の監督はんどして、本作以降も、「夕陽のガンマン」(1965年・イタリア&スペイン)「続・夕陽のガンマン」(1966年・イタリア)と、①とのコラボは3部作のノリで続きました。③のジャンルに名を刻む監督でしょう。

そして、⑤や。イタリアを代表する世界的な映画音楽の巨匠どすが、ボクチン的には「アンタッチャブル」(1987年・アメリカ)の感動的なオーケストラ交響曲サントラが、耳にこびり付いてるんやけど、本作の哀愁感も聞き逃せまへん。口笛とギター、アーアーアーアーの男コーラスに、ウィ・キャン・ファイの歌詞。ウ~ン、たまりまへんな~。

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ところで、本作は日本映画のリメイクとゆう体裁でおます。ここで、邦画リメイクの洋画作品のマイ・ベスト&カルト・スリーをやってみまひょか。

●ベスト⇒①本作②荒野の七人(1960年・アメリカ)③該当作なし

●カルト⇒①ザ・リング(2002年・アメリカ)②GODZILLA/ゴジラ(1998年・アメリカ)③シャル・ウィ・ダンス?(2004年・アメリカ)③イエロー・ハンカチーフ(弊ブログ内検索で出ます)

●元ネタ作品を出さずとも、大たい分かってもらえまっしゃろ。カルト作品は、それなりにオモロイんやけど、オリジナルの作品性にはとても迫れとりまへん。一方で、ベストの方もおんなじようなカンジでおましょうか。

ちょっとはマシやろかなかもしれんけど、ベスト①②はあくまで、リメイクやなくオリジンを強調して楽しませてくれはります。一方で、際立つのんは、黒澤明映画のフォーエバーなスゴミなんやろけど、そっちゃはまた、いつか語れる機会があるやろかな。ちなみに、本作は「用心棒」(1961年)の、リメイクっちゅうことになっとります。

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まあ、ともかく、イーストウッドはんの、正義のヒロイズム演技性については、目を見張りました。手負いながらも必死に鍛錬し、弱者のために立ち向かわはります。ストレート過ぎるかもしれんけど、「ホントにすごかった」のセリフに見られるように、ココに、胸に、きよります。

アップを束ねて、緊張感をあおる演出ぶりにもノレました。刑事主人公もん「ダーティハリー」シリーズ(1971年~1988年・全5作)にも通じるやろけど、21世紀の監督・主演作品「グラン・トリノ」(2009年・アメリカ)などにも、そのスタイルは引き継がれとる演技性でおました。

アメリカン・ヒーロー像の渋い・ワビサビをカンジさせてくれはる、絶好の俳優はんでおましょう。ちゅうことで、いろんな意味で、映画史に残る西部劇でおます。

2012年12月27日 (木)

3部作の完結編「ベルセルク 黄金時代篇Ⅲ 降臨」

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3作中、最もダークで恐るべき傑作になった作品やで~

後半以降、悪夢のようなショッキングな展開が、次々にやってきよります

http://www.berserkfilm.com

2013年のフェブラリー2月1日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪・梅田ブルク7やらで全国ロードショーでおます。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ三浦健太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

このアニメ「ベルセルク」について、これまでの経緯を簡単にゆうときます。1989年に原作漫画が漫画雑誌に連載され、現在も続いとります。

ほんで、1997年から1998年にかけて、日本テレビ系列で「剣風伝奇ベルセルク」のタイトルで、全25話がオンエアされよりました。

それから10数年の時を経て、主人公ガッツのサーガ(過去)部ストーリーが、3部作として映画化されたんでおます。「Ⅰ 覇王の卵」「Ⅱ ドルドレイ攻略」(共に、幣ブログ内検索で出ます)に続き、サーガ篇完結編が本作なんどす。

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テレビアニメでも最も過激で問題視されとったとこが、実はこの第3弾なんでおます。3作中、最もキョーレツでダークで悲劇的で、圧倒されてまうんです。

実は、ボクは「R-15版」やなく「R-18版」を、マスコミ試写室で見させてもらいました。いやはや、強姦やら殺戮やらのバイオレントなシーンが続出し、アラマ・ポテチン、もうビックラこき続けとりました。

第1弾と第2弾と大きく違うのんは、まあ、ゆうてみたら、ダーク感でおましょうか。主人公の盟友グリフィスが拷問されて、舌を抜かれてメチャメチャな壊れ人間になってまいました。組織から一時離れとった主人公は、そんなグリフィスを奪還し、組織の長になってる美女戦士キャスカと相談し、立て直しを図ろうとしはるんやけど…。

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ところがどっこい、ヤケになっとるグリフィスが馬車で逃げて、それを追ったガッツが追い着いたところから始まる、トンデモないワケの分からへん降臨シーンてゆうたら、本作の超絶にしてワイルドだろぉにして、一大ハイライト・シークエンスになっとります。

「コレは夢なのか」とゆう部下の叫びを手始めに、地獄巡りのようなモンスターやらとのバーサスや、キャスカのゴーカン・シーンが、見てられへんくらいのおぞましさで描かれていきよります。

確かに冒頭から、伏線シーンはありました。イントロ部の前へ前への映像やら、一部「2001年宇宙の旅」(1968年製作・アメリカ映画)を、思い出させはるようなカットが巧みどした。コレがグリフィス視点の描写どして、のちには、下へ下へと落ちてゆくシーンなどでも使われておます。

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色彩設計においても、ダーク感は強調されとるけど、しかし、緻密なリアリズム描写は、圧倒的な仕上がりになっとります。こまやかな雲の流れ、モノクロやらボカシ・シーン、白っぽい映像の意図的な挿入など、トンデモ・クライマックスをサポートする細部の描写も、抜かりはありまへんどした。ラストシーンの草原の退きのカットなども余韻を深めよります。

ちゅうわけで、前2作とは別次元のお話やと思てくだされ。もだえて、もがいて、あがいても…がポイントなんで、ジャパニメーションのポジティヴ・アニメに慣れた人には、ご注意めされな1本でおましょうか。

でもしか、主人公は生きてはります。今後、このシリーズの映画化は続くやもしれまへんので、注目しといておくんなまし。

2012年12月26日 (水)

2時間30分のアニメ「スタードライバー THE MOVIE」

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テレビアニメの劇場版は、まだまだいっぱいありまっせー

本作は海辺の夕景シーンにこだわりを見せはる、学園青春ロボ・メカもんどす

http://www.stardriver-movie.net

2013年2月9日のサタデーから、アニプレックスはんと松竹はんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリーやら大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸBONES/STAR DRIVER THE MOVIE 製作委員会

テレビアニメの劇場版は、テレビドラマの劇場版と同じくらいの頻度で作られておます。明日分析する「ベルセルク」シリーズもそうどすけども、ただ、本作はコミック原作もんやなくて、アニメ・オリジナルなんでおますよ。

ほんで、「青の祓魔師」(今年12月21日付けで分析)のとこで言いよりました、売れ筋のメイン・ストリームの東映・東宝アニメとは、違う流れの中から誕生しておます、ジャパニメーションなんどすえ。

そのモトネタのテレビ・シリーズと申せば、関西の毎日放送が制作し、2010年10月3日から2011年4月3日まで、毎週日曜の午後5時からオンエアされとったもんどす。今どきのコミック原作にはない、テレビアニメらしさを追求してはります。

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ロボット、メカ・アニメナンチューのんは、日本のテレビアニメのルーツ的なもんやし、そこへ、学園もの紅一点3人組の3角関係を捉える、青春ラブ・ストーリー・アニメを合体させるやなんて、異種混合っぽいけど、オリジンを目指した結果でおましょうか。しかも、島もんにしてはるんで、より奇矯なもんになっとるようにも見えます。

島の巫女なんてのがキーワードになっとるし、学園アニメ部と唐突なメカ・アクション・シーンが編集されて、テレビを見てへんボクチン的には、時々ワケ分からへんようなことになったりしよりました。テレビ・シリーズを見てへん人のために、ダイジェストを仕込んではって、非常にありがたいサービスなんやけど、それが短兵急なカンジになっとるんで、チョイと途方に暮れたりしよりました。

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でも、そんな戸惑いの中でもでんな、アニメ的な色彩設計には魅せられましたで。特にこだわりがありそうな、海辺のマジックアワーな夕景シーン(さまざまな映画監督が目指している美しきワン・カットどす)のクリエイトには、メッチャリキが入っとったように思います。

写真でゆうと5枚目(↓)どすけども、セピアやイエローや赤をメインにしながらも、海面のパープルやったり、雲色の描写やったりに、微細なリアリティーがありました。

アクション・シーンでは展開が早過ぎて、動体視力の弱い人にはついていけへんかもしれんけど、まあ、見てればなんとかなるやろ。薄色配色ながら、そんなアクト・シーンでは、原色系の色も使われて鮮やかなんどすえ。ほんで、過去シーンの薄色配色、脱色、モノクロに色付き、白場・黒場のタイトな挿入など、リズミックな色使いの妙にも魅せられますわ。

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そして、ラストの2人の男が見る空の造形など、オリジナリティーがあふれとりました。東京アクション・シーンから過去へとさかのぼり、ラブ部を強調した作り。脇役やけど、姉妹のキズナ部の「ふたり」(1991年)的な展開やったり、窓を間にキスするシーンの「また逢う日まで」(1950年)など、イロンな日本映画の名作へのパスティーシュも入れてはります。

そして、何よりもソニー・グループのアニプレックスはんらしい、歌ものサントラの使い方どす。ポップでキャッチーなJポップ・ナンバーが、場面に合わせて流れます。

ちゅうことで、公開日の2月9日までには時間があるんで、DVDなどでテレビ・シリーズ(ブルーレイのBOX版は、2013年1月23日発売)を予習してから、見に行くんがベターやろなと思います。

2012年12月25日 (火)

シリーズ第2弾「007/ロシアより愛をこめて」をニュープリントで

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007・ダブルオーセブン・シリーズの最高傑作やろか

アクション映画のいろんな因子が、ルーツ的に詰まっとります

http://asa10.eiga.com

2月2日のサタデーから、2月8日のフライデーまで、東京・立川シネマシティで、朝の10時から1回上映の、モーニングショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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007シリーズの最新作「007 スカイフォール」は、2012年11月11日に弊ブログで分析しよりました。ほんで、本作はシリーズ第2弾(1963年製作・イギリス映画)やけど、ボク的には、コレがシリーズ最高傑作やと思います。本作の一部舞台となるトルコ・イスタンブールは、最新作のイントロ・シーンでもロケされとります。

第1弾「007/ドクター・ノオ」(1962年・イギリス・日本公開時のタイトルは「007は殺しの番号」)もええんやけど、アクション・シーンの幅多さや、その後の各種アクション映画に対し、影響を与えた点においては、第2弾が代表格でもありました。

ちなみに、本作の最初のタイトルは「007/危機一発」どした。でも、作品性においては、ラブ・ストーリー的なサブ・タイトルよりも、“危機一発”の方がピッタリやろか。写真2枚目のポスターは、リバイバル時のもんでおます(写真1枚目はDVDジャケット写真)。ほんで、写真3枚目&4枚目は、今や懐かしき、モノクロ写真のキャビネ(プレス紙媒体の宣伝用に使われとった写真)どす。

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ほな、そのアクション部の見どころについて、検証してみまひょか。再見したところ、約4ポインツが画期的でおました。

①オリエント急行の列車内対決②ヘリと人間の対決③水上追逃劇アクション④女2人のバトル・シーン

①は列車内バトル・シーンやらの、ルーツ的な作りでおましょう。スクリーン・プロセス(窓外シーンをスクリーンに映して、背景にする手法)も使われとるけども…。ショーン・コネリー扮する007ジェームズ・ボンドと、ロバート・ショー扮する悪役の、狭い個室内での対決シークエンス。そんなシーンはこれまでにも、いっぱい見てきたように思われるやもしれまへんが、本作がおそらく最初やろか。

ロバート・ショーはんは、みなはん、よう知らはらへんかもしれまへんが、名作で例えれば「スティング」(1973年・アメリカ)では、カモられる役をやらはり、「ジョーズ」(1975年・アメリカ)では、ジョーズに食われる役など、気の毒な役をケッコーやってはります。観客に対し、ヤラレ度の爽快感で魅せる悪役としては、絶好でおましょう。

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②はヒッチコックの「北北西に進路を取れ」(1959年・アメリカ)とかが、先例としてはあるけど、決着は付いておまへんどした。直接対決し、大バクハツで決着を見るのはええカンジや。③は、ほぼ間違いなくルーツやろな。「フェイス/オフ」(1997年・アメリカ)などへ、影響を与えとるんやないやろか。

④は女スパイ(写真2&3枚目)と、その上司に当たる女(写真4枚目)の女対決。美人系の女スパイは「マタ・ハリ」(1931年・アメリカ)や「間諜X27」(1931年・アメリカ)なんぞを受け継いどるんやろけど、女同士の対決は当時としては、稀少やったんやないかな。

ほんで、取って付けたようなラブ・シーン。今から見れば、アクション・シーンとは、妙に浮いとるように見えますが、その後に現れたアクション映画における、ラブ・シーンの見せ方に、大いなる刺激を与えたことが、ようよう見たら、分かるようになっとります。

最新作のDVDを見る際には、ぜひともチェックしてもらいたい作品どすえ。

2012年12月24日 (月)

“新・午前十時の映画祭”の「ニュー・シネマ・パラダイス」どす

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あの映画愛映画の名作が、ニュー・プリント版で登場でおます

映画愛へのワザとらしさに、ムムムとなりつつも、誰もが泣ける映画になっとります

2013年4月20日~5月3日に、立川シネマシティ、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSなどで、午前10時から上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

みなはんの方が何度も見て、泣いてよう知ってはる映画やと思います。その作品をば再び、映画館で見る機会が訪れました。DVDで見てファンになった方こそ、デッカイ画面で見て酔いしれて、泣いてほしいかと願(ねご)とります。

さてはて、今さら本作について語れることはあるんやろか、なんて不安を覚えつつも、やってみましょう、それなりに。映画愛映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、まずは、思いつくままにやってみまひょか。

●ベスト⇒①本作(1989年製作・イタリア&フランス合作)②アメリカの夜(1973年・フランス&イタリア)③キネマの天地(1986年・日本)

●カルト⇒①ラスト・ショー(1971年・アメリカ)②暗くなるまで待てない!(1975年・日本)③雨に唄えば(1952年・アメリカ)

●映画愛映画のパターンは、映画メイキング映画のベスト②③カルト③が主流やけど、映画館をベースにした映画の本作なんぞは、実は意外と少ないんでおますよ。

A.映画製作現場⇒B.映画館⇒C.一般大衆の映画愛とゆう流れやと思うけど、映画愛を映画ドラマ的設定で示す映画としては、映画館を舞台に展開するんが、最もふさわしいんやないやろか。

モチ、映画館で見る映画が、ドラマの行方を左右するカルト①とか、映画青年たちを描くカルト②など、Cラインは映画愛を示す映画としては、欠かせへんとこやろかと見ます。

Photo_3さてはて、結論のあいまいなまま、次へと進みよります。少年少女主演映画のマイ・ベスト&カルト・ファイブなんぞも、気ままにやってみますわ。

本作は本編の半分くらいしか、少年部はないんやけど、無理矢理入れまっせ。いつものスリーからファイブに、広げたからには…。

●ベスト⇒①禁じられた遊び(1952年・フランス)②スタンド・バイ・ミー(1986年・アメリカ)③ペーパー・ムーン(1973年・アメリカ)④千と千尋の神隠し(2001年・日本)⑤キッド(1921年・アメリカ)

●カルト⇒①生れてはみたけれど(1932年・日本)②E.T.(1982年・アメリカ)③ブリキの太鼓(1978年・西ドイツ&ポーランド&フランス)④シベールの日曜日(1962年・フランス)⑤本作⑤鉄道員(1956年・イタリア)

●みなDVDで出とると思うんで、レンタルであれ見ていただければ、分かるかとは思いますが、このポイントでやったらキリがないくらい、話は尽きんようになるやろか。

そんな中で、本作のイタリア映画に集中して、目を向けてみますとでんな、カルト同率⑤の本作含む2作に共通するんは、少年のかわいさが、日本の公開当時において、渋くも時代のトレンドになったことやろか。そのポイントは少年のなんとも言えへん、ココロに残るしかない笑顔どした。

さて、スタッフ陣にも目を向けたいんやけど、あえて本作ではサントラに焦点を当ててみますで。アメリカンな派手な交響楽サントラを駆使しはる、巨匠の音楽監督がいてはりますけども、本作はボクの大好きな、イタリアのエンニオ・モリコーネはんどす。

彼のマイ・ベスト・スリーは①アンタッチャブル②本作③荒野の用心棒、ちゅうところやろか。

フツーにオーケストラ・サウンドを流しとけば、それなりにカッコが付くようなハリウッド映画とは違(ちご)て、モリコーネはんは作品に合わせるだけやなく、自身の音楽的芸術性をば、思いきし注入しはります。本作もまた、映画と同じく後世に伝えられるような、優しくて柔和、そして覚えやすいポピュラリズムある音楽性で魅せてくれはりました。

ちゅうことで、名作批評にあんまし語られへんとこを、取り上げてヤッてみよりました。名作には付きもんやけど、イロイロ意見がある映画どすんで、また、エエ感じのオモロイ未公開なとこがあったら、いつでも教えてくだされ。

2012年12月23日 (日)

ニュープリント版による「シェーン」カミンバック

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ポピュラリティーあふれる名作ウエスタンどす

大画面でこそ映える、アメリカ西部の自然描写の数々に酔えまっせ

http://asa10.eiga.com

フェブラリー2月2日のサタデーから、大阪・TOHOシネマズ梅田で上映でおます。

本作は1953年製作のアメリカ映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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かつて淀川長治先生が解説しはった「日曜洋画劇場」では、何度もオンエアされておましたが、再び映画館のでっかいスクリーンで見られる、絶好の機会が到来しよりましたで。まあ、若い方々は、初めて見るやもしれまへんけども…。

西部劇=ウエスタンなんて、最近はさっぱり作られませんけども、かつてはジョン・ウェインはんなんぞが、アメリカン・ヒーローとしてスクリーンで活躍しはりました。でも、こちらの主演アラン・ラッド(写真1枚目)はんは、ジョン・ウェインよりイケメンなんやけど、彼と違(ちご)てでんな、本作だけの一発屋のイメージが強うおます。でも、その一発がフォーエバーな名作ならば、ゆうことありまへん。

山田洋次監督は、本作の主題歌を引用した「遥かなる山の呼び声」(1980年製作・日本映画)のタイトルで、本作をばリメイクしはったし、風来坊がコドモを始め家族を守る映画としては、ルーツ的な1本やろし、その後に出た「刑事ジョン・ブック/目撃者」(1985年・アメリカ)などへ、濃厚な影響を与えておます。

そのコドモ視点もキチンと入っとりまして、コドモから見たヒーロー像とゆう作りは、当時としては斬新どした。馬にまたがって去ってゆくシェーンに対し、コドモが「シェーン、カミンバック!(戻ってきて!)」と叫ぶラストシーンは、余りにも有名どす。そのセリフ自体も、当時はなかったけど流行語大賞並みに、ブレイクしよったらしいわ。

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さてはて、当時の日本公開時のポスターが写真2枚目で、3枚目はDVDのジャケット写真なんやけど、やはり映画宣伝的には、ポスターの方が大衆のココロをそそるような、的を射たものになっとるかと思います。最も感動的なラストシーン直前のカットを掲載して、見る前も見たあともインパクト大どすやろな。

そして、明るいカラーによる、アメリカ西部の美しい風景カットの数々でおます。ワイオミング高原の開拓地にシェーンが登場する、冒頭の俯瞰シーンから、ココロときめきまっせ。広大な牧場とグリーングラスな草原、薄ブルー・トーンの山々。ほんで、水色の空。目が冴え冴えとするだけやありまへん。何とも言えへん、柔和な感じを運んでまいります。

当時のアカデミー賞では、撮影賞に輝いてはります。撮影の上手さも当然あるし、1950年代にピークを迎えはった、ジョージ・スティーヴンス監督の手腕にも注目や。アカデミーの監督賞をゲットしはった、「陽の当たる場所」(1951年・アメリカ)や「ジャイアンツ」(1956年・アメリカ)も、DVDでチェックしてみてはどないでしょうか。

2012年12月22日 (土)

ニュープリント版でお贈りする、フェリーニ監督の「甘い生活」どす

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かの「ローマの休日」の、グレゴリー・ペック記者との違いは…

パパラッチなゴシップ芸能記者を、初めて描いた作品やろか

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ⒸAstorPictures/Photofest/ゲッティイメージズ

本作(1960年製作・イタリア&フランス合作)は新聞記者など、イロイロある各種の記者を主人公にした映画どす。スクープ系の新聞記者ものやったら、当然シリアスやし、ふざけとるような余地はありまへん。けども、本作はゴシップな芸能記者はんでおます。

ブンヤ(グレゴリー・ペックはん)が、スクープ系のアリエネーカタチで活躍し、王女(オードリー・ヘプバーンネーさん)とラブ・ストーリーまで紡いでしまうっちゅう映画としては、「ローマの休日」(1953年・アメリカ)があまりにも有名どすが、フェリーニはんはそれに対して、アンニュイなアンサーを意図して本作をば作ったんやないやろか。

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ゴシップ記者を主人公に描くとゆうのんは、当時としては斬新やったし、主人公に合わせて、取材される対象側の女優はんも、思いっきしハジけて気まぐれ節をヤッてまうとゆうのんも、アイロニーな感覚を助長しております。

でもって、3時間以上にわたり、そんなけだるいお遊びシーンやら、戯れシーンだけではもちまへん。でも、そういう怠惰なシーンこそが、本作のデッカイ見どころであり、あとあとに心に残ってきよるシークエンスになっとるのんに、ふと気づかされます。

また、主人公のオトンまで主人公と、今でゆうたらキャバクラへ、一緒に行って遊ばはりまんねん。でも、自殺する主人公の友達との話し合いなど、シリアスなとこも点綴されよります。

そして、極めつけは突き放したようなラストシーンどす。フェリーニらしい、エゴイストな男のヒューマン・ドラマが、虚無感の向こうへといってまいます。潮騒の効果音、天使のような無垢なる少女のアップ…。いやはや、いつまでもココロに、粘り付きそうなシーンどしたえ。

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記者役主人公は、イタリアの名男優、故マルチェロ・マストロヤンニはんや。若い人たちは、さっぱり分からへんかもしれんけど、分からんままにでんな、とりあえず唐突に、彼のマイ・ベスト&カルト・スリーをやってまいます。

●ベスト⇒①本作②ひまわり(1970年・イタリア)③プレタポルテ(1994年・アメリカ)

●カルト⇒①BARに灯ともる頃(1989年・イタリア&フランス)②異邦人(1968年・イタリア&フランス&アルジェリア)③こうのとり、たちずさんで(1991年・ギリシャ&フランス&イタリア&スイス)

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●本作やカルト②みたいに、我がまま・身勝手な役が映えるかと思えば、泣けるメロドラマのベスト②や、そこで共演したソフィア・ローレンと、再会共演を果たしたベスト③など、泣かせる演技やらチョイユニークな役柄など、幅広い演技性で魅了してくれはりました。

そして、晩年に主演しはった、本作でのオトンと息子の関係性が逆転したカルト①の、ペーソスある渋みが忘れられまへん。でもしか、本作が彼の最高傑作やとジャッジいたします。大きなスクリーンでご堪能あれ! でおますよ。

2012年12月21日 (金)

テレビアニメの映画化「青の祓魔師(エクソシスト)-劇場版-」

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大ヒット中の「ONE PIECE」と同じく、テレビアニメからの劇場版どすえ~

そこには、東映アニメVS東宝アニメの構図が、見えてきよりまんねんで~

http://www.ao-ex.com

暮れも押し迫った12月28日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ加藤和恵/集英社・「青の祓魔師」劇場版製作委員会 2012

日本のテレビアニメの劇場版とゆうのんは、綿々とした歴史っちゅうもんがあります。その嚆矢(こうし=ルーツ)は、東映アニメーションはんどす。ほんで、1970年代から1980年代にかけては、ロボものからスポ根ものまで、一大隆盛を極めてはりました。

しかし、「ドラえもん」やらを皮切りに、東宝はんが台頭し、それ以降、「ポケットモンスター」「クレヨンしんちゃん」やらがシリーズ化され、今に到ってはります。

アニメ映画オリジナルとしては、スタジオジブリ作品の配給も持ってはって、今や邦画アニメ界では、「ONE PIECE」シリーズで、東映アニメが盛り返してきてはるとはいえ、ぶっちぎりの一大勢力やと申せましょうや。そんな東宝アニメのテレビの劇場版最新作が本作なんどす。

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TBS系で2011年にオンエアされた、連続アニメの映画版でおます。そのシリーズを見てへんでも、分かりやすいことは分かりやすいし、何といっても往年のホラー名作「エクソシスト」(1973年製作・アメリカ映画)への、アンサー的作品性が、個人的にはグッときよりましたやろか。そもそもエクソシストとゆう言葉は「エクソシスト」から始まっておますんで。

しかし、本作のオリジナリティーは、悪魔祓いのエクソシストと、悪魔の少年との交流を、描いた点にござります。例えば、コレは「エクソシスト」と少年ホラー「オーメン」(1976年・アメリカ)の、キズナちゅうようなアリエネー図式で見られて、まさにウルトラワザやと申せましょうや。

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いろんなエクソシスト・キャラたちが出てきよります。双子の兄弟のアニキの方が主人公なんやけど、関西弁をシャベる3人やとか、ビキニ・ファッションのアル中セクシー女やとか、ホンマ、イロイロで個性的どす。

ほんで、中途ハンパに有名俳優やらを使わずに、プロの声優陣だけで声を担当して、アニメのアニメらしきプライドをば誇示してはりまんねん。

付け加えよりますと、イントロの幽霊列車アクションなど、「007 スカイフォース」(今年11月11日付けで分析)的な入り方をしてはって、興味深かったどすわ~。

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カラーのアニメは、色使いこそが一大ポイントやと見なして、ボクはチェックしよりますけども、本作の多彩な配色ぶりには魅せられましたがな。写真にもあります、街の造形ぶりやら祭りシーンの色彩感。出てくるモンスターたちは、ダーク・レッド、クリーム・イエロー、グリーン…。

ほんで、悪魔祓い側の祓い具合も、薄ブルーを使った主人公を始め、グリーンやレッドやらを使ってはるんどす。

夕景のセピアの空描写も、グラデーションは使ってないんやけど、イロイロ変えてはります。黄金色、朱色の紙ふぶき、グリーン目の黒いミニ悪魔の素が、いっぱい降ってる中でのシークエンスなど、これまでのアニメにはないシーンを、クリエイトせんとする意気込みや熱気をばカンジよりました。

アニメ・ファンだけやなく、映画ファンにも見ごたえのある1本になっとります。

2012年12月20日 (木)

テレビドラマの劇場版第2弾「牙狼<GARO>~蒼哭(そうこく)ノ魔竜~」

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深夜のテレビドラマを見てへんでも、なんとなく分かります

演技陣だけが実写になってるみたいな、アニメ映画的な作りどすえ~

http://www.garo-soukoku.jp/

来年2月23日のサタデーから、東北新社はんの配給によりまして、全国ロードショー。関西やったら、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 雨宮慶太/東北新社

テレビ東京系の深夜枠で連続テレビドラマとして、2005年にオンエアされたんが、本作シリーズのそもそもの始まり、始まりでおます。

でもって、本作は2010年に「牙狼~RED REQUIEM~」として映画化。しかも、日本初の全編フルデジタル3Dによる映画館上映どした。

そして、本作が、3Dやないんやけど、劇場版第2弾として登場しよります。一部のシーンやらで、シリーズを引き継いでるとこもあるんやけど、テレビ・シリーズや前作劇場版を見てへんでも、なんとなく分かるような作りになっとりますんで、ご安心くだされ。でも、レンタルDVDやらで予習しといても、ええかとは思います。

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CG、VFX、クリーチャーだらけでおまして、まるで演技陣だけが実写になって、アニメ映画的な世界で、演技しているようなカンジでおます。そやから、各人のキャラはよりアニメチックになっとります。

確かに特撮ヒーローものやけど、「仮面ライダー」やらとの違いは、地上やなく、設定された異世界での戦いが展開してまいります。人間が作ったモノの世界での、主人公の戦いとゆう設定や。本作のオリジナル専門用語もありまして、セリフに出てくるけど、映画的流れに乗ってみれば、大たい分かってきよります。

色使いのカラフルさにも、目を奪われます。但し、グリーン、パープル、ピンクなど、原色系の色よりも薄めの配色で、目にどぎつくクルことはそないありまへん。

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正義の味方の主人公・冴島鋼牙役は、イケメン俳優の小西遼生(りょうせい=写真1枚目)が、テレビシリーズの最初からヤッてはります。まさに特撮ヒーロー映画にふさわしい、ストレートなキャラどす。

戦いの地では、ブルーな体で赤い服を着た、蒼(あおい)あんな(写真4枚目)チャンらのサポートを得て、戦いに臨みます。

さてはて、本作の目ン玉は、ナンチューても、主人公の敵となる松坂慶子(写真2枚目)はんでおましょう。モノゴッツー若々しく見える肌ツヤやビジュアルが、奇跡に近いもんがござります。女優人生初のワイヤー・アクションよりも、ボクチンはそっちの方に目がいってまいました。

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まあ、しかし、メイン・ソースは主人公の戦いどす。冒頭とラストがつながっておまして、1対1の決戦をやらはるし、松坂はんとの戦いに加え、竜ロボットとのバーサスまであります。

特撮映画の醍醐味もそれなりにあるし、また歌って踊ってのシーンやら、主人公とオトンが再会する幻想シーンなどもありまして、アクション一辺倒の作りやありまへん。

ラストロールでは、アニソンっぽい歌が流れよるから、ヒーロー・アニメ・ファンのココロへも届くんやないやろか。シリーズは続きそうやし、今後もお楽しみにしておいておくんなまし。

2012年12月19日 (水)

引きこもり系映画の新型「みなさん、さようなら」

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団地エリア内に引きこもる、奇妙な男のヒューマン映画どす

船を降りられへんかった「海の上のピアニスト」と同じく、感動的な映画でおます

http://www.minasan-movie.com

2013年1月16日のサタデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、テアトル梅田やら京都シネマ、シネ・リーブル神戸などで、全国ロードショーやでー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012「みなさん、さようなら」製作委員会

先生に向かって「先生、さようなら」。みんなの方を向いて「みなさん、さようなら」と挨拶したことって、みなはん、ありますやろか。ピンときた人は、そうなんですわ。小学校の毎日の終業時にやったこと、覚えてはりますか。

まあ、今の小学校でもやってはるかどうかは、知りまへんけども、本作は1981年の昭和時代に、団地から通う子らばかりの小学校の、一学年の生徒たちが卒業し、それから1996年までの話なんどすわ。

小学校を卒業して、主人公は中学・高校も行かず、自分が住む団地内だけで一生を生きてゆく決意をばしはり、それを実行しはります。母子家庭なんやけど、オカンも息子の思うままにさせはり、ほんで、ほかの同級生たちもそれを理解してはるみたいなんやで。

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ああ、なるへそ。そういうヘンな男の子がいてるとゆう設定をして、コミカルなノリでお話を進めはるんやろなと思ておますと、大いに違っておりました。本編2時間の前半の早い段階で、主人公にまつわる意外な事実が判明しよります。

そして、それ以降、物語はコミカルとシリアスが同居したような作りへと流れ、ほんでもって、ラストでは感動的なところへと、着地してゆくとゆう映画になっとりまんねん。

年代ごとに、卒業生たちが団地から引っ越してゆくのんを、総卒業人数から引いてゆく字幕が出てまいります。最初は、お遊び的にやってるんやろなと思っておますと、コレが最後の感動へとつなげるための伏線になっておったんで、あなどれまへんで。

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さてはて、そんな主人公役には、濱田岳アニがやってはります。みなはん、よう知らはらへんかもしれへんけど、テレビドラマにもケッコー出てはるし、本作の中村義洋監督とは、盟友やとゆうてもええくらいどす。

全て伊坂幸太郎原作もんやけど、大学生役の「アヒルと鴨のコインロッカー」(2007年)、ハットトリッキーのキー・パーソンやった「フィッシュ・ストーリー」(2009年)、堺雅人をサポートする「ゴールデンスランバー」(2010年)、母子のキズナの、その息子はん役をやった「ポテチ」(本ブログ内検索で出ます)など、原作者・監督・役者のアンサンブルが印象的でおました。

ほんで、本作は伊坂はん原作やないけども、何やら伊坂節みたいなんも濃厚にカンジさせはる映画なんどすえ。

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隣室に住んではる波瑠(ハル)ちゃんとの、ベランダでのシャベリとか、後に婚約破棄されるんやけど、フィアンセ倉科カナちゃんとのやり取りなど、1分から2分くらいの長回しショットに、ハッとさせるところがあったり…。オカマっぽい永山絢斗(ケント)クンやら、主人公の同級生との関わりやらの、ラブ・ストーリーやら友情部で哀愁味があります。

そして、クライマックスとなる濱田アニキがヤル、団地のコドモを守るための、田中圭らとの奇跡的な決闘シーンなど。さらに、オカン役・大塚寧々のナレーションによって、感動を倍加させてゆく作りやら、感動させるためのツボを心得た1本どしたえ。

船を降りられなかった「海の上のピアニスト」(1999年・アメリカ&イタリア)と同じ…、いや、それ以上の感動があるやもしれへん快作でおました。

2012年12月18日 (火)

クォン・サンウとセシリア・チャン共演の「7日間の恋人」どす

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ラブコメ・ノリよりラブ・ロマンス・タッチの、ウットリな作品でおます

ハリウッドの多彩な名作を、ヒントにしはった1本どすえ~

http://www.koibito-7days.com

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東京では12月15日から、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、新宿武蔵野館で公開中やけど、関西は1月12日のサタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで上映どす。

本作は2012年製作で、香港・中国合作による本編87分やー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

クォン・サンウのアニキが「悲しみよりもっと悲しい物語」(2009年製作・韓国映画)以来、ラブ・ロマンス映画に出はりました。本作はラブコメとゆうことになっとりますが、コメ部は控えめのラブ・ストーリーでおます。

サンウはんは、ポスト韓国四天王(ペ・ヨンジュン、チャン・ドンゴン、イ・ビョンホン=最新作「王になった男」は後日分析しま、ウォンビン)の位置にいてはるように思いますけども、このところのワイルドな役柄続きで、スイーツなラブもんとワイルドだろぉな作品を行き交いしはって、今や四天王に並ぶとこまできてはるかと思います。

ここで、彼のマイ・ベスト・カルトスリーをば披露や。●ベスト⇒①マルチュク青春通り(2004年・韓国)②戦火の中へ(2010年・韓国)③悲しみよりもっと悲しい物語●カルト⇒①本作②火山高(2001年・韓国)③恋する神父(2004年・韓国)

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●青春・学園もののベスト①カルト②、野性的なベスト②、ほんで、本作はウットリの恋愛映画どすえ。ベスト③の泣ける系の映画やなく、本作はあくまでストレートにラブを追究しはるんどす。

さてはて、彼の恋のお相手役は、セシリア・チャンのネーさんでおます。みなはん、知ってはるやろか。香港の大女優はんで、歌手でもありま。本作のラストロールでは、極上のピアノ・バラードをば披露しはります。ほんで、演技的には1人2役や~。わがままと穏和の2役を、演じ分けはりまんねん。

中国にいてはるサンウが、仕事上のパートナーで恋人でもあるセシリアネーさんが、韓国出張へ行って行方不明になったため、その代わりとして恋人と似た女を見つけはります。ほんで、大企業における派閥争いへと展開していきよるんどす。

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なんですぐにサンウは代役が探せたんやろかとか、恋人はあとで颯爽と登場するのに、なんで韓国で音信不通になっとんかなど、ご都合主義的なとこがあることはあるんやけど、映画の流れに乗って見ていかはったら、それほど違和感はござりまへん。

代役を仕立てて教え込むとゆうところでは、「マイ・フェア・レディ」(1964年・アメリカ)やら「プリティ・ウーマン」(1990年・アメリカ)。ほんで、サンウが彼女にコクるシーンは、「ロミオ&ジュリエット」(第1弾映画化は1936年・アメリカ)やら「ウエスト・サイド物語」(1961年・アメリカ)を思い出させるんやけど、そういうハリウッドやらの名作を仕込んでゆくとゆうスタイルとしては、ありきたりのようにも見えなくはありまへん。

そやけど、物語の中にどう溶け込ませるかとゆう視点では、シブミがあるようどした。ヒロインのオバンの、脱色した過去のシークエンスで魅せるとことか、若い2人の恋愛部、さらに、サントラとしてのピアノの、場面に合わせた絶妙な使い方やらも魅力的どしたえ。

2012年12月17日 (月)

人類滅亡のカウントダウン映画「エンド・オブ・ザ・ワールド」

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男女カップルとイヌ1匹の、ユニークなロードムービーで、人生最後のラブ・ストーリーが展開どすえ

コメディエンヌとして、キーラ・ナイトレイのネーさんの代表作になったかも

http://www.sekainoowari-movie.jp/

2013年1月12日の土曜日からテアトル梅田やら、1月26日から京都みなみ会館など、全国順グリのロードショー(配給=ツイン)。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Dodge Productions, LLC.

イギリス女優キーラ・ナイトレイのネーさんてゆうたら、大ヒットした「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(第1弾は2003年製作・アメリカ映画)のレギュラー出演者どす。そやから、パブリック・イメージ的には、どないしてもアクション女優として見られがちでおます。

ちゅうことで、ここで突然、キーラネーさんの、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露いたします。

●ベスト⇒①つぐない(2008年・イギリス&アメリカ)②危険なメソッド(今年10月11日付けで分析)③プライドと偏見(2005年・イギリス)

●カルト⇒①本作②ベッカムに恋して(2002年・イギリス)③ドミノ(2005年・アメリカ&フランス)

●キーラの持ち味は、「パイレーツ…」やらカルト③やらのアクションやありまへん。ベスト①③やらの恋愛ドラマのマジ演技やら、ベスト②での屈折のヒロイン像の絶妙な演技ぶりどす。そして、裏ワザとして、カルト①②の演技を披露しはるんどすえ。カルト②は青春はつらつな演技ぶりやけど、本作はコメディエンヌどす。

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早口のツッコミ節でセリフをシャベらはって、むしろボケ演技のコメディに似おてはる、スティーヴ・カレルのアニキをばタジタジにしはります。うーん、こら、エエ感じどすえ。

でもって、本作は人類の終末映画なんやけど、ラブコメのノリが終末感の、“もうしまいやねん”なペシミズムを、緩和してはるんどす。そないな人類の終わり映画は、かつてなかったやろかと思います。

ちゅうことで、ここでさらに、この世の終わり映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーを言いますと…。

●ベスト⇒①博士の異常な愛情(1963年・イギリス)②渚にて(1959年・アメリカ)③太陽を盗んだ男(1979年・日本)

●カルト⇒①本作②デイ・アフター・トゥモロー(2004年・アメリカ)③復活の日(1980年・日本)

●ともすると、滅亡映画は暗い感じになるし、また、パニック・ムービーではカルト②③のように、滅亡を免れたとこを強調しはりますが、モチ、それは暗いキモチのままで、お客はんが映画館を後にしてまうのを、避けるためなんやろうけど…。

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ほんでもって、ベストの①から③や本作は、ホンマに地球滅亡がラストで描かれるわけやけど、ブラック・ユーモアなベスト①③、ホンマに暗澹(あんたん)とするベスト②に比べて、本作はテイストが大いに違っておます。

地球に小惑星が衝突する、人類滅亡のカウントダウンが開始される中ででんな、不意に出会った2人の男女が、それぞれの最後に会っときたい人のとこへと、イヌを連れもって一緒に向かう(写真1枚目)とゆう、ロードムービー・スタイルの映画でおます。

軽快かつノリのエエ雰囲気で、ストーリーは進行してまいります。そして、「出会えて良かった」で終わる、ラブ・ストーリーとしての心地いい感じに加え、洋楽のさわやかな歌ものサントラが結構流れて、暗みちゅうのんがほとんどありまへん。こんな滅亡映画もありやろな~と、チョイ驚かされよりました。年明けに、みなはんもぜひ、劇場体験をしておくんなまし。

2012年12月16日 (日)

ブルース・ウィリス主演のSF映画「LOOPER ルーパー」

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かつてのブルース・ウィリスのハードさやら、第六感のセンスやらが戻ってまいりましたで~

未来とさらなる未来のタイムスリップ系SF映画は、実はそんなにありまへんねん

http://looper.gaga.ne.jp

2013年1月12日のサタデーから、ギャガ&ポニーキャニオンはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 LOOPER DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

ブルース・ウィリスは、もう終わってしもたんか。テレビの「日曜洋画劇場」で「ダイ・ハード」(第1弾は1988年製作・以下の引用は指定国以外は全てアメリカ映画)シリーズが毎週オンエアされとったけど、視聴率はあんましようありまへんどした。そ・れ・で・も、ボクらやアタシたちのウィリスのアニキは、今もなおハリウッド映画界でバリバリ働いてはります。

ちゅうことで、ここで突然やけど、21世紀以降の彼の主演映画マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。絶頂期やった20世紀の主演・出演作品は、あえてハズして現在形を見ましたで。

●ベスト⇒①本作②シン・シティ(2005年)③16ブロック(2006年)●カルト⇒①エクスペンダブルズ2(今年10月6日付けで分析)②バンディッツ(2001年)③ダイ・ハード4.0(2007年)

●「ダイ・ハード」の刑事役が当たり役やけど、ベスト②③などでは、ミラクルやない刑事をばやらはりました。彼が彼をパロるカルト①やら、銀行強盗役のカルト②やら、彼らしさを踏襲した作品が多いけど、本作は違っておます。

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本作はタイムトラベラーなSF映画なんやけど、かつて彼が出た「12モンキーズ」(1995年)に加え、「シックス・センス」(1999年)のセンスを微妙にブレンドした、何とも言えへん味の映画になっとるんどすえ。ちゅうことで、ここで、タイムスリップ系映画のマイ・ベスト&カルト・スリーを言いますと…。

●ベスト⇒①バック・トゥ・ザ・フューチャー(第1弾は1985年)②12モンキーズ③タイム・マシン(1959年)●カルト⇒①本作②デ・ジャヴ(2008年)③リターナー(2002年・日本)

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●本作をカルトの方に回しましたが、ボクチンがゆうのもなんやけど、実は、実に練り込まれたストーリー展開で魅せる、大傑作なんどすえ。

まずは設定的なことを申しますと、本作以外のベスト・カルトに選んだ作品は、全て現在の地点をベースに未来やら過去へと行かはりますが、本作は2044年を現在地点として2074年とのやり取りとゆう、未来とさらなる未来の設定なんどす。

ドラマ設定について申しますと、2074年を仕切っとる闇のボスの指令で、2044年へ送り返された人物を銃殺する殺し屋(ジョセフ・ゴードン=レヴィットのアニキ)がいてはります。2074年からウィリスが2044年へ、タイムスリップして送り込まれたんやけど、ゴードンは殺しそこねてしもて、ウィリスを逃してしまいます。実は、ゴードンは若い頃のウィリスはんなんどすわ。

未来の自分と若い自分が再会するとゆうサプライズ。ほんでもって、2074年の闇ボスをコドモ時代に始末するために、ウィリスが動いてゆくとゆう展開どす。

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いわゆる、過去改ざん系、もしくは未来改ざん系のSFでおまして、果たして改ざんは達成されるのかのとこが、ハラハラドッキリの流れで披露されてまいるんどす。なるほど、そやから未来の未来設定なんやと、納得もできよります。

未来から来てアクションする「ターミネーター」(第1弾は1984年)のセンスとは違って、こちらは主人公の未来と未来・現在をつなぐとゆう複雑系や。そしてさらなる魅力をゆうたら、未来の闇ボス少年が魅せる、ホラー映画的なノリとパニック・ムービーなとこのハラドキでおましょうか。とにかく、痛快におもろい1本になっとる作品なんどすえ~。

2012年12月15日 (土)

シリーズ第2弾となるアメリカ映画「96時間 リベンジ」どす

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予想外に大ヒットしてもうた、誘拐拉致系救出もんの第2弾

大ヒット中の「007」と、シンクロナイズするとこもありどすえ~

http://www.96hours.jp

2013年1月11日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

前作の「96時間」(2008年製作・アメリカ映画)に続く第2弾でおます。前作はえらい予想外に売れてまいました。そやから、ハリウッドでは、第2弾を作ろうかとなったんやけども…。

20世紀の世紀末あたりから21世紀の現在まで、ハリウッド映画界ではネタギレがどうたらこうたらと、問題化しとりました。

そんな風潮の中で、各国の作品へとリメイク化アプローチしはりまして、日本からは「リング」(1998年)「呪怨」(2002年)などのJホラーが、ハリウッド・リメイクされとりますが、一方で、ハリウッドへの企画提出でやってはるとこもござります。そんな1社が、フランスのリュック・ベッソンがやってはるヨーロッパ・コープなんでおます。

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フランス1国製作映画としても、「TAXi」シリーズ(第1弾は1997年)やらの、カーチェイス・カーアクション映画で、日本でも有名どすやろ。でもって、本作シリーズやけど、ハリウッド資本が入ったことで、アクション部はさらに強力・強靭になっとります。

トルコ・イスタンブールのロケをメインにしてはるんどす。今、大ヒットしておます「007 スカイフォール」(今年11月11日付けで分析済み)のイントロ部でも、イスタンブールで大アクションが披露されとりますが、こちらはウルトラ・ワザよりは、作品の内容に合わせたリアリティーある活劇部となっておますよ。

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前作では、人身売買やらをやっとるユーロの闇組織に、誘拐拉致されたわが娘を、奪い返すオトン役リーアム・ニーソンの、タイトなアクションがストレートに披露されとりました。でも、本作でも、そんな誘拐をポイントにしてでんな、続編をやるっちゅうのんは、至難のワザやと思うんやけど、本作はその辺をば何とかクリアーしはりました。

前作でオトンにえらいやられてしもた、組織のボスがやね、殺された仲間のリベンジちゅうことで、オトンを狙う上で、娘やらも狙うちゅう指向でんねん。ほんで現場がトルコとゆうのは、オトンの仕事ついでに、現夫とうまくいっとらへん元妻と娘がでんな、トルコ旅行にくるなんてゆう、チョイ苦しいけど設定をばしてはりまっせ。

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いわゆる、体裁はリベンジもんやけど、リベンジする側は善悪の悪とゆうことどすが、やっぱりナンチューても、リーアムはんのアクションぶりが、映画のポイントをば握り締めてはります。

リベンジ映画の隠れ名作「狼よさらば」シリーズ(1974年~1993年・全5作・アメリカ)の、主演チャールズ・ブロンソンはんとリーアムはんが、妙にカブッて見えたりもしよります。かつてスパイやった主人公の冷静な経験ぶりやら、ケータイを使ったやりとりの妙など、新旧にわたるプロフェッショナルな裏ワザぶり披露が、巧緻を極めておるんでおます。

そして、カーチェイスはモチ、最後までアクション・モードを切らさへん、快作どしたえ~。シリーズ化もあり得る1本でおました。

2012年12月14日 (金)

R指定の全米大ヒット作「テッド」やー

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動物ぬいぐるみ系映画で、下ネタコメディ映画なんてありえまへんで

いろんな映画へのパロディが、セリフを含めてメッチャ出てきよりまっせー

http://www.ted-movie.jp

2013年の1月18日のフライデーから、東宝東和はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田を始め、東宝シネマズ系の映画館でヤラはりま。「R-15」指定映画になっとります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

テディベアなんてゆうたら、みなはんのイメージに、固定観念としてあるんはヤッパ、ディズニー映画でおましょうか。ところがどっこい、本作はぬいぐるみのベア人形が、1985年の幼い頃の主人公の願いによって擬人化されて、相棒になるっちゅう設定どす。あきれかえりましたわ。

ほんで、そんな関係が21世紀の現在まで、綿々と続いとるとゆう設定でおます。このぬいぐるみやけど、今や不良中年になって、マリファナを主人公と共に吸ってハイになり、いろんなとこでハチャメチャなことをやらはりまんねん。ビックラこきました。

マーク・ウォールバーグのアニキがそんな主人公になるんやけど、恋人(ミラ・クニスちゃん)ができて、このトンデモ相棒との間で、いわゆる三角関係みたいにならはりまんねん。でも、話し合いの末に、2人の間のおジャマ虫になるわけにはいかんやろと、クマちゃんは2人の住まいを出て、スーパーのレジ係になって1人暮らしを始めはって…。

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それでも、相棒の誘いを、彼女との約束より優先させてまう主人公。そんなことも禍して、彼女との間に亀裂が生じ…ナンチューお話なんやけど、おいおい、こんなん今まで見たことないでーなんてゆう展開が、次々にやってまいります。

この主人公&相棒の2人やけど、「ハッパ(マリファナ)と映画の日々」とゆうセリフがあるようにでんな、ディズニー映画へのブラック・ユーモアなパロディを始め、多彩な映画へのパロ的アプローチが、ドトウのごとく頻出してきよります。

そのメインにあるんは「フラッシュ・ゴードン」(1980年製作・アメリカ映画)どす。日本ではマニアック的な売れ方やったけど、その映画の主人公役の俳優はんが出てきはり、主人公とイロイロなバカをばやらはります。

カメラのチョー高速カットやら、夢想の赤色配色のCGシーンなどを含め、1980年代的パーティー・シーンの造形には、個人的には酔いましたで。

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主人公と彼女とのディスコでの出会いシーンでは、「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977年・アメリカ)。セリフに出てくる「トップガン」(1986年・アメリカ)や「エイリアン2」(1986年・アメリカ)やら、多数の映画タイトルが出てまいります。

そんな中で、本作がR指定になってもうた、下ネタ・シーンも、なんでか多く出てきよります。役者陣に目を向けよりますと、ミラ・クニスちゃんのコメディエンヌ性は、「メリーに首ったけ」(1998年・アメリカ)などの、下ネタ映画系の女王キャメロン・ディアスのボケ系やなく、ツッコミ系でいってはります。ほんで、ウォールバーグもしかり。ボケの主役はモチ、テディベアのぬいぐるみ「テッド」君やー。

一方で、映画やなくポップ音楽も、パロの対象にしてはります。テッドとやったとゆう、ノラ・ジョーンズの実名での出演ぶりには、サプライズ感がありました。アイドル音楽グループやったけど、元ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのウォールバーグやのに、わざとのようにヘタッピーな歌を歌ったりするとこにも、映画性に合わせたノリで良かったどす。主人公とテッドの殴り合いシーン、カーチェイスなど、アクション・シーンもしっかり用意されとるんで、お楽しみくだされ。

2012年12月13日 (木)

2時間50分のシリーズ第1弾「ホビット 思いがけない冒険」

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「ロード・オブ・ザ・リング」3部作シリーズの、遡り系新3部作の第1弾

ファンタジー色よりも、アクションやモンスター映画性に比重が置かれた作りだ

http://www.hobbitmovie.jp

12月14日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、日本全国各地一斉のロードショー。3D、2D同時公開。

文=映画分析評論家・宮城正樹(本作批評は、いつもの関西弁やなく、標準語にて論じます)

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Ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-MAYER PICTURES INC.

「ロード・オブ・ザ・リング」3部作シリーズ(2001年・2002年・2003年製作・アメリカ映画)は全世界的に大ヒットした。それはJ.R.R.トールキンのファンタジー小説「指輪物語」を原作にしたものだった。しかし、「指輪物語」には前作がある。みなさんも知っておられると思うが、「ホビットの冒険」(岩波書店より発売中)だ。

ピーター・ジャクソン監督は、まず、第2弾の「指輪物語」を映画化し、そして、この第1弾へと遡り系で、3部作にて映画化しようとしているのだ。まさに、「スター・ウォーズ」シリーズで、ジョージ・ルーカスがやった試みと同様のセンスである。

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さらに、「ロード・オブ…」でこの物語の虜になった人たちへも、十二分に訴求できる仕上がりとなっている。何といっても、前作シリーズでお馴染みのキャラクターたちが、少しずつ出てきて、クリーチャー・ゴラムにまつわる指輪譚などは、前作へのキー・ポイントを握っているシークエンスだ。

さて、前作はファンタジー映画のジャンルに括られていたが、本作はロードムービー・スタイルは踏襲しつつも、アクション映画性、ジャクソン監督が「キング・コング」(2005年・アメリカ)で示したモンスター映画性へと、比重を掛けた作品となっている。

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さらに言うと、今回シリーズでは、前作のイライジャ・ウッドと同様、日本では余り知られていない俳優たちを主演クラスで起用している。「ラブ・アクチュアリー」(2003年・アメリカ&イギリス)などに出ていたマーティン・フリーマンしかり、イギリスのテレビドラマなどで、本国では有名らしいリチャード・アーミティッジしかり。未来のスターを作り出そうとする意図は、本作でもしっかりと受け継がれている。

祖国を悪の竜に奪われ、今や流浪の民になった13人が、祖国を取り戻すべき戦いへと旅立っていくストーリー展開。彼らに協力するホビット役主人公、加えて、魔法使いの老人がサポーター役となる。

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ということで、第1弾の大きな見どころは、目的地へ辿り着くまでの途上での「一難去って、また一難」というアクション・シーンである。もちろん、3Dで見れば、臨場感はもの凄いものがある。

狭い洞窟内での剣戟、集団追逃劇、崖の上下アクションなど、洞窟内アクトは特筆すべきところがあった。洞窟内アクションでは、スピルバーグの「レイダース」(1981年・アメリカ)や「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(1984年・アメリカ)に勝るとも劣らない仕上がり。とにかく、第2弾(2013年12月13日日本公開)、第3弾(2014年7月18日公開)への期待が高まる第1弾である。

2012年12月12日 (水)

シリーズ最終章「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンPart2」

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2011年ハリウッド女優ギャラ・ナンバーワンの主演クリステン・スチュワートちゃんを、みなはん、知ってはりまっか?

アメリカで歴史的大ヒットをカマした本作シリーズも、遂に完結どすえ~

http://www.the-twilight-saga.jp

December12月28日Fridayから、角川映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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TM & Ⓒ SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ハリウッド映画がここ数年、日本映画興行界ではピリッとしておません。その大ヒットせえへん理由やらについては、これまでに弊ブログにて、何度も原因究明を繰り返し、分析してまいりました。ほんで、傾向と対策やら処方箋も考えたんやけど、2008年製作を第1弾にした本作は、そんな作品の代表例でおましょう。

「ハリー・ポッター」(第1弾は2001年製作)やら「パイレーツ・オブ・カリビアン」(第1弾は2003年)シリーズとの違いは、一体どこにあるんやろか。まずは、日本ではあんまし有名やない方を、主演クラスでキャスティングしてはるとこでしょう。

ほしたら、「ハリー・ポッター」は当時有名俳優を起用してへんかったけど、売れ続けたやんかとゆわはるやろけど、そっちは原作が日本でもモノゴッツー売れとって、注目度が全然違っておました。つまり第2の原因としては、原作小説(全世界で1億のベストセラーどす)が、日本ではそないに売れへんかったとこらでおましょうか。

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いちおう、ハリウッド映画側視点の情報を言いよりますと、主演女優のクリステン・スチュワート。チャンやなくて今やネーさんにならはった彼女は、本作シリーズのアメリカでの大ヒットを受け、2011年のハリウッド女優年収ランキングで、2位のキャメロン・ディアスに僅差やけど差をつけて、1位になってはります。

この女優はんこそ、「ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフ君的位置付けができる、俳優はんなんどす。ちなみに、シリーズは全てDVD化されとりますが、シリーズを全く見てへん人に対して、本作の魅力を伝えるんは、至難のワザやもしれまへん。取りあえず、拙(つたな)いながらゆうてみますと…。

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ヒロインは人間どして、吸血鬼の男(ロバート・パティンソン君=写真一番上の右)と、オオカミ人間(テイラー・ロートナー君=写真2枚目・後日分析予定の「テッド」でもパロられとりま)との間で三角関係にならはり、最終的に吸血鬼の彼氏を選び、結婚し、人間と吸血鬼の合いの子となる、娘はんを産まはります。かなり粗っぽい説明やけど、「Part1」までの話どす。

ほんでもって、完結編の本作では、イタリアにおるらしい吸血鬼界の元締め組織が、ヒロインの娘に目を付けて、始末せんと画策しよります。そこで、ヒロインを始め夫、さらにオオカミ男のグループ、ほんで世界にいてるサポーターの吸血鬼たちが集まり、娘を守るための戦いが、2派の間で展開するとゆうカンジなんどすえ。

本作のヒロインは、かつて「パニック・ルーム」(2002年・アメリカ)に子役で出演しはったけど、オカン役ジョディ・フォスターに守られたのを、本作で引き継いでやってはるんが、映画的にキズナが伝えられるカンジがして、良かったでおます。

彼女の役名がベラとゆうのは、早く人間になりたい「映画 妖怪人間ベム」(今年12月4日に分析)の反対バージョンで意味深な設定やったかな。ハリウッドでは一時、子役の華やったダコタ・ファニングちゃんとの対決ぶりにも、Part1同様に目を点にして楽しめますで。

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吸血鬼映画やとゆうても、ホラー映画ノリよりも、ラブ・ストーリー部、そして毎回出てくるバーサス・アクション・シーンが、本作のキモ・ポイントでおます。

集団対決アクトで、首を捻って斬り落とし、ほんで、燃やすとゆうアクションが、ドトウのごとく続くんやけど、ネタバレせんようにゆうと、本作ではこれまでにない新しい企みによる、アクション・シーンなんどすえ。

俯瞰カットのタイトな挿入、シーンのジャマにならん程度の、歌ものサントラの流し方やら、これまでのアクセント効果は、そのままに紡がれていきよります。

そして、過去のシーンへと戻ってゆくラスト・シークエンスの美しさには、ハッと胸が突かれました。シリーズ最高の仕上がりで、フィナーレを飾る1本どした。

2012年12月11日 (火)

石原慎太郎企画・原作の「青木ケ原」

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現代性を出そうとしはったけど、妙に古っぽいカンジなんやけど…

でも、前田亜季ネーさんの究極の病系には、アリエネーだろぉな凄みがあったとよ

http://www.aokigahara-movie.jp

2013年睦月1月12日の土曜日から、アークエンタテインメントはんの配給によりまして、東京・有楽町スバル座をはじめ、全国順グリのロードショー。関西では近日から、大阪・テアトル梅田などで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹(本作批評は、関西弁&標準語の混成バージョンなんだぜい)

前都知事の石原慎太郎はんが、小説原作&企画、ほんでもって、ヒッチコック監督ばりにワン・シーンで出演した作品だ。はっきり言って、今の時代の話やのに、妙に古っぽい仕上がりになってるかもしれないで。

おそらく、慎太郎はんが初めて関わった日活映画でゆうたら、例えばさ、吉永小百合の病気系の「愛と死をみつめて」(1964年製作)やったり、モチ、ビョーキ系の映画はそれなりに、視野に入っていたでしょう。

キー・ポイント女優として、主演した前田亜季なんだけど、不倫して妊娠して、さらに末期の白血病とゆう、トンデモないキャラクター設定。病系の泣ける映画やったら、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)みたいに、白血病設定だけで充分感動的やったやんか。

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ああ、それなのに、それなのに、なんやけど…。亜季ネーさんは、両親が幼い頃に交通事故で死亡。自身はその時、複雑骨折で、治ってもずーっと片足をひきずって歩く状態。でもって、妻子のいる男と出会わはります。

しかし、彼女は白血病や。男は妻子の存在も忘れて、彼女の病を治すために、金を借りたりして都合しはるんどす。2人が恋に落ちる過程描写やらが、それほどディープやないのですけども、この2人の関係性は、それなりに泣きを誘発してきよります。

そんで、彼の子を妊娠し、彼にゆわんと産もうと決意しはり、そんでもって、ドエライことになるとゆう流れなんですわ。この流れの中でヤッパ首を捻るのは、その彼がでんな、何で彼女を選んで、妻子を捨てたのかとゆうのんが、説得力あるカタチで描写されてへんとこどした。

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さて、ここで、映し方について言います。1分から3分までくらいの、固定の長回し撮影シーンが頻出してまいります。何でそんなんを多投してんのかを分析しまするに、アップ、クローズアップを避けたいという意図が、あるように読めました。かつてのハリウッド映画のアップの多さとゆうのんが、映画監督たちやらの間で、作家性を示すにはアップは良くないとゆう、掟みたいなんがあったんでおます。

UPじゃなく、ロングショットとかだったら、映画サイズ的構図で撮れるんで、映画的になるんじゃないかとか。でも、今の時代においては、それは過去の神話めいたもんになっているんやないかなと思います。役者の演技のテンション維持とかの長回しやないんで、時にチョイだらけてしまうようなところも、ないとは言いません。

でも、勝野洋を主人公に探偵ミステリー的タッチで紡がれる本作は、ネタ部やらポイント部を見せる長回しもあって、あなどれない感じにはなっているんですよ、コレが。ホラー映画「リング」(1998年)的なキモとなっとるスパイスを、形式・設定を変えて見せたりするとこにも、魅かれた逸品やったかと思います。

2012年12月10日 (月)

ニュープリント版フェリーニ監督の「道」やー

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フェデリコ・フェリーニ監督作では、最も泣ける映画やろな~

アンソニー・クインはんとジュリエッタ・マシーナはんの、押しと退きの掛け合いに注目や~

http://www.asa10.eiga.com

1月19日から1月25日の間、東京・TOHOシネマズ みゆき座で上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

イタリアの巨匠のフェデリコ・フェリーニ監督はん。まあ、平成生まれのシネコン世代の若い方やったら、全く知らはらへん監督はんやろな、たぶん。

今では、イタリア映画の日本興行界事情てゆうたら、イタリア映画祭の特集上映会とかはあるねんけど、ゆうてみたら、さっぱりワヤな状況でおます。イタリア映画、なんぼのもんやねんと、その衰退ぶりには目に余るもんもござります。でもしか、それでも、イタリアでは映画は作られ続け、本国で公開されとります。

イタリア映画の系譜や傑作・ヒット作の流れについては、またいつか語るといたしまして、ここでは、フェリーニ監督の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露します。

●ベスト⇒①本作(1954年製作・イタリア映画)②甘い生活(1960年・イタリア&フランス・後日分析しま)③フェリーニの81/2(ハッカニブンノイチ・1963年・イタリア)

●カルト⇒①フェリーニのローマ(1972年・イタリア)②フェリーニのアマルコルド(1974年・イタリア&フランス)③オーケストラ・リハーサル(1978年・イタリア&西ドイツ)

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●フェリーニ監督作品には、わがままでお気楽で調子のええ遊び人的主人公が、ほとんどしょっちゅう出てまいります。カルトで選んだのには、ほとんどないんやけど、それだけにカルトとゆうことですねん。わがまま男が出て、やりたい放題好き放題をやってでんな、その後の空虚感・寂寞感やらでシメたら、そら、芸術映画的にはムムムと唸れるやろけど、一般大衆的には、後味が悪いとかイロイロゆわれてしまいよります。

映画を娯楽として見る大衆は、今の時代においては、ほぼ100パーセントに近いんやないやろか。映画の未来に向けて、アート映画の在り方なんぞもじっくり考察していかなあかんのやけど、でも、本作はフェリーニ作品の中では、最も大衆的で人情的で感動的で泣ける映画になっとります。

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男女2人のロードムービーなんやけど、旅芸人ものにして、夫婦もの(男に女が身売りしたカタチ)にして、仮面の夫婦なんで、ラブ・ストーリー的展開は皆無どす。ほんで、夫は野生的な荒くれ男で、女はノータリンやけど癒やし系キャラ。

のちのロードムービー映画としては、兄がアレやった兄弟のロードムービー「レインマン」(1988年・アメリカ)なんぞへ、影響を与えとるかと思います。

主人公役はアンソニー・クインはん。「その男ゾルバ」(1964年・アメリカ&ギリシャ)などで有名になった彼が、“ワイルドだろぉ”な演技性を確立した、最初の映画でおましょうか。

そして、ヒロイン役はフェリーニ監督のヨメはんやった、ジェリエット・マシーナはんどす。今見ると、観客にメッチャ好感度の高い演技をば見せてはります。端的にゆうたら、かわいそうやら、守ってあげたいやら。そんなキモチにきっとなるハズどす。

ほんでもって、ニーノ・ロータはんの哀愁のサントラ「ジェルソミーナのテーマ」でおます。主人公が男泣きする、ラストシーンでも流れるこの曲は、本編でも何度か流れて、そのつどシンミリさせてくれはります。ちゅうことで、ボク的ジャッジとしてやけど、フェリーニの最高傑作を、ぜひ映画館で体感してみておくんなまし。

2012年12月 9日 (日)

山田洋次監督の新作「東京家族」を関西弁で論じるの巻

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小津安二郎監督の名作「東京物語」の現代バージョンやけど…

原作映画にはなかった、妻夫木聡アニキと蒼井優ネーさんのラブ・ストーリー部が、メッチャさわやかやねん

http://www.tokyo-kazoku.jp

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ジャニュアリー1月19日のサタデーから、松竹はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2013「東京家族」製作委員会

小津安二郎監督の「東京物語」(1953年)って、みなはん、知ってはるやろか。まあ、若い世代の方々やったら、未見やろけど、レンタルDVDで出とりますんで、本作鑑賞前に予習しといても、別に悪うはないかと思います。でも、予習せんでも、充分に分かる作りにはなっとります。

ちゅうのは、本作はその作品にインスパイアーされて、2012年の現代設定で作られた作品やからどす。現代的にどこまで換骨奪胎されたかは微妙なとこやもしれまへん。ちゅうか、本作はあくまでオリジナル作品やと見れば、スムーズに心の中に入ってくるんやないやろか。

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ほんで、事前の情報的なことを言いよりますと、東日本大震災直後にクランクインするはずやったんやけど、山田洋次監督は撮入にストップをばかけはります。最先端の時代の情勢を出すために、震災の起こる前の段階の台本やったら、全く説得力を欠いてしまいます。そこで、書き上げた台本をいったんボツにして、震災後2012年の設定に置き換えて新たに書かはったわけでおます。

ついでに言いよりますと、キャスティングにも若干変更がありました。家族のオトン役が菅原文太はんから、“二時間ドラマ”にも出て好感度ある橋爪功はんに変更になりました。先頃、映画フィルムがなくなるので引退すると、ゆわはった文太はんやけど、「仁義なき戦い」(1973年)の文太はんと山田監督の初コラボレートは、個人的にはメッチャ見てみたかったけど、橋爪はんもエエ感じどす。

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オリジナルの笠智衆(りゅうち・しゅう)の、ワビサビな感覚には及ばずとも、ラストの方で蒼井優ネーさんに示さはる、感動の決めゼリフには痺れましたで。さらに、遊園地前の高級ホテルに夫妻で泊まるとこでは、「第三の男」(1949年・イギリス製作)の引用まで出してエライ渋うおますで。オリジナルの笠智はんが飲んでグチるシーンも、小林稔侍はんと飲むシーンで披露してはります。オリジナルの原節子はんと優ネーとの比較も、イロイロできるんも、映画通にはお楽しみどころどすえ。

さてはて、書き直して、確かに震災のことがチョコチョコ入っとるんやけど、例えば、津波被害者がオトンの関係者にいたこととか、妻夫木アニと優ネーが震災ボランティアで知り合ったエピソードとか、少々取って付けたようなとこがあったかもしれまへん。作品的に毒がないとゆうのんは、山田監督の最大の持ち味でもありま。

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オリジナルを尊重しつつもでんな、若者の恋愛部やら、優ネーが発する「おとうと」(2010年)に続き、妻夫木アニが発する、死の床につく者(吉行和子はんがやってはるオカン)への泣ける決めゼリフなど、山田監督流儀のオリジナル・ポイントは、そこかしこに散りばめられておるんどす。

かつて「母べえ」(2008年)のマスコミ記者会見の時に、山田監督は「松竹には家族映画が多いよね」と、わざとらしく吉永小百合はんにゆうてはったけど…。でも、本作はまさに、良質の松竹家族映画の集大成的な仕上がりになった、今の時代のケッサクやと思います。

2012年12月 8日 (土)

連続テレビドラマの映画版「映画 鈴木先生」やー

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教師主人公の学園もの映画やけど、コミカル・モードがエエ感じどす

コミック原作らしい破天荒な展開も、実によろしおまんねん

http://www.tv-tokyo.co.jp/suzukisensei

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2003年1月12日の土曜日から、角川書店はんとテレビ東京はんの共同配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2013映画「鈴木先生」製作委員会

学園もの映画、ほんで、生徒やなくて、教師が主人公・ヒロインになっとるようなタイプの映画でおます。実はテレビドラマもあるけど、この種の映画はメッチャ人気のあるジャンルなんどす。

さらに、本作は21世紀のトレンドになっとる、連続テレビドラマからの劇場版。加えて、同じくトレンドのコミック原作やー。どない考えても、大ヒットすること間違いなしのハズなんやけど…。

ところがどっこい、何とまあー、2011年の連続ドラマで、年間最低平均視聴率となったドラマなんどすわ。おいおい、そんなんで、大丈夫なんかいやーなんやけど、ボクチンは言います。テレビを見てなくても、十二分に楽しめるコメディ娯楽作品になっとるんやでー。

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ドラマ「家政婦のミタ」で有名になった、長谷川博己アニキが教師主人公役でおます。ドラマでも披露されたらしい彼の妄想シーンが、映画の冒頭からさっそく出てきよります。写真4枚目に写ってはる美女生徒に、密かに入れ上げてはるんやけど、現実的には、おくびにも出さはりまへん。

そんなストイックさを出しもって、「鈴木メソッド」なるオリジナル教育方針で、生徒たちを導いてゆかはるんどす。「教育が世界を救う」とか「君でも世界を変えられる」など、熱血教師ものとは違って、いろんな場面に応じて穏やかにゆわはりまんねん。

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美女を人質に取るOB役には、NHKの朝ドラ「純と愛」に出てる、風間俊介クンが扮してます。ほんで、映画のクライマックスでは、美女がアリエネー・スローモーションのアクションをば披露しはります。この女子生徒のキャラは、かつてイロイロあった学園ヒロインものアイドル映画の、ノリを感じさせよります。ボク的には「時をかける少女」(1983年製作)を思い出しました。

そんでもって、かつて学園青春映画で生徒役で気を吐いてはった、女教師役の冨田靖子ネーさんが、怪演技ぶりを披露してはります。嫌いな奴は見えないとゆう、ユニークな設定やねん。長谷川アニも嫌われて見えまへん。このコミカルな冨田ネーは、でも、映画の着地ポイントの一部を握ってはるんどす。あなどれまへんで。

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さてはて、学園ものなんやけど、本作は中学校が舞台どす。中学もんてゆうたら、サバイバル・バイオレンス「バトル・ロワイアル」(2000年)とか、ミステリー映画「告白」(2010年・サイト内検索で分析分が出ます)なんかを、ボクは思い出すんやけど、みなはんはどうやろか。

本作はその2作とは、180度くらい違うコメディでおます。でも、後半に向かうにつれ、人質事件も起こって、シリアス・モードも付け加えられてまいります。

ほんで、ボクが最も印象深いシーンは、ラストロールどすえ。終わりよければ全て良しっちゅう言葉を思い出しました。生徒たちが坂を上がってくる、何でもなさそうなスローの長回し撮影シーンなんやけど、ココロに妙に残ってくるところでおました。

2012年12月 7日 (金)

タイトルにふさわしい「渾身」の1本どすこい!

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島根県隠岐の島ロケーションが、日本のココロのふるさとをカンジさせてくれはる、グッド・ムービーやー

地方ロケ映画の粋を見せるキズナ映画どすえ~

http://www.kon-shin.jp

2013年1月12日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。本作のロケ対象県の島根県では、1月5日から先行上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012「渾身」製作委員会

日本各地の地方ロケーション映画とゆうのんは、実は昔からいっぱいあったんやけど、21世紀以降は、全国各地にロケを管轄するフィルム・コミッションができました。ほんで、地方ロケ映画が静かなブームを迎えて、今に到っておます。

モチ、各47都道府県にロケした映画は、本数の違いはあってもでんな、全部ありま。最近ボクが分析したのんやったら、東宝はんが配給した「綱引いちゃった!」(今年11月3日付けで分析)なんぞがござります。北海道や沖縄、そして関西やったら京都や大阪が、モノゴッツーな数になっとるでおましょう。

でも、本作みたいに、地方に映画製作会社(出雲ピクチャーズ)を興して映画を作るとゆうのんは、あんまし前例がありまへん。しかも、松竹配給の全国配給網に乗っての公開は、異例やと申せましょうや。

コレはナンチューても、故郷・島根県にこだわって映画作りをし続けてはる、錦織良成監督の熱意でおましょうか。島根県3部作を作った上での、本作でおます。ボク的には、「時をかける少女」(1983年製作)などの、大林宣彦監督の尾道・新尾道各3部作や、佐々部清監督の山口県3部作などと同様の、映画作家性をカンジよりました。

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さてはて、錦織監督の島根3部作の流れを見てみると、女教師と小学生もの「白い船」(2002年)、高校生の純なラブ・ストーリー「うん、何?(うんなん=雲南)」(2008年・弊サイト検索で出ま)、家族映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(2010年・検索してチョー)ときとりますが、年齢が徐々にあがってきたところで一転し、ここでは若年層夫婦の、リターン組ものへときはりました。うーん、なるへそ。

大都会から故郷へ帰ってきた主人公が、ふるさとで再生してゆく物語とゆうのは、今までにいっぱいあったようでいて、あんましなさそうな切り口なんどす。ほんで、地方の伝統芸能やら伝統行事を、取り上げてゆくとゆうスタイルやねん。何とまあー、相撲でっせ。地方映画でスポーツもんは、ケッコーあるんやけど、相撲は日本映画的には、学生相撲の「シコふんじゃった。」(1991年)くらいで、そうありまへんでおましょう。

さて、設定的なことを申しますと、戻ってきた夫(劇団EXILEの青柳翔やー)妻(「白い船」で女教師役やらはった、中村麻美ネーさん)の妻がビョーキで死んでまい、幼い娘と2人ぼっちになってしもた夫なんやけど、妻の友達の伊藤歩ネーさんやらに支えられて生活してゆき、ほんで伝統相撲にも挑んでゆかはりまんねん。

歩ネーさんのナレーションも心地よかったどす。娘はんの演出ぶりが自然体とゆうのが、少し気にはなったけど、松竹映画系の分かりやすいキズナ系へと向かうとこは、安心して見られよりました。ほんでもって、地方映画らしい美しき自然風景シーンの数々や。故郷のある人もない人も、ホッと癒やされる、そんな映画になっとります。

2012年12月 6日 (木)

結婚してもうたチャン・ツィイー主演作「最愛 LOVE FOR LIFE」どすえ

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恋のお相手役は、香港四天王の1人アーロン・クォックのアニキやでー

かつてのジャジャ馬ぶりを完全封印しはり、泣ける映画へとシフトしてはりまっせ

http://www.cinemart.co.jp/theater/special/hongkong-winter/

12月15日の土曜日から、ツインはんの配給により、東京・シネマート六本木で。ほんで関西やったら、12月29日サタデーから、「2012-2013 冬の香港傑作映画まつり」(全3作)の1本としてでんな、大阪・シネマート心斎橋で上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012, Irresistible Delta Limited, Edko Films Limited, Sil-Metropole Organisation Limited. All Rights Reserved.

大富豪と結婚しはったチャン・ツィイーのネーさんが、香港四天王のアーロン・クォックのアニキと、ラブ・ストーリー映画で共演しはりました。もう別に中途半端に映画に出んでも、完全無欠の玉のコシらしいんやけど、でも、本作では映画女優魂ってヤツをば、遺憾なく見せてくれてはります。

「グリーン・デスティニー」(2000年製作・アメリカ&中国合作)やら「LOVERS」(2004年・中国)、ハリウッド・アクションの「ラッシュアワー2」(2001年・アメリカ)やらの、チャキチャキ大暴れのジャジャ馬アクトぶりは、残念ながら封印しはりましたどす。

でも、チャン・ネーの最高ケッサクやとボクチンが思てる、デビュー作「初恋のきた道」(2000年・アメリカ&中国)に迫る、駆け引きなしの純粋無垢ぶりをストレートに披露してはります。彼女の原点回帰が、本作で垣間見られよるんですわ。

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表向きはW不倫の恋愛もんなんやけど、共にエイズに罹ってしもて余命いくばくもないっちゅう、2人の恋愛映画やねん。フツーは男か女のどっちか1人だけがビョーキちゅうんが、この種の不治の病系映画のお約束やったかと思いよりま。2人共やから、ゆうてみたらフツーより2倍の、涙を絞らせる泣ける系があるとも思てくだされ。

そんな中で、ツィイー姉はんが弱々しゅうて、ほんでかわいそうやんかっちゅう役柄をホンマ、見事にやってはります。ちょっとお肌にタルミありかなと見つつも、何食うてんのやろっちゅうスリム体型は、さらに不思議さをかもしてはります。

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ほんで、チンチン(琴琴)とゆう名のキャラやて、おいおいやけど、野外セックス・シーンやら、闘病中のクォックはんを、フロに入って体を熱くしはって何度も温めはるシーンでは、ビミョーなヌードも披露してはります。

最後の方では、結婚したことを、但し役柄上やけど、何回もゆわはるとこなんかは、私生活とカブッてしもて、ついつい当てられましたがな。でも、そこはナンチューても泣けるシーンなんで、余計なことは考えずに見ておくんなまし。本編残り30分での2人の生活シーンの数々が、ハイライト・シーンなんやでー。

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一方で、一体いつの時代の話やねんと、チョイ古っぽくカンジたんやけど、何と1990年代に中国の農村で実際にあった話が、ベースになっとるんやて。エイズが蔓延してしもて、自主隔離的に農村の小学校に、発症してもうた人々が共同生活をするちゅうのんが、冒頭の流れどす。

いろんな人らが死んでゆく、感染パニック・ムービーのノリもあるんどすが、そんな中で2人が出会い、クオックからのモーションで、愛を紡いでゆくとゆう展開でおます。

2人の演技ぶりがモチ見どころの主力ポイントなんやけど、「山の郵便配達」(1999年・中国)みたいな背景においてでんな、山並みやら自然をバックにしたロングショットやらが、メッチャキレと冴えを見せておます。ほんで、2人のアップも魅力的に束ねられとるんで、お楽しみくだされ。

2012年12月 5日 (水)

竹内結子主演・テレビドラマの映画版「ストロベリーナイト」

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女刑事映画の邦画最新型を、提示する作品となっているぞー

モチ、DVD発売中のテレビ・シリーズを見てから、映画館へ行くべし

http://www.strawberrynight-movie.jp/

2013年1月26日のサタデーから、東宝の配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹(本作の批評は標準語バージョンです)

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Ⓒ2013  フジテレビジョン S・D・P 東宝 共同テレビジョン FNS27社 光文社

日本のテレビの連続ドラマからの映画版・劇場版というのは、今や当たり前のようになっている。そして、そんな中で最も多いのが刑事ドラマだ。「七人の刑事」(1963年製作)あたりから始まり、刑事じゃないけど捜査ものではあった「ザ・ガードマン」(1965年)など。

テレビッ子を大量に作った1970~1980年代は、映画版は余り作られなかったが、「あぶない刑事(デカ)」シリーズ(1987年~2005年・全6作)とかがある。そして、1990年代後半に出た「踊る大捜査線」シリーズ(1998年~2012年・全4作)の大ヒットを契機に、次々に量産されてくるのだ。

「相棒」(2008年・2010年)などのコンビものに加え、女刑事ものという新タイプが登場する。僕の記憶では、ハリウッド映画では「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)のジョディ・フォスターが、その後の女刑事役の雛型を作ったように思う

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さらに私見を述べると、日本のテレビドラマでは、映画化はされなかったが、浅野温子が主演したフジテレビの「沙粧妙子(さしょうたえこ)-最後の事件-」(1995年・全11話)が、猟奇事件を主に扱って先鋭的だった。

分析するに本作は、同じフジテレビというわけではないだろうが、この「沙粧…」から、かなりの影響を受けているように思えるのだ。ただ、本作には原作がある。誉田哲也(ほんだてつや)のシリーズものだ。おそらく、彼もこのドラマにハマッたはずだ。間違いない。

それでもってだ、テレビドラマからの女刑事映画としての近作では、篠原涼子主演の「アンフェア」(2009年・2011年)もある。浅野温子、篠原、本作の竹内結子に共通するのは、痩せ型の線の細さだ。

果たして刑事ドラマとしての骨太感は、あるのかどうかだが、浅野のエキセントリックには及ばないにしても、竹内は過去にトラウマがありながらも、クールで冷静な演技ぶりを見せている。平の刑事ではなく、捜査チームを引っ張る主任役というキャラもあまりない。

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今回は設定として、ヒロインの1人捜査シーンが、大沢在昌の「新宿鮫」シリーズ(映画化は1993年)並みに多くなっている。最終的にはチーム捜査となるのだが、1人捜査部では、突発的に恋愛絡み的シーンへと発展し、何と竹内結子とヤクザ役・大沢たかおのキス・シーンを始め、それ以上のお色気シーンも披露されるのだ。セピアの照明を大胆フィーチャーした、このシークエンスは見ごたえあり。

加えて、雨のブルー・トーンのシーン使いも巧みだった。ラスト・シークエンス以外は、雨がズーッと降っているというシチュエーションは、新しいしユニーク極まりない。車内シーンでは、窓外を往年のハリウッド映画に見られた、懐かしきスクリーン・プロセス(スクリーンをバックにして撮る手法)も使い、逆に新鮮である。

ヤクザ絡みのように見える連続殺人事件に、過去の解決事件が関係してくるのは、それほど真新しくはないが、科学捜査などで犯人を絞り込んでいくプロセス描写は、緊張感に満ちている。付け足しではあるが、テレビドラマで毎回披露されていた、捜査員たちの酒席シーンが、映画でも面白おかしいコメディ・リリーフとして、描かれていて嬉しかった。

2012年12月 4日 (火)

亀梨和也アニキと杏ネーさんと鈴木福クンの「映画 妖怪人間ベム」

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テレビ・アニメ⇒40年以上の時を経ての実写ドラマ化⇒そして映画版の登場なんだってばよ

べム・ベラ・ベロ~早く人間になりたぁい~♪ようかぁーい人間は、昔も今もおんなじだぁ~つぅの

http://www.bem-movie.jp

師走12月15日のサタデーから、東宝の配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーなんだぜい。

文=映画分析評論家・宮城正樹(本作はいつもの関西弁ではなく、ため口バージョンにてお届けいたします)

ⒸADK/2012「映画 妖怪人間ベム」製作委員会

連続テレビドラマの劇場版つうのはよ、「踊る大捜査線」以来、ドトウの勢いで出てきてるんだよなー。みんなの方がよおーく、知ってるだろうけどよ。オレみたいな古い人間なんか、そんな潮流にあわててよ、右往左往してるってとこかな。

でもよ、コレはよオレ流の範囲だぜい。最近ならよ、「映画 ひみつのアッコちゃん」(今年8月19日付けで分析)とかよ、オレらの世代だけど、でもそっちはママの世代だけど、ピンなんだよな~、ピン。ここで、オオマジにさ、テレビドラマの劇場版のトレンド分析をやってみせてやろうかい。

シネコン時代のさ、ファミリー層には、この種のタイプがメッチャくるわけよ。つまり、映画というよりは、家族一同で見に行く娯楽エンタとしてだ。つまりは、テレビで親しみを抱いてだな、大きな画面でもその後を見てみたいと思うわけよ。しかも、コイツっていえばぁ、老若男女全世代にアピールできるような、キャスティングやら素材になってるわけなんだよなー。

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ジャニーズの亀梨和也アニキや杏ネーさんはさ、10代から20代の男女に人気があるでしょ。それに、コレはおとうさん世代の、1968年あたりのテレビアニメの実写化だし、父母世代には当然OKだよね。しかもよ、子役ベロ役の鈴木福クンが、今回はちっちゃなラブ・ストーリーをやっちゃうワケなんで、小さなお子チャマにも、それなりにアピールできちゃうんだよね。

さてはて、次はツッコミ系でやってみようか。このベル・ベラ・ベロの妖怪人間のオリジナル・アニメのイントロ部だけど、液体が流れて3つの生き物が生まれたってゆうところ。ナンチューの、あそこは、アニメ以上にアニメチックな実写で、オレッチとしてはハマッちまったぞい。オリジナルはさ、おそらくアメコミものやら吸血鬼ものをミキシングしちゃって、この家族みたいな3人をクリエイトしたんだろうなー。

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満月をバックにした3人の影カットの「E.T.」(1982年・アメリカ)だとか、「エイリアン2」(1986年・アメリカ)を意識したクライマックスの対決とか、ケッコーハリウッドの名作が視野に入ってるんだなー、これが。

キャラクター的には、強気のコメディエンヌぶりを示してきた、観月ありさのネーさんが、今回は弱々しい演技を披露し、代わりに杏ネーがそのキャラを代行してるようだな。亀梨アニキのダミ声系の渋い演技ぶりにも、つい魅せられちゃったりしてさ、オレはバカかもしんない。

往年のアニメやら、実写のテレビドラマを見ていた人はモチ、見てなかった人にも充分に分かる映画だぞい。テレビの延長線上にあるとはいえ、人間になるポイントをオリジナリティーある視点で捉えた本作は、「吸血鬼ドラキュラ」(1958年・イギリス)に匹敵する作品性があるぞ。テレビとは離れて別な視点から見てみるとだな、でっかい発見があるかもしんないんでよ、要注意だぜい。

2012年12月 3日 (月)

映画版「大奥~永遠~【右衛門佐・綱吉篇】」だぜい

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テレビの連続ドラマ編に続く、映画版第2弾だってよー

堺雅人アニキが、多部未華子ちゃんに続き、菅野美穂ネーさんとアレマってカンジ

http://www.ohoku.jp

師走12月22日の土曜日から、松竹とアスミック・エースの共同配給でだな、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーだぜい。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

(本作はいつもの関西弁ではなく、ため口バージョンです)

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Ⓒ2012男女逆転『大奥~永遠~【右衛門佐・綱吉篇】』製作委員会

コミック原作の時代劇って、これまでにケッコーあるんだよな。劇画系のヤツ、例えば「子連れ狼」シリーズ(1972年~1974年製作・全6作)とか、そして「あずみ」シリーズ(2003年・2005年・アニメ版はテレビでオンエア)とか「RED SHADOW・赤影」(2001年)とか「ドロロ」(2008年)とかさ。

ほとんどテレビ化もの入りだけど、それらは剣戟とかアクション・シーンで、見せちゃうのが大半だったろー。みんな、覚えてるかい? だけどよ、コイツはよ、ちょっと違うだろ。いや、だいぶ違うかな。

時代もの・歴史ものなんてさ、「源氏物語」とか「忠臣蔵」とかこの「大奥」にしたってさ、ほとんどがいつも一緒の金太郎アメでしょ。時代考証にシバられちゃってさ、ゼーンブ、ストーリーや流れは決まりきってて、いわゆる定番なんだよなー。ツーカ、そんなのオモシロくないじゃんか。

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でもよ、「忠臣蔵」と「四谷怪談」をミキシングした「忠臣蔵外伝・四谷怪談」(1994年)みたいに、本作は、定番をくつがえすようなオリジナリティーを、出そうとしてんだよな。

男女が逆転して、大奥は男の園で、将軍らは男名のオンナがやっちゃう、なんてのをさ、オオマジにやっちゃうんだから、たまげちゃうよな。男しか罹らない疫病って設定もユニークだろうね。

でも、それで、なんで時代考証が必要なのか、よく分からなかったな。歴史劇・時代劇には確かに、考証は必要かもしれない。けどさ、考証にシバられちゃうと、いくらハチャメチャとはいえ、ユニークなお話がイキてこないんじゃないの。ところがどっこいしょ、本作はヒロイン・ドラマを主軸に据えて、ラブ・ストーリーで決着を見せるという、スタイルでいってるんだぜい。

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映画の前作とゆうか、映画第1弾「大奥~男女逆転~」(弊ブログ内で検索して頂ければ、大分前に分析したけど出ます)との違いを見てみたら、第1弾は嵐のニノこと二宮和也クンの物語に、比重があったかと思うんだな。

ところが、コッチは菅野美穂ネーさんのヒロイン・ドラマに、ウエイトが掛けられてるみたいなんだな。堺雅人アニキが理知的な、理路整然系の大奥取締り役として登場し、そして、美穂ネーさんと…とゆう流れなんだけど。

後継の娘が死んでしまってよ、将軍後継者を産まなければならないゆえに、堺アニが連れてくるいろんな若いイケメンと、ヤッちゃうわけよ。でも、なかなか妊娠しないし、ついには、アガッて生理がなくなってしまい…。

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さてはて、テレビの連続ドラマに続いての映画版ってことで、ドラマを見てなかったらチンプンカンプンじゃねえのっていう不安は、まずないぜ。ドラマは3代将軍の徳川家光の時代だけど、本作は5代将軍・吉宗の世の中。だから、堺雅人らが主演でカブっているっていっても、関係ないんだよな。イチからリセットしての話なんだぜ。

ポイントは「男女逆転」だけでさ。NHKの大河ドラマでも、この綱吉の時代は採り上げられたけど、それをパロディー化したような作りにも魅せられたかな。堺雅人も「篤姫」で大奥と、みっちり関わる将軍役やったわけだしさ、心得た演技ぶりだったぜ。

ほかには、堺にとっても「クライマーズ・ハイ」(2008年)の再共演となった、尾野真千子ネーさん。照明を入れない影絵的シークエンスでの、口論シーンなんかで、ゾクッとさせてくれるんだ。西田敏行も「釣りバカ日誌」シリーズを思い出させつつも、名バイプレーヤーぶりを示してくれた。とにかくよ、お正月映画らしさが味わえる1本なんだぜい。

2012年12月 2日 (日)

大泉洋&麻生久美子の初共演「グッモーエビアン!」でっせー

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ロック家族やて、一体、どんなんかな~

大泉洋アニキが麻生久美子ネーさんと、弾けまくりの映画どすえ~

http://gme-movie.com/

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12月15日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012『グッモーエビアン!』製作委員会

大泉洋のアニキが言う「グッモーエビアン」やて、一体、何やねん? なんやけど、冒頭部で明かされよります。麻生久美子ネーさんの娘はん役・中学生の三吉彩花ちゃんの、担任の小池栄子センセーが「グッドモーニング、エヴェリイワン(みんな、おはよう)」て何回もゆわはりまんねん。それが「グッモーエビアン」に聞こえてくるちゅうとこから、本作は始まります。

母娘にプラス、オトンのようなプータロー野郎・大泉アニが同居してはります。自称ロッカーのこの男は、麻生ネーさん・オカンとは、ある種の盟友みたいなもんどして、かつて一緒にロック・バンドをやり、ほんで妊娠した麻生ネーさんが男に捨てられた時も、ずーっとそばに寄り添ってはったんどす。

そんなワケどして、3人は一緒に住んではりまして、大泉洋アニは無職やけど主夫をやり、麻生ネーは働きに出て、ほんで、娘はんはそんな2人の関係に、呆れ果ててるちゅうようなカンジ。

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娘に「バカップル」とゆわれるくらい、この疑似夫婦はトンではります。変形家族ドラマなんやけど、「男はつらいよ」チックなコメディー人情系で、映画は進行しよります。その作りや流れとしては、節約家族を描いた滝田洋二郎監督の「木村家の人びと」(1988年製作)なんぞも思い出しましたで。

「寅さん」みたいなトンデるキャラが1人いるだけで、家族ドラマが大いに弾けてまいります。その寅さん的を、本作では大泉洋アニがヤラはりまんねんけど、コレがハイ・テンションのバクレツ独壇場でおまして、どうにもこうにも止められへんてな勢いなんでおますよ。

やり過ぎの感もないとは申しまへんけど、麻生ネーさんの理解も得た、この「働かない」オヤジ・キャラは、まあ、あんましアリエネーやろけど、ボクチンらにとっては、憧れの自由人てな風で凄く垂涎の的どした。こういうキャラを映画で当たり前のように描くのは、今の時代には説得力皆無かもしれへんけど、映画の中で、ボクらの世代が夢を見るには、最適やろかと思います。マニュアル通りな生き方に対して唸らはる、「(そんな生き方)つまらん!」の麻生ネーさんの、キメゼリフもグッときよりましたで。

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一方で、大泉はんを「キモいキャラ」とそしる娘はんの、アイドルチック映画としての側面も見逃せまへん。彩花ちゃんのナレーションで、面白おかしく物語は展開するし、友人役の能年玲奈ちゃんとの、キズナ描写部なんぞも見どころになっとります。

そして、ロック家族として、最後の最後に、ロック・スピリッツが披露されるちゅう、小憎らしいサプライズチック展開の映画やねん。彩花ちゃんと玲奈ちゃんも見てる(写真5枚目)中で、大泉はんと麻生ネーが、ロック・バンド編成でギター激演し、激唱しはります。

「今日の日はさようなら」(森山良子はんが歌い、1966年にスマッシュ・ヒットした、唱歌チック・フォーク・ポップス・ナンバーやー)のロック・バージョンやら、ブルーハーツな激しい16ビート・ロックを披露したりと、ハンパやありまへん。3人家族のステージ上でのスリー・ショットで終わる流れも、爽快感を呼びました。新しい道筋と方程式で描かれた、人情家族ドラマの快作どす。

2012年12月 1日 (土)

武井咲ちゃんと松坂桃李クンが恋しはる「今日、恋をはじめます」

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コミック原作の学園ラブ・ストーリーにして、アイドル映画の快作どす

Jポップの多彩なナンバーに乗って、軽快に展開しよります

http://www.kyokoi-movie.jp

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師走12月8日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹(本作で公開前映画分析批評は、1075日連続どすえ)

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Ⓒ2012 映画「今日、恋をはじめます」製作委員会

Ⓒ水波風南/小学館

武井咲(エミ)ちゃんてゆうたら、オスカープロモーションの最新型アイドルでおます。そやから、かつての角川映画のように、アイドル映画としてのノリが、メッチャ眩しい映画になりました。

このところ主演で出やった映画を見てまいりますと、①ミュージカル「愛と誠」(今年6月1日付けで分析)⇒②時代劇「るろうに剣心」(今年7月28日付け・バックナンバーでご確認くだされ)⇒本作っちゅうことになっとります。

ピンとくるんは、3作全てがコミック原作であること。ほんで、咲ちゃんのアイドル性を多彩に展開せんとする狙いどす。まあ、学園ものラブ・ストーリーとしては、本作は①とカブってはいるんやけど。それに、昭和女的イメージも似通っておます。

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そして、最大の共通項は、全ての映画において、彼女が恋愛するとゆうスタイルをば採ってはることどすか。男に奉仕系の①、強気の②、でもって本作では、男に対して自らコクるタイプどすえ。清純系にしてストレート。

3作共に、ビミョーな違いはありつつも、やはりナンチューても全てにおいて、往年の清純派アイドルが主演したような、ボクにとっては懐かしいノリが、トンデモたまらない演技ぶりやったと思います。

一方、その相手役についてゆうてみまひょか。男の若いファンからしてみたら、どないしても嫉妬の対象みたいになってまう相手役どすが、①妻夫木聡②佐藤健と続いて、本作は松坂桃季(トオリ)クンでおます。

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いきなり2人のキスシーンから始まりよるし、最初の方では咲ちゃんを、いじめはるような態度やら、おいおい、ナンチューやっちゃねん、なんてカンジなんやけど、女性ファンから見たらどないなんかな。

「ツナグ」(今年9月15日付け)での癒やし系演技が、ココロにこびりついとる中での、ワイルド感ある不良っぽさなんで、最初の方はノレまへんどしたが、前半のコミカル調が、後半ではシリアス・モードへと転換する流れに合わせて、チビチビ好感度を増してゆかはります。

そやから、最後の方では、この2人がすれ違い恋愛で終わらんように、応援してみとうなるようなシーンもあるんどすえ。

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「卒業」(1967年製作・アメリカ映画)、「イージー☆ライダー」(1969年・アメリカ)などから始まり、1980年代のハリウッド映画界でピークを迎えた、ミュージカルとは違う、歌ものサントラ使いが、本作でも採用されておます。

多彩なJポップ・ナンバーが流れてきよりますが、あくまでセリフを披露するシーンではセリフの邪魔にならんような使い方なんで、サントラが映える音楽映画のノリやありまへん。でも、セリフのないシークエンスで流れる、中島美嘉ネーさんのグッド・バラードなど、シーンと共に音楽そのものも、ココロに染みてくる曲もありまっせー。

CGアニメの部分着色や、クイック・モーションやスローモーやら、シーンの逆回転、3分割カットなど、作品性に合わせた使い方も的を射ておます。

若い人たちのデートムービーに、メッチャふさわしい作品やと思います。

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