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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年11月の記事

2012年11月30日 (金)

フレンチ・スパニッシュ合作映画「マリー・アントワネットに別れをつげて」

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主役のワキにいる人をさ、クローズアップしちゃってる歴史映画なワケよ

フランス革命なんて歴史を知らなくても、ヒロインと同じ目線でいけるってよ

http://myqueen.gaga.ne.jp

12月15日のサタデーから、ギャガの配給によってだな、東京・TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマやら、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ西宮OSなどで、全国順次のロードショーだー。ちなみにコイツは、「PG-12」指定映画だぜい。

「京都ヒストリカ国際映画祭2012」の、12月1日のオープニング上映作品になってるんだぜ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹(本作の批評分析は、関西弁バージョンではなく、ため口バージョンです)

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Ⓒ2012 GMT PRODUCTIONS - LES FILMS DU LENDEMAIN - MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA - EURO MEDIA FRANCE - INVEST IMAGE

マリー・アントワネットちゃんだってさ。みんな、知ってるかい? 知らなくても、18世紀末のフランスのアイドルなんて考えりゃ、分かりやすいんだな、コレが。ナンチューの、フランスだったら、ジャンヌ・ダルクなんかも、言ってみりゃアイドルみたいなもんだよね。

そうそう映画だったら、これまでにこのマリーちゃんはさ、「マリー・アントワネットの首飾り」(2001年製作・アメリカ映画)とか、ソフィア・コッポラのネーちゃんが監督した「マリー・アントワネット」(2008年・アメリカ)なんかでは、主役で描かれてたんだよな。

ところがどうだい、こちとらマリーは助演に回らされちゃったぜい。代わって、主役はよ、マリーの朗読役やってた侍女だとよ。朗読役なんて、おいおい、マリーって字が読めなかったのかよ。と思いきや、いろんな役を持った侍女が、わんさかマリーに仕えてたってわけさ。

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世界史の教科書に出てきたとは思うけどさ、1789年7月のよ、フランス革命を描いてるんだな。マリーのだんなのルイ16世が、民衆の反乱によって更迭されちゃうんだな。でも、ヴェルサイユ宮殿に箱入りになってる、マリーに仕える侍女たちにはさ、時代の情勢がどうなってんのか、さっぱり分かんないわけよ。

で、そいつをさ、朗読担当の侍女役の視点で、いろいろ探ってゆくナンチュー、ミステリー・タッチの映画なんだぜい。人物の背後からの廊下の移動撮影が、いっぱい出てくんだよな。コレってよ、妙に不安感やらサスペンスを、あおってくるような撮り方なんだな。侍女ヒロインが何が起こってるのかと、廊下を前へ前へと歩くミニ長回しの撮影シーンなんかは、ハラハラドッキリを植え付けてくるんだ。ヤバイよ、ヤバイ。

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そんでもって、特に3人の演技が特注ものなんだわ。上半身ヌードも披露する、侍女役ヒロインのレア・セドゥちゃん。「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(2011年・アメリカ)の暗殺者役で世界的に有名になったけど、その妖しさや怪しさが、本作にも滲んでるみたいだぜ。

アップも多いけど、そのクールな笑顔なしの無表情は、見たあとあとまで脳裏に焼き付けられるんだな。困ったもんだ。ラストシーンのナレーションで明かされる、ヒロインの秘密なども影響してるかもしんないな。

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人妻だけど、マリーの女恋人役やった、ヴィルジニー・ルドワイヤンのネーさん。彼女もヌードを披露するけど、これがベッドでのスッポンポンだ。ビックラこいたぜ。「8人の女たち」(2002年・フランス)ではアイドルチックにやってたけどさ、この大人の色香ぶりには、たまげるしか術はないんだよな。

そしてだな、マリー役のダイアン・クルーガーのネーさんだぜい。ハリウッドの大作にはいっぱい出てきたし、今さらだけど、余裕のある演技ぶりで魅せてくれるんだ。照明を入れないダークなカットと対比させるようにだな、マリーの部屋シーンは、映画的照明をバリバリに入れて、眩しいくらいに明るい、明るい。

でも、ポイントはあくまで薄幸なヒロインの物語なんだぜ。ということでよ、本作と真逆に近いゴキゲンな「アメリ」(2001年・フランス)の裏版としてだ、勝るとも劣らないフランス映画のケッサクが、誕生したと思うんだよなー。どんなもんだい!

2012年11月29日 (木)

(仮)は音読みせえへん「愛のゆくえ(仮)」やでー

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写真はカラーやけど、実はモノクローム映画でおます

現実の事件を思い出させる、自主映画ならぬ自首映画どす

http://teamjudas.lomo.jp/aikari.html

師走12月1日の土曜日から、「team judas2012」はんの配給によりまして、東京・ポレポレ東中野やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、12月22日のサタデーから、シネ・ヌーヴォで上映やー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

3D、デジタルの時代にでんな、モノクロで撮るっちゅうんは、大たいやねー、ワザトラマンちゅうか、作家性を出そうやんかとゆう、見え見えなとこがありま。しかも、今の若い世代は、モノクロを敬遠するようなとこがありまんねん。

まあ、最近ではアニメのモノクロ作品(12月15日公開のティム・バートン監督「フランケンウィニー」)なんかが、全国イッセーのロードショーをしはるけど、そっちはボクチンは見てへんねんけど、多分ヒットするやろけど、こちとら自主映画の単館系でおます。

白黒に加え、この小規模上映では、さらに若者やらを呼び込むことは、とても叶わんやろな~。しかも、低予算やから、大仰なことはモチできまへん。男が犯罪をやらかし、日本各地を逃げ回った恋する男女の、17年間を描くなんてことになると、えらいスケールのでかい作品やんかと、思わはる方もいてはることでおましょう。

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ところがどっこい、室内劇がメインどして、しかも、2分、3分、7分、10分やらの長回し撮影が続くとなれば、えー! やなんて思うやろ。例えば、カットバックで過去の逃亡シーンやらが、編集されることもありまへん。セリフに出てきよる徳島やらへロケなんぞに行ったら、そらえらい金が掛かりますわな。そやから予算の関係上、そんなことできしまへんねん。

つまり、低予算の範囲内で何をどう巧みに撮るかが、今の自主映画界のテーゼに近いもんになっとります。多分、邦画でも、大手の映画会社に慣れ親しんではる方々には、こういう映画を見ると一人よがりやとか、退屈やとか思わはることでしょう。

ほな、映画ファンにはグッとくるんかと聞かれたら、はっきりとは申せまへん。ちゅうか、ボクはコレは実験映画やと位置付けました。低予算内でできるだけ作家性を出そうと目論見、ほんで、踏ん張らはった作品どす。

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隠れてひっそり生きる、モノクロームの人生を描くのには、当然白黒映画やろし、映画的照明もないし、サントラも本編では掛けてまへん。経費削減的なとこもあるやろけど、逃亡する恋人たちとゆう作品性においては、明るい光や派手な音楽はモチご法度でおましょう。セリフも、ツイート系で聞こえにくいとこもあるんやけど、コレも登場人物たちの事情に合わせたもんでおます。

ほんで、本作はオウム真理教の犯罪者の、自首をば想定してはります。自主映画ならぬ自首映画やなんてゆうたら、ジョークにしかならんけど、そうゆう実際の事件を取り上げるシャープ感には、わざとらしさが付きもんどす。そのワザトラマンさを臆面もなく撮り上げるとこに、本作の潔さがあるとも申せましょうや。

警察に出頭するために、主人公が荻窪駅で電車に乗るまでの道行の、移動撮影の長回しなど、本来なら室内シーンの連続から外への広がりやらを示して、映画的スケールを出せたはずなのに…。

でも、最後に流れる、休符を大胆に取り入れた「グッバイ・マイ・ラブ」(本歌はアン・ルイスはんが歌わはりました)のライヴチックなカヴァーが、終わり良ければ全て良しどした。イロイロ突つかせてもろたけど、でも、ホンマのとこは…何を隠そう、ボクチンの隠し玉的なケッサクやねんで!

2012年11月28日 (水)

日米合作ドキュメンタリー「二つの祖国で 日系陸軍情報部」

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アメリカ日系人たちの観点から、日本の戦中・戦後史を俯瞰した作品どす

戦争映画を始め、いろんな映画ともシンクロしよります

http://www.mis-film.com

師走12月8日の土曜日から、フイルムヴォイスはんの配給によりまして、関東では新宿K's cinema、銀座テアトルシネマ、銀座シネパトス、横浜ニューテアトルやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、12月29日のサタデーから、大阪・テアトル梅田、神戸映画資料館で上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 MIS FILM Partners All Rights Reserved

戦争を知らへんボクたちにとっての、戦争ドキュメンタリーて、どないなもんなんやろかな。戦争の空しさを伝えるドラマ映画やら、戦争をトラウマにしてはる人々を捉える映画なんぞを、コレまでにいっぱい見てきたけど、飽食の時代や平和を当たり前のように享受してきたボクたちの世代にとっては、ホンマのことをゆうたら、映画の中の世界として喜怒哀楽やら感動やらを共有する、ちゅうことしかでけへんわけですわ。

本作の監督のすずきじゅんいち監督はんにしても、太平洋戦争を知らはりまへん。但し、戦争を体験してへん監督が、戦争映画を撮るんは多くの例がござります。体験してへんかったら、映画を撮るな!なんてゆわれたら、歴史映画はいっさい撮れへんことになってまいます。本作はつまりは、歴史ドキュメンタリー映画やと申せましょう。

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歴史ものドキュは当然、どれだけ深く調べて取材をしたか。ほんで、それを映画的に調理してみせたんかが重要になります。本作はモノゴッツーな取材量によって、まるで監督が戦争を体験しはったかのような、リアリティーをば獲得してはります。

戦争トラウマ人間を追った「ゆきゆきて、神軍」(1987年製作)の、表現者が対象から冷淡に距離を置いたスタイルではなく、戦争スパイとして働いた日系人たちの立場に立ち、監督自身もそんな日系人になり切って、撮らはったようなカンジの作りになっとります。

そして、ストレートな戦争ドキュやなく、戦場で消息不明になった兵士たちの、その後を描かはったドキュ「蟻の兵隊」(2009年)みたいに、日系人という、あまり映画ではメインで取り上げられてへんとこに、焦点を当てたんが本作のミソでおましょうか。

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当時の戦中・戦後のモノクロ映像・写真と、今は80歳代後半から90歳代になってはる、元日系スパイたちへのインタビューを、これでもかっちゅうくらいに積み重ねてゆかはるんどす。一方で、現代のアメリカやら、沖縄の美しき風景もモンタージュして、当時との対比描写やらもやってはります。

太平洋戦争映画や収容所もの、広島原爆ものを始め、「ひめゆりの塔」(1953年)、ドキュ「東京裁判」(1983年)、「謀殺・下山事件」(1981年)、「陸軍中野学校」シリーズ(1966年~1968年・全5作)などを、思い出させてくれはるシーンが目白押しどす。

但しでんな、チョイ言いよりますに、戦争を知らへん、ウクレレ奏者のジェイク・シマブクロのアニキやらの、短いコメントを冒頭に持ってきてはるとこは、映画の流れでは少々浮いとるみたいやし、東日本大震災のことを唐突に入れてはるんも、入れたいんは分かるんやけども…。でもモチ、大した欠点やありまへん。とにかく、涙ながらに語る日系老人の、いろんな話に泣いておくんなまし。

さて、最後に、本作はすずき監督の、日系史ドキュ三部作の第3弾どして、過去の2作も公開(上記映画ホームページ参照)されます。ぜひチェックのほどを!

2012年11月27日 (火)

歴史劇「もうひとりのシェイクスピア」どす

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シェイクスピア別人説を大胆に描かはった、中世歴史ドラマ映画やでー

ハリウッド娯楽大作を多数作らはった、ローランド・エメリッヒ監督の意外な1面が…

http://shakespeare-movie.com

今年12月22日のサタデーから、東京やらでは公開しはりますが、関西圏は、来年2013年1月12日から上映どす。映画館は、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらどすえ。

本作をば配給しやはるのんは、ファントム・フィルムはんでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly BIvd LLC All Rights Reserved

シェイクスピア関連の映画でおます。これまでは、ストレートなシェイクスピア作品やらその変格系やらが、多数占めとるんやけど、シェイクスピアが登場人物として出てくる映画は、実はそないありまへん。

パッと思い付くのんやったら、アカデミー賞の作品賞をばもらわはった「恋におちたシェイクスピア」(1998年製作・アメリカ映画・以下の映画引用は、指定以外は全てアメリカ映画)くらいどす。

でも、本作は実話らしきとこをベースに、シェイクスピアの謎に迫らはった、かつてないシェイクもんになっとります。シェイクは役者としては存在しとったけど、彼が書いた原稿ちゅうもんが、今に残っておりまへん。裏にゴーストライターか誰かがいたんやないか。

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ちゅうことで、エリザベス1世の時代に、エリザベス女王に仕えた伯爵がそれらを書いたとゆう、かなり信頼のおける話を、大胆に披露してまいるんどすえ。伯爵がそんな庶民的なもんを書いたちゅうのんは、当時としてはタブーでおました。そやから、隠さはって、シェイクのいとる劇団に預けはり、原作者の影武者として、シェイクが書いたことになるとゆう展開どす。

一方で、伯爵の生き方なるもんも紡がれてまいります。とゆうのんは、シェイク作となっとる作品の中身と伯爵の生きざまが、妙にシンクロナイズしとることもありまんねん。つまり、説得力ある描写シーンどすか。

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戯曲家としてのシェイクの代表作が、はしょるようなカタチで上演されていきよります。「ジュリアス・シーザー」の史劇ものから、今も人気の「ロミオ&ジュリエット」、ほんで、代表ケッサクの「ハムレット」など、映画の本筋に、絶妙なアクセントを付け加えてはりま。

そして、16世紀末の当時の時代考証もカンペキどす。この種の歴史ものに多いセピア配色もしてはるけど、電気のない時代の火、ローソクをメインにした照明使いなどに、リアリティーがありました。

さらに、構成も斬新どした。21世紀の現代設定で、大劇場でシェイク伝を演劇するとゆう、冒頭とラストを挟んでのドラマ作り。ウ~ン、渋いわ~。

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さてはて、監督はローランド・エメリッヒはんどす。ボクは耳を疑いました。彼の監督作のディスコグラフィーを見たら明らかどす。

SF映画ジャンルでは、ロボ人間の1対1対決「ユニバーサル・ソルジャー」(1992年)、地球侵略の円盤映画の大ヒット作「インデペンデンス・デイ」(1996年)やら。パニック・ムービーでは、共に大ヒットした「デイ・アフター・トゥモロー」(2004年)、「2012」(2009年)やら。「ゴジラ」シリーズ(第1弾は1954年・日本)のハリウッド・リメイク「GODZILLA」(1998年)も監督してはります。

ほんでもって、歴史的なものとしても、原始時代、南北戦争ものも撮ってはるんどす。原始と南北戦の間に位置する中世の本作は、彼がこれまでには決して出さなかった映画作家性を、表現しはったもんやと思います。上記の作品にシビレはった経験のあるみなはん、ぜひ彼の新作を見に行ったってくだされ。

2012年11月26日 (月)

フレンチ・シネマ「シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~」や~

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料理レシピ映画を、相棒映画ノリでスライスしてみよったら…

こんな軽コメディが出てきましたで~

http://chef.gaga.ne.jp

12月22日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、クリスマス&お正月ロードショーでおます。

関西やったら、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 GAUMONT - TF1 FILMS PRODUCTION - A CONTRACORRIENTE FILMS

三ツ星レストランの判定をしやはるミシェランのお膝元てゆうたら、フランス・パリでおます。そんなフランス映画界から、ドラマ上で三ツ星を意識しはった、軽快なコメディ・ノリの、料理レシピ映画が出てまいりました。フランスの料理映画とゆうのは、ボクチンはあんまし見てへんとゆうか、料理映画そのもののタイトル数が少ないちゅう現状もござります。

そんな中で、広義の料理やら食事ゆうもんを取り込んだ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、いつもながら唐突に披露させてもらいまっさ。あんまし見てへんので、恐る恐るの披露でおます。

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●ベスト⇒①タンポポ(1985年製作・日本映画)②マーサの幸せレシピ(2001年・ドイツ)③レミーのおいしいレストラン(2007年・アメリカ)●カルト⇒①本作②食神(しょくしん・1996年・香港)③UDON(2006年・日本)

●日本映画やったらケッコー見てんねんけど、思い出すのにケッコー時間が掛かりましたわ。ほかにも、エエのんがあったはずなんやけど、多分ボクが見てへんのやと思います。

邦画でゆうと、ラーメンのベスト①やら、讃岐うどんのカルト③とか。ほかにもスイーツもんやら、本格的なコース料理もんも見てんねんけど、やっぱ少々ベタなんが好きなんかな。ハリウッドでリメイクされたベスト②、ディズニー・アニメのベスト③など、スマートな感覚のこの種の映画は、ある程度限界ラインが見えとるようにも思われます。でも、そこにカルティックな要素を入れた作品に、ボクは何やら魅かれてまいます。ビョーキやも。

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料理を通してキズナを描く映画もエエんやけど、ストレートな正統系やない作品にこそ、ヒネくれとるかもしれんけど、見ごたえがあるんやないでしょうか。アリエネー料理対決を描いたカルト②やら。ほんで本作どす。

つまり、料理レシピもんに、相棒映画のノリを入れてはるとこらどすか。しかも、えらい緻密な取材をしはったらしいどすえ。今年見た映画やったら、ドキュメンタリー映画やけど、「世界一予約のとれないレストラン エル・ブリの秘密」(昨年12月5日付けで分析)なんかと比べてみたら、オモロイんとちゃうかな。オオマジな「エル・ブリ」に対して、こちらはオチャラケ・モード。

三ツ星キープにこだわるシェフ役ジャン・レノはんと、その助手役のミカエル・ユーンのアニキが、共に行動しはるツーショット・シーンのイロイロは、本作のデッカイ見どころどすえ。

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2人が時代錯誤はなはだしい日本人夫妻になって、ブルー照明の店へ敵情視察するシーンやらは、笑えるハイライトなシーンでおましょう。各人の娘や恋人とのキズナ部も、感動性よりも軽く流してゆくようなカンジは、押しつけ感のない軽妙さやし、サントラもアコーディオンやらサックスやらでコミカルを表現。

ほんで、「新しい靴を買わなくちゃ」(今年9月29日付け)などの観光ノリは、ホームだけにほぼゼロ・パーセントや。エッフェル塔も映してはるけど、写真1枚目のように全体像やなく下部のみで、2人の掛け合いをメインにしてはります。

ちゅうことで、ハリウッドのその種のコメディに負けへん、コミカル・バディ・ムービーのユニークな1本どしたえ。

2012年11月25日 (日)

動物パニック・ムービーの名作「鳥」やー

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ヒッチコック監督の、カルトな最高傑作やとジャッジいたします

効果音はあるけど、ショッカーもサントラもない、静かで不気味な作りやでー

http://asa10.eiga.com

12月29日から2013年1月4日まで、TOHOシネマズ梅田やらで、お正月上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

本作は、かつての淀川長治はんのテレビ「日曜洋画劇場」では、日本語吹替版で何度もオンエアされとります。ほんで、本日はそんな伝統ある洋画劇場が、お休みどしてありまへん。回顧趣味やと言われてもよろしおます。大ヒットしそうな公開前作品を批評分析したいサンデーどすが、あえて本作をば採り上げました。

昨日分析の「レベッカ」に続く、アルフレッド・ヒッチコック監督作品どして、キャリア後期のカラー作品でおます。ここで、ヒッチコック作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①サイコ(1960年製作・以下の引用は指定以外は、全てアメリカ映画どす)②北北西に進路を取れ(1959年)③裏窓(1954年)●カルト⇒①本作(1963年)②見知らぬ乗客(1951年)③ハリーの災難(1955年)

●ヒッチことヒッチコックは、1925年に祖国イギリスで、映画監督デビューしはりました。ほんで、1940年にハリウッドへ進出しはり、その第1作「レベッカ」(1940年)でいきなり、アカデミー賞作品賞をもらわはりました。でも、ハリウッドでのピーク時期は、1950年代やったと思います。

でも、1960年代以降でも、本作はモチ、「サイコ」の言葉のルーツとも言える、ベスト①などの傑作を撮り上げてはります。「サイコ」は実話をヒントにした作品やと言われとりますが、実は「鳥」も、鳥が人間をついばんだらしい、新聞のちょっとした記事をヒントに、ヒッチは妄想の翼を広げはったみたいどすえ。

人間を襲う鳥として、カラスはまだしも、カモメやらがホンマに襲ってきよるもんやろか。メッチャ首をヒネるとこなんやけど、ヒッチは強引に話を押し進めていかはります。でも、本編約2時間の前半部では、ラブ・ストーリー・モードで物語が展開します。ベストに入れたかったけど外してもうた「めまい」(1958年)ほどの、怪しき恋愛モードやないけど、何の情報もなしに見に行ったら、コレは恋愛映画やなーと思わはるハズどす。

ほんでもって、本編の1時間過ぎあたりから、それまでにもチビチビ伏線シーンは入れてはるけど、いよいよ本格モードで鳥パニック映画へと突入どすえ~。前半と後半の作りや流れが違うのが、見る人によっては、違和感を誘ったりもするやもしれまへん。

ほれでも、後半のパニック部が、そうした瑕瑾を忘れさせてくれはります。今では珍しくもない、鳥視点の俯瞰・鳥瞰撮影カットがキチンとあるんもグッドや。

そして、ヒッチ・サスペンスのキモでもある、効果音で驚かせるショッカーとか、スリル感あるオーケストラ・サウンドを一切排除しはりました。鳥の羽音を効果音にしてはるけど、終始テッテー的にサントラなしの静かな進行ぶりには、サスペンス映画の新たなとこを示さはったかと思います。

本作までに出た「キングコング」(1933年)や「ゴジラ」(1954年・日本)などの、モンスター・パニックやらを上回る、恐怖感に震える映画なんどすえ~。

2012年11月24日 (土)

最後のフィルム上映かもしれへん、ヒッチコックの「レベッカ」どす

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アカデミー作品賞をゲットしはった、ヒッチコックのモノクロ名作でおまっせー

http://asa10.eiga.com

12月22日のサタデーから12月28日のフライデーまで、TOHOシネマズ梅田やらで、リバイバル・ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

3Dを始めデジタル大全盛の今、富士フィルムはんが、映画フィルムの製作をばやめはりました。でも、それまでのフィルムで撮った映画はモチ、現存しておます。往年の名作が、リマスターやらを施されDVD化されとりますが、でもヤッパ大画面で見てみたいやんか。そんでもって、ココにそれが実現しよりました。

アルフレッド・ヒッチコック監督の、1940年度の作品でおます。明日、分析する「鳥」(1963年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)と同じ原作者、デュ・モーリアはんの小説が原作となりました。

ヒッチコックことヒッチ監督としては、長いキャリアの中でも、唯一のアカデミー作品賞ゲット作品どす。しかも、前年受賞のあの「風と共に去りぬ」(1939年)に続き、女ヒロインものでのゲットでおました。ヒッチ作品の系譜としては、非常に重要なポインツがありま。

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まずは、男の方が主流ではあるけど、女の災難系もんもありましてな、そのスタイルをば、確立した1本なんやないやろか。本作のあとには、「断崖」(1941年)やら「サイコ」(1960年)などの傑作を撮ってはります。

ほんで、もう一つのエポック・メイクとしては、ハラハラドキドキのサスペンス映画は撮るけど、謎解きのミステリー映画は撮らないやなんて、監督はゆうてはったんやけど、本作はそんな数少ないミステリーものになった1本なんどすえ。

ローレンス・オリビエはんとジョーン・フォンテーンのネーさんの共演や。当時、オリビエはイギリス男優のトップ・ランナーやったし、日本出身のジョーンは、続く「断崖」でオスカー主演女優賞をゲットしはり、いわば「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーやらと、ライバル関係にあったような女優はんなんどす。

Dvd
そんなヒロインのナレーションにより、本作は始まります。ソフト・フォーカスな滑らかなアップ・シーンを、挟みもって展開しよるけど、ヤッパ、怪しい存在は重要どす。新妻・後妻ヒロインやけど、前妻レベッカのナゾめいた死に否応ことなしに、付き合わさせられまんねん。

レベッカに異様にゾッコンの、ハウスメイドの鬼気迫る怪演技は、本作の重大なシーンとなっとります。裁判劇なんぞもある、室内劇がメインになっとるけど、オリビエはんが前妻について話す長回し撮影部など、セリフに集中すると、緊張感が増してきよるんどすえ。

雨の日にヒロインがイギリス・マンダレーに来て、火災シーンでエンドマークとなる、つなぎ具合やらの対比効果。スクリーンをバックにした車中シーンやら、当時の撮影が垣間見えたりと、細部の構成やら撮影部にも注目どす。

そして、しょっちゅうかかってるイメージの、弦楽オーケストラのサントラが、ストーリーを牽引してまいります。ちゅうことで、みなはん、この機会にぜひ見ておきたい1本でおますよ。

2012年11月23日 (金)

コメディエンヌとして黒木瞳ネーさん主演の「CMタイム」

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主婦ロッカー役と前後して、演歌歌手役をやらはった黒木瞳ネーやー

「ラヂオの時間」に迫らんとする、芸能ギョーカイもんコメディどすえ~

霜月11月24日の土曜日から、トリプルアップはんの配給によりまして、大阪のシネ・ヌーヴォで1日1回上映でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011CMタイム製作委員会

レイトショーとか1日1回上映とか、本作はかなり小規模でのロードショーでおます。主演の黒木瞳ネーさんを始め、それなりに活躍してはる方々が出てはるのに、この規模には、納得いかへん人もいてはることでおましょう。

本作の監督(久保田誠二はん)は、「ラヂオの時間」(1997年製作)の三谷幸喜監督はんと同じく、劇団出身でおます。そやのに、なんで大手の映画会社から配給されへんねん。なんやけど、後日語る予定の「しあわせカモン」など、製作費の問題やらイロイロあって、お蔵入りしてまう映画が、邦画界では毎年数百本もありまんねん。

でも、本作は立派に完成しとるし、拝見した限りでは、全国の映画館300館規模でロードショーしても、全然おかしゅうない仕上がりなんどすえ。地方の方々にもお正月に、ぜひ見てもらいたいような1本どす。

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話は大晦日のお話でおます。3人の芸能人を起用して、その日にCM撮影をするとゆう設定なんどす。

1人目は赤白(あかしろ・紅白歌合戦のことやろな)に出られず、その日の午後7時に、フツーのおばさんに戻りたいやなんて、キャンディーズのような引退会見を予定してはる、黒木ネーさん扮する、関西弁の大御所演歌歌手。「アンコ椿は涙花」なんて歌を歌い、都はるみをパロらはります。

付き人2人を従えた大御所時代劇俳優役に、中村嘉葎雄はんどすけども、黒木ネーとは昔、愛人関係にあったらしいわ。そやから、この2人の間に確執が生じてまいります。ほんで、3人目は、経歴詐称しとるソウウツ病の、ヒップホップ・ダンサー&シンガー役の加藤和樹クンや。イロイロ問題ありの3人はんでおます。

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ちゅうことで、字幕でそのたんびに説明されるんやけど、撮影中にしょっちゅう問題が発生しよります。ラジオ・ドラマがどんどん変な方向へ流れていきよる「ラヂオの時間」並みに、面白おかしい設定変更の展開が待っておます。

各演技陣のコメディエンヌ・コメディアンぶりに大注目どすえ。ナンチューても、黒木瞳ネーさんやわ。「ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター」(DVD発売中・このサイト内検索で分析記事が出ま)では、主婦ロック・バンドのロッカー役やったけど、本作ではトンデル演歌歌手や。

演歌歌手役で思い出すんは「のど自慢」(1998年)の、室井滋はんもいてはるけど、室井はんはマジやったけど、かなりフマジメでおます。そこんとこは、よりコミカル・モードをば、追求してはると申せましょう。

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広告代理店側では、豊原功補アニキが、いかにも広告マンちゅうタイトな演技。ほんで、NHKの朝ドラで主演も張らはった、本仮屋ユイカのネーさん。「スウィングガールズ」(2004年)よりも、シャキッとした押しのある演技を魅せて爽快や。

スポンサー側やけど、黒木瞳ネーとの間で、主演しはった「こっぴどい猫」(弊ブログで分析・検索してな)みたいな、悩ましき老年男ぽっさを、微妙に演じるモト冬樹はん。ゴダールやら映画について語った「8ミリ心の友の会」の存在なんかもオモロかったし、過去のモノクロ・シーンに桜の花びらだけイロ付きにしたり、一瞬脱色カットや、女性ポップロックのラストロールでの、キャッチーな流し方とか、映画的アクセント作りも良かったどす。

ほんで、ナンチューても、ベートーベンの「第九」をバックにした、出来上がったCMのロング・バージョンを、見せるクライマックスでおましょう。バッチリ、キメてくれはります。ウ~ン、エエわ~。

2012年11月22日 (木)

シニア・ラブ・ストーリー韓国映画「拝啓、愛しています」

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後期高齢者だけによる恋愛映画・夫妻映画の、機微を映す渋い1本やー

web発表作とはいえ、コミック原作とはとても思われへんわー

http://www.alcine-terran.com/haikei/

師走12月22日の土曜日から、アルシネテランはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座やら、シネマート新宿やらで、全国順グリのお正月ロードショーでおます。

関西やったら、12月下旬から、大阪・テアトル梅田、シネマート心斎橋やらで上映後、シネ・リーブル神戸、京都シネマやらでもヤラはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸNext Entertainment World All rights reserved

みなはん、シニア映画やなんてどない思わはりますか。日本の後期高齢者たち(65歳以上)が、人口の4分の1を占めるようになった現代においてでんな、むしろこの種の映画は、渋く活性化してゆくんやないかなと思います。

シニア主人公・ヒロイン映画の過去をひもといてまいりますと、いくつかの傾向が見受けられまんねん。ほかにもイロイロあるのを承知の上で、かなりおおざっぱに分けてみよりますと…。

①共同生活やら老人ホームものやらの集団群像劇。②「老人と海」(1958年製作・アメリカ映画)や「大誘拐 Rainbow Kids」(1991年・日本)などみたいに、オジンやオバンが元気系で活躍する分。ほんで、③アルツハイマーやらそのほかの、不治のビョーキに罹ってる系、どすやろか。

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さてはて、本作やけど、実は3つの要素を全て含み込んだ上で、老いらくの恋物語、ほんで、老夫妻の物語を紡いでゆかはります。

老人同士の恋愛ものやけど、それだけをメインに描くんはそうそうありまへん。若者たちの恋も描いたり、老人と若い者との年の差恋愛ものとか、そういうのんがドラマ映えするとのことで、主流になっとったかと思います。老夫婦だけの映画はあったかとは思いますが…。

ところがどっこい、本作は老人の孫娘や娘やらが出てきよっても、あくまで2組の男女シニアの恋愛映画・夫婦映画として、最初から最後まで貫いてはります。老人たちの間だけで物語を完結させるのんに、老人ホームもの以外では、ボクはあんまし見た覚えがありまへん。

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①のスタイルは、独身の2人男女と夫婦2人の4人で、4人やら顔合わせを変えての2人交流が、滋味深く紡がれてまいります。

②としては、主人公役のイ・スンジェはん(写真1枚目なら左の方)が、カクシャクとした演技をば披露しはります。対して、彼からコクられはる老女はん役の、控えめで弱々しい演技ぶりは、好対照となっとります。

③については、夫婦の老妻が認知症に罹ってはります。但し、フツーの暗い認知症役やなく、イ・スンジェはんとの絡みやらで見せはる、陽気で楽しげな演技ぶりには、ホッと和みさえカンジさせてくれはりました。

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ウェブのコミックが原作どして、でもでんな、コミック原作っぽい大仰やったり、マンガっぽさやウソっぽさが全くないのんが、アラマ・ポテチン(驚き)どした。ほんで、映画的作りも心得てはる作品どした。

いくつかの町のカットや海辺の夕景などで、セピアな黄昏的な色使いをしてはるのは、シニア映画的な装飾やろけど、ケッコードラマの中では、エエ感じのアクセント・カットやったと思います。さわやかなギターのフィーメイル・ポップスやら、男のピアノ・スロー・ナンバーなどの、効果的な流し方に加え、バイオリンやピアノ・サントラも適宜に挿入してはります。

そんでもって、「E.T.」(1982年・アメリカ)を思い出すようなラスト・シーンには、ホッコリしたサプライズがありましたで~。とにかく、渋~い快作どす。

2012年11月21日 (水)

RAIN主演の韓国アクション映画「リターン・トゥ・ベース」やー

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ハリウッド映画への対抗意識に、燃えまくりの1本やで~

「トップガン」やら「ステルス」やらに、一体どこまで迫れたんやろか?

http://www.r2b-movie.jp/

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12月1日のサタデーから、CJ Entertainment Japanはんの配給によりまして、全国ロードショーやー。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

昨日分析したインド映画「ボス」もそうやったんやけど、本作の韓国映画も、ハリウッド映画をメッチャ意識した作品となりました。

韓国空軍のお話でおます。そやから、冒頭から戦闘機の飛行ショー・シーンから始まりよりま。しかも、エース・パイロット役のチョン・ジフン(RAIN)アニキと、強気な女整備士役シン・セギョンちゃんの間で、この種の映画のお約束のように、ラブ・ストーリーも展開しよるんどす。

トム・クルーズの出世作「トップガン」(1986年製作)が相当視野に入っておます。また、ハリウッドの近作では「ステルス」(2005年)やらも。

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後半に展開する、北朝鮮軍とのスカイ・アクションやらでは、クリント・イーストウッドはん主演・監督の「ファイヤーフォックス」(1982年)や、大都会でのヘリ対決「ブルーサンダー」(1982年)なんかも思い出しましたで。

ほんで、仲間の救出へと向かうクライマックス部は、同じくハリウッド映画に対抗すべく作らはったような、日本の「海猿」シリーズ(第1弾は2004年)と、モロかぶっておます。

そして、ハリウッド・ポインツをうまくまとめはった、標準ラインではありながらも、また、予算もハリウッドには及ばずともでんな、今どきのハリウッド作品とやったら、充分に渡り合える熱気ゆうもんがござりました。「海猿」とも甲乙付けがたい仕上がりやと思います。

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ハリウッドのアクション映画にも出はった、主演RAINの存在感が大きく作品に貢献しておます。シーンによっては、トム・クルーズかと思えるとこさえありまんねん。

さてはて、南北の衝突とゆう構図は、韓国映画としては常套の設定や手法やけど、昔の朝鮮戦争とかやなく、今の情勢を組み入れたコンテンポラリーな作りが評価できるんやないやろか。

一方で、前半と後半の流れが、分離してるんやないかなちゅうとこがありました。おおざっぱにゆうたら、前半はラブ・ストーリー部、後半は唐突に戦闘アクションへ突入てなカンジなんやけど、前半の流れがもっとスムーズやったら、さらにエエ映画になったかとは思いますが、でも、対比効果を示していると見れば、これはこれでエエんやないでしょうか。

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タイトなヒップホップやさわやかな女性ポップスに乗っての、2人の練習シーンやらデート・シーンなどは、爽快感があるんどす。

でもって、後半のスカイ・アクトのビビッド感や。ソウル市内の空での追逃走劇。翼が高層ビルの窓をけずり飛び、中にいてはる人たちを、スローのCGカットで見せたりと、ビルに突っ込む系のありきたりやないとこを示したり…。

悲運のバクハツ・シーンもありで、ドラマティックな流れを紡がはって、ほんで、救助するためや、リベンジのための、クライマックス・アクションへと、なだれ込んでゆくんどすえ~。韓国アクション映画の新展開が、ココにあります。

2012年11月20日 (火)

185分のインド映画どす「ボス その男シヴァージ」

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ミュージカルはモチ、ラブコメ部、アクション・シーンやらハリウッド級を目指さはった路線どすえ~

ラジニカーント御大はんに加えましてな、シュリヤー・サランのネーさんがエエカンジやねん

http://www.masala-movie.com/

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師走12月1日のサタデーから、アンプラグドはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2007 ayangaran International(UK)Ltd. All Rights Reserved.

インド映画のマサラ・ムービーらしさてゆうたら、ミュージカルが一大ポイントでおました。ちゅうか、1990年代後半に日本上陸した、3時間以上のインド映画のほとんどが、ミュージカルやったからどす。

でも、21世紀に入ってからは、日本公開されるんはあんましなかったんどすわ。長い上映時間に加え、ミュージカルにワンパターン化してもうた状況があったやろかと思います。

ところがどっこい、「スラムドック$ミリオネア」(2009年製作・イギリス&アメリカ合作)のアカデミー賞作品賞ゲットと大ヒットで、再びインディー映画に注目が集まりましたえ。ほんで、毎年1300本以上の映画を撮って、インド国内を始め、世界で公開されとるらしいインド映画界の凄まじきパワーが、本作で体感できよるようになっておます。

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ここ数年のインド映画は、ハリウッド映画をバリバリに意識してはりまして、ハリウッドならぬボリウッドやなんて造語もありま。インド以外でも、フランスのヨーロッパコープ、日本の東宝はん、韓国のCJエンタはんなど、ポスト・ハリウッド級が各国から出ておます。

日本でのハリウッド映画の権威力みたいなんが、薄れとる今において、ハリウッドばりのインド映画の登場は恐るべしどすえ。とゆうか、「ロボット」(今年5月8日付けで分析)やらを前触れにでんな、ワン・パターン化したミュージカル映画ノリを、あくまでアクションやらラブコメ部を充実させて、ミキシング・ボリューム・アップのパワーで、ねじ伏せたろかいやーのココロ意気でおまっせー。

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ミュージカルとアクションとラブコメと、男と男の駆け引き&バトルもんが混合されとるチュー、メチャクチャトンデモな映画なんやけど、コレがご都合主義なとことか、ムムムと首を捻るとこがありつつも、まさにドトウのチカラワザで、最後まで飽きさせずに楽しませてくれはりまんねん。ハリウッドの3時間映画ものでは、こうしたワザはまずあり得ないでおましょう。

インドの国民栄誉賞的俳優はんのラジニカーントはんなんて、日本ではメジャーやないけど、この方のアクトを含む多彩なコメディアン演技には、国民的の意味に納得できるはずやろうかと。そして、彼と絡むシュリヤー・サランのネーさんが、メッチャセクシーで美人で、まさにこの映画の華になってはります。

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見どころの多い①ミュージカル部②アクション部③コミカル部やけど、各マイ・ベストなツー・シーンを言いよりますと…。

①⇒●アクション・ミュージカル・シーン。仮面軍団と対決する中で、いろんなハリウッド映画を、歌詞の中に入れて展開しよりま。●ヒップホップに乗って、青空の下の21世紀的建物をバックに踊るシーンやー。

②⇒●主人公1人で走って逃げて、最終的に全員を倒してまうハットトリッキーやー。●ドライブ・イン・シアターで上映中の「キング・コング」(2005年・アメリカ)の、スクリーンをクルマで突き破ってまうまでの、カー・クラッシュ・アクション。

③⇒●彼女のコトバに従い、主人公が黒から美白にならんと奮闘努力しはるシーン。●彼女がもてなしで出したトウガラシを食べて、主人公がトイレでわめき倒すシーン。

これら以外にも、笑えたり笑えなかったりのシーンが、多種多彩に展開してまいります。ほんでもって、ところどころメタメタやもしれんけど、ストレートな正義の味方の物語なんで、安心して見ておくんなまし。

2012年11月19日 (月)

いわゆる、お正月映画として登場の「おだやかな日常」

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東日本大震災ものドラマ映画の、ケッサクになった1本だ

杉野希妃(キキ)嬢が初のマザー役に挑むの巻

http://www.odayakafilm.com

師走12月22日の土曜日から、和エンタテインメントの配給により、東京・渋谷ユーロスペース、大阪シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、神戸元町映画館などでロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹(本作の批評は関西弁ではなく、標準語バージョンです)

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Ⓒodayaka film partners

東日本大震災を取り込んだドラマ映画というのは、この間それなりに出てきている。ドキュについては「生き抜く」(今年9月24日付け)などで総括したが、ドラマの方はまだだ。

そこまでタイトル数が出ていないこともあるが、但し、東日本だけでなく、震災ドラマ映画としてのカタチならば、マイ・ベスト・スリー(カルトを選ぶほどには、いろんな意味でこのジャンルは狭量だ)なら披露できる。ちなみに披露してみると…。

●ベスト⇒①本作②大地震(1974年・アメリカ)③唐山大地震(2011年1月28日付けで分析・バックナンバーでご覧ください)

●簡単にいうと、この種の映画は、これまではパニック・ムービーとして、大衆に娯楽を提供する②のようなスタイルがあったわけだ。

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つまり、被災者の気持ちを考慮し、その被災者たちの心理を描くというようなタイプの映画は、東日本大震災以前はそうなかったように思う。

僕は阪神大震災で少しだけ被災したけど、その震災関連の映画を言うなら、ホラー「ISOLA・多重人格少女」(2000年製作)、ゴルフもの「ありがとう」(2006年)あたりがあるくらいで、「顔」(1999年)など、ストーリーの流れの中で、震災を取り込むタイプが圧倒的だったし、そのほかの大震災についても同じような感じだった。

ドキュなら現在進行形を描くという意味で、いろいろ撮れるのだが…。但し、それでも、東日本の場合は、これまでになく、震災がらみのドラマ映画が、特に顕著に日本映画で巧拙関わらずに出てきている。

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そんな中で、今のところというか、歴代震災映画でもマイ1位にしてるので、本作が最高傑作だと思う。大変な被害に遭ってしまった一帯から、少し離れた関東近郊で、福島原発の発する放射能に、脅える2組の話が展開する。

ストレートに被災者を描く方式が、いかにもドラマティックになると思うかもしれないが、この被災してるかしてないか分からないような、どっちつかずの中間層をメインにして描く手法は、確執部を含めて複雑な心理を描くことができ、ピンの震災ドラマ以上に、グラグラな感じが、被災してるしていないに関わらず、観客にもその不安感が体感できるのではないか。

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映画化されていない小説の話で恐縮だが、阪神大震災時の被災地より遠い所にある、警察署の実態を描いた横山秀夫の「深度0」とか、本作のヒロインの境遇とも合致する、震災の日に夫に去られる宮本輝の「森のなかの海」とか。2作共に傑作小説だが、その2作の作品性を、本作は持ち合わせている。

震災直後に夫に離縁を言われる母娘の母役に、本作のプロデューサーでもある杉野希妃が演じている。「歓待」(2011年3月15日付けで分析)では母役っぽさもあったが、初の実の母役だ。娘のためにイロイロやって、口論から自殺未遂、そして…。土下座しながら鼻水垂らすシーンの、必死な感じがリアルだ。

もうひと組の夫婦。キョンキョン小泉今日子チックな、感じがある篠原友希子。震災後の話「ギリギリの女たち」(2012年)での、強気節演技をキープした渡辺真起子にも注目したい。

「ふゆの獣」(2011年6月29日付けで分析)でもそうだったが、アドリブ演出っぽい演出ぶりに、冴えを見せる内田伸輝監督。もちろん監督の意図だろうが、終始徹底された照明を控えめにした、節電効果的な画面作りが、ドラマに何とも言えない、イントネーションを加えている。

2012年11月18日 (日)

感動的な中国映画「變臉(へんめん)~この櫂(かい)に手をそえて」

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中国映画の素朴な、泣ける感動系映画のケッサクでおます

少年・少女ものとシニア映画、ほんでキズナが…

12月29日の土曜日から、「中国映画の全貌2012-3」の1本として、大阪のシネ・ヌーヴォで上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

中国映画が日本に流出してきたんは、21世紀より前はチョロチョロでおました。単館系でチョビチョビきて、ほんで多くの人に見られないままに終わってまうちゅうか。コレが香港映画や香港・日本・アメリカやらとの合作映画やったら、ケッコーDVD化されて、渋~く長~くみんなに見られよるんやけども…。でも、本作はDVD化もされとるし、上記の劇場ではフィルム上映もやらはります。

中国映画にはホンマ、いろんなタイプがあるんやけど、本作は素朴で純朴な感動系、ほんで何とも言えへんキズナを表現してはる作品でおます。「山の郵便配達」(1999年製作・中国映画)を見た、あるライター仲間は、なるへそ、中国らしいカンジがあるよなーと、しみじみゆうてはりましたが、それはあくまでGNPで、日本を抜いて世界第2位になるより、ひと昔前の話だす。

そうや、あの頃の中国映画にはちゅうか、アメリカを始めとした外国資本の、入らへん中国映画には、人のココロのふるさとみたいなんをカンジさせてくれはりました。

ちゅうわけで、思い付くままに気ままに、中国映画の泣ける系映画のマイ・ベスト・スリーをば披露いたします。①本作(1996年・中国&香港)②初恋のきた道(2000年・アメリカ&中国)②山の郵便配達●3作共DVD化されておます。

さらに、本作は少年・少女映画としての、泣けるポイントがござります。少年ものはケッコー多いんやけど、でも、ボク的には、少女ものは少年もの以上に泣ける度合いが高いようどす。ボクが男やからでおましょうか。で、その種のマイ・ベストは「禁じられた遊び」(1952年・フランス)どす。それは少年と少女の間で展開するキモチの綾どすが、本作では、芸人老人師匠と少女の間で交わされよります。芸をする猿も、ベストな演技どっせー。

ところがどっこい、師匠は芸の後継者を育てるべく、女の子やった子を少年と間違えて発掘してまいます。ところが、女と分かってもうてから…。少女が少年の格好をする「アフガン零年(ぜろねん)」(2003年・アフガニスタン&日本&アイルランド)やらはお国柄どしたが、本作はそうゆうのんとは違いますで。

ほんで、祖父と孫娘の間柄にも似た、老人と少女との間でキズナが結ばれてゆく流れこそが、感動を呼び込みよります。自然光による撮影をメインに、四川の美しい風景も大きな見どころどすえ。

評論家の高評価を集めた「長江哀歌」(2007年・中国)の、滅びの美学を描くアート性に対して、本作はナニワ節的人情に酔いしれる1本どした。古き良き中国映画の良心が、スクリーンから滲み出してくる傑作でおます。

2012年11月17日 (土)

ライヴ・ドキュメンタリー『復活 尾崎豊 YOKOHAMA ARENA 1991.5.20』

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日本映画史上、初ポイントがある、音楽ライヴ・ドキュメンタリーだぜぇ~

http://www.ozaki-cinema.com

12月1日の師走・土曜日から、東宝映像事業部の配給で、東京・TOHOシネマズ 日劇、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、やらでツー・ウイーク限定にて全国ロードショー。

本作の企画・製作は、ソニーPCL株式会社。制作協力は、ソニー・ミュージックレコーズとアイソトープ。協力は、SSPインターナショナル。総合プロデューサーはモチ、須藤晃のアニキだ。

2012年製作作品で、日本映画でカラーで本編96分。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹(本作は標準語バージョンで論じます)

Ⓒ2012 ソニーPCL/ソニー・ミュージックレコーズ/ISOTOPE INC.

かつての音楽業界紙の編集長時代に、尾崎豊については、僕はイロイロ論じてきた。そして、2004年5月に上梓された、丸ごと1冊尾崎豊論「別冊宝島1009 音楽誌が書かないJポップ批評35 尾崎豊」(宝島社・刊)では、11ページにわたり、いろんな論評を展開させていただける機会を得た。

その中で、“尾崎と映画”について論じた部分がある。尾崎はハリウッドの大作映画が好きだった。中でもハンフリー・ボカート主演の「カサブランカ」(1942年制作・アメリカ映画)や、アル・パチーノの「ゴッドファーザー」(1972年・アメリカ)など、カッコイイヒーローものが好きだったらしい。

本作のコンサートでも、そのあたりのヒロイズムを意識して、MC以外では、ステージにポツンと置かれたトラックのタイヤを抱いて、アドリブ的にやってくれるところなどに、ヒロイズムっぽいワイルドな演技性を感じた。今も生きていたら、音楽活動以外にも映画に出て、衝撃的な演技を披露してたんじゃないかと、確信させてくれるようなところだった。

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尾崎的な生き方を描く、映画についても論じてみた。音楽のストレート系として引用された分では、伊藤英明と仲間由紀恵が共演した「LOVE SONG」(2001年・日本)があった。そして、シメとしては、尾崎を描く映画が作られれば、と。まあ、海外ではレイ・チャールズものやら傑作が、目白を押してるけど、日本では…。

加えて、ライヴ・ドキュメンタリー映画ジャンルにおいても、再販制やらのない海外に比べると、日本はセル・オンリーのビデオがメインであり、ライブ・コンサート映画としては、ほとんど機能しなかったところがある。でも、それらの障壁も映画館での、生中継のパブリック・ビューを皮切りに変わってきたようだ。

尾崎の遺作アルバムが発売された同日に、CDデビューしたMr.Chirdrenなどのライブ映像が、映画館でかかっているけれども、実は、既に故人となったアーティストの、しかもフル・ライブ映画というのは、日本映画史上にはかつてないものなのである。海外では、エルビス・プレスリーの「エルビス・オン・ステージ」(1970年・アメリカ)とかがあるけど、それに匹敵するかもしれない。但し、発表年にはプレスリーは生存中だった。

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さて、本作だが、当時ビデオをリリースすることを、視野に入れていたのだろう。18台のカメラにより、上からの撮影を除いて、ほぼ全方位の方向から撮っているという印象だ。観客視点によるロング・ショットは、この種のライブ・ドキュでは当たり前だが、それらのショットはアクセント的に使われている。

写真にある尾崎のミディアム・ショットやら、歌うアップの多さが圧倒的な迫力で迫ってくるのだ。歌いプレイするヒューマニズムのココロを、ファン以外に伝えるためには、この表情を魅せるアップはかなり効果的だと思う。

コンサートのお手本的な流れも、ツボを得ていた。16ビートや8ビートのアップ・ナンバーを続けたあとには、スローやミディアムでしっとりさせるという曲構成。そんな中で、個人的には、ピアノの弾き語りによるスロー「卒業」を、観客にシングアウトさせるようにもてなすところ。

生きていくことの意味などを尾崎言語で語るMCなど、このコンサートより1年後には、彼はこの世にいないという運命と合わせて見ると、ココロにググッときてしまう。ということで、日本のライヴ映画の至宝だと、言えるような仕上がりになっている。

2012年11月16日 (金)

チャン・イーモウ監督のデビュー作「紅いコーリャン」やー

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初々しいコン・リーのネーさんに、ウットリできるかもなー

今年のノーベル文学賞を、ゲットしはった莫言の原作やー

年の瀬12月29日の土曜日から、「中国映画の全貌2012-3」の1本として、大阪のシネ・ヌーヴォで上映でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

いろんなエポックやら新情報的なとこがある、1本の中国映画の名作が、映画館でリバイバル上映されよりま。まあ、ゆうてみたらニュー・プリント・タイプのフィルム上映みたいなもんでおます。

今から思えばでんな、チャン・イーモウ監督&コン・リー姉さんコンビの、共に映画監督・主演デビュー作であり、2人のコラボレート作品の原点や。コン・ネーさんのお相手役は、のちに監督作品でカンヌで賞までもらわはる、チアン・ウェンのアニキどす。でもって、本作は世界3大国際映画祭のベルリン国際映画祭で最高賞の金獅子賞をゲットしてはります。

それだけやありまへん。最新情報的には、最有力と思われとった村上春樹を破り、今年のノーベル文学賞をもらわはった莫言(モーイェン)の小説が原作となった作品なんでおます。そやから、日本人としては、そんなにスゴイのんかいなーと、目を凝らして見てみるんも、一興やろかと思います。

冷静な判決を下す前に、ここでチョイ一服しておくんなはれ。チャン・イーモウ監督てゆうたら、実はボク的には中国では今んとこ、最高の監督やと思とるんですわ。ジョン・ウー、チェン・カイコー、ジャ・ジャンクーやら、いっぱいいてはるんやけど、中国国内だけやなく、世界的にどこまで食い入ることができたんかを、ポイントにしとります。

Photoでもって、監督のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、勝手に披露いたしますと…。●ベスト⇒①初恋のきた道(2000年製作・アメリカ&中国合作)②秋菊の物語(1992年・中国&香港)③本作(1987年・中国)

●カルト⇒①HERO(2002年・中国)②LOVERS(2004年・中国)③至福のとき(2002年・中国)

●カルト①など全米で大ヒットさせたり、ベスト①主演のチャン・ツィイーやらコン・リーやらを、ハリウッド映画デビューへと導いたりと、イロイロやってはります。

台湾、香港などもあって、一般的にはイロイロややこしく見えますけども、生粋の中国出身監督的には、ジョン・ウーのエンタ性に対して、彼はアート性の代表やないやろかな。アクション映画性を追求したカルト①②よりも、カルト③もそうやけどヤッパ、ベスト①~③的な、ヒロイン・ドラマ主体の映画が、ココロに残ってきよりました。

昔の祖父・祖母のラブ・ストーリーを、孫のナレーションによって展開してゆく本作は、変型的に見えつつも、ヒロイン・ドラマをメインに、家族ドラマを描いてゆかはります。日本軍の拷問やらが、ホンマにあったんかは分かりまへんが、コン・リーらの日本へのリベンジ・アクション・シーンが、見せ場にはなっとります。

でも、照明を入れない撮影で、若きコン・リーの顔アップも全部明るく見えず、リアル感がポイントになっとります。イロイロ色を変える空やら、自然シーンの描写もまさに自然。風吹くコーリャン畑でのカットは、インパクト大や。太陽が輝く赤いシーンで、終わるとこにも注目。サントラも流れよるけど、いろんな登場人物が、アカペラで歌を歌ってキモチを表現するシーンの、多さにも魅かれよったかな。DVDより大画面で見るべき1本やと思います。

2012年11月15日 (木)

アメリカン群像劇「恋愛だけじゃダメかしら?」やてー

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キャメロン・ディアスとジェニファー・ロペスの各ネーさんの初競演でおます

妊娠・出産をポイントにしはった、5組のカップルの群像劇どす

http://www.renai-dakeja.jp/

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12月15日のサタデーから、カルチュア・パブリッシャーズはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やら、大阪のシネ・リーブル梅田やらでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Lions Gate Films Inc. and Alcon Entertainment, LLC. All rights reserved.

妊娠カップル&夫妻の3組に加え、流産してしもた若者たち、養子を迎える夫妻の、計5組のカップルを描いた群像劇でおます。妊婦はもちろん、オカンになる前の状態にある“プレママ”をポイントにしはって、妊婦3人の出産シーンをヤマ場に持ってきはった映画どす。当然、女性のための映画のように見えよります。

でも、ドキュメンタリーでは世界各地の出産シーンを捉えはった「プルミエール 私たちの出産」(2007年製作・フランス映画)なんてのがあったけど、ドラマ映画としてはソロ出産ものはあっても、出産群像劇ちゅうのは珍しおますで。しかも、この5組がチビチビつながっとるとゆう、群像劇あるいはオムニバスものの、1つのドラマ・キーをば仕込んではります。

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それだけやおまへんで。この種の映画となるといかにも、オバカチックなコメディになりかねないんやけど、それをばググッと、カーク・ジョーンズ監督のアニキが食い止めてはります。確かにコメやけど、そないコメコメしてへんねん。監督デビュー作「ウェイクアップ!ネッド」(1998年・イギリス)も、宝クジ当選を素材にしつつも、フツーっぽいコメとは違っとりました。

ほんでもって、本作では、ハリウッド・ラブコメの女王キャメロン・ディアスのネーさんが、初の妊婦役をやらはり、アメリカの今や国民的ヒット歌手でもある女優はん、ジェニファー・ロペスのネーさんと、初競演をばしはりましたで。共演やなく、競演にしたんは、本編では同一シーンでの絡みがないからどす。

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それでいて、この2人。何やら、キャメロンがボケで、ジェニファーがツッコミみたいなキャラ造形をカンジました。コメディエンヌとしてのキャメロンは、今回もそれなりに弾けてはりますが、何せ妊婦なんで、大っぴらにはバカはやってはりまへん。妊婦ダンス・シーンやらも、「チャーリーズ・エンジェル」(2000年・アメリカ)みたいなバクレツ系は、モチ控えめ。出産シーンへと持っていく流れの中でも、妊婦役としてのシリアスな側面を、チラリと見せてはります。

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一方、ジェニファーは、これまでの役柄からか、コメディエンヌとしては映えまへんけども、養子養育権を獲得するまでの、マジ演技の中に、何げにマジ・コメなノリを付加させてはるんどす。エチオピアのセピアな風景の中の、キリリとした演技ではジェニファーらしさを見せてくれはります。

妊娠のシビアさを吐露する、エリザベス・バンクスのネーさん、父子のキズナ部でも魅せるデニス・クエイドはん(写真5枚目)、ヒップホップに乗ってスローモーで始まる、イクメン・グループのエピソードやら、若手の2人のラブ・ストーリー部など、見どころイロイロでおます。とにもかくにも、楽しく見れる110分どしたえ~。

2012年11月14日 (水)

ニュー・プリント版による怪・名作「カリフォルニア・ドールズ」やー

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ロバート・アルドリッチ監督の、遺作にして最高傑作やー

ヒロインズものやけど、監督らしい男っぽいベタなワイルド感が満載やねん

http://www.californiadolls2012.com/

12月下旬から、神戸アートビレッジセンターで爆音上映どっせー。ほんで、その後、2013年1月から、大阪・第七藝術劇場やら、京都シネマやらでロードショーでおます。

東日本では、11月3日から東京・シアターN渋谷で上映中。また、仙台・桜井薬局セントラルホールでは、11月17日~11月29日まで、午後8時20分から1回上映どす。

Ⓒ1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved

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1970年代末に学生時代を送っとったボクにとって、ロバート・アルドリッチ監督はんは裏ベスト映画のバイブル的存在どした。恥ずかしい話やけど最初は、同じアメリカのロバート・アルトマン監督とゴッチャになっとりました。ほんで、映画館でも見たけど、当時の深夜のテレビ放送でケッコー見た記憶が鮮明にあり、身近な監督の1人どした。

そんな監督のマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露さしてもらいま。全てアメリカ映画どすが、但し書きとしまして、監督の全作品を見てはおりまへん上で、チョイスしとります。ちなみに今回、本作と同じく、ニュープリント版で上映される「合衆国最後の日」(1977年)は未見どす。

●ベスト⇒①本作(1981年)②攻撃(1956年)③ロンゲスト・ヤード(1974年)

●カルト⇒①北国の帝王(1973年)②何がジェーンに起ったか?(1962年)③飛べ!フェニックス(1965年)

●西部劇、スペクタクル、戦争映画、探偵もの、サスペンスなど多種多彩に、ハリウッド的映画ジャンルものをば、手掛けてきはった監督なんやけど、すっきりとした正攻法の作品とは少し違って、どこかベタでヘヴィー、大仰にしてワイルドなとこが目立っておました。

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「プラトーン」(1986年)よりズズズィーッと早かった、軍隊内部の争いものベスト②、刑務所脱走ものをスポ根節で割ったベスト③、動く電車の屋根の上での対決を創出したカルト①、1970年代のパニックもの・サバイバルものの先駆けとなったカルト③など、そういうベタな中でも、新しいとこや映画ジャンルのミキシングをばやってはったんどす。

ほんで、本作は女たちのエグサを剥き出しにしたカルト②と同じく、女性ヒロインものなんやけど、ヤッパ一筋縄ちゅうわけにはいきよりまへん。映画史上初とも言える、女子プロレス映画どして、お色気よりも、監督らしい男っぽさを強調した作品になっとります。

映画版も出たテレビの刑事ドラマ「刑事コロンボ」の、おとぼけイメージが圧倒的やった、ピーター・フォークはんがイメチェンや。2人の美女ボディコン・レスラーのマネージャー役・泥臭いベタなオヤジ役をばやらはりました。ほんでもって、試合会場を移動するロードムービー部と、試合シーンが調合されとりま。

ロードするクルマの中では、しょっちゅうテープでオペラが流れておます。「アンタッチャブル」(1987年)でも歌われとった曲どして、自分のオトンの名言を披露しはる、フォークはんのセリフやらとも相まって、ダイナミックなプロレス・シーンとの、ミスマッチ効果がござりました。

アメリカン・ロードムービーとしての、スタイル感もキチンとしてはるし、ナンチューても、クライマックスの入場シーンのハデハデ感に加え、激闘シーンのダイナミックな臨場感には、グラグラきよりました。監督の遺作にして、最高傑作でおます。

2012年11月13日 (火)

カミュの未完遺作の映画化「最初の人間」どす

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ノーベル賞作家の初の自伝小説が、初の映画化どすえ~

過去と現在を織り込んだ絶妙さで、お話は進むんやけど…

http://www.zaziefilms.com/ningen/

12月15日の土曜日から、東京・岩波ホールやらで、全国順グリのロードショーでおます。関西やったら、12月29日から梅田ガーデンシネマやらで上映どす。

フランス・イタリア・アルジェリア合作の本作をば、配給しはるのはザジフィルムズはんや。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ノーベル文学賞までゲットしはった文学小説家、アルベール・カミュはんの小説の遺作の、初映画化作品でおます。カミュはんの作品としては、ルキノ・ヴィスコンティ監督はんの「異邦人」(1968年製作・本作と同じくイタリア&フランス&アルジェリア合作)以来、2度目の映画化となりよりますか。

但し、この原作は未完の遺稿となった小説でおまして、かの文豪ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」も未完遺作やったけど、映画化(1968年・ソ連/1957年・アメリカ)されとります。でも、未完作を映画化するのんは、メッチャ怖いとこがござりますわな。

つまり、話としては完結せず、中途半端なままで終わってしまうんやないかと。観客のみなはんにしても、消化不良のまま、映画館をあとにするようなことにもなりかねまへん。

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ほたら、一番ベストな見せ方とは何やろかと、考えてみたらでんな、ヤッパ独自の決着の付け方をして、見せてゆくことなんやろかな。でも、本作はそういうことをしてもええのに、あえて原作にほぼ忠実に物語を紡いではります。

著作権の問題とかはあったやもしれまへんけども、未消化、未決着、中途半端なとこがモチありよります。主人公のオトンの死後、オカンは果たして男を作ったんかとか、主人公のその後とかはナゾのまま、プツンと切れるような終わり方やけど、それでも、本作は余韻とかその後をカンジさせてくれはって、映画的な終わり方としてはよかったかと思います。

さらに、終始落ち着き払った主人公の造形に合わせてか、静かに進行してゆく流れには、ある種の癒やしを覚えさせてくれはりました。

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ストーリーについて言いよりま。カミュを想定した主人公はアルジェリア出身やけど、親元を離れてパリへ行き、一家を構えてはりました。長らく故郷・祖国には帰ってはりまへん。でも、学生たちの講演依頼に何年ぶりかに帰ってきはり、ほんで、オカンやら先生やら友人やら、いろんな愛すべき人たちとの再会を描いてゆかはりまんねん。

その手法としては、1957年設定の現代と、過去の少年時代を交互に描いていって、再会のドラマティックを、静かに盛り上げるとゆう作りどす。特に、過去シーンにおいては、少年もの映画とか、貧しくとも生き抜く家族映画などとも、シンクロナイズしてまいります。

そんな中で、ボクが最も印象的やったシーンは、本作で最も長い長回し撮影のシーンでおます。少年時代のシークエンスで、アナログのオールド・ジャズ・ポップスを流して、横移動撮影で、少年がオカンを探すように歩いてゆくシーンどした。オカンとの関係性にビミョーなとこを残すラストシーンなど、親子のキズナの描写の新味も、カンジさせてくれはる1本でおました。

2012年11月12日 (月)

テロ鎮圧のフランス映画どす「裏切りの戦場 葬られた誓い」

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攻撃開始の10日前からを描かはる、実話ベースもんどす

調停役・交渉人ドラマとしての哀愁味もある、渋通好みの1本や

http://uragiri.ayapro.ne.jp

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ノーベンバー11月24日のサタデーから、彩プロはんの配給によりまして、東京・シネマスクエアとうきゅう、梅田ガーデンシネマ、T・ジョイ京都やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Nord - Quest Films - UGC Images - Studio 37 - France 2 Cinema

本作は戦争映画と標榜されとります。でも、植民地支配からの独立を目指すテロに対して、鎮圧するための軍隊派遣とゆうタイプの戦争もんどす。

1988年の実話どして、フランス領のニューカレドニアで、現地のフランス憲兵隊らを、独立を目指す現地のネイティブ(カサック族)たちが人質に取り、フランスへ主張しはります。まあ、テロてゆうたらテロやけど、むしろ彼らは弱者たちとゆう設定とゆうか現実どす。

そんな中で、本作主演兼監督の、マチュー・カソヴィッツのアニキを大尉役にして、軍隊がテロ鎮圧のために現地へ派遣されよります。

いわば、アメリカものではイラク、アフガンものやらと呼応しますし、フランス的には「アルジェの戦い」(1966年製作・イタリア&アルジェリア合作)なんぞともシンクロするでおましょうか。明日分析します「最初の人間」も、フランス植民地関連ものとして連関するやろか。

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本編の最初の方の流れやけど、人質・テロリストたちを軍隊が、島内の森やらを探す静謐な感覚は、「シン・レッド・ライン」(1998年・アメリカ)なんぞのセンスをカンジました。

彼らのアジトを特定して以降は、マチューはんは、ネイティブたちと政府間の調停役として動き回らはります。冒頭とラストシーンがつながってくる作りなんやけど、そのポイントは交渉人役としての、人間ドラマ性の打ち出し方でおましょうか。室内劇・会話劇として展開することが多いこのシーンは、クライマックスの戦闘シーンとの対比効果がバツグンでおます。

交渉すればするほど悪くなってゆくと述懐する、マチューはんの哀愁感は、ナレーション部を含めて、本作のアンニュイ感をいや増してはります。交渉人映画はイロイロあるけど、かつてないリアル感をば獲得してはるようどした。

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ほんで、マチュー監督的にはかつてない、映画作家性をば示してはるかと思います。ミステリー、ホラー系の娯楽作「クリムゾン・リバー」(2000年・フランス)やら「ゴシカ」(2003年・アメリカ)やらとは違って、監督がホンマに撮りたかったんはコレやで~とゆう、確かな感触がありました。

まず、構成的にはやけど、戦闘アクションまで10日前から描き始め、徐々にクライマックスへと高めてゆく、タイムリミット系のサスペンス的タッチの作りに目がいきよりました。シンセをベースにした、不穏なサントラもしょっちゅう流れよります。前へ前への空撮を始め、いわゆる映像的にスケール感を示すとことか。絵画的ロングショットやら、移動撮影やら長回し撮影やらを駆使しもって、ヤマ場へ。

近接撮影による、7分くらいの長回しで示される戦闘シークエンスは、映画史に残ってもおかしくないセンスをば見せてはります。ラストロールではまるで鎮魂歌のように、民族音楽やらコーラス歌が流れてきよります。決してハデやないけど総体的には、名作「シン・レッド・ライン」的な鑑賞後感のある、ケッサクやったと思います。

2012年11月11日 (日)

生誕50周年・通算23作目の「007 スカイフォール」どす

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イスタンブール⇒イギリス⇒上海⇒マカオ⇒イギリス⇒スコットランドと巡る、アクション満載の大作どすえー

007の21世紀的進化型を示すために、アナログ感とデジタル感が見事に融合しとりま

http://www.skyfall.jp/site/

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December12月1日Saturdayから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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007の生誕50周年の第23弾は、これまでにない初ものがケッコーござります。淀川長治先生の日曜洋画劇場では当たり前どしたが、日本語吹替版での上映もあるとゆう初。ほんで、オスカー受賞監督(サム・メンデスはん)によるのんも初。

そして、作品性においても、初出しポインツがござります。007ジェームズ・ボンドのスコットランドでの幼少時代が、初めて明かされるとゆうとことか、21世紀のスパイ活動の在り方ナンチューとこなど、これまでになかった進化型を示さはるんどすえ。昔もどきのスパイちゅうのんは、今の時代には通用しないとゆう、1つの問題提起までしてはります。

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アナログ感的な武器やとか銃撃戦、体を張った対決具合に、21世紀的なハイテク小道具やら、パソコンへのハッカー具合の解析やらのデジタル部との、絶妙なミキシングに、間違いなく、2012年の007やとゆうことが強調されとるんどす。

また、007以降に出たスパイ映画に対して、アンサーっぽいとこもあります。今回のメイン・ソースとなる、上層部と現場のスパイとの軋轢部なんかは、「ボーン」シリーズ(第1弾は2002年製作・アメリカ映画)へのアンサーやろし、今回だけやないけど、ワールドワイドに展開させて「ミッション:インポッシブル」シリーズ(第1弾は1996年・アメリカ)へ、それとなく対抗意識的なもんもカンジさせはります。

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そんなこんなやけど、もちろん、アクション・シーンの超ウルトラ級のもの凄さが、いつもながら007の、大いなる見どころでおます。007らしいカゲリある、ポップロック主題歌(アデル「スカイフォール」)が冒頭から流れて、胸が高鳴ってきよります。

見出しにも書きましたが、トルコのイスタンブールから始まり、007の生誕地スコットランドで終わるとゆう構成どす。「96時間リベンジ」(来年1月11日公開・後日分析しま)では、このイスタンブールをメイン舞台に、アクションをば展開しはりますが、実はそれ以上にド派手なアクトが、冒頭からブチかましてきよりまんねん。

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カーチェイスに加え、グランドバザールの屋根でのバイク・チェイス、ほんで、カーと電車のチェイスに加え、ボンドと敵の電車の屋根でのバトル・シーンへと持っていく、流れるようなアクションの連続に、いきなり目が点になることでおましょう。

上海サイドの薄ブルーの、迷彩的色彩デザインの中での対決(写真1・3枚目)。セピア照明を主体にしたマカオ・ラウンド。廃墟的背景での、ボンド役ダニエル・クレイグのアニキと、裏切りスパイ役のハビエル・バルデムのアニキとの出会いと対決。

ほんでもって、この2人の対決はイギリス、スコッチと続いていきよります。ロンドンの地下の追逃走劇、そして、スコッチの荒野の1軒屋へと、なだれてゆくクライマックスは、強烈至極でおます。本作から見る若い方へも、訴求できる1大娯楽作品どすえ~。

2012年11月10日 (土)

UK映画「砂漠でサーモンフィッシング」やて、そんなのあり?

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ユアン・マクレガーのアニキとエミリー・ブラントちゃんの、パートナーチック・ラブ・ストーリーやろかなー

ラッセ・ハルストレム監督的恋愛映画の描き方とは?

http://salmon.gaga.ne.jp/

12月8日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Yemen Distributions LTD., BBC and The British Film Institute. All Rights Reserved.

タイトルを見たら、映画ファンやなく、釣りキチの釣りファンなら、即刻首を傾げはることでおましょう。砂漠で鮭釣りなんてあり得まへん、らしいどす。ボクチンは釣りについては全くのトウシロウ(素人)どして、さっぱりワヤなんやけど、取りあえず友達の釣りキチに聞いてみよりました。

そもそも釣り映画ちゅうのんが、映画界では稀少でおます。モチ人口に膾炙したものとしては、「釣りバカ日誌」シリーズ(1988年~2009年製作・日本映画)はあったけど、釣りの詳細な機微を描いてはるもんとは、チョイ違いよりました。

川釣りのフライ・フィッシングを描いた、ロバート・レッドフォード監督とブラピ(ブラッド・ピット)のコラボレート作品「リバー・ランズ・スルー・イット」(1992年・アメリカ)なんぞは傑作やし、「おくりびと」(2008年・日本)の次に作らはった、滝田洋二郎監督の「釣りキチ三平」(2009年・日本)も、それなりに楽しめはしました。

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そやけど本作は、あり得ない設定を、あり得るカンジの説得力を持たせもって、スイスイ展開してゆかはるとこが、釣り映画の範疇を超えてオモロイ映画どしたえ。結局、釣りは映画に入るための誘い込みポイントであり、メインは全く違うとこにござります。その作りや流れを見てみますとでんな、冒頭からしばらくは、トンデモ・コメディのタッチで展開しよります。

中東の代表国としてのイエメンとの関係改善のために、首相広報官役のクリスティン・スコット・トーマスのネーさんが、ハイ・テンションでタイトな早口で、煙に巻く演技をば示さはります。今作も砂漠がモチ出るけど、砂漠舞台のシビアもの「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年・アメリカ)でやってはった役とは、100パーセントのイメージ違いに、いきなりのガツンや。

イエメンの砂漠で鮭釣りをすること。上からの無理難題を押し付けられはった、ユアン・マクレガーのアニキと、エミリー・ブラントちゃんが、この任務に携わらはるんやけど…。

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この2人のやり取りも、早口のまくしたて系で最初の方はやってはります。トンデモナイことをゆわれて、しゃーないことなしにやらされるとゆう、コミカルなドラマの方向性やったんやけど、あるところから流れが変わります。エミリーちゃんの軍人の彼氏がアフガンで行方不明になったあたりから、三角関係のラブ・ストーリー的な方向へと、潮流が変節しよるんどす。

釣りを通しての、イエメンの大富豪とユアン・アニとの「釣りバカ日誌」の、スーさん・ハマちゃんな関係性はあるにはあるにしても、人情コメディのノリで一気に、突っ走ってまおかとゆうことにはなりまへんどした。

ラッセ・ハルストレム監督的にゆうたら、1990年代のピーク時の映画作家性は薄いにしても、ユーモアとシリアスを束ねたラブ・ストーリー性は、ジョニー・デップが主演した「ショコラ」(2000年・アメリカ)のタッチがあるやろかと思います。肩の力を抜いて見てもらいたい逸品どす。

2012年11月 9日 (金)

リバイバル上映・大河ドラマ映画「宋家の三姉妹」どすえー

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中国の近代史を描く大娯楽作品どすえー

3女優のアンサンブルが、メッチャええカンジどすえー

12月29日の土曜日から、「中国映画の全貌2012-3」の1本として、大阪のシネ・ヌーヴォで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

尖閣諸島の問題がかしましゅうなってるんやけど、映画は映画なんで、“日本製品のボイコット”シーンもあるけど、再見し分析いたします。ところがどっこい、本作は舞台は中国やけど、1997年製作の香港・日本合作映画なんどすわ。つまり、中国側はこの映画製作に対し、金を払ってはりまへんねん。

まあ、そんなんは取りあえず抜きにしてでんな、中国映画の娯楽作品マイ・ベスト・スリーをば、身勝手に披露しよります。①本作②レッドクリフ(2008年・中国&香港&日本&台湾合作)③HERO(2002年・中国)

●ちゅうことで、中国映画的なエンタ性とは、香港映画のアクション性とは大いに違っておまして、その歴史に起因したもんがベースになっとるもんが多いように思いま。「三国志」の②しかり、秦の始皇帝を取り入れた③やら。ほんで、本作は中国の近代史を、ビビッドに取り上げはった作品どす。

しかも、孫文ものやらが多い今やけど、その孫文も登場させつつ、孫文の革命仲間やった男の宗家の3姉妹とゆう、変わったとこからアプローチするっちゅう変格系。それでいて、アカデミー賞の作品賞をゲットした「ラストエンペラー」(1987年・イタリア&イギリス&中国)チックな、大作感のある作品になっとるんどすえ。

アクションで魅せる②③とは違い、あくまで歴史のシリアス度を重視しはり、それでいて、3姉妹のキズナをじんわりカンジさせはる、女性監督メイベル・チャンの演出ぶりにグッときよります。

演技陣に目を向けてみまひょか。まずは、長女役のミシェル・ヨーのネーやん。近作「The Lady」(今年7月11日付けで分析)のアウンサン・スーチー役の、ヒューマニズムに酔えた彼女。「グリーン・デスティニー」(2000年・アメリカ&中国)のアクト性は全くありまへんが、好感度の高い姉さんぶりを示してはります。

ほんでもって、2女役のマギー・チャン姉さん。孫文と結婚しはる彼女は、本作のキーを握ってはるキャラどす。過去を振り返るナレーションもやってはるけど、ボク的には3姉妹の中では、最高の演技ぶりやろかと。「ラストエンペラー」にも出てたヴィヴィアン・ウーが3女役。マギーネーさんと絡むシーンなどで、独特の妖し感を示さはります。

多数出てくるブルー・トーン配色のシーンやら、1981年から始まり、病床に伏すマギーネーさんの、回想とゆうカタチで始まって、最後には病床に戻ってくる構成は、目新しくはないけど、ドラマティックを増してはります。ラストロールでは本格的に流れる、フル・オーケストラによるサントラ使いもゴージャスどすえ。

「若草物語」(映画化第1弾は1933年・アメリカ)やら、浅井3姉妹を描いたNHKの大河ドラマ「豪姫」やらとも、何やらリンクする娯楽大作でおました。

2012年11月 8日 (木)

ピンク人間ドラマ映画「私の奴隷になりなさい」やー

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ポルノチック、ロマンポルノ、ハードコアらピンク映画の王道映画どすえ~

変態チックな中に潜んどる、人間ドラマの性(サガ)とは?

http://www.dorei-movie.jp

11月23日の「勤労感謝の日」ホリデーから、角川映画はんの配給によりまして、大阪・布施ラインシネマやらでロードショーでおます。東京では11月3日の「文化の日」から、銀座シネパトスやらで上映中どす。本作は「R15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 角川書店

ポルノ&ピンク映画とゆうのは、日本では1960年代の映画斜陽時代に生まれ落ちよりました。先頃逝去された若松孝二監督や、故森田芳光監督らは、そのキャリアをポルノ・ピンク映画から始めてはるんどす。この種の映画てゆうたら、当然1970年代に活性化した「にっかつロマンポルノ」が、日本の場合は王道路線でおました。

ほんで、このジャンルからは、名作がいっぱい出とるかと思います。そやから、その種のエロ路線映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露する場合、ロマンポルノばかりになりそうなんで、あえて外します。ちなみに、ボクの「にっかつロマンポルノ」ナンバーワンは、田中登監督の「人妻集団暴行致死事件」(1978年製作)どす。

●ベスト⇒①愛のコリーダ(1976年・フランス&日本合作)②エマニエル夫人(1974年・フランス)③白日夢(1981年・日本)

●カルト⇒①ディープ・スロート(1973年・アメリカ)②花と蛇(2004年・日本)③本作

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●本作をカルトの3位にしましたけど、この種の、ナンチューか“調教タイプ”はケッコー出とります。「飼育の部屋」シリーズ(第1弾は2002年)とか、本作にもチョイ役で出てはる杉本彩ネーさんの、当たり役でもあるカルト②のシリーズなんぞも、そうでおます。大傑作「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972年・イタリア&フランス)やらともシンクロするやろかな。

包み隠さずに、はっきり申しあげま。ホンマにヤラシー・シーンが、次々に出てまいります。「R18」に指定されてもおかしゅうないような、ヤラシサなんどすえ。欧米のハードコア作品のベスト②やらカルト①に加え、日本のベスト③などは、いわゆる本番をばやってはりまして、エロイズムのリアリスティックをば追究してはります。

でも、ゆうときたいんやけど、アダルト・ビデオと本作やらとの絶対的な違いは、あくまでそういう人間たちの、人間性を含む性(サガ)を描いてはるところ。加えて、セピアな配色の雨の町やらスローモーション、ロングショットの使い方など、映画的な撮り方などを、心得てはるとこらでおましょうか。

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フツーに見ていったら、こら、ヘンタイ(変態)映画とちゃうのんと、思わはるやもしれまへん。相手にDVDカメラで撮影させはって、自分とのセックス・シーンを撮らせたり、バス内でリモコン・ローターでアソコを攻められたり、バスタブでのオナニー・シーンなど、エロ人間ドラマのオンナ・バージョンが頻出してまいります。

主演しはった壇蜜(だん・みつ)ネーさん。「赫い髪の女」(1979年・にっかつ)の宮下順子はんには及ばずとも、同作に出てた山口美也子はんや亜湖はんとは、充分対抗できよりますで。

「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」から出てきたイケメン・真山明大(まやま・あきひろ)クンなんか、こういう映画に出てホンマ大丈夫なんやろか~とか、板尾創路はんのマジ・ヤラシー演技の、竹中直人が余貴美子にやってもうた「ヌードの夜」(1993年)っぽさやらが、壇蜜ネーによって緩和されるやろかと。

近作「くろねこルーシー」(今年9月27日付けで分析)など犬猫映画の名手、亀井亨監督の作品とはチョイ思われへん、性の徹底追求ぶりに驚きもありやーとゆう作品どした。タイトルがラストシーンのセリフとなったとこも、粋(イキ)やったどすえ~。

2012年11月 7日 (水)

コンテスト・ドキュメンタリーどす「ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!」

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バレエ・ドキュとしては、今までにないタイプの映画どすえ

群像劇ものとしての、感情移入度をみたらケッコー入れますで

http://www.firstposition-movie.com

December12月1日Saturdayから、東京・Bunkamuraル・シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、12月22日から梅田ガーデンシネマで上映。その後、京都シネマやらシネ・リーブル神戸やらでヤラはります。

アメリカ映画の本作をば配給しやはるのは、セテラはんとミモザフィルムズはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸFirst Position Films 2011

「赤い靴」(1948年製作・イギリス映画)やら「リトル・ダンサー」(2000年・イギリス)など、バレエ・ドラマ映画の名作もあるんやけど、本作は、バレエ・ドキュメンタリーのジャンルに入る映画でおます。

但し、これまでのバレエ・ドキュとは大いに異なっておまして、10代の青年乙女少年少女たちの、コンテストをば採り上げてはります。バレエ団の話やとかではありまへん。コンテストもの映画としてとらえた場合、その種の映画の勝手にマイ・ベスト&カルト・スリーは、どないなるやろか。思い付くままにやってみよりますと…。

●ベスト⇒①コーラスライン(1985年・アメリカ)②スウィングガールズ(2004年・日本)③のど自慢(1998年・日本)

●カルト⇒①チアーズ!(2000年・アメリカ)②うた魂(2007年・日本)③本作

●コンテストものてゆうたら、いっぱいあるやろなーと思たんやけど、あんまし出てきよりまへんどした。ほかにもいっぱいあるはずなんで、ええのんがあったら教えておくんなはれ。

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何やら音楽もんが多いようやけど、ダンス・パフォームものやらもあったかと思います。でもって、本作やけど、コンテスト・シーンはモチ、クライマックスで存分に描かれますが、まあ、見どころとしては、オムニバスな群像劇映画としてのところがありよりま。

NYでのファイナルに向けて、地方予選に参加しはるいろんな人たちを、採り上げてはります。落選した者の方がドラマ映えするやろけど、今回採り上げはった人たちは、ほとんどがサクセス切符を手に入れはります。

でもでんな、ユニークで特異な人たちが中心なんが、本作のミソやろか。家族ドラマ部やったり、コーチたちのキャラなどを出しつつ、何人かにスポットを当てて、オムニバス映画のように展開してゆかはります。

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イタリアに住む少年と、イスラエルの少女(写真4枚目)の「小さな恋のメロディ」(1970年・イギリス)なカンジ。アフリカの内戦で両親を亡くした、白斑の黒人少女と義父母のキズナ。フツーに高校生として通う美少女。

母国よりアメリカへ行った方が成功しやすいと親に言われて、コロンビアからアメリカに来た青年(写真1枚目)。カリフォルニアの日本人オカンとイギリス人オトンの間に生まれた姉弟の、ちょっとコミカルなお話やら。

そんな中でも、楽屋裏の様子に加え、ファイナル・ステージ・シーンの熱気あるタイトさは、ハイライト・シーンでおますし、その後の結果発表シーンも緊張はします。そして、ラストロールで各人のその後を描くのんも、エエかとは思います。

でも、ドキュとゆう制約からか、ドラマティークとしては弾けておまへんどした。この素材なら、ドラマとして大いに派手に描く方が、圧倒的に面白くなることでおましょう。ハリウッドで注目されてドラマ映画としてリメイクされたら…大ブレイクするやもしれまへん。チョイ期待したいとこどす。

2012年11月 6日 (火)

ダニエル・ラドクリフ主演「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」どす

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“ハリー・ポッター”の超パブリック・イメージからの脱却は、果たして成功したんやろか?

館ホラーにして「リング」「呪怨」などを意識した快作やー

http://www.womaninblack.jp

12月1日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給で、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで公開でおます。本作はイギリス・カナダ・スウェーデン合作のイギリス映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011, SQUID DISTRIBUTION LLC, THE BRITISH FILM INSTITUTE

館ものホラーについては、「ドリームハウス」(11月1日付け)の項でマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたしましたが、本作は「ドリームハウス」より、上の仕上がりになったとジャッジいたします。

映画を作るにあたり、製作者たちはハリウッドでリメイクされた、Jホラーも参考にしはったらしいどす。館ものでは家族もんやった「呪怨」(2002年製作)を、ほんで、ネタ部を含めモロ、「リング」(1998年)をばかなり意識してはりました。

洋画ホラーでは主流の悪魔系やなく、日本の怪談映画時代から特長的な、人の呪い系へとフォーカスや。それでいて、イギリスのハマーフィルムはんが、製作に関わってはりまんねん。若い人には分からへんかもしれへんけど、ドラキュラ映画の最高傑作やと、ボクが勝手に思てる「吸血鬼ドラキュラ」(1958年・イギリス映画)を作らはった映画製作会社どす。モチ、かつてのスタイルの進化型とは申せ、怖さのルーツ的な作りに回帰してはるんが、快かったどすか。

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「ハリー・ポッター」シリーズ(2001年~2011年・アメリカ)のダニエル・ラドクリフ君が、大人のアニキになってどないな演技を披露してくれはるんか、大注目の1本なんやけど、素晴らしい演技とは申しまへんが、パブリック・イメージを変えるような演技で魅せてくれはります。

今やなく、19世紀末のイギリスの田舎を設定し、満潮になると海に囲まれる孤島的な館を設定。しかも、電気のない時代感を示さはり、ランプやローソクによる夜のダーク感や。

加えて、ダニエルのアニキ1人による静かな展開と、そのあとにくる効果音(ショッカー)の使い方が、見ていてビビらしてくれはります。水道から突然出る泥水、カラスやら、速弾きのバイオリンやら…。ナンチューても、ラドクリフの1人芝居シーンが、圧倒的に本編の時間をば割いてはります。ほんで、その静なるシーンの連続が、緊張感をいや増さはりまんねん。

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ある種、アルフレッド・ヒッチコック的なサスペンス映画の手法を、応用さしてはるかもしれまへん。意識的にオーソドックスな怖さ演出をばしてはりますので、大仰で騒がしいホラーに慣れてはる人は、きっとモノゴッツーなドッキリがくるやろかと思います。また、部屋内と家の外のシーンとの絡み具合が絶妙どして、怖さを募らせよります。

まあ、ボクチンは何とか踏ん張りましたけども、チビチビはビビッとりました。さてはて、怖い映画のマイ・ベスト&カルト・スリーは…

●ベスト⇒①エクソシスト(1973年・アメリカ)②キャリー(1976年・アメリカ)③エイリアン(1979年・アメリカ)●カルト⇒①サスペリア(1977年・イタリア)②東海道四谷怪談(1959年・日本)③本作●本作を都合よく入れとるなーと、思わはるかもしれへんけど、いっぺん見てみなはれな。みなはんの感想が、トンデモ楽しみどすえ~。

2012年11月 5日 (月)

ヨーロッパコープ作品「ロックアウト」やー

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宇宙空間の極悪人らの、刑務所ものSF映画やなんて…

ほんで、「スター・ウォーズ」ばりかは別にして、人質奪還劇やなんて…

http://www.lockout.jp

ノウベンバー11月23日のフライデーから、松竹はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 EUROPACORP

リュック・ベッソンのアニキが製作し、共同脚本に関わったSF映画でおます。ベッソンの映画製作会社「ヨーロッパコープ」らしさが出たフランス映画どす。その“らしさ”とは、ハリウッド映画とちゃあうんかなーと見まがえさせもって、最後まで幻惑させはる作りやろか。

でも、よくよく見ると、ハリウッド映画によくあるパターンの映画やんかとなるんやけど、そこが実はミソなんでおます。ハリウッドに負けない映画を作るためには、ハリウッドを仮想するしかないからでおます。

もし全く別の手法で、人間ドラマ的アクション映画なんてのを作ったら、よう分からんけどマニアックになってしもて、観客的にはクエスチョンでおましょう。そやから本作も、真っ向からハリウッドに勝負を挑んではります。いろんな過去のハリウッド映画をば思い出させはります。

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宇宙空間に浮かぶ極悪人たちの刑務所船設定やけど、「アルカトラズからの脱出」(1979年製作・アメリカ映画・以下の引用は指定国以外はアメリカ)とか「ザ・ロック」(1996年)とかイロイロありま。けど、オリジン・ポイントとしては、囚人たちは全員ワルとゆうスタイルや。

囚人の中に、善人や正義の味方やヒーローはいっさいおりまへん。ほんで、囚人たちはカプセル内で停止状態になっとるんやけど、アメリカ大統領の娘はんがある囚人を慰問しはり、その機会に乗じてでんな、そいつが小回り効かせて暴れ回り、全囚人を目覚めさせはり、娘はんを始め刑務所職員を全員人質に取ってしまよるんどすわ。

そこで、娘はんだけの人質奪還を目標に、1人の元CIA職員のガイ・ピアースのアニキが、極秘に派遣されるとゆう展開でおます。人質奪還劇的図式としては、かの「スター・ウォーズ」(1977年)らがありますし、また、凶悪囚人集団バーサス1人の構図は、「ダイ・ハード」(1988年)。

さらに、CIAやらよく出る大統領などの設定やらが、ハリウッド映画への既視感をば誘発しはります。ほかにもイロイロあるやろかと思います。みなはんもきっと何か思い出さはるハズどすえ。

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ガイ・ピアースと、娘はん役のマギー・グレイスちゃんの関係性を、かなり練り込まはったようどす。ガイ・ピアースは、「第十七捕虜収容所」(1953年)などのビリー・ワイルダー監督作品に出て、アカデミー賞主演男優賞をもらわはった、ウィリアム・ホールデンはんをイメージ・メイクしたとか、2人の関係を「アフリカの女王」(1951年・イギリス)の、ハンフリー・ボガートとキャサリン・ヘプバーンの関係を想起したとか…。

2作共にハリウッド作品やけど、この関係性なんてゆうたら今や、多種多彩な作品の中に取り込まれておます。つまり、簡単にゆうたら、男女2人のボケとツッコミ、オシャレでイキな会話のやりとりちゅう、カンジどすやろか。但し、この2人の関係が最後まで、ラブ・ストーリー部へと流れよらへんとこは、オリジナリティーさを付加してはるやもしれまへん。

セピアとグリーン・トーンを、部分配色した刑務所の造形ぶりやら、タイトなフラッシュ・シーンやらで示すタネ明かしと、どんでん返しにも魅せられまっせー。

2012年11月 4日 (日)

チーム阿部寛の5人がカモらはる「カラスの親指 by rule of CROW's thumb」

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リベンジ・コンゲーム・スタイルは、果たして現代にも通用するんやろか?

原作を超えたミステリー映画が少ない現状やけど、本作は果たしてどないやろか?

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http://www.crow-movie.com

11月23日のフライデー・ホリデーから、20世紀フォックス映画はんと、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ道尾秀介・講談社/2012「カラスの親指」フィルムパートナーズ

誰かをカモる、イコール騙して、大金を得るコンゲーム・ノリの映画どす。但し、単に大金をストレートに、奪取するとゆうタイプやありまへん。ヤラれたりカモられたり痛い目に遭わされたんで、それに対してリベンジ、やり返すっちゅうスタイルどす。

この種のドラマの最高傑作やと、ボクが勝手に思てる「スティング」(1973年製作・アメリカ映画)を出すんはアレなんやけど、でも、ストーリー展開そのものはモノゴッツー楽しめます。

原作者の道尾秀介アニキやけど、彼の頭の中には「スティング」はモチ、テレビ・ドラマ化もされたらしいんやけど、ボクは見れてまへん、ジェフリー・アーチャーの小説「百万ドルをとり返せ!」なんぞがあったハズでおます。

そして、その上で、このどんでん返しをば披露しはったんどす。メタや超常を使わない、この現実的サプライズは斬新やし、原作では伏線も、随所に散りばめられておました。しかし、映画にした場合はどうなんやろかな~。

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さてはて、原作の出来を超える、広義のミステリー系映画とゆうのんは、最近は、ちゅうか過去を振り返っても、ボク的ジャッジでは残念ながら、それほどござりまへんねん。「砂の器」(1974年)は原作より上やろか。「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)は原作も映画も同じくらい素晴らしいやろか。

まあ、このあたりくらいで、実は止まっとりましてな、「OUT」(2002年)やら「バトル・ロワイアル」(2000年)やら「告白」(2010年)でさえも“原作を超えられていない”とジャッジしとります。

最近分析した邦画でゆうたら、「黄金を抱いて翔べ」(10月13日付け)「悪の教典」(10月12日付け)などもそうどすかな。でも、映画には映画でしかできない、映像力とか演技力ゆうもんがござります。映画と小説は別ものとしてとらえるのが賢明でおましょう。

かつての角川文庫のコピーやないけど、読んでから見ても、見てから読んでもどっちでもええねんけど、でも、本作は冒頭以外は原作にほぼ忠実に描いてはるんで、どんでん返しを楽しみたい方は、映画から見た方がええかと思います。

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各俳優陣の演技をば見てまいりましょうか。サプライズを演出するためやろか。阿部寛のアニキはいつも通りのマイ・ペースぶりなんやけど、村上ショージはんの棒読み的芝居は意図的なんやろか。ここの見極めが、映画を楽しく見られるかどうかのとこやろと思います。つまり、ショージはんはキー・ポイント・ゲッターなんどすわ。

阿部寛とショージはんの1分強の長回し撮影が、頻出しよりますが、ツッコミ・阿部&ボケ・ショージを狙いつつも、笑える漫才系というよりは、やはり少々違和感がありました。多分、コレはラストの意外性へ持っていくための、苦肉の策の1つやったんやないやろかな。

石原さとみネーさんのタルタル演技、「グッモーエビアン!」(12月15日公開・後日分析予定)で示した弱々しさの、逆をいった能年玲奈ちゃんやらがエエカンジ。5人チームの1つ屋根の下での暮らしぶりも、人情家族ドラマ性を示さはってオモロイかなと思いました。

2012年11月 3日 (土)

井上真央ちゃん主演「綱引いちゃった!」でおます

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県のPRをメインに打ち出さはった、地方ロケ映画の大分県バージョンでおすえ~

ボートでもフラダンスでも吹奏楽でもない、本作は何とまあー、女子綱引きどっせ~

http://www.tsunahiki.jp

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11月23日の「勤労感謝の日」ホリデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「綱引いちゃった!」製作委員会

地方フィルムコミッションの充実によりまして、地方ロケーション映画は、21世紀の日本映画のトレンドになっとります。ほんで、ここにまた1本現れよりましたが、本作はこれまでに多数輩出されとる地方ロケ映画でも、町おこしやら観光誘致やらをあからさまに標榜しはった、ユニークな1本となりましたで。

大分県ロケ映画としては、臼杵市ロケの「なごり雪」(2002年製作)や「種まく旅人」(今年3月9日付けで分析)などが出とりますが、大分市はおそらく初めてでおましょうか。

そして、かつての地方ロケ映画のポイントとなっとりました、競技ものへとアプローチしはりました。女子ボートの「がんばっていきまっしょい」(1998年)、フラダンスの「フラガール」(2006年)、吹奏楽の「スウィングガールズ」(2004年)やらとは違い、本作は何と“女子綱引き”どすえ~。島根県隠岐の島の伝統相撲を採り上げた「渾身」(来年1月12日全国公開・後日分析いたします)なんぞも、その流れを汲むもんやろかな~。

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さらに、本作とリンクする作品について見ていきよりますと、「蒲田行進曲」(1982年)がありま。とゆうのは、その映画で主演で出てはった、松坂慶子はんと風間杜夫はんが、本作内で再会してはるからでおます。

ほんでもって、かつての日本映画のプログラム・ピクチャーに顕著であった、人情コメディへと回帰してはる作りどした。本作の水田伸生監督的に見ても、地方ロケ・コメディ・人情ものはケッコー作ってはりまんねん。

さてはて、主演は井上真央ちゃんどす。「八日目の蝉」(2012年)のシリアス演技とは違い、その真逆のコメディエンヌぶりをば演じてはります。玉山鉄二のアニキも、本格的なコメディアン演技は初めてやないやろか。

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加えて、群像劇的ドラマ性どすか。綱引きをしはるメンバー8人に、コーチ役の玉山鉄二アニが加わって、最低9人以上の群像ものが展開してまいります。但し、9人全員の話を等し並みに突っ込んで描いてはらへんし、各人の演技的動きやら流れに少々クエスチョンを覚えたりするけど、本作のコメディ的観点からは不自然にはなっとりまへん。

1分から2分くらいの長回し撮影を適度に挿入しながら、タイトにスムーズに物語は映されていきよります。ダイジェスト的に映される練習シーンに、ドリカムこと「DREAMS COME TRUE」の、ダンサブルなソウル・ポップ・ナンバー「愛して笑ってうれしくて涙して」が流れて、心地よい映画リズムも構築してはります。

とにもかくにも、地方ロケ映画の新しさを打ち出した快作どすえ~。

2012年11月 2日 (金)

アニメ版「ねらわれた学園」でおます

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「時をかける少女」とシンクロナイズする、学園ものの快作どす

ステンドグラス系の色使いに、陽光の取り込みが絶品やー

http://www.neragaku.com

霜月11月10日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーやー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ眉村卓・講談社/ねらわれた学園製作委員会

本作の原作は実写版では、かつて2度映画化されとります。大林宣彦監督・薬師丸ひろ子ネーさん主演の分(1981年製作)が、最初の映画化どした。そして、本作は大林監督が撮ったこともある「時をかける少女」(1983年)と、何やら似通ったような雰囲気がござります。

未来から現代に来た少年が、特殊な能力を持つ生徒たちと関わる中で、恋愛やらを紡ぎつつ物語を展開してゆくスタイル。まあ、コレは日本のSF小説やらでは、使い古されたような素材なんやけど、邦画でも「リターナー」(2002年)などがあるかと思います。

洋画では「ターミネーター」シリーズ(1984年~2008年・アメリカ)やらが代表格や。ただ、本作のオリジンなとこは、未来の月から来たとゆう人物造形ぶりで、「竹取物語」やらをヒントにしたとこらがあるとこでしょうか。

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まあ、そんな中で、再々、実写化しても、2度目の映画化分(1997年)がそうやったように、進化したもんにはなりにくいやろう。そこで、「時をかける少女」もそうやったように、本作はアニメ化で新味をば追究しはりました。

しかも、アニメらしく色使いの多彩な工夫により、異彩を放つ作りとなりました。全体の配色はゆうてみたら、ステンドグラス系で、原色系よりは薄めの配色。紫、うす紫、グリーン、ピンクっぽい朱色、グラデーション的なセピアの使い方やら。グリーンな空なんかはかなり異色や。

ほんで、陽光やら光の使い方。光のきらめきなどを終始導入し、丸い輪っかや筋で見せる照り返し具合やら、実に微細に取り込んではるんどす。

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そんな中でも、ウルトラ級にものスゴかったんは、鎌倉の海辺の夕焼けシーンの、造形・配色ぶりでおました。あざやかとゆうか、脳裏に永く焼き込まれるような色使いとゆうか、このシーンは本作の色彩見どころの、ハイライト・シーンでおましょう。

その一方で、桜吹雪やシャボン玉、薄色多彩な花火シーン、過去シーンにおける、ややボカシたようなソフト・タッチ、さらに、自然光的な風景シーンなんかも、織り込まれていきよります。加えて、写真5枚目のSFチックな人工的な仕掛けシーンでも、緻密な色使いで魅せてくれてはります。

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色使いによって、よくあるようなありふれた話が、全く違ってみえてくる、格好の映画やと思います。さらに、サントラ使いも、それに寄与しはります。

劇中で謎の転校生が披露するピアノ・ナンバー、ドビュッシーの「月の光」のロマンティックやったり、バイオリンのドラマ映えする響き。ほんで、冒頭では「supercell」のうっとりのスロー・ナンバー「銀色飛行船」が流れ、そして、ラストロールでは…。

本作のヒロインの声を自然体で担当しはった、AKB48の渡辺麻友ちゃんこと“まゆゆ”が歌う歌「サヨナラの橋」が流れます。サビがマイナーな、哀愁のアイドル歌謡バラードやけど、原田知世ネーさんが歌った「時をかける少女」をば思い出しました。

この映画のシメにふさわしいかは分かりまへんが、若い人たちにはキュンと胸が鳴るカンジやと思います。デート・ムービーに、おすすめの1本どした。

2012年11月 1日 (木)

館ホラー映画「ドリームハウス」どすえ~

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4人家族の自宅ホラー映画なんやけど、サプライズのネタ元とは何ぞや?

本作で「007」のダニエル・クレイグのアニキと、レイチェル・ワイズのネーさんが結ばれはりました

http://www.dreamhouse-movie.com

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11月23日の「勤労感謝の日」から、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・シネマサンシャイン池袋、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 MORGAN CREEK ALL RIGHTS RESERVED

家の中で怖いことが起こるっちゅう、館ホラーとゆうのんは、今までに多数出てきよりました。ボクチンが見たのでゆうと、50本くらいあるかないかやろかな。

でも、見れてへん中に傑作も、おそらくケッコーあるかとは思いますが、取りあえずは、館ホラーのマイ・ベスト&カルト・スリーをば、思い付くまま気の向くままに採り上げてみました。指定国以外は、全てアメリカ映画どす。

●ベスト⇒①サイコ(1960年)②シャイニング(1980年)③レベッカ(1940年)

●カルト⇒①家(1976年)②HOUSE ハウス(1977年・日本)③本作

●家の中で展開するホラー・ポイントとしては、カルト①からくらいが、オーソドックスになったようなとこがあったように思います。その後に出た家内死霊ものは多数出てきよったけど、ほとんどがその亜流どした。一方で、家そのもの・箱ものをポイントにしたカルト②やらもありました。

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ベストの3作は真っ向勝負の館ホラーやけど、ベスト③を除いては、やはり主人公が何やらおかしいでーとゆう内容で、共通項がありま。そして、本作も…なんやけど、これがちょっと工夫を凝らしてはります。

モチ、ネタ元やら関連作品を出してしもたら、興ざめやんっちゅう映画やけど、このスタイルをキープするにしては、ややおろそかなとこがあるようにも思います。かつて捜査した犯人の顔を、刑事たちは覚えていたはずやけどな…やとか。

まあ、それ以上は言いよりまへんが、危うい中で物語を構築しながらも、いわゆるよくあったパターンを、どう見せてゆくんかとゆう演出やったり画面作りが、本作の出来を左右するもんとなってくるんやないやろか。

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ちゅうことで、演技陣を見てみまひょか。「007」の現ヒーローのダニエル・クレイグのアニキと、アカデミーで演技賞をもろてはるレイチェル・ワイズのネーさん。この2人がこの映画で結ばれたわけどすが、それらしきところも垣間見えとります。但し2人の演技はネタに関わる重大な演技どすので、慎重を期して演じてはるんが、2度見ればよう分かるかと思います。

そんな中でも、「マルホランド・ドライブ」(2001年・アメリカ&フランス)な妖しさにも回帰しはった、ナオミ・ワッツのネーさんとかが、異彩を放ってはります。

監督のジム・シェリダン的には、描き続けてきはったシリアスな家族ドラマ性を、ホンマに怖そうな家族ホラー性に、転換しはったんはポテチン(驚き)。特に、ガラスの汚れや樹々を映す、窓を通した人物カットのリアル感が、緊張感をあおる効果としては、斬新やったどすか。ヒッチコック的なスパイスもそれとなく感じさせる、軽快なサスペンス・ホラーやと思います。

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