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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年10月の記事

2012年10月31日 (水)

ウディ・アレン監督2010年度作品「恋のロンドン狂騒曲」やー

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家族崩壊のトンデモ空騒ぎな、4人4様カルテット・ラブ・コメディどすえ~

21世紀のシェイクスピア喜劇が、ココにあるやもしれまへんで~

http://www.koino-london.jp

December12月1日Saturdayから、ロングライドはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテ、大阪ステーションシティシネマやら、京都・新京極シネラリーベ、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Mediapro, Versatil Cinema & Gravier Productions, Inc.

昨日、ウディ・アレン監督を描かはったドキュメンタリー「映画と恋とウディ・アレン」(2011年製作・アメリカ映画)を分析いたしました。

ウディはんはコメディから始まり、NYものを作り続けはり、21世紀になって遂に海外ロケ・メイン映画へ。ロンドン、スペイン、パリへと巡った結果、「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年)で、キャリア最大のヒットをばカッ飛ばさはったんやけど、本作はそんな海外ものでも、ロンドンもんでおます。

ほんで、昨日のボクチンのジャッジとしては、マイ・カルトの1位にしました。それだけに、一筋縄ではいかへんような怪作品になっとります。

ウディはん的なNYラブ・コメ・モードは、モチ全開なんやけど、テイストが少々違っておます。家族もんどして、しかも、みんながラブによって、バラバラになって一家離散してまうのんを、コミカル&ペーソスチックに描くんでおますよ。かのシリアスな名作「インテリア」(1978年)の、真逆バージョンやと申せましょうか。

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オトン・オカン・娘はん・そのダンナはん。しかも、その4人では、娘はん役ヒロインのナオミ・ワッツ姉さんだけが、チョイマトモかなちゅうくらいで、あとの3人はおかしいちゅうか、かなりヒネリを加えられたキャラクターどす。

「薬よりも幻想の方が効く」とゆう、娘はんナオミ姉さんのコトバにそそのかされて、占いに加え、降霊会(降霊会はイギリスが発祥らしいどす)やらスピリチュアル系やらに、マジで信頼をよせはるオカン。オカンと後期高齢者離婚して、若い娼婦と結婚しはる、オトン役のアンソニー・ホプキンスはん。コメには全く似合わへんホプキンスはんの演技は、イチイチサプライズの連続でおますで。

ほんで、医大出なのに作家になり、デビュー作がベストセラーになったけど、その後サッパリワヤでバイトしてはる、ダンナはん役のジョシュ・ブローリンのアニキ。この方もどっちかてゆうたら、コメにはイマイチなんやけど、アレン監督作品の中に入ると、アレアレってなスムーズさで溶け込んではりま。ゆうてみたら本作は、キャラ設定のユニーク感は、アレン作品でもピカイチとちゃうやろか。

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21世紀を舞台にしながら、ケータイ、パソコン・シーンなどを意識的にほとんど出さず、しかも、シェイクスピアがイギリスで今も生きていたら、どんなもんを作るんかなを、意識しはったようなカンジがあるような気がしよりました。デジタル部を出さないのは、シェイクスピアが現代のロンドンにタイムスリップして作った雰囲気を、出そうとしはったのかと勘繰ったくらいどすえ。

映画的な話の運び方に加え、撮り方やらも絶妙でおました。夫妻とオカンの3人の室内長回し撮影を、2分・3分・4分強と随時繰り出しつつ、家族の実情をセリフのやりとりやらで示し、映画リズムを構築。初のロンドンもの「マッチポイント」(2005年)でも使ったセピアな配色作りで、ソフトなまろやかさをホワーンと入れて、かなり悲劇的な話やのに、そう思わせないように作り込む姿勢。

前半で男のナレーションにより、各人の話を暴露してゆく流れ方など、すんなり映画の中に入り、映画を楽しんで、満足げに映画館を後にする。そんな映画的ツボを押さえてはるんは、さすがでおました。映画を知らないシェイクスピアには、絶対でけへん芸当でおましょう。

アレン監督が出演してペネロペ・クルス姉さんと共演しはる、2013年夏日本公開の「To Rome with Love(原題)」では、「世界中がアイ・ラヴ・ユー」(1996年)でも行かはったイタリアへと進出らしいわ。そちらも楽しみにしときましょうや。

2012年10月30日 (火)

映画監督ドキュメンタリー「映画と恋とウディ・アレン」どす

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アレン監督の意外な映画作家性が披露されて…

過去の名作秘話が、作品のポイント・シーンと共に点綴やー

http://www.woody-documentary.jp

11月10日のサタデーから、ロングライドはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、霜月11月17日の土曜日から、大阪ステーションシティシネマ、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSで上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 B Plus Productions, LLC. All rights reserved.

アメリカのテレビ局制作による、偉人伝シリーズ・ドキュメンタリー「アメリカン・マスター」の1本でおます。これまでイロイロあったそうなんやけど、日本の映画館で公開されるんは、ホンマ稀少でおましょうや。

■ちゅうことで、気ままに思い付くままに、まずは実在の映画監督を描いたドラマ&ドキュの、マイ・ベスト&カルト・スリーから披露どす。記載国以外はアメリカ映画。

●ベスト⇒①エド・ウッド(1994年製作)②ある映画監督の生涯-溝口健二の記録(1975年・日本)③ヒューゴの不思議な発明(2011年)●カルト⇒①チャーリー(1992年)②本作③アリラン(今年3月27日付けで分析・韓国)

■ほんで、続きまして、本作主演のアレン監督作品のベス&カルどす。

●ベスト⇒①インテリア(1978年)②マンハッタン(1979年)③アニー・ホール(1977年)●カルト⇒①恋のロンドン狂騒曲(明日分析いたします)②世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年)③セレブリティ(1998年)

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☆映画監督を描く映画でも、本作はドラマティックを外して、ストレートにウソ偽りなく、監督を描いたとゆう意味においては、セオリー通りやとしても、ある種すがすがしさがありました。例えば発表当時、描かれる監督が既に故人やった、新藤兼人監督によるベスト②など、関係者の証言の束ね方は凄かったけど、本作は本人の今の声が聞けるとゆうのは、大きな強みであり、説得力もありました。

ほんで、この種のドキュらしく、アレン監督の意外なとこが、イロイロ映されてまいります。実の妹のプロデューサーやら、マーティン・スコセッシ監督やら、監督は評論家・マスコミ嫌いやけど映画評論家やらの談話を、タイトに挿入しつつでんな、披露されよりまんねん。

オーソン・ウェルズ監督・主演の「市民ケーン」(1941年)みたいなものを撮ろうとしはり、常にメモッてネタはいくらでもある。ほんで、演出は基本的に俳優におまかせスタイルや。21世紀的に魔性の女優的と見はった、スカーレット・ヨハンソンやらペネロペ・クルスの各ネーさんの談話。

さかのぼっては、写真2枚目のTVトーク出演VTRの再現やとか、チャップリン的なサイレント映画を撮ろうとした初期の話、そして、ミア・ファローとのスキャンダルなとこも、ディープやないけど採り上げてはります。

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一方で、作品分析も、緻密に解析されとるんどす。ボクとしては、学生時代に見た映画をベストに持ってきよりました。映画青年・映画乙女時代に見た映画こそが、その人にとって人生をも左右する映画やろと、ボクは勝手に思ておます。そやから、ミア・ファロー作品や「ブロードウェイと銃弾」(1994年)もエエんやけど、あえて外しました。

カルトでは、エエ大人になって、いっちょ前気取りで試写室に出入りして、見せてもうたもんになっとりますが、大人になったら純粋なキモチが薄らぐとゆう、悪い見本やもわかりまへん。確かに本作でも採り上げられとる「スターダスト・メモリー」(1980年)やらは外せへんやろけど、カルト②③は本作ではなぜか語られとりまへん。

少し不思議やったけど、アレンはんがジュリア・ロバーツネーさんと共演しはったカルト②や、「タイタニック」(1997年)の直後に、レオナルド・ディカプリオのアニキが出演したカルト③などは、ひょっとして“待った!”がかかってもうたんやろか。共にDVD化されとりますんで、みなはん未見やったら、ヒマつぶしにチェックしてみてみなはれな。ちゅうことで。

2012年10月29日 (月)

東日本大震災ドキュ福島編「フタバから遠く離れて」

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東日本大震災ドキュメンタリーに、果たして終わりゆうもんはあるんやろか?

でも、本作は街がなくなってまう可能性を、ドラスティックなリアリズムで描かれた1本や~

http://www.unclearnation.jp/

師走12月1日の土曜日から、大阪・十三(じゅうそう)のシアターセブンで上映。その後、神戸アートビレッジセンターやらへ順次回ります。

東京では11月9日の金曜日まで、オーディトリウム渋谷でやってはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Documentary Japan, Big River Films

東日本大震災にまつわるドキュメンタリーは、この間、次々に作られてまいりました。一体、いつまで続くもんやら、全くわかりまへんし、作られれば作られるほど、同じような内容の繰り返しに、被災者のみなさんには大変申し訳ないんやけど、見にきはる被災してへん人たちにとってみたら、口が裂けても言わはらへんやろとは思うけど、食傷ぎみにもなりかねまへん。

実は、ボクが被災した阪神大震災やら、その他の日本の大震災では、ドラマ映画はあってもそないドキュは作られまへんどした。今後は、もっと映画ドキュらしいオリジナリティーが、必要なんやないかと思とったんやけど、本作はそれに応えてくれるもんがありました。

震災ものでも福島原発もんなんやけど、地元に居座る人たちを捉えた、シリーズ化されるらしい「相馬看花」(今年7月17日付けで分析)とは違って、故郷・双葉町を離れて、町ぐるみで埼玉の高校の旧校舎へ避難した、人々の物語でおます。

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原発に特化したものが多かった福島編ドキュどすが、本作は町長(写真2枚目)を始め、町を離れた住民たちのキモチ、加えて、避難所をメイン舞台にした作品でおます。そして、その先に可能性として見えてきよる、街の消滅までを暗示的に捉えた問題作なんどすわ。

かつてダム建設で、村がダムの下に沈んでもうた話が入った「誘拐」(1997年製作)とか「はつ恋」(2000年)とかの、ドラマ映画があったやんか。間接的に描かれたあの町村の消失的を、かなりブラック・イメージ的にドキュで描かはるんどすえ。アラマ・ポテチン(ビックリ)や。

その映画構造をば見てみまひょか。冒頭。風吹く町の静かなシーンに続き、原発が津波に飲み込まれる、ザラついた一瞬のカット。ほんで、春・夏・秋と続く時の流れをば、避難所近くの田んぼの緑の穂から、セピアへと変わる様子で示し、双葉町・町長を始め、さまざまな人たちの話が綴られてまいります。

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町の歴史も町長の談話と共に解説されます。原発建設で町が潤った時期は、そない長くなかったらしいわ。避難住民の話やけど、一時帰宅しても、家の土台しかなかったり、戻ることにこだわってへん人たちが、原発反対の抗議デモに参加したりと、構えて話す話より何げに話される話にこそ、ある種の真実やホンネが見え隠れしていきよりまんねん。「地震、津波だけでなく、放射能まで」とゆう嘆き節もきよります。未来に希望は果たしてあるんか。

ラスト近くで映される、半ばゴーストタウン化した町の、イロンなとこをそのまま映してゆくシーンには、究極のドラスティック・リアリズムがありました。ゾーッとしよりま。ラストロールで流れる、坂本龍一はんの癒やし系のピアノ・ソロ・ナンバーとの、対比効果も鮮烈どすえ~。ちゅうことで、ある意味でオトロシイ1本どした。

2012年10月28日 (日)

クリント・イーストウッドはん主演「人生の特等席」

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イーストウッド節とも言えるガンコ・シニア映画、大リーグもの、父娘のキズナ、若者ラブ・ストーリー部と、多彩に見られる娯楽人間ドラマどすえ~

http://www.jinsei-tokutouseki.jp

11月23日の「勤労感謝の日」のホリデー・フライデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

クリント・イーストウッドはんが監督、監督兼主演・出演やなく、役者だけでヤラはった新作でおます。まあ、俳優だけとゆうのんは久々でおましょう。それだけに、彼のキャラクターぶりをば、大いに引き出すような1本になったかと思います。

あと3カ月で契約切れとゆう、大リーグの老スカウトマン役どす。いやはや、データ野球全盛の時代に、あくまで自分の目だけを頼りに、スカウトしやはりまんねん。ところがどっこい、そんな目がかすんできよりました。あらま、一体、どないすんのんとゆう展開や。

ちゅうことで、突如として、ここで、大リーグ絡みのアメリカン映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば勝手に発表いたします。●ベスト⇒①フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作)②ナチュラル(1984年)③マネーボール(2011年)

●カルト⇒①私を野球につれてって(1949年・日本未公開・ワーナーホームビデオよりDVD発売中)②本作③ザ・ファン(1996年)

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●発祥国だけに野球映画とゆうのんは、アメリカ映画のお家芸のように思えるはずなんやけど、その割にそんなにケッサクとゆうのんは、輩出されとるようには思えまへんねん。

ストレートに試合シーンを、見せてゆく映画もそれなりにあるし、「甦る熱球」(1949年)とか「メジャーリーグ」(1989年)とかのケッサクもあるんやけど、選んだ6本の中で試合シーンが、クローズド・アップされとんのは、ベスト②だけどす。

むしろ、選手やなくて、それ以外の野球関係者に、目がゆく作品に注目作がござりました。選手やった亡き父とのキズナを探る息子のベスト①、スカウト側が主人公となったベスト③に本作。狂的ファンを描くカルト③。ほんで、野球シーンはほとんどないけど、アメリカでは国民的な野球映画になっとるらしいカルト①やら。

本編では、観客席や酒席で、映画に関する無駄話が披露されとりますが、その中でも、ベスト②主演のロバート・レッドフォードと、カルト③主演のロバート・デ・ニーロの名前が出よります。これはボクは、偶然やなく意図的やと見ましたで。

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ほかの作品性で見てまいりますと、見出しにも書きましたが、まず父娘のキズナゆうもんがござります。目のかすんでるオトンの代わりに、娘はん役のエイミー・アダムスちゃんがイロイロやらはります。

でもでんな、オトンに見離されたと思い続けて、野球とは全く関係あれへん、弁護士やってはるエイミーちゃんが、何で大リーグに詳しくてスカウト・ポイントも心得てはるんかは、本作の大いなるナゾでおます。オトンとのレストランでの話やら、名ピッチャーを偶発的に見つけるシーンやら、唐突なエピソードが、ポピュラリズムはあるとは申せ、やや安直かなとは思いよりました。

それは、エイミーちゃんと、元選手役のジャスティン・ティンバーレイク君との間の、ラブ・ストーリー部にも発生しよりま。でも、エイミーちゃんの明るさや、イーストウッドのおのが道をゆく節が、そういう瑕瑾を補っておったかと思います。

付け加えよりますと、「夢を生きた男 ~ザ・ベーブ~」(1991年)でベーブルース役で主演しはった、ジョン・グッドマンはんの、好感ある名バイプレーヤーぶりにもご注目あれ! どすえ~。

2012年10月27日 (土)

堺雅人&山田孝之の初共演「その夜の侍」

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リベンジャー堺雅人アニキと、アウトロー山田孝之アニキの、必死のパッチのバーサスどす

リベンジ映画への、アイロニカルな視点が見え隠れしよりま

http://www.sonoyorunosamurai.com

霜月11月17日の土曜日から、東京・有楽町スバル座、新宿武蔵野館やら、大阪・梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらで全国ロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、ファントム・フィルムはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「その夜の侍」製作委員会

嫁はん(坂井真紀ネーさん)を轢き逃げで、殺されてしもた堺雅人アニキ。そのお務めを終えて、出所してきはった山田孝之アニキ。

堺アニは毎日、殺された日に嫁が留守電に入れた声を聞いてはります。余りにも嫁はんに執着してしもて、無理矢理見合いしてもあきまへん。ほんで、山田アニに復讐文を送りつけてはります。冒頭では懐ろにナイフを忍ばせて、山田アニをストークしてるようなシーンも映されよりま。

一方、山田アニは、その暴力的な性格をば、ムキ出しにしてはります。前科を告げ口した田口トモロヲはんを、殴り蹴り灯油を掛けて白状させはったり、堺の義理の弟(新井浩文アニ)を殴り倒したり。ほんで、谷村美月ちゃんへの強引なナンパ・シーンなど、やりたい放題の悪役ぶりを見せてゆかはるんどす。煙草を吸うシーンも、しょっちゅう出てきよります。

リベンジへのカウントダウンの、字幕入りシーンをタイトに挿入し、2人の演技性を対比させもって、やがてクライマックスの、男2人の1対1バーサスへともってゆかはりまんねん。但し、その道筋は妙にぎこちないように思いますが、これはフツーのリベンジものの方程式を、ところどころ外してはるからでおましょうか。

「平凡なあたりさわりのない話をしよう」なんてゆう、闘う前の堺アニのセリフなんぞは象徴的どす。リベンジするのかせえへんのかの曖昧なとこなどは、アイロニカルな視点やろかな。

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それでも、長回しで見せてくれはる、台風の豪雨の中でのドロドロ対決は強烈どした。引用に“決戦は雨の日だった”「七人の侍」(1954年製作・日本映画)を持ち出すんは大げさやろけど、「映画は映画だ」(2008年・韓国)よりは出来は上の、決戦演出ぶりやったと思いますで。

さてはて、本作は演劇の映画版でおます。そやから、多少は、小演劇のノリを残してるとこがございます。いらない無駄なシーンもあるようにも見えますが、あくまで主演の2人の心理を、それとなく浮かび上がらせる効果を持っておます。しつこく繰り返される嫁はんの伝言は、ムムムやったけど…。

細部に目をやりますと、映画の背景となる東京近郊の雰囲気が、よう出てるようどしたか。カラオケ喫茶やラブホテルのほか、地方都市的な風景描写もそれなりに織り込まれておます。ラストロールで流れる、UA(ウーア)ネーさんの、昭和歌謡曲のカヴァー「星影の小径(こみち)」もレトロなカンジがあって、映画の余韻をば深めてくれはりました。

2012年10月26日 (金)

草彅剛ツヨポン主演の「任侠ヘルパー」やー

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ヤクザ映画と老人ホーム介護映画が、何とミキシングやてぇ~

テレビドラマの劇場版やゆうても、アリエネーどっせー

http://www.ninkyo-helper-movie.jp

霜月11月17日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012フジテレビジョン ジェイ・ドリーム 東宝 WOWOW FNS27社

SMAPの草彅剛、クサナギ君、ツヨポンがヤクザ役をやらはりました。2009年の夏にフジテレビのワンクール連続ドラマとして、オンエアされた分の劇場版なんやけど、その時の演技性をば、キープしたままの本作への出演どす。

「あなたへ」(今年8月5日付けで分析)では高倉健さんと共演しはりましたが、健さん的クール感、人情的任侠性もそれなりに意識してるけど、健さんには及ばずともケッコー健闘演技ぶりどす。健さんとは180度違って、ヤラレに敵のとこへ行く系の、落とし前の付け方も剛らしいとこかも。

コミカルなとこはないし、難しいかもしれへんけど、SMAPのツヨポンのイメージちゅうもんを、いっさい外して見たら、意外な演技性が、浮かび上がってきよるはずでおます。

ビートたけしはんのようにワメキはせえへんけど、「この野郎」「バカヤロウ」は口にしはります。ほんで、ビジュアル的には、本編では老女たちから、市川雷蔵に似てるやなんて言われま。雷蔵的には「ある殺し屋」(1967年)の演技なんぞと、シンクロするかもねやけど、容姿としては「仁義なき戦い」シリーズ(1973年~1974年・全5作)の菅原文太はんとも、カブって見えたりもせんことはありまへん。

走って逃げる冒頭とラストの方で、「弱きを助け、強きをくじく…」ナンチューナレーションがありま。ドラマ的効果のある、決めゼリフ・ポイントでおましょう。

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さてはて、本作はテレビドラマ的にも、アリエネーもんやと思うんやけど、ヤクザ映画と老人ホーム介護ドラマとゆう、水と油がミキシングされとるお話でおます。

さらに、ツヨポンが主役やけど、群像ドラマ性もござります。テレビに出てた黒木メイサの登場は唐突やったけど、安田成美ネーさんの弱々しさ、香川照之アニキの強がり系、草村礼子はんや品川徹はんらの、要介護ボケ老人演技の現代性も鮮やかでおます。

熱海らしいんやけど、オープンセットの介護施設のリアリティーなども心そそります。ひなびた雑然としたとこから、みんながそうじしてすっきりした居心地のええ場所へと、変えてゆくとこなんかも好感がありま。

ほんでもって、現代の地方都市のヤクザの実態をあぶり出す、社会ドラマ性も見逃せまへん。老人を標的にする貧困ビジネス問題やらの新問題に加え、かつての山本薩夫監督の「暴力の街」(1950年)などを、想起させはるような作りもありましたで。

ヤクザ映画のシビアさを維持した上で、人情節へとゆく作りの難しさはあるやもしれまへんが、うまくまとめはったと思います。続編を期待したい1本どした。

2012年10月25日 (木)

重い震災ドキュは多いけどソフトリーな作りの「JAPAN IN A DAY[ジャパン イン ア デイ]」

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東日本大震災後1年目の1日を、投稿ビデオだけで描いた映画どすえ~

テレビ・ドキュも多い中、フジテレビが真打ち的に作ってきはりました

http://www.japan-in-a-day.gaga.ne.jp

霜月11月3日の「文化の日」から、ギャガはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 FUJI TELEVISION NETWORK, INC., JAPAN IN A DAY FILMS LTD.

東日本大震災ドキュメンタリーは、これまでに多数出てまいっとりますが、本作はテレビ局が関わったもんでおます。昨日分析した「X年後」やら「生き抜く」(今年9月24日付けで分析)もテレビ局もんどしたが、地方局もんどした。

でも、本作はキー局のフジテレビが、製作に関わった作品どす。まさに真打ちのカタチ(被災者のココロに届くとゆう意味での真打ちどす)で出てきた、震災ドキュでおます。

ここで、東日本震災ドキュものの、マイ・ベスト・スリー(カルトはやめときま)をば言いよりますと、①本作②生き抜く③311(今年3月22日付け)てなカンジどすか。

ストレートに被災地・被災者を描く②③に対して、本作は被災者ら一般人が撮ったビデオだけを、メインに展開してゆかはります。まあ、製作費のコストダウンはあるやろけど、それはエエとしまして、製作者側からの視点やなく、被災者側からの視点のみとゆうのんが、本作のキモ・ポイントでおます。

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素人はんが撮ったいろんなビデオだけで展開しはるだけに、いかにもバラバラな作りになりそうなんやけど、やはり、いかにうまくつないで調理してゆくかとゆう、編集作業が最大のポイントやと申せましょうや。

しかも、大震災後1年目の1日とゆう、特定の1日を描く映画なんどす。ある1日を描く映画は多々ありますが、ドキュとしては初やないやろかな。唐突感あるビデオ・シーンもあるんやけど、あくまで被災者たちの話をメインにしながら、1日を描いてゆかはるセンスは、特筆もんやと思いました。多数ある震災ドキュとは、一線を画する斬新な作りに目が魅かれま。

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リドリー・スコット監督はんが、フジテレビと共に製作しはりました。リドリーはんは投稿ビデオだけで、映画を構成する映画をば開拓しはったんやけど、本作はその第3弾でおます。日にちが3.11になったところから、このドキュ物語を始めはります。

セピアの夜明けシーン、マラソン・ハングライダー・スカイダイビングなんかのスポーツ・シーンやら、外でパフォームやって遊ぶ若者たちやら、震災とはほとんど何の関係もないシーンも、イロイロモンタージュすることで、その1日の意味を問いかけはるんどす。

特に、本作のクライマックスとも言える、被災者への黙祷シーンの多数を束ねていくとこなんかは、泣ける映画としての大いなる見せ場になっとりました。もちろん、被災者たちの1年後を映すシーンこそが、本作のキモでおます。がれきの山やら被災地を映すとこもあるけど、様々な想いがあるはずの、被災者たちの話にも泣けよりました。その一方で、無邪気なコドモたちの様子にも魅了されます。

テレビ局ドキュ映画の中でも、かつてないケッサクになったと、ボクはジャッジいたします。

2012年10月24日 (水)

テレビ・ドキュメンタリーの劇場版「~放射線を浴びた~X年後~」

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新藤兼人監督「第五福竜丸」の、ドキュ的21世紀論のタッチやー

多くの資料・文書・証言からアプローチする、ノンフィクション・ノリどす

http://x311.info

霜月11月3日の「文化の日」から、大阪・十三(じゅうそう)のシアターセブンやら、師走12月24日のクリスマス・イヴから、京都みなみ会館やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ南海放送

テレビ局が作ったドキュメンタリーの映画版でおます。しかも、「生き抜く」(今年9月24日付けで分析)を作った大阪のMBSと同じく、地方のテレビ局の愛媛県・南海放送はんが、製作しはったもんどす。

共に東日本大震災に絡んだ問題を採り上げてはるんやけど、「生き抜く」が直球勝負で被災者たちを捉えたのに対して、こちらは過去を紐解いてゆくとゆう、変化球でいかはりました。その対象は直接的なもんやないけど、放射能問題。つまりは、福島原発の問題でおます。

とゆうか、本作は大震災が起こる前の、2004年から取材をやってはりました。そやから、原発問題に合わせての、便乗型やと取られても仕様がないけど、でも、それがなければ、劇場で上映されることはなかったやろと思います。お客はんに見にきてもらうためには、何かの惹き付けどころが必須なんどす。

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まあ、それはええとしまして、本作は1954年に起こった、放射能被爆事件を採り上げてはります。えらい古い素材やなと思わはる人もいてはるでしょうが、何せその事件は未だにすっきりしとりまへんので、埋もれるくらいやったら、誰ぞが描いてもええでおましょう。

でも、ええ加減さは皆無どして、メッチャ深刻に問題の真相へと、アプローチしてゆかはります。事件の概要は、太平洋のビキニ環礁でアメリカ軍が水爆実験(写真1枚目)をやらはり、ほんでその近海に来てた日本のマグロ漁船(写真3枚目)やらが、乗組員や魚もろとも被爆したとゆう悪い話どす。

今年逝去された新藤兼人監督が「第五福竜丸」(1959年製作)で、その現場の実態をドラスティックにドラマ化しはりましたが、ゆうてみたら、本作はその21世紀の続編的検証ドキュメンタリーやと申せましょうか。

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写真・映像資料以外に、豊富な資料・書類が引用されておます。落ち着いた男性のナレーション、カメラを気にする被災関係者たちのいろんなコメントやら、ドキュとしての体裁はキチンと整えてはりますが、中でもオリジナリティーあるのんは、資料を駆使した、映像よりもノンフィクション的なタッチで、グイグイ迫ってくるところやないでおましょうか。

写真4枚目のように、汚染された魚の分布図やったり、アメリカの機密文書から判明する、日本全土が放射能汚染になった、1954年5月の図表解説など、図映像だけからでも伝わってきよる背筋の凍る感覚が、随所に散りばめられとるんどすわ。アラマ・ポテチン。

事件を今もしつこく追いかけてはる、元高校教師の人間臭い話も語られよります。また、今も奇跡的に生きてはる被爆者たちが、再会するシーンやら、ドキュやけど、ドラマ映えするシーンも用意してはりました。多発する原発問題ドキュ映画に、一石を投じる1本やと思います。

2012年10月23日 (火)

関西発の映画「カミハテ商店」どすえー

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学生はんらが関わって撮り上げはった、作品の系列に入りよりま

学生のワン・アイデアによる作品の、仕上がり具合やいかに?

http://www.kitashira.com

霜月11月10日の土曜日から、マジックアワーはんの配給によりまして、東京・渋谷ユーロスペースやら、島根県・松江東宝5でロードショーでおます。

ほんで、11月24日から京都シネマ、12月8日から第七藝術劇場やらで、全国順グリの公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ北白川派

学生たちを描く映画やありまへん。学生たちが映画製作に関わって、作らはった映画でおます。映画学校が今や日本でもイロイロありますけども、そんな中でも、本作はシリーズ化されて、どんどん作ってゆくとゆう姿勢をば示してはります。

かつて1970~1980年代には、8ミリ・16ミリの自主映画で学生風情が、当時の邦画界に物申すようなカンジで撮ってはりました。異彩を放ってはったんは、大森一樹やったかな。モノクロの「暗くなるまで待てない!」(1975年製作)は、学生でなければ描けへんようなアンニュイ感がありました。

学生たちが各学校で、卒業製作なるもんを撮るのんはセオリー化しとるし、その後劇場公開されるのんもあるんやけど、本作のシリーズはチョイ趣きをば異にしとります。

最近でゆうたら、立命館大学の学生たちが参加した「京都太秦物語」(2010年)とか、山田洋次監督が大学で教鞭を執っておられるとのことで、その因縁により、大手の松竹はんを巻き込んで、映画製作しはったみたいなタイプやらと同時期に、おそらく始まった静かなムーブやと思います。東京の大学でゆうたら、「ラッシュライフ」(2008年)もそうどすか。学生の力が凝縮したやなんて申しまへんが、そこには映画を撮りたい情熱が、そこかしこに仕込まれておるんどすえ。

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さて、本作やけど、京都造形芸術大学映画学科の学生たちをメイン・スタッフにした、映画シリーズの第3弾でおます。ちなみに、第1弾「黄金花」(2009年)、第2弾「MADE IN JAPAN こらッ!」(2011年)共に、幣ブログで分析しとります。3作全てに共通するんは、学生やから学生の話やないとゆうとこらですか。

本作は学生はんの企画したもんが、映画化されました。あんまし取材やらはやってへん、空想的なワン・アイデアかもしれまへん。しかし、自殺者が年々増える現状を取り入れた、ある種の社会性はエエかと思います。メイン部は島根県・隠岐の島ロケで、サブ部でお膝元の京都ロケがあるとゆう撮り方どす。

いわゆる地方ロケ映画やけど、自殺を見守る高橋惠子はんの、静謐極まりない演技によって、渋いもんになっとります。窓からの夕景セピア込みで、バスに乗る惠子はんの静なるシーンの長回し撮影なんぞが、映画ゴコロをそそらはります。

一方で、京都の惠子はんの弟はん役の、寺島進アニキのサイドも、映画にそれなりのアクセントをば付加しはります。ラストのサプライズでは、姉弟の話がつながったりするんどす。終盤の寺島の遠近感あるロングショットの長回しなども、ドラマ効果はあるやろなとは思います。

自殺を止めたり止めなかったりの、ヒロインの不可解な人間性に合わせて、姉弟の関係性を今少し掘り下げて展開しはったら、物語はもっとドラマティックになったかなと思うけど。でも、取りあえずは、上々の仕上がりでおましょう。見に行って損のない1本やと思います。

2012年10月22日 (月)

カナダ映画の気色悪いサスペンス「388」やで~

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隠し撮りカメラ視点が、とことん付きまとうヤラシー作品や

ヒッチコック的「裏窓」ピーピングを、完璧に超えた怪しさや~

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ノーベンバー11月10日サタデーから、アルバトロス・フィルムはんとインターフィルムはんの配給によりまして、東京・新宿バルト9やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 ARLETTA (COPPERHEART) PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED

カメラ・アイをポイント・ゲッターにした映画とゆうのんは、ワンカット長回し撮影映画を中心に、ケッコーあります。でも、映画のカメラ視点やなく、映画の中の小道具としての、防犯カメラ・隠しカメラやらによる、各種カメラ視点によるサスペンスもんとゆうのんは、監視社会・セキュリティー時代の今においては、メッチャタイムリーなもんやと思います。

しかも、「トゥルーマン・ショー」(1998年製作・アメリカ映画)やら「インシテミル」(2010年・日本)など、主人公らが知らん間に、一般大衆が見守ってるようなパターンやありまへん。

本作はあくまで、パーソナルな怨恨によるものどす。主人公夫妻を恨みに思う誰かが、夫妻の家に隠しカメラを仕掛けたり、車の中からビデオ撮影してるようなカンジなんでおます。掲載しておますシーン写真の全てが、そういうカットどすえ。

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隠しカメラ的カットが、ヤラシーくらいに頻出してまいります。例えば、ヒッチコック監督の「裏窓」(1954年・アメリカ)とかやったら、主人公がピーピング=双眼鏡によるのぞきによって、犯罪を知り食い止めはりますが、本作はカメラ視点による、そのドライな反対バージョンをば見せてゆかはります。

簡単にゆうたら、望遠鏡・カメラを操るのは、犯人側やとゆうことでおます。こういうスタイルは、いかにも実験的なんやけど…。しかも、ネタ部も実験的とゆうたら実験的。

「CUBE」(1997年・カナダ)ちゅう、シチュエーション系不条理サスペンスを、クリエイトしはったヴィンチェンゾ・ナタリ監督が、本作では製作総指揮に回らはりましたけども、これまでのサスペンス・スリラーにはないところを、何とか引き出そうかとゆう熱気に、ついあおられるような作りにはなっとりました。キモはヤッパ、不条理やろな。

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主人公が逼迫してゆくあたりの描写は、かのヒッチコックが描いた、災難が降りかかる男たちの、ハラハラドキドキに近いもんがござります。身に覚えのない災難や嫌がらせみたいなんが、次々に主人公を襲います。嫁はんが失踪し、ほんで、かつて主人公がいじめてた男が、犯人なんやないかと疑わはって、主人公は彼に会いにいって、謝らはるんどす。でもって、しかし…がありよります。

サスペンスでもあるけど、謎解きのあるミステリー映画でもあるんで、後半の詳細についてはすんまへん、そない多くは語られへんねんけども…。殺人事件が起こる、1分強のブルートーンの固定長回し撮影やら、嫁はんの衝撃的なパソコン映像、ロングショットの転倒カットやらローアングルやら、室内シーンで見せられる多彩なシーンの数々によって、ハラドキをアップさせてゆかはります。

でも、どないやろか、この決着ぶりは、ボクとしてはクエスチョンやったですわ。どうせやるんやったら…とゆう想いどすか。続編を作って、モヤモヤに応えてほしいようなカンジやろか。みなはんが見て、どんな風に思わはるんか、楽しみどすえ。

2012年10月21日 (日)

ジェームズ・キャメロン製作「シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語」

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アトラクション・ムービーの、歴代最高傑作とちゃうやろかー

サーカス映画としても「地上最大のショウ」に肉迫しとりまっせ~

http://www.cirque-3d.jp

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オクトーバー11月9日フライデーから、パラマウント・ピクチャーズ・ジャパンはんの配給によりまして、3Dにて、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 Cirque du Soleil Burlesco LLC. All Rights Reserved.

サーカスの21世紀的進化型として、「シルク・ドゥ・ソレイユ」は余りにも有名どす。2008年からの東京での公演は、日本公演史の歴史に残るような盛り上がりぶりやったー。いわゆる、それまでのサーカスの概念を180度変えて、よりトリッキーかつ複雑化したもんを見せてくれはるんどっせ。

ほんで、本作はそれをただ単に映すんやなく、映画としてのドラマティックなラブ・ストーリー展開と、スペクタクルイズムが融合した、圧巻の仕上がりとなっとります。

1950年代に全盛やった、ハリウッド・スペクタクル映画のセンスが濃厚なんどすえ。「十戒」(1956年製作)とか「天地創造」(1966年)やらの聖書もんもあったけど、アカデミー作品賞ゲットのサーカス映画「地上最大のショウ」(1952年)は、肉体を駆使したスペクタクル映画としての、ピークを示す作品でおました。

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でもって、本作はシュールでファンタジーでワケ分からへんけども、変幻自在の多彩に繰り広げられる、サーカス・アクロバティック・アクションをば、連続的に見せてゆくことで、眩暈(めまい)が起こるような、サーカス映画の粋を見せてくれはります。

ヒロインがその夢幻の世界へ、入り込むとゆう設定をしてはるけど、確かに演目をそのまま映すスタイルとしては、ドキュメンタリーのタッチやも分かりまへん。そこに、人間ドラマ性はあるんかいやと聞かれれば、ウーンやけど、でも、ラブ・ストーリーとしてのポイントは、往年のハリウッド映画のノリほどやないけど、ヒロインと空中ブランコのアニキとの間で展開しよります。

さてはて、2D上映のない3Dだけでの公開は、「タイタニック」(1997年)などの旧作を除いて、日本では初めてやないでしょうか。あったとしても、中途半端な仕上げやったと思います。しかし、こちらは「アバター」(2009年)で3Dの可能性を本格的に追究しはった、ジェームズ・キャメロンはんが製作しはりましただけに、品質は大保証しときまっさー。

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アトラクション・ムービーとゆう言葉は、スペクタクル映画と呼応しとるかもしれまへんが、むしろ21世紀的な呼称やと思います。より身近に娯楽を感じられるとゆう意味での、アトラクションなんやろなー。ほんで、本作はその新ジャンルとしては、歴代最高傑作になったんやないかなと、ボクチンは勝手にジャッジいたします。

本作のマイ・ベストスリーのパフォーマンスを言いますと、①直立したステージでの2派の対決や。②オーソドックス系やけど、遊園地にあるバイキングのようなフレームに乗っての、空中ブランコ的なパフォーマンスやでー。③クライマックスとなる、男女2人のロープを使っての、ラブラブふれあいシーンは、ベタやったけどエエカンジや。

さらに、ポール・マッカートニーの最新ナンバーを始め、ビートルズ・ナンバーに乗った演目披露シーンの数々が、ハットトリッキーやったどす。家族一同で見に行くべき3D娯楽作品どすえ~。

2012年10月20日 (土)

吉永小百合ネーさん主演の「北のカナリアたち」どす

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北海道ロケーション映画に、新たな1本が登場やねん

「告白」の湊かなえネーさんの、ミステリー色が滲んどります

http://www.kitanocanaria.jp

霜月11月3日の「文化の日」から、東映はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012『北のカナリアたち』製作委員会

吉永小百合ネーさんの最新主演作でおます。1959年に「朝を呼ぶ口笛」で銀幕デビューをして以来、小百合ネーさん主演・出演の映画作品は、100本以上を数えよります。そこで、「あなたへ」(今年8月5日付けで分析)で高倉健さんの分を披露したようにでんな、小百合主演のマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①キューポラのある街(1962年)②細雪(1983年)③母べえ(2008年)

●カルト⇒①女ざかり(1994年)②時雨の記(1998年)③本作

●小百合ネーさんのイメージは、ベスト①カルト①にある前向き元気系と、ベスト③カルト②のような、しっとりの好感度の高い、いい人的イメージやろかと思いよります。ほんでもって、本作はその2タイプを、バランス良く入れて演技をしはった1本になっとります。

時代設定は違いますけども、「北の零年」(2005年)に続く、北海道ロケ映画どす。ジャンル的には、これまであんまし出てはりまへん、ミステリー色の映画でおます。「告白」(2010年)の原作者・湊かなえネーさんによる、独特な一人称視点ミステリーの映画化どすが、その視点をば外して、映画的には過去と現在の、カットバック手法を駆使して展開しはります。

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小百合ネーさんは、まあ、ゆうてみたら、探偵役でおます。映画的現代からは20年前どす。北海道の孤島へ、夫役・柴田恭平アニキと共に、6人しかいてへん小学校へ赴任してきはりました。小百合ネーは6人によるカナリア隊、つまりコーラス隊を結成しはり、道内のコンテストで優秀な成績を収めてはりました。

そんな時に、みんなでやった海辺のバーベキューで事件が起こりました。投身自殺した1人の少女を助けようと、海に飛び込んだ恭平アニが溺死しはり、でも少女は助かりました。そやけどその事件の時、小百合ネーは場を離れて、何やら男と密会をしてはったらしいわ。そやから、そんなこともあって、小百合ネーは職を辞して島を離れました。

ほんで、20年後。当時の生徒、森山未來アニキが、殺人事件を犯して逃亡してはります。警察が東京で働いてはる小百合ネーのとこへ聞きにきはりましたが、彼女は知らないてゆわはり、ほんで、思い立ったように、北海道にいてる残り5人の元生徒たちを訪ねはりまんねん。

総体的には、先生がかつての生徒たちを訪ねる「原爆の子」(1952年)とか、先生が生徒たちを思いやる「二十四の瞳」(1954年)やらのセンスを感じました。

さらに、宮崎あおいネーさんを始め、5人に話を聞くにつれて、当時の事件の意外な話が、チビチビ明らかになる作りも、ミステリー色を増してまいります。そして、小百合ネーさんの不倫が明らかになってゆくとこやらは、唐突な感じがありながらも魅せてくれはります。わめき続ける森山未來アニの大仰な演技は、チョイ退いてもうたけども、クライマックスの感動も、泣かせる仕上がりになっとりまっせー。

2012年10月19日 (金)

2時間25分の時代劇大作「のぼうの城」やー

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これまでの時代劇にはない素材を、採り上げはった快作どす

剣戟戦以外に、パニック・ムービー色もある1本でおます

http://www.nobou-movie.jp

霜月11月2日の金曜日から、東宝はんとアスミック・エースはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

大阪やったら、TOHOシネマズ梅田やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「のぼうの城」フィルムパートナーズ

21世紀の今の邦画時代劇には、これまでにない新しさが求められとるように思います。例えば、戦国時代から江戸時代初期にかけてやったら、お馴染みの戦国スターを採り上げるパターンが多かったどす。武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康やら。

しかし、本作は違いよりました。映画で初めて採り上げられる素材に、アプローチしはったんでおます。この時代もののオリジンあふれる作品てゆうたら、かつては黒澤明の「影武者」(1980年製作)やったり、最近では、当時の建築家を描いた「火天の城」(2009年)なんぞがあるやろかと思います。

時代劇での初ものとなりますれば、やはりみなはんには分かりやすう、また時代劇としてのエンタ性も取り込みつついくべきでおましょうが、本作はそれらの高いハードルをクリアーしはった、娯楽大作になりましたで。

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当時の時代背景や人物なんぞを詳しく知らずとも、メッチャ楽しめる作品になっとるんでおます。まずはナンチューても、2万人対500人の多勢に無勢の構図の中で、少数側が勝つとゆうドラマティックぶりどす。

ほんで、細部の緻密な設定を入れた、アクション・シーンの数々によって、ダイナミックに豪快に見せてゆかはります。東日本大震災に鑑みて公開延期になったところの、水攻めの川の洪水シーンやけど、モチ、VFXによる見せ方で迫力満点。ハリウッドのパニック・ムービーにもヒケを取らへん感じや。

少数派・籠城組と、攻め来る多勢の豊臣秀吉軍との対決アクションでは、多彩な考え抜かれたアクションが展開しよります。油を撒いて火矢で敵を燃やすシーンやとか、1対1の一騎打ちの騎馬戦やらが、ドトウのごとくやってまいります。田楽シーンやら、舟上でのダンス・シーンなど、ダンス・アクションさえありまんねん。

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演技陣の健闘ぶりも、本作を魅力あるものにしやはりました。「陰陽師」シリーズ(2001年・2003年)でSF時代劇の狂言師らしさを示した、野村萬斎のアニキやけど、本作ではコミカルチックな主人公役をやらはり、新境地をば開拓してはります。

NHKの大河ドラマ「天地人」では、石田三成を裏切る役をやってはった上地雄輔アニヤンが、今回は三成役をやってはります。時代劇はお手のものの佐藤浩市アニキ、「蜘蛛巣城」(1957年)の山田五十鈴はんっぽい、鈴木保奈美ネーさんやら、脇役陣も強靭や。

その意味では、男優陣で見るんもええんやけど、女優陣も健闘しはりました。姫役の榮倉奈々ネーさんの、男勝りのツッパリ系、尾野真千子ネーさんの弱々しい演技、ほんで、芦田愛菜ちゃんの、いつも通りの素のまま演技。群像劇でもあるんで、演技陣のハーモニーぶりにも、ご注目あれ!どすえ~。

2012年10月18日 (木)

「チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢」どす

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現実の回想部と幻想部が混濁する、主人公の最期の8日間やー

監督的には「ペルセポリス」のヒロインものから、ええおっさんものへとスライドどす

http://chicken.gaga.ne.jp

11月10日のサタデーから、ギャガさんの配給によりまして、梅田ガーデンシネマ、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCopyright 2011 Celluloid Dreams Productions - The Manipulators - uFilm Studio 37 - Le Pacte - Arte France Cinema - ZDF / Arte - Lorette Productions - Film(s)

共同監督ながら、イラン出身の女性監督マルジャン・サトラピのネーさんによる、第2弾でおます。第1弾はモノクロのアニメにして、少女ヒロインもの「ペルセポリス」(2007年製作・フランス映画)どしたが、今作はイランのバイオリン奏者の、男の話をば描かはりました。

ドイツとベルギーも出資しはったフランス映画とゆうことなんやけど、舞台はあくまでイランや。しかも、1958年度の、今は昔のイラン舞台設定でおます。夫妻ドラマ、家族ドラマ、不倫ドラマなどがモザイク状に描かれる展開の中で、主人公の孤独なドラマ性がふわ~んと浮かび上がってまいります。

コレって、要するに男が自殺する話やねん。ほんで、自殺するまでの8日間を捉えた作品なんどすえ。つまり、自殺映画でも「鬼火」(1963年・フランス)ほどには暗くはないし、どちらかとゆうたら、チョイペーソス入りっちゅうか。

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その8日間も、主人公の現実の過去と幻想部が交錯してゆく作りで、ある種めまいが起こってきそうなシュールな作りどす。映画監督の頭の中を描いた「8 1/2」(ハッカニブンノイチ)(1963年・イタリア)とか、混濁した回想ぶりで示した「愛の讃歌 エディット・ピアフ」(2007年・フランス)などと、共通するスタイルやと感じました。

ラブ・ストーリー部の挿入が、やや唐突な印象がありましたが、あくまで主人公のお話なんで、これはこれでええかと思います。各役者たちの妙演技ぶりに目がいきよります。「潜水艦は蝶の夢を見る」(2007年・アメリカ&フランス)の障害者役にも近い異能の、演技ぶりを見せはるマチュー・アマルリックのアニキ。「8 1/2」のマルチェロ・マストロヤンニにも迫るカンジどすえ。

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チョイ役やけど、主人公の娘はんが成人した役をやらはる、キアラ・マストロヤンニ(マルチェロの娘はん)のネーさんの、蓮っ葉なとことか、主人公のオカン役のイザベラ・ロッセリーニはん(オカンはイングリッド・バーグマンはんやで~)の、煙草吸って煙の魂になって死んでゆくシーンとか、ユニークな見どころが、アクセントのように入っておます。

ほんで、主人公と不倫ラブする、イラン女優のゴルシフテ・ファラハニのネーさんの、往年のハリウッド女優と勝るとも劣らない、ため息ものの美しき女優ぶり。レオナルド・ディカプリオと共演した「ワールド・オブ・ライズ」(2008年・アメリカ)よりキテおまっせー。

弦楽オーケストラ・サントラを流しての、主人公と彼女のデート・シーンの流麗な描写カットなんぞにも、目が魅かれます。手書きのアニメ・シーンなども絡めた、虚実織り交ぜた仕上げで、みなはんを幻惑の世界へと誘い込まはりまっせー。アート映画とエンタ映画を行き交いする、不思議快感の映画どした。

2012年10月17日 (水)

ジェーン・フォンダ主演のフレンチ映画「みんなで一緒に暮らしたら」

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ホンマのホンマ、ジェーン・フォンダのネーさんのための映画でおまっせー

http://www.cetera.co.jp/minna

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11月3日の「文化の日」から、セテラ・インターナショナルはんとスターサンズはんの配給により、東京を皮切りに全国順グリのロードショー。

関西やったら、11月17日から梅田ガーデンシネマで上映後、11月24日からシネ・リーブル神戸、京都シネマやらでヤラはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸLES PRODUCTIONS CINEMATOGRAPHIQUES DE LA BUTTE MONTMARTRE / ROMMEL FILM / MANNY FILMS / STUDIO 37 / HOME RUN PICTURES

ジェーン・フォンダのネーさんが、ゴダール監督「万事快調」(1972年製作・フランス&イタリア合作)以来、40年ぶりにフランス映画(ドイツとの合作)に出はりました。もう1度フレンチ映画に出たいと思てはったそうどすが、それが実現することとなったんでおます。とゆうことで、ここで、ジェーン・フォンダ主演・出演作の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。本作とカルト②以外は、全てアメリカ映画どす。

●ベスト⇒①帰郷(1978年)②ジュリア(1977年)③チャイナ・シンドローム(1979年)

●カルト⇒①9時から5時まで(1980年)②バーバレラ(1967年・フランス&イタリア&アメリカ)③本作③デブラ・ウィンガーを探して(2002年)

●「イージー☆ライダー」(1969年)など兄ピーター・フォンダも、アメリカン・ニューシネマの代表型やったけど、妹はんも主演しはった「ひとりぼっちの青春」(1969年)やら、オトンのヘンリー・フォンダはんと共演しはった「黄昏」(1981年)も、ベスト側のケッサクやけど外しました。ボクチンにとってのジェーンはんは、ナンチューても1970年代やからどす。

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ほんで、カルトで、ワザトラマンのように本作を滑り込ませましたけども、しかも3位の同率で。アカデミー賞主演女優賞をもらわはった「コールガール」(1971年)も入れたかったんやけど、カルトは彼女があんましヤラはらへんかったような役柄で、ユニークなんを選んだんでおます。

カルト①はコメディエンヌとしてのセンス。カルト②はSF映画のヒロイン役。カルト③の1つはドキュやけど、映画界を引退した彼女のホンネや回顧やらが、あからさまに捉えられておました。ほんで、その発言が脳裏にこびりついとる中での本作でおます。

老女としての彼女は一体、どのような演技性を示さはるんか、メッチャ興味を持って試写に臨みました。共同生活としてのシニア映画となれば、老人ホームものが多い中で、本作はヘルパー的な男の若者(ドイツ俳優のダニエル・ブリュール君)が1人いるだけの、老人たち5人の共同生活をば捉えはりました。ゆうたら、これは稀少な作品どす。

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老夫婦2組にプラス、立派になって独立しとる、大きな息子のいてはる独居老人。老人3人は盟友的友達やけど、独居老人はかつて2人の老女・老妻を二股がけしてたプレイボーイやねん。その老人が老人ホームに入ったのを訪ねて行った4人が、見るに見かねて、老人を連れ出して、ほんで、5人で暮らそうとしやはるんどすわ。

はっきり言いよりますと、コレはジェーン・フォンダのネーさんのための映画でおます。チャップリンの娘はんの、ジェラルディン・チャップリンはんも、夫婦ゲンカ・シーンなどで、タイトでキレのある演技をば、見せはって健闘してはります。

でも、ヤッパ、終始落ち着き払った渋みでいかはるジェーンはんは、大衆の好感度も高めに設定しはったような演技ぶりでおましょうか。本作で最も長い長回し撮影となる、遠近感あるラストシーンの固定カットも、ジェーンはんの役柄への余韻を深めました。

2012年10月16日 (火)

アンジェイ・ワイダ監督の新作「菖蒲」(しょうぶ)

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監督の盟友で主演女優の夫の撮影監督が、製作途中で逝去しはったことで、芸術性にコクの出た1本どすえ~

http://www.shoubu-movie.com

10月20日の土曜日から、メダリオンメディアはんの配給によりまして、東京・岩波ホールで、全国順グリのロードショーでおます。関西やったら、12月8日から、梅田ガーデンシネマ、12月22日からシネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダ監督(1926年生まれ)による新作でおます。若い方々にとっては、誰やねんかもしれへんけど、近作「カティンの森」(2007年製作・ポーランド映画)などでは、戦争のむごたらしさをビビッドに描かはりました。

ポーランドの内実を捉えた革命運動系映画などで、シリアスかつリアリティーあふれる映画が、ボク的にはココロに重くしこってくる監督やったけど、本作のように、芸術映画でも、そないに胃もたれせえへん映画も作ってはります。

最初に作ろうとしはったんは、中高年のおばはんヒロインものでおました。彼女は息子2人を戦争で亡くし、忙しい医者の夫とはほぼ擦れ違い系。ほんで、末期の病気を患いながら、若い彼女がいてる、若いイケメン君と恋に陥り…やなんてウーン…なんやけど、この2人の恋は、流れ的には流暢やないけども、それなりにムリヤリのように描いてゆかはります。

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さてはて、本作はベルリン国際映画祭で、芸術映画の新しどころを捉えた作品に、与えられる賞をば、もろてはります。ほな、本作の新しさはどこにあるんやろか。

最初から撮ろうとしていた話には、2人の話に違和感をカンジました。その話そのものは中途ハンパやと思たんやけど、これは意図的なんでおます。ワイダ監督の盟友で主演女優はんクリスティナ・ヤンダはんのだんなの、撮影監督エドヴァルト・クウォシンスキはんが、本作の製作中に逝去しはりました。ちなみに、本作には関わってはりまへん。

その盟友に捧げて急遽、ワイダ監督はほとんど出来上がっていた作品を、映画メイキング映画とゆうスタイルを取り込んで、主演女優が夫の死を述懐する作品へと、変えてゆかはったんどすわ。

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本編の川辺ロケの途中で、女優が突然現場を逃げ出して、雨の中、タクシーをつかまえて、病床の夫の元へと向かうシーンやら、メイキング映画らしいハプニングも演出。

ほんで、夫のことを思う女優のモノローグによる、4分~5分、9分~10分、5分弱の3シークエンスにわたる、ホテル室内での長回しの撮影部どす。しかも、この位置やないといけないとゆう、固定カットでおます。この3シーンは本編映画とメイキングの間に、バランス良く配置されておます。

冒頭の、菖蒲などをぼかして大河を映し、女声コーラスが静かに入るシーンを始め、タイトに挿入される、ロングショットによる川のシーンも、作品の芸術度を高めておました。

それで、新芸術度はどこにあるんか。陳腐やないけどフツーの、年の離れた男女による芸術恋愛映画になりそうなとこを、撮影監督の死によって、メイキング映画にし、ほんで女優で妻の苦悩ぶりを、ドキュメント的に創作することで、えもいわれぬ芸術性を生み出したわけでおますよ。ワイダ監督作品に、ボクはあんまし芸術性を求めてへんねんけど、コレはキタ1本どした。これぞサプライズでおました。

2012年10月15日 (月)

ロバート・レッドフォード監督の新作「声をかくす人」

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アメリカ南北戦争関連映画、裁判リーガル映画、実話ものなどをミキシングしたでー

昨日分析の「リンカーン…」とは、真逆のシリアス度合いどすえ~

http://www.koe-movie.com

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10月27日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・銀座テアトルシネマやらで全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、ノーベンバー11月3日の「文化の日」ホリデーからテアトル梅田、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Conspirator Productions, LLC. All Rights Reserved.

昨日分析した「リンカーン/秘密の書」も、リンカーン大統領、南北戦争がキーワードになっとりましたけども、本作はそれとは180度違うシリアス度合いどす。「リンカーン」と違いよりまして、メッチャ当時の事件を調べてはります。

時代考証もほぼ完璧どす。北軍が勝った南北戦争後に、南側の人間たちに、リンカーン大統領は暗殺されはりました。ほんで、主犯格の人物が殺されて、ほとんどの実行犯が逮捕されました。そんな中に、首謀者たちを家に下宿させてはった、オカミはんも逮捕されてしもて、裁かれはります。

フツーの裁判やなく、軍法会議でどす。そら、大統領暗殺事件ゆう重大事件やから、っちゅうことなんでしょう。一方で、暗殺に関わっとる、オカミの息子はんは逃亡中だす。そんな中で、上司からムリヤリ彼女の弁護をゆわれて、やらはるジェームズ・マカヴォイのアニキ。まさに、敗訴覚悟の登板やったんやけど…。

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はっきりゆうて、アクションモリモリの「リンカーン」に比べて、法廷劇・室内劇がメインで、暗いといえば暗いやろとは思います。でも、静謐な展開ぶりに加え、時代を映す薄色な配色に合わせて、陽光の室内への取り込み具合の頻出ぶりなど、「リンカーン」もそれなりにやってはりましたが、時代感描写は、本作の方が上手(うわて)でおましょうか。

ロビン・ライトのネーさんの、押しをほとんど見せない退きの悲愴感演技は、各種の演技賞なんかでは、派手やないだけに盲点になってしもて、時に評価されへんことが多いねんけど、渋い高度な演技ぶりやとカンジました。

ほんで、全部アメリカ映画やけど、スピルバーグ監督の「アミスタッド」(1997年製作)やら、本作がかなり意識してはるようなオリバー・ストーン監督の「JFK」(1991年)、イーストウッドの「トゥルー・クライム」(1999年)などと、比較してみたくなってきよる1本どした。映画監督たるもの、リーガル(法廷)ものはひょっとしたら、1度は撮りたいもんなんかもしれまへんな。

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ちゅうことで、裁判劇はモノゴッツーあるんやけど、その裁判プロセスを離れて、悲劇度合い(結局、それは死刑ってことなんやけど…)やらをメイン・ポイントにして、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露いたします。これはチョイ重たいかもしれまへんが…。

●ベスト⇒①デッドマン・ウォーキング(1995年・アメリカ)②裁かるるジャンヌ(1928年・フランス)③ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年・デンマーク)●カルト⇒①暗黒街のふたり(1973年・フランス)②本作③私は貝になりたい(1959年・日本)

●人が死ぬシーンとゆうのは自殺も含め、映画的に時にはドラマティックなとこもあるかもしれまへんが、もちろん悲惨極まりないシーンでおましょう。でも、あくまで映画どす。死刑シーンにしても、当然見たくない人は多いかとは思います。しかし、そこには社会の不条理やとか、人間の尊厳の問題やとか、いろんなもんが見えてきよります。

そんな中でも本作は、特筆すべきものがありましたで。そのあたりをぜひ、劇場でご確認のほどを!

 

2012年10月14日 (日)

ティム・バートンはん製作「リンカーン/秘密の書」3D

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あのリンカーン大統領が、闇の世界でヴァンパイアたちと闘ってたやなんて…

時代考証に縛られず、自由奔放に走らはった歴史活劇やー

http://www.foxmovies.jp/lincoln3D/

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ノーベンバー11月1日の木曜日から、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、3D(2D、日本語吹替え版も)で全国各地イッセーの、超拡大ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都、MOVIX京都、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 Twentieth Century Fox.

実在した人物が登場する、歴史もの映画でおます。でも、しかしでんな、時代考証を完全に無視し、歴史改ざんをばしてはります。その意味では伝奇ものとも言えるやろし、歴史に縛られることなく、自由ホンポーに物語を展開させられま。まあ、バリバリのお堅い歴史映画好きの方は、肩の力を抜いて鑑賞しはるのがベストでおましょうか。

本作には原作小説があるんやけど、幼い頃から闇の世界で、殺されたオカンのリベンジを胸に、ヴァンパイアと対決してきはったリンカーン大統領とゆう設定は、まさに荒唐無稽どすわな。けども、これをヴァンパイア映画の新しい見せ方とみるなら、作品の良し悪しは別にして、方向性はOKでおましょう。

いかにも、今回は製作に回らはった、ティム・バートン監督はんが好みそうな素材でおます。吸血鬼映画の系譜としては、異端派になるやろけど、むしろヴァンパイア・ハンターのアクション映画としては、正統系の1本やと思います。リベンジ映画のノリも入っとるし。

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そやからナンチューても、アクション・シーンの数々が3Dらしく、デッカイ見どころとなっとります。ちなみに、2Dで撮った分を3Dに変換しはったらしいどす。2Dで完璧に撮って3D変換するのは、安全策のように見えますけども、雑な作りの3Dよりはよっぽどマシやろな。

ほんで、リンカーンが大統領になって、南北戦争の時代を背景に、南軍に付く吸血鬼軍団との壮絶な対決が展開しよります。

北軍の兵士たちが吸血鬼にカブられてヤラれてまうシーンやら、「駅馬車」(1939年製作・アメリカ映画)アクションの拡大版とも取れる、馬が群れで走る中での2人バーサス・シーンの迫力など、クライマックス前のイロンな戦いにも、抜かりはござりまへん。多彩にある南北戦争映画を、研究しはったらしきあともうかがえよりました。

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ほんでもって、吸血鬼を倒せる武器を大量に輸送する、機関車での2派に分かれた1大決戦やー。車内対決よりも、ポイントは屋根対決なんどすえ~。動く列車の屋根でアクションする映画は、これまでにも出てきておますが、大橋が燃やされるとゆうサプライズもあってでんな、今までにないようなアクト・シーン作りに、チャレンジをばしてはります。

色使いは薄色を心掛けてはるようどす。でも、歴史ものに多い、セピアをしっとり載せるようなんはしてはりまへん。ただ、一部の対決シーンで、セピアを大胆に使ったりはしてはりますが、あくまで対決シーンを際立たせるための使い方どす。写真一番下みたいな、自然光による撮影シーンもありまんねん。

シリーズ化も視野に入っとるような、ラスト・シークエンスにもオッときたし、その直後に流れる、リンキン・パークのタイトなロック「パワーレス」も、余韻を深めとります。

2012年10月13日 (土)

大阪ロケーション犯罪映画「黄金を抱いて翔べ」やねん

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「オーシャンズ11」並みの、スリリングがある作品どすえ~

「新幹線大爆破」より、ドライな友情部もエエカンジやな~

http://www.ougon-movie.jp

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霜月11月3日の文化の日・土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「黄金を抱いて翔べ」製作委員会

唐突やけど、大金奪取・強盗系の犯罪映画で、ボクのマイ・ベスト&カルトスリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①俺たちに明日はない(1967年製作・アメリカ映画)②地下室のメロディー(1962年・フランス)③黄金の七人(1965年・イタリア)

●カルト⇒①ダーティ・メリー、クレイジー・ラリー(1974年・アメリカ)②現金(げんなま)に体を張れ(1956年・アメリカ)③本作

●本作の井筒和幸監督を始め、スタッフの間では、本作を作るに当たり、フィルム・ノワール映画ベスト②やら、アメリカン・ニューシネマのベスト①カルト①やらをば、いっぱい見はったそうでおます。

ほんで、各3本指に入らなかったところでは、本作と同じく金塊を狙う「現金(げんなま)に手を出すな」(1954年・フランス&イタリア)とか、ベタやない男と男のキズナ描写としては、「新幹線大爆破」(1975年・日本)な日本映画的ベタを外し、「イージー☆ライダー」(1969年)や「バニシング・ポイント」(1971年)やらの、アメリカン・ニューシネマ的クール感でいってはります。

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また、定番の7人や「GONIN」(1995年・日本)の5人や、「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)やらとは違い、メンバーは6人というカタチでヤラはります。ほんで、大ヒットした「オーシャンズ11」とは金のかけ方は違うやろけど、同じようなスリリングが終盤に待っとります。

さてはて、本作は、高村薫はんが1990年に「日本サスペンス大賞」(宮部みゆきに負けた1989年度の対決は、出版業界的には有名どす)を、ゲットしはった小説が原作でおます。つまり、設定は1990年以前のもんになるやろけど、20年以上も前の話どすし、今を舞台にコレをやるには、どないなもんでおましょうか。

当時とセキュリティやらが段違いやから、そんなん間違いなくすぐパクられるやろな。今の状況をよう調べはったかは分かりまへんけども、でも、あくまで映画的なフィクション性を重視しはったかと思います。

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ほんでもって、大阪ロケ映画でおます。これまでにモノゴッツーのタイトル数がある大阪舞台映画やけど、本作は原作に合わせて、今までそないロケしてへんとこをば採り上げてはります。

試写室へ行くのに、ボクがしょっちゅう歩いとる、土佐堀川沿いの中之島公園遊歩道(写真5枚目)やら、妻夫木アニが住む吹田やら。さらに、水都・大阪にふさわしい結末やらに、グッときよりました。

そして、6人とその関係者たちが繰り広げる、群像劇的ドラマ性にも熱いもんがござります。妻夫木聡アニキを中心に、東方神起のチャンミン(写真3枚目)君とのアメリカン・ニューシネマなノリ、西田敏行はんとの裏切りとサプライズやら。

ほんで、浅野忠信アニキの家族部の描写や。忠信アニの嘆き節に加え、タイトで逼迫ぎみな演技性も、演技の幅広さを見せてはるし、妻夫木に対し「よく来てくれたな」と述懐的に言うシーンなど、さりげない男の友情描写が泣かせてくれはりました。

ラストロールで流れる、安室奈美恵アムロ・ネーさんの、16ビート・ロックなダンス・ナンバー「Damage」にも注目しておくんなまし。

2012年10月12日 (金)

伊藤英明が超悪役の「悪の教典」どす

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人気教師がサイコパスやなんて、かつてありまへんで~

ロト6のCMでも流れる「モリタート」の使い方も、エクセレントや~

http://www.akunokyouten.com

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霜月11月10日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「悪の教典」製作委員会

さてはて、いきなりやけど、サイコパス映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、手前勝手に披露いたします。ちなみに、本作の原作にある「シリアルキラーとサイコパス(人格異常者)は違う」視点に則り、快楽殺人鬼もんは外しとります。

●ベスト⇒①羊たちの沈黙(1991年)②サイコ(1960年)③セブン(1995年)

●カルト⇒①本作②ジキル博士とハイド氏(1932年分)③ボーン・コレクター(1999年)

●本作以外は全てアメリカ映画になってまいましたが、本作と同じ、原作者・貴志祐介もの「黒い家」(1999年)やら、ほかに「39-刑法第三十九条-」(1999年)やら、日本映画にも傑作はござります。共に、今年逝去された森田芳光監督の作品どす。本作の三池崇史監督にも、「オーディション」(1999年)とゆう気色悪い逸品がござりました。1999年チュー世紀末には、サイコパスもんを見るには似合っておったんやろかな。

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まあ、それはええとしまして、本作を、今年公開の新規参入サイコ映画やなのに、かの「宝島」のスティーヴンソン原作の古典カルト②やら、21世紀のかなり進化したサイコものを次々に書いてる、ジェフリー・ディーヴァー原作のカルト③を抜いて、カルトの1位にしたんは、学園もののサイコパス映画は、稀少やとゆう点がまずありました。

ボクの過去の映画体験では、邦画なら「高校大パニック」(1978年)とか「バトル・ロワイアル」(2000年)やらがあるけども、大たいやね、生徒が暴れるパターンがフツーどして、こちらは女生徒たちに「ハスミン!」やなんて呼ばれて、人気がある男性教師でおます。先生がサイコパスで生徒たちを皆殺しにしようやて、みなはん、そんなん聞いたことありまっか?

しかも、この先生役やってはる伊藤英明アニキやけど、暴れはるシーンは除いて、あくまでフツーで冷静な演技ぶりどす。むしろ「海猿」シリーズ(2004年~2012年)の方が、気負いある押しの演技やったかと思います。原作でも、正常と異常の境目が曖昧でおましたが、その微妙なところを自然体でいってはるのが、妙に印象的どした。ステージ・ショー的にビッグバンド・ジャズをかけての、無表情の銃撃シーンは特に強烈やー。

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「ヒミズ」(2012年)の再共演となる、生徒役の二階堂ふみチャンと染谷将太クンもガンバってはります。

さて、原作の全部はとても盛り込めまへんので、時に端折ったり省略したり、一部設定を変えたりしてはりますが、「エクセレント!」やら「神が命じた」なんかの、インパクトあるキャッチーなセリフは、そのままでおます。

さらに、「三文オペラ」(映画化第1弾は1931年・ドイツ映画)で使われた「モリタート」とゆう音楽の、映画への絶妙な導入ぶりどす。ハスミンの過去シーンのダイジェスト・シーンでは、アナログ・オリジナルの歌ナンバーを流して、歌詞字幕付きにて描かれよります。

ロト6のコマーシャルでも流れとるんやけど、この暗黒街の殺人者を詠み込んだ歌詞による、陽気なナンバーは本作にホンマ、恐ろしいくらいにマッチしとりました。とにかく、背筋がサムーなってきよる作品どしたえ~。

2012年10月11日 (木)

デヴィッド・クローネンバーグ監督の新作「危険なメソッド」

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「ザ・フライ」「クラッシュ」的なクローネンバーグのキモさあり!の変格ラブ・ストーリーやでー

あの「パイレーツ・オブ・カリビアン」の、キーラ・ナイトレイのネーさんが何とまあ、大胆な演技をやらはって…

http://www.dangerousmethod-movie.com

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オクトーバー10月27日サタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマやら、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やらでロードショーでおます。

本作は2011年製作作品どして、イギリス・ドイツ・カナダ・スイス合作とゆう映画になっとりま。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Lago Film GmbH Talking Cure Productions Limited RPC Danger Ltd Elbe Film GmbH. All Rights Reserved.

精神分析学者のフロイトやユングてゆうたら、そらまあ有名どすけども、かつての偉人映画やらでは、ほとんど出てきはりませんどした。

長らく映画として採り上げられへんかったんは、そもそも心理学者の話なんで、妙に理屈っぽくなってしまうような嫌いが、あるんやもしれまへんな。そやからどないあっても、映像的には映えないやろと敬遠されとったんでおましょうか。それに、事実に縛られてしもて、オモロイもんにはならなかったりしよります。

しかし、本作はイギリスの演劇が原作なんやけど、実話やろけど、フロイトとユングの間にいてはったらしい、1人の女患者を波乱の存在として投入することで、メッチャスキャンダラスなラブ・ストーリーものとなりよりました。「サルトルとボヴォワール」(2009年製作・フランス映画)のような正統系の実話ラブやない、倒錯めいたラブが展開するんどすえ~。

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理屈人間のユングはんと女患者はんのラブやけど、その理屈っぽさで不倫を描く、不条理性とでも申しましょうか。ユング役マイケル・ファスベンダーはんやけど、フロイト役ヴィゴ・モーテンセンはんと同じく、冷静沈着なキャラ。ゆうてみたら地味なんやけど、それでいて女患者のトラウマをそそるように、ケツ叩いてヤラシーことをしはるユングはん。そのギャップが何とも違和感をそそります。

ほんでナンチューても、患者役キーラ・ナイトレイのネーさんが、えらい大胆な役をばやってはりまんねん、コレがな。時にわざとらしくも見えたりするけど、オランウータンみたいな妙な表情を見せはる、精神病患者の表情演技やら、濡れ場シーンではモロに上半身が見えてたり、ほんで、徐々にマトモそうなカンジにはなってゆくんやけど…。

「パイレーツ・オブ・カリビアン」(シリーズ第1弾は2003年・アメリカ)やらが焼き付いてはる人には、チョイショックかもしれまへんな。

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デヴィッド・クローネンバーグ監督流の、キモさ・フレイバーが入っとるやろかと思います。「ザ・フライ」(1986年・アメリカ)のハエ男、「クラッシュ」(1996年・カナダ)の交通事故フェチやら、これまでは大たい変な男たちの造形ぶりがうまいんやけど、ユングはんも変やけど、でも、キーラ・ネーさんの異能な演技ぶりは、本作の一大ポイントを握ってはるんどす。

江戸川乱歩原作の映画「D坂の殺人事件」(1997年・日本)で使われた、同じく乱歩の短編推理小説「心理試験」の、ユングが開発したその実験シーンが描かれたり、フロイトの夢判断が、フロイトとユングとの間で展開したりと、心理分析の難解な映像化を、分かりやすく伝えてくれてはります。

「インセプション」(2010年・アメリカ)みたいな、ハデな夢アクションはありまへんけども、地に足が付きつつも、何やら変態チックな作りには、妙にクセになってきよるような映画やったどっせー。

2012年10月10日 (水)

シン・ハギュン&コ・ス共演の韓国の戦争映画「高地戦」

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朝鮮戦争もの「ブラザーフッド」「戦火の中へ」以上に、戦争の空しさを伝える、シビアでキビシー1本やー

灰色の色使いを始め、観客と痛みを共有するみたいな、ドライなリアル感が強烈どっせー

http://www.kouchisen.com

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神無月10月27日の土曜日から、ツインはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿やら、シネマート六本木やらで、全国順グリのロードショーでおます。

その後、関西やったら、霜月11月3日の「文化の日」から、大阪・シネマート心斎橋などで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND TPS COMPANY ALL RIGHTS RESERVED.

戦争の空しさを伝える映画とゆうのは、これまでに相当数のタイトルが出てきておます。ツタヤはんらの大手のレンタル・ビデオ屋はんでは、コーナー展開しはり、イロンナ戦争映画をそのまま陳列してはるけども、戦争別とか空しさ度合いランキングなんぞで、細かく分けてはいてはりまへん。

けども、戦争なんて全く知らないボクら以下の世代にとっても、この映画は空しさを超えたとこにある、トンデモ空虚感をば示さはりましたで。

「戦場にかける橋」(1957年製作)みたいに、最前線を離れた収容所ベースやありまへん。「プラトーン」(1986年)みたいな内部分裂やないし、「西部戦線異状なし」(1930年)は最前線も、とことん空しい戦いを展開するような、意味のないとこはありまへん。「プライベート・ライアン」(1998年)みたいな、ある種の正義感あるヒロイズムも、全くカンジまへんどした。

どこまでも限りなく空疎でアホらしいねん。戦う本人らもそれが分かっとんのに、それでも戦い続けはるんどすえ~。信じられへんわー。

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朝鮮が南北に分断され、韓国と北朝鮮になってしもた、朝鮮戦争をば描いてはります。その戦争を描いた韓国映画としては、これまでに、兄弟のキズナ「ブラザーフッド」(2004年)やら、学生たちが抗戦した「戦火の中へ」(2009年)なんぞがありますが、本作はキズナ描写はほとんど排除して、戦場のシビアな状況に終始してはります。

但し、停戦の膠着する話し合いの中で、戦線のキモとなる高地を巡って、奪い合いをやらはるんやけど、高地の洞窟内の酒やらいろんな物を隠す貯蔵庫を通じて、敵対する2組がじかにやないけど、交流しはります。

このあたりは南北軍の直接交流を描いた「JSA」(2000年)を思い出させますけども、あくまで間接交流でおます。そのやりとりが感動的なキズナに結びつくなんてことはありまへん。

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ほんでもって、昨日分析した「ザ・レイド」とはまた違ったカタチでの、サバイバル映画になっとりま。戦争ものでのサバイバルでも、過去に名作があるんやけど、本作のサバイバル度はハンパやありまへん。

登場人物の全員が死亡、ナンチュー映画も見てみたいけど、バリバリのR指定になりそうや。本作はソレはないんやけど、空しい度合いの高さもあって、グググイッと胸にこたえます。

ヒロイズムを演技しはるシン・ハギュンのアニキ、ハギュンの実の嫁はんで、役柄的には好敵手となる、狙撃手役のキム・オクビンのネーさん、ほんで、ハギュンとは大学時代の学窓のコ・スのアニキやら、逼迫サバイバル状況に合わせはった、冷酷な演技にグラグラきよります。

セピアなシーンもあるにはあるんやけど、軍服はモチ、リアル感あふれる高地ロケなどの、グレーな色合いが占拠してでんな、ダーク度合いを高めはるんどす。横移動撮影やら高地の斜面感を示す、荒っぽく厳しい戦いの構図が、何度も繰り返されよります。

ほんで見ていて、どないあっても、兵士のキツイ痛みを感じてまう、リアルでドライなカンジが圧倒的やったどす。ほんなわけで、戦争なんか永遠に知りたくないでーと、マジに思わしてくれはるケッサクどしたえ~。

2012年10月 9日 (火)

ハリウッド・リメイクが決定したインドネシア映画「ザ・レイド」

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「ダイ・ハード」もビックリの、格闘戦、銃撃戦やらドトウのビル内アクションが展開やー

サバイバル映画も、サバイバルされはるんは警察側やて、ほんなんあり?

http://www.theraid.jp

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10月27日のサタデーから、角川映画はんの配給によりまして、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都ほかで、全国ロードショーでおます。

東京都やったら、渋谷シネマライズ、角川シネマ有楽町でヤラはりま。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸMMXI PT. MERANTAU FILMS

ハリウッドでのリメイクが決定した、初のインドネシア映画でおます。そもそもインドネシア映画やなんて、アジア映画の特集上映やったらまだしも、日本までやってきて全国公開されるナンチューことは、まずありまへん。

ボクチンも見た覚えがありまへんな。ところがどっこい、今回初めて見させてもろて、そのトンデモ爆裂ぶりに、おいおい、なんでインドネシアで、こんなんやねんと驚いた次第どす。

もっと地味でエエんとちゃあうん。ビンボー家族のドラマとかな。ほんでも、親兄弟のキズナもあるんやけど、それはあくまで付け足しでおます。あくまでバリバリのアクション映画やー。まるでハリウッド・リメイクを、意図的に狙い打ちして作らはったような作品どす。

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何はともあれでんな、ドトウのごとくのアクション映画にして、警察SWAT対ワル者たちの、ガチガチのサバイバル映画でおます。最初の方では、銃撃戦がアメリカン西部劇のように展開しよりますが、徐々に格闘対決、肉弾戦のオン・ザ・パレードへとスライディングしてまいります。

披露されるんは“シラッド”(そんなん、“知らんど”)ちゅう格闘術らしいどすわ。そうそう、アジアの映画てゆうたら、ブルース・リー、ジャッキー・チェンを例に出すまでもなく、格闘バトルこそがオリジナリティー・ポイントであり、キモとなるところでおましょうし、スロー・モーションなしのスタントなしの生身で勝負やー。

本作もそうやったかどうかは分かりまへんが、女優ジージャーが暴れまくった、タイ映画「チョコレートファイター」(2007年製作)以来の、ディープ・インパクトを覚えよりました。

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さてはて、アクション・シーンは本編の、90パーセント近くになりまっしゃろな。のべつまくなしの矢継ぎ早やけど、まあ、ハリウッドのこれまでにないようなとこをば見てみよりますと、悪の巣窟へ摘発に行った、正義の警察側がヤラレまくりで、最後の最後までエライ目に遭わされます。

警察側がサバイバル化してゆくとゆうのんは、あんましないでおましょう。悪もあくまでとことん強いとゆうのんも、最後までハラドキで見られます。敵が弱かったら、ドラマはオモロなりまへんよってに。

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敵のアジトの全体像を映さずに、SWATがビル内へ突入するとゆうのも、ハリウッドでは稀少やろかな。怪しい危ないカンジを、募らせる効果があるようどした。ほんで、建物に入ってからは終始、屋内でのアクションが披露されてまいるんどすえ~。

その意味では、1人対団体やった「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ映画)の、団体戦変換バージョンやと言えるかもしれまへん。「スズメバチ」(2002年・フランス)なんぞも思い出しよりました。

ブルース・リー映画にどこまで迫れたかは、見る人によって見方や考え方は違うやろけど、かなり健闘してはるかと思います。格闘ワザの達人との凄まじき対決のイロイロは、ハリウッドでどのように転移されるのか楽しみどす。みなはんも、初めて(そうでない人もいてはるやろけど)のインドネシア映画の、劇場体験をば、ぜひ!

2012年10月 8日 (月)

ベン・アフレック監督・主演のアメリカン・サスペンス「アルゴ」やー

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映画ではまだ描かれてへん、実話をベースにした1本どす

映画製作を騙しに使った、7人のスリリングな脱出劇やー

http://www.argo-movie.jp

10月26日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

CIAのミッションもの映画てゆうたら、スパイ・アクション映画を含めまして、みなはんには、ケッコー親しみ深いエンタ映画やと思います。「ミッション:インポッシブル」やら「ボーン」シリーズやら。ほんで最近でも、「デンジャラス・ラン」(今年8月25日付けで分析)やら「ボーン・レガシー」(今年9月17日付け)やらが出ておりま。但し、本作はトゥルー・ストーリー、実話をベースにしはった作品でおます。

しかも、国家間のポリティカルな政治絡みのノリ。ほんで、1979年から数年の実話やー。すなわち、過去の話でござります。

登場人物たちの1970年代風のファッションやら人物造形ぶりや、1970年代の映画的雰囲気など、まさに完璧な時代考証に裏打ちされた作りにでんな、個人的には酔いましたで。ほんで、ミッションを見せてゆくストーリー展開の中でも、いろんな映画とのシンクロナイズぶりをば見せはります。

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1979年どす。イランのアメリカン大使館が、アメリカに亡命した極悪政治家・パーレビ国王の引き渡しを求めて、過激派が占拠しよりました。イラン政府側もこれを支持しはります。しかし、大使館の6人が脱出し、カナダ大使の公邸に逃げ込まはります。

イラン当局に見つかってしもたら、公開処刑されるかもしれへんこの6人を、母国アメリカへ脱出させるためのミッションが、アメリカで密かに練られるとゆうのが、物語の導入部でおます。

それででんな、70年代人間的に髭面の写真の、CIA局員役ベン・アフレックのアニキが、ハリウッド映画製作として、イランを舞台にしたSF映画「アルゴ 宇宙戦争」とゆう設定でロケし、その役者たちとゆうことで6人を、イランから逃げさせようっちゅう、トンデモないことをば画策して、あろうことか、いざホンマに実行へと移さはりまんねん。

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プロデューサーやら「猿の惑星」(1967年製作・アメリカ映画)でオスカーのメーキャップ賞を受賞しはった方やら、実在の人物が出てきはります。彼らに扮しはった、ハリウッドのベテラン名バイ・プレーヤーのアラン・アーキンはんやら、ジョン・グッドマンはんやらが、剽軽(ひょうきん)やけど、何とも渋~いとぼけた演技ぶりを示さはります。

そして、脱出劇映画としては、当時大ヒットした「スター・ウォーズ」(1977年・アメリカ)をシミュレートしたかのようなスリリングをば、構築してはるやろかと思います。

クライマックスとなる、空港から飛行機に乗っての脱出劇は、「ダイ・ハード2」(1990年・アメリカ)の逆バージョンどして、実話とは思えないくらいにサスペンスフルでおました。ちゅうことで、今のところ、ベン・アフレック監督の最高傑作やと、ジャッジいたします。

2012年10月 7日 (日)

2大スターの初共演やー「シャドー・チェイサー」

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ブルース・ウィリスはんと、シガーニー・ウィーヴァーはんの初共演やでー

「ダイ・ハード」的危険アクトもやらはった、若手ヘンリー・カヴィル君にも注目どす

http://www.shadowchaser.jp

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October10月27日Saturdayから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やら、109シネマズHAT神戸やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸFria Luz del Dia, A.I.E. 2011. ArtworkⒸ2012 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

昨日分析した「エクスペンダブルズ2」でも、出てはりましたブルース・ウィリスはん。その作品では少しは暴れてはったけど、さすがに今や体力勝負の作品は、どないやろかなやけど、本作では脇に回らはりました。

次代の若きアクション・スターをば、ハリウッド的には将来的にクリエイトしていかなあきまへん。そこで、イギリスの若手ヘンリー・カヴィル君が、ウィリスはんの息子はん役で主演を張らはりました。

多分スタントなしやろかなと思います。ウィリスはんの後継者になるべく、「ダイ・ハード」(1988年製作・アメリカ映画)的なビルの屋上からの、決死のロープ・ダイビングなんかも、ビビりながらやってはりまっせ。

ほんで、「ボーン」シリーズ(2002年・2004年・2007年・アメリカ)のマット・デイモンのアニキを意識したような、CGを使わないハードなアクションに、チャレンジャーでおますよ。しかも、お相手役のスペイン女優はん、ヴェロニカ・エチェギちゃんと共に、必死のパッチのアクション披露なんどすえ~。

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さてはて、シガニー・ウィーヴァーはんも、初の悪役とゆう触れ込みで本作に出てはります。しかも、ウィリスはんとは初共演なんどすえ。

1980年代から1990年代に大ブレイクした、ハリウッドのアクト男女優の、21世紀も10年以上を経た現代での初共演には、ボクチン的にはココロ震えよったし、また、過去の作品へのオマージュ的展開や設定よりも、今の2人を見せてゆくとゆう点では、「エクスペンダブルズ」シリーズ以上に、爽快な仕上がりや。

ほんで、ウィリスはんよりも、シガニーはんの方が出番が多く、それに応えるべく、ホンマに気分の悪うなるような、悪役ぶりで見せてくれはります。

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冷酷非情に無表情で撃ち尽くす、容赦のない銃撃戦も鳥肌もんやけど、やっぱ、クライマックスのカーチェイスが、イチバンヤーどすやろか。昼間のチェイスやなく、夜のスペイン・マドリードの市内チェイス。ヘンリー君がシガニーを追い、銃撃戦後は今度は、シガニーがヘンリーを追うっちゅう、ケッコー凝った作りでいってはります。短カット、近接撮影、しかも夜のダークな中での戦いやー。

「ワイルド・スピード」(第1弾は2001年・アメリカ)「タクシー」(第1弾は1997年・フランス)「フレンチ・コネクション1&2」(1971年・1975年・アメリカ)などの、カーチェイス・シーンの基本を押さえつつ、場所としての新しさをば、それなりに打ち出してゆく作りやったどす。

その意味では、マドリード・ロケは新鮮やったかな。リゾート地として、しぶきのキラキラが眩しい海の紺青感とか、往年のハリウッド映画によく見られた夜の描写などが、懐かしかったり、新しかったりしとりました。

「ボーン」シリーズの亜流のように見えるかもしれへんけど、2大・大御所俳優の演技で、見栄えのエエ作品にはなったと思いよります。

2012年10月 6日 (土)

オールスター映画の醍醐味「エクスペンダブルズ2」やー

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アクション・ヒロイズムとは何ぞやねん!をとことん追求したシリーズもんやでー

スタローン、シュワちゃん、ウィリスの御大3人が、前作以上に大暴れしよりますでー

http://www.expendables2.jp

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October10月20日のサタデーから、松竹はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 Barney's Christmas, Inc. All Rights Reserved.

最近ハリウッドのバクレツ系アクション映画が、イマイチ日本では売れとりまへん。理屈抜きに楽しめて、最後はスカッとするようなカンジの映画どすか。ほんで、ヒロイズムにあふれて、カッコエエやないかいなーっちゅうような映画やろか。

アクション・ヒーローとは何ぞやねんっちゅうのんを、徹底的に追究しようとしはったらしいです。しかも、1人ヒーローやなく、チームを組んでの集団アクション。さらに、相手に不足はないやんとゆう、好敵手を揃えてはるスタイル。あっさり勝ってしもたら、全然オモロありまへんわな。

加えて、ミッション系はミッション系も、戦争映画や西部劇やらの、この種の映画に似合う、男たちの友情やらチームのキズナ、ほんでリベンジ・モードなんぞを取り込んで、ドラマチックを煽り立ててゆく大仰そうな映画。

ここで、洋画を見ないようになった今時の若者たちへ。実は、かつてはそんな映画はいっぱいありましてな、日本でも大ヒットしとったんどすえ~。

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007を始めとしたスパイ・アクションやら「パイレーツ・オブ・カリビアン」(第1弾は2003年製作)やらアメコミ・ヒーローもんも、そらビックリドッキリやろけど、銃撃戦に加えガチ対決や肉弾戦が、次々にドトウのごとく、荒唐無稽的に展開する映画こそ、ハリウッド・アクションのデッカイ大黒柱なんでおますえ~。

1980年代から1990年代にかけて、一世を風靡しはった、ドル箱アクション・スターが揃い踏みになっとるんやけど、決して回顧趣味やったり、オマージュやパロディやありまへん。

確かに、「ターミネーター」(第1弾は1984年)な“アイル・ビー・バック”と言って銃をブっぱなすシュワちゃんやったり、「ランボー」(第1弾は1982年)がセリフで言われたり、ラストでは「ロッキー」(第1弾は1976年)を思い出させるスタローンやら、ある程度のオールド・ファン向けなスパイスは入っとるかもしれまへん。

第1弾では叶わなかったんやけど、4枚目の写真にあるようにでんな、スタローン、シュワちゃん、ブルース・ウィリスのスリー・アクション・ショットなんか、ファンにしてみたら垂涎もののシーンやしな。

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彼らだけやありまへん。「ユニバーサル・ソルジャー」(1992年)のヴァン・ダムとドルフ・ラングレンの再会やったり、マカロニ・ウエスタンな哀愁のサントラに乗って、登場しはるチャック・ノリスはんやら、知る人ぞ知るみたいなマニアックなシーンもあります。

でも、アクションに集中して見てまいりますと、そういった知る人は知るシーンは、実はほとんど気になりまへん。そんなん知らんでも、充分に楽しめるんどすえ。

今回は紅一点でユー・ナンのネーさんが登場したり、ガチにこだわる21世紀のアクト・アクターの、ジェイソン・ステイサムのアニキやらが、気合いの入った活劇シーンをば見せてくれはります。

第1弾をDVD(10月3日発売)で予習してでんな、映画館へ、いざ出陣どすえ~。

2012年10月 5日 (金)

石垣島ロケ日本映画「ペンギン夫婦の作りかた」でおます

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小池栄子ネー日本人女と、ワン・チュアンイー中国人男の、夫妻映画でおます

食べるラー油開発の、グルメ映画ノリもたっぷりどすえ~

http://www.penguinfufu.jp

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神無月10月20日の土曜日から、プレシディオはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田、ユナイテッド・シネマ岸和田やら、MOVIX京都、MOVIXココエあまがさき、滋賀県・ユナイテッド・シネマ大津やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012「ペンギン夫婦の作りかた」製作委員会

東京在住のフリーライターの小池栄子ネーさんが、カメラマンの中国人(台湾俳優のワン・チュアンイーのアニキ)と結婚しはります。でも、夫の勤める会社が倒産してしまいます。

でも、元気印の栄子ネーさんは失意の夫を連れて、まあ、ええやんかーと石垣島へと旅行しはります。ほんで、夫と共に石垣島の魅力に取りつかれてしもて、島にそのまま居ついてまうとゆう、取って付けたような展開で物語が始まりまんねん。

ところがどっこい、この話は実話がベースになっとりまして、その初期段階をどない見せるのかが、映画の中へ入り込めるか入り込めへんかの、重要なとこになりよります。

でもでも、その辺のとこは、夫が中国から日本へ帰化するっちゅうのんを、審査する那覇市の法務局での役人たちと2人のやり取りを、2人の生活とカットバックさせることで、ある種ドラマに潜む、ナゾナゾ的に仕込む作りでやってはります。このあたりの処理の仕方はお見事やったどす。

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それに、これまでに多数出てきておます、夫妻映画の系譜の中でも、異色の作りになっとります。まずは、ナンチューても、組み合わせやろか。

どこまでも前向きな栄子ネーと、ぎこちない日本語をば駆使しはる夫。ほんで、帰化申請を勝手にやったとゆう夫と、少々揉める2分くらいの長回し撮影以外は、夫婦ゲンカやトラウマめいたものはなく、ほとんど円満系のノリでいってまうところ。

フツーのようでいて、フツーやないようでもないようでいて、実はフツーやったみたいなフツー感。これはいわゆる、癒やしの映画でおましょうか。石垣島ロケだけに、観光的な美しき自然描写シーンも頻出しよりま。それもまた、フツーのように癒やしのように、魅せていってはります。2人のツーショットを含む、数々のロングショットもまた、映画的にも光っとります。

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さらに、癒やし映画のポイントとして付加しますれば、グルメ的映画のノリが挙げられるんやないやろか。ラーメンの「タンポポ」(1985年製作・日本映画)みたいに必死のパッチとは真逆の、食べるラー油をしっとり開発してゆくシーンに加え、いろんな料理が写真3枚目のように、上からのカットでケッコー出てまいります。ついついボクチンも見ていて、石垣島へ行って食べたくなってきよりました。

グルメ度の高さやら、そのおいしい映し方については、映画の質とは何の関係もないやも分からへんけども、映画の心地よさには関係してきよるでおましょう。ボク的には、グルメ映画やなんて何やねんて思たりするけど、本作にはそれほど違和感はありまへんどした。

ペンギン(辺銀)とゆう性にした理由のナゾなどの、ミステリー部もそれなりに用意してるんやけど、とにかく、ホッコリと癒やされる夫婦映画どしたえ。フツーっぽい言い方ですんまへんやけども、夫婦で一緒に映画館へ見に行っておくんなまし。

2012年10月 4日 (木)

PFFスカラシップ作品やー「恋に至る病」

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高校学園もの映画ジャンルに、新たに異質な怪作ラブ映画の登場でおます

「時をかける少女」的SF設定は、ここではどないなんやろかな~?

http://www.koiniitaruyamai.com

オクトーバー10月13日のサタデーから、マジックアワーはんの配給によりまして、東京・渋谷ユーロスペースやらで、全国順次のロードショーどす。ほんで、関西では、近日より第七藝術劇場で上映でおます。

公募「ぴあフィルムフェスティバル」(PFF)で受賞して、本作を製作しはりました。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸPFFパートナーズ

高校(高校以外の学校も)学園ラブ・ストーリーな、あるいはラブ込みの日本映画とゆうのんは、これまでにモノゴッツーなタイトル数が存在しとります。そういう腐るほど出てきとる素材に、あえてチャレンジするのは、間違いなく冒険以外の何ものでもないと申せましょう。

ナンチューても、パターン化しまくりの素材なんで、生徒同士をメインに、先生同士、生徒と先生、先生or生徒と校外関係者とゆう、ラブの形態としてはこの4パターンしかござりまへん。三角関係を描くにしても、このいずれかの二角、もしくは一角が入ったパターンやろけど、一角だけやったら、チョイ学園から逸れてしもたりしよります。

ほんでもって、本作のパターンは、いかほどのもんやろかと申しまするに、生徒と先生どす。ほんで、生徒同士の恋愛も並行的に描かれま。

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但し、学園がメイン舞台やありまへん。ちゅうか、高校が夏休みの間の話なんでおます。休みの間に、先生の実家で合宿するとゆうノリで、お話は展開してまいります。

ネタばれせんように言うと、「転校生」(1982年)の変種版やて、いきなりネタバレやん!やけど、ネタそのもんは早い段階で、それなりに分かるようにはなっとりまんねん。

問題はソレが何かっちゅうことなんで。SFスパイスなんやけど、ソレは「時をかける少女」(1983年)のタイムスリップ系のスマート感とは違いますんで、ご注意あれどすやろか。

天然系をジでゆく新人・我妻三輪子ちゃん(写真1枚目と2枚目)が、生物の先生(斉藤陽一郎のアニキ)に恋してしもて、のっぴきならない事情によりまして2人合宿をしはります。ほんで、事情を察知しはった、三輪子の友達の佐津川愛美ちゃんを先にして、愛美ちゃんの彼氏・染谷将太クンまでが、先生の実家・合宿先に来はります。

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生徒からのイチズな愛を描くんやけど、それをば、どうこれまでにないパターンで描いてゆくんか。そこは木村承子監督の、ピンときたワン・アイデアやったかもしれまへん。

男性監督やったら、作品名は出しまへんけども、神代辰巳監督みたいに思いっきしやってまうんやけど、監督は、だって、女の子だもん! なんてのはないやろけど、のほほんな三輪子ちゃん、クールな愛美ちゃん、いつも通りのブッキラボウ節な染谷クン、戸惑い系演技の先生役・斉藤アニキ。このカルテット演技によって、監督のソフィースケイトされた演出ぶりは表現されとるやもしれまへん。

でも、もっとストレートに確執・拮抗シーンを、濃厚にネチネチとやらはったら、園子温監督ばりにスゴイのんになったはずどすえ。少々惜しい作りやけども、みなはんにも見てもろて、イロイロ感じてもらいたい1本ではあります。

2012年10月 3日 (水)

4時間27分のポルトガル映画「ミステリーズ 運命のリスボン」どす

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大河ドラマも変格系のスタイルでいってはります

これまでの群像劇的系ドラマ性を、ビミョーに外しはった作りどすえー

http://www.alcine-terran.com/mysteries/

10月13日サタデーから、東京・シネスイッチ銀座やら。ほんで、11月10日からテアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。配給しやはるのんは、アルシネテランはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCLAP FILMS(PT) 2010

4時間30分弱の全編を、前半2時間、後半2時間半で見せはる映画(ポルトガルとフランスによる合作)でおます。監督しはったんは、南米チリ出身の監督のラウル・ルイスはんどす。

恥ずかしい話なんやけど、ボクはルイスはんの作品をば、本作を見るまで1本くらいしか見ておまへん。しかも、監督は遺作やないけど本作完成後に逝去してはるんどす。ああ、合掌! ただ、これだけの長尺の作品は、キャリア史上初めてでおました。

「カルロス」(今年8月22日付けで分析)の時に、4時間以上作品のマイ・ベスト&カルトを披露いたしましたが、本作もベストにもカルトにも入ってもエエような、充分な仕上がり具合を見せはりました。「カルロス」と同じくテレビ・バージョンを撮りつつ、映画版へとスライドさせはったらしいどす。

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この種の長尺映画は大河ドラマであり、ほんで何代にもわたる家族映画とゆうのんが、1つのポイントになっとるようにも思いよります。大河的には歴史もんやから、家族の歴史を描いとったら、それなりの体裁を整えられるやろとゆう、目論見があるんやろけど、本作はフツーの家族もんやありまへん。

いや、家族やコミュニティや仲間ナンチュー括りが、ないようなとこから始まっとるような群像劇なんどすえ。複雑系の人間関係図でやってはるんやけど、主に3人の男たちの物語に絞られておます。オトン・オカンを知らずに生きる少年、その少年との関わりでナリアガらはったオッサン、ほんで、いちおう語り部役のようになってはる、少年の面倒を見てはる神父はん。

最後の方で、大人になった少年と決闘することになるナリアガリはんが、「人生は複雑だ」と言うように、実はドラマ的にはわざとのように複雑・屈曲系を志向してはるようどす。

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一体、何を目指して監督は描いてはるんか、時々分からんようになったり、視点がブレて誰の話なんか分からへんようになったりする、迷宮があったりしよりました。

ルキノ・ヴィスコンティ監督的な、上流階級を妙に意識してはるんやけど、ヴィスコンティのようなネバネバ感はありまへんどした。多分、それは長回し撮影の、時にユルユルしたようなとこが関係しとるんやないでしょうか。7分近い神父とナリアガリの再会シーンやら、6分近い決闘シーンなどに加え、固定撮影に移動撮影を加えたゆったリズムなんかが、重さを解消しよります。オカンらが病床に伏す息子・少年を見守る、揺らぐような幻想カットにも心惹かれました。

そして、ブ厚い弦楽オーケストラ・サウンドをメインにした、本格的なサウンドトラックが、映画をドラマティックに大仰に見せてくれはるんどすえ。とにかく、人と人のつながりで見せてゆく作劇術の中で、渋みとコク入りの妙味ある逸品でおました。

2012年10月 2日 (火)

ジェイソン・ステイサムはん主演の「SAFE/セイフ」どす

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少年・少女を連れてのアクション映画でも、相当ワイルドな作りどっせー

NYものアクションでも、今までをトレースしとるようやけども…

http://www.safe-movie.jp

オクトーバー10月13日の土曜日から、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます。

本作のアメリカン映画を配給しやはるのんは、ブロードメディア・スタジオはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Safe Productions, LLC. All Rights Reserved.

忌憚なく、はっきり申し上げよりますと、本作はジェイソン・ステイサムのアニキのための映画でおます。この映画だけやなく、主演俳優の誰々のための映画ちゅう、ジャッジを下すようなのは、スター映画そのものなんどす。

しかし、スター映画がスター映画として機能しないようなところが、日本では顕著になっとります。ところで、ステイサムはんて、どないどすかー、みなはん、知ってはりますやろか。

「トランスポーター」シリーズ(第1弾は2002年製作・フランス映画)でブレイクしたとされてはる、イギリスの男優はんなんやけど、どないどすかー。近々分析予定の「エクスペンダブルズ2」(10月20日全国公開)でも、スタローン、シュワちゃん、ブルース・ウィリス、ヴァン・ダムやらと対等のアクションぶりを披露してはるんやけど、アクション俳優そのものの、21世紀以降の衰退ぶりとゆうか、日本だけなんかもしれへんけども、そんなあんまし良くない流れみたいなんがあります。

ホンマやったら、ウィリスはんの後継者として、日本でも大ヒットするバリバリの作品に出てはるような逸材なんでおます。特に、そのクールなたたずまいやら演技性には、まさに21世紀的なアクション・ヒロイズムがあるかと思います。まあ、人によって好みは違うやろけど、何はともあれ、今後のアクション俳優として、最も期待されてはる人であります。

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さてはて、最も大事なんは、どおゆう風に新ヒロイズムを見せてゆくんか、どす。ネタギレかしましいハリウッドでは、これまでに出てきたものをバージョンアップしたり、変格系のアクトで魅せて、それなりにガンバなんやけど、本作は、あくまでストレートなアクション映画、時にそんなのあるんかいやーなとこも見せつつ、正攻法のスタイルでいかはりました。

少年・少女の子連れのアクト映画となれば、即思い出すんは「レオン」(1994年・アメリカ)やらでおましょうか。「グロリア」(1980年・1998年・アメリカ)やら「アジョシ」(2010年・韓国)やら。まあ、間違っても「子連れ狼」シリーズ(1972年~1974年・全6作・日本)は出ないやろけど。但し、それらの作品との違いを言いますと、かなり荒っぽい作りどした。

ほんで、過去の作品例としては、いっぱいあるNYアクトなんやけど、それらをツギハギ的に、トレーシングしたとこもないとは申せまへん。それでも、ドトウのごとく、たたみかけてきはるような、ステイサムはんの銃撃アクションをメインにしはった、アクト・シーンの連続には、強引な展開ながらも、爽快感と共に、見終えられる作りにはなっとりまっせ。

カジノの金庫からの大金奪取、近接撮影をメインにしたカーチェイス、地下鉄やらホテルのレストランでの銃撃戦など、テンコ盛りでやってはります。時に、黒澤明の「用心棒」(1961年・日本)やらのセンスさえもカンジよりました。無理矢理に、ステイサムはんと少女のキズナへと持ってゆくカンジも、ある意味ではウルトラ・ワザでおましょう。とにもかくにもでんな、見たらスカッとするアクション映画には、間違いおまへんで~。

2012年10月 1日 (月)

フランス映画「バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~」

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バレエ・ドキュメンタリーの宝庫フランスから、また1本現れましたどす

バレエ夫妻2人に、フォーカスした作りでおます

http://www.alcine-terran.com/ballet

October10月13日Saturdayから、アルシネテランはんの配給によりまして、大阪・梅田ガーデンシネマやらで上映でおます。その後、10月27日から京都シネマなどでヤラはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ 2011 Delange Productions - Wide Management - all rights reserved.

バレエ・ドキュメンタリー映画と申しますれば、日本に上陸してるもんだけを見てるからかもしれへんねんけど、フランス映画が何やら多いように思いよります。

「リトル・ダンサー」(2000年製作・イギリス映画)、「エトワール」(1989年・イタリア)、「センターステージ」(2000年・アメリカ)など、ドラマ映画やったら、一国には偏ってはおりまへんねんけど…。

本作のマレーネ・イヨネスコ監督など、バレエ・ドキュを専門に撮ってはるような、映画ドキュ監督がいてはるだけに、フランスではそれなりに需要があるんでおましょうか。

とゆうても、ボクチンがバレエ・ドキュの最高傑作やと、勝手に思てるフレデリック・ワイズマン監督の「パリ・オペラ座のすべて」(2009年)も、フランス映画でおました。ほんでもって、ほとんどがこのパリ・オペラ座を舞台にしたもんでおます。

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しかも、「エトワール」(2000年・フランス)やら、オペラ座の実情やら現状を採り上げたもんが多いんやけど、本作は夫・オペラ座の振付師(ピエール・ラコットはん)と妻・バレエダンサー(ギレーヌ・テスマーはん)が結ばれはって、ほんで、夫妻映画的なテイストを織り交ぜて展開しはるんどす。夫妻の視点を入れるっちゅうのんは、モチ新しおます。

マーラーの交響曲を流しての、現在の夫妻の様子から、過去へと戻ってゆき、ある種夫妻ドキュのようなカンジで紡がれてゆくんどす。1950年代の日照りの2人のツーショットから、過去シーンはスタート。

オーケストラ・サウンドに乗った、過去から現在までの、いろんな演目の一部のみが、披露されてまいります。映画のほぼ7割がたが演目シーンなんどすえ~。

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唐突ながら先頃、今年いっぱいで富士フィルムが、映画フィルムの製造をやめることを発表しはりました。今後はデジタルのみになるんやけど、でも、やっぱフィルム感は映画の映画たるところでおましょう。

本作でゆうとでんな、1950年代から1970年代あたりまでの、ビスタサイズのモノクロ映像やら、ザラ付いたカンジのカラーなど、フィルム感の渋みが映されておます。

映画としても有名な素材も、演目にありま。例えば、「ハムレット」や「三銃士」なんぞの演目を、映画との比較で見るのんも、オツなもんやろかと思います。そんな中でも、夫が振り付けはった2010年の東京公演の、男女2人パフォーマンスは、長めに見せてケッコー見ごたえがありました。

ただ、時にバレエ的専門視点に陥ったり、唐突なお気に入りダンサーの話とか、流れの悪いとこも散見しよりました。でも、バレエ・ファンだけやなく、映画ファンにも訴求できる作りには、何とかなっとるんやないかいなと、ボクはジャッジいたします。

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