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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年9月の記事

2012年9月30日 (日)

今年の日本映画ベストワン級の作品「終の信託」(ついのしんたく)

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「海を飛んだ夢」よりも、より現実的な尊厳死の問題を採り上げはりました

周防正行監督のシリアス映画作家性は、遂にクライマックスを迎えたでー

http://www.tsuino-shintaku.jp

神無月10月27日の土曜日から、全国東宝系イッセーのロードショーやー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 フジテレビジョン 東宝 アルタミラピクチャーズ

前々作の「それでもボクはやってない」(2007年製作)でもメッチャ取材して、たかがチカン裁判を、重厚なドラマ映画に仕立て上げはった周防正行監督。ハリウッドでリメイクまでされた「Shall we ダンス?」(1996年)が、コミカルな人情系人間ドラマの周防監督の最高傑作とするならば、本作はその正反対とも言える、シリアス・ヒューマン系のピークをば示さはりました。

女医師と男患者のキズナによって行われた尊厳死・安楽死と、その告発に対する検察捜査のシビアさが、実話ベースの原作小説があるとはいえ、「それボク」以上に綿密な取材をして作らはった1本どす。監督は映画的な色付けとして、リアル感を一部外したとゆうてはりますが、逆にそれが映画としての重みを増してはるようどす。

アカデミー賞で外国語映画賞を獲らはった「海を飛ぶ夢」(2004年・スペイン&フランス合作)も尊厳死がテーマやったけど、こちらはよりリアルに、ミステリー的タッチも加えながら展開しはりますし、「半落ち」(2003年)的なとこもあるんどすえ。

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患者の遺族から告発されてしもた、医者役・草刈民代ネーさんが、検察庁に来やはります。ほんで、検事の聴取を待つ待合室で、えらい長いこと待たされることとなりよります。その間に、ぜんそくの患者役・役所広司アニキとの過去を、振り返らはるちゅうカンジで、物語は進行してまいるんどす。

これまでイロイロあったこの種の映画の、現在と過去のカットバックやけど、短い現在カットも入るものの、過去をほぼ時間順に連続的に見せてゆかはります。リアリティーを促進する長ゼリフ、過去の過去振り返りシーン、適度な長回し撮影など、2人の関係描写が、丁寧に詳細に描き込まれていきよります。

浅野忠信アニに振られてしもた、民代ネーさんが自殺未遂するシーンとか、役所はんと民代ネーのツーショットによる会話シーンやら、重要なシーンは適宜長回しで見せはります。

ほんで、ショッキングな尊厳死シーンがやってまいります。この説明的で長めの緩めの流れの中で、突然のように巻き起こる恐るべき波紋…。「白い巨塔」(1966年)や「海と毒薬」(1986年)やらの、驚きのシーンに比肩しますでー。

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そして、「それボク」の裁判とは違い、今回は被疑者とのガチな室内劇による検察聴取が、クライマックスになっとります。その容赦のないシビア極まりない聴き込みぶりは、もの凄いとゆうか…、見ていて気分が悪うなってきよるとゆうか…。

大沢たかおのアニキが検察官役をやってはるんやけど、見ていくにつれて、大沢アニの方が非情な悪役に見え、民代ネーさんがかわいそうな弱者のように見えてきます。コレが現実の様子なんやろけど、かつて映画で描かれた検察聴取ぶりには、こうした厳しいヤラシーとこは、そない映されとりまへんでした。

いずれにせよ、重たい素材ではありま。家族みんなで見に行きなはれとは…とてもやけど、でも、傑作です。ボク的には、「苦役列車」(今年6月24日付けで分析)を抜いてもうて、今年の日本映画のナンバーワン映画どすえ。追記しよりますと、本作なら「それボク」は落選してしもたけど、アカデミー賞外国語映画賞を狙える作品やと確信いたします。

2012年9月29日 (土)

中山美穂・向井理の共演「新しい靴を買わなくちゃ」どす

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オール・パリ・ロケによる、コレがミポリン流のラブ・ストーリーやー

完璧に近いくらいの観光ノリが、ある意味で凄いどっせー

http://www.newshoes.jp

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オクトーバー10月6日サタデーから、東映はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「新しい靴を買わなくちゃ」製作委員会

これまでにパリ・ロケによるパリ舞台映画と申しますれば、そらモノゴッツーなタイトル数が出てきておます。それでも日本映画に限定してしもたら、稀少価値のあるもんになりよります。ボク的には、パリ在住の岸恵子を主演にした「化石」(1975年製作)がイチバンヤーなんやけど、こちらは同じくパリ在住の、中山美穂ミポリンをヒロインにして描いてゆかはります。

ほんで、まさに、ミポリンのために用意されたような映画でおました。フジテレビ製作の「Love Letter」(1995年)で、ミポリンを主演にしはった岩井俊二監督がプロデュース。しかも、1990年代のテレビのトレンディー・ドラマの脚本家からキャリアを始めてはる、北川悦吏子ネーさんが監督なだけに、濃厚にその種のドラマ性がありま。

さらに、ドラマ的セリフを、よりアドリブっぽい日常会話ノリへと変えて、ミポリンもお相手役の向井理アニキも、自然体の演技で魅せてゆかはるんどすえ。

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監督の意図を推し量ってみますとでんな、パリ映画の名作は余りにも多いし、正攻法で作ってもとてもかなわないやろう。そこで、観光ノリの軽ラブ・ストーリーをワザトラマンのように作り、ほんでフツーの会話の天然系で最後まで通してみたら、一体どないなるんか。それを試してみはったんやないやろか。その意味では、実験的な映画として見ることもできる映画やと思います。

一方で、今までの映画にはまずなかったやろう、完璧に近い観光ノリは、潔くて清々しささえ覚えよりました。ミポリンのケータイ案内で、向井理が凱旋門、シャンゼリゼ通りと、ホテルへ向かうシークエンスなんぞは、モロそれやし、エッフェル塔やらセーヌ川下りやら随所に出てまいります。

ただ、向井理の妹はん役の桐谷美玲ちゃんのラブ部が、付け足し的なカンジがして、少々物足りない気はしましたが、主役の2人のラブ部を際立たせる意味においては、これでええんかも分かりまへん。

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さて、細部のチェックをしてみまひょか。冒頭のスロー・モーション入りのモノクロ・カットから、さっそく映画作家性の一部をば披露しはります。1分以上の長回しも、時おり使ってはります。酔いつぶれたミポリンを向井理がオンブするとことか、ミポリンがベンチに座るロングショットの、ラスト・シーンなども印象的どした。また、向井理が本編で言う「太陽が出てる時の空は、青空ではなく白い」の言葉を、ミポリンとのデート・シーンで見せてくれはります。

そして、サントラ部やー。本編ではモーツァルトのピアノ・ナンバーをミポリンが弾いたりするけど、ナンチューても音楽監督の坂本龍一はんの、癒やしのピアノ・ナンバーがしっとりきよりました。ちゅうことで、ミポリン・ファン、向井理ファンのどちらも、必見の1本でおます。

2012年9月28日 (金)

アメリカン歴史ミステリー映画「推理作家ポー 最期の5日間」

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実在したミステリー作家が活躍する、ハードボイルド・ミステリーやー

映画「シャーロック・ホームズ」並みに、アクショナブルどすえー

http://www.poe5days.jp

神無月10月12日のフライデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、東京・丸の内ルーブルやら、大阪ステーションシティシネマやらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Incentive Film Productions, LLC. All rights reserved.

エドガー・アラン・ポーて、みんな、知っとるかー。19世紀の前半に活躍しはったアメリカの小説家で詩人はん。ほんで、ホラーやら、ミステリーやらのルーツ的作家でおます。

江戸川乱歩は知ってはるやろと思いますが、乱歩はんは、このポーはんからペンネームを取らはったんは余りにも有名どすが、心底このポーはんに心酔してはったんどす。ポーはんの言葉「夜の夢こそまこと」を、座右の銘のように飾ってはったそうでおます。

でも、そんなポーやけど、死ぬ前は酒浸りの毎日で、そして、「レイノルズ…」ナンチュー、本人の周辺にはいてへん、ワケ分からへん名前を残して死なはりました。でもって、本作はその謎のダイイング・メッセージをヒントにして、ポーの最期の5日間をドラマティックに、フィクションとして紡がはりました。

実在のミステリー作家を主人公にした映画とゆうのんは、フィクションとして展開した乱歩の「RAMPO」(1994年製作・日本映画)やら、アガサ・クリスティが行方不明になった10日間を描く「アガサ・愛の失踪事件」(1979年・アメリカ)なんぞがござります。

ゆうてみたら、本作は「アガサ」に近いノリなんやけど、資料も分析考証してはるにしても、よりフィクションなとこを引き出して、映画的に躍動感ある作りにしはりました。さらに、推理作家の話らしく、ミステリー的にも映える作品となっとります。

何せ、ポー自身が探偵役となり、犯人によって拉致された愛する彼女を取り戻すために、必死のパッチで推理し、ほんで推理だけやなく、銃撃アクションなんかも披露しはりまんねん。

小説の主人公キャラが活躍する「シャーロック・ホームズ」シリーズ(2010年・2012年・アメリカ)並みの活躍ぶりどして、フィクションとノンフィクションが巧妙に交錯してゆくのんは、ある意味でハットトリッキーやもしれまへん。ちなみに、本作より先に分析したコッポラ監督の「ヴァージニア」(今年8月7日付けで分析)でも、ポー役が出ますが、そちらは現実的やなく、幻想的なキャラ設定でおました。

とゆうことで、本作。ポーが書いた小説通りの模倣殺人が次々に起こりましてな、ポーが疑われるんやけど、ポーの恋人がさらわれて、遂にポー自身が立ち上がります。そして、姿を見せない犯人との間で、手紙やらで丁々発止のやり取りがあり、最後には意外な犯人像が立ち現れるとゆう、犯人当てミステリーの粋が詰まっておます。

ポーに扮するジョン・キューザックのアニキの、酔いどれ探偵ぶりやらを含め、ハードボイルドな探偵的キャラ造形には、ポーのイメージを完璧に180度変えよります。加えて、そのハードボイルド性とミステリー性の絶妙な融合が、本作をオリジナリティーの高いもんにしとるかと思います。ちゅうことで、みなはん、一丁、犯人当てにチャレンジしてみておくんなはれ。

2012年9月27日 (木)

ネコを通して人間を描く「くろねこルーシー」やでー

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ユニークな黒猫占い師の、人間ドラマ映画でおます

地方局によるテレビドラマの、劇場版とゆう珍しいタイプどす

http://www.kuroneko-lucy.info

10月6日の土曜日から、AMGエンタテインメントはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町やら、大阪・梅田ブルク7、シネマート心斎橋やら、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸とかで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012「くろねこルーシー」製作委員会

ネコ映画の中で、ネコが躍動的に機能してゆく映画とゆうのは、皆無に近いんやないかなとボクは思ておます。以前にも犬猫映画分析の中でもゆうた覚えがあるんやけど、イヌはまだ調教できても、ネコはどないなもんなんやろか。怪しおますで、そら、ホンマ。

「キャッツ&ドッグス」(2001年製作・アメリカ映画)みたいにでんな、CG込みで誤魔化したろかいや~ナンチュー苦肉の策やったり、適当にネコを動かして適当にあとで編集してまうのんとか、まあ、イロイロござりまっしゃろな、ほら。

ボク的には、ネコがドラマ・ポイントになっとる日本映画を見るんは、「レンタネコ」(今年5月4日付けで分析)に続き、今年はコレで2本目でおます。但し出来はともかくも、どちらの作品も共に、ネコを媒介にして人間を描くとゆうハードルの高い分野に、チャレンジしてるのには興味深く思いよりました。

猫をドキュメンタリー・タッチで捉えて大ヒットした「子猫物語」(1986年・日本)とか、ペットとして猫を捉え、人との交流を寓話的に描いた「グーグーだって猫である」(2008年・日本)など、猫映画にもそれなりに快作はあるんやけど、いずれも人間ドラマとしてのキレは、どうやろかなとゆうカンジどした。ほたら、本作はそれを達成しとるんかと言われたら、ボクは首を捻るかもしれへんけど、でも、健闘してはるかとはカンジました。

さてはて、本作は今や当たり前のように展開しとります、連続テレビドラマの映画版、しかもそない多くない地方局のUHF局が、総力を挙げはった映画でおます。そやから、これまでのキー局が仕切るタイプのドラマの劇場版とは違って、妙にマイナー系の渋みっちゅうか、哀愁がありま。

ほんで、「木更津キャッツアイ」シリーズ(2003年・2006年・日本)やらで採り上げられた、千葉県・木更津ロケが敢行されておます。特に、本作のメイン舞台となる遊興センターの造形てゆうたら、1990年代あたりの雰囲気を濃厚にカンジさせる、絶妙なロケーションでおました。

テレビの方はボクは見れてへんねんけど、山本耕史アニキと京野ことみネーさん夫妻家族の話らしく、冒頭とラストの方でこのお2人が出てきはります。でも、メインは黒猫占いをやらはる、山本耕史のオトン(塚地武雅=つかじむが)の話なんどすえ。

しかも、占い師の人間ドラマちゅうのんは、まあ、これまでにほとんどありまへんで。そして武雅アニキの、のほほんにしてどっち付かず、けど妙に情に流されてゆくような人のエエカンジは、みんなの好感をきっと呼ぶことでおましょう。

2012年9月26日 (水)

中国・香港合作の人間ドラマ映画「桃(タオ)さんのしあわせ」とは?

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老メイド役ディニー・イップはんが、ヴェネチア国際映画祭で主演女優賞ゲットやー

彼女をいたわる、アンディ・ラウのアニキの演技もしっとりのグーどすえ~

http://www.taosan.net

神無月10月13日の土曜日から、東京・Bunkamuraル・シネマで、ツインはんの配給によりまして、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、10月27日から梅田ガーデンシネマやらで上映でおます。その後、12月から、シネ・リーブル神戸、京都シネマやらでもヤラはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ Bona Entertainment Co, Ltd.

長年一家に仕えてきはった、中国のハウスメイドはんの老後を描いた、渋いとゆうか、渋過ぎる作品でおます。一家のほとんどは今は、アメリカへ引っ越してはりまして、中国の実家にいてはるのんは、アンディ・ラウのアニキだけ。

でも、ディニー・イップはん(ジョニー・デップと語呂合わせできそうやけど、香港で歌手として名をなすとほぼ同時に、女優にならはり、これまでに渋い役をばやってきはりました)扮しはる老メイドはビョーキで倒れ、引退して老人ホームに入るてゆわはります。

そんな彼女をいたわるアンディは、彼女の老後の全てを面倒みようとしはります。泣かせようとゆうベタな意図は、ほとんどカンジまへんどした。全員がいい人たちばかりで、拮抗シーンはなく、ほんで登場人物の誰もが泣きませんので、もらい泣きなんてこともござりまへん。

しかし、この2人の何げない、仮想・母と息子のようなキズナ描写シーンの数々の積み重ねが、観客の涙を絞らせる方向へと、自然に持っていってはります。

特にインパクトある演技性はないにも関わらず、流れのままの自然体でいってはるディニーはんのイメージは、見たあとにチビリチビリとココロに効いてくる演技やと思います。映画そのものはヴェネチアで5冠なんやけど、中でもこのディニーはんの主演女優賞はスクープ級の特筆もんやし、受賞して当然の渋演技ぶりどした。

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また、老人ホームの人間関係描写や群像劇部も、「旅路の果て」(1939年製作・フランス映画)なんかより、ディープで悲劇的やなくてあっさりしとります。人も死んだりするんやけど、そのあっさり感が程よい心地よさをもたらします。

ほんで、ノーギャラで本作に出演したアンディの、かつてない自然体演技ぶりにも驚きがありました。ちなみに、本作は香港映画界のプロデューサーのロジャー・リーはんの、実話がベースになっとりまして、アンディはそのリーはんの役をばやってはります。

その意味では香港映画業界の裏話が、2人の物語とはミスマッチ的に絡んできよりまして、その妙味もまた、クセになったりしよります。ツイ・ハーク監督やらサモ・ハンやら有名人が実名で出てきて、アンディと映画について語り合い飲み合ったり、ディニーはんをアンディが招待しはる、何度も映画化されてるらしい「三国志」の、新作完成披露試写会でのエピソードやったり、ディニーはんとは何の関係もないシーンさえも、ドラマにアクセントをば付加しとります。

「ドライビング・ミス・デイジー」(1989年・アメリカ)やら「最強のふたり」(今年8月20日付けで分析)やらとはまた違った、静かで麗しき、主人&使用人のキズナを捉えた快作でおましょう。地方に住んではる方々は、ビデオ化を待つよりも、遠出してでも映画館で見てもらいたい1本どす。

2012年9月25日 (火)

オールスター・モンスター揃い踏みのハリウッド・アニメ「モンスター・ホテル」

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かつてハリウッド映画に出てきよったモンスターらを、思いっきしパロディ・コメディ化や~

「トワイライト」シリーズチックな、ラブ・ストーリー部も見どころどすえ~

http://www.monster-hotel.jp/

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セプテンバー9月29日のサタデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、3D・2D同時公開の日本語吹替え版にて、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、神戸国際松竹やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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かつてハリウッド映画のモンスター・ホラー映画で、観客を怖がらせまくりよったモンスターたちが、勢揃いしよったアニメどす。

そら、モノゴッツーな恐ろしやーと思いきや、オトロシー・イメージを100パーセント反転させて、コミカルノリのキャラへと転移させはりました。しかも、人間の方がモンスターより怖いわと、怖がってはるモンスター・キャラたちどして、逆転の発想がメッチャオモロうて楽しおすえ~。

ドラキュラやらゾンビやらは、カラー化作品もありましたが、戦前のモノクロのハリウッド作品からの、キャラたちが多うござります。狼男、フランケンシュタイン、包帯に包まれたミイラ人間に、透明人間やて…。透明人間は果たしてモンスターかいやの、ツッコミも入れたくなりますし、ほなら代わりにキングコングはどないやねん、なんて思いますけども、とにもかくにも、そんなモノクロ・キャラたちが、カラフルで多彩なカラー・アニメ化しはったんどすえ~。

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さてはて、作品性におきましては、いろんな作品とシンクロナイズしてきよります。まあ、イの一番に思い出すんは、本作みたいにオールスターズで弾けてへんけど、ディズニー・アニメの「モンスターズ・インク」(2001年製作)やろか。そちらは人間の女の子がモンスター世界に紛れ込んだ設定やったけど、本作は男の若者人間がそういうことにならはります。

ドリーム・ワークス・アニメの、モンスター主人公の「シュレック」シリーズ(2001年~2010年・全4作)ともシンクロするやろし、多彩な日本的妖怪を出したスタジオジブリの「千と千尋の神隠し」(2001年・日本)までもが、何やら視野に入っとるようにも思いました。

加えて、ファミリー映画のノリがござりまして、ボク的には、実写映画やけど「アダムス・ファミリー」(1991年・アメリカ)のタッチもカンジとります。

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さらに言いよりますと、人間と吸血鬼のラブ・ストーリーとしてのスタイルは、モロ「トワイライト」シリーズ(2007年~2012年)どすえ~。ほんでもって、パロディ・コメディ的なおバカチックなノリの、妙にココロくすぐる仕上げぶりどすか。

ドラさんなんて呼び方やけど、「ドラえもん」の新しき呼び方かと思いきや、かのドラキュラ伯爵なんどす。ほんで、モンスター・ホテルでの、いろんなイベント・シーンのトンデモなさやー。中でも、ケッタイなモンスター・ロック・バンドの奇妙奇天烈感が、ボクチンのお気に入りどす。リードボーカルのフランケンシュタインやらが、大いに笑わせてくれはりました。ラストで披露される、お祭り的なヒップホップ歌っての、ダンス・シーンなんかも印象的やろか。

そして、終始パロディ的に即した作りには、いろんなシーンでアッと言わせはります。フランケンやドラキュラの、本気モード・シーンさえパロディ化されとります。それでいて、ファミリー映画としての新味もあるんで、家族一同みんなで映画館へ、レッツラゴーでおます。

2012年9月24日 (月)

東日本大震災ドキュメンタリー「生き抜く 南三陸町 人々の一年」

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この間、数多く出てきた震災ドキュでも、被災者たちに寄り添わはった作りどす

テレビ・ドキュの映画版としての、在り方まで問わはります

http://www.mbs.jp/ikinuku-movie/

神無月10月6日の土曜日から、MBSはんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場にて全国順グリのロードショーでおます。東京は10月下旬より、ポレポレ東中野やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸMBS

東日本大震災関連のドキュメンタリー映画は、発生して1年半経っとりますが、これまでに多数のタイトル数が出てきておます。福島原発にまつわるものまで含めますと、20本以上を超えとるんやないやろか。

でも、それらの作品のほとんどは、ドキュとしての社会問題追究系であったように思います。本作のように、被災者のキモチを鑑み、被災者に寄り添ったような作品はそない多くはありまへん。

しかも、映画ドキュ作家が捉えはったもんやござりまへん。テレビ局が映画版として撮らはったもんなんどすえ。しかも、東日本やなく、関西のテレビ局MBSはんが、1年間にわたり被災地・南三陸町へと、長期ロケをば敢行しはりました。

NHKの映画ドキュ版はないんやけど、最近は東海テレビやらWOWOWやら、テレビ局の映画ドキュがそれなりに公開されておます。しかし、本作は映画ドキュとしての在り方までを、追究した作品になっとります。

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テレビ・ドキュも映画ドキュも、ナレーションを施して、見る人に説明的に伝えてゆくとゆうのんが常套なんやけど、本作は字幕説明はあるんやけど、ナレーター抜きで映像で描写することに徹底してはります。

このスタイルはフランスのドキュ映画の巨匠、フレデリック・ワイズマンはんのタッチをば、取り込んではるんやないやろか。

さて、ここで描かれるのんは、2万人以上の被災者たちの悲しみの物語がある中で、あくまでほんの一部のものでござります。約4被災者の話なんやけど、但しそれらは集約され凝縮された、4つの悲しみを描いてはります。

各被災者へのインタビューはもちろんありますが、形式ばったようなインタビューはしていず、各人のキモチや述懐を自然なカンジで、すくい撮るとゆう姿勢をば貫いてはりました。

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嫁はんが津波で死に、コドモ2人を残された旦那はん。死体が出ず、旦那はんの行方を探し続けてはる嫁はん。役所で防災対策部にいはった娘はんを、亡くした漁師のオトン。2人暮らしやった兄やんを亡くして、1人ぼっちになってしもた老女の妹はん。家族ドラマ、夫妻ドラマ、父娘ドラマ、そして、兄妹ドラマ。

それぞれ残念ながら、死んでしまわはった人たちへの、哀悼を捧げつつも、残された者たちはそれでも、生きてゆかなければならないわけどして…。フツーのように、悲しみを乗り越えて前向きに生きてゆこうやんか!なノリで描かれてへんところが、ドキュのドキュたる、現実を映すシビアなところでおましょうか。

そんな中でも、四季折々の風景は毎年やってきよります。写真4枚目のタンポポ香るシーンやら、夏の花火シーン、ほんでセピア・イエローな2012年元旦の海辺の日の出シーンやら、癒やしのシーンも、そうっとさりげのう挿入してはるんどすえ。ボクはこれまで出た東日本震災ドキュの、最高傑作やと思います。

2012年9月23日 (日)

番外編・名作へのいざない「浪華悲歌」(なにわエレジー)&「祗園の姉妹」(ぎおんのきょうだい)

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共にネガティブ・ヒロイン邦画のルーツ的作品やでー

追悼・山田五十鈴ネーやんと溝口健二監督の、日本映画史に残るコラボレートどすえー

http://cinenouveau.com/

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「追悼特集 女優・山田五十鈴」として、10月12日まで、大阪のシネ・ヌーヴォで特集上映中どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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先頃逝去された大女優・山田五十鈴(いすず)はんが、19歳のピチピチのネーさんやった頃の映画を、フィルム上映で2本も拝見させていただきました。2本共に、戦前の映画にしてモノクロ。ほんで、溝口健二監督の作品でおます。

その作品とは①浪華悲歌(1936年製作・写真4枚目・5枚目・DVDジャケットの2枚目)と②祗園の姉妹(1936年・写真1枚目・3枚目)どす。

さてはて、溝口監督てゆうたら、女性ドラマ映画を数多く作ってきはりました。しかし、その内実はほとんどが“負”の女ドラマどした。喜怒哀楽の喜楽を抜いたカンジで、しかも、怒りはどちらかてゆうたら、哀の中で演出・表現されるっちゅうような按配なんどす。その意味においては、五十鈴ネーさんは悪女役を含めた負のヒロインには、打ってつけの当たり役やったと申せましょう。

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当時の負のヒロイン・ドラマなんてゆうたら、実を申せばほとんどありまへんどした。そら、アメリカン映画では、マレーネ・ディートリッヒやらグレタ・ガルボに加え、「裁かるるジャンヌ」(1928年製作・フランス映画・無声映画)なんぞが、まあ、ゆうて見たらその種のもんやったかも分かりまへん。

でも、そっちは「ジャンヌ」は除いて、バチバチにスター映画を意識しはった作りどした。そして、マイナス・ポイントはあるやろけど、それでも生きてゆくんやでーナンチュー①の、セリフでは示されないラスト・シーンのココロ意気は、「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ)より先行したものでおました。

愛人の①や芸者の②など、いわゆるそういう人たちを、映画史の中でほぼ初めて取り上げ、「男はみんな敵だ」とヒロインがゆう②など、戦前にしてはタブーとされるとこへと分け入ってはります。

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2作品を1日でいっぺんに、ほとんど間を置かずに見たんやけど、いくつかの隠し味ポインツを発見いたしました。

まず、大阪弁①と京都弁②の違いでおます。この微妙な相違をば、2作を連続見してカンジてもらえたらええやろかな。当時の大阪や京都の風景にも、ホオーって唸れますで。

ほんで、溝口監督的には、当時はそないハデな長回し撮影はしてはらへんかったんやけど、1分から3分くらいまでのヤツは、それなりにやってはりま。①は美人局(つつもたせ)シーンやら。ほんで、②では妹役の五十鈴ネーさんの、男だましのイロイロが印象的どしたえ。

アップやクローズアップはほとんどないんやけど、ココロを抉ってきはったんは、カメラがベッドに寝てる五十鈴ネーに寄っていって、ネーがわめかはる②のラスト・シークエンスやー。今は昔やけど、男尊女卑の時代のシビアさが、胸にグサッときよりました。

いずれにしましても、2作共に日本映画史に残る傑作なんで、みなはん、ぜひこの機会に、劇場でフィルム鑑賞体験をばしておくんなまし。

北野武流ヤクザ映画の続編「アウトレイジ ビヨンド」

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「仁義なき戦い」シリーズを意識も、カッコエエヒーローは1人もおりまへん

前作にヒケをとらへん“ワメキ”の美学が炸裂やでー

http://www.outrage-movie.jp

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10月6日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画はんとオフィス北野はんの共同配給によりまして、大阪・梅田ブルク7やらで全国ロードショーでおます。本作は「R15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012『アウトレイジ ビヨンド』製作委員会

今時の時代にヤクザ映画とゆうのんは、時代錯誤的なとこがあるんやけど、そういう時代だからこそ、かつてのヤクザ映画に対しトリビュート的に作るんは、一つの日本映画的方法論と申せましょう。

但し、単なるオマージュやありまへん。そこにヤクザ映画的に新味を加えるとなれば、かなりハードルの高いもんとなってきよります。例えば、登場人物の全員が悪役であるとか。

深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリーズ(1973年~1974年製作・全5作)やら、高倉健さんが出てはったヤクザもんとゆうのんは、あくまで観客が感情移入しやすいヒロイズムに支えられたもんどした。ところがどっこい、本作にはエエカッコシーのヒーローはいてはりまへん。

刑事も含め全編に登場するんが、好感度の悪いアウトローばかりっちゅうんは、アウトローが主人公の映画はまあ、ようあるんやけど、そないありまへんねん。しかも、女優はほとんど出ず、むくつけき男たちの抗争ドラマが展開しよりまんねん。

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その稀有なアウトローの中の、アウトロー役をば主演しはるんが、本作の北野武監督はんと同一人物となるビートたけしはんどす。ほんで、このキャラはかつて渡哲也はんが主演しはった「仁義の墓場」(1975年)と、妙にシンクロしとるような気がしました。

前作の5年後の舞台設定で本作は始まりま。完璧な続編なんで、前作を見ずして本作は見れまへん。ちなみに、前作はカンヌに出品し、今作はヴェネチアどした。続きもんなんで、やはりどないあっても、続編のみ出品はかなりハンデがあるやろなと思いました。無冠に終わりましたが、でも、本作は前作の悪役イズムを完全踏襲した、背筋の凍り付く1本になっとります。

前作に続き、「馬鹿野郎」「この野郎」などの北野作品に顕著な、ワメキの美学は強烈なインパクトを与えてくれはります。

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ヤクザ映画のキモでもあるワメキなんやけど、東映のヤクザ映画とは違って、粘っこさより、シーンに合わせた、変な言い方かもしれんけど、スマート感がありました。西田敏行はんなんか、東映的粘り気があるようでいながら、関西弁で独特なセンスを発揮してはります。「極道の妻(おんな)たち」シリーズ(1986年~1998年・全10作)の岩下志麻はんと、比較してみたくなるような演技ぶりどす。

変形代理戦争部やら、最後はヤラれた兄弟の葬式に、主人公が乗り込んでくるとこなんぞは、確かに「仁義なき戦い」が意識下にはあるように思いました。でも、展開の仕方は全然違っとりまして、オリジナリティーを示さはるんどす。

スローの使い方、バッティングセンターなどでの殺され方の新しどころ、矢継ぎ早の銃殺シーンなどで披露される、キタノブルーの配色ぶりなど、細部の作りも万全どした。

さてはて、これで終わりやナンチュー終わり方やありまへん。まだまだ続くようなカンジはあるんで、今後を期待してもええんやないでしょうか。

2012年9月22日 (土)

アメリカン文芸恋愛映画「最終目的地」

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84歳ジェームズ・アイヴォリー監督はんの新作やー

文芸路線の三角関係描写に、シブミありや、それともなしや?

http://www.u-picc.com/saishu/

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10月6日のサタデーから、ツインはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿やらで全国順グリのロードショーやー。

関西やったら、10月20日から大阪・シネマート心斎橋で上映。その後、京都シネマやらシネ・リーブル神戸などでヤラはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2008 ST. PANCRAS INC. ALL RIGHTS RESERVED

みなはん、ジェームズ・アイヴォリー監督はんって知ってはりますかー。メジャーなハリウッドからは離れた、インディペンデント系のアメリカの監督はんなんやけど、渋めの文学作品を中心に、多彩な恋愛映画や家族映画を、これまでに作ってきはりました。

上流階級系の恋愛もの「眺めのいい部屋」(1986年製作・イギリス映画)とか、本作にも出てはるアンソニー・ホプキンスはんが渋演を見せはった「日の名残り」(1993年・アメリカ)とかが、評価が高(たこ)うおます。

けど、ボク的には、娯楽性あるイギリスの家族ドラマ「ハワーズ・エンド」(1992年・アメリカ)とか、ヒロイン・ドラマ「シャンヌのパリ、そしてアメリカ」(1998年・イギリス)なんかもスキでおます。

でも、クリント・イーストウッドはんみたいに、一定の名作ラインをずっと保ち続けるんは至難のワザどす。21世紀になってでんな、やや作品性にかげりが見えるカンジも、なきにしもあらずどす。

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でも、84歳で作らはった本作は、仕上がり具合はともかくも、監督のキャリアの集大成的なもんになっとります。

しかも、アルゼンチン・ロケやったらしいどすが、珍しいウルグアイが舞台や。かつてはインドやらもやらはりましたが、新しい舞台設定とゆう姿勢は挑戦的でもあります。

お話としては、ビジターと変型家族ドラマの中で展開する、オーソドックスな三角関係のラブ・ストーリーでおます。渋さや重厚感よりも、関係描写はあっさりしとるようにも見えますが、文芸作品原作ものは得てしてそういうものになりがちなんやけど、流れそのものは悪くはありまへん。まあ、各役者の演技ぶりが映画の出来を左右するんが、この手の恋愛映画でおましょうか。

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あんまし日本では有名やない役者はんでは、主人公役のオマー・メトワリー君も健闘してはるんやけど、それ以上にメリハリの効いた演技やったんは、三角の一角をなす、ルーマニア出身のドイツ女優アレクサンドラ・マリア・ララのネーさんやないやろか。もう一角のシャルロット・ゲンズブールのネーを食うてはるかも。

も、未亡人役のローラ・リニーのアネゴは、無表情をポイントにした、皮肉な嫌らしい演技性がお見事どして、本作の演技陣の中で、一番の怪演技ぶりでおましょう。

ゲイ関係にある、ホプキンスはんと真田広之のアニキは、今までの演技をおさらいするような落ち着きぶり。でも、ベッド・シーンやら3度にわたるキス・シーンやらは、個人的には気色悪かったどす。

ほんで、監督の細部の映画的設計には、従来通りの冴えがござります。特に、冒頭のカンザス・サイドのクルマでゆく前へ前へのカットなんか、物語の導入部として、ワクワクドキドキなカンジを注入されよりました。見に行って損のない映画やと思います。

2012年9月21日 (金)

3D・2D同時公開のアメリカン・アニメ「ロラックスおじさんの秘密の種」

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ファミリー向けアニメに加え、アトラクション・ムービーやとゆわれて…そんなタイプなんやけど…

http://www.loraxojisan.jp

10月6日のサタデーから、東宝東和はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで上映しはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 UNIVERSAL STUDIOS All Rights Reserved.

ユニバーサル映画はんが製作・配給してはるだけに、かの世界的に有名な遊園地やらのイメージもあって、アトラクション・ムービーやなんてゆわれとります。モチ、その種のタイプやし、ディズニーやらドリームワークスやらと同じく、ファミリー向けのアニメ映画でおましょう。

ただ、その先入観で映画を見てしまうと、その作品のビヨンドな向こう側は見えてきよりまへん。ただ、ボクとしては、この種のファミリー・アニメを論じるにしても、アニメ的な色使いとかイロイロあるやろけど、正直に告白しますと、そない得意と言えるジャンルやおまへん。

ゆうか、こういうタイプの映画の映評。例えば、日本でゆうたら、「ドラえもん」とか「ポケモン」とかの、大マジな映画評なんぞを、みなはん読まはったことはありまっしゃろか。大がいは、ストーリーやら情報的なとこを書くとゆう、紹介ラインにとどまっておます。

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これまでにも、この種のタイプの映画をボク的にはそれなりに、論評してまいりました。ディズニーやらドリームワークス、ほんで日本のスタジオジブリやらも引用してやってきよりました。でも、よう考えなくても、そんなんどうでもええやん、なんて突然のように思たりもするんですわ。

家族一同で見に行って、楽しんで、食事してイロイロ話し合って、ほんで家に帰る。その行楽的なパターンこそが、一つの映画の鑑賞スタイルであってもエエんどす。ほんで、それがかつての日本の家庭では、フツーのホリデーの情景やったハズやと思います。

今さらながらやけど、ゴールデンウイークの言葉が、日本の映画興行界から起こったのは、この家族みんなの楽しみがあったからでおました。その観点から、本作を映画評論家的偏見をいっさい外して見てみよりますと、いくつかの新しい発見がありました。

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まず、ロラックスおじさんが出てきはって、これは実話やと嘘をつかはります。こんな冒頭から始まるんやけど、本作は未来の地球を描くSF映画でおます。新しめの本編への入り方どす。

自然がなくなってしもた未来社会の造形とその功罪とゆうのんを、冒頭とラストの方で、ディズニー・アニメチックにミュージカル披露とゆうカタチで描かれます。打ち込み系のエレクトロなサウンド作りの冒頭と、オーケストレーションあるラスト部の対比により、ドラマティック効果はグーンと高まっておます。

紫がかった空に加え、自然破壊されたダークな荒野シーンなど、リアル感あるシーンもありますで。ほんで、アトラクション的とゆわれとるアクション・シーン。

「ナイアガラ」(1953年製作・アメリカ映画)やら「激流」(1994年・アメリカ)やらを引用に出すんは大げさかもしれへんけど、川をベッドが流れ、その向こうに大滝があるとこやらとか、スロー・モーションをキモで使ったカーチェイスなど、ハッとさせてくれはるシーンは多かったどすえ。

ほんでもって、結論は…とにかく理屈抜きに、家族みんなで楽しめる1本や~と思いました。

2012年9月20日 (木)

渋ーいアメリカ映画やねん「コンフィデンスマン ある詐欺師の男」

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サミュエル・L・ジャクソンはんって、みんな、知っとるかー

大ヒット中の「アベンジャーズ」の、アノおっさんどすえー

http://www.conman.jp

10月6日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・銀座シネパトスやらで全国順グリのロードショーどす。関西では、シネ・リーブル梅田やらで上映やでー。「R15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2262730 Ontario Inc.

サミュエル・L・ジャクソンはんが主演しはった、コンゲーム・ノリの映画でおます。ジャクソンはんについては、みなはん、どないどすか~。知ってはるやろか~。

大ヒットしとる「アベンジャーズ」(2012年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画・公開中)の指令長官役やら、大ヒット作品では、「スター・ウォーズ エピソード」3部作シリーズ(1999年・2002年・2005年)でも、名バイプレーヤーぶりをば発揮してはりました。ゆうてみたら、大ベテランはんなんやけど、ある意味では旬の役者はんどす。

そんなジャクソンはんが出はった、100本以上の映画から、ボクチンなりのマイ・ベスト&カルト・スリーをば身勝手に披露いたします。でも、全作は見てへんので、すんまへん。挙げてへん作品やら、未見の作品でおすすめがあったら、ぜひ教えてくだされ。

●ベスト⇒①パルプ・フィクション(1994年)②ラグタイム(1981年)③ジャングル・フィーバー(1991年)●カルト⇒①シャフト(2000年)②本作③交渉人(1998年)

●主演ものがカルトとなり、助演ものがベストになるっちゅう、ホンマ偏見に満ちたもんになってしまいよりました。けども、どの作品でも、彼はハードボイルドな性格男前な、男気をば披露してはります。

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ベスト①の意味深なカッコエエセリフはモチ、カルトの主演作ではほとんどが、ハードボイルドな渋い役で魅せてくれはるんどすえ。

そして、カルト②にした本作や。カルト①やら③やらでは、モノゴッツーストレートなとこを出さはったけども、本作ではネタバレせんようにゆうと、ビミョーで複雑な、ややこしい心理ぶりをば入れてはります。関連作品を出してまうと、いっぺんにネタバレっちゅうことになるんやけど、恋愛映画てゆうたら恋愛映画なんで、その系列で見てもオッケーやと、曖昧にゆうときますわ。

相棒を殺して25年もムショ入りしてた、主人公のジャクソンはんが出所して、俺にはもう何もないやなんてと、ヤケになってはりました。そこへ、殺してもうた相棒の遺児が、主人公に急接近してきはります。ほんで、ゼニ儲けのコンゲームを持ちかけはって…。

一方で、主人公はヤクチュウの女と知り合い、同棲するくらいのフォーリン・ラブラブ状態にならはって…。ストーリー的には、到って単純やもしれまへん。相手のリベンジ的意図も垣間見えつつも、少しクエスチョンもないとは申せまへん。

でも、ヤッパ、ココロに迫ってくるんは、ジャクソンはんの骨太なココロ意気やと思います。ハードボイルド映画はこれまでに多数出てきておますが、ミスター・アメリカン・ハードボイルドな、ハンフリー・ボガートを意識しはったような、イロイロの演技ぶりに注目してほしい1本どした。

2012年9月19日 (水)

フランス映画「残酷メルヘン 親指トムの冒険」どす

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“ホントは怖いグリム童話”以上の、ダーク・ファンタジーやー

中世ヨーロッパ童話の恐るべし!が分かる、ケッタイな1本どす

http://www.at-e.co.jp/2012/oyayubi-tom

10月6日のSaturdayから、アットエンタテインメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷でレイトショーでおます。その後、全国順グリの上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011-FLACH FILM PRODUCTION-ARTE France

「親指トム」とゆう童話はみなはん、知ってはるやろかと思います。その原作はイギリスの民話なんやけど、いわゆる親指サイズのちっちゃな少年が活躍するっちゅう話どす。まあ、ゆうたら、親指姫やらスタジオジブリの「借りぐらしのアリエッティ」(2010年製作・日本映画)やらへ通じる話の、ルーツ的作品でおましょうか。

ほんでもって、この民話をベースに、世界各国で「親指トム」のお話が童話として作られとります。かのドイツのグリム兄弟も書かはりました。勧善懲悪を旨にした、そちらの方は既に「親指トム」(1958年・アメリカ&イギリス)などで映画化されとりますが、本作のフランスのシャルル・ペロー版の映画化作品は、おそらく本邦初登場でおましょう。

ペローはんてゆうたら、少年ものの「親指トム」に対する少女ものの「赤ずきん」やら、グリムの「白雪姫」と対をなす「眠れる森の美女」やらが有名な、17世紀末期に活躍した童話作家どした。

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グリム童話には、“ホントは怖いグリム童話”に見合う「白雪姫」があるんやけど、ペローはんでゆうたら、それがグリムとは真逆のノリで描いた「親指トム」が、グリムの「白雪姫」に当たるやろか。でも、「白雪姫」以上にダークなファンタジー性を持っておます。

ほんで、本作はそのダーク感をば、遺憾なく映画化しはった作品となりました。大飢饉に見舞われた、中世のヨーロッパを舞台にしはった、ファンタジーとは程遠い悲惨な時代が背景どす。飢餓状態の中で、両親はトムを入れた5人の息子たちを、捨てることをゆわずに森の中へ捨てにゆかはります。

でも、トムの機転で一旦は家に戻ってくるんやけど、再び捨てに…。飼い犬まで食うてまい、たまたまつかまえた野ウサギは、少し太るまで待って食うナンチュー状況でおます。森中の自然描写の冷えた感覚なんかも、寒々しい空気感を増しておます。

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最近の日本映画では、「アシュラ」(今年9月14日付けで分析)や「グスコーブドリの伝記」(今年6月23日付け)などで、飢饉の状況を描いてはりましたが、それらのアニメとは違いまして、こちらは実写作品どす。だから、より残酷なバイオレンス感やキモさが浮き彫りになっとります。

本編の後半。5人の息子たちが出会う、オトンオカンに5人娘はんの7人家族との出会いと対決が、でっかいクライマックスどすえ。オトンを始めとして、人肉食い一家なんどすわ。アラマ・恐ろしや―。「孤児の肝臓のブドウ漬け」とか「中国人のコドモのロースト焼き」とか、気色悪いのなんのってゆうたら…ここではよう書けまへん。

「時計じかけのオレンジ」(1971年・イギリス)を思い出させる、ブラック・ユーモアなラストシーンも奇怪な作品でおました。

2012年9月18日 (火)

ブリティッシュ映画の渋~い1本「思秋期」

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人生にくたびれてしもた2人の中年男女の、恋愛物語やありまへん

秋を人生にたとえはった作品やけど、実りの秋やありまへん

http://www.tyrannosaur-shisyuuki.com/

オクトーバー10月20日のサタデーから、エスパース・サロウはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵館、大阪・梅田ガーデンシネマやらで全国順グリのロードショーでおます。

その後、京都シネマ(10月27日~)、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCHANNEL FOUR TELEVISION/UK FILM COUNCIL/EM MEDIA/OPTIMUM RELEASING/WARP X/NFLAMMABLE FILMS 2010

イギリスを舞台に、人生に疲れた2人の中年男女の、ありふれたラブ・ストーリーやない、物語が紡がれてまいります。

主演男優はんは映画監督もやってはる、ピーター・ミュランはんどす。カンヌ国際映画祭で主演男優賞をもらわはった、イギリスらしいブルーカラー労働者役の「マイ・ネーム・イズ・ジョー」(1998年製作・イギリス映画=本作の監督が崇拝するケン・ローチ監督作品やー)が、ボクチン的にはえらいスキでおます。

その時も飲んだくれてはったけど、本作も同じくヤッテはります。しかも、今回は失業者役どす。イギリス映画の失業者ものてゆうたら、「フル・モンティ」(1997年)なんてゆう、ユーモアある明るい映画もあるんやけど、本作は最後にはポジティブになるにしてもやね、そこまでのプロセス描写としては、ちょっと暗めやもしれまへん。但しでんな、でも、しかし…がありよります。

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冒頭でおます。主人公はノミ屋で負けてしもて、店に連れて来てた飼い犬をば、ヤケになってアバラを蹴って何とまあー、死なせてしまわはります。おいおい、動物愛護協会から訴えられるでと思たら、カミさんが先に死んでしもて、失業者1人と働けへん1匹のヒジョーに寂しー生活や。

そやから、えらい深~く後悔しはります。片や、プール・バーやらで1人でビールを飲みまくり、くだらないことを喋る若もんやらを、しばきたおしたりしはります。出会ったチャリティー・ショップ店主の女からも、どう仕様もない奴だと言われます。

ホンマ、見とっても、こら、あかんわっちゅうくらい、どないショーもないおっさんなんどすわ。まあ、見てみなはれ。あーあってなりますわ。ほな、店主役主演女優はん(オリヴィア・コールマンのネーさん)の方はどないでしょうか。最初は神はどうちゃらこうちゃらと、キリスト教のお祈りを呟いて、うーん、癒やしのキャラかと思たら…。

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夫に暴力をふるわれてはりまして、一発殴られた顔で店で接客しはったり、本編の後半部では、片目を赤黒く腫らしたままで、演技を続けてゆかはります。フツーの日常的なドラマ映画の中で、こういう傷ついたままの女優はんの演技続行は、ボクは初めて見たような気がします。

そんな中で、男ドラマ部と女ドラマ部の各部でそれぞれ、サプライズ感あるシーンがあります。ほんで、ナンチューてもストーリーもキャラも、シンプルで分かりやすい仕上げが特注もん。妙に小細工を弄して複雑化したりなんかはせずに、生一本なカンジで魅せてくれはります。そして、四季を人生にたとえて、秋を人生の黄昏的に捉えてはるようどすが、最後は前向きなんで、あくまでプロセス的なもんでおましょう。

さて、男と女の話やのに、恋愛映画やない作品性やら人間ドラマ性を出すのんは、かなりハードルが高いと思うんやけど、本作はそれを可能にしはった稀有な作品どした。そういう意味では「俺たちに明日はない」(1967年・アメリカ)や「悪人」(2010年・日本)などへと通じる傑作です。

2012年9月17日 (月)

アメリカン男スパイ映画「ボーン・レガシー」どす

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本作分析で1000日連続批評を達成いたしました!

「ボーン」3部作シリーズの続編・番外編なんやけど、

「007」並みに、シリーズ化される気配に満ち満ちておます

http://www.bourne-legacy.jp

セプテンバー9月28日フライデーから、東宝東和はんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 Universal Studios. All Rights Reserved.

「ボーン」シリーズ(2002年・2004年・2007年製作・アメリカ映画)の続編にして、新ヒーローが登場する番外編のように見えながら、実は「007」並みのシリーズ(1962年~2010年・イギリス)化が、期待できるような作りになっとります。

「007」の英国女王御用達とは違い、こちとらはアメリカのCIA路線でおます。昨日分析した「エージェント・マロリー」は、女スパイもんどしたが、こちとら男スパイもん。

しかも、民間企業系のスパイもんやった「エージェント…」とは違い、こちとら「007」と同じく、国家規模のミッションものどす。但し、本作はミッション系やなく、国家から追われ抹殺されようとする、スパイの逃亡ものになっとります。

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昨日分析分では、女スパイは裏切りに対して、リベンジしようとしはりました。でも、こっちは国家規模の組織との対決でおます。相手が余りにも強力なんで、主人公は逃げ切ろうとしはります。

この主人公役には、アカデミー作品賞ゲットの「ハート・ロッカー」(2008年・アメリカ)で、爆発物処理の危険任務役やった、ジェレミー・レナーのアニキがやらはりました。「ボーン」シリーズはモチ、「ミッションイン:ポッシブル」シリーズ(1996年~2011年・アメリカ)やらと、ヒケをとらないアクション・シーンを披露してまいります。

ほんで、主人公と一緒に逃げはるレイチェル・ワイズのネーさんの、オスカー助演賞ゲットの「ナイロビの蜂」(2005年・イギリス)を超えた、アクション女優ぶりもオモロイわー。

「ボーン」と同じく短カットの連続の、高速カッティング・シーンが続きます。しかも、アクション・シーンでは、この種のアクト映画では、定番系とも言えるスロー・モーションを、一切使わずにいってはります。

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銃撃戦がメインなんやけど、主人公のアラスカの山越えやら、オオカミとの対決やらの、訓練シーンのアクトやったりとか。フィリピン・マニラ・サイドのクライマックスでは、工場からの逃亡、家の屋根を伝って、その後、カー、バイク、警察車両を巻き込んだ、トンデモチェイス・シーンやったりが、デッカイ見どころとなっとります。

エドワード・ノートンのアニキの、主に室内劇がメインやけど、ビジネスライクに徹する、冷徹な演技ぶりも目を引きつけよりま。防犯・監視・衛星などカメラを駆使して、主人公たちのマニラ行きを、45分遅れで特定してゆくシーンなど、現代捜査の最新型が緻密に描かれておます。

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さてはて、ジェイソン・ボーンは今も生きて、NYに戻っとるとゆう設定どす。ボーンの存在によって、CIAのイロイロあるミッションが瓦解しようとしとるんやけど、その1つのミッションをやる奴らを全員、抹殺しようとゆうのんが、本作のメイン・ポイントになっとります。

マット・デイモンのボーンに加え、今作でジェレミー・レナーが新たに加わったわけどして、シリーズ化される雰囲気に満ちておます。本シリーズの原作者のロバート・ラドラムはんは既に故人どすんで、新たな話を作り続けるには、本作のトニー・ギルロイ監督・脚本に懸かっとるんどすえ。「007」を超えるようなスパイ映画シリーズに、ぜひチャレンジしておくんなはれ。

2012年9月16日 (日)

アメリカン女スパイ映画「エージェント・マロリー」どす

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ソダーバーグ監督が、初期「007」を意識して作った1本でおます

生身の格闘アクションが、ヒロイン'sアクトで実現やー

http://www.mallory-movie.com

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セプテンバー9月28日のフライデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 Five Continenis Imports, LLC. All rights reserved

女スパイ映画にしてヒロイン・アクション映画の、見たあとスカッとする快作でおます。女スパイ映画は過去にもイロイロござりましたが、これほど生身の格闘アクションで魅せる映画は、そんなにござりまへんどした。

スティーヴン・ソダーバーグ監督の本作の作り方としては、約3ポインツばかりのヒント項目があったようどす。

①「007」シリーズ(イギリス映画)を意識してはるんやけど、ミラクル兵器の出てけえへん3作目までを、参考にしはったそうでおます。つまり、「ドクター・ノオ」(1962年製作)「ロシアより愛をこめて」(1963年)「ゴールドフィンガー」(1964年)の3作どすえ。

つまり、ジェームズ・ボンドが相手と、1対1のガチでバトル対決するシーンが入っとる分でおます。アクション映画の原点回帰とも呼ぶべき映画を、目指そうとしはったんどすわ。

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②男スパイもんでは、トム・クルーズやらマット・デイモンの各アニキやらが、各人のスパイ映画シリーズで、そういう格闘アクトや生身で勝負するアクトやら、命懸けのアクトに挑んではりました。まあ、部分的にはスタントマンを使わはったかもしれまへんけども。ほんで、本作では、それらを女スパイもんに導入しようとしはるんどす。

③しかし、スタントマン対応はできるだけ避けたいわけどして、有名女優を起用しとっては実現できしまへん。そこで、本気真剣モードのアクトを作るためにでんな、女優としては素人なんやけど、プロの格闘家であるジーナ・カラーノのネーさんをば、主演に抜擢しはったんどすえ。

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ちゅうことで、冒頭からいきなりサプライズチックで、ビビッドな格闘シーン(写真上から3枚目)から始まりよります。

写真4枚目の、マイケル・ファスベンダーのアニキとのホテルの室内での格闘では、サントラを流さずに、観客をアクト・シーンに集中させるような見せ方をばしてはります。

ほんで、ヒロインを裏切った奴らへの復讐劇へと展開してゆく、終盤の展開なんぞは圧巻でおます。

ユアン・マクレガーやアントニオ・バンデラスの各アニキやら、マイケル・ダグラスはんやら、有名アクターが出てるんやけど、あくまでヒロインの引き立て役に回ってはります。それだけに、かつてない衝撃のヒロイン・アクション映画部が目立っとるかと思いよりま。

セピア・フィルターを入れたりモノクロも入った、スペイン・バルセロナ・ミッション。対して、ブルーな配色で魅せる、2人のクルマでの逃亡シーンやら、細部の絵作りにもこだわりを見せてはります。タイトでカチッとした作りも含めまして、永く記憶に残るはずの1本どすえ~。

2012年9月15日 (土)

キズナを描く日本映画「ツナグ」

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キズナを繋ぐ特殊能力発揮系の、現代の感動的なSF映画でおます

ミステリー的な面白さも、随所にちりばめられた作品どすえ~

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http://www.tsunagu-movie.net

オクトーバー10月6日のサタデーから、全国東宝系劇場でイッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「ツナグ」製作委員会

死者と生者が現実的日常的な空間で、タイムリミット系で会うとゆう、現代を舞台にしたSF映画でおます。そして、そこに代々その仕事に従事してはる「ツナグ」とゆう仲介役がいるっちゅう、いわばシチュエーション系の映画でおましょうか。

未来の話やないんで、そもそもそういう話には、リアリティーなるもんが必要となってきよるでしょう。ところが、本作はツナギ役の現実的な存在理由やら、どうしてそういうことができるのやら、そんなツナギにどうして一般人が依頼できるのかとか、そういうとこは全く描かれまへん。

しかし、スムーズに違和感なく、3エピソードに、プラス「ツナグ」本人にまつわるワンを見せてゆかはるんどす。しかも、感動的なノリを喪失せずに。不思議快感な映画どした。

そもそもこれまでは、生きてる者が天国へ行った、あるいはこの世でさまよってはる人と出会うのには、それ相応の説得力ある説明が必要とされておました。あるいは、ファンタジー・ノリやったり…。

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特殊能力を持つ者だけが死者を見られる「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年製作・アメリカ映画)やら、天国から地上に戻ってきた者が、愛する人やらと再会するにしても、ある程度の法則みたいなんがあったように思いよります。

でも、本作はそんなんはあっさりクリアーし、会うための条件や制約事項のみを提示しはり、会いたい死者が会うのんにOKを出したら、高級ホテルの一室で一晩だけ一度きりやけど、再会できるとゆうシステムを取ってはるんどす。

2人が会うまでの幾多の試練なんやらをば、ポイントにはしてはらへんのどすえ。そやから、会えば、リー即クライマックス状態やと申せましょう。橋本愛ちゃんのトンデモ激情系やったり、佐藤隆太アニキと桐谷美玲ちゃんのシットリ系やったり…。但し、依頼する前には、2人のそれまでのプロセスが、回想シーン的に描かれよります。

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ほんで、3エピソード、プラスワンはそれぞれに、趣向をば変えてはります。母子のキズナ、女生徒同士の友情もの、ラブ・ストーリー、ほんでもって、ツナグ側は家族ドラマ性や。

そして、それぞれが会うためには、トラウマ的ハードルを設けてはるとゆう、凝った仕掛けを施してはるんどすわ。驚きどした。なるほど、最近直木賞をゲットしはった、本作の原作者・辻村深月ネーさんやけど、クセモノミステリー小説がほとんどの「メフィスト賞」をゲットして、作家デビューしてはります。そやから、ミステリー的なスパイスが、多彩なキズナ描写の中にアクセント的に入っておます。

例えば「あたしとアラシ」の聞き間違いやったり、ダイイング・メッセージの謎、彼女が消えた理由、さらに、心中したように見える夫妻の真相など、いっぱいあるんどすえ。キズナの感動に埋もれてしまいがちやけど、こうしたとこにも注目しておくんなはれ。

でも、ヤッパ、ツナグ後継者役の松坂桃李クンと、そのオバン役でツナグ役の樹木希林はんの間で展開する、多彩なやりとり。ほんで、キズナ描写がイチバンヤー、やったと思います。

2012年9月14日 (金)

ジャパニーズ・アニメの新タイプ「アシュラ」

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ハイブリッド・アニメーションの粋に酔える傑作どすえ

少年アニメの臨界点を、完璧に超えた問題作でおます

http://asura-movie.com

長月9月29日の土曜日から、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。本編は1時間15分どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒジョージ秋山/アシュラ製作委員会

みなはん、本作を見はると分かるやろと思いますけども、これまでのジャパニーズ・アニメのテイストとは、随分と違う作りにアラマ・ポテチン(ドッキリ・ビックリ)やと思います。スタジオジブリのアニメやら、これまで全国ロードショーされてきたようなタイプのアニメやらに、慣れ親しんできはった方には、特に驚きがあるやも分かりまへん。

まず、明るくはありまへん。人によっては、目をそむけたくなるようなシーンも頻出しよりま。スタジオジブリの“負”の映画では、「火垂るの墓」(1988年製作)以上に暗鬱感を持っておます。

時代は15世紀の応仁の乱の頃の、京都の田舎の農村を舞台にした、いわば時代ものどす。しかし、タイムスリップ系の「犬夜叉」シリーズ(2001年~2004年・全4作)やらの、主人公が正義の味方的なイメージは全くござりまへん。戦乱があり、大飢饉があり、川の洪水パニックがありの最低最悪の時代に、オカンが死んでしもて、赤ん坊の頃から1人で生き抜いてきた、少年の物語が描かれてまいります。

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少年もの実写映画やアニメとゆうのは、ある程度パターン化したものになりがちどす。でも、本作はその定番を完璧に外した上で、人肉まで食って生き延びるバイオレンスな少年が、変わってゆく姿を、ドラマティック効果を外して、シビアな状況の中で描いてゆかはります。

見る人によって見方や感想が違うんが映画なんやけど、本作はそれが如実に出た1本どした。バイオレンス部や悲劇的なとこが突出しとるだけに、それで暗い話やな~とゆう感想を、持たはる人が多いかとは思います。ボクもそう思いましたが、見方によっては、ヒューマニズムある映画にも見えるやもしれまへん。

原作通りに描かれとるとはいえ、あの結末はどないなもんなんでしょうか。感動性が見えにくい作りなんで、見たあとじっくり考えてもらいたい作品なんやないかな。

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しかし、色使いの妙味・新味にはシブミがありました。水彩画をCGによって動かすとゆうハイブリッド・アニメーションらしいどす。

写真を見ていただいたら分かりますように、ダークにして薄めの色。一方で、血の色は原色系でいってはります。夕景の色もセピアやなく、赤を基調にした色彩。特に赤黒さの斑な感じや薄靄グリーンな空なんかは、昔のテレビアニメにもあったかもしれんけど、映画的には新鮮に見えました。

ラストシーン近くのモノクロ使いや黄金色(こがねいろ)配色。中盤の若狭ネーさんとアシュラ少年の交流部では、目に優しい自然光的な描写配色を使ったりと、場面場面に合わせた色使いがお見事やったです。

2012年9月13日 (木)

ハリウッド・リメイクが決定したブラジル映画「トゥー・ラビッツ」

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ずっと目をスクリーンにクギ付けにしとかんと、分からんようになってまうスピーディーな作品

いろんな人々の思惑が交錯する中で、最後に笑うもんは一体誰どすか~

http://www.cinemabrasil.info

「ブラジル映画祭2012」の1本として、10月6日から10月12日の間、東京・ユーロスペースで、ほんで、関西では、10月13日から10月19日の間、大阪のシネ・ヌーヴォやらで上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ハリウッド・リメイクされる、ブラジル映画でおます。最近のハリウッド・リメイク決定作品には、本国フランスで記録的な大ヒットをした友情映画「最強のふたり」(今年8月20日付けで分析)、人情コメディの韓国映画「ハロー!?ゴースト」(今年5月16日付け)、インドネシア映画としては初となる「ザ・レイド」(後日、分析)なんぞがあります。

中でも本作は、終始ストレートかつシンプルなアクション・バクレツ系で攻め切った「ザ・レイド」に対し、ハチャメチャなくらいに考え抜かれた、複雑系のクライム・ムービーになっとります。

しかも、メッチャスピーディーどして、ジェットコースター的にノンストップに近い107分。短カットの高速カッティングの連続には、今どきのハリウッド映画より速くなっとりまんねん。めまいが起こりそうやけど、でも、画面に目をクギ付けにしとかんと、ちょっと目を離したスキにでんな、ストーリー展開やら設定やらを、追えなくなってまうようなカンジなんどすわ。意味深なナレーション、唐突にイラスト、アニメ化したりなんぞも、惑わせ度合いに加担しとります。

途中で、これまでの段取りや流れを、解説してくれはるシーンはあるんやけれど…。特に、作品のコンセプトとなるところ。モノクロ・シーンを取り入れはった、ワルを距離を置いて見てみたら、どないなるんかのシークエンスを始め、“近くよりも遠くから見ると、全体像が分かる”というのんが、本作の仕掛けなんでおます。

人物紹介に合わせて、各人の過去の話が、混とんとしたカンジで点綴されよります。ほんでもって、急激に今の話へとスライドさせて、ハート・ドッキリにさせはるんどすわ。ボクは大いに迷いましたわ。

交通事故死裁判で情状酌量され、マイアミに追放されとった男が、期限を過ぎてブラジルに帰ってきよるとこから、物語は始まります。彼は接近しての場合と離れての場合に爆発する、2種のケータイ・センサーを開発してはるちゅうのんが映され…。ちなみにバクハツ・シーンは2度ありま。

ほんで、その男の彼女やったらしい、妄想癖のある検事ヒロインが登場しよります。この彼女こそが大人しそうに見えて、本作のキーを握ってはる、トンデモないクセモノ女なんでおますよ。大金争奪戦とゆう、どこにでもありそうなお話が、人物関係のこんがらがった絡みによって、どんどん着地を読めんようにしてまいります。

ヒロインは妊娠しとるんやけど、一体オトンは誰やねんとゆうのんも、話のこんがらがり具合を増します。それに、ヒロインの海辺やら、人形がいっぱい出る妄想シーンやらも出てきよります。

「シティ・オブ・ゴッド」(2002年製作・ブラジル映画)のワイルド感に加え、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(1998年・イギリス)やらみたいに、複雑系犯罪もの。そして、最後に笑うもんは誰だとゆう、サプライズ・ポイント。ハリウッドが目を付けるのは当然やと、納得できる仕上がりの映画どした。

2012年9月12日 (水)

人情コミカルなブラジル映画「センチメンタルなピエロの旅(ジャーニー)」

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旅一座もの映画でも、このブラジル映画はかなり異彩を放っとります

「モーターサイクル・ダイアリーズ」的の、コメディ版やろかな~

http://www.cinemabrasil.info

「ブラジル映画祭2012」の1本として、10月6日から10月12日の間、東京・ユーロスペースで、ほんで、関西では、10月13日から10月19日の間、大阪のシネ・ヌーヴォやらで上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ブラジル各地を、サーカス一座としてロードムービーしはる、旅芸人一座のお話でおます。南米もんでゆうたら、シリアスな「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2003年製作・イギリス&アメリカ合作)とは違うコミカルなノリ。

ほんで、旅一座ものでゆうたら、長尺のアート映画「旅芸人の記録」(1975年・ギリシャ)から、日本ものではコメディ「寝盗られ宗介」(1992年)など、イロイロと出てきよりました。

しかし、本作のブラジル映画は、少し、あ、いや、かなりと異色の作りをばしてはります。でもでんな、キズナ映画としての作りなどは、誰が見ても分かる普遍的な作りをば施してはります。旅一座には、親子、夫妻、ほんで仲間たちがいて、そのキズナが群像劇的に展開されてまいります。

そして、コメディ的な作りなんやけど、日本人には分からへんブラジリアン・ジョークなんか、個人的にはあんまし笑えまへんどした。演技上の話やのに死体を埋めた連中を逮捕し、ネコとワインが自宅で待っとるから、聴取を早く終わらせたいとゆわはる警察署長やら、ロードするクルマがエンコしたので、どないしやはったかとか、ネコがミルクを飲むように仕事をするナンチュー、オトンのセリフやったり…。

今一つ分かりにくいコミカル部が、ケッコー出てまいります。但しでんな、分からへんでも、映画的流れに乗って見ていったら、それほど違和感はありまへんどす。ナンチューてもココロに残るんは、主人公と座長のオトンとの、キズナ描写でおます。ほんでもって、サーカス団各人の、ファミリーとしてのキズナを描くイロんなシーンが、クライマックスの感動へ向けて、チビチビ効いてまいるんどすわ。

さてはて、サーカスを標榜しながら、動物は全くいず、ピエロ漫才とかダンサーのダンスやらで演目をやっていってはるのも、通常のサーカス団とは大いに違っておます。

さらに言いよりますと、いつの時代の話やねんとゆうアナログ感やったり、ボク的には随所にクエスチョンをカンジつつも、最後にはさわやかな気分になっとりました。このあたりは何でそうなるんかは未分析なんやけど、不思議な作りといえば作りどした。

そんな中で、映画的な撮り方やらサントラ使いやらに、理由なくグッときよりました。冒頭からさっそくきよりました。ピントのボケとる一座が、こちら(観客側)へと来る遠近感あるカット。ブラジルの田舎の、空と地半々のロングショット・カットの頻出。長回し撮影にしたラスト・シークエンスなどが、映画的にキレておました。

アコーデオン、バンジョー、ギター、バイオリンなんかを駆使してコミカル調に合う音作りに加え、ラストロールでは哀愁のラテンなポップス・バラードを流して余韻を深めたり…。何はともあれ異色な作りやけど、見たあとに何度も思い返したくなるような映画やったどすえ~。

2012年9月11日 (火)

アルゼンチン映画「ル・コルビュジエの家」

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隣人同士のトラブルを描いた、スッタモンダイ(問題)作でおます

サンダンス映画祭で撮影賞ゲットの、映画芸術的撮影シーンにも注目や

http://www.action-inc.co.jp/corbusier

「Action Inc.」はんの配給によりまして、9月15日サタデーから、東京・新宿 K's cinema(3週間限定)やら、オクトーバー10月6日から、シネマート六本木やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、10月中旬から、大阪・梅田ガーデンシネマで上映後、神戸アートビレッジセンター、京都シネマでも公開どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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隣人同士のトラブルが、徐々にえらいことになってしもて、遂にはドッカーン、ナンチューことになる映画の1本でおます。この種の映画は、サスペンスやらを含め、ハリウッド映画にケッコー多いかと思いよりますが、ただ本作はアクション的見せ場はほとんどありまへん。

でも、2家の主人のやりとりやら確執部を、最初から最後まで粘っこく見せてゆかはります。隣人同士の恨み節やないけど、かつて「眼には眼を」(1957年製作・フランス映画)ちゅう映画が、アクション抜きで、やってやられてとゆう気色悪いけど、傑作復讐劇がありましたけども、本作もそれに近い気分の悪さがありました。しかも、現代的なココロの闇なんかも、濃厚にカンジさせられよります。背筋がサムーなってきよるような映画なんどすわ。

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部外者が家に入ってきて、家族をかき回すとゆうタイプの映画もあるんやけど、本作はあくまで、主人対主人のガチの構図どす。

本来やったら、家族も巻き込まれてまうことも、まま、あるんやけど、主人公側の夫妻娘の3人家族は“仮面の家族”状態どして、夫妻の間には、隣人と揉める前から、それとなくココロの亀裂があり、オトンと娘はんとは会話なしの無関知状態とゆう、冷却を超えた関係にござります。

家族が一緒になって、食事を共にする、家族映画らしいシーンなんぞはありまへん。オジンがデジカメで一家の様子を撮る、サーモスタット的やったりする不明瞭な映像はあるんやけども。そして、男と男の静かなる心理的決闘へと進むシチュエーションは、静かに緊張をはらんでゆき、ほんでもって最後には…とゆう展開どす。

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アルゼンチン映画とゆうだけで、ハンデがあるように思われるんやけど、サンダンス映画祭では撮影賞をゲットしはっただけに、撮影の渋さが際立っとります。

1分から3分くらいまでの、長回しの撮影シーンが頻出しよりますが、それらは意図的にしつらえられたもんどす。主人公と隣家の独身主人のツーショットを中心に、この2人の長めの撮影をクセのように繰り出さはります。

特に、目に焼き付けられるんは、トラブルの元となる窓枠入りカットの対話シーン。隣家は陽射しを入れるために壁を壊して窓を作りたいんやけど、窓と窓が向かい合ってヒッチコックの「裏窓」(1954年・アメリカ)的に、のぞかれたりのぞいたりで、プライバシーに関わるっちゅうことで、揉める点はそこにおます。

冒頭の白壁と灰壁のシンメトリックな映像をはじめ、壁を壊すハンマー音の異様さ。「去年マリエンバートで」(1960年・フランス)的な、室内や建築物を取り込んだ、幾何学的なロングショットの構図やらが、芸術映画的にもココロをそそられる作りどすえ~。

2012年9月10日 (月)

イランのドキュメンタリー映画「イラン式料理本」でおます

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料理ドキュメンタリーのように思わしといて、実は…ちゅう作りどす

攻撃的やった「別離」よりも、随分とまろやかなんやけど…

http://www.iranshiki.com

9月15日のサタデーから、アニープラネットはんの配給によりまして、東京・岩波ホールやらで全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、オクトーバー10月中旬から、大阪・テアトル梅田やらシネマート心斎橋で上映。その後、シネ・リーブル神戸、京都シネマやらでもヤラはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved.

料理映画やったりグルメ映画っちゅうのんは、実を申せばボクチンの苦手なジャンルどして、ドラマ映画として描かれる場合は、なんとか持ちこたえられるんやけど、料理の作り方のハウツーなんぞを、大マジにやらはるようなドキュやと、チョイ苦しゅうおます。

ボクは食うのんは大好きやけど、作るのんはさっぱりどして(この映画のイランの男どもとおんなじやー)、テレビの「スマスマ」の「ビストロスマップ」なんか見ると、男やのに何でそんな高級料理が作れるのんと、不思議なキモチになりよります。

ほんでもって、本作も、ある種テレビの料理番組のノリで始まりよりま。37年にもわたり台所に立ち続けはったオバはんが、いきなり料理の作り方を、作りもって解説し実演しはります。ああ、そんなん言われても作れへんしな~、どないしょーかいな~と思とったんやけど、徐々にでんな、イランの料理を作る女たちの実情へと、移行してまいります。Photo_4一方において、モハマド・シルワーニ監督のプライベート・フィルムのようなノリで、ドキュは進行してゆきよります。監督のカミはん、実のオカン、実の妹はん、実のオバはん、義理のオカンに加え、監督の友人、監督の友人のオカンら、約7エピソードにわたり、彼女たちの台所での調理の様子やらを、ドキュ的解釈を施さずに、ただ映してゆかはります。

映画的サントラもいっさい流れまへん。一歩間違えたら、自己満足系のホームビデオで終わってまいそうな素材なんやけど、コレが見ていくにつれて、いつの間にか、イランの家族の在り方とかを、そこはかとなくカンジさせはる、シブ~い作りをばやってはるんどす。

ポイントとしては、ラマダン(イスラム教に付きもんの断食月間)直後に食する食事の、調理過程とゆうのんを取り上げてはります。断食後の食事てゆうたら、そら、メッチャおいしいもんでおましょう。そして、それをば作るために、仕込みから出来上がりまで、5時間以上も費やして調理しはる、各女たちへのアプローチが、フツーのようでいてフツーやありまへん。

Photo_5時おり監督自らが姿を見せずに、つまりカメラ側から各女に質問をしはります。ほんで、そのカメラは各シーン撮りでは、動かず固定撮影やー。しかも、目立った長回し撮影はなく、省略系の映像をば流さはるんどす。こういう撮影手法は、ドキュでは珍しく、それだけに、カットバック的に編集された各エピソードが妙に際立ってきよります。

主にキッチンひと部屋だけで披露される妻の話や、台所でかつて嫁いびりされた姑と、イロイロやりもって今はボスの女房が、家族一同を仕切ってるところを見せたりなどと、多彩な女節を切り取ってはります。料理映画のノリはあくまで表層のことどす。実は、イランの男の女蔑視社会の問題に加え、それでもたくましく生きる女たちの心意気が、女群像映画的に伝わってまいりました。

イランの現実を伝える映画としては、本年度のアカデミー賞外国語映画賞をゲットしたイラン映画「別離」(今年4月5日付けで分析)の攻撃的な作りに対し、本作はあくまでソフィースケイトされた柔軟性をカンジました。それでも、イランでは上映禁止になっとるらしい本作。この機会にぜひ見ておきたい1本やと思います。

2012年9月 9日 (日)

アメリカン・サバイバル映画の新型「ハンガー・ゲーム」

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みんなが戦いを見とるタイプの、サバイバル・ゲーマー映画の究極型やでー

全米大ヒットを受け、3部作ものの第1弾として登場どすえ~

http://www.hungergames.jp

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セプテンバー9月28日のサタデーから、角川映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーをやらかしまっせ。

京阪神の関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、アポロシネマ8やら、MOVIX京都、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条やら、OSシネマズミント神戸、シネモザイク、109シネマズHAT神戸やらで、チョー拡大上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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TM & Ⓒ 2012 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

設定系のサバイバル・ゲーム風の映画とゆうのんは、これまでにイロイロ出てまいっております。そこで、ほしたら、そういうノリの映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば身勝手に披露させてもらいま。

●ベスト⇒①ひとりぼっちの青春(1969年製作・アメリカ映画)②バトル・ロワイアル(2000年・日本)③大逆転(1983年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②バトルランナー(1987年・アメリカ)③インシテミル(2011年・日本)

●一見したところ、本作はオーソドックスな作りでありながらも、細かいとこでゲーマー系映画の新味をば、チビチビ取り入れてはるのが目に付きました。単に殺し合い、サバイバルし、最後の1人になるまで戦うとゆうシンプルさが、どうみなはんの目に映るかどすけども、それだけやモチありまへん。

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ゲームに取りあえず参加して戦うのみとゆうタイプの、現実系ベスト①や設定系ベスト②、SFノリのカルト②のノリは当然ござります。

ただ、それをカルト③や「トゥルーマン・ショー」(1998年・アメリカ)のように、テレビ中継やらで見てはる一般人がいるとゆう点に加え、誰が勝つかを懸けているとゆうベスト③のノリはないけど、サバイバルの現場を主催者側がイロイロ、コントロールできるとゆうのんが、本作のオリジナル・ポイントでおましょうか。火炎弾を投じて森に火を付けたり、地雷を随時入れたり、人食い動物を作って闘技場へ放ったりしはります。

ほんで、ヒロイン・アクション映画としても機能するんやけど、写真を見たら「もののけ姫」(1997年・日本)みたいやんと思わはるかもしれんけど、実はヒロインは逃げて隠れての控えめのサバイバルでいかはりますねん。チョイ、ズルとちゃうのんなとこもあるけど、そういうとこも新しいやもしれまへん。

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さてはて、アメリカでは大ベストセラー小説の映画化だけに、大ヒットをカマさはりましたが、日本ではどないやろかな~。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年・2002年・2003年・アメリカ)のような、3部作で描かはるそうどすが、ヒットするかどうやらは分かりまへん。

とゆうのは、全米で歴史的な大ヒットをした「トワイライト」シリーズ(2007年~2012年・アメリカ)が、日本では…っちゅうのもあります。つまり、有名な俳優はんによって牽引するような映画では、残念ながらござりまへんのどす。ヒロイン役はジェニファー・ローレンスちゃんで、お相手役はジョシュ・ハッチャーソン君。みんな、知っとるかーちゅうたら、大概の人はウーン…でおましょ。

「トワイライト」みたいな三角関係的ラブ・ストーリー部も、展開しそうな雲行きなんやけど。でも、先物買いで見にいくんやったら、きっと後々エエことが待っとるかもしれまへんで。そやから、迷わずに見に行っておくんなまし。ちゅうことで。

2012年9月 8日 (土)

久々に見たロック・ミュージカルやー「ロック・オブ・エイジズ」

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トム・クルーズアニキ初の、ミュージカル映画どすえー

1980年代のアメリカン・ロックの勢いが、ググッと蘇えりまっせー

http://www.rockofages-movie.jp

セプテンバー9月21日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画・音楽の分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINENT INC.

ボクとしてはチョー久々に見た、ロック・ミュージカル映画どした。いつ以来やろかな~。DVDを借りて見たんは別にして、記憶を手繰るに「ジーザス・クライスト・スーパースター」(1973年製作・アメリカ映画)と「ヘアー」(1979年・アメリカ)以来かもしれまへん。

この2本は1980年代初頭に、京都の2番館の2本立てにて、同日に一遍に見よりました。それ以来てゆうたら、30年近い時が経っとるやないか、と思わはるかもしれまへんけども、ホンマのホンマ、ロック・ミュージカルっちゅうのんは、そないないんでおますよ。

ロックをただ演奏するのんはそれなりにあったやろけど、ロックに乗って踊って歌って、ドラマとリンクさせてゆく作りの映画とゆうのんは、あったやろか。あったなら、みなさん、教えておくんなはれ。

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さてはて、トム・クルーズのアニキやけど、ミュージカル出演は初めてやのに、本格的な熱いライヴ・パフォーマンスを披露しはります。実はボク的には、1980年代(本作の舞台は1987年のロス)に活性化した、歌ものロック・サントラを全編に配した映画を完璧に意識した、あるいは、トリビュートした作りになっとるかと思いました。

トム・クルーズの出世作「トップガン」(1986年・アメリカ)なんぞも、そんな1本どした。トムはきっとそういう映画も、頭ん中に入れて演技してはったはず。但し、あくまでメインどころの主役は、若手の2人でおます。

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その2人とは、ジュリアン・ハフちゃんとディエゴ・ボネータ君どす。この2人共に映画的には新人クラスやろけど、共にプロのシンガーでおまして、そういう人たちをキチンとキャスティングしはって、本格ミュージカルをば構築してゆかはります。ほんで、2人のラブ・ストーリーへと収束してゆく作りは、往年のハリウッド恋愛映画的な王道路線をいってはります。

そんな流れの中で、「シカゴ」(2002年・アメリカ)とゆうミュージカルの当たり役がある、キャサリン・ゼタ=ジョーンズのネーさんやらはモチ、ミュージカルにはとても似合わへんアレック・ボールドウィンはんさえも、踊って歌わはりまんねん。それがケッコー面白いんでチェックしておくんなはれ。

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ほんでもって、最も強力なんは、ロック音楽をば披露しはるシーンの、熱気具合どしたえ。トム・クルーズが、チョーヘヴィなガンズ・アンド・ローゼズ・ナンバーを激・激・激唱したり…。

一方では、他の出演陣のバラード披露シーンも多うござります。フォリナーのバラード「ガール・ライク・ユー」、スターシップのゴキゲンなロック・ナンバー「シスコはロックシティ」、ほんで、ドラマ・ポイントとなるジャーニーのナンバーやー。

オリジナル・ナンバーを、ただ流すんやありまへん。担当した各人が、必死のパッチでカヴァーして歌わはりまんねん。そして、歌詞的にも映画のテーマとなる、ジャーニーの「ドント・ストップ・ビリーヴィン」の、みんなによる合唱は圧巻どした。

とにかく、間違いなくノリのエエ、ロック・ミュージカルの娯楽作品なんどすえ~。

2012年9月 7日 (金)

ジュリア・ロバーツ主演「白雪姫と鏡の女王」

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イジメの女王をヒロインにしはった、アンチ白雪姫映画どす

“ホントは怖いグリム童話”のイメージを変えた作りやー

http://mirrormirror.gaga.ne.jp

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セプテンバー9月14日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 Relativity Media, LLC. All Rights Reserved.

白雪姫映画は、ディズニー・アニメ「白雪姫」(1938年製作・アメリカ映画)を嚆矢としておます。“ホントは怖いグリム童話”の原作の趣きを、映画ばえする美談に変換して作らはったもんどしたが、そのイメージが定着したためやろか、なかなか再映画化、もしくは実写映画化されることはありまへんどした。

ところがどっこい、その怖さを伝えた実写版①「スノーホワイト」(1997年・アメリカ)が作られました。さらにそれより15年が経った今年、2本の白雪姫実写映画が、製作されて公開されよります。既に公開された、1997年版と同じタイトルの②「スノーホワイト」(2012年・アメリカ)に続きまして、登場しはるんが本作③でおます。さてはて、この3作を比較検討してみたらどないなるんかを見てみまひょか。

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①は怖さを出し、②は白雪姫と女王のアクション対決をば設定しはりました。ほんでもって、③は①と②とはビミョーに違います。まずはナンチューても、悪の女王をヒロインとして、白雪姫以上に打ち出さはったとこやろか。その結果、アンチ白雪姫映画とも呼ぶべき作品に仕上がっとるんどすえ。

まあ、それはパロディ的な作りやとゆうても、エエかも分かりまへん。いくつかのお馴染みの設定を、変えたりもしてはります。その意味では“ホントは怖い…”をさらに、反転させはったようなカンジになっとると言いますか。

そやから、今までのものとは違うもんを作ろうとして、張り切った結果やろか、少し流れを外したりノレなかったりするとこもあるんやけど、①②とはまた違うテイストのオリジナリティーを、追求した点においては評価できる作品どした。

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悪の女王役はジュリア・ロバーツのネーさんどす。①ではシガニー・ウィーヴァー姉やんが、②ではシャーリズ・セロン姉さんが女王役をやらはりましたが、2人に比べてみると、ジュリアネーはホンマの悪には、なり切れへんようなとこがござりました。

むしろ、悪役とゆうよりは、コミカル・モードな演技やったかなと思います。白雪姫との確執部も、もっとドロドロな状況を出しても良かったんやろけど、あくまでパロディにこだわった軽めの作りどした。それがエエかどうかは別にいたしまして、むしろメインのベース・ラインとは違うとこに、ボクは目がいきよりました。

ゴージャスなセットに加え、コッポラ監督の「ドラキュラ」(1992年・アメリカ)でアカデミー賞衣装デザイン賞をゲットしはった、石岡瑛子はんの遺作となった衣装部が際立っておました。

そして、白雪姫役をやらはったリリー・コリンズちゃん。演技的にはアイドル的やったかもしれんけど、彼女は巨匠ポップ・ミュージシャンのフィル・コリンズはんの娘はんでおます。ラストロールで披露しやはる、ダンサブルなポップ・ナンバーは、オトンの音楽にも似て、メッチャノリノリどしたえ。とにかく、最初から最後まで楽しく見られる1本でおます。

2012年9月 6日 (木)

日本のミステリー映画「センチメンタルヤスコ」どす

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7人の被疑者を配しはった、ヒロインの謎を巡る推理映画どすえ~

オーソドックスやけど、過去と現在のカットバック手法は手堅いわ~

http://yasuko.asia

9月8日サタデーから2週間、大阪・第七藝術劇場で、10月1日マンデーから6日間、京都みなみ会館で上映でおます。

本作を配給しやはるのんは、「る・ひまわり」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 beackers

演劇が原作の映画作品でおます。実は演劇の映画化てゆうたら、テレビの映画版より圧倒的に多く、ほんでもって、海外ものではブロードウェイものやらを中心に、映画化がメッチャ盛んや。

そこで、突然やけど、演劇映画化のマイ・ベスト&カルト・スリーを披露しまっせ。但し、日本映画に限定した上で、シェークスピアやら近松門左衛門やらのクラシックもんは外しました。

●ベスト⇒①蒲田行進曲(1982年製作)②紙屋悦子の青春(2007年)③12人の優しい日本人(1991年)

●カルト⇒①本作②サマータイムマシン・ブルース(2005年)③阿修羅城の瞳(2003年)

●ベストは評論家筋で評価の高い作品を、アホみたいにマニュアル通りに取り上げとりますが、まあ、コレはボク的には、もっと弾けてもよかったんやけど、弾けきれへん映画批評的固定観念に、縛られたようなとこがあるやもしれまへん。ある意味、カルトの方がホンネのとこをば、思いきし弾けさせられるっちゅうか。

そやから、日常性の中のタイムスリップSFのカルト②やら、大作時代劇③やら、演劇の世界だけでは、100パー表現できにくい素材を取り上げとりま。ほんでもって、本作や。ミステリーどす。

しかも、ヒロインのココロの謎に迫る系に加え、被疑者は男7人や。演劇的にはいかにも、やりやすそうなミステリーもんやけど、ボク的には、ハードルのメッチャ高いジャンルやと思とります。

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なんでかとゆうたら、先行するミステリー映画にはいっぱい名作があり、また、いろんなスタイルが出尽くしている今において、オリジナル脚本にてやってやろうっちゅうんどすから。

そやけど確かに細かいとこを見ていったら、イロイロ突っ込めるとこはありま。科学的にも進化しとる鑑識課の不在やとか、集団事情聴取は基本的にはないとことか。そういう警察側のリアリティーは別にいたしまして、本作にはミステリー・マインドをそそる熱気がありましたで。

7人の誰が犯人かはモチ、ヒロイン・ヤスコの両親の死の真相、さらにヒロインは最終的にはどないなったんかなど、伏線はそないないけど、サプライズ・ポインツをいくつか配置してはります。いろんな人間の証言が交錯する、黒澤明の「羅生門」(1950年)的な展開。さらに、この手の映画には欠かせへん、過去と現在のカットバック。ベスト③の元ネタとなった「十二人の怒れる男」(1957年・アメリカ)などのセンスも、チョイ感じたりしよりました。

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そして、かつてボクが「グローウィン・グローウィン」(2001年)公開時にお話を聞いた、堀江慶アニキの監督作品どす。「グローウィン…」はそれほどやなかったけど、女優演出の冴えで魅せる作品がケッコー多いどす。

ほんで、今作ヒロイン役の岡本あずさチャン。ミステリアス度控えめに、アイドル的ヒロイン演技性に見えながらも、儚げなカンジは秀逸。「愛されると死にたくなる」なんてセリフには、ドッキリどした。テディベアに仕込まれた、隠しカメラによる横倒しカットなど、ユニークなカットも楽しめますでよ~。

2012年9月 5日 (水)

外国人監督が日本を舞台に描かはる「ライク・サムワン・イン・ラブ」

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若き男女2人とオジンの、3角関係構図をば描いておます

イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督の、ワケ分からん節が妙にクセに…

http://www.likesomeoneinlove.jp

9月15日のサタデーから、ユーロスペースはんの配給によりまして、渋谷・ユーロスペースやら、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーやー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒユーロスペース+mk2

イランのアッバス・キアロスタミ監督が、日本・フランス合作とゆうカタチで、日本を舞台に撮り上げはった作品でおます。監督については検索したら、イロイロ出てくると思いますが、世界的にはアート系映画監督として認められておます。いわば、巨匠監督とゆう位置にいてはる監督はんどす。

そんな監督がなんで、日本を舞台にした映画を、しかも全編日本語セリフで撮ろうと思わはったんか。さて、唐突やけど、ここで、外国人監督が日本を舞台に描いた映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露させていただきます。

●ベスト⇒①ブラック・レイン(1989年製作・アメリカ映画)②ラスト・サムライ(2003年・アメリカ)③ロスト・イン・トランスレーション(2003年・アメリカ)●カルト⇒①本作②珈琲時光(2003年・日本)③東京画(1985年・西ドイツ)

●オールド映画ファンがコレを見はったら、見え見えのスケスケなんやけど、ベストではハリウッド製作の映画を、カルトではハリウッド以外の国の、インディーズ系を採り上げとるな~っちゅうのんは明々白々や。でも、ボク的には、ベストとカルトを逆にしてもええかと思とります。

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日本の監督で海外で有名なんをゆうたら、そら、黒澤明監督でおましょう。しかし、映画関係者の間では、とゆうか、フランスを始めとしたヨーロッパやらアジアでは、黒澤と並んで、小津安二郎監督がリスペクトされとるんですわ。

世界の3大映画祭で賞をもらった経験がなかった小津監督への、この敬意ぶりやけど、ボクは改めて注目してもらいたいと思ておます。賞ももろてへんのに、なんでそないにアレやねんっちゅうとこらどすわ。ほやから、カルトの3作は全て、小津監督作品への想いを込めて、作られた作品をば採り上げたんでおますよ。

台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督が、小津の「東京物語」(1953年・日本)を意図的に意識して、撮らはったカルト②。ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが撮った、小津安(おづやす)ドキュメンタリーのカルト③。しかし、本作は監督自身が小津安ダイスキを標榜しながら、小津安がでけへんかったところへと、アプローチしてゆかはるんが新鮮でおました。

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男女の三角関係映画とゆうのんは、小津安映画には皆無どす。しかも、その三角も、写真に写ってはる、ほぼ新人と言える高梨臨(たかなし・りん)ちゃんと、加瀬亮のアニキ、ほんで、臨ちゃんとは派遣デートクラブを通して、知り合わはる老人学者役の奥野匡(ただし)はん。

今どきの女子大生ものに加え、シニア映画のノリ、さらに、老若男女の三角関係へと発展させはる作りのユニーク節は、日本映画の監督にはなかなかでけへんような、荒ワザやろかとも。でも、監督のワケ分からへん節が踏襲されとるてゆうても、見ていったら、なるほどなーと、ついていけるやろと思いますで。

2分から3分以上の長回し撮影に、映画的キレがありました。誰が喋っとんのか分からへん冒頭のカフェバー・シーン、タクシー車中でオバンのケータイの留守電を聞く、ヒロインのシーンやらを手始めに、イロイロ出てまいります。そして、突き放されるようなラストシーンのショッキング。まあ、取りあえずは、ワケの分かる映画にはなっとりますんで、安心して映画館へ見に行っておくんなまし。

2012年9月 4日 (火)

学園ものドイツ映画「コッホ先生と僕らの革命」やでー

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教師と生徒たちの、普遍的な関係性を描いた1本どす

実話ベースのオーソドックスな作りやけど、何やしらん胸にきよりま

http://kakumei.gaga.ne.jp

セプテンバー9月15日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテやら、大阪・テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 DEUTSCHFILM / CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT / SENATOR FILM PRODUCTION

教師と生徒たちの、いわゆる交流なるものを描いた映画の、系譜に入る1本でおます。「いまを生きる」(1989年製作・アメリカ映画)やら「陽だまりの教室」(1995年・アメリカ)やらとシンクロするように見えよりますが、本作は2作の20世紀舞台設定やなく、19世紀末のドイツを舞台にした、ある種の歴史もんでおます。

いわゆる、過去の実話をベースに取り上げはったもんどして、日本でゆうたら、19世紀末設定としては、夏目漱石原作の映画「坊っちゃん」(1935年・1966年・1977年・日本)やらの時代と、シンクロするでおましょうか。

本作の教師役主人公は、実話としては夏目漱石と同じく、英語教師(ドイツでは初やったそうや)なんやけど、イギリスへのこだわりをば持ってはります。当時、ドイツとイギリスは反目しておまして、イギリスもんは御法度どした。

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でもでんな、イギリス生まれのサッカーを、体育部門として生徒指導に取り入れはって波紋を呼びます。英語を教えてるかと思たら、当時のドイツでは、禁じられとるサッカーを授業中にやっとるんやから、そら、まあ、問題になりますわな。

でもしかし、学園スポ根ものとしての、見ごたえはござりました。ブルジョワ階級と労働者階級の生徒の間で起こるイジメの構図が、サッカーで解消されてゆくプロセスも巧みのワザどした。

但し、ボク個人はサッカー映画、もしくはサッカー入り映画には、傑作はないと思てきた男でおます。女子サッカーの「ベッカムに恋して」(2002年・イギリス)やら、プロを目指す男の「GOAL!」(2005年・アメリカ&イギリス)とか、アニメ「キャプテン翼」シリーズ(1985~1986年・全4作・日本)など、カルト的な見方はできるんやけど、今一つピリッとしとらんかったように思います。モチ、個人的な感想どす。見れてへんサッカー映画に、大傑作があるやもしれへんし…。

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そんな中において、本作はサッカー入り映画としては、かつてなく最もスムーズに、違和感なく見られた作品でおました。

ドイツ・サッカーのオトンにして創始者と言われる、コンラート・コッホはんの実話やけど、彼に扮しはったんは、ダニエル・ブリュールのアニキどす。どちらかとゆうたら、エキセントリックな感じの似合う役者はんやと思うんやけど、ココではあくまで冷静にして沈着。

コッホはんの人物像を分析しはった上で、役作りしはったんでおましょう。もっとドラマティックでベタな演技を、出すこともできたやろけど、やらはりまへん。この種の映画では定番かもしれへんけど、先生が学校を去るのんを、感傷的に生徒たちが止めようとするシーンやら、クライマックスの生徒たちによるサッカー・シーンやらでも、あくまで控えめの退きの演技性や。このあたりの表現が渋おました。

主人公が、友情を描くスコッチ民謡「蛍の光」を、しみじみとアカペラで歌うシーンなんぞも、ココロに残ります。

2012年9月 3日 (月)

青春・友情・恋愛映画の「王様とボク」どす

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変形友情映画でも、究極のシチュエーションもんやで~

大人になりたくない「スタンド・バイ・ミー」的にも見えるんやけど…

http://www.o-boku.com

長月9月22日の土曜日から、ユナイテッド エンタテインメントはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿やら大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012「王様とボク」製作委員会

若手の俳優はんらが、ガチでやらはった青春・友情プラス恋愛もんでおます。6歳の時(1998年)に事故に遭って意識不明となり、18歳(2010年)まで眠り続けて、12年ぶりに突然目覚めはった主人公。そやけど、彼のココロは6歳のままどした。

「やまだないと」のシリアスな青春コミック原作やけど、コレって実写映画化された、赤塚不二夫の「秘密のアッコちゃん」(体は20歳やけど精神は小学生)を意識したシチュエーションもんとちゃうやろか。また、2作のコミック共に、グリム童話やディズニー・アニメの「白雪姫」(1938年製作・アメリカ映画)からの影響が、垣間見られよります。

ちゅうことで、この特異な主人公役に、菅田将暉(すだ・まさき)クンがやらはりました。コドモっぽい大人やなく、いわばコドモの役なんどす。その無邪気ぶりやらには、「映画 秘密のアッコちゃん」(今年8月19日付けで分析)の、綾瀬はるかチャンにも通じるもんがありました。ただ、はるかチャンの方が妙に理屈っぽかったけど。

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菅田クンと幼い当時に友達やったけど、今は大学生になった松坂桃李(とうり)クンが、そんな今の菅田クンと、必死にコミュニケーションを取ろうとしはります。桃李クンは「僕たちは世界を変えることができない。」(昨年9月9日付けで分析)で、主演の向井理アニキにヒケを取らへん、好感度の高い好青年役をばやってはりましたが、本作ではさらに本格モードに入った感がありました。

友を想うキモチ演技やったり、屋上で「大人になんかなりたくねー」と叫んだりと、その友情の在り方は「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)的にも見えたりしよります。でも、コドモの時の話やないんで、12年とゆう精神年齢の差を、どない埋めてゆくのか、ココに大いなるポイントがある映画でおましょうか。

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そんな2人を見守る、桃李クンの彼女役の二階堂ふみチャンの演技が、メッチャハイな元気系どしたえ。明るい方向性がなかなか見えてこおへん2人の友情を、陰からそれとなくサポートしはります。ヴェネチア映画祭で新人賞をゲットした「ヒミズ」(昨年11月20日付けで分析)における「がんばれ!」のセリフに、見合ったような快演技でおます。ふみチャンのドラマティックなナレーションなんぞも、ココロをそそりまっせ。

さて、本作の監督・前田哲アニキやけど、ボクはかつて映画への思い入れなどを、インタビューしたことがあります。ブレイク前の宮崎あおいチャンなど、若手への演出ぶりにキレもあるけど、本作でも、映画作家らしい撮り方や作りをば心掛けてはるのが良かったどす。

3分から5分の長回しの印象的な使い方、スロー・シーンの挿入などが的を射ておます。変形青春映画やけど、映画的作りと演出で、妙にココロに残る作品でおました。

2012年9月 2日 (日)

岡田准一&宮崎あおい共演の時代劇「天地明察」

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時代劇やゆうても、アクションなしの学問系時代劇やー

滝田洋二郎監督的人間ドラマの、オリジン節に酔うカンジどすえ~

http://www.tenchi-meisatsu.jp

長月9月15日の土曜日から、松竹はんと角川映画はんの共同配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「天地明察」製作委員会

日本の時代劇のイメージてゆうたら、まずはチャンバラどすか。確かに、殺陣を使ったそうゆう時代劇アクションが、多いことは多いんやけど、実はアクトなしの時代劇もケッコーござります。

人情もの、長屋もの、心中もの、怪談もの、股旅もの、落語ネタ、喜劇、家族映画、ヒロインもの、人間ドラマなんぞに加え、学問・文化系なんかもありま。とゆうことで、江戸時代以前を舞台にした、アクトなし邦画時代劇の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば、思い付くままに勝手に披露をばいたします。

●ベスト⇒①雨月物語(1953年製作)②赤ひげ(1965年)③幕末太陽傳(1957年)

●カルト⇒①写楽(1994年)②本作③伊能忠敬・子午線の夢(2001年)

●この種の映画の巨匠とも言える、ベスト①の溝口健二監督や、黒澤明監督のベスト②など、ベストはオーソなカンジになってまいましたが、カルトは学問・文化系でまとめてみました。

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中でも本作は、天文学を採り上げた時代劇としては、邦画初のもんでおましょう。本作の滝田洋二郎監督的には、アクション時代劇は、SFアクト「陰陽師」(2001年)やら新撰組もの「壬生義士伝」(2002年)やらを撮ってはりますが、こういう人間ドラマ性で魅せる時代劇は初めてでおましょうか。

しかし、「おくりびと」(2008年)では、かつて採り上げられたことのない、納棺師の人間ドラマを作らはっただけに、本作の江戸時代の天文学人間も、いかにも親しみ感もあってリアル感もある、学問に熱中系の人間をば創出・演出しはりました。

主演はV6の岡田准一アニキどす。優しい系やった「花よりもなほ」(2006年)に続き、定番の時代劇的人間性を外すスタイルは、今回も絶好調どすえ。どちらかとゆうたら、「木更津キャッツアイ・日本シリーズ」(2003年)の、青春ストレート節でいってはります。

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囲碁シーンやら、日食を見る天体観測シーンやら、時代劇には似合わない、大人しいシーンが頻出しよります。全国各地の北斗七星の高さの違いを、団体で調べて歩くロードムービー部、クライマックスの2派にわたる、太陽を見てどないやらこないやらの暦対決やらも、動きはあんましありまへん。

チャンバラ活劇に慣れた人たちには、こういうシーンがどない映るやらは分かりまへんが、じっくり見れば、それぞれのシーンに緊張感がはらんでおるハズどす。

さてはて、夫を支える妻サポートな役柄が、このところ続いておます、宮崎あおいネーさんやけど、今作でもそのココロは健在でおました。「私より先に死なないで」と、岡田アニにゆうクローズアップ・シーンなんか、グッときよりました。のちに夫婦になるこの2人の恋愛ドラマ部にも、ご注目あれ! でおますよ。

2012年9月 1日 (土)

シリーズのフィナーレを飾らはる「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」

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コミカルとシリアスを織り交ぜた、刑事日本映画の歴史的傑作やー

まさかコレでしまいやなんて、信じられまへん

http://www.odoru.com

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セプテンバー9月7日のフライデーから、東宝はんの配給によりまして、全国東宝系ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

ホンマにコレで終わりなんやろか。ボクとしてはとても信じられまへんどす。なぜなら、青島刑事は健在やし、お馴染みのキャラは豊富やし、事件なんてイロイロ考えられるやろから、「寅さん」に迫ってほしかったんやけど…。

でも、本作は連続テレビのトレンディー・ドラマから始まった、シリーズもんの持ち味を、最後の最後まで遺憾なく発揮しはった作品やったと思います。

コミカル・モードとリアル感あるシリアス・モードを、程よくブレンドさせて刑事ドラマを展開してまいります。そこには、「寅さん」始め喜劇として多かった、往年の日本のプログラム・ピクチャーのテイストはもちろんのこと、そこへシビアなミステリー部の新味を持ってくるとゆう点において、まさに日本映画史に残るシリーズもんやったどす。

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さて、このラスト映画公開の前には、本作舞台設定の2012年12月の1カ月前をば捉えはった、オリジナル・テレビ・スペシャル・ドラマが、9月1日の午後9時から、フジテレビジョン・ネットワークにて全国オンエアされます。ほんでもって、本作へ続くとゆうことになっとるらしいんで、みなはん、ぜひともそれは見てた方がエエんやないかな。

本日9月1日にこの記事をアップさせたボクも、モチ未見どして、今日見るんを楽しみにしておます。さてはて本作やけど、そのスペシャル版より早く試写室で見させてもらいまして、その前後関係については分からへんけども、本作について語らせてもらいま。

いきなりコミカル部が披露されよります。とある商店街で、青島刑事・織田裕二アニキが、深津絵里ネーさんと、唐揚げ屋をやってはるとゆう、トンデモないシーンから始まります。いきなりのサプライズどす。本編の前半にて、こういうコミカル・シーンが頻出しよります。

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対して、シリアス部でおます。6年前の少女誘拐殺人事件に絡んだ、現在の殺人事件が発生しよります。ところがどっこい、その事件が警察関係者が犯人らしい事件やったもんどすさかい、警視庁の幹部たちは、ショカツ(所轄)を外して、警視庁内で穏便に解決しようとしはります。

本作シリーズのキモやった、本庁(本店)VSショカツとゆう構図が最後になっても展開しよります。そして、内部告発系としては、CIAの暗部系の「ボーン」シリーズ(2002年・2004年・2007年・全3作・アメリカ映画)やらへもつながっとるかと、ボクは考えとるんどすえ。

故いかりや長介はんを除き、シリーズ・オールスター・キャスト揃い踏みでおます。キャラクターたちのその後についても、当然言及してはります。でも、シリーズ初登場にして最後になる方の、演技にも大注目や。SMAPの香取クンこと慎吾チャンの、かつてないクールな演技にはアラマ・ポテチン(ビックリ)どした。

さらに、シメ方も決まっておました。「事件は現場で起こってるんだ」とゆうシリーズ第1弾の、インパクトを継承するラストシーンはメッチャカッコよかったどす。いつかまた、新作が作られることを祈って本稿のシメといたします。

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