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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年7月の記事

2012年7月31日 (火)

「クーリエ-過去を運ぶ男-」いわゆる運び屋でおます

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「トランスポーター」を複雑系にしはった、問題作になっとります

照明を薄めにしはった、ダークな絵作りが渋いやもしれまへん

http://courier-movie.jp/

8月11日の土曜日から、日活はんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田でレイトショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 COURIER PRODUCTIONS, LLC.

物を届けるだけの仕事を描いた映画でおます。やなんて、簡単にゆうてしもたら、ほーっ、それだけの映画なんかと、思わはる人はいてへんやろけど、あくまで基本は届けるだけなんどす。

モチ、SF系やけどナンジャコラーな「ポストマン」(1997年製作・アメリカ映画)みたいな、郵便配達屋はんの話やありまへん。

ヤバイもんを届けるちゅうことなんやけど、何でも時間指定内に届けたるとゆう「トランスポーター」シリーズ(第1弾は2002年・フランス)の、アクションバリバリもんもあるけども、本作はそれを直球やなく変化球で捉えはりました。

そういえば、どっかのCMでは、場所やなく人に届けるんやなんて、コピーがありましたけども、本作はまさにその人を探して手渡すとゆうもんどして、相手は何者やらどこにおるやら、分からへんような男でおます。

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それをば必死のパッチで、追ってゆかはる主人公クーリエに加え、途中参加として、中国生まれのネーさんとかも、相棒的に入ってきはります。ほんで、終始ダークな絵作りをばしてはります。

照明も薄めやし、モノクロかとさえ思うようなシーンさえあります。光と影の使い方、特に影部へのこだわりが顕著やったかもしれまへん。

監督のハニ・アブ・アサドはんは、「パラダイス・ナウ」(2005年・イスラエル)のダーク感が強烈どした。そのカンジをば、インディペンデントやけどアメリカン・アクション映画に注入しはったんが、本作とゆうことになりましょうか。

イントロの遊園地のジェットコースターでのやり取りから、俯瞰シーンを使ったビビッドなシーンでおました。

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ハリウッドのスパイ映画と比較しても、モチ、スケール感は違うかもしれへんけど、かなり健闘してはると思いますが…。

さてはて、スパイ映画は別にして、いつもながらに関連作を何げに出してしまうと、いっぺんにネタバレの興ざめちゅうタイプの映画やもしれまへん。ある種、取り扱いにご注意くだされってヤツどすか。

マガイモンのエルヴィス・プレスリー役で出てはる、ミッキー・ロークはんなんぞが、過去の主演作品と絡めた伏線となりよりますかな。主人公の正体と、お届け先の人物の正体が、いわゆる謎めいて迷宮を作ってゆくみたいな、スパイラルで、らせん的なミステリーになっとります。ほんでもって、ナゾナゾとサプライズを深めるラストシーンは、渋かったやろかなと思います。

2012年7月30日 (月)

カナダ映画「テイク・ディス・ワルツ」でおます

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不倫三角関係ドラマの方程式を、ハズさはった1本どす

女優監督サラ・ポーリーネーさんによる、変型ヒロイン・ドラマやろな~

http://www.takethiswaltz.jp/

オーガスト8月11日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、梅田ガーデンシネマ、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらでロードショーでおます。本作は【R15+】指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Joe's Daughter Inc.All Rights Reserved

カナダの女優はんで監督もしてはる、サラ・ポーリー姉さんの、長編劇映画監督作品の第2弾でおます。第1弾の「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」(2006年製作・カナダ映画)でも、そうやったんやけど、これまでの女優監督が見せるセンスと、ビミョーに違っとります。

素直やないしストレートでもありまへん。変化球は変化球なんやけど、道行で定番をハズして、ほんで元の不倫軌道に戻って、またハズすみたいなカンジ。夫婦映画であれ、不倫ものであれ、フツーには描かれず、時々、ムムム…と考えさせられます。

前作「マリリン 7日間の恋」(今年3月17日付けで分析)では、マリリン・モンローになりきらはった、ミシェル・ウィリアムズのネーさんやけど、本作ではヌード・シーンも含め、屈折したとこを演技してはりますが、こちらもムムム…なとこはござりました。

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ダンナはん役のセス・ローゲンのアニキとの、夫婦間のフツーやないセリフのやりとりからして、トンでもありまへん。「ケーキナイフで君の瞳を刺してやろうか」「あたしも…」なんて、セリフが続きよります。まあ、冗談なんやろうけど、会話のなさを、そうした冗談で紛らわしてはるようなとこもありま。

実際、結婚記念日に2人が会食しても、話題がなく黙り合います。一方で、ミシェル姉さんは、自宅の斜め向かいにいてはるルーク・カービーのアニキやけど、遠出して出会わはります。

この2人の仲なんやけど、不倫が進行しているようでしてなさそうな展開で、進んでまいります。スロー・モーションやら疑似セックス・セリフなどを使って、不倫かどうなんかどっちへ向かうんか、分からへんカンジを続けてゆかはります。セピア・バチバチの灯台での再会夢シーンやら、カメラが回ってのセックス・シーンやら、イマジネーション・カット的に魅せるシーンも、不思議感覚がありましたな。

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ほんでもって、ある日突然、みたいなシーンがやってまいります。いわゆる、伏線シーンの作り方がこれまでと違うために、ある種の戸惑いを覚えはる人もいてはるかもしれまへん。三角関係ドラマの方程式なるものを、ハズしたような作りは、サラ監督の作家性とも呼ぶべきもんやないやろか。

そして、タイトルやけど、曲名から取られておます。サラ監督と同じカナダ出身で、カナダのボブ・ディランとも言うべき、ベテラン・ミュージシャンのレナード・コーエンはんの名曲どす。そのギターの弾き語りフォークも、シブ~く流されます。でも、ボクの見たところでは、コレは作品にリンクするかもしれんけど、表層上のもんやないかなとも思いました。

なんでかとゆうと、トロント島の遊園地のデート・シーンとラストシーンで、バグルスの「ラジオスターの悲劇」が流れます。ニューウェイヴチックにピコピコ・ダンサブルなんやけど、中身は暗い歌詞内容のこの曲こそ、ヒロインの未来を示しとるようどした。シニカルなテイストもそこはかとなくカンジましたし、変型ヒロイン・ドラマの怪作やと、ボクはジャッジいたしま。

2012年7月29日 (日)

TBSの深夜ドラマの映画版「闇金ウシジマくん」でおま

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山田孝之、林遣都の各アニキと大島優子ネーさんのトリプル・アンサンブル演技でおます

テレビの「ナニワ金融道」以上に、エグイのんが展開しよりま

http://ymkn-ushijima-movie.com

葉月8月25日の土曜日から、S・D・Pはんの配給によりまして、全国ロードショー。ほんで、関西やったら、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん」製作委員会

今さらながらのコミック原作映画なんやけど、残念ながらボクチンは、映画は見てるけどコミックはさっぱり読んでへんとゆう、コミック・マニアにしてみたら、許しがたきオトコでおます。

まあ、昨日分析しよった「るろうに剣心」はアニメ経由なんで、アニメ分はチョイ見とりますけども。ほんでもって、今さらながらのテレビドラマの劇場版なもんどすから、しかも、深夜にやってはったテレビドラマやなんて、さっぱり見てへんもんどすから、ウシジマ君って一体誰やねん? ちゅう状態なんどすわ。

ところがどっこい、闇金主人公で、人殺しも辞さない借金取り立て屋でおまして、なるへそ、ウシジマ君やなんてかわいらしくゆうといて、ホンマにドカーンとえげつなく、やってくれはりまんねん、コレがね。

ゴールデンタイムやら9時・10時台にやってたテレビ版の映画版やないんです。深夜どす。まあ、深夜でも、あくまでテレビどすから、それなりに大人しいんやけど、本作はかなりキレとりました。

本作の監督をばやらはった、山口雅俊アニキなんやけど、これまではテレビのプロデューサーやら映画の企画をやってはったんやけど、本作で初めての映画監督でおます。本作の路線みたいなんを、ケッコーやってきてはります。

フジテレビの「ナニワ金融道」シリーズなんかは、まさに本作とメッチャシンクロしよりますし、映画でも「カイジ」シリーズ(2009年・2011年)とか、本作と同じ原作者による「スマグラー おまえの未来を運べ」(2011年)なんぞと関わり、ああ、なるほどこういうタイプの映画が好きなんやな~て思わせてくれはります。

主に3人の話が、シンクロしもって展開してまいります。闇金の悪役・ウシジマ君役には、クールな無情感でキメる山田孝之アニキ。

その闇金融からオカンの借金で、責めたてられはるネーさん役には、AKB48のセンターの大島優子ネー。この作品を撮ってた時は2位どしたけども、それにもメゲずにアイドルらしき演技をやってはります。

その代わりと言ってはなんやけど、山田孝之に挑まはった林遣都アニキが、汚れ役のエライ目に遭わはります。「ミラーズ・クロッシング」(1990年・アメリカ)やら「カジノ」(1995年・アメリカ)やらを思い出させる、非情さを体感しはります。

「スマグラー」チックな新井浩文のゴーモンぶり。そして、新井と山田の間で展開する、ダーク・ブルー・トーンの1対1対決シーンやらも見どころどす。

テレビ版に出てはった人も描いてはりますが、あえてテレビやなく、映画にこだわったとこらが熱気として伝わってまいりました。ラストロールで流れる、Superflyのキャッチーなミディアム・ソウル・ナンバー「The Bird Without Wings」も、カッコえかったどすえ~。

2012年7月28日 (土)

アニメ化経由のコミック原作実写版「るろうに剣心」どす

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コミックものでも、明治時代の時代劇は珍しおますで~

NHKの大河ドラマ「龍馬伝」の、続編的なテイストをカンジるんはボクだけなんやろか~?

http://www.rurouni-kenshin.jp/

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葉月8月25日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーやー。大阪やったら、大阪ステーションシティシネマやらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ和月伸宏/集英社 Ⓒ2012「るろうに剣心」製作委員会

ビックリしたんは、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」とのシンクロナイズ的感覚どした。個人的な妄想かもしれへんねんけども…。

人斬り・岡田以蔵役やった佐藤健アニキが主人公やし、実業家・岩崎弥太郎役の香川照之はんは闇の商売人役やし、蒼井優ネーさんもよう似た役柄で出てはります。

女声コーラス入りのサントラ担当は、同じく佐藤直紀はんやし、監督もNHK出身の方やし。ほんで、今と昔の大河ドラマに出てはる、あるいは出てはった武井咲ちゃんやら、吉川晃司アニやらも出てはりま。でも、表層的は別にして、本作は幕末もの「龍馬伝」の、明治時代1878年を舞台とした続編のような趣きがござりました。

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それは、モノクロっぽい配色で描かれる、幕末の鳥羽・伏見の戦いのシーンから、本作が始まるからでおましょうか。「ラスト・サムライ」(2003年製作・アメリカ映画)的設定やてゆうたら、大げさかもしれんけど、ここで、佐藤健と吉川晃司、ほんで江口洋介アニキの3人が、運命の出会いをしはります。

さてはて、コミック原作の時代劇実写版の観点から見てみよりますと、明治時代もので剣戟ものとゆうのんは稀少でおます。廃刀令などの時代考証に合わせたものが多い中で、本格的時代劇殺陣アクションをば披露しはります。しかも、主人公の剣は剣としての体裁をなしとらへんもんどして、そういうハンデの中での対決が行われてまいります。

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対決シーンには、正統派的なとこも当然ありますが、コミック原作っぽいユーモアチックなアクションもありま。ほんでもって、各人がアクション・シーンに合わせた演技性やキャラクターを披露しはりますんで、ケッコー魅了されよりました。

流浪人主人公が剣なしで何人もを倒してしまうシーン、格闘シーンで途中でもの食って酒飲んで再び対決へやら、香川照之はんのバクレツ銃撃シーンやら。そんな中でも特注は、武井咲ちゃんのアイドル性でおましょう。

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昔からもずーっとありますが、時代劇の女アイドル性としては、近作では同じくコミック原作の「あずみ」(2003年・日本)の上戸彩ネーさんや、「SHINOBI」(2005年・日本)の仲間由紀恵ネーなんかを思い出します。でも、彩ネーや仲間ネーよりも、ゲキレツぶりはユルメでおました。

「愛と誠」(今年6月1日付けで分析)でも顕著やったけど、本作でもアイドルらしさが満開しておます。佐藤健と吉川晃司の最終対決の場にも、咲ちゃんはいてるけど、重厚な対決シーンなんやけど、柔和なアクセントをば加えてはります。蒼井優ネーよりもアップは多めやしな…、優ネー怒ってるかも…。志穂美悦子ネーさんやらが活躍した、かつてのアイドル時代劇の復興を、予感させてくれはるような手応えがありましたえ~。

2012年7月27日 (金)

部活青春映画「桐島、部活やめるってよ」やてー

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群像劇タッチの高校学園青春映画の、久々の快作どす

いろんな部活を描くも、映画部がポイントになっとります

http://kirishima-movie.com/

葉月8月11日の土曜日から、東京・新宿バルト9やらで、全国ロードショーでおます。

関西やったら、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、アポロシネマ8、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「桐島、部活やめるってよ」製作委員会

高校のいろんな部活動をやってる生徒たちをメインに、群像劇のタッチで描かはった作品でおます。同じ時間を生徒視点別に何度もリフレインして、いろんな視点を交錯させはります。同時進行の群像劇とは違い、この多角視点で展開することによってでんな、ミステリー的になったり、より多層構造に見えたりしてきよります。

よう考えたら簡単な話やのに、何やら複雑そうな話へと膨らんでゆくんどすわ。つまり、話はモノゴッツー単純。青春ストレート路線な映画やとゆうてもええかもしれません。

ほんでもって、本作の今一つのオリジナル・ポイントは、バレーボール部のエース桐島クンを、独特の狂言回し的存在として使(つこ)てはることでおましょうか。こういう使い方自体が、まあないやろから、でっかいサプライズになっとります。

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ちなみに、主人公の黒縁メガネの神木隆之介クンは、桐島クンやありません。映画(製作)部に所属してまして、DVDやなくフィルムの八ミリ映画をば撮っとります。顧問の先生からは、身近な青春映画を撮れとゆわれるんやけど、内緒でゾンビ・ホラー映画をば部員のみんなで撮らはります。

実は、体育会系の部活やら吹奏楽部、ほんでもって、どこにも入っていない帰宅部なんてのも、お遊びで入れてはって、それぞれそれなりに描いてるんやけども、メインはこの映画部にござります。

神木クンが日曜に映画館で見てる、「鉄男」(2010年製作・日本映画)。橋本愛ちゃんとの会話で出てくる「エイリアン」(1979年・アメリカ)や「ザ・フライ」(1986年・アメリカ)「遊星からの物体X」(1982年・アメリカ)。顧問の先生との話で出る、「ゾンビ」(1978年・イタリア&アメリカ)のジョージ・A・ロメロ監督や「バイオハザード」(2002年・アメリカ&ドイツ&イギリス)など、ホラー映画的薀蓄ぶりが出てきて、個人的にはオモロおました。

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「告白」(2010年・日本)「アナザー」(今年7月22日付けで分析)などの学園もの出演が続く、バドミントン部の橋本愛ちゃんやら、吹奏楽部の大後寿々花ちゃんやらの恋愛部も、さりげなく淡く描いてはるんやけど、ナンチューてもドカーンと爆発するんは、8ミリ撮影シーンでおます。

吹奏楽に乗ったVFX入りのこのクライマックスは、幻想シーンも合わせて印象的なシークエンスとなりました。学園ドラマ映画の新たな側面を、開拓した作品やと思います。

相米慎二監督の群像劇「台風クラブ」(1984年・日本)やら、本作は高知ロケ入りらしいどすが、大林宣彦監督の地方学園もの映画などと、シンクロナイズする作品やー。

また、本作の原作は「すばる小説新人賞」受賞作やけど、文学の新人賞「すばる文学賞」なんかもあって、その原作映画としては「家族ゲーム」(1983年・日本)やら「永遠の1/2」(1987年・日本)やらの名作を輩出しとります。集英社の「すばる」のキーワードで括っても、面白い1本どした。

2012年7月26日 (木)

2つの話を描かはるアメリカン映画「ハーフ・デイズ」

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イエローな配色のサスペンスと、グリーンなホーム・ドラマのどっちがよろしおまっしゃろか

「スライディング・ドア」のカップル版どすやろかな~

http://www.at-e.co.jp/2012/1-2days

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オーガスト8月4日のサタデーから、アット エンタテインメントはんの配給によりまして、東京・シアターN渋谷を皮切りに、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Uncertain Partners LLC

NYを舞台にした映画とゆうのんは、これまでにモー、ホンマのホンマに、腐るくらいに出てきておます。パリやらロスやらより多いやもしれまへん。そんな中で新味を出すっちゅうのんは、今や至難のワザと申せましょう。

それでも、本作は吉と出るか凶と出るかは別にして、あえてヤラはりました。しかも恋人たちの話なんて、もはや新味なんてありまへんやろ。愛とゆう名のキモチを描くとゆうロマンスをば、えらい古い言い方やけど、金太郎アメのワンパターンのように、繰り返すしか術はないのでは…と思いきや…。

要するに、2人の話を2方向でやってまおかとゆう試みどすわ。ヒロインの2つの運命を描いた「スライディング・ドア」(1997年製作・アメリカ&イギリス合作)の、カップル版てゆうたらそうなんやけど、本作は2つの話をできるだけ格差あるもんにしようと、ガンバらはりましたで。

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衣服的には、イエローとグリーンに分けてはるようどすが、大仰にフィルター入りでやってもよかったんやろけど、2話の対比をば、主にストーリー的に分けはりました。

逃走劇を中心に、アクション・シーンをポイントにしはったイエロー版。対して彼の、彼女の家族との交流をメインにしはった家族ドラマ部。2つの話がカットバックされて、別々に同時進行で展開してゆきよります。2話がシンクロするのかどうかは、まあ、見てのお楽しみちゅうカンジどすか。

アドリブだらけらしいどす。そやから、ホンマに自然体な2人の話が、紡がれとるとゆうことでおましょうか。2人の間でしか通じないようなセリフもあって、このあたりはアドリブらしさが出ておます。

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主人公役は、ジョセフ・ゴードン=レヴィットのアニキどす。本人の出演・主演作の、例えば、多層構造の「インセプション」(2010年・アメリカ)と、恋愛映画「(500)日のサマー」(2009年・アメリカ)を、インディペンデント的に融合したような仕上がりっちゅうか。

ヒロイン役のリン・コリンズのネーさんも「ヴェニスの商人」(2004年・アメリカ&イタリア&ルクセンブルグ&イギリス)での、好感度の高さをば維持してはります。

ちゅうことで、逼迫のサスペンスと、ラブ・ストーリー入りの家族ドラマ。2倍おいしいとゆう言い方は、ようありますけども、ホンマに2倍なのかは、みなはんの判断となりますやろか。

ボクとしては、アート映画的な設計を読む方向性で見とったんで、ネタバレせんように言うと、こういうのんはそういうのんやろなと思うんやけど。まあ、あんましない着地でおましょう。そのあたりについて、見たあとにイロイロ議論できる作品やも分かりません。

2012年7月25日 (水)

インディペンデントやゆうても、出来が違う日本映画「かぞくのくに」

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在日家族ドラマ映画の鋭利な新視点に、ついつい凍り付いてしもた作品どす

井浦新アニキの演技てゆうたら、ナンチューても特注もんでおました

http://www.kazokunokuni.com/

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葉月8月4日の土曜日から、スターサンズはんの配給によりまして、東京・テアトル新宿やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、8月11日から大阪・テアトル梅田、シネマート心斎橋やら、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Star Sands, Inc.

在日韓国人たちの生き様を描いた映画とゆうのんは、21世紀に入ってから「冬のソナタ」やらの韓流ドラマの隆盛によって、クローズアップされたように思います。

でも、残念ながら、目を剥くほどの大ヒットなんぞはしとりまへん。日本全国系に乗った「GO」(2001年製作)とか「血と骨」(2004年)「パッチギ!」(2004年)なんぞにしても、大ヒット・イメージはないんやけど、但し、映画としての仕上がり具合はメッチャ高(たこ)うおました。

ほんで、本作も家族ドラマとしての傑作になりよりました。しかも、在日家族ドラマでは、特異なとこをば描いてはります。21世紀の現代の話やないんやけど、1997年とゆう設定どす。

北朝鮮の拉致問題も、そんなにかしましゅうなかった時代やと思てください。そんな時に、北朝鮮に戻り家族を作った在日一家の長男が、北ではどうにも治らへんビョーキに罹ってでんな、日本で治すために、一時帰国が認められて日本に帰ってきはります。

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でも、その帰国ぶりは異様どす。同志とゆう名の者が兄を常に監視してはりまして、兄貴は妹にスパイ的活動をやらへんかと持ちかけはったりしはります。

演技陣に目を向けてみましょか。狂気を内に秘めた、静かに見えるような演技ぶりが、徹頭徹尾演出されておます。むろん、怒りやらをストレートに出したりするとこもあるんやけど、そうですかっちゅう程度で終わります。抑制を効かせた演技が、突出しとりました。

井浦新アニキの、三島由紀夫役をやった「11.25自決の日…」(今年5月20日付けで分析)とは違う静謐ぶり。チョイ激昂するとこもあるけど、不満足をビミョーに内に秘めた演技がうまいと思いました。妹役の安藤サクラ姉さんとの、長回し含むやりとりも、ビミョーにココロを刺激しよります。

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同志で見張り役のヤン・イクチュンの、激・激な「息もできない」(2008年・韓国)とは正反対の、冷静でクールな演技には驚きがありました。

女性監督のヤン・ヨンヒのネーさんは、自分の家族をメインにしはった、家族ドキュメンタリーを撮ってきはりましたけども、本作ではそのスタイルをば、ドラマに見事に転じて描いてはります。ドキュと同じく、印象深い長回しの撮影がイロイロござりました。

3分以上の長回しがケッコーありました。それらは、登場人物たちのキモチに、即したものが多かったように思います。ただ単に長回しをすればええわけやないんで、このあたりは計算されとります。

ビリーバンバンのフォークな名曲「白いブランコ」が、効果的に使われてるちゅうか、本編で歌われておました。時代に合わせたような、光度の低い照明具合も、シブミを感じさせてくれはるケッサクやったどす。

2012年7月24日 (火)

難しい弁護しかやらはらへん「死刑弁護人」のお話

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アウトサイダーな弁護士人間ドキュメンタリーの、問題作でおます

和歌山カレー事件などの検証部に、アラマ・ポテチンどすえ

http://shikeibengonin.jp/

7月28日の土曜日から、東海テレビ放送の配給によりまして、大阪・第七藝術劇場で、全国順グリのロードショーでおます。その後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらでも上映しはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ東海テレビ放送

弁護士を描く映画とゆうのんは、イロイロあるかと思います。ドラマ映画やったら、大たいやね、正義肌の弁護士が活躍して、エエカッコシーをばやらはります。本作はドラマやなくて、ドキュでおますが、でも、大たいやね、ヒーロー弁護士やありまへん。

かとゆうて、悪徳弁護士でもありまへんねん。弁護士にもイロイロいてはるんやけど、あんまし受けたくない難しい依頼やとか、敗北が裁判前から分かってるようなんをやったりする方とか、国選弁護人やったりと、ある意味でマイナス案件を、専門にしてはる弁護士はんがいてはりまんねん。

しかし、それをば積極的にかどうかは分かりまへんけども、ネチネチと粘っこくやってはる方がいてはります。本作ドキュで描かれはる安田好弘はん、当年64歳の弁護士はんでおます。

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死刑あるいは、無期懲役の事件の弁護が、大がいなんでおますよ。傍聴人やらからは罵声も浴びたりもするんやけど、そんな中で、少しでも刑を軽くできるとこを探ろうと必死にやらはります。オウム真理教の麻原やら、今年少年法を超えて死刑になった、光市の母子殺害事件の犯人やら、最初から厳しい戦いにあえて挑まはります。

その姿を、安田弁護士の過去からひもといても、描こうとしはるんやけど、なんでそういうのんをやり続けはるんかは、今一つみなはんには伝わらへんかもしれまへん。ただ、犯罪者を助けるカンジやのに、弱きを助ける弁護士イメージが、そんなに損なわれていないのんには、不思議な思いがしました。

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こういう特異な弁護士を描いたんは、ドラマであれドキュであれ、映画的には初めてでおましょう。弁護士ヒューマン映画の新機軸やと、ボク的には思うんやけど、みなはんの評価は、ストレートにヒーローにもアウトローにもなり切れないこの弁護士像は、おそらくビミョーなものになるんやないでしょうか。

けども、ボクが最も感じ入ったのは、和歌山カレー事件の検証部でおました。被告人は既に死刑の判決が出とります。また、映画化もされた小説「黒い家」では、モデルにもなったのではとも言われとりました。この事件のイロイロ繰り出される検証シーンは、ドラマ映画的にも映えるようにも思います。この部分をピン・ポイントで、続編をやってほしいと思うくらいどした。

ナレーションの山本太郎アニキの、何やら落ち着いた弁士ぶりにも、そそられました!?  コレはある意味で人を惑わせはる、幻惑のイリュージョン映画なんかもしれません。

2012年7月23日 (月)

日本の恋愛群像劇「こっぴどい猫」やて、どんなんかな~

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還暦迎えはったモト冬樹はんの、メモリアル・イヤー映画なんやけど…

彼をポイント・ゲッターに、哀愁の情けな~な失恋がイロイロ展開どす

http://www.koppidoi-neko.com/

7月28日の土曜日から、SPOTTED PRODUCTIONSの配給によりまして、東京・新宿K's cinemaでレイトショーの後、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 DUDES

モト冬樹はんの生誕60周年記念作品なんやけど、モトはん以外は、ほとんど無名に近い役者はんによって、作り上げられた作品でおます。そやから、有名俳優で映画を見る人には向いてへんように思いよりますが、そういう人にこそ見てもろて、演技的シブミやら映画的滋味をカンジてもらいたい作品どす。

加えて、モトはんのパブリック・イメージ的は、確かに仕込まれておますけども、ポイント的には主役とは申せ、あくまで狂言回し的な役回りをやってはるようどした。モトはんは小説家役でおます。妻に先立たれたけど、娘は結婚し息子も1人立ちしてて、ある意味で気楽でフリーキーな立場にござります。

そやから、ホワ~ンとしはった小宮一葉ネーさんからの、相談に近いモーション掛けに、その気にならはったりしはります。よくあるパターンやけど、まあ、この辺がモトはんスパイシーなんでおましょうか。

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モトはんの家族ドラマ部に加え、三角関係的な恋愛群像劇部など、この種の群像劇としては、かつての名作群像劇となぞらえても、劇的とは言えないやろけど、それなりに魅せてくれはります。

いや、むしろモトはんがいてはることによって、微妙な味付けが付加されとるようにも見えました。モトはんやけど、最新作で例えるなら、「ファミリー・ツリー」(今年5月6日付けで分析)のジョージ・クルーニーみたいな、あるいは、作家を描いてはるからかもしれんけど、「わが母の記」(今年4月6日付け)の役所広司チックな演技性も、見え隠れしておました。

でも、あくまで自然体とゆう演技で、派手も大げさもない渋演技ぶりやと言えましょうやろか。「寅さん」やらとはダイブ違っとります。

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ほんで、撮り方でおますが、長回しがケッコー出てきよります。5分強の固定の長回しなど、会話をじっくり聞かせる意図もあるやろけど、登場人物たちのキモチに即した長回しでもあるようどした。

タル~イな~なんてとこもあるけど、それは本作の今泉力哉監督のアニキの狙い通りでおましょう。登場人物のタルイ・キモチもあるんで。一方で、アップ・シーンではあんまし使われへん、スロー・モーションをやってみたりとゆう、オモロイとこも出してはりました。

モトはんのためとゆう映画性を打ち出してはりますが、最初からずーっと地味に見えつつもでんな、ラスト近く、ほんでもってラストでは、ヤッパ主役やでーなんてゆう、カッコエエ(!?)とこをば見せてくれはります。

ピアノの癒やし的な使い方やらも含めまして、総体的には心地よい鑑賞後感がありました。家族ドラマ・群像劇でチョイ視点の変えた、1側面が見えた作品どした。

2012年7月22日 (日)

ホラー学園ミステリー「アナザー Another」や~

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綾辻行人アニキの原作小説では、初の映画化作品でおます

「告白」「貞子3D」の橋本愛ちゃんが、加藤あいネーさんやらと絡みまっせ~

http://www.another-movie.com/

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葉月8月4日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 映画『Another アナザー』製作委員会

1980年代に、新本格派ミステリー作家としてデビューしはった、京都出身・綾辻行人アニキの、何とコレが初の映画化作品でおます。ロジックで魅せる新本格ミステリーはどないあっても、映像映えしよりまへん。

ところがどっこい、コレがホラーやと、話は違ってまいります。綾辻アニにはホラー小説の傑作もありますねん。ジャパニーズ・ホラーは「リング」(1997年製作)以来、世界も注目する日本映画のブランド・ジャンルになっとります。

ほんで、本作もホラーなんやけど、学園ものにして、一方で真相究明のところで、本格ミステリー的なサプライズも、用意された作品になっとります。怖さとミステリー部が、絶妙にミキシングされとるんどす。

学園は中学校設定でおます。中学校ものてゆうたら、「バトル・ロワイアル」(2000年)やら「告白」(2010年)やらを思い出しますが、サスペンス度合いは同質のもんがござります。

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ポスターのコピーにありますように、既に死んでいる奴は誰やねんを探す、いわゆる犯人当てミステリー映画的な感覚もあります。でも、コレはビミョーにネタバレに関わる項目やと、ボクは思うんで、深掘りはいたしまへん。

そういう設定であるとゆう点は、物語の半ばあたりまで伏せられとるからどす。「シックス・センス」(1999年・アメリカ)やら「黄泉(よみ)がえり」(2002年)やらの、ブルース・ウィリスや竹内結子は誰やねんってことなんやけど、確かにネタに関わる重大事でおまっしゃろ。

さてはて本作は、1998年を現在形として舞台にしてはりまして、薄色で示される1972年やらの、過去のエピソードも振り返ることになっとります。セキュリティも今ほど充実してへん時代どして、ホラー映えする時代設定としては、この1998年はギリギリのラインかもしれまへん。

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そういうG線上なとこを、本作は綱渡りしてまいります。ある学校のある教室では、毎年、いない者として扱われる生徒を1人こさえるなんてゆう、まるでイジメの推進のようなことが行われておりました。実は、この設定も、先の設定と関わるもんでおまして、実にビミョーなとこでおます。

ほんで、そんな生徒役に、橋本愛ちゃんが自ら率先してならはります。ついでに、ワケの分からへんルールに戸惑う、転校生役の山崎賢人クンも、やがて、いない者組にならはり、愛ちゃんと友達にならはります。

冒頭から眼帯した、怪しい女生徒役で出はる愛ちゃんやけど、「告白」やら「貞子3D」(今年4月30日付けで分析)でやらはったみたいに、ワルぶりよりもアイドルチックなとこが際立っとるように思いよります。かつての角川映画の薬師丸ひろ子や原田知世の各ネーさん的なセンスが、濃厚に香り立っておました。共に教師役の、加藤あいネーさんや、袴田吉彦アニキとの絡みにも、注目しておくんなはれ。

2012年7月21日 (土)

ドリームワークスのシリーズ・アニメ「マダガスカル3」やでー

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カーチェイス・空中戦から多彩なサーカス・アクロバットまで、目が点になるアクション・アニメどす

3Dで見はったら、そらもー、モノゴッツーなカンジどすえ~

http://madagascar.jp

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オーガスト8月の1日ウエンズデーから、パラマウント ピクチャーズ ジャパンはんの配給によりまして、日本全国各地で3D・2D同時ロードショーでおます。日本語吹替版もありまっせー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

ディズニーとは違う、ドリームワークス・アニメのオリジナリティーをば、遺憾なく発揮しはった作品でおます。最初はそら、ポスト・ディズニーやったやろけど、今やディズニーとは双璧になるとこまできてはります。

まずはナンチューても、これでもかとドトウのごとく繰り出される、アクション・シーンでおましょう。アフリカからフランス・モンテカルロへ行った、彼ら「マダガスカル」キャラたちを追う、オバン刑事(写真一番下)とのトンデモ・カーチェイスから、ヒコーキ逃亡の空中戦へと展開しはる、一連のシーンのハットトリッキー。

この時に、バナナ攻撃ちゅうんもあります。それをば、「マトリックス」(1999年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画どす)の銃弾よけみたいにやらはったり、さらに、このシーンは、「007」だけやなく、スピルバーグ御大の「インディ・ジョーンズ」シリーズ(1981年~2007年)のスパイスもマブされておます。その後、列車で逃亡しはるパニック・シーンから、後半は動物キャラのアクロバットなサーカス・アクションが、ドカーンとやってまいります。

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アカデミー作品賞の「地上最大のショウ」(1952年)やら、「空中ぶらんこ」(1956年)やらの、人間サーカス的アクションをば、アニマル・キャラたちによって見せるやなんて、そんなんかつてありまへんやろ。

サーカスの練習シーンから、ビビッドでおます。トラで看板スターの極小穴抜けから、アニマル・ロケット、空中ブランコやら多彩でおまして、それらをサーカスで見せ続けはるシーンのダイナミズム。ほんで、コレはラスト近くの仲間たちの救出シーンでも、デッカイ見どころとして機能しとります。

さらなるディズニーとの相違は、ディズニー的にはあんましないコメディ部やったり、動物キャラのかつてないくらいの多さやったりしよります。例えば「ライオン・キング」(1994年)と、本作のライオン・キャラの主人公アレックスを比べてみはったら、一目瞭然でおましょう。

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このアレックス役の声をば、日本語吹替版では玉木宏アニキがやってはりまして、玉木アニ的には声を意図的に変え、コメディアン的なユニークな声をば創出してはります。

ほんでですな、本作はナンチューても、3Dで見はることをオススメしたいどすわ。アクト・シーンの臨場感はモチなんやけど、花火なんかがバラバラに散ってゆくシーンとか、前へ前へとくるカットに加え、ローアングルによる奥行きある立体感やら、細部の描写においても3D感が際立っとりました。

それでいて薄色を基調にしもって、パステル画的に多色を使いながらも、目に優しい色合いがエエかと思います。

動物アニメのマイベスト・カルトスリーの、どこかに入るような仕上がりやったと思います。いずれ披露しようと思とるんやけど、ちなみに「ライオン・キング」とは真逆な作品性やけど、甲乙つけがたい仕上がりどした。

2012年7月20日 (金)

東日本大震災後の3姉妹の「ギリギリの女たち」模様どす

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冒頭から2カット目は、演劇的な35分のワンカット長回し撮影が披露されま

絵画的構図のロングショットも、意図的に繰り出さはります

http://www.girigiri-women.com/

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7月28日の土曜日・夏休みから、ブラウニーはんの配給によりまして、東京・ユーロスペースやら、大阪のシネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011  モンキータウンプロダクション/映画「ギリギリの女たち」製作委員会

東日本大震災後の、宮城県気仙沼市唐桑町ロケーションで、全編をば撮らはった小林政広監督の新作でおます。おそらく、被災地全面ロケのドラマ映画としては、震災後初めて製作しはった映画でおましょうか。

それだけに、監督の計算された作家性を全編に出しながらも、震災の混乱した心理的状況がそこはかとなくにじみ出て、アドリブやないんどすが、計算できないもんもところどころ出てきておます。それはとにかく、作らないかんとゆうココロが先行した結果、練り上げ度合いが薄らいだんやないかなとも取れます。

震災後の実家に戻った3姉妹が、15年ぶりに再会し、イロイロ話し合ったり口論し合ったりしはる、会話劇のノリでドラマは展開しよります。オカン・オトンは既になく、三女が実家を1人で15年間守ってきてはり、長女・次女は震災後に、実家にふらりと戻ってきはったとゆう設定でおます。

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長女役の渡辺真起子ネーさんが、まず実家に戻ってきはったとこから、映画は始まります。ほんで、2カット目が、35分とゆうワンカットの長回しどす。

1人から2人になり、やがて3人目が現れて、3姉妹が揃うとゆう流れでおます。やがて、室内のあるとこで固定撮影になるんやけど、この位置でなければいけないようなとこを押さえてはります。やはり、3人の演技を見せるとなれば、演劇的な長回しを意図してることになるんやろけど、震災後の空気感みたいなんも、観客のみなはんに、長めに見せたい意図が監督にはあったようどす。

とはいえ、3人の演技アンサンブルは、ぎこちない3人の関係に合わせて、ビミョーに揺れたり乱れたりしよります。中でも、真起子ネーさんはチョチョギレておましたえ。1人静かなツイートがあるかと思えば、ブッキラ節があったり、突然眠る人になってしもたりと、メッチャややこしい人格ぶりを演じてはります。

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でも、実家へ死にに来たとゆう、離婚して1年の次女役の中村優子ネーさんや、三女役の藤真美穂ネーも、渾身のギリギリ演技を見せてはりまっせー。

さてはて、長回しだけやありまへん。小林監督は、映画的を心掛けてイロイロやってはります。1番上の写真などは、ミディアム・ショットのように見えますが、本編では実はロングショットで捉えられておます。絵画的にして映画的なロングショットが、多数盛り込まれとるんどす。ほんでもって、時おり意表を突くような、クローズアップをば挿入しはります。

そしてラストロールでは、監督自作のフォークを流さはって、イロンナ意味で作家性を発揮してはると思いました。とゆうことで、衝動的な映画作りやったかもしれまへんが、その映画への熱意は充分に伝わる作りになっとります。

2012年7月19日 (木)

イギリスのクライム・ムービー「4.3.2.1」やー

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4人の女たちのウイークエンド3日間が、リフレインする構成どす

世界美女ランク3位の女優はんから、ジュリア・ロバーツネーさんの姪までや~

http://www.at-e.co.jp/2012/4321

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7月28日サタデーから、アットエンタテインメントはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で、レイトショー上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ4.3.2.1 Distribution Limited 2010.All rights reserved

イギリスの犯罪映画とゆうのんは、他国と比べると少し変わっておます。フレンチ・ノワールのようなダーク感やら、ハリウッドの大作感や大がかりなカンジやらは、ないとは申しませんが、特色としては、やはりケレン味でおましょうか。

それは構成の妙味やったり、時制のミキシングやらで、そんなに大したことやないのに、観客を攪乱し、ほんでもって驚かせるワザが、総じてうまいと思います。

写真一番上の女4人の、金曜から日曜までの3日間の話が、それぞれ展開してまいります。その写真は金曜の4人が別れる際のカットなんやけど、本編ではこのシーンが、4人分リフレインされてまいります。別々に週末を過ごす4人なんやけど、それぞれの話でチビチビとシンクロし、ほんで、最後には1つになるっちゅう仕掛けどすえ。

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同じ時間をリフレインする話とゆうのんは、例えば、かつては黒澤明の「羅生門」(1950年製作・日本映画)やったり、最近では8月11日に全国公開される「桐島、部活やめるってよ」(後日、分析いたします)なんてのもありま。

リフレインすることの効果は、間違いなく、サスペンスやらハラハラドキドキを増しよります。本作のストーリー的な流れのポイントを言いますと…。

ロンドンで高額のダイヤが盗まれたらしく、それがテレビのニュース映像やらでケッコー流さはります。このダイヤを、スーパーの商品に隠されてるのんを、思わず持ち帰ってしもたばっかりにでんな、写真一番下のオフィリア・ラヴィボンドちゃんが、ダイヤ盗人グル―プから追われるっちゅう、メッチャ簡単明瞭な展開なんやけど、これが4人の話が入り乱れておますんで、見ていくとチョイ混乱するかもしれまへん。

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でも、このあたりが、シンプルを複雑化してみんなを楽しませる、イギリスものの真骨頂なんかも分かりまへん。

4人の女優はんの中には、世界美女ランキング3位のタムシン・エガートンのネーさんがいてはって、NYまで行ってセクシー&アクト演技を見せはります。特に、アクションてゆうたら、格闘技やってはるシャニカ・ウォーレン=マークランド姉さんの、バクレツ演技。そして、ジュリア・ロバーツの姪御はんの、エマ・ロバーツちゃんのかわいさとキッチュぶり。4人のそれぞれにビミョーな個性がある、演技カルテットぶりが、クライマックスに向けてスリリングを増してゆくんどす。

アンニュイな女ポップ・ナンバーやらヒップホップ、ファンキー・サウンドの使い方もノレましたで。マイナー系映画やけど、隠れた名作やとボクが勝手に思てる、女4人の銀行強盗もの「セット・イット・オフ」(1996年・アメリカ)に、勝るとも劣らへんケッサクやったです。

2012年7月18日 (水)

こないなモンゴル映画「タタール大作戦」やー

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ハイ・テンションで走ってくれはった、トンデモ・ノワール・コメディやで~

ハリウッドの「オーシャンズ11」やらなんて、メやないで~な熱気に圧倒されま!

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日本公開待機作品でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ボクチンはモンゴル映画やなんて、見た記憶がござりまへん。モンゴルを舞台にした映画としても、ジンギスハーンとか、パオ生活の人々の暮らしを描いたりとか、中国の辺境としてのモンゴルとかの、ククリやら設定はありましたし、そういうのんは見ておます。

でも、本作はモンゴル的パブリック・イメージを、カンペキにハズしはりました。いやはや、ハリウッドの大作犯罪映画とかとは、根本的に違う、トンデモオモロサがバチバチに入っておます、痛快な大快(怪)作どした。

この国にはこんな映画とゆうイメージを逸脱した映画は、映画的運命としては、大傑作になるか、それともいっときの大花火となって散るかの、たぶんどっちかでおましょうな。ほんでもって、本作は、カルティックに一瞬のワザを魅せて、散る運命やもわかりまへんが、とにかくオモロかったどす。

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見出しに書きよりました「オーシャンズ11」(2001年製作・アメリカ映画)やらは、金が湯水のようにあるハリウッド映画でおますけども、アメリカ以外の国の犯罪映画にも、傑作・名作は当然ござります。ボク的には本作は、イタリアのノワール・コメディ「黄金の七人」(1965年)やらを、現代的にハイ・テンションで進化させはったように見ました。

特にディープ・インパクトなんは、想定と現実の違いを面白おかしく、しかもスリリングに見せていかはるとこでおましょうか。主人公が見るミュージカル・シーンもユニークなんやけど、計画のシミュレーション・シーンは、モノクロ、脱色、ナレーション入れてヒップホップ流してのスローモーションやら、想定される銃撃アクション・シーンの、イロイロが映されよります。

ほんで、現実的には、それらが全く違った方向へと、いってまうとゆうカンジで展開してゆきよります。それでいて、超絶のサプライズの2パターンを見せるっちゅう、ウルトラ・ワザぶりでおました。

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銀行をクビになってもうた主人公は、ビョーキの娘の治療費を工面できんようになりました。妻には、クビになったんは内緒にしてはりま。そして友達に相談し、その悪友が、銀行の裏金奪取に、車担当のロシア人と、金庫開けの名人のパソコン・オタクの各男を、探してきはりまして、ほんで、この4人で、つまりは、銀行強盗をやらはるとゆう構図でおます。

スタイルは凄くシンプルでストレート。そやけど、ヤッパ、オモロイわー。例えば、ハリウッド映画の「ペントハウス」(今年1月27日付けで分析)なんぞは、セキュリティーぶりに縛られてしもて、自由な発想に抑制がかかっとりますが、本作もそれはあるんやけど、うまい具合に流れておます。偶然を取り込むとこもあるんやけど、脚本のうまさもあるやろと思います。ともかくもでんな、現代的なユニークで、ニクーイ作品どすえ~。

2012年7月17日 (火)

東日本大震災関連ドキュどす「相馬看花-第一部 奪われた土地の記憶-」

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震災後の福島・南相馬市の人々を、捉えはった作品でおます

逼迫してた「311」より、明るさが加味された作りが良かったどす

http://somakanka.com/

7月21日の土曜日から、東風はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場でロードショーでおます。その後、京都みなみ会館、神戸アートビレッジセンターやらでも上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ松林要樹

東日本大震災から1年以上を経た今、その関連のドキュメンタリーてゆうたら、ケッコーな数のタイトルが製作され、公開されとります。

本作は若手監督の松林要樹アニキが、共同監督のドキュとなった「311」(今年3月22日に分析)に続き、震災ものを撮り上げはったもんどすが、その過程として、自身の取材メイキングも見せてはります。

まずは、東京で三畳一間のアパート暮らしをしてはる松林アニの、震災時のシーンからドキュは始まります。記者クラブに所属してはらへん彼は、いろんなとこで取材がスムーズにいきよりまへんねん。しかし、そういう難局を、現地の人とのつながりでうまく乗り越えてゆかはるとこやらが、本作の隠し味ともいえるテイストを持っておます。

まずは、「311」では手探り状態で被災地へと行き、当惑したままその現状を伝えてはりました。

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しかし、本作では違いました。はっきりした目的を持って、福島へと向かわはりました。救援物資携えてやけど、自らも被災者と同じ生活をやって、被災者に溶け込みたいとやってみはったんどす。

そんなキモチが通じたんでおましょう。市議会議員の田中京子ネーさんと出会わはり、イロンな被災者たちの話を聞くことができました。みなはん、意外にも明るいんどす。社会的な問題性を追求するんやの意気込みの監督も、妙にかみ合わずに、タジタジになったりしはります。

一方で、置いてけぼりになったイヌたちに、監督がエサをやったり、「原子力明るい未来のエネルギー」の横断幕やら、抗議行動シーンなど、そこかしこにある震災後の、寒々としたシーンもキッチリ押さえてはります。

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さてはて、本作は“第一部”となっとります。つまり、シリーズとして、撮ってゆくとゆう意味でおます。かつての「三里塚」シリーズなどみたいに、事件を掘り下げてゆきたいとゆう、監督の想いがあるんでおましょう。

本作で、監督は田中京子夫妻と、親戚のような付き合いになっているとゆうてはります。いわゆる、人と人のつながりによって、イロンな話が聞けて、そこから予想もせえへんもんが出てきそうや。そんな予感が、この第一部にはありました。

写真4枚目の、2011年の7月25日に開催された、農耕馬による神事やらも映されますが、そういう戻りつつある日常の風景も捉えつつ、怪しい方向へと向かいそうな風雲急なとこがござりました。美しき花を映し、バックミラーには瓦礫を映し、雷鳴からのゲリラ豪雨でエンドを迎えます。何部まで続くんか、見守りたいと思います。

2012年7月16日 (月)

「スターシップ・トゥルーパーズ:インベイジョン」がやってきよりま

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日本人監督の荒牧伸志アニキが、ハリウッドのオファーに応えはりました

「ファイナルファンタジー」やらを、完全バージョン・アップしたフルCGでおまっせー

http://www.ssti.jp/

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7月21日のサタデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリーやら、大阪ステーションシティシネマやらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All rights reserved.

「スターシップ・トゥルーパーズ」(第1弾は1997年製作・アメリカ映画)は、実写映画シリーズとして、既に3作が出ておます。原作はSF小説の巨匠ロバート・A・ハインラインはんなんやけど、宇宙人と人類が戦うとゆうSFのルーツ的な作りどして、メッチャシンプルで分かりやすうおました。

でもって、本作は第1弾にあった、爬虫類系のエイリアンたちの惑星へ行って対決するとゆう、あのスタイルの、いわゆるその後みたいな世界観を描かはりました。仲間たちを救助して地球へ戻るんやけど、敵は地球を攻めんとやってきよるとゆう展開どすか。

原作のテイストをできるだけキープしようとした作りでおます。そんな最新作の監督に、SFアニメ「アップルシード」(2004年・日本)がハリウッドに認められた、荒牧伸志のアニキがバッテキされはりました。

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「アップルシード」で示さはった女戦士、サイボーグ戦士を思い出させてくれはる、キャラ造形もあるんやけど、1970年代から1980年代の大作アメリカンSF映画が、監督の頭の中にはあったと言います。

何が出てくるやら分からへん「エイリアン」(第1弾は1979年・アメリカ)的宇宙船の造形をはじめ、初代「スター・ウォーズ」シリーズ(1977年~1983年)はモチ、「ロボコップ」(1987年)な戦士の造形に加え、「プレデター」(1987年)ほかのサバイバル系映画への、ネバッこい執念のようなもんも強くカンジよりました。

「最後には、正義の味方と美女が生き残る」なんてセリフもあるんやけど、そないなるかどうかは別にして、サバイバル映画についてはメッチャ意識してはるようどした。

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アニメとしても、実写としてもイケルらしいどす。写真を見ていただいたら、「ファイナルファンタジー」(2001年)みたいな、人物造形っぽく見えるやも分かりまへん。ハリウッドの俳優さんらに日本に来てもろて、実際に演技してもらったんをベースにして、フルCGにしはったそうでおます。

確かに、アニメ的に見た場合、写実的な違和感はかなり解消されておましたが、実写版として見ると、やはり少々ムムム…があるようでした。でも、これまでに出てきてる、ハリウッドのSFアクション映画と比べても、何ら遜色のない仕上がりになっとるかと思います。

「ヒーロー」という名の片目の戦士、美人女船長、敵を殺すたびに殺した数を数えはる女戦士など、イロイロな戦士キャラは、ゲーム映画的にも楽しめますで。

2012年7月15日 (日)

ジャパニーズ・アニメの快作どす「おおかみこどもの雨と雪」

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今まであった母子もの映画を、ユニークな視点から進化させはりました

強くたくましきオカンの声は、宮崎あおいチャンがヤラはりましたで

http://www.ookamikodomo.jp/

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7月21日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国ロードショーやでー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

世界に誇るジャパニーズ・アニメは、今や多彩に花開いておます。昨日分析したディズニー作品やら、スピルバーグのドリームワークスやらの、ハリウッド的ワールドワイドと比べても、作品性的には明らかに上やと、ボクは思っとります。

流れとしては、スタジオジブリとゆうか、宮崎駿監督作品の、かつての黒澤明みたいな、世界での高評価により、ジャパニメーションが世界的に有名になったとゆうとこはあります。

でも、ディズニー並みに世界的大ヒットをしてもおかしくない作品が、つまり、世界の誰が見ても共感し感動できるようなもんが、ジブリの高評価以降、宮崎作品以外にもいっぱい出てきておます。

ほんでもって、本作もその1本やと申せましょう。細田守監督のアニキの、劇場アニメ第3弾でおます。過去の2作品は「時をかける少女」(2006年)、「サマーウォーズ」(2009年)でござります。

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この2作はアカデミー賞やら世界3大国際映画祭で、賞をもろたわけやないんですが、世界各国で毎年イロイロ開催されとる賞では、最高賞もゲットしてはります。

日本代表格のジブリとの比較では、本作みたいな母子ものであれ、家族や人々のキズナ描写の感動は、いっしょなんでおます。しかも、ディズニーのようなストレート系ではなく、何らかの工夫が施されておます。

最近のジャパニメーションには特に顕著なんやけど、日本的自然描写を目に優しく入れてはります。「ももへの手紙」(今年4月1日付けで分析)とか「グスコーブドリの伝記」(今年6月23日付け)とかと共通しておます。

一方で、前2作に比べて、色使いは薄色配色となっとります。昨日分析の「メリダとおそろしの森」も、自然造形描写ぶりへのこだわりやら、薄色使いの作りが巧妙やったけど、本作もそれに勝るとも劣りまへん。

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たくましきオカンの姿、コドモの育児ぶり、ほんで母子のキズナやらを描く上においてでんな、監督はフツーに描くことをば避けはりました。そういう素材はこれまでに、腐るほど採り上げられてきとるからどすか、多分。フツーに描くことで新味を狙う手もあるんやけど、本作では当然違いよりました。

男のオオカミ人間とフツーの女人間が恋をして、2人の姉弟コドモを産み、オトンが突然死んでしもて、人間オカンが2人のオオカミ人間コドモ(姉の雪と弟の雨)を、1人で育ててゆくとゆうお話でおます。

テレビアニメでは「狼少年ケン」とかがありましたけども、総じて映画では、オオカミは、どちらかとゆうと怖いもんとゆうイメージがござります。ハリウッドで作られる映画では、まず好意的なイメージで描かれることはありまへん。しかし、そんなネガをポジへと変えてゆく作りこそが、本作のハットトリッキーでおましょう。

オカン声役の宮崎あおいチャンの、今までの演技的声を変えない自然体的な声調が、映画をスムーズに見せてゆくリズムに重なっておました。結末部を含め、フツーのようでありながら、母子映画のユニークで新たな地平を、切り開いた快作どしたえ~。

2012年7月14日 (土)

ディズニーとピクサーの新作アニメ「メリダとおそろしの森」どす

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25周年PIXAR初のヒロイン・アニメでおます

「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」やらのセンスもありま

http://www.disney.jp/merida

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7月21日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、2D・3D同時公開の全国ロードショーでおます。

「ニセものバズがやって来た」と「月と少年」の短編2編も、同時上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 Disney/Pixar All rights reserved

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今年はアニメ制作会社ピクサーが、25周年をば迎えはります。そのメモリアル・イヤーの新作は、ピクサー初のヒロイン'sアニメとなりました。

ピクサーは創立以来、全てオリジナル・アニメを作ってきてはりますが、中でも本作は相当練り上げはったらしいどす。

ディズニー印の「白雪姫」(1938年製作・アメリカ映画)やら「シンデレラ」(1950年・アメリカ)やらの魔法フレイバーにプラス、プリンセス系のヒロイン像に加え、スタジオジブリのアクション・ヒロインもの、例えば、「風の谷のナウシカ」(1984年・日本)やら「もののけ姫」(1997年・日本)などのセンスも、キャラクター造形に反映させてはるようどした。

愛馬に乗って弓を射るヒロイン像やなんて、ディズニー・アニメ史上でも珍しおますんやないやろか。

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色使いやけど、いつものピクサーより薄色、暗めの配色を施してはります。スコットランドの森が舞台設定になっとりまして、スコッチの森らしさを表現するために、メッチャ緻密に造形しはったそうどす。そのポイントは、オーガニックやったんやて。

いかにも自然な風景描写に加え、夜の森のシーンもあり、優しさだけやなく、ミステリアスさも加えてはりま。薄ブルーの鬼火、薄グリーンやら濃いセピアに映える、魔術使いのババやら、妖しさ感もあります。

対して、ヒロインの躍動感あふれるアクション・シーンが、静と動のドラマ感を示さはるのどす。ギター系のフィーメイルさわやかポップスに乗って、ヒロインが森を馬に乗って駆け回るシーンから、ダイナミックどした。

ヒロインの依頼を受けはった魔女ババの呪いで、ケーキを食べた女王オカンがクマになってまうんやけど、本作は、自らが蒔いたその呪いを、ヒロインが解いてゆくプロセスが、スリリングに展開してまいります。

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運命に対するヒロイン・ナレーション・セリフも、印象に残りました。

さて、本作上映に際しましては、短編2編もオマケで付いとるそうどす。その1編「月と少年」をば、試写室で見させてもらいました。今年のアカデミー賞で、短編アニメ賞にノミニーされとった作品でおます。

「メリダ…」のヒロインものとは違い、少年ものどす。セピアの星屑がいっぱい散らばる月とゆう作りが、斬新でおました。少年と大人の2人が月へ行って、この星屑をどないしやはるのんか。月ものでも、日本のかぐや姫やらとの発想の違いに、思わずうなる作品どす。

とゆうことで、子供たちの夏休みに、家族みんなで見に行ってくだされ。

2012年7月13日 (金)

あの映画をパロッたような「ローマ法王の休日」どす

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ナンニ・モレッティ監督と主演ミシェル・ピッコリはんのコラボレートやて、みなはん、分かるやろか~

アイロニカルな視点が鋭おます「ローマの休日」のウラ・バージョンや~

http://romahouou.gaga.ne.jp/

ジュライ7月21日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやら、京都・TOHOシネマズ二条やらで、全国順グリのロードショーどす。

その後、関西やったら、7月28日からシネ・リーブル神戸やらで上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSacher Film, Fandargo, Le Pacte, France 3 Cinema 2011

イタリアのナンニ・モレッティ監督(写真2枚目・左)のアニキと、フランスの大御所俳優ミシェル・ピッコリはん(写真1枚目・ほぼ中央)の、イタリア・フランス合作となったコラボレート作品でおます。映画通にはどうにもたまらんようなカンジなんやけど、作品そのものは凄く分かりやすい作りになっとるんで、誰にでも分かるし、楽しめるハズやとは思うんやけど…。

さてはて、「ローマの休日」(1953年製作・アメリカ映画)てゆうたら、みなはん、よく知ってはるかと思います。でもって、このタイトルは、はっきりゆうて便乗やも分かりまへん。でも、素晴らしい作品を売るために、イロイロ宣伝コピーやらを弄し、巧緻な戦略が行われるんやけど、本作はしかし、マガイモンやござりまへん。中身はしっかりしとります。

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結局「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーンのオジン版なんやろ、なんてゆわはる人もいてはるやろな。ただ、ピッコリはんは恋はしはりません。新教皇になるのが嫌で、一時的にドロップアウトしはるんやけど、こういう法王の人間ドラマとゆうのんは、まあ、ござりまへん。

写真3枚目にある家族やら、劇団の人たちやらと交流しはります。表面上は、ピッコリはんはオードリーさんと同時期に、活躍しはったとゆう経緯もあるんやけど、オードリーさんの男版と見るのは、なかなか難しおます。つまりは、結局、コレはアイロニーとして取るしかないんやないやろか。

監督は出演も兼ねる方でおます。カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールをゲットしはった「息子の部屋」(2001年・イタリア)では、息子のオトン役で主演しはりました。

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ほんで、本作でも、セラピスト役をやってはります。セラピスト役の監督とピッコリはんの関係性は、チョイ「英国王のスピーチ」(2010年・イギリス)的なカンジもありました。

実は、この映画のポイントは、チェーホフの「かもめ」にあるかと思います。かつて映画化もされた舞台劇なんやけど、本作はその話をば、ローマ法王の個人的な話になぞらえて、展開してはるように見えました。おそらく、そのあたりが監督が意図する、隠し味なんやろなと思います。

ハリウッドの大作やら、日本で大ヒットの「テルマエ・ロマエ」(今年4月15日付けで分析)でも使われた、イタリアのチネチッタ撮影所でも撮影が行われよりました。大観衆を集めたシーンなどで、デッカイ見どころになっとりますんで、要注目どすえ~。

2012年7月12日 (木)

フレンチ映画「屋根裏部屋のマリアたち」でおます

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スペインからフランスへ逃れてきはった、メイドたちを擁護してゆく、フランスのブルジョワ主人公の物語でおます

ハリウッドの「ヘルプ」やらともシンクロしよる、群像劇どすえ~

http://www.yaneura-maria.com/

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7月21日の土曜日から、アルバトロス・フィルムはんの配給によりまして、東京先行上映どす。関西やったら、7月28日から、テアトル梅田やら、シネ・リーブル神戸やらで上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸVendome Production-Frande 2 Cinema-SND All rights reserved

今のフランスやなく、1962年のお話どす。当時のスペインでは内戦がありまして、隣国のフランスへと逃れてきはる一般市民が、仰山(たくさん)いてはったそうでおます。

ほんでもって、イロンナ事情を抱えはった、家政婦はんメイドたちに、焦点を当てはったんが本作でおます。いわゆるブルジョワジーとなる、証券会社の社長主人公家族と、屋根裏部屋に住んではるメイドたちとの、駆け引きやら交流やらを通じて、物語を展開してまいります。

メイドはんの話やてゆうても、今どきのもんやなく、時代背景的には、本作と同じような1960年代の、アメリカ南部黒人メイドたちの差別的実態を描いた「HELP」(今年3月23日付けで分析)などと、つながってまいります。ただ、「HELP」よりは、本作の方は、そのあたりはゆったりめやけど、いずれにせよ、メイドはんの地位はメッチャ低かったんでおます。

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でも、メイドの人権問題を探求する的には、「HELP」よりはシビアやありまへん。いや、むしろフレンチ的なユーモアやらエスプリを、取り入れた作りとなっとります。

メイドたちを擁護してゆく、社長はんのブルジョワ主人・主人公の、そのイロイロを見せてゆかはりますんやけど、そのフレンチなエスプリ度が、日本人には合わないようなとこもカンジました。

メイドはんのマリア役、ナタリア・ベルヘケのネーさん。美人はんやし、スタイル抜群の背後からのヌードも披露しはるけど、主人公とマリアの恋愛部に妙にぎこちないとこがあったり、主人公の家族ドラマ部と主人公のメイドたちへの肩入れ・交流部シーンが、妙に分離してるみたいで、かみ合わないような印象がござりました。おそらく、それらはフランスのエスプリゆうもんが、理解できるかどうかにかかってるように思います。

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本作のフィリップ・ル・ゲイ監督はんは、本作を含めて6作品を監督してはりますが、ほとんどが日本未公開となっとります。このあたりが、マイナー系のフランス作品がなんで日本公開されなくなったんかを、探る手がかりになるんかもしれまへん。

とはいえ、本作はメイドたちの群像劇部が、妙味ある仕上がりと演出ぶりになっとります。その1人を挙げれば、スペインのペドロ・アルモドバル監督作品で有名な、大ベテラン女優のカルメン・マウラはんの、目立たないけど渋~い演技ぶりやらでおましょうか。

さて、各国の映画評には、どうゆうワケか、ルイス・ブニュエルのアート作品「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」(1972年製作・フランス映画)なんぞが引用されとりますが、あくまで本作は、アートやなくてエンタな人情劇どす。とにかく分かりやすい作りなんで、その種のアート映画やったら、やめとくわと敬遠しやはる人にこそ、ふさわしい作品なんかもしれまへん。

2012年7月11日 (水)

「The Lady アウンサンスーチー 引き裂かれた愛」どす

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リュック・ベッソン監督のアニキとミシェル・ヨーのネーさんによる、ヒロイン'sドラマでおます

タイムリー性よりも、映画的ドラマティック性で見てほしい1本どす

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http://www.theladymovie.jp/

JULY7月21日SATURDAYから、角川映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、T・ジョイ京都、神戸国際松竹やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 EuropaCorp-Left Bank Pictures-France 2 Cinema

アウンサンスーチーのネーさんの、正真正銘の実話映画でおます。まさに紛うことなきタイムリーなお話でおましょう。

しかも、タイムリーを受けて役柄の名前がフルネームで、急遽日本タイトルに入ったとゆう経緯もござります。まあ、確かに「ガンジー」(1982年製作・イギリス&インド合作)とかやったら、誰を描いた実話かは分かるけど、ネームなしやったら、さっぱりわやかもしれまへん。

でも、タイトルにある“Lady”のヒロイン・ドラマが当然メインやけど、“引き裂かれた愛”に象徴的な、夫妻映画としてのラブ・ストーリー部、ほんで、家族ドラマ部もココロにきよるもんとなっとります。

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本作のフランスのリュック・ベッソン監督のアニキてゆうたら、ヒロイン・ドラマでもこれまでは、アクションに特化したヒロインを、ハリウッドに負けてなるもんかと、ワザトラマンのように描いてきはりました。

でも、コレはアクションを全く披露しない、ヒューマニズムあふれる、しかも実在の人物でおます。ベッソン初の本格的な、人間ドラマ映画やもしれまへん。

さらに、主演のミシェル・ヨーのネーさんや。ネーさんの作品をボクチンは全部見てへんねんけど、こんなみんなの味方みたいな、凛々しくてカッコいい役柄は、かつてなかったんやないやろか。モチ、モデルとなったスーチーさんの好感度もあるし、そのなり切り型をやってはるようにも見えますが、特に、喜怒哀楽の表情演技の素晴らしさは特注でおました。

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加えて、スーチーさんの夫役をやらはった、デヴィッド・シューリスのアニキの演技が、自然体でスムーズで穏やかで、好感度がメッチャ高かったどす。時おりの夫妻映画としてのラブ・ストーリー部やら、息子2人を含む家族とのストレートなキズナ描写が、ヒロイン・ドラマに癒やしのシーンとして挿入されておます。

母のノーベル賞受賞式に代理で登壇した家族の長男が、受賞スピーチするのん(写真6枚目)を、母スーチーさんが警戒隔離されてる中で、ラジオで聴かはるシーンなど、あえてドラマティックを意図せずに、自然に描かれるとこなんか妙味がありました。

そういう実話やけど、わざとらしくない感動的なシーンが多数ござります。1万人の支持者を前にした、写真4枚目の初の演説シーンなども印象的どした。

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さてはて、ノーベル賞を受賞した偉人の実話映画とゆうのんは、これまでにもそれなりにござりました。でも、ノーベル賞でも映画で採り上げられるんは、なぜか平和賞受賞者がほとんどでおました。モチ、実話系でも、好感度の高いヒューマン映画が、エエカンジになるんは当然なんやけども…。

本作なんかは続編も作れそうなカンジやけど、そのほかのノーベル賞受賞者の実話なんかも、見てみたいと思いよりました。ちゅうことで、まずは、ダイナマイトを発明しはったそのノーベルはんの、実話映画なんかどないでっかー。絶対、オモロイもんになると思うんやけどな…。ムムム…どすか。

2012年7月10日 (火)

カナダ映画の小学校教師映画「ぼくたちのムッシュ・ラザール」先生どす

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代打教師と生徒たちのキャラクター造形に加え、コクのある演出ぶりに酔えるケッサクやー

女教師の自殺のナゾに迫る、ミステリー色もあり!  でおます

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http://www.lazhar-movie.com/

ジュライ7月14日の土曜日から、ザジフィルムズはんとアルバトロス・フィルムはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、オーガスト8月4日からテアトル梅田、8月25日から京都シネマ、8月11日からシネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Tous droits reserves

学園もの映画でも高校・中学やなく、小学校バージョンにして、この種の映画では珍しいカナダ映画でおます。

でもって、突然やけど、教師と生徒たちを含む小学生もん映画の、マイベスト・カルトスリーをば、勝手に披露させていただきま。

●ベスト⇒主に本編の前半に当たるけど①二十四の瞳(1954年製作・日本映画)/②あの子を探して(1999年・中国)/小学生世代が主人公の話としての③大人は判ってくれない(1959年・フランス)

●カルト⇒①スクール・オブ・ロック(2003年・アメリカ)②運動靴と赤い金魚(1997年・イラン)③本作

●まだまだいっぱいあるやろけど、取りあえず、思いつくままに挙げてみよりました。ヒューマニズムあふれるベスト①とか、戸惑いの中で素人教師が、てんやわんやのベスト②とか、子供の大人への抵抗ぶりベスト③やらのテイストの全てが、驚くべきことに実は、本作に取り込まれておます。

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それでいてカルトにしたんは、これまでにないタイプの教師もんにして、小学生もんやと思たからどす。素人教師がロック・ノリで教える、トンデモコメディのカルト①やら、小学生たちの逸話を、モノゴッツー素朴チックに描くカルト②とか、これまでにありそでなさそなとこをば、本作でも表現してはるんでおますよ。

そういうとこを示すためにでんな、特に強烈やったんは、キャラ作りやら演出ぶりやったと思います。かわいい少年や少女やらやけど、妙に理屈っぽかったり、いかにもな女校長のキャラ、ほんでもって、アルジェリアからカナダに来た、主人公・代打教師のユニークなキャラ造形やらが本作を、渋くて素晴らしい作品にしてはります。

ネタバレでもええんやけど、ナンチューても、クライマックスで教師が生徒たちに話さはる物語の、象徴的なインパクトやー。この感動的なエピソードは、本作を永く人々のココロに残すもんに違いありまへん。

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さてはて、ミステリー映画的なテイストもありました。いわゆる、エンターテインメント的なとこも押さえてはります。

冒頭で2分くらいの長回し撮影により、教室で女先生が自殺してるとこを、男生徒が見つけるシーンがあります。この死んだ先生の代わりとして、校長への売り込みにより、代打教師のムッシュ・ラザール先生が来やはるんやけど、この事件の真相やらを、別に調べるわけやないんやけど、生徒たちとの関わりの中で、推理してゆくようなことにならはります。

一方で、ラザール先生にもナゾがござりまして、裁判所やらに出っ張って、イロイロやってはるシーンが、本編の最初の方から映されてまいります。なんで裁判所なんややら、祖国のアルジェリアで何があったんかやら、先生にまつわるナゾは、本作の大きなポイントになっとるやもしれまへん。

そして、その先生とかわいい女生徒が抱き合うラストシーンなど、グッとココロにきよりました。ぜひみなはんに、見てほしいおますケッサクどす。

2012年7月 9日 (月)

長編動画ドキュメンタリー「毎日がアルツハイマー」どっせー

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プライベート・ドキュの域を超えた、邦画介護ドキュの最高傑作とちゃうやろか~

しかも、認知症をネガやなくポジで捉えはった、かつてない作品でおます

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http://www.maiaru.com/

7月14日のサタデーから、シグロはんの配給によりまして、東京・ポレポレ東中野、銀座シネパトス、神奈川・横浜ニューテアトルやらで、コドモたちの夏休み直前のモーニング・ロードショーでおます。

ほんでもって、関西やったら、9月8日の土曜日から、大阪・第七藝術劇場やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 NY GALS FILMS

自分のオカンが要介護の、初期アルツハイマーになったっちゅうんで、オーストラリアで生活してはった、関口祐加ネーさん(この映画の監督)が急遽帰国しはり、オカンの面倒を見はるとゆうお話でおます。

いわゆる、プライベート・フィルムバチバチの作りになるハズやのに、暗に相違して、介護ドキュとゆうジャンルでは、これまでにないようなポジティブな作品になっとります。

認知症を描くドラマ映画やドキュメンタリー映画とゆうのんは、ある種パターン化されとりまして、ネガティブに暗く描いたり、ネガを超えて最終的にはポジティブになって、ゆえなき感動を描いたり、あるいは、ビョーキに特化したカタチで描かれていったりします。

でも、本作の関口監督は「重喜劇」(今村昌平監督作品やらで、よく出てくる映画ジャンル専門用語)を標榜してはります。

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この種のドキュではあり得ない、コメディ・センスがケッコー出てまいります。手書きのチャッチーなマンガ・イラストでの、監督による説明ナレーション・シーンが、まずオモロおます。

映画全体でも監督がナレートをやってはるんやけど、オカンへのインタビューをやりもって、ハズシまくりのオカンの話に対して、監督のホンネを字幕で伝えたり、イロンな人へのインタでも、矢印入りのイエロー字幕やったり、重たくなりがちなこの種のドキュを、細部の細かい描写で緩和し続けてはります。

理屈っぽいインタは控えめどして、オカンやらとの面白やり取りをメインにやらはるんが、本作のコメディ度合いを高めてはるように思います。娘でもある監督が、ヒョウヒョウとオカンの言動を解説してゆくのんは、リズミックでもあり、活弁士的なカンジでもありましたえ。

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ドラマ映画でもそうやけど、ドキュでも女性監督が、ムッチャ台頭してはりまんねんけど、ともすると、マジでシャープをムネとしはる監督はんが多いように思いよります。そやから、そんな中で、ヤッパこういう「重喜劇」的ドキュは、むしろ癒やしなカンジを覚えよります。

今村昌平監督作品よりも、その作りはユルイとは思いますけども、時おりハッとさせてくれはるシーンが挿入されておます。東日本大震災のあとさきも捉えてはるし、写真の1枚目と2枚目にあります、監督の妹はんの娘はんと、オカンとの笑える交流部やったり、監督の息子はんとのつながりやったり、キズナ描写も濃密にやってはります。

ネガ・ドキュをポジ・ドキュに変えはった、不思議快感の作品どした。

2012年7月 8日 (日)

アメリカ映画らしい群像劇「だれもがクジラを愛してる。」やで~

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1つの事件にイロンな人が関わってくる群像劇でも、実話ものはオモロイよ~

ドリュー・バリモア姉さんの、最高傑作やも分かりまへん

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http://www.love-whale.jp/

7月14日のサタデーから、東宝東和はんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテやらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

関西やったら、7月28日から、大阪ステーションシティシネマで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

群像劇のドラマ映画とゆうのんは、これまでにいろんなパターンがござりました。ホテルに集う人々を描いた「グランド・ホテル」(1932年製作・アメリカ映画)以降、場所を限定したもんから、パニック・ムービーやら、ロバート・アルトマン監督もの、そして町全体を巻き込んだもんまで、イロイロ多彩に出てまいっとります。

本作はその町もんで、しかも、1988年のエピソードを描かはった実話がベースになっとります。

群像劇の実話ものとゆうのんは、これまではアポロの月面着陸やらの一大事件をポイントに、展開しはったりしますけども、本作は、クジラの家族が氷の中に閉じ込められたとゆう、どちらかとゆうたら、マニアックで些細な事件ちゅうカンジどす。しかし、コレがUSA大統領から、東西冷戦末期のソ連まで巻き込んでまうとゆう、世界的な大変な事件へと発展してまいります。

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そこへ、イロンな思惑を持って、イロンな人たちが関わってきはります。でも、最終的には、私利私欲がどこかにあったとしても、全員がタイトルのようなキモチで動いていたとゆう、方向性へと持ってゆかはります。モチ、それらの心理的流れは、さわやかな感動へといざなってまいります。

クジラを巡るカタチとしては、ドキュメンタリーやけど、「沈黙の世界」(1956年・フランス)的なとこがありました。いわゆる、人とクジラの触れ合いどす。

みんながクジラを助けるために、イロイロやらはるシーンは当然やけど、ナンチューても、真摯に環境・動物保護を目指さはる、ドリュー・バリモアのネーさんが水中に入って、クジラ家族の状態を看るシーンでおましょうか。CGやらを駆使した撮影シーンやろけど、ドリューのマジなクローズアップなど、グッときよりました。

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ラブコメを中心にアクション映画やらにも出て、演技で魅せる作品にはなかなか恵まれてへんように思える、ドリュー姉さんやけど、本作は違っておました。「サンキュー、ボーイズ」(2001年・アメリカ)を超える、自然体演技なんやけども、過去最高の名演ぶりを披露してはると、ボクは思います。

さて、これまでにアラスカものは、イロイロあったかと思いますが、アラスカほぼ全面ロケーション映画は、ハリウッド映画史にはないそうでおます。本作は、それをばヤラはりました。

最近地上波テレビでもオンエアされた「そんな彼なら捨てちゃえば?」(2009年・アメリカ)を撮らはった、ケン・クワピス監督作品なんやけど、そんなラブコメとは全然違う作品性に、アラマ・ポテチン(ビックリ)でおました。とにかくでんな、群像劇映画の可能性を広げたケッサクどしたえ。

2012年7月 7日 (土)

見たらビールが飲みたくなるらしいでー「ぱいかじ南海作戦」

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ロビンソン・クルーソーへの憧れを描かはった、癒やしのコメディどす

阿部サダヲと永山絢斗の各アニキと、貫地谷しほりのネーさんに佐々木希チャンの、共同生活がトンデモネーでおますよ

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http://www.paikaji-movie.com/

ジュライ7月14日のサタデーから、キングレコードはんとティ・ジョイはんの共同配給によりまして、全国ロードショーでおます。

映画館は東京・新宿バルト9やら、大阪・梅田ブルク7やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「ぱいかじ南海作戦」製作委員会

阿部サダヲのアニキを主演にしはった、野外の海辺生活を描く、トンデル作品でおます。アベサダ的には「舞妓 Haaaan!!!」(2007年製作)やら「なくもんか」(2009年)やら、喜劇的が最も似合いよります。

ほんでもって、本作では「寅さん」的にも見える領域へと、入り込まはりましたで。到ってマトモに見える、永山絢斗のアニキとの野外生活を前触れに、とゆうか、その前にも前ぶれがあるんやけど、海辺に来はった貫地谷しほりネーと佐々木希チャンとの、トンデモ共同生活が始まりま。

しほり&希は、関西から来はったんで、関西弁をシャベらはります。アベサダ&絢斗の標準語と関西弁の絡み具合が、何ともユニークな空間を構築してはります。アベサダの、南国のロビンソン・クルーソー生活を夢見てのスタートが、集団クルーソー生活へと広がってゆく作りは、ある種ハットトリッキーでおました。

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さてはて、ロケーションはオキナワよりもさらに南西に位置する、西表島ロケ映画どすえ~。西表島はオキナワに入るんやけど、数多くあるオキナワ・ロケ映画でも、最も最南端の島ものとなったんやないかな。

さてはて、「ぱいかじ」とは南風のことでおます。癒やしをくれるこの南風のイメージが、作品全体のトーンを形成しておます。イロイロあるけど、本作はあくまで和みの映画へと着地してまいります。

そのための細部の描写が、うまいと思いよりました。いわゆる、サバイバル生活やのに、コップ、ランプ、ブルー・シート、ハンモック、魚を獲って葉を食べるなんてのもあるけど、それらが何やらゴージャスな生活のように、自然に転化してゆくようなスタイルは、不思議な映画感を増しておました。都会の「キッチン」(1989年)や「パレード」(2009年)とは違う、共同生活感が不思議感と共にやってまいるのどす。

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本作が映画初監督となる細川徹のアニキは、「見たらビール飲みたくなるはずだ。」なんてゆうてはります。その意図は確かに100パーセント近く、成功してはるでおましょう。ビール好きのボクチンは、ホンマにそない思いよりました。とゆうか、見終わったあと、すぐにビールを飲みに行ったんどすえ~。

映画監督的なこだわりも、凄く感じた作品でおます。セリフとしては、「卒業」(1967年・アメリカ映画)やら「パイレーツ・オブ・カリビアン」(第1弾は2003年・アメリカ)などの映画が出てきよりますが、ボクチンが最も映画的をカンジたのは、サントラ使いやったと思います。

ランペットをポイントにした、マカロニ・ウエスタンやったり、ラストロールで流れる、ジャズっぽい音使いをバックにした、フォーク・ポップスやったりに、映画的粋をカンジました。

アベサダが船出するラストのサプライズも、ある意味で映画的どした。こりゃ、きっと「寅さん」的やで~。サクラと別れて旅立つ寅さん的イメージが、オモロかったです。

2012年7月 6日 (金)

映画シリーズとしては第4弾やー「BRAVE HEARTS 海猿」

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航空機パニックまで巻き込んだ、かつてないラインまで入ってしもた作品どすえー

ハドソン川への着水も、ハリウッドで映画化進行中(!?)かもしれんけど、それより早いかもな

http://www.umizaru.jp/

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7月13日のフライデーから、東宝はんの配給によりまして、日本全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 フジテレビジョン ROBOT ポニーキャニオン 東宝 小学館 エー・チーム FNS27社

日本映画としてのパニック・ムービーの在り方を、問うような仕上がりになったやなんてゆうたら、大げさどすやろか。

このシリーズは、みなはんの多数の方々が見てはるはずやし、中途半端なことは言えへんねんけど、ハリウッド映画を嚆矢とするパニック・ムービーでも、アメリカの本歌取りのようなカンジでやってくれはりました。

2009年にハドソン川への航空機着水で、乗客乗員みんなが助かったとゆう事件がござりました。この逸話は現在、ハリウッドで映画化が進行しとるらしいどすけども、それよりも早く、日本設定でそれをばヤラはったんが本作でおます。

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各種のパニック・ムービーてゆうたら、ハリウッド映画が断トツのリーディングなんやけど、本作では日本映画が先行してやったったでーなとこがあって、ボクは痛快なキモチになりました。

「エアポート75」(1975年製作・アメリカ映画)やら、ハリウッドの航空機パニック映画は、ヒコーキ・パニックの定番ぶりにしばられてしもて、トンデモないとこへは、そないに飛び出してはらへんかったように思います。

海や川への着水から始まる、救出作戦なんてタイプは、実話がなければ、とてもでけへんような発想やったでしょう。ほんで、パニック・ムービーにふさわしい演技をば、各人がやってはるのにも、ココロ打たれよりました。

各人のヒロイズムには当然ココロが動かされよりますし、大げさなとこがあるとは申せ、感動はそれなりにありま。深く考えずに見れば、感動はストレートにやってきよります。

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伊藤英明&佐藤隆太の各アニキの相棒ぶりやら、危険なミッションぶりなどは、本作シリーズの見どころとなっとりますし、今回もクライマックスで存分に発揮されとります。

ヒロイズム演技を見せ続けはる伊藤のアニキやけど、11月に公開される「悪の教典」では、正反対のシリアル・キラーにして、女生徒に人気の高校教師役を演じはるとのことで、そのギャップぶりの演技がどないなるんか、今からワクワクの楽しみどす。

佐藤隆太と仲里依紗ちゃんのラブ・ストーリー部とか、伊藤と井原剛志との相克部、ほんでもって、伊藤の妻役・加藤あいネーさんとの3人家族部の描写なども、それなりに描かれてまいります。

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でも、メイン・ソースとゆうたら、パニック・ムービー部にござりました。そして、それをば補強すべき細かいとこも、考え抜かれておました。

海に着水した航空機が、沈むまでの20分間は、時間通りに進行してまいります。その間がまさに、本作のデッカイ見どころなんやけど、その前やその後も強烈どした。CG使いによるものやけど、着水シーンのビビッド感と危ない感。海に沈んだ仲間を、いつもながらに救出に行かはるシーンやら、この映画ならではのところが映されてゆきよります。

エンタ映画への徹し方を考えさせてくれはる、羽住英一郎監督論やら、ラストロールで流れる、シェネルのグッド・バラードやらについても語りたいんやけど、いずれにしても、本作はこの夏を爽快にしてくれはる、大ヒット作品になることは間違いありまへん。

2012年7月 5日 (木)

中国・台湾合作のラブコメ映画「LOVE」でおます

Love

スー・チー、ヴィッキー・チャオら各ネーさんが、アメリカン・ラブコメとは違う面白さを見せはります

3話オムニバスチックを、カットバック的にミキシングやー

日本公開待機作でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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中国・台湾合作映画とゆうのんは、中国・香港合作よりもタイトル数は多くないけど、基本的には台湾映画でおます。アメリカやらのラブコメとは違いまして、オムニバス・スタイルで展開しはります。

アジア映画のラブコメ映画、あるいはラブ・ストーリーでゆうたら、本作は、香港のウォン・カーウァイ監督作品に、デッカイ影響を受けてはるようにボクは見よりました。台湾てゆうたら、世界的にも有名なホウ・シャオシェンはんやら故エドワード・ヤン監督やらも、ラブコメやないけど、恋愛映画を紡いではるけども、本作みたいな分かりやすうて明るいカンジはありまへん。

ゆうてみたら、むしろ本作は、よりアメリカン・ラブコメに近いセンスを出してはるとも言えます。ほんでもって、ヤクザ映画チックなバイオレンス青春映画「モンガに散る」(2009年製作・台湾映画)を撮った、ニウ・チェンザー監督の2012年製作の新作なんやけど、映画テイスト的には本作は、「モンガ…」とは真逆の感触がござりました。

ラブ・ストーリーの3話オムニバスを同時進行で、カットバックさせもって描いてゆかはります。簡単単純のW単で各話がパターン化してるように見えつつも、それでも群像ラブ・ストーリーの在り方をば、ストレートに潔く追求してゆかはります。

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冒頭では本作の登場人物たちを、移動撮影の長回しの7分くらいの撮影で示さはります。出演俳優・スタッフのクレジットを入れ、キャッチーな女声ポップ・ナンバーから、弦楽オーケストラへとスライドさせつつの、流麗なシークエンスには思わず引き込まれました。

パトロンと若いケータイ写真男との、三角になるスー・チーのネーさん。怪しくて気紛れそうなカンジが、エエわー。独身の若社長と絡む、シングルマザー役のヴィッキー・チャオのネーさん。「レッド・クリフ」シリーズ(2008年・2009年・香港&中国&日本)もエエねんけど、でもヤッパ「少林サッカー」(2001年・香港)やらでヤラはったコメディエンヌぶりが、ケッコー似合う女優はんやと思いますで。本作でも不自然に見えるからこそ面白い、ドタバタ演技が痛快やったです。

でもって、今一つの話(写真1枚目)は、台湾のフレッシュな俳優はん、イーサン・ルアンちゃんやマーク・チャオ君やらによる、男1人女2人の三角関係恋愛描写どす。3話はバラバラやなく、ビミョーなカンジでリンクしとるんやけど、この話が本作のポイントになっとるようどすえ~。アメリカや日本にはない、ラブコメ・センスをば、ぜひともカンジておくんなまし。

2012年7月 4日 (水)

山田洋次はんがプロデューサーのドキュ「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」

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ドキュメンタリーよりもドラマ映画として撮れば、もっとスゴイ作品になるハズどっせ~

ヒロイン・ドラマ部、ラブ・ストーリー部、家族ドラマ部やらが、オリジナリティーにあふれておまっせ~

http://www.chihiro-eiga.jp/

7月14日の土曜日から、クレストインターナショナルはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やら、大阪・テアトル梅田、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCHIHIRO ART MUSEUM

既に逝去してはる、セレブな有名人たちを採り上げはったとゆうジャンルの、ドキュメンタリー映画でおます。

山田洋次監督はんがプロデューサーとして関わってはるんやけど、この立場がエグゼクティブ・プロデューサーでおます。プロデューサーにもイロイロござりまして、エグゼクティブは金は出すけど、現場には口をはさまへん製作総指揮ちゅう立場どす。ほんで、実際に現場を仕切るプロデューサーがいて、大手の作品では、製作資金のみを管轄する、ライン・プロデューサーなんてのも出てきはります。

いずれにせよ、本作を見た時に、ボクがイチバン感じたのは、こんなドラマ映えする素材を、山田洋次はんが関わってはるにも関わらず、なんでドキュメンタリーやねん!? とゆう想いどした。

も、本作はNHK出身のドキュ監督の海南友子ネーさんが、3年間とゆう取材期間を経て作り上げはったもんどして、友子ネーさんから山田監督にプロデューサーになってくださいと、売り込まはったもんやと思います。山田監督は「いわさきちひろ記念事業団」の、理事長を務めてはることもござります。

しかし、そんな表面的なことよりも、本作で描かれる、いわさきちひろの人生は、実にドラマティックでありまして、山田監督が撮らはった過去の名作と比べても、何ら遜色のあれへん、人々に感動を与える大傑作となり得るべき、ドラマ映画性がござるのどすえ~。

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ドキュとしては、モノクロ写真に加え、彼女の作品カット、檀れいのネーさんなどの、「ちひろ」になりきらはった声優的ナレーション、現在生きてはる関係者へのインタビュー、ピアノやらのサントラ使い、ほんで、現在のシーンはそのまま撮って、過去のシーンとイメージ・シンクロさせたりと、ドキュとしてできる限りのことをやってはります。

構成的に年代順に章立てした作りに加え、繰り返される黒柳徹子はんの談話やら、スタジオジブリ作品「火垂るの墓」(1988年製作)の高畑勲監督に影響を与えたとことか、イロイロなるほどな~と思わせはりますが、ヤッパ、ドキュとしての流れでは、感動よりも知識や情報へと目がいってしまいよります。

でも、ドラマ映えするエピソードが、テンコ盛りなんでおますよ。まずは、ヒロイン・ドラマ映画としてのオリジンどす。27歳に画家を目指して上京するまでのエピソードでさえも、波瀾万丈でおます。「ちひろ」が作品を作るメイキング部も、かなりドラマティックやしな。

ほんで、2度目の結婚となった夫とのラブ・ストーリー部も、メッチャドラマ映えすると思います。夫妻息子の3人家族ドラマとしてのとこも、妻が家計を支える「毎日かあさん」(2011年)やらよりも、より必死のパッチの、オカンぶりが見え隠れしとりました。ぜひともドラマ映画として、見てみたい作品でおます。

2012年7月 3日 (火)

社会派ドキュメンタリー映画「誰も知らない基地のこと」

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イタリア映画が何と、アンチ・アメリカ・ドキュを描くとゆうサプライズどす

マイケル・ムーア監督やらと、同じテイストがありまっせー

http://www.kichimondai.com/

7月7日の七夕のサタデーから、アンプラグドはんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場にてロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸEffendemfilm and Takae films

銃社会としてのアメリカを揶揄した「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年製作・カナダ映画)などの、映画史に残る傑作ドキュメンタリー映画を撮らはった、マイケル・ムーア監督的なスタイル・スタンス・テイストのある映画どす。

スタイルは当然ドキュ。ほんで、スタンスはジャーナリスティックな社会派。そして、テイストはアンチ・アメリカでおます。

日本でも、米軍基地問題は続いておりますが、イタリアでは世界遺産がある場所に、米軍基地が作られようとしとるらしいどす。反対運動がスゴイらしいどす。そやから、そういうとこから派生して、世界の米軍基地の実態と今後について、撮ってみようと思わはったんでおましょう。

全編を見終えた時は、ムーア監督みたいにドップリの入り込み型やなくて、対象に対して距離を置いた撮り方で、少し突っ込みが足りないようにも思たんやけど、あとあと考えてみたらでんな、なるほどなと納得いたしました。

表層をなぞってはるように見えるけど、実はそうやなく、いくつかのエピソードやら問題点を、ジャブのように繰り出すことによって、切り(キズ)口を深め、やがては重厚感へと、持ってゆこうとしはったんやと思います。

モチ、この種のドキュには欠かせない、兵士やらの関係者へのインタビュー、いろんな解説も積み重ねてはります。コソボやペルシャ湾などの戦闘映像を映しつつ、常に敵が必要なアメリカ軍のイメージを見せ、ほんで、米軍基地ネットワークやらへとアプローチもし続けはるんどす。

映画としては1時間14分と短めなんやけど、日本人の観客を意識しはったわけやないやろけども、やはり沖縄シーンは、ドキュのメイン・ソースのように見えよりました。イタリア映画どすから、ボクチンら日本人が知っとる以上のことは、知らんやろと思うんやけど、でも、意外な切り口も見せてくれはります。

ヘリ墜落事件やら兵士の少女強姦事件、戦闘機が飛ぶ音にコドモたちが耳を塞ぐシーンとか、それに普天間の問題も検証してはるけども、海兵隊の募集に使うらしい沖縄の美風景、ヤンバルの森やらでの米軍の演習の様子、自分の土地を取り戻したいとゆう、沖縄の人たちなども捉えて、多角的に切り込もうとしはるんどす。

ギター・サウンドを始め、バンド・サウンドによるサントラ使いも、こういうドキュでは珍しおました。最後の方の「チェンジの章」の、象徴的な映し方も映画的な粋を見せてはるようどした。

見る人によって評価が変わる映画やろけど、でも、ここで捉えられた問題は、重くココロにきよりま。見に行ったからには、ショーモナイとは、一言では切れない映画でおました。

2012年7月 2日 (月)

西部劇的中国映画の大作アクション「さらば復讐の狼たちよ」やー

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「レッドクリフ」を抜いて、本国で中国歴代最大のヒット作となった作品でおます

チアン・ウェン監督・主演が、チェン・カイコーやらチャン・イーモウやらジョン・ウーとは違う、活劇ぶりをば示さはりま

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http://www.saraba-ookami.jp/

7月6日のフライデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 EMPEROR MOTION PICTURE (INTERNATIONAL) LTD. BEIJING BUYILEHU FILM AND CULTURE LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

中国の人たちは家族揃って、大作映画を見にゆかはる傾向があるそうどす。日本でも大ヒットしたジョン・ウー監督の「レッドクリフ Part1」(2008年製作・中国&香港&日本合作)も、大作感が当然のようにござりました。ほんで、本作は中国国内で、歴代ナンバーワンの大ヒットとなりよりました。

チアン・ウェン監督てゆうたら、いわゆる俳優監督はんどして、これまでは、作家性の高い作品を発表してきはりましたが、監督4作目となる本作で、遂に娯楽性にあふれたアクション大作を作ってきはりました。

しかも、ワイヤー・アクトをメインにした剣戟時代劇の、チェン・カイコー監督やらチャン・イーモウ監督とは違い、また、やはり時代劇にアプローチしはった、ジョン・ウーはんらとは違い、ストレートに西部劇を志向しはりましたで。まあ、西部劇イロがあった「ヘブン・アンド・アース/天地英雄」(2003年・中国)への出演が、チアン・ウェンはんのココロをば、刺激しはったんかも分かりまへん。

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そやから、西部劇ウエスタンのイロイロ、例えば「OK牧場の決斗」(1957年・アメリカ)などが、本作にトリビュート的に反映されておます。さらに、メンバー構成的もあるけど、アクト・シーンでも見え隠れしよる「七人の侍」(1954年・日本)、「戦場にかける橋」(1957年・アメリカ)の主題歌「クワイ河のマーチ」に乗って、戦いへと向かう者たちのシーンは、「パットン大戦車軍団」(1970年・アメリカ)やし。

銃撃戦をポイントにしはった、ハデなアクション・シーンが次々にやってまいります。冒頭の列車襲撃シーンから、ドハデどす。クライマックス直前の、荒野の決闘シーンもよく練られておました。

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そして、それらを演じる演技陣の、怪演技から爽演技までが、アクション・シーンと絶妙に映えよるんどす。

ナンチューても、チアン・ウェンはんと対抗する、チョウ・ユンファのアニキの、影武者との1人2役となった怪演ぶりでおます。ワイヤー・アクトがメインやった「グリーン・デスティニー」(2000年・アメリカ&中国)とは違い、出世作「男たちの挽歌」(1986年・香港)に回帰したかのような迫力は、インパクト大どしたえ。

トニー・レオンの嫁はんの、カリーナ・ラウの妖しの妙演やら、グォ・ヨウやらの泥臭さやら、チョウ・ユンちゃん(写真5枚目)の、ある種の爽やかさとか、バイ・プレーヤーの演技も光っておました。

ほんでもって、サントラは日本の久石譲はんでおます。宮崎駿作品や北野武「HANA-BI」(1997年・日本)、滝田洋二郎「おくりびと」(2008年・日本)などで示した、ドラマティック・サントラを聴かせてくれはります。特に、ラストロールで流れるオーケストラ・サウンドは、ハリウッド大作にも負けへん壮大さどす。とにかく、大作感に酔える作品どすえ~。

2012年7月 1日 (日)

NY大都会ホテル・ビルに「崖っぷちの男」がおったとさー

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「アバター」のサム・ワーシントンのアニキが、ホンマに危ない演技をば披露しはりました

クレーン仕込みの空中カメラによる臨場感撮影は、3Dやったらもっとスゴイやろけどな~

http://www.disney-studio.jp/movies/gakeppuchi/

ジュライ7月7日の七夕・土曜日から、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、東京・丸の内ルーブルやらで全国ロードショーでおます。

関西の大阪やったら、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマやらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

ストーリーを語らずとも、映評はできると思とるボクチンやけど、暗に相違してここでは、ストーリー的なことをばまず言いよります。

オトンの葬式(このケースの場合、アメリカでは一時出所が認められておます)にかこつけて、ムショを脱走した男が数日後、NYの一流ホテルに投宿し、部屋から出て飛び降り自殺しようとしはりましてな、人々の注目を集めはります。

「なぜ、ここに…?」なんて赤字で、下の写真にありまっしゃろ。このあたりの意図は、実は映画の早々の段階で分かります。主人公の弟が恋人と共に、ホテルの近くのビルで何やら盗みをやってはりまして、そちらに視線がゆかんように、わざとこっちでカモフラージュ的なパフォーマンスを、見せてはるとゆう次第なんどす。

一方で、盗みに入ってはるビルは、セキュリティがバチバチでおます。でも、それら防犯カメラやセンサーの一つ一つを、弟はんらは見事にクリアーしてゆかはります。でもって、なんで主人公がその盗みを、弟と共謀してやらないかんかったんかが、ゆっくりと暴かれてまいります。

見た目はスリリングでおますけども、でも、なんでこんな2方向性のややこしいカンジで、やってまうんかが少々首を捻りました。兄弟2人でやったらええやん、なんて思うんやけどな…。

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しかし、そのままやったら確かに、芸がないといえばないでおましょうか。NY映画のシチュエーション・サスペンス。例えば「フォーン・ブース」(2003年製作・アメリカ映画)やらに加え、緻密なリアリティーをベースにした、奪取映画「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)やらをマブしたような作りは、なかなかのもんでおました。

「アバター」(2009年・アメリカ)で有名になったけど、サスペンスある演技性も加えた綱渡り的なアクション演技を、見せてくれはるサム・ワーシントンのアニキ。「リトル・ダンサー」(2000年・イギリス)とは大違いで、セキュリティ破りを慎重にやってゆく弟役ジェイミー・ベル君。

さらに、「スパイダーマン」シリーズの助演が最も有名な、エリザベス・バンクスのネーさんの、メリハリのある交渉人役が、かなりドラマ映えしとりました。名優エド・ハリスはんの、シブさにも注目どす。

そして、3Dと思えるくらいの、臨場感ある撮影シーンの数々が強烈でおます。クレーン仕込みの空中カメラで、このビルの崖っぷちを、リアリスティックに撮り上げてはります。実際、ワーシントンのアニキも崖っぷちに立って演技しはりました。そやから、観客のビクビク感をあおるシーンは、何度も出てまいります。

ほんでもって、ラスト30分のたたみかけるようなスピーディーな展開が、でっかい見どころとなっとりますんで、お楽しみくだされ。

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