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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年6月の記事

2012年6月30日 (土)

沢尻エリカのネーさんの映画復帰作「ヘルタースケルター」どすえー

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最初からほとんど狂ってはる、芸能界ヒロイン映画の怪作品でおます

ヤラシー・シーンやらを映えさせる、赤色照明やらの原色使いが鮮烈どす

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http://www.hs-movie.com/

ジュライ7月14日のサタデーから、アスミック・エースはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、神戸国際松竹とかで上映しはります。本作は「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会

沢尻エリカのネーさんが、「別に…」騒動以来、久々に映画界に戻ってきはりました。「別に」以来、なんでか、エリカネーさんはわがまま勝手な気紛れイメージが、付きまとっておますけども、そういうイメージに即した、キャラ主演での映画界復帰とゆうのは、ボク的にはありきたりでウーン…なカンジやったけど、しかし…。

芸能界を舞台にしはった、ヒロイン映画なんやけど、イントロからでもヘンやったけど、エキセントリッキーで狂っていくプロセス演技が、メッチャフツーやなかったどっせー。

モチ、濡れ場シーンもフツーやありまへん。窪塚洋介アニキとの、楽屋裏でのカットをイロイロ変えたセックス・シーンを始め、映画プロデューサー役の哀川翔アニキと激しくヤリ、ほんで、マネージャー役の寺島しのぶネーやんとも絡み、しのぶネーの彼氏ともヤッテまうっちゅう、ハチャメチャぶりどす。

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クライマックス部になるけど、蝶を見る幻想シーンから、「2001年宇宙の旅」(1968年製作・アメリカ映画)で有名な「美しき青きドナウ」を流しての、記者会見シーンへの流れ、そして、ラストのほくそ笑みクローズアップ・サプライズまで、最初から最後まで終始、異様な演技をば貫いてはりました。

これまでにもイロイロあった女優ものでゆうたら、「サンセット大通り」(1950年・アメリカ)の狂気もあるし、正統系「イヴの総て」(1950年・アメリカ)のウラ版、相手を蹴落とす「Wの悲劇」(1984年・日本)、同じコミック原作の「カンナさん、大成功です」(2008年・韓国)やらのテイストが、そこはかとなく仕込まれておます。

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フォトグラファー蜷川実花ネーさんの、「さくらん」(2007年・日本)に続く、映画監督作第2弾どす。「さくらん」も花魁(おいらん)とゆう、特殊なヒロイン映画やったけど、今作も華やかさの中で、ヒロインのココロの光と影を映す、難易度の高い作品にチャレンジしはりました。

オトン蜷川幸雄はんの映画監督作品とのシンクロでは、吉高由里子チャンを丸裸にした「蛇にピアス」(2009年・日本)あたりになるやろか。でも、「蛇にピアス」が、いかにも男の監督がやりそうな、直情径行系の濡れ場シーンやったのに対し、こちらは前述した通りで、照明使いを始め、女性監督らしい繊細な(!?)シーンを打ち出して、エロエロ度合いを増してはります。

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写真家の作品だけに、フォト・セッション・シーンが多いように思いましたが、エリカネーさんの仕事シーンを、タイトにプロモーション・ビデオ的に束ねてゆくとこは、作品に軽快なリズムとアクセントを加えてはるようどす。

ナンチューても、イロ使いが冴えておました。赤色照明が基調になっとるようやけど、写真4枚目の暖色のセピア、写真5枚目の寒色の薄ブルーなど、場面によって多彩に変えてはります。

写真6枚目のローリングストーンズを思い出させはる、真っ赤な唇のデザインやらも、適宜入れていかはります。そやから、見たあとに残像的にしつこく残ったのは、ボク的にはこの赤色でおました。

映画タイトルの「ヘルタースケルター」は、ローリングストーンズの曲にもありますが、“しっちゃかめっちゃか”の訳の通りのバクレツ・ナンバー。ほんでもって、本作もそういう印象のある怪作どしたえ~。

2012年6月29日 (金)

夢見る男たちのロマンやで~「ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して」

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フツーのコメディとはチョイ違う、写真の3人のアンサンブル演技に魅せられま

全米各地の美しき自然風景も、楽しめる仕上がりでおまっせー

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http://www.shiawasenotori.jp/

6月30日の土曜日から、エスピーオーはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿で、ほんでもって、7月14日サタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

あんましちゅうか、ほとんど知られてへんマニアックなことに対して、夢を追いかけてゆく男たちのドラマが、展開する映画でおます。

スタイル的にはコメディ映画をば標榜してはるけども、コメディ部は全体の10パーセントくらいでおましょうか。ボクのジャッジでは、いたってマジメな男たちのロマン映画やと見ました。

1年間の間に、いろんな鳥をバードウォッチングしてでんな、その種類の多さを競い合うとゆうコンテストなんやけど、自己申告制もある曖昧なもんでおましてな、コンテストそのものが、スリリングに見えそうで見えないようなとこがありま。

それをスリリングに見えるような方向性で、自然に紡いでゆかはる、上手さっちゅうもんに感心いたしました。いつの間にかどういうワケかハマッとるような、そんな上手さとでも言いますか。

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ジャック・ブラック、オーウェン・ウィルソンの各アニキに加え、チャップリンの今を思い出させはる、スティーブ・マーティンはんてゆうたら、どないあっても、バリバリのコメディになりそうなんやけど、それがダイブと違いました。

ポイント的にはコメ路線なんやけど、夫妻もの、家族映画性、父子のキズナなどのマジな部分が、キチンと描かれておまして、このメンツやったら、おバカ・コメになってもおかしゅうないのに、全然違(ちご)とりまんねん。

そのあたりはやはり、監督デイビッド・フランケルのアニキのセンスがええんやろか。監督作「プラダを着た悪魔」(2008年製作・アメリカ映画)では、単なるコメディやない、人間ドラマ性がグッときましたが、本作にもその演出ワザが生かされておました。

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鳥もの映画としては、ヒッチコックの「鳥」(1963年・アメリカ)の引用シーンもあるし、コミカルなタッチもあるけど、マジなとこではドキュメンタリー「WATARIDORI」(2001年・フランス)とも、シンクロしとるやろかと思います。

アメリカン映画のロードムービー的タッチもありまして、アメリカの美しい自然描写が随時映されてまいります。日本に近いアラスカ州のアッツ島ロケーション部は、本作の1つのハイライト・シークエンスになっとります。

ほんで、ベン・スティラーのアニキが製作総指揮をばやってはります。アメリカン・コメディの多彩さを、主に演技で示してきはったスティラーはんやけど、ある種進化したコメディ・ヒューマンドラマ映画とゆう、ジャンルを構築しはったようどすえ~。

「寅さん」的なんがアメリカにもあるんやとゆう、サプライズもカンジました。この種の映画を、もっと見たいと思わせてくれはる作品やったです。

2012年6月28日 (木)

フレンチ・ドキュメンタリー「クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち」どす

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ダンス・音楽ドキュとして見てもオモロイ、爽快な1本だっせー

極上のミュージカル・アート映画やと思います

http://crazyhorse-movie.jp/

東京は6月30日より、ショウゲートはんの配給にて公開やけど、関西やったら、7月28日サタデーから、シネ・リーブル梅田やらでロードショーでおます。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011-IDEALE AUDIENCE-ZIPPORAH FILMS, INC. TOUS DROITS RESERVES-ALL RIGHTS RESERVED

今年82歳を迎えはる、フランスのドキュメンタリー映画の重鎮、フレデリック・ワイズマン監督はんの最新作でおます。

でも、ボクチンは恥ずかしながら、彼の作品をばほとんど見ておりまへん。「パリ・オペラ座のすべて」(2009年製作・フランス映画)と本作の2本こっきりどす。

2本共に、母国フランスの有名なとこを採り上げてはるけども、元々は彼は、アメリカのいろんな施設やら組織やらを撮り上げ続けはって、有名になったらしいんどすけども、ここ最近は祖国ものへと戻ってきはったんどす。

そのドキュの手法は、ワイズマン節と思えるくらい、オリジンある斬新さでおます。ドキュにとって不可欠とも言える、ナレーションやら字幕解説に加え、関係者インタビューやらを外してはるんどすわ。

ほかの人がインタビューしてるシーンやらは映してはりまして、メイキングや楽屋の様子も含め、そのままありのままを映してゆくとゆう、いわば、ドキュメンタリズムの究極のカタチを、提示してはるっちゅうことなんです。こういうスタイルは、実はこれまでのドキュ映画ではほとんどありまへん。

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「パリ・オペラ座のすべて」でも顕著やったけど、多彩な演目が次々に披露されてまいります。いわゆる、ダンス・音楽ドキュとしての娯楽性も備えてはります。

ハリウッドの往年のミュージカル映画と比べても、ドキュにも関わらず遜色のない作りになっとるんです。キャバレー系のドラマとして見ても、「キャバレー」(1972年・アメリカ)やら「ムーラン・ルージュ」(2001年・アメリカ)やらのエンタ性が、確実にあると思いよりました。

しかも、練習シーン、打ち合わせシーン、裏方のシーンを含むメイキング・シーンにも、細部のリアリティーとゆう意味でもさいてはります。そして、ナンチューてもメインは、多彩な演目を披露しはるとこでおましょう。ダンス・音楽ムービーとしての粋がココにござります。

特注のマイ・ベストスリー演目について言いよりますと…。

①ブルース・ナンバーに乗って、赤丸パラパラの照明により、みんながヒップを見せてゆく。映画的とはまた違う、照明の多彩な作りにきっと魅せられま。

②マーチに乗って、トップレス兵士になった美女軍団が、タイトな行進的ダンス歩きを披露。インパクトはディープどした。

③ラスト演目は、10人が歌うクレイジーホースの、オフィシャル・ソングやー。ファンキーでダンサブルなこの曲は、シメにふさわしかったどす。

写真2枚目にある、照明効果による影絵動画パフォームも、アート感覚は最高潮ってなカンジやったかな。ほんでもって、見たあとのゴージャス感は、きっと長く、みなはんのココロに残るハズどすえ~。

2012年6月27日 (水)

リメイクやなくてリブートどすえ~「コナン・ザ・バーバリアン」

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その対象作品は、シュワちゃん主演の「コナン・ザ・グレート」でおます

幻想冒険物語やけど、ファンタジー性よりもアクション性を重視しはった作品になっとりま

http://www.conan-the-barbarian.jp/

6月30日のサタデーから、日活はんの配給によりまして、東京・銀座シネパトスやらで全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、JULY7月14日SATURDAYから、テアトル梅田やらでヤラはります。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Joe's Daughter Inc. All Rights Reserved

リメイク(再映画化)やなくて、リブート(再起動)らしいどす。

まあ、言い方は別にしよりまして、中世の話らしいんで、現代的に置き換えるわけにもいかず、VFXやらアクション部をバージョン・アップし、ストーリーもいじってみようか、ちゅうことなんでおましょう。ほんで、俳優陣も総入れ替えしてやってまおかーゆうことなんやろな~。

そのリブート対象作は、続編も作られた「コナン・ザ・グレート」(1982年製作・以下の引用は、全てアメリカ映画)どす。シュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーはんが、肉体派アクションを披露した、ある意味では、シュワちゃんの出世作とゆうてもええ作品でおました。

ほんで、個人的な想いでは、ジョン・ミリアス監督作品どした。実は、この1970年代後半から1980年代前半にかけて、ハリウッドの先進派監督の間では、黒澤明ブームが起こっておました。

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スピルバーグ、コッポラ、スコセッシ、ウォルター・ヒルやらに加え、ミリアス監督もそんな1人どして、このコナン作品に、黒澤映画へのリスペクトを込めてはったようでおます。そして、本作はリブートとはいえ、そんな黒澤時代劇ともシンクロするシーンがござります。騎馬戦を含めたアクション・シーンに顕著なんやけど、黒澤映画を見てなくても、モチ充分に楽しめます。

「ロード・オブ・ザ・リング」(2001年~2003年)みたいな幻想冒険物語なんやけど、「ロード…」のファンだけやなく、スピルバーグの「インディ・ジョーンズ」シリーズ(1981年~2008年)やら、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(2003年~2011年)などに魅せられた人たちも、きっと満足のできる仕上がりになっとるかと思います。

時代劇ものとしても、「ロビン・フッド」(最新作は2010年)や「三銃士」(最新作は2011年)やらのテイストもあるんで、楽しめるハズどす。

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ファンタジー性なんかよりも、ナンチューてもアクションでドドーンと押してきはります。騎馬戦、海賊船中アクションをはじめ、ヘビ的巨大モンスターやら、妖術女が繰り出す化けもんやらとの死闘を経て、砦での攻防戦が一大クライマックスになっとります。

シュワちゃんと比べるのは酷かもしれんけど、若々しい肉体派主人公コナン役のジェイソン・モモア君、モモア君とバストも見せるセックス・シーンをば、披露しはるレイチェル・ニコルズのネーさん。共に、みなはん、あまり知らはらへんかもしれんけど、売り出し中の俳優はんから、これからのお気に入りを探すちゅう楽しみもあるはずなんで、そういうノリでいってみてもええかなと思います。

同日に公開される「アメイジング・スパイダーマン」(前日に分析しとります)も、若手俳優はんがガンバッてはりますんで、本作と合わせて見たら、2倍オモロイかも分かりまへん。

2012年6月26日 (火)

新シリーズの始まり始まりやでー「アメイジング・スパイダーマン」

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アメコミ原作・NYもの・モンスター系やら、イロイロ引きずりもってもコイツは、アメリカン国民的ヒーローでおまっせー

3Dで見はったら、スパイダー・アクションがメッチャリアルどすえー

http://www.amazing-spiderman.jp/

6月30日サタデーから、ソニー・ピクチャーズはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。3D&2D同時公開やー。

関西の大阪やったら、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

言わずと知れた、アメリカの国民的ヒーローを描いた作品でおます。アメコミ原作映画とゆうのんは、アメリカ・エンタのお家芸なんでおますよ。

ほんでもって、NYものとゆうのんも、定番化しとるやも分かりまへんけども、その定番を超えんとする意気込みが熱く伝わってまいりました。「キングコング」(第1弾は1933年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)や「ジュラシック・パーク」(第1弾は1993年)や最近の「アイアンマン」(第1弾は2007年)などとは違い、あくまでヒーロー像をひたむきに追求する姿勢にこそ、本作のデッカイ・ポイントがござります。

刑事がいみじくも言いよります。“ゴジラがいる東京都知事じゃない…”やなんて、ゴジラのハリウッド版「GODZILLA」(1998年)はNYを舞台にしとりました。ゴジラも立派にNYに進出しとるんやでー。知っててわざとゆうとるんかー。なんてツッコミも言いたくなってもうたけど、そういう細かいとこは別にして、前3作シリーズ以上に、オリジナルなとこを破壊するようなセンスが、妙に心地よかったどす。

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その一番のとこは、恋愛部でおました。前作ものでは、彼女は彼がスパイダーマンだとは知らなかったけど、本作では早い段階で知ることとなり、ほんでもって、彼女は主人公のサポートまでしやはりまんねん。アラマ!

で、そんな2人はてゆうたら、最近のアメリカ映画の若手たちが主演を張ってはります。日本では、あんまし有名やありまへん。スパイダーマン役アンドリュー・ガーフィールド君に、彼女役エマ・ストーンちゃんやて、みなはん、知らはらへんでおましょう? 

最近のハリウッド映画は日本では、そんなにバクハツ的には売れず、しかも、次代の若手俳優はんたちが出る映画ちゅうのんは、ある意味で壊滅的なくらい、売れんようになっとります。それでも、スパイダーマンは日本でもブランドになっとりますんで、そっちゃの方向から、日本での大ヒットを狙おかちゅうカンジどすか。

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名俳優のマーティン・シーンはんやサリー・フィールドはんが、この若手の2人をサポートしはります。当然、若い頃より演技性は丸うなってはるけど、2人の渋演技は、本作の大きな縁の下の力持ち演技になっとりました。

本作のマーク・ウェブ監督は、監督デビュー作「(500)日のサマー」(2009年12月29日付けで分析)のナイーブで繊細な恋愛部を、本作にも2人の恋愛シーンに反映してはります。そういうとこをサブ的に演出しもって、それに対比させるように、アクション部をググッとやってまうとこは、この種のハリウッド大作には欠かせないとこやと思います。

博士が自発的になってまうトカゲ・モンスターとの、いろんな場所での対決に加え、クライマックスの研究所ビルでのバーサスは、映画史に残るようなアクト・シーンを、作らんとする熱意をばカンジました。ラストロール後の、第2弾へと続く、謎めいたエピソードもそそらせま。新シリーズは上々の立ち上がりどしたえ~。

2012年6月25日 (月)

ジョニー・デップ主演の人間ドラマ系映画「ラム・ダイアリー」

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1960年のプエルトリコやけど、新聞社を舞台にした久々の、熱いドラマ映画を見ましたでー

ジョニデはモチ、ヒトクセもフタクセもあるクセ者揃いのキャラクターたちに、思わずハマってまう作りどすえー

http://rum-diary.jp/

JUNE6月30日SATURDAYから、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリーやら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 GK Films, LLC. All Rights Reserved.

ボクチンはかつて新聞社の編集局に、勤めとったことがあります。そやから、新聞社を舞台にした映画を見ると、ハッとしたり、ムムムやったり、そんなことないやろー、なんてイロイロ思たりしよります。

そして、本作はまさに、こんなカンジなんやーとゆうとこが、見事に反映されとりました。でも、今の時代の新聞社の話やありません。今はもっと大人しくなってんのかは分かりまへんが、ヤンチャもヤンチャ、時にハチャメチャ、トンデモネーこともやりもって、スクープを追うやなんて、いやはや、こういう雰囲気は、何か懐かしくさえカンジ入りましたで。

本作はプエルトリコの新聞記者時代をベースにした、ハンター・S・トンプソンの未発表小説が、友人ジョニー・デップの手によって発掘され、映画化されたもんでおます。ジョニデと故トンプソンてゆうたら、ジョニデからのリスペクト・アプローチから、ほとんど盟友とゆうてもええ仲でおました。

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トンプソン原作の映画「ラスベガスをやっつけろ」(1998年製作・アメリカ映画)で、ハイな演技を披露し、トンプソンのドキュメンタリーにも、鎮魂の思いを込めて参加してはります。

ほんで、本作で再びトンプソン想定の、主人公記者役をやらはったジョニデのアニキ。ファンタジーやらイロイロ出はるけど、本作は人間ドラマもんどす。個人的に思たんやけど、時々ジャック・ニコルソンはんを、想起させてくれはるとこがあるようどした。ニコルソンの「チャイナタウン」(1974年・アメリカ)の私立探偵役なんぞが、オーバーラップしたりしよりました。

ほんでもって、ジョニデと絡む、多彩なキャラクターたちが揃っておます。叩き込むセリフ回しで、ジョニデをケムに巻くような、リチャード・ジェンキンス演じる編集長。アカデミー賞ノミニー経験もあるけど、この種の編集長役でも、かなりエキセントリックで印象的やー。

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プエルトリコの富豪役アーロン・エッカートはんやら、その愛人役アンバー・ハードのネーさんやらとの絡み具合。このあたりは、映画化作品もいくつもある、ハードボイルド作家エルモア・レナード的な、ベタやないスマートな男女の三角関係描写どした。

弦楽オーケストラが掛かる中で、ジョニデが2人の海中セックスを望遠鏡で見るシーンやとか、オープンカーのスピードを上げてどうなるんかを試したり、モチ、ジョニデとのセックス・シーンなど。闘鶏やってるカメラマン、性病の宗教系記者やらとのトリオぶりは、本作を最大に面白くしてはるメイン・エピソードどす。

そんな1960年代のプエルトリコを示すために、メッチャ渋い色調を目指さはりました。天然色と言われた1950年代的な色合いがあります。スーパー16ミリを使い、自然光をポイントに、照明やフィルターを入れずに展開しはります。「キリマンジェロの雪」(6月11日付けで分析)もそうやったけど、映画的フィルム感にも酔える作品でおましたえ~。

2012年6月24日 (日)

今年の日本映画ベストワン級の仕上がりやー「苦役列車」

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歴代芥川賞映画化作品の中でも、ナンバーワンやと勝手にジャッジしよりました

恋愛やら男の友情やらの、いかにもありそうな私小説的描写映画やなんて、久々に見たようどしたえー

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http://www.kueki.jp/

ジュライ7月14日のサタデーから、東映はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「苦役列車」製作委員会

芥川賞ゲット小説の映画化作品で、久々に傑作を見たなと思たら、日が経つにつれて、いやいや、これはその系列の作品ではかつてない傑作、いや歴代ナンバーワンやないかなと、思うようになったんどすわ。直木賞原作映画よりはタイトル数は多くないんやけど、とゆうことで、芥川賞受賞小説原作映画の、マイベスト&カルトスリーをば披露いたします。

●ベスト⇒①本作②忍ぶ川(1972年製作)③蛍川(1987年)

●カルト⇒①太陽の季節(1956年)②限りなく透明に近いブルー(1979年)③赤頭巾ちゃん気をつけて(1970年)

●エンタ系の直木賞と違いよりまして、芥川賞はストーリーの面白さでは、そないには魅せられまへん。どちらかとゆうたら、私小説的なマニアックなとこがありまして、そんなに映画映えしよらへんのですわ。そやから、石原慎太郎原作のカルト①くらいまでは、なかなか映画化されるようなことはありまへんどした。散文的を映像化するんは、かなりハードルが高いんです。

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ところがどっこい、本作の監督・山下敦弘のアニキは、やってくれはりました。原作の文章で魅せる力を、映像表現力に転化してゆくワザがお見事どした。原作を読んでから映画を見ると、そのワザがよく分かるかと思います。

男の孤独やら男の友情とか恋愛とか、全く面白くなさそうなフツーの、その辺になんぼでも転がってそうな話やのに、見ていけばいくほど、グイグイ引きつけられてまいります。

1分から3分くらいの、長回し撮影も頻出しよります。それが長めの撮影である必然性がないにも関わらず、写真5枚目の2人の雨中のムリヤリのキス・シーンなど、主人公のキモチに即したシーンであり、女の人やったらどうか分からんけど、ボクとしてはケッコー感情移入できました。

「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ映画)なんかも思い出した、主人公が原稿用紙に向かう背中のラストシーンも、余韻を深めました。

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魅力を分析するに、ストーリーよりもやはり、役者の演技ぶりによって魅せる映画の面白さでおましょうか。森山未來と高良健吾と前田敦子の3人の人間関係描写、その演出、演技ぶりが、絶妙なアンサンブルを奏でておます。

特に主人公に扮した森山クンやけど、本作と同じ時代設定(1986年)やった「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)からの成長度はメッチャ著しかったどす。「モテキ」(2011年)に続く、恋に悩む怪演技ぶりどすしな~。

加えて、いかにも自然体の冷静沈着ぶりをゆく、高良クンやら前田アッチーやらとの、対比演技によるドラマ効果は、間違いなく本作を傑作にした隠し味になっとります。

末期やけど、昭和映画としてのテイストにも魅せられよりました。できれば、3人の2012年の今を見てみたいなとも思いましたが、続編は? どないですかー。

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2012年6月23日 (土)

宮沢賢治原作アニメ映画「グスコーブドリの伝記」どす

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少女ものスタジオジブリとは違い、虫プロダクションは少年ものファンタジーがメインなんやろかな~

“雨ニモマケズ風ニモマケナイ ソンナ人間ニ私ハナリタイ”映画どすえ~

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http://www.budori-movie.com/

ジュライ7月7日の七夕サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「グスコーブドリの伝記」製作委員会/ますむらひろし

見出しにあります“虫プロダクション”とは、現在の“手塚(治虫)プロダクション”のことでおます。

手塚治虫てゆうたら、コミック・マンガ界の一大巨匠であり、ほんで本映画の原作者の宮沢賢治てゆうたら、日本のポジティヴ作家のナンバーワンとも言える存在どす。いわゆる、その2人のコラボとも取れる本作は、ジャパニーズ・アニメの良質ぶりを、スタジオジブリとはまた違ったフレイバーで示さはりました。

虫プロには「リボンの騎士」なんかもあるけど、少年ものがメインにあり、少女ヒロインものが多いジブリとの違いは、表向きは明確なんやけど、でも、向いてる方向はおんなじなんどす。勇気や元気や前向きなキモチをくれる映画として、共通しておます。

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20世紀前半の戦前に書かれた原作にも関わらず、多彩な作品性で魅せてくれはります。ネコ人間スタイルのディズニー・アニメ的なテイスト、家族ドラマ部、ジブリの「火垂るの墓」(1988年製作)的な兄妹ドラマ的造形をはじめ、農業映画、SF映画チックに加え、パニック・ムービー。

ほんで最後には、ネタバレになるかもしれんけど、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年・アメリカ映画)やら「アルマゲドン」(1998年・アメリカ)などに刻まれとる、アノ精神が出てまいります。

しかし、その描き方は、感動をハデに押し付けるとこもなく、静かで癒やしに満ちたもんどした。この渋みは、余韻をば深めておます。上空へと上がってゆく退きの俯瞰描写の、ラストシーンもグッとココロにきよります。

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何でもないような細部の作りが、ガチッとしとります。

ボクチンの友達なんかは、誰が声優をやっとるんかは、アニメの場合どうでもええことやと言いよりますが、主人公の声役・小栗旬アニキの、終始落ち着いた声のトーン。さらに、忽那汐里チャンの、ホンマに守ってあげたいと思わせる声使いやら、柄本明はんの役とは別に担当しはった、渋枯れ爺さん声のナレーションやらが、この声でないと表現でけへんとこをば示さはります。

でもって、配色は総じて薄色配色なんやけど、冷害描写の極薄があるかと思えば、セピアの麦穂やグリーンの棚田、緑鮮やかな山の自然描写など、目に優しいシーンも、対比的に作られとりまして、総体的に和みへといざなうイロ使いやと思います。

続いては、サントラ部どす。この種のアニメだけやなく、映画でもそない使われへん、タンゴのポイント楽器となるバンドネオンが、しょっちゅう流れとります。ギター、ハープ、バイオリンなどとの競演としても流れ、何ともいえへん味を映画に植え付けてはるんどす。

そして、ラストロール前には、小田和正のアニキのグッド・バラード「生まれ来る子供たちのために」が、実に感動的にドラマティックに流れます。ボクは思わず涙を流しそうになりました。さらに、宮沢賢治のアノ「雨ニモマケズ」の朗読入りシーンでは、ホンマに泣きました。つまりは、癒やしも泣きもくれはる、傑作アニメなんどすえ~。

2012年6月22日 (金)

テレビ朝日の連続テレビドラマの劇場版「臨場」でおます

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刑事やなく、鑑識課の検視官を主人公にしはった、警察映画やでー

無差別殺人をポイントにしはった、現代的なミステリーどすえ~

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http://www.rinjo-movie.jp/

6月30日の土曜日から、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「臨場 劇場版」製作委員会

ヒットの方程式として、今や邦画の1ジャンルになっとります、テレビドラマからの映画版でおます。しかも、最近は、警察もののミステリーが多うござります。

日本のテレビからの劇場版の嚆矢「七人の刑事」(1963年製作)やら、アクション・シーンも見どころの「ザ・ガードマン」(1965年)など、捜査ものミステリーは、ケッコー映えるし人気も高いんでおます。

1970年代に、そんなミステリーものが、テレビの二時間ドラマとして定着してからは、「あぶない刑事(デカ)」シリーズ(1987年~1998年・全5作)なんぞはあったけど、その種の劇場版は鳴りをひそめておましたけども、フジテレビの「踊る大捜査線」が、その殻を打ち破ったんやないかなと思いよります。

さてはて、ここで、ミステリーの劇場版のマイベスト&カルト・スリーをば披露してみます。

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●ベスト⇒①踊る大捜査線 THE MOVIE(第1弾は1998年)②七人の刑事③相棒(2007年)

●カルト⇒①本作②外事警察(2012年)③アンフェア(2009年)

●カルトで選んだのは、フツーの警察もんやないとこどす。刑事コンビが捜査して犯人を追いつめてゆく、ベスト3作のスタイルは、確かに分かりやすくてストレートでエエかと思います。ただ、今は、マンネリ化しつつある刑事ものを、脱却するような路線が出てまいっとります。

目新しくはないんやけど、カルト③の女刑事ものやったり、警察部署の特異なとこをクローズアップした、カルト②やったりしよります。ほんでもって、本作は鑑識課の検視官が主人公の警察もんでおます。まあ、大げさにゆうてみたら、世界初の警察主人公もんやないやろか。

かに、心理分析官ものとかはあるけど、現場主義をポイントにしはった本作は、縁の下の力持ちに焦点を当てた、ある意味で渋~い骨太な作品になっとりまっせー。

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原作者の横山秀夫はんと言えばでんな、松本清張賞でデビューしはっただけに、清張が今も生きてたらこんな作品を書いてたやろなー、みたいな作品を発表し続けてはります。

「半落ち」(2003年)チックな、警察内部ものを取り入れた作品やら、実在の事件に粘っこくアプローチした「クライマーズ・ハイ」(2008年)やら、清張の進化型を示さはります。そして、本作は警察内部ものだけやなく、現代的な動機なき無差別殺人を採り上げるとゆう作りどす。

清張作品は動機をポイントにした作品が多かったかと思いますが、動機なき事件が多くなった今を、どう捉えてゆくのかとゆう、そういうとこまで食い入ってはるんでおますよ。

でもって、ソレをば映画化するのに、同じくミステリー小説を原作にした「探偵はBARにいる」(2011年)の橋本一監督が、演出はモチ、魅せる撮り方を心掛けて撮ってはります。

スローの使い方、粘っこくない1分くらいの長回し撮影、アップ少なめの編集やら、どうでもええような細部をキチッと押さえてはります。さらに、クラシック・コーラス入りの、フル・オーケストラによるサントラも、臨場感を増しておますよ。

2012年6月21日 (木)

スペシャルな音楽ドキュメンタリー「Beyond the ONEDAY ~Story of 2PM & 2AM~」

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ファン向け・シングル販促向けのプロモーション・ムービーのノリやのに、ついついハマッて見てるボクチンって何?

現在の音楽シーンや音楽ドキュの在り方を、考えさせてくれはる好映画やったどす

http://www.oneday-movie.jp/

ジューン6月30日のサタデーから、東宝映像事業部はんの配給によりまして、TOHOシネマズ系劇場にて全国ロードショーでおます。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹2pm1
Ⓒ2012「Beyond the ONEDAY」製作委員会

ミュージックDVDとゆうのんは、日本のレコード会社が発売する場合、現在もなおセル・オンリーとゆう状況が持続しております。メーカーが価格を指定し安売りできないとゆう再販制(公正取引委員会が制度化している、再販売価格維持制度)があるためどす。

音楽ドキュメンタリー映画の世界で、日本のアーティストの分が海外に比べて極端に少ないのんは、実はそうした状況も反映されとるもんでおます。ほんで、本作も韓国のアーティストを採り上げとるにも関わらず、日本のソニー・ミュージックはんが関わってはるので、その種の流れに即した音楽ムービーになっとるんどす。

ファン向けであり、2PMと2AMの2組が合体してリリースするシングルの、販売促進を意図したプロモーション・ビデオのノリでおましょうか。そやから、ビートルズやらのドキュ映画とは根本的に違っておまして、映画的な分析よりもでんな、音楽的な分析に傾注すべき作品やと、ボクは勝手ながら思いました。

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2PMと2AMの音楽性について分析してみまひょか。2組のプロデューサーであるJ.Y.Parkはんの音楽的狙いについて言いますと、2PMは昼間の時間に合わせた躍動的なダンス・ミュージックを、2AMはミッドナイトに合わせたしっとりのバラードを、それぞれヤラセはって、音楽ジャンル的対比性を示してはります。

この2組の作りを見た時に、ボクの脳裏に浮かんだのは、NY出身のシンガー・ソングライター、ジョー・ジャクソンが1982年に発表した「ナイト&デイ」とゆうアルバムどした。レコードでゆうたら、A面をデイ・サイドとして、アップ・テンポなナンバーを並べ、ほんで、ナイト・サイドのB面ではバラード、スロー・ナンバーを披露するとゆう、コンセプチュアルな内容でおました。

Parkはんは、アメリカのR&Bに影響を受けたてゆうてはりますが、このアルバムはきっと聴いてはるハズやろから、隠してはるんかもしれまへん。ただ、R&Bでも、アレサ・フランクリン的なベタ系やなく、宇多田ヒカル的なポップ系へとスライドさせてはるんは、日本でのヒットを志向したもんなんやろかな。

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さてはて、K-POPとゆうのんは、実は日本のエイベックス・サウンドに影響を受けてはって、ダンス・ミュージックが主流どす。

モチ、バラードも歌ってはるけど、特にコンサートにおいては、生演奏のないバックトラック(カラオケ)対応とゆうのも、個人的にはウーンなんやけど。ボクはバンド・サウンドの歌ものが大好きなんで。

でも、現在の日本のポップ・ミュージック界の勢力図を申しますれば、ミスチルのベスト・アルバムがミリオンセラーを超えたとは申せ、バンドはある意味で不毛の状態にあり、エグザイルらのダンス系、ジャニーズ系、AKB48系、そして、K-POP勢が幅を利かしておます。

ゴリゴリの音楽ファンとゆうのんが、少なくなってきとるんやないやろか。本作を見にきはる人にしても、たぶん音楽ファンより、ダンス・ファンが多いんやないでしょうか。SMAPを志向してはるような彼らの発言もあり、ウーン、もっと音楽を! やなんて思たりもしたけど、でも、そういうところを抜きにして見たら、ケッコーこれがおもろいんです。

ダンス、音楽を目指す彼らの、青春ムービーとして見れば、見ていてグッと前向きになれるかもしれまへん。彼らのファン以外も、ぜひ見にいってほしい作品どす。

2012年6月20日 (水)

韓国映画のラブ・コメディ「ちりも積もればロマンス」やて

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アメリカン・ラブコメにはないタイプの映画どすえ~

韓流ドラマ・ファンには、ピッタリくるハズの作品やと思うんやけど…

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http://www.cjent.jp/chiri/

ジューン6月30日のサタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで全国順グリのロードショーやー。本作をば配給しやはるのは、CJ Entertainment Japanはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

主演女優はんがハン・イェスルのネーさんで、主演男優はんがソン・ジュンギのアニキやて、まったくもってすんまへん。ボクチンは、どちらも知りまへんどした。

ところがどっこい、ゴリゴリの韓流テレビドラマのファンに聞いてみたら、この2人はそれなりに有名らしいんでおますわ。しかも、ラブコメ演技をスムーズに分かりやすくやってくれはる、コメディエンヌ・コメディアンぶりなんどす。ケッコー感情移入できてチョイ好感も覚えます。

但しラブコメやゆうても、マジでラブリーな方向へと、ストレートに進むような展開は外してはります。簡単にゆうたら、ビンボーな2人が安定した生活を得るために、小さなことからコツコツとを、ヤラはるとゆうお話なんでおます。

すべきこととしたいことの違いを、もっともらしく話し、宗教と病気と恋愛はやらないと宣言するヒロイン像など、「猟奇的な彼女」(2001年製作・韓国映画)の謎めいたチョン・ジヒョンちゃんを、思い出させたりしよりますで。

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さらにで突っ込むとでんな、コンゲーム的なノリに見えながらも、少々違いよります。まあ、アメリカン・ラブコメにはまずないタイプでおましょう。ビンボーからはい上がるドラマなんて、アメリカではラブコメでは描きにくいやろからな。

でも、日本にはあるかもしれまへんな。家族一同で節約生活をやってまう「木村家の人びと」(1988年)とか、女が男に命令してヤラせる「怪盗ルビイ」(1988年)とか、本作とそれとなく、シンクロナイズしとるやもしれまへん。

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さてはて、本作で映画監督デビューのキム・ジョンファンのアニキやけど、細部にこだわったトンデモ・コメディを志向してはるそうどす。

本作もフツーのラブ・ストーリーやないんで、韓流ドラマ好きにはどうかなとは思うんやけど、最近の韓流ドラマはラブコメでもケッコーひねってはるのんが多いらしいんで、その伝でゆくと、きっと楽しめるかもしれまへん。

ソウルの夜景入りの屋上シーンやら、坂を上がってくる2人のロングショット、夕景のセピア・ショットなど、時々、映画的にクルシーンもござりました。さらに、サントラ部どす。主人公が弾くウクレレなどの劇中披露以外に、ピアノ、ギターなどが軽快に鳴ります。ほんで、ミディアム・ロック・ナンバーやスロー・バラードなどの歌ものも、グッときよりました。

韓国ラブコメ映画の、ターニング・ポイントを示すような作品やも分かりまへんな~。

2012年6月19日 (火)

下ネタ・コメディのフランス映画「プレイヤー」やー

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男たちの終わりなき性欲を、ストレートに面白おかしく伝えはる、トンデモな1本でおまっせー

アメリカンっぽいセク・コメ(セクシー・コメディ)な作りでヤッテはる、9話オムニバスどすえー

http://www.player-movie.jp/

JUNE6月23日SATURDAYから、ブロードメディア・スタジオはんとコムストック・グループはんの共同配給によりまして、ヒューマントラストシネマ渋谷、銀座テアトルシネマ、シネ・リーブル池袋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、6月30日から、梅田ガーデンシネマを皮切りに上映どす。「R-15+」指定映画になっとります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

まあ、フランス映画では珍しおます、下ネタ・コメディの怪作でおます。本国では大ヒットしたらしいんやけど、それに関わってはるんは、何と今年のアカデミー賞を席巻しはった「アーティスト」(今年3月24日付けで分析)の、主演男優ジャン・デュジャルダンのアニキやー。

9話オムニバスとして展開してはりまして、主演はモチ、原案考えて脚本書いて、シメのエピソードでは共同やけど、監督までしてはりまんねん。それに、「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督(1エピソードを監督)まで巻き込んでヤラはりました。

「アーティスト」がサイレント映画へのオマージュとするならば、本作は下ネタ系のアメリカン・コメディへの、バージョン・アップなアンサーといったカンジでおましょうか。でも、2作の段差はあまりにも激しいんで、アラマ・ポテチン(ビックリ)やもしれまへん。

ストレートに遊び人を描き、男たちの女への欲望を、ソリッドに面白おかしく紡いでゆかはります。個人的には、フェデリコ・フェリーニ監督の名作「甘い生活」(1960年製作・イタリア&フランス合作)とは正反対な、エンタに徹したおバカな、男の欲望映画やと思いました。

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さてはて、全9話を見ていきまひょか。

①話「プロローグ」⇒シメの⑨話へとつながる、結婚してる2人のあくなき性欲への執念(!?)をば描かはりま。ファンキー・ソウルやロックを流しての導入部やら、タランティーノ監督的なスタッフ表示などから、引き込まれよります。2人が同室で同時に、2人の女とヤッテるシーンは、セクシー映画の見どころなんやけど、あくまでコメディ・タッチが入っとります。また、2人のビミョーなセックス観の違いも見られてオモロイかな。

②話「ベルナールの挿話」⇒ヌケない話や。見てのお楽しみ。③話「良心」⇒ジャンが主役で、ミシェル監督が演出してはります。モテナイ妻帯者のトホホな話を、うまく表現しはりました。年増のおばさんにまで言い寄り、「愛の人生と眠りの人生とどっちがいい」なんて口説き文句も笑えますで。

④話「ロリータ」⇒気紛れな学生愛人に、振り回される妻帯者のお話。タイトルの過去の作品へも、それとなくシンクロしよります。⑤話「ティボーの挿話」⇒ギョーム・カネのアニキの短エピソードどす。ダックスフンドが、ええーってなシメどす。

⑥話「質問」⇒夫妻が共に浮気していたとゆうお話。「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)などへもトリビュートしてはりま。⑦話「シモンの挿話」⇒サドマゾごっこの行方は?⑧話「浮気男 友の会」⇒本作で最も、ブラック・ユーモアに満ちたエピソードかもな。男は笑えへんかも。

⑨話「ラスベガス」⇒ジャンのアニキが、本作にも出てる俳優ジル・ルルーシュと共同監督をばしはりました。ビリー・ジョエルの名ポップス「素顔のままで」を流して、アメリカン・ロードムービーな男の友情節を見せつつも、トンデモ・サプライズには啞然としよりましたで。おいおい、なんやけど、でも、屁理屈抜きにオモロかったでー。

2012年6月18日 (月)

変形エイリアンもの「アタック・ザ・ブロック」どっせー

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イギリス・フランス合作映画で、エイリアンの襲撃もんやなんて、えらい珍しおまっせー

でもコレって、エイリアンVS不良グループのヤクザ映画的な「仁義なき戦い」やん!

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http://www.attacktheblock.jp/

ジューン6月23日のサタデーから、アステアはんとパルコはんの配給によりまして、東京・渋谷シネクイントやら、大阪のシネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸStudioCanal S.A./UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011

突然、地球にやってきよった、というより降ってきよったエイリアンどもが、南ロンドンのとある団地に住んどるワルガキ・グループを、地域限定的に襲うとゆう映画でおます。メッチャシンプルどす。

しかも、この種の映画の定番となっとります、地球を侵略せんとする異星人と人類の対決とゆう、大義名分を超越した、とゆうか、もっと本能的なとこをポイントにしてはりますんで、そら、かなりとマニアックなもんになっとります。いわゆる、人類の危機とかはヨコに置いといて、エイリアン・チームと不良グル―プが、理由なき反抗、仁義なき戦いをやってまうとゆう、そんな映画でおまんねん。

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警察が全くエイリアンを無視して、何もやらへんとゆうのはどうよと思たりもするけど、2組のガチンコ対決を設定してはるんで、コレはコレでよしなんでおましょう。

ワルガキどもの下剋上「シティ・オブ・ゴッド」(2002年製作・ブラジル映画)な世界観に、エイリアンをまぶしてみたらどないなるんかなーなカンジの映画やと思いよりま。

この種のエイリアンと人類の対決タイプの映画は、いっぱい出ておりますが、ボク的には近作では「スカイライン」(2011年6月17日付けで分析)のような、マニアックなとこがオモロイかなとみました。

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低予算なんで、エイリアンの造形とかチャッチーなんやろなーと思とったら、コレがなかなかのもんでおましたえ。最初は早い動きで、その正体をなかなか見せはらず、それでいて怖さを募らせるとゆう、ホラー映画的な作りをばやってはります。

黒い全体像にキバが薄ブルーとゆうカンジで、「エイリアン」(1979年・アメリカ)やら「ゴジラ」(1954年・日本)なんぞも、イメージ内に入るかもしれんけど、オリジンを作ろうとする意気込みは、それなりに伝わってまいります。

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「スカイライン」と同様、室内応戦型がメインやけど、カーチェイスもありますえ。バクチクやら、ニンジャ刀やらでエイリアンと対決する、若者たちの構図とゆうのんは一種異様やけど、独特の奇天烈感がエエかと思いよります。

短カットによる近接撮影や、今どきのヒップホップ・サントラに乗せたシーン作りも、エイリアンものとしては新しいと言えるんやないやろか。

ネタバレせんように言いますと、最初は適当に襲っているように見せてるんやけど、特に、エイリアンたちが彼らだけを襲う理由がふるっておまっせ。最後にドッカーンな大爆発と、「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ)的とも言える流れに、驚いてほしい怪作どす。

2012年6月17日 (日)

ジョディ・フォスター主演・監督作「それでも、愛してる」んやでー

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メル・ギブソンのアニキとの共演で、紡がれる家族映画でおます

夫に問題ありのタイプの映画どす

http://www.sore-ai.com/

ジューン6月23日のサタデーから、ツインはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、ジュライ7月21日から大阪・梅田ガーデンシネマ、その後8月11日・京都シネマ、9月1日・神戸・元町映画館と上映は続きよりま。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Summit Entertainment, LLC and Participant Media, LLC.

俳優監督の女優編でおます。ジョディ・フォスターのネーさんが、家族映画「ホーム・フォー・ザ・ホリデー ~家に帰ろう」(1995年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画)以来の監督・主演作を作ってきはりました。

しかも、前作同様に家族ドラマどす。さらに、ジョディにとっては、NYを舞台にした「タクシードライバー」(1976年)が出世作やっただけに、NYロケ映画となっとります。

夫妻映画・家族映画のスタイルとしては、夫に問題があるタイプの作品でおます。その場合、夫がいわゆるビョーキとゆうことなんやけど、これまではアル中、記憶喪失、幻覚病、末期ガンやらやったけど、本作は21世紀的なウツ病どすえ。

何でウツ病になったんかの描写が、事細かには描かれてへんねんけど、それこそが今の時代のウツ病なんでおましょう。その夫役には、監督・主演作としては既にアカデミー賞作品賞を「ブレイブハート」(1995年)でゲットしてはる、メル・ギブソンのアニキが扮しはりました。

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ビーバーとの腹話術的なやり取りで、自殺を思いとどまらはったメルなんやけど、そのビーバーなしには生きられないようにならはります。そやから、写真1枚目と2枚目にありますようにでんな、息子とのやり取りに加え、妻とのセックスにおいてさえも、ビーバーを添い寝さしてやらはりまんねん。アラマ・ポテチン(ビックリ)や。

ここにはワザトラマン的なとこもあるんやけど、メルは大マジでやらはります。経営してはる風前のともしびのオモチャ会社も、会社での演説を始め、テレビにも出演して再生させはります。

でも、これらは全てビーバーの腹話術を通してやらはりまんねん。腹話術によるサイコものとゆうのんは、多分これまでにないもんやと思いよります。アカデミー作品賞を獲った「ビューティフル・マインド」(2001年・アメリカ)の、ラッセル・クロウに匹敵する演技やもしれまへん。

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一方においては、夫妻の長男が演じる学園ラブ・ストーリーも、サブ・ストーリーとして展開しはります。それが家族ドラマと融合するようなカタチで、展開しとるんかは疑問やけど、家族が一つになる1ポイントとしては、これはこれでエエんかも分かりまへん。

ただ、これまでの正統派のアメリカン家族映画を、微妙に外すような作りをしてはりますんで、取っ付きにくいかもしれんけど、でも、いずれにしても、最後には感動がござります。

本作はブラックリストとして、いっぱい埋もれているらしい、映画オリジナル脚本をば映画化しはりました。ハリウッド映画はネタギレなどと言われながらも、まだまだいろんなオリジナルがあるんでおますよ。それ(ネタギレぎみ)でも、映画は続くんどすえー。

2012年6月16日 (土)

3部作アニメの第2弾「ベルセルク 黄金時代篇Ⅱ ドルドレイ攻略」

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戦闘シーンが前作以上に格段にアップしておます

ついでにエロエロ・シーンも、それに正比例して上昇カーブどすえ~

http://www.berserkfilm.com/

ジューン6月23日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪・梅田ブルク7やらで、全国ロードショー(PG-12指定映画)でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ三浦健太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

本作は全3部作の第2弾になっとりますが、第1弾以上に戦闘アクション・シーンが、バージョン・アップしておますえ。W主人公の1人、ガッツの夜の100人斬りをはじめ、3万騎対5千騎の騎馬戦シーンなどが、圧巻の仕上がりを見せておます。

しかも、緻密な戦略を巡らした上での対決が、「トロイの木馬」や「孫子の兵法」の応用並みの知能戦を思い出させよりました。

さらに、戦闘シーン以外も充実しておました。本編で最も明るいシーンとなった、凱旋祝勝会での、マーチやワルツに乗って踊るミュージカル・シーン。

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ほんでもって、写真4枚目にあります濡れ場シーンの、驚くべきエロエロ度合いやらでおますよ。セピア・シーンをメインにしもって、W主人公の今1人のグリフィスが、去って行った相棒ガッツのことを思い出しもって、姫とやってまうシーンが、ハンパやないことになっとります。

また、映画の冒頭部は、ヒロインものとゆう体裁がありましてな、仲間の女戦士も、オッパイポロリのヌード・シーンをば披露してはります。前作にはなかった、こうしたシーンは、大人のためのアニメやとゆう点を強調してはるようどした。

加えて、プロの声優を中心にした本格派アニメ作りは、アニメの内容に集中してもらうためのように思いよりますえ。

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さてはて、色使いはメッチャ練られておました。中世ヨーロッパらしさをキープしつつ、ランプや火はあるけど電気のない時代を、巧妙に表現してはるんどすわ。

原色を排し、時代に合わせた薄色配色は当然やけど、夜のダーク感描写に加え、セピアを全面的には使わずに、散りばめて配色してはるとこにも注目でおます。

陽光の使い方もいかにも自然やし、灰色の雲やら、紫・薄紫・紺青などの夜空やら、自然描写も工夫されとります。過去シーンではボカシを入れたり、脱色的なとこもあったりと、イロイロでおます。

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しかも、この種のアニメには珍しく、絵作りに合わせたサントラ使いがうまいと思いました。ミュージカル・シーンは先述しよりましたけども、デジタル・サウンドの日本の大ベテラン平沢進のアニキが、ビビッドな厚いシンセ・サウンドを構築しはりました。

一方では、ギター、バイオリン、ピアノの各ソロを使い分け、ここぞとゆう時に本格オーケストラ・サウンドを流す、鷺巣詩郎音楽監督のサントラ使いにも注目どすえ~。

2012年6月15日 (金)

無名俳優だけの出演やのに、全米1位のヒットになった「ネイビーシールズ」

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軍事費増強で人件費削減とゆうハリウッド映画やけど、リアリティーは強烈やー

米軍ミッションものを、ストレートに示すウルトラぶりに驚きよりました

http://navyseals.gaga.ne.jp/

ジューン6月22日フライデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、109シネマズHAT神戸やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 IATM, LLC

有名な役者はんは、1人も出てはりません。スター映画やない、ハリウッド映画どす。となれば、低予算のインディペンデント映画かと申しますれば、そうでもありまへんねん。

相当金かけてはるなーとゆうのんが、アクション・シーンからもグーンと伝わってまいります。人質救出作戦、爆発シーン、ミッションぶりなど、過去のハリウッド大作と比べても、全く遜色のない作りどす。

つまり、コレはギャラの高い俳優を避けて人件費を削減し、その分をアクション部に投下しはって、いわゆる軍事費増強で、迫力をば維持、もしくは増さはったとゆう作品なんでおます。しかも、無名の俳優はんとは申せ、まるで実際の兵士はんみたいなリアリティーがありました。

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単なるアクションだけやありまへん。ナンチューても、リアリティーが詳細かつ強烈なんどす。例えば、ビン・ラディンを殺した手法なるものが、緻密に披露されてゆくんどすえ。

CIAスパイものやったら、「ミッション:インポッシブル」(1996年製作・アメリカ映画)やらで披露されとりますが、あくまでフィクションとしての打ち出し方どした。ところがどっこい、こちらの米軍ミッションものは、ホンマモンなんやーとゆう、リアル感と臨場感があるんでおますよ。

戦争映画は数々あるんやけど、そんな中でも最新のリアルが映された作品でおましょうか。作家のトム・クランシーはんが、企画協力してはるんが、おそらくこのリアルを形成してはるんやないかなと、ボクは思います。

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潜水艦アクト「レッド・オクトーバーを追え!」(1990年)やら、テロと対決する「パトリオット・ゲーム」(1992年)「今そこにある危機」(1994年)など、映画化された作品は、軍事・ミリタリー系の深き取材が反映されとるもんでおます。

さてはて、スマホに重大情報を持ってる人質を救出後、その情報を基に、テロ防御の凄まじきアクション・ミッションが開始されよります。特に、ビルに突っ込んでからの、クライマックスのアクト(写真4枚目)は、ハラハラドッキリの緊張感の連続でおました。

ただ、好戦的なとことか、ヒューマニズム部に、やや安直なとこがあるようにも思いよりましたが、でも、コレが現実なんでおましょう。現実をそのまま出すとゆう点では、正解なんかも分かりまへんな。

ラストロールで流れる、ゲイリー・ムーアのパワー・バラードも効いとりました。とにかく、みなはんには理屈抜きにアクションに浸って、楽しんでほしい作品やと思います。

2012年6月14日 (木)

62分の学園ドラマ邦画問題作「先生を流産させる会」でおま

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教師バーサス生徒たちの、実話を基にしはったアンチ学園もの映画どす

「バトル・ロワイアル」「告白」やら中学生もんは、なぜに過激なんやろか?

http://sensei-rsk.com/

SPOTTED PRODUCTIONSはんの配給によりまして、ジュライ7月以降の今夏より、大阪・第七藝術劇場やらで上映しはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 内藤組

日本の学園映画と申しますれば、小学校、中学校、高校に加え、大学キャンパスものやらも入るやろけど、過去を振り返りますれば、圧倒的に多いのが高校学園映画どした。

でも、中学生もんも当然ござります。但し、青春&ラブ・ストーリーものが映える高校ものに対し、また、コドモ映画的なノリになってまう小学校ものに対しまして、ビミョーな位置付けとなりよります中学校もんでおます。いわゆるこの設定やと、フリーキーにいろんなことが、できてまうようなとこがあるように思いよります。

NHKのテレビ・ドラマ「中学生日記」みたいな、マットーな義務教育系ノリをひっくり返せるんは中学校ものなんやろか。例えば、「バトル・ロワイアル」(2000年製作)は、高校生でもええのに中学生バーサスもんやし、「告白」(2010年)も女教師と1人の生徒を巡る、ドッカーンな話やったしな。

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ほんでもって、コレですわ。アンチ学園映画を作るのには、中途半端な年頃の中学生がベターなんやろか。よう分かりまへんけども、とりあえずは、めでたいことに妊娠しはった、先生役の宮田亜紀ネーさん(写真3枚目)。

ほんでもって、その妊娠を阻止せんとする、小林香織ちゃん(写真4枚目)をリーダーとする女生徒5人組。その静かな対決描写が展開してまいります。

実話をベースにしてはるらしいんやけど、ハデにアクションをば展開することはなく、あくまで地に足を付けた密かなドラマ性にこそ、本作の不気味さがあるように思いよります。

「セックスしたんだよ。キモチ悪くない?」と、香織ちゃんが仲間の4人に話すとことか、亜紀センセーが香織ちゃんとの対決シーンで話す、トンデモセリフなど、今までの学園ものにはない、異質な響きとゆうもんがありました。

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基本的にはでんな、わが娘を殺された女教師役やった「告白」の、松たか子ネーさんにも通じそうな、亜紀ネーさんの演技ぶり。ほんで、どこまでもぶっきら棒的にやってる香織ちゃん。でも、この2人のラスト5分でのやり取りは、映画的余韻を含めて重要シーンでおました。

生徒5人のシークエンスも、みなさんを惹き付けはる、謎めいたカンジで撮られておます。空と地の3分の2カットやらロングショットなどに加え、タイトなドラム・サウンドが、見たあとあとに残ってきよります。62分とゆう短い時間も、タラタラと長く描くよりは良かったどす。

これまでの学園ドラマの変形バージョンやも分かりまへんが、見て考えさせる映画としての質度は高かったと思います。何を感じるか人ソレゾレやろけど、ボクチン的には、香織ちゃんは最後まで、ワケ分からんナゾの人どしたえ~。

2012年6月13日 (水)

ニコラス・ケイジ主演映画「ハングリー・ラビット」やでー

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最近のハリウッド映画では珍しおます、映画オリジナル脚本どす

ヒッチコック監督ばりの、主人公がエライ目に遭うサスペンスを、違った視点から捉えはった作品

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http://www.hungry-rabbit.com/

ジューン6月16日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・新宿バルト9やら、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ西宮OSやらでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 HRJ DISTRIBUTION, LLC

単刀直入に言いますれば、主人公がエライ目に遭うタイプの、サスペンス映画でおます。「北北西に進路を取れ」(1959年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)とか「間違えられた男」(1956年)やら、ヒッチコック監督作品の1特質が、濃厚にカンジ取れる作品どす。

ただ、何が何やら分からんうちに、アレヨアレヨと災難が降りかかるわけやなく、理由は明確になっとります。主人公の愛妻が襲われて、写真3枚目のように傷つけられはります。フツーの展開やったら、ここで主人公が奮起して、犯人にリベンジせんと動かはるもんなんやけど、そこへ、代わりに始末したろかと、持ちかけてきよるもんがおりました。

殺した見返りとして、のちのちにイロイロ何かを頼むかもしれへんけど、なんちゅう注文付きどす。防犯カメラを壊したりする程度で、大した注文やないっちゅうんで、主人公は代理殺人を頼まはりました。

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ところがどっこい、殺人後には、些細なことを手始めに、遂には殺人までやらされることと相なりよります。しかも、殺人依頼を断ったら、自分の身が危なくなるやなんて…。ヒッチ系サスペンスの、変形バージョンやと申せましょうか。

また、「トゥルーマン・ショー」(1998年)みたいな設定系でもなく、「ビューティフル・マインド」(2001年)やらの幻覚系でもない、ある意味では変化球とは申せ、ストレート系に近いやろか。分かりやすく、ほんで、いかにもありそうなリアル感がありますしな。

主人公役のニコラス・ケイジのアニキに加え、最終対決で戦うこととなるガイ・ピアースのアニキ。2人共に、サスペンス映画の代表作を持ってはる役者はんどす。

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ニコラスには「フェイス/オフ」(1997年)やら、ガイには「L.A.コンフィデンシャル」(1997年)や「メメント」(2000年)などの、映画史に残っても不思議やない傑作がござります。

ほんでもって、本作のメガホンを執らはったロジャー・ドナルドソン監督はんどす。サスペンス作品としてはリメイク版「ゲッタウェイ」(1994年)やら、政治サスペンス「13デイズ」(2000年)などで気を吐いてはるけど、でも、個人的には、エイリアンSFホラーの「スピーシーズ 種の起源」(1995年)とか、火山パニック・ムービー「ダンテズ・ピーク」(1997年)などが、決して傑作やないかもしれへんけどスキでおます。

そして、本作もそんなタイプの作品になるやもしれまへん。評論家受けは良くないやろけど、でもオモロイもんは理屈抜きにオモロイんやーって、主張したいたぐいの作品どすか。ブラック・ユーモアあるラストシーンなんかも、ココロをそそってくれはりまっせー。

2012年6月12日 (火)

これは新タイプの韓国映画やろなー「ワンドゥギ」

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高校学園ものプラス家族映画、ほんで青春ものがマブされた快作になっとります

これまでにない教師と生徒の関係が、ドラマを面白うしてはりま

http://www.cjent.jp/wdk/

6月16日のサタデーから、CJ Entertainment Japanはんの配給によりまして、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

最近も学園映画を分析する機会が、何作かありよりましたが、本作は高校の学園ものでおます。とゆうか、あくまでそういう学園ドラマも入っとりまっせー、な作品でおます。

ナンチューても、特筆すべきとこはでんな、オトコのセンセー(キム・ユンソクのアニキ)とオトコのガクセー(ユ・アイン君)の、これまでの映画では描かれてけえへんかった、ビミョーなとこを演出しつつ、それでいて好感度ある関係をば築かはった描写の数々どす。

住まい的には2人は隣同士でおまして、教師は1人暮らしで、生徒はオトンとオジとの3人暮らしや。このお隣同士の関係に、教師の上の部屋に住んではる兄妹やらが絡んで、近所同士の人間関係ドラマは、何やら人情ドラマ的に膨らんでまいります。

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ほんで、センセーと生徒たちの学園ドラマ部も当然、披露されよります。ホームルームや授業シーンやらも、巧みに挿入されておます。

その一方で、家族ドラマ部も本作の大きな見どころとなっとりまして、最初の方からさっそく、センセーがユ・アイン君に、おまえのオトンとは離婚してへんけど、別居中のフィリピン人のオカンと会(お)うたれや~てゆわはります。アイン君は赤ん坊の頃に家出しはったオカンを、全く知らはりまへん。

オトンはキャバレーでオジとのコンビで、ダンサーやってはったんやけど、そのキャバレーが閉鎖されてしもて、オトンとオジは出張ダンス披露をやらはります。ちなみに、オトンは身障者とゆう設定やけど、身障者らしい弱さは全くありまへんでした。

オカンと大きくなったアイン君の再会シーン、酔ったオトンを背負って家に帰る息子のシーン、その後のオカンと息子の泣けるキズナ・シーンなど、家族映画部も充実しておます。センセーがオカンと息子を結び付けたとゆう流れなんやけど、そんなのはセンセーの頭の中には、なんもないっちゅうんがよろしおま。

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センセーのアウトサイダーな教師ぶりは、本編の随所に出てきよります。

このセンセー役を「ヨコヅナマドンナ」(2006年製作・韓国映画)や「チェイサー」(2008年・韓国)の激しさ系演技を抑えぎみに、ぶっきらぼうにどうでもええやん節で演じはった、キム・ユンソクのアニやんやけど、インパクトは強烈やったどす

片や、キック・ボクシングをやってゆくアイン君の、青春映画系のノリも、学園もの・家族ものと同等に描かれてゆきよります。ラブ・ストーリー部はゆるめやけど、よくできた人間ドラマ映画やと思います。

中でも、バカとクソと言い合い、2人で酒を飲む、日本ではあり得ない、教師と生徒の関係描写も入れた2人のキズナぶりは、見たあとあとまでもココロに残ることでおましょう。

2012年6月11日 (月)

フランス映画の今を描く「キリマンジャロの雪」

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港町マルセイユを舞台に、夫妻映画の渋~い1本どす

スーパー16ミリのフィルム感が、エエ感じになっとりまっせー

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http://www.kilimanjaronoyuki.jp/

クレストインターナショナルはんの配給によりまして、6月16日の土曜日から梅田ガーデンシネマ、6月23日からシネ・リーブル神戸やら、7月から京都シネマやらで封切りどすえ。東京は岩波ホールで公開中でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸAGAT Films & Cie, France 3 Cinema. 2011

ボクチンが本作を見る前に思とったんは、タイトルのイメージから、ヘミングウェイの小説「キリマンジャロの雪」(映画は1952年製作・アメリカ映画)の、久々の映画化作品かなーやったんやけど、それは大いなる勘違いどした。

実は、フランスの1963年の同名大ヒット・ポップスから、タイトル的にはインスパイアーされたもんどして、本編でも夫妻の孫たちが歌うシーンやら、ラストロールでは、そのもののオリジナルを流してはります。

いきなりメインどころやなくてすんまへんが、サントラ使いの巧みさが、妙に鑑賞後にココロに残りよりました。ジョー・コッカーのラブ・バラードが主人公のテーマ曲みたいに、カッコヨク本編で2回流れます。コッカーてゆうたら、「愛と青春の旅だち」(1982年製作・アメリカ映画)のデュエット・ナンバーがチョー有名どす。

ほかでは、労働組合のディスコ・パーティーで流れる、ブロンディの「ハート・オブ・グラス」などが、この種のフランス映画にはあまりない選曲で、アラマ・ポテチン(ビックリ)どした。

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さて、フランスでは日本映画と同じく、今、地方ロケーション映画ブームが起こっとるらしいわ。ほんで、本作は港町マルセイユが舞台になっとります。

マルセイユ映画と申せ、実はこれまでにもケッコー出てまして、ボクチンらの目にも触れておるハズでおます。「フレンチ・コネクション」(1971年・アメリカ)やら「TAXi」シリーズ(第1弾は1997年・フランス)やら。

それらはアクションがメインやけど、でも、本作の監督ロベール・ゲディギャンはんは、日本未公開作品が多いんやけど、故郷マルセイユをポイントにした映画を、これまでにいっぱい作ってきてはるそうどすえ。数少ない日本上陸作「マルセイユの恋」(1997年・フランス)などは、DVD化されとりますんで、ぜひチェックしてみておくんなはれ。

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さて、肝心な本作は、コドモたちが大人になった後の、夫婦映画とゆう作りどす。主人公の夫は会社から、20人のリストラをやらされて、自らもその1人にならはります。でも、夫を恨みに思った2人の若者が、夫妻と親戚夫妻の4人を襲って強盗しよるんどすわ。

でも、夫はひょんなることから、犯人の1人の家族を突き止めて、同情しはります。しかも、妻も事情を知って、夫とは別に、犯罪者家族たちを庇護してゆかはりまんねん。このあたりの描写や間合いは絶妙でおました。

しかも、スーパー16ミリの映画フィルム的質感がエエ感じどした。自然光によるマルセイユの日照り感など、風景描写にもそのエエ感じは機能しとりました。

そんな中で、ボクチンが個人的に魅かれたんは、ゆったりとした癒やしのシークエンスどした。夫やらがベランダで夕べにアルコール飲んでる憩いのシーンとか、海風が吹く中のあずま屋での、家族の食事会(このシーンはラスト・シークエンスにもござります)などです。キズナ映画としても、会心の1作やったと思います。

2012年6月10日 (日)

最新ハリウッド恋愛映画の1本「一枚のめぐり逢い」どす

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イラク戦争帰りの青年が三角関係の中へ入るとゆう、戦争帰りラブ・ストーリーの新しいカタチを提示しはります

「きみに読む物語」の、シチュエーション恋愛小説家ニコラス・スパークスの原作らしさの出た作品どす

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http://www.ichi-ai.jp/

ジューン6月16日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

イヌが登場しよる映画の3日連投分析やーと、言いたいとこなんやけど、本作の場合はあくまで脇の脇役でおます。チョイ、ストーリー的に言いよります。

主人公の兵士ザック・エフロン君は、イラク戦争の瓦礫の中で手にした、見知らぬネーさんの写真を持ち続けはりました。その結果、仲間が死んでゆく中で、自分だけが生き延びたゆえにでんな、写真の女は守護女神的にも思わはりました。ほんで、無事帰還すると、写真に写っとる背景を基に、わが愛犬を連れもって女を探しに出はりま。

で、うまいこと見つけたんやけど、テイラー・シリングのネーさん扮する女は、バツイチのコドモ息子持ち。オカンと共に犬舎をやってはりました。で、何も言えへんまま、犬舎のバイトをやるようなことに相なりよります。で、離婚してる刑事夫も絡んできはることとなり…。

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ベストセラー恋愛小説家のニコラス・スパークス原作映画なんやけど、ストーリー的に見てもうたら分かりますように、何かの小道具やら人物をうまく物語の中に設定しはります。

映画化された「メッセージ・イン・ア・ボトル」(1999年製作・アメリカ映画)の、浜に打ち上げられた手紙入りのボトルしかり、「きみに読む物語」(2004年・アメリカ)の、ある物語をある人物に聞かせるとゆう設定やら。本作では、それは1枚の写真となっとります。

但し、アメリカン・ラブ・ストーリー映画は21世紀に入って、さらにネタギレぎみの状況が加速しとるように思います。それで、本作の場合は、戦争帰りの恋愛を、かなり強引なカタチで展開しはったようにも見えます。帰って恋人が三角構えて待ってるわけやなく、いない恋人の代わりに女を探して、ほんでムリヤリ三角関係の中へ、主人公を巻き込まはるわけでおましょ。小説的には斬新でも、コレを映画化すると、原作に忠実に撮りながらも、映画的リズムに合わないようなとこも、見え隠れしたりしよります。

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エフロン君主演の「きみがくれた未来」(2010年・アメリカ)でもカンジたんやけど、アメリカでは有名でも、日本ではあんまし知られてへん役者が主演を張る場合は、興行的には厳しさを強いられます。

それでも、「シャイン」(1995年・オーストラリア)の監督スコット・ヒックスはんは、健闘しはったと思います。冒頭の戦闘シーンのゴーグル視点なグリーン、家に戻ってからの薄ブルー、その後の自然風景描写や、夕景の赤やセピアなどを束ねたりの、いわゆるイロ使い。ほんで、ロングショットとミディアム・ショットのバランス感や、アップ・クローズアップの織り込み方。アメリカン・ポップスや弦楽オーケストラなどのサントラ使いの多彩さなど、細部を充実させて恋愛映画演出に集中してはります。

恋愛映画的には新しいとは思うんやけど、どこまで日本のみなはんに受け入れられるんか、見守りたいとボクは思いよりま。

2012年6月 9日 (土)

テレビ番組からの実話映画「LOVE まさお君が行く!」やー

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家族の1員としてのイヌ映画を逸脱した、イヌ・コメディ映画どす

香取慎吾チャンとの相棒ぶりとキズナに加え、邦画のイヌ映画にお約束の泣きも用意されとりま

http://www.love-masao.com/

6月23日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012『LOVE まさお君が行く!』製作委員会

イヌ映画につきましては、これまでにボクはイロイロゆうてまいりました。イヌ映画のマイ・ベスト・カルトスリーなるものも披露してきよりました。で、本作はどないやねんなのですが…。

テレビ東京のバラエティー番組の実話ノリの、コメディ映画として話を進行させながら、最後には、やはりイヌ映画らしい、泣きを用意した作品でおます。

コメディ映画と感動の実話系をミキシングしたなんてゆうたら、洋画にはまずあれへんタイプの、日本映画独特のイヌ映画でおます。洋画でもアメリカでゆうたら、ディズニー以外では、シリーズ化された「ベンジー」(1974年製作)「ラッシー」(1978年)「ベートーベン」(1991年)やら、主に家族の1員としてのイヌ映画に、ポイントをば置いてはります。

ところがどっこい、本作は番組を通して、タレント犬と香取慎吾チャン扮する売れない芸人の、笑える相棒ぶりとキズナを描いてまいります。そこには、ファミリーとゆう名の構図はありまへん。こういう作りは例えば、警察犬と刑事のコンビ・コメディ「ターナー&フーチ すてきな相棒」(1989年・アメリカ映画)などに見られましたが、でも、本作は何やかんやゆうても実話どす。

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ハリウッドがリメイクまでした「ハチ公物語」(1987年)やら「南極物語」(1983年)やらの、実話映画の感動ノリが本作にはあります。洋画にはほとんどないんやけど、邦画イヌものには、犬が死んでまうお涙チョーダイ・シーンが、お約束の伝統芸のようにあります。

慎吾チャンがイヌに対し、「ありがとう」と言って号泣するシーンなど、大仰に展開させはります。コレがエエか悪いかは、見る方によって意見は違うやろけど、ボクは日本映画のオリジナル・ポイントな人情節やと思います。

その一方で、メインのコメディ部も思いっきりハデにやってはります。昭和喜劇のノリっちゅう感想もあるそうどすが、コメディ部のドタバタぶりは、確かにかつての邦画の喜劇に、存在した種類のもんでおましょう。平成の「いぬのえいが」(2004年)ともシンクロしよるやろかな。

チャップリン的にクイック・モーションを使わずに、造形してゆく作りながら、でも、チャップリン的にも見えよりま。さらに、今年のアカデミー賞作品賞「アーティスト」(2011年・フランス)のイヌへも通じるやろか。まあ、大げさかもしれんけど。

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ただ、そんなコメディ部をイヌがやってまうとゆうのんは、少なかったんやないでしょうか。「こち亀 THE MOVIE」(2011年)以上にハジケてはる慎吾チャンなんやけど、それに勝るとも劣らない、いや、ひょっとしたら食ってるかもしれへん「まさお君」の演技ぶり(!?)に、脱帽しはる人もいてはるに違いありまへん。

ほんでもって、テレビ番組の内容に合わせた、ユニークなロードムービー色。さらに、慎吾チャンと広末涼子のネーさんの、ビンボー系入りの恋愛部。噂によると、慎吾の住む古いアパートが、「苦役列車」(7月14日公開・後日分析いたします)で使われとるロケ場所と、同じやなんてのもオモロイかも。

番組を作る製作者側の、成海璃子チャンや光石研アニキの、コメディエンヌ&コメディアンぶりも笑えますでー。ラストロールでは「苦役列車」にも出てはる、AKB48卒業直前の前田敦子チャンが歌う「君は僕だ」(6月20日シングル発売)とゆう、キャッチーなナンバーも流れますんで、要チェックどすえ~。

2012年6月 8日 (金)

韓国インディーズ映画魂にあふれた「ムサン日記~白い犬」どす

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韓国への脱北者の孤独を、静かに捉えはった問題作でおます

特異なポイントがある、韓国インディーズの今とは何ぞや?

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http://www.musan-nikki.com/

ジューン6月9日サタデーから、スターサンズはんの配給によりまして、大阪・シネマート心斎橋、6月23日から神戸・元町映画館、6月下旬から京都シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 SECONDWIND FILM. All rights reserved.

韓国映画の、自主映画を含むインディーズ映画界は、大手・中堅の映画製作会社が作る映画の、作品性とは随分と違っておます。

その特異なポイントを分析しよりますと、アメリカや日本、そして欧州のインディー映画に比べて、何らかの国情やら韓国ならではが、存在するとゆうとこでしょうか。

本作のような、脱北して韓国に来た青年の孤独を、独特なナイーヴ性で描いてみせたりと、例えば、文句タラタラの呟きの大都会の孤独「タクシードライバー」(1976年製作・アメリカ映画)とかとは違い、ただ、静かに現況を受け入れて、主人公は生きてゆかはります。

家族のキズナをポイントに描かれた「クロッシング」(2007年・韓国)などと違い、あくまで主人公は1人でおます。でも、同居させてもろてる先輩やら、教会で見染めたオンナとの交流部なども、静かに展開してはって、孤独孤独は柔らげられているようには見えよりま。しかし、主人公の孤独は、じんわりと真綿を締めるように、ボクらのココロにやってきよります。

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孤独ドラマ性を深めるために、イヌを登場させてはんのも特異な設定どした。まあ、野良犬ですわ。これがチャップリンの「犬の生活」(1918年・アメリカ)のようには、軽快にはいきよりません。

但し、イヌしか友達がいないとゆうような作りではなく、イヌはあくまで孤独の象徴として描くようなカンジどすか。それは、ネタバレせんように言いますと、ラスト・シークエンスの5分の長回し撮影で明確になります。

主人公の鬱屈したキモチを、それとなく伝えていくような、1分以上の長回しが頻出してまいります。人を殺したことを告白する背中ショットやらも、あとあとで効いてきよります。

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そして、主人公が韓国人から、脱北者としてイジメられるシーンも挿入されておます。サントラなき静けさも当然、孤独感を深めよるんどす。

ほんでもって、本作に主演して監督までしたパク・ジョンボム監督の、映画的な撮り方へのこだわりも、相当強~うおましたえ。長回しに加え、一番下の写真のような、遠近感あるキレるロングショットも、時おり入っとります。映画的照明も入ってるんやけど、ほとんど入れてへんように見える絵作りも、エエかな~と思います。

イ・チャンドン監督やら北野武監督らの影響が、かなり見受けられるけども、評価の高(たこ)うおましたバイオレンス男の「息もできない」(2008年・韓国)とは、反対系のおとなしい男を描いとるやろと思います。けど、これもネタバレせんように言うと、サプライズがござります。

ラブ・ストーリーやらコメディやらに、慣れ親しんできはった韓流ドラマファンこそ、今までにない新鮮さに驚ける作品でおましょう。韓国インディーズ映画のベスト&カルトも披露したかったけど、次の機会にやろうと思いよります。よろしゅうお願いいたします。なんて、ネ!

2012年6月 7日 (木)

「いのちの林檎」は、リンゴを巡るドキュなんてなサプライズどっせー

1_5化学物質過敏症の早苗チャンの実態をば、事細かに描いてはります

その向こうに一体、何を示さはるんか、緊張感はあるんやけど…

http://www.inochinoringo.com/

6月9日の土曜日から、大阪のシネ・ヌーヴォやらでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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化学物質にヤラレてビョーキになった女の人を、映画史上初めて撮り上げたとゆう触れ込みの、ドキュメンタリー映画でおます。

煙草の煙にも大げさに反応しやはるシーン(しかも長めの撮影)とか、ラストシーンにもあるんやけど、イロイロある苦しみ悶えるシーンのオンパレードに、個人的には実は、ハテナ・マークを頭ん中に点灯しとったんやけど、モチ、ヤラセやないんで、ウーンとはきよりました。

でも、一般の方々はきっと、コレってソレ(ヤラセ)とちゃうのんと思わはるかもしれへんし、ボクチンも見ていて、コレはチョイ過剰なんとちゃうのんとゆうとこが、ケッコーござりました。

ビョーキの娘はんへのインタビューも、2、3度の30秒くらいしかござりまへん。本人の苦しむシーン、ほんでオカンが娘を介助するシーンの多さに、ドキュとは申せ、どういうドキュ映画的ポイントがあるんかと、しばしば疑問に思たりもしよります。

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イントロで描いてはるとこが、取りあえずは1ポイントでおましょう。青森・弘前でリンゴ作りをやり続けてきはった、木村秋則はんのシーンから入ってはります。この方は有名な方どして、メイン部でないとこでも、ドキュを展開しはります。

いわゆる裏取りとなるシーンなんやけど、映画はこの木村はんの苦労話から始まりますんで、少々意表を突いとりました。無農薬食べ物への執念映画と、共にビョーキの母娘のお話が、どないつながってゆくんかとゆう、オモロサやサプライズを期待しもって見られます。

でも、メインは川崎から長野へと向かい、化学物質のいっさいない場所を求めてロードムービーし、そこで生活しようとする母娘の執念を描いてはります。

その一方で、こういうビョーキに罹ってはる人は、ほかにも大勢いてはりまっせーを示すためやろけど、同じビョーキの人たちを大阪、名古屋までロケして見せはります。

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そのあたりの部分も、ハテナ・マークはあったんやけど、まあ、何とか許容範囲ちゅうことにしときまひょか。くだんの母娘は、家内は化学物質だらけなんで、森林にテント張って原始時代へとリターンしはります。父と弟と離れての生活やのに、3匹の飼い犬連れて生活してはるとこも、クエスチョンなとこやったけど、ウーン、これはどないなんやろなー。許容でけへんとこもあるかも。

でも、紅葉やら風に揺れる緑の森、青森の雪やら山のカットなど、ビビッドで美しき自然描写のイロイロには、映画らしき風情がありました。ほんでもって、無農薬の林檎によって救われ、癒やされるとゆう流れはエエカンジどした。

途中の無意味に近いとこを削って、ドラマ映画化すれば、もっとケッサクになるやろと思います。後日分析しよります「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」もそうなんやけど、ドラマ映画化してほしいドキュについては、今後も前向きに語りたいと思とりま。

2012年6月 6日 (水)

マット・デイモン&スカーレット・ヨハンソン共演「幸せへのキセキ」どす

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実話やけど、動物園経営映画が一家の家探しから始まるやなんて…

家族映画と動物映画をミキシングしはった快作どっせー

http://www.shiawase-kiseki.jp/

ジューン6月8日フライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおますえ。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやら、京都・TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都やら、OSシネマズミント神戸やらでヤラはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

妻亡き後、コドモ2人と暮らすオトン役のマット・デイモン一家が、家探しをして、それが何と動物園やったとゆう、モノゴッツーな展開の映画でおます。

しかも、その経営難で閉鎖中の動物園を、素人のデイモンのアニキが大マジに経営を立て直そうと、奮闘努力しはるんどすえ。その理由が、動物好きのかわいい娘のためとゆうのんもふるっておます。

実はコレ、フランスで実際にあった話をベースに、アメリカのカリフォルニアに置き換えて作らはった映画なんどす。家族映画、動物映画の新たな一面を開拓し、なおかつこの2ジャンルを融合させるとゆう、ディズニー映画ばりのセンスで魅せはります。

かつて20世紀フォックス映画としては、「ドクター・ドリトル」(1998年製作・アメリカ映画)なんぞの動物ものがありましたけども、ここにきてディズニーを上回る、大人の鑑賞にも堪えうる快作をば作ってきはったんどすわ。

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ナンチューても、デイモンのアニキと、ジーパンの飼育係役のスカーレット・ヨハンソンのネーさんが、スター映画としての推進力をもって、本作を引っ張ってゆかはります。2人のラブ・ストーリー部も、後半にグッと展開しはるんどす。クローズアップをポイントにした2人のキス・シーンなど、往年のハリウッド恋愛映画ばりの、ウットリ・センスがござります。

さらに、ダコタ・ファニングの妹はんのエル・ファニングちゃんと、デイモンの息子はんとの、リトル・ロマンス部も同時進行してまいります。

ほんで、家族ドラマ部どす。大人の兄弟のキズナやら、父子の確執部やらと多彩に描かはります。そして、動物もんとしてのファミリー映画部やー。クマ、ライオン、トラ、ヘビまでパニック・シーンも含めて、感動をキモに作ってゆかはります。

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細部の描写も、カンペキを期してはりま。キャメロン・クロウ監督的には、「あの頃ペニー・レインと」(2000年・アメリカ)やらに続く実話ノリ映画を、「旭山動物園物語」(2008年・日本)みたいな、分かりやすいポピュラリズムで紡いではりました。

でもって、そのほかの特筆事項は、サントラ使いでおましょうか。歌ものが中心なんやけど、ギターの弾き語り系のフォーク・ロックやら、ラストロールで流れる主題歌、シガー・ロスのビョーク的なマイナー系の哀愁歌やらが、妙にドラマ効果や余韻を増してはるようでおました。バンド・サウンドのインストも使ったサントラは、本作に大きなアクセントを付加してはるんどすえ。

「20秒だけ勇気を」のセリフのポジティブ感に加え、人々が動物園に押し寄せるシークエンスの、緊張感ある見せ方などにも、注目しておくんなまし。

とにかくでんな、日本でも大ヒットをカマしてもおかしくない、ファミリー・ムービーでおました。

2012年6月 5日 (火)

67分の学園ラブ・ストーリー「オードリー」どす

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茨城ロケを敢行した、期間限定の試験的ラブ・ストーリーやー

斜めカットの多用やらで、学園ものへの皮肉な視点も見え隠れしとりま

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http://audrey-movie.com/

6月9日「ロックの日」の土曜日から、CURIOUSCOPEはんの配給によりまして、東京・新宿K'sCinemaやら、小田原コロナシネマワールドやらでロードショーでおます。

その後、大阪やったら、6月30日~7月13日に、シネ・ヌーヴォXやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSTROBO RUSH

学園ラブ・ストーリーてゆうたら、そらモノゴッツーなタイトル数がござります。これまでにようあったスタイルで流せば、軽~く出来そうな気がするけど、それでは目の肥えたみなはんを、納得させることができしまへんので、ある意味でハードルの高いジャンルやと言えるでおましょう。

本作は高校の学園ものであり、ほんで地方ロケ(いばらきフィルムコミッション)を敢行してはります。どちらのケースも、多数作られてきとりますが、地方ロケ・ポイントでいえば、例えばバイオレントな「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)とは、真逆のほんわか優しいノリのテイストどす。

大林宣彦監督の尾道3部作「転校生」(1982年)「時をかける少女」(1983年)「さびしんぼう」(1985年)みたいなタッチも入っとるし、最近の作品では「僕等がいた 前篇」(今年3月16日付けで分析)ともシンクロするやろか。

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しかも、フツーのラブ・ストーリーやなく、好きな彼のイロイロを探ってとゆう、友達の頼みを受けたヒロインが、文化祭まで期間限定で、彼と無理矢理付き合うとゆうお話でおます。

「スウィート・ノベンバー」(2001年・アメリカ映画)で、キアヌ・リーヴスとシャーリーズ・セロンがやってはった、恋のカタチどすか。アッチはアレやったけども、コッチはわざとらしくやってはるんで、その設定はむしろ、ラブ・ストーリーへの皮肉な視点のようにカンジたりしよります。

でもって、いつの間にやら、ホンマモンの恋になるとゆう展開も、見え見えやけど、あくまでアンチ・ラブ・ストーリーな印象は、最後まで残ります。

AKB48みたいに「ウチ」「ウチら」で話し合う、女の子3人のタルイ会話や関西弁の教師なんかも、アンチをサポートしてはります。彼を取られた友達の反逆もなく、どこまでもノホホンなカンジでいってはりま。67分とゆう短さもエエかと思います。

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斜めカットの多用による映画リズムの構築やら、ここぞという時に使われる、2人のツーショットによる、会話を聞かせる長回し撮影に加え、ピアノの軽やかな使い方、クロ場シーンのタイトな挿入もリズミックやし。

個人的には、関東の田舎といった風景シーンに、ホッと安らげましたわ。名作「米」(1957年・日本)でもカンジたとこどす。それに、ラストロールで流れる、ミディアム・ポップのキャッチーなさわやかさや。ZARDか浜崎あゆみかとゆうノリに、余韻を楽しめますで。

さて、最後にタイトルやけど、「オードリー」てゆうたら、フツーはあのオードリー・ヘプバーンを思い出すやん。勝又悠監督のアニキも意識してはったと思うんやけど、実はヘプバーン作品の隠されたとこは、自分からは積極的にラブ・ストーリーの中には、入らない役が多かったんは、あんまし分析されとりまへん。

そこをヒロインに無理に、恋愛の中へと入らせる意図とは、ヘプバーンへの真逆的トリビュートなんとちゃうんかなと思うんやけど、どないでっしゃろか。とにかく、イロイロ考えられるとこもあって、楽しめた作品どしたえ。

2012年6月 4日 (月)

女子高生映画のニュータイプ「See You」

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女子高生フェチ男が女子高生を拉致して、連れ回すとゆうロードムービー・スタイルでお話は展開しよります

そんな中で、ヒロインの魅力を見せてゆくスタイルは、これまでにない切り口やと思います

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http://seeyou-movie.com/

6月9日の「ロックの日」の土曜日から、CURIOUSCOPEはんの配給によりまして、東京・新宿K'sCinemaやら、小田原コロナシネマワールドにて、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、6月30日サタデーから7月13日フライデーまで、大阪のシネ・ヌーヴォXで上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSTROBO RUSH

女子高生を描いた映画は、これまでに無数に近いくらい出てまいっとります。

でも、本作みたいに拉致してロードムービーしもって、女子高生の魅力を徹底的に描かはった映画は、これまでにあったやろか。つまり、方法論やストーリー展開の問題なんやけど、実に多彩にシャープに描かはった映画やと、ボクチンは思いよりました。

写真を見ていただいてもでんな、イロンナ撮り方をやってはるのが分かるかと思います。

勝又悠監督のアニキてゆうたら、「はい! もしもし、大塚薬局ですが」(2010年製作)で、女寅さんみたいなんを造形しはり、ユニークなコメディを撮らはったんやけど、その時にAKB48の小林香菜ちゃんを起用して、女子高生も描いてはりました。そんな女子高生へのフェチな想い(!?)を、本作でバクハツさせはったんでおますよ。

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無名の役者はんが中心なんやけど、でも、ストーリーの面白さでグングン引っ張っていかはるんどす。さらに、細かいとこで、とことん魅了すべく、イロイロやってはります。

長回し撮影はケッコー使(つこ)てはりまして、それでいて意図的に長めにしてるとゆうとこはなく、まさに自然体なカンジでやってはるんどす。そのあたりは、作家性のある長回しが多い中で、逆に新鮮やったかな。

地方ロケ映画的には、新潟ロケをばやってはります。ヒロインの、「だべさ」な現地の女の子らとの交流部やらもオモロイし、いったん男から逃げてんのに、再び戻ってきて、一緒に行動を共にしてゆくなど、ヒロインのビミョーな心理に合わせた作りも巧妙やったどす。

ほんで、拉致された娘を追いかけるオカンや妹らの、ええ加減さも笑わせてくれはりますで。

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さらに魅力を言いまするに、「ごめんね」を連発する園部貴一のアニキ。堺雅人を少々意識してはるような演技性は、ムムム…やったし、ヒロイン役の清瀬やえこチャンも、今どきの「ウチ」を連発しもって、AKB48に負けないアイドル性を演技してはったかと思います。

単音のつれないピアノのサントラ使いに加え、ラストのサプライズは、賛否両論を呼ぶようなカンジになっとりまっせー。少々不快感はあったけど、女子高生オタクの在り方みたいなんも覚えて、コレはコレでええんやないでしょうか。

明日、分析しよりますが、本作と同時公開の勝又監督作「オードリー」は、学園内ものをポイントにしもって、また違った女子高生映画の新味を紡いではります。本作よりも、学園ドラマ性をやってはりますんで、ご期待くだされ。

2012年6月 3日 (日)

こんな不幸を克服したとゆう実話映画「ソウル・サーファー」やー

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ジョーズに腕を食われてもうたヒロインのサーファーが、立派に立ち直ってゆく姿を描くやなんて…

「テラビシアにかける橋」で魅せられた、アナソフィア・ロブちゃんのアイドル性に注目どすえ~

http://www.soul-surfer.jp/

ジューン6月9日のサタデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Enticing Entertainment, LLC, All Rights Reserved.

サメに左腕をパクられてしもた、ハワイのサーファーのティーンエイジャーのヒロインが、立ち直ってゆく姿を、感動的にドラマティックに描いた映画やなんて、言いたいとこなんやけど…。

この種の実話ものはいっぱいあるし、その描き方も硬軟両用イロイロござります。ある意味においては、パターン化し単純化し、一定の感動を得られるだけの映画とゆうカンジなんやけど、実はこういう映画は斜め見し、映画的に分析しようなんて思たら、メッチャつまらない映画にしかならないんでおますよ。

単刀直入に感動しなければなりまへん。そこをあえて突ついてしまうと、全ては台無しになりよります。映画の流れに身を任せ、最後にはホロリと泣いているとゆうのんが、自然体の鑑賞法でおましょうか。

しかし、時に、鋭い映画作家的シークエンスがあるのには、定番の流れの中でついオオッ、アアッと驚かされよりましたがな。冒頭から短カットをたばねてゆくスピードフルな展開。そこへ、ロック、ポップ、ダンサブルな歌ものサントラを流していって、いわゆるサーファー映画的な、流暢な流れを構築してゆかはります。

でも、それらは、ヒロインがサメに腕を食われて以降の、緊張感あるシーンへの前触れシーンとして、対比的に意図的に作ってはります。サメにパクられ救急車で病院へ運ばれるシーンの作り方は、メッチャうまいと思いました。短カットの編集に、呪文のようなボーカルを載せて、観客の不安感を募らせはります。

一方で、サーフィンに熱く魅せられた経緯を、ヒロインのナレーションにより、冒頭で披露されよりますが、サメ被害部を除けば、ヒロインのサーフィンに懸ける真っ直ぐなキモチ、ほんで、大会シーンでのサーフィン対決シーンのビビッド感など、いわゆる青春スポ根もの映画として、実にストレートな仕上がりになっとるんが不思議どした。

ヒロインが立ち直ってゆくプロセスは、オトンやオカンとの話し合いやら、教会の癒やしの歌姫、同好の友達との絡みやらから、それなりに示してはるんやけど、でも、サメに対するトラウマとかはどないなんやろかとか、地震による津波に遭ったタイのコドモたちのもとへ、サーフィンを教えにボランティアに出るとことか、実話とは申せ少々ハテナ・マークが、頭の中を巡りよりました。

それでも、実話なんやとは思たけど、実話そのままとゆうより、やはり多少の脚色はあった方が良かったんかもしれまへん。

デニス・クエイドはん、ヘレン・ハントはんのオトン・オカン役の、気負いのない演技に加え、カントリー・ミュージシャンのキャリー・アンダーウッドのネーさんの、好感度あふれるさわやかさ。そして、ヒロインの竹馬の友役やらはった、ジャック・ニコルソンはんの娘はん、ロレイン・ニコルソンちゃんの魅力。

何よりも、ヒロインのアナソフィア・ロブちゃんのポジティブ演技どす。個人的には、「テラビシアにかける橋」(2007年製作・アメリカ映画)でも、前向きなかわいさにトリコになったんやけど、本作では試練を乗り越える気丈なキャラぶりに、さらにヤラレました。アイドル映画として見ても、快作になっとりました。

2012年6月 2日 (土)

映画館映画の快作「シグナル~月曜日のルカ~」どす

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日本映画の古い名作を上映してる地方の映画館やなんて、今や稀少価値でおます

そんな映画たちにスライドさせて、女アイドル映画を描くやなんてウーン、どないやろか?

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http://signal-movie.com/

6月9日の土曜日から、ショウゲートはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらでロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「シグナル」製作委員会

タイトルだけを見た時には、加賀まりこ主演の日活映画「月曜日のユカ」(1964年製作)を、つい思い出してしまいよりました。でも、谷口正晃監督の脳裏には、きっとその映画があったはずやと思います。

本作の括りをゆうてみたら、谷口監督のお得意であるアイドル映画、特に女アイドル系を仕込みつつ、映画愛をやってまうとゆう、トンデモない荒技を見せてくれはるんどすえ。

「時をかける少女」(2010年)で仲里依紗ちゃんを、「乱反射」「スノーフレーク」(共に2011年)で桐谷美玲ちゃんを、それぞれ起用しはって、ブレイクへの道へと導いてはりました。ほんで、今作は、ほぼ無名に近い三根梓ちゃんやねん。

写真に写ってはる女の子なんやけど、この方がなんと映写技師役をやらはりまんねん。えー!? ホンマかいや~なんやけど、映写技師役てゆうたら、大たい「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年・イタリア&フランス)みたいにオッサンが主流なんやけど、いきなりのサプライズでおました。

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地方ロケ映画としては、本作は新潟ロケを敢行しはりました。しかも、今どきのシネコンに対抗するようにでんな、新作やなく旧作で勝負しはる映画館どすえ。いやー、DVDやらをレンタルで借りて見るんが主流であるはずの、地方にそないな名画座があるとは、リアル感がないようなカンジもしよりますけども、どないなんでおましょうか。

しかも、洋画やなく、日本映画の往年の名作を次々に登場させはります。ウーン、コレはまさに監督の嗜好を、反映しはったもんでおましょう。「丹下左膳余話 百万両の壷」(1935年)「新・平家物語」(1955年)「ガメラ対深海怪獣ジグラ」(1971年)「悪名」(第1弾は1961年)やらの映像に加え、ポスターでも「羅生門」(1950年)「華麗なる一族」(1974年)、洋画も「北北西に進路を取れ」(1959年・アメリカ)「裏窓」(1954年・アメリカ)などの、ヒッチコック監督作品が映されておます。ほんでもって、映画が全部デジタルになって、撮影技師はやがていなくなるとこなんかも、ブルージーやなくさりげなく語られておます。

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映画への限りない愛が映されとるんやろなーと、ボクは大マジで目を凝らして見とったんやけど、映写技師の若さに加え、そんな古い作品で集客できよるんかとゆうとこが、最後まで消えまへんどした。

クセのある高良健吾クンと、梓ちゃんをサポートしはる、ダンス音楽グループのAAA(トリプルエー)の西島隆弘クンの、柔和なカンジが演技的に対比されとったり、映画館から3年も外に出ない梓ちゃんの造形ぶりなど、クエスチョンがありつつも、いちおうは納得できる展開には、フムフムやったかとは思います。

でも、アイドル映画には欠かせへん、ラブ・ストーリー部へと無理矢理持っていく強引さやとか、映画館の屋上シーンや野外上映シーンなどの、映画ばえするシーンが、今イチピリッとしなかったりと、ムムムと唸るシーンはケッコーござりました。

それでもなお、本作をショーモナイと切り捨てられないのは、若者たちなりの映画への愛があったからやと思います。

昔の映画もオモロイんで、みなはん、レンタルDVDやなく、映画館で掛かるような機会があったら、ぜひ見に行っておくんなまし。ちゅうことで、そんな風についゆうてみたくなるような映画でおましたえ。

2012年6月 1日 (金)

武井咲チャンと妻夫木聡アニキの「愛と誠」でおます

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エミとサトシのアイとマコトは、ミュージカル・タッチでやっちゃいましたー、なんてカンジどすかー

70年代のコミック原作は21世紀には、トンデモハチャメチャ感へとスライディングでおましたけども…

http://www.aiandmakoto.jp/

ジューン6月16日の土曜日から、角川映画はんの配給によりまして、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長並びに音楽エセ評論家 宮城正樹

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Ⓒ2012「愛と誠」製作委員会

1970年代に松竹はんが配給しはった、コミック原作の映画「愛と誠」(1974年製作)のリメイクをば、21世紀の平成の世から見た、昭和映画としてやらはったかと思いきや、全く違ったテイストの映画として出てきたのには、正直ビックラコンでおました。

そもそも70's「愛と誠」は、あくまでコミックをアイドル映画のノリでやったら、どないなことになるんかを追求してはりまして、当時に出た草刈正雄主演の「神田川」(1974年)やら、百恵・友和共演映画やらのノリを、やってまおかーっちゅうとこがありました。

西条秀樹とキャラ名で女優デビューしはった早乙女愛の共演が、学園恋愛ものとしてストレートにきて、ほんで、バキューンでおましたけども、ところがどっこい、本作はそんなノリをかなりお遊び的に引用しつつ、昭和映画とゆうのんを逆手に取って、トンデモないミュージカル映画を作ってきはりましたんどすえ。

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日本のミュージカル映画と申しますれば、かつては岡本喜八監督やらがやらはったけど、イマイチピリッとせず、でも、最近では「モテキ」(2011年)なんかがゴキゲンなとこを表現しはりました。

ドラマの流れの中で、突然のように歌い始めて、踊って殴ってのドヒャラヒャラーな展開は、本作では一部は違和感はあるにしても、トンデモやけど、スムーズなウヒャラヒャラのノリで進んでまいりまっせー。

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各出演者1人1人に、最低1曲をば歌わせはります。それぞれが、必死のパッチやらかどうかは分かりまへんけども、一生懸命歌って踊ってをやらはります。三池崇史監督の遊びゴコロが、とどまることなく続きますで。

「十三人の刺客」(2010年)のノリが、アイドル映画に移植されたみたいな。あるいは、「仁義なき戦い」(1973年)のノリもあるみたいな。

ちゅうことで、歌うたい・サントラ使いの妙味・珍味を見ていきよりま。サウンドトラックのライナーノーツのノリどすか。

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①“やめろと言われても”な前作主演の西条秀樹はんの歌を、セピア照明の中で歌いもって、妻夫木聡のアニキが敵らと対決しはります。そのカヨー曲のロック・バージョンが、映画の入りにはノリが良くてグーどした。

②突然ミュージカルとして、斎藤工のアニキが、武井咲ことエミちゃんのためなら、死ねると言いもって歌うシーン。この唐突感がエエカンジどす。

③自然光の中で突然ながらも、さわやかに歌い上げるエミちゃん。マジ・コメディエンヌな武井咲ちゃんの、真骨頂どすえ~。ギター・アレンジによる「あの素晴らしい愛をもう一度」が、“あ~い…”やらの不自然な間入りで、ウーン…と魅力的になって…。

④“悲しい女”として登場しはる大野いとチャンが、狭い女子トイレの中で、主人公・妻夫木聡のアニキを牽制しもって歌う、宇多田ヒカルのオカンの藤圭子「夢は夜ひらく」の暗み具合に啞然。

⑤「狼少年ケン」のテーマ曲を、16ビートをバックに8ビートで、アクションやりもって歌い殴りを披露する、伊原剛志アニキの暴虐感に、ドヒャラヒャラ~やで~。

⑥我が子・妻夫木・誠を捨てた、余貴美子ネーさんの、酔いつぶれ節「酒と泪と男と女」のシブサ。

⑦家族で歌うポップ・ナンバー「あけぼの」披露シーン。ついつい、竹内まりやのネーさんを思い出させるような、タッチの曲どした。

⑧「昭和歌謡大全集」(2002年)やら「メゾン・ド・ヒミコ」(2005年)やらで、オリジナルが流れた「また逢う日まで」。奇妙な踊り入りで、安藤サクラのネーさんが、奇妙かつ怪奇なるタッチでカヴァーを歌わはります。

⑨エミちゃんのオカン役で出演もしてはる、一青窈ネーさんの哀愁のバラードがラストで流れ、さらに、かりゆし58のレゲエっぽい、ポップ・ナンバーも引き続き流れよりま。

1980年代の「ビー・バップ・ハイスクール」(第1弾は1985年)やら「スケバン刑事」(1987年)などに影響を与えた、不良学園もの映画の嚆矢的な作品なんやけど、武井咲ちゃんのキャラ・愛こそが、オリジナリティーの際立つ作品やったと思います。

映画評論家筋ではウケは、あんましよくないかもしれへんけど、ボクチンは何度も見たくなるくらい楽しめました。決して傑作やないかもしれへんねんけど、ボク的には私的トンデル・イチバンヤーなケッサクどすえ~。

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