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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年4月の記事

2012年4月30日 (月)

あの「リング」のヒロインが戻ってきよったでー「貞子3D」

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原作的には「リング」の第5弾となる、シリーズもんどす

まだまだ呪いは続くってなカンジでいきまっせー

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http://www.sadako3d.jp/

皐月5月12日の土曜日から、角川映画はんの配給によりまして全国ロードショーでおます。

関西やったら、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「貞子3D」製作委員会

「リング」のシリーズやけど、みなはん、この「リング」が出てきた真の経緯をば知ってはる人は、一体何人いてはるでおましょうか。

鈴木光司の小説「リング」は実は、懸賞小説に応募されたもんが原型でおました。その応募した1990年度の「横溝正史賞」で最終選考の3本に残ったんやけど、受賞作なしとゆう結果に終わったんどす。この最終選考の選評もボクは知っておりますが、「リング」が落選したのは、推理小説的やなく、超常現象的なんがミソになっていたかららしいそうどす。

本来なら、それでおしまいなんやけど、その作品にホレてしもた編集者が動かはりました。ほんで、出版されまして、フジテレビで2時間ドラマ化もされまして、ようやく大衆の目に触れることとなったんどす。

どうしてそんなことが起こったんかと申しますと、ホラー小説なるものが、当時の日本では全くといってええくらい、認識されてへんかったとこにありました。ホンマやったら、「リング」は世に出ずに、埋もれてしもとったかもしれへん作品やったんどすえ。

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それがどないだ、その後の流れを見てみたら、1997年の映画化を始め、ドトウのように鈴木光司ブームは巻き起こり、ハリウッド・リメイクまでにワールドワイドに発展しよったんは、みなさんの方がよう知ってはるところやろと思います。

実はボクチンやけど、1992年に発表された原作をいち早く読んでおりました。そして、何ともいえへん衝撃を覚えたんどすわ。その衝撃は、呪いが映像(当時はVHS)に反映するとゆうポイント以外に、それをどう回避してゆくんかとゆう方法の模索に、この上ないハラハラドキドキ感があったとこやろと思います。

井戸にまで辿り着いた2人の男の掘り返しクライマックスには、もうどうしょーもないくらいスゴかったどす。映画では松嶋菜々子ネーさんが出て、主演格は女になっとりましたけども…。

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鈴木光司が第5弾となるシリーズの最新作「エス」をば、13年ぶりに5月中旬に出版しはります。本作との連動ではありますが、貞子=エスの呪いの復活がどのようになされるかが描かれ、ほんで、石原さとみチャン扮するヒロインとの対決やら、ミステリー的ポイントよりも、アクト的対決部へと収斂されておます。

モチ、3D映画である以上は、人間ドラマやラブ・ストーリーや室内劇ではどもなりまへん。そやからちゅうわけやないやろけど、本作は3Dアクションをメッチャ意識した作品となっとります。叫んでガラスや窓が砕け散ったり、パソコンやらの動画から、貞子が髪と手を前に出して出てきたりの、アクト・シーンは3Dらしく臨場感がござりました。

クライマックス以降のモンスター映画的な作り方も、当然3Dを意識しはったもんでおましょう。貞子を復活させようとする山本裕典クンの自殺動画やら、セピア・トーンが渋い石原さとみチャンの過去シーンとか、ココロあおるシーンはいくつもやってきよります。

パソコンの液晶画面の反射映像の、暗っぽさやったりのダーク感ある映像部は、ココロサムーする効果があるし、ラストロールで流れるシドの16ビート激ロック「S」(5月9日発売)も、続編が期待しとうなるノリがありま。まだまだ呪いは続きそうやから、次にはもっとずっとトリッキーな展開が、期待できるんやないかなと思いまっせ。

2012年4月29日 (日)

トム・ハンクス&ジュリア・ロバーツ主演の「幸せの教室」どすえ~

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トム・ハンクスのアニキが自分のキモチを込めはった、主演・監督作品の第2弾でおます

「プリティ・ウーマン」なとこもあるジュリア・ロバーツのネーさんにも、モチ注目しておくんなまし

http://www.kyo-shitsu.jp/

MAY5月11日FRIDAYから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012 Vendōme International, LLC. All Rights Reserved.

主演兼監督してはる映画ちゅうのんは、モノゴッツーのタイトル数があるんやけど、2度もアカデミー賞主演男優賞ゲット俳優の、トム・ハンクスのアニキもやってはります。

この種のタイプのアメリカ映画では、クリント・イーストウッドやロバート・レッドフォードやらが、オスカーゲットしてはるくらい有名どすけども、ハンクスはん的な作品性はラブ・ストーリー、ほんでもって、若々しさの感じられる映画作りでおましょうか。

バンド音楽ムービーの快作「すべてをあなたに」(1996年製作・アメリカ映画)が監督デビュー作やけど、決してケッサクとはいえないにしても、巨匠監督には出せへん瑞々しさがありました。そして、本作の監督・主演の第2弾どす。その作り方のポイントは2つあるように思います。

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①ジュリア・ロバーツのネーさんを主演にした場合、どのようなストーリーが、みんなのココロを引き付けられるんか。しかも、ハンクスのアニキも共演として出はるとして…。

②自身の学生時代のことを、ハンクスはんは本作に反映しようとしはりました。そんな青春映画のノリを、どないクリエイトしてゆくんか…ナンチューとこどすか。

①については、モチ、2人のラブ・ストーリーを構築するためには、どんな映画にするんかなんやけど、フツーっぽくやってしもたらオモロナイわな。ちゅうことで、かなりの工夫が施されておます。

車からまずハイヒールを出して、外へ出るジュリア・ネーのカットなど、「プリティ・ウーマン」(1990年・アメリカ)などのジュリア作品などへの敬意を払いつつも、ジュリアの新しい魅力を引き出さんと、ハンクス監督はイロイロやってはります。

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②はハンクス監督が本作を撮ろうとした、キーになっとるところでおます。ハンクスはんの年代になってしもたら、そら、自身が主演しての青春映画なんて、荒唐無稽になってしまいよります。でも、ハンクスはんはそれをあえてやらはりました。

しかも、タイムスリップ系みたいな姑息な手は使わずに、そのまんまでおます。大型スーパーから高卒の学歴を理由に、リストラされてしもた主人公は、バイトしもって、リベンジの思いもあったかどうかは別にして、短期大学へ行かはりまんねん。そして、ココに学生時代とゆう名の青春時代が、戻ってまいるとゆう次第でおます。

生徒と先生の恋とゆうオーソドックスな展開が、この流れの中で、先生ジュリアと生徒ハンクスの間で起こる可能性などが生じてきよります。青春ラブ・ストーリーをええオッサンのハンクスはんが、その実現へと向かってゆかはるんは、ある意味においては、ボクチンにしてみたら嫉妬するしかござりまへん。

歌ものサントラが流れまくっておました1980年代の青春映画を、意識しはったかのような、タイトなエレクトロ・ポップのELOナンバーやら、フォーク・ロックなトム・ペティ&ハートブレイカーズやらのサントラ使いも、ハンクスはんの狙った作品性にドンピシャどした。

とゆうことで、ハンクスはんの、ジュリア・ネーさんへの深き愛が伝わるような、そんなラブ・ストーリーになっとります。

2012年4月28日 (土)

殺人事件のないミステリー「ポテチ」どす

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伊坂幸太郎ワールド満載の変形ミステリーが原作やー

オカンと息子のキズナやけど、フツーの描き込みやござりまへん

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http://potechi-movie.jp/

皐月5月12日の土曜日から、東京・新宿ピカデリーやら渋谷シネパレス、大阪ステーションシティシネマやら、なんばパークスシネマに加え、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます。

68分とゆう短い映画をば配給しやはるのんは、ショウゲートはんどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2007伊坂幸太郎/新潮社Ⓒ2012『ポテチ』製作委員会

原作・伊坂幸太郎&監督・中村義洋の各アニキ・コンビによる、4作目となる作品でおます。

過去作品は、人物に意外性があった「アヒルと鴨のコインロッカー」(2009年)、時空間の不思議を見せる「フィッシュストーリー」(2009年)、ほんで、逃亡系の究極型を示さはった「ゴールデンスランバー」(2010年)でありま。

でもって、本作は短編原作やけど、殺人事件が起こらへん変形ミステリーとなっとります。ユニークなシチュエーションが続きよります。

コソ泥やってる濱田岳のアニキが、侵入中に固定電話の留守電を取ってしもたばっかりに、結婚サギに騙された女の自殺を食い止めにゆかはります。なんでそんなことすんのんやけど、まあ、そのあたりが伊坂節なんでおましょうか。ほんで、うまく止められた濵田アニが、この女、木村文乃(ふみの)ちゃんと恋人同士にならはります。

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そして、ある日、濵田が文乃ちゃんと一緒に、プロ野球選手の部屋に入った時に、同じように固定電話がかかりまんねん。で、その選手がイロイロと、ヤバイ状況にあることを知らはります。

一方、冒頭部では、探偵役・大森南朋のアニキと濵田アニの長めのツーショット撮影(写真4枚目)が披露されよります。意味深な会話のやり取りが続きます。実は、濵田アニはこの冒頭シーンで大森南朋アニに、ある人物の素性を依頼してはりまんねん。

そんな中で、濵田アニのオカン役の石田えりのネーさんが出てきはります。息子の彼女・文乃ちゃんと勝手に会い、彼女に服を買ったり、2人で居酒屋でビールを飲んで盛り上がらはります。

このオカンと濵田アニのキャラ造形は絶品どした。母子のキズナをフツーのように描くタイプの映画やありまへん。

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3パターンの推理を経て、そして、写真5枚目の野球観戦シーンを経て、息子のオカンへの思いやりへと回帰する作りは、ハンパやありまへん。その変形ぶりが何ともいえへん感動を運んでまいります。

とはいえ、伊坂節はいつもの小説通りに、キチンとした調べや取材に基いて描いてはります。そやから、本作においては、ネタに関することなんで詳しゅうは言えまへんけども、とある事件をきっちり調べてはります。

殺人のないミステリーは、難易度の高いミステリーなんやけど、人間関係のトリッキーを入れて、サプライズを見せてゆかはりまんねん。東日本大震災後の仙台オールロケの映画やけど、震災の悲愴感はありまへん。テーマは当然キズナやろと思います。ラストを締める、斉藤和義のフォーキーな「今夜、リンゴの木の下で」が、モチ余韻を深めよります。タイトでカチッとした作りの快作でおました。

2012年4月27日 (金)

「映画『紙兎ロペ』 つか、夏休みラスイチってマジっすか?!」

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ボケの紙リス「アキラ先輩」と、ツッコミの紙兎「ロペ」の掛け合いが満載どすえ

2匹が1日をダラダラと過ごす、その流れがクセになってきよります

1http://kamiusagi.jp/

メイ5月12日のサタデーから、東宝映像事業部はんの配給によりまして、TOHOシネマズ六本木ヒルズやら、TOHOシネマズ梅田やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012映画『紙兎ロペ』プロジェクト

2009年に全国のTOHOシネマズの幕間上映から始まった、ショートショート・ムービーが長編ムービーになったんが本作でおます。タイトルは「紙兎ロペ」になっとりますが、むしろ相棒の「アキラ先輩」の方が主役格みたいどす。

ほんで、この2匹がボケとツッコミちゅう漫才系スタイルで掛け合わはります。しかも、その話題やネタはとゆうたら、今どきの若者が好みそうな、ルーズにしてどうでもエエやんけ系ちゅうカンジなんどす。

「マジかよ」のマジやら、「メンドークセェーなー」などのコトバの頻出。しかも、1分から2分くらいのやや長めのショットで、2匹の会話を魅せるようにしてはります。紙的なので余り表情は出まへんが、2匹は話す時に笑いもって話したりしはります。

“平手打ちそば”やら「スター・ジョーンズ3D」やら、看板にもヘンなとこがあるんで、要チェックやと思いよります。また、アキラの姉の声を担当してはる、AKB48の篠田麻里子ちゃんのブツクサ系の声優ぶりも、ファンにはたまらへんやろな。

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2匹の夏休み最後の1日を描いてはるんやけど、アキラは自由研究をまだやってへんので、それを1日でやっつけようとしはります。ところがどっこい、“つちのこ探し”をテーマにしたのに、なかなか目的のことへと向かわはりまへん。

プール行って、ラジオ体操やって、コンビニで座り込んで朝弁し、姉に壊したピアス直せとゆわれ、川釣りに行って、図書館行ってテキトーに“つちのこ”に決め、でも、ストレートにはゆきよりまへん。

その後、盗まれたイヤリングを取得し、盗んだ3匹組に追われるんやけど、その追う側もタラタラとしておます。サンバやる外国人にスカウトされて、サンバ演奏やったり、スイカを食って、突然占い師に占ってもらってと、ほとんど脈略なしに、エエ加減にテキトーにやってゆかはります。そんな中にカーチェイス・アクションがあったりと、トンデモ感が意表を突いておます。

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アップよりもロングショットの多さには目を引かれました。冒頭の東京・下町のカットから、遠近法的な奥行き感あるシーンが出てまいります。

しかも、原色系をハズした薄目の色合いを通してはります。ロングで見せる場合は、細部の描写を細かくせなあかんので薄色がマッチしとるんでおましょうか。

ディズニーやらドリームワークスほかの動物アニメへの、アイロニーやらブラック・アンサーはそれなりにカンジさせるけど、それ以上にカンジるんは、ジャパニーズ・アニメのウラ版としてのスタンスやないやろか。スタジオジブリだけやなく、「ドラえもん」「ポケモン」やらのカルティック版としての作り込みでおましょうか。

ボクチン的には、韓国アニメ「アーチ&シパック」(今年2月6日付けで分析)を思い出させてくれはりました。ほんでもって、このユニーク・アニメは今後も、続くやも分かりまへんので期待しておくんなまし。

中井貴一&鈴木京香主演の三谷幸喜監督のドラマ「short cut」

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映像界のワンカット長回し撮影の最長不倒時間やもしれまへん

中井貴一のアニキと鈴木京香ネーさんの、夫婦ラブコメ・ドラマの新次元でもありま

http://www.wowow.co.jp/shortcut/

文=映画・ドラマ分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 WOWOW

ワンカット長回しのドラマでおます。映画、テレビを含めた映像界においてでんな、ボクの記憶では、本作が世界最長不倒時間やもしれまへん。映画では、美術館を撮った「エルミタージュ幻想」(2002年製作・ロシア&ドイツ&日本合作)とゆうのんが、96分のワンカットをやってはりまして、映画ではコレが最長時間やと思います。

でも、本作はそのタイムを超えただけやなく、演技する者がいて、ずーっと演技してゆくドラマとしてはかつてないものでおましょう。2人芝居に、プラス途中で1人が参加しますけども、演技ポイントはほぼ2人に絞られておます。

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中井貴一キイッちゃんと鈴木京香のネーさんの、2人芝居ワンカットどす。監督の三谷幸喜のアニキやけど、演劇畑の出身やし、演劇的なワンカット映画にはこだわりがあるんやろと思います。「THE  有頂天ホテル」(2006年製作)も長回し撮影を意識してはりましたし、本作は遂にその思いが結実した作品やと申せましょう。

三谷作品とのコラボでは「ステキな金縛り」(本作と同日にレンタル&セル・リリースどす)の冷静演技やなく、ハイ・テンションでゆかはるキイッちゃん。かつてないくらいに、バカになって弾けてはりまっせ。対して、京香ネーさんも、三谷監督「ラヂオの時間」(1997年)のオドオド・コメディエンヌやなく、ある種さわやかな自由ホンポー系でいってはります。

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田舎の葬式から東京へ戻ろうとしやはるんやけど、クルマがなくて仕方なく夫妻は、山の近道から国道へと出ようとしはります。その道行がワンカットとなった、いわばロードムービー・タッチなんやけど、一方で仲の冷え切っとる2人がこの道行で、どないな風に変わってゆくんかとゆう、夫妻映画としての面もござります。

ラブコメ・タッチで軽快に物語は進みますが、まあ、道中でいろんなことが起こります。「インディ・ジョーンズになった気分」だとキイッちゃんのセリフにありますが、クマに襲われそうになるアクション・シーンやらもあります。

ずーっと喋り続けてはるカンジのキイッちゃん。2人の口論やら、セリフ回しもヒジョーに重要どす。セリフの繋ぎや流れに、時おり淀みがあったりしますが、コレは想定内でおましょう。そういうとこも見せてのワンカットなんでおます。スムーズに流れる方が逆に不自然やろしな。

ともかく、ワンカット・ドラマとして、ハラハラしもってスリリングにも見られる作品どしたえ。

                           

 

2012525 セル DVD発売

WOWOW開局20周年記念番組 三谷幸喜「short cut

品番/TDV22160D POS4988104071606

価格\3,800(税抜き)\3,990(税込)

★80分に及ぶ豪華映像特典!

貴重なメイキング/監督インタビュー/出演者インタビューなどで、

前代未聞の「ワンシーン・ワンカット」撮影の舞台裏に迫る!!

★新収録・三谷監督によるオーディオコメンタリー!(予定)

商品仕様本編112分/片面2層/16:9/音声:①2.0chステレオ ②オーディオコメンタリー

【映像特典】メイキング/監督インタビュー/出演者インタビュー/TVスポット集

2012511レンタルDVDスタート

品番/TDV22159R 本編112分/片面1層/16:9/音声:2.0chステレオ

 

 

 

 

 

 

 

2012年4月26日 (木)

シリーズ第3弾「SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」やー

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ジャパニーズ・ヒップホップ系ムービーでも、音楽に合わせた映画性でやらはりました

ヤケクソ感ある主人公の生き方は、「勝手にしやがれ」なんぞへとつながりよります

http://sr-movie.com/

5月5日のジャパニーズ・チャイルド・ホリデー・サタデーから、SPOTTED PRODUCTIONSはんのディストリビュートによりまして、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

Ⓒ2012「SR3」製作委員会

ヒップホップちゅうのんは、かつては日本にはない音楽ジャンルでおました。1980年代頃に、アメリカの黒人たちのココロの暴発的衝動から、コトバ(ライム)を紡ぎ出すラップとゆうスタイルから始まっとります。ランDMCなんぞはビルボードの1位になって、そのジャンルをメイン・ストリームへと押し上げはりました。

でも、日本では、黒人ほどの内的衝動がなく、どちらかとゆうたら、メロディの限界を感じたポピュラー音楽界で、リズムとラップで適当にやってまうとゆうカンジやったんやけど、キングコングやDragon Ashの登場でガラリと変わったように思います。

いわゆるライムの持つ不良性を打ち出し、日本の若者たちの心情を伝える表現音楽として、日本にも定着することと相なりました。その後、ケツメイシが大ヒットで続き、最近ではキマグレンなんぞがヒットしておます。

そんな中で、本作で主演格として登場しはるメイン・チームは、埼玉県のヒップホップ・ラッパー・チームの「SHO-GUNG」(ショウグン)どす。

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今やヒップホップ・チームはアマチュアまでゆうたら、そら、日本にはウジャウジャおります。

いわゆる音楽の3大要素(メロディ・リズム・ハーモニー)でゆうたらでんな、ヒップホップはリズムだけ。しかも、楽器が弾けなくても、歌唱力がなくても、自己流の踊りと歌詞内容で、誰にでもできそうなカンジがあるからやけど、でも、やはり、ポイントとなるんはライムどす。

何を伝えたいのか。でもって、伝えたいことの勢いやらパワーやらでおましょう。ほんで、本作はなんやしらんワケ分からへんけども、その熱気がビビーンと、伝わってきよる作品でおました。

埼玉の3人チームやったんやけど、メイン・ラッパーの奥野瑛太クンが1人出てひと旗あげようかと上京。けども、ヒップホップ争いで先輩ラッパーをボコボコにし、恋人と共に栃木へと逃げはります。ほんでもって、そこでもエライことになるっちゅう展開でおます。

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この主人公のヤケクソ感は特注もんどすえ。まあ、大げさかもしれへんけど、ヌーヴェル・ヴァーグの名作「勝手にしやがれ」(1959年製作・フランス映画)のジャン・ポール・ベルモンドか、日本なら「青春の殺人者」(1976年・日本)の水谷豊かっちゅうカンジを出してはります。

2分、3分の長回しを皮切りに、クライマックスは15分のワンカット、ラストの拘置所面会シーンも9分ワンカットなど、シリーズ3作をずーっと監督してはる入江悠監督のアニキの、映画撮影的こだわりにも注目ポイントがありまっせー。

これらの長回しの多用は、ヒップホップ的なリズムを、構築するためやろかと思います。ヒップホップのある種ルーズな感覚を映画に移植するのは、かなり難しいワザやろけど、それを達成しはった稀有なシリーズでおましょう。

アメリカにも傑作はそれなりにあるんやけども、本作は日本のヒップホップ音楽ドラマ映画の、金字塔とも言える傑作どすえ~。

2012年4月25日 (水)

中国・香港合作「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」

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ミステリーかサスペンスか、アクションかスペクタクルか、それが問題やー

アンディ・ラウのアニキが、ドエライ不可能事件に挑まはります

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http://www.dee-movie.com/

5月5日のコドモの日の土曜日から、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Huayi Brothers Media Corporation Huayi Brothers International Ltd. All Rights Reserved

まあ、大がいの人は、間違いなく、一体、どないなタイトルやねんと、驚かれはりまっしゃろな。「王朝の陰謀」だけやったら、時代劇かなと思うんやけど、判事がなんで事件捜査するねんとか、違うんやったらほな、法廷ミステリーなんかいなとか。事件名の不可思議系のタイトル付けとか、そんなん、かなりと人を食っておますタイトルやん。

ちゅうことで、本作は一筋縄やら二筋縄では、いかん作品になっとりまんねん。ミステリー的にこの発火事件を探ろうとするかと思たら、剣戟を始めとして、格闘系アクション、ワイヤーやらスロー・アクトに加え、VFXシーンもあるアクション・テンコ盛りなんどすわ。

フツーの香港アクトやないようなんもクリエイトしてはるし、一方で、捜査にまつわるサスペンスなとこもあるし、ほんで、通天仏なる大仏にまつわるスペクタクル部もあったりと、ある意味でゼイタクやー。でも、そんな中でも、ポイントてゆうたら、ヤッパ、アクションやろか。

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中華系のアクション映画監督てゆうたら、スロー・アクトの香港出身ジョン・ウーはんやら、ワイヤー・アクトを思いっきし使わはった「グリーン・デスティニー」(2000年・アメリカ&中国合作)の台湾出身アン・リーはんやらを思い出しよりますし、中国系ではチェン・カイコーはんやチャン・イーモウはんもやってはりました。

けども、本作の監督のツイ・ハークはんも巨匠はんどす。しかも、ブルース・リーと共演しはり、ジャッキー・チェンとは盟友とも言えるサモ・ハンはんが、渾身のアクション監督ぶりを見せてはります。特に、クライマックスとなる通天仏内での1対1対決は、極上の仕上がりぶりになっとります。

さてはて、主人公の捜査側判事ディー役は、アンディ・ラウのアニキでおます。化身術や腹話術を駆使しはる、妖しきリー・ビンビンのネーさんやら3人と共に、事件解決アクションに挑まはります。この流れの中で、ミステリー・サスペンスとアクション・スペクタクルの、ほどよい調和をカンジる人もいてはるハズどす。

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秦の始皇帝の時代を描いた「始皇帝暗殺」(1998年・日本&中国&フランス&アメリカ)やら「HERO」(2002年・中国)など、三国志の時代を描いた「レッドクリフ」(2008年・中国&アメリカ&日本&香港)など。ほんで、「ラストエンペラー」(1987年・イタリア&イギリス&中国)なんぞで捉えられた清の時代。中国ではこの3時代のほか、古代もの、近代ものがよう映画化されておます。

でも、本作の、唐の時代、中国史上唯一の女帝・則天武后(そくてんぶこう)の時代を捉えはった作品は、稀少価値があるやろかと思います。ほんでもって、時代考証はモチ、それなりにはやってはるんやけど、史実をそのまんまやってしもても、オモロいもんはできしまへん。

そやから、本作は伝奇ミステリーチックなとこを入れて、よりエンタ化を目指さはりました。体内発火の素の火炎虫とか、地下社会“亡者の市”とか通天仏やら、実際にはないイロンなものを設定して、スリル感を増してはるんどす。ちゅうことで、ボク的にゆうと、香港アクションの新たな1面を出さはった作品やと思いました。

2012年4月24日 (火)

アメリカン・インディペンデント映画の良質エンタ「テイク・シェルター」やー

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パニック映画と心理サイコ・サスペンスを混ぜ合わせたら、一体どないなるんやろ~

主人公役のビミョーで複雑な怪演技ぶりが、みんなをどんどん不安にしよりますえ~

http://www.take-shelter-movie.com/

メイ5月5日のサタデー・ホリデーから、プレシディオはんの配給によりまして、大阪・梅田ブルク7やら、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 GROVE HILL PRODUCTIONS LLC All Rights Reserved.

デザスター・パニック映画をでんな、妄想型の統合失調男の、心理トラウマ・ドラマのように見せて、最後にひっくり返さはる、トンデモ映画でおます。ビックラこきました。

つまるところでんな、パニック映画と心理サイコ・サスペンス映画を調合したら、どないなもんが出来上がるんかを、試さはったようなカンジどすえ。

この流れの中では、そのもんの「ツイスター」(1996年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画)やら、鳥パニックもあるんでヒッチコックの「鳥」(1963年)とかもシンクロするし、一方で、主人公が次第に狂ってゆくとこらは、「シャイニング」(1980年)やらを始めとした、家族系館ホラーのスパイスがふりかけられておます。

モチ、二重人格系のルーツ「ジキル博士とハイド氏」(1932年)に加え、ヒッチコックの「サイコ」(1960年)も入っとります。

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空3分の2・地3分の1やら、空と地半々のロングショット構図シーンを頻出させもって、暗雲が立ち込め、石油のような油っぽい砂色の雨が降ったり、飼い犬に噛まれたり、オネショするほどの悪夢を見たりと、現実か幻かよう分からへん、主人公オトンのシーンが続いてまいります。

やがて、異常気象によって地球が滅びてしまうと錯覚したオトンは、シェルター造りに励まはります。当初は、自分自身で異常の自覚症状をカンジた主人公は、カウンセラー通いをし、自身がおかしくなった原因があると思わはる、病院入りしてはるオカンのとこへ行ったりしはります。

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主人公役のマイケル・シャノンのアニキ。みなはん、まあ、ほとんど知らはらへんかもしれまへんが、過去にはディカプリオ&ウィンスレットの「タイタニック」(1997年)コンビと共演しはった「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」(2008年)の精神病者の演技で、目を見張らせはりました。

でもって、本作ではまさに、その路線の当たり役とも思える演技をば披露しはります。ビミョーかつ複雑な心理を、怪演技に見えながら絶妙な演技コントロールで魅せてくれはるんどす。

その妻役は「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」(今年3月23日付けで分析)でアカデミー賞にノミニーされはった、ジェシカ・チャステインのネーさんやー。「ヘルプ」の頼りなげな主婦役に対し、本作では夫がおかしいだけに、至ってマトモな主婦をやってはります。

ほんでもって、シェルターに3人家族で入るクライマックスの後の、皮肉なサプライズ・エンディングが強烈どしたえ。カルトな作品として、後世に残ってゆくケッサクやと思います。

2012年4月23日 (月)

アキ・カウリスマキ監督の新作「ル・アーヴルの靴みがき」

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フランスを舞台にした、老人とその妻と難民少年の物語どす

複雑系の流れを排した、分かりやすさとシンプルさがエエ感じや~

http://www.lehavre-film.com/

ゴールデンウイーク突入の4月28日のサタデーから、東京・ユーロスペースやら大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

その後、5月12日から京都シネマやら、5月26日から神戸アートビレッジセンターやらで上映しはります。

フィンランド・フランス・ドイツ合作となった本作をば、配給しやはるのんはユーロスペースはんどすえ。

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ⒸSputnik Oy / photographer: Marja-Leena Hukkanen

フィンランドのアキ・カウリスマキ監督はんって、みなはん、知ってはりまっか~。ゴリゴリの映画ファンを始め、映画業界人にもファンがケッコー多い監督はんなんでおますよ。

セリフが極端に少なく、表情の少ない寡黙な人たちが絡みながら、静かにキズナを結んでゆくような作りは、かつてのサイレント映画やありまへんけども、しみじみとココロに入ってきよります。

でもって、本作どすが、フランスを舞台に、フランスの難民問題を採り上げはりました。ところがどっこい、その描き方はメッチャ分かりやすく、ほんでもってスイスイと事が運びましてな、複雑なとこを排除して、物語を進めていかはったみたいどす。

時に、論理的やないその分かりやすさには、首を捻りたくなるようなとこもあるんやけど、これがカウリスマキ監督流儀なんでおましょうか。シンプル・イズ・ベストな作りが好感を呼びま。

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今どき靴みがきの仕事をしてはる老人が主人公どす。靴を磨いた者が暗殺されたり、本人がタリバンがどうのとテロリスト呼ばわりされたりと、冒頭部はおいおいどないな話やねんなんやけど、シニア映画的なとこから、老夫婦ものへと流れ、ほんで、アフリカ難民輸送コンテナから逃げた黒人少年が、主人公の家に逃げてきて、代わりに女房が不治の病で入院しはります。

そして、その少年を近所の人やらの協力も得てかくまいもって、主人公は少年のためにイロイロやらはるとゆう展開どす。夫妻が飼ってはるイヌが名サポートぶりやし、あまり逼迫感のない主人公と刑事の絡みやら、結末の唐突感など、癒やしや奇跡めいたもんが、え!? そんなアホな、なんて思いつつもまぶされておます。

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カウリスマキ監督の名作、例えば、夫妻映画の「浮き雲」(1996年製作・フィンランド映画)やら、ミステリアスなヒューマン映画「過去のない男」(2002年・フィンランド)などのセンスも入っとりますけども、カウリスマキ節としては本作は異端かもしれまへん。

フランスのロッカー、リトル・ボブの8ビートロックのライヴ・シーンとか、音楽使いにも意表を突くとこがござりました。サントラ的には、古いアナログのフレンチ・ジャジー・ナンバーとか、大したことのないシーンで、弦楽オーケストラをハデに流したりと、ミスマッチ感もやってはります。

但し、薄く筋ばったセピアの夕空から、ラストの方のサクラ・シーンまで自然描写は、いつも通りの和みを運んでまいります。分かりやすさの点からゆうたら、カウリスマキ監督の入門編作品としては、打ってつけやもしれまへん。知らはらへん方は、ココからいってみまひょか、ちゅうことで。

2012年4月22日 (日)

小栗旬アニキと岡田将生クンの「宇宙兄弟」やー

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“2025年宇宙への旅”をクリエイトしはった会心作どすえ~

“はやぶさ映画”へのフィクション的アンサーを、しはったような作品とちゃうかなー

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http://www.spacebrothers-movie.com/

5月5日のコドモたちのためのホリデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「宇宙兄弟」製作委員会

日本映画のNASA的宇宙映画やなんて、これまでにはほとんどござりまへんどした。モチ、宇宙を舞台にした、SF映画はイロイロありましたけども、リアリティーに即した宇宙もんは稀少やったかと思います。

実話系とフィクション系の2パターンがありますけども、日本映画的には、この間、“はやぶさ”の実話をベースにしはったドラマ映画は、みなはんの記憶にも新しいもんやろかと思います。

でも、本作は実話ものではありまへん。コミック原作のオリジナル・ストーリーに基いてはりまして、2025年とゆう近未来を舞台にしながらも、日本人が宇宙飛行士になるには、どういうプロセスや選考があるのかを事細かに描きもって、絵空事なおとぎ話とは違う、宇宙飛行士物語を紡いではるんどす。「はやぶさ映画」へのアンサーとも取れますが、こちらは緻密な取材をベースにしはったフィクションになっておます。

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ほんで、共に宇宙を目指す兄弟もの、その対比描写、キズナ描写にググッとクル作りなんどすわ。コドモ時代の兄弟のエピソードを時おり挟みつつ、日本人飛行士として月へ行く弟のお話と、宇宙飛行士の狭き門に挑む兄貴のお話が、シンクロナイズして描かれてまいります。

岡田将生クン扮する弟の方が、先に宇宙飛行士になるんやけど、兄役の小栗旬のアニキは、失業を機に弟との飛行士になる約束を思い出さはり、飛行士選考に応募しはります。で、700人以上の応募があった中で、一次選考で45人、二次選考で6人に絞られるんやけど、小栗のアニキは何とその6人に残らはりまして…。

それまでにはでんな、弟との交流部で「アポロ13」(1995年製作・アメリカ映画)主演のトム・ハンクスの動作が引用されたり、「ツァラトゥストラかく語りき」が流れる「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)を思い出させるシーンやら、チョコチョコ名作映画へとアプローチしてはりまんねん。

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でもって、イチバンヤーの見どころは、最終選考に残った6人による、閉鎖環境試験でおます。6人が宇宙船設定の場所で何日間を共同生活し、試験官たちによって監視されているという状況でおます。サバイバル映画ノリに展開するこの後半部は、群像劇としてもオモロイ作りになっとります。

小栗のアニキのほか、おっとり優しい麻生久美子ネーさん、関西弁の濱田岳、クセのある新井浩文の各アニキやら。でもって、選考側には、堤真一のアニキやらが配されとります。

監視されてる中で自分の良さを見せていかんと、いかんようなこの状況での、各人のやり取りやらはビミョーなカンジになっとります。そうゆう設定はサスペンス映画なんぞにもありますが、こちらは現実的なお話どす。

ある種大人なサバイバル映画チック的に展開しながらも、この流れでの小栗アニキの言動には、大注目やでー。しかも、弟が月で遭難してしもて、エライ状況をば迎えはるんやけども…。感動的な兄弟愛へと着地する快作どすえ~。

2012年4月21日 (土)

東映の家族ドラマ映画「HOME 愛しの座敷わらし」

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「相棒」水谷豊アニキの初のオトン役でおます

妖怪ホラー・イメージをくつがえす、アットホームな仕上げどす

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http://www.warashi.jp/

4月28日のサタデー・ゴールデンウイークから、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「HOME 愛しの座敷わらし」製作委員会

フード会社の開発現場で働いてはったオトンが、岩手の支社に営業職で左遷されてしもて、家族ともども田舎の大屋敷に引っ越さはるとこから、物語は始まります。その家を見てはるんが、3枚目の写真でおます。オトンが見つけはったんやけど、ほかのみんなは驚いてはります。しかも、その家屋敷にはコドモの妖怪「座敷わらし」が出よります。オトンと、妖怪と初めて交流する息子はん、認知症ぎみのオバン以外の、オカンと娘は、最初はこんな田舎やなんて…と文句ゆうてはるけど、やがてはここに来て良かったと相なりよります。

地方ロケ映画としての美風景も、映画の癒やし系に大いに貢献してはります。目も冴え冴えとなる緑の田園風景、セピアの夕景、透き通るような青空、秋の紅葉シーンなど、ホッと安らぎをば運んでまいります。

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左遷系の家族ドラマ、妖怪の出るホラー・モード、アルツハイマーな家族がいてるやら、本来なら、アットホームな家族ドラマとなる要素は、どこにもないように見えよりますが、これが予想を大きくくつがえされることとなります。東映はんの家族映画には、時に目を見張らせる想定外がござります。

日常性を重視しはる松竹はんの家族映画とは、ビミョーに違っておます。但しアニメならば、例えば「カッパのクゥと夏休み」(2007年製作)なんぞが、本作と作品性においてシンクロするやも分かりまへん。

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家族5人をほぼ均等に描いてはります。特注はナンチューても、初のオトン役に扮しはった水谷豊のアニキでおましょう。

「相棒」みたいに、セリフを区切るような言い方は今回はしはりません。例えば、「青春の殺人者」(1976年)なんかで披露しはったような、口ベタなカンジが本作では戻ってまいっておます。大人な口ベタ節とでも申しましょうか。

安田成美ネーさんの、好感度ある自然体な主婦役やら、草笛光子はんのなり切り型のボケ演技ぶりやら。“ドッカーン、なんてね”な「告白」(2010年)よりはあったかい演技を見せてくれはる、橋本愛ちゃんらにも注目どすえ。

テレビの2時間ドラマの演出もやってはる、ベテラン映画監督の和泉聖治はんやけど、映画的な撮り方を随所で魅せてくれはります。広い家を映してゆくカットやら、田舎の全景を含んだ、ロングショットの数々が冴えを見せます。

ほんでもって、思わずココロがホンワカとなる、サプライズ・エンディングやー。映画館でぜひとも体感しておくんなまし。

2012年4月20日 (金)

アメリカン音楽ムービーの快作「ジョイフル♪ノイズ」

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ソウル・ミュージックからポップス・バラードまで、バラエティーな音楽が歌われる作品どすえー

ダンサブルにしてファンキーなノリも、ゴキゲンはんでおまっせー

http://www.joyfulnoise.jp/

エイプリル4月28日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、東京・シネマート新宿やら、大阪・シネマート心斎橋やらでロードショーでおます。

文=映画&音楽分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

現代のアメリカ南部を舞台にしはった、音楽ムービーにして、家族や仲間たちのキズナを描いた映画でおます。不景気なミシシッピーの田舎町を舞台に、コンテンポラリーな教会音楽で、音楽コンテストの優勝を目指して、町を活性化しようとしはる、チームの奮闘ぶりがビビッドに描かれてまいります。

いわゆる、ブラック・ミュージックをメイン・ソースにしはった、この種のポピュラー音楽映画のアメリカ映画は、これまでに多数出てきておます。神へ歌を捧げるノリなんかでいきますと、当然「天使にラブ・ソングを…」(1992年製作・アメリカ映画)やらがあるやろとは思いますが、こちとらはバリバリのプロの歌手を配さはって、メッチャ大マジ・モードやねん。

オーソドックスな教会音楽の枠にはとらわれへん音楽が、次々に披露されてまいります。ダンサブルでファンキーなコーラス・ワークものやったり、ヒップホップを使ったダンス・ナンバー、マイケル・ジャクソンがいてた「ジャクソン・ファイヴ」チックなソウル・ダンスなど、多彩にしてバラエティーやー。

そんな中で、映画的にも音楽的にも見どころとなるシーンが、テンコ盛りになっとります。まずは、本作のポイントとなる、クイーン・ラティファはんとドリー・パートンはんでおます。2人共に歌手やけど、シブイ系の名女優はんでもありま。そやから、この2人を中心にして、音楽的・映画的な広がりを見せてゆくとゆうのんが、本作のキモっちゅうことになりよります。

まず、クイーンはんを見てまいりますと、彼女はアメリカ初期ヒップホップ系の、ラッパー的なとこからキャリアを始めてはるんやけど、夜の教会でピアノで弾き語るスロー・ソウルなど、メッチャココロに染み入ってくるんどすえ。

女たちの犯罪映画やった「セット・イット・オフ」(1996年・アメリカ)では、友情系の泣かせる演技を披露してはったり、本作では娘はんを諭すシーンのセリフ回しやら、ドリーはんとのケンカ・シーンなどで、ビッグママ的な肝っ玉な演技ぶりを見せてはります。

一方、クイーンはんとイガミ合いつつも、友情も結んではるドリーはんでおます。OLコメディ「9時から5時まで」(1980年・アメリカ)では、コメディエンヌに徹してはったドリーはんやけど、歌手としての方がホンマはスゴイんやけど、でも、ベット・ミドラーはんみたいなカンジも、ボクとしては強くカンジとりました。

死んでしもた夫役クリス・クリストファーソン(この方も懐かしいわ~)はんとの思い出に浸るように、ドリーはんがポップス・バラードを幻想的に披露しはるシークエンスも、必見必聴どす。チームによる、スライ&ファミリー・ストーンの名曲熱演シーンなんかも、躍動的にして感動的どしたえ~。

2012年4月19日 (木)

コレぞホンマモンのスパイ映画やー「裏切りのサーカス」

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誰にも分からんように静かにヤッテまう、そのリアル感が凄いどす

「007」や「ミッション:インポッシブル」やらのバリバリ系とは、大違いのシブミでおます

http://uragiri.gaga.ne.jp/

4月21日の土曜日から、ギャガはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、シネ・リーブル神戸やらで全国ロードショーでおます。その後、4月28日からTOHOシネマズ二条やらでも上映しはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 KARLA FILMS LTD, PARADIS FILMS S.A.R.L. AND KINOWELT FILMPRODUCTION GMBH. ALL RIGHTS RESERVED.

Jack EnglishⒸ2010 Studio Canal SA

イギリスのスパイ小説の大家、ジョン・ル・カレはんの原作で、フランスとドイツの合作となったイギリス映画でおます。今から32年前にも、全7話のテレビの連続ドラマとして、イギリスでオンエアされたそうどす。確かに長めの話やけど、本作は2時間8分の時間内にコンパクトにまとめ上げはりました。

1965年にアメリカで映画化もされた「寒い国から帰ったスパイ」やらが有名なル・カレはんやけど、実際にイギリスのスパイとして働いてはったことがあるんやて。その体験をベースに、東西冷戦時代とゆう、スパイものとして格好の時代を描いてはります。

今は、そういうスパイ活動をベースにした作品は、作りにくい時代になっとりますが、本作は現実的なリアリティーあるスパイとは何かを追求してはるんどすえ。

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人口に膾炙しとる「007」とか「ミッション:インポッシブル」とかのアクション世界とゆうのんは、実際のスパイ活動においては、御法度とゆうてもええやもしれまへん。日本では“隠密”とゆう言葉があるように、“隠れて密かに”ミッションを遂行するとゆうのんが、ホンマモンのスパイらしいんでおますよ。

バイオレンス・シーンもエゲツナサ控えめどして、緊張感あふれる静謐感演出とでも申しましょうか、常にピリピリした雰囲気が持続しとりまして、暗殺者を静かに描いた「ジャッカルの日」(1973年製作・アメリカ映画)的なセンスなんかをカンジさせはります。

1970年代前半のイギリスとソ連の諜報戦の中で、イギリス側が5人の中にいるらしい“もぐら”(二重スパイ)を探せとゆう任務やけど、スパイの隠語のオンパレードも、彼らの世界を描く意味においては、リアル感があります。写真1枚目にあります、主人公の背後にあるチェッカーな防音パネルなど、細部の小道具類にもこだわった作りでおます。

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主人公のスパイ役、ゲイリー・オールドマンはんが枯れたようなシブミを出してはります。エキセントリッキーな役が多かったゲイリーはんやけど、過去最高に静かで冷静沈着な演技ぶりなんやないやろか。

撮り方や構成にも目がいきよります。ロングショットが多投されとりますが、向かいのビルから、窓外から、あるいは中に何かを入れて対象物を映したりと、立体的な遠近感を意識しはった撮り方が頻出しよります。

また、過去や近過去の話が、現在形の会話シーンを入れてもあるけども、ここから過去という形ではなく、何げにタペストリーチックに織り込まれていく手法でいってはります。そやから、何やらめまいが起こってきそうなカンジがして、グラグラとココロを揺さぶります。

コレぞ、まがうことなきスパイ映画の傑作やと思います。

2012年4月18日 (水)

フランス産のスパイ映画「三重スパイ」どす

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アメリカのスパイ映画との違いは、どないでっしゃろかー

暗い戦争時代をバックにした、時代感描写が特筆もんどす

http://www.eiganokuni.com/meisaku5-france

エイプリル4月21日のサタデーから、東京の【シアター】イメージフォーラムでロードショーでおます。大阪では6月に第七藝術劇場やらで上映しはります。

本作をば配給しやはるのは、紀伊國屋書店はんとマーメイドフィルムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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本作は2003年に作られたフランス映画でおまして、今回「刑事ベラミー」(3月29日付けで分析)や「ある秘密」(昨日分析)やらと共に、日本初上陸となった1本でおます。

タイトル通りどして、スパイ・サスペンス映画なんやけど、アメリカン・スパイ映画ばりのバリバリのアクションはござりまへん。かといって、フレンチ・ノワール・タッチのダーク感や非情感も、さほどカンジられまへんどした。

あえてゆうなら、アルフレッド・ヒッチコック監督作品的な感触やろか。特に、監督が戦前の祖国のイギリス時代に撮っていた、モノクロ・サスペンスな映画のタッチが、何げに振りかけられているように思いよりました。

しかも、室内劇をメインとして展開するスパイ映画とゆうのんは、あんましござりまへん。そして、1970年代を描いた最新スパイ映画「裏切りのサーカス」(明日分析しよります)と同様にでんな、静謐さっちゅうもんを心掛けてはるようどしたえ。

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エリック・ロメール監督はん'sフィルムでおます。ベルリン国際映画祭で監督賞をもらわはった洒脱な作品「海辺のポーリーヌ」(1982年製作・フランス映画)やら、ヴェネチア国際映画祭で最高賞をゲットしはった「緑の光線」(1985年・フランス)やら、フランスのヌーヴェル・ヴァーグ派の監督として、アート映画寄りの斬新な作品をいくつも作ってきてはるんやけど、こうしたエンタ系のサスペンスものとゆうのは、アラマ・珍しゅうおます。

でも、娯楽スパイ映画を作ろうとしはったんやないのは、明らかどす。映画的流れを見ても、実は娯楽作品としてスムーズに進まないような“淀み”っちゅうもんが、ところどころにござります。作為的に作ってはるんかどうかは分かりまへんけども、見る方によっては、エンタを作り損ねたみたいなとこもあるやもしれまへん。

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パリを舞台に、戦前の1936年から、終戦まではいかへん1943年頃までのお話どす。でも、物語は1939年でエピローグどす。

モノクロのニュース映像を挟みもって、年代順に物語は進んでいきよります。1~2分強の長めの撮影シーンやら、各時代の事件の挿入、アイリス・インやアイリス・アウト(丸まって画面が現れたり消えたりしよりま)を使ったりしもって、三重スパイのロシア人の夫とギリシャ人の妻のお話が、淡々と続いてまいります。

エンタやなく、コレはあくまでアート・スパイ映画として、見るべき作品なんやも分かりまへん。いずれにしても、不思議な1本でおました。

2012年4月17日 (火)

謎めいたフランス映画の快作「ある秘密」

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エロ・キリリなセシル・ドゥ・フランスのネーさんに、ハッとしてグーでおます

対して、負の演技を緻密に演じはる、リュディヴィーヌ・サニエのネーさんに、ビビッとしてオーでおます

http://www.eiganokuni.com/meisaku5-france/

エイプリル4月21日のサタデーから、東京[シアター]イメージフォーラムでロードショーでおます。関西には6月にやってまいります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸThierry Valletoux

ナチスものとなれば、これまでにモノゴッツーな数のタイトルの、映画が出てまいっております。そんな中で、今までにないようなもんを作ろうやないかと、踏ん張らはったんが本作やと思いました。

少年の視点から入らはるんやけど、例えば形而上学的な少年視点やった「ブリキの太鼓」(1978年製作・西ドイツ&ポーランド&フランス合作)とは大いに違っておまして、あくまで現実的どす。

物語は1955年から始まります。オカンとオトンに見守られて、スクスク育っとる息子少年なんやけど、実在しない実のアニキを作り出したりと、妄想癖っぽいキャラにしてはります。コレは本ネタに関わることなんで、詳しくは申しまへんけども、ナチ・ネタを少年の幻から入るとゆうのんは、今までのナチもんにはない新鮮さやと思いました。

しかも、フランスを舞台にしはった、フランス映画としてのナチものとゆうのんは、非常に珍しおまして、ユダヤ人迫害をストレートに描いた「黄色い星のこどもたち」(2011年7月7日付けで分析)などと共に、稀少感ある作品どす。

B
演技陣には、フランスの旬の男女優はんがキャスティングされとります。妻役にして少年のオカン役の、セシル・ドゥ・フランスのネーさん。飛び込みの名手らしく、水着姿が頻出し、体の線を強調しはったり、ベッド・シーンではヌードも披露しはります。

クリント・イーストウッド監督作品「ヒア アフター」(昨年2月5日付け)では、大津波にも負けない、キリリとして強い女役で主演してはりましたけども、本作ではそういう強さはそない出してはりまへん。

対して、「8人の女たち」(2002年・フランス)やら「引き裂かれた女」(昨年3月20日付け)やらで、アイドルチックもしくは、かわいい悪女ぶりを演じてきはったリュディヴィーヌ・サニエのネーさんが、化けてはるんでおます。大化けなんかはビミョーやけど、呆然としたカンジとかイラダチぶりとか、見とるこっちを不安にさせはるような、危うい演技で魅せてくれはります。

C
ほんでもって、監督もしてカンヌ国際映画祭では賞ももろてはる、マチュー・アマルリックのアニキどす。少年が大人になった役柄やけど、ナレーションを含めて物語のナレーターぶりを、謎めきタッチでやってくれてはります。

そして、描き方が巧妙にして巧緻を極めておました。ヌーヴェル・バーグの第2世代とも考えられる、クロード・ミレール監督作品なんやけど、1985年を現在にして、1955年~1962年、1936年~、なんぞをカットバック描写していかはります。

アップとクローズアップとロングショットの編集ぶりやとか、1985年の現代をモノクロにし、過去を自然光をメインにした薄色のカラーにしたり、モノクロのニュース映画を挿入したりと、映画作家ぶりを遺憾なく発揮してはります。

「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年・イタリア)の、大河映画系裏版とも取れるケッサクでおました。

2012年4月16日 (月)

16歳原節子ネーさんのアイドル映画「新しき土」

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1937年当時の日本の自然描写が、メッチャ美しおますえ~

伊丹万作監督、特撮・円谷英二、音楽・山田耕筰とゆうモノゴッツーな強力布陣が揃てはります

http://www.hara-eiga.com/

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4月21日の土曜日から大阪・テアトル梅田やら、4月28日から神戸・元町映画館やらで上映どすえ。

 4月27日の金曜日には、東京都写真美術館ホールで特別上映会をばやらはります。

 文=映画分析評論家・宮城正樹

原節子のネーさんてゆうたら、日本映画史に残る、伝説の映画女優はんでおます。

小津安二郎監督との名作以外に、黒澤明監督とのヒロイン映画の傑作「わが青春に悔なし」(1946年製作)やら、今井正監督の青春学園もの「青い山脈」(1949年)やらで、戦後から1960年代前半に掛けて、日本映画黄金時代のスター女優として輝いてはりました。

1962年に42歳で引退しはったんやけど、その後、消息不明となりまして、現在も尚分かっておりまへん。でもって、本作はそんな節子ネーさんが、16歳のピチピチの時に主演しはったんが、本作のモノクロ映画でおます。

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1937年度に作られた本作は、ドイツとの合作となっとりまして、日本と外国合作映画のルーツゆうことになっとります。当時、ドイツと日本は軍事的に協力関係にありましてな、ともすると戦時中に多数作られた、国策映画なんやないかなと思たんやけど、それが全然違(ちご)ておました。

日本の数々の美風景をバックにしもって、節子ネーさんのアイドルチックな映画演技ノリに加え、ラブ・ストーリーも展開するっちゅう、娯楽性にあふれた快作でおましたえ。

特に、モノクロとは申せ、カラー以上に美しくツヤツヤに映る自然描写シーンの数々が、ボクチンを酔わせてくれはりました。

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春の桜、富士山、亀・鶴・蛙・魚・鹿やらの生き物たちの描写に加え、鎌倉の大仏やら神社仏閣のシーンまで、かつてあった日本の風景がそのまま映されておます。

さらに、「ウルトラマン」や「ゴジラ」の円谷プロの創始者である円谷英二はんが、火山パニック・シーンや地震シーンなどで、特撮を披露してはります。

ほんでもって、サントラ使いや。まさに本格的なオーケストラ・サウンドがメインどす。日本音楽史に残る山田耕筰はんが音楽監督どす。和風な女歌、ハープ、琴、ピアノの和洋折衷感に加え、ダンス・シーンでは、三味線とジャズをオーバーラップさせはるとゆう、離れワザをば披露してはります。

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当時のドイツ映画界はヒトラーの時代やったんやけど、ハリウッドと勝るとも劣らへん隆盛を極めておりました。ほんで、本作はドイツ山岳映画の巨匠やったらしいアーノルド・ファンクはんと、伊丹十三監督のオトン伊丹万作はんの共同監督とゆうことになっとります。自然描写シーンはファンクはんの功績が大やろけど、恋愛映画的なとこは伊丹万作はんの上手さやと思いよります。

そして、演技陣ではモチ、アップ・クローズアップの多い節子ネーに、熱視線が集中するやろけど、後に「戦場にかける橋」(1957年・アメリカ)でオスカーにもノミネートされはる、節子ネーのオトン役の早川雪洲はんにも、注目しておくんなまし。

2012年4月15日 (日)

阿部寛のアニキと上戸彩ネーさんの共演「テルマエ・ロマエ」どすえ

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古代ローマと現代を往来する、タイムスリップ系のコメディ映画やなんて…

しかも大衆浴場・お風呂の今昔物語を、ハットトリッキーにつなげはりました

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http://www.thermae-romae.jp/

4月28日のサタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのゴールデンウイーク・ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「テルマエ・ロマエ」製作委員会

これまでイロイロ出てきました、タイムスリップ系の映画でおます。

でもでんな、「タイムマシン」(2002年製作・アメリカ映画)とか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年・アメリカ)なんかの、ハリウッドのSFノリの大作とは違いまして、日本映画のこの種のタイプは、コメディ系へと特化しはることが多いどす。

確かに、洋画にもコメディ・ノリのんはあるけど、本作みたいに古代ローマと現代日本の往来やなんて、発想がトンデモありまへん。しかも、2つの時代のカルチャー・ショックぶりなんて、相当なもんなんやけど、それを大マジにやってくれはります。さらに、ポイントが、なんとお風呂なんやでー。

コミック原作らしい意表を突いてるとこもあるけど、タイムスリップの方法以外は、古代ローマもお風呂の変遷も相当調べはった上で書かはった、リアリティーのある話が原作どす。そやから、頭の中で勝手に想像の翼を広げて、荒唐無稽に作られたコミックやないとゆうことです。

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何しろ、入りのオモロサは絶品どしたえ。阿部寛のアニキが演じる、古代ローマの浴場建築デザイナーが、現代の日本の銭湯やら家のお風呂やら企業やら温泉やらに、タイムスリップしはり、そのたんびにショックを受けはって、古代に戻るとそれを反映して、モノを造るっちゅうことをやらはりまんねん。

スッパダカで現代に来るとこのユニークさに加え、その時々に、常に近くにいてはる上戸彩ネーさんとの絡み具合など、喜劇的オモロサがグングン増していきよります。彩ネーはマンガ家志望やけど夢をあきらめ、実家の温泉へ戻って家業を手伝うとゆうキャラやけど、この古代ローマ人の阿部寛アニとの出会いにより、劇的に人生が変わりまんねん。

なんと、彩ネーは古代ローマへ、“ローマの休日”(映画やなく、彩ネーの出てる、ソフトバンクのCMに出てくるコトバ)てゆうてられへんくらい、シリアスな状況でタイムスリップしはりまんねん。アラマ・ポテチンどす。

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映画的な設計にも注目しておくんなはれ。セピアな色合いを中心にしてはる古代ローマと、明るい色調と照明による現代日本との対比描写。ローマ編は、イタリアの世界的な名撮影所のチネチッタ撮影所やらを使ってはりまして、このあたりの描写はマジ・ホンマモンがカンジられよります。

サントラもイタリアがルーツとなる、オペラをポイントにしてはります。男オペラ、女オペラ、男女混声オペラなどを、阿部寛アニキのタイムスリップ・シーンを中心に効果的に使ってはるんどす。

そして、ホンマのホンマにトンデモないところ。旅館なんぞを舞台にした日本的喜劇と、昨日分析した「タイタンの逆襲」のような古代アクションを、混ぜ合わせてはりまんねん。これにはさすがに仰天しました。古代の決戦場と温泉卵やなんて…。そのミスマッチぶりが、クセになってクセを呼ぶみたいな、そんな作りになっとりまっせー。

2012年4月14日 (土)

“タイタン”シリーズ第2弾「タイタンの逆襲」やで~

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3Dと2D同時公開やけど、3D試写で見ましたえー

観客側へ前へ前へとくる映像に加え、遠近感・奥行き感ある映像に酔いしれたでおます

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http://www.titan2movie.jp/

エイプリル4月21日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーの3D・2D同時公開でおます。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマやらで上映しはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC

「タイタンの戦い」(弊ブログでは、2010年4月20日付けで分析)に続く、シリーズ第2弾でおます。その時は2D試写で見たんやけど、本作は3D試写で見ることができよりました。

アクション・シーンが前作より、ノンストップ的状態の本作やから、メッチャ3D感らしい臨場体験ができたかと思います。出演俳優、多種多彩なアクト・シーン共に、ザッツ3D映画エンタをクリエイトしていかはります。

主人公役のサム・ワーシントンのアニキてゆうたら、世界ナンバーワン・ヒッツ映画「アバター」(2009年製作・アメリカ映画)で、ミスター3D俳優はんみたいなイメージがござります。

バイプレーヤーも強烈やねん。このほど3D化されてヒットしとる「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(今年3月11日付けで分析)での活躍もある、リーアム・ニーソンのアニキ。ほんで、ジョセフ・ファインズはんも「ハリー・ポッター」で、異能のアクトぶりを発揮してはりましたわな。

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対決アクション&スペクタクル・シーンで、3Dでなければ見られないシーンが次々に展開してまいります。火を吐く首が二つある怪獣とか、キングコングみたいに大巨人の人間とかの対決シーンなど、モンスター映画チックなノリ。

地下世界へ行く隠れ道での、迷路的洞窟的ルービックキューブ的対決のトンデモ感。炎のセピアを配色した地下世界でのバーサス。ほんでもって、クライマックスの一大決戦シーンなど、3Dの醍醐味やダイナミズムを味わえるシーンが、頻出しよりまっせー。乞うご期待ってヤツやー。

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さらに、名作ホラーのリメイク「テキサス・チェーンソー ビギニング」(2006年・アメリカ)やら、地上SF映画のカルティックな1本「世界侵略:ロサンゼルス決戦」(2011年8月27日付けで分析)やらで、チョイ変革型のエンタを作ってきはった、ジョナサン・リーベスマン監督のアニキのセンスにも注目しておくんなはれ。

さてはて、本作は紀元前の古代ものなんやけど、紀元前映画のアクションものてゆうたら、いわゆる歴史的事実に即した作品、聖書もの、ほんで、本作みたいなギリシャ神話ものが、多い作品のベストスリーやと思いますが、21世紀の今の時代にそういうのんを作るのんは、ほとんどがセット撮影によるもんなんやけど、本作は違っておました。

紀元前の風景が今の世界の、どこにあるかは内緒にして、セット撮影もあるけど、ロケーション撮影をば敢行してはります。3Dアクトに見逃されがちどすが、そうしたとこも見てほしい作品やと思いました。

2012年4月13日 (金)

映画シリーズ第16弾「名探偵コナン 11人目のストライカー」

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本格ミステリー色はモチ、今回はサッカー・アニメ色を加えた快作どっせー

5人の容疑者、暗号トリックやら、目が離せへんカンジでおます

http://www.conan-movie.jp/

エイプリル4月14日サタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画・ミステリー分析評論家=宮城正樹

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Ⓒ2012 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

Ⓒ1992 J.LEAGUE

本格ミステリー映画としての面白さが、江戸川乱歩の“少年探偵団”の現在形のノリで進行する、劇場版シリーズ第16弾でおます。

江戸川乱歩を始め、明智小五郎、コナン・ドイル、メグレ警視、アガサ・クリスティなど、キャラクター名に、名作ミステリー小説の原作者やキャラを、想起させはる設定を施してはる作品どす。

そやから、どないあっても、犯人の意外性とかトリック部の斬新さとかを、常に意識してはるシリーズでおます。今回は暗号トリックやらに、ミスリードを施さはった新味がござりました。

5人の容疑者たちにも、これまでにないユニークな布陣を配しはりました。視聴率アップを狙うTV局の記者、スクープを狙ってる新聞社の女記者、サッカー選手に、元サッカー選手、サッカーのスポンサーにもなってはる、コドモを亡くした町工場の経営者の5人様どす。

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冒頭から暗号が解けなければ、爆弾を爆発させるっちゅうシーンが出てまいります。いわゆる、いつもあるコナン的な、アクション・パニック部でおますが、この爆弾の仕込みには、大きな伏線がありよります。

現状の日本のネット販売やら、通常の販売ルートからは絶対に手に入れられない、遠隔操作によるプラスチック爆弾どす。軍隊の兵器であると共に、テロリスト集団も使ったりするコレは、海外でしか手に入らないもんなんどすえ。税関をどう擦り抜けて、日本に持ち込まはったんか。そのあたりが少し曖昧やけど、犯人当ての1ポイントになっとります。

最初の暗号文から、サッカー・スタジアムの電光掲示板に爆弾が仕組まれたことを、コナン君が見破らはります。爆弾を除去せんとするコナン君のアクション部、そしてできずに続く爆発シーン。このあたりの設定には、「シュリ」(1999年製作・韓国映画)なんぞを思い出させよりました。

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そうしたミステリー&アクション部を補強する要素として、今回はサッカー・アニメ部を入れてはります。実際のJリーガーを声優で起用しはっただけやありまへん。

三浦和良のアニキの声による本人役での登場など、サプライズ感があります。女性ポップスを流しもって、コナン君とのサッカーを通しての触れ合いシーンなんかが、ググッと印象的やけど、そのシークエンスが大きな伏線シーンになっとるとこも強烈やったどす。

高山みなみ、林原めぐみの各ネーさんやらの、いつも通りのプロフェッショナルな声優ぶり。加えて、女記者役の声をやらはった、桐谷美玲ちゃんの初々しさにも注目やでー。

人を映すザラついた映像やら、四隅をボカした過去シーンやらの、時おりハッとさせはるシーンの挿入。ほんでもって、ラストロールでは、「いきものがかり」の新曲「ハルウタ」が流れま。いつも以上に前向きでポップな作りは、本作を明るくシメてはります。

ゴールデンウイークに家族みんなで、見に行きたい1本になっとりまっせ~。

2012年4月12日 (木)

香港アクション映画「ビースト・ストーカー/証人」

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ホンコン刑事ものノワール映画の、追いつ追われつでおます

刑事ニコラス・ツェーと殺人請負人ニック・チョンの各アニキの、凄まじきバーサスやー

http://www.beaststalker.net/

エイプリル4月21日サタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2008 Emperor Classic Films Company Limited All Rights Reserved.

香港映画のアクション映画となれば、みなはんは何を思い浮かべはるでおましょうか。映画史的にも意義のあるブルース・リー、ジャッキー・チェンやらのカンフー・アクションやろか。

でも、そんなカンフー・アクトと双璧なんが、刑事ものやらノワール映画でおます。ジャッキーもそんな映画に出てはりますけども、どちらかと申せば、コミカルチックなとこがござりました。でも、本作は暗黒ものに近い、激烈な刑事ノワールもんでおます。その代表的傑作「インファナル・アフェア」(2002年製作・香港映画)と比較しても、決して遜色のない仕上がりになっとります。

そのポイントをゆうたら、男と男の対決構図でおましょうか。過去にトラウマを共に持つ、元刑事と殺人請負人の、まさに仁義なき戦いが展開してまいります。「ボーン・アルティメイタム」(2008年・アメリカ)や「チェイサー」(2008年・韓国)みたいな、生身1つだけの追逃走劇に加え、クライマックスではモノゴッツーな対決がありま。

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しかも、フツーの1対1対決やありまへん。刑事は誘拐された少女を連れ持って、殺人鬼と対峙しはるんどす。

刑事役は「香港国際警察」(2004年・香港)でジャッキーと共演しはった、ニコラス・ツェーのアニキや。しかし、その時みたいに、決してカッコエエわけやありまへん。激越にしてエキセントリックで、執念深いしつこさや。鼻血ブー(!?)やし、叫びの美学(!?)も披露しはります。

片や、殺人者役は「絆/エグザイル」(2006年・香港)などの、ジョニー・トー監督ノワール映画やらで、気を吐いてはるニック・チョンのアニキ。灰色の目をした男を、怪演技ぶりで魅せはります。彼の視点になるとモノクロになったりと、細かいとこの描写もシブいわ。

カーチェイスやら三重衝突シーンやらの、3回にわたるリフレイン描写も、特注アクション・シーンどすえ。

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ミステリー的な面白さも必見でおます。刑事側としては、携帯電話やその部品を使った21世紀的トリッキーがあったり、殺人者側のサプライズも強烈どす。

写真4枚目にありますように、ニック・チョンには要介護のカミさんがいてはります。この夫妻がなんでこないなったんか、そして、ニコラス・ツェーとの関係性など、本ネタやありまへんけども、サイド・ストーリーとしての意外性ある見せ方は、なかなかのもんでおました。

さらに、誘拐ミステリーやら法廷ミステリーやらの要素も入れてはるんどすえ。ミステリー・アクションの快作にして、夫妻の絆、母娘の絆、刑事たちの絆など、いろんな絆シーンにも酔える作品でおました。

2012年4月11日 (水)

癒やしの台湾映画「台北カフェ・ストーリー」どす

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喫茶店をやってはる、2人の姉妹の静かな奮闘ものでおます

製作総指揮のホウ・シャオシェン監督作品チックな滋味が味わえますで~

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http://www.taipeicafe.net

エイプリル4月14日サタデーから、ユナイテッドピープルはんの配給によりまして、東京・シネマート六本木で、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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カフェという場を通して紡がれる、癒やしのムービーどすえ~。台北でカフェ(喫茶店)を始めはった2人の姉妹はんなんやけど、客足が悪いんで、開店祝いにいろんな人からもらわはったガラクタをヒントに、物々交換をしてお客はんとのコミュニケーションをはかってでんな、売り上げを伸ばそうとしはります。

この場合、どちらかとゆうたら、人々の群像劇タッチへと流れていったりするもんやけど、「かもめ食堂」(2005年製作・日本映画)やら「バクダッド・カフェ」(1987年・西ドイツ)みたいに、人々を癒やす方向へと持っていかはります。

それに、姉妹とお客はんたちとの関係性では、ラブ・ストーリーやらが展開するようなベタな作りやなく、物との交換で物語を聞かせはる程度どして、深入りはしはりまへん。

また、肝心の姉妹のキズナやら、ほんでもって、オトンと別れてはる2人のオカンとのキズナ具合も、感動させようとか、泣かしたろかいやといった意図は、ほとんどカンジられまへんどした。あくまでフツーの、自然体なんでおますよ。

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姉妹のツーショットやら、オカンを含めた3人のスリーショットやらで、話さはるんは、カフェ経営に関することが多おまして、確執があったりとかのいがみ合いシーンは、皆無に近(ちこ)うおます。

これらは当然、癒やしの方向性に即しておますけども、製作総指揮をやってはる、ホウ・シャオシェンはんの作品性ともリンクしとるんどす。彼の監督作品以外に、「珈琲時光」(2003年・日本)で示さはった、小津安二郎監督へのオマージュぶりのように、家族のキズナ描写には、チョイ小津安的なとこもござります。

ほんでもって、撮り方に工夫の跡が施されておます。

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手狭なカフェ内の話がメインながら、室内劇的な退屈さをカンジさせへんのは、その撮り方にポイントがござります。窓外からのカットやロングショットと、人物やなく物のアップを織り交ぜてはったり、1分程度の長回しカットはあるけど、早送り省略カットのモンタージュを使ったり、台北の夜景カットなど適宜挿入しはります。

ほんで、サウンドトラックや。ピアノに乗るジャズ・ナンバーが流れるほかに、和み感あるピアノの響きが、しっとりとした安らぎを運んでまいります。

そして、オキナワのシンガーソング・ライターの中(あたり)孝介(写真一番下)のアニキが、特別出演して「ふるさと」をアカペラで披露しはるんどすえ。個人的なことですんまへんが、本作の分析批評で公開前映画1日1本批評の841日連続になるんやけど、その第1日目は同じく中孝介の出てはった、台湾映画「海角7号」(2009年12月23日付け)でおました。それだけに、妙に親近感を覚える作品やったです。

希望に満ちたラストシーンも、さわやかどしたえ~。

2012年4月10日 (火)

ラブコメ・アクション・ハリウッド映画「BLACK & WHITE ブラック&ホワイト」

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「チャーリーズ・エンジェル」や「ターミネーター4」みたいに、見たらスカッとする1本でおます

おバカ系とアリエネー系が合体したら、エライもんができよりました

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http://black-white.jp/

エイプリル4月20日フライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、アポロシネマ8やら、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都やら、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸やらでドカ~ンと上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

ラブコメとミッション系アクション、さらに、おバカ系とアリエネー系、加えて下ネタ系も加えはった作品でおます。

おいおい、どないな作品やねんと思わはるやも分かりまへんけども、ラブコメはモチ、スパイ系アクションも、ある意味では定番化してるような現状がござります。そこででんな、ラブコメチックな流れを、アクション系のスピードフルな流れでやってみたら、一体どんなもんが出来上がるんか、試してみはったようどすえ。

ネットの出会い系サイトで出会った男女と、ビデオ・レンタル店で出会った男女のその女が同一人物で、男2人はCIAの友情を結ぶ相棒同士。ほんでもって、女をものにせんと、この男たちが、門外不出のCIAのハイテク武器を利用して、それぞれのデートを監視するやなんて。で、女は二股がけやけど、下ネタ好きのオジン・キャラな女友達の、メチャクチャなアドバイスに従って、やってはるちゅうんでおま。

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おバカ系はこの流れの中では思いっきり出てくるし、アリエネー系はCIAの武器使いやらどすし、で、チョイと下ネタ入りや。そうゆうのんを、ゴチャ混ぜにしはったんは、本作の監督はん、マックGのアニキでおますえ。

デビュー作「チャーリーズ・エンジェル」(2000年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)や、その第2弾「チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル」(2003年)に加え、「ターミネーター4」(2009年)やらの監督作で魅せはった、スカッとさわやかな鑑賞後感がクリエイトされとるんどす。

さらに、マックGの映画的趣味みたいなんも出てきよるんどす。名作映画をイロイロと、セリフやら引用シーンで出してはるんでおますよ。男女のレンタル店での会話では、ヒッチコック作品が出てまいります。「スパイダーマン」(2002年)や「タイタニック」(1997年・現在3Dで公開中)も出るけど、ボクが最も痺れたんは「明日に向って撃て!」(1969年)どした。

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男が隠れて盗聴器を部屋内に仕掛けて回る中、ヒロインはその存在を知らずに、ダンス・ミュージックを掛けて踊って、ほんでその時にデジタルテレビに映ってんのが「明日に向って撃て!」やったんやけど、その引用も、前半のハイライトとなる有名なシーンでおました。

何げに映してはるようでいて、そのシーンは本作の、2人の男の関係性にもシンクロしよります。また、作品性においても、男女の三角関係も描いとるその作品は、まさにピン・ポイントな引用やと言えましょうか。

さて、ヒロイン役はアカデミー賞主演女優賞をもろてはる、リース・ウィザースプーンのネーさんや。本来の持ち味であるラブコメのコメディエンヌぶりを、遺憾なく発揮してはります。

ほんで、若手俳優のクリス・パイン君とトム・ハーディ君の、おバカチックな相棒ぶりもオモロおます。一方で、冒頭のビルの屋上での銃撃アクションやら、最後の方のカーチェイスも、本格的なアクション・シーンのノリで展開しはります。特に、リース・ネーさんも巻き込んでのカーチェイス・シーンは、圧巻の仕上がりどしたえ~。理屈抜きに楽しめる快作やー。

2012年4月 9日 (月)

映画フィルムの質感に酔える「ニーチェの馬」どす

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モノクロニズムと前衛性やらで、芸術映画の粋を示す大傑作やー

こんな映画はもう今後は2度と作られへんから、今見とかんと大損するかもな~

http://www.bitters.co.jp/uma/

エイプリル4月14日サタデーから、大阪・第七藝術劇場でロードショーでおます。

ハンガリー、フランス、スイス、ドイツ合作となったハンガリー映画の本作を配給しやはるのは、ビターズ・エンドはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸMorton Perlaki

デジタル全盛の今においては、フィルムによる映画とゆうのんは稀少となっとります。本作のハンガリーの監督タル・ベーラはんは、フィルム主義の監督はんでおまして、フィルム製作が消えゆきつつある今、本作を最後の作品にしようと標榜して作ってきはりました。

でもって、その内容は、バリバリのアート映画でおます。しかも、監督は、知識人たちとの対決らしきことをゆうてはります。見て分からない者はどうでもええなんて、ゆうてはるのに等しいんやけど、でも、果たしてそうなんやろか。

分かりにくいのんが芸術映画やありまへん。分かりやすい芸術映画こそ、百年後にも残る映画となり得る資格を、持っておるかとボクは思います。かつてのアート映画で残ってんのは、全部そおゆうタイプでおます。そして、本作はその資格を兼ね備えてはると思いました。

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さて、ストーリーとしてはどないでしょうか。時代感は19世紀の末くらいやろか。荒野にある、一軒家の農家とゆう設定や。西部劇にいっぱいあったシチュエートやけど、それらしき緊張感あるシーンも用意してはります。

大嵐がきて、農作業ができへん6日間を描かはるんどす。で、その一軒家には、年老いたオトンと娘はんの2人に、1頭の馬しかいてはりまへん。人間の日々の単調な暮らしを描くといえばそうなんやけど、マトモ系の「裸の島」(1960年製作・日本映画)やらとの大違いは、かなり異質な生活ぶりを披露しはるとこどすか。

ジャガイモを素手で食べる食卓シーンの異様なカンジ、オトンの衣服の着替えを全部娘にやらせ、窓辺に座って何やら外の様子を見てはるシーンの頻出とか、焼酎を買いに来る哲学的なワケ分からへんおっさんの存在とか、馬でさえもヘンな具合どすえー。

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5分以上の長回し撮影が、当たり前のように多投されよります。画面がジリジリ動くような、ギリシャのテオ・アンゲロプロス監督的な撮り方や、固定撮影による長回しはありまへん。カメラが動いて撮ってるか、人物やらに動きのあるカットによる撮影が多いどす。

ほんで、省略カットを極度に排除してはります。例えば、家に戻ってきて、荷車から荷物を1つずつ家内に運ぶのんを、省略なしでやったりしてはります。人間の単調な日々の行動を意図的に映してゆく、こうしたシークエンスは退屈でスロー・テンポに見えながらも、じんわりとココロに残る映像力を持っておます。

バイオリン、チェロにエレクトーンを加えた、同じメロディーを淡々と流してゆくサントラも、効果的や。そして、スローでじっくりの対比として、風の音をしょっちゅう流してはりまして、ある種パニック映画以上のしつこさがござりました。

父娘のキズナを描くナンチュー、単純な帰結やありまへん。驚きもって見て、見たあとじっくり何かを考えて、自分なりの解釈に浸ってもらいたい1本でおますえ。

2012年4月 8日 (日)

アクション&ミステリー映画の香港・中国合作「捜査官X」やー

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金城武クンとドニー・イェンのアニキの初共演映画でおます

ミステリーもアクションも、変形をキモにしてはりまっせー

http://www.sousakan-x.com/

4月21日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 We Pictures Ltd. Stellar Mega Films Co., Ltd. All Rights Reserved.

本作がミステリー重視かアクション重視かと申しますれば、アクションにウエイトが掛かっとるやろけど、共に変形タイプを意図的に作ってきてはります。

「ラヴソング」(1996年製作・香港映画)とゆう恋愛映画が、個人的にはメッチャ好きなピーター・チャン監督が、武・金城クンとタッグを組まはった第3弾どす。

金城クンのイメージてゆうたら、そないにアクション向きやおまへん。本作では、香港アクション俳優バリバリのドニー・イェンのアニキとの初共演なんやけど、「レッドクリフ」(2008年)なんかと同様に、あくまで活劇の脇で傍観してるっぽいタイプの役柄でおます。

そやから、探偵役どす。けども、その推理の在り方は相当変わっとります。シャーロック・ホームズやら金田一耕介やらを一部想定してはるようやけど、CGで脳内から体内を見せてゆくノリで推理をしたり、検証シーンでのシミュレート・シーンなど、異質で異能の探偵ぶりを披露しはります。

まあ、これまでのマットーなミステリーでの探偵像とは、一癖も二癖も違っておます。容疑者家族の4人と聴取がてら一緒に夕食を食べ、勝手に2階へ行って宿泊したり、不死身性を見るために、ドニー・イェンをカマで殴ってみはったり…。ほんで、針を打って、情を出してナンチュー捜査心構えの在り方とか、おいおい、なんじゃコラーでおますよ。

片や、ドニー・イェン始め、香港アクションのルーツとなるショウ・ブラザーズ(ショウブラ)社からキャリアを始めてはる、ジミー・ウォングはんやクララ・ウェイのネーさんの、渾身のカンフー・アクションぶりに、痺れるような作りになっとります。ただ、アクション部も推理ミステリー部の変形型に合わせはったんか、ユニークなアクト・シーンがござります。

強盗2人との闘わずして相手を倒す、ドニーはんの応戦シーンやら、ドニーとクララの家屋の屋根を追逃走し、牛たちに囲まれての牛舎でのバーサスやら。ツボを押すだけで、神経を切らせて死亡させられるなんてワザは、中国ならではでおましょうか。ショウブラの傑作「片腕ドラゴン」(1972年)なんかへの、オマージュ・シーンもござります。

一方で、ドニーの妻役のタン・ウェイのネーさんの、アクト・シーンと相反するしっとりとした演技にも、目立ちまへんけども注目どす。「ラスト、コーション」(2007年)のエロエロ度とは真逆の演技に、ウーン、シブうおましたえ。

とにもかくにも、香港・中国アクションの新しどころを打ち出さはった快作どした。

2012年4月 7日 (土)

アニメ映画・シリーズ第20弾「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」

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コドモたちがメッチャ楽しめる、仕上がりになっとりまっせー

宇宙へ行くSF系アクションも、「ドラえもん」とおんなじくらいのテンションあり!でおますよ

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http://www.shinchan-movie.com/

4月14日サタデーから、東宝はんの配給で、全国各地イッセーのロードショーやー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2012

テレビでもやってるけど、映画版シリーズとしては、20作目とゆう節目をば迎えはります。今回は、しんちゃん家族一同が宇宙へと、向かわせはるような設定になっとりますが、家族ドラマとしての作り方としては、オーソドックスなカンジを維持してはります。

テレビの「サザエさん」やら、テレビと映画シリーズのある「ドラえもん」やら、ジャパ二メーションとかスタジオジブリも含めまして、この家族ドラマ性とゆうのんは、日本のアニメとしては、どないあっても欠かせないポイントとなっとるように思います。

それだけやありまへん。コドモたちにはどうなんかとゆうのんが今、一方にござります。この種の映画は、親が幼いコドモを連れて見に行くとゆうのんが、メインの観客層となっとります。若き男女がデートムービーとして見にゆくようなケースは、ほとんどありまへん。

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大ヒットしてきた「ドラえもん」を始め、「ポケモン」もおんなじどす。特撮系の「仮面ライダー」やらも、オトン世代の嗜好によって、ファミリー映画として見にゆくことが多いそうでおます。なんか凄くもったいないなー、なキモチもボク的にはカンジよりました。

でも、ゴリゴリの映画ファンがたった1人で、映画に向き合うんや! のノリで見にゆかはる場合には、さすがに勧められへんけども、本作は親だけが真剣に見てはって、コドモたちは映画館のその辺で、映画も見んとはしゃいでるような光景は、できるだけ少ないような作りになったんやないかなと、ボクは思います。

コドモ視点でゆうと、中味は分かりにくいかもしれへんけど、スクリーンに集中できよるメッチャ楽しいとこがあります。

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地球とヒマワリ星が兄弟関係にあり、ヒマワリ星が、ヒマ=暇パワーな癒しのユルユル・パワーを地球に送ってはり、ほんでもって、地球はギスギスすることなく平和な状態を保ってたんやけど、ここにきてヒマ・パワーのユルユルがパワー・ダウンし、地球もヒマワリ星も共倒れしそうや。そこで、採ったひまわり星人の大臣たちの選択とは? 

宇宙人たちは全く敵対的やなく、バーサスっぽいもんはほとんどありまへん。でも、作りには、対抗的なポイントをユルユル系で描いてゆくとゆう、これまでの映画にはあり得なかったような流れがありました。しんちゃん自身がオトボケ感で敵やらと向かい合うってゆうのんが、おいおいなんやけど、コレはいつも通りでおます。

色使いは薄色系を主にしながらも、原色系はそれほど目立たへんけど、オレンジ、ピンクの使い方が印象的やったように思いよります。しんちゃんの“不倫ご夫婦”などのセリフなんぞも、楽しませてくれはりました。

モチ、家族みんなで見に行って、鑑賞後にもみんなで、イロイロワイワイガヤガヤと、会話できよる作品どすえ~。

2012年4月 6日 (金)

日本映画の家族映画の傑作「わが母の記」どす

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昭和映画の宝庫1960年代を、ポイントにしはった1本でおます

オバン樹木希林はん、オトン役所広司のアニキ、マゴ娘・宮崎あおいのネーさんの、3世代家族ドラマどすえ~

http://www.wagahaha.jp/

エイプリル4月28日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「わが母の記」製作委員会

松竹はんの家族映画とゆうのんは、今や世界に誇るブランドになっとります。近作でも、夫妻ものやった「おくりびと」(2008年製作)があるし、ほんでもって、本作もモントリオール世界映画祭で、審査員特別グランプリをばもらわはりました。

世界的に評価の高い小津安二郎監督作品を始め、木下恵介、山田洋次と綿々と続く家族映画の系譜は、世界にも例を見ない質量を備えておます、ファクトリー映画でおましょう。

でもって、本作どすが、1960年代をメインにしもって、1959年から1973年頃までを、3世代の家族ドラマとして紡がれた作品どすえ。

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昭和映画のフレーズがかしましゅうなったんは、21世紀に入ってからどすけども、昭和映画としてのノリとしても本作は、大きな見どころを持ってはります。

「ALWAYS 三丁目の夕日」(第1弾は2005年)なんかは、1950年代設定からシリーズを始めてはりますが、高度成長時代と学生運動と東京オリンピックが象徴的やった1960年代とゆうのんは、ある意味で昭和映画の、昭和らしさを示せるという意味でも、昭和映画の宝庫のようになっとります。

しかも、昭和の流行作家やった井上靖はんの、家族のことが話のベースになっとります。小説が原作なんやけど、実話に近い話として作られておます。

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本作は原田眞人監督作品どすが、昭和映画は「突入せよ!『あさま山荘』事件」(2002年)はあるけど、本格的な家族映画は初めてでおましょう。

でも、監督とは何度も仕事をしてはる役所広司のアニキが、見事な柔軟性ある演技で、娘役の宮崎あおいネーさんやら、オカンの樹木希林はんと絡んでゆかはります。

希林はんが徐々にボケてゆかはるプロセス演技やらの緻密さ、対して、自然体的な演技性に、任せてはるような宮崎あおいネーにも、好感を覚えよりました。

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過去のシーンを大げさにカットバックせずに、当時を現在形にした関係描写をメインに見せてゆく手法は、リアルタイム性を重視するという意味においては、正解やったと思います。

母子のコドモ時代のことを、お涙チョーダイ節に描く方がエエんかもしれへんけど、沼津の海辺で主人公がオカンを背負う、写真1枚目・2枚目のシーンなど、ベタには泣かれへんけど、ほほえましいカンジになっとります。そのあたりは、木下恵介監督の「楢山節考」(1958年)やらの、母子ショットの泣きとは違っております。

希林はんと役所アニキの、母子の話し合いシーンは、いくつもあるけど、仕舞いの方になるにつれて、静かな演出ながらも感動のテンションが高まってまいります。

ハデやないオーソドックスな昭和の家族ドラマのようやけども、でも、しみじみとココロにくる作りは、やはり絶品でおました。ゴールデンウイークに家族一同で見に行く映画としても、オススメしたい1本でおますえ~。

2012年4月 5日 (木)

イラン映画初のアカデミー賞外国語映画賞ゲットの「別離」どすえ

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同じ監督の「彼女が消えた浜辺」に続き、サスペンス&スリリングなドラマ展開に目がクギ付けやがなー

2組の家族の対立構図は、やがてエライことになってきよります

http://www.betsuri.com/

4月14日サタデーから大阪・梅田ガーデンシネマ、4月28日から京都シネマ、5月5日から神戸元町映画館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

 本作を配給しやはるのは、マジックアワーはんとドマはんどすえ。

 文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 Asghar Farhadi

イラン映画はこれまでに、多数のケッサクが作られてきたと思うんやけど、本作がオスカー史上初の、イラン映画の外国語映画賞ゲットとなりました。

歴史を振り返りますとでんな、圧倒的にヨーロッパ映画が強く、日本でさえも2009年の「おくりびと」(2008年製作・日本映画)が、初やったとゆうことになっとりました。

その理由をチョイ分析しよりますと、世界3大国際映画祭カンヌ・ヴェネチア・ベルリンの主催国が全てユーロ大国であり、そこへアメリカ作品も出品されとりまして、相互融和みたいな関係を築いてはる点が挙げられるんやないやろか。

しかも、ユーロ作品以外では、その3大映画祭である程度の評価を得てる作品に、焦点が当てられとるようにも思います。「おくりびと」はそうやなかったけど、アニメ賞をもろた「千と千尋の神隠し」(2001年・日本)などは、ベルリンで金獅子賞(最優秀作品賞)を前もってもろてはりましたしね。

ほんでもって、本作なんやけど、何とまあー、前年のベルリンで史上初の主要3部門を独占した上に、部門賞含め計5冠に輝いてはるんどす。アカデミー会員にしてみはったら、もうコレしかありまへんな、っちゅう状態やったことでおましょう。

しかも、本作は今までのイラン映画の、閉鎖的内省的なアート映画タッチとは違って、エンターテインメントなとこへと、積極的に入っていかはります。そして、「おくりびと」もそうやったけど、全世界的に分かる家族ドラマへとフォーカスしてゆく作りが、効を奏さはったんやないやろか。

冒頭から、離婚を役所に申し立てはる写真の夫妻の、ツーショットの長回し撮影から始まります。娘の将来と夫の要介護のオトンのことで、揉めた結果なんやけど、妻は実家に戻らはり、夫と娘とオジンは3人暮らしとなります。

でも、オジンのために、免許を持ってへんヘルパーおばはんを夫は雇ったんやけど、子連れにして妊娠中とゆうそのおばはんが、オジンを死なせそうなことをやらかしはります。ほんで、それに怒った夫が、つい乱暴なことをやってしまい、おばはんは流産してしまわはります。

そこへ、「失うものは何もない」なんて自慢げにゆう、ヘルパー妻の無職の夫がしゃしゃり出てきはって、殺人罪やら殺人未遂などについて、司法で争わはることになりよります。2つの家族の対立をベースに、ディスカッション、現場検証シーンやら、リーガル・サスペンスなノリが、スリリング&タイトに繰り広げられます。

アスガー・ファルハディ監督としては、本作の前作「彼女が消えた浜辺」(2009年・イラン)の、堂々巡りなサスペンス・スタイルをば継続してはります。正統派系のヒッチコック・サスペンスを、応用させて反転させるような作りが、トンデモ癖になるケッサクどしたえ~。

2012年4月 4日 (水)

ケン・ローチ監督の新作「ルート・アイリッシュ」

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ミステリー的謎解きもある、イギリス映画のイラク後遺症もんどす

主人公が友人の死の調査をしていくとゆう、硬派なハードボイルドのタッチもありま

http://www.route-irish.jp/

エイプリル4月7日サタデーから、ロングライドはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸やらで、ほんでもって、4月14日から京都シネマなどで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSixteen Films Ltd, Why Not Productions S.A., Wild Bunch S.A.,France 2 Cinema, Urania Pictures, Les Eilms du Fleuve,Tornasol Films S.A,Alta Produccion S.L.U.MMX

9・11以降に作られておます、アメリカが関わった戦争もの、もしくは戦争後ものとゆうのんは、イロイロあります。それ以前を系譜的にやってみたらでんな、アメリカ戦争映画史みたいなんが、戦争映画辞典並みにできよるような具合やけど、本作はそんな中でも、イラク戦争もののトラウマ映画ちゅうラインへフォーカスどす。

このイラクとアフガンが多いんやけど、イラクもんはアフガン以上に作られてきよりました。爆発物を取り除く危険な任務に、従事しはった主人公を描いた「ハート・ロッカー」(2009年・アメリカ)なんぞは、アカデミー賞の作品賞をもらわはったし、エンターテインメント系やらにも登場しとります。

そして、本作はイギリス映画(フランス、ベルギー、イタリア、スペインの出資も得てはる、いわゆる合作映画どす)としては初の、イラク戦争ものとゆうてもええ作品となりました。

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イギリスのケン・ローチ監督てゆうたら、いろんな戦争やら抗争やら紛争やらを、ドラマ映画としてフィルムに焼き付けてきはった方どす。イラク戦争にも果敢に挑まはりました。既に作られとるイラクものより、ミステリー度合いの高い作品になっとります。

主人公が現地へと赴かないカタチとしては、アメリカの「告発のとき」(2008年)とタッチは似とるけども、「告発のとき」が父子やったのに対し、コレは男と男の友情でおます。

主人公は、イラクの危険な道「ルート・アイリッシュ」で、わざとのように銃殺されてしもた、かつて民兵として共にイラクへ行ってた友達の、死の真相を探ろうと、まさにハードボイルドなタッチで調査へと向かわはります。但し、主人公はイギリスで保釈中の身で、パスポートを警察に取られておまして、イラク現地調査はできしまへん。

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でも、現地の古い仲間たちに調べさせはって、ネット・ライヴで報告を受けるちゅう体制を取ってはります。一方で、友人の未亡人の協力もあって一緒に調査もしはるけど、この2人の間に恋愛的な感情が発生してまいります。ラブ・ストーリー部もミステリー的な面白さに、多大なる緊張感をもたらしておます。

イギリス国内ではテレビドラマで、国民的な人気を獲得してはるらしい2人の男女役者はん、マーク・ウォーマックはんとアンドレア・ロウのネーやん。共に本作で映画初出演作らしいんやけど、そんなことを全くカンジさせへん、自然体にして堂々たる演技ぶりに魅了されよりました。

アメリカの「告発のとき」と対をなす、イギリスのイラクもの映画の快作になったと、ボクは思います。

2012年4月 3日 (火)

岡山ロケのインディーズ映画「ひかりのおと」

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地方映画では珍しい、農業映画の滋味をば採り上げはりました

地方の家族映画的ドラマ性とは何かにも、食い込んではりま

http://www.hikarinooto.jp/

4月7日の土曜日から、陽光プロジェクトはんの製作・配給によりまして、大阪のシネ・ヌーヴォでロードショー後、全国各地順グリの上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ陽光プロ

日本の地方ロケーション映画、あるいは地方発信のインディーズ作品は、日本映画の日本映画たるとこがストレートに伝わってきよります。観光色のある場合もあるけど、地方の現実っちゅうものを、映画を通して、時に鋭い視点で描かれとる作品もおます。

本作は、農業映画どす。洋画にもイロイロ名作はあるけど、日本映画に限定しても、漁業映画なんぞも含めよりましたら、ケッコーござります。米作の「遠雷」(1981年)「米」(1957年)やら、漁業の「魚影の群れ」(1983年)「故郷」(1972年)やら、最新作では、茶摘みの「種まく旅人」(今年3月9日付けで分析)などがありま。

でも、農業でも酪農はどないやろ。邦画でこの手の酪農をメインに描かはる農業映画は、ボクとしては、初めて見たんやないかなと思います。

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岡山県にロケーションしてはります。酪農って北海道やと思とったボクには、いきなりのサプライズやったどす。地方で酪農やってはる人って、いっぱいいてはるそうどす。でも、後継者不足とゆう現実があるらしいわ。

田舎な地方色を、そのまま出してはります。携帯を使うシーンは出てくるけど、21世紀の今とは思われへんようなシーンが出てきよります。田舎をただ通り過ぎるだけの、高速道路のクルマの行き交う音を効果音に、田舎の風景を点綴しもって、お話は展開しよります。

1分くらいから2分以上の長回し撮影も、時々織り込まれておますが、それらの使い方には、特に何かを狙ってはるような意図は、カンジまへんどしたけども、田舎の張りつめてへん、ゆったりとした時間の流れは、それとなくカンジました。

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1度はミュージシャンを目指して上京したけど、挫折し、実家に帰って親の跡を継いで、酪農をやってはる主人公。その主人公の友達夫婦息子1人家族やけど、夫が交通事故死してしもて、今はシングルマザーで、酪農をやめてバー経営とパートで賄ってはるヒロイン。

この2人の淡き大人のラブ・ストーリー部を紡ぎもって、一方で主人公の家族ドラマ部も静かに展開させはり、で、主人公と叔父さんの関係やらの、やや逼迫味を帯びたエピソードが入ってきよります。

12月28日から1月1日までの5日間をメインに描き、ほんでもって、元旦の日の出をみんなで見にいかはる写真3枚目のシーンやー。セピアの日の出シーンは確かに、本作の感動ポイントになるはずやったとは思います。バクハツ的に感動するためには、それまでのドラマ的流れを、もっとドラマティックにしとく必要があったやも分かりまへん。

しかし、ドキュメンタリーチックな展開でいけば、これはこれでええんかもしれまへん。但し、地方の家族のリアリティー感は、凄く感じ入った作りでおました。脚本を練り上げればもっと凄くなったはずの、非常に惜しい作品にも見えました。みなさんも、見はってイロイロ思ってくださいまし。

2012年4月 2日 (月)

変格系のミステリー映画「海燕ホテル・ブルー」

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男たちと妖しいエロ女の島もの密室劇の、破天荒な作品やでー

若松孝二監督が初期の、ピンク・アート映画のノリに回帰しはりました

http://www.wakamatsukoji.org/kaien/

4月7日の土曜日から大阪・テアトル梅田やら、4月14日の京都シネマ、4月21日の大阪・第七藝術劇場やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ若松プロダクション

みなはん、若松孝二監督はんって知ってはりまっしゃろか。最近では、「キャタピラー」(2010年製作)で、ベルリン国際映画祭で寺島しのぶネーさんを主演女優賞(銀熊賞)に導かはったりと、日本映画史に残る快作をいくつも作ってはります。

でも、1960年代から映画監督稼業をば、始めはった監督やけど、最初はピンク映画を作ってはったんどす。初期の怪作「処女ゲバゲバ」(1969年)の密室劇タッチを、現代の大島に置き換えた作りなんやけど、当時との大きな違いはネタ・ポイントでおます。

男たちを惑わす女の存在。しかし、その女は…。関連作品を出してしもたら、いっぺんにネタバレっちゅうことになりま。取り扱い注意の作品でおます。

ボク的には、1960年代~1980年代頃まで作られた、日本の低予算映画の嚆矢ATG(アート・シアター・ギルド)のセンスが、濃厚にカンジられた作品性に、懐かしいカンジを覚えた作品でおましたえ。

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一方で、みなはん、作家の船戸与一はんって知ってはりまっか。直木賞までもろてはる、日本の冒険小説の巨匠なんやけど、ハリウッド映画級のそれらの海外を舞台にしはった諸作は、日本映画としては製作資金の問題もあって、これまではなかなか映画化されはることが叶いまへんどした。

でも、本作の原作は、日本を舞台にしてはる作品でおます。低予算でも映画化が可能となりました。ほんで、ボクチンの知る限りにおいては、本作が初の船戸小説の映画化作品なんやないやろかな。

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ストーリー的なとこを申しあげよりますと…。現金輸送車襲撃を3人でやろうとしたけど、首謀者の1人は女と共に決行前に逃亡。仕方なしに2人でやったけど、1人は襲撃後に逃げてしまい、結局、写真2枚目に写ってはる主人公だけが罪をかぶって7年の刑に服しはります。服役中に、写真1枚目の真ん中に写ってはる井浦新(旧芸名はARATAはんどす)のアニキと知り合いになり、出所したら裏切り者の2人に、落とし前をつけてもらおうやんけ、と誓わはるんでおます。

ほんでもって、映画の冒頭は、北国の刑務所から、主人公が出てきはるシーンから始まります。その一方で、一緒に逃げたとゆう魔性の女のロングショット・シーンが、モンタージュされよります。

この女(片山瞳ちゅう無名の方が演じてはります)は、メッチャエロかったどす。紫の傘を持っての白のワンピース姿、ダークパープルな夜のプールで、ハダカで泳いだり、ハダカで走ったり、タバコを店の窓辺の席で、吸い続けて喋らはりまへん。セリフは「殺して」と「愚かな男たちよ」の2つだけや。さらに、シンセの耳鳴りのようなサントラ使いも、この女のミステリアス度を高めよります。

男たちのケジメ付けのハードボイルド感覚の方向性が、女によってシュールな方向へと反転するカンジが秀逸どす。

さて、若松監督&井浦新コンビによる新作「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」(6月2日公開・後日分析いたします)は、本作とは真逆のような、シリアスで重たい作りになっとります。本作では、若松監督流儀のソフト系をお楽しみくだされ。

2012年4月 1日 (日)

地方ロケ造形アニメの会心作「ももへの手紙」

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ジブリや「サマーウォーズ」「時をかける少女」より、薄色配色の水彩画タッチがシブいねん

少女ヒロイン・アニメに、またもユニークな快作が出現どすえ

http://www.momo-letter.jp/

エイプリル4月21日サタデーから、角川映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、アポロシネマ8やら、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸やらで上映しはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012「ももへの手紙」製作委員会

突然やけど、ヒロイン・アニメのマイベスト・カルトスリーをば披露させてもらいまっさ。

●ベスト⇒①千と千尋の神隠し(2001年製作)②もののけ姫(1997年)③シンデレラ(1950年・アメリカ映画)③風の谷のナウシカ(1984年)●カルト⇒①本作②時をかける少女(2006年)③アナスタシア(1997年・アメリカ)

カルトとベストの境目はビミョーやけど、いずれにいたしましても、洋画アニメよりもジャパニーズ・アニメの方が、ケッサクが多いと思いよりました。まあ、個人的な感想やけど。

ほんで、そんな中でも、スタジオジブリ作品が圧倒的に、ヒロイン・アニメのケッサクの宝庫やとは思います。けども、本作みたいに、時々ハッとさせてくれはる快作が、登場したりしよりますんで、要注意なんどすえ。

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本作は、映画だけやないアニメ業界では、今やトレンドになりつつある、地方ロケを造形したアニメでおます。場所は瀬戸内海の汐島や。

いつの時代の話なのかは特定してはりませんが、携帯やパソコンが出てこないとこや、パナソニックがナショナルの看板になってたり、前川清の「噂の女」がテレビから流れるあたりから、どうやら昭和の時代らしいカンジやろけど、どうやろかな。

ほんで、そんな時代感やとか地方色を示すためやろか、色合いは薄色配色でおます。スタジオジブリやら、細田守監督作「サマーウォーズ」(2009年)「時をかける少女」やらの明度の高い配色とは違いまして、水彩画のタッチでいってはるんどす。

でもって、少女ヒロインもんなんやけど、妖怪たちと交流するナンチューノリは、まさにベスト①をメッチャ意識してはります。

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妖怪が現れるまでは静かな作りどす。それに、冒頭から30分くらいまでは、少女はほとんど喋らはりません。このイントロ部は、やがて賑やかになっていきよる少女と妖怪の交流への、動と静の対比効果を持っておます。そやから、クライマックスのダイナミズムが生きてくるんどすえ。

妖怪たちの造形ぶりも、ベスト①やらとは違っておます。日本の古(いにしえ)にいたとゆう妖怪を、基本にしてはるのんは一緒なんやけど、こっちはメッチャ人間臭いキャラになっとります。そして、父母娘のキズナへと着地するのんは、感動的でおましたえ。

ところで、アニメの声優てゆうたら、あんまし目立ちまへんけども、でも、声優陣のガンバリにも注目どっせー。ヒロイン「もも」の声を担当しはった美山加恋(みやまかれん)チャン。最初は弱々しいけど、やがて元気声へとなっていくとこを絶妙に演じてはります。「もも」のオカンの声役の優香ネーさんに加え、「釣りバカ日誌」のハマちゃんを思い出させてくれはる、妖怪役・西田敏行はんの声もエエカンジどした。

ラストロールで流れる、何やら郷愁感をいざなうような、原由子ハラボーのネーさんの、ピアノ・バラード「ウルワシマホロバ ~美しき場所~」が余韻を深めま。

とゆうことで、家族みなはんで、ゴールデンウイークやらに、ぜひ見に行っておくんなまし。

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