シリーズ第3弾「SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」やー
ジャパニーズ・ヒップホップ系ムービーでも、音楽に合わせた映画性でやらはりました
ヤケクソ感ある主人公の生き方は、「勝手にしやがれ」なんぞへとつながりよります
5月5日のジャパニーズ・チャイルド・ホリデー・サタデーから、SPOTTED PRODUCTIONSはんのディストリビュートによりまして、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順グリのロードショーでおます。
文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹
Ⓒ2012「SR3」製作委員会
ヒップホップちゅうのんは、かつては日本にはない音楽ジャンルでおました。1980年代頃に、アメリカの黒人たちのココロの暴発的衝動から、コトバ(ライム)を紡ぎ出すラップとゆうスタイルから始まっとります。ランDMCなんぞはビルボードの1位になって、そのジャンルをメイン・ストリームへと押し上げはりました。
でも、日本では、黒人ほどの内的衝動がなく、どちらかとゆうたら、メロディの限界を感じたポピュラー音楽界で、リズムとラップで適当にやってまうとゆうカンジやったんやけど、キングコングやDragon Ashの登場でガラリと変わったように思います。
いわゆるライムの持つ不良性を打ち出し、日本の若者たちの心情を伝える表現音楽として、日本にも定着することと相なりました。その後、ケツメイシが大ヒットで続き、最近ではキマグレンなんぞがヒットしておます。
そんな中で、本作で主演格として登場しはるメイン・チームは、埼玉県のヒップホップ・ラッパー・チームの「SHO-GUNG」(ショウグン)どす。
今やヒップホップ・チームはアマチュアまでゆうたら、そら、日本にはウジャウジャおります。
いわゆる音楽の3大要素(メロディ・リズム・ハーモニー)でゆうたらでんな、ヒップホップはリズムだけ。しかも、楽器が弾けなくても、歌唱力がなくても、自己流の踊りと歌詞内容で、誰にでもできそうなカンジがあるからやけど、でも、やはり、ポイントとなるんはライムどす。
何を伝えたいのか。でもって、伝えたいことの勢いやらパワーやらでおましょう。ほんで、本作はなんやしらんワケ分からへんけども、その熱気がビビーンと、伝わってきよる作品でおました。
埼玉の3人チームやったんやけど、メイン・ラッパーの奥野瑛太クンが1人出てひと旗あげようかと上京。けども、ヒップホップ争いで先輩ラッパーをボコボコにし、恋人と共に栃木へと逃げはります。ほんでもって、そこでもエライことになるっちゅう展開でおます。
この主人公のヤケクソ感は特注もんどすえ。まあ、大げさかもしれへんけど、ヌーヴェル・ヴァーグの名作「勝手にしやがれ」(1959年製作・フランス映画)のジャン・ポール・ベルモンドか、日本なら「青春の殺人者」(1976年・日本)の水谷豊かっちゅうカンジを出してはります。
2分、3分の長回しを皮切りに、クライマックスは15分のワンカット、ラストの拘置所面会シーンも9分ワンカットなど、シリーズ3作をずーっと監督してはる入江悠監督のアニキの、映画撮影的こだわりにも注目ポイントがありまっせー。
これらの長回しの多用は、ヒップホップ的なリズムを、構築するためやろかと思います。ヒップホップのある種ルーズな感覚を映画に移植するのは、かなり難しいワザやろけど、それを達成しはった稀有なシリーズでおましょう。
アメリカにも傑作はそれなりにあるんやけども、本作は日本のヒップホップ音楽ドラマ映画の、金字塔とも言える傑作どすえ~。
« 中国・香港合作「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」 | トップページ | 「映画『紙兎ロペ』 つか、夏休みラスイチってマジっすか?!」 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「日本列島生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た!」(2023.01.31)
- 「ジャンルだけロマンス」「パラム パラム パラム」⇒韓国映画・恋愛映画編(2023.01.27)
- 「あつい胸さわぎ」⇒最新日本映画傑作選(2023.01.26)
- 「Cinem@rt韓国アニメセレクション」⇒韓国映画・アニメ編2(2023.01.24)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: シリーズ第3弾「SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」やー:
» 恐ろしく、鳥肌が立ち、そして素晴らしい映画 「SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」 [炎の水と天使カシエル]
先日、「SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」を鑑賞してきた。昨年、このシリーズをDVDで1・2を鑑賞している。物凄く、感動しはまってしまったシリーズ。今までのシリーズの魅力は、地方都市≒中途半端な田舎での若者たちのくすぶり、絶望と孤独をひとつ引い...... [続きを読む]
« 中国・香港合作「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」 | トップページ | 「映画『紙兎ロペ』 つか、夏休みラスイチってマジっすか?!」 »
コメント