無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


« 2012年2月 | トップページ | 2012年4月 »

2012年3月の記事

2012年3月31日 (土)

アーティストCocco初主演のドラマ映画「KOTOKO」やー

Photo

相当ヘンな不条理系のヒロイン映画でおますえー

限界ギリギリの心理的臨界点までいかはった、ミラクル怪演技ぶりどす

1

http://www.kotoko-movie.com/

エイプリル4月7日のサタデーから、マコトヤはんの配給によりまして、東京・テアトル新宿、大阪のシネ・リーブル梅田やらでロードショーでおます。その後、4月14日シネ・リーブル神戸、4月21日に京都シネマやら、全国順グリの上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

3

Ⓒ2011 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

涙を流しもって歌い上げる、激情型シンガー・ソングライターとして、キャリアを始めはった、あのCocco(こっこ)のネーさんが、映画に初主演しはりました。是枝裕和監督のツアー・ドキュメンタリー映画にも出はりましたけども、これは女優はんとしては、メッチャマジで本気バリバリなんどす。

しかも、本人が原案を考えはったそうでおます。歌手アーティストが主演しはる映画は、これまでに多数作られてまいりましたが、これほど常軌を逸したカタチでの、ミラクル怪演技ぶりを披露しはったアーティストはまあ、いてはらへんでしょうな。

その演技ぶりゆえにでんな、かつてない異能の不条理型ヒロイン・ムービーが、ココに誕生したんでおますよ。見てると、こっちが気が狂いそうになるくらい、刺激的なんどすわ。

4
2つの世界が見えよる、妄想型のヒロイン。このイントロから、「ドッペルゲンガー」(2002年製作・日本映画)まがいの狂気を孕んどります。

ある日、男がいてへんのに処女懐胎チックに、突然男の赤ちゃんのオカンにならはります。でも、赤ん坊が泣き続けるために、虐待してると見なされて、オキナワの実家に引き取られてしまわはります。

リストカット症候群な自傷行為をしたり、言い寄る男にはサディスティックに痛めつけたり、ほんで、輪っかを出し続けてタバコを、けだるげに吸ったりと、もうどうにも不健康にしてメチャメチャな、自堕落な生活ぶりを続けはります。ヒロインのツイート・ナレーションも怪しさを増してゆきよります。

一方で、このヒロインどすが、しょっちゅう歌を歌ったり踊ったりしてはるとゆう設定どす。おいおい、一体どないな人間やねん、なんやけど、そう思わせることにこそ、本作の狙いが、確信犯的にあるようにも見えよりました。

2
本作は世界3大映画祭のヴェネチア国際映画祭の、オリゾンティ部門でグランプリをゲットしはりました。いわゆるケッサクなんやけど、でもヤッパ怪作なんどす。

塚本晋也監督作品てゆうたら、ボク的にはネジレ系のヒューマン映画にしてバイオレンス映画を、1つの得意にしてはると思てんねんけど、変形人間もヒロイン・ドラマは初めてでおましょう。ほんで、出演もしてはる塚本監督も、Coccoネーさんにボコボコにされはる、バイオレンス・シーンも出てきよります。

撮影も担当した監督やけど、Coccoネーさんの心理に合わせたような撮り方もグッドや。踊りを見せる長回し、クローズアップはモチ、窓に映る風景とオーバーラップさせるように見せはったり、何が何やら分からない、拉致されてるようなゴタゴタの幻想カット、揺れまくる手持ちカメラ撮影のシーンやら、多彩にやってはります。

サイコチックなヒロインの、何とも言われへんニュー・ドラマに、頭をガツンとやられる作品どすえー。ココロして見ておくんなはれ。

2012年3月30日 (金)

TBSのテレビドラマの劇場版「SPEC~天~」でおます

Photo
トンデモ近未来SF刑事ミステリー・アクション+ユーモア入りやなんて、どうかしてるでー、この映画

戸田恵梨香ちゃんと加瀬亮のアニキが、ハチャメチャ男女相棒刑事コンビをばやってはりま

http://www.spec-movie.jp/

エイプリル4月7日のサタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

2_2
Ⓒ2012「SPEC~天~」製作委員会

本作は今や当たり前のようにヤラレておます、テレビドラマの劇場版でおます。

ワンクール連続ドラマを経て、この春には“起承転結”を文字った“承”の“翔”がスペシャル版としてテレビでオンエア(4月1日の午後9時半かららしいどす)されまして、ほんでもって、“転”の“天”となる本作の映画版が、公開されるっちゅう段取りなんやけど…。

実はボクチン、地上波の再放送もやってたし「TBSオンデマンド」などでも見られるんやけど、あえて見てまへん。そもそもこの弊ブログは、映画について語るもんなんで、劇場版だけを試写で見た場合、どんな風に論評できるんかを試してみよりました。

確かに、テレビを見てへんと分からないようなとこはござりました。しかし、ドラマ・テンションのイケイケのノリがド・ドドドーンと続くことで、こちとらズーッと押されっぱなしでおます。

とにかく、作りがハチャメチャ。リアリティー・ゼロ・パーセント。なんやねん、これは!っちゅう、アリエネー系が次々にやってきよります。「トリック」(第1弾は2002年製作)シリーズ以上にハジケまくりの、堤幸彦監督のトンデモ遊びゴコロに、圧倒されまくりなんやわー、コレが。

1_2
どこにでもいてそうにない、モノゴッツーなキャラクターが揃い踏みしてはります。

刑事たちと、進化した超能力者的スーパー人間たちの、トンデモ仁義なき戦いが繰り広げられよるんどすが、片腕女刑事の戸田恵梨香ちゃんと、まあ、一番マットウに見えよる加瀬亮のアニキが、刑事側の相棒でおます。

そこへ、死んでも何度も蘇える刑事役・椎名桔平のアニキやら、間違った日本語を喋らはる刑事役・栗山千明ちゃんやらが出てきはります。恵梨香ちゃんが「キル・ビル」(2003年・アメリカ映画)なんて、呼びかけたりもしはりまっせ。

対して、悪のエスパー側は、恵梨香ちゃんの弟役の神木隆之介クンを筆頭に、伊藤淳史のアニキが本人役で登場しはり、VFXを使ったなんじゃこらーな、ワザを見せはります。

さらに、インパクトがキョーレツなんは、浅野ゆう子ネーさんどす。凍りつかせワザと炎ワザの相反するワザを、大マジで披露しはるシーンなんか、驚きを超えて呆れ返ってしもた、超絶シークエンスどしたえ。

3
海上での宴会客船全員ミイラ化密室死亡事件が、本作の事件の始まりでおますが、映画的にゾクゾクするカットがテンコ盛りどす。

事件を2人が調べる時の、かげろうを配した、ユニークな酷暑のユラギ映像。

恵梨香ちゃんのシーンで、いろんなフラッシュ映像を畳み掛けて謎めかせるカットやら、写真3枚目にあるような、雲がわだかまる空を取り込んだ屋上での、2人の銃撃のやりとり。「インファナル・アフェア」(2002年・香港)や、そのリメイク版「ディパーテッド」(2008年・アメリカ)などを思い出させよります。

「マトリックス」(1999年・アメリカ)を意識しはったようなスローモー・アクションやら、流しそうめんならぬ、流しギョーザ・シーンでのロボットの造形なんかは「スター・ウォーズ」(第1弾は1977年・アメリカ)やろかな。

何はともあれ、とにかく、トンデモない作品でおます。起承転結の“結”は、ぜひとも映画版で作っておくんなまし。

2012年3月29日 (木)

実験的ミステリー「刑事ベラミー」やー

Photo
ヒッチコック的サスペンスを、裏返しにしはったような、不思議快感のフランス映画どす

ホームレス殺人と、刑事の心理的重圧が複雑に絡み合いますでー

http://www.eiganokuni.com/meisaku5-france

4月21日の土曜日から5週間にわたり、東京・渋谷の【シアター】イメージフォーラムにて、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、6月以降に、大阪・第七藝術劇場やらで上映どす。

日本初上陸の本作をば配給しやはるのは、紀伊國屋書店はんとマーメイドフィルムはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1

ⒸMoune Jamet

フランス映画の未公開傑作選として、「ある秘密」「三重スパイ」(共に後日、分析いたします)と共に、公開される作品どす。3作共に、ミステリー&サスペンス・スパイスが、メイン・ソースになっとる作品でおます。

本作の映画的ポインツをゆうたら、まずは、クロード・シャブロル監督はんの遺作。ほんで、ジェラール・ドパルデューはんが、監督作品に初めて出はったことでおましょうか。

ゴリゴリの映画ファンやない方向けに言いよりますと、監督はフランス映画史上における大事件「ヌーヴェル・ヴァーグ」(簡単にゆうたら、それまでにない新しい映画潮流)的作品系列の「いとこ同志」(1959年製作)で有名にならはり、その後、ヒッチコック的サスペンスを裏返しにしはったような作品を、いくつも作ってきはった監督どす。

でもって、ドパルデューはんはハリウッドにも進出してはる、フランス男優の大御所的存在や~。ミステリーチックな作品にもいくつも出てはります。

2
そやから、この2人の最初にして最後となったコラボレート作品は、間違いなくミステリー映画として絶対ケッサクになるやろなと、ボクは思っておりました。

ところがどっこい、ボクの期待とは違って、変形ミステリーにして実験的とも取れる、不思議な作品になっとったんどすえ。

刑事役ドパルデューはんが、妻と共に休暇を楽しんでる最中に、人を殺したとゆう男が訪ねてきよりまして、ほんで刑事は否応ことなしに捜査しはるんやけど、それがホームレス殺人へと繋がってまいります。ホームレスを利用した事件てゆうたら、日本では「容疑者Xの献身」(2008年)が有名やけど、本作は刑事側のスキャンダルやらを取り込んで、ある意味では複雑系にしてはります。

3
一方で、主人公の刑事には、腹違いの弟はんがいてはりまして、彼が刑事夫妻のとこにやって来て同居しはります。この弟はんとの絡みが、今一つのミステリーとして、展開するっちゅうような構図でおます。

殺人事件と弟との2つの話が、どのようにシンクロナイズしていくんかが、ドラマとしての焦点となってきよります。正直に申し述べますとでんな、かなり違和感をカンジさせはるミステリーでおました。

ナゾは全て解決するんやけど、裁判劇での荒唐無稽とも言えよる弁護士の弁護ぶりやとか、「アガサ・クリスティの世界はもうないわ」なんかのセリフやら、ところどころで変形ミステリー色が見え隠れしとります。

群青色の海のシーンから始まり、海のシーンで終わるんやけど、この取って付けたような結末はどないなんか、みなはんの意見を聞いてみたいわ。シュールレアリスティックなミステリーなんて、そんなんがあったら、コレはまさにソレなんやないやろか。

天国にいてはるシャブロル監督に、その意図をぜひともインタビューしてみたいと思いよりました。ホンマ、ケッタイやけど、何回も見て、ナゾを何回も探りたくなる作品どしたえ~。

2012年3月28日 (水)

台湾映画のシブ~い感動作「父の初七日」どす

Photo
7日間にわたる台湾式お葬式を、静謐「おくりびと」とは真逆の、ワイワイガヤガヤ系で描かはったケッサクやー

多彩な大衆音楽とイエロー・グリーンな色使いの、妙味に魅かれよりまっせ

http://www.shonanoka.com/

弥生3月31日土曜日から、太秦はんの配給によりまして、大阪・梅田ガーデンシネマやらでロードショーでおます。その後、4月7日からシネ・リーブル神戸、以降、京都シネマやらで全国順グリの上映どす。

Ⓒ2010 Magnifique Creative Media Production Ltd. Co. ALL rights reserved

日本をはじめ世界各国では、低予算によるインディーズ作品が、それこそいっぱい作られておます。そんな中に、時おりメッチャええカンジの作品があるんどすえ。

日本で公開されることなく、ビデオ化もなく、ボクチンらの目に触れることなく、消えてゆくような作品が多いんやけど、本作の台湾映画は、なんとか日本公開されよります。

いやあー、感じ入りましたで~。ペーソスな笑かすことをベースにしながら、遊びゴコロあふれるカットも挿入しもって、泣かそうという意図があるわけやないのに、ココに、胸に、自然なカンジで感動がきよります。例えば、コレは日本なら山田洋次監督的な話の作り方やろと思います。

オトンが死んでしもて、肉親の兄妹がお葬式をするんやけど、親戚縁者の多い台湾では、コレが何とも大層な台湾式葬式をやらなあかんことになり…。日本式の「お葬式」(1984年製作・日本映画)と比べてみても、オモロイかもしれまへん。

1
叔父と従弟が道士と助手で、葬式を執り仕切らはります。まあ、日本的には「おくりびと」(2008年・日本)のような役割もあるんやろけど、道教方式によりまして、占いによって7日間にわたる葬儀が決められよります。

台湾式の葬式なんやけど、コレが歌えや踊れやのメッチャにぎやかな7日間が、展開するっちゅうことになっとります。京劇のような踊り、鼓笛隊による演奏、中華ポップスのカラオケ披露、宴会でのドンチャン騒ぎやらが、終わりなき祭りのように続きます。

ハリー・ベラフォンテはんの大仰なポップス・ナンバーを流しもって、ストーリーは始まりますが、多彩な大衆音楽を要所要所で流して、映画リズムを作ってゆかはります。

お遊びシーンも頻出しよるんやけど、道士の叔父のかつての三角関係を映すシーンでは、「キル・ビルVol.1」(2003年・アメリカ)でも使われた、梶芽衣子ネーさんの「恨み節」が流れてアラマ・ポテチン(嗚呼、吃驚)どしたえ。

2
いろんなシーンの配色に、これまでの映画にはなかったような、色使いでいってはったのにも、ビックラこきましたでおます。写真一番上はイエロー、真ん中は薄ブルー、一番下はセピア。ほかには朱色やらイエロー・グリーンやら。特に、イエローな色使いにオリジナリティーがござりました。

あたふたワイワイガヤガヤと、駆け抜けるようなお祭り映画のノリやけども、キズナ描写の感動シーンも、押しつけがましくなく作られておます。それがあとでジンワリときよるんどすわ、コレが。

妹役のヒロイン、ワン・リーウェンちゃんが、差し替えられたオトンの遺影を、バイクに乗って持って帰るシーンでは、水色トーンで描かれるオトンとの、過去のエピソードに想いを馳せたり…。航空機内でタバコの煙が、充満していくラストシーンなどが、シブ~おましたえ。

久々に見た感動的な、台湾映画のケッサク印どした。

2012年3月27日 (火)

完全ワンマンの韓国映画「アリラン」

Photo
キム・ギドク監督がなんもかも、ゼェーンブやってもうた映画どすえー

映画史上初の、映画監督のキモチを吐露する1人芝居やでー

http://www.arirang-arirang.jp/

3月31日の弥生の最終土曜日から、クレストインターナショナルはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田でロードショー後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらで順グリの上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 KIM Ki-duk Film production.

キム・ギドク監督はんてゆうたら、本国韓国よりも世界、特にヨーロッパで評価の高い監督はんでおます。

世界3大国際映画祭の全てで、なんか賞をもろてはります。リベンジ劇「サマリア」(2004年製作)ではベルリンで監督賞を、異質な不倫愛「うつせみ」(2004年)ではヴェネチアで監督賞を、ほんでもって、本作では、2011年のカンヌで“<ある視点>部門 最優秀作品賞”ナンチュー裏ベストともいえる賞をば獲らはりました。

はっきりゆうて、低予算のインディーズ作品を、撮り続けてはる監督はんでおます。キネマ旬報で唯一洋画年間ベストテンに入った「春夏秋冬そして春」(2003年)のシーンは、本作では監督がDVDで見て男泣きしはるシーンで出てまいりますが、アメリカではヒットした作品らしいどす。その作品では監督が主演してはりまして、本作のワンマン・ドキュ・ドラマ性とも通じてくるんでおますよ。

監督はオダギリ ジョーが主演した、ゴースト恋愛映画「悲夢(ヒム)」(2008年)でのあるエピソードで、映画を撮るんが怖くなったとゆうてはります。オダギリのお相手役女優はんイ・ナヨンちゃんの首吊りシーンで、ナヨンちゃんがホンマに死にかけたことにショックを覚えはったそうどす。

以来、田舎に引き籠もり、1匹のネコと共に隠遁生活をば始めはったんでおます。本作は、その様子を事細かに伝えるとゆう、ドキュメンタリーのタッチで展開しはります。映画監督を描く映画や、人間の孤独観を描く映画はイロイロござりますが、映画監督のイロンなキモチを吐露する1人芝居的なスタイルは、おそらく映画史上初めてでおましょう。

しかも、脚本・主演・製作・撮影・録音・編集・音響・美術など、ゼェーンブ自分1人でやってはります。広くアーティストを描くドキュやドラマでも、こんなんありまへん。確かに資金のない状況で撮るには、この方法がイチバンヤーやったんかもしれまへんけども、映画製作にまつわるイロンな制約やプレッシャーを受けずに、フリーキーに撮れる点が大きな強みやと言えよります。

サントラは流れず、物を食うシーンやら、サイレントな田舎暮らしの淡々とした描写が続く中で、ポイントポイントでググッとくる押しの演技・演出ぶりをば見せはります。

韓国の名曲「アリラン」を3度にわたりアカペラで披露し、監督が歌いながら泣かはるシーン。影を巧妙に使って、1人2役設定で自問自答するシーン。でもって、クライマックスでは、インディーズ映画ならではの銃撃シーンが登場しよります。

でも、本作の底辺に流れるのは、監督の映画への深き想いや愛でおました。ゆうてみたら、そんな“ある視点”をば、みなはんにカンジてもらいたい作品どした。

2012年3月26日 (月)

アーティスト・ドキュメンタリー映画「はじまりの記憶 杉本博司」

Photo

寺島しのぶネーさんのナレーションで、紡がれてまいります

フツーの写真家から始まって、多彩でユニークなアートへと広がるプロセスにこそ、妙味がありまっせー

http://www.sugimoto-movie.com/

弥生3月は31日の土曜日から、Playtimeはんの配給によりまして、渋谷シアター・イメージフォーラムにてレイト・ロードショー後、全国順グリの上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1

Ⓒはじまりの記憶 テレビマンユニオン/WOWOW

アーティストを描く映画てゆうたら、ドラマ映画・ドキュメンタリーに関わらず、これまでにモノゴッツーの数が作られてきておます。そんな中で、本作のオリジナリティーあるところとはどこでおましょうか。

本作で描かれるんは、コマーシャル写真なんかを撮るフツーの写真家からキャリアを始めはった、NY在住の日本人アーティスト、杉本博司御大でおます。みなはんは、この方を知ってはるでしょうか。恥ずかしながら、ボクチンは全くもって知りまへんどした。

ところがでんな、本作を見て、オオーッときたとこがござります。芸術家の創作プロセス、そのアート作品をストレートに描いてゆくとゆう、まさに変化球なしの直球勝負でいってはるとこでおました。しかも、2011年の夏のNYから始まるんやけど、東日本大震災のことは一切出てまいりまへん。

2
ともすると、日本人アーティストを描いてはるわけやから、ついつい今の日本の状況を入れもって、お話を展開するナンチュー方向へ走りがちやけど、本作は徹頭徹尾、アーティストを描くとゆう、最初のコンセプトをば貫いてはります。いやあー、ある意味ではそれは潔く、そして、キリリとした作りになってるんは、そうやからかなと思いよりました。

寺島しのぶネーさんの、プロのアナウンサーみたいな自然体のナレーションによって、ストーリーは展開しよります。それが、アーティストの話へとスムーズに入れる、心地よい時間を作ってゆかはります。

とにかく、異彩極まりない杉本はんの作品性が、次々に驚きをもって展開しよるんどすえ。いきなり、フィルムに100万ボルトの電流を流して、何やら実験してはるシーンから始まりま。まるで化け学者のようなアプローチやけど、一体コレがどんな作品へと昇華するんか、興味津々となりよりますえ。

3
写真4枚目にあります、撮影シーン。デジタル主流の中、フィルムでボケている写真をわざと撮って、パリの風景ではない、ここではないどこかの風景を写し出そうとしはったり…。シャッターを開けっぱなしにして、映画館のスクリーンを撮影してみたらどないなるんかとか…。

静電気と写真の関係を追求し、放電盤実験を繰り返した4年の研究を経て、創り出されたインスタレーション作品のインパクトなど、ハンパやありまへん。

彼の最初の記憶が、海だったことをヒントに始まった、世界の海を撮る「海景」シリーズ。ほんでもって、NY在住の彼やけど、日本に想いを馳せる作品へもアプローチしてはります。5年後には、能の台本も書く予定やとか。

アーティストと作品にこだわってヘヴィーに描かれた本作は、マニアックかもしれへんけど、アーティスト魂をみんなに少しでもカンジさせはるような、そんな作品になったと思いますえ~。

2012年3月25日 (日)

「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」

Photo

島もの映画のアトラクション・ムービーとなった、シリーズ第2弾どすえ~

3D試写で見たんやけど、ダイナミズムにあふれておます

http://www.shinpino-shima.jp/

マーチ3月31日サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪・梅田ブルク7やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。3D、2D同時上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1

Ⓒ2011 NEW LINE PRODUCTIONS

2008年に3D的アトラクション・ムービーとして、第1弾が公開された映画の、4年ぶりとなるシリーズ第2弾でおます。前作もそうやったんやけど、ジュール・ヴェルヌの古典的冒険小説をベースに、21世紀的現代バージョンで映画化しはりました。

前回の地底世界と違い、今回は島世界での冒険やねん。ほんで、叔父さん役のブレンダン・フレーザーに代わりまして、今度は義父ドウェイン・ジョンソンのアニキと共に、ジョシュ・ハッチャーソン君が冒険しはるんどす。。

オトンの死後、オカンがドウェインと再婚しはったジョシュ君やけど、ある日、どこぞで生きてるオジンからの暗号をキャッチしはります。「ガリバー旅行記」や「宝島」や本作の原作ヴェルヌの「神秘の島」と、島もの冒険古典を暗号にしたそいつを養父が見破り、オジンのいてるらしいその島を特定しはります。

でもって、その謎の島へと、父娘が運転するヘリをチャーターして2人で向かわはるというのが、起承転結の“起”でおます。

2
島もの映画としては、「ドラえもん」の最新作(今年3月1日付けで分析)でも採り上げられとりましたが、巨大モンスター的昆虫が出るんやけど、「キング・コング」(1933年・1976年・2005年製作・アメリカ映画・以下の引用映画は全てアメリカ映画どす)やら「ジュラシック・パーク」(1993年)やらとの違いは、小さな生き物が大きくなり、大きな動物が小さくなるという設定の島なんでおます。ゾウがペットみたいにかわいらしく、で、トカゲなんぞが凶暴巨大化しとるなんてカンジや。

でもって、オジンに扮するマイケル・ケインはんの「インディ・ジョーンズ」の老いらく系的造形やったり、「ロード・オブ・ザ・リング」(2001年~2003年・全3作)的なロード部。ほんでもって、島の「タイタニック」(1997年)版的な、破天荒な作りが痛快・快感でおました。

3D的には「アバター」(2009年)並みにビビッドどしたえ。中でも約3シークエンスが強烈どす。

3
①巨大トカゲからみんなが逃げるシーン②巨大ハチと巨大ドリの、空中追逃走アクション③海中での潜水艦パニック・シーン⇒特にこの3シーンは、まさに3Dらしき臨場感とダイナミズムにあふれとりました。これまで見させてもらった3D試写室試写では、最も迫力がござりました。

で、サントラやら演技やらにも、その迫力が波及しとります。壮大なオーケストラ・サントラに加え、ドウェインも劇中でギターの弾き語りを見せはりますが、ルイ・アームストロングの「ワンダフル・ワールド」のカヴァーなどが、効果的に使われとるんどす。

次は、月世界旅行かと思わせはるラストシーンも、次なるお楽しみを増すようになっとりま。本編の前には、お馴染みのグーフィーが活躍する短編アニメが映されよりますが、ミュージカル・スタイルながら、本作ともビミョーにリンクするような作りになっとりますんで、お楽しみくだされ。

2012年3月24日 (土)

本年度アカデミー賞作品賞含む主要5部門ゲットの「アーティスト」やー

Photo
モノクロ・スタンダード・サイズのサイレント映画へのオマージュを超えた、本作の21世紀的オリジナル性とはなんぞや?

http://artist.gaga.ne.jp

エイプリル4月7日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

 関西やったら、大阪ステーションシティシネマやら、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映どす。

 文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸLa Petlte Reine-Studio 37-La Classe Americaine-JD Prod-France 3 Cinema-Jouror Productions-uFilm

フランス映画初のアカデミー作品賞ゲットやとか、第1回受賞の「つばさ」(1928年製作・アメリカ映画)以来のサイレント映画の作品賞ゲットやとか、受賞後数日間はオスカー史上、歴史的なとこが、かしましゅう報道されとりました。

本作より1部門多くノミニーされとった「ヒューゴの不思議な発明」(今年2月18日付けで分析・以下①と表記)は、本作と同じく最多5部門ゲットも、主要部門はハズレとりました。つまり、①は当て馬やったわけどす。

本作と同じく、サイレント映画へのオマージュを捧げた作りやったにも関わらず、なんで①は敗れたんでおましょうか。アカデミー会員の間では、こっちの方に票が集まったからやなんてのは、当たり前でオモロないんやけど、①が21世紀的な手法によって当時を再現したのに対し、本作は当時の撮り方を完全踏襲し描いております。

2
でもって、ポイントとなるサイレント映画を、そのまま引用する①とは違い、過去のサイレント映画の名作を思い出させるシーンを散りばめつつも、あくまでオリジナル・ストーリーとして紡ぎ上げた点は、ネタギレ久しいハリウッドにしてみはったら、まさに垂涎の、驚異的な作品やったんやと思われよります。

ボクチンは本来なら、ハリウッドが撮るべき作品やったとは思うんやけど、でも、こういう企画は売れへんやろな~ってことで、ハリウッドでは製作に踏み出せへんとこがござります。

今の若者はモノクロ映画そのものを敬遠する傾向があるし、デジタルな3D時代やのに、正方形のアナログなスタンダード・サイズに加え、サイレントやて、おいおい、いつの時代の話やねん…なんてなるんどすわ。

そやから、他国製作やないと、とてもとても…っちゅうことやったんやろかな。そやから、監督、主演男女優とも、余り知られていない人がやってはるのも、ショーがないんでおます。

1
それでも、ボクチンの今年の今のところ、マイ・ベストワンは本作でおます。懐古趣味やないし、温故知新でもありまへん。

確かに描かれる時代背景は、サイレントからトーキーに切り替わる、1920年代後半から1930年代初めに設定してはりますし、かつてのサイレント映画の名作を徹底的に見尽くして研究しはり、それなりにオマージュ引用した後がありありなんやけど、でも、オリジナルに加え21世紀的な新味もカンジました。

例えば、チャップリンの「犬の生活」(1918年・アメリカ)以上に、キチンと緻密に演技するイヌの存在やったりとか、ミュージカル映画不振の今の時代に、ステップ・ミュージカル・シーンの、時代にカツを入れるようなビビッド感とか。さらに、しょっちゅう流れる壮大なオーケストラ・サウンドが、3D並みの迫力を加え続けはります。

劇中で、メイキング含め部分的に披露される、陰謀シリーズ「ロシアの陰謀」「ドイツの陰謀」やら、「付けぼくろ」「愛の涙」なども、過去の作品の引用ではなく、本作だけのオリジナルどす。そして、感動できるラブ・ストーリーとしてのさわやかさにも、ぜひ注目してみておくんなはれ。

2012年3月23日 (金)

本年度アカデミー賞助演女優賞ゲットの「ヘルプ 心がつなぐストーリー」

Photo
「カラーパープル」に優るとも劣らへん、オンナの強さを示す女性群像劇のケッサクどす

1960年代背景もの黒人差別撤廃映画に、新味を加えはりましたで~

http://www.help-movie.jp/

2
マーチ3月31日のサタデーから、ウォルト ディズニー スタジオ ジャパンはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。大阪やったら、TOHOシネマズ梅田やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

3
Ⓒ2011 DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

今年度のアカデミー賞で作品賞と女優演技の3部門の、計4部門にノミネートされはりまして、写真一番上の真ん中に写ってはる、オクタヴィア・スペンサーのネーさんが見事、助演女優賞をばもらわはりました。

一体、その人は誰やねん? やなんて思わはる人は多いやろけど、はっきりゆうて日本人のみなはんには、本作には馴染みの薄い女優はんが主演・出演してはるやも分かりまへん。

ここ最近の日本映画興行界では、洋画が苦戦傾向にあり、ましてやハリウッドでは売り出し中の若手の俳優はんが、出てはるような映画とゆうのんは、日本未公開になりかねまへん。

でも、本作はボクは見なければきっと、損をする作品やろうと思います。確かに、この種の黒人差別反対のヒューマニズム映画は、パターン化しがちやも分かりまへん。重苦しそうやんと、辟易しはる人もいてはることでおましょう。

4
でも、本作にはそんなに暗さとゆうもんがござりまへん。いや、寧ろ明るいくらいどした。

1960年代を描いてはるんやけど、例えば、イーストウッドの最新作「J・エドガー」(今年1月14日付けで分析)みたいに、時代を反映した薄色使いや、セピアな色を配色したりはしやはりません。戸外はアメリカ南部の自然光による、明るい陽射しがメインやし、室内シーンも映画的照明を取り込んで、画面作りの暗部を意図的に排除してはります。

たがために、ボクチンら男らは、黒人も白人も関係なしにオンナたちの明るさ・強さっちゅうもんを、まざまざと見せつけられる作りになっとるんどすわ。

1960年代を背景にした黒人差別もの映画とゆうのんは、結構ござります。「夜の大捜査線」(1967年)や「招かれざる客」(1967年)やらの、シドニー・ポワチエ主演映画やら、ミステリー・タッチの「ミシシッピー・バーニング」(1988年)やら。実話ベースの「マルコムX」(1992年)やらもあるんやけど…。

1
でも、女たちの群像劇スタイルで、女たち視点で作らはったんは初めてなんやないやろか。「カラーパープル」(1985年)とゆう、スピルバーグはんが作らはった名作はござります。但し、「カラー…」は黒人たちにポイントを置いた、奴隷時代からの大河ドラマやったですが、本作は黒人と白人をバランスよくキャスティングしはり、しかも1960年代ものどす。各人の差別なきキズナも、心地よく描かれま。

黒人メイドの裏話を集めて、本に書こうとするエマ・ストーンちゃん、静謐なメイドさんを演じるヴィオラ・デイヴィスのネーさん、あっけらかんとしてフリーキーな演技で魅せはるオクタヴィアのネー。一方で、使用者側のオンナたちもちゃんと描いてはって、ドラマ・バランスは程よいカンジやー。

エマちゃんが言う「風と共に去りぬ」(1939年)のメイドは、どうだったんだの話など、時おりハッとさせはるセリフが入っておます。ヒロイン映画のさまざまな方向性を盛り付けた、多彩な作品やったと思いますえ~。

2012年3月22日 (木)

東日本大震災ドキュメンタリー「311」

311
アドリブ感あるドキュメンタリズムが、ボクらのココロに不安感を植えつけはります

何が行く手に待ち受けておるんか…それは…!

http://docs311.jp/

弥生3月24日の土曜日から、東風はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場でロードショーやー。4月7日から神戸アートビレッジセンター、ほんで、その後、京都シネマやらで順グリの上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ森達也・綿井健陽・松林要樹・安岡卓治

東日本大震災から1年が過ぎた今、映画界を振り返ってみよりますと、ドキュメンタリーを中心に、さまざまな関連映画が作られてまいりました。ドラマ映画的には、部分部分を引用するとゆう感じどすけども、ドキュはストレートかつリアルでおます。

そんな中で、本作はドキュメンタリーにとって必要な要素でもある、アドリブ感が大きなポイントになっとります。何が起こるか分からないとゆう緊張感を孕(はら)んでおるんです。

そもそも映画ドキュメンタリー作家のⒸ(マルシー)にあります4人はんは、震災後の悲惨な現状を撮りに行こうやなんて、最初は思てはりまへんどした。ところがどっこい、震災2週間後どす。ドキュを撮る意図などは、何もなかったなんてゆうてはりますが、でもカメラはしっかり4人共携えて、とにかく現地へと向かわはるんどすわ。

3112
サントラやらはいっさい流れまへんし、もちろん台本なんかはござりまへん。映画的意匠はほとんどありまへん。でも、それが逆に粗削りゆえの生々しさであったりとか、時に見ていてビビるようなシーンをば映し出さはるんどす。

まずは一行は福島へと行かはります。放射能検知器で線量をしょっちゅう計らはるんやけど、そのカチャカチャとした音が、うっとうしい効果音となって、観客の不安感をあおらはります。さらに、ワンボックスカーのフロントガラスを通した、くすんだような東北の映像が寂寞感を増してゆきよります。

そして、福島から岩手、宮城へとロード・ムービーは進みよります。瓦礫の山を、車内からの横移動撮影で見せてゆくカットやら、テレビのニュース映像で見たカットのように見えながら、ドキュ映画の流れで見せられると、啞然呆然度は増しよります。

3111_2
ほんでもって、例えば岩井俊二監督の「friends after 3.11【劇場版】」(3月3日付けで分析)とは大いに違います。モチ、震災後を描いてるのは変わらないんやけど、岩井版の優しさや哀悼よりも、こちらは撮影者側の戸惑いとかが、ビビーンと伝わってまいります。

あえて震災2週間後であった意味がイロイロと、作家の意図に関わらずに出よるんどす。瓦礫の山からセーラームーンの人形を見つけるシーンなど、無情感がありま。

で、いろんなとこへ行って、被災者たちや医者や自衛隊の人に、インタビューをしはります。捜索のポイントに触れる質問などには……やったけど、さらに大きな……が続きます。

「山形国際ドキュメンタリー映画祭2011」で上映された時、観客からは賛否両論の声が乱れ飛んだらしいどす。たぶん、否の方が多かったんやろな。ウ~ンとうなり、やむを得ないかと思いつつも、でも、本作のドキュメンタリズムには、並々ならぬものがあったとボクはジャッジいたします。

2012年3月21日 (水)

映画史上初のモンスター・ドキュ・ドラマ「トロール・ハンター」やー

Photo
ノルウェーの森から、恐るべきフェアリー怪獣が現れよったで~

おとぎ話やファンタジーへの、アンチテーゼがありまっせー

http://www.troll-hunter.jp/

マーチ3月24日のサタデーから、ツインはんの配給によりまして、全国ロードショーどす。関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やらTOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Filmkameratene AS Alle rettigheter forbeholdes. All rights reserved.

ノルウェーの森にいてるらしい、想像上の凶暴な妖精トロールが、実際におったがなとゆうのんを、ドキュメンタリー手法で撮り上げはったノルウェー映画でおます。疑似ドキュメント、あるいはモキュメントとゆう手法なんやけど、最近ではホラー映画「POV」(今年2月16日付けで分析)などがコレを使(つこ)てはりました。

実話の不可思議なお話をドラマ映画化した作品とは、ちょうど真逆の作りになっとります。つまり、ウソの話をホンマのように作るんどす。「パラノーマル・アクティビティ」(第1弾は2010年・アメリカ映画)とか「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年・アメリカ)なんぞが、コノ系列に当たる作品でおましょうか。

こうした作りの特性は、フツーのドラマ映画よりも、怖さやオトロシサが倍化するようなカンジになっとるとこらでしょうか。ホンマモンのように見えよるから怖いんやわー。

Photo_2
本作で描かれるフェアリーのトロールは、「となりのトトロ」(1988年・日本)「ロード・オブ・ザ・リング」(第1弾は2001年・アメリカ)「ハリー・ポッター」(第1弾は2001年・アメリカ)など、ファンタジー映画やらで人気キャラクターとして出てきよりますが、本作ではそういうキャラをひっくり返さはるような、ホラーチックにメッチャ怖いキャラとして出てきよります。

おとぎ話やファンタジーへの、アイロニカルなアンチテーゼ視点が見え隠れしとります。また、モンスター・ドキュ・ドラマのタッチは、映画史上初出現やと思います。「キング・コング」(元祖は1933年・アメリカ)や「ゴジラ」(第1弾は1954年・日本)なんかも怖いことは怖いんやけど、こちらはその出方のおどろおどろしさからして、リアル感ある怖さが突出しておます。モンスター映画としての新境地も、そこはかとなくカンジられよるんどすえ。

Subsub_2
暗視カメラのザラついたグリーンの映像と、フツーのカメラ映像の混ぜ合わせの不安感を導入部にして、4回にわたりトロールと人間たち(極秘任務を負うプロのトロール・ハンターと、取材する学生たち)の対決が展開しよります。

揺れる画像のオンパレード。「POV」と同じく、何がどないなってるやら分からへんような、混乱ぶりを示す編集ぶり。VFX的・クリーチャー的な動きも見せる多彩なトロールやけど、森中、橋上、洞窟内、荒野と、4回の対決を全部舞台設定をバラしてはります。

遂には、カメラマンがトロールの犠牲になるんやけど、カメラ・レンズ割れの映像ショットなども生々しいし、女分析医やハンターが、まことしやかに説明・解説するとこなんぞの細部も、リアリスティックに満ちておました。

ラストロールではハードロックを流して余韻を深めよるけど、ドキュでないことは、本編内に伏線として仕込まれておます。でもでんな、ああ、ホンマにメッチャ恐ろしかったわー、となること請け合いの、チョー怪作どすえ~。

2012年3月20日 (火)

本格的オペラ映画「魔弾の射手」

Photo
ミュージカル映画との違いも感じられよる、オペラ映画の真髄でおます

ロンドン交響楽団による、壮大なフル・オーケストラ・サントラもゴージャスどすえ~

http://www.cetera.co.jp/madan

マーチ3月24日の土曜日から、セテラ・インターナショナルはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田で上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸSyquali Multimedia AG

本作は、今どきの舞台劇やらコンサートをそのまま映して、映画にするようなタイプやおまへんで。1821年に書かれた古典的名作オペラを、本格的なオペラの格調感を維持しもって、映画化しはったもんなんどす。

本作はドイツ語によるセリフによる、スイス映画とゆうことになっとります。でも、ドイツのオペラ界のアクター・アクトレスにより、セリフで歌い続けられて、ウットリとするようになっとります。

しかも、ロンドン交響楽団による、完全無欠のフル・オーケストラ・サントラが、モノゴッツーなゴージャス感を増しよりまんねん。最初の方は、サイレント映画なタッチで紡がれよりますが、すぐにオペラチックに歌われるシーンが、次々にやってまいります。

本編142分中、2時間近くがそういうシーンでおます。オペラのネバネバした歌いっぷりに、どっぷりベットリっちゅうカンジなんやけど、ハリウッドのミュージカル映画やらとは、かなり趣きを異にしとるようどす。でも、アップ、クローズアップの適宜な挿入で、映画リズムは構築してはります。

セリフが当然、歌になるんやけど、歌がセリフになったユーロ・ミュージカル「シェルブールの雨傘」(1964年製作・フランス映画)なんかと比べてみよりますと、かなりハードでヘヴィーな作りになっとるかと思います。

メロドラマであれ群像ものであれ、ハリウッド・ミュージカルにもあるような、ポピュラリティーある軽みとゆうもんが、本作にはそれほどないように思いよりました。その感覚こそが、オペラリズムの独特な一つなんやも分かりまへん。ましてや、本作はオペラでも知る人ぞ知る名作どすし、また本格的に映画化されたんは、初めてっちゅうことになっとります。

森の中でのエピソードやらは、ある意味ではファンタジーとも取れる内容やけど、基本ラインは男と男の駆け引き、ほんでもって、ラブ・ストーリー部やら親子のキズナやらも紡がれていきよります。ストーリー的には今なら、ありふれてるようにも見えたりします。でも、本作の原作が作られた時代を考えますと、当時は斬新やったはずどす。

「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」やらへも通じるような、ファンタジーなとこもありまんねん。風景シーンなど自然描写の美しさ、薄ブルーやグリーンのタイトな配色具合、ドトウの歌シーンのあとにやってきよる、静謐なラストロール。いろんな細部描写にも、目を引かれた作品やったです。

2012年3月19日 (月)

「イルマーレ」の監督による11年ぶりの新作韓国映画「青い塩」

Photo
元ヤクザのソン・ガンホのアニキと、女暗殺者シン・セギョンちゃんの、何とも言われへんキズナが紡がれよります

トンデモないトリック・サプライズが待っておますえ~

http://www.aoi-shio.com/

マーチ3月24日サタデーから、大阪・梅田ブルク7、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらでロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、CJ Entertainment Japanはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

ソン・ガンホのアニキてゆうたら、ミスター韓国映画な役者はんでおます。

女の方にしてみはったら、あんましイケメンやありまへんので、部屋にはポスター貼って、来日時にはケータイ持って追っかけする、ナンチューのはないんでおましょうが、ボクら男にしてみたら、その辺にいてそうな気のいいおっちゃんてな感じで、好感を覚えよります。

しかも、硬軟両用を描き分けはる、韓国映画界屈指の演技派でおます。

女優はんとの共演作にもよう出てはります。「大統領の理髪師」(2004年製作)などは、演技派ムン・ソリとの掛け合いやったし、「シークレット・サンシャイン」(2007年)やらは、カンヌ国際映画祭で主演賞をもろた、チョン・ドヨンのネーさんの、名サポーター役に回らはりました。でも、これからの若手の女優はんとも、絶妙に絡まはりまんねん。

2
今回は、アメリカや日本と同じく韓国でもトレンドになっとります、ドラマでの評判を経て映画進出しはる、シン・セギョンちゃんどす。

いつの間にやら膨大に膨らんでしもた借金を返すためにでんな、名射撃選手やった腕をもって、暗殺の仕事をば請けはるんでおます。それが何とまあー、料理教室で仲良しにならはった、元ヤクザのソン・ガンホのアニキでおました。

ヤクザ同士の争いの緊迫した色合いが、料理教室のシーンやら、セギョンちゃんとガンホ・アニの交流部で、緩和されとるような作りでおましょうか。狙われとるのに、セギョンちゃんを優しく守るような、ガンホのまろやか演技には、不思議な癒やしがあるようにも思いよります。

韓国映画の「イルマーレ」(2000年)てゆうたら、ハリウッドでも2006年にキアヌ・リーヴス&サンドラ・ブロック共演でリメイクされた、世界に認められた映画でおました。

1
そんな「イルマーレ」を撮ったイ・ヒョンスン監督が、何とそれ以来、つまり、11年ぶりに撮らはった作品が本作でおます。

「イルマーレ」の、時を超えたラブ・ストーリーみたいな心理の、ビミョーな絡み演出が、本作でもガンホ&セギョンの間に展開しよります。恋愛ではありまへん。ゆうたら、男と女の友情っちゅうカンジやろかな。

そして、監督の映画監督らしき映画的にあふれた、ショットの多投ぶりどす。11年のブランクを埋めるように、映画への熱き想いが伝わってまいります。

海沿いのセルフ料理屋での2人のシークエンスやら、花火やパープルの照明を取り入れた、ビルとビルの間のスナイパー・シーン、空を取り込んだ広がりあるシーンなど、映画らしいシーンが続きよりま。カー・アクション、銃撃戦など、アクション・シーンも見どころどす。

でもって、トリック部と、どんでん返しや~。コレはホンマにアリ? なんて思たりもするけど、サプライズ感はディープどしたえ~。

2012年3月18日 (日)

森田芳光監督の遺作「僕達急行 A列車で行こう」

Photo
森田監督流儀の、肩の力を抜かはったコメディで終わらはったんは、凄く良かったどす

松山ケンイチと瑛太の各アニキが、「間宮兄弟」の2人的ノリなユルユル節キズナを結ばはりまんねん

http://www.boku9.jp/

弥生3月24日の土曜日から、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1
Ⓒ2012「僕達急行」製作委員会

森田芳光監督(合掌!!)の遺作となってしもた作品でおます。森田監督はこれまでに多彩な作品を作ってきはりましたけども、いわゆるベストテン級の作品とゆわれる作家性を表現した作品以外には、肩の力を抜かはったライト感覚のコメディなんぞをいっぱい作ってきてはりました。

ほんでもって、本作はそんなコメディものを作ってきはったんどす。いみじくも、遺作になってしもたんやけど、ボクはこの癒やし系とも取れる作品が、最後の作品になったことは良かったかと思いよります。

遺作でバリバリの大ケッサクをものさはったのやったら、そらライフワークとしては凄いんかもしれへんけど、監督の「間宮兄弟」(2006年製作)みたいなユルユル感覚で最後を迎えはるのんは、みなはん、なんかエエ感じやと思わはりまへんか? 笑ってサヨナラみたいやん。  

2
ボク的には森田監督のコメディには、かつて邦画界に存在した喜劇のプログラム・ピクチャー(「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」もこの系列に入りま)チックな楽しさがあったように思うんどす。そして、本作はそんな中でも、まさにその種のスタイル映画の、完成型を示してはるんやないやろか。

松山ケンイチと瑛太のアニキが、監督の想いに応えるようにでんな、ユルユルの癒やし系の演技をば披露しはります。2人とも鉄道マニア。冒頭の渡良瀬電鉄での同乗シーンでの出会いから、ひょんなることで2人が再会し、同好の士ってなことで、男の友情(!?)を結ばはります。この2人、今どきの草食系男子のような役作りどして、今でこその友情みたいなカンジが新しおますえ。

3
ウォークマンで音楽を聴きもって、車窓風景を楽しむ派のケンイチに対し、電車のモーター音を聞きもって楽しむ瑛太ナンチュー、2人の嗜好の違い描写もオモロおます。

ケンイチが松坂慶子社長はんの辞令で、東京から九州へとトバされるんやけど、むしろ九州サイドへ移ってからが、瑛太がケンイチ恋しさ(!?)にやってきたり、電車オタクのピエール瀧社長はんとの出会いやら、サラリーマン・コメディ的なノリに弾みが付いてまいります。

親子揃って、蒲田のクラブへ一緒にゆくなんてゆう(写真3枚目)、笹野高史はんと瑛太の父子のキズナやら、ケンイチと貫地谷しほりチャンのラブ・ストーリー部やら、総じてユルユルの描き方を貫いてはりまして、重さやシビアさは全くござりまへん。

大島ミチルの、トランペットをベースにミニ・ビッグバンド風のサントラも、昔の喜劇シリーズに使われた都都逸(どどいつ)的な感触がありました。つまりは、最後の最後まで、家族一同で見に行っても、全然オッケーやん! な作品になっとりまっせー。

2012年3月17日 (土)

マリリン・モンローを描く最新版「マリリン 7日間の恋」

Photo
1956年のイギリス、マリリンと“年下の男の子”との実話ラブ・ストーリーでおます

ローレンス・オリヴィエ、ヴィヴィアン・リー、アーサー・ミラーやらが実名で登場する豪華さやねん

http://marilyn-7days-love.jp/

マーチ3月24日サタデーから、角川映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

マリリン・モンローのネーさん(1926年~1962年)が、実名で登場する映画となりますれば、「ノーマ・ジーンとマリリン」(1996年製作・アメリカ映画)なんぞがござりました。どないあっても、マリリンを描く場合は、死の謎やとか、スキャンダラスな面やとか、そういうのんをクローズアップせずには、一般大衆が納得しはりまへん。

ところが、イメージを変えるような側面も、彼女の過去の作品をDVDやらで見ればありまんねん、コレがね。かつてボクチンは「ぴあシネマクラブ」ちゅう映画辞典(外国映画2007年版)で、マリリンの魅力について書いたことがござります。むしろセクシー演技よりも、コメディエンヌな演技性に魅了されよりました。さらに、多彩な演技性で魅せられる女優はんやと見ました。

でもって、本作は、マリリンが1956年にイギリスのローレンス・オリヴィエ監督兼主演はんのオファーを受けて、イギリスへ行かはり、宮廷ロマンス映画「王子と踊子」(1957年製作・イギリス映画かと思いきやアメリカ映画やねん)を撮らはった時のエピソードが描かれよります。

1
映画メイキング映画のスタイルを取りながら、プライベート部では、その映画「王子と踊子」とよく似た、身分違いの恋、しかも淡き恋が紡がれよるとゆう体裁でおます。

実話らしいけど、若きサード助監督が大スター、マリリンと束の間の恋に落ちるとゆう逸話は、ある種衝撃的なんかもしれへんけど、人間マリリンを描くスタイルを採ってはるので、それほど違和感はありまへん。

そやから、サード助監とマリリンの絡み合いも、あくまでピュアなラブ・ストーリーとゆうカンジを貫かはります。マリリンに扮しはった、ミシェル・ウィリアムズはんの、なりきり型の演技にもアラマ・ポテチン(びっくり)どした。

片や、当時の映画人たちが多数、実名設定キャラで出てはるとこらにも魅せられよりました。

2
当時を知らない方とゆうか、ボクチンも知らんねんけど、そんな方々にも、実に分かりやすく入りやすうなっとります。

ローレンス・オリヴィエはんとゆうたら、演劇史・映画史に残る役者はんにして、映画では監督もしてはりました。監督・主演しはった「ハムレット」(1948年・イギリス)では、アメリカのアカデミー賞で、イギリス映画としては初の作品賞に加え、自身が主演男優賞をもらわはりました。オリヴィエはんと結婚しはった「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ)の役がメッチャ有名な、ヴィヴィアン・リーはん役やら、当時のマリリンの夫・劇作家のアーサー・ミラーはん役も登場しはります。

中でも、最も印象深いのんは、オリヴィエはんに扮しはった、ケネス・ブラナーのアニキでおましょうか。「ハムレット」もそうどすが、シェークスピア原作映画を監督し続けてはるケネス・ブラナーが、オリヴィエをオマージュ的に絶妙に演じはるのは爽快でおました。

そして、陽光の柔らかさやら、薄めのソフト・タッチの撮影法で示す時代感に加え、ロマンティックなピアノ・ソロ・ナンバーやシブいジャズ・スタンダード「枯れ葉」などにも、ココロくすぐられる作品になっとります。

2012年3月16日 (金)

泣けるシーンがドトウのごとくやってまいります「僕等がいた 後篇」

Photo_2
前篇の登場人物たちがキャラ立ちし、ドラマティークを増してゆきよります

メロドラマの王道「君の名は」や、東宝の恋愛映画の歴史的傑作「また逢う日まで」も思い出させる作りどすえ~

http://bokura-movie.com/

エイプリル4月21日の土曜日から、東宝はんとアスミック・エースはんの配給によりまして、全国東宝系イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都やら、OSシネマズミント神戸やらで上映どす。

3月17日公開の「前篇」を受けての、2部作連続公開どすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012「僕等がいた」製作委員会 

Ⓒ2002 小畑友紀/小学館

当たり前のことやけど、前篇があっての後篇どす。但し、前篇の青春ラブ・ストーリーのノリが、後篇では大きく変わります。

それぞれの人物がキャラ立ちして、吉高由里子チャンと生田斗真のアニキは、果たして再会できよるんかを、デッカイ見どころにしながらも、いろんなキャラたちがリンクしていく中で、映画はドラマティーク度を増してゆきよります。

前篇ではそれほど目立たへんかった、高岡蒼佑のアニキや本仮屋ユイカちゃんらが、エエカンジになってきはります。さらに、後篇で登場する比嘉愛未チャンが、2人の再会のためのキー・パーソンにならはりまんねん。

生田のアニキが落ちぶれてゆくプロセス描写なども、ケータイの全盛ですれ違いは減ったものの、貧困や格差社会などの現代を反映した作りになっとります。後篇は生田アニのナレーションで始まりま。

生田サイドと吉高サイドを織り交ぜながら、果たして2人は再会できるんか。再会してもどないなるんやろ。ほんでもって、その向こうは? なんてハラハラドッキリでドラマを見守ってゆけるんどす。

2
生田・吉高・高岡・本仮屋・比嘉の5人のシンクロナイズな関係性によって、後篇後半の1時間では、強烈無比とも言えよる、ドラマチックが次々にやってくるんどすわ。ドラマチックは泣ける系にも置き換えられますが、お涙チョーダイ調のストレート感はそれほどカンジまへんどした。ゆうてみたら、スムーズな泣きなんどす。

「後悔したことを後悔していない」とか「記憶が想い出になり…」、「過去に負けない未来」、「嫌いになる程知らない」など、時々ハッとさせるセリフが、前篇以上に出てまいります。そして、ここぞという時のキメゼリフの多さにも注目どすえ。

でもって、トータリティーとしては、青春ラブから大人のラブへと繰り広げられる、王道のラブ・ストーリーでおます。すれ違い系の「君の名は」(1953年~1954年製作)はモチ、東宝映画の歴史的名作「また逢う日まで」(1950年)のセンスも入っとります。

さらに言いますれば、東宝の1960~1970年代の青春映画のストレート路線的でありながら、21世紀的にヒネッてはるとこにも、大いに感心いたしました。そして、大げさかもしれへんけど、見方によっては、「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ映画)みたいな壮大感もカンジられよりました

後篇だけ見るわけにはいきまへんので、ぜひとも4月20日までに前篇は見とっておくんなまし。

北海道ロケの学園ラブ・ストーリー「僕等がいた 前篇」

Photo
日本映画の黄金時代の雰囲気が蘇えった快作やでー

生田斗真のアニキが「ハナミズキ」の新垣結衣チャンに続き、今度は吉高由里子チャンと北海道~東京ラブを展開しはります

http://bokura-movie.com/

弥生3月17日の土曜日から、東宝はんとアスミック・エースはんの配給によりまして、全国東宝系イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都やら、OSシネマズミント神戸やらで上映どす。

「後篇」は4月21日から公開どすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012「僕等がいた」製作委員会 

Ⓒ2002 小畑友紀/小学館

ゴールデンウイークの言葉を作った、日本映画の黄金時代は1950年代でおます。ボクチンは当時の雰囲気をモチ、知っとるワケやおまへんけども、当時は1本の映画を前篇・後篇、もしくは第1部・第2部てなカンジで分けて、公開日をずらして連続公開してはったそうでおます。

50年代に邦画最大のヒットとなった「君の名は」(1953年~1954年製作)もそうどした。このスタイルは実は、メッチャ観客のココロをくすぐる手法なんでおます。前篇を見はった人は、ほぼ間違いなく後篇を見にきはるやろし、ある程度の固定客を見込めます。テレビがまだ普及してへんかったとこも要因としてありますが、黄金時代を作った上映形態であったことは間違いありまへん。

そして、その形式がチョー久々に戻ってまいりました。確かに、最近では東宝はんが、「のだめカンタービレ」やら「SP」などを2部上映しはりましたが、1部と2部の間は半年くらい空いとりました。でも、こちらは1カ月とゆう往年のインターバルを復活させはりました。ほんでもって、「君の名は」を超えるような、王道のラブ・ストーリーをば堂々と展開しはるんどすえー。

1
前篇のイントロはヒロイン吉高由里子チャンが、自らの心のツイート・ナレーション・スタイルで、北海道・釧路の高校時代をプレイバックしはります。でもって、これは後篇のラストへもつながる構成になっとります。

北海道ロケーションによる学園ものどすが、吉高チャンの生田斗真のアニキへの、イチズな愛が次々に披露されてまいります。ともすると、おいおいなんでそこまで? なんて思たりもしよるけど、何せ生田のアニキは事故死してもうた、昔の彼女のことが忘れられへんっちゅう設定になっとります。

つまり、死んだ者との三角関係ちゅうもんがここに発生しよるんどす。さらに、昔の彼女の妹役・本仮屋ユイカちゃんとも何かあったみたいやで。生田のアニキと親友の高岡蒼佑アニキも絡んできはります。

生田のアニキ的には、北海道ロケを敢行した「ハナミズキ」(2010年)やらとカブッて見えたりもするんやけど、その時のお相手役・新垣結衣チャンと、本作の吉高由里子チャンの演技を比較してみんのも一興やもしれまへん。但し、ボク的には由里子チャンの方が、どっぷりと役に入ってはるように見えました。

前篇のラストとなる、「シェルブールの雨傘」(1964年・フランス映画)にも似た、プラットフォームの別れのシーンの造形など、非常に分かりやすいポピュラリティーあふれとるとこでおます。加えて、ラストロールで流れるMr.Childrenのグッド・バラード「祈り ~涙の軌道」がココロにきよります(ちなみに、後篇ではミディアム・アップ「pieces」が流れま)。

「後篇」は同日に分析いたしますんで、よろしゅうに。

2012年3月15日 (木)

ドリームワークス アニメーション「長ぐつをはいたネコ」3D

Photo
“ネコ史上最大のアドベンチャー!”の宣伝コピーに、アラマ・ポテチン(ビックリ)どすえ

ウエスタンからマカロニ・ウエスタン、ミュージカルまで、多彩なジャンルを渉猟するケッサクやー

1

http://www.naganeko.jp/

マーチ3月17日のサタデーから、パラマウント ピクチャーズ ジャパンはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

3D、2Dに加え、日本語吹替え版も同時公開どして、大阪やったら、大阪ステーションシティシネマやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

3
PUSS IN BOOTS ® and Ⓒ 2011 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

ネコ映画やなくて、“ネコ史上最大”の宣伝コピーにうなりましたけども、ネコ映画としても映画史上最大やも分かりまへんで。

あのスティーブン・スピルバーグ監督が、作らはったドリームワークス。ほんでもって、製作するところのアニメーションが本作なんやけど、まずは、ディズニー・アニメとの違いどすか。

コドモ向けを視野に入れたディズニーに対し、アクション・シーンのスピード感が全然違(ちご)ておます。また、キャラ作りにも、イロンナ生き物をソフト・タッチ、もしくはヒロイズムっぽく走るカンジがあるのに対し、こちらはワイルド、ないしは一癖もふた癖もあるようなタイプにしてはります。

ほかの大手のハリウッド映画会社のアニメが、ディズニーっぽいとこへ走るのに対する違いも、ビミョーに感じられるんどす。モチ、ジャパニーズ・アニメのスタジオジブリやら、ネコ型ロボットの「ドラえもん」とも大違いどす。

2
メインとしては、「荒野の用心棒」(1964年製作・イタリア&西ドイツ&スペイン合作)「夕陽のガンマン」(1965年・イタリア&スペイン)「続・夕陽のガンマン」(1966年・イタリア)なんぞのマカロニ・ウエスタンへの、オマージュをば標榜してはるけども、そのジャンル以外の映画へも積極的にアプローチしてゆかはります。

ウエスタン「駅馬車」(1939年・アメリカ)みたいな、馬車チェイス・アクション。お尋ね者の主人公ネコと、ちっちゃな頃に友情を結んだタマゴ男、ほんで、メスネコの3人の大冒険が、デッカイ見どころになっとりますが、紅一点3人組の活躍としては「スター・ウォーズ」(1977年・アメリカ)を、わが子を探しにくる巨大ガチョウは「ジュラシック・パーク」(1993年・アメリカ)ほかを思い出させよります。

アントニオ・バンデラスのアニキ(日本語吹替え版では竹中直人のアニキどす)が、主人公のネコの声を担当してはるんやけど、バンデラスが主演した「マスク・オブ・ゾロ」(1998年・アメリカ)の雰囲気も感じよります。

4
でもって、ミュージカル映画のスパイスを、入れてはるとこらがオモロイかと思いました。本編の前半で、主人公のネコがタップ・ダンスによる、ステップ・ワークを披露するシーンなどは、大きな見どころでおましょう。

また、サントラ的には、スパニッシュ・ギターを取り入れたサウンド構築に加え、交響曲サントラも豪快にやってまうところがスゴイねん。今をときめくレディー・ガガのネーさんが、フラメンコ・タッチのラテン調ダンス・ポップをラストで提供したりと、キャッチーかつ弾むような映画リズムは、最後まで快調どすえ。

そして、色使いは前半は、マカロニ・ウエスタンのポイント色でもあった、夕陽なセピアを基調にしつつも、後半へ向かうにつれ、明るい色調へと移りゆくのには感心させられよりました。

「シュレック」シリーズ(2001年~2010年・全4作・アメリカ)からのスピンオフらしいどすけども、ぜひシリーズ化してほしい作品でおましたえ。

2012年3月14日 (水)

ワールド・ミュージック映画「フラメンコ・フラメンコ」

Photo
多彩な背景をバックに、21種のフラメンコ・ライヴとステップ・ダンスが繰り広げられますでー

本作の音楽ドキュメンタリー・スパニッシュ映画の、新側面とは何ぞや?

http://flamenco-flamenco.com/

MARCH3月17日のサタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、大阪・梅田ガーデンシネマやら、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーでおます。京都シネマほかは、4月以降の公開どすえ。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

1_2
音楽ドキュメンタリーやゆうても、ジャンル的にはロック・ドキュでも、クラシック、ジャズでもありまへん。ワールド・ミュージックもの(民族音楽の括りもありま)で、しかも観客がいてへん、ホール・ライヴ・ドキュなんでおます。

ボクチンは個人的には音楽ドキュとしては、どうしてもポピュラリティーの高いロック・ドキュに魅かれよりますし、観客の熱気が伝わってくるような、臨場感あふれるライヴもんが好きやねん! なんやけど、それでもコレには魅せられよりました。

キューバ音楽を熱く伝えはった傑作「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(1999年製作・ドイツ&アメリカ&フランス&キューバ合作)に対して、静謐な真逆さとでも申しましょうか、パターン化しがちなワン・ジャンル・サウンドを、バリエーション豊富に見せてゆくライヴ・スタイルは、ある意味においては新しくて画期的どす。

2_2
本作のカルロス・サウラ監督てゆうたら、スペイン産のフラメンコはモチ、アルゼンチン・タンゴを捉えはった「タンゴ」(1998年・スペイン&アルゼンチン)やら、ワールド・ミュージックには、えらいオマージュをば捧げてはります。

しかも、本作ではいっさいの説明を排して、フラメンコの音楽とダンスの世界に浸ってもらおうと言わんばかりに、21演目にわたりまして次々に披露されてまいります。

セピア色の背景のほか、パープル、多彩なポスターなどをバックに、リズミックなステップ・ワークとソロ&グループ・ダンス・パフォーマンス、歌ものは詠唱アカペラ的に披露されるんどす。

一方、歌われる内容を見てみよりますと、ラブソングっぽいものもあるけど、「俺は緑を愛している」とか、自然と人間の関係を基調にしたりと、変わった内容になっとります。

3_2
打楽器をほとんど使わずに、テーブルや椅子を叩いたり、独特の手拍子なんぞも、妙にクセになってきよります。

スパニッシュ・ギターの巨匠、パコ・デ・ルシアはん(写真3枚目・左)のプレイなどもシブいわ。彼をメインに置いて、車座になったみんなを、カメラがゆっくり回る長めの撮影など、演奏・歌やダンスをじっくり見せる長回し撮影にも、本作の特長がござります。

2台のピアノが弾きまくられるシークエンスとか、雨(水)を降らせる中での男女2人の熱唱など、これまでのボクチンのフラメンコ・イメージとは違うとこにも、ホオーッと唸れましたがな。

ラストは、ロック・バンドのザ・バンドを捉えた、マーティン・スコセッシ監督の「ラスト・ワルツ」(1978年・アメリカ)みたいに、退きの長回しやー。最後まで魅せてくれはる映画どしたえ~。

2012年3月13日 (火)

ロバート・デ・ニーロ出演3話オムニバス「昼下がり、ローマの恋」

Photo
イタリアの国民的人気になっとる、映画シリーズらしいでおます

不倫を中心にした、イロンなタイプのラブが全開しとりますえ

http://www.hirusagari-roma.com/

マーチ3月17日のサタデーから、アルシネテランはんの配給によりまして、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2

Ⓒ2011 FILMAURO Srl

イタリア映画でオムニバス映画となりますれば、ボクは「ボッカチオ'70」(1962年製作・イタリア&フランス合作)なんかを思い出しよりますが、本作はイタリアで国民的な人気を得てはるシリーズもん映画らしいどす。

そやから、どちらかとゆうたら、デ・シーカ、フェリーニ、ヴィスコンティなど、イタリアの巨匠監督が各エピソードを撮らはった「ボッカチオ」のアート映画性よりも、ポピュラリティーの高い作品になっとります。しかも、全部ラブ・ストーリーでおます。

①若者の恋愛②熟年の恋③老いらくの恋…といった流れで本編126分が紡がれてまいります。

映画の見どころとしては、ロバート・デ・ニーロはんとモニカ・ベルッチのネーさんが、恋に落ちての③(写真1枚目と2枚目)が注目どすけども、①と②もモチ、オモロおます。

1
①も②も不倫入りの恋愛映画どす。

①は彼女がいるにも関わらず、イタリアのリゾート・トスカーナへ仕事で行って、現地の人やらと交流がてら、セクシーな女と浮気しやはるとゆうお話どす。

セピアの空やダークブルーの海を映す、2人の海辺のデート・シーンやらで盛り上げはるんやけど、トンデモ・サプライズがござります。

②はラブコメっぽいんやけど、でも、チョイブラック・ユーモアなとこもあります。統合失調症の女ストーカーとニュースキャスターの不倫なんやけど、「危険な情事」(1987年・アメリカ)のラブコメ版の趣きがあってユニークどした。でもって、③どす。

3
デ・ニーロはんの過去の名作への、オマージュチックを披露しつつの進行具合でおますよ。過去にはイタリア映画では、セルジオ・レオーネ監督やらベルナルド・ベルトルッチ監督作品で主演してはるデ・ニーロはん。

「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)のような、文句言いもってのナレーションぶりが、まずありま。ベルッチネーさんのオトンとは、「ディア・ハンター」(1978年・アメリカ)みたいにベトナム戦争がらみの付き合いらしいわ。花火を見るシーンもあるけど、コレは最新出演作「ニューイヤーズ・イヴ」(2011年・アメリカ)にもござりましたえ。

ほんでもって、パリでストリッパーやってはると言うベルッチネーの指導のもと、デ・ニーロはん自らがストリップを披露しはる、コメディ・リリーフ的なシーンもあります。ベルッチネーも「アレックス」(2002年・フランス)ほど過激やありまへんが、お色気シーンでも魅せはりまっせ。

未公開にならずに、恒常的に日本で公開してほしい作品やと思いました。

2012年3月12日 (月)

テレビドラマの後編劇場版「桜蘭高校ホスト部」(おうらんこうこうホストクラブ)

Photo
コミック原作のバカバカしさが、トンデモ弾けておまっせー

授業シーンなし、先生出まへんの高校学園もんやなんて、そんなん今までありまへんでー

1

http://www.tbs.co.jp/ouran_movie/

弥生3月17日の土曜日から、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、京都・TOHOシネマズ二条、神戸国際松竹やらで上映しはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2
Ⓒ2012 葉島ビスコ・白泉社/映画『桜蘭高校ホスト部』製作委員会

TBSでやらはったテレビドラマの後編とゆうカタチで、映画版にしはったらしいんやけど、はっきりゆうてよお分からへんとこもござります。でも、映画の流れに身を任せておますと、そんなに複雑なお話やないんで、そのうち分かってまいります。

とゆうか、かなりおバカチックなお話なんで、お客はんによっては、ウーンとウナらはるかも。でも、このところかしましゅうなっておます、コミック原作の映画化とゆう視点で本作を検証してみよりますと、イロイロと斬新なとこがあることに、ふと気付かされよります。

ナンチューても、授業シーンはなく、先生が不在とゆう、生徒のやりたい放題節を貫かはった新しさどす。かつてのドラマや映画では、先生が主人公でヒーローとして活躍しはるのんが多かったんやけど、生徒たちの自由ホンポー主義がトレンドなんでおましょうか。「笑うミカエル」(2007年製作)「ランウェイ☆ビート」(2011年)「パラダイス・キス」(2011年)などの作品ともシンクロしよります。

3
また、ヤンキーやスケバンなどの不良系の高校生ものやなく、時代を反映するようにでんな、草食系男子たちをメインに据えた設定が、コンテンポラリー(現代的)どす。

でもって、紅一点7人のチームとゆうのんに魅了されよりました。部活にホストクラブやなんて発想はリアリティーはないけど、それによってドラマ作りの新側面を推進いたします。7人編成は「七人の侍」(1954年)以来、定番にはなっとるけど、川口春奈チャンを紅一点で入れることで、オリジナル・ポイントを付加しはります。

この手の映画にケッコー多いんやけど、アイドル映画としての面でも注目できよります。主演の川口春奈チャンのボーイッシュな魅力やら、「ギャルバサラ」(2011年)より出番が多いし、英語セリフも披露しはる、AKB48の篠田麻里子チャン。

ほんでもって、春奈チャンとラブ・ストーリー部をチョイ展開しはる山本裕典クン。チョー不自然な演技性は、ワザトラマン的な演出なんでおましょう。でも、シリーズ化されれば、それは一種の見どころにもなります。

4
デジタル化したテレビと映画の境界や違いとゆうのは、今やビミョーにはなっとりますが、それでも本作は、映画的な撮り方ちゅうもんを心掛けてはるように思いました。

学生食堂シーンのゆったり移動撮影で、渋いロングショットがあったり、ロングショットとアップ・シーンの絶妙なモンタージュが頻出しよりま。雨のシーン、そして、川沿いシーンの撮り方、特にセピアの夕景を散りばめた、春奈チャンと裕典クンのシークエンスなんかは絶品やと思いまっせ。

続きが見てみたい1本どした。

2012年3月11日 (日)

「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス 3D」

Photo

3Dになった本作の見どころをば解説しよります

2Dより3Dの方がホンマに見やすくて、進化しとるんかの検証も…

http://3d.starwars.com/

マーチ3月16日フライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、3D・2D・日本語吹替版・字幕版共に同時公開で、全国ロードショーでおます。

大阪やったら、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやらで上映どすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

TM Ⓒ2012 Lucasfilm Ltd.

みなはん、映画館で3Dで映画を見はった経験はありまっしゃろか。この観客の体験談とゆうか感想なるものは、今のところ賛否両論となっとります。

メガネを掛けて鑑賞するわけやけど、何やしらん気分が悪くなってしもたり、元からメガネを掛けてるボクなんかは、メガネの上にメガネを掛けて見るっちゅう、重ね重ねの重苦しさっちゅうことになったりしよります。ほんでもって、ホンマに立体的かつ臨場感にあふれとるんかと申せば、それほど大したこともありまへん。

ほかにも、いろんな文句やらがあるそうどすけども、本作(1999年製作・アメリカ映画)はそれらの苦情やらを考慮した上で、ジョージ・ルーカス御大が必死のパッチで、3Dの3Dによる3Dにしかでけへんところのもんを、研究開発しはったもんでおますよ。先行した3D作品を徹底的に研究しはり、そのマイナス部をチェックしはり、でもって、本作に反映させてゆかはります。

本作はみなはんご存知の通りどして、既に2Dで公開され、DVD化され、地上波のテレビでもオンエアされとる作品でおます。そやから初見の方は別にして、3Dで見ることでどないな風な驚きや感動があるんかを、見てゆくことになりよります。

ビックラこきましたがな。左右の動きよりも、観客側へ向かってくる映像は、従来の3D通りに臨場感を増しとるんやけど、全体的にはアクション・シーンのビビッド感がキョーレツどしたえ。

モンスターに追われもって海中をゆくシーン、アナキン少年のポッド・レースの迫力。でもって、クライマックスやー。4つの戦いを見せてゆく例のシーンどす。アナキン少年の宇宙戦、ロボ軍団との集団戦、アミダラ姫ことナタリー・ポートマンのネーさんの銃撃戦、ほんでもって、リーアム・ニーソンとユアン・マクレガーの各アニキの2人が敵に挑むレーザー剣撃対決。

これらのアクション・シーンは間違いなく、2D以上の迫力がござりました。ポッド・レース部では、追加シーンも入っておます。要チェキどすえ。

ジョン・ウィリアムズはんのフル・オーケストラによる交響曲サントラも、この映像感の中では、さらに強力無比に迫ってまいります。3D臨場感が映画を構成する全ての要素に、波及してるとゆうことなんどす。

あの「タイタニック」(1997年・アメリカ)も4月7日に3Dで公開されますし、本作シリーズもまた続々と3D化されて公開予定でおます。今後も3D映画の在り方をば、分析検証してまいります。それは映画の未来を探る意味においても、モノゴッツー重要なことなんやから。

2012年3月10日 (土)

アカデミー賞主演女優賞ゲットのイギリス映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

Photo
実在する人たちの演技が、今やオスカー演技賞受賞のトレンドになっとりまっせー

メリル・ストリープのネーさんが、やってくれはりましたでー

http://ironlady.gaga.ne.jp/

3月16日のフライデーから、ギャガはんの配給によりまして、全国ロードショーでおますえ。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都、MOVIX京都やらで上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1
Ⓒ2011 Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute

アカデミー賞では、実在の人物を演じはった役者はんが、このところ毎年のように、最低1人は演技賞をば受賞してはります。

この傾向は21世紀になってからは、かなり顕著な傾向となっとりますが、その背景には、オリジナル・ストーリー脚本としての作品がネタギレぎみの英語圏映画においては、やはり、実話系のドラマ映画で糊口をしのぐってなとこが、あったやもしれまへん。

でも、本作の出来はハンパやおまへんどした。実在の人物やけど、今も生きてはる人を描いてはります。コレは人権の問題とかイロイロあって、なかなかうまく描けへんとこなんぞがありよります。

描かれてる人、もしくはその関係者が、コレは実際とは違うとかの異議が出たりしよりまして、時には裁判沙汰にもなったりしよりまんねん。まあ、前ブッシュ大統領はんやらは、そない文句はゆうてはりまへんどしたけども。

2
サッチャーはんは文句は言えたかもしれへんけども、今は認知症じみたビミョーなところで生きてはります。でも、彼女を管理してはる人々が、この映画に対してゴーを出さはりました。

いやあー、なんと申しましょうか、サッチャー元首相に扮したメリル・ストリープのネーさんやけど、なりきり型かもしれへんねんけど、凄まじい熱気をばカンジよりました。冒頭シーンはスーパーに牛乳を買いにきはるシーンなんやけど、もうそっからボケ演技をさっそく披露しはります。

既に死んでしもた夫と、日常的スタイルによる幻想的シーンで、何度も関わらはります。夫役は、アルツハイマーの妻と最後まで沿わはった「アイリス」(2001年製作・イギリス映画)で、オスカー助演男優賞をもらわはったジム・ブロードベントはんでおます。メッチャヘヴィーなメリルネーに対し、まさに助演サポートとはこれやがな、みたいな演技をば見せはるんどす。

3
もちろん、主役はメリル演じるサッチャーはんどす。現在形から過去を振り返るスタイルの映画はいっぱいござりますが、過去を順番に振り返る系で、分かりやすく伝えられております。ありふれてるように見えながら、ボクはいくつかのシーンでココロをくすぐられよりました。

夫との思い返しシーンで「王様と私」(1956年・アメリカ)の「シャル・ウィー・ダンス」のナンバーが掛かったり、サッチャーのイロイロな発言が、ドラマティックに描かれてゆくシーンなんぞに、オオッときよりました。

メリル・ネーさんとの関連で言いますと、1979年にサッチャーはんは首相にならはるんやけど、その時にメリルが出てはった映画「クレイマー、クレイマー」(1979年・アメリカ)とのシンクロナイズにもドッキリがござりました。この時、メリルはオスカーで演技賞をもろてはります。それだけやありまへん。2つの映画の演技性は、なるほどなーと思わせはります。見比べてみておくんなはれ。きっと、そうやったんか~ときよりまっせー。

2012年3月 9日 (金)

大分県臼杵市ロケ映画「種まく旅人~みのりの茶~」

Photo
「なごり雪」に続く臼杵市ロケーション映画が、大分先行公開で登場しよります

写真の陣内孝則のアニキと田中麗奈ネーさんが、まるで「ローマの休日」かと思うくらいの、見事な掛け合い演技をば披露しはります

http://www.tanemaku-movie.com/

ゴー・シネマはんの配給によりまして、弥生3月17日サタデーから全国ロードショーでおます。

東京・有楽町スバル座、横浜・TOHOシネマズららぽーと横浜やら、大阪のシネ・リーブル梅田、神戸・109シネマズHAT神戸やらでヤラはりまっせー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1
Ⓒ『種まく旅人 みのりの茶』製作委員会

日本の地方ロケーション映画につきましては、これまでボクは仰山(ギョウサン=たくさん)分析してまいりました。そういうこれまでに出てきた映画群をば、47都道府県別に分けて分類して地図を作製し、地方色も出して映画評論をしようかいなと、アホなことも考えたことがござりました。

しかし、ホンマ、無数かと思えるくらいあるんどすわ、コレが。新しいもんが次から次へと生み出されてきよる。評論が追い着かんくらいやねん。でもって、本作も大分県の大分市・臼杵(うすき)市へとロケを敢行しはった作品でおます。

大分ロケ映画はこれまでにも出とるようどすが、ボクは把握すんのはモチ、鑑賞も全部ヤレとりまへん。ただ、臼杵市ロケとなれば、大林宣彦監督作の「なごり雪」(2002年製作)とゆう名作をば輩出しておます。で、本作はそれ以来となる、臼杵市ロケ映画なんでおますよ。

2
「なごり雪」の悲恋系のラブ・ストーリーとは違いよりまして、こちらは茶摘みをポイントにしはった、なんと農業映画なんやねん。いかにも、地方映画映画したとこらは、妙に観光色に走ったり、妙にドラマチックを追求する地方映画よりは、ストレートかつ自然体なカンジがして、好感を覚えよります。

ミドリあふれる美風景を挟みもって、農業映画としての細部のリアリティー描写にもホレましたがな。かつての農業映画のケッサク、ジャン・ルノワールの「南部の人」(1945年・アメリカ映画)やら内田吐夢の「土」(1939年)やら今井正の「米」(1957年)やらにもなかった、リアル感やと思いよりました。

演技陣の分析へと移りまひょか。ナンチューても田中麗奈ネーさんのキャスティングは、大当たりどすえ~。

3
なんでかと言いますと、愛媛県松山の「がんばっていきまっしょい」(1998年)以来、彼女は“地方映画の女王”とも呼べるくらいの、チャキチャキの弾む演技をば披露し続けてきはったからどす。

そして、彼女を茶摘み職人の女王へと導いてゆかはる、陣内孝則アニキの演技でおます。麗奈ネーのオジン役・柄本明はんと“酒を飲もうやー”の再会シーンから、サプライズの予感に満ちあふれておました。

過去のキャリアに汚点もあるんやけど、そういうシーンはモノクロのダイジェスト的カットで、説明し過ぎずのサラリ描写でゆかはります。ともすると、ベタな描写になりがちなところを、スーっと流すあたり、癒やし系へと向かう本作には、ピッタリな編集でおました。

また、陣内アニキと吉沢悠アニキの関係描写なんかも、サプライズ着地へと誘ってゆかはります。観客のみんなはよう分かっとるんやけど、「ローマの休日」(1953年・アメリカ)的なサプライズ感があるようにも思いよりました。とゆうことで、地方映画の快作がまた1本、現れたとジャッジいたします。

2012年3月 8日 (木)

イギリスのアノ名探偵「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」

Photo_2

第1弾以上にアクション映画性が増した作りでおます

シャーロッキアンは果たしてこの結末を容認できるんか、注目しときたいわー

1

http://www.sherlockholmes-shadow.jp/

マーチ3月10日サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪・梅田ブルク7やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2_2
Ⓒ2011 VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI)LIMITED

コナン・ドイル原作のシャーロック・ホームズもの映画とゆうのんは、これまでにもありました。でも、前作の第1弾「シャーロック・ホームズ」(2009年製作・アメリカ映画・2010年2月28日付けで分析)は、造船所の激アクションほか、それまでの推理部に特化したホームズ映画のイメージを、イージーに変えはりました。

ほんでもって、本作ではさらにもっと強烈に、アクション・シーンをドッカーンっちゅうくらいに展開しはるんどす。しかも、仕込み部含むホームズの推理部分が、アクション・シーンに合わせてスピードフルになっとりまして、ついていけへんようなとこもあることはありよります。

でも、コレがホームズを21世紀的に描く、スピード感なのやも分かりまへん。とにかく、アクション・シーンがチョー・バージョン・アップでおますえ。そして、前作のイギリス・オンリーから、フランス、ドイツ、スイスへと舞台は広がってまいります。

3
原作では考えられへんような、アクト・シーンをば約4つばかり言いよりますと…。

①VFXやら一部スローを取り入れた、ホームズと4人の男たちとの格闘シーン。

②ジプシー女占い師を助けるべく、彼女の命を狙う男との闘い。

③助手のワトソンとヤッてまう、走る列車内活劇&銃撃戦。

④ドイツとのバーサスとなる、工場敷地内銃撃戦に加え、ブルー・トーンで描かれる森中の追逃走アクト。

さてはて、映画ファンは確かにアクション映画として、楽しめるやろとは思いますが、ホームズのゴリゴリのファン“シャーロッキアン”と呼ばれる人らは、どない反応しやはるでおましょうか。

ホームズの実のアニキの存在やら、スイスの対決でオームズが、本作の好敵手と共に死んでいったとゆうエピソードは、シャーロッキアンなら全て知ってはることでおます。でも、頻出するアクションに加え、原作イメージを転覆させるようなサプライズがござります。

4
でも、原作に忠実に映画化することも、ある意味においては重要かもしれまへんが、21世紀以降の後世へホームズを残してゆくとゆう意味では、発想の転換やら冒険とゆうもんが、必要になってくるようにも思いよります。

ほんでもって、本作は映画的設計もしっかりとしておます。薄めの配色とゆうか、舞台となる1891年の時代感を示すシックな撮り方を始め、作品の世界観をわざとらしくなく示しているとこらに、地味やけど、ケッコーココロにきよります。

ボク的には、サントラもええんやけど、劇中の設定で掛かる音楽にもハッとしました。黒澤明監督の「天国と地獄」(1963年・日本)でも流れた、シューベルトの「鱒」の使い方やら、ダンス・シーンで流れるワルツが、やがてサントラとしてのサスペンスな速弾きの、弦楽オーケストラへと転移していったりと、何げないとこやけど巧妙でおました。

ホームズは死ぬんやから、もう続編はないはずやけど、果たしてどないなるんやろかな。注目しておくんなはれ。

2012年3月 7日 (水)

21世紀的なカフカ的「変身」映画の日本映画「へんげ」

Photo

ホラー系やらモンスター系やらを中心に、54分とゆう短い時間に詰め込まはった怪作どすえー

インディーズ映画の魂にあふれた作品でおまっせー

http://hen-ge.com/

マーチ3月10日の土曜日から、キングレコードはんの配給によりまして、東京・シアターNやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1
Ⓒ2012 OMNI PRODUCTION

インディーズ映画、つまり、チョー低予算映画でおます。こういう映画は世界各国で恒常的に作られとるんやけど、後世へはカルト映画とか、B級映画とかのノリで伝えられてゆくようなカンジの映画でおます。

ほな、カルトとかB級とはなんなんでおましょうか。ボクとしては、それは何がなんでも映画を作りたいとゆう、熱血的衝動がバクハツしたもんやと思います。それが効を奏するか、それとも当たって砕けるやらは、分かりまへん。

しかし、モノゴッツーあるこれらの映画が、映画魂を後世に伝えてゆくようにも思いよりま。

でもって、本作どす。後世に残るような映画かどうやらは関係ありまへん。そら、公開して1年後には、忘れられとる作品なんかもしれまへん。しかし、ココには映画を撮りたいとゆう思いが、ホンマに熱く伝わってきよるんどすえー。

2
多彩な過去の作品へと、チビチビとアプローチしもって、展開しはります。インディーズ映画らしく、誰1人、みんながよく知るような有名人が出てはりませんけども、みんな必死のパッチ性の演技を見せはります。

夫妻がいてはって、ある日、夫が発作を皮切りに体が変化してきよります。でも、精神は変わりまへん。彼の体の一部が昆虫系のものへと変わり、そして遂には…。この流れの中でイロイロと、過去の名作を思い出させてくれはります。

フランツ・カフカの名作を原作にした「変身」(2002年製作・ロシア映画)などを始め、「吸血鬼」(1931年・フランス&ドイツ合作)やら「サイコ」(1960年・アメリカ)やら、「キングコング」やらを応用して、本作に取り込んではります。

3_2
家庭内ホラー系のノリが「リング」(1998年・日本)みたいに、徐々に広がってゆくのんを54分で示すとゆうのんは、かなりの至難のワザでおます。

また、血のCG使いなどに、低予算によるチャッチーなとこもあるんやけど、特撮部分の造形とかに、新しいモンスター・ドラマを作らんとする意気込みをカンジよりました。

あくまで低予算かもしれへんけども、ラストロールで披露しはる、シンセサイザーとオーケストラを融合したような、壮大そうなサントラには、ビックラこきました。この種の映画ではあり得ないとこどす。

製作費100万円未満やったらしい「パラノーマル・アクティビィティ」の第1弾(2010年・アメリカ)と比べても、遜色のない仕上がりやとジャッジいたします。そやから、ハリウッドでリメイクされても、なんらおかしゅうない作品になっとりまっせー。

2012年3月 6日 (火)

男2人のバーサス韓国映画「超能力者」

Photo
カン・ドンウォンとコ・スの各アニキの、1対1エスパー対決でおます

SF映画モードで描かれた、男2人のトンデル対決の構図やでー

http://www.choin.jp/

マーチ3月10日から、ツインはんの配給により東京公開どすが、関西は3月17日サタデーから、大阪・シネマート心斎橋でロードショーでおます。その後、全国順グリの上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1
Ⓒ2010 United Pictures & ZIP CINEMA All Rights Reserved

男2人の1対1バーサスをメインに描かはる映画とゆうたら、これまでに全世界を見渡しても、モノゴッツーなタイトル数がござります。韓国映画だけで見てもケッコーあるんどす。

そこで、男1対1対決もん韓国映画の、勝手にマイ・ベスト&カルト・スリーをば披露しよります。

●ベスト⇒①チェイサー(2008年製作)②オールド・ボーイ(2003年)③マイ・ウェイ 12,000キロの真実(今年1月9日付けで分析)●カルト⇒①タイフーン(2007年)②本作③映画は映画だ(2007年)なんてカンジやろか。

本作の新しさは、現実的なパターンの多い中で、エスパー対決とゆうSF映画チックなスタイルをば、入れはったとこでおましょうか。また、主演のカン・ドンウォンのアニキ的には、カンフー・ミラクル対決の、タイムスリップ系SFチックな1対1対決もの「チョン・ウチ 時空同士」(2009年)に続く、SF系対決もんどす。この種の作品の常連主演俳優にもなりそうどすえ。

2
しかも、正義の味方寄りやった「チョン・ウチ」に対して、本作では正反対に近いアウトロー役でおます。相手役は韓流ドラマで人気を得はった、コ・スのアニキどす。ソフト・タッチでアクションを披露してゆかはるんは、悪役ドンウォンと好対照やでー。

ドンウォンのキャラ設定を言いよりますと…。1991年に相手を操れる才能を見出したドンウォンは、2010年、突然のようにコ・スの勤める工場に出現し、従業員たちをストップ・モーションにしはって操らはりまんねん。

ところがどっこい、自分は気付いてへんけどエスパーの才能がある、コ・スはんだけは、ストップして固まらはりまへん。他の人の動きを止める設定の、映画なんぞも過去にはありましたけども、とりあえずは、徐々にこの2人の対決へと、お話の方向は流れてゆきよります。ほんで、デッカイ見どころとなるアクト・シーンや~。

3
乗客全員が固まった地下鉄での対決、カーチェイス、ビルの屋上でのクライマックス対決まで、目が離せまへん。

ほんでもって、シーンに合わせたサントラ使いが、ドラマを弾ませてはります。テクノ、ピコピコ・サウンド、バンド・サウンド、ファンキーなエレクトロ・ポップなど、超能力者対決に合わせた未来型を、示すようなサントラがエエかと思いよりました。

1対1対決やないけど、「トータル・リコール」(1990年・アメリカ映画)とか「ロボコップ」(1987年・アメリカ)やらのセンスも、そこはかとなくカンジられた1本でおました。

2012年3月 5日 (月)

NYを舞台にしたイギリス映画「SHAME-シェイム-」

Photo
愛あるセックスはできないけど、愛のないセックスはいつでもオーケーとゆう、変態チックな男の物語でおます

「タクシードライバー」やら「ニューヨーク・ニューヨーク」やらにオマージュしてはります

3

http://shame.gaga.ne.jp

マーチ3月10日のサタデーから、ギャガはんの配給によりまして、大阪のシネ・リーブル梅田やら、MOVIX京都やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作は「R-18+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2

Ⓒ2011 New Amsterdam Film Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute

ケッタイなセックス・マシーン人間の、ドヒャラヒャラなお話でおます。

写真1枚目は冒頭のシーンどす。この男やけど、派遣の娼婦たちからパソコンでの疑似セックス、モチ、オナニーも自宅だけやなく会社のトイレやらで、しょっちゅうのようにやってはります。

おいおい、コイツは一体、何考えとんねんと、唖然として見てまいりますと、ある日唯一の肉親らしい男の妹が、彼氏のとこを追い出されてしもて、兄やんのマンションに居候しはります。でもって、男のメチャメチャなセックス・ライフ・リズムをかき乱さはるんでおますよ。

兄役主人公には、マイケル・ファスベンダーのアニキが扮してはります。愛のないセックスはなんぼでもできるんやけど、愛のあるセックスはできずに、写真一番下のように頭抱えてはったり、一方、クライマックスでは、夜通しとことんヤリまくるモーレツ演技ぶりを披露。見ているコッチは目も当てられまへんどしたえ。

1
こういう演技は簡単なようでいて、実は難しいんどす。しかも、変形人間ドラマも、なんでそんな風になったのかは、深くは追求されとりまへん。大都会の寂寥感なのか、心の砂漠感なのか、観客にゆだねるようでおます。

ある意味のファジーな演技や。場合によっては観客に伝わらへん場合もござります。それでも、ヴェネチア国際映画祭で主演男優賞をもらわはりました。複雑怪奇な心理演技の妙が見事どす。

対して、妹はん役をやらはったキャリー・マリガンちゃん。「17歳の肖像」(2009年製作・イギリス映画)やら「わたしを離さないで」(2010年・イギリス)で示した、弱々しさ危うさにプラス、壊れやすさみたいなんを付加しはり、兄妹映画的なドラマ側面をば支えてはります。「出ていってくれ」と兄に言われても「兄妹じゃない」と縋る姿には泣きがありました。

4
1、2分の長回しを皮切りに、やがて3分から5分くらいの、印象的な長回し撮影が頻出してまいります。映画的な撮り方を心掛けはった、スティーヴ・マックィーン監督やて、あの名優とおんなじ名前やんかー。

まあ、それはええといたしまして、NY映画を多数撮ってきはった、マーティン・スコセッシ監督作品に対して、オマージュを捧げてはるようにも思いよりました。シンガーのバイトをしてるとゆう妹はんが、2分くらいのUPの長回しで、「ニューヨーク・ニューヨーク」(1977年・アメリカ)の同名主題歌の、ジャズ・スロー・ナンバーを歌ったり…。ほんでもって、主人公の孤独性などは「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)あたりどすか。

NY映画に新たな視点を加えた、人間ドラマ映画のケッサクでおました。

2012年3月 4日 (日)

“はやぶさ”映画の真打ち「おかえり、はやぶさ3D」どすえー

Photo
コドモ向けに分かりやすくなった、ファミリー映画テイストどすえ~

家族のドラマ・キズナ描写がポイントになっとります

http://www.hayabusa3d.jp/

弥生3月10日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。3D・2D同時公開どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012「おかえり、はやぶさ」製作委員会

2010年の重大ニュースとなった、惑星探査機「はやぶさ」のエピソードを採り上げはったドラマ映画どす。

ドキュメンタリー映画以外のドラマ映画としては、ボクチンは既に、①第1弾「はやぶさ/HAYABUSA」(2011年9月19日付け)、②第2弾「はやぶさ 遥かなる帰還」(今年2月10日付け)と、分析してきよりました。

そして、本作はコドモ向け、ファミリー向けとしては、他の2作を圧倒してはります。そやから、春休みを睨んで公開しはるのはベストやと言えるでしょう。

コドモたちを前にして「はやぶさ」の解説を、杏(アン)ちゃんらがしてはる時に、突然、父と息子(ココリコの田中直樹アニキと前田旺志郎クン)が入ってきて喋り始めたりして、随所でコドモでも理解できる、分かりやすさっちゅうもんを心掛けてはるようどす。

その意味では最初の方で、主人公役・藤原竜也のアニキが、日本の宇宙探索史をナレーションして解説しはります。モノクロやらザラついたニュース映像で、タイトに映さはります。②にはそれはなく、①にはあるけど、本作の方が分かりやすいと思いよります。

「はやぶさ」のCG描写部は、①が最も本格的やったやろなと思うけど、こちらは3Dにすることによってでんな、そのあたりを補って余りあるんどすえ。

研究所のメンバーたちの描き込みでは、竹内結子のヒロイン・ドラマ性①、研究所のメンバーに家族も描いた群像劇性の②に対し、本作は研究所員の描写はやや薄めやろけど、家族ドラマ部が見どころになっとります。

ドナーが必要な病気のオカン役森口瑤子ネーさんと、オトン役ココリコの田中アニキと息子の、3人家族のキズナやったりやらが、サブ・ストーリーとして展開しよります。

さらに、メインの「はやぶさ」物語の中に、父子のキズナをさりげなく、仕込んではるんも好感を覚えましたで。「はやぶさ」の前に「のぞみ」を失敗させてしもた経緯がある三浦友和はんが、藤原竜也アニキのオトン役でおます。ラスト近くで、2人が電話を通じてキズナを再確認するシークエンスは、グッドどした。

「はやぶさ」帰還シーンのセピアな流れは①②に本作とも、似通っておますけども、登場人物たちのその後を描くラストロールは、本作のオリジナル・ポイントやと言えましょう。

そして、3作の中で最も壮大に聴こえた、サウンドトラックでおます。音楽監督は、ビルボードのクラシック・チャートで、1位になったキャリアを持ってはる冨田勲はんどす。シンセサイザーと弦楽オーケストラを調合調和させもって、トランペットの音を印象的に響かせはるとこなんやらが、メッチャシブかったわー。

とにもかくにも、春休みにコドモはんを連れて、ファミリーみんなで楽しく見られる作品どすえー。

2012年3月 3日 (土)

岩井俊二監督のドキュメンタリー「friends after 3.11【劇場版】」

Photo
東日本大震災以降に出会った、岩井監督と人々のキズナを描いた作品でおます

AKB48とはまた違う、秋葉原の写真のアイドル・藤波心チャンのひとしずくの涙が、感動を呼ぶ作りどすえー

http://iwaiff.com/fa311/

弥生3月10日の土曜日から、ロックウェルアイズはんの配給によりまして、東京・オーディトリウム渋谷で、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ「friends after 3.11 劇場版」製作委員会

3.11の東日本大震災、そして福島原発の事故を素材にしたドキュメンタリー映画は、この1年にいくつも作られてまいりました。

近日中に分析しよりますが、震災15日後に矢も楯もたまらず、現地へ衝動的に行かはった「311」はかなりショッキングやったけど、でも、本作はあくまで被災者への鎮魂の想い、でもってキズナをポイントにして描いてゆかはります。

岩井俊二監督の優しさが、胸に染み込んでくるような仕上がりなんどす。震災後に出会ったいろんな人たちへ、監督はインタビューしてゆかはります。ナビゲーターとして、松田美由紀のネーさんが付いてはります。それは、インタを敢行するちゅうようなノリではありまへん。

問題部を突つきながらも、これからの未来を視野に入れはったような、インタ・シーンの連続でおます。原発の専門家とかの難しい話でも、モチそのままの論理的な発言を映してゆかはるけども、ボクら観客は不思議と、イコール岩井監督に一心同体して見てゆけるんどすわ。岩井監督はドラマ映画の人なんで、ドキュ映画は初めてでおましょう。

Photo_2
そんな監督の、ドキュメンタリー作家としては計算されていないとこに、感情移入しやすいとゆうか、一緒にイロイロ聞き回ってるような親密感があるんでおますよ。

「おもひでぽろぽろ」(1991年製作)やら「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994年)など、スタジオジブリ作品を引用に出さはる、ミスチルで有名な音楽プロデューサー小林武史アニキの話やとか、自分のコドモを原発から守りたいとゆわはる、「ハルフウェイ」(2010年)なんて映画も撮らはった脚本家・北川悦吏子ネーさんの話やら、有名人の話なんぞもウーンとうなります。

また、原発ドキュを多数作ってはる、女性監督鎌仲ひとみネーさんや、マレーシアの監督とのネット・ライブ中継取材など、映画監督へもアプローチしてはります。

ほんでもって、現地への取材どす。九州電力の原発反対ドキュにも出てはる山本太郎のアニキとの、福島での歩きもってのインタビューやらが強烈どすえ。

さらに、強烈とゆうか、感動的なんが、AKB48を輩出した秋葉原で“脱原発アイドル”としていろいろとヤッてはる、藤波心チャンでおました。映画の冒頭にも出て、で、最後の方では岩井監督と2人で現地へゆくんどすえ。被災者を哀悼する心チャンの涙は、この映画の最大の感動シーンやと思いました。

2012年3月 2日 (金)

フランスの巨匠アラン・レネ監督の新作「風にそよぐ草」

Photo
「去年マリエンバートで」の不条理感・意味不明感が本作でも健在やん

三角関係ラブ・ストーリーへの、アンチテーゼを示した怪作どすえー

http://www.kaze-kusa.jp/

3月3日の「ひなまつり」サタデーから、大阪・梅田ガーデンシネマやら、3月31日の学生の春休みサタデーから、京都シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

フランス・イタリア合作のフランス映画となる本作をば、配給しやはるのんは東宝東和はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸF COMME FILM.

今年の6月で90歳にならはるアラン・レネ監督はんの、2009年に撮らはった、今のところの最新作でおます。そして、世界3大国際映画祭の一つ、カンヌ国際映画祭で、ホームのフランス開催とは申せ、審査員特別賞と特別功労賞をばゲットしてはります。そんなもんどすさかい、ボクチンはえらい胸を弾ませもって試写室に馳せ参じよりましたがな。

ほんでもって、トータルでカンジたんは、監督の過去の名作、例えばワケ分からへんかった「去年マリエンバートで」(1960年製作・フランス映画)の感覚は、やや弱まっとりますが、いちおうそれなりにキープしたまま、「二十四時間の情事」(1959年・フランス&日本合作)で示さはった、不条理なラブ・ストーリー・タイプの今を、不倫劇にて表現しようとしはるんどす。えらいややこしそうやなーと、思わはるかもしれまへんが、総体的には昔よりは丸うなってはります。

1
ヒッチコック的なサスペンス感に加え、「ヘッドライト」(1955年・フランス)など、かつてジャン・ギャバンが演じた、フレンチな渋めのラブ・ストーリーなんぞのテイストも入れつつ、展開するんやけど…。

夫妻とヒロインの三角関係のドラマやのに、これが妙に逼迫感ちゅうもんがないんどすわ。三角関係ドラマを拒絶するように、ストレートかつスイスイとお話が進み、で、三角の3人が仲良くヒコーキに乗るなんてシーンもござります。大マジで見ていったら、ある意味、異様な不倫映画やなーと思わはることでおましょう。これはあくまで監督の策略でおます。

「アバター」(2009年・アメリカ)や「タイタニック」(1997年・アメリカ)などの映画で、本編に入る前に流れよる、20世紀フォックス映画印のファンファーレ・サウンドが実は、本作で3回パロディ的に流れます。主人公が映画館で見てる映画が、朝鮮戦争の戦争映画「トコリの橋」(1954年・アメリカ)やったり、監督の趣味やらがチビチビ顔をのぞかせよります。

ほんで、人を食ったようなラストの方のシークエンスやー。おいおい一体どないなっとんねんと叫びそうになります。叫んでもうたら、そら監督の術中にハマってるちゅうことやでー。

2
ストーリーはメッチャ分かりやすいんどす。ヒロインがカバンをひったくられま。取られるシークエンスはスローを使い、ほんでなかなかヒロインの顔を映しまへん。ひったくりが金を盗んで捨てたサイフを、主人公が見つけて、ヒロインのヒコーキの免許証が入っておったんで、警察へ届けはりますが、ある日、主人公にヒロインからお礼の電話がケータイに…。

車を運転中の主人公のシーンの中に、丸や楕円カットを入れたり、ナレーションと主人公の心の呟きをリズミックに挿入したり、ヒロインが夢想するアイリス・アウト(画面が丸くなってフェイド・アウト)入りのカットなど、ユニークなシーンがいっぱいござります。

特に、2人が突然のようにキスするシーンの、意外性なんぞには驚かさせられよりますで。分かりやすくて、やがては不条理で、監督的に遊んだり、パロッたり、ヘンな映画やけど、コレはクセになりそな映画でおますよ。つまりは、怪作や~。

2012年3月 1日 (木)

「映画ドラえもん のび太と奇跡の島~アニマル アドベンチャー~」

Photo
アニメ・プログラム・ピクチャーとして、シリーズ48作「男はつらいよ」の世界記録へ突っ走っておくんなまし

今作は、伝説の黄金のカブト虫を始め、絶滅種動物しかいない島での冒険が展開やでー

http://www.doraeiga.com/

1
3月3日の“ひなまつり”土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

4
Ⓒ藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2012

日本の国民的アニメとしては、「サザエさん」と対をなすような作品でおます。「サザエさん」がかつては実写映画化もなされましたが、映画化されずにきたのに対して、こちらは1980年を第1弾として、劇場版シリーズがスタートしております。

以来、ドラえもん声優の交代があった2005年だけを別にして、毎年1作ずつ作られよりまして、本作で32作目となります。シリーズものの世界記録として、“寅さん”主演の「男はつらいよ」の48作がありますが、先行して始まっとるアノ「007」もまだ20台の前半の今、新記録へ向けて加速しそうでおます。

さらに、アニメやから、実写のように主人公が年をとることもなく、いつまでも若いままで物語を紡ぐことができよる強みっちゅうもんもござります。ドラちゃんと寅ちゃんの愛称なんぞの相似も、何やら意味深長やしね。

2
ほんでもって、本作はコドモたちの春休みに公開中の作品なんやけど、夏休み中の話を描いてはります。夏休みてゆうたら冒険。ほんでもって、島もんでおますが、それらをストレートに出すよりは、ケッコーひねってはります。

宝探し系やったら、「宝島」(1950年製作・アメリカ映画)が即思い浮かぶけども、フツーの宝やなく、写真3枚目にある黄金のカブト虫どすえ。しかも、その島には、その黄金のカブト虫のパワーを得てでんな、絶滅種の動物たちがいっぱいいておりま。キングコングやらのモンスターやら、「ジュラシック・パーク」みたいな恐竜やらはおりまへんけども、そういう島設定とゆうのんは、まあ、今まではありまへん。

でもって、黄金虫を奪おうとする悪と、それを守ろうとするドラえもんチームとの凄まじい対決を、クライマックスに置いたとゆう作りでおます。しかも、今回ドラちゃんの、武器にもなるマジカル小道具は修理に出してしもて、ほとんどござりまへん。そんな中での対決は一体、どないなことになるんやろか~?

3
さてはて、色使いはいつもながらに冴えとります。パープル・セピア・グリーン・ブルーなどをグラデーション、ストライプしてゆくような絵作りシーンが頻出しよります。特に、島へゆくタイムトンネルの造形が鮮やかどした。加えて、島における、草原、森などの緑の自然描写シーンは、目に優しく入ってまいります。

「ダベー」と方言を連発するロボットの造形やら、水樹奈々チャンが声優をやらはった、現地の島娘コロンのかわいさやら、イロイロ魅せてくれはります。

そして、シメで流れる主題歌や~。福山雅治のアニキが書き下ろしナンバー「生きてる生きてく」を提供しはりました。吹奏楽をバックにしたダンサブルでキャッチーなナンバーは、福山クンのアップ・テンポ曲の最高傑作になったんやないやろか。最後の最後まで、注目しときたい作品でおますよ。

« 2012年2月 | トップページ | 2012年4月 »