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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年2月の記事

2012年2月29日 (水)

ある種ミステリアスなドキュメンタリー「世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶」

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大仰さ、サプライズ感あるトンデモ3Dドキュメンタリーでおます

いろんなことがゆっくり明らかになってゆく、ミステリー的展開もアリでおますよ

http://www.hekiga3d.com/

3月3日の“ひなまつり”デー土曜日から、スターサンズはんの配給によりまして、TOHOシネマズ日劇(レイトショー)やら、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やらで、ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸMMX CREATIVE DIFFERENCES PRODUCTIONS, INC.

アメリカ・フランス合作で、ドイツのヴェルナー・ヘルツォーク監督が撮り上げはったドキュメンタリーでおます。一般人は観覧不可のフランスの洞窟、ショーヴェ洞窟に初めてカメラが入った映像が展開しよります。

最近、監督がなんでドキュメンタリーに、熱をば入れてはるんかはよう分かりまへんが、本作を見てみよりますと、過去の作品の熱気が、それなりに注入されとるんが分かるようになっとります。

ボクチンがメッチャハマッた、オペラの殿堂をアマゾンに造るっちゅう主人公を描いた「フィツカラルド」(1982年製作・西ドイツ映画)の大仰さが、実は本作のドキュにも反映されとります。

一般観覧は全くできへんフランスの洞窟に映画カメラが初めて入り、映してゆくとゆうスタイルは、前人未到を標榜した、これまでのドキュやドラマ映画にもありました。問題なんは、そこから何が観客たちの元へ伝えられてゆくかでおましょう。

但し、本作は3Dをば採用してはります。ボクチンらも試写室でメガネをかけて見ましたがな。前へ前へとゆく映像的には、立体感と臨場感がござります。しかし、3Dで撮った意味は、それほどカンジまへんどした。

むしろ、2D的にも描ける、ミステリー的な検証部分の方が、面白く思えたんは確かどす。そやから、本作は検証ドキュで、みんなをビックリさせはるような、そんなタイプの映画なんやと思います。

氷河期・旧石器時代やらを経てとゆう流れを見てゆきもって、洞窟に書かれた壁画の意味を検証してまいります。書いた人物の体型やらを推定していったり、動物を中心として書かれた絵どすが、例えば2つの書かれた絵の書き込みの間に、5千年の時間差があったり、人そのものを描くよりは、人の頭にクマを象徴的に描いたりの、疑問にも迫ってゆかはります。

この洞窟に入った考古学者やら古生物学者やらへのインタビューも、しつこいくらいネチネチ描かれとります。そして、洞窟内部のナビゲーション的なイントロが、やがて謎めいてきて、ほんでもって、イロンなことが明らかになってゆくような作りは、アラマ・ポテチンにしてハッとしてグーやもしれまへん。

ラストの方では、原子力発電とワニにまつわる異様な検証シーンが立ち現れよります。これは恐るべきサプライズやったでおますよ。ヘルツォーク監督は一体、何を考えとんねん? との疑問も起こりかねない、衝撃のシークエンスでおましたどすえ~。ヘンやったけど、クセにはなりそな作品やもしれまへん。

2012年2月28日 (火)

カンヌ国際映画祭脚本賞ゲットの韓国映画「ポエトリー アグネスの詩(うた)」

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後期高齢者シニア映画の、新味を打ち出さはった作品どす

イ・チャンドン監督の映画的な作りの在り方には、いっつもヤラれよりま

http://www.poetry-shi.jp/

3月3日サタデーの“ひなまつり”から、大阪・テアトル梅田、3月31日からはシネ・リーブル神戸やら、その後、京都シネマやらで全国順グリのロードショーでおます。

「PG-12」指定の本作を配給しやはるのんは、シグロはんとキノアイ・ジャパンはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Unikorea Culture & Art Investment Co,

Ltd. and PINEHOUSE FILM, All rights reserved.

シニア映画と聞いて、みなはんはどない思わはるでしょうか。若い人やったら、ジジ臭いババ臭いやなんて思わはるんやろか。

でも、ジジ・ババ系、あるいは老人ホーム風群像劇には、黄昏系の“もうしまいやねん”的な映画は、一部の作品を除いて、実はほとんどありまへんねん。ある時は元気がもらえ、ある時は人生の機微なるものを教えてくれはります。

でもって、久々にマイ・ベスト&カルト・スリーのシニア映画をば、披露させていただきます。ちなみにシニア映画とは、60歳以上のシニアが主演してはるような映画でおます。

●ベスト⇒①老人と海(1958年製作・アメリカ映画)②グラン・トリノ(2009年・アメリカ)③ドライビング・ミス・デイジー(1989年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②大誘拐 Rainbow Kids(1991年・日本)③旅路の果て(1939年・フランス)とゆうカンジどすか。

カルト③の黄昏老人群像劇タッチを除きまして、ほとんどが元気印な老人・老女の話なんどすが、但しカルト①にした本作は、これまでのシニア映画とは、ビミョーな違いがあるように思いよります。

そう思わせはる約3ポインツばかりを見てみよりますと、

①老人が若い者らを、希望あるとこへと導くような映画はあるやろし、絆映画もあるやろけど、本作の老女ヒロインと若い者たち(本作では孫を含めた中学生設定)のつながり具合は単純なのに、ビミョーな屈折度合いを見せはります。

そして、詩を通じてつながっていくような感覚を見せます。特に自殺した少女とのつながり描写は、本作のオリジナル・ポイント性をば増してはるかと思います。

②アルツハイマー初期やと診断されたヒロインやけど、老人を介護してはりまして、遂にはその老人の、若者向けにゆうと「男にしてくれ」(正確には、男であることを思い出させてくれ)のコトバに、アラマ・ポテチン(驚き)な展開やー。病気系者同士の介護士・病人の関係はまあ、ありまへんやろ。

③ヒロインは詩作に興味を覚えて、学校にまで通わはります。そして、詩を作ろうと四苦八苦しはります。また、詩を披露するいろんな人たちのシーンが、本筋とは関係ないようなカンジで、クセのように綴られます。これらのシーンは退屈なようでいてそうではござりまへん。ラストのシーンへ向けた積み重ねなんどすえ。ほんでもって、そんな作りにも関わらず、少女の自殺事件を見せてゆくような、ミステリー・タッチの映画やとゆう点も新鮮やないかと思います。

さてはて、イ・チャンドン監督はんやけど、本作を含めてこれまでに5作品を発表してはりますが、渋いケッサク揃いどす。本作もカンヌで脚本賞をもろてはりまして、話の上手さは絶品どす。

極端なくらいにアップの少ない、映画的な撮り方やとか、ストーリーやヒロインのココロに集中してもらわんがために、サントラを使わなかったりとか、映画作りの在り方をば追求してはります。

地味やけど、見たあとじっくりココロにきよる作品でおます。ボクとしては今のとこ、今年の韓国映画のナンバーワンどすえ~。

2012年2月27日 (月)

フランス&ベルギー&イギリス合作の夫婦映画「最高の人生をあなたと」

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後期高齢者直前シニア熟年映画の、危機感を描いた作品どすえ

女性監督ジュリー・ガヴラスのネーさんの第2弾でおます

http://www.saikou-jinsei.com/

3月3日の“ひなまつり”土曜日から、アルバトロス・フィルムはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やら、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 Gaumont - Les Films du Worso - Late Bloomers Ltd

ベルギーやイギリスもこの映画に出資してはりますが、基本はフランス映画でおます。しかも、イギリス・ロンドンを舞台にしはった、英語セリフによるフランス映画なんどす。モチ、ロンドンでは今年五輪が開催されま。ロンドン舞台映画がトレンドになる年なんかもしれまへん。

但し、本作は映画の出来は別にしてでんな、映画史的にはかなり意味合いやらキーワードやらが、チビチビあるような映画になっとります。

イタリアン・ネオリアリズムの巨匠監督ロベルト・ロッセリーニはん、映画史に残る名女優イングリッド・バーグマンのネーさん、フランスの社会派の巨匠監督コスタ・ガヴラスはん、そして、アカデミー賞主演賞受賞経験の役者はん。映画的遺伝子を含めよりまして、これらの才能がいわば結集した作品が本作なんでおます。

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特に、2人の演技が傑出しておます。ロッセリーニ監督とバーグマンの娘はん、イザベラ・ロッセリーニのネーはん。ほんでもって、「蜘蛛女のキス」(1985年製作・アメリカ&ブラジル合作)で、オスカー・ゲットのウィリアム・ハートはんでおます。

後期高齢者まではいってはりまへんけども、まあ、シニア映画にして夫婦映画とゆう括りになる作品でおましょうか。

アルツハイマーとまではいかへんけども、時々健忘症的にならはるイザベラはん。イントロから、建築家の夫役ハートはんの受賞式で早速、微妙なボーッとした演技をば見せはります。老化なんぞに負けるもんかと、必死のパッチでイロイロやらはる、その後の演技ぶりには涙ぐましいもんがござりましたで。

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一方のハートはんは至って健康どすけども、会社の若いコやらと浮気なんぞもしてはります。片や、イザベラはんもヤラはりまんねん。で、2人は別居しはります。エエ大人の息子2人と、夫と離婚し双子のコドモたちと暮らしてる娘はんが、親の熟年離婚を阻止せんと、対策会議なんぞを開かはります。

さてはて、2人の仲は元の鞘に収まるんかどうかが、本作のデッカイ見どころとなりよります。はっきり申し上げよりまして、不満なとこがないとは申しまへん。2人の浮気の行方がどないなったんかとか、未消化のまま終わっとるとこも、確かにござります。

でも、日本映画「RAILWAYS  愛を伝えられない大人たちへ」(昨年11月22日付けで分析)ともシンクロする、高齢者社会における夫婦の在り方や描写には、かつてのシニアもの映画とは確実に違う、今でしか描けないセンスがあるように思いよりました。

コスタ・ガヴラス監督の娘はん、ジュリー・ガヴラス監督の映画監督作第2弾どすけども、背伸びしてはるとこもあるけど、自分のオトン世代に近いラブ・ストーリーを、自分なりの感性で撮ってはります。デビュー作「ぜんぶ、フィデルのせい」(2006年・フランス)も、オトンのことを意識してはりました。オトンへの愛が、さりげられなくカンジられた作品でおましたえ~。

2012年2月26日 (日)

サバイバル・ゲーム映画の第2弾「ライアーゲーム-再生(リボーン)-」やでー

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コミック原作チックなアリエネー系のシチュエーションが、トンデモたまりまへん

どこまでも冷静沈着系演技でゆかはる、松田翔太のアニキの当たり役やないやろか

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http://www.liargame.jp/

弥生3月3日の「ひなまつり」土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012 フジテレビジョン/集英社/東宝/FNS27社

「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」(2010年製作)の、“ファイナル”から始まったシリーズ第2弾の劇場版、すなわち映画化でおます。

今やイロイロ映画化されとりますコミック原作どして、しかもフジテレビの深夜のテレビ・ドラマから、スライド&バージョン・アップ化してきはったカタチの本作でおますが、コミック原作らしいトンデモ・アリエネー系の設定が、今回は前作以上にトンデはります。

この種のサバイバル系もんでゆきましたら、「カイジ」シリーズやら「GANTZ」やらの、ジャパコミ(アメコミに対する日本コミックの手前勝手な略称どす)原作映画なんかと、シンクロしよるかと思います。

ところがどっこい、リアル感がなくとも、本作は頭脳戦・駆け引きを取り込んだ極上のミステリー映画にもなっとるんどす。

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ゲームに嫌々ながら参加しはる人がいてるんやけど、警察・司法当局にゆうたらええだけやし、また、ゲーム中に休憩タイムもあるんやけど、食事はどないしてんの、排泄はどうなのナンチューツッコミも入れたくなったりなんやけど、コレらはハショリ省略系でいってはると思てくだされ。

ハードな「バトル・ロワイアル」(2000年)に対する、ソフト版みたいに考えてもろてもええかと思いよります。

でもって、単純なるイス取りゲームが、3組&脱落組に分かれたスリリングなゲームへと転がってゆくプロセスは、手に汗握る展開でおましょう。スパイ投入やら裏切りやらもあり、丁々発止な駆け引きやらが次々にやってきよります。リアリティーがどうちゃらこうちゃらを抜きにして、メッチャ楽しめましたで。

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前作の戸田恵梨香ちゃんに変わりまして、今度の巻き込まれ女優はんは、多部未華子ちゃんどす。

恵梨香ちゃんはどっちかてゆうたら、強気系のイケイケやったんやけど、未華子ちゃんは弱気でオドオドの優しい系でゆかはります。でも、その性格ぶりが本作の騙しやらどんでん返しやらサプライズに、見事に反映しとるんですわ。

祈りのシーンなど大仰な演技を披露しはる、カルト教団の教祖役の船越英一郎はん、新井浩文アニキのいつも以上のヤサグレ感やらに対し、終始、冷静沈着な演技をとことん披露し続けはる松田翔太のアニキ。その対比演技やらも、映画の決着の行方にハラドキ感を募らせはりまんねん。

このところボクチンは、「ハードロマンチッカー」(2011年)「アフロ田中」(2012年)と見てきとる、翔太アニキの演技ぶりやけど、オトンの松田優作を常に意識してはるように思いました。非道・純情・冷静…まさに多彩や。そのうちオトンを超える演技を見せはるかもしれまへん。

写真3枚目に映ってはる、芦田愛菜ちゃんも印象的やったかな。初めて無表情を貫いた演技ぶりは、大人になったら、もっとスゴイことになるやもなー、なんてね。ガンバッテチョー。

2012年2月25日 (土)

殺し屋たちのサバイバルを描くイギリス映画「ザ・トーナメント」でおま

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はっきりゆうて、メチャメチャな映画なんやけど、ハリウッド的アクションへの熱きオマージュがある作品どす

シチュエーション・ゲーム&バクチ系も、凄まじい後味がありまっせー

http://www.thetournament-movie.com/

3月3日の“ひなまつり”土曜日から、インターフィルムはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸMann Made Limited 2009

シチュエーション・アクション&バイオレンス映画の、新規参入映画でおます。

7年ごとに殺人者たちのワールドカップなるもんがありましてな、監視カメラが至る所に設置されとる中で、ビデオを監視する者たちを室内に置いて、30人くらいが殺し合いをやって誰が最後の1人になるかを競い、主催者がそれをバクチしはる人々を集めて、賭けさせはるナンチューお話でおます。

街でこの大会に関する殺し合いがあっても、一般市民も警察もマスコミも、黙ってるなんてことになっとります。こういう設定もんはケッコーござります。

タイトルだけを並べたら「バトルランナー」(1987年製作・アメリカ映画)「トゥルーマン・ショー」(1998年・アメリカ)「バトル・ロワイアル」(2000年・日本)「カイジ」(2010年)「インシテミル」(2010年)やらどすか。

モチ、テイストはサバイバル映画にしてバイオレンス映画、ほんでもって、そのココロはゲーム感覚のようでいて、実は参加するプロの殺人者みなが、大マジ・モードなんでおますよ。

但し、写真一番上に映ってはる、ロバート・カーライルのアニキは何かの間違いで、この戦いの中に巻き込まれてまう、アル中の神父をばやってはりましてな、コレがメッチャ映画をオモロうしてはりまんねん。

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本作の描かれる年の舞台は、イギリス大会どす。まるで、今年のロンドン・オリンピックの殺人編バージョンやー。

ほんでもって、戦闘意欲ゼロのカーライルのアニキやけど、このトンデモ殺人鬼サバイバル戦の中で、生き抜くことはできるんやろか、ちゅうんがでっかいキモになりよりま。それが、なんとまあー、生き抜かはるんどすえ。

おいおい、それはどおゆうことやねんと、大がいの方は思わはるでおましょう。まあ、ボク的には、写真2枚目に映ってはる、中国人女殺人者設定のケリー・フーのネーさんと、つるまはったんが効を奏したんやないやろか。

3番目に映ってはるんが前回のウイナー役のヴィング・レイムスはんやけど、今回も参加しはるのには理由がござりました。妻を殺した犯人が今回の参加者に、紛れ込んどるんですわ。そやから、復讐も込めて参加してはります。

銃撃戦・格闘・タンクローリーとバスのカーチェイス・アクト・大バクハツやらのアクション・シーンが、次々にやってまいります。もうホンマにメチャメチャな映画にも見えよるんやけど、でも、イギリス映画として、ハリウッドのアクション映画に対して、何らかのオマージュを込めてはるような作りにも見えるんは、ボクチンだけやろか。

大仰なアクト・シーンだけやなく、スタンダードなジャズを流してのスローモー入りの、ダイジェスト・シーンやらにも魅了されよりました。どんでん返しもお楽しみどすえー。

2012年2月24日 (金)

シェークスピア原作の現代翻案版イギリス映画「英雄の証明」

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シェイクものでは「ウエストサイド物語」やら、バズ・ラーマン版「ロミオ&ジュリエット」やらに続く、現代バージョン編でおます

監督兼主演のレイフ・ファインズのアニキとジェラルド・バトラーのアニキとの、まさに仁義なき1対1のバーサスどすえ~

http://www.eiyu-shoumei.jp/

2月25日のサタデーから、プレシディオはんの配給で、全国ロードショーでおます。

関西やったら、梅田ブルク7やらT・ジョイ京都やらで上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸCoriolanus Films Limited 2010

シェークスピアの戯曲をば、現代バージョンでお贈りしはる映画でおます。シェークスピア作品を映画化した作品は、それはそれはいっぱいござります。

でも、古代や中世の世界をば、現代バージョンに置き換えはった作品は、そんなに多くはありまへん。見出しにも書きよりました、「ロミオ&ジュリエット」をミュージカル・バージョンで捉えた「ウエスト・サイド物語」(1961年製作・アメリカ映画)とか、「ロミ・ジュリ」を現代版ロック・バージョンで捉えた、バズ・ラーマン監督の「ロミオ&ジュリエット」(1996年・アメリカ)くらいでおましょうか。

しかも、本作はシェークスピアが書いた当時の雰囲気を残しもって、現代に置き換えてはるところに、モノゴッツーなオリジナル視点がござるんどすえ。当時イギリス在住のシェークスピアはんは、本作みたいに、イタリアを舞台にしながらも、イタリアへ行ったことがないとゆうてはりましたそうでおます。取材リアリティーのないカンジなんやけど、想像によって紡がれたところの、本来の想像によるドラマ性へと回帰しよるんどすえ。そんな作りになっとるんでおますよ。

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演技陣の熱血ぶりにも大注目でおます。本作で初監督兼主演をやらはったレイフ・ファインズのアニキてゆうたら、アカデミー賞作品賞ゲットの「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年・アメリカ)が、あまりにも有名でおます。ナンチューても、レイフの演技はメッチャ凄いでおますよ。

写真2枚目のジェラルド・バトラーのアニキとは好敵手なんやけど、レイフはバトラーには12連勝してはるんどす。ローマのレイフ側と、ローマと敵対する側がバトラーなんやけど、レイフはローマに裏切られ追放されま。で、落ちぶれのロードを経て、バトラー側へと辿り着かはります。そんな数奇な運命を経て、2人が協力して、レイフのリベンジのためにローマへと侵攻しはります。

しかし、レイフがローマに置いてきた妻・息子・オバンとの話し合いによって、エライ局面をば迎えはります。

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レイフのオカンにしてこのオバン役の、ヴァネッサ・レッドグレイヴはんの演技には、オスカー助演女優賞をもらわはった「ジュリア」(1977年・アメリカ)よりも、コンテンポラリー(現代)的に進化してはりました。「怒りが私の食事よ」なんてゆわはるヴァネッサはんの、ワビサビあふれる演技ぶりに、ボクチンは熟演技のスゴミを見ました。

さて、レイフのアニキとしては初監督作品やのに、ボクは映画的な撮り方やら色使いに魅せられましたで。アップ・クローズアップとロングショットを織り込んだ編集ぶりやら、原色系の色合いを排除した、ダークなひび割れたような薄色配色の画面作りには、ハッとしよりました。

「ハート・ロッカー」(2008年・アメリカ)的な、まるでイラクで戦ってるような作りもグッドでおました。打楽器をメインにしはった、サントラ使いにも妙味がござります。俳優監督映画の第1弾としては、上々の仕上がりどす。ぜひとも映画館でご体感あれ!

2012年2月23日 (木)

映画愛に満ちたドキュメンタリー映画「小さな町の小さな映画館」

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「ニュー・シネマ・パラダイス」などへと通じる、深き映画愛の物語どすえ~

北海道の浦河にある映画館“大黒座”を舞台に、映画への人々の想いが、静かに伝わってくる感動作でおますよ

http://www.chiisanaeigakan.com/

如月2月25日の土曜日から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォXで上映でおます(3月4日の午後4時の回では、本作の監督・森田恵子ネーさんの舞台挨拶がござります)。でもって、その後、3月3日から神戸・元町映画館やら、4月から京都みなみ会館やらで上映しはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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いやあー、ボクチンは恥ずかしながらでんな、この映画を見た時には、ホンマのホンマに泣きよりました。ボクは映画を見てる時には、滅多なことでは泣かしまへんねん。

のめりこんで、映画を分析解析することに集中しようと、目を凝らしておますんで、涙腺のスイッチは入っとらんのどすわ。ところがどっこい、コレはピン・ポイントやったなー。ヤラレました。

映画撮影技師と少年の交流を描いた「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年製作・イタリア&フランス合作)にも近い、映画への愛があふれておます。

とゆうか、ボクが最もココロにきたんは、映画をそんなに見たことがない人たちのお話どした。牧場をやってはる人とか、地場産業の漁業やら養鶏をやってはる人とか。そもそも映画なんか見んでも生きてゆける人たちが、映画を見て感動するとゆうのんが、ボクのココ、ココロにきよるんどすわー。

映画のチカラを凄く感じさせはる作りでおます。たかが映画、されど映画なんどすえ。

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さてはて、このドキュメンタリーのポイントは、映画とは全く似合わない、漁業と牧場の町・北海道・浦河とゆう片田舎に、映画館ができ、それがなんとまあー、今に至って創業93年目を迎えてはることでおます。

誰も客が入らへん日々もあったそうどす。暖房がなくて、厚着をしながら凍えつつも、映画を見はる人もいてはりました。映画と人々のつながりとゆうのんが、モノゴッツー伝わってまいります。DVDのレンタルやったら、家で簡単に見られますが、でも本作は、映画館で映画を見ることの意味を、押しつけがましくなく、本編のすみずみから伝えてきはります。

写真3枚目は、4代目とならはる映画館の館主はんの、三上雅弘のアニキ。4枚目は、ポスターを張ってはる、そのヨメはんの佳寿子ネーさんどす。2人の映画体験やらも披露されよりますが、それらのエピソードも、ケッコー映画館鑑賞への扉へと導いてくれはります。

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いろんな人にインタビューしてはりますが、佳寿子ネーさんのコトバやらはかなり印象的どした。この大黒座でSF世界の「エイリアン2」(1986年・アメリカ)を見て外へ出た時、そこには海辺の田舎の風景が広がっていた、やなんて…。映画とゆう夢の世界を言い表してハッときよります。

かつては自主映画も、この大黒座を舞台に撮られたらしいのどすが、エポックメイクなんは、「結婚」(1993年製作)とゆうメジャー系の映画で、大黒座が捉えられたことどすか。「結婚」は3話オムニバスのコメディなんやけど、浦河バージョンの1話は、佐藤浩市と名取裕子共演で、恩地日出夫はんが監督しはりました。その時の撮影エピソードやらは、オモロイかとは思います。

でも、本作のポイントはそういうことよりも、ちっちゃな映画館への、映画愛を通しての描き込みどす。いずれにいたしましてもでんな、岡山のNPO法人の映画館やらの話も盛り込みつつ、「ニュー・シネマ・パラダイス」以上の、映画愛に酔えた作品どしたえ~。

2012年2月22日 (水)

石井聰亙監督が石井岳龍名義で撮らはった新作「生きてるものはいないのか」

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ワケ分からへん新型ウイルスで、次々に人が死んでしもて…そして誰もおらへんようになる、怪作パニック・ムービーどすえ~

サバイバル映画や世界の終焉映画やらを、逆手に取った作りがなんかスゴイんやでー

http://ikiteru.jp/

如月2月25日の土曜日から、ファントムフィルムはんの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸDRAGON MOUNTAIN LLC.

石井聰亙監督が石井岳龍っちゅう名前に名義変更して、監督しはった作品でおます。名前を変えたからてゆうて、作品性には変化はなく、いつものトンデモ石井監督流が、冒頭から流れ出しよるかと思いきや…。

さてはて、みなはん、石井監督の過去の作品をば見はったことはありまっしゃろか。ボクチン的のベストスリーをば挙げよりますと…。

暴走族の青春を描いた①狂い咲きサンダーロード(1980年製作)/同率①本作/家族同士の仁義なき戦い③逆噴射家族、てなカンジどすか。

つまりば、本作は石井監督の新たな側面を示した、ケッサクとゆうことでおます。セカンド・デビューとでも申しますか。ほんでもって、よう見よりますと、これまでイロイロあった、アクション・バイオレンス映画性をば封印してはるんどす。

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本作には、かつての石井監督が表現してけえへんかった、3点ばかりの特異性がござります。

①死にゆく人たちの群像ドラマ性②原因不明の不条理感を、思いっきり入れ込むスタイル③世界の終末感を示すような、パニック・ムービー性、あたりどすか。

それぞれ解説してまいりますと…。①については、いろんなグループを意図的に作り出し、それぞれの人たちがチビチビ関係してゆくとゆう、群像劇スタイルを構築してはります。人々を並列的に描かず、さりとて、ベタに関係させることもあれへんこの手法は、まさに21世紀最新型の群像劇のタッチでおます。

さらに、言いよりますと、本作は神戸の大学キャンパスと、大学病院へロケーションしてはります。地方映画で、こうした不条理系のドラマ映画は、かつてなかったやろかと思います。

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そうそう、②についてどすが、セリフの不条理なオモシロさは特筆もんどした。それはコメディ映画的やあらしまへん。ワケ分からへんけども、雰囲気でワケが分かるゆうみたいなとこやろか。

不条理演劇やらでは多い手法かと思うけど、特に死にゆく人々の臨終のコトバを、アイロニカルに描くとこらは、極上のブラック・ユーモアを感じよりました。ヒコーキが落ちてゆくカットとか、セピアな夕景とグレーの雲の不穏感とか、不条理ドラマを支える細部の描写もキテおりましたで。

そして、③やー。パニック映画・サバイバル映画・世界の終わり映画など、これまで数限りなく輩出されとりますが、それらを逆手に取るような、アイロニー感が凄くあったかと思いますで。

例えばそれは、キューブリックの「博士の異常な愛情」(1963年製作・イギリス映画)みたいな、アイロニーをアイロニーで包み込むみたいな感じでおましょうか。写真イチバン上の染谷将太クンを映す、ラストシーンの衝撃は、個人的には大げさかもしれへんけど、「博士の異常な愛情」に匹敵するやもな…と…。

ジョン・レノンのスターティング・オーバーな~とも呼ぶべき、石井監督のキャリア最高ケッサクでの復活劇どしたえ~。

2012年2月21日 (火)

シリーズ最終章の前編「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part1」

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アメリカの国民的人気映画がイギリスの「ハリー・ポッター」みたいなフィナーレをば迎えはります

映画史上初の、吸血鬼男とフツーのオナゴの結婚の行方は、一体どないなるんでおましょうや?

http://www.the-twilight-saga.jp/

フェブラリー2月25日のサタデーから、角川映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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TM & Ⓒ 2011 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

昨日の「アンダーワールド」でも言いましたけども、吸血鬼と狼人間とフランケンシュタイン(ちなみに、フランケンシュタイン博士が作り出したモンスターなんで、この名前どす)は、創生記のアメリカン・ホラーの3大ヒーローでおます。

でもって、それらは人間を絡めはることで、進化をし続けてきたとゆう経緯がござります。吸血鬼とオオカミ・モンスターの対決を軸にした「アンダーワールド」シリーズしかり、ほんで、本作もそうどす。

けども、本作はラブ・ストーリーを導入して、それまでのホラー・イメージを反転させたことで、アメリカ映画的には画期的なものになりよりました。男の吸血鬼と狼人間と女の人間の、三角関係の恋愛映画として構築しはったんどす。いかにも、コメディ映画でそれをやったらオモロなりそうな素材やけど、それが大マジメにやらかしてくれはりました。

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アメリカで国民的な人気シリーズになったんは、実はそのあたりにあるんやないかと、ボクは分析いたします。日本ではそれほどでもないのんはたぶん、アメリカほど吸血鬼や狼人間が身近やないからでおましょうか。

そして、それをばホラー的に進化させるんやなく、ラブ・ストーリーとして展開させたことが、ホラーとラブ・ストーリーの見事な調和を生んだんでおます。アメリカ的には、ホラー・ファンにも恋愛映画へのファンにも、そして付け加えますれば、青春映画のファンへも遡及したんでおましょう。

前3作は少なくとも見ておかなあきませんけども、でも、ズボラ人間でもでんな、こっから始めてもなんとかなるやろかと思います。あとから、また見たらええわけどすし、「ハリー・ポッター」を全部鑑賞しはった方なら、その鑑賞パターンでええかと思います。ボクなんか、一番しまいからさかのぼったら、どんなんかなーって試してみたくらいやから。何作かは見てましたけども、また違った楽しみ方がござりましたえ。

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みなはん、ご存知の通り、「ハリー・ポッター」のフィナーレは、Part1とPart2に分かれておました。同じく、本作も最終章はそれにならわはったようなカンジどすけども、吸血鬼男(ロバート・パティンソン君)とフツーの人間の女(クリステン・スチュワートちゃん)が、女がオオカミ男(テイラー・ロートナー君)を振って、結婚しはりました。

写真2枚目が結婚式の様子どして、写真1枚目が島でのハネムーンでベッドインしやはるとこでおます。吸血鬼とフツーの人間の結婚を採り上げはるんは、映画史上初めてでおましょう。2人のアップ・クローズアップを多用した結婚式シーンなど、フツーのウエディング映画・ハネムーン映画的に進行しよりますが、写真4枚目。

ヒロインのハネムーン・ベイビーな妊娠の事実が分かってからが、俄然オモロイことになってきよるんどすえ~。狼男と吸血女の娘が登場する「アンダーワールド」と同じく、吸血男と人間女の混血児でおます。さあ、このベイビーは果たして産まれるんかどうか、前半のデッカイ見どころどすえ。前半のしまいまで、トンデモナイ展開が待っておますんで、期待しとっておくんなはれ。

2012年2月20日 (月)

シリーズ第4弾「アンダーワールド 覚醒」

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ヴァンパイアVSオオカミたちの構図は、まさに「トワイライト」シリーズでおます

ケイト・ベッキンセールのネーさんが、ヒロイン・アクションとして「バイオハザード」シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチのネーさんみたいな活躍ぶりどすえ~

http://www.underworld-kakusei.jp/

フェブラリー2月24日のフライデーから、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。2D・3D同時上映どす。

「R-15+」指定のアメリカン映画の本作をば、配給しやはるんはソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

この映画は2003年を第1弾として、シリーズがスタートしておます。以降3年タームで製作・公開されて、本作が第4弾でおます。

このシリーズは、明日最新作を分析いたします「トワイライト」シリーズと、キャラ設定が似通っておるんどす。すなわち、ドラキュラとオオカミのバーサスとゆう、ハリウッド映画の戦前のホラー映画に対し、ある種のオマージュを捧げてはるようにも見えよるんどすえ~。

ここに、フランケンシュタインが入れば、戦前のホラー3大スターの、揃い踏みなんてことになりよりま。まあ、本作は人間との戦いも展開しよります。フランケンをイコール人間と見なしますれば、揃い踏みやとゆうてもエエかもしれまへん。

ほんでもって、ケイト・ベッキンセールのネーさんが繰り広げはる、ヒロイン・アクション映画としての系譜がござります。

この系譜のルーツは、ボクは「バーバレラ」(1967年製作・フランス&イタリア&アメリカ製作)やないかいなと思とるんやけど、オナゴ・スパイものやら、暗殺者ものなんぞを加えよりますと、グレタ・ガルボやマレーネ・ディートリッヒが演じはった、戦前の映画までさかのぼれるんどすわ。

吸血鬼と狼の合いの子なども、キーワードとして出てくる点なども見ますれば、「ブレイド」シリーズ(1998年・2002年・全2作・アメリカ)なんぞともシンクロしよりますやろか。

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モチ、ゲーム原作系の「バイオハザード」シリーズ(2002年~)とはメッチャシンクロナイズしよりまっせー。しかも、シリーズを順番に見ていなくとも、話は分かりやすくてオモロおます。

「バイオハザード」(第1弾は2002年・アメリカ&ドイツ&イギリス)のミラ・ジョヴォヴィッチのネーさんと、ケイト・ベッキンセールのネーさんを対比させて、本作を論じることもできよるでおましょう。

さてはて、ケイトネーの二挺拳銃的なアクション描写やら、巨大化したオオカミとのモンスター映画的な戦いやら。

吸血鬼のアジトへとやって来た母娘と、オオカミとの凄まじき対決シーンやらも、目を瞠るとこやろと思います。カーチェイスありぃーの、「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ)を思い出させる、ビル内での一大決戦やら、目が離せまへん。ダーク・ブルーな映像などにも魅せられよりまっせー。

ややパターン化してるようにも見えんとこもあるんやけども、母娘のキズナへと着地する作りは、ハッとしてグーどした。ほんでもって、次回へと続くみたいなカンジは、次の作品への期待感を募らせよります。次は3年後なんやろか。いずれにしても、楽しみどす。

2012年2月19日 (日)

スティーブン・スピルバーグの新作「戦火の馬」

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今年のアカデミー賞作品賞の候補にもなってる、スピルバーグ映画の戦争ものでおます

サラブレッドの「シービスケット」以上に数奇な運命をたどる、お馬チャンのお話どすえ~

http://www.senka-no-uma.jp/

マーチ3月2日のフライデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸDream Works Ⅱ Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

スピルバーグの戦争ものとゆうたら、イロイロござります。少年視点でいかはった「太陽の帝国」(1987年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)やら、アカデミー作品賞ゲットのモノクロ「シンドラーのリスト」(1993年)、3D的な臨場感を出した「プライベート・ライアン」(1998年)やら。

しかし、本作の主人公は馬でおます。まあ、配給しはるディズニーはん向けかとゆうたら、そうなんかもしれんけど、戦場で馬が主人公になってメインに活躍するなんてお話は、これまでにはほとんどありまへん。

しかも、スピルバーグ的には初の、第一次世界大戦を背景にしてはります。一次大戦ものでオスカー作品賞をゲットしはった「西部戦線異状なし」(1930年)を、思い出させるようなシーンもござります。

動物映画の観点からゆきますと、「ジョーズ」(1975年)やら「ジュラシック・パーク」(1993年)やらやけど、人類に対しては敵対的動物ばかりでおます。でも、今度の動物は時には激しく走るけど、総じて温和でヒューマニズムあるような馬でおます。

さらに、映画では全面的とも思えるカンジで出演しよります。馬映画とゆうたら、近作では「シービスケット」(2003年)なんぞを思い出しますが、それ以上の出番時間数でおます。

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驚かされるんは、この馬の演技ぶりでおましょう。いや、監督の調教ぶりなんかもしれまへんが、数奇な運命を最初から最後まで貫いてはります。しかも、馬やからセリフはござりまへん。あくまで、サイレントな演技どす。

これをばドラマティックに自然体な流れで魅せてゆくんは、相当の演出力とゆうもんが必要とされるでおましょう。ところがどっこい、スピルバーグはんはこの難題を、イロイロあったとは思いよりますがクリアーし、スムーズに見せてゆかはります。

ランス戦線でのイギリスの軍馬⇒敵国ドイツの軍馬⇒オジンと孫娘のとこ⇒再びドイツ⇒そして、友情を結んだ黒鹿毛の馬の死にあって…遂にはドッカーンやー。

馬の持ち主で、同じく戦場へ出兵する若者とのキズナ部も当然、見逃せまへん。雨中の畑作りの荒々しいシーン、走って走って走りまくる馬のストレートなワイルド感、そして、若者と馬の感動の再会シーン。ある種マニュアル化・パターン化してるように見えながらも、ボクは泣きよりました。

スピルバーグはヘンな小細工はいっさい労せずに、あくまで正攻法で物語を紡いでゆかはります。そんでもって、「風と共に去りぬ」(1939年)にもあった、セピアの夕景シーンのラスト・シーンには、ホッと癒やされましたどすえー。

2012年2月18日 (土)

本年度アカデミー賞で最多11部門ノミニーの「ヒューゴの不思議な発明」

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少年ものを装って映画創生記へオマージュを捧げはった、映画愛映画でおます

スピルバーグチックな、マーティン・スコセッシ監督節に驚きがありま

http://www.hugo-movie.jp/

マーチ3月1日のサースデー「映画の日」から、パラマウント ピクチャーズ ジャパンはんの配給によりまして、3D・2Dの同時公開で、TOHOシネマズ有楽座やらTOHOシネマズ梅田やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

今年のアカデミー賞でおますが、本作が最多11部門、「アーティスト」(後日、分析いたします)が、10部門ノミネートちゅうことで続いとります。

ほんでもって、よう見よりますと、この2作は作品性がメッチャ似通っておます。1930年代初期が主な舞台になっとる点、サイレント映画へのオマージュ、ほんでもって限りなき映画愛どす。しかも、まるで相似形映画を見るようなとこどす。

本作はパリを舞台に、英語セリフで通さはるアメリカ映画。対して「アーティスト」は、ハリウッドを舞台にしたフランス映画とゆう、まるで真逆のようなカンジやん。

個人的には「アーティスト」が、作品賞をもろたらオモロイかなとは思いよりますが、でも、フランス映画が過去のオスカーで、作品賞をもろたことはござりまへん。アメリカ映画が圧倒的な強さを示しておます。そやから、本作は作品賞に最も近い位置にいてはる作品やと申せましょう。

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さてはて、肝心な本作について論じさせてもらいま。

スティーブン・スピルバーグ監督の少年もの映画的なタッチが、冒頭から展開しよります。マーティン・スコセッシ監督作品で少年ものやなんて、ボクチンはピンときよりまへんでしたんで、最初はチョイ戸惑いがござりましたが、作品の中に埋没していったら、いつの間にやら迷いは消えてゆきよりました。少年ものとゆうのんは、映画の外装にすぎまへん。

内装は、何とまあー、映画創生記へオマージュを捧げはった作品なんでおます。中でも、「月世界旅行」(1902年製作・フランス映画)をものした、サイレント映画の監督ジョルジュ・メリエスはんへのトリビュートが濃厚でおました。

実在の人物役としては、「ガンジー」(1982年製作・イギリス&インド)でオスカー主演男優賞をもらわはったベン・キングスレーはんが、このメリエス監督をば滋味あふれるカンジで演じてはります。

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モチ、メリエス監督作品は、本作で多数引用されておます。モノクロ・フィルムに、カラー着色した分まで出よります。さらに、初めて映画を製作した、フランスのリュミエール兄弟監督の作品やら、サイレント時代のハリウッドの大作「イントレランス」(1916年)やら、チャップリンの「キッド」(1921年)やらが引用されておます。

特に作品の作品性、ストーリー的流れにおいて、キョーレツな引用やったんが、ハロルド・ロイド主演のコメディ「ロイドの要心無用」(1923年)と、メリエス監督の絵コンテを紡ぐ機械人形の造形が、「メトロポリス」(1926年・ドイツ)のロボットぽかったとこらでおましょうか。

中でも、写真一番下にあります、少年と少女が映画館でも見る「ロイドの要心無用」は、本編でビルの大時計につかまって、少年がアクションするシーンでも、撮り下ろしとして使われておますよ。パリ駅の時計の作りや、その裏側の緻密な設計描写にも唸る仕上がりどしたえ~。

2012年2月17日 (金)

ロマン・ポランスキー監督の新作「おとなのけんか」

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写真上の、ジョディ・フォスター姉さんの夫妻側とケイト・ウィンスレット姉さん夫妻側が、大人の“コドモのけんか”をやらはるの巻でおます

室内劇映画としては、実に映画史的にも画期的な作品になっとりまっせー

http://otonanokenka.jp/

東京やったら2月18日から公開やけど、関西は3月3日“ひなまつり”の土曜日から、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらでロードショーやでー。

NYが舞台やのに、フランス・ドイツ・ポーランド合作となった本作をば、配給しやはるのんは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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室内劇・会話劇で、最初から最後まで展開する映画やなんて、みなはんはどない思わはるやろか。それってアクション場面はないやろし、ずっと会話が続くだけやったら、メッチャ退屈やんかーなんて思わはることでおましょう。

ところがどっこい、コレはだいぶと違いよりまっせー。室内会話劇となりますれば、そら、モノゴッツーなセリフの面白さが求められよりま。

ボク的には、陪審員ミステリーやった「十二人の怒れる男」(1957年製作・アメリカ映画)とか、1つの家庭の室内劇やった「招かれざる客」(1967年・アメリカ)やらに魅せられた過去がござりますが、コレはある種のコメディ・タイプでおます。

さらに、ゆうてみたら、NYのマンションを舞台設定にしてはりますんで、ウディ・アレン監督的センスも、そこかしこに散りばめられておます。

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しかし、ロマン・ポランスキー監督的には、映画的な新しさやら映画作家的実験性をば、野心的に追求していかはります。

本編は1時間19分とゆう短さなんやけど、かつての西部劇の傑作「真昼の決闘」(1952年・アメリカ)など、例えば1時間やったら、1時間の時間通りに本編の物語も進行してゆくとゆう、スタイルをば採り入れてはりま。そやから、2組の夫婦のやり取りは1時間余りも、実際の時間通りに進んでまいります。

その会話中には、映画としてのサントラはいっさい流れまへん。モチ、冒頭とラストでは、マンションの外にある公園を数分だけ映さはりますが、そこで、タイトな弦楽オーケストラ・サウンドを流すことは流さはるけど、やはり、ポイントは見どころとなる会話・セリフでおます。そこんとこへ、観客を集中させんとする意図がござります。オペレッタ映画「会議は踊る」(1931年・ドイツ)やありまへんが、会話は踊り、さまよい、堂々巡りを繰り返しまんねん。

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コレは当然、脚本の上手さやろけど、本作は演劇の一幕ものが原作になっとります。ボクはその演劇は見てへんので、その違いはよう分かりまへんが、本作は固定撮影ではもちろんなく、映画的に多彩な撮り方で魅せてゆかはるんどす。

コドモのケンカの後始末を、加害者側・被害者側の各親たちが、アレコレ話し合うとゆうストーリーなんどすけども、それが大人がやり合うコドモのケンカへと、流れてゆく脚本が見事とゆうか、鮮やかどした。ところどころ、思わず拍手を送りたくなるほどやったです。

ほんでもって、ヤッパ、4人の演技カルテットぶりは、キョーレツな印象を残します。ジョディ・フォスター姉さんとジョン・C・ライリーのアニキ、ケイト・ウィンスレット姉さんとクリストフ・ヴァルツのアニキの各夫妻。みんな、オモロすぎの演技ぶりを披露しはります。

いやはや、コレは見てのお楽しみでおましょうか。ヨッパライ演技やらゲロ吐き演技やら、ケータイ中毒男のトンデモなさやら、ラストに向かってどんどんエスカレートする、極上の(!?)演技カルテットを、ご堪能あれでおますよ。

2012年2月16日 (木)

Jホラーの進化系「POV(ピーオーヴィ)~呪われたフィルム~」どすえー

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モキュメンタリーなドキュ・ホラー・ドラマは、日本映画史上初やないやろかー

アメリカンな悪魔系やなく、あくまで日本的呪い系でいってまう凄みに、ウナりましたで~

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http://www.pov-film.com/

如月は2月18日の土曜日から、東宝映像事業部はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーをヤラかしはります。

TOHOシネマズ渋谷やら、TOHOシネマズ梅田やらでロードショーどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012「POV~呪われたフィルム~」製作委員会

これまでにも何度も書いてきよりましたけども、怪談系から始まった日本のホラー映画は、「リング」(1997年製作)の登場で、ターニング・ポイントを迎えよりました。また、アメリカン・ホラーの悪魔系に対して、人の呪い系が突出しとんのが、ジャパニーズ・ホラーの一大ポイントやと思います。

でもって、本作はそれらのフレイバーを、さらに踏み込んで、進化系を示さはったんどすえ。まずナンチューても、ドキュメンタリー・ドラマ(ドキュ・ドラマとも疑似ドキュメント=モキュメントとも言われま)のスタイルで、ホラー映画を撮り上げはったところが、オリジンあふれておます。

そもそもホラーでドキュ・ドラマやなんて、映画史上初やないやろか。確かに「パラノーマル・アクティビティ」(シリーズ化されとりますが、第1弾は2010年製作・アメリカ映画)とか、最近ではノルウェー映画「トロール・ハンター」(後日、分析いたします)とかがあるんやけど…。

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まあ、モチ、邦画では初めてなんやけど、ドラマ的作り方やとか、どんでん返しのなだれるような作りをゆうてみたら、本作がヤッパ、イチバンヤーやと思います。

学校を舞台にしたホラーとしても、「学校の怪談」シリーズ(1995年~1999年・全4作)やら「トイレの花子さん」(1995年)やらが、コドモのホラーに思えるのに対し、本作は文句なしに、オトナなホラーやと言えるでおましょう。

志田未来チャンと川口春奈チャンの絡み具合が、上から2番目の写真の明るいカンジから、下の写真へと向かうにつれ、だんだん暗くなってゆくようなカンジが、そのまま本作に反映されとります。と同時に、ホラー映画を撮り続けてきはった鶴田法男監督が遂に、ケッサクをものにしはった瞬間を、目の当たりにした思いがござりました。

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確かに、実験的なスタイルやも分かりまへん。でも、アート・ホラーとゆうジャンルがあるとしたら、その領域を最大限に表現しはったと言えるかと思いよります。そして、こうゆうタイプのJホラーは、日本より海外で支持されるやも分かりまへん。

作り的・撮り方的に言いますと、1分から3分くらいまでの長回し撮影を前半で披露しはり、ほんでもって、川口春奈チャンの母校の中学校での後半シーンでは、5分以上の長回しをドトウのように繰り出さはります。しかも、何がどないなってるやら分からへんような移動撮影・近接撮影・ゴタゴタ系の撮り方どして、ホンマ、トンデモクセになりよりま。

横倒しカットやら斜めカットなんぞも、ここぞっちゅう時に挿入してはります。カメラ・アイ視点を、ほぼ全編を通して貫かはる作りやとか、効果音でビビらせはるけど、サントラはいっさい流れない点など、臨場感、で、リアル感の引き出し方が、巧妙極まりない作りになっとります。

とゆうことで、エポック・メイキングなJホラーのケッサクが、誕生したとボクは確信いたしました。

2012年2月15日 (水)

西島秀俊・森山未來共演「セイジ-陸の魚-」

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トラウマある西島アニキと、ビジター森山クンの掛け合い演技にシブミがありますえ

伊勢谷友介アニキの映画監督第2弾は「カクト」に続く、青春ものやけど、変型ビックラコン映画でおます

http://www.seiji-sakana.com/

如月2月18日の土曜日から、全国順グリのロードショーでおまして、関西やったら、大阪・テアトル梅田で上映どす。その後、2月25日から、京都シネマでやらはります。

「PG-12」指定の本作を配給しやはるのは、ギャガはんとキノフィルムズはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd

平成2年の1990年のエピソードをメイン・ソースに、現在から振り返るとゆう構成の映画どす。

当時の森山未来クンが演じる青年が、夏休みに気ままなチャリンコ・サイクル・ロードに出はりまして、地方のドライブインにたどり着かはります。そこは寡黙な西島秀俊のアニキがやってはる店どして、西島のアニキはモチ、いろんなお客はんにも魅了されてしもた森山クンは、住み込みでこの店で働かはりまんねん。

森山クンのおぼこいビジターぶりには、ホッコリとさせられよりますが、後々には「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)的なヤバイ系も披露しはります。「モテキ」(2011年・昨年9月18日付けで分析)のお気楽系とは、真逆でおましょうか。それは、西島アニキの謎めいたトラウマ系ネクラ演技との、やり取りにより生まれたもんでおます。

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この西島アニキの、ぶっきらミステリアス演技は、オリジンにあふれておます。さらに、同じく謎めき女の裕木奈江ネーさんとのやり取りとか、常連客の津川雅彦オジンと幼い孫娘とのつながりやら、暗かったりビミョーに明るかったりの演技を使い分けてはります。

西島アニキがよく見る、幼き頃の妹はんを映したらしい、8ミリ・シーンがよく出てまいります。実は、コレは西島アニの過去のトラウマに通じるもんどして、森山クンがそのあたりを、付かず離れずで見てゆくとゆうカンジやろか。

過去に犯罪を犯した、特異な男を描く映画やと思いますが、「うなぎ」(1997年)みたいに再生する姿を捉えるとこはありまへん。とゆうか、無差別殺人に遭った津川オジンの孫娘に対し、驚きのサプライズを示した西島アニのその後は、実は全く描かれておりまへん。

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場合によっては、なんやねん、それはって思わはる人もいてはるかもしれまへんが、大人になった孫娘の今を描くことによって、その不満はかなり解消されとるんやないかなと思います。

作品内容の暗みを、自然描写やサントラが緩和しとるようどした。栃木県鬼怒川ロケーション映画なんやけど、何年にもわたる地方ロケーション・ハンティングから、探さはったそうでおます。緑や空のシーンに加え、カエル・金魚・カタツムリやらのアップによる生き物描写も、癒やしを示そうとしてはるようどす。

ドライブインでライブで披露される、バンドによる16ビート・ロックを始め、不協和音的な使い方もされるピアノ・サントラの、シーンに合わせた流し方も心得てはりました。

俳優でもある監督・伊勢谷友介アニキやけど、「カクト」(2002年)では演技もやらはりましたが、本作では監督に集中し、映画監督としての今の力量をば、精一杯出さはったと思います。時おり青春のヒトコマを、思い出させるようなシーンもありーぃのな、そんな映画にもなっとるかと思います。

2012年2月14日 (火)

音楽バンド映画「ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター」

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黒木瞳ネーさんが何とまあ~、4人組オナゴ衆バンドのリーダー&リードボーカル&ギターやてぇ~

ベースは真矢みきネーさん、キーボードは木村多江ネーさん、ほんでもって、ドラマーは山崎静代“しずちゃん”やでー

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http://www.utahime-eiga.com/

2月18日の土曜日から、東京テアトルはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2012「ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター」製作委員会

ギャルズ&オンナたちバンド映画ナンチュー音楽映画は、実はそれほど多くはござりまへん。

女子高生バンドによる「リンダ リンダ リンダ」(2005年製作・日本映画)とか、脱獄女囚4人組バンドによる逃亡劇「バンディッツ」(1997年・ドイツ)なんぞを思い出しよりました。

但しでんな、本作は「リンダ リンダ リンダ」もそうやったけど、4人共全くの素人はんで、アラサー・アラフォーの主婦やらが中心なんでおます。おいおい、そんなん今までにありまへんで。しかも作りはコミカル・モードもあるにはあるけど、大いにマジ・モードで展開してまいります。

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音楽に限らず、オナゴ衆がイロイロ、チーム・プレイでやらはる映画とも、シンクロナイズするやろと思います。

例えば、主婦4人による犯罪映画となった「OUT」(2002年・日本)やったり、4人のオンナたちの生活観と交流を描く「セックス・アンド・ザ・シティ」(2008年・アメリカ)やらともつながるやろな。

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そんなんでおますさかい、女性たちの、女性たちによる、女性たちのための映画感覚が、相当濃厚でおました。黒木瞳、真矢みき、木村多江、山崎静代の各ネーさんのキャラクター造形も、キチンとしてはります。

写真3枚目にある、ケンカしてそれぞれ4人が泣くシークエンスなど、これまでにない女たちのケンカぶり演出の新しさとか、冒頭の黒木瞳ネーと木村多江ネーの病院での、再会シーンのユニークな作りとか、細部の描写にハッとさせはります。

監督(星田良子はん)もオンナどすし、脚本もオンナどす。でもって、アップ・クローズアップが極端に少ない映画的撮り方を、心がけてはるんも好感を覚えよりました。

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この素人4人オンナ・バンドが高校の学園祭でプレイしやはるんが、本作のヤマ場となっとります。

披露するのんは、何とまあ~1970年代を代表するプログレッシブ・ロック・バンド、ディープ・パープルの8ビート・ロック・ナンバー「スモーク・オン・ザ・ウォーター」でおます。おいおい、大丈夫かいやーなんどすが、コレがMCやらアンプラグドの演奏を皮切りに、黒木瞳ネーらが見事にプレイしはるんどす。

星田監督の前作も男たちのバンドもの「僕らのワンダフルデイズ」(2009年)やったし、ライブ演出は心得てはるんでおましょう。代演があったかどうかは分かりまへんが、熱唱する瞳ネーさんには肩入れしたく思いよりましたで。しかも、瞳ネーの家族との、キズナが戻るとゆう着地ぶりや。感動的なジ・エンドでおました。

2012年2月13日 (月)

タイム・イズ・マネー映画「TIME タイム」

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シチュエーションSFにしてアメリカン・ニューシネマな仕上げに、メッチャ魅了されましたで

「俺たちに明日はない」は、21世紀にはこんな進化具合をば見せよりました~

http://www.foxmovies.jp/time/

フェブラリー2月17日のフライデーから、20世紀フォックス映画はんの配給によりまして、全国イッセーのロードショーやでー。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7やら、京都・TOHOシネマズ二条やら、OSシネマズミント神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸTwentieth Century Fox Film Corporation

“タイム・イズ・マネー”てゆうたら、ことわざ「時は金なり」でおます。日本だけやなく、ワールドワイドなことわざでおます。ほんでもって、それをばSF映画の中に取り込まはったんが、この作品なんどす。

①金は時間なり。で、次なるシチュエーションは…②25歳になったら、それ以降は老けない。そして、その未来社会はと申せば…③富裕層社会と貧民層社会に分かれとる。設定は大たいこの3点で、お話は紡がれてまいります。

但し、①については、時間を獲得することが、寿命につながるとゆうことになっとります。不老不死も夢やありまへん。つまり④の設定として④時間の獲得は命の寿命につながる。ゆうことなんどす。で、これらの未来設定によって、物語は紡がれてまいるのどすえ。ユニークでおましょ?

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宇宙が登場するんが、SF映画やと思わはる方もいてるでしょうけども、こうゆうシチュエーションSF映画は、ストーリー的には巧妙な展開が必要となってきます。

「ガタカ」(1997年製作・アメリカ映画)とか「トゥルーマン・ショー」(1998年・アメリカ)なんぞも、この種のタイプになるやろか。共に本作のアンドリュー・ニコル監督が、監督やら脚本やらで関わってはります。

地上の日常的な描写が続くんやけど、時おりコレは未来の話なんやーと、思わせるシーンがやってきよる映画どす。しかも、コレがネタギレがささやかれて久しい、ハリウッド映画としてはでんな、SF映画としても極めて珍しおます、オリジナル脚本でおます。ニコル監督が脚本も書かはりました。今作もまた、地上SF映画の快作をものにしてはります。

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本作を見ている間、ボクはアメリカン・ニューシネマの代表的名作「俺たちに明日はない」(1967年・アメリカ)が、ズーッと脳裏にリフレインしておました。

モチ、キャラ設定は違いますが、スラム街の若者役の、ジャスティン・ティンバーレイクのアニキは、ウォーレン・ベイティはんを、富豪の娘のアマンダ・セイフライドちゃんは、フェイ・ダナウェイはんを、カブラせとったんですわ。

タイムキーパー刑事役のキリアン・マーフィのアニキと、2人の追逃走劇やら、銀行強盗(時間強盗)シーンやら、銃撃練習シーンやらに「俺たち…」との既視感がありました。

でも、「俺たち…」との決定的な違いは、弱きを助け強きをくじく、ハリウッドに伝統的なアメリカン・ヒロイズムに帰結するとこどした。それでいて、従来のハリウッド映画的なアップ・クローズアップを極度に排し、ロングショットを多めにしはったとこにも魅かれよりました。クローンをポイントにした「アイランド」(2005年・アメリカ)よりも出来はかなり上の、ケッサクやとジャッジいたします。

2012年2月12日 (日)

ナンチュータイトルやねん!「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

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コメディ的なタイトルやけど、中身は大違いの映画どすえ~

9.11後遺症もの映画でも、これまでの最高傑作となった作品やもしれまへん

http://www.monoari.jp/

フェブラリー2月18日サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

9.11テロの後遺症もの映画とゆうのんは、そう多くはありまへんが、それなりに出てまいっております。9.11テロ当時・直後ものもありますが、本作はそれらの作品をば含めよりましても、9.11映画の最高傑作になったんやないやろか。

NY映画としての新味やら、少年映画としての新味も加えられとりまして、一筋縄ではいかへんような作品になっとります。

9.11テロで、トム・ハンクスはん演じはるオトンを亡くした少年の、1年後の悩ましき姿をば描かはります。サンドラ・ブロックのネーさん演じるオカンも、オバンもいてはります。そんな中で、オトンの形見らしき鍵を見つけた少年は、その鍵の入った封筒に書かれた“ブラック”を、人の名前だと勝手に解釈して、電話帳に載っとるNY在住のブラック氏を、訪ね歩かはりまんねん。

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少年は9.11の事件以来、電車には乗れへん後遺症になっとりまして、また、事件の時に、ワールドトレードセンターの上階にいてはったオトンからの電話に、怖くて出られへんかったとゆう経緯がござります。

オトンからのメッセージを手繰りよせれば、オトンとの絆が戻るやろと信じてはるんでおます。ウ~ン、泣かせるやんか。

このオスカー少年は、ナレーションを含めよりまして、“ありえないほど、ものすごくうるさく”ズーッと喋り続けてはりま。コドモっぽくない理屈っぽさには、時にエ~? なんて思わはるやも分かりまへんけども、リアリティーはなくともあえてキャラクター設定してはるんどす。例えば、「ブリキの太鼓」(1978年製作・西ドイツ&ポーランド&フランス合作)で、太鼓を叩き続けた少年のように。

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そんな少年の演技をサポートする演技陣は、モノゴッツーな強力陣営どすえ。息子との過去のキズナ部で、渋~い演技を披露するトム・ハンクスはん。少年と一緒にブラック氏を訪ね歩いてやる、マックス・フォン・シドーはんの喋れへんサイレント演技。

ほんでもって、サンドラ・ブロックネーさんの、息子とのキズナを示すサプライズ。どの演技も見たあと、しみじみとココロにきよります。

そして、9.11当時の現実描写のリアル感には、打ちのめされましたで。

さてはて、これまで本作のスティーブン・ダルドリー監督には、本作を含めよりまして寡作ではありますが、ハズレとゆう作品がござりまへん。本作は、本年度のアカデミー賞の作品賞にもノミネートされとります。監督デビュー作品の少年もの「リトル・ダンサー」(2000年・イギリス)に、優るとも劣らないケッサクどすえ~。

2012年2月11日 (土)

松田翔太アニキ主演の男の片思い映画「アフロ田中」

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ナンジャコリャーな、恋愛ベタ男の物語でおます

でも、オーソドックスな青春ラブ・ストーリーの、キモが詰まった快作どすえ~

http://afrotanaka-movie.jp/

如月2月18日の土曜日から、ショウゲートはんの配給によりまして、東京・新宿ピカデリーやら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 のりつけ義春・小学館/「アフロ田中」製作委員会

コミック原作の青春映画でおます。コミックものらしく、そんなにリアリティーはないんやけど、メッチャオモロイ青春片思い映画になりましたで。

「モテキ」(昨年9月18日付けで分析)ならぬ“モテナイキ”を、コミカル・モードたっぷりに描かれとります。しかもコミック原作ものとしても、かつての名作「翔んだカップル」(1980年製作・日本映画)みたいな、トンデモ・ラブ・ストーリー・テイストがいっぱいでおます。

さらに、アメリカの青春シモネタ映画、例えば、「ポーキーズ」(1981年・アメリカ&カナダ)みたいに、青春仲間でガヤガヤなんてノリもござります。つまりば、その種のティーンエイジ青春映画への、日本映画的21世紀的アンサーとも取れよるんどす。

ほんでもって、「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)のオトナ・バージョンみたいなカンジも、そこはかとなくあるんどすえ。

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今さらながらやけど、松田優作はんの息子はん松田翔太のアニキが、ホンマ、アフロ姿のとぼけた味をば出してはります。例えば、「ハードロマンチッカー」(昨年11月19日付け)のワイルドでステバチな「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)的な演技性とは、まるっきり正反対の演技ぶりでおました。

「モテキ」と同じく、主人公のココロのツイートを、ナレーションにしもって展開する作りが巧妙どした。彼女とのセリフのやり取りの中で、呟きをタイトに入れてゆかはります。この手法は、主人公のキャラをうまく表現できる点において、作品に反映されよります。作品のノリもまた、映画的にリズミックになるんでおますよ。

そして、恋のお相手役の佐々木希(のぞみ)ちゃんやー。希ちゃんのキモチが、部分部分で理解できへんとこもあるんどすけども、気まぐれなオンナ心を妙演してはります。

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主人公の友達で性欲人間を演じた田中圭クンやら、いつも通りのノホホンぶっきら棒演技で魅せはる、リリー・フランキーはんやらも、見事なサポーター演技ぶりどした。

ここぞとゆう時に使われる、長回し撮影シークエンスも、的を射てはります。友人4人が主人公の部屋へ訪ねてきて、押し入れに隠れてる中で、希チャンとのやり取りやら、遊園地のベンチに座っての、チョイ緊張感ある2人のやり取り、そして、ラストのオチまで、目が離せない作りになっておます。恋愛ベタ男の、なるほどな~なストーリー展開に、ボクチンとしては終始スクリーンにクギ付けやったです。

主題歌・挿入歌を担当しはった“鶴”とゆう、野郎3人組のJポップ・バンドの、音楽にも注目どす。ポップ・ミディアム・ナンバーと16ビートロックやー。コメディもんやけど、カッコヨク締めくくらはりまっせー。

2012年2月10日 (金)

はやぶさ映画第3弾「はやぶさ 遥かなる帰還」

群像劇ドラマ性、特に渡辺謙さん、江口洋介のアニキら、男たちの骨太映画なカンジがビビビーンときまっせー

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http://www.hayabusa2012.jp/

如月(きさらぎ)2月11日の土曜日から、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、梅田ブルク7、大阪ステーションシティシネマやら、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012「はやぶさ 遥かなる帰還」製作委員会

同じ素材を映画各社が競合して、映画化するとゆうのんは、実は久々でおます。ところがどっこい、この競合製作公開が、映画業界を活性化させるとゆう、かつての神話がござりました。

1951年に「自由学校」とゆう映画で、邦画2社製作の各作品が4月末に公開され、共に大ヒットをかましたんでおます。“ゴールデンウイーク”のコトバが、この当時の活況から生まれ落ちたもんやとゆうのんは、あまり知られてはおりまへん。

まあ、それはエエとしまして、あの惑星探査機「はやぶさ」の映画は、公開待機中の作品も含めまして、既に4本が製作されておます。

4本が1年くらいのインターバルで公開されるんは、邦画史上初やも分かりまへん。本作はその第3弾で公開されよるんどすが、ほなら、他の3作とはどないな違いがあるんでおましょうか。

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ドキュメンタリーやった角川映画はん配給の作品は、ボクは残念ながら未見どすが、他のドラマ作品3本は見させてもろてます。

ザックリとした言い方ですんまへんが、「はやぶさ/HAYABUSA」(昨年9月19日付けで分析)は竹内結子ネーさんのヒロイン・ドラマ性、3月10日公開の「おかえり、はやぶさ」(近日中に分析いたします)は3Dにもしはった、ファミリー・コドモ系を打ち出してはります。対して、本作はどないでおましょうか。

2作のドラマ映画より顕著なんは、群像劇ドラマ性でおます。中でも、男たちのドラマ性が、見どころとしてあるようどす。

でもって、サブ・ポイントとして、父・山崎努はんと娘・夏川結衣ネーとその息子の、3世代にわたる家族のドラマがござります。「はやぶさ」の試作部品も請け負ったことがある、町工場の山崎努はんは、今や工場を閉鎖しはって、昼間から缶ビール飲んで…。

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娘はんの結衣ネーは「はやぶさ」の取材をしてはる新聞記者役どす。どちらかとゆうと、「はやぶさ」に対してベッタリやない山崎はんと、ベタな結衣ネーの親子関係は、本作のオリジナル・ポイントになるかもしれまへん。感情に溺れる泣ける系やなく、あくまで冷静沈着系でゆくとゆうカンジでおましょうか。

メインの男たちの群像劇においても、その感がありま。実話系で何かを成し遂げた、群像劇的にゆうたら、「黒部の太陽」(1968年製作)みたいに、超絶現場臨場主義とゆうわけではありまへん。あくまで遠隔操作なんで、室内作業でおます。

けども、「黒部の太陽」やらとはまたテイストが違う、骨太のドラマが展開しとるかと思いよります。江口洋介アニキと吉岡秀隆アニキの、居酒屋ツーショットや口論シーンを含む、2人のやり取りやら。

ほんでもって、チームリーダー渡辺謙アニキの、いくつもある印象的なシーンどす。ボク的には、見た目は見どころちゅうほどやないけども、写真4枚目の努はんと謙さんの、長めの撮影シーンにグッときました。本作のメイン・テーマが、隠し味的に紡がれた名シーンやと思いました。チェックしてみておくんなはれ。

2012年2月 9日 (木)

タイムスリップなヤンキー邦画「TSY タイム スリップ ヤンキー」

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現代から1980年代へ、タイムスリップする映画でおます

過去改ざん系映画でも、ココまでやってまうとは、アラマ・ポテチンやったわー

http://www.tsy-movie.com/

2月11日のサタデーから、ジョリー・ロジャーはんの配給によりまして、ワーナー・マイカル・シネマズ系劇場で、全国イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 TBSテレビ/吉本興業

イチバン上の見出しなんて、そのままやん! なんやけど、とりあえずは、タイムスリップ系を取り入れた映画でおます。

タイムスリップ、タイムトラベルを取り入れた映画とゆうのんは、これまでにメッチャ出ております。古典的名作「タイム・マシン」(1959年製作・アメリカ映画)やら、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(3部作のシリーズ第1弾は1985年・アメリカ)やらは、全世界的に認められておます作品なんやけど、まあ、日本映画的に申しますれば、どないなるでおましょうか。

エポックメイクは「時をかける少女」(第1弾映画化作品は1983年)やないやろか。本作はそんなタイムトラベラー系の中でも、かなり異色の作品となっとります。まあ、カルトなんてゆう言い方もあるけど、ゆうてみたら、それにふさわしいカンジの作りでおますよ。

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過去は変えられるかどないか。でもって、変えられた結果の現在・未来はどないなるんか。これまでにも、何作かの作品に、この過去改ざん系にチャレンジした作品はありました。

しかし、作品タイトルは上げまへんけども、ほとんどがクエスチョンを残す内容になっとります。どう考えても、それを論理的に着地させるんは、土台無理なんやろな。

そやから、本作はその論理を無視したとこから始めはります。いかにも強引、いかにも危険信号、なんやけど、ドドーンと潔く最後までゆかはります。ある意味では爽快な決着かもしれへんし、ある意味ではブラック・ユーモアなんかもしれまへん。

賛否両論飛び交うやろし、賛否の前になんやねんとゆう人もいてはることでしょう。しかし、それでも、ボクは本作のチャレンジャー精神を支持したいと思いよります。

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「時をかける少女」の昭和時代と同じく、本作は昭和の1980年代へと、主人公(漫才コンビ“ピース”のツッコミ担当の綾部祐二のアニキがやってはりま)たちがタイムスリップしはります。

タイムスリップした、そのリアリティーとゆうのんは「時をかける少女」と同じく、そないありまへん。主人公が恋する福田沙紀チャンでも、フツーのようにスリップしはります。

1980年代を描いた、大阪の昭和映画「犬の首輪とコロッケと」(今年1月18日付けで分析)も、本作と同じく吉本興業はんが製作に関わってはりますが、本作と対比してみますと、やはり本作の方が、リアリティーを欠いておるようには思います。

でも、オカン(森口瑤子のネーさん)の現在の死を変えるべく、息子が1980年代に奮闘努力する姿は、ある種の感動を呼びます。主人公のオトン役・宇梶剛士のアニキも妙演どしたえ。とにかく、楽しめる作品でおまっせー。

2012年2月 8日 (水)

山梨県甲府市を舞台にした地方映画「サウダーヂ」

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観光誘致色いっさいなしで、東京砂漠的空洞地方と化した現実を抉り出さはった、青春バクレツ映画でおます

2人の土方を中心に、大不況・格差社会の底辺に生きる人々の熱気が、刺激的にやってまいりますで~

http://www.saudade-movie.com/

2月11日サタデーから2月24日フライデーまで、大阪・九条のシネ・ヌーヴォはんで上映でおます。その後、3月3日には十三(じゅうそう)の第七藝術劇場はんでやらはります。

167分の本作を配給しやはるのんは、空族(くぞく)はんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸKUZOKU-All right reserved

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山田洋次監督が本作を、えらい見たがってはったそうどす。ところがどっこい、山田監督の地方ロケ映画とは真逆に近い作りでおます。例えば、青春映画「同胞(はらから)」(1975年製作)なんぞみたいな、優しさや連帯感を描くようなもんやありまへん。

また、地方のフィルムコミッションは近年では充実しとるし、21世紀以降も地方映画は、イロイロ出てまいっておますけども、これほど観光誘致色を完璧にハズさはったんも珍しおすで。

しかも、その地方のパブリック・イメージを、全く逆転させるっちゅう鋭さを内包しとります。東京砂漠化・空洞化した山梨・甲府の今の現状をば、2人の男をメインに、多数の人間を配置した群像劇ドラマのタッチで、まさにゴッタ煮感覚でフツフツと描かはるんでおますえ。

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有名な俳優はんが、1人も出てはりまへん。かとゆうて、素人はんだらけやないけども、予算の問題は別にして、富田克也監督のアニキとしては、無名の人たちによる演技で、例えばイタリアン・ネオリアリズムみたいな、リアリティーを出そうとしはったんやないかなと思います。

派遣の土方の実態を描いたり、日系ブラジル人やタイ女の外国人労働者の実態を描いたりと、これまでの邦画では一部避けてきたとこらを、容赦なく抉らはります。

多数の人々を描いてはりますが、ポイントは土方の2人でおます。ヒーリング・サロンに勤める妻がいてる男。この方がまあ、本作の主人公やろな。タイ女との不倫ラブ・ストーリー部などの、トホホ感なとこなんかオモロイわ。ほんで、ヒップホップをやってる若者や。この方は両親が自己破産してはります。さらに、麻薬吸うタイ帰りの若者やらもいてはります。トリップ・シーンも効果的に使われておすえ。

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写真上のように、土方労働シーン、仕事後にタイ人パブやらで飲むシーンなどが、点綴されてまいります。ブラジル人家族たちの暮らしぶりも描かれま。一方、ヒップホップがクラブやらで、披露されるシーンも展開しよります。現実を皮肉っぽく歌う、ジャパニーズ・ヒップホップやら、ブラジリアン・ヒップホップやらが、徐々にドラマ的熱気をヒートアップさせていきよるねん。

ナンチューても、撮り方がメッチャ映画的どした。アップ・カットは、ラスト近くのワンカットのみどす。ロングショットのオン・ザ・パレードや。さらに、1分強から3分くらいまでの、長回し撮影がいっぱい出てきよります。冒頭からさっそく、ラーメン店での昼休憩シーンの、長めの撮影シーンから入らはります。無人の閉められた商店街を、若者が自前のヒップホップを歌いもって歩く移動撮影の長回しが、ボク的には空虚感を出して印象的やったです。

ほんでもって、キネマ旬報の邦画年間ベスト・テンで、6位にランクインや~。地方ロケ映画の革命的な作品どすえ~。

2012年2月 7日 (火)

クォン・サンウ主演韓国ラブ・ストーリー映画「痛み」やでー

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恋する2人共にビョーキやなんて…しかも、映画で今までに採り上げたことのないビョーキでおます

でも、お互いをいたわり合う、オーソドックスさもありますで

http://www.itami-movie.com/

フェブラリー2月11日のサタデー・ホリデーから、エスピーオーはんの配給によりまして、東京・シネマート新宿やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved

最近、韓国映画が日本劇場未公開のまま、終わるケースが多くなっとるようどす。でもでんな、本作を見て、韓国映画のラブ・ストーリーは、韓流テレビドラマ以上に、日々進化し続けておるんやなーを、認識できた1本やったでおます。

病系のラブ・ストーリーやったら、これまでに仰山(ギョウサン=たくさん)出てまいっとりますが、それらのほとんどが、男か女のどちらかがビョーキとゆうタイプどした。2人共にビョーキに罹っとるんは、そないありまへん。

聾唖者夫婦を描いた「名もなく貧しく美しく」(1961年製作・日本映画)やらは、泣ける感動があったかと思います。ほんでもって、本作は夫婦やないけど、借金取り立て屋男と取り立てられる側の女が、ひょんなることから、共同生活を始めよりまして、やがて恋へと発展しよりまんねん。

で、泣ける映画へと着地してゆくっちゅう展開どす。お互いイガミ合いつつも、お互いをかばい合い愛し合い、そして、別れが訪れるとゆう、まさにオーソドックスなラブ・ストーリーのスタイルをば持っております。

2人の病名は、男がいくら殴られても痛みを感じへん無痛覚症、女は20歳以上生きる確率が低いとゆう血友病でおます。

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白血病やらガンやらアルツハイマーやら、イロイロあった病系でも、この2つのビョーキは珍しおますやろ。しかも、2つの病気である点が、恋愛ドラマの流れの中にキチンとした理由をもって、取り込まれている点もスゴイと思います。奇病を単に採り上げれば、エエっちゅうもんでもないんどすわ。

主人公には、クォン・サンウのアニキが扮しはりました。韓流ドラマではあまり見せはらへん、野生味がスパークしとります。「戦火の中へ」(2010年・韓国)に続く、ビミョーな演技力が要求される、ヨゴレ役やと思います。

男たちの絆をヤクザ映画のノリで描いた「友へ、チング」(2001年・韓国)やら、男同士の凄まじい対決を描いた「タイフーン」(2005年・韓国)やら、クァク・キョンテク監督印なワイルド感を、本作ではクォンのアニが代表格で体現してはります。

一方、ヒロイン役のチョン・リョウォンちゃん。ベラベラ喋りまくる、攻撃性のある言動に魅せられよります。でも、病院のベッドに寝ての、見舞いに来たクォンとのやり取りシーンには、グッとこたえました。モチ、ラストシーンは号泣もんどすえ。

久しぶりに、韓国映画のラブ・ストーリーの快作を見た思いでおました。

2012年2月 6日 (月)

コリアン・アニメーションの怪作「アーチ&シパック 世界ウンコ大戦争」

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モノゴッツーなカルトでウルトラなアニメが、韓国からやってきよりまっせー

でもって、名作映画へのオマージュも詰め込まれておすえ~

http://www.aanss.jp/

フェブラリー2月11日のサタデー・ホリデーから、東京・吉祥寺バウスシアターでレイトショーでおます。その後、全国順グリのロードショーどす。

本作を配給しやはるのんは、C-BridgeはんとVonatはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸStudo2.0 all rights reserved.

なんやねん、コリャーやったけど、メッチャスゴイやんと思いました。まあ、こんなアニメは見たことありまへん。ボクチン的には、韓国アニメはショートショート・フィルムでチョロッと見た程度なんやけど、長編アニメは初めてどした。

トピックをゆうと、アニメ版「時をかける少女」(2006年製作・日本映画)も、賞をもらわはった「シッチェス・カタロニア国際映画祭」で、最優秀長編アニメーション賞をばゲットしてはります。

ほんでもって、「クソ映画」やなんて宣伝コピーにはあるんやけど、そんなコピーに騙されてはいけまへんで。下品なカンジはほとんどないからどす。

シンプルに申しますと、アクションが炸裂しよるタイプのアニメでおます。いっぱいあるカーチェイス・アクト、部屋内での銃撃戦、大爆破シーンなんぞが、ドトウのごとくにやってまいりまんねん。

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名作映画がセリフやら、シークエンスやらで出てきよります。「スパイダーマン」(2002年・アメリカ)やらのアメコミ・ヒーローものを、意識しはったキャラ作りやらシーン。

アフロ・ヘアーの映画監督の映画メイキング・シーンでは、「ミザリー」(1990年・アメリカ)やら「エイリアン2」(1986年・アメリカ)。階段を使ったアクションは、「戦艦ポチョムキン」(1925年・ソ連)⇒「アンタッチャブル」(1987年・アメリカ)と続く引用を想起させはります。

「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)のレクター博士っぽいキャラクターも出はります。ほんでもって、クライマックスとも言えるトロッコによる追逃走シーンは、文句なしに「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(1984年・アメリカ)の引用どす。アメリカン・ニューシネマな男2人女1人の逃走劇チックにも、グッときよりました。

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この手のアニメには珍しいかと思うんやけど、アクション・シーンやらに合わせたサントラ使いが、メッチャ緻密に聴こえよりましたで。

ントロのフロシキ・ギャング団と、男2人組のカーチェイス・バトル・シークエンスには、ハードなバンド・サウンドや。ファンキー・ナンバーに乗っての映画監督の登場ぶり。その時代には貴重な特徴を持ってはるネーさんと、男2人組のトリオ編成のイロンナ・アクト・エピソードには、エレクトリックなラテン・ナンバーやらが、タイトに流れてまいります。そして、ラストロールでは、韓流なファンキー・ポップを流さはって、ノリノリのままにシメはりまんねん。

とにもかくにも、モノゴッツーなアニメやと、ボクチンはジャッジいたしました。音楽であれテレビドラマであれ、韓流にハマッてはる仰山の方々にこそ、見に行ってもろて、それらとは真逆の韓流作品のサプライズに、驚いてほしいと思いよりました。

2012年2月 5日 (日)

未来の日本のSF裁判映画「逆転裁判」どすえ

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成宮寛貴のアニキが弁護士になって、桐谷美玲チャンや斎藤工のアニキらを弁護しはります

リーガル・ミステリーとしても、キチンとしたロジックで魅せはりまっせー

http://www.gyakutensaiban-movie.com/

如月2月11日の土曜日・建国記念の日から、東宝はんの配給によりまして、全国東宝系劇場でロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012  CAPCON/「逆転裁判」製作委員会

リーガル・サスペンスとか裁判ミステリーとか、イロイロござりまっけど、未来の裁判制度を勝手に設定し展開する、SF裁判ミステリーっちゅうのんは、そうそうあらしまへんで。

カプコンはんのゲームソフトが原作になっとります。アクションものが多い中で、こういうゲーム原作映画なんて初めてやないかな。凶悪な殺人事件が多発しよる未来においてでんな、審理の案件が飽和状態の中で、まずは3日間以内のタイムリミット裁判で、有罪か無罪かを明確にするっちゅうのんが、基本設定になっとります。

いやはや、ゲーム原作の未来の裁判ものと聞いて、ボクチンはミステリー的なロジック的にはどないなんやろなーと、心配しもって見とったんやけど、コレが、推理に一部クエスチョンなとこもあるけど、大方のロジックは本格ミステリー的に正統派でおましたで。

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弁護士役の成宮寛貴のアニキが、外し系ギャグを披露しはったり、時間稼ぎのためにワケ分からへんことをゆわはるけど、追いつめられる中で閃きを見せる、ハットトリックな推理ぶりには、思わずクセになりそなくらいハマッてしまいまっせー。

「ステキな金縛り」(昨年10月9日付けで分析)の幽霊設定の証人もスゴかったけど、こちらではペットのオウムが、証人(証鳥やわな)で出てくるんやで。しかも、成宮アニは見事な証言を引き出さはるんどす。いやいや、スゴイしオモロイ。

これまでに多数出てきておます裁判ものを、逸脱してゆくような作りにも関わらず、裁判ミステリーの原質的なオモシロさを継続した上で、さらなるオリジナリティーを示さはるんどすわ。

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ほんでもって、そんなSFもんやのに、何とまあー、今の京都と大阪にロケーションしてはりま。京都の宝ヶ池ロケは、本作の事件の1大ポイントになっとります。

一方で、CGも巧妙に使(つこ)てはります。「マイノリティ・リポート」(2002年製作・アメリカ映画)みたいなCGシーンを次々に出して、裁判所で証拠を示すシーンがやってまいります。人物を影にした逆光カットやら、告白する犯人の早送りシークエンスほか、印象に残るシーンも多うござりました。

群像劇的にも多彩な人物を、スリリングに配置し演出してはる三池崇史監督。多作にも関わらず、本作では質の高いミステリー映画を、クリエイトしはったかと思います

さてはて、みなはんは、真犯人を当てられるでおましょうか。伏線シーンもしっかり入っておますんで、ぜひチャレンジしてみておくんなまし。

2012年2月 4日 (土)

コミカルな映画メイキング日本映画「キツツキと雨」

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役所広司アニキと小栗旬アニキの関係が、メッチャオモロおますでー

しかも、地方ロケーション映画の新味を打ち出してはります

http://www.kitsutsuki-rain.jp/

如月2月11日の土曜日から、角川映画はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「キツツキと雨」製作委員会

いやあー、ナンチューたらええんやろか、映画メイキング映画はこれまでに多数作られてきよりましたけども、こんなケッタイなんは初めてでおました。

欧米の映画メイキングものは、大マジ・モードがほとんどどして、本作みたいにトンデモ・コメディ・ノリはまあ、ありまへん。

ラジオ・ドラマのメイキングものやった、三谷幸喜監督の「ラヂオの時間」(1997年製作)を思い出させるテイストなんどす。

それにでんな、作られる映画の内容は、何とゾンビ映画でおます。さらに、それを今や日本映画のトレンドになっとります、地方(本作は岐阜県の山林どす)ロケーション映画として撮るとゆう大胆さや。

加えて、監督・沖田修一のアニキにしてみはったら、前作「南極料理人」(2009年)に続き、群像劇コメディの楽しさを最大限に引き出してはるんどすわ。

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そして、地元の木こり役に扮しはった役所広司と、若い映画監督役をしはる小栗旬の、各新旧アニキのミスマッチングな共演ぶりでおましょう。

実は、2人は共に実際に映画監督をやってはります。役所アニは「ガマの油」(2009年)やし、小栗アニは「シュアリー・サムデイ」(2010年)でおます。そやから、共に監督として、映画現場のイロイロを心得てはるんで、2人のいろんなやり取りは、笑えるけども、説得力のあるシーンを演技してはります。

最初はロケーション・ハンティングのシーンで、木こりと、木こりが映画現場の下働きとして、勝手に勘違いする映画監督として知り合わはるんやけど、2人が親しくなっていくプロセスのオモシロサは絶品どしたえ。

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1~2分の長回し撮影が多投されとります。2人が温泉の湯舟で離れて漬かってるツーショットやら、人の出入りを示したり、役所と高良健吾君の父子関係の描写シーンやら、映画リズムを作る効果がござりました。

でもって、ハイライトは、イロイロ展開するゾンビ映画のメイキング・シーンでおます。村の人々の協力を得て、現地の人々がゾンビ役エキストラで参加したり、ローラーを使ったカメラ撮影、大御所俳優役として登場しはる山崎努はんと、小栗アニ監督とのNGを含むやり取りやら、テンコ盛りどすえ。

クランクアップのシーン撮りは、メイキング部のハイライトでおます。出演陣がゾンビに飲み込まれてゆく、長回しの撮影シーンは圧巻の仕上がりどした。映画メイキング映画の、新たな可能性を追求したケッサクどすえ~。

2012年2月 3日 (金)

ミステリーかサスペンスかの「ドラゴン・タトゥーの女」

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男と女のコンビ・ミステリー映画の、粋が詰まっております

アナログ捜査とデジタル捜査のミキシングやでー

http://www.dragontattoo.jp/

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フェブラリー2月10日のフライデーから、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやら、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都やら、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸、シネモザイクやらで上映どすえ。ちなみに「R-15+」の映画でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

スウェーデン発のミステリー映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009年12月14日付けで分析)をば、ハリウッド・リメイクしはった作品でおます。

監督のデヴィッド・フィンチャー監督と申せば、今やヒッチコックばりのサスペンス映画の巨匠でおます。そして、本作の原作はサスペンスというよりは、謎解きのミステリー色が強い推理小説なんどす。

かつてヒッチコック監督はサスペンスは撮るけど、謎解きの本格ミステリーは撮らないとゆうてはりました。なんでかとゆうと、サスペンスは映画的な緊張感にふさわしいけど、謎はコトバによるロジックを要しますんで、長い説明ゼリフは映画の流れを停滞させるとゆうわけでおます。

ほんでもって、その観点から本作を眺めてみますと、謎解きミステリー的には早い展開が次々に訪れよります。容疑者の名前を次々に出さはる、依頼人役クリストファー・プラマーはんのセリフに、探偵役のダニエル・クレイグのアニキも、「覚えられない」とゆわはるほどでおます。

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つまるところでんな、フィンチャー監督はミステリー映画を、サスペンス映画のスピード展開のモードで描いてはるんどすえ。流れが早すぎて、観客が頭の中で推理を組み立てようにも、それをば許さないような作りとでも申しましょうか。

スウェーデン版との違いは、実はそこにあります。しかも、アメリカ舞台へと転換することもできたやろけど、あくまでオリジナルのスウェーデンが舞台や。英語セリフになるんは、この種のハリウッド作品では常套の手法どす。作品によっては、かなり違和感を感じる場合があるけど、本作はそれが全く気になりまへんどしたえ。

北欧のイメージに合わせたかのようにでんな、映画的照明を控えめにしはった撮り方も雰囲気を伝えはります。失踪から始まるミステリーが、やがて「羊たちの沈黙」(1991年製作・アメリカ映画)やフィンチャー監督の「セブン」(1995年・アメリカ)みたいな、サイコ・猟奇系へと向かってゆく、ミステリー的流れもスムーズやったどす。

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男と女の調査コンビによるミステリーとゆう点も、妙味がござります。しかも、「ボーン・コレクター」(1999年・アメリカ)みたいに、男刑事と女刑事やありまへん。

男はスクープ雑誌の編集長でマトモやけど、女はモノゴッツー異様なキャラクターどす。まあ、これまでにこんな探偵役はおりまへんやろな。パソコンも使てはるけど、過去のモノクロ写真やらをしつこく追ったり、メモ取り調査の、どちらかとゆうたらアナログ派の男に対し、女は天才的コンピ・ハッカーにして、防犯カメラなんぞも自在に操る、超絶デジタル派なんどすえ。

この捜査の対比感も見どころやし、2人の演技ぶりにも瞠目すべきとこがござります。「007」的アクションを封印した、ダニエル・クレイグのアニキ。

対して、今年のアカデミー賞にもノミネートされた、ヌードも辞さない、ルーニー・マーラちゃんの演技ぶりどす。「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年)の、ヒラリー・スワンクのネーさんくらい参りましたで。冒頭で流れるタイトな女バクレツ・ロックも、ルーニーちゃんのキャラにピッタリでおました。

2012年2月 2日 (木)

クラシック音楽ドキュメンタリー「ピアノマニア」

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ピアノ調律師を映画史上、初めて捉えはった作品でおます

ピアニストたちとの共同作業の現場を見せはる、メイキングもんでもありまっせー

http://www.piano-mania.com/

フェブラリー2月4日サタデーから、エスピーオーはんの配給によりまして、大阪・シネマート心斎橋でロードショー後、全国順グリの上映でおます。

オーストリアとドイツ合作の、2009年製作ドキュメンタリーどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸOVAL Filmemacher / WILDart FILM

あくまで、おそらくなんやけど、映画史上、ピアノ調律師を描いた映画とゆうのんは、ドラマとドキュメンタリーを含めましても、まあ、ありまへんやろ。みなはん、どないですか。

でもって、本作のクラシックのピアノ調律師シュテファンのアニキが、イロンナ有名な方々からのリクエストに応えて、四苦八苦しはるとゆう内容でおます。中国出身のピアニストの、シューマンのピアノ曲をプレイしはる、ラン・ランのアニキとのやり取り。

ラン・ランてゆうても、決してパンダやござりまへん。一般大衆的に分かりやすく申しますれば、「のだめカンタビーレ 最終楽章」(2010年製作・日本映画)で、上野樹里チャンのピアノ代理演奏をやらはった方でおます。しかし、それは前触れでおまして、メインはフランスのピエール=ロラン・エマールのアニキとのサポート作業になっとります。

J.S.バッハの「フーガの技法」をでんな、このヒジョーに緻密稠密にして高難度のピアノ・ナンバーを、いかに100パーセントに近い状況でレコーディングできるんか。いわゆる、そのメイキングのプロセスを描く映画とゆうことなんでおます。

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まあ、音楽ドキュメンタリーでも、コンサートもの、アーティストものが多い中において、こうゆう切り口は珍しおます。つまりは、裏方はんに焦点を当てた映画やと申せましょうか。

シュテファンはんがクルマでロードしもって、楽器会社へ行き、究極の音を探究すべく、イロイロ交渉し、やらはりま。2台のピアノを弾き比べたり、プロデューサーからイロイロ聞かれたり、悩み深きシュテファン本人はんの様子を映したりと、ピアノ調律師としての、ヒューマニズムを打ち出してはるんどす。

ピアノの内部まで詳細に映し込むシークエンスやら、オルガン風の響きをクリエイトする反響板の役割とか、細部にわたって、こだわりの映像が次々にやってまいります。

そんな中で、オーストリア・ウィーンのコンサート・ホールやら、クラシック・ファンには垂涎やろと思われます、イロンナんが映されてゆきよります。そして、モチ、クライマックスは、レコーディング・シーンでおます。音楽映画としてのハイライトはやはり、音楽なんで、この流れは良かったと思いよります。チェンバロやらの鍵盤楽器への検証シーンやらも、クラシック・ファンのココロをそそることでおましょう。

但し、ファン向けのマニアック感は、本作にはほとんどカンジられまへんどした。分かりやすくクラシックの世界を見せる作りには、好感を覚えました。クラシック初心者にこそ、ふさわしい映画でおますよ。

2012年2月 1日 (水)

女忍者“くのいち”映画の快作「忍道-SHINOBIDO-」

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上戸彩「あずみ」に勝るとも劣らへん、佐津川愛美チャンのアイドル的アクション性に、ゾッコンになるやもなー

AKB48の菊地あやかチャンにも、注目やわなー

http://shinobido-movie.com/

如月2月4日の土曜日から、ジョリー・ロジャーはんの配給によりまして、東京・銀座シネパトスやら、大阪・九条のシネ・ヌーヴォXやらで、全国順グリのロードショーでおます。

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文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 EDO WONDERLAND Studio

女忍者・隠密=スパイの“くのいち”もの映画とゆうのんは、邦画界ではこれまでにイロイロと出てきよりました。洋画の女スパイもんなんぞも含めて見てみますと、邦画の“くのいち”もんや女剣士もんは、どちらかと言いよりまするに、アイドルチックなノリがあります。

つては志穂美悦子ネーさん(ミュージシャンの長渕剛アニキのヨメはんどす)主演の、東映はんの時代劇やらがありました。ほんで、上戸彩チャンの女剣士ぶり「あずみ」(2003年製作)やら、仲間由紀恵ネーさんが、女忍者になった「SHINOBI」(2005年)やらがヒットをかましておます。

そんな時代劇アイドル映画ノリが、でっかいポイントになっておますんが本作なんどすえ。今のオンナ・アイドルのシンボルとなっとるAKB48の、菊地あやかチャンが出はるんも、それをば強調してはります。

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でも、主演は佐津川愛美チャンやでー。イロイロ映画にも出てはるけど、本作で初めて見られる方は、そのキリッとした演技に加え、チョイ素朴なとこなんかにも魅かれるやもな。

お祭り的サウンドに乗って、ダンシング・シーンもあるし、スローモーションの長回し撮影による、剣戟アクション・シーンは、ガンバらはった、インパクトあるところでおました。アイドルにありがちな、ナンジャコラーみたいなとこもあるやも分かりまへんけど、まあまあ、そこはアイドルなんで、大目に見たっておくんなはれ。

ほんでもって、恋のお相手とゆうか、敵か味方か最初はよう分からへん、男剣士役には、「ラスト・サムライ」(2003年・アメリカ映画)にも出てはった、ユキリョウイチのアニキがやってはります。この方とのつながりはまさに、「SHINOBI」の仲間由紀恵ネーと、オダギリジョーのアニキの関係を思い出しましたで。

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加えて、最初に出てきはる黒沢年雄はんやら、ミコ役の研ナオコはん、長谷川初範はんらのベテラン・サポート演技ぶりが、なかなかのもんどした。

ほんでもって、画面で表現する時代感作りも考えてはります。江戸時代の末期もんなんやけど、角灯のみの夜描写シーンやら、薄ブルーな朝もやの空気感を始め、バイオリンやらピアノを流しもっての、愛美チャンが町を去り里へ帰る、雨中の哀愁感やらが、エエ雰囲気を作ってはります。

本作の森岡利行監督作品としては、ボク的最高ケッサクの、女たちの友情を描いた「女の子ものがたり」(2009年)に迫る仕上がりやったです。

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