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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2012年1月の記事

2012年1月31日 (火)

東京アンダーワールドを描く「東京プレイボーイクラブ」

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大森南朋と光石研の各アニキが、臼田あさ美チャンを巻き込んで犯罪世界へと没入でおます

東京もの映画の中でも、異色の仕上がりになっとります

http://www.tokyoplayboyclub.jp/

如月は2月4日の土曜日から、スタイルジャムはんの配給によりまして、東京・渋谷のユーロスペースやら、シネマート新宿で、ほんで関西やったら、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 東京プレイボーイクラブ

東京とゆう大都会を舞台に、アンダーグラウンド・ワールドな世界を描いた映画でおます。その在り方は、戦後の混乱期の東京を映した、黒澤明の「酔いどれ天使」(1948年製作)みたいな、ヤケクソ感をカンジよりました。

また、東京をタイトルに冠した作品は多々ござりますが、今の格差社会とかのキーワードを入れもって、今でなければ描けない混乱ぶりを、キチンと描いてはる点にも注目しておくんなはれ。東京ロケ映画らしくないような作りも、あえて意図的にしてはる点も、エエかと思いよります。

ほんで、まずはナンチューても、演技陣がそういう世界観を絶妙に演じてはりました。大森南朋のアニキ(写真1枚目の左)。静と動を駆使しはった、残虐バイオレント性の演技。過去の作品でも多々披露してはりますが、静と動のギャップ幅をゆうたら、本作がイチバンヤーかもしれまへん。

次いで、光石研のアニキ(写真1枚目の右)や。この方のバイプレーヤーぶりは、今やかつての大杉漣はんの多作出演ぶりに、匹敵してはるんやないやろか。今のところボクチンの今年の、邦画ナンバーワンになっておます「ヒミズ」(現在、公開中。昨年11月20日付けで分析)でも、エエ加減さに痺れる演技やったし、今作では、反対にシビアさを全面に打ち出してはります。

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ほんでもって、臼田あさ美チャン(写真1枚目のド真ん中)。カレ氏役の淵上泰史クン(写真3枚目の左)との掛け合いシーンから、そのノホホンさにフッと微笑がこぼれよります。室内での2分くらいの長回し撮影シーンは、あさ美チャンの人間性をズバリ示さはります。

つまり、のんびりした彼女なんやけど、やがて、東京アンダーグラウンドの荒波に巻き込まれてまうとゆう、その流れへのイントロ描写でおます。上手どす。モチ、それらは25歳とゆう若き監督・奥田庸介クンの演出ぶりの、上手さでもあるんやろと思います。

撮り方やらサントラを含む音楽使いにも、妙味がござりました。冒頭はモノクロに近い薄色の配色。まさにそこが東京とは思えないような撮り方や。クラブ事務所の薄グリーンな作り。写真2枚目のような赤色照明による、ハッとさせるシーンやら。それでいて、映画的照明をあまり入れない、ダークな作りも心がけてはるようどす。デジタルで撮ってはるんやけど、でもフィルム的な質感もカンジさせはりまんねん。

アコーディオン、タンゴチック、ギターのブルース的歌もの、重めのナンバーとなった、エレカシことエレファントカシマシの「パワー・イン・ザ・ワールド」も含め、アングラな作品性にピッタリマッチしとりました。個人的には、劇中で、小泉今日子キョンキョンの「ヤマトナデシコ七変化」や、チェリッシュの「てんとう虫のサンバ」などが流れよるんが、楽しめましたで。

2012年1月30日 (月)

「美女と野獣」の学園青春版「ビーストリー」やで~

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基本ラインは、実にオーソドックスなラブ・ストーリーやねん

そんでもって、若手のハリウッド男女優が、イケイケピチピチの爽快演技でおます

http://www.finefilms.co.jp/beastly/

フェブラリー2月4日のサタデーから、ファインフィルムズはんの配給によりまして、新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 CBS FILMS INC

上の写真の、イケメン君とイケウーメンチャンが、恋をするとゆう学園ラブ・ストーリーでおます。でも、そのままフツーにいってしもたら、これまでに仰山(ギョウサン=たくさん)出てまいりました、学園恋愛ものをアホみたいに踏襲するような、つまらんもんになりかねまへん。

そこで、ヤッパ、オリジンある設定を設けてでんな、展開したろかいやーとなるんやけど、そのポイントは、イケメン君をブサイク男に変身さして、ほな、どないなんねんとゆう、人生やら青春の試練でおます。

女を醜女(シコメ)に変える、あるいは元から醜女やったとゆう設定も、あるにはあるんやけど、女をソレにするよりは男をソレにする方が、実はスムーズで軽快に物語は進みよります。女をソレにした場合は、ちょっと悲しい系へと流れてゆきそうな気もするしな。

でも、本作は男が罪をばかぶって、ブ男にならはるんどす。「美女と野獣」(1946年製作・フランス映画・1991年のディズニー・アニメもありま)以来、このスタイルは、ドラマ映えしよります。試練はヤッパ、男にあった方がええんどすわ。ホンマどすえー。たぶん。

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ちゅうわけで、ゴスロリ・ファッションの悪女に魔法を掛けられてでんな、イケメン君が野獣にならはりました。大たいにおいてオオカミ男なんやけど、毛皮なし。このあたりは、まあ、経費削減どすわ。寒いやろけど、我慢してな。

冗談はまあ、さておき、内面の醜さを外面に表したとゆう姿なんやけど、女に心の底からの「愛してる」を言わせれば、本人はんは元の姿に戻れるらしい、なんてゆうシチュエーションどす。

でも、ラブ・ストーリー的には、野獣に変えられた細工を別にして、小細工なしのオーソドックスさでおます。2人の屋外デート・シーンなどは、フツーのラブ・ストーリーのように展開してまいります。

日本ではアレ(無名)やけど、アレックス・ペティフアー君とヴァネッサ・ハジェンズちゃんが、主演をば張ってはります。ハリウッドの若手俳優はんは、日本では最近ブレイクしとりまへんけども、その新鮮さやったりイケメン美貌ぶりやったりに、魅了されるとこから始まってでんな、ハマッてやっておくんなはれ。2人共に、往年の大スターを思わせるとこも、チョビチョビありますんでな。

ほんで、学園青春ものには欠かせない、歌ものサントラも充実しとります。ロックから、AOR、ポップ、ポップス、バラードまで、「フットルース」(1984年・アメリカ)やらにも負けない流れ方に、グッとくるハズどっせー。

2012年1月29日 (日)

父子の絆と恋愛が描かれるアメリカ映画「人生はビギナーズ」

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ユアン・マクレガーのアニキとメラニー・ロランのネーさんの、ラブ・ストーリーだけやありまへん

クリストファー・プラマーはんの、老いてユニークな渋枯れ演技にも、注目しておくんなはれ

http://www.jinsei-beginners.com/

フェブラリー2月4日サタデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、東京・新宿バルト9やら、TOHOシネマズシャンテでロードショーでおます。

関西やったら、2月18日の土曜日から、梅田ガーデンシネマ、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 Beginners Movie, LLC. All Rights Reserved.

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ユアン・マクレガーのアニキが、感動的な親子の絆を結んで恋をしてとゆう、順風満帆の生き方を描く映画。やなんてゆうんは、全部ウソでおます。

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冒頭はユアンが、死んでもうて葬式の終わったオトンの部屋で、1人呆然といてはるシーンから入らはります。1匹の小イヌが残されました。彼はそのイヌを引き取らはります。ところがどっこい、「150のコトバは知ってるけど、喋れない」とゆう、このイヌのココロのナレーションが、適宜流れよります。

そして、コレがメッチャ映画的にタイトなアクセントを加えてはりました。ディズニー的やありまへん。最近試写室で見た映画で、今年のアカデミー作品賞に最も近いと思える「アーティスト」(近日に分析しよります)にもイヌが出ております。イヌがベスト・サポート演技を披露しよる映画として、共通項がござりました。

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で、オトン役のクリストファー・プラマーはんが、ゴールデングローブ賞で助演男優賞をもらわはり、アカデミー賞でもノミネートされはりました。妻亡きあと、75歳にしてゲイ宣言をしはり、ゲイの恋人を作り、ほんでもって、末期ガンにかからはるとゆう晩年どす。

モチ、主人公はユアンのアニキどして、父子部とメラニー・ロランちゃんとの恋愛部が、バランス良く描かれてゆくとゆう作りになっとります。父子の絆描写は、ハリウッド映画的には、あくまで淡泊な作りやけど、プラマーはんの柔軟な姿勢によりまして、押しつけがましくありまへん。ベタやないさりげなさなんやけど、死んだ父に寄り添ってユアンが泣くシーンなど、思わず込み上げてくるもんがあったりしよりました。

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一方のメランちゃんとの恋愛部では、会話セリフのやりとりに、妙味やケレン味がありました。ユアン・アニのコドモ時代のオカンとのエピソードや、ユアンのナレーション入りの回想シーンの、ダイジェスト的な編集シーンやら、過去も分かりやすく伝えられてまいります。アナログ感あるスタンダードなジャズ・ナンバーやら、ピアノ・ソロ、ブラバンなサウンドなどが作品性に合っておました。

メラニーちゃんの「分からない」に対し、ユアン・アニが「試してみよう」と応じるラストシーン。ネタバレやありまへん。このシーンにボクは、ラブ・ストーリーの新たな可能性みたいなんを、カンジた次第なんどすえ~。見に行って、損はなしや~。

2012年1月28日 (土)

3部作の第1弾アニメ「ベルセルク 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵」

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中世ユーロを舞台にしはった、時代活劇ジャパ二メーションでおます

男2人の友情やら夢やら確執へと、集約されてゆくカンジどすえー

http://www.berserkfilm.com/

フェブラリー2月4日サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ三浦健太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

ジャパニメーションは日々、進化をば続けております。本作はコミック原作のテレビ・アニメ化を経ての、劇場版アニメでおます。映画版でヒットしますとでんな、次には実写映画版へと、進んでゆくようなことにもなるんどすが、作品の舞台は中世ヨーロッパでおます。

中世てゆうてもメッチャ幅広うおますけども、かつての作品を思い出してみよります。ボクチン的には、2人の女にフォーカスされ映画実写化もされた「ベルサイユのばら」(1979年製作・日本映画)やとか、手塚治虫先生原作の「リボンの騎士」やらを思い出したりしよりました。ほんで、「ロード・オブ・ザ・リング」「三銃士」「ロビン・フッド」なんぞの、アクション・シーンやらとも、シンクロナイズするんどすわ。

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でもって、男たち2人のアクショナブルなドラマへと展開してまいります。ユーロの2国間での戦争が背景にありましてな、そこへどちらかに付いて対決するとゆう構図が出来上がりま。そんなこんながあって、ガッツとグリフィスの2人が1対1対決し、負けてしもたガッツが、グリフィスをリーダーとするグループの軍門にくだらはります。

で、グリフィスの元で、ガッツはガッツ(!?)あふれる戦いをやり続け…ほんで、基本的な展開としては、2人はキズナを結んでゆくような方向性でおましょうか。王女とグリフィスの、何やら利用系みたいな、ラブ・ストーリー的な描写とかも含め、男2人の関係は今後、波乱に満ちた展開が待ってそうなカンジでおますよ。

アクション・シーンもキョーレツや。イントロの火薬付き弓矢が、飛び交うシーンを始め、騎馬戦、剣戟戦などが繰り返され、中世アクトのいくつもが、ビビッドに披露されてまいります。風景描写もリアル感がありました。

刻々と動く雲の描写はモチ、風吹くシーン、太陽・陽光・星々・多彩な自然が、激戦シーンとの、安らぎの対比効果があるように思いよります。

サントラも多彩やったで。オーケストラ・サウンドをメインにした作り。でもって、ラストロールでは、2パターンでの歌ものでシメはります。オーケストラに乗った、男女コーラスによる英語詞オペラチック。そして、日本の女性R&BシンガーAIが歌わはる、壮大なスロー・ナンバーや。

「ロード・オブ・ザ・リング」と同じく3部作になる、その第1弾のシメとしては、期待感募る作りでおました。ホンマ、次の第2弾が、メッチャ楽しみになってきよりましたで。

2012年1月27日 (金)

アメリカン・フィルムノワール・コメディ「ペントハウス」

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ベン・スティラー、エディ・マーフィはんらがコミカル・ノワールもんに出はりました

世界ナンバーワンともいえる完璧セキュリティを、どないかいくぐらはったんでおましょうか?

http://www.penthouse-movie.com/

フェブラリー2月3日のフライデーから、東宝東和はんの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Universal Studios. All Rights Reserved.

ベン・スティラーのアニキやて、みなはん、分かりますやろか。エディ・マーフィのアニキ。こちらはチョー有名なんで、アレやろけど…。

実は、アメリカのコメディ俳優とゆうのんは、ハリウッド映画が日本でそう売れんようになってしもた21世紀以降、アメリカやらでたとえ有名でも、日本では知る人ぞ知るみたいな存在やったんどすわ。コレは女優、男優に限りまへん。

そんな1人にベン・スティラーはんがいてはります。言うまでもなく、アメリカではこの2人の共演は、国民的な人気を得てはる2人だけに、そら、モノゴッツーな話題になっとるんでおますよ。

それにやね、監督はんがあの「ラッシュアワー」シリーズ(第1弾は1998年製作・アメリカ映画)のブレット・ラトナーのアニキでおます。そっちはもっと誰やねん? な世界ですわな。

ジャッキー・チェンが主演しはった「ラッシュアワー」はまあ、ヒットしましたし、その後コミカル度を廃したサスペンス「レッド・ドラゴン」(2003年)にも驚かされよりましたわ。でもって、本作はこれまでの作品性を織り込んで、コメディ・フィルムノワールなんて新領域へと、持ってきはったかと思います。

リアリティーはまあ、コメディやからそうはないんやけど、「黄金の七人」(1965年・イタリア)とか「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)とかの時代とは、セキュリティやらが天と地くらいに違うんどすえ。「オーシャンズ11」からでもまだ、10年そこそこなんやけど。

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最新セキュリティバチバチの、NYのビルがメイン舞台どす。日本でゆうたら、六本木ヒルズあたりやろか。そこの最上階に住んではる富豪のリッチマンはんは、金持ちなんやけど、ウォール街でサギまがいの悪いことをやってはって、警察からパクられました。

しかも、ビル管理会社のマネージャーやってはるベン・スティラーはんは、従業員全員の年金を富豪に預けてしもて、騙されました。部下のベテラン・ドアマンの全財産までパクられたことを知ったスティラーはんは、クビになっても仲間を招集し、何十億単位の闇金を、富豪から奪取しようと計画しはるんどす。ビルの最上階の部屋の壁に、埋め込まれた隠し金庫に、その金があると見た彼らは…。

最新セキュリティをかいくぐっていくシーンには、クエスチョンも大いにあるし強引やけど、でも、それなりの説得力はありました。感謝祭のパレード・イベントにみなの視線が集中する、警備のスキマをかいくぐり、そして、監視・防犯カメラへの対策もいちおうやってはります。

お手並み拝見やけど、本作の見どころは「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ)的な、ビルを駆使したアクションであり、サギへのリベンジ的な、エディ・マーフィはんが出てはった「大逆転」(1983年・アメリカ)みたいな、カタルシスあるサプライズでおましょう。痛快な結末をご堪能あれどすえ~。きっと最後には、ベン・スティラーのアニキのファンになってるハズでおますよ。

2012年1月26日 (木)

21分のショートショート・フィルム「大地を叩く女」

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2008年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でグランプリをゲットしはった作品どすえ~

ファンタジーとゆうよりは、「不惑のアダージョ」へと通じるヒロイン映画でおます

http://www.rainbowgrace.net/daichi/

フェブラリー2月4日サタデーから、ゴー・シネマはんの配給によりまして、「不惑のアダージョ」(昨日、分析しよりました)と共に、大阪・テアトル梅田やらでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

みなはん、ショートショート・フィルムなんて、見はったことはありますやろか。30分以内というのが、基本なんやろか? 短編映画との分岐点はビミョーやけど、映画興行的には、モチ1本だけを見せるなんてことは、まずやってはりまへん。

数年前から特別上映として、ショートショート・フィルム・フェスティバルが年に1回開催されとりまして、日本だけやなく、世界各地から集まった何本もの作品を、いっぺんに見る機会がござります。

今年もあるんかどうかは別にいたしまして、本作は女性監督の井上都紀(つき)のネーさんが、長編デビュー作「不惑のアダージョ」を撮る前に、映画作家的才能を認められることになった、運命の1本でおます。

さてはて、ボクチン的には、このジャンルの最高ケッサクてゆうたら、前衛映画性バチバチの「アンダルシアの犬」(1928年製作・フランス映画・17分)でおます。でもって、最近見たんで快作やったんは、横浜聡子ネーさんが監督しはった「真夜中からとびうつれ」(昨年10月28日付けで分析)どすか。

ほんで、本作。「真夜中からとびうつれ」と同じく、ユニーク極まりないヒロイン映画になっとります。

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さらに、チャップリンやキートンやらの、サイレント・コメディとかのスパイシーも、キチンと入っとりまんねん。

30分以内でおますんで、ストーリーの面白さよりも、テーマ的なとこをタイトにピリッと、示す必要があるやろと思います。その点では、本作はしっかりしとりました。

サントラも担当してはる、ヒロイン役のミュージシャンGRACEちゃん(写真2枚目の人)やけど、彼氏役の和田聡宏のアニキ(写真1枚目)には虐待されてはりま。ほんで、肉屋はんの厨房で働いてはります。

でも、彼女は夢想してはるんどす。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000年・デンマーク)でビョークのネーさんが、職場のシーンからダンステークへと夢想しはったように、肉をひいて叩く仕草や包丁の音が、バンド内でドラムを叩くライブ・シーンへと、スライド転換してゆきよりまんねん。

でもってでんな、ヒロインが荒野で1人でドラムを叩くカットが、ロングショットで登場しよります。シュールてゆうたらシュールやけど、ヒロインの想いがちゃんと伝わってまいります。

ヒロイン映画のニュー・ワールドを、希求してはるような都紀ネーさんの今後が、ますます期待したくなってきよる映画でおました。

2012年1月25日 (水)

アラフォー・シスターのヒューマン・ドラマ日本映画「不惑のアダージョ」

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日本やったらメッチャ珍しい、修道女ヒロイン映画のユニークな1本どす

井上都紀ネーさんの女性監督らしい、優しい慈愛に満ちた癒やしの快作やでー

http://www.autumnadagio.com/

如月2月4日の土曜日から、ゴー・シネマはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田でロードショー後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらへと、全国順グリの上映どすえ。

本作の井上都紀監督の、ショートショート・フィルム「大地を叩く女」(明日、分析しよりま)も上映されよります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Autumn Adagio Film Committee

シスターを描いた映画とゆうのんは、外国にはそれなりにござりました。

思い付くとこをチョイ挙げてみますと、「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年製作・アメリカ映画)「尼僧物語」(1959年・アメリカ)「尼僧ヨアンナ」(1961年・ポーランド)「天使にラブ・ソングを…」(1992年・アメリカ)「マザー・テレサ」(2003年・イタリア&イギリス)やらどすか

でも、日本ではどないかなー。すんまへんけども、ボクチン的には「二代目はクリスチャン」(1985年)あたりしか思い付けへんわー。

しかも、アラフォー・ヒロイン・ドラマとゆう設定になっとります。そして、シスター・ヒロインに寄り添うように、シスターの内面へと切り込んでゆくような人間ドラマ性は、洋画にもそうそうござりまへんどすえー。

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このヒロインに、ミュージシャンの柴草玲のネーさんが扮しはりました。かつて「チカブーン」なる女サルサバンドで、キーボードを担当してはった方でおますんで、本作の一種の音楽ムービー的なとこにも、ピッタリフィットなんでおますよ。

玲ネーさんが、教会のコーラス・シーンで、オルガンを伴奏でプレイしてはるとこから、本作は始まりま。エアー・プレイやありまへん。ホンマモンどす。ほかには、バレエ教室でのピアノ弾き、アコーディオン・プレイによる、2~3分の長回し撮影シークエンスやらも、リアリティーがあるんでおますよ。自転車に乗って行くシーンでは、速いめのクラシックなんぞも流れます。

でもって、ネーさんの茫洋とした自然体の演技性や。米をといで朝飯を作り、納豆を掛けて食うシーンなどの、日常生活描写シーンの積み重ねが、あとあと効いてきよります。

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井上都紀(つき)監督の、長編デビュー作でおます。女性監督らしい優しい癒やしの作りを、心がけてはるように思いよりました。

玲ネーさんが教会へ通う道を、歩いてくるロングショットのリフレインなど、リフレイン効果が映画的ゆったリズムを構築してはるし、1~2秒の黒場シーンのタイトな挿入によりまして、映画的“間”(ま)なるものも巧妙に作ってはるんどす。

加えて、青空シーンも含めて、セピア・イエローな樹々のシーンなど、目に優しい自然描写シーンも、時おり入れてはります。

女性監督のデビュー作としては、なかなかの仕上がり具合どしたえ。ぜひ劇場でご体感あれでおますよ。

2012年1月24日 (火)

大自然をバックにしたオーストラリア映画「ハンター」

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世界遺産登録のタスマニア島ロケーションで、美風景のオン・ザ・パレードだす

ウィレム・デフォーのアニキが、ラスト・タイガーをハンティングやー

http://www.hunter-movie.jp/

フェブラリー2月4日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやら、MOVIX京都、109シネマズHAT神戸ほかでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Porchlight Films Pty Limited,Screen NSW,Tasmania Development and Resources and Nude Run Pty Limited.

ウィレム・デフォーのアニキが、地上で最後の1頭らしいタスマニアタイガーの、ハンティングを依頼されはります。依頼会社側の意図は、タイガーのDNAにデッカイ金儲けのモトがあるらしいんどすわ。

依頼を受けはったデフォーはんは、現地オーストラリアのタスマニア島へ行き、宿泊先の家族やらと交流しもって、森中へとタイガー狩りに行かはります。一方で、森林伐採やらの環境問題の、反対派・賛成派の争いも描かれよります。

ロバート・レッドフォードが主演した「大いなる勇者」(1972年製作・アメリカ映画)やらみたいに、美しき大自然をバックに、狩りのための仕掛けやらイロイロを見せてゆくシークエンスは、本作もおんなじようには見えよります。但し、よそ者が悪いことをしに来たとゆう、敵愾心ある現地の視点が入っとります。

「わらの犬」(1971年・アメリカ)なんぞは、最後にドッカーンやったけど、コチラも狩りをジャマするヤツとのアクションは、大げさやないけどござります。

さらに、オトンがトラを追ったまま、森で行方不明のままやとゆう、現地のオカンと2人のコドモたち家族と、デフォーはんの交流部が、1つの見どころやろか。「刑事ジョン・ブック/目撃者」(1985年・アメリカ)のハリソン・フォードはんみたいに、どこまで彼らを守れたのかは別にして、このキズナ部はラストシーンも含め、本作のイチバンヤーの感動を運んでまいります。

でもって、ナンチューてもエエカンジなんは、大自然の描写と、そこでイロイロ行動しはるデフォーはんの姿でおましょうか。デフォーはん的には、「プラトーン」(1986年・アメリカ)やら最新作「アンチクライスト」(昨年2月10日付けで分析)やらでの、森中のシークエンスとゆうたら、あんましエエ想い出はないやもしれまへんが、今作は大いに違(ちご)とりまっせー。つまりは、カッコよろしおまんねん。

ほんで、青空から夕景のセピアまで、表情を多彩に変える空の下、草原やら清流やら森林のロングショットの構図には、ウットリなれる美しいシーンがテンコ盛りなんどすえ。で、ヤッパ、クライマックスは、遂に姿を現したタイガーとの対決でおます。

ちなみに、そこへもっていくまでの、ミステリー部やらの緊張感があっさりしとるように見えますが、実はその静謐な流れがあるからこそ、クライマックスが光るんでおますよ。

さて、個人的にスキなシーンは、発電機が回復して流れるレコードが、ブルース・スプリングスティーンの名盤「ボーン・イン・ザ・USA」からの曲だったとこでおましょうか。ウッドストックの再現シーンなど、音楽ファンも見逃せまへんよー。

2012年1月23日 (月)

「生誕百年記念 巨匠 今井正の世界」③

ラストの3週目は、キネマ旬報邦画年間ベストワンの「また逢う日まで」「キクとイサム」やー

ほんでもって、「橋のない川」「同 第二部」に加えよりまして、男ドラマ「不信のとき」と女ドラマ「婉という女」どすえ~

http://cinenouveau.com/

大阪のシネ・ヌーヴォはんで、フィルム上映によりまして、今井正監督の名作特集を、1月27日までやってはりまっせー。急いで見にいかなあきまへんでー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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●「また逢う日まで」(1950年製作・モノクロ・111分)

戦争で2人の愛が引き裂かれ系の映画とゆうのんは、これまでにモノゴッツーな本数が出てきておますけども、日本映画としては、本作が最初の1本やないでしょうか。

さらに、すれ違い系の愛の映画としても、嚆矢に近いもんがあるんやないかな。先行した「哀愁」(1940年製作・アメリカ映画)よりはあとやけど、1950年代の邦画最大のヒットになった「君の名は」(1953年前編・1954年後編)よりは早かったんどすえ。

しかも、アラマ・ポテチンやったんは、今から見ても、恋する男女の会話やらが、ほとんど古さをカンジさせへんとこどした。今でゆうたら、草食系の岡田英次アニキと、アイドルチックな久我美子ネーさんの関係性は、「モテキ」(昨年9月18日付けで分析)の森山未來クンと長澤まさみチャンと比較しても、遜色ないようにボクは思いよりました。

写真の彼女の自宅のガラス窓を、間に入れてキスしてはりますが、その後のデートでは生キッスをば何度もしはります。当時の時代性を反映してるシーンやと言われとりますが、恋愛プロセスを描くとゆう点から見ると、最初はコレッてなカンジで、実に自然でスムーズなシーンやと見ました。その意味では、ラブ・ストーリーとしても王道の傑作になっとります。

●「キクとイサム」(1959年・モノクロ・117分)

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今井正監督の、ボクチンが勝手に最高ケッサクやと思てる作品どす。今回、再見してみて、その思いがより強まりました。黒人混血児の写真の、小学生の姉弟のお話やー。

2人は東北の田舎で、北林谷栄オバンと3人で暮らしてはります。日本人のオカンは病で死んでしもて、戦後に日本に常駐しオカンと出会わはった、黒人アメリカ兵のオトンは、本国に強制的に送還されとります。オカンが死んでもうて、オバンのとこに引き取られ、1959年設定の今に至っとります。

2人の将来を憂えたオバンは、オトンの行方がサッパリなんで、アメリカでの養子縁組で何とかしようとしはります。ほんで、弟はんに引き合いがありましてな、弟はアメリカへ行きまんねん。今生(コンジョウ)の別れやないけど、プラットフォームでの姉弟オバンの別れのシークエンスは、モノゴッツーな泣ける感動を構築してはります。邦画・洋画含め、停車場別れシーンのベストテンに入るやろな。

差別の目で見る人以外に、黒人差別があるアメリカへ行っても、日本以上に差別されるやろと、反対しはる人なんぞもキチンと描き、鮮烈どした。それより何より、黒人差別もののアメリカ映画、例えば「招かれざる客」(1967年・アメリカ)より早かった点も、スゴイと思いまっせー。

●「橋のない川」「橋のない川 第二部」(1969年&1970年・パートカラー&モノクロ・127分&140分)

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差別問題を描いた映画としては、今までに黒人もの、在日朝鮮人もの、ユダヤ人ものなど、多数の作品がござりますが、本作の日本バージョンは、かなり異様なもんがあります。エッタなんてゆう、今や死語になっとるコトバも出ますが、日本的には、士農工商なんて差別のランク付けがあったりしよりました。今でも格差社会とゆわれとりますが、そんなワケ分からん差別の実態を、明治・大正の奈良・大阪の関西を舞台に、展開しはった1作が本作でおます。

前編に当たる少年時代篇と、兄弟が成人しての“第二部”の後編とゆうスタイルでおます。島崎藤村原作「破戒」(映画化としては1948年と1962年がありま)やらが、さりげなくストーリーの中に取り込まれておます。

演技陣では、邦画史上最大のオバン演技派北林谷栄や、怪演俳優の伊藤雄之助の演技が、ディープ・インパクトでおました。第二部の米騒動アクションも、デッカイ見どころどすえー。

●「婉という女」(1971年・カラー・123分)

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剣戟なしの、ヒロイン時代劇でおます。大河ドラマの女ものとも、大分と違いよりました。まあ、ゆうてみたら、岩下志麻ネーさんのための映画みたいな。ほんで、北大路欣也はんも、後半から志麻ネーの従僕役で出はります。

前半は幽閉された家族の室内劇、ほんでもって、後半は自由になった志麻ネーのラブ・ストーリーなんちゅー構成どす。ボクは三角関係的なところで、「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ)みたいなニュアンスをカンジた1本でおます。

●「不信のとき」(1968年・カラー・120分)

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今井監督作品の中では、カルティックな1本でおましょう。田宮二郎のアニキが、妻と愛人の二重生活をしはって、共にコドモが生まれるとゆう展開の中で、やがてエライ目に遭うっちゅう話どす。

「しとやかな獣」(1962年)チックな、悪女ぶり演技をやらはる若尾文子ネーの、どんでん返し的なサプライズにアラマ・ポテチンどしたえ。「危険な情事」(1987年・アメリカ)や「氷の微笑」(1992年・アメリカ)の、マイケル・ダクラスはん主演作品やらと、シンクロする作品どした。

ポーランド&スウェーデン合作映画「ブリューゲルの動く絵」

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1枚の絵画にストップ・モーションで登場する、人物たちを描く群像劇映画やなんて…

しかも、絵画メイキング映画とゆうスタイルどすえ~

http://www.bruegel-ugokue.com/

ジャニュアリー1月28日のサタデーから、大阪・九条のシネ・ヌーヴォはんで上映後、全国順グリのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、ユーロスペースはんとブロードメディア・スタジオはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010, Angelus Silesius, TVP S.A

名画や画家にまつわる映画で、みなはんが思い出さはる映画てゆうたら、何がありますやろか。大ヒットした「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年製作・アメリカ映画)やとか「落穂拾い」(2000年・フランス)やとか、写楽や葛飾北斎やピカソやロートレックやらの、画家の話なんぞになるんやろか。

しかし、本作は今までにない名画&画家映画なんですわ。その名画に映されとる人たちのドラマを、サイレント映画チックに紡いでゆくとゆう群像劇スタイルどす。でもって、実在した画家ブリューゲルが、その絵画《十字架を担うキリスト》を創り出してゆくプロセスも、群像ドラマと同時進行で見せてゆく、絵画メイキングものとして撮ってはるんですわ。

前衛的・実験的な映画ではあるんやけど、ストップ・モーションとも言える、その絵画シーンの完成へと着地するんは、メッチャ爽快感が味わえました。

そこへ持っていくまでの道筋もまた、緻密に考えられておます。いろんな人々の日常シーンを多彩に、タペストリーチックに積み重ねてゆかはります。スペインの騎兵隊たちに殴り殺された男の死体が、カラスに突つかれるシーンなど、ホラーチックなキモイシーンもござります。

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主人公のブリューゲルはんには、ルトガー・ハウアーはん、絵の中のマリア様役にはシャーロット・ランプリングはんとゆう、共に大ベテランのお2方が、それぞれキャスティングされてはります。

ルトガーはんは代表作「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)やら、最新作の「ホーボー・ウィズ・ショットガン」(今年1月4日付けで分析)やらの、ヤンチャ系を完全封印しはり、まろやかにして冷静沈着な演技系どす。片や、シャーロットはんもまた、マリア様だけに、癒やし系の演技でいってはります。

ほんでもって、撮影的に特徴的なんは、長回し撮影のタイトな挿入でおました。神からの視点となる、山上で風車を回してはる3人家族の様子。窓辺に立つシャーロットはんへと、ゆっくり寄ってゆくショット。群衆の移動シーンがストップ・モーションになってイロイロ映し、で、上へとカメラが上がってゆく、本作で最も長い長回しカット。ラストシーンでは、原作の絵を映して、ゆっくりカメラが退いてゆきよりま。オペラチックな女性コーラスで、盛り上げるシーンやらも、エキサイティングやと思いましたで。

2012年1月22日 (日)

ジャパン動物ドキュメンタリー「日本列島 いきものたちの物語」

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相葉雅紀クン(from嵐)、長澤まさみチャン、ゴリのアニキ、黒木瞳のネーさん。4人4様の多彩なナレーターぶりに大注目どすえ~

ファミリー映画として、ディズニー並みのパワーがありまっせ~

http://www.nihon-rettou.jp/

フェブラリー2月4日サタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 映画「日本列島」製作委員会

いやはや、コレは、ファミリーみんなで見にゆく映画としては、ディズニー映画以上にピッタリフィットな作品に、なっとるんやないかなと思います。

この手の生態系ドキュメンタリーとなりますれば、かつての日本では、「キタキツネ物語」(1978年製作)やらが大ヒットをかましてはります。

イヌネコ系のペット系やなく、自然の中で生き抜いとる動物たちを捉えたドキュとなりますれば、どないあっても弱肉強食的な、コドモには見せられへんようなとこも映さんわけにはいかしまへん。でも、本作はあくまで控えめにしてはります。

「世界残酷物語」(1962年・イタリア映画)的なんはモチ、ハズしてはるし、少なくともイギリスの国営放送BBC製作のネイチャー・ドキュよりは、スマートで親近感ある作りになっとるんやないかな。本作はNHKはんが製作に関わってはるけど、別にイギリスに対抗してはるわけやありまへん。

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NHKはんにつきましては、昨日分析の「テンペスト」でも言いましたけども、ドラマの映画版を最近かしましく作ってきてはります。でもって、ドキュメンタリーにしてもおんなじなんでおます。

但しでんな、NHKのドキュには、映画としても充分に通用するケッサクが多数ござりまして、そんな本領を遺憾なく発揮しはった1例が、本作やと言えるでおましょう。

でも、ともすれば、一部の人にしか伝わらへんような、マニアックになりかねへんような側面があるドキュメンタリー映画なんやけど、そこへポピュラリティーを付加することによって、ディズニー・アニメに充分対抗できる、ファミリー映画性を獲得しはりました。

それが、多彩なナレーションの採用でおます。アニメの声優と同じく、ドキュのナレーションも、ヒットするかしないかを左右する、ヒジョーに重要な要素なんでおますよ。

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見出しに書きよりました4人のナレーションが、動物ごとに紡がれてまいります。しかも、本人はんのキモチも入った、説明ナレーションやない、映画セリフ的ナレーションで統一してはるとこは、他国の動物ドキュには、そうそうないとこでおましょうか。

しかも、各人のナレーターぶりには、愛や優しさがある作りになっとります。

各写真にあります、上から、黒木瞳ネーさんが語る下北半島のサル。ゴリが面白おかしゅう語る関西のイノシシ(2番目)。相葉雅紀クンの、知床半島の双子のヒグマ(3番目)。でもって、4番目の写真は、長澤まさみチャンが喋らはる、釧路湿原のキタキツネたち。

屋久島のサルたちの、サバイバルやらパニック編やらもあるし、モチ美しい風景もいっぱい織り込まれ、極上のアニマル・ムービーになった1本でおます。

2012年1月21日 (土)

オキナワ時代劇「劇場版テンペスト3D」

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仲間由紀恵ネーさんのための、映画とゆうてもええくらい、眩しく輝いてはりま

オキナワ・ロケ映画のピークを示さはる、オキナワ・オールスターズな作りがゴージャスでおます

http://www.tempest-3d.jp/

睦月1月28日の土曜日から、角川映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、アポロシネマ8やら、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「劇場版テンペスト3D」製作委員会

「テンペスト」と申しますれば、タイトルだけをゆうたら、シェークスピアの舞台劇が有名でおます。ほんでもって、映画としても、いくつか作られておます。三角関係を描いたその作品とは、本作はなんの関係もないように思われよりますけども、ビミョーに絡んできよるんどすえ。

さらに、ヒロインの仲間由紀恵のネーさんやけど、オトコ女の役をばやってはります。グウィネス・パルトロウのネーさんがやらはり、オスカーの主演賞も作品賞ももらわはった「恋におちたシェイクスピア」(1998年製作・アメリカ映画)の役柄をば、思い出させてくれはりました。そんなんやさかい、仲間ネーさんのための映画かと思うくらい、ネーさんは輝いてはりま。

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「トリック」シリーズ(2002年~2010年)やら「ごくせん」のコメディエンヌとは違い、仲間ネーさんのシリアスもん、しかも時代劇となりますれば、オナゴ忍者“くのいち”の「SHINOBI」(2005年)やら、「大奥」(2006年)やらどすが、それらの演技をある意味、踏襲するようなカンジでおます。

でも、お客はんの好感度合いは、本作がイチバンヤーでおましょうか。ほんで、「琉神マブヤー」(昨年12月28日付けで分析)に続く、オキナワ・ロケーション映画への参加でおます。

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オキナワ・ロケ映画はこれまでに多数作られてきておますが、本作はそのピークを示すような仕上がりどっせー。本作の製作に関わってはる、NHKはんの大河ドラマでは、かつてオキナワの時代劇を採り上げてはりましたが、本作はそれ以上のスケールの大きさやと思います。

世界遺産“首里城”での、いまだかつてない本格的なロケぶりやとか、オキナワ・オールスターズな作りなんぞも際立っておます。

原作者の池上永一エイちゃんも、仲間ネーさんもオキナワ出身やし、オーケストレーションある壮大なスロー・ナンバーをラストロールで披露しはる、安室奈美恵ネーさんもオキナワンや。さらにでんな、「ナビィの恋」(1999年)やらでシブ~いオキナワン女優の、平良とみバアヤがエエ味出してはります。

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「セカンドバージン」(昨年9月16日付け)やら「サラリーマンNEO」(昨年10月21日付け)やら、このところイロイロ出てるNHKはんのドラマの、いわゆる劇場版なんやけど、見てみるとやはり、バラエティーな国民的娯楽作品が多いなと思いよります。

しかも、大河ドラマ的なNHKはんの、真髄をば示さはったんやないやろか。「ラストエンペラー」(1987年・イタリア&イギリス&中国)や「ラスト・サムライ」(2003年・アメリカ)と同じく、琉球王国の最後を華やかに、ラブ・ストーリーも加えて描いてはりまっせ。

大河ドラマをバージョン・アップして映画館で見るような、ゴージャス感が味わえるハズどす。キタナイ画面とゆう感想はいっさいないハズなんで、そこんとこ、よろしゅうたのんます。

2012年1月20日 (金)

オンナたちのミステリー映画「すべての女に嘘がある」

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拉致監禁・殺人事件から始まる、犯人探しのミステリーどすえ~

「8人の女たち」やら「羅生門」的なスパイスを、取り入れはった快作どすえ~

http://kurofune.jpn.com/

1月28日サタデーから、2月10日フライデーまで、東京・池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開のあと、全国順グリのロードショーでおます。配給は日本出版販売はんどすえ。

大阪やったら、九条のシネ・ヌーヴォXにて、2月11日から公開やでー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012KU.RO.FU.NE  PROJECT

現在、9人の女優はんがいてはる「KU.RO.FU.NE」とゆうチームが主演・出演して、ハリウッド進出を目指して作らはった第1弾が本作でおます。

ほたら、第1作からハリウッド級の作品になっとるかは、別にいたしまして、作品ジャンルはミステリー映画でおます。しかも、犯人当てをポイントにしたミステリーどす。

つまり、本作と関連する作品を出してしもたら、一発でネタバレなんで、モチ出しまへんけども、フェアーかアンフェアーかとゆうと、G線上のギリギリやもしれまへん。但し、犯人像は斬新やとジャッジいたします。

ラストシーンで男と女が手をつないで去ってゆく、「第三の男」(1949年製作・イギリス映画)みたいな遠近感あるショットから、ラブ・ストーリー・タッチのミステリーやとも言えよるやろか。

でもって、いろんな女優はんが出てはって、容疑者もいっぱいおるとゆう意味では、「8人の女たち」(2002年・フランス)なんぞを意識しはったようにも見えます。

さらに、いろんな証人の虚々実々の話がある点では、ある意味で黒澤明の大傑作「羅生門」(1950年・日本)のスタイルも、取り入れてはるかと思います。

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事件の概要を申しますと、夫とヤッてるっちゅうことで、3人の女を院長夫人が拉致監禁しはりました。でも、発見時には、3人はそのまま生きてたけど、院長夫人が刺殺されてはりました。ほんで、夫たる院長はんは失踪してはりま。

ベテラン刑事はんが登場し、生き残ったこの3人に話を聞いてまいります。そんな中で、3人以外にナゾの女が1人いて、行方知れずとゆうことを嗅ぎつけはります。

刑事が相棒を連れずに、1人で聴取することがあるのかとか、今や捜査の1大ポイントになっとる防犯ビデオについてはどうなんかとか、ネタとなるところのキモに当たる人の設定やらに、ツッコミを入れたくはなりましたけども、でも、初めてにしては、上々の仕上がりになっとるかと思います。

映画的な作りを施した細部にも、目を魅かれよりました。アクション・シーンのほとんどない、事情聴取やらの室内シーンをどない見せてゆくんか。アップ、クローズアップ、スクリーンはみ出しアップやらを駆使しつつも、過去シーンを入れつつ分かりやすく編集されとりました。テレビの2時間ドラマみたいな明るさはなく、照明を余り入れない撮り方で陰陽感を取り入れたりして、ドラマとの違いを示さはります。

個人的に魅かれたんは、濡れ場シーンを含め、女優はんのAKB48みたいなアイドルチックな魅力どした。ハリウッドを目指すよりも、もっと違ったブレイクの仕方があるようにも思えた、女優集団はんやとボクチンは思いました。

2012年1月19日 (木)

教師たちの人間ドキュメンタリー「“私”を生きる」

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小中高の各3人のセンセーの話を伝えるドキュでおます

熱血先生ものドラマとの違いを検証しよりまっせー

http://www.doi-toshikuni.net/

東京はオーディトリウム渋谷で先行公開どすが、大阪は1月28日の土曜日から、十三のシアターセブンで上映どす。

本作を配給しはるのは、浦安ドキュメンタリーオフィスはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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みなはんも見はって、ハマらはった経験があるやろな。熱血教師のテレビドラマとか、センセーと生徒の交流を描いた映画とか、先生もの映画はドラマ映えする素材でおます。

しかしでんな、ソレをば社会問題性を取り入れて、教師の苦悩を描く人間ドキュメンタリーとなったら、どないでおましょうか。え~、なんか暗そうやからいらんわ~とか、いや、むしろ逆にそんなん1度見てみたいやんと思わはるか、どないやろな~? 

本作ははっきり申し上げまして、重厚とゆうか、ココロにグサリときよる重たい仕上がりになっとります。いや、別に逼迫するようなシークエンスは、ほとんどありまへん。それでいて、中学校をバックにした「告白」(2010年製作)とか、小学校の「二十四の瞳」(1954年)とかの傑作ドラマ映画に近い、ドキュ映画としての仕上がりをば示してはります。

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基本は3人のセンセーを、順グリに描くカタチどす。中学校と小学校の女教師(写真1枚目と2枚目)、でもって、高校の校長はん(写真3枚目)でおます。社会的な背景を申しますと、入学・卒業式で、国家「君が代」を国旗を見もって、立って歌うちゅうんを強制されて、それに違反した教師を処分するとゆうとこがあります。コレが法制化されてしもて、それに違反しはって、エライ目におうてはるんが、2人の女教師はんどす。

1999年に国歌に指定された「君が代」とゆう曲の、歴史的背景にはイロイロ問題がござります。1ピアニストが本編でこんなことを言いはります。「音楽は記憶遺産」やと。そして、過去の悪い記憶が、今もイロンな人にこびりついとる「君が代」を、歌いたくない人がいてるんです。

過去に関するシビアな問題は、ボクはジャーナリストには向いてへんので、ココでは省略させてもらいますが、「君が代」を歌う歌わないは、本人の自由なんどす。日本国憲法に規定されとる、基本的人権になるんやけど、従わへんかった2人の教師の考え。音楽教師の1人は、裁判所にまで訴えはりましたが、敗訴しはりました。2人へのインタビューを中心とした前半部は、談話を含めてじっくりと見せはります。

そして、3人目の校長はんを描くことによって、今を生きる教師たちの人間ドキュは、ハイライトをば迎えよります。言論の自由をアピールし続けた、この校長はんの在り方は、どんな熱血教師のドラマよりも説得力がありました。権力(写真4枚目は権力の象徴として映される都庁)と戦い敗れても、自分を貫いて生き続ける人間の、真のドラマが3人の話にはあります。

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キネ旬で文化映画年間ベストワンになった「沈黙を破る」(2009年)と双璧をなす、土井敏邦監督の新たな問題作の誕生どすえ~。

2012年1月18日 (水)

ベタな大阪ロケ映画「犬の首輪とコロッケと」やでー

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ナニワ映画にして昭和映画の、オモロさとはなんでっしゃろか?

島田紳助はんも、声でチョイ出演してはる話題作でおます

http://www.inukoro.jp/

1月28日サタデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、梅田ブルク7やらでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011『犬の首輪とコロッケと』製作委員会

大阪ナニワもの映画とゆうのんは、そら、今までにモノゴッツーな数の映画がござります。みなはんは大阪ロケ映画を、見はったことはあるでしょうか。

全国各地イッセー系の映画やったら、最近作のいくつかは、お近くのシネコンで見はったことでおましょう。

但し、大阪もんの定番系、つまり、大阪やからコレを入れとかんと、全国のみんなには分からへんやろなってゆうのんが、ケッコー多いんで、ナニワで生活しとるボクチンにしてみたら、またかいやーってなとこがあって、チョイうんざりしたりしとりました。

食いもんのタコ焼き、お好み焼きとか、吉本の漫才やとか、通天閣から大阪城までの観光スポットやらどすか。確かに本作は「漫才ギャング」(2011年2月18日付けで分析)と同じく、漫才とゆう夢へと向かう男の話どすが、アグレッシブな生き様で圧倒する点は、同じベクトルを持っておます。

簡単にゆうたら、ケンカ・モードやけど、「ガキ帝国」(1981年製作)「岸和田少年愚連隊」(1996年)やらの、井筒和幸監督作品のセンスも取り込まれとるねん。

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でもって、今一つのオリジナル・ポイントは、昭和の大阪を舞台にした、昭和映画とゆう点やろと思います。1980年から始まりましてでんな、主人公役は在日とゆう設定なんで、「パッチギ!」(2004年)やら「GO」(2001年)やらの生き方も垣間見えよりまっせ。

1960年代後半から1970年代前半の主人公のコドモ時代は、少し色あせたカンジでモンタージュされたり、ボクチンもよく遊んだ、今やなく1980年代に置き換えられた、ナンバの店らしき設定のいくつかのシーンに、オオッときよりました。

主人公とヒロインのラブ・ストーリー部を病系へと持っていったり、父兄・主人公の食卓シーンのコロッケをキモにしたとこやったり、絆描写にも工夫の跡が見えよりました。恋愛相手の「ちすん」やけど、大人になった芦田愛菜みたいなカンジやったしなー。

サントラ的には、おセンチなギターの弾きがたりなどがグッときよるし、エレキの速弾きやらツイスト・ロックやらに加え、ラストロールでは元憂歌団の木村充揮アツキのアニの、ナニワらしいブルース・フォークにも酔いました。

さて、本作は島田紳助監督作品「風、スローダウン」(1991年)にも出演してはった、長原成樹アニキの監督作品なんやけど、恋愛的にその作品へのオマージュだけやなく、実際の紳助はんの声を使ってはるんで、注目しておくんなはれ。

2012年1月17日 (火)

ナチスもののドイツ映画「善き人」

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ヒトラー・ナチス関連映画は、今もなお作られ続けておます

ヴィゴ・モーテンセンのアニキが、ナチスに翻弄されはった男を淡々と演じ抜かはりました

http://www.yokihito-movie.com/

1月28日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2007 Good Films Ltd.

ヒトラー・ナチス関連映画とゆうのは、いつまでも終わりがあれへんくらいに作られ続けておます。おそらく、今後も、決して忘れられないことがないように、作られ続けていくことでおましょう。

そして、本作はそんなナチに翻弄されてもうた、1人の男に焦点を当てて描いてはります。イギリスも出資しはったドイツ映画やけど、ナチのエゲツナサを今までの映画より、あんましカンジへんかったんは、エグサをあえて外してはるからでしょうか。

主演のヴィゴ・モーテンセンのアニキにしても、彼の演技性もあるんやろけど、あわてふためき系がそないない渋演技で、落ち着いてはります。ナチの脅威がそんなにカンジられへんのは、そんな風に作ってみたその向こうから、ヒヤリとしたどんなもんが現れよるんか、あえて監督たちが取ってはるように見えました。

日本では無名に近いオーストリア出身のヴィセンテ・アモリン監督のアニキは、ナチを描いた多くの映画の中でも、「暗殺の森」(1970年製作・イタリア&フランス&西ドイツ合作)やら「メフィスト」(1981年・西ドイツ&ハンガリー)やらを参照にしたとゆうてはります。

どっちも、ゆうてみたら、ナチズムに入り込んでもおて、自己崩壊してゆく姿が描かれておますが、本作のモーテンセンのアニキもおんなじでおます。幻聴で音楽を聴くシーンを前触れに、心理的にマヒしたような世界へと向かわはるんです。

主夫として食事を作ってはる、コドモたち・妻とのやり取りによる家族ドラマ部。ほんでもって、肺炎で、ややアルツハイマーも入ってるオカンを介護してはるシーン。さらに、ラブ・ストーリー部のジョディ・ウィッテカーちゃんよりも、アップ・シーンの多い友人、ジェイソン・アイザックスはんとのシークエンス。家族、友情、恋愛をバランス良く織り込みつつも、やはりモーテンセンのアニキの人間ドラマ性へと、映画は集約されてまいります。

ラストで主人公が友を探す、移動撮影による長回しの撮影シーンは、本作において最も印象深いシーンでおました。そして、そこへ持っていくまでの流れや作りも、緊張感が持続されてエエカンジやったです。

年代もの映画に多いセピア・トーンを、あえてハズさはったらしいどすが、自然光による撮影をメインにした作りが、現代にも通じる話やと主張してはるようどした。加えて、フルやなく、バイオリン、ピアノなど、スモール・オーケストラによるサントラ使いが、大げさを誇示することなく、本作に合っておました。

結局、つまりは、モーテンセンの狂気が、ココロに静かに忍びよってくるっちゅう、そんな作品どしたえ。

2012年1月16日 (月)

「生誕百年記念 巨匠 今井正の世界」②

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今井正監督作品論の第2弾は、「にごりえ」と「真昼の暗黒」の、「キネマ旬報」邦画年間ベストワンの2本どすえー

http://cinenouveau.com/

1月27日のフライデーまで、大阪・九条のシネ・ヌーヴォはんで、今井正監督スペシャル上映を連日、開催してはります。上映作品タイムテーブルやらは、上記のシネ・ヌーヴォはんのホームページでご確認くだされ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

●「にごりえ」(1953年製作・130分)

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今では珍しゅうはおまへんが、中編・短編を、テーマにのっとらはって、3話オムニバスに仕立てあげはった作品でおます。

3作の統一テーマはでんな、まずは、女流作家の樋口一葉ネーさんの短編が原作どす。でもって、彼女が生きた時代、明治時代後半の庶民の生活観が入っとります。そして、一番のテーマは、当時の下流層のヒロインたちのドラマを、メインに描かはったことでおましょう。

①出戻り娘②ミナシゴ(孤児)やった、商家のハウスメイド③お茶屋(今でゆうキャバクラかな!?)の指名ナンバーワン…とゆう3話のヒロインどす。

明治時代の東京の、庶民生活をば見事に再現しはりました。不忍池らの上野あたりの、寂しい風景を映さはる①なんか、シブすぎやんか。

個人的には②話の、久我美子ネーさんのアイドルチックな造形。ほんでもって、金を盗んでのハラハラドキドキの、サスペンス感が良かったどす。

でも、ヤッパ、第③話が最大の見せ場でおましょうか。近松門左衛門の心中ものとのシンクロもござります。お茶屋の女たちのミニ群像劇タッチに加え、演技陣が強力どした。

2年後に「夫婦善哉」(1955年)で1ピークを示す淡島千景ネー、ゴチャゴチャ文句を言い続けてはる杉村春子はんや、「七人の侍」(1954年)の静謐なシビアさとはまた違う、ガンコおやじぶりを演じはる宮口精二はんに、シビレました。

●「真昼の暗黒」(1956年製作・122分)

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写真は、本作のラストシーンでおます。映画未見の方で、コレだけを見はったら、どないな風に思わはるやろか。

まだ次があるとゆう被告人・加瀬亮の、アップ・カットで終わった「それでもボクはやってない」(2007年)を思い出さはるやろか。モチ、「それでもボクは…」は、本作へのトリビュートやろと思います。

全編裁判劇ではありまへんが、事件の内容描写、警察の尋問過程、犯人逮捕1年後、そして、回想・検証シーンを絡めた、裁判シーンへと進んでまいります。いやはや、これだけ本格的に冤罪事件を採り上げた映画は、今もそうそうありまへんやろ。

しかも、実話やないなんてゆうのんを、映画の最初に字幕で示されますが、実は何を隠そう、ゴリゴリバリバリの実話でおます。しかも、当時、本作のネタが現実に同時進行で裁判が進行しとったやなんて、そんなん、今もあれへん、映画史上初なんとちゃうのん。

単独犯人が半落ちやなく、全落ちして自供しとんのに、多数の人間でやらんとできへんかったとか、そのグループに前科者がおるやらとか、捜査本部長の勝手な思い込みによって、自ら描いた犯人像を犯人にするために、捜査陣は動かはりまんねん。ほんで、拷問なんて当たり前やねん。今やったら、許されへんけど。

あからさまな冤罪なんやけど、弁護側には物的証拠がありまへん。でも、ロジックで弁護士が、目いっぱい覆そうとするシーンなども出ます。クイックとスロー・モーションを駆使した、回想検証シーンには、説得力がござりました。ミステリー映画として見ても、骨太なケッサクになっとると思います。

名作「ひまわり」35mmニュープリント版&デジタルリマスター版どす

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歴代イタリア映画のエンタ作品マイ・ベストスリーに入る作品でおます

泣ける映画の1形態を構築しはった作品やないやろか~

http://www.eiga-himawari.com/

JANUARY1月21日SATURDAYから、アンプラグドはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田で上映後、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ1970-COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT)-FILMS CONCORDIA(FR)-SURF FILM SRL. ALL RIGHTS RESERVED.

泣けるイタリア映画のメロドラマ編の在り方を構築しはった、かの名作がニュープリントにして、デジタルリマスター版で返ってきはりました。あの美しき自然光での撮影シーンの数々が、色合いのクッキリ感を出して迫ってきよります。

記憶喪失系でいかはった、戦争トラウマ映画「かくも長き不在」(1960年製作・フランス映画)よりも、よりメロドラマ寄りに走らはった名作どす。

戦争でどうのこうのを、ある種のマニュアル通りに作ってはるようなカンジやけど、そうした作品の方が、今に残る分かりやすさと、ポピュラリティーがあってエエかと思います。今では、戦争で2人の愛が引き裂かれて…ナンチューのは、陳腐やなと思わはるやもしれまへんけども、まあ、本作はそのルーツ的な作品となる1本やも分かりまへん。

そして、泣ける映画としての骨格どす。淀川長治はんも日曜洋画劇場で、ゆうてはったところでおます。とにかく、2人の再会シーンはキョーレツどした。

で、ボク的にも、イタリア映画のエンタ作品としては、マイ・ベストスリーに入っておます。ちなみに披露しよりますと、①荒野の用心棒(1964年)②黄金の七人(1965年)③本作(1970年)チューカンジやろか。

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さてはて、こうした名作の映画評論ポイントてゆうたら、多岐にわたるんどすが、監督・主演の2人・音楽に絞って、チョロッとゆうてみますわ。

まず、最初の方からキリリとした演技で魅せはる、ソフィア・ローレンのネーさんやー。肝っ玉ネーさんみたいに、カラッとした明るさに、見てる方も元気がもらえます。アップは当然多いんやけど、今回のリマスターで表情演技の凄みが蘇えっておます。再会シーンでは、何ともいえへんような、忘れがたい表情を見せはるんどすえ。

一方の、既に鬼籍に入ってはる、マルチェロ・マストロヤンニのアニキ。「甘い生活」(1960年・イタリア&フランス)のようなエエ加減な生き方演技が、似合う男優はんどした。たとえ戦争でエライ目に遭ったとは申せ、そんなエエ加減さは、それなりにカンジさせてくれはりました。ソフィア・ネーさんのキリリ感との対照が、良かったかと思います。

で、監督はイタリアン・ネオレアリスモの巨匠やった、ヴィットリオ・デ・シーカはん。親子の絆を描く「自転車泥棒」(1948年・イタリア)でも、恋愛映画「終着駅」(1953年・アメリカ&イタリア)でも、ドキュメンタリズムなカンジが真綿を締めるようどしたが、本作では信じられへんくらい丸うなってはります。

でもって、初期グラミー賞の常連やった、ヘンリー・マンシーニのサウンドトラックやー。弦楽オーケストラをメインに切なくくる響きは、ロマンティックにくる作りやった「ティファニーで朝食を」(1961年・アメリカ)の「ムーンリバー」と、対を成すケッサクどすえ~。

2012年1月15日 (日)

今のニッポン映画「荒川 アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」

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林遣都クンと桐谷美玲チャンの、愛でも恋でもあれへんヘンな関係が、メイン・ポイントでおます

小栗旬やら山田孝之のアニキらが、カブリもん演技で2人をサポートしはりまっせ

http://www.autb.jp/

如月の2月4日の土曜日から、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんの配給によりまして、大阪ステーションシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ中村光/スクウェアエニックス・AUTBパートナーズ

今や旬になっとります、連続テレビドラマの映画版でおます。しかも、午後11時以降の枠からのドラマからの映画化は、そない多くはござりまへん。

そうそう、ボクチンがこのブログを書いてる時に、書きもってドラマを、ほとんど見てへんような“ながら見”しとったんやけど、まさかこないなケッタイな作品やったとは思いまへんどした。どっちかとゆうと、ラブ・ストーリーなんかなと思とったんやけど、ああ、ヤッパ、キチンと腰据えて見なあきまへん。

荒川の河川敷を占拠しとるホームレス・グループがおるっちゅうことで、その一斉撤去を命じられた林遣都クンが、そこへ派遣されたんやけど、ところがどっこい、逆にグループの人々と交流してゆくとゆう大筋でおます。

そんな中で、林遣都クンとまず絡むのは、恋愛とは何かを知らへんちゅう、自称・金星人の桐谷美玲チャンどす。ほんでもって、河川敷に一つの村をば作ってはる人たちはみな、ケッタイな人ばっかりなんどす。

村長は、緑のカッパのカブリものをまとわはった、小栗旬のアニキやし、ギターを弾きもって、ロックかロックでないかを叫ばはる山田孝之のアニキも、顔にカブッてはります。

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さてはて、本作はコミック原作映画でおます。コミック原作の実写映画もまた、テレビの劇場版と同じく、21世紀以降のトレンドになっておますが、コミック原作らしいリアリティーのなさを逆手に取って、自由ホンポーにやってまうとゆうノリが、ある種の快感を覚えさせよります。

それでいて、ビジターがユートピアを訪れて変わり、ユートピアを破壊する人間たちと戦うとゆう、ヒーローもの映画的なとこを、チャンと取り入れてはるとこも良かったかと思います。

多彩なキャラクターが登場しますけども、みなマンガチックな変型キャラを、メッチャ楽しみながら演じてはるんが、ようよう分かりましたで。見出しにも書きました、ラブとは言えない2人のケッタイな関係やらは新しいけど、父子や仲間たちのキズナ部などは、オーソドックスながらも感動を運んできよります。

ラストロールで流れる、ブルーハーツみたいなナンバー。ザ50回転ズとゆうバンドがプレイする「涙のスターダスト・トレイン」とゆう曲どすが、その16ビートのタテノリ・ロックは、本作のシメに合っとりました。とにもかくにも、楽しめる作品どすえ~。

2012年1月14日 (土)

クリント・イーストウッド監督の新作「J・エドガー」

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レオナルド・ディカプリオことレオ様と、イーストウッド監督の初のコラボレート作品は、実話ヒューマン・ストーリーだす

FBI初代長官の人生を、謎めいたカットバック・スタイルで描かはります

http://www.j-edgar.jp/

JANUARY1月28日SATURDAYから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

アカデミー賞の足音が、刻々と近づいておりま。イーストウッド監督といえばでんな、これまでにオスカーでは、2度作品賞と監督賞をもろてはりまして、正真正銘のアカデミー男でおます。

でも、レオ様は、主演男優賞の候補にはならはるんやけど、アカデミー会員の評価を得られへんのか、スベッてはります。そこでヤッパ、オスカー男な巨匠監督と組まなあかんわと、思わはったんかどないやは分かりまへんが、監督と初のタッグを組んで、ほな、いざ、出陣どすえ~。

しかも、21世紀以降のオスカーの、演技賞の役柄を見てみますと、実在した人物に扮しはった男優・女優はんが、何やしらん受賞トレンディーになっとるんですわ。

まあ、レオ様も「アビエイター」(2004年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画どす)で実在の人物を演じ、ノミネートされたんやけど、「Ray/レイ」(2004年)でレイ・チャールズを演じた、ジェイミー・フォックスのアニキにヤラレてしまいました。今年も巨匠監督と組んだとはいえ、「マネーボール」(昨年11月4日付けで分析)のブラッド・ピットやらの強敵がおります。

しかし、今度の演技はフケ演技を始め、鬼気迫るを、フツーのようにやるんやなく、人物に見合った熟成を仕込みつつの、快演技になったんやないかな。勝負できる1本やと思います。

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イーストウッド監督的には、これまでの作品性を入れつつ、シブ~い作品に仕上げはりました。

FBI初代長官、J・エドガー・フーバーの話なんやけど、1963年あたりから、1919年~1935年あたりを振り返るとゆう設定どして、カットバック構成をば採ってはります。しかも、フツーのように回想するんやおへん。

わが伝記をライターに書かせてはるとゆうスタイルで、その過去は部分的にウソもある、美化されたもんとゆうことになっとります。その一方で、ホンマのトゥルー・ストーリーも展開してはりまして、マザコンみたいな母との交流やら、相棒との男同士の愛やらは、レオ様自らの回想シーンの中に、溶け込ませるとゆうカンジなんどす。このビミョーな手法には、ドラマのミステリアス度合いを高める効果があるようどした。

自らの監督作「チェンジリング」(2009年)の時代感も当然、入っとります。映画に出てくる映画は、「民衆の敵」(1931年)とか「Gメン」(1935年)。ほんでもって、実在した子役シャーリー・テンプルちゃん役が、チョイ役で出てきたり…。「デリンジャー」(1973年)やら、映画化されとる人物との関係も、イロイロござります。

色使いを薄くしたり、映画的照明を落として陰影を際立たせたりする、時代感を示す撮影方法もシブいし、でもって、イーストウッド監督自らが作らはった、サントラの妙味どす。ロマンチックなピアノ・ソロから、ジャジーな曲まで、しっとりさせてくれはりますよ。

2012年1月13日 (金)

北海道・月浦・洞爺湖ロケーション映画「しあわせのパン」

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原田知世ネーさんと大泉洋のアニキが夫婦になって、あったか~いパン屋をばやらはります

ナゾのナレーター役・大橋のぞみチャンのガイダンスやらが、心地よさを運んでくるんどすえ~

http://shiawase-pan.asmik-ace.co.jp/

睦月1月21日サタデーから、アスミック・エースはんの配給によりまして、北海道先行ロードショー後、1月28日の土曜日から全国ロードショーやー。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都シネマ、TOHOシネマズ 西宮OSやらで上映しはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011『しあわせのパン』製作委員会

北海道ロケーション映画とゆうのは、北海道新聞が1冊にまとめて紹介するくらい、モノゴッツーなタイトル数にのぼっておます。東京都を除く地方映画としては、京都・大阪に続いてベスト・スリーやないでおましょうか。

北海道・月浦・洞爺湖に限定ロケし、その場所にいかにもありそうな癒やしのパン屋・民宿を設定し、夫婦ドラマだけやなく、訪れるお客はんの群像劇的を、四季の中で織り込むとゆうスタイルをば採ってはります。さらに、余貴美子ネーさんやら、夫妻のご近所はんも、サポーター役で登場しはります。

長野の田舎の四季を織り込んだ「阿弥陀堂だより」(2002年製作)を、そこはかとなく思い出させてくれはりました。

でもって、女性監督(三島有紀子ネーさん)らしい、優しさと癒やしに満ちておます仕上がりなんどす。そやから、登場人物の大たいみんなにトラウマがあるんやけど、それが逼迫しエライことになるようなシーンは、まあ、そないにありまへん。

映画に刺激を求めてはる人よりは、安らぎを求めたい人にこそ向いてる作品やろかと思います。その本作の癒やし効果に最も貢献してはる人は、おそらく主演の原田知世ネーさんやないでしょうか。

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かつての作品もそうどしたし、最近出演作「東京オアシス」(昨年10月14日付けで分析)でも思いましたが、無色透明でピュアなカンジを、アラフォーになっても維持してはるんは、ある意味で驚異的でおます。

で、ダンナはん役の大泉洋のアニキや。「探偵はBARにいる」(昨年8月21日付け)に続く、北海道ロケ映画なんやけど、今回はハードやなくソフトなタッチをとことん貫いてはりまして、特に女性層のお客はんにとっては、好感度の高い演技ぶりやないやろか。

ほんでもって、ナレーションの声だけでの出演なんが、大橋のぞみチャン。謎めいたカンジはそないないんやけど、でもサプライズにつながるのぞみチャンは、本作のデッカイ隠し味どすえ。

そして、若者たちのラブ・ストーリー、父娘のキズナ、かつて阪神大震災に被災した老夫婦やら、訪れるお客はんの物語が紡がれてまいります。そこに、主演の夫妻がさりげなく関わってゆくことで、シビアな物語に柔和なイントネーションを加えはります。このあたりの描写は、日本映画に多いベタな押しつけがましさがないとこが、エエかと思うんどすえ。

加えよりまするに、美風景の数々どす。登場人物に「くやしいけど美しい」と言わせる風景シーンやら、夜空に浮かぶ月のシーンなど、観光誘致的カットやなく、あくまで登場人物の心理に合わせた風景描写シーンの、タイトな挿入がうまいと思いよりまっせー。

ラストロールで流れる、忌野清志郎アニキと矢野顕子ネーさんがデュエットしはった、アコースティック・ピアノ・ポップスも、清涼感を運んできてよろしおました。

2012年1月12日 (木)

ドイツのオナゴ衆吸血鬼映画「ブラッディ・パーティ」

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ドイツ映画のカルティックな、チョー怪作が登場しよりまっせー

吸血鬼映画のニュー・ワールドが、歯ムキ出しどすえ~

http://www.bloodyparty.com/

1月21日のサタデー・ナイトから、ショウゲートはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田にて、ツー・ウイークのプレミア・レイトショーやでー。但し「PG-12」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 RAT PACK FILMPRODUKTION GMBH

映画史における吸血鬼、バンパイア映画とゆうのんは、戦前のハリウッド映画以降、今までイロイロ進化してまいりました。そして、「吸血鬼ドラキュラ」シリーズ(第1作は1958年製作・イギリス映画)で1つのピークを迎えたんでおます。

その後は、このドラキュラを主人公に据えた、吸血映画っちゅうもんが仰山出てまいったんやけど、ドラキュラ設定やなくても、吸血鬼の急所状況を据え置いたまま(陽光や十字架に弱いとことか)、キャラクターをば造形してきよったんどす。

でも、本作は男吸血鬼が絶滅したとゆう世界で、男どもをもてあそんで首根っこを次々に噛んでまうとゆう、4人の女吸血鬼チームを設定しはりました。いや、チョイ、オモロイやん。

ラブ・ストーリーに特化した「トワイライト」シリーズ(2007年~2012年・現在4作)とか、「ボクのエリ」(2010年7月9日付けで分析)やら、そのハリウッド・リメイク版「モールス」(昨年7月16日付け)とおんなじくらいな斬新さを、備えとるかとボクは勝手に思いました。ラブ・ストーリー部もチャンと用意されとるしな。

でも、この手の新しどころを採り上げた作品は、本国でヒットしとらん限り、日本ではヒットせんやろちゅうことで、未公開フィルムの仲間入りなんて憂き目にあう作品が、多いんも事実としてござります。でも、本作は何とかかんとか公開することに相なりました。

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でもって、カルティックかもしれへんけど、ボク的には、歴代ドイツ映画カルト・スリーに入る怪しさやったです。ほかの2作は実験映画「カリガリ博士」(1919年)と、ヒロイン映画のユニーク感を追求した「ラン・ローラ・ラン」(1998年)でおます。

でもって、さらに個人的には、サントラ使いの巧みさに目と耳を魅かれよりました。オナゴ衆バンドを描いた「バンディッツ」(1997年・ドイツ)のようなノリで、本作を見ることができよるんどす。

ピアノに乗る女コーラス・ナンバー、ハードロックに乗った、ヒロインの逃走アクト・シーン、4人が買い物してフォー・ショットで歩くシーンにロック・バンド・サウンド、8ビートのダンサブルなロックに乗って、4人が血を飲むシーンやったり、タイトでハデなディスコ・シーン、ラストロールではピコピコなシンセ・ロックでカッコ良くキメたり…。

ベルリンを舞台にした「グランド・ホテル」(1932年・アメリカ)を、女バンパイアが見てるシーンなど、ゴリゴリの映画ファンのココロも、時おりくすぐらはりまんねん。レイトショーやけど、ぜひこの機会に映画館でご堪能あれ! な1本どすえー。

2012年1月11日 (水)

衝撃のオーストラリア映画「アニマル・キングダム」

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犯罪家族と警察陣の、仁義なき戦いの構図でおます

サンダンス映画祭グランプリ・ゲットに加え、オーストラリア・アカデミー賞10冠に見合った問題作やー

http://www.ak-movie.com/

1月21日のサタデーから、トランスフォーマーはんの配給によりまして、東京・TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、2月18日から大阪・梅田ガーデンシネマやら、その後、シネ・リーブル神戸、京都シネマで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Screen Australia, Screen NSW, Film Victoria, The Premium Movie Partnership, Animal Kingdom Holdings Pty Limited and Porchlight Films Pty Limited.

オーストラリア映画のみなはんのイメージって、どんな具合でおましょうか。最近はそれほど目立った作品が、公開されとりまへんどしたけども、ボク的には久々にオーストラリア映画のケッサクを見た感触がござりました。

本作を試写室で見る前に、浜村淳御大がタイトルから「動物映画ですか」と誰かに聞いてはりましたけども、このタイトル付けは大いに人々を迷わせよります。

ディズニーチックな映画やろか、なんてコドモたちを連れて、家族一同で見に行ったりしようもんなら、ドエライことになってまいますんで、ご注意のほど、よろしゅうに! 

ちゅうことで、大人の映画とゆうか、外装は犯罪映画でおます。家族一同で犯罪をしやはるんやけど、但し、銀行強盗やら麻薬の密売やら、犯罪をやってはる露骨なシーンは控えめどす。

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とゆうか、警察にマークされた家族たちが、警察との丁々発止や殺し合いをやってはるカンジで、話は転がってゆきよります。ギャングやヤクザやあの「ゴッドファーザー」(1972年製作・アメリカ映画)みたいな組織が、家族的に縮小転移したもんとお考えくだされ。でもって、そのノリはギャングやヤクザやらの抗争もんと、テイストはそない変わりまへん。

それがハデかそうでないかの違いだけやろと思います。まあ、ハリウッド映画的な大作やないけど、低資金でキモ的に見せてゆくんは、こうした映画には特徴的にござります。銃殺シーンもだいたい一発でキマルし、やったらやり返すのアクションも、大作映画慣れしてはる方には、もの足らんように思わはるやも分かりまへん。

けど、本作はあくまでキャラクター造形とストーリー展開で、スリリングに見せてまいるんどすえ。

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母子家庭のオカンがヤクチュウで死んでもうて、唖然ボーゼンとしてはる17歳息子はんの、長めの撮影シーンから本作は始まりま。この少年がオカンの実家に帰って、いろんなおじさんやらと警察の抗争に、否応なしに巻き込まれてゆくんでおます。最後には、裁判沙汰にまで発展しよるんどすえ。

特に、一家を仕切るオバン役の、ジャッキー・ウィーヴァーはんの演技は鳥肌もんどした。フツーのように丸~く見えながら、見る人に気色悪さを感じさせはる演技は、そうそうなかなかできるもんやおまへん。

でもって、刑事役のガイ・ピアースのアニキや。正義肌ある刑事役やった「L.A.コンフィデンシャル」(1997年・アメリカ)、記憶喪失系の探偵役の「メメント」(2000年・アメリカ)とは、またビミョーに違う、落ち着いた刑事演技ぶりで魅せはります。

同じテーマ性においては、「ゴモラ」(昨年10月18日付けで分析)と並び立つ作品でおますよ。

2012年1月10日 (火)

イギリス映画「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」

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スパイ映画のパロディやと、あなどられへんスケールのデッカイオモロさがありまっせー

ローワン・アトキンソンはんが「ビーン」では見せへんかった、トンデモアクションを展開しはります

http://www.je-kiyasume.jp/

ジャニュアリー1月21日のサタデーから、東宝東和はんの配給で、大阪・TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Universal Studios. All Rights Reserved.

「007」(第1弾は1962年製作・イギリス映画)⇒「ミッション:インポッシブル」(第1弾は1996年・アメリカ)⇒「ボーン」(全3作の第1弾は2002年・アメリカ)シリーズやらと続いてきとる、ハリウッドの有名なスパイ映画シリーズの流れがござります。

本作もそれらのパロディがチョコチョコ出てまいります。しかも、あのミスター「ビーン」(1997年・イギリス)のローワン・アトキンソンはんが主演しとるとなれば、スパイ・アクション映画のファンにしてみたら、お笑い丸出しのおバカ作品なんやろなーと思わはるかもしれませんし、そう思われるんも当然やろとは思います。

でも、これが意外にも、鑑賞前の予想を大きく裏切るような作品になっとったんで、驚きどした。

「裸の銃(ガン)を持つ男」(1988年・アメリカ)を始め、イロンな作品へのパロディ・コメディにいくつも主演してきはった、レスリー・ニールセンはんのセンスは、モチあるんやけど、本作との大きな違いは、多彩なアクション・シーンの連続に加えよりまして、いろんな国をロケして、スケール感ある大作に仕上げはったことでおましょうか。

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フツーのパロ・コメとして認識して本作を見始めた場合は、特に大きなカウンター・パンチを食らうやも分かりまへん。本格的なアクションとビーン的コミカルさが、調合調和したアクションとでも申しましょうか。

アクションの多彩性とユニーク性を、7ポインツほど見ていきよりますと…。

①ビルの屋上からの追逃走アクト。必死に逃げる相手に対し、ローワンはんは涼しい顔でゆったり追いかけるオモロサあり。

②ボートを船で追いかける海上チェイス。③高速車椅子と車のカーチェイス。※チェイス・アクトも見てのお楽しみやけど、ケッコー工夫されとりま。

④冒頭のチベット・ロケでのカンフー・アクト。“弱い者を強く、柔らかいものを固く”なんて言われもっての、股間鍛錬シーンやら。

⑤洗脳薬を飲んでからの、一連のトンデモ・モンドリ・ノタウチ・パフォーマンス。

⑥パラシュート、スノー・モービル、ロープウェイへと続く「007」的な本格アクション。そんな本格系でも、ユーモアチックを忘れへんアクト・シーンありやー。

⑦最後に披露される、クラシックを流してのハチャメチャ料理パフォーマンス。コレはビーン・ファンだけやなく、ハズシ系ギャグとして、たまらへんシークエンスになったやろな~と思います。

本作はシリーズ第2弾どす。この調子でズーッと続けていかはったら、ウラ「007」の大ケッサク・シリーズになるやも分かりまへんで~。お楽しみはまだまだコレからやー、かもな。

2012年1月 9日 (月)

大作韓国映画「マイウェイ 12,000キロの真実」がやってくるでー

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オダギリジョーとチャン・ドンゴンの各アニキが、壮絶なサバイバル戦の中で、強いキズナで結ばれゆく快作でおます

いろんな戦争映画スタイルを通して、「炎のランナー」的な友情が紡がれよります

http://www.myway-movie.com/

1月14日のサタデーから、CJ Entertainment Japanはんと東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 CJ E&M CORPORATION & SK PLANET. ALL RIGHTS RESERVED

戦争映画てゆうたら、そらモノゴッツーな数の作品が出回っとりますが、コレは実話をベースにしながらも、フツーの戦争映画とはビミョーに違っておます。

ノモンハン事件の日本VSソ連、ナチス・ドイツのソ連侵攻によるソ連VSドイツ、ノルマンディーでの連合国軍VSドイツとゆう3つの戦場が、時の流れに合わせて描かれる、なんてゆう戦争映画はまあ、ござりまへん。

どこか1つに絞った戦争ものが多いんやけど、そこに、その3場で戦い続けた2人(オダギリジョー&チャン・ドンゴンの各アニキ)の友情を描くなんてゆうのんも、ありそでなさそな物語でおます。

しかも、この2人はストーリーの流れ上においては、最初はいがみ合い、戦場では上官と部下の関係やったけど、凄まじく憎しみ合う関係どして、ソ連の収容所では死闘に近いケンカにまで発展しよります。

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でも、2人は戦争へ行く前は、オリンピックを目指すランナーとして、ライバルの関係にありました。マラソン・シーンから始まる本作。最初の方では、何やら「炎のランナー」(1981年製作・イギリス映画)みたいな感動がもらえるんかなと思とりましたが、3場にわたる戦争映画と収容所映画を通してでんな、より強烈な感動系へと着地するようなカンジになっとりました。

ベタなとこもあるかもしれへんけど、後半の展開にはボクは、込み上げてくるものを抑えんのが大変どした。間違いなく「炎のランナー」よりも泣ける映画になっとります。

そして、収容所映画のマニュアル的なものも、実は外してはるんどす。英米兵が囚われる「戦場にかける橋」(1957年・アメリカ)や「戦場のメリークリスマス」(1983年・イギリス&日本)や「第十七捕虜収容所」(1953年・アメリカ)や「大脱走」(1963年・アメリカ)やらとは違い、こちらはソ連の収容所。「イワン・デニーソヴィチの一日」(1971年・アメリカ&イギリス)やらの冷た~いシビアさがござります。

そして、2人が戦場から雪山を越えて逃げてゆくとこなど、サバイバル映画としてのインパクトもありま。最近映画館で見返す機会がござりました「人間の條件」(2011年12月19日付け・小林正樹監督作品分析で)を、かなり思い出させてくれはるシーンが多かったこともゆうときますわ。

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さらに言いよりますと、まずはオダギリジョーのアニキの、とことん悪役に徹しはるような、指揮官演技ぶりは鳥肌もんどした。そのエゲツナサは、サバイバルを経てチャン・ドンゴンとのキズナを示す、穏やか演技との段差ぶりによって、ジョー・アニの演技性の、高さと幅の広さをば見せてはります。

でもって、魅せるための撮り方や編集やー。短いカットの連続と積み重ねによって、ハイ・テンションなスピード感を作り、いろんなカメラ・アングルでの撮り方を駆使しはり、ある意味で3D的な臨場感を構築してはるんです。

アップ、クローズアップ、近接撮影、ロングショット、俯瞰ショットなども多彩に織り込んではって、戦場シーンやらを、「プライベート・ライアン」(1998年・アメリカ)に勝るとも劣らへんリアル感で魅せてゆかはります

ほんでもって、結論は…。「シュリ」(1999年・韓国)⇒「ブラザーフッド」(2004年・韓国)⇒本作と、作るごとに大作感がより増してきた、カン・ジェギュ監督のコレは、彼の最高傑作やとゆうてもええんやないでしょうか。

2012年1月 8日 (日)

「生誕百年記念 巨匠 今井正の世界」①

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今井正監督作品論を、3週にわたりまして分析しよりまっせー

第1回は「米」「ひめゆりの塔」「武士道残酷物語」どす

http://cinenouveau.com/

1月2日から1月27日まで、大阪・九条のシネ・ヌーヴォはんで、今井正監督作品を特集上映してはりま。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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●まずは「米」(1957年製作・写真はモノクロやけど、カラー映画どす)でおます。今井正作品では、キネマ旬報ベストテン1位作品が5作ありますが、そんな1本が本作どす。

今では地方ロケーション映画は活気づいておますが、地方ロケ映画は過去にもいっぱいござります。本作は霞ヶ浦にロケをば敢行しはりました。東日本大震災よりずーっと前に、東北ロケをしはった「青い山脈」(1949年製作)は、今井監督の代表ケッサクどすが、そういう地方ロケの青春映画チックも採り上げてはります。

しかし、本作のメインは地方の農業や漁業(本作は半農半漁の生活やー)の当時の実態を、豊富な取材に基いた脚本をベースに、撮り上げはったもんどす。そやから、そのリアル感はあんましドラマ映えしよりまへんけども、共に農業映画の、ジャン・ルノワール監督「南部の人」(1945年・アメリカ映画)とか、内田吐夢監督の「土」(1939年)なんぞのテイストが入っとります。

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田舎の美しき風景が、いっぱい出てまいります。帆曳き漁の夕景のセピア・シーン。風吹く中の緑鮮やかな田園シーン。曇りや晴れの空を、地と三分の二とか半々とかで描いて、天地の広がり感を示したりと、映画的カットの連続にココロ震えよりました。

そして、のちに「砂の器」(1974年)や「八甲田山」(1977年)で大バクハツしはる、芥川也寸志(やすし)はんの、壮大なサウンドトラックやー。当時、ハリウッドの大作がいくつも出てまいりましたけども、そこでは大仰なオーケストラ・サウンドが使われとりました。それに対抗するかのように、ド~ンとやってきてはったようなカンジがありました。サントラとミスマッチなシーンもあったけど、本作をケッサクにした1要因に、サントラがあると思いまっせ。

●「ひめゆりの塔」(1953年)⇒イタリアン・ネオリアリズムなテイストを、カンジさせはる戦争群像悲劇映画でおます。

市川崑監督の戦争映画「ビルマの竪琴」(1956年モノクロ・1985年カラー)と同じく、今井監督は本作を1982年にカラーでセリフ・リメイクしてはります。しかし、オリジナルの、戦争映画にマッチしたモノクロで示される悲愴感を、超えることは叶わんかったとボクは思います。

拡声器で呼びかけられる声以外は、敵の飛行機や姿は映さはりまへん。敵機の光や空爆シーンだけが、ひっきりなしに続きよります。でもって、みんなが雨の中、空爆の嵐の中、逃げまどう姿を、感傷シーンもチョイありまっけど、冷徹に描いてはります。暗くてソラオトロシー作品やと、改めて思いました。

そんな中でも、今の長澤まさみチャンみたいな清純系を演技しはる、香川京子ネーさんにしっとりどしたえ~。

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●「武士道残酷物語」(1963年)⇒変型時代劇にして大河ドラマとゆうか、先祖代々アンラッキーやった歴史をプレイバックする、なんてゆう、今も当時としても、破天荒かつウルトラ・ワザを、駆使しはった怪・怪作どした。

1963年の高度成長時代初期を現代設定にしはって、中村錦之助のアニキが、7役7変化で扮する主人公が、江戸時代から続く悲劇のドラマを、ナレーション入りで振り返らはりま。構成の見事さに目がいきよります。

でもって、江戸時代の2エピソードは、キモイ度満点の仕上がりや。カマを主君から掘られて、岸田今日子はんとヤッてもうて、ほんで去勢されるやなんて。おいおい。主君の気まぐれにホンローされて、エゲツナイことになるもう一つも、強烈至極どす。現代編に出てはる若き頃の三田佳子はんに、若い方はビックリするやろな~。この3本の中では、個人的には、コレがイチバンヤー、やったです。

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テレビ版と同じく阿部寛主演の「劇場版 新参者 麒麟の翼」

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東野圭吾アニキの原作映画も、いよいよ佳境に入ってまいりました

2011年の現代性を取り入れたミステリーどすえー

http://www.shinzanmono-movie.jp/

1月28日サタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2012 映画『麒麟の翼』製作委員会

ええ役者はんがいっぱい出てはりまんねんけど、まずはミステリー的な観点から本作を見てまいります。

東野圭吾アニキの原作もの映画については、「白夜行」(2010年12月5日付けで分析)やら「夜明けの街で」(2011年9月17日付け)やらで分析を繰り返しておます。そのベスト・裏ベストまで披露いたしましたけども、それほど多いとゆうことでおましょうか。

本作はテレビドラマの劇場版、あるいはシンクロ版としましては、「容疑者Xの献身」(2009年)に続くもんどす。

東野圭吾アニはいろんなトリックを駆使してはるけど、本作のネタ的には、推理小説的においては「人間の証明」(1977年)の外形を思い出させよりました。どおゆうことかとゆうと、「人間の証明」の、刺された黒人はなぜホテルを目指したのかが、刺された中井貴一っちゃんは、なんで日本橋にある麒麟の像へと、歩いたんかへとつながっとります。

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でもって、映画化・テレビドラマ化はされとりまへんけども、阿部寛アニ演じる主人公刑事と、その父役の元刑事役の山崎努はんのエピソードは、「赤い指」からのもんでおます。本作の原作で描かれたもんやありまへん。

つまり、阿部のアニキがやる加賀刑事もんは、「容疑者Xの献身」のガリレオ探偵と同じく、シリーズ化されとるもんでおます。そやから、テレビドラマの「新参者」も、シリーズの途中が映像化されたもんなんどす。人事異動により、阿部・加賀刑事は日本橋を管轄する部署へと異動しはりました。そんな中で起こる事件が本作なんどすえ。

2011年とゆう時代を背景に描くミステリーとしては、メッチャリアリティーがござりました。東日本大震災や福島原発のことは入ってないけど、格差社会、ネットのブログとゆうポイント、街の防犯カメラのセキュリティの完備など、今やないと出せないとこがケッコー出てまいります。

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主演の阿部寛アニキやけど、「トリック」(2002年)やらのコメディアンでもなく、「チーム・バチスタの栄光」(2008年)やらの、攻撃的な演技性でもないとこをば示さはります。キチンと推理せなあかんので、冷静沈着、落ち着いた演技を終始貫いてはります。

阿部寛の相棒役の溝端淳平クン。「相棒」の及川光博ミッチーみたいに、主人公の役柄をサポートするような演技や。さらに、スッピン的に見える新垣結衣チャンと、三浦貴大クン(山口百恵と三浦友和の息子はん)のビンボー生活の描写が、事件に絡んでくる展開どす。

そして、日本橋とゆう狭い町をポイントにした、人情的な作りにも注目しておくんなはれ。親子の絆やら、女性の前向きな生き方やらも描かれておます、ミステリー映画でおました。

2012年1月 7日 (土)

最後にドッカーンの「月光ノ仮面」

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記憶喪失系の、ミステリー映画のノリもある昭和映画どす

監督・主演の板尾創路と浅野忠信の各アニキと、石原さとみチャンがラブ・ストーリー部で絡まはります

http://www.gekkonokamen.com/

睦月1月14日の土曜日から、角川映画はんの配給によりまして、梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「月光ノ仮面」製作委員会

板尾創路のアニキの映画監督作品第2弾どす。監督デビュー作「板尾創路の脱獄王」(2009年製作・2010年1月5日付けで分析)もそうやったかと思いますが、ナゾをはらんだミステリーチックな色合いが本作にもござります。

映画にはネタバレなんてゆうのんが、映画的専門用語のようにも使われとりますが、元々は推理小説でのコトバでおます。ネタ=犯人やらトリックやらを読む前にバラされてしもたら、ほんなん読む気もなくなりますやろ。でも、本作はそのネタがいくつもにも分散し、見終わっても、一体ネタとは何やったんかと思わせるような、マカ不思議さを持っておます。

1947年とゆう終戦直後の世界を描いてはります。安直な言い方をしたら昭和映画ってことになるけど、時代を意識した薄い色の配色をはじめ、昭和映画的外装は整えてはります。

戦場からの引き揚げ兵の板尾のアニキやけど、記憶喪失に罹ってはります。そやけど、かつて落語をやってた街には、すんなり戻ってきはります。冒頭は荒野の向こうから歩いてくる板尾アニの、ロングショットの長回し撮影から始まりまんねん。で、落語については忘れてへんとゆうことなんやけど、その落語を披露するシーンはありまへん。

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で、師匠の娘はん役の石原さとみチャンと、出征前は恋仲でおましてな、さとみチャンからモチ、モーションを掛けはりま。さとみチャンのアップ、クローズアップが多おます。まあ、板尾アニにしてみたら、やっぱり映画は女優やねんとゆう、キモチがあるんでおましょう。そのあたりの監督心理は、ストレートに伝わってまいりました。

そして、板尾アニとはほとんど似てへん、浅野忠信アニキの帰還でおます。浅野忠信が、さとみチャンのホンマの恋人やねん。

で、板尾&浅野は戦友なんでおます。板尾の回想シーンとして、薄暗い戦場シーンが時おり挿入されとります。板尾と浅野の入れ替わり的なタッチは、まさに角川映画第1弾「犬神家の一族」(1976年)なんぞを思い出させよりました。

意味不明のカットやシークエンスも意図的に作りつつ、クライマックスのサプライズへと向かう作りどすけども、そのサプライズもナゾめいておます。こうした作りは賛否両論を呼ぶでおましょうが、呼べば呼ぶほど、作りの新しさが目立つやもしれまへん。

アコーディオン入りの「月光」、金管によるクラシック・ナンバー、ラストロールのファンキー・サウンドなど、サントラ使いにも新味があるやろと思いま。

2012年1月 6日 (金)

トンデモ・ロボット・コメディ「ロボジー」どすえー

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みんなをだまし続けてゆかはるコンゲーム・ノリが、痛快極まりない仕上がりになっておます

邦画喜劇の新境地を切り開き続ける、矢口史靖(しのぶ)監督の、渾身の衝撃の笑撃やー

http://www.robo-g.jp/

ジャニュアリー1月14日のサタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸFUJITELEVISION, TOHO, DENTSU, ALTAMIRA PICTURES

矢口監督のアニキの新作でおます。みなはん、映画監督で映画を見ることはありまっしゃろか。矢口監督てゆうたら、日本のコメディ映画の新境地を、常に作り続けてはるかと思います。

男のシンクロ「ウォーターボーイズ」(2001年製作)しかり、女子高生らのブラバン「スウィングガールズ」(2004年)しかり、これまでにないようなとこに目を付けて大仰に展開しはるとこが、ある意味で爽快にして痛快でおます。

でもって、本作もテーマが、ユニーク極まりまへん作品となりよりました。ロボットでおます。ロボットでコメディやなんて、まずそんなんあんまし聞いたことありまへんやろ。しかも、次々に新しい設定を付加してゆかはります。

ロボットと老人、ロボットの中に人間、ロボット研究者3人のスッタモンダ、そして、ロボ・ストーカーのキャラ設定やら、ストーリーの流れの中で見てゆくと、メッチャオモロすぎて、夜の夢にまで出てくるやもしれまへんで。

そんな笑いの中で、ロボ映画とシニア映画のミスマッチな融合が、アイロニカルなブラック・コメディの異世界映画空間へと、ボクらを運んでくれはるかと思います。

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電器会社がロボット産業に参入しはります。まあ、パナソニックやソニーやらの大手やない中小企業どす。

で、研究員の3人(濱田岳アニキら3人はん)がロボットを開発しよりましたが、そのロボットが映画の冒頭からさっそくイカれてしまいよります。でも、3人はそれをば社長に隠して、ロボの中に人を入れてロボ人間仕様でごまかそうと、オーディションを秘密裡にやって、ロボ体型に合った1人の老人を採用しはるんどす。

でもって、そのロボ人間がロボット博で、人を助けるっちゅう見事な性能ぶりを発揮したもんどすさかい、えらい評判になりまして、ほんで、いろんなイベントにひっぱりダコとゆうことになりまんねん。ロボの中に人が入ってんのは、みんな知らはりまへん。ずーっとだまし続けられるんか。コンゲームなノリのサスペンスがココに生まれよりま。

老人主人公役のミッキー・カーティスはんこと、五十嵐信次郎(本作のために、俳優名を付けはりました)はんが、アルツハイマーやら弱者系の多いシニア映画でも、「老人と海」(1958年・アメリカ)みたいな元気印で、サプライズを含めて飄々と演じてはります。

で、ロボ・ストーカーの大学生に扮しはった、吉高由里子ネーさんのコメディエンヌぶりにも注目どすえ。「蛇にピアス」(2008年)なシリアス系よりも、メッチャ映画ばえしてはりました。このネーさんは絶対、コメディ向きの女優はんやと思います。

さて、ロボを使った最新映画としては、「アイム・ヒア」(昨年12月7日付けで分析)や「リアル・スティール」(昨年12月2日付け)やらと、比較して見てもらってもオモロイかも。

とゆうことで、ロボ・コメ(!?)ジャンルいきなりの、最高ケッサクの誕生どすえ~。

2012年1月 5日 (木)

東日本大震災後の東京路上ライブ・ロード・ドキュ「トーキョードリフター」

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2011年5月27日~28日の雨の東京を、ギター片手に弾きがたりロードムービーでおます

AKB48の「ヘビーローテーション」アカペラ版まで披露しまっせー

http://www.tokyo-drifter.com/

1月14日の土曜日から、東風はんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場でロードショー後、全国順グリに回りまっせ。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Tip Top

東日本大震災後の東京を、演奏ロードムービーによって捉えた、ライブ・ドキュメンタリー映画でおます。

「セルフ・ドキュメンタリー」を標榜する松江哲明監督のアニキと、ミュージシャン前野健太アニキの、「ライブテープ」(2010年1月20日付けで分析)に続く、2度目のコラボレートどすえ。

74分にわたる長回し撮影による前作とは違い、本作ではいくつかの長回しカットを、つなげるカンジで編集してはります。

ほんでもって、遊んでいた、あるいは実験的な意味合いがあった前作とは違い、大震災後の東京映画とゆう、ある種コンセプチュアルな作りを施してはるんどす。

東京の街をかなり意識しはった作りなんでおます。今の風景の中を歌い歩くことの意味を、カンジさせはる作りなんどす。

東京も被災地やとの観点から、節電シーンからいきなり始まりま。冒頭から次々に電気やネオンが、消えゆくシーンが出てまいります。

交差点の前で前野アニが歌う、斜め上からのロングショットから演奏は始まりよります。でもって、今回はただ歩き続けて歌うんやなく、バイクに乗って東京を移動しはります。

雨の東京をバイクで移動し、東京の街のポイントポイントで、長回しで歌うとゆうスタイルなんどす。

そして、カメラがずっと付いて回っとるからか、誰も聴いてへんロードは、前作とおんなじなんでおます。

さて、そこで歌われる歌はどんなカンジなんでおましょうか。前野アニのギターの弾きがたりフォーク・スタイルは、ボブ・ディランの昔から綿々と続いとるもんどす。

21世紀的現代性を採り上げたものは、あんましないんやけど、主に都会的で前向きな歌が中心になっとります。

京都の鴨川を歌った歌から、上京の歌、ファック・ユーとか、親の遺産でピンサロへなんて歌、ネコと話す孤独な人の歌、アイ・ラブ東京な歌、そして、「男はつらいよ」の下町っぽい川べりの堤で、披露する朝日の歌まで、東京への想いを徐々にヒートアップさせてゆく歌うたいぶりが、感動的な仕上がりになっとりまっせ。

バイクに乗りながら、AKB48の「ヘビーローテーション」を、アカペラ・バージョンで披露するっちゅう、遊びゴコロも見せてはります。

ラストでは、黒場シーンで、キャッチーな「トーキョードリフター」のCDを流さはってシメはります。

とにもかくにも、ライブ・ドキュメンタリーの新しい地平を切り開いた、ケッサクやと思います。見に行くべしやー。

2012年1月 4日 (水)

壮絶なアメリカン・バイオレンス「ホーボー・ウィズ・ショットガン」

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ハンパやあれへん、残虐シーンの連続攻撃でおます

でも、多彩な音楽と照明・色使いが、バイオレンス・シーンにユニークにマッチしてオモロイでー

http://hobo-movie.com/

ジャニュアリー1月7日サタデーから、ショウゲートはんの配給によりまして、大阪・テアトル梅田で2週間の限定レイトショーでおます。「R-18+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 HOBO INC. / 3243988 NOVA SCOTIA LIMITED

昨日分析しよりました「デビルズ・ダブル」に続きまして、18歳未満入場・鑑賞禁止映画の分析でおます。「デビルズ…」の方は現実のバイオレンスでございましたが、こちらはフィクションのバイオレンス映画として、自由ホンポーにやってはります。

その中身はドキュメンタリー「世界残酷物語」(1962年製作・イタリア映画)のドラマ版かと思うくらい、ハンパやないエグサ度でおます。しかも、残虐シーンをこれでもかっちゅうくらいに、意図的に繰り出さはりまんので、ボクは1度は、法治なき無法世界となった未来を描く、ある種のSF映画かいやと思たんやけど、そうやありまへんようどす。

タイトルの“ホーボー”やけど、簡単にゆうたら“流れ者”の意味らしいわ。そんなホーボーたる主人公が活躍するとなったら、ああ、そうか、西部劇の、例えば「シェーン」(1953年・アメリカ)みたいなアメリカン・ヒーローが、エエカッコしいでもやらはんのかなと思うんやけど、表面上のシチュエーション的にはおんなじかもしれへんけど、実は大いに違(ちご)とりま。まあ、ゆうてみたら、サム・ペキンパー監督作品みたいなんを、クググッと凝縮化したとでも申しましょうか。

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単純にゆうと、善悪がはっきりしておます。町のボス的なワル家族が、警察とつるんで町を支配しとるんやけど、ボスは公開処刑はするわ、ボスの息子2人は手下らワル・グループを引き連れてゴーモン、ゴーカンやらを、趣味みたいにしょっちゅうやっとります。なんぼでも、一般市民を殺し続けてはるんどす。

悪をエゲツナイくらいのワルとして描くドラマ効果は、メッチャ高いと思います。見とる人にとっては、このメチャメチャな奴らなんて、ドカーンとやっつけたれとゆうキモチが募るからでおます。

名作「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)でワルをやらはった、ルトガー・ハウアーはんがホーボー役にならはって、娼婦を助けてトンデモ悪者らを退治するっちゅう、まるで「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)のロバート・デ・ニーロはんみたいなんをやってはります。でも、「タクシードライバー」とは違って、ものゴッツーな結末が待っておますで。

さて、ショッキングなバイオレンス・シーンが連続しよるんやけど、そんなシーンで使われるサントラや、照明などによる色使いに、緻密な妙味と映画的調和を、ボクは覚えよりました。レッド、グリーン、セピア、ブルー、ピンクなどの照明が多彩に混ざり合っておます。

そして、冒頭の、1970年代のアメリカ映画によく使われた、アメリカン・コーラス使いな歌から、ラストロールのノリノリのシンセ・ダンス・ナンバーまでの歌もの。でもって、ハードロック、シンセ、ピアノ、ギター・サウンドなどを、シーンに合わせて展開するビビッドな作りが、何やら良かったと思いまっせ。

2012年1月 3日 (火)

驚くべき実話のベルギー映画「デビルズ・ダブル ある影武者の物語」や

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フセインの息子ウダイと、その影武者の1人2役ドミニク・クーパーのアニキの、サイコ演技がスゴイんやわ~

さらに、数々のバイオレンス・シーンの、ショック度合いは強烈至極どっせ

http://devilsdouble.gaga.ne.jp/

1月13日のフライデーから、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズやら、大阪・TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショーでおます。

ギャガはん配給による本作は、「R-18+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸFilmfinance VI 2011-All Rights Reserved

1987年から1991年まで、あのフセインの息子ウダイ・フセインの影武者やった人(ラティフ・ヤヒアはん)が、発表した実話小説が原作となった作品でおます。

そんなウダイと影武者の1人2役とゆう難役をやらはったんが、ドミニク・クーパーのアニキどすえ。イギリスの俳優はんやけど、演劇界から役者デビューしてはるんで、その演技ぶりは特筆もんでおます。狂的な演技と冷静沈着ぶり。

でもって、ウダイの狂気にわざと合わせて、ハチャメチャぶりを示す演技やら、狂的演技でも、元から狂的と無理に狂的とは、ビミョーに違いよりますんで、そのあたりもムッチャ細かくやってはるんが、ようよう分かりまんねん。サイコチックな演技の粋みたいなんもカンジさせてくれはります。ヒトラーの替え玉映画とか、黒澤明の武田信玄の「影武者」(1980年)やとか、ケッコーある替え玉系1人2役でも、その格差ぶりのインパクトは、映画史に残ってもエエような出来なんどすえ。

ほんでもって、影武者の方と恋仲になり、2人で逃避行しはるんやけど、ウダイの愛人役のフランス女優リュディヴィーヌ・サニエのネーさんの、妖しくもセクシー度のメッチャ高い演技ぶりに、ビックラこきました。

特に、デッド・オア・アライヴのロックン・ナンバーに乗って、クーパーはんとのベッドイン・シーンには目が点になりましたで。昨年日本公開された「引き裂かれた女」(昨年3月20日付けで分析)の演技とは、セクシー度が全然違いよりま。ホンマ、エロエロエッサイムやったわ。

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一方で、えげつないバイオレンス・シーンがケッコーござります。まあ、そやから「R-18+」(18歳未満は鑑賞不可)指定映画になってしもたんやろけど、ウダイの実際のメチャメチャ加減を示すためには、仕方ござりまへん。

ナイフによる腹裂きシーンやら強姦シーンやら、酒池肉林的なパーティー・シーンやら、主人公の最後の1発とか、目を覆いたくはなったけど、でも、それが現実やったんでおましょう。そういう現実を隠さずに、ストレートに描いてはるんは、リアリズムに基いてエエかと思います。

さらにでんな、1980年代後半の雰囲気を、大型ディスコ・シーンやら、ニュース映像を絡めて示していかはる時代性描写やら、マルタ・ロケで示されるバクダッドの雰囲気やとか、映画でこそ示されるイロイロなシーンに、酔えるような作りになっとります。

個人的には、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの全米No.1ヒット「リラックス」が、懐かしゅうてノレました。また、ベルギー映画とゆう意外性もござりました。こんなベルギー映画、今までに見たことあれへんみたいな驚きどすか。ところどころにサプライズもある快作どしたえ~。

2012年1月 2日 (月)

SFジャパニーズ・アニメ映画「ドットハック セカイの向こうに」

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福岡・柳川を舞台に展開する、上の3人の青春ラブ・ストーリーかと思たら、何とまあ! どっせー

「サマーウォーズ」みたいなんが、好きやねん! な人にはピッタリでおまっせー

http://www.dothack.com/

睦月1月21日の土曜日から、アスミック・エースはんの配給によりまして、東京・テアトル新宿やらシネ・リーブル池袋やらで、全国3Dロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ.hack Conglomerate

日本では地方を舞台にした実写映画で、学園ものとゆうたら結構あるんやけど、本作はアニメどす。確かに青春もんなんやろけど、でも、バーチャル・ゲーム空間で、ゲーマーたちが戦うとゆうSF映画にもなっとります。

ゲームやありまへんが、長野県の地方を舞台に、ワケ分からへんサイバー対決があった「サマーウォーズ」(2009年・日本)を思い出させよります。ほんで、「サマーウォーズ」の現代設定とは違いよりまして、近未来2024年の、ネット依存症が過去最大になったとゆう世界情勢における、福岡県柳川市を舞台にしてはるんです。

写真上の3人はんは、中学の同級生どして仲がよろしおます。ほかにも仲のええ子らがいて、イントロ部とかはまるで「映画 けいおん!」(2011年末に大ヒットしよりました)みたいなノリ。

でも、そんなみんなが「THE WORLD」ちゅう、アメリカ発のゲームにハマッてもうて、ゲーム内でも別キャラとして会わはるってなカンジどすか。3D映画みたいにメガネを掛けて、ログインするタイプやし、なんや心地よさそうなゲームなんやろなと見とったら、やがてエライ事件が発生しよりまんねん。

仮想世界のSFてゆうたら、「マトリックス」(1999年)が1大ピークを刻みました。以降、その種のタイプがイロイロ出てきましたけども…。

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で、本作はポイントとしては、ヒロインの試練ものとして打ち出して魅せてくれはります。「サマーウォーズ」の細田守監督のアニメ「時をかける少女」(2006年)とか、「ブレイブ・ストーリー」(2008年)やらの、テンションと考えてみておくんなはれ。

「ピカチュウ」みたいなマコトさんをお供に、ヒロインは決して攻撃的やない対決へと向かわはるんです。このヒロインの声を、「サマーウォーズ」と同じく、桜庭ななみチャンがやってはります。

やんわりした声のトーンやし、ななみチャンと絡む、松坂桃李クンや田中圭クンが担当しはった、両男子中学生も押しの声はそないありまへん。「ランウェイ☆ビート」(昨年3月13日付けで分析)では、ななみチャンと田中圭クンは共演もしてはったしな。

ほんでもって、水彩画のような薄い色使いに加え、安直なアニソンを外して、KOKIAのしっとりのアコースティック・ポップスで、シメたりするとこにもホレよりました。

「ファイナルファンタジー」(2001年・アメリカ)に勝るとも劣らない、3DCGアニメやと思います。

2012年1月 1日 (日)

モンテ・ヘルマン監督21年ぶりの新作「果てなき路」やー

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トリュフォーの「アメリカの夜」的な映画メイキング映画のケッサクどすえ~

フィルム・ノワールな雰囲気も取り込んだ、サスペンスチックな妖しさもありまっせー

http://www.mhellman.com/

2012年ジャニュアリー1月14日サタデーから、boidはんの配給によりまして、東京・渋谷シアター・イメージフォーラムで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 ROAD TO NOWHERE LLC

みなはん、アメリカのモンテ・ヘルマン監督って知ってはりまっか。いや、ナンチューか、正月早々すんまへんねんけど、ゴリゴリの映画ファンらが、知る人ぞ知る映画監督はんなんでおます。

1960年に「魔の谷」(日本未公開)で監督デビューしはり、キャリア史上最も有名な「断絶」を、1971年に発表しはりました。アメリカン・ニューシネマのロードムービー系としては、「イージー・ライダー」(1969年製作・アメリカ映画)や「スケアクロウ」(1973年・アメリカ)やらと、並び称されるケッサクなんどす。

この「断絶」はDVD化されとるけど、本作と同日公開でニュープリント版で上映されるんで、ぜひ本作と共にお楽しみくだされ。でもって、「断絶」以降も断絶せんと、作品を発表してはったんやけど、本作は1989年の「ヘルブレイン/血塗られた頭脳」(日本未公開)以来、21年ぶりとなる監督作品となりよりました。

しかも、長いインターバルを思う存分に解消するような、映画魂を注入した入魂の作品となっておます。

まず、映画メイキング映画とゆうスタイルをば採ってはります。映画撮影現場を映す作品は、これまでに数多くありましたけども、本作ほどキャスティング、脚本段階から詳細に見せてゆくスタイルは、まあ、そうそうありまへんでしょう。

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映画メイキング映画の代表的名作、フランソワ・トリュフォー監督の「映画に愛をこめて アメリカの夜」(1973年・フランス&イタリア合作)以上に細かくやってはります。

1と2と3にもキャスティングによって、映画の出来の9割は決まるのコトバとか、レオナルド・ディカプリオ、ジャック・ニコルソン、スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンクやらがキャスティング・セリフの中に出てまいります。コメディは名作と呼べるのかとか、ロバート・アルトマン監督ならどないしたとか、思いっきり映画業界内的セリフが頻出しよります。

そして、映画の中の監督(タイ・ルニャン)は主演女優として、B級ホラーに出てた女優(シャニン・ソサモン)を大抜擢しはるんどす。監督と2人でのロケ地ローマでの散策デートやら、2人で名作映画をDVDで鑑賞したり、「カメラは君に恋してる」なんて囁いたりと、監督は次第に主演女優とフォーリン・ラブしはります。

でもって、同時に、フィルム・ノワールな犯罪映画的なタッチが、付加されてまいります。冒頭とラストの方がツナがっとる作りなんやけど、まあ、ネタばれせんように言いよりますと、雰囲気はデヴィッド・リンチ監督の「マルホランド・ドライブ」(2001年・アメリカ&フランス)みたいなカンジやろか。

さらに、「断絶」チックにアメリカン・ニューシネマなスパイスも、ところどころに振り掛けられとるように思いました。ほんで、トム・ラッセルのギターの弾きがたりによる、哀愁味あるフォーク・ナンバーが、本作にメッチャマッチしとりま。とにもかくにも、モンテ・ヘルマン監督の、21年の熟成を見たケッサクどすえ。

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