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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年12月の記事

2011年12月31日 (土)

イギリス初のダンス・ムービー「ストリート・ダンス/TOP OF UK」どす

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何とまあー、バレエとヒップホップ中心のストリート・ダンスの融合を、狙わはった爽快・快感の映画でおます

ダンス・シーン鑑賞に集中してもらうための、日本語吹替え版とゆう実験性は効を奏するんやろか?

http://www.streetdancethemovie.jp/

2012年のJanuary1月7日Saturdayから、ツインはんの配給によりまして、東京・新宿バルト9やら、横浜ブルク13やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、1月28日のサタデーから、大阪・梅田ブルク7やら、T・ジョイ京都ほかで上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸStreetdance Distribution Limited/UK Film council/BBC 2010

ハリウッド産のミュージカル映画を除いて、ダンス・ムービーはこれまでにイロイロと出てまいりました。ミュージカルやなく、ダンスにポイントを置いた映画となれば、みなはんもいくつか見てきはったかと思います。

そのルーツはどこにあるんかっちゅうんは、ヒジョーに難しいんやけど、ボクの世代的には「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977年製作・アメリカ映画)やろか。ミュージカルとの境目が難しいんで、アレなんやけど、でも、みなはん、それぞれの思いで見はるのがベストやろと思います。

こういうダンス・ムービーとゆうのんは、1980年代のアメリカで、ケッコー製作されとったかと思うんどすわ。ボクチンは「フラッシュダンス」(1983年・アメリカ)がお好みやけど、ほかには「ブレイクダンス」(1984年)「ダーティ・ダンシング」(1987年)「フットルース」(1984年)やら、ミュージカルチックやけど「コーラスライン」(1985年)やらを見ておます。

基本ラインは、ダンス・シーンはモチ見どころなんやけど、ダンサーたちの人間ドラマ部の恋愛・友情ぶりも重要でおます。でもって、本作なんやけど、イギリス映画としては初の、本格的ダンス・ムービーを標榜してはります。でも、人間たちもキチッと描いてはるんで、注目しておくんなはれ。

特に、ヒロイン役のニコラ・バーリーちゃん。演技の巧拙は別にしてでんな、ダンス・チームをまとめてゆく、その柔軟なリーダーシップぶりは、男女を問わずにみんなの好感度の、ヒジョーに高い演技ぶりをば示してはります。ヒロイン・ドラマ的ポイントとしては、個人的には「フラッシュダンス」の、ジェニファー・ビールスのネーさんを思い出させてくれはりました。

シャーロット・ランプリングはんのバレエ教師役の、滋味ある演技ぶりにも好感を覚えま。

でもって、ダンス・スタイルとしては、バレエとストリート・ダンスをミキシングするやなんて、トンデモない冒険をばやってはりまんねん。それでも、バンド・サウンドによるミディアム・ロックも流れるんやけど、ベースとなるダンス・ミュージックとしては、サントラを含めまして、ヒップホップが中心としてござります。

エルトン・ジョンのピアノに乗る、ダンサブルでタイトなヒップホップやら、終始ゴキゲンなノリノリのテンションで、本作を見られることでおましょう。

しかも、でっかい見どころとなる、ダンス・シーンの数々に集中してもらうために、日本語吹替え版での上映どすえ。日本映画にもダンス映画はあるんやけど、こういう形式で見せられよりますと、まさにノリノリのハート・ドッキリ、白熱まみれや。クライマックスのチーム・ダンス対決は、キョーレツ至極でおました。ぜひ映画館で体感してくだされ。

2011年12月30日 (金)

ダンサーを描く人間ドキュメンタリー「今日と明日の間で」

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首藤康之のアニキと彼のパフォーマンスをメインに描いてはります

モダン、コンテンポラリー含むダンス芸術の粋を、見せてくれはりまっせー

http://www.kyo-asu.com/

January1月7日Saturdayから、東京・銀座テアトルシネマやら、東京都写真美術館ホールやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、1月14日サタデーから、大阪・梅田ガーデンシネマで上映どす。その後、神戸アートビレッジセンターでもヤラはりま。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011スタイルジャム

歌舞伎やら演劇やらコンサートそのものを、映画館の映画スクリーンで見せるとゆう試みが、21世紀になってから、かしましゅうなっておます。

でもって、本作はダンサー首藤康之のアニキが、ステージで繰り広げる、ダンス・アート作品のいくつかを見せてゆかはります。でも、それらをただ単に見せるんやったら、オモロナイ。

ちゅうことで、人間・首藤アニの人間性も追いかける、人間ドキュメンタリーとしての外装を持っておます。首藤のインタビューをメインに、相手役女性ダンサーや演出家へのインタビュー。そして、首藤の白熱の練習シーンやとか、ワークショップ、コドモたちに教えるシーンなど、ダンサーとしての日々が点綴されてまいります。

ダンス・ドキュとしての精度は高く、バレエ界を描いたドキュとか、劇場とその演目を捉えたドキュやらとシンクロしよりますし、ダンス・パフォーマンス、特にそれをアート的に実践したいと思てはる方には、垂涎ものと言うべき内容になっとります。

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明日分析しよります「ストリートダンス/TOP OF UK」は、タイトル通り、ストリートダンスのチーム・ドラマ映画どすが、そちらが大衆的ならば、こちらは芸術ノリやろな。

披露作品を見ていきまひょうか。サイレント映画とのシンクロを、強うカンジよりました「空白に落ちた男」。タンゴ・サウンドのポイントになる楽器、バンドネオンを流さはって、首藤と女ダンサーたちの、絶妙かつハーモニーな絡み具合に酔いしれよりました。

アカペラとステップ・ワークスの調和に、アラマ・ポテチン(ビックリ)な「アポクリフ」。人形を使ってのパフォームや、“排除”をテーマにしたとこやら、ダンス作品としては斬新なんやろな、たぶん。

ほんでもって、首藤のソロ・ダンス・パフォーマンスの、2011年春の新作「Between Today and Tomorrow」やー。コレはイントロとラストで披露されよります。本作のハイライトだす。

ピアノや多層なバイオリンで、荘厳なバック・サウンドをクリエイトしはったんは、椎名林檎のネーさんでおます。今回は、林檎ネーさんのバクレツ・ポップン・ロックぶりやらは封印しはりました。そして、首藤の緻密かつ芸術的、計算されたパフォームに、ウーンと唸ってしまうんどすえ~。

バレエやアート・ダンスについて論じるには、お寒いボクチンやけど、本作はもっと研究してみたいと思えるような、キモチになれた作品でおました。

2011年12月29日 (木)

終末感ある近未来SFラブ・ストーリー「パーフェクト・センス」

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原因不明の五感が消えゆく中で、ドラマはシュールに展開しよります

ユアン・マクレガーのアニキとエヴァ・グリーンちゃんの、異状況に合わせはったフワリな恋愛演技にも注目どす

http://www.perfectsense.jp/

東京は1月7日から、でもって、大阪は1月14日の土曜日からテアトル梅田で、全国順グリのロードショーでおます。プレシディオはんの配給どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸSigma Films Limited/Zentropa Entertainments5 ApS/Subotica Ltd/BBC 2010

世界の終わりやとか、終末感を描いたらしい映画とゆうのんは、ケッコーござります。但し、それらの映画はあくまで、ブラック・ユーモアなテイストで描かれておったかと思います。

モチ、本作もその種のタイプではあるんやけど、世界の終わり方にもビミョーな違いがござります。核や原や水爆爆発による、ラスト感をドッカ~ンと出す「博士の異常な愛情」(1963年製作・イギリス映画)とか「太陽を盗んだ男」(1979年・日本)やら、モロ核による「渚にて」(1959年・アメリカ)とかやありまへん。

まあ、ゆうてみたら、新型やありまへんが、ウイルスによるもんでおましょうか。でも、そのウイルスも新型インフルエンザみたいには、どんなもんやらは分からへんナゾめいたもんどす。「コンテイジョン」(今年11月5日付けで分析)やらのリアル感はありまへん。

氷河期もワケ分からへんままに、急激にやってきたとかゆう、エピソードなんぞを入れつつ、これまでにないような終末感を描いた上に、その上でラブ・ストーリーをば成立させようとゆう、ある意味では、ウルトラワザへと挑戦してはります。

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「ブラインドネス」(2008年・ブラジル&アメリカ&日本)やらは、目が見えんようになる点だけどしたけども、本作は五感がワケもなく、順番に喪失してゆくとゆう設定でおます。でも、その喪失前の兆候なるもんも、設定してはりまんねん。

例えば、何でもかんでも食って食って食いまくる人々の、異常なシーンのあとに、味覚が消えてしもたり…。誰かに対してわめきたおして暴れたりしたら、聴覚が消えたりと、イロイロと設定してはります。10分に及ぶ聴覚なしのサイレント・シーンなど、実験的かつ野心的で、オオッときよりましたで。でも、何で消えるんかは、何の根拠もござりまへん。

つまり、一感ずつ五感が消えてゆく中で、2人の愛はどないなことになってゆくんか、それをば試してはるような、そんな変型ラブ・ストーリーなんでおましょうか。料理人役ユアン・マクレガーのアニキと、ヌードも披露しはる、ウイルス研究者役のエヴァ・グリーンちゃんの、恋愛なんやけど、このトンデモ負のシチュエーションの、流れに乗って展開しよります。

サイレント・シークエンスやら、ドッキリの再会のスロー・モーション・シーンなど、この種のSF映画でしかできないカットに、ココロが震えよりました。カルティックかもしれへんけど、後々残ってもおかしくない怪作品どすえ。

2011年12月28日 (水)

オキナワ発で初の特撮ヒーローもん「琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ」

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地方のテレビ局発の特撮劇場版やなんて、これまで聞いたことありまへんがな

「仮面ライダー」やら東映の特撮もんやらへの、フマジメ・パロディ・モードがバカバカしくてオモロイんやでー

http://www.mabuyer.jp/

睦月1月7日の土曜日から、アスミック・エースはんの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、109シネマズHAT神戸やらでロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011琉神マブヤーTHE MOVIE製作委員会

オキナワ・ロケーション映画とゆうのんは、1990年代末期から加速し、今やモノスゴイ数になっとります。例えば、100本以上ある北海道ロケ映画と比べても、遜色ござりまへん。

そんな中で登場してきよったのが、初の特撮ヒーローもんなんでおます。「仮面ライダー」やら「ゴジラ」やら、特撮もんとゆうのんは、これまでは東京の大手のスタジオで撮るっちゅう、東京発が基本でおました。

ところがどっこい、地方でも特撮もんが、テレビを中心に作られておりました。オキナワ初の本作も、オキナワだけでテレビ放映されとったもんどす。その劇場版となるんどすが、全国ネットの日テレこと日本テレビが、映画化権を買って映画化されとります。こうゆうスタイルはなかなか新しいと思うし、本作がヒットしたら、今後も活発化しそうなカンジなんどす。

さて、肝心カナメな本作のことやけど、ホンネを申しますれば、バカバカしさが見どころになっとる作品でおます。「仮面ライダー」を始めとした東映の特撮ヒーローものへの、パロディと同時にオマージュもカンジられよりました。

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但し、大マジメにやるんやなく、フマジメ・コミカルにやり続けることで、みんなにナンジャー、こらあーと思わせはって、ほんでもって、みんなでワイワイガヤガヤ言いもって楽しく見られる、ある意味、お祭り映画的になっとるかと思います。

写真の2人、「クイズ!ヘキサゴン」で有名な山田親太朗クンと、DA PUMP(ダ・パンプ)のISSA(イッサ)のアニキが、一番上の写真に変身してヒーローにならはります。

片や、敵側やけど、ゴリのアニキやら椎名ユリアちゃんやらの6人組が、銀河でも地球でもなくオキナワ征服を目指すとゆう、地域限定版征服とゆう、あり得ないマニアックさを示さはります。そんなゴリらの仲間内でのやり取りも、トンデモバカバカしさを募らせはるんでおます。

そんな中でもでんな、仲間由紀恵ネーさんが、友情出演しはりました。誰との友情なんかは分かりまへんが、ナレーションと合成カットでの出演どす。マジやなくて、遊びゴコロがあるんで、本作に似合っておました。

特撮ヒーローものファンには、パロディぶりを楽しむ仕上がりやもしれまへんが、フツーのお客さんには、家族みんなで安心して、楽しく見られるカンジになっとるかと思います。

2011年12月27日 (火)

吸血鬼ホラー「フライトナイト/恐怖の夜」3D

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1985年作品「フライトナイト」の、2011年リメイク・バージョン・アップ版どすえ

でも、1980年代のアメリカン・ホラーの一部雰囲気が、今に伝えられるとこもありま

http://www.fright-night.jp/

2012年ジャニュアリー1月7日のサタデーから、3D全国ロードショーでおます。2Dも同時公開やでー。

配給はウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Dream Works Ⅱ Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

アメリカン・ホラー映画は1980年代には、血が飛ぶスプラッターものが、大量生産されておました。

シリーズ化されよった「エルム街の悪夢」(1984年~1991年製作・全6作・2010年にリメイク版製作)やら「13日の金曜日」(1980年~2001年・全10作)やらが有名やったけど、本作のオリジナル版は、それらとはビミョーに違(ちご)ておりました。

戦前のアメリカン・ホラーといえば、ヴァンパイアこと吸血鬼とフランケンシュタインと狼男が、3大化けもんでおました。でもって、本作の素はそんな吸血鬼を採り上げはったもんどす。今も「トワイライト」シリーズ(2007年~2011年・全4作・第4弾は後日分析しま)など、アメリカで歴史的な大ヒットをかましとる作品では、吸血鬼が主人公になっとります。

その意味では、本作はリメイクやけど、クラシック・ホラーへの原点回帰のように見えながら、今のホラー的流れにも合っとる作品やと言えるでおましょう。さらに、「エルム街の悪夢」など、学園ものホラーのテイストもござります。ほんでもって、そこにはラブ・ストーリーもあるやろな、っちゅう作りになっとります。

高校生主人公と、テレビに出てるマジシャンのコンビで、吸血鬼との対決に挑むとゆうスタイルもユニークどすし、主人公の恋人を救うためみたいなノリも、エエカンジでおます。吸血鬼もののセオリー的な流れは、踏襲してるみたいやけど、ロック・サントラ使いやら、照明落としのダーク感なシークエンスの創出やら、VFX・CG・メーキャップ部やらの3D的迫力度合いやら、バージョン・アップ・シーンは多数にわたっておます。

さて、吸血鬼役はコリン・ファレルのアニキどす。最初は落ち着いたカンジやったんが、やがてドカーンと狂演技・怪演技へといかはります。ともすると、大げさやもしれまへんが、まあ、このくらいがちょうどエエやろか。

ロシア出身のアントン・イェルチン君と、イギリス出身イモージェン・プーツちゃんらの、若手の演技はどないでおましょうか。まあ、それぞれの役柄に見合った演技ぶりやったとは思いますが、個人的には「ソリタリー・マン」(2009年)で、マイケル・ダグラスを翻弄しはったプーツちゃんに注目しておました。アップで映されるバンパイア・メーキャップ演技に、なんじゃこらーと驚いたけど、でも、ヤッパ、ラブ・ストーリー部ではキラキラしてはりました。2人の今後にも注目したい演技でおました。

2011年12月26日 (月)

地方ロケ映画の前向き系家族ドラマ「カルテット!」

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4人家族が音楽によって、1つになってゆく感動的な映画どす

東日本大震災から立ち直ってゆくとこも、採り上げた1本でおます

http://www.quartet-movie.jp/

睦月1月7日の土曜から、松竹はんの配給でロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011映画「カルテット!」プロジェクト

地方ロケ映画47都道府県映画とゆうのは、地方のコミッション・サービスの充実で今や多彩なカタチで花開いておます。でもって本作は、千葉県浦安市の市になってから、30周年をば記念して作られた映画どす。

但し、その種の映画にありがちな、観光誘致的な展開とかはそないにありまへん。とゆうか、家族ドラマを音楽ドラマ的な視点から描くとゆう、これまでにないような作りをしてはるんどすえ。

同じタイトルの邦画としては、「カルテット」(2000年製作)がござりますが、ソレが仲間・友情系やったのに対し、本作は家族の絆でおます。しかも、家族が絆を取り戻してゆくのんは、実に真っ直ぐなストレート系で描かれてるんどす。

ナンチューか、イロンな確執描写やらは、ユル目なカンジを覚えよりましたけども、もっと刺激的な作りにもできたでおましょう。でも、本作の場合は、松竹系の家族ドラマ・リズムが濃厚に浸透しとる作りどした。おそらく今の家族ドラマ的には、そぐわへん作りなんかもしれんけど、ボク的には心地よかったかと思とります。

失業中のオトン役の細川茂樹のアニキ。父母のコネから市場に勤めてはる、オカン役の鶴田真由ネーさん。そして、バイオリニストとしての才能がスゴイ息子・高杉真宙クン。さらに、上戸彩みたいな演技性があった、高杉クンのオネー役で娘役・剛力彩芽チャンの、素直かつソフト・タッチの柔らか演技ぶりどした。

フツーやったら、もっと反抗的な演技もできたんやろけど、好感度のある演技を入れつつの演技ぶりでおました。オトンがピアノ、オカンがチェロ、でもって、姉がフルート、弟がバイオリンとゆう、この家族カルテットぶりも、ある種ユニークな設定やと思いました。そういう演奏が、クラシックを中心に披露されてまいります。

モチ、最大の見せ場は「スウィングガールズ」(2004年)やらと同じく、クライマックスどす。

で、音楽映画的な旬なとこではでんな、特注は、オカンのオカン役・コドモたちのオバン役をやってはる、由紀さおりハンやろか。今や欧米で大ヒットをかましてはる彼女。森田芳光監督(合掌どす!)作品「家族ゲーム」(1983年)に出てはった頃の、あのカンジそのままの演技性に、懐かしさと癒やしを覚えよりました。

千葉は東京の隣やし、地方映画イロはあんましカンジへんかったけど、群馬ロケをしはった名作「ここに泉あり」(1955年)とかの、センスもカンジた1本でおました。

2011年12月25日 (日)

3Dになったで「ALWAYS 三丁目の夕日'64」

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プログラム・ピクチャーとしての道が、見えてまいりました第3弾どすえ~

「男はつらいよ」的シリーズを目指して、ドドーンとやり続けておくんなはれ

http://www.always3.jp/

睦月1月21日の土曜日から、3D・2D同時公開で、全国東宝系ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2012「ALWAYS 三丁目の夕日'64」製作委員会

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現在、日本にはプログラム・ピクチャー(実写映画のシリーズもので、年に1回以上公開されるスタイル)なるものが存在しとりまへん。2009年の「釣りバカ日誌」シリーズの終焉以降、邦画各社は模索中でおます。

でも、本作は2005年の第1弾から、7年間で第3弾目とゆうことやけど、まさにプログラ候補の最先端にいてはるカンジがしよります。そして、この第3弾で、そのボクチン的思いがますます強まった感があるんどすえ。

みなはんも知ってはるでしょうが、基本は向かい合う2組の、家族のドラマをメインに展開してゆく、人情コメディでおます。かつて東宝はんがやらはった「駅前」シリーズ(1958年~1969年製作・全24作)やら、「社長」シリーズ(1956年~1971年・全40作)やらのセンスが濃厚でおまして、ぜひ「男はつらいよ」のギネス記録48作を超えるべく、ぜひともガンバッテほしいと思とるんどす。

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「男はつらいよ」は、1969年に第1弾が作られよりました。1969年当時を現代設定としてはります。でも、本作は21世紀の現代を舞台にしとるんやなく、ゆうてみたら、「男はつらいよ」第1弾の時代よりも、以前の年を設定してはります。

1957年、1959年と続き、本作は東京オリンピックが開かれた1964年どす。フツーにロケするわけやなく、当時の風景を緻密に入れ込みながら続けてゆくとなると、毎回毎回短期間で撮影すんのに、大変な事態が続くことが予想されよります。そやから、7年間で3作なんやろけど、でも、1年1作は何とかクリアーできるんやないかなと、ボクは思います。

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3作だけやけど「男はつらいよ」と比較してもでんな、いくつかのお馴染みのシーンが形成されつつあります。

3Dで鑑賞する東京タワーの、俯瞰撮影シーンのビビッド感もスゴイけど、タワーをポイントにした、セピアの夕焼けシーンの美しさ。「寅さん」をポイントにして「男はつらいよ」でもあった、キャラクター全員集合で、ケンカ・シーンやらドタバタな展開を繰り返したりしはります。さらに、次作へ続くような人間関係を構築してみせたり…。

例えば、吉岡秀隆アニキと小雪ネーの間に産まれた赤ちゃん、吉岡の元を離れた須賀健太クン。でもって、森山未來のアニと結婚しはった堀北真希ちゃん。堤真一アニと薬師丸ひろ子ネーの夫妻。鈴木オートに新しく入った染谷将太クン。まあ、いっぱいござります。

そやから、第3弾で終わってしもたら、みなはんは絶対怒ると思いまっせ。登場人物たちのその後を、死ぬまで追いかけておくんなはれ。山崎貴監督アニキと、“どもありがとう”ミスター・ロボットはん(製作に関わるROBOT)、よろしゅう頼んます。モチ、東宝はんもどすえ~。

2011年12月24日 (土)

韓国映画のラブコメの真髄やー「きみはペット」

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今をときめくチャン・グンソクのアニキと、韓国映画のラブコメ女王キム・ハヌルのネーさんの共演でおます

「マイ・フェア・レディ」から「モテキ」まで思い出させはる、ミュージカル・シーンもデッカイ見どころどすえ~

http://www.kimipe-movie.jp/

ジャニュアリー1月21日のサタデーから、東宝東和はんの配給によりまして、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ小川彌生/講談社ⒸProduction  LUDENS/KJ-net

チャン・グンソクのアニキが日本で燃えとります。彼がこれほど日本で人気を得たんは、映画やなく韓流テレビドラマからでおました。

その大出世作と申しますれば、「美男(イケメン)ですね」(同じく12月24日付けで紹介しよりました)どす。その流れに乗って映画主演しはったんが、本作でおます。

単純なラブコメとは違いよりまっせー。アメリカン・ラブコメに多いストレート系をハズさはってでんな、ユニークなシチュエーションをば設けてはります。いかにもコミック原作なカンジはするんやけど、男が女のペットとして同棲するとゆうスタイルは、まあ、ハリウッドにはないもんやと思います。

ボク的には「翔んだカップル」(1980年製作)みたいなセンスをカンジよりました。ファッション誌の花形女編集者と、売れない男ダンサーっちゅう、ある意味で今どきの格差恋愛ラブ・ストーリー的なとこも、新味があるかと思います。

さらに、韓国映画界のラブコメの女王とゆわれてはる、キム・ハヌルのネーさんとの共演でおます。そやから、メッチャオモロイ仕上がりになっとるんやわー、コレが。

しかも、単なるラブコメにはとどまらへん、いろんな映画性が随所に盛り込まれておます。

まず、ナンチューても、ミュージカルチックなシークエンスの挿入どすか。ジャジーな生演奏に乗って、噴水のある公園で2人で踊る、短カットのモンタージュによるタイトなシーン。

でもって、ラスト近くでは、男組と女組に分かれて英国風庭園で、本格的ミュージカルするシーンのインパクト。「マイ・フェア・レディ」(1964年・アメリカ)を始め、最新作でゆうたら、「モテキ」(今年9月18日付けで分析)みたいな、映画を弾ませる効果的な使い方がなされとりました。

サントラ的にも、ノリのエエ女声ポップ・ロック、チャン・グンソクのダンス・ミュージックやら、ギターの弾きがたりバラードやら、胸にグーンときよります。

そして、アイドル映画性は欠かせまへん。グンソク・アニのアップ、クローズアップは、テレビドラマ並みに多く映されよります。

作り的なことを申しますと、実写の下の方にアニメ動画を入れてみたり、2分・3分・4分割カットの挿入やら、チョイコミカルチックな撮り方がケッコーござります。2人のやり取りやらも、いろんなカットを束ねていって、映画的な編集をしはって、みんなの興味をあおらはります。

とゆうことで、韓国ラブコメ映画の完成型を、見た思いがありましたどすえ~。

韓流テレビドラマのラブコメ最高傑作「美男(イケメン)ですね」

Photoチャン・グンソクのアニキとパク・シンヘちゃんの、トンデモ・コメディが、コレでもかってなくらいに続きよりまっせー

ウーンと考察の結果、2人は「のだめカンタービレ」の玉木宏のアニキと上野樹里ネーの関係性に近いんやないやろか

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文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

本作は、日本の連続テレビドラマでもリメイクされよりましたが、日本ドラマと韓流ドラマの相互関係性は、21世紀以降ずーっと続いておます。

基本的にはラブコメなんやけど、日韓米のラブコメ・テレビドラマの比較考察なんぞをやってみよりますと、韓流はチョイ日米とは違(ちご)ておますとこがござりました。

アメリカのあからさまな、カラッとしたラブ・スタイル。日本はそのラブへ向けて、直球勝負でいかはります。ところがどっこい、韓国はイロイロ、コメディチックな紆余曲折を経て、着地へといかはりまんねん。

でもって、主演のチャン・グンソクのアニキとパク・シンヘ(パク・シネの日本語表記もあり)ちゃんの、演技性についての考察でおます。

グンソクのアニは、おそらく韓国でもやってた、キムタクのテレビドラマを見てはったんでおましょうか、キムタク的な演技性を随所で披露しはります。

片や、パク・シンヘちゃんやけど、なかなか特定できはしまへんどしたけど、まあ、上野樹里ネーかなと。その連想からゆくと、本作が音楽映画的な側面を持っとることを考え合わせよりますと、「のだめカンタービレ」が、自然と出てきよったんどすえ。

となると、グンソクのアニは玉木宏やし、パク・シンヘちゃんは樹里ネーってことに相なりま。コノ分析はそれなりにおうとるかもしれへんねんけど、でも、韓流ドラマのオリジナルチックは、いくつものシークエンスで披露されとります。

パク・シンヘ演ずる男設定のコ・ミナムがいつ、女であるんがバレるんか。但し、グンソク・アニには、ドラマの早い段階でバレとります。でも、グンソクはバラさはりまへん。むしろ隠す方向で動かはります。

これをベースにしつつも、オカンとグンソクの確執部やら、シリアスなとこも入れてはるんどす。いろんなドラマがどうゆう決着を見せるんか、笑いながら見つつも、回を追うごとに楽しみが募ってくる、なんてゆう、そんな作りになっとります。

シリアスやった「冬のソナタ」の、180度反対バージョンってなカンジやろか。グンソク主演の映画「きみはペット」(1月21日公開・本作の数時間後に分析しよります)を見にゆく前の、予習編として見るもよしどすえ~。

 

2011年12月23日 (金)

実験ドキュメンタリー映画やなんて「地球にやさしい生活」

Chikyuniyasasiseikatu
ドキュとは申せ、NY映画にして3人家族映画の新境地をば、フロンティアしはりましたで

節電含むエコ生活から生まれてくるもんとは、一体何なんやろな~?

http://www.yasasii-seikatsu.com/

ディセンバー12月24日サタデーから、アンプラグドはんの配給によりまして、大阪・第七芸術劇場でロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸOscilloscope Laboratories, 2009

大都会でエコ生活をやり続けることは、果たして可能なんか。それを3人夫妻とコドモの核家族が、いちおう1年間にわたりチャレンジャーしはったんを、映さはったんが本作のドキュメンタリーでおます。

夫妻は共にライターでおまして、夫の歴史ものに続く新作を作るための行動やろとゆわれ、ほんで売名行為とゆわれ、ほんでもって、ブログへはいろんな非難のコメントが寄せられてでんな、炎上に近いエライことになりました。

ドキュメンタリーとしての新しい側面としては、ファーストフードを食い続けたら、一体どないなるんかを実験しはった「スーパーサイズ・ミー」(2004年製作・アメリカ映画)なんぞのように、意図的に試練的なことをやってでんな、ソレをドキュで撮ったらどないなるんかとゆう、設定・実地体験実験性ドキュとゆう新側面どすか。

いわゆる、ヤラセやなく、ワザトラマンをやってどうなるかとゆう、本格ドキュの裏ワザと申しましょうか。こういうスタイルは、それほど多くはないドキュの新種タイプなんやけど、でも、どこか、そやからどないやねん、みたいなとこがあるようにも思いよります。但し、どこまでリアリティーを深く入れ込んで説得力を持たせるのか、そこがデッカイポイントとなるでおましょうか。

その意味では、本作はかなりディープで、細部のリアリティーも巧みやったかと思います。エコ生活による、イロンな生活描写はモチ強烈やったけど、ホンマにやれたのかとゆう疑問は、残るとこもありました。森の向こうのNY摩天楼シーン、都会の中での共同菜園、産地直送による青空市場描写など、違和感あるシーンにも見えました。家族、特に夫妻間でのイロンな問題が、2人の会話を中心に披露され、そして実際の細かいとこも、いくつか映されてまいります。

ホンマの話かもしれへんけど、でも、コレをフィクションとして作って、もっと大仰にやってみたら絶対、オモロイ映画ができるんやないやろか。素材の面白さは、ドラマ映画にした方がエエと思えるようなもんやと思います。

今やパターン化してしもとるNYラブコメ映画の打開策として、本作のハリウッドでのドラマ映画化を、手前勝手にプレゼンテーションいたしてみたら…。ボクチンのこのブログをば、見てくれてはるらしいスピルバーグ監督はん、よろしゅうお願いいたします。

2011年12月22日 (木)

変形スポーツ・アニメ「劇場版イナズマイレブン GO 究極の絆 グリフォン」

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なでしこジャパンを意識しはった、セリフやらも入ったサッカー・アニメどす

進化系も「キャプテン翼」やら「ドラゴンボール」やらを思い出させよります

http://www.inazuma-movie.jp/

師走の12月23日の天皇誕生日ホリデー・フライデーから、東宝はんの配給によりまして、全国東宝系劇場でドカーンとロードショーでおます。

3D・2D同時公開どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸLEVEL-5/FCイナズマイレブンGO MOVIE 2011

スポーツ・アニメ、スポ根アニメは、テレビ・映画の映像系では、モノゴッツーな仰山なタイトルが出回っておます。実は、それらのほとんどがストレート系、つまりフツーに公式スポーツを、そのまんま描くとゆうスタイルをば採ってはります。

しかし、本作は好き嫌いが分かれるやもしれんけど、サッカーの未来図やら、その試合ぶりやら、サッカー・スポ根ものとして見ると、かなり違和感があるやも分かりまへん。つまり、コミック原作もんアニメやけど、そのコミックを見た人にしか分からへんような、ノリとか設定とかやらでおましょうか。

それでいて、そのスポーツ・ジャンル(本作はモチ、サッカー)の素晴らしさへと帰着する作りなどが、ワザトラマンのように展開されよります。イロイロ、ネガティブなことはあったけど、結局サッカーは楽しいとか、今年2011年の漢字「絆」を、ムリヤリのようにポイントにしてみたり、“あきらめなければ…”なんてゆう、なでしこジャパンを意識したようなセリフやら、時流に乗るみたいなとこがあるんやけど、それらは全て、こういうタイプの前向き系アニメやドラマの定番やし、なんやねん、ソレッてゆう人もいてはるかもしれへんけど、決して出来は悪くありまへん。

現代性を出す試みは、巧拙に関わらず、常に行われるべきやとボクは思とります。その意味では、衝動的に入れはったんかもしれまへんけど、エエかとは思います。

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それより何よりアニメ映画的には、多彩な明るい色を使った作りが良かったどす。

サッカーの試合に“化身”なるもんが使える設定になっとりまして、そいつを思いっきり使わはるシーンが、ドドーンと頻出しよります。“化身”は、ロボット的とかモンスター的とかイロイロ自在に出ます。でもって、いろんなシュート・ワザのワザ名は、3Dの立体文字入りで出ます。シュートする筋やら旋風、イロンナ勢いが帯状の色使いで示されよりますが、その一方でイロを抜いたシーンも、時おり挿入されよります。メンバーたちの顔を、分割カットにして入れたりするシーンも多用してはります。

モチ、クライマックスは試合シーンなんやけど、アニメ的に新味を作ろうと努めてはるとこは、ようよう分かりました。「キャプテン翼」シリーズ(1985年~1986年製作・全4作)とか、本作の化身をボールになぞらえたとしての「ドラゴンボール」シリーズ(1986年~1996年・全17作)などと比べても、同じように楽しく鑑賞できます。

スポーツ・アニメの進化系として、その自在な可能性を探ってはる作品ではありましょう。アニソン的な歌ものサントラ使いも、マニュアル的やなくてエエカンジやったし。ほんでもって、前作以上に試合シーンが、楽しめた作品やったと思います。次もあるようなんで、さらなるオモロさを期待してもエエ、シリーズでおましょう。

2011年12月21日 (水)

中国映画らしさを示した「運命の子」やでー

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チェン・カイコー監督の新作はヤッパ、中国映画ブランドともいえる時代劇、しかも紀元前もんどす

ギリシャ悲劇やシェークスピア悲劇へも通じよる、中国の絆ネジレ系もんでおます

http://www.unmeinoko.jp/

12月23日の天皇誕生日から、角川映画はんの配給によりまして、東京・Bunkamura ル・シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、睦月1月14日土曜日から、大阪・梅田ガーデンシネマやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸShanghai Film Group Co., Ltd. Shanghai Film Studio/TIK FILMS/Stellar Mega Films Co., Ltd./21 Century Shengkai Film

紀元前映画やった中国映画の最新作「孔子の教え」(今年11月3日付けで分析)などで、ボクは書いたんやけど、中国映画のパブリック・イメージは歴史ものどす。

21世紀の現代ものは、日本での公開も少ないこともあるやもしれまへんが、時代もんに比べると少のうおます。最近分析した「無言歌」(12月13日付け)にしても、1960年を舞台とした映画でおました。そして、本作は「孔子の教え」に続いて、中国の紀元前を舞台とした映画となりよりました。

しかもでんな、中国映画のポイントを握ってはる巨匠監督の1人、チェン・カイコーはんの最新作なんどすえ~。監督の作品系譜では、歴史ものはケッコーありますが、紀元前ものは初めてと言ってもええんやないでおましょうか。

伝奇もん「PROMISE」(2005年製作・中国映画)なんかは、紀元前設定でもいけるやもしれまへんが、本作は当時に生きてはった、司馬遷はんが書かはった「史記」が原作になっとるんで、まがうことなき紀元前。しかも、孔子の時代より前でおます。そんな時代感を映画として昇華するためには、気の遠くなるような時代考証・分析が必要となりまっしゃろ。そんなん、21世紀の今の風景に求めるんは、全くもって不可能やと思うんやけど…。

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ところが、どっこいどす。中国とゆう広い大地を利用して、オープンセットによる撮影が自在にできよる環境が、中国の映画界にはありまんねん。それはハリウッドと肩を並べるくらいやとゆうてもええでしょう。

ジャッキー・チェンが関わった「新少林寺」(11月18日付け)を例に出すまでもなく、中国は壮大なオープンセットでの撮影の宝庫なんでおますよ。時代考証にもスキとゆうもんがありまへん。

でもって、その中で展開しまんのは、悲劇のドラマどす。簡単にゆうたらリベンジ劇なんやけど、コレが代理リベンジとでも申しましょうか、紀元前やったらシンプルな話なんやろなと思たらでんな、変則系にして複雑系の様相をば呈しておます。基本は悲劇ドラマなんやろな。ハッピーエンドやありまへん。ギリシャ悲劇やとか、シェークスピアはんの「ハムレット」やら「リア王」やらの悲劇性が、そこはかとなく仕込まれとります。

剣戟戦をメインに、スロー・モーションやらワイヤー・アクションも挿入されておますが、アクト・シーンで魅せるような映画やありまへん。人間ドラマ部、特に、主人公のグォ・ヨウがココロの機微を演じるとこらが、あとあとココロに残りよりました。ほんで、フル・オーケストラのサントラが、数奇で悲劇的でドラマティックな主人公像を、浮き上がらせてエエカンジどした。

とゆうことで、中国歴史映画に、新たなブランドが生まれ落ちましたでー。

2011年12月20日 (火)

ガス・ヴァン・サント監督の青春ラブ・ストーリー「永遠の僕たち」

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「セカチュウ」や「ある愛の詩」みたいな悲愴感を外さはった、青春映画のニュー・タイプが登場でおます

故デニス・ホッパーの息子はん、ヘンリー・ホッパー君&「アリス・イン・ワンダーランド」と違う、繊細な役のミア・ワシコウスカちゃんが、何や甘酸っぱいカンジやねん

http://www.eien-bokutachi.jp/

ディセンバー12月23日のホリデー'sフライデーから、東京・TOHOシネマズ シャンテやら、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらでロードショーでおます。

配給はソニー・ピクチャーズはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

葬式巡りを趣味にしとるヘンリー・ホッパー君。末期ガンに侵されてもうとるミア・ワシコウスカちゃん。

両親を交通事故で亡くしてしもて、自分だけ生死の境から助かったヘンリー君は、カミカゼ特攻隊で死んだてゆう加瀬亮のアニキの亡霊が、友達みたいに時おり現れよります。しかも、ヘンリー君にしか加瀬アニは見えまへん。

そんな中で、ヘンリー君とミアちゃんが出会って、恋仲っぽくならはりまんねん。さて、こんな設定やと、いかにも「ロミオとジュリエット」(1936年・1996年・アメリカ映画/1954年・1968年・イギリス&イタリア合作)やら「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年・日本)とか「ある愛の詩」(1970年・アメリカ)とかみたいな、悲しき方向へと流れてしまいそうでおましょ。

ところがどっこいやねん。ある意味で、初々しい青春ラブ・ストーリーみたいな展開で話が進んでまいります。彼女はひょっとしたら、ビョーキが治って最後はハッピー・エンドで「小さな恋のメロディ」(1970年・イギリス)な世界へ、いってまうんかなと思う瞬間もござりました。しかし、予想は裏切られよりますが、メッチャさわやかとは申しませんけども、悲哀なとこはほとんど、カンジさせへんような作りなんどすわ。

いやいや、ガス・ヴァン・サント監督てゆうたら、アメリカン・インディペンデント映画の雄でありまして、男の友情を描いた「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997年・アメリカ)は、さわやかでかつ泣けるケッサクどした。そして、今回、男の友情描写だけやなく、恋愛映画にも優れたとこを示す、快作をば作ってきはったんです。

恋愛相手が病に罹ってる系の映画では、おそらくこれまでになかったような感触を、みなはんも覚えはるハズと違うやろか。

映画の最後には、“デニス・ホッパーの想い出に捧ぐ”の字幕が出ます。サント監督は彼への思いやトリビュートを、息子はんのヘンリー君をキャスティングし、両親を失った息子の役を演出することで、やってみようと思わはったんでおましょう。

ヘンリー君は「ギルバート・グレイプ」(1993年・アメリカ)のレオナルド・ディカプリオみたいな、初々しさとナイーヴな演技で応えてはります。さらに、「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)のジャジャ馬娘系を封印し、「キッズ・オールライト」(2010年)に近い繊細な演技を見せるミアちゃん。

そして、2人の間に加瀬亮アニの亡霊を持ってくることで、生と死の2界をつなぎつつ、絆と恋愛を紡ぐとゆう新しさを付加してはります。パターン化しつつある青春恋愛映画に、一石を投じる作品やとボクは思いました。

2011年12月19日 (月)

小林正樹監督の世界を、映画館で体感するべしやで~

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作品性はヒューマニズム映画、戦争体験やらトラウマ入り映画、モノクロニズムの快感…

ハッピー・エンドは嫌いやねん調、総じて長いけど長さに見合った重厚感…とにかくスゴイねん

12月23日の天皇誕生日まで、大阪・九条のシネ・ヌーヴォにて、『没後十五年・特集上映「小林正樹の世界」』をやってはりますんで、急がなあきまへんで。

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文=映画分析評論家・宮城正樹

みなはん、小林正樹監督(写真一番上)って知ってはりまっか。作品性については、見出しで書きよりましたが、まあ、映画監督は名前より作品なんやけど、ちゅうことで、彼のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、勝手に披露させてもらいまっさ。

●ベスト⇒①人間の條件(1959年・1961年製作・第一部~第六部・トータル9時間30分・写真2枚目・3枚目)②切腹(1962年)③化石(1975年・写真4枚目はモノクロやけど、カラー作品どす)次点:怪談(1964年)

●カルト⇒①東京裁判(1983年・写真5枚目)②いのち・ぼうにふろう(1971年)③日本の青春(1968年)次点:燃える秋(1978年)

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今回シネ・ヌーヴォはんで再見、もしくは初見した作品のなかから、マイ・ベスト・カルトに加わった作品を中心に見ていきよります。

ベスト①は小林監督の最高傑作どすえ。小林監督節が全て凝縮された作品なんでおます。1部・2部は、スピルバーグの「シンドラーのリスト」(1993年・アメリカ)に、ひょっとしたら影響を与えたかもしれへんような、ヒューマニズム映画になっとります。3部・4部は戦争もんでおます。アメリカの収容所もの映画を始め、山本薩夫監督「真空地帯」(1952年)やらへとリンクする作りどすか。でもって、5部・6部では、戦場から逃亡してわが家を目指す、凄まじきサバイバル映画が展開するんでおます。ヒューマニズム、戦争、サバイバル逃亡劇と、多層構造をもって迫ってくるこの作品は、映画にできることを、全て詰め込んだような凄みがござりました。文句なしの大ケッサクです。

ベスト③は、2011年のニュープリント版で、見ることができよりました。テレビ版はかつて見たような記憶はあるんやけど、コレは今トレンドになっておます、テレビ・ドラマの劇場版のルーツやないでしょうか。主人公役の佐分利信はんがガンに侵されとる設定など、黒澤明の「生きる」(1952年)に対し、小林監督的に、アンサーをしはったようなカンジを覚えよりましたで。さらに、主人公の死生観を見せてゆく、シニア映画としての新しさ。アコギ、チェンバロ、弦楽オーケストラなど多彩なサントラ使いに加え、パリのトップレス・ダンスやらスペインのフラメンコ・ダンスなど、映画の前半に魅せてくれはります。観光映画的にも見えよりますが、でも、岸恵子ネーさんとの幻想的シーンが、主人公の死への考えを、多様に見せてゆく作りになっとりました。日本映画としては、死生観を描いた映画の最高傑作やと、ボクは思いました。

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カルト①は戦争映画の正統派の「人間の條件」の、ウラ・バージョンでおましょうか。戦争ドキュメンタリーの究極形を示しとるだけやなく、撮り下ろしはいっさいないにも関わらず、いろんな映画を思い出させるシーンが満載でおました。そんなドキュメントは、かつても今もござりまへん。ある意味でモノゴッツーな作品でおました。

カルト②は犯罪集団が、1人の男の愛の手助けのために、命を棒にふってでもミッションを遂行しようとする姿を、感動的に描いてはります。黒澤明の「七人の侍」(1954年)へと、シンクロしよるかもしれへん快作でおました。

最後に、カルト③どす。岡本喜八監督の「江分利満氏の優雅な生活」(1963年)と、濃厚にシンクロする作品やと思います。戦後のサラリーマンものに、戦争トラウマものを加味し、何とも言えへんような味を持った作品どした。ナレーターと主人公役藤田まことが話し合うシーンなど、映画史上初の試みもなされておます。

とゆうことで、ぜひ劇場へと足をお運びくだされ。

イタリア映画の新次元を示すケッサク「ミラノ、愛に生きる」

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「チャタレイ夫人の恋人」的を、21世紀的に再構築してググーンと胸にきよる作品どすえ

ヴィスコンティみたいな上流階級のタダレ系を、スマートフォンな柔らかいカンジで描いてはりまんねん

http://www.milano-ai.com/

12月23日から東京を皮切りに、ツインはんの配給によりまして、全国順グリのロードショーでおます。

関西は、12月24日土曜日から大阪・梅田ガーデンシネマ、その後、1月7日からシネ・リーブル神戸やらで上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 First Sun & Mikado Film. All Rights Reserved

21世紀以降のイタリア映画は、ある意味では沈滞しておました。日本で「イタリア映画祭」なんかもずっとやってはるけど、売れる売れないだけやなく、映画史において重要な作品はそないなかったかと思います。

但し、本作はボク的には違いよりました。裏社会を描く「ゴモラ」(今年10月18日付けで分析)なんかもスゴかったけど、本作はヒロイン映画と家族系映画の新しどころを打ち出さはって、なおかつ、かつての名作群のおいしいとこも盛り付けてはるケッサクどす。

家族映画とゆうか、上流社会家族の退廃系を描いて、いくつもの名作をものにしはった、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画作家精神が、まずキチンと継承されとります。しかも、ヴィスコンティ監督みたいにストレートに示さずに、男側やなく女版として提示してはるんどす。

さらに、往年のハリウッド映画にあったメロドラマ性やら、ヒッチコックの「めまい」(1958年製作・アメリカ映画)的なストーク・シーンやら、サスペンス性も加味されとります。そやから、イタリア舞台のアメリカ映画的にも見えよりまんねん。

でもって、女の不倫ドラマとしては、「チャタレイ夫人の恋人」(1982年・アメリカ&フランス、1995年・イギリスほか)などを思い出させよるんやけど、ヌードも披露しはる、アカデミー賞の演技賞をもろてはる、ティルダ・スウィントンのネーさんがエエカンジどす。

野外セックス・シーンでは、虫やら自然描写を含めて、アップ・シーンを多投して雰囲気を盛り上げはります。そうそう、撮影の上手さには目を見張りましたで。自然光を生かしたミラノの陽光やら、雨のシーンの色彩感は特注もんどす。

カメラが斜めから降りての移動撮影など、シークエンスの中心人物から入らないカットも、多用してはります。室内シーンも近接撮影とパンを多用。長回し撮影はほとんどありまへん。つまり、付かず離れずとベッタリを使うの撮影法により、映画として多彩な見せ方っちゅうもんを、構築してはるんです。

調理シーンやらも、イタリアン・グルメ映画的なセンスも入っとりまして、贅沢な仕上がりかも。加えて、サウンドトラックも万全な調和具合どしたえ。

ジョン・アダムスのオーケストラ・サウンドは、フツーのオーケストラやありまへん。アドリブっぽさ、リハーサルチック、スタッカードの使い方に加え、単調な音をリズミックにテンポアップして、サスペンス感を盛り上げてゆく手法は、ハンパやありまへん。

21世紀の今にしか作れないイタリア映画でおました。

2011年12月18日 (日)

スピルバーグへオマージュしたSF映画「宇宙人ポール」

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「E.T.」「未知との遭遇」などへのオマージュ・パロディがいっぱいやー

大人になったE.T.が、ロードムービーするスタイルやなんてオモロイやん

http://www.paulthemovie.jp/

ディセンバー12月23日のホリデー・フライデーから、東京・シネクイントやら、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらでロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED

SF映画の現在形を示す、格好の快作でおます。SF映画は21世紀に入って10年を過ぎて、新しいSFを模索しもって、さまよっとるようにボクには見えとります。

あらゆるSF的素材は「マトリックス」(1999年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画どす)の出現で、打ち止めになったような気がするんですわ。その後に出たSFは、かつての映画の亜流であったり、トレースしとるようなカンジやろか。

まあ、キネ旬のベストテン入りした「第9地区」(2010年)なんぞにしても、「インデペンデンス・デイ」(1996年)やらの逆バージョン展開のようどした。はっきり言いよりますと、SF映画はゆき詰まっとる現況やと思います。

でも、そんな中でも、何とか新境地を見せて、SF映画の未来を見据えてはる作品も、チョクチョク出てまいっておます。その一つのカタチが本作のように、かつての名作へのオマージュ・バロディとゆう視点どすえ。

SF映画を進化させたスティーブン・スピルバーグ監督の「未知との遭遇」(1977年)やら「E.T.」(1982年)やらへのオマージュどすか。しかも、E.T.が大人になった今も、地球にいてるってな状況を設定してでんな、E.T.ファンやった人間の男の相棒らとロードムービーするやなんて、メッチャトンデル作りでいってはるんどすわ。

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アメリカのコミック・マーケットに参加するために、イギリスから2人の男がやってまいります。ほんでもって、そのあとに、アメリカのUFOスポット巡りをばしはります。その途上で、E.T.が大人になったような、写真の“宇宙人ポール”と出会わはりましてな、わが星へ帰れるエリアへと、連れて行ってくれと頼まはります。

でもって、宇宙人1匹と男2人の珍道中の始まり、始まりどすえ。しかも、宇宙人は強制収容所から逃げたらしく、刑事やらがあとを追ってきよります。

イロイロあるロードムービー・スタイルやけど、これほどケッタイなんは、初めてなんやないやろか。モチ、ロードムービー的でゆうたら、スピルバーグの「激突!」(1971年)「続・激突! カージャック」(1974年)なんぞへも、オマージュしとるとも言えよりま。

ただ、SF映画でロードムービー系とゆうんは、宇宙を舞台にした以外はあんましありまへんやろ。このあたりにも、SF映画的新味を加えてはりまんねん。カーチェイスを含めたドタバタな展開へといきよりますが、コレもまたSF映画的には新しいやろな。ブリット・ロックを始め、歌ものを中心にしたサントラ使いにも、ノレる作りでおました。

2011年12月17日 (土)

かつてなく多彩な群像劇アメリカン映画「ニューイヤーズ・イブ」やで~

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ミシェル・ファイファー、ヒラリー・スワンク、サラ・ジェシカ・パーカー、ハル・ベリー、ジェシカ・ビール、キャサリン・ハイグルらの各ネーさん

ロバート・デ・ニーロ、ジョン・ボン・ジョヴィ、アシュトン・カッチャー、ザック・エフロンらの各アニキがキャスティングや

オールスター映画も、ベテラン・中堅・若手をバランス良く配して、未来も見据えた快作どすえ~

http://www.newyearseve.jp/

ディセンバー12月23日の天皇バースデイから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

群像劇とゆうのんは、「グランド・ホテル」(1932年製作・アメリカ映画)以来、モノゴッツーな数の作品が出てまいっておます。故ロバート・アルトマン監督作品とか、21世紀やったら「ラブ・アクチュアリー」(2003年・アメリカ&イギリス合作)なんぞ、みなはん、楽しめたでおましょ? 

ほんでもって、クリスマス・イブとかポイント日をピンで、24時間にわたりいろんな人たちの、人間ドラマを交錯させるとゆうスタイルも、ある程度定型化しておますわな。つまり、各人の話の結末もある程度予測できるし、ある意味で安心して見られるなんてゆうのんが、大概やと思いよります。

大みそかの1日を描く本作もまた、その種のタイプやと思われる方がいてはるとは思いますが、実は大みそかをクローズアップして描いた映画とゆうんは、そんなに多くはないんどす。

しかも、群像劇でも10話くらいの話を、2時間弱にまとめるっちゅうウルトラ・ワザをば披露してはります。群像劇映画としては、この10エピソードちゅうのんは、1本の映画で披露する話数としては、過去最多にのぼる数やもしれまへん。となると、その10話は薄味で中途ハンパになるんやないかと不安があるやろけど、実はそうやありまへんのどすえ。

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そこんところは、ゲイリー・マーシャル監督が、見事な映画的調理をば見せてくれはります。フツーやったら、これだけの話をいくつかのサプライズを設定して繰り広げるやなんて、群像劇の達人アルトマン監督にも不可能やったことでしょう。アルトマンやったら5話くらいに絞ってはったと思います。

ところがどっこい、マーシャル監督は1つ1つのエピソードに趣向を凝らしてやってくれはりました。「プリティ・ウーマン」(1990年・アメリカ)やらの監督やけど、とにかく誰にでも分かりやすいところが、この監督の持ち味やとボクは思います。

映画評論家筋の受けはよくないかもしれへんけど、一般大衆を楽しませる術はキチンと持ってはる監督どす。そやから、とにかく、楽しめる映画になっとるんどすわ。

NYラブコメ入りの群像劇でおますが、キャスティングにおいてもそのあたりを、ビミョーに考慮してはるんが分かりました。安直なオールスター映画には走ってはりまへん。見出しに書きましたように、ベテランから若手まで、バランス良くキャスティングしはって、未来のハリウッド映画へもつないでゆくような作りになっとるんです。

ロバート・デ・ニーロはんやミシェル・ファイファーのネーさんやら、NYを舞台にした映画で活躍しはった方の起用など、イロイロ考えてはります。

特に、個人的にはサントラ使いにシビレました。ジョン・ボン・ジョヴィのアニキのアップテンポ・ナンバーやバラードを始め、歌ものが特注どす。ダンス・ナンバーをかけてのラストロールのNG集にも、新味がござります。21世紀の今にふさわしい、群像劇の快作になっとりまっせ~。

2011年12月16日 (金)

東映の戦争映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六-太平洋戦争70年目の真実-」

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1968年の大ヒット作、東宝の三船敏郎主演「連合艦隊司令長官・山本五十六(いそろく)」を、さらにバージョン・アップや~

「ローレライ」以上の役所広司アニキの、リアル演技に終始魅せられまっせー

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http://www.isoroku.jp/

師走12月の23日の天皇誕生日から、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショー進撃でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「山本五十六」製作委員会

本作みたいな太平洋戦争ものとゆうのんは、これまでにあまりにも多くのタイトル数が出てきておます。そやから、シンクロナイズする作品は多岐にわたりよります。

ただ、それらを漫然と出して比較しても、あんましオモロなさそうなんで、チョイ視点をば変えてみます。

本作は東映はんの製作作品どして、東映の戦争映画ものとゆうのんは、玉砕・特攻ものから「男たちの大和」(2005年製作)など、ハリウッドの戦争もんにも負けへん豪快な作品がござります。しかし、コレは東宝映画やった「連合艦隊司令長官・山本五十六」(1968年)の、ある意味では、21世紀的なバージョン・アップによるリメイク版やとも取れます。

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但し、東宝と東映の戦争映画には、少し相違点があります。東宝作品にはスマート感がビミョーにあり、一方の東映系には、良い意味でも悪い意味でも、ベタなカンジがあるように勝手に思とります。

戦争映画的には、このベタ感はココロに、グサリとくるところがありまんねん。例えば、出演陣になぞらえよりますと、五十六役の役所広司のアニキ。主演した東宝の「ローレライ」(2005年)とは、ヤッパ違う演技で魅せてはります。とことん五十六になりきった、落ち着いた演技ぶりなんどす。

同じく、東宝の「真夏のオリオン」(2008年)にも出てはった、玉木宏と吉田栄作の各アニキも、ビミョーに違う演技を披露しはりました。スマートにも見えよるけど、死にゆくシーンやらで、東映印の「仁義なき戦い」(1973年)みたいな、ベタなとこをば見せてくれはります。

阿部寛のアニキも、NHKドラマ「坂の上の雲」風にも見えよるけども、出演した東映の「バルトの楽園」(2007年)チックな演技ぶりや。加えて、役所の家族シーンの描写では、妻役の原田美枝子やコドモたちの関係性を、食卓シーンだけで見せてゆくとゆう、ユニークな作りをしてはります。

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成島出監督的には、初の戦争映画にして大作でおます。でも、随所で食卓シーンを含めて、新しどころを見せてくれてはります。ほんでもって、いろんな人の死ぬシーンの演出ぶりに加え、死ぬ前シーンの粛々とした演出ぶりどすか。

モチ、クライマックスの五十六の死にゆくシークエンスが、見どころやとは思うけど、一方で、香川照之アニキや田中麗奈ネーさんやらの、生き延びた人たちのシーンにも注目しておくんなはれ。

とゆうことででんな、戦争映画の見ごたえある大作がまた1本、作られたのは間違いござりまへん。

2011年12月15日 (木)

フランスの往年のシネマスコープ映画「歴史は女で作られる」【デジタル・リマスター完全復元版】

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ハランバンジョーのヒロイン映画の、ショービズチックなエンタ化作品でおます

往年のハリウッド的スペクタクル映画に、対抗意識バチバチの、いわゆるチョー大作フレンチ映画ってヤツどすかな

http://www.eiganokuni.com/meisaku4-rekishi/

12月23日から1月13日まで、東京[シアター]イメージフォーラムで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、1月28日サタデーから、大阪はシネ・ヌーヴォはんにて上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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1950年代頃のハリウッド映画は、スペクタクル、ミュージカルなどのゴージャスな映画が、シネマスコープの長方形の巨大サイズで映画館で上映されて、当時のみんなのドギモをば抜いてはったそうどす。

そんなアメリカ映画に対抗意識を燃やさはって、フランスが作ってきはったんが本作なんでおますよ、おそらく、たぶん…。日本でも実は、巨大サイズへの肉迫する作品は、1950年代にはいっぱい作られておりました。そやから、本作を鑑賞しますと、当時のシネスコの雰囲気やらが、濃厚にカンジられよることになっとります。

まあ、今の3D映画的な広がりみたいなんがあったんやないやろか。

そう、例えば、1950年代のハリウッド・スペクタルチック映画、アカデミー賞作品賞ゲットの「地上最大のショウ」(1952年製作)とか、「空中ぶらんこ」(1956年)、聖書ものの「十戒」(1956年)、「天地創造」(1966年)やらの雰囲気に加えまして、各種のミュージカル映画に加え、ヒロイン映画としては「風と共に去りぬ」(1939年)なんぞも意識下にあるカンジが、ボク的には何ともキョーレツ、ほんでビンビンに作品性が伝わってまいりました。

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作品の構成が見事でおます。1956年の全世界公開版とは全く違って、現在と過去をカットバックさせるとゆう、スタイルをば採ってはります。しかも、そのスタイルは、現在においても斬新なもんでおます。

大げさで芝居がかっとるやもしれまへんが、フツーのように映画メイキング映画を作るよりは、はるかにオモロイかとボクは思います。特に「地上最大のショウ」への、パロディチックな作りがインパクト大どした。

そして、ナンチューてもヒロインの、マルティーヌ・キャロルのネーさんの魅力でおます。往年のハリウッド女優と比較しても、何ら遜色のない演技ぶりなんどすわ。例えば、オードリー・ヘプバーンなんかと比べても、ほとんど同じような感触さえござります。

但し、タイトルからもブラック・ユーモアなテイストも入っとりまして、ヒロイン映画のラブ・ストーリーにして、ある種の男性遍歴チックにも描かれておます。ところどころで披露される、ユニークやけど、フーンとうなずけるセリフにも注目どす。

1956年公開版を、残念ながらボクは生まれる前なんで、見てまへんねんけど、本作は変身しておそらく、ルービックキューブ的な多角形の作品に、なっとるんやないかと勝手に思いよりました。とにかく、面白い。ブルーレイやDVDやなく、ぜひ映画館で見てほしい1本でおます。

2011年12月14日 (水)

末期ガンのラブコメやなんて「私だけのハッピー・エンディング」

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「ある愛の詩」よりメッチャ、明朗版となった1本でおます

オカンのゴールディ・ホーンに迫らはる、ケイト・ハドソンのネーさんのコメディエンヌぶりは、いよいよ佳境領域へと入ってまいっとりま

http://www.happyending-movie.com/

ディセンバー12月17日サタデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマやら、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Earthbound Films, LLC

本作主演のケイト・ハドソンのネーさんてゆうたら、ボクは「あの頃ペニー・レインと」(2000年製作・アメリカ映画)でスッカリ虜になりました。

ところがでんな、そのケイト・ネーが、ゴールディ・ホーンの娘はんやとあとで知りまして、モノゴッツーな感動とゆうか、運命をばカンジよったんですわ。

オカンのホーンのネーさんは、ボクの青春時代のバイブルチックなアイドルどした。フツーでも目がデッカイのに、目を剥き出しての大仰な演技ぶりのインパクト。トンデモなラブ・コメディエンヌぶりには、常にディープに魅了されとりました。

ラブコメ以外のシリアスな作品でも、十分に通用する美貌やのに、とことんコミカル作品に出てはったような印象がござります。これは個人的に大いなるナゾやと思とったんどすが、なるほど、彼女以降のラブコメ映画が、美女もラブコメの主役になれるとゆう、一種の映画革命をば起こさはったんやないやろか。

娘はんのケイト・ネーさんやけど、オカンほどコメディエンヌへのこだわりはないみたいやけど、でも、やってはります。そして、本作はオカンの演技性を、一つクリアーしはったようなとこがあって、ボクは目を見張りました。

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シリアスとコメディの中間ライン演技を、ハラハラドキドキはありましたが、何とか綱渡りしはった点どすか。

ヒロインのケイト・ネーは末期ガンで、その死とその後まで描かれるんどすわ。でも、明るい。ネーさんの明るさは、わざとやってはるようなオカンより、自然体に見えます。

その明るさゆえにこそ、明暗の調和演技が可能になったんでおましょう。そやから、「ある愛の詩」(1970年・アメリカ)みたいに“愛とは決して後悔しないこと”なんてゆうことを、シビアにゆわんでもええ軽快なノリなんでおます。

でもって、ナンチューても、天使役らしきウーピー・ゴールドバーグはんの、実名による出演どす。ほんで、ケイト・ネーにアドバイスをばしはるシーンがおます。ウーピーはんてゆうたら、代表ケッサク「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年・アメリカ)やらを持ち出すまでもなく、アメリカでは一つの国民的レベルの認知演技として、本作の演技がござります。

相手役のガエル・ガルシア・ベルナルのアニキも、今までのエキセントリック演技を封印し、落ち着いた演技でいってはりま。オカン役のキャシー・ベイツはんも、同じく煽情系演技をば排して落ち着いてはりました。

ケイト・ネーのための映画のようにも見えよるけど、女性映画の新地平みたいなんを、クリエイトせんとするところに、ボクは熱気をばカンジた次第なんどすえ。クリスマスや正月に、みなはんに見てもらいたい、ラブコメやと思いま。

2011年12月13日 (火)

ホンマに暗い映画を見たい人必見の「無言歌」どす

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でも、ナンボ暗いゆうても、救いやチョッとした希望の光くらいはあるやろなと思わはる人も…打ちのめされはるかもしれまへん

そやけど、映画としての質度はメッチャ高(たこ)うおますんで、上級の映画を見に行きたい人には、きっとグーどすえ~

http://www.mugonka.com/

12月17日サタデーから、ムヴィオラはんの配給によりまして、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やらで、全国順グリのロードショーやー。

ほんでもって、関西では、師走12月24日の土曜日から、大阪・テアトル梅田。その後、睦月1月7日からは、大阪・十三の第七藝術劇場やら、京都シネマで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

すんまへんな。明るい映画やありまへん。総じて暗い映画かもしれまへんし、チョッとした曙光くらいはあるやろかも、期待できしまへんねん。

文革前にもでんな、実は毛沢東はんは、ムチャクチャなことをやってはりました。言いたいことを言えとゆうて、言い始めたらそいつらを、辺境の収容所に閉じ込めて、意味のない強制労働さして弾圧しよるんどすわ。

ほんで、コレは1960年度のそんな収容所の様子をば捉えはった、ドラマ映画とゆうことになっとります。殺されへんだけどして、ナチの収容所もんに近いニュアンスがあり、また、恒常的に食料不足どして、餓死しはる人が次々に出るんでおます。

おいおい、一体、それはどおゆうことやねんと、思わはるかもしれまへんが、どおゆうわけか、そないなことになっとりまんねん。そやから、死んだ人の肉まで、食いそうになるようなエライ状況なんでおます。でも、人肉食いの「野火」(1959年製作・日本映画)やらを思い出すかとゆうと、そうやありまへんねん。

数知れんほどある多彩な、サバイバル映画として本作をみた場合、ドラマ性はほとんどなく、つまり、ただ死んでゆくのみとか、そないに上に反抗することもなく、ヤラレるままやとか、死んだ夫に会いに来た妻が、ただ悲しむだけの姿とか、そんなんばっかりやねん。でも、実話が基になっとります。それは隠せへん事実どす。

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正真正銘の中国映画のはずやのに、内実は香港とフランスとベルギーが資金提供した作品どして、中国はいっこも製作費を出してはりません。

しかも、中国国内では上映禁止とゆうことになっとるそうです。そらそやわな、こんなトンデモない実話を国内でロードショーされてしもたら、政府にしたらどもなりまへん。

本作のワン・ビン監督は、9時間を超える「鉄西区」(1999年~2003年・中国)を始め、キョーレツなドキュメンタリーを作ってはります。でもって、本作が初のドラマ映画なんどすわ。そのまま伝える姿勢は変わらへんので、暗さは暗いままに伝わってきよります。しかし、映画的な撮り方や作りが、暗さ以上にコレは映画なんだを主張しよるんです。

1分から3分くらいまでの長回し撮影が、移動撮影・固定撮影で頻出しよります。ラストロールでは、アカペラの詠唱は流れるけど、本編ではサントラは流れず、タイトルにある“無言”通りでセリフも少のうおます。代わりにといってはなんやけど、砂嵐、風の吹く効果音やらを入れてはるけど、索漠とした荒野シーンの無常観やらで、暗さはいや増しよりま。

アップをほとんど入れないシーン作りに加え、ロングショットの多用など、映画作りとはこうあるべきやを示してはります。説明カットを極度に廃し描写を中心にした、中国インディペンデント映画の精神が、根付いたケッサクどしたえ~。

2011年12月12日 (月)

トンデモSF韓国映画「エイリアン・ビキニの侵略」やで~

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おいおい、「スピーシーズ 種の起源」の韓国バージョンかいやー

しかも、密室男女2人の、エイリアンVS人間による、駆け引きもんとゆうスタイルどすえ~

http://www.alien-bikini.com/

ディセンバー12月17日サタデーから、キングレコードはんの配給によりまして、大阪・九条のシネ・ヌーヴォでロードショーでおます。「R15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒkinomangosteen

オンナ・エイリアン1匹による、地球侵略映画でおます。しかも、エイリアンを地球上に繁殖させるために、童貞のイケテナイ・メン限定ででんな、●●●せなあきまへんとゆう設定なんどすえ。で、妊娠するわけで…。

おいおい、そら、ナンチュー映画やねん、なんやけど、ズバリ申し上げよりまするに、「スピーシーズ 種の起源」(1995年製作・アメリカ映画)の韓国映画バージョンでおまっせ。

ほんでもって、最初から最後まで、トンデモない感がさめやらずに、ストーリーは展開してまいりまんねん。ビックラこきましたがな。

冒頭から、エイリアンを取り締まる都市防衛軍の奴らが、女エイリアンをカンフー・テコンドー格闘アクションで、追い詰めようとしてるとこに、女をイジメてるように思た主人公が、この女エイリアンを助けはりま。追逃走劇も展開しよるんどす。

でもって、女エイリアンと主人公がでんな、2人だけでとある密室空間に籠もらはるっちゅう流れどっせ。そして、2人が●●●をするかしないかで、丁々発止の凄まじき密室バーサスが始まりまんねん。

近接撮影、アップ・クローズアップのモンタージュによりまして、男女2人の室内劇。本作の大きな見どころが、ココにござりまんねん。純潔を誓った主人公の催淫剤とか、カーマ・スートラな奥義やら、ナワで縛られてのゴーモン的なシーン、鼻から精力剤チューブやとか、黒板を手でこすって、耳から血が出て聞こえなくなりなんやら、まさに何でもありのバーサスでおます。

「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)を漠したような、宇宙のCG使いやとか、逆に手書きのイラストでエイリアンの出自を説明するカット。加えて、ギターのフラメンコ・タッチから、シンセ・チェロ・バイオリン、クラシックなピアノ曲まで、シーンに合わせはった多彩なサントラ使いやらにも、酔える仕上がりとなっとりま。

ホンマ、ケッタイな作品やけども、妙にクセになりよる怪作やで~。

2011年12月11日 (日)

3Dアニメ「friends(フレンズ) もののけ島のナキ」

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赤鬼役の香取慎吾アニキの、キョーレツなナリ切り声優ぶりに注目や~

山崎貴監督がニッポン童話「泣いた赤おに」を、ビビ・ビビッドにアニメ移植しはりました

http://www.friends-movie.jp/

師走12月17日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、3D・2D同時公開で、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「friends」製作委員会

「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ(2005年・2007年・2012年=最新作は近日中に分析しま)の山崎貴監督のアニキが、3DCGアニメを大マジで作ってきはりましたで。

ニッポンの童話のケッサク「泣いた赤おに」が、原案とゆうことになっとります。“日本昔ばなし”なんぞをはじめとして、日本の童話世界っちゅうのんは、イソップやグリムやらと肩を並べるくらい、奥深いもんがござります。さらに、イソップ的に分かりやすく、しかもイロんな人生的教訓やら前向き人間ドラマ性を、物語を通して示してくれはります。

加えよりまするに本作は、コドモたち向きだけやありまへん。まあ、この種のアニメにはよう言われることやけど、大人の鑑賞にも堪えうるっちゅう作品なんやけど、その作りは大人がコドモの時に感じたものを、懐かしくよみがえらせるようなカンジなんどす。

その意味では、宮崎駿監督やらのスタジオジブリ作品に通じるような、作品性も有してはるんどす。モチ、家族一同でも見に行けるファミリー映画の意味では、ディズニー・アニメにも決して勝るとも劣りまへんで。

特に、赤ん坊の声を全編にわたり、大胆にフィーチュアしてはって、これほどやってはんのは、古今東西の映画史上初めてなんやないでおましょうか。

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そんなベイビー・キャラもモチ注目なんやけど、でも、ナンチューても、主役声優としてのSMAP香取慎吾アニキの、グチャグチャ系でおます。

実写映画の「こち亀」(今年7月18日付けで分析)でも、自らを殺してのフニャラ系を、ワザトラマンのようにやってはりましたが、この持ち味は「無責任」シリーズ(1962年~1964年・全4作)な植木等みたいなセンスでおます。

でもって、そいつをば声で今回は示さはりました。本作は地声を完全に消してはります。アフター・レコーディングやなく、事前に声を吹き込んで、セリフに絵柄を合わせてゆく手法やったそうやけど、それだけに、声とシーンのスリリングなコラボレーションが、本作のでっかいキモにもなっとるんです。

慎吾アニキの盟友の青鬼役には、声優のプロフェッショナリストの山寺宏一アニがやってはりますけど、2人の友情部も見逃せまへん。

ほんでもって、コドモを育てる慎吾アニキの構図てゆうたら、チャップリンの「キッド」(1921年・アメリカ映画)を思い出させよりました。ラストロールで流れるMISIA(ミーシャ)ネーさんの歌「スマイル」もまた、チャップリンが「モダン・タイムス」(1936年・アメリカ)で作った曲でおます。

とにもかくにも、世代を超えて家族全員が楽しめる、そんな作品になっとりまっせー。

2011年12月10日 (土)

コレって驚異の家族ドラマ映画やん!「灼熱の魂」

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オカンの過去の話と双子の姉弟の現代の話が、シンクロナイズド・サスペンスでおます

ロードムービー・スタイルで緊張感をドドーンと増してゆく、ミステリー・スタイルがキョーレツやったで~

http://www.shakunetsu-movie.com/

東京は12月17日から、アルバトロスフィルムはんの配給で公開やけど、関西やったら、January1月7日サタデーから、大阪・テアトル梅田、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。その後、京都シネマやらで全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

東京は年末公開どして、今年の年間ベストテン級の、カナダ・フランス合作映画でおます。

嗚呼(ああ)、なんてゆうか、本作と関連するような作品を出すと、いっぺんにネタバレになってまうんで、すんまへん、出せへんねんけど、ただ、そのネタへと持っていくまでの道筋といい、過去と現在のカットバックといい、モノゴッツーな緊張感を持ってココロにきよります。

昨日分析しよりました「サラの鍵」も、過去と現在を交錯させたミステリー・タッチでおましたけども、本作はボク的には「サラの鍵」以上に、ミステリー・ショック度合いがキョーレツどした。

本作の海外の映評では、ギリシャ悲劇やとか、アガサ・クリスティ的ミステリーやとかの論評が出ておます。悲劇としてのネタ部は、かつて映画でも何度か採り上げられた素材なんやけど、ただ、ミステリー・スタイルで最後にコレを明かされると、ドドーン、あるいはドカーンと胸にきよります。

つまり、本作はその決着へ持っていくまでの、ストーリー展開が巧妙でおまして、かつハラハラドキドキ誘発度がえらい高いんどすわ。なんぼサプライズがスゴクても、そこへ持っていくまでが散漫やったらどもなりまへん。

でもって、本作はその起承転結の“起承”の作りが、歴代映画の中でもベストテンに入っても、おかしゅうないくらい、うまいんやわ~、コレが。

カナダでオカンが死にました。オカンの遺言に従い、娘はんがオカンの過去を探りに中東へ行かはります。オカンの過去と娘はんの現在が、カットバックされてまいります。娘はんだけやなく、娘はんと双子の弟の息子はんもいてはりまして、この方は調査のシビアな途中経過を知らはって、矢も楯もたまらんと、後半から調査に参加しはります。

ナンチューてもこの“起承”では、オカンの過去の描写が特筆もんとなっておます。不運をかこつヒロイン・ムービーてゆうたら、みなはんも何作かは見てはるかもしれまへんが、コレは異質なカンジどした。

イロンな事情により離れ離れになってしもた我が息子を、オカンが1970年代の内乱中の中東を、探しにゆかはるとゆう、ロードムービー・スタイルなんやけど、息子を探しに行っただけやのに、その後シビアかつチョー不運な人生をば、送らはることとならはります。

それを探ってゆく、現在進行形の双子の姉弟。この2つが熱く強く、緊張感に満ちてつながってゆきよります。そして…。

いや、まあ、このネタとしては、究極系のカタチを示してはります。こんなことあるんかいなとゆう、驚きだけやありまへん。その向こうにあるのんは何なのか。そこまで深く考えさせられる内容どす。

好き嫌いが分かれるやもしれまへんが、ボク的にはコレはケッサクでおました。後味の悪さを覚える人がいるんやったら、その悪さ加減には、コレまでの映画にはなかった新しさがあるハズどす。かつて描かれへんかった、変格系家族ドラマの極北と感動が、ココにあります。

2011年12月 9日 (金)

Wヒロインがシブいフランス映画「サラの鍵」

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2009年サイドのクリスティン・スコット・トーマスのネーさんと、1942年サイドの少女ヒロインのメリュジーヌ・マヤンスちゃんが交錯して展開する、ミステリーチックなヒューマン・ドラマだす

http://sara.gaga.ne.jp

December12月17日Saturdayから、ギャガはんの配給によりまして、東京・銀座テアトルシネマやら新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、睦月1月21日の土曜日から、シネ・リーブル梅田やら、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 - Hugo Productions - Studio 37 - TF1 Droits Audiovisuel - France2 Cinema

ナチスがフランスのユダヤ人を集めて、収容所送りにした1942年のユダヤ人迫害事件を、「黄色い星の子どもたち」(今年7月7日付けで分析)に続いて採り上げはった問題作でおます。但し、「黄色い星の子どもたち」が1942年の話を、つぶさに描かはったストレートな作りやったのに対し、本作は構成やらに工夫が施された映画的な作術劇で描かれておます。

ただ、本作には小説の原作がござります。タチアナ・ド・ロネはんの小説なんやけど、それをば見事に映画的な作りへと移植してはります。ストーリーは1942年の少女サラの過去と、その過去を探る2009年の女ジャーナリストの話が、交互にカットバックされて展開しよります。しかも、どちらの年代も、時間の流れに即して進みますんで、ヒジョーに分かりやすうなっとります。

でもって、2つのヒロインの話がやがて交錯し、ほんでもって、アッと驚く結末を迎えるとゆう映画になっとるんですわ。少女ヒロインものとしての映画性プラス、ジャーナリスト・ヒロインの生き方も描く、大人のヒロイン映画性が調合されて、ありふれとる言い方やけど、2倍おいしいヒロイン映画とゆう構造を持っておます。

現代のヒロイン役は、クリスティン・スコット・トーマスのネーさんどす。出世作の「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年製作・アメリカ映画)では妖艶な人妻をやってはったけど、彼女の持ち味は本作のように、ピリッとしてキリッとした役柄にこそ発揮されるように思いよりま。

大昔のサラの行方を、ネーさんは探らはります。つまり、ミステリー的に話は転がってゆきよるんどす。ユダヤ人迫害もの映画はいっぱいありますけども、現代から取材してその真相に迫るパターンは、あんましありまへん。

まあ、隠れナチを探る「オデッサ・ファイル」(1974年・イギリス)あたりくらいでおましょうか。ほんで、その取材の入り込み具合をゆうたら、「サンダカン八番娼館 望郷」(1974年・日本)みたいなディープさがござりました。

一方、少女サラ役をやった、メリュジーヌ・マヤンスちゃん。カゲリある演技性は、「禁じられた遊び」(1952年・フランス)の少女とは180度違(ちご)ておます。そして、サラの数奇で波乱に満ちた人間ドラマ部が、本作のもう一つの大きな見どころどすえ。

両親が先に収容所に送られてもうたあと、仮収容所を脱走して、家の押し入れに鍵を掛けて、1人置き去りにしてもうた弟の元へと向かう道行。遂にたどり着いた時には…。さらにその後、大人になって結婚し、コドモを産んで…。

2つの話が次第にシンクロしてゆく後半は、手に汗握る展開が待っとります。ぜひ、劇場でご体感あれ! でおますよ。

2011年12月 8日 (木)

ヒューマン・ドキュメンタリー映画「みんなのしらないセンダック」

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スパイク・ジョーンズ監督「かいじゅうたちのいるところ」の原作者モーリス・センダックはんへ、監督が熱血アプローチやー

「INVITATION from SPIKE JONZE」として上映でおます

http://www.contrarede.com/spikesendak.html

12月17日から、東京・ユーロスペースでロードショー後、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリの公開どす。

共にスパイク・ジョーンズ監督による「アイム・ヒア」との2本立てどすえ。

本作を配給しやはるのは、ミラクルヴォイスはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 Outside Productions

昨日分析しました「アイム・ヒア」との2本立てでおます。けども、短編2本立てなんで、かつてのプログラム・ピクチャー的な、オトク感はないやもしれまへん。そやけど、凝縮された濃密な映画時間が、体感できるような仕上がりになっとるんやないかなとは思います。

ただ、2つの作品は真逆とゆうか、ドラマとドキュメンタリーとゆう、かつてなかった組み合わせとなっとります。そやから、集客的にはどないなるんかな~とゆう心配は、あるやも分かりまへんけども、それでもこのサプライズ感ある2本とゆうか、それをまとめて見るミスマッチ感みたいなんが、ケッコー良かったりして…。

どないなるやら分かりまへんが、とりあえず、本作の話へ移りますと…。チョー変格ドラマ「マルコヴィッチの穴」(1999年製作・アメリカ映画)で、映画監督デビューしはった、スパイク・ジョーンズのアニキが、2009年に「かいじゅうたちのいるところ」(2010年1月4日に分析・原作は1975年に発表)ちゅう映画をば撮らはりました。

でもって、本作はその絵本の原作者モーリス・センダックはんにアプローチしはった、映画のメイキングとは違う、ドキュメンタリーでおます。しかも、センダックはんの人間性にも迫ろうかっちゅう、勢いもカンジられた映画どした。

本人へのインタビューと過去のモノクロ写真やらを、フツーのようにモンタージュするんを、メインにしてはるように見えますが、インタのコトバを短カットで編集したり、人生と孤独についての話やら、作りの新味やドッキリも、それなりに追求してはります。

「かいじゅうたちのいるところ」のPR映画では、決してない誇りも見えます。ただ、こうした作品はDVD化に合わせた特典映像として、使われる場合があるんやけど、本作は気合が違(ちご)とりました。メリル・ストリープ、キャサリン・キーナーやらへのインタビューも、ドキュ作品としての独立した作品性を見せるべく、誇示しはります。

ボク的には、センダックはんの作品作りのイロイロを、見せてもらってケッコー楽しめました。ほんでもって、エイリアン、宇宙人やなく、モンスター、怪獣たちと交流したい、コドモたちのココロをくすぐらはったところ。つまり、当時の時代性を視野に入れてはったらしき、センダックはんの作品作りに感服もんどした。

「ハリー・ポッター」へも通じる流行時代性もありで…。そして、人間センダックはんの前向き度の高さも、カンジられる作品どした。

2011年12月 7日 (水)

ロボット人間の男と女のラブ・ストーリー「アイム・ヒア」やねん

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ゆうてみたらでんな、犠牲精神ある恋愛映画の快作どすえ~

監督スパイク・ジョーンズのアニキの、インディペンデント・スピリッツが燃え上がっとりま!

http://www.contrarede.com/spikesendak.html

ディセンバー12月17日サタデーから、ミラクルヴォイスはんの配給によりまして、“INVITATION from SPIKE JONZE”と題して、「みんなのしらないセンダック」(明日分析しよりま)との短編2本立てにてでんな、東京・ユーロスペースで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ガーデンシネマ、京都みなみ会館やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 Russia, Inc. All Rights Reserved

これまでのハリウッド映画の正統系から、わざとのようにソレはって、イロイロやってきはる方の1人に、スパイク・ジョーンズ監督のアニキがいてはります。ボクが言うまでもありまへんが、大作のハリウッド映画だけが、アメリカ映画やござりまへん。

いわゆる、インディーズ系のインディペンデントな映画もアメリカンどして、ほんでもって、エエカンジで映画ゴコロをば、くすぐってくれはる映画の宝庫なんでおますよ。でもって、作ってきはったんは、ロボット人間同士のラブ・ストーリーでおます。

しかも、顔をハコ型の白いボックスで覆われた、メッチャシンプルなタイプどして、初期ロボット映画にも登場せえへんかったような、チャッチーなもんでおます。でも、そのロボットたちが憂いに満ちた、実に微妙な表情を見せてくれはります。

アラマ・ポテチン(驚き)なんやけど、昔風の古典的ロボットへオマージュ的に簡略化した、この人間ロボ像は、そのソリッド性においても、スパイク監督により計画的に作られておます。あくまでも追求されるのんは、ロボもヒトも関係ない、犠牲精神あるラブ・ストーリーの在り方みたいなもんどすか。

写真のように、セピアな日の射すセピアな草原での、2人のロボ人間のデート・シーンとか、薄いメタリック・グリーンな配色を施した、2人のベッド・シーンとか印象的でおます。

そして、サントラ的にもシーンに合わせた多彩な音楽使いを施してはるんどす。エレクトリックなピコピコ・サウンドとバイオリンの混合やったり、あったかいキーボード・サウンド、ラブ&ピースな女性ポップス・ナンバー、ギターの弾き語りによる、癒やしの女スロー・ナンバー、でもって、ラストロールではシンプルな8ビート・ロックンロールが流れたり…。31分とゆう時間とはとても信じられへん、濃密なサントラとシーンのコラボレートが続いてゆきよります。

ボクは本作を見て、この後分析しよります、ガス・ヴァン・サント監督の新作「永遠の僕たち」とのシンクロナイズを見たりしとりました。サント監督もジョーンズ監督と同じく、アメリカのインディペンデント・シネマ・スピリッツの、アート映画の可能性を追求してはります。ぜひ2作を見て比較してもらいたいかと、ボクは思います。

そこから見えてくるのんは、間違いなく、アメリカン・ラブ・ストーリーの、アート的な新しい可能性でおます。ボクたちが見るべき恋愛映画は日々、進化すべきや。コレはボクの勝手な考えなんやけど、2作共にそんなボクのワガママに応えてくれはった快作品どしたえ~。

2011年12月 6日 (火)

ヒロイン・サスペンスのフランス映画「スウィッチ」どうどす?

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フレンチ・ノワール的よりも、アメリカンなヒロインズ・サスペンスで通さはった快作ミステリーどすえー

美しいヌードも披露しはる、カリーヌ・ヴァナッスのネーさんのドアクションぶりに注目やで~

http://www.switch-movie.jp/

December12月10日Saturdayから、ブロードメディア・スタジオはんの配給によりまして、東京・新宿武蔵野館やら、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおまっせ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 CARCHARODAN - L&G - PATHE PRODUCTION - FRANCE 2 CINEMA - JOUROR - TERCERA PROD

本作は2011年現代のフランス映画なんやけど、かつてフランスに存在したフレンチ・フィルム・ノワール(犯罪)映画のノリは、実は控えめになっとります。とゆうか、ハリウッド製作のサスペンス&ミステリー映画と、ゆうてもええくらいの作りになっとります。

フランス産フィルム・ノワールとハリウッド・サスペンスの違いについては、話すと長くなりますんで、はしょりますけども、例えば、本作みたいにヒロインが「逃亡者」(1993年)のハリソン・フォードや、「ボーン」シリーズ(1999年・2002年・2007年)のマット・デイモンみたいに、弾けまくるなんてことは、フランスものには、まあ、ござりまへんどした。

オンナだてらにヒロインがアクションを披露する映画で、しかもサスペンス系なんかは、まさにアメリカン映画の世界なんでおます。本作のプレスシート(プレス向けパンフ)には、アルフレッド・ヒッチコック監督作品を意識したとござります。

細かい作品名については書かれておまへんけども、犯人として追われもって真犯人を追う「北北西に進路を取れ」(1959年)とか、「間違えられた男」(1956年)やら、シャワー・シーンでサスペンスな「サイコ」(1960年)なんやらでしょう、たぶん。

但し、ヒッチコック作品では、ヒロインは脅えるサスペンス・ヒロイン性が、多くござったかと思いよりますが、本作のヒロインは違います。また、フツーのような攻撃的なアクションやなく、基本は逃走・防御・応戦アクトでおます。ハリウッド映画的なアップ・クローズアップ・スクリーンはみ出しアップも多用されとりまして、特に、ヒロインにそういうシーンの多いのが、特徴的となっとります。

写真のヒロイン役のカナダ出身カリーヌ・ヴァナッスのネーさんが、無名に近いけどエエんどすわ、コレが。本編でバスト・ヌードを2度も披露しはるけど、ヤッパ、サスペンス度合いに合わせて披露してはるんで、ヤラシー感はほとんどありまへん。そうやな、ナオミ・ワッツのネーさんみたいなカンジやろか。でも、アクションの激しさは、ナオミネーを上回ってはるかもしれまへん。

ナンチューても、刑事役エリック・カントナのアニキとの追逃走シーンの、ゲキレツぶりどすかな。階段・家内・マンション・森など、ヒロインにそんな速力があったんかと、思えるくらいの逃げ方なんどすわ。このチカラ・ワザなアクトは、最後まで機能しとります。

でもって、サスペンス映画的には、凱旋門・エッフェル塔やら、パリ・サイドの昔の名作に出たポイントは、キチッと抑えつつ、21世紀的も示さはります。防犯カメラ・ケータイ・鑑識的分析・ネット犯罪の現在形などが、巧みに織り込まれておます。

首切り殺人やらの猟奇的な本作の犯人とは、一体何者なんか、動機も含めて、最後まで分かりまへん。「チャイナタウン」(1974年)やら、今後分析しよります「灼熱の魂」(東京12月17日公開)やらと、実はネタ部でシンクロしよるかも…やけど、とにかく、フランス・サスペンスの現在進行形を、本作でお楽しみくだされ。

2011年12月 5日 (月)

ドキュメント「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」

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ハリウッドでも映画化される、スペインのレストランを描いたドキュメンタリーでおます

徹底的にしつこくそのままを捉えるスタイルこそが、まさにドキュのドキュたるオモロサどすえ

http://www.elbulli-movie.jp/

December12月10日Saturdayから、東京・シネスイッチ銀座で、スターサンズはんとドマはんの配給により、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、12月24日から大阪・梅田ガーデンシネマで上映どす。その後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらで掛かります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 if…Productions/BR/WDR

有名なレストランの企業秘密を、終始一貫徹底的に客観的に描かはった、ドキュメンタリー映画でおます。

しかも、スペインの有名なレストラン・ドキュを、他国のドイツ製作で撮るっちゅう形態の映画となりよりました。

ドイツのドキュとゆうのんは、ボク的にはそないに見たことないんどすが、原発を描いた「アンダー・コントロール」(今年11月16日付けで分析)なんぞも見てみまするに、濃密・ベッタリ・詳細・ディテールへのこだわりなど、ハンパやない徹底的なリアリズムに裏打ちされとります。

ナレーションなんかによる、監督の意見やら感想やらはほとんどなく、そのまんまをしつこいくらいに映してゆくスタイルは、ドラマ映画では決して出せへん、緊張感があるように思いよりました。同じような作りで映画史に残るオリンピック・ドキュも創った、ドイツ・ドキュの真骨頂がココにござります。

さて、このレストラン「エル・ブリ」なんやけど、1年のうち6カ月間も休業してはるんどすわ。その休みの時に何をやってはるんかとゆうと、新しい食を編み出すための、試行錯誤と実験をやってはりまんねん。その緻密な調理実験シーンが、本作の前半で綿々と続きよりま。

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本営業では、3時間で35種の創作料理を作らないかんらしいんやけど、その実験シーンの連続描写が単調にも関わらず、やがて目がクギ付けになってゆくようなカンジどした。

オーナー・シェフのフェラン・アドリアはんの、常に冷静なスタンスにもココロ惹かれまっせー。“意外性と感動ある新しい食”への執拗さが、そこまでやらんでもとゆうとこまで、いってはるかと思います。

最後には、その35食を写真カットながら見せてくれはります。オモチャみたいで見た目はおいしくなさそうなんやけど、コレらがモノスゴイ味のアートぶりを示すんやそうどすえ。

後半はレストラン営業の実際を見せてくれはります。レストランのインテリア・レイアウトを整える仕込みのプロセスを始め、実際の営業シーンでは、客席をほとんど映さず、厨房を中心にその慌ただしさで、スリリングを見せてくれはるんどす。

そんな中でも、フェラン・オーナーはんの試食して、適宜アドバイスを繰り返す陣頭指揮ぶりが、ドラマとして見た場合も映えよるかと思います。このレストランとオーナーの実話は現在、ハリウッドでドラマ映画化進行中らしいどす。ホンマ、これからも楽しみどすな~。

2011年12月 4日 (日)

瑛太初のアクション映画や「ワイルド7」

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7人のワルが毒をもって毒を制する、ミッション系アクションやで~

「海猿」の羽住監督の作品性、指令役の中井貴一キイッちゃん、謎のウエイトレス・スナイパー役・深田恭子フカキョンらにも注目どすえ

http://www.wild7-movie.com/

ディセンバー12月21日ウエンズデイから、梅田ブルク7やらで、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011『ワイルド7』製作委員会

日本の警視庁が7人の極悪犯罪者を使って、極悪犯罪人たちを抹殺してまうとゆう、毒をもって毒を制するとゆう映画でおます。モチ、フィクションでおます。しかも、コミック原作どす。

1969年から1979年まで連載されたコミックどすえ。7人とゆう編成。バイクに乗ってミッションを遂行する。これらのスタイルは、当時のトレンドを反映しとります。

7人とゆうのんは、「七人の侍」(1954年製作・日本映画)以来、綿々と続いておますミッション・メンバー構成人数どす。さらに、バイクに乗ってっちゅうのは、原作コミックの始まった年に製作された、アメリカン・ニューシネマ「イージー・ライダー」(1969年・アメリカ)の影響やないやろか。1970年代に出た「仮面ライダー」も影響を受けたかも。

ほんでもって、先行しとるオリジナリティー・ポイントもござります。毒が毒を制するスタイルは、「トリプルX」(2002年・アメリカ)なんかよりも、遥かに以前に作られておったんどすわ。

闇のグループものでは、「GONIN」(1995年・日本)やら、最新の「スマグラー」(今年10月8日付けで分析)へもシンクロするでおましょうか。モチ、ミッション系なら、「ミッション:インポッシブル」シリーズ(第1弾は1996年・アメリカ)へも通じよるかと思います。

さてはて、まず最初にその7人のミッションぶりを見せはるところが、映画の入り口で引きつけはります。

でもって、演技陣のやりとり。瑛太のアニキは初のアクション映画主演なんやけど、クールで落ち着いたアクションぶりを見せてはりま。で、瑛太と恋に落ちそうな、ウエイトレス・スナイパー役の、深田恭子フカキョンのネーさん。銃をどっから手に入れはったんかは分かりまへんけども、とにかくエエ感じやし、ラストのサプライズにも登場しはるんどす。

「GONIN」でも魅せはった椎名桔平のアニキのシブい演技やら、関ジャニ8の丸山隆平クンの熱血ぶりにも注目やし、7人に指令を下す中井貴一キイッちゃんも、貫禄の演技をば見せはります。

そして、羽住英一郎のアニキの監督ぶりでおます。「海猿」シリーズ(2004年・2006年・2010年・日本)が大当たりとなったんやけど、その豪快なアクション演出ぶりに加え、「銀色のシーズン」(2008年)、「おっぱいバレー」(2009年)などの青春映画で見せはったナイーブぶりも、それとなく仕込んではります。単なるアクションものやない作品なんどすえー。見に行くべしや~。

2011年12月 3日 (土)

生田斗真のアニキが光源氏になった「源氏物語 千年の謎」

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物語を作るメイキングの現実部と、物語部が分かれた作りでおます

物語の主人公の光源氏役・生田斗真のアニキと、原作者の紫式部役・中谷美紀ネーさんは、果たしてシンクロするんやろか

http://www.genji-nazo.jp/

師走十二月十日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国東宝系チョー拡大のロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

女流作家の紫式部が、平安時代に書かはった小説「源氏物語」は、日本を代表する余りにも有名な古典の名作どす。そんな名作の映画化に、何度目かのチャレンジをしはったんが本作でおます。

1950年代の日本映画の黄金時代には、「源氏物語」(1951年製作)やら「源氏物語・浮舟」(1957年)やらが、華やかにスクリーンを飾らはりました。そやけど、本作みたいに作者側と物語側を、分けて描くなんてことはありまへんどした。あくまで原作に即し、時代劇の黄金時代でもあった1950年代の作りに合わせてはります。

確かに今でも、原作に忠実に撮り上げてもよかったんやろけど、本作の10年前に「千年の恋・ひかる源氏物語」(2001年)が、東映創立50周年記念作品として作られておまして、現実と物語を分けた作りを披露してはりました。

そんな作りに加え、現実部では、平安時代の虚実織り交ぜた有名人を、登場させるっちゅう荒ワザを見せてくれはるんどすえ。「陰陽師」(2001年)のキャラクター安倍清明になった、窪塚洋介のアニキの怪しさやら、藤原道長役・東山紀之アニキの何やら、ワルにはなりきれへん誠実な演技ぶり。教科書にも出てくる和歌を吟じるシーンなど、なるへそと唸ったりするやも。

物語そのものも、これまでの絢爛豪華さは継承しつつも、本作らしいオリジナル・ポインツで魅せはりま。例えば、幽霊役も演る田中麗奈ネーさんのシーンやらは、かつての怪談もの映画へのオマージュや。

また、京都のセット撮影もの時代劇にしても、カンヌ国際映画祭で最高賞を獲った「地獄門」(1953年)とか、日本初のカラー・シネマスコープ「鳳城の花嫁」(1957年)やらの色彩感がグググーンとアップ。目が冴え冴えとするようなセット撮影をはじめ、セピアを基調とした、室内シーンや自然描写も鮮やかどした。

ほんでもって、ナンチューても光源氏役の生田斗真アニキやー。「人間失格」(2010年)に続く、エエ加減なプレイボーイぶりどす。さらにでんな、物語の作者・紫式部役の中谷美紀ネーさんやー。藤原道長の執筆依頼に淡々と応えてゆかはる、静謐さをキモにした演技性でおます。

さてはて、この2人は果たして会うんでおましょうか。小説の主人公と作者が出会うとゆうのんは、これまでにもあるんやけど、本作の場合は、それらとはかなり趣向が違いますんで、お楽しみあれでおます。ひょっとして、恋に落ちてしもたりして…ドップリはまってドッカ~ン…なんてね。

2011年12月 2日 (金)

こんなロボットSF見たことあれへんわ「リアル・スティール」

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ロボット同士がボクシングしよる近未来SF映画と、親子の絆映画を合体させるやて、なんてムボーな~やけど…

スピルバーグとロバート・ゼメキスの各御大が製作総指揮しはって、未来の「ロッキー」的サクセス・ストーリーを、ドカーンとやらはりましたで~の巻

http://www.real-steel.jp/

December12月9日のフライデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんの配給で、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸDreamWorks Ⅱ Distribution Co. LLC  All Rights Reserved.

ロボットが活躍するSF映画てゆうたら、これまでにもケッコーのタイトル数が出ております。でも、ロボットを人間がコントロールして、ロボット同士でボクシング対決をさせるやなんて、アニメにもあったロボ・ヒーローもんでも、前代未聞でおましょう。

映画の舞台背景は、2020年とゆう近未来設定どす。人対人のボクシングよりも、より過激なもんをとゆう大衆の要望で、このロボット対決が始まったとゆうことになっとります。それだけに、次々にやってくるロボット格闘シーンのスゴサ、その迫力には目を見張らせよります。

その流れの中で、ロボ操作側に回った人間の、父子のキズナを描くとゆう、ハットトリッキーを入れはりました。しかも、このロボットが2人のキズナを結びつける、仲人的役になっとるんどすえ。

スティーブン・スピルバーグ御大が、自身の監督作「激突!」(1971年製作・アメリカ映画・以下の引用映画は全てアメリカ映画)やら、「アイ・アム・レジェンド」(2008年)やらの原作作家リチャード・マシスンの短編の映画化権を、11年前に買い取ってはりました。

少年ロボットを描いた「A.I.」(2001年)を、監督しはった頃でおましょうか。ロボットものへ、多大な興味を抱いてはったんでおましょう。でもって、ロバート・ゼメキスはんと共に製作総指揮に回らはり、遂にそれの映画化を果たさはったんが本作なんどす。

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ロボット・ボクシングを描くだけの短編を、前述のように、強力バージョン・アップしはったんどすえ。人間の父子とロボット(なんと名前はATOM=アトムやで~)がロードムービー的に、闘いのロードをゆくとゆうスタイルといい、父子のキズナをロボットが取り持つようなカンジに加え、2人とロボットのキズナもあり、最後には大いなる感動を呼ぶ作品にもなっとります。

実はボクは、ロボ映画よりはボクシング映画とのシンクロナイズを、強くカンジよりました。例えば、「チャンプ」(1979年)の父子の感動系であったり、見出しにも書きました、アカデミー賞作品賞をゲットしてはる「ロッキー」(1976年)でおました。ロボとオトン役ヒュー・ジャックマンのアニキの、練習シーンやとか、クライマックス後のシメ具合とか、「ロッキー」への熱きオマージュを覚えました。

そのヒュー・ジャックマンやけど、今までのキャリアにない、弱さも見せる人間臭い演技をば見せてくれてはります。次のトム・ハンクスはんになってもエエような演技性を、ボク的には見ました。

少年役のダコタ・ゴヨ君にも注目や。本作はオトンよりも息子はんの方が、リードオフマンの役をやってはりまんねん。同じくドリームワークス作品の「夢駆ける馬ドリーマー」(2007年)でも、ダコタ・ファニングちゃん(ちなみに、ゴヨ君とは血縁関係はありまへん)が大活躍。

少年の冒険を描いた、スピルバーグ御大の新作「タンタンの冒険」(11月26日付け)ともシンクロすると思うんで、2作共に見に行くべしやで~。

2011年12月 1日 (木)

みなはん、アルゼンチン映画って見たことある?「瞳は静かに」

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少年・少女視点もの映画の問題作が、ラテンアメリカから登場でおます

四季の移ろいの中、静かそうに見えよる展開ぶりが、背筋を凍らせるかもな~

http://www.ameba.jp/vagabunda/

December12月10日Saturdayから、東京・新宿K's Cinema、渋谷UPLINKやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、2012年1月7日から、大阪・梅田ガーデンシネマを皮切りに、その後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらで上映しはります。

本作を配給しやはるのんは、Action Inc.はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

映画があまり量産されとらへん、いわゆる映画後進国の作品をば、みなはん、見はったことはありまっしゃろか。言うまでもなく、これらの作品群は、チョー低予算のもとで製作されておます。でも時に、映画史に残るような、スゴイのんを作ってきはることもありまんねん、コレがね。

日本で公開される場合も、単館系やし、地方の映画館まで万遍なく回るようなカンジにはなりよりまへん。また、DVD化も難しいとゆうような現状なんどす。それでも、東京まで見に行くで~なんてゆう、ゴリゴリの映画ファンだけやなく、ヤッパ、全国のみなはんに見てもらいたいような作品が、たまに登場するんどす。

本作のアルゼンチン映画でおますが、映画史に残るかどうかは分かりまへんけども、みんなに広く見てもらえるような資格を備えた作品性がござりました。そして、第三世界の映画でケッコー多い、少年少女視点もの映画へと、本作はアプローチしはりました。

アルゼンチン映画の少年ものを見るのは、ボク的には初めてどした。お隣の国ブラジルの「シティ・オブ・ゴッド」(2002年製作)や「セントラル・ステーション」(1998年)とも違う、その作品性を分析してみよりました。

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本作は1977年から1978年を背景に、アルゼンチンの1家族を、四季を通して描いたとゆう作品でおます。視点は前述通りどして、一家の幼い息子はんどす。体制派・反体制派の争いとか、グループ内の粛清とか、それらへの家族の関わりで母が死んでまうとか、いろいろとは見せはります。

但し、これらの描写は、何がどういうカタチで起こっているのかとゆう、具体的な描写や説明はあいまいなままで終始しよります。つまり、それらはコドモ視点やからでしょうか。

例えば、「ミツバチのささやき」(1973年・スペイン)や「パンズ・ラビリンス」(2007年・スペイン&メキシコ)の少女ヒロインみたいに、現実の非情さとゆうものが、少年主人公には、よう分からへんとゆう作り方なんでおましょう。その流れでゆくと、「シティ・オブ・ゴッド」のストレートな残酷感はないし、母を探す「セントラル・ステーション」のかわいそうやんな純情性もありまへん。

例えば、共にイラン映画やけど、開発途上国作品で、ボク的に少年ものとしてエエかと思ておます「友だちのうちはどこ?」(1987年)とか、「運動靴と赤い金魚」(1997年)とかの少年の素朴感が、本作の少年にはほとんど感じられまへんのどす。

でもって、フツーに遊んでる少年のラストシーンには、ココロ凍りつきよりました。少年の冷え冷えとしたココロが、見え隠れしとりました。ホラーとしてもいけるやもしれまへん。アラマ・ポテチン(ビックリ)どした。

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