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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年11月の記事

2011年11月30日 (水)

人間ドキュメンタリー「天皇ごっこ 見沢知廉・たった一人の革命」

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リンチ殺人事件の生々しき証言に鳥肌もんでおます

描かれる亡き本人以外に、フィクション的に紡がれる「あべあゆみ」のエピソードがエエで~

http://www.tenno-gokko.com/

太秦はんの配給によりまして、師走12月10日の土曜日から、大阪・十三(じゅうそう)の第七藝術劇場で、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ『天皇ごっこ』製作委員会

ドキュにはイロイロ種類がござりますが、本作は人間ドキュメンタリーでおます。しかも、描かれはる人間は、すでに故人になってはるとゆうタイプどす。そやから、本人の話は過去の分以外は聞けまへん。

となると、いろんな関係者に話を聞いていくとゆう形式が、オーソドックスではあるけど、ポイントになるかと思います。でも、本作は新しい視点をそこに入れることで、故人を描く人間ドキュの、新たな地平を切り拓かはったんやないかな。

それは見出しにも書きましたけども、描かれる見沢知廉(みさわ・ちれん)にリスペクトしてはる、女優はん「あべあゆみ」のネーさんを、ドラマ的に起用してはるとゆう点どす。地方の島から上京して、まだ見ぬ双子の兄(見沢を想定してはります)を探してるっちゅう妹役どして、いろんな見沢の関係者にインタビューを敢行してゆかはります。

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一方で、見沢にまつわるヤバイ系の話の引き出しには、本作の大浦信行監督のアニキが自らやってはります。ボク的には、ドキュの面白さの一つとして、「ゆきゆきて、神軍」(1987年製作)やら、今村昌平監督の半ドキュ「人間蒸発」(1967年)みたいに、何が起こるやら分からへんような、そんなスリリングなシーンを、どう引き出すんかやと思うんどす。

ドキュには構成はあるやろけど、台本はありまへん。計算外の何かがドキュの大きなキモや見どころになり得るんどすわ。その意味では、本作には証言(見沢が関わったリンチ殺人事件のこと)から得るサプライズやドッキリがありました。

それだけやありまへん。映画的な撮り方やらシーンの挿入が、随所にござります。“セピアの海辺に赤い傘”のカットをはじめ、イメージチックでシュールなシーン。

インタビュー・シーンでも、固定撮影はあるけど、長回し撮影中にパン(移動)を使って、誰もいない壁際なんぞを映さはります。まるでそこに死んだ見沢の亡霊がいるみたいに。また、衝撃の証言だけやなく、それらに対する癒やし系の話もありま。作家の雨宮処凛ネーさんの話なんか、エエカンジやね。

ところで、見沢知廉って一体、何者やねん? って方。検索してもモチ分かるし、上記の公式ホームページにアクセスしても分かりよります。ただ、本作のサプライズを楽しみたいとゆう方には、見沢を知らずに見た方が、衝撃は大きいハズでおます。

とにもかくにもでんな、人間ドキュのケッサクが、また1本生まれ落ちました。

2011年11月29日 (火)

オーロラ・シーンがエエ雰囲気のノルウェー映画「クリスマスのその夜に」

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クリスマス・イヴの5つの話が、クロスオーバーする群像劇どす

アメリカ映画のファンタジックなクリスマス・ノリとは違う、北欧らしい現実感あるエピソードが満載やでー

http://www.christmas-yoru.jp/

ディセンバー12月3日サタデーから、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町をはじめ、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、12月10日から大阪のシネ・リーブル梅田やら、シネ・リーブル神戸、京都シネマやらで上映しはります。

ドイツ・スウェーデンとの合作となった、ノルウェー映画の本作(R-15+指定映画どす)を配給しやはるのんは、ロングライドはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

BuBul Film as Ⓒ2010 Pandora Filmproduktion GmbH

“ノルウェーの森”も出てきよります、ノルウェー映画の群像劇でおます。「グランド・ホテル」(1932年製作・アメリカ映画)以来、群像劇は狭い場所から、いろんな場所へと広がりを見せて展開・進化してきよったかと思います。でもって、本作はノルウェーの、とある街が舞台でおます。

例えば、名作群像劇をいくつも撮ってはる、アメリカの故ロバート・アルトマン監督作品などと本作を比べてみよりますと、濃厚でネバッこいというよりは、5つの話がタイトにサラッと紡がれておます。

本編の1時間25分とゆう短さを見まするに、ある意味では5つのショート・ストーリーを、時間通りにシンクロナイズさせて、展開させはるとゆうカンジになっとります。しかも、5つの話につながりはありまへん。

緊密につながりを持たせて、最後に1つに話が結ばれるとゆう帰納法的作術劇ではなく、あくまでクリスマス・イヴに同じ町で、5つのエピソードがありましたで~ってなカンジの、演繹的手法をば採ってはります。

確かに帰納法的手法は、つじつま合わせやら伏線やらを、張り巡らせんといかんので難解なんやけど、但し演繹法は、各ドラマを制約を受けずに作り込めます。さらに、冒頭の謎めいたシークエンスと、ラスト・シークエンスのオーロラを2人が見るシーンを、強引につなげてまうとこも、ある種のチカラワザやと申せましょうか。

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妻に追い出された夫の巻き返し劇、不倫ドラマ、少年・少女の物語、妻の出産を夫から強制的にヤラされる産婦人科医の話、かつての彼氏と再会する女の話…トータルで見ると、バラバラのように見えよりますが、5倍おいしいを狙わはったんかは分かりまへんけども、コレはワザとやってはるようにも見えました。

でも、本作は2010年のサン・セバスチャン国際映画祭で、最優秀脚本賞をばもろてはります。脚本の巧みさがドラマにも反映しとるハズどす。

ほんでもって、クリスマス・ドラマの北欧的な在り方でおます。例えば、ハリウッド映画のクリスマス映画やったら、奇跡やらを描かはってファンタジーがメインにあるように思います。でも、北欧系は現実的な話やったり、フィンランド映画「レアエクスポーツ 囚われのサンタクロース」(今年10月3日付けで分析)やらみたいに、フツーっぽくない変化球を繰り出してきはったりします。

でもでんな、サントラ使いはハリウッド映画ばりに壮大どした。弦楽オーケストラをはじめ、ラストロールでは、オーケストラに乗る女性歌手のスロー・ナンバーが流れたりと、余韻を深めようとしはるんどすえ。ハリウッド映画を見たようにも思わせはるとこもまた、オモロイところでおましたえ。

2011年11月28日 (月)

2009年ヴェネチア国際映画祭5冠ゲットやー「ルルドの泉で」

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車イス障害者ヒロインの、いっときの奇跡を描かはった1本どすえ

神はいるのかいないのか、普遍のテーマがさりげなくココロに染み入りま

http://www.lourdes-izumi.com/

12月10日サタデーから、東京の[シアター]イメージフォーラムでロードショー後、全国順グリの公開でおます。

オーストリア・フランス・ドイツ合作による本作を配給しやはるのんは、エスパース・サロウはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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2009 Ⓒcoop99 filmproduktion, Essential Filmproduktion, Parisienne de Production, Thermidor

世界3大映画祭(2月のベルリン・5月のカンヌ・9月のヴェネチア)の1つ、ヴェネチア国際映画祭で5部門をゲットしはった作品でおます。

でも、最高賞の金獅子賞、次点の銀獅子賞ははずしてはりまして、国際批評家連盟賞ほか4つの部門賞ゲットどした。但し、世界的に有名なアメリカのアカデミー賞は除きまして、世界レベルの3大映画祭において、5部門以上なんてゆう多数ゲットとゆうのは、実はマレなんでおます。

そやから、どれだけスゴイ映画が見られるんかと、ボクは見る前からココロワクワクソワソワしとりました。ところがどっこい、余りにも期待し過ぎ、気負って見たせいでおましょうか、その地味なんやけど内実は滋味なところが、見抜けまへんどした。

その意味においては、映画評論家としてはボクは、失格なんかもしれまへん。何日かしてからどした。本作の滋味について気づいたんは。

神はいるのかいないのか、その不確実性・不明瞭性・不透明性について描かれた映画なんどす。それはかなりストレートなタッチでおました。例えば、イングマル・ベルイマン監督作品みたいに、映画としてシンボライズ的に描くんやおまへん。

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映画の舞台どすが、フランスとスペインの国境のピレネー地方に、「ルルドの泉」が実在しとります。泉でイロイロやれば病気が治るとゆう伝説がござります。そこで、毎日のようにでんな、何人もの巡礼者たちの団体はんをはじめ、不治の病に悩む患者&介護士が訪れます。

でもって、本作の車イスの障害者ヒロインたちが、奇跡を信じて大マジで訪れはるわけでおます。そして、彼女は奇跡的に治りましてな、イスから立ち上がり歩けるようにならはるんどす。ああ、めでたしめでたし、どすわな。ところが…っちゅう話の展開どす。

神のおかげで治ったんかそうでないんかを、直球勝負で描いてはることが丸分かりどす。この直球ぶりがボクを惑わした一因どした。牧師は「神は自由」なんてゆわはります。ほかにも、意味深長なコトバを連ねはるんやけど…。

4分近い長回しなど、流れを見せる長回し撮影はケッコー使われとりまして、また、アップを少なめにして、ロングショットの絵画的構図を心がけてはるようどす。つまり、撮り方は総じて映画的。

ほんで、オーストリア出身のジェシカ・ハウスナーのネーさん、つまり女性監督による作品とゆう、重さ控えめの柔らかい仕上がりとゆうとこやらが、ベルイマン監督との違いなんやろな~と思いよります。モーツァルトの「アベ・マリア」の使い方にも、それはカンジられました。

まあ、ゆうてみたら、何度もリピーターして味が分かるような、そんな作品なんかもしれまへん。

2011年11月27日 (日)

女子高生らが戦国時代へタイムスリップ「ギャルバサラ-戦国時代は圏外です-」

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「時をかける少女」と「戦国自衛隊」が合体したような、トンデモ映画的化学変化が起こっておます

AKB48篠田麻里子ちゃん、SKE48の木崎ゆりあチャン、小木曽汐莉ちゃんやらもエエけど、主演・有村架純(あさみ)ちゃんのカワイサに注目どっせー

http://www.gal-basara.jp/

師走12月3日の土曜日から、角川映画はんの配給によりまして、大阪・梅田ブルク7やらでロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「ギャルバサラ」製作委員会

現代から過去へ、タイムスリップするっちゅうタイプの映画は、「タイム・マシン」(1959年製作・アメリカ映画・戦前にも製作されとる分があるそうどすが、ボク的には不詳どす。すんまへん)以来、いっぱい出てきておます。

まあ、人口に膾炙したもんで言いよりますと、アメリカやったら「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ(1985年・1989年・1990年・全3作)やろし、日本やったら、アニメを含めて4度も映画化されとる「時をかける少女」(1983年)でおましょうか。

いわゆる、本作を製作・配給してはる、角川映画はんのブランド作品どす。1970年代半ばの「犬神家の一族」(1976年)から、角川映画は始まっておます。1970年代末から1980年代には、日本映画のヒット方程式のブランドにならはりました。

そして、時は流れて、2011年。あの頃の角川映画の雰囲気を、現在売れておますアイドルを起用しはって、作ってきはったんが本作どすえ。角川映画のワン・ポイントに、アイドル映画があるんもエエカンジどす。

でも、過去を振り返るだけやったら、温故知新の温故にしかなりまへん。そこで、21世紀的スパイスも盛り付けはって、知新としてはるんが良かったどす。

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女子高校生らが戦国時代へタイムスリップして、向こうの世界でイロイロ活躍しよるとゆうアイデアは、ある意味では単純に見えよります。見出しにも書きましたが、女子高生がヒロインの「時をかける少女」と、こちらも角川映画どすが、自衛隊が戦国時代にタイムスリップする「戦国自衛隊」(1979年)を合わせて、その映画的化学反応を試してはるようなとこが、見え隠れしておました。

但し、その単純さ、シンプルが、イズ・ベストなんか、イズ・ワーストなんかが問題でおましょうか。でも、そこに現代的テイストがキチンと織り込まれとる場合は、単純さがリアリティーに変わる瞬間やら、シーンやらへと発展しよります。

タイムスリップして果たして、戦国時代にケータイ(本作のケースはスマートフォンどす)を持っていけるんか。でもって、現代におる人間と、ケータイがつながるもんなんかどうか。そうした疑問も、サプライズ感ある設定を設けて、それらしき説得力を加えてはります。

「天下を取るってどんなキモチ?」とか「コレって立身出世だよね」なんて、アッケラカンとゆう女子高生たちの、ユルキャラ・モードやらが、激しいハズの戦国時代劇を180度変えはるところなんか、痛快といえば痛快どす。

でもって、同じく変えはるアイドル・ノリ。今、若い男のコに絶大な人気があるAKB48、SKE48から、見出しに書きましたメンバーが本作に出てはります。

ほんでもって、主演のあさみチャンやけど、新星アイドル誕生や~ナンチュー、男のコら胸騒ぎの演技をば見せてはりまっせー。ラストで流れる、SKE48のキャッチーなミディアム・ポップ・ナンバーも、要チェック・ポイントやでー。

2011年11月26日 (土)

スティーブン・スピルバーグ監督初の3D「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」

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「ハリー・ポッター」の次は、間違いなく本作が映画界のキーをば握っとります

スピルバーグ御大のまさに、キャリアの総決算がココにありま

http://www.tintin-movie.jp/

December12月1日Thursdayから、12月21日の全米公開に先駆けて、3D・2D同時公開で、日本全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やら、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

アメリカ&ニュージーランド合作となった本作を、配給しやはるのんは東宝東和はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

ハリウッド映画の大ヒット・トレンディーの歴史とゆうのんは、1970年代半ばから、スピルバーグを中心に流れてまいりました。

モチ、「スター・ウォーズ」シリーズ(第1弾は1977年製作・以下の引用映画は全てアメリカ映画どす)のルーカスもいるし、「タイタニック」(1997年)「アバター」(2009年)のジェームズ・キャメロンもいてはります。でも、スピルバーグはデビュー以来、恒常的に大ヒット作を作り続けてきはりました。

でもって、21世紀も10年以上を過ぎて、満を持したようにでんな、初めて3D映画を監督しはったんが本作でおます。

本作はコミック原作でおますが、アメコミ原作系にようあるような、変身系ヒーロー像ではござりまへん。少年でおます。しかも、イヌと一緒に冒険するなんてゆうスタイルどす。少年冒険ものとゆうのんは、スピルバーグ印の1つのでっかい核をなしてはります。「E.T.」(1982年)以外にも、ケッサクは数多しどす。

ほんで、インディ・ジョーンズが活躍する、アドベンチャー映画シリーズの第1弾「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(1981年)で、ベルギー発のこのコミック「タンタンの冒険」が、意識下にあったんやないかと言われました。

全く身に覚えのなかったスピルバーグはんやけど、原作を読んでエライビックラしはりまして、いつか必ずコレを原作に映画化しようと、ココロに誓わはったらしいです。そして、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年~2003年・全3作)の監督ピーター・ジャクソンはんのサポートを得て、遂に長年の夢をば実現しはったんどすえ。

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まあ、偶然かどうやらは分かりまへんが、かの「ハリー・ポッター」シリーズ(第1弾は2001年)が終了した直後に、まるで「ハリー・ポッター」を引き継ぐように作ってきはったんです。魔法界から現実の世界へスライドし、フツーの少年が活躍する、まさに少年冒険ものの原点に立ち返ったようなカンジなんどすえ。

アクション・シーンは当然多く、さらにヒッチコック監督的な、ミステリー・サスペンスなタッチも入っておます。少年とイヌのほか、「宝島」のような船長キャラがいてはりまして、2人と1匹によるトリオでアドベンチャー、ほんでもってアクションでおますよ。

船長が見る過去の船上・船中の剣戟アクト・シーンなんぞは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(第1弾は2003年)に勝るとも劣らない活劇ぶり。ハットトリッキーな船からの脱出アクト、ヒコーキ空中アクトから砂漠へとツッコミ、そして…なアクト。

重要な書類を巡り、モロッコ・サイドではオペラ・シーンから、トンデモない争奪戦アクションが展開しよります。しかも、スピードフルなんやけど分かりやすい。例えば「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(1984年)の、あのスリリングな追逃走劇アクトを、ひょっとしたら超えたかもな~、なんてカンジやねん。しかも、3Dやしな。

さて、最後にサントラやー。ジョン・ウイリアムズ御大どす。冒頭で巧妙なサスペンスフルなサントラを流して、ドラマの中へと引きずり込まはります。いつもながらに緻密にスコアを構築しはった、シンフォニーのオンパレードに、圧倒されよりました。

2011年11月25日 (金)

アメリカン映画「50/50 フィフティ・フィフティ」

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コメディ半分シリアス半分で描かれる、ガンからの生還率フィフティ・フィフティのドラマどす

使い古されたネタに、あえて挑戦する熱意にあおられまっせー

http://5050.asmik-ace.co.jp/

December12月1日Thursdayから、アスミック・エースはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

大阪やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、やらで上映しはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 IWC Productions,LLC

映画脚本家の実話をベースにしはった、末期ガンとの闘病映画でおます。使い古されたネタやとは思いますけども、あえて挑戦しはって、しかも、これまでの闘病ものイメージをくつがえそうやないかとゆう、意気込みのカンジられた1本どした。

でも、以外にもでんな、白血病とかアルツハイマーとかアル中とかはあるけど、アメリカ映画には末期ガンものとゆうんは、そない多くはありまへん。でもって、闘病ものとなれば、えてして悲愴感ある作品になりがちなんやけど、本作はコメディとシリアスをフィフティ・フィフティに描かはり、後半につれ主人公のシリアス度合いが、増してゆくとゆう作りをしてはります。

「(500)日のサマー」(2009年12月29日付けで分析)で草食系の男を演じたり、一方で、「インセプション」(2010年7月9日付け)や「メタルヘッド」(今年6月22日付け)やらではワイルドな役をやったりと、演技幅を広げてはる、ジョセフ・ゴードン=レヴィット君が主人公役どす。

最初は友達やらと下ネタで盛り上がってはりますし、一緒にナンパもしはるけど、徐々に深刻度を増してゆく演技性は、なかなかのもんでおます。投薬治療後の主人公視点による“ポイント・オブ・ヴュー”な、ボヤケ・カットやスローやったりとか、バスに乗ってたりする1人シーンの哀愁味やったりが、シブく挿入されとりま。

そして、実習セラピスト役のアナ・ケンドリックちゃんとの、やり取りやらエピソードが、主人公の悲愴感を和らげてゆきよります。友のビョーキもなんのその、コメディアン演技を貫いてはる、セス・ローゲンのアニキ。主人公のオカン役の、アンジェリカ・ヒューストンはん。アカデミー賞助演女優賞をもらわはった「女と男の名誉」(1985年製作)の、あの強気なオンナ節が、今でも健在やったのには驚きましたで。

冒頭の主人公の早朝ランニング・シーンから、8ビートのロックが流れよります。闘病ものとは相反するような、キャッチーな歌ものロックがサントラのメインでおます。本作の舞台となるシアトル出身の、パール・ジャムの快曲などには、ココロにググッときました。

「愛と追憶の日々」(1983年)「トータル・リコール」(1990年)「スター・トレック」(第1弾は1979年)「ソウ」(第1弾は2004年)など、セリフに出てくる映画のバラバラ感も、登場人物のキャラに合わせたもんでおましょう。でも、楽しいキャラ付けで統一してはります。

ほんでもって、アルツハイマーのオトンに「愛してるよ」と主人公が言う手術前シーンから、その後の展開など、自然かつさりげない流れに感動がありまっせー。

2011年11月24日 (木)

実話のラブ・ストーリー「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」

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哲学者の実話ものやなんてと、ある人は思わはるやも…

でも、今でもこんなんあるかもな~なラブ・ストーリーどすえ~

http://www.tetsugakutoai.com/

ノウベンバー11月26日のサタデーから、スターサンズはんの配給によりまして、東京・ユーロスペースでロードショーどす。その後、12月3日から大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリの上映どすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸPAMPA PRODUCTION-FUGITIVE PRODUCTIONS-MMVI

実話をベースにした映画とゆうのんは、ボクが言うまでもなく、モノスゴイ数の映画がござります。

そんな中ででんな、これまでに描かれてけえへんかった人物を採り上げはったんが、フランス映画の本作なんでおますけども、コレがかの哲学者の巨人サルトルはんでおます。

おいおい、大丈夫かいや~と思とりますと、コレが何とまあ~、女性哲学者のボーヴォワールとの愛やらを紡ぎもって、描こうかいやーなんてゆうウルトラチックに走らはりました。サルトルとボーヴォワールの恋愛が“自由恋愛”なるもんを生み出したんは、世に知られたエピソードでおます。

でも、コレが果たして、映画的ドラマ的に面白くいくんやろかと、ボクはチョイ心配しとりましたけど、暗に相違してでんな、ケッコーいけました。とゆうか、ハリウッドでリメイクでもされたら、場合によっては、大ブレイクするんやないかなとも思えたりしよりました。

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変格型の恋愛とゆうのんは、それなりにはあるんやけど、コレは現実なだけにビビッとはきましたけども、こういうのんは、それなりにあるし、今でもあるやろかと思います。恋愛不毛時代の現代において、こういう愛のカタチは不毛かもしれへんけど、ああっと共感できるやも分かりまへん。

でも、ボク的には愛はストレートで、熱血であってほしい。こんな愛の在り方もあるんやな~と、思ってほしいかなとは思いよります。

ボーヴォワール役の女優はんアナ・ムグラリスのネーさんは、そない有名やないんやけど、往年のハリウッドの女優はんと比較しても、そない遜色あれへん容姿やし、好感度高めのエエ感じで演技してはります。アップ、クローズアップも多く、彼女の魅力にハマれるようにも作られとります。

ほんで、現実をトレースするような作りもあるんやけど、サルトルよりも彼女の生き方の方が、実は映画のポイントになっとります。つまり、ヒロイン映画どすか。

フランスのヌーヴェルバーグ映画が出てくる前の雰囲気やったりとか、ジャジーなサウンドトラックをしょっちゅう流して、映画的な背景やらを構築したりと、映画ファンやらにはシブ~い、サポート的な作りをやってはります。

三角関係的になる後半の構図。現実の話ではあるけど、コレをさりげないタッチで決着してみせるとこらあたりに、実話ドラマ映画への一つの答えを、見出してはるようどした。

しかし、その答えはええのか悪いのか。これはみなはんが見て、結論を出してもらいたいかと思いよります。ボクとしては、余韻を深めてエエかとは思うけど、但しサルトルの死まで、描いてもよかったんやないかなとも思って、ウーン…どした。みなはんの見た上での意見や感想を、ぜひ聞いてみたい映画でおました。

2011年11月23日 (水)

ニッポン映画「クロサワ映画2011 ~笑いにできない恋がある~」

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バラエティー番組のノリやけど、韓流ラブ・ストーリー・ノリも入れて贅沢な(!?)1本かもな~

黒澤明映画と勘違いしはった方には、えらいすんまへ~んどすえ~

http://www.misskurosawafilm.com/

ノウベンバー11月26日サタデーから、ファントム・フィルムはんの配給によりまして、全国ロードショーやでー。

東京・新宿バルト9やら、横浜ブルク13、大阪・梅田ブルク7、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ吉本興業/フジテレビ

お笑い界の「森三中」の黒沢かずこネーさんが主演しはった、シリーズ第2弾でおます。

“クロサワ映画”やなんて書いたるから、かの“黒澤明監督映画”と間違えはる方も、ひょっとしたら、いてはるかもしれまへんが、なんの関係もござりまへん。もし間違って見ても、余裕で笑ってオモロカッタワーと、返したくなるような映画になっとるかと思います。

まあ、約3ポインツ的にゆうてみたら、①バラエティー番組のノリ②韓流ラブ・ストーリーの、パロディっぽいドラマ・タッチ入り③1990年代的テレビのトレンディー・ドラマへのオマージュ、といったカンジでおましょうか。

女のお笑い芸人たちが主演し、脇を固めてはるだけに、どないしても、①のタッチは免れへんようなカンジなんやけど、でも、強引にラブ・ストーリーへとスライドさせんとする作りは、ある種のチカラワザでもありました。

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ヒロインの黒沢かずこネーをはじめ、IT企業の社長はんとラブしはる椿鬼奴ネー、日本語の喋れへん韓国イケメンと、同棲しはる大久保佳代子ネーやら、コミカルなノリでケッコー楽しめます。

そんななかでも、ヤッパ、メインはかずこネーさんどす。テレビ番組収録の設定で韓国ロケまでしはりますが、韓国俳優でイケメンのコン・ユテのアニキと、エエ仲にならはりまんねん。しかし、そこには落とし穴があったとゆう展開どす。

結局お笑いの世界やんとか、はっきり言ってバカバカしいと、ゆう人もいてはるかもしれまへん。でも、こういうラブコメは日本にしか、存在しないもんやないかなと思うんですわ、ボクは。

アメリカのラブコメにも、バカバカしいのんはいっぱいあります。但し、本作のおバカさ具合は、アメリカとは本質的に違います。人情的なものとゆうか、「男はつらいよ」の寅さん的な哀愁みたいなんが、あるようにも思いよりま。そんなとこもカンジてもらいたい1本どす。

俯瞰撮影による、東京の夜景シーンやとか、東京タワー、でもって韓国サイドの夜景やら、美しいシーンも挿入されとりますんで、お楽しみくだされ。

2011年11月22日 (火)

良質の日本映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」

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新しい試みがある、三浦友和はんと余貴美子はんの夫妻映画でおます

新たなプログラム・ピクチャーの可能性を、探ってはる第2弾どすえー

http://www.railways2.jp

11月19日から本作のロケ先の富山県で、松竹はんの配給によりまして、先行ロードショーでおます。

でもって、師走12月3日の土曜日から、全国ロードショーやー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011「RAILWAYS2」製作委員会

かつて多彩に花開いておました「プログラム・ピクチャー」(実写映画のシリーズもんで、毎年1、2作公開されるスタイル)とゆうもんが、2011年の今の日本にはありまへん。

みなはんは、どんなシリーズもんに魅せられはったでおましょうか。本作を配給しはる松竹はんやったら、「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」などが、日本映画史に残る名シリーズどす。

こうしたシリーズもんの良さは、映画の出来がどうのこうのよりも、映画興行界を活性化させはるもんがござります。かつては家族一同で見に行けて、盆やら正月やらに、外出してみんなで楽しめる、大いなる娯楽ポイントになっとりました。1950年代にGW、ゴールデンウイークのコトバを作ったのは映画界どすし、それを推進したのはシリーズもんやったんどすえ。

しかし、嗜好の多様性によって、老若男女みんなで楽しめるような作品が、最近は少なくなってきておるように思います。若いもんは若いもんで見に行き、年寄りは年寄りで見に行く。そんな感じになっとるようです。家族の嗜好のバラバラ感もあり難しい時代やけど、それでも本作は、シリーズ化を狙って第2弾をば作ってきはりました。

結論から申し上げまするに、ボクの分析では、中高年層には受けそうな内容やとは思います。日本が高齢化社会になって久しいどすが、若者にはどうなんかな~とゆうとこが、確かにあるようどす。

全国各地の電車ものとしてやから、「男はつらいよ」みたいに、どこかに固定されたホームがない。「釣りバカ」の鈴木建設もない。モチ、今のところ、確定した主人公もありまへん。さらに、脇役に若者受けしそうなゲストなんぞを、設定もしてはらないように見えよります。

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でも、たとえ試行錯誤途中やもしれまへんけども、ボクは本作の支持派でおます。何といっても、夫妻映画としての滋味を感じた1本どした。

本作の第1弾(昨年5月21日付けで分析)に息子はんが出てはった、三浦友和はん。定年間近の電車運転手役どす。で、友和はんの妻は余貴美子はん。夫の反対を蹴って、かつての思いを実現すべく、介護ヘルパーの仕事に出て、しかも一方的な別居へと行動しはります。別れて始まる夫妻のドラマやなんて、ユニークで新しくはおまへんか~。

別居中に友和はんは、かつての恋人・仁科亜希子はんと再会しはります。このあたりは、突き詰めて描かれてはおまへんが、2人がワインを飲み合っての、映画「卒業」(1967年製作・アメリカ映画)に対する、かつての意見の違いとかに、ウーンとうなりました。仁科はんは「望まない結婚から助け出される映画」とゆうのに対し、友和はんは「年上の女から誘惑される映画」やてゆうたそうでおます。

まあ、そんなエピソードも入れつつ、ドラマは展開しよります。最後まで見はったら、絶対ググッときますで。「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年)とは違う、前向きな感動に酔えるハズの作品どす

2011年11月21日 (月)

シネマ歌舞伎に続く「シネマ落語 落語研究会 昭和の名人 参」

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日本映画の原点・活弁ノリに加え1人芝居タッチが、楽しめよりますシブ~い作品でおます

昭和映画的なノリもある、昭和時代に演じた落語3話に、2003年版もござります

http://www.cinemarakugo.blogspot.com/

霜月11月の26日の土曜日から、東京・東劇やら、大阪・なんばパークスシネマやらでロードショーでおます。

でもって、その後、1月21日から全国ロードショーやでー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

写真:横井洋司 製作著作:TBS 配給:松竹

「シネマ歌舞伎」に続きよりまして、今度は「シネマ落語」でおます。そのシリーズ第3弾が、遂に大阪初上陸となりましたで。

動きのある歌舞伎ならまだしも、落語となれば座布団に座って、ほとんどじっとしてはります。こんなんをどないして、映画的にやっていくんか、はなはだ心配しておりました。

ところがどっこい、どす。確かに固定画面による、長回し撮影が頻出しよります。時に、退屈さを誘発しそうなとこもないとは申しまへん。でも、落語とゆうのんは、パフォーマンスなアクティブさよりも、あくまで声、活弁ぶりを楽しむとこに、ワン・ポイントがあるかと思いよります。

声とゆう意味では、映像よりはテープやラジオの魅力なんやろか。例えば、「GO」(2001年製作)で窪塚洋介が柴咲コウと会った時に、ウォークマンで聞いてたんは古典落語でおました。その後も、落語が好きやった死んだ友をしのんで、落語の高座に行くとこなんか感動的どしたわな。

さらに、さかのぼって昔のことをば言いよりますと、千円札の夏目漱石と正岡子規の出会いは落語にあり、ほんでもって2人は、深い友情のキズナを結びました。

ことほどさように、落語とゆうのんは地味に見えながらも、日本の伝統芸能らしいシブさを、時おり見せてくれはります。

そして、本作やけど、昭和時代に演った落語3話と、2003年の1話の4話により、展開します。桂吉朝はん、三遊亭圓楽師匠はん、古今亭志ん朝はん、でもって金原亭馬生はん。みんな、今や鬼籍に入ってはりま。

でも、この4話は、古典落語のスゴミをば伝えはる名演目どした。落語やからとゆうて、笑いだけやありまへん。感動的な人情噺あり、ホラー的な怖さもありで、一筋縄やござりまへん。

ボク的には、笑えるお話に目がいきはしましたんやけど。基本的には、長屋の人間関係やとか、ある意味で時代ものが多いんやけど、江戸弁によるスピーディーでスリリングな話芸やったり、対して、関西弁による「居酒屋ゆうれい」(1994年)みたいな、ユーレイを入れた三角関係ものやったり、笑えて楽しめました。

それらのストーリーを映画化しはったら、メッチャオモロイもんになるんやないかとも思えました。ストーリー的面白さが、4話共にあります。

ひとつゆうときますと、テレビで放送される落語やらとはチョイ違いま。つまり、画面が大きくなったとゆうだけやなく、高座をライブで見聞きするとゆう臨場感がありました。ぜひ1度、映画館でご堪能してみてくだされ。

2011年11月20日 (日)

2012年のナンバーワン級日本映画「ヒミズ」やー!

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ヴェネチア国際映画祭で主演の2人が、最優秀新人俳優賞をダブル・ゲットしはりました

東日本大震災を映画史上初めて採り上げはった、「ガンバレ! ニッポン」な映画どすえー

http://himizu.gaga.ne.jp

2012年の睦月1月14日の土曜日から、ギャガはんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7やらTOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011『ヒミズ』フィルムパートナーズ

東日本大震災を映画として、初めて採り上げはった作品でおます。しかも、現代の日本の現状を描く映画として、最上級の映画作品になったとボクは確信いたしました。

原作となるコミックは、21世紀以降のローティーンたちの生き方や、家庭のすさみ具合やらを取り込んで、なおかつそれでも、ヒビ割れそうな純愛を描き込んではります。この21世紀的少年・少女の現実に加え、監督の園子温的には、大震災をいち早く取り入れて、まさに2011年3月11日以降の日本を、強烈かつシャープに撮り上げてはります。

とにかく、ビックラこきよりました。冒頭から、さっそく津波で瓦礫と化した東北の海岸を、移動撮影で映さはります。この瓦礫シーンは数度にわたり本編で出てまいります。そして、風吹く耳鳴りのような効果音が、適宜挿入されてゆきよりまして、ドラマ的不安感と緊張感をあおらはります。

両親が共にかつてないくらいエエ加減な、中学生の男女2人が、女の子からの熱烈なアプローチによって、ラブ・ストーリーな方向へと進みます。但し、最初はコミカルなタッチが、物語が進むにつれて、ゆっくりとシリアス度合いを増していきよります。

「アントキノイノチ」(今年9月20日付けで分析)のように、トラウマを細かく描かへんねんけど、現状そのものの描写が、トラウマを作り続ていくような作りでおます。また、親殺しを描いた「青春の殺人者」(1976年製作)と同じく、主人公は「おまえは死んでほしかった」などと平気でゆう、メチャクチャな父親を殺します。

 

中学生の生き方としては、「告白」(昨年5月28日付けで分析)のような現代性も盛り付けてはります。さらに、今後分析しよります、ガス・ヴァン・サント監督の新作「永遠の僕たち」ともシンクロします。

しかし、今の若者たちを容赦なく描く点では、本作は圧倒的なケッサクになっとります。ナンチューても、染谷将太クンと二階堂ふみチャンの、喜怒哀楽の全てを微妙に緻密に、演技し切った演技ぶりどす。世界3大映画祭のヴェネチア国際映画祭で、最優秀新人俳優賞に当たる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」のWゲットも、納得の演技どしたえ。

染谷クンは「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」(今年1月2日付け)でも目立ちましたが、ぶっきら棒ぶりがエエんどす。「誰も知らない」(2004年)でカンヌ国際映画祭主演男優賞を獲らはった、柳楽優弥クンに勝るとも劣らへん演技でおます。

でもって、二階堂ふみチャン。「指輪をはめたい」(今年11月11日付け)などの演技性とは違って、多彩な表情演技で魅せはります。園子温監督の厳しい演出もあったらしいんやけど、ボク的には宮崎あおいチャンのポジティブ演技を、それとなく思い出させはる快演技ぶりどした。

ほんでもって、写真にあります「ガンバレ!」を連呼する、2人の併走の長回し移動撮影でおます。みんなに勇気と希望をくれるこのシークエンスは、本作のハイライトであり、心底から込み上げてくるような感動に浸れるシーンでおます。ぜひ劇場でご体感あれ! どすえ~。

2011年11月19日 (土)

「バトル・ロワイアル」並みのバイオレンス映画「ハードロマンチッカー」

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松田翔太のアニキがオトン・松田優作に迫るべく、キョーレツ演技にドカーンとアタッカーでおまっせー

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東映はんのヤクザ映画とかハード路線が、ギリギリの究極系までいってはりますでーなカンジやでー

http://www.hard-roman-ticcer.com/

ノウベンバー11月26日サタデーから、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロートショーでおます。「R-15+」指定の映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「ハードロマンチッカー」製作委員会

東映ヤクザ映画のブランド「仁義なき戦い」シリーズ(1973年~1974年製作・全5作)には、R(倫理の英表記の頭文字どす)指定はあったんやろか。よう覚えておりまへんねんけど、むしろその後に東映で作られたVシネマとかの方が、Rは入っておったかと思います。

倫理上、問題があるとのことで本作は、15歳未満は映画館で見ることができしまへんのどすわ。そうそう、「仁義なき戦い」と同じ監督・深作欣二監督による「バトル・ロワイアル」(2000年)は、R指定付きの公開どした。

Rがどうのこうのを除いて言いよりますと、本作はヤクザとゆうより青春バクレツ系のノリではござります。中学生同士のバトル「バトル・ロワイアル」とヤクザ映画の、中間世代の活躍とでも申しましょうか。

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東映の「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズ(1985年~1988年・全6作)とか、日活の「けんかえれじい」(1966年)、井筒和幸監督作品「ガキ帝国」(1981年)「岸和田少年愚連隊」(1996年)「パッチギ!」(2004年)やらが、よりエゲツナイ度を増したら、一体どないなるねん、みたいな…。

しかし、それらの傑作群は、あくまで高校生が暴れとるとゆう域を出ておまへんどした。ところが、本作は単なるケンカの域やなく、殺人にまで及びます。

感動的な~なんてゆうキズナやらもまあ、なく、ロマンチッカーをタイトル付けしながらも、ロマンチックなとこは、一部ラブ・ストーリーまがいなとこもあるんやけど、1つもないと言ってもええかと思いよりま。

オトンの松田優作はんを意識しはった上で、オトン以上のエゲツナサを出そうとしはる松田翔太のアニキ。中村獅童アニキの落ち着き系の演技のように見せつつの、ビミョーなキモワルサ演技やら、渡部篤郎アニのヤサグレ刑事ぶりやら。バイブレーヤーにもキモイ演技がゆき届いておます。

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そんな中で、1分から3分くらいまでの、長回し撮影が頻出しよります。1分強は特に多く、会話の間合いやったり、アドリブ感、ささやきモードやらで、画面への引き付け度合いは高いかと思いよります。

鉄パイプをひきずりもって裏街道を歩いてゆく、松田翔太の遠近感あるカットとか、パイプで襲ったアクション後のクレーンを使った長回しとか、ビビッドにココロを抉る印象的なシーンがありますで。

ラブやなくて結局ゴーカンやったり、「純愛」とゆうコトバへの皮肉感やら、ちょくちょくあるワサビ効きも含めまして、本作の鑑賞後感を辛くするやもしれまへん。決してさわやかな映画ではありまへんが、現代にしか出せへんヤサグレ感を描いてはると思います。

付け加えよりまするに、スカパラこと東京スカパラダイスオーケストラのスカ、ブギー、ファンキーなサントラもまた、随所のシーンを印象深くしてはりました。

2011年11月18日 (金)

21世紀的少林寺映画バージョンアップ版「新少林寺/SHAOLIN」

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「1911」に続き、香港・中国映画の底力を示さはる超快アクション映画どす

「1911」に続くジャッキー・チェンに加え、アンディ・ラウ、ニコラス・ツェーの各アニキやら、ファン・ビンビンのネーさんやらが好感度ビンビンやねん

http://www.shaolin-movie.jp/

霜月11月19日の土曜日から、全国ロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ西宮OS、TOHOシネマズ二条やらで上映どす。

香港と中国合作の本作をば配給しやはるのは、ブロードメディア・スタジオはんとカルチュア・パブリッシャーズはんどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Emperor Classic Films Company Limited All Rights Reserved

100作目の映画出演作となった「1911」(今年10月30日付けで分析)に続きよりまして、ジャッキー・チェンのアニキ出演作の公開でおます。見出しには“続く”なんて書きよりましたけども、本作は「1911」より前の出演作品どす。

そやけど、舞台背景としては「1911」の1911年の翌年の1912年に設定してはりまんねん。そやから、「1911」を見てからこちらを見る人たちにしてみたら、まるで続編のように見えんこともござらんのどすわ。1912年てゆうたら、あのタイタニックが沈没してもうた年でおます。

どんな波乱のドラマが展開しよるんかと思いますけども、ところがどっこい、ジャッキーの役柄としては、孫文のアクション担当相棒ぶりから、少林寺のフツーの厨房役へと、パワー・ダウンしてはりまんねん。但し、今までに披露してへんような、ユニークなとことか、人間臭いとことかはそのままどす。

でも、「俺は闘えない」なんて言いながら、コドモたちのサポートも受けて、カンフー・アクションを披露するとこなんか、ジャッキー・ファンにはトンデモたまらんとこやろと思います。

ほんで、ジャッキーなんやけど、このところ、香港・中華映画の世界的ラインを誇示すべくでんな、イロイロやってはるように思います。孫文ドラマを製作もしはって、大がかりにやらはった「1911」やけど、本作も、中国映画の歴史的ポイントとも言える、少林寺映画に出演しはったんどす。

香港・中国の往年の名作といたしましては、「燃えよドラゴン」(1973年製作・アメリカ&香港合作)ばかりが注目されとるようにボクは思うんどすが、“少林寺”もんもお忘れなきようなんどすえ。

でもって、「三国志」の「レッドクリフ」(2008年)やらに迫るべく、作ってきてはるんが「1911」であったり、ほんで本作でおまんねん。当然、香港・中国のオールスター映画出演、とゆうスタイルは貫いてはります。

当たり前どすけども、ジャッキーだけやおまへん。主演はアンディ・ラウのアニキやし、憎たらしき悪役はニコラス・ツェーのアニやんどす。で、女優はんでは、アンディの妻役でファン・ビンビンのネーさんも、ビンビンに出てはります。

映画としては、少林寺に入って、今までの悪さぶりを改心しようとしはるアンディ・ラウと、アンディを裏切ったニコラス・ツェーとの対決が、大いなる見どころになっておます。但し、ベースラインは、アンディのツェーへのリベンジ劇の体裁なんやけど、ストレートには描かれておまへん。その辺の妙味も楽しめますで。

ワイヤー・アクト、群像アクション、大バクハツやらのアクション・シーンの醍醐味やら、2億4千万円を費やしたとゆう少林寺のオープンセット(何とこの2億4千万が最後には燃えよりま!)やら、とにかくハンパやない仕込みと作りで挑んではります。「レッドクリフ」ばりの中国エンタの世界に、魅せられる仕上がりどした。

2011年11月17日 (木)

化学物質にまつわる衝撃のドキュメンタリー「沈黙の春を生きて」

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ベトナム戦争の枯葉剤後遺症を、米&ベトナムで執拗に追いかけはったシリーズの第2弾でおます

福島の原発事故ともシンクロする、胸にこたえる内容が続きよりま

http://www.cine.co.jp/chinmoku_haru/

シグロはんの配給によりまして、霜月11月26日の土曜日から大阪・第七藝術劇場で公開後、神戸アートビレッジセンターやら京都シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Masako Sakata/Siglo

はっきり申し上げまするに、本作は完全無敵のバリバリの、社会派ドキュメンタリーでおます。

坂田雅子監督はん(写真2枚目)の作品どすが、前作「花はどこへいった」(2007年製作)では、アメリカVSベトナム戦で、アメリカ軍が使った“枯葉剤”がみんなを苦しめる結果になったんを、取材を含めて示さはりました。

でもって、今、東日本大震災、そしてトンデモない二次災害により、化学剤の問題がさらに問題を深めてしまいよりまして、こういうカタチのドキュを作ってきはったんどす。

ベース・ポイントはあくまで、ベトナム戦の枯葉剤の後遺症なんやけど、そこに、レイチェル・カーソンはん(写真3枚目)の名著「沈黙の春」を引用してきはりました。つまり、化学物質のもたらす人類への影響でおます。放射能汚染と枯葉剤後遺症は、おそらくおんなじようなもんが原因となっておるんでしょう。そのあたりもカンジさせはります。

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さてはて、本作の基本ラインは、「花はどこへいった」の第2弾とゆうカタチになっとります。そやから、前作でイロイロ行ったベトナムの家族やらのとこへと、4年ぶりに再訪してはります。前作の映像も出てまいります。

ほんでもって、ベトナム戦で枯葉剤攻撃をする側やった、アメリカの兵士家族にもイロイロ問題が起こっておりまして、それらの数例を引用し、取材し、インタビューしてはります。

そして、本作において、最もハイライトとなるのんは、アメリカ側の被害者がベトナムの被害家族たちを訪問して、イロイロ話し合わはるとこどした。これによって、前作では出なかった、もう少し奥に入ったとこが、出てきとるとゆう結果となっておます。

まあ、前作を見てから本作へと進んでほしい1作ではあるんやけど、本作だけを見てもそれほど違和感はカンジないはずでおますよ。つまり、攻撃的なとこはあるけど、分かりやすさを心がけてはります。加藤登紀子おトキはんの、実に落ち着いたナレーションぶり、一弦琴による全盲プレイヤーの演奏ぶりやらも、グッド・サポートをしてはるかと思います。

ただ、今としては、枯葉剤だけの問題やないんやないかとも思えます。「沈黙の春」をベースにしてもええんやけど、それを超えてさらに普遍的なる、化学剤への問題映画への希求、そして、その解決の方策を探るような作品が見てみたいと思いよりました。そんな第3弾をば期待しとります。

2011年11月16日 (水)

ドイツの原発を描いたドキュメンタリー「アンダー・コントロール」

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「2001年宇宙の旅」のコンピ・ハル(HAL)の反乱みたいなシーンもあったりしよります

そのまま映される原発の無機質感が、ソーゼツな余韻を残しますで

http://www.imageforum.co.jp/control/

ダゲレオ出版はんの配給によりまして、東京では公開中やけど、関西では11月26日からシネ・リーブル梅田やら、12月10日から神戸アートビレッジセンター、1月から京都シネマやらで上映どすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸStefanescu/Sattel/Credofilm

アメリカのスリーマイルやら、ソ連・ロシアのチェルノブイリやら、福島やら原発系の社会派ドキュメンタリーが、最近富にかしましゅうなって出てきておます。

これらの作品は映画的な売れ線を、志向しはったもんでは、もちろんござりまへん。社会派ドキュとして告発してみるとか、みんなに訴える視点がドドーンと、メイン・ポイントとしてあるように思いよります。

でも、コイツはチョイ違っておました。原発に悩んではるイメージが、あまりあれへんドイツをピックアップしはって、その原発の現状を、なんの映画的計算的装飾も施さはらずに、そのまんまを映してゆかはります。

このとことんクールな作りが、気色悪さをヒタヒタとココロににじみ込ませはるんどす。しかも、サントラが流れよりまへん。ここでオーケストラなサントラなんかを流すと、クール感やら無機質なカンジがイキない場合がござります。ラストロールで、コンピューターの音を不協和音のように流したりして、精神的キモサを増すようにでんな、ワザトラマンのように作ってきてはるんどすわ、コレが。

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静かに進行しよる、一種のホラー映画みたいな感触がござります。コンピューターが狂ったようにワーワーゆうとこなんか、SF映画の名作「2001年宇宙の旅」(1968年製作・アメリカ映画)みたいな、コンピ反乱シーンなんかを思い出させよりました。

機械がイロイロ置かれた、オフィスのように見えて無機的な原発内部の冷え切った描写やったり、青いパジャマや防護服を着て、まるで囚人のような働く人々の姿やらが、冷た~い見ごたえなんてもんがあるんやったら、それをば増さはりまんねん。

さらなる、気色ワルどころをゆうときますと…。原発の外観をいろんな角度からとらえてはりまして、風吹く中のロングショットとか、放射能の(!?)煙流れる下からのカットとか…。原発を解体するシーンと、壊されたあとの索漠とした様子とか。廃棄物のその後の実情描写とか。

ホンマ、よう考えたら、エグくてショッキングなシーンの数々が頻出しよります。それらはあくまでサラリと描かれてんねんけど、見たあとあとに、粘っこく染み付いてきよるような気がしよります。

とゆうことで、原発内部をじっくりと見せられたあとにココロに残るんは、間違いなく恐怖感どした。その意味では、現実に根差したホラー映画やろけど、こちらはホラーにあるホットな刺激はさっぱりなく、冷え冷えとしておます。その冷えでココロの風邪をひかんように、くれぐれもご注意のほどを!

2011年11月15日 (火)

こんな京都映画あれへんやろな~な「天使突抜六丁目」

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「堀川中立売」に続き、京都らしくない異能ぶりで弾けてはります

基本は逃亡者の話なんやけど、ウットリ(!?)ラブもあったりして…

http://www.tentsuki6.jp/

霜月11月19日の土曜日から、シマフィルムはんの配給で、東京・新宿K's cinemaやらで、全国順グリのロードショーでおます。

でもって、関西やったら12月以降に、梅田ガーデンシネマ(12月17日~)、京都シネマ(1月~)、神戸アートビレッジセンター(陽春~)やらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

京都を舞台にした映画とゆうのんは、時代劇まで含めましたら、そらモー、モノゴッツーな作品数になるやろかと思います。ほんでもって、そんな中で、またまた京都を舞台に、京都ロケを敢行した映画が生まれ落ちました。

しかし、本作の「天使突抜六丁目」(てんしつきぬけろくちょうめ)は、これまでの京都イメージとは大いに違っておます。本作は“京都連続/Kyoto Series”シリーズの第2弾どして、第1弾は「堀川中立売(ほりかわなかたちうり)」(昨年12月16日付けで分析)どした。そっちも、なんやねん、この京都は! みたいな作品どした。

異次元・異能・ハチャメチャ感は、ソラオトロシーもんがござりました。そして、コレやけど、主人公と天使とのラブ・ストーリーやなんて、一瞬エエキモチにさせてくれはりますが、それは全くもっての錯覚でおました。

京都にはヘンな名前の町がござります。アガル、西イルやら、碁盤目状になっとるゆえにでんな、東西南北感を強調した住所やらが多うござりま。それだけやなく、オリジナリティーあふれる町名、例えば本作の“天使突抜”やなんて、一体全体どんな由来で出てきたんか、さっぱりわやな町名もござりまんねん。

まあ、大阪にも、また全国各地のどこにでも、そんな町名・村名はあるんやろうけど、ココでは京都どす。

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町名をベースに、オモロイ話を作ろうやないかとゆう趣旨の作品でおます。大阪でやっても、いくらでもできるとは思いますが、その場合に重要なんは、やはりプロットでおましょう。

「堀川中立売」みたいなプロット無視の、自由ホンポー感もエエんやけど、こちらは、借金取りからこの町に逃れてきた主人公(真鍋拓クン)の生き方を、誰にでも分かりやすいノリで紡がはります。

但し、彼が恋に落ちはる人妻役の瀬戸夏実チャンは、羽根が生えて、やがて天使にならはるやなんて、町名に合わせたファンタジー感を強引に設定してはります。エロっぽさもある夏実チャン部も、確かに見どころなんやけど、本作のポイントはモチ、真鍋クンのとこにあります。

逃亡してきて町で警備員になり、夏実チャンはじめ、大御所・柄本明はんと長回し撮影を含めて絡まはり、ヌーボーとしたモラトリアム人間ぶりを演じてはります。謎の町の人々を映す、いわゆる群像劇タッチやなく、あくまで主人公の生活ラインに寄り添った作りも、主人公への親近感やらを増さはりまんねん。

映画的照明を入れない、脱色したような過去シーン、セピアな夕景・灰色雲に覆われた空やらの自然描写シーンやらも、本作の作品性へ、ビミョーなアクセントを加えよります。

また、尺八、フルート、木琴などから、チンドン屋的やら、打楽器重ねてのドンチャン感やらまで、ドラマ的不安感や高揚感をサポートする、サントラ使いにも注目したっておくんなはれ。

2011年11月14日 (月)

昭和映画の倦怠ムードに酔う「明日泣く」

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大河ドラマ「江」で、悲劇の京極高行役をやってはった、斎藤工のアニキの主演映画でおます

島田陽子&梅宮辰夫はんの特別出演に、昭和映画らしさが加速しまっせー

http://www.asunaku.com/

霜月11月19日の土曜から、ブラウニーはんの配給によりまして、東京・渋谷ユーロスペースやらで、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011プレジュール/シネグリーオ

これまでにギョウサン出てきよった昭和映画とゆうのんは、日本映画としてはジャンル化もできるもんでおます。そんな中でも、特異な位置付けのできるのんが本作でおます。

文学とジャズと、マージャン・カジノやらの賭博やらを、いっしょくたにしてでんな、一体どんな明日への希望が生まれよるんかなんて、そんなん誰にも分かりまへん。その渦中で生きてはる主人公。けだるいヤサグレ感、ほんでもって男の放浪節を演じはるんは、斎藤工(たくみ)のアニキ(写真上)どす。

NHKの大河ドラマ「江」を見てはる方には、説明不要かとは思いますが、まあ、いちおうゆうときますと、浅井家の二女役、水川あさみチャンのダンナはん役・京極高行をやってはった方どす。ジミやったけど、男の弱々しさを誠実さに変えて演じるセンスが、エカッタどす。

そして、本作では男の無頼派ぶりを、なよなよしさで包んでまうとゆうセンスを見せはりました。それはどおゆうことかと申しますと、太宰治なんてなれば、ある程度の予測ができよりますわな。ところがどっこい、この方の演技は不透明な無頼派どして、賭博をやるにしても、逼迫感なるもんがそないなく、さわやかとは申しませんが、それでも、あくまで自然体にはカンジました。

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一方で、主人公の相手をしはる女優はんどすが、汐見ゆかりネーさん(写真下)が扮しはりました。ジャズ・ピアニストの役なんやけど、主人公とは高校のクラスメイトどして、主人公の無頼調に、合わせてはるんかどうかは分かりまへんけども、けだるい感をしょっちゅう見せてはりま。

2人は果たして結ばれるんかっちゅう、ラブ・ストーリー的な興味を持って見ることもできますが、どないでおましょうか。ボクとしては、昭和映画としてのノリに、シブミを覚えた口でおます。

本作原作の色川武大(いろかわたけひろ)の作品の、映画化「麻雀放浪記」(1984年製作)みたいなノリとか、キリンの大瓶ビールとか、見出しにも書きましたが、島田陽子はんや梅宮辰夫はんなど、昭和を濃厚にカンジさせてくれはる、役者はんのチョイ役であったりとか、でおましょうか。監督の内藤誠はんも、昭和の時代に映画をいくつも撮ってきはった監督やしね。

とゆうことどして、男と女がどないなるんか。どないなエンディングを迎えるんか。最後まで、興味津々で見られる映画どす。大人の映画として、上質の仕上がりになっとるんどすえ~。

2011年11月13日 (日)

テレビよりビビッドな「映画 怪物くん」

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「ハリー・ポッター」を思い出させはる、みんなの活躍ぶりにドット注目どすえー

人間・悪魔・怪物界のトリプル・ワールドのシンクロ系がよろしおますねん

http://www.kaibutsukun-movie.com/

霜月11月26日の土曜日から、東宝はんの配給によりまして、3D&2D同時公開にて全国各地イッセーのロードショーでおます

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

アニメ映画版(1980年・1981年製作)なんかもあるんやけど、藤子不二雄のコミック原作の、実写版テレビドラマの劇場版でおます。

「ドラえもん」(2月27日付けで分析)の時に、藤子原作もの映画について分析しよりましたけども、本作はある意味では、藤子原作映画のオリジンを示す快作でおました。

確かに、「ブッダ」(5月13日付け)の手塚治虫を意識しはったんか、今回はインドを舞台にしてはりますが、手塚大センセーの呪縛から解き放たれた作品で、最高ケッサクてゆうたら、本作でおましょうか。

とゆうより、ボクとしては「ハリー・ポッター」やらを、バチバチに意識しはったような、そんな作品になったんやないかなとも思いました。

モチ、怪物くん役の嵐・大野智クンはハリー・ポッター的やし、敵役の上川隆也のアニキは、同じく「ハリー・ポッター」のレイフ・ファインズはんみたいな、キャラ造形ぶりやしな。

加えて、人間界・悪魔界・怪物界の3界を、シンクロナイズさせはるとゆう、重層構図なスタイルなんどすえー。さらに、ハリウッド映画への意識とアンサーもござります。

怪物くんのお守り役の3人(八嶋智人&上島竜兵&チェ・ホンマンの各アニキ)は、狼男・吸血鬼・フランケンシュタインをイメージ化してはりま。クラシックなハリウッド・ホラー映画の3大怪物をキャラ化しはって、「E.T.」(1982年・アメリカ映画)的な満月カットとか、「ネバーエンディング・ストーリー」(1984年・西ドイツ)なドラゴン的な乗りとか、イロイロやってくれてはります。

テレビの連続ドラマを、見てへんと分からへん度は全くござりまへん。

でもって、3D的にはどうなんやろか。VFXなとことか、CG使いなとこ、さらに立体的にはならへんけども、灰色・ピンク・セピアなどの色使いも、目を奪われるカンジになっとりました。

そんな中でも、ヤッパ、コミック原作らしいおバカチックなとこも、メッチャ楽しめましたで。「チンチクリンじゃねえぞー」とか、大野クンと川島海荷チャンとの、レベルの低い口ゲンカ・シーンのオン・パレードは、ユニークでオリジンある、コメディ・リリーフになっとります。

監督・中村義洋アニキ的には、「チーム・バチスタの栄光」(2008年)やら、「ゴールデンスランバー」(2010年)やら並みの、いつも通りのトンデモ感を描いてはります。

そこも嬉しかったし、テレビドラマと同じく、嵐の最高傑作「Monster」が流れるのんもエカッタわ~。ジャニーズ・ナンバーとして、SMAPの「世界に一つだけの花」に迫る音楽性にも、改めて注目していただきたいと思いよりました。

2011年11月12日 (土)

アメリカン・ラブコメの新機軸か!?「ラブアゲイン」

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家族ドラマに、プラス3世代ラブコメを、1本にまとめはった快作どすえ~

http://www.loveagain-movie.jp/

ノウベンバー11月19日サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、東京・シネマート新宿やら大阪・シネマート心斎橋やらで、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT  INC.

現在、アメリカン・ラブコメは過渡期を迎えとるかと、ボクは勝手に思とります。新しどころを出すにも、難しい時期にきとるかとも思とります。

まあ、おんなじような内容のもんを金太郎アメ(←おいおい、こんなん死語とちゃあうん?)みたいに、作ってゆくんもそれなりにエエんかもしれへんけど、でも、本作はあくまで新しさにこだわらはった1本でおます。

大たいが若手の俳優たちのラブコメなんてのんが、これまでは基本にはありましたけども、本作でもありますが、それだけやと、ハリウッド・ラブコメ方程式に準じるもんしか生まれてきよりまへん。よっぽどオリジナリティーあふれる話やったら別なんやけど、そんなんなかなか…。

そこで、本作はラブコメを3世代仕様で展開しはり、家族ドラマ性に加え、伏線はそうないけどサプライズも取り込んだ、贅沢なラブコメとゆうことになっとります。

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妻役ジュリアン・ムーアのネーさんから、夫役のスティーブ・カレルのアニキが、いきなり「別れて」とゆわれる話から始まります。そんなん関係なしに、中学生の息子は、子守り役のネーさんに片思いしてはります。

そんな中で、夫はプレイボーイのライアン・ゴズリングのアニキと出会い、スケコマシ(←おいおい、コレも死語やで)指南を受けはりまんねん。でもって、エエカンジにモテル・イケテルおっさんになってゆかはるカレルのアニ。

カレル・アニはアメリカではコメディアンとしてエライ人気らしいんどすが、ボケやツッコミをするワケやなく、あくまで受け身でおとなしい。マジ・モードが笑いを誘うとゆう、タイプのコメディアンどす。災難系もあるし、ジーン・ワイルダーみたいなカンジかな。日本で売れてもおかしくないんどすが…。

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ほんでもって、クライマックスでは、ラブコメやらではパターン化しとるかもしれへんけども、偶然的に登場人物たちを、一堂に会させはるシークエンスをば用意してはります。

でも、このシーンの中で、アッと驚く意外性を仕込みはりました。とゆうか、それまでのドラマの流れを、180度近く反転させはるコレは、アンフェアーやと思わはる人もいてるかもしれまへん。けど、明確な伏線やないけど、冒頭からサプライズを握るキー・パーソンを登場させてはるんは、なるほどなと感心いたしました。

「ダーティ・ダンシング」(1987年製作)「ベスト・キッド」(1984年)など、1980年代のアメリカ映画をセリフやらで取り上げてはるんは、たぶん「フットルース」(1984年)でブレイクし、本作でも重要キャラとして登場しはる、ケビン・ベーコンを意識してはったんやないかな。サントラ使いも「フットルース」と同じく、ロック・ポップをメインにした歌ものサントラっちゅうのんも、心地良かったどす。

2011年11月11日 (金)

山田孝之と4人の女優が掛け合う「指輪をはめたい」

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記憶喪失系でラブ・コメディのノリやなんて、ケッコーいけるやん

小西真奈美、真木よう子、池脇千鶴の各ネーさんらの、「モテキ」に迫る怪演技ぶりにも注目どっせー

http://www.yubiwa-movie.com/

霜月11月19日の土曜日から、東京・新宿バルト9やら、大阪・梅田ブルク7、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸やらでロードショーでおます。

本作は、ギャガはんとキノフィルムズはんの共同配給どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Kino Films/Kinoshita Management Co., Ltd

スケートリンクでこけて頭打って記憶喪失になってもうた男が、誰と付き合ってたんか分からんようになってもうて、しゃーないことなしに、4人の女との掛け持ち恋愛をやるっちゅう、ボケまくりのコメディでおます。

記憶喪失系やったら、フツーはシリアスなカンジで展開するもんでおますが、それをくつがえさはったやも。但しでんな、前半はバリバリのコメディ仕様でも、しまいの方になるにつれ、マジ・モードに変換してゆきよります。

そうそう、大ヒット中の「モテキ」(今年9月18日付けで分析)みたいな構成どすか。さらに、ミュージカル・シーンも大げさやないけどチョイあるし、主人公は3人にプラス1人の女と絡んでまいります。

主人公に扮する山田孝之のアニキの演技ぶりは、コメディアンになりきれないとこがあって、少々ドラマから浮いてるようなとこがあるけど、3人の女優陣のコメディエンヌぶりとの対比によって、救われとるやもしれまへん。

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「モテキ」ではオトコ女ぶりを披露しはった、真木よう子ネーさんは、それとは正反対とも取れるフーゾク系のエロ女役どす。ケッコーハマッてま。小西真奈美ネーさんはツンツン系。池脇千鶴ネーさんは男につくす系やー。

ほんでもって、サプライズ的な役でもあるんやけど、「劇場版 神聖かまってちゃん    ロックンロールは鳴り止まないっ」(今年4月18日付けで分析)に続き、純情系の役を演じた二階堂ふみチャン。後日、分析します「ヒミズ」(来年1月14日公開)では、世界3大映画祭のヴェネチア国際映画祭で、賞をばもろてはります。そのあたりは「ヒミズ」の時に、じっくり分析する予定どすんでよろしゅうに。

でもって、主人公が持っていた婚約指輪は、一体誰に渡そうとしていたんか。山田孝之アニキは妄想も駆使して探らはります。3つマタ掛けの曜日に分けて、3人との生活イメージを比較してみたりしはるんどす。居酒屋で3人の女の間を行き来する、ピアノを流してのチャップリン的クイック・モーション・シーンなど、コメディばえするシーンもいくつか用意してはります。

後半からはテンションが上がりまして、男の妄想ドラマが意外な結末へと着地しよります。コメディとはいえ、記憶喪失ものの意外性をば、キチンと描いてはるとこがエエかと思います。

また、女性監督(岩田ユキのネーさん)らしい柔らかさも、垣間見えよりま。室内やスケートリンク・シーンやらでの、陽光の取り込み具合とか、セピアをほんのりと配色した、数々のシーンなどに顕著どす。

MARIA EVAが歌うスタンダードなポップス「My Daisy Girl」に乗る、アラ珍しやのスケートリンクでのミュージカル・シーンなんぞも、女性らしい発想でおましょう。

「モテキ」を見た方々は、次に本作を鑑賞するんがベストやろと思いますで。

2011年11月10日 (木)

変形家族ドラマの新次元か!? 「ネムリユスリカ」

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フツーの家族もんを、あえてはずしてくつがえす意図は何やねん?

それは21世紀的な作りなんか、それとも家族崩壊へのドラマ的希求なんか

http://www.nemuriyusurika.com/

霜月11月19日の土曜日から、スーパーサウルスはんの配給によりまして、東京・[シアター]イメージフォーラムやらでレイトショーのあと、全国順グリのロードショー予定どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 SUPERSAURUS

家族映画なんて言い始めたら、そらもー、古今東西モノゴッツーな数の映画がござります。でもって、フツーの家族映画やったら、そのままやがな! なんで、変種・変形・ゴタゴタ・グニャグニャ、それこそいろんなパターンが、作られてきよったかと思います。

ほんでもって、本作なんやけど、ムムムムムーン…やねん。“説明するな、描写せよ”とゆうのは、小説だけやなく映画でも名作のベース・ラインになっとります。その意味でゆくと、本作は描写に徹した作品やと申せましょう。

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コトバをなくしたオカン、ハイティーンに見える娘はん、で、オカンのオトン、つまりオジンの3人が、トレーラーよりチョイ狭い車のバンで、車上生活してはります。彼らの憩いの場は河川敷きでおまして、鉄橋の橋下の野外食卓シーンの造形ぶりなんか、ホームレス家族の何やら情緒みたいなもんをカンジたり、河川敷と川と鉄橋をベースにした、いろんなリフレイン描写に加え、映画的な舞台設定やら構図や風景が何やら妙に、ココロに染み込んできたりしよります。

但し、家族映画なだけにでんな、ポイントとなるべきは家族どす。とある男に強姦されてしもて、オカンは妊娠し娘を生みました。オカンの実家はオバンが死に、で、オジンは家を売って3人で車で家を出て、オカンをはらませた男に責任を取ってもらおやないかと、車上生活を始めはります。オカンは強姦が原因で、声が出んようになったんか分かりまへんが、ホテルやらでマッサージ師として仕事してはります。娘も一緒に連れて行ってはって、しかも馴染みのホテルではイロイロ優遇してもうてはります。

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この流れの中でやったら、よう分からへんとこがありますわな。なんで娘を生んだんか、なんで家を捨てたんか、がまずあります。ほんで、男オトンとの関係やけど、コレが最も分からへんとこどした。オトンは意識不明で入院中やけど、妻とコドモが2人もいてます。そんなオトンのとこへ、深夜にこっそり行く娘はん。オカンやオジンにも、強姦はらませオトンのことは分かっとるやろに。なんせ、興信所にオトンのことを調べさせてはったんやから。

描写に徹して分からんとこの多い名作とゆうのんは、ケッコーあるんやけど、分からんことが多すぎると、コレは形而上的な映画なんや、分からんで当たり前なんや~なんて思うんやけど、本作みたいな現実的な作品やとそんな錯覚は通用しよりまへん。

ただ、新しき家族映画を作る意欲は、スゴイもんがあるんやないかと思いました。いくつかの疑問も、説明しようと思えば無理にでもできたでおましょう。しかし、それをあえてせずに突き進む姿勢にこそ、冒険とゆうもんがあります。娘ヒロインの、その後の生き方を見てみたいと思いました。あらためてこの娘ヒロイン映画を、期待したくなる作品どしたえ。

2011年11月 9日 (水)

ロシア舞台の日本映画「カリーナの林檎~チェルノブイリの森~」

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少女ヒロインもの映画に、チェルノブイリを絡めはった問題作でおます

最初はドキュメンタリーのつもりが、イロイロあってドラマ映画になったとゆう作品でおます

http://www.kalina-movie.com/

ノウベンバー11月19日のサタデーから、東京・シネマート六本木やら、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーやー。

日本映画の本作をば、配給しやはるのは、カリーナプロジェクトはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒカリーナプロジェクト

少女ヒロインもの映画なんてゆうたら、これまでにモノゴッツーな数の映画が輩出されておます。

少年もんなんかと合わせたら、スゴイやろけど、ただ、少年もんより少女もんの方が、何やら悲しいブルージーなもんが多いのも、特徴的になっとります。まあ、宮崎駿アニメやらディズニー・アニメやらで、少女も少年に勝るとも劣らへん、元気印がある今日この頃なんやけど…。

しかし本作は、悲しい系に入る映画になってしまいました。なんせ、チェルノブイリ関連なんやもん。福島原発の問題も実に厳しい昨今なんやけど、でもこのチェルノブイリとゆうのんは、福島以上にものすごかったらしいです。

福島もこんな風になるんとちゃうか、なんてゆう声もあるんやけど、本質的には大いに違っておます。自然災害でなったんやなく、原子炉そのものの問題によって発生したもんでおます。

それだけに、問題はピンなんで、より濃厚なモンがござります。福島がこんなチェルノブイリになるとは、ボクは全く思ってないんやけど、チェルノブイリの現実がいかにえげつなかったんかが、改めて認識できました。

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とゆうことで、福島の問題もありまして、チェルノブイリ関連のドキュが、最近出てきてるんやけど、ドラマ映画としてはそんなにありまへん。とゆうか、本作は最初はドキュとして撮ろうとしてはったんやけど、いつの間にやら、ドラマ映画になったっちゅう流れがござります。

2枚目の写真にありますように、最初は、両親に娘にオバンとゆう4人家族やったんやけど、原発事故で、オトンはモスクワ単身赴任、オカンは入院、少女娘は親戚一家のとこへ引き取られ、ほんでもって、オバン1人だけが爆心地近くの実家に、住んではるなんてゆうカンジなんどす。

ポイントは少女娘視点でおまして、長回し撮影、ロングショットを含めて、静かにゆったりと展開しよります。但し、そのゆったり感は、つまりは危ない感に通じるもんでおますんどすえ。

少女が通りを走る、1分くらいの長回しによる遠近感あるロングショットやら、1人で街をさまようシーンやら、バスに乗ってオバンのとこへ行くシーンやら、作品そのものは少女に寄り添った作りになっとります。

そやから、クライマックスは静かながらも、強烈なインパクトを残しま。ラストロールで映される八ミリと、流れる「アベ・マリア」の歌が、さらに余韻を深めよりまして…。

これまでピリッとせんかった今関あきよし監督やけど、遂にケッサクをものにしはりました。必見どすえ~。

2011年11月 8日 (火)

職人ドキュと青春ドキュの合体「森聞き」

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老職人たちと10代の若者たちをつなぐ、グッド・コミュニケーション・ドキュメンタリーや~

東京、富山、三重、奈良、宮崎、北海道と、全国各地をカメラは巡りまっせー

http://www.asia-documentary.com/morikiki/

霜月11月12日の土曜日から、プロダクション・エイシアはんの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順グリの上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

日本各地の村々で家業を受け継ぎ、長~い間働いてはる農業・林業やらの職人はんら。つまり、タイトルにある森(山・田畑含む)で働く、オジン・オバンたち。

それもフツーの農業やら林業やらではありまへん。焼き畑、大木に登っての種採り、茅葺きの家造りの材料採り、北国の孤独で特殊なキコリはん…。

そんな人たちに、高校生らがイロイロ話を聞きに行って、実地体験もするなんてゆう「森の“聞き書き甲子園”」なるものを、2002年から、文部科学省や林野庁やらの主催でやってはるんでおます。

そんな中で2008年から2010年のエピソードから、特注の4話を抜粋しはったんが、本作のドキュメンタリーでおます。

村や村の老人たちを描いたり、職人はんを描いたりする、いわゆる村ドキュ・職人ドキュやったら、今までにたくさんござりました。一方で、高校生らの若者が、青春を懸けるみたいなタイプの、スポーツ・ドキュとか部活ドキュなんてのんもありました。

でも、コレはその2つを融合しはったようなカンジになっとりまして、オジン・オバン世代と孫世代の、親世代抜きの、2世代間交流とゆう作りになっとるんどす。

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老人と孫世代の交流映画もまた、これまでにそれなりに出てまいっておます。しかし、本作は4話オムニバスとゆうカンジで、4倍おいしいかどうかは分かりまへんけども、束の間やけど2人の交流なるもんが、シミるとこもありま。

東京の女子高生が富山の茅葺き現場へ、「NARUTO」やらのマンガ好きの、三重の男子学生が奈良の山奥へ、宮崎の全寮制の女子高生が焼き畑の現場へ(写真2枚目)、将来林業に就きたいとゆう北海道の男子が、伝説の木こりのとこへ(写真1枚目)とゆうように、全国各地の山野ロケを選んではるとこに、単なる閉所やなくてでんな、全国の田舎のどこにでもあるとゆう風景やったり、一般的な説得力を持たせようとしてはります。

さらに、4エピソードのそれぞれが、若者からのインタビューと、老人のシブい話で統一されながらも、全部違ったユニークな逸話として紡がれておるんです。

例えば、山とゆう空間を自由に歩く自由人にして宇宙人やとゆう、木こりの老人の話などはオモロイわ。

でもって、サントラどす。楽器をバックにせえへん、癒やしのアカペラがしょっちゅう流れます。楽器的な音も、声で表現されておます。フィンランドの6人組「ラヤトン」が歌ってはりますが、森イメージにピッタリのこれらの歌が、映画をさらに印象深いもんにしてはります。

昨年対象やったんやけど「キネマ旬報」の文化映画ベストテン入りは、当然のケッサクでおました。

2011年11月 7日 (月)

今までにないんとちゃう? このジャパニーズ・アニメ「緑子/MIDORI-KO」

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10年以上も掛けて製作された、55分とゆう凝縮された問題作

いや、問題とはチョイ違いま。宮崎アニメやらとぜひ、比較して見てもらいたい逸品どすえ~

http://www.midori-ko.com/

霜月11月12日土曜日から、ミストラルジャパンはんの配給によりまして、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで上映でおます。その後、全国へと回る予定どす。

「みみず物語」「春子の冒険」「個人都市」やら、本作の黒坂圭太監督の、過去の快作との3本立て上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Keita Kurosaka/Mistral Japan

こんなアニメ映画は、テレビやらOVAやらも含めましても、ボクとしてはこれまでに見たことがありまへんどした。

焦点がボケたような、粗い粒子の集合体なんやろか、動く版画ないしは油絵的なとことか、揺れるような画像の連続やら、時おりチカチカしたりと、メッチャマニアックに見えたりしよりましたけども…。

10年以上も掛けてはるらしいどすが、その微細ぶりは相当大変やったやろと思うけど、それでも基本ラインは手書きやと思います。とにかく、シブいわ。間違いなく、今までにないアニメのタッチでおます。

みなはんもきっと見はったら、おっ、何、これって違和感を覚えはるやもしれまへん。でも、じっくりと見ていかはったら、分かってきよります。リピートして見てもエエかもしれまへん。

基本的にはヒロインものどして、ヒロインと、緑子とゆうユニークな人格化した植物・食物との、交流をば描いてゆかはります。植物が擬人化するっちゅう発想は、植物やないけど「パラサイト・イヴ」(1997年製作)のミトコンドリアを思い出させよりました。

つまり、この植物は「となりのトトロ」(1988年)のトトロであったり、「カッパのクゥと夏休み」(2007年)のクゥやったり、あるいは、「E.T.」(1982年・アメリカ映画)やったりするワケでおます。

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少女ヒロインの多い宮崎アニメ、ジブリアニメへの、アンチテーゼなとこもあって、宮崎アニメを頭の片隅に入れて鑑賞すると、イロンなもんが見えてきたりしよります。但し、ディズニーを視野に入れると、ちょっと違うかもしれまへん。

アニメのタッチに合わせて、色使いやらサントラ使いやらも、アニメの定番を痛快なくらいに、大いに外してはります。セピア、グリーン、モノクロなどが、薄色にしての水彩タッチどす。細かく描かれるモノクロの部屋の様子やらも、たぶん製作に1年以上は掛けてはるんやないかな。

いろんな楽器が、サントラとして使われておます。シンセサイザーだけやなく、怪しきテルミンなんかも、使(つこ)てはんのとちゃうやろか。多層的に使われるバイオリンやらも効果的やったわ。

でもって、ラストロールどす。川上未映子ネーさん(芥川賞も演技賞ももろてはるけど、もともとの本業は歌手どす)が、オーケストラをバックに披露しはる、メロディアス・バラード「麒麟児の世界」のインパクトどすか。これまでのジャパ二メーションにはない、人を食ったようなラストシーンのあとに、この曲を聴くと、さらに新しい不可思議な余韻へと、誘ってくれはるはずどすえ~。

2011年11月 6日 (日)

日米同時公開ハリウッド映画「インモータルズ 神々の戦い」

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紀元前映画らしい、戦闘アクション&スペクタクルが満載でおます

21世紀的ゲーム・アクト・テイストも入った、ギリシャ神話ものどす

http://www.immortals.jp/

November11月11日Fridayから、東宝東和(全米はユニバーサルピクチャーズ)はんの配給によりまして、3D・2D同時公開にして日米同時公開でおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 War of the Gods, LLC. All Rights Reserved.

すでに分析しました「孔子の教え」(11月3日付けで分析)でもチョイ、紀元前映画について、ボクの見解を披露しよりましたけども、そのココロにつきまして、さらに突っ込んでゆうてみます。

ボクの勝手な分析では、大たい4パターンほどに分かれるんやないかな。①歴史的な事実関係に基づいた歴史もの、及びそれに準じるアクションもの=「ベン・ハー」(1959年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画どす)や「グラディエーター」(2000年)やら②聖書もの③ギリシャ神話をはじめとした神話もの④それ以外(恐竜時代・氷河期・原始時代やらを描いたもの)

でもって、本作は②に顕著なスペクタクルな要素を絡めて、①に顕著な古代史の戦争アクションのタッチを取り入れて、ベースは③とゆう作りになっとる映画どす。本作の製作陣が関わらはった「300(スリーハンドレッド)」(2009年)も紀元前やし、ギリシャ神話では「タイタンの戦い」(2010年)なんぞもありました

まあ、紀元前の神話とはいえ、神やなく、人間が作らはった物語が原作になっとるんでおましょう。神々の戦いとゆうのは、いかにも神話らしいどすけども、神々に善悪があるのかどうかは別にして、ベースは人間界における、善と悪の戦いがメインに展開しよります。

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紀元前の人が書いたものが原作なだけに、あくまでシンプルな作りでおます。そこへ、現代的な味付けをどない施してゆくんかが、大いなる課題となるでおましょう。

ボクは2Dでこの映画を見たんやけど、3D的アクション作りをしてはるので、モチ2Dよりは3Dで見た方がエエかとは思います。2Dで感じる不自然なアクション・シーンは、3Dならグッと解消されるでおましょう。ゲーム的なアクション・タッチも21世紀的な作りどす。

ボク的には紀元前ものとゆうたら、ありきたりなアクションよりも、スペクタクル・シーンに目がいくんどすが、ポセイドン神が石油混じりの海に起こす大津波やら、ゼウスがヤッてまう大山崩れやらが、大いに楽しめました。

節電無用の紀元前らしい、ダークな色使いにも感心いたしました。ホンマに非情な悪役ぶりを見せはるミッキー・ロークはんや、「ハリー・ポッター」よりシブミあるジョン・ハートはん、後ろ姿のオール・ヌードを見せてくれはる、預言者女役のフリーダ・ピントのネーさん、今後スーパーマン役にもならはるヘンリー・カヴィル君の、筋モリのイケメンぶりなんやらに、ハラハラドキドキが止まりまへん。

日本人の石岡瑛子はんが、本作で衣装を担当してはります。「ドラキュラ」(1992年)に続く、アカデミー賞衣装デザイン賞ゲットが期待できよりま。古代史の衣服の造形は最難題なんやろけど、時代考証をベースにしながらも、時代が時代なだけに、こうやないとダメやとゆう明確なものはなく、自身のセンスも十分取り込めまんねん。

ボクは衣装に関しては素人以下なんやけど、それでもオモロイ衣装をいくつも作ってはって、楽しめました。2度目のオスカー・ゲットをば期待しとります。

2011年11月 5日 (土)

スティーブン・ソダーバーグ流オールスター映画「コンテイジョン」

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近未来型ウイルス・サスペンス・パニック・ムービーやでー

そんなトンデモ状況に、名俳優たちをエライ目に遭わせはるやなんて…

http://www.contagion.jp/

November11月12日Saturdayから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、全国イッセーのロードショーでおます。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマやらで上映しはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

スティーブン・ソダーバーグ監督作品で、最も人口に膾炙(かいしゃ)しとる(人気)作品てゆうたら、「オーシャンズ」シリーズ(2001年・2004年・2007年製作・アメリカ映画)でおましょうか。

知らない方に簡略にゆうときますと、この方はアカデミー賞では作品賞はもうてへんけど監督賞を、でもって世界3大映画祭では、最も芸術度が高いとゆわれるカンヌ国際映画祭で最高賞をもろてはりま。つまり、作家性なるもんがかなり強い監督なんでおましょうか。

確かに「オーシャンズ」シリーズでは、娯楽性の高い犯罪映画を作らはったけど、どこかそれまでのハリウッド映画にはないとこが、見え隠れしておました。それはリアリティーであったり、シビアな展開の持続であったり、決してフツーのハッピー・エンドへは流されないような、まあ、簡単にゆうたらそんなとこらでしょうか。本編で何回死んでもおかしくない状況を、くぐり抜けはるようなハードなヒーロー・ヒロインはまず、登場しよりまへん。

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特に今作の場合、新種のウイルスが世界的に蔓延してゆく実態と、その解決の道を探るような、社会問題性の高い映画となりますれば、なおさらでおましょう。

21世紀の新型インフルエンザ的な脅威を、現実的な見地に立って、アメリカ映画としては初めて採り上げはった作品やと思います。日本では「感染列島」(2009年)なんぞがありましたが、作り的にはそないな違いはありまへんどした。

まあ、ゆうてみたら「感染列島」は日本的人情が入っとったけど、こちらは非情とは申しませんが、あくまでクールな作りどして、最後に感染経路を解き明かされても、シコリのような重さが残ります。

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パニック部もクールで、大げさやありまへん。どちらかとゆうたら、ドキュメンタリー的な冷静なタッチどすか。むしろ、大仰やない方が、あとあと重たくココロにネバついてきよります。

映画的な照明を入れない、薄~い色合いのシーンを多カットで使用してはります。つまり、明るさをちょっとでも落としとこかいなってゆう意図がござります。

サントラは不安感や無機質感をあおるためか、機械的なシンセサイザーをベースにしてはります。作品の持つダーク感とゆうか、社会的暗みが、いろんな仕掛けでジワジワときよります。

そして、群像劇としての面白さとゆうか、各人の演技のシリアス重層度とゆうか、決してアンサンブルやらの調和やありまへん。チームやった「オーシャンズ」シリーズ的群像劇の各人をバラして、ほんでもって、各人が1人孤独に悩んでるってゆうか。

写真2枚目の冒頭シーンで映る妻(グウィネス・パルトロウのネーさん)が、感染してアッとゆうてる間に死んでまう不幸に見舞われる、写真一番上の夫役マット・デイモンのアニキ。

写真3枚目。感染して同じく死んでまう医者役ケイト・ウィンスレットのネーさんやら、WHOの社員役のマリオン・コティヤールのネーさん。感染者を助けようとしはる、必死のパッチの演技にはグッときよりましたけども…。

一方で、ブロガー記者役のジュード・ロウのアニやん(写真4枚目)とか、21世紀の今やないといてへんキャラが、今風の悪徳記者役をやってはります。いろんな人たちの、ミスマッチングな歪み具合こそが、本作にとっては、ベストなキャスティングやったと思います。

いずれにしましても、見たあとじっくり考えさせてくれはる問題作でおました。

2011年11月 4日 (金)

メジャー野球映画の新タイプ「マネーボール」

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ブラッド・ピットのアニキが魅せはる、データ野球の神髄でおます

「もしドラ」のメジャー版も、こちらはググーンとシビアな作りや~

http://www.moneyball.jp/

November11月11日Fridayから、全国各地イッセーのロードショーをヤラかさはります。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズ梅田、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんばやらで上映どす。

本作を配給しやはるのは、ソニー・ピクチャーズはんどっせー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

これまでの野球映画にはなかったタイプの1本でおます。試合シーンは当然あるんやけど、試合よりもデータ野球の分析・実践・アレやコレやらが、メッチャオモロい作りになっとります。

実在するアスレチックスのゼネラルマネージャー(GM)のビリー・ビーン役に、ブラッド・ピットのアニキが扮しはりまして、優勝を目指した球団経営のイロイロをば見せてくれはります。

ああ、そうゆうたら、「もしドラ」も高校野球やったけど、そんなんやったんと違うかなと思わはる人もいてるかも。でも、こちらはメジャー・リーグどすし、スケールもライン度もシビアさも、天と地くらいの開きがござります。

強豪チームより3分の1の予算しかないのにでんな、主力選手1人が引き抜かれよりました。そこで、ブラピは1人分の穴を、安いギャラやけど、合わせた出塁率は同じやとゆうことで、3人の格下選手を集めはります。

別の球団にトレード話をしに行った時に見つけはった、助手役ジョナ・ヒルはんの助言どす。この方の落ち着き払ったデータ分析ぶりは、説得力がありま。

そして、ブラピのタイトにしてピリッとした話しぶりやら、一方で連敗続きに、1人で落ち込んだりする演技やら、まさに野球経営者のリアルな姿に、ノリ移ってやってはります。アカデミー賞をはじめ各種の全米の賞でのノミネートや受賞を、期待してもエエような演技ぶりやと思います。

でもって、見どころはズバリ、データ野球の実際どすえ。1シーズン内のトレードギリギリの期限日に、固定電話のやり取りで魅せる、室内劇やのにスリリングなシークエンスやら、ブラピと選手たちや監督役フィリップ・シーモア・ホフマンはんとのやり取りなども、地味に見えながらもあとあと効いてきよります。

大リーグ記録となる20連勝を達成するシーンも、確かにデッカイ見どころやとは思いますが、そこでも、ブラピの人間性を浮き彫りにしはります。冒頭で示されますが、ブラピは試合は見ない主義なんどすわ。車中やらでラジオを付けたり消したりして、試合の行方は追うんやけど。なんでやのん? ってゆうのんも、過去の不遇の選手時代を時おり見せることで、雰囲気的に分かってまいります。

元妻役ロビン・ライトのネーさんとは別れてはるんやけど、2人の間に娘がいまして、この娘はんとの交流部もござります。ヘタやけど娘はんのギターの弾き語りは、激しい経営戦略シーンが続く中で、一服の清涼剤のように、スーっと癒やしを挿入しはります。

とゆうことで、結論は…。野球映画とゆうより、野球人間ドラマ映画のケッサクやと思います。

2011年11月 3日 (木)

中国映画「孔子の教え」

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チョウ・ユンファのアニキが孔子役にならはって、紀元前歴史映画に新たなエポックを刻まはりました

4大中国美人女優の1人、ジョウ・シュンちゃんとも絡まはるんどすえ~

http://www.koushinooshie.jp/

霜月11月12日の土曜日から、ツインはんの配給によりまして、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、11月中旬から、大阪・梅田ガーデンシネマやらで上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 DADI CENTURY(BEIJING)LIMITED ALL RIGHTS RESERVED

紀元前を舞台にした映画には、これまではある種の方程式なるもんがござりましたんどすえ。ユーロがメインどして、戦争ものもしくは、キリストものがメインにありました。

アレキサンダー、シーザー、クレオパトラ、トロイにアレクサンドリア、ほんでもって、キリストもの、聖書にまつわるスペクタルものやらどすか。

まあ、日本やったら、卑弥呼もの、釈迦なんぞも採り上げはりました。アメリカやったら、氷河期のアイスエイジやら、石器時代のフリントストーンとかやろか。

紀元前の偉人ものでも、スペクタクルは控えめに、本作は孔子の人間ドラマとしてシビアにリアルに描いてはります。後半のロードムービー部は、そんな人間性を如実に示さはるシーンになっとります。

まあ、人間ドラマとしての打ち出し方としては、かのキリスト以来のドラマ性を描かはるんどす。ある意味では紀元前映画としては、エポック・メイキングなカンジになっとるかと思います。

孔子役はチョウ・ユンファのアニキ。実に孔子らしい落ち着いた演技ぶりが渋いわ。主演しはった「グリーン・デスティニー」(2000年製作・アメリカ&中国合作)でアカデミー賞外国語映画賞やらをもらわはったんは、みなはん、知ってはりますか

同じく同作でアカデミー賞撮影賞をゲットしはった、撮影監督ピーター・パウはんが、本作でロングショットを含め、キレル構図のシーンを多数披露してはります。

でもって、中国4大美人女優に数えられてはる、ジョウ・シュンちゃんの好感度ある演技ぶりや。4大美人やて、あとの3人は誰やねん、なんやけど、コレが年度ごとにイロイロ変わってるみたいで、確実なもんはござりまへん。

2011年度では、チャン・ツィイー、ヴィッキー・チャオ、ファン・ビンビンはんやろか。一説には、ツィイー、シュー・ジンレイ、チャオ・ウェイなんてのんもありま。でも、ジョウ・シュンちゃんは4大の中に、現在でも入ってはることは間違いござりまへん。

さて、孔子の名言が本作で、孔子の口からいくつも発せられます。その一つ一つが映画的にもモチ、名ゼリフになっとりますんで、じっくり味わってくだされ。

また、サントラ使いも感動的なカタチで、本編に溶け込んでおます。しょっちゅう壮大な弦楽オーケストラを流してはります。それらのほとんどの場合が、ドラマを盛り上げ続けてはります。巧妙な使い方どした。

加えて、ラストロールで流れる、フェイ・ウォンのネーさんによる、中華ノリのスロー・ポップスや。ゆったりと癒やし系でエンドロールを迎え、ホッコリした気持ちで映画館をあとにできまっせー。ちゅうことなんで、いっちょう、行って見まひょかー。

2011年11月 2日 (水)

今年のナンバーワン級の洋画「家族の庭」

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訪問者たるビジターがモノゴッツー異色な、夫妻映画の傑作どす

ムムム、コイツはすごいわ。ホンマです。本年度の最高傑作やー

http://www.kazokunoniwa.com/

ツインはんの配給によりまして、東京やったら、11月5日に公開やけど、関西やったら、11月26日サタデーからテアトル梅田、12月10日からシネ・リーブル神戸、その後、京都シネマやらで上映しはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 UNTITLED 09 LIMITED, UK FILM COUNCIL AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

ボクチンが、今年100点満点にした唯一の作品が、今のところ、この1本でおます。今のとこてゆうても、もう今年も2(ふた)月弱。マスコミ試写室では、11月あたりから来年の作品が掛かり始める頃でおます。ちゅうことは、ほぼ本作が、ボクチンの今年イチバンヤーな作品になりそうやねん。

イギリス映画どす。かつて「秘密と嘘」(1996年製作・イギリス映画)で、カンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドールをゲットしはった、マイク・リー監督作品どす。

なんてゆうても、大ヒット作をメインに見に行かはる人やら、若くして映画ファンを自認してはる人には、まあ、何ゆうてんのん、なんやろけど、まあ、騙されたと思て、この作品をば見に行ってみておくんなはれ。人生は変わらへんかもしれへんけど、映画への見方がこれまでと、ガラリと変わるやもしれまへん。

描かれてんのは、単純明快なる夫妻のお話なんどす。どちらかがビョーキになってるわけやなく、1人息子も家を出て、独身やけど1人立ちしてはります。ある意味では、核家族映画の傍系みたいなカンジどすかな。

老夫婦が1人立ちしたコドモたちのとこを、訪問しはった「東京物語」(1953年・日本)みたいやったとゆうシブい感想もあったらしいんやけど、本作の場合は夫妻は家にいてはって、訪ねられる側でござります。

ほんでもって、そのビジターたちのユニークさ、エキセントリックさに目を剥いてしまうってなことになっとりま。とゆうか、モノゴッツーな人が1人いてはって、その人こそがこの映画の全てを握ってはるような、超絶ウルトラ級の演技をば披露しはります。

写真の真ん中に写ってはる、レスリー・マンヴィルのネーさんどす。このネーさんやけど、セラピストの妻(ルース・シーン)が勤めてはる病院で、事務系の仕事をしてはるんやけど、若い時分にバツイチしてはりまして、時々妻と酒を飲まはり、夫(「アイリス」=2001年・イギリス=の夫役で、オスカー助演男優賞ゲットしてはる、ジム・ブロードベントはんがヤッてはりま)妻の家のパーティーやらに参加しはり、ヨッパラッて、そこで会う夫妻の息子はんにウ~ンとならはり、でも、でも、ってな展開になる展開どす。

春夏秋冬に合わせたパーティー・シーン。ほんでもって、レスリー・ネーさんの、その時々のココロの具合やら不審な挙動ぶり、ブツブツ話される長ゼリフやらが、長回しを含めよりまして、モーどうにもスゴイ・インパクトを刻みつけはります。

明らかに精神的に壊れていた「こわれゆく女」(1975年・アメリカ)のジーナ・ローランズとか、ストレートに狂気を示した「危険な情事」(1987年・アメリカ)のグレン・クローズとも違う、ビミョーで奇妙、共感はでけへんけど、ウーンとうなりたくなる存在感を示さはりまんねん。

フツーの家族映画・夫妻映画を裏返しにしはって、ドカーンとありふれ系を超越しはったような仕上がりは、ユニーク家族映画の原点「我が家の楽園」(1938年・アメリカ・アカデミー賞作品賞ゲット)に、勝るとも劣らへんケッサクになっとります。

2011年11月 1日 (火)

原発ドキュメンタリー「脱原発 いのちの闘争」

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九州電力の問題を採り上げはった、社会派ドキュメンタリーどす

山本太郎のアニキが、熱血流で抗議してゆかはるシーンにインパクトありやー

http://cinenouveau.com/

http://www.nishiyamamovie.blog39.fc2.com/

霜月11月5日の土曜日から、大阪のシネ・ヌーヴォ、シネ・ヌーヴォXやらで、上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

原発ドキュがこのところ、かしましゅうなっておます。このムーブはモチ、福島原発の問題に呼応したもんどす。

これから当ブログで分析するのでは、ドラマ仕様の「カリーナの林檎~チェルノブイリの森~」やら、ドイツ編「アンダーコントロール」、節電含むエコNY生活を描く「地球にやさしい生活」なんぞがござります。

そんな中でも、本作は最も社会派らしい攻撃性に満ちた作品になっとります。西山正啓(まさひろ)監督と申しますれば、これまでに沖縄ものの社会派ドキュを、いくつも作ってきはりました。

その作りは、水俣病をとことん追及しはった、土本典昭監督の精神を引き継いではります。でもって、本作は九州電力の原発に対し、モノゴッツーな市民の反対運動を展開しはるキョーレツな映画になりよりました。

九電側と市民側の質疑応答のやり取りが、最初の1時間で怒涛のごとく続いてまいります。ほんでもって、原発を作ろうかっちゅう鹿児島の、ウミガメの産卵地を時おり映さはります。

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そして、後半の40分は、「カイジ2」(10月15日付けで分析)にもチョイ出てはる山本太郎のアニキが、佐賀県庁への抗議行動に参加しはるビビッドなシーンが登場でおます。「奴らはお金に懸けるけど、僕らは命を懸けて」なんて太郎アニのコトバは、胸にググッときよりました。また、福島から逃れてきはった母子の、抗議や陳情も感動的どした。

ギターの弾き語りフォークの演奏シーンやらは入れてはりますが、基本的にはサントラを入れずに、ドキュをそのまま見せてゆく作りやったり、長回し撮影やら、そのまま撮ってゆくスタイルは、まさにドキュのキモやと申せましょう。

事実関係は字幕で説明し、監督の意見や感想やらは一切入れずに、ドキュメンタリズムの在り方を提示しはります。あくまで、映画を観た人の感じ方にゆだねはるんどすえ。説明過多のテレビのドキュメンタリーとの違いは明確でおます。

それらは映画としてのエンタ性とは、相反するものなんやけど、いずれにしても、面白いかどうかとゆうラインとは、根本的に違うんどす。いろんな人たちの話を生のままに捉えて、群像ドキュとしての重みもござります。社会派ドキュのお手本的な作品やと、ボクは思います。

本作はシリーズ化されとるようどして、これからも次々に出てきよるらしいですわ。ヒジョーに楽しみになってきよりました。

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