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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年10月の記事

2011年10月31日 (月)

韓国映画「第7鉱区」

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モンスター映画にしてサバイバル映画の、バリバリのアクションどっせー

ハ・ジウォンのネーさんが「エイリアン」的ダイ・ハードをヤラはります

http://www.d7-movie.com/

霜月11月12日のサタデーから3D、2D同時ロードショーどす。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7やらTOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで上映でおます。

本作を配給しやはるのんは、CJ Entertainment Japanはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 CJ E&M Corporation. All Rights Reserved

タイトルは実際にあった石油採掘の、海底油田の名前でおます。1970年代に、東シナ海に日韓共同でやってはったんが、いつの間にやら立ち消えになっておました。でも、そのプロジェクトを2011年まで維持したとゆう設定の上で、お話を展開しはりまんねん。

映画は1985年の鉱区のエピソードから始まりますが、その時にハ・ジウォンのネーさんのオトンが、海中の「アビス」(1989年製作・アメリカ映画)みたいに、一瞬美しそうに見えるモンスターにヤラれてしまいました。

ほんで、今、オトンの死のナゾを追うことをでっかい目的にしはって、石油採掘のボーリング船に乗って、仲間から無鉄砲と言われもって日々活動してはんのが、ジウォンのネーさんどす。

ほんでもって、モンスターが現れて、みんなを襲います。唐突なカンジやけど、チビチビいくつかの伏線シーンを設けてはりまんので、おいおい、どないなっとんねん! な違和感はそないござりまへん。

但し、海底油田採掘と怪獣とゆうミスマッチとゆうか、「グエムル 漢江(ハンガン)の怪物」(2006年・韓国)的なサプライズ感を描こうとしはったんやろな、たぶん。

うまくいってるかどうかは別にしてでんな、モンスター映画にしてサバイバル映画とゆうノリは、まさに「エイリアン」シリーズ(1979年・1986年・1992年・1997年・今のところ4作・アメリカ)的なとこを、バチバチに思い出させてくれはりました。

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「光州5.18」(2007年・韓国)で社会派ぶりを示さはった、キム・ジフンのアニキの監督作品どすけども、基本ラインは娯楽アクションを撮りたい人なんやないかな。

本作なんか、監督がハ・ジウォンネーに対し、「エイリアン」のシガニー・ウィーバーを仮託しようとしはったあとが、アリアリとうかがわれよります。それは「エイリアン」や「エイリアン3」の回廊的追逃走アクトとか、「エイリアン2」的な格闘的1対1バーサスに顕著でおます。

この1対1対決シーンは、30分以上にわたるクライマックスどして、本作のでっかい見どころになっとります。

韓国初の本格的3D映画っちゅう触れ込みもござりまして、モンスターの造形も、コレまでにないもんを作ろうとしたあとが見えておます。ハ・ジウォンネーのおじさん役アン・ソンギはんが、作ったらしいこの怪物。何から生まれたかはネタ部になるんで言いまへんが、基本は「エイリアン」的も、口から長~い舌出してイロイロやってきよるし、飲み込みもありまっせ。

そしてでんな、写真を見てもろたら、大たい分かるやろかと思いますが、薄い色合いと夜シーンの多さのダーク感。さらに、火災シーンを映えさせるような作り。群青色とゆうよりも、白っぽく映される海シーンなど、不穏なカンジを色彩設計にも反映させてはるのんが、エエんやないかなと思いました。

2011年10月30日 (日)

ジャッキー・チェンの通算100作目「1911」

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ジャッキーが総監督・主演して、人間臭~いシブ~い演技を披露しはりました

「レッドクリフ」や「ラストエンペラー」とはまた違う、中国映画の底力をば示さはるんどすえ

http://www.1911-movie.jp/

霜月11月5日の土曜日から、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーやでー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 JACKIE CHAN INTERNATIONAL CINEMA CULTURAL HOLDINGS LIMITED JACKIE & JJ PRODUCTIONS LIMITED All Rights Reserved

香港映画は格闘アクションのイメージがありますが、片や、中国映画のイメージって、みなはんの頭の中には、どんなもんがメインにあるでおましょうか。

本作は香港・中国合作とゆうことになっとりますけども、香港はイギリスから既に中国に返還されておますんで、ゆうてみたら、中国映画っちゅうことになりますか。

ボクの勝手なアレかもしれまへんが、中華人民共和国映画てゆうたら、時代劇・歴史劇がまず思い浮かぶんどすわ。現代劇とかや活劇やらではありまへん。大ヒットした「レッドクリフ Part1」(2008年製作・米&日&中&台&韓合作)も結局「三国志」やし、アカデミーの作品賞をゲットしはった「ラストエンペラー」(1987年・イタリア&イギリス&中国)にしてもそうどす。文革なんかも含め中国には、歴史に大いなるドラマの芽があるとゆうことなんやと思います。

ほんでもって、本作でおますが、孫文はんがやらはった「辛亥革命」を採り上げはりました。これまでには、確かに孫文の生涯を描く映画やとか、孫文をダシにした香港大アクション「孫文の義士団」(今年3月5日付けで分析)なんぞが出ましたが、コレは革命が起こった、1911年とゆう1年間にだけ焦点を当てて、大河ドラマ性を外さはった歴史もんでおます。

ラストシーンまで含めますと、1912年の2月まで描かれますが、この時代を分かりやすく申しますれば、「タイタニック」(1997年・アメリカ)沈没事件(1912年4月10日に発生)の1年前とゆう設定でおますか。言うまでもなく、辛亥革命が勃発してから今年で100年目どす。

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その100とゆうキーワードに、魅了されはったんかどうかは分かりまへんけども、通算100本目の主演・出演作品として、ジャッキー・チェンのアニキが本作を選択しはりました。選んだとゆうか、総監督もやってはりますんで、相当リキが入っておます作品どすえ。

とゆうことで、ジャッキー本人がキャリアの総決算として、「レッドクリフ」や「ラストエンペラー」やらに負けへん、強力作品を作ろうと挑まはったんが、ひしひしとカンジられる作品になっとります。このあと、1912年を舞台に、ジャッキーも活躍しはる「新少林寺/SHAOLIN」(11月19日公開)も分析しまんので、よろしゅうに。

さて、ドラマ的主役は孫文はんなんやけど、ジャッキーはその孫文の同志で、革命実行部隊の隊長・黄興(こうこう)役に扮しはりました。孫文役はテレビドラマを含め、孫文役をなり切り型でやってはるウインストン・チャオはんやけど、この年1911年には各国を回って、イロイロ外交活動をやってはる役どして、アクションはありまへん。

そやから、ジャッキーが孫文役やったら、アクションを封印せなあかんので、ジャッキー・ファンには欲求不満が残るやもしれまへん。で、最前線の役なんかもしれへんけど、でも、銃撃戦をメインにアクトを披露しはるけど、これまでのカンフー・アクト・イメージとは全く違っておます。部分的にスローとなる、人間臭い、男臭いぎこちないアクション。ヤラレてまうシーンも、メッチャシブいわ。

アクトとは別に、ロングショットによる、帰国した孫文との再会シーンなども感動的どした。リー・ビンビンのネーさんとの絡みも、アップもあるけど静かでしっとり。

ほんでもって、「ラストエンペラー」とクロスオーバーする、コドモ皇帝・溥儀(ふぎ)のシーンやら、皇太后役のジョアン・チェンのネーさんの「ラストエンペラー」と同じ役ながら、よりシャキッと感を出さはったりなど、名作を乗り越えんとする気迫もカンジた1本どした。

2011年10月29日 (土)

こんな「おばあちゃん女の子」な妊娠中主婦映画

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コミカル感よりも浮遊感を出した、ヒロイン映画の怪作短編31分やー

なんじゃこらあ~な作りやけど、奇天烈感が妙にクセになりまっせ~

http://www.littlemore.co.jp/yokohamasatoko/

11月5日サタデー~11月18日フライデーの間、東京・渋谷のユーロスペースでレイトショー(午後9時10分~)でおます。その後、全国順グリのロードショーどす。

本作の短編は、「真夜中からとびうつれ」との2本立てにて、リトルモアはんの配給によりましての上映どすえ。

関西では11月19日~12月2日に、大阪・梅田ガーデンシネマでヤラはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011横浜プロ

妊娠中の妻のある一日を描いた、なんの変哲もなさそうな映画なんやけど…。

ところがどっこい、野嵜好美(のざき・よしみ)ネーさんの、ノホホンとしたマイペースなカンジが、何やらペーソスチックに心地よい仕上がりになっとりました。31分とゆう制約の中で、ヒロイン映画の珍味ぶりを示さはった作品やと思います。

けったいな主婦でおます。トイレでオンチな歌を口ずさみ、あとを流さはらず。洗たくはしてるけど、買い物には出えへん。夫(宇野祥平のアニキがやってはりま)のオカンからの電話には出ず、留守電応答まかせや。でもって、唐突に登場しよる、飼いネコを探してる棒読み風のオンナのコ。野嵜ネーさんは、そのコから「おばあちゃん」と呼ばれとりま。

ネコの鳴き声出しもって、コドモと一緒にネコを探さはりまんねん。でもって、突然変異的な行動に出はったり…。挙動不審の妊娠妻やー。なんじゃこらあ~なんて思わはる人もいてはるやろけど、コレは好みは別にして、一つの味でおます。コミカル・モードもあるけど、それ以上にモラトリアムな浮遊感が表現されておますよ。

ほんで、その一方におきましては、ペーソスな味わいも、当然シリアスな展開もござりまへん。そうして、映画的な撮り方としての奥行き感やロングショット、長回し撮影、サントラ・効果音としてのピアノの使い方やら、ツボを押さえた作りがなされておます。

さらに、ほんでもって、1人の主婦の日常を、家の近所で撮りましたみたいなカンジを隠しもせんと、のほほんと示してゆかはります。いやあー、コレが監督・横浜聡子ネーさんのスタイルなんでおましょう。

「ジャーマン+雨」(2007年)でも、野嵜ネーを起用しはりましたけども、その時の演技性は引き継がれておますし、出世作「ウルトラミラクルラブストーリー」(2009年)の主演、松山ケンイチのアニキにも、横浜ネーさん調とも呼べる演出をば施してはりました。

昨日分析しよりました「真夜中からとびうつれ」に見られた、シュールなカンジを維持しつつも、これまでにないユニークな人間ドラマに仕立て上げたセンスは、特注もんやろと思います。「ハラがコレなんで」(10月23日付けで分析済み)の仲里依紗ちゃんのバクレツぶりと、比較してみんのもオモロイと思いますで。

ショート・ショート・フィルムの面白さが、凝縮されとるような31分どしたえ。

2011年10月28日 (金)

多部未華子チャン主演短編映画「真夜中からとびうつれ」

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「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督の新作は、何と短編2本立てやー

13分とゆう中で展開する映画への愛が、見たあとあとココロにきよります

http://www.littlemore.co.jp/yokohamasatoko/

11月5日サタデーから11月18日フライデーまで、午後9時10分から、「おばあちゃん女の子」との短編2本立てで、東京・渋谷のユーロスペースにて上映でおます。その後、全国各地へ回る予定どす。

関西やったら、11月19日~12月2日に、大阪・梅田ガーデンシネマで上映しはります。

本作の製作・配給は、リトルモアはんどすえ。

文=映画分析研究所・宮城正樹

Ⓒ2011リトルモア

明日分析しよります「おばあちゃん女の子」との2本立ての1本として、登場しますショート・ショート・フィルムどす。

13分とゆう短さなんやけど、何とコレが、映画の原点・サイレント映画へのオマージュを捧げはったみたいな、チョー渋い作品になっとります。

何やらピーピング・タイプのカラクリ・ボックスがござりまして、横にある棒を回して中をのぞくと、イロンなもんが見えてきよる仕掛けらしいんどす。何がそこから見えるんかとゆう、見たさの好奇心から、本作は始まることになっとります。

万華鏡とか紙芝居とかを最初は想起しますが、コレが実は映画を、ハコ型にしたもんとゆう設定になっとるんやと思います。

回す音が撮影機の音にダブリ、タバコの煙、フィルムチックな雰囲気、楕円構図で示されるアナログ感、でもって、フィルムが燃えてゆくようなとこなんか、ウーンとうなってしまいよりま。デジタルやない、アナログ的フィルムへの郷愁感に、ググッとクルんどすわ、コレがね。

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多部未華子チャンが、エエ味出しもって演技してはります。そうそう、ヒゲなんかを生やしたら、本作ではチャップリンみたいにも見えよるんやないやろかな。

このボックスを巡っての、何やら争奪戦みたいなんも展開しよりましてな、そこにはチャップリンだけやなく、マルクス兄弟やキートンやらの、サイレント映画タッチなドタバタやったり、アクションも出てくるんどす。

とにもかくにも、13分とゆうんはメッチャ短いどす。でも、そんな短時間の中に、こういう映画への愛的世界を構築するのんは、まさに離れワザやと申せましょう。

しかも、映画の原質チックにしてシュールな作り方やー。そうや、そやそや、思い出したわ。「アンダルシアの犬」(1928年製作・フランス映画・17分)とゆう、古典的にして実験的な短編があったわ。本作はその名作より4分も短く、しかもワケ分からへん度を、控えめにやってはります。

そやから、誰にでも分かるような作品になったんやないでしょうか。ボックスを映画やとして見てもろたら、きっと映画への愛を、そこはかとなく感じることができるはずやと思います。

「ウルトラミラクルラブストーリー」(2009年・日本)で、松山ケンイチのアニキを化けさせはった横浜聡子監督やけど、短編とはいえ、今度も一筋縄やおまへん多重縄仕様どした。「おばあちゃん女の子」にも出てはる宇野祥平アニキの、とぼけた味にも注目したい作品どしたえ。

2011年10月27日 (木)

ニュー・ポルノ映画「姉妹狂艶」

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東陽一監督が東ヨーイチ名義で撮らはった、ピンク映画の新次元どっせー

女のコメンタリー(解説)ナレーションが、エロティック度合いを緩和しはります

http://cine.co.jp/erobari/

10月29日から11月4日まで、午後9時からポレポレ東中野でレイトショーやら、11月5日から11月11日まで、午前10時45分からUPLINKで、モーニングショーやらをヤラカシはります。

 「R-18」指定エロエロバリバリ「エロバリ」シリーズ第2弾の、本作の配給はシグロはんでおます。

 エロバリとは、「エロティック・バリアフリー・ムービー」の略でおまして、障害のある人たちも映画館で楽しめる作りになっとりま。

 文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 シグロ、レジェンド・ピクチャーズ、ミッドシップ

さて、久々どすけども、ポルノ・ピンク映画・ハードコア・それらに準じる作品のマイベスト・カルトスリーをば披露させてもらいま。

ケッサクが多いんはモチ、日活ロマンポルノでおましょうが、ここではあえて日活系を外しよります。日活系が、もしなかった場合を想定してのランキングどして、それでもケッサクはあるんかとゆう、ボクの勝手な思いでおます。

●ベスト⇒①愛のコリーダ(1976年製作・フランス&日本合作)②エマニエル夫人(1974年・フランス)③胎児が密漁する時(1966年・日本)

カルト⇒①白昼夢(1981年・日本)②花と蛇3(2010年・日本)③本作

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本作を見てポルノ映画、ピンク映画を批評する難しさみたいなんを、少々カンジよりました。日活ロマンポルノ映画は1971年以降、モノスゴイ数のタイトルをば輩出してきはりましたが、一方で毀誉褒貶の格差がモノゴッツーありまして、ケッサクはほんの一部とゆうことになっとるようどす。

でもって本作どすが、その数多い日活ロマンポルノのケッサクやない方の、作品群に入る作品ちゅうことになるんやけども…。そういう作品をどう紹介すべきなんか。みんなが見にいきたいと思わせるような書き方で、なんてなると、ヤッパ難しいでおましょう。

かつてボクチンは、日活ロマンポルノにもハマッておりました。その思いは「愛の寓話 vol.2」(東京学参・刊)とゆう書籍で、西村聖五郎監督をインタビューしたりして、胸が熱うなったりしよりました。チョー低予算・1時間前後・チョー短い製作日数など、構想何年とか、深き作家性とかが許されないジャンルなんどす。

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そんな制約の中で、何を表現するのか。東ヨーイチ名義で監督しはる東陽一監督は、フツーのケッサクをぎょうさん作ってはるし、日活ロマンポルノも撮らはったけど、ピンクピンクしたような作品は初めてなんやないかな。ピンクでもケッサクを目指そうとせず、あくまでヤラシー性たるピンク性を、追求しようとしはったあとがアリアリどしたえ。

ハードコアなベスト②やカルト①のようなネバネバ感とか、ベスト①の衝撃、カルト②のヤラシサ、ベスト③の実験性なんぞは、そないにはありまへん。

むしろ日活ロマンポルノ的な今を、女コメンタリー付きで詳細に披露することで、エロ度合いをやわらげるとゆう手法を取ってはります。そやから、2分~3分と続く長回し撮影のベッド・シーンが、これまでのロマンポルノのタッチとは少し違っておるんどす。そのあたりのビミョーなヤラシサぶりもお楽しみくだされ。

2011年10月26日 (水)

ニコール・キッドマン初製作・主演「ラビット・ホール」

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インディペンデント系の静かに展開する、コドモを亡くした夫妻のドラマ映画どす

ある意味でニコールのネーさんのための、映画にも見えよりました

http://www.rabbit-hole.jp/

ノウベンバー11月5日サタデーから、東京・TOHOシネマズ シャンテやら、ヒューマントラストシネマ渋谷、関西やったら、シネ・リーブル梅田やらシネ・リーブル神戸でロードショーどす。その後、全国順グリの上映でおます。

「PG12」指定の本作を配給しはるのは、ロングライドはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 OP EVE 2, LLC. All rights reserved.

昨日分析した「フェア・ゲーム」に続き、こちらは夫妻映画色をメインにしはった、静謐な作品でおます。ニコール・キッドマンのネーさんが初めて映画プロデュースをしはり、でもって主演もしはった、インディペンデントなアメリカ映画どす。

監督もインディー系どして、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」(2001年製作・以下の引用は全部アメリカ映画どす)で音楽映画の概念をひっくり返さはった、ジョン・キャメロン・ミッチェルのアニキでおます。

でも、ニコール・ネーはまあ、有名やから、みんな見にいくのんとちゃあうんと、思わはる人もいてはるかもしれまへん。ニコールさんの独壇場的な映画かいなと思わはる人もいてはるでおましょうが、しかし、はっきり言いまして、地味な映画どす。地味イズ・ベストどすか。でも、その地味が滋味に変換するようなとこも、いくつかござります。

ニコールさんは「めぐりあう時間たち」(2002年)のバージニア・ウルフ役でアカデミー賞の主演女優賞をゲットしはりましたが、「バージニア・ウルフなんかこわくない」(1966年)みたいな夫妻映画も、作りたいなと思ってはったんやないでしょうか。

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しかも、得てしてアメリカン夫妻映画に多く見られる、エキセントリッキーやったり、家族の不幸に対するヒロイックな作りやったりを、あえて取り外してはります。

コドモを亡くしてしもた、ニコールのネーさんやけど、夫役のアーロン・エッカートのアニキとの激しい口ゲンカ・シーンはあるんやけど、主婦としてのフツーの生活臭を漂わせながら、静かに落ち着いた演技を見せてゆかはります。フツーやったら、もっともっと逼迫してゆくような展開へと進みがちどす。さらに、わが子を轢き殺してもうた男のコを、ストークして交流するやなんて、理解不能のようでいて、ある意味ビミョーな心理演技も見せはります。

ほんでもって、ニコールのオカン役ダイアン・ウィーストはんとの、シブいやり取りの数々。アカデミーで演技賞もらわはった「ハンナとその姉妹」(1986年)「ブロードウェイと銃弾」(1994年)のようなトンデるハイテンションな演技は、少々抑えてはりまっけど、コドモを亡くした思いについての、ニコールさんとダイアンはんの会話はココロに残りますで。

アコースティック・ギターをベースに、バイオリン、ピアノの単音などでシンプルに展開するサントラ使いも、本作の静けさと作品性の深みをば奏でよります。ラストシーンも意味深長なカンジどす。じっくり味わってもらいたい、そんな作品どすえー。

2011年10月25日 (火)

アメリカ映画「フェア・ゲーム」

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ポリティカル・スパイ・サスペンスに、実話ベースで新しどころを取り入れ、しかも夫妻映画風に盛り付けはった逸品どす

ナオミ・ワッツのネーさんとショーン・ペンのアニキの演技対決も、グッと胸にきよる仕上げ

http://www.fairgame.jp/

オクトーバー10月29日サタデーから、大阪・TOHOシネマズ梅田やらTOHOシネマズなんば、兵庫県・TOHOシネマズ 西宮OSやら、京都・TOHOシネマズ二条やらで、全国ロードショーでおます。

本作の配給は、ファントム・フィルムはんと、ポニーキャニオンはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

ポリティカル(政治)・サスペンスに加え、CIA的スパイ映画ノリ、しかも女スパイもんどす。この種のパターンでの女スパイもんは、まずござりまへん。

さらに、実話がベースやナンチューのんも、初めてやないでおましょうか。実話なだけに重みなるもんもござります。

ポリティカル・スパイもんでゆうたら、1970年代ものの「コンドル」(1975年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画どす)なんぞのセンスをば、カンジよりました。

本作のダグ・リーマン監督のフィルモグラフィーでゆうたら、スパイもの「ボーン・アイデンティティー」(2002年)、夫妻ものスパイ映画「Mr.&Mrs.スミス」(2005年)以上に、実話系シリアス度がグーンと増しておます。アクションよりも、緊張感ある室内劇スタイルをメインにしながらも、よりビビッドに胸に迫ってきよります。

さらなる新しどころを申しますと…。これまでイロイロ出てきたイラク戦争ものどすが、本格的なバクダッド・ロケ入りのアメリカ映画は、本作が初めてらしいどす。

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ほんでもって、「Mr.&Mrs.スミス」の夫妻役ブラッド・ピット(ブラピ)とアンジェリーナ・ジョリー(アンジー)が、ショーン・ペンのアニキとナオミ・ワッツのネーさんになるっちゅうことでおます。

CIAスパイ役のナオミ姉さんに対し、夫は元大使ながら、ミッションのために家を空けがちな妻に代わり、コドモの面倒を見てはります。いわゆる、主夫とゆう立場でおます。

そんな夫妻が、ブッシュ大統領がゆうような、核兵器はイラクにはないっちゅうことを証明しはったばっかりに、初期の目的を貫こうとしはる、ブッシュ・サポーターや側近たちの奴らから、業界から干されるような、エライ目に遭わされるんどす。

でもって、それに対し抵抗しようとしはる夫と、静観しようとしはる妻の間に、亀裂が生じよります。ショーン・ペンのアニやんとナオミ姉さんの、夫婦ゲンカ・シーンを始めとした演技バーサスにも、目が点になりそうな映画なんどすえ。

夫婦映画としての側面も楽しめる映画でおます。2人がいがみ合いながらも、最終的には元のサヤに収まってゆく過程が、じっくり見られよります。

夫妻の動きをカットバックさせて、オオッとくるラストシーンへと持っていくあたりも鮮烈どした。また、アフリカ・ニジェールの日照りの白濁したような色合いやら、イラク・シーンやら、国土に合わせたロケ・シーンにも、注目しておくんなはれ。

2011年10月24日 (月)

アメリカン・リーマン・コメディ「モンスター上司」

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上の写真の上司3人をやっつけてまえ! のノリで展開する部下3人衆のおバカチックな作品どす

OLコメディ「9時から5時まで」やらのオトコ版やー

http://www.monster-joushi.jp/

オクトーバー10月29日サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪・シネマート心斎橋やらで全国ロードショーでおます。本作は「PG12」指定どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

サラリーマン・コメディとゆうのんは、OLもんより少ないやもしれまへんが、ケッコー楽しめます。上司との関係性も描いた、オスカー作品賞ゲット作「アパートの鍵貸します」(1960年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画)なんぞは名作どす。

でも、「アパート…」では上司の言いなりでおましたけども、コチトラはうっとうしい上司を、やっつけてまえ~のノリで展開しよります。でもって、OL3人が社長にひとアワ吹かせた「9時から5時まで」(1980年)の、まさにリーマン版となっとります。

但し、おバカ・モードが全開どして、例えば「ハングオーバー」シリーズみたいな、ドタバタ・サプライズ感がござります。有名どころをキャスティングしはった上司に対し、3人の部下(ジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス)はみなはん、よう知らはらへん人やと思います。この俳優的格差みたいなんも、映画的狙いの中に入っとるんやないかな。

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3人はそれぞれパワハラ・セクハラ・バカハラに対し、協力して上司を殺そうと狙わはります。

最初は殺し屋に頼もうとしはりますが、ジェイミー・フォックスのアニキのメチャメチャなアドバイスに従い、ヒッチコック監督の「見知らぬ乗客」(1951年)みたいな交換殺人をばやろうとしはるんどすえ。

しかも、トリプル殺人どす。ところがどっこい、各上司やけど、ひと筋ナワではいかんような人ばっかりやー。

かつてないくらい下ネタセリフを連発し、ヤラシー演技を披露しやはるジェニファー・アニストンのネーさん。とことんハイな演技でいかはる、コリン・ファレルのアニキ。

ほんでもって、ケヴィン・スペイシーはんは、1人浮いたようにでんな、銃殺もやってまう、非情性を見せはりま。「ユージュアル・サスペクツ」(1995年)を意識したような、サプライズ部も注目どすえ。

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映画の後半は、ヒッチコック・サスペンスか、コーエン兄弟監督サスペンスかってなカンジになりかけて…。ラストロールのNG集も含めて、ユーモラスな着地ぶりを見せてはりますよ。

さて、映画の中に出てくる映画的引用を言いよりますと、「告発の行方」(1988年)のジョディ・フォスター、「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(1997年)やら、映画的TPOに合わせたみたいにイロイロありま。

でも、最も笑えるエピソードは、ジェイミー・フォックスのアニでおましょう。殺人罪で服役していたんやなく、映画館でビデオ撮影・録音した罪でやなんて。ほんで、その映画が「ヒマラヤ杉に降る雪」(1999年)やなんて。主演は主演でも、工藤夕貴やなくて、イーサン・ホークへの言及がござります。映画的引用もヒネリ系の引用ぶりが、オモロイと思いました。

2011年10月23日 (日)

仲里依紗主演トンデモ人情喜劇「ハラがコレなんで」

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あの寅さんが現代的妊婦版に異種変換、より大仰オモロなって帰って参りましたでー

これまでにない映画ノリは、これまでにあれへんキャラまずありき! でおます

http://www.harakore.com/

霜月11月5日サタデーから、大阪・テアトル梅田やらシネ・リーブル神戸、ほんでもって、師走12月17日から京都シネマやら、全国順グリのロードショーをばヤラかしま。

本作を配給しはんのは、ショウゲートはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011『ハラがコレなんで』製作委員会

石井裕也監督のアニキの作品と申せば、これまで“これまでに見たことのない映画”とゆう触れ込みがござります。

出世作となった「川の底からこんにちは」(2010年製作)なんぞを、DVDそのほかで見ていただいたら、分かるやろかとは思いますが、そこにあるんは、未知との遭遇とも呼ぶべき、トンデモキャラクターとの出会いでおます。

現実的なリアリティー感はないやもしれまへんけども、こういうキャラ設定こそが、本来のトンデル映画の在り方やとボクは思いよります。そして、コミックから出たりするアメリカン・ヒーロー像やら、映画の世界に入ってなりきり型で楽しませてくれはるとこもありますが、本作のスーパー前向きヒロイン役・仲里依紗ちゃんの場合もまた、そないなとこが顕著どす。

しかも、落ち込んではる人たちに、元気を与える要素がメッチャありまんねん。彼女は妊婦役でおます。でも、コレがこれまでの妊婦役イメージを、ドカーンとくつがえしてくれはりまんねん。

ンデモ妊婦役てゆうたら、ボク的には「ファーゴ」(1996年・アメリカ映画)でオスカー主演女優賞もらわはった、女刑事役フランシス・マクドーマンドのネーさんが強烈やったんどすが、それを超える演技とはモチ申しまへんけども、全く違(ちご)た味わいがござります。

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コレは松竹系の、ストレートな人情喜劇のココロを踏襲しつつも、そこに大げさなノリでトンデモ感を打ち出しつつ、観客によっては目を剥きそうな新味を加えはった、怪やない方の快作路線どす。「男はつらいよ」の寅さんが妊婦となり、ほんでもって人情系の方で、ワケ分からへんくらい、パワー・ドアップしはったようなキャラなんどすわ。

「人情は絶滅してない」、「粋(イキ)だね」のセリフのほか、「OK?」の10回以上はある連発、青空にポッカリ浮かぶ一片の雲の様子を見て、時おり昼寝し、「風の流れが良くなれば、ドーンとゆく」やなんて…まっこと、風来坊・流れ者節やん。つまり、完全無敵のポジテイブ志向どす。時に、冷静になると、チョイやり過ぎかなとも思たりしまっけど、妙にクセになりま。

過去シーンは色合いを少し落としたような作りにしてはりますが、現代との対比と対応においてはエエカンジどす。幼なじみ中村蒼(あおい)クンとの奇妙な絡みやら、石橋凌はんと斉藤慶子はんを、結び付けようとしはる寅さん的エピソードやら、突発的で強引やけど、説得力はあります。

コメディ映画にようあるような、メイン登場人物を偶発的に集めて、ドタバタ調へと展開する後半部の作りは、一瞬ありふれた結末になるんやないかと思わせよりますが、さにあらずどした。最後のクローズアップまで、里依紗ちゃんのテンションは落ちまへん。これまでにないキャラ作りが、映画を大胆に弾けさせた作品でおましたえ。

2011年10月22日 (土)

「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」

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時代考証にしばられへん、自由な発想の時代劇アクションやー

三銃士+ダルタニアン、女スパイ役ミラ・ジョヴォヴィッチのネーさんらの、剣戟アクトから、しなやかなアクロバットまで豪快・華麗どすえ~

http://34.gaga.ne.jp

オクトーバー10月28日フライデーから、ギャガはんの配給によりまして、全国各地チョー拡大のロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやら、京都・TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都やら、OSシネマズミント神戸、シネモザイク、109シネマズHAT神戸、シネ・ウェーブ六甲やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Constantin Film Produktion GmbH, NEF Productions, S.A.S., and New Legacy Film Ltd. All rights reserved.

これまでに「三銃士」映画はハリウッドで5度、原作の地元フランスなどで作られておます。でもって、本作は21世紀になってからは、初の映画化どす。しかも、ハリウッドやなく、ドイツ映画とゆうことになっとります。

映画の舞台はイタリア・ベネチアから始まり、フランスへと移行し、イギリスへも行きますが、メインはフランスでおます。ドイツはいっこも出てまいりまへん。なんでドイツ製作映画なんや? なのどすが、実はスタジオ撮影を含め、ドイツ・ロケをメインに展開してはるんです。

本作の監督ポール・W・S・アンダーソン監督てゆうたら、「バイオハザード」シリーズ(現在4作出てますが、第1弾は2002年製作・アメリカ&ドイツ&イギリス合作)が有名やけど、その第1弾でも、ドイツのベルリン・ロケをばしてはります。この監督はホンマ、ドイツ好きなんやろな~。

ドイツ・ロケを含めまして、これまでの「三銃士」映画にはないところを、それこそドカーンと示さはるんです。ビックラこきました。しかも、時代考証にこだわらずに自由ホンポーに、時代劇をば作ってきはったんです。

特に仰天ものは、副題にあるダ・ヴィンチが、設計したっちゅう飛行船を登場させはり、17世紀当時にはアリエネー飛行船同士の、ハデハデの空中戦をクリエイトしはったとこでおましょうか。

冒頭ではこの設計図を、三銃士とミラ・ジョヴォヴィッチのネーさんが、ベネチアで盗むシーンが映されま。このミラのネーさんやけど、フランスとイギリスの二重スパイ役をやってはります。

そやから、イギリス側のオーランド・ブルームのアニキへも、ヒネた役が似おてはる、フランス側のクリストフ・ヴァルツはんにも、イロ目使(つこ)てイロイロやってはりまんねん。

スロー・モーションによる、ガードをすり抜けるアクト・シーンとか、服を脱いで身軽になって、本作のポイントになる“王妃の首飾り”を盗みに行くシーンなど、エロティックとゆうよりしなやかでなめらかどす。

んな美アクションに対して、男同士の争いは、剣戟を始め激アクションでおます。4人対40人の剣アクト、飛行船対決、ほんでもって、クライマックスでは高い建物の屋根で、ダルタニアン(写真に写ってはるローガン・ラーマン君)と、敵の大将との1対1剣戟対決やー。

時代は違うけど「ロビン・フッド」(最新作は昨年11月13日付けで分析)にも似た、見ごたえある剣戟アクトどすえ。ほんで、第2弾へと“つづく”みたいな終わり方なんで、お楽しみはまだまだこれからやーみたいどすえ~。

2011年10月21日 (金)

お笑いニッポン映画「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」

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NHKのコント番組が映画になって、サラリーマン・コメディのナンセンス度合いを増さはった1本や~

企業秘密系バーサス・スタイルやけど、庶民的な缶ビール戦争でおまっせー

http://www.neo-movie.com/

霜月11月3日の「文化の日」から、全国拡大公開どすえー。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマやら、なんばパークスシネマ、MOVIX京都やら神戸国際松竹ほかで上映でおます。

本作を配給しやはるのんは、ショウゲートはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「劇場版サラリーマンNEO」製作委員会

NHKのドラマや番組が映画化されるんは、最近やったら不倫ドラマ「セカンドバージン」(9月16日付けで分析)に続くもんでおます。でも、不倫ドラマとリーマン・コメとゆう、まるで真逆なもんを大マジに劇場版にするやなんて、NHKはんにしはったら大胆不敵やなと思いました。

しかも、コチラは民放のバラエティー番組の方が、進化しとるんとちゃうのん?  とゆうコント番組ものでおます。えらいことしよるなと思とったら、ところがどっこい、コレがコントやらで持たせるんやなく、リーマン・コメとしてカチッとした作りやったんで、逆にポテチン(ビックリ)どした。

「社長」「無責任」「釣りバカ」やらの、シリーズもんのセンス。特に、シリーズ化してな~と思わしてくれはるような、キャラクター設定に本作のでっかいポイントがござります。

ボクの母校・同志社大学出身の、生瀬勝久のアニキが主演どす。しかも、ボクと同じくトラキチ(阪神タイガースの熱狂的サポーター)の設定やねん。「映画 サラリーマン金太郎」(1999年・2007年)の、熱血・高橋克典アニとは大違いのフニャフニャぶり。

ビール会社の課長役なんやけど、新入社員役の小池徹平クンにいきなり、トラキチ度合いを試さはります。フマジメな生瀬アニキとマジな徹平クンのいろんなやり取りは、まさに吉本的な漫才のノリや。

いや、でも、マジな流れの中で展開するドラマもありまんねん。新しい缶ビール開発にまつわる部分は、チーム一同が味をブレンダーし試行錯誤してシリアス度を増します。VHS開発に命を懸けた「陽はまた昇る」(2002年)なんぞのシーンやらも、ふと思い出させよります。コミカルやけど、ある種の企業戦争ものとしても見られま。

モチ、コント部分としての冴えこそが、本作のキモでもありまんねん。イントロでは映画館での鑑賞心得を、テレビのニュース報道のノリで伝えたり、最後にはメイキング裏話を生瀬アニキが喋ったりと、映画を意識したコントやら、遊びゴコロあふれるシーンがケッコー出よります。沢村一樹アニキがラテンアメリカへビール素材を探しに行って、破天荒な目に遭わはるシーンなんぞは、トンデモ・ナンセンス度合いに笑かしてくれはるところどす。

その一方で、シーンに合わせたサントラ使いにも、注目したい映画でおます。タンゴチック、16ビート・ファンキー、メレンゲ、バイオリンやら、時にユーモア感を増す音どした。

そして、チョイ役出演した郷ひろみことヒロミ・ゴーの、布袋寅泰が曲提供した、モータウン入りの16ビートロックが、最後のラストロールで流れます。メッチャカッコよくシメられるんで、ナンセンス・コメディをホンマに見たんかなあ~なんて思たりして、ホンマ、イロイロ楽しませてくれはる怪心作(!?)どっせー。

2011年10月20日 (木)

アメリカ映画「ウィンターズ・ボーン」

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究極型試練系の17歳ヒロイン映画にして、正の「ギルバート・グレイプ」に対する、負の変型家族映画でおます

大自然の美しさとは程遠い、すさんだ山間の風景に、身がホラーチックに凍て付きよりました

http://www.wintersbone.jp/

オクトーバー10月29日サタデーから、東京・TOHOシネマズ シャンテやら、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショーでおます。

「サンダンス映画祭」グランプリをゲットの、本作を配給しやはるのんは、ブロードメディア・スタジオはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Winter's Bone Productions LLC. All Rights Reserved

2010年設定の、アメリカ・ミズーリ州山間部の田舎を、舞台にしはった映画でおます。ところがどっこい、そこは前近代的もはなはだしいド田舎なんどす。ケータイやらパソコンなんて一切出まへん。セキュリティー?  防犯カメラ?  問題外でおます。

でもって、ヒロインは17歳の少女どして、オトンはヤクの密売やらでパクられて、オカンは精神をわずらってアルツハイマー状態。そやから、ヒロインは家業をやりもって、幼い弟と妹を世話してはります。学校?  そんなん行けるハズないやん。

かわいい弟や妹は学校に通てるらしいんやけど、そういうシーンは映されとりまへん。生活苦を解消せんがため、ヒロインは軍に入隊しようとまで考えてはります。

そこへもってきて、パクられたオトンが重い刑に処せられ、保釈金の担保に、家や土地を勝手に抵当に入れてしもて、逃げてしまわはりました。期日以内に、オトンを探さん限り、家も土地も差し押さえられてしもて、ヒロインらの家族は無職のホームレス家族、路頭に迷うなんてことになってしまいま。

そこで、ヒロインがオトンの行方を探り出そうとしはります。でも、そこには、田舎の掟とゆうか、一族の恐るべき縛りがあったんでおます。

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田舎の因習系では、夫妻がスコットランドでエライ目に遭う「わらの犬」(1971年製作・アメリカ映画)とか、黒人差別に関わる「ミシシッピー・バーニング」(1988年・アメリカ)、癒やし系の習俗ではあった「刑事ジョン・ブック/目撃者」(1985年・アメリカ)なんぞを思い出させよります。

でも、こちとら一族の恐るべき何かがありましてな、オトンの行方について親戚のとこを聞き回るだけで、痛い目に遭わされたりしよるんどすわ。写真3枚目の右に映ってはる、オトンの弟はんがヒロインに協力しはるけど、昔ながらのしがらみめいた壁は強力でおました。

17歳のヒロイン役をやらはったんは、みんなよう知らはらへんとは思いますが、ジェニファー・ローレンスちゃんです。攻撃的な演技はそれほどありまへん。困ったカンジの演技性とでも申しましょうか、受け身のヤラレっぱなしに近いカンジもありま。最後には、トンデモないダークなことをば、せなあかんようなとこまでいかはります。

アメリカの山間部の地方ものてゆうたら、美しい大自然の風景にウットリなれたりしとりましたけども、本作ではそれが全くもってござりまへん。ヒロインの夢に出るモノクロの森林伐採シーンやら、煙めいた灰色の雲、荒れ果てて枯れ果てたような寂寞とした風景描写に、寒々とした思いになります。結末も含めよりまして、ある意味でホラー映画のような恐ろしさに、身を震えさせはる人もいてはるかもしれまへん。

ボク的には、ジョニー・デップが家族をまとめた「ギルバート・グレイプ」(1993年・アメリカ)が、ポジティブ(正)変型家族ものやとすれば、こちらは明らかにネガティブ(負)が入っておます。

カントリー的なフォークやら、ラストで劇中に出るバンジョーやら、音楽的癒やしに見えるシーンも、負を助長しよります。暗いかもしれへんけど、女性映画・家族映画としてのアメリカの隠れた1側面が、生々しくリアルに見られた1本でおました。

2011年10月19日 (水)

人間ドキュメンタリー日本映画「ちづる」

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描かれるんは、赤崎正和監督の自閉症の妹はんどす

一歩間違えたら、プライベート・フィルムになりかねへん素材を、一体、彼はどない撮ったんやろか?

http://chizuru-movie.com/

神無月10月29日の土曜日から、ポレポレ東中野、横浜ニューテアトルやらで、全国順グリのロードショーやで~!

上映タイムテーブルは、ポレポレ東中野 1100/1300/1500/1700/1900 横浜ニューテアトル 1100/1235/1410

でもって、関西やったら、大阪:第七藝術劇場(12月3日~)、京都みなみ会館やらで上映しはります。上記公式ホームページでご確認くだされ。

本作をば配給しやはるのんは、「ちづる」上映委員会はんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 Masakazu Akazaki

大学(立教大学)生の卒業制作として、作られたドキュメンタリーなんやけど、それが単館系の順次とはいえ、映画館で掛かるなんてことは稀でおます。

でも、本作にはウラに、えらい人がいてはりました。ボクとおんなじ同志社大学出身で、1年先輩の池谷薫のアニキが、プロデュースをしてはるんどす。自身が監督しはった作品「蟻の兵隊」(2005年製作)などを見させてもらいましたが、原一男監督の「ゆきゆきて、神軍」(1987年)に迫る、太平洋戦争トラウマ人間ドキュの傑作どした。

実はボクは、原一男監督にゾッコンどして、関西ではシネマ塾などをやらはって、いろんな若い世代の方々に、ドキュメンタリズムをば教え込まはりました。そんな中から出てきはった監督は多いんやけど、本作みたいな、自分の家族を巻き込んでのドキュでゆうたら、「遺言なき自死からのメッセージ」(2010年4月22日付けで分析)なんぞがござりました。

自分自身や家族や自分の恋人やらを描く場合、場合によっては、観客の鑑賞に耐えられへんような、プライベート・フィルムになりかねまへん。実際、そんな個人ラインのG線上を、綱渡りするようなカンジもござります。つまり、監督の赤崎正和クンが撮った本作やけど、映画的設計に基づいたような、緻密に計算された人間ドキュを撮ろうとしたんやありまへんどした。

オトンは飲酒運転の車にはねられて事故死してはり、今はオカンと自閉症引き籠もり(知的障害もあるらしい)の妹ちづるチャン、そしてアニキ赤崎監督の3人暮らしどす。で、ちづるチャンの言動挙動をメインに、彼女とオカンとの絡みに加え、自分のオカンへのインタビュー、で、オカンと息子(監督自身どす)の会話やらで話は構成されておます。

おいおい、丸っきり個人の家庭生活やんと、思わはるかも分かりまへん。障害者の妹を出して、一体…なんてゆう感想もあるでおましょう。見ている時に、確かにボクもカンジたかも分かりまへん。

しかし、見たあとあとに、ちづるチャンの姿が時々クセのように思い出されよりましたし、今もそれは続いておます。特にラスト・カットは、忘れがたいシーンどした。それまでに映される挙動不審の数々のカットの積み重ねが、チビチビ効いてきよった結果どすか。

一方で、病院での治療の様子とか、オカンはどんな仕事してはんのかとかは、映さはりまへん。あくまで、ちづるチャンを、ペットのイヌも含めた家族との、関係性の中で描き抜こうとしはります。

アニキとして妹と向き合う部分やら、ドキュ監督としての深めのツッコミ具合に、弱さが見られますけども、ボクは妙に、その後のちづるチャンの行方が気になりよりました。ぜひ続編を作ってほしいと思います。

 

2011年10月18日 (火)

21世紀のイタリア映画の傑作「ゴモラ」

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カンヌ国際映画祭でグランプリをゲットしはった、21世紀のイタリア映画の今のとこ、最高傑作どすえ

ベルナルド・ベルトルッチ監督作品を継承するような、バイオレンス系に胸ザワザワでおます

http://www.eiganokuni.com/gomorra

オクトーバー10月29日サタデーから、紀伊國屋書店はんとマーメイドフィルムはんの共同配給によりまして、東京・渋谷シアター・イメージフォーラムにて、全国順グリのロードショーでおます。

全国各地の上映館と公開日は、上記の映画公式ホームページにて、ご確認くだされ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

イタリア映画と申しますれば、かつては映画史に残るモノゴッツーな方々がいてはりました。ロッセリーニ、デ・シーカ、ピエトロ・ジェルミ、ヴィスコンティ、フェリーニ、アントニオーニ、パゾリーニ、ベルトルッチやら。

ところがどっこい、1980年代くらいから、イタリア映画のモノゴッツーな作品は、影をひそめてしまいよりました。なんでかは分かりまへん。

それでもでんな、1980年代末に「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年製作・イタリア&フランス合作)、1990年代には「イル・ポスティーノ」(1995年・イタリア)、「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年・イタリア)やらのケッサクを輩出しはりました。

ほんでもって、21世紀。イタリア映画祭なるもんが日本では、恒常的に開催されとんねんけど、単館系とはいえ、全国順次ロードショー系になるような映画が少のうなっておました。イタリア映画は一体、どないなんねんと心配しとったんやけど、遂にキョーレツなヤツが現れよりましたで。

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カンヌ国際映画祭で次点の賞やけど、グランプリをゲット。「ニュー・シネマ・パラダイス」以降、イタリア映画の名作は、ヒューマン・ドラマ映画のケッサクを輩出してはったけど、本作はダークな世界を描き切らはったバイオレンス映画どす。

ゆうならば、ベルナルド・ベルトルッチ監督作品に見られた、バイオレンス感覚が濃厚に引き継がれておます。「暗殺の森」(1970年・イタリア&フランス&西ドイツ)「1900年」(1976年・イタリア&フランス&西ドイツ)「ラスト・タンゴ・イン・パリ」(1972年・フランス&イタリア)「ラストエンペラー」(1987年・イタリア&イギリス&中国)やらのタッチは部分的に引用されとります。

本作のキャッチ・コピーには「ゴッドファーザー」(1972年・アメリカ)+「シティ・オブ・ゴッド」(2002年・ブラジル)なんてなっとりますが、本作に魅せられはったマーティン・スコセッシ監督の「カジノ」(1995年・アメリカ)やら、コーエン兄弟監督の「ミラーズ・クロッシング」(1990年・アメリカ)「ノーカントリー」(2008年・アメリカ)やら、クエンティン・タランティーノ監督の「レザボア・ドッグス」(1991年・アメリカ)や「パルプ・フィクション」(1994年・アメリカ)やらのセンスもカンジましたで。

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物語は5つくらいの話による、豪快な群像劇タッチになっとります。そのベースとなるんは、2派による抗争図式でおます。でも、この2派の抗争は、ヤクザ映画みたいに表立っては見せはりまへん。

でもって、劇中で音楽を聴いてはったりとかのシーンはあるんやけど、基本的には、ラストロール以外は本編では、サントラは流してはりまへん。

つまり、音楽においても、登場人物たちに寄り添った作りをしてはります。イタリアンな哀愁ポップスを流した冒頭の暗殺シーン、ユーロビートを掛けたヤク売りシーン、ポップ・ロックを流しての銃撃シーン。ほんでもって、ラストロールでは、無機質な打ち込み系のサントラを流して、本作の非情性を示さはるんどす。

セリフに出る「スカーフェイス」(1983年・アメリカ)や「ニキータ」(1990年・フランス)やら、清純系スカーレット・ヨハンソンとの対比なども、本作の作品性をば示さはります。ボク的には、闇のボスが何やらジャン・ギャバンみたいな造形やったんが、オモロかったどす。

2011年10月17日 (月)

フランス&ベルギー合作「マーガレットと素敵な何か」

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ソフィー・マルソーのネーさんが、アラフォー・ヒロイン映画に出はりました

まさにソフィーネーのために、用意されたような作品どすえー

http://www.alcine-terran.com/margaret

オクトーバー10月29日サタデーから、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、ノウベンバー11月5日サタデーから、大阪・テアトル梅田やらシネマート心斎橋やらで上映。その後、11月26日からシネ・リーブル神戸、来年1月21日から京都みなみ会館やらでヤラはります。

本作を配給しやはるのんは、アルシネテランはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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(c) 2010 Nord-Ouest Films – France 2 Cinéma – Artémis Productions – Rhône-Alpes Cinéma – Mars Films

「ラ・ブーム」(1980年製作・フランス映画)で、アイドル女優としてデビューしはったソフィー・マルソーのネーさん。そんなソフィーネーさんも、アラフォーをチョイオーバーしはり、大人の成熟をば見せなあかんような、年にならはりました。

アカデミー作品賞ゲットの「ブレイブハート」(1995年・アメリカ)、“ソフィー・マルソーの何とか”とかのシリーズものチックなヤツやら、確かにイロイロやってはるんやけど、どないなんでおましょうか。ボク的には、どないしてもアイドルチックなノリが、いつまでもしつこくコビり付いておますような演技に見えとりました。

別にアラフォーのアイドルが、おってもええやんなんやけど、でも、本作はチョイ違いました。バリバリやってはるビジネス・ウーマン的なとこを、冒頭からタイトに示さはるんやけど、コレやったらこれまでにようあったような、シャキッと女ヒロインものに、ラブコメをスパイスしたようなもんになるんかなと思とりますと、さにあらずどした。

ヒロインは過去の女セレブをイメージしつつ、仕事をしてはるんどす。エリザベス・テイラーやらグレタ・ガルボやらの名女優から、ココ・シャネルからマザー・テレサまで。でも、このなり切り型と、コドモ時代を思い出すシーンがアンバランスとゆうか、まるで正反対のノリで展開するんでおますよ。

サイコ演技やなく、こういうアンビバレンツなカンジの二面性演技は、演技としては最も難解なハイレベルのもんを要求されるんどす。

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ところがどっこい、そのビミョーに難しいところをスイスイやってまうところに、ソフィーネーさんのスゴミを感じました。

貧しかったコドモ時代に、2010年の自分に向けて公証人まで立てて、手紙をいくつも書いてはったんやけど、33年経ったらそのことを、すっかり忘れてはるヒロイン像とか、演技するにも相当ヤッカイな代物でおます。

現代的なビジネス・ウーマン演技をやりつつ、手紙を読みながら過去を思い出し、感傷的に故郷へとクルマを飛ばすなんて…。過去にトラウマありの女で、そんな過去を封印してきはった女。それでいて、暗さなしの妙に明るいキャラクター。有名人になり切ろうとしつつも、自分は自分なんやと目覚めてゆかはる自立もの。

コドモ時代をカットバックし、ヒロインのキモチに合わせたサントラ使いやら。リサ・ミッチェルのキッチュなミディアム・ポップ・ナンバーなど、ソフィーネーにピッタリどした。

弟との和解はあるけど両親との問題とかは置き去りやったり、ある種ヒロイン・ドラマのパターン化をハズすようなとこが、見え隠れしたりしておますけども、いずれにせよソフィーネーは、この難役をこなさはったかと思います。次はさらに熟成の演技を期待したいと、思えるような作品どしたえ。

2011年10月16日 (日)

変格サスペンス映画「ミッション:8ミニッツ」

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近過去へのリフレイン・タイムスリップ、パラレル・ワールド感やらを取り込んだ、映画オリジナル作品どす

M・ナイト・シャマラン監督のケレンに迫る、ダンカン・ジョーンズのアニキの第2弾に、アラマ・ポテチンやー

http://www.mission8.jp

オクトーバー10月28日フライデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

大阪やったら、TOHOシネマズ梅田やらで上映やー。

本作を配給しやはるのは、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

ハリウッド映画は21世紀以前にも、ネタ不足が指摘されておました。小説・演劇やらの原作やら、各国や自国のリメイクやらに頼らず、正々堂々の映画オリジナル作品とゆうのは、実は今やメッキリ減っとります。

そやけど、かのデヴィッド・ボウイの息子はん、ダンカン・ジョーンズのアニキなんやけど、デビュー作「月に囚われた男」(2010年4月4日付けで分析)に続き、映画オリジナルをば創ってきはりました。

そのオリジナル脚本を、1年半以上の時間を掛けて練り上げてきはったのは、ダンカン監督やないんやけど、無名に近いベン・リプリーどす。そう、無名やけど映画に情熱を持ってはる人こそ、新しいもんが作れるなんてゆうこともあるんかもしれまへん。

但し、本作のネタは、これまでの映画において、50本以上あるかと思います。この映画のパンフレットでも、そのあたりに言及してはりますが、そこに出てこない中では「トータル・リコール」(1990年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)とか「ペイチェック/消された記憶」(2003年)「タイムマシン」(1959年・2002年)とか「スローターハウス5」(1972年)とかもござります。既視感は多少はあるやも分かりませんけども、トンデモ・サプライズも含めますと、本作のオリジナリティーは高いとボクは思います。

とゆうことで、ダンカン監督としては、偶然かどうかは分からへんけども、2作どちらも、SFテイストを取り入れた作品になっとります。デビュー作はモロ、月を舞台にしたSFどしたが、今作は、現実的状況を設定した上で、タイムスリップ系、近過去を何度もやり直すリフレイン系、2界を行き来するとゆう意味での平行世界、いわゆるパラレル・ワールド系、そして、それらに関わる人々のスリリングな群像劇タッチやらが、ビビッドに紡がれてまいります。

電車がテロで爆破されてしまう現実。その現実を変えんがために、何度も現実を変えようとアタックしてゆく、既に死んではるらしい主人公役ジェイク・ギレンホールのアニキ。この不思議なリフレイン・プログラム的設定には、アラマ・ポテチン(ビックリ)どしたけども、さらにその向こうには、スゴイのんを用意してはりまんねん。

事件現場にいてはるミシェル・モナハンのネーさんや、プログラムを操作する側のヴェラ・ファーミガのネーさんと、主人公との愛や交流、でもって、主人公と父のやりとりなど、意外性だけやなく感動を誘うシーンもありま。

ダンカン監督としてはまだ2作目なんやけど、M・ナイト・シャマラン監督のような、変格サスペンスなケレン味をカンジました。でもって、サントラ的にはサスペンスチックなヒッチコック監督的を取り込みつつ、感動的なオーケストラ・サウンドへといくスコアの流れが、流麗かつウットリとなる仕上げでおました。シブミある作品どすえ。

2011年10月15日 (土)

「カイジ2~人生奪回ゲーム~」

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前作より頭脳戦に近い、ギャンブル系へと進化した第2弾どすえ~

藤原竜也アニキの逼迫感に加え、出演陣の多彩なギラギラ感も緊張度合いを増しとりまっせー

http://www.kaiji-movie.jp/

11月5日の霜月第1土曜日から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ福本伸行・講談社/2011「カイジ2」製作委員会

借金まみれになってクズ呼ばわりされ、人生どん底からはい上がってゆくような映画とゆうのんは、メッチャドラマ映えしよります。先週分析した「スマグラー」(10月8日付け)も、似たような感触がありました。

但し、こちらは現実離れしたゲーム設定で展開しよります。ゲームに勝ち上がって大金を得て、人生のサクセス・ロードに戻るとゆうスタイルどすが、コミック原作のSF的ゲーマー設定やらをみよりますと、従来の捲土重来の本格人間ドラマ系と、21世紀的なゲーマー性がマッチングした作品やと言えるでおましょうか。

いろんな生死に関わるゲームが出てまいります。負けてまうと、地下での地獄の強制労働収容所生活が待っとります。でもって、第1弾の前作では、チョー危険な鉄骨渡りなんぞもありましたが、本作の第2弾では、ライオンか美女を選ぶ3択の死のゲームもあるんやけど、1つのパチンコ系特殊ギャンブルへとフォーカスしはります。

しかも、コレがトリッキーな2派の頭脳戦になってるとこが、スリリングとサスペンス感を増しました。ビルの地盤沈下やら機械の傾き具合を、ビミョーに取り入れたトリック部は、驚嘆もんどすえ。

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加えて、「バトルランナー」(1987年製作・アメリカ映画)やら「バトル・ロワイアル」(2000年・日本)、ギャンブル系の「麻雀放浪記」(1984年・日本)「ハスラー」(1961年・アメリカ)「シンシナティ・キッド」(1965年・アメリカ)やらの見ごたえも、大なり小なり付加されておます。

でも、本作を最大に熱くしてはりまんのは、演技陣の演技ぶりどす。主演の藤原竜也のアニキなんか、前作でもえらい逼迫してはったけど、今度は急所急所で慌てふためき演技を見せはります。

片や、クールと逼迫を共に演技しはる伊勢谷友介のアニキを始め、ハイテンションな生瀬勝久はんやら、もう後がない香川照之はんやらの、ギラギラのギトギト演技にも、そのネバッこさが、見たあとあとに残りよりまんねん、コレがね。

そして、おそらく一番好感度の高い演技を、見せてくれはるのんが、吉高由里子ネーさんでおましょうか。前作で鉄骨から落ちてしもて死んでもうた、光石研アニの娘はん役なんでおます。

最初はクールで、主人公の藤原アニキにとっては裏切られてしもたりと、悪女っぽくてヤなカンジなんどすけども、後半では変わらはりますんで、その格差ぶりがエエんやろかな。セピア照明によるアップ・シーンの多さも、エエ感じどす。

付け加えよりまするに、佐藤純彌(じゅんや)監督の息子はん佐藤東弥監督作品なんやけど、父のギラギラ系人間演出の継承ぶりが、ボク的にはオオオッときよりました。ほんでもって、第3弾もありそうなんで楽しみにしとってくだされ。

2011年10月14日 (金)

癒やし系日本映画「東京オアシス」

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京都舞台の「マザーウォーター」に続き、東京ものの本作も和みある映画となりましたでー

小林聡美ネーさんの、しっとり落ち着いたヒロイン演技ぶりに魅了されよりま

http://www.tokyo-oasis-movie.com

神無月10月22日の土曜日から、梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマ、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

本作を配給しやはるのんは、スールキートスはんどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 オアシス計画

これまでにタイトルに“東京”を入れはった作品と申しますれば、洋画も含めますれば50本以上はあるかと思います。東京となりますれば大都会でおますし、殺伐とした“群衆の中の孤独”みたいなんが多いんかな~と思わはるかもしれまへんが、それが“さにあらず”なんどす。

日本映画でゆうたら、小津安二郎監督の「東京の合唱」(1931年製作・日本映画)くらいから、今年出た「東京公園」(今年6月12日付けで分析)くらいまで、実は、ほとんどの作品が癒やし系のしっとり感へと、着地するような映画になっとるんでおます。

ほんでもって、本作は女性監督・脚本(松本佳奈・中村佳代・白木朋子の各チャンら、映画関連の大学を卒業しはった若手はん)に加え、加瀬亮のアニキは出てるけど、主演・小林聡美のネーさん、原田知世ネーに黒木華チャンやらがメインにいてはって、まさに女性の女性による女性のための映画、みたいなカンジになっとるんどす。

しかも、女性らしい優しさに満ちた、癒やし系へと着地しはる映画になっとります。さらに、サントラを担当しはった、大貫妙子ネーさんのしっとりした潤いのポップスを始め、アコギ、木琴、パーカッションなどのアコースティック・サントラ使いが、癒やしに拍車をば掛けはりまんねん。

小泉今日子キョンキョンが出はった、松本佳奈チャンの監督デビュー作「マザーウォーター」(2010年10月17日付け)も、癒やし系の女性映画ノリどした。そちらは京都を舞台にしてはったんで、癒やしに着地して当たり前やったやもしれまへん。但し、本作は東京なんで、その作りには緻密さや計算が必要となったやも…。

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でも、女優役らしい小林聡美ネーさんのヒロイン映画にしつつ、3つのエピソードの、まるでオムニバス集のノリで、ゆったりと物語が紡がれましてな、その流れに身を任せられる心地よい作品になったかと思いよりま。

加瀬亮アニキと絡む第1話は、2人がクルマに乗って海まで向かう、ロードムービー仕様どす。2人がきつねうどんをツーショットで食べ合う、長回しの撮影シーンが妙にココロに残りました。

第2話は映画館でのエピソードどす。聡美ネーが映画館で、アキ・カウリスマキ監督の傑作「浮き雲」(1996年・フィンランド)と「過去のない男」(2002年・フィンランド)を見はったとゆう設定なんやろか。でも、聡美ネーは映画が終わっても、席で寝てはります。「かもめ食堂」(2005年・日本)ではフィンランドで食堂を開かはったけど、沈黙シーンの多いカウリスマキ監督作品には、つい眠りを誘われたっちゅうことなんでおましょう、たぶん。

そこでは、原田知世ネーさんと絡まはります。知世ネーとの会話シーンでは、チビチビ移るヨコ移動撮影による3分以上の、長回し撮影なんぞも繰り出さはります。大林宣彦監督作品でつながってはる、みたいなこの2人の共演は、本作のでっかい見どころどした。ちなみに、「時をかける少女」(1983年)やらと「転校生」(1982年)どす。

そして、第3話は動物園でのエピソード。ツチブタの話はホンワカとしたムードがありました。冒頭の東京のイロンな道路を、運転手視点で映すシーンなんぞも、印象深いショットでおますよ。

2011年10月13日 (木)

ドイツ映画『ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~』

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ゲーテを取り上げはった、初のドラマ映画がコレでおます

ややこしい創作秘話よりも、若き頃のラブ・ストーリーを描かはった明快さが、心地よろしおまんで~

http://goethe.gaga.ne.jp

オクトーバー10月29日サタデーから、全国ロードショーどす。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やらTOHOシネマズなんば。でもって、京都・TOHOシネマズ二条やら、神戸国際松竹やらで上映でおます。

本作を配給しやはるのんは、ギャガはんどっせー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Senator Film Produktion GmbH / deutschfilm GmbH / Warner Bros.Entertainment GmbH / SevenPictures Film GmbH / Erfttal Film-und Fernsehproduktions GmbH & Co.KG / Goldkind Filmproduktion GmbH & Co.KG / herb X film Film-und Fernsehproduktions GmbH / Summerstorm Entertainment GmbH / magnolia Filmproduktion GmbH / CC Medienproduktions-und Verwaltungs GmbH

文学者を含めた芸術家の伝記・実話映画とゆうのんは、ある意味で堅いのんとちゃあうん? なんて声が聞こえてきそうやけど、本作はそないなカンジはござりまへんどした。

デビュー作「若きウェルテルの悩み」やら、遺作「ファウスト」やらで有名な文学作家ゲーテはんを、映画史上初めて取り上げはりました。大ヒットしとる日本映画「モテキ」(9月18日付けで分析)なんぞでも、ゲーテの言葉なるもんが引用されておましたけども…。

ドイツの作家をドイツ映画として撮るとゆう、ストレート感と潔さにまず、フムフムと納得いたしました。フィリップ・シュテルツェル監督のアニキは、最初は若くしてベストセラー「若きウェルテル…」を出したゲーテの、その後の長きスランプ状態を、ネチネチ描こうかと考えてはったそうでおます。しかし、それをやったら、何やら暗~い内向的な作品になりかねまへん。但し、芸術映画としては、そっちの方がエエカンジに仕上がったかもしれまへんねんけども。

本作は「若きウェルテル…」へと昇華した、実話やったらしい三角関係のラブ・ストーリーをベースにしはりました。伝記ものでも、やはりラブ・ストーリーをメインにしはると、ウットリしたカンジで伝記ものの堅さを柔らげよります。しかも、誰にでも分かりやすおます、シンプル・イズ・ベストな三角関係どす。

ボク的には、それが必ずしもベストな作りやとは申しませんが、分かりやすいとゆうのんはヒットするためには、確かに大きな強みとなりましょう。身分違いの恋のトリプルで、ゲーテがフラれてまうとゆう展開とか、それでも彼女はゲーテを愛していたとか、これまでにどこかで見たような、マニュアル通りの展開が次々にきよります。

でもでんな、本作は18世紀後半の実話どすし、おそらく三角関係もん実話の、ルーツ的なもんなんやないかなと思います。そやから、この実話がその後の三角関係ドラマの、お手本になったかどうかは不詳やけど、典型的素材やとゆうことどす。

それだけやありまへん。美しい草原シーンなどに加え、ロウソク、ランプのみの、節電せんでもエエ電気のない時代感を、反映した色使いや撮影シーン、ハリウッド映画ばりの壮大なオーケストラ・サウンド使いなど、細部の描き込みがメイン・ストーリー部を際立たせはりま。

ジェームズ・アイヴォリー監督の「眺めのいい部屋」(1986年製作・イギリス映画)とか、ジョー・ライト監督の「プライドと偏見」(2005年・イギリス)などの雰囲気もある快作どしたえ~。

2011年10月12日 (水)

アイドル・ニッポン映画「魚介類(シーフードガール)  山岡マイコ」

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何と出世魚として女子高生役始め、3人のアイドルが次々に出てきよりまんねん

超カルティックなファンタジー世界へ、ようこそ! どすえー

http://www.yamaokamaiko.com/

オーガスト10月22日サタデーから、東京のシネ・リーブル池袋で、モーニング&レイトショーでおます。その後、全国順グリのロードショーどす。

本作をば配給しやはるのんは、ユナイテッド エンタテイメントはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011山岡マイコ製作委員会

日本のカルト映画としては歴代ベストテンに入るような、奇妙奇天烈な映画でおます。カルト映画の究極系を示さはる、トンデル怪作ファンタジーなんどすえ~。

デイズニーのアニメ「リトル・マーメイド 人魚姫」(1989年製作・アメリカ映画)の持つ清潔感みたいなんを維持しつつでんな、共にセリフに出ますが、パニック・ホラー系の「殺人魚フライングキラー」(1981年・アメリカ)とか「ドクター・モリスの島/フィッシュマン」(1979年・イタリア)みたいな、カルティックなイメージもある、不思議快感の作品でおます。

さらに、これまでのジャパン・アイドル映画のノリを、フニャフニャ系のノリで割ってみはり、アイドル映画のイメージを覆すみたいなカンジもござります。出世魚として、3つの顔を持つ3人の女アイドルが順番に登場しよりましてな、3姉妹のように見られたりするやなんて…。完全に人を食ったような展開なんどすわ。

ある意味で、小劇団の劇の映画化みたいなとこもあるんやけど、それもまたカルト感を増しまんねん。1番手は、女子高生シフードガール役の佐武宇崎チャンや。パフォーマンス・ガールズユニット「9nine」で、コンテンポラリーなダンス・ワークを見せてはるけど、ココでは天然系のフニャララ演技。ホワ~ンとしたナレーションぶりも、何やらクセになりよりま。

2番手はグラドルの松下美保チャンやで。チョイ大人な演技ぶりどす。でもって、3番手のトリを飾るんは、元「アイドリング!!!」の加藤沙耶香チャン。イチバン大人な(!?)演技をば披露しはります。

3人のメンドーをまとめて見はる、高見こころのネーさんこそ、本作のマトモな主役なんやもしれまへん。魚設定の彼女たちを調理せんとする、料理人たちとの丁々発止もコミカルチックにオモロおまっせー。でもって、サプライズもござります。

印象的な1分、2分、3分の固定の長回し撮影やら、スロー・モーションやら、撮り方にも工夫がなされておます。冒頭のブルーバックやら、色使いにも注目しておくんなはれ。

ボク的には、サントラ使いに妙味をカンジよりました。マカロニ・ウエスタンな哀愁を感じる、ギター・サウンドを始め、適宜流されるピアノ、キーボード、シンセサイザーが作品性にマッチしておました。劇中ではハワイアンも流れよりま。ハットトリッキーな逆回転シーン後の、ラストロールで流れるシンセ・サウンドは、余韻を残してくれるハズどすえ~。

2011年10月11日 (火)

イケメン若手男優による日本映画「メサイア」

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「アイ・アム・ナンバー4」みたいに、学園ものにして潜入チーム・スパイ映画やでー

本作の金子修介監督作品には、ユニークで新しどころの快作が多うおますよ

http://www.messiah-movie.jp

神無月10月15日サタデーから、東京・シネマサンシャイン池袋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、10月22日の土曜日から、シネ・リーブル梅田やら、T・ジョイ京都やらで上映どす。

本作を配給しやはるのは、ファントム・フィルムはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸMessiah Project・Ⓒ2011「メサイア」製作委員会

学園ものと少年スパイものを、ミキシングしはった映画でおます。

本作の金子修介監督作品には実は、ユニークな作品が多うござります。ボクは「学校の怪談3」(1997年製作)の時に、単独インタビューをさせてもろた機会がござりました。

監督とは申せ、邦画大手が盤石な体制で撮影所システムがあった頃のように、企画書を提出して、自分の撮りたい映画を撮るとゆうような時代は実は、20世紀の頃から既に“今は昔“になっとったんどす。

そやから、基本的には、プロデューサーがこの映画に対しては、この監督がええやろといった感じで、キャスティングと同じく、監督もオファー制が今や主流になっておます。金子監督はこのオファー制で、やってはる監督やと思います。

にっかつロマンポルノから、中山美穂やら織田裕二やらの主演作、でもってガメラ・シリーズの怪獣もの、宮部みゆき原作もの、シリーズの1弾を除いた2弾、3弾やら、全くもって統一した作家性なるもんが皆無に見えよります。

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でも、本作を含めて、全ての作品をチェックしてみよりますと、監督の持ち味は青春映画やと思いました。しかも、あんまし甘ずっぱい感じのない、クールなノリとかコミカル、あるいはブラック・ユーモアなノリとかでおましょうか。本作は、そんな金子監督節にピタリとハマッた会心作になりましたで。

フツーの男女共学の高校学園もののノリから、本作は始まります。そこへ男子転校生(荒井敦史クン)がやってきよります。ああっ、どっかで聞いたような話やなーって思わはるかもしれまへん。この転校生がエスパーやったり、潜入スパイなんやろな~なんて、まさにつかみはその通りでおます。

2国間の戦いとテロに、学園ものを別に入れなくてもええやろに…と最初はボクは思ったんやけど、そうすることで新味が出ることも、確かにあるやろなと思いました。ディズニーの「アイ・アム・ナンバー4」(今年7月2日付けで分析)も、そんなカンジどした。

「ねらわれた学園」(1981年)やら「スケバン刑事(デカ)」(1987年)やらの男版とも取れるけど、生徒たちが惑わされた「バトル・ロワイアル」(2000年)への、反逆バージョン的アンサーとも取れよるんどすわ。

弦楽オーケストラに乗って、主人公を含む4人(他の3人は、井上正大・木ノ本嶺宏・陣内将の各クンどす)の少年スパイたちが、ミッションに向かうシーンのカッコエエ感じとか、2人の男の友情部。

加えて、女子高生役のかわいい逢沢りなチャンも、女教師役の小沢真珠ネーさんも、アレやったナンチュー、サプライズも用意されとりま。「時をかける少女」(1983年)的な仕掛けもまた、オモロイやんと思いました。

2011年10月10日 (月)

日本映画「アジアの純真」

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Puffyの快曲をタイトルに、「博士の異常な愛情」やらへオマージュを捧げはったみたいな、ブラックなラブストーリーやでー

カラーはモチ、デジタル・3Dの時代に、あえてモノクロで作ることの意味とは何やろか?

http://www.dogsugar.co.jp/pureasia

神無月の10月15日の土曜日から、東京・新宿K's Cinemaでロードショー後、全国順グリの公開でおます。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

Ⓒ2009 PURE ASIAN PROJECT

由美ちゃんと亜美ちゃんの女2人組Puffyが、1996年に発表したデビュー曲「アジアの純真」が、本作のタイトルになっとります。曲名がそのまま映画タイトルになる日本映画は、これまでにも多数輩出されておますが、本作は中でもチョー異色の作品になっとります。

とゆうのは、ミリオンセラーを突破したこの曲どすが、歌われとる内容とゆうんが、ワケ分からへんシュールな世界なんどすわ。作詞が井上陽水はんで、作曲が奥田民生のアニキ。AKB48の曲みたいに、誰にでも分かるような曲やないんどす。それでいて大ヒットしたこの曲の不思議なカンジを、ブラック・ユーモアなラブスートリー・テイストで、紡ぎ上げられたんが本作でおます。

そもそもこの曲のオリジナルは、本編では流れまへん。主人公(笠井しげクン)とヒロイン(韓英恵=かんはなえチャン)がカラオケボックスで歌ったり、ラストロールで2人がデュエットした曲を流したりとゆう出し方どす。とゆうか、作品性においては、この曲はあくまでシュール感を出さんがために、引用されとるように思いよります。

ポイントは、毒ガスを手に入れて、姉のリベンジのため、世界を変えるため、無差別テロをしようかとゆう韓英恵チャンと、それをなりゆきから否応なしに、付き合わさせられることになってしもた笠井クンのお話どして、英恵チャンのシャキッと感と笠井クンのオドオド感の対比がオモロおます。

無関係な人を殺してもうた2人は、チャリンコで逃亡しはります。この逃亡ロードムービー部も、本作の大きな見どころどす。でもって、その後、シュールな展開が次々にやってきよります。ほんで、最後は東京タワーで向き合う2人や。

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「太陽を盗んだ男」(1979年製作・日本映画)が影響を受けた、モノクロ映画のスタンリー・キューブリック監督作品「博士の異常な愛情」(1963年・イギリス)への意識とオマージュを、ボク的には感じよりました。

そして、本作はモノクロで撮られておます。この時代になんでモノクロなんか。映画監督たるもの、1度はモノクロで撮りたいと思うものやなんて、かつてボクは「キネマ旬報」などで書きましたけども、本作の内容や作品性はズバリ、モノクロが合っているかと思いました。

白黒やから暗いもんが表現できるとゆうことやなく、色に惑わされることなく、映像そのもんに集中できるとゆうとこもあるんどすわ。サントラも本編が1時間過ぎたあたりで、ピアノがようやく流れてきよるとゆうカンジどして、音に惑わされへんようにも作ってはるんどす。シブいどすえ~。

さてはて、個人的に思たことやけど、本作もそうなんやけど、21世紀以降、無差別を冠した殺人やテロものが出てきておます。そもそも“無差別”とは「無差別社会」みたいな使い方で、“平等”とゆう意味どした。それがいつの間にやら、殺人やテロの冠詞になってしもた。戦争の惨殺・殺戮の時代にも“無差別”のコトバは、そない使われておまへん。平等殺人とか平等テロよりは、しっくりとくるんやも分かりまへんけども、でも、本作を見て、なるほどなと感覚的に納得できよりました。いずれにせよ、“無差別”が本来の使い方に戻れるような、そんな未来が来ることをボクは望んどります。

2011年10月 9日 (日)

三谷幸喜監督作品「ステキな金縛り」

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深津絵里ネーさん、西田敏行はんを始め、多彩なコメディアン・コメディエンヌぶり演技に、深酔いしそうな作品どすえー

アリエネー設定やけど、法廷ミステリー映画としてもシッカリしとりまっせー

http://www.sutekina-eiga.com/

オクトーバー10月29日サタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 フジテレビ 東宝

リーガル(法律)サスペンスのノリもある、ユーモア法廷ミステリーどす。

脚本(モチ、オリジナル)も書かはった三谷幸喜監督の、ワン・アイデアがスゴかったかと思います。幽霊を法廷で証人喚問するとゆう設定なんやけど、みなはんは、何やねん、ソレッてなんて、思わはるやも分かりまへん。誰にでも考えられそうに見えよりますが、それをホントらしく見せるリアリティー描写がええんどす。

死んだ者が生き返ったり、一時的に天国から戻ったりの映画は、これまでに多々ありました。しかし、戻ってからあとに、どおゆう風にその人物がドラマ的にドラマティックに機能するんか。そこまで深く入り込んだ作品とゆうのんは、実はそうそうないんどす。大たいが天国へ行くまでにやり残したこととか、愛する人との何とかがポイントになるんやけど、コレは根底から違っておます。

被告人のアリバイを証明するためなんどすわ。殺人事件が起こった時間帯には、被告人は落武者の亡霊(西田敏行はん)に乗っかられて、金縛りに遭っていたらしいんどすわ。そやから弁護士役の深津絵里ネーさんは、その話を聞いて、その落武者に証人になってもらおうと考えはるんどすわ。ドギモ抜かれましたがな。

フツーやったら、考えられないんやけど、三谷監督はこれをユーモラス、かつ論理的に話を展開してゆかはります。深津ネーの上司役の阿部寛のアニキも納得しはるし、人によっては見える人もいてはって、検察役の中井貴一キイッちゃんも…。幽霊が見える人間の共通点を、検証しはるとこなんかも、ミステリー的なオモロサがござりました。

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でもって、西田はんのシャベリ方をマネて、法廷で1人芝居的に深津ネーが通訳よろしく披露したりのシーンなんか、特注コメディエンヌぶりどした。一方で、幽霊の存在を認めながら、論理的な反対尋問を披露しはるキイッちゃんにも、惚れ惚れしたりと、法廷ミステリーとしての本格的な骨格ぶりにも注目どすえ。

三谷監督が心酔してはる、ビリー・ワイルダー監督の法廷劇「情婦」(1957年製作・アメリカ映画)を意識してはるシーンもありま。でも、本作はスクリューボールを、西田はんの幽霊にしはったことで、法廷劇としては、かつてないトンデモネー系になっとります。

小日向文世ら幽霊側の人間が、フランク・キャプラ監督作の「スミス都へ行く」(1939年・アメリカ)とか「素晴らしき哉、人生!」(1946年・アメリカ)を見たがるとことか、監督の映画的趣味やらも反映しとるとこが、ええカンジどした。

竹内結子ネーのヤサグレぶり、篠原涼子ネーと市村正親アニキの夫妻で別々に出てるとことか、浅野忠信アニキのコメディアン演技、でもって、草なぎ剛ツヨポンの感動のオトン役とか、イロイロとサプライズチックな演技や、キャスティングを用意してはります。

法廷劇の変格系としては、シリアスをベースにしはった「それでもボクはやってない」(2007年・日本)とは真逆なんやけど、共に大ケッサクになったと、ボクはジャッジいたします。アカデミー賞の外国語映画賞を、大マジで狙ってもらいたいとも思えよる、逸品どしたえ~。

2011年10月 8日 (土)

妻夫木聡主演ニッポン映画「スマグラー おまえの未来を運べ」

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コミック原作らしい大げさな設定と演技に、とことんハマレまっせー

「トランスポーター」が爽快に見えるくらいのドロ臭さどっせー

http://www.smuggler.jp/

オクトーバー10月22日サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、大阪・梅田ブルク7やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。「PG12」指定どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ真鍋昌平・講談社/2011「スマグラー おまえの未来を運べ」製作委員会

闇の危険な仕事をしはる人たちのお話どす。妻夫木クン扮するプータローが、借金まみれになってしもて、返済するために、高給の闇の仕事をやる羽目になってしまいよります。

演技派の妻夫木クンだけに、どないなエゲツナイ役をやってはるんかなーの期待もあるやもしれまへんけども、本作の演技陣の中では1人浮いてるような、どっちかとゆうたら大人しい役柄でござります。

つまり、フツーの素人はんが、トンデモない世界へ入って、ドエライ目に遭ってまうとゆうのんを、みなはんに分かりやすく伝えるためにはでんな、フツーなカンジであればあるほどエエんどすわ。みなはんの感情移入度も高まるやろけど、しかし、コレは移入するとゆうよりは…。

闇の社会どすから、ジャパニーズ・ヤクザやら、チャイニーズ・マフィアやらがイロイロ出てまいります。「不夜城」(1998年)を思い出させるような、ヤバイ・シーンがテンコ盛りどすし、素人組VSヤクザ組の対決となった「GONIN」(1995年)なんぞのバイオレンス感もござります。また、車で死体を運んで処理してまうなんてとこは、主婦が死体処理した「OUT」(2002年)などの、ダークな犯罪映画ノリも。

でもって、何でも運び屋でアクション映画やった「トランスポーター」(2002年・フランス映画)が、バクハツ・シーンやらハットトリッキーなアクションなどで、ある意味でスクリーンばえする爽快なシーンを、クリエイトしていたのに対し、こちとら運び屋の話でもでんな、バタ臭くてドロ臭い壮絶なカンジを出してはります。

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本作はコミック原作なんやけど、コミックらしい大げさなとこが、チョイやり過ぎかなー、ちゅうくらい全面展開しよります。そやから、妻夫木クン以外の、エキセントリッキーにして暴力的で狂的な、あるいはハイ・テンションな人たちの演技ぶりこそが、本作のでっかいキモになっとるかと思います。

まずは、ナンチューても、妻夫木クンをメインに拷問しはる、高嶋政宏のアニキどす。耳をトンカチで殴って聞こえなくしたあと、やりたい放題やらはりまんねん。聞こえへんから妻夫木クンも白状しようにも、どないもなりまへん。やられ放題どす。

とにかく、高嶋のアニはキレまくっておます。「PG12」指定になったんは、この方のバクレツぶりが主な原因でおましょうか。「戦場にかける橋」(1957年・アメリカ)のテーマ曲「クワイ河のマーチ」に乗って、軍服コスプレ姿でやってまうとこなんか恐るべしシーンどすえ~。

チャイニーズ・マフィアの殺人鬼役、安藤政信のアニキも「ハンニバル」みたいな凶暴性を、ドカーンとバクハツさせはります。超スローモーションを使った対決シーンほか、どう決まっているのか細かく伝える演出ぶりやらも、石井克人監督らしい分かりやすさが親切やと思います。

「トランスポーター」のジェイソン・ステイサムみたいに、クールな永瀬正敏アニやら、共にブッキラボーなハスッパ系演技で魅せはる、松雪泰子ネーさんや満島ひかりチャンにも魅せられまっせー。

2011年10月 7日 (金)

韓国のハリウッド級アクション映画「クイック!!」

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トンデモ・バイク・カーチェイス・アクトから爆破シーンまで、コミカル・ハットトリッキーにビックラコンどっせー

「スピード」みたいな爆破設定が、ハラハラドキドキを演出してはります

http://www.cjent.jp/quick

オクトーバー10月8日サタデーから、東京・シネマート新宿やら、大阪・シネマート心斎橋やらで全国ロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、CJ Entertainment Japanはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 CJ E&M Corporation. All Rights Reserved.

ハリウッドのアクション映画を意識しまくらはった、爽快な作品でおます。日本映画にも確かにハリウッド並みの活劇映画はあるんやけど、韓国の場合は何やらホンマ、ストレートなハリウッドばりを披露しはります。

それは例えば、パニック・ムービーの「TSUNAMI-ツナミ-」(2010年製作・韓国&アメリカ合作)なんぞのように、ハリウッド資本が入っておます作品があるっちゅうことどすか。

日米合作のアクション映画もかつてはござりましたが、最近の日本ではラブストーリーやらではあるけど、アクション系はありまへん。韓国ではその流れに乗ってるんやろな、たぶん。韓国1国製作映画とはいえ、メッチャハリウッドバチバチの映画になっとんのが、本作なんでおます。

しかも、ハリウッドばりにアリエネー設定をば、いくつものシークエンスで披露しはるんどすえ。ある意味では、おバカっぽいコミカル・アクションにも見えよりますが、でも、それをとことん追求しはると、口をあんぐりと開けて見ておるしかショーがござりまへん。

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バイク便ライダー役のイ・ミンギのアニキが、歌手役カン・イェウォンのネーさんの依頼の仕事をした時に、ワナが待ちうけておました。ヘルメットをイェウォン・ネーが、かぶってしまいました。何とまあ、ヘルメットを脱いだらバクハツ、ミンギのアニから10メートル以上離れたらバクハツ、なんてゆうトンデモネー設定になっとったんどすわ。

ほんでもって、ミンギはイロンな爆発物を、画策した何者かの指示により、イロンなとこへお届けする羽目になってしもたんどす。この強引な設定は、スピードを落としたら、バスがバクハツしてまうとゆう「スピード」(1994年・アメリカ)をば、意識してはるかとボクは思います。

イントロの暴走族走りの、カークラッシュ・シーンは「ブルース・ブラザーズ」(1980年・アメリカ)やらを思い出させよりました。

ジョン・ウー監督的なスロー・モーション使いのアクトやら、プロパンガスがゴロゴロ転がる中での、高速でのチェイス・シーンなんぞは、韓国映画的に練られたシーンどす。でもって、ノンストップの列車パニックへともってゆく、アクションの流れは大胆不敵どすえー。5秒以内の短カットを連続編集してゆくのんも、スリリングを高めよります。

ラブストーリー部も、それなりに用意されておます。ワルツを流して2人が交流し合う、サイレント・カットやらがしっとり感を紡ぎます。

でもって、この2人なんやけど、何や知らん、「ナイト&デイ」(2010年・アメリカ)のトム・クルーズのアニキとキャメロン・ディアスのネーさんをば、想起させてくれはりました。ラストのコメディ・リリーフ的なサプライズも、お楽しみあれ~どすえ~。

2011年10月 6日 (木)

ジャパニーズ・ノワール映画「アサシン」

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わざとらしい男たちのエエカッコシー演技がクセになる、日本の伝統的なアクション娯楽映画どすえ~

震災前の宮城・仙台ロケを敢行し「ゴールデンスランバー」にも迫る、面白い作品になっとります

http://an-assassin.com/

10月8日の土曜日から、ゴー・シネマはんの配給によりまして、東京・シネマート六本木やらで公開後、全国順グリのロードショーでおます。

大阪やったら、霜月11月26日の土曜から、シネ・リーブル梅田で上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011『アサシン』製作委員会

「アサシン」やから、暗殺者ものでおます。洋画の暗殺者映画やったら、実話ベースの「ジャッカルの日」(1973年製作・アメリカ映画)を始め、「ニキータ」(1990年・フランス)やらの、オナゴ・アクションもんやらもあります。

ところが、日本やったら、コレがヤクザ映画系になってしもたりしよります。そもそも暗殺者とゆう裏稼業が、法治国家ニッポンには、リアリティーを鑑みよりまするに合っておりまへん。

そやけど、本作はフィクションとして、コドモの頃から暗殺者として養成するとゆう、裏施設をば設定しはります。まあ、ゆうてみたら、コミック原作の戦国時代版「あずみ」(2003年)みたいなカンジなんかな。

原作小説を書いた新堂冬樹のアニキ的には、馳星周原作小説の「不夜城」(1998年)が、創作視野に入っとったんやないやろか。さらに、「不夜城」の東京・新宿やなく、宮城県・仙台へと舞台を設定。宮城ロケものの犯罪ものとゆうたら、最近では「ゴールデンスランバー」(2009年12月14日付けで分析)がヒットしとります。

さっきも言いましたが、邦画はヤクザとしての暗殺者が多いんやけど、本作は当たり前のように、1つの暗殺ミッション・シーンから始まります。そして、ミッション後の暗殺者2人の、プライベート・シーンを静かに対比させて映さはります。

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この2人に、2008年の演劇「ミュージカル テニスの王子様」で共演したイケメンたち、馬場良馬クンと久保田悠来(ゆうき)クンをキャスティングしはりました。ちなみに、馬場クン主演作は、当ブログでは「クレイジズム」(今年3月29日付けで分析)「都市霊伝説 幽子」(今年9月6日付け)などで分析しましたが、本作では中でもイチバンの、エエカッコシーを披露してはります。

高倉健さんやら石原裕次郎やら渡哲也らが、かつて披露したアクション映画の中にあった、演技性でもあります。男としては時に、エエカッコしすぎやんなんて嫉妬したり、チョイこの流れではウ~ンなんてカンジもあるんやけど、妙にハマッたりしよります。

ジョニー・トー監督的銃撃戦、ジョン・ウー監督的スロー・アクト、雨中のバーサス・シーンやらイロイロモロモロのアクションが続きま。「明日に向って撃て!」(1969年・アメリカ)などを出すんは大げさかも(←大げさやーっとの外野の声どす)やけど、人によっては、男の美学にシブく酔えるかもな~。

岩田さゆりチャン、渡辺奈緒子ネーさん(別作品「nude」で、昨年8月26日付けで会見記事を掲載)らの、男2人を盛り立てる演技やら、2人への暗殺依頼人役の大友康平アニキのドライ感、高橋ジョージのアニキのツッパリ感やら、脇役の快演技も光っておました。

ドラマティックと癒やしを運ぶナンバー「アメイジング・グレイス」の効果的な使い方にも注目どすえー。

2011年10月 5日 (水)

日本映画「症例X」

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「PFF アワード 2008」で審査員特別賞をゲットしはりました

「家族X」吉田光希監督アニキの実質のデビュー作どすえ~

http://www.littlemore.co.jp/shoreix/

10月8日サタデーから、10月21日フライデーまで、東京・渋谷のユーロスペースで特別ロードショーでおます。でもって、その後、全国各地へ回る予定どす。

大阪やったら、10月15日から10月28日まで、梅田ガーデンシネマで上映しはります。

本作を配給しやはるんは、リトルモアはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

吉田光希監督によれば、本作は自主映画の第5弾やそうです。でもって、この第5弾がPFF(ぴあフィルムフェスティバル)で賞をゲットし、ほんで、劇場用デビュー作として「家族X」(9月1日付けで分析)を撮らはりました。

それに合わせて、本作が公開されるんやけど、基本的にはデビュー作はこちらの方になるんやろか。別にPFFの宣伝をするワケやないんやけど、これまでにPFF受賞経験者は受賞後に、かなりの傑作を輩出しております。

そのあたりは検索してもろたら、なんぼでも出てきまんので、ここではハシょらせてもらいますが、しかし、それにしても質の高さは傑出しとります。ゆうたらなんやけどPFFは新人賞ながら、ロバート・レッドフォードが始めはった、アメリカの「サンダンス映画祭」にも勝るとも劣らへんカンジが、ボク的にはしとります。

さてはて、日本の家族映画とゆうのんは、恐ろしいくらいこれまでに作られてきておます。フツーの家族映画なら、そのへんにゴロゴロしとりますが、21世紀の家族を描くとゆう視点では、本作はオリジンの高い作品どした。「家族X」もそうやったけど、そのあたりを見ていきまひょか。

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あくまで人情やキズナが付きまとう、松竹映画系の小津安二郎・木下恵介・山田洋次監督らの家族映画の系列。一方、ネジレ系とゆうカタチで、イロイロ変格系が作られ続けてきた邦画の家族映画どすが、映画的計算もあってケッサクを輩出しておます。

でも、本作は「家族X」と同じく、人情節と呼ぶべきもんはほとんどなく、で、あえてネジレさそうかとゆう意図も見えまへん。ストレートと言えばそうなんやけど、現状をそのまま伝えるとゆう点では、家族映画としての娯楽性は控えめどす。

サイレント映画のノリで物語は紡がれま。室内の固定の長回し撮影が2分、3分、5分と続く上にでんな、会話もないんで会話の面白さを見せるわけやなく…。エンターテインメントとしての面白さを追求するとゆう狙いは、はっきりゆうて監督にはあらへんかと思います。

ニコチン中毒でアルツハイマーの母を介護する息子とゆう、いわば1対1のガチンコの構図なんやけど、とにかく黙々としたシーンの連続でおます。「恍惚の人」(1973年)やら「明日の記憶」(2005年)やらの、慌てふためき感とは大きな差がござります。

両親と息子1人の3人家族もの「家族X」でもカンジたんやけど、会話のなさであったりとか、家族1人1人の孤独感であったりとかが巧妙に捉えられておました。

むしろ逆転的な思いなんやけど、今後この監督が、人情節バチバチの家族映画を撮ったとしたら、どんなんができるんやろかな~と思いよりました。みなはん、ドえらいケッサクを期待してもええんやないでしょうか。

2011年10月 4日 (火)

日独合作「UNDERWATER LOVE-おんなの河童-」

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コメディ・ポルノ・ピンク映画にして、ミュージカル映画やなんて

メチャクチャやのに、クリストファー・ドイルの撮影やなんて

何もかも規格外やのに、コレがトンデモクセになったり…やなんて…ホンマでっかー

http://www.uwl-kappa.com/

10月8日の土曜日から、ポレポレ東中野でロードショーやねん。その後、東京・渋谷のユーロスペースやら、ドイツのとある映画館やら、関西やら、日本各地順グリの上映をやらかさはりまっせー。

「R-15」指定の本作をば配給しやはるのんは、SPOTTED PRODUCTIONSはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 国映株式会社/Rapid Eye Movies/インターフィルム

「なんじゃ、こらあー」やなんて…。テレビドラマ「太陽にほえろ」で松田優作が殉職シーンで叫んだセリフが、本作を見たあと、ボクとしてはまずは出てきよりました。

今年の邦画・洋画の全ての映画の中でも、今のところ、イチバンやーのカルト映画の大怪作でおます。

まあ、簡潔かつ明瞭に申し上げますればでんな…。コメディ・ノリの日活ロマンポルノに、サントラを流して、登場人物は歌わずの踊りで魅せる、ミュージカル映画をドッキングさせはったとゆうか。

そんなアホなことは、これまでの映画監督はんはヤラはらへんかったんやけど、“いまおかしんじ”のアニキが無謀にもヤラはりました。しかも、世界的にも有名な撮影監督のクリストファー・ドイルのアニキを、巻き込まはるやなんて、おいおい、ドーカしとんで、ホンマ。

なんやけど、メチャクチャな映画のように見えながら、実は、コメディ・ピンク映画としても、コミカル・ミュージカル映画としても、トンでもない面白さをクリエイトしてはるんどすえ~。

35歳になった独身OLのヒロイン(大阪出身の正木佐和ネーさんがヤッてはりま)は、会社の主任がフィアンセどして、セックス・シーンもストレートに展開します。ある日、高校時代の17年前に失踪し、河童になってしもた同級生がヒロインの前に現れま。

でもって、この河童とのエッチ・シーンが展開するんやけど、フツーやないんは分かるやろと思います。ボク的には神代辰巳監督の「悶絶!!どんでん返し」(1977年)くらいのインパクトをカンジましたで。

ほんで、チャッチーに見えながらも、ミュージカル・シーンの予想外の多彩なカンジに、ポテチン(びっくり)どした。工場内で、「おは!ロック」みたいなノリで、オバはんの歌に乗って突然踊りだし、葉を持っての2人ダンス。

田舎での野原ダンシング、ラストロールのみんなでお祭りソングやら…。岡本喜八監督のミュージカル作へのオマージュやら、鬼門と言われ続けてきた邦画ミュージカル(特にダンス)に対して、チャレンジしはる姿勢にはグッときよりました。

ドイツの男女デュオ「ステレオ・トータル」の、イギリスの1980年代的ニューウェイブなタッチとか、テクノ・フレイバーが、本作と妙にミスマッチな感覚も、おー、ええカンジやん。発売中の本作のサントラもまた、ぜひチェックしたくなるハズどす。

そして、ドイルのアニキの撮影ぶりやー。風景シーンはモチ、ハッとするロングショットがテンコ盛りどすえ。

みなはん、ぜひ魅惑にして奇怪なる、カルト映画の世界にハマッておくんなはれ。

2011年10月 3日 (月)

フィンランドの冒険映画「レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース」

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ハリウッドのクリスマス映画への、大いなるアンチテーゼになっとる予想外の大怪作

一方で、少年が活躍する冒険ものとして、エバーグリーンな良質感がありまっせー

http://www.rareexports.jp/

オクトーバー10月8日サタデーから、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷でロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、アース・スター エンターテイメントはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCINET POMOR FILM LOVE STREAMS AGNES B. PRODUCTIONS DAVAJ FILM 2010

フィンランド映画とゆうのんを、実はボクはほとんど見たことがありまへん。このブログも始めて足かけ3年目に入っておますが、この間に分析できたフィンランド映画は「4月の涙」(今年5月4日付けで分析)だけどした。

なかなか日本公開されることが叶わへんとゆう理由は、モチ売れへんからなんでしょうが、本作はそのイメージをば覆さはった1本でおます。

最近のハリウッドの「ハンナ」(8月13日付け)や「ラスト・ターゲット」(7月1日付け)やらは、フィンランド・ロケから始まりますが、本作は全面的にフィンランドらしい、北欧の雰囲気がござります。

薄ブルー、薄グリーンな空気感やら、オーロラなどはモチなんやけど、一方で、サンタクロースの発祥国としては、サンタのイメージを変えるような、ブラック・テイストなカンジを盛り付けはったんどす。

ハリウッド産のクリスマスものとなれば、どないあっても“奇跡”とかファンタジーやらと結び付けはるんやけど、本作はそれらとは大いに違っとります。

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老人だらけのサンタたちを、フェアリーとして描かれることは描かれるんやけど、悪魔的な凶暴なキャラクター設定にしてはるんどす。そして、サンタのナゾを追って主人公の少年が、八面六臂の活躍を見せはりまんねん。

「E.T.」(1982年)「太陽の帝国」(1987年)「A.I.」(2001年)などのスピルバーグ監督作品に見られる、少年のストレート感に加え、「シザーハンズ」(1990年)「アリス・イン・ワンダーランド」(2011年)など、ティム・バートン監督作品のユニークな感覚が、まぶされたようなカンジなんどすえ。さらに、ホラー映画的なとこもござります。

コドモたちがサンタ・グループに誘拐されよりまして、少年はオトンとオトンの仲間と共に、このグループに挑まはるんどす。正統系の少年アドベンチャーとも解釈できましてな、ハリウッドに背を向けているようでいて、どこか憧憬じみたアンサーぶりも見え隠れしていくんどす。ハリウッドばりの壮大なオーケストラ・サウンドによるサントラも、そのあたりを裏付けます。

でも、本作のポイントは、やはりアンチ・ハリウッド的なとこなんやろか、ハリウッドにはあんまし見られへんような、ブラック・ユーモアな着地をしはります。見る人によっては、クエスチョンな着地かもしれまへんけども、ボク的には新鮮どした。

過去には日本映画では、アニメ「時をかける少女」(2006年)が部門賞をもらわはったことがある、「シッチェス・カタロニア国際映画祭」(2010年度)で、本作は3冠をゲットどす。作品賞、監督賞、撮影賞の各最優秀賞やー。ほんでもって、その高評価にたがわへんケッサクになっとると、ボクは思います。

2011年10月 2日 (日)

ハリウッド映画「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」

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「スター・ウォーズ エピソード」シリーズと同じく、遡(さかのぼ)り系のビギニングものでおます

アニマル・パニック・ムービーとしての、アクション・エンタ性にも注目どすえ~

http://www.saruwaku.jp/

オクトーバー10月7日フライデーから、全国ロードショーだす。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、京都・TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ西宮OS、OSシネマズミント神戸やらで、ドカーンと上映でおます。

本作をば配給しやはるのんは、20世紀フォックス映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Twentieth Century Fox Film Corporation

みなはん、「猿の惑星」シリーズ(1968年~1973年製作・全5作)を見はったことはありますやろか。

ティム・バートンが監督しはった、その第1弾のリメイク版「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001年)でもええんやけど、見てへん方は本作を見はる前に、できたらツタヤやらでDVDを借りて、シリーズ第1弾だけでも、見ておかはった方がええかとは思います。

「スター・ウォーズ エピソード」シリーズ(1999年~2005年・全3作)みたいに、ダース・ベイダーの誕生秘話と同じく、サルが勢力を伸ばしていっきょる、その過程をば描かはるんどす。

しかも、シリーズ化しそうな終わり方なんで、この遡り系の第1弾でくじけてしまうと、次へスムーズにいきよりまへん。そやから予習が大事なんでおます。

舞台はサンフランシスコどす。主人公役のジェームズ・フランコのアニキは、新薬開発の研究者でおます。サルたちを実験材料にして、知性を高める薬を開発しようとしてはったんやけど、ある日、実験薬を飲んで暴れまくった母ザルが銃殺され、その子ザルのシーザー君を引き取ることになってしまいました。

でも、主人公が発明した薬は、アルツハイマーの父を治すほど、えらい効果バツグンの薬やったんでおます。でもって、成長したその子ザルも、人間並みの知性を持ったんどすわ。

そやけど、主人公の父を助けるために、凶暴性を出してもうたばっかりに、その種のサルたちの施設に隔離されてまうんどす。父と慕う人間の主人公や家族と別れて、動物虐待しよる施設の奴らや、野蛮なサルらにいじめられ続ける、ああ、哀れ、シーザー君や~。

しかし、このサル収容所でのサイレント映画なノリの中で、知性あるシーザー君は、やがてこの小さなサル社会で、のしあがっていかはるんどす。でもって、遂には…、なんて展開どすか。

ほんでもって、クライマックスは、モノゴッツーなアニマル・パニック・アクション・ムービーが繰り広げられるんどすえー。

ミニ「キングコング」(1933年・1976年・2005年)の集団タイプってなカンジで、特にゴールデンゲートでの、サル軍団バーサス騎兵隊(!?)もいてはる警察側のシークエンスは、ハリウッド・アクションの底力を見せはります。「ワイルド・スピード MEGA MAX」(9月24日付けで分析)やら「ファイナル・デッドブリッジ」(9月25日付け)やら、大橋でのパニック・アクションは、現在のハリウッドのトレンド・ポイントやもしれまへん。

さらに、主人公とシーザー君のキズナ部も、第2弾へと続くような、侮れへんつなぎを披露してはりま。シリーズ化で、より感動的になっていくんやないかなと思います。

2011年10月 1日 (土)

宮崎あおい&堺雅人主演のニッポン映画「ツレがうつになりまして。」

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「篤姫」以来の2人の夫妻役共演は、負のイメージなテーマやのに、メッチャ前向きどすえー

ユニークな夫婦の在り方に共感できる作品でおます

http://www.tsureutsu.jp/

10月8日のサタデーから、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「ツレがうつになりまして。」製作委員会

夫婦映画とゆうのんは、邦画・洋画を含めまして、これまでにモノゴッツーな本数にのぼります。そやから、ここでは邦画に絞って、本作をば分析してまいります。

本作はコミック(エッセイ)原作にして実話ベースものでおます。今年出た実話ものとしては、「僕と妻の1778の物語」(昨年11月28日付けで分析)、「毎日かあさん」(今年1月7日付け)なんぞがござります。本作主演の宮崎あおいチャンにしても、本作の前作は夫妻映画でもあった「神様のカルテ」(8月12日付け)どした

でもって、夫婦円満系も揉める系もええんどすが、夫妻共にもあるんやけど、夫妻のどちらかに問題ありの内容どして、コレは夫の方に問題ありで、ウツ病を患うとゆうことになっとります。大たいにおいて、そうした場合、どちらかとなればウツウツとした内容になったりしよります。ウツウツに語弊があるんやったら、シビアな映画とでも申しましょうか。

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過去を振り返りますれば、夫に問題ありのヤツで言いよりますと、浮気系の「夫婦善哉」(1955年製作)「恋文」(1985年)「死の棘」(1990年)「大阪物語」(1999年)やら、病系なら「武士の一分(いちぶん)」(2006年)「明日の記憶」(2006年)やらイロイロあります。

コレは病系なんやけど、どちらかと言えば、陽気系へと着地してゆく「夫婦善哉」みたいなカンジがござりました。病系では珍しい作りになっとるんどすえ。「明日の記憶」とはやや逆の作りで、キズナ系の感動タイプへとゆく「武士の一分」とも違いまして、ほのぼのしっとりのコミカルな癒やし系どすか。

ウツになってしもた堺雅人のアニキやけど、自殺未遂までしやはるのに、暗~いイメージはほとんどござりまへん。不思議快感の映画なんです。そないな快作になった理由としては、やはり一番に上げなければならんのは、夫婦役の宮崎あおいチャンと堺雅人アニキの、あ・うんの呼吸ともゆうべき当意即妙な、名コンビな演技ぶりでおましょう。

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大河ドラマ「篤姫」のあの将軍夫婦役が、現代に置き換えられたようなカンジは、ある意味ではスゴイし、全国民的な共感と人気を得る可能性もあるかと思いま。主に、あおいチャンのナレーションで話は進行するのどすが、このナレーターぶりが、一つ一つ観客の興味深々を募らせはるような、エエノリなんどすわ。

さらに、2人が飼ってるイグアナ君が、チョロチョロして2人に絡んできよります。夫妻だけやと暗くなりがちなとこを、このイグアナ君が見事な緩衝役を果たしておます。

ユーモラスに伝えられるウツ病の薀蓄、手書きアニメで2人のなれそめをタイトに説明したり、「野菊の如き君なりき」(1955年)みたいに、スクリーンの四隅をボカして楕円風に、夫の近過去を描いたり…。その都度、あおいチャンの活弁ぶりに酔わされましたで。

「ベニスに死す」(ニュープリント版を9月27日付けで分析)でも有名なマーラーの交響曲など、クラシックをアナログで堺のアニキが流しとる劇中設定なんぞも、通常のサントラも流れますが、作品性におうておました。堺のアニキ主演「日輪の遺産」(7月31日付け)に続く、佐々部清監督の今年2作目どすが、ボクとしては、こちらの方が上の仕上がりになったかと思います。

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