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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年9月の記事

2011年9月30日 (金)

ジャパニーズ・アニメ「とある飛空士への追憶」

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「紅の豚」「スカイ・クロラ」など、飛行士主人公アニメの会心作が登場やー

風景描写のリアルと美しさ、フル・オーケストラによる壮大なサントラやら、酔いゴコチ満載の映画どすえ

http://www.hikuushi-tsuioku.com

オクトーバー10月1日サタデーから、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・テアトル梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

本作をば配給しやはるのは、東京テアトルはんやでー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 犬村小六・小学館/「とある飛空士への追憶」製作委員会

本作はまずナンチューても、色使いの美しさや明るさが目に付きました。確かにテレビアニメも、家庭を考慮しまして明るい画質が多うござりますが、でも、こちらは映画アニメ的どす。

ほな、映画的ちゅうのんは、どういうことでおましょうか。つまり、奥行き感であったり、色使いの微細な感覚、サントラを含めたスケール感なんぞやろか。また、プロの声優陣を配したテレビとは違い、実写演技陣の声の演技が楽しめる点もあります。みなさんのそれぞれの贔屓のスターが、出演してはる場合はきっとチェックしはることでしょう。

マッドハウスはんがアニメ制作をしはりました。マッドハウスの色使いなるもんが顕著に出ておまして、アニメ版「時をかける少女」(2006年製作)や「サマーウォーズ」(2009年)の、明度の高い明るい画質で物語を展開させはります。

タイトルにある“飛空士”(ひくうし)とは、飛行士とおんなじどして、本作は飛行士が活躍するアニメでおます。宮崎駿監督の「紅の豚」(1992年)、押井守監督の「スカイ・クロラ」(2008年)やらともシンクロしよります。当然やけど、空中戦アクションもハデにやらはりまんねん。

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但し、製作者側は「ローマの休日」(1953年・アメリカ映画)を意識したとゆうてはります。とある王国の妃候補を、ドブネズミやなんてゆわれる傭兵が、敵の戦火をすり抜けて彼女を守り、ヒコーキで王国まで送るとゆう、ミッション系のロードムービーをばやらはりま。

身分の違いとゆうのんは「ローマの休日」では、あんましクローズアップされてまへんので、ポイント的には、2人の間に愛らしきもんが芽ばえる点なんやろか。

ボク的には実写映画やったら、「ボディガード」(1992年・アメリカ)なんかのセンスもカンジました。2人がコドモ時代に関係したことがあるなんてゆうエピソードも、2人のキズナをば深めます。感動ポイントでおましょう。

でもって、特筆すべきは色使いどす。特に、空の描写の多彩感を始めとした、自然描写・風景描写のリアリティーあふれる感覚と、ハッとさせはる美しさでおます。紫たなびいたり、ブルー、水色、紺青、セピア、灰色などに加え、グラデーションを施した空模様、雲の流れ、爽快な大瀑布シーン、花畑や草原風景の癒やされるようなシーンやら、いっぱい挿入されておますよ。そして、スモールからフルまでやってくれはる、オーケストラ・サントラのゴージャス感やー。ウ~ン、うっとりなれる仕上がりどすえー。

2011年9月29日 (木)

アルゼンチン映画「幸せパズル」

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共にアラフォーの女性監督と国民的女優によります、地味やけどホッコリできよる快作の登場でおます

これまであんまし上陸せえへんかった国の映画やけど、こんな映画を見た方が、逆に新鮮やもしれまへんでー

http://www.shiawase-puzzle.com/

東京はオクトーバー10月1日から、TOHOシネマズ シャンテやらでロードショーどすけども、関西は10月8日のサタデーから、大阪ステーションシティシネマやら、京都・TOHOシネマズ二条やらで上映でおます。

フランスとの合作となった、アルゼンチン映画の本作をば配給しやはるのは、ツインはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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アルゼンチン映画やなんて、みなはん、見はったことはありまっしゃろかー。メッチャ稀少価値の高(たこ)うおます国の映画は、今後もエチオピア映画やらイロイロ紹介しよりますけども、経済だけやなく、映画先進国と後進国とゆう構図とゆうのんは恒常的にござります。

但しでんな、ハリウッドやユーロや中国や日本の先進国の作品が、映画後進国の作品に比べてズバ抜けて素晴らしいとは、必ずしも言えよりまへん。時に、映画界・映画史をゆるがすような、スゴイのんが現れたりします。

そやからとゆうて、本作が人生変えるくらいモノゴッツーなものなんかいと尋ねられれば、ボクは答えを保留します。なぜなら、後進国だけに、ハリウッドやらとは映画技術的にも相当な開きや超格差がある中ででんな、とにかく作ってくること、ほんでもって、それが日本に上陸し、少なくとも都会の人々には見れるような機会までもってゆけるんは、よほどのことなんでおますよ。

最近のラテンアメリカの作品やったら、本作と同じく女性監督によるアルツハイマーもの「グッド・ハーブ」(7月13日付けで分析)とか、おばさんの悩ましき人間ドラマ「ルイーサ」(2010年10月12日付けで分析・アルゼンチン映画どす)などが、オリジナリティーを示してはりました。ほなら、本作はどないでおましょうか。

実は薄味で、深くは突っ込まへん作りなんどす。不倫部もそうやけど、映画的には史上初となるジクゾーパズルの、その勝負どころもあっさりとしておます。もちろん、卓上プレイものでもでんな、トランプ・麻雀やらのギャンブル系やら将棋・チェスやらと比べましても、どない見ても映画ばえしない素材でおます。

むしろ、それに合わせたかのように、わざと地味に見えるように作ってはるようにも見えました。顔や料理のアップやらの近接撮影を多用。食卓シーンは小津安二郎みたいに全景では見せず、また室内的にボカシなしで奥ゆき感を出す、パン・フォーカスなんぞの撮影技法も使(つこ)てはりまへん。

家族映画、あるいはヒロイン映画としては、殺伐としたとこまではいきまへん。それを中途半端と見るか、女性監督ナタリア・スミルノフ&アルゼンチンの国民的女優はんのマリア・オネットの各ネーさんの、優しさや癒やしを狙った演出や演技と見るか、それとも…。人それぞれでおましょうか。

陽光や室内照明など、陽気な配色で統一してはったり、オカリナ、アコーディオン、パーカッションやらを配しつつ、ラテン・ミュージックな民族性を打ち出すサントラ使いやらに、とにもかくにも、明るいポジティブが見える映画でおました。

2011年9月28日 (水)

日本の映画館に初上陸のエチオピア映画「テザ 慟哭の大地」

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1970年代から1990年代まで、1人のエチオピア人主人公の人間ドラマ映画どす

カットバック使いの混濁したカンジが、謎めいたドラマ性を増しよります

http://www.cinematrix.jp/teza/

オクトーバー10月1日サタデーから、大阪・九条のシネ・ヌーヴォでロードショーでおます。その後、全国各地へ回る予定どす。

ドイツ、フランスの出資を受けた、エチオピア映画の本作をば配給しやはるのは、シネマトリックスはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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情報的なとこを言いよりますと、本作は世界3大映画祭の1つ、ヴェネチア国際映画祭(2008年)で、「金のオゼッラ賞」「審査員特別賞」やら3冠に輝いてはります。

最高賞やありませんが、アフリカ映画でこれほどの高い評価は、21世紀になってからは、アカデミー賞外国語映画賞をゲットしはった「ツォツィ」(2005年製作・南アフリカ映画)と肩を並べるもんでおましょう。

しかも本作は、エチオピア映画としての独特な雰囲気が、濃密にカンジられよります。例えば、みなはんは、アフリカを舞台にした映画やったら、これまでにもそれなりに、ご覧になっておられるやもしれまへん。

でも、それらのほとんどは、ハリウッド資本の入ったアメリカ映画やったはずです。主にアメリカ人が主人公として出てくる、アフリカン映画なんでおますよ。アメリカ人目線のビジター感覚で、捉えられておるんが大がいやったと思いよります。アミン大統領が主人公やった「ラストキング・オブ・スコットランド」(2006年・アメリカ)やらは、数少ない例外やろけど。

とゆうことで、エチオピア映画として日本初上陸となった本作は、アフリカ各国の内紛も描き、アフリカ人視点による厳しい現実を捉えた点では、「ホテル・ルワンダ」(2004年・南アフリカ&イギリス&イタリア)に勝るとも劣らない仕上がりになっとります。但し、こちらは「ホテル・ルワンダ」みたいに群像劇タッチやなく、あくまで1人の男の生き方を描き抜く、ヒューマン映画でおます。

1970年代にドイツへ留学しはり、1980年代にはエチオピアの首都アディスアベバで医者をやらはり、ほんでもって、何やら傷心を抱えて1990年に、田舎の実家のオカンのとこへ戻ってきはる、写真一番上の男の話でおます。

映画は主人公が大ケガを負い、病院の廊下を搬送されるボカしたシーンから始まりま。そして、次には、帰郷するシーンへと転換しはります。主人公の記憶は混濁しとることになっとります。しかし、コレが悪夢的なフラッシュ・シーンから、徐々に過去を思い出し、1990年の現代と1970~1980年代を回想するカットバックへと移行いたします。

この構成が匠のワザどした。カットバック使いの新しい使い方としては、「エディット・ピアフ 愛の讃歌」(2008年・フランス)などを思い出しました。

そして、主人公はなんで大ケガを負ったんか、そのプロセスとナゾに迫ってまいるのどす。ハリウッドみたいに派手に見せるんやなく、突然的急所的に見せるヨーロッパ映画的なバイオレンス・シーンが、時おり出ます。今後分析しますイタリア映画「ゴモラ」とか、ベルナルド・ベルトルッチ監督作品とかに顕著なスタイルどすか。そういう殺伐としたシーンと、癒やし的に映される、田舎の美しい自然シーンの対比描写も効果的どしたえ。

名作「天国の日々」

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テレンス・マリック監督と主演リチャード・ギアのアニキによる、伝説の名作がリバイバル上映どすえ~

http://days-of-heaven.sky-way.jp/

http://cinenouveau.com/

オーガスト10月8日サタデーから、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで上映どす。タイムテーブルは上記の2番目、シネ・ヌーヴォのホームページでご確認くだされ。

その後、各地でも上映されるやも分かりまへん。上記の1番目、本作の公式ホームページを随時見ておくんなまし。

1978年製作のアメリカ映画の本作をば配給しはるのは、日本スカイウェイはんとアダンソニアはんどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ1978 Paramount Pictures Corporation

テレンス・マリック監督作品てゆうたら、売れない・意味不明のとこあり・大たい暗いと、ウラ街道の名作たる3拍子が揃っておりました。

でも、カンヌ国際映画祭最高賞をゲットしはった「ツリー・オブ・ライフ」(2011年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)は、ディズニーの配給ゆうこともあってか、おいおい、週間興行チャートのベストテンに入りましたがな。まあ、ベルリン国際映画祭の最高賞をゲットした「シン・レッド・ライン」(1998年)も前作「ニュー・ワールド」(2004年)もそれなりに売れとりまんねん。

ほな、なんで売れないイメージがあるんかとゆうたら、とどのつまりは本作のせいでんねん。パラマウントはんちゅうハリウッドの大手の会社の製作・配給映画やったんやけど、コレがさっぱり売れまへんどしてな、アラマ・ポテチン、そのせいでもあるまいに、マリック監督はその後業界から、干されたような(!?)カンジにならはりまんねん。

でも、まあ、同じ天国でもユナイト映画を倒産させはった「天国の門」(1981年)のマイケル・チミノなんかと比べたら、微々たる赤字やったやろけどね。そやから、戦争映画「シン・レッド・ライン」を引っさげて、映画界に戻ってきはった時には、ビックラこきましたがな。

とゆうことで、なんで本作は売れへんかったんでおましょうか。自然光を生かした、朝夕の日の出・日没シーンやら、セピアの小麦畑やらを始めとした美しい風景の数々。効果音としての風の使い方も絶妙や。ボクの大好きなエンニオ・モリコーネの、アコギ・サウンドから、豪快なオーケストラ・サウンドまでが流れるサントラ使い。

「ジャイアンツ」(1956年)のジェームズ・ディーンを想起させはる、主人公役リチャード・ギアのアニキのヤサグレ演技。農業従事の群像劇タッチの労働シーンに加え、恋愛映画の王道とも言える三角関係のラブ・ストーリーや。そして、主人公の妹の意味深なナレーションの数々が、ドラマ効果を高めよります。売れない要素はどこにもないようやけど…。それでも分析しよりますと…。

1970年代のハリウッド映画は、パニック・ムービー、SF映画などが売れ線どして、一方でアメリカン・ニューシネマに影響を受けたインディペンデント・タッチの映画が、評論家受けの高い余り売れない路線どした。

でもって、本作はその段差ある2つの要素を、欲張りにも入れてしもたんどす。ある意味でウルトラワザやと思うんやけど、イナゴに畑がやられるパニック・シーンやら、畑を燃やす火災シーンのタッチ。一方で、主人公のニュー・シネマな、ヤケクソ半分の生き方描写。

この異種混合系が、アメリカの大衆には敬遠されたんやないでしょうか。そやけど、イロイロと賞ももろてはるし、名作には変わりありまへんので、DVD化はされとらへんので、ぜひ劇場で体感しておくんなはれ。

2011年9月27日 (火)

名作「ベニスに死す ニュープリント版」

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マーラーの交響曲が流れよって、胸をギュギュギュンと締め付けよりまんねん

美少年に恋してしもた、老音楽家の哀愁がたまりまへん

http://www.death-in-venice.net/

10月1日から東京公開。大阪も10月1日サタデーからテアトル梅田。ほんでもって、その後、シネ・リーブル神戸(11月)やら京都シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

イタリア&フランス合作1971年製作作品の、ニュープリント版を配給しはるのは、クレストインターナショナルはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ1971 Alfa Cinematografica S.r.l. Renewed 1999 Warner Bros., a division of Time Warner Entertainment Company, L.P. All Rights Reserved.

今は亡き、イタリアのルキーノ・ヴィスコンティ監督はんの、ボク的には最高傑作やと思ておます作品でおます。

「家族の肖像」(1974年製作・イタリア&フランス合作)やら「ルートヴィヒ 神々の黄昏」(1972年・イタリア&西ドイツ&フランス)やら「イノセント」(1975年・イタリア)やら、1970年代の学生時代にボクが見た諸作は、今も時おりココロにネガティブな影をば落としてくれはります。

それでも、本作は最もそのカゲリみたいなもんが、ユルかったかと思いよります。「山猫」(1963年・イタリア&フランス)みたいなチョイハデ・暗め路線もあるんやけど、監督の作品ははっきりゆうて、メッチャ暗いんでおます。で、本作も例によって、前向きポジティヴ元気系とは、残念ながら程遠いとこにござります。

しかし、クセになります。なんでかと申しますと、まずは、既成の音楽と映像のコラボレートとゆう意味においてでんな、「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)の「美しき青きドナウ」に匹敵する音楽使いでおましょうか。

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見出しにも書きましたが、本編でケッコー流れるのんが、グスタフ・マーラーの交響曲第5番アダージョでおます。ココロにきます。しかも、マーラーの音楽を部屋で1人静かに聞くとゆうのとは大きく違う、壮大にしてドラマティックに見える効果を映画に与えておます。しかも、ヴィスコンティ監督は、トーマス・マンの原作の設定を変えて、主人公をマーラーに想定して描かはったそうなんです。

で、本編内では、サントラとしてではなく、イロンな音楽のライブ・シーンも紡いではって、特に、“ワハハ、ワハハ、ワハハッハ”なギター弾きのシークエンスは、印象深い音楽的なブラック・コメディ・リリーフになっとりま。

そもそも映画は、ダーク・ボガード扮するマーラー想定の作曲家が、1人ベニスに静養にきはりましてな、どちらかと申せば孤独で寂しい物語なんどす。過去の家族とのシーンやら音楽芸術に関する論争部なんぞも、回想シーン的に映されますが、基本ラインは片思いのラブ・ストーリーでおます。

同じく静養に来てはる家族の、美少年の息子はんに恋してしまわはりましてな、もう胸がコガれてコガれて、どうショーもないとこにまでいかはりまんねん。その悩み深さはようよう分かるようにこしらえてはります。

ズームやらパン、アップやクローズアップもケッコー多く、芸術映画をとことん追求するぞーみたいなノリは、控えめには見えよります。しかし、コレはまがうことなき、デカダンスな耽美派の芸術映画でおます。原作小説の出来を超えたやもしれへん、大ケッサクでおます。映画館で体感してほしい1本どすえ~。

2011年9月26日 (月)

アメリカン・ラブコメの新次元「ステイ・フレンズ」

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エッチしても友達のまんまでいられるかに、アプローチしはった、面白おかしき男女のラブ・ストーリー

ロック・ポップの歌ものサントラがしょっちゅう流れて、ええリズムでドラマは展開しよります

http://www.stay-friends.jp/

東京は10月1日から上映どす。でもって、関西はでんな、10月8日のサタデーから、大阪ステーションシティシネマやら、TOHOシネマズなんばやらで公開どすえ。

本作を配給しはるのは、ソニー・ピクチャーズはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ラブコメ新次元やなんて、でっかいことを書いてしまいましたが…。これまでボクがイロイロ見てきた、ハリウッドのラブコメ映画としては、チビチビ新しいとこを挿入しはって、総体として新次元になったとゆう意味どす。

決して世紀のケッサクが舞い降りたっちゅうことではありまへん。でも、リアリティーはそないになくとも、ユニークな設定やらにメッチャ楽しめます。

おバカもんの下ネタ系でゆうたら、キャメロン・ディアスのネーさんが出はった快作「メリーに首ったけ」(1998年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)にも、食い入るようなカンジかな。大げさかも分からへんけども。コトバとしてセリフにも出るけど「プリティ・ウーマン」(1990年)への、作品的アンサーもありま。

ベースはニューヨークものなんやけど、ヒロイン役のNYサイドに対し、彼氏役(ミュージシャンでもある、ジャスティン・ティンバーレイクのアニキ)はロサンゼルスのヒトでおます。かとゆうて、「めぐり逢えたら」(1993年)みたいな遠距離恋愛系やなく、彼女が有能な人材をあっせんしはる、エリート・コンサルティングなヒトどして、彼をNYの有名雑誌「GQ」に紹介しはるんでおます。ほんでもって、うまくいきよります。

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で、彼と彼女はキズナ深き(!?)友達として、付き合うことになるんやけども…。男女間の友達関係を保ちつつ、セックス・フレンド(セフレ)にもなれるかどうか。この2人はそんなおバカなことに、チャレンジしはりまんねん。このテーマは、男と女の間に友情は成立するんか、なんてゆうポイントを超越してるんやないでしょうか。

ついつい新ネタをと、考え過ぎた結果やもな~って思たんやけど、「恋人たちの予感」(1989年)ほどのストレートやないけども、ユニークやけど理解不能の不条理性を、根っから明るいラブコメでやってまうとゆうトンデモ性に、ついついハマッてしまいましたがな、これが。

ヒロイン役はミラ・クニスちゃん。みなはん、聞いたことありまっかー。大方の人が、ウ~ンてうなりますわな。ハリウッドのラブコメ女優で1970年代以降でゆうたら、ゴールディ・ホーン、ダイアン・キートン、ミシェル・ファイファー、メグ・ライアン、キャメロン・ディアスなどと流れとります。

でも、21世紀になって以降、彼女たちを継ぐような新人はんがそない出ておりまへん。さてはて、ミラ・クニスちゃんはどないでしょうか。ボク的にはヒップを見せはるセクシー・シーンも含め、エエカンジとは思うんやけど、ぜひチェックしてみてくだされ。

そして、ラブコメにしては、本格的なロック・ポップの歌ものサントラが、しょっちゅう流れるんが良かったどす。「イージー・ライダー」(1969年)では別の曲が流れた、ステッペン・ウルフのナンバーには熱うなりました。オモロイ架空のラブストーリーが、NGとしてラストで流れたり、スマートフォンな指先タッチのラストロールなども、21世紀的に斬新やと思います。

2011年9月25日 (日)

ハリウッド・ホラー映画「ファイナル・デッドブリッジ」

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過去最大級のドッカーンを届けてくれはる「ファイナル・デスティネーション」シリーズの最新作第5弾どすえ~

緻密な偶然の積み重ねを含めまして、そないきまっかーとゆうハットトリッキーやらがある怪作でおます

http://www.finaldeadbridge.jp/

オクトーバー10月1日サタデーから、ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、東京・シネマート新宿、大阪・梅田ブルク7やらでロードショーでおます。

「R-18+」指定映画どして、3D/2Dの2パターンでの上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

ハリウッドのホラー映画シリーズは、多種多彩に変遷してまいっておます。戦前の吸血鬼・狼男・フランケンシュタインやらの、ストレート系の怖いもんシリーズ。

その後のゾンビ、エクソシスト、オーメン、エイリアン、13日の金曜日、エルム街やらの各種のスプラッターやらを経て、ラストサマーやらスクリームやらの学園ホラーやらが小出しされよりまして、でもって21世紀へ突入だす。

悪魔やら人の呪いやら、イロイロ考えられたもんが出てきよりましたけども、ある種のシチュエーション系、そしてSFやサスペンスやスリラーやパニックとの、シンクロナイズを得た新種が出回っておます。

「SAW」シリーズ(2004年~2010年製作・アメリカ)やらが代表格やけど、本作は「SAW」ほど有名やないけど、サバイバル系の設定を入れはったホラーらしい怪作になっとります。

そのサバイバル・ノリもフツーやありまへん。パニックで生き残ったけど、ホンマは死ぬことになっとった。そやから、生き残っても近々に死ぬことになるっちゅうんどす。そいつをば回避するためには、代わりの者をいけにえにしたらOKやなんて、死神がゆうよるんどすわ。ストレートなサバイバルもんやないどすさかい、サバイバルのサバイバルみたいな、二重性のドラマ展開が生まれてきよるんですわ。

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シリーズ第5弾(第1弾は2000年・アメリカ)どすが、今回はパニック・ムービー性がでっかいカギをば握っとります。そのパニック部も、過去最高のスケールを持っておます。

建設中の橋が崩れてゆく大パニックから生還した8人。そやけど、結局はみんな死にゆく運命にござります。登場人物全員が死ぬとゆう映画は、R指定やらを抜きにしたら、アクション・バイオレンス映画監督が1度は撮りたいと夢想する素材やと思います。まあ、現実としては、許されへんとこがあるようどすけども…。本作はそれでも、究極の設定を説得力を持って描いてはります。

さらに、ボクがスゴイやんと思たんは、どう考えても死にそうにない状況から、わざとのように細かい状況設定を加えて、結局死ぬ方向性へと持っていく偶然と強引な展開ぶりどした。体操の練習中の転倒死、マッサージ中に火事で死亡、眼科へ行って手術中の事故でビルからの転落死など、そないきまっかーってなカンジで魅せてくれはります。

残酷にして単純やけど、どおゆう風にやられて死んでいったんかが、分かりにくい映画も多い中で、メッチャ分かりやすくてオモロイんやわ、コレが。ほんでもって、最後にはスカイ・パニックで見せる、どえらいサプライズ・シーンが待っておます。ラストロールでは、第1弾から4弾までの過激ショットが満載。シリーズはまだまだ続きまっせー。

2011年9月24日 (土)

「ワイルド・スピード MEGA MAX」

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アリエネー、トンデモ・アクションが連続シューティングどすえー

製作費180億円どして、シリーズ第5弾にしてハリウッド・アクション映画の、ピークを示す爽快作でおます

http://www.mega-max.jp/

オクトーバー10月1日サタデーから、東宝東和はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーだす。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

単なるストリート・カーレースの世界が、えらいとこまできよりましたがな。アニメ化・実写映画化もされた「頭文字(イニシャル)D」とゆう日本のコミックが、本作に大きな影響を与えたんは有名どすけども、でも、こんなラインまできてもうたら、モー完全に原作を遥かに超越しておます。

しかも、ブラジル・リオゆうたらカーニバルやけど、そのイメージとは全く違う、俯瞰撮影をタイトに挿入しつつ、ハリウッドのアクション映画のピークを示すウルトラものスゴサに、圧倒されるチョー大作となりよりました。

金を掛けたらええとゆうもんでもないんやけど、180億円ちゅう金をば本作に投下してはります。しかも、メチャメチャのチョートンデモアリエネーとこが、あるだけやおまへん。

今までのハリウッド映画では、見たことあれへんような(こうゆう言い方いっぱいあるけど、ホンマのホンマどっせー)アクト・シーンが、約3ポインツ以上はあるし、この手のタイプのハリウッド・シリーズものでも、徐々にパワー・アップしてゆく度合いは、かつてないもんやないでしょうか。ほな、そんな新しどころを4ポインツほどで見ていきまひょか。

①走る列車の中にある、高性能カーを盗むとゆうアクト。盗むんは金やなくて車どす。「大列車強盗」(1903年製作・アメリカ映画)とゆうサイレント映画以降、この種の列車強奪もんは多数作られてきよりましたけども、本作のアクロバットなノリは、強烈そのものどす。今までのハリウッドにはないアクトとは申しませんが、予告編にもあるんやけど、ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーのアニキ2人が、車に乗って川へと落ちてゆくシーンの臨場感は、ハラハラドッキリときよりますでー。

②リオのスラム街を、生身の体を使ってでんな、走って飛び降りての逃走アクトのインパクト。逃走劇はそれなりにありますが、ややこしい場所での逃走ものは、演出やら撮り方を含め複雑なんやけど、コレは猥雑なカンジを含めて傑出しとりました。

③警察署から金塊を盗むとゆう、あり得へんミッション。「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)やらのノリを超えておます。その計画のアレコレが、緻密とリアルを見せはりま。防犯カメラに映らへん方法の模索やら、セクシャルお色気作戦やらが、ユニークなコメディ・リリーフにもなっとりま。

④でもって、クライマックスの大カーチェイスどすわ。「ブリット」(1968年・アメリカ)とか「フレンチ・コネクション」(1971年・アメリカ)なんか今は昔や。その後も出てきよった、いろんなハチャメチャのカーチェイスもんやらと比べても、フツーやありまへん。そのあたりをドッカーンと楽しんでもらいたいと思います。

2011年9月23日 (金)

高橋伴明監督作品「MADE IN JAPAN-こらッ!-」

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オカン役は松田美由紀ネーさんの、3人核家族の崩壊物語でおます

京都らしゅうない作り、フツーっぽくないセリフやらで、従来の家族映画破壊リズムは、果たして心地ええんか、悪いんか?

http://www.kitashira.com/

9月24日の土曜日から、京都シネマで京都先行上映どす。その後、10月1日から東京・渋谷のユーロスペースやらで、全国順グリのロードショーでおます。

大阪やったら、10月15日から、十三(じゅうそう)の第七藝術劇場でやらはります。

本作は京都造形芸術大学映画学科が、製作やらに関わらはりました。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ北白川派

京都造形芸術大学が関わってはる“北白川派映画芸術運動”と名付けられた、大層なシリーズの第2弾でおます。

その第1弾は、共に逝去された木村威夫監督・原田芳雄主演による「黄金花-秘すれば花、死すれば蝶-」(2009年12月19日付けで分析)どした。しかも、現在は第3弾、第4弾と製作中・企画進行中どすえ。でもって、本作。

大学生が映画製作に関わるとなりますれば、近作では、山田洋次監督と立命館大学の学生が、コラボレートしはった「京都太秦物語」(2010年5月9日付け)などがござりました。舞台の京都をかなり意識した作品どしたが、本作はそれとは違い、え~、コレが京都かいな~とゆうのんを、わざとのようにやらはった作品どす。

ストレートに言いますと、家族崩壊ドラマでおます。でも、今年公開された、東京の家族崩壊もの「歓待」(今年3月15日付け)とか、「家族X」(今年9月1日付け)なんぞと比べてみよりますと、少しタッチやテイストが違(ちご)ておました。

下町色の「歓待」やシビアに切り込む「家族X」に対し、京都らしさを求めてるわけでなく、一方でクールにもなり切れない、ファジーさとある種のコミカルがござります。

「家族ゲーム」(1983年製作)や「木村家の人びと」(1988年)やら、1980年代からケッコー出てきとる、ブラック・ユーモアな家族ドラマ性もあるにはあるんやけど…、1つに絞ったら「ウィークエンド・シャッフル」(1982年)やろか。

本作はフツーやない練られたセリフの数々が、新鮮やったかと思います。京都で展開するミスマッチ性も楽しめました。もっと驚けるはずやったサプライズやけど、驚けない人もいるやも分かりまへんが、名監督の高橋伴明はんが踏ん張らはりました。

独特のオモロさがある、造形大出身の和間千尋の脚本に目を付けはり、在学中の主演女優・大西礼芳(あやか)チャンの、危なっかしい自然体にして、牛乳オタクの演技ぶりを引き出したりと、見事に演出してはります。

ほんで、松田美由紀ネーさんの、余裕の演技ぶりやらも良かったどす。さらに、オカン(あやかチャンにしたらオバン)松原智恵子はんの死から始まるんやけど、マザコンやった美由紀ネーの夫役・山路和弘アニキが、オカンの死にショックを覚え、えらいとこまで崩れてゆくプロセス。美由紀ネーさんも、後半につれ余裕から怪演へと転じはります。

要するに、ネジレ系家族ドラマやねん。ほんでもって、どのように家族がバラバラになり崩壊してゆくんか、コメディでもシリアスでもない、ユニークな中間色で提示されとります。

京都映画のカルティックなカンジとしては、「Keiko」(1979年)を見たあとのような、ココロのユラギがありました。家族映画の実験作としても、奇作どしたえ。

2011年9月22日 (木)

名作「アンダーグラウンド」デジタル リマスター版

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今はなきユーゴスラビア史の、ウラを綴った大河ドラマでおます

カンヌ国際映画祭の最高賞受賞作品群の中でも、指折りの傑作どす

http://www.eiganokuni.com/ug

9月24日から10月21日に、東京・シアターN渋谷で公開どす。

その後、全国へも回るやも分かりまへん。

本作はフランス・ドイツ・ハンガリーの合作でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCIBY 2000-PANDORA FILM-MOVO FILM

これまでに、戦争にまつわる映画とゆうのんは多数ござりました。そんな戦争を盛り込んで、大河ドラマ仕様でやってまうとゆうのんは、まさに映画ばえする素材でおます。フツー戦争映画やったら、その当時の戦争をバックに描くんが常套やからどす。

しかも、本作はユーゴスラビアとゆう、今はなき国の歴史みたいなんも、それとなく示してはるんどす。第2次世界大戦下の1941年から、1992年くらいまでの流れなんやけど、本作のスゴサは本道やなく、タイトル通りどして、裏面を描いてはる点どす。

第2次大戦の戦火を逃れて、防空壕より広い地下へもぐり、そこで武器作りをしていたとゆう人々の話。しかも、戦争が終わってからも、ずっとそれが続いて、でもって20年後に…っちゅうお話どす。

冒頭部。いきなりの動物園やらの攻撃でトラやらが…の衝撃。で、中でも、ほんのりのセピア配色をメインにしはった、地下室シーンの造形が特注でおます。酒を飲んでの酔っ払いダンス・シーンなんかが、メッチャ強烈な印象を残してくれます。

狂言回し役になる、動物園で働いていた吃音の男やら、メインの男女の三角関係の妙味やらが、映画の狂気具合を増します。ブラス・サウンドに加え、ワルツやスタンダードなポップス・ナンバーが、要所要所で映画リズムを作ってはります。

3人の出会いシーンへと回帰する、ラストシーンの造形。そして、「この物語に終わりはない」とゆうラスト・ナレーションなどにググッときよりますで。ボク的には「1900年」(1976年製作・イタリア&フランス&西ドイツ合作)と相並ぶ、大河ドラマ映画のケッサクになっとります。

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さて、本作はカンヌ国際映画祭で最高賞をゲットしてはります。そこで、今年の64回までの「パルム・ドール」受賞作マイ・ベストセブンなるものを披露してみよります。ベストテンとベストスリーの間の、セブンちゅうのんもオモロイかな。

①タクシードライバー(1976年・アメリカ)②第三の男(1949年・イギリス)③甘い生活(1960年・イタリア&フランス)④戦場のピアニスト(2002年・ポーランド&フランス)⑤恐怖の報酬(1952年・フランス)⑥男と女(1966年・フランス)⑦本作。

てなワケどして、本作が7位やから、ベストセブンにしたんかもしれへんけど、戦争ものなら大河系「ブリキの太鼓」(1978年・西ドイツ&ポーランド&フランス)やら「地獄の黙示録」(1979年・アメリカ)、ほんでもって、大河的恋愛ものでは「さらば、わが愛 /覇王別姫」(1993年・香港)やらもスゴイどす。日本映画では、「影武者」(1980年)やら「うなぎ」(1997年)やら。

言い出したらキリがありまへんので、このあたりでシメますが、いずれにしても、本作はケッサクなんで、ぜひデジタルリマスター版でご覧くだされ。

2011年9月21日 (水)

フランス映画「さすらいの女神(ディーバ)たち」

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ホームとはいえ、2010年のカンヌ国際映画祭で2冠をゲットでおます

俳優兼監督のマチュー・アマルリック作品の、4作目にして本邦初の劇場公開作品どすえ

http://www.ontour.jp/

セプテンバー9月24日サタデーから、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーだす。

関西やったら、10月1日の土曜日から、大阪・梅田ガーデンシネマで上映どす。でもって、その後、10月22日~神戸元町映画館、12月10日~京都シネマと続きま。

「R-15+」指定の本作を配給しやはるのは、マジックアワーはんと、C&Iエンタテインメントはんどすえ~。

カンヌでは最優秀監督賞と、国際批評家連盟賞をもろてはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ Les Films du Poisson - Neue Mediopolis Filmproduktion - ARTE France Cinema - WDR/ARTE - Le Pacte - Film(s)

みなはん、マチュー・アマルリックのアニキって知ってはりまっかー。まあ、よほどの映画ファンやないと分からんかとは思いますが、クリント・イーストウッドはんやロバート・レッドフォードはんみたいに、俳優からキャリアを始めて映画にのめり込み、ほんでもって、映画監督もやったろかいやーとなってもうた、特殊映画人種でおます。

俳優としてはシブい演技が多いけど、スピルバーグ作品にも、007シリーズにも出てはるから、みなはんも写真に写ってはる顔を見たら、そういえば…、なんてことになるやも分かりまへん。そんな彼の映画監督作が4作目にして、映画祭上映を除いて、初めて日本の映画館でかかりまっせー。モチ、ボクも初めて、この方の監督映画を見させてもらいよりました。

一種のミュージカル映画にして、各地を公演して回るとゆうロードムービー・スタイル。その外装だけを聞いたら、よくあるパターンかなと思いよりますが、コレがイメージ的にでっかく覆してくれはりました。

フランスのショービズ界を追われてアメリカに渡らはった、マチュー・アマルリックのアニキ(主演もしてはりま)が、アメリカでダンサー・チームを発掘してフランスへいざ凱旋、フランス各地を巡演しはるとゆう話なんやけど、コレもどこかでよく聞いた話やな~なんて思わはるやもしれまへん。

ところがどっこい、この女ダンサーたちは、フツーの踊りを踊らはるんやないんどす。ニュー・バーレスクなるジャンルなんどす。「R-15」指定が示す通りどして、ストリップやとは申しませんが、あくまで男より女に向けはったダンス・ショーなんやそうでおます。そやけど、エロイことはエロイんどす。とにかく、見てもろたら分かるんやけど。

それをでんな、フツーの観客視点だけやなく、ステージの背後から、横からのショットを織り交ぜて、魅せてくれはるんどすえ。「バーレスク」(2010年製作・アメリカ映画)の正統的歌うたい映画やなく、ゆうてみたら「プリシラ」(1994年・オーストラリア)みたいな感覚やろかな。

しかも、女ダンサーたちは、こんなことゆうたら失礼かもしれへんけども、全て太めの人たちばかりや。特に主演ダンサーのミミ・ル・ムーのネーさんは「バクダッド・カフェ」(1987年・西ドイツ)に出てはった、あの女優はん(マリアンネ・ゼーゲブレヒトはん)みたいにメガトン級でんねん。アラマ・ポテチン。

加えて、フランス公演ツアーどすが、ハリウッド・ミュージカル映画でも多数作られた、パリ公演を外すとゆう意外性を示さはります。

そのキャンセルされたパリ公演を叶うべく、主人公はパリのかつての人間関係を頼って、ツアー中に1人ドロップアウトして、パリへ行かはります。過去に主人公にどんなことがあったんか。フツーやったら、過去回想シーンをカットバックさせたりしはるけど、本作では現在進行形の描写一本道で、雰囲気的に分からせようとしはります。このあたりもまた新鮮どした。

でもって、主演ダンサーと主人公の、長回しを含めたやり取りも、これまでにないもんどした。ほめてけなして恋をして、なんて簡単にゆうたらそうなんやけど、セリフが特にシャープに練られておました。8ビートロックから始まり、8ビートロックでキチッとシメるんもカッコ良かったどす。

2011年9月20日 (火)

今年のベストワン級日本映画「アントキノイノチ」

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泣ける感動系映画でも、よーく見ますと、かつての日本映画にはなかったタイプでおます

「おくりびと」に優るとも劣らない、死生観の描き込みが実にシブ~い作品どす

「元気ですか~?」と、見終わったら、みんなきっと叫びたくなるでおましょう

http://www.antoki.jp/

霜月11月19日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011『アントキノイノチ』製作委員会

本作とリンクするんやけど、「野菊の如き君なりき」(1955年製作)「愛と死をみつめて」(1964年)「私が棄てた女」(1969年)などから、21世紀の「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)「恋空」(2007年)やらまでの、作品に共通する点とは何でおましょうか。

ヒットしたとゆうポイントだけやありまへん。本作の1ネタにもつながるんで明言しまへんけども、明かせる点でゆうと、それらの作品に共通しとったんは、2人は愛し合っていたとゆう点どす。

ところがどっこい、本作は愛し合うよりは、同じ痛みを持った者同士で分かり合える、男女の友情ものといったらええでしょうか。

一方におきましては、本作は家族映画の感動的な作品を、多数輩出してきはった松竹はんの配給作品でおます。でも、主人公役の岡田将生クンが父母とのエピソードを、2~3カットで披露しはりますが、確かに母とのエピソードは泣きがあるけど、ヒロイン役の榮倉奈々ちゃんを含めまして、総体的には控えめどす。それでいて、本編の後半には、ドーンと泣けるシークエンスをば、約5エピソードほどを盛り付けはりました。

ラストの方では、大音量のオーケストラ・サウンドを流して、大盛り上がりってなカンジやねん。ボクは大たい映画では泣かへんぞーと、キバッてるド阿呆なんやけど、エピソード中の3回くらいで、嗚咽に近い泣きを泣きそうになりましたがな。

いつもやったら、おいおい勘弁してぇや~なんやけど、泣きに対する恥ずかしいカンジが一切なかったんは、間違いなくケッサクの証しやと思います。泣いて当たり前の作品なんですわ。でも、お涙ちょうだい映画とはビミョーに違っております。

岡田クンと奈々ちゃんの2人は、引っ越し業みたいにも思えよります、孤独死やらをした人々の、遺品整理業なる仕事のアルバイターでおます。その仕事の内容が序盤で示されます。生きる者と死んだ者をつなげるようなイロンな描写は、まさにもう一つの「おくりびと」(2009年)といったカンジどすえ。

さだまさしの小説原作ものでは、もちろん過去最高の仕上がり具合やし、瀬々敬久監督的にも、死と生をつなげるような、チョー大作の前作「ヘヴンズ ストーリー」(昨年11月3日付けで分析)ともシンクロナイズしよります。

そして、2人の演技ぶり。「東京公園」(今年6月12日付け)で化けたかと思た奈々ちゃんやけど、ここでは泣きの演技も含めてハンパやおまへん。で、岡田クンも吃音と叫びの演技やらの、難しい役柄を演じ抜かはって、過去最高の演技を示してはります。

見る前はタイトルとの語呂合わせで、“アントニオ猪木”なんてのも出てくるんかなと思とったんやけど、仕舞いの方で出てきますで。しかも、本作のキモとなるセリフが出てくるシークエンスで、どすえ~。

本編で7回以上出てくる「元気ですか~?」。ありきたりやと思わはるかもしれへんけど、100パーセント以上、みなはんのココロに届くはずの、名ゼリフやとボクは思いました。

2011年9月19日 (月)

実話ベースの日本映画「はやぶさ/HAYABUSA」

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群像劇のタッチやけど、竹内結子ネーさんの代表作品になりそうですわー

「黒部の太陽」やらの骨太系に対する、ソフィースケート・タイプのチーム系感動ものどすえ

http://www.hayabusa-movie.com/

神無月10月1日の土曜日から、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんばやら、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都やら、OSシネマズミント神戸とかで上映どす。

本作を配給しはるのは、20世紀フォックス映画はんどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「はやぶさ/HAYABUSA」フィルムパートナーズ

2003年から2010年まで。無人クン探査機「はやぶさ」が、小惑星「イトカワ」へ行って物を採取し、でもって地球に戻ってくるまでの7年間を、ドラマティックかつ感動的に描かはった1本でおます。

「はやぶさ」クンの宇宙でのさまよいは、「ボクは…」のナレーション付きで描かれるんどすけども、どうあっても軌道や動きを見せてゆくだけで、緊張感に満ちたスリリングな作品が、できよるとは思われまへん。

ところがどっこいでおます。本作は、神奈川にある宇宙科学研究所の人々をメインに、「はやぶさ」クンとの交信とコントロールを続けようとする人々の、ヒューマニズムあふれる群像劇になっとるんどすわ。

ナンチューても、主演の竹内結子ネーさんの快演技ぶりでおましょう。宇宙に懸けるヒロイン'sドラマとゆうタッチは、女性映画としても新しいかと思います。フツーなら女だてらにのノリかと思うんやけど、結子ネーさんの代表ケッサク「サイドカーに犬」(2007年製作)みたいな強気の演技は、最初から最後までとことん封印してはります。

「いま、会いにゆきます」(2004年)の弱々しいカンジ、「チーム・バチスタの栄光」(2008年)のユルユル系に加えよりまして、コミカルなオドオドした演技性をプラスアルファしはりました。今年は「僕と妻の1778の物語」(昨年11月28日付けで分析)でも新味を出さはって、主演女優賞級の演技イヤーを見せてはるんどすわ。

ある意味では、最初から最後まで結子ネーのための映画かいやーと思うとこもあるんやけど、群像劇を支える各人のサポーター演技ぶりにも注目どすえ。

主演男優になるかと思いますが、研究所の責任者役の西田敏行はん。今年は「釣りバカ日誌」の演技を脱皮すべく、今や大御所やのに、多彩な演技ぶりを映画界で示してはります。本作では、実話系映画「陽はまた昇る」(2002年)みたいな、柔軟性ある人間味あふれる上司役に扮してはります。

専門家役として、佐野史郎はんのシブいプロジェクトマネージャー役やら、高嶋政宏アニキのこれまでに見せたことあれへん、ユニークなカメラチームリーダー役とか、鶴見辰吾アニキもまた、今までにない悩み深きエンジン開発担当責任者役やったり、キャラの造形ぶりと演技作りに、イロイロと酔える作品でもござりました。

日本の実話映画系でも、「黒部の太陽」(1968年)などの臨場主義の骨太系やなく、その正反対とも言える、ソフィースケートされたスマートな感覚が良かったどす。

渡辺謙主演での「はやぶさ」もの映画が、今後も製作・公開されますが、それらの作品とも比較してみたいと思とりま。でも、本作の堤幸彦監督版は、今年の邦画ベストテン級のケッサクになったかと、ボクはジャッジいたします。

2011年9月18日 (日)

森山未來&長澤まさみ主演「モテキ」

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「セカチュウ」以来の、森山クン・まさみチャン2人の共演作でおます

ラブコメ・モードの草食系男の片思いムービーにプラス、ミュージカル含むJポップ音楽ムービーの、楽しさがテンコ盛りどすえ~

http://www.moteki-movie.jp/

セプテンバー9月23日「秋分の日」のホリデー・フライデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

モテル時期を「モテキ」と略称しはった本作をば、配給しやはるんは東宝はんどすえ~。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

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Ⓒ2011 映画「モテキ」製作委員会

コミック原作で実写テレビドラマ経由の、劇場版とゆうスタイルで展開する映画でおます。

テレビドラマの映画版とゆうのは、多数ござりますが、本作みたいにトリプル片思い系の三角関係で、ラブコメチックっちゅうのんは、ありそでなさそな素材どす。でもって、最後はマジ系のラブストーリーへと転じはります。

ほんで、Jポップをメインにしはった、音楽ムービー・スタイルを持ってはる映画となれば、モノホン、1990年代にピークを迎えた、トレンディー・ドラマの21世紀的映画移植であります。

いやあ~、何と言いますか、フジテレビの月9のトレンディー・ドラマにハマッてはった方なら、メッチャいけまっせーな映画なんどす。

ボク的には、東宝映画が1980年~1990年代に展開したコメディ路線映画。例えば、「どっちにするの。」(1989年製作)みたいな感覚がござりました。

演技陣のアンサンブルやらカルテットぶりが良かったどす。「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)以来の、森山未來クンと長澤まさみチャンの恋の共演ぶり。

後半には愁嘆場っぽいとこもあるんやけど、「セカチュウ」の暗さよりも、明るさを強調した仕上がりになっとりま。時々のツイート・ナレーションを披露しもって、ココロの本音を吐露しはる森山クン。

自然体的コメディエンヌぶりを示さはる、まさみチャン。さらに、キス・シーンからベッド・シーンまで。共に、これまでにないような演技ぶりで魅せはります。

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脇役キャラも、ラブコメらしいユニークなキャスティングになっとります。

麻生久美子ネーさんのトンデモ未練演技とか、仲里依紗ちゃんの子連れ演技、真木よう子ネーさんのドロップキックまで出る、いつものバクレツ演技。ほんでもって、リリー・フランキーはんの、ラブコメばえするトンデモ上司演技とか、モーこってりやってくれはりました。

そして、音楽ムービー部どす。フジファブリックのダンサブルなロックに乗って展開しはる、イントロの写真1枚目のミュージカル・シーンから、胸騒ぎもんどっせー。

森山クンがまさみチャンとの恋に舞い上がっての、シャボン玉舞う中での、Perfumeの3人とのテクノ・ポップなミュージカルなんか、オモロすぎるわー。

で、2011年で31歳設定の森山クンなんやけど、1980年代後半から1990年代前半のJポップを聴いてはります。TMネットワーク、大江千里、橘いずみ、岡村靖幸やらどすが、世代的にはどないなもんなんかな~とは思いましたけど、まっ、そんな音楽ライフもあるかと納得。

森山クンと麻生久美子ネーの2人カラオケでは、B'zやJUDY AND MARY(ジュディマリ)の歌やらも歌われま。ボクが個人的に、音楽シークエンスで最もココロにきたんは、ボクのカラオケ・レパートリーになっとります、岡村靖幸のミディアム・バラード「カルアミルク」を流してでんな、麻生久美子ネーさんが牛丼を食べはるシーンどした。

ラストロールでは、映画界初とも言えるホームページ仕様により、俳優・スタッフを示さはります。とことん日本映画のラブコメの新しさをば追求してはる、エンタ作品どしたえー。

2011年9月17日 (土)

ミステリー恋愛映画「夜明けの街で」

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岸谷五朗のアニキと、深田恭子フカキョンちゃんが不倫しはりまっせー

東野圭吾作品のミステリー映画化作品でも、異色の不倫ラブ入りの作品になっとりま

http://www.yoakenomachide.jp/

オクトーバー10月8日サタデーから、全国ロードショーだす。

関西の三都やったら、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんばやら、京都・TOHOシネマズ二条、MOVIX京都やら、神戸国際松竹とかで上映でおます。

本作の製作・配給は角川映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「夜明けの街で」製作委員会

昨日分析の「セカンドバージン」に続く不倫ドラマなんやけど、正統系のラブ・ストーリーやなく、ミステリー色を加えた変化球なんどす。

なんせ、日本推理作家協会の現・理事長の東野圭吾アニキの原作作品なんやから、一筋縄ではいきよりまへん。でもって、ここで唐突に、東野圭吾原作映画のマイベスト&カルト・スリーをば披露させてもらいます。

●ベスト⇒①秘密(1999年製作)②白夜光(2010年12月5日付けで分析)③容疑者Xの献身(2009年)

●カルト⇒①本作②手紙(2002年)③変身(2005年)

●なんで本作を、カルトの1位にしたんかを言いましょか。圭吾アニキの本領は、あくまで本格ミステリーどす。宮部みゆきみたいに、SFモードを取り入れつつもトリッキーなベスト①、倒叙ものの新味を打ち出したベスト②、直木賞初の本格ミステリー受賞の原作となったベスト③などは、まさに圭吾節でおます。

でも、カルトの方はチョイ違いよります。玉木宏と蒼井優が共演やとゆう、豪華なカルト③は完全な変化球やし、カルト②は兄弟愛をメインにしはったキズナもの。

でもって、本作は不倫もの恋愛映画をメイン・ソースのようにしはりました。本格系とは遠いんどすけども、コレがなんと悪女もの映画の新しどころを出してはったんで、驚きました。

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ボクは原作も読んでおますんで、なるほどなとは思いましたけども、でも、実際に映画化されよりますと、印象はかなり違いよりました。

悪女もの映画では、「白いドレスの女」(1981年・アメリカ映画)やら「冷たい月を抱く女」(1993年・アメリカ)やら「危険な情事」(1987年・アメリカ)なんぞが有名どすけども、悪女にならはる深田恭子フカキョンのキャラクター造形は、悪女悪女してはらへんのどすわ。

ともすると、最後まで見た結果、フカキョンのキモチが、よう分からへんようなとこもあるんどす。これまではエキセントリックな悪女が多おましたけども、まさに、ソフィースケイトされた悪女演技やなんて、はっきり言って、これまでにないもんどすわ。

写真真ん中の木村多江ネーさんと結婚し、かわいい娘はんもいてはる、岸谷五朗アニキとの不倫でおます。ほんで、五朗アニがえらい目に遭わされる、そのプロセスぶりは、まさにヒッチコック監督の「間違えられた男」(1956年・アメリカ)やら「北北西に進路を取れ」(1959年・アメリカ)の、不倫バージョンのような趣きどすえ。それらの作品のように、果たして五朗アニに救いはあるんやろか。

木村多江ネーの静かで弱々しいけど、不気味な演技ぶりなど、目を点にしてくれはりました。フカキョンが真相を告白する、ある種二時間ドラマ的な設定も、決してテレビドラマ的やなく、映画的な撮り方で示されておますんで、注目しておくんなはれ。

ボク的には、圭吾アニと顔も似てる連城三紀彦原作・神代辰巳監督・萩原健一と倍賞美津子と高橋恵子が、三角関係にならはった名作「恋文」(1985年)なんかと、比較して見てもらいたい作品やと思いました。

2011年9月16日 (金)

不倫日本映画「セカンドバージン」

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こりゃ珍しおすNHKの、テレビドラマの劇場版でおます

鈴木京香ネーさんの、初の本格的不倫ドラマ映画に酔いしれる仕上がり具合どすえー

http://www.secondvirgin.jp/

長月9月23日「醜聞、いや秋分の日」フライデー・ホリデーから、松竹はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーやらはりま。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 映画「セカンドバージン」製作委員会

本作はNHKの連続ドラマのその後を描くとゆう、NHKでは珍しおます映画劇場版どす。

かつては「ハゲタカ」(2009年製作)なんぞがありますが、基本的にはNHKは受信料を国民からもろてはる、完全無欠の有料テレビ局のルーツなんで、映画なんぞは、ある意味では反則行為やとは思いま。

しかし、民放各局でかしましく行われておます、テレビドラマの映画版、あるいはテレビ局製作の映画の大ヒットなんぞに、じっと指をくわえて見とるわけにもいかずどして、NHKにもそんな時代の潮流が、訪れよったとゆうことなんでおましょうか。

本作の監督どすが、モチ、NHKに所属してはる演出家で、黒崎博のアニキどす。実は、この方やけど、本作の前に短編映画「冬の日」(今年6月4日付けで分析)をば作ってはります。長澤まさみチャンと風吹ジュンのネーさんの、シブい演技戦に酔った作品でおましたが、本作もその作風を継承するような仕上げになっとります。

少人数によるガチンコの演技合戦。鈴木京香ネーさんと、不倫の恋のお相手役・長谷川博己クンとの2人のやりとりが、ほぼ全編を覆っておます。

京香ネーにしてみれば、過去にはコミカル不倫もの「竜馬の妻とその夫と愛人」(2002年)なんてのにも出はりましたが、本格的なシリアスな不倫ものへの出演は、今作が初めてなんやないかな。

明日分析しよります「夜明けの街で」では主演してはる、深田恭子フカキョンは脇に回らはりました。基本ラインはこの3人の三角関係構図なんやけど、フカキョンの出番が少ないので、どうあっても2人演技っぽいものになっておるんどすわ。2人演技性の映画とゆうのは、逃れがたき2人の演技に観客の目は集中しよるわけどすが、そこを静かな演出ぶりで見せてくれはります。

静けさとゆうのんは、時おり退屈さへと通じたりしよりますけども、本作はギリギリのとこで踏ん張った作品やと思います。また、2分くらいの、カメラが被写体にじっくり寄っていく長回しのカットなんぞも、退屈感を促進するようでいて、それまでをじっくりと見ておけば、そうやありまへん。ちなみに写真は、2人の出会いシーンの、長回しシークエンスのワンショットどす。

さて、テレビドラマを見ていないと分からない度合いについては、どないでおましょうか。全て映画として撮りおろしとゆうことどすが、三角関係とゆうシンプルさなんで、よーく分かるようになっとります。

マレーシアから始まる意外性、ツーショット・シークエンスの多用、3日前・5年前・8年前と年代順に過去を振り返る分かりやすい構成、弦楽オーケストラをここぞとゆう時にハデに流し、でもってラストロールでは、倖田來未ネーさんの、とっておきのソウル・バラードでシメはったりと、不倫ドラマを映えさせる細部の描写が良かったどす。

「失楽園」(1997年)に迫る、不倫映画になったんやないかと、ボクは思いました。

2011年9月15日 (木)

日本映画「百合子、ダスヴィダーニャ」

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昭和映画以上に難易度の高い、明治・大正映画にチャレンジしはりました

女性監督・浜野佐知ネーさんによる、女性映画の会心作やー

ミュージシャン・一十三十一(ヒトミトイ)ちゃんの演技が、かなり麗しおますでー

http://www.yycompany.net/hamanosachi.html

10月1日から2週間・京都シネマ、10月8日から2週間・名古屋・シネマスコーレ、10月22日から東京渋谷のユーロスペースでモーニングショーやらと、全国順グリのロードショーでおます。

大阪では、9月17日午後1時10分から、HEP HALLで上映。ほんでもって、10月29日から、第七藝術劇場でヤラはりまっせー。

本作を配給しやはるのは、旦々舎はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 株式会社 旦々舎

女性監督・浜野佐知ネーさんによる、女性の、女性による、女性のための映画やー。なんやけど、男も楽しめますんで誤解なきよう。女性映画にして三角関係ものの大正時代映画どす。

さてはて、平成になってからの昭和映画とゆうのんは、モノゴッツーのタイトル数が出てきておますが、その一つ前の大正映画なるもんはどないでおましょうか。さらに一つ前の明治映画なんてのんも加味しますれば、かなり稀少価値の高いもんになっとります。

時代がさかのぼれば、それだけ時代考証なるもんも、ややこしくなりよるし、するとなれば、当時の時代感を出すんは、のぼればのぼるほど難しゅうなってまいります。室内造形ならまだしも、ロケして当時の風景を求めるとなれば、どないしても作らなあきまへん。

ただ、東京よりは地方ロケの方が、求めやすいのは確かでおましょう。本作は静岡ロケをば敢行してはります。そやからとゆうて、静岡が舞台とゆうことやおまへん。当時の風景がそこにあったとゆうことでおます。

こういうタイプの映画は、これまではハリウッド映画に多く見られよりましたが、邦画でも結構使われておます。昭和映画「ALWAYS  三丁目の夕日」(2005年製作)は、当時の東京を表現すんのに、九州ロケまでしてはりました。

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3_3関東大震災の翌年の1924年から、本作は始まります。シチュエーションはメッチャ簡単どす。のちに有名にならはる作家・宮本百合子役の一十三十一ちゃんと、翻訳家・湯浅芳子役の菜葉菜(ナハナ)ちゃんが出会って、恋に落ちまんねん。

ほんでもって、十一ちゃんと既婚中の大杉漣はんが、この2人にもの申す的に絡んできはるとゆう、いわゆる三角関係構図になるんでおます。

その時代の喋り方とゆうもんがおまして、特に頻出する2女史の会話やらは、会話らしくない棒読み的な理論喋り調どす。でも、たぶん、こういうなんが大正時代のインテリゲンチャー間では、当たり前やったんでおましょう。

吉行和子はんが娘の十一ちゃんと、ワイン飲んで喋る2分くらいの長回しやら、大杉漣はんのネチネチした未練演技など、ベテラン陣によるシブい演技はそこかしこにありますが、ボクが最も注目してたんは、ミュージシャンの十一ちゃんの初の演技ぶりどした。

濃厚なキス・シーンやら、濡れ場もあるんどすえ。浜野監督はピンク映画でデビューしてはるし、女性監督が紡ぐ濡れ場シーンの妙味も見えよります。揺らぐ戸外の風景を映す障子をバックにした、ダークブルー配色のベッド・シーンなんか印象的どした。

女性ミュージシャンでゆうたら、一青窈ネーさんやYUIちゃんらが、1本だけやけど映画に出はったでー、なんやけど、2人の先輩よりも難しい役柄を、十一ちゃんは柔軟にこなさはったと思います。無色透明な自然体。思わず抱きしめたくなりますで~。

2011年9月14日 (水)

「プリースト」3D

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ヴァンパイア・ハンターものSF映画の、新展開をば打ち出さはりました

「ブレイド」シリーズに迫らんとする仕上がりぶりどす

http://www.priest-movie.jp/

セプテンバー9月23日のホリデー・フライデーから、全国各地イッセーのロードショーどす。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7やら、T・ジョイ京都やらで上映でおます。

ハリウッド映画の本作をば配給しやはるんは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ヴァンパイアこと吸血鬼を描いた映画っちゅうのんは、古今東西にわたり多数ござります。「吸血鬼」(1931年製作・フランス&ドイツ合作)を嚆矢として、ドラキュラものなどいっぱいあるんどす。

そんな中で、そういう吸血鬼を退治するとゆう、ヴァンパイア・ハンター映画なるもんも出てまいりました。そのルーツ作については、残念やけど、ボクの映画体験では特定できよりまへんどした。「吸血鬼ハンター」(1973年・イギリス)なる日本未公開フィルムがあるらしいんやけど、DVD化されとるらしいんどすが、ボクは未だ見れておまへん。

でも、「ブレイド」シリーズ(1998年・2002年・2004年・全3作・アメリカ)は、おそらくその種の映画の、ピークを示すような作品やったかと思います。半吸血人間対吸血鬼とゆう構図は、人間対吸血鬼よりも練り込まれとるでおましょう。

でもって、本作どすが、吸血鬼と対決せんがために鍛え上げられた人間が、吸血鬼と戦うんどすわ。通常パターンよりは、チョビッとは進化しとるでおましょう。

それにでんな、吸血鬼の造形ぶりどす。ネバネバした繭めいたところから、生まれるなんちゅうのんは、まるで「エイリアン4」(1997年・アメリカ)の感覚やん。目がないエイリアン人間的造形ぶりは、チョイ珍しおます。

ほんで、コミック原作なんやて。しかも、アメコミやなく、韓国のコミックなんやて。そのあたりが、ユニークな吸血鬼像を作り得たとこなんでおましょう。

ストーリー的には、ポール・ベタニーのアニキが演じはる主人公のハンターが、かわいい姪が両親を殺された上に、吸血鬼グループにさらわれたっちゅうんで、彼女を取り返すとゆう、ロードムービー型スタイルで展開しよります。

そこへ、姪の彼氏も加わらはりま。さらに、主人公のかつての仲間やった、マギーQのネーさんも、道行の途中でサポーターで現れま。そう、この流れでいくと、これまでのハンター映画にはあれへん、西部劇的なタッチが生まれてきよるんどすわ。

銃撃戦は当然ござります。加えて、アクション・シーンの斬新さにも魅せられましたで。「北国の帝王」(1973年・アメリカ)なんぞを思い出させる、荒野を走る列車の上での格闘。マギーQのネーさんが魅せはる、香港アクションのノリ。衝突大炎上のパニック映画的なテイスト。クラシックの声楽を流しての、殺戮シーンやらに魅せられました。薄い色合いの白っぽい、風吹く砂漠の見せ方も的を射ておました。

シリーズ化に向けたようなラストシーンなんで、今後もお楽しみは続くんどすえ~。

2011年9月13日 (火)

韓国ホラー映画「ホワイト」

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K-POPな音楽映画とホラー映画が合体したら一体、どんな風になるんやろか~?

韓国芸能界の裏事情も入った、ミステリー・タッチにも魅了されよります

http://www.cjent.jp/white

長月9月17日の土曜日から、東京・シネマート六本木やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国ロードショーでおます。

本作を配給しやはるのんは、CJ Entertainment Japanはんどす。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

Ⓒ2011 CJ E&M Corporation. All Rights Reserved

本作の韓国映画は、音楽映画としてのところと、ホラー映画としての部分の2方向性で、分析できよる作品となりました。

このところ、日本では韓国のK-POPなるもんが押し寄せておます。でもって、ほとんどの音楽性がダンス・ミュージックどす。シンガーソング・ライティングな音楽とか、バンド・サウンドによるロック・サウンドは全くもってござりまへん。

ボク的には不満なとこなんやけど、但し、映画的ビジュアル的には、こういうダンス・ミュージックが、ハリウッドのミュージカルを出すまでもなく、映画ばえしよるってなことになっとります。

本作とは関係ないんやけど、こういうダンス・ミュージックが韓国から日本に流出しとるものの、小室哲哉やユーロビートから始まった、日本のレコード会社「エイベックス」からの影響が大でおまして、はっきりゆうて、その逆輸入みたいなもんなんどすわ。KARAの「GO! GO! サマー」なんて、MAXの「トラトラトラ」の完コピやしな。

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でも、本作はアイドルチックなきれいごとを排して、韓国の音楽芸能界の生々しき裏事情もさりげなく取り込みつつ、4人組女性ダンス・グループの実情をば、包み隠さず捉えてはります。コンテストやら、AKB48みたいなセンター争いとか、スポンサーとはエッチせなあかんとか。「カンナさん、大成功です」(2007年製作・韓国映画)みたいな、そういう裏を外してストレートな歌うたいをフィーチュアしたのとは、ビミョーに違(ちご)とります。

でもでんな、本作の基本はホラー映画なんでおます。タイトルの「ホワイト」という、幻のミュージック・ビデオを発見したヒロイン(グループ名T-ARA=ティアラのハム・ウンジョンちゃん)が、4人組の他の3人と共に、この曲を歌い、ブレイクしてゆくとゆうことなんどすが…。この曲が「リング」(1998年・日本)みたいに呪いのビデオなんやろな、ヒロインを除く3人が次々に不幸に見舞われましてな、事故でリタイア。

遂に1人になってもうたヒロインが、ソロでデビューして、大ヒットなんてゆう展開どす。「リング」では呪いを解消する方法がポイントでおましたが、本作は呪っているのは誰かとゆうシンプルな視点どす。モチ、どんでん返しありやし、サプライズ後のサプライズも用意してはります。

韓国ホラーは今までにイロイロ出てまいりましたけども、ボクとしては、これまでに決定的なケッサクとゆうのんは、なかったかと思いよります。でも、本作はケッサクへの可能性をば、ホラーと別ジャンルの融合を試みて探らはった作品どす。実験的な1本かもしれまへんけど、韓国ホラーの方向性が見えてきよるような1本でおました。

2011年9月12日 (月)

アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞受賞「チェルノブイリ・ハート」

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タイトルの“ハート”とは、ココロやなくて心臓病のことでおます

世紀の原発事故の後遺症を捉えた、社会派ドキュメンタリーの衝撃作どす

http://www.gocinema.jp/c-heart/

セプテンバー9月17日サタデーから、大阪のシネ・リーブル梅田で公開でおます。その後、9月24日から神戸アートビレッジセンターやら、10月から京都シネマやらで、全国順グリのロードショーどすえ。

19分の短編「ホワイトホース」と、40分の本作の短編2本立ての上映でおまして、配給しやはるのは、ゴー・シネマはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2003 ダウンタウンTVドキュメンタリーズ

アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞ゲット作品やったら、まあ、何とか日本でも公開されまっしゃろ。ところがどっこい、こちとら短編ドキュ賞でおます。いくらオスカーもろてるてゆうても、30分や40分くらいやったら、興行的に成立しないとゆうか、それで1800円は高いわ~てなるやろし。

ほんなことで、オスカー短編ドキュ賞もんは、そんなに日本で劇場公開されるような機会がなかったんどす。しかも、DVD化も、まずあれへんのどすわ。賞はもろたけど、一部のマニアは別にしてでんな、日本人の誰にも見られへんまま、お蔵入りして映画生涯を終えるなんてこともあるんでおますよ。全くもって、もったいないわ。

でも、本作の内容は、チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日発生)から、15~16年後の汚染度合い、後遺症を探ってゆく社会派ドキュなもんどすさかい、そら、今の日本にしてみたら、見ないままに蔵に入ってもらうわけにはまいらんのどす。

本作は、今から8年前の2003年度の作品なんですわ。定石通りやったら、蔵に入ったまま映画生涯を終える作品やったんです。この後遺症のメチャメチャな実態は、今の日本人なら絶対見ないかんもんやとボクは思いました。このチェルノブイリの事故が起こった時、ボクはほうですか~ってなカンジで、遠い国の赤の他人たちの話やと思とったんやけど…。

本作は検証やら分析なしに、実態を“そのまま伝える”ノリなんやけど、むしろ分析なしに剥き出し系なんで、インパクトはより強いんかもしれまへん。しかも、マリアン・デレオのネーさんとゆう、女性監督による作品なんどす。マイケル・ムーアみたいな突撃性はないけど、危険区域へ入っていったりの無謀ぶりは、それなりにやってはります。

後遺症の一つとしては、主にコドモたちや奇形児・未熟児の赤ん坊に及んでおりましてな、親はそんな赤ん坊を次々に捨てはるんやて。心臓病のコドモもいてはります。特殊な病気のコレはタイトル名になっとります。

本作にプラスして、同じ監督作になる短編「ホワイトホース」も映されます。こちらは、久々に爆心地の故郷へ戻る男の話が、淡々と紡がれよりま。悔しさをにじませる彼の挙動や発言は、胸にピリッときよります。さらに、放射能が漂ってくるような、索漠とした空気感の風景描写は、冷汗もんどした。

日本人に向けて、2011年の撮りおろし字幕も追加で撮影されとるんやけど、それらがかすんでしまうくらい、本編のインパクトはディープでおました。

2011年9月11日 (日)

阿部寛主演映画「天国からのエール」

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沖縄ロケ映画、青春音楽ムービー、病系の泣ける映画の実話もの…これらを調合してみたら、一体どないなことになりまっしゃろか

阿部寛アニキのキャリア初の病気演技、桜庭ななみチャンの爽快な、恋愛なきアイドル性やらに、魅せられまっせー

http://www.yell-movie.com/

10月1日サタデーから、大阪・梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで、全国ロードショーでおます。

本作の配給は、アスミック・エースはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011『天国からのエール』製作委員会

沖縄ロケのニッポン映画とゆうのんは、100作以上あるやろと思います。ちなみに、北海道ロケ映画は、その倍くらいでおましょうか。ところがどっこいどす。本作はこれまでの沖縄映画ほどには、沖縄色を出すようなことはしてはりません。とゆうか、コンテンポラリー(現代的)なカンジさえござります。

なぜかと分析しますと、それは青春音楽ムービーのノリを、フィーチャーしてはるからでおましょうか。地方ロケ映画の音楽・ダンスものでゆうたら、ビッグバンド・ジャズやった「スウィングガールズ」(2004年製作)、ハワイアン・フラダンスの「フラガール」(2006年)、歌ものコーラスの「うた魂♪」(2008年)やらの音楽ジャンルと違いまして、本作は沖縄にしてJポップなバンドものなんどすわ。コレは沖縄ムービーでも初でおましょう。

音楽界の売れ筋でゆうとですな、沖縄やから琉球音楽とゆうのんは、実は“今は昔”なんどす。1990年代の安室奈美恵を始めとした、沖縄アクターズスクール系のダンス・ミュージックしかり、本作にもそれらしき人が出はるけど、kiroroみたいな本格派のポップス系。そして、モンゴル800、オレンジレンジやらのロック・バンドが大ブレイクしました。

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本作の背景となる2000年代前半から半ばには、沖縄ではバンドでロックなブームが起こっておったわけでおます。でもって、本作のバンド編成は、リード・ボーカルが女の紅1点バンドどす。

大ブレイクしとるHYは紅一点どすし、ラストロールで流れる、グッド・ミディアム・バラード「ありがとう」を歌うステレオポニーは、女性3人組やけど、でも本作の主人公と深く絡むバンドのモデルになっとりまんねん。つまり、本作はこのステレオポニーやらを輩出した、沖縄の弁当屋はんが作らはった、音楽練習スタジオの実話を、ベースにした作品なんでおますよ。

さらに、前向き系の青春ムービーのノリに、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)みたいな、病系の泣ける映画節を取り込んで、ストレート過ぎるかもしれへんけども、感動的な作品に仕上げてはります。

死んだ友人のエピソードを入れて、音楽なんてほとんど知らはらへんけど、阿部寛アニキの熱血演技には、ハマルハマルわ。妻役ミムラのネーさんとの長回しでは「(彼らの夢は)俺の夢にもなったんだ」とゆわはる長ゼリフ・シーンに胸がジーンや。

「ランウェイ☆ビート」(今年3月13日付けで分析)やら、女子高生役が続いてはる桜庭ななみチャンは、バンドのボーカル役どす。ラブ・ストーリーやらはありまへん。クライマックスで歌うシーンでは、まさに守ってあげたいな~なアイドル性が大バクハツしよります。

加えてでんな、ここのところ、あんまし臨終の大泣きシーンは見られまへんどしたが、本作はベタにやらはります。でも、かつて日本映画でゆわれた、お涙チョーダイ映画のノリが、温故知新のようなカンジで展開するんで、逆に新鮮でおました。若い人たちやったら、きっと号泣必至かも。

ほなら、みんなで揃って涙しぼりに、映画館へいざ、行ってみまひょか。

2011年9月10日 (土)

東宝映画「DOG×POLICE 純白の絆」

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市原隼人クンと戸田恵梨香ちゃんのストレート・ツッコミ・コンビがオモロイよー

イヌもの映画でも、警察犬やなく警備犬は、映画史上初登場やも

http://www.dogpolice-movie.com/

10月1日サタデーから、全国ロードショーやでー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS

刑事と警察犬がコンビを組んで、事件を捜査しとるってゆうカンジの映画やなんて、みなはんは見はったことありまっしゃろか。

ボクも何作か見たことはあるけど、全てがコミカル・モードで展開しよります。「ターナ&フーチ すてきな相棒」(1989年製作・アメリカ映画)とかは大笑いしたけど、犬とゆうもんがファミリー向け、あるいはコメディ、感動系とかと似合っておまして、どうあっても、本作みたいなシビアでシリアスな事件ものとは、マッチしてきよりまへん。

ちなみに、本編でもセリフで解説されますが、警察犬は鑑識課に所属し、警備犬は警備部から枝分かれした部署におます。警察犬は殺人事件をサポートするけど、警備犬は事件が起こるのを未然に防ぐ警備を旨にしておます。30年ほど前から警察に導入されとるらしいんやけど、大したミッションもなく、今に至っております。

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そんな犬たちを日々守りをしもって、出動の機会を相棒の犬と共に、待機してはるんが、「警視庁警備部警備二課装備第四係」のみなはんどす。警視庁内ではバカにされとる部署でおまして、いわゆる左遷部署みたいなもんなんやろか。

そこへ、冒頭で示される、任務を逸脱した単独アクションが災いしたんか、市原隼人クンが人事異動されはりました。でもって、彼の教育係として、戸田恵梨香ちゃんが担当しはるんどす。

2人のやりとりは、ボケはほとんどなしの、ストレートなツッコミ系やー。時に、単純で素直な剥き出し系で接していくこの2人が、最後にはどんな結末を迎えるんか、大いにお楽しみくだされる(?)もんになっとりますよ。

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ほんでもって、事件捜査シーンでおます。冒頭からいきなりの衝撃の爆破シーンがあるんやけど、この2人とそれぞれの相棒犬が、過酷なミッションとアクションを繰り広げるんどす。

連続無差別爆破犯人との戦いなんやけど、犯人はどこのビルに時限爆弾を仕掛けたと、警察に予告してきよるんですわ。そいつを、犬が探すとゆうメッチャシンプルな展開にも関わらず、コレが手に汗握り、顔にも汗が流れよる緊張感がござりました。

ただ、防犯カメラやらは、どうなってんのかがチョイ引っかかったけど。ビルの一部は爆破されても、警備室は爆破されてへんから、ビデオ・モニターでの不審人物の出入りは、チェックできるのではと思うんやけど…。それに、犯人がどないして爆弾を仕掛けたんかとゆう細部の描写どすか。

でも、そんな細かいことを忘れてしまうくらい、クライマックスの市原クンと犯人の対決シーン。そんでもって、その後のベタで強引やけど、剛速球勝負の流れには、胸が熱気でジ~ンと熱うなってきよりました。

シリーズ化すればきっと、回を重ねるごとに、ヒットしてゆくような映画になることでおましょう。

2011年9月 9日 (金)

ニッポン映画「僕たちは世界を変えることができない。 But, we wanna build a school in Cambodia.」

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「パラダイス・キス」のええカッコシーと違う、チョイカッコワルな向井理アニキの弱々しさが、ドラマ映えしとりますでー

ドキュ「マジでガチなボランティア」と、シンクロナイズする青春ドラマ映画どすえ~

http://www.boku-seka.com/

長月9月の23日の「秋分の日」フライデーから、東映はんの配給で全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「僕たち」フィルムパートナーズ

今どきの大学生たちが、カンボジアの貧しきコドモたちのために、ボランティアで現地に学校を建てたっちゅう実話を、ベースにしはった映画どす。

ボクがかつて分析した「マジでガチなボランティア」(2010年11月30日付けで分析)とゆうドキュメンタリーがござりましたが、本作はそのドラマ・バージョンとも呼ぶべき作品でおます。

但しですな、こちらは「マジガチ」の主人公やった人は、チョイ役にならはりまして、バイプレーヤーやった方々に焦点を当てはりました。

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「マジガチ」主人公のポジティブ指向に触発されはった、本作の主人公役・向井理のアニキどすが、そのボランティアを思いつかはり提唱しはります。まあ、堂々たる発案者にして堂々たる実行委員長なんやけど、オサム(理)のアニキてゆうたら、コレが消極的で弱々しいキャラクター設定なんです。

ええカッコシーやってはった「パラダイス・キス」(今年5月21日付けで分析)やらとは、えらい違いなんやわ~、コレが。メモを見んとみんなの前でシャベられへんし、イベントでは話がでけへんので、ハダカになるパフォーマンスでごまかしたりと、何や知らん、頼りないやんなのですわ。

でも、コレがドラマに乗り、オサム・アニに感情移入して見てゆくとでんな、随所でオサムちゃん、ガンバリや~って応援したくなっとる、自分に気づいたりしよります。

さてはて、前半に展開します、オサム・アニ含む4人(松坂桃季、柄本佑、窪田正孝の各アニキ)の医学生が行くカンボジア・ツアー部は、「マジガチ」を意識したんか分かりまへんが、ドキュメンタリー・タッチで捉えられておます。

ガイド役の老人の、演技をしない自然体らしきシブミとか、エイズ・地雷・内紛やらの問題認識、カンボジアの風景など、主人公たちの動機付けの説得力を、いや増すシーンになっとります。そして目的へ向かって、4人がガムシャラに進んでゆく、青春映画としてのストレートな作り。

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オサム・アニの失恋シーンなんぞは、出張ヘルスを自室に呼んで慰めてもらうとことか、ああ、そうなるやろなーってなカンジ。ちなみにフッた役は村川絵梨ちゃんが、ヘルス嬢役は黒川芽以ちゃんどす。

んな失恋もあるけど、基本ラインは男4人の友情ドラマでおましょう。4人が朱色照明のバーで、再びココロを一つにするシーンはええカンジどした。バーのマスター役のリリー・フランキーやら、大学教授役の阿部寛やら、助演の贅沢なキャスティングにも目を見張りま。

オヤジの引き継ぎ作とか青春映画やら、イロイロ撮ってきはった深作健太監督やけど、マジでガチで本作が、彼の最高傑作やとボクは思います。

2011年9月 8日 (木)

チャン・イーモウ監督作品「女と銃と荒野の麺屋」

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「HERO」「LOVERS」やらをやらはった監督的には、それらの作品の裏バージョンちゅうカンジかな~

コーエン兄弟の「ブラッドシンプル」を、ユニークにリメイキンどすえー

http://www.kouya-menya.jp/

長月9月の17日の土曜日から、東京・シネマライズでロードショー後、全国順グリのロードショーどすえ。

関西やったら、9月17日サタデーから、大阪・梅田ガーデンシネマ、シネ・リーブル神戸で、10月8日から京都シネマやらで上映だす。

中国映画の本作を配給しやはるのは、ロングライドはんどっせー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009, FILM PARTNER(2009)INTERNATIONAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画初心者向けにスタデイしよります。中国のチャン・イーモウ監督はんでおますが、そないに知らはらへんかもしれまへんけども、チャン・ツィイーちゃんやらコン・リーのネーさんやらを、世界的に有名にしはった監督はんどす。

ほんでもって、監督の作品性なんやけど、中国の日常生活に根ざした恋愛映画とか女性映画やらで、世界の映画祭でイロイロ賞をもらわはりました。一方で、娯楽性の高い中国のアクション時代劇やらも作るっちゅう、もう一つの顔をば持ってはります。

「HERO」(2002年製作・中国映画)「LOVERS」(2004年・中国)「王妃の紋章」(2006年・中国)やらどすが、特に「HERO」なんぞは、アメリカで大ヒットをかましました。

でもって、本作は、中国時代劇は時代劇でも、アクション性よりもサスペンス性へと、シフトしていくとゆうシブミをば示さはります。いわば、「HERO」の正統派アクションとは、真逆の作りになっとると申しますか。

そもそも本作は、ジョエル&イーサンのコーエン兄弟の出世作「ブラッドシンプル」(1984年・1999年=5分短縮版・アメリカ)を、中華風味でリメイクしようかいな、とゆうとこから始まっておます。そして、オリジナルの味わいとはまた違う、ユニークな快作にしはったんどすえー。

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オリジナル(DVDで出とると思いますんで、レンタルやらで見てみなはれ)を尊重しつつも、1980年代のアメリカ舞台のサスペンスもんを、中国の中世あたり(拳銃が出回り出す頃)へと変換してまうとゆうハットトリッキーには、舌を巻かざるを得まへんどした。

中華的サウンドが掛かって、突然の拳銃の音で始まるイントロから、胸騒ぎもんどす。西部劇的なタッチも同様。但し、サントラ的には最初とラストロールで流さはって、映画そのものは静かな展開で進みます。緊張感を次第に高めるための手法でおましょうか。

映画的照明なしの時代感を反映した暗めの室内造形、サイレントな動作をメインにした各人の工作部、風景と人の動きを見せるロングショットの多用などにしびれまっせ。

月夜のダークブルーから、カラリとした薄ブルーの青空やら、室内シーンのブラウン・ブルーな配色やら、荒野のセピアな自然色やら、色使いの微妙な作りにも注目や。

黒澤明監督の「用心棒」(1961年・日本)、「どん底」(1957年・日本)やらを意識しはったかもな~な、麺屋の造形ぶり。でもって、麺作りで披露される、京劇風か中華ダンスかとゆう、度肝抜く3人ワークスに目が点になりよりました。このシークエンスは、本編のストーリーとは全く関係ないんやけど、印象深いシーンでおました。

2011年9月 7日 (水)

良質のアメリカン・ファミリー映画「小さな青い妖精 スマーフ」

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「トイ・ストーリー」に迫る、都会派ファミリー・ファンタジーの愉快な作品どす

ブルーのコビト系キャラたち「スマーフ」が、NYを行くおとぎ話どすえ~

http://www.smurf-movie.jp/

セプテンバー9月9日フライデーから、3D、2D同時上映、ほんでもって、日本語吹替え版と字幕スーパー版の、2タイプでの全国公開でおます。大阪やったら、TOHOシネマズ梅田やらでロードショーどす。

本作の配給は東宝東和はんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCourtesy of Sony Pictures Animation

本作はファミリー映画でファンタジーで、主役たちのキャラはコビト系の人間タイプどす。

ミッキー・マウスを持ち出すまでもなく、シャベル動物たちの擬人キャラを、ディズニーはんが先鞭を付けて以来、この種のファミリー映画は、その種のキャラたちの天下でおました。

でも、動物やないキャラへと、アプローチしはったんも、実はディズニーはんどした。オモチャから車までまあ、イロイロあります。そやけど、ディズニーやないハリウッドの映画会社はんも、動物やないオリジナル・キャラを編み出すべく、イロイロ実験をば繰り返してきはったかと思います。

ほんでもって、ここに登場しよりますのは、体がブルーのコビト・キャラの「スマーフ」やー。憂鬱の意味のブルーも、彼らにかかれば明るくなる、前向き志向のキャラでおます。

ほんで、「スマーフする」とか、「何々スマーフ」なんてコトバ使いを、しょっちゅう使(つこ)てはる人種なんやでー。「愛してる」が「スマーフしてる」なんて風な使い方どすわ。

原作はベルギー産なんやけど、こういうコビト系は、「アラジン」やら「指輪物語」やらを持ち出すまでもなく、ファンタジーをより不思議快感にする点において、昔からよう出てきておった設定どす。

そしてでんな、彼らと敵対関係にある、魔法使いと助手のネコなるキャラがおましてな、コレがトンデモネー、オモロすぎるキャラになっとります。フツーの魔法使いやったら、ハリー・ポッターとか魔法使いの少女とか、おばはんとかのキャラどすけども、何と本作はオッサン、オヤジでおますで。ビックラこきまんがな。

そこへもってきて、助手のネコ役のキャラのスゴサどす。どこがスゴイんかと申しますと、シャベらないタイプで、邦洋のネコ登場映画にはまず見られへん、自然体にして多彩な表情と行動を見せる、見事な演技ぶり。「キャッツ&ドッグス」(2001年製作・アメリカ映画)のキャッツなんかより遥かに上どすえー。演技賞をもうても、全然おかしゅうありまへんで。

ファミリー映画では、イヌ・ネコのペット系出しは定番やも分かりまへんが、本作ではイヌも登場しよりますんで、ご期待くだされ。

お話は6人のスマーフたちが、住んでる村の森の滝からワープして、現代のNYへきます。ついでに、敵のオヤジ魔法使いとネコもついてきよりました。でもって、スマーフたちと魔法使いとの仁義なき戦いが、面白おかしく展開しよります。

スマーフのサポーターとなる夫妻と、スマーフたちの交流部も、NYラブコメにも似た感動を運んできよったりして…。見る人によっては、街で冒険する「トイ・ストーリー」シリーズ(1995年・1999年・2010年・アメリカ)にも迫る、快作になったかもしれまへんで。

個人的には、「七年目の浮気」(1955年・アメリカ)の主演マリリン・モンローっぽい動きを見せはる、紅一点スマーフに好感を持ちました。いろんなキャラに感情移入して、見れる作品にもなっとりまっせー。

2011年9月 6日 (火)

ジャパニーズ・ホラー「都市霊伝説 幽子」

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悪魔とかやなくニッポンらしい、人間の呪いホラーがオーソドックスやけど、でもキモでおます

あくまでシンプル・イズ・ベストなシチュエーションやけど、そのシンプルぶりに怖がるもヨシ、怖がらへんもヨシどす

http://www.shinreiyuko.com/

9月10日から名古屋・シネマスコーレを先行に、長月9月17日の土曜日から、渋谷・UPLINK X、10月1日から大阪のシネ・ヌーヴォXやらで上映でおます。

本作の製作・配給は、ムービープラネットはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸMOVIE PLANET

日本映画が昔から展開してはる、人間の呪いホラーへと展開してはる映画の1本でおます。決してアメリカ映画やらの洋画に多く見られる、悪魔の呪い系ではござりまへん。

でもって、この邦画に伝統的なホラー・スタイルのコレをば、どう描写しはるのかが、一大ポイントでおます。ストーリー的には、モノゴッツーにシンプルどす。

10年前に小学校のプールで、少女・幽子ちゃんが変死してもうた。でもって10年後に、少女の担当女教師が、その事件のトラウマで、電車投身自殺してしまわはりました。本作は、女教師の葬式シーンから始まりま。

で、そこに参列した主人公が、“鏡の裏”と書かれた先生の、謎めいた遺書を預けられてでんな、ピーンときよりました。ほんで、少女の当時の同級生やった9人に声を掛けはって、今は廃校となっとる母校の小学校へ、みんなで行かはりまんねん。

“鏡の裏”が、学校にある“鏡の裏”と推定できよったからどすわ。でもって、みんなはプールで幽子にお参りをした後、この鏡の裏にある物を手分けして探そうとしはります。ホラー・ドラマは当然、この現代の廃校内で展開しよります。

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学校を舞台にした、例えば「学校の怪談」シリーズ(1995年~1998年製作・全4作)やら「トイレの花子さん」(1995年)やらみたいな恨み節が、その登場人物たちが大人になって帰ってきて、同窓会系のノリで再び学校で災難に遭ってまうとゆうような、カンジなんやけど…。

いじめが大きなポイントなのも、最新作「七つまでは神のうち」(8月15日に分析)やらとシンクロしよります。また、洋画では人の呪い入りの「エルム街の悪夢」(1984年・アメリカ映画)やらを思い出させますわ。

で、写真1枚目を見ておくんなはれ。雲ある空と風吹く運動場を、ほぼ上下半々に捉えて、みんなが校舎へと歩いてくるカットの不穏な雰囲気から、本作は怪しい度がググーンとアップしよります。

ほんで、写真2枚目に1人で写ってはる、主演の馬場良馬クン。モチ、本作のキー・パーソンはカレなんやけど、「クレイジズム」(今年3月29日付けで分析)みたいな必死のパッチなサバイバル系、今後分析しよりますが、ワザトラ・カッコイイ「アサシン」(10月8日・東京公開)とかとも違う演技ぶりでおます。黒縁メガネを掛けてでんな、どこまでも静謐、最後には喚(ワメ)かはるけど、あくまで退きの演技どした。

「nude」(2010年8月26日付けで会見・同9月16日付けで作品分析)ではイロイロお話を聞く機会がござりました、小沼雄一監督の、新作にしてシリーズ第2弾どす。全体構図を見せた上で、アップへ持っていくモンタージュ方式とか、学校のイロンナとこをワンカットずつタイトに映すイントロ、ローアングルの移動撮影を含め、遠近感ある映画的ショットへのこだわりなんかがグーどす。

「リング」(1998年)の貞子を意識したような、グリーンを基調にした幽子の造形ぶり、サバイバルで3人生き残る「七人の侍」(1954年)へのこだわりなど、隠し味もまた楽しめた作品でおました。

2011年9月 5日 (月)

日本映画「スイッチを押すとき」

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2011年から15年後の近未来設定で贈る、クローズド・サークルものホラー・サスペンスどす

小出恵介アニキ、水沢エレナちゃん、西村雅彦はんらが妙・快・怪演技で魅せはります

http://www.switch-film.com/

9月17日の土曜日から、東京・新宿武蔵野館やら、大阪・梅田ガーデンシネマやら、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、フェイス・トゥ・フェイスはんとリベロはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011山田悠介/「スイッチを押すとき」製作委員会

閉ざされた空間で展開する“クローズド・サークルもの”っちゅうのんは、モノゴッツーのタイトル数が存在しよります。しかも、ジャンルを問いまへん。

本作の場合は、ホラーやらサスペンスのノリなんやけど、本作の原作作家の山田悠介のアニキと申せばでんな、1990年代以降のJホラー小説に、多大な影響を受けて小説を発表してはる方どす。

鈴木光司の「リング」はモチ、瀬名秀明「パラサイト・イヴ」、ほんでもって、高見広春の「バトル・ロワイアル」やらでおます。3作共に映画化されとりますが、特に、本作は「バトル・ロワイアル」を意識しはったんやないかいなと思われます。

2011年から15年後とゆう、近未来設定の空間でのサバイバル劇スタイル。自らの代表作「リアル鬼ごっこ」みたいな、少年少女たちのやりとり。後半ではサークルからの逃亡劇があったりと、似通っておます。

閉ざされた場所が島か、施設かの違い。あからさまなる無差別な敵対構図か、6人に限定されたサバイバル構図やらの違いはござります。但し、本作はオリジナル設定をば、いくつか施してはります。

自殺しようとする未成年者たちをポイントにした点やけど、自殺そのものに負のイメージがあり、例えば「自殺サークル」(2002年製作)やら「自殺マニュアル」(2003年)やらは、個人的に好感度は今一つどした。それでもあえて“自殺”を作品のメインに織り込んだ点。「バトル…」の“無差別”に対抗しようとしはったんでおましょうか。

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そして、今一つの際立つ点は、サバイバル対象者の6人に、「カッコーの巣の上で」(1975年・アメリカ映画)のジャック・ニコルソンはんみたいな立場とならはる役柄に、監視員役で小出恵介のアニキを、キャスティングしはったとこらどすか。

この小出アニキが本作のキー・ポイントをば握ってはるんやけど、果たして彼はエエヤツなんかワルなんか、それとも…。

竹内結子ネーやら仲里依紗ちゃんのイメージもあるやもな~な、水沢エレナちゃんの初々しいけど弱々しい演技に、守ってあげたいアイドル性があったやもしれまへん。

また、施設の所長役の西村雅彦はん。好感度の下がる、いかにも嫌われ役を飄々と演じてはって、シブイな~と思いよりました。

海辺の薄いセピア配色の夕景シーンでの、小出アニとエレナちゃんのやり取りシーンとかが印象深かったどす。それでも、あのラストはどうなんか。小出アニの人物造形も含めよりまして、クエスチョンはござります。

けど、基本的には、自殺映画の傑作「鬼火」(1963年・フランス)を見るまでもなく、自殺はあくまでサブってヤツでおましょう。本作はそこまでの次元にはいってへんけど、イロイロ考えさせてくれはる映画ではありました。

2011年9月 4日 (日)

ラッセル・クロウ主演サスペンス「スリーデイズ」

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フランス映画「すべて彼女のために」のハリウッド・リメイク作品どす

オリジナルの持ち味を生かしつつも、ハリウッドらしいスケール感を出さはりました

http://threedays.gaga.ne.jp/

セプテンバー9月23日フライデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマやら、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved

フランス産ファミリー(家族で)脱獄逃亡サスペンス「すべて彼女のために」(2008年製作・フランス映画)の、ハリウッド・リメイク作品でおます。自国の作品のリメイクやなく、他国のケッサクをリメイクするんは、ネタ不足を言われて久しいハリウッドでは、恒常的に行われておます。

そこで、突然なんやけど、ここでその種の作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露させてもらいま。一部、ハリウッド・リメイクやないのんもござりますが、ご容赦のほどよろしゅうに。

●ベスト⇒①ディパーテッド(2007年・米)②荒野の用心棒(1964年・イタリア&西ドイツ&スペイン)③荒野の七人(1960年・米)●カルト⇒①シャル・ウィ・ダンス?(2004年・米)②ゴジラ(1998年・米)③ザ・リング(2002年・米)③本作

●ホンマにもってすんまへん。ボクは関西人やけどニッポン人でもあるんで、日本映画のリメイク作品に肩入れしてまうんはお許しくだされ。でも、邦画のリメイク作の質度は、他国と比べてもメッチャ高いと思いますで。ベスト①みたいに、アカデミー賞で作品賞までもろてはる香港映画なんかは別格やけど、フランス代表という意味では本作は、フランス映画ハリウッド・リメイク作品の、かつてないケッサクになっとります。

「TAXi」(1997年・フランス)のリメイク「TAXI NY」(2004年・米)とか、「太陽がいっぱい」(1960年・フランス&イタリア)のリメイク「リプリー」(1999年・米)とかを、はるかに上回る仕上がりになっとりまっせー。

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特にオリジナルの持ち味を生かしつつ、ハリウッド的に移植した点では、スウェーデン映画のリメイク「モールス」(7月16日付けで分析)と、甲乙付けがたい出来でおました。

脱獄もんと言えば、大たいにおいて男がやるもんでおましょう。ところがどっこい、本作は違いよります。冤罪で捕まってしもて刑に服してはる妻を、夫がイロイロ画策して脱獄させて、ほんで子連れで他国へ逃げるっちゅうお話どすから、いやはや脱獄もんのイメージを180度変えはるようなもんでおますよ。

ベースは確かにオリジナル通りではあるんやけど、オリジナルのパリと本作のピッツバーグでは、逃げ方が違いよります。9.11以降、アメリカの各都市の警備体制・セキュリティやらは、カンペキに近いもんがござります。そこをどないして、かいくぐっていくんかが、本作の最大の見せ場でおます。

LAを舞台にした「クラッシュ」(2006年・米)でアカデミー作品賞を獲らはった、ポール・ハギス監督の、アメリカのいろんな都市描写の、匠のワザは今作でも健在やでー。

ほんでもって、主演のラッセル・クロウのアニキどす。アップを多めに、熟慮する表情や悩み深き表情が目に焼き付きよりま。こうしたハリウッド・サスペンス映画には必須ともゆうべき、アップ・クローズアップの多用が、ドラマを弾ませておました。

2011年9月 3日 (土)

韓国映画「アジョシ」

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韓国四天王のウォンビンのアニキが、同じく四天王イ・ビョンホン「甘い人生」みたいな、クール・イズ・ベストな会心作に出はりました

「冬の小鳥」の子役キム・セロンちゃんの、かわいい魅力にも注目どす

http://www.ajussi2011.jp/

長月9月17日の土曜日から、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーだす。「R-15+」指定の映画でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 CJ ENTERTAINMENT INC & UNITED PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED

仏教から出たコトバ“四天王”は、今やイロンなとこで使われておます。

でもって、日本側からのアプローチと呼称による、韓国やなく“韓流四天王”なるもんが、日本が韓流ブームになった2000年代前半に呼びならわされよりました。

韓流ドラマのファンやったら、基本中の基本なんやろけど、その4人とは、ペ・ヨンジュン、チャン・ドンゴン、イ・ビョンホン、でもって、本作主演のウォンビンのアニキどすえ。

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今やったら、チャン・グンソク君やらが人気やし、もうこの四天王の括りは10年も経ってへんのに、古うなっとるように見えるやも分かりまへん。

けども、兵役でチョイ間が空いてしもたウォンビン君やけど、それでも四天王としての凄みをば、本作で示さはります。

四天王の間でゆうたら、ウォンビン君は「ブラザーフッド」(2004年製作・韓国映画)で、チャン・ドンゴンのアニキと共演しはり、泣かせる激演技ぶりを見せはりました。

そやけど、「マイ・ブラザー」(2004年・韓国)など、やや甘やかなハニーなとことか、ファンを意識しはったような、美しきかわいそうな役どころが多かったように思うんやけど、復帰作「母なる証明」(2009年・韓国)を前触れに本作の演技は違いました。

180度違うとは申しませんが、クールにバイオレンス・アクトを見せはる、非情な人間をば演じはりました。四天王でゆうたら、イ・ビョンホンの「甘い人生」(2005年・韓国)やら、チャン・ドンゴンの「友へ、チング」(2001年・韓国)みたいなカンジでおましょうか。

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片や、昔はスパイやったんやけど、今は質屋に落ちぶれてはるウォンビン君に、一方でえらいなついてはるキム・セロンちゃんが、メッチャかわいいんでかないませんわー。

「冬の小鳥」(2009年・フランス&韓国)でもかわいかったけど、本作ではバイオレンス・シーンが強烈なだけに、その対比となる清らかさが際立っておます。まるで「レオン」(1994年・アメリカ)のナタリー・ポートマンを、より人懐っこくしたようなカンジなんで、コレはたまりまへんで。

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そんなキムちゃんが、悪のグループに拉致されてしもて、臓器売買がどうのこうのなんてことになりましてな、ほんでもって、ウォンビン君が彼女を救うべく、必死のパッチでやらはりまんねん。

殺伐としたシーンやら、目をそむけたくなるシーンは多いかもしれんけど、でも、ウォンビン君とキムちゃんの、時々挿入される交流シーンやらが、和みをくれはります。

それだけに、ラストシーンは感動的でおました。スロー・モーション、クローズアップ、ストップ・モーション…。映画の古典的手法で紡がれよるシーンに、せいだい泣いてみまひょか。

2011年9月 2日 (金)

ジャパニーズ・ホラー最新型「ラビット・ホラー3D」

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「呪怨」で有名な世界の清水崇監督のアニキと、主演・満島ひかりチャンによる、新機軸のヒロイン・ホラーやでー

かわいい着ぐるみ系のウサちゃんの造形が、恐怖ホラーのイメージを反転させる衝撃どすわ

http://www.rabbit-3d.com/

長月9月17日の土曜日から、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、109シネマズHAT神戸やらで全国ロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、ファントム・フィルムはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ「ラビット・ホラー」製作委員会2011

いやあー、「呪怨」(2002年製作)をしのぐ快作ホラーを、清水崇監督のアニキが作ってきはりました。

「呪怨」はどちらかと申せば、日本の家族ホラーやし、日本古来の怪談ホラーのイメージがにじんでおったかと思います。モチ、そういう日本らしさがあったからこそ、「リング」(1998年)に続いて、「THE JUON/呪怨」(2004年・アメリカ映画)のタイトルで、ジャパニーズ・ホラーのハリウッド・リメイクが実現したんやと思います。

しかも、自らが監督しはり、全米週間興行収入チャートで1位になりました。まあ、ある意味で映画界の頂点を極めはったと申せましょう。そやけど、本作は「呪怨」のプレッシャーやらしがらみに囚われることなく、まさに柔軟で自由な発想により、新展開のホラーを創ってきはったんでおますよ。

かわいい着ぐるみのウサギが、登場人物たちの恐怖の対象として出てきよるんどす。どない考えても、観客を怖がらせる意図を、無視してはるとしか思われまへん。でも、これは怖いのんを出せば、それでホラーになるとゆう安易な発想をば、逆転しようとしてはるんです。

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作品のキモとしては、作りや構成が巧妙どす。最初はヒロインの弟の恐怖を描く、コドモ・ホラーの様相から入りながら、やがてそれがヒロイン'sホラーへと転化してゆくんですわ。こういう作りは余りないやろな。

コドモ、ヒロインの各ホラーで、全編一貫しとくんがフツーやからどす。例えば、最初は「オーメン」(1976年・米)やったけど、いつの間にやら「キャリー」(1976年・米)になっとったってカンジかな。

しかも、ヒロイン・ホラーになってからの、畳み掛けるようなサプライズの連続には打ちのめされよりました。「悪人」(2010年)でもどっちかとゆうたら、サイコ系の演技やったけど、満島ひかりチャンの二重人格系の演技が光っとります。

「エンゼル・ハート」(1987年・米)やら「シックス・センス」(1999年・米)やらのセンス。ヒロイン系でゆうたら、妄想系の「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年・米)、超能力入りの「キャリー」などと比較したい作品どした。

姉弟で3D映画を映画館で見るシーンとか、妖しい女のコーラス入りの幻想の遊園地シーン、らせん階段でのバーサス・シークエンスなど、印象深いシーンが満載どす。

ヒロインのオトン役の香川照之や、医者役の大森南朋の各アニキの、ひかりチャンをサポートする助演ぶりも良かったし、ほんでもって、撮影監督クリストファー・ドイルのアニキの撮影ぶりやー。

今後、分析しよりますけども、日独合作の低予算ピンク・ミュージカル「UNDERWATER LOVE-おんなの河童-」(10月8日東京先行公開)にも参加してはります。本作は冷色を基調に、ややダーク感の陰影を強調したりと、作品性に合わせたシブ~い撮り方も、ウラの楽しみとしてチェックしてみておくんなはれ。

2011年9月 1日 (木)

家族ドラマ日本映画「家族X」

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今の日本の家族ドラマ映画を、無表情に描かはった、ある意味恐るべき作品でおます

「こわれゆく女」ジーナ・ローランズに迫らはる、専業主婦役・南果歩ネーさんにアラマ・ポテチンやでー

http://www.kazoku-x.com/

長月9月24日の土曜日から、東京・ユーロスペースでロードショーのあと、全国順グリの上映でおます。

「第20回PFFスカラシップ作品」の本作を配給しやはるのは、「ユーロスペース」&「ぴあ」はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸPFFパートナーズ/リトルモア

日本の家族ドラマ映画なんてゆうたら、今までにモノゴッツーな数のタイトルが出ております。とゆうか、日本映画史の中で家族映画とゆうのんは、最も多いジャンル映画と違いますやろか。

手前勝手な思いつきの推定値なんやけど、邦画全タイトル中、夫婦映画&兄弟・姉妹もの含む家族映画及び、家族も描いたイロンなキズナ映画や喜劇・悲劇は、70パーセントを超えとるんやないでしょうか。

でもって、本作でおますが、日本の家族映画の流れを汲みつつも、新しどころをいくつか取り込んではります。

系譜的に分析いたしますと、「東京物語」(1953年製作)的な小津安二郎監督流家族崩壊性があるし、「家族」(1970年)的な山田洋次監督的人情節は控えめにしはり、ほんでもって、核家族系ホームドラマのヒネリ型の、森田芳光監督作「家族ゲーム」(1983年)やら、滝田洋二郎監督作「木村家の人びと」(1988年)やらを、応用させはったようなとこもござります。

加えて、家族関係の無表情性・ぶっきら棒節は、「無能の人」(1991年)や「毎日が夏休み」(1994年)などのテイストを、さらに深化させてはります。

リーマンの夫と専業主婦の妻と、大学は出たけれどアルバイターの息子。この3人っちゅうシンプルさ、ソリッド感に加えてでんな、セリフを少なめにサイレントな動きを中心に、見せてゆかはるスタイルなどが、じわりじわりと観客のココロを、真綿で締めるようなとこへ持っていかはります。

特に、渡辺謙アニキの実の嫁はん、南果歩ネーさんの演技が特注もんどすえ。疲れたような無表情で、家事を黙々とやらはる姿を近接撮影で映さはります。一方で、歩く姿を移動撮影のロングショットで、長回し撮影をしはったりと、映像的対比効果を狙(ねろ)たりもしてはるんどすわ。

また、明るさを控えめにしはった室内造形や、ラストロールまでサントラをかけずに、映像に集中してもらう作りなども、果歩ネーさんの理由なき悲愴感を、浮き彫りにしていかはるんどすえ。

立場的には「卓球温泉」(1998年)の松坂慶子ネーさんとおんなじなんやけど、その演技性は全くの正反対どす。ほんでもって、カルトな名作「こわれゆく女」(1975年・アメリカ映画)の主演ジーナ・ローランズはんの、狂気演技に迫らんかとする緊張度合いどした。

とゆうことで、負の家族ドラマの、21世紀的怪作どすえー。

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