無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »

2011年8月の記事

2011年8月31日 (水)

「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」

Photo

アンドリュー・ラウ監督と、今年日本上陸3作目ドニー・イェンのアニキの強力タッグで、ブルース・リーにオマージュを捧げはります

日本人スパイ役スー・チーのネーさんに、EXILEのAKIRAも壮絶なアクトで魅せはりまっせー

http://www.ikarinotekken.com/

9月17日の土曜日から東京・新宿武蔵野館やらで、9月24日サタデーから大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作の中華人民共和国製作映画をば配給しはるのは、ツインはんどす。

Ⓒ2010 Media Asia Films(BVI)Ltd. All Rights Reserved

本作は香港アクション映画ズバリの、ストレートでおます。そやけど、中国製作映画なんどす。ソレをば、上記みたいにでんな、中国を省略せんとゆうてみたら、従来の香港アクトが、全く違ったような視界が展けてくることでおましょう。

でもって、本作はブルース・リーが演じはった「ドラゴン怒りの鉄拳」(1972年製作・香港映画)の主人公チェン・ジェンに、オマージュチックを捧げもって、これまでの香港アクションでは余り描かれへんかった、支配される側の歴史もんへと展開しはるのどす。この作為的な作りには、ビックリどした。

公開中の「シャンハイ」(8月14日付けで分析)では、魔都・上海をいろんな国の丁々発止で描いてはりましたが、本作では中国対日本とゆう1本構図どして、日本軍ははっきり言って“悪”として描かれとります。日本人が見たらどんな風に思うんか、決して快いイメージとゆうわけにはいかんでおましょう。しかし、本作はそれを敢えてやらはったようなとこがござります。

「インファナル・アフェア」(2002年・香港)で有名なアンドリュー・ラウ監督作品なんやけど、そこんとこに目をつぶって見てみますれば、確かに香港アクトやら男女のビミョーな関係描写やら、新味がイロイロと打ち出されておます。

第1次大戦のヨーロッパ戦線で、ドニー・イェンのアニキが、銃撃戦の中、カンフーで次々に敵側兵士を倒してゆく、カンフーもの初とも言える戦場バーサス。「怪傑ゾロ」(イロイロありますが、第1弾は1940年・アメリカ)、「グリーン・ホーネット」(1月21日付けで分析)、「グリーン・ランタン」(8月26日付けで分析)みたいに、マスク付けての変身系で、ドニーのアニキが日本軍を蹴散らさはるシーン。

Jポップ・ダンス・グループの雄EXILE(エグザイル)のAKIRAの、ドニーとの室内アクト。クライマックスの最終対決は、なんでカンフー格闘系なんかよう分かりまへんけども、ヌンチャクまで飛び出して、ドハデにやってくれはりま。

でもって、日本人設定の女スパイ役をやらはったスー・チーのネーさん。日本人役は初めてなんやろな、イントネーションのまずい日本語に加え、よく聞こえにくいとこもござりまっけど、ようガンバらはりました。「上海特急」(1932年・アメリカ)のマレーネ・ディートリッヒのネーさんと比べても、そんなに遜色は…(大げさやー)。

ただ、ドニーとのやり取りには妖しさがござりました。2人の駆け引きプレー、特に、アコーディオンに乗って2人が踊り合ったり、ヨッパラッての2人の路上での緊張感あふれる会話など、背筋がゾクッとしよりました。

さてはて、日本人にはどないやねんの問題が分析不足でありました。結論を先延ばしにするわけやありまへんけども、ボクとしては映画として楽しんでくだされとしか言えまへん。すんまへん。でも、現実を忘れてケッコー楽しめる1本にはなっとりますんで、映画館でご確認くだされ。

2011年8月30日 (火)

ボクシング日本映画「タナトス」

500x333
コミック原作の実写映画として「あしたのジョー」と比較できる作品どす

テレビドラマ「花ざかりの君たちへ」に出てたイケメン徳山秀典クンや、「20世紀少年」でブレイクした平愛梨ちゃんら、男も女もアイドル系映画ノリで最後まで楽しめまっせー

http://www.thanatos-movie.com/

9月10日サタデーから、東京・渋谷ユーロスペースでレイトショーでおます。

ほんでもって、10月8日から大阪・シネマート心斎橋で上映どす。

本作をば配給しやはるのんは、ユナイテッド エンタテインメントはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011  竹原慎二・落合裕介・小学館/「タナトス」製作委員会

本作は完全無敵ともゆうべき、格闘スポ根映画でおます。主人公の孤独な闘い以外に、仲間たちとのキズナも描かれよります。

ボクシング映画となりますれば、洋画も邦画も共に、ケッサク・名作と呼ばれるもんがいくつかござります。「ロッキー」(1976年製作・アメリカ映画)「チャンプ」(1979年・1932年・アメリカ)「レイジング・ブル」(1980年・アメリカ)「どついたるねん」(1989年・日本)「シンデレラマン」(2005年・アメリカ)「ザ・ファイター」(2010年・アメリカ)…。

ただ、本作はそれらの作品群の作りを踏襲しつつ、クライマックスの対決シーンへと持っていくとゆう、ある種のマニュアル通りになっとるようでいて、実はビミョーに違っておました。

実は、アイドル映画チックなノリを、そこはかとなくまぶしてはるんどすわ。上記の名作群にはないポイントは、ココでおます。そして、そういうタイプのニッポン映画が、ここ数年でそれなりに出てきておるんです。

かつては清水健太郎を擁した、寺山修司監督作「ボクサー」(1977年)なんぞがありましたが、近年では、共に東宝配給で全国拡大ロードショーとなった、市原隼人の「BOX!」(2010年5月10日付けで分析)、山下智久の「あしたのジョー」(今年1月29日付け)がありま。

コミック原作とゆう点では「あしたのジョー」とも比較分析できるんやけど、「ジョー」よりマンガっぽさはそうカンジさせまへん。とゆうか、元世界王者の竹原慎二のアニキが原案を考えはっただけにでんな、リアリティーがありまんねん。そういうリアル感をキチンとした上で、アイドル・ノリを見せてくれはります。

まずは女性ファン向けに、徳山秀典クン。「仮面ライダーカブト」やらに出てはりましたけど、最近ではテレビドラマ「花ざかりの君たちへ  ~イケメン☆パラダイス~2011」に出はって、ええカンジらしいどすわ。そのイケメンぶりに加え、ボクシングの試合シーンの必死のパッチぶりは、ハンパやおまへんどした。ラストロールで流れる、キャッチーなJポップ・ナンバーも歌(うと)てはります。

一方、男のファンには、「20世紀少年」シリーズ(2008年・2009年)で有名になった、あの少女マンガから出てきはったみたいな平愛梨ちゃんやでー。アップ・クローズアップがいっぱいどして、ああ、ええわ~って、なるはずどすわ。

しかも、終始明るい演技でおまして、ネクラ・タッチでいかはる徳山クンとの、迷コンビぶりにも注目や。先輩ボクサー役の佐藤祐基クンとの友情部やらも、ラストシーンを含め印象深いシーンになっとります。

2011年8月29日 (月)

感動のドキュメンタリー日本映画「私たちの時代」

Main_2
スポーツ・ドキュと震災ドキュが、感動的に融合した地方ドキュメンタリーの快作どす

ドラマ映画として製作されたら、大ヒット間違いなし! かもしれへん内容になっとりまっせー

http://www.akiramenai.org/

9月3日サタデーから、北陸先行ロードショーでおます。劇場は上記の映画公式ホームページにてご覧くだされ。

ほんでもって、その後、東京・新宿武蔵野館、渋谷アップリンクやらで上映しはり、全国各地へと順次展開しはります。

本作を配給しやはるんは、スターキャット・エンタープライズはんと、ピクチャーズデプトはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010フジテレビ・石川テレビ

東日本大震災が発生する前に、作られておりましたドキュメンタリー作品でおます。

最初は、石川県奥能登の過疎化が進行する中で、高校の名門女子ソフトボール部の3年間を、カッコ良く捉えようと思わはったんでおましょうか。2008年の北京五輪では、女子ソフトが金メダルをもらわはったしなと思ておますと、実はそういうスポ根ものとしてのポイントもあるんやけど、大いに違っておました。

2007年3月25日に、本作の舞台となる門前町を震源とした、震度6強の「能登半島地震」が発生しよりました。加えて、本作はそんな震災ドキュメンタリーとスポーツ・ドキュを、巧妙に結びつけはった感動作になっとります。

例えば、女子サッカーのなでしこジャパンが世界一になったことが、サッカーのこともよう知らはらへん人もいてはる、東日本大震災の被災者たちに勇気を与えたとゆうのんは、ある意味でアバウトであいまいなとこがあるように思いますが、一方で本作は、能登半島地震被災者たちにまさにピン・ポイントで、グッと励ますとゆう作りになっとりました。

いや、この際、被災者を励ます視点とゆうもんも外してしもて、本作を1つの作品として見てみましょう。冷静にじっくり見てみますと、本作はホンマに感動的な作品になっておるんどすわ。

Sub3
ドキュなだけに、モチ実話どす。フジテレビ系列の石川テレビはんが製作してはるけれど、この素材を、例えばフジテレビ製作の東宝配給ちゅうスタイルなんかで、ドラマ映画化しはったら、間違いなく大ヒットすることでおましょう。

今は東京で女子大生とならはった女子ソフト部の、マネージャーのナレーションから、本作は過去シーンへと転じるのどすが、例えば「もしドラ」(2011年製作)のようなフィクションにはない、リアリティーがしっかりとござります。

地方の女子スポ根ものとしても、女子ボートの「がんばっていきまっしょい」(1998年)と比べても、何の遜色もありまへん。セピアな海をはじめ、美しい地方の風景もココロを和ませてくれま。

で、ドラマティックに語られる卒業のコトバにグッときたあとに、本作のでっかいハイライトとなる、試合シーンへと展開しよります。スロー・モーションが効果的に使われておます。そして、本作と同じく、テレビ局が製作した高校野球映画「ROOKIES-卒業-」(2009年)に、勝るとも劣らへん熱いもんが伝わってまいるのどす。

テレビものが映画館でデジタル上映されるんは、21世紀になって増えてきよりましたが、本作は映画館で見てこそのダイナミズムを感じさせはる作品でおました。

2011年8月28日 (日)

日本映画「アンフェア the answer」

Uta_ma1a
篠原涼子ネーさん演じはる、チョーヤバ女刑事・雪平夏見が、とことんやってまうファイナル・アンサーらしいでー

ヒッチコック監督的戒律を超えて、冒険しはったある種の問題作となりました

http://www.unfair-movie.jp/

セプテンバー9月17日サタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Uta_ma1c
Ⓒ2011 アンフェア製作委員会

連続テレビドラマの、劇場版第2弾でおます。テレビの刑事もんの映画版とゆうのんは、「七人の刑事」(1963年製作・日本映画)以来、いろんな毀誉褒貶・紆余曲折を経て、多種多彩なものが出てまいりました。

そんな中で、稀少価値のあるのんが、女刑事もんでおましょうか。米倉涼子ネーさんが交渉人の立場で、やってたんもありますが、こちらは同じ涼子ネーでも篠原ネーチャンどす。米倉ネーと一緒で、激ヤバ系どして、しかもアクションよりもサスペンス&ミステリーに、比重を置かはった作品になっとります。

ミステリー的ポイントで、チョイ大げさに言いよりますと…。「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)のジョディ・フォスター的な篠原ネーは、検察官役・山田孝之クンやら、恋人の刑事役・佐藤浩市アニキやら、鑑識課員役・加藤雅也アニキやらの協力を得て「逃亡者」(1993年・アメリカ)のハリソン・フォード的に、自らの冤罪を証明すべく真犯人を探さはります。

連続猟奇殺人で殺された、元夫役の香川照之はんの、リベンジも彼女の頭の中にあります。ほんでもって、「コレクター」(1965年・アメリカ)みたいな、猟奇殺人鬼役の大森南朋アニキと対決しはるんどす。この対決は男女逆転しとるけど「黒い家」(1999年日本・2008年韓国)みたいな緊張感でおました。

Uta_ma2
さらに、篠原ネーさんが所持してるある国家機密に関する物が、キー・ポイントを握ってるとこらは、1作だけは映画化された「眠らない街 新宿鮫」(1993年・日本・滝田洋二郎監督)がある“新宿鮫シリーズ”に、大いに影響を受けてはるように思いました。但し、本作の場合は、その物を篠原ネーから奪ってしまえば、何の問題もないんやけど、それを丁々発止の大げさモードにやらはるところがオモロイんどすわ。

しかも、篠原ネーが、公務員ならあり得ない、警視庁から北海道警へ異動してるとこから始まるなど、篠原ネーがいかに規格外かを示さはります。これはいきなりの大きな伏線設定でおましょう。

ほんでもって、ハラハラドッキリのサスペンスだけやおまへん。謎解きとしてのミステリーも、ぎょうさん仕込まれておます。

かつてサスペンス映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコック監督はゆわはったそうどす。サスペンスはやっても、謎解きはやらないと。いわゆる映画的流れとしては、サスペンスな流れは映画向きやけど、謎解きをゴタゴタと説明するんは、映像的よりも活字的になり、映画的流れが停滞してまうとゆうようなとこでおましょうか。

でも、本作はいろんなトリックやらカラクリやらが、ラストに映像として示されますし、21世紀の今でなければ披露できないような、どんでん返しのどんでん返しをば用意してはります。

とゆうことで、これまでのファイナル・アンサーなんで、これで終(しま)いなんやろか~? でも、シリーズ化してほしいミステリー映画どす。

2011年8月27日 (土)

地球が舞台のSF映画「世界侵略:ロサンゼルス決戦」

Main

人類と敵対的エイリアンとの、ノンストップの大抗争がボッパツしよりました

戦争映画のノリで描かれよった、トンデモSF映画の大怪作やー

http://sonypictures.jp/

http://twitter.com/sekaishinryaku/

http://facebook.com/sekaishinryaku/

セプテンバー9月17日サタデーから、全国ロードショーでおます。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマやら梅田ブルク7やらで、ドカーンと上映しはります。

「PG12」指定のハリウッド映画の本作をば、配給しやはるのんはソニー・ピクチャーズはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

東日本大震災の被災者を鑑みて、延期になっとった1本どす。なるほどなーと思いました。コレを予定通り春に公開しとったら、イロイロ物議をかもしとったやも分かりまへん。

そやけど、映画エンタ的に見てみたら、エイリアン地球侵略映画の、トンデモ・カルティックな怪作になっておました。映画を映画として楽しめる、ハラハラドキドキ感とスピード感に満ちた作品どす。

宇宙人・エイリアン侵略ものといえば、当然エイリアンは人類に対して敵対的でおますわな。モチ、スピルバーグ監督が先鞭を付けた「未知との遭遇」(1977年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)やら「E.T.」(1982年)みたいに友好的やおへん。

「インデペンデンス・デイ」(1996年)とか「マーズ・アタック!」(1996年)的に、敵対的かどうやらは最初は分からへんかったノリとは違いましてな、最初から侵略する意図をあらわにしよるんでおます。また、1950年代に輩出された「宇宙戦争」(1953年)などとも違いよります。

完全なるガチンコ対決ともゆうべき、エイリアンたちとアメリカ軍の戦争構図なんどすわ。しかも、それをせわしないカンジで、ほぼ全編にわたって展開しはります。

ロスのある地区がエイリアンに侵略されたけど、何人かの市民は生存してるみたいやからっちゅうんで、アーロン・エッカートのアニキを含む小隊が、その地区へと送り込まれます。漂う煙の中で、何が出てくるやら分からへん状況で、ピリピリした緊張感から、ドドドカーンの銃撃戦へと急転。

最初はなかなかじっくりと固定的には、宇宙人の正体をば見せはりまへんが、「マーズ・アタック!」のコミカルに対して、シリアスでリアルなヤツが、やがて続々と現れよります。そして、後半はこのウジャウジャいとる、宇宙人の最前線と包囲網から、どないして民間人を連れて、安全圏へと脱出するんかが描かれます。

ハンディカムの手持ちカメラにより、近接撮影と揺れるカットが連続しよります。一体、何がどないなっとんのか、さっぱり分からへんようなアクション・シーンが、怒涛のごとくやってまいります。落ち着いて見せてくれはるシーンは、まあ、ほとんどありまへん。とにかく、せわしないわ~。ほんで、アレマアレマてゆうてるうちに、クライマックスへ突入どすわ。

弱者としての宇宙人を描いた「第9地区」(2009年)に出てきよった円盤VFXを、使い回ししてんのとちゃうのんなんて大円盤が出てきたり、CGで示される火に包まれたロスの全景カットやらが、目を見張らせよりました。

アクション・エンタの流れに身を任せて、劇場体験を楽しんでもらいたい1本でおます。

2011年8月26日 (金)

アメコミ原作アメリカ映画「グリーン・ランタン」

Photo
フツーの青年が、宇宙から選ばれし宇宙的ヒーローになるやなんて…

グリーンをはじめ、イエロー系のCG色使いがビビッドにきよりますで

http://www.greenlantern.jp/

セプテンバー9月の10日サタデーから、大阪・梅田ブルク7やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

3D版、吹替え版同時公開となる本作をば、配給しやはるのはワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_2

Ⓒ2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. TM & ⒸDC COMICS.

アメコミことアメリカン・コミックを原作にしはった、実写映画にしてヒーローものは、これまでにかなりのタイトル数が出てきておます。本作の原作は1940年にコミック誌に初登場しよりました。いわば、オールド・クラシック・タイプにも関わらず、アメリカン・ヒーロー的タイプやなく、フツーの人間がヒーローになるってなことになっとりま。

しかも、「スパイダーマン」「バットマン」「スーパーマン」「アイアンマン」やらとは違いよりまして、大衆のみんなが正体を知ってるタイプでおまして、特に恋人が知ってはって、それでいて相思相愛系なんどすわ。

なおかつ、宇宙から宇宙のヒーローとして選ばれたことやら、自らのヒロイズムに半信半疑の主人公に対し、恋人は進言しはるんどす。恐怖を超えてやることの意味やとか、勇気がどうたらこうたらやら。こんな彼女キャラはまあ、アメコミにはおりまへんやろ。さらに、地球だけやなく、宇宙にまで戦いの場が広がるなんてのも、そないにないかと思いよります。

ほんでもって、主人公と対決するエイリアンの造形ぶりどす。巨大モンスターで真ん中に醜い顔、「トランスフォーマー」的なとこもあるコイツは、かなりの強敵でおまっせ。でも、主人公が地上をわざと離れて、宇宙対決へと持ち込むクライマックスでは、モノゴッツーなウルトラ・ワザが披露されますんで、注目しておくんなはれ。

アメリカでは大人気の、若手俳優たちの演技ぶりにも注目どす。主人公役のライアン・レイノルズ君(写真上)。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」やらのヒーロー演技が、本作へと結実しとります。

そして、主人公のお相手役のブレイク・ライブリーちゃん(写真下)。いろんな映画にチョコチョコ出てはるんやけど、アイドル性の高い演技で魅せてくれはります。さらに、汚れ役がケッコーはまる、ピーター・サースガード君。本作ではエイリアンの菌に侵されて、エライ目に遭う博士役を怪演してはりまっせ。

でもってでんな、映画的色彩感について申し述べよりま。グリーンを基調にしはったCGの色使いなんぞに、相当なインパクトがござります。グリーン以外には、イエローやセピアなんぞも使ってはりますが、それほど多色やないのに、「ポケモン」かいなと思えるくらいのハデハデ感を感じました。冒頭シーンでは前へ前へと進む映像で、いろんな色使いも見せてはります。

とにかく、21世紀的にでんな、ビビッドに伝えはる作りなんどすえ。モチ、シリーズ化は大いにありでおましょう。アメコミ原作映画に、新たなヒーロー像の誕生やでー。

2011年8月25日 (木)

ヴィム・ヴェンダース監督作品「パレルモ・シューティング」

Main
デニス・ホッパーはんの遺作、ミラ・ジョヴォヴィッチのネーさんの妊娠中の出演作と、話題性はイロイロどす

35ミリと16ミリフィルムで撮影したんをデジタル変換しはり、現代の映画の在り方を問うてはります

http://palermo-ww.com

東京は9月3日から、吉祥寺バウスシアターでレイトショーやけど、大阪は9月17日サタデーから、シネ・ヌーヴォで公開でおまして、その後全国各地でも上映されよりま。

ドイツ・フランス・イタリア合作の本作を、配給しやはるのはboidはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸNumber 9 Films(Perrier)Limited/Bounty Film Productions Limited 2009

ドイツ出身ヴィム・ヴェンダース監督はんが、ヨーロッパを舞台に、アート映画の会心作をば作ってきはりました。監督は1970年デビュー以来、ずーっと作家性のある、アート系色の映画を撮り続けてきてはります。

アメリカで撮ってはる時も、エンタエンタした作品はそないありまへん。そのココロはインディペンデント・スピリッツどす。そやから本作も、写真家の主人公の心理やら死生観を映してゆくっちゅう、ポピュラリズムに背を向けた内容になっとります。とはいえ、そないに眉をばしかめて難しい顔つきで、見るような代物にはなっとりまへんので、ご安心くだされ。

一部の監督作品では付きものの、ロック歌ものサントラ使いが、映画的リズムをば構築してまいります。でもって今回は、ドイツに実在するバンドのボーカリストでもある、主人公役カンピーノのアニキ(写真上・写真下のバイクの後ろに座ってはる人)が、イヤホン・カーステで聴いてる設定をメインにしはって、イロンなロックが流れます。

16ビート、8ビート、タイトなミディアム・ナンバー、ギターの弾きがたり、スロー、女性ポップスやら。で、チェロ、バイオリン、アコーディオンやらの通常のサントラも、シーンに合わせて流れてきます。このカンピーノのアニは何やら、元アイドル音楽グループのニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックやった、マーク・ウォールバーグのアニキなんぞをふと、思い出させてくれはりました。

Sub
演技陣に目を向けてみますと、妊娠中のモデル役で、ミラ・ジョヴォヴィッチのネーさんが、前半に実名にて登場しはります。「バイオハザード」シリーズ(2002年~2010年製作・アメリカほか製作映画)のアクション演技とは大違いどして、感情表現など全くの自然体、普段通りのミラ・ネーさんの姿が映されておます。

そして、主人公の幻影シーンの中で出てきはる、死人とゆうか、イメージとしての“死”役のデニス・ホッパーはん。監督もしはった出世作にして名作の「イージー・ライダー」(1969年・アメリカ)でも、最後に死を演じはりましたが、本作が遺作となり“死”役やったとゆうのんも、ホンマのホンマに意味深どしたえ~。

ドラマは主人公が後半で滞在する、イタリアのシチリア島のパレルモという街で、妖しき展開をば見せよります。サスペンス感ある音楽を流して四囲を見せつつ、主人公の不安な顔をモンタージュするシーンとか、コンクリート階段の一段を上下にして、主人公が滑り落ちてゆくシーンやったり、街を空込みでヨコ倒しにするカット、監督の傑作「ベルリン・天使の詩」(1987年・西ドイツ&フランス)を思い出させるシーンやら、監督の作家性は随所に発揮されとります。

ホッパーはんにアナログとデジタルについて、本編内でシャベらせはったり、フィルムで撮影した分を、あえてデジタル変換して本作を作り上げるなど、監督は21世紀的映画作りの在り方とは、何ぞやねんを問うてはるようにも、ボクは思いました。監督的にはコレは過渡的な作品なんやもしれへんけども、実験精神に満ちた、シュールな1本には違いござりまへん。

2011年8月24日 (水)

極上のイタリア映画「あしたのパスタはアルデンテ」

Pasta_sub2
タイトルからはグルメ映画的に見えよるかもしれんけど、大家族ドラマ映画のイタリー的現代感を示さはりま

歌もの含むサウンドトラックもまた、ノレる仕上がりになっとったんは意外や意外どす

http://www.cetera.co.jp/aldente

オーガスト8月27日のサタデーから、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーやでー。

関西やったら、9月10日から大阪・シネマート心斎橋やら、9月17日からシネ・リーブル神戸やらで上映でおます

本作をば配給しやはるのは、セテラ・インターナショナルはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸFandango 2010

イタリア映画はこれまでにイロイロと研究してまいりましたが、本作みたいに、チョイ肩の力を抜いたみたいな、コミカルなノリも入ってる映画は、新鮮かとは思いよります。

でも、シビアなとこが時々、顔をばのぞかせはるとこなんかは、イタリア映画らしいかな。タイトルからイタリアン・グルメ映画をば想像しはるかも分からへんけど、本作は田舎で、パスタ会社を営んではる大家族のお話でおます。

今までのイタリア映画ではそないに出てこなかった、南イタリアの海岸町・レッチェへとロケーションしはりました。このパスタ会社どすが、家族のオトンが現社長どして、オトンのオカンがオトンのオジと共同創業者、でもって、そのオトンとオカン父母の、今や大の大人になっとります長男が次期後継者で、首都ローマへ出て1人暮らししとる次男がいて、オトンの妹はんが同居しとるっちゅう感じどすか。

で、重大な家族会議で、みなが招集されることとなりよりました。でもでも、次男が戻ってくるだけやけどね。でも、その次男は長男にボクはゲイやねんと告白し、その重大会議の場でそれを告白すると言わはります。で、でんな、その実際の場で、何と弟が言う前に、サプライズなんやけど、長男の兄がゲイを告白し、オトンから出てけとゆわれて、ホンマに出てゆかはりま。つまり、兄弟そろってゲイやったんやー。結局、告白でけへんかった弟・次男が、工場を引き継がされるっちゅうことになってしまいよりました。

ゲイとゆうのは、今ではそないに問題にはならへんとは思うけど、オトンやらは古い考え方に、固執してはる世代にいてはるんどす。ゲイ・ネタそのものも、今では古いんやないかなと、ボクは思うんやけど、イタリア人の半分がゲイやとか、「プリシラ」(1994年製作・オーストラリア映画)もかくやとゆう、ゲイたちの海のダンス・シーンやらで、古さはないとこをば強調しはります。

一方で、若い時分のオバンとオジの、ミステリーチックなエピソードを冒頭から、時おりのカットバックで披露しはり、コレが現代の話と、しっくりこないようなとこもあるやも分かりまへん。まあ、最後まで見れば、なるほどとなるんやけども。

そんな中でも、大家族による食卓シーンの映し方とか、次男とパスタ会社でバリバリやってはる、アルバ(役名)ちゃんとの関係シーンとかが、本作の隠れた見どころになっとるやも。

でもって、何やら音楽ムービーとも言えへんこともない、歌ものをメインに流さはるサントラ部どすえー。哀愁のイタリアン・ポップスをはじめ、カンツォーネ、ギターの弾きがたり系、タンゴ・ポップス、ポップ・ミュージック、弦楽オーケストラによるワルツなど、アメリカン映画のポップ・サントラに勝るとも劣らへん、ラインナップぶりにはグッときましたでー。音楽映画としても注目できる作品でおました。

2011年8月23日 (火)

チェコ映画「サヴァイヴィング ライフ-夢は第二の人生-」

Survivinglife
低予算で夢を描かはった映画どして、フロイトやらユングやらのオールド心理分析ファンには、たまらへん作りどす

冒頭の監督自らの映画PRには、大いに笑えよりますで~

http://www.survivinglife.jp

8月27日サタデーから、東京のシアター・イメージフォーラムで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら三都でゆうと、10月から、大阪・第七藝術劇場、京都シネマ、神戸・元町映画館やらで上映どす。

「R18+」の本作をば配給しやはるのんは、ディーライツはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Survivinglife1
ⒸATHANOR

チェコ映画なんて、どないでっかー。みなはん、今までに見はったことはありまっしゃろか。ボクチンはチェコ・アニメとかは見たことあるんやけど、そない見ておりまへん。でも、本作の監督ヤン・シュヴァンクマイエルはんの作品は、「オテサーネク」(2000年製作・チェコ映画)やらを見ておます。

チェコ映画ちゅうのんは、ハリウッドなんかとは比べものにならんくらい低予算どす。冒頭で監督自らが出てきはり、低予算・役者代始末・CGなんて高いもんはトンデモない、切り絵やら張りまぜで、チャッチーに映画を展開することを宣言しはるんどす。

おいおい、なんでんねん、こりゃ、と思ておますと、次にはその切り絵が出よります。最初は違和感があるんやけど、これが見ていくうちにでんな、何とも言われへんような世界へと、さまよい入っていきよるんどすわ。

モノクロ写真をバックに、役者はんの動きを合成してゆかはりま。ぎこちない動きに見えよるやも分かりまへんけども、ハリウッドのVFX使いの不自然な動きへの、アンチ・テーゼにもなっとるようにも思いました。自然な動きとしては、いろんな人がシャベらはる口元をアップにして多用してはります。

そして、ストーリー的本筋は、主人公が夢中で会うたんびに名前が変わらはるオンナに恋をし、夢と現実が一体になってゆくとゆう、まさに摩訶不思議なイリュージョンな作りなんどすわ。眩暈が起こってしもたりしよります。

壮大でうっとりするようなワルツを流さはるシーンなんぞは、「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)の「美しき青きドナウ」が流れるシーンなんかを、ふと思い出させてくれはりました。

フェデリコ・フェリーニの映画、例えば「甘い生活」(1960年・フランス&イタリア)などが好きだったとゆう、主人公の亡き父の造形。でもって、主人公が過去を振り返るとゆう構図は、「野いちご」(1957年・スウェーデン)「セールスマンの死」(1951年・アメリカ)「ツリー・オブ・ライフ」(公開中・2011年・アメリカ)やらへと通じとるように思います。

また、夢を多層的に織り込んでゆく作りは、ハリウッドの大作「インセプション」(2010年・アメリカ)などへと通じてゆきよります。監督の作品では、「オテサーネク」の赤ん坊が木だとゆう設定なんぞもござります。

ほんでもって、本作の最もオリジナルなとこをば申しますと、フロイトやらユングやらのシュールな心理学を、映画の中に溶け込ませて、尚かつ3人家族の話へと敷衍させはったとこでおましょう。いわば、心理学の映画化とゆう、本作は超難関のとこへとチャレンジャーしはったんどす。

ある意味でカルティックかもしれへんけど、今から100年後にもカルトな怪作として、残っとっても不思議には思われへん、そんな映画どしたえ~。

2011年8月22日 (月)

ジョン・ウー監督の新作「レイン・オブ・アサシン」

A
ミシェル・ヨーのネーさんと、チョン・ウソンのアニキが電撃結婚(!?)しはります

果たして、香港・中国アクションと韓国ラブ・ストーリーは、心地よく合体したんでおましょうか?

http://www.reignassassins.com/

葉月8月27日の土曜日から、大阪・テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーだす。

中国・香港・台湾合作の本作を配給しやはるのんは、ブロードメディア・スタジオはんとカルチュア・パブリッシャーズはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010, Lion Rock Productions Limited. All rights reserved.

ジョン・ウー監督はん、ミシェル・ヨーのネーさん、チョン・ウソンのアニキ。みなはんアジア系やけど、映画ファンにしてみたら、なんかバラバラなんとちゃうのんってなカンジもあるやも分かりまへん。

ウー監督とミシェルネーさんは、おそらく初めての顔合わせやろし、モチ、ウソンのアニもこの2人とは初めてでおましょう。ウー監督の盟友はんのテレンス・チャンとゆう方が、ミシェルネーのために企画しはったこの映画に、ゾッコンになってもうたウー監督が、自ら監督しようと思わはったそうどす。

そこへ、ウソンはんを、モノゴッツーなどんでん返しがあるんやけど、ネーさんの恋のお相手の夫役にキャスティングしはったんどすわ。しかも、メイン・ソースは香港の格闘・剣撃アクションのハデハデな披露シーンの連続でおます。

ウソン・アニ的には「私の頭の中の消しゴム」(2004年製作・韓国映画)みたいな、韓国映画のラブ・ストーリー・テイストを醸し出すシーンもあるんやけど、最後の方ではサイコチックにガラリと変わりますんでご注目あれ! どす。

1
さてはて、お話は、明(みん)の時代を背景にしはった、時代劇アクションどす。インドの王子、達磨大師のミイラを手に入れたら、モノゴッツーなパワーを得られるっちゅうことで、コレを巡って争奪戦が繰り広げられよります。ミシェルネーの素早いアクトをはじめ、ロングで見せるより、ミディアム・ショットの短カットが多く、時にどないして決まってんのか、分からんとこもあるやもしれまへんが、これは監督の計算でおましょう。

ワイヤー・アクションをかなり導入してはるのも目立ちますが、アクション美よりも、スピード感で魅せるために、ウー監督の持ち味スロー・モーションはほとんど封印してはります。とゆうか、大ヒット作「レッドクリフ Part1」(2008年・アメリカ&日本&中国&台湾&韓国)あたりから、変わらはったんかもしれまへん。

夫・ウソンのアニをイスに座らせといて、ミシェルネーがこちら側で、目つぶし、銃を捨ててあえて銃VS素手対決をしはるシークエンスとか、ウソン・アニの自宅・室内アクションのトンデモ感とか、これまでの監督の演出アクトには、ビミョーに見られへんかったとこが見えよりま。

ミシェルネーが整形して隠れ身となったり、24時間だけ死なせられるクスリの存在とか、リーダーのオッサンの意外な真実とか、部分部分でサプライズが仕込まれておます。ジョン・ウー監督の新しどころが見えよります、快作になっとりまっせー。

2011年8月21日 (日)

私立探偵ものハードボイルド日本映画「探偵はBARにいる」

Tbi_po1
大泉洋と松田龍平の各アニキが、探偵・助手の相棒関係にて、サッポロ・ススキノを舞台にハードボイルド・ミステリーをばやらはりました

小雪ネーさんやら西田敏行はんらも、サプライズ感ある役柄をやってはりま

http://www.tantei-bar.com

セプテンバー9月10日サタデーから、東映はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Tbi_ma1

Tbi_sub3Tbi_sub4
Ⓒ2011「探偵はBARにいる」製作委員会

私立探偵とゆうのんは、日本には存在しよりまへん。せいぜい興信所の調査員まででおましょう。でも、そないなリアリティーがどうちゃらこうちゃらをゆうとったら、本作みたいな物語は始まりまへん。

そやけど、アメリカほどではモチありまへんが、私立探偵もの、ほんでもってハードボイルドもん映画とゆうのんは、日本でもそれなりに出てまいっておるんどす。そんな稀少なタイトル数の中ながらも、日本の私立探偵もんにしてハードボイルドもんの、マイ・ベスト&カルト・スリーをば披露しよりますと…。

●ベスト⇒①眠らない街 新宿鮫(1993年)②最も危険な遊戯(1978年)③蘇える金狼(1979年)

●カルト⇒①本作②追いつめる(1972年)③燃えつきた地図(1968年)

●日本の探偵的なものでゆうたら、明智小五郎・金田一耕助やらの、本格もんが有名どすし、浅見光彦やら実のアニキが、警視庁のエライはんとゆうコネ系、ベスト①の孤立した単独刑事もの、カルト②の元刑事もの、カルト③の興信所員といった具合に、法律に規定されたワク内で、どない設定するんかとゆうとこがあったやも分かりまへん。

Tbi_sub5
でも、本作の主人公はそういう縛りを、無視してるっちゅうか、殺人事件なんかは取り扱わない、いわゆるどちらかと申せば、便利屋みたいな領域で商売をばやってはるんどす。しかもそれでいてでんな、余裕で推理を披露しはる明智はんや金田一はんとは違いまして、ヤバイハードボイルドな、命がけのアクション展開が時おりやってきよるんですわ。

Tbi_sub8
いちおう2011年設定どすが、主人公の探偵役の大泉洋アニキどすが、知り合いのバーの固定電話で依頼を受けてはって、しかもケータイやらを持ってはりません。原作の小説は1990年代前半に発表されとりまして、それをどう2010年代にシフト設定するのか、大いなる問題やと思いますが、あくまで原作の持つアナログな調査感を尊重しつつも、防犯カメラなどのセキュリティの問題にも、対応してはるところは良かったどす。

固定電話で受けた、単純な依頼を請け負ってこなすうちに、雪に埋められて殺されそうになる、エライ目に遭う大泉のアニキ。その後もいっぱいヤラレます。それでも、アニキは依頼を受けてへんのに、2つの事件にチョッカイを出していかはるんどす。

Tbi_sub6
エンジンのなかなか掛からへん車のドライバー役にして、学生バイトの相棒・松田龍平アニは、ベスト②③をはじめ、亡きオトンの松田優作はんの当たり役やった私立探偵、もしくはいかがわしき稼業者演技に、遊び心を持って迫らんとするようなとこが、見え隠れしとったかと思います。サプライズ感あふれる小雪ネーさんやら、西田敏行はんの演技、悪役演技が妙に似合う、高嶋政伸アニキやらにも注目どす。

Tbi_sub7
正統派アメリカン・ハードボイルドのハメットやチャンドラー原作映画やらにも迫りつつ、日本的情緒を取り入れて、シリーズ化を探ってもらいたい1本でおました。

2011年8月20日 (土)

衝撃の人間ドキュメンタリー「監督失格」

Main
「ゆきゆきて、神軍」やらのディープ・インパクトがあり!な強烈な作品でおます

中盤の凄まじい緊張感とリアル感までいってまうと、もうあとは目が離せまへんでー

http://k-shikkaku.com

セプテンバー9月3日サタデーから、TOHOシネマズ六本木ヒルズで独占先行ロードショーでおます。

でもって、その後、10月1日サタデーから全国各地イッセーの公開どす。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんばやら、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで上映しはります。

本作をば配給しやはるのんは、東宝映像事業部はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ「監督失格」製作委員会

人間ドキュメンタリーには、多種多彩なもんがござります。ともするとでんな、セレブ・有名人やら偉人やらを描くドキュに、彼らのファンを含めまして押し寄せよりましてな、ヒットしてるっちゅう作品もあるんやけど、本作はそうやおまへん。

そういうセレブ・タイプとゆうのは、どちらかと申せば、ファンのために気を使わはるような作りが施されてありましてな、ファンやないもんにしてみたら、「ほおーっ、そうですか。そやから、どないやねん?」で終わるようなんが、ケッコー多いんですわ、これが。

ところがどっこい、本作はそういう代物とは、格段に違う作りになっとります。日本の人間ドキュ映画と申せば、ボクの個人的には「ゆきゆきて、神軍」(1987年製作)やら「全身小説家」(1994年)やら、原一男監督作品にドカーンとヤラレまして、でもって人間ドキュのマイ・ベストになっとりま。

しかし、ここに、新たなスタイルでもって“ドッカ~ン”ときよりましたんが、本作でおます。正直、「告白」(2010年)の松たか子ネーさんみたいに、“なんてね”は付いてはおまへん。

「ゆきゆきて、神軍」みたいに、描かれる人間がエキセントリックでディープ・インパクトなんやおまへん。その描かれるプロセスなんどす。撮られてはるんは、2005年にマリリン・モンローみたいにナゾの死を遂げはった、AV女優の故・林由美香のネーさんどす。

韓国のAVに出てはった様子も描いた人間ドキュ「あんにょん由美香」(2009年)は、ボクも拝見しましたが、人間・由美香ネーさんに肉迫する凄みはなかったけど、ああ、こういう人がいて、でももう死なはったんやな~という感想は持ちました。でも、本作はそんな彼女を追うだけやありまへん。

確かに最初の方は、彼女に恋してる本作の平野勝之監督が、自身のロードムービー作品「由美香」(1997年)に合わせた、メイキング映画のようなノリで、彼女をば映してゆかはります。

常にタバコを吸い続ける姿、泣くシーンやら、アドリブとゆうか、フツーの日常シャベリを、クローズアップやら2~3分の長回し撮影を多投しはり、またヨッパラッての異様なシーンもあるけど、淡々と映さはります。

このまま、プライベート・フィルム、映画のメイキング・フィルムのノリで、終わってしまうんかと危惧しておますと、それが中盤からガラリと変わるんどすわー、これがね。由美香ネーさんが死んではるんを、平野監督と彼女のオカンが発見しはるんどすわ。ビックリのアラマ・ポテチンやー。

ディープ・インパクトな固定長回し撮影は、メッチャ凄いんどすえ~。この長回しは日本の映画史に残る、エポック・メイキングなショットになるやも分かりまへん。そんでもって、その後の彼女の死の謎に迫ってゆかはるんが、本作の最大の見せ場になっとります。

結論を申せば、人間ドキュの作りに、新たな画期的な手法を取り込んで、衝撃作にしはった作品やとボクは思います。

2011年8月19日 (金)

韓国映画「ハウスメイド」

Thehousemaid_still00_jeon

本作のイム・サンス監督の談話付きにて、本作をば分析しよります

ナンチューてもチョン・ドヨンのネーさんが、エロティック・サスペンス・ミステリーに、ふさわしおます妖しさどすえ~

http://housemaid.gaga.ne.jp

東京では8月27日サタデーより、TOHOシネマズ シャンテやらでロードショーどすけども、関西では9月3日サタデーからでおます。

大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらで公開どす。でもって、その後全国各地順グリの上映どす。

ホンマ、ヤラシーだけに「R15+」指定となりよりました本作をば、配給しやはるのんはギャガはんどすえ~。

文・取材=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 MIROVISION Inc. All Rights Reserved

●今年3月に開催された「大阪アジアン映画祭」に、ゲストとして招かれはった本作の、イム・サンス監督の談話でおます。

「韓国映画の歴史に残る名作『下女』(1960年製作)のリメイクに、挑戦する楽しさがありました。韓国映画の世界は実は狭くて、当時私の父が新聞社で映画評論を書いていたのですが、この『下女』を酷評したんですよ。すると、『下女』のキム・ギヨン監督が、新聞社にケンカを売りにきたらしいです。ギヨン監督は独特の世界観を映画にしておられましたが、残念ながら火事の事故で逝去されました(このポイントは、運命的なものなのか、本作の本ネタ部につながっとります)。

本作では、ギヨン監督の作品『火女』(1971年)で映画デビューされたユン・ヨジョンさんに、ヒロインの先輩メイド役を演じてもらいました。さて、『下女』ですが、当時興行も成功し、世界各国の映画祭に招かれた伝説的な作品だったのですが、あれから50年。韓国は凄まじい発展をし、映画も色彩感、サウンド、映画的作りなど発展したように見えますが、実際はどうなのかなと思います。韓国的な男中心の社会にも、息が詰まるだろうし。

本作は女性への侮辱・差別に関する映画です。それに、出演者たちがよく服を脱ぎます。いわゆる、エロティック・サスペンスでもあります。ヒロイン役のチョン・ドヨンさんは、僕より年齢が上なのですが、まるで神が乗り移ったような演技を見せてくれました。近頃の韓国では、美容整形していない女優を探すのはとても難しく、みんな良く似てきているので没個性的なんです。しかし、ドヨンさんは違いました。30代で子供さんも儲けられ、女優としての演技幅はさらに広くなっておられます。ヌード・シーンでも、全く動じないスゴサには感服いたしました」

●さて、ここからがボクチンの分析批評なる、怪しいもんの披露でおます。

まさに本作は、エロティックとサスペンスとミステリーが、三位一体となった作りになっとります。しかも、それぞれのジャンルのポイント部で、過去の名作へのオマージュを、捧げはったようなノリがござりました。

エロティック部は、「危険な情事」(1987年・アメリカ映画)やヒッチコック監督の「サイコ」(1960年・アメリカ)やら。特筆事項はナンチューても、ドヨンのネーさんとイ・ジョンジェのアニキのセックス・シーンどす。

肌と肌の絡み具合をクローズアップし、顔のクローズアップも巧みにモンタージュ。印象的なシーンになっとります。お風呂そうじやらがエロティック・ポイントになっとるとこなんか、モロ「サイコ」のお風呂シャワー・シーンを、ピン・ポイントで思い出させます。

でもって、サスペンス部&ミステリー部どす。監督は製作に入る前に、ヒッチコック作品をかなり見たとゆうてはりますが、妖しい家政婦がいた「レベッカ」(1940年・アメリカ)やらを始め、ヒッチコック的ヒロイン・ドラマ部の、スリリングで被害者妄想的なとこなどが、本作に反映されておます。

そして、ドヨン姉さんと、夫でオトンで主(あるじ)役イ・ジョンジェの家族、特にカミさんと夫のオカンとの、密かなる仁義なきリベンジの丁々発止に、ハラハラドキドキが止まらんようになってきよるのどす。ストーリーそのものは、よくあるパターンのように見えながらも、元ネタをバージョン・アップする意欲はなかなかのもんでおます。

変型ヒロイン映画はモチどすが、ネジレ系家族ドラマとしての見方も加味されとります。夫と双子を妊娠中の妻と6歳の女コドモ、でもって、そこに夫のオカン。さらに、そこへ、2人の老いと若きのハウスメイドとゆう構図。室内劇をメインにしながらも、かなりと異色の人間関係図になっとります。

スッタモンダの末に、披露される結末。でもって、皮肉に満ちたラスト・シーン。ココロがサムーなってきよりました。恐るべき怪作どした。アラマ・ポテチン(ビックリ)!

2011年8月18日 (木)

韓国映画「遭遇」

Photo_7

韓国映画には珍しおす、映画撮影のメイキング映画でおます

メイキングを通して、2人の男が変わってゆくのんを、映画的な切り口で伝えはります

日本公開待機作どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

韓国のインディペンデント映画、いわゆるインディーズ映画とゆうのんは、日々作られております。日本円で予算100万円以下なんてゆう「昼間から呑む」(5月3日付けで分析)ちゅう映画も出て、今年の5月に日本公開されておます。こういう低予算系の映画っちゅうのんには、これまでの韓国映画では見たことあれへんような、ユニークなとこがケッコーござりまんねん。

まず、本作は映画メイキング映画とゆうスタイルを、ベースにしてはります。しかも、自主映画のメイキングものどす。メイキング映画のポイントといえば、その映画作りの中で、どういう人間ドラマを引き出してゆくかにあります。映画作りをただ単に見せるのであれば、ドキュメンタリーにしかなりまへん。

映画製作に関わる人間たち、監督であったり主演男女優であったりが、主役を張らはります。でもって本作は、学生たちの映画作りを見せた「カミュなんて知らない」(2007年製作・日本映画)みたいに、主人公たちが撮影を通して、ええ方へか悪い方へかは分かりまへんが、変わってゆかはるとゆうのんを、ドラマの見どころにしてはります。

撮られる映画の内容についてチョイ申しますれば、監督の実家があった田舎を舞台に、30代後半の女と10代後半の男とゆう、年の離れた恋愛が紡がれよるんどすけども、女が妊娠し、宇宙人が現れ、ほんでもって、メチャクチャな話へと壊れてゆくんどすわ、コレが。それに合わせて、監督も変になってゆかはるっちゅう展開どすか。

映画監督の苦悩を描いたフェリーニの「8 1/2(ハッカニブンノイチ)」(1963年・イタリア)とか、トリュフォーの映画メイキング映画「映画に愛をこめて アメリカの夜」(1973年・フランス&イタリア)のセンスとかも入っとるかもしれまへん。まあ、チョイ言い過ぎとるとこもあるかもしれへんけど。まあ、お許しくだされ。

映画的なオマージュ・シーン的なとこもありま。監督が地面に穴を掘って、死んだ妹との交信を探るシーンなんぞは、「未知との遭遇」(1977年・アメリカ)のリチャード・ドレイファスそのものやんか~。撮影シーンでは、「アラビアのロレンス」(1962年・イギリス)の、カゲロウめいた超ロングショット・シーンなんぞも入れてはります。そんなロングショットに対して、アップ、クローズアップ、スクリーンはみ出しアップが頻出して対比させ、ロングショット・カットを観客に印象付けはります。

写真のような監督と主演男優の2人を、暗く影絵っぽくしての夕景シーンなんぞも目に残るシーンどした。「人生はピクニックだ、映画は弁当だ」なんてゆうワケ分からへんセリフも、映画をオモロイもんにしておました。

2011年8月17日 (水)

ジョニー・トー監督の新作「単身男女」

Photo_6

ジョニー・トー監督の新作は何とラブコメやてぇ~、ホンマどすかぁ~

男2人ダニエル・ウーとルイス・クーの、コミカル・バーサスに、カオ・ユアンユアンちゃんのアイドル性が特注どすえー

香港では今年の3月に公開されて、大ヒットしよりました。でもって、本作は日本公開待機作品になっておます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Media Asia FilmsfBVILtd. All Rights Reserved

巨匠ジョン・ウーはんに勝るとも劣らへん、香港のアクション派監督、ジョニー・トー監督の最新作でおます。

みなはん、香港アクションを見はったことはありまっしゃろか。ハリウッド・アクションと同じく、アリエネー系でいってはるんやけど、格闘アクトやら銃撃戦やら、全ての作品にわたってやないけど、より細かくリアルに描いてはることが分かるかと思います。

トー監督はモチ毎回、香港アクションの最新型を示さはって胸ワクで見られる監督はんなんやけど、何と本作は、アメリカン都会派ラブコメに迫るような、キャリア的には、信じられへんような作品をば作ってきはりました。

ラブ・ストーリーは作らはったかもしれんけど、こちとらコメディでおます。アメリカン・ラブコメの影響は、それなりにござりました。でも、ラブコメラブコメした作品よりも、ラブコメでも、映画作家性を示さはるような監督作品に対しての、オマージュなりトリビュートなりがあるような作りどした。

ピン・ポイントでゆうたら、都会派ラブ・ストーリーの巨匠エルンスト・ルビッチ監督であり、その弟子とゆわれるビリー・ワイルダーはんでおます。

1つの事件が次々に波紋を呼んでゆく、“スクリューボール・コメディ”やったり、とある設定を施した上で展開する“シチュエーション・コメディ”なんぞへ、本作はアプローチしてはるんどす。

ピンのピンで言いよりますと、ビリー・ワイルダー監督の「七年目の浮気」(1955年製作・アメリカ映画)どす。マリリン・モンローのネーさんが2階に住んではって、1階に住んではるオッサンとイロイロやらはる話なんやけど…。

でもって、本作にその設定を敷衍すると、ビジネス・ビルとビルの窓を通して通じ合う、ある意味でサイレントチックな、男女の出会いを描いてはるんでおます。ボクとしては、ヒロイン役の中国女優カオ・ユアンユアンちゃんの、アイドルチックなとこよりもでんな、この種のラブコメにピッタリフィットしてはる演技性に魅了されよりました。

ほんで、このユアンちゃんやけど、ウォン・カーウァイ監督の「恋する惑星」(1994年・香港)やら「天使の涙」(1995年・香港)やらに通じるような、何やしらんカッコええやんな~な恋の雰囲気もありました。そして、2人の男優はん、共にイケメンのダニエル・ウー君やらルイス・クー君やらの、オッチョコチョイな軽~い演技ぶりもオモロいどすえ~。

ケータイ動画で実況生中継やとか、スマートフォンも出てきたりと、コンテンポラリー(現代)感も入っておます。

2011年8月16日 (火)

インドのハリウッド級アクション映画「カイト」

Kites12

アメリカで大ヒットしたインド映画でおます

アクションとミュージカル・シーンの新鮮さは、ひょっとしたら鮮度の意味においては、ハリウッドを超えたやも

日本公開待機作品でおます。

本作はインド・メキシコ・アメリカ合作どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

みなはん、インド映画って見はったことはござりまっかー。見はったことのない方に、難しいのんは抜きにして、ボク的にスタデイをしてみよります。

サタジット・レイとゆう監督がいてはりまして、1950年代から1980年代にかけて活躍しはった方どして、世界3大映画祭のうちカンヌを除いた、ベネチアとベルリンで最高賞をもろてはります。この方の作風は、インドの少年少女を含む人たちを、大河ドラマ風に映画的に描くことにござりました。日本でゆうたら、黒澤明みたいな方どした。

しかし、レイ監督以降のインドでは、娯楽映画としてのミュージカルが隆盛を極めました。しかも、ハリウッドに対してボリウッドなんてゆわれて、本国で大ブレイクしたんでおます。一部の作品は、1990年代半ばから後半にかけて日本でも公開されましたけども、休憩をはさんだ3時間以上の長尺作品が多く、また興行的にもイマイチどして、作品の出来は別にして、一過性のようなカンジで終わったような嫌いがござります。

一方で、ハリウッドの監督やらがインドを舞台に、映画を作るとゆうような風潮がありましてな、「スラムドッグ$ミリオネア」(2009年製作・アメリカ&イギリス)なんぞは、アカデミー賞の作品賞をもらわはったりしました。そして、M・ナイト・シャマランとかミーラー・ナーイルなどが、ハリウッドへと進出してはります。

でも、今なおインド国内では、ミュージカルを中心に映画製作の天国状態が続いておるそうでおます。その追い風に乗って、アメリカからの資金出資を経てでんな、作り出されたんが本作なんどすわ。

ビックリしよりました。アクション系はまさに、これまでのインド映画イメージにないハリウッド・クラス。しかも、新味もチビチビと入れてはるんどす。ニコラス・ケイジのアニキみたいな主人公(リティック・ローシャン)と、キャサリン=ゼタ・ジョーンズのネーさんみたいな、ベッピンにして悩ましきセクシー系のヒロイン(バーバラ・モリ)が、モノゴッツーな逃亡劇を展開しはります。

銃撃戦やらカーチェイスなんて当たり前。クルマ輸送トラックを間にして、連なるパトカーとの対峙シーンとか、逃走車から気球に乗り移って逃げるシークエンスとか、今のハリウッドがやらないかんようなアクション・シーンが、次々にやってまいります。ロードムービー性、西部劇タッチなどもシッカリと入っておます。

ほんでもって、ミュージカル・シーンの大胆さどす。ヒップホップも入った、タイトでインパクトあふれるダンス・シーンは、「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977年・アメリカ)やら「フラッシュダンス」(1983年・アメリカ)やらを超えたダイナミズムがありました。インディー風A0Rやら大仰なバラードやらオーケストラ、メキシカンな歌などのサントラも入っとりま。

間違いなく、インド映画過去最大とも呼んでええ、エンタ娯楽大作どした。

 

2011年8月15日 (月)

ジャパニーズ・ホラー「七つまでは神のうち」

_mail
今や多数出ておます、ヒロイン・ホラーの最新作やでー

失踪系・幼なじみ系・人の恨み節やら、イロイロ入っておます

http://nanagami.com/

葉月8月20日の土曜日から、東京・シアターN渋谷やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

関西やったら、その後、8月27日から京都みなみ会館、9月10日から神戸アートビレッジセンターやらで上映どす。

本作をば配給しやはるんは、S・D・Pはんどすえ~。

_mail_2
ⒸSTARDUSTMUSIC, INC

ジャパニーズ・ホラーは「リング」(1998年製作)の出現以降、人の恨み節を多彩なカタチで作り続けはって、イロイロ進化してきよりました。そして、Jホラーのマイナー(低予算のインディペンデント系)・リーグもまた、アイデア勝負の次元にいたっておるかと思います。

ちなみに、マイナー系に限らず、それらの作品はヒロイン・ホラーが主流になっておます。別に、「リング」みたいに男が主人公で、戦いを挑んだり怖がったりしてもよろしおますんどすけども、ヤッパ、ヒロインの方が怖がる場合は映えるし、観客の怖がらせる度も高いとゆうことなんでおましょう。

コレはまた、怖がらせるヒロイン、怖がるヒロインに関わらず、1950年代から1960年代の日本の怪談もの映画でも、主流やったんどすえー。そやから、ヒロインの造形こそ、この種のホラーでは成否のカギをば握っておます。

でもって、本作どすが、そのヒロインに新人・日南響子ちゃんをバッテキしはりました。美少女アイドル系、しかもか弱いイメージがありましてな、ああ、こんな娘がエライ目に遭うんかと思うと、気もそぞろ、サスペンス度合いも高まるっちゅうもんどすえー。

_mail_3
ホラー映画の作りも、マニュアル的なものを入れつつも、少しでも進化型を示さんとガンバってはります。日本の童謡「通りゃんせ」を入れてはるんは、例えば「この子の七つのお祝いに」(1982年)みたいな怪しさをかもし出してはります。

神隠し的な森中の蒸発・失踪は日本風やけど、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年・アメリカ映画)みたいな感触もありま。また、小学校時代のエピソードが、メイン・ネタになっとるとこやらは、幼い頃に何があったのかを探る意味において、「二十世紀少年」シリーズ(2008年~2009年)やったり、「エルム街の悪夢」(1984年・2010年・アメリカ)なんぞへもシンクロナイズしてきよります。

ほんで、幻覚やら悪夢シーンで恐怖をあおったり、病院のダークな造形やら、都市伝説を取り入れたりと、ホンマ欲張りなくらい、恐怖因子を盛り付けてはりまんねん。

但し、メイン・ネタへもっていくまでの伏線がやや弱かったりするんは、惜しかったりするけど、でも、ラストのヒロインの叫びなど、「キャリー」(1976年・アメリカ)と同様どして、絶対フツーには終わらへんで~とゆう意気込みがござりました。その熱気にヤラレる1本でおました。

2011年8月14日 (日)

中国舞台のアメリカ映画「シャンハイ」

Photo_2
アメリカ代表のジョン・キューザックのアニキ

日本代表のケン・ワタナベのアニヤン

中国女優代表のコン・リーのネーさん

中国男優代表のチョウ・ユンファのアニキ

この4人を中心に、怪しきサスペンス・ミステリーが綴られておます

http://shanghai.gaga.ne.jp

葉月8月20日の土曜日から、東京・丸の内ピカデリーやらで全国イッセーのロードショーだす。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんばやら、MOVIX京都、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条やら、神戸国際松竹やらで上映でおます。

本作の配給はギャガはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2009 TWC Asian Film Fund, LLC. All rights reserved.

突然どすが、中国を舞台にしたアメリカ映画・英語圏映画、もしくはアメリカ出資映画のマイ・ベスト&カルト・スリーをば、勝手に披露させてもらいま。プラスワンの次点も入れま。ちなみに、中国ロケやない映画(本作もそんな1本どす)も入っておりますが、ご容赦くだされ。

●ベスト⇒①ラストエンペラー(1987年製作・イタリア&イギリス&中国)②グリーン・デスティニー(2000年・アメリカ&中国)③大地(1937年・アメリカ)④次点:燃えよドラゴン(1973年・アメリカ&香港)

●カルト⇒①レッドクリフ Part1(2008年・アメリカ&日本&中国&台湾&韓国)②慕情(1955年・アメリカ)③本作④次点:砲艦サンパブロ(1966年・アメリカ)

●てなわけどして、チョイ定番的な作品が並んでしまいよりましたが、みなはんは、もっと渋い作品を選ばはることでしょう。

さて、本作をカルトな名作にした理由をば述べますわ。1941年の上海物語ながらでんな、上海でロケをやってはらへんのどす。つまり、あまりにも都会化してもうた今の上海ロケやってもうたら、大がかりなオープン・セットを造らんことには、当時の雰囲気をば出されまへんのどすわ。でも、カルト②やらみたいに、ハリウッドの近場で済ますとゆうわけやおまへんで。

室内シーンは、イギリスのそれらしき雰囲気の建物の中で撮影しはり、タイではオープン・セットまでこしらえはってやらはったそうでおます。当時の上海なんてボクは知りまへんけども、それがそれっぽく見えよるんで、コレはロケーション・ハンティング(通称ロケハン=ロケ地探し)の勝利でおましょう。

でもって、この種の映画においては、中途ハンパになりがちなキャスティングでおますが、見事な仕込みと演出ぶりを示してはるんどすえ。当時の上海と申せば、イロンな外国が自国の縄張り地区を支配してはって、トンデモない状況にござりました。

こんな風に都市が割譲されとるような状況とゆうのんは、歴史的に見てもマレどす。そんな地区の一部ではネイティブ市民との争いもあって、ある種カオス(混乱)な状況やったんでおます。そやから、そのスリリングでサスペンスフルで危なっかしい設定を、どんな風に示すんかが重大事項でおますやろ。

そして、中国側から見ての、イロンな外国人キャストの妙味やら、彼らが繰り出す演技バトル、演技的チームワークぶりが、みなはんのココロを刺激してくれはる作品になったんが、本作なんでおますよ。

「ラスト・サムライ」(2003年・アメリカ)以来、定着しとるケン・ワタナベ(渡辺謙)アニの堅い司令官的演技。アメリカン私立探偵的な造形の、ジョン・キューザックのアニ。中国人設定では、「マタ・ハリ」(1931年・アメリカ)のグレタ・ガルボのネーさんなんかもジワリと感じさせはる、コン・リーネーの謎めいた女スパイぶり。さらに、ベスト②では主演しはった、チョウ・ユンファのアニのアクション・シーンやら。

菊地凜子ネーさんやら、ハリウッド進出してはる、ドイツのフランカ・ポテンテのネーさんやらが、出番が少なかったり、アジア系のスターを、無理やり集めたようなとこもないとは申しませんが、アップのやり取りやら含め、演技バトルで高められるサスペンス度合いはエエカンジやでー。カルティックなケッサクとして、きっと後世に残る1本どすえー。

2011年8月13日 (土)

女スパイ映画「ハンナ」

Photo
「もののけ姫」と「レオン」マチルダちゃんを合体したみたいな、オンナの子スパイ映画の爽快作品でおますでー

「心臓はずしちゃった」は、カルトなキメゼリフとして後世に残るやもな!?

http://www.hanna-movie.jp/

オーガスト8月27日サタデーから、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作のユーロを舞台にした、アメリカン映画をば配給しやはるのんは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ヨーロッパを舞台にしたアメリカ映画の系譜なんて、やり始めたらキリがありまへんので、ここではピン・ポイントでいかせてもらいまっさ。女スパイ映画でおます。でもって、ここで、女スパイ映画のマイ・ベスト&カルトスリーをば、思いついたままに勝手に披露しよりま。

●ベスト⇒①ニキータ(1990年製作・フランス映画)②レオン(1994年・アメリカ)③間諜X27(1931年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②マタ・ハリ(1931年・アメリカ)③クライング・ゲーム(1992年・イギリス)

●女スパイもんは男のスパイもん、あるいは女も入ることもあるチーム系やらより、これまでのタイトル数はそないに多うはござりまへん。でも、まあ、ボクの勝手な思いやもしれへんねんけど、本作の女スパイ映画は、多彩なアクション・シーンを含めまして、ホンマにかつてないくらいのマジ・モードで展開した、作品なんやないかいなと思いよりました。

例えば、ベストにしてもうた③とかカルト②なんぞは、それぞれ、映画史に残る名女優マレーネ・ディートリッヒとグレタ・ガルボの各ネーさんを、際立たせるためのラブ・ストーリーやったし、ハリウッド映画的には、女アクションものは多彩にやってはるにしても、この女スパイというジャンルでの積極的なアプローチは、最近は「ソルト」(2010年・アメリカ)やらチョコチョコ出とるけど、これまでにはそないなかったんやないやろか。「ロング・キス・グッドナイト」(1996年・アメリカ)なんかはオモロかったけど…。しかも、勝手にチョイスしよったほとんどが、旧ソ連・ロシアとの絡みが入っております。

Sub1
でも、流れはヨーロッパから、静かにやってきたように思います。フランスのリュック・ベッソン監督によるベスト①②、ベスト①に触発されて発表された、変型女スパイもののカルト③やら。でもって、本作でおます。「ニキータ」以上に強烈なアクション・シーンの連続で、目が点になりよりましたで。

しかも、本ネタ部では「ボーン」シリーズ(2002年~2007年・全3作・アメリカ)へとシンクロするなど、なかなかのもんどすえ。ほな、なんでカルトの方やねん? の声が聞こえてきそうやけど、今から100年後には、そないな位置にあるんやないかなとの、この手前勝手なランクでおます。

SF映画でゆうたら「E.T.」(1982年・アメリカ)と「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)の評価関係図が、例えば「ミッション:インポッシブル」(1996年・アメリカ)と本作の関係のような具合とでも言いましょうか。えらい、マニアックな分析になってしもてスンマヘン。発表当時の時代の評価が、10年後やらには変わるとゆうことでおます。

でもって、本作のジョー・ライト監督なんやけど、今までのおとなしめの文芸作品やらのノリを、一気に変えてしまわはりました。ダイナミズムあふれるシーンの連続にして、映像的にもカラフル。いっぱいある活劇シーンに加え、ロードムービー的なとこも入れてはります。

見出しにも書きよりましたヒロイン役、シアーシャ・ローナンちゃんのキャラクター設定もよろしおま。写真下のケイト・ブランシェットのネーさんに、真っ向勝負を挑まはるクライマックス・シーンなど、血沸き肉躍るオモロサどすんで、お楽しみあれ~どすえ~。

2011年8月12日 (金)

ヒューマン日本映画「神様のカルテ」

Knk_ma1
外科医の「孤高のメス」に対する、「嵐」桜井翔クン扮する、内科医人間ドラマ映画の快作どすえー

宮崎あおいちゃんとの夫婦映画としても、ユニークなとこを示さはりました

http://www.kamisamanokarute-movie.jp/

葉月8月27日の土曜日から、全国ロードショーどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Knk_sb3
Ⓒ2011「神様のカルテ」製作委員会

Ⓒ2009 夏川草介/小学館

お医者はんの人間ドラマ映画でおます。でもって、唐突ですんまへんけども、病院を背景にしたり医者が主人公の日本映画の、マイ・ベスト&ポスト・ベストスリーをば披露しま。

“ポスト・ベスト”とは、ボク的には準ベストの意味どして、人の見方によっては、ベストと下剋上が起こってもおかしゅうない仕上がりの、作品とゆう意味でおます。

●ベスト⇒①赤ひげ(1965年)②白い巨塔(1966年)③ディア・ドクター(2009年)

●ポスト・ベスト⇒①カンゾー先生(1998年)②本作②孤高のメス(2010年)

●ベストは全てキネマ旬報の年間ベストワン作品やし、ポスト・ベストも当たり前の、選択になったやも分かりまへんけども、そんな中でも、本作はポストとゆうよりも、カルト・ベストワンにしたくなるくらい、異色系の作品になっとります。

Knk_sb5
表面的には、医者的ヒューマニズムを描いてはるようには見えよります。しかし、ようよう見ますと、違いよりまんねん。例えば、今までやったら、患者の命を何が何でも救うという、ある種正義の味方的なヒロイズムが、展開される映画が多うござりました。

ところがどっこい、ジャニーズの大ブレイク・グループ“嵐”の、主人公役・桜井翔クンの演技は、どこまでも退きの演技でいってはります。ガンやらの末期患者ばかりが、実は内科医・桜井クンのとこにきやはりまんねん。

いや、桜井クンの応急処置によって、救われる人はいっぱいいてはるんやけど、本作でクローズアップされとるのが、そういうどないしても救えない患者はんなんどす。そやから、延命処置をするんが、いっぱいいっぱいなんどすわ。こういう医者の造形はどちらかと申せば、映画映えしよりまへん。でも、本作はそんな桜井クンに焦点を当てはったんどすえ~。

Knk_sb1
桜井クンを支えはるバイ・プレーヤーの妙演技ぶりにも、ココロ惹かれました。ちなみに、桜井クンは写真には写ってはりませんが、まずは写真一番上の宮崎あおいチャンとの、夫婦映画部のユニークさでおます。

あおいチャンが“ですます調”で応えはる夫とのやりとりなど、古風なカンジで展開しよりますが、コレが何やら、今やからこそ新鮮に映るんどすわ。2人のシーンは、ラストシーンをはじめ時おり、胸にグッときよるシーンが多うおますんで、ぜひチェックしてくだされ。千円札でチョー有名な、夏目漱石への主人公の傾倒ぶりも、今だからこそを示さはりま。

日活時代には吉永小百合みたいな患者演技は、しはらへんかった加賀まりこ(写真2枚目左)はんの病気演技。ポスト・ベスト①で医者役で主演しはった柄本明はん(写真3枚目)の、酔っ払っての豪放磊落な演技ぶり。主人公と同期の看護士役・池脇千鶴ネーさん(写真2枚目の右)のそれでも元気ぶりやら、同僚の要潤アニキ(写真4枚目)のサポート演技、吉瀬美智子ネーさんの看護士自然体な冷静ぶりやら、演技陣の演技が、ココロに何らかのインパクトを与える作りどしたえ。

セピアな日の出、夕景、ロングショットの全景など、長野県松本市の美風景も地方ロケ映画としての、アクセントをば施してはりました。

2011年8月11日 (木)

アメリカン・ドキュメンタリー「ジョン・レノン,ニューヨーク」

Photo

セレブ&ミュージシャン&音楽&人間&ニューヨーク・ドキュメンタリーやら、多彩な括りができよる作品でおます

ビートルズ時代をはずして、ジョンを描いた初のドキュどすえ

http://www.johnlennon-ny.jp/

オーガスト8月13日サタデーから、東京都写真美術館ホールで、全国順次のロードショーでおます。

関西では、セプテンバー9月3日から、大阪・十三(じゅうそう)のシアターセブンやらで上映しはります。

本作をば配給しやはるのんは、ザジフィルムズはんどす。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

Yoko
Ⓒ2010 Two Letis Don't Make A Right Productions, Dakota Grope, Ltd. and WNET. ORG  ⒸBob Gruen

ジョン・レノンの1970年代のアメリカ(NYメイン・LAサブ)生活を描いた、ドキュメンタリー映画でおます。しかも、ジョンの未亡人オノ・ヨーコのネーさんが、公式に認知しはった作品どす。これまでには、そんなんありまへんどした。

そんなヨーコネーさんの、現代のインタビューをタイトに挿入しはりながら、いろんなミュージシャン・関係者の談話シーンをはさみもって、ジョンのミュージシャン人生を回顧しはります。

こういうドキュは、見出しにも書きましたが、括りとしては多彩にござります。但しセレブ・ドキュの観点から見てみますと、セレブ・ドラマ映画の充実度に対して、チョイ見劣りがしておるんやないかなとボクは思います。例えばバスキアを描くにしても、ドキュよりはドラマ映画「バスキア」(1996年製作・アメリカ映画)の方が個人的にはオモロおましたし、映画的出来も上やったかと。

John_01
それでも、本作はビートルズやらジョンの、ゴリゴリのオールド・ファンに訴求するだけやなく、老若男女関わらず、人間ジョンを描く人間ドキュメンタリーの快作になっておりました。

でも、まあ、若い方々は、ジョンのソロ・アルバムをいくつか聴く予習をした上で、鑑賞しはった方がええかと思いよりま。なんでかとゆうと、レコーディング・シーンやらコンサートの模様やらがかなり出てきよるからどす。かといって、音楽ドキュ映画に多いライブ映画のノリは、本作にはありまへん。ジョンの名曲も多数流れますけども、フルでかかることはありまへんのどす。

サビだけとか、Aメロ・Bメロまでとか。PEACEバラード「イマジン」、キャッチーな「マインド・ゲームス」、カヴァー「スタンド・バイ・ミー」、フォーエバー・グリーンな優しさがある「ウーマン」、8ビートなプレスリー的ロックに回帰した「スターティング・オーヴァー」やらが、レコードで流れるんやけどな…。

John_02
しかし、本ドキュのベースになるんは、ジョンの生きざまでおましょう。1971年にNYにヨーコと来て住み付き、でも、ベトナム戦争&ニクソン大統領非難で、政府から国内退去がどうちゃらこうちゃらの問題に遭遇しはり、一方でニクソン再選でヤケになって浮気しはって、ヨーコから出ていけと言われ、LAへと逃避しはったり…。波乱続きどす。

でも、何とかヨーコとヨリを戻さはって、息子ショーン・レノン君をもうけはります。ジョンの息子は、前妻との間に生まれたジュリアン・レノン君(ビートルズの曲「ヘイ・ジュード」のジュードとは、このジュリアン君のことどす)もいてはるんやけど、1970年代後半の5年間は、音楽活動を休止、ショーン君の育児に専念しはる、いわゆる主夫生活をばしはります。やがて、音楽界に復活しはりますが…。

波乱の生き方を描きつつも、ジョンのラブ&ピースを探るような作りは、殺伐としたジョンの事件ものが多い中でも、癒やされる作品どしたえー。

2011年8月10日 (水)

NY映画最新作「リメンバー・ミー」

Photo
9.11以降のアメリカン・ニューヨーク舞台映画は、変わってきよりました

9.11ものでラブ・ストーリー入りの青春映画は、新しいところやも…

http://www.rememberme-movie.jp/

オーガスト8月20日サタデーから、東京をはじめ、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、ツインはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Summit Entertainment, LLC.

ニューヨーク舞台アメリカン映画の、最新バージョンでおます。ここで唐突どすが、9.11以前のNY映画と、9.11以降に発表されたNY映画の、それぞれのマイ・ベスト&カルトスリーをば披露させてもらいま。

★9.11以前●ベスト⇒①タクシードライバー(1976年製作・以降の引用は全てアメリカ映画)②真夜中のカーボーイ(1969年)③アニー・ホール(1977年)

●カルト⇒①恋人たちの予感(1989年)②摩天楼(1949年)③サブウェイ・パニック(1974年)

★9.11以降●ベスト⇒①ユナイテッド'93(2006年)②再会の街で(2007年)③本作

●カルト⇒①華氏911(2004年)②ワールド・トレード・センター(2006年)③ギャング・オブ・ニューヨーク(2002年)てなカンジどすか。

9.11以前のNY映画は、ベスト①②みたいに、負のヨゴレのNYがクローズアップされたり、ベスト③やらカルト①みたいに、オシャレなラブコメディ・ノリが多かったんでおます。

ところがどっこい、9.11以降はNY映画は明らかに変わってきよりました。9.11当日とそれ以降について、シビアに描くNYものベスト①カルト①②やらに加え、NYの歴史を俯瞰しつつ9.11までを描いたカルト③など、9.11をポイントにした作品が多く生まれよりました。

でもって、そこにラブ・ストーリーであったり、友情ものであったりを入れつつ、それでもキズナは続く…みたいな映画は、実はそれほどござりまへん。それがベスト②であり、本作でおます。

9.11以前のカルト③みたいに、NYの地下鉄はホンマ危ないで~なとこから、本作は始まりま。グリーン系統の配色を施した、この1991年の母が殺されたシーンは、ヒロイン役エミリー・デ・レイヴィンちゃんのトラウマとなりよります。

ほんでもって、10年後の2001年へとお話は進みます。で、主人公役のロバート・パティソン君。かの全米大ヒットの「トワイライト」シリーズ(2007年~2010年・全3作)で吸血人間をやらはった若手どすが、彼もまた、アニキの自殺やらオトンとの確執やらで、トラウマ人間でおます。

この主人公とヒロインが出会わはって、ラブ・ストーリーが紡がれるっちゅう流れどす。

主人公のオトン役、ピアース・ブロスナンはんは何やら「ウォール街」(1987年)のマイケル・ダクラス的な、クールさを演じてはります。また、ヒロインのオトン役、クリス・クーパーはんは、エキセントリックな刑事役。2組の家族のキズナ描写・演出ぶりも、本作のでっかい見どころになっとります。

そして、サイレント的に伝えられる、ある人がテロで死んだあとの、死後の人々の姿やらの魅せ方は絶妙でおました。無名の人のオリジナル脚本がベースとゆうのんも、アラマ・ポテチン(ビックリ)どす。素人の作品とみられてしまっただけに、資金繰りやら製作に時間が掛かったらしいんやけど、もっと早くに作られるべき作品やったとボクは思います。

2011年8月 9日 (火)

スペイン映画「ペーパーバード 幸せは翼にのって」

Photo_2
疑似父子・旅一座仲間ドラマ映画のキズナが描かれよります

イロイロあるスペイン内戦もの映画でも、戦争戦争をカンジさせへん仕上がりどす

http://www.alcine-terran.com/paperbird

8月13日サタデーから、東京・銀座テアトルシネマやらで全国各地順番のロードショーどす

大阪やったら、9月上旬からテアトル梅田やらで公開でおます。

本作の配給はアルシネテランはんやで~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Vers til Cinema,Globomedia & Antena 3 Films. Exclusive Distributor: IMAGINA INTERNATIONAL SALES. All Rights Reserved

1936年から1939年にかけて起こった、スペイン内戦を背景にした、映画ジャンルに関わらず最も有名な作品てゆうたら、ヘミングウェイの小説「誰(た)がために鐘は鳴る」(映画は1943年製作・アメリカ映画)でおましょう。

映画では、ゲイリー・クーパーのヒロイズムと、イングリッド・バーグマンとの往年の、ハリウッド的ラブ・ストーリーがブレンドし、映画の中にいるみたいなウットリな映画になっておました。本作はそのウットリ部は、シットリ部になっとりまして、少年と2人のオトナのキズナ部で示されます。

少年・少女を主役級に据えて展開する点では、「ミツバチのささやき」(1973年・スペイン)とか「パンズ・ラビリンス」(2006年・スペイン&メキシコ)やらがあるかと思いますが、どちらかとゆうとその2作に見られるような、シュールなカンジはありまへん。あくまでストレートな直球勝負でおます。

まあ、内戦下の名劇場を立て直す映画「幸せはシャンソニア劇場から」(2008年・フランス&チェコ&ドイツ)のノリに、近いやも分かりまへん。但し、こちらは実の親子やなく、疑似親子の関係を描いてはります。

C
さて、作品の方へと目を転じてみまひょか。何よりもまず、ネタ不足かしましき今においてでんな、オリジナル脚本である点を評価したいところどす。スペイン内戦ちゅう歴史的事実をバックにしとったら、ともすると、よくある実話をベースにした作品かと思われがちどすが、コレが違いよります。

ホーム・グラウンドの劇場を出て、写真のトリオ芸人を始めとした、旅一座のロードムービー・スタイルどすけども、軍側がその大人気の一座に、スパイを潜入させはったり、ビミョーなやりとりやらの密約をやったりと、芸人ものの人情ものに、徐々にサスペンス度を加えてまいります。

でもって、遂には逃亡劇へと展開しよります。「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年・アメリカ)も、逃亡劇が後半のポイントになっとったけど、本作もそれに迫らんとする勢いがありま。「サウンド・オブ…」ほどやありまへんけども、ミュージカル部も充実しておました。

サントラ的には、感動的な弦楽オーケストラを、しょっちゅう流してはります。写真の3人でやる音楽芸、カルメン・マチのネーさんの踊りと歌やらで楽しませてくれはります。

モチ、大いなる見どころは、疑似父子のキズナどす。最初はどうでもよかったはずの少年が、主人公が生きている少年の母親を探して会い、さらにその後もいろんなことがあり、そして…。という流れの中で披露されるキズナ・シーンは、ジワリときよります。分かりやすいポピュラリティーある、スペイン映画どした。

2011年8月 8日 (月)

デンマーク映画「未来を生きる君たちへ」

Photo
2011年開催の今年のアカデミー賞で、外国語映画賞をばゲットしはった作品でおます

少年映画性と問題ありの家族ドラマ性が、シンクロナイズしよった時、ドラマはドッカーンとなるのかどうやろ?

http://www.mirai-ikiru.jp/

8月13日から、東京・TOHOシネマズ シャンテやら、新宿武蔵野館やらで全国順グリのロードショーやでー。

関西やったら、8月27日サタデーから、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマやらで上映どすえー。

スウェーデンとの合作となったデンマーク映画の、本作をば配給しやはるのんはロングライドはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸZentropa Entertainments16

見出しにも書きましたけども、本作はアカデミー賞の外国語映画賞ゲット作品の最新作でおます。

アカデミー賞は1927~1928年度作品を、審査の対象とした1928年度から始まっておますが、外国語映画賞が始まったんは1955年度からどす。その栄えある1回目は日本映画「宮本武蔵」(1954年・日本映画)がゲット。2年前の「おくりびと」(2008年・日本)の受賞時に、かしましく報道されたんで、みなはんも記憶に残ってはることでおましょう。

ところが、この賞そのものは、ヨーロッパ映画が圧倒的な強さをば示してはります。データ的なとこは、検索したらなんぼでも出てくるんで、ココでは省きますけども、ちなみに言いよりますと、過去の受賞作57作品中、ヨーロッパ映画は45作品どす。しかも、世界3大国際映画祭(カンヌ・ヴェネチア・ベルリン)を主催する、フランス&イタリア&ドイツ作品に限りますと24本にのぼります。日本は上記の2本のみどす。

そんなユーロ3大国の強力作品がある中で、通算3度目となる、デンマーク映画に栄誉をもたらしたんが本作なんでおますよ。女性監督スサンネ・ビア監督による作品どすが、珍しい女性監督作品とゆうよりも、すでにアメリカのアカデミー会員の間では、この方は有名でおました。「ある愛の風景」(2004年・デンマーク)が「マイ・ブラザー」(2009年・アメリカ)のタイトルで、ハリウッド・リメイクされてはるんどす。

ほな、ある種のコネ受賞かと思いきや、本作をじっくり見てみますと、なるほどな~と思いました。日本代表やった「告白」(2010年・日本)は、ノミネートすら外してしまいましたが、コドモの現代性を描く場合でも、リベンジ・ミステリーなエンタ性よりも、コドモたちそのものの現実を、ストレートに出す方が、会員の受けがいいとゆうことなんでおましょう。

ボク的には「告白」の方が、映画的娯楽性では上やと見ましたが、本作もエエとは思います。名作「大人は判ってくれない」(1959年・フランス)やらのユーロ映画で示された、大人に抵抗する少年たちという構図を作り出し、その少年たちの家族の現状を描き、さらに少年の父の、医者としての生き方を描いてみたりと、イロイロやってはります。

風の使い方、キレのある風景描写、アフリカとデンマークの対比描写やら、映画作家としての映像へのこだわりも、それなりにござります。しかし、それでも、何やら受賞マニュアル的な定型に、ハマッてはるようにも思いよりました。

しかし、コレはあくまで個人的な感想どす。但し、ラストシーンのコドモたちの友情を描くとこらは、母性的なとこが表現できる、女性監督らしさにあふれた名シーンやと思います。でもって、受賞を狙ってはったわけやない「おくりびと」と、改めて見比べてみるんも面白い鑑賞法かもしれまへん。

2011年8月 7日 (日)

ユニバーサル・スタジオが贈る「イースターラビットのキャンディ工場」

_main_web

コレぞファミリー映画の、ヒナ型でおまっせー

コドモたちの夏休みのシメには、どうぞ家族一同でお出かけくだされませ

http://www.easter-rabbit.jp/

オーガスト8月19日フライデーから、全国各地イッセーのロードショー街道だす。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やらで上映どす。

本作をば配給しやはるのんは、東宝東和はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

いきなりやけど、ファミリー映画の定義てなんやろな~。このブログで分析するいろんなファミ映で、ボクはゆうてきよりましたが、ここではジャンル的やなく、チョイ違ったとこから見てみます。

ディズニーはじめ、ドリームワークス、フォックス、ワーナー・ブラザースやら、本作のユニバーサルはんもやけど、ハリウッドが作るファミリー映画には、みなはんの方がよう分かってはるでしょうけども、ほとんどが人間語をシャベるシャベらへんに関わらず、動物キャラをメインに押し出してはります。

それは、アニメ、アニメと実写の融合(本作はこのバージョンだす)、完全実写ものに関わらず共通しとるんどす。なんでそうなんか? 子連れで映画を見に行った経験のある方は、すぐに感覚的にピーンときやはることでおましょう。

10歳未満のコドモは、映画館で実はじっと映画を見とるなんてことは、マレなんでおます。そんな中でも比較的、動物ものの日本語吹替え版には、それなりにじっとスクリーンに集中しよるんどす。まあ、「ハリー・ポッター」なんかは別格なんやけど。なんでかは分かりまへんけども。

そやから、コドモを基準にした家族みんなで見にゆく映画に、動物もんが主流になっとるんは、たぶんそういうことなんやろと思います。実地のマーケティングも繰り返さはったんやろな。

_sub1_web
とゆうことで、擬人化された動物主人公キャラの魅力が、大変重要になってきよります。でもって、本作はウサギの擬人化どす。

本作のティム・ヒル監督のキャリアとしては、「アルビン/歌うシマリス3兄弟」(2008年製作・アメリカ映画)をば撮ってはります。本作のウサちゃんも、歌手を目指すなんてゆう設定をば施してはりますが、メイン部ではありまへん。タイトル的には「チャーリーとチョコレート工場」(2005年・アメリカ)ともシンクロしよるかな。

そしてナンチューても、コドモたちに伝えるために正義、つまりヒーロー像としてのキャラをば紡いでゆかはります。でもって、勧善懲悪ドラマ。コレこそがファミリー映画として大ヒットするかしないかの、大いなるポイントでおましょう。

復活祭に重要なイースターラビットと、チリの顔だけのモアイ像があるイースター島をつなげはる設定。人間がイースターラビットになることが、家族のキズナへとつながる点。クライマックスのウサちゃんたちと、ヒヨコたちが対決するシーンやら。オトナ的にもええな~っちゅうとこも、モチござります。

ボク的には、売り出し中の若手俳優ジェームズ・マースデン君と、ウサちゃんとの相棒ぶりと掛け合いぶりが、オモロイかなと思いました。

2011年8月 6日 (土)

松山ケンイチ・香里奈・芦田愛菜ちゃん共演「うさぎドロップ」

Photo

イクメン映画の原点・チャップリンの「キッド」に、どこまで本作は迫れたんか、注目どすえ~

松ケンのアニキと愛菜ちゃんの、楽しい掛け合いがオモロおまっせー

http://www.usagi-drop.com/

葉月8月20日サタデーから、ドカーンと全国ロードショーやでー。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映どす。

本作をば配給しやはるのんは、ショウゲートはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1
Ⓒ2011『うさぎドロップ』製作委員会

イクメン映画でおます。

男が育児する映画なんやけど、このタイプの映画のルーツて何やろと考えたところ、チャップリン監督・イクメン役の「キッド」(1921年製作・アメリカ映画)ちゃうかなーと思いました。

それより古いのんあるかな、どうやろ? ボクが見れてへん映画もあるしな~。でも、「キッド」は育児のディテール部分は省略形で描いてはったけど、本作はガチでマジでおます。

しかも、オカンが家出してしまよったから、しゃーないことなしにオトンが息子の面倒見てはった「クレイマー、クレイマー」(1979年・アメリカ)とも違い、オトン・わが子とゆう関係ではござりまへん。

松山ケンイチのアニキのオジンが、家政婦との間でもうけてしもた娘(芦田愛菜ちゃん)どして、オジンの葬式に出たところ、1人で寂しくこの娘がおったんどすわ。松ケンのオトン(中村梅雀はん)・オカン(風吹ジュンはん)・妹(桐谷美玲ちゃん)は、オカンが誰やら分かれへんコノ子、一体どないすんねんやろと、まるで赤の他人節でおます。

ところが、つい衝動的に松ケンが愛菜ちゃんに「オレのとこに来るか」とゆうたばっかりに、1人暮らしの松ケンのとこで愛菜ちゃん、暮らすことに決めてまいました。アラマ・ポテチン。

2
かくして、2人だけのラブ・ラブ(!?)生活の始まり・始まりでおます。

本作はコミック原作でおまして、コミック原作にありがちな一部設定に、リアリティーのなさがあるやも分かりまへん。でも、2人のキズナを強引に築いてゆくシーンの数々に、文句をつける間もなく圧倒されよります。

しかも、演出スタイルは、愛菜ちゃんやらコドモたちに寄り添うアドリブ的演出に、松ケンやらが合わせはるようなカンジなんどす。まあ、自然体といえば自然体なんやけど、ノレるところとノレへんところが見る人によっては、あるやも分かりまへん。

そやけど、コレをディズニー的なファミリー映画として見てみたら、しっくりくるんどすわ、なんでか分からへんけども。

とにかく、手をつないでの2人のツーショット・シーンがリズミックでおます。夕景のセピア配色をバックにしたり、スロー・モーションで魅せたりとエエカンジどす。

でもって、松ケンと香里奈ネーさんとのやり取りも見どころやでー。16ビートのタイトなカヨー・ロックに乗った、2人の妄想ダンス・シーンのキレやらは、さすがSABU監督やなーってカンジや。消えたコドモたちを探すシーンでは、監督らしい疾走感あるシーンも披露されよりま。

いずれにせよ、家族みんなで見に行ける良質の1本でおました。

2011年8月 5日 (金)

日本映画「アメイジング グレイス~儚き男たちへの詩~」

Main
窪塚俊介クンと宮田大三クンをメインに、オトコギのやるせなさを描かはりました

神田沙也加ちゃんも、癒やしの演技で好演どす

http://www.leone.co.jp/amazing-grace/

オーガスト8月13日サタデーから、東京・シネマート六本木やらで、全国順グリのロードショーだす。

関西やったら、9月10日から大阪・シネマート心斎橋で上映やでー。

本作をば配給しやはるのは、グアパ・グアポはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 LEONE

本作は暴走族青春映画プラス、ヤクザ映画とゆうことになっとります。

なるほど、確かに1997年設定で暴走族が、16ビート・ロックに乗って走って暴れとるシーンから始まります。「狂い咲きサンダーロード」(1980年製作)ほどは爆発してへんけど、江口洋介と織田裕二が共演しはった「湘南爆走族」(1987年)くらいはイケとるかと思います。

でもって、暴走族のお話は最初の方だけでおまして、この暴走族のリーダー役の窪塚俊介クン(アニヤン洋介より落ち着いた演技ぶり)と、宮田大三クンが、2年後にそれぞれヤクザになっとるとゆうことになっとります。ほんでもって、2人がそれぞれヤクザとして生きてる姿をば描いてゆかはります。

そしたら、どないしても見てる者にしてみたら、この2人がやがては再会し、対決する運命にあるんやろなーとつい、期待してしまうんどすが、2人は別々の組に所属してはって、部分部分のつながりでは会いそうになるんやけど、これがなかなか会わはりまへんねん。

ウーン、なるへそ、こういうヤクザ映画としての描き方は、新しいかもしれんへんぞと思い始めたところが、遂にとゆうかやっととゆうか…。東映のヤクザ映画的な対決シーンもあるし、ヤクザのVシネマ的な大仰な演出も施されてはおます。しかし、本作の一番のキモは、男のコトバにできへん意地とかやるせなさどす。

Sub1
友情ドラマとはチョイ違うでしょうな。確かに「仁義なき戦い」第1弾(1973年)の菅原文太はんみたいに、殺されたダチ宮田クンのために、ケジメつけようかいやとゆうようなシーンはありまんねんけども、その窪塚クンのキモチは、文太はんのキモチとはビミョーに違うように思います。

それは多分、「オレたち5人が家族なんだ」とゆう暴走族の青春時代を過ごし、その後1人の仲間の死によって、みんなバラバラになってしまった体験をした、2人にしか分からない繊細なところどす。そこんとこを、みなはんがどう感じるのかが、本作のでっかいポイントやと思います。

確かに、2人のシンクロナイズせえへんヤクザ人生を、対比させてゆくだけの手法は、ドラマティックさに欠けたり、漫然となったりしかねまへん。スムーズに流れていかないとこもあるんやけど、でも、見終わったあとの哀愁感は、なかなかのもんやと思います。

その癒やし系の哀愁感の一因は、神田正輝オトンと松田聖子オカンの娘はん、神田沙也加ちゃんの存在でおましょう。1分強の美保純ネーさんとのやり取りとか、2人の男との長めの絡みシーンなどに、さわやかな見ごたえがござります。

冒頭とラストがつながってるんやけど、沙也加ちゃんが歌う癒やしの名曲「Amazing Grace」も、しっとりとココロに潤いをもたらしまっせ。

2011年8月 4日 (木)

ジュリアン・シュナーベル監督の新作「ミラル」

Photo

写真のフリーダ・ピント嬢が魅せはる、ヒロイン・ドラマ映画でおます

しかも、ジュリアン監督のアニキらしい、斬新な撮り方の数々が、映画ファンのココロをくすぐりまっせー

http://www.miral.jp/

8月6日土曜日から、東京・ユーロスペースやらで、全国順次のロードショーどす。

関西やったら、セプテンバー9月3日サタデーから、大阪のシネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場やら、9月中旬以降から、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらで上映どすえ~。

フランス・イスラエル・イタリア・インドの合作となった、本作をば配給しやはるのんは、ユーロスペースはんとブロード・メディア・スタジオはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸPATHE-ER PRODUCTIONS-EAGLE PICTURES-INDIA TAKEONE PRODUCTIONS with the particpation of CANAL + and CINECINEMA A Jon KILIK Production

みなはん、ジュリアン・シュナーベル監督のアニキって知ってはりますやろか。アメリカ・ニューヨーク出身アメリカ在住で、今年還暦をば迎えはります。

「バスキア」(1996年製作・アメリカ映画)で監督デビューをしはり、「夜になるまえに」(2000年・アメリカ)でヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞ほかを、「潜水服は蝶の夢を見る」(2007年・アメリカ&フランス)ではカンヌ国際映画祭で監督賞ほかをもろてはります。

いわゆる、アート映画系の監督やけど、世界3大映画祭(2月のベルリン・5月のカンヌ・9月のヴェネチア)やらアカデミー賞では、シブいとこで賞をもろてはる監督はんどす。

本作を含めまして、まだ5本しか作品を発表してはらへん寡作の監督はんどす。これからますます期待大でおましょう。男の映画を撮り続けてきはったそんなアニキが、初めてオナゴしのドラマをば撮らはったんが、本作どすえー。

しかも、1947年から1994年までの約50年近い、半ば大河系ドラマのノリどしてな、ヒロインズ・リレーション系で描く、なんちゅーワザをば披露しはりまんねん。

もちろん、本作にはルーラ・ジブリール姉さんの原作がござります。ほとんど実話らしいどす。イスラエル兵に家族がやられてしもて孤児になった、パレスチナのコドモたちを集めて、寄宿学校をば始めはったヒアム・アッバスはん。家出してダンサーになり、殴っただけの軽犯罪で服役しはったオカン。

そのオカンを服役後、イロイロ世話してはった義理のオトン。オトンは孤児になったコドモたちを、ヒアムはんの学校へと連れてきてはりました。そして、登場しはるんが、オカンの娘ヒロイン役のフリーダ・ピントちゃんでおます。実のオトンは誰やはさておき…。

2

「スラムドック$ミリオネア」(2008年・イギリス)でも魅力全開やったけど、このフリーダちゃんが、往年のハリウッド映画的ヒロイン・ドラマを、抑圧されるパレスチナの世界で魅せてくれはります。クローズアップによるラブ・ストーリー部しかり、義理やけど父娘のキズナ部などに展開しよりま。

でも、ナンチューても、監督の斬新な映画的カットやシーンの数々でおましょう。映画ファンに訴求するだけやおまへん。フムフム、なるほどと納得できるシーン、でもってココロに残るかどうやらは別にして、少なくとも刺激するシーンがテンコ盛りでおます。

手持ちカメラによる揺れるカットはようありますが、パン(横移動撮影)の巧妙な使い方、近接撮影の臨場感、自然光と陽の帯など陽光のシーンへの取り込み具合やら。ボクとしては、ヒロインのオカンが海へ投身自殺するシーンの映し方やらが、アンフォゲッタブルやったどす。

2011年8月 3日 (水)

音楽ドキュのニュータイプ「ワンヴォイス ハワイの心を歌にのせて」

One_voicemain_mail

ハワイアン、アロハ、ウクレレ、フラダンスやらのハワイ・ミュージックのイメージを変える映画どすえ~

ハワイの歴史が見えてきよる、ディテールの描き込みも秀逸

http://www.onevoicemovie.jp/

オーガスト8月6日サタデーから、東京・シネクイントやらで、全国順グリのロードショーだす。

関西やったら、8月20日土曜日から、大阪・梅田ガーデンシネマやらで上映どす。

本作のアメリカン・ドキュを配給しやはるのは、グラッシィはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

One_voicesub1_mail
Ⓒ2009 Juniroa Productions Inc.

ただ今、女性監督がお贈りする、いろんなドキュメンタリー映画をば、3日連続にて分析しておます。主舞台も中国⇒パレスチナ⇒ハワイと、世界のほぼ半球をば巡っとります。

ほんでもって、本作は音楽ドキュメンタリーとゆう触れ込みになっとるんやけど、コレがなんとまー、音楽ドキュには今までになかったようなタイプになっとりま。

描かれる音楽ジャンルは、いわゆるワールド・ミュージックにカテゴライズされるところのでんな、ハワイアン・ミュージックどす。ところがどっこい、ココで歌われるハワイ音楽はボクらがよう耳にしてきたようなもんとは、えらい違っておますんどすえー。

アロハ、エ~なハワイアンをはじめ、伝統楽器のウクレレはチョイ出てくんねんけど、メインやおまへん。ハワイアンとレゲエを融合した今どきのジャワイアンはモチ、フラダンスなんてのも出てまいりまへん。

ハワイ語によるコーラス・ナンバーとゆう、88年の伝統を持つ音楽とゆうか歌ものなんでおますよ。まあ、日本でゆうたら、唱歌・童謡のたぐいになるやも分かりまへん。しかも、高校生たちを中心に、毎年ハワイアン・スクール・ソング・コンテストが開催されとりまして、それがハワイ州内とゆう限られた空間では、モノゴッツーな大騒ぎになっとるんどすわ。

One_voicesub2_mail
コンテストに参加すること、そして、優勝・入賞することの名誉が、高校生たちへのインタビューだけやなく、生徒の家族へのインタも含めて、ボクらのとこへ伝えられよります。え? そんなに一大事なイベントなんかいやと思っとると、それと同時に、ハワイの歴史なるもんがチビチビ伝えられてまいりまして、ハワイ語へのハワイ人のただならぬ想いが、ゆっくり胸に入ってきよります。

1896年にアメリカに侵略されて支配下に置かれてしもた過去やらは、アメリカとして日本に攻撃されたパールハーバー的イメージを、ガラリと変えるもんでおました。

でも、ハワイ旅行を疑似体験してるみたいなハワイの美風景が、随所に盛り付けられておまして、肩を張って見るようなことはありまへんのでご安心くだされ。

でもって、音楽ドキュでコンテスト系やから、当然クライマックスはコンテスト・シーンどす。盛り上がれまっせ。それに、ラストロールでは、ハワイ語バージョンによる「涙(なだ)そうそう」が流れます。ええわ~。

なんやけど、それでも、何か音楽ドキュとしての異能感みたいなんは、頭にこびり付きました。とにかくも、音楽ドキュの新しどころを紡がはったんは、間違いござりまへん。

2011年8月 2日 (火)

ドキュメンタリー「ぼくたちは見た-ガザ・サムニ家の子どもたち-」

Main_2

Sub1

Sub2

紛争下のコドモたちの生きる姿を捉えた作品どす

少年・少女たちの姿が思わず涙を誘いよります

http://whatwesaw.jp/

8月6日の土曜日から、東京・ユーロスペースやらで、全国順グリのロードショーでおます。

大阪では、セプテンバー9月3日サタデーから、第七藝術劇場で上映だす。

本作の日本映画をば製作・配給しやはるのは、アジアプレス・インターナショナルはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒアジアプレス・インターナショナル

イスラエル軍がパレスチナを攻撃するとゆうのんは、恒常的に続いておます。それをイスラエル軍兵士の談話を基に、構築しはったドキュメンタリーが「沈黙を破る」(2009年製作・日本映画)どした。「キネマ旬報」文化映画の、年間ベストワンに輝かはった作品どす。

本作は、その作品と対になるような作品やないかいなと、ボクはジャッジいたしました。ヒロイン・ドキュ「ガーダ~パレスチナの詩~」(2005年・日本)に続き、女性監督の古居みずえネーさんが、撮影も兼ねて撮らはったんやけど、女性らしい母性的な視点が、極悪非道な非情な実情やのに、柔和な感触がござりました。

攻撃的なジャーナリスティックな視点が目立った「沈黙を破る」とは、やはり違(ちご)ておます。また、アニメとはいえ、問題作でケッサクの「戦場でワルツを」(2008年・イスラエル&ドイツ&フランス&アメリカ)よりも、柔らかくカンジました。社会派ドキュメンタリーとゆう、ドカーンと抗議しまっせーな感覚が、全くないとは申しまへんが、そんなにピリピリしてはりまへんねん。

ナンチューてもその成果は、被害に遭った家族の、生き残ったコドモたちをメインにインタビューし、追いかけはったことでおましょうか。「ビルマの竪琴」(1956年・1985年・日本)で演奏された曲を流しもって、オリーブの木さえ枯れ木となってもうた、瓦礫の山のガザ地区をば、ゆっくり映してゆかはります。

そして、インタビューされるコドモたちが次々に出てきよります。「どんな悲しみもいつか終わる」と歌う少女たち、家族を亡くして絶対笑わなくなった少女は、「おかあさんはいつも死にたいと言ってた、神様は願いをかなえてくれたのよ」と語り、でもって、家族の銃殺を目の前で見た少年の暮らしぶり、コドモたちのケアセンターの様子、風吹く中で「なぜ全てを奪ったの?」と語る少女の怒りやら…。

暗い話ばっかりやんと、思われるやもしれまへんけども、でも、コドモたちはそれでも、未来に希望をもって生きていかんといけません。そういう希望的なシーンも、入れたいのはヤマヤマどすが、コレが難しい。

しかし、ラスト・シーンやらに、希望の芽みたいなんを紡いではるようにも見受けられました。ラストロールで流れる竪琴の響きは「ビルマの竪琴」を思い出させますし…。

このあと分析しよります、実話をベースにしたドラマ映画「ミラル」(東京8月6日公開)も、本作で描かれるシビアな世界を、ドラマティックかつ感動的に描いてはりますんで、注目しておくんなはれ。

2011年8月 1日 (月)

傑作ドキュメンタリー「遥かなるふるさと 旅順・大連」

Harukanaru_01
キネマ旬報文化映画年間ベストワンやらツーの常連・羽田澄子監督による新作どす

本人のナレーションにより、彼女の故郷・中国への思いが綴られとりま

http://www.jiyu-kobo.com/

葉月8月6日土曜日から、大阪・第七藝術劇場で上映後、神戸アートビレッジセンター、京都シネマやらへと回り、順次ロードショーでおます。

本作を製作しはり配給しはるんは、「自由工房」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ドキュメンタリー映画やなんて、みなはん、どんなもんなんでしょうか。見にいかはるようなことはあるんでおましょうか。

以前、ドキュを分析した時にも、ボクはイロイロゆうとったんですが、ドキュの売れ線をば見てみますと…。ネイチャー・ドキュ、動物ドキュがあり、社会派ドキュやらがあります。

本作は女性らしい視点からアプローチされた作品でおます。地味どす。いやあー、どないゆうたらええんでおましょうか、一歩間違えてしもたら、プライベート・フィルムにも、なりかねへんようなもんでおます。

でも、羽田澄子はんの場合は、大いに違(ちご)ておるんどすえー。そんじょそこらのもんと一緒にできるわけがおまへんねん。

日本の映画界には、岩波映画とゆう、ドキュ映画の老舗映画会社がおます。岩波映画で検索してみはったら、モノゴッツー出てきよりますんで、まあ、時間のある方はやってみておくんなはれ。彼女はそんな岩波映画に定年まで勤めてはりまして、その後フリーとならはり、レベルの高い作品をば次々に作ってきはったんです。

彼女のドキュのスゴサは、女性らしさはもちろん、自然体の作り、そして、何や知らん最終的に、ウーンやったりオーッやったりムムムやったりするドキュ的な仕掛けでおます。

「キネマ旬報」の年間ベストテンでは、日本映画のベストテン(最高は惜しい12位)にはいまだ入ってはりまへんが、文化映画では1位と2位にケッコー選ばれてはります。そやから、どないやねんなんてゆわはるかもしれんけどでもいっぺん、羽田はんの作品を見ていただいたら、よう分かるかとは思いよります。

でもって、本作の作りは、本作よりシリアスやった前作「嗚呼 満蒙開拓団」(2008年製作)より、ゆる~いカンジの作りになっとります。その一番の要因は、監督の淡々としたナレーション、押しも退きもなく、流れのままにシャベらはるトーク・スタイルどす。

しかも、監督の故郷・中国の旅順・大連へ、1人で個人的に行くんやなく、わざわざ団体ツアーに申し込んで参加し、本ドキュを撮影するとゆうユニークな方法をば採ってはります。そのリラックスした雰囲気の中で、撮り上げられるシーンの数々に、過去のモノクロ写真をイロイロとモンタージュしはります。

二百三高地やら旅順監獄やら、大連・旅順の2010年の今の風景と共に、監督の故郷への思いも、しみじみと伝わってきよるシブ~い作品に仕上がっておました。

« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »