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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年7月の記事

2011年7月31日 (日)

日本映画「日輪の遺産」

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原作・浅田次郎&佐々部清監督&堺雅人主演のトリプル・ハットトリック・ワークスが見事にハマッとります

「日本のいちばん長い日」「ひめゆりの塔」「氷雪の門」やら、太平洋戦争1945年8月ものに、新たなケッサクが加わったでー

http://www.nichirin-movie.jp/

葉月8月27日の土曜日から、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、MOVIX京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

本作をば配給しやはるのは、角川映画はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「日輪の遺産」製作委員会

日本映画の戦中・戦後もの映画は、昨日分析した「一枚のハガキ」など、これまでに多数作られてまいりました。終戦を迎えた8月15日前後を、描いた映画もそれなりに出ておます。そんな中でも本作は、今までに描かれへんかったところに目を付けはりました。

いわゆる、戦争秘話っちゅうヤツどすわ。マレー戦線で、当時マレーを差配してはったアメリカのマッカーサーが、持ってはったらしい200兆円の金塊を、日本国軍が奪取しやはったらしい。でもって、その金塊を敗戦後の日本の未来に使わんと、軍部はどっかに隠そうとしはります。

終戦間際に、その命令を受けてしもたんが、堺雅人・福士誠治の各アニキの2名に、現場の兵士の中村獅童アニキどした。みんな、心優しき軍人はんなんでおますよ。で、上からの命令なんやけど、堺アニキらはその仕事を、内緒で女学校の生徒たちにヤラセはりまんねん。その金塊は新兵器やとゆうて、とある洞窟へと運ばせはるんどす。

写真下に写ってはるユースケ・サンタマリアのアニも、誠実な教師役として、生徒を引率してこの任務に参加しはります。

いやあー、何と言いますか、このミッションどすが、広島と長崎に原爆が落とされたあとの話で、終戦までの5日間くらいの話なんやけど、その臨場感は当時の時代に生きてるくらいのもんがありました。原爆投下の話は今なら即時伝わるんどすが、彼らのとこには伝わってへんのどす。そやから、当時の通信事情を知らはらへん人は、なんでそこまでメチャメチャやのに、冷静に任務ができんねんと思わはるかもしれまへんが、まあ、そういうことでおます。

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少女たちやウラ若きおネーさんが、災難に遭う「ひめゆりの塔」(1953年・1982年・1995年)やら「氷雪の門」(1974年)やらの悲劇を、実はこの作品も体現することになりよります。

日本の敗北を伝える昭和天皇の玉音放送前後の、壮絶な軍部のスッタモンダを伝えた問題作「日本のいちばん長い日」(1967年)と関連するシーンも、出てまいります。

佐々部清監督的には、戦争関連作品としては、広島原爆の後遺症を超えて、家族の深いキズナを描いた「夕凪の街 桜の国」(2007年)、市川海老蔵主演で特攻・自爆テロを描いた「出口のない海」(2006年)なんぞがあります。それらの作品と比べると、本作は「夕凪の街…」に迫る、現代へと通じる、大河的なドラマ性を有してはります。

現代からの回想を、事件関係者の子孫たちと、当時関わったマッカーサーの通訳の2方向性から描かはるんも、それをば示してはるし、堺アニキらの戦後のヒロイックな行動ぶりには、目を見張らせますで。

そして、浅田次郎原作映画のワンポイントには、「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年)しかり、「地下鉄(メトロ)に乗って」(2006年)しかりなんやけど、“生きている者が死んだ者と会う”感動的なシーンが、ちゃんと用意されておますんで、せいだい泣いておくんなはれ。

2011年7月30日 (土)

新藤兼人監督最後の作品「一枚のハガキ」

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大竹しのぶネーさんとトヨエツのアニキの、演技バーサスが大いなる見ものでおます

戦中・終戦直後映画の範疇に入る映画ながら、深みある人間ドラマ性がココロにきよります

http://www.ichimai-no-hagaki.jp/

葉月8月6日の土曜日から、東京・テアトル新宿やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西では、8月13日土曜日から、テアトル梅田やらで公開どす。

本作をば配給しやはるのは、東京テアトルはんどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/ブランダス

新藤兼人監督の最後の作品でおます。1951年に「愛妻物語」で監督デビューして、今までものすごい数の映画を撮り、脚本を書いてきはりました。

そして、本作は監督のこれまでの総決算とも呼ぶべき仕上がりになっとるんどす。

突然どすがここで、余りにも数多い新藤監督作品の、マイベスト・カルト各スリーをば披露しよります。

●ベスト⇒①裸の島(1960年製作)②愛妻物語③午後の遺言状(1995年)

●カルト⇒①絞殺(1979年)②生きたい(1998年)③ある映画監督の生涯-溝口健二の記録(1975年・ドキュメンタリー)

でもって本作は、監督がかつて撮らはった、広島原爆もの「さくら隊散る」(1988年)とか、その原爆の後遺症を描いた「原爆の子」(1952年)みたいに、太平洋戦争戦中・戦後の物語でおます。

かといって、単純に戦争を批判するような作りにはなっておりまへん。戦争によって不幸に遭った男女が出会い、2人で前向きに生きてゆくとゆうとこまでを描かはるんどす。戦争を振り返るスタイルとは、ビミョーに違っとります。

さらにハガキがポイントになっとる点では、戦争映画の傑作「硫黄島からの手紙」(2008年・アメリカ映画)へと、シンクロナイズしよります。_mail_3
戦争未亡人とならはる大竹しのぶネーさんサイドと、妻と父に裏切られる豊川悦司トヨエツのアニキのサイドが、まず物語られよります。それぞれの家族のネジレ系が披露されておりま。ネジレ家族ドラマは、新藤監督作品のワンポイントどして、カルト①②、ベスト③なんぞとシンクロするかも。

でもって、トヨエツがしのぶネーの戦死した夫の様子を知らせるために、しのぶネーのとこへ行かはるんどす。本編の後半は、この2人を中心に、静かで緻密、でもって抑揚を効かせた演技バーサスが展開するんどす。

トヨエツがしのぶネーに経過を淡々と報告し、しのぶネーがショックのあまり激昂してゆく、4分~5分にわたる長回し撮影の鬼気迫るカンジ。しのぶネーが歌謡曲「影を慕いて」を、涙を浮かべながら口ずさむシーンとか、2人のココロが結ばれる対話シーンとか、長回しで魅せる2人の演技ぶりの掛け合いが、胸にグッときよります。

セピアの麦畑にいる、2人のロングショットのラストシーンは、忘れがたいショットになっとります。そして、ベスト①や②に続く…てなカンジどすか。

脇役のシブミにも注目あれ、どすえ。自殺してまう、しのぶネーの義母・倍賞美津子はん。後半では主演の2人と、アンサンブル演技とゆうてもええ妙演を披露しはる大杉漣はん。クジで出兵を決められてもうて、結局戦死してまう六平(むさか)直政はんら。主演の2人のラブ・ストーリーを光らせる、演技サポートぶりどした。

2011年7月29日 (金)

アニメ映画第8弾「劇場版NARUTO ブラッド・プリズン」

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短編「炎の中忍試験!ナルトVS木ノ葉丸!!」との2本立てやでー

島もの刑務所ものやけど、ミステリー・サスペンス・アクション的にもオモロイ仕上がりどっせー

http://www.naruto.com/

ジュライ7月30日サタデーから、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショー街道でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

Ⓒ劇場版NARUTO製作委員会 2011

2004年から始まって、毎年1作ずつ劇場版が公開されよりまして、今回で第8弾でおます。昨年のシリーズ第7弾(2010年7月29日付けで分析)に続く分析どす。

シリーズものっちゅうのんは、おんなじようなことを毎度毎度、書いてんのんとちゃうのんと、思わはるかもしれまへんけど、アクセス数がメッチャ多かった第7弾とは、違うことをばできるだけ書いてみよりました。

主人公ナルト・アニキのため口「だってばよ!」は、今回はタイトルに入っておませんが、しょっちゅう「だってばよ!」てゆうてはるんでご安心めされ。

今回は前作のSFスタイルとは違いまして、現代時空間で展開する、島もの刑務所が舞台となった、ユニークな設定どすえ。アクション的には「ザ・ロック」(1996年製作・アメリカ映画)とか、ミステリー的には「シャッター・アイランド」(2010年・アメリカ)やらみたいな雰囲気もござります。

その刑務所の支配者はでんな、何でも願いが叶うハコを開けるために、イロイロ画策してはるんどす。まあ、運命のパンドラのハコなんやもしれんけど、このハコなんてゆう設定は、「ハリー・ポッター」の破壊すべき対象となる分霊箱なんかを、思わず思い出したりしよりますけども、コレが本作のでっかいポイントになっとります。

クライマックスでドカーンと覚醒するエイリアンみたいなヤツと、ナルト・チームとの対決は、いつも通りハラハラドキドキしよりますが、そこに、父子やら幼なじみの2人のキズナやらも仕込まれておます。

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薄色、モノクロもあるんやけど、今回の色使いは作品内容からでおましょう、ダーク感を基調にしてはります。灰色の雲はしょっちゅう空にわだかまっておますし、着てる服やら場所柄でおましょうか、ダーク・ブラウンな色合いが目立ちます。

特に、ボクがこりゃ大変やったやろな~とゆうシーンは、夕方のセピアと灰色雲を混合し、グラデーション的にも見せてはったような空模様配色でおました。

さて、見出しに書きよりました短編も、いつものように入っておます。ナルト・アニキと部下の木ノ葉丸との決戦どす。皮肉な結末が待ってるこの作品もまた、ナルト・ファンにはサプライズなんやないかなと思います。

サントラもシーンに合わせて軽快でおます。歌ものでゆうたら、短編で流れよりますOKAMOTO'Sの歌は、タテノリの16ビート。ほんでもって、本編のラストで流れる遊助アニキの「雄叫び」は、1990年代によくあった、ポジティブなJポップ・ナンバーやったんで、ボク的には乗れましたし、両曲ともに本作の作品性にマッチしておりました。

2011年7月28日 (木)

「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」

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めくるめく映画の薀蓄と、映画史の一面を俯瞰するスゴサに脱帽の映画ドキュメンタリーどす

2人の作品を中心に、「リュミエールの子供たち」みたいにフランス映画史の一時代が見えてきよります

http://www.cetera.co.jp/nv

東京では7月30日から9月2日まで、新宿K's cinemaで公開どして、その後全国順次公開どす。

関西では、オーガスト8月27日土曜日の晩夏から、大阪・第七藝術劇場やらでロードショーだす。

本作を配給しやはるのんは、セテラ・インターナショナルはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸFilms a Trois 2009

ジャン・リュック・ゴダール監督(写真左)と、既に逝去(1984年没)してもうたフランソワ・トリュフォー監督と申せば、ゴリゴリの映画ファンの間では、神聖化・カリスマ化しておます。

しかし、ココでは映画初心者向けに、できるだけ分かりやすう解説・分析したいと思います。

2人の作品の部分的なシーンとか、2人以外の監督作品のシーンが思いっきし出てきよります。既に見てはる方には、ああ、あの名シーン、この名シーンとなるんやけど、見てへん人には、はっきり言ってチンプンカンプンでおましょう。

2人の作品を1作も見ずに、この映画を見にいくんは、はっきり言って無謀でおます。そやから、ツタヤやらでレンタルして、少なくとも各監督の2作くらいの4作は、最低限見ていった方がよろしいでしょう。

ゴダールやったら「勝手にしやがれ」(1959年製作・フランス映画)、トリュフォーは「大人は判ってくれない」(1959年・フランス)は、必見予習作やと思います。

このドキュメンタリーは、フランス映画史の1950年代あたりから1970年代までを描いてはります。で、この2人の映画に関わる最初のキャリアは、映画評論家でおました。「カイエ・デュ・シネマ」とゆう映画評論雑誌は、フランスの映画雑誌の老舗どす。2人はここで鋭い映評を発表すると共に、いろんな映画人へのインタビューもしてはりました。映画評論家がのちに、映画監督をやるやなんてのは、おそらくこの2人が嚆矢なんやないでしょうか。

でもって、「ヌーヴェルヴァーグ」とゆう映画ジャンルどす。フランス語のそれは、日本語訳では“新しい波”の意味です。では、何がどない新しかったんでおましょうか。そのあたりも本作は分析してはります。

これまでにないようなもんを描いてはるから、新しいわけやけど、そやからとゆうてどこがどう新しいんかは説明できまへん。それを説明しやはる人もいてはるけど、アメリカの「アメリカン・ニューシネマ」にしても、低予算でどうのこうのなんてあったけど、やはり、コレは観客のみなはんがカンジるところのもんでおます。コドモの抵抗とかユニークな三角関係やら、ヤケクソぎみの生き方とかに、その時代なりの新味があるとゆうことでおましょうか。

ボク的には2人の関係性を、過去の映像を絡めながら、描いてゆくとこに妙味を覚えました。2人は1960年代の末に、別々の方向性を目指して違う道を歩んだことになっとります。でも、ボクはトリュフォーの死を、盟友ゴダールはどう受け止めたのか、2人の友情節とは申しませんが、そのあたりも見せてくれはったら、良かったかと思いました。

いずれにいたしましても、「リュミエールの子供たち フランス映画100年の夢」(1995年・フランス)に続く、フランス映画を俯瞰する会心作になっとります。

2011年7月27日 (水)

桐谷美玲ちゃん主演ミステリー「スノーフレーク」

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大学生ヒロインが調査・推理・活躍しはる軽ミステリーの快作

美鈴ちゃんが「乱反射」と同じく、主題歌も披露しはります

http://www.ranhansha-snowflake.jp/

オーガスト8月6日サタデーから、昨日分析いたしました、同じく美玲ちゃん主演の「乱反射」とのお得な2本立てにて、全国ロードショーでおます。

東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋やらで上映しはります。

本作をば配給しやはるのんは、スタイルジャムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011「乱反射/スノーフレーク」製作委員会

角川アイドル映画色がありながらもでんな、ミステリー的な面白さのある映画でおます。女子大生ヒロインの美玲ちゃんが、幼なじみで好きだった少年の死のナゾを追う展開どす。

海へクルマで突っ込む一家心中で、全員死んだはずやのに、少年の死体だけが上がりまへんどした。そやから美玲ちゃんは、今でも彼は生きてはると脳裏で思てましたところ、彼らしき人物が目の前に現れはるんどすわ。

でも、彼のイトコやねん。それでも、イトコのコトバやらから、美玲ちゃんは彼は生きていると信じはって、同じく幼なじみの男の子と調査を続けてゆかはるんどす。

幼なじみとゆうキーワードにおいては、今年映画化された「白夜行」(東野圭吾・著)やら、テレビドラマ化された「永遠の仔」(天童荒太・著)ほどには、本作はヘヴィーやありまへん。軽めの作りなんどす。モチ、美玲ちゃんのアイドル性を打ち出す意味においては、それは正解やと思いました。

例えば、そのノリは「探偵物語」(1982年製作)の原作者・赤川次郎的やったり、現在売れてる、東川篤哉アニキの「謎解きはディナーのあとで」みたいなカンジかな。

但し、事件10年後とゆう設定に、その10年間は一体どないやったの、どないしてはったのん? っちゅうとこもありますが、記憶障害とかのソースを入れたり、メイン・ネタ部などには、なるほどなとゆう説得力はござりました。

でも、本作はあくまで、ミステリー映画としての部分よりも、美玲ちゃんのアイドル性を示す方に、比重がかけられとるように思いました。アップ、クローズアップの多さはモチなんやけど、昨日分析した「乱反射」と同じく、映画の歌(主題歌もしくは挿入歌)を自分で歌(うと)てはるとこもそうなんでおますよ。

この手法は日本映画では、美空ひばりあたりから出てきたもんどして、角川アイドル映画も踏襲してはりました。本作では美玲ちゃんは2曲披露でおます。ピアノからしっとり始まるスロー・バラード「サヨナラまでの間」と、ラストロールで流れる、キャッチーなポップ・ミュージック主題歌「スノーフレーク」どす。でもって、本編ではピアノやらバイオリンをフィーチャーした、オーケストラ・サウンドをサスペンスフルに使ってはりま。

そして、「乱反射」と同じく、地方ロケ(函館)のウルウル感がござります。美しい夜景シーンやらが、旅情サスペンスを盛り立てておますよ。

2011年7月26日 (火)

桐谷美玲ちゃん主演ラブ・ストーリー「乱反射」

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かつてのアイドル映画よ!今1度と、美玲ちゃんを通して描かはった爽快作でおます

青春恋愛映画のビミョーなとこを、旬の地方ロケーションやらを通して描かはります

http://www.ranhansha-snowflake.jp/

オーガスト8月6日サタデーから、明日分析しよります、同じく美玲ちゃん主演の「スノーフレーク」とのお得な2本立てにて、全国ロードショーでおます。

東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋やらで上映しはります。

本作をば配給しやはるのんは、スタイルジャムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011「乱反射/スノーフレーク」製作委員会

かつてのアイドル映画やなんて、メッチャ幅の広いことをばゆうてしまいましたが、基本的には、1980年代の角川のアイドル映画でおます。でも、それ以前にも、いっぱいアイドル映画は出ておました。

当時の若者たちを対象にしはった、アイドル映画とゆうのんは、時に2本立て(1970年代以降に多かったかな)にて上映されとりました。でもって、本作は、かつてのアイドル映画2本立て時代へのオマージュとゆうか、その復活を願ってかのようにでんな、作られておるように思いよります。

仲里依紗ちゃん主演「時をかける少女」(1983年)のリメイク版(2010年)で、長編映画監督デビューをば果たさはった谷口正晃監督のアニキの作品なんやけど、まさにそのものズバリでおます。まず、「時をかける少女」は角川映画のブランド作品どす。

さらに、当時、その作品は「探偵物語」(1983年)との2本立てにて公開されておました。かたや、当時、角川春樹事務所のアイドル原田知世主演、こなた同事務所所属の薬師丸ひろ子主演(ちなみに、お相手の男優は松田優作)映画どした。

作品性も含めよりまして、ピーンときましたがな。なるほど、監督はこの2本立てへのトリビュートを、別々の2人にバラしてもよかったんやろけど、とりあえず1人のアイドル女優・美玲ちゃん設定で、キャスティングしてやってみたら、どないなるんかにチャレンジしはったように見えたんどすけど、どないなもんなんでおましょうか。

本作は「時をかける少女」的ラブとも解釈できんこともないし、明日分析する「スノーフレーク」は、「探偵物語」と同じくミステリー・タッチやしね。

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でもって、桐谷美玲ちゃんのアイドル性分析どす。「ランウェイ☆ビート」(2011年)の女子高生役のマジメぶりとか、後日分析しよります「うさぎドロップ」(8月20日公開)の主人公の妹役とか、目立たないようでいて、しっかり自己主張演技を見せてキバッてはりま。強引に見えるとこなんか、沢尻エリカをほうふつさせるとこかてあるんどすえ。

ほんでもって、彼女の恋のお相手役は、三浦貴大(たかひろ)クンやでー。かの三浦友和オトン&山口百恵オカンの息子はんでおます。そやから、美玲ちゃんとのやりとりに、かつての百恵・友和映画の香りが、ほんのりと漂っておったりします。

さらに、高島礼子ネーさんとの、母娘のキズナ部にも注目どす。

で、地方ロケーション部。「スノーフレーク」は函館ロケやけど、こちらは後半で富山ロケどす。夕景のセピアやら海辺のシーン、そして花火シーンなど、地方ロケらしい癒やしのシーンに、ホッとなる映画になっとりまっせー。

2011年7月25日 (月)

アメリカン映画「スーパー!」

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「悪に立ち向かうココロが人をヒーローにする」やなんて、ツッコミ入れたくなるくらいのオモロサどすえ~

アメコミ・ヒーローへのアンチテーゼが入った怪作やでー

http://www.finefilms.co.jp/super

7月30日から東京・シアターN渋谷を皮切りに、全国順グリのゆったりロードショー街道でおます。

大阪やったら、オーガスト8月13日サタデーから、シネマート心斎橋やらで上映しはります。

本作の配給はファインフィルムズはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Crimson Bolt, LLCⒸ2010

アメリカン映画のインディペンデント系の映画なんやけど、遊びゴコロにあふれた1作どす。このインディペンデント系のアメリカ映画界といえばでんな、いわゆるハリウッドの大手が作る大作映画やらとは違う、シブい味のある作品の宝庫でおます。

シブ味とゆうてもイロイロあるんやけど、本作はいわゆるパロディやとか、フランスでゆうところのパスティーシュやとかのテイストを、心地よいカンジで映画の中に溶け込まさはりました。ハリウッドでは大昔からあるヒーロー映画への、いわばパロディ&パスティーシュどす。

中でも、本作のデッカイポイントになっておますのは、アメリカン・コミック、いわゆるアメコミのヒーロー映画とのシンクロナイズやったり、アンチテーゼ、つまり、ブラック・ユーモアな観点からのトリビュートでおます。

タイトルからいいますと、言うまでもなく「スーパーマン」(第1弾は1978年・以下の映画は全てアメリカ映画)であり、「スパイダーマン」(第1弾は2002年)「バットマン」(第1弾・1989年)などのアメコミ原作の有名な作品なんぞも、当然視野に入っておるんどす。

物語はいたってシンプル。ケヴィン・ベーコンのアニキに、主人公の妻役リヴ・タイラーのネーさんがとられてもうた。そこで、主人公はエレン・ペイジちゃんのワケ分からへんサポートを経てでんな、妻を取り返す戦いの中へと入らはりまんねん。アホらしいほどに単純明快な話なんやけど、そのシンプルさにこそ魅力がござります。

主人公役はレイン・ウィルソンのアニキどす。ジャック・ブラックのアニキ(「スクール・オブ・ロック」=2003年の先生役、「ガリバー旅行記」=2011年の現代のガリバー役やらで楽しませてくれはった方です)みたいなセンスも、カンジさせはる役者はんどした。さらに、「マスク」(1994年)のジム・キャリーのような雰囲気もござりました。

そんでもって、エレン・ペイジちゃんも印象深い、変格演技で魅せはります。リヴ・タイラーのネーさんやらがマットウでマジメな演技なだけに、奇妙な演技は目立ちます。「神の声を聞いた?」なんて主人公に対し、ツッコミ系でグングンいってまうエレンちゃんは、これまでやってきた役とピタッとはまる、スレっからしな女役どした。

ウィルソン・アニとエレンちゃんのコンビぶりやらは、「俺たちに明日はない」(1967年)の変形ボニー&クライドの趣きどす。大マジ・モードでヒーロー系映画を、日常ラインで作ろうかいなとゆう姿勢も、笑うしかござりまへん。「悪に立ち向かうココロが人をヒーローにする」とか、「神に選ばれし者」とかの大仰さが、むしろエエ感じやねん。

ロックンロールを含めた歌ものサントラ使いも、マットーな映画となんら変わらへん相乗効果がありました。

2011年7月24日 (日)

パニック・サバイバル・ムービー「サンクタム」

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「アバター」のジェームズ・キャメロンの御大が、製作総指揮のタクトを振らはりました

オーソドックスな7人スタイルでお贈りする、洞窟・海中パニック・サバイバルどす

http://www.sanctum-movie.jp/

セプテンバー9月16日フライデーから、全国ロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田・なんば・二条・西宮OSやらで上映やー。3D、2D同時上映。

本作の配給は東宝東和はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

東日本大震災が発生して、公開が延期になっておりました作品の1本どす。当初は4月22日公開予定どしたし、ボクがマスコミ披露試写会で見させてもろたんも、3月3日のことどした。

大震災で実はいくつもの面白い作品が、公開中止とゆうことになってしまいました。被災者の心境などを鑑みたとゆうことどすが、ボクが被災してエライ目に遭った阪神・淡路大震災の時は、そんなことはなかったかと思います。

いや、むしろ映画の娯楽性で癒やされるとゆうことだって、ないとは申しません。9.11のテロ事件では、多くの方々がアクション映画のビデオをレンタルして、現実を忘れようとしたことがあったといいます。

そして、今回の場合どすが、地震映画とか、パニック映画でも、人と人のキズナを描いてはる映画が、延期とゆうより中止になったんですわ。これまでに聞いたことがなかったんで、ボクは首をひねりました。確かに、9.11の時には、ハリウッド映画のいくつかは、製作中止・公開中止になりました。

人間が起こすテロやったら分からないこともないんやけど、でも、自然災害と映画そのものにどのような因果関係があるのか、どうなんか。自粛と申しますが、法律で禁止されたわけやないんどす。みなさんはどう思われるでおましょうか。

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ここで批評分析したいくつかの作品は、公開中止になりましたけども、ぜひ中止やなく、いつか公開してもらいたいとボクは思います。とゆうことで、本作は海水パニック映画でおます。

延期対象作になったんは、海と聞いただけでもピーンときやはることでおましょう。ケイブ、つまり洞窟どして、そこへ海水が入ってきよるわけでおます。ニューギニアのトンデモない場所にあるそこへ、父子・男女カップル含む7人が、イロイロ調査せんと入っていかはります。

つまり、サバイバル映画のノリでおますか。そやから、1人、1人がチビチビと死んでゆかはるような展開になっとります。「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年製作・アメリカ映画)みたいな、みんなを救うための犠牲精神なシークエンスはあるんかどうか。それはネタバレ部になるんで申しませんが、サバイバル・ドラマをどう見せてゆくんかとゆう点では、秀逸な仕上がりになっとるかと思います。

海中シーンの薄ブルーと洞窟の暗い土色の混合などの対比による配色とか、ここぞとゆう時に鳴り響く大仰な管弦楽のオーケストラ・サウンドとか、メイン・ドラマを支える細部の描写が稠密どした。

「アバター」(2009年・アメリカ)のジェームズ・キャメロン監督が、本作の製作総指揮を執ってはるだけに、その作りはハンパやおまへん。みなさんに、ぜひ映画としてのエンタテインメントを、楽しんでいただきたいと思います。

2011年7月23日 (土)

ニコラス・ケイジ主演映画「デビルクエスト」

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ニコラス・ケイジのアニキが、中世時代劇で「ロビンフッド」みたいなんをやらはりましたでー

「ロード・オブ・ザ・リング」みたいなロードムービー部は、でっかい見どころどすえー

http://www.devilquest.jp/

ジュライ7月の30日サタデーから、大阪・梅田ブルク7をはじめ、全国ロードショーでおます。

本作のアメリカン映画をば配給しやはるのは、角川映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 SEASON OF THE WITCH DISTRIBUTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ニコラス・ケイジのアニキの新作どす。本作は彼のために用意されたような作品やと思いました。昨日分析した「復讐捜査線」のメル・ギブソンみたいなもんどす。

でもって、ココでケイジ・アニのマイベスト・カルトスリーをば、突然のごとく披露しよります。●ベスト⇒①フェイス/オフ(1997年製作・米・以下全て米作品)②リービング・ラスベガス(1995年)③ワイルド・アット・ハート(1990年)

●カルト⇒①ウインドトーカーズ(2001年)②コン・エアー(1997年)でもって③本作てなカンジかな。決してチョウチン(お世辞)やありまへん。

でも、ケイジ・アニとゆうても、みなはんにはピンとけえへんとこもあるやも分かりまへん。そうやねん、あくまで日本ではジミな役者と見られておまして、人気的にはパッとせんかったとこもありました。

しかし、ボクとしては、ほぼ同世代とも言えるトム・クルーズやらと比べてみてもでんな、演技的には、アニキの方が上なんやないかなとも思いよります。トム・クルーズとは違(ちご)て、ベスト②ではアカデミー賞の主演男優賞ももろてはりますしね。

そんなアニキの中世時代劇なんて、あんまし聞いたことありまへんどす。メッチャ新鮮どした。

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十字軍として相棒と一緒に、宗教戦争の中へ入らはるアニキなんやけど、勝っては酒を飲んで騒いではるシーンなんかは、ベスト②をストレートに思い出させま。モチ、ベスト①カルト①②みたいな、バクレツ系の演技も時々見せはります。

ニコラス・アニキ印といえば、トンデモ・アクションで見せはる、オッてゆう演技なんやけど、それでいて、涼しい顔でそうかいなってなったり…。

中世アクション時代劇と申せば、「ロビンフッド」(1948年・1973年・1991年2本・2010年)「三銃士」(1921年・1948年・1993年・1973年イギリスやら1996年フランスやらも・2011年バージョンも)なんぞがござりますが、本作のキモはロードムービー部と、その後の最終目的地で繰り広げられる、クライマックス・アクションなんどすが、中でもロード部がポイントでおましょうか。

魔女をあるとこへ運ぶとゆうロードなんやけど、このあたりは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年・2002年・2003年)みたいに、メイン・ソース的やないけど、センスがありました。

魔女を入れての7人とゆうスタイルでおまして、ボロ吊り橋渡りのアクション、オオカミとのバーサスやらでオオッと楽しませてくれはります。VFX・CG使いに少々リアル感のないとこもありましたが、ペストで死んだ人のメーキャップやらは、なるほどと納得できましたで。

でもって、オッサンのニコラス・アニキと対比される、クレア・フォイちゃんのアイドル性にも目がゆきよりました。ニコラス・ファン以外にも、訴求できる作品どすえ~。

2011年7月22日 (金)

メル・ギブソン主演映画「復讐捜査線」

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8年ぶりの主演作は、メル・ギブソン印の映画になっとります

核物質汚染なんてゆう、今どきの問題もフィーチュアしはりました

http://www.fukushuu-movie.com/

7月30日のサタデーから、大阪・梅田ガーデンシネマやら、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで、全国ロードショーやでー。

「PG-12」指定の本作(2010年製作・アメリカ&イギリス合作)をば配給しやはるのんは、ポニーキャニオンはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2009 GK Films, LLC. All Rights Reserved.

メル・ギブソンのアニキが「サイン」(2002年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画どす)以来、8年ぶりに主演しはりました。

その間には、「アポカリプト」(2006年)やらを出演せずに監督しはり、その後、チョイ問題やらも起こしてはったけど、何とか映画最前線に戻ってきはりました。

コレが何と、俳優としてのメル・ギブソンのために、作られたような映画になっとったんで、チョイ驚きました。

彼が主演する映画の隠し味的ポイントの1つに、主人公の愛すべき人が死んで(殺されて)もうて、ほな、主人公は一体、どないするんやーとゆうのんがござります。

「サイン」もそうなんやけど、「身代金」(1996年)しかり「パトリオット」(2000年)しかりどす。でもって、刑事役となれば、「リーサル・ウェポン」シリーズ(1987年・1989年・1992年・1998年・全4作)がありま。

本作は1985年にイギリスで、全6話で連続テレビドラマ化された「刑事ロニー・クレイブン」の、映画・劇場・THE MOVIE版でおます。当時、NHKでもオンエアされよったそうでおますが、残念ながら、ボクは記憶にござりまへん。

海外テレビものの映画版とゆうのんはいっぱいありますが、イギリスの刑事もんで、リベンジもんとゆうのんはオモロイかなと思いました。で、NYリベンジもの「狼よさらば」(1974年)なんぞも思い出させま。

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ボストンの自宅で、オトン役メル・ギブが娘と過ごそうとしとったら、突然ヘンなヤツに銃撃されましてな、娘が死んでしまいました。で、メルはその男の行方を追うっちゅうシンプルな展開どす。

狙われたんはメルか娘か、なんてのもあってでんな、推理ミステリー的な探りのシーンもありまんねん。ほんでもって、アナログ系の捜査方法で犯人を特定し、1人で対決へといかはるメルの姿は、まさにかつてのメル節王道編でおましょう。

ネタ部は核物質汚染、核兵器製造にまつわるとこにはあるんやけど、そういう「チャイナ・シンドローム」(1979年)的な社会問題性は、それほどカンジまへんどした。今どきの社会問題部は、あくまで、さりげなく、ストーリーの中に溶け込ましとるってカンジかな。

それより、父娘のキズナ描写とか、事件もみ消し屋とのココロの交流部なんぞが、エエカンジでおまんねん。

このもみ消し屋役レイ・ウィンストンはんは、本作のキーを握ってはる役どころどす。知的で哲学的なこの方と、メルとのやり取りのいくつかが、見終わったあとで考えてみたら、メッチャ渋いやん! なんてことになっとりました。注目あれ!  でおます。

2011年7月21日 (木)

イタリアン・コメディ映画「人生、ここにあり!」

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シリアスな「カッコーの巣の上で」のコメディ版でおます

精神病者たちがみんなで、公に何かを目指すチームものやなんて、コレまでにあったやろか?

http://jinsei-koko.com/

ジューン7月の23日サタデーから、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、8月20日から大阪・梅田ガーデンシネマ、9月10日(予定)~神戸の元町映画館、秋には京都シネマやらで上映どす。

本作をば配給しやはるのは、エスパース・サロウはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

本作は何とまあ~実話をばベースにしてはります。1978年にイタリアでは、精神病院を潰して、精神病者たちを自由にしはる法律が通りました。おいおい、大丈夫かいや~なんどすが、それから5年後のミラノを、舞台にしはったんが本作でおます。

精神病者たちがイロイロ仕事する組合なるもんがござりまして、そこへ1人の健常者の男がやってまいります。「カッコーの巣の上で」(1975年製作・アメリカ映画)でゆうたら、ベトナム戦争の兵役逃れで、精神病院入りしたジャック・ニコルソンみたいな役柄でおます。

精神病者たちによる群像劇コメディとなりますれば、ある種怖いとこがあります。つまり、弱者たちを笑いの対象にする意味においてでんな、笑いより顰蹙(ヒンシュク)を買ってまうんやないかとゆう危険どす。「カッコーの巣…」は、あくまでシリアス・ドラマどした。

しかし、本作は多彩な男女キャラクターを、面白おかしく見せるとゆうよりは、その病気ゆえの性格付けをした上で人間性を演出してはりますんで、説得力と人情味ある笑いをもたらしてくれはるんどすわ。邦画「クワイエットルームへようこそ」(2008年)やらとはビミョーに違っておます。

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しかも、ビジネスのチームとして、例の健常者リーダーの指揮のもと、みんなが一致団結してガンバってゆくとゆう、ストーリー展開になっておます。施設やら精神病院内やらで何かを目指すとゆうお話は、これまでにあったやろかとは思いますが、こちらは施設を出た上での、大げさにゆうたら、シビアなビジネス戦線なんどす。

そこをリーダーの主人公役クラウディオ・ビジオはんに、ヒューマン・ドラマ的キャラづけを施すことで、掛け合い漫才的なとことか、一方でシビアな話し合いなどに緊張感やリアル感を植え付けてはります。

そんななかでも、アクセントとなるポイントは、イタリアらしい明るさやと思います。ダンサブルなブラス・サウンドやら、ファンキーな音やら、サントラがメッチャゴキゲンはんになっとりますし、みんなでバスに乗って娼婦館へ行くシークエンスでは、お祭りソングを流して盛り上げはりまんねん。

「カッコーの巣…」をどこまで意識してはったかは分かりまへんが、自殺者が出るとゆう点もそれなんかもしれまへん。でも、総じて明るい作りでおました。ボク的には、個性派ぞろいやった犯罪もの「黄金の七人」(1965年・イタリア)さえも、思い出させてくれはる作品どしたえ~。

2011年7月20日 (水)

サバイバル映画「リベラシオン」

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モノクロで紡がれる、サバイバル映画の傑作どす

製作総指揮・主演のジャッキー・ウーのアニキにも、話をば聞いとります

3.11のあの時に、ボクが見ていた映画です

日本公開待機作になっとります、フィリピン映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2011年3月11日のあの時。東日本大震災が発生した時、ボクはこの映画を大阪のABCホールで見ておました。「大阪アジアン映画祭2011」のコンペティション部門に出品されとった1本どす。

幕が揺らぎ続けて、まるで映画が揺らいでいるようどした。本作主演のジャッキー・ウーのアニキは「新しい3D映画かと思った」とゆうてはりましたけども、あの地震がどれほど凄かったんかを、改めて思い返しました。

しかし、その時見ていた本作が、サバイバル映画であったのは、何やらマカ不思議な運命的なもんをカンジました。「127時間」(今年6月11日付けで分析)やら、昨日分析の「エッセンシャル・キリング」など、21世紀の今を背景にしたサバイバル映画とは違い、本作は太平洋戦争時と戦後数年の、日本兵の1人サバイバルを描いてはります。

横井庄一はんなんてのもいてはりましたけど、元少尉の小野田寛郎はんが、敗戦を信じずズーッとフィリピンの山中に、籠もってはった実話がベースになっとります。これぞまさに、戦争が作り出した、ロビンソン・クルーソー幻想でおます。

また、日本の戦争映画でモノクロやった「野火」(1959年)とか「ビルマの竪琴」(1956年)「ひめゆりの塔」(1953年)やらへも、トリビュートしてはるように思いました。

1人サバイバルの1人芝居がメイン・ソースなだけに、サントラなしのサイレント映画的なアプローチも、意図的にやってはるように見えます。川のせせらぎ、鳥や虫の声などが、主人公の動きのアクセントになるとゆう仕掛けどす。

日本人でもあるジャッキー・ウーのアニキは次のように語らはりました。

「僕としては、フィリピンの森の自然がとても美しかったので、カラー映画にしたかったんだけど、1940年代の末という時代背景ですから、カラーじゃない方がいいのかなと考えました。現代からタイムスリップするような感覚に加え、白黒だと見た目の印象もいいかなと。メッセージ性の高い作品なので、永くフィルムが残ってくれたらなと思います」

本作でアニキは「アジア特別功労賞」を、「大阪アジアン映画祭」からもらわはりました。「ハリウッドよりアジアに目を向け続けたい」とゆわはるアニキの、今後にも注目しておくんなはれ。

そして、本作のラストで、主人公に一条の光が射すシーンは、震災を思い返す今から見てみると、実に感動的でおました。前向きに泣ける映画どした。

2011年7月19日 (火)

サバイバル逃亡劇「エッセンシャル・キリング」

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世界3大国際映画祭のヴェネチア国際映画祭で、審査員特別賞と主演男優賞の2部門をゲットしはりました

逃げまくる主演のヴィンセント・ギャロは、いっさいシャベらはりまへん

ポーランド映画的には、アンジェイ・ワイダ監督的な男の悲愴感が漂っておまっせー

http://www.eiganokuni.com/EK

7月30日のサタデーから、東京の渋谷シアター・イメージフォーラムやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西では、8月20日から、大阪・十三(じゅうそう)の第七藝術劇場、九条のシネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館やらでヤラはります。その後、9月10日から、神戸アートビレッジセンターでも上映どす。

ノルウェー、アイルランド、ハンガリーの出資も受けた、ポーランド映画の本作をば配給しやはるのんは、紀伊國屋書店はんとマーメイドフィルムはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸSkopia Film, Cylinder Production, Element Pictures, Mythberg Films, Syrena Films, Canal + Poland. All rights reserved.

ポーランド映画にして、サバイバル逃亡劇やなんて、どないどすかー。イメージ的には2ジャンルは何やら、つながらへんように思わはるかもしれまへん。

けど、見出しにも書きましたが、ポーランドの巨匠監督の作品性に、コンテンポラリー(現代的)なタッチでリンクしてゆくような、ケッサクになっとるんですわ、コレが。アンジェイ・ワイダ監督やら、ロマン・ポランスキー監督やらの名作どす。

抵抗運動する男を描いたワイダ監督「地下水道」(1957年製作・ポーランド映画)や「灰とダイヤモンド」(1958年・ポーランド)とか、ポランスキーの逃げるピアニストを描いた「戦場のピアニスト」(2002年・ポーランド&フランス)など。男の悲愴感であったり、生き抜くための必死のパッチの姿であったりと、なるほどなーと思わせはります。

しかも、本作はその作品性を、21世紀の現代バージョンで作り上げはったんどす。アフガンに駐在する米軍から、アラブ人設定のヴィンセント・ギャロのアニキが、雪中を逃げて逃げて逃げまくらはる映画なんどす。

そのギャロはんどすが、サイレント映画かパントマイムかのノリで、挙動を見せるだけで、いっさいシャベらはりまへん。日本でスマッシュ・ヒットした「バッファロー'66」(1998年・アメリカ)では自ら監督・主演しはり、ナイーヴな役を披露しはりましたが、本作ではヨゴレ役どす。

そのヨゴレ方もハンパやおまへん。生き残るために、米軍が放ったイヌを殺して食べる。樹木、アリなんぞを食らう。魚釣りしてはる人から魚取って食う。赤ん坊に乳をやってはるオナゴを脅して、乳を吸うやら。まあ、今までにはあらへんような設定も、無我夢中の無言でやってはりま。

17年ぶりに監督しはった「アンナと過ごした4日間」(2008年・ポーランド&フランス)が、キネマ旬報の年間ベストテンにチャート・インしはった、イエジー・スコリモフスキ監督はんの新作どす。今作でも「アンナ…」と同じく、ケッタイな男のドラマを撮り上げはりました。

監督は「ランボー」(1982年・アメリカ)やらも意識したなんてゆうてはりますが、カッコえかったシルベスター・スタローンみたいなんに会いたいわ~なんて見に行ったら、エライ目に遭いますんで、くれぐれもご注意くだされ。

ほんでもって、本作どすが、ボクが参加させてもうてます、映画業界初の電子書籍「月刊シネマグランプリ」の7月号で、7月公開作品の1位にならはりました。ちなみに、6月号では「127時間」(今年6月11日付けで分析)が1位どした。ふた月続けてサバイバル映画が1位やなんて~。みなはんも、生き残りを懸けて、映画館へ行きまひょか~やなんてね。

2011年7月18日 (月)

映画「こち亀 こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ!」

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SMAPの香取慎吾の、メッチャ当たり役どすえ~

小学校の同級生役・深田恭子フカキョンとの、泣けるエピソードをば披露しはります

http://www.kochikame-movie.jp/

オーガスト8月6日サタデーから、全国各地イッセーのロードショー街道でおます。

本作の配給は松竹はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ秋元治・アトリエびーだま/集英社

Ⓒ2011「こちら葛飾区亀有公園前派出所THE MOVIE」製作委員会

2008年にTBSでワンクール・テレビドラマでオンエアされたヤツの、いわゆる劇場版、映画版の新作でおます。

この「こち亀」なんやけど、1976年から35年にわたる連載で、「少年誌の最長連載記録」により、ギネス表彰をもろてはります。つまりば、本作はコミック原作どす。

ほんで、コミック原作の実写映画とゆうのんは、邦画・洋画合わせよりますと、モノゴッツーな数にのぼっておます。そんな中で、邦画では、アニメ化経由の実写版とゆうスタイルでおます。しかも、テレビアニメとアニメ映画(1999年・2003年製作)を経由しての実写化とゆうのんは、「タッチ」やら「ヤマト」なんぞがありました。

テレビやアニメ映画でやった上で、実写化を探るとゆう意味においては、つまりは実写化しにくい素材とゆうことどす。たぶん、主人公のキャラクターを実写で演じてもらうんは、困難なんやないかいな~、とゆうことやったんやろと思います。

でも、ここに、当たり役とゆうてもええSMAPの香取慎吾チャン、今やチャンやクンやなくてアニキなんやけど、彼がズバッと決めてくれはりました。原作の主人公のトンデル・キャラが、バラエティー番組やらで魅せてはる慎吾キャラとズバリ合いました。

大げさすぎる演技ぶりもあるんやけど、このキャラはシリーズ化されよったら、「男はつらいよ」の「寅さん」的な国民的人気を、獲得せんとも限りまへんで。何しろ本作の舞台となる「葛飾区」てゆうたら、「寅さん」のご当地やしね。

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加えてでんな、タイトルにある“勝どき橋を封鎖せよ”どすが、みなはんもピーンときてはるやろけど、「踊る大捜査線 THE MOVIE2/レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年製作)と、シンクロナイズしよりまんねん。

橋がポイントになっとるとこもあるんやけど、捜査ものサスペンスとしても魅せてくれはるんどす。コメディ・スタイルが中盤からガラリと、誘拐捜査サスペンス映画へと変わります。

但し、このあたりの描写はリアリティーに徹していた「踊る大捜査線」とは違(ちご)ておまして、下っ端のただの巡査の香取アニキがイロイロやるシーンなど、首をひねらざるを得ないとこもあります。でも、それらは香取やから許されるみたいなとこもありまんねん、コレがね。

ほんでもって、「天国と地獄」(1963年)みたいに、コドモを間違えて誘拐してしもたとことか、身代金奪取のトリックとか、ミステリー的にもオモロいとこがおます。大爆発のパニック・シーンなんぞも、目を点にしてくれよるやろしな。

でも、ボクの胸に最もきよったんは、ラスト・エピソードでおました。東京・下町の夕景シーン。セピアがほんのりとある空気感の中で、フカキョンがわが娘と、勝どき橋を見ながら涙しはります。絶景にして、絶品のシーンどした。このシーンだけで、この映画を見に来た価値があるように思います。必見やでー。

2011年7月17日 (日)

ファミリー時代劇「忍たま乱太郎」

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主人公の加藤清史郎クンはじめ、みなはんコミック・アニメからそのまんま出てきはったような、キャラや演技ぶりどす

三池崇史監督の特上お遊び映画編の、ピークをば示す快・怪作やったでー

http://www.nintama-movie.com/

7月23日の土曜日から全国ロードショーやでー。

大阪やったら、梅田ブルク7やらで上映でおます。

本作をば配給しやはるのんは、ワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 実写版「忍たま乱太郎」製作委員会

三池崇史監督てゆうたら、ホンマ、ワケ分からへん監督でおます。ゴリゴリの映画ファンやなく、一般大衆的な映画好きの方にしてみたら、そら、監督で映画を見るなんてことはまあ、しやはらへんかとは思いますが、とにかくもって、この監督の映画ディスコグラフィーと申せばハチャメチャ、多重人格者かと思えるくらいどす。

でも、そんな中でも、何本かの作品性が見えてきよります。それをザックリ2パターンくらいに分解してみよりますと、シリアスでハードなアクション系と、ファミリー系、アニメ・コミック実写系どすか。ホラーも撮ってはるし、最近は時代劇でも過去の作品の、バージョン・アップ版なんぞもやってはります。「切腹」(1962年製作)のリメイク版らしい「一命」も公開待機中でおます。

でもって、本作どすが、原作コミックとNHKアニメを経由した、実写映画なんどすが、お遊びに徹してはって、トンデモたまらなくて、場合によってはアホらしく見えたりしよる作品にもなっておます。

アニメやらコミックにしか存在しないような、いわゆるリアリティーのないコミカル・キャラを、どう実写として魅せてゆくのかは、実は実写映画的には最もハードルの高いもんなんやないかなと、ボクは思ておます。特に日本映画どす。明日分析します「こち亀」(8月6日公開)なんぞもそんな1本どす。

アメコミ原作の実写版なんぞは大ヒットしよりまして、観客の評判もよろしおますけども、日本とハリウッドでは事情が違いますし、コメディでもござりまへん。

「ポケモン」「ドラえもん」「ワンピース」「ナルト」やらを実写化したら、一体どないなるんでおましょうか。そら、一部はオモロイ作品になるやもしれまへんが、でも、三池監督なら、オファーがあったらそれを引き受けはると思います。でもって、思いっきし、遊びゴコロを発揮しはることでしょう。

監督が監督しはった作品としては「ゼブラーマン」シリーズ(2003年・2010年)や「ヤッターマン」(2009年)とは違い、時代劇コメディどす。でも、時代考証を無視して、自由ホンポー。背景は戦国時代やのに、ラーメンやらカレーライスが出てきたり、「忍者はガッツだ」とか「ファイト」に対して「一発」と応えたり、「キャッチボール」ならぬ「キャッチ手裏剣」やら、英語・日本英語がセリフに出てきよります。

見出しにも書きましたけども、登場人物のほとんど全員が、コミカル・コミック&アニメの中から、出てきはったみたいなキャラでおまして、そのやりとりも短めで、ひっぱらないノリの軽さどす。それでいて、豪華キャストやねん。オールスター揃い踏みやとゆうても、過言やござりまへん。

監督的には時代劇は時代劇でも「十三人の刺客」(2010年)とは、180度の真逆のもんでおます。そのギャップぶりに驚き、その驚きを楽しみに転化して見ておくんなはれ。「マトリックス」やら「ハリー・ポッター」やらのパロディも入っておます。とゆうことで、結論はでんな、ディズニー映画と同じくらい、楽しめるファミリー映画になっとるかもしれまへんどすえ~。

2011年7月16日 (土)

ニュー吸血鬼映画「モールス」

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スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」のハリウッド・リメイク作でおます

北欧ホラーの冷えた感覚を残しつつも、アメリカン・ホラー性を注入した渾身の1本どす 

http://www.morse-movie.com/

オーガスト8月5日のフライデーから、全国ロードショーでおます。

大阪やったら、TOHOシネマズ梅田やら、TOHOシネマズなんばやらで上映どす。

本作をば配給しやはるんは、アスミック・エースはんどすえ~。

Photo Credit: Saeed Adyani

Ⓒ2010 Fish Head Productions, LLC All Rights Reserved.

スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」(昨年7月9日付けで分析)の、ハリウッド・リメイク作品でおます。あの北欧の冷えた感覚やら、「小さな恋のメロディ」(1970年製作・イギリス映画)を思い出させる、少年少女のラブ・ストーリー部やらは、どないなったんでおましょうか。

ストーリー的には、ほとんど相似形なんやけど、やはりハリウッドでおますんで、VFXやらCGを使って、製作費をかけてまっせーな、バージョン・アップはござります。でも、そのまま移植を拒否するかのように、あくまでアメリカン・ホラーとしての設計を、ベースにしてはるんが印象的でおました。

ほな、アメリカン・ホラーてなんやねんなのどすが、スプラッターであったり、「エクソシスト」(1973年・アメリカ)以来続く、少女ホラーのストレート系やったりどす。

但し、本作は吸血鬼映画なんやけど、ハリウッドに古来よりある、その種の吸血鬼・狼人間・フランケンシュタインとかの大仰な作りについては、踏襲してはりまへん。オリジナルの持つ特性を生かしつつ、静かな中で時おり出てくる動的なシーンをモンタージュしながら、2人の恋へとアプローチしてゆかはります。

西部劇で有名なニューメキシコ・ロケの選択も驚きどした。ニューメキシコにも冬はあり、雪も舞うんどす。そして、冷えた感覚を出すために、自然光での撮影をメインにしたオリジナルに対し、中庭シーンなど、照明を思いっきり配する作りを採ってはります。

あからさまなスプラッターをば目指してはりまへんが、血もオリジナルより多めに出てきます。VFXを使った少女ヒロインの素早いアクションやら、クライマックスのプールでのアクション・シーンも、スリル感は高まっとるかな。オリジナルのクールでサイレント映画な感覚も、個人的にはスキなんやけど。交通事故車内の後部座席視点カットなど、時おりハッとさせはる斬新なカットも入っておます。

でもって、舞台となる1983年を、思い出させる細部のリアリティーどす。当時全米チャートNo.1になった、カルチャー・クラブのバラード「君は完璧さ」をサントラではなく、劇中で2人が聴く設定で流したり、2人を結ぶルービック・キューブしかり、イントロのテレビに映る、レーガン大統領の演説だったりと、イロイロ挿入してはります。

さて、2人のラブ・ストーリー部どすが、どないでしょうか。ボク的には、オリジナルをトレースしたというより、さりげなかったオリジナルより、ホットめの作りになったかと思いよります。

とゆうことで、スウェーデン映画のハリウッド・リメイク作品は、ミステリー映画の「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009年12月14日に分析)も待機しておますんで、お楽しみあれ。

2011年7月15日 (金)

4人家族と1匹の実話日本映画「ロック~わんこの島~」

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フジテレビが贈るイヌネコ映画の、ヒット方程式とは何でんねん?

佐藤隆太アニキと麻生久美子ネーさんの、夫妻・コドモのオトン・オカン役のコンテンポラリー感もエエどすえー

http://www.rock-wanko.com/

7月23日土曜日のコドモの夏休み中から、東宝はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショー街道でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 フジテレビジョン 東宝 FNS27社

今年はイヌ映画がケッコー出てまいっておます。全国公開系列では、「犬とあなたの物語」(昨年12月18日付けで分析)「わさお」(1月30日付け)「星守る犬」(6月3日付け)やら「犬飼さんちの犬」(6月19日付け)など。

ボクの悪友と話したことなんやけど、ダチは「イヌネコ映画は大ヒットするかもしれんけど、映画史に残るようなケッサクはない」なんてゆわはりました。なるほど、そうかいな~と、ボクはうなずいたりしとったんやけど、イヌの演出は大変やからね、なんて応じておりました。

しかし、ファミリー映画のワン・ポイントとしては重要やし、家族ドラマとしては、このイヌネコを媒介にしよりますと、時にモノゴッツーな感動を運んできよります。また、イヌを通して人間を描くとゆう視点も、「星守る犬」みたいに映画的にはドラマ映えします。

ほんでもって、結論から言いますと、本作はイヌを通して家族を描くとゆう点において、絶妙な仕上がりになっておました。家族みんなで安心して見に行けるとゆう、良質、あるいは時に単純なファミリー映画ジャンルを超越して、家族の在り方とかキズナやらを、キチンと描いてはる作品なんどすわ。

ところで、本作はフジテレビはんが製作に関わってはります。フジテレビてゆうたら、トレンディー・ドラマがどうちゃらこうちゃらてゆわれとった、一時期がありましたけども、映画製作には大マジのホンキ印どす。でもって、これまでのイヌネコ映画の、それぞれ邦画歴代No.1ヒット作をば輩出してはりまんねん。

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その伝説は1980年代どした。イヌもの「南極物語」(1983年)、ネコもの「子猫物語」(1986年)どすえ~。でもって、本作はイヌものの、2011年最新モード作でおます。

イヌの描写よりも、イヌを通して描く家族のキズナ描写のウエイトが重く、家族映画としてのドラマ性をば追求してはります。三宅島の噴火で故郷を離れて、都会へ避難せんならんようになり、でも、再びみんなで故郷へ戻ってくるとゆう、実話をベースにしておます。

しかし、コレが被災に遭った人たちのドラマとゆう悲愴感みたいなんが、実はほとんどありまへん。なぜかとゆうたら、みんな明るいんどす。そないに饒舌やないけど今どきの「寅さん」みたいな、オトン役の佐藤隆太のアニキ。何があってもジョーク言いつつ、どこまでも明るいオカン役の麻生久美子ネーさん。

ほんでもって、個人的には、「寅さん」の妹さくら役(倍賞美津子はんの実のネーさん、倍賞千恵子はんが演じはりました)と比べてみたくなる、オバン役の倍賞美津子はんの演技ぶりどす。

思わずうなりたくなるくらいの渋さやねん、コレがね。性格俳優やった千恵子ネーさんもええんやけど、役柄に合わせて巧妙な役作りをしはる美津子はんには、「デンデラ」(6月18日付けで分析)での演技も含めまして、今さらながらに脱帽でおました。

いずれにいたしましても、イヌ映画を超えた、家族映画の快作になったんは、間違いござりまへん。

2011年7月14日 (木)

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」

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シリーズ第7弾の後編にて、遂に完結しよります

でも、ホンマのホンマに終わりやないなんてエンディングなんで、今後もどないなるやら分かりまへんでー

http://www.deathly-hallows.jp

ジューン7月15日フライデーから、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーの拡大ロードショーでおます。

ワーナー・ブラザース映画はんの配給によりまして、3D(シリーズ最初で最後の3Dどす)、2D、吹替え版同時公開どすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ 2011 Warner Bros. Ent.

Harry Potter Publishing Rights Ⓒ J.K.R.

Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and Ⓒ Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

2001年の21世紀から始まったシリーズも、遂に終わりでおます。

昨年11月14日付けで、シリーズ第7弾の前編をば分析批評しよりましたが、みなはん、まさかこの前編をば、見てはらへんようなことはござりまへんでしょうな。見てても見てなくても、この前編をばレンタルDVDやらで、予習・復習しとかはった方がええかと思いますわ。この後編・前編で第7弾の完結編なんでおます。

ほんでもって、この第7弾は、シリーズ過去最大にオモロイ仕上がりになりました。これまでの全てのナゾが解き明かされ、サプライズもあり、シメ方もアッと驚くようなもんになっとるんどすわ。

思い返せば、本シリーズの最初は魔法ファンタジー・ドラマでおました。ところがどっこい、レイフ・ファインズはんが演じはる、ヴォルデモート卿が出てきはってから、魔法界における善悪のドラマへと変換したんどす。

ほんで、ココに勧善懲悪系の、正義のヒーロー的な、ドラマ的流れへとなってまいります。ハリー・ポッターたちの正義側と、ファインズはんの悪側のバーサスが、これでもかーとゆうくらいに展開してまいりました。

そやから、本作は最終決戦ちゅうことになりま。クライマックスはモチ、ハリーとヴォルデモート卿の1対1対決どすけども、そこへもっていくまでにも、多彩なアクション対決がござるのどす。

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でもって、ハリーが1度死んでまうとゆう、ショッキングなシーンもありまんねん。このシークエンスは白い配色のSFチックな作りで、キレるロングショットも絡めた印象深いシーンになっとります。

CGによるアクション・シーンも、ええカンジやー。薄グリーン、薄オレンジ、薄赤色などの、手や杖から出るレーザー・ビームの多彩感。やられた時に黒く灰になって消滅したり、2人バーサスでは竜巻めいた黒帯が、流れてゆくようなカンジとか、CG・VFXの色使いにも注目どした。「ポケモン」やら「ナルト」やらの、アニメ的な色使いにも通じる使い方どした。

さらに、ミュータントやモンスターやら、悪キャラにも注目しておくんなはれ。「ネバーエンディング・ストーリー」(1984年製作・西ドイツ映画)的なドラゴン風モンスターとか、ホラー映画的な大蛇の使い方とかかな。

悪が強ければ強いほどに、この種の善悪の戦いではオモロなってきよります。ボク的には、アカデミー賞の作品賞をゲットした「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年・アメリカ)やらに魅せられよった、名優ファインズはんの、メーキャップを施された悪役ぶりは、ホンマに悪役らしかったし、ヘレナ・ボナム=カーターのネーさんも、これまでにもいくつも披露しはった、怪演技ぶりと変わらない演技どしたし。

そして、ハリー・ポッターとロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの3人はんどす。キス・シーンやらもあり、ラスト・シーンの1つ前では、3人のスリー・ショットもありま。でも、最も印象深いんはラスト・シーンどした。

ひょっとして、まだまだシリーズは続いてもおかしゅうないカンジなんで、完結してもでんな、今後の動向にも注目しといた方がええかもしれまへんでー。

2011年7月13日 (水)

メキシコ映画「グッド・ハーブ」

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女性監督マリアさんの優しさで、メキシコ映画のネットリ感を緩和しはりました

アルツハイマーを癒やし系のイロンな植物ハーブで、なにやらアロマハイマーへと転化しはります

http://www.action-inc.co.jp/hierbas/

7月23日土曜から、東京・シネマート新宿にてロードショー後、全国各地順グリの上映・公開でおます。

関西やったら、8月下旬に大阪・梅田ガーデンシネマやら、9月に神戸アートビレッジセンター、10月に京都シネマやらでヤラはります。

本作をば配給しやはるのは、「Action Inc.」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

メキシコ映画のイメージやなんて、みなはんには、どんなんがあるんでおましょうか。ボクなんか、ほとんどないに等しい恥ずかしさなんどすえ~。なんとかせなあかんわ。

「バベル」(2006年製作・アメリカ映画)のゴンザレス監督とか、西部劇あるいはマカロニ・ウエスタン的に出てくるシーンやとか、ルイス・ブニュエル監督の作品とか、チビチビとは思い出しますけども、貧弱そのものでかないまへん。

ところがどっこいでおました。メキシコにも女性監督はいてはります。マリア・ノバロはんどす。マリアさんはネーさんとは呼ばれへん年齢なんやけど、本作には女性がそういう年齢にならなければ、描くことがでけへんような優しさをば紡いではります。

母性は当然どすが、コドモへの思いしかり、母とのキズナしかりどす。女性監督にも、世界は広いんでイロんな人がいてはります。エゲツナイことも包み隠さず描かはる、社会派バリバリの女性監督の作品もボクはスキなんやけど、本作はモチ違います。

女性らしい優しさ、ベタやない3世代の女家族のキズナ、特にポイントとなる母娘のキズナ・シーン、イロンな植物の章立てとなったハーブやら。熱~いメキシコのイメージとは違う、潤いの雨、ミドリの自然、夕日、紺青の夜の空、夜の冴え冴えとした月シーンなどが新鮮どす。

また、サントラ使いも、地方ラジオ局の風景やら、アコギやらピアノなどが優しく響いてきよります。アルツハイマー映画でメキシコ映画やなんてのもサプライズがあるし、ハーブ植物系の癒やしの使い方やらに、すっかりすっきりと和まされよりました。コレは男の監督にはでけへん芸当でおましょう。

そして、アルツハイマー映画の系譜のなかでも、新味がござりました。例えばニッポンでゆうたら、森繁久彌はん主演の「恍惚の人」(1973年・日本)とか、渡辺謙アニキの「明日の記憶」(2005年・日本)とかどすが、そういうのんと比べてみよりますと、暗さがないとゆうか、キチンとした決着を見せているというか、潔さがありました。

ただ、それがドラマ的に感動に結び付くんかどうかについては、人それぞれでおましょう。ボク的には、こういうのんもOKかなとは思いましたけども…。

また、エッセイ的な作りにもなっとるんでしょうか、後味としては重みはそないにありまへんどした。そして、次のマリア監督の作品にも期待したい作りでおました。日本初登場なんやけど、きっと、みなはんを癒やしてくれはることでおましょう。

2011年7月12日 (火)

日本映画「かざあな」

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アドリブとゆうより、そのまんまやん! な恋愛ドラマ性の持つリアルさが漂っておます

そのへんにいっぱい転がっとるような、男女関係もんやのに、それをあえて撮ってまうスゴサどすか…

http://www.ks-cinema.com/

7月23日、25日、27日、29日に、東京・新宿K's cinemaで、午後12時から1回だけ上映でおます。

でもって、その後、このフィルムは名古屋のシネマスコーレはんやらへと回り、地方の方々にも見てもらえる機会があるやも分かりまへん。

本作をば配給しやはるのんは、マコトヤはんどす。

(文=映画分析評論家・宮城正樹)

内田伸輝監督の長編3作目のケッサク「ふゆの獣」(6月29日付けで分析)に、勝るとも劣らない作品どす。とゆうか、ボク的には、こちらの方がドラマ性をほぼ100パーセント廃した作りだけに、生々しさが剥き出しに出ておます。ドキュとゆうか現実をリアルに映し出し、内田監督アニキの世代のファジーとゆうか、ええ加減さを如実に示さはりました。

そのベースにあるんは、昨日分析した「えてがみ」にも本作にも主演しはった、シンちゃんこと鍋山晋一クンの、どっちつかずなモラトリアム人間ぶりでおます。本作を見とりますと、ボクなんかは、1970年代末に出現したフィーリング世代とかを思い出しました。

それはボクの世代とも合致しとるんやけど、フィーリング、つまり雰囲気やら感覚でものごとを判断し生きてゆくようなカンジでおまして、1970年代末に出たモラトリアム人間(「モラトリアム人間の時代」・小此木啓吾・著)の呼称とかにもシンクロしよります。

P.F.ドラッカーより時代性を打ち出してはったと、ボクが勝手に思とります、経済学者のジョン・K・ガルブレイスはん。彼の著作「不確実性の時代」なんぞも、本作の若者たちの生き方とか恋愛とかに通じておます。

つまり、ナンチューたらええんかな、ストレートな人間、ナイーブな人間、アウトローとか、やけくそ人間とか、いろんな人間のタイプは時代を問わずに、その時代時代にそれなりにいてはるんやないでしょうか。ほんでもって、本作に出てきはるんは、どっちつかずなファジー、モラトリアム、あいまいミー、軟体動物ならぬ軟弱人間やらでおます。共感できる人物像ではおまへん。

しかし、この男女の3角関係・4角関係の、奥底にあるもんをば何ぞやと、内田監督は各人へのインタビューも繰り出して、やらはりまんねん。本作からカンジられるんは、アドリブ・ドラマやありまへんどした。アドリブを超えた、人々の日常のフツーに発せられるコトバが、間(ま)やら、ため息やらイロイロ取り入れて紡がれてまいります。

簡単にゆうたら、女2人と男1人シンちゃんの3角なんやけど、好きでないヨウちゃんと結ばれてしもて、好きなミカちゃんとはあいまいなまま。そこで、シンちゃんはヨウちゃんを見捨てて、ミカちゃんへとアタックしやはるんやけど…。どこにでもありそうな恋愛関係どす。

トリュフォーの男2人女1人の「突然炎のごとく」(1961年製作・フランス映画)みたいな3角関係とは、レベル・ラインが違うし、ゴダールの「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)の最後でツイッターされる「最低だ」のセリフもあるんやけど、コレは、あくまで内田監督のお遊びでおましょう。

しかし、それら全てが総括されると、この映画の登場人物たちやらに、妙にひっかかりを覚えました。共感ではありまへん。一体コレは何なんやろか。そう、そんな風に考えさせるとこが監督の狙いなんでおましょう。イロイロ考えさせてくれはる、計略的な演出が施された映画でおました。

2011年7月11日 (月)

日本映画「えてがみ」

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無名の素人はんの人間ドキュメンタリーやなんて、みなはん、どないでっかー

イマドキのモラトリアム人間の友情節やらが、フワ~ンとポヨヨ~ンときよりまっせー

http://www.ks-cinema.com

7月24日・26日・28日に、東京・新宿K's cinema(上記ホームページ)で、12時から1回上映しはります。

その後、7月19日から名古屋・シネマスコーレやらで、全国順グリの公開どす。

本作を配給しやはるのんは、マコトヤはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

内田伸輝監督の2002年製作の、長編デビュー作でおます。映画館でかかるんは、今回が初めてどす。

最新作の「ふゆの獣」(6月29日付けで分析)は、ボクチンも参加させてもろてます、映画業界初の電子書籍「月刊シネマグランプリ」の7月号ランキングで、堂々の2位になった作品どして、日本映画では1位でおました。

そこで、今日と明日の連日にわたりまして、内田監督の過去の2作品をば、分析ナビゲートいたします。3本を括らはって“恋愛三部作”らしいんやけど、本作のドキュメンタリーは他の2作とは違い、イマドキの男の友情を絡めた、今の時代を漂流する男のドラマ仕様でおます。

何やエエ感じやなーと思わはるかもしれまへんが、コレがまずもって、内田監督の無名に近い、友達をば採り上げてはります。この主人公の鍋山晋一クンは、明日分析します監督の第2弾「かざあな」(2007年)に主演してはります。

人間ドキュメンタリーにもイロイロござりますが、こういう自分の友達の動向を映し撮る場合、ともするとマニアックになったり、プライベート・フィルムの域を出なかったりしよります。

でも、本作は鍋山クンに、ウツ病の無名の役者・飯島功丈(ヨシタケ)クンを関わらせることで、1人の男の勝手気ままな生き方描写に、かつてないフワ~ンとした友情描写が付加されておます。

男の友情映画といえば、アメリカン・ニューシネマしかり、西部劇しかり、人間ドラマしかりで、ストレートで包み隠しようのないものがほとんどでおました。ところがどっこい、この2人のモラトリアム人間の友情と申せば、ファジーであいまいどす。

鍋山クンがネチネチと飯島クンに文句を言うシーンとか、怒ったり泣き出したり酒飲んで、ほんでもって、最終的には“今が楽しければそれでいいのでは”とか“人生はまだまだ続く”とか、シマらないファジー感を、わざとシメようとしはるんどす。

内田監督は自らのナレーションで、彼らを追いかけ、インタビューし続けはります。内田監督も彼らと同じ世代なのでおましょう。自分たちの世代のことをフィルムに、焼き付けようとゆう意図があったんやと思います。ドキュなんで演出はどうなんかは分かりまへんが、世代感を示す雰囲気は濃厚に演出・表現されておました。それに共感できるかどうかは、みなはん次第どすけども。

付け加えますと、ロック・バンド・サウンド、ギターやピアノ・サウンドなど、シーンに合わせたサントラ使いも、低予算ながら、しっかりしていたのは目を引きました。

2011年7月10日 (日)

青春ダンス日本映画「あぜみちジャンピンッ!」

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耳の聞こえへん中学生ヒロインが、みんなとチームワーク・ダンスするやなんて、ホンマですかー

地方ロケ映画にして、みんなで何かを目指す映画の系譜に入る作品でおます

http://www.aze-michi.com/

ワーナー・マイカル・シネマズ新潟で先行公開中どす。

でもって、ジューン7月23日サタデーから、東京・ポレポレ東中野でサマー・ホリデー・ロードショーでおます。

その後、全国順グリの上映やで~。

新潟ロケの本作をば、配給しやはるのんは、ヴォストークはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ株式会社アイマックス

地方ロケーションで部活を中心に、みんなでガンバロウなんてゆう青春日本映画は、昔からぎょうさんありました。21世紀になってから出た有名なんを言いますと、共に東日本大震災で被災された東北ロケの「スウィングガールズ」(2004年製作)、「フラガール」(2006年)などがござります。

本作は新潟ロケでおますが、その2名作と共通するとこは多々あります。見出しに書いたとこやらは当たり前のことなんやけど、田舎の風景にミスマッチなカンジで、都会派的なものがシューティングされるとゆうのんが、隠し味的にはインパクトがあるとこどすえ~。

特に、本作はヒップホップをメインに、R&Bやらユーロビートもあるダンスなもんどすさかい、ブラスバンドやらフラダンスやらより、より都会チックなんでおますよ。山を背景にした田園風景をバックに、みんなが踊らはるんどすわ。NYのストリートから生まれたとゆうヒップホップ・ダンスやらをね。いや、このギャップ感は目が点になりよりました。

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ギャップ感といえば、聾唖中学校の耳の聞こえへんヒロインが、音楽に合わせてソロ・ダンスを披露。みんなとのチーム・ダンスも、見事にこなしてしまわはりまんねん。いわゆる、センスと才能でやってまうとゆう、ユニークな視点がござります。

このヒロイン役の大場はるかチャンが、難しいヒロイン役を明るく演じはりました。チョイ思たんやけど、「うた魂(たま)」(2008年)のヒロイン夏帆チャンと、どこか似てはります。

「1人なんだな」とツイッターするイントロが、アウトロでは「1人じゃない」となりよります。はるかチャンが観客側へと田園を歩いてくる、遠近感あるラストシーンも印象的どした。

そして、仲間たちと関わり合うシーンどす。アップ・テンポのバイオリンに乗っての田園ランニング・シーン。ヒロインの日記をあぜ道で、みんながリレーで読み上げるいじめシーンが、最後には仲直りへと変わるシーンなんか、ココロにきますで。

ヒロインのオカン役の、渡辺真起子ネーさんにも注目どっせー。まあ、本作に出てはる、全国区に近い有名な方は、このネーさんくらいなんやけど、娘がそんなダンスしてるやなんて、クライマックスまで知らはらへんのですわ。でもって、クライマックスのダンス・コンテストへと駆けつけはってでんな、母娘のキズナ的な感動もあるとゆうことになっとりますんで、お楽しみくだされ。

2011年7月 9日 (土)

シチュエーション系ミステリー「デビル」

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エレベーター内に閉じ込められた、5人の本性が浮き彫りになるにつれ、ハラハラドキドキが増していきよる仕掛けどす

ハコものミステリーの醍醐味が、ギュギュッと詰まった快作やでー

http://www.devil-movie.jp/

ジューン7月16日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やらで上映どす。

本作のアメリカン映画を配給しやはるのんは、東宝東和はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

M・ナイト・シャマランのアニキてゆうたら、「シックス・センス」(1999年製作・アメリカ映画)をはじめ、21世紀型のミステリー映画を撮り続けてきはった方どす。アルフレッド・ヒッチコック監督はんの変型進化型でおましょうか。

そんなアニキには、いっぱいアイデアがあるそうでんねん。でもって、自分が監督するより、製作側に回ってやってみはったんが本作でおます。ほんでコレが、何と申しましょうか、密室系・ハコもの系シチュエーション・ミステリーの、会心作になっておるんですわ。

「SAW」シリーズ(2004年~2010年・アメリカ)やら「CUBE」(1997年・カナダ)よりも、ホラーのスパイスを入れながらも、ミステリー性の高い仕上がりになっとったんで、ビックラこきました。シャマランのアニキは、イギリスの女流推理作家アガサ・クリスティに、多大な影響を受けたとゆうてはりますが、本作でも、クリスティのとある作品のネタをば仕込んではります。

ストーリーはいたってシンプルでおます。5人がエレベーター内に閉じ込められて、電気が一瞬消えるたんびに、1人ずつ殺されてゆくとゆう設定になっとりま。でもって、この5人たちそれぞれが、フツーのようでいて実はクセ者でおましてな。

そして、彼らの動向をビルの警備室から、刑事が監視ビデオを見ながら、推理と捜査を展開してゆかはります。この5人の中に犯人がいるんやけど、そいつは悪魔に取り憑かれてはるんどす。その悪魔に取り憑かれとるんは、一体誰やねんとゆう、本ネタがござります。しかも、主人公の刑事までが、その真相のポイントに入ってくるとゆう仕掛けになっておます。

この種の映画はいろんな人物が入り乱れる複雑系よりも、シンプルであればあるほど、緊張感を増しますし快作になりよります。「裏窓」(1954年・アメリカ)やら「暗くなるまで待って」(1967年・アメリカ)やら「レザボア・ドッグス」(1991年・アメリカ)やらに、通じる緊張感があるんどす。

ほんでもってでんな、映画史上初のトンデモ・カットがござりまんねん。それは冒頭部どす。海から始まり都会を映して事件の起こるビル内へと入っていく、俯瞰による移動撮影なんやけど、コレが何とまあ~天地逆の転倒シーンになっとります。

「フィルムが逆に入ってるんと違うんかー」との声も上げはる方も、いてはるかもしれまへんけど、不安感をあおるための意図的なもんなんでご安心くだされ。転倒カットはイロイロ挿入されとる映画はあるけど、俯瞰の移動撮影でここまでやるっちゅうんは、まあ、ないでおましょう。

しかも、ヒッチコック監督的なサスペンチックな、オーケストラ・サントラをバックにしとりますんで、さらに強烈でおます。この種の映画のイントロ・シーンとしては、歴代ベストテンに入るインパクトやと思いました。

2011年7月 8日 (金)

日本映画「大鹿村騒動記」

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原田芳雄はんのための映画をば、阪本順治監督が撮り上げはりました

松たか子ネーさんやらも、コミカルなバイ・プレーヤーぶりで魅せてくれはりまっせー

http://www.ohshika-movie.com/

7月16日の土曜日から、東映はんの配給によりまして、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「大鹿村騒動記」製作委員会

かつてボクチンが単独インタビューしたことがある、原田芳雄はん主演映画でおます。はっきり申し上げまして、本作は原田芳雄はんのために作られた、人間ドラマ映画でおます。

そこででんな、例によりまして、原田主演・出演映画のベスト&カルトスリーをば、勝手に披露しよりま。

●ベスト⇒①ツィゴイネルワイゼン(1980年)②寝盗られ宗介(1992年)③スリ(2000年)●カルト⇒①竜馬暗殺(1974年)②われに撃つ用意あり(1990年)③祭りの準備(1975年)

故黒木和雄監督とのベスト③とカルト①③、若松孝二監督とのベスト②とカルト②などと、チョイ偏ったようなチョイスになってまいましたが、本作の阪本順治監督作品にも、かつて何作かに出演してはります。ほんでもって、本作が阪本監督作品で、初めての主演となる映画なんどす。

しかも、原田はんのかつての作品に対し、オマージュを捧げるような作りをやってはるんどすわ。まずはなんちゅうても、ベスト①で共演しはった、大楠道代はんとの再会どす。原田はんはこの大楠はんと夫妻でおましたが、原田はんの盟友・岸部一徳はんと、18年前に駆け落ちしはったとゆう設定どす。

この18年前といい、寝取られ設定といい、まさにベスト②をモロに思い出させま。ほんでもって、この3人の関係は、カルト②で描かれた全共闘世代の、今なるものもカンジさせよります。本作に出てる石橋蓮司はんとの共演も、ベスト③とカルト②などでやってはりました。

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個人的なことをば申し述べよりますると、ボクチンの最初の原田芳雄体験は、カルト③でおました。終始、トンデモネー発言を繰り返し、最後は高知から上京する若者をプラットホームで見送らはるんどすが、その時に発した「バンザーイ」のセリフと挙動は、今でも忘れられまへん。

さて、本作の方へと戻りまひょ。かつてのヤンチャぶりは封印しはり、あくまでまろやかな、ある種癒やしの演技をばしてはります。しかも「阿弥陀堂だより」(2002年)なんかで取り上げられた、長野ロケでおますが、秋の紅葉を中心とした自然描写も癒やしがござります。

そして、松たか子ネーさんの、「告白」(2010年)とは真逆に近い、チョイコミカルな演技ぶりどすか。原田はんと絡む、本編で最も長い4分くらいの長回し撮影シーンなど、思わずほっこりと笑えよりまっせー。

クライマックスは歌舞伎披露シーンどすけども、映画内で歌舞伎を披露するなんてのも、オモロイ趣向どした。

サントラものんびり系の音作りをしてはります。でもって、ラストロールでは、忌野清志郎の「太陽の当たる場所」が流れよります。この前向きなフォーク・ロックで、本作はピチッとシメられます。

とにかく、原田はんの集大成的な快作やでー。

2011年7月 7日 (木)

フランス映画の傑作「黄色い星の子供たち」

写真はラストシーン1つ前の、感動的なシーンでおます

「オーケストラ!」のメラニー・ロランちゃん始め、ジャン・レノのアニキが渾身の演技で、コドモたちを守らはります

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http://www.kiiroihoshi-movie.com/

ジューン7月の23日サタデーから、東京・TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館やら、大阪のシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

フランス・ドイツ・ハンガリー合作となった、フランス映画の本作をば配給しやはるのは、アルバトロス・フィルムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ヒトラー率いるナチスが、ユダヤ人たちを弾圧する映画の、系譜に入る作品どす。

この種の映画とゆうのんは、これまでにぎょうさん出てまいりました。

ほとんどすべての作品が、反戦を標榜した感動的な作品になっとりますが、そんな中でマイベストスリーをば勝手に披露させてもらいま。カルトスリーについては、シリアスなテーマでもありますので、披露するんはやめときます。

●ベスト⇒①ライフ・イズ・ビューティフル(1998年製作・イタリア映画)②戦場のピアニスト(2002年・ポーランド&フランス合作)③シンドラーのリスト(1993年・アメリカ)どすか。

ナチはヨーロッパ各国にいてはったユダヤ人たちを、ほとんどエライ目に遭わせはりました。まさに、この世の悪魔でおました。

作品のシリアス度もあるんやけど、マイベストスリーは意図したわけやありまへんが、アカデミー賞でイロイロ賞をもろてはる作品になっとります。

そういう出来具合は別にしまして、この系列の映画は、ホンマモンの悲しい話がベースになっとりますんで、涙なしでは見られないように、ほとんどがなっとるんどすわ。そやから、本作も写真にありますように、号泣必至のシーンが用意されておます。

フランス限定のユダヤ人たちを弾圧するとゆう映画は、これまでにはそんなになかったかと思いよりますが、その弾圧される人々の群像劇であったり、いろんな家族のキズナやら涙やったり、弾圧されるコドモたちの描写やら、これまでのこの種の映画にないような切り口をカンジました。何度も言いますが、写真にある再会シーンのストレートな感動どす。ベスト①に近い感動がありまんねん。

そのシーンへもっていくまでの、コドモたちの演技はモチ、メラニー・ロランちゃんの演技などはググッときよります。「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年・アメリカ)のナース役でオスカー助演女優賞をゲットしはった、メラニーちゃんと同じフランス女優ジュリエット・ビノシェのネーさんの、癒やし系の演技ぶりに近かったどす。

メラニーちゃんどすが、クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(2009年・アメリカ)では、癒やしどころか、復讐の内なる心にメラメラ燃える女を、「オーケストラ!」(2009年・フランス)ではウットリのバイオリニストに扮しはりまして、多彩な役柄をクリエイトしてはります。

ジャン・レノはんとのクローズアップの絡みを含めまして、ホンマにエエカンジなんどすえ~。

とゆうことで、ボクチンとしては、久々に見た“泣けるフランス映画”でおました。

2011年7月 6日 (水)

台湾の少年映画「4枚目の似顔絵」

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家族映画にして少年映画の渋~い1本が、台湾から生まれ落ちましたでー

何やらかつての日本映画の、少年映画を思い出させるような作りが、ア~懐かしや~でおます

日本公開待機作となっておます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCream Production

少年・少女の主人公・ヒロイン映画については、トルコ映画「蜂蜜」(今年6月30日付け)でも分析しよりましたが、本作もアート系を入れつつも、分かりやすい仕上がりになっとります。

ナンチューても、魅力的なんは少年役のビー・シャオハイ君どす。自然体のように見えながら、ビミョーに心のうちの内省ぶりを演技しとりまして、また、チャン・モンホン監督によって演出されておます。

オトンと2人で暮らしてた少年なんやけど、オトンがビョーキで死んでしまわはりました。そこで、今はオトンと別れて、別の男と暮らしてはるオカンのとこへ引き取られます。

このオカン役の写真に写ってはる女優はんやら、少年が通う小学校の女教師役など、メッチャベッピンはんなんで、オッときよりました。中華系の美人女優はホンマ、いっぱいいてはりますけど、台湾のこの2人はホンマ、すごいっす。

でもって、新しい家族の中で生きてゆく少年物語は、さらなるミステリーチックな展開をば見せてまいります。少年は、見知らぬアニキの夢を見ます。このアニキは一体誰やねんとゆう、ナゾナゾが出てきよるんどすわ。

見出しにも書きよりましたけど、日本映画の少年映画へも、本作はシンクロしよります。例えば、「少年時代」(1990年製作)とか「あすなろ物語」(1955年)とか、モノゴッツーあります少年映画の雰囲気が、そこはかとなくカンジられるんどす。

それはたぶん、ドラマの主軸を少年の素朴感に据えてはるからでおましょうか。“♪菜の花畑の、入日薄れ…”の「朧月夜(おぼろづきよ)」がインスト・バージョンで本作で流れるのんも、日本の少年映画の懐かしさみたいなんをカンジさせよりまんねん。

でもって、映画的な撮り方の連続シュートが、映画ファンのココロをばそそります。多彩な色彩を散りばめて…。

例えば、オカンの今の男は金魚すくいの露店をやっとるんやけど、その水槽の薄いブルー・トーンと、オカンが働いとるクラブのピンク・朱色・パープルの対比効果やとか。オトンの死のシーンでは、センター・ラインをキチンと押さえた上で、室内のブルー・トーンと、窓から見える樹々のグリーンを配したり…。

人物を影にした夜のシーン、ブラスバンドによる葬送シーンなど、1分以上の長回し撮影シーンを、時おり挿入したり…。遠近感ある絵画的構図のロングショットと、多投されるクローズアップの対比なんかも、絶妙やと思います。

そして、アメリカン・ニューシネマの「イージー・ライダー」(1969年)を、思い出させるようなシークエンスとかも、オモロかったどす。映画的な作りによる、少年映画のケッサクでおました。

2011年7月 5日 (火)

ジェット・リー主演の人間ドラマ映画「海洋天堂」

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自閉症の息子のオトンを、ジェット・リーが演じはりました

しかも、末期ガンやなんて、おいおい泣かせてくれはりまっせー

http://www.kaiyoutendo.com/

7月9日土曜日から、東京・シネスイッチ銀座、7月16日から大阪・梅田ガーデンシネマ、7月23日からシネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーやでー。

本作の中国映画を配給しやはるのんは、クレスト・インターナショナルはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010, Nice Select Limited. All Rights Reserved.

あのアクション・バリバリ俳優のジェット・リーのアニキが、何とまあ、ヒューマン・ドラマ映画に主演しやはりました。

とにかく、今まではでんな、カンフー&マーシャル・アーツのアクト一本道やった方でおます。カンフーやらはらへん映画は、1本もなかったんやないでおましょうか。まあ、ジェット・アニキのすべての映画を、ボクチンはチェックできとらへんので、もしそうやない映画がござりましたら、教えておくんなはれ。

「HERO」(2002年製作・中国映画)でヒロイズム・アクトの、ピークを示さはったアニキやけど、ボク的には、「キス・オブ・ザ・ドラゴン」(2001年・アメリカ&フランス合作)が気に入っとります。娼婦役のブリジット・フォンダとのキズナが、しんみりきよったからどす。

でもって、本作どす。オカンは死んでしもて、自閉症の息子と親1人子1人のオトン役やなんて…。しかも、自身も末期の肝臓ガンで余命3カ月。ビョーキ入りのラブ・ストーリーやら家族ものやらは、モノゴッツーの数の作品がござります。パターン化しがちな素材を、泣きを控えめに、あえて地味に作り込んだとこやらは、エエかとは思います。

但し、ともすると、なんでアクション・スターが、突然のように人間ドラマやねんと、もの言いをつけたくなる方もおられるでおましょう。でも、2004年の年末に、スマトラ沖地震で被災した彼は変わらはりました。自らボランティアに出て、俳優としてやなく人間としての在り方を追求しはります。そして、台本を読んで感動した本作に、ノーギャラで出はったんでおますよ。

メガネを掛けて、チョイダサ・チョイお疲れなカンジで演技を披露しはり、アレ? コレがあのジェット・リーかいな~と、アラマ・ポテチン(ビックリ)でおました。自分が死んでしもたあと、1人取り残される自閉症の息子を心配しはり、必死にイロイロとやらはるシーンの連続は、黒澤明の「生きる」(1952年・日本)やら、「BIUTIFUL ビューティフル」(6月23日付けで分析)やらにつながってまいります。

でも、暗さはあまりござりまへん。前向きとまではいかんけど、誠実どす。これまでに見たことがない、ジェット・アニキのシブミに酔える作品どしたえ~。

臨場感ある水中カットに、水族館シーンのユラギやら、一幅の絵画的なロングショットやら、チンタオ・ロケの自然描写やら、クリストファー・ドイルはんの撮影が、いつものように冴え冴えとしておます。また、久石譲のクラシカルなサントラやら、ジェイ・チョウの香港ポップス・バラードなんぞも、作品にマッチしておました。

父子の絆を泣ける系で描いた「北京ヴァイオリン」(2002年・中国)を、チェン・カイコー監督と共同で脚本を書いた、本作の女性監督シュエ・シャオルーのネーさん。今作の親子の絆描写も、女性らしい柔和な視点が良かったどす。

2011年7月 4日 (月)

中国のラブ・ストーリー「サンザシの樹の下で」

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チャン・イーモウ監督はんが「初恋のきた道」みたいな、前近代的な恋愛に挑まはりました

映画的やった「初恋のきた道」より、こっちは泣ける系が増量されとりま

http://sanzashi.gaga.ne.jp

7月9日土曜日から、大阪・なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらでロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのは、ギャガはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010, Beijing New Picture Film Co., Ltd and Film Partner(2010)International, Inc. All Rights Reserved.

いやあー、ビックラこきました。チャン・ツィイーちゃんを有名にした純愛映画「初恋のきた道」(2000年製作・アメリカ&中国合作)に続きまして、チャン・イーモウはんが、大マジ・モードで前近代的恋愛映画を作ってきはりました。

しかも、現代をモノクロにし過去をカラーで描いた、映画的設計やらにグーンときた「初恋のきた道」に比べまして、初恋・純愛もの恋愛映画のピュアさに、とことんソリッドに原点回帰したようなカンジなんどす。

例えばでんな、ヒロインと主人公の2人の間で交わされよる、歯が浮いたようなセリフの数々。無邪気とゆうか幼稚とゆうか、川での水浴びを含めた、コドモっぽい2人のデート・シーン。スロー・テンポと間(ま)の多さ。2人のアップが多いかと思えば、一時の別れのシーンでは、ロングショットで長めに見せていったりしはります。

ほんでもって、2人の内の1人が死ぬとゆう、カビのはえまくった恋愛を、あえて意図的に作り上げようかっちゅうんは、ある意味でスゴイでおます。

ワンマンの毛沢東が無理やりやった、文化大革命時代中の1970年代の恋愛なんどすが、イーモウ監督は文革への批判をあえて、こういう純粋無垢なスタイルの、真逆のノリでやろうとしやはったんやないでしょうか。

監督の作品、例えば「あの子を探して」(1999年・中国)の少女教師とか、「至福のとき」(2002年・中国)の盲目の少女やらの、おぼこくてコドモっぽくてあやういカンジのヒロイン像(18歳のチョウ・ドンユィちゃんが演じてはります)をば、ここでも披露・演出してはります。

でもってクライマックスで、そのヒロインを大泣きさせるとゆう演出ぶりは、まさに泣きの純愛映画の醍醐味ココにあり! でおます。

文革時代を描いた中国映画はイロイロござりますが、三角関係のラブ・ストーリーやった「小さな中国のお針子」(2002年・フランス)以上に、その純愛度・泣ける度合いは、高くなっとるかとボクチンは思います。

監督は「HERO」(2002年・中国)やら「LOVERS」(2004年・中国)やらのアクション系映画の反動で、こうゆうのんを作ってきはったとゆうとこもあるやも分かりまへん。

薄~い色合いを基調に時代の空気感を伝えたり、一方で菜の花畑やら美しき中国の田舎の風景を入れたりと、純愛を示す撮影。さらに、バイオリン、ハープ、胡弓などを使った、癒やしのサントラ使いも良かったどす。

2011年7月 3日 (日)

スタジオジブリの新作「コクリコ坂から」

1963年を描かはった、昭和映画の傑作アニメどす

メッチャピュアな学園ラブ・ストーリーを、長澤まさみチャンと岡田准一クンが声で演じはりました

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http://www.kokurikozaka.jp/

7月16日土曜日から、全国東宝系ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT

スタジオジブリの2011年度の新作は、まさにピュアでストレートなラブ・ストーリーとなりましたで。明日分析しよります、チャン・イーモウ監督の新作「サンザシの樹の下で」へもシンクロする、ピュア・ピュアの純愛度合いでおます。

東京五輪を翌年に控えた、1963年度の横浜が主舞台になっとります。それまでにもいっぱい作られとったんやけど、「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)あたりからクローズアップされ始めた、昭和映画のノリが本作にはあります。「当たり前田のクラッカー」など、当時の流行語も出てまいります。

でもって、「ALWAYS」と同じく、コミック原作映画どす。しかし本作は、全く日の当たらなかった少女マンガを採り上げはり、宮崎駿巨匠が改稿してバージョン・アップ、息子はんの宮崎吾郎アニキが、メガホン・タクトを執って振りはりました。いやはや、コレがなんと申しますか、映画と音楽が一体となったような仕上がりになっとりまんねん。ビックラこきましたがな。

吾郎アニキにしてみはったら、1963年は生まれてはらへんし未知の時代どす。でも、時代感を出すために、1960年代の日活の青春映画をだいぶと、DVDで見はったらしいどす。でもって、その調子をば、本作に持ち込もうとしはりました。

当時の日本映画とゆうのんは、ある時期のハリウッド映画と同じどして、現実とは違うもの、前向きでストレートなるものを採り上げてはったんどす。そやから、登場人物たちのリアリティーへと、反映させるようなもんやなかったんどす。

現実としては、お互いに好きだとストレートに素直に告白するようなことは、あまりなかったかと思います。もっとナイーブで内気やったんやないかな。ほなら、そのスタイルを本作に持ち込んだんは、ミスマッチやったかとゆうと、そうやござりまへん。

映画の原点とも言える、観客に“夢を見させる”レベルへと原点回帰しはったんどすわ、コレがね。但し、共にモノクロで日活作品なんやけど、高橋英樹主演「けんかえれじい」(1966年)的なとこもある、岡田准一アニキ声優の主人公像とか、吉永小百合主演「キューポラのある街」(1962年)的な、長澤まさみチャン声のヒロインの造形ぶりとか、たぶんに父・駿はんの思いも、何やら入っているようにも思いよりました。

サントラ的にゆうと、アメリカン・チャート「ビルボード」で、これまで唯一のNo.1になった日本の歌・坂本九「スキヤキ・ソング」(原題「上を向いて歩こう」・1961年作)が、流れるシーンがござります。この歌に乗って、2人がチャリンコで2人乗りするシーンなど、かなりググッときよりました。

海の見える坂道の多い街を、バックにした恋愛映画とゆう意味では、大林宣彦監督の尾道三部作やら、新・尾道三部作シリーズも思い出させてくれよりま。

いつものようにパステル画を見るような、目に優しい色使いであるとか、ピアノ・ソロ・パートのしんみりシーンでの効果的な使い方、でもって、一部のテーマに“温故知新”があるとこやら、シブミあるシーンは随所に織り込まれておます。

ジブリ宮崎親子のコラボレートによる、イロンなキズナ映画どすが、特に、ラブ・ストーリー部に酔っていただける作品になっておました。

2011年7月 2日 (土)

アメリカン映画「アイ・アム・ナンバー4」

In4_mainjpg_rgbドリームワークスのスピルバーグ・タッチと「トランスフォーマー」のマイケル・ベイ・スパイスが、絶妙に仕込まれよりました

「トワイライト」シリーズみたいに、次世代の男女若手スター候補生が、恋にアクションにと、張り切ってはりま

http://www.no4-movie.jp/

ジューン7月8日フライデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸDreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

ハリウッド映画の、アメリカ本国におけるヒット方程式とゆうのんが、最近は変わってきとるんは知ってはりますかー。

売れる方程式としてのシリーズもんとゆうのんは、ある種定番になっとるんやけど、そのなかでもでんな、次世代の若手スター候補生を、どないして売り出してゆくんかとゆう大いなる問題がござります。それをシリーズもんにかこつけて、やってまうとゆうスタイルが出てきよったんですわ、これが。

これはおそらく、「トワイライト」シリーズ(2007年~2010年製作・3部作・アメリカ映画)のアメリカでの大ヒットが、ポイントになったんやないかなとボクチンは思うとります。

ただし、こういうパターンは日本では、ヒットに結びつくケースがそないありまへん。いくつかの映画でボクチンは書きましたけども、日本ではあんまし有名やない俳優が出てはるような映画は、バカ売れしまへんねん。

でも、「ハリー・ポッター」みたいに、大ベストセラーが原作やったりとか、コドモたちが活躍するようなタイプの映画の場合は、そのパターンではありまへん。ファミリー層を呼びこめるからでおます。

しかし、本作みたいに、ラブ・ストーリーも盛り付けられた、学園ものをバックにしたSFアクション映画とゆう、これまでにない異質なケースはどないでおましょうか。なんでも映画好きは別にして、学園もの映画好きとSF映画好きは、果たしてシンクロするんでおましょうか。しかも、「エイリアン」シリーズ(1979年~1997年・現在まで4作出てますが、完結しとりまへん・アメリカ)みたいなモンスターも出てきて、モンスター対決までやりよります。

異種混合系。ある意味では冒険やと思いますが、しかしコレが、前半と後半でミスマッチ感覚があるものの、魅力的な男3人女2人の若手を配して、なかなか魅せてくれはります。

D・J・カルーソ監督が「理由なき反抗」(1955年・アメリカ)のジェームズ・ディーンを想起したとゆう、主人公役のアレックス・ペティファー君はイケメンやし、主人公のお相手役ヒロインの、ダイアナ・アグロンちゃんはアイドルっぽいし、対して女戦士役のテリーサ・パーマーちゃんはセクシー系で、ええカンジどすし…。

学園ラブ・ストーリーとして見ていったら、アレアレいつの間にやらコレが、2つの惑星の宇宙人たちの、地球上でのサバイバル追逃走劇アクション・ドラマへと転換するんでおますよ。地球に逃れた9人の超人と、血のつながらへんその保護者たち。それを追ってきよったワルの宇宙人たち。この攻防戦がシリーズとして、紡がれるとゆうカンジどす。

スティーヴン・スピルバーグ率いるドリームワークスが製作しはり、「トランスフォーマー」シリーズ(2007年・2009年・2011年・アメリカ)のマイケル・ベイが製作を担当しはりました。つまり、いわゆる、ハリウッド映画方程式に則ったような仕込みなんで、日本で大ヒットしても、なんら不思議はござりまへん。

そんななかで、ボクチンが個人的に酔ったのは撮影どした。撮影は、アカデミー賞撮影賞を「パンズ・ラビリンス」(2007年・スペイン&メキシコ)でもらわはったギレルモ・ナヴァロはんどす。

イントロの前へ前へと進む移動撮影、オハイオ州パラダイス町の自然光による明るい撮影部と、素早いCG・VFXシーンとの対比効果など、深酔いさせてくれはりました。ロック、バラードを中心にした歌ものサントラも含め、細部にも注目してもらいたい作品でおます。

2011年7月 1日 (金)

ジョージ・クルーニー主演「ラスト・ターゲット」

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暗殺者の孤独が渋~く、ココロに染み入る映画でおます

ジョージ・クルーニーのアニキのクールさが、過去最大級に出た映画かもしれまへん

http://www.last-target.info

7月2日サタデーから、東京・角川シネマ有楽町やらを皮切りに、全国ロードショーやで~。

関西やったら、7月9日から、大阪・梅田ブルク7やら、T・ジョイ京都やらで上映どす。

本作を配給しやはるのは、角川映画はんでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

暗殺者の孤独っちゅうもんを、ジョージ・クルーニーのアニキが、終始クールな演技で演じ抜かはった作品でおます。いろんな孤独映画やら、スパイもの、女アサシンものなどともリンクしよりますが、そんな中から抽出しますと、「ジャッカルの日」(1973年製作・アメリカ映画)やらに迫る仕上がりとなりました。

「ジャッカルの日」はフレデリック・フォーサイスの、ノンフィクション・ノリの小説が原作でおましたが、本作も小説が原作どす。そやけど、例えば「極大射程」を原作にした「ザ・シューター」(2007年・アメリカ)みたいな、ハデハデなとこはあまりござりまへん。

終始静かな展開で進みますが、それでいて緊張感とゆうか、殺気めいた空気が張り詰めておます。クルーニー・アニが妖艶な女から依頼されはった武器を、コツコツと作らはるシーンなど、脱獄の方法を淡々と見せた「抵抗」(1956年・フランス)のノリがござります。

でもって、「ジャッカルの日」の主人公役エドワード・フォックスはんの、イロンな行動ぶりと相似形になっとるとこもあります。でも、本作は孤独一本道やった、エドワードはんとは違いまして、人と人の滋味あるコミュニケートをばしはりますし、娼婦の女とは切ない系の、ラブ・ストーリーをば展開しはるんどす。

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なるほど、監督は西部劇を意識したとゆうてはります。カンヌ映画祭で賞をもらわはった「コントロール」(2007年・アメリカ)で、さっそうとデビューしたアントン・コービン監督の2作目どすけども、監督の映画的嗜好もちゃんと入れてはるんどすわ。

西部劇とゆうジャンル映画は、とことんクールやありまへん。何らかのキズナとゆうもんを、ほとんどの場合描いてはるもんどす。そこへ、「シェーン」(1953年・アメリカ)みたいに、よそ者がその地の母子を守るために、悪役を倒してさっそうと去っていくような、あのノリが本作にもあります。但し本作は、さっそうと去れるかどうか分かりまへんが…。

原題の「ザ・アメリカン」からも分かるように、イタリアへ来たアメリカ人のビジターとゆうより、ストレンジャーとゆう設定もソレどすし、また、イタリア出身の映画監督セルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウエスタン作品を、本編の中で映したりと、ケッコーやってはるんでおますよ。

さらに、これまでのアメリカ映画ではそないない、イタリアの山間部ロケをばやってはります。クルーニーはんは誰ぞに命を狙われとるんで、身を隠さなあかんとゆうことで、こういう場所でのロケでおます。

そこで出会った神父との交流。ほんでもって、主人公と川へピクニックに来たら、ハダカになってすぐに川へ入る、露出狂ぎみの娼婦役ヴィオランテ・プラシドのネーさん。このネーさんは1分近い長回しによる、クルーニーはんとの、赤色照明のベッド・シーンもあるんやけど、あくまで陽の演技でゆかはります。クール・ビューティー陰の依頼人役テクラ・ルーテンのネーさんとの、対照演技にも注目しておくんなはれ。

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