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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年6月の記事

2011年6月30日 (木)

トルコ映画「蜂蜜」

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世界3大映画祭のベルリン国際映画祭で、最高賞の金熊賞をばゲットしはりました

少年もの映画でも、シブ~くて静かーな作りがココロに染み入りまっせ

http://www.alcine-terran.com/honey/

ジューン7月の2日サタデーから、東京・銀座テアトルシネマやら、大阪・テアトル梅田やらで、全国順次のロードショーでおます。

その後、8月にシネ・リーブル神戸、秋には京都シネマでも公開予定どす。

本作を配給しやはるのは、アルシネテランはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Kaplan Film Production & Heimatfilm GmbH + Co KG

少年が主人公となるトルコ映画の、渋~いケッサクでおます。

セミフ・カプランオール監督は、大人になった主人公を描く「卵」(2007年製作・トルコ&ギリシャ合作)、思春期の「ミルク」(2008年・トルコ&フランス&ドイツ)に続き、本作の少年時代を描かはりました。

つまり、3部作とゆうカタチどすが、いわゆる「スター・ウォーズ エピソード」シリーズ(1999年・2002年・2005年・アメリカ)みたいな、遡り系のスタイルで主人公を描いてはります。少年主人公映画を、こういう形式で登場させはるのは、映画史上初めてでおましょう。フツーは少年映画を単一で登場させるんが常套どすやろから

さらにでんな、この少年ものどすが、何と申しましょうか、メッチャ静かな作りなんでおますよ。睡眠不足なんかで見にいったりしたら、ひょっとしたら寝てまうかもしれまへん。

何がどない静かなんかと申しますと、まずもって、サウンドトラックが流れまへん。サントラのない映画は、サイレント映画以外にも、これまでにもイロイロ出てまいっとりま。ただし、あからさまなるサントラ代を始末する、経費削減系もあるんやけど、本作もそれかな~と思いつつも、でも、この少年の描き方にオーケストラの音楽なんか流したら、チョイ台無しになるんとちゃうかなとも思いよります。

虫が鳴いてるだけの森の長回し撮影シーンやら、サイレント映画的なタッチが次々にやってきよります。父がどこかへ行ってしもたあとの少年の孤独感描写とか、セリフ少なめのスロー・テンポでゆったりと、少年の挙動によりそった演出をば施してはります。加えて、トルコの田舎の風景が、ホッと安らぎをば運んでまいります。

ほんでもって、映画芸術としてのキレてるショットの数々がおます。そう、まるで名画と静かに向き合うような、ただし一瞬の構図カット。全体的にセンターラインを強調した、遠近感あるロングショット。月がゆらぐ水たまりやら、グラスを通した教室とか、版画的なカットなど、イロイロありますんで楽しんでくだされ。

そして本作は、説明せずに描写することに徹してはりますんで、観客の方から能動的に、映画を見てゆく必要があります。流れに身をまかせるのんは、あんましオススメできまへん。とゆうことで、要するに、ココロして見てもらいたい作品とゆうことどす。

アート系少年少女主人公映画ジャンルでは、歴代ベストテンに入ってもええような作品でおます。ちなみに、ボクチンのそのジャンルのベストスリーを、披露してシメといたします。①ミツバチのささやき(1973年・スペイン)②ブリキの太鼓(1978年・西ドイツ&ポーランド&フランス)③本作どすが、あくまで本日付けでおますんでよろしゅうに。

2011年6月29日 (水)

日本映画「ふゆの獣」

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かつてないアドリブ感覚で紡がれよった、2組カップル4人の四角関係ネジレ系ラブ・ストーリーでおます

何やら「しとやかな獣」やら「M/OTHER」やらを思い出させはる作りがよろしおまっせー

http://www.loveaddiction.jp/

7月2日の土曜日から、東京・テアトル新宿でレイトショーでおます。

その後、7月9日サタデーから、大阪・テアトル梅田やら、名古屋・シネマスコーレやら、全国各地順グリの上映どす。

本作をば配給しやはるのんは、マコトヤはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ映像工房 NOBU

東宝・東映・松竹の邦画大手3社が、全国各地200~300館レベルで公開しはるような映画とは違いよります。第11回東京フィルメックス最優秀作品賞をゲットしはり、いろんな映画祭に招待され、今年の「大阪アジアン映画祭」でもプレミア上映されました。

まあ、今どきのインディーズ映画てゆうたらそうなんやけど、でも本作に、かつてボクチンがハマりまくった、日本インディーズの嚆矢、ATG(アート・シアター・ギルド)映画の雰囲気を、濃厚にカンジよったんは確かでおます。

ゴリゴリの映画ファンでない方には、何ゆうてんのか、さっぱり分からへんかもしれへんけども、アート系の映画てゆうたらそうやも分かりまへん。でも本作は、映画的アート的な計算に基づいて作られたとゆうよりは、即興演出的なアドリブ感覚どす。

ATG映画では、ボクチンはドキュメンタリー手法で捉えられた、今村昌平監督の「人間蒸発」(1967年製作)なんぞのセンスをカンジました。また、ATGやないけど、萩原健一と桃井かおりが思いっきり、アドリブを披露した「青春の蹉跌」(1974年)なんかも、以下同文でおます。

本作は日常生活と変わらへんような、作られていないセリフのやり取りによって、4人の男女の四角関係を描いてまいります。ある種、ドラマとゆう形態を破壊してゆきながら、物語を紡いでゆくこの手法は、危なっかしい作りとなり、時には素人まがいのもんになりかねへんとこがござります。

しかし、本作はそのギリギリのところをば、見事に綱渡りしてみせはります。三浦友和はんと渡辺真起子ネーさんの夫妻映画やった「M/OTHER(マザー)」(1999年)に似た即興感覚があるんやないかと思います。

ほんでもって、おそらく、監督の内田伸輝アニキの意識の中には、若尾文子はんの代表ケッサクで、ケッタイなホームドラマ「しとやかな獣(けだもの)」(1962年)が、あったんやないかいなと勝手に想像いたします。つまり、何人かの人間関係の中に、1人のトラブルメイカーを放り込んだら、どないなるやろなーとゆう、ある種隠し味的な手法でおます。

後日、分析しよりますが、内田監督のかつての作品で、映画館では初公開となる「かざあな」(2007年)なんぞも、本作以上のトンデモ・アドリブ感を打ち出してはるんで、注目しといておくんなまし。

そんな男女を映画的に描くのに、印象的なとこは5ポイントほどござります。

まずは①アドリブ感②薄色の脱色的な色合いの前半部から、後半では自然光による配色へと転換③近接撮影含む、手持ちカメラの臨場感④みんなに分かりやすいようにした、アップ・クローズアップの多用⑤4人によるカルテット演技の妙演っちゅうカンジかな。

とにもかくにも、ネジレ系恋愛映画の会心作になっておます。ぎょうさんの人に見に行ってもらいたい作品なんやけど、特に、映画ファンこそ見に行くべき作品やと思いまっせ~。

2011年6月28日 (火)

韓国アクション映画「チョン・ウチ 時空道士」

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カン・ドンウォンのアニキが、トンデモ・アクション映画に主演しはりました

一方、イム・スジョンちゃんも、ハイパー・バトルに巻き込まれよりま

http://www.jeonwoochi.jp/

東京は7月2日から公開どすが、関西は7月9日サタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで上映でおます。

本作をば配給しやはるのは、ツインはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 CJ ENTERTAINMENT, UNITED PICTURES & ZIP CINEMA. ALL RIGHTS RESERVED

ワイヤー・アクションとゆうのんは「マトリックス」(1999年製作・アメリカ映画)やらで、世界的に有名になりよりましたけども、そのルーツは香港映画でおます。

ボクチンがその映画を特定しよりまするに、「霊幻道士」シリーズ(1985年~1992年・全6作・香港)やと見なします。ほんでもって、本作の韓国映画は、その「霊幻道士」を韓国バージョン・アップ・バージョンで採り上げはったかと思いよりま。

トンデモ凄まじい嵐のごとくにでんな、次から次へとバーサス・アクションが展開されよります。「霊幻道士」ではキョンシーとゆう名のゾンビとの戦いどしたが、本作ではその種の相手を探すと、人間の姿をしとる妖怪とゆうことになりますか。

ともすると時には、荒唐無稽なシーンやないかいなと、思わはるかも分かりまへん。でも、香港アクション作品もまた、ハチャメチャなカンジがござりましたし、こちらはCGアクト・シーンやらで進化型を示さはるんどす。さらに、カンフー・アクトはモチ、ハリウッド映画的なカー・アクションもあり、活劇シーンはバラエティーに富んでおるんどすえ~。

クライマックスの2人対決は、幻視シーンも取り入れはって、オリジナリティーを表現せんとしはります。それだけやおまへん。この種の映画には珍しく、新しどころも付加してはるんどす。

例えば、時代劇から現代活劇へと転換する、タイム・スリップ系のドラマ性であり、そのカルチャー・ギャップ的なコミカルな展開に加え、映画メイキング・シーンでさりげなく、オードリー・ヘプバーンやマリリン・モンローら、名女優へのオマージュを仕込んだりと、なかなかやってくれはります。

でも、モチ、本作の見どころはアクション・シーンではおますけども、韓国映画お馴染みの、ラブ・ストーリー部もウットリいくかどうやらは分かりまへんが、ちゃんと用意されとるんどす。

伝説の道士チョン・ウチ役主人公に、イケメン俳優のカン・ドンウォンのアニキが扮しはり、最近作では「あなたの初恋探します」(6月14日付けで分析)に主演しはったイム・スジョンちゃんと、恋の花火がメラメラとはいかんでも、エエカンジにはなっておます。海へやってきて海を眺めるラストシーンは、オー、そうくるかーとゆう、サプライズなカンジがござりました。

スケッチ風に描かれる、掛け絵の中へ主人公らがモノクロになって入るシーンやら、アクト・シーンに哀愁のアナログ歌謡曲を流したりと、細部の工夫もチェックしてもらいたい作品どした。

2011年6月27日 (月)

ブリティッシュ・ファンタジー「ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ」

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「ハリー・ポッター」に勝るとも劣らへんイギリスらしい、魔法ファンタジーの良質作品第2弾でおます

「ナルニア国物語」並みに、動物・少年少女たちも大活躍しよりまっせー

http://www.tobu-kobuta.jp/

ジュライ7月2日サタデーから、全国ロードショーどして、大阪は「TOHOシネマズなんば」やらで上映しはります。

本作のイギリス映画をば配給しやはるのは、東宝東和はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 universal studios. ALL RIGHTS RESERVED.

本作は「ハリー・ポッター」シリーズ(2001年~2011年製作・アメリカ映画)を始め、「ロード・オブ・ザ・リング」「ナルニア国物語」など、イギリスのファンタジー小説をベースにしはった、映画群の1本となりよります。

アメリカのディズニー作品やら、ドリーム・ワークス作品も含めますと、これらの作品には一定の法則みたいなんがござります。

①少年少女が活躍する②時に、動物たちが擬人化されて登場する③魔法使いや宇宙人など、ファンタジーの定番的ファクターが存在する。

この3つのいずれか、もしくは全てが入っとれば入っとるほど、ファミリー鑑賞度が高くなってまいります。でもって、本作は夏休みに家族そろって見にゆく映画としては、100パーセントのファミリー印どす。

そうそう、「ハリー・ポッター」の最終話が7月15日に公開されるんやけど、予算的に1本しか見られへんとするんやったら、どちらかと申せば、ボクチンはこちらの方を推薦したいんどすえ~。まあ、「ハリー・ポッター」は後編ちゅうこともあるんで、映画1本分の単体完結度はこちらの方がよろしおますやろ。

さて、本作の②についてどすが、擬人化される動物としては、ディズニーやらみたいに人間語はシャベりまへん。それでいて、チョー愛嬌ある演技ぶりで魅せてくれよります。「ベイブ」(1995年・オーストラリア)みたいな子ブタ・キャラが、ぎょうさん出てきてジャズに乗って、シンクロナイズド・スイミングを見せたり、ゾウ、ヤギ、牛なんかも、コドモたちのココロをそそりまっせ。

さらに、ヨゴレあるいは不気味キャラが定番のカラス・キャラを、正義の味方的に描くんも新しいとこやと思いました。

ほんでもって、女性監督スザンナ・ホワイトのネーさん、魔法使い主演・脚本・製作総指揮のエマ・トンプソンのネーさんら、女性らしい優しさやら肌ざわりやら母性やらが、全編にみなぎっておます。

小麦色のセピアなど田舎シーンは自然光をメインにしはり、対してロンドン・サイドでは、くすんだ灰色配色を施して、時代感を示すのも渋かったどす。それでいて、小麦畑の収穫シーンなどで、セピアCGをファンタジックに使わはったりと、ええカンジどした。

最後に申しますと、原作もまた女流となる、作家のクリスチアナ・ブランドはんでおます。ブランドはんと申せば、アガサ・クリスティーと比肩されるイギリスのミステリー作家どす。そんな彼女が、「ハリー・ポッター」よりずーっと以前に書いたファンタジー小説が原作なんどす。

「ハリー・ポッター」的エッセンスを先行して取り込んではるんですわ。そやから、「ハリー・ポッター」を見に行く前にはぜひ、こちらをご覧くだされ。

2011年6月26日 (日)

超絶コメディ「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を超える」

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アメリカで歴史的なヒットを刻んどる、あのコメディ・シリーズの第2弾がやってまいりました

タイ・ロケを意識しはった、アクションやらコメディが満載どすえ~

http://www.hangover-japan.jp/

ジューン7月の1日フライデーから、全国各地イッセーのロードショー街道でおます

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマやらで公開どす。

「R-18+」と「R-15+」指定の、2バージョン同時公開の、本作をば配給しやはるのんは、ワーナー・ブラザース映画はんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES

アメリカでは共に特大ヒットをかました、「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(2010年5月31日付けで分析)の第2弾でおます。

ところがどっこい、こおゆうタイプのアメリカン・コメディとゆうのんは、日本ではそないにヒットしよりまへんし、また、日本未公開フィルムとなってまうケースが、これまでは多うござりました。

2作共に監督しはったトッド・フィリップスのアニキの、ディスコグラフィーを見ても、未公開フィルムがかなりありまんねん。なんでやろ、と考えまするに、まず「R-18」「R-15」指定が示すようにでんな、18歳・15歳未満の子らには見せられへんような、シモネタ・シーンとかがあります。

かつては「ポーキーズ」(1981年製作・アメリカ&カナダ合作)「アメリカン・パイ」(1999年・アメリカ)やらの学園ものが、ケッコー話題になっとりましたが、こちらは大のオトナもんでおます。さらに、日本人には通じへんアメリカン・ジョークが、テンコ盛りになっとるような場合どすか。

でもって、ボクチンどすが、トッド監督の未公開フィルム「スタスキー&ハッチ」(2004年・アメリカ)を、ビデオ・リリースに合わせて批評したことがござります。コンビもんなんやけど本作と同じく、男らのトンデモおバカぶりが披露されておました。いわば、この「ハングオーバー」シリーズは、「スタスキー&ハッチ」の過激バージョン・アップ版やと、ボクチンは捉えよりました。

そして、前作とストーリー作りやら流れやらは、ほぼおんなじでおます。つまり、男たちが酒を飲んで飲んで飲みまくってでんな、ほんでもって翌朝、二日酔いの重たい頭で目覚めたら、あらま、ポテチン、えらいことになっとったとゆう展開。で、みんな昨夜の記憶が全くもって欠落しとって、一緒に飲んどったダチの1人が、蒸発してもうとるとゆう流れ。でもって、この消えたダチを制限時間内に探すとゆうことでおます。

前作はボクチンは、終始笑いが止まらんくらいどした。今作はどないやったでしょうか。チョイ強引なとこやら設定やらもあるんやけど、前作のベガスやなく、今回はタイが舞台でおまして、そんなタイのお国柄に合わせはった、オモロイエピソードが頻出しよります。

アメリカン・ナンセンス・コメディとタイは、ある意味でミスマッチなとこもあるんやけど、そこが妙にココロひかれよりました。黙り続けはるタイの仏教の老人坊さんやら、麻薬を仲介しよるエテ公とか、仏教の瞑想シーンがナゾ解きのヒントをくれたりと、イロイロどす。ボート・アクションやら、バイクとのカーチェイスやらのアクション・シーンにも注目。

また、ハードロックや歌ものロックがエエカンジで流れよるし、ギターによる弾き語り替え歌のビリー・ジョエルの「アレンタウン」も、前作のニワトリを脇にしたピアノの弾き語りと同じくらい、笑わせてくれはりました。

さて、お次はあるんやろか。日本を舞台にするんは、どないなもんですかー。一考しておくんなはれ。

2011年6月25日 (土)

東山紀之主演時代劇「小川の辺」(おがわのほとり)

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藤沢周平原作映画らしい、静かな作りがクセになりよります

山形県ロケによる美しい日本の風景に、ホッと癒やされるんどす

http://www.ogawa-no-hotori.com/

6月18日サタデーから山形県で、先行公開中やでー。

ほんでもって、7月2日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、東映はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「小川の辺」製作委員会

本作は、殺伐とした時代劇やおまへん。「たそがれ清兵衛」(2002年製作)やら「武士の一分(いちぶん)」(2006年)やらの藤沢周平原作の時代劇どして、ある種、癒やしの時代劇とでも申しましょうか。

加えて、家族ドラマ性であったり、ラブ・ストーリー性であったりと、イロイロとござります。

ストーリーに即して、見どころをば見ていきまひょか。脱藩して別のとこへ、逃亡しはった夫妻(片岡愛之助アニキと、菊地凛子ネーさんが扮してはります)がござりました。その妻は、東山紀之アニキの妹はんどす。

そこへ、藩命として東山アニに、逃げた夫を殺せとゆう命令が通達されま。ほんでもって、どこらあたりに逃げたかとゆう情報ももたらされます。そして、東山アニは幼なじみでもある家来の勝地涼クンを連れて、殺しの旅へと出はるんです。

このロードムービー部は、クライマックスを除いてでんな、本作の大いなるハイライトになっとるんどす。オーケストラ・サウンドは流れるものの、間(ま)の取り方を含めまして、終始静かな作りになっとりまして、道行シーンでは、山形県の美しい風景の数々が捉えられておます。

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セピアから濃いオレンジへと、自然にグラデーションされたような夕景シーンやら、清流、山々の鮮やかな緑など、目にモノゴッツー優しおます。ほんで、2人の道中のエピソードも、険悪ムードはほとんどなしの、何やら癒やし系のあったかモードに包まれとるんです。

東山アニの「ゆっくり行こう」とか、「武士とは誠にムズカシイものだ」などとゆうセリフも、ホンマに人を殺しに行くんかいやと、突っ込みを入れたくなるくらい、穏やかに発せられよります。

そんな作りに合わせて演技陣も、当然ゆったりとした感覚を貫いてはります。東山アニの女房役の尾野真千子ネーさんやら、東山アニの父母役で、かつての日活時代の共演を、思い出させてくれはる藤竜也はんと松原智恵子はんやらも、穏やかでたおやかなる演技でおます。家族やら兄妹やらのキズナが、しみじみとココロにくる演技ぶりどした。

但し、クライマックスは、藤沢周平原作映画に常にあるように、1対1対決シークエンスどす。でも、この映画の流れの中では、緊張感あふれる対決とゆうカンジには、どうしてもなってきよりまへん。ある意味において、これまでの時代劇のイメージを変えるような、サプライズ感がござりました。

藤沢作品はまだまだいっぱいありまんので、どんどん作ってほしいと思います。

2011年6月24日 (金)

織田裕二主演映画「アンダルシア 女神の報復」

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織田裕二&伊藤英明の各アニキと、黒木メイサちゃんの、コンゲーム・タッチのミステリーどす

「ホワイトアウト」が有名な、真保裕一の小役人・公務員ミステリーが原作でおます

http://www.andalucia-movie.jp/

ジューン6月25日のサタデーから、全国各地イッセーのロードショーやで~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 フジテレビジョン/東宝/電通/ポニーキャニオン/日本映画衛星放送/アイ・エヌ・ピー/FNS27社

外務省・邦人テロ対策室所属の外交官・黒田康作(織田裕二のアニキが扮してはります)が活躍する、映画としては第2弾となる作品でおます。

イタリアを舞台にしはった第1弾「アマルフィ 女神の報酬」(2009年製作)に続きまして、本作はスペインをメインに、前作に続きオール海外ロケ(2、3分の東京シーンはあるけど)となりました。

海外ロケをメインにした日本映画の中でも、日本人同士では日本語でやり取りするんやけど、ベースはスペイン語、英語セリフをメインに据えて、ある種洋画作品とも言える作りになっとります。

それでいて、スペインの下流社会の実態を捉えた「BIUTIFUL ビューティフル」(昨日分析)なんかと比べてみよりますと、えらいビジターなノリになっとります。グルメ、路上演奏のフラメンコ、夜の闘牛場、花火、バルセロナやアンダルシアの風景シーンなど、日本人観光客がいかにも喜びそうなシーンが、それとなく挿入されておます。

しかし、それらはこの極上ミステリーに、決してマイナスには作用してはおりまへん。日本の2時間テレビドラマの旅情ミステリーなんぞに、慣れ親しんではる方々には、分かりやすいんやないかとも思います。

でもって、演技陣どす。製作に関わってはるフジテレビのドラマや映画では、共に代表傑作・ヒット作がある織田アニキと伊藤英明のアニキ(国際警察インターポールの刑事役どす)が、本ネタにも関わる、絶妙なコンビぶりを見せはります。

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そして、黒木メイサちゃんどす。前作では、織田アニは天海祐希ネーさんと関わらはりましたが、今作ではキス・シーンも含めよりまして、メイサちゃんと濃厚に関係しはりました(!?)。ああー、えらいおいしい役やん! なんて思たら大間違いどすえー。

悪女といえば悪女やし、かわいそうな役といえばかわいそうやし、悪女になるかならないかのビミョーなG線を、巧妙に演じはりました。最初の事件シーンで出てくる、メイサちゃんの事件現場の何やら偽装工作シーンなんぞから、この謎めき演技にゆっくりハマってまいります。

余り出番はないけれど、エロイ度出してはる福山雅治アニキやら、マジメ生一本の戸田恵梨香ちゃんにも、注目しておくんなはれ。

ほんでもって、このミステリー映画どすが、原作は織田アニも出た「ホワイトアウト」(2000年)の真保裕一はんどす。江戸川乱歩賞ゲットのデビュー作『連鎖』やら、その後の『震源』やら、小役人もの、いわば公務員主人公ミステリーを、次々に出版してきはりましたが、この黒田外交官シリーズは、その集大成とも呼ぶべき作品集やと思います。どんでん返しの強烈なカンジなど、映画にもしっかり反映されておます。みなはん、ミステリー映画としての面白さも、ぜひ味わってくだされ。

2011年6月23日 (木)

スペイン&メキシコ合作「BIUTIFUL ビューティフル」

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「バベル」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、黒澤明監督「生きる」を意識して撮らはった新作どす

主演ハビエル・バルデム的には、「海を飛ぶ夢」より死にたくない、生きたい度が高いでおます

http://www.biutiful.jp/

ジューン6月25日サタデーから、東京・TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、ジュライ7月2日サタデーから、大阪ステーションシティシネマやらTOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

本作の配給会社は、ファントム・フィルムさんやでー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 MENAGE ATROZ S. de R.L. de C.V., MOD PRODUCCIONS, S.L. and IKIRU FILMS S.L.

メキシコ出身・ロス在住のイニャリトゥ監督の、「バベル」(2006年製作・アメリカ映画)に続く新作でおます。

メキシコ国内の群像劇「アモーレス・ペロス」(1999年・メキシコ)、ワールド・ワイドになった3カ国群像劇「バベル」、3人の話をフィルムをバラバラにして、無作為につなげたような「21グラム」(2003年・アメリカ)やら。

これまで監督は、実験的とは申しませんが、今までの映画にないような変テコリンなものをあえて志向して、映画を作ってきはったようなとこがあるようにも思いよります。新しい映画をと目指すあまり、時にマニアック過ぎる、自己内完結型のドラマにもなりそうな危うさもござったかと思います。

でも、本作はメッチャ正攻法による人間ドラマ映画やったんで、ビックラこきましたがな。監督の意識には、黒澤明監督のヒューマニズムを具現化した名作「生きる」(1952年・日本)があったといいます。

末期ガンで死期迫る主人公が、残り少ない人生のなかで、一体、何をするんか、何を目指すんか。「生きる」ほどストレートではないんやけど、主人公は自分にできる範囲で妻子のことを考え、必死のパッチの思いで、いろんな身辺整理行動をしはるんどす。主人公がクラブの初対面の女に「ガンでもうじき死ぬんだ」と告白するシークエンスなど、「生きる」のシーンにも似たシーンも、オマージュ的に作ってはります。

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ちなみに、「バベル」ではディスコ・シーンの点滅映像が問題になりよりましたが、実は本作にも主人公のキモチに、リンクするようなカタチででんな、それに近いようなシーンが出てまいります。不協和音的効果音に乗って、主人公がクラブ内にフラフラと入り、映像がねじれてゆく長回し撮影によるシークエンスどす。主人公視点によるもうろうとしたシーンは、ラストの方にもござりますが、こうしたシーンは斬新やと思います。

主人公にならはったんは、「ノーカントリー」(2007年・アメリカ)のトンデモ殺人鬼役で、アカデミー賞の助演男優賞をゲットしはった、ハビエル・バルデムのアニキどす。

同じスペイン出身のペネロペ・クルスのネーさんと、現在エエ関係にある方なんやけど、たぶん女性にしてみはったら、ホンマにええ男なんやと思いよりま。しかも、本作ではキャリア史上過去最高に、カッコイイとゆうてもええ演技を披露してはるしね。

アカデミー賞外国語映画賞をゲットした「海を飛ぶ夢」(2004年・スペイン&フランス)では、尊厳死を願う男をヨゴレ役モードで、演じはったハビエルのアニキ。でも、今度はどないあっても「死にたくない」演技をば、巧妙に演じ抜いてはります。

監督と主演男優のコラボレーションが、見事にかみ合った快作どしたえ~。

2011年6月22日 (水)

変型家族ドラマ映画「メタルヘッド」

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ナタリー・ポートマンのネーさんが、アメリカン・インディーズ映画への深き愛をば示さはりました

失意の3人家族のとこへ、勇気と希望(!?)をもたらすべく、ケッタイな男がやってまいりましたでー

http://www.metalhead-film.com/

6月25日サタデーから、東京・シアターN渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおまして、大阪やったら、8月6日からシネマート心斎橋やらで上映どす。

本作をば配給しやはるのんは、フェイス・トゥ・フェイスはんとポニーキャニオンはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Hesher Productions, LLC.

家族の中へ、突然のように闖入者が入ってきて、ドラマが紡がれよる映画どす。日本映画でゆうたら、家庭教師がストレンジャーとなる「家族ゲーム」(1983年製作)とゆう名作がござります。

アメリカ映画はどないでおましょうか。最近作でゆうたら、「キッズ・オールライト」(今年4月16日付けで分析)なんぞは、女同士の夫妻とコドモ2人の4人家族の中へ、マットウな男の闖入者が入ろうかとゆうお話でおました。

ちなみに、大かたのこの種の映画では、その闖入者は、家族にとってマイナス・イメージとして、描かれる場合が多いように思いよります。但し、本作はビミョーに違いましたで。

オトンとオカンと息子少年の3人家族が、マイカー運転中に交通事故に遭わはりまして、オカンだけが死なはりました。物語は、廃車屋に運ばれたそのクルマを、少年がチャリンコで追うとゆうシークエンスから始まりま。少年はクルマにえらい執着しとります。

一方、オトンは失意の中にござりまして、毎日死人のように生きてはるんどす。ほんで、オカンの死後、この父子はオトンのオバンの家(オトンにしたら実家)で一緒に暮らさはるようになります。

そんな失意の3人家族のもとへ、ある日、救世主(!?)が現れよるんでおますよ。常に上半身ハダカの上に、ボサボサ長髪、イレズミいっぱい、ヘヴィメタ好きなんてゆう、トンデモネー極端な不良じみた男が、登場しよりまんねん、コレがね。

昔の映画やったら、イロンな意味での救世主は、マトモな格好をそれなりにしておました。西部劇でも、ウエスタンに見合ってそれなりに、カッコエエカウボーイ姿どしたやろ。

この役に、「(500)日のサマー」(2009年12月29日付けで分析)で、ユニークな恋愛観の若者を演じはった、ジョセフ・ゴードン=レヴィット君がやってはります。ワケ分からへん下ネタセリフやらをようこなしてはるし、この難しい役柄をクールに演じはったかと思います。

ナタリー・ポートマンのネーさんは、助演とゆうカタチどすけども、少年やらジョセフ君と関わらはります。少年たちからオバサンと呼ばれる、スーパーのレジ係なんやけど、オバサンやないなんて抗議し、「スター・ウォーズ エピソード」シリーズ(1999年・2002年・2005年・アメリカ)やらのアミダラ姫とは、隔世の感がある庶民感がたまりまへん。

「ブラック・スワン」(今年4月30日付けで分析)で今年度のアカデミー賞をゲットしはったんが、納得できる演技派ぶりどすし、また、こういうインディーズ系の映画へのアプローチも、自身が監督するくらい、しょっちゅうやってはりまして、今後の動向にも注目したいとこどす。

2011年6月21日 (火)

中国のカンフー映画「酔拳 レジェンド・オブ・カンフー」

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カンフー映画の伝説的快作「ドランク・モンキー酔拳」の、「スター・ウォーズ」やらと同じ遡り系の新作でおます

「酔拳」主演ジャッキー・チェンの師匠の、酔いどれカンフー・ワザは、どないして編みだされたんか?

http://www.suiken-movie.jp/

ジューン6月の25日サタデーから、東京・シネマート六本木やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

中国映画の本作をば配給しやはるのは、ツインはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010, UNIVERSAL STUDIOS, GRAND PLENIFUL HOLDINGS GROUP LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

香港・中国をメインにしたカンフー映画とゆうのんは、これまでにそら、モノゴッツーな数の映画が出てきておます。モチ、ハリウッド産によるこの種の映画も、「燃えよドラゴン」(1973年製作・アメリカ&香港合作)以来、イロイロ多彩に出てきよりました。

でもって、ボクチンどすけども、カンフー映画やなんて、実は恥ずかしながら、そないに見てへんねんけど、ホンマ、強引にカンフー映画のベスト&カルトスリーを、独断と偏見バチバチにて披露しよります。

●ベスト⇒①燃えよドラゴン②プロジェクトA(1984年・香港)③グリーン・デスティニー(2000年・アメリカ&中国)

●カルト⇒①ドランクモンキー酔拳(1978年・香港)②霊幻道士(1985年・香港)③少林サッカー(2001年・香港)

なんてカンジなんやけど、ゴリゴリのカンフー映画ファンやったら、なんでショウ・ブラザース製作の映画がないねんとか、香港製ワイヤー・アクションを進化させた、1990年代の一連の作品はどないやねん、とか言われそうなんやけど、まあ、お許しくだされ。

でもって、本作でおますけども、カルトの1位に手前勝手に選んだ作品と、リンクする作品どす。ちなみに後日、分析しよりますが、韓国映画「チョン・ウチ 時空道士」(7月2日東京公開)なんぞは、ワイヤー・アクトのルーツ作ともいえる、カルト2位の作品にリンクしてゆきよります。

まあ、それはいいといたしまして、本作のことどすが、ジャッキー・チェン初の日本での大ヒット作となったカルト①どすけども、そこで、ジャッキーの師匠として設定されてはった方の、過去を描くとゆうのんが本作のキモとなっとります。

つまり、「スター・ウォーズ」(1977年・アメリカ)のダース・ベイダー、「エクソシスト・ビギニング」(2004年・アメリカ)で描かれたように「エクソシスト」(1973年・アメリカ)のメリン神父やらは、どないして誕生したんかとゆう、遡り系のドラマ、レジェンド・ドラマになっとるとゆうことでおます。

酒を飲めば飲むほど、カンフー・ワザが冴えまくるっちゅう、このワケ分からへんワザは、どないして編み出されたんか。それが、リベンジのリベンジとゆうスタイルで、ドラマティックに描かれるんが本作なんどす。

酒びたりになるんは、一体なんでやねん。その心理は、まさに誰にでも分かりやすい理由となっとります。なんで激流なのかよう分からへんけど、その河岸で対決する主人公と好敵手。そして、その後の少し色(照明か)を落とした作りの、主人公の空想修行シーン。対して、山の四季シーンの潤いをもたらすカット。観客の動体視力が試される、スローをほとんど使わないスピードフルなアクション・シーンやら。

ハリウッド資本の入らない、中国映画の娯楽作品がまた1本、生まれ落ちました。

2011年6月20日 (月)

日韓合作ドキュメンタリー映画「海峡をつなぐ光」

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ホンマのホンマの文化映画の、粋なるもんがココにござりまっせ

取材しはるアイドルっぽい、在日タレント入矢麻衣ちゃんと、渋~い西岡徳馬はんのナレーションが絡まって…

http://heiseimaster.com/kaikyou/

6月25日の土曜日から、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やら、名古屋・名演小劇場やらで、全国順グリのロードショーでおます。

でもって、その後、7月2日から大阪のシネ・リーブル梅田やら、7月9日から福岡・ソラリアシネマやらと続きよりま。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 海峡をつなぐ光製作委員会

みなはん、ドキュメンタリー映画やなんて、映画館まで見に行かはることはありまっしゃろか。NHKのドキュメンタリーを始め、テレビでもケッコー見られるんで、そんなんわざわざ交通費とチケット代まで払って見に行きたくないわー、なんてゆわはるかもしれまへん。

でも、映画としてのドキュメンタリーは、今後もずーっと作られていきよりますし、またこういうマイナー系のドキュは、よほどの大ヒットをしない限りは、DVDになることもありまへんし、テレビでも放映されよりまへん。プレミア感があるし、その時にしか見られない貴重なひと時を体験できよります。

なんてチョイ臭~いことをば言いよりましたけども、それでも、本作はケッコー、エエカンジになっとりまんねん。

さて、ドキュメンタリー映画にも、モチ、イロンなタイプがござります。事実を記録するという意味で、記録映画とゆうのが基本にありまして、ネイチャー・ドキュから社会派ドキュ、人間ドキュ、文化映画などと多種多彩にござります。日本の映画雑誌「キネマ旬報」では、ドキュを文化映画の呼称で括ってはります。まあ、言い方はイロイロあるわけでおます。

でもって、本作は正真正銘の文化映画でおまして、日本と韓国の文化の交流を、仏教系美術の側面から探ろうとゆう作りになっとります。

韓流のテレビドラマなどにハマッてはる方とか、韓国映画の名作を見続けてきはった映画ファンの方々には、韓国イメージに合わないようなカンジに、思われるやも分かりまへんが、実はそう思うとこにこそ、ドキュの記録映画たる基本ラインがあるんどす。つまり、作られていないものであるとゆうこと。その意味では、本作はまがうことなきの、バリバリの記録映画やと申せましょう。

しかも、地味なところを、わざとのように描いていかはります。センセーショナルなドキュ映画では、時にとんでもない突発事件を捉えたりしてはりますが、本作にはそれはござりまへん。あくまで分析的な作りに徹底してはるんどす。

ボクチン的には、かつて学校でベンキョーしたことを思い出したりして、ウーンと考えさせられよりました。玉虫文化、聖徳太子、豊臣秀吉の朝鮮出兵、新羅・百済・高句麗の朝鮮の三国時代とかイロイロどす。

そんな緻密な鑑識分析官的映画作りの中で、アイドル的な在日4世の女優タレント、入矢麻衣ちゃん(写真に写ってはる子)の癒やし的な取材シーンに加え、名優・西岡徳馬はんの渋ーいナレーションが、学究映画的なノリを緩和してはります。

いずれにいたしても、コレこそが記録映画の中の、ホンマモンの文化映画やとボクチンは思いよりました。

2011年6月19日 (日)

日本映画「犬飼さんちの犬」

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イヌ飼うファミリー映画として大ヒットしても、なんらおかしゅうない映画でおます

小日向文世はんと犬種“サモエド”クンの、なんてゆうたらええんかな…ウ~ン…

http://inukaisan.info/

6月25日の土曜日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、シネ・リーブル梅田やら、京都みなみ会館やらで上映どす。

本作をば配給しやはるのは、AMGエンタテインメントはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「犬飼さんちの犬」製作委員会

イヌ映画にしてファミリー向け映画として、この夏に大・大ヒットしてもなんらおかしゅうない作品になったかと、ボクチンは勝手に思いよりました。

この種の映画は爆弾発言にもならへんと思うけど、映画の出来がどうたらこうたらとかは、どうでもええことやし、泣かせてくれたり、とりあえずハッピーやったらエエやんかとゆうような作りに、実は、そう実はなっとるんどす。

そして、そないな面を臆面もなく出せる映画とゆうのんは、実は実は、そんなに多くはないんでおますよ。ディズニーもの映画やったりとかに、ある種限定されとります。

ディズニーやジブリには、一部にはあるけど、基本的には悲しい意味での泣きはないやろけどね。

実は本作は、隠れとるかもしれへんけど、ペットと人のキズナを描くとゆう、シリーズ映画の第5弾でおましてな、単館系列なのに全国各地30館以上の、ロードショー・レベルを獲得した作品でおますよ。

コレはみなはん、どう思わはるか分かりまへんけども、例えば東京の1館だけと全国30館では、見れる人の人数が違うっちゅうのんは、すぐに分かってもらえるかと思います。では、なんで本作は、拡大めのロードショーになったんでおましょうか。つまりは結局のとこ、誰にでもよう分かる、ファミリーもんになったからでおますよ。

犬もの映画、家族映画、サラリーマンもの、さらにコメディやらの要素はモチ、それなりに入っておますし、イヌが死んでしもてどうちゃらこうちゃらてゆう、泣けるお涙チョーダイ節みたいな、ネバリケの強いようなとこもなく、あっさりさっくりと見られるとゆうのんも、本作のファミリー度の高さを示しております。どんな世代にも対応できるとゆう意味どす。

人情ものとしても見る方は見れるやろし、イヌを通して人を描く系でゆくんやったら、イヌ嫌い設定の小日向はんなんかは、すごく描きやすいキャラなんやないかな。イヌ嫌いがイヌ好きになる方向へと、話を紡ぐだけでええんやから。メッチャ分かりやすいでしょ。

ただ、イヌのオリジナリティーなキャラが、ソフトバンクのイヌくらいあったらよかったかもとは思うけど、それなりに意図的な演出もせなあかんようになるので、ないものねだりとゆうことにしときましょうか。

小日向はん以外に、ぶっきら節やけど好感度ある木南晴夏(きなみはるか)チャンとか、「春との旅」(2010年)の徳永えりチャンのクールさとか、印象に残る演技やらは多々ありました。

ラストロールで流れる、ヒップホップでサビから、メロディアス・バラードになるとゆうSEAMO(シーモ)の「ワン☆ダフル」にも注目どす。

ホンマ、最初から最後まで、オトン・オカン・オジン・オバン・コドモらが、一緒に楽しく見られる映画でおました。

2011年6月18日 (土)

日本映画「デンデラ」

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とゆうわけで、「楢山節考」などで捨てられはった、後期高齢者の老女たちの、壮絶なるサバイバル映画どす

日本の大女優たちが「老人と海」ならぬ、“老人と山”のクマと、一大決戦しはりまっせー

http://www.dendera.jp/

6月25日の土曜日から、東映はんの配給によりまして、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「デンデラ」製作委員会

「楢山節考」とゆう映画は、みなはん、ご存知ですやろか。モノクロの木下恵介監督版(1958年)と今村昌平監督版(1983年)の2バージョンがござります。

ある程度の高齢者になって生きとったら、とある村では一家の主が一家のオバン、つまりオカンをば背負って、山の奥深きとこへ捨てにゆかはるとゆう、悪慣習がござりました。極楽浄土へゆくための道行とゆうことになっとりますけども、よう考えんでも、メッチャえげつない話でおます。

本作はまず、最初にそのシーンが静かに出てまいります。夢の天国へ行けると信じて疑わらへん浅丘ルリ子はんは、カラスやらに突つかれてしもて、ああ~憐れしまいか~なんやけど、救いの人々は現れよります。

それが苦節30年を経て“デンデラ”国を作らはった、草笛光子はん一団に所属してはる方々どした。捨てられたけど必死に生き延びて、縄文時代の竪穴式住居みたいなんを作ってでんな、何と何人もが生き延びてきはったんでおますよ。

でもって、ルリ子はんで50人目どす。それを契機に、わしらを捨てた村にリベンジすべく、村を夜襲して皆殺しにしようかいやーと、計画し実行に移さはるんやけど…。

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それを遂行するには、大いに無理がござります。全員が後期高齢者のおばあちゃん。一番若いのんでルリ子はんの70歳や。

それ以上に問題になってきよりまんのが、雪山とゆう悪条件下における雪崩やったり、飢えた巨大グマたちでおます。サバイバル映画として見てみたら、コレがやがてはクマとのバーサスになっとりまんねん。

この変転ぶりは、ある意味でキョーレツどしたし、映画的にもサプライズでありました。クマと人が対決する「クリズリー」(1976年・アメリカ映画)みたいなとこへと向かうんでおますよ。

「老人と海」(1958年・アメリカ)が、何やら“老女たちと山”となり、ほんでもってクマとの対決で、50人から6人にまで減ってゆくやなんて、おいおい、トンデモネー方向へと、話が流れてゆきよりまんがな。

なるほど、原始時代に老女しかおらへんような状況を、思い描いてみるまでもなく、この流れは正統系やとボクチンは思います。

パニック・ムービーとしての面白さ、各名女優陣の「わらびのこう 蕨野行」(2003年)的な熟成の演技、父・今村昌平監督へとネチネチとオレ流でオマージュしていくような、息子はん天願大介アニキの監督・演出ぶり。

そして、最も胸にクルのは、東日本大震災前の1月~2月の、約2カ月間で撮り上げたとゆう、山形県・庄内の雪降るシーンの数々でおましょうか。泣けます。

2011年6月17日 (金)

B級映画の中のA級映画「スカイライン-征服-」

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「アバター」やら「2012」のVFXチームが、総力を挙げて作らはったSF映画でおます

B級映画と標榜されとるんやけど、それは違いまっせーと、ボクチンは言いたい

http://www.skyline-movie.jp/

6月18日サタデーから全国各地イッセーのロードショーでおます。

大阪やったら、梅田ブルク7やら、なんばパークスシネマやらで上映どす。

「PG-12」指定の本作をば配給しやはるんは、松竹はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 Black Monday Film Services, LLC. All rights reserved.

「はっきり言ってB級映画」やなんて、映画配給しはる会社さんがゆうてはりますけども、そもそもB級映画とは何ぞやねん、とゆうデッカイ問題が置き去りにされとります。

A級映画よりは、出来は低いとゆう意味はあるかもしれんけども、本作はいろんな映画へのパロディやらオマージュ・シーンといい、VFX・CGの最前線を示さはる作りといい、B級のBがBESTの略なんかと見まがうくらい、キチンとした作りをしてはります。

“B級映画の中のA級映画”と、本作の冠詞に書きましたけど、B級映画にこだわるなら、こういう修飾語がベストなんやないかなと思うんどす。

試写後には、10文字前後の感想文を書いてくれとゆわれとって、ボクチンは映画を見もってイロイロ考えを巡らしておました。「LA版プレデター」とか、「マンション版プレデターズ」とか、「人間狩りするエイリアン」とか考えたんやけど、ヤッパ、ベースにあるんは結局のとこ、「エイリアン」シリーズ(1979年・1986年・1992年・1997年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)、「プレデター」(1987年)「プレデター2」(1990年)「プレデターズ」(2010年)なんやろと思います。

何せ、本作のストラウス兄弟監督てゆうたら、「AVP2 エイリアンVS.プレデター」(2007年)を撮ってはりまっさかい。それだけやありまへん。見出しにも書きよりましたが、「アバター」(2009年)やら「2012」(2009年)で示さはったVFXパワーが、本作でも遺憾なく発揮されとるんどす。

基本ラインは、サバイバルSFアクションと申せましょうか。室内劇サバイバルと、エイリアンとアメリカ軍の空中対決やらが展開しよります。青い光に導かれるように、円盤へと吸い込まれてゆくタイプなどは、何やら「未知との遭遇」(1977年)などへ。

そのほか、「インデペンデンス・デイ」(1996年)「マーズ・アタック!」(1996年)「第9地区」(2010年)なんぞへも、積極的にシンクロしてまいります。

エイリアンVS人間シーンでは、人が斧やら素手で殴っても勝てるとゆうとこらとか、スローモーで逃げるシーンのドタバタ感とか、B級映画らしさもそこかしこに見受けられま。いろんなエイリアンの造形もお楽しみどす。宇宙人が地球を侵略する3日間の話なんやけど、侵略後も、次回へ続くみたいなノリがええ按配やと思います。

サントラ使いにも妙味がござりました。大仰なオーケストラ・サウンド、シンセサイザー、バンド・サウンド、ハードロック、ヒップホップまで、多彩なカンジが映画を奮い立たせておますよ。

2011年6月16日 (木)

ゲンキなニッポン映画「アベックパンチ」

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コミック原作による、アリエネー格闘技映画なんやけど、青春映画ノリのイキの良さがござります

D-BOYSの牧田哲也クン主演やら、アイドル・ノリのラブ・ストーリー部も展開しよります

http://www.enterbrain.co.jp/cp/avecpunch/

6月18日サタデーから、東京・シネマート六本木やら、7月16日から大阪・シネマート心斎橋やら、全国順グリのロードショーでおます。

初日来場者各劇場先着100名に、「ずう~っと好かれとる味 二人前のアベックラーメン」がもらえま。

本作を配給しやはるのんは、アンプラグドはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 Ryosuke Time/PUBLISHED BY ENTERBRAIN, INC.

格闘技系のスポーツ根性もの映画でおます。でも、現実にはあり得へん格闘技をば、オリジナル・バトル競技として作り出さはりました。

「月刊コミックビーム」で連載されとったコミック原作でおます。コミックやから、アリエネー展開とか設定は作りやすいとは思いますが、リアリティーを抜きにしても、面白くてユニークな格闘技の世界観をクリエイトしはったなーと、ボクチンは思いよりました。

しかも、この種の青春映画に不可欠な友情であったり、ストレート系やないけど恋愛的相棒ぶりがあったりしとります。さらに、アイドル・ノリのスパイス。D-BOYSの牧田哲也クン始めでんな、水崎綾女チャンや武田梨奈チャンやら、女アイドル系ノリもしっかり入っとりまんねん。

でもって、そのオリジナル格闘技「アベックパンチ」ってどんなんやねん、なんやけど、男女カップル・男女ペアが手をつないで、異種格闘技をするっちゅうカンジでおますか。

写真一番下のようなカンジどして、手を離したら、その時点で負けとゆうルールどす。ボクチン的には、数年前には死語化してたアベック(男女カップル)のコトバが、よみがえったんが良かったどすえー。

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アリエネー系を標榜してはった「カンフーハッスル」(2004年製作・中国&アメリカ合作)やったり、男女混成チームのバトルもん「ローラーボール」(1975年・2002年・アメリカ)やらのセンスもカンジたし、また、これまでに多数にわたって出てきたボクシング、カンフー、プロレスやらの格闘技映画に、大げさかもしれへんけど、新たな1ページを刻んだかもしれへん感触もござりました。

少なくとも、カルト系としてはエエ出来やと思いま。相棒ドラマ、そして、恋愛ドラマとしてのミキシングも、ミスマッチなとこもあるやも分かりまへんが、それなりに楽しめますえ。

妙に青臭いセリフも、この流れのなかでは、すべて許せてしまえるかな。「女は守るもんじゃないのか」とか「あの頃の俺たちとは違うぜ」とか、「こんな楽しいことがあるか」とか「4人でここまで来たんだ」などどすか。

特に、定食屋の女将役の小島可奈子ネーさんの「好きってことよ」など、主人公たちにアドバイスする、名バイプレーヤーぶりが個人的にはエエかな~。

ロック・バンド・サウンドのインストを、メインにしたサントラ使いも本作と合ってたし、ラストロールで流れる男女デュエット・ナンバーは、モロ本作のイメージ化やしね。グーどすえ~。

2011年6月15日 (水)

イタリア映画「プッチーニの愛人」

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イタリア映画界の巨匠監督の作品が、本邦初上陸でおます

映画の原点サイレント・スパイスを振り掛け、実話もの映画でもこれまでのテイストと違うとこへ、アプローチしはりました

http://www.puccininoaijin.com/

ジューン6月18日サタデーから、東京・シネマート新宿、ジュライ7月2日サタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

1時間24分とゆう短めの本作を、配給しやはるんは、エスピーオーはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸArsenali Medicei S.r.l. 2008

「ラ・ボエーム」「蝶々夫人」やら、オペラの音楽家ジャコモ・プッチーニはんの実話映画でおます。いやあ~、コレがでんな、これまでの偉人伝映画のノリとは、一味もふた味も違う仕上がりになっとります。

まあ、実在アーティストの話を描くんやけど、フツーやったら、彼の生涯を描くなんてゆうスタイルが多うござりました。ところがどっこいどす、創作秘話もマジック・イマジネーションチックに描きつつも、プッチーニの愛人問題のミステリーへと、フォーカスされるようなカンジなんどす。

もちろん、この素材はこれまでの映画で、採り上げられたことはござりまへん。しかも、そのナゾを描くスタイルが映像によって伝えるタッチの、バリバリのアート映画になっとるんで、“アラマ・ポテチン”(ビックリ)どした。

ストーリーも映像で示さはるんで、たぶん説明過多の映画を見慣れてはる方は、少々戸惑いがあるやも分かりまへん。しかし、こういうタイプの映画を見ると、きっと映画の新しい次元みたいなんを感得できるハズやし、映画の真相をリピートして探ってみたいと、クセになるハズの映画やろうと思いよります。

何シーンかあるんやけど、手紙の朗読シーンをナレーションと字幕で説明する以外は、セリフは滅多にござりまへん。映画の原点・サイレント映画ノリを終始一貫で通してはります。

コレはアート系映画やからとゆうこと以外に、映画の舞台となる1909年とゆう時代感を、示すためでもあるんやないかな。当時は映画創生記でもあり、また本作の監督パオロ・ベンヴェヌーティはんは、イタリアで映画学校も経営してはるんやけど、その学校の名前が、サイレント時代の名作「イントレランス」(1916年製作・アメリカ映画)どすえ~。

しかも、この監督はん、イタリアでは巨匠監督なのに、何と日本初上陸なんでおます。何せ、イタリアン・ネオリアリズムの巨匠ロベルト・ロッセリーニはんの、直接指導も受けはったことがある人なんやから。

でもって、映画学校「イントレランス」の生徒たちと共に、作らはったんが本作なんです。その作り方は先にも述べましたが、さらに特筆すべきとこを言いよりますと…。

実話映画「ミルコのひかり」(2005年・イタリア)とゆう映画で採り上げられた、盲目の音響デザイナー、ミルコ・メンカッチが本作に参加してはります。

盲目でも映画館へ行き映画を体感した、「ミルコのひかり」で描かれたエピソードには、みなビックラコンやったと思いますが、風や森の音やら誇張することなく、ごく自然らしい効果音作りに徹してはりまして、思わずウ~ンと唸りましたで。

ライヴで示すアコーディオンとソプラノの歌、ピアノ曲をメインにしたサントラ使いやら、ここぞとゆう時に示される3分以上の長回し撮影シーンやら、でもって、練り込まれたシーンによる、トスカーナ地方の美風景の数々やら、ウットリできるシーンが多数盛り込まれておますよ。

今月特注の、映画ファン必見の1本どす。

2011年6月14日 (火)

韓国恋愛映画「あなたの初恋探します」

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「猟奇的な彼女」にハマッた方は、必見の映画やと思いよりま

攻撃的演技のイム・スジョンちゃんに、防御側に回らはるコン・ユのアニキの、恋愛プレーが見ものやでー

http://www.hatsukoi-sagashi.com/

6月18日サタデーから、東京・新宿バルト9やら、TOHOシネマズ 六本木ヒルズやらで全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7やらTOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都やらTOHOシネマズ西宮OSやらで上映しはります。

本作を配給しはるのんは、CJ Entertainment Japanはんやで~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved

韓流テレビドラマやったけど「冬のソナタ」以来、韓国映画のでっかいポイントになるんはラブ・ストーリーでおました。ほんでもって、日々、韓国の恋愛映画はイロイロと作られておます。

本作なんかを見ると、これまでパターン化されとるような韓国恋愛映画路線とは、ビミョーに違(ちご)とる路線になっとります。

韓国の恋愛映画と申しますれば、ボクチンの個人的には「猟奇的な彼女」(2001年製作・韓国映画)がイチバンやーなんやけど、本作もソレに近いような作りに、なっとるんやないかいなと思いよりました。

そう思うイチバンの要因は、「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョン&チャ・テヒョンの関係性が、本作のイム・スジョン&コン・ユと、何やら相似しているようなカンジやからでおましょうか。

男より女の方が上位。女は攻撃的で、片や男は防戦一方みたいな関係でおます。そんな中で、最終的には、両思いになってゆくとゆう作りどす。それはある意味でパターン化しとるかもしれへんけど、本作はチョイひねってはります。

初恋相手を探すなんてゆうアホな調査業を、コン・ユのアニキが始めはりました。そこへ、初恋にこだわってなかなか結婚相手を見つけよらへん、娘はんイム・スジョンちゃんのオトンが、その初恋相手を探したら納得しよるやろと、コン・ユのとこへ駆け込みはりました。スジョンちゃんは嫌がってはったけど、結局その調査をやってもらわはります。

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でもって、ここに、探偵&依頼人とゆう2人の設定が、出来上がるわけでおますけども、依頼人にも協力してもらう初恋相手探しの、いくつものシーンで、2人のキズナが何やしらん、紡がれるとゆうことになってゆくのどす。

初恋相手と出会った場所、韓国映画初のインド・ロケ・シーンやら、本編の筋とは関係あれへんミュージカル・シーンの挿入やら、フツーの恋愛映画にはせえへんでーとゆう、女性監督チャン・ユジョン監督の意気込みが、カンジられる映画ではありました。

でも、何やらチグハグなところも、カンジたのは事実でおます。たぶんソレは、冒頭からのラブコメなノリがやがて、マジ恋愛映画へと変わってゆく中に、唐突にミュージカル・シーンが入ったりして、ドラマの流れがスムーズでないからかなと思いよりました。

でも、あとあとでよーく思い返してみたら、このミュージカル・シーンは、ヒロインのキモチを伝える、格好の伏線になっておりました。

でもって、ラストの「ラヴソング」(1996年・香港)に迫るような、出会い・すれ違いのサプライズには、ビックリどした。間違いなく、韓国映画ラブ・ストーリーの最前線がココにあります。

2011年6月13日 (月)

スペインのホラー映画「エクソシズム」

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あの名作「エクソシスト」を本歌どりして、どんなもんができるんかに挑戦しはった、作品群の1本でおます

ユーロ・ホラーでも、イタリアン・ホラーより、アメリカン・ホラー・タイプの作りになっとります

http://www.at-e.co.jp/2011/exorcismus

6月25日サタデーから、7月22日フライデーまで、東京・シアターN渋谷でモーニング&レイトショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、アットエンタテインメントはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

タイトルの「エクソシズム」にありますようにでんな、エクソシスト・イズムのそのルーツ作「エクソシスト」(1973年製作・アメリカ映画)は、みなはん、モチ、見てはりますよね。

え~、そんなん知らんで~とゆう御方は、本作を見る前に、「エクソシスト」をレンタルで構いまへん、ぜひ見ておかれることをおススメいたします。

この「エクソシスト」はホラー映画史上、現在までに最も売れた作品でおます。ほんでもって、日本に上陸した1974年には、映画を見て失神者続出とゆう、モノゴッツーな事件を起こさはった作品なんどすえ~。

その後、この作品にリスペクトする作品は、いろんなパターンで作られてきよりました。ほんで、本作もそんな1本なんどす。

ホラー映画とゆうのんは、大きく分けて2タイプあるかと思います。悪魔系と人の恨み節。前者はアメリカン・ホラーに多く、後者は「リング」(1998年・日本)やらの、ジャパニーズ・ホラーに多いタイプでおましょうか。本作は悪魔に取り憑かれ系でおます。

で、怖がらせる側と怖がる側が、どういう人物になっとるか。少女・少年、学生、家族一同、大人などと分かれるかと思いますが、本作は少女やけど学生もんどす。つまり、「エクソシスト」のヒロインの、リンダ・ブレアー的なキャラクター設定なんどす。

でもって、家族も巻き込まれよるし、悪魔祓い師のエクソシストと呼ばれる神父やらが出てきよるんも、「エクソシスト」とおんなじでおます。さらにサントラ使いにおいても、シンセサイザーを使った「チューブラー・ベルズ」のような怪しさも踏襲してはります。

そして、本作はアメリカン・ホラーの「エクソシスト」を、スペイン映画のユーロ映画でオマージュしはるんどす。ユーロ・ホラーとゆうたら、「サスペリア」(1977年・イタリア)などが有名なイタリアン・ホラーが、ベタなホラーを作ってきはりましたけど、本作はあくまで、1970年代のアメリカン・ホラー・ノリを維持してはりま。

そんな中で部分部分では、ホラーとしてのオリジンも披露してゆかはりまんねん。特に、エクソシスト神父の意図などは、かつてないもんでおましょうか。

「エクソシスト」に寄り添いながらも、オマージュならぬ、二番煎じになりかねへん素材を、こうしたところでグッと踏ん張ってはるんどすえー。

でもって、ボクチンが本作で最も良かったシーンは、ラストシーンでおました。母と娘のキズナを、遠近感ある映画的カットで示したこのラストシーンは、きっとみなはんのココロにもクルはずでおますよ。

2011年6月12日 (日)

三浦春馬・榮倉奈々・小西真奈美・井川遥の共演「東京公園」

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“東京”をタイトルの中に入れた作品を、青山真治監督が初めて撮り上げはりました

主人公と3人の女の関係を描く、ラブ・モードに見えつつも、ミステリー・スパイスも展開しよりま

http://tokyo-park.jp/

6月18日の土曜日から全国ロードショーやー。

関西は、大阪・梅田ブルク7やらTOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都やらで上映しはります。

本作を配給しやはるのは、ショウゲートはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「東京公園」製作委員会

三浦春馬クンが3人の女と関係しはって、友達以上恋人未満を、ビミョーに演じはる映画でおます。タイトルに“東京”がある通りどして、東京を舞台にしておます。

こういうタイプの日本映画はケッコーありまして、ベスト・カルトのランキングを挙げるくらいはあります。ちなみに、ボクチンのベストワンはありきたりな「東京物語」(1953年製作)、カルティックの方の自己申告ワンは、みなはん、知らはらへんかもしれんけど「東京流れ者」(1966年)どす。ボクチンの選択者としてのオリジンは、そないありまへんけども、みなはんも、イロイロ見て作ってみておくんなはれ。

ほんでもって、本作やけど、東京という都市を公園とゆう点でシンボライズ、テーマ性へとリンクする上では、“東京でなければ描けないところ”を取り上げているのんが、オリジナリティーになるんやないかなと思います。

そういう映画はこれまでにもありました。でも、公園とゆう視点は初めてでおましょうか。

東京都内の公園を毎日のように、子連れで散策する女(井川遥)を、ある男から、分からんように追いかけて写真を押さえてくれと、写真が趣味の三浦春馬クンに依頼されよりました。

でもって春馬クンには、仲のええ義理のネーさんの、小西真奈美ネーさんがいたり、幼なじみで何でも手前勝手なことが言える、榮倉奈々チャンがいてはります。

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春馬クンを除いた、3人の女キャラ設定がオモロおます。セリフのないサイレント演技の遥ネーさん、春馬クンとのキス・シーンを含む長回し撮影やら、笑いと泣きのギャップ演技を見せる小西真奈美ネーさんも、印象的なんやけど、化けたとは申しませんけど、榮倉チャンがガンバったかも。

榮倉チャンは、昔ながらのビデオ・オタクでおまして、特にホラー映画にハマッてはることになっとります。

まあ、ジェージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」(1978年・イタリア&アメリカ合作)は分からんでもないけど、主演のマーゴ・ヘミングウェイが強姦されて裁判沙汰になる「リップスティック」(1976年・アメリカ)やら、長谷川伸原作・加藤泰監督の「瞼の母」(1962年)やらの、彼女のセリフによる引用は、世代的にはどないなもんなんでしょうか。

いっときは疑問に思いましたが、それらは青山真治監督の演出意図に、キチッと入っておます。榮倉チャンはテッテーしたビデオ・オタクにして、春馬クンに対して忠告ウーマンにして、指摘ウーマンなんどす。

遊びゴコロあふれるシーンとして、「吸血ゾンビの群れ」なるタイトルで、映画内で撮り下ろしをしたシークエンスが映されます。でも、このオリジナル・ゾンビ映画は、ビミョーに登場人物たちとシンクロナイズしよりますんで、そのあたりも注目してくだされ。

原作の小説そのものは、夫が妻を調査する「フォロー・ミー」(1972年・アメリカ&イギリス)に、捧げるとゆうことになっとりました。本作もまた当然そのノリやけど、「フォロー・ミー」と同じく最後は、ハッピーなポジティブ・エンドがあるとゆう快作になっておます。

2011年6月11日 (土)

超絶サバイバル映画「127時間」

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ダニー・ボイル監督の新作は、1人芝居の壮絶さを、究極まで突き詰めた会心作でおます

限られた空間をズーッと描いとんのに退屈どころか、お話が進むにつれ、ハラハラドキドキが高まりよります

http://127movie.jp

ジューン6月18日サタデーから、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条やら、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OSやらで、ドカーンと上映どす。

アメリカ・イギリス合作の本作をば配給しやはるのんは、20世紀フォックスはんとギャガはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 TWENTIETH CENTURY FOX

アカデミー賞で作品賞を含む最多8冠の「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年製作・イギリス映画)に続く、ダニー・ボイル監督の新作は、実話をベースにした問題作となりよりました。

しかも、これまでの若者を描いた自身の作品、例えば、「ミリオネア…」、デビュー作「シャロウ・グレイブ」(1995年)、「トレインスポッティング」(1996年)、「ザ・ビーチ」(1999年)などと比べてみると、毎回、描き方や映画ジャンル的切り口を変えてはることに、ふと気づいたりしよります。

でもって、本作は実話映画にしてサバイバル映画、さらに1人芝居映画とゆう括りで、ストーリーを展開しやはるのどす。

ハリウッド男優の若手の成長株、ジェームズ・フランコはんが扮しはる主人公は、週末に趣味のロッククライミングをしてはります。そして、どこへ行くんか、そのことを誰にも告げずに行かはるんどすわ。まあ、ブラリ旅の感覚でおましょうか。

ほんでもって、思わぬトラブルに見舞われるんどすわ。岩と岩の間に落ち込んでしもて、片腕がでっかい岩にはさまれてしまうんどすえ~。誰にも知らせてへんから、この苦境を自分自身で何とかせんならんようになるわけでおますよ。

タイトルの127時間とは、127時間もはさまれておったちゅうことどして、127時間にわたる1人芝居が続けられるんどす。限られた空間で、凄まじいドラマが展開しよります。

例えば、脱獄囚の挙動を淡々と映した「抵抗」(1956年・フランス)のような見ごたえどして、見ていくにつれ緊張感にあふれて、ハラハラドキドキが止まらんようになりま。

この空間をベースにしながらも、主人公の過去の回想シーンやら、疲れによる幻覚シーンなんかも取り込まれて、飽きさせまへん。

特にリアリズムの点では、過去を思い出すシーンでは、まとめたカタチで思い出すのやなく、チリヂリバラバラの断片的に思い出してゆくとゆう、この状況下での人間の心理をビミョーに演出されとるんどす。

加えよりますに、サントラ使いを前半と後半で変えてはるのも、作品性に合わせた作りでおます。

冒頭ではダンサブルでタイトな歌もの、ハードロックなスピードフルなインストで盛り上げはって、岩に腕がはさまっとる時にはいろんな歌ものを流し、終わりの方ではバンド・リハーサル的なインスト、ラストロールでは、子守唄的な癒やしの男女デュエット・スロー・ナンバーどす。

行きはヨイヨイ、帰りはヘロヘロみたいなカンジを、表現してはるんでおますよ。

さて、後日分析しよりますけども、「エッセンシャル・キリング」(東京7月下旬公開)なんかも、本作のサバイバル系1人芝居とシンクロしよるかと思います。共にケッサクなので、見比べてみるのもエエ鑑賞法でおましょう。

2011年6月10日 (金)

誘拐ミステリー映画「アリス・クリードの失踪」

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犯人の男2人と誘拐される女1人の、3人だけで描かれる、ワン・シチュエーション型心理サスペンスでおます

しかも、イギリス・ミステリー映画らしさが、ビミョーににじんでおます作品どすえ~

http://www.alice-sissou.jp/

6月11日サタデーから、ヒューマントラストシネマ有楽町やら、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、6月18日からシネ・リーブル梅田やら、7月9日からシネ・リーブル神戸、7月上旬から京都シネマやらで公開どす。

「PG-12」指定の本作を、配給しやはるのんは、ロングライドはんどっせ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸCINEMANX FILMS TWO LIMITED 2009

サスペンス映画、ミステリー映画と申しますれば、これまでに膨大な数のタイトルが出てきておます。

ミステリー、サスペンス、スリラー。この3つのコトバはビミョーに違うんやけど、簡単に解説しますと、謎があるのがミステリー、謎よりもハラハラドキドキ感の強いサスペンス、そのハラドキにホラー的な恐怖感が、ビミョーに入ってるスリラー。ちゅうようなカンジやろか。

でもって、本作どすが、その3つの要素がバランス良く入っておます。

ちなみに、ボクチンも編集・執筆で関わった「ぴあムービーランキング」(2007年出版・ジャンル別に読者投票による、ランキングを発表)の“サスペンス・ミステリー編”では、①羊たちの沈黙(1991年製作・アメリカ映画)②セブン(1995年・アメリカ)③ユージュアル・サスペクツ(1995年・アメリカ)とゆう結果どした。

さかのぼること1991年に上梓された、文春文庫「ミステリーサスペンス洋画ベスト150」(評論家筋を中心にアンケート集計したもの)では、①第三の男(1949年・イギリス)②恐怖の報酬(1952年・フランス)③太陽がいっぱい(1960年・フランス)となっとりました。

いずれの作品も正統系の名作でありまして、ミステリー・サスペンスがストレートにやってまいりまして、サプライズがある場合はあるとゆうもんでおます。でも、本作はこれまでのサスペンス・ミステリーにでんな、ヒネリをかなりと加えて、オリジナリティー度を高めてはるんどす。

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ある意味でシチュエーション型と申せましょうか。「CUBE」(1997年・カナダ)やら「ソウ」シリーズ(2004年~2010年・アメリカ)やらは、極端な設定を施してはりましたが、本作はもっと分かりやすくてシンプルでおます。

ほんでもって、3人しか出まへんねん。2人芝居やった「探偵スルース」(1972年・イギリス)など、イギリス・ミステリーには演劇のルーツ国だけに、少人数制のガチンコのストレート・プレイで魅せてゆくようなとこがござります。そやから、犯人役の男2人と、誘拐される女の3人の、いわゆるアンサンブル演技なるもんが、ココに展開されよるわけでおます。

個人的には、007のボンドガールにもならはった、女役のジェマ・アータートンちゃんの、こないなシビアな状況の中でも、見え隠れするセクシーぶりにはグッときよりました。ボクチンの好きな、女が男どもをかわす「ウィークエンド」(1976年・カナダ)が、21世紀的に進化したようどした。

そして、1970年代のSF映画的な色合いやとか、あのビートルズのアビー・ロード・スタジオでも録音したとゆう、これまでのサスペンス映画にないような、ユニークなサントラ使いへの希求やら、映画的な新し作りがそこかしこに散見できよります。

とにかく、ミステリーとしては、5つくらいにわたってサプライズが、キラ星のごとく出てきよりまして、そのたんびにウーンとうなるような具合になっておます。

ボクチンらより上の世代の方々は、たぶんイギリス出身のヒッチコック監督に、相当ヤラレはったかと思いよりますが、そのヒッチ以降の変型サスペンスの在り方に、明確なるアンサーをしはったんが本作やと、ボクチンは手前勝手に思います。みなはん、新型サスペンスの世界へ、ぜひ行って見ておくんなはれ。

2011年6月 9日 (木)

日本映画「エクレール お菓子放浪記」

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「はだしのゲン」やらとシンクロする、少年のロードムービーでおます

震災前の宮城県・福島県ロケを敢行しはり、宮城県発映画としてココロに染みる映画どす

http://www.eclair-okashi.com/

6月11日サタデーから大阪・テアトル梅田やら、6月18日から神戸・元町映画館、7月から京都シネマやらで上映でおます。

本作の配給は『エクレール・お菓子放浪記』全国配給委員会どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011『エクレール・お菓子放浪記』製作委員会

戦中の昭和18年から、敗戦直後あたりまでを描く少年物語でおます。その身寄りのない少年が、孤児院、感化院、養子生活、旅一座との巡業を経て、戦後の東京へとたどり着き、ほんでもって、素晴らしい奇跡に出会う作品なんどす。

戦時の少年映画と申せば、実写・アニメ版がある「はだしのゲン」(1976年・1983年製作)が有名やし、アニメから有名になった、幼い兄妹のコドモたち映画「火垂るの墓」(1988年・2008年)など、感動作品がケッコーござります。

ほんで、本作もそういう系列の1本になったかと思いよりますけども、でも、泣かせようとするテイストはそれほどござりまへん。あくまで少年の前向きさをポイントにして、たくましく生き抜いてゆくとゆうスタイルでおます。そやから、元気は当然もらえます。

感化院の女教師(早織ちゃんが好感度ある演技をば披露しはります)と少年の運命的な出会い。で、お次は、少年を感化院から引き取らはった、いしだあゆみネーさんとの生活が待っとりま。

この時に、映画館で少年はフィルム運びのバイトをするんやけど、このあたりの描写は「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年・イタリア&フランス合作)のサルバトーレ少年を思い出させよります。戦前の映画のポスターやら、実際に映されてる小津安二郎監督「戸田家の兄妹」(1941年)のワンシーンなんかも出てきよります。まあ、こうした映画の引用は、近藤明男監督の名作映画への深い敬意を感じさせます。

毒舌演技で魅せるいしだあゆみネーと、ケンカして家出しはった少年は、旅一座と出会ってそこへもぐりこまはります。一座の座長役に林隆三はんが扮してはります。林はんと申せば、1人ロードムービーのケッサク「竹山ひとり旅」(1977年)がありました。そういう当時の東北の旅を、思い出させてくれはるような雰囲気もござりました。

そして本作は、東日本大震災に見舞われる前の、宮城県・福島県ロケを行わはりました。「星守る犬」(今年6月3日付けで分析)も同じく東北ロケやらを行わはりましたが、本作そのものは宮城県発信の映画でおます。それだけに、見ていてこみあげてくるものはあるかと思います。

さて、タイトルからお菓子がポイントかと思えば、さにあらずどす。西条八十(やそ)が作詞しはった「お菓子と娘」なる歌が重要なキーなんどす。西条八十といえば、「僕のあの帽子どうしたでしょうね」のコトバが入った詩を引用した「人間の証明」(1977年)が大ヒットしました。

クライマックスでこの歌が大きく機能するんやけど、チョイひっぱるカンジで、ベタなとこがあるやも分かりまへん。でも、ラストロールで流れる相川七瀬ネーさんの、ポジティブ・Jポップ・バラード「Crystal Heart」が、キチッと爽快にドラマをシメてくれはりますよ。

2011年6月 8日 (水)

シェイクスピア原作映画「テンペスト」

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女流監督がシェイクの遺作を、オンナ流儀でとらえはりました

悲劇&喜劇のバランス感は、シェイク映画でもイチバンやーかも

http://www.tfc-movie.net/tempest/

6月11日サタデーから、大阪・テアトル梅田やら、シネ・リーブル神戸やらで上映後、全国各地順グリのロードショーでおます。本作の配給は東北新社はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Touchstone Pictures

シェイクスピアの原作演劇ものを、映画化しようやなんてゆうのんは、今どきどんな意味があるねんなどと、斜に構えてみたりしよりますが…。でも、シェイク原作映画には多数のケッサクがありよりまして、そんなハードルの高いもんに、わざわざ挑まはる方と申せば、実はあとを絶たんのでおます。

ほんでもって、本作では、アメリカ出身女性監督ジュリー・テイモアのネーさんが挑まはりました。この方は、シェイク原作の「タイタス」(1999年製作・アメリカ映画)もやってはるし、フリーダ・カーロやらビートルズやらをベースにした作品を、大胆不敵にも撮り続けてきはりました。

モチ、「タイタス」の映画化で免疫ができとるとこはござります。しかし、このシェイクの遺作となった「テンペスト」に対し、あえて原作の戯曲とは違う設定を作って、大胆に攻めの映画化を目指さはったんどす。つまり、原作の男主人公は女ヒロインとなりまして、女性映画のファンタジーものとして展開しはったのです。いわば、冒険どす。

「クィーン」(2006年・イギリス)のエリザベス女王役でアカデミー賞主演女優賞をゲットしはった、イギリス出身のヘレン・ミレンはんをキャスティングしはりました。シェイクもイギリスなんで、イギリス・イギリスなテンションを維持したかったんでおましょうか。

ちなみに「テンペスト」の過去の映画化作品としては、1979年イギリス製作版やら、1982年アメリカ日本未公開版なんぞがありました。一部は見てるけど、でも、こういう女性ヒロインものでゆくとゆうのんも、オツなもんやもしれまへん。

原作的に言いますと、シェイクは悲劇と喜劇の中間色、それにファンタジー色、かつての作品の総決算とゆうかミキシングをして、さらに島ものへもアプローチしてはります。シェイク的には、最後の最後に冒険心に満ちた作品を、作ってきはったわけでおます。

ヘレンはん扮するヒロインと娘は、弟が国王となった国から、離島に追放されてしもたんやけど、でも、その島でイロイロ研究を重ねて、ファンタジーにふさわしい魔法パワーを身に付けはります。そして、リベンジすべく、復讐相手たちが嵐による海上パニックで、この島に漂着するとゆうマジックを使わはるんどす。コレが冒頭のシーンとなります。

でもって、島での3つの話が、同時進行で進みよります。最終的には、ミレンはんがイチバンやーとなるんやけど、シェイク原作的そのままのノリを、ロック・ノリやった「ロミオ&ジュリエット」(1996年・アメリカ)なんかみたいに、コンテンポラリーに変えはったとこがオモロイかなと思いました。

2011年6月 7日 (火)

日本映画「NINIFUNI」

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主人公の動作をサイレントで映し続けはる、孤独映画の新味とは何やねん?

42分とゆう短編映画の中に、対比描写を含めて鮮烈なるインパクトがござりまっせー

http://cofestapao.jp/details/movie/index.html

6月11日サタデーから7月1日フライデーまで、東京・テアトル新宿でレイトショーだす。

みなショート・フィルムやけど、「冬の日」(6月4日付けで分析)、「ファの豆腐」(昨日、分析)との3本立てなんで、お得どすえー。

本作をば製作しはったんは、ジャンゴフィルムはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

いやはや、ビックラこきました。孤独な人間ドラマ映画とゆうのんは、これまでにイロイロ出てきてて、映画史に残るようなんもあります。

個人的には「タクシードライバー」(1976年製作・アメリカ映画)やら「ベニスに死す」(1971年・イタリア)やら「気狂いピエロ」(1965年・フランス&イタリア)やら、DVDを買って持って何度も見るくらい、好きなジャンルの映画でおます。

但し、その描き方とか道筋、ほんでもって結末へのもってゆき方とか、ある種パターン化されとるようなとこがござりました。簡単に申しますと、孤独を深めるためのポイント要素を、深掘りしていくようなスタイルとでも言いましょうか。

でも、本作は42分のショート・フィルムとゆう制約の中で、ユニークなところをばいくつか出さはりました。犯罪者が逃亡するとゆうスタイル、それに絡めた“負”のイメージのロードムービー、心理的に追い詰められて自殺しようとする方向性、そして、何よりも“明と暗”のブラック・ユーモアな対照効果でおましょう。

主人公の宮崎将クンは人を殺してしもて、ワンボックスカーで逃亡しやはるんです。でも、どこに逃げようかてゆう当てはありまへん。

その主人公の行動を、映画はサイレント映画のノリに近いカタチで、淡々と映さはります。2分以上の長回し撮影やったり、影絵・版画的カットやらで、主人公の苦悩をば映さはります。

哲学的なセリフのオンパレードやった、自殺映画「鬼火」(1963年・フランス)の、シンプル・イズ・ベスト版な展開とでも申しましょうか。コレが前半でおます。

でもって、後半はと言いよりますと、海辺でアイドル・グループ「ももいろクローバー」を、ビデオ撮影をするシーンがござります。ところが…とゆうところが、本作のキー・ポイントになるんやけど、ネタバレ・ポイントでもあるんで、詳細は控えよりますが、死のうかとゆう暗さと、お気楽なビデオ撮影シーンの“明と暗”の対比が、何ともいえへん不気味なカンジを出してはります。

最後に流れる「ももいろクローバー」の、明るいダンス・ミュージックなんか、皮肉に満ちた効果を持っております。暗い孤独映画を派手なもんと対比させて、さらに孤独感を浮き彫りにしてゆくようなカンジとでも申しましょうか。

こおゆう風に対照させて孤独を描く手法を採られると、ココロにかなりグサリときよります。

42分とゆう短い映画やのに、2分、3分の長回し撮影をかなり入れて、さらに映画的構図を多数盛り込んだ、真利子哲也(まりこてつや)監督にも、注目したい1本どした。

2011年6月 6日 (月)

日本映画「ファの豆腐」

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現代の東京・下町映画のノリが、そこはかとなくカンジられよる映画でおます

小津安二郎監督的なニュアンスも、40分の中に入っとるんどすえー

http://cofestapao.jp/details/movie/index.html

6月11日サタデー~7月1日フライデーに、東京・テアトル新宿にて、短編3作の1本としてレイトショーでおます。

本作の製作は、テレビマンユニオンはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 テレビマンユニオン

40分とゆう短編映画でおます。そんな中で、東京の下町っぽいとこを舞台に、豆腐屋さんのお話が紡がれてまいります。

オトンと娘の2人でやってはりま。塩見三省はん(イロんな映画やテレビドラマに出てはる、シブミある名脇役はんどす)がオトン役どして、1人暮らしのOL辞めて、娘はんが実家に帰ってきやはりました。

「働きたいわけじゃない。ココがあるから、うちを継ぐって言ったんだ」とゆうこの娘はんには、菊池亜希子ちゃんが扮してはります。ボクチンは彼女の演技を、この映画で初めて見させてもろたんやけど、下町人情に似合ったような、エエカンジの雰囲気をば出してはります。

「下町の太陽」(1963年製作)とか「男はつらいよ」シリーズ(1969年~1995年)の、倍賞千恵子はんほどの熟成ぶりはないんやけど、「マザーウォーター」(2010年)で同じく、豆腐屋さんをやらはった市川美日子ちゃんのイメージがありましたで。のほほんとしてんねんけど、なんか見ていて心地いいカンジの演技ぶりどすか。

でもって、ガンコおやじのオトンとの絡みでおますけども、ズバリ、小津安二郎監督の「晩春」(1949年)の笠智衆(りゅうちしゅう)と原節子のスタイルを意識してはりまっせ。

間合いの挿入、少なめのセリフ、サイレント映画とは言えへんけど静かな展開、父娘2人の食卓シーンなど、それとなく小津安をカンジさせてくれはるシーンのイロイロに、キュンと胸が鳴りよりました。

亜希子ちゃんはカレ氏にフラれたりするけど、映画全体としては、癒やし系の映画を志向してはるように見えま。ヒロインが朝起きて、チャリンコに乗って、ラッパを吹きもって豆腐を売りにゆく、昔からあるシーンのほのぼのとした感覚。このシーンのリフレインには、田中裕子ネーが牛乳配達をやらはった「いつか読書する日」(2004年)なんぞも思い出しよりました。

ところで、本作の久万真路(くましんじ)監督は、助監督時代が長かった人でおます。そやから、現場を踏めば踏むほど、素晴らしい作品作りができるんやないかなー、なんて思わせてくれはります。

間(ま)を巧みに取り入れた演出ぶり、室内シーンでも窓から映るとこも取り入れて、奥行き感ある遠近感ショットを心がけはったり、1970年代の邦画的な、自然光を生かした薄色の戸外シーンやら、細部の描写の映画的な作りにも酔わされました。

この監督の名前は、みなはん、覚えておかはった方がええかと思います。長編の傑作をば、いずれ作らはることでおましょう。それはおそらく家族映画の傑作になると、ボクチンは予想いたします。

2011年6月 5日 (日)

松本人志監督作品「さや侍」

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マッちゃんの映画監督作品第3弾は、時代喜劇に初めてコントを、大胆にもフィーチャーしはった野心作品でおます

でも、シリアス・モードへと急転するクライマックス後の、人情節がググッときよりまんねん

http://www.sayazamurai.com/

6月11日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーやらかしま。

本作の配給は松竹はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「さや侍」製作委員会

時代劇で喜劇。つまり時代劇コメディとゆうのんは、確かにこれまでにもイロイロござりました。

「釣りバカ日誌」シリーズの「花のお江戸の釣りバカ日誌」(1998年製作)にもあったし、「ジャズ大名」(1986年)「助太刀屋助六」(2001年)とかの岡本喜八監督作品とか、1950年代の時代劇全盛時代には、歌もの、人情ものやらが多数作られてきました。

ちなみに、ボクチンの邦画時代劇コメのナンバーワンは「幕末太陽傳」(1957年)でおます。

ほんでもって、本作。松本人志マッちゃんの、映画監督作品の第3作目どす。過去2作品と同様にコメディの要素は、思いっきり採り上げはることは採り上げはったんやけど、その見たあとのイメージやらがだいぶと違っておます。

時代劇にコントの要素を思いっきり入れるなんてゆうのんは、これまでの時代劇においては御法度とも呼ぶべきことやし、黒澤明監督がもし生きてはったら、怒り倒さはったやも分かりまへん。でも、時代劇としてのセオリー通りにゆくと、本作はまず作れまへん。

イロんな金がかかってそうな一発芸を、主人公の囚われ人が連日披露しよるんどすが、一体その金はどこから出とるんか~とか、主人公のオトンに対して、父1人子1人の幼い娘が「なぜ闘わないのですか、逃げてばかりで、なぜ腹をお切りにならないのですか」などと、思いっきり忠告しよります。それに対し、オトンはシュンとしてはりまんねん。アリエネー。

この脱藩・逃亡の罪で、捕まってしもたオトン役には、マッちゃんにえらい似てはるようなキャラ・野見隆明を、キャスティングしはりました。まるで、マッちゃんが主演してはるような錯覚さえ覚えよりま。

主人公は捕まって、國村隼はん扮する藩主からある刑をゆわれます。オカンの死後、笑わんようになってしもた息子を、30日1日1芸のコントをば披露して、笑かしてくれた時点で、無罪放免になるっちゅうことどす。

その披露芸には、人間大砲、巨大馬人形乗り、人間花火、巨大風車やら、次々に披露されよります。そのたんびに息子は笑わへんので、伊武雅刀はんが「切腹を申しわたす」とゆわはります。伊武はんのこのセリフは、映画にタイトなアクセントを刻んではって、映画を弾ませておます。

はっきり言って、ナンセンス・コメディなんかもしれまへん。それでも、本作には新しいとこやったり、感動をもらえるとこやったりがあるんでおます。

クライマックスは「切腹」(1962年)のようなシビア感があるし、その後の娘少女の哀愁カットやら。でもって、北野武監督が「座頭市」(2003年)でタップを取り入れはったように、ギターの弾き語り的なフォーク・ソングを、オトンの遺書(マッちゃんのエッセイ本のタイトルにもござりました)に託して、ある方が歌い上げるとゆう、サプライズ・シーンが出てきます。マッちゃんが伝えたいことが、そこに凝縮されておます。

コント時代劇→一転シビアになり→で、このフォーク披露とゆう流れは、ある意味においてはわざとらしくて唐突かもしれまへん。しかし、新しいカタチで、小津安二郎監督やらとは違う、父娘のキズナを描こうとゆう意気込みなんぞは、エエかと思いよりました。

2011年6月 4日 (土)

長澤まさみ主演「冬の日」

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30分以内のショート・ムービーに長澤まさみチャンが初主演しはりました

風吹ジュン姉さんと静かなる演技バーサスで魅せてくれはりま

http://cafestapao.jp/details/movie/index.html

6月11日サタデーから7月1日フライデーまで、本作含む3本立てで東京・テアトル新宿でレイトショーやらはります。その後、全国順グリのロードショー予定どす。

本作の製作会社は、NHKエンタープライズはんとクロスメディアはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ショート・フィルム(本作は28分)の粋が、凝縮された1本でおます。ダラダラとは当然、描けまへんので、テーマ性をどうギュギュッと絞ってゆくかにかかっておますでしょう。

1時間くらいもあれば、それなりにお遊びを入れたりもできるんやけど、本作は集中したシチュエーションで、タイトでカチッとした会心作にしはりました。

洋画を対象にした「ショートショート・フィルム・フェスティバル」は、毎年開催されとりますが、グランプリは発表されまへんが、そこで上映されても、最優秀作品賞を狙えるような仕上がりなんどすえー。

何と言っても、長澤まさみチャンが出てはるのんが特注でおます。東京でカメラマンの夢破れ、まさみチャンは地方の実家の写真館に戻らはって、親のあとを継いでるとゆう設定でおます。写真館てゆうたら、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)にも出てきました。

また、北国らしい雪舞う日が描かれておまして、雪山を舞台にした最近作「岳-ガク-」(今年5月1日付けで分析)へも、ビミョーにつながったりしよりまんねん。

しかも、これまでのまさみチャンの演技性とはチョイ違(ちご)ておます。アイドルっぽさを強調したりとか、悲劇性の泣きの演技とかではござりまへん。自然体でもありまへん。キチンと役作りしてはります。

夢破れて故郷に帰ってきたヒロイン像を、ある種のカゲリ、でも、その後、風吹ジュンとの出会いで前向きになってゆく姿を、じっくり練り込んで撮影に臨まはったかと思われます。

ジュン姉さんの役柄は、まさみチャンが地元の学生時代に付き合ってた、元カレのオカン役でおます。でも、風吹ネーさんには、息子はんには言えないある秘密がござりました。その秘密に積極的に関わってゆく中で、まさみチャンは失意から立ち直ってゆかはるのどす。

前半はとゆうか、ほぼ全編にわたってとゆうてもええかもしれまへん。まさみチャンとジュン姉さんの2人芝居どす。そやから、この2人は束の間のココロの交流をもしはるんやけど、やはり、静かな2人の演技バーサスこそが、本作のキモでおましょう。

2人のアップ・シーン、ロングショット含む2人のツー・ショット、一部1分強の長回し撮影カットなど、撮影シーンでも2人を盛り立てます。ワン・シチュエーションの1発勝負の中で、2人共に可能な限りの演技性で魅せてくれはりました。

アコースティック・ギターとバイオリンのラストロールも、余韻を深めるカンジどっせー。

2011年6月 3日 (金)

泣ける日本映画「星守る犬」

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これまでにありまへん、Wロードムービーとなった快作やでー

西田敏行はんと秋田犬が、北へと向かう過去完了形ロードと、玉山鉄二アニキと川島海荷チャンの現在進行形ロードのシンクロナイズどす

東日本大震災で被災された東北の風景が、アアーッと胸を打ちよります

http://www.hoshimamoru.com/

ジューン6月11日サタデーから、東宝系劇場で全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「星守る犬」製作委員会

ロードムービー映画はこれまでに多数にわたり出てきておますけども、過去と現在のWロードムービー・スタイルで描かれるのんは、ボクチンの過去の映画体験ではありまへんどした。

強いて言いますれば、「砂の器」(1974年製作)で、捜査する現在形の刑事たちの捜査ロードと、過去の親子の旅路なんてのがあったくらいやろな。

しかも、「砂の器」でもあったんやけど、西田敏行はんと秋田犬のロードについて、「この2人(1人と1匹)がどのような旅をしたのか、それはこの2人にしか分かりません」のセリフも入ってるんどす。つまり、本作のロードムービーは、多分に「砂の器」の影響をば受けてるんやないかいなー、とボクチンはジャッジいたします。

また、イヌと人の関係部では「ハチ公物語」(1987年)的な感動シーンがござります。

付け加えよりますと、アメリカン・ニューシネマにもあった、当時のアメリカの社会問題やらをさりげなく取り込んだ映画のようにでんな、リストラとか無縁死とかの現代の問題を、ベタなカンジやなく取り上げてはりま。

さらに、東日本大震災前のいわき市ロケ・シーンなど、海辺のシーンをはじめ、見ていてグッと胸にこみあげるものがありました。思わず涙してしまいよりました。みなはんも、きっと泣かはるハズどす。

言ってみますれば、本作はまさに感動がテンコ盛りなった映画なんでおますよ。

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ある日、北海道の森の中で、西田はんとイヌがキャンプ・カーの中で、死んではるのんが発見されま。

西田はんが先に死んでもうて、その半年後にイヌが死んだとゆうことどして、この1人と1匹の死の道行に疑問を抱かはった、玉山鉄二のアニキが、このロードの意味を探るべく、西田はんがいた東京へと、今どき珍しいツードアのカーで向かわはります。

でもって、東京で北海道へと帰る川島海荷ちゃんと出会いまして、なりゆきのまま一緒に、西田はんのたどった道筋をたどってゆかはるんどす。そして、たどってゆくうちに、イロんな真実が浮かびあがってゆくとゆう作りどす。

ロードムービー「死にゆく妻との旅路」(今年2月16日付けで分析)では主演しはった、三浦友和アニキやらを始め、余貴美子ネーさん、いわき市サイドでの中村獅童アニキやらの、シブミあるバイプレーヤーぶりにも注目やし、ナレーションも披露する玉山アニに、川島海荷チャンも好感度の高い演技ぶりなんやけど、やはり何といっても特筆は、西田敏行はんやと思います。

「釣りバカ日誌」シリーズ(1988年~2009年)やらの役柄イメージが、しつこくネバついてるけども、本作はハマちゃんとは正反対の演技ぶりなんどす。汚れ役のカワイソーなキャラなんでおます。ある意味では悲しいお話なんやけど、でも、ラスト近くでは、それらの悲しみが浄化されてゆくようになっとります。

とにもかくにも、日本のロードムービー映画に、新たな感動作が加わりました。

2011年6月 2日 (木)

アメリカ映画「シンパシー・フォー・デリシャス」

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いろんな有名・実力派アクター・アクトレスが出てはります

写真の「パイレーツ・オブ・カリビアン」のオーランド・ブルームのアニキはじめ、今年のオスカーをゲットしはったローラ・リニーのネーさんやら…

http://www.finefilms.co.jp/delicious/

7月下旬から、大阪・シネマート心斎橋で上映どす。その後、全国順グリの上映予定どすえ。

本作の配給はファインフィルムズはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Sympathy for Delicious,LLC.All Rights Reserved.

「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994年製作・アメリカ映画)みたいに、数奇な人生を送らはる人間ドラマ映画でおます。

最近作では、「キッズ・オール・ライト」(今年4月16日付けで分析)に出てはった男優はん、マーク・ラファロのアニキが出演もしはり、監督もしはって撮り上げた作品どす。

クルマの中で生活してはる、車椅子の主人公(ラファロ監督とは盟友となる、クリストファー・ソーントンのアニキが扮してはりま)が、教会へ行って神父(ラファロのアニキ)の話を聞いて、ミラクルなパワーを授かはることになりよります。

まるでキリストみたいに、マジック・ハンドでちょっとさするだけででんな、いろんな人たちのビョーキが治癒するんでおます。神父はんはこの神がかりなワザを、営業的に利用しようとしはります。

一方で、DJの才能がある主人公どすが、ひょんなることから、紅一点のハードロック・バンドと知り合いになり、観客を治癒できるマジック・ハンドの救世主DJとして、彼らのコンサートに参加しはります。

つまり、神父との関わりによるドラマと、音楽バンド・ドラマの2方向性で、話が進行してゆきよるんどすわ。

でもって、演技的なところをば見てゆきよりまするに、見出しにも書きました通りでおまして、ケッコー有名なアクター&アクトレスが出演してはります。

バンドのリード・ボーカル担当の、オーランド・ブルームのアニキ。「メロディなんかクソくらえ!」なんて言いもって、ワイルドなボーカルを披露しはります。アルコール片手に、エキセントリッキーな演技で魅せるオーランド。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(2003年~2011年・今のところ全4作品・アメリカ)とは、正反対とも言える演技ぶりどす。

「生と死と愛にカンパイ!」なんてゆわはる、バンドの紅一点役やらはるジュリエット・ルイスのネーさん。ハスッパなカンジがキョーレツどして、ネーさんのこれまでの演技では3本指に入る好演技でおましょうか。

でもって、「ザ・ファイター」(今年3月12日付けで分析)で、今年のアカデミー賞助演女優賞をばゲットしはったローラ・リニーのネーさんやけど、その「ザ・ファイター」へと通じる、バンドのマネージャー役が何ともエエカンジどすえー。

一方の、主人公と神父の絡み合い具合はどないでおましょうか。

この2人の関係性は、「レナードの朝」(1990年・アメリカ)、「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(1997年・アメリカ)の、両作に出ていたロビン・ウィリアムズはんと、各ロバート・デ・ニーロ、マット・デイモンの関係と、何やらシンクロナイズするようなカンジがしました。

ほんでもって、さわやかなラストシーンは感動的やー、と言ってもよろしおますやろ。

かすんだような自然光での撮影を終始押し通したり、手持ちカメラによる近接撮影、人物のアップ・シーンに加え、対照的に、街を映す時には、ロングショットを多投したりと、撮影にも工夫が凝らされておますよ。

2011年6月 1日 (水)

イラク映画「バビロンの陽光」

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ベルリン国際映画祭で2冠をゲットしはりました

2人のロードムービー映画に、新たな名作が誕生でおます

http://www.babylon-movie.com/

6月4日サタデーから、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら6月25日サタデーから、梅田ガーデンシネマで上映しはり、その後、京都シネマ、シネ・リーブル神戸と公開しはります。

イギリス・フランス・オランダ・パレスチナ・UAE・エジプトからの出資を受けはった、イラク映画の本作をば配給しやはるのは、トランスフォーマーはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Human Film, Iraq Al-Rafidain, UK Film Council, CRM-114

みなはん、イラク映画なんて見はったことはありまっしゃろか。「亀も空を飛ぶ」(2004年製作・イラク&イラン合作)やらの、バフマン・ゴバティ監督作品とかイロイロあるけど、あくまでイラン映画からのアプローチでおまして、イラク映画単体とゆうのんは、それほど日本公開されることはござりまへん。

はっきり申し上げまして、イラクは映画後進国でおます。ほんで、モチ、インディーズ映画でおますんで、製作費の捻出が大変でおます。そんな厳しい状況下において、上記の各国からの出資を得まして、何とか本作が作られたんどすわ。でも、低予算にも関わらず、後進国を意識させへんような、エエ仕上がりになりよりました。

世界3大国際映画祭のベルリン国際映画祭で、メインの賞とは違いまっけど、アムネスティ賞と平和賞とゆう2つの賞をゲットしはりました。

2人だけのロードムービーとゆうスタイル。しかも、何の説明もなく、いきなりセピア色の荒野を2人がゆく、ロードムービー・シーンから始まります。このロード描写は、ラスト・シーンまで一貫しておます。徹頭徹尾ロードムービーなんどす。風の効果音やらを取り入れはったり、過去回想シーンやらカットバックもなく、あくまで描写に徹するとゆう作りになっとります。

ほんでもって、オバンと孫の旅路でおまして、湾岸戦争で12年の刑になってムショ入りしてはるオトン(オバンから見たら息子で、孫から見たらオトンでおます)を、そのムショまで探しにゆかはるんどす。でもって、孫・少年を基点に、第三世界に多い少年・少女もの映画とも、シンクロしてゆく作品なんでおます。

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オバンが1人で息子に会いに行かはった「チェチェンへ アレクサンドラの旅」(2007年・ロシア&フランス)のノリもあるし、血のつながらへんオバンと少年のロードムービー「セントラル・ステーション」(1998年・ブラジル)なんかも、思い出させてくれはりました。

さらに、素人はんを起用しはって、いわゆる「無防備都市」(1945年・イタリア)とか「自転車泥棒」(1948年・イタリア)とか、イタリアン・ネオリアリズムの精神を、引き継いではるような作りなんでおますよ。オバンの叫びや嘆きやら、素人にしか出せないホンモノらしさが、本作の大きなミソになっとります。

印象深いシーンはいくつも頻出しよります。オトンは音楽家やったらしいんどすが、そのフエを常に持ってる息子少年は、「ブリキの太鼓」(1978年・西ドイツ&ポーランド&フランス)の少年よりはエキセントリックやないけど、ここかしこでフエを披露しよります。

瓦礫の山をオトンを探しに行く少年、ガランドウの刑務所でオトンを探すオバンと孫…2人が歩く後ろ姿のカットの多さも、この2人の道行きの結末をば暗示しておます。

バビロンの空中庭園なんてゆう幻想じみた逸話やったり、ほんでもって、衝撃の共同墓地シーンのインパクトやったり、時おりグッと胸をえぐるようなとこもござります。ラストロールで流れる、アラブの詠唱もまた、心に深く突き刺さりました。

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