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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年5月の記事

2011年5月31日 (火)

デンマーク映画「光のほうへ」

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兄弟映画のベタやない滋味を描かはった、快作と言えるヨーロッパ映画どす

北欧の雰囲気を終始撮り込んだ、シーン作りにも感心いたしました

http://www.bitters.co.jp/hikari/

ジューン6月4日サタデーから、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、6月18日から梅田ガーデンシネマ、7月30日から京都シネマ、8月13日から神戸・元町映画館やらで、上映が決まっておます。

本作を配給しやはるのんは、ビターズ・エンドはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

北欧3国映画のなかのデンマーク映画でおます。フィンランド映画「4月の涙」(今年5月4日付けで分析)を、校正ミスで北欧3国映画に括ってしまいよりましたが、今は直っておます。

でも、ただし、フィンランドも北ヨーロッパでおまして、本作も「4月の涙」とシンクロするような、北ヨーロッパらしい映像作りに、ココロ打たれよりました。

全体のトーンは薄色配色どして、薄グリーンの色使いが、なるほど寒色系となるグリーンの、意図的な使い方が、北欧の雰囲気をリアルに表現されていると、ボクチンは思いました。

そして、兄弟のキズナとゆうよりは、その関係性においては、そんなにベタやない兄弟を描かはって、これまでにないような兄弟映画を作り上げはりました。この2人の兄弟関係描写は、巧緻を極めておます。

イントロからラストまで、緻密に計算されて作り上げられたカンジがいたしました。冒頭では、この兄弟のコドモ時代が描かれます。赤ん坊の三男の末の弟がおるんやけど、シングルマザーのオカンは、この子の育児放棄をしはり、毎晩ヨッパラッてはります。そやから、2人が赤ちゃんの面倒を見とったんやけど、ある朝、赤ちゃんは死んでしもとりました。

これが、2人の兄弟のトラウマとなり、あとあと、2人の関係に影響してまいります。2人は大人になるにつれて離れ離れとなりまして、酒で死んでもうたオカンの葬式で、ある意味で劇的な再会をば果たさはりまんねん。

そんな大人になってしもた2人の現在形も、当然描かれよります。アニキの方は、バツイチで簡易所暮らしのムショ帰りでおます。別れた妻のアニキが衝動的に犯してしもた、ある殺人事件の容疑を掛けられます。

一方の弟の方は、妻を事故で亡くしてもうて、今は幼い息子と2人で暮らしてはります。この弟の方の父子のキズナ描写は、エエカンジなんやけど、オトンはヤクチュウにしてヤクの売人やってはって、警察に捕まる運命にござります。

でもって、この2人が再会した以降が、クライマックスとなるでおましょうか。ある意味で、終始静かな展開が続きます。

でも、サントラはそれなりに流れよりまして、スロー・ナンバーを中心に、歌もののメロディックな曲どして、それらがビミョーに映画にアクセントを加えはるんどす。

デンマーク映画と聞いただけで、今まで見たことないな~ってゆう人も、きっとノレるし、ある種のカンドーも得られるはずの映画やと思いますで~。

2011年5月30日 (月)

マイケル・ダグラス主演映画「ソリタリー・マン」

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孤独な男の映画でも、マイケル・ダグラス節はチョイ違っておりまっせー

「ウォール街」やら「フォーリング・ダウン」やらより、肩の力が抜けておまっせー

http://www.finefilms.co.jp/solitary/

6月4日サタデーから、東京・シアターN渋谷やらでロードショー後、全国順グリの公開でおます。

関西やったら6月に、大阪・シネマート心斎橋やらで上映どす。

本作を配給しやはるのんは、ファインフィルムズはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 SOLITARY MAN PRODUCTION,INC

孤独な男を描く人間ドラマ映画とゆうのんは、男の俳優はんやったら、1度はチャレンジしたいジャンル映画なんやないやろか。

だって、自分にだけ焦点が当たって、しかも心理的に陽よりも陰の部分を、ビミョーなカンジで演じるわけやし、演技力も試されるわけやから。役者冥利につきまっしゃろ。

でもって、唐突に、ボクチンの男の孤独を描いた洋画の、ベストとカルトのスリーをば発表いたします。

●ベスト→①タクシードライバー(1976年製作・アメリカ映画)②ベニスに死す(1971年・イタリア)③市民ケーン(1941年・アメリカ)

●カルト→①鬼火(1963年・フランス)②サイコ(1960年・アメリカ)③フォーリング・ダウン(1993年・アメリカ)

とゆうわけで、「フォーリング・ダウン」は、本作の主演マイケル・ダグラスはんが出てはります。マイケルはんと言えば、1980年代から1990年代にかけて、ハリウッドの花形スターでおました。

本作の孤独映画でも、女に溺れたりえらい目に遭わはった「危険な情事」(1987年・アメリカ)やら「氷の微笑」(1992年・アメリカ)やらのタッチが、それとなく仕込まれたりしとります。

でもって、「フォーリング・ダウン」のイライラ節、「ウォール街」(1987年・アメリカ)「ウォール・ストリート」(今年1月16日付けで分析)のクール型とも違う、孤独男を演じはるんどすわ。

加えて、マイケルはんのおとっつぁん、カーク・ダグラスが演じた「チャンピオン」(1949年・アメリカ)とか「探偵物語」(1951年・アメリカ)とも違う、演技性で魅せてはるとこには、個人的にはココに、胸にきました。

哀愁やったりとか暗さが、ほとんどカンジられへん孤独節でおまんねん。離婚してるスーザン・サランドンはんとも、時々会ってワインを傾け合ったりしはるし、娘と孫ともしょっちゅう会(お)うてはるし、オンナ癖の悪さもしょっちゅうでおます。

親子どんぶり(この表現はムムム…かもしれんけど、母と娘の2人共にやらはったとゆう意味どす)なんてのも披露されよるんどす。

どこが孤独やねん、なんやけど、そういういろんな人間関係が、やがてジワジワとシワ寄せられてもうて、並びに見離されてまうとゆう方向へと、流れてゆきよるんですわ、コレが。

冒頭のダグラスはんが、1人歩きもって披露されるサントラ、孤独な男のことを歌うギターの弾き語りやったり、ナンパ指南話とか、1人の長ゼリフを聞かせるスタイルの長回し撮影やら、細部における孤独ドラマへのフォーカスは、緻密に仕込まれておます。

そんななかにおいて、「ローズ家の戦争」(1989年・アメリカ)やらで盟友とも言える、ダニー・デヴィートはんとの友情描写やら、「ソーシャル・ネットワーク」(昨年12月25日付けで分析)のジェシー・アイゼンバーグ君との「ウォール街」的な指南ぶりやったり、いかにもアイドルっぽいイモージェン・プーツちゃんとの絡みとか、イロイロと多彩な人間関係ドラマが紡がれてまいります。

元夫妻になるけど夫妻ドラマ部、父娘のキズナ部やらも、なるへそ、そうなるかと納得できる仕上げどす。

ほんでもって、ダグラスはんがベンチから立ち上がるラストシーンは、ピチッとエエカンジで決まっておますでー。

2011年5月29日 (日)

日本映画「もしドラ」こと「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

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AKB48の前田敦子あっちゃんが輝いてはります

「ルーキーズ」なストレート高校野球映画×女子高生ヒロイン映画のノリに、経済学者ドラッカーの理論を詰め込んだら、メッチャさわやかな映画が出来上がりましたとさ

http://www.moshidora-movie.jp/

6月4日の土曜日から全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「もしドラ」製作委員会

本作の原作小説は250万部を突破してはりまして、NHKのテレビ・アニメ化に続く映画化で、ますます部数を伸ばしてきやはることが予測できます。

21世紀の東宝配給作品としては、200万部以上売れた小説の原作映画では、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)、「ノルウェイの森」(2010年)に続く、第3弾になるかと思いよります。いずれにしましても、原作小説は斬新な作りでおます。

高校野球とは何の関係もありまへん、P.F.ドラッカーの経済論・経営論を本歌どりのようなカンジで、青春映画の中へ溶け込ませるなんて発想からして意表を突いてきてはります。

会社経営論と青春は、水と油ともいえましょう。さらに、そこに、「セカチュウ」以来トレンドになっておます、病系の泣きやらも入れてくるとゆう、裏ワザを披露してきはるんどすえ~。

そやから、映画もまた、これまでにない異質な感触をば持ってはるんどすわ。

つまり、「ルーキーズ」(2008年)「キャプテン」(2008年)「タッチ」(2005年)やら、ストレートに野球をやって甲子園を目指すとゆう高校野球映画のノリと、女子高生ヒロイン映画のノリが融合されたら、一体どないな映画的化学変化が起こるんか。そのトンデモ化合ぶりにも注目でおます。

見る人によっては、すごいインパクトをカンジはる映画やと思います。「時をかける少女」(1983年)やら大林宣彦監督作品の、高校もの映画に深くヤラれたボクチンも、この映画の変則の方程式には魅せられよりました。

とにかく、つまりは、異能でもそう快な仕上がりなんどす。

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ほんでもって、こういう映画やと、妙にアイドル映画ノリを強調しはったりしがちどすが、本作はそんなとこをカンジまへんどした。

AKB48の前田敦子あっちゃん、「ランウェイ☆ビート」(今年3月13日付けで分析)に続く、瀬戸康史クンやら。実にアイドルにふさわしい、さわやかな演技なんでおますけども、やはりこれまでの学園ものにはない異質なテイストが、単なるアイドル映画のノリを超えておるんでおますよ

「うた魂(たま)♪」(2008年)でも、高校生たちの面白い作品を作らはった田中誠監督のアニキ。でもって、敦子あっちゃんのキーボードに乗るバラード・ナンバー「Flower」とか、ラストロールで流れるAKB48の、16ビートのダンス・ポップ・カヨー曲「Everyday、カチューシャ」(現在、大ヒット中)とか、部分部分でやね、アイドルチックはそれなりに披露されておます。

しかし、本作のキモと申せばでんな、ドラッカーの理論が、どおゆう風に高校野球に応用されてゆくのんか、そのハットトリッキーを見せてゆくのんがスリリングなんでおます。

ポインツになる点は、才能はなくとも真摯なひたむきさ、「野球部とは感動」やら、でもって、イロイロあるイノベーションどす。このイノベーション部こそが、本作のメイン・ソースなんやないかな。実在の池田高校、取手二高やらを引用したこのポインツは、映画の本ネタにもつながりよりまんねん。

ほんでもって、試合シーンもダラダラ見せることなく、重要シーンを選んで、ピンポイントで見せてくれはるのんも、また新鮮でおました。

2011年5月28日 (土)

大人になった「赤ずきん」ちゃんの映画どすえー

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「トワイライト」3部作シリーズと、シンクロする快作でおます

ホントに怖いグリム童話なタッチを入れつつも、ヒロインが探偵役になってナゾを探るとゆう、ミステリー・スタイルにもなっとりま

http://www.akazukinmovie.jp/

6月10日フライデーから、東京・丸の内ピカデリーやら、大阪ステーションシティシネマやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作のアメリカ映画をば配給しやはるのんは、ワーナー・ブラザース映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

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「赤ずきん」ちゃんが大人になって、活躍しやはる映画でおます。みんな知ってはるようでいて、実は知らなさそうなこの「赤ずきん」。

「白雪姫」やらが有名な、グリム兄弟が作らはったお話でおます。グリム・ブラザーズの童話は、イソップ童話やらとは違い、ある種の毒を含んでおます。一時期、“ホントは怖いグリム童話”なんてフレーズが出回っておましたけども、それは正解でおましょう。

確かに女性を中心にしたヒロインものが彼らのポイントにはなるんやけど、決してストレートでマットウな少年少女ものを、作ってきてはいてはりまへん。「白雪姫」をベースにした映画化作品「スノーホワイト」(1997年製作・アメリカ映画)などに顕著でおました。

ほんでもってでんな、赤ずきんちゃんはカワイイ系のドラマやったんやけど、ココに大人の鑑賞に見合った、赤ずきんが出てきよったんでおます。ほんで、「トワイライト」シリーズ(2007年~2010年製作・全3作・アメリカ映画)こそが、赤ずきんを描くための格好のサンプルになっとるんやないかなと、ボクチンは思いよりました。

実は、オオカミ男が大きなキー・ワードになっとるからでおます。つまりは人狼なんどす。ほんでもって、ヒロイン役にはアマンダ・セイフレイドちゃん(なぜか、本作では表記のセイフレイドが、サイフリッドになっとります。読みの違いで映画会社によって表記が違いまんねん。チャン・ツィイーとツーイーなんぞも、それでおます)が、アイドルっぽいノリで演じはりました。

「クロエ」(昨日、分析)、「ジュリエットからの手紙」(今年5月10日に分析)などと、主演映画が次々に、日本公開されておます女優はんどす。メッチャ美人なんてイメージやないんやけど、俳優は実は雰囲気が最も重要やと思います。

三角関係のラブ・ストーリーを含めまして、ヒロインは誰が人狼なのかを探ってゆかはります。ヒロインが探偵役となった、ミステリーとしても見られるだけやなく、意外な犯人やらサプライズやらもあるとゆう、仕上げになっとるんどすわ。

そして、この種の映画に多い、ファンタジー・ノリのCG使いによる、ありふれた結末はありまへん。狼映画として古典的に怖さをあおるような雰囲気とか、黒魔術やら魔女伝説やらの中世の物語のタッチとかもまた、物語にアクセントを加えてはります。

女性監督による映画であるとこも、なるほど、結末に優しさもあってエエかと思いました。ラブ・ストーリーとして見ても、ハッピー・エンディングやしね。グーどす。

2011年5月27日 (金)

悪女映画「クロエ」

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ニコール・キッドマン「冷たい月を抱く女」やら「誘う女」やら、「危険な情事」グレン・クローズやらの悪女ぶりに、アマンダ・セイフライドちゃんは、果たして迫れたんやろか?

窓と鏡を使ったシーンの多さは、映画史上過去最多やも分かりまへん

http://www.chloe-movie.jp/

5月28日サタデーからTOHOシネマズ シャンテほか、全国各地順グリのロードショーでおます。

大阪やったら、6月4日サタデーから、梅田ガーデンシネマで上映どす。

カナダ&フランス&アメリカ合作の、本作の配給会社は、ブロードメディア・スタジオはんとポニーキャニオンはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 Studio Canal All Rights Reserved.

魔性の女やら悪女やらが出てきはって、スリリングにサスペンスしはる映画とゆうのんは、これまでかなりのタイトル数が出てきておます。

戦前はグレタ・ガルボ主演の「マタ・ハリ」(1931年製作・アメリカ映画)とか、マレーネ・ディートリッヒの「間諜X27」(1931年・アメリカ)とか、女優の美しさを見せてゆかはる、何やら悪女にはなりきれへんもんが多かったとは思いますが、映画が進化するにつれて、悪女もまた進化してきよりました。

見出しにも書きよりました、ニコール・キッドマンのネーさんが悪女ぶりを披露しはりました「冷たい月を抱く女」(1993年)「誘う女」(1995年)、グレン・クローズのネーさんの怪演技ぶりにビビリまくった「危険な情事」(1987年)やら、悪女演技としての進化ぶりは、そら、イロイロモロモロものすごいもんがあるかと思います。コレら以外にも多数ありまして、単なる悪女やないのんは、世界各地へと蔓延しておます。

そんななかでの、本作の登場だす。悪女に扮しはるんは、若手の上昇株アマンダ・セイフライドちゃんどっせー。誰やねん、そいつは、なんてゆわはる人は多いやも分かりまへん。けども、解説いたしますと…。

ホラー・アクション系「ジェニファーズ・ボディ」(2009年)なんてゆう映画やらで、セクシーぶりを披露しはったり、ミュージカル「マンマ・ミーア」(2008年)では歌って踊らはり、「ジュリエットからの手紙」(今年5月10日付けで分析)では、明るいラブ・ストーリーを演じて、多彩な演技性、どちらかと申せばアイドルチックなとこはあるんやけど、示してはります。

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ほんでもって、本作でおます。このアマンダちゃん、ヤッパアイドル系のノリがあるよってに、悪女になりきれへんとこがござります。でも、彼女に騙されるジュリアン・ムーアのネーさんが、エエカンジの演技をやってはって、それによってサポートされてるようなとこがあるやも。

ジュリアンネーは、オッパイとかよう見えてはりますし、ああ、ヤラシーなってとこもありま。片や、アマンダちゃんは、レズ・シーン、男女のセックス・シーンやらはあるんやけど、大きそうなオッパイは分かんねんけど、正面からは見せはらへんので、ヒップも含めて見えてるようで見えてまへん。

ただ、セクシャル・シーンを競う映画ではないんやけど、この2人のビミョーな映し方にこそ、本作の本ネタ部へのヒントが隠されているやもしれまへん。2人に比べて、夫役のリーアム・ニーソンはんなんか、宙に浮いてるようなカンジどっせ。

アトム・エゴヤン監督のナゾめき演出にも、イロイロと妙味がござります。加えて、窓と鏡を使ったシーンの多さでおます。映画史上最多かもしれへんカット数やないかな。それが、ともするとフツーのサスペンスになりがちな本作を、少しでも怪しい方向へと向けてはります。

アマンダちゃんが主演しはった「赤ずきん」も明日、分析しようと思とりますが、間違いなく、本作とは180度とは申しませんが、90度くらいは違う演技やと思うんで、よろしゅうに。

2011年5月26日 (木)

イタリア映画「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」

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コレまでに描かれてへん実話ヒロイン映画は、本作みたいにこの世にはまだまだありまっせー

第2次大戦前のムッソリーニの裏話が、紡がれてゆきよります

http://www.ainoshouri.com/

MAY5月28日SATURDAYから、東京・シネマート新宿を皮切りに、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、6月11日から大阪・シネマート心斎橋やら、その後、京都シネマやらで上映されよります。

フランスとの合作となったイタリア映画の本作をば、配給しやはるのんはエスピーオーはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 Ral Cinema-Offside-Celluloid Dreams

みなはんのイタリア映画のイメージって、どんなカンジでおましょうか。

かつてイタリアン・ネオ・リアリスモ(リアリズム)と言われた、第2次世界大戦の戦後から1950年代前半の諸作。その後、監督的にゆうなら、ルキノ・ビスコンティ、フェデリコ・フェリーニ、ミケランジェロ・アントニオーニ、ピエロ・パオロ・パゾリーニ、ベルナルド・ベルトルッチらの諸作。

でもって、1980年代以降では、「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年製作・イタリア&フランス合作)、「イル・ポスティーノ」(1995年)、「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年)などが、素晴らしい感動的な仕上がりを示してはりました。

そんなイタリア映画のケッサク・名作の系譜のなかで、本作はどうなんでおましょうか。

マルコ・ベロッキオ監督自身は大ベテランの監督でおまして、現在のイタリア映画界において、巨匠の1人と言える存在の方でおます。そして実話映画でも、今までに採り上げられへんかった素材へと、アプローチしはりました。

第2次世界大戦前の話やけど、その種のヨーロッパ映画では、ヒトラーものがケッコーあるんやけど、ヤッパ、イタリアとしては、ヒトラーに対してムッソリーニを採り上げなあかんでしょう。

ムッソリーニを描いたイタリア映画も、それなりにはあるんやけど、ムッソリーニをそのまま描くんやなく、本作はムッソリーニの愛人をヒロインにした映画にしはりました。このヒロイン・ドラマが、実に強烈な印象を残すんどすえー。

愛人ヒロインはムッソリーニのコドモまで産まはりまして、やがて、その息子と引き裂かれはるんどす。母なるヒロインは、なんと精神病院に入れられてしまわはるんでおます。でもって、この病院でのイロイロが、本作のメイン・ソースになっとりまんねん。

特に印象的やったんは、シビアで暗めのシーンの多いなかで、ピアノをバックにした無声映画のチャップリンの「キッド」(1921年・アメリカ)を見ながら、ヒロインが自分の息子に思いを馳せて泣き、で、ハッピー・エンドに最後は笑うとゆう、ホッと観客を和ませるようなシーンどした。

一方で、息子はんのサイドでは、ムッソリーニ・オトンの演説をマネる、息子の投げやりぎみのシーンが哀愁を誘いま。

サントラと撮影やらにも、工夫のあとがありありとしておます。大仰な管弦楽のオーケストラ・サントラやけど、ボクチンのダイスキな、イタリアの映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネはんのタッチが、見え隠れしとって良かったどす。

また、照明を排したシーンやら、陰を生かして当時のカンジを映してゆくシーンの連続に、なるほどなと納得できよりました。

イタリア映画は、これからも進化できるに違いない。そう、思える映画やったです。

2011年5月25日 (水)

今どきのニッポン映画版「アバター」

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「告白」に出て悪いことしはった橋本愛チャンが、今度は主役でホンキ印やー、メッチャえげつないことやらはりまっせー

「大木家のたのしい旅行…」でも、クールな青鬼役やって、今が売り出し中でおまっせー

ちなみにアノ「アバター」とは違いよりますんで、間違っても払い戻しはききまへんよってに、念のため

ttp://www.ava-q.com/

皐月5月28日のサタデーから、大阪のシネ・ヌーヴォで上映どす。

本作の配給は太秦はんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 山田悠介/角川書店/「アバター」製作委員会

えらい紛らわしいタイトルでおます。「アバター日本版」とかのタイトルにすれば良かった? いや、それやったら、アノ「アバター」(2009年製作・アメリカ映画)の日本版リメイクに取られかねまへん。

ネット上で自分の分身になりよる、アニメ・キャラクターを作ってゆくとゆうこのアバターが、えらい大ゴトになっていっきょるプロセスを、描いてはるんが本作でおます。しかも、女子高学園ものとゆう体裁をば採ってはります。

これまでの高校青春もの、ラブ・ストーリーやら、女子の学園ものに限ったスタイルでも、コイツは今までのもんと随分と趣きを異にしておます。

清潔系「時をかける少女」(1983年)のネジレ系どして、マットウ系「女の園」(1954年)とか「櫻の園」(1990年)とかは、今は昔のノリ。まあ、「スケバン刑事」(1987年)のノリに近いかもしれへんけど、こちとらは正義のヒロインはおりまへん。

女子高生ヒロインは、アバターにハマりきって、アバターのために援交やら売春サギまでやって大金を奪って、たかがアバターに投資しやはるんでおます。さらに、コレが殺人事件にまで発展し、やがておいおい、そんなアホなーな世界にまでいきよりまんねん。

単なるゲームソフト内的世界が、世界的戦争へと発展する「ウォー・ゲーム」(1983年・アメリカ)のノリにも似ておました。ビックラこきまんがな。デジタルライフを描いた映画は、これまでに多数作られてきよりましたが、アバターは初めてでおましょう。

作品的にはリアリティーのない意味においては、「バトル・ロワイアル」(2000年)の無法状態系の、非日常的な作りに近いやも分かりまへん。そんななかで、強烈なインパクトを残さはるのんは、やはり橋本愛チャンどすえ~。

松たか子が主演した「告白」(2010年)では、女子高生のサイコぶりを披露しはったし、「大木家のたのしい旅行」(今年5月5日付けで分析)では、不気味やけどカワイイ青鬼を演じてはりました。演技のレンジの広さもカンジさせる演技ぶりどす。

でもって本作では、大人しい無表情の静から、むき出し系の動まで、さらにクールなエゲツナサも示さはる演技が、深い印象をば残します。

山田悠介のホラー小説が原作でおまして、映画化された「リアル鬼ごっこ」など、ホラー学園ものにして異能感をプラスアルファしたような感覚が、本作でも顕著でおます。

近々に分析しよりますが、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(6月4日全国公開)とは、真逆とも言える本作。そやから本作を「もしドラ」と比較して見るのも、オモロイ鑑賞法やとボクチンは思います。

2011年5月24日 (火)

中国のアクション映画「処刑剣 14BLADES」

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「孫文の義士団」に続き、香港アクション映画復権を懸けはった、バリバリバチバチの映画でござります

ウエスタンなロードムービー的作りやら、多彩なアリエネー武器のオモロサやらに魅せられた快作どした

http://www.shokeiken.com/

皐月は5月の28日サタデーから、東京・シネマート六本木やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、ドカーンと上映でおます。その後、全国各地へ順グリに回りよります。

中国映画の本作の配給は、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Visualizer Film Production Ltd. All Rights Reserved.

中国製作による香港アクション映画どす。しかも、本編の最初から最後まで、バリバリの香港アクションに徹してはります。香港&中国製作やった「孫文の義士団」(今年3月5日付けで分析)も、思いっきりのやりたい放題でおましたけども、本作も似たようなもんでおます。

いわゆる、かつて隆盛を極めた香港アクションの、復権を懸けて大マジに作ってきてはるようなカンジなんどすわ。アメリカ資本やらに頼らずに、どこまでできるものか試してはるんやないかな。

そして、そんな意気込みが全編から熱く熱~く、煮えたぎってきよるカンジなんどす。加えて、単にアクションだけを、アホみたいに披露しやはるワケやおまへんで。

本作にも出てる、ヴィッキー・チャオのネーさんが活躍しはった「ヘブン・アンド・アース/天地英雄」(2003年製作・中国映画)と同じく、ウエスタンなロードムービー・タッチも取り込んではりますし、チャオネーと無骨なドニー・イェンのアニキのラブ・ストーリー部なんかも、ベタやないけどケッコー魅せてくれはります。

でもって、時代劇でおます。「孫文の義士団」は近世になりよりますが、コレは中国の明(みん)時代のお話どして、15世紀くらいの話になっとります。銃が発明されとったかどないかとゆうビミョーな時代なんやけど、銃撃戦はとりあえずは出てきよります。

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でも、銃による空中戦以外の方が、戦いのメイン・ソースになっておまして、ホンマにそんなんあったの~? ってゆう、いろんな武器によるバーサスが、ホントのホンマに本作のオモロイとこでおます。

でもって、そういう武器を操るキャラクターたちの、ゲーム・ノリともいえる戦いぶりだけやなく、キャラの何やらマンガから出てきはったみたいな造形ぶりにも、オオッてきました。

従来のワイヤー・アクションとかCGもありまっけども、ブーメラン・ブレードとか、4つの剣が出てきよるマジック・ボックスとか、弓なんやけどフツーの弓とは全然違う弓とか、奇妙キテレツな武器がテンコ盛りでおます。

むろん時代的には、剣戟アクトがメインではおます。でも、敵を崖下へおびき寄せといて、大石落としで攻めるなんてゆう、古式ゆかしい古典的な攻撃シーンもまたオモロイわあ~。

ドニー・イェン兄貴とイケメン泥棒のウーズン君の、遊びゴコロある対決シーンなんかは、緊張感続きをフッと和らげてくれよりま。

香港アクション・スターの御大ドニー・イェン兄貴の、ミラクルかつ獅子奮迅のアクションぶりがモチ、見どころにはなっとるんやけど、ディープ・インパクトやったんは、何といっても、ケイト・ツイちゃんどす。

ミス香港に輝かはった美人はんやのに、何とまあ~、モノゴッツー強いんでおますわ。ヒモ武器を持ちながら、踊るようなしなやかで素早い動きで敵を倒さはります。ウーズン君、そして、ドニー兄貴とのクライマックス対決は、凄まじいもんになっとります。アラマ・ポテチン。

2011年5月23日 (月)

主演・桃井かおり談話入り「雨夜 香港コンフィデンシャル」批評分析

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いろんな国の人たちが、香港でシンクロナイズしよりまして、人間関係のナゾナゾが入った怪作品でおます

「ストーリーが複雑になってて、ワケ分かんないかもしんないけど、映画的にはいい作品です」と、桃井ネーさんはゆうてはりま

http://www.oaff.jp/

今年の大阪アジアン映画祭で上映されよりました。でもって、現在、ニッポン公開待機作でおます。

香港との合作となったラトビア作品どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸKRUKFILMS

本作に主演しはった桃井かおりネーさんは、いみじくもこうゆうてはりました。

「低予算のインディーズ映画です。世界の映画祭(いっぱいござります)を回りたいと思っています。ホント、こういう映画祭(ここでは、この3月に開催された「大阪アジアン映画祭」のことをゆうてはります)が、封切りになるかならないかの、唯一の方法なんだよね」

映画は日々、世界の各地で作られ、今も作られ続けておます。桃井かおりネーさんは「無花果(いちじく)の顔」(2007年製作)で初監督しはりまして、世界3大映画祭のベルリン国際映画祭でネットパック賞をばゲットしてはります。

自らが監督し、その生みの苦しみを味わったからこそ、インディーズ映画に対して深い愛を示してはるんどす。桃井ネーさんが本作の見どころについて、ゆわはったことをチョイ披露します。

「日本にいられなくなったOL(桃井ネー)が、中国人のだんなと結婚し、息子が生まれたんだけど、息子は映画の中には出てこない。でも、日本語のタイトルを見てね、やっとストーリーが私も分かったんだよね。ファースト・シーンとラスト・シーンがつながってんのよね。イギリス人のポール役(下の写真の左の人で、リトアニアの人気ミュージシャン、アンドリュス・マモントバスどす)と私は、前から知り合いってことになってんだよね。う~ん…、そうね、ストーリーは複雑になっててさ、ワケ分かんない映画になってるかもしんない。でも、コレはストーリーじゃなくて、肌ざわりで見る映画だと思うんだよね。映画にしか表現できないようなとこがさ、あんのよ。だから、間違いなく、映画としては素晴らしい出来だと思います」

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いわゆる、香港を舞台にしながら、日本の桃井ネーはじめ、役柄としてイギリス人やらも出てきよります。中国人にしても、台湾や中国本土や香港では、コトバもビミョーに違うかと思いますが、とにかく、いろんな人たちの絡み具合を、これまでの香港映画にもあったかもしれまへんが、展開しやはる、ある種の群像劇でおましょうか。

ナゾがナゾでないようなカタチで散りばめられております。そやから、桃井ネーがゆうてはる「ワケ分かんない映画」のコトバは説得力がおます。夫妻映画、兄弟映画、香港映画的アイドル映画ノリ、男と女のナゾめいたラブ・ストーリー部やら。

実は、全てのエピソードが完全決着を見ないままどして、ボクチンは空(クウ)に置き去りにされよりました。でも、この話を万人に分かるように解説してもうたら、台無しになりそうな気がします。

ロープウェイ・シーンでの臨場感やら、今のハリウッド映画より多そうなアップ・クローズアップ使いなど、ビビッドなシーンの在り方を問うてはるようなとこにも、個人的には胸にくるとこがありました。

2011年5月22日 (日)

コドモたちがメッチャ明るい日本映画「奇跡」

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阿部寛、助演オダギリ ジョーのアニキやら、長澤まさみチャンやら、少しやけど出てはる人たちは、今をときめいてはる方々でおます

明朗快活1本道のコドモたちの明るさが、みなはんに元気の素をくれよります

http://kiseki.gaga.ne.jp

ジューン6月11日サタデーから全国ロードショーやで~。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映しはります。

本作の配給はギャガはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 映画「奇跡」製作委員会

2人の幼い兄弟をメインに、コドモたちがメッチャイキイキとしてる、爽快作品どす。

本作の是枝裕和監督には、コドモたちを描いた作品として「誰も知らない」(2004年製作・日本映画)がござりますが、コドモたちの暗さが目立った「誰も知らない」の、ちょうど反対バージョンといった仕上がりでおます。

コドモたちが主役の映画の系譜のなかでも、例えば名作「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)以上にポジティブで明るいし、また、見ている時に、ひょっとしたら「スタンド・バイ・ミー」を超えたかもな…なんて思いが、脳裏でチカッチカッと点灯したりしよりました。

大阪の4人家族やったんやけど、オトンとオカンが離婚することになり、2人の兄弟はオトンの仕事先の福岡と、オカンの実家の鹿児島とゆう風に、別れて暮らすことになりよりました。話だけを聞いたら、暗そうやな~と思わはるかもしれまへんけども、それが違いまんねん。

まず、大阪弁の前向きで楽しいユーモア感が、全編にみなぎっておまして、コレが明朗な映画リズムを作っております。コドモが活躍する同じ大阪弁映画でも「泥の河」(1981年・日本)やらとは、雲泥の差の明るさどす。特に兄弟のやり取りは、会話の面白さも含めよりまして、本作のキモでもおますよ。

でもって、主役のコドモたちがしっかりしてるように見えるのにでんな、対して大人たちはまるでアダルト・チルドレンをジでいくかのように、コドモっぽいんですわ。

阿部寛アニキのとぼけた先生ぶり。生足がどないしたとか生徒に噂されはる、女教師役の長澤まさみチャン。いつまでもミュージシャン目指してはる、オトン役オダギリー ジョーのアニキ。ヨッパラって泣きながら息子に電話したりする、オカン役の大塚寧々ネーさん。オジン・オバン役の橋爪功はんや樹木希林はんもまた、精神的にコドモっぽくフラフラしてはります。

このオトナとコドモの対比描写もまた、映画をとても面白いもんにしとるんですわ。

クライマックスは、7人のコドモたちによるロードムービーどす。それぞれの願いを叶えるために、旅をするこのロードは、死体を見に行った「スタンド・バイ・ミー」より、はるかに希望に満ちておます。そやから、ボクチンはじめ、みんなにゲンキをくれるようなカンジになっとるんです。

さらに、「まほろ駅前多田便利軒」(3月25日付けで分析)でも曲を提供したバンド「くるり」のサントラも冴えておりま。ギター・バンド・サウンドをメインに、バイオリン、ハーモニカ、バンジョーやらを入れたさわやかな音。歌ものではニュー・ミュージックなJポップ、キャッチーなスロー・ナンバーが流れよります。

2011年5月21日 (土)

北川景子&向井理共演「パラダイス・キス」

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「ランウェイ☆ビート」と、つい比較したくなってまうようなティーンエイジャー・ファッション映画でおます

学園ラブ・ストーリーの何やらくすぐったいノリが、服飾専門学校におきまして展開しよります

http://www.parakiss.jp/

6月4日サタデーから、全国ロードショーやてっ。

大阪は、大阪ステーションシティシネマやらで上映やてっ。

本作品をば配給しやはるのんは、ワーナー・ブラザース映画はんどすわ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「パラダイス・キス」製作委員会

本作はコミック原作映画でおます。映画化された「NANA」の矢沢あいの原作なんやけど、コレが連載してた雑誌の読者の年齢層に合わせた内容なんどす。

女子中・高校生向けのファッション雑誌「Zipper」でおますんで、どないあっても、ティーンエイジャー向けの学園ものラブ・ストーリーちゅうもんが、作者の視野に入ってしまいます。

しかも、フツーの高校も出よりますが、ベースは服飾専門学校が舞台でおます。さらに、服飾デザイナー、モデル、ファッション・ショーやら、その種の雑誌読者が喜びそうなキャラやらシチュエーションを、わざとのように作ってはります。

となりますと、原作のテイストをそのまま活かして映画化されてまうと、リアリティーの問題やったりとか、果たして大人の鑑賞に堪えうるものなんかどうなんかが、問題になってきよります。

ボクチンの結論を言えば、本作みたいに専門学校やなくて、普通高でのファッション・ショーを描いた「ランウェイ☆ビート」(今年3月13日付けで分析)の、仕上がりやら感触やらとよく似ておました。「ランウェイ…」は小説が原作やったけど、こちらの方はコミック原作に間違いないわ、みたいなノリがありまんねん。

モデルの役作りのために、激ヤセしたカンジの北川景子ちゃん。キモチの揺れがキモチが見えないカンジに見えたりしよりますが、「ランウェイ☆ビート」の桜庭ななみチャンよりトンデおりま。

でもって、お相手役の向井理のアニキどす。加藤夏希ちゃんとのライバル描写やら、北川景ちゃんにくすぐったくなるようなアドバイス・セリフを喋ったりと、大マジのキャラのようでいて、マンガチックなとこをば時々披露しはります。

主演した「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」(今年1月2日付けで分析)よりはフツーにはなってるけど、大政絢ちゃんやらの演技にも注目やで~。そんでもって、サントラも注目どすえ~。

冒頭で本作のポイント舞台となるアトリエへの道順を、北川景ちゃんのナレーションで解説しやはるんやけど、そこで流れるYOUのタイトな8ビート・ポップ「HELLO ~Paradise Kiss~」は、ミュージック・クリップなノリながら、一体これからどんな話が紡がれるんやろ~とゆうワクワク感がござります。

ほんでもって、景ちゃんのファッション・ショーのシーンで流れる、バッハの「G線上のアリア」をラップと融合させたsweetboxの「Everything's Gonna Be Alright」は、シーンにピタッとハマッておました。

2011年5月20日 (金)

日本映画「軽蔑」

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クールでええ加減な高良健吾クンと、初ヌードを披露するホットな鈴木杏ちゃんの、破滅型の恋愛映画どすえー

同じ中上健次原作映画やったら、「青春の殺人者」のノリがありまっせー

http://www.keibetsu.jp/

ジューン6月4日サタデーから、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ガーデンシネマやら、T・ジョイ京都やらで上映どす。

「R-15」指定の本作を配給しやはるのは、角川映画はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「軽蔑」製作委員会

まあ、ゴシップ・ノリの話題から入りますると、鈴木杏ちゃんがオール・ヌードをば披露しはりましたでーとなります。

しかも、2バージョンにわたるセックス・シーンの長回し撮影も含まれておるとなりますれば、そら、精力のやり場に困ってはる男にしてみたら、胸ザワザワ、あ~どないしょーとなるかもしれまへんけども…。そのキモチは確かに男にしか、分からへんもんやと思います。

実は、ボクチンの個人的なお話なんやけど、本作の中上健次原作と同じ映画作品「青春の殺人者」(1976年製作)でおますけども、原田美枝子ネーさんがヌードを披露してはりました。本作の杏ちゃんよりも、モノゴッツーなスッポンポンなカンジなんで、ボクチンなんかアゼンとしよりましたがな。

しかも、当時の彼女と一緒に見に行ったもんどすさかい、目も当てられまへんどした。でも、映画はええ出来でおましたので、彼女の抗議にもボクチンはキチンと応えよりました。ほんでもってでんな、本作もそういうカンジなんでおますよ。ヌードが話題になっても、それを遙かに超える、映画的な見返りがあるとゆうことなんでおます。

マスコミ試写室では、中上健次の原作を知らはらへん方が、ゴダールの「軽蔑」(1963年・フランス映画)の日本版リメイクですかなんて聞いてはりましたけども、しかし、その勘違いは決して勘違いではござりまへんどした。つまり、本作には、ゴダール作品を意識したようなシーンが、いくつかあるからでおます。「軽蔑」もあるし、メイン・ポイントでは「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)かてありま。中上健次もおそらく「軽蔑」を意識してはったんやないかな。

ストーリー的なことをば申しますと、ヤクザの金に手をつけてしもた主人公の高良健吾クンが、トップレス・ダンサーの鈴木杏ちゃんと共に、東京から実家の和歌山・新宮へ逃げるっちゅう展開どして、ほんで2人は結婚までしはります。

基本ラインは確かに、恋愛映画でおます。でも、そこには中上健次節が入っておまして、「青春の殺人者」はモチ、「十八歳、海へ」(1979年)「十九歳の地図」(1979年)「赫い髪の女」(1979年)「火まつり」(1985年・中上健次のオリジナル脚本作)なんぞの、中上原作映画のタッチが、そこはかとなくカンジられよります。

ちなみに、立松和平(「遠雷」=1981年など)、丸山健二(「アフリカの光」=1975年など)ら作品性で共通する作家の、原作映画ともシンクロしよります。

でもって、廣木隆一監督的には、2分以上の印象深い長回し撮影シーンを中心に、「ヴァイブレータ」(2003年)に優るとも劣らへん映画作家性をば示さはって、原作に肉迫しはります。大森南朋の悪役ぶりやら、キモの長回しシーンで流れる憂歌団の、男の哀愁歌「胸が痛い」なんぞも印象的でおました。

2011年5月19日 (木)

アメリカン映画「ファースター 怒りの銃弾」

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簡単にゆうたらリベンジ・アクションもんなんやけど…

犯人・刑事・殺人請負人を描くトリプル・ムービーでおますけど、各人がフツーやない、ユニーク・キャラ設定にしはりました

http://www.faster-movie.jp/

メイ5月21日サタデーから、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズなんば・別館やら、T・ジョイ京都やらで上映どす。

本作を配給しやはるのんは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

本作のキャッチ・コピーには「10年間の恨み、5日で果たす。ターゲットは5人。」とござります。リベンジ映画として、まっしぐらなノリでおますんやけど、でも、映画そのものはヒネられておま。

10年間のムショ暮らしをしてきはった、ドウェイン・ジョンソンのアニキ(かつてプロレスラー名ザ・ロックとして、映画に出演してはった方でおます)が、出所したらすぐに人を銃殺しにいかはりまんねん。

刑務所長役のトム・ベレンジャーはんから、訓示を受けて出た直後やねん。走って、走って、ムショ入り前に頼んどったんでしょうな、探偵が用意したクルマと武器に乗って、いざリベンジの旅へと出陣でおます。

かつて彼が逃走車のドライバーとして、関わらはった銀行強盗がありました。それは回想シーンとして、時々出てまいります。その時に、一緒に犯罪に関わった兄貴と彼は、別のグループ4人に金を奪われて殺されよります。彼も殺されました。

そやけど、生き延びてはりまんねん、これが。頭を後頭部から打ち抜かれとんのに、なんでやねんなんやけど、まあ、ほとんどないやろけど、急所を逸れとったんどすわ。でも、生き延びても刑に服さはったんでおますわ。そやから、服役の10年間はなんもできしまへんかったんどすえー。

ドウェインのアニは、その4人を次々に血祭りに挙げんと、ロードムービーしはります。ほんでもって、その犯人を追いかける刑事はん、ビリー・ボブ・ソーントンのアニやんがいてはります。さらに、復讐されはる側の誰かが、ドウェインはんを殺してくれと、殺人請負人に依頼してはりましてな、そのイケメン殺人仕事人は、クールに仕事をマットウしようとしはりまんねん。

ここに、犯人・刑事・殺人依頼人とゆう、3つ巴の展開とゆうのんが構築されよります。でもって、この3人はんどすが、3人共にこれまでにあったような、フツーのステレオ・タイプやありまへん。3人3様を細かくは言いまへんけども、そのあたりもじっくり見て楽しんでもらえるようになっとります。

銃撃戦やらカー・アクションやらもええんやけど、ボクチン的には、ミステリーとしての面白さに惹かれよりました。アクションもののように見えながらでんな、どんでん返しは、何と2度にもわたってあるんどすえー。

さらに、映画的にゆうたらでんな、映像的に1960年代末から1970年代初めの雰囲気がありまんねん。「俺たちに明日はない」(1967年製作)「バニシング・ポイント」(1971年)やら、アメリカン・ニューシネマをワン・ポイントにしつつ、カー・アクション部の「ブリット」(1968年)やらを思い出させはるシーンが、ええカンジどした。

2011年5月18日 (水)

アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ゲット「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」

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リーマン・ショック、第2の世界恐慌、その責任・原因は一体どこにあるねん? に、映画的に迫らはった初の作品かもな

凄まじくもワケ分からへん、経済用語の連続シュートに、おいおい、コラなんやねんってカンジやな~

http://www.insidejob.jp/

MAY5月21日SATURDAYから全国ロードショーどす。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマやらで、全国順グリの上映でおます。

本作を配給しやはるのは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

骨太にして問答無用の、経済ドキュメンタリーでおます。リーマン・ショックやらでアメリカだけやなく、世界各国へと波及してもうた大不況の波。その責任の所在やら分析やらを、アメリカ金融界の歴史的な流れを俯瞰してゆきながら、関係者へのインタビューをメインに据えて展開しはります。

何と申しますか、コレがインタビューはのべつまくなし、でもって、マット・デイモンのアニキのナレーションもまた、のべつまくなし。凄まじい日本語字幕のオン・ザ・パレードでおます。

まあ、字が多くても意味が通れば、何とかなりよるんどすが、コレがまあ、ワケ分からへん経済用語が次々に出てきよる上に、それらの用語をベースにして、さらにワケ分からへん話へと進みよりましてな、ますます分からへん状況へと、勝手に進んでゆきよります。アラマ・ポテチン。

大学で経済学を学んだ方とかには、分かるんやろか。どないやろ。でも、経済ド素人のボクチンどすが、分からんなりにでも、話の筋とか根本とかテーマやらは、雰囲気的には分かるようにはなっとるかとは思います。

でも、この特化専門系の映画にこだわった、チャールズ・ファーガソン監督らは、経済用語やらを字幕で説明することを、避けたかったんやないかな。説明よりも描写を優先したかったんでおましょう。

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そういう観点から本作を見ていくと、なるほどなーっちゅうとこが多々ありました。

マイケル・ムーア監督の諸作みたいに、監督はんがインタビュアーとして映画に出はって、突撃精神を発揮しやはるわけやおまへんけども、インタビューされる人間たちを淡々と映し撮って、その性格も含め、ボクチンをオオッとさしてくれました。

ノーコメントやら、文句を言う人やらイロイロどす。取材拒否された場合には、字幕で随時伝えられよりま。娼婦代を会社の経費で落とす、ウォール街の金融マンの人格分析やらも、サブプライムならぬ、サプライズな金の流れの結論へと導かれておます。

第2の世界恐慌とゆわれるこの世界的大不況を、採り上げたドラマ映画には、「ウォール・ストリート」(今年1月16日付けで分析)なんぞがござりますけども、ドキュとしては初めてでドッキュリもんでおますで。

失業して家も追い出されて、テント生活する人やらも映さはるけど、哀れな一般の人たちももっと映して、金持ちの責任者やらと対比させるような方向性もあったら、もっとインパクトは大きかったとは思います。

でも、アカデミー賞にふさわしい、重みあるシビアな内容にはなっとります。

個人的には、冒頭で流れるピーター・ガブリエルの、タイトでキャッチーなナンバーが、この重たい映画の入りとしては、反比例するような軽快さがあって、妙に痛快なカンジがしよりました。

2011年5月17日 (火)

ドキュメンタリー映画「亡命」

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中国からの亡命者たちを描いたドキュメンタリーでおます

政治運動家以外に、ノーベル文学賞受賞者までホンマいっぱいいてはりますわー、もー

http://www.exile2010.asia/jp/

皐月5月21日の土曜日から、東京のシアター・イメージフォーラムで上映でおます。

その後、関西やったら、6月4日から大阪・第七藝術劇場やらで、全国順グリのロードショーどす。

本作をば配給しやはるのは、シグロはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 SIGLO

かつては旧ソ連に多かった越境者・亡命者が、ニッポンを抜いてGNP世界第2位になった中国が、今や世界でイチバン多いんやーなお話どすえー。

日本やったらそんなん、犯罪者くらいでおましょう。どおゆうわけで中国では、国を捨ててしまわなあかん人が多いんでおましょうや。世界史の中国現代史をようベンキョーしてはった方には、そんなん当たり前やんかでしょうか。

1960年代から1970年代までの「文化大革命」(略して「文革」)やなんて、どんな文化の革命かいやと思たら結局、文化やなくて、階級闘争やら過酷労働体験やらの、文化とはなんの関係もない、低レベルの人間の争いやら奴隷化やん。いや、それをでんな、毛沢東はんがやらはったんどすわ。

実は、毛沢東はんは、ボクチンと生まれた日(12月26日)がおんなじでおましてな、昔からこら、ええわと思とったんやけど、ウーン…でおます。話は横道に大きく逸れよりますが、ボクチンと同じ日に生まれた有名人はケッコーおりましてな、菊池寛、ヘンリー・ミラー、原田美枝子やらがおりま。

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さてはて、話をば元に戻しましょう。祖国への思いがあるんやけど、国を捨てなあかんようになったさまざまな人々への、インタビューをメインに据えはって、本作は進行してまいります。

まあ、本作を見る前には、DVD化されとる「天安門」(1995年製作・アメリカ映画)を見はったら、よりドッキリの鑑賞ができよるかと思います。毛沢東の死で終わった文化大革命、その後の言いたいことを壁に書く1970年代末の「民主の壁」、ほんでもって、1989年の天安門虐殺事件へ。

表現の自由・社会運動の自由やらは実はありまへんのどす。中国は本質的には、自由社会やありまへん。世界各国へ亡命せんならんかった人たちへのインタビューが、群像劇的に展開する中で、各人の言葉にはイミシンなとこが多々ござります。政治運動家だけやなく、ノーベル文学賞を受賞しはった作家をはじめ、詩人、現代アートやら文化系の人たちも多数いてはります。

中でも、主人公的位置にいてはるのが、作家Zheng Yiはんどす。彼と妻と娘との食卓シーンなど、家族映画的なイントロで始まるんどすけど、この方のコトバが本作のキモにもなっとるかと思います。共に映画化された、彼の小説「楓」やら「古井戸」。「楓」は映画シーンも挿入されとります。

文革時代に2派に分かれて戦う内乱を描いた「楓」。ほんの一部のシーンなんやけど、時代の空気がビビッドに伝わってきよります。人間ドキュのケッサクに、新たな1本が加わりましたどすえー。

2011年5月16日 (月)

日本映画「さくら、さくら -サムライ化学者 高峰譲吉の生涯-」

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「坂の上の雲」「福沢諭吉」やらの、明治・大正の偉人伝映画の1本どす

些細なことかもしれんけど、中でもボクチンが最も感動したんは、セリフの聞こえにくい邦画が多い昨今やけど、コレは腹わたにまでこたえる声どしたえー

http://sakurasakura.jp/

皐月5月21日の土曜日から、大阪・なんばパークスシネマやら、MOVIX京都やらで上映でおます。その後も、全国各地へフィルムは回る予定でおます。

本作をば配給しやはるのは、アステアはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010「さくら、さくら」製作委員会

しょーもないことかもしれまへんけど、最近の日本映画の中には、何をゆうてんのかよう分からへんシーンが多うござります。アフター・レコーディング(あがってきた映像を見もってセリフを録音する手法)は最近は減っておます。

とゆうのは当然、録音技術の向上がありましてな、ほたら、演技しもっての俳優陣のセリフは、よーく聞こえないかんのやけどね。でも、本作は違いました。

腸わたやら岩に染み入るくらい、よおーくよーく聞こえよりましたがな。驚きました。そんなとこに驚いてどないやねんの声も聞こえてきそうでおますけども、ボクチン的には、セリフの通ってる映画としては、「極道の妻たち」シリーズ(1986年~1998年製作・全10作)がイチバンやったどす。

本作はそれと優るとも劣らへん声の大きさでおました。特に、ボクチンは主人公の高峰譲吉役の加藤雅也のアニキの声の大きさはモチ、そのオトコっぽさにホレました。

個人的には1990年代に、今は有名になってしもた阿部寛アニキと、この雅也アニをライバルやと勝手に目しておました。イケメンやとゆう以外に、演技性も実は似てはったんどす。

でも、阿部のアニキは「トリック」やらで演技の幅を広げはって、今や引く手あまた。でも、雅也アニはコメディやらには似おてはりまへん。アクション映画にも出てはったけど、雅也アニの演技の持ち味は、直情径行にしてストレートやねん。でもって、本作でもウラのない直球勝負の演技、しかも剛速球やー。人間ドラマとして、これほどすがすがしい演技は、そうそうござりまへん。

さらに、妻役のナオミ・グレースのネーさん、2役で現代からの語りもやらはる、国分佐智子ネーさんやらも好感度の高い演技を披露してはりま。久々の萩尾みどりネーと、夏木陽介はんの主人公の両親役、松方弘樹はんは、いつも通りの安心できる演技ぶり。

明治・大正、まあ、昭和も入れてもええんやけど、実在の人物の偉人伝では、「福沢諭吉」(1991年)の出来に迫る仕上がりやったと思います。家族映画、夫婦映画、兄妹映画やらとしてのキズナ映画部も良好の仕上がりどす。映画に毒を求めてはる人には、少々もの足りへんとこもあるやも分かりまへんが、こういう良質印もたまにはよろしおましょう。

シンガーでもある、ナオミ・グレースネーのシブい「ワンダフル・ワールド」のカヴァーに加え、ビックリは、かつてボクチンがインタビューしたことがあるKATUMIの新曲「SAKURA SAKURA」が、ラストロールで流れたことどした。とっくの昔に消えたと思とったこの方の、キレのあるジャパンAORにシビレましたで。とにもかくにも、イロイロと驚かしてくれはる映画でおました。

2011年5月15日 (日)

ブルース・ウィリス初の先生役映画「処刑教室」

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学園ミステリーのアメリカ流が、面白いカタチで表現された1本どす

「暴力教室」と「アメリカン・グラフィテイ」と「ポーキーズ」やらがゴッタ煮になっとるような、奇妙な感覚の映画でおます

http://www.finefilms.co.jp/syokei/

MAY5月21日SATURDAYから、大阪・シネマート心斎橋で上映後、全国順グリの公開でおます。

本作を配給しやはるのんは、ファインフィルムズはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2008 Sophomore Distribution, LLC. All Rights Reserved.

ブルース・ウィリスはんが、アメリカのインディペンデント系の映画にも関わらず、本作に出てはります。ギャランティーよりも作品性を、重視しやはった結果でおましょうか。

しかも、キャリア初の先生役でおます。高校の校長先生役なんどすが、湾岸戦争やらに兵士として出兵しはり、それなりに武勲を挙げはったらしい人らしいんやわ。それを生徒たちを前に披露しはります。

でもでんな、先生役として、みんなをカッコよく説諭したりするようなシーンやらはござりまへん。この先生役は、まさにウィリスはん限定で用意された役なんでおましょう。

生徒たち、特に主人公とのやり取りシーンでは、骨太コメディ・リリーフとでも申しましょうか、そんなカンジなんどす。ちなみに、コメディ・リリーフとは、シリアスなドラマの流れの中で、ちょっと笑かしてくれはるようなシーンを、挿入してはるような手法でおます。

最近のウィリスはんてゆうたら、これまでの自身のキャリアにないような役を、よった(選んだ)ように意識的に演じてはりましてな、コメディなんぞには特に出たいみたいなんでおますよ。

そやけど本作どすが、決してコメディ映画ではござりまへん。ウィリスはんが校長役なんで当然、学園ものでおます。

ほなら、アメリカの高校生の青春映画かと申せば、チョイ横道に逸れておます。ほたら、シリアスに暴力やらいじめやらをテーマにしとんのかと申せば、それもまた、しっくりとはきよりまへん。

ボクチン的に個人的なことを申しますれば、コレはこれまでの学園ドラマのタイプを、ビミョーに逸脱したような仕上がりになっとるんやないかなと思います。

見出しにも書きよりました一部作品との関連について言いよりますと、シリアスな「暴力教室」(1955年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)やら「理由なき反抗」(1955年)、直球の青春映画「アメリカン・グラフィティ」(1973年)、下ネタ青春コメディの「ポーキーズ」(1981年)やらのスパイスは、濃い味・薄味を別にして入ってはいるんやけど、ヤッパ、チョイ違いよりまんねん。

基本は学園ミステリーなんやけど、そのメイン部に裏返し的なスパイスとして、ラブ・ストーリーの要素を入れるとゆう、荒ワザをば披露しはります。しかも、ラブはラブでも、ミーシャ・バートンちゃん扮しはる悪女とのラブでおます。

高校生役主人公のリース・トンプソン君が、フツーとは違う、何やらワケ分からへんヘ理屈・コ理屈ナレーションを入れて調査しはります。試験の答案を誰が盗んだんかとゆう、そない大したことない問題なんやけど、コレをば大マジにイロイロ調査しはりまんねん。

その間に、ミーシャちゃんとの妖しいラブがあったりしよります。「大統領の陰謀」(1976年)のウッドワード&バーンスタイン記者の話も引用されとりますように、高校の新聞部の記者が、事件解明をするミステリー映画とゆうスタイルは、ある意味では本格的やも分かりまへん。どんでん返しもチャンと用意されとるしな。

でも、どこかフツーやないんどす。そのあたりをぜひカンジてみておくんなはれ。

2011年5月14日 (土)

マット・デイモン主演SF映画「アジャストメント」

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管理社会的SF世界へ、運命論的視点から迫らはった画期的な1本どす

簡単に言いよりますと、愛を引き裂く者と対決して愛を貫く、王道ラブ・ストーリーのスタイルやー

http://www.adjustment-movie.jp/

メイ5月27日フライデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんばやら、京都・TOHOシネマズ二条、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

本作を配給しやはるのは、東宝東和はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

このSF映画の原作者は、SF作家のフィリップ・K・ディックはんどす。実はその作風には、一つのコンセプトみたいなんがござります。

災難に遭わはる主人公をベースに、SF的ユニーク設定で、主人公が悪、もしくは敵と対決する構図を繰り広げはります。いわゆる、シチュエーションSFとでも申しましょうか。

アンドロイドと対決する「ブレードランナー」(1982年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)、主人公の記憶が改ざんされた設定の「トータル・リコール」(1990年)、トム・クルーズがエライ目に遭う「マイノリティ・リポート」(2002年)やら。ほんでもって、本作でエライ目に遭わはんのは、「ボーン」シリーズ(2002年・2004年・2007年)やらに続いて、マット・デイモンのアニキでおます。

管理社会とゆうか、定められた運命にある人々それぞれを、その運命通りに人生を生きてゆくように管理し、監視しやはるんです。もし運命がズレたりしよったら、運命調整員なる者らが出てきはって、運命を正しい(!?)方向へ是正しはるやなんて、そんなアホな! コレって結局のとこ、管理されてんのと一緒どすわな。

こういう管理社会を描いたSF小説と申せば、村上春樹の「1Q84」にデッカい影響を与えはった、ジョージ・オーウェルの「1984」(1948年に発表されとりまして、48年を入れ替えて84年の未来を想定して書かはったもんでおます)が、最初の作品でおましょう。ディックはんも多大な影響をば受けてはりまして、本作の原作小説のヒントにしはったとこもござります。

さてはて本作、冒頭は意外にも政治映画的なタッチから始まりよります。デイモンのアニキは、政治家を目指してはるんどすわ。でもって、ヒロインのエミリー・ブラントちゃんと会わはりまして、ええな~って思わはりま。でも、この2人が会って恋に落ち結ばれるなんてのは、「運命の書」には書いておりまへんので、調整員たちはこの2人の仲を裂こうとしはります。

よう考えたら、コレッて凄く個人的なことやし、いわゆる大げさな管理社会下の、抑圧なんて問題とは違うように思いよります。でも、変形ラブ・ストーリーやとしても、王道のラブ・ストーリー的な話を、SF系で描いてみたら一体どないなるんか。そんなとこにチャレンジしはったような風にもカンジました。

主人公は、このワケの分からへん障害を乗り越えて、果たしてヒロインと結ばれるんか。ストレートすぎるかもしれへんけども、恋愛映画的正攻法な描写が、さわやかな仕上がりにしてはります。

2011年5月13日 (金)

アニメ映画「手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-」

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伝統ある東映アニメと虫プロの、底力を示した良質印の会心作でおます

プロの声優たちに交じり吉永小百合ネーさん、堺雅人と吉岡秀隆の各アニキらが、ええ声を出してはりま

http://www.buddha-movie.jp/

皐月5月28日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーやー。

本作の配給は、東映はんとワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「手塚治虫のブッダ」製作委員会

ジャパニメーションてゆうたら、現在はスタジオジブリが新作を出すたびに、話題になり大ヒットしとります。また、コミック原作→テレビアニメ経由のアニメ映画なんかも、大きな勢力をば持っております。

そんな中でおますけども、日本アニメ界のルーツともいえる伝統ある東映アニメーション、さらに手塚治虫御大が始めはった虫プロダクションを、みなはん、忘れてはりまへんやろな~。

でもって、少女ヒロインものが多いジブリに対しまして、東映アニメ&虫プロは、「リボンの騎士」とかもあるけど、基本はヒーロー・主人公・少年・男ロボットやらの男もんでおます。

故・手塚治虫御大は作品作りの1つのテーマとして、主人公の精神的な成長物語“ビルドゥングス・ロマン”を志向してはりました。

ロボ・ヒーローものの「鉄腕アトム」は別にして、「ジャングル大帝レオ」しかり、本作しかりどす。

さらに、本作は自身の傑作「火の鳥」的な、大河ドラマ性も志向しはりました。本作は2500年前の紀元前のインドの話なんやけど、その2500年前から10年後、5年後とゆう風に、話を展開してゆかはります。

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そして、2人の少年の成長物語を、対比させてゆくとゆう作りになっとります。1つはいわゆる、元王子やった仏教の開祖・釈迦(シャカ)の物語どす。

もう1つは、当時の4層に分かれた、階級制度カースト制の最下層にいた、奴隷のサクセス・ストーリーと挫折を描かはるんどす。上流階級と下層階級の対比。格差社会といわれる現代にも、通じる話やもしれまへんが、その生き方の違いの対比は、映画としてのドラマティックなパワーを増してはります。

シャカをマジカルに描いた大作「釈迦」(1961年製作)やら、シャカの成長過程描写では、名作「ビルマの竪琴」(1956年)やらにも通じるとは思うけど、この対比こそが本作のオリジナリティーでおます。

さて、声優陣に目を向けてみよりますと、声優のプロたちが脇に回って、吉永小百合ネーさんやら、堺雅人アニキ、吉岡秀隆アニキを盛り立ててはる様子が見えよります。

中でも、歌手としてもヒットを飛ばしてるけど、本職は声優の水樹奈々チャンが、シャカが恋する、かわいそうな奴隷の女の声を、ホンマにかわいそうに演じてはりますんで、注目しておくんなはれ。

でもって、アニメとしての色使いはどないか。薄めのグリーンやら、目に優しい色使いのシャカ側の国描写、対して敵国は、赤やオレンジやらの濃いめの色を配色してはります。シャカが生まれる時のセピア配色、ラストの方のシャカが見る、薄色の極彩色イメージ・シーンなどが、ええカンジやと思います。

2011年5月12日 (木)

ドキュメンタリー日本映画「アトムの足音が聞こえる」

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映画やアニメの音響・効果音のスペシャリストを描いた、人間ドキュメンタリーのケッサクどす

「鉄腕アトム」の足音はじめ、ホンモノを超える音、ヘンな音、人格を音にしたり、効果音メイキングの粋が見えてきよりま

http://www.atom-ashioto.jp/

皐月5月21日土曜日から、東京・ユーロスペースやらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

関西やったら今夏より、大阪・第七藝術劇場、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらで上映どす。

本作を配給しやはるのは、東風はんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒシネグーリオ 2010 

映画やアニメの音響・効果音なんて、みなはん、注目してはるでおましょうか。

いわゆる縁の下のチカラ持ちみたいなカンジで、華々しいイメージとは遠いとこにあるやも分かりまへんけども、この効果音作りに魅せられはって、この世にない音を次々に作り出そうとしはった人がいてはりました。

現在も現役の音響デザイナー・大野松雄はん(1930年生まれ)でおます。こういう地味なんやけど、何かシブ~い職人芸とその職人はんを描く人間ドキュとゆうのんは、ボクチンは個人的には好きでおます。

文化映画としての側面もあるんやけど、本作はその人間性へと徐々にクローズアップしてゆかはる作りに妙味がござりました。そやから、現在の本人へのインタビューは、お楽しみで最後の方まで置いとかはるんですわ。

大野はんの音響デザイナー・デビュー作は、1963年からオンエアされた、モノクロのテレビ・アニメ「鉄腕アトム」でおます。今では産業ロボやらはいますけど、ロボットの足音とゆうのんは、当時この世にないもんどした。

もちろん、それまでにハリウッド映画がSF映画やらで、多彩な効果音を作ってきてはりました。例えば、楽器“テルミン”を使った円盤やらの飛ぶ音とか…。

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この大野はんの手法は、そういう楽器やらの既製のものを使わずに、やろうとしはりまんねん。いわゆる、トンデモナイ音を作る、あるいは発明するとゆう発想法でおます。

でもって、そのメイキングやらを含めよりまして、大野はんが関わらはった作品が紹介されてゆきよります。

前衛作家に評判が良かったとゆう「血液 止血のしくみ」(1962年製作)、手塚治虫と意気投合したエピソード、「サザエさん」やら、1971年から1972年までのテレビ・アニメ「ルパン三世」やら。

さらに、ドキュメンタリー映画の効果音でも特異な才能を発揮しはりました。「夜明け前の子どもたち」(1968年)やら、「光の中に子供たちがいる」(1974年~1977年・3部作)やらでおます。

特に、この世ならざる音をクリエイトしはった「惑星大戦争」(1977年)は、彼の代表ケッサクとなりよりました。キモチ悪い得体のしれない音ながらも、何やらトリップするようなカンジどす。映画はDVD化されておますんで、ぜひチェックしてみておくんなはれ。

1960年代から1970年代は、そないな具合どしたが、その後イロイロあって借金まみれになり、借金取りに追われて夜逃げしはったそうでおます。でも、関西へ亡命(!?)したその後の様子も、キチンと捉えられておるんどす。

滋賀県湖南市で生きていた現在の本人の姿を映す後半も、ある種意外性がありよりましてな、興味深い作りになっとりま。また、「あなた」に呼びかけるスタイルでいく、音楽ユニット「ピチカート・ファイヴ」の野宮真貴ネーさんの、穏やかなナレーションぶりにも魅せられまっせ。

2011年5月11日 (水)

リチャード・ギア主演「ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男」

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1970年代もの映画へ、限りなきリスペクトを捧げはった、ラッセ・ハルストレム監督作品でおます

「大統領の陰謀」の裏街道バージョンを、リチャード・ギアのアニキが突っ走らはりま

http://www.finefilms.co.jp/hoax/

東京では、すでに4月30日からシアターN渋谷で上映してはります。

関西はMAY5月14日SATURDAYから、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー街道でおます。

本作のアメリカ映画を配給しやはるのんは、ファインフィルムズはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2006 Hoax Distribution, LLC. All Rights Reserved.

1971年に実際にあった話を、ベースにしはった作品でおます。実話もの映画とゆうのんは、これまでにモノゴッツーな数の作品が、ドトウのごとく作られてきておますし、今も現在進行形で作られ続けとります。

そんな中でも本作は、いくつかのオリジナル・ポインツを活かしながら、オモロイ作品にデッチ上げ(タイトルにあるザ・ホークスとはデッチ上げの意味どす)てきはりましたで。

サブ・ポイントとしてどすがまず、レオナルド・ディカプリオのアニキが演じはった「アビエイター」(2004年製作・アメリカ映画)の、実在の人物ハワード・ヒューズはんの、1970年代(当人は1976年に逝去)を描いてはります。

一方で、ヒューズはんが当時の大統領ニクソンはんに、かつてワイロを送った事実が、もっともらしく出てきよります。でもって、ウォーターゲート事件を追った「大統領の陰謀」(1976年・アメリカ)やらへも、本作は通じよります。けども、「大統領の陰謀」のストレートで正義感に満ちた2人の記者とは違い、本作の2人は私利私欲にまみれた、ムチャクチャなライターたちでおます。

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当時公には全く出ず隠れて暮らしてはる、大富豪でチョー有名人ハワード・ヒューズの波乱万丈な人生を、ヒューズの公認のもとと偽って、リチャード・ギアのアニキが、相棒のアルフレッド・モリナはんのサポートを得て、ノンフィクションとして出版しようとしはるんどす。

そら、ヒューズの話やったら、バカ売れ間違いなしとのことで、大金ギャランティーで出版契約を結ばはりまんねん。でも、たまげよりました。まあ、出版サギなんでおますけども、ギアのアニキがヒューズの筆跡をマネて書いた文章が、本人の筆跡やと出版社側が認めただけで、出版社の責任者たちはコレを信用しやはるんどす。

そやけど、ヒューズはんをつかまえて確認しはったら、それで済むハズやのに、ヒューズと会うのはチョー難しいと考えはったんでおましょう。すんなりと、だまされる方向へと向かわはりまんねん、コレがね。

まあ、コレはあくまで実話なんで、あったままをそのまんまっちゅうことでしょうけども、結局バレるのんも簡単なことなんで、そこにハラハラドキドキ感はそれほどござりまへん。

そんなアホなことをやったヤツがいたという、1970年代のエピソードを、本作のラッセ・ハルストレム監督が1本の映画にしたかった理由とは、おそらく、自身大きな影響も受けはった、1970年代アメリカン映画へのリスペクトなんやないかなと、ボクチンは思いました。ピカピカツヤツヤやない、薄色、かすれたような色彩感やらの、1970年代的スクリーン画質にもまた、魅惑されよりました。

2011年5月10日 (火)

アメリカ映画「ジュリエットからの手紙」

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「ローマの休日」と同じく、イタリア・ロケーションによるアメリカ映画の、ロマンチック性をば追究しはった快作でおます

現代へと通じる「ロミオ&ジュリエット」伝説を、紡ぐような映画性が心地よろしおますねん

http://www.juliet-movie.jp/

メイ5月14日サタデーから、東京・Bunkamuraル・シネマ、大阪のシネ・リーブル梅田やら、なんばパークスシネマやらで全国順グリのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、ショウゲートはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Summit Entertainment,All Rights Reserved

タイトルにありますジュリエットとは、かの有名な戯曲「ロミオ&ジュリエット」のジュリエット嬢のことでおます。

つまりは、フィクションの中のヒロインなんやけど、どういうわけか実際にいてはるように、1人歩きしよりまして、「ジュリエット・クラブ」なんてもんが存在しとるんどすわ。

そのジュリエット宛てに、恋の悩みを綴ったレターが世界各地から郵送されよるんやて。でもって、それらに対して、ジュリエットの秘書やとゆうオンナの人たちが、1通1通に返事を書かはるんやて。えらい大げさなことになっとります。

ちなみに、原作者のイギリスのシェークスピアはんは、「ロミオ&ジュリエット」の舞台イタリアへは、1度も行ったことがないとゆうてはったそうでおます。

それやのに、そんなフィクションがいつの間にか実話となり、こういう映画へと昇華するやなんて、シェークスピアはんも考えてはらへんかったことでおましょう。

でもって、本作はアメリカ映画でおまして、イタリア・ロケをば敢行しはりました。イタリア舞台のアメリカ映画と申せば、まず頭に浮かぶんは「ローマの休日」(1953年製作・アメリカ映画)でおましょうか。

で、本作は2つの世代の、ラブ・ストーリーが展開するんでおますよ。さらに、作りがニューヨーク・ラブコメとか、ロマンチック・ラブ・ストーリー並みに、メッチャ明るい作りになっとりま。

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そんな元気がもらえる明るさの、要因とはなんぞやねんについて見ていきまひょか。まずは演技陣どす。

ヒロインのアマンダ・セイフライドちゃん。1985年生まれの新世代の若手女優はんでおます。

アマンダちゃんの主演作品は、このあと「クロエ」「赤ずきん」と分析しよりますが、陰湿な役をやっても、やはりどこか明るいわ。ラブコメほどのお気楽さはないんやけど、見ているとついついこっちも、なんやしらん明るくなってまいります。

でもって、ヴァネッサ・レッドグレイヴはん。ボクチンなんかは、アカデミー賞助演女優賞をゲットしはった「ジュリア」(1977年・アメリカ)やら、カゲリある妙演にえらいハマりましたけども、本作ではそういうとこはほとんどござりまへん。

かつて愛した人を探すロードムービー部などでは、かつて見せはったことがないような、まっすぐな愛の輝き演技みたいなんをカンジさせてくれはりました。

1957年のイタリアン・ラブ・ストーリーの追憶とゆう点では、「旅情」(1955年・アメリカ)なんかも思い出させてくれはります。現夫のフランコ・ネロはんのキャスティングも、サプライズ感あり! どすしね。

冒頭のニューヨーク・ロケを含めよりまして、雨の日なしのイタリアの、自然光による撮影シーンも明るい、明るい。ハートマーク型の街ヴェローナの自然描写も、美しくドラマに溶け込んでおます。

そして、1970年代のアメリカン女性シンガーソング・ライター系の、さわやかな歌を歌うテイラー・スウィフトちゃんをはじめとした、サントラの明るさにも注目しておくんなはれ。

2011年5月 9日 (月)

ネコと人のキズナ日本映画「キミとボク」

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中村蒼アニキのキミと、アメリカン・ショートヘアのボクの交流映画どす

45分とゆう中編映画なんやけど、猫映画の新しどころもカンジられよりま

http://www.kimiboku-movie.com/

皐月5月14日の土曜日から、東京・テアトル新宿やら、シネ・リーブル池袋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのは、アーク・フィルムズはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011「キミとボク」製作委員会

動物と人の交流やらキズナを描く映画っちゅうのんは、これまで、そらモノゴッツーなタイトル数が出てきております。しかも、こういう作品はディズニーやらスタジオジブリやらを持ち出すまでもなく、ファミリーみんなで見に行ってカンドーできる良質の作品が多く、ほんでもって、大ヒットしよりまんねん。

そこで、本作はどないなんやろか。ヒットしそうなとこはあるんやろか。そのあたりから見ていきよりますと…。本作はネコと人どす。ネコとゆうのんは、はっきりゆうて気紛れな生き物なんで、いかにペットといえどもでんな、イヌほどにはゆうこときかへん動物なもんどすさかい、演出すんのが、そら大変なんやないかなーと思いよります。

でも、本作は何とか持ちこたえはりました。なるへそ、そら、45分とゆう中編映画でおますから、何とかなったんやろな~と思たら、そら大きな間違いでおますよ。

確かに、本作と同じ猫種のアメリカン・ショートヘアと、小泉今日子キョンキョンの交流を描かはった「グーグーだって猫である」(2008年製作)もありましたけども、ネコには基本的に演出は効きよりまへん。ネコの動きをいくつも撮影して、演技っぽく見えるところをば、編集してゆくとゆう作りになるんやろなと思います。

でも、本作が新しいと思たんは、ネコのキモチにナレーションを施してんねんけど、坂本真綾チャンがその声を担当してはります。いやおうことなしにネコの飼い主になってまう、中村蒼(アオイ)アニキとの、ココロの交流が紡がれてまいるのどすが、ネコ視点による(ネコがボクで中村蒼アニがキミ)ナレーションとゆうスタイルをば取ってはります。まあ、新しおます。

さらに、本編45分とゆう短い中で、長年にわたるネコと人のキズナをば描いてゆかはるんどす。それもですな、「ハチ公物語」(1987年)みたいにベタやおまへんで。ああ、死んでもうたやん! なんて泣き濡れるようなとこもなく、あっさりサッパリとしておます。泣きをムリヤリ観客から引き出すような、演出ではないっちゅうことどす。

ネコと人の関係性は、あくまで自然体どした。ネコと人の「ハリーとトント」(1974年・アメリカ映画)のような自然体とでも申しましょうか。

WEBアニメーションが原作らしいんで、アニメ原作の実写映画となるんやろうけども、ディズニーの動物アニメやらにはない、日常性も含めよりまして、本作はペット好きな人のどこにでもあるようなお話どす。そやから、大衆の感情移入度は、メッチャ高いやろと思いますで。

とゆうわけで、単館系の映画なんやけど、大ヒットしてもなんらおかしくないような作りになっとります。

2011年5月 8日 (日)

学園ミステリー日本映画「少女たちの羅針盤」

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見終わった時やけど、「櫻の園」と「Wの悲劇」のミキシングかいなーと思いよりました

ミステリー映画と青春映画が、映画リトマス試験紙によれば、分離してるようなとこもないとも言えまへんけども、しかし魅せてくれはりま

コレもアルカリかな(!?)よりも、ボクチンは酸性(賛成)派でおます

http://www.rashinban-movie.com/

皐月5月14日土曜日から、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やら、関西やったら、大阪・梅田ブルク7、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらでロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ映画「少女たちの羅針盤」製作委員会

長崎俊一監督の新作でおます。個人的に長崎監督作品でイチバン好きなんは、「ロックよ、静かに流れよ」(1988年製作・東宝配給作品)どす。

ジャニー喜多川はんが製作で関わってはりましてな、当時ジャニーズ所属の男闘呼組が主演しはった高校青春映画でおます。ジャニーズ所属タレント主演映画でも、ベストワンになってもおかしゅうない仕上がりの映画でおました。

でもって、本作なんやけど、その男4人組に対して女4人組の高校ものでおます。「ロックよ、…」はロック・バンドの青春話どしたが、コチラは演劇なんどすわ。しかも、4人のうちの1人が死んでまうとゆうところも似ております。

でも、コチラはその死が、ミステリー映画としてのポイントとなりよります。但しでんな、青春学園ものとしてのストーリー部と、ミステリー部が、何やら分離してるような妙なカンジがござります。

それはおそらく、「スウィングガールズ」(2004年)やら「がんばっていきまっしょい」(1998年)やらとリンクしていくような、4人の熱気ある演劇活動の描写シーンの連続が、ミステリー部とかみ合ってへんように映るからでおましょうか。しかし、そのかみ合わなさは、意図的にやってはるようにもボクチンは思いよりました。

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それはどういうことかと申し述べますると、学園ミステリー映画とゆうのんは、これまでにかなりありました。

一方で、学園青春映画、特に何かに熱中する団体もの青春映画もまた、それなりに出てきておます。この2つをミキシングした場合、一体どないなるんか。

まっすぐな青春夢路線と、一体犯人は誰やねんとゆうミステリー路線なんて、その方向性は、どちらかと申せば、水と油やとは思います。

本作には原作小説はあるんやけど、長崎監督的には、きっと「ロック、…」のようなテイストを感じて、映画化しようと思わはったんやないかな。青春部とミステリー部が分離しているように見えても、間違いなく2ジャンルの映画性で、2倍おいしい映画みたいなんを狙ってはったんやないかな。

実は、よう見ましたら、演劇に懸ける青春映画としても、犯人探しのミステリー映画としても、よくできた仕上がりになっとりまんねん、コレがね。

彼女たちが演じる、映画内で披露される演劇は面白いし、ミステリー部では伏線もチャンと入れてはって、意外な犯人も出てきよりま。成海璃子チャンの攻撃的な演技やらも映画的リズムを作っとるし、イントロからのミステリー・タッチから、過去のカットバックへの移行も、ミステリアス・ムードにあふれておます。

部分、部分は素晴らしい出来やのに、総体として見てみると、ウン? なんてところもあるやもしれまへんけど、とにかくオモロイことはオモロイんどすえ~。「櫻の園」(1990年)と「Wの悲劇」(1984年)のミキシング映画を見た思いやけど、ある意味で不思議・快感な作りの映画でおました。

2011年5月 7日 (土)

妻夫木聡&松山ケンイチ共演「マイ・バック・ページ」

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新聞社と新聞記者の熱き取材魂を、捉えた昭和映画でおます

記者役・妻夫木アニキと、取材され側の松ケンアニキの演技バーサスが、強烈な大ケッサクどすえ~

http://www.mbp-movie.com/

皐月5月28日の土曜日から、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映どす。

本作をば配給しやはるのは、アスミック・エースはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011『マイ・バック・ページ』製作委員会

今年の日本映画のナンバーワン狙いで、山下敦弘監督が創ってきはった作品でおます。

新聞社と新聞記者魂をストレートに描いてはりまして、新聞社&記者もの映画でも、邦画的には歴代ベストスリーに入るようなケッサクになったと、ボクチンはジャッジいたしました。

●新聞社&記者映画ベストスリー→①本作②クライマーズ・ハイ(2008年製作)③誘拐報道(1982年)③社葬(1989年)ってなカンジどす。

しかも、昭和映画としても、出色の仕上がりになっとるんでおますよ。

●昭和映画ベストスリー→①フラガール(2007年)②本作③ALWAYS 三丁目の夕日(2005年)どすか。

でもって、連合赤軍系の実話映画としても、●連合赤軍系ベストスリー→①本作②実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(2008年)③光の雨(2001年)っちゅうカンジ。

ことほどさように、本作は日本映画の歴史に残る大ケッサクにすべく、稠密に創られてきておるんどすえ~。

アメリカン・ニューシネマを中心に、映画的な引用が、作品性へとつながっていくような作りも、ゴリゴリの映画ファンやらのココロを刺激しよります。「真夜中のカーボーイ」(1969年・アメリカ映画)やら、「ファイブ・イージー・ピーセス」(1970年・アメリカ)やら。前者はダスティン・ホフマンが、後者はジャック・ニコルソンが男泣き演技をしてはりました。そして、この男泣きの哀愁が、本作のデッカイキモになっとります。

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記者役の妻夫木聡のアニキと、革命を目指す運動家役の松山ケンイチアニの演技バーサスも、大きな見どころでおます。

この2人のシーンでは、印象的な長回し撮影が効果的に使われておりま。妻夫木クンとケンイチ君が向かい合い、ケンイチがCCRの名曲「雨(=ナパーム弾)を見たかい」を、ギターの弾き語りで聴かせる長回しが、本編では最も長い長回しなんやけど、コレが2人の関係性描写において、あとあと効いてきよります。

その後も、2人の1~3分の長回しは多投されておます。記者の先輩・後輩(妻夫木クン)同士の飲み屋での話し合いやら、松ケンのセックス・シーンやら、2人が揃ってへんシーンでも、エエカンジの長回しもござります。

映画館でオールナイトを見て、新聞社に帰って寝るとゆう妻夫木クンの日常描写やら、細部の描写の緻密なとこも披露されとります。でもって、妻夫木ソロ・サイドと松ケンソロ・サイドの巧妙な織り込み描写が、クライマックスへ向けて、ドラマ・テンションを徐々に上げてまいります。

ラストシーンになる、妻夫木クンの2分くらいのアップの長回しシーンは、感動的どす。ボクチンもそうやったんやけど、きっとみなはんも泣かはることでおましょう。

2011年5月 6日 (金)

大阪映画「プリンセス トヨトミ」

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歴代大阪もの映画でも、チョー異色の作品となりよりました

万城目学原作ものでは、京都の「鴨川ホルモー」と同じくらいケッタイな怪作品でおます

http://www.princess-toyotomi.com/

皐月5月の28日土曜日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、東宝はんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 フジテレビジョン 関西テレビ放送 東宝

いきなりなんやけど、本作をば見終えた時点における、ボクチンの大阪映画のベスト&カルトのベストスリーをば、勝手に発表いたします。

●ベスト→①大阪物語(1999年製作)②夫婦善哉(1955年)③ブラック・レイン(1989年・アメリカ映画)

●カルト→①「エロ事師たち」より人類学入門(1966年)②本作③大阪物語(1957年)

てなわけでおまして、本作はメッチャケッタイ極まりない作品となっておりま。いや、そのケッタイ度をなんと申しますれば、ええんでおましょうか。とにかく、ディープ・インパクトやー。

万城目学アニキの小説が原作なんやけど、京都映画のイメージを180度変えはった「鴨川ホルモー」(2008年)に続きよりまして、今度は大阪でおます。これまでの大阪映画の感触とは、かなり異なっておます。

まずは、その異能感をストーリー的に見ていきまひょか。大阪の財政の成否を探るべく、東京の会計検査院調査官の3人が大阪にやってまいります。この3人には、堤真一アニキ、岡田将生クン、綾瀬はるかチャンが扮してはります。

ヘンな話やのに、いつもの大マジ演技でゆかはる堤アニキ、岡田クンも堤アニキに合わせた、演技をば披露しはります。でも、はるかチャンは、大阪に来て食い道楽なキャラを続けはりま。タコ焼き、お好み焼き、串カツやら、ほとんど食べ続けてはります。大阪城公園でタコ焼き屋やってはる玉木宏アニキとの、「雨鱒の川」(2004年)以来の再会ぶりもオモロい設定やったと思います。

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でもって、3人がイロイロ調べていかはるんどすが、「ボックス!」(2010年)でもロケされた空堀通商店街が、本作の大いなるポイントをば握ってはります。そこで、お好み焼き屋を営んではる、中井貴一アニキ一家に鍵がござります。

ちなみに、冒頭から大坂(大阪は昔は大坂と表記されておました)夏の陣の戦いが描かれる、いわゆる時代劇どす。で、現代にスライドしてまいるのどすが、豊臣秀吉の末裔は今、どないなっとんのんとゆうのんが、本作のでっかいキモをば握っておます。

何てゆうか、本作はワン・アイデアにより、構築されとる映画やと思いました。ネタバレせんように言いよりますと、大阪イメージ=豊臣秀吉を、現代的なカタチで描くには一体、どないすればええんか。原作小説を含め、それをばクリエイトしはったのが本作でおましょうか。

キワモノ映画になりかねへんような、そんな中で、父子のキズナやったりとか、集団のキズナとかも、キチンと描かれてるんが良かったどす。亡き父について語る堤アニキの、3分くらいの長回し撮影による述懐シーンなどが胸に染みました。

2011年5月 5日 (木)

トンデモ・ニッポン映画「大木家のたのしい旅行~新婚地獄篇~」

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超絶のウルトラ夫婦コメディに、夫役・竹野内豊のアニキと妻役・水川あさみチャンが扮しはりました

地獄へ新婚旅行やなんて…しかもこれまでの地獄とは、180度違うお気楽度は一体どおーよ

http://ookike.gaga.ne.jp

皐月5月の14日土曜日から、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都、神戸国際松竹やらで上映どす。

本作をば配給しやはるのは、ギャガはんどっせー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ映画「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」製作委員会

本作で竹野内豊のアニキが、初のコメディ映画に主演しはりました。水川あさみチャンと共演どす。この2人が演じる夫妻でおますが、いかにもフツーとゆうか、自然体とゆうか、そんな演技でいってはるんやけど、コレがメッチャおもろいのなんのって…。

4年間同棲してはって、既に倦怠期に入ってはる2人なんやけど、まあ、入籍しよかとなりまして…。ほんでもって、冒頭シーンから、たる~い2人の生活が映されよりましてな、ほんで、炊飯器がないっちゅうことで、2人でデパートへ買いに行かはりまんねん。

そこで、地獄旅行のチラシを見はりましてな、ほたら、地獄へ新婚旅行へゆこかとなるんどす。そんな、アホな~。その仲介者役に、樹木希林はんと片桐はいりネーさんが扮してはります。地獄へ行くにはどうしたらええんか。そのあたりも、人を食ったような設定でおます。

シリアスな2人に対して、脇役キャラは、ほとんどボケまくりに近い状態でおます。漫才的にゆうたら、夫妻はツッコミ同士な関係やけど、ボケはいっぱいおるっちゅうことどす。そやから、笑いには事欠きまへん。デパートの屋上にある浴槽から、2人は地獄へ行くんやけど、「地獄に落ちたぁ~」の希林はんの叫びやら、ドカーンと笑かしてくれはります。

ほんでもって、本作で描かれる地獄は一体、どんなんかと申しますと、コレが何と申しますか、これまで映画で描かれてきた地獄とは、180度違うノリなんでおますよ。天国を描いた映画もイロイロあるんやけど、ある意味、天国に近いような地獄イメージとでも申しましょうか。

しかも、ある意味において、サプライズ的にして感動的なとゆうか、そんなエピソードが入っております。余り深く突っ込むと、ネタバレになりかねないんやけど、ネタの伏線はタイトルにあります。大木夫妻やのに、なんで大木家になっとるんか、でおます。まあ、これ以上は突っ込めまへん。

赤鬼と青鬼に分かれた地獄人間のイメージは、まあよくあるとは思うんやけど、2人が行く地獄のロードムービーやら、地獄のホテルやら、地獄の温泉、地獄の甘エビ、地獄の祭り、地獄のフリーマーケットやら、全てが異色の設定と作りになっておます。

本作は前田司郎アニキの原作小説の映画化なんどすが、その読んだり見たりしたカンジはほぼ相似形どす。とにかく、アリエネー設定のウルトラ喜劇でおます。

かつての日本映画の喜劇プログラム・ピクチャーの日常性を、完全に超越した仕上がりなんで、このノリをシリーズ化しはったら、絶対オモロイし、ぜひシリーズ化してほしいと思とります。いろんな異次元への旅行でおますけども、シリーズ第2弾はとりあえず、地獄の正反対の天国か太陽にでも行ってみまひょか。

2011年5月 4日 (水)

フィンランド映画「4月の涙」

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ドイツ、ギリシャがバックアップしてはるけど、フィンランド映画やなんて、みなはん、見はったことありまっかー

男尊女卑が当たり前やった時代の、かつて描かれへんかった国内紛争が描かれておます

http://www.alcine-terran.com/namida/

5月7日から東京・シネマート新宿やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

関西やったら、June6月4日Saturdayから、大阪・シネマート心斎橋やらで上映しはって、その後、6月に神戸・元町映画館、7月に京都シネマやらでヤラはります。

本作を配給しやはるのんは、アルシネテランはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

フィンランド映画やなんてヨーロッパ映画でも、最も日本未公開フィルムの多い国でおます。

ボクチンも、劇場未公開でDVDになっとる分を見たことはござりましたが、実を申せば、ほとんど見たことがないに等しいんでおます。なんでそないに未公開作品が多いんでおましょうか。

まず、日本人が知ってはるような人が出てはりまへん。次に、予算的な問題もあって、アクション・バリバリのハリウッド的娯楽作品が作れまへん。もし可能性があるんやったら、世界の国際映画祭やアカデミー賞で、最高賞や外国語映画賞をゲットしてはる作品であるんが、ポイントになったりしよります。

映画のその中身を、純粋に評価していない点において、ボクチンはこういう在り方には首をひねりたくなります。ほたら、本作は日本公開して、みんなの感動を100パーセント呼び込むような、画期的な作品なんかと申せば、ボクチンにはそれが言明できしまへんのどす。

いろんなとこでエ? なんて展開もあるし、フィンランド映画の未成熟なところが、ところどころで見え隠れしたりしよります。でも、映画的な方程式はキチッとしてはります。

1918年のフィンランドの内紛を、おそらく映画史上初めて取り上げはった作品でおます。そんなんあったことさえ、ボクチンらには分からへんかったところの史実どす。

赤衛軍と白衛軍とゆう、紅白に分かれて戦ってはったんやけど「紅白歌合戦」みたいに、男組と女組に分かれていたわけやおへん。そやけど、女戦士たちも参加してはったんどす。

そんな女兵士が、捕えられて、ナニされて、逃げて、逃げて、捕まって、船で裁判所へ連れていかれるところを、イロイロあって孤島に漂着しはって…。

映画は映像描写が基本なんで、ゴテゴテと字幕で説明するようなところはござりまへん。この内紛がどういう経緯で起こってるのかとかは、みなはんの感じ方に任せてはります。

そんな中で、ヒロインのピヒラ・ビータラネーさんの、ミラ・ジョボヴィッチのネーさんやらを思い出させるような、攻撃的な演技に目を奪われよりました。戦時下のユニークな駆け引き恋愛描写部でも、エエ演技を見せてはりまして、女性映画としての粋も示してはります。

冷え冷えとした海を始め、フィンランドの北欧的自然描写やら、ベートーベンの葬式でよう流れる曲やらの、効果的な使い方やらが良かったどす。フィンランド映画がまた見たくなるような仕上がりになっとります。

2011年5月 3日 (火)

韓国映画「昼間から呑む」

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暗~いイメージの多い、アル中・酒飲み人間映画どすが、本作はイロイロあるけど明るおまっせー

ロードムービーしもって、主人公が災難に遭う系の映画どすが、でもヤッパ、何やしらん、明るいねん

http://www.cinemart.co.jp/hirumakara/

皐月5月7日の土曜日から、東京・シネマート新宿やら、大阪・シネマート心斎橋やらでロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、エスピーオーはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 StONEwork. All Rights Reserved.

主人公が先輩と酒飲んでる時に、先輩からムリヤリ誘われて、田舎のペンションへ遊びに行く約束をしたんやけど、その当日、そのペンション近くらしい待ち合わせ場所へ行ったけど、肝心の先輩が来はりまへん。

ケータイで連絡したけど、仕事で忙しいらしく、あとで行くわなんてゆわはります。とゆうことで、1人でペンションへ行かはりましてな、ほんでもって、それからが、トンデモ酒飲みロードムービーの始まり、始まりとなるんどすえー。

ちなみに、タイトルの「呑む」の表記でおますが、飲むは飲むでも、この「呑む」は酒限定で使われよります。

ところで、本作どすが、チョー低予算映画(製作費100万円未満やで~)らしいどす。まあ、アメリカでゆうたら、かつてのアメリカン・ニューシネマやったり、現在のインディペンデント系の映画になるんやろうけど、日本にもそういう映画は多々あるんやけど、100万円未満なんて、まずござりまへんで。

大森一樹のアニキが監督した、大阪の映画館シネ・ヌーヴォ製作の、1時間もの映画の製作費がちょうど100万円でおました。それよりも安いし、しかも本編は116分とゆう長尺もんでおます。

それやのに、ロードムービーとして、酒飲み人間ドラマとして、キチンとした、観客に説得力を与える映画になっとるので、ビックラこきました。

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ノ・ヨンソク監督の頭の中には、ロードムービーもあったアメリカン・ニューシネマとかがあったやろと思います。低予算で何をどう撮るんか、稠密なる演出意図があったでおましょう。

行く先々で出会った人たちと主人公は、酒を飲み続けはるんやけど、オモロイ会話やらが、酒飲んでの陽気でお気楽な中で、次々に披露されよります。酒を飲んで交流する楽しさがビビッドに伝わってまいります。

アメリカン映画の「失われた週末」(1945年製作)とか「リービング・ラスベガス」(1995年)なんかの暗めのカンジは、ほとんどありまへん。

そら、確かに主人公は、何もかも盗られてもうて、ハダカに近い状態にならはることもあるんやけど、でも泣きまへん。たくましく(!?)ロードムービーを続けはり、飲み続けはります。

アルフレッド・ヒッチコック監督のサスペンス映画とかの、災難に遭う系のノリもあるんやけど、この陽気な酒飲みの流れでは、そんなんどうでもええやんになってまうんどすわ。

酒飲むシーンをメインに、長回し撮影もよう出てきよりますが、酔っ払う人たちの酔いゴコチに、寄り添うようなカンジなんでおますよ。「酒は薬」なんてセリフも出るし、また、韓国の人たちは女性も含めまして、えらい酒の強い人たちが多いらしいですわ。

そやからかな、日米ほどには酒をマイナス・イメージでは描かはりまへん。むしろプラス志向で、捉えてはるように思いよります。そこが、朝からでも呑んでる日がある、ボクチンには新鮮どした。酒飲み映画のニュー・ウェイブでおます。

2011年5月 2日 (月)

ハリウッド映画「アンノウン」

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ミステリー・サスペンス・スリラー・アクションが、四位一体となりよった会心作でおます

ヒッチコック監督的シチュエーションを、裏返しにしたようなハットトリッキーやでー

http://www.unknown-movie.jp/

MAY5月7日SATURDAYから、全国ロードショーでおます。

大阪やったら、大阪ステーションシティシネマやらで上映しはります。

本作をば配給しやはるのは、ワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011 DARK CASTLE HOLDINGS, LLC

アメリカから主人公役のリーアム・ニーソンはん夫妻が、ベルリンへとやってきはりました。

ニーソンはんが、学会へ出がてらの夫婦旅行みたいなんやけど、宿泊ホテルに着くや、ニーソンはん、空港に忘れ物してしもたのに気づかはりました。

ほんで、妻に知らせずホテルに置いたまま、1人タクシーに乗って空港へ引き返さはりました。

ところがでんな、引き返す途中に交通事故に遭わはって、タクシーもろとも川へ。

タクシーのオンナ運ちゃん役は、ダイアン・クルーガーのネーさんどす。ネーさんの機転で何とかニーソンはん、助かったんやけど、4日間ほど病院で意識を失って寝てはったんどす。

医者からは記憶障害があるかもな、なんて言われたんやけど、何とか思い出さはって、ホテルへ行かはりました。

でも、妻はあんた、誰やねんってゆうし、しかも、自分と同じ名前の男が、夫としてチャンとおるんですわ。

一体、どおゆうことやねんと悩みつつも、ニーソンはんは真相を追及せんと、ダイアンネーさんやら、アル中の探偵役ブルーノ・ガンツはんらの協力を得まして奮闘しはります。

その一方で、誰やら知らんヤツらから、命を狙われるっちゅうえらい目に遭わはるんどす。ある意味においては、よくありそうでいて、実はそうそうないような、ビミョーなシチュエーションでおます。

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よくありそうに思うのは、たぶん主人公が、身に覚えのない災難や攻撃や暴力に遭う点でおましょう。

すぐに思い出せるのは、ヒッチコック監督のサスペンス映画、例えば「北北西に進路を取れ」(1959年製作・アメリカ映画)とか「間違えられた男」(1956年・アメリカ)やらでおましょうか。

しかし、コレは間違えられたのやなく、記憶障害になっとるところの記憶にまつわるもんなんで、つまりはストレート系でない点で、裏返ししたような設定やと申せましょうか。

でも、ネタバレせんようにするためには、出せる関連作はギリギリ、ココまででおましょう。とある作品なんかを出せば、いっぺんにネタバレどす。

但し、設定においては、作品の都合に合わせたようなとこも見え隠れしとります。最も重大な部分を忘れさせてしまうような設定は、どないなもんなんでしょうか。まあ、そうせんことには、この話そのものが成り立たないことに、なりよるんで仕方ござりまへんけども…。

でも、ミステリー・サスペンス・スリラー・アクションが、バランス良く詰まってるようにカンジられる点はエエかと思います。

アクション・シーンでは、カーチェイス・アクトがオモロかったどす。路面電車が走るベルリンの街を、ワンボックスカーとタクシーの追逃走アクションがスリリングに、これまでにないようなとこもさりげなく入れつつ展開しよります。

また、クライマックスの大爆発シーンも、そこへ持っていくまでの展開に新味を入れてはるんで、チェックしておくんなはれ。

2011年5月 1日 (日)

日本映画「岳-ガク-」

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小栗旬のアニキと長澤まさみチャンが「ロボコン」以来、日本アルプスの雪山で再会をば果たさはりました

海難救助に対する山岳救助やから、「海猿」の山バージョンどすえ~

http://gaku-movie.jp/

皐月5月の7日土曜日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのは、東宝はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「岳-ガク-」製作委員会

Ⓒ2005 石塚真一/小学館

ヒジョーに分かりやすいカタチで申しあげますると、海難救助部隊を描いて大ヒットした「海猿」シリーズ(2004年~2010年製作・全3作)の、山岳版でおます。

しかも、山岳救助チームの連携プレーを描かはります。さらに、しかも、この2作は共にコミック原作の映画でおます。

山岳映画とゆうのんは、特に、雪山っちゅうのんは、命がけの撮影が続いたりしよります。そんななかで救助ものを大マジに作ろうやなんて、もっと厳しいもんがあるんやないやろか。

例えば、新田次郎原作映画の「八甲田山」(1977年)とか「剱岳 点の記」(2009年)とかは、過酷な撮影が続いたと言いよります。

共にサスペンスの「ホワイトアウト」(2000年)とか「ミッドナイト・イーグル」(2007年)にしても、同様でおます。

そしてボクチンは、本作の小栗旬のアニキと「ホワイトアウト」の織田裕二のアニキが、妙にカブッて見えたりしよりました。

でも、カブッてるように見えて、実はその演技性をみてみたら、真逆のノリであったりしよります。どっちも逼迫してんねんけど、織田裕二より小栗のアニキの方が余裕がござります。

ウ~ン、コレが山に生きとる人間の、自然体の演技なんやろなーと思わせはるんでおます。最初の方で、小栗アニキが遭難した人間を救って、「君が生きていて感動した」なんてゆわはります。いきなり、オオッてきましたがな。

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でもって、山岳救助チームの紅一点として、赴任しはる長澤まさみチャン。

彼女の死んでしもたオトンが、声と写真でしか出はらへん石黒賢アニキどす。そういえば、賢アニは「ホワイトアウト」にも、救助員役で出てはりました。

まさみチャンがイロイロやらはる救助シーンは、ハラハラもんなんでドキドキもんなんやけど、でも、彼女の教育係でもある、小栗のアニキがいてはるんでダイジョウブ。

この小栗アニキとまさみチャンの共演となりますれば、「ロボコン」(2003年)で一緒にロボットを動かして以来の、映画スクリーンでの再会でおます。

シマイ(終わり)の方どすけど、「この人は山のプロフェッショナルなんだ」と小栗アニが、まさみチャンを紹介しはるシーンにはグッときよりました。

2人のコンビネーションぶりは、最初はギクシャクしとるけど、後半に向かうにつれテンションが上がってまいります。

遭難した人を救助しに行かはったまさみチャンが、2人共に共倒れしてまうとこを、小栗アニが救助しにいかはるとゆうクライマックスは、本作のドデかい見どころになっておます。

2人がよういてはる山荘食堂の、寅さんの“とらや”みたいな造形ぶりもエエ感じでおました。シリーズ化もあるかもしれまへんで。

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