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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年3月の記事

2011年3月31日 (木)

韓国家族のドキュメンタリー映画「愛しきソナ」

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在日2世のヤン・ヨンヒのネーさんが、日本・北朝鮮とバラバラになった自らの家族のことを、描かはった第2弾でおます

ヤン・ネーは、姪御はんのソナちゃんに自らを投影しはって、ヒロイン・ドキュの可能性も探ってはります

http://www.nanagei.com/

エイプリル4月2日サタデーから、東京・ポレポレ東中野やら、4月23日から新宿K's cinemaやらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

関西やったら4月下旬から、大阪・十三(じゅうそう)の第七藝術劇場(上記アドレスは、この映画館の公式ホームページどす)やらで上映どす。

韓国・日本の合作となった本作をば、配給しやはるのんはスターサンズはんどすえ~。

文=映画分析評論家・宮城正樹

家族のキズナを描いた、人間ドキュメンタリーでおます。

日本の大阪と北朝鮮に分かれて、バラバラにならはった家族の、現状をば描かはります。

オトンを描かはった「ディア・ピョンヤン」(2005年製作・日本&韓国映画)に続きましては、監督ヤン・ヨンヒのネーさんどすが、北朝鮮にいてる姪御はん、ソナちゃんのことをばメインに捉えはりました。

北朝鮮の深刻な問題とかありつつも、本作は悲しみとかは余りカンジさせへん、アットホーム感な作りになっとりまんねん。

そんななかで、ヨンヒのネーさんやけど、ソナちゃんの成長過程を自らの人生に仮託して、描いていかはるんでおますよ。つまり、ヒロイン映画としての側面もござるのです。

冒頭は写真2枚目の、ソナちゃんがアイスクリームを食べてはる、2~3分の長回しの撮影シーンからでおます。その後も、母の墓前で歌うシーンやら、ソナちゃんの自然体な言動に合わせはった、長回しシーンも出てまいります。

ソナちゃんとヨンヒネーの交流部は、いっぱい描かれとるんやけど、ほとんどが印象的なシーンの連続になっとりま。

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写真上どすが、バスで空港まで行って、日本へ帰ってまう叔母・ヨンヒネーとの、しばし別れのキス・シーンでおます。本作の前半のハイライト・シーンでおましょう。

ソナちゃんは冒頭のシーンでも、「撮らないで」とゆわはるんやけど、その後、ヨンヒ叔母さんの撮影に対し、2度も「撮らないで」をゆわはりまんねん。その時々の状況の違いもあるけど、この3シーンは本作の作品性へと、リンクしてゆく重要なシーンでござります。

3回目の時は、ピョンヤン大劇場前の広場でのエピソードだす。「撮らないで」のあと、字幕のサイレントでソナちゃんの想いを伝えはります。

小学校のなかへと消えてゆく、あるいは、街路を歩いて遠ざかってゆくソナちゃんのショットは、余韻をば漂わせよります。ソナちゃんが、停電をジョークにするラストシーンなど、ココロに残りよりました。

一方でソナちゃんだけやなく、ヨンヒネーの各家族たちのキズナ描写も、エエカンジでおます。

ソナちゃんとソナちゃんの父(ヨンヒネーからすればアニキどす)が、手をつないで通学するシーンに、兄と妹・ヨンヒネーとのかつてのエピソードを重ね合うシーン。

兄やんとオトンが黙り合いながら、北朝鮮の街を歩いてゆくシークエンスやら。

そして、オトンが脳梗塞で倒れはって、半身不随になり、やがて死ぬまでの様子も、しっかりと見つめてはります。ホンマ、家族ドキュの麗しき快作でおました。

2011年3月30日 (水)

韓国映画「ミス・ギャングスター」

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韓国のおばちゃん3人が、つるまはって銀行強盗しやはるコメディでんねん

おばちゃんなんやけど、今は全員未亡人ミスの、この3方の掛け合いがメッチャおもろおます

http://www.cinemart.co.jp/gangster/

エイプリル4月の9日サタデーから、東京・シネマート新宿やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、エスピーオーはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 LOTTE ENTERTAINMENT. All Rights Reserved.

韓国の平均年齢65歳のおばちゃん3人が、3人で一緒にハワイ旅行へ行きたいために、犯罪に走らはるお話でおます。

3人は長年、コツコツと金を貯めてきはりました。加えて、3人つるんで時おり軽犯罪をやらはります。

スーパーで3人の連携プレーで、いろんなもんを万引きし、それらの物を近所の公園で安う売りつけてはりまして、そこからの収入も、旅行資金の積み立て金になっとりまんねん。

ほないなわけで、金が貯まりよりました。ほな、ハワイへ行こかっちゅうことで、旅行資金を振込みに銀行へ行かはったところ、写真の3枚目にありますようにでんな、銀行強盗に遭わはって、振込み金全額を奪われてしまいました。

銀行からの保障もござりまへん。そこで、おばちゃんらは犯人を探そうとしはりま。

で、犯人の1人を探さはったんやけど、その犯人はんは仲間に裏切られ、金ありまへんねん。

そこで3人は、銀行強盗をして取り返そうと、その犯人の指導の元、銀行強盗をやらはりまんねん。でもって、トンでもアレヘン展開が最後まで続きよりま。

本作は、あくまでコメディでござりましてな、しかも、映画としての原作がござるのどす。それはドイツ映画「ヤンババ! ババァ強盗団がやってくる!」なんどすが、残念ながら日本未公開作品らしく、ボクチンも見ておまへん。そやけど、ホンマ、オリジナルと思てもええかもしれへんオモロサがありました。

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穴を掘って密かに盗もかとゆう、シニア・チームの銀行強盗もの「死に花」(2004年製作・日本映画)より、こちらはストレート系でおます。

しかも、アメリカン・ニューシネマやら、「狼たちの午後」(1975年・アメリカ)やらのマジ系も、リアリティーは少し希薄やとしても、随所に披露されよります。

「007」的なファンキーなサントラも流れるし、さらに、カーチェイスあり、おばちゃん同士やけど、泣ける女の友情ありと、ええ味をば出してはりま。

でも、本作はあくまでコメディでおます。3人のおばちゃんの掛け合いシーンは多々ありまっけども、泣けるシーン以上に、笑えるシーンが満載なんどすえー。

「おばあさんじゃない、おネーさんと呼べ」とゆうキム・スミのネーやん。おかあちゃん役が韓国では、国民的に定着してはるキム・ヘオクのネーやん。大ベテランのテレビ女優のナ・ムニのネーやん。

この3人のコメディエンヌ・アンサンブル演技は、冒頭から絶妙なカタチで発揮されよりますんで、ご期待あれ! でおますよ。

2011年3月29日 (火)

クライム・サスペンスなニッポン映画「クレイジズム」

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「レザボア・ドッグス」「黄金の七人」やらみたいに、大金を盗んでからが、見どころとなりよります映画どす

「オーシャンズ11」ならぬ「オーシャンズ5」のサバイバルやねん

http://crazy-ism.ne07.jp/

エイプリル4月16日サタデーから、東京・シネマート六本木やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作をば製作しやはったんは、フェイスエンタテインメントはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒクレイジズム製作委員会

「オーシャンズ11」(2001年製作・アメリカ映画)みたいな犯罪チームが、大金を盗むお話どす。

でも、本作は、その盗む過程を描くんやなく、大金を盗みよりました。ほなら、金を5人で分配しようかってとこから始まりよりまんねん。

盗みの詳細から、盗んでからのスッタモンダまで描いた名作「黄金の七人」(1965年・イタリア)の後半部が、本作のキモでおます。

でもって、分け前を巡って悶着が起こりよるんでおます。「レザボア・ドッグス」(1991年・アメリカ)みたいに、「このなかに裏切り者がいる」ってなカンジと、サバイバル系サスペンスのノリを、ブレンドしはったような作りどす。

室内シーンをメインにしてはるんやけど、会話劇から各人の思惑へと派生し、ホントの裏切り者は一体、誰やねんってゆうとこへと、スリリングに向かってまいります。

裏切りの、そのまたウラを見せてゆく展開やら、それでいて、「バトル・ロワイアル」(2000年・日本)なサバイバル・アクション系を、ストレートに見せてゆくなど、なかなか味なことやりよるやん! なんて、舌を巻かせる作りなんでおますよ。

脚本がようできております。最新作でゆうたら、「インシテミル」(昨年10月8日付けで分析)やらのセンスもカンジよりました。

さてはて突然やけど、例によりまして、日本映画のクライム・サスペンスなんてジャンルの、マイ・ベストスリー、カルトスリーをば披露いたします。

●ベスト→①誘拐サスペンスの王道「天国と地獄」(1963年)②男1人の犯罪サバイバルもの「飢餓海峡」(1965年)③誘拐された者と誘拐した者がつるむ「大誘拐 Rainbow Kids」(1991年)

●カルト→①男が核を作る「太陽を盗んだ男」(1979年)②おばはんたちが犯罪する「OUT」(2002年)③男3人が企む「新幹線大爆破」(1975年)

でもって、本作はこのベスト系とカルト系をビミョーにブレンディーしてはりま。ストレートに犯罪を描くタイプの作品と、変化球的にひねって、最終的にはどんでん返しを披露するようなタイプ。

上記ベスト作品を例に上げますと、「OUT」と「新幹線大爆破」をミキシングしたようなカンジかな。

クライマックスともいえる、生き残った者たちによる、息詰まるような丁々発止のやりとりは、特筆もんでおます。

さらに、いかにも今どきのフツーの若者たちが、犯罪をやってるようなノリとかの現代性は、なるほどなと思いました。

ベースやらギターなど、少ない単音を中心にしながらも、サスペンス感あるサントラ作りも、作品を盛り上げてはります。

2011年3月28日 (月)

韓国サスペンス映画「生き残るための3つの取引」

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警察と検察のバーサスを中心に、男たちの思惑がビミョーにネジレて交錯してまいりま

ファン・ジョンミンとリュ・スンボムの各アニキの、演技バーサスに注目どすえー

http://www.3torihiki.com/

エイプリル4月の、29日フライデー&「昭和の日」から、東京・銀座シネパトスをはじめ、シネマート新宿やら、109シネマズ川崎ほかで全国ロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは「CJ Entertainment Japan」はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved

韓国映画のサスペンスもんで、これまでにないもんが披露されよりま。今までにイロイロと、韓国映画のアクション・サスペンス・ミステリー・ホラーやらを論じてきよりましたけども、本作はビミョーなとこで新しどころの作品でおます。

司法ものなんやけど、かとゆうてリーガル・サスペンスものやなく、その裁判へと持っていくまでの事前段階のお話なんどす。警察側と検事側の丁々発止が展開しよります。

これまでの韓国サスペンス&ミステリー映画は、刑事側、あるいは犯人側から描かれるケースが多かったように思いよります。ホラー映画も犯人・被害者側からの視点が多おました。しかし、本作は基本的には、サスペンスやらミステリーやらではないんどす。

警察と検察と言いよりましたが、結局、2人のバーサスへと焦点が絞られてまいります。「甘い人生」(2005年製作・韓国映画)でエゲツナイ悪役をやらはった、刑事役ファン・ジョンミンのアニキ。

でもって、クールにしてホット、時に激情節でわめく、メガネの検事役リュ・スンボムのアニキ。この2人の対決というか、やり取りやら駆け引きやらが、本作のキモになっとりまんねん。

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え~? なんで、検察官と刑事が揉めよるねん、と思わはる方は多いかと思いま。フツーは、検察と弁護士やろー。でも、それは見てゆかはったら、徐々に分かってまいります。

過剰捜査とか犯人デッチ上げとか、警察側の問題と、金持ちと癒着したり、記者と取り引きしたりと、いかがわしさだらけの検察側の、対決構図やなんて、それがサスペンスフルに進行するやなんて、なかなかのもんでおます。

「半落ち」(2003年・日本)やらのスリリングが、本作にはござりました。刑事と検察官の2人がやりとりするシーンは、いくつかござりますが、映画的に計算されたシークエンスになっております。

特に、2人が2度目に会って話し合うシーンは、スクリーンの両端に分かれたロングショット、ミディアム・ショット、クローズアップを畳み込むように編集して、ドラマ感を増してはります。

2人のやり合いは「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」(1985年・アメリカ)の、ジョン・ローンとミッキー・ロークを思い出させてくれはったり…。検察・刑事が活躍する「アンタッチャブル」(1987年・アメリカ)やら「フェイク」(1997年・アメリカ)やらのセンスもござりました。

そんななかでも、ボクチンが最も感激したんは、「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)的な死にざまシーンどした。ネタバレせんように言いまするに、とある方が携帯電話を持ちつつ、虫ケラのように死なはりまんねんけど、「最低だ」と言われて死んでゆかはります。

モチ、どんでん返し・サプライズもある、サスペンス映画の快作どすえー。

2011年3月27日 (日)

ニッポン映画「魔法少女を忘れない」

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「時をかける少女」などへと通じる、ヒロイン学園もの映画でおます

「街の灯」「天国から来たチャンピオン」みたいな、感動のサプライズもありまっせー

http://www.maho-shoujyo.jp/

エイプリル4月23日サタデーから、東京・池袋テアトルダイヤをはじめ、全国順グリのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、「テレビ西日本」はんと「SPOTTED PRODUCTIONS」はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒしなな泰之/集英社・『魔法少女を忘れない』パートナーズ

高校学園もの映画は、今年になってからもホンマ、イロイロ出てまいっておます。最近、ボクチンが論じたのでゆうたら、「ランウェイ☆ビート」(3月13日付けで分析)がござります。

そんななかにおきまして、本作は学園もの映画のルーツ的な作りに回帰しはった、なかなかの快作となっております。

学園ものの系譜なんて言い始めよりましたら、そら、モノゴッツーな数がござりまして、キリがないんやけど、いちおう3パターンほどの作りに分かれておます。①青春映画②恋愛映画③変形パターン。

でもって、学園ものでも10代向けの小説とか、コミックを原作にしたものやらもありますけども、ほとんどがこの3パターンに入るもんでおます。で、本作はこの3パターンを、巧妙にミキシングをばしはりました。

魔法使いの少女が出てくる、映画やアニメなんてケッコーありまんねんけども、ともすると、あ~あ~、いかにもマンガ的やんと思わはるかもしれまへんが、コレが元魔法少女やったとゆう設定にしてはります。

しかも、そんな少女ヒロインは、みんなからやがて忘れられる設定に、なっとるとゆうことにしてはるんどす。それらのシチュエーションは、モチ、ドラマ的効果、ラストのサプライズへとつながっておます。

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いずれにいたしましても、とても分かりやすい仕上がりどす。

学園もの映画では、生徒役から先生役までやってきはった前田亜希ネーさんが、生徒たちをたばねるような、フレキシブルな演技をば見せてはります。

義理の兄妹もの、でもって淡い恋愛へにも発展する、3枚目の写真の2人のドラマ。本作のキモはココにあるんやけど、「時をかける少女」(1983年製作・日本映画)やらの、大林宣彦監督的な純情系がまぶされておます。

時代劇的な男言葉をシャベらはる、女生徒役の存在などもオリジンがござりました。

兄妹がチャリンコに乗って空を飛ぶシーンなど、「E.T.」(1982年・アメリカ)へのオマージュ・シーンやらもござります。そして、サプライズ・シーン。

チャップリンの「街の灯」(1931年・アメリカ)やら、「天国から来たチャンピオン」(1978年・アメリカ)やらを引用に出しますれば、みなはんにはピーンときはることでおましょう。

ラストのクローズアップとストップ・モーションは、忘れられないシーンになっとりま。でもって、「青い山脈」(1949年・日本)なんかと同じく、終始一貫明るいモードで展開するとこもええカンジどしたえー。

2011年3月26日 (土)

韓国映画「素晴らしい一日」

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フキゲンなチョン・ドヨンのネーさんと、お気楽ハ・ジョンウのアニキの対比描写が、メッチャココロそそりよりまっせー

そんな2人を混合させたロードムービーは、これまでにあれへん異質な、映画的化け学反応が出よりましたがなー

http://www.cinemart.co.jp/subarashii/

エイプリル4月16日サタデーから、東京・シネマート新宿やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、ロードショー街道でおます。

本作を配給しやはるのんは、エスピーオーはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2008 Sponge Ent. All Rights Reserved.

何が素晴らしいのか、で、誰にとって素晴らしい1日なんか? 本作はブラックユーモアなタイトル付けで、1年前に別れた男女の再会を描かはります。

しかも、ロードムービー・スタイルなんやけど、コレがこれまでのロードムービーにはなかったような、なんともいえへん味をば表現しはりました。

別れた元カレを探して、会いにきはるチョン・ドヨンのネーさんなんやけど、会いたくて会いにきはったんやおまへんねん。元カレに貸しとった金を、取り返しにきやはったんどす。

その元カレ役には、「チェイサー」(2008年製作・韓国映画)でエゲツナイ役やらはった、ハ・ジョンウのアニキが、「チェイサー」とは正反対のお気楽演技をば披露しはります。

片や、ドヨンのネーさんは、終始ムッツリ、不機嫌演技を続けはります。この2人の対比演技描写は、絶妙極まりないもんになっとりま。

ロードムービー的新しさについてどす。かつて騎手になりたかったから、その夢が忘れられずに、ウインズに出入りしとんねんとゆわはるジョンウのアニキを、そのウインズでつかまえはったドヨンのネーは、今すぐ金返せーとゆわはります。

ジョンウはそんな大金持ってへんもんどすさかい、ほうぼうで金借りてでんな、金返すわとゆわはります。

そやから、ドヨンネーのクルマに同乗して、そのイロンなとこへ行かはるんでおます。ほとんどが女でおまして、ドヨンネーの不機嫌度合いは、そのたんびに増してゆきよります。

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こういうスタイルのロードムービーやと、この2人がゆく先々のエピソードを経て、最終的にヨリを戻すんやないかいなと期待しやはるかもしれまへんが、ネタバレかもしれんけど、実はそうやおまへんねん。

本作ははっきり言って、ラブ・ストーリーやおまへん。むしろ、アンチ・ラブ・ストーリーとゆうた方がええでおましょう。

ラストシーン近くの、ドヨン・ネーの無表情から、やがて本編内で初めて微笑む、1分近いワンカットがココロに深く残ります。

「第三の男」(1949年・イギリス)やら「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)のラストシーンとも通じる、この演技ぶりには舌を巻きました。

映画的カットや撮り方の連続にも、ココロが震えてきよります。

冒頭から、本作で最も長い長回し撮影で始まります。それも、ドヨンネーをずっと映す長回しやなく、ゆっくりドヨンネーへと焦点を当ててゆく撮り方どす。かつて相米慎二監督らがやった撮影表現法が、いきなり展開されるんでおます。

そして、クルマのなかの2人の描写が頻出しよるんどすが、1枚目の写真のようにフロントグラスを通したシーンだけやなく、イロンな外景が映ったサイド・ウィンドーを通して、人物を描くショットが次々にきよります。多彩にして遠近感もあるこのショットの連続は、映画的撮り方の新しい可能性を、示してはるようにカンジた傑作どした。

2011年3月25日 (金)

日本映画「まほろ駅前多田便利軒」

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直木賞ゲットの映画化作品の系譜としては、「時代屋の女房」みたいなチョイ人情節入りの快作どす

男の友情映画とゆうよりは、軽~いノリの相棒映画なんやけど、妙にココロ魅かれよる作品でおます

http://mahoro.asmik-ace.co.jp

エイプリル4月の23日サタデーから、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ガーデンシネマやら、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映しはります。

本作を配給しやはるんは、アスミック・エースはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「まほろ駅前多田便利軒」製作委員会

本作は、直木賞をゲットしはった三浦しをんネーさんの、同名小説をば原作にしてはります。

ここで、唐突なんやけど、直木賞ゲット小説の映画化作品のマイ・ベストスリーとカルトスリーをば、勝手に披露いたします。

●ベスト→①復讐するは我にあり(1979年製作)②GO(2001年)③蒲田行進曲(1982年)③津軽じょんがら節(1973年)

●カルト→①江分利満氏の優雅な生活(1963年)②時代屋の女房(1983年)③長崎ぶらぶら節(2000年)

●直木賞受賞小説原作映画は、それこそ多彩にござりますが、本作は作り的には、「時代屋の女房」のタッチと似通っているかと思います。

ベタな人情節を披露するわけやありまへん。付かず離れずの2人、瑛太と松田龍平の各アニキの、相棒映画とゆうスタイルを採ってはります。

でもって、「真夜中のカーボーイ」(1969年・アメリカ映画)とか「スケアクロウ」(1973年・アメリカ)みたいな、アメリカン・ニューシネマにあった友情節が、本作にはそこはかとなくカンジられよります。

同じく、しをんネーさんの原作映画「風が強く吹いている」(2009年)もまた、正統派の男たちの友情ものでおました。

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で、本作は変化球形の友情ものやも分かりまへんが、でも、やっぱり男の友情節が静かにココロにきよります。

セリフの面白さや含蓄ぶりはモチ、時おりの長回し撮影シーンが、映画のキモになっとったりします。それも、2人のツーショットやら、やり取りをメインにした、1分から3分くらいにわたる長回しどす。

チワワ犬を間にして2人が座り込み、お互いのバツイチ話を披露するシークエンス。瑛太をアップにして、間(ま)入りの長ゼリフの披露シーンやら、イロイロどす。

でもって、そんななかでも、ラストシーンは最も強烈どした。長~い沈黙を入れた、このツーショット・シーンは、「椿三十郎」(1962年)の対決シーンの間合いに通じるもんやと思います。

遊びゴコロあふれるシーンもあります。瑛太が「なんじゃ、こらぁー」(龍平アニキの父・松田優作が、刑事テレビドラマ「太陽にほえろ」の殉職シーンで叫んだセリフ)と叫ぶと、龍平アニキが「似てない」なんて応じるシーン。

さらに、一概に遊びとは思われへん、アニメ「フランダースの犬」についての考察部。ハッピーエンドだとゆう龍平アニキに対して、コドモが死んで、なんでハッピーエンドだと怒る瑛太のやり取りやら、本作のテーマ・生きることの意味へと関連づけられておます。

「男はつらいよ」(1969年~1995年)とは、人情節テイストがビミョーに違う本作。でも、シリーズ化されてもおかしくありまへん、快作なんやで~。

2011年3月24日 (木)

実在の人間ドラマ日本映画「大地の詩-留岡幸助物語-」

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明治・大正の偉人伝映画の傑作が、また1本誕生しよりましたでー

ボクチンと同じく同志社大学出身の、実在の方のお話なもんどすさかい、個人的感情移入度と加担度合いは、そらモノゴッツーなもんがござるんでおます

http//www.gendaipro.com/tomeoka/

4月9日の土曜日から、東京・新宿武蔵野館で、全国順グリのロードショーでおます。

本作をば製作しはったんは「現代ぷろだくしょん」はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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映画製作会社「現代ぷろだくしょん」は、これまでに社会問題を鋭く抉らはった、名作をば多数作ってきはりました。

オリジナル版「蟹工船」(1953年製作)、実在の冤罪事件を採り上げた「真昼の暗黒」(1956年)、広島原爆を描いたアニメ「はだしのゲン」(1976年)など、ボクチンは個人的にえらい衝撃をば受けましてな、今も折りに触れ夢に出てきたり、思い出したりしておます。

そして、本作どす。日本映画の巨匠女性監督的存在の78歳・山田火砂子はんが、実在の人物をば描かはりました。

日本初の家庭学校を創立しはった、明治・大正を生きた留岡幸助アニキ(村上弘明のアニキが扮してはりま)の物語どす。

留岡アニキは、ボクチンと同じ同志社大学で学ばはりました。そないなもんどすさかい、映画の出来・不出来に関係なくでんなこの映画をサポーターしたい、あるいは、せなあかん度は、相当なもんになってしまいよりましたがな。

さて、ここで、明治・大正の実在の人物やエピソードを描いた、日本映画作品のマイ・ベストスリーとウラ系をば、勝手に披露しよりますと…。

ベスト→①八甲田山(1977年)②わが愛の譜 滝廉太郎物語(1993年)③劔岳 点の記(2009年)。

ウラ→①RAMPO(1994年)②明治天皇と日露大戦争(1957年)③北の零年(2004年)、なんてカンジどすか。

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でもって、本作どすが、過去の名作群とはイロイロとシンクロしてまいります。例えば、「北の零年」やら、アメリカ人女性の実話「レオニー」(2010年・アメリカ&日本)やらとつながりまんねん。「北の零年」と同じ当時の北海道描写、また「レオニー」の時代感は本作とほぼ合います。

留岡アニキは1892年に北海道へ行かはります。ボクチンは、当時の北海道と申せば、クラーク先生が残した名言「ボーイズ・ビー・アンビシャス」(青年よ、大志を抱け)を思い出すんやけど、それとは違うとこで、留岡アニキの行動ぶりには感心いたしました。

本人がゆうたんやないけど、「神は愛なり」なんてコトバがココロにきよります。

留岡アニキの夫妻ドラマとゆう側面もござります。夫役・村上弘明アニキと、妻役・工藤夕貴ネーさんが演じはりました。夕貴ネーは、6人のコドモと夫を残して、34歳の若さで天に召されはります。

しかし、回想シーンとなりますが、サプライズ的に夕貴ネーが、再登場しやはります。本作のおっきな感動を、味わえるシークエンスでおましょう。

最後に流れる、女性シンガー朱花が歌う、大らかなポップス「大地の詩」が、和みを運んでくれました。

2011年3月23日 (水)

ニッポン映画「はい!もしもし、大塚薬局ですが」

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「円城寺あや」のネーやんが、女「寅さん」みたいな役をばやらはりました

AKB48の小林香菜ちゃんやらが、学園ラブ・ストーリーの、アイドル映画ノリを演じはりまんねん

http://www.airplanelabel.com/

エイプリル4月の9日サタデーから、東京・新宿K's cinemaでレイトショーでおます。

その後、全国各地へ順グリに回る予定どす。

最新情報としては、9月17日から2週間、毎日午後5時から新宿K's cinemaで、リバイバル上映をばやらはりま。

本作をば配給しやはるのんは、「エアプレーン レーベル」はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸPROJECT LAMU/STROBORUSH

48分とゆう中編映画どすけども、中身の凝縮された、タイトで軽快な作品となりよりました。

監督・勝又悠アニキが、故郷の神奈川県足柄市ロケをばやらはりました。

なるほど、そうか、監督は故郷をロケ地にして、東京・下町の「男はつらいよ」(1969年~1995年製作)的人情節と、アイドル映画ノリの学園ラブ・ストーリーをミキシングしたら、一体どおゆう映画的化学反応が起こりょるんかを、試さはったんやないやろか。

でもってでんな、大林宣彦監督的学園ものと、山田洋次監督的人情ものが化合されたような、オモロいコメディになりよったんどすえー。

なんと言っても、本作のキモを握らはるんは、円城寺あやネーやんの女「寅さん」みたいな、恋の相談役、あるいは恋のキューピッド的な役柄なんどす。

あやネーとゆうたら、野田秀樹アニキが主宰した劇団「夢の遊眠社」の看板女優やってはった方でおます。これまで映画やテレビでも、多彩な演技を披露してきはりました。

作品に合わせた、フレキシブルな演技を見せてきてはりまして、でもって本作では女「寅さん」どす。エキセントリックとゆうか、ある種コミカルかつ大仰な演技なんやけど、ボクチンはメッチャ魅了されました。

大塚薬局の店長なんやけど、ヒマなもんどすさかい、店の外でおならこいて、1人ウォークマン聞きもって、店番してはりま。

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そんなネーやんどすが、ある日、店に来たマゴギャル(女子中学生)と仲良うならはり、でもって、恋の相談相手にならはるんでおます。1分半くらいの長回し撮影で、ユニークな2人の相談シーンが映されま。「ベリー・グーゼン」とか「100年に1度くらいのグーゼン」とか「大安に告白しちゃいなよ」やら、アドバイスとゆうか、ポイントズレしたような忠言がオモロおます。

で、ネーに相談する女子中学生役には、AKB48の小林香菜ちゃんが扮してはります。ネーの忠告に「ぶっちゃけ、ウザイっすよ」なんて、言い返すシーンなんぞもござります。

陽光の使い方、斜めカットの多投、水色トーンの街の雰囲気とか空気感、薄ピンク、ブルー・トーンやらも取り入れて、淡い色の多色感が、映画の内容にもシックリきておました。

サントラ使いも巧みやねん。ピアノのタイトな挿入、イントロではバンジョーやらをリズミックに、でも、本編と融合するようなカンジで使(つこ)てはります。ラストロールで流れる、女性シンガーによる、スカ・フレイバーを取り入れたスロー・ポップに、癒やされよりました。

2011年3月22日 (火)

2010年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞「神々と男たち」

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実話をベースにしはった、現代のキリスト的集団殉教映画の哀歌でおます

クライマックスの"最後の晩餐"的シーンにココロ震えよります

http://www.ofgods-and-men.jp/

エイプリル4月上旬のサタデーから、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関東は3月5日から、東京・シネスイッチ銀座やらで上映中だす。

本作のフランス映画をば配給しやはるのんは、マジックアワーはんとIMJエンタテインメントはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 ARMADA FILMS-WHY NOT PRODUCTIONS-FRANCE 3 CINEMA

1996年の実話をベースにしはった映画なんやけど、今、起こってもおかしくないような現代性も、はらんだ問題作でおます。

アルジェリアにいてはる8人のフランス人修道士たちが、テロリストに拉致されてしもて、えらいことになったとゆうお話どす。

集団虐殺映画とゆうのんは、これまでにもござりました。但し、本作みたいにキリストの殉教を想起させはる、しかも集団殉教映画とゆうのんは、まあ、ありまへんどす。

「マトリックス」シリーズの「2」(2003年製作・アメリカ映画)と「3」(2003年・アメリカ)に出はって、世界に広く顔を知られはることになった、ランベール・ウィルソンのアニキが、主人公・悩み深き修道院長役をやってはります。観客の感情移入度も、かなり高いと思えよります。

さらに、修道士にして医者役のマイケル・ロンズデールはん。最近では「アレクサンドリア」(今年の2月13日付けで分析)に、ヒロインのオトン役で出てはりましたけども、ボクチン的には、刑事役やらはった「ジャッカルの日」(1973年・アメリカ)の演技がココロに残っておます。でもって、本作でも、実にシブ~い役柄や。

Kamigami_sub1

そしてでんな、ラストロールで流れる、アカペラによる聖歌以外は、サントラは流れよりまへん。静謐なシーンの積み重ねにより、殉教映画の何ともいえへん悲愁ぶりを、みんなに伝えようとしてはるんどす。たまりまへん。

サントラがない代わりといってはなんですけども、修道士たち8人が聖歌を歌うシーンが、しつこいくらいに繰り返されよります。このシーンのリフレインは、本作のクライマックスに向けた悲しみ度合いをば増していきよるのどす。

でもって、“最後の晩餐”的シーンの、ココロ抉り込むような凄みでおます。チャイコフスキーの「白鳥の湖」のレコードを、みんなで聴きながら、各人のアップ、目などへのクローズアップへとモンタージュされてゆくシーンのインパクトは、忘れがたい印象をば、みなはんのココロに刻むはずでおますよ。

雪原の向こうへとみんなが消えてゆく、1分近いミニ長回し撮影によるラストシーンも、映画的余韻がござります。そのシーン直前の主人公のナレーションも効果的どす。

「ありがとう」「さようなら」とクルこのココロの呟きもまた、悲哀ぶりを増すんでおます。そして、冒頭にある「神々として生まれても、人間として死ぬ」の字幕が、本作のテーマになっとる点もまた、印象深いと思いました。

2011年3月21日 (月)

ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作「悲しみのミルク」

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ペルーから、女性監督によるヒロイン映画の傑作がやってまいりま

母娘ドラマ映画の、新しさを打ち出さはった作りにもなっとりま

http://www.kanashimino-milk.jp/

エイプリル4月の2日サタデーから、東京・ユーロスペースやら、4月23日から、川崎市アートセンターやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、5月14日から大阪・第七藝術劇場、6月11日から京都みなみ会館やらで上映しはります。

本作をば配給しやはるのんは、東風はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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いきなり事実関係から入りますが、アカデミー賞を除きまして、世界3大国際映画祭(カンヌ・ヴェネチア・ベルリン)の1つ、ベルリン国際映画祭で、最高賞に当たる金熊(きんくま)賞をゲットしはった作品でおます。

しかも、クラウディア・リョサとゆう女性監督による作品なんどす。この方は、ノーベル文学賞をゲットしはった、文豪マリオ・バルガス=リョサはんが、おじに当たるっちゅう、いわゆる芸術家系にいてはるネーさんどすえー。

そやから、低予算のペルー映画とは申せ、作り込みの新味やら映画的な斬新さに満ちた、傑作印の映画になっとりま。

女性監督による女性映画とゆうのんは、これまでにも多数作られてきておます。そして、名作も多い方程式映画なんどす。

でもって、本作は不満足ヒロイン・ドラマでおます。ヒロイン役マガリ・ソリエルのネーさんどすが、ネクラ演技とはコレやねん! っちゅうとこをば示さはりまんねん。

笑ったり、ほほえんだりするシーンはまずありまへん。無表情、眉しかめ、おどおどした戸惑い、憮然たる様子やら、まあ、なんちゅうの、この女、一体なんやねんと、お客はんは思わはるでおましょう。でも、彼女の悲哀がゆっくり明らかになるにつれ、彼女に同情というより感情移入し、応援したくなるようになるかと思います。

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死ぬ間際の彼女のオカンが、苦痛の歌を1分強の長回し撮影によりまして、冒頭で披露しやはります。この歌の内容は、メッチャ暗いんでおます。

で、彼女はその歌を毎日のように、ズーッと聞かされてまいりました。しかも、歌に出てくる奴らに対する防御策として、カラダには悪いトンデモナイことをばやってはります。冒頭で彼女のオカンは死なはります。

死んでしもたオカンを、彼女はどのように葬ってゆくのかが、その後のとゆうか、本作のメイン・ストーリーとなりよります。

これまでにも、ぎょうさん出てきよりました母娘の物語も、死んだ母の遺体と生きてる娘のキズナとでも申しましょうか、そんなカタチで描かれた映画なんて皆無でおましょう。

砂色に乾いた荒地のようなペルーの田舎の描写が、ヒロインのココロのスサミに拍車を掛けるわけやけど、でも、庭師とのココロの触れ合いシーンやら、いろんな花の潤い感やら、“負と正”の対比描写によりましてな、そんなに暗鬱とした映画にはなっとりまへん。

「母さん、海に来たよ」と、ヒロインが呟くラストシーンは、一筋の光が射したようで、ムネにグッとこみ上げるもんがござりました。ラストロールで流れる、哀愁のラテン・ポップスも、感動の余韻を深めよります。

2011年3月20日 (日)

クロード・シャブロル監督作品「引き裂かれた女」

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オンナゴコロの気紛れ調を、リュディヴィーヌ・サニエのネーさんが演じはりました

フランソワ・ベルレアンはん、ブノワ・マジメルのアニキとの三角関係ドラマがスリリングに展開やー

http://www.eiganokuni.com/hiki/

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スプリング4月9日サタデーから、東京のシアター・イメージフォーラムやらで、全国順グリのロードショーでおます。

大阪では近日中に、十三(じゅうそう)の第七藝術劇場で上映どすえー。

本作のフランス映画をば配給しやはるのんは、紀伊國屋書店はんとマーメイドフィルムはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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本作のクロード・シャブロル監督はんは、惜しまれつつ、2010年9月に死なはりました。

「いとこ同志」(1959年製作・フランス映画)やらを発表しはり、ゴダールやらトリュフォー監督やらと同じヌーヴェル・ヴァーグ世代の監督はんどした。

でも、このシャブロルはんは、芸術としての映画よりも、エンタとしての映画へと、アプローチしてはったように見受けられよります。フランスのアルフレッド・ヒッチコックやなんて、ゆわれたりしてはったんどす。

そこで、本作なんやけど、シャブロル監督の遺作の1つ前の作品どすが、そのヒッチコック印なサスペンス・ミステリー色で、大いに楽しめる作品になっておますえー。

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確かにゴダールやトリュフォーより、映画評論家筋を含めた、ゴリゴリの映画ファンからの支持は、弱いやも分かりまへんけども、大衆的には非常に分かりやすくてでんな、コレがよろしおますねん。2時間ドラマにハマッてはる方も、2時間ドラマよりもより高次元なサスペンスが楽しめますんで、ぜひ映画館にて堪能してくだされ。

さて、本作は三面記事なんて軽薄なカンジでゆわれる、ようある市井の恋愛スキャンダルをば原作にしてはります。本作のネタは、リチャード・フライシャー監督が「夢去りぬ」(1955年・アメリカ)で、ミロシュ・フォアマン監督が「ラグタイム」(1981年・アメリカ)で採り上げはりました。

リメイクとゆうたらリメイクかもしれまへんが、でもでんな、その2作とは根本的に違うとこが、約3ポインツほどござります。それは①主演女優の演技性②映画監督としての作家性③シメ方あたりでおます。

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①については、リュディヴィーヌ・サニエのネーさんの魅力どす。よう知らはらへん方もいてはるでしょうが、アイドル的なところと、映画的演技性をブレンドしはったような、どちらかと申せば、ハリウッド映画に似合いそうなネーさんどす。

「ピーター・パン」(2003年・アメリカ)でハリウッド映画にも出てはりました。気紛れスタイルの恋ゴコロを、みなはんにホンマに分かりやすいカンジで演じ抜いてはります。それでいて、フレンチ映画のアイドル系の系譜に入るような、演技も見せてくれはります。それができる美人はんでもあるしね。

②は、例えばイントロから、赤色着色の車の運転手視点映像を見せて、映画監督性を魅せはりま。

③はコメディ・リリーフ的な逸話を、ラストシーンに持ってきてはります。サスペンス、ミステリアスの決着部の緊張を、まるで癒やすような効果があるこのシーンは絶妙どしたえー。とにかく、本作はフレンチ・サスペンスの妙がござる作品でおました。

2011年3月19日 (土)

イギリス&アメリカ合作映画「わたしを離さないで」

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今より過去を舞台にしはった、SFラブ・ストーリーでおます

キャリー・マリガンちゃん、キーラ・ナイトレイちゃん、アンドリュー・ガーフィールド君の三角関係ほかが、実にビミョーにしてミステリアスに展開しよります

http://www.wata-hana.jp/

マーチ3月の26日サタデーから、全国ロードショーだす。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、TOHOシネマズなんば。京都・TOHOシネマズ二条やら、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで上映でおます。

本作を配給しやはるのんは、20世紀フォックス映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 Twentieth Century Fox.

現在はイギリス人なんやけど、日本生まれの日本人でもある小説家、カズオ・イシグロのアニキの作品が原作となりよりました。カズオ・アニはイギリスらしい気品を備えたケッサク「日の名残り」(1993年製作・アメリカ映画)の原作者でもありま。

そんな彼の小説のディスコグラフィーでも、異色極まる原作作品が本作でおます。これまでの作品性と序盤は、そんなに変わらへんようなカンジなんやけど、本作は大きなナゾが隠されておます。

でも、そのナゾは前半で分かるようにはなってんねんけど、それがでんな、フツーっぽい、いわゆるマットウな恋愛映画スタイルで進行しよりまんので、ああ、よう考えたら、コレってSFやんとゆう認識が、実は最後まで見ても起こってまいらんのどすわ。いや、見ている人全員やなく、ボクチンは、ちゅうことなんどすけども…。

さらに、ようよう考えてみたら、コレが結局は不条理SF映画になっとるんですわ。「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)とか「惑星ソラリス」(1972年・ソ連)とか、最近でゆうたら「ミスター・ノーバディ」(後日、分析いたします)なんかの系譜に、入れるべき作品になっとるのんが、妙に不可思議感を抱かせよりました。

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なんでかと申しますと、SF映画とゆうのんはフツーは未来が舞台になりまっしゃろ。ところが、コレはでんな、1974年→1985年→1994年とゆうように、話が進みましてな、1994年でエンド・マークを迎えよるんどす。それに、この1994年サイドは「終了」なんてゆうイミシンな区分けになっとりま。

ボクチンは見ている間は、フツーの三角関係入りの青春ラブ・ストーリーとして、楽しんでおったんどすが、コレがなんとまあー、後半に入りますと、メッチャブルージーな成り行きとなってまいります。しかし、この3人はんどすけども、その暗い運命を素直に受け入れはるんでおます。泣かせよります。たまりまへん。

「17歳の肖像」(2010年4月8日付けで分析)でも、可哀相やったキャリー・マリガンちゃんが、本作ではその弱々しさが一層際立っております。キャリーちゃんの友達役で彼氏を巡って、ゆるめの三角関係にならはるキーラ・ナイトレイちゃん。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(第1弾は2003年・アメリカ)並みに強気な女を演じはるんやけど、やっぱ最後は、ホンマに可哀相やん。

その彼氏役には、草食人間系の演技が似合う、アンドリュー・ガーフィールド君が扮しはりました。「ソーシャル・ネットワーク」(2010年12月25日付けで分析)にも出てはりましたけども、この方も弱者演技を、まるで自然体のように演じはりました。

大ベテランのシャーロット・ランプリングはんのシブ~い演技、海などの自然描写の冷えたような感覚、そして映画タイトルとなった、オールディーズっぽい名曲「わたしを離さないで」の哀愁感など、悲しい映画をより一層悲しく見せる効果がござりました。みなさんも、映画館でせいだい泣いておくんなはれ。

2011年3月18日 (金)

アニメ映画「攻殻機動隊 S.A.C SOLID STATE SOCIETY 3D」

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「ネットってすごい」と、ヒロインに言わせはる、電脳化体験がモノゴッツーな作品となりよりました

そないやさかい、3Dアニメの可能性を追究しはった会心作でおます

http://www.ph9.jp/

マーチ3月の26日サタデーから、大阪・梅田ブルク7、T・ジョイ京都やらで、全国各地イッセーの封切りでおます。

本作をば配給しやはるのんは、「プロダクション I.G」と「ティ・ジョイ」はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011  士郎正宗・Production I.G / 講談社・攻殻機動隊製作委員会

タイトルを見はって、ああ、それはDVDやらで見たからええわ、とおっしゃる方。たぶん、多いやろとは思いますが、本作は全編3Dにしはっただけやなく、新しく撮らはったとこがござります。

しかも、3Dにしたことで、かなりビビッドに目にきよります。そやから、「攻殻」ファンやマニアには、当然ドーンと胸にくるはずですねん。

一方で、「攻殻」なんて知らんでーとゆう方に。既にイロイロとDVD化されておますんで、まずはそれらをば、ツタヤやらで借りて見ておくんなはれ。

3D化された本作は、シリーズの第3弾っちゅうことになっとりますんで、1作目・2作目と見はって、こらオモロイやんとなりますれば、ぜひとも3作目の本作は、映画館で見ておくんなはれ。きっとええ映画体験ができるハズでおます。

「マトリックス」シリーズ(1999年・2003年製作2作・全3作・アメリカ映画)などに影響を与えたとゆわれておますコレどすが、改めて見ますと、なるほどなーとなりよりました。

簡単に言いまするに、公安チームのアクション、サスペンス、ミステリーが展開するとゆうお話どす。まあ、大げさかもしれんけど、「スター・ウォーズ」(1977年・アメリカ)と「相棒」を合体したようなカンジでおましょうか。しかも、押井守監督的なとこはモチ、「AKIRA」(1988年・日本)やら「サマーウォーズ」(2009年・日本)やらともシンクロするとこがござります。

でもって、本作のおっきなポイントとなりまんのは、現代的な問題に臆することなく、次々に描き込んでくるところだす。本作の場合は、少子・高齢化問題に焦点が当たっておます。

コドモたちの誘拐と、老人たちの思惑がビミョーなカタチでリンクしてゆきよります。テロリストたちが次々に自殺してゆくシーンは、あくまで序章にすぎまへん。そして、ボクチンが個人的に魅了されたんは、約3ポインツでおます。

①元公安やったとゆう、少佐・ヒロインのキャラ造形ぶり。この方は最初は犯人サイドやと思われますが、個人的に捜査し、ストイックに真相を探っていく行動ぶりにはメッチャ魅了されま。いろんな男たちのキャラもええんやけど、本作では彼女がイチバン輝いて見えよりました。

②色使いどす。薄い色にして、影などダークな配色をメインにしてはります。それでいて、ブルーと雲を微細に描き込まれた空やら、電脳シーンでは薄グリーンを基調に、目に優しい色使いをしてはります。

③菅野よう子ネーさんのサウンドトラックどす。最初はデジタル、打ち込み、リズムボックスな音を流さはるんやけど、シンセなファンキー、ハードロック調、でもってシメは、ダンサブルなエレクトロ・ポップロック。サスペンスフルなドラマにグググイッと入り込めました。

見出しにも書きましたが、トンデモ電脳化体験ができる、3Dアニメのケッサクどすえー。

2011年3月17日 (木)

多国籍アジア映画「マジック&ロス」

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本作のプロデューサー兼主演女優やらはった、杉野希妃ネーさん。3日連続にて登場でおます

「息もできない」の監督・主演ヤン・イクチュンのアニキと、同じく主演女優のキム・コッピちゃんが、巧緻なアンサンブル演技をば披露しはりました

http://www.magicandloss.com/

「大阪アジアン映画祭2011」でプレミア上映のあと、11月5日から東京・池袋シネマ・ロザ、でもって、関西やったら、師走12月5日の土曜日から、大阪シネ・ヌーヴォやらで、全国順グリのロードショーどすえ。

本作をば配給しやはるのんは、「和エンタテインメント」はんと「シネグーリオ」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Magic and Loss Film Partners

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まずは前振りといたしまして、杉野希妃(キキ)ネーさんの談話どす。

「去年、本作のリム・カーワイ監督(マレーシア出身の監督はんでおます)と、ジャック・ロジェ監督作品の特集上映を観にいったんですよ。その時に、アジアのガールズ・バカンス映画なんて撮ったら面白いんじゃないのって話になり、本作を製作するそもそもの始まりとなりました。香港のアイランドをロケーション地に選んだんだけど、そこは自殺の名所らしくて、気が重くなっちゃって、プレッシャーが掛かるような場所だなと思いました。『息もできない』(2008年製作・韓国映画)の2人とは、釜山国際映画祭で出会いまして、ヤン・イクチュンさんには、『バカンスのつもりで来ない?』って誘ったら、『イクイク』って快い返事をもらったんです」

●てなわけでおまして、ココからがボクチンの分析批評でおます。

監督はイクチュンのアニキの、妄想ドラマやとゆうてはります。なるほど、そういう風に見てみると、確かにそうやも分かりまへん。男の妄想映画なんて、日活ロマンポルノをはじめ、これまでにいっぱいござります。でも、本作はそういう妄想系映画をカンジさせへん、多彩な作り込みをばしてはりま。

日本と韓国の2人の主演女優のカラダが入れ替わり、でもって、また元に戻るなんてエピソードどすが、「転校生」(1982年)「秘密」(1999年)「四日間の奇蹟」(2005年)などの日本映画で採り上げられたもんどすけども、それはあくまで映画の1ポイントにすぎまへん。

ボクチンが勝手に思う新しどころを、約3ポインツほど披露してみまひょか。

①希妃ネーがゆうてはるバカンス・リゾート・ムービーなんやけど、そのスタイルでいくように見せといて、2人の女のラブへと向かうカンジ。

②ホラー・モード、ミステリアス・モードが終始カンジられよります。

③2010年のカンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールをゲットした「ブンミおじさんの森」(今年2月9日付けで分析)とのシンクロナイズぶりどす。

①については、クライマックスの2人のセックス・シーンはホンマ、エロかったでおます。希妃ネーさんのオッパイも見えてるかも?

②としては、川の瀬せらぎ、風に揺れる木々、森の全景などを短カット編集し、ポイントとなる滝での短カットには、唯一のサントラかと思われるチェロを流しはります。

一方で、2分から3分くらいの長回しの撮影シーンを多投してはるんどす。暗い店で2人が向かい合って、やがて1つの真相に到達するシークエンスやら、ダブルベッドをポイントにした2人の部屋内での様子やら、イロイロとミステリー色に拍車を掛けるシーンがござります。ラストなんかは、完全に「リング」(1998年)やしね。

③でおますが、「ブンミおじさんの森」はタイ映画ながら、本作と同じく多国籍、多数の国々からの出資を経て、出来上がっておます。

まあ、それは表面的なことで、作品性とは関係ありまへんねんけども、でも、この2作はよう似ておるんですよ。2作とも見はって、ぜひその相似性をご確認くだされ。

2011年3月16日 (水)

「歓待」のメイキング・ドキュ「少年少女」

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メイキングのつもりが、意外な方向へ話が展開しよりました

「歓待」出演の子役・オノエリコちゃんの、ひと夏のカワユ~イ恋が描かれましたでー

http://www.kantai-hospitalite.com/(「歓待」の公式ホームページ)

http://www.oaff.jp/

「大阪アジアン映画祭2011」で上映後、公開待機作品となりよりま。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2011 WA ENTERTAINMENT INC

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本作のプロデューサーは、昨日分析した「歓待」の主演女優にしてプロデューサーの杉野希妃(キキ)ネーさんでおます。希妃ネーは「メイキングなんだけど、監督(太田信吾)には、あなたが感じたことを自由に撮ってください」とゆわはったそうどす。

「コドモたちに焦点を当てて、現場のなかで大人たちと対比させて、監督がコドモの目線で追っていったら、こんなカンジになりました。『歓待』の裏側ではあるんだけど、今回はコドモたちに凄く癒やされたんですよ。天使のような存在でした」と続ける。

希妃ネーの言葉を前振りにいたしましたが、本作は、メイキングやらドキュメンタリーを撮っていたら、いつの間にやら、意外な方向へと話が進行し、でもって最終的には、淡~いカワユ~イひと夏の恋の映画が、こんがりと出来上がったとゆう映画なんどすわ。

ドキュメンタリーとゆうのんは、何が起こるやら分かりまへん。今村昌平監督のドキュ・ドラマ映画「人間蒸発」(1967年製作)以来、ホンマに台本通りにはいかず、でもって、いかなかったことが幸いして、快作になるとゆうのんが、ドキュ映画のおもろいとこでおます。

「歓待」に出演するために、ロケ現場の墨田区の印刷屋はんに、オノエリコちゃん(映画スチール中央・写真2枚目・2010年7月当時5歳)が通てはります。待ち時間がメッチャありま。そんな時に、印刷屋の近所に住む男の子(写真左)と、遊び友達として仲良くならはりまんねん。さらに、印刷屋一家のお孫はんの嬢ちゃん(写真右)が時々、加わらはりま。

とにかく、この少年少女たちの言動ぶりや遊びぶりやらが、フツーやったらホームビデオになりかねへんのに、自然体演技の持続で、そして、それを映画的な切り取り方を駆使しはって、ホンマモンの映画にしはりました。しかも、メイキング・ドキュ映画の枠を超えた、ケッサクにしはったんどすえー。

ナンチューても1番の魅力は、「Dr.スランプアラレちゃん」みたいなオノエリコちゃんの、ウルウル系の自然体でおます。「女優よりウサギになりたい」とかの、かわいらしい発言から、「彼が好き。彼みたいな優しい人は周りにいない」なんて大マジに答えたり…。

それらのシーンを少年少女の行動のままに、2分、3分と長回し撮影していくのも、コドモたちの素を捉える意味でも正解やったと思います。2人の恋の行方はどないなるんか、ハラハラするとこもありま。

「歓待」がクランクアップし、日常生活に戻った下町のカットの「男はつらいよ」(1969年~1995年)的風景でシメるとこも、ええカンジどした。

さて、今はオノエリコ・エリちゃんは、少年のことをどない思てるんやろ。希妃ネーが代わりに聞いてくれはりました。その答えは→「ちょっとだけよ」。

2011年3月15日 (火)

ニッポン映画「歓待」会見&分析批評

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主演女優にしてプロデューサーの杉野希妃ネーさん、監督の深田晃司アニキやらに聞きよりましたで~

東京下町を描く「寅さん」みたいなカンジに見せつつ、ドッカ~ンと最後にひっくり返す作りが、ある意味クセになる逸品どすえー

http://www.kantai-hospitalite.com/

http://www.oaff.jp/

エイプリル4月の23日サタデーから、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショーをばヤラかしま。

大阪やったら、テアトル梅田やらで近日に上映しはります。

本作をば配給しやはるのんは、「和エンタテインメント」はんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 hospitalite Film Partners

まずは本作に関し、関係者の談話から入らせてもらいます。写真上は、左から監督、子役の5歳オノエリコちゃん(明日分析しますドキュ「少年少女」では、主演女優やでー、どんなもんやー)、杉野希妃(キキ、ひょっとしたら「魔女の宅急便」のキキかもな~)ネーさんどすえー。

●主演女優・杉野希妃ネーさん「プロデューサーもやってはいますが、演じてる時は演技に集中しています。監督に怒ったり、予算オーバーとか現場を早く終わらせなきゃとかでキレたりと、ある意味でプロデューサーは嫌われ役です。まあ、それはいいとしまして、なんでヒロインが夫と結婚したのかなのかは、描けば長くなっちゃうんで、脚本からはずしました。ナツキというヒロインの今を描き、夫と殴り合うシーンは、自分としてはナツキ役と対峙できたシーンでして、私としてはこの映画のイチバン印象的なシーンになったと思います」

●監督・深田晃司アニキ「ホンモノとは何か、ニセモノとは何か、ツギハギだらけの家族を通して描きました。今、私が描きたいもの、私の世界観として、人は孤独だとゆうことがあります。夫婦といっても赤の他人です。ある種2人が他人だと気づいた時に、それからどうやって生きていくのかが、この作品のポイントでもあります。イプセンの『人形の家』みたいに、夫婦であろうが、ヒロインが人は孤独なんだと気づくゾッとする瞬間。あのカンジでしょうか」

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さてはて、ここからが本作の分析批評でおます。変形家族ドラマ映画っちゅうのんは、21世紀になってからもイロイロと出てまいっておます。

思い返せば、「家族ゲーム」(1983年製作)やら「逆噴射家族」(1984年)やら「木村家の人びと」(1988年)やらが、日本映画の変形スタイルを意識的に作ってきはりました。

但し、それらの名作は少なくとも、キチンとした核家族なり、家族とゆう体裁がござりました。小津安二郎やら山田洋次監督らが撮り上げてきた家族映画の、変形バージョンを意図したこれらの名作群とは、ビミョーに違うとこが本作にはありま。

さらに21世紀の今を、取り込んだ作りにしてはるのんが、妙味でおます。コドモが2人もいてんのに、両親は女同士やとゆう「キッズ・オールライト」(アメリカ映画どすが、後日、分析いたします)など、かなり異能の家族ものも、これから出てまいりますけども、本作も変形ぶりをば遺憾なく発揮しはりました。

夫・後妻・前妻の娘・出戻った夫の姉とゆう4人家族のお話どす。

そこへ、夫のなあなあ主義で、侵入者が1人、2人と自宅に入ってきましてな、遂には、大人数でドッカ~ンときよりまんねん。

ああ、か弱い自然体の演技でいってはる希妃ネーさんは、一体どないしやはるねんとゆう、ボクチン的には、ハラハラドッキリコンでおました。

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東京スカイツリーについては、「理由」(2004年)で初めて、その存在が描かれよりましたが、その現在の墨田区の東京スカイツリーも映す、東京下町映画なんどす。

ほなら、寅さんみたいなアットホームな、下町人情が描かれよるんやろなーと思たら、それが大きくひっくり返されよります。

なんといっても、夫妻がやってる印刷屋に、住み込みで働くことになる“侵入者”の、寅さん的に見えて、よう見るとその正反対的存在となる、古舘寛治のアニキの怪演技ぶりやろなー。つまり、この方がいてへんかったら、ここまでのネジレ系にはならへんかったと思います。

食卓シーンやら歯磨きシーンやら、ある種家庭的な日常シーンが、いくつも出てくるんやけど、やはりコレまでの家族映画のノリとは違います。

でもって、1分から2分強にわたる長回し撮影が、いくつかござります。踊ってつながっての、大騒ぎの行進シーン、夫妻が平手打ちをやり合ってパンし、外人女がアカペラで歌を披露してるシーン、小鳥カゴをセンターに置いたラストシーンやら、ミニ長回し撮影シーンが印象的なシーンを作っておます。

日本映画の21世紀的家族ドラマのケッサクが、また1本誕生いたしました。

2011年3月14日 (月)

AV人間ドキュメンタリー「YOYOCHU SEXと代々木忠の世界」

Yoyochumain

AV監督人間の、多彩な作家性と人間性を見せてゆかはる人間ドキュでおます

愛染恭子のネーさん、田口トモロヲのアニキ、リリー・フランキー、鶴瓶のアニキまで、ある意味豪華な布陣どす

http://www.yoyochu.com

3月26日から大阪・第七藝術劇場、4月9日から神戸アートビレッジセンター、4月16日から京都みなみ会館やらで、全国順グリのロードショーでおます。

「R-18+」指定の本作を配給しやはるのんは、スターサンズはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 ゴールド・ビュー/スターサンズ/石岡正人

日本のポルノ映画史とゆうのんは、これまでにもいくつか作られた事例がござります。

でもって、なんでポルノ映画、ピンク映画とか、ブルー・フィルムなるもんが、登場してきたんかについては、長くなりますんではしょりますけども、1つの要因を簡単に以下に記しま。

①1950年代は、ゴールデン・ウイークの造語が作られるくらい、映画興行界が大繁栄しておました。

②しかし、1960年代に入りますと、テレビの家庭への普及で、金出してまで映画を見ようかっちゅう人が激減しよりました。

③そのため、それまで撮影所システムで作られた数多くの作品が、売れんようになりよりました。

④そこで、それ以外のみんなのココロをそそるべき作品とは何ぞやを、模索せんならんようになりよりました。

⑤1950年代に大ヒットした作品を多数送り出した新東宝はんどすが、1960年代に入りますと、大蔵映画(新東宝の社長はんが大蔵はんどした)なるもんに鞍替えしはりましてな、何とまあ、ヤラシーピンク映画をば作り始めはりました。

⑥その大蔵映画がそれなりに売れましたもんどすさかい、邦画メジャー5社(松竹・東宝・東映・日活・大映)が、お色気路線の可能性を、それなりに追求するカタチとなりよりました。

⑦でも、1970年代に入ると、大映が倒産しよりましてな、日活はんはあわてるように、日活ロマンポルノ路線の1本道へと進まはりま。他の3社は3社の路線を堅守してまいります。

Yoyochutsurube

チョイ省略系でも長(なご)うなりよりましたが、この路線に、AVというもんが出てくることで、いわゆるポルノとゆうカタチの映像業界は、大きな時代の転換期を迎えることとなりよるのどす。

そんななかで、映画からAVまで監督をし続けはり、オリジナリティーあるピンク映画・AVの世界をクリエイトし続けはった方が、代々木忠監督はんでおます。

1960年代には若松孝二監督がいてはったし、1980年代のAV台頭時代には、村西とおる監督が人気でおました。でもって、1990年代後半以降には、法律破りの裏ビデオなるもんが出現し、ポルノやAVに監督としての作品性を出すことは、ますます不可能な状況となりよりました。

しかし、本作はそれでも、代々木忠監督の多彩な作品性へと肉迫し、ボクたちのココロをあおります。

主演の男女2人をずっと一緒にいさせて、恋人たちとしてのメイキングをしてから本番撮りに入ったり、女子高生芸者もの、性感マッサージものなど、それまでにないものへ目を向けたりしてはりま。ほかにも、斬新なとこはいくつも披露されまんので、じっくりと見ておくんなはれ。

1960年代から日本の、ハードコアを追究してきはった武智鉄二監督。彼の「白昼夢(はくじつむ)」(1981年製作)やらボクチン的には、エライはまってもうたんどすが、その作品に出てはった、本番女優で有名な愛染恭子ネーさんの、代々木監督への思い。さらに、鶴瓶はんやらの思い。

大真面目なナレーションを披露しはる田口トモロヲのアニキ、リリー・フランキーのアニキが書いた題字やらも、ええカンジでおました。

2011年3月13日 (日)

青春ニッポン映画「ランウェイ☆ビート」

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高校生のチーム青春ものに、新しどころが登場しよります

え!? なんやてえ~、オートクチュールがどうたらこうたらやて、そんなアホなー

高校生・学園もので、ファッション・ショーの根性モンやて、そんなん初めてやんなー

http://www.runbea.jp/

マーチ3月19日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは松竹はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「ランウェイ☆ビート」製作委員会

高校生たちの青春ものやなんて、まあ、イロイロありますわね。

このところ、どういうわけか、学園ものでも高校生ものの映画を論じることが多うござりました。「嘘つきミーくんと壊れたマーちゃん」(今年1月2日付けで分析)、「高校デビュー」(2月19日付け)、「ギャングスタ」(2月25日付け)やらで、イロイロ勝手なことをばゆうてきよりました。

本作は、この3つの作品性にはないとこを採り上げてはるんです。ひと口に高校生学園映画とゆうても、ホンマ、いろんなんがあるっちゅうことでおます。基本的には、みんなで何かをやる青春団体チームもんでおます。

文科系やったら「スウィングガールズ」(2004年製作)、体育会系やったら「がんばっていきまっしょい」(1998年)やらがござります。

でも、本作はこれまでの部活系ものとは一線を画さはる、なんちゅーの、オートクチュールなファッション系でいこうやなんて、そんなん今までにあったやろかな~。これまでにないようなもんどすさかい、作り方には嚆矢たるべき慎重で緻密さが、必要とされるとボクは思います。

しかし、本作はアパレル産業部の描写に説得力がなかったり、高校生たちが1人の転校生によって、鼓舞され変わってゆくとゆう古典的スタイルを採りながらも、細部のリアリティーやら流れが悪かったりしよります。たぶん、コレらは初ものなだけに、見る側にある種の戸惑いみたいなんを、敷いてまうようなとこがあるからやもしれまへん。

そんななかでも、特筆すべきとこやボクチンが心奪われたとこは、いくつかありま。ファンモンことファンキーモンキーベイビーズの、映画タイトルと同名の8ビート・ポップロック・ナンバーが、スローから始まる高校生ファッション・ショーの街頭PRシーンに使われていて、見事にハマッておました。

でもって、メインの5人のなかでも、やはり桜庭ななみチャンには、ボクが男やからかもしれまへんが、癒やされよりました。

「寅さん」的な東京・下町が舞台になっとりますが、ななみチャンのナレーションから始まる、桜庭ならぬ桜のシーンから始まりまして、桜の花びらを、5人の手を合わせた、☆形に見立てるカットで終わるとゆう作りに、全部見終わってからハッとしよりました。

「もっともっと輝く自分を見つけた」なんてゆう、究極のコトバとも取れるセリフを吐いたりと、アイドル映画としてもいけまっせー。モチ、女性なら、主人公役の瀬戸康史クンやら田中圭クンに魅了されはることでおましょう。

大谷健太郎監督的には、水泳ラブの「ラフ ROUGH」(2006年)のノリがあるように思いました。クライマックスのショー・シーンは大いなる見どころどすえ。

2011年3月12日 (土)

ボクシング家族映画「ザ・ファイター」

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主人公マーク・ウォールバーグの兄役クリスチャン・ベールのアニキと、兄弟のママ役メリッサ・レオ姉さんが、本年度アカデミー賞で男女各助演賞をゲッティングやでー

実話で真っ直ぐなボクシング映画にして、兄弟のキズナ、家族のキズナがココロにクル映画でおます

http://thefighter.gaga.ne.jp

マーチ3月の26日サタデーから、東京・丸の内ピカデリーやら、大阪・梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのんは、ギャガはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 RELATIVITY MEDIA. ALL RIGHTS RESERVED.

製作にも関わらはった、主演マーク・ウォールバーグのアニキなんやけど、本作ではマットウな演技披露やったためか、アカデミー賞には残念ながらノミネートされはりまへんどした。

でも、助演とならはる、クリスチャン・ベールのアニキとメリッサ・レオのネーさんが、それぞれ助演賞をばゲットしはりました。エイミー・アダムスちゃんもノミニーされてはったけど、メリッサのネーさんにヤラれました。

ヤラれるのには、それなりに理由がござります。マトモなヒーロー的主人公やら、自然体な演技とかは、実は最近のアカデミー賞では苦戦しております。

実在の人物とゆうのも多いんどすけども、なかでもエキセントリックやったり、異質なキャラクター演技に、演技賞が集中しておます。

本作を見てみた場合、受賞しはった2人は、突出したカタチで特異性を出してはります。奇怪にも見えるベール・アニキの演技ぶりは、エキセントリックとゆうよりは狂的どす。相当、実在の人物を研究しはり役作りしはったらしいんやけど、コレがバッチリ決まっておます。

役作りのために、実際にその役柄の職業に就いて実体験追究しはった、かつてのロバート・デ・ニーロのような凄みをカンジよりました。

一方のメリッサ姉さん。だんなと、9人の大人になってるコドモたち(男2人女7人)と、暮らしてはるオカン役。このオカンが、わが息子たち、兄弟のボクシングへの夢を強力サポートしはります。

それも、ハンパやおまへん。オトンがかすむくらいのステージ・ママぶりを、見ているこちらがグラグラするくらいの、怪演技で魅せてくれはるんどすえ。しょっちゅうタバコ・スパスパのシーンを始め、けだるい演技ぶりにもハマりま。

でもって、本作は、これまでいくつも出てきたボクシング映画に加え、兄弟を始めとした家族のキズナ映画をドッキングさせはって、恋愛映画との融和を果たした「ロッキー」(1976年製作・アメリカ映画)と、優るとも劣らへん仕上がりになりました。

兄弟、兄弟と母のやりとりシーンは、いくつもの印象的なシーンを構築してはります。

一方で、ボクシング映画らしい骨太の魅力も全開でおます。

サントラ使いも、「ロッキー」シリーズが使った「アイ・オブ・ザ・タイガー」みたいな、攻撃的・戦闘的なロック・チューンを流し続けてあおらはります。

ボクチンが凄く震えたのは、ワンシーン以外はスロー・モーションを使わず、ガチンコ勝負の試合シーンを描き続けた点どした。そやから、モノゴッツーな臨場感、リアル感がありまんねん。

本作と同じく実話ものやった「ALI アリ」(2001年・アメリカ)やら「シンデレラマン」(2005年・アメリカ)やらに、優るような作品になったかと思いよります。

2011年3月11日 (金)

アメリカン映画「ザ・ライト-エクソシストの真実-」

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●東日本大震災の影響によりまして、本作は公開延期となっとりましたが、4月9日からの全国公開が決定いたしました。

「エクソシスト」のオールド・ファンも、今どきのサスペンス映画ファンも、魅了するハズの映画どすえー

「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンスはんが、イケメン俳優のコリン・オドノヒュー君やらを調教しはりま

http://www.ritemovie.jp/

マーチ3月19日サタデーから、東京・丸の内ルーブルやら、大阪・梅田ブルク7やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、ワーナー・ブラザース映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

エクソシスト映画の新しどころを出さはった映画でおます。そもそもエクソシストてなんやねんなんやけど、悪魔に憑依された人々の悪魔を、退治しやはる職業の神父はんどす。

しかもでんな、そんな「エクソシスト」のメリン神父みたいな方が、この世にはそれなりに実在してはるんどすえー。え~、そんなアホな~なんやけど、ホンマに悪魔はいるし、悪魔に憑かれる方もホンマにいてはるんやてー。

そないなもんどすさかい、本作は実話をベースにしてはります。「エクソシスト」シリーズ(1973年・1977年・1990年・2004年製作・アメリカ映画)にビビリまくっとったボクチンとしては、実話系のエクソシスト映画なんて、チョイ信じられまへんどした。でも、ホンマに、現在進行形であるんどすわ。

観客をビビらせるショッカーもあるんやけど、怖がらせるホラー・スタイルよりも、サスペンス色、そしてミステリー色が濃いめに描かれておます。クライマックスではアクション・シーンもあるんで、お楽しみくだされ。

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冒頭から、葬儀屋の死体処理シーンから始まりま。いわゆる、死体を整える仕事をやってはるシーンでおまして「おくりびと」(2009年・日本)をモロに思い出させはるんやけど、チョコッと意識してはるようには思いました。しかし、基本となる話には、ほとんど関係ござりまへん。

主人公役コリン・オドノヒュー君は、葬儀屋の父の跡を継がずに、神父になろうとしはります。さらに、エクソシストの存在を信じられず、それをマジに教える学校へ行き、でもって、それを実際にやってはる方について、エクソシストの現場に立ち合わはるんでおますよ。

ローマ・ロケによる名所シーンを散りばめつつ、エクソシスト役のアンソニー・ホプキンスはんと、コリン君の出会い、でもって、その実践編から、本作はガゼン面白くなってまいります。

カエルと猫を飼ってはる、このホプキンスはんのキャラ作りはなかなかのもんでおます。大マジにやらはる患者との憑き物落としシーンは、どない見てもフィクションにしか見えへんねんけど、実際あったらしいですわ。コリン君もボクチンといっしょで、信じはりまへん。

ホプキンスはんとコリン君のやり取り、ほんでもって、現実か幻覚かっちゅうシーンの積み重ねの末に展開する、クライマックス・シーンにはヤラレましたがな。久々に、ホプキンスはんの多層感ある渋演を見させてもらいました。よかったどす。

2011年3月10日 (木)

サム・メンデス監督作品「お家をさがそう」

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映画監督としてはロードムービー映画は、どうやら1度は撮りたいテーマなんやないやろかな

夫婦のロードムービーは意外と少ないねんけど、本作の源流はビミョーなとこにありま

http://www.ddp-movie.jp/ouchi

マーチ3月19日サタデーから、大阪・テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作の配給は、フェイス・トゥ・フェイスはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

ロードムービー映画の1本が、アメリカから登場しよります。アメリカといえば、ロードムービー映画の宝庫でおます。しかも、ロードムービー映画のルーツ国でもありま。

でもってここで、ボクチンのロードムービー映画のベストスリーをば、チョイ披露しよりますと…。①イージー・ライダー(1969年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)②ペーパー・ムーン(1973年)③スケアクロウ(1973年)→とゆうことで、①③とアメリカン・ニューシネマを、2本も選択してしまいました。

但しでんな、このニューシネマ系の映画とゆうのんは、ロードムービーが1つの大きなポイントにもなっておました。本作は夫婦でロードしはります。しかも、妻は妊娠してはります。

こういうタイプの映画、つまり、夫婦2人がロードムービーしてゆくような映画とゆうのんは、意外にも少ないかなと思いました。

「シマロン」(1930年)やら、日本では「死にゆく妻との旅路」(今年2月16日付けで分析)なんぞもありますが、でも、しかし、本作はアメリカをカンジさせはるアメリカ映画でおます。アメリカン・ニューシネマな感覚もモチありますし、「シマロン」と同じく、アカデミー賞作品賞をゲットしはった「或る夜の出来事」(1934年)なんぞの雰囲気もござります。

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見出しにも書きよりましたが、映画監督になればロードムービー映画を生涯に1度は撮りたいと、思わはるんやないかいなと思ったのには、理由がありま。実は映画作りにおいては、難易度の非常に高いジャンルなんでおます。

ともすると、ゆく先々で出会う人たちとのエピソードが、散漫な印象を与えてしもたりします。また、追逃走劇のようなカタチになりますと、アクションがパターン化しがちどすしね。演出・脚本・ロケ撮影など各スタッフやらが、最もその映画的才能ぶりが試されるジャンルなんでおますよ。

そして本作どすが、夫婦映画としてのメイン・ポイントだけやなく、各地での人々との絡みがオモロイものとなりよりました。主人公・ヒロインの夫妻はめっちゃマトモなんやけど、このアウェイに出てきはる約3組は、ほとんどがネジレ系の夫妻たちでおます。そやからでんな、マトモとネジレが絡み合って、異質なるドラマが要所要所で紡がれよるんですわ。

「ロード・トゥ・パーディション」(2002年)やらで、一部ロード・スタイルを採ってはったけれど、サム・メンデス監督的には、初の本格的ロードムービーでおます。気合の入った、必見の1本どすえー。

2011年3月 9日 (水)

「ヨギ&ブーブー わんぱく大作戦」

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●本作は、東日本大震災の被害状況を鑑みまして、公開中止となりよりました。

動物コメディのアニメ&実写映画の、ルーツ的な優しさに回帰したファミリー映画でおます

ディズニーの「くまのプーさん」と同じく、良質印の快作どすえー

http://www.yogimovie.jp/

エイプリル4月の2日サタデーから、東京のワーナー・マイカル・シネマズ板橋やら、大阪のワーナー・マイカル・シネマズ茨木ほか、全国各地イッセーのロードショーでおます。3D、2D、字幕版・吹替版と、よりどりミドリの公開どす。

本作を配給しやはるのは、ワーナー・ブラザース映画はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

本日からアメリカ映画を、数日にわたりよりまして紹介分析いたします。

動物アニメやら、動物映画の実写版やらは、これまでに仰山(ぎょうさん)作られてまいりました。動物系の実写とアニメのミキシングとゆうのんも、それなりに出てきておます。

しかし、本作は、動物ものを撮ろうとした原点に、返って作ってきはったような、優しさを伝える姿勢やら、家族一同で楽しめるような作りなどが、エエ感じなんどすわ。

全米テレビ・ドラマでは、動物コメディ・アニメとして1958年に、このヨギとブーブーは生まれ落ちておます。その後、2頭のスピンオフ企画やら、映画化がありよりまして、全米では、1家にこの1本みたいな、国民的な人気をば獲得してはりま。

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なんチューても本作の魅力は、ヨギとブーブー、この2頭のクマ・キャラのオモロサ、でもって、漫才的な相棒ぶりでおましょう。

まずは、ネクタイを締めて、頭が良くて、人語ペラペラのヨギちゃん。「ゴーストバスターズ」(1984年製作・アメリカ映画)のダン・エイクロイドはんが、声をば担当してはります。太いシブい声が妙に、ドラマを引き締めておるんどす。

一方の相方のブーブーちゃん。「シュレック3」(2007年・アメリカ)で声優やらはり、「ソーシャル・ネットワーク」(2010年12月25日に分析済み)では、タイトでカッコイイ演技をば見せてくれはった、本業は歌手のジャスティン・ティンバーレイクのアニキが声担当をしてはります。

控えめで、おどおどしたような声演技は、まさに、ダン・エイクロイドはんの声と絶妙にして、対比と対応効果がバツグンでおますよ。

でもって、ロープ・アクト、花火を爆弾に見立てた戦争映画的シーン、写真のグライダー・スカイ・アクト、激流の河でのスリリングなアクトやら、イロイロと思う存分に楽しませてくれはるんどすえー。

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そういうなかでも、本作はいろんな名作へと、パロディ的アプローチを繰り出してはります。直接的に出る「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)。満月をバックにグライダーが飛ぶ、自転車の「E.T.」(1982年・アメリカ)へのパロ。

環境破壊部のところでは、「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994年・日本)も思い出されよります。ほかに日本のアニメでは、「となりのトトロ」(1988年・日本)から、「ドラえもん」まで想起させはります。

よう考えてみたら、「ドラえもん」と本作のヨギちゃんは何やら、よう似てはるように思いまっせー。モチ、ディズニーの「くまのプーさん」もしかり。ファミリーみんなで見にいくべき、良質印の作品でおます。

2011年3月 8日 (火)

香港バイオレンス映画「ドリーム・ホーム」

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香港映画でこんだけエゲツナイ作品やなんて、これまでに日本で公開されよったでおましょうか?

殺人方法もこれまた、これまでにあれへんようなエグイやつのオンパレードどっせー~、アー、どないショー

http://www.dreamhome-movie.com/

http://www.oaff.jp/

「大阪アジアン映画祭2011」として、3月10日の木曜日・午後4時20分から、大阪・ABCホールにて。続きましては、3月12日の土曜日・午後4時30分から、大阪のシネ・ヌーヴォにて、公開前プレミア上映でおます。

両日共に上映後に、本作の監督パン・ホーチョンのアニキが、観客との質疑応答に答えはります。

でもって、皐月5月下旬から、東京・シアターN渋谷やらで全国順グリのロードショーどす。関西の映画館では6月4日から、シネ・ヌーヴォで公開されよりま。

「R-18」指定となった本作をば配給しやはるんは、ユナイテッド・エンタテインメントはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ852FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

タイトルから、穏やかなるホームドラマかいやーと思て見はったら、えらい目に遭う映画どすえー。ああ無情、アア、嗚呼、どうにもこうにも、トンデモネーえげつない作品が香港からやってまいりました。

昨日分析しよりました、韓国映画「ビー・デビル」も大がいヒドかったでおますが、こっちはそのヒドさも“理由なき犯罪度”もいや増しておるんどす。

写真だけ見て、おいおい“拷問サイト”か“SMプレー・サイト”かやなんて思わんとってくだされ。これは正真正銘の、まがうことなき映画でおます。念のためにゆうときま。

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香港映画に限らず、こんだけエグイのんは、今まで日本では公開されてきよりまへんどした。当然、映画倫理委員会の査定がおます。

「R-18」(18歳未満見ることならず)とか「R-15」(15歳未満ダメ)とか、いわゆる青少年・少女が見たら、道徳上よくないとか、ある者らは模倣犯やったろかーとかになるんで、規制してはるわけでおます。

映画を映画として見る。そういう環境作りとゆうのんは、なかなか難しいとこがあります。みなさんは、どないな風に考えておられるでしょうか。

聞くところでは、青少年の犯罪が多いアメリカでは、日本よりさらに厳しい規制が敷かれているとのことどすえ。

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さてはて、本作の話へと戻りまひょか。「ビー・デビル」と同じく、女シリアルキラーのお話でおます。

ヒロイン像は、昼間は銀行のOLやってはりまして、夜はカバン屋の店員どす。海辺の高級マンションに住みたくて、金貯めてはるんどす。ごくごくフツーのOLはんやんか、なんですが、この方が、マンションの部屋が空くようにと、その部屋の住人を殺し続けてゆかはるんどすわ。

しかも、これまでそうそう使われたことあれへんような、むごい殺し方を見せ続けはるんでおます。

一つ一つ具体的に例を出して、ゆうようなことはしまへんけども、なんでそんな殺し方をしなければならないのか、よう分からしまへんねん。それにでんな、警察は、これらのストレート過ぎる連続殺人を、よう検挙しやはらへんのどす。

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ああ、なるへそ、分かりましたがな。本作が日本初上陸作品となりよりました、パン・ホーチョン監督としてはでんな、新しいバイオレンスの方式を次々に披露したいとゆうのんが、頭んなかにあったやろと思います。

そやから、シリアルキラーを女にしたり、女ヒロインものにしたりは、あくまでエグイ新バイオレントを見せんがための、外向きの体裁にしかすぎないんでおますよ。

この大人しそうなOLがホンマに、180度違うむごたらしい殺人鬼に変貌できるんかいや。そのあたりの説得力ある描写はありまへん。その段差が“理由なき”に拍車を掛けはります。

バイオレンスを映画で見せるための方法論。本作はそれについて、深く考えさせてくれはる映画になったんやないかいなと思います。

2011年3月 7日 (月)

韓国バイオレンス映画「ビー・デビル」

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「黒い家」を超えた、女シリアルキラーが大暴れでおます

「チェイサー」でやられはったんを、倍返ししはったソ・ヨンヒのネーさんに注目しておくんなはれ

http://www.kingrecords.co.jp/bedevil/

弥生3月26日の土曜日から、東京・シアターN渋谷やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、4月から大阪・シネマート心斎橋やらで、過激に上映しやはります。

「R-18+」(18歳未満入場御法度)指定となった、本作をば配給しやはるのんは、キングレコードはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Boston Investments Co., Ltd. and Filma Pictures. All Rights Reserved.

アジア映画界では韓国映画は、「R-18+」指定もなんのその、怖いもの知らずで、次々にオトロシー作品をば作ってきてはります。

「オールド・ボーイ」(2003年製作)、「チェイサー」(2008年)、「悪魔を見た」(今年1月24日付けで分析)やらと、製作年代順に見ていきよりますと、あとになるにつれて、過激度合いがグングン上昇しよりまんので、どないもこないもござりまへん。

ホンマやったら、日本では上映不可能、なんてことにもなりかねんとこどすが、本作はどうにかこうにか、公開されよる運びとなりました。しかし、コイツが、トンデモネーヤツなんでおますわ。アラマ・ポテチンどころやござりまへん。

「悪魔を見た」とこでもボクは分析したんやけど、どこまで過激にやってまうんかとゆう「倫理」の問題について言いましたけども、コイツはさらに激熱度・バイオレンス度が増量しておます。

この激烈ぶりは、本作が原因とは必ずしも申せまへんが、明日分析しよります香港映画「ドリーム・ホーム」にも波及しておます。

ここまできてしもたら、もう何も言うコトバがござらんくらいなんでおますわ。香港・中国・日本やらアジア各国の作品には、ここまでエゲツナクやってまうとゆう映画は、これまでにもあったやも分かりまへんが、あまりにも過激すぎて、お蔵入りの憂き目に遭うことが、大がいやったんどすえー。

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さてはて、ことほどさようにドエライ作品をば、これからチョイ、ビビりつつも分析してみまひょか。

サラッとゆうと、女シリアルキラー(殺人鬼)のお話どす。ハリウッド映画には、こういう女殺人鬼ものはチョクチョクあるし、大竹しのぶはんが暴れはった「黒い家」(1999年・日本映画)が、個人的には女シリアル映画のマイ・ベストなんやけど、いやー、なんてゆうたらええんかな、それ以上にエグイ、エグ過ぎやでー。

しかも、孤島が主な舞台となりよりま。銀行のOLが、骨休めに故郷の島に帰らはったところ、幼なじみの女(ソ・ヨンヒのネーさん)と再会しはります。

でも、ヨンヒさんは、9人しか住んでへんこの島で、みんなからコキ使われたり、バカにされてはりま。その鬱屈した思いが、やがて積もり積もってでんな、大バクハツへと発展してまいります。

シリアルキラーものに多い、二重人格系のサイコ系やなく、徐々に殺人鬼性が増大してゆく、ネッチリしたプロセス描写には、説得力があります。こんな殺人鬼が突然変異的に、生まれてきよったとゆうカンジとは違うんですわ。

ヨンヒのネーさんが出てはった「チェイサー」では、男の殺人鬼にエライ目に遭わはったけど、それに対して思いっきし、仕返ししはったみたいなとこやけど、でも、ハンパやおまへん。取り扱いには、くれぐれもご注意めされ。

2011年3月 6日 (日)

「SP 革命篇 THE MOTION PICTURE」

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前・後篇に分かれた、フジテレビ・ドラマの劇場版は、これでしまい(終了)やとは思われまへんでー

室内シーンが多いけど、室内的アクション・シーンの魅せ方に、こだわらはった快作どすえー

http://www.sp-movie.com/

Twitter→http://www.SP_movie/

マーチ3月のサタデー12日から、全国東宝系劇場でイッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「SP」プロジェクトチーム

「SP 野望篇」(2010年10月16日付けで分析)に続く後編どすけども、3月5日、つまり昨日に、2話をつなぐ「革命前日」が、オンエアされよりました。

前編で見られた、堤真一アニキの挙動不審やら、香川照之アニキの狙いやら、堤アニキと岡田准一クンとの確執部やらが、すっきりかどうかは分かりまへんけども、いちおう決着を見ます。

でも、これでしまいやなんてカンジがしよりまへんので、まだまだ続編が作られるやも分かりまへんで。

さてはて、アメリカのシークレット・サービスともいえるSPチームが、国会を占拠してテロイズムをみせるっちゅう映画なんやけど、自衛隊がクーデターを起こす設定やった「皇帝のいない八月」(1978年製作・日本映画)と比べてみると…。

室内劇がメインになる展開は一緒やとは思うけど、こっちは室内アクションの見せ方に、相当なインパクトがござりました。室内劇にありがちな、人によっては退屈になるやもしれへん、会話劇の応酬がほとんどなく、それでいてアクションやらいろんなサプライズを入れて、ボクらをあおってくれはるんどす。

室内格闘シーンやら、スローモーを入れた銃撃シーンやら、近接撮影を中心に臨場感を追究しはりました。特にキョーレツやったんは、クライマックスでの堤VS岡田のシークエンスでおます。

お互いに拳銃を持ち合っての、格闘する接近戦から始まるんやけど、このあたりの描写なんか、めっちゃリアリティーに徹してはりました。ともすると都合上、簡単にやられてしまうシーンが多いのどすが、この応酬シーンは、この映画のハイライトやと思いましたし、これまでのハリウッド映画にもないところどす。

ネタバレはせんようにいいますと、前編を見はったほとんどの方が、満足できるハズのサプライズが用意されておます。でもって、本作はいろんな映画的こだわりを示してはります。約3ポインツくらいに絞って言いますと…。

①昨年は日本映画興行史上最大の興行収入を挙げましたけども、本作は日本の映画黄金時代の1950年代にいっぱいござりました、前編・後編に分けて公開する作品どす。このスタイルは、今後も活性化するやもしれまへん。

②色使いなんやけど、ハリウッドの映像スタジオ「テクニカラー」が、カラーグレーディング技術なる高等技術をば、披露しはったとゆうことどす。つまり、ハリウッド映画を見ているような色使いになっとるんどすわ。

③映画的には縁の下の力持ちになるんやけど、サントラにも注目しておくんなはれ。木管楽器をあえてはずして、構築したとゆうサントラ使い。ドライでクールなカンジを、緻密に作り上げてはります。

とゆうことで、前編を超える出来になったかと思いま。

2011年3月 5日 (土)

中国・香港合作アクション映画「孫文の義士団」

「HERO」や「レッドクリフ」らに対し、復権を懸けた香港アクションが大バクハツやでー

新「十三人の刺客」並みに、1時間にわたる大乱闘が展開どすえー

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http://sonbun.gaga.ne.jp/

エイプリル4月の16日サタデーから、東京・「シネマスクエアとうきゅう」やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

関西やったら、「大阪アジアン映画祭2011」(3月5日~3月13日)においてでんな、3月10日の午後7時から、大阪・ABCホールにてプレミア上映どす。

でもって、その後、4月のゴールデンウイークから、大阪・なんばパークスシネマ、109シネマズHAT神戸やらで、5月からはMOVIX京都やらで上映しはります。

「R-15+」指定の本作をば、配給しやはるのんは、ギャガはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2009 Cinema Popular Ltd. All Rights Reserved.

本日から4日間にわたり、アジア発の衝撃のアクション映画(本日の香港アクション・日本アクション「SP革命篇」・韓国シリアルキラーもの「ビー・デビル」・香港バイオレンス「ドリーム・ホーム」)をお届けいたします。

このところの香港アクション映画と申しますれば、ややピークをすぎてしもたようなとこがござりました。

アメリカ資本の入った中国映画「HERO」(2002年製作・中国映画)「LOVERS」(2004年・中国)、でもって、「レッドクリフ」2部作(2008年・中国&アメリカ)の大ヒットやらで、すっかり香港アクションは脇に追いやられてしもたカンジどした。

しかし、いつまでも、脇役に甘んじとるわけにはまいりまへんで。そして、ココに、孫文映画(大マジに孫文を描いた映画も、そういえばありましたわなー)にかこつけて、まさに、ワザトラマンとゆうてもええやも分かりまへん、香港アクションを思いっきりブチかまさはったんが、本作なんどすえー。

みなはんの香港アクションへのイメージってなんでっしゃろか。ブルース・リー? ジャッキー・チェン? ワイヤー・アクト? スロー・アクト? まあ、イロイロありますやろけど、本作は、ショウ・ブラザース製作映画より綿々と続いておます、剣劇アクトと肉体酷使の、格闘アクトをメインに展開してはります。つまり、香港アクトのルーツ的なとこで魅せはるのどす。

バクチで身を滅ぼしたドニー・イェン、ホームレスやってはるレオン・ライ、元から弱々しいニコラス・ツェーら、各アニキらは一般市民っちゅう設定どして、そんな人らが果たして何の練習もなしに、何人もを倒すようなアクションを披露できよるんか、少々問題もあるんやけど、ソレはソレ、ブッツケ本番も人間、火事場の馬鹿ヂカラなるもんもおますさかい、大目に見てやっておくんなはれ。

何はともあれ、本作はハリウッド映画並みの、それこそ馬鹿ヂカラを発揮してはりま。1906年の香港を再現する、大掛かりなオープンセット撮影しかり、往年のハリウッド・スター映画以上に、アップ・クローズアップを思いっきり映さはるし、ドカーンと大仰なオーケストラ・サウンドを流さはったり、イロイロでおます。

過去の作品とのシンクロについて申し述べよりますと、孫文が日本から香港に着いてからの、なだれるように連続する大アクション・シーンの数々は、見出しにも書きましたように、リメイク版「十三人の刺客」(2010年・日本)の大活劇に優るとも劣らへん迫力どす。

クライマックスの坂道を人力車が転がるシーンなど、「戦艦ポチョムキン」(1925年・ソ連)→「アンタッチャブル」(1987年・アメリカ)のセンスがござりました。

香港アクション大復活を目指して、意図的に作らはった作品やと思います。それだけに、その熱気がこっちにググーンと伝わってきよる作品になっておます。香港アクション映画のカルト系ベストとして、きっと後世に伝えられる作品になることでおましょう。

2011年3月 4日 (金)

ヒロイン韓国映画「大韓民国1%」

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女骨太系「G.I.ジェーン」の韓国映画版でおます

「JSA」のイ・ヨンエ姉さんと同じく、キリリ演技が際立った新人女優、イ・アイちゃんに注目やー

http://www.alcine-terran.com/rok/

マーチ3月の5日サタデーから、東京・シネマート新宿やら、シネマート銀座、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのんは、アルシネテランはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

みなはん、よう知ってはるかと思いますが、韓国では兵役ちゅうのんがござりましてな、スター男優やらが日々、入隊してはります。

そんな韓国軍隊に、女が入るやなんて、並大抵のことやござらんそうでおます。タイトルの1%とは、男99人社会に女が1人ちゅうことどす。

そんな女兵士に、新人のイ・アイちゃんが、どこまでもキリリと演じ抜かはりました。「JSA」(2000年製作・韓国映画)で演じはった、イ・ヨンエ姉さんみたいに、とゆうか、姉さん以上に出番も多いんで、そのキリリさは、本作のキモにもなるっちゅうような演技ぶりでおます。

さてはて、女兵士を描いた映画は、イロイロ出てきておます。デミ・ムーア姉さんがスキンヘッドで演じはった「G.I.ジェーン」(1997年・アメリカ)は、そんななかでも過酷な訓練ぶりが話題になりましたけども、本作もそれに肉迫するような衝撃シーンが連続しておます。特に、本作のクライマックスのインパクトは、今の韓朝状勢を反映しはりました。

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孤島での北との銃撃戦が展開しよります。このハイライト・シーンは、度肝を抜かれましたがな。でも、そこへ持っていくまでの描写も、稠密でおました。

イロイロなソースがある訓練の日々を、本編の半分近くも費やしてはります。そんななかでも、やはり胸キュンになるんは、イ・アイちゃんでおます。

最近の韓国映画では、それまでの韓国映画にはなかったような、ヒロイン像が登場しよります。韓流ドラマ的なラブ・ストーリー的タイプやコメディ・タイプは、今もそれなりに映画にも出よりますが、本作みたいな女兵士役なんて、韓国映画史ではおそらく初のヒロイン・キャラでおましょう。

この後、分析を予定しておます「ビー・デビル」なんぞも、女シリアル・キラーの凄まじさを打ち出して、ボクチン、度肝抜かれよりましたがな。

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そして、ゆうとかなあかんのは本作は、チョ・ミョンナム監督の遺作となったとゆうことどす。

コメディ「大胆な家族」(2005年・韓国)で、華々しく映画監督デビューしはったんやけど、2作目となる本作が遺作になるやなんて、ああ! 無情でおます。

でも、韓国のヒロイン映画の新しい地平を切り拓いた点は、ぜひとも記憶されるべきやと思います。

本作を通して思い出す映画はいっぱいありま。「シルミド」(2003年・韓国)はもちろんのこと、「愛と青春の旅だち」(1982年・アメリカ)やら、「プラトーン」(1986年・アメリカ)やら…。

おそらく生きてはったら、この後も本作みたいに、韓国映画方程式にないような作品をば、作らはったことでおましょう。哀悼を捧げます。合掌!!

2011年3月 3日 (木)

台湾の恋愛映画「台北の朝、僕は恋をする」

Taipei

「恋する惑星」ともシンクロナイズする、ラブ・ストーリーのそう快作やでー

エドワード・ヤン監督の鋭さ、ホウ・シャオシェン監督の素朴感が、ほどよくブレンドされておます

http://www.aurevoirtaipei.jp/

弥生3月の土曜12日から、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国各地順グリのロードショーどす。

本作を配給しやはるんは、ショウゲートはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Atom Cinema / greenskyfilms / All rights reserved

本作は台湾映画でおますが、アジア各国のラブ・ストーリーには、ビミョーな違いがありましてな、それを比較しよると、ケッコーオモロイんどすわ。

ウォン・カーウァイ監督の「恋する惑星」(1994年製作・香港映画)とか、香港ラブはオシャレな感覚。韓国ラブはベタな泣ける系。ミュージカルやらで大げさに、ラブを示さはるインド映画。一方で中国系ラブは、「初恋のきた道」(2000年・アメリカ&中国)みたいな純真・素朴感が主流になっとりま。でもって、日本映画は多彩にラブを展開してはります。

本作の台湾ラブはどないでおましょうか。実は、この台湾系は、香港系と中国系の中間色、ニュートラルみたいなカンジなんどすえー。それがよく分かるんが、本作でおます。

台湾出身の監督には、アン・リーみたいにハリウッドに進出して、バリバリやってはる監督もいてはりますけども、本作は、見出しにも書いておます通り、エドワード・ヤン監督(本作は故ヤン監督に、捧げられておます)作品と、ホウ・シャオシェン監督作品の2界の、中庸を得たような仕上がりなんですわ。それはまあ、香港ラブと中国ラブの合体みたいな作りなんどす。

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しかも本作は、ヴィム・ヴェンダース監督が製作総指揮で関わってはります。「パリ、テキサス」(1984年・フランス&西ドイツ)やら、彼のかつての名作の作品性とは、かなり違(ちご)ておますけども、それでもヴェンダース印なとこも、チビチビ見え隠れしておますよ。

前振りシーンはあるんやけど、本作は基本的には、ひと夜のエピソードを描いてはるんどす。ある意味においては、ひと夜を描いた群像青春映画「アメリカン・グラフィティ」(1973年・アメリカ)のノリがある映画でもござります。

3つくらいの話をシンクロさせてはるんやけど、メインは写真に写っておます、男女2人の逃走劇とラブ・ストーリーでありま。警察に疑われて追われるんやけど、その真犯人グループとの絡みもあるんで、ヤッカイでおます。

そんななかで、2人は踊ったり、「恋をするのはいいこと」なんて言いもって、恋をはぐくまはるんどす。追いかける側の刑事サイドの描写が、チョイ甘いとこもあるんやけど、この追・逃亡劇は、見ごたえ充分でおます。

夜のグリーンの照明使いやら、ピアノとバイオリンをメインにしたサントラ使いやら、作品性へとリンクする細部の描写もええカンジやしね。

なかでも、ボクチン的には、ヒロインのアンバー・クォちゃんに魅了されました。宮崎あおいチャンみたいなカンジの彼女。アイドル映画としてもいける作品でおました。アラマ・よろしおすえー。

2011年3月 2日 (水)

中国の裁判映画「再生の朝に-ある裁判官の選択-」

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あらま、珍しやーでおます、中国のリーガル・サスペンスやでー

映画的照明やらサントラを控えめにしはった、カゲリある静かな演出ぶりが、中国の陰陽道を示さはる問題作どす

http://www.alcine-terran.com/asa/

弥生3月5日土曜から、東京・シアター・イメージフォーラムやら、銀座シネパトスやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西では、春からいろんな映画館で公開されますんで、上記の映画公式ホームページにて、随時チェックしておくんなはれ。

本作を配給しやはるのんは、アルシネテランはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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本日よりアジアの映画を、日本映画を含めまして、連日ナビケートしよりま。途中では、アメリカ映画やらユーロ映画もはさみますが、約1カ月間にわたりまして、ドカーンと展開しようと思とるんどす。

大阪発の第6回目「大阪アジアン映画祭2011」(3月5日~3月13日)も迫っておりまんので、地元やし、気合も入っておりまっせー。

ちゅうことで、第1日目は、このたび日本を抜いて、GNP(国民総生産)世界第2位になった中国の映画でおます。

でも、GNPとか経済・社会性ラインとは大きく違いよりまして、文化ジャンル、特に映画においては、アジア各国共に、独自のオリジナリティーを確立してはります。

でもって、中国発の法廷もの、つまりリーガルものなんて、これまでは、「北京のふたり」(1997年製作・アメリカ映画)とかが、中途半端にハリウッドで作られたくらいで、ほとんどござりまへんどした。

それが、なんとまあ、遂に中国発の中国裁判映画が、日本に上陸どすえー。裁判長側サイド、被告サイド、でもって、今一つの臓器売買問題サイドが、三方展開のノリで紡がれてゆきよります。

でも、法廷映画としての裁判シーンは、ほとんどありまへん。とゆうか、アメリカ映画みたいな、緊張感あふれる法廷バトル・シーンがないとゆうことでおます。

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1997年の設定とは申せ、高価な物を盗んだら罪が重くなる設定やら、2台の自動車窃盗裁判で死刑宣告されるやら、その実態はディープには分かりまへんけど、かなり前近代的なもんがござります。

そういう微妙な裁判描写に加えてでんな、サウンドトラックが、ラストの下から上へと流れよるクレジット・シーン以外は、これが流れよりまへんねん。つまり、本作はサスペンスなんて、どうでもよろしおまんねん。メインは違うとこにござります。

主人公の裁判長やらの、裁判にまつわるなかで苦悩する姿を、静かに描きたいんでおます。それは、ともすると、娯楽作品にコッテリやった人にとっては、ある意味では眠たくなってくるような、そんな作りになっとるかもしれまへん。

でも、本作のシブ~い味は、実はココやらにあります。意図的に照明を入れないダークな絵作り・映像作りをしてはりまして、時に版画的なショットさえありま。陽の部分との陰陽を際立たせる意図もあるでしょうか。まあ、これは主人公を含めた登場人物たちの、キモチに合わせたもんでもござります。

1分くらいの長回し撮影も、それなりに展開するんやけど、最も長い長回しは、キモとなるシーンで使ってはります。ボクは特に、犬もいてる夫妻2人だけの食卓シーンに、妙にココロ奪われよりました。

食卓シーンと申せば、室内とゆう限られたシーンやけど、これまではイロイロ多彩に作られてきよったかと思いますが、本作ではラストシーンも含めて、印象的なシーンになっとります。

2011年3月 1日 (火)

人間ドキュメンタリー日本映画の久々の傑作「フリークアウト」

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音楽か、仏教か、それが問題やー、なんて、かつてない領域に入りよりました、チョー問題作でおます

映画史に残る「ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」やら、原一男監督のトンデモ・ドキュに迫る、仕上がりでおまっせー

http://www.freakout-movie.com/

弥生3月の土曜日5日から、東京・新宿 K's cinemaやら、渋谷・UPLINK Xやらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、大阪のシネ・ヌーヴォXにて、4月16日から上映しはりまっせー。

本作の大作ドキュを配給しはるのんは、「ふーてんき」はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ TRICKSTER FILM

明日からは、日本映画、韓国映画やらを含む、アジア映画ナビゲーション分析を連日やろうかと思とりますが、この間「ドラえもん」を除いて、日本映画のマイナー系のなかにある、ヒットの法則をば探ってきよりました。

でもって、本作でおますが、ボクチン的には、久々に見られた人間ドキュメンタリー映画の傑作どした。

お寺はんの和尚はんやらが、素人ロック・バンド「ギャーテーズ」を始めはり、話題になったとこから始まる、ドキュメンタリー映画でおます。ほな、音楽ドキュかと申せば、そうではござりまへん。

フツーやったら、そないなるんでおますが、このバンドのボーカルといえばでんな、脳障害のある3人の、しかも僧侶はんでおます。ビックリどす。

さらに、この3人がいるこのバンドが、ライブやらを経て、今の日本音楽業界に、もの申すみたいなインパクトを示さはりました。

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でもって、このバンドのキモを握ってはるのんは、寺の2代目住職はん・角田大龍(写真上から3枚目)なんでおます。3人の障害者を音楽の世界へと誘い込んだ方どす。

しかし、ここに大きな問題が起こってまいります。しばらく外国に行ってはった、創立者にして初代住職の御大が帰ってまいります。で、初代と2代目の間に、確執と対立が起こってきよりましてな、えらいことになってきよりまんねん。

北朝鮮出身のこの創立者の描写は、ドッカーンてくらいにエキセントリックで、忘れがたい存在感を示さはるのです。

創立者のイロイロな言葉や説諭は、もっともらしきとこをいってはりまんねんけど、コレが逆のマイナス・イメージとして、観客に伝わることでおましょう。

ネタバレがないように言いますと、障害者3人の描写やインタビューは緊張感もはらんで、本作の大きな見どころとなっておます。

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過激な「ゆきゆきて、神軍」(1987年)やら、衝撃のシーンある「全身小説家」(1994年)やら、原一男監督のチョー名作ドキュに、迫らんかとする熱気がござりました。

ドキュメンタリーの大きなポイントとなる、見たあとあとズーッと尾をひいて、ココロに重たく残りそうな重厚感が本作にはありま。

日韓日朝問題やら、在日、差別やら、いろんな問題もそれとなく描いてはります

が、ボクチンが最もココに、胸にきよったんは、音楽・芸術か、仏教かとゆう二者択一の問題でおました。音楽ドキュ、仏教ドキュやら、イロイロござりますが、こういう問題へと入り込んだ作品は皆無でおます。

インタビューも含めた、その問題への肉迫ぶりは、本作を傑作にした隠し味やったと思います。

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