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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年2月の記事

2011年2月28日 (月)

日本映画「モスリン橋の、袂に潜む」

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近未来SFノリのアート系島ミステリーやなんて、一体全体どんな映画やね~ん?

「砂の女」と「バトル・ロワイアル」と「獄門島」と…やなんて、ますますワケ分からへんでー

ほな、真相を明かしますわ。真犯人の正体とは?

http://www.moslinbridge.com/

3月5日から大阪・プラネット+(プラス)ワン、3月12日から大阪のシネ・ヌーヴォXやらで、全国順グリのロードショーでおまっせー。

本作をば配給しやはるんは、フーテンの寅さんならぬ「ふーてんき」はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ Nitro Juice

アート系のミステリーSF映画やなんて、ビックラコンで、あたふたしよりましたがな。まず、そんなジャンルの映画なんてござりまへん。

でも、本作は、そのへんのところを、まさに野心をもって創ってきはった映画でおます。世界3大映画祭のうち、今後も間に合うのでゆうたら、5月のカンヌ、9月のヴェネチアを狙ってはるような作品となりよりました。実際、コンペ出品が実現しはったら、大健闘できるような仕上がりになっとりま。

SF未来設定とは申せ、ケータイはなく、珍しき黒電話やら無線電話が登場しよります。ああ、なるへそ、人類は先々の未来は進化やなく、後退していっきょるんやなってゆう設定を、そういう小道具やらでさりげのう示さはります。

その意味では、島が惑星になった「惑星ソラリス」(1972年製作・ソ連映画)の不条理感があるんどす。

でもって、ミステリー的には、失踪した人間の謎やら、死体が次々に出てきよる謎やら、ハードボイルドやら本格ミステリーのタッチが、仕込まれておます。「獄門島」(1977年・日本)とか「そして誰もいなくなった」(1945年・アメリカ/1974年・イギリス)とか「シャッター・アイランド」(2010年・アメリカ)とか、島ものミステリーのスパイスも入れてはります。

そして、夢を食う主(あるじ)の形而上的イメージやら、ボートに乗ってる2人の男女イメージ・ショットなど、寺山修司的アート映画系のノリやら、セリフにも出てくるんやけど、恋愛映画のアート・ノリでゆうたら、「砂の女」(1964年・日本)なんぞのテイストもカンジよりました。

さらにでんな、2人は、ある種しばられた隔離系の、孤島イメージが強いこの島から、脱走しはって、本土・本国へと行かはり、隠れるように生活しはります。島でのサバイバルを経て、2人が逃げはったアノ「バトル・ロワイアル」(2000年・日本)もまた、思い出させるんでおますよ。

さてはて、ストーリーでおますが、主人公が謎の島へ、ある人を探しに行ってでんな、でも、とある島の娼婦にゾッコンになりよりまして、毎日ベッタリになりよるんどす。ところがでんな、イロイロござりましてな、2人で島から本土へ逃げようってなことになりよります。

あくまでアート系なんで、いわゆる現実的な論理性はありまへん。そやけど、妙に新しいカンジがしよるんですわ、コレがね。

アート系としても、色彩設計やら自然光による自然描写、遠近法に基づいた、奥行きあるロング・ショットの数々やらに、魅せられます。特に、幕を通した撮影シーンの数々が、本作の大きなキモになっとるカンジでおした。

さてはて、見出しにも書きましたけど、その真相やいかにでおますが、シュール的サプライズに新鮮味がありました。

さらに、関西ロケーション映画やなんて、驚きは続きま。関西ロケを全くカンジさせない作りにこそ、本作のホンマのキモがあるように思いました。アラマ・ポテチン(ビックリ)でおました。

2011年2月27日 (日)

「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~」

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タイムトラベラーもある、いつものSFスタイルで、友情を描くキズナ・アニメの良質作でおます

宇宙のロボット軍団とドラちゃんチームが、例の鏡面地球世界で、モノゴッツーな攻防戦を展開しまっせー

http://www.doraeiga.com/

弥生(やよい)3月の土曜日5日から、全国東宝系劇場にて、封切り=ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2011

いきなりでおますが、ドラちゃんを生み出さはった、藤子・F・不二雄はんについて、チョイと語らせてもらいまっさ。

かつて、NHKで藤子不二雄(コンビで共作してはった時のペンネーム)を描いた、連続ドラマがオンエアされよりました。ボクチンはそれをば見て、えらい感動した記憶がござります。

特に記憶に残っておますんは、手塚治虫先生とのやりとりでおました。細部はおぼろどすが、とにかく、江守徹はんが演じはったこの手塚先生は、2人を励まさはるんでおます。

その当時の2人の様子は、モックンこと本木雅弘が主演した「トキワ荘の青春」(1996年製作・日本映画)でも描かれておます。

1960年代の手塚治虫「鉄腕アトム」をはじめとした、ロボット系アニメは1970年代になると、より精妙に進化したロボットを量産しよります。例えば、映画・テレビ的には、東映アニメが一大勢力となりました。

そんな流れに抗するように、シリアス・リアリズムに対する、コミカル・マンガチックなユニーク感を目指す、漫画家もいてはりました。そんな1人が、藤子不二雄はんやったんどすえー。

水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」に対する「オバケのQ太郎」とか…。でもってドラちゃんは、「鉄腕アトム」がコミカル進化したパターンやと思います。

出てきた当初は、一過性のもんやと思われておましたけども、この2011年の今、1970年代発で現存し今も人気があるのんといえば、このドラちゃんしか見当たらへんのでおます。

ドラとトラの語呂合わせで、アニメ版寅さんとも言われておます。やはりマンガは、コメディがイチバンやー、なんかな~。どないどすやろか?

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さてはて、ドラちゃんの劇場版シリーズ最新作について見ていきまひょか。

SF映画のスパイスは、当初からも入っておったんどすが、今作は過去最大級に、SF映画にシフトした作品となりよりました。

ロボットたちの星の国が、人類を奴隷として自国で働かせようと「人間狩り」をもくろんで、地球を攻めてくるっちゅうお話でおます。ああ、なるへそ、猿が人間を奴隷にする「猿の惑星」(1967年・アメリカ)的なとこを意識してはるんやろな。

でも、ドラちゃんチームは、マンガチックなユニークな方法を繰り出して、これに対抗しはります。ドラちゃんがいつも出さはる、マジカル小道具のなかの、鏡面世界っちゅうのんが、今回の主戦場となりよりま。

人がいない状態で、地球全土を鏡に映ったカタチで現出したこの世界。鏡は平面なんやけど、立体世界なのはご愛嬌でおます。

でもって、いつも通りの友情キズナ描写。2枚目の写真に写っておますシーンやら、今回はかなり泣かせてくれはりますで。

そして、色使いどす。セピア・オレンジ色をメインに、微細に色分けして示される夕景シーンの妙。ブルー1色の青空やなく、白雲をリアルに配置。赤・青・黄(緑)のトライアングル・デザインなど、今さらながらでおますが、配色の緻密さに魅かれよりました。

2011年2月26日 (土)

ジャパニーズ・ホラー映画「メリーさんの電話」

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J-ホラーの要素以外に、洋画のホラーの系譜へもリスペクトしはった、女子高ホラーのそう快作品でおます

ミドリ豊かなシーンと夜の暗がりシーンの対比効果は、見終わってから徐々に胸にきよりまっせ

http://www.merry3.com/

池袋シネマ・ロサでの上映を経まして、近日中に、関西やらでロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「メリーさんの電話」製作委員会

J-ホラーことジャパニーズ・ホラーの今を、打ち出さはった快作どす。

加えて、テレビドラマでもいけるやんなーな、1時間チョイの映画なんやけど、映画とテレビの違いを論じるまでもなく、本作は映画的な作りでいってはります。

J-ホラー映画といえば、「リング」(1998年製作)以降、大きく変わってまいりました。ハリウッド映画でもリメイクされよったそのスタイルは、単なる怪談系の怖~いタイプを超えた、ディープ・インパクトなオリジナリティーがござりました。

でもって、本作はでんな、その流れも汲みつつも、かつてのハリウッドの名作ホラーへもリスペクトしやはるとゆう、ゼイタクなとこをも見せてはりま。電話とゆうツールやらはモロ、「リング」やし、恨みがポイントになってる点やらは、1950年代から脈々と続いておます、怪談日本映画の恨み節でおましょう。

しかも、女子高生を中心にした、怖がらせる系ホラーっちゅうのんは、「リング」以降、腐るほど出てきておます。でも、その女子高生スタイルにおいても、「山形スクリーム」(2010年)やらみたいに合宿系を選択し、なんとまあー、部活ジャンルは女子空手部どす。う~ん、チョイ違うで~なとこをチビチビ出してきはりまんねん。

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さてはて、本作の三原光尋監督のアニキと申せば、かつてボクチンも、インタビューをばさせてもらいよりました。18歳未満の女の子たちを描くセンスが、ウラもオモテもないまっすぐ系で描かはる監督はんだけに、本作もストレートに怖がる女子高生たちのキモチが、こっちに伝わってまいります。

それでいて、アメリカ映画にもある都市伝説の逸話を入れつつも、いろんな過去の映画を思い出させはるシーンを、クリエイトしはります。

アメリカ映画でゆうと、斧を持って襲いかかる「シャイニング」(1980年)やら、シャワー・シーンの「サイコ」(第1弾は1960年)、女子高生もの「ラストサマー」(第1弾は1997年)やら「スクリーム」(第1弾は1996年)やらのノリ。そして、「キャリー」(1976年)やらでおますよ。

J-ホラーもいっぱいござります。「富江」(第1弾は1998年)もあるし「呪怨」(第1弾は2002年)もありま。

余りにもストレートにリスペクトしはるシーンもあるんやけど、でも、この短い時間に、これだけのもんを入れはるやなんて、なかなかでけへん芸当やと、ボクは思います。

癒やしの緑豊かな風景描写と、何がくるやら分からへん、夜のシーンの対比描写など、怖さを増幅させるような作りもOKでおました。

2011年2月25日 (金)

青春ケンカ日本映画「ギャングスタ」

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本日より連日、日本映画を分析ナビゲーションでおます

「クイズ!ヘキサゴンⅡ」の崎本大海クンやら、イケメン俳優がいっぱいやー

川野浩司監督、文化系学園もの「書の道」に続いては、体育会系ならぬ、ケンカ格闘系学園ものやー

http://www.gangsta-movie.com/

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2月12日からの、東京・シネマート六本木での上映を経まして、弥生3月の土曜19日から、大阪のシネ・ヌーヴォXやらで、ロードショーでおます。その後、全国各地へ順グリに回る予定どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011ギャングスタ製作委員会

「高校デビュー」(2月19日付けで分析)のとこでも、歴代高校生学園ものの、ボクチン的表&裏ベストを披露しよりましたけども、青春ケンカもの日本映画に特化したもんやったら、どないなもんやろか。

ベスト版とカルト版で、それぞれベストスリーを披露いたします。

●ベスト→①「岸和田少年愚連隊」(1996年)②「狂い咲きサンダーロード」(1980年)③「青い春」(2001年)

●カルト→①「ビー・バップ・ハイスクール」(1985年)②「高校大パニック」(1978年)③本作でおます。え~!? 本作やてぇ~、なんやけど、この種のジャンル映画では、これほどリアリティーをはずしまくった映画っちゅうのんは、そうそうありまへんで。

「覚えてろ、なんて今どき、マンガでもゆわんぞ」とか、女教師が語る「友達のために闘うなら、それはケンカじゃない、青春だー」とか、イケメン設定の俳優・久保田悠来が「顔をこんな風にしてくれた責任を、取ってもらおじゃないの」と大暴れするシーンとか、セリフの面白さも楽しめまんねん。

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新堂冬樹のアニキの小説が原作でおます。暴力小説とキズナ小説とゆう180度違う世界を、描き分けはるアニキなんやけど、本作は、ヤンキーたちの仁義なき戦いを描く暴力もんどす。

リアリティーはずしとはいえ、その映画での描写はハンパやおまへんで。パシリ役主人公役の崎本大海クン、彼が見出した久保田悠来クン、イケメンからブオトコまでイロイロの四天王、格闘系とは真逆の、科学者メタルカラー系黒縁メガネの小男、仁義なきヤンキーやら、謎めいたクリスチャンやら、少年刑務所帰りの男やら、多彩にして一筋縄ではいかへんキャラクターが、次々に対戦してゆかはりまんねん。

しかも、各人の登場時には、おっきな字幕入りで紹介しはります。でもって、次回へ続くみたいなノリで、エンディングを迎えよりまんので、シリーズ化もあるやも分かりまへんで。

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監督は、前作「書の道」(2009年)では、本作とは正反対の、おとなしい学園ものを紡がはった川野浩司のアニキどす。

曇りの日みたいな明るくない薄色のシーンを続けてはったんどすが、あるところから、セピアな陽光シーン含め、色合いがパッと明るくなりよります。この仕掛けには、ハッとしました。

もちろん、監督の意図が入っておます。加えて、Jロックをメインにしつつも、多彩なサントラ使い。16ビートのタテノリ・ロック、ヒップホップな打ち込み系、フォーキー、メロコア、ミディアム・ポップに加え、オペラチックな大げさな音も流したりしてはりま。

とにかく、カルト系とは申せ、青春ケンカ映画の新たな迷作の誕生でおます。

2011年2月24日 (木)

新次元のアニメ映画「ファンタスティックMr. FOX」

Fox

ストップ・モーション・アニメとパペット・アニメの融合は前代未聞でおます

ジョージ・クルーニーのアニキやらメリル・ストリープのネーさんやら、豪華声優陣に驚き・桃の木・ドッカ~ンどすえー

http://www.mrfox.jp/

マーチ3月の19日サタデーから、東京・シネスイッチ銀座やらで、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、4月エイプリルから、大阪のシネ・リーブル梅田やら、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映しはります。

本作を配給しはるんは、ショウゲートはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Fox and its related entities. All Rights Reserved.

ハリウッド映画系映画の連続分析の、5日目最終日はアニメでおます。

ハリウッド・アニメてゆうたら、そら、ディズニーがあり、ドリームワークスがあり、そのほかの大手映画会社でもチビチビと作ってはります。

そやけど、本作は、それらの作品とは根本的に違う、約3ポインツにおいて、新しさを打ち出してはるのどす。

その①→「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993年製作・アメリカ映画)やらで、ティム・バートン監督が示さはったところの、1コマ1コマを何時間もかかって作り出すストップ・モーション・アニメ。それを、パペット(人形)アニメで表現するやなんて、アニメ映画史上初めてなんやないかな。

その②→アニメにつきものの声優なんやけど、これまでは映像を撮ったあとに、録音するアフター・レコーディングでおました。でも、本作はそのシーンを撮りつつ、声優たちに演技してもらうっちゅう、あり得ない臨場感を出さはりました。

その③→色使いの妙どす。セピア・オレンジやら、暖色系の秋色をベースにして、いわゆる統一系の色合いで押し通さはった点。こういうスタイルは、今までにござりまへん。夜の空のダーク・ブルーの寒色もあるけど、この統一感は、作品の色使いを、出色の出来合いにしはったかと思います。

Foxsub2

さてはて、そういえば、声優陣の豪華さにも目がクギ付けになりよります。

まるで「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)を思い出させるような、声だけとは申せ、ジョージ・クルーニーのアニキの盗っ人演技。

メリル・ストリープのネーさんの、クルーニーの妻役声優演技。いろんなシリアスな妻役やってきはった、メリル・ネーさんのその反対バージョンが、声だけとは申せ、体感できよりま。

ビル・マーレーはん、ウィレム・デフォーはん、オーウェン・ウィルソンのアニキやら、ほかにもいっぱい、出てはりまんのでチェックしておくんなはれ。

スタジオジブリのタヌキ「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994年・日本)の、キツネ版とも取れるけど、こっちはとことんまで人間対動物系に徹し、しかもサバイバル的に生き抜いていくんやーとゆう視点や生き方が、ハンパやおまへん。

キツネたちやら、その仲間たちや相棒のフクロネズミらが、人間語をシャベクリまくるスタイルにも関わらず、ディズニー・アニメ色はほとんどカンジられまへん。

動物がコトバをシャベるスタイルに、違和感がないのんは、フツーの動物アニメに対する、アイロニカルな視点が効を奏したんでおましょうか。マカ不思議な動物アニメのチョー怪作でおました。

ハリウッド映画・アメリカン映画は、今後もいっぱい仰山(ギョーサン)、分析してまいりますんでよろしゅうに。

2011年2月23日 (水)

アメリカン・ドキュメンタリー「GONZO-ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて-」

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「ラスベガスをやっつけろ」で、本作の主人公役やらはったジョニー・デップのアニキが、ナレーションを担当しはりました

人間ドキュメンタリーの醍醐味が、ギュッギュッと詰まった作品でおます

http://www.gonzo-eiga.com/

マーチ3月5日のサタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、ファントム・フィルムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 HDNet Films, LLC

人間ドキュメンタリー映画、しかも、死んでしもてはる人間を描くドキュの場合、作り方はある種マニュアル化・パターン化しがちでおます。

現在、生きてはる故人の関係者への撮りおろしインタビューやら、故人の過去のインタビューや、生きてはった当時の映像やらを編集しもって、故人の人間性に迫るんやーってカンジ。

でも、本作のスタイルは、これまでのドキュに似てるけど、チビリチビリ定番をはずすようなとこを積み重ねはって、最終的には、えもいわれぬとこへと連れていってくれはるんどすえー。

まずは、なんちゅうても、ジョニー・デップのアニキの、本作への参加でおます。

1960年代半ばから1970年代にかけて、ゴンゾー=ならず者とゆわれたジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンなんやけど、ジョニデのアニキは、この実在の人物を「ラスベガスをやっつけろ」(1998年製作・アメリカ映画)で演じはりました。

アメリカン・ドリームて何やねん? と、取材がてら、ベガスへ探しに行ったっちゅう、ワケの分からへんエピソードをば、映画化した作品やけど、ジョニデのハイにして怪な演技には、背中ゾクッでおました。

高額ギャラの作品に主演するかと思たら、ハリウッド映画でも、こういうインディペンデント系の映画へも、積極的に出演しはるジョニデって、ええカンジどすやろ?

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ナレーターとしての声の出演だけやおへんで。ハンター氏の著作物を読んでるカットとか、「ラスベガスをやっつけろ」の引用はモチ、作品やハンター氏への思い入れも披露しはります。

さらにジョニデが、拳銃自殺してしもたハンター氏の葬式を、本人の生前のコトバに従い、大掛かりに執り仕切ったとこなども映されよります。

仕事関係者はモチ、前妻と息子・現妻=未亡人やら、プライベートな方々へのインタビューは、相当量行われておまして、仕事・私的の2界を、バランス良くまとめてはるのもよろしおま。

ボブ・ディランやジェファーソン・エアプレインやら、当時の洋楽ナンバーがしょっちゅう掛かってんのも、ええかなと思います。

また、当時の映画のそのまま引用やなく、それとなくカンジさせる作りも、個人的にはええカンジどした。

「イージー・ライダー」(1969年)や「明日に向って撃て!」(1969年)やらのアメリカン・ニューシネマをはじめ、「大統領の陰謀」(1976年)やらのポリティカル・スクープものやら、実話暗殺映画ものやら、イロイロどす。でもって、ドラマ映画の実話もの「ラリー・フリント」(1996年)やらも、思い出させてくれはる映画でおました。

2011年2月22日 (火)

ラブコメ&ラブ・ストーリー「かぞくはじめました」

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●東北関東大震災の被災者を鑑みまして、本作は公開中止となりよりました。

とにかく、何かを始めようってなことで、えー、何? 家族やてえ~、なんてホンマですか~

ロマンチック入りラブコメの新次元は、無縁社会に一石を投じはる明朗快作どすえ~

http://www.kazoku-hajime.jp/

マーチ3月の26日サタデーから、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国ロードショーでおます。

本作を配給しやはるんは、ワーナー・ブラザース映画はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

これまでハリウッド映画界で大量生産(製作)されてきよりました、ラブコメ的ラブ・ストーリーとゆうジャンルは、ハリウッド映画総生産量の、おそらく30パーセント近くはいっとるジャンルやないかなと思います。

低予算で作れて、しかもアメリカ国内では大ヒットしよりますんで、製作側は、そら、ボロもうけできよるんでたまりまへん。しかし、ここ日本では、今一つピリッとしよりまへん。

その理由は大きくは2つあると、ボクチンは分析しま。①アメリカではそれなりに有名でも、日本ではよう知らん、若手の次世代スターが主演しとること。②出会って恋して愛して、ハッピー・エンドのスタイルが、ワン・パターン化してもうとる点。

でも、本作は②については、これまでにない変化球を投げ込んできてはります。とある夫妻が、夫と妻それぞれの友達を会わせて、デートさせようとしたんやけど、第1印象がお互いに悪すぎて、2人はデートもせんと別れはります。

数年後、その夫妻が死んでしもて、女の赤ちゃんだけ1人残されます。万が一、2人が共に死んだ場合、会わせようとした写真の2人に親権を託すっちゅうような遺言があったんどす。

2人の許可を取らへんで、そんなことありかいやと不思議に思とると、あれあれ、この2人は何と育児パートナーとして同居し、この赤ちゃんを育てようとしやはるんどすわ。おいおい、お互いキライやのに、どうかしとるで、この2人。

と思てる間に、一時は三角関係的な描写や別れもあるんやけど、2人の間に愛がめばえよるんです。

まずは赤ちゃんありきの設定といい、キライから始まる愛への道筋といい、新しいタイプのラブコメってカンジでおましょう?

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でもって、①についてどすが、主演女優のキャサリン・ハイグルちゃん。知らん方が多いでしょうから、解析いたします。

メグ・ライアン姉さんやキャメロン・ディアス姉さんらに通じる、ラブコメ・スピリッツをば持ってはりまして、ボクチン的には、「七年目の浮気」(1955年製作・アメリカ映画)やらでラブコメ演技も披露しはった、マリリン・モンローなセンスも感じよりました。

しかも、カラリと明るい演技をば、メイン・ソースにしてはります。そやから、見ていると、こっちにもそれが伝播しよってでんな、妙にご機嫌さんになれま。

さらに、アメリカのアトランタあたりが舞台なんやけど、春夏秋冬、快晴のアメリカ晴れの日のみを、終始一貫撮り上げてはります。その陽光も部屋内に差し込んで、また、部屋内照明も眩しいくらいにしてはるのどす。

サントラもポップ音楽を基調にしてはるし、明るさいっぱいなんでおます。ほなら、元気をもらいに、いざ映画館へ行っておくんなはれ。

2011年2月21日 (月)

ファンタジー映画「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」

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「ハリー・ポッター」ファンにピッタリの、チョー楽しい作品どすえー

「ワンピース」ファンも必見! 今回は宝島的な島々を巡る、海洋アドベンチャーやでー

http://narnia3.jp/

フェブラリー2月の25日フライデーから、東京・TOHOシネマズ日劇やらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやら、京都・TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都やら、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OS、OSシネマズミント神戸やらで封切りどす。

3D版、2D版同時ロードショーどして、それぞれ日本語吹替版と字幕版の2タイプがござります。

本作をば配給しやはるのは、20世紀フォックス映画はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION AND WALDEN MEDIA, LLC.

イギリスのファンタジー小説を、原作にしはった映画としては、「ハリー・ポッター」(第1弾は2001年製作・アメリカ映画)やら「ロード・オブ・ザ・リング」(第1弾は2001年・アメリカ)やらとシンクロする作品でおます。

そやから、それらの映画にヤラレた方々は、当然本作にも魅了されるはずどす。

しかも、異界世界での冒険やのに、「宝島」(1950年・アメリカ)みたいに謎めいた孤島を巡る、海洋冒険ロードムービー・スタイルなんでおます。

つまり、地球の海洋冒険もの、例えば「パイレーツ・オブ・カリビアン」(第1弾は2003年・アメリカ)とか、アニメ「ワンピース」(第1弾は2000年・日本)とかのタッチも、そこかしこに見受けられよります。

しかも、「ハリー・ポッター」と同じくコドモ3人が、異界ナルニア国で大活躍しはるし、ライオン王やら、2本足で立つ大ネズミ君やらが、人語がペラペラなとこなんか、動物がシャベくるディズニー・アニメ的スパイス(本作のシリーズ第1弾と2弾はディズニーが製作しはりました)が継承されとりまんので、バチバチのファミリー向けでおます。

そやから、一家総出で見に行ける映画っちゅうのんは、最近はアニメに集中しておましたが、実写版としてはコレがイチバンやー。

さて、本作はハリウッド映画なんやけど、イギリス色を前2作よりも増した仕上げになっとります。

なんでかと申しますと、原作者C.S.ルイスがイギリス出身なとこもありますが、原作そのものが、異界は別にして、イギリスを舞台に設定してはるとこがまずありま。

でもって、この種のファンタジー小説の設定では、まずないと思いますが、戦争(第2次世界大戦)中のイギリスが舞台なんでおます。でも、現実の悲惨な戦争シーンはいっさいありまへん。

むしろ戦争から逃れて、夢の世界へとゆうノリがあり、実はそのあたりがこの作品の、裏に隠されたキー・ワードなんやないかなと思いよりました。

続いて、本作のマイケル・アプテッド監督はんですが、イギリス出身の監督はんでおます。実はこの方、イギリスをカンジさせる映画でケッコー手腕を発揮してはります。

英国推理作家アガサ・クリスティを描いた「アガサ/愛の失踪事件」(1979年・アメリカ)、イギリスのミュージシャン、スティングを描いたドキュ「ブルー・タートルの夢」(1985年・アメリカ)、「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999年・イギリス)、イギリスの戦時を描いた「エニグマ」(2001年・イギリス)など。

最後に、本作は島巡りの冒険映画とゆうのがメインになっとりますが、モンスター映画、透明人間映画、「十戒」(1956年・アメリカ)みたいなスペクタクル映画など、いろんな娯楽の要素がテンコ盛りになっとりますんで、お楽しみに。

2011年2月20日 (日)

スター映画の傑作「ツーリスト」

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ジョニデことジョニー・デップのアニキと、アンジーことアンジェリーナ・ジョリーのネーさんが、初共演しはりました

オーソなミステリー映画のように思わせながら、チョーどんでん返しがキョーレツな、スゲー作品やでー

http://www.tourist-movie.jp/

マーチ3月の5日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら、京都・TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都やら、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸、シネウェーブ神戸やらで上映どす。

本作をば配給しはるのは、ソニー・ピクチャーズはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

本日よりしばらくの間、旬のハリウッド映画らしい、ハリウッド映画の醍醐味をば、分析しようと思ておりま。

その第1日目は、本格的ハリウッド・スター映画でおます。

見出しにも掲げよりましたが、ジョニデのアニキとアンジー姉さんの、初共演作なんやでー。

この種のスター共演映画とゆうのんは、かつては日本で毎月のように公開されましてな、大ヒットをかましてはったんどす。

ところが、いつの頃からか、それがアンジョウゆかんようになりました。でも、本作でもう1度、あの頃の輝きを取り戻したいとゆう、気概にあふれた大作なんどす。

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まず、キャスティングだけやなく、スタッフ陣の豪華さでおます。これまでアカデミー賞の部門賞で、受賞してきはった方々をズラリと揃えはりました。

しかも、ユーロ・ベニスを主舞台にした、極上のミステリー映画となりよりました。

最近でも、ユーロが舞台になったハリウッド映画てゆうたら、トム・クルーズとキャメロン・ディアスが共演した「ナイト&デイ」(2010年製作・アメリカ映画)がござりました。

但しでんな、「ナイト&デイ」がアクション映画のトレンドを示さはりましたが、本作はアルフレッド・ヒッチコック直系とも思える、ミステリー映画のチョー・トレンディーを提示しはったんどす。

ベニスらしい水上アクションやら、屋根を逃げる追逃走アクションやらはあるんどすが、なんといってもやはり、ミステリー映画としての新しさを示さはるんですわ。

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「間違えられた男」(1956年・アメリカ)なんて映画が、ヒッチコック監督作品にはござりますが、実を申せば、本作は全ての「間違えられた男」映画の、さらなる上を狙わはった、サプライズ映画なんでおます。

作りは、いかにもオーソドックスなミステリー・スタイルをば採ってはるんやけど、巻き込まれ型のサスペンス色が、やがてそれを深化させてゆくように見せてゆき、そして、最後にドッカァ~ンな、超絶どんでん返しを披露するんやから、もうどうにもこうにもたまりまへん。

魅せるための、ハリウッド方程式も完璧でおます。

例えば、ジョニデとアンジーのアップ、クローズアップの多さしかり、3セットにわたるハリウッド的セット撮影しかり、ゴージャス極まりない、本格オーケストラ・サントラやったりどす。

ハリウッド映画の粋が100パーセント印となった本作。コレが日本で大ヒットしなきゃおかしいでー、なケッサクでおます。

2011年2月19日 (土)

ニッポン映画「高校デビュー」

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コミック原作の学園ラブ・ストーリーやけど、これまでの表系・裏系学園ものとはチョイ違いま

「君に届け」より強烈どして、コレぞ少女マンガ実写ノリの極地でおます

http://www.koigashitai.com/

エイプリル・フールのフライデー4月1日から、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都やら、OSシネマズミント神戸やらで封切りなんやでー。

本作を配給しやはるのんは、アスミック・エースはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「高校デビュー」製作委員会

Ⓒ河原和音/集英社

このところ紹介分析してきよりました日本映画は、東宝・東映・松竹の大手をはずしたカタチでやってまいりました。これらの作品は大手3社とは違うところの、面白みやオリジナリティーがあり、大ヒットしてもおかしゅうない仕上がりになっとります。

その最終日は、高校の学園ラブ・ストーリーでおます。高校の青春映画やらラブ・ストーリーをはじめ、女子高生ヒロインもの、女子含めた男子学生バクレツものなどを加えよりましたら、これまでものすごいタイトルの本数がござります。

そんななかで、あえて表系と裏系のマイ・ベストスリーをば、勝手に披露しますと→●表→①青い山脈(1949年製作)②時をかける少女(1983年)③がんばっていきまっしょい(1998年)●裏→①ビー・バップ・ハイスクール(1985年)②野良猫ロック ワイルド・ジャンボ(1970年)③スケバン刑事(でか)(1987年)

でもって、本作でおますが、この6作のスパイスをビミョーに入れたりしつつも、やはり少女マンガを原作にしてはるだけに、これまでの学園ものとは、チョイ違うとこがござります。

ホンマに少女マンガの世界が、実写化されたんやーっちゅうカンジなんどすわ。しかも、コメディ・ノリが入っております。

「君に届け」(2010年9月11日付けで分析)も同じく少女マンガ原作ものどしたし、本作と同じく、女の子が男の子に片思いするとこから始まる物語でおましたが、その道筋が違うだけやなく、結末はよく似ていても、見たあとの感じ方はかなり違(ちご)ておました。

また、高校へ行ったらスポ根しようとした「がんばっていきまっしょい」の、反対バージョンになっとるとこもありま。こちらは、高校生になったらスポ根やめて、恋に埋没しようなんでおます。しかも、両作共にコーチが就かはるとゆう、共通項があるんもオモロイところどす。

こちらは、ヒロインの恋の指南役コーチとして、溝端淳平クンが就かはります。恋のコーチ役やなんて設定はまず、これまでの映画にもそうそうありまへん。溝端クンどすが、時おりキムタクかいやーって思うくらいの、イケメン指南演技ぶりを披露してはります。

一方の、モデル出身で映画初出演にして、初主演となる大野いとチャン。具体的には見てのお楽しみとゆうことで、細かくは書きまへんが、彼女のコメディエンヌぶりは、おバカ映画系のスタイルでおまして、ここ日本では余りないキャラクターぶりどした。

それでいて、ラブ・ストーリーとして、終幕に向かってのハラハラドッキリ感があったりと、一筋縄ではゆきよりまへん。

撮り方とかサントラもええカンジ。照明やらで陽の射し込む、白っぽいシーンを作ったり、スロー・モーションの効果的な使い方とか、なかなかのもんどす。

弦楽オーケストラやら、モータウンチックなサウンドやら、バーサス・シーンにおけるマカロニ・ウエスタンなギター使いなど、シーンに合わせたサントラ使いが、メッチャ巧妙やねん。

ラストは、紅2点4人組バンド「7!!」(セブン・ウップス)がプレイし歌う、8ビート・ポップロック「フォーリン・ラブ」(3月30日にシングル・リリース)やしね。AKB48から2人が出演しているなど、今どきの若者にも大ブレイクしそうな作りになっておます。

2011年2月18日 (金)

品川ヒロシ監督の第2弾「漫才ギャング」

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ボケ佐藤隆太、ツッコミ上地雄輔による、映画史上初の本格漫才映画が登場やー

「ドロップ」に続き、井筒和幸監督映画的なケンカ・シーンも満載どっせー

http://www.manzaigang.jp/

弥生3月の19日土曜日から、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、T・ジョイ京都やら、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

本作を配給しやはるんは、角川映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011「漫才ギャング」製作委員会

漫才を描いた映画やて、みなはん、これまでに見はったことはござりますかね。

ボクもようよう考えてみたんやけど、意外や意外、思いつかんかったんどす。落語を描いた映画はそれなりにあったりするんやけど、漫才はほとんど皆無に近いどす。

漫才出身の監督、例えばでんな、北野武はん、島田紳介はん、ダウンタウンのマッちゃんやら、結構いてはるんやけど、これが何と、漫才人間映画やなんて、全く撮ってはりまへん。

そらまあ、北野武監督の「キッズ・リターン」(1996年製作)なんぞには、漫才コンビを目指す2人の話が、少々は描かれてはおりました。でも、本作みたいに、本格的に漫才人間ドラマを展開する映画とゆうのんは、かつてござりまへん。

でもって、品川ヒロシ監督も漫才のヒトなんやけど、遂にそれを思いっきりやってきはりました。

しかも、大ヒットした監督デビュー作「ドロップ」(2009年)で、ドカーンと示さはったケンカ・シーンも、冒頭から披露しはりまんねん。この井筒和幸監督映画的な、ケンカ・アクション・シーンの数々は、本作のもう一つの大きな見どころとなっておすえ。

ほんでもって、人間ドラマ部でおます。

佐藤隆太クンと上地雄輔クンの相棒映画ともいえる友情映画部と、石原さとみちゃんと佐藤隆太クンのラブ・ストーリー部どすが、これらが、稠密かつ計算しつくされた漫才シーンの数々を媒介にすることによって、品川アニキの演出ぶりが、「ドロップ」をはるかに超えた、冴えをば見せてはるんどすえー。

特にゆうとかなあかんのは、佐藤隆太クンの、キャリア史上最高のバクレツ演技でおます。

容姿からゆうたらハゲてへんけど、そのまんま東=東国原元宮崎県知事はんみたいなカンジ。それがやね、冒頭とクライマックスで披露される、ボケ役の漫才シーンなんか、もうなんちゅーても忘れがたい味わいや。

それだけやおまへん。全編にわたって、漫才に生きる人間、ここにありみたいな存在感を示さはります。モノクロのクローズアップで、心中をツイッター・ナレーションするシーンの頻出がまた、ドラマをタイトに弾ませはりま。

アクション部をメインに披露しはる上地雄輔クン。ワルぶり演技が板についてる、新井浩文アニキとのケンカ・シーンなど、見せ場充分どす。

それだけやおへん。ユニーク極まりない脇役キャラが目白押しでおましてな、笑わせ続けてくれはります。

上地クンが遊助名義で発表しはる、フォーキー・ポップ「俺なりのラブソング」が漫才練習シーンで流れたり、イントロとラストロールでは、Superflyの「Beep!!」がかかります。この「Beep!!」は、女王ロッカー・浜田麻里の「リターン・トゥ・マイセルフ」を思い出させてくれはって、強烈でおました。

2011年2月17日 (木)

ドキュメンタリー日本映画「平成ジレンマ」

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群像ドキュも含めた、人間ドキュメンタリーの問題作が登場でおます

テレビ・ドキュメントの映画版やけど、映画ドキュより恐るべき領界へと踏み入っておりま

http://www.heiseidilemma.jp/

3月上旬から、大阪・第七藝術劇場ことナナゲイにてロードショーやー。

2月27日には、このナナゲイで、午後4時30分開場・午後5時開演で、本作が上映されよりますが、何と主演の戸塚ヨットスクール校長の、戸塚宏はんがトーク・ゲストできやはります。

でもって、その後、京都シネマやら、神戸アートビレッジセンターやらで、全国順グリの上映でおます。

本作を配給しやはるのんは、東海テレビ放送はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ東海テレビ

人間ドキュメンタリーのキモとは何ぞや? 

実在する人間を、あるいはとうに死んでる人間を、いいとこも悪いとこも全て描き切るとゆう暴露系、もしくは描くなかで明かされる意外性やら、スリリングな緊張感の醍醐味やと、ボクは勝手に思とりま。

その意味では、原一男監督が撮った大傑作「ゆきゆきて、神軍」(1987年製作)やら、「全身小説家」(1994年)やらは、まさに鬼気迫る臨場感で、ボクらの背筋を凍り付かせてくれはりました。

そして、本作もまた、時代の問題児やった人間・戸塚宏はんを主演に据えはって、撮り上げられた人間ドッキリ・ドキュメンタリーでおます。

戸塚はんは、経営してはる戸塚ヨットスクールの体罰問題・生徒死亡問題で、逮捕され、裁判にかけられ、で、ムショ入りしてはったんでおますが、数年前にシャバに出てきはりました。

本作は、そんな戸塚はんの過去と現在を、そのまま提示するように描いていかはるのどす。

製作者側のキモチやら意見やら主張は、基本的にはござりまへん。ありのままを映すことで、観客に何かを感じてもらうとゆう、ドキュメントイズムの基本に徹してはるんです。

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東海テレビはんが製作し、地上波で流れた分を、劇場版として編集し直しての映画バージョンどす。

でも、テレビのドキュメンタリーやからとゆうて、バカにはできしまへん。

受信料は取られまっけど、NHKのドキュメンタリーには、記憶されるべき多数の名作がござりますし、民放や地方局でも、スゴイのんが、それこそ無数とゆうてもええくらいありまんねん。

でもって本作は、問題の人物の人間性なるもんに迫らんと、モノゴッツー頑張らはりました。

戸塚はんをずーっと追いかけてゆくスタイルも取れたんでしょうけど、スクールの現在、そこにいてはる生徒や先生の“今”をメインに描くことで、戸塚校長の人間性に迫る作りは、オモロいアプローチやと思いました。

そやから、いろんな生徒の人間ドラマも紡がれて、さながら群像ドキュメンタリーのような多彩さでおます。

タイガーマスクこと伊達直人現象で、今話題の養護院。その校長へのインタビューに、鋭い突っ込みがなかったり、戸塚校長の家族への取材やらがないのんが、少々もの足りなくはありましたけど、女生徒を含むいろんな生徒の人間描写には、いろいろ考えさせるキレがござりました。

もちろん、戸塚はんが主役どす。過去の記者会見での激怒シーンやら、今の記者の囲み取材での対応とか、個性的なとこを出してはります。

戸塚的ヒューマニズムが、それとなく垣間見れた作品でおました。

2011年2月16日 (水)

「死にゆく妻との旅路」

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「HANA-BI」のクールに対して、こちらはホットで泣けまっせ

「毎日かあさん」やら「僕と妻の1778の物語」やら夫妻映画が、今年はトレンドなんかもしれまへんでー

http://www.tabiji-movie.jp/

如月(きさらぎ)2月19日の土曜日から、石川&富山で先行ロードショーでおます。

その後、2月26日サタデーから、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やらを皮切りに、全国順グリの封切りどす。

関西やったら、弥生3月は、土曜日の5日から、大阪・梅田ブルク7(セブン)やらで上映やでー。

本作を配給しやはるのんは、ゴー・シネマはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2011「死にゆく妻との旅路」製作委員会

末期ガンで余命いくばくもあれへん妻と共に、夫と2人だけで、全国各地へロードムービーする映画どす。

ボクチンが見る前に思たことは、おー、遂に病系の泣かせる映画は、ここまできよったんかーっちゅうことどした。

病系、夫婦映画、ロードムービーやなんて、えらいゼイタクな作りなんやけど、こういうスタイルの全編ロードムービー系映画とゆうのんは、これまではあれへんかと思います。

見出しにも書かせてもろた、北野武監督の「HANA-BI」(1997年製作)にも、そういうシーンがござりましたが、最後の方だけでおました。しかもコレが、実話をベースにしてはります。

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でもって、たぶん、コレがロードムービー・スタイルでなかったら、おそらく映画化されへんかったやろと思いまんねん。病系の泣かせる系のこのスタイルは、いかにも映画会社が先を争って、飛びつきそうな素材なんでおます。

しかも、このロードムービー・タッチは、バチバチにドラマ映えしよります。フツーにビョーキで、病院でみんなに見とられて死ぬようなタイプの映画とは、根本的にちごておるんです。

実は、ロードムービーでゆくと、泣かせるポイントやら感動ポイントは、いくつも作ることができるんですわ。

まあ、入院してはって最後に死んでまう隔離系のスタイルが、ロードやと大きく自由に、翼を付けてかどうかは分かりまへんけど、ドラマ・スケールが広がってゆくわけでおましょ? 

本作は、その期待感にマッチした仕上がりになっとるんですわ。かとゆうて、あざとく、わざとらしく、2人だけのロードムービーへと強引にもってゆくようなとこはありまへん。メッチャ自然な展開なんでおます。

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石田ゆり子ネーさん演じはる妻は、三浦友和のアニキ演じる夫と、ずーっと一緒にいたい。一方、友和アニキは、借金まみれの失業者役でおまして、借金から逃げるんやなく、全国各地のハローワークを回ってでも、職に就きたいと考えてはる人でおます。でも、50歳越えとるから、そういう求人がさっぱりありまへんねん。

友和アニキのシブいやるせない演技、そして、ゆり子ネーさんの弱々しいビョーキ演技、共にココロにきよります。2人芝居、特に夫婦演技の、しかも自然体演技の妙にビビビビッやでー。

加えて、全国各地の美しい風景の数々が映され、海辺の日の出シーンとかグッときますし、友和の大泣きシーンには、グッとやなく、ググググッときよりました。

見出しにも書きましたが、夫妻映画はケッコー出てまいっておます。今年は夫妻映画の当たり年かもな。ちゅうことで、ほな、さいなら~。

2011年2月15日 (火)

オキナワ・ムービー「やぎの冒険」

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本日より、多彩なニッポン映画を連続ナビゲート分析しよりま

第1日目は旬の沖縄映画やけど、なんと受験勉強中の14歳の少年が監督しよったでー

http://www.yaginobouken.jp/

如月・きさらぎの2月、19日の土曜日から、なにわ・テアトル梅田やらでロードショーでおます。その後、全国各地、順グリの上映どす。

本作を配給しやはるのは、シュガートレインはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

沖縄を舞台にしはった映画は、これまで数限りなく出てきよりました。

そこで、本作を分析する前に、ボクチンの個人的なオキナワン・ムービー・ベストスリーを、手前勝手に披露いたします。ケッサク印版と、カルト版の2パターンどす。

ケッサク編→①青幻記・遠い日の母は美しく(1973年製作・この後の引用作品は、表記のない場合は、全て日本映画どす)②ナビィの恋(1999年)③ソナチネ(1993年)。

沖縄の美風景が織り込まれた①、沖縄らしいラブ・ストーリー②、キタノ・ブルーと呼ばれる、北野武監督色が確立された③。

でもって、本作はこの3作のいろんなとこを、チビチビ入れてはりま。

カルト編→①おぎゃあ。(2002年)②沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー(2010年4月27日付けで分析)③涙(なだ)そうそう(2006年)。

母娘のキズナ①、沖縄の泥臭いとこを出したドキュ②、兄妹のキズナ③。

②のようなドロドロ部は、本作にはありまへん。で、①③のキズナは、ヤギと少年のキズナ含めて展開しよりま。

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おそらく監督の演出は、それなりにあったでおましょう。しかし、監督をサポートするところのスタッフ陣が、見事なシブワザを見せてはります。

そやから、14歳のガキが監督やなんてとバカにしとったら、エライ目に遭(お)うたりするやもしれまへん。

縁の下のチカラ持ちでおますが、本作で特にボクの目を引いたんは、撮影と音楽でおました。

アップがほとんどない、ロングショットをメインにした作り。映画的な撮り方がズーッと続きよります。2分以上の長回し撮影やらも、冴えておます。

小津安二郎監督的な、ロー・アングルによる食卓シーン、薄ブルーの空・薄グリーンの海・セピアの砂浜とゆうヨコ3分割ショット。

特に、写真1枚目の冒頭シーンにして、ラストシーンどす。「第三の男」(1949年・イギリス)ラストの45秒のワンカット・シーンを、意識しはったようなイントロ、しかも同じく45秒の遠近感構図やー。やってくれました。

でもって、サントラ使いどす。バイオリン、チェロ、金管やらを入れつつも、アコースティック・ギターをメインにしはった点。

さらに、ラストロールでは、ギターの弾き語りから始まるCocoo(コッコ)の、オキナワンなフォーク・ポップスの癒やしどす。「竹田の子守唄」的なタッチがある、この曲「やぎの散歩」は、本作の締めくくりにピッタリの楽曲でおました。

オキナワ映画の、ふところの深さをカンジよりました1作どす。

2011年2月14日 (月)

「サラエボ、希望の街角」

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ユーロ映画分析のトリは、女性監督による女性映画の会心作どす

戦争トラウマ映画の、その向こうを捉えはった作品でおます

http://www.saraebo-kibou.com/

フェブラリー2月19日サタデーから、東京・岩波ホールやらで、全国順グリのロードショー街道でおます。

関西やったら、マーチ3月26日サタデーから、大阪・テアトル梅田で上映やでー。その後、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらでも上映しはります。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、オーストリア、ドイツ、クロアチアの合作映画となった本作をば、配給しやはるんは、アルバトロス・フィルムはんとツインはんどすえー。「R-15+」指定映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

サラエボ出身の女性監督、ヤスミラ・ジュバニッチのネーさんの新作でおます。

母娘のキズナを描かはった「サラエボの花」(2006年製作)では、世界3大映画祭の1つ、ベルリン国際映画祭で、最高賞の金熊賞をばゲットしてはりま。

みなはん、知ってはるかと思いますけども、1992年に、ユーゴスラビアの解体に伴い、民族間の争いが起こりましてな、これがボスニア紛争と名付けられ、1995年にいちおう終わっておます。

内乱とゆうことなんで、紛争とゆうことになっておますが、中身は当然、戦争でおます。「ウェルカム・トゥ・サラエボ」(1997年製作・イギリス映画)やらで、戦時の様子がドラマ映画化されておますが、終戦15年後の“今”を捉えた映画とゆうのんは、まずありまへん。

そんななかで、サラエボ出身のヤスミラ姉さんは、サラエボと映画への深い愛を込めて、ココに本作をば撮り上げはりました。

紛争で両親を亡くしたヒロイン(写真に写っておます、ズリンカ・ツヴィテシッチちゃんが演じはりました)の今を描かはりました。このヒロイン像にはもちろん、監督のキモチが入っておます。

世界各地に女性映画は数多くありますが、サラエボとゆう土地とヤスミラ姉さんにしか出せないオリジナリティーある、ヒロイン映画のケッサクに仕上がっておます。

客室乗務員のヒロインのラブ・ストーリーが、序盤から描かれます。スチュワーデス物語かいなと思わはるかもしれまへんが、全然違いよります。

恋のお相手は、同じ航空会社の管制塔で働いてはる男でおます。同棲しておすんどすえ。しかし、この男が就業中に酒を飲んでたもんやから、停職になりま。アル中なんですわ。

兵士として戦場体験をしてはります。でもって、ある日、同期の桜と出会わはって、桜の勧めで、イスラム原理主義の世界へと入っていかはります。

戦争トラウマ映画としての側面も、この男の変貌してゆく過程を通して、キチンと描いてゆかはるのどす。

戦争トラウマ映画てゆうたら、そら、モノゴッツーな数にのぼる作品が、これまで出てまいりました。でも、本作は終戦直後とかではなく、15年後の今。

しかも、何とか希望ある明日へと踏み出してゆきたいとゆう、前向きな視点があるのがええカンジやと思います。

冒頭でレゲトン(レゲエ+ヒップホップ)っぽい曲が流れますけど、サントラは最後まで流れまへん。

本編では、酒場、集会場やらでみんなが、伴奏なしに歌うシーンがいくつかあります。決して経費削減で、サントラを始末したんやありまへん。

サラエボの今、ヒロインの今を、ソリッドにシャープに捉えんがため、音楽とゆう装飾をはずしてはるんどす。

そやから、ラストシーンで後ろを振り返ったヒロインの姿が、目にこびり付くはずでおますよ。

2011年2月13日 (日)

スペイン映画「アレクサンドリア」

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レイチェル・ワイズのネーさんが、活劇が多い古代史もので、ヒロイン映画やらはりました

「海を飛ぶ夢」のアレハンドロ・アメナーバル監督初の歴史劇は、「ベン・ハー」や「グラディエーター」とは真逆の仕上げやでー

http://alexandria.gaga.ne.jp/

マーチ3月の5日サタデーから、東京・丸の内ピカデリーやら、大阪・なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、ギャガはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2009 MOD Producciones,SL All Rights Reserved.

本作は紀元391年から400年くらいまでの、古代のお話でおます。

古代史もの映画てゆうたら、大たい紀元前もので、戦争活劇映画が多いのどすけども、本作は何とまあー、ヒロイン映画なんでおます。

ほな、「クレオパトラ」(1934年・1963年製作・アメリカ映画)とか「卑弥呼」(1974年・日本)みたいなカンジかいなと聞かれたら、それがまた違いよりまんねん。

女王はんやなく、女学者のお話なんどすえ。ああ、ほな、「トゥーム・レイダー」(2001年・アメリカ)の古代版かいなと、思わはるかもしれまへんが、ちゃいまんねん。

「ジャンヌ・ダルク」(1999年・フランス&アメリカ)みたいに、闘うことはあらしません。まあ、ゆうてみたら、女優を描いてはった「恋におちたシェイクスピア」(1998年・アメリカ)みたいに、文化的知的なヒロイン像を、描いてはる映画なんでおますわ。

しかも、このヒロインは、ガリレオよりずーっと前にでんな、地動説を発見してはるんやでー。発見するまでの数々の実験シーンも、リアルに映されておます。

おいおい、そら、スゴイわー、でっしゃろ。そやけど、発表でけへんかった。なんでやねん? となりますけども、本編ではその理由も、ちゃんと描いてはるんどすえー。

加えて、女教師と男の生徒たちの関係描写など、女センセー映画のルーツ的なとこも見せてくれはります。

アカデミー賞女優のレイチェル・ワイズのネーさんが、そんな女学者にキリリと扮しはりました。

「ベン・ハー」(1959年・アメリカ)「グラディエーター」(2000年・アメリカ)「トロイ」(2004年・アメリカ)やら、古代もの映画には活劇が付きものでおましたが、こういうタイプのヒロインものは、当然“動に対する静”とゆうことで、活劇とは180度違っております。

とはいえ本作には、石や刀剣で対決する宗教戦争シーンが結構入っておりましてな、ヒロインの静なるシーンと対比させてはります。

前作の「海を飛ぶ夢」(2004年・スペイン&フランス)では、アカデミー賞外国語映画賞に輝かはった、アレハンドロ・アメナーバル監督はん初の歴史劇なんやけど、ミステリー、ホラー、人間ドラマなどと、多彩な娯楽作を守備範囲にしておます。

そやから、本作も歴史劇に新しい要素を入れつつ、活劇歴史劇ファンにも充分、堪能してもらえるような作りになっとるんどす。

時代考証も完璧やー。例えば、照明のない時代に合わせた、撮り方を心がけてはりま。室内シーンや夜の描写、影絵のようなカットやらにも、注目して見ておくんなはれ。

2011年2月12日 (土)

ポーランド映画「ショパン 愛と哀しみの旋律」

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今週木曜日から続いておます、ヨーロッパ映画分析でおます

ショパン映画多しといえど、音楽映画部はモチ、彼の人間性と恋愛に肉迫しはった、ヒューマン映画でおますえー

http://www.Chopin-movie.com/

マーチ3月の5日サタデーから、全国順次のロードショーだす。

関西やったら、3月から梅田ガーデンシネマ、シネ・リーブル神戸やら、4月から京都シネマやらで上映どす。

本作を配給しやはるんは、ショウゲートはんどすえ~。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2002, A Jerzy Antczak Production, All Rights Reserved.

Chopin

ショパンのピアノ曲が、しょっちゅう掛かりよりましてな、ショパン・ファンにはたまらん映画でおます。

ショパン生誕200年は2010年でおましたが、まあ、それへの便乗とは関係なく、紡がれよったとボクは思いますところの、ショパン人間ドラマ映画でおます。

これまで、ショパン映画はモチ、クラシック作曲者の偉人映画は、いっぱい作られてきておます。モーツァルト、ベートヴェン、ラフマニノフやらイロイロござりました。

そんななかで、本作は、モーツァルトとサリエリのVS部を強調した「アマデウス」(1984年製作・アメリカ映画)と同様に、これまで深くは描かれてこんかったとこに、目を付けはって、単なる音楽映画やら伝記映画とは、一線を画すところをば打ち出してきはりました。

ショパンとバツイチの女流作家ジョルジュ・サンドとの恋愛、その息子と娘との絡み具合を、かなりと濃いめに描いてはるんでおますよ。

その見せ方も、フツーのように見えながらも凝っておまして、特に、みんなが会食する食卓シーンの緊張度合いは、相当なもんどすえー。

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ショパンとリストとの、ピアノ弾き合いコラボレーション・シーンとか、スペインの島での、自然光による美しい風景描写のシーンとか、ラストのセピアと紅のビミョーな配色シーンとか、まあ、イロイロ注目したり目に優しいシーンが頻出しよります。

でもって、本作のキモっちゅうか、アクセント・シーンとして、過去シーンを含むフラッシュ映像の使い方の妙に、味がござりました。

ショパンがポーランドから馬車に乗って、パリへと逃げてゆくくだり。ショパンの家族が歌を歌うシーン。愛人ジョルジュ・サンドの娘が大人になり、花畑や草原を走るカットとか。走る馬車のローアングルやら、うるわしき夕景カットも一瞬やけど注目やで。

そうしてでんな、ショパンの心理に合わせて、これらのフラッシュ・シーンをタイトに挿入しやはるのどす。

英語圏での上映を意識した英語セリフには、少し戸惑いはありましたけども、コレは何とかOKでおましょうか。

可も不可もないように見えつつもでんな、トータルで見てみよると、際立ってるのんは、2人の男女優の演技ぶりどした。

「アマデウス」のモーツァルト役トム・ハルスに、優るとも劣らへんショパン役ピョートル・アダムチクの、草食系・ビョーキ系演技。ジョルジュ・サンド役ダヌタ・ステンカの、自然体的に見えそで見えへん鬼気セマ演技。これらは、記憶されるべき演技ぶりやったと思います。

2011年2月11日 (金)

イギリス映画「英国王のスピーチ」

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前哨戦で多数の賞をゲッティング! 今年のアカデミー賞では最多12部門ノミネートでおます

2月28日のオスカー発表前に論じるべきか、発表後に論じるべきか、それが問題やー

http://kingsspeech.gaga.ne.jp/

アカデミー賞発表前の2月26日のサタデーから、全国ロードショーでおます。

関西の三都やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらで公開どす。

オーストラリアとの合作となった、イギリス映画の本作を配給しやはるんは、ギャガはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 See-Saw Films. All rights reserved.

賞レースを制した作品の、連続分析の最終日は本作でおます。

ああ、どないゆうたらよろしおますやろか。本作はアカデミー賞の前哨戦とゆわれとる、いくつかの賞でイロイロ賞をもろてはります。

で、はよ分析紹介せないかんなと思てるうちにでんな、今年のオスカーで最多12部門の、ノミネートゆうことになってしまいよりました。

ボクチンも参加さしてもうてます、電子雑誌「月刊シネマグランプリ」(この2月にプレ創刊版がリリースされ、WEBでも閲覧できます)の、2月公開映画ランキングでは、何と1位になってしまいよりました。

こういう作品ちゅうのんは、分析タイミングっちゅうのんが、ヒジョーにビミョーやね。

つまり、見出しにも書きましたけども、発表前、発表後の論述がどないなるんかとゆうことどす。

発表の2月28日前の26日に日本公開されますんで、となると、どないしても、予想じみたことを散らつかせつつ、本作を論じることになりま。

予想がはずれてしもたら、そら、あ~、恥ずかしーなんやけど、でも、まあ、ゆうときますと、コリン・ファースのアニキの主演男優賞ゲットは、まず間違いおまへんやろな。

実在の人間を演じた演技者が、このところほぼ毎年、演技賞をゲットしてはるとゆう流れもあります。

“どもり”とゆうアキレス腱を抱えたジョージ6世を、落ち着いた自然体にも見える演技ぶりで、ファースのアニキが披露しはりました。

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ともすると、こういう演技をする場合、大仰なカタチでやってまう人もいてはります。

無論、ジョージ6世のことは、充分調べてはるでしょうけども、なりきり型、つまりモノマネ演技には見えない、ナチュラル系なんでおます。

こういうハデやなく地味に見える演技こそが、誰にでもできるように見えてできないところなんどす。

同じく、女王役のヘレナ・ボナム=カーターのネーさんや、ジョージ6世を治療しはるジェフリー・ラッシュはんも、地味なんやけど、このタッチの演技でいってはります。

2人共に演技賞にノミニーされてはるんで、こちらも当確級やも分かりまへん。

ほな、作品としてはどないでっしゃろか、と見てみますと、第2次大戦直前ものの映画としては、新しい打ち出し方をしてはりま。

1930年代半ばから後半までを描く映画でおますが、この時代やったら、戦争もの、1930年代のアメリカの不況ものなどが多いようどすけども、それらとは逸れたところを描いてはります。

英国王室ものとゆうたら、時代劇「エリザベス」(1998年製作・イギリス映画)やら、現代のエリザベス女王を描いた「クィーン」(2006年・イギリス&フランス&イタリア)なんぞがござります。

でもって、本作は現エリザベス女王のオトンを、採り上げてはります。そやから、女王のちっちゃな頃の、かわゆいエピソードも入っとります。

そして、大きな見どころはといえば、コリン・ファース&ジェフリー・ラッシュのやり取りでおます。まあ、会話劇とはいえ、イロイロあります。

でもって、クライマックス。オーケストラの指揮者と演奏者とゆう擬似スタイルで展開する、玉音放送シーンの感動的なスリリング。

ボクとしては、本作か「ソーシャル・ネットワーク」(2010年12月25日に分析済み)が有力やと思いますが、オスカー作品賞ゲットなるか、注目しといておくんなはれ。

2011年2月10日 (木)

衝撃の夫婦映画「アンチクライスト」

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女優を変形脱皮させはるラース・フォン・トリアー監督が、今度はシャルロット・ゲンズブールのネーさんを、エライ目に遭わさはったでー!

おかげはんで、カンヌ国際映画祭主演女優賞もらわはりました。ホンマに、監督、ありがっとさぁーん、どすえー!

http://www.antichrist.jp/

フェブラリーは2月の、26日のサタデーから、東京を皮切りに、全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、マーチ3月の5日サタデーから、大阪・テアトル梅田やら、エイプリルな4月の16日から、神戸・元町映画館やらで上映しはります。

「R-18+」(18歳未満の方は入場お断りどす)指定映画どして、デンマーク・ドイツ・フランス・スウェーデン・イタリア・ポーランドと、多くのユーロの国々が本作に出資しはりました。いちおう、監督の出身国はデンマークどす。

本作を配給しやはるのんは、キングレコードはんやでー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸZentropa Entertainments 2009

ゆうときま。シャルロット・ゲンズブールのネーさんを、思いっきりコキ使わはったやなんて、おいおい、いくらなんでも、監督はん、許されへんどー、と見る前からボクはつい、アタマに血がのぼっておました。

シャルロットちゃんてゆうたら、チョー良血のサラブレッドやし、かつてはAKB48なんて、どこ吹く風ちゅうくらいのチョー・アイドルどしたんえ。

オトンはセルジュ・ゲンズブールはん、オカンはジェーン・バーキン姉さんやからね。どちらも有名なミュージシャン。でもって、オトンは映画監督もやってはりました。

そんなシャルロットちゃんはモロ、アイドルとして映画に出はって、ボクらをトリコにしてくれはったんやけど、そんなん、いつまでもアイドルやでーなんてゆうてられまへんわな。

大人になったアイドルに見合った、無難な演技を披露してはったけど、本作で遂にオオバケ。やってくれはりました。

見て分かったんやけど、基本的にはヤラシー演技とは違いました。メッチャ必死のパッチの激情節でおます。

ラース監督のこれまでの実績でゆうたら、「奇跡の海」(1996年製作・デンマーク映画)のエミリー・ワトソン姉さんやら、カンヌで最高賞ゲットの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000年・デンマーク)のビョークのネーさんやら、あのニコール・キッドマン姉さんさえも、その魔の(!?)演出ぶりの被害におうてはるんどすえー。

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カンヌで主演女優賞をもらわはる演技には、まあ、その時々の審査委員長の好みが入っているとは申せ、本作のシャルロット・ネーさんは、最近なら「シークレット・サンシャイン」(2007年・韓国)のチョン・ドヨンなんかを思い出させはる、演技ぶりを披露してはります。つまり、わが子を亡くした母の演技どす。

しかも、シングルマザー役やったドヨンのネーさんと違い、夫がちゃんといてはりま。その夫役には、ウィレム・デフォーのアニキが扮してはります。

でもってでんな、この夫妻がコドモを亡くした失意を解消せんがため、森の中へ入っていかはるんどすわ。まるで「砂の女」(1964年・日本)スタイルをそのままゆくような、夫妻だけの2人芝居が、えいえいと続いてゆきよります。

「プラトーン」(1986年・アメリカ)の森中の受難劇を、再体験しやはるデフォーはんも注目の演技どす。

2人だけの心理サスペンス、サイコ・スリラーのノリやけど、フツーの娯楽にはとてもなりまへん。いわば、アート系のホラー・サスペンスやなんてワケの分からへん、ジャンル分け不能のドラマやろと思いますわ。

冒頭のモノクロの、スローによる夫妻のセックス・シーンと、赤ん坊のカットのモンタージュとか、ラストロールでかかるシンセ的なアルファ波以外は、サントラを流さずに映像だけで見せてゆく作りとか、アンドレイ・タルコフスキー監督に捧げるの字幕、たぶん不条理な夫妻映画ともいえるSF「惑星ソラリス」(1972年・旧ソ連)に対してでおましょうか。

イロイロわざとらしく芸術映画系を打ち出してはるとこなんか、おーおーおーっ、やってくれはるやんけーなカンジがあって、メッチャ良かったどす。

最後は、監督への怒りやらはすっかり消えとりました。いや、むしろ、すがすがしいキモチにもなれた、作品やったどすえー。

2011年2月 9日 (水)

2010年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞「ブンミおじさんの森」

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昨日より世界のいろんな映画祭で、イロイロ受賞しはった作品を、4日連続にてお届けいたしておりま

今回のカンヌの審査委員長、ティム・バートン監督が本作に喜ばはったんは、自身の監督作品につながるピン・ピン・ポイントどすえー

http://www.uncle-boonmee.com/

弥生3月5日の土曜日から、東京でロードショー後、全国各地順グリの上映どす。

関西やったら、3月12日から大阪・梅田ガーデンシネマやら、その後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらへと回ります。

イギリス・ドイツ・フランス・スペイン・タイの合作となった、タイ映画の本作を配給しやはるのんは、ムヴィオラはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸKick the Machine Films

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昨日より、世界3大国際映画祭やら、世界各地の映画祭やら映画賞で、いろんな賞をゲットしはった作品を採り上げておます。

2月のドイツ・ベルリン、5月のフランス・カンヌ、9月のイタリア・ヴェネチアが3大映画祭どして、昨日はヴェネチアの最高賞でおましたが、本日はカンヌの最高賞ゲット作品どすえー。

タイ映画としては初のカンヌ最高賞、しかも、これまで日本で公開されたことあれへん監督(アピチャッポン・ウィーラセクタン監督やてぇー)の作品やなんて、モノゴッツー深く掘り下げて深く鑑賞しはって、見つけはったような作品と才能どすわ。

カンヌもそうどすが、審査委員長が毎年、あるいは数年ごとに代わらはるんやけど、今回はあの「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年製作・アメリカ映画・2010年4月6日付けで分析)のティム・バートン監督はんでおます。

でもって、本作をボクチン、ようよう見させてもらいよりましたがな。ああ、なるへそなーと納得しよりました。

コレはティム・バートンはんが、自身の監督作品でもよう披露してはるテイストが、そこはかとなく入っておます。

まず、ヒネリ系のファンタジー。そして、異界ファンタジーなんどす。

「猿の惑星」(1967年・アメリカ)のリメイク作「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001年・アメリカ)で、ホンマは披露したかったような、猿の精霊描写やその中身。

イングマール・ベルイマン監督の「処女の泉」(1960年・スウェーデン)を思い出させるような、老いた王女とナマズの滝シーン・エピソード。

このシーンは比喩的には、ディズニー的な引用をしてはるようにも見えました。

クライマックスの洞クツで示される、光り輝く各処と、主人公が母の胎内やとゆう述懐やらも、バートンはんを喜ばせはったと思います。

冒頭は夜の森のシーン。虫の音やら森の音を入れてはりますが、しばらくサイレント映画的に進行します。で、場面は転換し、2人が主人公のいる森へと、クルマで向かわはるシーンへ。

30秒から1分くらいのミニ長回し撮影シーンから、2分、3分と長めの長回しシーンが頻出しよります。

夜の闇と昼間の陽光部の対比描写やら、アップがほとんどない構図が、常に監督の頭のなかにあるような撮り方やら、サントラを本編に入れないスタイルとか、意図的に映画的な映画を目指してはります。

2人が異界の森から都会へ戻った時、静かな長回しの連続から、大いなるサプライズが現出しよりま。

格闘アクションものやらの、これまでのタイ映画にはない新鮮味。CGなしでタイのフツーの日常風景から、不思議空間を造形してゆくなど、映画本来のクラシカルな在り方を考えさせるような作りに、胸がジワーッとアツーなりよったどす。

2011年2月 8日 (火)

ソフィア・コッポラ監督の新作「SOMEWHERE」

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ヴェネチア国際映画祭で最高賞の、金獅子賞をゲットしはりました快作でおます

父フランシス・フォード・コッポラとのキズナを、思い出させる父娘映画どすえー

http://www.somewhere-movie.jp/

April4月の2日Saturdayから、全国ロードショーやでー。

関西の三都やったら、大阪・梅田ガーデンシネマやら、なんばパークスシネマ、でもって、MOVIX京都やら、神戸国際松竹やらで上映でおます。

本作を配給しやはるのんは、東北新社はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 - Somewhere LLC

このところ分析し続けてきよりました、アメリカン映画でおますけども、その真打ちは、ソフィア・コッポラのネーさんの最新作どす。

彼女のオトンのフランシス・フォード・コッポラはんが、製作総指揮をば執って、娘を大いにサポートしてはるんどす。

そんなこんながあってでんな、これまでのネーさんのクールなスタイルは継承しつつも、ある種パーソナルとも言える、父娘のキズナを描くとゆう新味を打ち出さはりました。

しかしでんな、そのキズナを経てもなお、父の孤独を描き出してゆくとゆう、ハットトリッキーを披露しやはるのです。

つまるところ、本作はキズナ映画と孤独映画の、ビミョーかつ繊細なるミキシングを、試みたとも取れるやも分かりまへん。

試写後には、実の父娘(ライアン・オニール&テイタム・オニール)が演じた擬似父娘もの「ペーパー・ムーン」(1973年製作・アメリカ映画・モノクロ)やんとゆう、評価もありました。

しかも、本作も一部「ペーパー・ムーン」と同じく、ロードムービー・タッチがござります。

でも、ボクはスティーヴン・ドーフのアニキ&エル・ファニングちゃんの父娘キャスティングから、エル・ファニングちゃんの実のネーさん、ダコタ・ファニングちゃんが出てはった、父(父役はショーン・ペン)娘もの「アイ・アム・サム」(2001年・アメリカ)との比較考察なんかを、考えたりしよりました。

で、ザックリゆうと、「アイ・アム・サム」のキズナ描写はベッタリやけど、こちらはアッサリにして、やっぱクールやねん。

そんななかでも、個人的に印象に残ったんは、ハリウッドの花形スターである主人公の、孤独感の描出でおました。

冒頭の、クルマでただ同じとこをグルグル回ってるだけの、固定の長回し撮影の倦怠ムードと、ラストのシークエンスの対応効果は絶妙やでー。

さらに、タバコをまずそうに吸って、ビールやらウイスキー飲んでるシーンやらの、1分くらいのミニ長回しとか、セックス中やエロ・ダンス見てる最中に寝てしもたりとか。

遊びまくってほとほと疲れ切ってる主人公の、何とも言われへん描写の積み重ねが、あとあとジャブのように効いてまいります。

モチ、父娘のいろんな交流シーンもまた、ドライな感覚がござりました。

でもって、「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年・アメリカ)より、ハデめのサントラ使いをしてはるのに、でもやはり、どこかに冷めた視点が見え隠れしとりま。

フー・ファイターズのビート・ロック、グウェン・ステファニーのミディアム・ポップ、フェニックスのギター・ポップやら、ポップポップで弾んで元気になれるはずやのに。

ラストロールでは、「煙が目にしみる」をけだるくカヴァーした(1993年に発表されたアルバム『TAXI』に収録)、元ロキシー・ミュージックのブライアン・フェリーの歌でおます。

作品性に合わせたサントラ使いが、ますますシブミを増しておりま。

ネーさんのこれまでの最高傑作やと、ゆうてもええ快作どした。

2011年2月 7日 (月)

ジョエル&イーサンのコーエン兄弟監督作品「シリアスマン」

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ねじれドラマ・ねじれキャラ系大量出演の、コレがコーエン兄弟監督節、本領発揮でおます

ヒッチコック監督の巻き込まれ型サスペンスを、「ホテル・ニューハンプシャー」な変型家族ものでスライスすると、アラマ、ドエライもんが出来上がりましたがなー

http://www.ddp-movie.jp/seriousman/

フェブラリー2月の26日サタデーから東京はじめ、大阪・テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。

その後、関西やったら、京都シネマやら、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。

本作を配給しやはるのはフェイス・トゥ・フェイスはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

コーエン兄弟が監督した作品には、これまでのアメリカ映画にはなかったみたいな、特異なネジレっちゅうもんがござります。

確かに、部分的にはこれまでと同じようなとこもありま。

アメリカン・ニューシネマやったりとか、イギリス出身のアルフレッド・ヒッチコック監督が、ハリウッドで量産したサスペンスのイロとか、アメリカン家族ドラマでも、ヒネリ系の「ホテル・ニューハンプシャー」(1984年製作)とか、ウディ・アレン監督のユーモア・タッチとか、イロイロありますわ。

そやけども、総体的に見てみると、コレがオーッ、ちゅうことになりよりまんねん。

今年のアカデミー賞作品賞に、ノミネートされてはる「トゥルー・グリット」は、残念ながらボクチンは未見なんでおますけども、まあ、見られた識者の方に聞きまするに、意外にもオーソドックスな、アメリカン西部劇になっているとのことどす。

それもそのはず、スピルバーグはんの製作のもと、コーエン兄弟監督初のリメイクでおまして、しかも、アメリカの国民的大スターやったジョン・ウェインが、初めてアカデミー賞主演男優賞をばゲットしはった「勇気ある追跡」(1969年)どす。

黄金のアメリカ映画でおますさかい、そんなんコーエン節でネジレ節にしてしもたら、国民から、そらモノゴッツーな反発があったやもしれまへんな!?

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本作は、1967年のミッドウエストを舞台にしておます。

アメリカでも都会やなく郊外どすし、1960年代人間を描いてはるんやったら、そらまあ、さぞや素朴で純真な人々を映してはるんやろなーと思たら、大間違いどした。

余り有名やない映画栄えしない俳優を、あえて起用しはって、アメリカの庶民性を見せていこうとしやはるんどすが、まあ、いろんな変な方がたが、次々に登場しやはります。

ある日、主人公の大学教授の夫に、妻が愛人と共に離婚を迫るんどす。夫妻にコドモ2人。

そこに、ワケ分からへん図式を描いてはる、主人公の弟が同居してはります。

隣人にはブキミな無愛想男がいたり、マリファナ吸ってるセクシー女がいたり…。

近所のラビにしても、上より下の位のラビの方が、よりマトモなことをゆうような設定やったり…。

本編とは何の関係も見出されそうにない話を、唐突に入れてみはったり…。

サントラでは、ハープとハープに合わないようなカンジで、ピアノ単音を入れて不協和音感を出したり…。

わざとのように分からへん話を、シコシコ紡いではるように見えます。

時に、コドモたちの方がマトモに見えたりします。

しかし本作はあくまで、主人公がプチ不運の積み重ねで、どないなってゆかはるんかを冷静に追ってはります。

でもって、そこかしこに仕掛けられた、意外性という名の陥穽。特に、ラストシーンにはビックラこきました。ド・ド・ド・ド怪作どすえ~。

2011年2月 6日 (日)

ディズニー・アニメ新作「塔の上のラプンツェル」

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ディズニー・アニメ第50弾は、第1弾「白雪姫」に原点回帰しはったみたいな会心作でおます

スタジオジブリへと通じるヒロイン・アニメ色、極上のミュージカル・スタイル、家族のキズナを含むラブ・ストーリー、そして勇気をくれる冒険アクション部…

http://www.Tounoue.jp/

マーチ3月12日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

関西やったら、TOHOシネマズ梅田やらで上映どす。

3D・2D同時公開どして、字幕スーパー版と日本語吹替版の2タイプでの上映やでー。

本作を配給しやはるんは、ウォルト ディズニー スタジオ ジャパンはんどっせー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸDisney Enterprises, Inc

ディズニーの長編アニメ50thは、第1弾「白雪姫」(1937年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)と同じく、グリム兄弟による童話を原作にしはりました。

「白雪姫」の実写版「スノーホワイト」(1997年)やら、グリム兄弟のウソのような話「ブラザーズ・グリム」(2005年)やらを持ち出すまでもなく、ホンマのホントに怖いグリム童話なんどす。

しかし、コレがディズニーで映画化されますと、アラマ・ポテチンなポジティブ映画の、チョー見本のような映画になりますんで、不思議でおます。

でもって、本作はこれまでのディズニー・アニメの全ての要素を詰め込まはった、いわば集大成的な仕上がりになっとるんですわ。

スタジオジブリ作品へ大きな影響を与えたハズの、ヒロインの成長映画、サクセス・シンデレラ・ストーリー。

家族の再会ある感動のシーンやら、ウットリのラブ・ストーリーもモチ、展開されよりま。

主人公と馬が対決するシーンとか、ヒロインは黄金色の21メートルの髪やっちゅうんどすが、その髪を生かした髪アクトやら、冒険アクション・シーンも漏れなく入っておます。

従来のディズニーものやったら、動物キャラがせいだい喋ってはったけども、本作に出る白馬とカメレオンは、人語は理解できるけど喋らず、アクションの動きや表情でキモチを示さはります。つまり、ディズニーの新境地も入っとるんですわ。

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で、写真にあります通りの、色使いの妙どす。

製作側はオーガニックを残しつつ、手書き的をCGで示すんを狙ったとゆうてはります。

でも、えらいカラフルな仕上がりやったんで、ビックリでおました。

それでいて、森中の自然シーンやらは目に優しかったし、暖色と言われるセピアの使い方も素晴らしおした。

一方で、夜のシーンのダーク・ブルーなカンジの表現も、カラフルとの対比効果がござりました。

そして何と言いよりましても、圧巻のミュージカル・シーンどす。

現役で最多の8度のアカデミー賞に輝いてはる、作曲者アラン・メンケンの、ミュージカルにふさわしいエンターテイナーな、サントラ使いでおます。

ヒロインの声を担当しはった、歌手でもあるマンディ・ムーアが、それに十二分にこたえてはります。

ギター・ポップ・ロック、クライマックスで披露するデュエット・バラード、モータウン調のダンス・ミュージックやら、変幻自在どす。

セリフが歌に乗るタイプもあるし、壮大なオーケストラ・サウンドもありと、多種多彩でおました。

そんななかでも、各人の夢について歌い合う酒場のシーンは、夢を見て夢に向かって突き進むとゆう、ディズニーの心意気が示されとるようで、妙味がござりました。

2011年2月 5日 (土)

クリント・イーストウッド監督の新作「ヒア アフター」

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日本で大ヒットしそうなアメリカン映画の、ほぼ全ての要素が入った大傑作どす

ドッカ~ンのパニック・ムービー、明るいヒロイン映画、孤独な男のドラマ、ラブ・ストーリー、少年もの、母子・兄弟のキズナ…

http://www.hereafter.jp/

February2月19日Saturdayから、全国各地イッセーのロードショーやでー。

本作を配給しやはるんは、ワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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(C) 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. 

クリント・イーストウッド監督が、またもやスゴイ作品をば作ってきはりました。

今回はスティーブン・スピルバーグはんが、何と製作総指揮で参画しておます。

そやから、これまでのイーストウッド監督作品と、スピルバーグ印なエンタが見事にブレンドされとりましてな、そらモノゴッツーなことになっとりまんねん。

ナンチューても、これまで日本で大ヒットしたハリウッド映画のフレイバーを、ギュギュッと詰め込んではります。

「バベル」(2006年製作・アメリカ映画・以降の引用作は全てアメリカ映画どす)やら「めぐりあう時間たち」(2002年)みたいに、3人の話が映されよりましてな、それが最後にサプライズ感をもって、着地するっちゅう展開の映画でおま。

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でも、そこへと到る道筋はメッチャ、オリジナリティーがバチバチでおます。

まずは、イントロから、恐るべき津波パニック(写真3枚目)が押し寄せよります。この冒頭の描き方はホンマ、ハンパやおまへん。

いやいや、「ディープ・インパクト」(1998年)やら「デイ・アフター・トゥモロー」(2004年)やらが作りモンやと思うくらい、リアリティーが違(ちご)とりまんねん。

でもって、フランスで前向きに明るく生きてはる、セシル・ドゥ・フランス姉さんのヒロイン映画。

「ボーン」シリーズ(2002年・2004年・2007年)のアクション系の孤独やなく、霊能者であることに落ち込み、自ら孤独のなかへと入る、マット・デイモンのアニキのシブさ。そんな孤独な男のドラマ部は、サンフランシスコが舞台どす。

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さらにロンドンでは、兄を事故死で亡くし、育てる能力のない母とは別れさせられてまう少年の、かわいそうなお話(写真4枚目)が紡がれよります。

ほんでもって、この3話が、デイモンのアニキを媒介に、ハットトリッキーにつながっていきよります。

そして、ラスト30分のミラクルへと、ボクチンを誘ってくれはりました。間違いなく、至福の映画体験どす。

でもってでんな、サプライズ・エンディングのインパクトやー。未来予知能力と霊能力の一致。加えて、唐突に見えるけど、ラブ・ストーリー的ハッピー・エンドなウルトラ・シーン。アレにはヤラれよりました。

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ああ、まるでチャップリンの「街の灯」(1931年)みたいな、あの2人が感動的に出会うラスト・シーンを、再生しているかのような既視感がありましたで。

往年のハリウッド映画の恋愛映画も思い出させるような、特上シーンでおました。

母子、兄弟やら、いろんなキズナ描写も冴えておます。ボクチンが特にしびれたんは、デイモンのアニキと少年の、束の間の交流シーンどす。

ラスト30分には、このエピソードも入っておますんで、ぜひみなはん、目をクギ付けにして見ておくんなはれ。

2011年2月 4日 (金)

ハリウッド映画のラブコメ新次元「幸せの始まりは」

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本日より、旬の新鮮なアメリカ映画を、数日にわたり連日ナビゲートいたしまっせー

本作は、出尽くした感があるアメリカン・ラブコメに、ビミョーな新しいとこをチビチビ入れて、新味を打ち出さはりました

http://www.shiawase-hajimari.jp/

FEBRUARYの2月11日のFRIDAYから、TOHOシネマズ梅田やらで、全国各地イッセーのロードショーだす。

本作を配給しやはるのは、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ジェームズ・L・ブルックス監督はん、ジャック・ニコルソンはん出演となれば、知る人ぞ知る、アカデミー賞的ラブ・ストーリーの良質印でおます。

よう分からん人は多いかと思いますんで、解説しよりますと、ニコルソンはんが主演しはった「愛と追憶の日々」(1983年製作・アメリカ映画)では、オスカー作品賞・監督賞やらに輝かはりました。

その後の監督はんの作品は、8作品がオスカーにノミネートされてはります。

でもって、ニコルソンはん的にも、同監督作品「恋愛小説家」(1997年)で、主演男優賞をもらわはりました。

しかも、この監督はん、プロデューサーとしてもガンバってはりまして、オスカーの部門賞をゲットした、トム・クルーズ主演の「ザ・エージェント」(1996年)でも、気を吐かはりました。

ほとんどの作品が、アメリカン映画の恋愛小説・良質のラブコメでおます。そんな監督はんが、久々に監督しはったんが本作どすえー。

ヒロインと2人の男の三角関係を描くとゆう、まさに手垢の付きまくった恋愛映画に、チャレンジしてはるのどすけども、コレがそれでも新味を打ち出すんやーとゆう、意気込みを感じた作品でおました。

そやからとゆうて、作品の出来がどうかとゆうと、みなはんにゆだねられよりますが、ボクとしては、かつての監督はんの鋭さはやや衰えとるかもしれへんねんけど、何とかまとめはって、21世紀らしい恋愛映画になったかと思います。

新しどころを言いまするに、まず、パソコン操作シーンやらはないんやけど、ケータイ電話の多用シーンで、現代色をクリエイトしはります。

基本はヒロイン映画なんやけど、女スポ根ドラマから入るとゆう意外性。

三角関係があまり強調されへん、ドロ沼なしのサラリ感・スマート感も心地いいかと思います。

そんななかでも、やはりクローズアップすべきは、アカデミー賞主演女優のリース・ウィザースプーン姉さんの、演技ぶりでおます。リースのネーさんの持ち味とは、ラブコメにおけるフレキシブルな演技どす。

失意の泣くアップ・シーンがあるかと思えば、お互いに喋らへん“沈黙ディナー”で示される、ユニークな癒やしのシーン、父から言われたらしいんやけど、「気分がいい時だけ酒を飲む」なんてセリフに、大したシーンやないけど、ジーンときよりました。

まあ、ゆうてみたら「ザ・エージェント」トム・クルーズの、女版のような仕上がりどすわ。

加えよりまするに、部屋の色合い・インテリアやらで、リースのネーさんやオーウェン・ウィルソン兄貴やらの、キャラクター付けをしたとかゆうポイント。

そして、現代的モノクロ「シンドラーのリスト」(1993年)やら、ド迫力の「プライベート・ライアン」(1998年)やら、スピルバーグ御大との仕事で、アカデミー賞をもらわはった撮影監督ヤヌス・カミンスキーはんの、撮影ぶりどす。

スタッフてゆうたら、縁の下のチカラ持ちみたいなとこがあるんやけど、ヤヌスはんの作品性に合わせた撮り方は、目立たへんけど絶妙でおました。

2011年2月 3日 (木)

ニッポンの音楽ドキュメンタリー「kocorono」

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アメリカやらに比べ、日本に音楽ドキュが少ない理由ってなんやねん? みなはん、分かりまっしゃろか?

しかも、稀少なバンド・ドキュ。ドラマ映画ではケッコーあるんやけど、本作は多様な作りで魅せはりま。

http://www.kocorono-movie.com/

フェブラリー2月5日サタデーから、東京・シアターN渋谷を皮切りに、全国各地順グリのロードショーでおます。

関西やったら2月26日から、大阪・シネマート心斎橋にてレイトショーどす。

本作を配給しやはるのんは、日本出版販売はんどっせー。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

Ⓒ2010 kocorono 製作委員会

本作を見る前に、ボクチンの日本の音楽ドキュメンタリー映画のベストスリーを、思い返そうとしてみよったら、アレマ、ほとんどないのに、ふと気づかされよりました。

時代の流れにそくして見ていっても、GS(グループサウンズ)もの、こまどり姉妹やらのかつての日本歌謡もの、永チャンこと矢沢永吉もの、ミスチルことMr.Chirdrenを、ミュージック・クリップのノリで描いた「es」(1996年製作)とか、オキナワの女性アーティストCoccoを捉えたものとか。

あと、アイドルもんにもいくつかござりまして、「おニャン子・ザ・ムービー 危機イッパツ!」(1986年)とか、現在公開中の、AKB48の1年間を描いたドキュとかがありま。

ほんでもって、ベストスリーやなく、ベストワンだけを選ぶんやったら、ボクチン的には、忌野清志郎のライブ・ツアーを、ロードムービー的に描いた「不確かなメロディー」(2000年)やろな。

さてはて、見出しにも書きましたけども、なんで日本には音楽ドキュが少ないのんか、どす。

実は、音楽業界・レコード業界との絡みっちゅうもんがありましてな、セル・オンリーとゆう音楽もののビデオが、音楽業界ではズーッと作られてきておます。

そやから、それらを映画化してまうと、売り上げに響くとゆうような迷信がズーッとあったんどすえー。

でも、まあ、最近では徐々に改善されとります。AKB48のドキュも、そういう流れのなかから出てきておます。

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とゆうわけで、肝心の本作について分析いたします。

bloodthirsty butchers(ブラッドサースティ・ブッチャーズ)とゆう、紅一点4人組バンドを捉えてはります。

日本の1980年代後半のバンド・ブーム後にデビューし、売り上げはコア・ファンのみの横ばい状態でいきながら、今なお現役で活動してはる、この4人組の秘密に迫らはる作りどす。

この場合やとフツーやったら、ライヴ・シーン、関係者へのインタビューやらをメインにしつつ、掘り下げてゆくパターンが多いんやけど、本作はビミョーに工夫を凝らさはりました。

まず、バンド・メンバーたちの会話を、今一つの軸に据えてはります。口論シーンあり、タバコ吸ってビール飲みもって、イロイロ話し合うシーンやら、妙にオモロイんどす。

で、各メンバーのセリフにも妙ありや。「(音楽では食うていけないことに対する)リベンジだ」とか、「アーティストと言われるより、バンドの人って言われたい」とか。

そして、自然描写のタイトな挿入。それも、メッチャ多彩やねん。北海道の冬の海、車窓を流れる北海道の風景、桜舞うシーン、雲がある夕空カット、ロードムービー的に空やらを捉えたりとか。

さて、サウンド的には、メンバーはパンク・ロックに影響を受けたてゆうてはりますが、ボク的診断ではブルーハーツのタッチどす。

ブルーハーツも名称を変えて、今に生き残ってはりますが、彼らと同じ心意気みたいなんを、このバンドにカンジましたで。とにもかくにも、今後も生き残ってゆくバンドであるんは、間違いないやろと思います。

2011年2月 2日 (水)

ユーロ・ドキュメンタリー映画「ありあまるごちそう」

食ドキュメンタリーの新しどころを、イロイロ入れはった作品でおます

ただ映してるだけやのに、キモくてオトロシイーわ。ヒヨコちゃん→若鶏(ワカドリの唐揚げとかあるよなー)クンのシーンに、背筋ゾクーやでー、もー

http://www.gochisou-movie.com/

3月上旬から、大阪・第七藝術劇場やらでロードショーだす。

でもって、その後、京都みなみ会館やら、神戸アートビレッジセンターやらで順次、上映でおます。

本作のオーストリア映画を配給しやはるのんは、アンプラグドはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸAllegrofilm 2005

みんな、よう分かってはるやろし、ドキュ映画ってそない売れへんねんけど、それでも、ボクは懲りずに語り続けたい。

今回はいちおう4日間連続やけど、今までもやってきたし、今後もちょくちょくやりまっせー。ドキュメンタリーゆうても、いろんなもんがござります。

①何かを主張してはるような社会派②ネイチャー③そのまま映して、あとはみなはんの判断に任せますわ系④文化映画とゆわれる、何かの文化やらを映す映画⑤実在の人間を描く系。

大たいドキュって、この5タイプやないかな。まあ、③が基本なんやろけど。

ボクチンのドキュ映画の、勝手にベスト・スリーは①ゆきゆきて、神軍(1987年製作・日本映画)①ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年・カナダ)③沈黙の世界(1956年・フランス)なんやけど、やはり、社会派系の告発・突撃系がココロに衝撃を与えよります。

でもって、本作もそういうタイプの作品なんどすえー。ドキュメンタリー映画特選の3日目でおますが、2日目に続くフード・ドキュでおます。

しかし、昨日のアメリカ映画「フード・インク」も、スクープを追うようなスタイルで衝撃的どしたけど、こっちのユーロ映画は、スクープ狙いよりも、そのまま映すことによる衝撃度が、トンデモない作品どした。

あんまし描かれへんかった国情をば捉えはったんも巧妙、もしくは作為的どす。以下、目立つとこをば表記しよりますと…、

①映画的には、カンヌのようなオシャレ感があるフランスなんやけど、その漁業の実態、しかも沿岸漁業どす。

②スペインの、ユーロ最大の野菜生産の地。オープンハウスが居並ぶアルメリアの実態。

③世界1の農業国ブラジルてゆうたら、コーヒー農園かと思たら、大豆の大産地やて。それやのに、メシが食われへんで、生活苦に悩む人々の姿も映されよりま。

④ウィーンではパンやらが、大量に投棄されとるシーンがござりまして、それらが日々トラックでゴミ処理場へと運ばれま。

そんなとこなんやけど、ルーマニアのゆったりした、有機農法の在り方やらはホッとしたりするけど、映画としてはそんなんは、途中経過の流し目どす。

加えて、ネスレのCEOの発言なんか、どないなもんどすやろか。

さてはて、日本が食いもんを捨てとんのが、世界でイチバンやー、やなんてどないどすかー。飢餓・餓死で死んではる人は、その捨てた食い物食うたら、死んでへんかったーなんて理論づけなんどすやろか。

いやあー、でも、強引やけど、この理論づけには妙な説得力がござりました。ボクチン、背筋がサムー、なってきよりました。

2011年2月 1日 (火)

フード・ドキュメンタリー映画「フード・インク」

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昨日の「はんなり」も入れよりまして、本作含め明日・明後日、ドキュ映画4日連投でおます

アカデミー賞長編ドキュ賞で「ザ・コーヴ」にやられはったけど、アメリカン・フード・ドキュの記念碑的作品になりよりました

http://www.foodinc-movie.com/

2月26日の土曜日から、大阪・第七藝術劇場でロードショーでおます。

その後、神戸アートビレッジセンターやら、京都シネマやらで、全国順グリの上映どす。

本作を配給しやはるのんは、アンプラグドはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸParticipant Media

みなはん、ドキュメンタリー映画やなんて、あんまし見にいかはらへんかもしれまへんけども、まあ、いっぺん、コレええやんと思たんはぜひ見にいっておくんなはれ。

確かにテレビのドキュでも、NHKはちゃうけど、民放ではタダで見られます。テレ・ドキュにもええのんがありますけども、映画ドキュは映画としてのドキュをやってはります。

あんましテレビやらでは映されまへん、素材やらテーマやらが俎上にのぼることが多いんでおます。

本作はアメリカン・フード・ドキュなんやけど、ファースト・フードの在り方を、総体的に捉えた「ファーストフード・ネイション」(2006年製作・以下の引用は全てアメリカ映画)とか、個人的な観点から捉えた「スーパーサイズ・ミー」(2004年)とは違う、食産業全体の問題をば描かはりました。

アメリカではフード巨大企業が、農家を支配下に置いて、農務省やらの政府筋とは密約やないけど、それなりに懐柔してはって、威張ってはるんやてぇー。

O-157が入ったマクドを食うて、死んでしもた子供やら、ええおっさんが糖尿病になってしもたり、食に文句をゆうたら風聞罪、つまり営業妨害やなんてこともあるやなんて、おいおい。

でも、日本でも、食偽装問題やらがあるし、今も口蹄疫やら鳥インフルエンザの問題が、しつこく付きまとっております。それでも、食企業が、その国の食の在り方やら、未来を握っておるっちゅうのんは、そんなにありまへんやろ。

しかも、末端でいろんな問題を起こしとんのに、そのまま放置しとくやなんて…、なあ? 

コーネル・サンダースはんが有名なフライドチキンの本場・ケンタッキー州の、タバコ畑から鶏肉への移行で、イロイロ問題が起こっとったりとか、8ミリのモノクロで映される、マクドナルド兄弟(「マクド」の創業者どす)の経営方針の在り方とか、アメリカの鍵を握るコーン産業やら、遺伝子組み換えにまつわる裁判沙汰やら、ホンマ、チビチビと食の問題が描かれてゆきよりま。

写真やCGによる解説もあるけど、ほぼ全ての企業が取材拒否とゆう結果に終わります。

有機農法、オーガニックへの回帰などで、食の健全性も描いてはるけど、基本的には、告発的な視点が目立っております。

そんななかでも、音楽ドキュの傑作「ウッドストック」(1970年)や、戦争ドキュの問題作「ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実」(1974年)やらで、衝撃の映像を撮り続けたリチャード・ピアースはん(本作の共同プロデューサー&撮影監督)の参加には、ココロ震えよりましたで。時おりの衝撃の映像に、ぜひともご注目あれ! ですわ。

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