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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2011年1月の記事

2011年1月31日 (月)

ジャパニーズ・ムービー「はんなり」

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世界に誇る日本映画の在り方とは、一体全体、どないなとこにあるんどすやろか?

「おくりびと」に通じる、世界的日本映画魂が、ココにあるやもしれまへん

http://www.hannari.info/

如月(きさらぎ)2月19日の土曜日から、大阪・第七藝術劇場やら、神戸アートビレッジセンター。

でもって、本作の舞台となる京都やったら、弥生3月19日土曜から遂に、京都シネマでロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、アップリンクはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸSAKURA PRODUCTION USA

海外の注目を集める日本映画には、ある種のステイタス・シンボルとなる、方程式なるもんがござります。

つまり、日本にしかないオリジナルなとこをば、表現しはった映画でおます。

黒澤明的な時代劇とか、本作と同じ舞台の京都でゆうたら、「祗園の姉妹(きょうだい)」(1936年製作)や「祗園囃子」(1953年)やらの溝口健二監督作品とか…。

京都舞台映画を数多く作ってきはった、大映京都製作映画に加え、小津安二郎監督作品なんかの、日本家庭的な食卓のある家族映画やったりとか…。

21世紀的なら、アカデミー賞外国語映画賞をゲットしはった「おくりびと」(2009年)にしても、日本的葬儀の儀式と癒やしが、多くの外国人を感動させはりました。

でもって、本作にもセリフで出てきよりますが、1950年代にハリウッドが、日本に憧れて作った映画のスタイルもまた、日本的オリジナルをば示してはります。

例えば、マーロン・ブランドと大映の京マチ子が共演した「八月十五夜の茶屋」(1956年・アメリカ)、アカデミー賞助演女優賞ゲットの、ナンシー・梅木が出演した「サヨナラ」(1957年)やら。さらに「黒船」(1958年)とか、オスカー作品賞の「80日間世界一周」(1956年)にも、日本シーンがござります。

で、21世紀的なら、「ラスト・サムライ」(2003年)とゆう大傑作がありま。

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でもって、ドキュメンタリー形式ながら、日本独自の花街文化・花柳界を取り上げはったんが、本作どす。

歌舞伎界を捉えた「わが心の歌舞伎座」(2010年12月31日付けで分析)やらと、リンクしてゆくような作りどすえー。

例えば、演舞なるもんがござりまして、牛若丸と弁慶の話やら、夫婦(めおと)ものなどの一部が映されておます。

ほんでもって、英語ナレーションによりまして、京都・花街の様子がナビゲートされよります。

京都の四季折々の美しき風景を織り交ぜつつ、現役あるいは元芸妓、舞子らや、着物・かつら・舞い扇などを作る伝統職人らへの、インタビューを散りばめて、日本にしかない花柳界の、実態をば映してゆかはるのどす。

個人的にビビッときたんは、かつて芸妓シンガーとして、ボクチンが単独インタビューしたことあるMAKOTOネーさん(写真3枚目)も、ちゃんと紹介してはる点どした。

小唄やらとは180度違う、ジャズやジャパニーズ・ポップスを歌わはる彼女のシーンは、本作に現代的なアクセントを加えてはります。

テクノやシンセサイザー・サウンドを取り込んだサントラ使いもまた、コンテンポラリーでおました。

現在ハリウッドで活躍中の曽原三友紀ネーさんの、女性監督らしいナイーヴな演出ぶりにも、ぜひとも注目しておくんなはれ。

2011年1月30日 (日)

涙ホロリの日本映画「わさお」

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実在の犬が主演した、犬もの映画100パーセント印どす

薬師丸ひろ子ネーさんと犬「わさお」クンのキズナやら、日本映画伝統の「泣ける」節が満載やでー

http://www.wasao-movie.com/

如月(きさらぎ)2月26日の土曜日から、本作のロケ地・青森先行公開のあと、弥生3月5日の土曜から、全国ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「わさお」製作委員会

感動する「泣ける」系の映画と言いますんは、日本映画の伝統でおます。

昔から「お涙ちょうだい映画」なんて、ゴリゴリの映画ファンからは、蔑視されてきよりましたけども、実は洋画と比較しまして、コレこそが邦画の、邦画たるべきオリジナリティーの1つなんでおますよ。

もちろん、人と人のキズナがメインなんやけど、でも、人と動物なんてのんもござります。

本作は人と犬の交流どすが、アメリカ映画やらではこの種のタイプは、正統派のキズナ映画になるよりは、どちらかと申せば、ファミリー映画やったりコメディとかになりがちどす。

確かに邦画でも「いぬのえいが」(2004年製作)や、その続編「犬とあなたの物語 いぬのえいが」(2010年12月18日付けで分析)はコメディ色が入っとりますが、本作はハリウッドでもリメイクされた「南極物語」(1983年)や、「ハチ公物語」(1987年)のテイストでいってはります。

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しかも、犬映画100パーセントの作りやのに、これまでの犬映画にはなかった、新しいとこをいくつか取り入れはりました。

まずは、前代未聞どすが、実在の犬が実話スタイルで主演してるとこだす。

まあ、コレは「ハチ公物語」に、生きていたとして、ハチが出るようなもんでおます。但し実話やなく、実話をベースにしはった、オリジナル・ストーリーどす。

さらに、この手の映画に多い、犬の吹き替えナレーションはありまへん。

犬の動きはサイレントでおます。そやから、日常の犬の行動に近い、リアリティーが追究されとるんですわ。

そして、見どころの1つとなるキズナ描写シーンどすが、そないベタベタやありまへん。付かず離れずのあっさり系で、リアル感を出してはりま。

特に、薬師丸ひろ子ネーさんが、ええカンジや。例えば、飼い犬が死んでも泣くんやなく、犬に対し「ありがとう」とゆわはるとことか。

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「RAILWAYS  49歳で電車の運転士になった男の物語」(2010年5月21日付けで分析)など“島根3部作”で、地方ロケーション映画の真髄を示さはった、錦織良成のアニキが監督どす。

今回は青森ロケで、海・山・空をロングショットでタイトに挿入してはります。日本1美しいと言われとるらしい夕景も捉えてはるんで、お見逃しなきよう。

加えて、映画的な撮り方によるカットが、多数入っております。

海辺の店をカウンター側から捉えて、海まで映す奥行き・遠近感のあるシーンとか、犬のロングショットとアップ・クローズアップを、バランス良く配置したり、薄~い色合いの過去シーンと、自然光のなかを歩く犬シーンを対照させはったりと、まさに多彩でおます。

ゴリゴリの映画ファンを認じてはる方も、きっと満足しやはるはずどすえー。

2011年1月29日 (土)

大ヒット確実の日本映画「あしたのジョー」

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コミック・アニメ原作の実写映画、昭和映画のノリ、ジャニーズ系主演男優やら、日本映画大ブレイクのフレイバーが、いっぱいゴッツー詰まっとりまー

アウトサイド・ボクシングの粋で魅せる、格闘スポ根映画のハットトリッキー作品やでー

http://www.ashitano-joe.com/

2月11日の土曜日から、全国各地一斉のロードショーやらかしま。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

昨日予告した通りでおまして、本日より3日間にわたり「日本映画の今」を分析してみたいと思とりま。

邦画は今後も、数限りなく分析紹介してゆきよりますが、本日からの3作品は、邦画ブレイクのトレンド・ポイントを握ってはる作品たちでおます。

今、日本の映画業界関係者でゆわれてることが、いくつかござります。

特にヒット方程式のなかに出てくるキーワードは、3Dを除いて、約3ポインツほどござります。

①東宝映画、②ジャニーズ事務所所属の俳優(NEWSの山下智久クン)が主演、③コミック、アニメほかが原作の実写映画やら、スタジオジブリをはじめとしたアニメ映画作品。

でもって、本作は、この3ポイントがズバリ、ディープに詰め込まれた作品となりよりました。

③について言えば、セリフやキャラを含め、原作にほぼ忠実に描いたような感じ。

みなはんには、トンでもたまらへんような作品やとは思いますねんけど、ただ、ヒットするだけやなく、映画的な側面から見ても、記憶されるべきポイントが、約3ポインツほど入った作品なんでおます。

④「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年製作)やら「フラガール」(2006年)やらの昭和映画のノリ。

⑤邦画のボクシング映画としては、これまでは大阪舞台ものが多かったように思うんやけど、東京のドヤ街を舞台にした点。

⑥ボクシング映画多々あれど、正統派ではないアウトサイド・ボクシングを大マジに描かはったところ。といった感じでおましょうか。

④については、CGも使(つこ)てはりますが、映画らしいオープンセットで、街を表現してはるとこなんか、1950~1960年代にあった、映画撮影所の映画魂をば感じさせてくれはりました。

⑤どすが、なんでか分かりまへんが、ボクシング映画の東京ものは、それほど目立っとりまへん。

寺山修司監督による「ボクサー」(1977年)とかは、シブい作品どしたが、DVD化されとるんやろか? そんな寺山修司はんも、本作のテレビアニメ版の主題歌で作詞してはるんどす。

でもって⑥でおます。

1960年代のボクシング・ルールに基づいてはりますんで、何回ダウンしても、テン・カウント内に立ち上がればOKでおます。

今なら、ドクターストップやら、TKO(テクニカル・ノック・アウト)やらがあるんやけど、当時はそんなんありまへんねん。

そんななかで、現実的やないアウトサイド・ボクシングを描くっちゅうのんは、まさにマンガの世界でしかござりまへんどした。

辰吉丈一郎やらに影響を与えた、両手ブラブラのノーガード・スタイルとか、ダブルやトリプルのクロスカウンターとか、常識ハズレどす。

しかし、思いっきりスロー・モーションを駆使しはって、この決めワザにリアリティーを与えて示さはるんどす。

スポ根アニメの実写化映画の1手法として、このスローの使い方は瞠目すべきところどした。

原作コミック、アニメから出てきはったみたいな、香里奈ネーさんや、香川照之アニキらの、なりきり型演技にも注目しておくんなはれ。

2011年1月28日 (金)

中国のパニック・ムービー「唐山大地震 -想い続けた32年-」

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●3月11日に発生した「東北関東大震災」の被害状況を鑑みまして、本作は公開延期となりよりました。

地震パニックと家族映画が融合した、中国の国民的大ヒット作が、春休みに日本上陸やー

ハリウッドに比べたら、そらVFX部の迫力は落ちるかもしれまへんけど、中国映画としては、過去最大のダイナミズムなんやでー

http://www.tozan-movie.jp/

近日より、東京・丸の内ピカデリーはじめ、全国各地イッセーのロードショーでおます。

本作を配給しやはるのは、松竹はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 Tangshan Broadcast and Television Media Co., Ltd. Huayi Brothers Media Corporation Media Asia Films (BVI) Limited All Rights Reserved.

中国の新作映画分析の最終日は、パニック・ムービーでおます。

ハリウッド資本が入ってへん、中国資本だけで作り上げた映画としては、過去最大級の超大作になったんやないかいなと思います。

昨年、台風パニック「超強台風」(2010年11月29日付け)を分析した時に、台風・洪水も難儀してるやろけど、中国として、最もえらい目におうてはるんは地震やろう。

っちゅうことで、地震映画を作ってチョーなんてゆうとったんやけど、でも昨夏には、本作が中国で公開されとりました。誠にもってすんまへん。ボクチンのミステイクどした。

さて、本作やけど、中国映画歴代興行収入で、何と「アバター」(2009年製作・アメリカ映画)に続き2位にランクインするとゆう、大ヒットをばかましてはりました。

「上海万博」ともども、大ブレイクしとったわけでおます。

でもって、その地震パニックでおますが、コレが1976年に実際にあった、唐山大地震をば採り上げてはります。

たぶん、本作のフォン・シャオガン監督の潜在意識下には、ハリウッド映画「大地震」(1974年・アメリカ)があったやろと思います。つまり、「大地震」が作られた2年後に、中国史上最大の被害をもたらした地震が、発生しよったわけどす。

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21世紀になってからも、北京五輪イヤーの2008年に、四川大地震に見舞われておます。

でも、四川の8万7千人余りの死者に対し、唐山は25万人どす。ちなみに、阪神大震災は6千4百人余。同じ都市型地震とはいえ、被害の度合いが全然違(ちご)ておりま。

そのモノスゴサを、ハリウッド映画ほどの迫力はないやろけど、建物倒壊、地割れやら、大崩れのVFXで豪快に示さはります。

しかも冒頭では、CGどすが、大量のトンボがどこかへ逃げるような、昆虫パニックな不穏さをば映さはります。でも、それらは本編の最初の30分くらいで映してしまわはります。

その後の見どころは、家族映画としてのキズナが大きなポイントになります。

ハリウッド映画やったら、パニックに遭った人たちの群像劇みたいなスタイルで、いかはることが多いんでおますが、本作は違(ちご)とるんですわ。

地震によって家族が、オカンと息子(弟)、娘(姉)とゆう風に、離れ離れになるっちゅう設定を作ってはります。オトンは死なはりました。で、娘はんは人民解放軍の夫妻に、養女として引き取られはるんどす。

母としての、娘としてのヒロイン映画が、重層的に織り込まれてゆくんどすえー。しかも、1976年から2008年までとゆう大河ドラマなノリで物語が進行しよります。

涙なしには見られない、母と娘の再会シーンが、本作の一大見どころでおます。

パニック映画部はあくまで導入部に過ぎず、家族のキズナ描写こそが本作のメイン・ソースなんどす。ハリウッドの大作映画にはできない、緻密な家族映画な作りに酔いしれました。

さて、韓国、中国とアジアを巡ってきよりましたが、明日からは3日連続で、日本映画の新作を分析いたします。よろしゅうお願いいたします。

2011年1月27日 (木)

中国の家族映画「再会の食卓」

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ゆったりとした長回し撮影による、食卓シーンの多さが、クセになってきよります

三角関係恋愛シニア・バージョンどすが、まさに穏健派やなー、なんて仕上がりどす

3人の不可思議なるキズナとは、何ぞやを考えさせてくれはりま

http://shokutaku.gaga.ne.jp/

2月5日の土曜日から、東京・TOHOシネマズ シャンテやら、Bunkamuraル・シネマやらで、全国順グリのロードショーどすえー。

関西やったら、2月26日の土曜日から、大阪・梅田ガーデンシネマやらで上映しはります。

その後、4月に京都シネマやら、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリの上映なんどす。

本作を配給しやはるのんは、ギャガはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

北京五輪に続き、大阪万博入場者数を越えた上海万博開催やー。

でもって、2010年GDP(国内総生産)の世界ランキングで、アメリカに続いてた日本が抜かれよりまして、中国が世界第2位らしいどす。

ちなみに、日本は中国以外の国には抜かれずに、何とか3位をキープどす。経済における中国の躍進ぶりはそら、モノゴッツーなところがありまっしゃろな。

ほな、文化の方、例えば映画はどないやねんなんどすが、実は、日本とおんなじようなとこが、あるように思いよります。

売れるような作品と、余り売れない芸術系の、シブい映画との格差でおます。

「レッドクリフ」シリーズ(2008年・2009年製作・アメリカ&中国)とかは、全世界的にも大ヒットしましたけども、あくまでハリウッド資本の、サポートを得ての映画化でおました。

経済大国に成長した中国やけど、映画製作にも力を注いでやーと願(ねご)とりますが、まあ、明日分析しよります「唐山大地震」はチョー大作どして、中国国内では歴史的なヒットをばかまさはったらしいどす。そちらは、いわゆる売れ線系でおます。

で、本作のようなのが、そう売れそうになさそうやけど、映画評論家受けのええカンジの映画なんてことになりますかな。世界3大国際映画祭のベルリンで、次点に当たる銀熊賞・銀メダルももうてはりますしなー。

よーく見ていただきたいんでおます。見たあとあと渋ーい感動に、時を経るにつれチビチビ心にきよりましてな、涙ひとしずく、なんて映画なんどすわ。

簡単にいいますと、中国映画分析の第2日目は、いろんな問題をばはらんでおますけども、とりあえずは穏やかなる、家族映画という体裁を持った映画でおます。

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でも、しかし、我々ニッポン人から見たら、このシニアの三角関係は、少し理解しがたいとこがござります。

夫婦やったんやけど、内乱によって中国と台湾に引き裂かれてしもて、でも、それぞれ結婚して家庭・家族を作ってたのに、妻に先立たれた夫①が、息子も1人立ちしたことやし、ほな、50数年ぶりくらいやろか、別れた妻②に会いにゆこかやなんて、そんなんメッチャ、エゴやん。勝手丸出しやん。

それまでに会おうとは思わらはったんかいな。会おうと思えば、なんぼでも会えたはずやのになー。

ほんでもって、成人しとる孫娘までいてはる、年老いたオバン、つまり別れた妻②でおます。そんな妻はん②が、それまで長いこと一緒に過ごした夫③を、無視するかのようにでんな、①とヨリを戻して、①の住んでる台湾へ一緒に行こうやなんて、そんな話あるかいやー。

しかもでんな、③は、そんな2人をサポートしまっせ、やなんて、ますますあり得へん話やんけー、でおます。でも、でも、本作を見たら、違いました。自然に映るんどす。なんでか、ようワカラへんねんけど。

ワン・チュエンアン監督は、おそらく前作「紡績クーニャン」(2010年5月26日付けで分析)ともども、三角関係図における女性心理の、映画的描き方について、ようよう考えた上で本作を作ってきてはります。

3分から5分くらいにわたる長回し撮影による、食卓シーンの多さ。別の見方をすれば、小津安二郎や山田洋次監督作品など、日本の松竹系映画へのオマージュをば、そこはかとなく感じさせたりしてくれはりますけども、あくまで隠し味どす。

3人の関係描写。そして、3人のなんともいえへんキズナ描写こそが、本作のキモでおました。見る方によって、さまざまな想いがあるやもしれまへん。

けれど、時代や世代やらを超えた、キズナ描写が本作にはあります。そこんとこを少しでも、感じてもらえたらええかなーと、ボクは思います。

しみじみとした傑作どした。

2011年1月26日 (水)

中国の相棒映画「ジャライノール」

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相棒・バディムービーの、コレが中国流でおます

「山の郵便配達」みたいなキズナが、そこはかとなく滲み出てる渋~い作品どす

http://www.cinematrix.jp/jalainur/

2月如月(きさらぎ)の5日土曜日から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォでロードショーだす。その後、全国各地へ回る予定どす。

本作を配給しやはるんは、シネマトリックスはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

韓国映画に続きまして、本日より中国映画を、3日間連続にて分析いたしよりますで。

中国映画と聞かはって、みなはんのイメージてゆうたら、どないなもんなんでしょうか。

いわゆる、主流派のチャン・イーモウはんとか、チェン・カイコー監督作品なんやらが、日本では定着しとります。

でも、中国でも日々、新人監督が出ておりまして、ケッサクを作ってはります。そのほとんどは地味な作りなんやけど、コレらをよーく見てみますと、映画史に残るようなスゴサとは申しませんが、映画の味ってなんやねんを、しみじみとカンジさせてくれはる作品が多いんでおます。

本作を見てみますと、いわゆる相棒=バディムービーなんやけど、日本やアメリカにあるその種の相棒映画とは、かなりの違いがござります。

蒸気機関車が走る炭鉱街で、長年、地味な仕事を、先輩・後輩として働いてきはった2人のお話でおます。つまり、道中で出会って2人でロードムービーしまひょかとか、花形的な刑事的な相棒イメージとかとは、根本的に違うんですわ。

まあ、年の離れた2人とゆう点では、擬似父子ものとも取れんことはないんやけど、その地味で滋味な感覚は、本作と同じくロードムービー・スタイルを採った、実の父子の「山の郵便配達」(1999年製作・中国映画)と同じような味わいがござります。

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「山の郵便配達」を見たある方が、「ああ、これが中国流儀なんやなー」とゆわはったことがあります。

ここでゆうてはる中国流儀とは何なのか。それはドラマ的計算のない、素朴感・正直感でおましょう。このカンジは、この種の中国映画を見ておますと、ホンマにしみじみと胸にきよるんですわ。

版画的・絵画的なロングショットが頻出しよります。薄グリーンやら群青色の空、空・機関車・地をバランスよく配したロングショット。でもって、1~2~3分くらいの、退屈させない長回し撮影シーンの多さ。

現代の中国北部の話らしいんやけど、炭鉱街と機関車とゆう風景の面白さ、セリフ少なめ、風の音などの効果音の使い方、間(ま)の持つ映画的空間の配し方やら、映画ファンにはたまらないシーンが続きよりま。

会社を辞めはった先輩が、家族の元へと帰ってゆくのんを、後輩が追いかけてゆくとゆうスタイルどすが、その道中のエピソードもまた、これまでの相棒ロードムービーとは、チョイ違う感触がござります。

冒頭の蒸気漂うなかで、2人がビールを飲む長回し撮影と、ラストの歌いもって機関車内で2人が、ビールを飲むシーンの対応効果は、感動度合いをヒートアップさせましたどすえー。

2011年1月25日 (火)

韓国のアクション映画「男たちの挽歌」

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あの香港映画「男たちの挽歌」が、韓国映画版オリジナルとして帰ってまいりました

ソン・スンホン、チュ・ジンモ、キム・ガンウ、チョ・ハンソンの各アニキたちが、アクション挽歌をば奏ではります

http://www.banka2011.com/

フェブラリー2月の19日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーですねん。配給は東映はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸFormula Entertainment All Rights Reserved.

新作韓国映画の4日連続分析のトリは、銃撃戦をメインにしはったアクション活劇でおます。

あの香港アクション映画の名作「男たちの挽歌」(1986年製作・香港映画)が、韓国でリメイクされよりました。あっと、リメイクやないらしいどすえー。リウェイク(再覚醒)やてぇー。

オリジナル版を監督しはったジョン・ウー御大が、製作総指揮で本作に関わってはります。

そやから、本来やったら、リメイクのはずなんやけど、実は韓国版オリジナル・ストーリーなんでおま。しかも、香港アクションのノリをそのまま取り入れずに、韓国映画らしさにこだわってはります。

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香港アクションと韓国アクションの違いて何ぞや、どすけども、まずはワルの造形ぶりが、韓国はハンパやないっちゅうことどす。

昨日分析しよりました「悪魔を見た」もそうでおましたが、フツーのワルとはチョイ違います。

韓流ドラマでも活躍してはる、チョ・ハンソンのアニキが悪役どす。

かつておどおどしてた男が、3年後には悪役らしく豹変してはるんやけど、その落差演技ぶりが強烈だす。

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次に、キズナ描写・演出どす。冷酷な人間はとことん、えげつなく描かはる反動なんでおましょうか、男と男の友情、兄弟愛など、大げさなくらいの演出ぶりを施さはるんどすえ。

例えば、香港映画ならジョン・ウー監督作品もそうやけど、ジョニー・トー監督の「エグザイル/絆」(2006年)や「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」(2010年3月1日付けで分析)とか、「インファナル・アフェア」シリーズ(2002年・2003年)とか、ジャッキー・チェンものやらは、キズナ部はあっさりしておりま。

男なら黙ってても分かり合える、っちゅうノリなんやろけど、韓国は違(ちご)ております。

ピアノを大げさに鳴らす、アニキ分のチュ・ジンモと、弟分のソン・スンホンの再会シーンしかり。3人対多勢のクライマックスの大銃撃戦では、唐突に、実の兄役ソン・スンホンと、弟役キム・ガンウが抱き合ったりしはります。

ここらあたりのノリは、兄弟もの「ブラザーフッド」(2004年)やら「マイ・ブラザー」(2004年)の作品性と通じておりま。

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さらに、南北ものを思わせる冒頭部やら、脱北者の兄弟設定など、現代の韓国の問題も、キチンと取り込んではるんでおます。

でも、そんななかでも特に、ソン・スンホンのアニキの活劇シーンは、香港アクション映画直系のアクション演出どした。優しい「ゴースト もういちど抱きしめたい」(2010年11月2日付けで分析)の役柄とは正反対の、ワイルドかつクールなキャラクターで魅せてくれはりますよ。

とゆうわけで、韓国映画三昧の4日間どした。

さて、明日からは中国映画の新作を、3日間にわたり検証いたします。お楽しみくだされ。

2011年1月24日 (月)

韓国映画「悪魔を見た」

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「甘い人生」以上にチョー・ビターな、イ・ビョンホンのアニキ

「オールド・ボーイ」への逆襲やとばかりに、やりたい放題のチェ・ミンシクはん

「R-18+」指定の、トンデモえげつないリベンジ・バイオレンスでおます

http://www.isawthedevil.jp/

2月26日の土曜日から、東京・丸の内ルーブルやらで全国ロードショーやー。

関西やったら、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら、T・ジョイ京都、神戸国際松竹やらで上映しはります。

前売り券には数量限定どすが、イ・ビョンホンのグッズが付いておりまっせ。

本作の配給は、ブロードメディア・スタジオはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

うるわしの韓国映画新作、第3弾の3日目なんやけど、あー、モノゴッツーなっちゅうか、究極っちゅうか、えらいスゴイのんが出てまいりました。

まず、ゆうとかなあかんのは、「R-18+」指定映画でおます。つまり、18歳未満の方は入場できまへんし、本作は見られまへん。

いや、もー、どんなにエグイんかなーと、みなはん、想像されますでしょうが、ホンマにエゲツナイんでおますわ。どないにえげつないかは、細かくは書きまへんけども、これまでのリベンジ映画が、とことんのとこまでいってしもたような感じがござりますわ。

ちなみに、韓国映画とはテイストが違う、韓流ドラマちゅうのんは、大たい5部門くらいに分かれてたかと思います。①ラブ・ストーリー②ラブコメ③時代劇④ホームドラマ⑤サスペンス・アクションあたりかな。

ほんでもって、本作の映画は⑤に当たる作品でおます。このジャンルの映画版では、「オールド・ボーイ」(2003年製作・韓国映画)やら「チェイサー」(2008年・韓国)やら、イロイロすごいのんが出てまいりまして、海外での評価もメッチャ高いっちゅうことになっとりま。

ただし、でおます。では、一体、どのあたりまで究極形のドラマを作ってゆくのかとゆう、問題があるんやないかなと思うんでおますが、本作は先行作品のラインをば超えはりました。

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よりショッキングな作品をとゆうことでは、本作の方向性はええんかもしれまへんけども、倫理性の問題やらとか、物議をかもす作品ではあります。

見出しにも書きました。イ・ビョンホンのアニキの演技。はっきり言います。エグ過ぎやー。

本作と同じキム・ジウン監督作品でもある、あの「甘い人生」(2005年・韓国)でさえも、クールな感じを維持してはったかと思いますが、今作は相当はみ出さはって、ビョンホン・ファンにはショッキングな仕上がりになっとります。

チェ・ミンシクはんなんか、復讐劇「オールド・ボーイ」でやられてもうたんを、思いっきりやり返さな、みたいな感じで、やりたい放題、どうにもこうにも止めようがござりまへん。

フツーのリベンジ映画やなく、リベンジ・リベンジのやり合いやから、キリがありまへんねん。2人のクローズアップのやり取りから、恐るべきラストへとなだれてゆくシークエンスは、まさに「悪魔を見た」でおました。

あー、韓国サスペンスは、遂にここまできたかとゆう恐ろしさでおました。あー、今夜は寝られまへんわ。

(C)2010 PEPPERMINT&COMPANY CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

2011年1月23日 (日)

韓国の戦争映画「戦火の中へ」

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クォン・サンウのアニキが、悪役っぽいワイルド感ある演技をば披露しはりました

対して、BIGBANG(ビッグバン)のチェ・スンヒョン君は、好感度の高ーいヒーロー演技どす

http://www.Intothefire.jp/

2月19日の土曜日から、大阪・梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸・三宮シネフェニックスやらで、全国ロードショーでおます。

本作をば配給しやはるのんは、角川映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 LOTTE ENTERTAINMENT & TAEWON ENTERTAINMENT. All Rights Reserved

韓国映画の、手前勝手な分析の2日目は戦争映画でおます。

韓国で戦争映画となりますれば、1950年の朝鮮戦争はまず、はずせまへん。第二次世界大戦で、北と南に分かれてまうことになった北朝鮮・韓国どすが、この朝鮮戦争によって、さらにその深刻度合いは増しよりました。

日本が西日本と東日本に分かれたようなもんどす。2国間の相克ぶりは、いろんな韓国映画において、ケッサクとして昇華されておすけども、本作もその例に漏れまへん。

しかし、社会的・政治的な問題よりも、やはり映画的にはボクとしては、人間臭い人間としてのドラマに目が惹き付けられました。朝鮮戦争ものならば、「ブラザーフッド」(2004年製作・韓国映画)や「トンマッコルへようこそ」(2005年・韓国)やらがござります。

また、本作のように、少人数の戦争素人の学生たちが、プロの軍勢と真っ向対決するなんてノリは、南北戦争の黒人兵たち「グローリー」(1989年・アメリカ)とか、ナースたちの「ひめゆりの塔」(1953年・1982年・1995年・日本)とか、少人数系の「十三人の刺客」(1963年・2010年・日本)なんぞを、ふと思い出させてくれはりました。

戦時と違うんやけど、政府軍が市民運動を抑圧する「光州5.18」(2007年・韓国)の悲愴感さえ感じさせはります。

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演技陣がまた、モノゴッツーな命懸けの、必死のパッチな演技を見せはるんどす。

Kポップ・グループ「BIGBANG」の、ミュージシャンとしても活躍してはるチェ・スンヒョン君。おぼこくてカワイイなんて、思わはるかもしれまへんけども、「ブラザーフッド」のウォンビンのアニキみたいに、ガンバらはったかと思います。

対して、チェ・スンヒョン君といがみ合いながらも、最後は一緒にドドーンと戦わはる、クォン・サンウのアニキどす。帽子をかぶって、顔がはっきり見えへんカンジ。でも、やがてアップ、クローズアップは多う映されます。

徐々にワイルド感を発揮しはりまして、最後はスゴイッでおます。ストレートな悪役ではおまへんが、こういうワイルドなサンウのアニキは、そうそうないやろなと思います。

さてはて、監督はんは「私の頭の中の消しゴム」(2004年・韓国)の、イ・ジェハンはんどす。そのビョーキ系のラブ・ストーリーのストレートな泣きとは違う、男たちの何ともいえへんキズナぶりが、ラストシーンのみんなのセピアな集合写真なども含めて、にじみ出るよな泣きを見せていかはります。

初めて描かれる戦争実話系映画の説得力が、「太平洋の奇跡」(今年1月14日付けで分析)などとも、シンクロしてゆく作品でおますよ。

2011年1月22日 (土)

韓国映画「私の愛、私のそばに」

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韓国映画を本日より4日連続にて、紹介分析いたしますでー

本作はハ・ジウォンちゃんと、キム・ミョンミンのアニキの、泣けるラブ・ストーリーでおます

韓流ドラマ・ファン必見のスパイスが、テンコ盛りになっとりまっせ

http://www.sobaniite.com/

2月5日の土曜日から、東京・新宿武蔵野館やら、ヒューマントラストシネマ有楽町。大阪やったら、シネマート心斎橋やらでロードショーでおます。

本作を配給しやはるのんは、ブロードメディア・スタジオはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2009 CJ Entertainment, United Pictures & ZIP CINEMA. All Rights Reserved.

キネマ旬報の年間ベストテンで、2010年度洋画ベストワンに輝かはったんは、韓国映画「息もできない」(2010年3月8日付けで分析済み)どした。

これまで韓国映画のケッサクは、キネ旬でぎょうさんチャート・インしてまいりましたけども、何とこの「息もできない」が、韓国映画初のナンバーワンでおます。ビックラこきました。

そこで、今年近々に日本公開される、韓国映画を4日間連続で、分析ナビゲートいたします。今の韓国映画のエンタなバラエティー感を、感じておくんなはれ。

第1日目は、韓流テレビドラマから韓国にハマッた方々にとって、まさにピッタリの快作どす。

今なお、韓国映画の日本興行収入のナンバーワン(30億円)を、維持してはる「私の頭の中の消しゴム」(2004年製作・韓国映画)的な、スパイスが盛り込まれた作品でおます。

いわゆる、ビョーキもの、不治の病もんでんねん。しかも、これまで取り上げられまへんどしたビョーキどす。

体がマヒして動かんようになり、やがて植物人間状態となり、静かに死んでゆくやなんて、そんなビョーキがあったんかーとゆう驚きがござりました。

韓流ドラマでキャリアを積み重ねてきはった、キム・ミョンミンのアニキが、明から暗へと落ちてゆく主人公役を、鬼気迫るカンジで演じ抜いてはります。

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そんな主人公と恋に落ち結婚しやはる、ハ・ジウォンちゃんの演技ぶりにも注目どすえー。

これまで、ホラー「ボイス」(2002年・韓国)やらでは怖がるヒロインを、観客の感情移入度の高い演技で魅せ、また、「恋する神父」(2004年・韓国)では、クォン・サンウ(明日分析の「戦火の中へ」に出てはります)のアニキを悩ませる、巧妙なコメディエンヌぶりを披露しはりました。

でもって本作では、泣けるラブ・ストーリーには欠かせない、喜怒哀楽の稠密な演技をば構築してはりま。「おくりびと」(2009年・日本)のパクリかもしれへんけど、女葬儀ディレクター役でもおます。

2分強の長回し撮影で捉えられる、雪舞う中での、幼なじみの2人の再会シーン、そのセリフのやり取りから、泣けるラブ・ストーリーへと入り込めます。

臨終シーンの大げさぶりなんか、久々に見た感じでむしろ新鮮やったし、「病院へ行こう」(1990年・日本)やらを思い出させる、コミカルな病院内群像劇タッチも、絶妙なコメディ・リリーフ・シークエンスぶりでおました。

「ありがとう」「愛してる」のやり取りで、感動はついにクライマックスへ。そして、フレーム的カットで示される、ラストシーンの感動的なサプライズ。

韓国映画の泣きの粋が詰まった、みなはん、必見の作品やでー。

2011年1月21日 (金)

アメリカン・アクション映画「グリーン・ホーネット」

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ミドリのスズメバチ、それがグリーン・ホーネットやてぇー

ヒーローになりたいねんとゆう、全ての人たちに捧げられた、なりきり型のチョー快作でおます

「007」に出てくる以上の、ハットトリッキーなハイブリッド車が、プリウス以上に大ブレイクするかもなー

http://www.greenhornet.jp/

1月22日のJANUARY's SATURDAYから、つまり、明日から全国ロードショーやでー。

関西の三都やったら、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら。京都やったら、MOVIX京都、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条やら。神戸やったら、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、シネウェーブ六甲、OSシネマズミント神戸やらで上映どす。3D、2D同時上映やでー。

本作を配給しやはるのんは、ソニー・ピクチャーズはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1930年代の世界恐慌から始まった不況期に、全米ラジオ・ドラマとゆうカタチで始まったんが、本作のルーツになっておます。

その後、コミック化、映画化もされたらしいんどすが、ボクチンは残念ながら見ておまへん。

でもって、1960年代に、全米で連続テレビドラマ化されよりました。

その編集版が劇場版「ブルース・リーのグリーン・ホーネット」(1967年製作・アメリカ映画)として、日本でも公開されたらしいんどす。

そやから、ボクチン、本作を試写で見せてもろてから、後日ツタヤに行って探したんやけど、DVDで出てることは出てるらしいんやけど、ありまへんどした。機会があればぜひ見たいと思います。

で、本作のことでおます。アメリカン・コミック原作映画のセンスと、1950年代から1960年代の、全米テレビドラマ・シリーズ原作映画のスパイスを、ほどよくブレンドしたような作品に、なっておるんやないかいなと思います。

しかも、相棒ものや。相棒映画の系列にも入る作品でおまして、そちらの方の分析でもいけるんやけど、取りあえずは上記の、ブレンド系をば追究してみよりました。

「スーパーマン」「バットマン」「スパイダーマン」やらのアメコミものでいえば、そんなアメコミ的なヒーローになりたくて、ほな実践しよかとゆう、少しおどけたとこもあるんやけど、このあたりは、アメコミ・ヒーローへの敬意とゆう視点も、ちゃんとあるんでおます。

日本では今や、ヒット方程式になった感がありまっけど、テレビドラマの劇場版とゆうのんは、アメリカがルーツでおます。

本作のテレビ版はちょっとだけ見た記憶がありますけども、融合・調和するかは別にして、アクションとコメディの混ぜ合わせとゆうのんは、当時にしてみたら画期的やったんやないかな。

ボクチン、そんな作品を3Dで体感してきよりましたがな。実はボクチン、メガネをばかけとりましてな、3Dのメガネをかけたら、二重にメガネをかけることになり、少し上っ面が重たいんやけど、2時間を何とか見続けられました。

コメディ部よりも、アクション部が当然のごとく目立ちますし、目にきよります。

爆発シーンや、動きを細かく見せてくれはる、スロー・モーション・アクションやらは、かなりビビッドでおます。でも、カーチェイス、カーに乗っての銃撃戦、カーとカーを間にしての肉体アクション部なんぞを、短カットの連続シュートで見せられますと、え~どないなっとんのん? なとこもありました。

このあたりは、たぶんボクチンが年をこいとって、ついていかれへんっちゅうことかも分かりまへん。

そんななかで、本作のオリジンを感じたんは約3点どす。

①改造車やけど、「007」ばりのウルトラ・ハイブリッド車が登場しよるでー。

②ラブコメ・アクション・シモネタ系コメによく出てはった、キャメロン・ディアスのネーさんが、この種のジャンル映画では披露したことがない、新味をば出さはりました。

③新聞社ビル内での大アクションと大乱闘。輪転機・エレベーター・編集部が大激戦の背景になるやなんて、これまでの映画にはござりまへんで。

てなわけで、理屈抜きにオモロイ・ハリウッド映画ができよりました!

2011年1月20日 (木)

日本映画「サビ男サビ女」

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日本のオムニバス映画の醍醐味が、凝縮された快作でおます

小泉今日子キョンキョンのネーさん、友近ネーさん、桜庭ななみチャンやら、蓮佛美沙子チャンやらが大活躍やでー

http://www.sabisabi.jp/

東京やったら1月15日から、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで上映中どす。

関西やったら、2月12日の土曜日から、大阪・テアトル梅田やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。

本作を配給してはるのは、「ニューシネマワークショップ」はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ『サビ男サビ女』製作委員会

短編集といいますか、オムニバス映画とゆうのんは、いろんな話が入っていて、イロイロ楽しめて、なんや何本も映画を見たみたいなキモチになって、えらい得したような気分になりまへんでっしゃろか。そうでおます。本作はそんな1本だす。

実はオムニバス映画とゆうのんは、ボク個人が調べてみた限りでは、これまで日本が世界で1番多く作っている、映画ジャンルなんやないかなと思いました。

まあ、ボクの検索度は素人というか、赤ん坊並みなんで、なんともいえまへんけども、みなはん、なんぞありましたら、イロイロ教えてくだされ。

さてはて、肝心カナメの本作のことなんやけど、邦画のオムニバス映画に、最も多いのんがコメディであります。

そこで、ボクのマイ・ベスト・スリーをば勝手に申し述べますと、①怖がる人々(1994年製作)②バカヤロー!私、怒ってます(1988年)③いぬのえいが(2004年)…でおます。

実は、この3本に共通しておますんは、単なるコメディ・オムニバスでは、終わってへんオリジンがあるっちゅう点どす。

①はホラーでコメディとゆう新しさ、②は不満とホンネを最後にバクハツさせる点で、それまでの快感エンディングの在り方をくつがえしたところ、③は誰にでも分かりやすくて馴染みやすい、統一テーマを持たせた点。

でもって本作は、コメディはコメディでも、21世紀の現代の問題をさりげなく取り入れて、ユニークで新しいコメディを見せてくれた点において、上記3本に匹敵するような作品になったんやないかなと思います。

年々増え続ける自殺者の問題。草食系なんていわれる男子が、ますます女子化してゆく問題。食の偽装とか、日常生活にまつわるクレームにリンクするお話。で、大不況によるリストラ・失業問題。

本作の素晴らしさは、それらの問題を戯画化して、あくまでさりげなくドラマのなかに、溶け込ませたところにあります。ブラック・ユーモアなカンジは残ってますけども、あくまでコメディとしての面白さをば追究してはるんどすえー。

第1話・桜庭ななみチャン主演「ハゲマシガールズ」。ななみチャンが出てた「書道ガールズ」(2010年5月3日に分析)と同じくらいの、ポジティブな演技ぶりを披露しはります。

第2話「Boy? meets girl.」。「転校生  さよならあなた」(2007年)と同じく、女子高生役の蓮佛(れんぶつ)美沙子チャンと、中村蒼クンの学園恋愛ものなんやけど、邦画にはないスタイル。いうならば、「トッツィー」(1982年・アメリカ映画)でおましょうか。

第3話「くれえむないと!」は、友近ネーさんの室内劇。謝罪のプロ・福田転球アニキとの、やりとりが絶妙やでー。呉美保監督作品でおまして、「オカンの嫁入り」(昨年8月21日付けで分析済み)でも示さはった、1対1の掛け合い演出の巧みさは健在どす。

そして、最終話「せびろやしき」。「トウキョウソナタ」「グーグーだって猫である」(共に2008年)の延長線のようなカンジで出てはる、小泉今日子・キョンキョンネーさんの脱力演技に脱帽でおます。人を食ったようなエンディングにも、アラマ・ポテチン! 

とにかく、オムニバス映画の可能性を見せてくれはった、そう快な作品でおました。

2011年1月19日 (水)

フランス映画「君を想って海をゆく」

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フランスに来る不法滞在者や、難民たちの実態を描いた映画どす

でも、恋と夢、年の離れた者同士のキズナとか、ヒューマン映画部がキモでおます

http://www.welcome-movie.jp/

2月5日から大阪・梅田ガーデンシネマで公開後、京都シネマ、神戸・元町映画館やら、全国順次ロードショーだす。

本作を配給しやはるのはロングライドはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 Nord-Ouest Films-Studio37-France 3 Cinéma-Mars Films-Fin Août Productions.

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祖国を離れてロードムービーし、ほんでもって、フランスに着いてイギリスへと、トラックに不正乗りして渡ろうとしやはる。

ウン? どこかでそんな話あったよな、とチョイ考えてみよったら、ありましたがな。

イギリスのマイケル・ウィンターボトム監督が描いた「イン・ディス・ワールド」(2002年製作・イギリス映画)でおます。

ちなみに、この作品はベルリン国際映画祭で「たそがれ清兵衛」(2002年・日本)をしりぞけて、最高賞の金熊賞に輝いてはります。

でも本作は、ロードムービー部が見どころにはなっとりまへん。とりあえずは17歳の少年が、フランスにたどり着いたところから始まるんどす。

しかも、「イン・ディス・ワールド」みたいに、よりよい生活環境を求めてゆくとゆうカンジとは、180度くらい違うんどすえ。

祖国で恋人やった彼女が、イギリス・ロンドンへ家族ともども移住してしもた。そやから、彼女と会いたいがために、少年はロンドンを目指してはるんですわ。純粋なる恋のためどす。

さらに少年は、サッカー選手になりたいっちゅう夢をば持ってはります。そんな恋のため、夢のためとゆうストレートなキモチに、ココロ打たれはった、写真のヴァンサン・ランドンはんが彼をサポートしはります。でもって、2人の間にキズナがめばえよるんですわ。

フランスには、不法滞在者やら難民たちが、いっぱいいてはるらしいんやけど、そんな人たちを、政府は強制収容所みたいな難民キャンプに隔離してはるんどすえー。かないまへん。

そやから、少年もイギリスへ渡ることができまへんで、ここに留めおかれておます。

でも、少年は何としても恋人に会いたい。そこでドーバー海峡を泳いで渡ろうと本気で思い、水泳のコーチしてはるヴァンサン・ランドンはんに、コーチしてくれと頼むんどす。

そんな少年の思いをゆくゆく察知しはるランドンはんは、何が何でもと、この少年に肩入れしはります。

でも、不法滞在者をちょっとでもサポートしたら、フランスでは罪になるんやて。ウン? どおゆうこと? そんな弱者いじめしよるフランス政府への抗議的な意味合いも、本作にはござります。

しかし、本作は年の離れた2人のキズナが、ココロにクル映画でおます。

クライマックスは当然、少年が海を泳いで渡るシーンでおます。ラムネ色の海・白く曇った空を背景に、近接撮影よりロングショットを中心に、泳いでゆくシーンが描かれます。臨場感あるクライマックスどす。

そして、ラストシーン。プツンと遮断するようなラストと、ラストロールに流れるピアノ協奏曲。どないな結末が待っとるんか、ご注目あれ!

2011年1月18日 (火)

ジャン=リュック・ゴダール監督の新作「ゴダール・ソシアリスム」

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「タイタニック」みたいな豪華船に乗って、埋蔵金の行方を「宝島」的に追う冒険ミステリーやー、なんてホンマですか?

外装はホンマやけど、中身はえ? やから、くれぐれもご注意めされ!

http://www.bowjapan.com/

2月5日から始まる「ゴダール映画祭 2011」を前触れに、2月(FEBRUARY)12日(SATURDAY)から、大阪・第七藝術劇場でロードショーでおます。

その後、全国各地順グリの上映どす。

スイス・フランス合作の本作の配給は、フランス映画社はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ボクは本作をゼェーンブ見て、映画やないんやけど、とあるミステリー小説の文庫本の帯に書かれておました、不気味なキャッチコピーを思い出してしまいました。

その内容は、この小説を読んで気が狂ても知りまへんでー、っちゅうような文句でおました。

そやから、ボクの友人はえらいビビッてしもて、その本をボクに託さはりました。呪いを解いてくれとゆう依頼だす。

そして、ボクは読みましたがな。特に読後に、心身に異変はなかったんやけど、チビチビ長めに効いてるんやろか、読後30年の今、ボクの言動はネジレておかしゅうなっとるやもしれまへん。

その問題の作品とは、角川文庫から出た夢野久作の「ドグラ・マグラ」どす。

変な話から入りましたけども、本作もワケの分からなさがずーっと続きよりまして、ホンマ気が狂いそうになりました。

話を聞けば、モノゴッツーなエンターテインメントやんけー、なんでおますが、コレが映画史に残る「ヌーベル・ヴァーグ」、その御大ゴダール監督はんの新作だけに、マトモなエンタなワケがござりまへん。

「タイタニック」(1997年製作・アメリカ映画)な豪華客船に乗って、何人かがかつて消えたらしい大金を探しに船出しはります。コレが第1部。

でもって、全3部作の第2部は、4人の家族ドラマへと転じます。

ボクはこの2部あたりから、映画的迷い子になりよりました。今、自分がどこにいて何を見ているのか、全く分からへんような感覚になったんどす。

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芸術映画の一言では、とてもすまされへん、ある種映像の魔術とでも申しましょうか。

まず、各人のセリフのほとんどが、時間が瞬時で流れゆく映画のなかで聞くには、意味不明のものでおます。要吟味・要分析ですが、そんなヒマはありまへん。

音楽や効果音も、信号音、デッキ上の風やパーティーでの雑音めいた音使い、不協和音っぽいバイオリンやらオルガンやら、サントラも“乱”を強調しやはるんどす。

さらに記号論的な群像劇とでも申しましょうか、それを貫いて、各登場人物のキャラクターを描くとゆう視点は、本作には皆無どす。

前作の「アワーミュージック」(2004年・フランス&スイス)以上に、アイロニー・アート色は濃くなりまして、タイトルがセリフに出ない「望郷」(1937年・フランス)ほか、いろんな名作の引用も多くなり、映画的迷宮度合いも相当深まっておりま。

さて、以下のゴダールの引用作品のいくつかは、2月5日から第七藝術劇場で始まる「ゴダール映画祭 2011」で上映されます。

「ゴダールの探偵」(1985年・フランス)が事件を推理するんやないか、なんてゆうミステリー色はないけど、「男性・女性」(1966年・フランス)ともども「ウイークエンド」(1967年・フランス&イタリア)に映画館で、映画と現実「ヒア&ゼア こことよそ」(1975年・フランス)へと迷い込み、でも、決して入り込んでボクみたいに「気狂いピエロ」(1965年・フランス&イタリア)にはならんとってくだされ。

そう、コレは映画なんやと、「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)な心意気で、見に行っておくんなはれ。

2011年1月17日 (月)

1969年ブラジル産カルト映画「マクナイーマ」

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意味不明の言動・挙動不審・考えられへんストーリー展開、ワケ分からんセリフのオンパレードで、アタマが変になりまっせー

要警戒・要注意な本作やけど、基本はアンチ・ヒロイズム映画でおます

http://www.espace-sarou.co.jp/

睦月1月22日の土曜日から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで上映どす。

本作を配給しやはるのは、エスパース・サロウはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸFILMS DO SERRO

カルト映画なんてコトバは、いつ頃生まれたんやろか。映画史的には、明確には規定されとりまへんけども、ボク的には1960年代後半とゆうのんが、ビビビッてきよります。

例えば、「カリガリ博士」(1919年製作・ドイツ映画)とか、「ジキル博士とハイド氏」(1932年・アメリカ)とか、「禁断の惑星」(1956年・アメリカ)とか、ストレートで誰にでも分かりやすい作品でさえも、ある意味ではカルト映画の範疇に入れられたりしとりますが、とにかく一見しただけでは、とても解読できまへん“ワケの分からなさ”。

このキー・ワードこそが、カルトのキモなんと違うやろか。本作のブラジル映画は、メキシコ映画でチョー・カルトやった「エル・トポ」(2010年9月15日付けで分析)と、同じ年の1969年に作られておます。

1960年代となりますれば、「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)なんぞの名作にして、チョー・カルトな逸品もござります。たぶんボクは、この「2001年宇宙の旅」を基点にして、カルト映画て何ぞやをゆうとる口でおます。

世代、年代によって、それぞれのカルトがあると思いよりますんで、各世代別のカルト感覚で、本作をお楽しみくだされ。

ストーリーをば簡略に言いまするに、ブラジルの森から都会に出てきはった兄弟たちそれぞれが、バラバラに人生を謳歌しはります。主人公は女ゲリラと恋におちいりまして、コドモはんまでできます。

ああ、めでたしやー、なんやけど、いろいろありましてな、ワケ分からんハランバンジョーがござって、ほんで、結局故郷へ帰るなんてゆう展開なんやけど、ウーン、ウーンでおます。

つまり、フツーの家族・兄弟ものとか、ラブ・ストーリーとか、主人公のヒロイズムを見せたりとか、そんなんほとんどござりまへん。結末を含めまして、どこまでもおいおい、ウーンなんどすえー。

ジャングル野生映画のヒロイズムな「ターザン」(第1作は1918年・アメリカ)とかなんかへの、ブラック・アンサーがバチバチでおます。

幸運の石を巡る物語性とか、カニバリズムの入ったプールでのクライマックスとか、ピラニアみたいな人食い人間の登場とか、いろいろ悩ませてくれはります。

ブラジル的スタンダード・ナンバーや、ソカやスカの歌ものとか、国家的な行進曲コーラスなど、異色のサントラ使いもまた、カルト色を増してくれよりま。

長ーい間、日本には上陸しまへんでしたけども、上陸せえへんかったんが何となく分かるような、チョー・ウルトラの大奇作でおました。

2011年1月16日 (日)

アメリカ映画「ウォール・ストリート」

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マイケル・ダグラス主演&オリバー・ストーン監督のアノ「ウォール街」が、2008年モードで帰ってきはりました

第2の世界恐慌を背景に、スリリングでコンゲームな経済人間ドラマが展開しよります

http://movies.foxjapan.com/wallstreet/

2月4日のFEBRUARY's FRIDAYから、全国各地イッセーの拡大ロードショーでおます。

大阪やったら、TOHOシネマズ梅田、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマやらで上映どす。

本作を配給しやはるのは、20世紀フォックス映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 Twentieth Century Fox.

みなはん、「ウォール街」(1987年製作・アメリカ映画)ちゅう映画って見はりましたやろか。

もし見てはらへんようでしたら、本作を映画館へ見に行かはる前に、ぜひともレンタルDVDでチェックしとっておくんなはれ。

なんでかとゆうと、本作はいわゆる続編となる“ウォール街2”やからです。

そのまま見てしまうと、少々分からへんとこがあるとゆうのはありますが、もっと根本的なとこにおいては、その作品性へもつながってゆくからです。

そもそも社会派のオリバー・ストーン監督が、なんでまた続編を作ろうとしたんかとかが、前作を見れば分かるからでおます。

さらに、1980年代半ばから1990年代にかけて大ブレイクしはった、主演マイケル・ダグラスはんの本領とゆうもんも分かるんでおます。

巻き込まれ型演技と、その正反対の巻き込み型演技などで、それぞれ映画史に残る演技をば、披露してきはった名優です。

そして本作の前作では、巻き込み型の名演技で魅せて、オスカーの主演男優賞をばゲットしはりました。

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さてはて一方で、監督の意図とは何なんやろ。監督にインタビューしたわけやないんで、コレはボクチンの想像なんやけど…。

これまでにいくつもの社会派の名作を生み出してきた監督としては、2008年のリーマン・ショックによる世界的大不況は、何としても映画化したかったやろと思います。

加えて、1929年に起こった世界恐慌は、ウォール街の株価暴落から始まっとります。おそらく、監督はそんなことを脳裏に入れはって、「ウォール街」を撮らはったことでしょう。

ならば、今のこの不況のなかで、その「ウォール街」を描くことこそ、監督の作家的方向性やらに合致することとなります。

本来ならリメイクでも、良かったんでおます。フツーの監督ならそないしはったことでおましょう。当時の設定を現代に変えるだけでええんやから。でも、コレをリメイクせえへんかったのは、監督の前作への愛着です。

あの主人公は、この危機をどう乗り越え、どんな経済的コンゲームを、披露してくれるんかとゆう楽しみがござります。

ラブコメとは180度違う、シビアなニューヨーク映画ものとしての作りとか、1980年代当時に大流行した、歌ものサントラのイメージを継続したりしつつも、21世紀的小道具や設定が散りばめられております。

中国資本をクリーン・エネルギーか、それとも石油へ投下かとゆう投資会社の実態とか、ウィキリークスみたいなサイトの実態など、イロイロ勉強させてくれはります。

でもって、何といっても非情かつスリリングに展開する、「漁夫の利」みたいなコンゲーム部どす。

マイケル・ダグラスはんのお手並みを、じっくり拝見させてもらおやないですか。

2011年1月15日 (土)

アメリカ映画「ザ・タウン」

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大金狙いのチーム犯罪映画がやってまいりました、でおますよ

スマート感ある「オーシャンズ11」とか「黄金の七人」より、ドロドロ感がありますえー

「ヒート」やら「ディパーテッド」やら、刑事チームVS犯人チームの仁義なき戦いもありまっせー

http://www.thetownmovie.jp/

FEBRUARY2月の、SATURDAY5日から、全国ロードショーでおます。

大阪やったら、梅田ブルク7(セブン)やらで上映どす。

本作を配給しやはるのんは、ワーナー・ブラザース映画はんどっせー。

文=映画分析研究所 所長・宮城正樹

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Ⓒ2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES

アメリカン映画で銀行強盗、現金輸送車襲撃・強奪、スタジアムでの大金奪取狙いやら…。

ゴリゴリの映画ファンなら、ああ、そうかいな、今までに腐るほど出てきよったワン・パターン化映画なんやろなーと、見る前から思わはったりしやはります。

でも、先行した名作群とは違う、新しいとこも入れてはる映画どすえー。

銀行強盗ものとなれば、アメリカン・ニューシネマなら「俺たちに明日はない」(1967年製作・アメリカ映画)とか、「明日に向って撃て!」(1969年・アメリカ)なんぞを思い出さはることでおましょう。

ニューシネマ後の1970年代ものやったら「狼たちの午後」(1975年・アメリカ)とか。

確かに、それらの映画にあった破滅型も入ってはいるんやけど、やはり少し違(ちご)ておます。

さらに、チーム犯罪系でゆきますと、見出しにも書きました「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)や、そのルーツ作「オーシャンと11人の仲間」(1960年・アメリカ)とか、「黄金の七人」(1965年・イタリア)とか「マダムと泥棒」(1955年・イギリス)とか、イロイロ思い出さはることやろと思います。

でも、それらの作品にあった、犯罪映画らしくないある種のスマート感は、本作にはござりまへん。ベタでドロドロかな。

その意味では、スタンリー・キューブリック監督作「現金(げんなま)に体を張れ」(1956年・アメリカ)やら、ノワール(犯罪)映画のルーツとなるフランス映画のノリ、例えば「現金(げんなま)に手を出すな」(1954年・フランス&イタリア)とか「地下室のメロディー」(1962年・フランス)やらのセンスがあるかと思います。

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加えて、見出しにも書きよりました、クライマックスで展開する警察対犯人たちの、凄まじい死闘ぶりでおます。

このあたり、カーチェイスを前触れに、ドトウの銃撃戦へとなだれてゆく展開は、まさに「ヒート」(1995年・アメリカ)や「ディパーテッド」(2007年・アメリカ)のようなバクレツ・アクションでおます。

なかでも昨年、大本命「アバター」(2009年・アメリカ)を抑えて、アカデミー作品賞をゲットした「ハートロッカー」(昨年2月12日付けで分析)で、非情感にじませる演技で魅せたジェレミー・レナーのアニキが、さらにエキセントリックな演技を披露しはって、この一大対決を大いに盛り上げてくれてはります。

但し、本作は犯罪映画としての、ベタベタのコッテリ感があるにも関わらず、妙にあと味がよろしおます。なんでか? 

それはおそらく、監督・主演のベン・アフレックのアニキが、アニキからのモーションで描かれる恋愛映画モードどす。

最終的には皮肉な結末を迎える、このラブ・ストーリー部でおますが、ドロドロ感を中和させるような効果を、本作に与えてはります。

本作とシンクロするような、イロイロな関連作を出しましたけども、全てDVD化されておますんで、本作を映画館へ見に行く前の予習として、チェックしておくんなはれ。

2011年1月14日 (金)

日本映画「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」

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特攻・玉砕もの悲劇戦争映画パターンを、180度変えてしまわはった実話戦争映画どす

「シン・レッド・ライン」「硫黄島からの手紙」に続く、太平洋戦争島もの3部作の、完結編かいなーと思えるような仕上がりやでー

http://www.taiheiyo-no-kiseki.jp/

如月(きさらぎ)2月11日の建国記念の日・金曜日から、全国東宝系ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「太平洋の奇跡」製作委員会

戦争映画とゆうジャンルは、そらモノゴッツーな数のタイトルがござります。

それだけ世界各地で戦争が、今も、今までも、多かったとゆうことをば示しておりますが、本作は太平洋戦争どす。日本がパールハーバーを奇襲して始まった、日本対アメリカの戦争です。

ともすると、第二次世界大戦映画もののなかに入れられがちどすが、実は欧州で繰り広げられた、枢軸国(ファシズム・ナチ・ドイツ、イタリア)VS連合国との戦争とは、戦争の中身はかなり違(ちご)ておました。

ドイツと同じ頃に日本が降伏すればよかったんどすが、天皇の敗戦を知らせる玉音ラジオ放送があっても、島やらで孤立した日本軍たちは、戦い続ける姿勢を崩さはりまへん。

もしくは特攻・玉砕・自決どす。筋金入りてゆうたら聞こえはよろしおますけども、あんまし意味はないんどす。そのココロについて、少しビミョーに違うかとは思いますけども、アメリカの兵士は将棋とチェスの違いに託して、分析したりしよります。

そやから、これまでの太平洋戦争映画ものでは、特攻・玉砕ものがメインにありました。

しかし、本作は「ビルマの竪琴」(1956年・1985年製作)以来やと思いますが、生き残ることにポイントを置いた、ヒューマニズムな戦争映画になったかと思います。

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主人公・竹野内豊アニキの静謐なヒロイズムに加え、1人「ひめゆりの塔」(1953年・1982年・1995年)みたいな看護婦役・写真の井上真央ちゃんら、感情表現など、ヒューマニズムにじませる演技ぶりにジーンときよります。

過去の作品とシンクロさせますと、特攻ものが多い東映戦争ものに対し、本作の東宝はんは、「山本五十六」(1968年)「連合艦隊」(1981年)「ローレライ」(2005年)とか、特撮を主軸に据えた展開が多うござりました。

本作でも、効果音やらに「プライベート・ライアン」(1998年・アメリカ)的な臨場感をば示してはるけど、あくまでヒューマニズムにこだわってはりますえ。そやから、あと味がすこぶるよろしおます。

戦後生まれ(1950年)の平山秀幸監督的には、戦争を知らない第1世代のど真ん中やけど、キャリア初の戦争映画をようまとめてはります。

本作の舞台のサイパン島は、これまでそう焦点は当てられへんかったと思いますが、ボク的には、ガダルカナル島の「シン・レッド・ライン」(1998年・アメリカ)、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」(2007年・アメリカ)に続く、太平洋戦争島もの3部作の完結編が、本作やと考えてもおかしくないと思たりしました。

宮本笑里(えみり)ちゃんの、癒やし系のバイオリンもええキモチになりましたし、戦争映画では久々に、ココロ洗われた映画どしたえー。

2011年1月13日 (木)

日本映画「心中天使」

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本作タイトルの心中は、一緒に死ぬ“しんじゅう”やありまへんねん。ココロの中、つまり“しんちゅう”でおます。

登場人物たちのココロに天使が降りた時、これまでの天使映画をくつがえしてまうような、ヒューマン映画ができよりました…どす。

http://shinchutenshi.com/

如月(きさらぎ)2月の5日土曜から、東京・ユーロスペースでロードショーでおます。

その後、2月19日から名古屋シネマテークやらで、さらにその後、豊川コロナシネマワールドやら、全国順次の上映どす。

本作を配給しやはるのは、「マコトヤ」はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「心中天使」製作委員会

昨日は関西発の映画「にくめ、ハレルヤ!」を分析いたしましたが、本作は名古屋発信の映画でおます。

しかし、地方ロケ映画に多い、ご当地もの映画イロを全面に出すこともなく、名古屋ロケを敢行しはりました。

しかも、アート系を標榜してはります。それだけに、全国拡大系の東宝映画なんぞの日本映画に、こってりハマッてはる方には、少々戸惑いがあるやも分かりまへん。

さらに、静かな展開がしゅくしゅくと続きます。「間」(ま)の多さ、音楽はかかるけどサイレント・シーンの多さ、セリフの弾まない食卓シーンの多さなど。

うーん、コレは、映画の出来不出来は別にして、きょうビの日本映画とは、どないあるべきなんかを問う、ある意味で問題作になったんやないかなと思います。

簡単にいえば、大手の映画会社に、この手の分かりやすさをキモにしてへん作品を、作るキモチはまずござりまへん。かといって、かつてのATGなどインディペンデント系でいっても、大ヒットするような確実性がない。

つまり、映画作家としては、この不況期にも合わせて、かつてよりさらなる、つらい時代を迎えているとゆうことなんどす。それでも、ボクチンやボクらやワタシらは、語らなければならない、そんな映画なんでおますよ。

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3人の話が、シンクロナイズしてゆくとゆう作りでおます。

本作は短いカットの連続で、長めに描いてカットバックするっちゅうことはないんやけど、基本ラインは、「バベル」(2006年製作・アメリカ映画)やら、時を隔てた「めぐりあう時間たち」(2002年・アメリカ)やら、クリント・イーストウッド監督の最新作「ヒア アフター」(後日、分析いたします)やらの構成をもってはります。

「殯(もがり)の森」(2007年・日本)的なトラウマ演技を見せはる、尾野真千子ネーさん。「先生、1人多いです」なんて言われる女子高生役・菊里ひかりチャン。妻子と別れて別の女と、恋人関係になっとる郭智博クン。

そんな3人を、内山理名ちゃんが飼ってはったけど、迷ってるネコを狂言回しに、チビチビと3人のシンクロ・ドラマが展開しよりま。3人の言動にいろいろ、シンクロするヒントを入れたりしてはりますが、現実的な意味合いではシンクロせずに、並行的に物語が進行します。

でもって、ここにタイトルの、各人のココロの中に降りた天使がいるらしいんでおます。天使映画の新味はあるけども、このあたりの描写を映像的に示すことは、実に難易度の高いもんやないかいなと思います。

日常生活のなかで展開するSFやファンタジー。しかも、ストレートに出さないとなると、難易度はさらに高まります。

こうしたテーマをもっと予算をかけて、大胆に緻密に作ったら、大ヒットするのになーとボクは思いました。でも、大ヒットしたらええもんでもござりまへん。みなはん、ぜひ劇場で、あなたの目で、ご確認くだされ。

2011年1月12日 (水)

日本映画「にくめ、ハレルヤ!」

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関西発インディーズ映画の心意気が詰まった作品でおます

「その街のこども」へも通じる、阪神大震災トラウマもの映画やねん

http://www.shikounorappasya.or.tv/nikume

睦月1月の土曜15日から、大阪は九条のシネ・ヌーヴォXで上映でおます。その後、全国各地へ順次、回る予定どす。本作を配給しやはるのは、カプリコンフィルムはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

阪神大震災10年後の、主人公のトラウマを描いた映画でおます。

この種の作品は、いろいろあるんどすが、最近ではNHKが製作した「その街のこども 劇場版」(昨年11月12日に分析済み)なんぞがござります。

ところが、本作の主人公はんは、地震のことを覚えてへんってゆわはるんどす。つまり、覚えてへんことが、そもそも記憶喪失的な後遺症になっておるとゆうことなんどす。

アルツハイマーが進行しとるオバンの話によると、主人公の両親と妹が震災で死んでしもて、ほんで、オバンと主人公がイノチからがら、大阪の親戚のとこに逃げてきたらしいんどすわ。

このオバン役を、絵沢萠子(えざわ・もえこ)はんが、長回しの述懐シーンやらで渋演でおます。ホンマにボケてるような演技ぶりだけに、主人公へ及ぼす影響は大きいんでおますよ。

でもって、10年が経過しよりました。主人公は街の雑音を、ただ単に録音するとゆうのんを、ビョーキのように続けてはります。まあ、トラウマの一つですわな。

そんなある日、同じく震災でえらい目におうたらしい少女と出会わはります。主人公は少女を死んだ妹やと思わはり、少女も彼になつくもんですさかい、一緒に逃げはりまんねん。でも、なんで逃げるんかはよう分かりまへん。まあ、ゆうたら、現実からの逃亡みたいなもんでおましょうか。

主人公のキャラづけは、「その街のこども」の森山未來クンみたいなとこがありました。

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擬似兄妹ものとしての、理由なき逃亡劇とゆうスタイルは、場合によっては、意味不明のカルトな世界へと、迷い込みかねないんどすが、本作はどこまでも現実感にこだわった作りをしておます。妹が幻想なのかも、観客にゆだねられよります。

それが吉なのか凶なのかは別にして、映画的照明を余り入れずに、部屋内のダーク感を示したり、くもり空の多さ、脱色したような朝の光景やら、主人公の心理を反映するような撮り方。

また、長回し撮影と短いカットの編集のバランス感、クローズアップとロングショットのバランス感、薄グリーンのぼんやりした八ミリ映像、フォーカス・アウトの使い方など、映画的作りを意識して撮り上げはったあとがうかがわれよります。チェロ、ピアノのサントラ使いやらも、的を射てはります。

擬似兄妹としてのキズナ部を、もっと濃密に描いたら、震災のトラウマを超えた不思議な愛の映画が、できたんやないかなとも思いよりましたけども、関西発のインディーズ映画のココロは、充分に伝わる出来でおました。

2011年1月11日 (火)

アメリカン・サスペンス「完全なる報復」

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リベンジもの映画の、荒唐無稽版が遂に登場やでー

「狼よさらば」よりも進化した、そのトンデモぶりをご堪能あれ!でおます

http://www.houfuku.com/

1月22日のJANUARY's SATURDAYから、全国ロードショーでおます。

関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップやら、京都・TOHOシネマズ二条やら、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OSやらで上映どす。

R15+指定の本作をば配給しやはるのは、ブロードメディア・スタジオはんとポニーキャニオンはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 LAC FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

3日間連続のアメリカン映画の分析どすが、3日目はサスペンス映画でおます。アメリカン・サスペンスは、これまでに多彩に花開いてまいりました。

「セブン」(1995年製作)やら「羊たちの沈黙」(1991年)やら、みなはんもイロイロ見てはることでおましょう。

そんななかで本作は、リベンジものでおます。家族を殺されてしもた男が、復讐するとゆう映画でおます。

ゆうてみたら、「狼よさらば」(1974年)みたいなんやけど、本作は罪人を軽罪にしやがった司法関係者らも、まとめて面倒みたろやないかとゆうものゴッツーな視点がござります。

まあ、荒唐無稽やてゆうたらそうなんでおましょう。しかし、本作には熱気がござりました。

いわゆる「狼よさらば」のチャールズ・ブロンソンみたいに、ストレートにリベンジ相手を打ちのめすっちゅう方式やったら、そのままやがなーなんて、今時のハリウッド映画離れな、目の肥えはったお客はんは思わはるんどすえー。

こういうトンデモ・リベンジな方向性でいくのんは、正解やろと思います。

メインのトリック部にもリンクしよるし、本作と内容的な関連作を出すのんは、いっぺんにネタバレになりよるんで、控えさせてもらいますけども、クライマックスの大爆破シーンを含めまして、10年間を要する大仕掛けやとゆうときま。

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でもって、日本でも大ヒットする、アメリカン・サスペンスの方程式に必要なんは、トリックやら意外性に加えて、エキセントリックかつ、ダークで恐るべきキャラクター造形でおます。

犯人役のジェラルド・バトラーのアニキ。彼と対抗するエリート検事役の、ジェイミー・フォックスのアニキ。まあ、なんちゅーても、犯人側の造形が鍵をば握りますわな。

薄ブルーな空気感で示す2人の対峙シーンやとか、一方でバトラーの残虐さやとか、その謎めいた素振りとかムムムときよります。

バトラーの狂気演技は鳥肌立つとこもあるんやけど、やはりトリックの荒唐無稽ぶりで、そのクールさが時に空回りしたりもします。でも、何とか踏ん張ったかな。

「アンタッチャブル」(1987年)のケヴィン・コスナーを期待したジェイミーも、犯人との取り引きシーンにリアリティーがなく、もっとエエカッコしいができたやろに、アクションは未消化に終わります。

それでも、本作には、新しいサスペンスをと意気込む熱意が、スクリーンから伝わってきよります。ロスやNYやなく、フィラデルフィアとゆう舞台設定も新味がありました。

ハリウッド映画分析・解析はこの後も、定期的に実施しよりますんで、よろしゅうたのんます。

2011年1月10日 (月)

アメリカン・コメディ「デュー・デート」

ロードムービーやけど、今やあんましない珍道中もので新味を!

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アメリカン・コメディの王道タイプなんやけど、ニッポンでも売れまっしゃろかー、どないですかー

http://www.duedate.jp/

1月22日のJANUARY's SATURDAYから、全国各地ロードショーでおます。R15指定の映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

アメリカン・コメディ映画といえばでんな、みなはんのイメージとか、見にいこかー、なんちゅー度合いは、どないなもんでおまっしゃろな。

実を申せば、アメリカでヒットした新作で、日本未公開になってしもた作品ジャンルはですな、このコメディが最も多いジャンルなんでおますわ。

未公開になるとゆうのは、日本では売れないやろーと、関係者にジャッジされてもうたっちゅうことでおます。なんでか。その理由として3ポイントくらいござりますかな。

①有名な人が出ていない。アメリカではバカ売れしとっても、日本人には耳慣れない人が、出てるような映画どす。

②アメリカでは通用する笑いが、日本では通じへん場合。下ネタのジョークやらに多いけど、笑えないケースでは、アメリカン・ジョークも多おます。

③日本人好みのラブ・ストーリーが描かれてへん。つまり、ラブコメなんかでも、ウットリ納得できたり、ビョーキで泣かしたりするとこがあればでんな、それなりにOKなんでおます。デートムービーとしてもいけるしね。

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本作は上記この3ポイントを、ほぼはずさはった映画でおます。

確かに、ロバート・ダウニーJr.のアニキとか、ジュリエット・ルイスのネーさんやら、ジェイミー・フォックスのアニキ(明日分析しよります「完全なる報復」では主演だす)やら有名な人は出てるんやけど、どないなもんですやろーとしか言えまへんねん。

しかし、見に行っても決して損やないとこは、実は多々あったりしよるのが、この種の映画でおます。

ボクチン的にゆうたら、「ホーム・アローン」(1990年製作)とか「ゴーストバスターズ」(1984年)とか「マスク」(1994年)とか「メリーに首ったけ」(1998年)とか「スクール・オブ・ロック」(2003年)とか。上記3ポイントが、そんなにないけどヒットしました。

でもって、本作はバカバカしさのなかのコメディ魂っちゅうか、そんなんをカンジたんどすわ。実は、ボクチン、本作のトッド・フィリップス監督の前作「ハングオーバー」(2010年5月31日に分析)には、意外にも終始大笑いさせてもろた作品でおました。

往年のハリウッド映画にあった、珍道中ものコメディのロードムービーなんやけど、道中のエピソードの積み重ねに、映画の成否がかかっておます。

日本未公開になったんやけどDVD化はされとります、本作と同じ監督作の「スタスキー&ハッチ」(2004年)の、相棒ものムービー色にプラス、アクション・コメディ部も導入。

「イージー・ライダー」(1969年)風に、多彩な歌ものサントラを流して、飽きさせへん作り。

西部劇的に重要なグランドキャニオンでの、写真の2人のやり取りやケンカ・シーンなど、いろんなエピソードが、見終わったあとに面白おかしく振り返らせてくれはりました。

アメリカン・コメディの王道がココにあります。

2011年1月 9日 (日)

ブルース・ウィリス主演最新映画「RED/レッド」

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スパイ・チーム映画にして、ロードムービーやらラブ・ストーリーやらも入っておまんねん

ズバリ言いますれば「ミッション:インポッシブル」老年・熟年・引退組バージョンでおます

http://www.red-movie.jp/

JANUARY1月29日SATURDAYから、全国各地イッセーのロードショーでおます。

東京・丸の内ピカデリーやら新宿ピカデリーやら。

関西なら、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹やらでドカーンと上映どす。

本作を配給しやはるのは、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

オールスター勢ぞろいの、ハリウッド映画とゆう触れ込みでおます。「オーシャンズ11」(2001年製作)「オーシャンズ12」(2004年)並みやと、製作者側はゆうてはります。

確かにその通りなんやけど、でも、今の日本の若いコらに、どこまで訴求できるかについては、どないなるやら分かりまへん。主演のブルース・ウィリスはんでさえも、どうなんかなーと心配になりよります。

でもばっかしで、申しわけおへんのやけど、ボクチンはこれまで何度もゆうてきました。アメリカ映画がなんで、日本で売れへんようになってきたのかを。

そこで、本日より3日間にわたり、公開迫るいろんなタイプの、アメリカ映画を診断・分析いたします。

さて、本作の方へと戻りまひょか。

引退したスパイたちが、かつてのミッションの件で、命を狙われる羽目になりよりましてな、みんな集まってチームを再結成しはりまして、戦わはるんですわ。

チーム・リーダーはモチ、ブルース・ウィリスはんどす。で、末期ガンで養老院に入ってはるモーガン・フリーマンはん。

洗脳されたらしいんやけど、ハイで怪な演技を見せはるジョン・マルコヴィッチはん。哀愁のトランペットに乗って、じいさん呼ばわりした女との、炎の銃撃戦対決シーンなどは、遊びゴゴロもあって強烈なインパクトでおます。

「クィーン」(2006年)のエリザベス女王役で、アカデミー賞主演女優賞もらわはったヘレン・ミレンはん。ヴィクトリア役やから、今度も女王役かいなと思たら大間違い。マシンガンをブッ放すミレンはんなんて、想像できまへんがな。

こんな紅1点4人チームにプラス、「ナイト&デイ」(2010年8月29日に分析)のキャメロン・ディアスのネーさんみたいに、巻き込まれ型で任務に参加しやはる、メアリー=ルイーズ・パーカーのネーさんがいてはります。

このネーさんは、ブルース・ウィリスはんとの間で、恋の炎がメラメラかもな…な役でおまして、ラブ・ストーリー部のポイントを握ってはる重要な役どころでおます。

個人的には、好青年から好オヤジまで演じてきはった、リチャード・ドレイファスが悪役で、悪役印のアーネスト・ボーグナインが、エエ感じのオヤジ役で出てはる、いわゆる反比例的なキャスティングぶりが、ココロをそそってくれはりました。どちらも大ベテランはんどす。

まるで引退したチームが復活した「ミッション:インポッシブル」(1996年)なノリに加え、全米各地を回ってアクションを披露するスタイルでおます。

ただし、移動車中を映したり、絵ハガキを入れて場面転換するタッチで、これまでのロードムービー・スタイルとは違う味を賞味させてもらえまっせ。

ブルース・ウィリスを柱にした、スパイ映画の同窓会ものアクション。正攻法ではないけども、かつて酔いしれた「ダイ・ハード」(1988年)のファンにも、今の若者らにも媚びることなく、過去を振り返ることもなく、今のウィリスたちを見せてゆく姿勢にこそ、本作の潔さがござりました。

2011年1月 8日 (土)

日本映画「ジーン・ワルツ」

妊娠・出産サスペンス映画、なんてのんが登場しよります

菅野美穂ネーさんが、女医ヒロインをキリリと演じはります

http://www.gene-waltz.com/

如月(きさらぎ)2月の土曜日5日から、全国ロードショーやでー。東映はんの配給映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011「ジーン・ワルツ」製作委員会

海堂尊(かいどう・たける)原作・菅野美穂主演・大谷健太郎監督。ああ、まさに正統派の、ストレートなヒット狙いで作られた作品でおます。

知らへん人はそないいてへんかと思いますけども、いちおうスタデイしときますわ。

映画化もされた「チーム・バチスタの栄光」で作家デビューしはった海堂尊のアニキ。「白い巨塔」的世界観を、ドラスティックにはずして、アクロバティックにミステリー移植しはって、日本ミステリー小説界に、新風をば刻まはった方でおます。

ところが、本作はミステリー的色合いは、そない濃厚やおまへん。むしろ、ヒロイン・ドラマとしての現代性がござる作品どす。

ミステリーやなく、ヒロイン・ドラマとして本作を見ると、これまでになかった新しい視界が開けてきよります。

菅野美穂ネーさん、21世紀のミポリンは、産婦人科の女医役でおます。いつになく、キリリとした演技を見せてくれはります。

きちんとした情熱をもった上でのキリリやから、中途半端なとこはほとんどござりまへん。

でもって、大谷監督編。「とらばいゆ」(2001年製作)やら「NANA」(2005年)やらを見るまでもなく、ヒロイン・ドラマ映画については、ある種コンテンポラリーな描き方を得意にしてはる監督はんでおます。

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メディカル・サスペンスなんてジャンルは、これまで日本ではあんましありまへんどした。

「白い巨塔」は確かにケッサクやけど、本作はいわゆる、お医者はんがリアリティーをもって書いた、小説を原作にしたもんでおます。

医者兼作家とゆうのんは、実はそんなに事例がなく、なかなかリアル感あふれる骨太のメディカルものは、そうそうは生まれ落ちなかったんでおます。

ただし、同じくお医者はんが書いたもんを原作にしはった「孤高のメス」(2010年)やらは、傑作でおました。

ミステリーやサスペンスものとしてはどないかとは思いますが、ヒロイン・ドラマとして本作を見ると、しっくりきよりました。出産もの映画はドキュ含めてそれなりにあるけども、代理出産とかの現代的な問題を絡めて、ヒロイン映画として展開するような映画は、まあ、あんましないやろな。

菅野ネーさんの母役・風吹ジュン大ネーさんや、ネーさんが勤めてはる産婦人科医院の院長役・浅丘ルリ子御大ネーさんが、シブ・シブ~イ演技で、テーマを超えたとこで、大健闘の演技をば見せてくれはります。

弦楽オーケストラの、ドラマティックな使い方にも胸ズキーンやー。そして、小田和正アニキのピアノ・バラード「こたえ」には、最後にググーンと胸にきました。

2011年1月 7日 (金)

小泉今日子・永瀬正敏共演家族映画「毎日かあさん」

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キョンキョン姉さんと永瀬の結婚生活って、こんなんやったんやろなーってゆうリアリティーあり

「私はおまえのかあさんじゃない」やら、愛情いっぱいのキツーイ・セリフが満載どっせ

http://www.kaasan-movie.jp/

如月(きさらぎ)2月の土曜日5日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2011映画「毎日かあさん」製作委員会

売れっ子マンガ家・西原(さいばら)理恵子ネーさんの、実生活をベースにしはったコミックが原作でおます。

夫妻とコドモ2人の家族映画でおます。しかも、夫に先立たれるてゆうネガティブな要素が入っているにも関わらず、どこまでも明るい家族の在り方を追究しはりました。

なんちゅうても、キョンキョンの演技が光りまくっておます。

永瀬正敏アニキ演じはる夫は、アルコール依存症で入院中。しかも、肝臓ガンまで患うてはります。マンガの仕事をしもって、幼いコドモ2人まで守りしてはりま。

漫画家の役は「グーグーだって猫である」(2008年製作)に続くもんでおまして、妻役も「トウキョウソナタ」(2008年)に続きますけども、今回は役柄を作ったようなとこはあんましなく、普段のキョンキョンをそのまま出してはるような気がしよりました。

妻に問題があった「僕と妻の1778の物語」(昨年11月28日付けで分析)に対して、コチラは夫に問題ありの作品どす。

退院してきはった夫が、昼間から缶ビール飲んで、日本の将来を憂えてはるとこ見ても、涼しいカンジでやりすごしてまう。夫がコドモたちのためにイヌを買ってきはった時も、「寿司を買いに行って、どうしてイヌと間違えるかな」。息子の「おとうさんとなんで結婚したの」に「ずうずうしいから」。退院するたんびに断酒をやめる夫に「私はおまえのかあさんじゃない」ときはります。

一方で、永瀬アニキのヨッパライ演技をはじめ、キョンキョンとの数々のやり取りは見ものでおます。ラスト近くの3分強の長回し撮影と永瀬アニキのセリフ回しは、本作の感動部のハイライト・シーンだす。

元夫妻やったキョンキョンと永瀬はんだけに、まさに「あ・うん」の呼吸のように息がピッタリどす。こんなんやったんやろなーってとこを、自然体にリアルに見せてくれはるんどすえー。それにでんな、夫妻とコドモたちとのやり取りも、コミカルでもって、あったかおすえ。

モノクロの戦場写真のコドモが、自分のコドモになってカラーで出てくる、永瀬の幻想シーン。海の青色・群青色の半ばにある、藍色部へのキョンキョンの思い入れやら、夫妻2人が手をつないで歩く後ろ姿のスローなど、細部に凝った仕掛けも施さはりました。

監督は上岡竜太郎の息子はん、小林聖太郎監督どす。「かぞくのひけつ」(2006年)でデビューやから、明るい家族映画は得意ジャンルでおましょう。

明るい松竹の家族映画のケッサクが、また1本、生まれ落ちました。

2011年1月 6日 (木)

香港映画「イップ・マン 葉門」

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ドニー・イェンのアニキとサモ・ハン・キンポー御大やなんて、知る人ぞはトンデモたまりまへんでー、ホンマ

大ブレイクした名作「燃えよドラゴン」と同じく、これぞ香港正統派格闘アクションの、メイン・ストリームどっせー

http://www.ip-man-movie.com/

睦月1月の土曜22日から、全国公開でおまして、関西やったら、大阪・シネマート心斎橋やら、T・ジョイ京都やらで上映どす。

2010年製作109分香港映画の、本作をば配給しやはるのんは、フェイス・トゥ・フェイスはんとリベロはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010 Mandarin Films Limited. All Rights Reserved

香港アクション映画てゆうたら、その種の映画のバリバリの愛好家にとっては、ホンマ、どうにもこうにもたまらへんもんがおます。

ところが、最近は、特に21世紀のアジア映画界だけの、日本市場的ヒット度合いを見てみますれば、韓国やらにおされておます。

かつての「燃えよドラゴン」(1973年製作・アメリカ&香港製作)やらのブルース・リー主演映画とか、ハリウッドが製作に関わってへん、ジャッキー・チェン主演作品とか。

でも、本作は、あえて往年にヒットしたようなとは申しまへん。香港アクション映画の映画らしさをドカーンと示さはった作品どす。こういうタイプの作品は、21世紀になってからもいくつも作られていたんどす。

しかし、本作はそれらのカンフーをはじめとした、中国武術のスタイルに、ボクサーとの対決など、新しい格闘の在り方を示さはって、実話系も入っての、かなりとオモロイ作品になりよりましたで。

ボクチンは香港映画でも、ウォン・カーウァイ監督作品とか、アクションならジョン・ウーはんやらに目がいっておったんどすが、やはり、食わず嫌いは御法度で、幅広く見ていかなあかんことをば痛感いたしました。

本作は、はっきり言って、「燃えよドラゴン」を超えたとは言いませんけども、格闘アクション映画のケッサク印となりました。

1950年頃が背景でおます。韓国映画なら、朝鮮戦争ものなんぞがござりますが、イギリス統治下の香港とゆう現状を踏まえた上で、アクション対決をば展開しはります。

見ごたえあるアクションは、約4シーン(正確にはシークエンス)ほどござります。

①2人VS大勢が、市場から街へとなだれ込んでの大対決

②周囲の椅子を逆さまに置いて、中央の不安定な台にテーブルを載せて、1対1対決をし続ける

③④ボクシング対中国武術対決、とゆうようなカンジでおます。

個人的には若き頃の丹波哲郎みたいなとこも見えよる、ドニー・イェンのアニキの素軽いスピード感。

「燃えよドラゴン」にも出てはった、サモ・ハン・キンポー御大アニキの重量感もモノゴッツイわ。

そやけど、③の決戦でイギリスのボクサーに、中国武術の沽券を懸けた闘いを挑まはり、何と返り討ちに遭い死なはるんどすえー。おーい、おいおい。

でも、キンポー御大の盟友ドニーのアニキが、リベンジを期して④の対決へと臨まはるんどす。

今でゆうたら、ゲームもの的な対決のように見えながらも、人間としての熱き血が通った闘いでおます。クライマックスは興奮・興奮どすえー。

実を申せば、本作はシリーズ第2弾なんでおます。第1作「イップ・マン 序章」(2008年・香港)がござりまして、本作の冒頭では、ややセピアな脱色系の色合いで、前作をば振り返らはります。

香港アカデミー賞で最優秀作品賞をゲットしはった前作こそ、まず見んとあきまへんねんけども、本作の方が中国・香港で売れよりましたんで、まずは日本上陸ちゅうことらしいですわ。

本作が日本で、それなりに売れへんと、第1弾は公開できへんやなんて、一体、どおゆうことやねん。大人の事情ですかー。ぜひともボクチンや、みなはんに見せておくんなはれ。たのんます!

2011年1月 5日 (水)

サッカー・ドキュメンタリー映画「アイ・コンタクト」

ろう者の日本女子サッカー・チームが、世界に挑んだやなんてビックラどすえー

クライマックスのデンマーク戦は、見ごたえ充分やー

http://www.pan-dora.co.jp/eyecontact/

睦月1月の土曜日22日から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、シネ・ヌーヴォXでロードショーでおます。

その後、如月2月の12日土曜から、宝塚のシネ・ピピアやら、全国順次の上映どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「アイ・コンタクト」製作委員会

スポーツ・ドキュメンタリーは、五輪ものも含めまして、そらいっぱいござります。

サッカーもあるやろけど、でも、女子サッカーはどないやろかな。しかも、女子は女子でも、耳が聞こえない「ろう者」たちのチームでおます。

五輪以外に障害者の「パラリンピック」があるようにですな、「ろう者」たちによるオリンピック「デフリンピック」が、4年に1回開催されよります。

本作は、そんな彼女たちがサッカーに魅せられてガンバらはって、この「デフリンピック」に出場し、世界各国の「ろう者」サッカー・チームと、シノギを削らはるとゆうお話でおます。

ろう者の苦労やらを描くドキュメンタリーやったら、いくらでもできるやろけど、本作はそれとスポ根ものを合体した上で、なおかつ彼女たちの人間性に、迫るなんてゆうとこらに挑戦心をば感じよりました。

ろう者夫婦を描いたドラマ映画「名もなく貧しく美しく」(1961年製作・日本映画)とか、ヘレン・ケラーの人間ドラマ映画「奇跡の人」(1962年・1979年・アメリカ)とか、また最近では「筆談ホステス」とか、「ろう者」をドラマティックに描く映画や小説・テレビドラマは、いくつかあります。

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ただ、本作はドキュである以外に、スポーツものドキュ映画としての、ドラマ性をばキチンと見せはります。

ろう者の女子がサッカーをするとゆう、この映画の視点は、弱者が勝って栄光を勝ち得るとゆう、スポーツ映画のメイン・ポイントを押さえてはるんどす。

そやから、彼女たちが世界を相手にどんな試合をし、どんなドラマティックがあったんかこそが、本作のキモであり、見どころでおます。

文部科学省特選なんてコピーは、とりあえず無視しておくんなはれ。確かに、彼女たちや親たちへのインタビュー・カットが随時、挿入されて、ああ、なんて、彼女たちはかわいそうなんやー、と思わはることもありまっしゃろ。

でも、本作はあくまでスポ根ものでおまして、スリリングに見せていかはります。身障者ドキュを超えたところにあるもんは、一体何ぞやにまで食い入らはった作品やと、ボクは思いました。

デフリンピックの最終戦となった、日本女子対デンマーク戦は、本作のクライマックスであり、ハイライト・シーンでおます。

字幕入りの説明入りながら、彼女たちの視点、サイレント映画のスタイルで展開するこの試合シーンは、衝撃的どした。

ドキュ映画に新しい視点を付加した点において、エポック・メイキングなシークエンスどしたえー。

2011年1月 4日 (火)

アメリカン・ドキュメンタリー映画「バスキアのすべて」

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ドラマ映画「バスキア」とは違う、ジャン=ミシェル・バスキアの真実がココにありま

NY映画にしてセレブ・ヒューマン・ドキュらしい、威厳のある作品やー

http://www.basquiat-all.jp/

東京・シネマライズやらでは、12月18日から上映中どす。

関西は1月から梅田ガーデンシネマを皮切りに、近日より京都シネマやら、神戸・元町映画館やらで上映でおます。

東京・吉祥寺バウスシアター(1月8日~)、名古屋シネマテーク(1月15日~)、札幌シアターキノ(2月12日~)など、全国順繰りのロードショーやでー。

本作を配給しやはるのは、「CJ Entertainment Japan」はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸAll Jean-Michel Basquiat works

ⒸEstate of Jean-Michel Basquiat, Used by Permission. Licensed by Artester, New York

バスキアの全てなるものを、バスキアの友達の女性映画監督(タムラ・デイビスのネーさん)が撮り上げはった作品でおます。

あれっ? て、みなはんは思わはることでおましょう。「バスキア」(1996年製作・アメリカ映画)ってゆうドラマ映画が公開されたし、DVDにもなっとるやんかなんてな。

確かに、「バスキア」は傑作ではあったんやけど、いくら実話をベースにしたとは申せ、どこかに大仰なとこがあったり、フィクションなとこがござります。

まあ、それゆえに、面白く見られるわけなんやけど、本作は、あくまでバスキアのアニキの実相へと、迫らはるドキュメンタリー映画どす。

逝去する2年前の1986年に、バスキアをインタビューした映像があったんでおます。

バスキアものを売ってひともうけするのがイヤやったらしい、デイビス監督が長い間、封印してはったんどすが、このたび蔵出しされることになりよりました。

それは死後のイメージを変えるようなものやったんで、見せられたプロデューサーはんは、そら黙っとるわけにはまいりません。

何とかカタチにして世に出したいと、思わはったんは当然でおます。でもって、本作がそのインタ映像をベースにして、作られる運びとなったんですわ。

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この種のセレブ人間ドキュメンタリーてゆうたら、いろんな関係者のインタビューを長めの撮影で見せたり、故人の偉大さを誇張するようなカンジで、描かれたりするもんでおます。

確かに、インタビュー・談話カットや、バスキア作品を次々に見せていって、その素晴らしさを関係者が語るシーンは、多いことは多いんやけど、コレらを本作は、短カットの連続編集によりスピーディーに見せていかはります。

映画「バスキア」で描かれた、バスキア(ジェフリー・ライト)とウォーホル(デヴィッド・ボウイ)の関係描写も、2人のツーショットを含め、さりげなく挿入されておます。

証言シーンのなかでも、元恋人の談話カットが最も多く、「アイルトン・セナ」(昨年10月6日付けで分析)みたいな、謎めいたところも展開しよります。

ボクがしびれたのは、NY映画としての側面と、シーンに合わせたサントラ使いどした。

ナレーションでも引用されますが「真夜中のカーボーイ」(1969年・アメリカ)や「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)より、後の1978年NYから始まるカンジなんやけど、その当時のNY描写は何やら、懐かしさみたいなんを覚えました。

また、女子フィギュアスケートのTV番組などで使われとる、ラヴェルの「ボレロ」のオリジナル版やらバイオリン・バージョンをはじめ、ジャズ、ダンス・ミュージック、ピアノ、チェロ、サックスなど、多彩で穏やかなサントラの数々が、シーンと共にココロに響きよります。

2011年1月 3日 (月)

ユーモア・ミステリー映画「テラシア島のおまわりさん」

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ギリシャからやってきた、孤島ものミステリーのイメージを明るく変えはった作品やでー

いろんなオモシロ推理を続けはって、最後にどんでん返しやでー

http://www.oeff.jp/

日本公開待機作品でおます。ギリシャ・キプロス・ドイツ合作による、ギリシャ映画どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

孤島もの、あるいは島ものミステリーと申しますれば、これまでは1つのイメージが定着しておます。

小説でゆうたら、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」とか、横溝正史の「獄門島」とか、不穏・おどろおどろしさが付きまとっておました。

ところが、こちらの作品はユーモアチック、チョイ人情もありの、陽気なまでとはいかんでも、暗さのないミステリー映画となりましたで。

都会からテラシア島に左遷されてもうた、主人公警官キャラは、「ホームズ気取りか」の声も出ますが、チャップリンかキートンかってなカンジどして、村のおまわりさん的なあったか~い人柄が、こちらに伝わってまいります。

その「寅さん」的キャラに、島出身のテレビの美人キャスターが加わりまして、男女2人コンビで赤川次郎小説みたいに、島中を聞き回らはるんどす。

この美人ネーさんは、ハリウッド女優ばりに輝いてはります。ちなみに、写真に写ってはる2人は、主人公でも美人キャスターでもありまへんので、ご注意くだされ。

事件のほとんどない島で、崖からの転落死が発生しよりました。死んだのは、海岸の側道のあばら屋に、住んではった中老人でおます。

野菜売りの軽トラで、死体を運ぶ時に「野菜が死体に触れて腐る」とか、死体保存にアイスキャンデー屋の冷凍ボックスを使ったり、盗聴にトランシーバーを使ったりと、島らしきアナログ感が、ええリアリティーを出してはりまっせ。

ほんで、死者はようヨッパラってはった方なんで、ヨッパラっての事故死をはじめ、聞き回るうちに、いろんな島の住人が、十人十色の推理をば披露しやはりまんねん。

いろんな説が出てくる映画はイロイロありました。黒澤明の「羅生門」(1950年製作・日本映画)やら、ヒッチコックの「ハリーの災難」(1955年・アメリカ)やら。

モチ、それらの名作とシンクロはしよりますが、こちらは少々、趣きを異にしておます。かつての恋愛、そして親子それぞれのキモチ、主人公の恋愛やらが、ビミョーに事件を変転させてゆきます。

1つの本流だけやなく、もう1つの流れや支流が、ウラ合わせになっとるとゆうような凝った作りなんですよ。2人の恋愛の行方、事件の行方、添い遂げられなかった過去の恋愛の秘密。これらが渾然一体となっておます。

そやからとゆうて、何もむずかしゅうはござりまへん。夕景やら島の自然風景の美しさ。アコースティック・ギター、アコギをベースに、ピコピコ系のシンセやらアコーディオンやらを取り入れた、コミカルなサントラ使いにも注目どす。

2011年1月 2日 (日)

日本映画「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」

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「白夜行」や「永遠の仔」に大きな影響を受けた、10代向け学園青春ノベルが原作でおます

若い2人の主演男女優をサポートする、鈴木京香女医ネーさんや、刑事役・田畑智子ちゃんにも注目どすえ

http://usodakedo.net/

睦月1月の土曜22日から、全国ロードショーでおます。

関西の三都やったら、大阪・なんばパークスシネマ、MOVIX京都、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。

本作の配給会社は、角川映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」製作委員会

ミーハー、いわゆる、ミーちゃんハーちゃんのドラマやおまへん。

角川映画配給で、学園青春ものラブ・ストーリー、若い2人のアイドル系なんて申しますれば、なるへそ、少女が時をかけるっちゅうような、あの手の映画やなと勝手に思わはることでおましょう。

ところがどっこい、なんどすわ。そら、まあ、最初のあたりは、そないなノリもござります。

でも、コドモの時に誘拐に遭(お)うてしもて、親まで殺されたやなんて、おいおい、さわやか青春系とは、えらい違(ちご)とりまんがな。

ところが、そんな過去のトラウマ的エピソードを、プレイバックしつつも、2人の純情ラブ・ストーリーへともってゆくなんてゆう、スーパー・ミラクル・ワザをば披露しやはるのどす。

つまりは、コレは良質健全な角川青春アイドル映画に、今でゆう、えげつないコドモの虐待的社会問題をば振りかけてみたら、一体、どないなことになるんかを実験しはったみたいなカンジなんどすえー。

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この変形ラブ・ストーリーの主演女優を、瀬戸朝香ネーさんみたいな大政絢(おおまさ・あや)ちゃんが、主演男優を、「嘘だよ」のツイッターが口グセの染谷将太(そめたに・しょうた)クンが演じはりました。

2人の演技はかなり、かみ合いまへん。つまりは、トラウマがあるゆえの、計算済みの演出なんどす。

そんな2人を、名バイ・プレーヤーたちが包まはります。フツーのあったかーい演技やおまへん。2人の性格に合わせて、演じてはりま。染谷クンを診療するセラピスト鈴木京香ネーさんは、「ココロが死んでるんじゃなく、寝てるだけ」とか、時々ええカンジのセリフを言わはります。

また、ハンニバルは犯罪者なのに、私はハンニバルやなんて言いながら、関西弁を操りもって、連続通り魔殺人事件を追わはる、女刑事役・田畑智子ちゃんも好感度は高(たこ)おまっせ。

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本作の原作小説どすが、東野圭吾の「白夜行」やら天童荒太の「永遠の仔」やら、いわゆるコドモの虐待とゆうのんが、キー・ワードになったミステリー小説の影響が顕著に見られよります。

ただし、それらの小説のダーク・サイド度合いを、コミカルな明るいサイドによって、違ったものに変化させたんが本作やと思います。

「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995年製作)を見ての2人のケンカ・シーンやら、夕景をバックにしたキス・シーンなどに加え、サントラ使いもポップに弾んでおます。

キーボードやシンセサイザーを使った軽快さ。コミカル夫婦ものニューミュージックとして有名な、松任谷由実ことユーミンの「ルージュの伝言」を、柴崎コウ姉さんがカヴァーし、ラストロールでは、オリジナルのポップンロール「サヨナラブ」を披露しはります。

暗さをそんなにカンジさせない瀬田なつき姉さんの、女性監督らしい優しい演出ぶりが光っておますよ。

2011年1月 1日 (土)

アメリカ・スペイン合作映画「愛する人」

娘役ナオミ・ワッツのネーさんやけど、探してはらへんねんけど、果たして実のおかあちゃんに、会えるんやろか、どないやろー

「愛する人」の愛とは、男と女の恋愛も描かれるんやけど、母子の愛でおます

http://www.aisuru-hito.com/

1月Januaryの15日Saturdayから、東京・Bunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズ シャンテやら、関西は大阪・テアトル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都やらで、全国順繰りのロードショーでおます。

シネ・リーブル神戸やらは1月22日から上映どす。本作を配給しやはるのは、ファントム・フィルムはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸCopyright 2009, Mother and Child Productions. LLC

ナオミ・ワッツのネーさんが主演どす。

服を着てのセックス・シーンやら、朝にマルハダカでベランダに出て、隣室の夫にこれ見よがしに見せたりしはります。

でもって、裁判所での弁護シーンはないんやけど、女弁護士役でおます。

しかも、上司のサミュエル・L・ジャクソンはんと不倫して、妊娠までしはります。

こんなナオミ・ネーさんって、個人的にはあんまし見たくないんやけど、そんなに感情的演技は少なく、唯一、コドモの中絶を言われて、医者に対し激怒するくらいでおます。

そんなナオミネーには、実のおかあちゃんに捨てられた過去がござりました。

養子に出されはったんどす。その実のオカンやけど、アネット・ベニングはんが演じてはります。

アカデミー作品賞をもらわはった「アメリカン・ビューティー」(1999年製作・アメリカ映画)では、トンデル妻役やらはりましたけども、今度はトンデまへん。

若い頃に妊娠出産して、育てる能力がなかったベニングはんは、オカンに強引に押されてもうて、コドモを養子に出さざるを得まへんどした。

そのことが、ずーっと、彼女のトラウマになっとったんでおます。そして、オカンの死を契機に、娘(ナオミ姉さん)を探そうとしはるのです。

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いわゆる、母娘ものでおます。タイトルの「愛する人」とは娘のこと、つまりベニングはんから見ると、ナオミ・ワッツ姉さんのことなんどす。

そこへもってきて、もう一つのドラマが展開しよります。黒人夫妻がイロイロあってコドモがでけへんので、養子をもらおうとするエピソードがおます。

その夫妻の妻役ケリー・ワシントンのネーさんが、メインやないんやけど、感動系の自然体演技をば披露してはります。

つまり、母ドラマ部、娘ドラマ部、夫妻の妻ドラマ部の3つが、シンクロナイズしてゆくとゆう、ヒロイン・ドラマがトリプルでやってくるっちゅう仕掛けになっとります。

母娘部では、カンヌ国際映画祭で最高賞をもらわはった「秘密と嘘」(1996年・イギリス)のような、ハットトリックなところがござりますんで、期待しておくんなはれ。

ただ、深くツッコむとネタバレになるんで、あんまし詳しくはいえへんねんけど、こういう母娘ドラマにおける定番と申しますか、そういうもんが今まではあったかと思いますが、そんな定番をはずしてはります。

そのはずし方は、是か否かは別にいたしまして、かなりというか、相当というか、ココに、胸にクルようなことになっとるかと思います。

オーケストラをせいだいに掛けて盛り上げる、このサプライズあふれる再会シーンに、ぜひとも大いに酔ってくだされ。

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