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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2010年11月の記事

2010年11月30日 (火)

映画「マジでガチなボランティア」

前向きなキモチがもらえる、ドキュメンタリー映画でおます

今どきの若者たちの1側面を捉えた、ヒューマン映画としても見られよりま

http://majigachi.jp/

12月4日のDecember's Saturdayから、東京・渋谷シネクイントでレイトショーでおます。その後、全国順グリの上映をば、展開しはります。日本とカンボジアの合作となった本作を、配給しやはるのはメディアフォーユーはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ映画製作NGOマジガチ

ボランティアの話でおます。ボク的には、ボランティアの本質とは何ぞやを捉えた作品の1つやと、ジャッジはしたんやけど、ボクはボランティアなんて1度もやったことないんで、ここで描かれておますボランティアの在り方って、どないなもんなんでおましょうか、ホンネを申せば、実はよう分かりまへん。

ただ、21世紀になってからでおますが、NPO法人やらその種の団体が、ビックラこくくらい出てまいりました。営利なんかボランティアなんか、よう分からへん団体も出ておます。そんななかでも、彼らは純粋ムクそのものでおまして、思わず守ってあげたいやんなコドモたちに、すっかり魅せられてしもたとこから、この活動が始まっておるんは、よう分かりました。

例えば、世界的に問題になっておます、イラクやアフガンのコドモたちやらは、そら、明日がどないなるやら分からへん状況でも、元気に生きて、でもって、そういうとこも描いたドキュメンタリー映画は、いくつかは輩出されよりました。

実は、こんなことゆうたら、怒られるかもしれへんねんけど、そういう作品には、何か実益とか有名になりたいとか、そんな視点ちゅうか、ないとは思うんやけど、ついカンジてしもたりしよります。まあ、このへんは、ボクの勝手な偏見かもしれまへん。でも、本作には、そういうウラのキモチみたいなんは、全くカンジまへんどした。

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まず、冒頭から、彼らがカンボジアのコドモたちに魅せられたとこが、描写されます。大学生の彼らが、2007年にカンボジア・ツアーを決行しはりました。

カンボジアは3分の1が外国からの援助で頼っている国で、1家族は1日100円くらいで暮らさはるんやて。日本の大学生ボランティアたちとコドモたちの交流も、かなり描かれますが、パンを1片もらっても、少ししか食べず、家族のために家に持って帰るとゆう、さっそくのエピソードから、たまらんような状態になってまいます。

本作は今どきの日本の大学生たちが、カンボジアに小学校を作り、遂には病院まで作ってまうとゆう実話を、いろんなエピソードや関係者のインタビューを絡めて捉えてはります。

そのプロセスのなかで、ファンキー・モンキー・ベイビーズやらブルーハーツやらSMAPの歌を歌い合って交流を深めたり、クラブ・イベントを主催して利益を得て、ボランティア資金に回してゆくとこなどが、彼らにしかできないところでおましょう。しかも、赤字になったらどないすんのんとかの、試練サイドもきちんと描いてはるのんも、説得力を増しておました。

2010年11月29日 (月)

中国のパニック・ムービー「超強台風」(ちょうきょうたいふう)

中国的ハリウッド映画の、新鮮な感覚がいっぱいでおます

B級やとゆうヤツには、言わせときなはれ。フツーのパニック映画の方程式をハズしたとこが、ホンマに痛快やんかー

http://www.super-typhoon.com/

師走12月は土曜4日から、大阪・梅田ブルク7(セブン)やらでロードショーでおます。その後、全国順グリに上映されよります。本作を配給しやはるのは、ブロードメディア・スタジオはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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現実としては地震の方に、えらい目に遭(お)うてはる中国やと思いますけども、本作では台風パニック映画をば作ってきはりました。

中国発のパニック・ムービーなんちゅうのは、これまでは、まあ、ほとんど日本に上陸なんぞしはりまへんどしたやろな。

アジアに広げても、まあ、最近やったら韓国の「TSUNAMI」やらがありましたが、ハリウッド映画をトレースするようなカンジやったしな。

B級やらでもええねん、っちゅうことで、アジア発としてのパニック映画の、心意気をば見せてくれはったんが、本作でおます。

「ハリケーン」(1937年)あたりから始まり「デイ・アフター・トゥモロー」(2004年)やらへとつながる、ハリウッドの津波・台風映画とも違うし、また、日本映画「日本沈没」(1973年・2006年)やら「海猿」シリーズ(2004年・2006年・2010年)やらとも、感覚が違(ちご)ておるんどす。加えて、竜巻きの「ツイスター」(1996年)、人食いザメ「ジョーズ」(1975年)やらも。

それらの作品との既視感が、チョイチョイ見え隠れしつつも、低予算でパニック映画を、どう大げさに作ってゆくんかとゆうカンジが、ボク的にはたまりまへんどした。

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なんや結局、B級映画かいなーと、簡単にゆう人はゆわはることでおましょう。

確かに、CG・特撮部も、かつての「ゴジラ」(1954年~2004年)やらの東宝特撮映画を、なぞったようなとこがあるし、どこにオリジンがあるんやとゆわはることでおましょう。

弦楽オーケストラ・サントラをしょっちゅう流さはって、ミスマッチなシーンが続いたり、群像劇としても、いろんな人物が、この手のパニック映画に多いマニュアル通りのあたふた演技や動きをしたり…。市長の取って付けたみたいな正義感演技やら、台風分析女センセーの大マジ感とか、ウーンとくるかもしれまへん。

しかし、実は、ボクはこの映画は、パニック映画の上級編映画やと思うのどす。カルト映画であってもええやもしれまへん。

フツーのパニック映画をいつまでも見せられても、どない仕様もござんせん。まあ、ハラハラドキドキで見られて楽しめるのんは、保証はされよるかも分かりませんけども。

こういうこれまでのパニック映画の方程式を、チビチビはずしつつも、でも、最後の30分の大津波パニック・シーンへもっていくあたり、ドカ・ドカ・ドッカ~ンどすえー、ホンマ。

次は、ぜひキョーレツな大地震映画を作っておくんなはれ。

2010年11月28日 (日)

日本映画「僕と妻の1778の物語」

草彅剛のアニキと竹内結子ネーさんの、泣ける夫婦映画の大ケッサクが誕生やでー

今までの“泣ける”とは違う、新しき“泣ける”をクリエイトしはりました。その中味とは?

http://www.bokutsuma.jp/

2011年の1月15日の睦月・土曜日から、全国東宝系イッセーのロードショーでおます。本作を配給しやはるのは東宝はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2011 関西テレビ放送 フジテレビジョン ジェイ・ドリーム 東宝 S・D・P FNS26社

いやはやビックリでおました。いやはや早くも2011年、つまり今日の日付けにおきましては、来年の日本映画となりよりますが、ベストワン候補映画の登場でおます。

これまでイロイロと泣かしてくれはった映画とか、泣きたくないのに、お涙チョーダイ節を繰り出して、水分補給せなあかんような状態になってしもた映画は、数知れずやと思いますし、ボクチンも、みなさんと一緒で、せいだい泣かしてもらいました。

でもって、唐突に男の立場からやけど、デートムービーとしてやね、彼女と行って泣き濡れてしもたら、恥ずかしいよってになー。なんて、な。

そやけど、コレは愛し合う2人で、ぜひ一緒に見に行ってほしい作品やねん。2人で泣いてほしい。泣いて、泣き濡れて、抱き合ってほしい作品なんやでー。

妻が末期ガンにかかってもうて、余命1年宣告やー。感動系の弦楽オーケストラが、かなわんくらい、しょっちゅう掛かりょるわー。しかも、作家・眉村卓夫妻の、逃れようのない実話系やん。ああ、こら、もー、どない仕様もないくらい、泣ける系映画ストレート160キロやん。なんて、思いましたがな。

しかし、見終わった時には、それらの思いの全てが、100パーセントはずれてしまいました。草彅クン・ツヨポンの、おそらく主演映画・テレビドラマのなかでも、最高傑作の出来でおましょう。モチ、妻役主演の竹内結子ネーさんも、おんなじ理屈でおます。

「黄泉<よみ>がえり」(2002年製作)とか「いま、会いにゆきます」(2004年)の役柄とカブルかもしれんけど、とりあえずは、死んでるんやなく、死ぬまでの演技でおます。で、結論は元気ネーさん系の「サイドカーに犬」(2007年)と、比肩すべき快演技どした。

さてはて、見出しに書きました“泣ける”の新しきところは、どこにあるんでおましょうか。

妻が死ぬまで、ボクに何ができるかと考えたSF作家の夫は、毎日400字詰め原稿用紙3枚のショート・ストーリーを、妻だけを読者にして書こうと決心し、実行しはります。

この決意には理由がござります。妻が笑うことで余命が延びるかもとゆわはった、主治医役・大杉漣はんのコトバに、妻を毎日笑わせてやろうとゆう意図。でもって、夫の小説の最初の読者は、常に妻であった点でおます。

最初の作品は「(小説と違う)エッセイじゃない」とケナされます。それでも、めげずに書き続けること、何と1778日連続でおます。

さて、その新しきとこを申しますと、そんなショート・ストーリーのいくつかを映像で示してはりまして、その全てがココロにグイグイとクルんでおますよ。こういうプロセスを経ての、泣ける系着地映画とゆうのは、今までにはたぶんありまへん。

例えば、セピアな夕景を配色したなかで、子供の頃によく街に来た“知識屋”のロボットが「空が青いのは、空は海だから」とゆうエピソードとか。病床の妻に聞かせようとするのに眠ってる、眠れば妻に聞かせてる夢を見てる、なんてゆうメイキングを見せるような話。

そして、臨終シーンの新しい見せ方もスゴイと思うんやけど、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)を超えたラスト・エピソードには、カンプなきにやられてしまいました。

2010年11月27日 (土)

日本映画「相棒-劇場版Ⅱ-」

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ドワイこと土曜ワイド劇場風に申しますれば、サブ・タイトルは「警視庁占拠! 特命係の一番長い夜」でおます

「踊る大捜査線」シリーズの最新版と同じく、湾岸署ならぬ警視庁が占拠されるやなんてー、ホンマですかー

http://www.aibou-movie.jp/

師走12月の、天皇誕生日の23日の木曜日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。本作を配給しやはるのは東映はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「相棒-劇場版Ⅱ-」パートナーズ

毎週水曜日のゴールデンタイムにやってはります、刑事ものテレビ・シリーズの映画版第2弾でおます。

刑事が2人1組のコンビで動くのんは、常識なんでおますが、それを敢えて「相棒」と、タイトル付けしてやってはる点の大胆不敵さ。

そして、さらなる驚きとゆうか、最もキモとなるべき驚きどす。主人公・警視庁特命係・警部・杉下右京に扮しはります、水谷豊アニキのキャラクター付けでおます。

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これまでの警察ものと申しますれば、小説なんやらを含めまして「踊る大捜査線」シリーズ(1998年・2003年・2010年製作)はモチ、事件を本格推理してゆくようなタイプの、明智小五郎とか金田一耕助みたいな、探偵的な刑事っちゅうのんは皆無でおました。

警察小説系の作家でゆうたら、「新宿鮫」の大沢在昌とか、「半落ち」の横山秀夫とか、「笑う警官」の佐々木譲とかでおましょうか。このあたりのキャラ設定ではおまへんどす。

シリーズはテレビでも見てたんやけど、この推理する刑事キャラは、オリジナリティーにあふれておます。しかも、水谷豊のアニキでおますが、かつての大傑作「青春の殺人者」(1976年)とか、1970年代のテレビ・ドラマで見せてたような、おどおどしておしたクチベタ演技は、今いずこでおます。

一語一句をキチンとシャベるセリフ回しのノリは、だみ声で魅了した「刑事コロンボ」のピーター・フォークとか、「古畑任三郎」の田村正和を彷彿させよりますで。

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脇役のキャラもよろしおまっせ。ホームズ・ワトソンばりの現代的相棒・コンビぶりを示す、神戸尊(かんべ・たける)役の、ミッチーこと及川光博アニキの、みんなの好感度あふれる熱血ぶり。

「悔しい」と嘆き節を披露するや、「悔しいじゃない。怪しいですよ」と、右京・水谷アニキに切り返されるシーンなど、印象に残る2人のやり取りがいっぱいどっせ。

今年、ミステリーものには、「猿ロック THE MOVIE」(2月19日付けで分析)「行きずりの街」(10月31日付け)に続き、3度目の出演となる小西真奈美ネーさん。水谷アニキに告白(ちなみに、愛の告白やおまへん)する時の、カメラ目線やないアップ・シーンなんぞに、ついそそられてしまいました。

水谷アニキを「おまえ」呼ばわりし、おまえの推理は「自己満足の正論」にすぎないと、切ってまう岸部一徳はんの、いつもながらの落ち着いた演技など、シブミがそこかしこに散らばっとりますでー。

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見出しにも書きましたが、「踊る大捜査線」最新版(6月28日付け)とのシンクロもあるんやけど、例えば、警視庁幹部たちを人質に取った、犯人の写真を撮るために、水谷アニキが決死の(!?)アクションを見せるとことか、ひょっとして「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ映画)? 公安の闇を抉るなんてとこは、ひょっとして「ミレニアム3」(9月7日付け)? 

エレベーターが開いた状態での、スローモーション・シークエンスなど、時々魅せてくれはる映画的カットも、要チェックどすえー。

2010年11月26日 (金)

アメリカ映画「GAMER」

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「バイオハザード」何するものぞーな、ゲームSF映画の新しきとこをば、追究しはったケッサクどす

「ブレードランナー」に迫らんとする作りに、ココロ震えよりましたがな

http://gamer-movie.tv/

December12月3日フライデーから、全国ロードショーやー。関西やったら、大阪・敷島シネポップをはじめ、TOHOシネマズ西宮OS、TOHOシネマズ鳳、TOHOシネマズ二条やらで上映。「R-15+」指定の本作を配給しやはるのは、ショウゲートはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC AND LIONS GATE FILMS INC. All Rights Reserved

ゲームを原作にした映画とゆうのんは、イロイロござります。ボクチンみたいな、1970年代のインベーダー・ゲームから始めた、オールド・ゲーセン世代にしてみたら、今や隔日の感がござります。

ゲームソフトが多様化した1990年代には、チビチビ映画化されてまいりました。ほんで、今やけど、「バイオハザード」シリーズ(2002年~2010年製作・アメリカ映画)やらがヒットしておますわな。但しでおます。ゲームを映画化することの意味とは、なんぞやねん、でおます。

モチ、ゲームの世界観をそのまま映画化しても、映画的な意味があるようには思われまへん。むろん、「バイオハザード」はアクション性やらに工夫を凝らさはって、楽しいエンタをクリエイトしてはります。

映画的なオリジナリティーやらを考えてみたら、どないなもんでおましょうか。みなさんに意見をば聞いてみたいとこやけど、映画はゲームやないし、ゲームは映画やおまへん。ゲームと映画は違うもんどす。ゲームの映画化とゆうイメージが、ボクとしては、実はしっくりきよらんのです。

でも、まあ、そんなゲーム感覚をポイントにして、オリジナルなSF映画を創ってゆくとゆう姿勢はありま。コレが大事っちゅうか、ボク的には重要なとこやと思ておりま。

そして、本作は、おそらく映画史上、ゲームソフトな閉塞した世界観を、初めて映画的ベースのなかに取り込んだ、革新的な作品になったんやないかと思います。

コレは、いろんな方に見てもらってぜひ、いろんな感想を言ってもらいたい作品なんやけど、やはり、「マトリックス」シリーズ(1999年・2003年に2作の全3作・アメリカ)よりは、「ウォー・ゲーム」(1983年・アメリカ)を見はってから、イロイロ言ってもらいたい作品なんやないかな。

つまり、「ウォー・ゲーム」の世界観が、どのように進化してきたんか、どす。そのあたりのギャップぶりをば、ぜひ見てもらいたいと思とるんですわ。

さてはて、本作は2種類の映画内オリジナル・ゲームを、取り込んでおまして、サバイバル・アクション系ゲームと、セクシーお色気擬似体験ものに分かれておます。

ジェラルド・バトラー扮する夫が、その地獄のアクションのゲーマーとならはり、片や、妻がセクシー・ゲーマーのヒロインとしていてはりま。

多彩な照明がきらめくなかで、短カットの連続でめまいを起こさせるようなカットやら、魔術的映画シーンの映画的な見せ方は多々あります。

過去の名作では、「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)やら、夫妻も描いた「惑星ソラリス」(1972年・ソ連)やらへと通じよります。対決前に踊ったりするシークエンスなんか、まるで「ウエスト・サイド物語」(1961年・アメリカ)どしたえー。

まずはともかく、劇場へとレッツラゴーでおます。

2010年11月25日 (木)

オランダ映画「一日のいのち」(仮題)

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エキセントリックな男やらを描いた「時計じかけのオレンジ」「未来世紀ブラジル」を、SF映画なラブ・ストーリー版で捉えはったカルティック映画どすえー

スクリーン2分割カット映画の、最長不倒時間をば、間違いなく更新しはりました

http://www.oeff.jp/

第17回大阪ヨーロッパ映画祭(11月18日~11月23日)でプレミア上映のあと、日本公開待機作となる作品でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

いやはや、久々にカルト映画の醍醐味をば味わえた大ケッサクでおます。

本作には小説の原作(A.F.Th.ファン・デル・ハイデンなんて作家の小説どす。ちなみに、ボクは未読でおます)があるんどすが、おそらく、映画化不能のような作りになっとったんやないかな。

ストーリーをばお話しよりますと、たった1日で人生が完結するような世界、つまり、生まれ落ちて成長して大人になり、でもって、老化して死にゆくっちゅうのんが、1日24時間で成立する世界でおます。

要するに、シチュエーションSFのような世界でおましょうか。1日とゆう制約でおますので、恋愛も1発必中で妊娠でおます。で、その1回だけで、あとは、男はでき(立た)ない、女も喜べないとゆうようなことになっとります。

でも、往年のハリウッド恋愛映画みたいに、クローズアップ豊富に愛し合った2人は、何とこの喜びが1回だけやなく、毎日続けたいなんて、マジに思わはるんどす。そのためには、どういう手段があるんか。

人々は1日で死んでからは、天国か地獄へゆくとゆう設定でおまして、むしろ天国へ行くよりは地獄へ行ったほうが、2人の生活は、ダラダラかイキイキかは分かりまへんが、毎日続くっちゅうカンジになっておるんどす。

そやから、2人は悪いことして地獄へ落ちるために、2人で殺人を犯さはるんです。裁判の結果、2人は電気椅子で処刑されますが、別々の処刑場で同時刻に執行されよります。

でもって、この処刑シーンから、2分割カットが1時間余りも映されよるんだす。2人は果たして、地獄で再会できるんか。いやはや、こんなん、今までござりまへんで。

2分割カットは今までは、部分的には使われても、こんなに長いんは、まあ、おまへん。最長不倒時間と言えましょう。2つの話が同時進行するとゆう、このスタイルもまた、あんましありまへん。フツーやったら、カットバックを使ったりしやはることでおましょう。

半分をサイレントの長回し撮影で、半分をセリフある動的なシーンにしたり、まあ、同時に動きのあるシーンも多々あるんどすが、この手法の新しき使い方に、ボクはずっとアゼンボーゼンとしもって見ておました。

さらに、サントラ使いにも新しさがござります。弦楽オーケストラな壮大さと、ポップスやポップの歌ものサントラの融合とでも申しましょうか。こういう使い方はハリウッド映画にも、そうそうござりまへん。

SF映画ならカルト映画として有名な「時計じかけのオレンジ」(1971年製作・イギリス)やら「未来世紀ブラジル」(1985年・イギリス&アメリカ)の恋愛映画版でおましょうし、夫婦映画とゆう側面では「惑星ソラリス」(1972年・ソ連)とか「アイズ・ワイド・シャット」(1999年・アメリカ)のような妖しさや不条理性がござります。

でも、最後はハッピー・エンドでおます。クラシック映画のチャップリン「街の灯」(1931年・アメリカ)など、2人が再会するシーンは、本作でも感動的でおました。

2010年11月24日 (水)

洋楽音楽ドキュメンタリー「極悪レミー」

HR/HM(ハードロック・ヘヴィメタル)ファン必見の映画なんやけど、映画ファンにはどないなんでおましょうか

いやいや、ヘヴィメタ人間のハチャメチャ人生がカンジられよる、トンデモネー・ヒューマン映画にもなっとりまんでー

http://www.lemmymovie.jp/

December12月のFriday3日から、東京・シアターN渋谷やら、December's Saturday4日から、名古屋シネマテーク、シネ・リーブル博多駅やらで、全国順グリのロードショーでおます。関西やったら、2011年に大阪・テアトル梅田やらで上映どす。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

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Ⓒ2010 Lemmy Movie LLC

音楽ドキュメンタリーなんやけど、実は見る前はメッチャ心配しておました。なんでかとゆうと…。

ヘヴィメタルの元祖・モーターヘッドのボーカル&ベース&リーダーの、レミー・キルミスターを、ドキュメンタリーで描くんでおます。いわゆる、音楽ジャンル的に申しますれば、ヘヴィメタルどす。

音楽雑誌「バーン!」なんかを読んでいそうな、ゴリゴリのヘヴィメタ・ファンご用達の映画。つまり、マニアックと言いよりますか、ものゴッツーお客はんを選ぶような、映画なんとちゃあーうんって思たんどす。

本作にも出てきはります、スラッシュ・メタル・バンドの雄「メタリカ」を描いたドキュメンタリー映画でも、ファン向けみたいなDVDリリース前に、チョロッと映画館で上映しとこかー、なんてノリやったしな。

ところが、どっこい、映画は見んことには始まりまへんで。

いわゆる、コアな音楽ファンにしか分からへん用語やらはあるにはあるし、彼らの音楽性を追究してゆくとこもかなりあるんやけど、前期高齢者たる御年64歳・独身オヤジときた、レミーのアニキの、オリジンあふれる人間ドキュメンタリーとなっておったのでおますよ。

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レミーに心酔してはる、メタリカのメンバーはもちろん、オジー・オズボーンやら、スティーヴ・ヴァイやら、数秒間コメントみたいなインタビュー・カットを多数編集してはります。

但し、HR/HM界のいろんな方々のコメントを入れても、洋楽のHR/HMには何の興味もない方には、さっぱりワヤでおましょう。

しかし、これらの短カットはあくまで、レミーの人間性を浮き彫りにするための、1手法として使ってはるのどす。レミーへのインタビューと密着こそが、本作のメインでおます。

レミーが「こんなとこまで撮るのか」と、監督に文句を言うシーンが頻出しよります。彼の人間性を何としてでも撮りたいとゆう、監督のキモチがよう分かります。そやから、彼のプライベート部の描写が、なんちゅうても本作の隠し味にして、重大部になっとりま。

スロット・マシーン中毒、戦車にまで乗って実際に発射してまうミリタリー・マニア部やら、音楽とは関係なさそうな周辺部からチビリチビリ、レミーの人間性へと迫ってまいります。

そして、前半部にいきなり提示される、息子とのツー・ショットとインタビューでおます。ビートルズのジョン・レノンと関係があったらしい、息子の母親のエピソードを、何げに話すレミーのセリフなど、この種のドキュに必須の爆弾・衝撃・問題発言も、ケッコー入っておますで。

でもって、メタリカとの共演やライブ・シーンなど、後半にテンコ盛りなんでモチ、音楽ファン向けにも、ビビッドにきよるハズの作品やと思います。

2010年11月23日 (火)

アメリカ映画「ロビン・フッド」

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12世紀末の戦争映画やなんて、時代考証やらホンマのホンマに、大変どすえー

でも、紀元前の「グラディエーター」もケッサクにした、この2人→ラッセル・クロウのアニキとリドリー・スコット監督が、やってくれはりました

http://www.robinhood-movie.jp/

December12月のFriday金曜日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、梅田ブルク7(セブン)、TOHOシネマズなんば、アポロシネマ8(エイト)やら、京都・TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都やら、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OS、TOHOシネマズ伊丹、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。本作を配給しやはるのは、東宝東和はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

弓矢の名手ロビン・フッドを演じはりました、写真上のラッセル・クロウのアニキ。

ケヴィン・コスナーのアニキがやった「ロビン・フッド」(1991年製作・以下の映画引用は全てアメリカ映画どす)との比較考察なんか、まあ、やり始めたら、長ーい話になりそうなんでやめときますけども、そのワイルド感に満ちた野性味あふれる演技ぶりでは、クロウのアニキが一枚上手やと見ました。

さて、このロビン・フッド映画どすが、これまでに数多く作られておます。

戦前の映画としては大作やった、エロール・フリン主演「ロビン・フッドの冒険」(1938年)、日本未公開フィルムの「ロビン・フッド」(1948年)、ディズニーのアニメ版(1973年)などと続きまして、前記のコスナー主演分と、パトリック・バーギンなんて俳優がロビンにならはった「ロビン・フッド」(1991年)との、W興行対決みたいな年もござったのでおます。

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実は、卵が先かニワトリが先かの、あのコロンブスはんにも、こういう映画イヤーがござりました。

そう、何を隠そう、その時に、本作のリドリー・スコット監督はんが関わっておました。監督の「1492 コロンブス」(1992年)と「コロンブス」(1992年)との対決どした。

ことほどさように史劇アクション、並びに史劇といえども戦争アクション映画には、監督は相当なるこだわりと執念をば抱いてはります。アカデミーの作品賞をゲットしはった紀元前の「グラディエーター」(2000年)やら、「キングダム・オブ・ヘブン」(2005年)とか、コンテンポラリーな戦争実話ものでは「ブラックホーク・ダウン」(2001年)がござります。

つまり、紀元前から、本作の12世紀十字軍の時代を経て、現代戦争映画までをクリエイトしてはるのどす。まあ、そんな監督なんて、そうそういてはりまへん。

さて、前述しました通りでおまして、ロビン・フッド映画は多数あるんどすが、そんな競争率の激しいなかでも、本作のオリジナリティーな描写はいっぱいござります。

ボクチンがまず思ったのは、時代感の描写どした。電気はモチ、銃も爆弾物もない時代どす。ローソクの炎やら日差しのセピア色の、優しい色使いの在り方。

また、騎馬戦、弓矢、チャンバラ、火薬などの前近代的な戦いを、どうダイナミックに見せていかはるのか、どした。でも、クライマックスの15分にわたる海辺の戦いに、今までのロビン・フッドものにはなかった驚きがありました。それは、「プライベート・ライアン」(1998年)における、ノルマンディー上陸作戦描写の、ビビッドな臨場感に近いもんどした。21世紀的に進化した、ロビン・フッド映画がココにあります。

2010年11月22日 (月)

日本映画「ばかもの」

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アル中演技の成宮寛貴のアニキと、けだるい系演技の内田有紀ネーさんの、恋愛映画でおます

純文学小説の映画化作品として、目をひき付ける作品どすえー

http://www.bakamono.jp/

師走12月の土曜18日から、東京・有楽町スバル座、シネマート新宿やらでロードショーでおます。関西やったら、大阪のシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋やらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「ばかもの」製作委員会

純文学小説っちゅうもんを、原作にした映画とゆうのんは、ある程度どんな仕上がりになるもんなんか、予定調和的な予想ができるもんなんですわ。

ちなみに、純文学なんちゅうコトバは、日本にしかないオモロイ、ジャンル用語でおます。文学小説てゆうたらええのに、なんで「純」なんて付いとんのん? クエスチョンやわな。

どのあたりが「純」なんかよう分かりまへん。そのカラクリについて、少しお話させていただきますれば、実は、このコトバは文藝春秋社が主催してはる芥川賞から出てきたもんやと、ボクチンは手前勝手に分析しておます。

ある時期あたりの芥川賞では、難解な文章の羅列によって重厚感を示して、それが純粋文学のあり方やと思われとった時代もあったんどす。そのスタイルがビミョーに変わったんが、村上龍アニキの「限りなく透明に近いブルー」でおました。

みなさん、芥川賞てゆうたら、権威ある文学賞やんかと思わはるかもしれまへんねんけども、かのノーベル文学賞に大手をかけてるかいなーとゆう村上春樹や、太宰治、吉本ばなな、やらが候補に挙げられても敗退してはります。

世の中。不思議なことが多いのはヤマヤマどすが、本作の原作は、そんな芥川賞をゲットしてしもた絲山秋子ネーさんの、芥川賞受賞作品やない別の作品でおます。

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いやはや、純文学原作映画としては、吉田修一の「パレード」や「悪人」に迫る作品となったんやないかなとボクは思いました。

ちなみに、吉田センセーみたいなミステリー色やらは入れてはりまへん。「ヘヴンズ ストーリー」(11月3日付けで分析済み)ともシンクロしよります、1999年くらいから10年くらいの話なんどすけども、成宮寛貴アニキのアル中演技を、本編の中心に据えて展開しよります。

内田有紀ネーさんてゆうたら、好感度合いの高い演技をチョクチョク、披露してきやはったかと思うのどすが、そんな彼女がチョイ・ワルネーさんをばやらはりまんねん。

で、成宮クンが彼女に恋して、アラマ・ポテチンな状況にならはりまんねん。

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内田有紀ネーさんと成宮クンは、本編の前段で男と女の関係になってはります。しかし、有紀ネーさんから、えらい仕打ちを受けはって、ほかされました。そのほかされ方も、かなりえげつないもんでおます。

そんなわけでおまして、成宮クン、アル中にならはって、イロンナ問題を起こさはります。アル中演技と申せば、名作「失われた週末」(1945年製作・アメリカ映画)をはじめイロイロござります。

でも、それらの演技と決定的に違うのは、アル中を意識した派手な演技やない点でおました。このあたりは、ユーモアチックな演出も得意な、金子修介監督的なサポート演出ぶりもござったんでしょうか。

でも、でも、成宮クンの演技は、自然体系のアル中演技どした。なかなかのもんでおます。ベタでなく押し付けでもなく。「AIKI<アイキ>」(2002年・日本)の加藤晴彦アニキを超えたか、もしくは匹敵するような演技ぶりやと思いました。

でもって、ラストシーンのロングショット・カットには胸キュンになってもうたわ。ココロにきよりましたでー、ホンマ。

2010年11月21日 (日)

ファティ・アキン監督新作「ソウル・キッチン」

ファンキーなノリのいい音楽をかけて、みんなで騒ごうやんかーな大衆レストラン、そのオーナーの、コミカルな人間ドラマ映画でおます

音楽映画・フードもの・恋愛映画ノリに加え、1950年代の西ドイツ映画の郷土映画、なんてのんもあるんやてぇー

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http://www.bitters.co.jp/soulkitchen/

http://www.oeff.jp/

11月22日マンデーの午後6時45分から、大阪・イシハラホールにて、「第17回大阪ヨーロッパ映画祭」の新作としてプレミア上映(ファティ・アキン監督の、質疑応答のトークショーあり)されよりま。

その後、2011年January1月の22日Saturdayから、東京・シネマライズやらで全国順グリのロードショーでおます。

関西やったら、February2月12日Saturdayから、大阪・シネマート心斎橋やらで上映どっせー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ドイツのファティ・アキン監督の映画的なこだわりとか、もろもろが詰め込まれた最新作でおます。

そのアキン監督って一体誰やねん、と思わはる方は、確かに多いやもしれまへんけども、世界3大国際映画祭のカンヌ・ベルリン・ヴェネチアで賞をもろてはります。

いわゆる、この3大映画祭の全てで、部門賞を入れて賞をゲットをばしはった監督は、そんなにいてはりまへんのどす。ちなみに、日本人監督では3人しかいてはりまへん。黒澤明・小林正樹・市川崑どす。

しかも、2009年に本作で、ヴェネチア審査員特別賞とヤングシネマ賞を受賞しはり、36歳とゆう若さでの達成でおました。コレはスゴイことなんでおますよ。

でもって、本作のことでおます。これまでのアキン監督作を見てはらへん方には、よう分からへんかもしれまへんが、いろんな新境地を示さはりました。

まずは、コメディ映画的センスどす。1950年代には、西ドイツでは郷土映画なるものが、量産されとったらしいのですわ。

ただ、それらの映画は今では、DVDでさえもほとんど見られへんもんどす。郷土映画、つまり、故郷の村や町で人々が、交流するっちゅうカンジでおましょうか。

まあ、日本でゆうたら、商店街ものでもある「男はつらいよ」とか、会社とゆうコミュニティーが舞台の点で「釣りバカ日誌」とかのノリが、あるやも分かりまへん。

監督はいろんな過去の映画を参考にしてはりますが、ほとんどの場合がストレートやなく、隠し味のように展開してはります。

主人公のキャラクターづけには、一部チャップリンやらバスター・キートンのノリを入れたとゆうてはりますけども、「寅さん」や「釣りバカ」の「ハマチャン」さえもよう見てみたら、感じられよるんどす。

そして、なんちゅーても、音楽映画としてのオモロサどすえー。ドキュメンタリー映画どしたけども、監督の出身地トルコの、音楽を描かはった「クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール~」(2005年製作・ドイツ映画)の音楽性とは、真逆に近いカタチでの作り込みでおました。

冒頭からいきなり、ファンキーなインスト・ナンバーが流れよります。しかも、いろんなシーンに、サントラとして流すのは控えめにしはって、ライブ・シーンやら、主舞台となる大衆レストランでかかるナンバーやらを、ドラマ効果のBGM・劇中歌として流すとゆうシステムを採ってはります。

つまり、音楽とドラマが一体になっとると申しますか、ディスコ・サウンドをかけてのお色気シーンなんか、「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977年・アメリカ)へのアンチ的アンサーにも取れましたで。

それだけやないんどす。料理映画・恋愛映画・兄弟のキズナ映画とか、言い出したらキリがないんやけど、何といいましても、ラスト30分のスリリングな展開には、目が点になるくらい、手に汗握ることでおましょう。恋愛映画的サプライズも驚きどした。

2010年11月20日 (土)

家族映画の時代劇「武士の家計簿」

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堺雅人のアニキと仲間由紀恵ネーさんが、夫婦役で共演しはりました

森田芳光監督が描いた「家族ゲーム」への、セルフ・アンサー的な作りがスゴイんやわー

http://www.bushikake.jp/

霜月11月の土曜日27日から、石川先行ロードショーでおます。でもって、師走12月の土曜日4日から、全国各地イッセーの公開どす。本作を配給しやはるのは、松竹はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010「武士の家計簿」製作委員会

日本の時代劇てゆうたら、みなさん、どないなイメージをば抱かはるでおましょうか。まずはチャンバラ、その次は人情ものとか、心中ものとかでしょうか。

しかし、この時代劇は、それらのテイストとは180度近く、違っておます。人情もの的なとこもあるんやけど、3世代にわたる江戸時代の家族の、大河ドラマになっとるねん。

時代劇仕様による家族ドラマは、実は過去にほとんど例を見ないもんでおます。

藤沢周平原作ものに、例えば家族の在り方も描いてはる「たそがれ清兵衛」(2002年製作)なんぞの名作もござりました。でも、それらでさえも、日本の時代劇のキモとなる殺陣シーンを、いっさい排除してはるようなことはなかったんでおます。本作には、殺陣シーンはありまへん。

藩の、いわゆる経理部で、経費削減、事業仕分けやらをムネとしてきはった、仕事に就いてはった3世代の世帯主。それをおのが一家にも持ち込んで、とことん質素倹約しやはるお話なんどす。

いわゆる、変型家族ドラマなんやけど、コレが森田芳光監督的には、現代家族ドラマ映画の流れを変えた1作「家族ゲーム」(1983年)を、時代劇として描いた場合は、どないな化学変化が起こるもんやらに、挑戦しはったみたいなカンジがしました。

しかも、ここ数年のNHK大河ドラマに、出てはった俳優陣をキャスティングしはって、大河ドラマへもアンサーしてまうとゆう、凄みがござります。夫役主演の堺雅人アニキ、妻役の仲間由紀恵ネーさん、でもって、雅人アニキの母役の松坂慶子はん。

さらに、大河ドラマで披露した演技を、ひきずることのない演技ぶりが、映画的オリジナル演技性を示してはって良かったどす。

そんななかで、森田監督の映画的計略が、いろんなカタチで本作のなかに仕込まれよりました。

かつてボクが山田洋次監督映画の「母べえ」(2008年)の、記者会見に臨んだ時、山田監督は「(映画会社としての)松竹は、伝統的に家族映画が多い」とおっしゃらはりました。その時、ボクは「母べえ」に絡めて、小津安二郎映画を参考にしはったかを聞きました。そんな小津安的な食卓シーンを始め、本作には松竹家族映画に敬意を払ったいくつものシーンがござります。

加えて、いつも通りにアップを少なめに、映画的構図を設計してはります。「家族ゲーム」を超えた出来やなんて言いませんけども、日本の時代劇映画の系譜に、記憶されるべき新たな1本を刻まはったのは、間違いござりまへん。

2010年11月19日 (金)

小雪主演の昭和映画「信さん 炭坑町のセレナーデ」

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小雪ネーさん扮する年上の女との、淡~い長~い少年の恋が描かれておます

1963年と1970年代前半をとらえはった、九州ロケ映画の快作どす

http://www.shinsan-movies.com/

霜月11月の土曜日27日から、全国ロードショーでおます。東京は新宿ミラノやら、銀座シネパトスやらで、関西は大阪・九条のシネ・ヌーヴォやらで上映どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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昭和映画にして地方ロケーション映画は今や、日本映画の花形ジャンルの1つとなっておりま。

でもって、本作は廃坑になる前の九州の炭坑町を、背景にしはった映画どす。1965年をとらえはって大ヒットした「フラガール」(2006年製作)は、廃坑後にどないするねんとゆうお話どしたが、いわば、本作は「フラガール」へ続く…、ようなカンジで見られます。

そして、「ゲゲゲの女房」(11月13日付けで分析)のところでも申し述べましたが、昭和映画として最もキモとなる1960年代(1963年)を、前半で取り上げてはります。ちなみに、後半は1970年から1974年までを描いてはります。

さて、本作のテーマの1つに「少年の、年上の女との初恋」とゆうのんがござります。このテーマは古今東西の映画に限らず、小説・演劇やらで、ものゴッツー採り上げられてまいりました。しかし、本作はそんな過当描写作品のなかでも、ビミョーな新しさを入れてはります。

花の東京から生まれ故郷の炭坑島へ、夫と離婚しコドモを連れて小雪ネーさんが帰ってまいりました。真ん中の写真でおます。当時40円やった「少年サンデー」がエエ味を出しとるわ。

で、小学校で同級生の「信(しん)さん」が、わが息子の友達になってくれてはるのに、感激しはった小雪ネーさんが、信さんに抱きついてはるカットがイチバン上の写真でおます。このカットが、のちに2人が淡い恋に落ちる、前触れシーンなんどすえー。

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タイトル付けからも、コレは恋の話やと伝わります。「レクイエム」(鎮魂歌)「ソナタ」(哀歌)「ラプソディー」(狂騒曲)やらではなく、恋人に聴かせる甘い曲の意味がある「セレナーデ」(小夜曲)どす。

それに合わせて、劇中の曲使いなんかを見てみますと、当時の流行歌をそのまま流して、時代感を示すようなとこは、なるべくハズしてはります。

確かに、1970年代以降になりますと、三波春夫のエキスポ70の万博テーマ曲とか、浅丘めぐみの「私の彼は左きき」やらを、そのまま流しはしてはります。

でも、登場人物の性格に合わせて、「鉄人28号のテーマ」や「スーダラ節」を歌わせるとゆう方法も採ってはるんで、時代感描写にもイロイロ、工夫のあとが見受けられるんどす。

平山秀幸監督的には、今年発表した時代劇「必死剣鳥刺し」(7月3日付けで分析)と共に、傑作印となりよりました。1年のうちに、全くタイプの違う2作品を撮り上げるやなんて、まあ、なかなかできまへん芸当でおます。

今村昌平監督作品「にあんちゃん」(1959年)+本作にも出てはる、大竹しのぶネー出演の「青春の門」(1975年)÷2の、出来やとジャッジいたします。

2010年11月18日 (木)

2時間半のフレンチ映画「クリスマス・ストーリー」

こんなワケ分からへん家族映画やなんて、今まで見たことおまへんでー

こんなクリスマスの過ごし方か…OH!  アンチ・クリスマス映画の、トンデモない作品でおますわー

http://www.a-christmas-story.jp/

東京では11月20日ロードショーやけど、関西ではDecember12月・Saturday11日から、大阪・梅田ガーデンシネマで上映どす。その後、12月25日のクリスマスに京都シネマやら、2月5日の神戸アートビレッジセンターやらで公開しはります。本作をば配給しやはるのは、ムヴィオラはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸJean-Claude Lother/Why Not Productions

カンヌ国際映画祭で審査員も務めはった、映画史に残る女優はん、カトリーヌ・ドヌーヴはんが出てはります。みなさん、そんなに知らはらへんでしょうけども。で、アルノー・デプレシャンのアニキが、監督しやはりました作品でおます。

ハリウッド映画や日本映画みたいに、フツーに家族映画を感動的に、あるいは大河的に撮ってゆくような映画に、ボクチンやボクらやワタシらは親しんでまいりました。

ところが、どっこいでおます。こんな家族映画の在り方ってアリかいやーなんて、物議をかもしかねへんのが本作なんでおますよ。

そもそもアネキと弟はんの、仲たがいのモトからしてネジレておますし、理解しがたいわ。末っ子の息子と結婚しはった女が浮気してやね、コドモやらと共にその現場を見ても、そんなのヘッチャラやーなんて、そんなん絶対ないわー。母役のドヌーヴはんが、弟とタバコを吸いもってダベりつつ、弟におまえなんか嫌い、なんてゆわはります。おい、おい、どうかしとるで、こいつら。

でも、親子ゲンカにはなりまへん。とことんやでー、これは。そう、そことん、やりまくりやでー。つまり、自然な流れとかリアリズムとか、そんなもん、なんの関係もありまへんでー、なカンジで、はずしまくってはるんでおますよ。

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フツーの映画を見ようとして見てみたら、おいおい、どないなっとんねん、と不安と迷いとワケの分からなさが、次から次へとやってまいります。おそらく、マットーに見ようとしはるマジメな観客さんには、怒りを覚える方もおられるやもしれまへん。

また、母が病気になり、骨髄移植せなあかんとゆう設定やのに、ドヌーヴはんはどこまでも冷静、フツーにしてはるし、観客のみなさんに語りかけたりしはります。ほかにも、みなさんに、登場人物のアネキや弟やらが、自分らのことを分かってほしいと、シャベリかけたりしはるんどすえー。

フツーは泣ける病気ものやったら、それなりのお涙チョーダイ的作りがあるはずなのに、そんなん関係ないんでおますよ。

アイリス・インやらアイリス・アウト(画像が丸くなって入ったり消えたり…)を、取ってつけたように使ったりするとこやら、あんまし意味のない撮り方が、クセにもなったりしよりました。

ヌーヴェル・バーグものに少なかった家族映画。しかもそれを、クリスマス映画としてやったらどないなことになるんか。そこにチャレンジした姿勢は、立派やと思いました。

2010年11月17日 (水)

ポルトガル映画「ブロンド少女は過激に美しく」

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みんな~、ヨーロッパ映画が今、新しおまっせー

みんなよりワンランク上の、映画生活を示してエバリたいんやったら、ユーロ映画がイチバンやー

http://www.bowjapan.com/

11月Novemberの20日Saturdayから、大阪は十三(じゅうそう)の第七藝術劇場、通称ナナゲイにて上映後、全国順グリのロードショーやらかします。本作を配給しやはるのんは、フランス映画社はんどす。ちなみに、ジャン・リュック・ゴダール監督の短編「シャルロットとジュール」も、併映されよりますでー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒフランス映画社

かつてヨーロッパ映画と申しますれば、日本ではフランス映画、イギリス映画、ドイツ映画やら、ハリウッド映画に負けへんくらいに大ヒットしておました。

モチ、映画にとって、50パーセント近いキー・ポイントとなります娯楽性も、兼ね備えた作品どした。

そやけど、今。ユーロ映画は、ハリウッド以上に売れへん、厳しい状況をば迎えておりますが、ボクからゆうたら、なんでやねん、なんでおますよ。

映画として、ものゴッツーなハバの広さを示してはるんが、今やヨーロッパ映画なんでおます。コレらを見ずして、今の映画を語れへんようなカンジどす。

そやから、これからは定期的に、見ないかんユーロ映画をば、どんどん紹介分析してゆきよりますんで、よろしゅうに。

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さて、肝心カナメの本作のことでおます。現役最長老の映画監督、ポルトガルの100歳を越えてはる、マノエル・デ・オリヴェイラ監督の正真正銘の新作でおまして、コレが何と、実験精神に満ちた快作になっておますんどす。

映画史に残っておます、フランスの1950年代に起こったヌーヴェル・バーグの今を、どこまでも追究してはるみたいな執念ぶりに、驚くほかござりまへんどした。いや、何と申しますか…、さらに、これまでに描かれへんかったような次元にまで踏み込んではるんです。

今までの映画には、ある種のドラマ方程式なるものがござりました。ところがどっこい、本作は、とことん今までと違うところをば、示してゆかはるのどすえー。

本作には原作小説(1873年に発表)があるんでおますが、現代の時代に変換してはるっちゅうんやけど、ケータイ・パソコン・シーンはいっさいなく、タイプライターによる手紙とか、時代感のあいまい性に加え、本ネタ部では、あえて単純系を披露したりしてはります。

主人公が叔父の会社をクビになり、アフリカへ行って肉体労働で大金稼いでポルトガルに戻って、ほんで、それまで結婚に反対してた叔父さんが、主人公に結婚目指して援助しはり、でも、主人公は友人にサギに遭い、無一文へ。

コレらのエピソードのいくつもに、ワケ分からへんナゾがござります。例えば、なんで叔父は結婚に反対したんか。で、急に賛成したんか、ナゾでおます。

アップ、クローズアップ、サントラやらいっさいなし。トンデモない映画的冒険精神に満ちた作品でおました。

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そして、「勝手にしやがれ」(1959年製作・フランス映画)の撮影前に作ったとゆう、ゴダール監督のモノクロ短編「シャルロットとジュール」(写真イチバン下)やー。実は、本作「ブロンド少女…」とシンクロするシーンがあるんやけど、ジャン・ポール・ベルモンドの1人芝居的な作りがクセになりました。

2010年11月16日 (火)

日本&アメリカ合作映画「レオニー」

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息子はんが、おかあちゃんの過去を振り返る、母は強いでー映画でおます

セピアを基調にしたアメリカと、桜など自然光の日本風景の対比描写やらが、大河ドラマをハズませよるでー

http://www.leoniethemovie.com/

霜月11月20日Saturdayから、全国ロードショーでおます。関西やったら、大阪・梅田ガーデンシネマ、京都シネマ、神戸・三宮シネフェニックスやら、大阪府・シネプレックス枚方(ひらかた)、TOHOシネマズ泉北、兵庫県・TOHOシネマズ西宮OS、滋賀県・ユナイテッド・シネマ大津、奈良県・MOVIX橿原(かしはら)やらで上映どす。本作を配給しやはるのは、角川映画はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒレオニーパートナーズ合同会社

世界的に有名な彫刻家イサム・ノグチのおかあちゃん、レオニー・ギルモアはん(ハリウッドやらイギリスやらで名脇役演じてはる、エミリー・モーティマーの姉さんがやってはりま)の生涯をば描いた、実話ベースの大河ドラマ映画でおます。

1892年から1933年までの約40年にわたる映画なんやけど、はしょったり飛ばしたりして、重要なエピソードを中心に描いていかはりますんで、時代の長さみたいなんは、あんまし感じられまへん。そやから、スイスイとした感覚で見れてしまうんどすえー。

冒頭は1892年の生涯の友との出会いシーン、1893年に、原田美枝子ネーさん(日本初の女子大・津田塾大学を創立しはった津田梅子役どす)とアメリカで出会わはり、でもって一転して、1904年アメリカの田舎での出産シーンへ。

この赤ん坊、一体誰との子やねんなんてナゾも、次のシーンで解決しよります。1901年にNYで、中村獅童アニキ演じはる詩人との出会いがあったんでおます。

で、獅童のアニキでおますが、妊娠のことを知って、逃げはるように日本へ帰らはりました。そこで、おかあちゃんはどないしやはったのか。いやはや獅童アニキを頼って、コドモを連れて日本へ渡らはったんでおますよ。

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でもって、日本での生活が始まりまんねん。しかしやね、獅童はんには本妻がいてはることを知った、レオニー姉さんは、コドモ連れて愛人宅を出はります。で、富士山と海が見える田舎へ行って、獅童との子やない長女を出産しはります。

当時の日本やったら、外国人は白い目で見られたハズなんどすが、そのあたりの負の描写は控えめにしてはります。あくまでレオニーという女性の生き方を、ポジティブに描いていこうとする姿勢がござります。最後まで日本語をマスターしようとしないとこらも、こだわりの生き方どす。

母もの映画とゆうのは、これまでに多数出てきておますが、コドモが母の過去を振り返るとゆう点で「マディソン郡の橋」(1995年製作・アメリカ映画)のような雰囲気をカンジました。

また、ヒロイン映画を女性監督が撮るとゆうとこも、好感を覚えよりま。家族映画を得意にする、松井久子監督はんの第3弾でおますが、その優しい演出ぶりが光っておます。夕景のセピアなどアメリカの大地の風景と、桜・紅葉・竹林など自然光をメインにした日本の自然描写の対比もまた、ドラマを優しく包んでおります。

2010年11月15日 (月)

アメリカ映画「アメリア 永遠の翼」

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リチャード・ギアのアニキ、ヒラリー・スワンクのネーさんら俳優陣・スタッフ陣営共に、アカデミー賞級の人たちが揃い踏みでおます

1920年代~1930年代舞台ものアメリカ映画のなかに、新たなケッサクが誕生しよりました

http://amelia-movie.com/

November11月・Saturday27日から、東京・TOHOシネマズ シャンテはじめ、全国各地イッセーのロードショーでおます。関西やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSほかで上映どす。本作を配給しやはるのは、ショウゲートはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2009 Twentieth Century Fox

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まず言いたいのは、アカデミー賞級のラインの人たちが、多数参集してはる映画やとゆうことでおます。

2009年度製作の作品でおますんで、2010年度の作品を対象にした、来年2011年のアカデミー賞の対象作品ではおまへんけども、いかにもアカデミー賞で多数の賞をゲットしても、全然おかしゅうない品格を備えてはるのどす。

まずは、なんちゅうても、2度もアカデミー賞の主演女優賞をもろてはるヒラリー・スワンク姉さんどす。

その受賞作品「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年製作・アメリカ映画・以下の引用は全てアメリカ映画どす)、「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)では、性同一性障害の女性やら、女ボクサーやら、男っぽいオトコ女の骨太ぶりを披露しやはりましたけども、本作でもまたもや、たくましき女飛行士をば演じ抜きはりました。

受賞はしてはらへんねんけど、アカデミー賞に何度もノミニーされてはるリチャード・ギアのアニキ。最近は年齢に合わせた役柄が多いのでおますが、本作ではヒロインをサポートする夫役を演じました。

本作は実話のヒロイン映画なんでおますが、夫婦映画としての側面もあり、また、ユアン・マクレガーのアニキとの三角関係描写もありまして、往年のハリウッド映画を思い出させる、ラブ・ストーリーなとこもしっかりと描いてはります。

裏方と呼ばれる縁の下の力持ちでも、アカデミー賞級のスタッフをば揃えてはるんどすえー。「レインマン」(1988年)で受賞した脚本家ロン・バスの絶妙な脚本ぶり、「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)で受賞した音楽家、ガブリエル・ヤレドは壮大なオーケストラ・サウンドをそこここで展開しやはります。

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ほんでもって、見出しにも書きました。1920年代から1930年代のアメリカやら人物やらを描いた映画は、これまでに多数作られてまいりました。

一部、思い出してみよりますと、本作と同じく飛行士役でもあった、レオナルド・ディカプリオのアニキが演じた「アビエイター」(2004年)とか、本作と同じくヒロイン映画なら、アンジェリーナ・ジョリー姉さんとクリント・イーストウッド監督はんが、強力タッグを組んだ「チェンジリング」(2009年)なんぞがござりました。

でもって、作品性にビビッとフォーカスしよりますと、本作は「翼よ!あれが巴里の灯だ」(1957年)の女版であり、世界一周を目指すとこらは「八十日間世界一周」(1956年)のノリがござるのどす。

そして、女冒険映画のハランバンジョーなスリリング感。離陸トラブルが発生し、あわや大惨事なんてゆうハラドキのシークエンスやら、下界を映したり、バックからのロングショットやら、臨場感あふれるシーンで、ヒロインが1人孤独に空飛ぶシーンのダイナミックな描写やら、ラスト近くの3場にわたるカットバックとか、なりきり型で見られるとこらもええ感じでおますよ。

2010年11月14日 (日)

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」

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写真の仲良し3人ユニットも、コレとコレの後編で見納めでっせー

「スター・ウォーズ」ダース・ベイダー編3部作の、ダーク・サイド的カンジが展開しよります

http://www.deathiy-hallows.jp/

November11月のFriday19日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。日本語吹替え版も同時公開やでー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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© 2010 Warner Bros. Ent.

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老若男女、コドモから大人まで、みんな、みなはん、誰もが知ってはるはずの、ハリー・ポッター・シリーズでおます。

その第8弾にして、シリーズ完結編となりよります前編でおます。

しかし、ホンマにみなさん100パーセント知ってはるんやろか。

少し、心配になりよりますけども、いずれにいたしましても、このシリーズはずーっと見とかんことには、どないもこないも分からんようになっておます。

第8作目だけ見たらよろしおますやろ、なんてもんやないんで、もし、この新作の8作目へ向かう前の7作中で、1本でも見てはらへんのどしたら、セルとは申しません、レンタルでよろしおますさかい、見とっておくんなはれ。たのんます。

しかも、ハリー・ポッター的なオリジナル用語が満載なんで、それらも予習しとく必要がござるのどす。

「死喰い人」とか「分霊箱」とか「魔法省」とか。さらに、登場人物の多さがござりまして、どの何べえがどの顔なんか、しっかり把握しておく必要があるんどす。

もし、本作だけを見はったら、約半分近くがワケワカラヘンやろなーと思いますわ。

さてはて、ココまではビギナー向けの講釈でおました。

さて、上・中級編へと移りまひょか。

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今回とゆうか、もう最後のシメになるんやけど…。本シリーズは、ハリー・ポッター含むチームと、レイフ・ファインズはんがメーキャップして演じはる、闇の帝王率いる、悪魔の軍団との対決構図へと、ゆっくりシフトしてまいりました。

「スター・ウォーズ エピソード」シリーズ(1999年・2002年・2005年製作・アメリカ映画)が、ダース・ベイダーがダーク・サイドへと、向かうのんを作らはったようにでんな、闇=ダークへと向かう作りになっとりま。

そんな闇の帝王を倒すためには、極意っちゅうもんがござるのどす。

帝王の力の源になっとるらしい、いくつかある「分霊箱」っちゅうもんを、破壊せなあかんらしいのですわ。

そやから、それを探して壊すために、3人さんが旅しはります。

ロードムービー・スタイルといえば、そうなんやけど、彼らは手をつなぎ合わせれば、別の場所へと瞬間移動できはります。

それやったら、場所をいくつか特定して、場所ワープすりゃええもんをと思わはるかもしれまへんが、いろんなアクション・シーンもみなさんに見てもらわなあきまへんので、そう簡単には問屋はんがおろしてくれまへんねん。

このあたり、指輪を捨てに行く「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年・2002年・2003年・アメリカ)を、かなり意識してはるように思いました。

とにかく、後編が楽しみな作りでおます。

さて、ボクチンの個人的な、感想めいたことをば申します。

ハリー・ロン・ハーマイオニーの3人のキャラクター。この3人、ボクチンはつい、「小さな恋のメロディ」(1970年・イギリス)の3人(マーク・レスター、トレーシー・ハインド、ジャック・ワイルド)みたいに、なんのんとちゃあうんかいなーと心配しとります。

いわゆる、一発屋どす。

彼らのイメージが定着しすぎた本作シリーズ終了後、果たしてアカデミー賞級の演技へと通じる、オファーや演技がきたりできたりするのんか。

でも、それを見せてくれはるんやったら、映画史的にも画期的なことでおましょう。

ダニエル・ラドクリフ君、ルパート・グリント君、エマ・ワトソンちゃん。期待してまっせ。ガンバっとくんなはれ。

2010年11月13日 (土)

日本映画「ゲゲゲの女房」

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NHKのTV版の松下奈緒ちゃんは、吹石一恵ちゃんへスライドどす

向井理アニキ演じた水木しげる役は、官藤官九郎クドカンが怪演技で魅せはります

昭和映画・夫婦映画のケッサク映画の系譜に、新たな1本が加わりましたでー

http://www.gegege-eiga.com/

師走12月の土曜日4日から、全国ロードショーでおます。関西やったら大阪・梅田ピカデリーやら、なんばパークスシネマ。MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映どす。本作を配給しやはるのは、ファントム・フィルムはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010水木プロダクション/『ゲゲゲの女房』製作委員会

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NHKの朝ドラ版も、好評のうちに終了しよりましたけども、本作は映画として、2時間のなかにおさめはった作品でおます。

そやから、映画としての密度の濃さやら演技ぶりやらのモロモロが、テレビ・シリーズとは一線を画しておます。コレぞ、映画としての品格をばカンジよりました。

分析しよりますに、まずはその映画性どす。1961年から、アポロな宇宙時代の1969年頃までの、約10年間くらいを描いてはります。

朝ドラ版では、シリーズの前半で描かれておましたところどすけども、実は昭和映画として本作を捉えた場合、最もおいしいところをば描いてはるのどすえー。

「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年製作)が描かはった、1950年代の1958年とか1959年とかもおいしいんやけど、この1960年代を背景にした作品は、昭和映画としては、かなりござります。

21世紀に入ってからも、1965年の「フラガール」(2006年)、1968年の「パッチギ!」(2004年)やら。でも、それらの多くは青春映画タイプでおました。あるいは、「ALWAYS」みたいな家族映画タイプでおます。

しかし、夫婦映画となりますれば、これがなかなかござりまへん。かつての名作「喜びも悲しみも幾年月」(1957年)とか「名もなく貧しく美しく」(1961年)やらはありますが、それを21世紀の現在地点からプレイバックするなんて、ある意味においては離れワザなんどす。

今では、1960年代の雰囲気を出すためには、オープンセットを作ったり、CGだったりするのどすが、写真の室内シーンをはじめ、時代考証を緻密にやってはるロケーション・スタイルにボクはカンジ入りました。

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イントロのセピアな照明やらを配置して、セピアをメインにした島根の描写は、出色の出来やと思いましたが、それ以上にヤッカイなのが、1960年代の東京描写でおます。アニメ・シーンやら妖怪キャラクターたちに、一部CGを使(つこ)てはるけど、まさに綱渡りのように、当時にないもんをいっさい映さんように、慎重に撮ってはります。

そして、何と言っても重要なんは、役者の演技ぶりでおます。水木しげる役の、クドカンのアニキ。自嘲ぎみのヘヘヘな笑いの演技とか、いろんな貧乏性を示すとこなんか、ホンマに貧しいんやなーと観客を、同情へと導かはったりします。

一方、そんな貧乏性を初めて体験しやはる、吹石一恵ちゃんの戸惑い演技、やがてヤケクソぎみになりながらも、夫についていこうと決意しやはる演技ぶりに、ココロ揺さぶられよりました。ぜひ、劇場へ見に行っておくんなはれ。

2010年11月12日 (金)

日本映画「その街のこども 劇場版」

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ハリウッド映画には、そないにござりまへん。パニック後のトラウマ映画な作品でおます

佐藤江梨子サトエリ・ネーさんのベタな関西弁に、すっかりノセられてしまいましたがなー

http://www.sonomachi.com/

霜月11月の土曜20日から、シネ・リーブル神戸やらシネ・リーブル梅田やらで、関西先行ロードショーでおます。京都シネマは師走12月4日からどす。でもって、来年1月15日から、東京都写真美術館ホール、池袋シネマ・ロサやらで、全国公開どす。本作を配給しやはるのは、トランスフォーマーはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 NHK

阪神大震災によるトラウマを、その10数年後の今とゆう設定にしはって、2人の男女の姿を描いた映画でおます。

佐藤江梨子サトエリのネーさんは、東京から久々に生地・神戸に戻ってきはりました。肉親は誰も地震で死んではらへんねんけど、「追悼のつどい」に参加するためなんどす。

一方、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作・日本映画)で、「助けてください」と叫んでいた森山未來クンも、仕事で新幹線で広島へ向かうのに、新神戸で途中下車しはります。何を思わはったんでおましょう。

森山クンの方も、肉親を誰も地震で失ってはらへんのに、サトエリのストーカーみたいなカンジで降りはるんどす。

ただ、それぞれの御仁について、それぞれひと言ゆうときますと、サトエリのネーさんは友達が死んではります。森山クンの方は、オトンがリフォーム屋やってて、震災を契機にボロもうけしはって、東京へ進出、なんてゆうたらカッコええんやけど、みなから悪徳やんけと、嫌われるように一家で逃げはったようでおます。

そんな2人が出会って、神戸を歩いてロードムービーしやはるんどす。作品の作りとしては、実に斬新どす。

なんでかといえば、震災で恋人や親が死んではらへん方々を、あえてキャラ設定した上で、震災後の今やら未来を描こうとしはった姿勢でおます。フツーやったら、お涙チョーダイ節をジでいくみたいに、大げさにやらはるもんやんか。でも、そうやないんどす。

で、よう考えてみたんどすが、ハリウッドやったら、「大地震」(1974年・アメリカ)とかのパニック・ムービーやらが、ぎょうさん出ておますけども、でも、その後の人々のトラウマぶりとかを、ドラマティックに描くんは、そうござりまへん。戦争ものは多いんやけどね。本作は、その余りないとこを、淡々と描かはったんでおますよ、つまるとこ。

2人が出会い、居酒屋で酒飲んで、ほんで、彼女のオバンの家まで、彼と彼女が歩いていくっちゅう単純な設定やのに、なんでココロ惹かれてしまいよるんか。

脚本・演出に、それに応える役者の演技ぶり。ゆうたら、そういうことなんやけど、なかでも、サトエリにはすっかりヤラレました。ものゴッツーなセリフ量でおます。それを、のべつまくなしにシャベッてはるんどす。しかも、関西弁や。

森山クンもシャベッとるけど、サトエリにはどないしてもかないまへんで。ああ、すごかったわ。サトエリってホンマのホンマの、関西人やったんやなー。そんなどうでもええとこに、ココロひかれてしもたボクチンどした。アラマ・ポテチン。

2010年11月11日 (木)

村上春樹原作のアメリカ映画「神の子どもたちはみな踊る」

村上春樹節満載の、インディペンデント・アート映画でおます

「1Q84」へもつながるエピソードも入ってるでー

http://www.kaminoko-movie.com

10月30日から、東京・シネマート六本木で絶賛上映中どすが、関西はこれからでおます。本作を配給しやはるのんは、日活はんとリベロはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2008 Kimmel Distribution, LLC.

村上春樹原作の日本映画「ノルウェイの森」(10月30日付けで分析済み)がスタンバっておます。

そんななかで、村上春樹の短編を原作にした、アメリカのインディペンデント映画が登場しよりました(東京では公開中。関東のみなはん、はよ、見にいっとくんなはれ)。

村上春樹ファンには、そうや、そうやんかと、思わずうなってしまうようなスパイスが、そこかしこに仕掛けられた作品でおます。ストレートに申し上げますると、村上作品に多いシモネタのシモの話が、イロイロと出てまいります。

例えば、写真上は、母と息子が一緒にベッド・インしてはるシーンどす。写真下は、酒場で出会った女の子と息子はんが、路地裏でセックスしはるシーンでおます。

この息子はんが生まれた経緯どすが、母は父は神やねんと嘘ぶかはりますけども、コンドームつけてたのに、妊娠してもうたとゆうお話が出てまいります。これこそまさに、「1Q84」のヒロイン懐胎のノリといっしょなんです。

さらに社会性についてどす。本作の原作の短編集は、阪神大震災と地下鉄サリン事件に、触発されて執筆されたもんでおます。阪神大震災は本作ではロス地震に、サリン事件は、母が幼い息子を連れて子連れで、新興宗教「再生者教会」の布教をしていくシーンやらに、なぞらえはりました。

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さて、息子の主人公どすが、ケンゴなんてゆう日本人みたいな名前なのに、ロスのコリアンタウンに住む、アメリカ人と中国人の混血とゆう設定でおます。

ある日、息子は母から聞いた父親像・ベトナム戦争帰りで耳たぶなしの男を、偶然にも発見しはって、とことん尾行してゆかはります。この尾行シーンが本作のハイライトなんです。印象的なロングショットを織り交ぜた、この追跡劇はハラハラドキドキもんでおました。

母役はジョアン・チェンの姉さん。映画監督もやらはった人でおまして、タバコ吸ったりのけだるい演技性にハマりました。

ボクチンの個人的には、「テス」(1979年製作・イギリス&フランス合作)やら「パリ、テキサス」(1984年・フランス&西ドイツ)やらで悩ましい演技を披露しはった、ナスターシャ・キンスキーのネーさんの娘はん、ソニア・キンスキーちゃんにビビビでおます。オール・ヌードも披露しはった、そのハダカ一貫な体当たり演技に魅了されましたでー。

加えて、映画的な撮り方と申しますか、シャッターが流れてゆくような場面転換、主人公の過去と現在を、カットバックさせてゆくような作りに、感心いたしました。アメリカン・インディペンデント・スピリッツに満ちたケッサクです。

2010年11月10日 (水)

オーストリア・ドイツ合作映画「強盗」(仮題)

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アメリカン・ニューシネマな感覚が、ヨーロッパの今に移植されたような1作どす

逃げて、逃げて、逃げまくるアクションのクライマックスにボーゼンどすえー

http://www.oeff.jp/

11月18日に、「第17回大阪ヨーロッパ映画祭」(新作映画の上映は、11月18日から11月23日までござります)の新作として、大阪市のイシハラホール(場所につきましては、上記ホームページにてご確認くだされ)にて上映後、日本公開待機作品として、待機しはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

みなさんの、ヨーロッパ映画のイメージってどんなんかなー。

何やらオシャレそうやけど、退屈そうなアート映画なんやろなとか、ハリウッドみたいなアクションは期待できへんやろかとか、観る前から、食わず嫌いみたいに思わはるかもしれません。

ナニワ・大阪では、17年も前から、ヨーロッパの新作の数々をば、特集上映するとゆう映画祭を、綿々とやってまいりました。大阪とユーロやなんて、そないつながってへんように思われるかもしれませんけども、映画に国境やらはござりません。

でもって、本作は、映画ファンやったらぜひ見てほしいし、映画初心者にしてもきっと楽しめるはずやし、ハリウッド映画のアクション作品とかに魅せられてきはった方も、ぜひ見てもらいたい作品でおます。

実は、ハリウッド映画と申しますれば、日本映画市場的には、売れない状況が蔓延化しておまして、ある意味において、ヤバイ状況を迎えております。

これまでの映画ヒット方程式が、ファジーになってきておます点については、イロイロ分析できるんやけど、そんな話を、つれづれなるままにしても、どないかなーと思いますんで、とにかく、ヨーロッパの方にも目を向けておくんなはれっちゅうことですわ。

本作を見て、実はビックリしました。かつてのアメリカン映画のスパイスを仕込みつつ、これまでにないもんを作る。その意気込みみたいなんが、ボクチンの胸に、そこはかとなくきよりました。

ヨーロッパ製やから、ヨーロッパのオリジナル・ポイントはモチ、あります。ありますけども、ヨーロッパの映画はハリウッド映画ほど、日本では売れてこなかったとゆう過去がござります。でも、でも、違うよ。

こういう映画こそ、売れてもおかしくない作りになっとると思うんです。そら、日本人にとって有名な人は、ほとんど出てはらへんし、監督はじめスタッフにしても、知らん人ばっかしやけど、でも、やっぱり映画って、ボクがゆうのもなんなんやけど、中身の勝負でおましょ。

本作は一見して傑作だとボクは判断いたしました。お話はいたってシンプルでおます。銀行強盗の罪でムショ入りした男が出所しても銀行強盗を、仮面をつけて次々に続けはります。その犯罪者の主人公はランナーで、いろんな大会に出場し、優勝したりしてはります。もちろん、出所後でおます。そして、出所後に、彼女もできました。

でもって、「走る」「逃げる」とゆうのが、本作のポイントになっておます。ラスト30分にわたる逃亡シーンは、映画史に残るくらいスゴイでっせー。

アメリカン・ニューシネマな感覚はモチ、「逃亡者」(1993年製作・アメリカ映画)や「第9地区」(3月21日付けで分析)への既視感も示しつつ、最後には「バニシング・ポイント」(1971年・アメリカ)やらとは違う、結末を示さはります。ぜひとも見にいくべき作品どすえー。

2010年11月 9日 (火)

アメリカン・ドキュメンタリー映画「ハーブ&ドロシー」

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こんな人らがいてはりましたでー、なんてゆうプチビックリの映画でおます

アーティスト志望から評論家やなく、コレクターへと進まはるやなんて、世の中・人生イロイロどすえー

http://www.herbanddorothy.com/jp/

11月13日霜月の土曜から、東京・渋谷シアター・イメージフォーラムやらを皮切りに、全国順グリのロードショーでおます。関西では師走12月4日土曜から、梅田ガーデンシネマやら、その後、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。本作を配給しやはるのは、ファイン・ライン・メディアはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

いろんな業界には、いろんな人たちがいてはります。そら、そやわなー。でもって、本作のドキュメンタリーは、絵画・イラストほかのアート業界をば描いておます。

1950年代後半以降の、ニューヨーク・アート・シーンなんやけど、そら、アーティスト側と申せば、モダン・アートやら、映画も撮らはったバスキアはんとか、いろいろいてはりましたわな。

そんなアーティストを描いたら、そら、ドラマティックな実話映画になりよりますし、現に、いくつかの作品が輩出されておます。

でも、本作で描いてはるんは、アーティスト側やないんですわ。プロデューサーやらの製作者側でもなく、スタッフでもなく、ファンや追っかけでもござんせん。ほな、一体、誰を描いとんねんなんやけど、コレがいわゆる、簡単明瞭に申しますれば、評論家側でおましょうか。

評論家を主人公にした映画やなんて、まあ、そうそうはありまへん。かの淀川長治先生にしても、ドキュはあったけど稀少でおますんどす。だって、評論家は論ずるわけでおますんで、そんな論ずるシーンを映像化したら、そんなん文章を映すだけになりまっしゃろな。

「あいうえお」をクローズアップして2時間くらい持たせたら、そら、トンデモネー前衛映画ってなことになってしまいよります。ああ、何やら、なかなか本題に入っておらへんようでおますけども、本作ドキュメンタリーは、絵画コレクターはん、しかも夫妻をば描いてはります。

この2人共、最初はアーティスト志望やったらしいわ。やがて、どうゆうわけか、コレクターの道へといかはるんどす。このあたりのビミョーな人生転換部は、分かりやすう描いてはります。そんな2人の出会いや、その後の展開やらは、1950年代のモノクロ映像やら写真やらでナビゲートしはります。

現在の夫妻へのインタビューをメイン・ポイントにしはって、夫妻に入れ込んではる、いろんなアーティストはんらのインタビュー・シーンが、次々に出てきよるのどす。

しかも、この夫妻、低所得者層なんでおます。それなのに、ギョーカイ人的にセレブでリッチそうなカンジは、一体全体、なんなんでおましょうか。そんな疑問も、本作を見ればすんなり解消してまいます。ケッサクを安い値段で手に入れること、そのものがアートやなんて、嘘やろー、なんやけどこの映画の流れでは、なるほど、そうでおますかとしかゆわれへんのでおます。

個人的には、主人公のオジンに、こいつウディ・アレンとちゃあうんかいな、なカンジを見出しよりまして、1人喜んでおました。アラマ、そうでっかー、でおました。

2010年11月 8日 (月)

日本映画「ふたたび SWING ME AGAIN」

ジャズ音楽映画をベースに、いろんな映画の要素が入った快作でおます

神戸をメインに、京都・和歌山・名古屋ロケまで敢行しはりまして、ロードームービー・スタイルもござります映画なんどすえー

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http://futatabi.gaga.ne.jp/

霜月11月の土曜日13日から、全国ロードショーでおます。関西やったら、大阪・梅田ピカデリー、敷島シネポップやら、京都シネマ、T・ジョイ京都やら、神戸・三宮シネフェニックス、シネウェーブ六甲やらで上映どす。本作を配給しやはるのんは、ギャガはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010「ふたたび」製作委員会

神戸に、夫妻(陣内孝則アニキと小手川祐子ネーさん)と大学生の息子(鈴木亮平クン)・結婚間近の娘の4人家族がいてはります。

ある日、陣内のアニキが食卓家族会議を開かはって、オレにはハンセン氏病のオトン(財津一郎)がおって、療養所から引き取ることにした、と告げはります。みんな、ビックラこきました。

でもって、息子にしたらオジンがやってまいりました。そのオジンは何と息子が憧れとった、紅一点5人組ジャズ・バンドのメンバーやったんでおます。

で、オジンは昔のメンバーたち1人1人に会いたいと、オジンにしたら孫にクルマを運転さして、京都、和歌山、名古屋へとロードムービーしやはるとゆうストーリー展開どす。

見出しにも書きよりましたが、このシンプル・イズ・ベストなお話なんやけど、いろんな映画のスパイスが、ここかしこに振りかけられておるのです。

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まずは、音楽ムービーとしての側面やけど、映画のイントロから、夕景のセピアの海辺で、トランペットを吹くオジンの姿が映されよります。モチ、ヤマ場では、ナベアツならぬナベサダ、日本ジャズ界の巨匠・アルトサックスの渡辺貞夫が、ライヴに参加するとゆう、ものゴッツーなサプライズがござります。

大阪ロケの「ビートキッズ」(2005年製作)でJビート・ロックをフィーチャアした塩屋俊監督の、音楽への情熱がまたまたヒートしよりました。

オジンと昔のメンバーとの再会シーンは、室内やら海辺やら、いずれもドラマティックな感動がござるのですが、そんなシニアたちが再会を機に、かつての夢を実現しようとするところなんかグッときます。

シニア群像映画ノリとしては、銀行強盗をやってまう「死に花」(2004年)みたいな痛快ぶりどす。

また、ハンセン氏病、つまりライ病が映画の大きなポイントになっておますが、犯人の父がその病気に罹った「砂の器」(1974年)や、療養所生活を描いた「愛する」(1997年)なんぞの名作・ケッサクとシンクロしよります。

さらに、ロードムービー・スタイル。本作は途中から、看護師役のMINJIちゃん(本作では1人2役どす)が加わって3人になるけど、祖父と孫の道行きとなれば「春との旅」(5月8日付けで分析)なんぞがござりますよ。

加えて、少々イロ褪せた過去のシーンでは、ラブ・ストーリー部に「君の名は」(1953年~1954年)なんぞの色合いが見えたりして、ホンマ、おもろかったです。

2010年11月 7日 (日)

アメリカ映画「クレイジーズ」

感染もの映画とゾンビ・アクション映画が、ミキシングされた快作でおます

「悪魔のいけにえ」「カサンドラ・クロス」「アウトブレイク」「感染列島」とか、いろいろシンクロしよりますでー

http://crazies.jp/

November11月のSaturday13日から、東京・シネマサンシャイン池袋やら、TOHOシネマズ六本木ヒルズやらで、関西やったら、大阪・敷島シネポップやらでロードショーでおます。本作を配給しやはるのは、ショウゲートはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Overture Films, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

元祖ゾンビ映画「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生」(1968年製作・アメリカ映画・日本未公開)の監督ジョージ・A・ロメロはんが、1973年に発表しはった「ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖」(同じく、日本未公開でおます)の、21世紀的リメイク版どす。

ハリウッドでは、ネタギレが叫ばれて久しゅうなっておますけども、いやはや、かつての作品とはいえ、本作のオリジナリティー度は特筆もんどすえー。

見出しにも書きました通りでおまして、ゾンビものと感染ものを融合させはった、そのハットトリッキーぶりに驚きが隠せまへんどした。

感染もの映画は、感染した列車ごと人々を抹殺せんとする「カサンドラ・クロス」(1976年・イギリス)、感染した街の人々を救わんとする「アウトブレイク」(1995年・アメリカ)、新型ウイルスの、日本への蔓延ぶりを描いた「感染列島」(2009年・日本)やら、イロイロござります。

でも、本作は、それらの感染対処法の、ルーツともいえる作品となっておます。しかも、元ネタが発表された1970年代の雰囲気が、バチバチに感じられよる作りなんどす。

かの故スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情」(1963年・イギリス)で、ラストでシニカルに流れたあのナンバー。「また会いましょう」のフレーズが、ブラックユーモアに満ち満ちてた曲「We'll Meet Again」が、冒頭で静かに不気味に流れよるのどす。

それに、ラストロールでは、軽快なラブ・ポップスでシニカル度を増してはるんどす。ああ、もう最初から、この映画の方向性をば示してはります。ボクチンはググッとはまり込みました。

キューブリック監督的にいえば、「シャイニング」(1980年・アメリカ)の狂わはったジャック・ニコルソンはんみたいなんが、ぞろぞろオンパレードにて出てまいります。

さらに、1970年代の襲われ系のホラーやサスペンス映画のノリ。例えば、チェーンソーで襲われる「悪魔のいけにえ」(1974年・アメリカ)とか、ヒロインが襲われる「ウィークエンド/デッドエンド・ホリデイ」(1976年・カナダ)なんぞのスパイスが、入っておます。

でもって、後半から次々にやってくる、逃げる者たちと襲いかかる者たちとの、果てしなき戦いの連続には、目が点になってしまいよります。効果音やら衝撃的音楽で観客をビビらせる「ショッカー」と呼ばれる手法の使い方も、的を射てはります。

そして、ラストのドッカーンに、打ちのめされました。「博士の異常な愛情」に迫るラスト・シークエンスどした。映画館でぜひご体感あれ!

2010年11月 6日 (土)

キムタク主演映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」

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木村拓哉アニキ・キムタク節満載でお届けしよります、カッコエエーやんなノリどすえー

いやいや、それにしても、イロんな映画のスパイスがテンコ盛りのSF映画となりよりましたー

http://www.yamato-movie.net

師走12月の水曜日1日から、全国東宝系ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会

「さらば、地球よ」「イスカンダルへ」なんかの主題歌フレーズがおます、あのアニメの実写作品でおます。

「宇宙戦艦ヤマト」シリーズ(1977年~2009年製作・全6作)やなんて、若い人たちにはどないなんかなー。まあ、ボクチンらの世代には、そら、ものゴッツーな印象がござります。

日本映画の世界に、アニメがゆっくりハバをきかせてきた1970年代。いわば、ジャパニーズ・アニメこと、ジャパニメーションの夜明け前でおます。スタジオジブリの映画作品なんかもない時代どす。

そんな時代に、松本零士センセーが渾身のマンガをば、発表しはりました。1970年代でいえば、本作の「ヤマト」であり、「銀河鉄道999(スリーナイン)」どした。どちらの作品も、過去のエピソードをばベースに、オリジナリティーあふれる作品にしはったんどす。

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つまり、「銀河鉄道」やったら、「雨ニモ負ケズ」の宮沢賢治やし、本作は、「戦艦大和」(1953年)をスペースシップにしてなぞらえた作りが、衝撃的でおました。「男たちの大和」(2005年)といえば、玉砕系の実話映画なんやけど、そのノリと同じく、玉砕系、しかも、自己犠牲精神な戦いがとことん追究されとるんどすえー。

「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年・アメリカ映画)とか、リメイク版「日本沈没」(2006年)とか。SF映画としては、共にシリーズ化された「スター・ウォーズ」(第1弾は1977年・アメリカ)や「スター・トレック」(第1弾は1979年・アメリカ)的戦いシーン、惑星イスカンダルを目指すとこやらは、大ケッサク「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)的なニュアンスさえ、カンジられよりました。

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そんななかで、やはり目に付くんは、キムタクのアニキでおます。余りにもカッコよすぎー、やりすぎー、なんて嫉妬を覚えたりもするんどすが、ホンマにカッコええんどすわー、コレが…。

超名優の山崎努御大との、間(ま)を入れた渋いやり取り。森雪役がピッタリはまった黒木メイサちゃんとの、1分近い長回し撮影とキス・シーン。そして、その直後のクローズアップ描写。緒形直人アニキやら柳葉敏郎ギバちゃんやらとの、男と男の骨太なやり取りのいくつかやらも、もうどうにもこうにもたまらへんハズでおますよ。

ヒロイズムとは何ぞや。そんなところまで、考えさせてくれはるキムタク演技どした。

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日本猫もってウロウロしてはる、女ドクター高島礼子のネーさんやら、いつもの西田敏行はんやらの演技もオモロイよー。

「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)で有名な、山崎貴アニキの監督作品でおます。バチバチのCG描写やけど、ハリウッドにも負けへんでーな心意気が見えてきよりました。

でもって、オーケストラ・サウンドをメインにした、ドラマティックなサントラ使い。ラストに流れる、エアロスミスのスティーヴン・タイラーが熱唱する、ピアノ・バラード「LOVE LIVES」が示す感慨深さやら、観客のみなさんを鼓舞しますで。

とにもかくにも、大ヒットは間違いござりまへん。但し、ボクチンは余りにも、キムタクのアニキに嫉妬しすぎてもうて、正当な映画的判断ができよりまへんでした。誠にもって、ごめんちゃい。以後、反省いたします。

Ⓒ2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会

2010年11月 5日 (金)

出産ドキュメンタリー映画「うまれる」

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つるの剛士アニやんの、なめらかなナレーションにウットリかもね、でおます

1組の夫婦の出産をメインに、3組の夫婦のお話とシンクロしもって、「生まれるって何ぞや?」を追究しはりました

http://www.umareru.jp

霜月11月・土曜6日から、東京・シネスイッチ銀座やらで、ロードショーでおます。その後、関西やったら、11月27日土曜から、大阪・テアトル梅田。12月11日から京都シネマ、シネ・リーブル神戸。2011年睦月1月8日から、シネプレックス枚方(ひらかた)やら、全国順繰りの上映どす。本作を配給しやはるのは、マジックアワーはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010『うまれる』パートナーズLLP

ボクチンが本作を見とりまして個人的に思たことを、最初にシャベらせてもらいまっさ。

これまでのボクの邦画のベスト3に入る「砂の器」(1974年製作・日本映画)の、とあるセリフが頭んなかに浮かんできよりました。加藤剛が宿命について語らはるシーンでおます。「(宿命とは)生まれてきたこと、生きているということかもしれない」。

加えて、男が出産において何ができるんかのあたりは、最近、広島の知事が育児休暇を取らはったニュースを思い出しました。

さらに、妄想は広がりよりまして、かつてサザンオールスターズの桑田佳祐のアニキがTVコマーシャルに出て「男にも生理日があっていいと思います」なんて、ゆうてはったんを思い出しよりました。

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ところで、出産ドキュメンタリーと申しますれば、世界各国の出産シーンを捉えはった「プルミエール 私たちの出産」(2007年・フランス)とか、現在全米で大ヒット中の「babies」やら、奈良の河瀬直美監督による「玄牝(げんぴん)」やらがござります。

ボクチンは、あとの2作については、未見なんでおますが、出産ドキュが最近富に作られているとは申せ、フツーの出産ドキュのようなカタチでは、今や観客には伝わらへんようなとこがあるんやないかいなと、勝手に想像しよります。となると、本作はどないなオリジナリティーをば出さはったんかに、注目いたしました。

不安や母娘のトラウマとか、夫の関わりとかがありつつも、真ん中の写真の、夫妻の出産にまつわるエピソードが、実はメイン・ソースとして描かれるのでおます。でもって、そこに、3エピソードにわたる夫妻と出産にまつわるお話を随時、挿入しやはるんどす。

写真一番上の、18トリソミーとゆう、いつ死んでもおかしくない障害をもって生まれ落ちた、赤ん坊と夫妻の逸話。出産予定日に妊婦のお腹のなかで、赤ちゃんが死んでしもた夫妻のお話。

そして、体外受精を夢見る47歳の女の人が、やがては受精卵の保存をやめてしまう逸話など、出産にまつわるいろんな出来事をシンクロさせはることで、出産の意味へとクローズアップさせてゆくような作りが、これまでの出産ものドキュとは違っておました。

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ドラマ映画でも多々ある出産シーンでおますが、確かに本作も、リアルな助産院での出産シーンを、クライマックス部に持ってきてはります。

それはある種感動的な瞬間なのでおますが、やはり、そこへ持っていくまでの、いろんな道筋、装飾部やサポーターぶりにも注目どす。

まずは、つるの剛士(タケシ)アニキの名ナレーターぶりでおましょう。白壁をバックにした、バース・コーディネーターや医者や専門家へのインタビュー・カット。冒頭に示される出産をイメージしたCG使い。手書きアニメのやわらかなイメージやら。

雲の流れ、森と森を映す湖、水色の青空、かえでの紅葉、海辺の雲ある夕景シーンやら、自然を映す絵画的カットの時おりの挿入が、フッとココロを和ませてくれはるんどす。

さらに、サントラ使いの妙味も見逃せまへんで。笛・尺八・胡弓・アコギ・バイオリン・チェロ・ピアノなど、多彩な癒やしのサントラ使いが、映画をゆったり優しいもんにしてはります。

2010年11月 4日 (木)

イギリス・フランス合作映画「リトル・ランボーズ」

「ランボー」へ、ものごっつーリスペクトしやはった作品でおます

映画メイキング映画を、小学生やらがやるやなんて、まあ、ありまへんで

http://www.rambows.jp/

November11月のサタデー6日から、東京・渋谷シネクイント始め、全国順グリのロードショーでおます。関西は、11月13日の土曜日から、シネマート心斎橋やら109シネマズHAT神戸やらで上映どす。京都は12月25日から京都シネマとかどす。本作を配給しやはるのは、スタイルジャムはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸHammer & Tongs, Celluloid Dream, Arte France, Network Movie, Reason Pictures

シルベスター・スタローン御大の、代表作の1本でおます「ランボー」(1982年製作・アメリカ映画)。

本作はその「ランボー」にリスペクトしはった作品でおまして、ガース・ジェニングス監督は、「ランボー」のシーンを適宜挿入すべく、スタローンのアニキから使用許可を得てはります。

でもって、本編のことどすが、1982年当時に、映画館で「ランボー」をば見た小学生の少年が、こらスゴイわーってことで、これをマネして、あるいはチト変えて、何とか映画を撮ろうかいなと思いはりました。そんなんムリやろーなんやけど…。

ところが、その一方で、「ランボー」のビデオ版を見た、主人公の少年がやね、すっかりハマッてしもて、「僕はランボーなんや」と夢想しはります。

この夢想シーンは、カカシ・ロボットを倒して、ランボーの息子になりきり、拘束されてしもた父ランボーを、さっそうと助けにゆくとゆう、ハチャハチャぶりでおます。実写の草原やらに、アニメ着色してゆく爆弾シーンやら、主人公の幻視はイロイロござるのどす。

で、この「ランボー」にすっかりヤラレテしもた2人が出会って、ほな、主人公をランボーの息子として主演さして、映画を撮ろうやないかいなと、なるのでおます。

いやいや、それを2人だけでホンマにやろかと、ホンマのホンマにやりよるんです。おいおい、ちょっと、待ってぇやー、なんどすけども、このメイキング・シーンがケッコーおもろいんでおますわ。

「ランボー」てゆうたら、ベトナム戦争からの帰還兵が主人公なんやけど、ベトナム戦争映画「地獄の黙示録」(1979年・アメリカ)で使われた、ワーグナーの行進曲「ワルキューレの騎行」をサントラで使ったりして、それなりにオリジナリティーを出そうと、この小学生の2人がやらはるんでおますよ。

でも、途中から、違う奴らが映画作りに入ってきたりしよって、まあ、変な方向へ流れはしよりますが…。

ちなみに、「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)の雰囲気があるとゆわはる、海外の評論家さんもいてはります。「スタンド・バイ・ミー」は1950年代設定やけど、本作は1982年どす。

しかし、年代設定の問題やない。たぶんキャラどす。そう、リヴァー・フェニックスを想起させはる主人公の友達や、2作品にかぶる、主人公少年のキャラ設定とかどすやろな。

そして、母子・兄弟・友情やらのキズナ描写が、ラストに向けて着地してゆきよります。特に、映画作りともつながる友情部が、ググッときましたどす。まあ、そのへんはぜひ映画館でご確認くだされ。

2010年11月 3日 (水)

4時間38分の日本映画「ヘヴンズ ストーリー」

佐藤浩市のアニキや柄本明はんら、ベテラン陣が脇に回らはりました

売り出し中の3人と、山崎ハコのおネーさんの4人が、10年(1999年~2009年)にわたるリベンジ&リベンジ劇をドラマティックに展開しはります

東宝配給の大作「感染列島」の瀬々敬久監督が、思う存分に撮りたいもんを撮らはったんどすえー

http://www.heavens-story.com

東京では既に公開中、もしくは公開済みやもしれまへんが、関西では師走12月の土曜日4日から、第七藝術劇場で公開後、全国各地へ回ります。本作を配給しやはるのは、ムヴィオラはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010ヘヴンズ プロジェクト

ああ、何と言っても長いわ。長すぎるわ。「時間をカンジさせない映画だ」と誰かがゆわはったにしても、この時間をカンジさせる長さとゆうのんは、ある意味において、映画の重さでもあり、シビアさでもござります。

ジャニーズの嵐たちが出てる、テレビ・コマーシャルなんやらを見とりますと、映画を見る際の3つの弱点ポイントの1つとして、映画の長さについてゆうておます。

長さと中身については、ほとんど関係ないとは思うのでおますけども、映画館とゆうのんは、そのあたりに敏感でおます。

つまり、そんなん4時間38分(休憩は10分ありま)もある映画を上映しても、1日に何回やれまっか、なんてゆわはるんですわ、これが。正直のとこ、何回もできんと、売り上げが伸ばされへんやんっちゅう、興行成績に関わる問題どす。それだけやおまへん。

映画業界のお話になりまんねんけども、こういう長~い作品をば、大手の映画会社に企画持ち込みなんかしてみると、必ず言われることがおますんどす。「少なくとも、長さを半分以下にしてくれへんか」とな。

でも、瀬々敬久(ぜぜ・たかひさ)監督は、ウイルス・パニック・ムービーのヒット作「感染列島」(2008年製作)での監督で、大手・東宝とのルートがあるにも関わらず、この作品をば少しも切ることなく、違うルートで、まさにディレクターズ・カット版の趣きで撮ろうとキバらはったんどすえー。映画監督、映画作家としての、まがうことなき執念やらこだわりやらがココにござります。

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家族を殺され、柄本明オジンはおるけど、孤独感の募る女の子(写真下)が、リベンジしようにも犯人が自殺してまいます。一方で、妻子を殺された男がテレビで、捕まった犯人にリベンジしたると訴えてはるシーンをば見て、女の子はその男にゴッツー同調しはります。

そして、ハイティーンになった頃、犯人が釈放された報を聞き、男とコンタクトを取ろうとしはります。でも、男は別の女と結婚して子供までもうけてはりました。

片や、犯人は山崎ハコはんに身請けされて、暮らしてはります(写真上)。この加害者側の2人と被害者側となる2人の“仁義なき戦い”、リベンジのリベンジのやり合いが展開しよるのどす。

でもって、サブ・ストーリーとして、村上淳演じる復讐代行屋が、シビアなドラマのなかに、コメディ・リリーフならぬユニーク・エピソード・リリーフ的に、ウラ稼業のアラカルトを演じはります。佐藤浩市アニキとの雪の廃坑街でのエピソードは、特に強烈な印象を残しよりました。

3時間40分にわたり、被害者側をモノクロで描いた「EUREKA<ユリイカ>」(2000年)の重さに加え、加害者家族を刑事が守る、スタイルで描かれた「誰も守ってくれない」(2008年)のスリリング感も入って、ホンマに深くて深~い重厚感に、押しひしがれそうな出来でおます。

映画の長さと同じく、映画的トラウマ感なんてもんが、もしあるとするなら、長ーくココロのなかに尾を引くやもしれまへん。

さて、本作のタイトルの意味はモチ、「天国のお話」でおます。地上の天国の話でもなく、かつて楽園やったとゆう炭鉱街が出てきよりますけども、このタイトルの意味は最後まで見はったら、分かるようになっておます。

ズーンと重たい重厚感のグルリを囲むような、癒やしの感動とでも申しましょうか。そんな感動がじんわりとココロに残るはずどすえー、きっと。

2010年11月 2日 (火)

映画「ゴースト もういちど抱きしめたい」

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あの「ゴースト ニューヨークの幻」が「東京の幻」になりよりました

デミ・ムーアは松嶋菜々子ネーさん、パトリック・スウェイジはソン・スンホンのアニキ、ウーピー・ゴールドバーグは樹木希林バアヤどすえー

http://www.ghost-movie.jp/

霜月11月の13日土曜日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。本作を配給しやはるのは、「パラマウント ピクチャーズ ジャパン」はんと「松竹」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010「ゴースト」製作委員会

あのハリウッドの名作「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年製作・アメリカ映画)が、日本映画としてリメイクされよりました。

フツーは、日本映画がハリウッドでリメイクされるケースの方が、「昇格」のようなイメージが定着しておます。では、こちらの場合は「降格」なのかと申せば、そうではござりまへん。

これほど大ヒットした作品でおます。ただ、オリジナルをハリウッド・リメイクにて再映画化をやった場合は、ハリウッド映画が売れにくくなっておます日本市場の場合、それほど売れへん状況が生まれるかも分かりまへん。

やはり、各国の映画的事情とゆうもんが、ここに出てきよります。日本の現在の売れ線をにらみつつ、日本で大ヒットしそうなリメイクの在り方が、映画会社的には最も重要なんでおますよ。

現在の日本では、アメリカで大ヒットした作品が、日本ではさっぱり売れず、全国イッセー公開の日本映画がドッカーンと売れてるような状況でおますんで、なおさらどす。

でもって、このリメイク版どすけども、日本のファン向けにと申しますか、まず主演夫妻に、松嶋菜々子ネーさんに加え、韓国の人気男優ソン・スンホンのアニキをキャスティングしはりました。

オリジナル「ゴースト」の日本ファンの世代は、日本のテレビのトレンディー・ドラマやったりとか、韓流ドラマにハマり、また、ハマリ続けてはる人たちなんでおます。

とゆうことでの、この2人の起用やとボクは思います。さらに、主題歌的な話をしよりますと、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年・日本)の「瞳をとじて」みたいな、バラード「アイシテル」を披露する平井堅ナンバーなど、どうあっても、日本的売れ筋を追究してはるとしか思われまへん作りどすえー。

その上で、オリジナルとは真逆の設定を施さはるのどすえー。すっかりウラをかかれました。本編の早い段階で分かるんですけども、男が死ぬんやなく、女が死ぬんでおます。

オリジナルと設定変更は是か否か、なんて論議も起こるやもしれまへんし、オリジナルを超えたとは申せまへんが、基本的には原作の持ち味は、そのまま生かされてるように思いました。

ボク的には、樹木希林はんの絶妙極まりないコメディ・リリーフチックな演技にハマりました。

また、対比効果みたいなんも良かったでおます。例えば、陽光・CGを含めたセピアな配色と、クロ泥CGなどを含めた暗めのトーン。ミステリー・サスペンス部に加え、松嶋ネーさんの登場人物たちには見えない、透明なアクション部やらと、「愛してる」「知ってる」などと応じる2人のラブ・ストーリー部やら。

とにもかくにも、日本で大ヒットしそうな、気配が漂っておます作品であるんは、間違いござりまへん。

2010年11月 1日 (月)

函館ロケ日本映画「海炭市叙景」(かいたんしじょけい)

地方都市を舞台に、5話オムニバスがシブく展開しよります

加瀬亮のアニキ、谷村美月ちゃん、小林薫はんや南果歩ネーさんやらが、印象的な演技をば披露しはったどすえー

http://www.kaitanshi.com/

霜月は11月の土曜27日から、函館・シネマアイリスで先行ロードショーでおます。

その後、師走12月18日土曜から、東京・渋谷ユーロスペースで上映どす。

さらに、2011年を迎えよりますと、睦月1月上旬より、大阪・第七藝術劇場やら、シネ・ヌーヴォやらで上映。

さらにさらにその後、京都みなみ会館やら、神戸アートビレッジセンターやら、全国順番のゆったり巡回でおますよ。

本作を配給しやはるのは、スローラーナーはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 佐藤泰志/『海炭市叙景』製作委員会

めまいがするくらい次々に出てきておます、地方ロケーション映画の1本でおます。しかし、本作は、それらの作品とは一線を画す特色をば示さはりました。

舞台となる海炭市とは、架空の地方都市どす。その海炭市を函館市になぞらえてのロケなんどす。しかも、もちろん観光ノリを完璧に外した上で、より無名地方都市性を打ち出してはります。

そう、こういうロケ場所を特定しない作品とゆうのは、余りござりまへん。函館ロケ映画はこれまでに、70本以上にのぼると言われておますけども、にも関わらず、そういう作品群以上に函館イメージを出してはるとゆう、オリジナリティーをば表現してはるんどすえー。ビックラコンでおます。

話は5話オムニバスなんどすが、それぞれのエピソードはビミョーに絡んできたりします。兄妹もの、老女を描くシニア映画、夫妻とコドモ1人の家族映画が2パターン、そして、父子ものとゆう編成でおます。

それぞれのエピソードは、過去のいろんな名作とシンクロナイズするのどすが、ただ、5話の全てがすんなりとは着地していず、いわゆる問題を残したまま、次回に続くとゆうようなノリなんどす。でも、こういう作りもまた、何やら新しいのんと違うかいなと、思わせはるのでおますよ。

確かに最後の方で、サントラを流しもって、登場人物の何人かを市電に乗せて、いくつかのエピソードは決着したように見せてはりますが、でも、やはりファジーでおます。

こういう結末のない作りは、賛否両論を呼ぶやもしれまへんが、観客にその後を想像させるとゆう意味においては、ボクチンは賛成派でおます。

加えて、原作の小説が昭和末期を描いてはるゆえか、21世紀的には携帯やらコドモの虐待とかは出てきよりますが、造船所争議とか家庭内暴力とかキャッチバーとか浄水器とか地上げとか、昭和末期にもあったポイントを、それとなく入れてはるのは、ある意味では妙味がござりました。

キモとなるところでは、1~2分の長回し撮影を決めてはります。加瀬亮アニキが妻をゲンコで殴るシーンとか、夫妻役の小林薫はんと南果歩ネーさんの、部屋内でのやりとりとか、第5話の主人公が連絡船に乗り、函館を後にして海を眺めやるシーンとか、印象的どす。

加瀬亮の持ち味の一つでもある、ぶっきら棒な不機嫌節な演技。「おにいちゃんのハナビ」(9月10日付けで分析しておます)に続く、地方ロケの兄妹ものの妹役を、「おにいちゃんのハナビ」の元気系とは違う、ゆったり系で演じた谷村美月ちゃんにも、注目しておくんなはれ。

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