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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2010年10月の記事

2010年10月31日 (日)

日本映画「行きずりの街」

仲村トオルのアニキと小西真奈美ネーさんの、大人のラブ・ストーリーが基本でおます

でも、ハードボイルド・ミステリーらしい骨太さもござりますで

http://www.yukizuri.jp/

霜月11月土曜20日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。映画を配給しはるのは東映はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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原作・監督・俳優・その他のスタッフやら、映画を分析するのんに、いろんなところから入れるわけなんやけど、本作は原作者から入らせてもらいまっさ。

個人的にボクチンは、原作者の志水辰夫ことシミタツ節に、デビュー時からすっかりハマっておまして、そんな彼の小説原作映画やなんて、胸がときめきました。シミタツの作品では、初めての映画化作品でおましょう。

デビュー作の「飢えて狼」なんぞは、スパイ・アクション的なノリの冒険小説でおましたけども、彼の作風と申せば、冒険ハードボイルドと大人なラブ・ストーリーを、ミキシングしやはるのが、トンデモ絶妙なんでおますよ。「裂けて海峡」なんかウットリやったし、本作の原作もまた、そうでおました。

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すると、どないしても、本作を見る場合においては、原作との違いみたいなんを見ていくことになりよります。

主人公・仲村トオルのアニキが見せるアクション部なんやけど、原作の半ばにある卓球台を生かした、リアリティーあふれる大掛かりなアクション描写が、映画では短縮化されとったりするんどすが、でも、トオル・アニキと小西真奈美ネーさんのラブ・ストーリー部は、原作にほぼ近かったどす。

静かで緊張感に満ちた再会シーンやら、濡れ場シーンへ持っていくまでの会話のやりとりやら、一部、原作を超えたかもなんて描写もござるのどす。

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1分くらいの長回し撮影シーンが多投されますが、そんななかで、2人が口ゲンカする長めの撮影とか、2人のクローズアップによるキス・シーンとか、ラブ・ストーリー描写が際立っておりま。

監督は、大阪映画のケッサクを数多く作ってきはった阪本順治はんどす。東京映画はどないなんやろかと、チョイ心配しておましたけども、東京タワーを映すカットは頻出しよりますが、東京・東京を意識しないように、慎重に撮り上げはったカンジが、伝わってきよりました。

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バイ・プレイヤーにも、熱ーく注目しておくんなはれ。写真にも写ってはる窪塚洋介アニキの、アニキにしか出せないぶっきら棒節とかが、まずはドカーン。

佐藤江梨子サトエリ・ネーのヨッパライ演技、谷村美月ちゃんのオトボケぶりやら。

そんななかでも、ロングショットの長めの撮影もある、江波杏子アネゴの登場にココロ惹かれました。そのシブミに対して、トオル・アニキに助けられる、南沢奈央ちゃんの初々しさも光っておました。

Ⓒ2010「行きずりの街」製作委員会

2010年10月30日 (土)

日本映画「ノルウェイの森」

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描かれへんエピソードもあるんやけど、ほぼ原作通りに描かれた作品でおます

悲恋もの・昭和映画ノリ・トラウマ抱えたヒロイン映画やら、いろんなジャンル映画が混じり合っとるでー

松山ケンイチのアニキ、菊地凛子ネーさん、玉山鉄二アニキ、緑役の水原希子ちゃんやら、原作のキャラクターに近い演技をば、披露しやはりました。どすえー

http://www.norway-mori.com

師走12月は土曜日11日から、全国東宝系ロードショーでおます。本作はPG12指定作品どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン

累計1000万部以上の、村上春樹大センセーの、全国民的文学小説の映画化作品でおます。

こういう原作ものの映画化作品となりよりますと、どうしても言われるのが、原作の持ち味を壊さずに、映画化されたんかどないかなんですわ。

その点で言いよりますると、描けきれへんエピソードはあるものの、ほぼ原作に忠実に描かれたんやないかいなと思います。但し、問題となりよりますのんは、それがどこまで映画として昇華されたのか、でおます。

シモネタのシモの話をやりまくる、直子役・菊地凛子ネーさんとか、緑役・モデルの水原希子ちゃんは、そのキャラ造形は、あくまで文学小説的キャラとして作られたもんでおまして、1960年代末期に、そんな女やらがホンマにおったんかいなーとゆう、リアリティーの問題がござります。

このあたりは、ハショルようなカンジで描かれておます。また、高良健吾クンが演じる「キズキ」の役は、原作と同じく、ナゾめいたままで終わってしまいよります。

でも、松山ケンイチ演じる主人公・ワタナベ君とか、菊地凛子ネーやら、玉山鉄二・テッちゃん演じるキャラやら、描写はやや薄いかもしれへんけども、水原希子ちゃんやら、原作にほぼ近いキャラを演じてはります。

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さて、フワーンとした作りがクセになった「風の歌を聴け」(1981年製作)に続く、邦画としては、村上春樹原作小説の2度目の映画化なんどすが、いろんなフレイバーをばカンジさせはります。

愛する人が死んでまうとゆうノリでは、古くは「野菊の如き君なりき」(1955年)「愛と死をみつめて」(1964年)やらから、新しくは「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)「恋空」(2008年)やらと同じような、悲恋映画的な作品性を持っておりま。

でもって、1967年から1971年頃までを描くとゆう、昭和映画のノリがござります。さらに、トラウマを抱えたヒロインのドラマ映画とゆう側面もあるんどす。

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それらを、トラン・アン・ユン監督は、映画的な作りをばとことん心がけはって、作ってはります。1分から2分の、人物の移動やカメラの移動による長回しの撮影が多いのどす。

で、4分近い、本編で最も長い長回しは、ノルウェーの森ならぬ京都設定の森や草原で、移動撮影をしもっての、ケンイチと凛子のシモネタ会話でおます。

で、その次に長いのんが、ワタナベ君と緑ちゃんの、小雪の散らつくなかでの、向かい合っての3分近いシーンどす。

この長回しの映画作家的対比描写は、見終わってから、のちのちまで残ってきよりました。

照明を入れずに、ワタナベ君と直子を上下に置いて、クローズアップでのセックス・シーンの斬新さ。風や雨の音を効果的に使いもって、シーンをクリエイトするセンスやらが、良かったどす。

そして、凛子ネーの演技ぶり。「トーキョー・ナイト・デイ」(10月7日付けで分析済み)よりは、ヤラシーくはないんでおますけども、息もできずに嗚咽へと移る感情表現の機微であったりとか、ツイッターなささやき声、いきなりの激昂演技やら、トラウマ演技の上手さには、舌を巻きました。

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アコギ・バイオリン・チェロ・弦楽オーケストラ・ドアーズの歌・モチ、ラストに流れるビートルズ「ノルウェーの森」やら、シーンに合わせたサントラ使いにも妙味があるんで、ぜひチェックしておくんなはれ。

2010年10月29日 (金)

イヌとヒトの交流映画「パートナーズ」

「クイール」とシンクロしよります。犬と人のキズナ映画どす

イヌ訓練士の人間ドラマと、盲目のシンガー・ヒロイン・ドラマと、4人家族ドラマを複合させはったニュータイプやでー

http://www.partners-movie.com

霜月11月土曜日6日から、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪=シネ・リーブル梅田、愛知・名演小劇場、福岡=シネ・リーブル博多駅、北海道・シアターキノやらで、全国ロードショーでおます。本作の配給は「東京テアトル」はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ劇団東俳つくしんぼくらぶ/劇団東俳

本作はイヌ好きには、トンデモたまらへん映画となったことでおましょう。「ああー、イヌがかわいいー」とか「イヌがカワイソー」とかゆうシーンは、いくつかござります。

しかし、それだけやったら、どうにもつまりまへん。本作は、それだけやなく、それを超えたもんがござるのどす。そのあたりをお話いたしましょう。

本作の基本ラインは、盲導犬のメスイヌのチエちゃんと人間たちのお話でおます。盲導犬の話となりますれば、そら、「クイール」(2003年製作)やらと、ストレートにシンクロしていきよります。

イヌを通して人間を描くとか、イヌそのものの生態を描くドキュとかではなく、イヌも人間も等しなみに、並行的に描いてはりまして、いろんな触れ合いシーンもござります。

さてはて、イヌが主演級で出てきよるような映画と申しますれば、ディズニー的なファミリー映画やったりとか、ある意味お涙チョーダイ系列の映画やったりとかを、みなさんは想像しやはることでおましょう。

また、「クイール」と申しますれば、盲導犬の一生を、さまざまな人との関わりやキズナによって、描いてゆかはりました。ある意味、イヌ映画のツボを押さえたような作りどした。

本作もホンマ、そういう作りなんどすけども、一つ言っておきたいのは、イヌを通さなくとも、人間を描いてる映画とゆう点では、「クイール」とビミョーな違いがござるのでおます。それは、キャラクター造形の違いなんどす。

男と女が出てきます。優しい役柄が似合う浅利陽介クン演じる男は、ビンボー生活ゆえに自殺した同僚がいてはって、何がなんでも貧しさから抜け出して、生き続けてゆくために、盲導犬の訓練士の正業に就こうとしやはります。うん? なんでやねん? てとこがおますわね。

彼はイヌはスキやない。この仕事も、もうからへん。それやのに…。このキャラ造形は波紋を呼びます。しかし、プロセス的・最終的には、観客の好感度は180度変わりますんで、ご安心めされ。

一方、女どす。音楽シンガーやってたんやけど、ステージでけつまずいてしもて、目がどこかに当たってしもて、盲目にならはりました。

意外どす。こういうキャラ、つまり、尖った性格付けキャラのシンガーに、盲導犬とゆう設定は、サプライズ感がござります。

現実でもミュージシャンでもある大塚ちひろネーさんが、ピアノの弾き語りスロー・ナンバーをプレイするシーンは、本作の感動編のハイライトでおます。早川義夫作詞・作曲ナンバーと聞いて、さらにググッと胸にきました。

ラスト近くに、ツーショットの長回し撮影シーンもある、この男女2人の恋愛描写部のサラリ感とか、イヌを飼っていた4人家族の、ベタやないイヌへの感傷描写とか、ある意味、泣かせたろかいやーなんてゆう意図のない演出ぶりが、映画を映画らしくしてるように、ボクチンは思いました。

2010年10月28日 (木)

3部作の完結編「エクリプス/トワイライト・サーガ」

第1弾は吸血鬼男と人間ヒロインのラブ。第2弾にオオカミ男が出てきて三角関係へ。ほんで今度は何ぞやーでおます

アメリカで大ヒットした3部作シリーズやー。ベスト鑑賞法は、前作DVDを2本見てから行くことでおますよ

http://www.the-twilight-saga.jp/

November11月のSaterday6日から、全国ロードショーでおます。関西は、大阪・梅田ブルク7、梅田ピカデリー、なんばパークスシネマ、アポロシネマ8やら、京都はMOVIX京都、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条やら、神戸は神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、シネウェーブ六甲やらで上映どす。本作を配給しやはるのは、角川映画はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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3部作で物語が完結するようなタイプの映画は、そらモー、数多くござります。

「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年・2002年・2003年製作・アメリカ映画)なんかは、そんななかでも、シリーズの1本がアカデミー賞の作品賞をゲットしはって大ヒットし、映画史に残るような作品でおました。

さて、本作でおますが、アメリカでは、アメリカの興行記録を塗り替えるほどの大ヒットをばかましてはる作品どす。しかし、なぜか日本では売れない傾向が続いておりま。

なんでかにつきましては、「エクスペンダブルズ」(10月10日付けで分析済み)のとこをご参照くだされ。

本シリーズの主演級の3人でおますけども、日本ではほとんど無名に近い若手の俳優はんどす。スターはんのことをよう知らへんから、売れない構図とゆうのは、ここ日本市場では慢性的になっております。

しかし、ヤッパ、作品勝負でおましょう。何度もゆうておますけども、食わず嫌いにならんと、ぜひ作品を見ていただきたいとボクチンは思いますし、願(ねご)ておます。

さて、肝心なる本作のことなんですが、やはり3部作になっておます以上は、前2作を見てもらわんことには、どうにもこうにもならんのでおます。前2作を買って見ていただけるならそれに越したことはないんやけど、ツタヤさんのレンタルでもOKなんで、よろしゅうに。

前2作のことについて簡単にスタディしよりますと、1作目は吸血鬼と人間の女の子との恋愛が展開しよります。でもって、2作目は、そんな2人のなかに、オオカミ男が出現しよりまして、三角関係へと発展してまいります。

でもって、アクション部もござりまして、第1弾では吸血鬼同士の争い、第2弾では吸血鬼VSオオカミ人間の構図となりよるのどすが、第3弾はイロが違(ちご)てきよります。ベテラン吸血鬼VS新生吸血鬼の対抗図式に、ベテラン組にオオカミ・チームが加担するっちゅうようなカンジになっておます。

アクション部も確かに見どころなんやけど、本作の最もキモとなるんは、吸血鬼男と人間の女とオオカミ男の三角関係による、ラブ・ストーリーの行方でおます。

吸血鬼映画とオオカミ人間映画のシンクロナイズなんて、それぞれ単体では成立しとったやろけど、今までほとんど例がござりまへん。そこへもってきて、人間の女の子との三角関係図を構築するやなんて、ハットトリッキーな発想やと思いました。

ちなみに、この女の方はベラ嬢役で、クリスティン・スチュワートちゃんが演じてはります。「ベラ」といえば、ボクチンらの世代では、「早く人間になりたーい」なんて言ってた、ベム・ベラ・ベロのテレビアニメ「妖怪人間ベム」なんぞを思い出しました。

でも、このベラちゃんは「早く人間」やなく、「早く吸血鬼に…」の希望をば持ってはります。なんでかとゆうと、オオカミ男より吸血鬼男が好きやねん。そやから、早くカブられて吸血鬼になりたいっちゅう理屈どす。このポインツがどんな風に展開してゆくのかもお楽しみでおますよ。

3人のクローズアップも多々あるんで、3人の若手俳優たちの魅力にも、浸ってくだされ。

2010年10月27日 (水)

イギリス映画「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」

ジョン・レノンが有名にならはる夜明け前を、映画史上初めて描いた作品でおます

ビートルズのレノン&マッカートニーの出会いシーンとか、ほおー、そうかいなー、となりますでー

http://nowhereboy.gaga.ne.jp/

November11月のFriday5日から、全国ロードショーでおます。関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップやら、京都・TOHOシネマズ二条やら、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。本作を配給しやはるのはギャガはんどすえー。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

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Ⓒ2009 Lennon Films Limited Channel Four Television Corporation and UK Film Council. All Rights Reserved

ジョン・レノン生誕70周年とか、没後30周年とかを記念した作品でおます。ジョン・レノンの高校時代の青春を、描いた作品でおます。ジョンとゆうたら、もちろん、ビートルズでおます。

ミュージシャンやバンドの実話系映画のノリではあるんやけど、ビートルズてゆうたら、これまでは、ビートルズ全盛期を描いたドキュメンタリー・タッチとか、「アクロス・ザ・ユニバース」(2007年製作・アメリカ映画)みたいに、ビートルズの歌にインスパイアーされはった作品に加え、ジョンの死にまつわる、事件的ドラマ映画が多かったんどすわ。

でも本作は、ビートルズとして、ツアー・デビューを果たすまでを描く映画どす。しかも、ビートルズのバンド名は、本編が終わっても出てきまへん。

ジョンの育ての親役の叔母(クリスティン・スコット・トーマスのネーさんがやってはりま)が、最後にバンドの名前を、ジョンに聞かはるんどすが、ジョン役のアーロン・ジョンソン君は、お茶を濁してゆわはりません。このあたりの演出の間合いやらは、思わずウナらせてくれはります。

お話は、高校生のジョンがイロイロ不良する、学園もののような体裁を取ってはるんどすが、メインとなるんは実母(イギリスの中堅女優はん、アンヌ=マリー・ダフのネーさんどす)との絡みでおます。

17歳で実母と再会し、まるで恋人同士のデートみたいなシーンが、繰り出されよるのどす。さらに、実母との過去の記憶が、謎めいたフラッシュ映像で時おり展開しよります。

なんでコドモの時に母と別れてしもて、母の姉のとこに引き取られたんか。このナゾが、本作の1大ポイントなんでおます。そやから、育ての母と実母と、ジョンのキズナ描写とゆうのんが重大でおます。

その一方で、やはり、音楽青春映画としての側面も見逃せまへん。ビートルズはどうして結成されていったんかとゆう、1大注目ポイントがござります。

ジョンとポール・マッカートニーとの出会いは、キー・ポイントでおます。ポールが「純粋に音楽を目指す」と言うとこなんか、ボクチンは「ほおー」ってうなりました。

メイキング・ビートルズの描写も、自然なカンジで進行してゆきます。ジョン憧れのエルヴィス・プレスリーを始め、かつてはオールディーズ・ポップスと呼ばれた、1950年代のポピュラー・ミュージックが次々に流れよります。

でもって、当時のリバプールを求めて、現代のリバプール・ロケを敢行した潔さにカンジ入りました。当時の風景を撮るために四苦八苦した跡が、本編からひしひしとカンジられるので、ぜひそのあたりにも注目しておくんなはれ。

2010年10月26日 (火)

音楽ドキュメンタリー「ドアーズ まぼろしの世界」

ドラマ映画「ドアーズ」より、センセーショナルなエモーションやー

ジョニー・デップのアニキが、名ナレーターぶりでおます

アメリカン・ニューシネマ的なヤケクソぶりを、ジム・モリソンのアニキが体現してはります

http://www.thedoors.jp/

オクトーバー&サタデーの10月30日から、東京は新宿武蔵野館やら、シアターN渋谷やらでロードショーでおます。で、関西は、ノーベンバー&サタデーの11月20日から、大阪・シネマート心斎橋。でもって、その後、京都みなみ会館やら神戸アートビレッジセンターで、全国順グリの上映どす。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

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Ⓒ 2010 Doors Music Co.and Rhino Entertainment Company,a Warner Music Group Company,All Rights Rserved.

嗚呼(ああ)、4人組のドアーズと申せば、ボクチンがまず思い出すんは「地獄の黙示録」(1979年製作・アメリカ映画)でおます。

冒頭のヘリコプターのブルルンな音にかぶさって、「ジスィズ・エンド…(しまいやねん)」と、ジム・モリスンのアニキが、けだるく歌う曲が流れるシーン。

この曲「ジ・エンド」は、失恋の曲らしいのでおますけど、ホンマにもう終わりやねん、なカンジのカゲリ感がたまりまへん。

本作は、そんなドアーズの軌跡を描かはるドキュメンタリーでおます。バンド・リーダーにしてフロントマンの、ジムのアニキのヤンチャぶりに大注目どす。

とゆうのは、この1960年代の米英音楽シーンで、ヤンチャしてはったんは、ローリングストーンズやら麻薬吸ってはったりするアーティストやら、いろいろいてはりましたけども、彼ほどハチャメチャなんは、まあ、おりまへんでおましょうな。

LSD、麻薬、幻覚剤、アルコールやらによる、トリップはしょっちゅうでおまして、コンサート中に警察当局にパクられたり、遂には下半身のおのがムスコを露出してもうて、えらいことになりまんねん。

若者が破滅的な道をたどるパターンもあった、アメリカン・ニューシネマな映画の、まるで登場人物のような破天荒ぶりどすえー。

そんなジム・アニキに心酔してはるのが、ジムに似てはるジョニー・デップのアニキでおます。ジョニデがジム・アニキやらを、説得力あるナレーターぶりで解説してゆかはります。

フツーは、バンドの軌跡をそのまま映すような、音楽ドキュメンタリーとか音楽ビデオやらがケッコー多いのですが、本作はちごておりました。

JFKやキング牧師の暗殺とかの、モノクロのニュース映像をチラつかせる、1960年代描写は定番とも取れよります。但しでおます。この種のドキュでの撮りおろし映像では、少しニュアンスを変えてはるのです。

1971年にジムのアニキは死ぬのどすが、そのラジオ報道を、クルマを運転して聞くある人物のカットから、このドキュは始まります。

そして、その人物の話は、ロードムービー的スタイルで挿入されてゆくのどす。何でもないように見えて、このエピソードが物語る人の視点になっている点が巧妙どした。

ロックとジャズが融合、ブルージー・トーンのブルース・フィーリングな曲から、ポップ路線のキャッチーな8ビート・ロックまで、彼らの音楽もコンサート・シーンやらで披露されよりますけども、それらはCDやらDVDでも、聴いたり見られたりするもんでおます。

あくまで、本作は音楽を聴かせるとゆうとこはサブでおまして、ジムのアニキの人間ドキュメンタリーへと、フォーカスしてゆかはります。

同じくジム・モリソンを描いた、オリバー・ストーン監督のドラマ映画「ドアーズ」(1991年・アメリカ)よりも、扇情的で生々しくて、人間臭い作りになっておます。

ちなみに、この「ドアーズ」主演のヴァル・キルマーも、ジョニデと同じくらいジム・モリソンに似てはりました。オモロイ符号やと思いました。

2010年10月25日 (月)

韓国映画「義兄弟 SECRET REUNION」

ソン・ガンホのアニキとカン・ドンウォン君が、仲よーやりもってお互い腹のうち探らはる、スパイ・サスペンスどす

「シュリ」「JSA」やらの南北朝鮮バーサス&相克ものに、新たな1本が加わりましたどすえー

http://www.gikyodai.com/

10月オクトーバーのサタデー30日から、東京・シネマート新宿やら、大阪・シネマート心斎橋やら、全国ロードショーでおます。本作を配給しやはるのは、エスピーオーはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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韓国映画の俳優さんで、みなはんがイのイチバンに、思い出さはるアクターって誰でおましょうか。

ヨン様、イ・ビョンホン様、ドンゴン様とか、いろいろおますやろうけど、ボクチンはまず、本作主演のソン・ガンホのアニキの顔をば浮かべよります。

この方は、どう斜めから見ても、イケメンとは申せまへん。韓流ドラマ向きやないからか、テレビドラマにはほとんど出てはりまへん。ほぼ映画専門俳優でおます。

しかし、演技がとにかくうまい。いや、そのうまさも、ホンマのところツー・パターンほどの演技しかしてはりまへん。シリアスとコミカル。

ところが、その性格俳優ぶりにキモっちゅうもんがござるのでしょうか。この2ジャンルの演技も、そんなに変えてはるとは思われないのどす。それやのに、なんでー? なんやけど、それがソン・ガンホ印なんでおますよ。

とにかく、映画を見たあとあとに、じっくりと効いてくる演技ぶりをば披露しやはるのどす。「殺人の追憶」(2003年製作)の渋い刑事役、「グエムル 漢江の怪物」(2006年)の怪物と大マジに対決したり…イロイロ。

韓国映画の中にいるだけで、その映画の出来を左右するみたいな、そんなカンジの方なんどす。

でもって、本作では、刑事を辞めた探偵とゆう設定で、「殺人の追憶」のその後みたいな演技で魅せてくれはります。

そんなアニキに絡むのは、こちらはイケメンのカン・ドンウォン君でおます。「デュエリスト」(2005年)の死神っぽい草食系人間アクションに、ビビッときはった方には、本作でもその魅力は、十二分に発揮されておますんでご安心めされ。

朝鮮戦争で北と南に分かれた朝鮮の、バーサスを含めた今を描いた韓国映画は、かなり作られてきておます。日本で最初に大ヒットした「シュリ」(1999年)もそうやし、「JSA」(2000年)もそうでおました。

そして、その2作共に出演していたソン・ガンホのアニキの本作は、南北朝鮮相克ものの、新たな1面を出した1作でおます。

相棒=バディ・ムービーの外装を装いつつ、韓国側ソン・ガンホと北朝鮮側カン・ドンウォンが、お互いの腹のうちを探り合いもって、事件の真相を探ってゆかはります。

バイクとカーとのチェイスやら、銃撃戦を始め、アクション・シーンもええし、北朝鮮側のスパイを演じはる、ベテランのチョン・グックァンはんの非情な演技ぶりがまた、2国間のどうにもなれへん相克ぶりを示してはって、背筋が凍りつきよりました。

で、結論でおます。「インファナル・アフェア」(2002年・香港映画)への、韓国映画的アンサーやと見ましたが、いかが?

2010年10月24日 (日)

関西先行公開の男どアホウ映画「さらば愛しの大統領」

大阪が日本から独立しまっせ、やなんて…。オイオイ、このニッポンイチの財政赤字の都道府県で、一体全体ホンマにモー、みんなホームレス国家にでもするつもりなんかいやー

イヤイヤ、そないオコらんでもー。そやから、どアホウ映画でおます。みなさん、お気楽にドーゾだす

http://saraba-d.asmik-ace.co.jp

神無月10月の土曜日30日から、関西限定先行ロードショーでおます。映画館は、大阪・梅田ブルク7(セブン)、TOHOシネマズなんばやら、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらで上映どす。でもって、ノウベンバー11月6日サタデーから、全国公開やー。本作を配給しやはるのは、アスミック・エースはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「さらば愛しの大統領」製作委員会

お笑いを映画化した映画でおます。ゴリゴリの映画ファンとして、大マジに見はる場合は、肩の力をググーンと抜かはって、見んといけまへん映画でおます。

でもって、リアリティーが大事や、今の世の中、大真面目に変えたろやんけー、なんて意気込みで、ほな、ちょっとコイツをば見たろかなんて人も、かなりヤバイでおます。

見出しにも書きよりましたような、憤懣やるかたないお怒りの意見やら、反論やらがドカーンと寄せられることでおましょう。すんまへん。ボクチンが代わりまして、謝らさせてもらいまっさー。

いやあー、とにかくバカバカしいったら、ありゃしまへんどすえー。こんなん、大マジに見れるわけおまへん。

監督・主演しはったのは、世界のナベアツやから、もうそっからもって、どっから見てもアホ丸出しどす。

そのナベアツのアニキが大阪市長選に当選しはり、マニフェスト通りに、大阪合衆国としてジャパンから独立しようと、ハチャメチャ・パフォーマンスぶりを披露しはります。

お笑いのファンはゴッツーたまらんでおましょう。しかし、映画ファンはどないやろー。少々心配でおますが、まあまあ、次、いきまひょか。

そんなナベアツを暗殺せんと、JFK暗殺並みのナゾをばはらみまして、暗殺計画のイロイロが次々に出てきよります。

仲村トオルやら大杉漣やらの、これまでシリアス演技が多かった人たちの、ユニークな殺人役キャラ。さらに、テレビキャスター役で、事件の鍵を握る吹石一恵ちゃん。これらの人たちの、お笑いとは正反対の、マジ演技ぶりが対比効果っちゅうもんを呼んでおます。

この事件を担当するのが、ケンドーコバヤシのアニキと、宮川大輔アニキとゆう刑事コンビどす。彼らの登場の仕方なんて、テレビの2時間ドラマばりに出てきはって笑わせます。取調室でのNGコント集なども、映画的よりもお笑い系に徹してはります。

サントラ使いにつきましても、大げさな弦楽メインのオーケストラを、シーンにミスマッチ的に使(つこ)てみたり、映画のラスト・ナンバーも、オトボケなお祭りソングで、ケムに巻きよるしな。

しかし、大阪もの、吉本もの、ナンセンス・コメディ、おバカ・コメディやら、いろんな映画のタッチは入っておるし、「ケンタッキー・フライド・ムービー」(1977年製作・アメリカ映画)やら「マトリックス」(1999年・アメリカ)やら「犬神家の一族」(1976年・日本)やら、映画パロディも入っておます。

タイトルもハードボイルドの巨匠作家、レイモンド・チャンドラー原作映画「さらば愛しき女よ」(1975年・アメリカ)のモジリやしな。

とにかくも、でおます。正統派の関西映画とは違いよりますが、ウラ関西版とでも申しますか、関西のトンデモ楽しさぶりを、伝えてくれよる映画にはなったかと思います。

2010年10月23日 (土)

日本映画「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」

「12人の優しい日本人」が「十二人の怒れる男」やったら、本作は「それでもボクはやってない」をメッチャ意識してはります

しかも、リアリティーまるでなしなカンジが、トンデモオモロおますんどすえー

http://www.do-suka.jp/

霜月11月・6日土曜から、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷をはじめ、大阪はシネ・リーブル梅田やらでロードショーでおます。その後、11月13日から京都みなみ会館やら、11月20日からシネ・リーブル神戸やらで、全国順グリの公開どす。本作を配給しやはるのは、ゼアリズエンタープライズはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」製作委員会

すっかりビックラコンやんけ、どした。こんな裁判も、そんな裁判関係者も、あんなウォッチャー傍聴マニアも、そんなんいてへん、いてへん、と笑かしもって突き進んでいかはる映画でおます。

裁判劇を、ブラック・ユーモア化するところのオモロサが満開でおまして、ある意味そう快・痛快でおますよ。

鈴木砂羽ネー演じはる映画プロデューサーが、陪審員制度導入の今、裁判映画が大ヒットすると見込まはって、「愛と感動の裁判ものを作れ」と、主人公のバナナマンの設楽統クンに、裁判所へシナリオ・ハンティングにやらせはります。

設楽クンには、かつて「愛と正義という名のもとに」なんて、テレビドラマの執筆経験がござります。いろんな裁判をウォッチ、傍聴しやはるのどすが、そのうち傍聴マニアの3人と仲良しにならはります。

でもって、そのいろんな裁判でおますが、裁判官のキャラ造形を含めよりまして、かなりカリカチュア・戯画化されたような、現実にはまずアリエネーようなもんがほとんどだす。

被告のみんなへの、頭下げ具合によって、刑の軽重が確定するなんてゆう交通事故裁判。「歯が痛かったから」覚醒剤を吸ったと、被告がゆう覚醒剤裁判。チカン裁判の傍聴席にはJK(女子高生)が多いんで、裁判長や検事らが、エエカッコをみせたがる逸話とか、簡易裁判所にはマジな裁判所よりも、癒やしがあるやとか。

もー、そんなんあるワケないやんかーなシーンが、次から次へとドトウのごとく、出てまいるのでおます。

さらに、安っぽい安楽殺人を入れて、「愛は裁けるか」なんて、仮想映画予告編のバカバカしさ。

その一方で、マジなとこを随時披露しはって、ナンセンスなとこと対比させはるんどすえー。

傍聴マニアからマリリンと呼ばれてはる、女検事役・片瀬那奈おネーさまが、大マジに弁論しやはるとこなど、りりしくて思わずウットリやん。

さらに、傍聴マニアたちが、裁判において何ができるかと、まるでコンゲーム映画のようなノリで、被告を応援していくシーンなど、マジもマジでおました。でもって、どんでん返しにもとぼけた味わいがありま。

「12人の優しい日本人」(1991年製作・日本映画)は「十二人の怒れる男」(1957年・アメリカ)をば意識してはりましたが、本作はチカン裁判映画「それでもボクはやってない」(2007年・日本)でおましょうか。

設楽クンが脚本を書く時に「それなら、僕はやってない」とか「僕はやりました」とかが出てくるので、そらもー、ピンポイントどっせ。いずれにいたしましても、裁判パロディ映画のトンデモ快作でおました。アラマ・ポテチン。

2010年10月22日 (金)

ニッポン映画「脇役物語」

助演より下の脇役・バイプレイヤーはんが、主演となって張り切らはった作品でおます

益岡徹アニキの初主演映画に、永作博美ネーさんや松坂慶子大ネーさんまで、サポーターしはりましたでー

http://www.wakiyakuthemovie.com/

オクトーバーは10月、23日は土曜日より、ロードショーでおます。

関東やったら、東京はヒューマントラストシネマ有楽町やらで、関西やったら、大阪・テアトル梅田やらで上映しはります。

本作を配給しやはるのは、東京テアトルはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 Dream On Productions

脇役たちのペーソスをコミカル・モードにて、脇役を主演にして描かはった映画でおます。

こういう光の当たらへん脇役の哀愁をば、捉えた映画といたしましては、日本映画では、ボクチンは故・殿山泰司はんを描かはった、新藤兼人監督の「三文役者」(2000年製作・日本映画)がダイスキでおます。

本作でその脇役主演をやってはります、益岡徹のアニキと申しますれば、バイプレーヤーの鑑(カガミ)でおます。

大杉漣はんとか岸部一徳はんとか、これまで、脇役ぶりの日本映画史に残る快・怪演技を披露し続けてきはった人は、ケッコーいてはるんどすが、益岡のアニキもその1人となり得る役者だす。

脇役をずーっとやってきてはる俳優さんに対して、みなさんは、どない思わはるでしょうか。名脇役の系譜なんてのも、ボクチンはいっぺんやってみたいなー、なんて思とるんですが、脇役こそ名作映画の隠し味の一つでおます。

そんな脇役ドラマが、永作博美ネーさんとのラブ・ストーリー込みで描かれよりました。出来が素晴らしいか素晴らしくないかは、見る人によって、もちろん違(ちご)てきよります。

本作は「三文役者」の出来ばえを超えたんかどないか。ボクチンが答えよりますと、ウーンでおますけども、本作はしかし、益岡アニキは、なんともいえへんやるせなさを、それとなく表現することに、成功してはるかと思います。

永作ネーさんの攻撃的な演技に、真っ向から対抗。最後には、カメラが回る、往年のハリウッド恋愛映画ばりの、永作ネーとのキス・シーンをば披露してくれはります。

益岡のアニキのキャラクター造形についてでおますが、特色のない脇役らしく、誰にでも間違えられやすいタイプの人間として描かれます。かのヒッチコック監督の「間違えられた男」(1956年・アメリカ)ばりのノリで、コンビニ店員から誘拐犯まで、多種多彩の人物に間違えられるっちゅうノリどす。

いわば、キャラを強引に作ってはる設定なんどすけども、これらはアニキのワケ分からへん、意味のない挙動を含めまして、脇役キャラの、ある普遍性を示そうとしてはるかのようでおます。

松坂慶子はんとか、主人公の父役・津川雅彦はんとのやりとりなんぞも、同じような方向性へと向いておます。

ウディ・アレン映画の日本版リメイク映画の製作とか、映画会社に貼られとる、名作映画をパロッたポスターとか、永作ネーさんが口にするスカーレット・ヨハンソンとか、時々、映画パロかオマージュか、何やら分からへんようなカットがござります。

このあたりに少し中途半端なとこも、カンジよりましたけど、いずれにしましても、脇役人間ドラマとしてオモロイ作品であるんは、間違いござりまへん。

2010年10月21日 (木)

洋画「約束の葡萄畑~あるワイン醸造家の物語」

ワイン作りに取り憑かれはった男の、ヒューマン映画でおます

天使キャラクターの新次元も示さはりました

http://www.yakusoku-wine.com

10月23日から東京で先行上映どす。大阪は、ノウベンバー11月サタデー20日から、テアトル梅田でロードショーやー。でもって、その後、ディセンバー師走12月から、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリの上映どすえー。「PG12」指定となった、ニュージーランドとフランス合作の本作を、配給しやはるのは東北新社はんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Ascension Film Kortex Acajou Films

ワイン作りに命を懸けはる、男のドラマ映画でおます。そやから、ブドウ畑の土地の選別から始まる、ワイン作りの実際とハウツー映画のノリもござります。

映画の売り文句に「芳醇なワインのような映画」とあります。けども、芳醇さはワインと映画ではかなり違いよります。

この言葉は、あくまでワイン映画やから、そうゆうたらオモロイんとちゃうかとゆうてはるだけどす。まさに、そのままやがなー、なんどすが、芳醇とゆうか、本作は映画的な仕込みとか寝かせの意味では、新味を入れてはります。

フツーは、何かに情熱を燃やす人間ドラマとなりますれば、その人間の微細な描写をメインに人間関係描写含めて、ストレートに描かれるもんでおます。ところが、本作はエライもんを入れて、エライことをばしやはりました。

主人公に人生のアドバイスを送る人、とゆうかキャラクターに、男の天使をば選択しはったんどす。

つまり、ファンタジー部でおます。ニュージーランド出身の女性監督ニキ・カーロ姉さんの作品なんやけど、前々作「クジラの島の少女」(2002年製作・ニュージランド映画)でも使わはった、ファンタジックなポイントを、今作のなかにも取り込まはったんでおます。

しかも、女天使やなく男天使やから、ここに、友情とかゲイとかに加え、主人公の妻や仕事の女パートナーやらとの、三角関係、四角関係なる、ややこしいもんが生まれてきよります。

このあたりの複雑なとこを、ちゃんと整理して描かれておますのでしょうか。みなさんはきっと心配しやはるでしょうな。ご心配めされるな。ガンバってはります。

カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルム・ドールをゲットしはった「ある子供」(2005年・フランス&ベルギー)で、情けない男を演じはったジェレミー・レニエのアニキが主演どす。今回は情けなくはござんせん。最後までしっかりしておすえー。

妻役ケイシャ・キャッスル=ヒューズちゃん。「クジラの島の少女」の時より、大人の色気が出ました。仕事のパートナー役ヴェラ・ファミーガのネーさん。ハリウッド映画によう出てはるだけに、女優らしい格をカンジさせはります。

でもって、天使役のギャスパー・ウリエルのアニキ。地獄の天使やと言わはるように、いわば堕天使はんどす。でも、その妖艶で甘やかな演技ぶりは悩ましいどす。

映画史上に出た天使役のなかで、史上初ともいえる設定(ネタ部になりよるので秘密どす)やらが強烈でおました。

2010年10月20日 (水)

社会派の日本ドキュメンタリー「ANPO」

さまざまな過去のニッポン映画の名作を、フィーチュアーしはりました

隠れたアート作品を通して、日本の戦後の問題をシビアに見つめはります

http://www.uplink.co.jp/anpo/

オクトーバー10月のサタデー23日から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで上映どす。その後、全国各地を回る予定でおます。本作をば配給しやはる映画会社は、アップリンクはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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10代、20代の若い人たちへまずは、軽めのスタディでおます。

日米の安全保障条約にまつわるドキュメンタリーでおます。

戦後、日米が軍事的に同盟し盟約をかわしよりました。憲法で日本は、自衛隊はあるんやけど、軍隊を持つことができよりまへん。

そこで、アメリカ軍が日本に駐留して、その代役を果たしたろやないかいな、っちゅうことどす。

今年も、沖縄の普天間の問題なんかが起こりよりましたが、よーく、考えてみんでも、これって、日本がアメリカに軍事的に、支配されてるようなもんじゃあーりませんか。

この問題に対し、1960年の「60年安保」以降、学生をはじめいろんな方々が、抗議行動をば起こさはりました。

本作のドキュメンタリーは、それらの流れのなかから、戦争・安保にまつわるアート作品を発表しやはった、アーティストたちの作品やインタビューを通して、安保問題を見つめはりました。

でも、どちらかと申せば、写真、絵画、彫刻、漫画、版画、オブジェ、ビデオ、ポスターなど、あんまし知られてへん、隠れた傑作を中心に据えてはります。

イラストレーターの横尾忠則のアニキとか、シンガー・ソングライターの加藤登紀子おトキさんやらは、まあ、セレブにはなるかとは思います。

モノクロで、おトキさんがギターの弾きがたりで歌を披露しやはるシーンとか、横尾忠則アニキが語る、ノーベル平和賞受賞者の佐藤栄作元首相に関する逸話なんか、ボクチン的にはココロに残りました。

総体的に室内インタビューや固定芸術作品を映すもんでっさかい、少々動きやアクションが少ないのやけど、それは時々挿入される日本の美しき風景であったりとか、映画ファンへは、本作とリンクする過去の日本映画の名作シーンを、イロイロちょろっと入れてはります。

戦時の話を描いたアニメ「火垂るの墓」(1988年製作)、戦争裁判ドキュ「東京裁判」(1983年)、戦後の混乱ぶりも描いた「仁義なき戦い」(1973年)、学生運動の総括を描いた「日本の夜と霧」(1960年)、安保で決まった原爆演習なんて、架空のエピソードが入った「しとやかな獣(げだもの)」(1962年)やらでおます。

全体の作りとしては、「日本のいちばん長い夏」(8月4日付けで分析済み)やらとシンクロするんやないかな。

日本育ちのアメリカ人女性監督リンダ・ホーグランド姉さんの作品でおますけども、日本もアメリカもよう知り尽くしてはるだけに、オンナだてらに、骨太な説得力ある映画になっておます。

2010年10月19日 (火)

ブルガリア映画「ソフィアの夜明け」

孤独な人間ドラマ映画が、やがて兄弟・恋人とのキズナへと向かう渋い1本どす

「勝手にしやがれ」の、ジャン・ポール・ベルモンドのノリがある、主人公に注目やー

http://www.eiganokuni.com/sofia

オクトーバーの23日サタデーから、東京・[シアター]イメージフォーラムで全国順グリのロードショーでおます。関西やったら、ノウベンバー11月の13日から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォやらで上映どす。本作を配給しやはるのは、紀伊國屋書店はんとマーメイドフィルムはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸWaterfront Film, The Chimney Pot, Film I Vast AB

ブルガリア映画やなんて、まあ、みなさんもやろけど、ボクチンもこれまでほとんど見た記憶がござりまへん。

しかも、本作は東京国際映画祭で、最高賞の東京サクラグランプリを始め、最優秀監督賞、最優秀男優賞と都合3冠をゲットしやはりました。ビックリでおます。

さてはて、その中味はいかがなものなんでおましょうか。

まずは、この映画の撮了を待たずに逝去されはった、写真に写ってはる主演男優のフリスト・フリストフのアニキの、なんとも言われへん孤独ぶりを示す、アンニュイ演技の凄みどす。

ドラッグ中毒の治療に病院へ通いながら、朝昼晩夜と、ドラッグ代わりにビールを飲みまくり、タバコスパスパの主人公像どす。外見は若き頃のボブ・ディランみたいな風情でおます。

でもって、このヤケクソぶりの演技を、しっとり静かに演じはるのです。エキセントリッキーやった「勝手にしやがれ」(1959年製作・フランス映画)のジャン・ポール・ベルモンドの、退きの演技版といった趣きでおます。

かといって、最初から最後まで、とことん暗かった自殺男映画「鬼火」(1963年・フランス)のモーリス・ロネみたいに、人生に絶望はしてはりまへん。

写真に写ってはる、トルコからソフィアにきはったビジターのおネーさんと、淡い恋に落ちはります。兄弟とのキズナもござります。

本編は、この主人公の兄と弟の話を、交互に映していかはります。でも、最初の頃は、この2人が兄弟やとは思われへん描き方をしやはるのどす。

とある襲撃事件があり、その後主人公が実家へ舞い戻った中盤あたりで、2人が兄弟やったんやと判明しよります。このあたりの仕掛けは巧妙でおました。

写真3枚目にありますが、主人公が夜のソフィアの街をさすらうシーンなど、哀愁の女性ポップスを流して、映画的リズム感を強調しはります。冒頭から1時間近くも、実はサントラらしいサントラは流れまへん。

ところが、残り30分から、ドドッと音楽が流れよります。この手法は、映画をドラマティックに盛り上げる効果をばもっておます。うまいと思いました。

印象的なシーンも本編1時間29分のなかに、いくつも挿入されておます。バスの車窓から見える、流れるようなソフィアの風景、神の救いに言及する主人公と医者の診療シーン、ヘッドライトの丸い光をいくつも入れて、主人公と彼女が話し合うシークエンスやら。

ラストでは、観客のみなさんの、ほとんど全員が、前向きになっとるはずどすえー。

2010年10月18日 (月)

アメリカン・ラブコメ「遠距離恋愛 彼女の決断」

主演ドリュー・バリモアちゃんらしい、ホンマ、ラブコメが好きやねん! な映画やでー

背景は新聞不況やら音楽不況やらやけど、でも、明るい未来はあるんやでえー

http://www.enren.jp/

10月23日のオクトーバー・サタデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やら、新宿武蔵野館やら。関西やったら大阪・なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。ラブコメやのに「R15+」指定の、本作をば配給しやはるのは、ワーナー・ブラザース映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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©MMX NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

ドリューちゃんのラブコメ魂がサクレツしよりました。

ドリューちゃんてゆうたら、「E.T.」(1982年製作・アメリカ映画・以降の引用作品は全てアメリカ映画どす)で、E.T.見てわめいてはった、アノ子役ぶりが印象的でおます。あれから、幾年月が経ちました。

その間、彼女はアカデミー賞級の、シリアス演技をば披露しはった「サンキュー、ボーイズ」(2001年)であったりとか、「チャーリーズ・エンジェル」シリーズ(2000年・2003年)で、バクレツ・アクション演技やらをやってきはりました。

でも、しかし、でおます。彼女の持ち味は何といいよりましても、ラブコメどす。アメリカではコメディアン映画俳優として、国民的人気のアダム・サンドラーと共演した「ウェディング・シンガー」(1998年)など、ラブ・コメディエンヌぶりこそが、彼女のホンマの当たり役なんどす。

でもって、本作もホンマ、ドリューちゃんのための映画にしか見えよりませんでしたえー。しかも、ドリューちゃんの趣味とも思える映画が、セリフのなかに頻出しよります。

主人公が好きな「トップガン」(1986年)、ドリューちゃんが好きな「ショーシャンクの空に」(1994年)。遠恋の対象となる、2人の出会いは「告発の行方」(1988年)を思い出させるバー。ドリューちゃんがヤケ酒飲んで発する「トランスフォーマー」(2007年)。

1970年代から1980年代にかけては、バート・レイノルズやらヒゲ男がブームやった。そこで、その世代のオンナを狙い撃ちしてるっちゅう、主人公のダチの造形ぶり。

さらに、一方で、下ネタをしょっちゅうシャベる、主人公のもう1人のダチ。彼のせいでたぶん「R」指定が入ったようですわ。彼がヒゲ好き狙いのパーティーで披露する、チャップリン的コスプレは間違いなく「チャップリンの独裁者」(1940年)でおます。

トム・ハンクスとメグ・ライアンが共演した、遠距離恋愛の傑作「めぐり逢えたら」(1993年)に、リスペクトしつつも、NYとサンフランシスコとゆう2つの遠距離の場を、巧妙に使い分けていって、2人の愛のビミョーな距離感を示すような作りどす。

「そんな彼なら捨てちゃえば?」(2009年)でラブコメへの、妙演対応ぶりを示さはったジャスティン・ロング君は、音楽業界のプロモーター。片や、ドリューちゃんは新聞業界で試用されてはります。

つまり、今の音楽・新聞業界の実態も、それとなく描かれよるのどす。さてはて、そんな設定のなかで、2人の愛はどないな風になり、どないな決着を見るのか。ぜひとも劇場でご確認くだされ。

2010年10月17日 (日)

日本映画「マザーウォーター」

今までの京都舞台映画にありまへん、なんともいわれへん味をば出さはった会心作

小林聡美ネーさん、小泉今日子キョンキョン、市川美日子(ミカコ)ミカリン、もたいまさこバアヤ

加えて加瀬亮のアニキが、アンサンブルしやはります

http://www.motherwater-movie.com/

10月オクトーバーの30日サタデーから、全国ロードショーやねん。

関西の三都やったら、大阪・梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマやら、京都シネマ、MOVIX京都やら、神戸国際松竹やらで上映どす。

本作をば、配給しやはるのんは、スールキートスはんでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ 2010 パセリ商会

日本映画発祥の地・京都を舞台にした日本映画なんて、東京を舞台にした映画の数と、どないなもんなんでしょうね。

ボクチンはあんまし意識したことはないんやけど、これまでをみてみたら、1950年代頃までは、おそらく京都映画と拮抗しとったんやないかなと思うけど、でも、東京舞台映画はその後も増殖し、21世紀以降も次々に量産されておます。

今や圧倒的に抜かれておますことでしょう。でも、平均値を取っての質的には、京都映画の方が上やと思います。

でもって、京都を舞台にした本作のことでおます。はっきり言いまして時代劇を含めまして、これまでの京都ロケ映画の定番を、かなりドラスティックにはずしてはります。

例えば、今年の作品でいえば、山田洋次監督「京都太秦物語」(5月9日付けで分析しておます)なんかは、京都ロケの理由として確固たるもんがござりました。

ところが、本作は、別に京都でロケをせんでも、ええんとちゃあうんなとこがござります。でも、このロケ的在り方は斬新どす。

なんでかといえば、京都やったら、京都らしいステレオタイプなとこを示さんかいとか、大阪やったら、大阪イメージな観光場所を映さんかいとか、そういう一般の要望があるわけもないんどすが、いろんなギョーカイ関係者は、なんやしらん、そんなどうでもええとこにこだわらはるんでおます。

京都を舞台にした観光映画なんて、ボクチンははっきり言って見たくござんせん。もちろん、大阪舞台の観光映画もゴメンチャイやでー。京都であろうが、東京であろうが、ココで描かれておますのは、ある意味無国籍、でもって、癒やしを促すようなもんでもなく、ただ、そこにいろんな人が生きてはるとこを、淡々と映さはります。

しかも、何か事件が起こるワケやなく、また、いろんな人たちの確執のドラマが、人生はハランバンジョー的に、展開することもござりまへん。どこまでも、そう、どこまでも自然体どす。

映画におけるドラマ性に、背を向ける姿勢をとことん、但し、あざとくなく貫いてはります。アップ、クローズアップはいっさいなし。ウイスキーしか出さないバー経営の小林聡美ネーさん、喫茶店経営のキョンキョン、謎めいた、もたいまさこバアヤやら。ほかに、バーの常連・加瀬亮アニキやら、とうふ屋の市川美日子ミカリンやら、この映画の流れに身をまかせて、ほんのり・ぼんやり・ゆったり・のんびりな演技でいかはります。

でもって、食べるシーンの多さにも注目どす。人がおいしそうなもんを食べたり飲んだりするシーンを、イロイロ見せられて、それが一体どないやねんなんどすけども、本作の流れのなかでは、少し違いよりました。

それは、あくまで、日常生活とゆうもんに、キモがあるっちゅうような作りなんでおます。それに、どんなキャラがどんなもんを食うかとかもあります。

結局のところ、不思議快感の映画どした。いずれにせよ、京都映画のニューウェイブを感じてくだされ。

2010年10月16日 (土)

岡田准一主演映画「SP 野望篇 THE MOTION PICTURE」

SECURITY POLICE=VIP警護の警察メンバーたちが、ハリウッド級の大アクションをば披露しはります

なんちゅうても、岡田クンのトンデモ・アクションやー

http://www.sp-movie.com

オクトーバー10月のサタデー30日から、全国東宝系劇場にてロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「SP」プロジェクトチーム

テレビドラマからの劇場版と申しますれば、そら今や、ものゴッツーな数にのぼっておます。少々食傷ぎみなとこがござるのでおますけども、本作は今までのヤツとはチョイ違(ちご)ておました。

ボクチンは恥ずかしながら、深夜のテレビ版やらを見ておまへんねんけど、イントロからのハリウッド映画ばりの、強烈極まりないアクション・シークエンスに、まずはドッカーンでおました。

逃走する犯人を、とことん岡田准一クンが追いかけはります。クルマの屋根を走りまくって、歩道橋で犯人をつかまえて格闘、と思いきや、犯人は橋の下を走るトラックの荷台へ。で、岡田クンも荷台へ転んで、でもって、「トゥーランドット」をおごそかに流しての、荷台の1対1対決へ。それでも、決まらずに、犯人は地下鉄へ。線路上で凄まじい対決が繰り出されよりまして…。

この冒頭20分のシーンは、いろんなハリウッド映画のエッセンスがギュギュッと詰まっておりま。例えば、「ボーン」シリーズのマット・デイモンが見せた、追逃走劇みたいなノリでおます。

さらに、岡田クンは予知能力を持つ、超能力者みたいな才能をば持ってはります。記憶喪失系の「ボーン」とは、正反対の設定でおますよ。

さらにさらに、クライマックスでは銃撃戦から壮絶な逃走劇が繰り返され、最後は大バクハツやー。いやあー、最新ハリウッド作品「エクスペンダブルズ」(10月10日付けで分析済み)もかくやとゆう、ものスサマジサでおます。

本作は前編になるんどすが、岡田クンと上司の堤真一アニキとの、何やら謎めいたやりとりやらは、後編の「革命篇」(来春公開)で明かされるのでおましょう。

その登場人物たちのキャラクターも、その俳優にふさわしい性格俳優ぶりな演出が施されておりま。例えば、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」で共に披露してはるような演技ぶりで魅せてくれはる、真木よう子ネーさんや香川照之のアニキどす。

真木ネーは、男っぽいぶっきら棒ぶりで、蹴りやらのアクトも見せはります。片や、照之アニキは、いかにも陰湿系のワルっちゅうカンジを示さはるのどす。

また、サントラも特筆どす。アクション・シーンにふさわしい、打楽器主体のスピードフルな展開で、16ビートやらハードなバンド・サウンドまで流さはります。でもって、ラストロールでは、岡田クンがいてはる「V6」のミディアム・Jポップスでシメはります。

とにかく、ハリウッド映画級の日本のアクション映画でおました。

2010年10月15日 (金)

韓国の国民的映画「国家代表!?」

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映画史上初とちゃうかー。スキー・ジャンプ団体戦のスポ根実写映画やなんて

あの日本が金に輝いた長野オリンピックで、素人まがいの韓国選手たちが大健闘しやはりました

http://www.kokka-daihyo.com

オクトーバー10月のサタデー23日から、東京・シネマスクエアとうきゅう、丸の内TOEIやら、大阪のシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋やらで全国ロードショーでおます。本作を配給しやはるのは、ゴー・シネマはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2009 KM CULTURE, SHOWBOX/MEDIAPLEX ALL RIGHTS RESERVED

実は、実話でおます。やなんて、いきなりしょーもないダジャレ飛ばしてすんまへん。

韓国は夏のソウル・オリンピックはやったけど、冬季五輪はやってはりまへん。そこで1996年に、冬季五輪誘致を目指して、韓国のとある市が名乗りを上げはったんでおます。

でもって、とりあえず韓国では苦手な種目やのに、スキー・ジャンプの素人まがいの集団が結成されよります。コーチ自らが5人をばスカウトしやはりました。

でもってさっそく、この5人の特訓シーンが次々に繰り出されよります。

室内の会話のやりとりでは、1秒から3秒までの短いカットの連続で、緊張感をあおるかと思えば、クイック・モーションによるコミカルなノリ、洋楽のポップロックやK-POPな女性ポップスを流しての、夏場の練習シーンやら、スピードフルに展開してゆきよります。

一方で、各メンバーの家庭事情も含めて、いろいろ映されます。

なかでも特筆は、キャプテン役ハ・ジョンウのエピソードだす。ハ・ジョンウてゆうたら、「チェイサー」(2008年製作・韓国映画)の犯人役のオトロシサが強烈でおました。

しかし、本作では、えらく丸まらはりましたでー。怖いとこは全くござりまへん。ホンマは養子に出した、ムゴイおかあちゃんを探すために、アメリカから母国・韓国に帰ってまいりました。まあ、スキー・ジャンプはついでのようなもんでおます。

でも、この母子のキズナ部を含めよりまして、いろんなキズナ描写は、本作のクライマックスの感動にドカーンと貢献するのでおますよ。

モチ、長野オリンピックがクライマックスだす。念のためにゆうときますと、日本選手たちのシーンはござりまへん。韓国選手たちのスキー・ジャンプの、ダイナミックなスケール感にまずはドカーンどした。

スタントマン使ってんのかなと思う間もなく、放送するテレビのアナウンサーや、テレビを見てる選手の家族たちの姿を、次々に畳み掛けてきよります。

しかも、韓国のテレビドラマや一部の韓国映画に顕著な、何チューたらええんかな、部分的な1選手のエピソードの感動を、長めにひっぱったりするようなとこがあり、おいおい、ちょい待ってぇやー、ええ加減にしときやーなとこもござります。

でも、ここんとこが、韓国ものらしい泣き&泣ける演出ぶりどす。泣きたくなくても、泣くなと言われても、泣きまんがな。ホンマ、ようやってくれよったわ。やられましたがな。

間違いなく、韓国ドラマ、韓国映画ファン必見の作品でおます。

2010年10月14日 (木)

奈良映画「まほらの糸」

奈良県ロケーション映画の憩いに、しっとりの快さどすえー

シニア映画のシブミ・ヒロイン映画のかわいらしさ・姉妹ドラマ・淡い恋の味やらが仕込まれておます

http://www.nanagei.com/

長月(ながつき)は10月の、土曜日16日から、大阪・第七藝術劇場にてロードショーでおます。その後、全国各地へ巡回する予定どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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21世紀になってからかしましくなってきよりました、邦画の地方ロケーション映画の1本でおます。

まあ、スポンサーが思いっきり資金を投入してはる場合は、大手の映画会社の配給ルートに乗りよりまして、全国各地大々的に公開されていくのどすけども、本作はそうやござんせん。マイナー系、インディペンデント系でおます。

有名な俳優さんといえば、カンヌ国際映画祭で、2等賞に当たるグランプリをもらわはった、本作と同じく奈良映画「殯(もがり)の森」(2006年製作)に出てはった「うだしげき」はんくらいどす。

しかし、マイナー系ばかりが、つい目に付いてしまうようどすけども、映画作品としての仕上がりは、キチンとしておます。そのあたりをば見ていきまひょか。

ボクチンは「君が踊る、夏」(9月4日付けで分析しておます)のとこで、言いましたように、その地方の観光的PRをどれだけ抑えて、映画らしさを表現してはるかが、地方ロケ映画の評価の分かれ目でおます。

確かに本作は、観光的PR的ポイントもないとは申しまへん。奈良の伝統的な職人芸・奈良晒(さらし)なんかを入れてはりますけども、でも、そういうポイントは、登場人物たちのキャラを示すための、1装飾部でしかござりまへん。

見出しに書きました通りでおまして、いろんなドラマ的要素が含まれておます。

写真1番上をご覧くだされ。ええおっさんの「うだ」はんが、若い娘と、ええカンジでおます。ああ、うらやましい。おいおい、ちゃうがなー。つまるところ、老いらくの淡い恋と申しますか、10代の若い人たちの恋ドラマみたいな淡さが、まずあります。

さらに、小津安二郎映画にもあった、間の使い方に妙味がござります。ぎこちない長い間入りの、2人のツーショットの長回し撮影シークエンスとか、サイレント映画のノリもそれとなく挿入されて、映画を見たあと、のちのちにココロにきよります。

さてはて、主人公の「うだ」はんは、女房に逃げられてサビシーとゆう設定でおまして、それに合わせて、シニア映画としての孤独な雰囲気も披露されよります。日本酒を飲みながらの、ナレーションによる嘆き節とかが、ドラマにビミョーなアクセントを加える効果を持っておます。

でもって、写真の2枚目にござります、姉妹ドラマ部どすが、姉妹2人の絡みは実は、ワン・シークエンスのみなんやけど、そのさりげない描写がまた、よろしおまんねん。

セリフ少なめアップ少なめで、映画的作りとしては、かなりそぎ落とされた作りどす。見てると暑苦しくなくて、ホッとしよります。加えて、ドキュメンタリー映画なとこもありで、イロイロ入っておます。ボクはケッコー癒やされました。

2010年10月13日 (水)

日本映画「アワ・ブリーフ・エタニティ/OUR BRIEF ETERNITY」

ウイルス・パニックと記憶喪失ものを、シュールにつなげはったラブ・ストーリーでおます

やなんて、一体どないな映画やねん? でしょ?

http://www.ourbriefeternity.com

オクトーバー10月はサタデー16日から、東京・新宿 K's cinemaでロードショーでおます。でもって、その後、全国各地順次上映どす。本作を配給しやはるのは、マコトヤはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸTakuya Fukushima P-kraft/Keiko Kusakabe MAKOTOYA.Co.,Ltd.

ニッポンのインディーズ映画でおます。いわゆる、自主映画とゆうもんでおます。東宝はんとかが配給してはる、全国各地イッセーのロードショー作品とは、規模も製作費も格段に違(ちご)ておます。

キムタクみたいなセレブはもちろん、有名な方は誰も出てはりません。ほな、見る価値ないやん、なんて思わんとってください。そこのアータ、まあ、チョイ、ボクチンに話す機会をば与えてくだされ。5分でよろしおますさかい。

突然、ハリウッドの話ですんませんけども、ハリウッドは今、ネタギレをゆわれてから久しゅうなっておますし、また、日本とて、原作ものに頼るとゆう現状がおます。しかし、本作は、正真正銘の映画オリジナル作品だす。

見出しにも書きよりましたけども、製作費の関係上、そんなに大げさにはできまへんが、パニック・ムービーの色合い。記憶喪失系の映画は多々あるけど、そのテイストも入れて、しかも、ハッピーなラブ・ストーリーへと着地させるなんてワザは、ええ? そんなんホンマにできるのん? なんてゆう驚きがござります。

破天荒で荒唐無稽なとこもあるんでおますが、本作のオリジナリティーは特筆しときたいし、ハリウッドがリメイク権を買い取っても、ゼンゼン不思議やない作品やと、ボクチンは思いました。

最も愛してる人の記憶を破壊する、ウイルスなんてヤツが流行しよりまして、ヒロインがそいつに冒されてしまわはります。

一方、ヒロインと恋仲にあった主人公は、太宰治の主人公みたいに、21世紀の無頼派を気取ってはります。今から100年後には今いてる人は、ほとんど死んでいるなんて、ナレーションでツイッターしながら、本年10月に値上がりしたタバコを吸い続け、瓶ビールを飲みもって東京散歩をしはります。

ほんでもって、記憶喪失の元カノと出会わはるんどす。この奇病にいろんな人が罹るシーンは、ただ倒れるだけでディープには描かれず、また、ウイルスの蔓延ぶりは字幕スーパーだけで説明されます。

そう、コレはあくまで予算の問題でおます。ハリウッドやったら、このあたりの描写は大いにお金をかけてドカーンとやらはったことでおましょう。外国人監督たちがオムニバスした「TOKYO!」(2008年製作・日本&韓国&フランス&ドイツ製作)なんかのセンスも感じさせてくれはります。

アイデアはすこぶるユニークどす。インディーズとゆうシバリもあってヒットは難しいやろけど、このアイデアは大ブレイクする要素を持っておりま。

世界各国の映画祭で上映されるとのことどすので、先物買いみたいなカンジで見にいけば、「ボクやオレやアタシやワタシの目に狂いはなかった」なんて、周りのみんなにエバレルような時が、きっと訪れるやもしれまへんでー。アラマ・ポテチン。

2010年10月12日 (火)

ブエノスアイレス舞台の「ルイーサ」

定年間近やったヒロイン「ルイーサ」はんが、必死のパッチで生きていかはるお話でおます

世界的な大不況のおり、この前向きな生き方には、いろんな方が共感できまっせー

http://www.action-inc.co.jp/luisa

10月オクトーバーのサタデー16日から、東京・渋谷ユーロスペースでロードショーでおます。でもって、師走12月の上旬から、大阪・梅田ガーデンシネマやら、その後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやら、全国順グリの上映どす。本作のアルゼンチン・スペイン合作映画をば、配給しやはるのは「Action Inc.」はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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スペインとの合作やけど、基本的にはブエノスアイレスを舞台にしはったところの、アルゼンチン映画でおます。アルゼンチンと申しますれば、「瞳の奥の秘密」(8月10日付けで分析しておます)が、2010年度のアカデミー賞外国語映画賞をばゲットしはりました。

その「瞳…」のチョー・シリアスとは違いよりまして、本作はペーソス・モード、でもって日本の「寅さん」「男はつらいよ」シリーズ(1969年~1995年製作)みたいな人情節を、アルゼンチン流儀でフワ~ンとカンジさせてくれはります。

チョイというか、すみまへん、だいぶ話は逸れますが、ボクチンが小学校の頃でおました。先生が問題を出し、この首都が分からなければ、男とは違うぞ、と言わはって、それで、ある生徒が「アルゼンチン」と答えはりました。答えは西ドイツの首都「ボン」なんやけど、この答えは、誰もナンも反応せえへんかったけど、ボクチンのココロに深~いオモロサを刻みよりました。

それからどす。サッカーのマラドーナ監督やら、ミュージカルや映画の「エビータ」(1996年・アメリカ映画)やらが有名な、アルゼンチンが出てくるたんびに、そのエピソードをば思い出すんでおますよ。これはトラウマかもしれまへんな~。

そして、そんなエピソードにふさわしい映画が、ボクチンにとってはコレでおましたのどす。但し、ゆうときますけども、本作にはアルゼンチンのチンから連想されるような、ヤラシー・シーンはいっさいござりまへん。

若社長が君みたいなアナログ派はいらんねんと、定年間近で「やすらぎ霊園」の事務職をば、リストラされはったヒロインの物語でおます。

30年分の退職金も払ってもらえず、20年間やってたお手伝いの副職も同時になくなり、一方で、夫と娘を亡くしてしもたあと、ずっとかわいがってたネコちゃんが死んでしまいます。不幸がいっぺんに襲いかかってきよりました。

ああ、おばちゃん、一体、これからどないしやはるのん? なのですが、この暗くて暗くて暗い話にしかなりそうにない話が、おおっと、少々のコミカル・モード入りで、前向きヒロイン・ドラマ映画の快作へと様変わりしてゆくのどすえー。ビックラこきました。

詳しくは申し述べませんが、そのドラマ的・ストーリー的流れに、ぜひ身をまかせてみなはれ。ボクチンとしては、男が答えるべきやとゆう「アルゼンチン」の、サプライズと同じ妙味をカンジよったのでおますよ。

市川崑監督の「おとうと」(1960年)やら「フラガール」(2006年)なんかで使われた、「銀残し」とゆう撮影・編集方法が本作では採用されておます。テカリ感とか、その何やら、いぶし銀を色にしてみたようなとこがよろしおます。

哀愁のスパニッシュ・ギターやらアコーディオンやらのサントラ使いも、エエ感じどしたえー。

2010年10月11日 (月)

ミシェル・ファイファー主演映画「わたしの可愛い人-シェリ」

ミシェル姉さんが、年下の男のコとのラブをばキメはりました

「プリティ・ウーマン」やら「ゼロの焦点」やらとは違う、娼婦がイチバンヤーの時代があったやなんて…

http://www.cetera.co.jp/cheri/

オクトーバーは10月、サタデーは16日から、東京はBunkamura ル・シネマにてロードショーでおます。その後、関西へと回りまして、大阪は梅田ガーデンシネマ、京都は京都シネマやらで、全国順グリの上映どす。本作のイギリス・フランス・ドイツ合作映画を配給しやはるのは、セテラ・インターナショナルはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸTiggy Films Limited and UK Film Council 2009 All Rights Reserved

娼婦がトンデモネーくらい、ハバをばきかせて上流階級やった時代の話やなんて、そんな時代がホンマにあったんかいなーと、疑いの視線が集中しそうでおますが、間違いござんせん。

ちょっとの間やったとはいえ、ホンマのホンマにあったんどすえー。フランスはパリのベル・エポックの時代らしいどすわ。19世紀末期から20世紀の初期の頃でおます。

同じ娼婦でも、アメリカやら日本やらとは、接し方や描き方にでっかい格差がござります。例えば、アメリカなら「コールガール」(1971年製作)や「プリティ・ウーマン」(1990年)とか、日本なら「赤線地帯」(1956年)とか「ゼロの焦点」(1961年・2009年)やら、ヒロインは娼婦とゆう生き方に対し、プライドのカケラもござりまへん。

ところがどっこい、本作では真逆でおます。そんな誇り高き高級娼婦に、ミシェル・ファイファーのネーさんが扮しはりました。

でもって、元高級娼婦役で友人のキャシー・ベイツはんから、20歳以上も年下の息子はん、シェリ役のルパート・フレンド君を紹介してもらわはります。で、さっそくクローズアップのキス・シーンから、ベッド・シーンへと展開しやはるのどす。で、6年間も同棲生活しやはります。

でも、その6年後に、オカンは孫が欲(ほ)しゅうならはりまして、息子はんに嫁はんを世話しやはるのどす。息子もミシェルネーさんもコレを受け入れはるのどすが、でも、2人の愛は終わらへんとゆう話をば展開させはります。

歳の離れた者同士の恋愛映画で、女が年上のケースは、これまでにもたくさんござりましたが、本作ではミシェルネーさんの大人な女優ぶりと、ルパート君の甘やかなイケメンぶりの対比によって、ありそでなさそな現代性を出してはります。

そやから、19世紀初めを舞台にした、フランスの文学小説(コレットの「シェリ」でおます)を原作にしていながら、暑苦しげな歴史ものとか、気難しげな文芸もののイメージはござりまへん。

共にキャリアがある、ミシェルネーさんとキャシー・ベイツはんのやり取りにも、渋みがあります。「お互いによく働いたわね」のセリフなんか、女優生活を振り返ってはるようにも聞こえます。キャシーはんのセリフ「10月になっても暑いわね。異常気象よね」なんて、現代にも通じるでおましょう。

さて、最後に、フランスが舞台なのに、フランス語セリフやなく、英語セリフなのは、少々気になりました。けども、基本的には英語圏での上映をもくろんではりますんで、これでいいのでおましょう。

しかも、前作の「クィーン」(2006年・イギリス映画)が、アカデミー賞主演女優賞(ヘレン・ミレンはん)受賞含め、6部門にノミニーされはった、スティーヴン・フリアーズ監督の新作どすから。いずれにせよ、注目度の高い作品でおます。

2010年10月10日 (日)

ハリウッド・オールスター映画「エクスペンダブルズ」

シルベスター・スタローン、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー、ミッキー・ローク、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ジェイソン・ステイサムの各アニキとゆうたら…

そうでおます。肉体アクション系ハリウッド男優はんの、「ロッキー」以降の系譜でおまっせー

http://www.Expendables.jp/

オクトーバーのサタデー、10月16日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。本作を配給しやはるのは、松竹はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 ALTA VISTA PRODUCTIONS, INC.

ハリウッドのドル箱俳優の売れてるどころが、ドッカーンと集まらはって、大アクションやら、何やかんやと暴れまくらはります映画でおます。

こういう映画はかつては、いっぱいござりました。で、日本でも大ヒットしておったのでおます。

でもでんな、何やら最近の日本では、洋画がドッカ~ンとは当たらんような状況になっておまして、ハリウッドはんもえらい難儀してはります。

全世界的にヒットした「アバター」(2009年製作)やら「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)やらは、日本でもそれなりにヒットはしよりました。

但しでんな、それらは3Dとゆう新しい波に乗ったもんどした。3Dが今後、なんぼのもんになり、ドル箱やら、お払い箱になるやらは未知数どすけども、でも、本作は生身の肉体をば駆使しはったとゆうか、まあ、一部はそら、スタントマンもいてはるかもしれまへんけども、肉体派アクション系のオールスターをば思いっきり揃えはって、3Dに優るとも劣らへん、臨場感をば出してはります。

しかも、見出しにも書きました通りでおまして、カラダを張るアクション俳優たちの、本作の主演・監督シルベスター・スタローンアニキの、デビュー作やった「ロッキー」(1976年)以降の系譜にもなっておます。

でもって、ハリウッド映画らしいトンデモネー、バクレツ系どす。全員死んでもおかしゅうないのに、誰も死んどりまへん。でもって、見終わったら、スッキリさわやかになれてまう作品性やでー。

今までどれだけボクチンは、こういう映画を見て、失恋やらの傷心を吹き飛ばしてきたか。また、デート・ムービーとして、どんだけ活用してきよったか。そら、モノゴッツーな回数にのぼりよりますでー。

今はボクチンは主にマスコミ試写室で見とるけど、間違いありまへん、彼女や彼氏と見に行く場合は、絶対に欠かせへん作品性があると断言いたします。これぞ、正統のハリウッド映画のお手本でおます。

さてはて、かつては大ヒットの要であった、こういうハリウッド映画が日本で、バカスカとヒットせんようになった理由とはなんやねん、でおます。

最近、邦画のシェアが洋画のソレを上回ってる現状やらがござります。コレらについては、映画雑誌の老舗「キネマ旬報」やらが、緻密に分析してはります。

ボクチン的に申しますと、今の若い人たちをゾッコンにしてまうような、ハリウッドのニュー・スターが登場してへんのが、問題やないかいなと手前勝手に思いよります。

アクション・ジャンルでゆうたら、シルベスター・スタローンやらブルース・ウィリスやらとゆうたって、今の10代・20代の若者たちにとっては、どないなもんなんでおましょうか。ジョニー・デップやらが人気らしいどすけども、ジョニデももう若くはおまへんで。

とにかく、見てもらうしか、その魅力を分かってもらえる方法はござんせん。大ヒットしそうな日本映画を、見たあとでも構いまへん。その次にはぜひ、こういう作品をご覧くだされ。

2010年10月 9日 (土)

蒼井優&岡田将生の恋愛時代劇「雷桜」

「かみなりざくら」やありまへん。「らいおう」でおます。

「もののけ姫」みたいな優ちゃんが、「オレは…」なんて叫ばはります

http://www.raiou.jp/

10月オクトーバーは、フライデーの22日から、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、全国東宝系ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「雷桜」製作委員会

江戸時代の徳川将軍家の息子はんと、山で生きてはる野生児娘はんが、恋に落ちるとゆうお話でおます。

身分違いの恋とゆうのんは、映画ではイロイロと披露されてきよりました。でも、こういうニッポンの時代劇のノリで、描いてみはったのは、かなり珍しおます。

名作「七人の侍」(1954年製作)でも恋模様はござりましたし、ボクチンが見たなかで思い出しましても、だんなはんと下女の恋「隠し剣 鬼の爪」(2004年)の差くらいまでやったんやないかな。そやから、本作の身分差は相当なもんがござります。

しかも、岡田将生クン演じる、病身がちの草食男子系将軍候補と、「オレは」なんて言う男っぽい、男オンナな蒼井優ちゃんの恋やなんて、21世紀の今どきの恋と、そない変わらんかったりしよります。

特に、この優ちゃんの演技ぶりには目を見張らせます。写真の3枚目をご覧くだされ。これって、まさに「もののけ姫」の実写版の趣きどす。

1枚目の写真のように、馬にまたがり野山を駆け巡る、アクションなんてのは当たり前でおます。

オールド日本映画のファンやったら、ピーンとくることでおましょう。そうどす、美空ひばりお嬢やら、志穂美悦子ネーさんやらを、グググーンと思い出させてくれはります。

しかもでんな、この種の時代劇ではパターン化してる役柄、女剣士やとか、オンナ隠密の「くのいち」とかやない、オリジナルなキャラクターをば造形してはります。

時代劇感のない現代性においては、まるで大ヒットしてる「ハナミズキ」(8月7日付けで分析済みでおます)のようなノリさえござります。

時代劇は初めてやけど、廣木隆一監督の現代劇の恋愛映画センスが、遺憾なく発揮されたんやないやろか。

菜の花畑や、雷にうたれた桜をバックにした自然のなかの、2人のデート・シーンの描出やらも印象的どす。雨の日デートで、優ちゃんが「オレは…」なんて叫び、岡田クンにも叫んだらすっきりするよと、促すシーンなどもココロに残ります。

オキナワ・ロケをしたとのことどすが、本土にはないもんが映されてしまう危険性もあるのに、時代性を出すための執念をば感じたましたどすえー。

でもって、監督お得意の1分くらいの長回し撮影や、絵画的なロングショットを小刻みに挟みつつ、優ちゃんの泣きのクローズアップや岡田クンのアップを、ここぞとゆう時に繰り出さはります。

「卒業」(1967年・アメリカ映画)のように、お互いが相手の名前を呼び合うシーンの衝撃に加え、ラストには、オーそうきまっかとゆう、サプライズが用意されておますんで、楽しんでおくんなはれ。

2010年10月 8日 (金)

日本映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」

ミステリー・パロディ&ゲーマー感覚ノリの、閉じられたor閉ざされた設定のミステリーでおます

時給11万2千円設定のバイトやなんて、あるワケないやん

http://www.incitemill.com

オクトーバー10月のサタデー16日から、全国ロードショーでおます。大阪やったら、梅田ピカデリーやらで上映だす。本作の配給はワーナー・ブラザース映画はんどすえー。

文=映画&ミステリー小説分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」製作委員会

本作は、ストレートに申しよりますに、孤島ミステリーとか館ミステリーとかをルーツにしておます。

孤島とか館は閉じられておます。つまり、そんな場所に人が集まりまして、殺人事件やらが次々に発生しよります。

1例を上げますれば、孤島でみんな死んでしもて、一体全体、犯人はホンマにおったんかいなーを示した、アガサ・クリスティのミステリー小説「そして誰もいなくなった」でおましょう。

本作は、米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)のミステリー小説が原作となっておます。

いわゆる、日本のミステリー小説の系譜でいいますと、この種のタイプは大昔からござりまして、例えば江戸川乱歩作品では、「パノラマ島奇譚」やら「孤島の鬼」とか、今1人の横溝正史御大を引用しよりますと、「獄門島」やらがござります。

でも、本作みたいに、シチュエーションにこだわり、警察がいないとゆうリアリティーのないような、ある種のSF的設定となればでんな、少々違う新しいタイプでおます。

そして、それは、おそらく、1980年代に登場した新本格ミステリー作家のスパイスが、まずござります。例えば、綾辻行人(あやつじ・ゆきと)の「霧越邸殺人事件」なんぞに顕著でおます。

でもって、今1つの重要なスパイシー、重要作は高見広春(たかみこうしゅん)原作の「バトル・ロワイアル」どす。

コレは映画化もされて大ヒットし、今秋には3D上映もされるとゆう、日本映画界においても、エポック・メイキングな作品となっておます。

小説「バトル・ロワイアル」は、ゲーム感覚の殺人事件を、日本のミステリー小説史上初めて描いたものでおました。このゲーマー感と、従来の閉ざされた世界とのシンクロを狙ったのが、本作の原作なんどすえー。

しかも、過去の古典的名作、特に海外ミステリー小説を中心に、思いっきり映画設定のなかに、オマージュチックに入れてはります。

例えば、藤原竜也アニキの凶器では、コナン・ドイルの「まだらの紐(ひも)」、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」、アガサ・クリスティはモチ、密室殺人の巨匠やったディクスン・カー作品やら、ゴリゴリのミステリー・ファンにもソキューしよります。

さて、本作のバイトのことでおますが、時給11万2千円でおまして、それにつられて、どないな仕事かも関係なしにでんな、10人が集まりました。

でもって、殺し合いが始まるっちゅうことやなく、みんなが密室設定の閉じられた建物内で7日間の共同生活をしやはるだけなんどす。

ところが、8つのルールなんちゅーのんがあり、殺し殺され、それを推理する探偵役とか、いろんな立場になればポイントが加算されよるのですわ。

つまり、11万2千円の倍のボーナス・ポイントがもらえるとか、そんなんがあって、じっとしとくだけで、7日分のバイト料をもらえんのに、殺人が次々に起こりよるのですわー。人間の欲望には、限りがないとこをば描かはるのどす。

謎めきはそんなにないんやけど、サプライズがある綾瀬はるかチャン、エキセントリックな演技で魅せはる石原さとみチャン、最後まで冷静系を貫かはる北大路欣也御大やら。で、やっぱ、「バトル・ロワイアル」(2000年製作)やら「カイジ 人生逆転ゲーム」(2009年)やらで、命懸けのゲームづいてはる、藤原竜也アニキの妙演技ぶりどす。

ボクチンは洋画的には、特殊設定サスペンス「CUBE」(1997年・カナダ映画)やら、「トゥルーマン・ショー」(1998年・アメリカ)やらのセンスもカンジよりました、どすえー。

2010年10月 7日 (木)

菊地凛子主演スペイン映画「ナイト・トーキョー・デイ」

「ノルウェイの森」がますます楽しみになってきよりました、菊地凛子ネーさんの、大胆ホンポー演技でおます

東京を舞台に、外国人監督が撮らはった妖しい作品どすえー

http://www.night-tokyo-day.jp/

10月オクトーバーの9日サタデーから、大阪のシネ・リーブル梅田やらで公開後、全国各地順グリの上映どす。本作の「R15+」指定映画を配給しやはるのは、ディンゴはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2009 MEDIAPRODUCCION, S.L. / VERSATIL CINEMA, S.L.

外国人監督が東京を舞台に撮らはった映画でおます。

この映画の系譜で言いよりますと、小津安二郎監督に捧げはった、ヴィム・ヴェンダース監督「東京画」(1985年製作・西ドイツ映画)あたりから始まっておます。

今年公開分やったら「エンター・ザ・ボイド」(5月5日付けで分析済み)がおます。「バベル」(2006年・アメリカ)なんぞにも、東京ロケ部がござりました。

日本の各所を舞台にしたのやったら、広島の「二十四時間の情事」(1959年・フランス&日本)なんぞが、本作の恋愛部とシンクロするやもしれまへん。

但し、本作はスペインのイザベル・コイシェとゆう女性監督の作品でおます。

そやから、女性監督ものとしては、アメリカのソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年・アメリカ)との違いやらを、分析する必要がござります。

ビジター同士のラブやった「ロスト」に対し、こちらは日本人とスペイン人のラブラブでおます。しかも、菊地凛子ネーさんが扮しはる女暗殺者と、そのターゲットとなるスペイン人俳優のセルジ・ロペスはんのラブとゆう、なかなかヒネリを加えた設定でおます。

「ロスト」の東京描写よりは、スシの女体盛りの外国人接待など、多少違和感のある日本描写がござりますけども、外国人監督の目線を経ての描写やだけに、ストレートに描かれへんとこは、なるほどなと思わせはります。

そして、菊地凛子ネーさんのキャラクター造形には、オリジナリティーがござりました。ナゾめいたヒロインのドラマでおます。

築地市場で「考えないための仕事」としてパートで働き、闇の暗殺依頼も引き受けるとゆう、昼と夜の顔が違う2面性。で、暗殺のオファーでおますけども、「第三の男」(1949年・イギリス)を意識しはったかのように、遊園地で受けはります。

そんな妖しいとこらを、凛子ネーさんとラーメン屋で知り合った田中ミン(漢字が出てきよりまへんけど、サンズイヘンに民でおます)のおっさんによる、妖しさを増すようなナレーションにて見せてゆかはります。

「ニキータ」(1990年・フランス)なんかの女アサシンものより、ネジレ系でおましょうか。何せ1度暗殺依頼を受けた仕事を、ターゲットと恋に落ちてしもて、依頼を断らはるんどす。そんな暗殺者みたいなん、これまでの映画では描かれておへんで。

加えて、「バベル」の時の凛子ネーさんより、「R-15+」指定が示す通りでおまして、より大人になって進化したような、ヤラシー演技で魅せてくれはります。

窓にセピア照明が流れる、地下鉄仕様のラブホの造形に加えよりまして、日本の1950~1960年代の、タンゴ風カヨー曲やら、メランコリックな曲を掛けて、そそらせてくれはる演出ぶりがエエ心地どした。

いや、このカンジどしたら、年末公開の「ノルウェイの森」では一体、どないな演技をば披露しておくれやすんやろ。ホンマ、楽しみどすえー。

2010年10月 6日 (水)

日本先行公開ドキュメンタリー「アイルトン・セナ ~音速の彼方へ~」

セナはなんで死なはったんか? そのナゾは一体、どないやったんか? 

ほぼセナ視点でのビビッドな、カー・レース映像がナゾを深めよりますでー

http://www.senna-movie.jp/

オクトーバー10月の、フライデーは8日から、全世界最速の日本全国各地ロードショーでおます。関西やったら、TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップ、TOHOシネマズ西宮OS、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ泉北、TOHOシネマズ橿原やらで上映どす。本作のイギリス映画を配給しやはるのは、東宝東和はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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©2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED. PhotographerAngelo Orsi

セナ・アニキの妹はんやら、永遠のライバルやったアラン・プロストのアニキが仕切ってはる「アイルトン・セナ財団」公認の、セナ・アニキ生誕50周年をメモワールしやはったところの、ドキュメンタリー映画でおます。

この財団は、セナ・アニキがレース中にクラッシュして死んでしもた、1994年5月1日の翌年に作られておます。

さてはて今、長引く世界的な不況とゆうのは、聞き飽きたカンジどすけども、クルマ業界が不況のなか、トヨタやらがF1から撤退しとる今、セナ・アニキを追悼するような映画に、どのような現代的な意味合いがあるんでおましょうか。ある方は言われるやもしれまへん。

確かに、ボクチンも、その種のドラマ映画を見るだけで、カー・レースのファンでもないし、セナ・アニキの名前はモチ、知っておましたけども、たぶん、結局のとこ、セナの追悼&PR映画になるやろなー、と危惧しておました。しかし、その予想ははずれましたんでおます。

ボクチンは本作を見もって、いろんなカー・レース映画をアレコレ思い出しておました。「グラン・プリ」(1966年製作・アメリカ映画)やら「栄光への5000キロ」(1969年・日本)とか、「レーサー」(1969年・アメリカ)とか、トム・クルーズ主演の「デイズ・オブ・サンダー」(1990年・アメリカ)やら。

本作は1984年から1994年までのセナ・アニキの戦いぶりを、メインに追いかけはるのどすが、おそらく、F1の戦いぶりを本格的に描いた映画といたしましては、シルベスター・スタローンのアニキが主演しはった「ドリヴン」(2001年)が、本作を見るための参考映画としては、DVD化もされておますんで打ってつけやろと思います。

F1がどういうシステムで、どういう風な戦いを経て優勝できるのかとか、ポールボジションやらイロイロ出てきよるカー・レース用語やら、本作では何の解説もござりまへん。

ところが、分かりやすいんでおますよ。10年にわたる戦いのなかで、イロイロあるエピソードや勝負の駆け引きみたいなシーンもオモロイし、まあ、何とゆうても、クライマックスとなるセナの事故死でおましょう。

サイドにビデオカメラを据えての、ほとんどセナ視点と言っていいこのシーンは衝撃もんどしたえー。そこへいくまでの描写もスゴイ。とゆうのんは、それまでセナ・アニキのインタビュー・カットのアップ・シーンを、タイトに挿入してはりましたんやけども、事件前の重要なシーンでは、不安そうな表情を映すスクリーンはみ出しのクローズアップが、多投されよるんでおます。

撮りおろしのシーンはほとんどござりまへん。これまで撮られたフィルムを発掘し、編集し、新録のインタビュー音声を適宜入れてゆくとゆう作りどす。それやのに、特筆もんのハラハラドキドキワクワクがござりました。何やら、そこはかとなく、ドキュメンタリー映画の新しいウェイヴをカンジよりました。どすえー。

2010年10月 5日 (火)

韓国・フランス合作映画「冬の小鳥」

宮崎駿アニメに出てくるみたいな、コリアンのかわいいー少女ヒロインものでおます

しかも、ホンマのホンマに泣ける映画どしたえー

http://www.fuyunokotori.com

神無月は10月の9日サタデーから、東京は岩波ホールでロードショーでおます。でもって、その後、10月23日から、大阪・梅田ガーデンシネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリの上映どす。本作を配給しやはるのは、クレストインターナショナルはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Copyright DCG Pius & NOW Films, GLORIA Films. All Rights Reserved.

嗚呼(アア)、ホンマに泣ける映画どした。しかも、観客のみなはんを意図的に、泣かしたろかいなーなんてカンジはござりまへん。あくまで、自然体どす。

ベトナム戦争への派兵による、後遺症が残っておます、1975年の韓国が舞台でおます。

ソル・ギョングはんが扮しはりますオトンと、写真上と写真下の、向かって左に映ってる娘はんが、2人だけで住んではりました。冒頭から、オトンとの交流を映さはります。

でも、オトンには何ぞやましいとこが、ござるのでおましょうか。カメラはオトンの顔をば、なかなか映さはりまへん。

でもって、オトンは娘はんを孤児院へ連れていかはります。で、顔もマトモに映されないまま、何も言わずに去らはりました。

娘はんは、この現状が納得できよりまへん。ここに遊びにきただけやんと、長い間、ムクれてはりました。でも、写真下の右側に映ってはる、ネーさんとの交流で徐々に、現実を受け入れてゆくのでおます。

孤児院には、最年長のコ・アソンのネーちゃんもいてはります。コ・アソンちゃんと申せば、「グエムル 漢江(ハンガン)の怪物」(2006年製作・韓国映画)で、怪物にさらわれはった、哀れな過去がござりました。本作でも、悲しい場面がござります。

さてはて、泣ける映画とゆうのは、いろいろとタイプがござります。

本作は少年・少女もので、ああ、かわいそうやん、もう見てられへんわーの系列に入るのでおますけども、決してお涙チョーダイ節ではござりまへん。

また、感動的なオーケストラ・サウンドトラックをば掛けて、涙を誘うとこもござりまへん。冒頭とラストロールで、静かにピアノ・ソロを流す程度でおます。

ただ、少女ヒロインに寄り添って描かれるだけでおます。それやのに、泣けてしまう仕掛けは、特筆もんどす。

作品性について、申し述べよりますと、宮崎駿アニメの前向きな、少女ヒロインものの感覚はあるやと思います。

特に泣きの部分でゆうと、スタジオジブリ・アニメ系でいえば、「火垂るの墓」(1988年・日本)でおましょうか。第三世界でよく描かれる少年・少女ものの感覚もござります。

さらに、言いますと、「禁じられた遊び」(1952年・フランス)なんぞのセンスも入っておます。また、作品資料にもありますが、ヌーヴェル・ヴァーグ映画「大人は判ってくれない」(1959年・フランス)とか、フランスの少女ヒロイン映画「ポネット」(1996年)とかの作品性とも、もちろん通じよります。

そして、ポジティブに生きていこうとする少女ヒロインの、ラストのアップ・シーンは感動的でおました。思わず、嗚咽(オエツ=むせび泣き)どした。

2010年10月 4日 (月)

フランス映画「プチ・ニコラ」

マジメないたずら少年たちの、チョー勘違いの物語やー

「地下鉄のザジ」やら「アメリ」やらに通じる、フレンチ・エスプリの、ポワワ~ンなユーモア映画でおます

http://www.petitnicolas.jp/

オクトーバー10月9日サタデーから、東京・恵比寿ガーデンシネマ、大阪・梅田ガーデンシネマやら、京都シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。本作を配給しやはるのは、コムストック・グループはんと、フェイス・トゥ・フェイスはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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(c) 2009 Fide'lite' Films - IMAV E'ditions - Wild Bunch - M6 Films -
Mandarin Films - Scope Pictures - Fide'lite' Studios

1959年から1960年代前半にかけて発表された、同名の絵本が原作になっておます。

そのフランスらしいコドモ映画のセンスは、例えば、ほぼ同じような時代を背景にした、アメリカの「スタンド・バイ・ミー」(1986年製作)やらとは、随分と違(ちご)ておます。

シリアスかシリアスでないかやなく、つまり、イタズラのセンスとでも申しましょうか。

少女がポワワ~ンと大人たちを悩ます「地下鉄のザジ」(1960年製作・フランス映画)であったりとか、オドレイ・トトゥちゃんのイタズラ映画「アメリ」(2001年・フランス)やらの、悪意なき無垢のイタズラとでも申しましょうか。

でもってでんな、スペイン映画に「汚れなき悪戯」(1955年)なんて名作もござりますが、そこで描かれたシリアス・スタイルやなく、あくまでエスプリとユーモア・モードで突き進まはるのでおます。

吹き出しカットで夢想する少年とか、将来強盗になりたい少年とか、告げ口好きの少年とか、いろんなタイプの少年たちを、主人公ニコラ君のナレーションで、まずは紹介しやはります。

ニコラ君の両親も紹介され、ニコラ君、マザコンとちゃうのん? なシーンもござります。で、弟ができよると勘違いしたニコラ君は、弟に両親の愛を取られてまうと、さらなる勘違いをし、仲間を集めていろんなことをばやらはります。

家の大そうじをするゴマスリ作戦では、飼い猫のペルシャ猫まで、ランドリーに入れてしまわはります。

さらに、まだ産まれてもいてへんのに、弟を誰かに誘拐してもらおやないかいな、なんてアホな作戦を実行しようとしやはります。それも、勘違いの連続で、トンデモナイ方向へ話がいってしまいよるのどすえー。

そうでんな、本作のニコラ君は「クレヨンしんちゃん」みたいに見えよりましたでー。

また、家族ドラマ部もユーモアにあふれとりまして、特にオトンの会社の社長夫妻を自宅に招くシークエンスなんか、いろんな勘違いのシンクロナイズで笑かしてくれます。でもって、映画の最後の最後まで、勘違いサプライズが待っておりま。

サントラもフレンチらしさがござります。バイオリンをベースに、エレクトーン、ブラス、打楽器なんぞを入れてはりますが、特にフレンチっぽいアコーディオンが特注だす。ラストロールもフレンチなポップ・ナンバーでシメはるよってにね。せいだい楽しんでおくんなはれ。

2010年10月 3日 (日)

日本映画「死刑台のエレベーター」

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ルイ・マル監督のオリジナル版と、どない違うのか?

吉瀬美智子ミッチー姉さんと阿部寛のアニキ、北川景子ケイちゃんと玉山鉄二テッちゃんの、2組の話がシンクロナイズド・スクリーンでおます

http://www.shikeidai.jp/

神無月10月は土曜の9日から、全国ロードショーでおます。関西やったら、大阪・梅田ブルク7、敷島シネポップやら、T・ジョイ京都、神戸・三宮シネフェニックスやらで上映どす。本作を配給しやはるのは、角川映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2010「死刑台のエレベーター」製作委員会

本作は、名匠・緒方明監督の初のサスペンス映画どす。ルイ・マル監督の名作「死刑台のエレベーター」(1957年製作・フランス映画)のリメイク版でおます。

オリジナルのモノクロをカラーにしはって、モーリス・ロネ役を阿部寛のアニキが、ジャンヌ・モロー役を吉瀬(キチセ)美智子ネーさんが演じはりました。

オリジナル版と申せば、シンプル・イズ・ベストに2人の演技に集中しはって、モノクロらしいけだるい感も出さはって、そんなけだるさが、何ともいえん映画的雰囲気をば出してはる作品どした。

片やコチラは、主演の2人パートだけやなく、玉山鉄二のテッちゃんと、北川景子のケイちゃんとゆう、もうひと組の若者カップルの話を入れはって、オリジナルとは違う感覚をば映像化しはりました。

この玉山テッちゃんとケイちゃんのシーンは、言いすぎかもしれまへんけども、アメリカン・ニューシネマな自暴自棄なノリがござります。さらに、ヤクザたちの抗争と申しますか、かつての日本のヤクザ映画なノリも、ほんのり入っておます。

チョイ欲張りなとこもござりますが、それらの話が、犯人側から描く倒叙ミステリーのスタイルを取りつつ、サスペンス感をもって進行していくのどす。

ボクチンがマスコミ試写室で、この映画を見てる時どすが、テレビの2時間ドラマとの違いをば探っておました。やはり、名作映画のリメイクなだけに、映画的でないと困ります。でも、そのあたりは心配ご無用でおます。映画としての威厳をば備えてはりました。

犯行後にエレベーター内に閉じ込められてしもた、阿部寛アニキのシークエンスどすが、モーリス・ロネの閉塞感やら切羽詰まった演技には及ばずとも、ロネ以上にいろいろやってはるとこをみせはって、なかなかの健闘ぶりどす。

そこへ、寛アニキをじりじりと待つ吉瀬ネーさんサイド、カー・アクション含むテッちゃん&ケイちゃんサイドが、バランス良く配置されます。

ダークな海、ブルー・セピア・グリーンのCG描写、写真現像室のレッドな感じなど、配色にも映画的な作りを施してはりますよ。

イントロの「愛してる」のセリフが、ラストには「彼はいない、老いてゆく」となる、サスペンス映画の哀愁感を示す、セリフやらにも注目どすえー。

映画史に残る映画のリメイクどすが、同じくフランス映画でサスペンス映画やった「太陽がいっぱい」(1960年・フランス&イタリア)の、ハリウッド・リメイクで故アンソニー・ミンゲラ監督作「リプリー」(1999年・アメリカ)なんかと同じく、仕上げは良好なんやないかいなと思います。

2010年10月 2日 (土)

木村拓哉主演声優アニメ映画「REDLINE」

「ハウルの動く城」に続くキムタクの声優ぶりは、「ルパン三世」のノリやんけー

「鉄コン筋クリート」よりアイドル声の、蒼井優ちゃんと絡みよるでー

http://www.red-line.jp/

10月9日のオクトーバーなサタデーから、全国ロードショーやでー。関西では、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹やらで上映でおます。本作を配給しやはるのは、東北新社はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 石井克人・GASTONIA・MADHOUSE/REDLINE委員会

木村拓哉キムタクのアニキが、声優で主演しやはりました。

キムタクの声優ぶりと言いよりますと、まず頭んなかに浮かぶのんは、宮崎駿アニメ「ハウルの動く城」(2004年製作)でおます。

アレはどっちかってゆうと、なにやら着飾って、カッコつけてはるような声でおました。でも、本作は違いますでー。

ホンマのキムタクらしいヤンチャぶりにして、荒っぽいワイルドな声を出してはります。ああ、コレは間違いのう、キムタクの声やーってカンジでおますか。

「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)も宮崎アニメでおましたが、その時の名声優・山田康雄のアニキがやったルパン三世の声をば、ふと思い出させてくれはりました。これはかなりのもんでおます。

でもって、キムタク声に絡む人たちのことでおますが、蒼井優ちゃんがまずいてはります。

優ちゃんは「鉄コン筋クリート」(2006年)やらで、本来の蒼井節とも言える、エキセントリックな声を出してはりましたけども、本作は違いますでー。

おしとやかとゆうたら、誉めすぎかもしれまへんけども、おっとりのアイドル声をば出してはります。

「ニライカナイからの手紙」(2005年)の頃の、優しい優ちゃん節どすえー。「雷桜」(10月22日公開・後日分析いたします)との演技性の違いも、声優ぶりとの比較で味わっておくんなはれ。

そして、浅野忠信のアニキやー。忠信のアニキは、いつもの実写映画の声より太めっちゅうか、野太い声を出してはります。そやから、ボクチンは最初は忠信アニキの声やないように思いましたけども、間違いなく忠信アニキのもんどす。アニキも、作品に合わして声を作って演技してはるんですわ。

さて、映画そのもんについて申し上げますと、スピードフルなカー・レース・アクションをメインにしはったもんどす。

そこに、かつての東映アニメ的な、ロボ・アニメチックなところをば付加してはります。また、「アニマトリックス」的なとこもござります

手書きアニメなもんで、そのスピード感に付いていけへんようなとこがあるんどすけども、ボクチンは年取っておますんやけど、10代、20代の若人(わこうど)はんにとっては、そんなん、ヘのカッパやと思いますで。

色使いは薄い色合いでおますし、原色と水彩画の中間ってなカンジやから、スピードに付いていけへん人でも、目には優しいハズどす。

脱色・テカリやボカシの淡色などもあるし、原色もあるけど、いろんな色を使ってはるんで、薄カラフルな配色が心地いいことでおましょう。

2010年10月 1日 (金)

アメリカ映画「シングルマン」

グッチやらイヴ・サンローランのデザイナーやった、トム・フォードのアニキの映画初監督作品どす

計算されまくった配色の妙、アート感覚にしびれよりましたでー

http://singleman.gaga.ne.jp/

10月オクトーバーの2日サタデーから、東京・新宿バルト9やら、大阪・梅田ブルク7やら、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やら、全国ロードショーでおます。本作を配給しやはるのはギャガはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2009 Fade to Black Productions, Inc. All Rights Reserved.

見出しの通りでおまして、トム・フォード監督のアニキが、メッチャアートな作品を仕上げてきはりました。

芸術映画を志向して作られておますんで、その色合いの妙味をぜひ楽しんでおくんなはれ。

最初は薄ーい色合いで主人公サイドが描かれよるんどすが、コリン・ファースのアニキ演じる主人公が、ジュリアン・ムーアのネーさんやら他の人と絡むと、その人を映す場合だけは明るい画像になるんどす。アラマ、不思議どす。

下の写真を見ておくんなはれ。なんじゃ、こら、でおましょう? 本作は1962年のロサンゼルスのお話なんでおますけど、この写真は、ジェームス・ディーンを目指してロスに来た、スペインの若きイケメンと、主人公との束の間の、出会いと別れのシーンでおます。

ホンマ、タバコを吸い合うとゆう、何でもないシーンなんどすが、バックにあるんはピンクの看板でおまして、で、夕日が射しとるとゆう設定だす。で、その時のスモッグ入りの夕景・空色の描写など、今までの映画では、見たことがあれへんような色合いが見られよるんどすえー。

とにかく、主人公のキモチを映す、24時間ドラマに合わせた色使いに、フツーの監督にはない才気をばカンジさせてくれはりますで。

さてはて、で、本作はどないな内容なんやなのどすが、恋人が死んでしもて傷心にくれてはる主人公の、とある1日のお話でおます。

上の写真で一緒に横たわってはる、ジュリアン姉さんが恋人やありまへん。ジュリアンはんは友達どす。実は、恋人は男なんでおますよ。

でも、その種を思い出すゲイ映画の作りとは、全然違っておりま。過去の回想シーンでは、モノクロ・シーンなども挿入されよりますが、ホンマのホンマのところを話しよりますと、主人公は、恋人のあとを追って自殺しようとしやはる映画なんどす。ホンマに自殺しやはるんか、そのあたりが大いなる問題となってきよります。

「鬼火」(1963年製作・フランス映画)なんかの自殺するまでの映画とか、愛に執着しながらも孤独な死を迎える「ベニスに死す」(1971年・イタリア)などの、作品性はあるにはあるのどすが、ほんの少しやけども違いがござります。

ホンマのホンマに暗いワケやないんどす。

ラスト・シーンに、みなはんは何を見はることでおましょうか。ボクチンは、癒やしどした。癒やしの芸術性? チョイ分からへんかもしれまへんが、あと味は決して悪うはござりまへん。

久々に見た、アメリカン芸術ヒューマン映画のケッサクどした。

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