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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2010年9月の記事

2010年9月30日 (木)

3Dアニメ「ガフールの伝説」風を感じるリアル3D

ディズニーやドリームワークスやらにはないオリジンあり! でおます

フクロウたちの世界やなんて、こんなん今までにござりまへんでー

http://www.gahoole.jp/

10月1日はフライデーから、3Dと2Dバージョンにて、日本語吹替え版と同時全国ロードショーでおます。関西やったら、大阪・梅田ブルク7やらで上映しはります。本作を配給しやはるんは、ワーナー・ブラザース映画はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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©2010 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

フクロウたちが、2派に分かれて、戦争映画をばしやはるとゆう、3D・2Dアニメ映画でおます。

まあ、なんちゅーても、フクロウなんてゆう発想は、これまでのアニメ映画史上、実写映画史上におきましても、まあ、たいていござりまへん。

このフクロウたちが空を飛ぶんでおます。でもって、大対決をばしやはります。おいおい、ホンマかいな、そうかいなでおます。

フクロウって、木の上でじっとしながら、ホーホーホーとツイッターしとる生き物とちゃあうん。そやのに、それを擬人化しはって、フクロウたちのフィクションの世界をば、作らはりました。

ディズニー・アニメやら、ドリームワークス・アニメやら、スタジオジブリを始めとしたジャバニーズ・アニメにも、なかったシチュエーションでおますよ。

フクロウの父母・兄弟妹の5人家族どしたが、とある日に、兄弟が悪のフクロウ軍団にさらわれてしまいよりました。

兄は奴隷のようにならはって、悪の男女コンビに操られよりますけども、主人公たる弟は、父のコトバにのっとりまして、正義の味方たちの元へと、逃げてゆかはります。

でもって、そこにたどり着いた主人公の話を基に、善悪の戦いが始まるとゆう展開でおます。

なんや、結局、正義と悪の戦いで、正義が勝つっちゅう、勧善懲悪の単純な話かいなと思わはる方もいてはるかもしれまへんけども、ビミョーにディズニーやドリームワークスやらの、アニメ・テイストとは違いがござります。

「ハリー・ポッター」もそうやけど、確かにアドベンチャー・ドラマとゆう点やら、少年が勇気をもって、立派に生きていかはるとこらは、相似形がおますでしょう。

ただし、そのビミョーに違う点やらは、ボクチンがズバリゆうてもなんなんで、ぜひ映画館へ行って味わって感じておくんなはれ。

色使いもお楽しみあれどす。

朝焼け・夕焼け・海のマジック・アワーな時・炎やら、セピアの緻密な配色ぶりに加えよりまして、夕日のセピア・シーン直後の白を基調としたフブキ・シーン、写真のように、ラムネ色を基調にした豪雨のなか、主人公が、マトモに飛ぶために修行してるシーンなど、色使いの妙にハッと胸が躍りよりました。

チョイ・ブルー入りのビームなシーンなんかも、炎との対比描写でココロに残りました。

そんなフクロウたちのなかで、主人公のお守り役のメス蛇「ミセスP」が、癒やしのええカンジを出してはりました。要チェックどすえー。

2010年9月29日 (水)

アメリカンSF映画「パンドラム」

2 「エイリアン」やらSF映画の、怖いノリがありまっせー

「ゾンビ」やらカルト映画の、B級ノリのホラー系も入っておまっせー

http://www.pandorum.jp/

オクトーバーは10月の、フライデーは1日から、大阪・梅田ブルク7やら、T・ジョイ京都やらで、全国ロードショー。OSシネマズミント神戸とかは、10月9日のサタデーからでおます。本作を配給しやはるのは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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地球とおんなじような惑星が発見されましたんやてー。スクープどすわー。

2010年の今も異常気象やらイロイロ危ないし、映画「2012」(2009年製作・アメリカ映画)でも危ない状況でおましたけども、本作の2174年設定やったら、もっと危のうなっとりますやろ。地球は滅亡しとってもおかしゅうないんやないかな。

そやから、地球滅亡カウントダウン状態のなか、選ばれたとゆうことになっておますが、一部の人類が、その地球みたいな星「タリス」へと移住しようとしはります。何万光年も先にあるその星目指して、その巨大宇宙船が旅立ちました。

その旅は当然ながら、何年もかかります。10年近いやもしれまへん。そこで、みんなは着くまでの間、白雪姫やらみたいに、カプセルで寝てはるんどす。

その間、餓死せんようにと、栄養剤が日々体内に注入されよります。着くまで、何とか持つような設定どす。

しかし、でおます。本編は、眠りから8年ぶりに覚醒しはった、ベン・フォスターのアニキが、おいおい、誰もいてへんやん、船内は暗いやん、なワケ分からへん状況から始まります。

デニス・クエイドはんも目覚めはりました。今、一体、どないなっとるねんとゆうことで、ファスターのアニキが広い船内を、司令室へ向かって様子をば探りにいかはりますと、アレアレ、えらいもんが現れよりましたっちゅう展開どす。

地球から宇宙の別世界かどっかへ行ったり、ミッションをする話は、不条理系の名作「惑星ソラリス」(1972年・ソ連)、ワープしてゆく「イベント・ホライゾン」(1997年・アメリカ)、宇宙でさまよう「ロスト・イン・スペース」(1998年・アメリカ)やら、B級作品をば含めましたら、そら、いっぱいいっぱい、ござります。

そういう作品群の多さのなかで、本作はおのが作品のええとこをば、果たして見せはったのでおましょうか。

はっきりと正直に申し上げますが、本作はB級映画どす。しかし、B級映画は、映画史にも残り得るカルト映画たる資格候補になります。カルト映画とは何ぞや。「エル・トポ」(9月15日付け)分析のところで、ボクチンが手前勝手に分析しておますんで、ご覧くだされ。

さて、見出しにも書きよりましたが、「エイリアン」(1979年・アメリカ)やら「ゾンビ」(1978年・イタリア&アメリカ)やら、怖~いのんが出てきよります。

ダークな宇宙船内での戦い、スピードフルなモンスター設定、短いカットの連続やらで、モンスターがどんなんか、戦いはどうゆう風に決まっておるんか、チョイ分かりにくいとこがござります。でも、コレらは見とったら大たい、雰囲気的には分かるようになっておますんで、ダイジョブだす。

ラストには、「タイタニック」(1997年・アメリカ)的な展開もおますんで、チェックしておくんなはれ。

2010年9月28日 (火)

音楽ドキュメンタリー「ベンダ・ビリリ!~もう一つのキンシャサの奇跡」

ボクシングだけやおまへん。コンゴ・キンシャサの奇跡は音楽にもござりましたでー

最下層階級の人たちが、大アイドルたちになる奇跡やでー

http://www.bendabilili.jp/

オクトーバー10月のサタデー2日から、大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国順次のロードショーでおます。本作を配給しやはるのは、ムヴィオラはんとプランクトンはんどすえー。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

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音楽映画はモチ、音楽ドキュメンタリー映画やなんて、そら、ものごっつーな数の映画が、今までに公開されてきよりました。

で、本作はどうゆうもんなんかと申しますると、アフリカ、つまり、アフロでおます。アフロ・サウンドを奏ではるバンドなんて申しますれば、いわゆる民族音楽、あるいは、ワールド・ミュージックの音楽ジャンルっちゅうことになります。

キューバ音楽の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(1999年製作・ドイツ&アメリカ&フランス&キューバ製作)やらが有名どすけども、そういうたぐいの音楽ドキュ・タイプは、根っからの音楽職人みたいな人たちが、出てきて熱演しはります。

ところがでおます、本作に出てきはるのは、ゴリゴリの正統派のミュージシャンやありまへん。松葉杖、クルマ椅子が手離せない身体障害者たちでおます。しかも、ホームレスでおます。

ストリート・ミュージシャンてゆうたら、日本やったら、聞こえがそれなりによろしおますけども、基本的にはキンシャサの野外で歌をば演奏し歌ってはります。練習場なんてのもござりまして、キンシャサ動物園だす。

そんな彼らが、ボクシング映画「ALI アリ」(2001年・アメリカ)でも描かれた、1974年に、モハメド・アリがジョージ・フォアマンに奇跡的に勝ってもうた、あのキンシャサの奇跡みたいに、有名になり、ブレイクするのんを捉えはるのでおます。驚きました。

音楽に国境はないとは申せ、そういうセオリーで音楽を描く場合は、これまではドラマティック性であったりとか、ある種のカッコよさであったりとか、音楽魂に満ちあふれて感動するとか、そういう体裁なんぞがござりました。

しかし、本作は、実話なんどすが、シチュエーションやキャラクターからして、今まで映画で描かれてけえへんかった、ミュージシャン・タイプなんでおます。

浮浪者が音楽やってるドラマ映画は、あったやもしれまへんが、これほど下層階級者たちの音楽サクセス・ストーリーを、描いた映画はないでおましょうな。ボクは知りまへん。

唯一の健常者の10代の若者がこのバンドに入り、空き缶で作った1弦楽器を弾き、2005年から2009年までのバンド・ストーリーのなかで、カッコイイ存在感を示さはりますし、リーダーのオヤジの誠実さや穏健ぶりにココロ魅かれよります。

人生を前向きに捉えたアフロ・フォーク、陽気なアフロ・ポップ、アフロ・ボサノバ、憧れのヨーロッパ・ツアーで披露する、「スタッフ、ベンダ、ビリリ!」と歌う熱いナンバーなど、アフロ・ミュージックも、いっぱい楽しめよります。音楽ムービーの新世界どしたえー。

2010年9月27日 (月)

筒井康隆原作SF映画「七瀬ふたたび」

「時をかける少女」原田知世ネーさんみたいに、芦名星(あしなせい)チャンの、アイドル性をば打ち出さはりました

1970年代の日本のSF小説の世界観を、見事に映像化してはります

http://www.7se-themovie.jp/

オクトーバー10月のサタデー2日から、東京はシネ・リーブル池袋やら、シアターN渋谷やらでロードショーでおます。その後、関西やったら、10月9日から大阪・テアトル梅田やらT・ジョイ京都やらで、全国順グリの上映だす。本作を配給しはるのは、IMJエンタテインメントはんとマジックアワーはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「七瀬ふたたび」製作委員会

本作は「筒井康隆作家生活50周年記念映画」と銘打たれておます。

いきなり個人的なことをば申し上げますと、筒井康隆先生は、ボクチンが卒業した同志社大学のゼミの大先輩でおまして、常に注目し続けてきた作家どす。

江戸川乱歩御大に認められはって、作家デビューしはりました。ユーモア小説、SF小説、純文学からミステリーまで、これまでに幅広いジャンルにわたる作家ぶりを示してきはりました。

でもって、1970年代どすが、小松左京のベストセラー「日本沈没」やらはありましたけども、当時日本のSF小説界はターニング・ポイントにさしかかっておました。

そんなシビアな環境のなかで、筒井先生は本作の原作をば書かはったのでおます。超能力エスパーを描く小説どすが、発表当時、ユリ・ゲラーのスプーン曲げなんかがはやっておまして、その後発表した「時をかける少女」と共に、ベストセラーとなりました。

4度も映画化されておます「時をかける少女」(1983年・1997年・2006年・2010年製作)なんやけど、本作のヒロイン七瀬が活躍する3部作「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」は、これまでにテレビ・ドラマ化や自主映画化はござりましたが、本格的な映画化作品といたしましては、コレが初めてなんどすえー。

エスパーといえども、いろんなタイプがいてはります。ヒロイン役の芦名星チャンが演じる、「サトラレ」(2001年)みたいに、人のホンネが聞こえたり、超能力者同士でテレパスポートができよるテレパス。

佐藤江梨子サトエリ姉さんがやってはる、「時かけ」的タイムトラベラー。田中圭アニキが扮する予知能力者やら、ダンテ・カーヴァーが念力で人を殺してまうテレキネシスとか、ホンマ、いっぱいいてはります。

ほんでもって、コレが人間界とはまた別のステージで、2派に分かれた超能力グループと、超能力者を抹殺せんとする敵グループの、仁義なき戦いが展開しとるとゆうシチュエーションだす。

ほら、犬猫対決の「キャッツ&ドッグス」(最新作の第2弾は8月19日付けで分析)とか、魔法使い同士の争い「魔法使いの弟子」(8月11日付けで分析)とかのノリでおましょうか。

その異世界なカンジを表現すべく、過去をモノクロにし、現在進行形のシーンでは、まだらな色彩感覚とかサーモスタットな色合いで、大文字字幕入りにて、各エスパーのココロをば伝えはります。この映画的色彩の対比効果は、本作の映画リズムをば弾ませておます。

そして、何はともあれ、初代「時かけ」の原田知世ネーさんみたいに、1980年代の良質の角川アイドル映画的な演技性を、芦名星チャンが演じ抜かはりました。立派どすえー。

3部作の残り2作品も、ぜひ映画化してほしいと思えるような仕上がりでおました。

2010年9月26日 (日)

日本映画「スープ・オペラ」

「キッチン」やらに通じよります、擬似家族による共同生活映画どす

グルメ映画ノリ、ヒロイン's映画やらのノリもよろしおます

http://www.soup-opera.jp/

オクトーバー10月のサタデー2日から、東京・シネスイッチ銀座やら、新宿ピカデリー、関西やったら、大阪・梅田ピカデリーやら、なんばパークスシネマ、MOVIX京都やら、神戸国際松竹やらで、全国ロードショーだす。本作を配給しやはるのは、プレノンアッシュはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒスープの会

オカン亡きあと、オバと一緒に住んではった、坂井真紀ネーさん扮するヒロインなんやけど、ある日、オバが若い彼氏(萩原聖人のアニキ)を連れてきはって、結婚するやなんて言わはります。

「オカンの嫁入り」(8月21日付けで分析しておます)みたいな展開どすが、加賀まりこはん扮しはるこのオバどすが、アレアレゆうてる間に、彼氏と入籍し、東京・新宿から北海道へ移住しはりました。

アラマ、1人ぼっちになってしもた真紀ネーさん。でも、写真の藤竜也はんやら、ダンス・ミュージック・グループAAA(トリプルエー)の、いっつも笑ってはる西島隆弘クンが、アレアレゆうてる間に、真紀ネーさんの自宅に、居候してはるような状況になりよりまして、いつの間にやら、3人の共同生活をばやってはります。

強引な展開どすけども、このあたりの描写は「キッチン」(1989年製作)の擬似家族ものの、共同生活ぶりを思い出しました。

さらに、見出しにも書きましたけども、いかにもおいしいスープを、みんなで食するシーンやらが出てきよります。いわゆる、グルメ映画のノリどすか。

このあたりは、藤竜也はんが中谷美紀と出てはった「しあわせのかおり」(2008年)やら、「かもめ食堂」(2005年)やら、柴崎コウ主演「食堂かたつむり」(2009年)やらのノリがござります。

真紀ネーさんは、中谷美紀や柴崎コウに負けへん、グルメ演技ぶりをば披露してはりますよ。

「食堂かたつむり」に続き、余貴美子はんの演技にも注目どすし、加賀まりこはんと藤竜也はんの、1960年代の日活映画の同窓会みたいな、コラボレート演技も渋うおました。

でもって、メイン・スタイルは真紀ネーさんのヒロイン・ドラマどす。加賀はんはもちろん、西島クンや藤はんとの絡みのなかで、意外な真相が見えてきたりするところは、オオッとくるとこがござります。家族のキズナなんぞも、ビミョーに描かれてよろしおます。

そして、コレまでの映画にないようなユニーク・ポイントどす。遊園地跡で、タンゴなどで使われるバンドネオン、バイオリン、クラリネットのトリオ演奏者が弾いてはるシーンを、本編で小刻みに挿入しやはります。日本猫が出てくるシーンなんかを含めよりまして、ある意味、癒やし系の映画ノリもカンジさせよります。ヒロイン映画にして癒やし系。ええ心地になりました。

2010年9月25日 (土)

男女逆転版「大奥」

「大奥」映画へのアイロニーが、込もっておます変型時代劇やー

嵐の二宮和也ニノ、玉木宏のアニキ、佐々木蔵之介はん、阿部サダヲはん、中村蒼クンらが、柴崎コウ姉さんに仕えはります

http://www.Ohoku.jp

神無月10月は1日フライデーから、全国各地イッセーのロードショーでおます。関西やったら、大阪・梅田ピカデリー、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹とかで上映しはります。本作を配給しやはるのは、松竹はんとアスミック・エースはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010男女逆転『大奥』製作委員会

あの映画「大奥」(2006年製作)が原作やなく、そのリメイク版でもござりまへん。

男たちが大奥に入り、将軍が女やったとしたら、どないな話になるんか、それをば追究しはった同名コミックが原作でおます。

こういう話やと、いかにもあり得へん嘘っぽさがつきまとい、またおバカチックなコメディ映画になりがちどすが、本作はそないやありまへんどした。

娼婦ならぬ娼夫なんかが出てきよると、確かに笑(わろ)てしまいますし、写真にござります玉木宏のアニキと、佐々木蔵之介はんの男同士の絡みなんぞがありますと、ムムム……なんて思いよりますけども、最後には、嵐の二宮和也ニノ君と堀北真希ちゃんの、すがすがしきラブ・ストーリーへと着地しよります。

男しか罹らへん伝染病が流行しよりまして、男の人口が女の4分の1に、ググッと減少しよったとゆう設定でおます。

でもって、女たちは子供が欲しくて男を求めるとゆうのんが、社会現象化いたします。

そやから、女将軍の設定やと、お世継ぎをこしらえるのに、男大奥であるんが望ましいっちゅうことどす。

映画・テレビドラマ「大奥」やら、大河ドラマの「篤姫」やらへのアイロニカルな視点がござります。

ニノ君は、出世を夢見てこの大奥に入らはります。

男の大奥時代劇とは申せ、時代劇らしさとゆうもんも付加されておます。殺陣シーンも切腹シーンもござります。

また、多彩なキャラたちのアンサンブル演技にも注目どす。オカマっぽいキャラの中村蒼クンやら、マジメ演技の阿部サダヲはんやら、これまでの役柄とは違う役に挑んではります。

そんでもって、徳川吉宗役やらはった、柴崎コウのネーさんどす。女将軍設定やったら、なんで徳川吉宗子やないねんと、思わはるかもしれまへんが、男女逆転劇の設定以外は、何と綿密な時代考証をしてはるんどすえー。

コウ姉さんの女将軍ぶり、女帝ぶりは、かつての時代劇で活躍しはった美空ひばり大お嬢を思い出しよりました。

弦楽オーケストラに三味線、琴、横笛やらを入れて、各シーンで大仰に鳴り響くサウンドトラックがまた、ドラマティックでおました。それに、最後には、嵐のJポップな主題歌「Dear Snow」が軽快に流れよりまんねん。

さらに、サプライズをニノ・サイドとコウ・サイドの、2パターンで披露して、男のドラマとヒロイン・ドラマを、くっきり対比させた作りが良かったでおますよ。

2010年9月24日 (金)

日本映画「遠くの空」

ラブ・ストーリーやと思わせといて、実は家族のキズナへと着地しよる作品でおます

内山理名ちゃんが、みんなが感情移入できる、自然体の演技をば披露してはります

http://www.to-kunosora.jp/

長月(ながつき)の9月、土曜日の25日から、東京は新宿K's cinemaほか、全国各地順グリのロードショーでおます。関西やったら、神無月(かんなづき)は10月の9日から、大阪・シネマート心斎橋やらで上映だす。本作を配給しやはるのは、スタイルジャムはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「遠くの空」製作委員会

家族ドラマの在り方とは何やねんを、考えさせてくれはった映画どした。

フツーの映画のように、家族ドラマのキズナをば描かはりまへん。変形バージョンでおます。

その変形ぶりの素なるもんが是か非か、フェアーなんかアンフェアーなんか、ビミョーに思案せなあかんような映画となりよりました。ある意味、問題作やもしれまへん。

取りあえずは映画は、韓国と日本の人間関係図式のなかで描かはります。

「血と骨」(2004年製作)とか「パッチギ!」(2004年)とか、まあ、「GO」(2001年)なんかもそうなんやけど、韓国人と日本人の関係、しかも家族絡みとゆうのは、21世紀の韓流ブームに合わせはったように、イロイロと出てきておます。

そんな映画のベースとなるもんをどこに持ってくるか、一つのポイントになります。本作は韓国の光州事件をベースにしはりました。

光州事件を描いた映画と申しますれば、そのものズバリの「光州5.18」(2007年・韓国映画)がござります。

1980年の5月に、韓国軍と光州の民衆が争い、民衆がいっぱい殺されたとゆう、中国は「天安門事件」の韓国版みたいなカンジどす。

その事件で、別れるハメになってしもた男女のその後が、大きなキー・ポイントとなっておます。でもって、太宰治の小説「斜陽」なんぞも、大いなる伏線でおますよ。

本編は何げに、歳の離れた男女のフツーのラブ・ストーリーのように始まりよります。その描き方に事件性もなく、落とし穴もござりまへん。

淡々と、内山理名ちゃんと、キム・ウンスのアニキの付き合いが描かれてゆきよります。

ヨコ移動撮影の、ロングショットによる散歩デートとか、雨の日曜日のツーショットやら、遠近感ある映画的ショットが続きます。焼肉屋デート・シーンで、煙が上がるなか、キムはんがビール飲みながらの述懐シーンは、2分くらいの長回し撮影シーンを含めまして、ボクチンは魅かれました。

ホロ泣き演技やら、バチバチの自然体演技の理名ちゃん、キチンとした通る日本語を喋らはるキムのアニキ。共に、好感度の高い演技やと思います。

また、理名ちゃんのオバン役で、チョイ役で出演しはった宇都宮雅代はんのタバコ吸う、けだるい姿なんか、久々に見たんやけど、個人的にはグッときよりました。

さてはて、家族ドラマとしての是非についてどすけども、この判定はホンマ、難しいとこでおます。逃げるワケやおまへんが、でも、ラストで理名ちゃんが語る、生みの親と育ての親に関するセリフやらに、さわやかなあと味がござりました。っちゅうことで、よろしゅうに。

2010年9月23日 (木)

ヒロイン韓国映画「美人図」

「恋におちたシェイクスピア」みたいに、男性上位の時代に、ヒロインが男装してカンバる映画どす

陽光を取り入れたセックス・シーンやら、目を見張りまっせー

http://www.bijinzu.com

長月(ながつき)9月の25日の土曜日から、東京・シネマート新宿やらシネマート六本木やらで先行上映どす。続きましては、神無月(かんなづき)10月2日の土曜日から、大阪・シネマート心斎橋やらでロードショー。その後、全国各地へ順グリに回る予定でおます。韓流ファン必見の、この映画を配給しはるのは、ツインはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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COPYRIGHTⒸ2008 YEDANG ENTERTAINMENT COMPANY. ALL RIGHTS RESERVED.

韓流ドラマのファン、韓国映画のファンのハートをば直撃しはる、時代劇ヒロイン・ドラマ映画でおます。

映画やテレビ・ドラマにもなった「ファンジニ」(2007年製作・韓国映画)とか、イ・ヨンエのおネーさまが、宮廷料理人にならはったテレビ・ドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」やらのスパイスが、振りかけられておます。

料理が絵になっとるんどす。しかも、そのヒロイン(キム・ミンソンちゃん)のキャラクター設定は、男尊女卑の時代背景における男装女性でおます。

アカデミー賞作品賞に輝かはった「恋におちたシェイクスピア」(1998年・アメリカ)の、グウィネス・パルトロウのネーさんとおんなじなんですわ。

さらに、韓流ドラマのお約束のように、男女の三角関係図式(キム・ミンソンちゃん、キム・ナムギル君、キム・ヨンホはん。おいおい、みんなキムやんけー)ドラマが展開しよるのどす。

さらにさらにでんな、その図式のなかで、誰かが不幸にも死んでまうとゆう、こちらもほぼお約束ごとみたいに撮ってはります。

さてはて、こういうスタイルはどないなんでおましょうかねー。おそらく、好みの分かれるとこでおましょうか。ゴリゴリの映画ファンは、ウーンとうならはるかもしれまへん。

けれど、映画的な撮り方であったりとか、練りこまれた色彩設計であったりとか、随所にココロくすぐるショットが挿入されておます。

例えば、写真を見ておくんなはれ。コレはいわゆる、濡れ場(セックス・シーン)のワン・カットなんどすけども、向かって左上から光のようなもんが射し込んでおるのが、お分かりになられるやと思いますが、陽光の部屋内への取り込み方がうまいんでおますよ。

このビミョーにセピアな自然光のなかで、繰り広げられるシーンは、目が点になりよりました。ホンマ、ヤラシーのどすけども、そのヤラシサは、照明が煌々と当たってるなかでのベッド・シーンより、映画芸術的あるいは絵画的に見えるんどす。

映画史に残るようなセックス・シーンとは申しませんが、観客にきっとテレビやなく、映画を見たんやとゆう印象を残すことでおましょう。

また、自然を描く「山水画」やなく、市井の人々を描く「風俗画」を目指さはるヒロインでおますが、一方で、映画での自然描写部は冴えておりま。白と紫のお花畑、緑葉とイエローの花、森、海など、目に優しい自然に、ココロ癒やされるハズどすえー。

2010年9月22日 (水)

永作博美主演映画「蛇のひと」

永作ネーさんが追う、失踪から始まるミステリー映画どす

「ゼロの焦点」に続き、西島秀俊のアニキが消えはる役やらはりました

http://www.kadokawa-cinema.jp/

セプテンバー9月のサタデー25日から1週間、角川シネマ新宿(レイトショー)、シネプレックス幕張、シネプレックスつくば、シネプレックスわかば、シネプレックス平塚やらで上映しはります。本作を配給しはるのは、角川シネプレックスはんどす。

文=映画&ミステリー分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 WOWOW

「第2回WOWOWシナリオ大賞」をもらわはった、脚本の映画化でおます。ミステリーどす。

レイモンド・チャンドラーやロス・マクドナルドなど、アメリカの私立探偵もののハードボイルド小説に多い、探偵が失踪した者を探すとゆうスタイルをば取ってはります。

日本には興信所員はいてるけど、私立探偵は基本的にはいてまへん。そやから、そのスタイルを取るためには、日本流に設定を工夫せなあきまへん。本作はその工夫をちゃんと凝らさはりました。

とある会社のとある部の部長はん(國村隼はん)が自殺してしもて、課長役の西島秀俊のアニキが失踪しはりました。会社の金が横領されておます。西島アニキは横領して、その事実をかぎつけた部長をば、自殺に見せかけて殺したんとちゃうか。ほんで、逃げよった。

この横領の事実は、会社としては世間からは隠しておきたいもんでおます。そやから、西島アニキの下で働いてはった永作博美ネーさんに、アニキを探せと、業務命令がくだされるのでおます。

これで、一介のOLが探偵役になるとゆう設定を、ムリなくこさえはったわけどす。

一方、西島のアニキどすけども、広末涼子ネーさんが探偵役になった「ゼロの焦点」(2009年製作)に続いて、行方不明になる役をやらはりました。今回は、「ゼロの焦点」みたいに切迫感はなく、関西弁しゃべってケムに巻くような、とぼけた感じに味わいがござります。

西島アニキの過去のエピソードをカットバックしつつ、永作ネーさんの聞き込み調査が展開しよります。調査してゆくうちに、一体、西島アニキってどんな人間やねんとゆう、人物像のナゾへと焦点が当たってゆきます。

つまり、入りは失踪ミステリーの形式になっておますが、やがてヒューマン・ドラマ映画へと、フォーカスしてゆくとゆうカンジどす。

本作を見てボクチンがミステリー小説で思い出したのは、宮部みゆきネーさんの「火車」でおました。

後半の大阪サイドでは、板尾創路(いたおいつじ)アニキのナレーションにのって、西島アニキのコドモ時代のエピソードが披露されます。そして、畳み掛けるように、西島アニキと永作ネーさんの再会へ。

アニキとネーさんの関係描写もユニークでおます。ヒートアイランド現象や、今年の流行語大賞になりそうな熱中症など、今をカンジさせる会話もええどすえー。

2010年9月21日 (火)

音楽ドキュメンタリー「何も変えてはならない」

ヌーヴェル・ヴァーグ映画にあった、モノクロ・タッチとか光と影とかで描かはった渋~い1本どす

音楽映画の常識を、くつがえすような作りが、波紋を呼ぶやもしれまへんわー

http://www.cinematrix.jp/nechangerien

http://cinenouveau.com/(シネ・ヌーヴォ)

セプテンバー9月は25日のサタデーから、大阪・九条のシネ・ヌーヴォでロードショーでおます。その後、全国各地で順次上映予定だす。本作を配給しやはるのは、シネマトリックスはんどす。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

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ⒸVALERIE MASSADIAN

一見しかしてまへんねんけど、まず、一見して思ったんは、ドラマ映画であれドキュメンタリーであれ、コレは音楽映画のセオリーを完全にはずしてはるなー、とゆうことでおました。

従来の音楽映画はライブ演奏シーンなど、リズミカルでタイトで熱い作りをしてはるのんが大がいでおます。

音楽とゆうのは、リズム&メロディー&ハーモニーが3大要素になっておまして、それを映画として昇華させんがためには、スムーズである種リズミックな流れが、必要となるんやないかなとボクは思ておりました。

ところが、本作はそんな定番を、意識的にはずそうと狙わはったかのように、最後まで音楽映画らしくないところをば通さはります。

音楽映画でモノクロはまあ、いいといたしまして、フランスのヌーヴェル・ヴァーグ映画にあった、モノクロの光と影の芸術的描出なんか、いわゆる音楽映画の流れを止めるとゆうか、よどませるような逆効果があるんやないでおましょうか。

3分から7分以上にわたる長回し撮影が、次々に出てきよります。しかも、固定の長回しでおます。移動撮影やありません。移動やったら、場面が変わるんで、それなりに音楽映画的リズムは保てます。

でもって、ライブ・シーンも、指定席でゆうたらJ席の観客視点くらいの長回しどす。固定の長回し撮影とゆうのは、音楽映画ではどないなもんでおましょうか。

つまるところ、本作は正攻法で音楽映画を撮ろうとした映画やないっちゅうことですわ。

3時間近い「ヴァンダの部屋」(2000年製作・ポルトガル映画)やらが、ゴリゴリの映画ファンに有名なポルトガルの監督ペドロ・コスタはんが、フランス女優ジャンヌ・バリバールのおネーさんを、ドキュメンタリーで描いたろかと思わはりました。

彼女は「そして僕は恋をする」(1996年・フランス)やらで有名な女優はんなんやけど、みんな、知っとるかーってゆうても、ウ~ンやわな。しかも、女優活動のアレコレを描くんやなく、彼女の歌手活動を映そうっちゅうんだす。そんなん、もっと知りまへんでーやわな。

ほな、一体、監督は何をやろうともくろんだんか。音楽ドキュであったんは間違いないやろとは思いますけども、音楽人間ドラマを、モノクロのヌーヴェル・バーグのノリで、しかもドキュメント手法で描いたら、一体どないなことになるんかいなに、チャレンジしはったような気がしました。

オペラのメイン・シーンを見せずに、ピアニストの横下からのカットや、ボイス・トレーナーの姿を見せずに、ヒロインのアップによる練習シーンとかの長回しなど、これまでの音楽映画にはないカットが出てきよります。

ラスト近くにある、自宅録音スタジオの休憩タイムに、ヒロインがワイン飲んだり、タバコ吸ったり、照明が上から射すなか、出入りする人々の影や動きを見せていく芸術的長回しカットなど、音楽映画のカタチを借りて、えらいやってくれよるよなー、なんて思いました。

コレは正統派の芸術映画どすえー。

2010年9月20日 (月)

ヒューマン・ミステリー「メッセージ そして、愛が残る」

現実的な「おくりびと」が、幻想的な「メッセンジャー」となるんやでー

「シックス・センス」のような、ハットトリックがある怪作ファンタジーどす

http://www.message-movie.com

セプテンバー9月のサタデー25日から、東京・TOHOシネマズ シャンテ、関西はシネ・リーブル梅田、MOVIX堺やらでロードショーでおます。その後、全国各地順グリの上映どす。ドイツ・フランス・カナダ合作の本作を配給しやはるのは、日活はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸCopyright 2008 FIDELITE FILMS - AFTERWARDS PRODUCTION INC - AKKORD FILM PRODUCTION - WILD BUNCH - M6 FILMS

本作をヒューマン・ミステリーやなんて書きよりましたけども、そもそもヒューマン・ミステリーてなんやねん、でおますわな。

人間を描くヒューマン映画と、謎があるミステリー映画の融合やとゆうたら、まあ、そうでおますけども、つまりは、人間に謎が仕掛けられたタイプの映画でおます。この人間、どないな人間なんやでおます。

でもって、この映画はファンタジー・モードが入っております。「ハリー・ポッター」がどないな人間なんやーなんてことは、みなはんにとっては、謎にも何にもなりまへんけども、見出しにも書きました「シックス・センス」(1999年製作・アメリカ映画)のブルース・ウィリスやったら、おっきなナゾになりますやろ。

そんなセンスのナゾめきが、この映画の主人公のロマン・デュリスのアニキに取り巻いておるのどす。

赤ん坊やった長男の死をきっかけに、フランスにいてる妻娘と別居しはって、ニューヨークでバリバリかどうやらは分かりまへんけども、弁護士として働いてはる主人公。そんなデュリスのアニキのとこに、ある日、医局長やってるゆうジョン・マルコヴィッチはんが、突然やってまいります。

でもって、何が何やらさっぱりワケ分からへんことをシャベらはります。いきなりの、「?」(ハテナ・マーク)でおます。しかし、よう話を聞きよりますと、マルコヴィッチはんは、人の死が見えるらしいんでおます。

CGでおますが、光の輪がその人を包んではるシーンがあって、そいつをマルコはんが見てまうと、その人の死期が迫っとるらしいんですわ。そして、マルコはんには、主人公の死が見えたらしいんですわ。

あんたは、近いうちに、死ぬやろう。けど、マルコはんには、それを止めることはできしまへん。ほたら、マルコはんは、なんでそんなかわいそうなことを告げにきやはるのん? なんやけど、それにもちゃんとした理由っちゅうもんがござるのです。

いわゆる、現実的に死人を送り出す「おくりびと」(2008年製作・日本映画)みたいやなく、アータは死ぬよってに、そのための何やかやの準備を、キチンとやりなはれと伝えはる「メッセンジャー」役らしいんですわ。

マルコはんは悪役をはじめ、いっぱい映画に出てはるけど、これほど落ち着いた、何やら人に癒やしを与えるような演技は、おそらく初めてなんやないかな。

車の窓越しの斜め前カットやら、今までの映画には見られへんかったようなカットを意図的に挿入しつつ、物語は進行しよります。

でもって、ラスト5分でやってくる、トンデモどんでん返しやー。ボクはすっかりやられよりました。しばらく、立ち直れへんかもな。アラマ、ポテチン、やでー、ホンマ。

2010年9月19日 (日)

時代劇「桜田門外ノ変」

日本映画史上初めて、本格的に描かれよった、幕末の実録テロ事件どす

「忠臣蔵」事件とは、逆バージョンの展開でおます

http://www.sakuradamon.com

神無月10月の16日の土曜日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。本作を配給しはるのは、東映はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010『桜田門外ノ変』製作委員会

「桜田門外ノ変」って、みんな、知っとるかー。

現在も東京におます観光スポット、桜田門を出たところで、「変」=「事件」が1860年にボッパツしよったんでおます。今はどうなんやらは分かりまへんけども、日本史の教科書では、太字になっておるはずどす。いわゆる、今でゆうところのテロ事件ですわ。

ほんで、見出しにも書きましたけども、「忠臣蔵」事件とは真逆のノリっちゅうのは、こういうことどす。

教科書ではたぶん、太字にはなってへんと思いよります「忠臣蔵」事件が、映画として描かれる場合は、しまいの方のクライマックスで、その事件がお約束のように出てまいります。

対して、こちらは、映画の最初の方で、事件描写が出てきよるのどす。クライマックスとなるべき事件を描き終えてしまいました。そやのに、何とまだ本編は2時間近くも残っておます。

おいおい、この2時間をどないもたすんかい、と心配しておますと、いやいや、これが、この2時間足らずが、実は大いなる見どころとなります、メイン・ソースなんでおますよ。

事件後の、事件に関わったみんなの逃亡劇を、スリリングに展開しやはるのどす。

正義の味方みたいな「水戸黄門」がいてはった、水戸藩を脱藩してのテロやとか、西郷隆盛どんがいてはった薩摩藩に裏切られる展開とか、逃げる大沢たかおのアニキが、坂本龍馬に協力を求めた時に、断られたりとか、テレビの「龍馬伝」や「水戸黄門」にハマッてはる方には、意外な話が出てきよります。もちろん、教科書には出てきよりまへん話どす。

でもって、その逃亡劇でも、主演の大沢たかおのアニキが、映画の見どころをば握ってはります。

鳥取藩の剣士との対決シーンは、1分くらいの長回し撮影で撮られよりますが、名作時代劇の黒澤明監督「椿三十郎」(1962年製作)やら、山田洋次監督「たそがれ清兵衛」(2002年)やらの、1対1対決の醍醐味をギュギュッと凝縮してはります。

事件の描き方を含めて、近接撮影は控えめどして、例えば、アップは北大路欣也はんのツー・カットくらいで、アップを極度に少なくしはって、いろんな人が出てはるとゆう群像劇スタイルな撮り方を強調してはります。

遠くから進行形の事件現場を見せるショットや、1対1対決シーンも含め、キレるロングショットが多数入っておますよ。

また、かつての水戸藩やった茨城県ロケーションを敢行しはり、映画でいろいろ出てくるオープンセットの豪華さに、思わずため息もんやったなー。東映と松竹の京都太秦撮影所はんも、ビックラコンの仕上げぶりどしたえー。

最後に佐藤純彌(じゅんや)監督的には、サスペンス映画やけど「新幹線大爆破」(1975年)とか、「敦煌」(1988年)とか、「男たちの大和」(2005年)みたいに、粘着力ある男たちの戦いの美学をば、今回も見せてくれはりました。脱帽して、敬意を表したい美学ぶりどした。

2010年9月18日 (土)

集団抗争時代劇「十三人の刺客」

役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、伊原剛志、松方弘樹ら13人のアニキらが、稲垣吾郎ちゃん軍と決戦やー

50分にわたる大激戦と、各人のソーゼツな死にざま演技がスゴスギルねん

http://www.13assassins.jp/

長月(ながつき)9月25日の土曜日から、全国東宝系ロードショー街道でおます。本作は「PG-12」指定どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「十三人の刺客」製作委員会

いきなり昔の話でおますけども、1950年代の映画黄金時代には、時代劇が花盛りでおました。

ところがどっこい、1960年代になりよりますと、テレビの家庭への普及で、映画の斜陽化がゆっくり進行してゆきよったのどす。

そんなテレビに対抗すべく、映画界は変革を求められておました。さまざま工夫がなされよります。

その変革的時代劇の1本が、本作の元ネタ作品となる、工藤栄一監督の「十三人の刺客」(1963年製作・白黒映画)どした。

それまでの形式ばった、美しく魅せる時代劇の殺陣(たて)シーンを、チェンジチェンジどす。

戦いなんて、そない美しいもんやござんせん。泥だらけの汗まみれの返り血まみれのボロボロになって、死にものぐるいの、必死のパッチでおます。

斬って斬って斬りまくるにしても、本作にも出てはる役所広司アニキの「どら平太」(1999年)や、上戸彩ちゃんの「あずみ」(2003年)みたいに、涼しい顔でハイ、百人斬りなんてことは、実際の戦いでは不可能なんでおますよ。

黒澤明監督の時代劇も、この美しきをはずして、サムライたちを戦わせてはりました。

それでもって、本作のことどすが、必死のパッチは踏襲された上で、工藤栄一版をさらに、バージョン・アップさせはりました。

大決戦シーンは30分から50分へ、13人に対する敵の数は、53名から300名へと増量されておます。

で、この13とゆう数字は、キリスト教的には不吉な数字と言われておますけども、忠臣蔵の47人よりは少なく、「七人の侍」(1954年)よりは多いとゆう、ある意味、時代劇的にはオリジナル人数と言えるんやないでしょうか。

工藤栄一監督はおそらく、黒澤明が確立した7をはずして、オリジンを狙ったんやと思います。工藤監督はその後も「十一人の侍」(1967年)なんて映画も撮ってはるんどすえー。

さて、モトイ、本作のことどす。

まずは、SMAPの稲垣吾郎ちゃんの、極悪藩主ぶりが披露されよります。女を犯して腕を斬り、その夫を斬殺し、拷問した女を傍にペットみたいに置いて、飽きたらほかす。

弱きをいじめ弱きをくじく、こんなえげつない猟奇殺人鬼が、次の老中になったらえらいこっちゃでー。

ちゅうことで、こいつを暗殺せんと、刺客たちが集められるとゆう展開どす。

1時間30分はミッションの仕込みが描かれよります。

でもって、50分にわたる大合戦へ突入やー。

三池崇史監督ならではの非情なバイオレンス描写が続きますけど、むしろ、死にゆく演技に美学ありな、各人のソーゼツな死に方は、バーサス・シーン以外に、本作の大きな見どころにもなっておますんで、ご堪能あれ!

2010年9月17日 (金)

幕末・維新後の時代劇「半次郎」

西郷隆盛が自決する西南戦争を、大マジに本格的に描かはった時代劇どす

「龍馬伝」の龍馬的な、ポジティブ人間・中村半次郎の映画でおます

http://www.hanjiro-movie.com

9月セプテンバー18日サタデーから、九州先行公開とね。でもって、オクトーバー10月はサタデー9日から、東京はシネマート六本木やら、関西やったら、ワーナー・マイカル・シネマズ茨木やら、T・ジョイ京都やらで上映どすえー。本作を配給しはるのは、ピーズ・インターナショナルはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「半次郎」製作委員会

NHKの大河ドラマ「龍馬伝」が、いよいよ佳境へと向かって邁進しておます。片や、そんな「龍馬伝」に便乗せんとするドラマや映画が、目白を押してはります。本作もまた、そんな1本やと思われてもおかしゅうはござりまへん。けども、でおます。

龍馬を描くんやったらいざ知らずやけど、幕末もの時代劇で、誰かを主人公にして描く映画となりますれば、いっぱいいっぱい、あるんでおますよ。そやさかい、誰を主人公にして描くのかが、1つのオリジナル・ポイントでおましょう。本作では、薩摩藩の西郷隆盛の懐刀(ふところがたな=一番の部下)やった中村半次郎はんを捉えはりました。

何やら、そのポジティブな生き方や考え方やらは、龍馬的なとこがおます御仁なんでおます。そやから、もし龍馬が明治維新後も生きてはったんやったら、この半次郎はんのような運命をたどる可能性も、なきにしもあらずやったんやないでおましょうか。

1861年から明治維新を経て、1877年までのお話どす。その1877年にボッパツした「西南の役」こと西南戦争をば、おそらく日本映画史上初めて、本格的に捉えはった作品が本作でおます。日本国内最後の内乱でおまして、内乱やったらイロイロ事件はおますけども、戦争=殺し合いでは、今のところコレが最後やとゆうことだす。

いろんな人たちの死にざまがキョーレツでおます。死ぬ時に、ストップモーションにして「享年●歳」の字幕を入れるスタイル。何人もと壮絶な剣戟・銃撃戦を繰り返したあと、拳銃自殺して果てるEXILEのAKIRA。親のカタキを取りたいと志願した、13歳の少年が、撃たれ死にゆくシーン。西郷隆盛の斬首シーン、半次郎役・榎木孝明アニキ銃殺カットなど。激しい戦いシーンの連続描写が続くんでおますけど、ホッと安らげるシーンも多数ござります。

白石美帆ネーさんのナレーションをベースにした、半次郎とのラブ・ストーリー描写がござりますよ。格子窓からくる日が、顔に散る中での2人のやり取りとか、維新後の東京ラウンドでのやり取りとか、恋愛部の駆け引きも見逃せまへんで。

大げさかもしれまへんけども、「ラスト・サムライ」(2003年製作・アメリカ映画)の作品性に近いニュアンスがあるかと思いました。どすえー。

2010年9月16日 (木)

ニッポン映画「nude」

AV業界の内幕を描く、これまでにありそでなかった作品でおます

ウラ芸能界を生き抜く、ヒロイン・ドラマの快作やでー

http://www.alcine-terran.com/nude

セプテンバー9月の18日サタデーから、東京・シネマート新宿やらを皮切りに、全国各地順グリのロードショーでおます。

関西やったら、10月16日サタデーから大阪・シネマート心斎橋やら、11月に神戸の元町映画館やらで、やらはります。

この「R-15」指定映画を配給しはるのは、アルシネテランはんとハピネットはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010『nude』製作委員会

AV業界を描いた映画やなんて、ボクチンはあんまり聞いたことがござりまへんで。

ちなみにこのAVは、オーディオ・ビジュアルやアニメ・ビデオやなく、アダルト・ビデオの略でおます。

まあ、99パーセント、間違う人は今はいてはらへんでしょうけども。

さて、故・飯島愛ネーさんが書いた、告白本を原作にしはった「プラトニック・セックス」(2001年製作・日本映画)は、確かにAV業界もんやったけど、本作ほどセキララ感はありまへんどした。

本編の後半から、AVの撮影現場がリアリティーをもってビビッドに描かれよるのです。

例えますれば、ブルー・フィルムの現場を描いた「ブギーナイツ」(1997年・アメリカ)の、マーク・ウォールバーグとジュリアン・ムーアの絡み、あのヤラシサに匹敵するんやないかな。

でもって、ヒロイン・ドラマ映画としても、しっかりした作りになっておます。

元AV女優やった「みひろ」ちゃんが、書かはった告白小説が原作どすが、渡辺奈緒子ちゃんが演じるヒロイン・ナレーションをいろいろ挿入して、現実感をば出しはります。

奈緒子ちゃんが、新潟から上京し、航空会社に勤めてたんやけど、マイナー系芸能事務所にスカウトされて、雑誌のグラビア・モデル、Vシネマ出演を経て、遂にAV出演を決めはります。

このあたりの戸惑いや心理的推移を、奈緒子ちゃんがフワフワフワ~ンと演じはりました。

新潟サイドの野原や、白いキラキラした海、流れ星の描写に対し、東京サイドでは、「都会には星はないけど、夜景がある」とツイッターしはって、都会の風景を映さはります。

対比描写も巧妙だす。

しかし、ヒロインと家族の描写がなかったり、彼氏との関係描写が希薄だったりするんやけど、実は、コレも小沼雄一監督の、計算のうちなんやろうと思います。

女友達役・佐津川愛美ちゃんとの交流だけを取り上げて、縦横の関係を一本化したことで、ある意味、人脈図が整理されておますので、ヒロイン・ドラマに集中できよる利点がござるんどす。

愛美ちゃんがヒロインが出演してるAVを、お菓子を食いながら見て、泣かはるシーンなど、女友情部のビミョーなとこも出ておます。

また、ウラ芸能界ものなのに、ウラウラしてないとこもよろしおます。

特に、マネージャー役の光石研の誠実な役柄が、光っておました、どすえー。

8月26日付けで渡辺奈緒子ちゃん、「みひろ」ちゃん、小沼監督のインタビューをしておますので、バックナンバーで見ておくんなはれ。

どうぞよろしゅうに。

ほなら、さいならー。

2010年9月15日 (水)

製作40周年デジタルリマスター版「エル・トポ」

ものゴッツーなカルト映画の大怪作が、ニュー・バージョンで戻ってきはりました
何が何やらさっぱり分からへんとこが、どうにもクセになる作品どすえー
セプテンバー9月は25日サタデーから、ヒューマントラストシネマ渋谷でロードショーでおます。でもって、その後、全国順グリに回ります。このトンデモネーなメキシコ・アメリカ合作作品を配給しはるのは、ロングライドはんとハピネットはんどす。
文=映画分析評論家・宮城正樹
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ⒸABKCO Films.  All rights reserved.  Reprinted by permission.
カルト映画て何やのん? みなはん、思わはることでおましょう。
ワケ分からへんけど、何や知らん、えらいもんを見させてもろたやんかとか、チャッチーなんやけど何とも言われへん味を出してはったりと、見る人によってカルト映画への思い込みは違(ちご)ておます。
ほな、映画史に残る名作なんかと聞かれれば、これもまた見る人によって、違うとしか言いようがござらんのどす。
でもって、本作でおますが、事実関係だけについて、まずは述べよります。
ボクチンが編集・執筆で関わったんやけど、16ジャンルに分けて、読者の生涯ベストテン・アンケートをとった「ぴあムービーランキング 2008年度版」(ぴあ社)の、カルト編で本作はベストテン入りを果たしておます。
1969年製作作品なんどすが、日本で公開されたんは、製作17年後の1986年度の年末でおました。
年末試写作品であっただけに、キネマ旬報の年間ベストテンでは、1986年度で24位、翌年の1987年度で79位となっておました。ただ、1986年のランクは名作「ブレードランナー」(1982年製作・アメリカ映画)の1982年度25位より、1つだけやけど上やったワケでおます。
そんな作品がデジタルリマスターされはって、2010年に戻ってきはりました。
ほな、分析タイムでおますけども、それがその何と言いますか、映画分析が大変難しい作品でおまして、一筋縄ではいかんのですわ、これが。
写真上の冒頭シークエンスどすが、子連れ狼みたいに砂漠に、「アラビアのロレンス」(1962年・イギリス)のオマー・シャリフのように現われはった、監督・主演のアレハンドロ・ホドロフスキーのアニキ。
砂漠をロードムービーしはって、いろんな戦いのなかへ、自ら進んで入っていかはります。
さまざまな西部劇やらのいろんなシーンを、裏側から見たようなバーサス・シーンが繰り返されます。
一体、どないな砂漠や荒野の決闘やねんってくらい、けったいな対決シーンが、めまいのごとく襲ってまいります。
でもって、唐突に、新興宗教的やけど、キリスト教的世界へと反転しよります。
キリスト的静謐な世界と、西部劇的アクションとゆう、水と油の調合が、トンデモネー映画的化学反応をば起こしよりますでー。
ワケ分からなさがクライマックス状態を迎えて、どうにもこうにもクセになってきよります。
バイオリン、アラビアンな楽器、トランペット、ジャズ・ムード、ワルツ、木琴、ピッコロ、笛やら、サントラも多彩でおます。
しかも、シーンとミスマッチな使い方も仰山(=いっぱいの意味)あって、これまたクセになりました。

2010年9月14日 (火)

ベルギー映画「アイスバーグ!」

「ぼくの伯父さん」のボケぶりが、ヒロインものとして紡がれよります

「タイタニック」な三角関係描写も、ボケまくりでおます

http://www.bowjapan.com

9月25日サタデーから梅田ガーデンシネマで、昨日分析しよりました「ルンバ!」と2本立て上映で、全国順次のロードショーでおます。関西やったら、10月16日から神戸アートビレッジセンター、10月30日から京都シネマどす。本作をば配給しはるのは、フランス映画社はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒフランス映画社

ベルギーの道化師夫妻監督、ドミニク・アベル&フィオナ・ゴードン(出演もしてはる写真の、左右2人男女でおます)の2006年製作、長編監督デビュー作品でおます。

最新作「ルンバ!」と同様に、パントマイム、サイレント映画的演出が、巧みのワザを示さはります。

ジャック・タチが主演・監督しはった「ぼくの伯父さん」シリーズ(1952年・1958年・1967年・1971年製作・フランス映画)みたいに、サイレント演技のボケまくりを示さはるのどす。

カナダのイヌイット族女性の、何やら告白めいたカットから、物語は意外性をもって始まります。でもって、ベルギーへと舞台は転換しよります。

バーガーショップで働いてはるオカン&嫁はんが、冷凍室の氷に魅せられてしまわはって、何とある日、オトン&ダンナはんと、幼い息子はんや娘はんを捨てはって、大氷山を目指して、ハランバンジョーのハチャメチャな旅に出はります。

でもって、「タイタニック」号の船長はんやとゆう、写真の真ん中に映っておます人をば、頼らはって、船出しはるのどす。

一方、ダンナはんは家でコドモらやらと、じっとしとるわけにはまいりません。嫁はんの行方を追わはります。

こういうストーリー展開の中で、オモシロオカシキのパントマイム演技が、いくつも披露されてゆきよるのどす。

ダンナはんとコドモたちの食卓シーンのユニーク感。ヒロインの嫁はんが、製氷室に入ってしもて、氷に魅せられていかはるシーンやら、不法移民やら老人やらとトラックに乗って、何やかんや、アレアレゆうてる間に、見知らぬ土地に来てしもたなんてところなんか、どうにもこうにもおかしゅうおます。

後半に展開する「タイタニック」(1997年・アメリカ)な三角関係描写は、本作のハイライトでおますよ。

まだらなセピアの空やらの海の夕景シーンとか、氷山と空の斜め2分の1カットやら、ハッとさせはるカットも満載でおます。

2010年9月13日 (月)

ベルギー映画「ルンバ!」

ドタバタ入り、21世紀的愛のチャップリンな、サイレント・ノリ映画やー

ラテン音楽でシャル・ウィー・ダンス・シーンも必見でおます

http://www.bowjapan.com

セプテンバー9月25日から、大阪・梅田ガーデンシネマで、全国順グリのロードショーでおます。その後、10月16日から神戸アートビレッジセンターやら、10月30日から京都シネマやらで上映しはります。本作の夫婦監督の第1弾「アイスバーグ!」と同時上映だす。本作を配給しはるのは、フランス映画社はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒフランス映画社

パントマイムやらで魅せはる道化師夫妻はん、ドミニク・アベルとフィオナ・ゴードンの2人が、主演して監督しはった作品でおます。ちなみに、ベルギーとフランスの合作やけど、ベルギー映画でおます。

2人とも名道化師なだけに、チャップリンのサイレント映画のノリを、21世紀の今に変換しはったみたいな仕上がりどすえー。もちろん、スラップスティック(ドタバタ)・コメディのノリも全開でおます。

さらに、夫婦愛の愛の描き方も、「街の灯」(1931年製作・アメリカ映画)みたいな感覚がござります。再会シーン(写真上)なんかホンマ、ドラマティックでおますよ。

また、ラテン・ダンス・コンテストに間に合うように、車を運転しもって夫妻が着替えをしはる、ドタバタのパントマイム・シーンなんて、「チャップリンの黄金狂時代」(1925年・アメリカ)の靴食いカットにも迫る、名シーンやと思いました。

ダンス・パフォーマンス・シーンも必見だす。2人は共に教師をしてはる設定なんやけど、冒頭ではさっそく放課後の体育館で、ルンバでシャル・ウィー・ダンス(写真下)をば見せてくれはります。あのドリフターズのテレビのバラエティ番組「8時だよ!全員集合」のコーナーでも「ちょっとだけよ」と流れた、哀愁の名曲「タブー」に乗って、シルエットでダンスをやったり、海の水平線上で踊る合成シーンやら、フツーのダンス・シーンやないシークエンスをクリエイトしてはります。

自殺しようとするけど、なかなかうまくいかへん男を、ハンドル切って避けはったため、2人が乗った車がどっかにブチ当たってしまいよりました。当然2人は病院へ運ばれました。でもって、夫は記憶障害になり、妻は片足を切断しはります。

ああ、哀れ、かわいそうやん、この2人と思いきや、全く悲愴感をカンジさせんと、物語はウルトラ級のコメディ・ノリで進行してゆきよるのどす。そのコメディぶりも、チャップリンでさえようせんかったような、トンデモあらへんパントマイム・シークエンスが、それこそひっきりなしに披露されてゆくのどす。家が火災に包まれるまでの、2人の連携パフォーマンスやら、松葉杖でドタドタ授業やら、もうどうにもこうにも、たまりまへん。

さてはて、同時上映となります「アイスバーグ!」は、明日分析いたしよりますんで、よろしゅうに。

2010年9月12日 (日)

深田恭子主演映画「恋愛戯曲~私と恋におちてください。~」

フカキョンが、テレビの売れっ子シナリオライター役でドッカーンやでー

三谷幸喜の「ラヂオの時間」みたいなノリがありまっせー。

http://www.koiochi-movie.jp/

9月セプテンバーは、サタデー25日から東京を始め、大阪・テアトル梅田やら、シネ・リーブル神戸やらを皮切りに、全国順グリのロードショーでおます。本作を配給しはるのは、ショウゲートはんどすえ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「恋愛戯曲」製作委員会

映画業界もんも多いけど、コレはテレビ業界の内幕もんを映画にした作品でおます。

洋画では、視聴率が命みたいなんがシビアに、生中継殺人事件にまで発展してまう「ネットワーク」(1976年製作・アメリカ映画)とか、報道局の3角関係ラブ・ストーリー「ブロードキャスト・ニュース」(1987年・アメリカ)とかがござりました。

本作は、シリアス度をググッと抜いた、ラブコメ・タッチで物語を進行しよるのどす。テレビやラジオやらは、電波媒体といわれよるんやけど、ラジオの方まで作品性の幅をば広げよりますとでんな、本作とシンクロナイズする作品と申せば、ズバリ、三谷幸喜監督「ラヂオの時間」(1997年・日本)でおます。

深田恭子フカキョン扮しはる、売れっ子シナリオライターが書く、テレビドラマ「ラブ・シナリオ」がどないなカンジでできるのか、そのメイキングぶりをば見せてゆかはります。「ラヂオの時間」みたいに、トンデモネー方向へと話が進むようなことはありまへんけども、こっちもまた、それなりに変なカンジへと向かってゆかはるのどす。

入れ子細工となった3層3話が、映画を立体的なっちゅうか、ルービックキューブなドラマにしはります。つまり、現実にフカキョンが書いてはるシナリオの中味が、映画のサブ・ドラマとなり、さらに、そのドラマ脚本を書いてはるサブ・ドラマの主婦の話が、サブサブ・ドラマとなりよります。

フカキョンがその3話で、イロイロ演技をば変えて演じてはります。大人しい主婦、気紛れ・わがまま演技など、そのカメレオンぶりは本作でも、おっきな見どころやと思います。

シナリオ・メイキング・シーンでは、「マディソン郡の橋」(1995年・アメリカ)やらが引用されたり、フカキョンが書いた映画内テレビドラマ「監視カメラの恋」の、ナンチューラブ・ストーリーぶりやねんなど、細部のお遊びもまた、お楽しみどすえー。

でも、まあ、そもそも脚本家が、本作みたいに重宝されるもんなんかどうなんか、微妙なとこがござります。脚本がいかに大事かとゆう、舞台演出家の鴻上尚史監督の願望が、それとのう込められておるんやないでしょうか。

並木道をフカキョンちゃんと、椎名桔平のアニキがずっと歩いてゆかはる、長回し撮影によるラストシーン&ラストのタイトルロールは、大げさかもしれまへんけども、「第三の男」(1949年・イギリス)と「モダン・タイムス」(1936年・アメリカ)のラストを、ブレンドしはったような既視感がありました。ある意味において、マカ不思議なラブ・ストーリーどした。

2010年9月11日 (土)

学園ラブ・ストーリー「君に届け」

毒入り「告白」や死入り「セカチュウ」と違って、毒抜き純情・純潔派学園ものでおます

多部未華子ミカリンと、三浦春馬ハルクンのラブラブどす

http://www.kiminitodoke-movie.com

9月セプテンバーの25日サタデーから、全国東宝系ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 映画「君に届け」製作委員会

どこから見ても毒がない、高校・学園・青春・ラブ・友情・純潔・純情物語でおます。

ヒロインに扮しはる、多部未華子ちゃんミカリンは、爽やかな子と書く爽子(さわこ)なんやけど、「リング」(1998年製作)に出てきはる、呪いのキャラ・貞子やなんて言われはります。

長い髪垂らして上目づかいで、うらめしやーのカンジで、決して笑わない。でもって、本人もそれを許容しはって、自分は貞子なんやと勝手に、貞子の役を演じ続けはります。

いわゆる、イジメどす。イジメとなれば、純潔学園もんやてゆうとるのに、正反対のイメージやんかとなりますけども、そのジメジメ・イメージのいじめられシーンが、三浦春馬くんハルクンの、素直でストレートで的を射たセリフによって変化します。みんなのミカリン・イメージが、ゆっくり変わってゆくし、ハルクンも変わってゆくのどす。

女の子同士の友情部もござります。それらのシーンも含めまして、単純なセリフのやり取りが行われよりまして、いかにも等身大な今どきの高校生像を紡いでいかはります。

例えば、「青い山脈」(1949年)の時代の、青春描写とかとは違(ちご)ておるように思わはるかもしれまへんが、その根底にあるもんは同じもんやと思いました。

1960年代から1970年代の東宝の青春映画とか、日活の青春映画とか。描き方は時代に合わせてのものとは申せ、それら諸作もまた、本作のココロとおんなじなんでおます。

大林宣彦監督の尾道三部作とか、1980年代の角川映画のアイドル学園ものとかとも、シンクロしよります。

ただしでおます、あくまで21世紀の現代でおます。こういう純情タイプのラブ・ストーリーは、今なら地方ロケーション映画に多くあるんどすが、例えば、島根ロケの「うん.何?」(6月24日付けで分析)なんかもそうでおます。

でも、それが東京・関東ロケで紡がれたんは、マレなんやないかな。「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)みたいなイジメ入りとか、「告白」(5月28日付けで分析)みたいにドッカーン入りとか、あるいは、地方ロケ映画でも、恋人が死にゆく「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)だったりとか、「マイナス」=「負」のイメージが付きまとっておました。

しかし、本作はそれらのイメージを一掃してはります。コミック原作で、テレビ・アニメ化を経由しての実写化とゆうスタイルが効を奏したんやないかな。ほら、「NANA」(2005年)やら「のだめカンタービレ」(2007年~2010年)やら、このプロセスもんで、暗~い映画はほとんどござりまへん。

ミカリンやハルクンの代表ケッサクに、きっと、なることでおましょう。

2010年9月10日 (金)

泣ける日本映画「おにいちゃんのハナビ」

お涙チョーダイ日本映画史上初の、新しき設定やおまへんか

兄妹もんでこれだけ、泣けてしまう映画なんて見たことござりまへん

http://hanabi-ani.jp/

セプテンバーの9月はサタデー11日から、本作のロケ地の新潟先行ロードショーのあと、9月25日サタデーから全国各地ロードショーだす。東京やったら、有楽町スバル座やら、新宿武蔵野館やら。関西やったら、大阪のシネ・リーブル梅田やらシネマート心斎橋、大阪府・109シネマズ箕面、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。本作を配給しはるのは、ゴー・シネマはんどすえ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「おにいちゃんのハナビ」製作委員会

実話でおます。新潟の地方ロケーション映画でおます。今風にゆうたら、泣ける映画でおます。20世紀的にゆうたら、お涙チョーダイ映画でおます。

かつては、お涙チョーダイ映画と申しますれば、筋金入りの映画ファンからは、敬遠されておったジャンルでおます。ボクチンのダイスキな「砂の器」(1974年)でさえ、当時デート・ムービーとして見に行った彼女が「お涙頂戴映画やね」なんて、冷たく言い放ったんでおます。悲しかったなー。

そやけど、現在の泣ける映画は、邦画界のメイン・ストリームの一つにきよりました。でもって、その泣ける設定の度合いやら、オリジナリティーぶりの勝負になってきよったのでおます。

本作は、両親・兄妹の家族4人のドラマ映画なんどすが、ポイントは兄と妹でおます。白血病やら不治の病とゆう設定の映画やドラマは、そら恐ろしいくらいござりますが、そんな白血病の妹はんが、何とか持ち直して一時退院し、家に帰ってきはりました。すると、引きこもりの兄がいてはります。兄とオトンは折り合いがよろしゅうおまへん。オカンは家族4人で、食卓を共にするのを夢見てはります。

そんななかで、妹はんは兄に、キズナを求めてアプローチしはります。兄はそれによって、徐々に引きこもりを解消し、立ち直ってゆかはるんどす。

兄役・高良健吾クンと妹役・谷村美月ちゃんと申せば、大阪舞台映画「ボックス!」(5月7日付けで分析しておます)の再共演どす。その映画でも美月ちゃんは、病死しはったんやけど、本作と同じく、どこまでも明るうて前向きな演技でおました。そうでおます、明るい性格やのに死んでまうとゆうこの演技性こそが、泣きの度合いを高めよるんでおます。もともと暗いまま暗く逝ってまう映画なんちゅうのは、いろいろあるけど、そういうのんとは違(ちご)ておます。

最近、オカン役のオファーがいっぱいござります、宮崎美子ネーさん。特に本作と同じく、「NANA」(2005年)や「悪人」(8月25日付けで分析)など、娘はんのオカン役が、えらいハマッてはりますよ。

でもって、美月ちゃんの臨終シーンは、泣きのハイライトだす。妹の死のシーンまで、呟き系の弱々しいコトバを発し続けてはった高良クンが、「おまえのために、花火を上げるんだぞ」と叫ばはるシーンは、涙ヌキでは見れまへんどした。兄妹系映画でバクレツ泣ける映画なんて、みなさん、そんなにありまへんでおましょう?

義理の兄妹もの「涙(なだ)そうそう」(2006年)と比べても、こっちの方が泣ける度は高いでおますよ。

そして、クライマックスの兄が妹に捧げる花火シーン。かつてない花火映画とも思えよる、長いシーンにわたる花火シーンの多彩感。でもって、兄と妹、オトン(大杉漣はん)・オカンのキズナが完結していっきょる感動は、こたえられまへんどしたえー。

2010年9月 9日 (木)

宮部みゆき原作ミステリー映画「パーフェクト・ブルー」

加藤ローサちゃん探偵やら中村蒼クンら、若手が大活躍しはります

正味2時間映画やけど、2時間ドラマにはないオリジンがござります

http://www.kadokawa-cinema.jp/

http://www.kadokawa-cineplex..co.jp/

9月セプテンバー18日サタデーから、9月フライデー24日まで、東京・角川シネマ新宿(レイトショー)やら、千葉・シネプレックス幕張、茨城・シネプレックスつくば、埼玉・シネプレックスわかば、神奈川・シネプレックス平塚やらで上映どす。本作を配給しはるのは「角川シネプレックス」はんでおます。

文=映画・ミステリー小説分析評論家=宮城正樹

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Ⓒ2010 WOWOW

オトン役の宅麻伸はんが元刑事で、警察を辞めはって、長女の娘役の加藤ローサちゃんを助手に、探偵事務所をば始めはりました。でもって、人探しを中心にしたいろんな依頼がきよります。

シチュエーションでおますけども、まずもって、興信所やありまへん。私立探偵事務所でおます。日本には私立探偵なんておりまへん。しかし、これを親子でやってまうとゆうスタイルに、ボクは驚きました。

江戸川乱歩が編み出した少年探偵団なんぞも有名だす。リアリティーがないといわれればそれまでどすが、今までの日本の探偵小説・推理小説・ミステリー小説には、いろいろと私立探偵が出てきておます。そのあたりを、どこまでスムーズに自然に見せていくのかが鍵でござります。

原作者の宮部みゆきミステリーは、そこんとこをあっさりクリアーしてはります。超能力やら、イヌ視点(本作の原作小説は元警察犬のイヌ視点で描かれておます)やら記憶喪失やらタイムトラベラーやらを、読者に、ああ、なるほどなーと思わせはって、トンデモ・オモロスギル・ミステリーをばいくつも作ってきはりました。ファンタジーの優しさを、殺人事件がある推理小説の、シリアスなとこに入れてみたようなカンジでおましょうか。

でも、映画化もされた「模倣犯」や「理由」のように、シリアスがググーンときよる作品もござります。それらのポイントになっておました、「東京ミステリー」にして「家族の問題」を描く系は、本作の映画化作品でも顕著でおました。それだけやおまへん。製薬ミステリーと野球スポーツ・ミステリー、そして家族ミステリーを融合した、発表当時でも斬新極まりない作品やったんでおます。

日本サスペンス大賞を受賞した「魔術はささやく」の前に、書かれた長編デビュー作が原作なんどすが、ジャンプ・スキーヤーを描いた東野圭吾の「鳥人計画」なんやらとシンクロするミステリー小説どすえー。

加藤ローサちゃんはじめ中村蒼クンやら、若手の明るい前向きな演技に元気がもらえますし、石黒賢のアニキも特注の演技をば披露してはります。

ところで、テレビの2時間ドラマに、夢中になってはる御仁に、もの申しよります。宮部作品では「レベル7」「龍は眠る」「火車」などもテレビドラマ化されましたけども、フツーの2時間ドラマとはテイストが違いました。2時間ドラマらしくない設定で物語が進行しよるのどす。例えば、一つ言えば、最後の方にある種明かしの描き方も、ほな、これから種明かしさせてもらいまっさーなノリやないんどす。

そのあたりの違いをぜひ、本作で味わってみておくんなはれ。

2010年9月 8日 (水)

文豪実話映画「終着駅 トルストイ最後の旅」

「愛こそすべて」やなんて、ラブ&ピースを唱えはった、ロシアの文豪トルストイ晩年の、人間ドラマ映画でおます

シニア夫婦映画と若者恋愛映画が、絶妙にシンクロナイズしよります

http://www.saigo-tabi.jp/

9月セプテンバーは、11日サタデーから、東京・TOHOシネマズ シャンテやら、Bunkamura ル・シネマやらでロードショーでおます。関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、敷島シネポップ、京都・TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸やらで上映しはります。その後、全国各地で順グリに上映しはります。2009年製作のドイツ・ロシア合作映画となる、本作を配給しはるのは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ロシアのレフ・トルストイってみんな、知っとるかー?  共に映画化されておます「アンナ・カレーニナ」とか、「戦争と平和」とかの大作小説をば書かはった、いわゆる文豪でおます。

ロシア・ソ連に初めて、ノーベル文学賞を授与しようかとゆう時に、まず名前の挙がった文学者でおました。まあ、いろいろあって、受賞はかなわなかったんやけど、ロシア・ソ連では、ボクチンが最もダイスキなドストエフスキーでさえ、ノーベル賞はもろてはりまへん。

いわゆる、文学的な観点で簡潔に言いよりますと、トルストイはポジティブ派、対してドストエフスキーはネガティブ派となりよるかと思います。そんなトルストイの、晩年を描いた映画が本作でおます。

「愛こそすべて」とか「自由と愛」の精神を掲げはって、小説家としての仕事以外に、ボランティアチックな活動もしてはります。その人生を前向きに生きる姿や、大衆を愛する姿勢には、自分のことはどうでもええのん? なんてとこもあるんやけど、観客を納得させます。

しかし、トルストイの妻にしはったら、そんなんでええわけござんせん。自分の作品の著作権を放棄して、大衆のものにするやなんてトルストイの発想は、ボクらやワタシらが見ても、尋常と違うやんと思います。そやから、その妻がそんなん受け入れられるハズがござりまへん。ここで、老夫婦の確執のドラマが生じよります。

このトルストイの妻は、哲学者ソクラテス、音楽家モーツァルトの妻と並び、「世界三大悪妻」と呼ばれておます。でも、モーツァルトを描いた「アマデウス」(1984年製作・アメリカ映画)では、そんなに悪妻悪妻したカンジはござりまへんどした。それと同じく、トルストイ夫妻は実は、深く深く愛し合ってはったとゆうノリで、映画は紡がれてゆきよるのでおます。

この夫婦役に扮した、クリストファー・プラマーはんとヘレン・ミレンはん。この2人のやり取りは、絶妙でおました。対して、トルストイの助手役やらはったジェームズ・マカヴォイ君の、ラブ・ストーリー部も描かれます。「つぐない」(2007年・イギリス)の時みたいに、抑制の効いた恋愛演技をば披露してくれはりました。

ロシアを舞台にしつつも、アメリカ版「戦争と平和」(1956年・アメリカ&イタリア)と同じく英語セリフでおますが、それほど違和感はありまへん。むしろ、文学者実話ドラマ映画とゆう、何やら堅そうなイメージを払拭するような、後半のロードムービー的エピソードは良かったでおます。

2010年9月 7日 (火)

スウェディッシュ・ミステリー映画「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」

「セブン」のデヴィッド・フィンチャー監督が、ハリウッド・リメイク権を買わはりました

完結編となるシリーズ第3弾は、さらにミステリー・ジャンルの要素を増量しておます

http://www.millennium.gaga.ne.jp/

セプテンバー9月はサタデー11日から、東京・シネマライズ、大阪・敷島シネポップ(「ミレニアム3」は9月25日からどす)などでロードショー。その後、全国各地へも回る予定でおます。本作の配給はギャガはんどす。

文=映画・ミステリー分析評論家・宮城正樹

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ⒸYellow Bird Millennium Rights AB. Nordisk Film. Sveringes Television AB. Film I Vast 2009

昨日も言いよりましたけども、「ミレニアム」シリーズ3部作の、この第3弾だけを見はっても、よう分からへんやろと思いますよってに、ぜひ第1弾→2→3の順番でご覧くだされ。

でもって、本作の分析でおます。この「ミレニアム」シリーズは、いろんなミステリーのフレイバーを、ギュギュッと詰め込んではります。

第1弾は孤島本格ミステリー、失踪人を探す私立探偵的ミステリー。第2弾では、リベンジ系ミステリー、過去さかのぼり系でナゾを追うタイプやらが入っておました。

そして、本作の第3弾では、裁判劇が展開するリーガル・サスペンスやら、「大統領の陰謀」(1976年製作・アメリカ映画)みたいに、政治機密を追いかけはる、ポリティカル・スリラー部やら、スパイ・ミステリー・タッチやらが入りました。加えよりますと、ハリウッド映画好きの方にも充分楽しめるハズの、アクション・シーンもござります。

第2弾のクライマックスで、えらい目に遭わはったヒロインが、入院しはって、回復しはったら、被告人として裁かれるっちゅうカンジでお話が展開しよります。ね、この第3弾だけのあらすじやったら、何が何やらさっぱりでおましょう? 

何で裁かれなあかんねん、っちゅう疑問がござりますわな。それをお話してまうと、第2弾のネタバレにつながりよるのどす。さらに、今回は、公安警察の暗部に迫るところがあるのどすが、コレもまた第2弾とシンクロしとるので、詳しいお話はできよりまへん。

ただチョイ言いますに、アメリカや日本と違う、スウェーデンの裁判の独特な感覚はオモロイどす。

また一つだけ、ええカンジのとこをお話しますと、探偵役として、第1弾でコンビを組んだ、ヒロインとスクープ雑誌の男性記者のキズナ描写部どす。さりげなく、ベタやない点。「ありがとう」「感謝してる」のセリフのやり取り。しみじみとしたあと味を残すのでおます。

さてはて、第1弾がハリウッドでリメイクされるとのことでおます。「セブン」(1995年・アメリカ)やら「ゾディアック」(2007年・アメリカ)やら、現代のサスペンス映画の巨匠監督デヴィッド・フィンチャーはんが撮らはるとのことだす。こちらの行方も楽しみどすえー。

2010年9月 6日 (月)

スウェーデン・ミステリー映画「ミレニアム2 火と戯れる女」

DVD化された「ミレニアム」シリーズの第1弾は、もう見やはりましたでおましょうか?

第1弾を見てへん人は、この第2弾には進まへん方がよろしおまっせー

http://millennium.gaga.ne.jp

9月セプテンバーは11日サタデーから、東京・シネマライズやら、大阪・敷島シネポップやらでロードショー。その後、全国各地で順グリの上映でおます。本作を配給しはるのは、ギャガはんどすえー。

文=映画・ミステリー分析評論家・宮城正樹

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ⒸYellow Bird Millennium Rights AB. Nordisk Film. Sveringes Television AB. Film I Vast 2009

スウェーデンのミステリー小説を、原作にしはった映画どす。シリーズは3部作になっておまして、その第1弾「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(昨年12月14日に分析済みでおます)は、DVD化されておますので、ぜひそちらを見はってから、こちらへ進んでおくんなはれ。シリーズの順番通りに見んでも、ワケわかるシリーズもんはあるけれど、本作はそうやおまへんので。

でもって、「羊たちの沈黙」(1991年製作・アメリカ映画)、「ハンニバル」(2000年・アメリカ)、「レッド・ドラゴン」(2002年・アメリカ)と続く、ハンニバル・レクター博士のシリーズと同じく、快作となっておます。

ところで、第2弾は探偵役ヒロインの、過去をナゾにしたスタイルで、お話は転がってゆきよります。ヒロインは、どないな按配で誕生しよったのか、でおます。そう、「スター・ウォーズ エピソード」シリーズ(1999年・2002年・2005年・アメリカ)の、ダース・ベイダー誕生秘話みたいなノリだす。

第1弾でコンビを組んだ、スクープ紙の男性記者とは、今回はラストの方で再会を果たすっちゅうカンジなんで、いわゆるカタチの上ではヒロインの単独捜査スタイルなんやけど、実は、殺人事件の容疑者として追われてはるとゆう設定も作り出してはります。つまり、犯人として追われながら、真犯人を探す「逃亡者」(1993年・アメリカ)みたいなノリやと思てくだされ。

さらに、ヒロインが誰かに対してリベンジをする、復讐ものミステリーの色合いもござるのです。

ヒロインの超一流のハッカーぶりは、今回も示されるけど、見たもの、シーン、映像を全部記憶できる、ものごっつーな才能は発揮されまへん。アップは多いけど、血だらけの顔やったり、真っ白に赤い筋を入れた、ゴスロリ風変相顔やったり、愛想のなさやぶっきら棒ぶりを見せてゆき、でもって、女だてらのアクション披露ぶりが、よりクローズアップされておます。

なんぼ殴られようが蹴られようが、痛みを感じないとゆう巨漢殺人鬼の登場など、相手も強力なんがおりますんで、お楽しみあれ。

一方、相棒の記者サイドでも、今回はお休みやっちゅうワケやおへん。事件も追うし、ヒロインを探そうと奮闘努力しはります。ヒロイン捜査部と主人公捜査部が、分かれた作りやとゆうことですわ。

今回の事件は、いちおう決着は見ますけども、そして、第3話へと続くとゆう終わり方なんどす。明日、第3弾「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」について分析しよりますけども、第3弾から入るような鑑賞法は、ミステリー小説を結末から読むようなもんどすので、くれぐれもご注意くだされ。

2010年9月 5日 (日)

ジュリア・ロバーツ主演映画「食べて、祈って、恋をして」

グルメ映画・旅行映画・恋愛映画に加えよりまして、スター女優映画でおますよ

女性映画ファンはチョー必見やでー。彼氏を引き連れて見に行きなはれ

http://www.eat-pray-love.jp/

9月セプテンバーのフライデー17日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんばやら、京都・TOHOシネマズ二条やら、兵庫県・OSシネマズミント神戸とか、109シネマズHAT神戸やらで上映どす。本作を配給しはるのは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんやでー

文=映画分析評論家・宮城正樹

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女性層に大いにアピールしやはる、チョー快作映画でおます。

インドネシア・バリ島から始まり、ニューヨーク・ラブ・ストーリー・サイドへと移行。でもって、ジュリア・ロバーツおネーさまが、離婚して別の若い男と付き合わはって、さらに一念発起しはりまして、世界旅行へと旅立たはります。

イタリア→インド→再訪のバリ島っちゅうツアー日程だす。しかも、それぞれ現地で住まいを確保して、各地で約4カ月も滞在しやはる1年間の旅どすえー。いやあー、こたえられまへんでしょう。もし、実際にこのツアーを、ボクたちやアタシたちがやったとしたら、どないでしょうか。ボクチンはたぶん、こんなドラマティックな体験はできへんかもしれまへんけども、アタシたちはできよるかもしれまへん。そんな擬似体験もできるツアー映画なんどすえー。

NYサイドのイントロ部。ジュリアおネーさまと離婚する夫との、窓に雨降るブルー・トーンを映しての車中のやりとりから、グッときよるハズだす。

イタリア・サイドはグルメ映画ノリでおます。なんせ、次々においしい料理を食べるシーンが出てきよります。それも、ちゃんと出来上がったイタリア料理を、アップで見せた上に、おいしそうに食べるのんを映さはるんどす。イタリアン・スパゲッティはモチ、ナポリのピザまで、現地へ出向いて食わはります。

おいおい、そんなん映して、一体どないやねんやなんて、ボクチンは勝手に思いよりましたけども、この映画の基本ラインはヒロイン映画なので、ヒロイン像の造形描写としては、とても大事なシーンなのどす。「ローマの休日」(1953年製作・アメリカ映画)なんかを思い出させる、観光カットもござりますんで、見逃さんといてくだされ。

続くインドは「祈って」サイドでおます。イタリア・サイドにも少々ありますが、「フェリーニのローマ」(1972年・イタリア)みたいに、インドの猥雑感を短カットで、タイトに映すシークエンスからスタート。「モンスーン・ウェディング」(2001年・インド)な結婚式ありーので、ここでも女性ファンのハートをばくすぐらはります。名脇役リチャード・ジェンキンスはんの、告白シーンの長回し撮影やらがボク的にはシブかったでおます。

そして最後のバリ島では、ブラジル人設定のスペイン男優ハビエル・バルデムはんとの、往年のハリウッド映画チックな恋愛映画がシューティングでおます。

セリフのなかにライザ・ミネリ、ソフィア・ローレン、イングリッド・バーグマンやらが出たり、サントラも歌ものサントラが中心なんどすが、1975年のシェールとか、フィル・コリンズ、エアサプライ、スティングなんぞのアーティスト名が出てくるのも、お遊び感覚があってよかったどす。

2010年9月 4日 (土)

日本映画「君が踊る、夏」

高知ロケーション映画にして、「よさこい祭り」への情熱を描く作品ぜよ、やねん

溝端淳平クン、木南晴夏チャン、五十嵐隼士クンら、ノッテる若手が、キズナと感動のドラマ映画を紡がはりました

http://www.kimi-natsu.com

9月セプテンバーは、11日サタデーから、全国各地イッセイのロードショーでおます。配給は東映はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「君が踊る、夏」製作委員会

地方ロケーションによるニッポン映画は、21世紀になって以降、ロケーション・サービスやらをする地方の「フィルムコミッション」の充実によりまして、次々に出てきておます。

しかも、この不況期にも関わらず、文化庁の後援もござりまして、ホンマに相当数の作品が作られてきよりました。

ボクチンがそんな地方ロケ映画で、評価のポイントとしておますのは、観光誘致のノリをどこまで抑えて、映画としての素晴らしき点を打ち出しているかなんやけど、ほな、本作の場合はどないやねん? でおます。

観光PRノリとなりよりますと、どうしても、その地方のPRポイントをフィーチュアしはります。例えば、四国地方に限っても、「眉山」(2006年製作)の阿波踊りであったりとか、「UDON」(2007年)の讃岐うどんであったりとかがござります。ともすると、そのPRポイントを強調したいがために、ドラマ部がメチャメチャおろそかになったりしよります。

でも、本作は何とか踏ん張らはりました。何とかとゆうのは、そう、確かに、描かれておますメイン部は、高知の「よさこい祭り」どす。さらに、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」に便乗しようかなんて、斜めに見てみたら、そんな風に思えんとこもないとは申しまへん。それなのに、「どういて」この映画がええねん? に答えさしてくだされ。

上京して名カメラマンになるんやとゆう青春夢物語や、大いに勘違いがある、三角関係の恋愛物語をベースにしてはるけども、感動の実話映画なんでおますよ。

主人公の溝端淳平(みぞばたじゅんぺい)クンと木南晴夏(きなみはるか)チャンが、高校生の時にエエ感じでアツアツでおました。2人で上京して、お互い夢を追おうやなんて約束してはりました。フツーに結婚しようなんてとこやないのが、今のカップルらしいと思いました。

けども、晴夏チャンの妹・さくらチャン(大森絢音=おおもりあやね)が、不治の病に冒されてしもて、晴夏チャンは上京を断念しはります。しかも、淳平クンに一緒に上京できない理由をゆわはりません。でもって、淳平クンは1人寂しく東京へと行かはるのでした。

一方、この妹は淳平クンの祭りでのパフォーマンスに、えらい魅せられてはって、死ぬまでに祭りで踊りたいと願(ねご)てはるのどす。それを知った淳平クンは、さあ、一体どないするねんとゆう、ドラマ的ジレンマが起こってまいります。

「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)も四国ロケ映画どしたが、その泣ける映画ぶりは同じ方向を向いとる映画どす。

ちなみに、映画タイトルは、淳平クンが撮った写真のタイトルから取られておます。映画のタイトル付けにも、ケレン味がある作品どすえー。

2010年9月 3日 (金)

日本映画「THE LAST MESSAGE 海猿」

実写日本映画で、邦画史上初の3D上映を敢行しはります

海猿シリーズ映画第3弾にして完結編かと申せば、まだまだあるかもしれまへんでー

http://www.umizaru.jp/

セプテンバー9月は、サタデー18日から、全国各地の東宝系で、3D&2D同時ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010  フジテレビジョン ROBOT  ポニーキャニオン 東宝 小学館 エー・チーム FNS27社

日本映画のパニック・ムービーの系譜といたしましては、東宝映画が圧倒的な底力をば見せてはります。

ボクチンの学生時代の頃を言いますれば、「日本沈没」(1973年製作)やら「ノストラダムスの大予言」(1974年)やらがござりました。

でもって、本作なんやけども、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年・アメリカ映画)を相当意識しはった第2弾に続きまして、パニック・ムービーのいろんな要素をミキシングするなんてゆう、ウルトラ級のパニック映画となりよりましたでー。

鹿児島の海上保安庁に務めてはる、主人公・伊藤英明扮する仙崎大輔たちらが、救助任務に挑まはります。今回は福岡の沖合いにあります、日韓・ロシアが共同開発してはる、天然ガスプラント内の事故による火災と、台風による天災をポイントにしてはります。

そんななかで展開するパニック部には、過去の名作をイロイロと思いださせてくれはりました。タワーを天然プラントに変えた変型「タワーリング・インフェルノ」(1974年・アメリカ)であるとか、台風シーンでは「ハリケーン」(1937年・アメリカ)や「デイ・アフター・トゥモロー」(2004年・アメリカ)的描写部もござります。

特に、伊藤英明のアニキと新相棒の三浦翔平クンの、2度にわたるスサマジキ救難任務シーンなどは、大げさかもしれまへんけども、「タワーリング・インフェルノ」のポール・ニューマンとスティーヴ・マックィーンを思い出しました。しかも、あの2人よりも、緻密極まりない任務描写なんどす。もちろん、佐藤隆太クンとの友情キズナ描写も前2作と変わりござんせん。

近接撮影によるビビッド感ある第1任務、水パニックの中のクライマックスとなる第2任務など、3Dで見はったら、自分たちもその任務のなかにいてるような、臨場感と緊張感を味わえることでおましょう。

「みんな、つながっているんだ、戻ってこい」と、伊藤英明アニキにゆわはる時任三郎はん。今回任務に当たる2人の、救助対象者となる、加藤雅也アニキ、濱田岳クン、吹石一恵チャンが、ラストの方で「こいつら」「みんな」「つながってる」と、ツイッター・リレーしやはるのどすが、第1弾と第2弾にもあった、仲間を救う潜水救助シーンは、ハラハラドッキリ、ダイナミックだす。

スロー・モーションの連続に、結婚3年目となるらしい、伊藤英明アニキと加藤あいチャンの結婚記念日のエピソードを、カットバック的に入れていくなど、本作はこの2人の恋愛部も、重要なところやと思い出させてくれはります。

今回でシリーズはホントのホンマに完結らしいのどすが、この2人が結婚してイロイロあったに違いない3年間を、番外編として描くようなんも、ありなんやないかいなと思いました。

2010年9月 2日 (木)

ブルース・ウィリス主演映画「コップ・アウト~刑事(デカ)した奴ら~」

コメディ&パロディなノリで展開しよります、刑事コンビ映画でおます

今までのブルース・ウィリスとは違う、軟派系の演技どすえー

http://www.cop-out.jp/

セプテンバー9月のサタデー4日から、東京・銀座シネパトスやら、ワーナー・マイカル・シネマズ板橋やら、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国各地でロードショーでおます。本作を配給しやはるのは、ワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

「トラブル・イン・ハリウッド」(8月27日付けで分析済みでおます)でも、今まで見たことがあらへん、ブルース・ウィリスはんが披露されますが、本作もまた、初のコメディ・ノリの役やないかなと思います。

「ダイ・ハード」シリーズ(1988年~2007年製作・全4作・アメリカ映画)のジョン・マクレーン刑事のイメージで見やはると、大きな不意打ちを食らいますで。

その一因は、何といっても、ウィリスはんの相棒役トレイシー・モーガン君が、ボケまくり続けているところにござります。ウィリスはんはタフガイをやりたいんやろうけど、相棒の守りをせなあかんので、はずし続けるしかないんでおますよ。いわゆる、漫才におけるボケとツッコミのカンジやねん。

さらに、コソ泥役のショーン・ウィリアム・スコット君がこの中に入ると、トリオで漫才な調子へと発展しよります。

ボケまくりの一大要因は、過去の名作刑事映画を中心に、映画へのオマージュというか、パロディっぽいノリで喋らはるんどす。しかも、冒頭からさっそく頻出しよります。取り調べシーンで、尋問内容とは何の関係もない言葉をまくし立てはります。銃撃アクションやら、カーチェイスやらのヤバイ時にも、コレをやらはります。ホンマにどうかしておりま。

合わせて、ウィリスはんも「メリル・ストリープ級の演技だ」なんて叫ばはるのどす。しかも、この2人が謹慎中の時に、プライベート絡みで事件に巻き込まれはって、そんな中でついでに、メインの事件も解決してまうとゆう調子なんでおますよ。

謹慎中は給料が出ないとゆうので、ウィリスはんはハタと困らはります。離婚した妻が引き取ってはる娘の、結婚資金を全額出したるわと、娘はんにゆうてはったのどす。で、高く売れるらしいチョーお宝のベースボール・カードを、換金して賄おうとしやはるのどすが、そのカードが盗まれてしまいよりました。

片や相棒の方は、新妻が隣家の男と浮気しとんのと違うかと、疑ってはりまして、寝室に監視カメラを仕掛けてはります。そやから、ウィリスはんのサポートをしようにも、妻のことが気になってしもて、ココロここにあらず状態なんでおます。

こんな2人が、最終的には、メキシコの麻薬密売組織を摘発しはるんどす。プライベート捜査をきっかけにした、そのトンチンカン極まりない捜査の道筋こそが、本作のオモロイところでおます。変型刑事ドラマのけったいな感覚が、クセになりまっせ。

2010年9月 1日 (水)

日本映画「恋するナポリタン」

相武紗季チャン&「EXILE」のマキダイ眞木大輔アニキ&塚本高史アニキの、トリプル・アンサンブル演技どすえー

「転校生」「秘密」「四日間の奇蹟」の、あのノリに加え、グルメ映画としてもオイシー映画やでー

http://www.koinapo.jp/

9月セプテンバー11日サタデーから、大阪のシネ・リーブル梅田やらで、全国ロードショーでおます。本作を配給しやはるのは日活はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「恋も仕事も腹八分目」フィルムパートナーズ

上のⒸ部をご覧いただければ、お分かりになるやと思いますが、映画タイトルと違うコピーライトやなんて、おそらく映画史上初めてでおましょう。本作のセリフにあるコトバなんやけど、本作のテーマをストレートに伝えるコトバでおます。

思わずおいしそうで食べたくなってまう「天使のオムライス」なんてのもあるんやけど、イタリアン料理をメインにしたグルメ映画のノリと、ラブ・ストーリー部が見事なカタチでシンクロする快作でおます。

後日、分析しよりますけども、ジュリア・ロバーツ主演映画「食べて、祈って、恋をして」(9月17日公開)でも、イタリア料理が多数描かれておますが、そのノリと優るとも劣らないグルメ映画ぶりどす。

でもって、恋愛映画部でおますが、見出しにも書きました通りのカンジどす。大林宣彦監督の「転校生」(1982年製作)とか、東野圭吾原作・滝田洋二郎監督の「秘密」(1999年)とか、佐々部清監督の「四日間の奇蹟」(2005年)と申しますれば、2人の魂が入れ代わるとゆうシチュエーションだす。

しかも、天国から戻ってくるバージョンの映画やらは多数ござりますが、それを新しいバージョンで描いたような感覚がござりますよ。

相武紗季ちゃんと塚本高史のアニキが幼なじみで、愛し合うのやなく、男と女の友情をば結んではりました。塚本アニキは幼い頃から料理人でおまして、紗季ちゃんに料理を作り続けてはりました。で、現在はイタリアン・レストランの、シェフとしてやってはります。

この2人のキズナ描写は、男と女の間には友情は、果たして成立するのかどうかとゆうポイントを、クリアーしてはる描き方なんどす。

とある事故で、塚本アニキは天国へ召されてしまい、その原因となった「EXILE」のマキダイのアニキの魂が、塚本アニキの魂になってまうとゆう展開でおます。元々はピアニストやったマキダイなんやけど、本人に戻ったり、塚本クンになったりと、いわゆる二重人格的設定なんどす。そして、繰り広げられるマキダイと紗季ちゃんとのやり取りが、この映画を弾ませてゆきよります。

東京タワーをセンターにして、遠近感ある遊歩道のマキダイ&紗季ちゃんカットなど、映画的カットを多数盛り込んで、映画ファンへもアピールしはります。「おめでとう」のセリフをキーにした本作。ホンマにさわやかなラストシーンがやってまいります。ぜひとも期待してくだされ。

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