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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2010年7月の記事

2010年7月31日 (土)

ジャッキー・チェン主演映画「ベスト・キッド」

あの原題「ザ・カラテ・キッド」の空手がカンフーになったリメイク作でおます

ボクチンと同じ姓のミヤギ役コーチは、ジャッキーがやるやなんて、もう個人的にはおいしすぎやわー

http://www.bestkid.jp/

オーガストは14日のサタデーから、全国イッセーのロードショーでおます。関西やったら、梅田ピカデリー、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、OSシネマズミント神戸やらで上映でおます。しかもでんな、8月7日サタデーと8月8日サンデーに先行上映をしはります。本作を配給しはるのは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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シーン写真をまずは見ておくんなはれ。「幸せのちから」(2006年製作・アメリカ映画)で感動的な演技をば、見せてくれはったジェイデン・スミスくん(ウィル・スミスの息子はん)。なにやら、女の子っぽい映像に見えたりしますけども、れっきとした男の子でおますよ。最後にはこれぞ男やがなー、とゆうシーンの中にいてはるんどす。お間違いなきよう。

でもって、ジャッキー・チェン御大でおます。コミカルチックなアクション・シーンをはじめ、イロイロ魅せてくれはったジャッキーなんやけど、本作では、このイジメにおうてる女々しい、弱々しいジェイデンくんを、ジャッキーが鍛えはります。

コドモたちとの交流でいえば、ジャッキー映画の中では、現在公開中の「ダブル・ミッション」(6月15日付けで分析済みでおます)なんぞもござりますけども、自らのアクションを見せ続けてきはったジャッキーが、初めて教える側に回り、そのアクションの極意を、ジェイデンくんだけやなく、見ているみんなに示してくれはるんどすえー

4作シリーズ化もされた「ベスト・キッド」(第1弾は1984年・アメリカ)のリメイクとゆう体裁を取ってはりますが、舞台はアメリカから中国に変わり、格闘技は空手からカンフーへと変わっておます。

ボクチンはオリジナルの「ベスト・キッド」を見ておますが、ノリユキ・パット・モリタが演じた日系人ミヤギ役に、ボクチンの苗字でもあるんで、オレもそれなりにかっこええやんなんて、アホな妄想を抱きつつ見ておましたけども、そのミヤギは本作では名前は違うけど、ジャッキーにならはりました。そらもー、おまえはアホかーってゆうくらい、感情移入しながら見よりましたがな。

アクションバリバリの「グリーン・デスティニー」(2000年・アメリカ&中国)やら「カンフーハッスル」(2004年・アメリカ&中国)では見られない、細かい極意が披露されます。

ジャッキーはジェイデンくんに、服を脱いで掛けてはずしてとゆう単純な動作を、何日もやらせます。なんでやねんでおますが、カンフーは人生なんやーと言わはるんどす。日常の動きの中から生まれてくるカンフーの動作。そして、「気」の伝授。つまり、いわば、キモチとか気合で動くってカンジ。コブラを前に、さる女性格闘家が身振り手振りをするシーンなど、ウウッてきますで。ジャッキーの初伝授ぶりは、かつてイロイロな人が演じた、映画の中の名コーチぶりでも、ウーン、そうかと、ウナれる演技でおます。

「小さな恋のメロディ」(1970年・イギリス)を思い出させる、写真の少年と中国少女とのエピソード部とか、観光ノリの映画になりかねない恐れが、あるかなと思ったけど、スムーズな万里の長城、紫禁城、武当山やらのロケ部やらが、映画に大いなるアクセントをば加えてはります。

2010年7月30日 (金)

アンジェリーナ・ジョリー主演スパイ・アクション「ソルト」

「エイリアン」のシガニー・ウィーバーを超えた、アンジーのバクレツ・アクションがココにござります

今の時代に、東西冷戦ものスパイ映画の登場は、逆に新鮮どした

http://www.SALT-MOVIE.JP/

サタデーはジュライ31日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。関西やったら、大阪・梅田ピカデリー、梅田ブルク7、TOHOシネマズ梅田、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、OSシネマズミント神戸ほか、ド・ド・ドッカ~ンと上映どすえー。この映画を配給をばしはるのは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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2 アンジーことアンジェリーナ・ジョリーのネーさんが、女スパイに扮しはって、バカスカとアクションを披露し続けはります、チョー快作でおます。

しかもイントロでは、「スパイ・ゲーム」(2001年製作・アメリカ映画)で拘束・拷問されはった、夫ブラピことブラッド・ピットと同じく、メチャメチャにやられはるんどす。夫婦揃ってこんだけやられるやなんてのは、珍しおますでしょうな。

ところで、女優が演じるスパイ映画となりますれば、どうあっても、男のスパイ映画、例えば、「007」シリーズ(1962年~2008年・イギリス)とか「ミッション:インポッシブル」シリーズ(1996年~2006年・アメリカ)とか「ボーン」シリーズ(2002年~2007年・アメリカ)とかに、たとえられたりしよります。

まあ、定番なんかもしれまへんが、アンジー主演の「トゥームレイダー」シリーズ(2001年・2003年・アメリカ)でも、女「インディ・ジョーンズ」シリーズ(1981年~2007年・アメリカ)なんて言われてはりましたからね。

でも、女スパイ映画、ヒロイン・アクション映画は、見出しにも書きましたけども、シガニー・ウィーバーはんが活躍した「エイリアン」シリーズ(1979年~1997年・アメリカ)から、次々にドトウのごとく出てきよったのでおます。

女スパイものでも、ルーツ的には「マタ・ハリ」(1931年・アメリカ)であったりとか、「間諜X27」(1931年・アメリカ)とか、日本なら女隠密=くのいち的な忍者時代劇なんぞがござります。ただ、それらの女スパイものは、ほとんどがひっそりと女らしく、ミッションを遂行してしまうとゆうとこがござりました。

しかし、アンジーは、目立ちすぎるハデハデ・アクションをば、これでもかーってくらい披露し続けはります。

フツーのカーチェイスとは言えない凄みがある、高速道路での追・逃走劇、フツーの銃撃戦は日常茶飯事並みに当たり前。ロシア大統領暗殺シークエンスやら、クライマックスの、アメリカ大統領暗殺ミッション・シーンなど、ものゴッツーすぎるアクションが次々にやってまいります。このあたりは、みなさん、ホンマにコッテリと、ハマって見られることでおましょう。

さて、今一つの本作のオリジナリティーなとこをゆうときます。東西冷戦ものをベースにしたスパイ映画は、ソ連崩壊以降、ほとんど作られてきませんどした。時代の最先端としてのリアリティーであったりとか、東西冷戦ものは出尽くしたんやないかとか、いろいろ理由は考えられよりますけども、でも、21世紀も10年を迎えた今やからこそ、むしろ逆に新鮮でおます。

9.11以降の世界抗戦図をさりげなく入れたり、北朝鮮の描写など、今、本作を作るべきところがきっちりと描かれておますところに、ボクは感じ入った次第どす。

2010年7月29日 (木)

アニメ映画「劇場版NARUTO-ナルト-疾風伝 ザ・ロストタワー」

短編「劇場版NARUTO-ナルト-そよ風伝 ナルトと魔神と 3つのお願い だってばよ!!」と同時上映だす

忍者ものアニメのコンテンポラリー版やでー。今回はタイムトラベラー入りの、SF映画仕様でおます

http://www.naruto.com

7月31日サタデー。全国イッセーのロードショー。東宝配給どすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

Ⓒ劇場版NARUTO製作委員会 2010

忍者がミッションで活躍する、アニメやらコミックとなりますれば、これまでにそら、ものゴッツーござります。ただ、どうあってもこれまでは、時代劇スタイルで展開するスタイルが多うござりました。

でも、2004年から毎年1作公開で、始まったこのシリーズは、現代の世界において、忍者の仕事があると仮定して、彼らの極秘任務な仕事ぶりをば活写しはります。このコンテンポラリー(現代的)な作りが、本作のオリジナルなとこでおます。

2000年から毎年1作で始まりました、東映の「ワンピース」シリーズとは、大いなるライバル関係にござります。まあ、そのあたりのウンチクとかはヨコにおいておきまして、今回は現代から過去へタイムスリップして、ミッションをやろうかっちゅう作りになりました。

アニメ・ファンならば、すぐにビビッときやはることでしょうが、現代から過去へトラベラーした、アノ「犬夜叉」シリーズ(2001年~2004年製作・全4作)へのオマージュでおます。

しかも、今回はタイムスリップしたことで、大人になったナルトとナルトの父が再会し、さらに、王国の王女を巡る物語では、祖母・母・娘の三代にわたる、家族のキズナが、そんなにベタベタに大げさではないんどすが、さりげなく入っております。

このシリーズの中でも、親子のキズナが印象的に描かれた1作でおましょう。

さて、アニメとして最も重要やとボクが思っております、色使いについてでおます。いつも同時上映される短編では、テレビアニメ「ハクション大魔王」やら、ディズニー・アニメ「アラジン」(1992年・アメリカ)へのリスペクトを感じよりますが、自然光を取り入れた昼間の、明るい画像で通してはります。

けども、対して、長編の劇場版は違います。薄い色合い、少し灰色も取り入れたダークな配色でおます。「ポケットモンスター」(1998年~2010年)では、多彩な色合いの光線を出してはりますが、本作はそのポケモン以上に薄い色合いでいってはります。極薄紫・極薄緑・極薄青やらどすが、そんな中でも、緑と青を合成した「らせん弾丸」のシーンは、本作ならではの色彩感どす。

加えて、特別出演でキャイ~ンの天野ひろゆきが参加してはるけど、竹内順子ネーさんやら森川智之のアニキやら、プロの声優たちによる、コレが演技する声やーとゆう声優ぶりに魅せられました。ラストのタイトルロールで流れる、西野カナちゃんのキャッチーなミディアム・ポップ「if」も、映画の余韻を深めますでー。

2010年7月28日 (水)

フランス映画「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」

「ミッション:インポッシブル」とは大違いのスパイ映画のケッサク、しかも実話どす

アメリカ・ソ連の東西冷戦時代の、非情な冷たさが体現できよります

http://www.farewell-movie.jp/

サタデー7月31日から、東京・シネマライズで、関西は9月11日サタデーから大阪・テアトル梅田やら、秋には、京都シネマやらシネ・リーブル神戸やらで、全国順番のロードショーでおます。本作を配給しはるのは、ロングライドはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 NORD-OUEST FILMS

みなさんの、スパイ映画に対するイメージってゆうたら、どんなカンジなんやろかな~。スパイといえば、やっぱり、静かにひっそりと、誰にも分からへんように、水面下でやってゆくもんやろなあ。あんましハデにやると、台無しになりよります。静謐さ、深き隠密ぶり。スパイの基本でおます。

ところがどっこい、「ミッション:インポッシブル」(1996年製作・アメリカ映画)とか「007」なんかを見ておりますと、おい、ちょっと待ってくれよ、こんなに大げさに大活劇してしもて、ホンマに誰にも分からへんなんてことが、あるんかいなと思たりしよります。

スパイはチョー極秘なんでおます。極秘、でもって、ある日突然、衝撃の事実やらが披露されて、おいおい、これは、とみんなを驚かさはるっちゅうことでんねん。それこそが、スパイ活動の基本なんどす。

そのひそかに行われるところをば、実話のノリとして、示さはったのが本作なんどす。しかも、東西アメリカ・ソ連の「冷たい戦争」時代の話やー。冷戦時代を背景にした映画はいっぱいあるんやけど、本作の面白さは、その静かで哀愁をたたえたような、渋い作りにござるのです。

スパイ小説、例えば「寒い国から帰ってきたスパイ」とか「バチカンからの暗殺者」とかありますが、本作みたいにソ連側のKGBスパイを主人公にしたのんは、あんましありまへん。

スパイ役主人公は、映画監督として有名なエミール・クストリッツァはんです。何を思わはったんかは分かりまへんけども、素晴らしき監督は素晴らしき演技もできるんやーを見事に見せてくれはりました。容姿やらは、なにやら「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)のアンソニー・ホプキンスはんみたいやしね。実際「狼たちの子供は…」なんてセリフは、「羊たちの声は今も聞こえているか」を、ストレートに思い出させよりました。

1981年の実話だけに、アメリカ・レーガン大統領、フランス・ミッテラン大統領、ソ連のゴルバチョフやらを、それぞれ役者はんが演じてはります。また、ソニーのウォークマンをつけて、クイーンの曲を聴きながら踊る主人公の息子はんとか、時代考証もカンペキどす。

アクションがほとんどない中での、静かな関係描写のシブミが、見たあとあとココロに残りよります。クールなんやけど、なんか気になる男と男の友情やったり、クライマックスで示される父子のキズナと別れやったり…。これこそ、本来のスパイ映画、でもって、スパイ人間映画の哀愁ぶりでおました。

2010年7月27日 (火)

映画「老人と海 ディレクターズ・カット版」

あのヘミングウェイの「老人と海」のドキュメンタリー版でおます

こちらは「ザ・コーヴ」のイルカ漁と違いまして、カジキ漁どすえー

http://www.rojintoumi.asia

サタデー・ジュライ31日から、東京・銀座シネパトスやら、テアトル新宿やら、キネカ大森やらで上映しはります。関西やったら、サタデー・オーガスト7日より、大阪・第七藝術劇場にて上映でおまして、全国各地順グリのロードショーだす。この映画を配給しはるのは、シグロはんとスターサンズはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ1990年シグロ

1990年にニッポン公開されて、その年の「キネマ旬報」の年間ベストテンで、18位にランクインした作品なんやけど、当時入ってなかったシーンを監督が挿入しはって、完全版としたドキュメンタリー映画どす。

あのヘミングウェイ原作映画「老人と海」(1958年製作・アメリカ映画)の、ドキュメンタリー・バージョンを目指して作られた作品なんどすえ。これまで、実写ドラマ版はじめ、短編のアニメ版なんてのも出よりましたけども、ドキュメンタリーという描き方は、意表を突いておました。

しかも、アメリカ人監督ジャン・ユンカーマン作品となった、日本映画なんどす。ユンカーマンはんは、この作品のあと、9.11テロのアメリカの負の部分を取り上げた「チョムスキー9.11」(2002年・日本)やら、改憲論議かしましかった時代を突いた「映画 日本国憲法」(2005年・日本)やら、強烈な社会派の監督なんでおます。

でも、本作は1人の老人を淡々と追った、人間ドキュメンタリーの快作となっておます。

「老人と海」はそもそも、アメリカの老猟師のお話でおますが、その老猟師を、日本の最南端の島・与那国島に発見した監督は、その老人の漁に懸ける執念をば捉えはるのです。

見出しにも書きましたが、「ザ・コーヴ」(6月13日付けで分析済み)のイルカなんかは追いかけてはりません。イルカなんぞを捕獲したら、「なんや、イルカやん」としょんぼりしはります。狙ってはるのは、巨大魚のカジキでおます。

そのカジキとの仁義なき孤独な戦いを、ドキュなのに、緻密な作りでもって展開されるんでおますよ。冒頭の黙々とした船そうじの手入れやら、漁道具の入念な手入れ。船に乗っての撮影をメインに、揺れる船をバックに、猟師の漁の姿が臨場感をもって伝えられるんどす。

モチ、10分にわたるクライマックスの、リアリティーバチバチに展開する格闘シーンは強烈どす。

そのメイン・ソース以外にも、魅せるシーンはござります。あかね色の夕景、セピアな朝焼け、海を走る船のロングショットなどの美しく、またハッとくるショット。

与那国島は沖縄にあるんどすけども、祭りのシーンやらを含めまして、島の人々の生活ドキュメンタリーな描写もすぐれておますし、加えて、美しき自然入りのオキナワもの映画の先駆けでもござります。

また、ナレーションなし、インタビューなしとゆう、それまでのドキュメンタリーの定型をはずした作りも画期的どした。

2010年7月26日 (月)

ニッポン映画「カスタードプリン」

キャンギャル&グラドルたち全13人の熱気がムンムンやー

「プレイガール」も入っとりま。桃色吐息な不条理コメの、ビミョーキモチいい怪作

http://avex-newstar.com

7月28日ウエンズデーから、フライデー7月30日まで、大阪・シネマート心斎橋でレイトショーやります。配給はエイベックス・エンタテインメントはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 avex management inc.

壊れかけの芸能プロダクションに所属する、13人のギャルたちの1日を描く群像劇でおます。いくつかに分かれたエピソードのどれもこれもが、不条理とゆうところをば入れてはるコメディでおます。

論理的でないところはモチ、1つ1つのエピソードに、ムムムとなります。例えば、三木聡監督なんかが示さはる「なんじゃこら、コメディ」節でおましょうか。そんな三木監督の「インスタント沼」(2009年製作)で、助監督を務めはった30歳とゆう若き林雅貴アニキの、長編映画監督デビュー作なんどす。

いやいや、いろんなボケぶり、外し系シーン、そんなアホな~シーンが、次々に、「おいおい、ええ加減にしときやー」ってくらい出てきよるのですよ。映画の出来不出来とか、そういうのんは、とりあえずヨコに置いておきまして、それらのシーンに、笑えなかったり笑ったり、そんなんおかしいやんと、ちょっと怒ってみたり、みんなでワイワイガヤガヤ言いもって見る、なんてゆう映画どすな。そやから、みなはん、ちゃらんぽらんなキモチで見ておくんなはれ。

いろんなギャルやらが初登場しはりますと、ストップ・モーションにしはって字幕入りで紹介。事務所で飼ってるらしいんやけど、そのブタ「マシュー」の視点でしか見せへんから、ブタそのものは出てけえへんかったり…。キャンペーン用のシュークリームを、知らんと、クリームだけをストローでみんなで吸ってしまい、そのクリームを何とかせなあかんと、作って元通りにしようか、なんてシーン。

公衆電話の中で、5人がラップ・ミュージックを電話で歌って、有名ミュージシャンにアピールした後、閉じ込められて「仰げば尊し」を歌ったり…。17歳の核兵器娘とか、その娘を監視しとるらしい「メン・イン・ブラック」(1997年・アメリカ映画)な黒服・黒サングラスな2人やったり。何かようワカラナイけど、ヤクザと対決しようやんとギャルたちが、さっそうと対決へ向かうシーンなんか、どうにもこうにも理屈抜きやねん。

まあ、あえてゆうなら、かつてテレビドラマにもなった、女たちが活躍する「プレイガール」(2003年)を、かなり不条理系で描いてみはったようなカンジかな。「愛が地球を救う」みたいな着地も、おいおい、ちょっと待ってくれ、でおます。

最後に一つ言いよりますに、ブルボンズの16ビート・ポップロック「ロックンロール以外は全部嘘」は、この映画のカンジに合っておました。

2010年7月25日 (日)

ヒロイン・ホラー「ジェニファーズ・ボディ」

女性監督・女性脚本・女性2人ヒロインによる、女性ホラー映画の会心作でおます

高校生ホラーにして、ホラーの原点・悪魔系へ回帰してはる、オーソドックスさがええカンジ

http://www.jennifers-body.jp/

7月30日フライデーから、東京・TOHOシネマズみゆき座やら、大阪・TOHOシネマズ梅田やら、敷島シネポップ、京都・新京極シネラリーベやらで、全国ロードショーどす。本作の配給はショウゲートはんやー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Twentieth Century Fox

3枚共に写真に写ってはる、ミーガン・フォックスちゃんが主演しはったホラー映画どす。日本製のロボット・キャラクターが登場する、あの「トランスフォーマー」シリーズ(2007年・2009年製作・アメリカ映画・以下の映画は全てアメリカ)で、セクシー美女ぶりを披露して有名にならはりました。

そんな彼女がホラーに出るんやから、そりゃ、間違いなく怖がる方のヒロインやろなと思っていたら、それがどっこい大きな勘違いどしたえー。何とまあー、怖がらせる側なんですわ。アラマ、ポテチン。

幼なじみの友達同士で、同じ高校に通てはる女子高校生の2人が、イケテル・モテル女、イケテナイ・モテナイけど彼氏はいてる女とゆう風に、分かれておます。モテルがミーガンちゃんで、モテナイがアマンダ・セイフライドちゃんどす。アマンダちゃんはミュージカル「マンマ・ミーア!」(2008年)なんかが代表作どす。

こんな2人をヒロインにしはって、しかも、カリン・クサマ監督もディアブロ・コディ脚本も女流はんどす。女ボクサーを描いた「ガールファイト」(2000年)やら、ヒロインがアクトするSF「イーオン・フラックス」(2005年)やら、クサマ監督はヒロイン映画にこだわりを見せてはるし、片や、脚本のコディのネーさんも、ティーンエイジャーの妊婦ヒロインの恋を描いた、映画脚本デビュー作「JUNO/ジュノ」(2007年)で、いきなりアカデミー賞の最優秀脚本賞・金メダルに輝いてはるのです。そんなみんなが集まって、女たちのホラー映画をば作らはったのです。

アマンダちゃんが、ココロのツイッターなナレーションを入れて、刑務所に入ってて、看守や女囚人に飛び蹴りして暴れるシーンなんかが冒頭からあるんどすが、このあたりの描写から、さっそくインパクトを加えてはります。でも、ポイントは悪魔で、いや、あくまでミーガンちゃんどす。

2人がいてはるアメリカ・ミッドウェストの田舎に、それなりに売れてるらしいロック・バンドがライヴで来ます。2人が見に行きます。しかし、そのライヴハウスが炎上。バンドたちとミーガンちゃんがバンドの車で逃げて…。その後、どうなったんかは、本作のネタ部になります。

一方、何とか逃げたアマンダちゃんなんやけど、真夜中に彼女の部屋にミーガンちゃんが現れよりました。血だらけ、わめいて黒い液体を吐かはります。なんやねん、コレは? でおます。

女たちが作るホラーは、男たちが作るホラーとどう違うんかに、ボクは終始注目してたんですけども、そんなに大きな違いはないように思いました。スタッフ・キャストが男であれ女であれ、つまり、映画は誰に対しても平等とゆうことなんでおましょうか。

でもって、監督と脚本家の、いろんなホラー映画へのオマージュ的な作りに好感を覚えました。「キャリー」(1976年)「エルム街の悪夢」(1984年・リメイク版も公開中)やらと同じ高校生もの、「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)「エクソシスト」(1973年)やらのホラーの、原点ともいえる悪魔ホラーな作り、「スピーシーズ 種の起源」(1995年)みたいなチョイエロ系もあるんどす。今や、オーソドックスこそ新しいと思える作品でおました。

2010年7月24日 (土)

錦戸亮主演映画「ちょんまげぷりん」

NEWSと関ジャニ∞(エイト)の錦戸クンが、サムライ姿で現代へ、タイムスリップしてしまわはりました

それやのに、パティシエ(ケーキ職人)の話やなんて、驚かせすぎなんとちゃあうん?

http://www.c-purin.jp/

ジュライ7月31日サタデーより、梅田ガーデンシネマやらで全国ロードショー。この映画の製作と配給は、ジェイ・ストームはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 J Storm Inc.

現代の21世紀の東京は巣鴨へと、江戸時代の江戸からタイムスリップしてきはった若ザムライを、錦戸亮クンが演じはった映画どす。なんでタイムスリップしたん? 

疑問はありますけども(疑問は最後までには解決しよります)、まずは錦戸クンは、ともさかりえネーさんと幼稚園児の息子はん、親1人子1人の2人と出会わはります。

でもって、カルチャー・ギャップだらけなんやけど、最初は戸惑ってはりましたが、なんとか生きていかなあかんので、ともさかネーさんに一緒に住まわせてくれと頼みはります。でもって、主夫の生活が始まるとゆう展開どす。

メグ・ライアンが主演した「ニューヨークの恋人」(2001年製作・アメリカ映画)とかの、過去に生きてはった人が現代に、タイムスリップする映画になるんやけど、日本では現代から過去へスリップする「戦国自衛隊」(1979年・2005年)やら「BALLAD 名もなき恋のうた」(2009年)やらはあるけれど、昔から現代へはどうなんやろかな。

「山形スクリーム」(2009年)みたいに、どちらかと言えば、コメディ・ノリのドンチャン映画みたいになりそうなんやけど、ただ、「山形…」はトンデもない面白さも秘めておますが…。この作品について言えば、確かにタイムスリップ・コメディなんどすが、日本映画としては、チョット珍しいタイプかも。

人情ものなんどす。でも、ラブ・ストーリーとはチョイ違います。シングルマザーとそのコドモ、そしてビジターにしてストレンジャーの錦戸クンの3人が、なんとも言えないキズナを結んでゆく、ある種家族ドラマ的なノリがござるのです。

家庭の中に入った錦戸クンは、いろいろ家事をやってゆくうちに、ついに自分の才能に目覚めはります。それがなんと、ケーキやプリンやお菓子作りですわ。パティシエの才能だす。しかも、コンテストにまで出場しはるんどす。

「江戸が東京に勝つところを見たい」なんて、ともさかネーさんが言う通りに、見事なワザを披露しはるんだす。こちとら、えー? なんて言いつつも驚くしかござりまへん。サプライズもキチンと用意されておます。

現代に生きる、シングルマザーとしてのヒロインの生き方とか、コドモとの交流・触れ合いとかに、武士の作法にこだわるサムライ人間を入れたり、サムライとプリンなんてゆうミスマッチなんを、時代を超えて着地させる作りなんか、ハットトリックがあります。

これまで、共にベストセラー作家で、ひと筋縄ではいかへん伊坂幸太郎やら、海堂尊原作映画を調理してきはった監督、中村義洋はんの映画魂が、本作にも根付いておりました。

2010年7月23日 (金)

アメリカン・ゾンビ映画「ゾンビランド」

アメリカではゾンビ映画としよりましては、歴代ナンバーワンの大ヒットでおます

パロディ・ホラーの、パロに頼らない斬新さもおます

http://www.zombieland.jp/

ジュライ・サタデーは二十四日から、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷やら、関西やったら、大阪市のシネ・リーブル梅田とか、大阪府のMOVIX堺とかで、全国順次のロードショーでおます。ちなみに、北海道では、オーガスト二十八日より、ユナイテッド・シネマ札幌で公開しはります。本作をば配給しはるのは、日活はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Columbia Pictures Industries.Inc, All Rights Reserved

ゾンビ映画のみなさんのイメージって、どんなもんどすやろか。

ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生」(1968年製作・アメリカ映画・日本未公開)が、確かにルーツとなりますけども、その恐怖感とかが本作では、ビミョーに進化しておます。

怖くはないんやけど、アクション・エンターテインメントとして、メッチャオモロイ仕上がりなんどす。

また、ゾンビ映画やらが、パロディ映画の中でパロられるようなんもござりました。でも、コイツは、フツーのパロディを超えたカタチで、映画のストーリー展開の中で、ソレを表現してみせるっちゅうウルトラ・ワザを披露してはります。

そのあたりをば、見ていきまひょか。まずは、ストーリーをば言いよります。全米中でゾンビ化現象が起こっとる中で、とある青年は、ゾンビから生き残るための32カ条を、自分勝手に設定しておりまして、何とか生き延びてはります。

片や、ゾンビ・ハンターとして、全米中をうろついてはるウディ・ハレルソンのアニキがおります。でもって、この2人が出会い、ロードムービーしはるんどす。

ところが、その途中で、そんな危険な世界の中で、サギ師まがいに生きとる姉妹と出会い、行動を共にするとゆう展開だす。

これまでのゾンビ映画は、ある特定のエリアにおいて展開してはりました。しかし、コイツはロードムービーとゆうスタイルで、生き残りをかけてスパークするところに、ゾンビ映画の新しさがあります。

細部を見ていくと、冒頭の、ゾンビに人々が次々に襲われる、スローモーションの多彩なカットに、メタリカのハードロックよりも激しい、スラッシュ・メタルを掛けてゆくとこなんか、魅せ方にも新しさがござるのですわ。

そして、クライマックスまでに、イロイロと披露される、ゾンビ映画やホラー映画に限定されない、過去の映画のパロディやない、オマージュ・シーンの数々に、ボクはしびれよりました。

もう何もかもブチ壊したれと、クラシックをかけて4人が暴れるシーンは「時計じかけのオレンジ」(1971年・イギリス)。ビル・マーレーはんの実名のサプライズ出演シーンでは、モチ、「ゴーストバスターズ」(1984年・アメリカ)やら、セリフとして「アナコンダ」(1997年・アメリカ)やら「タイタニック」(1997年・アメリカ)が出てきます。

この「ゴーストバスターズ」は2011年に、第3弾が公開されるっちゅう情報もござりますんで、お楽しみに。

でもって、クライマックスの大アクションでおます。ゾンビ対4人の、ハリウッドの遊園地でのすさまじきバーサス・シーン。これまでのゾンビ映画をはるかに超えた、超絶の銃撃戦がシューティングでおます。ジェットコースターを使ったアクトから、売り場をタテにした果てしなき銃撃アクトまで、目が点になることでおましょう。

シリーズ化されるとのことなので、お楽しみはまだまだこれからでおますよ。

2010年7月22日 (木)

ニッポン映画「大人になった夏」

「ちょっと大人になった」やなんて、夏休みの女の子たちの、友情と青春ウレシ恥ずかし系やー

「まつもと・じゅん」が出てるやなんて、「嵐」とは違いよります

http://avex-newstar.com

サタデー7月24日から、7月27日チューズデーまで、大阪・シネマート心斎橋で上映でおます。この映画を配給しはるのは、エイベックス・エンタテインメントはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 avex management inc.

写真の中学1年生、13歳の3人の女の子の、ひと夏の体験を描くとゆう映画でおます。ひと夏の冒険ものとか、ひと夏の恋の物語とか、ひと夏にまつわる青春系映画は、まあー、そらものごっつーござります。

でもって、本作はどないやねん、なのですが、ある意味、青春映画の作りとしては、甘い部分が多々あるのですが、そういうところが逆に映画のキモとゆうか、見どころになっておます。

女の子3人、藍ちゃん(山谷花純=やまや・かすみ)と桃子ちゃん(江野沢愛美=えのさわ・まなみ)と「さくら」ちゃん(小嶺燦羅=こみね・きらら)が、桃子ちゃんのおばあちゃんが経営する、海辺の民宿へ、ひと夏のお手伝いをばするために、やってまいります。

盛り付けをアップで映す料理お手伝いシーンやら、おそうじシーンなど、フツーのお手伝いシーンが続きよりますけども、やがて男の子を巡りまして、桃子ちゃんと藍ちゃんの間で、ひと夏の三角関係ができよるんだす。

ちなみに、見出しにも書きましたが、ジャニーズのファンの方々には、残念やもしれまへんが、確かに「まつもと・じゅん」が出てはります。ところがどっこい、おばあちゃん役で登場しはります「松本じゅん」はんどす。でも、この方は、本作ともシンクロする「チルソクの夏」(2003年製作)なんかに出てはる、名バイプレーヤーでおます。この滋味ある演技は、「嵐」の松本潤クンには出せへんと思うけど。まあ、おばあちゃん役やしね。

で、次代のアイドル候補たちの3人なんやけど、「女の子ものがたり」(2009年)の女の友情みたいなんも、女子中学生レベルのラインで自然体で演技しておます。レコード会社としてのエイベックスで例えれば、演技をする安室奈美恵ネーさんとか、ケッサク「渚のシンドバッド」(1995年)の浜崎あゆみネーさんっぽいセンスが、そこかしこにござります。

また、夏映画としての色使いも良かったどす。濃い日のセピアの、室内や戸外での大胆な挿入。対して、どこまでも青い空、ピアノ・ギター・バイオリンやらをバックにした紺青の海。夏のイメージを色の対照で示していかはって、ひと夏ドラマを盛り上げはります。

プリンセス・プリンセスとか、リンドバーグを思い出すバンド「JURIAN BEAT CRISIS」(ジュリアン ビート クライシス)の、ポップロックもドラマを弾けさせよりました。

「若いっていいな」とか「ちょっと大人になった」とか、マニュアルっぽいストレート系のセリフに、ボクはムムムとなりよりましたけども、でも、ヤッパ、こういうのんがあった方がむしろ、この青春映画のさわやかさが、みんなに伝わることでおましょう。

2010年7月21日 (水)

労作ドキュメンタリー「こつなぎ 山を巡る百年物語」

日本映画史とイコールになるくらいの、長~い闘争を描き抜かはった作品どす

2人ナレーションで、過去と現在をシンクロさせるシブミ

http://blog.livedoor.jp/kotsunagi/

サタデー7月24日から、フライデー8月6日まで、大阪・九条のシネ・ヌーヴォXにてモーニング・ショーどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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1960年からクランク・インしたんやけど、結局、最後まで完成させることができなくて、お蔵入りになっとったフィルムを発掘。そんなフィルムをベースにしはって、現在2009年の現状を撮りおろして編集。かくして、製作年数が何と50年近くに及ぶ、かつてない労作ドキュメンタリーが登場しよります。

しかも、大正時代の頃から問題になっとって、最終的に解決したんは1975年なんやけど、21世紀の現状も映してゆくんで、日本映画史と同じくらいの長さのお話なんどす。こういう製作過程を経て作り上げられたドキュメンタリーとゆうのは、かつてありまへん。いわば、フィルムがボロボロになっとる往年の名作を、デジタルリマスターして修復したみたいな、そんな驚きと感動がありました。

山とゆうのんは、大たい日本のどこにでもござります。でも、その山は一体、誰のものやねん? とゆう問題が昔からありました。国のものとか、地方の地主のものとか、ひとつの国のなかの領土問題みたいにあるのでおます。それらはきっと世界のどこででも、発生する問題でおましょう。

でも、山のそばに住む人々たちこそが、山を生活の糧にしてゆくスタイルこそが、原始時代から脈々と続いている生活様式でおましょう。そんな基本的人権とか生活権とか、山へ自由に入り、生活のために薪やら山菜を取る権利(入会権=いりあいけん)とかを巡って、百年も闘ってきたお話なんて、おいおい、日本て一体どないなっとんねんでおます。

岩手県の山奥のちっちゃな村「こつなぎ」を例にとって、描いてはりますが、コレは縮図であって、生活権を巡る闘争とゆうのは、世界各地で発生しとるワールドワイドな社会問題なんでおますよ。

さてさて、そういう問題をドキュメントで描く場合、実態をそのまま描いて、観客のみんなの判断に任せたり、あるいは、コレは大問題やーと、製作側が積極的に問題提起したりと、イロイロござります。でも、本作の作りは、その2バージョンのどちらでもござりまへん。あえてゆうなら、その2つを足して2で割ったみたいなカンジかなー。

現在と過去を大たい交互に、映してゆくようではあるんやけど、現在は美しき四季の風景を挿入してゆきながら、インタビューを含めて伝えるのに対し、過去はモノクロの写真やらモノクロの映像やら、インタビューされる声やらを編集してゆくのどす。

この対照描写は効果的やし、また、過去と現在で、ナレーションを変える形式も良かったどす。サイレント映画ノリの過去を担当した、「すまけい」の弁士ノリのあるドラマティックなナレーションぶりは、耳にいつまでもこびり付きそうやったなー。

見たあとあとに、しみじみと思い出させるような、シブ~い仕上がりになっておま。

2010年7月20日 (火)

感動のアメリカン映画「小さな命が呼ぶとき」

不治の病のコドモがいてる家族のために、ハリソン君ハリソン・フォードが救世主にならはるでー

「ジョン・ブック/目撃者」刑事役の医学者版やー

http://www.papa-okusuri.jp/

ジュライ・サタデー24日から、全国ロードショー。関西どしたら、大阪・敷島シネポップ、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸やらで上映しはります。本作の配給は、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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オトン役のブレンダン・フレイザーはん一家と、ハリソン・フォード医学者が華麗なる(!?)といいますか、地味やけど滋味ある感動の共演をばしはりました。

ハリソン君は年齢的には確かに今や、ハリソン爺かもしれまへんけども、頑固ぶりであるとか、こだわりの執着演技とか、今も昔も変わりません。

一方の、ブレンダンはん。この方は「ハムナプトラ」シリーズ(1999年・2001年製作・アメリカ映画)とか、どちらかと申しますれば、アクション系の演技が多いのどすけども、本作では一時期のトム・ハンクスみたいな、「なんとかせなあかん」なんてゆうノリで、娘のために奮闘努力しはる父親役を熱演しはりました。

そうかそうか、ブレンダンはんとハリソン君といえば、探検家・冒険家演技として大ヒットした作品に出てはる点で、大いなる共通点がござりました。ハリソン君はモチ、「インディ・ジョーンズ」シリーズ(1981年・1984年・1989年・2008年・全4作・アメリカ)どす。

そう考えますれば、この2人のキャスティングはある種の冒険やったかもしれまへん。しかし、ベタベタな友情やなく、現場職人と営業マンとゆうような立場で、いろんな難事に冷静に対処してゆく2人は、本作と同じく実話系の「レナードの朝」(1990年・アメリカ)の医者役ロビン・ウィリアムズ&患者役ロバート・デ・ニーロを、それとなく彷彿させてくれはりました。

コドモはんが2人も、映画では今までに描かれたことがないビョーキにかかってはって、ブレンダンはんは、そのビョーキ研究の第一人者のハリソン君に、治療薬を発明しとくんなはれと、アプローチしはるんどす。この2人の出会いは渋いどす。電話やら直接訪問ではうまくいかず、結局、酒場で酒を飲み合って、初めて分かり合えるっちゅう展開でおます。

ハリソン君がロックやハードロックをかけながら研究したり、プレゼンではガンコオヤジになったり、一方で、ビョーキの女の子との交流では、童心に帰って付き合ったりと、いろんな面を見せてくれはります。

ああ、そうや、と思いました。コレはハリソン君にとっては、母子を救った「刑事ジョン・ブック/目撃者」(1985年・アメリカ)の復活スタイルなんやないかと。ブレンダンはんとの友情が付け加えられて、ある意味においてボリューム・アップ・バージョンと見たら、個人的にはシックリときましたし、納得できました。

往年のハリウッド映画チックなオーソドックスな、オーケストラ・サウンドのサントラ使いなども、よろしおます。

2010年7月19日 (月)

ハリウッド超大作「インセプション」

レオナルド・ディカプリオ様、渡辺謙アニキやらが、スサマジキ戦いの中へ突入やー

夢ネタを使った作品でも、過去最高、いや、映画史に残るシーンを創出しはった、大ケッサクでおます

http://www.inceptionmovie.jp/

7月23日フライデーから全国イッセイのロードショー。大阪では梅田ピカデリーやらで上映でおます。この映画を配給しはるのは、ワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Warner Bros. Entertainment Inc.

夢オチとか、何や結局、夢やったんかいなーとゆうのは、映画だけに限らず、余りにも多くござります。ところが、どっこいでおますよ。余りにもケウ壮大、トンでもネーのんが現れよりましたがな。

夢の夢、夢のまた夢は、助走でおまして、夢の3層、4層構造やなんて、おいおい、あり得へんがな、モー。つまり、夢で登場しよる人間が、その世界(第1夢の世界)で寝て夢を見て、次の2層目の世界(第2夢の世界)へとゆう構造なんでおますけども、いやいや、ここまでやられよりますと、そんなんリアリティーがどうたらこうたらは、モー、ゆうてられまへんで。

10年どころか、50年近くもずっと夢を見とったら、そらもー、浦島太郎やら白雪姫やら眠れる森の美女やらやないんやから、とっくの昔に餓死しておますよ。でも、あくまで「マトリックス」(1999年製作・アメリカ映画)みたいな架空の世界で、展開するスタイルやと考えてみておくんなはれ。

さらに、極秘ミッション系の「ミッション:インポッシブル」(1996年・アメリカ)の、夢バージョンと捉えてくだされ。レオナルド・ディカプリオことレオ様にしてみればでんな、前作「シャッター アイランド」(3月29日付けで分析済み)よりも、より複雑にして怪奇、もうどうしよーもないくらいのスゴサを呈してはるんどす。

ケン・ワタナベ(渡辺謙)だって、おんなじヨ。「ラスト・サムライ」(2003年・アメリカ)のマットーな世界に、アア、戻りたいわーっちゅうくらい、とんでもネー、ネジレ演技やねん。

ほかの方々も、みないっしょでおますよ。レオ様の亡き妻役のマリオン・コティヤールのネーさまなんか、レオ様と同様、アップも多いし、ある意味おいしい役どころなんやけど、ウ~ン、ヤッパ、怪しきネジレ系のミステリー演技やねん。

いやいや、この演技部だけを取り上げても、ミッションに当たる5人+ケン・ワタナベの全員を取り上げないかんなほど、強烈なインパクトなんどす。そんな中でも、エレン・ペイジちゃん。

素晴らしき妊婦役をこなした青春恋愛ドラマ「JUNO/ジュノ」(2007年・アメリカ)や、シチュエーション・サスペンス「ハードキャンディ」(2005年・アメリカ)のエグイ冷酷女など、いろいろ魅せてくれはったけど、本作は、きっと大ブレイクのキャラクターになったと思いましたでー。夢の建築設計士役で、街が上下に曲がったりをクリエイトし、魅せてくれはります。

監督はクリストファー・ノーランはんどす。ボクとしては一時、彼は「シックス・センス」(1999年・アメリカ)のM・ナイト・シャマラン監督と、好敵手になってゆくんやないかなと思っておました。でも、ネジレのサスペンス映画、本作はSF映画でもござりますが、これでシャマランを、1歩も2歩もリードしたんやないかなと思います。

チョー・クライマックスの、4層構造にわたる、夢中ミッション・アクションは、映画史に残るスサマジサをクリエイトしはりました。「ダイ・ハード2」(1990年・アメリカ)やら、いろんな映画へのオマージュ・シーンも入っておます。細かく描けとゆわれたら、なんぼでもやりますが、でも、これは見てもらうしか、その凄みは伝わらへんと思いますわ。

たかが夢の世界を、こんな途方もないところまでもってくるやなんて、信じられへんわー。「シリーズ2」への布石も、さりげなく入れてはるので、お楽しみくだされ。

2010年7月18日 (日)

韓国ミステリー映画「パラレルライフ」

「宮廷女官チャングムの誓い」の、あの優しーいチ・ジニのアニキが豹変しはりました

犯人探しのどんでん返しが次々に、めまいのようにやってきよります

http://www.parallel-life.jp/

サタデー7月24日から、東京・シネマスクエアとうきゅう、でもって関西は、サタデー7月31日から、大阪・梅田ブルク7やら、T・ジョイ京都やらで、全国順グリのロードショーでおます。この考え抜かれたミステリー映画を配給しはるのは、CJ Entertainment Japanはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved

チ・ジニのアニキと申しますれば、テレビドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」の、ヒロイン役イ・ヨンエおネーさまの恋人役として、みなさんをウルウル・ウットリさせてくれはった、ロマンティックな貴公子はんでござります。

ところが、どっこいでおます。本作を見ますと、180度ガラリと変わらはりました。まあ、映画の最初の方は、あの優しい貴公子ぶりの、延長線みたいなとこにはいてはるのですけども、それが物語が進むにつれまして、アニキは顔面ソーハク(蒼白)、必死のパッチ、やがては、えらいところまで追い込まれてしまいよります。

いやあー、これは犯人当てのミステリー映画なんどすけども、それだけに、過去の関連作なんかはいくつかあるんやけど、一つも出すわけにはまいりまへん。出したら、いっぺんに台無しになるってゆうタイプなんどす。ああ、そういう風に書くんやったら、たぶんあのタイプなんやろなーと、みなさんもみなさんなりに、予想しはることでおましょう。でも、その予想は、念のためにゆうときますけども、かなりはずれると思いますよ。

韓国映画のミステリー・サスペンス系と申しますれば、実はかなりのケッサクがござります。スパイ系「シュリ」(1999年製作)、猟奇殺人系「カル」(1999年)、刑事ドラマ系「殺人の追憶」(2003年)、殺人鬼系「チェイサー」(2008年)やら、ほぼ毎年最低1作くらいはキョーレツ(強烈)なんを、ブチかましてくれてはります。

「チェイサー」の殺人鬼役で脚光を浴びはったハ・ジョンウ君が、今回もまた犯人役とは申しませんけど、印象深い怪演技でおます。

タイトルの「平行理論」とゆう考え方がござりまして、時を経て2人の人間が、同じ運命を生きることがあるなんてゆう理屈をば、ベースにしてはる映画なんどす。その1例に、リンカーンとJ・F・ケネディを挙げはります。まあ、たまにはそうゆうこともあるでしょう。

しかし、チ・ジニのアニキは、愛妻の惨殺事件に遭い、30年前に同じ運命に遭ったらしい人のことを調べ、その不幸な運命に遭わないように何とかせなあかんと、もうガムシャラに調査に突き進まはるのでおました。

その同じ運命にあったらしき人は、愛するコドモまで殺され、自分も殺されるんどす。さー、どないするのん、チ・ジニのアニキ。妻を殺したのは誰やねん、だけやおまへん。ホンマに愛娘や自分も危ないんやー。

いやあー、本作の後半から、なだれるように、めまいのようにやってきよる事件の、真犯人を巡るめくるめく展開なんて、これまでのミステリー映画にもなかったようなもんでおます。伏線もあります。ぜひとも犯人当てに、チャレンジしてみておくんなはれ。

まあ、約30%くらいの人は何とか、犯人は当てられるかもしれまへんけど、その動機とか細部のトリックとかまではどないかなー。うーん、コレは韓国映画界だけやおまへんでー。久々の全世界的映画界における、犯人当てミステリー映画の問題作でおました。

2010年7月17日 (土)

チャン・ドンゴン主演韓国映画「グッドモーニング・プレジデント」

ドンゴン・アニキの映画復帰作は、カッコイイ大統領役どす

しかも、幼なじみのオンナのコと、フォーリン・ラブな展開も

http://www.goodmorning-p.com/

サタデーのジュライは二十四の日から、東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順番のロードショーでおます。映画の配給はエスピーオーはんです。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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©2009 CJ ENTERTAINENT INC., ALL RIGHTS RESERVED

「ブラザーフッド」(2004年製作・韓国映画)も必死の演技に泣けました。あの「韓国四天王」の1人、チャン・ドンゴンのアニキが、兵役から帰ってきはりました。テレビドラマ出演もボチボチでおましょうが、映画としての復帰第1弾が本作でおます。

韓国の若き大統領役どす。アメリカの大統領ものに、いっぱいござりますカッコヨサ。例えばでんな、北朝鮮からの使者とのやり取りをはじめ、軍事的危機に関するカッコイイ言動の数々。

対しまして、ロマンス・ポイントでは、大人になった幼なじみの女の子、ハン・チェヨンちゃんとソフト・タッチのラブが展開しよります。で、その硬軟の対比に加えよりまして、ユニークなエピソードがござります。

ちなみに本作どすが、とある何年かを想定し、3代にわたる大統領のオムニバス的なお話でござりまして、ドンゴンのアニキは2代目で登場しはりますけども、1代目の時も、引退後の3代目の時も、登場しはりますんで、ドンゴン・アニキのファンの方々、ご安心くだされ。

大統領ものとなれば、韓国映画でもあります。ラブ・ストーリーやったり、「大統領の理髪師」(2004年・韓国)みたいに、大統領描写は脇に置いといて、理髪師家族を描く家族映画なんか。でも、本作の新味は、人間としての人間臭い大統領の姿を、コミカルに捉えた点でおましょう。

先ほども言いました、ドンゴン・アニキのエピソードもその一つでおます。詳しくはネタ部分に入りますんで言えまへんけども、大統領がこういうことをやらはるのは、まあ、ありまへんでしょう。

1代目大統領をやらはるのは、韓国の大ベテラン俳優イ・スンジェはん。宝くじイベントに出席しはり、自分も買って、当たったら全部寄付に回すと豪語しはったんどすけど、それがホンマに当たってしもて、悩み抜かはります。

抽選をテレビで見る夫と、兄妹の人情テレビドラマを見て泣く妻(つまり、ファーストレディー)を、交互に映したり、換金できる銀行前を車で通る時に、大げさに弦楽オーケストラ・サウンドを流したり、変装して換金しようとする妄想シーンやら、オモロイどす。

で、3代目は女性大統領やー。本国では韓国の母とゆわれるくらい、母親役を演じてはるらしいコ・ドゥシムはん。女大統領の夫、つまり、ファースト・マン、いや、ファーストおっさんか? 一般人なら普通に許される彼の行動によって、野党から妻の大統領が追い込まれ、遂に離婚へなんてゆう方向へとゆきよります。

大統領夫妻の離婚問題、宝くじに当たったら、どうする問題。そして、ドンゴン・アニキも、大統領としてはまず、考えられない問題に直面しはります。こういう国のトップを描くコメディ・センスの映画は、他国の映画ではまずござりまへん。韓国映画らしいコメディ人間ドラマ映画やと思います。

2010年7月16日 (金)

アガサ・クリスティ原作ミステリー「華麗なるアリバイ」

イギリス・ミステリーを、フランスが映画化しはりました

群像劇ミステリー映画の面白さを、満喫できよりました

http://www.aribai-movie.com

サタデー7月17日から、東京・Bunkamura ル・シネマやら、7月下旬から、関西なら、大阪・梅田ガーデンシネマやら、京都シネマやらで、全国順グリの上映だす。この映画を配給しはるのは、アルバトロス・フィルムはんどす。

文=映画・ミステリー分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2008-SBS FILMS-MEDUSA FILM

イギリスのミステリー小説といえば、アメリカと比べて、どちらかといえばトリッキーな作品が多うござるように思います。しかも、女流作家がものごっつー幅をきかせてはるといいますか、例えば、ミステリー・ジャンルやない分野でも、「ハリー・ポッター」シリーズの原作者は女流はんやし、女作家が大活躍なんどす。

で、ミステリーで申しますれば、今年生誕120年をば迎えはる、アガサ・クリスティ巨匠がいてはります。クリスティ・ミステリーの原作映画は、1970年代にピークを迎えました。ちょうど、日本の同時代でゆうなら、横溝正史みたいなカンジやろか。

犯人当ての「オリエント急行殺人事件」(1974年製作・イギリス映画)やら、2度目の映画化となった、同じく犯人当ての「そして誰もいなくなった」(1974年・イギリス)やら、同じく「ナイル殺人事件」(1978年・アメリカ&イギリス)やらでおます。また、クリスティの実話をベースにした「アガサ・愛の失踪事件」(1979年・アメリカ)なる映画も出てきよりました。

クリスティの面白さは、言うまでもなく犯人当ての妙だす。個人的には、クリスティ・ミステリーでボクが一番ベストやと思ておりますのんが、稠密な記述ミステリー(記述する中に、伏線を散りばめる手法)で読者をかく乱しはった「アクロイド殺人事件」どす。でも、これはやはり映像化は不可能なんやろね、未だに映像化されておりまへん。

さて、肝心な本作のことやけど、「スタイルズ荘の怪事件」なんかの、館ミステリー・シリーズの1作「ホロー荘の殺人」を映画化しはりました。「オリエント急行殺人事件」と同様に、群像ミステリーの快作となっておます。

群像劇の名手ロバート・アルトマン監督の「ゴスフォード・パーク」(2001年・イタリア&イギリス&アメリカ&ドイツ)のノリもござります。フランス映画としてはクリスティ原作ものでは、「ゼロ時間へ」に続く、2度目の映画化でおましょう。

コナン・ドイルのシャーロック・ホームズならぬ、クリスティのエルキュール・ポワロ探偵(シャーロッキアンならぬポワロッキアンの呼称ができてもおかしくござんせん)は、原作では出てきはりますが、本作では出まへん。まあ、21世紀の現代の設定に置き換えられておますんで、どうあってもポワロ印な捜査方法は、叶わないのでおましょうか。

銃殺により殺された被害者。その銃を撃ったんは一体、誰やねんとゆうシンプルな作りやのに、これがまたぎょうさん、怪しい人物がいっぱいおるんでおます。特に、ミス・リード(間違った方向へ観客を誘ってゆく手法)で、エライ目に遭わはる男の人に注目くだされ。

被害者を巡る女たちの関係描写では、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキのネーさん(写真一番上の左端の人)がでっかい鍵を握ってはります。フランス大統領サルコジ夫人、ファースト・レディの実のおネーさんどす。この方は、いつになっても若々しい。そのアイドルチックなフレッシュさに、ボクはクラクラになりました。クラクラもよろしおますけども、クレグレもだまされんように、ご注意あれ! でおますよ。

2010年7月15日 (木)

フランスのゾンビ映画「ザ・ホード-死霊の大群-」

とことんダークに描き抜かはる、ホラー・サバイバル・アクションでっせー

フランスの伝統的な、ギャング・ノワール系のノリからスタートどす

http://www.showgate.jp/horde/

7月17日は土曜日から、東京はシアターN 渋谷やら、7月24日はサタデーから、大阪は天六ユウラク座やらで、全国各地順グリのロードショーやー。このゾンビ映画(R-15指定どす)を配給しはるのは、ショウゲートはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⒸCAPTURE [THE FLAG] FILMS / LE PACTE - 2009

フランス映画でホラー映画やなんて、しかもゾンビ映画やなんて、ほとんど今までアリエネー、アリエヘンデーなジャンルでおますんやけど、でも、出てきよりましたがな、コレが…。

ゾンビ映画のルーツは確かにアメリカでおます。でも、このゾンビものには、フランスらしいテイストがござります。フランスには犯罪映画として、フィルム・ノワールっちゅうのんが映画的ルーツとしてござります。

さらに、ギャング映画もまた、アメリカとは違うテイストで、伝統的にござります。その違いは、ダーク感の作りの違いでしょう。アメリカはまだヤワなとこがあるんやけど、フランスは「ああ、無情」ゆうくらい非情でおます。そないな、とことん無情系を、体感できるのが本作どす。

フランスの刑事が惨殺されてしもて、そのリベンジやーっちゅうことで、フランス警察の紅一点4人組が、仲間を殺したナイジェリアのギャング団と対決したるでー、とゆうところから始まります。この導入部は「仁義なき戦い」(1973年製作・日本映画)やら「県警対組織暴力」(1975年・日本)みたいなノリどす。

奴らがいとる高層ビルへと、さっそうと向かわはったんどすけども、いきなり刑事側のリーダー格が銃殺されてしまいよります。ところがどっこい、そこへゾンビが現れよりまして、ギャング団の何人かをカブって殺してしまうんどす。

でもって、刑事側もギャング側もいっしょくたになって、屋上へ逃げよりますと、屋上から見えるパリの街は、えらいことになっておりましたんどすえー。ゾンビ・テロリズムといいますか、街はゾンビだらけになっとるやおまへんか。あらま、どないしょーかいなでおます。

ダークな闇とセピアな配色で描かれますこのシーンは、衝撃的どした。そして、その後に続く、サバイバルと裏切りとアクションの、連続の前触れシーンとして、インパクトがありました。

途中からは、ベトナム戦争を体験しはったらしいジジイが、ゾンビ戦争に参戦しはって都合7人になります。このクソジジイがええ味出してはります。いつも最前線にいたい、なんて言いはります。で、ドトウのごとくなアクション・シーンが続きます。

ホラー的な怖さよりも、銃撃戦や格闘映画や戦争映画的なシーンがメインとしてありますんで、まさに特上のアクション映画やといえます。ダークな闇とセピア部で描くアクション・シーンは、暗すぎて一部分かりにくいとこもあるやも分かりまへんが、映画的アクション感覚で分かるようにはなっておますんでご安心くだされ。でもってでんな、冒頭部と最後にある自然光での撮影シーンは、映画の余韻を深めよる効果があるんどす。特にラスト・シークエンスは強烈やったなー。

「レザボア・ドッグス」(1991年・アメリカ)やら、「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ)やら、「エイリアン」(1979年・アメリカ)やら、名作を思い出させる設定やシーンもござりますので、お楽しみあれ、でおます。

2010年7月14日 (水)

スティーヴン・ソダーバーグ監督の日本初公開作「Bubble/バブル」

シンプル・イズ・ベストな、心理ミステリー映画やでー

リーマン・ショック前、中流の下の貧民層の実態もとらえてはります

http://www.tfc-movie.net/movie/bubble.html

7月17日サタデーから1週間限定にて、東京・シネマライズにてレイトショーやらはります。配給は東北新社はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2005 HDNet Films, LLC. All Rights Reserved.

スティーヴン・ソダーバーグ監督と申しますれば、アカデミー賞の監督賞をもろてはりますし、世界3大映画祭のカンヌ国際映画祭で最高賞をゲットしてはるし、また、ジュリア・ロバーツをアカデミー主演女優賞へと導く、演出ぶりも披露してはります。

その一方では、世界的に大ヒットした「オーシャンズ11~13」(2001年・2004年・2007年・アメリカ映画)を監督しはりました。実力はもちろんのこと、ヒット作への対応も見事にしてくれはる縦横無尽の方なんでおますよ。でもって、そんな監督なんやけども、インディペンデント映画、つまり低予算で自由自在に撮りたいように撮ってゆく映画へも、えらいこだわりを見せてはります。

現在、東京で公開中の「ガールフレンド・エクスペリエンス」(6月29日付けで分析済み)もまた、インディペンデント魂のある映画どすが、本作はさらに、低予算のもとで、どんなものが作れるのかに、えらい張り切らはった作品となりました。

経費削減の切り詰めぶりは、そら、すごいもんがあります。監督は撮影も担当しはって、出演者もギャラがあるんかどうか分からへんシロウト役者たち、しかも、室内撮影部では、レンタル無料の役者たちの自宅での撮影でおます。まるで、過酷な試練に耐えるかのように、監督はこの作品を紡いでいかはります。

そうして、出来上がりましたのは、シンプル・イズ・ベストなミステリー映画にして、アメリカの中流の下ともいえる、人たちを描く人間ドラマ映画となりよりました。オトンを介護する独身のおばさん娘はん、父はどっかへ行ってしもて、母と2人暮らしのブルーカラーの青年、介護業では儲からへんと嘆く若きシングルマザー、その2歳のコドモ娘の若きプータローのオトン。「リーマン・ショック」前の、アメリカの地方都市の現実がリアルに描かれていきよります。

そんな4人を中心に物語が展開し、殺人事件が起こって、刑事が登場するとゆう、実にシンプルな話なんでおます。単純な構図のミステリー。でも、その設定で、どこまでミステリーやらサスペンスやらを創り出していけるんか、監督はチャレンジしてはります。

しかし、ご都合主義なテレビの二時間ドラマよりは、映画的ミステリーな仕上がりになっておるのはもちろんのこと、あのヒッチコック監督の名作「サイコ」(1960年・アメリカ)を彷彿とさせるシーンなんか、ココに、胸に、きよりましたがな。タイトなギター・サントラも、映画を弾ませておりま。

2010年7月13日 (火)

ニッポン映画「おのぼり物語」

主人公が夢見ての上京物語最新版は、昭和時代の上京ものと変わらへん、懐かしき仕上がりやでー

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」やら「トキワ荘の青春」やら、いろいろ思い出させてくれはります

http://www.onoborimonogatari.com/

ジュライ17日サタデーから、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町やら、ジュライ24日サタデーから、大阪・テアトル梅田やらで、全国各地順番のロードショーでおます。本作を配給しはるのは、東京テアトルはんで、製作しはったのは、アールグレイフィルムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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かつて昭和の時代に、青年が地方から上京し、ひと旗上げて故郷に錦をば飾るんやー、なんてゆうのんが、映画や音楽などのカルチャーだけでなく、時代のトレンドになっとった時期がござりました。そんな懐かしき時代の物語が、21世紀の今の設定で蘇えったのが本作でおます。

しかも、コミック原作映画が次々に出てきとる現代におきまして、四コマ・マンガの原作とゆうのは珍しおます。かの「サザエさん」も四コマ原作どした。

1誌だけマンガ雑誌で連載持ってるからゆうて、大阪から上京し、やったるでーとガンバらはる主人公・カラスヤサトシ(原作者とおんなじ名前)に、舞台役者としてガンバってはる井上芳雄クンが扮しはりました。モーレツにやったるでーやなく、肩の力を抜いてそれなりに、なんてゆうええ加減さが、ピタリとはまる当たり役やー。

で、彼より先に、写真家目指して上京してはった、写真の同級生のオンナのコ(肘井美佳チャン)と、デートして励まし合ったりしはります。でも、主人公が唯一持ってはった雑誌が休刊してもうて、生きてゆくために、売り込みに四苦八苦する毎日がやってきよるのです。

そんな厳しそうな展開なんやけど、本作はどこまでも優しく、人情味にあふれております。とゆうのは、まずは、主人公が住んではるアパートの住民たちとの交流どす。マンガ家志望たちが集まった「トキワ荘の青春」(1996年製作)とか、「ゲンセンカン主人」(1993年)みたいな、チョイいいカンジの関係がいくつか紡がれよります。

タテノリ・ロックを演奏するロシア人との交流やら、アパートのオーナー役・哀川翔アニキとのやり取りなんかがよろしおま。同級生の彼女との交流も、長回しの撮影シーン含めて描かれます。

一方で、大阪にいてるオカンとオトン(2人組ミュージシャン・ゴンチチのチチ村松はん)とのキズナ描写も、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(2007年)並みに泣かせよります。こちらはオカンやなく、オトンとのキズナがキモどす。「東京タワー…」の方は、福岡からの上京組どしたけども、オトンやオカンとゆう表現のルーツは、大阪でおます。そういうところも分からせてくれる作品どす。

東京が舞台なのに、何やら元気をくれる関西弁が満載どす。「とことんいこか」とか「いろいろあるけどガンバりや」とか「人間はそう簡単に死ねへん」とか。でも、標準語で3回も発せられるセリフこそ、この映画を象徴しておりま。八嶋智人のアニキが主人公に言います。「君はこれからどんどん忙しくなっていくんじゃない。何の根拠もないんだけど」。

久々に見た人情派青春映画の快作どした。

2010年7月12日 (月)

深作健太監督作品「クロネズミ」

「バトル・ロワイアル」のサバイバル・ノリはもちろん、

監督の亡きオトン・深作欣二監督「仁義なき戦い」も思い出させよります

http://avex-newstar.com/

7月17日サタデーから、7月23日フライデーまで、大阪・シネマート心斎橋で上映しはります。本作を配給しはるのは、エイベックス・エンタテインメントはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 avex management inc.

深作健太監督と申せば、オトン深作欣二監督の遺作「バトル・ロワイアル」(2000年製作)の第2弾「バトル・ロワイアルⅡ【鎮魂歌】」(2003年)をば、撮影中に逝去したオトンの遺志を継いで完成させはりました。

その後も、本作と同じく、学園ものアクション映画「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」(2006年)なんかを、松浦亜弥アヤヤを主演に据えて監督しはりました。黒木メイサを起用しはった青春映画「同じ月を見ている」(2005年)なんかも、冴えておました。

いかにも、ティーン・エイジャーやらの青春、でもって学園系アクションが、お得意分野になりそうな感じどすけども、本作もまた、その延長線上にある作品かもしれまへん。

しかし、彼の作品にはいつも思うんどすが、色使いであったり、動と静の対比であったりと、映画的な細部の描写が巧みのワザやと思います。そのわざとらしさが、時に鼻に突いたりとかしたりしとったんやけど、今度はどないやろかなー? 

動的なアクション・シーンと、ピアノを流し、近過去を回想する静かなシーンとの対比効果。そのアクションも、夜のシーンで展開しよります。オトンの「仁義なき戦い」(1973年~1974年・全5作)シリーズにもあった、アクション直後のストップ・モーション・シーンもござります。

ダーク・ブルー、薄グリーン、一部セピア照明部、闇部を一画面に配色して、何がどないなっとんのか、よう分からへんアクション・シーンになっとります。このあたりは、あくまで意図的にやってはるんでしょう。

あんましえげつないシーンがありますと、R指定になり、場合によっては誰にも見せられへんようなことになりかねまへん。そやから、あえて、見にくいダーク・トーンで展開してはるんやろなとは思いました。でも、細かく分からなくても、雰囲気的にはどうなっとるんかは、分かるようにはなっておます。

妹を自殺に追いやられたおネーさんが、妹を追い詰めた何人かを、夜の校舎に呼ばはって、1人1人始末してゆくとゆう展開どすが、リベンジ劇としては「告白」(公開中)ほどのリアリティーはなくとも、怪しくて妖しいカンジが、何とも言えよりまへん。

そんなん、1人で何人も退治できまへんもんね。しかし、カラクリやら仕掛けはあるんどす。そして、「告白」と同じく、ドカーンと大バクハツがござります。

で、最後に流れるのは、甲斐よしひろの娘はん、甲斐名都の8ビート・ロック「愛GIRL恋GIRL」やー。映画界と音楽界の二世のコラボレートにハッとしました。

2010年7月11日 (日)

幻の日本映画「樺太 1945年夏 氷雪の門」

当時日本領やった樺太版の、いわば沖縄「ひめゆりの塔」でおます

1974年当時までも、今までも描かれへんかった、戦争映画が遂に上映されます

http://www.hyosetsu.com/

7月17日土曜からシアターN渋谷やら、7月24日から名古屋・シネマスコーレやら、8月7日から札幌・シアターキノやら、横浜・ジャック&ペティやらで、全国順グリの上映どす。関西やったら、大阪・第七藝術劇場やら、京都みなみ会館やらで上映しはります。本作を配給しはるのは、太秦はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ「氷雪の門」上映委員会

原爆もの、戦場もの、沖縄・本土決戦ものやら、数多い戦争映画の中でも、いまだに描かれておまへん戦争映画とゆうものがござります。ドキュメンタリーやった満州の「嗚呼(ああ) 満蒙開拓団」(2008年製作)みたいなんもそうでおますが、日本の占領地での話でおます。

かつて1904年に日露戦争がありまして、日本が勝ち、で、樺太を領地にしたんどすが、終戦の1945年までの40年余り、国民の何人かは樺太へ移住して、そこで生きてきはりました。主演の二木てるみ(写真2枚目)がいみじくも言います。「私たちはここで生まれここで育ってきた。だから離れたくない」と。

一方、ロシア・ソ連側にしてみたら、何とかこの奪われた領土を取り返したい。そやから、日本が8月15日に無条件降伏してるにも関わらず、その後も樺太への攻撃の手をゆるめず、遂に8月20日に、無抵抗の民衆を皆殺しにせんとする暴挙に出よりました。メチャメチャでおます。

そんな冷酷極まりない映画をば公開してもろたら、1974年当時、アメリカとの東西冷戦の最中にあったソ連にとっては、ええキモチはしよりまへん。大使館を通じて映画会社に圧力をばかけてきよりました。でもって、おクラ入りでおます。そのクラ入りしとった作品が、遂に公開されよる運びとなりました。

胸ワクワクソワソワ。といいますのは、当時、学生やったボクは「キネマ旬報」を愛読しておりました。それで、1974年のキネマ旬報の日本映画ベストテンで、この映画が24位にランクしておったんです。同じ東宝配給作品の「日本沈没」より上なんどす。

当時は一般公開されんでも、マスコミ試写室で見て感動した作品は、投票したって自由なんどす。しかも、今は亡き小森のおばちゃま(小森和子)が、本作を邦画の3位にしてはるんどすえー。1974年度の日本映画では、「砂の器」「華麗なる一族」「日本沈没」やら、のちにテレビドラマや映画でリメイクされる大作が揃っておましたが、本作もそんな1本になってもおかしくない作品どした。

本作に出てはったり、スタッフやったりした方は、今やかなりの人が故人になってしまわはりました。「砂の器」と同じく、おっきな通る声で通してはる丹波哲郎はん、避難する試練のロードを歩いて、最後は悲劇を迎えはる南田洋子はんやら、美術を担当しはり、最高齢監督デビューのギネス記録を作らはった、木村威夫(たけお)御大もそうでおます。

とにかく、樺太版「ひめゆりの塔」(1953年・1982年・1995年)やし、イタリアン・ネオリアリズムの「無防備都市」(1945年・イタリア)なんかの作品性にも通じる、戦争映画の傑作印どす。

2010年7月10日 (土)

スタジオジブリ新作「借りぐらしのアリエッティ」

コビト(小人)少女ヒロイン・アリエッティちゃんがホンマ、守ってあげたいキャラすぎるワー

ジブリ・オリジナルな色合いも、目に優しおますよ

http://www.karigurashi.jp/

7月17日の土曜日から全国イッセー東宝系ロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 GNDHDDTW

スタジオジブリとしては、初めてやないでしょうか。イギリス原作ものにアプローチしはりました。

イギリスといえば、ファンタジーの宝庫でおます。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年・2002年・2003年製作・アメリカ映画)の原作「指輪物語」しかり、「ハリー・ポッター」も「ナルニア国物語」もそうでおます。

しかし、本作は隠れた児童文学の名作をば、掘り起こさはって、しかも、ファンタジー・アニメの原点的な素材へと向かわはりました。ある意味、「指輪物語」もそうなんやけど、小人たちの世界です。しかも、フツーの人間がちっちゃくなったカンジの設定でおまして、魔法とかミラクル・パワーとかとは無縁でおます。いわゆる弱者なんどす。

そんな弱者家族の1人娘アリエッティちゃんと、フツーの大きさの人間の少年との、ベタやないアッサリとした交流のなかで、感動的な物語が紡がれてゆくのでおます。

そして、家の中とゆう狭いとこで展開する冒険ものどす。チェコ・アニメ「屋根裏のポムネンカ」(2007年)とか、「アーサーと魔王」シリーズ(2007年~2010年・フランス)とか、家にいてるオモチャが外へ出る「トイ・ストーリー」シリーズ(1995年・1999年・2010年=7月10日公開・アメリカ)なんかと、シンクロするんやないかな。

また、ジブリ作品としては、「崖の上のポニョ」(2008年)に続き、女の子ヒロインものとして、みんなを楽しませる仕上がりやし、「となりのトトロ」(1988年)な猫キャラなんかの登場など、細部の描写に今までのジブリ節が入っておますよ。

家の中のアクション・シーン、まるでエベレストを登るみたいな細部のリアリティー描写に、まずはガツーンとやられました。父・母・娘は人家の地下にミニチュアの家を建て、細々と必死に生きてはるのどすが、いろんなものを借りに人家へ冒険に出はるんどす。「借り」であって「狩り」やありまへん。台所、洋間、寝室やら。これがまた、大変な難行苦行なんでおます。

で、父とアリエッティちゃんが、その命懸けの「借り」に出かけはります。たかが角砂糖1個、ティッシュペーパー1枚なんどすが、彼らにとっては死活問題なんどす。この冒険描写は、大変すぐれておました。室内アクトではリアリティー描写を含めまして、確実に「トイ・ストーリー」をば超えております。カラスとのアクション・シーンもリアルどした。

しかも、人間視点と小人視点を分ける意味で、人間視点の声量・音量と小人視点のそれを、ビミョーに変えております。また、声優陣の演技派ぶりが巧みのワザでおます。たかが声、されど声どす。アリエッティの父役・三浦友和、母・大竹しのぶ、いじわるバアさんな樹木希林やら、実際の演技が見えてくるくらいの臨場感を示さはります。

で、手書きといいますか、いつも通りの優しいジブリ・アニメの色合いが、目やココロにウルウルと入ります。それに、ハープをメインにしたサントラや、フランス出身のセシル・コルベル嬢の、癒やし系の女性ポップスなどが、ココロを潤してくれはります。

家族みんなで見にゆく夏休み映画は、コレがイチバンやー。

2010年7月 9日 (金)

スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」

「小さな恋のメロディ」を「トワイライト」で割ってみたら、エライのんが出来上がりました

少女バンパイアとイジメられ少年の、純愛ラブ・ストーリーやー

http://www.bokueli.com/

サタデー7月10日から、東京・銀座テアトルシネマやら、8月21日サタデーから、大阪・テアトル梅田やら、全国順グリのロードショー。「PG-12」指定のこの映画を配給しはるのは、ショウゲートはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸEFTI MMVIII ⒸEFTI_Hoyte van Hoytema

吸血鬼映画は数多くござりますけども、12歳のまま200年も生きてきた少女バンパイアがヒロインになるとゆうのは、そうそうありまへん。しかも、人間の12歳の少年との間で、純愛ラブ・ストーリーが展開してゆくなんて、まあ、コレもそうそうありまへんやろ。

しかも、北欧はスウェーデンからの登場やなんて、まあ、意外でおます。でも、ホラーホラーしていない、いかにも北欧系の優しさが詰まった作品になっておます。

「小さな恋のメロディ」(1970年製作・イギリス映画)みたいな、かわいい恋模様に加えまして、アメリカで大ヒットした「トワイライト」シリーズ(2008年・2009年・アメリカ)のフレイバーも入っておまして、たまりまへん。「トワイライト」のヒットもあって、ハリウッドがいち早くリメイク権を獲得した点には、思わず納得しよりました。

スティーヴン・キングのノリがあると言われておますけども、キングのシビア系を、スタジオジブリ・アニメの少女ヒロインの優しさで表現したような作りでおます。そやから「PG-12」指定映画なんやけど、ファミリーで見に行ってもきっと楽しめるはずどす。

さらに、映画ファンへもググッときよるはずどす。映画的な撮り方として、冴えを見せるロングショットの数々。ラストには壮大な弦楽交響曲が流れる、バイオリン・サウンドの映画的高揚感やら、小さな恋も紡がれた「禁じられた遊び」(1952年・フランス)的な、哀愁のギター・サウンドのパートやら、映画的サントラ使いの妙。同じくスウェーデン映画の巨匠イングマル・ベルイマン監督的な芸術映画なノリもあるんどす。「ファニーとアレクサンデル」(1982年・スウェーデン&フランス&西ドイツ)とか。

でもって、ラストシーンでおます。トロッコに乗って2人が旅立った「小さな恋のメロディ」みたいなシーンがござります。実は、ボクはこのシーンだけで、この映画を大傑作やと見たくらいでおます。それほど、ディープ・インパクトあるラストシーンどした。

さらに、ホラー映画ファンへも訴えかけるシーンも数多くござるのですよ。吸血少女にカブられてしもたおばはんが、吸血病となり、猫にカブられたり、ついには衝撃のシーンへ。イジメられる少年を少女が助けるクライマックスでは、水中のサイレント描写を使った、静謐なカットがござります。ホラー映画史上かつてない、最も静かなホラー・アクション・シーンになったんやないかなと、ボクは思いました。

2010年7月 8日 (木)

ドキュメンタリー映画「モダン・ライフ」

コレが21世紀現代のモダン=現代的な暮らしやなんて、そんなワケおまへんやろ

タイトルからしてシニカルやけど、でも、こういう生活のほうが、ホンマはええかもしれまへん

http://cinenouveau.com/

サタデーでおます、7月10日から、大阪はシネ・ヌーヴォにて上映しはります。配給はエスパース・サロウはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸPalmeraie et desert-France 2 cinema 2008

photographsⒸRaymond Depardon/Magnum Photos

南フランスの過疎地域の農業地帯の人々のこの10年くらいの生活の様子のジミぶりのシブミの癒やしの中の収入少なしの嘆き節の中のもうしまいやねんのカンジの心中の中身の描写ってゆうの、まあ、そんな感じのドキュの映画

「の」を余りにも使いすぎると、とある編集者に怒られた経験が、ボクチンにはあります。まあ、一文に3つまでにしときや、とか、「の」はいっさい使うなとか。「の」の使いすぎは、ものごとの本質をば、“あいまい”にしたりしよります。

でもって、本作は、今イチピリッとしない、とゆうか、あんまし儲からへんらしい農業の話でおます。

農業ゆうても、いろんなジャンルがござります。稲作、酪農、牧羊、畜産…。西部劇に出てくる牧場経営とかも、農業になりよります。牛とヤギ。この映画で映してはるのは、この2頭がメイン・ソースだす。

ボクチンの実家も、今は違いよりますけども、おコメを作って、リーマンと稲作を掛け持ちしよる、第二種兼業農家でおました。日本なら支援がござるのですが、フランスはどないなんでしょうか。

このピューリッツァー賞までもろてはるレイモン・ドゥパルドン監督は、余りにも有名な写真家はんなんですけども、ドキュメンタリー映画も撮ってはりまして、本作が初めて日本に上陸した作品とゆうことなんどすが、やはり、「の」を使いすぎたような“あいまい”感がありました。

それはどうゆうことかと申しますと、道をたぶん、車でゆくらしい(道路を行く車は全編にわたりいっさい映されません)1~3分くらいの移動の、前へ前へのカット(ちなみに、最後のカットだけは後ろへ後ろへでおます)をはさんで、短めで30秒から1分、長めでは3分から5分、10分以上なんてのもありますところの、長回しのインタビュー撮影、しかも固定でおます。それを続けはります。固定にして、シャッター・チャンスを狙うとゆう写真家らしい、撮り方といえば撮り方かもしれまへん。

でも、質問内容がありふれているといえば、監督には失礼かもしれまへんが、はっきりいいまして、大したことは聞いてはりません。監督は一体、何を狙ってはるんか、ボクチンは見ている間中、しきりに考えておました。で、結論は結局“あいまい”やったのです。

別の見方をしますれば、モチ、ネイチャー・ドキュメンタリーやないんやけど、人=ネイチャーやとすれば、ネイチャー・ドキュにも思えんこともない作り。そのまま映す点では「自然主義」的ドキュメント。

ドキュメンタリー「牛の鈴音」(2009年製作・韓国製作)とか、農業映画「南部の人」(1945年・アメリカ映画)とか「裸の島」(1960年・日本)とか、長回しを多投する、一部のギリシャのテオ・アンゲロプロス監督作品とか。それらの作品群とシンクロするようで、シンクロしないあいまいさ、ファジーな感覚。

これこそ、この映画の持ち味やと断言します。説明はいらない。写して、伝えて、ただ、感じさせる。いわば、写真家らしい映画作品どした。

2010年7月 7日 (水)

ドキュメンタリー「ビューティフル アイランズ」

3つの島の静かな生活ドキュメンタリーの、向こうに見えてきよる温暖化の現実

今世紀中に沈むらしいツバルの人たちは、一体どないすんねんな?

http://www.beautiful-i.tv

全てサタデーでおますが、7月10日から東京・恵比寿ガーデンシネマ、札幌シアターキノやらで上映。続きまして、7月17日から大阪・梅田ガーデンシネマやら、7月24日からシネ・リーブル神戸やら、7月31日から京都シネマやらで、全国各地順グリの上映でおます。本作を配給しはるのは、ゴー・シネマはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ海南友子

21世紀の今の話でおます。3つの島の現状をば映して、温暖化現象による滅びの美学といいますか、「タイタニック」(1997年製作・アメリカ映画)みたいな沈没の美学といいますか、静かに追究しはった日本製ドキュメンタリーでおます。

海抜が世界で一番低い、南太平洋の小島群ツバル(写真一番上)。世界3大国際映画祭の1つが開催される、イタリアのベネチアが島やったとゆうのも、ちょっと驚きましたけども、そのベネチア市(写真真ん中)。でもって3つ目は、アメリカ・アラスカ州にあるシシマレフ(写真3枚目)。

電話もネットもないネイティブな島の人々、ヨーロッパの都会、アメリカの雪国と、島とゆうても、そのロケ場所を意外なカタチで描き分けてはる妙味がオモロイですわ。で、最後に、再びツバルに戻っての撮影だす。

何やら静かな描写が続きよります。サウンドトラックは流れまへん。ナレーションもござりまへん。いろんな人たちへのインタビューも、深くは突っ込まずあっさりしておます。それでいて、サイレント映画のノリなんかといえば、そんなにサイレント・サイレントしておりまへん。でも、静かなことは静かなんやけど。

空撮による青い海、水平線をセンターラインにして、空と海を映すセピアなシーン、雨上がりの虹やら、美風景はそれなりに映されます。しかし、ネイチャー・ドキュメンタリーと決定的に違うのは、何かを訴えたり、世界は、人類は一体、どないなるんやーとかゆう嘆きとか、問題提起やらはありまへん。あくまで、淡々とその島の人たちの生活を映してゆくとゆうカンジどす。

世界3大映画祭でいろいろとゲットしてはる是枝裕和監督が、エグゼクティブプロデューサーになってはりますが、あくまで監督はNHK出身の海南友子(かなともこ)ネーさんどす。なるへそなーと思いましたがな。NHKのドキュメンタリー的な現実を映す姿勢、女性らしいベタやない作り。

特筆すべき驚くべきシーンがないにも関わらず、風の音と共に、押し寄せる波と氷を映すアラスカの海とか、沈没イメージショットを長回し撮影的に見せたり、ベネチアの水浸しカット、踊ってみんなで合唱する「みんなで騒げば怖くない」みたいな、ツバルの人々の描写など、ひたひたと迫る終末観を、それとなくカンジさせるシーンにサブーなったりします。

温暖化を捉えた映画は、これまではネイチャー・ドキュに多かったのですが、こういう描き方もありかな、と思いよりました。

2010年7月 6日 (火)

香港映画「KJ 音楽人生」

音楽ドキュメンタリー映画が香港から登場しよります

音楽を通して、家族のキズナも描く音楽人間映画だす

ニッポン公開待機作品でおます。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

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ⒸCNEX Foundation Limited.

実在する香港の、高校生クラシック・ピアニスト「KJ」の人間性に迫ったドキュメンタリー映画どす。香港映画でしかもドキュメンタリーやなんて、あんましないでおましょう。

でもでんな、この映画を見ると、そのドキュメントの手法が、これまで数限りなく輩出された音楽ドキュメンタリー映画とは、ビミョーにちごておったのが大きな発見どした。

例えば「Ray/レイ」(2004年製作・アメリカ映画)とかみたいに、実在の歌手の人生を、ドラマ映画として捉えた場合のような感触がござったのです。つまり、ドラマ映画とドキュメンタリーのはざ間みたいなんを、上手にクリエイトしたみたいなカンジかな。

神童と言われた彼の現在のインタビュー部と、10歳の時のコドモ時代のエピソードをカットバックしながら、ドキュ物語は進んでゆきよります。

そのインタビュー・カットは、少々、肩意地張ってカッコつけてるような感じでおまして、「音楽を通して人間性ある人間になるんだ」とか、「コンテストは勝敗なんかよりも、音楽と一体になることだ」なんて、キザなセリフを次々にシャベりょります。時々、ダウンタウンのハマちゃんみたいに、こいつ、いっぺんしばいたろか、なんて思ったりしよります。

けども、コレも製作陣の意図の中にちゃんと入っておるんだす。そのコトバに合わせたシーンが出てまいります。例えば、コンテストの規定より長めになった、モーツァルトの第2楽章披露部。自ら指揮者となり、自ら教えてるオーケストラの卵たち、本人とはほとんど歳の差はござりまへん。彼らとの演奏は、シーンを真っ黒にして、観客にプレイに集中してもらうとゆう試みをば施してはります。チェコでのピアノのライブ・シーンも聴かせる系でおます。

また、10歳の時の彼の女センセーとの交流部では、「才能と共に必要なのは何?」の問いかけに答えられず、先生が答えを言いはります。「謙そんでしょ」と。まあ、この辺にもKJの人間性が出ておるんですが、何ちゅうても、ドラマ・ポイントとして最も重要なところ。つまり、家族のキズナ部でおます。

父の浮気で両親は離婚し、KJ、兄、妹の3人は父に引き取られとる、とゆうこのエピソード、ほんでもってKJは今、何を思とるんか。実は、この部分こそを、この映画は描きたかったんやないかなと、ボクは思いよりました。ちなみに、KJの母は登場しはりまへん。父とKJ兄弟のぶっきらぼうな食卓シーンとか、KJと兄妹との関係描写とか、何げなくさりげなく描かれておます。それらが見たあと、チビチビきよりますんで、要チェックだす。

2010年7月 5日 (月)

篠原哲雄監督作品「ラムネ」

エイベックスの「ニュースター・シネマ・コレクション」の1本でおます

AAA(トリプルエー)の與真司郎クンが、「セカチュウ」みたいな純愛演技をしはりました

http://avex-newstar.com

サタデー7月10日からフライデー7月16日まで、大阪・シネマート心斎橋でレイトショーでおます。この映画の配給は「エイベックス・エンタテインメント」はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 avex management inc.

音楽のエイベックスはんが映画に進出しはり、いろいろ楽しい作品を創ってはります。本作は、新人はんを主演に据えはって、映画化するとゆうシリーズの1本だす。

抜擢されはったんは、ダンス・ミュージック・グループAAAの與真司郎クンどす。いや、なんちーますか、ジャニーズのイケメン的なカンジ、でもって、ああ、何か守ってやりたいなー、なんてゆう、母性本能をばくすぐるような、弱々しい演技を披露しはりました。

画家志望の高校生。でも、センセー役の江口のりこネーさんは、今のままじゃダメだししはります。高校最後のこの夏休み中に、一流の美大に合格できるような、女性の肖像画を描いてこんかいとゆわはります。

そやから、與真クンはガンバらはるんやけど、そこへ定時制やなく夜間に通てはって、机が昼と夜で共有してはる、写真の西田有沙ちゃん演じる、女子高生との出会いがござりまして、彼女をモデルに絵画を描こうとしはるんだす。

ところが、この彼女には大きな秘密がござるのです。この種のタイプのラブ・ストーリーは、これまでに数限りなく出てきておます。そやから、どうあっても、パターン化してる素材のどこかに、新味を加えていく必要がござるのです。

その意味では、本作はかなり健闘してはりますよ。篠原哲雄監督作品でおます。

個人的な話で誠に恐縮なんでおますけども、ボクは篠原監督にかつてインタビューをいたしよりまして、お互いに賭けた競馬の「日本ダービー」の行方を、インタビューの最中にテレビ中継で見るとゆう、ホンマに楽しい思い出がござりました。

その時にも感じたのやけど、篠原監督はとても繊細な方でおます。その繊細さが本作にも反映されました。篠原監督のかつてのケッサクで言いますれば「月とキャベツ」(1996年製作)みたいな感覚でおましょうか。

夕日のセピア色にラムネをかざすカット、川辺の夕景シーン、夕景の中、主人公と彼女が向かい合うショットなど、しびれるような夕景シーンがテンコ盛りでおます。そして、主人公がクローズアップで泣くシーンなんか、ドッキリどす。

主人公の母役・烏丸せつこネーさんの、昔と変わらぬトンガリ系の演技とか、校長役・津川雅彦御大の「青春を謳歌(おうか)したまえ」なんてゆう、豪放磊落ぶりに魅了されよります。「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)に、優るとも劣らない青春純愛映画です。

2010年7月 4日 (日)

「劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール 幻影の覇者ゾロアーク」

サトシとピカチュウ、ヒカリとポッチャマ、タケシたちの旅と戦いは続きよります

今回はあの癒やしのフェアリーテイル・セレビィちゃんが帰ってきはり、また、コトバをしゃべる新タイプのポケモンも登場やー

http://www.pokemon-movie.jp

サタデー・ジュライの10日から、全国東宝系でロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸNintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku

ⒸPokemon

Ⓒ2010 ピカチュウプロジェクト

見出しにいちおうは書きよりましたけども、テレビ・シリーズも見ていなければ、この「ポケモン」映画版シリーズ第13弾で初めて見るなんて方には、何ゆうてんのか、ちんぷんかんぷんサッパリでおます。

ただ、映画の最初の方では、これまでのことを短いナレーションで、はしょって伝えられよります。これを読んでくれはる方に、全くの初心者が果たしていてはるのかどうかは、別にいたしまして、とりあえずスタディしてみますわ。

この地球には、ポケモンことポケットモンスターなる、ポケットに入るくらいペット的にかわいいんやけど、戦闘モードになれば変身したり、強烈なビームをば発しますモンスターがおります。しかも、このポケモンは地球上に、300とも400とも言われへんほどの種類で、かなりいとるらしい設定でおます。

でもって、そんなポケモンをお供にして、いろんなポケモンと対決していって、ポケモンの世界ナンバーワンを狙おうかいな、っちゅう人々がいておます。それが、見出しにある主人公のサトシ君であり、ヒカリちゃんどす。

彼らはみんな一緒にロードムービーし、でもって行った先で、いろんなポケモンやら、あくどい奴らと正義の戦いをば見せてくれはるんどす。

サトシ君がコンビを組むのが、黄色いピカチュウ。ヒカリちゃんは、ペンギンからの造形っぽいポッチャマ。

ポケモンは喋られへん設定でおまして、ピカチュウやポッチャマは「ピカチュウ」「ポッチャマ」と自分の名前はゆうけど、あとは赤ん坊っぽい、何ゆうてんのかさっぱり分からへんコトバなんやけど、コレが大たい何ゆうてんのか、分かるようなカンジなんどす。

そして、彼らが出すイエロー、ブルーの水玉模様、パープルなどの光線が、アニメらしきカラフル感をば増します。しかも、今回はダークな絵作りと、グリーン、青空などの自然描写の対比効果に、目を奪われよりました。

フェアリーテイルな癒やしの、妖精キャラのセレビィちゃんが戻ってきて、イロイロと優しいグリーンな光線シーンで登場します。

また、ポケモン史上、初めてコトバを喋るポケモン「ゾロア」が登場。で、誰にでも化けられるタイプでおます。本作では、悪役になっておます「ゾロアーク」と「ゾロア」のキズナ描写は泣かせよります。

分析しよりますに、「スター・ウォーズ」(1977年製作・アメリカ映画)やら、「ドラゴンボール」シリーズ(1986年~1996年・全17作)やらのノリがあるし、ストレートな動物キャラに終始するディズニー・アニメ・キャラに対し、オリジナル・ポイントを付加して進化させはったようなキャラ作りにも、毎度驚かせてくれはります。

1998年から毎年1本公開で始まったこのシリーズ。アニメ・プログラム・ピクチャーとして「ドラえもん」(1980年~2010年)「名探偵コナン」(1997年~2010年)「クレヨンしんちゃん」(1993年~2010年)やらとの、生き残りをかけた対決がホンマ、今後も楽しみになってきよりました。

2010年7月 3日 (土)

時代劇「必死剣鳥刺し」

トヨエツ豊川悦司のアニキが、「椿三十郎」より「切腹」系の汚れ演技をば、壮絶に演じはりました

池脇千鶴ちゃんの、イチズでシノブ系の演技も泣かせよります

http://www.torisashi.com/

七月十日の土曜日から、全国東映系で一斉のロードショーでござります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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一見しよりますと、静かな時代劇映画とゆう印象がありました。しかも、時代劇映画における、静かな描写と動的なるアクション描写部の「動と静」の対比が強烈どす。

ただし、クライマックスにあるんどすけども、そのダイナミズムな殺陣シーンでさえ、これまでの派手な時代劇と比べよりますと、静謐な、静けさをたたえた作りでおます。強烈な最後のひと刺しで、弦楽オーケストラを高らかに流すシーンはありますが、そこまでの対決シーンにはサントラは流れまへん。

時代劇と申せば日本映画では、歴代のベスト・スリーに入るくらい多いジャンル映画どす。でも本作は、これまでにない時代劇とは何ぞやを、考えながら作られたように思います。

本作の平山秀幸監督と申しますれば、深作欣二監督の「魔界転生」(1981年製作)の2003年リメイクなんかの時代劇を撮ってはるんやけど、これぞ時代劇やねんとゆうテイストはそんなにありまへんどした。

でもでも、本作は違いました。「たそがれ清兵衛」(2002年)など、21世紀になってから、次々に映画化されておます、藤沢周平時代小説の映画化作品だす。

時代小説の原作映画は、司馬遼太郎と山本周五郎が、これまでは2枚看板でおました。ところがどっこい、21世紀になってからは、藤沢周平が走り始めておます。黒澤明監督「赤ひげ」(1965年)など山本周五郎原作映画にもありましたが、人情系、しかも恋愛ドラマ系をかなり取り込んだのが藤沢原作映画の特長だす。

そやから、ともすると殺伐としたカンジとか、激戦のあとの余韻とかで、終わりがちな時代劇なんやけども、優しくてなんやしらん、ホッとしよるカンジで終わるのんが、藤沢映画どす。それを示す「動と静」の演出ぶりが本作のキモなんですわ。

生活描写、風景描写を含めて、これまでのチャキチャキしたヤンチャ系を封印し、耐えて忍んで忍んで耐える演技をば、見せてくれはる池脇千鶴ちゃん。

それに対して冒頭のシーンで、とっくの昔に切腹して、果ててるハズのトヨエツはん。黒澤明作品「椿三十郎」(1962年)のリメイク版(2007年)で、演じはりましたキザっぽい武士やなく、小林正樹監督「切腹」(1962年)なんかの汚れ役でおます。

しかも「切腹」みたいにリベンジやなく、本作では「切腹」の逆設定みたいな感覚で、クライマックスの壮絶な殺陣シーンを演じ抜きはります。「椿三十郎」「切腹」のどちらの作品でも演じはった仲代達矢御大に、迫るような演技やねん。特に、本作はと申せば、優るとも劣らない壮絶ぶりを披露しておました。カンペキにヤラレました。

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Ⓒ2010「必死剣鳥刺し」製作委員会

2010年7月 2日 (金)

映画「シスタースマイル ドミニクの歌」

「エディット・ピアフ 愛の讃歌」に続きフランスから、実話系女性ミュージシャン・ドラマがやってまいります

ビルボード・ナンバーワンになった、快曲「ドミニク」を巡る物語やー

http://www.cetera.co.jp/dominique

7月3日サタデーから、東京・シネスイッチ銀座を皮切りに、今夏から大阪・梅田ガーデンシネマやらで、全国各地順次ロードショーだす。このフランス&ベルギー合作映画を配給しはるのは、セテラ・インターナショナルはんどす。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

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Ⓒ2009 PARADIS FILMS-LES FILMS DE LA PASSERELLE-EYEWORKS FILM&TV DRAMA-KUNST&KINO

実在の元祖・覆面歌手を描いた、人間ドラマ映画にしてヒロイン・ドラマどす。しかも、1960年代ものだす。

ビートルズやらエルビス・プレスリーやらと、アメリカン・ヒット・チャートの「ビルボード」で張り合ってはった方なんやけど、何とまあ、いわゆる1発屋っちゅう汚名を着はった方なんどす。

なんでまた、1発で終わるようなことになってしもたんか、そういうとこもキチンと描かれておるんだす。本人の実力のなせるワザやなく、ある圧力がござったのです。

本作は、まずは写真にござります、コンサート・シーンから始まりまして、でもって過去へとスライドします。それでも、「エディット・ピアフ 愛の讃歌」(2008年製作・フランス映画)みたいに、過去と現在をカットバックすることなく、時代順に、ヒロインをば追ってゆくとゆうスタイルどす。

ヒロインに扮しはりますのは、ベルギー出身のセシル・ド・フランスのネーさん。クリント・イーストウッド監督の新作「Hereafter(原題)」にも出はります。ミュージシャンの道を目指すにしても、えらい風変わりな回り道をばしはるヒロインを、終始、軽快に明るく演じ抜いてはります。

ミッション系のスクールから、両親、特にオカンの反対を振り切って、シスターにならはるんどす。ミュージシャンとシスターやなんて、ちょっとどないつながるんか、不思議やと思いますけども、まあ、ゴスペルとかアカペラとか、教会音楽なんてのがござりますわな。

しかし、何とまあ、彼女はギター片手に、プレスリー・ナンバーなんぞを歌(うと)てはるんやわ。ソウル系の音楽と、フォーク系に多かったギターの弾き語りは、どちらかと申せば、ジャンル的にはかなり違いがござります。

修道院で、のちに大ヒットするデビュー曲「ドミニク」を作詞・作曲しはるのですが、この曲も、“アルプス一万尺”なんて歌ったりする、ヨーデルの陽気さに加え、アメリカンなカントリー・ミュージック、歌詞に合わせてロード・ミュージックな作りになっておまして、教会音楽のイメージを超えておりま。

そんな彼女の歌を聴いたレコード会社のプロデューサーが、ほっとくわけがござりまへん。修道院やらに交渉し、ついにレコード・デビューでおます。しかも、最初は顔を出さない覆面歌手どした。これが大・大・大ヒットしよります。300万枚以上売れます。でもって、テレビ中継でついに顔が出よります。

やがて、ピークを迎えた彼女は、修道院とその上層部からの束縛を逃れて、シスターを辞めて、ミュージシャンとしての道を進もうとしはるのどすが…。

かつて、「歌え!ドミニク」(1966年・アメリカ)とゆう映画で、彼女は取り上げられはったんどすけども、当時は本作の結末部までは実話としてはなく、その意味では、コレが完全版なんでおましょう。ミュージシャン映画として、面白いとこに目を付けはった映画やと思います。

2010年7月 1日 (木)

中国映画の傑作「紡績姑娘(クーニャン)」

「スピード・レーサー」のユー・ナンおネーさまが、「セカチュウ」並みの泣かせ系演技だす

ベルリン国際映画祭で賞をばもらわはった、ワン・チュアンアン監督のケッサク印だす

ニッポン公開待機作品でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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写真の中国の紡績工場での、3分近い長回しの撮影によりまして、本作は静かに始まりよります。いきなり、きよりましたがなーなカンジどした。

「スピード・レーサー」(2008年製作・アメリカ映画)に出てはった写真のユー・ナンおネーさんが、「ちょっと食事したら減給だって」を皮切りに、この紡績工場に対して、不満タラタラの毎日でおます。一方で、工場に由緒あるコーラス隊にも参加してはりまして、歌わはります。

でも、本人は「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年・日本)並みの不治の病に罹ってはりまして、ある意味で、死ぬまでには何かを、何とか達成したいとゆう「生きる」(1952年・日本)みたいな作りを目指してはるようどす。

そうなんでおます。ヒロインのユー・ナンはんは、死期が迫っとんのやったら、夫やコドモ関係なしにやね、ヤッパ、やりたいことやりたいやん、に目覚めはります。それは何かと申しますれば、初恋相手との再会でおました。

実は、1~2分の長回しの撮影シーンのいくつかは、この映画のキモ的表現シーンになっとるのでおます。中でも、固定の撮影によるヒロインが自殺しようとするシーンとか、電車に轢かれて自殺しようとする、移動撮影シーン、初恋相手との会食シーンを窓を通した外から映し、ゆっくり移動撮影でカメラが中へ入ってきたり、花火を見る幻視的ラストシーンだとか…。この種の中国系ヒロイン映画に、よく見られよります長回し撮影なのでおますが、チャン・ツィイーちゃんとかが出る映画とは、随分ちごておる作りなのでおます。

なんと言いましても、リズムが違いよります。例えば、この種の映画を見れば、たるそう、だるそうやんかー、なんて感想があったりするんやけど、それらは全てヒロインたちのけだるさが、見てるみなさんの心の中に、入ってきとるっちゅうことなんやないかいなと、ボクは思います。

本作のワン・チュアンアン監督と申せば、「トゥヤーの結婚」(2007年・中国)に続き、本作と同じく公開待機作の最新作「団円」(2009年・中国)が、ベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞を受賞してはります。「団円」は男の兵士人間ドラマらしいけど、監督は、女性の描き方がヤッパ、うまいッス。本作もまた、そんな1本でおました。

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