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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2010年6月の記事

2010年6月30日 (水)

ヒロイン映画「ガールフレンド・エクスペリエンス」

ポルノ女優サーシャ・グレイちゃんが、フツー映画に主演しはりました

スティーヴン・ソダーバーグ監督流の、コレがヤラシー節やねん

http://www.tfc-movie.net/girlfriend/

サタデー7月3日から、東京・シネマライズを皮切りに、全国順グリのロードショーやー。関西やったら、8月7日サタデーから、テアトル梅田、京都みなみ会館やらで上映どす。この映画を配給しはるのは東北新社はんでおまして、映画は「PG-12」指定どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 2929Productions LLC,All rights reserved.

ハードコア・ポルノ、つまりホンバンをやってはるポルノ映画に、180本以上も出はった写真のサーシャ・グレイちゃん22歳が、普通映画に初主演でおます。

こんな情報を察知しよりますと、みなさん、特に男性のみなさんは、どう斜めに考えても、そらもー、ものごっつー男ゴコロをそそりよる、そそり立ちよる映画に違いないわいなと、思わはるかもしれまへん。ところが、どっこいでおます、全くもって違いまんねん、コレが。

ほら、娼婦を描いとる映画と申しますればでんな、ジュリア・ロバーツのネーさんを有名にした「プリティ・ウーマン」(1990年製作・アメリカ映画)とか、古くはジェーン・フォンダはんが演じた「コールガール」(1971年・アメリカ)とかがおますけども、それらの作品では2人共、丸裸はモチ、セミ・ヌードすら披露してはりません。

一方、「愛人/ラマン」(1992年・フランス&イギリス)とか「ショーガール」(1995年・アメリカ)とかやったら、オールヌードを披露してはりますけども、それらの作りとも違(ちご)ております。

映画の最後にミディアム・ショットで、ちょっと胸やらハミ尻がチラッと見える程度でおまして、その種のヤラシー映画を期待されはる向きには、残念ながら期待はかないまへん。

ほなら、なんで、そんなハードコア女優を起用しとるんやーと、文句をば言わはるかもしれまへんが、ボクが思いますに、スティーヴン・ソダーバーグ監督の映画的こだわりやと見ました。

あくまで、高級娼婦の人間ドラマを、ロングショット、つまり遠近感ある絵画的ショットを、ふんだんに取り入れて、映画の芸術性っちゅうもんを打ち出さはるのですよ。

そやから、サーシャちゃんの全身像は小さく映り、相手と話してるカットも上半身やし、相手のとこへ向かう車中ではクローズアップはありますもんの、彼女はどんな肢体をしてはんのか、実は、映画を全部見ても分からへんのでおます。コレはたぶん、監督が計略的にやってはることでおます。ポルノでは決して描かれへん、娼婦ドラマを作ろうとしはったんだす。

サーシャちゃんのファジーでファニー、重さのないフレキシブルな感覚が、「プリティ・ベビー」(1978年・アメリカ)のブルック・シールズを思い出させてくれはって、ボクは胸キュンになりました。

セピア照明の配色、長回し撮影含めてキレるロングショットの数々、リーマン・ショック後の現代感描写など、映画ファンのココロをくすぐるはずどす。

2010年6月29日 (火)

映画「チョルラの詩(うた)」

韓国が主な舞台・メインは韓国人アクター・アクトレスによる、日本映画が登場やー

韓流ドラマの人気者キム・ミンジュンとソ・ドヨン、胸騒ぎの共演でおます

http://www.choruranouta.com

関東では東京・シネマート六本木やらで上映中やけど、関西はサタデー7月3日から、大阪・梅田ガーデンシネマやらで公開し、その後全国順グリの、ロードショー街道でおます。この映画を配給しはるのは、アールグレイフィルムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「チョルラの詩」製作委員会

「春のワルツ」やら「プラハの恋人」やら、韓流テレビ・ドラマで人気の、俳優を中心にキャスティングしはって、韓国映画を日本が製作したとしたらどないなるのん? を、クリエイトしてみせはったラブ・ストーリーでおます。

映画そのものは、日本ロケ・シーンがあるイントロとラスト近くを除きよりまして、韓国の島・全羅道(チョルラド)で展開します。

振り返りますれば、チョルラド・ロケーション映画と申しますれば、芸人親子のロードムービーやった「風の丘を越えて 西便制(ソピョンジェ)」(1993年製作・韓国映画)が有名どす。

モチ、日本で韓流ブームが起こるよりかなり以前の、ケッサクどすが、本作はその名品へ、オマージュを捧げたかのような作品にも、なったんやないかなとも思いました。

確かに映画の外装は、韓流ドラマ「冬のソナタ」以来、韓流のキモのひとつでござります、三角関係のラブ・ストーリー、でもって、3人の誰かが死んでしまうなんてゆうのんは、ごっつー出てきておます。

しかし、本作の監督・川口浩史は、韓流ものとしては、ありきたりに見えるラブ・ストーリーを、川口マジックとも思える手腕で、不思議な作品に変えはったのです。

川口監督は監督デビュー作「トロッコ」(4月29日付けで分析しておますので、ご覧くだされ)でも、そうやったのですが、美しき風景描写を織り込んで、物語を紡がはります。当然「風の丘を越えて」の自然描写やら、そこで描かれた伝統芸を詩に変えて、人間関係ドラマを紡がはるんどす。

水田、三日月、紅葉、セピアな草むら、水色・セピアな空やら、韓国の田舎の美風景が、ラブ・ストーリーと織り成されながら展開してゆくのどす。そのラブ・ストーリー部も、静かで穏やかでゆったりとした人間関係描写でおます。

キム・ミンジュンのアニキとソ・ドヨン君が、彼女(キム・プルン)を巡ってとははっきりしとりまへんが唯一、口論しはるシーンも、前向きなカンジがあります。「帰る場所は僕にはないんだ」のソ・ドヨンのコトバに、キムのアニキは「なぜ命がけで誰かを守ろうとしないんだ、帰る場所なんてそのあとの話だ」と力説しはります。

ソウル・オリンピック前の1987年が舞台なんどす。にも関わらず、詩の文通シーンのやり取りやら、前近代的なシーンがあるんやけど、この3人の関係描写は偶然系はあるにしろ、何やら心地よいものがござりました。

それまではなかったんやけど、3人のクローズアップが、ラスト数分で交互に次々に続きよります。ロングショットやら美しき風景描写のあとに、コレをやられると、たまりません。きっと、胸キュンになるはずどすえー。

2010年6月28日 (月)

映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」

ネット犯罪系のニュー・バージョン、小泉今日子の第1作目を上回るサイコパスな怪演、小栗旬はじめ伊藤淳史の参戦やら、見どころいっぱいでおます

けども、ヤッパ、織田裕二アニキ・青島俊作刑事の「寅さん」シリーズを期待したいくらいの、キャラクター演技やー

http://www.odoru.com/

サタデー7月3日から、全国東宝系ロードショー1本道でおます。配給はモチ、東宝はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

あの青島刑事が、さっそうと帰ってきはりましたでー。

しかも、すみれちゃんこと深津絵里ちゃんやら、「容疑者 室井慎次」(2005年製作)で左遷された広島から、帰ってきはった柳葉敏郎ギバちゃんやら、最後には大きなサプライズが待っておます、ユースケ・サンタマリアのアニキやらの、レギュラー陣は、そらモー、絶好調でおます。

さらに、今回から新しい仲間たちが加わりました。

本庁と所轄の調整をする役の小栗旬アニキ。青島刑事から見たら、チョイ嫌(ヤ)ナ役柄なんやけど、おそらくこの人の動向が、今後のシリーズ化の行方を左右する重要キャラやないかいなと、ボクは見ました。

で、故いかりや長介御大が、演じてはりました「和久」さんの甥っ子役で、伊藤淳史クンが出はります。ほかにも、青島刑事とチームを組む内田有紀ちゃん女刑事やら、小泉孝太郎クンも快調だす。

でも、ヤッパ、敵が恐るべき存在であればあるほど、サスペンス映画はググーンと緊張感を増しよります。でもって、その重要なキーパーソンとして、第1弾で青島刑事に逮捕されてしもた、小泉キョンキョンが出てきはるのどす。

無期懲役の判決をば下されたんやけど、精神病やらで刑務所病院に入ってはるキョンキョンを、青島刑事と小栗旬が訪ねてきはるシークエンスがあるのですけども、その前にガン告知された(実はガセネタ)青島刑事に対し、「手術してやろうか」なんてセリフなんかを吐いたりして、モー背筋がサムーなってきよりましたがな。

このサイコパスな怪演技は、はっきり申し上げて、ものごっつーの一言。この映画の中でも、最も強烈な演技を披露しはったんやないかいなと、ボク的には思いました。

本ネタのトリックは、ネット系の犯罪もののタイムリミット系なのですが、新しい試みをいくつか施してはります。「あぶない刑事(デカ)」シリーズ(1987年~1998年)やら、米倉涼子主演「交渉人」にもあったんやけど、コレはかなり進化したタイプだす。

「交渉人 真下正義」(2005年)でも披露された感覚もあるんやけど、コチラは未解決で終わることなく、きっちり決着しよります。

イントロから、確かに湾岸署引っ越しにまつわる、コメディっぽいノリやらで始まったり、途中ではイロイロ笑えるシーンはあるのどすが、基本ラインはモチ、シビアなサスペンス映画どすし、事件は8つもありまんねん。

それらが、全て最後のスロー・モーションによる、大バクハツ・シーンを含めまして、すっきり解決しよるのです。いやー、たまげました。

第1弾にあった名セリフ「事件は、会議室じゃない、現場で起きてるんだ」を、新規に追究すべく、イロイロと考えはった決めのセリフが、またもや出てきよります。青島刑事の「オレには部下はいない。仲間しかいないんだ」も良かったけど、ボクは、かつて長さん「和久」刑事が言った「死ぬ気でやりゃ、その時は生きている」とか、刑事としてシンプルで基本的な「被疑者を捕まえるのが、オレたちの仕事だ」なんてセリフが、胸にきよりました。

でもって、青島刑事のキャラクターどす。今回には、ブルース・ウィリス刑事の「ダイ・ハード」(1988年・アメリカ映画)を思い出させるシーンもあるのどすが、テレビの刑事ドラマからのスライド系とは申せ、あくまでオリジナル・キャラクターです。

このキャラは、「男はつらいよ」の寅さんシリーズ(1969年~1995年)に優るとも劣らない、国民的キャラになりそうな予感がござります。寅さんシリーズを超える、シリーズ化を期待したい作品どした。

2010年6月27日 (日)

SF映画「レポゼッション・メン」

人工臓器の回収屋(レポメン)の活躍を描かはった、ドヒャラヒャハのアメリカンSF映画が登場どす

でもって、ジュード・ロウやらの、凄まじき逃亡劇へと展開やー

http://www.repo-men.jp/

フライデー7月2日から全国ロードショー。このユニークなSF映画をば配給しはるのは、東宝東和はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 UNIVERSAL STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

さてはて、どないな具合にユニークなんか、まずはストーリーをばお話しますわ。今から20年後のお話どす。

人工臓器とか人工耳とか、人により弱い急所部をば、売ってはる会社がござりまして、これがまた、ものごっつーな高額ローンを組んでおるんだす。そんなん払い続けられへん人が、いっぱい出てきやはります。

そういう人たち、いわゆる弱者たちから、その人工物をば回収する、いわば借金取り立て屋みたいなんを、会社内に設けてはって、回収作業をばやらはるんどす。

その回収屋(レポメン)に、クールな役がメッチャ似合うジュード・ロウのアニキと、フォレスト・ウィテカーはんが携わらはります。冒頭から、いきなりジュード・アニキの回収仕事を映すんどすが、その回収によって、回収されてしもた人は、写真にあります通り、あの世へ行ってしまうんどす。

そんなある意味、アウトローな仕事が続くんどすが、ある日、チョイ事故があり、ジュード・アニキが入院しはります。でも、意識不明中に、会社が勝手に人工物をセッティングしてしまわはって、アニキはローンを払(はろ)ていかなあかんようになります。

でも、ある日、遂に支払いが滞ってまい、会社当局から狙われはって、でもって、逃亡してまうとゆう展開でおます。しかも、同じ憂き目に遭(お)うてはる女性と共に。ね、妙な話でおましょう。

でも、本作のテイストは、例えば、原作はコンゲーム・ノリ「マッチスティック・メン」(2003年製作・アメリカ)のエリック・ガルシアはんどすが、SF作家の巨匠フィリップ・K・ディックの原作映画のノリが、ふんだんにござります。

人間とレプリカントとの凄まじき対決が展開しよる「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)や、夢か現実かの話「トータル・リコール」(1990年・アメリカ)や、取り締まる側の主人公が追われる側へと回る「マイノリティ・リポート」(2002年・アメリカ)やらのセンスがござります。また、ディック原作やないけど、奇妙な会社を描く点で、「オープン・ユア・アイズ」(1997年・スペイン)や、そのリメイク作「バニラ・スカイ」(2001年・アメリカ)なんぞもござります。

アクション・シーンも、後半には次々にやってまいります。銃撃戦は序の口。スローによる、ナイフやらトンカチを使った、SF映画っぽくないアクションなんか、オモロかったどす。でもって、とんでもないサプライズ。「マトリックス」(1999年・アメリカ)を初めて見た時の衝撃がありました。

2010年6月26日 (土)

ミステリー日本映画「ロストクライム-閃光-」

1968年「3億円事件」の今(2002年)を描いた、犯人当ての上質ミステリーでおます

奥田瑛二と渡辺大の刑事コンビが、謎に挑みはります

http://www.lostcrime.jp/

サタデー7月3日から、全国各地一斉のロードショーだす。関西やったら、大阪・梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都やら、神戸・三宮シネフェニックスやらで上映。本作を配給しはるのは、角川映画はんどす。映画は「PG12」指定だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「ロストクライム-閃光-」製作委員会

一時ほどではないにしろ、テレビの二時間ドラマは人気がござりますわね。そのほとんどはサスペンス、でもってミステリーでおます。でも、本作みたいなんを試写室で拝見させてもらうと、二時間ドラマとの決定的な差をば、見せつけてくれはります。

映画としての醍醐味に加えよりまして、骨太のミステリー、でもって意外な展開と真犯人とどんでん返し。これこそ、ホンマ、ミステリー映画の真骨頂でおますよ。

1968年に発生した「三億円事件」を描いた映画は、これまでにいくつかござりました。例えば、宮崎あおいちゃんを実行犯にして、当時を再現しはった「初恋」(2007年製作・日本映画)とか、なかなかの仕上がりどした。

しかし、本作は、その事件に関わった人たちの、時効成立後の今(2002年)を捉えはった作品だす。

まず、殺人事件が起こります。殺されたんは、当時の三億円事件の容疑者と見なされた男やったのです。で、捜査本部が設置されよりまして、「三億円事件」の捜査をしはったベテランの奥田瑛二の御大と、渡辺謙さんの息子はん渡辺大ちゃんがコンビを組んで、捜査に当たらはるんどす。

その捜査の過程と共に、時おり当時の事件の模様がモノクロにて挿入されよります。その犯人たちが今は、誰になっとるのかとゆう興味と共に、殺人事件は次々に発生しよります。

そして、素人探偵ものやなく、まさに王道の刑事もの。二時間ドラマなんかでは、家政婦とかフツーのOLはんとかが、普通のように事件の調査をばしてはりますけども、そんなん現実的にはあり得ないんでおます。まさに、リアリティー・バチバチ。

しかも、捜査を進めてゆくと、警察の上層部からの圧力とかが加えられてきよります。一方で、週刊誌の記者(武田真治)とか、当時の事件で、容疑者扱いされてしもて自殺した息子の父(夏八木勲)とか、クラブ・ピアニストにしてオーナー役のかたせ梨乃ネーさんとか、いろいろと怪しき人物やらが出てまいります。伏線はモチ、散りばめておりますんで、みなさん、ぜひ犯人当てにチャレンジしてみはったら、いかがどすやろか。

イントロで流れる、ロマンチックでうるわしいショパンのピアノ・ソナタやら、2人の刑事がラーメンを食べるまでを長回しの撮影にして、2人のキャラの違いを示すカットなど、渋ーいシーンがいくつもござります。

伊藤俊也監督の久々の作品だす。ボクは「誘拐報道」(1982年・日本)が凄くスキなんどすが、本作もまた実話をベースにしはって、ハラハラドキドキの快作にしてはります。

2010年6月25日 (金)

リュック・ベッソン監督作品「アデル/ファラオと復活の秘薬」

フランス発のドカーンと、アクション・ヒロイン映画でおます

アデル役のルイーズ・ブルゴワンちゃんの魅力が全開しよりました!

http://adele.asmik-ace.co.jp/

土曜日サタデーの7月3日から、全国イッセーのロードショーしはります。関西では、大阪は、梅田ピカデリー、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんばやら、京都は、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条やら、兵庫県は、神戸国際松竹、OSシネマズミント神戸やらで上映開始でおます。この映画を配給しはるのは、アスミック・エースはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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© 2010 EUROPACORP - APIPOULAÏ PROD - TF1 FILMS PRODUCTION

Photos : Magali BRAGARD

本作はフランス映画でおますが、「アデル」のタイトルを聞いただけで、ボクは早合点し、「ヌーヴェル・バーグ」の巨匠フランソワ・トリュフォー監督の「アデルの恋の物語」(1975年製作・フランス映画)を、リュック・ベッソン監督がまさかリメイクでもしはったんかいなと思いました。

かつてフランス映画界には、「ヌーヴェル・バーグ」(直訳すれば「新しい波」)なる芸術映画、映画史に残るようなスゴイのんがござりました。

それはどう凄かったのかと申しますれば、何万言にもわたるコトバをばシャベらなあかんようになるので、ここではハショらせてもらいますが、本作は、ハリウッドのアクション映画を咀嚼(そしゃく)し、つまり、よう頭に飲み込んで分析しはった上で、どうフランス的にオリジナルなもんにしてやろうかいなと、かなり深く考えて作ってはる作品でおます。

ハリウッド・アクション映画を、フランスのヌーヴェル・バーグ節で割ってみたみたいな、「アクション・ヌーヴェル・バーグ」を構築し、しかもコレがメッチャおもろいのでおますよ。いろいろなややこしい薀蓄(うんちく)とか、映画的な話とかはまあ、いくらでもあるのですけども、でも、見ますれば、そんなんどうでもええやんなーな、そう快・快感なエンターテインメントになっておるんだす。

「インディ・ジョーンズ」シリーズ(1981年~2008年・全4作・アメリカ)の女性版かなんて宣伝文句もあるんやけど、アンジェリーナ・ジョリー主演の「トゥーム・レイダー」(2001年・アメリカ)にもそのコトバは出ていたし、その種のヒロイン・アクション・ノリは冒頭より約30分以内に出てしまいよります。

「トゥーム・レイダー」との大きな違いは、多彩に展開しよる、ヒロインのフレンチ・オンナ七変化な展開でおます。ヒロインは小説家なんやけど、ヘミングウェイみたいに、冒険しながら調査しもって、もの書きしてゆくとゆう設定。「怪盗ルパン」並みに変相したり、早口でまくしたてて、相手に攻撃的に突っ込んだりと、アデル役をばやらはったルイーズ・ブルゴワンちゃんの、チャキチャキ・イキイキの演技ぶりどす。

テニスやってる最中に、妹を植物人間状態にしてしもて、その妹を救うために、エジプトの太古の名医者の魂をよみがえらせて、ほんでもって、妹を治してもらおやんかとゆう発想そのものからして、奇想天外・天衣無縫・驚天動地・天地無用な、おいおい、ハチャリン系やんかなんやけど、それらのエピソードが、このルイーズちゃんのキャラによって、どこまでもズ・ズ・ズーイといきよりまんねん、これが。そこがまた、この映画のオモロイとこでおます。

「ジュラシック・パーク」シリーズ(1993年・1997年・2001年・全3作・アメリカ)とか「E.T.」(1982年・アメリカ)とか「ヤング・シャーロック ピラミッドの謎」(1985年・アメリカ)とか、かなりスピルバーグはんを意識してはるように見えるんやけど、イントロの「アラビアのロレンス」(1962年・イギリス)的なアラビアンなサントラ使い、本作の舞台の翌年1912年に起こる「タイタニック」(1997年・アメリカ)事件へのつなぎなんか、よろしおま。

ラストで、ヒロインは「タイタニック」号に乗らはって、アメリカへと向かわはるんどす。さて、そのあとはどないなるねんなでおますけども、それは続く第2弾でのお楽しみどすえー。ディカプリオのアニキやら、ケイト・ウィンスレットのネーさんやらと会わはるんかどないか、でもってどないなドラマになりよるんか、もう今から胸ワクワク、たまりませんでー。

2010年6月24日 (木)

日本映画「うん、何?(うんなん)」

美しき自然の風景だけでも、ホッと癒やされよります

島根県・雲南市の地方ロケ映画が、関西初上映でおます

http://www.unnan-movie.com

6月26日サタデーから、なんばパークスシネマにて2週間限定ロードショーやけど、関西初上映どす。その後、セプテンバー9月18日~24日フライデーまで、大阪のシネ・ピピアやら、オクトーバー10月2日~15日までシネ・ヌーヴォで上映しはります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2008「うん、何?」製作委員会

文化庁やらの支援によりまして、映画の地方ロケに対応すべく、地方のフィルム・コミッションが47都道府県にわたり、充実してきよりました。今や地方ロケーション映画は、日本映画のある種の花形映画にもなっておます。

で、ボクチンなんかはですな、47都道府県別にロケ映画を紹介したら、オモロイんとちゃあうかなと思たりしとったんですが、それほどホントのホンマに多いんでおますよ。それで、本作は島根県ロケでおます。

2008年にロケ地の島根と東京では公開されたんやけど、そのほかの地方には残念ながら、なんでか公開されなかったんでおます。でもようやく、関西で初上映だす。今頃、なんでやねん? なんやけど、この映画は、島根県出身の監督はん錦織良成(にしこおりよしなり)監督が、大林宣彦監督の尾道三部作やら新・尾道三部作やらを意識しはったかのような、島根三部作をば撮らはったんどす。

その第1弾は「白い船」(2001年製作)どした。で、その第3弾の完結編が、現在公開中でヒット中の「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(5月21日付けで分析済み)なんどす。ほな、第2弾はどないなっとるねんの声に応えはりまして、初上映の運びとなりよったわけですわ。

地方ロケ映画にはいろんなパターンがござります。本作は最初は、雲南市をPRして観光誘致を図るような意図があったといいます。まあ、撮りたい映画を撮りたいように撮れる環境といいますのは、そんなにござらん状況にはあるんやけど、本作は、そのPR系を逆手に取らはって、監督や製作者が撮りたい映画へとズバリと決め込んできはったのでおます。

人物のアップ少なめで、美風景をロングショットで捉える構図の多さやら、その土地の風景やら観光ポイントとなる部分を、見せてゆくとゆう撮り方をしてはるんですが、物語のシンプルな作り、つまり、恋愛とか家族のキズナとかの描写が、ストレートにみんなに伝わるような感じで作ってはるんどす。

チャリンコでゆくロングショットの多さ、1分くらいの長回し撮影をチビチビ入れはって、クライマックスの、宮崎美子扮する母と息子のシーンでは3分近く、主人公が彼女にコクるシーンの2分近くやら、グッとくるドラマへの持って行き方が巧みのワザでおました。

大林宣彦監督の名作シリーズは、ヒロインもので恋愛をベースにしてはりましたが、この島根三部作は、色合いや作品的テイストやテーマを変えてはるのも、好感を覚えました。女教師と生徒の交流「白い船」、家族持ちの主人公の夢物語「RAILWAYS」。でもって、本作は、ピュアピュアの学園青春ラブ・ストーリーにプラス、親子のキズナとゆう家族ドラマ部をしっかり描くとゆう映画どす。英語タイトルらしい、「レジェンド・オブ・ヤマタノオロチ」のセンスも光っておました。

2010年6月23日 (水)

イタリア映画「ボローニャの夕暮れ」

戦争引き裂かれ系「ライフ・イズ・ビューティフル」の家族ドラマ映画とは、どでかい違いがある現代的問題作やー

ヴェネチア国際映画祭主演男優賞ゲットの、シルヴィオ・オルランドはんの、ジャン・ギャバンみたいな演技に注目しておくんなはれ

http://www.alcine-terran.com

土曜日は6月26日から、東京・渋谷ユーロスペース、銀座シネパトスやらで、関西では、サタデー7月31日から大阪・テアトル梅田、その後、京都シネマ(9月中旬~)、シネ・リーブル神戸(8月28日~)やらで、全国順グリのロードショーでおます。本作のイタリアン映画をば、配給しはるのはアルシネテランはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2008 DUEA FILM - MEDUSA FILM

戦争によって、家族が引き裂かれてしもた系の映画ではござります。

でも、例えば、ユダヤ人収容所に家族3人が収容される「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年製作・イタリア映画)とか、家族と引き裂かれてしもて、1人孤独に逃げ回らはる「戦場のピアニスト」(2002年・ポーランド&フランス合作)とかの色合いとは違(ちご)ております。

それはどうゆうことかと申しよりますと、必ずしも戦争によって引き裂かれたとは申せないんでおます。写真の父母娘の3人家族の話なんどすが、娘が17歳の時に「17歳の犯罪」を起こしてしもて、裁判となり、精神鑑定で情状酌量となりよりましたけど、その種の刑務所的な精神病院に拘束されよります。

一方で、オトンは娘に首ったけでおまして、その病院に通うために、病院の近くに移住しはって、妻とは別居しはります。妻、つまり、娘はんのオカンは、あんまし娘とはソリがおうておりまへんでして、オカンはいっさい娘のとこへ面会には訪れはらへんのです。

そして、この家族の近所に住んではる、オトンの友達の刑事はん夫妻がいてはって、家族の面倒をばみはります。この流れでゆくと、この家族のバラバラ感はあんまし戦争とは関係ござらんでおましょう。むしろ、21世紀の現代的な家族の疎遠ぶりやと、ボクは思いました。

オトンの友達家族の方が、妻は空襲で死にはり、夫は戦後のレジスタンスたちに銃殺されよります。ことほどさように、戦争系を外してはる作りは、かつての戦争映画ではほとんどなかったかと思いよります。

いや、むしろ意図的に外し系を作ろうかと狙(ねろ)てはったんかとも思えました。娘はん役のアルバ・ロルヴァケルちゃんのナレーションから始まり、モノクロ・シーンから薄イロのカラーへと変換。その後、全編にわたり薄セピアの配色をラストまで貫かはるんだす。いわゆる、時代感の描写でおます。

1936年から始まり戦後の1946年へ。そして、それから7年後へ。戦争によってではなく、家族間の問題で引き裂かれた家族が、今一度家族のキズナを取り戻すところは、ある意味、賛否両論あるやもしれまへん。

そんな中において、「ヘッドライト」(1955年・フランス)のジャン・ギャバン的な、イロイロあっても落ち着いたシブミある、オトンの演技をしはるシルヴィオ・オルランドはんは、ホンマのホンマに渋かったでおます。世界3大映画祭の1つ、ヴェネチア国際映画祭で主演男優賞ゲットは、当然でおました。

2010年6月22日 (火)

ホラー映画「エルム街の悪夢」

あのスプラッター・ホラーの怪作が、リメイクされよったでー

「ハロウィン」「13日の金曜日」と並ぶ、1980年代ホラーの金字塔やんかー

http://www.elm-street.jp/

6月26日(サタデー)から、ナニワ・梅田ピカデリーほかで全国ロードショーやー。この映画の配給は、ワーナー・ブラザース映画はんどす。映画は「R-15+」指定でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸMMX NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

1970年代には「エクソシスト」(1973年製作・アメリカ映画)をはじめとした、悪魔ホラーが次々に出てきよりましたけど、その悪魔に対して「リング」(1998年・日本)みたいな、人間のウラミ節ホラーもいろいろござりました。

そして、1980年代に入りよりますと、血しぶきが飛ぶスプラッター・ホラーなる、ホラー・ジャンルが生まれ落ちよったんでおます。「ハロウィン」シリーズ(1978年~現在まで・以降は全てアメリカ映画)、「13日の金曜日」シリーズ(1980年~2001年)とか、キリスト教をヒントに作られた作品群なんか。

でもって、この「エルム街の悪夢」シリーズ(1984年~1991年)は、人のウラミ節なんやけど、その殺人鬼の登場設定に、オリジナルな工夫が施されておました。夢を見てる時、つまり、悪夢の中で出てきよるとゆう、夢の中の怖~いヤツなんやわー。悪夢を1つのヒントにしたところは、怖い夢を見るとゆうホラーの、原点回帰ともいえよるもんでおますよ。

さらに、「エクソシスト」や「オーメン」(1976年)やら、コドモたちが主人公のホラーが多いんやけど、高校生たちが災難に遭うとゆう作りは、のちの「スクリーム」(1996年)やら「ラストサマー」(1997年)へと、大きな影響を与えたんやないかいなと思いよります。

かつてのホラー映画の名作をリメイクしてゆくのんは、21世紀になってイロイロ出てきておるんですが、本作の主人公フレディと、「13日の金曜日」のジェイソンが、ガチンコ対決しよるっちゅう映画も出てまいりました。ことほどさようにでんな、本作は映画史に残るキャラクターどす。

「ザ・ロック」(1996年)やら「アルマゲドン」(1998年)やらを監督しはった、本作の製作者マイケル・ベイはんどすが、製作者としてはホラー映画のリメイクにえらいこだわりを見せてはるんだす。「13日の金曜日」も2009年にリメイクしてはります。で、その流れに乗りまして、本作もオリジナルの雰囲気を壊すことなく、分かりやすく今のみなさんに伝える作品となっておます。

幼稚園時代のコドモたちにえらいウラミを抱いてはりまして、でもって、彼らが高校生になった時に、フレディはんはいよいよ彼らを1人、2人と、彼らの夢の中に出て、殺してゆきよります。怖がらせるポイントとしての、ショッカー(強烈な効果音でみんなをビビらせる手法)の適宜な使い方はモチ、アップとクローズアップ・シーンの、タイトなやりとりと挿入によりまして、恐怖感をあおってゆくカンジもござります。

写真2枚目の「サイコ」(1960年)のように、風呂場を使った恐怖演出とか、ラストの「キャリー」(1976年)的なサプライズやらも怖かったどす。シリーズ化でリメイクされてもおかしくない怖さどしたえー。

2010年6月21日 (月)

ヴィゴ・モーテンセン主演アメリカ映画「ザ・ロード」

父と息子のキズナが、世紀末SF映画として描かれるシブミ

原作者が同じの「ノーカントリー」的な、そこはかとなく緊張感ある、ロードムービー感がありますでー

http://www.theroad-movie.jp/

土曜日の6月26日から、TOHOシネマズ シャンテやら、サタデー7月3日から、梅田ガーデンシネマやらでロードショー。配給はブロードメディア・スタジオはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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6月12日付けで分析いたしました「ザ・ウォーカー」と、シンクロナイズするとゆう見方もござるのやけど、こちらはアクション部はほとんどござりまへん。

その種の映画が好きな人には、ウーンかもしれへんねんけども、世界が壊れたあとの、弱者の父子が生き残るために、どんなことをしやはり、どうなったんかを描かはるんどす。寓話的なノリもござります。

そもそも、元からナンもござりまへん。武器もなければ食うもんもありまへん。そんな中で2人は、「ザ・ウォーカー」の西とは違いよりまして、南へと向かわはります。南へ向こうて何があるやら、オトーちゃんも知りまへんねん。単なる夢のお告げやら本人のカンやらで、行ってはるだけなんどす。

人類滅亡の時に、自殺して果ててしまうか、人を食うてでも生き抜くか、とんでもない生活レベルの問題が起こるんだす。そやから、妻役のシャーリーズ・セロンおネーさまは、父子と離れていかはります。このあたり、切ないでー。

でも、妻との思い出を思い出さはるヴィゴ・モーテンセンはんのシーンは、花が鮮やかな自然光でのシーンから、妻と別れることになってまう、暗めの室内シーンまで、いろいろござります。

父子が生き延びてゆくための、いろんなシーンも、事細かに描かれよります。たまたま見つけた地下の食納庫での、父子の束の間の安らぎなんか、チョイ心にきました。でも、原作のやっぱりダークなトーンは貫いてはります。

「すべての美しい馬」(2000年製作・アメリカ映画)、「ノーカントリー」(2007年・アメリカ)やら、ロードムービーが入っておます映画の原作者、コーマック・マッカーシーの原作小説の映画化でおます。でもって、例によりまして、本作もまたロードムービーとゆうことだす。

父子のキズナ映画でボクが個人的に、ナンバーワンと思ております映画「砂の器」(1974年・日本)をば、時々思い出させてくれはりました。

ヴィゴ・モーテンセンはんは、弱みと強みをバランス良く演じはる役者はんどすが、今回は追い詰められはって、ビョーキやらケガやらでボロボロにならはる、弱々しい演技でいってはります。

世界が壊れたあとの描写部も、写真の一番下にあるような感じでおまして、空や海のダーク・トーンな描写やら、雨シーンやらで、世界の終末観をあおらはります。しかし、でおますよ。たとえかすかでも、希望はあるんどす。そういう終わり方で救われた映画でもおました。

2010年6月20日 (日)

高岡蒼甫主演恋愛映画「さんかく」

宮崎あおいちゃんのダンナはん、高岡蒼甫アニキが、三角関係恋愛ドラマを演じはりました

田畑智子ネーやん、AKB48の小野恵令奈ちゃんもドッキリ演技だす

http://www.sankaku-movie.com

サタデー6月26日から東京・ヒューマントラストシネマ、池袋テアトルダイヤやら、福岡のシネ・リーブル博多駅やらで、7月10日~名古屋・伏見ミリオン座、7月17日~札幌・シアターキノ、でもって、サタデー7月24日から大阪のシネ・リーブル梅田やら、京都シネマやらで、全国各地順番のロードショーでおます。映画の配給会社は日活はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「さんかく」製作委員会

「パッチギ!」(2004年製作)やら「ROOKIES-卒業-」(2009年)やらで、男っぽい青春クソガキ演技をば披露しはった、高岡蒼甫(そうすけ)のアニキが主演だす。初めて、ラブ・ストーリーなるもんに出はりました。

子役やった「お引越し」(1993年)より、随分とオトナにならはった田畑智子ネーさんが、「血と骨」(2004年)の時のような、弱々しい姉役をば演じはりました。

でもって、妹役のAKB48の小野恵令奈ちゃんだす。高岡のアニキを悩ます、今どきの中学生を自然体で演じちゃったんでおます。この3人の演技アンサンブルがバツグンでおます。

高岡のアニキと智子ネーさんが同棲してはりまして、そこへ夏休みに地方から、智子ネーさんの妹・恵令奈ちゃんが上京してきて、2人と住まはります。で、高岡アニキが妹にドッキリしはって、アニキ一本道の智子ネーさんとの間に、三角関係図が作成されよるわけでおます。

いつもの生活の中に、誰かが入ってきて生じるとゆう三角関係ドラマどすけども、そんな中でも、原点に回帰したようなシンプルな作りなんどす。男と姉妹の三角関係図もの。姉→男→妹とストークまがいの恋愛系。

ある意味「危険な情事」(1987年・アメリカ映画)みたいな、危ない系恋愛をはらんでいるように見えよりますが、違(ちご)ております。ほんわかヌーボーとした作りで、最後にはアハハと笑わせてくれはります。

これはやはり、高岡アニキのどっちつかずな、エエ加減なキャラ設定やら、マルチ商法なんかに騙されやすいカンジの、智子ネーさんのキャラ、でもって、恵令奈ちゃんの、チョチョリン系のアイドル的キャラの、関係描写の絶妙な描き込みにござります。

吉田恵輔監督の第3弾でおますけども、前2作「机のなかみ」(2007年)、「純喫茶磯辺」(2008年)と同じく、監督のオリジナル脚本でおます。ネタ不足の現代におきまして、かつてよくあったかなーと思えるような素材を、ユルユル系やら癒やし系のノリで再構築するような作りが、なかなかでおます。

また、「おくりびと」(2009年)以降、チェロやらをメインにした、サントラ使いの邦画が多いのでおますけども、本作では、やはり原点回帰とも思えよります、ピアノをメインにしてはります。まあ、いろんな意味で、温故知新な恋愛映画の快作どした。

2010年6月19日 (土)

小栗旬初監督映画「シュアリー・サムデイ」

メチャメチャでハチャメチャな、バラエティー映画になりよりましたがな

青春・音楽・友情・犯罪・タイムリミット系・お遊び系・ラブストーリー・ヒロイン映画とか、ホンマやり過ぎかもな

http://www.surely-someday.jp

7月17日(サタデー)からドカーンと全国ロードショーでおます。松竹はんの配給どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「シュアリー・サムデイ」製作委員会

小栗旬(写真下)が初めて映画監督にチャレンジしはり、しかも本人は出てはらず、監督に徹してはります。まさに映画監督として、本格的に大マジでやらはったんどすえ~。

監督の仕事はホンマ、大変でおます。本人は途中で、やめようかなとも思うこともござりました。実際、プロデューサーにもゆうてはります。しかし、クランクアップの最後まで、そして編集作業も含めよりまして、ガンバらはったんどす。

でもって、その結果でおますけども、何とまあー、いろんなエンターテインメントの要素が、まるでチャンコ鍋のような、ゴッタ煮のようなカンジで作られてござって、しかも、コレがオモロイのなんのて、オモロすぎよりましたがな。

映画的な出来なんかについては、この際、ヨコに置いておきまして、これこそ「映画を作りたい」魂が、観客にストレートに伝わる映画でおました。いろんな楽しくてたまらへん映画娯楽的要素が、テンコ盛りに盛り付けられておますよ。みなさん、ホンマ、ボクらやアタシらも映画撮りたいわ~、やなんて思わはるかも。

幼なじみらしき5人の、ハチャメチャな青春ドラマ、そして、5人の相互に展開する友情。時々、アラフォー以上のオジン・オバン世代には、ついていかれへんようなとこもあったけど、この5人は何やら「SMAP」を意識しとんのと違うんかいな、とゆうとこもありますで。

音楽映画としては、この5人は、女にモテたいがために、ロック・バンドなんかにも手を出してはるんだす。おいおい、どすけども、映画のタイトルが、例えば「ソラニン」(今年公開)のようにでんな、映画の中で作られよります音楽ナンバーの、タイトルになっとるんでおます。この「シュアリー・サムデイ」なる、キャッチーな8(エイト)ビート・ロックを、5人が披露するシーンは、この映画の1つのハイライト・シーンだす。

タイムリミット系の犯罪系もあります。加えて、小西真奈美おネーさんが演じはる、いろいろあらはった女性ヒロイン系のドラマ部。お遊び系では、妻夫木聡アニキ、上戸彩リン、井上真央ちゃん、大竹しのぶネーやん、いつものチャラチャラ系と違う骨太な刑事役の竹中直人はん、ホームレス役のコメディアンぶりの岡村隆史ちゃんとかが、ホンマに楽しく演じてはります。それらの楽しさがビビッドにボクらやアタシらに伝わってきて、ホンマのホンマに爽快やでー、でおますよ。

撮り方やらも、斬新にいったろやないかいなとゆう、意気込みに圧倒されよりました。いろんな人物のその後を紹介する、ストップ・モーション入りのフラッシュ・カットやら、幸せのカラーから脱色しての暗転シーン、スロー・モーションとクイック・モーションを交互に使ってゆくシークエンスやら、遊びの中で示される、ユニークな映画的なカットにしびれましたでー。

2010年6月18日 (金)

寺島しのぶ主演日本映画「キャタピラー」

世界3大映画祭のベルリン国際映画祭で、寺島しのぶネーさんが主演女優賞を、ニッポン人としては、35年ぶりにゲットしはりました

「壁の中の秘事」で、初めてベルリン映画祭に出品しはった若松孝二監督の、恐るべき執念がココにござります

http://www.wakamatsukoji.org

先行上映といたしましては、サタデー6月19日より沖縄桜坂劇場、フライデー6月25日午後7時より大阪中央公会堂、フライデー8月6日から広島シネツイン本通り、マンデー8月9日から長崎セントラル劇場で上映しはります。

でもって、その後、サタデー8月14日から全国順グリのロードショーをやらはります。関西やったら、大阪・テアトル梅田、第七藝術劇場やら、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで公開どす。映画は「R-15+」指定だす。

この映画を配給しはるのは「若松プロダクション」はんと「スコーレ株式会社」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ若松プロダクション

現在、NHKの「龍馬伝」で、福山クン龍馬のネーさん役で出てはります、寺島しのぶアネゴ主演の映画だす。

本作の演技で、えらい「映画的」勲章をば得はりました。本編では、ネーさんの夫役の大西信満のアニキが、軍神として勲章を3つももらわはる設定なんで、どういう意味での勲章かに間違いがありまへんように、「映画的」の表現に変えておます。

アメリカのアカデミー賞を除きまして、世界3大映画祭の1つでござります、ドイツはベルリンの国際映画祭におきまして、日本人としては、何とまあ35年ぶりに、主演女優賞をばゲットしはりました。

これまでもらわはったニッポン女優はんと申しますれば3人しかいてはりまへん。その35年前の1975年では、「サンダカン八番娼館 望郷」(1974年製作)の田中絹代大女優はん。東南アジア系の日本娼婦「ジャパユキ」さんの、老後を渋く演じはりました。で、その前はといいますれば1964年どす。農家のバイタリティーあふれる、日本の女を演じはった「にっぽん昆虫記」(1963年)の左幸子大女優はんどす。

この3人に共通するのんは、いかにも外国人審査委員が見た場合に、日本女性の驚くべき側面をば見せた人だす。しのぶネーさんは、表情演技を細かくやってはります。泣き、笑い泣き、戸惑い、悲哀など、喜怒哀楽でも怒哀をメインに、緻密極まりない表情演技で魅せはります。

軍歌や日本の歌を歌って、徐々に表情を崩していかはったり、手足のない状態で戦場から生きて帰還した夫に、卵を顔にぶつけて怒り泣きしたりします。アップ・クローズアップが多いだけに、次々に繰り出されよります、難解な表情演技の妙は、見ているこちらの視線をクギ付けにしはるんどす。

さて、若松孝二監督的な、この映画に懸けてはる狙いとか、目論見(モクロミ)について分析してみまひょか。若松監督は実はポルノ映画出身の監督でおます。

で、見出しにも書きましたけど「壁の中の秘事」(1965年)は、ベルリン国際映画祭に出品され、えらい物議をばかもしたんですわ。その映画の、いわゆるセックス描写やらが、本作にもビミョーに反映されたりしておます。

さてさて、過去の映画的に分析しよりますと、手足のない状態は「ジョニーは戦場へ行った」(1971年・アメリカ映画)そのものやけど、戦争へ行った兵士の後遺症・トラウマもの映画と申せば、アメリカ映画に多くござります。対して日本では、原爆とそのトラウマ系ものが圧倒的だす。

兵士のトラウマ系をあえて挙げよりますと、「野火」(1959年)とか「深い河」(1995年)とか「ビルマの竪琴」(1956年・1985年)とか、それでもそれなりにござります。しかし、本作ほど、ホンマにトラウマなんやと、一般大衆にカンジさせる映画は、初めてなんやないでしょうか。

薄赤色のモノクロとか、脱色シーンに炎のカラー着色シーンとか、写真のように、薄い色合いのカラーで描く時代感とか、細部の描き方も巧妙どした。

ベルリン映画祭で上映した時にはなかったんどすが、ラストで付け加えられた、元(はじめ)ちとせネーさんが歌う、坂本龍一御大編曲によるミディアム・スロー・ナンバー「死んだ女の子」もまた強烈な印象を残しよります。平和への希求を、戦争で死んだ女の子の視点から描かれたこの歌曲もまた、深い余韻を残します。

2010年6月17日 (木)

生活ドキュメント「祝の島」(ほうりのしま)

「1000年刻みの日時計」+「三里塚」÷2やなんて、大げさなんとちゃあうん?

でも、女性監督らしい優しさある、滅びの美学あるドキュメンタリーやねん

http://www.hourinoshima.com/

6月19日(サタデー)から、東京・ポレポレ東中野、広島・横川シネマやらで、サタデー7月31日から、大阪・第七藝術劇場やら、全国順グリのロードショーやー。この映画をば製作しはったのは、「ポレポレタイムス社」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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近場に原発が作られよるんを、28年間にわたって反対してはる、山口県の瀬戸内海の孤島・祝島(いわいじま)の人々を捉えはった、群像ドキュメンタリー映画でおます。

この種の特異な環境における生活ドキュ、そして、自然描写を映していかはって、最終的には滅んでゆくんやろなーっちゅう、余韻で終わるドキュメント映画だす。

みなさん、日本のドキュメンタリー映画には、どんなイメージがござるでしょうか。まあ、いろいろござるのですよ。

そんな中でも本作は、人々の生活やその地の特異な風土を映した「1000年刻みの日時計・牧野村物語」(1987年製作・日本映画)と、抵抗運動を描いた「三里塚」シリーズ(1968年~1977年)を、程よくブレンドしたみたいな仕上がり、やなんて、チョイと大げさかもしれまへんが、それらを監督しはった故・小川紳介監督節が、そこかしこに散りばめられたんやないかなと思いました。

NHKの名ドキュ「新日本紀行」なノリやら、ドラマ映画としましても、瀬戸内の漁業をやめはる「故郷」(1972年・山田洋次監督)、離島で夫婦が黙々と働く「裸の島」(1960年・新藤兼人監督)、原発を巡る問題作「原子力戦争 LOST LOVE」(1978年・黒木和雄監督)なんかと、シンクロしていきよります作りどす。

また、本作プロデューサー本橋成一が監督した、チェルノブイリ原発事故にインスパイアーされはった「ナージャの村」(1998年)や「アレクセイと泉」(2001年)やらの日本版のイメージでもおます。

でも、攻撃的な視点はそれほど強くはござりまへん。いや、むしろ癒やし系と申しますか、女性監督(はなぶさあや=「あや」は平仮名でおますけど、「はなぶさ」はかなり難しい漢字なんで出よりまへんでした。ゴメンちゃい)らしい優しい視点がありました。

美しい自然描写をいくつも挿入しながら、島の人々の生活、そして原発反対の抗議行動をば、距離を置いた冷静な視点で見つめていかはるのどす。ウグイス、セミの声、棚田、海面がセピアになった夕景・朝焼けシーン、青い海と緑の山々の対照など、自然シーンは目に優しいどす。

抗議シーンは少し緊張感はあるし、夏祭りのイベント・シーン、写真の一本釣りやらのいろんな漁業シーンやら、活気あるシーンはあるにはありよりますが…。大みそかのNHK紅白を見ながら、いつまで生きられるやらと呟く老人たちなど、高齢の人々が死んでしもたら、島は無人になり、滅びてゆくのんとちゃうん?  な悲愁感がござるのです。

原発問題はあくまで外装、基本にあるのは「滅びの美学」やとボクは思いました。もっと危険なとこへも肉迫できたはずの素材やけど、あえてサントラも流さない静謐系へと着地する仕上げが、ココロを逆にえぐる作品どした。

2010年6月16日 (水)

バイオレンス映画「ジョニー・マッド・ドッグ」

「シティ・オブ・ゴッド」みたいな、コドモ兵士が残虐極まりないバイオレンスを演じる、仁義なき戦いやー

リベリアを舞台にした、アフリカの混沌ぶりに、サブーなってきよります

http://www.interfilm.co.jp/johnnymaddog/

6月19日サタデーから、大阪・第七藝術劇場を皮切りに、その後、京都みなみ会館、神戸・元町映画館やらで、全国順グリのロードショーでおます。フランス・ベルギー・リベリアの合作となりよります、この凄まじき映画をば配給しはるのは、インターフィルムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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アフリカの混沌ぶりを示す映画は、21世紀になって目立つ感じでいろいろと出てまいりました。

かつては、アフリカを舞台に、ロマンティックなハリウッド映画がいっぱいござったのですが、例えば「カサブランカ」(1942年製作・アメリカ映画)とか「モロッコ」(1930年・アメリカ)とか「アフリカの女王」(1951年・イギリス)とか「キリマンジャロの雪」(1952年・アメリカ)とか。

でも、ホンマにアフリカのシビアな現実に、食い込むような映画は稀少でおました。内戦を描いた「ホテル・ルワンダ」(2004年・南アフリカ&イギリス&イタリア)などの出現で、ようやくその現実がみんなの前に、映画として繰り広げられることとなったのでおます。

そして、本作はおそらく映画史上初となります、リベリアが舞台でおます。しかも、少女もいてるコドモ兵たちの、残虐・略奪極まりない、無情のバイオレンスが描かれるのでおます。ビックリしましたがな。

しかも、実際に元兵士やったコドモたちを集めて、演技させはりました。かつてのイタリアン・ネオ・リアリズムと同じように、いわゆるリアリティーの追究だす。ブラジルのコドモたちの、ギャング・アクション映画「シティ・オブ・ゴッド」(2002年・ブラジル)みたいに、作られたようなアウトローぶりやないんです。

各人がわめき倒し、感情も愛もないコドモたちが、政府軍のいてる首都へと、進攻していくロードムービー・スタイルで、バイオレンスは展開します。コドモたちに内在する残酷性を最大限に引き出した点においては、ノーベル文学賞に輝いたイギリスの作家・ゴールディングの小説「蝿の王」を思い出しよりました。

でも、一方において、センチメンタリズムあるシーンも展開されよります。コドモ兵の残虐ぶりに対比させる感じで、両足のない父と幼い弟がいてる、13歳の少女ヒロインのシークエンスが映されよります。

大統領のラジオ演説を流しての、少年兵グループのヨコ移動撮影による長回し撮影部で、少女と主人公がすれ違ったり、モチ、それ以前にも2人の出会いはあるんやけど、とにかく、ラストの再会シーンは、大きな衝撃カウンター・ブロウがござります。ラストシーンの少女の怒りのクローズアップは、いつまでも忘れられまへんことでおましょう。

ミステリー「クリムゾン・リバー」(2000年・フランス)やら、ハリウッド・アクション「バビロンA.D.」(2009年・アメリカ)なんかを監督しはった、フランスのマチュー・カソヴィッツはんが、製作者として関わってはります。ホントのホントに撮りたかった映画とは、こういう問題作なんでおましょう。

本作は、2008年のカンヌ国際映画祭では、「ある視点」部門のHOPE賞をゲットしはりました。今年無冠に終わった北野武監督の、同映画祭出品作「アウトレイジ」(6月12日公開)以上の、リアル感ある生々しいバイオレンスがココにござるのです。

2010年6月15日 (火)

ジャッキー・チェン主演新作映画「ダブル・ミッション」

ジャッキー、ハリウッド進出しはって何と30周年やてー

これまでのんに加えて、新しい面も出してはる、快作アクションでおますよ

http://www.w-mission.jp

6月19日サタデーから全国イッセーのロードショーやー。関西やったら、大阪・TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップやら、京都・TOHOシネマズ二条やら、兵庫県はTOHOシネマズ西宮OSやらで見られますで。ジャッキーのハリウッドをば進出の、30周年記念映画をば配給しはるのは、ショウゲートはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2009 Spy Next Door,LLC. All Rights Reserved.

ジャッキー・チェンはんと申しますれば、そらもー、ものごっつーな、そらもー、格闘アクションのコミカル系をば、全世界的に認知させはったお人でおます。

アジア系の格闘ものでは、確かにブルース・リー大センセーの、チョー・シリアス系がおますけども、それとは間逆とも言えへんことはない、ジャッキーの30年以上にわたる活躍ぶりには、敬意を表するしかおまへんのどす。

確かに、みなさんも、オモロないと思わはる作品もあったやも分かりまへん。でも、日本人も入っておますアジア系の役者たちで、ハリウッドで30年間もガンバれるやなんて、まあ、ジャッキーだけやないかな。

そんなジャッキーの新作やけど、これまで出演した作品的なところやとか、アクション・ノリも出てきよるんやけど、でも、でも、違うんですわ。進化してはるとこがあるんだす。

ただ、男性のポップス入りで示さはる、冒頭のセピア・シーンとか、ジャッキーの過去の作品をズバリ思い出させよるし、「007」みたいなテンションとか、ファンキーなギター・サウンドで示さはる、2つの顔を持つスパイ系のノリとか、今までのジャッキー作品へと、リスペクトするみたいなシーンは多数ござります。

それはそれは、書き切れないくらいござるのですが、それでもなお、新しいところを示しとこやないかいなとゆうところこそが、ボク的には、この作品に魅せられたところでおます。それは何かと申しますれば、ホームドラマ的な家族ドラマ・パートでおます。

ジャッキーの彼女・シングルマザーの、3人のキッズとの交流部こそが、ジャッキー映画の新しどころやと思います。でも、時おりミスマッチなシーンとか、ご都合主義的なとこもあるんでおますが、何とか許容範囲内に踏みとどまってはるかと思いました。

そのホームドラマ性に合わせたんかどないやらは、分かりまへんけども、日常の生活用品やらを武器に使った、アクション・シーンがテンコ盛りとなっておます。ものほしザオ、チャリンコ、椅子、冷蔵庫やら、生活系アクションのコミカル度合いが、えらい高かったですわ。

映画の内容はシリアス系やのに、ジャッキーのアクションでガラッと様相が変わってまう作りだす。これはもう、ジャッキー節とか言いようがござりまへん。ホームドラマ・ラブコメ・スパイ・アクションやなんて、考えられへん変な作りにも、敬服しよりました。久々のアラマ・ポテチン(ああ、驚いた)どした。

2010年6月14日 (月)

女子高生ヒロインのニッポン映画「私の優しくない先輩」

学園純情系ラブ・ストーリーへと回帰した、片思い映画の快作だす

しかも、病系の泣ける系もビミョーにハズしはって、妙に楽しい仕上がりやでー

http://www.Senpai.info

サタデー7月17日から、東京・新宿バルト9やら、新宿武蔵野館やらで全国イッセーのロードショーだす。関西やったら、大阪・梅田ブルク7やらで公開やー。この映画を配給しはるのは、ファントム・フィルムはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「私の優しくない先輩」製作委員会

川島海荷ちゃん扮する16歳の女子高生ヒロインが、病気療養のために、両親と一緒にある島へ行って、100人ちょっとの生徒しかいてへん高校へと、通わはるとゆう設定ドラマでおます。

で、そこで、病気やのに、凄くポジティブなこのヒロインが、イケメンの草食系男子に、片思いをしはるとゆう設定が続きよります。

でもって、部活には全員入らなあかんのですが、彼女はゆるめのマット運動部に入らはるんやけど、部員は2人で、もう1人は先輩。この超絶前向き系の男子生徒を、「はんにゃ」の金田哲クンが演じはって、「おまえの笑顔が見たいから」と、2人の仲を取り持とうとしやはる設定でおます。

いやいや、まさにストレート系とも思えよります、学園ドラマにしてラブ・ストーリーです。こういうホンマ、純情系とも思える恋愛ものは最近珍しいし、しかも女の子の方からのアプローチ系は、そんなになかったんやないかなと思いよります。

大林宣彦監督・原田知世主演の「時をかける少女」(1983年製作・公開)とか、薬師丸ひろ子の「翔んだカップル」(1980年)とか、角川映画のアイドル系学園もの恋愛ものなんかの名作がござりますけども、それらの作品にあった恋愛モードを、コメディ・ノリであるにしても、よりユルユルにしはって、より新しい学園ラブへと昇華したろやないかいなとゆう、意欲が垣間見えよったのです。

それに、本作のヒロインは、いつ死ぬやら分からへん心臓病でおます。例えば「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)みたいな病系の映画の系列なんやけど、病ものなのに泣ける系の感動をハズして、新味を出してはるんだす。このあたりにも、ビックラコンです。

でもって、映画はヒロインに寄り添ったカタチで、終始展開しよります。ヒロインの心の呟きをナレーションにした、セリフのオン・パレードでおます。本編の半分以上にわたるセリフでおます。フムフムと妙に納得できよるそれらのセリフは、言うまでもなく単純そうに見えるヒロイン・ドラマを、奥深いものに見せる効果がござります。

「このシュールな世界(みなさん、アニメチックな世界を想像してみなはれ)に迷い込んだ、唯一の実写オトコ」やと、ヒロインが形容する、暑苦しい先輩役・金田クンは、本作のもう一つのおっきなキモでおます。2度にわたる、金田クンと海荷ちゃんとの会話や動作のやり取りで見せる、長回し撮影部は本作のハイライトでおましょう。

ラストロールを含めた2度のミュージカル・シーン、桜の花びらや口から炎などをCGにした、アニメとの混成シーン、ヒロインがゆう「夢の中のような」美しい夕焼けシーン、走馬灯カット、CGを使った浮遊するヒロインの宇宙シーンの造形など、細部の描写があとあとココロに効いてきよります。

まあ、見ておくんなはれ。学園ラブ・ストーリーのエッセンスに満ちたケッサクどすえー。

2010年6月13日 (日)

衝撃の映画「THE COVE ザ・コーヴ」

アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞ゲットの、恐ろしき禁断のスクープ映像やー

あの「ボウリング・フォー・コロンバイン」マイケル・ムーア監督やらを脅かす、衝撃映像の数々

http://www.thecove-2010.com

土曜日は七月三日から、大阪・第七藝術劇場を皮切りに、全国順グリのロードショーやー。この凄まじき映画を配給しはるのは、アンプラグドはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⒸOCEANIC PRESERVATION SOCIETY. ALL RIGHTS RESERVED.

反日感情に満ち満ちてるっちゅうことで、上映への抗議があり、東京の映画館はじめ、いろんな地方の映画館が上映中止にしてはる、今や社会問題化しとるドキュメンタリー映画でおます。

「その入り江で一体何があったのか?」が、この恐るべき映画のキャッチコピーだす。しかも、和歌山県の太地町(たいじちょう)が、主な舞台になっとるからには、関西発のこのブログで採り上げないことには、関西映画人たるボクの沽券にも関わるのでおます。

確かに日本人が見たら、余りいい心地はせんかもしれまへん。でも、ここには映画ドキュメンタリズムの魂が終始、ボクたちのココロをばえぐってきよるのです。

そもそも、映画ドキュメントにして映画ジャーナリズムにおける、一番おっきなキモと言いますれば、これまで誰も見たことがないようなスクープ映像を撮る点にござります。オリンピックやらエベレスト登頂やら、いわゆる記録映画・文化映画としての、映画史に伝統的な一面もありよりますけども、こんな凄い映像をクライマックスで見せられたら、もう何もコトバが出てきよらんのです。

そう、見出しにも書きました。マイケル・ムーア監督が自ら先頭に立って、取材を敢行しはった「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年製作・カナダ映画)の突撃精神とか、原一男監督が奥崎謙三なる、実在のエキセントリックな人物の行動を映すことで、鳥肌の立つ映像をものした「ゆきゆきて、神軍」(1987年・日本)とかの執念が、本作にも宿っております。

世界各国の水族館へ売るための、イルカ漁をばしてはるのですが、イルカ・ショーにふさわしい数頭を除きますれば、残る大多数はイルカ肉として売らはるんどす。つまり、イルカたちを殺すんどす。

ところが、そのイルカを殺してはる現場の「入り江」は、三方が高い崖やらに囲まれて、また時に見張りもいて、その殺傷現場を撮影でけへんようになっておます。

そこで、その映像を撮るべく「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)の犯罪チームみたいな、パーフェクトなチームが、アメリカからひそかにやってきはるのです。水中カメラ、岩みたいに見えるカメラ、聴音器、無人飛行船カメラ、軍隊で使われてるモノクロ・ネガ・フィルムなカンジのサーモカメラやらを、見張りのいてへん深夜に設置しはります。このあたりは、緊張感あふれるシーンが連続します。

そして、遂にやってくるその瞬間。ボクはアゼン・ボーゼンと見とりました。信じがたい映像だす。そこへいくまでには、水銀を含んだイルカ肉を食べることの恐怖やらを、水俣病のドキュメンタリー映像やらを交えて、紡がはります。クライマックスへ持っていくまでの細部の描写も抜かりありまへん。

動物ドキュはいっぱいござりましたが、社会派の動物ドキュメンタリーなんて、まあ、ないでおましょう。ドキュメンタリー映画史に大きな1歩が刻まれよりました。その瞬間をぜひ、味わってくだされ。

2010年6月12日 (土)

アメリカ映画「ザ・ウォーカー」

デンゼル・ワシントンが、人類再生の最後の旅をしはります

「荒野の決闘」やら、「用心棒」と「荒野の用心棒」やら、SF映画の中の西部劇・時代劇アクトが示されよります

http://www.thewalker.jp/

6月19日サタデーから、全国イッセーのロードショーでおます。関西どしたら、大阪・梅田ピカデリーやら、なんばパークスシネマ、京都・MOVIX京都やら、神戸国際松竹やらで上映しはります。この映画を配給しはるのは、角川映画はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010 Warner Bros. Ent All Rights Reserved.

写真をご覧くだされ。デンゼル・ワシントンはん扮する主人公のアップやら、銃撃アクション・シーンでおますが、色をご覧くだされ。

モノクロに近いくらい暗いでおましょう。なんでかと申しますとでんな、世界滅亡後の世界の話でおますよってに、空は壊れ、大地も荒(すさ)んでおるのでおます。そんなダークな配色を、全編にわたり施さはりました。

そんな世界で、デンゼルはんは、神から聞いた声に基づきまして、西へ西へと旅をばしてはります。その旅の途中にて、生き残るためのえげつない略奪やらを目撃しはり、ゲイリー・オールドマンはんが支配する村でのエピソードが綴られるとゆう展開だす。

デンゼルはんの目的は後半で明らかになりよりますが、ゲイリーはんの村で、出会うことになったミラ・クニスちゃんと共に、その目的地へと目指さはるんやけど、デンゼルはんのポイントになっておます書物をば、手に入れんがため、ゲイリーはんの一派がデンゼルはんを追いかけはるんだす。

デンゼルはんVSゲイリーはん。この2派の戦いが、エンタ・アクションとしての本作の目玉でおます。

日本の時代劇、アメリカンな西部劇などのアクトを、思いっきり取り込みながらも、いかにもSF映画らしい調理・演出のやり方をしてはるところが、なかなかココロにきました。

最初のデンゼルはんの影をメインに据えたアクトなんか、「ブレイド」(1998年製作・アメリカ映画)を始め「マトリックス」(1999年・アメリカ)やらを思い出させよりました。

また、銃撃シーンやら荒野の対決は、見出しにもあります通りでおまして、「荒野の決闘」(1946年・アメリカ)「駅馬車」(1939年・アメリカ)やらの西部劇の名作は、もちろんなんやけど、日本の時代劇、例えば、黒澤明監督の「用心棒」(1961年・日本)やら、そのリメイク作「荒野の用心棒」(1964年・イタリア&西ドイツ&スペイン)やらの、アクション・センスがござりました。しかも、カー・アクションとかも盛り込まれておりま。

とにもかくにも、大きなサプライズと申せば、やはり、デンゼルはんが目指す目的地と、その意味するところでおます。ある種のキリスト的巡礼の旅とでも申しますか、驚きはごっつかったです。

そんな中でも、ミラ・クニスちゃんのオカン役、「フラッシュダンス」(1983年・アメリカ)で踊ってはったジェニファー・ビールスはんとか、「時計じかけのオレンジ」(1971年・イギリス)など、エキセントリックな役柄で、映画史に残る演技をしはったマルコム・マクダウェルはんやらが、渋かったどす。

2010年6月11日 (金)

スポ根ニッポン映画「ソフトボーイ」

男子ソフトボール部の映画史上初のスポ根映画どす

あの金メダル上野由岐子が、サプライズ出演してはります

http://www.softboy.jp

サタデー6月19日から、全国東映系劇場で上映しはります。配給は東映はんです。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「ソフトボーイ」製作委員会

佐賀の地方ロケをば敢行しはった、スポ根映画でおます。しかも、こういうスポ根ものでは、おそらく映画史上初となりよります、男子のソフトボールなんですよ。

ソフトボール部と言えば、ヤッパ、女子なんどすが、その女子ソフトボール映画さえ、余りないんでおます。でもって、何と言いますか、シンクロナイズ・スイミングの「ウォーターボーイズ」(2001年製作)みたいな、ユーモアと青春ノリがござります。

また、野球学園もので大ヒットした「ROOKIES-卒業-」(2009年)的な面白さもござります。登場するさまざまなキャラクターが、ほとんど全員前向きポジティブで、ホント、見ていて勇気がもらえよります。

高校時代に男になったろやないかと、競争率の激しい野球と違って、全国的にはほとんどないソフトボールで、日本一を目指そうやないかとゆう、チョイ姑息なカンジなんでおます。

ただ、W主人公となる、永山絢斗(ながやまけんと)クンと賀来賢人(かくけんと)クンのWケント君が、いかにも今の若者たちの友情らしさを出してはるところが、いいカンジなんどす。

前向きな賀来クンは、「やってみなければ分からんばい」など、みんなを鼓舞する決めのセリフを何度も口走りはります。そのたびに、やる気を失せたみんなが、さあ、頑張るばい、と結束しはります。

消極的な氷山クンと積極的な賀来クンの対比描写演出も、クライマックスに向けてドラマチック効果を呼びよります。

映画的なシーンも数多く挿入されておます。夕景セピアのロングショットから、スローにして9人が歩くシーン。対抗する高校が棄権したことを示す、16ミリセピアの字幕入りサイレント映画シーン。練習シーンのコミカル感。あの女子ソフトの金メダルピッチャー・上野由岐子の、指導出演にも驚きがありました。

夕焼けの中を氷山クンと歩く波瑠(はる) ちゃんのアイドル性にも注目だす。また、「全国大会をバカにするんじゃない」なんてゆう、コーチ役の大倉孝二先生はんのユニークな教師役にも注目だす。

テンポ感あるピアノのサントラ に加え、ラストはZARDの「負けないで」みたいな、倉木麻衣ちゃんのポジティブ・ポップロック「chance for you」が爽快やー。大激戦のクライマックスの試合のあとに、オマケ・カットがござりますんで、お楽しみくだされ。

2010年6月10日 (木)

ニュー時代劇活劇「忍邪」

バイオ・テロリズムを時代劇アクトで描く新しさやー

4人のロードムービーによる「ミッション:インポッシブル」な作りでおます

http://www.evil-ninja.net

土曜日六月十九日から、東京・渋谷シアターツタヤを皮切りに、土曜七月三日から、大阪・第七藝術劇場やらでレイトショーでおます。全国各地へも順番に回る予定だす。映画の配給と製作は「スタジオビコロール」はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010 Studio Bicolor Co., Ltd

ニッポンの時代劇で戦国時代ものと申しますれば、そら、ものすごい数にのぼりよります。そんなチョー激戦区の時代劇にして、しかも活劇でおます。

しかし、本作は当時の新型インフルエンザならぬ、斑点がカラダ中にできて、吐血して死ぬっちゅうなんて、トンデモネー疫病をモチーフに、「カムイ外伝」(2009年製作・日本映画)みたいな、バイオ・テロリズムなる新しい視点で描かれよりました。

しかも、最近では「SHINOBI」(2005年・日本)などでも描かれた、伊賀忍者VS甲賀忍者とゆうスタイルでおます。

織田信長が甲賀とつるんで、伊賀に攻め入るとゆう情報を察知しはった伊賀の上層部は、3人の忍者たちに「ミッション:インポッシブル」(1996年・アメリカ)なミッションを課さはります。

奇病にかかっておます者をつれて、国境(くにざかい)まで行けとの指令だす。それに、どないな意味があるんかは、チビチビ分かってきよります。で、ミッション開始でおますが、その途上で、いろんなバーサスをクリアーしてゆくとゆう、ある意味、ゲーム・ノリの展開もあるんだす。また、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年~2003年・アメリカ)なんかの、ロードムービー的な面白さもござります。

でも、最大の見せ場はアクション・シーンだす。アジア系の格闘映画の系譜でいえば、ブルース・リー、ジャッキー・チェンなんかのアクションが有名だす。でもって、本作は時代劇に付きものの剣戟・殺陣(たて)シーンは、当然繰り広げられるんやけど、そこに、アジア系の格闘系の要素を取り入れたアクションで魅せはるんだす。

また、スロー・モーションや「マトリックス」(1999年・アメリカ)的アクト・シーンもござります。いろいろと取り込んだこのアクト・シーンは、なかなか魅せてくれはりますよ。

ミッションへ出かける前の過去のカットを挿入しつつ、この4人のキャラクター造形もオモロイです。反町隆史的な容姿をカンジさせはる合田雅吏クンのカッコよさ。テレビドラマ「水戸黄門」の格さん役が有名でおます。ビョーキ者役の柏原収史アニキ。久々に見たけど、快演だす。森の中での4人のやり取りなんぞも、アクション部との対比効果がおまして、ドラマをポンポンはずませてゆくんだす。

色使いにも注目どす。夕景・白雲・青空など、真下からの空カットの随時の挿入やら、ラストロールのセピア→モノクロ→濃いセピアと画像が変わる中で、バラードや哀愁のカヨー曲を披露しはる豊川めいチャン。彼女も本作に主人公の妻役で出てはりますが、紅一点な癒やしがござりました。そんなこんなで、ニュー時代劇ができよりました。

2010年6月 9日 (水)

韓国の怪獣映画「チャウ」

韓流ドラマの雄オム・テウンのアニキが、どえらい怪獣と対決しはりました

韓国の「ゴジラ」もまた、日本製やったとか!?

ニッポン公開待機作品だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2009 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS  and LOTTE ENTERTAINMENT, All Rights Reserved.

韓国製の怪獣映画と申しますれば、「グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-」(2006年製作・韓国映画)が、ものごっつー有名でおますが、本作は怖さやらシリアス感を抑えぎみに、コメディ・モードも取り入れた、珍品のモンスターものでおます。

さらに、「ジュラシック・パーク」シリーズ(1993年・1997年・2001年・アメリカ)やら「キング・コング」(1933年・1976年・2005年・アメリカ)なんかのハリウッド産の映画とか、日本の「ゴジラ」(1954年)とかとは、根本的に相違がござるんだす。

身近な動物が巨大化して怪獣となりよりまして、しかも「グエムル」と同じく、人々を次々に喰らい続けよるとゆう化けもんでおます。確かに、ハリウッド産や日本産では、クマとかタコとかオオカミとかカメとかが、モンスターになって暴れる映画がござりましたが、本作はイノシシでおます。何やら、何となく、韓国らしいでおましょ。

同じく韓国映画の「トンマッコルへようこそ」(2005年・韓国)なんぞでは、巨大イノシシとの格闘なんかがありよりましたし、近年でも韓国でメガヒットした怪獣映画もあるんやけど、コイツはかなり大げさに徒党を組んで、この怪獣「チャウ」と戦わはるんだす。

付け加えよりますに、このチャウは、日本が朝鮮の占領時代に、日本軍が作り上げたものやと規定してはります。おもろいやんか。

ザラついた画像による、冒頭のチャウにやられるシーンから胸騒ぎでおますが、その直後、田舎の警察の笑えるドタバタぶりに、ああ、なるほど、怖いシーンとコミカルなシーンを随時挿入してゆくタッチで展開するんやろなー、と思たんですが、まさにその通りに進行していきよります。

でもって、オム・テウンのアニキやけど、ソウルからこの田舎へと左遷されたっちゅう刑事役でおます。でもって、このトンデモネー怪獣と対決する羽目になりよるんだす。チャウに人々がやられるシーンの数々は、ショッキングなんやけど、でも、やはりどこかユーモアっぽい、寓話のノリがまぶされております。

で、最終対決として、テウンのアニキを筆頭に5人が立ち上がり、奥深い山へと向かわはるんどす。静なるシーンのあとには、動的なる凄まじい対決シーンがきよります。イノシシと、イノシシから逃れるテウンたちの逃亡・迎撃シーンが、クライマックスだす。このあたりのノリは「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(1984年・アメリカ)並みの迫力でおました。

怪獣映画嫌いの人こそ見れば、モンスター映画のイメージをくつがえされる作品やと思います。

2010年6月 8日 (火)

韓国映画「仁寺洞(インサドン)スキャンダル~神の手を持つ男~」

キム・レウォンのアニキが、クールな役柄を演じはりました

ヒロイン役オム・ジョンファちゃんとのVSが展開しよります

http://www.insadong-movie.com

サタデー6月26日から、東京・シネマート六本木、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーやらかします。本作を配給しはるのは、エスピーオーはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 SSAMZIE & IVISION AND SK TELCOM ALL RIGHTS RESERVED

絵にナゾがあるとゆう点で、韓国版「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年製作・アメリカ映画)か、「写楽」(1994年・日本)かといった、絵画へのこだわりを映画化した作品だす。

別のグループが買い取った、京都にあった韓国の名画を、横取りしはったオンナ美術コレクター役のオム・ジョンファちゃん。その修復作業のために、修復士役のキム・レウォンのアニキが登場しよります。

そこへ、キムのアニキを追ってはる女刑事やら、キムのアニキが率いてはるナゾのグループやら、オムちゃんと裏で闇の取り引きをばしてはる、久々に見た白竜はんやらが、三つ巴・四つ巴の丁々発止を演じはります。

たびたび出てきますオークションのシーンも、この映画の作品性を示さはります。恋愛抜きでの、男と女のコンゲーム・ノリのサスペンスが展開していきよるのですよ。

現代の贋作・真贋ものとしてのオモロサもござります。そのスリリングな駆け引きの見どころは、やはり何と言いましても、キムのアニキとオムちゃんの演技でおます。

「花影」(2008年・韓国&日本)の優しさとは違い、どこまでもクールに徹した演技で突っ走るキムのアニキ。

対しまして、「韓国のマドンナ」とゆわれておますオムちゃんの、実にスクリーン映えする、女優らしいキラメキ。そして、追い詰められてゆく中で魅せる、エキセントリックな妖演技ぶりでおます。

このクールとホットの演技の対比効果は、本作の怪しいノリをば、ポンポンとはずませます。

でもって、名画を巡るアクション・シーンの連続、クライマックスの修復名画の披露シーン、その後のサプライズのなだれるような展開など、たまりまへん。

長回しの撮影を排し、短いカットの連続。過去のシーンでは、脱色したりモノクロだったりと、モノクロとカラーの巧みな混合と調和。

ファンキーなノリのいいサントラ使い。ラストのタイトル・ロールでは、クイーンみたいなロック・ナンバーが流れて、映画のスリリングな感じを盛り上げはります。

韓国映画としては珍しいタイプの、サスペンス映画どした。韓国映画の幅の広さを示してはります。ぜひ映画館で味わっておくんなまし。

2010年6月 7日 (月)

高橋伴明監督新作「BOX 袴田事件 命とは」

裁判官役・萩原聖人アニキと、被告人・新井浩文ニィちゃんとの、会わないでかわされるココロの交流やなんて、すごいっス

実話の冤罪系裁判劇の、昭和映画の問題作が誕生しよりました

「おくりびと」を世界的な作品にした「モントリオール国際映画祭」に正式出品どす

http://www.box-hakamadacase.com/

東京やったらすでに、渋谷ユーロスペース、銀座シネパトスやらで公開中でおますが、関西やったらサタデー6月26日から、シネ・リーブル梅田やらシネ・リーブル神戸で上映。でもって、7月には、十三・第七藝術劇場、京都シネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。この日本の法曹界のもろさを突く映画は、「スローラーナー」はんの配給どす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ BOX 製作プロジェクト 2010

裁く側・裁かれる側の苦悩と苦難を示さはる、実話をベースにした人間ドラマ映画どす。

裁判劇入りドラマ、冤罪かそうやないかと、追究しはる作品性やら…。

裁判映画、例えば、当時の時代とほぼ、同時進行形で描かれた「真昼の暗黒」(1956年製作)、戦争犯罪の冤罪型「私は貝になりたい」(1959年・2008年)、殺人事件系のフィクション・タイプ「事件」(1978年)やら「ゆれる」(2006年)やら、さらに、本作とはチョイ趣向は違いよりますが、チカン裁判の「それでもボクはやってない」(2007年)なんか。

外国映画にも多数ござります。しかし、本作のノリは実話系なだけに、作品性として近いのは、今井正監督の「真昼の暗黒」でおましょう。でもって、昭和の実話事件だけに、昭和映画としての造形もあります。

事件は1966年に起こるんやけど、それまでのプロセスをば、モノクロ・シーンの連続で、昭和感を示さはります。萩原聖人アニキは裁判官を目指して、新井浩文アニやんはプロボクサーを目指して、同じ上京列車で乗り合わせるっちゅうところを、最初に示さはるんどす。この2人はのちに、裁判官・被告人として法廷で向かい合う運命にあります。

この冒頭のモノクロ・シーンをはじめ、チェロがサントラとして、かなりのウエイトを占めて流れてきよります。もちろん、「おくりびと」(2008年)のサントラのメインは、チェロでおました。そのチェロの音が、ピアノやバイオリンを加えはって、ここかしこのシーンで流れよります。

当の事件が発生してから、カラーへ転化します。拷問やら長時間にわたる聴取により、遂に新井アニが逮捕され、でもって裁判へ。裁くは、主任裁判官とならはった萩原アニキをはじめとした3人。そやけど萩原アニキは、私的につるみ合う2人の裁判官を前に、熱弁を披露しますが、見向きもされまへん。「疑わしきは罰せず」なんて言っても「何を青臭いことを」と、相手にされまへん。で、新井アニの死刑が宣告されよります。

萩原アニキの長い戦いの始まりだす。新井アニの仮想殺人検証シーンの描写でおますが、夜の闇のグリーン・トーンとセピアの灯を混合させて示さはりますし、萩原アニキの事件の検証シーンのいろいろは、映画の大きなミステリー的な見どころになっておます。

主任やさかい、ムリヤリ死刑宣告文を書かされた萩原アニキと、死刑囚の新井アニの描写を綴りつつ、この2人が、たとえ仮想であっても、ココロの交流をかわすシーンは、この映画にシブくていつまでもココロに残る、感動のアクセントをば加えてはりました。

ちなみに、2008年には「おくりびと」がグランプリをゲットし、2009年には「ヴィヨンの妻」が監督賞をゲットした、9月の「2010年モントリオール国際映画祭」に、本作はコンペ部門に正式出品されます。期待しとってくだされ。

2010年6月 6日 (日)

アメリカ映画「ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~」

ドロボー映画の騙し・騙され、コンゲーム・サスペンスの快作でおます

モーガン・フリーマンはんとアントニオ・バンデラスはんの2人が、丁々発止をやらはりました

http://www.heat-matsuri.com

サタデー六月十二日から、大阪のシネ・リーブル梅田、MOVIX堺やらで、全国順グリのロードショーでおまして、本作の配給会社はんは日活はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2008 Equity Pictures Medienfonds GmbH & Co. KG IV and Nu Image Entertainment GmbH

お宝を盗んで、そのあと仲間割れやらいろいろあって、ほんで、驚くべきサプライズへと導いてゆくとゆう犯罪サスペンス映画でおます。コン・ゲームなノリもあります。

こういうタイプの映画は、ハリウッドに限らず、かつていっぱいござりました。

泥棒そのものをスリリングに楽しむ「華麗なる賭け」(1968年製作・アメリカ映画)や、そのリメイク版「トーマス・クラウン・アフェアー」(1999年・アメリカ)。

泥棒チームのお手並み拝見やった「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)や、その元ネタ作品「オーシャンと11人の仲間」(1960年・アメリカ)。

大金を奪った後の展開がオモロイ「黄金の七人」(1965年・イタリア)。穴をあけて大金を狙う「マダムと泥棒」(1955年・イギリス)やら、本編のセリフにも出てきよります「男の争い」(1955年・フランス)とか。

本作は、それらのケッサク・名作群のスタイルは踏襲しつつも、泥棒映画らしき、裏切りあり、どんでん返しありの1本となりよりました。

モノクロ映像のカットバック映像・フラッシュ映像により、アントニオ・バンデラスはんの驚きのクローズアップで、真相の真相を1分以内に示すシーンなんか、衝撃的どした。

バンデラスはんと一緒に、秘宝奪取を狙うモーガン・フリーマンはんも、「ショーシャンクの空に」(1994年・アメリカ)的なトリッキーさ、「セブン」(1995年・アメリカ)的な緊張感ある演技をば見せてくれはります。

一方のバンデラスはんでおますが、冒頭から「ミッション:インポッシブル」(1996年・アメリカ)っぽい、電車アクションをば見せてくれはります。また、バンデラスはんと、フリーマンはんの娘役ラダ・ミッチェル嬢との、ハリウッド映画らしい伝統的な恋愛部も、ドラマに怪しさを付加してはります。アップ・クローズアップのハリウッド的使い方も冴えていました。

久々でおましたが、女性監督ミミ・レダーはんの新作です。フリーマンはんを起用しはった「ディープ・インパクト」(1998年・アメリカ)、ジョージ・クルーニーとニコール・キッドマン共演の、いかにもハリウッドらしき大作「ピースメーカー」(1997年・アメリカ)やら、娯楽作品、しかも毎回その娯楽テイストを変えていかはる作りは、男まさりな豪腕でおます。

そして、本作もそうでした。してやられました。アラマ、ドッキリでおました。

2010年6月 5日 (土)

日本映画「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

ケンタ松田翔太クン、ジュン高良(こうら)健吾クン、

カヨちゃん安藤サクラちゃんがロードームービーしはります

ニッポンの若者たちは今も、さまよっておりま

http://www.kjk-movie.jp

サタデー六月十二日から、東京・新宿ピカデリー、渋谷ユーロスペース、池袋テアトルダイヤやら、関西やったら、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やら、全国イッセーのロードショーでおます。この映画を配給しはるのは「リトルモア」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」製作委員会

今の、21世紀の、若者たちのロードムービーだす。映画的外装は、確かにアメリカン・ニューシネマな「イージー・ライダー」(1969年製作・アメリカ映画)とか「スケアクロウ」(1973年・アメリカ)とか、また日本でも数多くある、北国へと向かうロードムービーなんかと、シンクロナイズするやもしれまへん。

それらの映画に共通しとる、無目的・ヤケクソ・目的地には何があるやら予想でけへんタッチも、時代は違えどおんなじやし、「イージー・ライダー」のように、「格差社会」やらの時代性を見せてゆくようなとこもござります。

松田翔太クンと高良健吾クンが扮する、建物壊し屋のブルーカラーな仕事してる2人の若者と、2人がナンパして、高良クンのカノジョになった安藤サクラちゃん。こんな3人のロードムービーとなれば、ある程度、予想できよるもんがあります。でも、本作は、心地よいかどうやらは分かりまへんけども、予想をいろんな意味ではずしてくれはりました。

この3人の間でのセリフのやりとりとかでおますが、凄く単純で、確かにこれは今の若者なんかなーと思たりするんやけど、それらはあとあと思い返してみたら、忘れられへんものになったりしとるんです。怖いわー。

ココロの呟きをナレーションにしはって、高良クンが話す「ケンタは、人間は2種類しかいないとゆう。人生を選べる人と、選べない人の2つに分かれて…」とか、同じくナレーションで、サクラちゃんが「誰とでも寝る、愛されたいから」。どちらも、悲痛なセリフだす。特に、このサクラちゃんなんか、高良クンに「ブスの上にバカ。どうシヨーもないよな、しかも、ワキガくせえー」と言われても、「一緒にいたい」と追っていかはるんだす。

最終目的地の網走刑務所で、ムショに入ってるアニキと、訪ねた弟・ケンタとのやり取りは、鬼気迫るシークエンスどした。壊しても壊しても何も見えてこないと、アニキに訴えるケンタのセリフに、なんとも言われへんコトバで応じるアニキ。本作の凄まじきハイライトだす。鳥肌立ちましたがな、ホンマ。

「ゲルマニウムの夜」(2005年・日本)のベタさも凄かった大森立嗣監督の、汚いコトバも包み隠さない演出ぶりは、壊れゆく若者たちの描写にはうってつけでおました。ジャン・ポール・ベルモンドが「最低だ」と言って、死んでいった「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)のセンスも感じた1作だす。

2010年6月 4日 (金)

日本女性映画「Flowers」

母&祖母・蒼井優→長女・竹内結子、次女・田中麗奈、

三女&母の仲間由紀恵→長女・鈴木京香、次女・広末涼子

血族・親子3世代にわたる大河ドラマ映画でおます

http://www.flowers-movie.jp

サタデー6月12日から、東宝はんの配給によりまして全国ロードショーやー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010『FLOWERS』製作委員会

1936年から2009年までにわたる、3世代の家族の母・娘たちをメインに、捉えはったところの大河映画でおます。その種の何世代にもわたる、家族の大河映画と申しますれば、これまでにもいろいろござりました。ところが、本作は日本映画史を俯瞰(フカン)するような意図で、時代ごとに撮り上げはったんでおます。

作品性はモチ、一貫しておまして、どっかで分離して変な方向へ流れよることもありまへん。写真に映ってはります6人の、女性ばかりの親族たちのキズナが描かれるんでおますが、その描き方は、1人ずつ順番にとかやなく、自在にタイムトラベルいたしてカットバックするっちゅう構成なんどす。このあたりが、いろんなオムニバス映画とか、「四季・奈津子」(1980年製作)なんかの、日本の姉妹と家族を描く映画とかとは、根本的にちごております。

それぞれの年代に合ったスクリーンの、色使いをばしてはります。1936年の蒼井優ちゃんサイドでは、まっさらなカンジのモノクロ。おそらく、カラー・フィルムをモノクロ現像したもんかと思いよりますが、ここでは、小津安二郎監督をかなり意識してはります。食卓シーンのロー・アングルしかり、「晩春」(1949年)の原節子みたいな、優ちゃんが父に対し「お世話になりました」と言ったりしはります。

桜をモノクロで描くことの美しさも示してはって、その種の映画、例えば「二十四の瞳」(1954年)とか、「青い山脈」(1949年)とかの桜シーンへも通じていきよるのです。

また、「間(ま)」の取り方・使い方も、こちらは描かれる全時代にわたって通じております。つまり、台本上における「間」が、いかに大事かも知らしめはるんどす。そして、その使い方は、沈黙シーンを含めかなり徹底しておました。

でもって、1960年代~1970年代を舞台にした時には、初期のカラー映画の天然色っぽい、薄みの色合いを配色してはります。2009年度舞台の現在の、クッキリ進化したカラー・シーンとの違いもはっきりと分かります。さらに、その当時当時の時代感を示すのに、当時はやった映画とか音楽とかを示すようなことは、ほとんどありまへん。一部、岩崎宏美とかはあるんやけども、1964年を舞台にしても東京オリンピックについては出まへん。

あくまで、時代感を映像で表現しはるところは、かなり気合が入っとるなーと思いました。何しろ昭和映画のケッサク「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)の製作スタッフが、関わっておます。さらに、これは、100年後には、今の昭和映画のように創られるに違いない平成映画へのヒントも付加してはるんです。お見事としか言いようがござりまへん。ラストはスロー・モーションを駆使して、その後の6人を追いかけはります。このあたりの分かりやすさも、良かったでおます。

2010年6月 3日 (木)

純愛映画「瞬 またたき」

弱々しい系の、北川景子ちゃんの演技が嗚呼(ああ)、カワイソーやんか

岡田将生クンの、北川ちゃんを愛するココロにもグッときたでー

http://www.matataki-movie.jp

サタデー6月19日から、全国イッセーのロードショーやー。関西なら、梅田ブルク7やら、シネマート心斎橋、TOHOシネマズ西宮OS、シネモザイクやらで、純愛イチズな上映でおます。本作を配給しはるのは、「S・D・P」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「瞬」製作委員会

それまでにもモチ、あったんでおますけども、本も映画も大ブレイクした「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作・公開)以来、ものごっつーなカンジで作られてきておます、純愛映画なるものの1本だす。

でもって、古くは「野菊の如き君なりき」(1955年)やら、21世紀になってからは「恋空」(2007年)とか、今年公開された「ソラニン」(2010年)やら、男女カップルのどちらかが、死んでまうとゆうタイプの恋愛映画でおます。

ああ、なるほど、その種の映画ですかと、思わはるかもしれませんけども、それらの作品と違うのんは、冒頭から岡田将生(まさき)クン扮する彼氏が、死んでしもてることが、まず披露される点だす。

一緒にバイクに乗って、岡田クンと北川景子ちゃんが、桜を見に出かけたんでおますが、途中でトラックと衝突してしまい、岡田クンは死亡、北川ケイちゃんは何とか助かります。でも、その交通事故の時の記憶が、ケイちゃんは欠落してはりまして、コレを何とか思い出したい、と思わはります。

そこで、ケイちゃん、事後のセラピー診療で、偶然出会った女弁護士(大塚寧々)はんに、事の真相を調べてちょうだいな、と頼まはるんでおます。いわゆる、記憶喪失系ドラマの記憶再生の物語なんでおます。本人にとっては、目をそむけたくなる記憶でおましょう。それでも、ケイちゃんは探り続けます。

本人の潜在意識下ではホントは、分かってはるんです。でも、おぼろなそのところを、鮮やかに再生したいと思うんでおます。クライマックスで、感動的で意外な真相が、長回し撮影を含めて披露されるのでおますが、こういう真相究明の純愛系ドラマは、フツーの純愛ものの、確かに進化系でおましょう。

加えて、大塚ネネのネーさんも、トラウマを抱えてはって、だから、セラピーしてはったんどすが、モノクロ・カットで描かれる妹とのエピソードも、シブく描かれてまいります。

本作の磯村一路(いつみち)監督には、ボクは「がんばっていきまっしょい」(1998年)の時に、インタビューをばさせてもらったことがあるのですが、女性ゴコロの描き方とか、純愛描写のセンスに、さわやかで前向きな何かをもらえるものを描き続けてはります。

本作は、玉木宏アニキと綾瀬はるか嬢が、どちらも死なない純愛を演じた、磯村監督のケッサク「雨鱒の川」(2004年)と同じく、北海道ロケをばしてはります。ラストでは出雲ロケもあるんやけど、磯村監督節満載とも言えよります、胸焦がれるピュアな映画どした。

「セカチュウ」の平井堅「瞳をとじて」に優るとも劣らない、Kの感動的なグッド・バラード「会いたいから」にもシビレることでおましょう。

2010年6月 2日 (水)

新しい韓国の恋愛映画「彼とわたしの漂流日記」

都会のロビンソン・クルーソーと、現代のパソコン・オタク嬢の、出会いまでを描かはります

ラブ・ストーリーの新型とは何ぞや? を追究してはります

http://hyoryu-nikki.com

サタデー6月19日から、東京・新宿バルト9やらで、全国ロードショーやらかします。この韓国映画を配給しはるのは、「CJ Entertainment Japan」はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2009 CINEMA SERVICE CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

恋愛映画いわゆる、ラブ・ストーリーと申しますれば、もうホンマにぎょうさん作られ続けてきておまして、ジャンル映画の中では、アクション映画も多いやろけど、でも、なんちゅーても一番多いんとちゃうやろか。

そうやな、たぶん、目測では軽~く5万本は超えてんのとちゃうかな。でも、目測なんで、もっともっと多いと思いますよ。

でもって、そんな中で、今までにない新しき恋愛映画やなんて、そんなん考えて作る方にしても、そら大変このうえないでおましょう。それでも、本作品は、その新しきラインをクリアーすべく、練りに練った作品をば創り上げてきはったのでおます。ボクは冒頭の数シーンから既に、この新しさのトリコになってしまいましたがな。

借金まみれでもう死ぬしかないと決めた主人公が、大河・漢江(ハンガン)に身を投げたら、都会のど真ん中にあるらしいナゾの孤島に漂着しましてな、川の対岸のすぐそこに、63ビルやら国会議事堂やらが見えておまんのに、泳げへんとゆうハンデもあるやもしれまへんが、孤島から脱出できないんでおます。

そういうことで、ここでロビンソン・クルーソーはんみたいに、生活していかないかんようなハメになってきよります。このあり得ない設定を、食うて生きていくためのさまざまなディテールを施して、現実味ある方向へ、ボクたちやアタシたちを導いていかはります。このあたりのリアリティーあるシーンの連続には、ウソの話がマコトになるような、細やかさがござりました。

やってはるのは、ファンタジックな「トンマッコルへようこそ」(2005年・韓国映画)で、人間臭い演技で魅了してくれはったチョン・ジェヨンのアニキだす。

そして、今一方の、恋するオンナ・サイドでおます。パソコン・オタクで3年間も、部屋に閉じこもってはるヒロインのご登場でおます。パソコンの液晶画面を受けて、グリーン系統の色に染まるチョン・リョウォンちゃん。21世紀らしきデジタルライフに似合う、弱々しきオンナをば演じてはります。

彼女が部屋の窓から写すカメラを通して、「地球外生命体」と思わはる、孤島生活中のジェヨンのアニキを発見しはります。そして、恋ゴコロが生まれてしまいよりまして、アポロ11号の「人類の大きな一歩」に大げさに託して、自宅から決死の外出をし、彼女からボトルに入れたメモ・メッセージを島へ投げ入れて、アニキにアプローチしはるんどす。

都会にいてるロビンソンの設定もオモロイけど、そこに、21世紀的オタク・ヒロインを投入して、ラブ・ストーリーへと持っていく展開には、驚きがありました。

まあ、今までにない寓話ファンタジーやと思います。それが吉と出るか、凶と出るかよりも、新しきものを紡ごうとする意欲に、ボクは妙に魅せられたんでおました。

2010年6月 1日 (火)

フランス映画「パリ20区、僕たちのクラス」

2008年カンヌ国際映画祭で最高賞の「パルム・ドール」ゲットやー

NHKの「中学生日記」なんかを、遙かに超えた学園芸術もの映画でおます

http://class.eiga.com/

6月12日土曜日から東京・岩波ホール、6月26日サタデーから、大阪・テアトル梅田、その後、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーだす。本作を配給しはるのは、東京テアトルはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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1昨年のカンヌ国際映画祭で、フランス映画としては21年ぶりに最高賞の「パルム・ドール」に輝かはった作品でおます。

いわゆる、ホームで最優秀をゲットしたわけでおますが、そんな21年も長い間とゆうのは、その間のフレンチ映画はどないやったんやー、なんやけど、決して強烈な切り札がなかったわけやおまへん。

しかし、やはり、こういう映画祭では、今までにないようなものを取り上げて、アート映画的にどないな風に調理したんかが、大きな勝負ポイントでおます。

そして、本作の新しさは、学園ドラマにありました。学園ドラマやなんて、そんなんこれまでなんぼでも出てきとるやんかー、なんやけど、本作は違うんだす。

その新しきとこを並べてみまひょか。学園ものドラマ映画で、授業をメインに展開しはる点。先生と生徒のセンチメンタリズムなココロの交流なんて、ほとんどなし。シーンによってはドラマティックになるはずの、サウンドトラックはいっさい流れまへん。ドキュメンタリー・タッチなスタイル。先生や生徒の家庭内とか、プライベートな描写もいっさいなし。イントロこそ、先生が学校へ向かうシーンがござるのですが、せいぜい校庭までで、屋外描写はほとんどなく、校舎内の室内劇を全編にわたり貫かはるんどす。パリの街の描写とかはもちろん、この学校の全景さえも映されないんでおます。

いろいろ列挙しましたけども、これらは、かつての学園ドラマ映画では、ほとんど使われなかったとこなんどす。NHKはんには大変失礼やもしれまへんが、NHKの「中学生日記」なんか、本作が大人の学園ドラマなら、コドモの学園ドラマでおましょう。でも、大人やなく、コドモたちを描くのが、学園ものなんやけどね。

ほな、なんでそんなことをしてはるんか、そんなことしてどんな効果があるんかでおますけど、かつてあった映画といいますか、イタリアのネオ・リアリズムなる、映画史に刻印されとる映画群がござりました。

貧しい親子を描いた「自転車泥棒」(1948年製作・イタリア映画)とか、戦争抵抗レジスタンスを描いた「無防備都市」(1945年・イタリア)とか、演技シロウトを起用している点によって、生々しさや現実感を映してゆくとゆう、映画リアリズムの在り方を踏襲してはるんどす。

教師と生徒が交流してああ、涙、ナミダなんてゆう、フツーの作られた映画ではおまへん。そういう感動性をはずすことで、ナマの現実を知らしめるっちゅう作りが、本作を見た人のココロにウーンとうなるカンジを残すはずどす。熱血教師とかを期待せんといてください。最後まで、教師から娼婦呼ばわりされたことを根に持ってる女生徒とか、懲罰委員会で退学した男生徒とか、ネガティブ系の描写がココロをえぐりよります。

「告白」(5月28日付けで分析済みでおます)もそうですけども、アンチ正統派学園ドラマの大問題作でおます。

(C)Haut et Court - France 2 Cinéma

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