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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2010年5月の記事

2010年5月31日 (月)

アメリカン・コメディ「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」

ハチャメチャなんやけど、でも、ミステリー・コメディのトンデモネー映画やー

おバカ・コメディを超越した、究極のウルトラ・ワザを披露しはります

http://www.hangover-movie.jp

7月3日サタデーから、東京・シネセゾン渋谷、大阪はシネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらで、全国一斉のロードショーやでー。本作を配給しはるのは、ワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

コメディ映画として、アメリカの歴代興行収入では、下ネタ満載やった「メリーに首ったけ」(1998年製作・アメリカ映画)を抜いて1位になった作品だす。

こういうおバカ系とゆわれるコメディは、日本では全く売れない状況が続いておますけども、コイツはちょっと違うでーな、ウルトラ・トンでも系がござりました。

どうせいつものアメリカン・おバカ・コメやろうと思て、試写室へ見にいったんやけど、予想は180度くつがえされた上に、いや、これはコメディ映画史上に、燦然と輝き続ける作品なんやないかなーと、胸にググーンときよりましたのでおますよ。

結婚を数日後に控えた男が、3人の悪友たちと共に、結婚前の男たちだけの遊びに、ラスベガスへと繰り出すとゆうシチュエーションでおます。その3人とは、週末は教師をやめて羽根を伸ばす教師(ブラッドリー・クーパー君)、同棲のカノジョがいてる歯科医、花嫁はんの弟とゆう編成だす。

まあ、「サイドウェイ」(2004年・アメリカ)みたいな展開といえば、そうなんやけど、でも、こちらはテイストが全然違いよります。

夜、ホテルの屋上で4人が飲み始めて、で、次のシーンはホテルの部屋の翌朝のシーンへと、場面転換しよります。

すると、そこはメチャメチャな世界になっておるのでした。ゴミだらけ。パソコンからは煙が立ってる。ニワトリがいてる。トイレットには、何とモノホンのトラがおる。押入れでは、赤ん坊が泣いてる。歯科医の歯が1本抜かれとる。で、結婚間近の友人がドロンしとる。

告白しよりますと、このあたりの描写は、笑いをこらえるのに必死でおました。ああ、一体、前夜に何があったんやーと、3人は、数少ないヒントを頼りに、消えた友人を探そうと、奮闘努力しはるんどす。

ジェット・コースターな展開が次々にやってきよります。その嵐のようなハットトリッキーを経て、全ての問題が解消してゆくとゆう、離れワザが披露されよるんだす。アリエネー・シーンが続くんどすけども、一部、ホンマにヤバイとこや論理的やないとこもあるやもしれまへんが、最後は見事に着地するところは、痛快だす。

個人的には、コメディ映画としては、ジーン・ワイルダーがとことん災難に遭う「ハンキー・パンキー」(1982年・アメリカ)とか、ゴールディ・ホーンがやはり災難系のコメディをば演じはる「ファール・プレイ」(1978年・アメリカ)なんかが、お気に入りやったんやけど、コイツはそれらを超えた大快作です。

ぜひ映画館で見ていただき、大いに笑っておくんなはれ。

2010年5月30日 (日)

ロバート・デ・ニーロ&アル・パチーノ共演「ボーダー」

刑事ドラマ映画の王道編となったスター映画の会心作やー

「ヒート」に続くデ・ニーロとパチーノの共演でおます

http://www.heat-matsuri.com

6月12日サタデーから、大阪はシネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。配給は日活はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ハリウッド映画の2大スターが、共演するとゆうタイプのスター映画だす。しかも、ニューヨーク刑事ドラマの王道とも呼ぶべき作品となっとります。

ところが、最近のニッポンでは、こういうハリウッド映画が、あんまし売れなくなってきておるんだす。なんでやねん、なんやけど、こういう映画こそホンマ見てほしいと思いよります。でもって、その魅力について、語らせてもらいまっさ。

ロバート・デ・ニーロはんと申せば、ニューヨークが舞台ものでは「タクシードライバー」(1976年製作・アメリカ映画)とゆう映画史に残る名作がござります。一方のアル・パチーノはんは、刑事ものでは「セルピコ」(1973年・アメリカ)やら、ジョニー・デップと共演したマフィアものでは「フェイク」(1997年・アメリカ)なんぞがござります。

で、この2人が共演した作品におきましても、マフィアもの「ゴッドファーザーPARTⅡ」(1974年・アメリカ)があり、パチーノ刑事VSデ・ニーロ犯罪者となった「ヒート」(1995年・アメリカ)がござります。

そして、そんな歴史を持った2人が刑事としてコンビを組み、連続殺人事件に挑んでまいるのです。ニューヨーク刑事もの映画としては、サンフランシスコものの「ダーティーハリー」(1971年・アメリカ)やら、刑事ものやないけど「狼よさらば」(1974年・アメリカ)のテイストを持った作品となりよりました。

いわゆる、アクションもあり、捜査の中で推理してゆくところもあり、でもって、大どんでん返しありといった、刑事アクション・ミステリーの要素がテンコ盛りになっとるんだす。ザラついた防犯ビデオに映る、デ・ニーロのさまざまな証言やらナレーションを挟みながら、ワル14人連続殺人事件が起こり、それぞれの事件を捜査する2人の姿が捉えられてゆきよるのです。

モチ、この2人のアップ、クローズアップは多投されとりますけども、デ・ニーロのカノジョで鑑識課のカーラ・グギーノおネーさまも、この事件のキー・パーソンの1人でもあるんで、アップ多しだす。

冒頭からの流れでいけば、デ・ニーロが犯人なんとちゃうんかなーと、思えるんでおますが、最後まで見れば、それはあくまでミスリード(間違った方向へ観客を誘う手法)やったことが分かりよります。でも、そのミスリード部の巧みな描き方もまた、本作のうまさやと思いよりました。

デビュー作の「フライド・グリーン・トマト」(1991年・アメリカ)でも、犯罪部分の描写が巧みやった、ジョン・アヴネット監督作品だす。ハリウッドでは「夜の大捜査線」(1967年・アメリカ)以来、刑事ドラマの一つのキモになっとる、友情部の描写も良かったでおます。

Ⓒ2007 RIGHTEOUS PRODUCTION, INC.

2010年5月29日 (土)

香港ミステリー映画「殺人犯」

香港四天王のアーロン・クォックのアニキがチョー難解系の演技をばやらはりました

そら、もー、見てもらうしか、その凄みは分かりまへんでー

http://www.murderer.jp

6月5日のサタデーから、東京・シネマート六本木、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーだす。配給はツインはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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(C)2009 UNIVERSAL STUDIOS & HERO FOCUS GROUP LIMITED & SIL-METROPOLE ORGANIZATION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

ミステリー映画でおます。刑事が主人公だす。刑事視点がメインだす。刑事の養子のコドモはんも出てきますし、刑事役アーロン・クォックのアニキの妻役、美人はんチャン・チュンニンのおネーさまも出てまいります。

殺人事件が起こって、ほんでクォックはんの相棒の刑事がえらい目に遭わはって、意識不明の重態でおます。現場に一緒にいてはった、クォックはんがえらい責められはるんどすけども、クォックはんもまた、事件に立ち合いながら、事件のことがよう分からんのでおます。そやから、事件の真相をば追究せんがためにでんな、いろいろやっていかはる話でおます。

ナンや、フツーっぽい展開やん、と思わはるかもしれまへんねんけど、コレが、ミステリー的には、ものごっつー、今までにないタイプなんでおますよ。そんなんをいちいち細かく挙げたり、シンクロナイズする作品、例えば「シャッター アイランド」(公開中)とか「エンゼル・ハート」(1987年製作・アメリカ映画)とか「メメント」(2000年・アメリカ)とか、いろいろ挙げとったら、キリもありまへん。それに加えよりまして、コドモ・ホラーな「エクソシスト」(1973年・アメリカ)やら「オーメン」(1976年・アメリカ)やらも入っておるやもしれまへん。

大人コドモとか早老病の男とか、いろいろ謎めいたんが出てきよるのですけども、やっぱり、ミステリー的キモとなるとこは違いよりました。例えば、エラリー・クイーンの推理小説「Yの悲劇」のような犯人像であったにしても、この映画はなお、ミステリー的な面白さをやめはりません。

ネタバレなんて言い方は、映画評論家筋でいえば、あんまし心地よい言い方ではないのでおますが、あえて言っておいた方がええ場合やってあるやもしれまへん。今は故人にならはりました、推理作家・都筑道夫氏の「猫の舌に釘を打て」を出ささせてもらいます。「私は探偵であり、証人であり、被害者でもあり、そして、犯人でもあります」なんて、そんな1人4役。それをば、あえて冒頭で打ち出さはって、小説やらドラマやらを紡いでいかはる方法がござるのです。

でもって、本作もそれに挑戦しはって、しかも、これまでのこの種のサスペンス・ミステリーにはない、画期的なものをクリエイトしはったのでおます。クォックはんのフツーっぽく見える怪演技ぶりは特筆もんどした。加えよりますに、グリーン系統の色使いが本作にえらい合っておました。新発見です。

2010年5月28日 (金)

ミステリー映画「告白」

女教師・松たか子ネーさんが生徒たちと交流する、ああ、なんとまあー美しき感動の、学園ドラマやなんて

そんなワケないやんかいなーな、壮絶なミステリー・ドラマ映画でおます

http://www.kokuhaku-shimasu.jp

サタデー六月五日から、全国東宝系で公開しまっせ。映画は「R-15+」指定でおますんで、ご注意くだされ。配給は東宝はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「告白」製作委員会

本作を見る前は、究極の記述ミステリー小説だった「死の接吻」の映画化作品みたいになるんとちゃうかなー、ちゅう怖さがござりました。本作の原作も、1人称の、しかも多視点で記述する中で、ナゾを示していくタイプの、ある意味において映像化不能なミステリーなんどすが、映画「死の接吻」(1991年製作・アメリカ映画)についていえばですな、いきなり犯人が出てくるなんてゆう展開で、実は興ざめしよるような思いが、ボクとしてはあったのでおます。

でも、本作は原作の持ち味をキープさせた上で、映画的に今までにないような作品性を打ち出さはって、ある意味において、ものごっつーな怖さがござりました。その意味においては、新味あるホラー映画にもなったかとも思えよります作りだす。

そもそも、教師と生徒たちの関係を描くとなりますれば、地上波のテレビッ子世代の方々はもちろんのこと、映画的にも一般的にも、最終的には先生と生徒の交流とかキズナとかが、感動的なる作品が多かった、といいますか、そういう作品しかなかったように、ボクには思えよるんであります。ところがどっこいですわー、本作はそれらの作品とは決定的に違いよりました。

確かに、一部は、教師グループ対生徒グループの対決構図を、娯楽作品として見せてゆくのんは、あったやも分かりまへん。その意味では、教師と生徒の間で展開する、仁義なきリベンジ映画なんどす。でも、それをミステリー・スパイスを振りかけて、謎めいた形で展開しはります。

例えば、同じ中学生ものでも、「バトル・ロワイアル」(2000年・日本)みたいな、最初からゲーム的設定に基づいての、仁義なき戦いやおまへんねん。その映画の先生役やった、直球型のビートたけしとは違い、松たか子ネーさんは、超変化球、ビミョーかつ冷静なんだけども、ココロはいろいろ計算してはるみたいな、緻密極まりない演技をば披露してはります。

見る前でおますが、この役やったら、テレビドラマ「女王の教室」やらの演技が有名な、ヒトクセもフタクセもありそな教師役の、天海祐希やらの方が、松さん・松ネーさんよりこの映画に合っとるんと違うんかいなと、手前勝手に思たりしたんですけども、でも、それはボクの間違いどした。

松さんでなければいけない、ストレート系やないビミョーな妙演技ぶりがあるのでおますよ。「バカバカしい」「…なんてね」なんかのセリフは、松さんならではだす。これまでぎょうさん描かれた熱血教師役を、ワザとらしく演じはる岡田将生(まさき)クン(=写真3枚目)、わが子の変わりようにおろおろ、時にはホラー映画まがいに叫ばはる、怪演技ぶりを示さはる木村佳乃ネーさん(写真4枚目)やらにも注目しとくんなはれ。

「下妻物語」(2004年)やら「嫌われ松子の一生」(2006年)やら、女性描写の今までにないとこを演出しはる、中島哲也監督でおますが、本作でもそいつは健在やけど、やはり、それらを示すための撮り方が秀逸でおます。

スロー・モーションのカットを本編の最初から最後まで、小刻みに挿入しはります。コレは各登場人物のナレーションをモンタージュ(編集)してゆく作品には、うってつけの手法どした。なぜなら、それらの流れの中でいろんな真相が分かると、実にドラマティックになるんどす。これは映画における、スローの効果的な使い方の新しき発見やもしれまへん。

さらに、細部の描写の計算だす。例えば、防犯ミラーに映るいろんな人物のカットの、随時の挿入とか、雲が流れたり滞ったりしとる空の様子を、しつこいくらい見せていったり…、この空描写も青空・快晴・夕景の美しきセピア・カットをいっさい外してはります。いつだって「風雲急」な描写でおます。それらのシーンが、微に入り細にうがって、このミステリー・ドラマを、今までにない学園ミステリー映画にしたところやろと、ボクは思いました。

2010年5月27日 (木)

本年度オスカー2部門受賞映画「クレイジー・ハート」

ジェフ・ブリッジスはんが、アカデミー賞主演男優賞ゲットやー

本編で作られよったスロー・ナンバーが、主題歌賞ゲットやー

http://www.crazyheart.jp/

サタデー6月12日から、東京・TOHOシネマズ シャンテ、関西の三都やったら、TOHOシネマズ梅田やら、京都シネマやら、シネ・リーブル神戸やらで、全国一斉のロードショーでおます。このシブーイ映画を配給しはるのは、20世紀フォックス映画はんどすえー。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

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音楽ムービーとも言えよります本作でおますが、描かれるところの音楽ジャンルはカントリー・ミュージックだす。

かつてボクが音楽雑誌の編集長をやってた頃にあった話なんどすが、とあるカントリー・ミュージシャンのアルバムについて書こうとしたら、レコード会社の宣伝マンが「カントリーの言葉は御法度です。カントリーのところはロックでいってください」なんて、横ヤリが入ったことがござりました。なんでかとゆうと、日本ではカントリー・ミュージックなんて、さっぱり売れないからでおます。

ところがどっこい、アメリカでは、アメリカの国歌とゆうてもええくらい、大ブレイクしとるんでおます。山で歌われとったマウンテン・ミュージックやらとシンクロし、ドライヴ・ミュージックやらロード・ミュージック的なカンジでも親しまれるカントリーは、いわばアメリカン・ロックのルーツとも言えるものでおまして、生活にも根ざした全国民の愛唱歌なんだす。

ほな、日本にはそんなんがあるんかと申せば、民謡・演歌・童謡やらとゆうても、ピンとこんでしょ。ほな、カントリーは、なんでアメリカ国民に根付いたんか。この映画を見ますれば、その疑問が解けよります。

本作は、ロードムービー、ラブ・ストーリー、アル中で孤独な男のヒューマン・ドラマなどとゆう側面もござるのですが、一番の芯になっとりますのは、音楽映画としてのとこでおまして、カントリー・ミュージックを通して、シブい57歳男の人間ドラマをば構築してまいるのです。そして、1つの名曲が生まれるまでを描いた、名曲誕生秘話とゆうカタチでドラマが紡がれよります。

このカントリーのスロー・ナンバーは、ジェフ・ブリッジスはんが扮します、売れなくなったミュージシャンの、本編の恋愛体験に基づいて作られた曲でおます。それも、コブ付きのシングルマザーとの恋「アリスの恋」(1974年製作・アメリカ映画)みたいなカンジなんだす。

屋内シーンに対し、アメリカの白い雲がある青空が、野外のシーンのほとんどで入っておます。つまり、アメリカの風景や生活が反映された曲とゆうことで、国民の共感を呼ぶのでおます。日本では、ある特定の世代に訴求するようなものはあっても、老若男女全国民的に流行るっちゅうのは、どちらかとゆうと色もの的な歌が多いように思いよります。アメリカと日本の違いなんかも、じっくり考えさせられてしまう映画どした。

でもって、見出しにも書きました通り、今年のアカデミー賞で2冠ゲットだす。タバコスパスパ、ウイスキーは手離さない。でもって、クルマで移動しながら、歌を聴かせ続けるジェフの渋演技は、じわりじわりと胸に入り込んできよってたまりまへん。また、ジェフが作った歌を、弟子役のコリン・ファレルのアニキが、ラストで披露するシーンなんかも感動的やし、空と地の2分割のロングショットで描かれるラストシーンなんぞは、きっとココロに永く残ることでおましょう。

Ⓒ2009 Twentieth Century Fox

2010年5月26日 (水)

映画「ブライト・スター いちばん美しい恋の詩(うた)」

「ピアノ・レッスン」ジェーン・カンピオン女性監督の新作でおます

純愛・悲恋系のラブ・ストーリーがウットリ展開しよります

http://www.brightstar-movie.jp

サタデー6月5日から、東京・Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館やらで、関西やったら、大阪・テアトル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国順グリのロードショーでおます。このイギリス&オーストラリア合作映画を配給しはるのは、「フェイス・トゥ・フェイス」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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オーストラリアの女性監督ジェーン・カンピオンはんの新作でおます。

ジェーンはんと申しますれば、「ピアノ・レッスン」(1993年製作・オーストラリア映画)など、ピアノ・レッスンを通してのユニークなラブ・ストーリーが代表作でおます。

そして、本作は詩作りを通して、純愛・悲恋系を披露する恋愛映画となりよりました。

ジェーン監督は、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」的なセンスを感じて、実在の詩人ジョン・キーツの恋愛ドラマをば創ったとゆうてはります。しかも、長年の間、暖めてきはった企画やったらしいのです。

ジョン・キーツと申せば、19世紀のイギリスで活躍しはった詩人だす。イギリスの実話文化人系の歴史もの恋愛と申しますれば、アカデミー賞の作品賞をゲットした「恋におちたシェイクスピア」(1998年・アメリカ)なんぞを思い出させよるけども、本作は、そのシェークスピアのキーツ・バージョンをクリエイトしたような仕上がりになっておます。

さらに、イギリスのジェーン・オースティン原作の映画化作品「プライドと偏見」(2005年・イギリス)とか、ジェームズ・アイヴォリー監督の「眺めのいい部屋」(1986年・イギリス)とかの、恋愛映画のテイストを感じよりました。

1818年~1821年と申しますれば、電気はござりまへん。夜ならローソクの火や暖炉の火でおますし、モチ、昼間でおましたら、自然光での描写でおます。

自然描写も鮮やかに見とれてしまう作りどす。スミレの花畑、セピアの草原、森の緑などをバックに、今で言うなら草食系の文化人の主人公キーツ(ベン・ウィショー君)と、アビー・コーニッシュちゃんの純愛が、もどかしく感じるくらいの、沈黙・間(ま)を入れたスロー・モードで紡がれていきよります。このスロー・テンションはモチ、意図的に演出されておます。2人の癒やし恋愛をば魅せはります。

このアビーちゃんやけど、同じくオーストラリア出身のニコール・キッドマンとか、「テス」(1979年・イギリス&フランス)のナスターシャ・キンスキーなんかの演技性を感じさせます。また、主人公の友達で、一緒に詩を作り続けてはるブラウン役・ポール・シュナイダーの演技も忘れられまへん。

でもって、いくつも展開します詩の朗読シーンが、不思議な味わいを見せる恋愛映画でおました。

Ⓒ2009 Apparition, All Rights Reserved.

2010年5月25日 (火)

「ONE SHOT ONE KILL-兵士になるということ-」

戦争人間は、こうして作られよりますっちゅうドキュメンタリーだす

日本人監督が描く、アメリカン・ブートキャンプの日々でおます

http://america-banzai.blogspot.com/

サタデー5月29日から大阪・第七藝術劇場、6月26日土曜から横浜・ジャック&ベティ、7月26日サタデーから札幌・シアターキノやらで、ロードショーだす。映画の配給会社は「影山あさ子事務所」はんでおます。関西の配給は「マブイ・シネコープ」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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数年前にあったやろかなと思いますけども、ダンスしてどないやっちゅう「ブートキャンプ」(新兵訓練所)のDVDが売れたり、今やかしましくなっておます、移設問題の沖縄には、アメリカの海兵隊がドーンと居座っておます。そんなタイミングの中で、新兵の海兵隊員をば訓練するブートキャンプの様子を捉えたんが、本作のドキュメンタリーなんでおます。

異様な演習風景が次々にやってきよります。固定の長回し撮影が多いんどすけども、叫び続けて、みんなにも大きな声を強要し、マーシャル・アーツから銃撃訓練まで、教官がワケの分からへん訓示をわめきたおさはるんだす。なんじゃー、こらー、なんやけど、一部のドラマ映画では、こういうシーンは既視感があるんやないかいなと、思います。

例えば、ベトナム戦争訓練の「フルメタル・ジャケット」(1987年製作・アメリカ映画)やら、同じ海軍の「愛と青春の旅だち」(1982年・アメリカ)とか、空軍の「トップガン」(1986年・アメリカ)とか。

でも、ボクチンが驚いたんは、若い女の子もぎょうさん、入ってきはるとゆうことどした。男組と女組の訓練は刑務所やら体操の授業のように、分かれておるんやけど、そのオナゴ衆は、一体どんな特訓してんのか、もっとディープに見たかったんやけど、たぶん、当局の規制とかが入っておるんでしょうな、差し障りのないシーンに終始しておます。

イラク戦争で死傷した仲間たちを、救出するとゆう設定の作戦行動が、卒業演習で出てきよるのですが、このあたりのいかにもマニュアル通りの演習は、実地では通用せんでおましょうな。訓練生たちへのインタビュー・カットもあるんやけど、やはりきわどい質問には、当局のヨコヤリが入りよります。

海軍らしい特訓はないように思たんどすが、ラストロールでは遂に海シーンが出ます。単調なシンセの音に乗って、海辺のマジック・アワー(日が沈む直前の素晴らしいシーンが撮れる時間帯のこと)・シーンを狙うカットがあるんだす。ところがどっこい、さっぱり美しく見えないんでおますよ。

こんな映画をば撮らはったのは、藤本幸久監督・影山あさ子プロデューサーやら、ニッポン人スタッフだす。マイケル・ムーア監督のように攻撃的やなく、兵士たちはこうして作られるっちゅうようなとこを、冷めた視線で見てはる作りに、ちょっと背筋がサムーなってきよるような映画でおました。

2010年5月24日 (月)

昨年のカンヌ国際映画祭で受賞した「あの夏の子供たち」

2009年第62回カンヌ国際映画祭で、<ある視点部門>審査員特別賞をばゲットしはった、家族ドラマ映画だす

映画プロデューサーの夫の話も入っとるんで、映画愛もそこかしこに散りばめられておます

http://www.anonatsu.jp

サタデー皐月29日から恵比寿ガーデンシネマ、関西やったら、6月12日梅田ガーデンシネマ、6月19日京都シネマやら、共にサタデーから、全国順グリのロードショーでおます。地方のみなさんのとこにも、いつかはいきよりますんでヨロシクだす。このフランス映画の配給会社は、クレストインターナショナルはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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本作は見出しにも書きました通りでおまして、9月のイタリア・ヴェネチア、2月のドイツ・ベルリンと並び、世界3大国際映画祭の5月のフランス・カンヌで、賞をばもらわはりました。

家族ドラマ映画でおます。しかし、フツーの幸せなファミリー映画とは違いよります。家族の1人が死んでしもたことで、家族の間にいろんな問題やら亀裂やらが起こってきよるタイプの、映画の系列に入る映画だす。

でもって、本作は映画プロデューサーのオトンが、映画愛バリバリに仕事してはったんやけど、資金難におちいりはり、いろいろやったけど結局アカンようになり、拳銃自殺してしまわはるんどす。このあたりの描写には、ボクは少し疑問がござりました。もっと追い込まれて、「鬼火」(1963年製作・フランス映画)のモーリス・ロネみたいに、ホンマにもうしまいやねん、みたいなとこが欲しかったとこでおますが、まあ、許容範囲でした。

夫の仕事をば引き継がはる妻でおますが、こちらも少し疑問がありました。妻は生前の夫の仕事に対して、快く思ってはらへんかったのですが、夫が自殺したからとゆうて、ほな、引き継いで中断中の映画を撮りますわ、とはならんでしょ。あっさりと、清算への道を取るのがフツーなんやないでしょうか。

しかし、ここに、ややこしい問題が入ってきよります。元々の基本ラインは、夫が死んだあと、妻と3人の娘はどないすんねんな、なドラマだったはずが、夫の仕事の映画に絡んだ映画愛、そして、トリュフォー監督の「映画に愛をこめて アメリカの夜」(1973年・フランス&イタリア)みたいな映画メイキングものを、ドラマの中に組み込んだがために、これまでにない映画的化学反応をば起こしてしもたんどす。

映画愛と家族愛を調和させるなんて、至難のワザだす。だから、一部、奇妙に思うとこもあるやもしれません。ただ、女性監督のミア・ハンセン=ラブのネーさんが、一緒に仕事しはったプロデューサーのアンベール・バルザンの自殺に、深い衝撃を受けた形で悩み深くも、バルザンさんに深き哀悼を込めて創らはったんだす。そやから、一部不自然に思うとこも、映画愛ゆえの熱意の結果やと思いました。許せるっちゅうか、ある意味、計算されとったんやないかとも思えます。

イントロのパリの街をバックに、「地下鉄のザジ」(1960年・フランス)みたいな軽快な音楽を流し、夫の自殺後の後半では、「禁じられた遊び」(1952年・フランス)みたいなマイナー系の哀愁ギター・サントラへと転換しよります。このあたりの対比効果なんかも、計算されておます。ラストシーンに流れる、ヒッチコック監督「知りすぎていた男」(1956年・アメリカ)で流れたドリス・デイ「ケ・セラ・セラ」。シメはヤッパ、フランス映画流の明るさでいこか、っちゅうとこも良かったどす。

現実的なお話をしよりますと、このフランス映画の現実は日本映画の現実と、実はおんなじなんでおます。いろんな映画会社がつぶれたりしとるし、TV局が大きなスポンサーになっとるなど、そのものだす。そのシビアな現実を映画において、初めて包み隠さず表現したところだす。これはかなり、評価されるべき点でおましょう。

2010年5月23日 (日)

井筒和幸監督作品「ヒーローショー」

「パッチギ!」井筒監督のバイオレンス映画の集大成でおま

コドモたちのための東映的特撮ヒーローものが、オトロシー現実の暴力へと転化していく、背筋も凍る凄まじさだす

http://www.hero-show.jp

土曜皐月二十九日から、全国ロードショーやー。関西やったら、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、三宮シネフェニックス、109シネマズHAT神戸やらで上映されよります。この映画をば、配給しはるのは、角川映画はんどす。ちなみに、映画は「R-15指定」でおます。中学生以下は鑑賞できまへん。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「ヒーローショー」製作委員会

井筒監督の監督生活25周年の集大成映画は、トンデモネー暴力バイオレント映画となりよりました。

振り返りますれば、自身の監督作、高校生レベルの暴力やった「ガキ帝国」(1981年製作)とか「岸和田少年愚連隊」(1996年)とか「パッチギ!」(2004年)とかの、いわば大人バージョンでおます。

その作りは、コドモたちを楽しませる、東映的特撮ヒーローショーでのケンカが、どんどんエスカレートして、遂にはコドモには見せられまへん、リンチ殺人事件へと発展してまいります。まあ、フツーのバイオレンス映画どしたら、いきなりシビアなバーサス状況から始まったりしますし、漫才コンテストやらロボット・ショーやら、バイオレンスとはほど遠いとこから始まるとこなんかが、ちごております。

それに、漫才コンビ「ジャルジャル」の福徳秀介クン(写真上の右)が演じはる、主人公のキャラクターが異色だす。パソコンでアニメ動画の妹と毎夜会話しはる、えらいオタクな青年、それで漫才師を志望してんのに、えらいことに巻き込まれてしまうっちゅう、いわゆる巻き込まれ型タイプでおます。こういうトンデモ暴力映画には向いておまへんキャラどす。

基本は2組に分かれたVSものなんどすが、その対決する理由なんぞも、コドモのケンカに近い理由なき闘いでおます。若者たちのリンチ事件なんぞは、現実にもありました。それらをリアリティーに満ちた表現で、そのリベンジ・リンチ殺人事件を起こした犯人グループの、各人の事件前・事件後を描いていかはります。

もちろん、なんて、あんまし言いたくないんやけど、リンチ殺人部は、目を覆いたくなるくらいの凄まじさどした。このあたりは、絶対にマネしてはいけまへんで。あくまで、映画でおますんで、よろしくだす。

そんなバイオレンス描写の連続の中でも、ホッとするシーンもござります。「堤真一よりいい」のセリフなんか、「パッチギ!」が、日本アカデミー賞で堤真一が出てはった「ALWAYS  三丁目の夕日」(2005年)に負けてしもたことへの、監督のアイロニカルなセリフでおましょう。

下の写真のように、子持ちのバツイチ女と純情系の恋愛をしはる、「ジャルジャル」の後藤淳平クンの、時々のシロウトっぽい演技ぶり。むしろそんな演技がリアルなカンジを増しよりました。

そして、スリリングなジャズっぽいサントラに加え、ラストに流れる、アップテンポな阿久悠作詞によるピンク・レディー「S・O・S」が、この映画の激しさをば解消してゆきます。いずれにせよ、井筒バイオレンスのケッサクがまた1つ、生まれ落ちました。

2010年5月22日 (土)

アメリカ映画「マイ・ブラザー」

戦争帰りのアメリカン・トラウマ映画の王道編やー

トビー・マグワイア君&ジェイク・ギレンホール君&

ナタリー・ポートマン嬢のアンサンブル演技でおます

http://my-­brother.­gaga.­ne.­jp

6月4日フライデーから、東京はTOHOシネマズみゆき座、関西やったら大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都・TOHOシネマズ二条、神戸の三宮シネ・フェニックスやらで、全国各地でロードショーやー。本作を配給しはるのは、ギャガはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2009 Brothers Productions, LLC All Rights Reserved

家族の崩壊をシビアに描かはった、デンマーク映画「ある愛の風景」(2004年製作)を、アメリカ流儀に置き換えてリメイクしはった作品でおます。

家族映画のケッサク印をいくつも創ってきはった、アイルランド出身監督のジム・シェリダンはんが、徐々に狂気をはらんでゆきよりまして、ドカーンと波乱に満ちてゆきよります家族ドラマをば、巧妙に演出しはりました。

捕虜となり、えらい目におうて、命からがらアフガンの戦場から帰ってきはった男の、トラウマ映画と申しますれば、まさにアメリカ映画の、ある意味で負の王道作品だす。

アカデミー賞作品賞をゲットした、第2次大戦の「我等の生涯の最良の年」(1946年・アメリカ)をはじめ、ベトナム戦争帰りの、同じくオスカー作品賞の「ディア・ハンター」(1978年・アメリカ)やら「帰郷」(1978年・アメリカ)やら、さらに、ベトナム帰りの男が主人公の「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)とかも、その種のタイプと申せましょう。今年のオスカー受賞作品のイラク戦争もの「ハート・ロッカー」も、いわゆる、そんな映画どした。

こうした映画の場合、出兵前と帰還後の対比描写やらが、大変キモになるところやろと思うんどすけども、本作はその段差が、従来のケッサク群と比べて遜色のない出来やと思いました。

あの「スパイダーマン」シリーズ(2002年・2004年・2007年・アメリカ)で国民的な俳優にならはった、トビー・マグワイア君の、役柄にすっぽり入りきった演技ぶりに、背筋が寒うなりよりました。この演技は、アカデミー賞で助演男優賞をばゲットしはった「ディア・ハンター」の、クリストファー・ウォーケンはんとおんなじテイストでおます。

さらに、ほとんどのシーンで、クローズアップのあとにはロングショットを積み重ね、でもって、後半に向かうにつれ、人物のクローズアップやアップを多めにして、各演技者の表情を見せていく撮り方が、メッチャ計算されておます。そういう撮り方によって、ボクらやワタシらは、ゆっくりとドラマの中に入り、やがては埋没し、そして、取り返しのつかんような境地へと導かれてしまうんだす。

前半部と後半部にある、短いカットの連続でたたみかけてきはる、家族一同の会食シーンは、兄弟2人の違いを見せる、本作の隠れたアクセントでおました。ナタリー・ポートマンおネーさんの、困ってしもたわ演技にも注目しとくんなはれ。

ラストに流れる、監督と同じくアイルランド出身のバンド、U2が書き下ろした、ミディアム・スローなシブいロック・ナンバーもまた、余韻を深めよるはずどす。

2010年5月21日 (金)

中井貴一主演映画「RAILWAYS[レイルウェイズ] 49歳で電車の運転士になった男の物語」

夢を追いかけるんは、老若男女関係ござりまへん

中井貴一はんことキイッちゃんが、それをば証明しはる、人間ドラマ映画どす

http://www.railways-movie.jp

皐月土曜日二十九日から全国公開だす。配給は松竹はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2010「RAILWAYS」製作委員会

中井貴一はん・キイッちゃん扮する49歳のおっさんが、転職するとゆう、ストーリーそのもんはとってもシンプルなもんでおます。故郷で1人暮らしの、奈良岡朋子はん扮するオカンの病気をきっかけに、東京の大会社の管理職をば辞めはって、故郷・島根にリターンし、幼い頃の夢やったっちゅう、地方のちっちゃな電鉄の運転士にならはるんだす。

そやけど東京には、マイホームがござりまして、バリバリ働いてはる、高島礼子ネーやんが扮する妻やら、本仮屋ユイカちゃんが扮する、女子大生の娘はんがいてはるんどす。そやのに、突然のように、何でやねん? なんどすけども、それでも、キイッちゃんはおのが道をば、突き進まはるのでおました。

実は、ここには「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(2007年製作)みたいな、親子のキズナがあったりとか、かつて渥美清が主演しはった「喜劇・列車」シリーズ(1967年~1968年・全3作)みたいに、電車ものシリーズを、プログラム・ピクチャーとして作ったろかいな、とゆうカンジがござるのですわ。

映画会社の松竹はん的には、実写ドラマのプログラム・ピクチャーは、奈良岡はんも出てはった「釣りバカ日誌」シリーズ(1988年~2009年)でエンドってカンジなんやけど、でも、映画ファンにしてみたら、ヤッパ、新しいのんを作ってほしいやんか、ネー。そこでやん、本作なんかは、全国各地の地方路線シリーズでいけそうやんか。本作のプロデューサーはんらは、そのあたりをねろてはるみたいなんでおますよ。今後、どないなんのんか、楽しみにしといてもええかもしれまへん。

さて、本作でおますが、人物のアップのシーンとかは、実は控えめでおまして、構図の素晴らしいロングショットやら、長めの撮影シーンに加え、島根の美しき風景カットの挿入やら、映画的なシーンの連続に、魅了されよる作りになっておます。キイッちゃんが「叶う夢もあるんだよ」と、三浦貴大(たかひろ・あの三浦友和はんと山口百恵はんの息子はんどす)にしみじみと話すシーンや、父娘の畑での移動撮影シーンなど、ココロにきよりました。

タテヨコ関わらずスクリーンの、ほぼセンターラインを走る電車シーン、田畑の緑と水色の空の、2分の1のスクリーン半々カットやらがココロに残ります。

ラストに流れる、松任谷由実はんことユーミンの、かつてのニューミュージックらしさあふれる、心地よいポップスにもココロ魅かれました。

2010年5月20日 (木)

大作インド・ミュージカル映画「デーヴ D」

マサラ・ミュージカルがコンテンポラリーにチェンジしよったわ

2ヒロインの生き方の対比も描くヒロイン・ドラマ部

でもって、「リービング・ラスベガス」インド版みたいなアル中主人公が、とことんドランキーに徹しよりました

http://www.oaff.jp

ニッポン公開待機作品でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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幼なじみの美人の写真の彼女と、イギリス留学からインドに帰ってきはった写真の主人公が、再会してアツアツ、ドッキリコン。

でも、彼女が浮気してたらしいっちゅうウソの話を聞いて、彼女を罵倒したら、アレアレ、2人は別れまして、別れるだけやったら、ヨリも戻るかもしれへんねんけども、彼女は別の男と結婚しはりました。

でもって、ヤケのヤンパチの主人公は酒飲んでヨレヨレ。その後、ボンベイへ出て、アル中三昧の日々をば送ってはったある日、昼間は学生・夜は娼婦の2重生活してる少女に出会わはりまして…。

ストーリーを書いたら、いかにも単純な、これまでのインド・ミュージカルにあった、三角関係の恋愛ドラマやんか、なカンジなんでおますが、実は、その作りが全くちごておます作品でした。まず、ミュージカル部でおます。

第1ヒロインとの絡みとなりよります前半部では、確かに、これまでのマサラ・ミュージカルの定番やった、インドの民族楽器を取り入れた、インディー・ポップスやダンス・ミュージックが多いんでおますが、あるところからガラリと変わります。

タイトなシンセサイザーに乗る、キャッチーなミディアム・ポップ、テクノ・ポップ、ハードロックやらが次々に流れ出しよります。しかも、歌詞の字幕を見ていきますに、「人生は過酷。幸せはどこにある?」とか、「人生は失敗がいっぱい」とか、マイナス・イメージの詞が、これでもか、どないやー、みたいな調子で続くんだす。それに合わせて主人公の、もーどうでもええねん、な「人間失格」(2010年・日本)みたいなアル中人生の始まり、始まりでおます。

「スラムドッグ$ミリオネア」(2009年・イギリス)にインスパイアーされたっちゅう、サントラ使いやミュージカル部も、コンテンポラリー、つまり現代的なんやけど、ボクチンが一番ハマッたんは、夜の夢にまで出てきそうな撮り方や色彩感でおました。

夕景のセピアなんかは序の口でおます。ボンベイの都会編になると、ネオンを利用したり、映画的照明を多彩に入れて、何ともいわれへん色合いが次々に登場していきよります。

ブラバン・ダンス・ミュージックが流れる中、酔っ払う主人公視点から、スローにしてフォーカス・アウトしてゆく、酔いつぶれるシーンの新しさ。クラブで深酒して、主人公視点でグチャグチャのグルグル回りカットに、迷彩カットの妖しさ。主人公と運命の出会いをする、第2ヒロインの娼婦部屋の造形なんか、赤を基調にセピア、ブルーを稠密に配色しておます。

「負」の部分がどないしても浮き彫りになってまう、アル中人間ドラマ映画としては、見出しにもある「リービング・ラスベガス」(1995年・アメリカ)、「失われた週末」(1945年・アメリカ)、「酒とバラの日々」(1962年・アメリカ)などの系譜の中でも、「人生はやり直せる」とくる、夢を追うキャッチーな希望の歌で、一気にハッピー・エンドへと向かう作りが、ココロにググ、グイッときよりました。大ケッサクやと思います。

2010年5月19日 (水)

名作「幸福の黄色いハンカチ デジタルリマスター」

ニッポン的ロードムービーの大ケッサクでおます

高倉健さん、武田鉄矢アニキ、桃井かおりネーさん、倍賞千恵子はんら、全員が輝いておます

http://www.yellow-handkerchief.jp

サタデー6月5日から、大阪・なんばパークスシネマやら、名古屋・名演小劇場やら、九州・福岡中洲大洋やらでロードショーだす。配給は松竹はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ1977、2010 松竹株式会社

ハリウッドで「イエロー・ハンカチーフ」(5月2日付けで分析済み)のタイトルでリメイクされた、その元ネタ作でおます。ボクはこの作品を何十回となく見よりました。地上波のテレビでも何度となくオンエアされよりました。それでも、本作のリマスター版をマスコミ試写室で拝見させてもろた時に、さらなる発見やら、新しい感動に包まれたんでおます。

初めて気づいた点をば、申し述べまするに、当時は「網走番外地」シリーズ(1965年~1973年製作)の高倉健さんのために、作らはった映画かいなと思たんですけども、山田洋次監督的には、「家族」(1970年)のロードムービー・スタイルを、北海道限定バージョンで描かはった点でおます。

その「家族」は九州から北海道へ来た、ある家族を描いてはりました。で、本作の主人公の健さんも、九州から北海道へ流れてきたとゆう設定やったのでおます。武田鉄矢のアニキも実際もそうでおますが、九州出身の設定だす。その後、山田洋次・健さん・倍賞千恵子のコラボレートでは、「遙かなる山の呼び声」(1980年)もあるんどすが、本作こそ山田監督・健さんのそれまでのキャリアを見据えはった、見事な調和を得た作品やったのです。

そして、アメリカやらヨーロッパにはないタイプの、ニッポン的ロードムービーの創出でおます。家族がロードムービーするタイプとか、アメリカン・ニューシネマ的ロードムービーやら、いろいろござりまんねんけど、赤の他人の3人がロードムービーするやなんて、アメリカン映画では西部劇に一部あったんやけど、現代劇とゆうスタイルでは初めてやったんやないかな。それが可能になるんは、やはりニッポン的な情緒とか人情ゆえなんやないかと、ボクは思たんどす。

いろんな印象的なシーンが、ドトウのごとく頻出するんでおますが、やはり、何度も見とるだけに、その一つ一つが、胸に染みよりました。今回見させてもろて、ボクが最もココロ奪われたんは、網走のムショから出てきはった健さんが、入った食堂で、キリンの大瓶ビール、カツどん、しょうゆラーメンを頼まはって、そら、もうホンマにおいしそうに食べはるシーンでおました。リメイク版では、このあたりが少々、薄味の描写どした。

もちろん、写真のラストシーンの凄さ、でもって、崖の草のグリーンと水色の空を、スクリーンの対角線上で2分割するシーンのウルトラ美的構図に、カンペキにやられました。

2010年5月18日 (火)

短編映画「離さないで」「代理人会議」「1-2-3-4」

企画上映会「桃まつり presents うそ」のラスト3本だす

若手女性監督による、多彩なミステリー・タッチはクライマックスをば迎えました

http://www.momomatsuri.com/

皐月二十二日の土曜日から、大阪・梅田の「PLANET+1」(プラネットプラスワン)で上映でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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若手の女性監督が30分前後のショート・フィルムで競演する、3年目を迎えはった企画上映会「桃まつり」の、11本中の未分析やった3作について、語らしてもらいまっさ。

まずは、福井早野香ちゃんによる「離さないで」(写真上)。いやあー、なかなかミステリアス度の高い1作でおました。で、そんなミステリーに欠かせない魅力的なヒロイン像も構築してはります。さらに、テレビの二時間ドラマよりも、より映画的な作りや撮り方に魅了されよりました。

まずは、何といってもヒロイン役、奥田恵梨華ちゃんのリンとした美しさでおます。当然、彼女のクローズアップ・アップのシーンは、次々にやってまいります。ヒロインは小説家なんでおますが、同棲してはります彼氏の過去の秘密をば、明かすような暴露小説をば書かはります。そら、そんなもん暴露してもろたら困る彼氏は、ほな、どないすんねんなーとゆう状況が生まれよります。

結論から申しますれば、ミステリアス・ラブ・ストーリーのユニークな作品でおました。言い過ぎやも分かりまへんが、松本清張の「ゼロの焦点」(1961年・2009年製作・日本映画)みたいな、女性のココロのキビを演出していくようなところがござります。都会のビルの間の青空やら、通りのローアングルやら、映画的構図のカットなど、テレビドラマじゃない映画としての表現力で魅せるとこは、なかなかのもんでおました。

続くは、石毛麻梨子ちゃんの「代理人会議」(写真中)。京都修学旅行教師殺人事件に、関わったらしき2つの高校の、全てが代理人となる7人が集まって、マスコミ・保護者対策について、論じ合うとゆう設定の室内劇でおます。

ヒジョーに変わった設定の室内劇なんやけど、スタイルは「十二人の怒れる男」(1957年・アメリカ)を、コミカル・モードを入れつつ変換した、三谷幸喜脚本の「12人の優しい日本人」(1991年)的な作りだす。意外な真犯人が、最後に明らかになる点もミステリー度は高いでおますよ。

でもって、真打ち分析は、玉城陽子ちゃんの「1-2-3-4」(写真下)。4人の男女の共同生活を描いた作品でおます。ミステリー色は男女のココロの中にあるとゆうタイプなんやけど、現在と過去の描写の境目が分かりにくく、それゆえに謎めいた作品になっとります。アコースティック・ギター、アコギのサントラはじめ、劇中でもギター披露がありよりまして、それなりに楽しませてくれはります。団地を舞台にした映画として、その生活感描写は良かったと思います。

2010年5月17日 (月)

短編映画「shoelace」「きみをよんでるよ」「愚か者は誰だ」

若手の女性監督による「桃まつり」シリーズやでー

今回の3作は何とも言えへん、ミステリアスな仕上がりやー

http://www.momomatsuri.com

皐月二十二日から、大阪「PLANET+1」で上映でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Shoelace

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ピチピチの若手ギャル監督が、30分以内のショート・フィルムで競演するシリーズでおます。残り6作品はミステリアス・モードにあふれた逸品が揃っておますよ。製作する際に、共通のキーワードとなっておますのが「うそ」なだけに、いずれ劣らぬ「嘘」=「フィクション」な快作だす。

まずは、写真一番上の、福本明日香チャンがメガホンをば執らはった「shoelace」。ルイ・マル監督の「地下鉄のザジ」(1960年製作・フランス映画)に出てきはった、ホヨヨ~ン・ポヨヨ~ンな少女キャラ・ザジみたいな少女が、登場しよります。

何がホヨヨーンな無邪気モードなのかと申せば、少女のオトンの愛人と、少女が会いたくて会いたくて、接近遭遇するっちゅう展開でおましてな、それもまた、その愛人のモトカレが、仲介するんでおます。このケッタイな関係なんやけど、それがまた、少女と愛人が仲良しこよしになってゆくやなんて、そんなことあるわけおまへんやろー。ところが、その関係描写がケッコーええ線いっとるんでおます。

公園の1分近い、固定の長回し撮影をはじめ、それを説得力あるカンジで示す力量は、相当なもんやと思いました。その愛人の仕事は、今や何千万人もいてはるフリーライターなんでおますが、「フリーライターってスゴイ!」って少女が応じたり、愛人が「岸田今日子って知ってる?」なんて少女に尋ねたり、オトンに対して少女が「どこか遠くでつながってる他人」なんて呟いたり、セリフそのものにも、2人のキャラクターを浮き上がらせる演出ぶりが良かったでおます。

でもって、写真真ん中の、朝倉加葉子チャンの「きみをよんでるよ」。おっさんと若い娘の不倫のラブ・ストーリーなんでおますが、それをミステリアスな怪しいモードで展開しはります。アコースティック・ギターこと、アコギのサントラが軽快でおますし、指をなめるアップから始まる、女性監督らしき繊細なヤラシー・シーンもココロそそられよりました。

そして最後は、写真一番下の、渡辺裕子チャンの「愚か者は誰だ」。久々どした。野村宏伸のアニキが主演してはります。浮気調査もののミステリーなんやけど、1人の女優を巡る男たちの、バーサス関係へと持っていくあたりは、脚本の上手さをばカンジよりました。探偵・女優・野村アニキが扮する演出家らが、ビルの屋上で一堂に会するショットやら、野村アニキの対決シーンやら、冴えとるシーンやシークエンスが、ええカンジどした。ジャジーなサントラにも注目したってやー。

2010年5月16日 (日)

ニッポン映画「鉄男 THE BULLET MAN」

ハチャメチャ、何がナンやらワケ分からへん、バーサス・シーンがクセになりよります

80年代の「ロボコップ」やら「ザ・フライ」に影響受けてはります、突然変異な変身系の映画だす

http://www.tetsuo-project.jp

土曜日だす。皐月二十二日からだす。全国ロードショーでおます。関西やったら、梅田ブルク7、シネマート心斎橋、京都シネマやらで上映でおます。本作の配給会社はと申せば、アスミック・エースはんどすえー。ちなみに、「PG-12」指定映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ TETSUO THE BULLET MAN GROUP 2009

塚本晋也監督作品と申せば、奇妙キテレツな主人公が大活躍するような映画が多く見受けられよります。ネジレ系の作品こそが、おのが監督魂やー、なんて心意気をばカンジさせてくれはるんどす。

そんな監督はんが、セルフ・リメイクをしはりました。「鉄男」(1989年製作・日本映画)だす。セリフ・リメイクといえば、日本映画に限っても、故市川崑監督の「ビルマの竪琴」(1956年・1985年・日本)やら「犬神家の一族」(1976年・2006年・日本)やら、ハリウッド・リメイクを実現した中田秀夫監督「リング」(1998年・日本)なんかがござります。

でも、本作のバクレツ系のバージョン・アップ・リメイクにして、ある意味、インディペンデントな雰囲気を残すようなリメイクなんて、なかなかオツなもんでおます。

フツーの人間やったのに、鉄男になってしまうなんてアイデアは、おそらく、アメリカン映画からの影響が濃いと思います。狼男とかゾンビとか吸血鬼とか、ハリウッド・クラシックな変身系映画はもちろんやけど、この作品の元ネタが1989年に製作されとることを考えよりましたら、そら、1980年代のロボ人間「ロボコップ」(1987年・アメリカ)やら、ハエ男「ザ・フライ」(1986年・アメリカ)でおましょう。それまでのアンドロイド系の映画を、ある意味で覆したケッサク群だす。

エイリアン化する今年公開の作品「第9地区」なんぞへも、シンクロしてゆくような仕上がりなんでおますよ。

また、フラッシュ映像やら短いカットの連続なんか、「バベル」(2006年・メキシコ)の点滅的幻惑映像もありよります。でも、気分が悪くなるようなことはござりまへんので、ご安心くだされ。

10~20パーセントくらいの脱色映像にて、本作は展開しはります。手持ちカメラによるユレまくりの映像、何がどないなっとんのか、さっぱり分からへん対決シーンやらは、監督の意図の中にきっちり入っておりま。つまり、鉄男になってしもた主人公の、何ともいわれへん不安感やココロの不安定を示さんがためなんどす、たぶん。無機質なシンセ・ドラムを流したり、工事現場のような不協和音・騒音を効果音として持ってきはったりと、そのただならぬ不安感の描写は秀逸でおました。クライマックス対決のワケ分からん感は、クセになりよります。

シリーズ化されそうな終わり方なんで、今後も注目しときたい作品だす。

2010年5月15日 (土)

ニッポン映画「シーサイドモーテル」

山間の田舎のシーサイドモーテルで展開しよる、ケッタイなグランドホテル形式やなんて…

生田斗真クン、麻生久美子ネーさん、山田孝之&玉山鉄二のアニキらの、チョイはずし系の妙演がオモロかったわ

http://www.seaside-motel.net

六月五日のサタデーから、全国各地イッセーのロードショーやでー。関西の三都やったら、大阪・梅田ガーデンシネマ、同じく大阪・なんばパークスシネマやら、京都はMOVIX京都どす、でもって、神戸はシネ・リーブル神戸やんけ、なんて調子で上映しよります。映画の配給会社はアスミック・エースはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010『シーサイドモーテル』製作委員会

本作の作りの基本ラインについて、まずはお話をばさせてもらいまっさ。

本作主演の麻生久美子のネーさんも出てはった、三谷幸喜監督作「THE 有頂天ホテル」(2006年製作・日本映画)なんぞも、そないなんでおます。つまりはでんな、「グランド・ホテル」(1932年・アメリカ)なる、古典的なる、名作より出てきておます「グランド・ホテル形式」なる、群像劇スタイルに、こだわらはった作品なんでおます。

ウム? 「グランド・ホテル」やて、オレたちやアタシらが泊まったことある、あの「リーガ・グランドホテル」かいな、なんて、そんなんは、まあ、どうでもええことなんですけども、つまりは、別に「グランド・ホテル」でなくてもええんですけども、ホテルに泊まった宿泊客やら、ホテルの従業員やらが、各人のドラマをば展開しはったり、みんなが入り乱れたりしてゆく、ドラマ作りの一作法でござります。

で、本作のホテルは、これまでの映画舞台のホテルを、意図的に思いっきり、ミスマッチなカンジではずしてはります。都会のホテルでもなく、リゾート地のホテルでもありまへん。名前に「シーサイド」の入った、山奥のホテル。しかも、モーテルでおます。まあ、ラブホテルやったら、そんな名前のホテルもござらんではないでしょうが、ラブホやったら、ありきたりやともいえるでしょう。

このオリジナリティーを追究した設定に加えよりまして、各人の演技が、これまた、ある意味、はずし系の演技をば見せてはります。

生田斗真クンと麻生ネーさんとの、恋の駆け引きシーソーゲーム・ドラマあり、借金取り立て屋役の玉山鉄二アニキと、山田孝之アニキ扮する若者との、緊張感のないユルユル系犯罪タッチのドラマ、成海璃子ちゃんのフニャララ系の演技。ほかの客では、3枚目の写真におます、キャバクラ嬢とお客のカップル、「エマニエル夫人」(1974年・フランス)かシャロン・ストーンか、っちゅう装いの妻と女装夫やら、フツーっぽくないのんが出はります。

でもって、最後には、コンゲーム・ノリへと展開しはりますが、この強引さは、マットウな「グランド・ホテル形式」をば、一体どこまではずせるもんやらに、チャレンジしてはるかのように、ボクチンには見えました。

そんな中で、麻生ネーさん、玉山の鉄ッチャン、山田の孝ヤンやらより、クローズアップやアップが多かった生田の斗真クンでおますが、最後にはアッときよりますシーンで、驚かせてくれはりますんで、ビックラあれ! でおますよ。アラ・アラマ・ポテチンどすえー。

2010年5月14日 (金)

テレシネマ7「天国への郵便配達人」

東方神起の1員やったジェジュン君が、ウットリなれる天使っぽい主人公に扮しはりました

そのお相手役は、韓流テレビドラマ「春のワルツ」で、泣かせてくれはったハン・ヒョジュちゃんやでー

http://www.telecinema7.jp

皐月29日サタデーから、本作含む「テレシネマ7」としての7作品が、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、TOHOシネマズ 梅田やらで、全国イッセーのロードショーでおます。この映画をば配給しはるのは、東宝は東宝でも、「東宝映像事業部」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ SAMHWA NETWORKS

日本のテレビの「放送作家協会」はんと、韓国のテレビ・グループとが共同で、テレビドラマ&シネマのミキシングの、可能性をば探らはった企画上映どす。

ニッポンのテレビドラマ界を代表しはる脚本家の脚本のもと(本作は、北川悦吏子はんでおます)、韓国のテレビドラマのスタッフ・俳優が、愛の7つのドラマをば紡がはるのどす。7作中、本作だけがラッキーにも、マスコミ試写室で見させてもらえよりました。

しかも、本作で主演してはるハン・ヒョジュちゃんの「春のワルツ」など、「冬のソナタ」をはじめとした韓流ドラマ四季シリーズの、映画バージョンといった作りにもなっておます。でもって、解散してしもたけど歌グループ東方神起の、人気者ジェジュン君が、カノジョと恋する運命にありよります、カッコよろしおまんなーな主人公に扮しはりました。

映画的な設計について申し述べますと、「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年製作・アメリカ映画)でかかっておました、ブルー・アイド・ソウルの名曲「アンチェインド・メロディ」が、本編で何回か流れよります。つまり、コレは本作とリンクしそうな過去の作品をば、なんぼでも出してくれても構いませんでーな、製作陣からのメッセージなんやないかいなと、ボクチンは勝手に受け取ったんやけど、でも、モロ結末に、ネタバレに、ストレートに反映するような作品もありますんで、すんませんけど、調子に乗って出すのは控えさせていただきます。

写真にあります、広ーい野原と申しますか、まあ、草原でんな、そこには、海辺にあった「イルマーレ」(2000年・韓国)みたいな赤い郵便ポストがござりまして、死んだ人への手紙を投函し、それらをば、ジェジュン君が天国の相手に届けるなんて、設定なんでおます。

そこへ、死んだ彼氏に文句たらたらの手紙をば投函しはったのが、ハン・ヒョジュちゃんだす。ヒョジュちゃんのポジティブで元気な演技は、「猟奇的な彼女」(2001年・韓国)のチョン・ジヒョンちゃんを思い出しよりました。

ラブ・ストーリーは、このジェジュン君とヒョジュちゃんの間で、展開します。ただ、これまでの設定、例えばかの名作「ゴースト」なんかとは違う新しさをば打ち出してはります。さてはて、この設定はどうなんかとゆうのも、大いに論議をかもすはずでおます。愛する人を亡くした遺族を、2人が癒やすシーンなんかもあるんでおますが、このあたりは、死者を癒やした「おくりびと」(2009年・日本)の、反対バージョンとゆうようなセンスをカンジました。

そして、ボクチンが凄く感じ入ったのは、日本のテレビドラマみたいに、照明を余り入れんと、自然光や自然美をそのまま映してゆくような、韓国スタッフの撮影ぶりでおました。「冬のソナタ」の美しい自然描写の数々を、例に持ち出すまでもござりまへんでおましょう。バスや部屋内への陽光の取り込み具合とか、草原、紅葉、青空、夕景、雨のシーンなど、自然描写がラブ・ストーリーに、心地よい装飾やバック・グラウンドをば施してはりました。

2010年5月13日 (木)

短編映画「テクニカラー」「迷い家」「バーブの点滅と」

女性監督による短編集「桃まつり」シリーズどす

3年目は真っ赤な「うそ」がテーマでおます

http://www.momomatsuri.com

5月22日サタデーから6月4日フライデーまで、大阪・「PLANET+1」で、女性監督らしさ満載にて上映しよります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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若手の女性監督はんらに、短編なんやけど映画をば撮ってもろて、ほんでドカーンと上映しようやないかとゆう、「桃まつり」企画上映の第3弾でおます。全部で11本なんやけど、先行して関西発の分をば、2本紹介分析しよりました。で、その第2弾でおます。

映画そのものはモチ、フィクションなんでおますけども、今年で3回目を迎えはった本上映作では、「うそ」とゆうのんをテーマに競作してはります。

で、写真一番上の「テクニカラー」だす。「携帯彼氏」で現代の恋愛のカタチをば描かはった船曳真珠監督が、今回はコメディだす。かつてテレビドラマで大活躍してはった、洞口依子ネーさんが、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」(後日、分析いたします)にもチョロッと出てはるんやけど、これまでに見せはったことのない、コメディエンヌぶりをば披露しはりました。

母役・洞口ネーさんと娘はんがマジックショーで、営業といいよりますか、地方巡業してはるんどすが、ホテル代やらを1人分浮かすために、狭いとこに入るのが得意な娘はんを、カバンの中に入れてはります。このイントロから、おい、おい、なんでおます。で、この種のコメディにありがちな、母娘のキズナなんぞは描かれまへん。そんなんどうでもよろしおまんねん、な作りが新鮮でおました。

でもって、真ん中2番目の写真の「迷い家」だす。主人公の写真の青年と、謎めいた女のお話でおます。とあるとこに迷い込んでもうた主人公が、そこにいてる女と、数日間を過ごす話。ああ、これは「砂の女」(1964年製作・日本映画)でおます。

モチ、30分以内の短編でおますんで、そんな「砂の女」みたいに、ディープには描けまへん。まあ、その雰囲気をば少しでも、カンジさせてくれたんは良かったかな。鳥の声の効果音やら、シンセサイザーや、女性コーラスのサントラなどの使い方は、癒やし感はありよりました。家の戸口を開け閉めする時の、ガラガラ音も効果的やったかな。

そして、写真の一番下の「バーブの点滅と」。この手のミニマムな映画に多い不条理劇でおますが、そうじ器に吸い込まれてもうて、そうじ器人間になるやなんて、ハエ人間とかそのほかいろいろある中でも、オモロおますでしょ。「雨に唄えば」(1952年・アメリカ)の主題歌歌てはる時に、巻き込まれてまう設定とか、キレてる海辺のロングショットとか、ハッとしよりました。

さて、残り6本につきましては、本日のように3本ずつ分析によりまして、5月21日までに紹介分析しよりますので、ドーゾお楽しみに。

2010年5月12日 (水)

アメリカ映画「レギオン」

「タイタンの戦い」みたいに、ギリシャ神話をベースにしながらも現代劇でおます

天使たちと人間たちのVSが展開しよります

http://www.Legion.jp

サタデー皐月二十二日から、全国ロードショーだす。ナニワでは、梅田ブルク7(セブン)やらで上映だす。「PG12」指定だす。映画の配給会社は、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントはんだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Legion Photo

神VS人類の対決構図となっておます「タイタンの戦い」(公開中)と、同じようなテーマを持ってはる映画でおます。但し、コレは「タイタンの戦い」の紀元前やなく、21世紀の現代をば舞台設定にしてはります。

「タイタン」の分析時にも、ボクチンはゆうとったんでおますが、B級映画のケッサクとなりよりました。何回も言いますけど、B級映画の方がA級映画よりココロに永く残る映画が、時おりたまに、あるんでおます。そして、本作は、その資格をば備えた作品となりよりました。

何しろ現代なら、この種の映画と申しますれば、VFX、CGバチバチに展開する映画が多くはびこっておりまして、えてして人物描写なんぞ、おろそか極まりなかったりします。しかし、本作は往年のハリウッド・パニック・ムービーがそうであったようにでんな、群像劇としての骨格がしっかりしておます。

妊婦ヒロイン役エイドリアン・パリッキーの、母との思い出話を話すナレーションから始まるのでおますが、ラストにもそれがリフレインされよりま。それがこの映画に及ぼす効果は、ドラマチックでもあり、B級をA級に見せるような、マカ不思議なカンジがござりました。

神の命令を受けた天使たちが、人類を滅ぼしてしまえと、人類に攻撃をば仕掛けはります。本作では、世界各地で起こってる戦いのその一部とも申せます。さびれたダイナーに集わはった何人かに、魔の手が忍びよる設定でおます。

そのダイナーの壊れかけのテレビには、天使が出てくる名作「素晴らしき哉、人生!」(1946年製作・アメリカ映画)が映っておます。この映画がどういうスタイルをば持っているのかを、さりげなく示さはるんどす。

でもって、ダイナーを経営する、デニス・クエイドとルーカス・ブラック扮する父子の確執とか、いろんな人たちの会話ドラマを、アップの交互のやり取りで見せていかはります。メインのアクションやバーサスとは、ほとんど関係のない、こういう細かい人物描写にこそ、この映画の隠されたキモがあるように思いました。B級映画に、隠し味のように忍びこませた人間ドラマ部でおます。

パニック・ムービーを思い出させよるハエの大群カット、シリアル・キラーなババアのインパクト、でもって、「ターミネーター」(1984年・アメリカ)のシュワちゃん的なポール・ベタニー演じはる、ミカエル役天使の造形の魅力でおます。殺人マシーンな天使キャラには、ビックラこきました。とにかく、楽しい作品だす。

2010年5月11日 (火)

ショート・フィルム「カノジョは大丈夫」&「FALLING」

東京の女性監督による「桃まつり」に、関西から2作が参戦しよりましたでー

大阪が舞台のボケボケ・ヒロイン映画「カノジョは大丈夫」

ほんで、吸血鬼オンナ映画「FALLING」やー

http://www.momomatsuri.com

5月22日サタデーの夕方5時から、大阪「PLANET+1」(http://www.planetplusone.com/)でロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Falling

若手の女性監督たちが集まらはって、30分前後のショート・フィルムをば撮って、みんなに見せはる映像グループ「桃まつり」だす。その企画上映シリーズの、3年連続となりよります第3弾でおます。

今回は11本の短編が上映されよります(残り9本も5月21日までに分析いたします)が、2年目までは、東京の人たちばっかりやったんですけども、今回は関西発の映画が2本参加しはったのどす。いやいや、これが共に、オモロい仕上がりになっておまして、全作品中のベストワンを狙えそうなんでおますよ。いや、まあ、グランプリを選考するような上映会ではないんやけども。

「カノジョは大丈夫」(写真上)は上映作品中、最も長い32分だす。ラブコメ・モードのように思わせておいて、ケッタイなフワフワ・ヒロイン・ドラマへと転じていく作りは、そら、なかなかオツなもんでおました。フツー、ヒロイン・ドラマといえば、ヒロインの視点から入るんが常套なんでおますが、コレは男の視点とナレーションから始まりよります。

「女にいきなり殴られた」思い出なんかを話しつつ、「ホットけない」なんて女に片思いをばしはり、アパートで一緒に住まはります。「ホットけない」だけなんで、ナンもしまへん。女に振り回される男のドラマ的なとこもあるんやけど、やっぱ、このヒロインは異色でおました。

とにかく、主人公との間には、ナンもないんだす。で、女はいろんな奴らと飲んだり、主人公の部屋へ男をば連れ込んだりしはります。なんやねん、こいつ、と、見てるこっちもイライラしてきよります。おい、ちょっと、主人公の吉田クン、一発ゆうたれよ、なんて言いたくなるんやけど、吉田クンに、そんな根性なんてないのでござりました。

1分くらいの長回し撮影はじめ長めのカットの連続が、短カットの連続以上に、落ち着いて映画を見せてくれはるのだす。ズブズブと音がするハダカ・ベッドで、照明なしで展開する夜の2人のやりとりはモチ、ラストのナンパ・シーンのケッタイ感も笑えました。

で、吸血鬼映画の「FALLING」(写真下)でおます。吸血鬼映画はハリウッド映画の古典から、「トワイライト」シリーズ(2008年~・アメリカ映画)やら、韓国映画「渇き」(既に分析済みでおます)など、いろいろござります。でも、本作は30分以内なんで、そんなタイソーなんはとても撮れまへん。

十字架にビビッとくるのはええねんけど、陽光とゆうのも大きなキーなのに、そっちはパスやったんかな。満月・野良犬・ドクドクッな心臓効果音・血の使い方など、CG含めてイロイロやってはります。

でも、ヤッパ、ユニークなんは、100年に1度の不況期の、ハケン切りに遭いそうな状況で、3人の契約社員女性の話の中で、吸血鬼ドラマを展開しはるとこでおました。OLたちと不況とバンパイアやなんて、ミスマッチ感がナンともおもろいでおましょ?

2010年5月10日 (月)

刑事アクション映画「パリより愛をこめて」

原案リュック・ベッソンはんによる、ハリウッドへ挑戦状をば突きつけはる刑事コンビ・アクションやー

ブルース・ウィリスみたいなジョン・トラボルタはんと、イケメンのジョナサン・リース・マイヤーズがタッグでおます

http://www.pari-ai.jp/

5月15日サタデーから、東京・丸の内ピカデリーほか、全国各地イッセーのロードショーやー。大阪やったら、梅田ピカデリーやらで「愛をこめて」上映だす。配給はワーナー・ブラザース映画はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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フランス映画界のリュック・ベッソンはんと申しますれば、ハリウッド映画への対抗意識をば、メラメラかどないやらは分かりまへんけども、相当燃やしてはります、監督兼製作者、時に原案・脚本やらもやらはるお方でおます。

そのベッソンはんの製作会社「ヨーロッパコープ」の作品やござりまへんが、本作には原案で関わらはったのでござります。

刑事コンビによるアクションものと申しますれば、ハリウッドではあの「リーサル・ウェポン」シリーズ(1987年~1998年製作・アメリカ映画)やらイロイロモロモロござります。刑事の推理ものやなく、刑事アクションものとなれば、ハリウッドが宝庫でおましょう。「ダイ・ハード」シリーズ(1988年~2007年・アメリカ)のブルース・ウィリスを持ち出すまでもなく。

で、本作では、いかにもそのブルース・ウィリスはんを意識したかのような、アウトロー&ワイルド刑事役でジョン・トラボルタはんをば、アメリカからフランスへのビジターとゆうカタチで、役柄上でも迎えはりました。で、コンビを組むんは、イケメン・イギリス俳優のジョナサン・リース・マイヤーズのアニキでおます。

ベッソンはんが製作しはった「フィリップ、君を愛してる!」(3月9日付けで分析済み・フランス映画)でも、アメリカン俳優ジム・キャリー&ブリティッシュ俳優ユアン・マクレガーを起用しはりましたけども、そんなアメリカ&イギリス・コンビによるキャラ設定でおますよ。

さらに、イギリスの「007」っぽいテイストも盛り込んではります。とゆうのは、大使館の正職とスパイ系の仕事の、2つの顔をば持ってはるんが、ジョナサンのアニキでおまして、しかも、彼の恋人もボンド・ガールみたいな美女のカシア・スムトゥニアクちゃんだす。それにでんな、タイトルからもイメージできよりますが、「007/ロシアより愛をこめて」(1963年・イギリス)のモジリでおます。結末まで見はったら、この一部スパイ映画的なノリは、なるほどなー、この映画のキモやったんやなーと思わはるはずどす。

とにかく、ハリウッド映画にも優るとも劣らへん、アクション・シーンが次々に、ドトウのごとくやってまいるのでおますよ。銃撃シーン、爆発シーン、カー・アクション、カー・チェイス、屋根伝いの逃走・追走シーン。そんな中で、垣間見せるエッフェル塔を始めとした、パリの風景シーンが、ここはLAやNYやらでないことを分からせはります。ベッソンはんが関わった「96時間」(2008年・アメリカ)もジェットコースターなバクレツぶりでおましたが、本作もキョーレツでおます。「全ては愛」なんてセリフを放つジョナサン・アニキも、チョイ恥ずかしモードがあるけど、カッコよろしおま。

© 2009 EUROPACORP - M6 FILMS – GRIVE PRODUCTIONS – APIPOULAÏ PROD

2010年5月 9日 (日)

山田洋次監督映画「京都太秦物語」

日本映画発祥の地・京都を舞台にした、現代劇でおます

山田洋次監督・教授と、スタッフ・生徒の京都の大学生たちとの

青い山脈」がココにござるのでおました

http://www.ritsumei.ac.jp/eizo/kyotostory

皐月の土曜は弐十弐日から、MOVIX京都を皮切りに公開いたし、その後、セプテンバー9月のサタデー18日から、東京・東劇やら、大阪なんばパークスシネマやらでロードショーでおます。映画は現場ならぬ、映画館で回っておます。ちゅうことで、みなはん、映画館へ行きましょう。この青春恋愛映画をば配給しはるのは、松竹はんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ松竹

京都を舞台にした青春映画、もしくは恋愛映画、もしくは庶民流家族映画なんて申しますれば、映画が生まれて100年以上経っておます今にいたりよりましては、そら、いっぱいござります。現代劇に限定せんと、時代劇やら時空関係なしものまで入れたら、そら、ものごっつーな数になりよります。

ところで、全くもって個人的なことゆうて、すんまへんねんけども、ボクチンは京都の大学生(本作は立命館大学の学生たちが関わっておますが、ボクはその立ちゃんのライバル大学・同やんこと同志社大学出身でおます)の時代に、この立(リッ)ちゃんの学生みたいに、映画を撮ることに執念をば燃やしておました。当時の時代には、八ミリを撮ることも盛んやったけど、その後のフォロワーや未来図が壊滅に近い状態でおました。つまり、映画会社は助監督の定期採用を、ロマンポルノの日活はん以外は、してはらへんかったのどす。

無論、今も、リーマン・ショック以降の大不況に関係なく、そんなん全くありまへん。でも、彼ら立ちゃんの学生はんらは、ホンマに幸せや。なんせ客員教授に山田洋次巨匠がきはって、しかも懇切丁寧に映画のことを教えてもろた上に、一緒に映画を撮ろうやなんて、ああ、ボクチン、今の時代に学生時代やったらよかったのになー。うらやましすぎるわー、でおます。

でもって、その仕上がりでおますが、こんな不況の時代に、ホント、素朴で、純真で、それでいて、現代性もあり、ホワ~ンと和みをくれはる、ええ作品になっとりま。大げさやどないかは、見てもろてでおますが、純粋さの点につき、現代の「青い山脈」(1949年)やとゆうてもええかもしれまへん。

最初に書きました通りでおまして、京都を舞台にした作品は相当ござります。まあ、最近の作品で松竹はんの配給作品にだけ絞りますと、「鴨川ホルモー」(2009年)なる大学生たちがトンでハジける青春ユーモア映画なんぞがござりますが、その作品と比べよりますと、同じ京都でも180度違う京都をば見せてくれはります。

「鴨川…」が猥雑な京都だとするならば、こちらは癒やしとゆうか、自然体の京都なんどす。嵐電、渡月橋、鴨川、市バス…。で、大阪ナニワの風景も挿入されておりま。道頓堀のグリコの看板やら、吉本の花月劇場やら。

要するにでんな、男女の三角関係をば描いてはるのに、ネットリネチネチ感とかは全くなく、アッサリサッパリスッキリ、スガスガシーなカンジなんですわ。ちなみに、海老瀬はなチャン、EXILEのUSAクン、山田洋次監督「おとうと」(1月3日付けで分析済みでおます)にも出てはった、田中壮太郎アニキの三角でおます。

かつて大映撮影所へと通じた大映通りとゆう、映画的風景を媒介にしつつも、庶民のささやかなフツーの、幸せドラマへと紡いでゆくドラマ作りは、絶品でおます。

2010年5月 8日 (土)

日本映画「春との旅」

ニッポン的ロードムービーの新機軸をば打ち出さはったケッサク

オジンとマゴの組み合わせやでー

http://www.haru-tabi.com

皐月二十二日サタデーから、全国ロードショーやー。ナニワでは、梅田ブルク7(セブン)やらで上映されよります。この映画の配給会社は、ティ・ジョイはんとアスミック・エースはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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本作を見る前は、「ヘッドライト」(1955年製作・フランス映画)の日本版リメイク「道」(1986年・日本)のような、ロードムービーにも出てはったことやし、仲代達矢御大のために、撮られた作品やと推量しよりましたけど、その予想は随分と違っておりました。

ニッポン的ロードムービーの、これまでにない新しさをば、打ち出さはった作品なのでおます。例えば、老夫婦が大人になった子供たちを訪ねゆく先々で、冷たい対応をば受けはる「東京物語」(1953年)のセンスは、あるにはあるのでおますが、夫妻やなく、こういう祖父・孫コンビで2人だけとゆうのは、余りござりまへん。

なんて申しましょうか、ボクが私的に思ったのは、小津安二郎監督のその「東京物語」よりも、山田洋次監督の「家族」(1970年)でおました。この「家族」はタイトル通り、家族一同が長崎から北海道まで向かうお話なのでおますけども、その道中で、あるいは目的地に着いてから、不幸にも死んでしまわはる人がいました。それが、祖父であり、赤ん坊やったけど、祖父からみれば孫でおます。

本作は映画オリジナル作品でおますが、そんな弱々しい2人がロードムービーするんでおます。それゆえに、「家族」で死んだ2人が、もし2人だけで行けば、どんな風になるんかを考えて、こしらえたようなカンジがしたんですわ。

祖父役・仲代達矢はんと孫娘の春役・徳永えりチャン(「フラガール」=2006年で、踊ってはった子です)が2人だけで、北海道の田舎に住んではったのですが、孫娘が失職してしもて、東京へ出て再就職しようとしはります。ちなみに、孫娘の父母は離婚し、母は天国へ先立ち、父は別居中でおます。で、この祖父は母の父でおます。

孫娘はでも、おじいちゃんを1人だけ置いてゆくなんて、そんなサブーイことはようしまへん。ほなら、どないしたらええねんとゆうことで、オジンの兄弟姉妹らのとこでヤッカイになったらええやん、と孫娘が思わず提案してしもたもんやさかい、仲代はんは、あわてて孫を連れて家をば飛び出した、とゆうか、下の写真のように、孫はその後を追いかけるとゆうことなんでおます。これが冒頭シーンだす。

小林政広監督お得意の長回しもござります。訪ねていった先々で、2分から4分くらいの、シブーい長回しの撮影シーンが、次々にきよります。柄本明はんが仲代はんに、たらたら文句を言い「バカヤロウ!」なんて叫ぶシーンやら、春ちゃんと春ちゃんのオトン役の、香川照之との再会シーンなど、印象的でおました。けども、ボクが最もココに、胸にきよったのは、祖父と孫が2人だけで、蕎麦屋でそばをすすり合う、カメラ固定の長回し撮影のシークエンスでおました。2人の深~いキズナ描写が、しみじみと胸に染み入ります。

Ⓒ2010『春との旅』フィルムパートナーズ/ラテルナ/モンキータウンプロダクション

2010年5月 7日 (金)

日本映画「ボックス!」

亀田興毅やら辰吉丈一郎やら赤井英和やらが、コレやがなー、と喜びそうなナニワのボクシング映画でおます

市原隼人クンが暴れるっちゅう、高校生のボクシング部活映画は映画史上初めてだす

http://www.box-movie.jp

土曜日サタデー5月22日から、全国ロードショーやー。亀田興毅も出とるで。配給は東宝はんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ボクシング映画は、これまでに数多く作られてきよったかと思います。まあ、100作まではいっとらんやろうけど、でも、そないなボクシング・スポ根映画でも、高校生の学園部活もの映画となりよりますれば、どないだす? ないんとちゃいまっか?  そうなんでおますよ。本作は国体やらインターハイやらを目指さはる、ボクシング部の部活映画なんどすえー。ビックリでおます。

大学の相撲部の「シコふんじゃった。」(1991年・日本)やら、書道部の「書道ガールズ」(5月3日に分析しとりま)やら、これまで学園部活ものでは描かれへんかったジャンルへと、思いっきり飛び込んでゆくようなイキの良さ、でもってドヒャーン、こら、凄いわ、どうにもこうにもたまりまへんでー、なノリに、すっかり圧倒されてしまいよりました。

本作と同じくナニワを舞台にしはった「どついたるねん」(1989年)やらはモチ、プロ・ボクサーの世界を描いてはるんどすが、本作のそのロケ現場と申せば、いかにも大阪をイメージしそうな場所をば、ビミョーにハズしてはるんどす。通天閣とか、道頓堀のグリコの看板とか、法善寺とかは出てきよりまへん。天王寺動物園はまあ、有名かもしれまへんが、とにかく、大阪人さえ知らへんかもしれへん場所で、撮るとゆうことをばやってはります。

しかも、キャラクターがピッタリ合っておます。東京弁よりずっと似合いそうな大阪弁をシャベらはる、市原隼人クンのハマリぶりにもビックラこいたし、学園スポ根ものでも、幼なじみの友達ものでは「ピンポン」(2002年)やらがあるけど、市原クンと友情を結ぶ高良健吾クンとのエピソードはええカンジどす。谷村美月ちゃんの「ブーブーッ」「しゃーないやん」な前向き系、市原クンに心中で「このクソガキ」とも呟く顧問教師役の香椎由宇ネーさん、これほどスノッブでエキセントリック系の役は、これまでなかったんとちゃうんかなーな筧利夫アニキとか、ココロが何やあったかーくなるような演技ぶりが、ずっと続いて心地よいのでおますよ。

でっかい見どころのボクシング対決シーンは4つほどこざります。モチ、クライマックスの対決が最大の見せ場でおますが、凄まじい打ち合いのシーンを3分近く長回しで撮影したり、その後、数年後へスライドしたあとに、「風が吹き抜けていったんだ」と高良クンが語り、そのミラクル旋風ぶりを示すなど、ココロにグイグイときよります。要所要所で新味をチビチビ加えてはる、会心作でおました。

Ⓒ2010 BOX! Production Committee

2010年5月 6日 (木)

フランス映画「エンター・ザ・ボイド」

あのヤラシー「アレックス」のギャスパー・ノエ監督が、前代未聞のドヒャラヒャ映像を撮らはったでー

点滅映像の「バベル」みたい、どっちゅうことあれへん、マジカル映像のオンパレードやー

http://www.enter-the-void.jp/

サタデー5月15日から、東京・シネマスクエアとうきゅうやらで、ほんでもって、5月下旬から、大阪・梅田ガーデンシネマやら、その後、京都シネマ、109シネマズHAT神戸やらで、全国順グリの、恐るべきロードショーやらかしはります。この映画を配給しはるんは、コムストック・グループはんどす。映画は「R-18+」指定だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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死んでしもて、ほんでもって、現世をさまよったり、魂が浮遊したり、天国やら地獄の入り口で何やかんやモメたり、挙げ句の果ては、天国から戻ってきはったりと、まあ、その種の映画は、これまでぎょうさん作られてまいりました。

これも、ある意味においては、その種の映画やと申せますが、これまでの映画とは、その仕上がりに、ものごっつーな格差がござります。

死んで、おのが人生をば走馬灯のように見はって、でもって、気にかかる人たちが、おのが死後にどないなってんねんなと見はって、つまり、「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年製作・アメリカ映画)みたいに、愛する人の行く末を見届けはって、ほな、成仏かいなと思たら違(ちご)とりまして、輪廻転生(りんねてんしょう)、再生するとゆう、一連のドラマをば、映画的な撮り方によりまして撮り上げた、おそらく映画史上初の作品でおます。

うん? そんなんやったら、今までにあったんやないかいな、と思わはる方もおられるやもしれまへん。例えば、キリストの再生とか降臨とか、フツーの人でも死んでからさまよった末に再生するドラマとか、あるやろとは思います。しかし、ここまでリアリティーあふれる描写で、しかも事細かにテッテー的に描き込んだ作品と申せば、皆無でおましょう。

殺される運命にある主人公が、主人公の両目による視点での、長回し撮影とゆうスタイルから映画は始まります。しかも、まばたき入りのカットを次々に挿入して、リアリズムをば追究しはります。コカインによるトリップ・シーンも、まるで万華鏡ならぬ億華鏡みたいな、チョー極彩色ワールドやし、あの点滅映像がチョイ問題になった「バベル」(2006年・メキシコ)みたいな、チカチカ・カットもござります。でも、気分が悪くなったりはしない…たぶん…思います。

でもって、主人公が死んでからは、上からの移動撮影やら俯瞰撮影の連続シュート、つまり、主人公は羽根付きで浮遊してはるっちゅうことですわな。この時、普通の映画やったら、死んだ主人公はしゃべらはりますけども、本編のしまいまでサイレントを貫かはるんどす。驚きました。

しかも、主人公の半生を見せる、いわゆる人生の走馬灯のようなカットでは、大人になった主人公は後頭部と背中しか絶対映さはりまへん。前からのカットはいっさいござんせん。浮遊する主人公視点やから、こうなるんでおます。

個人的なことをば申しよりますと、主人公が愛する妹(パス・デ・ラ・ウエルタ)のセックス・シーンは、本作の監督ギャスパー・ノエが撮らはった、7年前の前作「アレックス」(2002年・フランス)以上にエロエロでおました。子宮の中をCGでファンタジックに見せていく、映画史上初のシークエンスにも注目だす。ボクチン的には、今のところでおますけども、今年の洋画のナンバーワン・ラインとも思えるケッサクでおます。

Ⓒ2010 FIDELITE FILMS-WILD BUNCH-LES FILM DE LA ZONE-ESSENTIAL FILMPRODUKTION-BIM DISTRIBUZIONE-BUF COMPAGNIE

2010年5月 5日 (水)

野球日本映画「僕たちのプレイボール」

リトルリーグの実写バージョンは、そんなに多くはござりまへん

アニメ「プレイボール」やら「キャプテン」のノリがある映画となっておりま

http://www.bokupure.com

5月15日サタデーから、東京・渋谷東急やらで、関西はシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋やら、イオンシネマ久御山、109 シネマズ HAT 神戸やらで、全国ロードショーやー。配給はゴー・シネマはんやでー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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プロ野球の野球映画とか、高校野球ものとか、これまでケッコー野球映画は多く出てきてるんやけども、リトルリーグものって思いつく映画ってあるやろかな。まあ、あんましないわな。

見出しに書いた分はアニメものやし、「キャプテン」は実写化されてるけど、高校野球もんやしなー。「がんばれ!ベアーズ」シリーズ(1976年・1977年・1978年製作・アメリカ映画)くらいしか思い出されへんわ、カンニンやで。

しかも、ボクの苦手な文部科学省選定映画でおます。さらに、「リトルリーグ誕生70周年記念作品」なんてコピーもありよるんだす。その手の映画のマニュアル通りに進行してゆく映画と違うんかいなと、映画を見る前はボクチンは勘ぐっておました。

でも、見ていて、家族ドラマの描写を含めまして、確かにそうゆうとこもござりましたが、野球の練習シーンやら試合シーンのリアル感が、違っておました。阪神タイガース、メジャー、日本ハムと渡り歩いてきた、あの新庄剛志のアニキが、エグゼクティブプロデューサーとして、みんなの野球指導に当たらはったんでおますよ。

フツーなら試合シーンでは、ヘタなとこをごまかすために、スロー・モーションを思いっきり使ったり、CGシーンを使ったりするのやけど、そんなんいっさいなし。まさに、ガチンコ勝負でおます。

でもって、父役・吉田栄作ら登場人物たちが歌うシーンはじめ、サントラ使いが良かったでおます。まずは何といっても、「私を野球につれてって」(1949年・アメリカ・日本未公開)の主題歌を、いろんなパターンで聴かせるところやろね。

吉田栄作のヘタな歌から、クライマックスで魅せる、ピカピカの新人・小原裕貴クンの歌いっぷり、英語歌詞16ビート・バージョンあり、ギター&ストリングスのインストゥルメンタル・バージョンもあるといったカンジなんですわ。野球を意識しまくった、こうした音楽のシーンへの注入は、ドラマそのものも弾ませよります。映画リズムを心地よいものにするんだす。

いきなり冒頭から、8ビートの女性ボーカルによる、ポップロックに乗ってタイトに始まりよりまして、ミディアム・スロー、16ビート・ナンバーと繰り出されてきよります。そして、リトルリーグのメンバー全員による、「仰げば尊し」的なコーラス・ナンバーやら、試合中の快進撃シーンでは、ノリのいいロック・ナンバーを、みんなで歌ったバージョンで流したりと、よう考えて使われておます。

テレビの二時間ドラマではよう見ますけども、映画で久々に見た母役・羽田美智子はんをはじめ、原日出子はんと高田延彦はんの夫妻、さらに昔とは打って変わらはった、羽田はんの母役・まろやかな江波杏子のシブミやら、下町の人情節なノリが、映画をあったかーいものにしてはります。

ボクチン的には外国人監督が話す「となりのトトロ」(1988年・日本)のエピソードとか、レオナルド・ディカプリオは見てないけど、ジョニー・デップはちょっと見かけたかなと話す、小原クンのシーンなんぞが、思わずニヤリでおました。

Ⓒ2010「僕たちのプレイボール」製作委員会

2010年5月 4日 (火)

イラク戦争映画「グリーン・ゾーン」

ポール・グリーングラス監督が、ジェイソン・ボーン3部作に続き、マット・デイモンを主演に、えらい映画撮らはったわ

「ハート・ロッカー」に続く、強烈無比なイラク戦争ものやでー

http://www.GREEN-ZONE.JP

フライデー5月14日から、TOHOシネマズ梅田やら、ニッポン全国各地どこでもイッセーのロードショーでおます。本作の配給会社は東宝東和はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ハリウッド映画界では、かつてのベトナム戦争映画と同じく、このところ、いろんなイラク戦争ものが出てきておます。

現地のアメリカ兵のトンデモない不審な挙動ものやら、今年のアカデミー作品賞をゲットしはった「ハート・ロッカー」(2009年製作・アメリカ映画・公開中・2月12日付けで分析済みどす)の爆発物処理ものやら、そして、本作はブッシュ大統領がイラクに戦争を仕掛けた、そもそものポイントやった、大量破壊兵器を探すとゆう、ある種のキモに迫らはった戦争映画どす。

「ボーン・アイデンティティー」(2002年・アメリカ)、「ボーン・スプレマシー」(2004年・アメリカ)、「ボーン・アルティメイタム」(2007年・アメリカ)の、いわゆる「ジェイソン・ボーン」シリーズ3部作で、強靭なタッグを組んだ、ポール・グリーングラス監督と主演マット・デイモンの、再会作品となりよりました。

また、グリーングラス監督節としては、9.11テロものだった「ユナイテッド93」(2006年・アメリカ)に続く、超絶シリアス映画となったのでおますよ。

また、マット・デイモン的には、クリント・イーストウッド監督の「インビクタス」(2009年・アメリカ)の南アフリカ舞台から、イラクへと北上いたしておます。でもって、「ボーン」シリーズやら「オーシャンズ」シリーズ(2001年・2007年・アメリカ)やら以上に、ヒッパク系の眉しかめ続けの演技をば披露しはりました。

女性監督キャスリン・ピグローの「ハート・ロッカー」と比較しよりますれば、こちらは、やはり女性監督には、ビミョーに出せないような、男性監督らしき骨太感がござります。

冒頭の揺れ揺れのシーンに大爆発。手持ちカメラが揺れつつ、ミディアム・ショットな撮影をメインに、グラグラするような感覚。夜のシーンやら、グリーン画像やら、ザラついたシーンのビミョーな出し入れ。よくある夜のブルー・トーンのブルーを、いっさい排した作り。そして、「ボーン」シリーズの、でっかい見どころでおました、車やらを使わない生身の体による、走って追い逃げる逃走・追走アクションのトンデモなさは、本作でも健在でおました。

グリーングラス監督&マット・デイモンの、またまたケッサク印が生まれよりましたでおます。

© 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

2010年5月 3日 (月)

日本映画「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」

地方ロケ・部活学園青春映画のケッサクがまた1つ!

同じ愛媛ロケ「がんばっていきまっしょい」やら、

「スウィングガールズ」やらに優るとも劣りまへん

http://www.shodo-girls.com

サタデー5月15日から、梅田ピカデリーやらで、全国各地イッセーのロードショーでおまして、配給はワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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男子もいちおう入部してんねんけど、写真の通り、女子高校生を中心にした高校部活青春映画でおます。しかも、地方ロケーション映画でおます。

体育会系、文科系といろいろござりますところの部活ジャンルでおますけども、本作は書道、でも、ダイナミックな動きが求められよります書道パフォーマンスでおまして、どっちかと申せば、体育会系に近い文科系部活だす。

男子高校生をメインにした「書の道」なる映画も、今年、公開されよりましたが、そちらもオモロかったんやけど、こちらはさらにオモロサ2乗・3乗、でもって、友情とかキズナ・シーンとかが、実に心地よく、さわやかに胸にきよる作品となっておます。

紙の工場が写真のように、煙をモクモク出してる愛媛県四国中央市が舞台だす。その煙シーンが、この街をシンボライズしていくよなシーンの数々が、映画にさまざまなフックをば付けはります。

何を隠そう、そうでんねん、女子ボート部を描いた「がんばっていきまっしょい」(1998年製作)もまた、同じく愛媛ロケ映画でおました。また、見出しにも書きよりました通りでして、文科系部活ものとしよりましては「スウィングガールズ」(2004年)やら「ロボコン」(2003年)やらに加えまして、例えば、街の紙工場などをドラマにアクセントを加える点では、鋳物工場の「キューポラのある街」(1962年)なんかの、ポジティブなセンスも感じよったです。さらに、加えよりますに、剣道の「武士道シックスティーン」(公開中)に続く、成海璃子チャンの高校部活ものの連投演技だす。

「感動!」と言って部員同士が抱き合うシーンなんかは、「そのままやがな」でおますけども、実は、実に感動的なるシーンがいろいろあるんだす。特に、書道、つまり、文字によるパフォーマンス部の感動は特筆もんでした。

家庭の事情で書道部をやめんならんかった山下リオちゃんを、再び呼び戻すためのパフォーマンス、高畑充希チャンが父のためにパフォームするシーン、そして、クライマックスで「再生」をみんなで書くハラハラドキドキ感。書道がこれだけ感動をもたらすやなんて、ボクチン、初めて知りよった次第でおます。

加えて、ケータイ・ゲーム好きの臨時教師で、書道部の顧問になってしもた、金子ノブアキ・アニキのキャラクター造形が秀逸でおました。いかにも、現代にいてそうな教師役、でも、ピンポイントとなるとこでは、キチンとしたとこを見せてくれよるんやな~、これが。ああ、何やしらん、ええカンジやったわー。

でもって、書道パフォーマンスに欠かせないBGMでおます。ワーグナー「ワルキューレの騎行」、村田英雄「王将」、ビバルディ「四季」に加え、クライマックスの書道大会では、Jポップ・ナンバーが次々にかかるんで、せいだい楽しんでおくんなはれ。

ⒸNTV

2010年5月 2日 (日)

「幸福の黄色いハンカチ」ハリウッド・リメイク映画「イエロー・ハンカチーフ」

ベタベタよりも、アッサリ感のリメイク作。でも、この黄色は読むにはノリはよくないでー

で、赤へ転色。パリッとさわやかな、快作となりよりました

http://www.yellow-handkerchief.jp

サタデー6月26日から、東京・東劇、大阪・なんばパークスシネマ、名古屋・名演小劇場、北海道・札幌シネマフロンティア、九州・福岡中洲大洋やらで、全国各地イッセー、どっこもかしこもロードショーだす。この映画の配給会社は、松竹はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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山田洋次監督で、高倉健さん・武田鉄矢キンパチ先生・桃井かおりネーさんらが出はったアノ「幸福の黄色いハンカチ」(1977年製作)が、ハリウッドでリメイクされよりましたでー。

その公開に合わせよりまして、オリジナル版のデジタルリマスター版(東京では既に公開中でおます)も、後日分析しよるつもりでおますが、何と申しましょうか、この映画でおますが、日本的な情緒やらキモチを、どのようにハリウッド映画に移植しはったのか、個人的にも、とても興味がござりました。

そう、例えば、黒澤明監督の「用心棒」(1961年)とか、「七人の侍」(1954年)とかの時代劇は、ハリウッド的アクションをメインに展開できよりますし、「リング」(1998年)やらのホラーやったら、アメリカン・ホラーに転換すりゃいいわけでおまして、「黄色いハンカチ」みたいな、ある意味で日本的な、人情節の濃い人間ドラマ映画となりますれば、どないなんでおましょうか。

その意味においては、リチャード・ギアが主演してはるらしい、黒澤明の「生きる」(1952年)とかも、どないな仕上がりになっとるもんやら、チョイ気になりよります。でも、同じくギアはんが主演しはった「シャル・ウィ・ダンス?」(2004年・アメリカ映画)なんかは、それなりに楽しめる仕上がりにはなっておましたけども。

でもって、本作のお話でおます。写真にも写ってはる、オリジナル版にも出てはった桃井かおりネーさんを、製作陣のオリジナルへの敬意を表して、出演してもらいました。ちなみに、一番おっきな写真でおますけども、シーン写真やなく、オリジナル版の鉄矢・かおり役に扮しはった2人とのスリー・ショットでおます。

オリジナル版とゆうのんを、ついつい出してしもたりするんやけど、それとの比較、そして、その日本的情緒や人情が、どうアメリカン・タッチに、どんな具合に変換できたのかこそが、この映画の最大のポイントでござります。それ以外は、ボクチン的にはほぼ無用でござります。

ムショから出た主人公が帰る場所は、カトリーナの被害に遭った南部でおます。主人公に扮しますウィリアム・ハートは、アカデミー賞で主演男優賞までもろてはるチョー名優でおますが、オリジナル版の高倉健さんに、最も似合った演技をば披露してはります。でも、そのほかの人たちは、日本タイプからアメリカン・タイプへと、微妙に変えてはります。

そもそも、3人の赤の他人が、車に同乗して、ロードムービーするタイプとゆう作品は、2人とかはあっても、アメリカではほとんどなく、その設定を、どう自然に見せてゆくのかが、アメリカの観客を含めまして、重要なポイントでおます。

オリジナル版にあったいろんな道中エピソードを、一部設定は変えても、そのまま使ったりしてはりますが、チョイ首をひねるようなとこもあるんやけど、最後は、パリッとタイトでさわやか。オリジナル版より、アッサリしておるんやけど、コレこそアメリカン映画なさわやかさテイストでおました。

ボクチンとしては、日本的人情映画とアメリカン・ヒューマン映画との、ビミョーな違いがよく分かって、貴重な作品やと思いよります。

Ⓒ2009 DODI FILM PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED.

2010年5月 1日 (土)

映画「劇場版トリック 霊能力者バトルロイヤル」

仲間由紀恵おネーさまが演じはります、山田奈緒子ネーやんと、阿部寛アニキがやらはる、上田次郎おっさんの、あのデコボコ・チョチョリン・コンビが大活躍しよります映画第3弾やー

http://www.yamada-ueda.com

サタデー皐月八日から、全国東宝系で、遊びゴコロ満載節ミステリーでおますでーな、ロードショーでおます。映画の配給を申せば、モチ、東宝はんどすえー。

文=映画・ミステリー分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」製作委員会

テレビ版やらに続き、映画版となる第3弾でおますけど、本作は小説やらコミックやらの原作に頼らへんオリジナル作品だす。こういうオリジナル作品を創る厳しさは、ネタギレぎみのハリウッド映画はモチ、日本映画においても、同じ現状であるのでおます。

そんな中で、こんなユニーク極まりない、コメディ・ホラー&サスペンス&ミステリー・シリーズが、今から10年前に創られよりました。堤幸彦監督の、ミステリーへのこだわりが凝縮したような作りなんですわ、コレが。

トリック部含めよりまして、村や島を舞台にした点で、横溝正史ミステリーのノリ。でもって、仲間由紀恵&阿部寛キャラの造形は、ユーモア・ミステリーの巨匠・赤川次郎がよく使っていた、おっさんと女子大生コンビのキャラにかぶるんやないかいなと、ボクチンは思いよりました。

まあ、「容疑者Xの献身」(2008年製作・日本映画)の、あの「ガリレオ」シリーズの福山雅治・柴崎コウのノリも、あることはありよります。でも、本作はやっぱり、横溝&赤川が絶妙にミキシングされたんが、このシリーズなんやないかいなと、ボクチンは手前勝手に分析しよったのでおます。

ホラーの要素で言えば、確かに本作では、松平健マツケンはんと霊能者の恋人キャラに見え隠れする、貞子の「リング」(1998年・日本)であったりとか、サブ・タイトルにも出てくる通りでおまして、「バトル・ロワイアル」(2000年・日本)やらの影が見えたりしよります。

そやけど、本作は間違いなく、横溝正史系の本格ミステリーの系列をば、打ち出してはる作品なんでおますよ。キレのあるアッと驚くトリックが、次々に披露されよります。

超常現象系の事件も、仲間由紀恵演じる山田が、本作では「ぜんぶ」は入っておまへんが、「おまえのやっていることは、(ぜんぶ)お見通しだ!」と、マツケンはんに言わはりますんで、お楽しみにしてておくんなはれ。

マツケンが起こした火災に、山田が見舞われるシークエンスでは、「バックドラフト」(1991年・アメリカ)やら、でもって、山田の母役・巨匠書道家役の野際陽子が、本人が主演したかつてのテレビドラマ「キイハンター」になぞらえはった「紀伊半多」の書やら、また、ラスト近くでは「OK牧場の決斗」(1957年・アメリカ)やらへとつなげたりと、名作ドラマや映画を遊びゴコロをもって、オマージュしてはったりするシーンが、いつも通りでなかなかでおます。

でもって、ボクチンが最もココロにきたのはでんな、江戸末期の時代劇とゆうカタチで、山田の夢シーンから入る冒頭でおました。コレは間違いなく、寅さんの夢シーンから始まることが多かった「男はつらいよ」シリーズ(1969年~1995年・全48作)へのオマージュやないかな。

村上春樹の「1Q84」を文字ったみたいな、上田次郎の書物「IQ200」とかもオモロイわー。とにもかくにも、知的な遊びゴコロに満ちあふれた楽しい作品でおました。

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