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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2010年4月の記事

2010年4月30日 (金)

世界最長老監督作品「コロンブス 永遠の海」

ポルトガルの101歳監督マノエル・ド・オリヴェイラ監督の新作でおます

大航海時代のコロンブスへの、深い想いを伝えはる快作ドラマ映画どす

http://www.alcine-terran.com/umi

メーデー・サタデーの5月1日から、東京・岩波ホールで、サタデー6月19日から、ナニワ・テアトル梅田やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。映画の配給はアルシネテランはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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アメリカ大陸をば発見しはったコロンブスを描いた映画は、かつていくつかござりました。

しかし、本作は、そのコロンブスの想いや真実を探らんと、胸に秘めはった青年が、戦後1946年から2007年まで、執念深く追わはるドラマ映画でおます。コロンブスに魅了され憑かれてしもた人間の、ヒューマン・ドラマ映画でもありよります。また、1960年に主人公は結婚しはりまして、下の写真のように新婚旅行がてら、クルマに乗ってコロンブスを探らはるんどす。

2007年にも、上の写真のように、老夫婦になったこの2人はニューヨークへと、コロンブス探求で旅行しはるのですが、夫婦の絆も何げに描かれます。夫の探求心に愛を感じる妻、それをストレートに受けて「君を愛してる」と応じる夫。ワン・シークエンスだけで伝えられるキズナ・シーンは、この映画の感動の隠し味でおました。

さてはて、元へ戻りよりまして、コロンブス探求でおます。1946年に、主人公は弟、そして、後から来やはるんですが母やらと、父のいてるアメリカへと移住しはります。1946年のニューヨーク描写となりますれば、CGを使わずにいくとなればかなり難しい描写となりよります。けども、オリヴェイラ監督は、そんなんあっさりとクリアーしはります。

NYに着いてからは、濃霧やった設定にしはるんだす。そやから、当時の自由の女神やら街の様子やらを、再現せんでもいけるんだす。いずれにしろ低予算で撮ってはる映画どすから、そんなんCGやらVFXなんか使(つこ)たら、予算オーバーになりかねまへん。でも、そのへんのとこを、経費削減を、カンジさせずに魅せはります。

兄弟2人がタクシーに乗ってホテルへと向かうシーンで、霧が白濁した窓外に、信号の赤と緑が点綴され、「ポルトガルの国旗の色だ」と感慨深く言うシーンは、このドラマの入り口部としては、絶品でおました。

1分から2分の長回し撮影シーンが頻出しよります。それらのほとんどが、印象深いシーンなのでおますが、中でも、新婚夫婦が結婚式の神父のナレーションに乗って、ホテルを出てクルマに乗ってコロンブス探求へと向かうシーンや、老夫婦になった2人がクルマで海へ来て、海を眺めるシーンなんかが、良かったでおます。

空と地、海を中央に入れての空と地の2分割カットやら、空3分の2・地3分の1やら、空・海・地をスクリーン上で緻密に分割してゆく、美しきカットの連続に、ココロ震えるケッサクです。必見でおますよ。

2010年4月29日 (木)

尾野真千子主演映画「トロッコ」

「クライマーズ・ハイ」の続編的なカンジで、真千子ネーさんがシブい演技をば披露しはりました

リー・ピンビンの撮影が、目も鮮やかになるそう快作やでー

http://www.torocco-movie.com

サタデー皐月二十二日から、東京・シネスイッチ銀座、神奈川・横浜ニューテアトル、大阪は梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーでおます。この映画を配給しはるのは、ビターズ・エンドはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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台湾出身のオトンが突然、死んでしもて、ニッポン人のオカンはその遺骨を持ちまして、東京から台湾の夫の実家へと、幼い2人の息子兄弟をば連れて行かはります。でもって、オトンの父母やら、オトンの弟夫妻やらと、コドモたちと共に交流するっちゅう家族ドラマ映画でおます。

オカン役には、尾野真千子ネーさんが扮してはります。真千子ネーさんといえば、カンヌ国際映画祭で2等賞をもらわはった「殯(もがり)の森」(2007年製作・日本映画)やら、「クライマーズ・ハイ」(2008年)やらの新聞記者役が、当たり役でおます。

でもって、本作でおますけども、このヒロイン役は、夫とは新聞社で知り合って結婚したとゆう経緯でおまして、そうでおます、まるで「クライマーズ・ハイ」の続編的なエピソードになっておるんでおますよ。

コドモたちと祖父、「にあんちゃん」(1959年・日本)みたいな幼い兄弟同士、で、母と子のキズナを描き切った作品となりよりました。クライマックスとなりよります、兄弟のトロッコ・ロードムービー・スタイルは、なかなかでおました。台湾から日本へトロッコに乗って帰ろうやなんて、その純粋無垢なカンジが、胸にきよります。

そして、何といっても特筆すべき事項は、撮影とサントラでおます。撮影監督のリー・ピンビンと申しますれば、台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督との仕事ぶり、ウォン・カーウァイ監督の「花様年華」(2000年・香港)やら、是枝裕和監督の「空気人形」(2009年・日本)やらが有名だす。今後の待機作では「ノルウェイの森」(2010年・日本)なんぞも控えておます、ものごっつーな巨匠撮影監督でおます。

ふと小津安二郎などを思い出しよります、1分30秒くらいの食卓シーンの長回し撮影やら、アップ少なめで、遠近感あるロング・ショットを次々に繰り出していかはったりと、映画的撮り方の粋をば見せてくれはるんだす。

で、音楽でおます。バイオリニストの川井郁子おネーさまの、ピアノやチェロも取り込んだ、ドラマ効果を呼ぶサントラ使いでおます。ウットリとなれよりますで。

篠田正浩監督やら行定勲監督やらの助監督をば務めてきはった、川口浩史監督の初監督作品だす。初監督らしい、初々しさがそこかしこにござります。公開待機作となる、キム・ミンジュン&ソ・ドヨン共演で、オール韓国ロケを敢行した監督第2弾「チョルラの詩」も、えらい楽しみになってきよりました。

Ⓒ 2009 TOROCCO LLP

2010年4月28日 (水)

アカデミー賞ノミニー・ドキュメンタリー「ビルマVJ消された革命」

アウンサンスーチーさん始め、ビルマの現状を捉えはった作品でおます

隠し撮りカメラによる、熱血の映像がシュートやー

http://www.burmavj.jp

皐月十五日サタデーから、東京シアター・イメージフォーラムやら、関西やったら、サタデー6月5日より、十三(じゅうそう)・第七藝術劇場やら、全国順グリのロードショーやでー。映画の配給会社は「東風」はんどすえー。デンマーク映画でおます。

文=映画分析研究所・所長・宮城正樹

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写真の、ビルマのアウンサンスーチーさんとゆうたらでんな、いつまでもビルマ政府当局に拘束されておます、ガンジーはんみたいな運動家でおます。

実は現在、ビルマと申しますれば、トンデモない軍事政権になっとりまして、北朝鮮やらイラクやらと同じく、世界的に大問題となりそな爆弾をば、抱えてはる国なんでおますわ。

その現状をばビデオやDVDで映さはる、VJことビデオ・ジャーナリストなる方々がおります。でもでんな、ビルマ政府当局は、そんなトンでもネー現実をば映して、世界に広めてほしくないんでおました。つまり、ビルマ国内でのビデオ撮影は、許されないんでおますよ。

それでも、VJたちは執念深く、この現状をば、命がけで撮ろうとしはるんどす。モチ、それらは隠し撮りでおます。隠し撮りのオンパレードで、さてはて、映画的なものができよるもんなんか、試してはるような映画ドキュメンタリーなんでおます。こういう隠し撮りをメインにした、ドキュメンタリーは今までにはござりません。

しかも、市民たちが弾圧される系の映画では、中国を舞台にしたドキュメンタリー「天安門」(1995年製作・アメリカ映画)であるとか、韓国のドラマ映画「光州5.18」(2008年・韓国)であるとかに、肉迫するような仕上がりとなりよりました。

最近でも、タイのバンコクで殺されてしもた、ロイター通信のカメラマン岩本さんがいてはりました。でもって、本作でもビルマ当局の銃殺で殺されてしもた、日本人ジャーナリストの、シビア極まりないシーンがござります。思わず、目が点になってしまいよりますわ。

僧侶たちをメインに市民たちが、抗議行動を起こしていき、それが大きなウネリとなっていきよります。このあたりの描写は、とてもビビッドでおます。「何かが起こる」の主人公のナレーションから、遂に起こってしもた、トンでもネー弾圧シーンの連続攻撃。この混沌カオスぶりは、隠しカメラゆえに、どんなことになっとんのか分からへん、カメラが揺れまくります。むしろ、それゆえにこそ、凄まじいくらいのリアル感がシューティングしておますのですよ。

ビルマからタイへ逃げた主人公が、「(現状を)撮り続ける」の意志表示から始まり、そして、ラスト近くでは、タイからビルマに戻って、ヤッテヤルドーなポジティブな感覚が、ココロを抉りよりました、重厚なドキュメンタリーでおました。

Ⓒ2008 Majic Hour Films

2010年4月27日 (火)

ドキュメンタリー映画「沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー」

今の美しき沖縄ロケ映画のイメージとは、全然ちごとります

ニッポン返還前の沖縄をば、包み隠さず映さはりました

ああ、こんなオキナワなんて、もー、信じられへんわー

http://nakazakids.sakura.ne.jp

5月1日(サタデー&メーデー)から、大阪はシネ・ヌーヴォXにて上映後、全国各地へも回る予定だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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1971年の日本への返還前の1969年を背景にしはった、モノクロ・オキナワン・ドキュメンタリー映画でおます。

まあ、香港のイギリスから中国への返還とも、ある意味においてはリンクする感じでおましょうが、でも、時代感と共に、こちらは、相当ヤバイ感じでおまして、ふきだまり感と申しましょうか、べらんめーな感じと申しましょうか、いやいや、何ともいわれへん、アラマ・ポテチンな感じなんでおますよ。

コザ市に、東京で有名な花魁(おいらん)街「吉原」と同じ名前の地区がござりまして、そこで、売春しはるオンナたちへのインタビューを中心に、返還前のオキナワの「負」の部分へとアプローチしていかはります。

「沖縄奪還」なんて、威勢のいいスローガンを掲げてはる、ある大阪の社会運動団体に参加してはる個人へのインタビューでは、沖縄の娼婦をば抱かはりましたか、その印象は? なんて尋ねはり、それに、いきよりましたがな、なんて大いに答えはるんどすけど、「もっと、ちごたこと聞いてやー」でシメはって、この映画の監督はんの視点がシビアに見えてきよります。

確かに、今や、美しき沖縄ロケの映画が、多数出てきておりますけども、こんな沖縄など、今まで見たことないでー、みたいな感じなんでおます。娼婦たちへのココロの中へと食い入るようなインタビューは、もちろんメイン・ソースでおます。

さらに、不協和音のようなサントラ使いで移動撮影、揺らぐカットで混沌感を示す「全軍労」の抗議行動シーン、ストリップ・ショー、石油コンビナートにまつわる抗議行動に加え、黒人GIの「沖縄の彼女たち(娼婦たち)はアメリカに比べて最低だ」なんてセリフとか、沖縄音楽や踊りを見せていったりと、多種多彩に「返還前の沖縄」へと肉迫していかはるんだす。

宇多田ヒカルの藤圭子オカンが歌う「夢は夜ひらく」とか、森進一の「港町ブルース」とかを流して、時代感を示さはるシーンなんかも、良かったでおます。当時沖縄ロケを敢行した、今村昌平監督の「神々の深き欲望」(1968年)的な感じなんぞもあるんだす。

1971年製作・公開の本作のリマスター・リバイバルでおますが、当時の「キネマ旬報」の、日本映画の年間ベストテンでは25位をば刻んではります。25位やなんて低いやんか、なんて思わはるかもしれまへんけど、この種のドキュメンタリーの、たとえ25位とはいえ、数あるドラマ映画と対抗しての25位だけに、ボクチンは画期的なことやったと思います。

2010年4月26日 (月)

キャメロン・ディアス主演サスペンス「運命のボタン」

迷宮の巻き込まれ型サスペンスの異能系やんかー

ヒッチコックもビックラコンの、ワケ分からん映画やでー

http://www.unmeino.jp

サタデー5月8日から、東京・TOHOシネマズ みゆき座、大阪・TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップ、京都・TOHOシネマズ二条、神戸・三宮シネフェニックスやらで、全国各地イッセーのロードショーでおまして、配給はショウゲートはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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こんなキャメロン・ディアスおネーさんなんて、とまずはビックラコンでおました。

このネーさんは、なんチーましても、「メリーに首ったけ」(1998年製作・アメリカ映画)やらのトンデモネーなコメディエンヌぶりがあり、「チャーリーズ・エンジェル」(2000年・アメリカ)やらの、おバカチックな旋風アクションぶりがあるといった、いわゆる正統系もしくはシリアス演技をはずれたところに、もーどうにも、たまらへん持ち味がある女優はんでおましてな、こういうのんはどないでおますやろか。

「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2001年・アメリカ)やらはケッコー、シビアなネーさんやったけど、本作ではシビアとゆうか、弱々しいとゆうか、ああ、中年女性のかよわい系を、ホンマ、大マジで演じはりました。

1976年のアメリカのヴァージニア州が舞台でおまして、写真に写っておますボックスのボタンを押すだけで、1億円もらえる代わりに、どこかで1人の人間が、殺される運命にあるやなんて設定の、単純設定でおます。こういう設定なのに、キャメロンネーさんが金に目がくらんで思わず押してしもたために、彼女はじめ夫や息子が、えらい目に遭ってしまわはるとゆう展開でおます。

一体、ウラには誰がおるねんとか、こんな人を試すようなことして、一体どんな意味があるねんとか、見ているうちに、疑問がフツフツと湧いてまいります。

本作は、スティーヴン・スピルバーグ監督の不気味なカー・チェイス・サスペンス「激突!」(1971年製作・アメリカ)の原作者&脚本家であったりとか、「アイ・アム・レジェンド」(2007年・アメリカ)の原作小説家であったりとかしはる、リチャード・マシスンはんの短編小説が原作となっておます。この原作は映像化不可能なカンジなんやけど、それを強引に映画化したようなとこがあったんでおましょう、論理的に説明されないところがいくつかござります。

エイリアンの異星人が関係しとんのかとか、事件とはそもそも何の関係もない、いろんな人たちをコントロールしとんのは、一体誰やねんとか、いろいろあるんやけど、これだけシンプルな設定で、次々に災難が降りかかってくると、もう考えとる余裕もないんでおます。アラマってゆうてる間に、ジ・エンドですわ。

ボクチンとしては、ネタもよう分からへんので、ネタバレもござりまへんし、出しようもありまへん。中盤の水CGを使った、前へ前へと進む白色系の映像シーンは、ワケ分からへんけど良かったどす。チョー異色のサスペンス映画どす。

Ⓒ2009 MRC II DISTRIBUTION COMPANY LP. ALL RIGHTS RESERVED

2010年4月25日 (日)

人類滅亡後を描くアニメ「9(ナイン)-9番目の奇妙な人形-」

チェコ・アニメにおっきな影響受けはったアニメ映画どす

これまでのアメリカン・アニメになかったタイプでおます

http://www.9.gaga.ne.jp

5月8日サタデーから、東京・新宿ピカデリー、大阪はシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマやら、京都・MOVIX京都、神戸はシネ・リーブル神戸やら、全国各地イッセーのロードショーやらかします。映画の配給会社は、ギャガはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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これまでのアメリカン・アニメのイメージをば、ビミョーに変えはった作品でおます。そのテイストがいいか悪いかは、もちろん、みなさんの判断でおますが、ディズニーとか、ドリームワークスとかはモチ、ニッポンの宮崎駿アニメやら、そのほかいっぱいあるジャパニーズ・アニメやらとも、どこか違いよります。

そのどこかは一体どこにあるんかを、検証してみまするに、新人監督のシェーン・アッカー君がゆわはるには、チェコ・アニメらしいのでおまして、ティム・バートン監督はんも、その今までにないテイスト(発表時は短編でおました)に魅せられはって、思わずプロデュースして売り出そうとしやはったんでおますよ。

ああ、なるへそな、とボクは思いました。確かにディズニーの正統系アニメの流れとは違いよりますけども、ティム・バートンはんが考えはり、製作しはったディズニー・アニメ「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993年製作・アメリカ映画)のノリが、確かにそこはかとなくカンジられよります。

「ナイトメアー…」はストップ・モーション・アニメ、つまり、ヒトコマずつをじっくり撮り上げてゆくとゆう、気の遠くなるような作業でおましたが、アニメ映画史にクッキリと刻まれる作品となりました。そして、本作はどないでおましょうか。

人類が滅びてしもた、未来の世界が背景になっておます。そこでは、人のココロを持った9体の麻人形と、写真一番下の容赦なき「ビースト」やらの殺人マシーンとが、戦争状態になっておるんだす。アクション・シーンやらもビビッドに仕上げられとるんですが、やはり、アニメは色使いやとボクは勝手に思とるんやけど、配色にオリジナリティーがおました。

セピア配色をメインにしつつも、黒い雲、薄グリーン、レッドなんかを細かく入れていかはるんだす。モノクロ・シーンもござります。ヒトラーを思い出させる総統キャラクターのモノクロ・カットなんか、時々インパクトあるシーンが出てきよるのです。

人類消滅後の世界を描く意味では、最新ヒット作の「2012」(2009年・アメリカ)であったり、古くは「渚にて」(1959年・アメリカ)なんて作品も思い出しよりましたわ。「オズの魔法使」(1939年・アメリカ)の主題歌「オーバー・ザ・レインボウ」が、レコードとして流れるシーンなんぞも、オモロかったです。

Ⓒ2009 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

2010年4月24日 (土)

映画「ゼブラーマン2-ゼブラシティの逆襲-」

クドカン脚本と三池崇史監督と、25周年の哀川翔アニキと、仲里依紗ちゃんが、ものごっつー、一緒に思いっきり遊ばはりました

「ブレードランナー」「ゴーストバスターズ」「バットマン」やらをチョイ思い出したりしてもうたわー

http://www.zeb2.jp

メーデー・サタデーの5月1日から、全国イッセーのドカーンとロードショーでおます。この映画の配給をしはるのは、東映はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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哀川翔アニキの主演映画100本目のメモリアル作となりよった、「ゼブラーマン」(2004年製作・日本映画)の、第2弾にして完結バージョンが本作でおます。

哀川アニキのデビュー25周年やらも、メモリアルしてのもんやけども、コレがえらい遊びゴコロに満ち満ちあふれてしもた、トンでもネー怪・怪・快・快作になりよりましたわー、でおます。

コミック・アニメ系の実写版の系譜としよりましては、「ヤッターマン」(2009年・日本)やら「キューティーハニー」(2003年・日本)のノリもあるんやけど、遊びゴコロのハチキレ感は本作が最高でおましょう。見出しにも書きよりましたようにでんな、アメコミ原作系の「バットマン」シリーズ(1989年~2009年・アメリカ)やら「スパイダーマン」シリーズ(2002年~2006年・アメリカ)やらのノリは、当然ござります。まあ、簡単に申しますれば、本作も変身タイプの主人公やからね。

でもって、「ゴーストバスターズ」(1984年・アメリカ)の幽霊キャラみたいな、大いに笑えるエイリアン・キャラが、CGにて登場しよります。で、哀川アニキの分身となりよります、仲里依紗ちゃん扮するゼブラクイーンのキャラが、まるで「ブレードランナー」(1982年・アメリカ)の、ダリル・ハンナが演じた女レプリカントのイメージと、ものごっつーかぶります。

コレらのイメージ・メイキングは、モチ、宮藤官九郎クドカンと、三池崇史監督のセンスが入っておりま。しかも、あくまでB級映画のテイストを、とことん追究したような仕上がりなんですわ。たまげました。

薄ダーク・ブルー・トーン入りやらで展開しよります、打ち込み系のユーロビート・ナンバーを歌うゼブラクイーンのライブ・シーンに、ココリコの田中直樹が「かなりやらしいですよね」と言ったり、仮の「ゼブラーマン」のTVシリーズを流して、チープ感をあおったりと、イロイロ出よります。

「ゼブラーマン」の善玉と悪玉を、遠心分離回転マシーンで分離するなんてゆうエピソード。まあ、コレによって、善の哀川アニキと悪の里依紗ちゃんに分かれたんやけど、とにもかくにも、イロイロあって、「合体しなければ勝てない」とゆうクライマックスのエピソードは、大笑いなしでは見られまへん。クドカン・三池監督の遊びゴコロが、ピークを迎えよったシークエンスでおます。

ゼブラーマンの決めゼリフになっておます「白か黒か、はっきりさせるぜ」も、要所要所で発せられますんで、注目しておくんなはれ。

Ⓒ2010「ゼブラーマン2-ゼブラシティの逆襲-」製作委員会

2010年4月23日 (金)

村上春樹著「1Q84 BOOK3」

20年の時を経て青豆と天吾は、果たして再会できよるのか

闇の私立探偵・牛河は、犯人・青豆をホンマに探せんのか

この2つの大きな柱がスリリングに展開やー

文=映画・小説分析評論家・宮城正樹

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いきなりでおますが、ボクチン、本作の371ページ目に誤植を見つけてしまいよりました。「すいぶん前から」→「ずいぶん前から」ですわ。新潮社にはさっそく連絡いたしましたので、101万部目からは、きっと直っとるはずでおますんで、よろしくだす。

さて、それは、まあええといたしまして、ほな、書評たらゆうもんに入らさせてもらいまっさ。「1」&「2」を読んではらへん方は、以下は読まはらへんのがええかと思います。

ヒロイン青豆のセックス好きとか、「世界が終わったような痛み」やとかいう股間蹴りの話やら「1」と「2」では、メインの話からそれるエピソードが満載でおましたが、この3作目では、それらを控えめにしはりました。

黄色と緑色の2つの月がある、「論理が力を持たない危険な1Q84」年の世界のドラマの終着点へ向けて、ソリッドに、シンプルに、ストレートに物語が進行しよるのだす。

でもって、結局は「2」の最後の方で、拳銃自殺をしなかった青豆視点、主人公の天吾視点に加えよりまして、リーダーを殺したらしい青豆の居場所を見つけろと、教団から依頼を受けはった牛河探偵の視点サイドが、新たに加わりました。

その3サイドを、時制を微妙に前へ戻したり、あとにスライドさせたりしつつ、物語を紡がはります。この時制のスライドは、見出しに書きよりました2つの重要なポイントをば、スリリングに読ませんがために、仕掛けられておます。本編の途中で、青豆と天吾が会いそうになるところでは、実はすれ違うカンジになるんでおますが、3人視点の3パターンに加えて、作者視点の文章も入れるっちゅう、念の入りようなんどす。

でもって、牛河サイドの描写でおますが、人探しをする探偵が、やがて自己のアイデンティティーを失っていく姿を描いた、安部公房作「燃えつきた地図」なんぞを想起させよります。そして、天吾の父の生体解脱したらしい人物が、NHKの集金人になり、牛河、青豆らの部屋の扉を叩き、トンでもない営業トークを叫びます。これは、ナゾを膨らませるエピソードでおました。加えて、具体的には申しませんが、青豆のでっかいエピソードが入っておます。

書物や映画の引用なども、「1」「2」に比べて控えめになっておますが、出てきよります。青豆が読み、どこか別の世界の話に思えるとゆう、プルーストの「失われた時を求めて」。天吾が病床の父に読み聞かせる、ディネーセンの「アフリカの日々」。コレは「愛と哀しみの果て」のタイトルで1985年に映画化され、アカデミー賞の作品賞をばゲットしましたが、映画的引用としては、この1984年には使えまへん。天吾が再び訪れるのを待つ、青豆がベランダのスキマからのぞく公園の形容で「渚にて」(1959年)が、また、教団から拉致拘束され解放された編集者と、天吾の会話の中で、「コレクター」(1965年)や「2001年宇宙の旅」(1968年)が出よります。

でもって、本作で話はジ・エンドなんかと申しますれば、それも分かりまへん。新しい世界へ、2人は行ったっちゅうような終わり方なんで、その新世界での話が再び始まりそうな予感がござるのです。今後のニュースを、楽しみにしときまひょ。

日本映画「パーマネント野ばら」

菅野美穂ネーさんが、いつもと違う、ホワ~ンとした自然体の演技で、ドラマ効果を高めはります

江口洋介のアニキとの恋の行方、3世代の母娘のキズナやらが、泣かせよりま

http://www.nobara.jp

5月22日サタデーから、全国イッセーのロードショーやー。関西やったら、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都やら、シネ・リーブル神戸やらで上映だす。この映画を配給しはるのは、ショウゲートはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2010映画「パーマネント野ばら」製作委員会

ああ、この映画は、例えばでんな、シンクロナイズしそうな近作やら過去の名作やらを、オレは映画のことにはえらい詳しいんやでー、なんていい気になって、ちょっとでも出してしもたら、「楽しみにしとったのに、見る前に何ちゅうことゆうねん!」とかのお怒りの声とか、何もかも台無しやん、おジャンやん、になってしまうっちゅう、ああ、「取り扱いご注意」の作品になってしもたんどすえー。

タイトルになっておます、高知の田舎の美容院やってはる夏木マリ扮する祖母・菅野美穂扮する母・幼い娘の3世代のキズナ映画部、離婚してる母には恋人がいてはって、その江口洋介扮する恋人とのラブ・ストーリー部、でもって、美穂ネーさんの池脇千鶴ちゃんや小池栄子ネーさんが扮する、幼なじみの女友達らとの友情物語部。まあ、大むね展開しよるのは、この3つくらいでおます。

よう、考えてみておくんなはれ。この3エピソードのどこに、「取り扱いご注意」がござるとゆうのであーりましょうか。ミステリーやらサスペンス的なとこなんか、どこにもござりまへん。ああ、それーなのに、それなのに、でおますよ。もどかしいのでおますわ。

しかも、思いっきり、真相への伏線シーンやシークエンスやらが、実はテンコ盛りになっとるんだす。ああ、たまりまへん。ケータイがない時代の話なんかどうなんかはよう分かりまへんが、公衆電話から美穂ネーさんが、江口のアニキに電話しよるのですけども、「なんで、寂しくて、寂しくて」とか訴えはったり、友達に「私、気が狂ってる?」と尋ねてみたりとか、イロイロござります。

池脇千鶴ちゃんが男にフラレるシーンの数々をタイトに、スクリーンの中に縮小カットで組み込んだり、夫とのある種、狂気じみた小池ネーさんのやり取りやら、美容院=パーマ屋での、おばちゃんを中心にした下ネタ話やら、美穂ネーさん以外の人を異色キャラ色で見せてはるのは、まるでワザトラマンのようでおます。

真夜中にスナックをハシゴする醍醐味を話す宇崎竜童はん、電柱ギリで儲けようとする小池ネーさんのオトン・本田博太郎はんやらも、かなりおかしなキャラでおます。

「いい人は街を出て、今は腐った人しか残っていない」なんて、美穂ネーさんが江口アニキにゆうシーンがあるんやけど、基本は、菅野美穂ネーさんのヒロイン・ドラマなんでおますよ。ちなみに、本作は高知ロケをばしてはります。

でも、本作のでっかいトリックのために、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(2007年製作)でも、硬軟両用の女性心理演出が巧みだった吉田大八監督が、巧妙に女性ドラマ的仕掛けをば、施さはりました。漫画家・西原理恵子はんの小説が原作映画でおますが、原作を超えたと思えるくらいのヒロイン・ドラマ演出に、強烈なハットトリックがござりました。

2010年4月22日 (木)

ドキュメンタリー映画「遺言なき自死からのメッセージ」

「ゆきゆきて、神軍」の原一男監督の門下生が、いざ、出陣でおます

自殺の実態へと迫るべく、奮闘努力した渾身の仕上がりでおます

http://nakazakids.sakura.ne.jp

メーデー・サタデーの5月1日から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォXにて上映しよりまして、その後、全国へと回る予定でおます。この映画は、大阪は中崎町の「中崎町ドキュメンタリースペース(NDS)」が、製作してはります映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ああ、アア、嗚呼、オトンが遺言なき、ナゾの自殺を遂げてしもた。そんなん、信じられへんわー。それが一つの人生の、おっきなトラウマになりかねないんでおますけども、主人公というか監督・梶井洋志クンは、オトンが死んだ原因を究明すべく、このドキュメンタリーをば撮らはりました。

この若き監督はんでおますが、大阪は「中崎町ドキュメンタリースペース」なる、大阪発のドキュメンタリー集団に属してはりまして、かのドキュメンタリー映画の歴史的ケッサク「ゆきゆきて、神軍」(1987年製作・日本映画)などを撮らはった、原一男監督はんの門下生でおます。

かつては、監督・助監督、あるいは、大手の映画会社の撮影所時代には、この手の関係は、思いっきりござりました。でも、今や、そんなんは、遠い、遠い、今は昔でおます。それでも、何とか師弟関係をば結ばはった梶井クンが、その原監督に応えるべく、渾身の精一杯の作品を作ってきはりました。

「ゆきゆきて、神軍」スタイルの、真実を追究せんがための執念は感じられよったのやけど、なにせ「ゆきゆきて…」では、あのエキセントリックな奥崎謙三なる主人公が、やりたい放題でおましたが、本作では、そんなトンデモない人を起用できよりまへんでした。しかし、ようガンバってはりますよ。

自殺者が年々増加する傾向にある現代でおますが、確かに、リーマン・ショック以前と以降では、その自殺の質なんてゆうたら変でおますけども、変わってきておます。でも、本作はそのあたりをば追究して、分析してみようかとゆう作りやおまへん。あくまで、オトンはなんで、僕らを残して死んだんか、そこへ迫ろうと、ガンバらはるんだす。

でもって、同じくオカンが自殺しはった、知り合いの娘はんへと、シンクロするように取材撮影をばしていかはります。一方で、監督のオトンが撮ったホームビデオの映像を本編の半分近くで、展開しはるのです。監督が幼い頃にピアノを弾いてはったり、監督の弟が中島みゆきのナンバーに乗って踊ってるシーンやら、オトンが撮ったビデオ・シーンの連続が、ありふれたシーンにも関わらず、何やら胸にきよります。

娘はんの自殺したオカンの周辺取材から、浮き彫りになりよる意外な真実やらサプライズに、思わず席を乗り出したりするんやけど、やはり、突っ込み取材が足りない感じがあるんだす。

モチ「鬼火」(1963年・フランス)のような、ワケ分からん哲学性なんかは、求めてはりまへん。あくまで、真実なんでおます。イロイロガンバッた末にたどり着かはった真実とは、一体何やー。ぜひ、その真実をば、ご確認くだされ。

2010年4月21日 (水)

アニメ映画「劇場版 銀魂(ぎんたま) 新訳紅桜篇」

「龍馬伝」と合わせて見はったら楽しさ倍増の、コミカル幕末トンデモ・アニメだす

本ネタやけど、ピンク色の名刀が人間に取り憑くやなんて、そんなアホなー、やんかー

http://www.gintama-movie.com

サタデー4月24日から、全国各地イッセーのロードショーでおまして、大阪やったら、梅田ブルク7(セブン)やらで公開どす。このギンタマ映画の配給会社は、ワーナー・ブラザース映画でおます。

文=映画分析研究所・所長・宮城正樹

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Ⓒ空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

2006年からテレビ東京系列(大阪やったらテレビ大阪どす)で、毎週オンエアされとったらしいアニメでおまして、この3月で終了してしもたアニメが、何とまあー、その劇場版が作られよりました。

ボクチンはこのアニメをば、「週刊少年ジャンプ」連載の原作も読んでまへんし、テレビ・シリーズも見てはおりまへん。そやから、このアニメを何も知らなかった場合に、コレを見たら、さてはて、どないなもんなんやろかを中心に、マスコミ試写室にて拝見させてもらいました。アニメ・マニアック度は高い作品やとは思いましたし、少々分かりにくいとこはあるんやけど、コレがケッコー楽しめましたんでおますよ。

日本のバンド「DOES」が、歌い演奏する16ビートロックを流さはっての、剣撃アクションシーンとか、いかにもテレビアニメのノリと違うのん、なとこもあるんでおますが、ヤッパ、ケッタイなんやけど、幕末もんっちゅうことで、NHKの「龍馬伝」のウラ「龍馬伝」、しかも、メッチャ・コメディー入りとゆうことで、見ていかはったら、そら、かなりオモロイもんやと思わはるんやないでしょうか。

写真の3人やったら、真ん中に映ってはる坂田銀時(ぎんとき)を坂本龍馬に、左の桂小太郎は桂小五郎に、右の高杉晋助は高杉晋作に、見立てはって見はったら、ええあんばいやろかいなと思いよります。

宇宙人に脅える幕府の構図なんかも、黒船にたとえられたりしよりますし、ほかにも「龍馬伝」と、シンクロしよりそうなキャラと申しますれば、吉田松陰、武市半平太、岡田以蔵、新選組のメンバーたちやら、いろいろ出てきよりますので、要チェックしておくんなはれ。

幕末には絶対いてへんかった、エキセントリックなキャラやらを随時、配置してはるのもオモロイですわ。特に、「オバケのQ太郎」をシンプル化したような宇宙人「エリザベス」、この方は地球語を喋れまへんので、いちいち札に書いて知らせはります。「ッスヨ」なタメ口で拳銃ブッ放す女やら、主人公・銀時側の目のでっかい「神楽」など、変な日本語喋りながら、バクレツ・アクションをば見せます。

そんでもって、遊びゴコロなシーンでおます。冒頭の3度にわたるイントロのやり直しカットやら、ラストの、出番がなかったり少なかったした、いろんなキャラたちが出てきて自己主張したりと、チョイやりすぎかなとも思うとこはあるんやけど、こういうのんはアニメとしては、稀少やないかいなと思いよりました。

2010年4月20日 (火)

サム・ワーシントン主演3D映画「タイタンの戦い」

「アバター」のサムのアニキが、ペルセウス役でおます

リメイク作、ロードムービー、リベンジ・アクション、怪獣映画ノリやら、いっぱい入っておりま

http://www.titan-movie.jp

フライデー4月23日から、全国各地イッセーのロードショーでおまして、大阪やったら、梅田ピカデリーやらで上映しはります。3D版、2D版同時上映でおまして、日本語吹き替え版もござります。この映画を配給しはるのは、ワーナー・ブラザース映画はんでおます。

文=映画分析研究所・所長・宮城正樹

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「アバター」(2009年製作・アメリカ映画)で男にならはった、サム・ワーシントンのアニキの主演映画だす。とはいえ、それまで女やったわけやおまへん。

オーストラリア出身のイケメン・アクト俳優はんでおますが、でも、「アバター」までにも、シブい演技をば披露し続けてはって、ホンマは演技派志向なんですわ。

でも、やっぱ、シュワちゃんやらブルース・ウィリスやら並みに、アクション映えしてはるスターさんでおます。しかも、イケメンやから余計でおます。彼のクローズアップが最も多いのんも、それをば示しておりま。

そんでもって、いろんな映画スパイスが入っておますけども、何とも言えへんB級映画のノリが、たまりまへん。なんや、B級映画かいなー、なんてバカにはできよりまへん。こういうノリは、えてしてA級映画なんかよりも、映画史に、みんなのココロに、永~く残るなんてゆうこともござるのですよ。

でもって、いろんなアクション映画としてのスパイスを振りかけてはるんだす。本作を見る前に、ボクチンは、紀元前ものの時代劇とか、ギリシャ神話やらをエンターテインメント化した、いろんなかつてあった映画のノリを、想定しておったのでおますが、心地よく、でもってB級映画のノリで裏切られたんでおます。コレは快感でした。リーアム・ニーソンや、レイフ・ファインズら、演技巧者たちが、このB級ノリに合わせて、演技してはるとこなんかも痛快でおます。

「タイタンの戦い」(1981年・イギリス)の、いちおうリメイクなんでおますけども、3D映像はモチ、2D映像でも、やはり臨場感、ビビッド感が格段に違(ちご)とります。特に、観客側へ向かって動いたり、移動撮影するシーンは迫力が増しよります。そやから、そういうカットが、かなり盛り込まれておます。

神々と人間たちの対決とゆう、ユニークなアイデアも特筆だす。「ロード・オブ・ザ・リング」3部作シリーズ(2001年~2003年・アメリカ映画)なロードムービー系、家族が殺されたことへのリベンジ映画ノリ、さそりモンスターやら海の大怪獣やらとの対決シーンなど、怪獣映画としてのオモロサもござります。

で、サムのアニキは、神と人の間に生まれた「半分神・半分人」っちゅう設定でおますんで、きっと半吸血鬼設定の「ブレイド」(1998年・アメリカ)やら「ダレン・シャン」(公開中)やらに、影響を与えておますハズどすえー。

Ⓒ 2010 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC AND LEGENDARY PICTURES

2010年4月19日 (月)

超絶格闘タイ映画「ジージャー:頑固に、美しく、猛々しく」

「チョコレート・ファイター」に続き、アクション・アイドルの

ジージャーちゃんの魅力が満開全開やでー

まさに、女版「燃えよドラゴン」でおます

http://www..oaff.jp

公開は未定でおます。今年公開されるんを、ボクチン祈っておます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ジージャーちゃんが主演し、スタントいっさいなしの生身で、トンでも格闘アクションを披露し続けたアノ「チョコレート・ファイター」(2008年・タイ映画)に続き、さらにボリューム・アップのチョー・スピードフル・アクトで魅せてくれはるのが、この映画でおます。

アメリカやらでは、ボクシングとかプロレスとか、女格闘系映画はあるにはあるんやけど、そんなに活発やおまへん。片や、アジアに目を向けましても、「燃えるドラゴン」(1973年製作・アメリカ&香港合作)やら、ジャッキー・チェン・アクションものやら、大たいが男が主流でおまして、女ヒロイン・アクト、しかも、アイドルっぽい感じのヒロインのアクションものなんて、まあ、中国のチャン・ツィイーちゃんくらいなんやないかな。そんな中で、タイでおますよ、タイ。

かわいい女性が次々に誘拐される、っちゅう事件が起こりよりまして、ジージャーちゃんも誘拐されそうになってしもて、主人公の助ダチもありよりまして、難を逃れたんでおますが、その主人公のフィアンセが誘拐・拉致・拘束されてはります。で、主人公はモチ、ジージャーちゃんもメンバーに入って、フィアンセ奪回作戦へと乗り出さはるっちゅうお話でおます。

女のフェロモンを香水作りに生かすなんて、トンデモネーことやってはる犯人グループでおましてな、泣きの涙を集めて蒸留し、高級香水にして売り出して、大儲けをたくらむやなんて。まー、かつてない設定やろね。

でもって、やっぱりでっかい見どころはモチ、アクション・シーンでおます。いろんなとこに刃入りのグループとのバーサス、ヒップホップ流して酒飲んでのヨッパライ・アクト。ジャッキー・チェンの「酔拳」(1978年・香港)へ、オマージュを捧げたみたいな、このヨッパラッえばヨッパラうほど、キョーレツ・アクションが披露できよるとゆう、いくつかのシーンは、この映画の一つのキモにもなっておます。

クライマックス状態が次々にきよるのですが、何と申しましても、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(1984年・アメリカ)みたいな吊り橋アクトを、拡大応用したシークエンスは、もう目が点になってしまいよりましたわ、でおます。

ジージャーちゃんのアップも多く、彼女の魅力が全方向で開花した快作です。

2010年4月18日 (日)

リュック・ベッソン監督映画「アーサーと魔王マルタザールの逆襲」

少女異世界ファンタジーが多いけど、少年ものも忘れんといてやー

リュック・ベッソンが「フィフス・エレメント」並みに、カラフルに展開しはりました

http://www.arthur-movie.jp

「昭和の日」の4月29日祝日から、全国イッセーのロードショーやー。関西の三都やったら、大阪・梅田ピカデリー、なんばパークスシネマやら、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映でおます。映画の配給会社は、アスミック・エースはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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写真一番下の中央にいてはります、本作の演出中のリュック・ベッソン監督の新作でおます。

アーサー・シリーズ3部作の、「アーサーとミニモイの不思議な国」(2006年製作・フランス映画)に続く、実写と3D-CGアニメを融合しはった、その第2弾でおます。3部作とゆう括りでは、例えば「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年・2002年・2003年・アメリカ)みたいなスタイルでおまして、ディズニーやらドリームワークスのアメリカン・アニメに、対抗意識をばメラメラ燃やして作らはった作品やと思います。

ディズニーやら宮崎駿アニメやら、また、「アリス・イン・ワンダーランド」(4月17日より公開中)やら、現実世界から異世界へ行って大活躍しはる映画としては、最近は少女ヒロインものがハバをばきかせてはりますが、コレは、まさに冒険映画の原点回帰とも申せます、少年主人公ものだす。「トム・ソーヤ」やら「ハックル・ベリーフィン」やら「ハリー・ポッター」やらがござりますが、最近稀少なだけに、逆に新鮮に映るのでおますよ。

そして、ベッソン監督のSF映画「フィフス・エレメント」(1997年・アメリカ&フランス)みたいな、色彩のカラフル感に酔う作りにもなっておるんだす。地上の自然光での天然色シーンもござりますが、主人公が地下世界へ入ってからのカラフル感には、めまいが起こるくらいクラクラになりよりました。まさに極彩色ワールドだす。

で、そんな中で、前作に優るとも劣らないアクション・シーンが展開しよります。何といっても、逃走・追跡シーンのドドッとダイナミズムですわ。ネズミに襲われるダーク・トーンな場面から、アゲハ蝶、クモと乗り換えて、王国を目指すシーンの、ハットトリッキーな感覚は本作のハイライトでおましょう。

また、ラブ・ストーリー部と、アウトロー部の対比も効果的でおます。ヒロインの王女と主人公の再会までのエピソード。でもって、前作で主人公にやられて、その後、身をやつしてさまよった魔王マルタザールの、リベンジへのプロセス。この対比描写によりまして、完結編への期待がドカーンと高まる仕掛けになっておりま。

ボクチンの個人的には、「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年・アメリカ)「フォロー・ミー」(1972年・アメリカ&イギリス)やら、一時期結婚してはったウディ・アレン監督作品やらに出てはった、ミア・ファローはんの出演が、懐かしくもあって良かったでおました。

Ⓒ 2009 EUROPACORP - TF1 FILMS PRODUCTION - APIPOULAI PROD- AVALANCHE PRODUCTIONS Images et Effets 3D - BUF

2010年4月17日 (土)

映画「矢島美容室 THE MOVIE 夢をつかまネバダ」

「とんねるず」と「DJ OZMA」の、あのユニット

「矢島美容室」が映画初主演やー

バラエティーを超えた、音楽映画のキモチいいー快作どす

http://www.yazima.jp

昭和の日・4月29日から、全国各地イッセーのロードショーでおます。この映画の配給会社は松竹はんどすえー。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

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テレビドラマの映画版は数多いけど、バラエティー番組はどないかな。で、コレはフジテレビのバラエティー「とんねるずのみなさんのおかげでした」が、映画化されたとゆう体裁の作品でおます。

その番組で誕生しはった3人組ユニット「矢島美容室」の、日本デビューまでのいきさつをたどるとゆう展開なんやけど、そのバラエティーを見とらんでも、映画オリジナル作品としてヒジョーに楽しい作品になっておますよ。

なんといっても、やっぱし、音楽映画としての魅力でおます。何しろ、冒頭からラストロールまで、のべつまくなしに、音楽がかかっておるんだす。しかも、チェロやバイオリンの弦楽をメインに据えた、壮大なオーケストラ・サウンドと、ファンキーかつダンサブルな歌ものナンバーを、ほぼ交互に流したり、登場人物たちに歌わせたりしてはって、そのサントラ構成のバラエティーぶりに、圧倒されてしまいよりました。

歌はもちろん、「矢島美容室」の妹ストロベリー、母マーガレット、姉ナオミの3人が熱唱しはります。モータウン・サウンド、「ライク・ア・ムービー」と歌うミディアム・スロー・ソウル、コドモたちと歌うバラード、ハードロック・タイプのカヨー曲風、そして、コンサート・シーンでは、ファンキーなキャッチー・ナンバーを披露しはって、最後には松田聖子ちゃんが参加した、ノリノリのモータウン・ソウルが流れよります。

一方で、ダンス披露やら、ソフトボールの試合での動作やパフォーマンスやら、いわゆる台本上は「ト書き」となる、動きあるダイナミズムあふれるシーンも充実しておます。

一番下の写真に写ってはる黒木メイサちゃんは、70年代のディスコティークなサウンドに乗らはって、ダンス・パフォーマンスを見せてくれはります。また、メイサちゃんの年齢では「がんばれ!ベアーズ」(1976年製作・アメリカ)のテイタム・オニールとはまいりませんが、「野球狂の詩」(1977年・日本)の木之内みどり(チョイ、カルトか)なんかを思い出させよる、ピッチャーのキャラクター造形でおました。

投手メイサちゃんと打者ストロベリーの、火花をCGにして着色した対決シーンは、アッと驚き、アハハと笑えよります。ゴールデンウイークに家族揃って見にいかはったら、間違いなく楽しめるコメディ音楽映画でおました。

Ⓒ矢島美容室プロジェクト

2010年4月16日 (金)

「映画クレヨンしんちゃん 超時空! 嵐を呼ぶオラの花嫁」 

「アッパレ! 戦国大合戦」の戦国時代に続き、今度は未来へバック・トゥ・ザ・フィーチャーして、アクションやでー

でも、基本は、「サザエさん」「ドラえもん」なんかと続く、家族やみんなのキズナ・ドラマでおます

http://www.shinchan-movie.com

サタデー4月17日から、ゴールデンウイークまっしぐらの全国各地イッセー・ロードショーでおます。映画の配給は東宝はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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漫画、コミック原作による、日本アニメの系譜となりますれば、大きな流れが2本ほどござります。一つの大きな流れは「鉄腕アトム」やらのロボット系、もしくはヒーロー系がありよります。ちなみに、少女ヒロイン系が多い宮崎駿アニメを、核としたスタジオジブリは、コミック原作ではござりまへん。

で、もう一方には、「サザエさん」「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」やらと続きよります、家族ドラマ、家族や仲間のキズナを描く系の、アニメがありますんでおます。で、この「クレヨンしんちゃん」は、後者のキズナ系アニメどす。

この映画シリーズは第18弾でおますが、戦国時代へタイムトラベラーした「嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦」(2002年製作・日本映画・2009年に「BALLAD 名もなき恋のうた」のタイトルで実写映画化)に続きまして、タイムトラベルもの、しかも今度は未来へとバック・トゥ・ザ・フィーチャーしたんでおますよ。

5歳のしんちゃんが、大人になったしんちゃんと出会うとゆう、何ともたまらへんカンジの作品となりよりました。しかもでんな、風間・ネネ・マサオ・ボーの「カスカベ防衛隊」も、ついでに未来へワープしてもうて、各人が大人になった自分とご対面でおます。

このドラマティックな展開に加え、しんちゃんはオトンとオカンにも会わはります。スキンヘッドになってしもたオトン、太らはったオカンでおますが、この2人もまた、キズナにかける心意気に変わりはござりません。

「結婚(希望)軍団」なる7人組オンナ集団と、しんちゃんグループの追いつ追われつなアクション、「家電ロボX」と、「鉄人28号」を意識したしんちゃん側ロボットの、ロボ対決やら、ジェット・コースターに乗った恋愛アクションなど、アクション部のこれまでの、シリーズにはない作りに魅了されよるはずどす。

そして、色使いの多彩なカラフル感、で、サントラ使いでおます。クレヨンで手書きしたようなカットがあったり、未来の黄金色のビル、パープル、水色、グリーンなんかのネオンの帯に加え、多色感ある「ネオトキオ」=「新東京」の、電飾配色作りなシーンなど、クラクラきよります。

でも、やはり、青空含めよりまして、自然光的な風景シーンの癒やし感は、この映画の大きな見どころとなっておますんで、注目あれーやわー

でもって、サントラだす。冒頭の、いかにもアニソン・ポップな歌が流れるかと思えば、7人の軍団が歌うピアノ・スローから転調してハードロック・タイプへとか、オーケストラ・サウンドも使われよります。

ラストロールで流れよります、男女2人組ユニット「mihimaru GT」の「オメデトウ」。ラップ入りのキャッチーなミディアム・スロー・ナンバーでおます。この映画のシメにピッタリでおました。

Ⓒ臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2010

2010年4月15日 (木)

ジャパニーズ・アニメ映画「いばらの王」

でっかいマンガ瞳の双子の姉妹が、キーポイントでおます

「願えば奇跡は起こる」やなんて、直球ド真ん中のまっすぐセリフにアラマ・ドカーンやー

http://www.kingofthorn.net

5月1日サタデー・メーデー・ゴールデンウイーク真っタダ中から、テアトル梅田やら、京都シネマやら、109シネマズHAT神戸やらで、ロードショーでおます。この映画を配給しやはるのは、角川映画はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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致死率100パーセントの病気設定のドラマ。しかもアニメやなんて聞いて、ちょっとどうかなと思いよりました。

新型インフルエンザ絡みに便乗もんやら、奪われた細菌ものやらでは「名探偵コナン」の新作(4月17日から公開)やら、この手のもんは、便乗系含めよりまして、これまでに、無数に近いくらい(無限大やありまへん)作られてきよりました。無数とゆうのんもアレですけども、まあ、ケッコー多いっちゅうことですわ。

でも、無数にあると錯覚するくらい多いのでおますよ。でも、でも、見て分かったんでおますが、コレはその手のサバイバル系を逆手に取らはって、生き残った7人それぞれに、謎めいた過去のトラウマやら、隠された真実がござるとゆう展開でおます。

フェーズ6超えの奇病から逃れる手段として、カプセルホテルみたいなあのカプセルに入って、100年間現状維持のまま眠って生きて、100年後に目覚める「眠れる森の美女」やら「白雪姫」みたいなんを開発しはった会社がござりまして、政府との話し合いで、限定何百人みたいな「ノアの箱舟」状態で応募抽選しやはります。その結果、選ばれし人たちが、そのカプセルがある、スコットランドの施設(まあ、城でおましょうか)へ行かはりまして、役者が揃い踏むとゆうノリでおます。

みんな、カプセルに入って、100年後に会いましょうのカンジやったのに、何年経ったんやら知りまへんけど、みんな覚醒しはりました。で、えらいことになっておりまして、モンスターがウジャウジャ、目覚めたみんなを襲い、まあ、約7人が生き残らはって、サバイバルしていかはります。

サバイバル・ゲーム映画のスタイルもあるやろけど、現に生き残った少年がイロイロ、仮想ゲームソフトの怪物やらになぞらえはります。コレは夢なんかゲームなんか現実なんか、ワケ分からへん展開が次々にやってまいります。

そして、配色がテレビアニメのタッチのようでいて、ビミョーに違いました。冒頭部では、陽光やら照明も含め薄色のシーンを強調してはるんやけど、スコットランド・サイドになってからは、雲もセピアに染まる海辺の夕景カットやら、火のセピア、グリーン、薄ブルー、レッドやら、照明なしのパターンのダーク描写やら、細かく色を配色してはりまして驚きどした。

当然、後半には次々にサプライズがきよりますけども、建物そのものに魔を秘めた「スチームボーイ」(2004年・日本)とか、パニック映画の傑作「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年・アメリカ)とか、姉妹部は大林宣彦監督の「ふたり」(1991年・日本)とか、「アリス」とゆう名のコンピューターやら、地下から始まるサバイバルとゆう点で、「アリス・イン・ワンダーランド」(4月17日から公開)やらへも、シンクロしよります娯楽アニメでおました。

ⒸYUJI IWAHARA/PUBLISHED BY ENTERBRAIN, INC./Team IBARA

2010年4月14日 (水)

アカデミー賞2部門受賞映画「プレシャス」

今年のアカデミー賞で助演女優賞と脚色賞ゲットやー

「カラーパープル」を超えた、現代の黒人ヒロイン・ドラマ映画のケッサクやー

http://www.precious-movie.net

サタデー4月24日から、全国各地イッセーのロードショーでおまして、関西は大阪・TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップやら、京都・TOHOシネマズ二条やら、シネ・リーブル神戸やらで上映だす。映画の配給会社は、ファントム・フィルムはんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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これまで描かれなかったやろと思われよります、16歳の黒人少女のヒロイン・ドラマ映画でおました。

例えば、ティーンエイジャーで妊娠し出産する映画なんて申しますれば、無論、白人の少女が今までは多かったんでおます。写真の女の子。とんでもないくらい太ってはるから、ビッグマザーの話かいなと勘違いするやもしれまへんけども、彼女は正真正銘の16歳なんでおます。1987年のNYのハーレムが舞台だす。

とにかく、なんていいますか、この少女の現実と空想がシンクロナイズしながら、最後は前向きに生きてゆくとゆうドラマでおます。その空想シーンは、とてもつらい時に、彼女は見はるんだす。なんせ、オトンにやられちゃってる近親相姦の時には、映画女優としてレッドカーペットを歩いてる夢想でおます。

で、実は妊娠してしもて、オトンとの息子を産まはり、またその後もオトンの子を妊娠しはるとゆう、とんでもない設定でおまして、オカンが怒り続けるんも当然でおましょう。でも、オトンはどっかへ行ってしもて、今は母娘2人で暮らしてはります。

母役モニークはアカデミー賞で助演女優賞もらわはりましたけど、そら、ものごっつーな娘とケンカしまくる演技をば、披露し続けはるんだす。鳥肌立つくらいでおますよ。それでも、アカデミー賞の主演女優賞にノミニーされはった、娘役の全くの新人はんガボレイ・シディベの、おそらく自然体なんやろなー、感情移入できよる演技ぶりでおます。

ソフィア・ローレン主演のモノクロ映画「黒い蘭」(1958年製作・アメリカ映画)を、テレビ放送で見ながら、自分の母とのやり取りで夢想してゆくシークエンスなんか、驚きがござりました。そんな夢想シーンが次々にやってまいります。スパイク・リー監督も描けなかったヒロイン・ドラマの凄みがココにあります。黒人ヒロインの生き様を描いた、あのスティーヴン・スピルバーグ監督の「カラーパープル」(1985年・アメリカ)も、超えた仕上がりになったんやないかなー。

でもって、この映画でボクチンが最も感動したシーンは、学校の先生役ポーラ・パットンが少女に対して言うシーンでおます。「赤ちゃんもあなたを愛してる、私もあなたを愛してる」。歌手のマライア・キャリー、レニー・クラヴィッツも好感度の高い演技を披露してはりますよ。

ⒸPUSH PICTURES, LLC

2010年4月13日 (火)

アニメ映画「名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)」

明智小五郎を生んだ江戸川乱歩と、シャーロック・ホームズを創ったコナン・ドイルを合わせた、江戸川コナン君が、今回も大活躍やでー

「ドラえもん」や「ポケモン」に迫る、アニメ・プログラム・ピクチャーのケッサクどす

http://www.conan-movie.jp

4月17日サタデーから、全国各地イッセーのロードショーだす。この映画の配給会社は東宝はんでおます。

文=映画・ミステリー分析評論家・宮城正樹

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テレビ・アニメで有名な「名探偵コナン」シリーズ映画版の、最新作でおます。

ボクチンはミステリーには、それなりにイロイロ、アプローチしておますけど、なるへそなー、このシリーズの人気は、やっぱりアクション部やなく、ミステリー部であることを再認識しよりましたでおます。映画版は第14弾を刻んではります。

日本にはかつてシリーズ化、プログラム・ピクチャーなるシステムがござりましたけども、実写映画では「釣りバカ日誌」でジ・エンドなんやけど、でも、アニメはいくつもござるのでおますよ。東映はんの「ワンピース」も凄いんやけど、ヤッパ、この手のプログラムは東宝はんが一番やー。「ドラえもん」はモチ、「ポケモン」やら、強力なんがいっぱいあります。で、本作シリーズもその1本でおます。

コナン君のコナン君になってしもたプロセスも、いつも通りで、前振りの段階で披露されよります。そやから、もしや本作から「コナン」シリーズを見始めた場合でも、充分に楽しめる仕上がりなんですわー。

見出しにも書いておます通りでおまして、江戸川乱歩、コナン・ドイルやら、ミステリーとしての面白さが満開しておるんだす。「シャーロック・ホームズ」(2010年製作・アメリカ映画・公開中)みたいにアクション・シーンもあるんやけど、ヤッパ、コナンが推理するシーンが、このシリーズの持ち味でおます。

「ヒンデンブルグ」(1975年・アメリカ)みたいな飛行船が、東京から大阪へ向かって旅立つのでおますが、テロリストたちにハイジャックされてまうとゆう展開でおまして、乗船してたコナンやら少年探偵団たちが、コレに必死のパッチで応戦するとゆうカンジだす。

ボクチン的には、関西のいろんなシーンが出てきよるところに、ハッとしてグーでおました。道頓堀川のグリコの看板やら、通天閣、中之島公会堂、JRの大阪駅やら、良かったでおますよ。

怪盗ルパンな怪盗キャラクターとコナンとのやり取りや、何やしらん友情部、でもって、コナン愛しの蘭ちゃんを巡る三角関係図なんか、人間ドラマ部も注目どす。

Ⓒ2010 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

2010年4月12日 (月)

映画「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」

「のだ・めぐみ」と「千秋先輩」のボケとPhoto ツッコミも、これでしまいやでぇー

「背中に飛び込みたい、コレってフォーリン・ラブよね、先輩」あのトンでも節は、最後まで健在やったわ

http://www.nodame-movie.jp

サタデー4月17日から、東宝系の映画館で全国イッセーのロードショーでおます。もちろん、映画の配給会社は東宝はんどすえー。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

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コミック原作のあの「のだめ」が、ワンクール・テレビドラマ化、テレビ・アニメ化を経まして、映画版が作られよりました。その後編が本作でおます。

クラシック音楽映画としての面白さはモチ、上野樹里ちゃん扮する「のだめ」と、玉木宏アニキ演じはる「千秋先輩」との、何ともいわれへん掛け合いのオモロさは、テレビドラマの頃から絶品でおました。

「のだめ」は舌足らずなアノ調子、でもって「千秋先輩」は、大マジなココロの呟きのナレーションで応じるっちゅう、あの対比効果は、モー、トンでも楽しいでおましたわね。

今回も、玉木宏アニキは絶好調でおまして、クラシック音楽の薀蓄やら分析やらに加え、「のだめ」のココロ分析なんか、シビア系を貫いてはります。それに対しまして、「のだめ」のトンでもハズし系は、今回も大健在やー。

CG使いの楽しさも特筆もんだす。桃色ラブ・マーク、白字セリフ字幕、ウサギやらピアノの鍵盤を設定した「のだめ」のチョチョリン系、雪舞う中の竹中直人との室内シーン、激戦の火がメラメラと燃えとるシーンやら、トンでも楽しめます。

テレビドラマの時の過去を思い出すシーンもござります。夕日射すセピアな室内演奏シーンなんか、シリアスでおました。

音楽映画としての凄みはモチ、次々にやってまいります。水川あさみチャンのバイオリン、ピアノ山田優ちゃんのコンチェルト、パリが主舞台なんやけど、プラハ編の壮大で厳粛な「のだめ」のショパン・コンチェルトの感動、で、玉木アニキがアゼン・ボーゼンとしはるアップ・シーンの連投、で、樹里ちゃん・玉木アニキ2人のダブル・ピアノ演奏シーンやら、クラシック映画としての醍醐味は、そこかしこに散りばめられておます。

でも、ヤッパ、一番気になるんは、この2人のラブ・ストーリー部でござります。瑛太クンと水川あさみチャンの、ラブラブ部を前触れに、2人の恋愛がでっかい見どころとなっておるんだす。見出しに書きよりました、あのテレビドラマでも決めゼリフにもなっておました、セリフ・シーンをメインに、2人のユニークなラブ・ストーリーが展開しよりますんは、本作のハイライトでおましょう。

上野樹里ちゃんのライバルにして盟友・蒼井優ちゃんの本作への参加も、ビックリでおました。見事なシメを示した音楽映画・恋愛映画の会心作でおます。

Ⓒ2010フジテレビ・講談社・アミューズ・東宝・FNS27社

一青窈ニュー・アルバム『花蓮街』

“ひととよう”が180度イメチェンの会心アルバム作ったデー

サザンオールスターズやら、竹内まりややら、松田聖子ちゃんのタッチが、そこはかとなく、胸にきよります

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http://www.forlife.co.jp/

フォーライフ・ミュージックから、4月21日(ウェンズデイー)よりリリースやでー

CD収録曲①~壁の向こう側~②メイク③coup d' etat④確信犯⑤ウラ・ハラ⑥Dolce⑦ほおずき⑧上の空⑨サイコロ⑩Final Call⑪冬めく⑫ユア・メディスン~私があなたの薬になってあげる⑬凧揚げ⑭~壁のこちら側~⑮うんと幸せ

ライブDVD付き初回限定盤は3500円でおます。CDオンリーの通常盤は3000円どす。

文=音楽分析評論家・宮城正樹

さてはて、レコード評論は全国発売やから、標準語でいこかーってことやったんやけど、このブログを見てくれてる人たちのキチョーな意見やら、東京発の標準語評論はありふれてるとかの、意見を聞きよりまして、ほな、しゃーない、今後は関西弁でやらしてもらいまんがなー、でおます。

さてはて、彼女の新作、かなりとゆうか、ものごっつー変わらはったのでおます。彼女の代名詞は、なんチーても、和風バラード「ハナミズキ」だす。この曲は永遠に、歌い継がれてゆく曲でおましょう。

でも、そのイメージをば、180度変えたようなアルバムが本作でおます。確かにでんな、「ハナミズキ」みたいに、四季感あるスロー・バラード⑬(ちなみに、この曲は沢田知可子「会いたい」と同じく、詞に出てくる「あなた」は死んではります、たぶん)やら、2人一生添い遂げたいよね、な感じの⑮やらに、そんなフレイバーがござります。

でも、本作は、スパルタ特訓な合宿までやらはって、今までの彼女のイメージをば、変えないかんねん、と凄まじい執念で作られたんでおますよ。ああ、か弱そうなヒトトちゃん、大丈夫やったんかいな。でも、その特訓効果はおっきかったですわー。スゴイッす。こんなヒトトちゃん聴いたことおまへん。そのへんをドドッと言いますわー。

いきなり、化粧品のCMソングかいなーっちゅうノリの①。コレってEPOはんが歌わはった「う・ふ・ふ」のノリやんか。16ビートなジャズ・ポップ。いきなりの、イメージ・チェンジ・チェンジでおます。で、竹内まりやネーさんが歌ってはったタイプの、ミディアム・ポップスの②、1970年代のディスコティークな、ファンキーなノリがありよります④やら⑫。特に⑫は、まるで「サタデーナイト・フィーバー」のノリやんか。ビックラこきました。

そんなファンク→70年代ディスコティークを経た系の、ジャパン・カヨー曲タイプの⑤とか、テクノやユーロビートをベースにしたカヨー・ロックな⑨やら、こんなん今までのヒトトちゃんには考えられまへんカンジなんでおます。

そんでもって、サザンオールスターズみたいな、ニッポン的ミディアム・スロー・バラードの⑦とか、同じくサザン調の「あたしヒロイン」ソングのマイナー系⑧とか。まあ、このあたりは、サザンの桑田アニキと仕事しはったことがおます、プロデューサー・小林武史のこだわりなんやないかな。でもって、チョイ松田聖子ちゃんなボーカルを披露しはる⑥やら⑪やらがユニークでした。

でもって、ヒトトちゃんの作詞センス。ある種の別れの曲となったヒロイン・ソング⑩など、女性のキモチを、まさにイミシンな、ポエトリー的に文学的に、詠み込んではります。例えば⑨を例に上げますれば、「スイカの種みたいにあきらめられない」とか、「脳内火山みたい」とか、オー、ワケ分からへんけど、なんかスゴイことゆうてはんにゃろなー、な歌詞がドドッと出てきよりますんで、せいだい驚いてくだされ。アラマ・ポテチン(ああ、驚いた)でおます。

2010年4月11日 (日)

女の子の青春スポ根映画「武士道シックスティーン」

成海璃子ちゃんと北乃きいチャンの、とってもさわやかな友情を紡ぐ心地よいスポ根ものでおます

そのスポーツとは、何とまあー、剣道やー

http://www.bushido16-movie.com

サタデー4月24日からロードショーやー。ゴールデンウイークでおます。関西やったら、シネ・リーブル梅田やら京都シネマやらで、また、5月1日から、シネ・リーブル神戸とかで上映だす。映画の配給会社はゴー・シネマはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ボートの「がんばっていきまっしょい」(1998年製作)とか、吹奏楽部の「スウィングガールズ」(2004年)とか、ギャルたちが活躍する、学園部活もの映画でおます。

でも、剣道ちゅうのんは、映画史上初めてやおまへんでしょうか。さらに、「花とアリス」(2004年)みたいに、女のコたちの友情も描かれよります。

「ロボコン」(2003年)では長澤まさみを、「奈緒子」(2008年)では上野樹里を起用し、さわやかな学園青春ものを撮り上げてきはった古厩智之(ふるまや・ともゆき)監督の、まさに本領発揮作となりよりました。

女の友情ものでもあった「あしたの私のつくり方」(2007年)での弱々しさ、「山形スクリーム」(2009年)の怖がり系の演技などとは違い、成海璃子(ナルミ・リコ)ちゃんが、ふてくされたツッパリ系の演技を披露したんやけど、チョイ外してるかも。でも、まあ、挑戦でおます。

一方の北乃きいチャンやけど、「BANDAGE  バンデイジ」(2010年)のシリアス系よりリラックスした演技で、肩の力の抜け具合がよろしおます。ただ、どおゆうわけか、監督の好みなのか、きいチャンより璃子ちゃんの方が、アップ率が高いんだす。きいチャンは、バストアップ・カットが多いみたいやね。また、写真のツーショットの上半身カットであるとか。監督は璃子ちゃんの方がタイプなんやろか。

まあ、それはいいとしまして、この2人の中学時代の剣道対決シーンから始まりよりまして、無敵の璃子ちゃん剣士が、ちょっとしたスキを突かれてしもて、きいチャンにやられはります。で、きいチャンと再戦して倒すべく、璃子ちゃんはきいチャンと同じ高校へいかはるんだす。

「五輪の書」を読み、猛稽古を繰り返しはります。ちなみに「五輪の書」とは、オリンピック入門書やなく、宮本武蔵が書いた剣の道・指南書でおます。でも、きいチャンはあくまで、まぐれ勝ちを強調しはり、璃子ちゃんを最初は無視しはるのやけど、同じ剣道部で大会を目指す中で、この2人の間に、ライバル意識と友情がはぐくまれてまいります。

関東大会の激戦も大きな見どころなんやけど、ラスト近くで披露される、宮本武蔵と佐々木小次郎にたとえた、野原での2人VSでおます。「ヤアー」の掛け声の応酬や、空と地の上下半々カットなど、見せ場充分でおました。そう快なラストシーンも、ココロに残ることでおましょう。

Ⓒ2010 映画「武士道シックスティーン」製作委員会

2010年4月10日 (土)

良質のニッポン映画「てぃだかんかん ~海とサンゴと小さな奇跡~」

岡村隆史オカムラちゃんと松雪泰子おネーさまが、ああ、何とも楽しい夫婦映画を演じはりました

「釣りバカ日誌」シリーズを受け継ぐみたいな、サンゴ・バカのお話やでー

http://www.tiga.goo.ne.jp

サタデー4月24日から、全国イッセーのロードショーやらかしまして、関西なら、梅田ブルク7やら、なんばパークスシネマやら、京都・TOHOシネマズ二条やら、神戸国際松竹やらで、上映しよります。映画の配給会社はショウゲートはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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例えば、往年のニッポン映画のプログラム・ピクチャー的なノリがおます、人情系の家族ドラマ映画でおます。近作でいえば、見出しに書きました「釣りバカ日誌」シリーズ(1988年~2009年製作)のノリですわ。

沖縄ロケ作品なんですけども、冒頭から、幼い時に海への憧れを抱いてた、幼なじみの2人のエピソードが描かれます。大人になったこの2人(岡村隆史、松雪泰子)は、結婚し夫婦になって、夢を追いかけはるんだす。その夢とは、沖縄の海にサンゴを復活させることですわ。

岡村オカムラちゃんはこれまでにない、テレビ番組なんかでも見たことがない、素朴で前向き系の演技をば披露してはります。で、松雪ネーさんも「フラガール」(2006年)の演技を思い出させるような、押しの演技に加えよりまして、「男はつらいよ」のサクラみたいな、人情系の演技も見せはるのでおますよ。

でもって、岡村のオカン役やらはった原田美枝子はんの、怪演技ぶりにも魅せられてしまいよりました。また、長澤まさみちゃんのゲスト出演ぶりにも、サプライズ感がおます。まさみちゃんといえば、沖縄舞台ものでは、「涙そうそう」(2006年)やらイロイロ出てはるので、ああ、なるへそ、なカンジがありましたわ。

色彩感はじめ、サントラ使いなんか、えらい考えてはります。夜明け前のパープルとブルーを混ぜ合わせたような濃いブルーな海の色、海底の薄ブルーなど、時々ハッとさせるシーンがあり、サンゴの産卵シーンの美しさ、撮り方でもシャッター・カットや回りこみカットやらで場面転換していったりと、よう考えて撮ってはります。

で、サントラです。感動的なシーンでは弦楽オーケストラをかけて、オーケストラとシンセサイザーとの混成やったり、ユニークなピッコロとブラスバンドの混成やったり、コメディチックなシーンでは、ミスマッチなサントラ使いをばしてはったり、タンゴには欠かせへん哀愁のバンドネオンをつこてはったりと、シーンとサントラとの関係も深く追求してはるんだす。

エンディング・ロールで流れよります、山下達郎はん(ボクチン、長年のファンどす)の希望に満ちたバラード(シングル4月14日発売)も、えらく感動いたしましたでおます。

Ⓒ2010「てぃだかんかん」製作委員会

2010年4月 9日 (金)

アメリカン・パニック・ムービー「フェーズ6」

新型のさらに新型インフルエンザが、人類を滅ぼすんやないかー、なエライ状況やー

みんな、一体どないすんねんなー、なサバイバル・ドラマやでー

http://www.phase6-movie.jp/

サタデー4月24日から、東京・シネマスクエアとうきゅう、大阪・敷島シネポップやらで、全国ロードショーでおます。配給はブロードメディア・スタジオはんと、ポニーキャニオンはんの共同配給だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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タイトルの「フェーズ6」とは、WHO、いわゆる世界保健機構で、新型のウイルスが世界中に蔓延して、死者もかなり出ているような、末期的な状況を示してはります。

でも、この映画の状況は、それをはるかに超えたみたいなとこから、物語がスタートしてはるんだす。いろんな汚染地域でいろんな方が死んではり、生き残ったみんながみんな、生き残りをかけてでんな、安全地帯を目指してはるとゆう、とんでもない状況でおます。

「2011」(2009年製作・アメリカ映画)なサバイバル系を、よりミニマムな日常性の感覚で、「ディープ・インパクト」(1998年・アメリカ)な避難・逃走系を、より分かりやすいロードムービー型で描いてはります。

また、汚染ものパニックとしては、1エリアの「アウトブレイク」(1995年・アメリカ)やら、汚染された電車の乗客たちを描いた「カサンドラ・クロス」(1976年・イギリス)やらの緊迫感が、ずずずいと、続きよります。

ホラー・チックな要素もあるにはあるんやけど、なんちーますか、サバイバルなドラマを、ロードムービーのノリで展開してゆく映画とゆうのは、ありそでなさそな展開なんでおますよ。あんまり、っちゅうか、まあ、ないでおましょうな。生き残るために目的地を目指すわけなんやけど、その途上で、いろんな人たちが脱落してゆきよります。まあ、そうゆうことなんやから、そうゆう理屈ですわな。

「ワイルド・スピード」(2001年・アメリカ)の、ポール・ウォーカーみたいなキャラを持ってるクリス・パイン君、「コヨーテ・アグリー」(2000年・アメリカ)で、ボクチン胸キュンになりよったパイパー・ペラーボちゃん、今やネーさんにならはりましたけど、久々に見られました。良かったでおます。

最後まで見ますに、ボクチンはこりゃ、1970年代のB級ちゅうか、AB級にしときましょか、そんな映画ノリを感じました。アメリカン・ニューシネマな香りもちょっと入ってたりするのんも何かいいですわ。

冒頭シーン。16ミリのちょいキズ入りのフィルム・シーンが、35ミリ・シーンへと拡大し、でもって、海を映して、突然のスクリーン360度転倒シーンへと移行、でもって戻してロードムービーへとつなげる、イントロのインパクトはディープでおました。薄い朱色入りの過去シーンや、焚き火してる、各人を映す真夜中のシーンなど、部分的にセピア照明を入れて、リズミックに交互に見せていったり、赤色トーンでの、防御服着た男たちとのやり取りやら、配色によるサスペンス感盛り上げにも注目でおます。

ⒸMMVIII by PARAMOUNT VANTAGE, A Division of PARAMOUNT PICTURES CORPORATION All Rights Reserved.

2010年4月 8日 (木)

イギリス映画「17歳の肖像」

セブンティーン17歳ヒロイン映画の、ある意味、ヤバイ原点回帰作なんやろかー、

でも、でも、

人生の意味って何やねん、を考えさせる問題作にもなっておます

http://www.17-sai.jp/

サタデー4月17日からTOHOシネマズ シャンテやらで、また、サタデー5月8日から、大阪・TOHOシネマズ梅田、京都・TOHOシネマズ二条やらで、またまた、サタデー5月15日からシネ・リーブル神戸やらで、全国順グリの、若いって素晴らしいーの? ってなカンジの、ロードショーでおます。本作の配給会社は「ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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17歳セブンティーンのヒロイン・ドラマ映画ときますれば、ボクらやワタシらのイメージは、ある程度、固定したイメージめいたもんがござります。

いわゆる、こんなカンジなんやろな~ってゆうヤツかな。学園生活の様子とか、学生同士の恋愛模様とか、家族のキズナともども描いてみたりとか、友達同士の友情とか、いろいろですわな。ところが、本作は、ビミョーにとゆうよりますか、かなりとゆうよりますか、変わっておました。

本ネタ部はモチ、明かせないんでおますけども、見出しにも書きよりましたように、原点回帰。つまり、昔からよくあるパターンの、恋愛ものが披露されてゆきよるんだす。コレが悪質か正当かは、まあ、ヨコに置いておくとしましてでんな、何ともビミョーでビミョーなんでおますよ。

こうしたところを分かりやすく、ネタバレせず書いてみるとゆうのは、ある意味で至難のワザやと、ボクは思います。なんでかとゆうと、こういう何ともいわれへんラブ・ストーリーな関係は、往年のハリウッド映画やらでは、せいだい描かれてきたもんなんでおます。それが、こういう設定で描かれると、何と申しましょうか、見ている方としては、ココロ苦しいと申しましょうか、そんなカンジなんでおます。

1961年から1962年のイギリスを舞台にしておます。でも、この映画の素晴らしいところは、ヒロインがめげずにポジティブに、人生を生きていくとゆう作りでおます。ローティーンも入れよりまして、17歳ハイティーンのヒロイン・ドラマといえば、これまでにいろいろ出てきました。しかし、このネタでのヒロインものは少なかったかと、ボクは分析しよります。

妊娠もなく、ヤクチャウやら自暴自棄になって壊れてゆくところもなく、自然体ともいえるヒロイン・ドラマをば、ストレートに展開していきます。このいさぎよさに加え、家族ぐるみである種の問題に巻き込まれながらも、ヒロインが立ち直っていく姿に、感動といいよりますか、静かではありながらも、ふつふつと胸にきよるものがござるのでおます。

退屈な人生、自由に生きる人生やら、いろいろと、人生とは何ぞやを語るところもありよりまして、でも、人生っていろいろあるもんなんで、決まりなんかはなんもありまへんやろ。みんな、精一杯、人生を生きてるんだからね。そうしたところも、何となくカンジさせてくれよります作りです。

本年度アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた、新人女優キャリー・マリガンが「助けてください」と発する言葉に、先生が「その言葉を待っていたのよ」と応じるシーンは、このヒロイン・ドラマの大きなポイントとなっておます。

年齢・世代関係なしに、女性映画の傑作がまたもや1本誕生いたしました。

後日、分析いたします、本作ともヒロインの年齢的にシンクロしよります「プレシャス」(4月24日公開)も、本作と優るとも劣らない、今までにないようなハイティーン映画なんで、ご覧くだされ。

2010年4月 7日 (水)

フランス映画「モリエール 恋こそ喜劇」

イケメン・フランス男優のロマン・デュリスのアニキが

喜劇役者・作家のモリエールを軽やかに演じはりました

http://www.cetera.co.jp/moliere/

4月10日(サタデー)から、大阪・テアトル梅田でロードショーしはった後、全国各地順次にフィルム回りますで。配給会社はセテラ・インターナショナルはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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「フランスのジョニー・デップ」みたいな雰囲気をば持ってはる、ロマン・デュリスのアニキがモリエール役で主演し、快演技を魅せてくれはったフレンチ映画でおます。

ところで、モリエールて一体、誰やねんでおますけど、17世紀半ばにフランスで喜劇役者・コメディ劇作家をやってはった実在の人物でして、シェークスピアほどは有名やないですけども、文学史上では歴史に名を刻む劇作家はんでおます。映画界でゆうたら、あのチャップリンみたいな存在やと思てくだされ。

ああ、なんやー、歴史上の人物を描くとなったら、何やら重たいカンジなんとちゃうのん、と思わはる方もおられるやもしれませんが、コレが実話映画化スタイルを取ってはりませんでして、もしモリエールが当時、不倫関係を体験したと仮定して、それをベースに新作の喜劇を創ったとしたら、どないなるかっちゅう話でおます。

フィクションなんでおますよ。重厚な時代劇やありまへん。しかも、かなりフランス映画らしいエスプリをふりかけてはるんだす。演劇メイキング映画でもありまして、シェークスピアを描いたアカデミー賞作品賞受賞の「恋におちたシェイクスピア」(1998年製作・アメリカ映画)的なユーモアもござります。

1658年の朝の薄ブルー・トーンの画調、火をいっぱいつけてセピア・トーンで、モリエールがヨッパライながら劇をPRするシーン、紫けむる夜の密会シーン、加えて新緑を含めまして、鮮やかなグリーンの自然描写など、色使いを巧妙に配置してはりまして、コレがドラマ効果にかなり効いておます。

ドラマは1658年から13年前へとリターンしよります。そのモリエール若き頃のエピソードが、お話のメイン・ソースでおまして、とあるスポンサーの家に、名目上は、コドモの教育係の聖職者として住み着きよります。実は、スポンサーが狙ってる貴族夫人に、気に入ってもらえるような演劇をば、創ってくれとゆうオファーなんですわ。一方で、モリエールとスポンサー夫人の間にも、恋の駆け引きがござります。つまり、スポンサー夫妻共に、不倫に走ろうかいなっちゅうことなんです。

「から騒ぎ」「じゃじゃ馬ならし」「恋の骨折り損」とかの、シェークスピア喜劇に通じる楽しさでおました。

Ⓒ2006 FIDELITE FILMS-VIRTUAL FILMS-WILD BUNCH-FRANCE 3 CINEMA-FRANCE 2 CINEM

2010年4月 6日 (火)

ジョニー・デップ主演ティム・バートン監督映画「アリス・イン・ワンダーランド」

「アバター」を超えそうな勢いで大ヒット中の3D映画やでー

ジョニー・デップのアニキが、いつもながらの快・怪演技で魅せてくれはります

http://www.Alice-movie.jp/

サタデー4月17日から、ニッポン全国各地イッセーのロードショーでおます。この映画の配給会社は「ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ・ジャバン」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo Photo_2 ジョニー・デップのアニキ主演で、ティム・バートン監督はんとのコラボレート作品といたしましては、本作で6作品目となりよります。もう、こないなったら、とことんどこまでもーなお付き合いでっか、盟友でおますわな。

分析作品と関連する、あるいはシンクロする作品とかを、ボクチンはよう出しよりまして、勝手に喜んだりしとるのでおますけども、今回は一気にまとめて出してみまひょか。

バートン監督の系譜的にゆうたら、デップ・アニキ作を除きますれば、異世界を楽しいノリで描かはった「ビートルジュース」(1988年製作・アメリカ映画)とか、ウソの話をファンタジックに描かはった「ビッグ・フィッシュ」(2003年・アメリカ)とかを思い出しよりました。

でもって、本作の原作はイギリスの、ルイス・キャロルはんが書かはった「不思議の国のアリス」がベースとなっておますので、イギリスものともかなりシンクロしよります。アクション部の「ロード・オブ・ザ・リング」(2001年・2002年・2003年・アメリカ映画も原作はイギリス)はもちろんのこと、「動物が喋る」不思議を本作のアリスも語っておますが、ディズニーの「ナルニア国物語」(2005年・アメリカ・イギリス原作)も外すわけにはまいりません。また、デップのアニキが主演しはった「ネバーランド」(2004年・アメリカ&イギリス)なんかも、イギリスものでおます。

イギリス以外の国の作品について、チョイ列挙しよりますに、ヒロインが異界で活躍し成長していく点においては、「千と千尋の神隠し」(2001年・日本)やし、モチ、このアリスの物語に大きな影響を受けはったことがよう分かる、「オズの魔法使」(1939年・アメリカ)なんぞの名作もござりますよ。

でもって本作は、そんなアリスちゃんが原作物語の中で活躍した1855年より、13年後の大人になった時代の、ロンドンから始まるのでおます。つまり、アリスが大人になって、あの世界へとリターンするっちゅう物語なんだす。いわゆる、オリジナル・バージョンとなりよります続編なんでおますよ。

でもって、映画としての色合いが、実に細かく計算されておました。1868年の時代を自然光による薄い配色により、当時の時代感を示さはるのですが、穴から転落して、「アンダーランド」に落ちてからは、全然違った配色へと変わってまいるのです。

そのあたりの細かいところは、劇場でご確認していただきたいとは思いよりますけども、3D使いで言いますれば、スクリーンの下の方にあるものが、妙にビビッドに目の前にクルカンジやったなー。見る位置、つまりどの席から見るかによっても、変わってくるんかもしれまへんけど、もし遠近感あるシーンならば、かなり臨場感は強烈なんやないかな。

色使いでいえば、明るい画調で通す姉役ヘレナ・ボナム=カーターはんの「赤の女王」サイドと、白い薄イロ配色となった妹役アン・ハサウェイちゃんの「白の女王」サイド、さらに夜のトーンの薄ブルーなど、多色感による対比描写やら融合性やらが、よう出ておりましてなかなかのもんでおました。

ジョニー・デップのアニキは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(2003年~2008年・アメリカ)のジャック・スパロウ並みに、ヒーローかアウトローかの境目を上手に演じてはりまして、ラストでは何とミュージカルも披露しはります。

アン・ハサウェイちゃんの指使いを入れた、ゆったりパフォーマンスに対して、ヘレナはんの「クビをはねろ」が口グセの、エキセントリックな演技の対比もまた、凄かったですわ。でもって、アリス役ミア・ワシコウスカちゃん。この方のアイドル性は高いでおます。今後の活躍に要注目でおますよ。

ⒸDISNEY ENTERPRISES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

2010年4月 5日 (月)

モーツァルト関連音楽映画「ドン・ジョヴァンニ」

副題は「天才劇作家とモーツァルトの出会い」でおます

その劇作家ラ・ポンテとの、オペラ・メイキング映画やー

http://www.don-giovanni.jp

4月10日(土曜)から、Bunkamuraル・シネマやら、銀座テアトルシネマやらで、関西は、4月17日(サタデー)から、テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショーでおます。配給会社はロングライドはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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モーツァルトを描いた映画とゆうのは、これまでにケッコー出てきておます。特に有名なんを挙げたら、アカデミー賞作品賞をゲットした「アマデウス」(1984年製作・アメリカ映画)でおましょうか。

また、このモーツァルトの時代(1781年のウィーンが本作の舞台)でおますが、宮廷音楽家サリエリとか、女遊びやら放蕩ぶりで有名やったカサノバはんとかも、登場しはります。ちなみに、本作はイタリアとスペインの合作映画となっておます。

でもって、本作の主人公は、モーツァルトとは盟友であった劇作家ロレンツォ・ダ・ポンテだす。この2人が、音楽史に残る名作オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を、ああやらこうやらと、試行錯誤しながら創っていかはるんだす。

そのメイキングのプロセスが、本作のオモロイところでおます。こういうオペラのメイキング映画とゆうのは、おそらく映画史上初やないかな。まあ、出てるかもしれへんけど、ボクチンは知らんでおます。

しかも、人間臭いモーツァルト像をクリエイトしはったのも、たぶん初めてやないでしょうか。美女が多くて目のやり場に困ってまう、ストリップ・ショーやってるところで、酒飲んでポンテはんと打ち合わせしはったり、ビリヤードやって遊んではるモーツァルトはんなんて、これまでなかったでおましょう。

加えて、ダ・ポンテ役にならはった、イタリアの男優はん、ロレンツォ・バルドゥッチのキャラクター造形でおます。静かなキャラなのに、どこかエキセントリックな俳優さんやったマルコム・マクダウェルはんとか、ヘルムート・バーガーはんなんかを思い出させてくれはるのです。

ちなみに、マルコムはんの代表作には「時計じかけのオレンジ」(1971年製作・イギリス映画)があり、ヘルムートはんは後期のルキノ・ヴィスコンティ監督作品などが有名でおます。

でもって、特筆事項は、こういう音楽もの、カルメンやタンゴとか、いわゆるワールド・ミュージックへの映画的アプローチを続けてきはったカルロス・サウラ監督が、遂にモーツァルトものを描かはりました。

しかも、イタリアを代表する映画カメラマンの、ヴィットリオ・ストラーロはんとのコラボレートでおます。寒色のブルーと、暖色のセピアの対比描写なんか、いつもながらに魅了されてしまいよります。

モーツァルト映画に、新たなケッサクが加わりました。

Ⓒ2009: Edelweiss Production(Italia), Intervenciones Novo Film 2006, AIE e Radio Plus(Spagna)

2010年4月 4日 (日)

イギリスのSF映画「月に囚われた男」

SF映画の名作の数々に、オマージュを捧げはった渋い1作やー

月に1人で出張派遣させられた男の、悲喜こもごものお話

http://www.moon-otoko.jp

サタデー4月10日から、東京・恵比寿ガーデンシネマやらを皮切りに、サタデー4月24日から、梅田ガーデンシネマ、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国各地順グリのロードショーでおます。この映画の配給会社は「ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント」はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ロックの殿堂入りをしてはる、ロック・スターのデヴィッド・ボウイ。その息子はん、ダンカン・ジョーンズのアニキが、初監督しはったSF映画でおます。

月に核エネルギーがぎょうさんあるっちゅう設定で、その採掘事業を独占してはる地球の企業「ルナ産業」が、たった1人の男だけを3年間も、月へ出張派遣させはるんだす。

で、その男があともうちょっとで、派遣終了ちゅう時期の話を描かはります。いわゆる、1人芝居ってヤツですわ。

プログラミング・コンピューター「ガーティ」(ケヴィン・スペイシーはんが無機質な声を出してはります)とのやり取り、月面車なるトラクターみたいなんに乗車しての発掘作業やら、独り言を呟いたり、地球のとある街の模型を作ったりと、淡々とした月面の日常描写が続きよります。おいおい、こんなんでオモロイ物語が展開できよるのかいなと、心配しとりますと、それが違うのでおました。

発掘作業中に事故ってしもて、主人公が意識不明になってからが、がぜんオモロイことになってきよるんだす。壊れたトラクターを修理するために、木星にいてる救助チームが月へ回されるんでおますが、それが到着するまでを1つのタイムリミットにして、主人公のヒッパクしたドラマが次々にやってまいります。

このあたりのところを、細かく書くことは差し控えたいのでおますけど、1つだけ申しますと、脱色系に見える、地球の妻・娘のメッセージ映像や交信が、何ともいえん怪しさを増していきよります。でもって、サム・ロックウェルの、サイコか多重人格かと思えるくらいの、不気味で奇怪な演技の連続でおます。見ているボクらを不安にさせる、こうした演技は、意図的に演出されておます。

さらに、SF作品の名作群へのオマージュ・シーンが、多数盛り込まれております。不条理系SFの「2001年宇宙の旅」(1968年製作・アメリカ映画)「惑星ソラリス」(1972年・旧ソ連)はもちろん、災難系の「エイリアン」(1979年・アメリカ)「未来世紀ブラジル」(1985年・アメリカ&イギリス)なんかも入っておます。

でも、本作は不条理系SFの体裁を取ってはるようでいて、実は、ネタははっきりしておます。つまり、分かりやすいんですわ。観念的・抽象的なスパイスを取り込みつつも、エンターテインメントとしてのSFを追究する監督の姿勢は、きっと好感を呼ぶことでおましょう。

2010年4月 3日 (土)

香取慎吾主演時代劇「座頭市 THE LAST」

慎吾がSMAP史上3人目の、「盲目の人」演技やらかします

キムタク「武士の一分」、剛「徳市の恋」に続く妙演技やー

http://www.the-last-1.jp

サタデー5月29日から、全国イッセーのロードショーでおまして、東宝はんが配給し、座頭市老若男女ファン、でもって知らないファンへも、全方向で楽しませてくれはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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まあ、若い人にとっては、「座頭市」って、何やねん、知らんでーとか、なんぼのもんじゃい、とゆわはるかも分かりまへん。

けども、かつてこのシリーズ(1962年~1973年・1989年製作)は、プログラム・ピクチャー、つまり、年に2回くらいのシリーズで、映画化されとったもんでおまして、オールド・ファンが相当多い作品なんでおます。

実際、過去のそのシリーズで、いろいろあったシーンをば、思いっきり思い出させよるシーンが満載なんでおますよ。初めて見る人は、分からへんかもしれまへんけども、そんなこともあるってことを覚えとってくだされ。

で、このシリーズを、北野武監督がビートたけし名義で主演・座頭市にならはって監督しはった「座頭市」(2003年)もござります。そして、その座頭市の集大成、でもって、最後のエピソードをばつづらはったのが、本作でおます。

みんな、大たい知ってはるやろけど、座頭市はんは盲目の剣士でおます。で、そんな役を「孫悟空」役やらに続いて、SMAPの香取クンがやらはります。盲目演技と申しますれば、SMAPだけに限定しても、キムタク主演の「武士の一分」(2006年)やら、クサナギくんがやらはった「徳市の恋」(2008年)とか、演じてはりました。

でも、今回はアクション・剣撃・殺陣(たて)が思いっきりござりまして、タイヘンなことになっておるんだす。でも、香取クンのガンバりようには、あきれ返ってしまうくらいでおましたよ。

三味線・打楽器なんかのリズミックで、タイトなサントラに乗りまして、香取クンは軽快に剣撃アクションをば、次々に披露してくれはるんだす。たまりませんでー。1対1対決を中心にした、バーサス・シーンが大きな見どころでおます。

黒澤明監督の「椿三十郎」(1962年)やら「用心棒」(1961年)やらで、映画史に残る対決シーンを披露してこられた、仲代達矢御大との、室内対決シーンをはじめ、三味線をバチバチに取り入れた雪降る中でのVS、豊原功補との、決めのシーンも分かりやすく見せていくシーン、いろんな人たちが乱れる中での群像決戦シーンも、目が点になってしまいよります。

ユニークなところもござります。足が義足の原田芳雄はんとのコミカルな治療シーンなんか、バツグンのコメディ・リリーフ(シビアなドラマにコメディを入れて、お客さんを和ませる手法)でおますし、テレビの「天地人」で思いがけず有名になってしもた、加藤清史郎クンの泣きの演技やら、「どついたるねん」(1989年)などの大阪ドラマ映画以降、多彩な映画的オールラウンド・プレイヤーぶりを発揮してはる、阪本順治監督初の時代劇でおますし、また、「おくりびと」(2009年)ロケで有名な山形県に、村1つ分をオープンセットで造らはったとゆう、ものごっつーな撮影ぶりなど、スケールがでっかいでおます。

さらに、加えまするに、村を出ていく香取クンと倍賞千恵子はんのやり取りなんか、「寅さん」と「さくら」な「男はつらいよ」的なやり取りを思い出させてくれはったり、反町隆史アニキとの深~い友情エピソード、香取クンの妻役の石原さとみちゃんとのサクラなデート・シーン、幼なじみ・工藤夕貴ちゃんとの、波寄せる海辺での再会シーンの長回し撮影なんぞも、印象的でおました。

2010年4月 2日 (金)

ヒューマニズム映画の傑作日本映画「孤高のメス」

堤真一アニキが都はるみ演歌をバックに、目の前の人たちの命を助けてゆく、ヒューマン映画の大ケッサクでおます

「おくりびと」「ディア・ドクター」に続く、余貴美子はんの渋い演技、そして、夏川結衣ネーさんがガンバらはりました

http://www.kokouno-mes.com

6月5日(サタデー)から、全国各地イッセーのロードショーでおまして、映画の配給は東映はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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いきなりでおますが、都はるみ論でおます。「三日遅れの、便りをのせて、船がゆーくゆーく、ハブみぃなぁと」「さよーなーら、さよおならぁ、好きになったひとー」なんて演歌ジャンルでおますが、コレらをよーく聞いてみますと、実は、ヒューマニズムなコブシやらリズムがあることに、ふと気付かされよります。

堤真一アニキ扮する外科医は、この都はるみ演歌にのって、手術をばしやはるんだす。若い看護婦やらは、「クラシックとかにしはったら」とか、「ロックはどないやー」なんて言わはるのやけど、「耐え忍んで手術する」カンジが演歌とマッチしとんねん、と堤アニキは主張しやはります。

そして、メスやらを手渡さはるナース役・夏川結衣ネーさんは、ココロの呟きをナレーションにしはって、「緻密で気が遠くなるような」手術やと言わはります。クライマックスの手術シーンは、まず2時間、そして中休みをはさんで、8時間にも及びよります。

命を救うための、長い闘いであり、手術チームの見事なチームワークでおます。最後には夏川ネーさんは「私は都はるみが好きになりました」と言わはります。「君は素晴らしいナースでした」と応じる堤アニキの、なんとゆうカッコよさでおましょうか。僕は完璧にヤラれました。

とにかく、なんと言いましょうか、今どき珍しい、バチバチのヒューマニズム映画でおます。何の野心もなく、今、目の前にいる患者の命を、純粋に救うことだけを考え実行するお医者はんの、まっすぐなドラマ映画です。

こういうドラマは、例えば、黒澤明監督の「赤ひげ」(1965年製作)であるとか、昨年の「ディア・ドクター」(2009年)であるとかと、シンクロはするのでおますけども、恋がらみはなし、主人公がなぜこういう医師ヒューマニズムに目覚めたのかも、過去の母とのエピソードを大げさにカットバックするようなとこもなく、さりげなくワン・シークエンスだけで表現するとゆうカンジなんですわ。

あくまで、どこまでもストレートに堤アニキは、包み隠さずに演技し続けはります。そう快だす。ボクは今年の日本映画の最優秀主演男優賞級の演技やと思いました。

でもって、細部のリアリティーも強烈でおました。例えば、「白い巨塔」(1966年)とか「チーム・バチスタの栄光」(2008年)なんかと違いよりまして、VFXを駆使した手術する体内シーンの、ちょいキモイとこもあるんやけど、緻密な描写でおます。

で、いつも通りの、豪放磊落な演技で魅せはる柄本明はん、見出しに記しました余貴美子はん、悪医者役・生瀬勝久、堤アニキの心意気に惚れてまう吉沢悠、ピュアな中越典子ちゃん、堤アニキと友情を結ぶ、外国の医学部で同窓生やった松重豊ら、助演陣のサポーターぶりも見逃せまへん。

今年の邦画ベストテン級は確実でおまして、ボク的には今年の邦画ベストスリーに入っておます。

Ⓒ2010「孤高のメス」製作委員会

2010年4月 1日 (木)

傑作韓国映画「クロッシング」

一体ゼンタイいつの時代の話やねんと、驚きを隠せない

「飢餓海峡」ならぬ、2007年北朝鮮「飢餓朝鮮」ドラマ

http://www.crossing-movie.jp

4月17日(サタデー)から、東京・渋谷のユーロスペースを先行に、5月1日(サタデー・メーデー)から、東京・銀座シネパトス、大阪・シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおます。配給会社は「太秦」はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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21世紀現代の北朝鮮の極貧家族を、その実態を甘みをほとんど入れずに、シビアに容赦なく捉えはった韓国映画の傑作でおます。

これまで、VFXバチバチの「火山高」(2001年製作・韓国映画)とか「彼岸島」(2009年・韓国&日本)とかの、娯楽アクション作品を撮ってきはった、キム・テギュン監督が大変身でおます。

この北朝鮮の実態は、日本でゆうたら、1943年頃を設定した「砂の器」(1974年・日本)とかの時代に似ておます。見出しに入れました、戦後の混乱期を捉えた「飢餓海峡」(1965年・日本)なんぞも、そうやも分かりまへん。

でも、1943年ゆうたら、戦時中でおます。戦時でもないのに、一体どおゆうことやねん、なのでおますけど、もちろん、支配者に問題があるわけでおますけど、キャメラは淡々と現実を捉え続けはります。

今時、炭鉱街やなんて…、物語はその炭鉱街から始まります。夫妻と幼い息子の3人家族でおますが、妊娠中の妻は結核をわずらってはる上に、栄養失調でおます。飼い犬まで食うたんですが、妻の病気は一向にようなりまへん。そこで、夫(チャ・インピョ)は治療薬売ってる中国へ、道中で出稼ぎがてら買い出しにいかはります。

もちろん、コレはどう見ても、国を捨てた「脱北」行為やおまへんのですけども、北朝鮮当局はコレを脱北にしやはるんだす。国内にじっとしとけってことですわな。メチャメチャでおます。

そんなこんなしとるうちにでんな、妻は死んでもうて、息子1人取り残されてしもて、ほんで南朝鮮(北朝鮮の人は韓国とは呼ばはりません)か中国へと、父を探しに脱北しようとしたら、コレが当局に見つかってしもて、ユダヤ人収容所みたいなとこに拘束されてしまうんだす。

でも、ここで幼なじみの少女と再会しやはります。この少年・少女のキズナ描写部は、「禁じられた遊び」(1952年・フランス)みたいに、心にきますし泣かせてくれよります。で、一体、父と息子は再会できよるのかとゆう、ストーリー展開が後半に待ち受けておますのです。

脱北者の姿を初めて捉えた人間ドラマにして、家族ドラマの傑作でおましょう。これまでのキム監督作品には余りなかった、アップ少なめの、キレのある絵画的構図の、ロングショット・シーンが多数盛り込まれておます。ボクチン的には、今のところ、今年の洋画のベストスリーに入っておます。

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