無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


« 2010年1月 | トップページ | 2010年3月 »

2010年2月の記事

2010年2月28日 (日)

映画「シャーロック・ホームズ」

ハデなドアクションが次々にやってきよるホームズもの?

シャーロッキアン驚きの、ホームズ・イメージどんでん返し映画やー

http://www.sherlockholmes-movie.jp

3月12日(フライデー)から、大阪やったら梅田ブルク7やら梅田ピカデリーやらで、全国各地イッセーの、コレが新しいシャーロック・ホームズやでー、ロードショーでおまして、配給会社はワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo

イギリスのコナン・ドイルが作らはったキャラクター、名探偵シャーロック・ホームズはんものの映画が製作・公開されると聞いて、僕はああ、オーソドックスなクラシック・ミステリー映画が作られたんやろなと思いました。しかし、その予想は大きくはずれたんでおます。

イギリスを舞台にしたアメリカ映画です。イギリスといえば、アメリカと並んで推理小説大国でおます。本編でもセリフでチョロッと出てきよりますけども、推理小説のルーツと言われる「月長石」ウィルキー・コリンズや、コナン・ドイルより先行していた、アメリカのエドガー・アラン・ポーやら。

でもって、ホームズものといえば、イギリスではTVシリーズなんかがありますし、映画では、本格ミステリー色を出したハーバート・ロス監督「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」(1976年製作・アメリカ映画)とか、ホームズの人間ドラマとなったビリー・ワイルダー監督「シャーロック・ホームズの冒険」(1970年・アメリカ)とかが、これまで出てきておます。

でも、コイツは、そのどれとも違うテイストで描かれたホームズ映画なんでおますよ。まずは、何といっても、アクション映画のノリですわ。活劇するホームズやなんて、まあ、ちょっと、僕は想像できまへんでした。ああ、コイツはたぶん、怪盗ルパンのあのアクション系を、ホームズはんのキャラに加えて調理してみたら、どんな風になるんかいなー、と遊びゴコロを示さはったんやないかいなと、思いよりました。

何しろ監督は、元マドンナの夫やけど、ヒネリ映画の多いガイ・リッチー監督はんですし、製作には、あの「ダイ・ハード」(1988年)やら「マトリックス」シリーズ3部作(1999年・2003年・2003年)やらで、映画史に残るアクション映画を作らはった、ジョエル・シルバー大センセーが入ってはります。

ホームズはんは、剣撃アクション、銃撃戦、賭けボクシング・アクション、すさまじいアクロバティックまで披露しやはります。

ココロの中の想定アクションを、部分スロー・モーションで示した直後、そのアクト・シーンを一気に見せたり、造船工場での追いつ追われつ、遂には大船がそのアクトの勢いで思わず海へ出てしもたり、チェロを流してスローにした大爆発の連続の炎上シーン、クライマックスとなります、厚い雲をバックにした建造中の橋上での、ハラハラのサーカスを見るみたいな対決シーンなんか、手に汗いっぱいのアクション・シーンが満載でおますよ。

1890年のロンドンを舞台にしてはりまして、正義の味方ホームズと、黒魔術を駆使する悪役との対決構図でおます。そやけど、どこまでもアクションで通すわけではおまへん。

ロバート・ダウニー・Jrはんとジュード・ロウはんが扮します。ホームズ・ワトソンとくれば、探偵・助手の代名詞にもなっておますが、ラストの方でフラッシュ映像含めて、次々に披露されます名推理の連続に、胸がキューンと締め付けられよりました。2人の掛け合いもオモロイでおます。

絞死刑で死んだ極悪犯罪人を、ワトソン医師が死亡確認後、葬られたはずやのに、犯人は生き返って、3人の人間をフツーでは考えられないようなカタチで、殺しよります。これらのナゾを、ホームズはんはゼェーンブ、論理的にすっきりと解決しやはるんでおます。ハット・トリッキーなミラクルでおました。

Ⓒ2009 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED.

2010年2月27日 (土)

夫妻ラブコメ映画「噂のモーガン夫妻」

ヒュー・グラントはんが「結婚何年目かの浮気」しやはりました

で、妻役サラ・ジェシカ・パーカーはんはどないしやはりまっか?

http://www.uwasa-no-fusai.jp

3月12日(フライデー)から、関西地区やったら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸やらで、全国イッセーの、夫婦の愛よ、フォーエバーやでー、なロードショーでおます。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはんの配給作品だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_3

ニューヨークを舞台にしたラブコメこと、アメリカン・ラブ・コメディ映画と申しますれば、これまでに多数出てきておます。ジャンル映画としても、既に軽~く100作品以上を数えるんやないかな。

そんな中において、今までにない新しいものを作ったろやないか、とゆう心意気が感じられよります作品が本作でおます。

NYラブコメ・スタイルでそのままいったら、フツーになってまうんで、このNYの別居中の夫妻を、西部劇でお馴染みの西部・ワイオミングへと移住させはるんだす。大都会のNYと違いよりまして、いわゆるド田舎でおます。

そんなシチュエーションへ持っていくために、殺人事件の目撃とかの、「コメディ・リリーフ」(シリアスなドラマにコメディ・シーンを入れて、観客の緊張をやわらげる手法)ならぬ「サスペンス・リリーフ」を入れはるのです。このアイデアは、まあ、そんなになかったものでおましょう。

UKのイケメン・アラフィフ(50歳前後)俳優のヒュー・グラントはんと、TVドラマ・シリーズと映画版「セックス・アンド・ザ・シティ」(2008年製作・アメリカ映画)で、全国民的な人気を得てはるUSAのサラ・ジェシカ・パーカーはんの夫妻ラブコメでおます。2人の絶妙な演技連携プレーに酔わされます。

2人の交互アップ、交互の上半身カット、交互バストアップ・カットなんかで展開しよります、2人の夫婦ゲンカ・シーンやらがタイトに映されます。イントロの黒場シーンで、浮気が原因で別居中の夫ヒュー・グラントはんが、妻の留守電にメッセージをナレーションめいて入れはるところから、この夫妻ドラマにひきつけられました。

みなさんにとっては、本編のストーリーとは、余り関係ないようなところやと思われるかもしれませんが、NYとワイオミングの田舎の対比描写の巧妙さに、僕は驚きました。実を申せば、そこの部分にこそ、この映画の真髄といいますか、映画的な魂みたいなもんがあるように思われよったのでおます。

たかがラブコメ、されどラブコメやと思わせてくれるところ。窓に映えるブルー・トーンの夜景、俯瞰撮影、街の全景ロングショットやら、NYサイドでの撮影は、まさに今のNYを映すコンテンポラリー感を表現してはります。

夫妻2人がNYを歩くシーンなんか、マリリン・モンロー主演の「七年目の浮気」(1955年・アメリカ)なんかを、ふと思い出させてくれはったり、雨に濡れるシーンから殺人目撃への一連の流れは、「ファール・プレイ」(1978年・アメリカ)など、ゴールディ・ホーンのラブコメ的展開があり、僕は良かったでおます。

そんなNYサイドに対しまして、ワイオミングの小さな田舎の描写では、とことん自然光での撮影を貫かはるんでおます。夜のシーンでも、昼間の撮影なのに夜のように撮る、ブルー・フィルター入りの撮影方法「アメリカの夜」は使ってはりません。特にプラネタリウムな星空を見上げる、夫妻のショットは印象的でおました。

また、ワイオミング・サイドでは、映画DVDを夫妻が鑑賞しはるシーンがあるのでおますけど、西部劇の国民的スターのジョン・ウェイン作品や、刑事アクション「ダーティーハリー」(1971年・アメリカ)のクリント・イーストウッド主演作品なんかを見てはります。そう、クライマックスでは銃撃アクションやらがありますし、クマとの危険な共演アクションもあります。フツーのラブコメには、絶対せえへんでーの気合を感じよる1作でおました。

2010年2月26日 (金)

シン・ミナ主演韓国映画「今、このままがいい」

姉妹ドラマで、父親探しのロードムービーゆうオモロイ作り

「真!  韓国映画祭」の1本として本邦初登場やー!

http://cinemakorea.org/rkcf/

2月27日(土曜)から東京・ポレポレ東中野、4月3日から大阪・第七藝術劇場やらで、家族のキズナがココロにグッときよる、全国順次のロードショーでおます。配給はキノアイ、シネマスコーレ、シネマコリアの共同配給でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo Photo_2

母は一緒なんやけど、父が違う姉妹の何とも言えへん、妹の父探しの旅を綴る、ロードムービーでおます。

チョイ解説しよりますに、夫を亡くしたシングルマザーが、新しい彼氏ができてコドモができよった。この関係やと、この姉妹は異父姉妹関係となりよります。ほな、その新しい彼氏はどこへ行ってしもたん、となるんやけど、病気を治すためにニッポンへ行かはって、その間に妹ができました。でも、その彼氏となります妹のオトンは、帰ってきやはりまへんでした。

やがて、オトナになった姉妹のオカンが死なはって、ソウルで働いてはる妹役のシン・ミナちゃんが故郷の済州島へと帰ってまいります。済州島と申せば、「冬のソナタ」のロケ地やらで有名なとこでおます。青々とした済州島の海のシーンなんか、つい見ほれてしまいよります。

魚市場で働いてはる姉やんもまた、現在シングルマザーはんで、でもって、母の妹はん、つまりおばさんと同居してはります。母の葬式が終わり、いろいろ遺品を見ていくうちに、妹はんがまだ見ぬ父に会いたいと思い、その父を知ってはる姉やんと共に、父を探して何千里の旅へと出ていかはるのでおました。

姉妹ドラマはこれまで数多く作られてきましたけども、姉妹のイザコザ部がこんだけようけ描かれておます映画は、そんなに多くはござりまへん。また、ロードムービー・スタイルにしてはるので、主婦同士の「テルマ&ルイーズ」(1991年製作・アメリカ映画)とか、兄弟の「レインマン」(1988年・アメリカ)とか、いろいろシンクロする映画がござるのでおます。

また、本作は現在と過去のカットバックとゆうほどではありまへんけど、過去のシーンをチラチラ見せていって、ドラマ効果を高めはります。

姉妹の道中でのイザコザが、痛快なくらいにオモロイのんでおますよ。紅葉を映すレンタカーのボディや車窓のシーン、でもって、大雨がフロントガラスに降りしきる中での大ゲンカ、でもって、事故ってまう。でもって、炎上しそうなヤバイ事故車から出ても「あんたが大嫌いやー」の応酬の口ゲンカを続けます。クローズアップとアップの交互のやりとりがグイグイきます。

でもって、その直後のタバコを吸い合ってのツーショット・シーンなど、印象深いでおます。この姉妹のツーショット・シーンは、長回し撮影含めてかなり出てまいりますが、ほとんどがココロに残るショットとなっておます。

シン・ミナちゃんのクローズアップ、アップの移動撮影やら、ミナちゃんの魅力を打ち出していくようなカンジもござります。アクション女子高生を演じた「火山高」(2001年・韓国)や、クールな役柄となった「甘い人生」(2005年・韓国)とは違い、今を生きるヒロインを、ストレートにはつらつと演じてはります。ボクチンの好感度はえらい高まりました。

そして、父との感動的な再会シーンには、クラクラきよりました。このシーンはこの映画の、大きなサプライズにもなっておます。この衝撃は見たあと、なかなか消えよらんはずでおますよ。ぜひとも劇場で確認してくだされ。

Ⓒ2008 INDIESTORY Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

2010年2月25日 (木)

中谷美紀主演映画「スイートリトルライズ」

新しいタイプの仮面の夫婦が登場しよりますでー

「義務と演技」を進化させたみたいな仕上がりやー

http://sweet-little-lies.com

3月13日(サタデー)から、東京・シネマライズやら、大阪やったら梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマ、京都やったらMOVIX京都、神戸やったら神戸国際松竹やらで、ドカーンと全国ロードショーだす。配給はブロードメディア・スタジオはんどすえー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo 1small 2small

中谷美紀おネーさまと、現在「龍馬伝」に出てはる大森南朋アニキが、夫妻役で共演しはった、新「仮面の夫婦」ドラマ映画が本作でおます。

この「仮面の夫婦」はホンマに新しいタイプなんでおまして、夫婦ゲンカをすることもなく、静かでゆったり、穏やかで円満夫婦な関係で進行しよるんでおます。で、お互いに浮気してはる、なんてゆう奇妙なカンジなんですわ。

江國香織はんの小説が原作でおまして、奇妙な三角関係を描かはった「きらきらひかる」(1992年製作)やら、夫妻に夫の愛人が絡む「落下する夕方」(1998年)やら、人妻2人が若いツバメと不倫しはる「東京タワー」(2004年)やら、ホンマによう考えてはる不倫ものが多いのでおますよ。

内館牧子はんが原作となった映画「義務と演技」(1997年)を、21世紀モードでヒネらはったような仕上がりなんですわ。

そんな静かなスタイルでおますのに、中谷おネーさまが、夫に対し「この家に恋はない」とか、「あなたといると寂しくなる」なんてゆう、えらい冷たーいセリフが発せられますのんに、どこまでも静かなんでおます。いやー、このあたりには、背筋がゾクゾクしよりました。

夫の浮気相手役に扮しはりました、池脇千鶴ちゃんの演技も、この2人の夫婦演技に見事なアクセントを加えはります。本作の矢崎仁司監督の前々作「ストロベリーショートケイクス」(2006年)でも、陽気でアッケラカンとした演技を披露しやはりましたけども、その延長線とも言える演技なんですわ。

結婚してはる大学時代の憧れの先輩・大森南朋アニキに、モーションをかけはるのですけども、誘いのセリフのあとに「ちょっと、言ってみたかったのよ」なんて言って、逆に大森アニキの気をそそらはるんだす。このあたりは、ボクチン的にはかなりオモロかったです。

夫妻の家のキッチンの、白テーブルの配置を含めて、白い空気感を出すクールさやら、海が映る窓外から室内の中谷ネーさまを捉えはるカットやら、冒頭の夫妻上下2分割のベッド・シーンの、ドラマへの暗示性やらの効果なんか、見たあとに、ああ、なるほどなー、と感心しよりましたわ。

夫婦映画の新しいとこを出さはった快作でおます。

Ⓒ2009 江國香織/「スイートリトルライズ」製作委員会

2010年2月24日 (水)

堀北真希・松山ケンイチ・手越祐也共演「誰かが私にキスをした」

堀北マッキー、マツケンのアニキ、NEWS・テゴマスの手越が

三角関係になって、ドカーンと大バクハツの恋愛映画の登場やー、ああ、スゴイわー!

http://www.darekiss.com

3月27日(サタデー)から、東映はんの配給によりまして、ニッポン全国ドカーンとイッセーのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo 1 2

21世紀のアイドル映画路線ここにあり、なんてゆうアイドル映画の、王道路線が開通しよりましたでおます。

アイドル映画のイメージと申しますれば、ああ、アイドルなんやから演技はヘタなんやろなーとか、どうせ特定の若者向けに作られとるから、オモロナイやろなー、なんてバカにしはったら、これが大きなカンチガイになったりしよるのですけども、ボクチン的には、相米慎二監督の「翔んだカップル」(1980年製作)とか、大林宣彦監督の尾道三部作のラブ・ストーリーなんかのテイストも思い出させてくれはって、ケッコーはまって見られたんでおますよ。

アイドル映画らしく、出演者たちのクローズアップ、アップをかなりフィーチャーされてはります。まあ、全編の半分近くやとゆうてもええかもしれません。堀北真希ちゃんと手越クンは写真撮りを趣味にしてはって、その写真を次々にCG画像として挿入していかはります。

ニッポンのアイドル映画の定型をなぞりながらも、監督はんはアメリカのハンス・カノーザのアニキだす。だからこそ、これまでのニッポンのアイドル映画のテイストとは、ちょっと違ったもんに仕上がっておるんでおます。

どこがどう違うのん?  の疑問にこたえますると、いわばセンスの違いでしょうか。

LAロケーションでは、マリリン・モンローの墓を引用に出したり、映画が好きらしい主人公扮する松山ケンイチ・マツケンが、ドイツのライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督とゆう渋い監督のことを話し、その監督作品を見るシーンがあったりと、フツーの三角関係、あるいは四角関係にもなりよります恋愛ものに、ビミョーに映画史的なフックを入れはるんですわ。

ありふれてそうでいて、ありふれてへんと思わせる細部の巧妙なエピソードの挿入がかなり効いておます。

本作のお話でおますが、アメリカン・スクールに通てはる堀北マッキーちゃんが、階段で足を踏みはずしてしもて、頭打ちはって、過去4年分の記憶があらへん状態で、治癒しやはるんでおます。そこへ、過去にトラウマありそでなさそなマツケンやら、同じ部活にいてはった手越クンやら、元々の彼氏やらが、マッキーのハート争奪戦みたいなんを、それとなく、さりげなく、展開しやはるとゆうんでおますよ。王道の♥ストーリーだす。

でも、堀北マッキーは、元カレを好きにはならはらへんのでおます。おいおい、どうゆうことやねん、記憶喪失で人間が変わってしもたんかいなー、と思うのですけども、真希ちゃんは、真ん中の写真のように、マツケンと抱き合わはるんでおます。このシーンは近接撮影、いわゆるアップ撮影でケッコー、ココロをそそりよります。

さらに、この真希ちゃんでおますが、いろいろココロがゆれよりまして、最終的には予想外のところへと着地しやはるんでおます。まあ、予想できないこともないのではあるんやけど、ニッポン映画のラブ・ストーリーに、出来は別にして、新しい捉え方を加えはった作品でおます。

でもって、ボクチンが最も印象的なシーンやと思たところを、勝手に披露します。ロスの海岸シーンでのマツケンと真希ちゃんのショットです。どうでもいいようなシーンなのですが、夕景のセピアと、薄紫とピンクが入った空をバックにした2人のシーンです。個人的に忘れられないショットが、全ての映画において、1~2シーンは必ずあるはずなのでおます。みなさん、ぜひ、そんなシーンに巡り会ってくだされ。

Ⓒ2010「誰かが私にキスをした」製作委員会

2010年2月23日 (火)

映画「時をかける少女」

リメイクやなく、本家「時かけ」の続編やでー

竹内結子に似てはる、仲里依紗リッサーちゃんが走ります

http://www.tokikake.jp

3月13日(土)から、新宿ピカデリーやら、ヒューマントラストシネマ渋谷やらの東京を始め、大阪やったら梅田ピカデリーやらで、全国各地イッセーのロードショーでおます。配給会社はスタイルジャムはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Main_mail

原田知世が主演した、あの大傑作「時をかける少女」(1983年製作)の、モノクロで描かれた1997年版、アニメで描かれた2006年版に続く、3度目のリメイクかいなと思たら、大間違いでおました。

本家の舞台は1972年でおましたけども、コレはその時のヒロインが21世紀の今、娘はんがいてはるオカンになってはります、というところから始まります。つまり、本家の続編となる新作とゆうことなんでおます。

あらすじをばチョイ話しますと、原田知世が年輪を重ねて、安田成美オカンにならはったのですが、そのオカンが突然倒れはります。で、そのオカンが、女子高生の娘はん役の仲里依紗(なか・りいさ)ちゃんに、1972年にワープして彼氏と会ってきてと頼まはるんだす。

そやけど、そんなん、どないしてワープすんのんな、なのでおますけど、オカンの教えに沿ってやってみはります。すると、なんでや知らんけど、1972年やなく、1974年の東京に戻ってしまわはるんでおます。アラマ、どないしょー、なんやけど、まあ、しゃーない、2年後の彼氏とオカンを、写真の中尾明慶(なかお・あきよし)扮する大学生と共に探そうと、ハリキラはるっちゅう展開でおます。でもって、大学生とのラブ・ストーリーも展開しよります。

1974年を描いた昭和映画と申せば、「パッチギ2」(2007年)やらがおますが、こちらは現在とのカルチャー・ギャップなんかも描いて、新味を出してはります。「ゴジラ」(1954年)のポスター、かぐや姫の歌「神田川」、吉田拓郎ナンバーら、当時の流行ものを出すだけやなく、平成を「へいせい」やなく、「ひらなりって何?」って大学生が応じたり、もちろんケータイなんかにも、ビックラこかはります。

その大学生は8ミリのSF映画を撮ってはりまして、仲里依紗リッサーちゃんも、ついでのように出演しやはるのでおますが、この映画フィルムがのちのち、大きな感動を伝えてくれる本作のキーポイントとなりよります。

1970年代を描く昭和映画としてのオモロサ以上に、ゆうとかんといかんのは、アイドル映画としてのキラキラピカピカの魅力でおます。ボクチン的には、1970年代末から1980年代にかけて大ヒットした、角川映画のキラメキを、この映画に感じよりました。当時は薬師丸ひろ子ちゃん、原田知世ちゃんらが光ってはりましたが、本作ではリッサーちゃんでおます。

容姿は、竹内結子おネーさまみたいなカンジでおますが、「退き」よりも「押し」の元気印な演技がソーカイでおます。まあ、ちょっと大げさかもしれまへんけど、結子おネーさまの代表作「サイドカーに犬」(2007年)のような系列の、演技性を見出しよったです。この演技に沿って見ていかはったら、きっと桜並木のラストシーンがココロにくるはずでおますよ。

Jポップの紅一点3人組「いきものがかり」の、劇中で流れる「時をかける少女」のリメイク版もさわやかでおます。また、ラストのタイトルロールで流れよります、キャッチーなミディアム・ナンバー「ノスタルジア」が、ラストシーンと共に胸に染みよるはずどす。

Ⓒ映画「時をかける少女」製作委員会2010

2010年2月22日 (月)

ドキュメンタリー「ブルー・ゴールド 狙われた水の真実」

2_2  これからは石油やありまへん、水らしいでおます

水ドキュメンタリーやなんて、初めてちゃいまっか?

http://www.uplink.co.jp

3月20日(土)から、第七藝術劇場にて、本編90分を上映しはります。でもって、その後は全国順グリ。この映画の配給会社はアップリンクでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo 1

「オーシャンズ」(公開中)やらのネイチャー・ドキュメンタリーが、ケッコー花盛りな状況でおまんねんけど、そうやなー、もっと「わしら」や「うちら」の身近なもんをテーマにしとるようなドキュメンタリー映画はないんかいな、とおっしゃられる方に、スイセンしたいんが本作でおます。

テーマは水の未来だっせ。水と言えばでんな、人間の裸体は70パー以上が水でできておりまして、この水が、石油やら何やらの液体以上に、未来にどんなに重要かを、語らはるのが本作でおますのや。

たかが水、されど水。その水への限りなき検証をしはったドキュでおまして、ブルーの地割れてる大地、ブルー・トーンの単色シーン、グリーン、赤色、紫色、セピアやら、自然シーンの夕景やら、多彩な色合いシーンを織り交ぜつつ、水の未来を検証しはるんだす。

水の自然な循環経路っちゅうもんがあるんやけど、ペット・ボトルの商品化やら、地下水の取り込みによる分やら、海水の淡水化・飲料水への転化やらに加え、温暖化もあって、水の自然な流れが壊れとる現状を、写真にござります図解説やらも入れはって、解説していかはります。短いカットの連続で、みんなを飽きさせへんように、工夫もされとります。

ボクチンが最もビックラこきましたんは、「水戦争」という視点でおます。「水」にまつわる「仁義なき戦い」が世界各国で繰り返されとるんてゆうんだす。

「チェ・ゲバラ」もビックリのボリビアの市民と政府の対決。水のイラクかと形容されよります、ブッシュ元大統領親子による、水資源豊富なパラグアイの土地の買い占めとか、アンチ・ボトル水を掲げてボトル水を放出してまう、ウルグアイの市民運動やら、ダム神話への逆流としての水の自然な流れへの回帰とか、まあ、水にまつわるいろんな問題例を示していかはるのです。

ちょっと押し付けっぽいとこはあるやもしれまへんけども、石油やなく、人間にとって一番重要な「水」の「今」を検証・分析する、ドキュメンタリー映画では、これまでにはなかったタイプでしょう。

ネイチャー・ドキュメンタリーがハバをキカす現代のドキュメンタリー映画に、試金石を投じる1作やと思います。

2010年2月21日 (日)

ニコラス・ケイジ主演刑事映画「バッド・ルーテナント」

トンデモ刑事がトンデモ事件をトンデモ方法で解決しよる

やなんて、オモロすぎるやんか、ホンマ

http://www.bad-lieutenant.jp

2月27日(土)から恵比寿ガーデンシネマ、梅田ガーデンシネマやらでニッポン全国ゆったり順番にロードショーでおます。配給はプレシディオはんです。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo

この映画の主演を務めはったニコラス・ケイジはんと申せば、「リービング・ラスベガス」(1995年製作)でアカデミー賞の主演男優賞の金メダルをもらわはった演技派でおます。

当時はどないしょうもないアル中の役で、僕らや私らを異能の世界へとさまよわせてくれはりました。でもってでんな、今回はケイジはんの刑事役っちゅうことで、さっそうと事件を解決しやはるんかいなと申しますれば、全くもって違うんでおました。

つまり、そのアル中役がヤクチュウになりよりまして、イグアナやらの幻覚を見はったり、クスリ欲しさにやってそうな人やらを、刑事にかこつけて取り締まり、押収したマリファナやらを勝手に吸って喜んではるんだす。

メチャメチャやんかな、刑事はんでおますが、監督のドイツ出身ヴェルナー・ヘルツォークはんと申せば、かつて「フィツカラルド」(1982年)の主人公のように、めっちゃエキセントリックな人物像を演出しはって、僕らや私らを狂おしき世界へとハメてくれはったのでおました。それだけに、またまた、トンデモネー刑事像を表現しはったのでおます。

このトンデモ刑事でおますけども、アメフトのギャンブル(まあ、日本でゆうたらtotoでおます)で借金まみれで、一家惨殺事件の主犯格とは何やら取り引きめいたことしはって、ヤクでひと稼ぎして借金に当てようかー、やなんて画策しはります。事件を解決するよりも、自分かわいさ、自己保身のかたまりみたいなんでおます。

また、娼婦役のエヴァ・メンデスおネーさま、妙にエロエロな感じやのに、ハリウッド女優はんらしい輝きを持ってはります女優はんだす。そのエヴァはんとケイジ刑事はんはヤクチュウで結ばれた恋人同士でおまして、しょっちゅうヤク吸っては楽しんではるんだす。しかも、ケイジはんの父はアル中で現在断酒にチャレンジ中、母はとうに死んではって後妻の義母はビール中毒。

ラリってヤケクソ、ケイジはんのハイな演技ぶりに、もうたまらんようになってきよります映画でおます。

ヤク吸っての尋問は当たり前、悪とつるんでいながら、最終的には悪を懲らしめはります。アウトローな刑事ものなんやけど、従来のアウトローぶりとは違い、ちょっとカッチョ悪いんでおますし、セコイんでおます。

このあたりの面白さをぜひ、見たってくだされ。こんな汚れの話で、最後はハッピー・エンドでおます。ホンマかいな。何とも言えん作品でおました。嗚呼(アア)、参りました。

Ⓒ2009 LIEUTENENT PRODUCTIONS, INC.

2010年2月20日 (土)

アカデミー賞主演女優賞受賞映画「しあわせの隠れ場所」

サンドラ・ブロックおかーちゃんが、正統派のヒューマン・ヒロイン役を演じて、第82回アカデミー賞で主演女優賞をゲットしやはりました

スポーツ選手実話もの+ニュー家族ドラマ+母なるヒロイン・ドラマやらがミックスされたでー

http://www.kakurebasho.jp

2月27日(土曜日)から、近畿圏で言いよりましたら、大阪は梅田ピカデリーやら、京都やったらMOVIX京都やら、神戸やったら神戸国際松竹やら、でもって、東京・関東地方はじめ全国各地イッセーの、家族って素晴らしいやんかー、なロードショーでおまして、配給はワーナー・ブラザース映画はんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo

実在するアスリートのドラマ映画、家族のキズナを描くドラマ映画、ヒロインの人間性を打ち出していくヒューマン・ドラマ映画…。

これらの映画は、洋画・邦画に関わらずこれまで、余りにも数多くのタイトルが作られてきよりました。でも、それらを全部ミキシングしたら、さて、はて、どんな化学変化が起こるんかなーとゆうカンジの映画は、まあ、そんなにおまへんでしょう。

簡単に解説しよりまするに、写真に写ってはるホームレスの高校生の男の子を、その隣に写ってはる、既婚者で娘(姉)と息子(弟)がいてはるサンドラ・ブロックはんが、家族の一員として家庭に迎えはって、ほんで、どないなってゆくねんな、ちゅうドラマなんでおます。

この種のドラマとしては、4人家族の中へ、全く4人とは何のつながりもない1人が加わるカタチでおまして、ほとんどの場合、確執とか争いとか相克とか葛藤とか、いろいろややこしい「マイナス」=「負」の部分が、かなりクローズアップされるような映画が多かったんでおます。

でも、ラスト近くでちょっとはあるけど、まあ、それはほとんどないに等しいんでおまして、例えばでんな、一家の幼い息子はんに「笑顔でいこうよ」なんて、かなりオトナな前向きなコトバをもらって素直に応じ、そして仲良くならはる高校生の男の子なんです。同じ高校に通ってはる年下の娘はんとも、優しく接してもらわはります。

この主人公の高校生の過去は、家族とチリヂリバラバラになり、母はヤクチュウ、父は蒸発、兄弟姉妹も行方知れずの、ビンボーで悲惨なんでおますけども、時々、ブルー・トーンの短い過去シーンが、主人公が思い出すようなカンジで出てくるのですが、その内実はディープには描かれまへん。1度しか描かれない兄との再会抱擁シーンなんか、深く描いたら絶対にええカンジになるはずなんです。

主人公の「負」の部分をはじめ、現在の明るい家族描写の「正」と過去の「負」の対比描写、実の母との再会シーン(実を申せば、実母と主人公が現在の時間軸で会うシーンは、本編ではありまへん)など、いくらでも映画をドラマティックに感動的に描ける要素はあるんでおます。でも、ジョン・リー・ハンコック監督は、あえてその手法を採らはらへんかったのです。なんでやねん?

この監督はんは、アメリカの国技とも言えるベースボールの、選手人間ドラマで家族映画そして実話もの「オールド・ルーキー」(2002年製作・アメリカ映画)を撮らはりました。で、今度は今ひとつの人気国技のアメリカン・フットボールです。

監督の父に捧げるなんて字幕が最後に出てきたりします。父との思い出にアメフトがあるんやろうか。おそらくその父とのキズナに仮託しはって、どこまでもできるだけ明るい形で描きたかったんやろうなと思いました。

その意味では、サンドラ・ブロックはんは、監督の隠されたキモチに見事に演技でこたえてはります。同情もあるやろけど、かわいそうな子を見てしまうと、ついメンドー見たくなってしもて、しかも、その子が好意を素直に受け入れて、無表情だったその子がゆっくり笑って生き生きとしていく姿を見るのが、自分の幸せだと感じる女性像でおます。

実話とは申せ、「負」を封印し「正」を演出し、明るい家族ドラマをメインに据えて描き通すいさぎよさ。サンドラはんの正統派の演技と共に、さわやかな余韻がある映画でおました。

Ⓒ2009 ALCON FILM FUND, LLC ALL RIGHTS RESERVED

2010年2月19日 (金)

映画「猿ロック THE MOVIE」

またしてもテレビドラマ・シリーズの映画版の登場やでー

お馴染みの市原隼人サルが大活躍やー

比嘉愛未(ひがまなみ)と小西真奈美の「Wまなみ」と絡むでー

http://www.saru-movie.jp

2月27日(土曜)から、新宿バルト9やら、梅田ブルク7やら、全国イッセーのロードショー。映画の配給会社は、「S.D.P」はんと、ショウゲートはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo

テレビドラマ・シリーズからスライドしての、映画劇場版とゆうのが、最近の映画ヒット方程式の何やらトレンドとなっておます。しかも、ほとんどがニッポン映画でおます。さらに、テレビ局が作ったドラマがベースになっとりますがゆえに、テレビと映画のシンクロナイズなんやけど、テレビ先行型タイプでおます。

こういうのんは、「踊る大捜査線」以来、恐ろしいくらいイロイロ登場しておます。でも、本作はテレビドラマからのものでも、午後9時・10時台ものからの映画バージョンではおません。

「トリック」やら「ライアーゲーム」やらの、午後11時スタートの30分ものドラマからの映画版でおまして、こういうバージョンは今後も活発となるんやないかなと思いよります。

でもって、こういうタイプの映画は、テレビドラマの時のキャラクター設定が、映画版でも変わらずに弾けてるかどうかが、映画が大ヒットするかどうかの、運命の分かれ道となりよる傾向がござります。そして、映画版オリジナルの、ゲスト・キャラクターの魅力が、ヒットにも左右しよるんだす。

市原クンはこれまでイロイロ映画でも、大変楽しませてくれはる演技をば、披露してくれはりましたけども、今回のようなトンデて、観客みんなを楽しくもてなす「寅さん」みたいな演技は、初めてやないかな。ボク的には、高橋克典アニキの演技なんかを思い出させてくれよりました。

「ココロの扉を開けて」とか「正義です」とか「オテントさん(太陽のことでおます)は見ていて、見えないものの中に…」なんてゆう、ストレートなセリフに、何ともいえんオトコギを感じよりました。

でもって、前田哲監督の映画的なこだわりやろか、ちょいクールな警察署長役の小西真奈美おネーはん、市原クンとメインで絡む比嘉愛未ちゃんやらの、ステキなアップが続きます。かつて言われよりました。女優はんをどれだけ美しく撮るかが、映画監督ミョウリに尽きるんやとか。

そんな前田監督を、かつてボクは単独インタビューしたことがござります。映画愛に満ちてはる監督はんでした。宮崎あおいちゃんも、演出しやはりました。映画における女優演出において、映画的な女優演技を引き出さはる方なんでおます。

加えまして、ミステリー作家の伊坂幸太郎的なタッチもあります。伊坂原作ものでは、前田監督は「陽気なギャングが地球を回す」(2006年製作)を監督しはり、トンデモ楽しい作品を作らはったのですが、本作にも、銀行強盗シーンなんかにそんな伊坂テイストがござります。また、ヒット中の「ゴールデンスランバー」のタッチもあるんでおますよ。

往年のハリウッド恋愛映画的なハッピー・エンド、ブルー・トーンの水中シーンでの、これまでの映画にはあり得なかったシーンなど、ココロ奪われよりました。ハート・ドッキリこん、アラマ、ポテチンでおます。

Ⓒ2010「猿ロック」製作委員会

2010年2月18日 (木)

ニッポン映画「ランニング・オン・エンプティ」

いやいや、これまでにない変型ラブ・ストーリーでおます

「キューポラのある街」の21世紀版?

「重力ピエロ」なキズナもあるやもしれまへん

http://roe-movie.com/

2月20日(土)から、東京は池袋シネマ・ロサでレイトショーしはって以降、3月6日(土)から、シネ・ヌーヴォXやらで、全国順次ロードショーでおます。配給会社はアムモはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2

いやあー、なんと申しましょうか、恋愛映画は恋愛映画でも、ヒネリにヒネらはって、おいおい、こんなんありかいな、っちゅう問題作品となってしまいよりました。

鋳物の街・川口で純情カレンに描かれた、吉永小百合主演の「キューポラのある街」(1962年製作)の、鋳物工場がコンビナートの音となり、しょっちゅう舞台となる街に響いておるのだす。

ポイントとなりよります家族構成についてゆうときますと、共に男の子を持ったシングル・マザーとシングル・パパが結婚しはって、2人のコドモとなります長女をもうけはって、その義理の兄弟妹が、信じられへん恋愛騒動を起こしょる話が、本作で描かれよるんでおます。

義理の兄弟関係となりますれば、「重力ピエロ」(2009年)なんかも思い出させよったりするかもしれまへんけど、こっちの兄弟は仲ようありまへん。

物語は、恋人同士の2人のうち、カノの方が、カレに貸したる借金を取り戻すために、狂言誘拐を計画しはるのですが、カレにはそんな身代金もなく、最初はマトモには取り合わはらへんかったんやけど、やがてマジにならはって必死のパッチもどきにならはるんだす。

このストーリー展開の中で、義兄弟妹の3人がカラまはるのですが、この3人の関係については、いわゆる「内緒」になっておます。「結末を誰にもバラさんといて」な関係なんでおます。でもって、これまでは、こういう関係でのラブ・ストーリーとゆうのは、まあ、そんなにあらへんヤロー、なカンジなんでおます。

主人公があわててどこかへ走るシーンを、16ビートのビートロックを流してスロー・モーションにしたり、コンビナートのセピア照明も入れて男女2人が走り合って、夜景の都会の中で2人が抱き合うシーンやら、なかなか印象的なシーンが、さりげなく入っておます。

朝焼けの中、車を走らせる3分強の長回し撮影など、余韻のある意味深いラスト・シーンもシブイッす。

主人公の母役・角替和枝の、いかにも今のニッポンの母みたいな演技ぶりや、コンビニ店長に扮しはった大杉漣のせせこましい演技ぶりやら、名脇役のしっかりした演技にも目がいきよります。

Ⓒ2009 アムモ

2010年2月17日 (水)

韓国映画「渇き」

パク・チャヌク監督がソン・ガンホを主演に迎えて

ケッタイでケッサクなバンパイア・ラブ・ストーリーを創らはりました

http://www.kawaki-movie.com

2月27日(土)から、ヒューマントラストシネマ有楽町やら、新宿武蔵野館やら横浜ニューテアトルやらを皮切りに、3月にテアトル梅田、敷島シネポップやらで、ドッキリのショーゲキのロードショーをやってくれはります。配給会社はファントム・フィルムはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Main_mail

間違いなしの韓国映画の傑作でおます。カンヌ国際映画祭で審査員賞をゲットしはったから言うのやおまへんねん。

パク・チャヌク監督と申せば、確信犯的に、これまでにない映画を撮ろうやんかの心意気が、えらいスパークしてはる方なんでおます。

あの美しき女優のイ・ヨンエはんとのコラボレートでは、キリリとしてはった「JSA」(2000年製作)と、狂気じみたリベンジャーにならはった「親切なクムジャさん」(2005年)の、180度の演技ぶりの違いなんかを、平気で演出しやはるんだす。

もちろん、カンヌで銀メダルに輝かはった「オールド・ボーイ」(2004年)では、考えられへんような禁断のラブ・ストーリーを紡がはりました。

この監督の作品は、ある意味で不気味でおます。どんなオトロシイーことが出てくるやら分からへんとこに、チャヌク監督のチャヌク監督らしさがござるのです。とにかく、新しいものを、ちゅう執念がヒシヒシと感じられよるのです。ハラハラドキドキもんでおます。

バンパイアものとなれば、ハリウッドやらで多数製造されよりましたし、人と吸血鬼半々の混血ヒーローが活躍する「ブレイド」(1998年)なんかもありました。でも、この吸血鬼人間ドラマにしてラブ・ストーリーは、まあ、今までのバンパイアものの定型版では、分析しきれないヤッカイな代物なんでおます。

何しろ、慈悲深き神父はんが奇妙な実験で吸血鬼になり、で、若き美しき人妻と不倫しはって、えらい地獄の淵へと落ちていかはる話なんでおますが、人間臭い欲望ギラギラな場面と、幻惑・妄想シーンを散りばめて、そういう事態におちいった人間のドラマを、ワケ分からんシーンも入れて、描かはるのでおます。

主演のソン・ガンホの兄ヤンと申せば、人間臭い演技では韓国では最高級の男優はんだす。この難しい役柄を、しかし、いつもの人間臭さのままに演じはってビックリしました。

対して、キム・オクビンちゃんは、ベッド・シーンの大胆さにもビックリしましたが、消極的な役とエキセントリックな役を演じ分けた柔軟性に、ものゴッツー驚かされよりました。

バンパイアの恋やなんて、ハリウッドでは大ヒットしてる作品もございますが、本作はそういう作品とは全然違いよります。どうゆうたらいいのでおましょうか、従来の吸血鬼設定でヒューマン映画や恋愛映画を作ってみたら、どんな風になるんやとかを考えたカンジ。何がなんでも、今までにないヤツを追いかけはった結果やと思います。

扉に葉影が映るくらいの快晴描写の冒頭から、ラストのCGによる赤い海の描写まで、色彩設計、画像設計なんかも計算されておます。

韓国映画の傑作が、またもや1つ誕生いたしました。

Ⓒ2009 CJ ENTERTAINMENT INC., FOCUS FEATURES INTERNATIONAL & MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

2010年2月16日 (火)

フランス映画「シャネル&ストラヴィンスキー」

香水のシャネルはんとクラシックのストラヴィンスキーはんが、

出会って恋してアレしてどうしてこうして、ああ、その結末は? な実話でおます

http://www.chanel-movie.com

3月6日(土)から、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋やらで、全国ゆったり順グリの、失楽園ならぬ快楽園なるラブ・ストーリーが始まりますよってに、ヨロシク。配給会社はヘキサゴン・ピクチャーズでおまして、「クイズ・ヘキサゴン」と間違えんといてなー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

R

シャネルとストラヴィンスキー。1920年にパリのクラブで出会わはって、その後深いキズナを得はって、失楽園とはチョイ違いよります不倫をばしはって、そんで、1971年に示し合わせはったように死なはった、2人の何とも言えよりません実話映画の登場でおます。

シャネルを描いた映画となりますれば、昨年の2009年には2作も本邦ロードショーされておます。「アメリ」(2001年製作)のヤンチャ娘のオドレイ・トトゥちゃんが「ココ・アヴァン・シャネル」(2009年)で、アメリカン大ベテラン女優はんのシャーリー・マクレーンはんがシャネルをやらはった「ココ・シャネル」(2009年)やら、それなりにいっぱい出ております。

でも、ロシア出身の巨匠ストラヴィンスキーを描いた映画は、まあ、ほとんどないやろと思います。そんな彼がシャネルと恋に落ちたエピソードを、おそらく映画史上初めて取り上げられたのが、本作でおます。

シャネル役の女優はんはアナ・ムグラリス。いや、ホンマ、オドレイ・トトゥちゃんには大変失礼な発言やとは思いますけど、トトゥちゃんよりシャネルらしい風格や気品を備えてはる方でおまして、絶妙なキャスティングなんですよ。

最近のハリウッド映画では少なくなったんやないかいな、と僕が思いよりますアップの多さにも驚きでおます。

さらに、恋の相手役のストラヴィンスキーはんは、「誰がため」(2007年)のシブい役もあり、「007/カジノロワイアル」(2006年)の悪役で世界的にも、その顔が知られることとならはった、デンマーク出身のマッツ・ミケルセンはんが扮してはります。この方の静かな演技ぶりにも惹かれましたでおます。

デザイン、インテリアなんかを含めましてシックな色合いをメインにしてはります。また、日照りの森シーンでは、天然の光をベースに、黄金(こがね)色と緑がブレンドした何ともいえん色が生まれておます。

楽屋から観客席へとカメラが移動していく、冒頭で示される1分強の長回し撮影から、ドラマへと巻き込まれていきよります。当時の観客には非難されるんやけど、前衛芝居のようなダンスと、荘厳な音楽のミスマッチ感がココロ揺さぶる、ストラヴィンスキーはんの音楽劇「春の祭典」に、さっそくヤラレます。

「白鳥の湖」とか「眠れる森の美女」やらと比較されて、メチャメチャ言われはるんでおますが、ストラヴィンスキーはんはじっとガマンの人でおました。

で、運命を変えるシャネルとの出会いでおます。セックス・シーンはもちろん、2人の運命を短カットで示すラストのカットなんか、絶妙でおますよ。

音楽家映画とヒロイン映画のキモチいい合体。でもって、「ドーベルマン」(1997年)で、ハリウッドに負けない娯楽映像センスを示さはった、ヤン・クーネン監督の新しい1面を見せてもらったような気がしよりました。

ⒸEUROWIDE FILM PRODUCTION

2010年2月15日 (月)

幻の名作映画「海の沈黙 デジタルリマスター版」

これはドデカイ映画ニュースでおます

フランス映画の大傑作が、半世紀以上の時空を超えて

ニッポンに初上陸しよりますんやー

http://www.crest-inter.co.jp/selection/index.html

2月20日(土)から東京・岩波ホール、3月20日(土)から梅田ガーデンシネマ(http://www.kadokawa-gardencinema.jp)やらで、全国各地順番に上映されよります。配給はクレストインターナショナルはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo

1947年に本国フランスで製作されて本国で公開されたけど、日本にはなかなかきまへんでした映画どす。そうこうしてるうちに、フィルムが劣化しよりまして、上陸でけへんほどボロボロになったんやと思います。でも、21世紀も10年を迎えて、デジタル処理によりまして、美しくピカピカになったんでおます。ああ、これやったら、恥ずかしゅうはない、ちゅうことで、完成から63年の時を超えて、遂にニッポンに来られはりました。奇跡でおます。

モノクロ映画でおます。最近の若い人たちは、モノクロやなんて古臭いしカビ臭いやんと、嫌がる人が多いと聞きよりますけども、でも、この映画をカラーで描いたら、光と影のビミョーな雰囲気がいっぺんにヘコンでしもて、何やねん、こりゃー、になりよるんだす。

フランスがナチス・ドイツに征服されてしもた1941年に、ナチの将校はんが、ジジ(爺)とメイ(姪)の2人でひっそり暮らしてはる1軒家の2階に、勝手に住みつかはります。でもって、2人に愛想よく話さはるんですけど、2人は沈黙を貫かはります。

柱時計の音だけが静かに響き渡り、暖炉の炎が揺らぐ中で、将校はんはたった1人だけスピーチしやはるんでおます。「ドイツの雪は重いけど、フランスの雪は繊細」とか「フランスに癒やされた話」とか「ドイツとフランスの結婚」とか、2人に気ィつこてはる話を毎晩、シャベらはるんでおます。

このトークと沈黙=サイレントのやりとりに、ジジのナレーションが入り、管弦楽をメインにしたサウンドトラックが流れ続けていくとゆう展開でおます。

壁や扉に映る3人の人影描写の緻密さに加え、全体的にほの暗いカンジに室内がとらえられておます。コレはその時代の抑圧された雰囲気作りに、ヒジョーにマッチしとるんだす。

また、撮影は映画的な工夫が随所になされております。場面転換などでは、左右流れ・斜め流れ・右流れなどのシャッター・カットが入ったり、画面が丸まって消えて次の場面へいくアイリス・アウトやアイリス・インも使われておます。

特にディープ・インパクトやったんは、姪御はんの正面からのクローズアップでおます。それまでは、ヨコ顔やったり斜めや影になった顔やったりで、この女優はんはどんな顔してはんのか、ほとんど分かりまへんでした。しかし、それが遂にこのクローズアップで明かされます。ああ、何とまあ、美しい人やないかいな、でおます。

のちにフィルム・ノワールの傑作を作らはった、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の映画デビュー作でおますけど、クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(2009年製作)では、ナチスに制圧されたフランスを舞台にしてはりましたけど、その時見て感じた抑圧感とは、全く正反対とも言えるテイストを、僕はこの作品に感じました。モノクロでしか描けないリアリズムが胸に染みます。

Ⓒ1948 GAUMONT

2010年2月14日 (日)

AAA(トリプル・エー)5thアルバム『HEARTFUL(ハートフル)』

紅2点男5人組「AAA」のオリジナル・ニュー・アルバム

ユーロビートとヒップホップをミックスして、2月17日ドロップ

Heartful_j_cddvd_main

http://avex.jp/aaa/

avex traxから、2月17日(水曜日)よりリリース

CD収録曲①♥(ハートフル)②Overdrive③Break Down(TBS系テレビ・ドラマ「帝王」主題歌)④Brand New World⑤Rising Sun⑥Summer Revolution(プロミスグループCM曲)⑦As I am(映画「ランデブー!」主題歌)⑧ONE⑨Get It On⑩Heart and Soul(TBS系番組「にうすざんす」テーマソング/music.jp TV-CFソング)⑪Believe own way⑫FIELD(進研ゼミ『中学講座』卒業・進級応援キャンペーン TV-CFソング)⑬Metamorphose⑭Hide-away(Whit Sacasテーマソング/music.jp TV-CFソング)

DVDには、全5曲の【Music Video】&【Music Video Making】を収録

【CD+DVD】AVCD-38017/B\3,990(税込)

【CD ONLY】AVCD-38018\3,059(税込)/初回限定:24Pブックレット付き

レコード会社によって、そのレコード会社特有のファクトリー(会社)・サウンドなるものがあります。例えば、アメリカなら、モータウン・サウンドとかA&Mサウンドとか、聞いたことがあるかもしれませんが、サウンドの前に付いているのは、レコード会社の名前であります。

そして、ここに登場しますAAAの新作でありますが、ユーロビート・シリーズをずっとリリースし続けているエイベックスらしく、ユーロビート・サウンドをメインにした、ファクトリー・サウンドのオンパレードです。しかも、そのユーロビートに、ラップをフィーチュアしたヒップホップを織り交ぜるという展開なのです。

さらに、「未来」をテーマにしていて、その「未来」という言葉を全曲の歌詞に入れるというコンセプチュアルな作品になっています。

ドライヴィング・ミュージックにピッタリの、高速ユーロビート・ナンバーの①②から、アルバムのトリコになります。女性ボーカルもの、男性ボーカルもの、あるいは男女混成ボーカルものと、ボーカルのバリエーションも豊富で、飽きさせない作り。

希望ソング④、情熱ソング⑤、夏ウタ⑥、冬ウタ⑩などと、対比効果みたいなカンジで曲展開させるところも、なかなかのものであります。

SPEEDを思い出させる⑤、ロック寄りのサウンドで聴かせる⑨、「夜空のムコウ」なんかのSMAPナンバーを思い出させる、ポジティヴなソウル・バラード⑫、TRFの「ボーイ・ミーツ・ガール」みたいに弾けられる⑬など、ユーロビート、ヒップホップをメインにしつつ、キャッチーな曲をシューティングしていきます。

何よりも、前向きな歌詞ばかりというのが魅力的で、リスナーに勇気と希望をくれるところが素晴らしく思える快作なのです。

彼らのダンス・パフォーマンスはDVDでも見られますが、3月6日から5月22日まで全国25カ所26公演にわたる全国ツアーでは思う存分に楽しめます。このツアー「AAA Heart to ♥ TOUR 2010」の詳細は上記のホームページまで。

(文=音楽分析評論家・宮城正樹)

ディズニー・アニメ「プリンセスと魔法のキス」

「崖の上のポニョ」みたいに手書きアニメへリターンやー

ミュージカル・アニメとしても原点リターンやでー

http://www.pkiss.jp

3月6日(土)から、ニッポン全国各地どこもかしこも拡大ロードショーでおまして、配給しやはる映画会社名は「ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ・ジャパン」さんです。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_3 Photo_4   

3Dアニメがハバをきかせてきとる昨今、ディズニー・アニメがそんな3D現象に反発するみたいに、優しい色彩感がある手書きや、楽しいミュージカル・アニメへと原点回帰しはった、ソウカイ快感の作品が本作でおます。

まず、そのサントラ・シーン部では、ジャズの発祥地でござりますアメリカ・ニューオリンズを舞台に、ビッグ・バンド・ジャズ・ナンバーから、ロード・ムービーならぬロード・ミュージック的なハイ・テンポのカントリー的な歌、さらに、黒人ポップ音楽のモータウン的なチューン、そして、極上ウットリのソウル・バラードまで、素晴らしき音楽が次々に披露されていきよります。

でもって、手書きがもたらす事細かな配色の妙、計算された色使いに目を見張らさせてくれはる仕上がりに、そうそうコレがアニメの王道なんやーと思えました。

冒頭の夜のブルーな空から、室内の明るい画面へと入るシーンから、ああ、この感じやがなと思いよりました。ヒロインのレストランを経営する夢シーンでは、セピアを含むオレンジ系の明るくあったかーい暖色系の色で統一しはって、一方では、悪魔の魔術で人からカエルへと変えられるシーンでは、冷酷な感じを出す時もある、寒色のグリーンを配色してはります。

暖色と寒色のビミョーな対比、暗さと明るさの緻密な対比効果は、アニメだけに実写作品以上に求められておます。それが、実にバランス良く配色されておったので、ボクはこのアニメを見ておって夢中になったのでおました。

でもって、「シンデレラ」(1950年製作)みたいに、ヒロインのサクセス・ストーリーにして、ウットリのラブ・ストーリーにもなっておるんだす。そのヒロインが黒人とゆうのは、ディズニー的には新しいでおましょうか。

同じくディズニーの「ラマになった王様」(2000年)みたいに、人間が動物・生き物に変わってまう路線や、今回ではトランペット吹くワニやら、お尻を照明代わりにするホタルなど、生き物の擬人化路線など、ディズニー・アニメ印と思えよりますシーンの数々にも、ディズニー・ファンにはこたえられない作りなんでおますよ。

ボク個人としては、ヒロインと父のキズナ部がココロにきよりました。亡き父を語るヒロインの「父には愛があった」のセリフや、父のヒロインを励ますセリフなど、よろしおました。映画にはセリフに、ココロをくすぐられよる時がございます。本作にはそんなセリフが入っておますので、感動してくだされ。

ⒸDisney Enterprises, Inc. All rights reserved.

2010年2月13日 (土)

映画「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」

あのテレビ・シリーズが映画で決勝戦を迎えよりますでー

戸田恵梨香エリリン、松田翔太ショウヤンがキバリます

http://liargame.jp/

3月6日(土)から全国各地イッセーのロードショーでおまして、配給は東宝はんでおます。

文=映画分析研究所 ココロはコドモ所長 宮城正樹

1 2 3

ゲーム系の映画とゆうのんは、実はサバイバル・ゲーム映画となった「バトル・ロワイアル」(2000年製作)あたりから、ビミョーに変わってきよったのでおまして、ポーカーの「シンシナティ・キッド」(1965年)とか、マージャンの「麻雀放浪記」(1984年)なんかの、実在するギャンブルものではなく、オリジナル・ゲーム系へと進化してきよったのです。

そんな中で、コミック原作ものではあるのですけども、ゲーマー人間ドラマ映画で群像劇の新しいタイプが、テレビ・ドラマ・シリーズを経て、最終的に着地する作品が映画として登場しよりますのが、本作だす。

テレビ・シリーズでは準決勝まで描かれておりましたが、この映画版最終章はもちろん、決勝戦の壮絶な戦いを描いてはります。11人が参加しました。戸田恵梨香ちゃん、チョー名優・松田優作の息子はんの松田翔太クン、田辺誠一はん、関めぐみちゃん、濱田マリおネーさま、和田聰宏クン、荒川良々(よしよし)アニキらが参加しやはりまんねん。

いや、まあ、なんちーますか、松田翔太クンを探偵役にして、恵梨香ちゃんが探偵助手になって、名推理を披露していくみたいな、ミステリー・タッチでドラマが進行していくのでおます。こういうゲーム映画はそうそうありまへん。

また、欲望へと固執する各人の喜怒哀楽演技なんかは、エキセントリック系も含めましていろいろと演技されます。その演技合戦によって、ドラマの中へグイグイと惹き付けられるのでおます。そんな中でも、恵梨香ちゃんが一番マットウなキャラでおまして、全国民の好感度は、ものゴッツーアップしよるはずでおます。

それにですな、恵梨香ちゃんのクローズアップ、アップ、顔の上半分アップや目のアップやら、登場人物の中では当然最もアップ率が高いのでおまして、恵梨香ワールドにドップリとハマッてしまうんだす。ホンマ、どうにもたまりまへんでー。ラストの笑顔アップもとっても好きやねん。

コミックなんかにもある、驚きの「ガーン」シーンの表現も良かったでおます。ドラム・シンセの音と人物のアップで示さはります。早い移動撮影を連続的に出すことで、ゲーム・ドラマ感の臨場感を出す試みなんか、なるほど、細部の描写も抜かりありまへん。

ボクチン的には、ちょっと大げさかも分かりまへんけど、陪審員たちの室内ものサスペンス「十二人の怒れる男」(1957年)と、野外対決のサバイバル・ゲームとなった「バトル・ロワイアル」を程よくブレンドした作品やと見ました。本編の後半から次々にやってくるサプライズには、めまいがしそうな作品でもありました。

テレビ・シリーズを見てはらへん方にも、充分楽しめますんで、公開日には劇場へゴーしとくんなはれ。

Ⓒ2010 フジテレビジョン/集英社/東宝/FNS27社

2010年2月12日 (金)

アカデミー賞最多6部門受賞映画「ハート・ロッカー」

ニュー・アメリカン・ヒーローをクリエイトした傑作だす

本年度アカデミー賞作品賞ゲットは、メッチャ高いでおます

http://www.hurtlocker.jp/

アカデミー賞発表直前の3月6日(土)から、全国イッセーのロードショーでおまして、関西では、TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップ、TOHOシネマズ西宮OS、TOHOシネマズ二条、三宮シネフェニックスほかやらで、ドッといきまっせー。配給会社はブロードメディア・スタジオはんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2 1 2

本年度のアカデミー賞で、「アバター」と並んで最多9部門にノミネートされはった映画でおます。

アカデミー賞には前哨戦の賞がおまして、大たい6賞くらいの中で、4回作品賞を受賞しはりました。あと、作品賞を受賞しはったのは、「アバター」と「マイレージ、マイライフ」でした。

さて、こうした場合、過去のデータを見よりましても、ヤッパ、作品賞のゲットは、本作が最も有力やと言えるでしょう。

イラク戦争に出兵しはって、チームで爆発物処理班に携わはる隊のお話でおまして、主人公に扮しはるジェレミー・レナーはんは、ホンマに危険なシーンのオンパレードなんでおます。いつ死んでもおかしくないシーンが次々にやってまいります。

爆発物処理ドラマと申しますれば、「ジャガーノート」(1974年製作・イギリス映画)などを思い出しよるのですけども、本作はちょっと違っております。

かつてアカデミー作品賞をゲットした作品にたとえますれば、「我等の生涯の最良の年」(1946年)やら、「地上(ここ)より永遠(とわ)に」(1953年)とか、「戦場にかける橋」(1957年)やら、「アラビアのロレンス」(1962年)とか、「ディア・ハンター」(1978年)やら、「プラトーン」(1986年)とか、「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)やらを思い出させよるんでおます。

つまるところでんな、基本的に、戦争の後遺症・トラウマを描く映画の系譜に入るんですけども、でも、今までの映画の作りとはチョロッと違っておるのでありました。

例えば、ベトナム戦争帰りで、何やらケッタイな人間になってしまわはった「タクシードライバー」(1976年)みたいな、戦場の過酷さがトラウマやらになり、人間が変わっていくみたいな、そんな人間像を描いてはるのでおます。

ボク個人といたしましては、「ディア・ハンター」で、熱病めいた狂気の演技でアカデミー賞助演男優賞を受賞しはった、クリストファー・ウォーケンはんの演技をば思い出しよりました。

とにもかくにも、ヤバすぎるシーンの連続でおます。ハラハラドキドッキリのシーンが妙にクセになってきよります。

バクハツしてのスロー・モーション、一個の爆弾かと思たらいくつもあったとゆう恐るべきシーン、荒野の息詰まる銃撃決闘シーン、人間爆弾を救おうとするシーン、爆殺される仲間を車の中から見るシーン、スローで薬きょうが転がっていく緻密なシーンなんか、たまりませんで。

「アバター」のジェームズ・キャメロン監督の元女房はんやった、女性監督キャスリン・ビグロー監督作品でおます。女だてらに男っぽい映画を撮らはる監督はんです。アカデミー賞での元夫婦対決に、ぜひ注目してくだされ。対決の結果は、後日報告いたします。

そして、その結果報告でおます。日本時間3月8日に、ボクチンの予想通り、本作はアカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞を含む最多6部門で受賞しはりました。ちゅうことでおます。アラマ、ポテチン。

Ⓒ2008 HURT LOCKER, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

2010年2月11日 (木)

群像ラブ・ストーリー「バレンタインデー」

ジュリア・ロバーツ、アン・ハサウェイ、本年度グラミー賞受賞テイラー・スウィフトほか、15人のラブラブ・ストーリーがドカーンと展開しよった、群像ドラマの恋愛映画でおます

http://www.v-day-movie.jp/

http://www.warnerbros.jp/

2月12日(金曜でおます)から、大阪では梅田ブルク7、なんばパークスシネマほか、東京はモチ、北海道から沖縄まで全国ドドッとロードショーやりまっせー。この映画の配給会社はワーナー・ブラザース映画でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1_2

バレンタインデーの夫婦・恋人たちの、ラブ・ストーリー群像劇映画のハート・ドッキリな快作。何ちゅうても、「プリティ・ウーマン」(1990年製作)でラブ・ストーリーの新しい形を提示しはった、ゲイリー・マーシャル監督はんの新作でおまして、いろんな恋愛のカタチをシンクロさせつつ、バレンタインデーの楽しさを、観客のみなさんに示さはるのです。

そもそも、バレンタインデーとは何やねん、ちゅうのんも、本作のヒロイン的な立場にもござります、小学校の教師役ジェニファー・ガーナーおネーさまが、生徒たちに授業しはるんだすけども、そもそもバレンタインデーと申しますのは、全世界的には恋人たちがプレゼントを贈り合って「愛」を再確認するとゆう聖なる日なのでおますが、なぜか、ニッポンだけが女が男にチョコを渡すだけの、義理とか人情ものイベントになってしもたんでして、そないなったんはナゾでおます。もし、その原因が究明できはる方がいてはったら、いつでも、ボクのとこへゆうてきてくだされ。

さてはて、本作のお話へと戻しましょう。LAが舞台でおまして、男は花束を女に贈るのんが多いらしくて、花屋はんがこの2月14日だけ、えらく繁盛しはるんだす。そんな花屋の若きオーナーはんにして、現場をキリモリしてはるアシュトン・カッチャー君が、さっそくその日に同棲してるジェシカ・アルバちゃんに、婚カツしてOKをもらわはります。

明るい、明るい、このカッチャー君。でもって、長年の親友、女友達のガーナーさんに熱い祝福を受けはります。一方で、このガーナーさんは男にダマされてるタイプの恋愛中でおまして、本人はダマされてるとはちょっとも思てはりまへん。でも、カッチャー君が、それを見破らはる展開となります。

15人の人たちの恋模様が次々に出てきよるので、ともすると、1つ1つのエピソードが薄めなんとちゃうんかな、なとこもあるかもしれません。けども写真の、監督とは「プリティ・ウーマン」との深いキズナがあるジュリア・ロバーツ大おネーさま、そしてナゾの男、ブラッドリー・クーパーはんです、この2人は舞台のLAに向かう航空機内にいてはるのでおます。この2人が最終的に群像ドラマの、どの人間関係図へと着地するのんかも、大きなサプライズでおます。

また、アン・ハサウェイちゃんのエロエロ・セリフなシーンも見逃せまへんで。高校生役で出演した、今年のグラミー賞で「アルバム・オブ・ジ・イヤー」ほかに輝かはった、歌手のテイラー・スウィフトちゃんのコメディエンヌぶりにも注目しておくんなはれ。

「愛」をテーマにはしとらはらへんねんけど、同じLAものの群像劇なら、アカデミーの作品賞受賞「クラッシュ」(2005年)があったり、共にクリスマスものとなっておますロンドンを舞台にした「ラブ・アクチュアリー」(2003年・米英合作)と、東京を舞台にした「大停電の夜に」(2005年・日本)やらがおますし、NY舞台の「ニューヨーク、アイラブユー」(2月27日全国順次公開)もおます。

けど、全員が何らかの形でつながっていくスタイルは、強引とは申せ、一つのチカラ・ワザと言えよるのではあーりませんか。それに、これまでのこの種のタイプには、クリスマスものが多いんやけど、バレンタインデー、しかもその24時間に設定した映画となれば、これまでにない新しさと言えよるのでは、ちゅうか、新しいんでおます。

チョーベテランの、シャーリー・マクレーンはんの姿にもココロが弾みよりました。上映される本人が主演したモノクロ映画のスクリーンを前にして、長年連れ添った夫とキス・シーンを披露しはります。その映画とは、ニッポン未公開フィルムのラブコメ「すれちがいの街角」(1962年)でしょうか。つい、この映画をもう1度見て、確認したくなりました。

Ⓒ MMIX NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

2010年2月10日 (水)

ミュージカル映画「NINE」

映画メイキングものミュージカルやなんて…

ニコール・キッドマンとペネロペ・クルスの競演やなんて…

http://www.nine-9.jp

3月19日(フライデーでおます)から、丸の内ピカデリー1、梅田ピカデリー、梅田ブルク7、なんばパークスシネマやら、大阪エリアはもちろん、本州、北海道、四国、九州、沖縄まで、全国どこもかしこも公開しよります。お近くの映画館まで、スキップ踏みながら足をお運びくだされ。配給は、角川映画はんと松竹はんどすえー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Nine

ボクが見てる時に途中からすぐにピーンときよりましたのは、「オール・ザット・ジャズ」(1979年製作)で、ボブ・フォッシー監督はんに仮託されはったロイ・シェイダーはんが、女遍歴とタバコスパスパ、不健康不良児の未来はここにありまんねん、みたいな演出家の、妄想めいた人生回顧映画を思い出しよりました。

2作に共通しておますのは、フェデリコ・フェリーニ監督映画、特に「ハチかニブンのイチ」(8と2分の1・表記がブログではなかなか難しいタイトルでおますが、製作は1963年です)に影響されておらはる点でおます。

フェリーニ版の主演、マルチェロ・マストロヤンニはんのように、悩んで悩んで、あー、どないしたらええねんな、と追い込まれていかはる、悩み深き映画監督はん役に、ダニエル・デイ=ルイスはんが扮しはりました。

映画監督人間ドラマにして、映画メイキングもので、ミュージカルやなんて、まあ、それに近い作品としましては「オール・ザット・ジャズ」以外、ないんやないかな。まあ、「雨に唄えば」(1952年)は映画監督やなく、俳優さんをクローズアップしてはりましたけども。

しかも、ワケ分からん系で描かれたその「オール・ザット・ジャズ」とは違いまして、誰にでもよーう分かりまっせーのノリで描かれておるんでおます。

監督と女優陣との絡み合い、モノクロ映像とカットバックされます歌と踊り披露シーンの数々が、本作のメインどころのハイライトでおます。

ビッグバンドに乗って踊って歌わはるペネロペ・クルスおネーやんの、大マタ開きやらの悩ましきシーンに、ハッとしてウー。

ラテン音楽のルンバのリズムに乗って歌って、カラダ・クネクネのケイト・ハドソンおネーちゃんに、キュッとしてトローン。

過去のモノクロ・シーンとカットバックしはって、娼婦はん(歌手のファーギーちゃん)が、妖しくジャズ・ナンバーを披露しはって、ウッとしてキューン。

街の灯がキラめくモノクロ・シーンの中で、主人公の母役ソフィア・ローレンはんが歌わはって、キュンとしてアアッ。

主人公の妻役のマリオン・コティヤールおネーは、カラー・シーンでスタンダード・ジャズを歌わはり、主人公との口論シーンとカットバックされます、モノクロのクラブでのジャズ・シンガーぶりには、ドキッとしてドキーン。

このマリオンおネーは、ボクがかつて「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」(2007年)を見よりまして、フェリーニ監督の「道」(1954年)に出はったジュリエッタ・マシーナみたいやと書いたことがおますのですが、その「道」らしき本作では「裏道」になっとります映画に出てる設定とゆうのが、ああ、ロブ・マーシャル監督もそない思わはったんかいなと、勝手に思て喜んだりしよりました。まあ、アホですわ。

でもって、やっぱりですわ、キワめつけはニコール・キッドマン大おネーさまの登場でおまして、まだらなセピアの歩道を歩きつつ、ムーディーにバラードを披露しやはります。ソワッとしてドキューンですわ。

ほかにも、ワルツ・オーケストラ、ギターで奏でるカンツォーネ、ポップス・ナンバーなど、多彩にサウンドトラックとして流れよります。

まあ、ペネロペちゃんとニコールはんが、現場で顔合わせがあったんかどうやらは分かりまへんけど、いずれにしましても、コレは久々に見るミュージカルの傑作でおました。人間ドラマを歌と踊りで見せていく、そのスタイルが奥深いのでおます。ダニエル・デイ=ルイスが叫ぶラストの「アクション!」のセリフにも胸打たれました。映画愛も感じられよります映画どす。

Ⓒ2009 The Weinstein Company. All Rights Reserved.

2010年2月 9日 (火)

イタリア映画「カラヴァッジョ 天才画家の光と影」

天才画家のトゥルー・ストーリーが展開しよります

セピア画面を基調にしはったシブい色合いでおます

http://caravaggio.eiga.com/

2月13日(土)から、銀座テアトルシネマやら、関西は2月27日(土)からテアトル梅田で、3月6日(土)から京都シネマやらで、芸術家の人生を体感しましょかロードショーでおまして、全国順グリ。配給は東京テアトルはんで、イタリア・フランス・スペイン・ドイツが出資してはりますが、イタリア映画どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Main_2 

芸術家の画家の実話人間ドラマだす。絵画に限定しよりましても、ゴア、ピカソやらいろいろありましたわな。

この手の作品とゆうのんは、実話にしばられてしもて、自由ホンポーな発想やら映画的イマジネーションやらができなくて難儀しよります。どないしても、その人物像に迫るために、時代考証やら資料やら本人の作品群なんかに、がんじがらめになってしもて、ともするとドラマ部に、ドラマティックな起伏がなくなったりするのでおます。

でも、コレはあと一歩のところで、踏ん張らはりました。大いなる娯楽作になったかどうかは、人によってマチマチではありますけども、とりあえず、楽しめる作りになったんは、監督やら出演陣のおかげでもあるのですが、僕はコレは、裏方となりますスタッフ陣のサポートが、映画に多大な力をもたらしたんやないかと思います。

まず、何といっても、その撮り方の妙(たえ)なる点でありました。イタリアの画家カラヴァッジョ(1571年~1610年)の人生を描くのでおますが、彼の絵画作品には、ブルーはいっさい使われておらず、それに合わせた絵作りをしはったのでおます。ブルーはいわゆる寒い冷たい色と言われますが、まあ、青空とかは冷たい感じやありまへんけども、その反対色といえば赤なんやけど、あんましケバケバに赤色を塗り込めますと、当時の時代の雰囲気は出よりません。

そこで、暖かい色と言われますセピア色を、照明をメインにフィーチャーしはったのです。そう、セピア色の写真なんか時の流れを感じさせますし、この時代にはピッタリなんです。

それでもでんな、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」なんかを見てもつくづく思うのですが、バンバン思いっきりセピア照明を当てて、人物の顔までセピアを超えてミカン色に燃え立っているような、コッテリ感はございません。

火つけてランプがメインの、電気がないこの時代には、夜のシーンでそういう色合いはあり得んのです。セピア部分と影の部分が絶妙に配置されておるんです。また、自然光、つまり陽光の室内への取り込みも、自然でおます。

モノクロ映画「第三の男」(1949年製作)の光と影の描写は、モノクロだけに白黒の配置はスムーズにいくのでおますけども、カラー映画となりますと、難易度はヒジョーに高くなってきよります。でも、そのあたりを見事にクリアーしてはる映画でおました。

それもそのハズ、撮影監督はヴィットリオ・ストラーロはんです。裏方の方はそんなに、大衆の注目を集めないのでおますけど、この方は、そういうレベルを超越してはるでしょう。アカデミー賞の撮影賞はもちろん取ってはります。「暗殺の森」(1970年)を始め、アカデミー賞金メダルの「ラストエンペラー」(1987年)など、同じくイタリア出身のベルナルド・ベルトルッチ監督とのコラボレートは有名です。

ありきたりになりがちな実話の域を、こうした裏方の名職人はんのワークスやらで、面白いものに変えた1作でおます。

Ⓒ2007 RAI FICTION-TITANIA PRODUCTION-INSTITUT DELCINEMA CATALA'-EOS ENTERTAINMENT-GTM PRODUCTIONS

2010年2月 8日 (月)

サスペンス映画「すべて彼女のために」

ノワール映画のルーツ国、フランスからビックリの1本だす

「ナショナル・トレジャー」のダイアン・クルーガーおネーさまが、走りまっせ

http://www.subete-kanojo.jp

2月27日(土)から、ヒューマントラストシネマ有楽町やら、敷島シネポップやらで、全国ドカーンとロードショー1本道でおます。配給会社はブロードメディアスタジオはんだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo Photo_2かつての フランス映画と申しますれば、伝統的なノワール(犯罪)映画で、ジャン・ギャバン御大やアラン・ドロンのアニキやらに加えて、ルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」(1957年製作)やらが、シブくて胸騒ぎ、でもって、ハリウッドのサスペンスでは決して出せない、けだるいブルージーなトーンを表現しはって、僕らをトリコにしてくれはったもんでおます。

しかしでんな、ココにアメリカンなテイストを混合しはった上に、フレンチ・ノワール・サスペンスなノリを今に伝える、えらいオモロイ・タイプの映画が作られよりました。

写真上の夫婦のお話でおますが、いきなりベッドでセックスしてはるようなシーンのように思わせておいてでんな、コレがエレベーター内のキス・シーンなんでおます。この夫婦には、幼い息子はんがいるんやけど、何やらどこまでも、いつまででもラブラブ・モードなんでおます。目のやり場に困りましたわ。

ところがでんな、いきなり妻役のダイアン・クルーガーはんが警察に殺人容疑でパクられはりまんねん。いわゆる、一つのショーゲキでんな。

なんでパクられたのかのシーンも、1分以内のショットで見せてくれはるのですが、ヤッパ、凶器に付いた指紋の一致が、逮捕のキメ手になりよるのですが、でも、前科のない美しき人妻はんです。どうしてすぐにパクられてしもたんか、僕はちょっと首をひねりました。フランスでは全国民の指紋を、国民の義務として取ってはるのでしょうか。

観客のみなさんにはようく分かりはる通りでおまして、冤罪なのでおますが、何と言いよりますか、ちょっとした弾みで物的証拠バチバチで、ダイアンはんはムショ入りとなります。

そこで、夫が取らはった最終手段とは、でおますが、妻を脱獄さして、自分も子供も一緒に逃げて、永遠に逃げ切るんやーっちゅうんだす。そんなアホなー、でおます。

脱獄映画では「板尾創路の脱獄王」(公開中)やら「フィリップ、きみを愛してる!」(3月13日公開・後日紹介分析いたします)やら、ただ単に脱獄するだけやない作品がいろいろ出てきております。

ただ、この2作品がコメディ・ノリであるのに対しまして、こちらは脱獄にふさわしいハラハラドッキリのサスペンス・タッチを貫いておりま。

「ナショナル・トレジャー」(2004年)で見せはった、走って逃げる体育会系ぶりも示さはる、ダイアン・クルーガーはんですが、この逃亡劇に、果たしてホンマにリアリティーはあるのんかっ、ちゅうとこもおますかもしれまへん。

でも、ハリウッドのどうにもアリエネー系に比べたら、随分マトモで論理的でおますよ。まあまあ、とにもかくにもでんな、手に汗握りよりましてハラハラドキドキ見られる1本でおますのんは、間違いござりまへん。

Ⓒ2008 FIDELTTE FILMS-WILD BUNCH-TFI FILMS PRODUCTIONS-JERICO

2010年2月 7日 (日)

クォン・サンウ主演映画「悲しみよりもっと悲しい物語」

韓流ドラマに夢中の人は、この映画を見るしかおまへん

「天国の階段」のクォン・サンウはんがやってくれはりました

http://www.morethan-b.com

2月27日(土)から、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで全国ロードショー。地方にも、やがていきますよってにヨロシクでおます。配給はエスピーオーでおまして、SMAPと間違えまへんようにご注意くだされ。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

_mail クォン・サンウのファンの方には、もうたまりまへんな~な仕上がりなんでおます。ほら、チェ・ジウはんと絡まはったアノTVドラマ「天国の階段」のロマンチックがコッテリ入っておます。

イントロからしばらくは、何やしらん、ぎこちない感じなのでおますけど、コレは完全に最後の30分間で、ドカーンとひっくり返すための流れでおまして、このままやったら、どうショーもない作品なんと違うんかいなと思とったら、いつの間にやら、グーンときてでんな、何やら泣いてしもたりするのでおました。

病系の映画ではありまんねんけど、まあ、写真の女優イ・ボヨンちゃんか、男のクォン・サンウ君のどっちに問題ありなんかは黙っときますけども、例えば、韓国映画にたとえますれば、強烈なサプライズがおました「猟奇的な彼女」(2001年製作)とか「ラブストーリー」(2003年)みたいに、ヤッてくれはるんでおます。僕はラスト30分だけで、この映画をもう1度、最初から見返したいと思いよりました。

「石が川に落ちたみたいに恋に落ちた」のセリフとか、ウイスキー・グラスに指輪を入れて飲みほしたりとか、紙コップのコーヒーの間接キッス描写とか、なんかぎこちなくておかしなシチュエーションが続くのであります。おいおい、こんなん、愛し合ってる設定の2人には、どない考えたっておかしいやん、な状況が次々にやってきよりましてな、もう、席を立ちたくなるくらいなんでおますよ。

男がヤケクソであったにしても、愛する彼女を別の男になんか紹介しますか。で、結婚へまで導くなんて、あり得んぞ。そんな紹介される男と、主人公の提案でほとんどあっさり婚約解消してまう女なんて、分かりまへん。こいつら、何考えとんね、ですわ。

ところがどっこい、僕は席を立たずにガンバりましたがな。待てば、カイロのヒヨリありでおます。きましたよ、遂にきよりました。最後の30分でゼェンブ解消した上に、オッとコレはなかなかやってくれとるやん、と感心しよりました。どんでん返しでおますよ、コレは間違いなく。

1時間45分の映画だす。つまり、まあ、1時間はクビをひねったり、もうあかんわー、なとこがおますかもしれまへん。でも、ぜひキバっとくんなはれ。ヒロイン視点にチェンジするラストのシークエンスの数々で、アアッと驚き、アワワッと胸にくるシーンにヤラれてしまいます。

Ⓒ2008 CORE CONTENTS MEDIA ALL RIGHTS RESERVED

2010年2月 6日 (土)

BoA/7thオリジナル・アルバム『IDENTITY』

BoAの作詞・作曲したナンバーが過去最多収録!

自分を多彩に語るシンガー・ソングライターぶりに、ディープなインパクト!

Boa

http://www.avexnet.or.jp/boa/

avex traxから、2月10日(水曜日)よりリリース

収録曲①This Is Who I Am②EASY③BUMP BUMP!feat.VERBAL(m-flo)(「music.jp」TVCMイメージソング)④LAZER⑤interlude#1⑥is this love⑦まもりたい~White Wishes~(Wii用ソフト「テイルズ オブ グレイセス」テーマソング)⑧interlude#2⑨ネコラブ⑩THE END そして and…(album ver.)(「オーディオテクニカ」CMイメージソング)⑪Possibility duet with 三浦大知(「music.jp」TVCMイメージソング)⑫Fallin'⑬my all

【アルバム+DVD】版のDVDには、「BUMP BUMP!feat.VERBAL(m-flo)」&「まもりたい~White Wishes~」のプロモーションビデオほかを収録

【アルバム】AVCD-38024\3,059【アルバム+DVD】AVCD-38023/B\4,300

これまで以上に自作詞・作曲と自作詞ナンバーを歌い上げた、BoAちゃんの会心のオリジナル・アルバムがリリーシングされます。その自作チューンからみていきますと、冒頭からさっそく2曲披露されます。ピアノから始まりストリングスが入るミディアム・アップの①、ユーロビートとR&Bをミキシングしたようなダンス・ミュージックの②。

破局ソングにしてチョイ未練ソングにもなってる、ミディアム・スロー・ナンバーの⑩、そして、1970年代のディスコ・ソウルのタッチで、シンセやキーボード・サウンドをフィーチャーして「恋に落ちた」キモチを歌う⑫と続きます。

作詞オンリーでいきますと、「ビー・オー・エー」なんていう自分の名前を入れて、パパラッチの目を避けて密会するセレブのキモチを詠み込みます⑨。この曲はマイケル・ジャクソンを思い出させるビート・ナンバーに仕上がっております。

中島美嘉への曲提供で有名な、バラード作曲の達人・川口大輔のポジティブ・バラード⑬では、「君」への深い愛と感謝を綴りました。この曲はフィーリー・ソウルなどで使われるブラス・サウンドがそう快感を呼び込んでおります。

また、BoAちゃんが歌詞に実名で登場します、R&B系のフィーチャリング・ナンバーの③など、今作にはBoAちゃんの過去・現在を聴かせていくようなところがあります。その意味では、ある種の「自叙伝」的な作りになっているかもしれません。

今までのBoAちゃん印な快曲も、もちろん収録されております。1980年代に一世を風靡した3人の名プロデューサー、ストック・エイトケン、ウォーターマンのテイストがある、タイトなダンス・ナンバー④、R&B系のミッド・バラード⑥、「ファ・シ」抜きなどの5音階作曲術「ペンタトニック」を使ったキャッチーな⑦など。元Folderで現在ソロ活動中の三浦大知とデュエットしたR&Bバラードでは、「試行錯誤」など意味深き日本語歌詞入りの曲を、巧みに歌っています。

ちなみに、BoAちゃんは本作で初めてディープに、プロデュースにも関わっています。それだけに、一つのターニング・ポイントとも呼べるアルバムでしょう。

(文=音楽分析評論家・宮城正樹)

北川景子主演映画「花のあと」

北川景子ちゃんが女剣士にならはりました

エーッ、ホンマかいな?

「あずみ」上戸彩、「キル・ビル」栗山千明とは違うオモシロさが花開いておます

http://www.hananoato.com

3月13日(土)から、全国どこでもいっせいのロードショーでおまして、映画の配給会社は、東映はんでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo 2 1

フジテレビの月9テレビドラマの「ブザー ビート」やらで、ジャニーズのヤマピー山下智久やらと恋愛をし、3 国民的好感度がますます上がっておます、20代の若き女優はん、北川景子ちゃん主演でおます。これまでの時代劇における女剣士のイメージを、根底からくつがえさはる演技を披露しやはりました。

2_4 それはどういうことなんやのツッコミに答えまするに、眉をチョコットひそめる程度で無表情を通さはり、演技の全体的に無色透明と申しますか、「あずみ」(2003年製作)の元気系の上戸彩ちゃんとか、エキセントリックな「キル・ビルvol.1」(2003年)みたいな栗山千明ちゃんチックなんかもなく、ヒジョーにおっとりとしてはりまして、メッチャオトナしいのでおます。

こんな女剣士は、これまでの映画にはいまだかつて登場してはりません。断言できます。

東映の時代劇におきましては、忘れもしません、かつて美空ひばり大お嬢やら志穂美悦子はんらが、かっこいい時代劇アクションを披露してくれはりまして、僕らをコテンコテンにしてくれはりました。

そんな深い思い出にとらわれて、この時代劇を見よりますと、いい意味で裏切られてしまうとゆうか、ああ、コレは癒やしの時代劇なんやと思いました。娯楽活劇としての時代劇やないんです。ココにあるのは、アクションやらを見せる映画やなく、静かにココロにある愛しい気持ちを見せていく映画なのでおます。

阿部寛が吃音の教師役で主演した「青い鳥」(2008年)を、監督しはった中西健二監督作品でおます。前作でもそうでしたけど、静かな演出ぶりは、現代劇であれ時代劇であれ、いっしょです。

藤沢周平原作映画としましては、女性ヒロインが活劇するタイプは初めてでおます。でも、そのココロは「たそがれ清兵衛」(2002年)の宮沢りえちゃん、「隠し剣 鬼の爪」(2004年)の松たか子おネーちゃん、「武士の一分」(2006年)の檀れいおネー様、「蝉しぐれ」(2005年)の木村佳乃おネー殿、「山桜」(2008年)の田中麗奈おネーはんと、おんなじなのでおます。

静かな演出に合わせたかのような、美しき風景描写も、ココロをくすぐりよります。桜、セミの声、紅葉、雪と続く春夏秋冬の描写に加え、山形の風景描写を絵画的な構図で捉えるカットの挿入に、フッとココロに潤いみたいなんをくれはります。

ラストに流れます一青窈(ひととよう)の和風バラード「花のあと」(フォーライフミュージックより「冬めく」との両A面4曲入りシングルとして、2月24日リリース)もココロにきました。名曲「ハナミズキ」にも迫る出来でおまして、泣ける仕掛けは万全な作りでおます。せいだい泣いておくんなはれ。

Ⓒ2010「花のあと」製作委員会

2010年2月 5日 (金)

映画「COACH コーチ 40歳のフィギュアスケーター」

安藤美姫ミキティ、荒川静香らがチョイ役出演した、スポ根ものでおます

40歳ヒロインの、冬季五輪挑戦への凄まじさに、ヤラレテしもたー

http://coach-figureskating.com

2月6日(土)から新宿K's cinema、TOHOシネマズ ららぽーと横浜やらで、2月20日(土)からシネ・リーブル梅田やらで、3月6日(土)から大阪・ホクテン座、布施ラインシネマやらで、全国ゆっくり順番にロードショーしますよってに、お待ちくだされ。配給はアステアはんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1_2

まもなく冬季オリンピックが開催されよります。日の丸背負わはって、いっぱいニッポン選手が活躍するに違いないのでおますけど、さて、映画で、そんな冬季五輪のスポーツものを描いた作品なんて、みなはん、思い出さはりますやろか。

ドキュメンタリーやったら「札幌オリンピック」(1972年製作)やら、ボブスレーを描いたディズニーの「クール・ランニング」(1993年)、前回のトリノ五輪で注目を集めたカーリングの「シムソンズ」(2006年)なんか、そのほかにスキーものやら複合競技もんやら、いろいろあるやろとは思いますけど、ホンマはそんなに多くはないのであります。

アイスホッケーやったら、キムタクが主演したテレビドラマやらを思い出さはるやも分かりませんけど、この冬季五輪にまつわるスポーツのスポ根映画なんて、まあ、数少なく、ましてや、ニッポン国民的に今や大人気のフィギュアスケートものなんて、「俺たちフィギュアスケーター」(2008年)なんて、むくつけき男たちが活躍するスポーツ・コメディ「スポコメ」なんかはあるんでおますが、女性フィギュアものはどないやろか。う~ん、ヤッパ、少ないわー。ワザのルーツともなります選手イナ・バウアーが、出演したスケート映画なんぞがあるのですけども、残念ながら僕は見ておまへん。

ちゅうのは、俳優陣にスケートのうまい人がそうそういてはりませんでして、また、CGやらVFXやらでごまかそうにも、全部CG対応せなあかんので、なかなかうまくいきよりません。でも、本作の主演はプロの方で現役コーチの、アラフォー40歳設定の西田美和はんどす。演技的にも、普段通りの自然体が感じられて、なかなか好感を呼びはりまっせ。

この方が、10代20代の若い人が主流の五輪に、「ロッキー」(1976年)みたいに復活して挑戦しやはるのです。しかも、ヤマ場となります、五輪代表選手選抜を兼ねました「グランプリ・ファイナル」では、空手からヒントを得た「ブルーローズ」なる、マタを広げて空中4回転のミラクル・ワザを披露しやはります。安藤美姫ミキティもビックリですわ。

そのミキティでおますが、練習のリンク上で、「先生(西田美和はんです)、行こう」と言って、2人で2ショット・スケーターぶりを披露しやはります。金メダリスト荒川静香おネーさまもショー・タイムで出演し、銀メダリスト伊藤みどりはんもDVD映像で登場します。

女子フィギュアスケート・ファンにはたまらないシーンの連続でおますが、そんな中でも、映画ファンのココロをくすぐるシーンも、もちろん出てまいります。

ファンキー・サウンドなどに乗る短カットによるシーンの連続で、フィギュアのスピード感を出してみたり、元恋人の娘を一時的に引き取って交流し、擬似母娘的なキズナ・ドラマ部を構築したり、意表を突く英語ナレーションなどでおます。

さて、最後に、この新しい女性ヒロイン・スポ根ものにちなみまして、手前勝手に五輪を予想しよります。

●金メダル→浅田真央ちゃん●銀メダル→キム・ヨナ●銅メダル→ミキティか鈴木明子

でも、この映画を見ると、ミキティが金メダルを獲ってもおかしくないんやないかとも思えます。

番外編でおました。アラマ、ポテチン。

Ⓒ2010 ブルーローズ・シネマ・パートナーズ

2010年2月 4日 (木)

アニメ映画「コララインとボタンの魔女 3D」

榮倉奈々ちゃん、ダコタ・ファニングちゃんが少女ヒロインの声を演じはりました

「アバター」的に、みんなヒロインになって大活躍できまっせー

http://coraline.gaga.ne.jp

2月19日(金曜日やでー)から、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ梅田ほかやらで全国イッセーのロードショーだす。配給はギャガ株式会社でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_2 キャロラインと間違えられよるコララインおジョーちゃんが、異界に入って活躍しやはる冒険活劇大巨編でおます。やなんて、ホンマかいな、の異論もござるかもしれません。

何しろでんな、男の子もあるけど女の子が、別世界へ行ってガンバる映画なんて、ディズニー・アニメはもちろんのこと、宮崎駿アニメまで、これまで数限りなく出てきておます。

そんな競争率の激しい中で、傑作ものにするのは至難のワザなのでおます。分かってくれはりますか?

でも、コレは、少女ヒロインものでは、ありきたりなところもあるかも知れまへんけども、1コマ1コマを丁寧に慎重に撮っていく「ストップモーションアニメ」手法を採ってはるだけやなく、プラスアルファ、先頃、世界最高の興行収入を挙げはった「アバター」と同じく、3D映像にしやはったのであります。3Dサングラスはめて見る映画でおます。

ヘンリー・セリック監督と申せば、ストップモーションアニメの快作「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993年製作)を撮らはった監督さんだす。今をときめく3Dでストップモーションを表現したら、どないなるのか、その実験精神は立派やと言えるでおましょう。

コララインちゃんはおとうちゃん、おかあちゃんと共に、「ピンクハウス・アパート」なるとこへお引っ越ししてきはったのでおますが、そこは別世界のあるアパートなのでありました。夜になりますと、その世界への扉が開くんでおます。少女は中へ入りまして、ボタン目になったおとうちゃん、おかあちゃんと出会わはります。でも、そのおかあちゃんは、オトロシイ魔女なのでおました。

異世界へのグリーン、ブルー、でもってセピアな照明感など、現実の世界を薄みな色合いにして、2世界の色を対比しやはります。色彩感があるのですけども、ホワイトなクモの巣とか、地球が欠けて世界が白くなっていく展開とか、異世界の色合いが最後の方では色がなくなっていきよります。このあたりの描出は巧みでおます。

ダンス・ミュージカルや空中ブランコなサーカスチックなとこも出さはりまして、この手の少女ものに多い、ある種のパターン化を避けておます。また、魔女だけど、ゆっくりその魔性を現していき、しかも何やら論理的やない、ワケ分からん系のタッチなんか、何度も見て、その意味を確認したいような感じなんでおます。

リピート率の高い映画になるんやないかな。日本語吹替え版のヒロインの声は榮倉奈々ちゃんやけど、日本語字幕版の声はダコタ・ファニングちゃんです。僕は、ファニングちゃん版を見たんでおますけど、久々に彼女の名前を見ました。声もヤッパ、かわいかったですわ。

本年度のアカデミー賞でのアニメ部門で、期待できる作品にはなったんやないかいなと思いました。

ⒸFocus features and other respective productions studios and distributors.

2010年2月 3日 (水)

メキシコ映画「ルドandクルシ」

傑作「バベル」を生んだ国から、トンデるサッカー・スポーツ・コメディがシュートされよりますでー

http://www.rudo-movie.com

2月20日(土)からシネマライズ、新宿バルト9やら、関西やったら、3月20日(土)から、シネ・リーブル梅田とか京都シネマとかで公開しまんねん。全国順番に回りますよってによろしゅう。配給会社は東北新社さんだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo写真の兄弟がチョチョギレておます。ホンマにええ加減にしときやーと言いたくなるくらいなんでおます。トンデモ兄弟コメディにして、トンデモスポーツ・コメディでおます。兄弟の間に、シュワちゃんが出はった「ツインズ」(1988年製作)ほどのデコボコ感はおまへんけども。

お話は、この2人をメキシカン・サッカー界にスカウトしやはる、ハイなアニキのナレーションによりまして、進行しよるのですが、このナレーションが奥深いと言いよりますか、何やしらんワケ分からへんと申しますか、まあ、要するに、どうでもええようなナレーターぶりでおますのです。

写真の左の兄やんは、ゴールキーパーでおまして、連続試合ゼロ点記録の新記録を作ろうかっちゅうくらい、メッチャうまい設定になっておましてな。ところが、どっこい、この兄やんは、闘鶏やら競馬やらポーカーやらのギャンブルで、火ダルマになっておまして、ニッチもサッチもいかんような状態にまで追い込まれよります。

一方のシューターの弟はん。「バベル」(2006年)にも出てはりましたガエル・ガルシア・ベルナル君だす。やっぱ、「バベル」と同じく、キレてはります。チョイギレくらいやけど、コメディアン演技でも、やっぱキレてるのんは、ベルナル君の持ち味と申せましょう。セクシーな彼女との、オッパイチョイ見えのヤラシー・シーンもそそってくれはります。

母に家を買ってやるのんが、2人の夢なんやけど、その母への思いを伝えるカットがケッコー美しかったりします。親孝行なセリフはケッコー出てきます。

アコーディオンをメインにしたサントラのほかに、明るいゴキゲンさんなメキシカン・ポップからアメリカン・ハードロックまでが流れよりまして、映画に弾みを付けておます。映画製作会社の名前にちなんではるんか、「チャ・チャ・チャ」のリズムを映画にしたような雰囲気もありまんねん。

「ハリポッターとアズカバンの囚人」(2004年)の監督アルフォンソ・キュアロン、「パンズ・ラビリンス」(2006年)の監督ギレルモ・デル・トロ、「バベル」の監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの3人が製作し、ちゅうことはこの3人さんらが作らはった映画製作会社の第1回作品でおまして、アルフォンソ・キュアロンはんの弟はんのカルロス・キュアロンはんが監督しやはりました。

ほなら、兄弟のキズナがよう出てる映画なんかいなと、思わはるかもしれませんけど、そちらはそんなにコテコテやおまへん。あっさりしておます。兄弟サッカー対決やラスト・シーンなど、そのあっさり感が妙にクセになってきよるような映画なのでおます。まあ、見てみなはれ。コレはメキシコ流の快感スポコメでおます。

2010年2月 2日 (火)

ラブ・ストーリー「新しい人生のはじめかた」

ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンが大人の、

大人による、大人のための恋愛を演じ抜かはりました

http://hajimekata.jp

2月6日(土)からTOHOシネマズ シャンテ、2月13日(土)からシネ・リーブル梅田やら、ゆっくり順グリに、全国各地の映画館でかかりますよってに、ヨロシクだす。クロックワークスはんの配給でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_3 共演しはるダスティン・ホフマン、エマ・トンプソン共に、映画史に残る仕事ぶりを今まで披露し続けてきはった方々でおます。

そんな2人が、とってもロマンテックな恋愛をしやはります。あーあ、シブいでおます。

ホフマンはんは、妻と別れてニューヨークで仕事してはって、その元妻は女のコドモを連れはって別の男と結婚しはりまして、そんでもって、そのコドモはんがオトナになりはって、ロンドンで結婚式やるっちゅうんで、ホフマンはんのとこにも、ちゅうか、ホンマの父でおます、のとこへ招待状きまして、ほんで、ホフマンはんは喜び勇んで、その結婚式に出やはるのですが、何と申しましょうか、えらーい冷たい仕打ちが待っておったのでござりました。

すっかりシカトされてしまわはったんでおます。ほなら、結婚式には出たけれど、披露宴はキャンセルして、ニューヨークに帰らしてもらいまっさ、となるのでおますが、そんなんで終わってしもたら、ドラマは30分そこそこでジ・エンドでおます。

ホフマンはん、空港近くでエマ・トンプソンはんと出会わはりまんねん。でもってでんな、愛が始まるっちゅう展開でおます。

僕がビックリしたんは、ホフマンはん、エマはん共に、過去の出演作品をつい思い出してしまよるシーンが出てきよるところです。特に、ホフマンはんには年季を感じました。

「卒業」(1967年製作)の結婚式で彼女を奪わはったホフマンはんが、アメリカからロンドンへ逃れてめでたく結婚したんやけど、結局、離婚してしもて、暗い思い出かもしれんけど「真夜中のカーボーイ」(1969年)やらで、馴染み深いニューヨークに戻らはったけど…ってな感じでおますか。

「クレイマー、クレイマー」(1979年)が結局、離婚という方へ流れてしもたとか、エマはんとのラストの会話の慎重なやり取りなんか、「トッツィー」(1982年)のラストシーンを思い出したりしよります。

それに、披露宴でのスピーチなんか、「クレイマー、クレイマー」でアカデミー賞主演男優賞受賞時の、感動的なスピーチを思い出させてくれたりしよります。

アメリカン・ビジターがイギリスで恋に落ちるタイプの映画でおますが、よーく見はったら分かるかとは思いますが、ジュリア・ロバーツ主演の「ノッティングヒルの恋人」(1999年)みたいなロマンテック性も、充分に兼ね備えた作品なのでおます。ロマンチックは、あえてロマンテックにしとります。

さて、個人的なことを申しますと、ホフマンはんは僕のダイスキな男優はんです。いろんな映画に出てきやはりましたけど、恋愛であれ友情であれ家族愛であれ、人と人の心の交流をシブく濃く演じはる姿に、毎度感動いたしました。

本作もまた、シブかったでおます。エマはんとの恋の駆け引きやセリフのやり取りには、心揺さぶられよりました。大人の恋愛映画のキモみたいなもんが、ココにあります。

Ⓒ2008 OVERTURE FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画「50歳の恋愛白書」

アラウンド・フィフティーを忘れんといてや、アンフォゲッタブルの「50歳の恋愛白書」でおます

http://50love.gaga.ne.jp

2010年2月5日(金曜でっせ)から、ギャガ株式会社配給によりまして、TOHOシネマズみゆき座、TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップほか、全国いっせいロードーショーしまんねん。

文=映画分析評論家・宮城正樹

50_6

アラフォー、アラカン、後期高齢者、R25、R35、U17やU15やら、いろいろありますわね。ありまんねんけど、よーく考えてみたらですよ、何かどっか欠けとる世代がありまへんか。そうでんねん。画像に写ってはる、おばはん、何やておばはんちゃうで~、おネーさまとおっしゃい! なんちゃって、言われそうなんやけど、このロビン・ライト・ペンは、50歳という年齢になってはる設定の、この映画のヒロインさんですわー。

50歳前後の人たち、つまるところ、アラウンド・フィフティー、つまり、「アラフィフ」でんな。これまでは、何やしらん、アラフォー世代始め、アラカンにまで注目が集まってしもて、すっかり見離されてしもとった、盲点となる、その中間世代でおます。ボクチン、ボクチンやなんて、そんな年か、おまえは! な僕もまた、このアラフィフ寄りでおます。

ちなみに、画像でハンドル握ってはって、前を見ていない危ない運転してはる人は、35歳設定のバツイチのニート役のキアヌ・リーブスであります。この作品はそのロビンさんが、アラフィフ世代の意地をば魅せてくれはる、貴重な映画と相なりましたばってん。アレ、いつの間に、薩摩弁やねん。ああ、申し訳ござりませぬ。

モロ、アラフィフ世代のジュリアン・ムーアさんがタイトでエキセントリックな役をやったり、30歳前後設定のウィノナ・ライダーちゃんが、思いっきりのダメ女を演じたり、また、キリリとした役で自殺してまうモニカ・ベルッチはんなど、いろんな方々が、自分たちの世代の感覚を演じてはります。でも、やっぱり、一番、輝いてはるのは、何ちゅうても、ロビンはんでおます。

「私は謎じゃない。ホントはさらけ出したいのよ」の冒頭のナレーションから、彼女のハチャメチャな過去が、ハランバンジョーの半生が、バック・トゥー・ザ・フィーチャーされていきまんねん。この方の現在の生活感描写との格差なんか、ホンマ、たまりませんでー。

僕が70年代にハマッた「結婚しない女」(1978年製作)とか「グッバイガール」(1977年)とか「ノーマ・レイ」(1979年)とかの女性映画が、21世紀的に何か進化してみたいやでーな感触なんすよ、コレが。アウトローなディープ・インパクトがありました「テルマ&ルイーズ」(1991年)が、さわやかモードに変換されたみたいなカンヂ。

ロビンさんが出てはる「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1995年)や「シーズ・ソー・ラヴリー」(1998年)始め、僕はイロイロ見ております。見てるんやけど、こんなにロビンさんに好感を覚えた作品は初めてでした。映画内設定では、大の大人の息子と娘が2人もいてはるのに、フラレルこと覚悟にすぐにもアタックしてみたいと思わせてくれはる、感情移入バチバチの演技ぶりなのでありました。ああ~キアヌ・リーブスがうらやましい。

ⒸLam Duc Hien,Photographer

ⒸCentral Films Sari,Morena Films SL,BetterWide Limited,LBF 10Limite.2009,Studio Canal,All Rights Reserved.

2010年2月 1日 (月)

チェン・ボーリン主演映画「台北に舞う雪」

「台北に舞う雪」がとってもロマンチックなラブ・ストーリーでおます

http://www.taipei-snow.jp   

2月20日(土)から、梅田ガーデンシネマやらで、全国順グリのロードショーやでー。映画配給会社はゴー・シネマでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_7 ビックラこいたなー、もおー。みなさん、チャン・ツィイーっていう中国の女優さんって知ってます? 「初恋のきた道」でモンペはいたり、「グリーン・デスティニー」でヤンチャしてはった人です。中国では国民的な人気の女優さんです。その完全コピーか、双子の姉妹かという、トン・ヤオさんに、本作映すスクリーンでお会いしました。ヤンチャはしませんけど、もうドッキリソックリ。

台湾の台北の一つの町の人たちが家族のように暮らしているのですが、トン・ヤオさんは、歌手なのに声が出なくなりまして、失踪いたしまして、それでもって、この町にフラリとさまよい込むのでありますが、酒場でよたっているところを、快方者が現れよりまして…。

その正義の味方が、この町で、ほら、「なくもんか」の商店街のあの主人公・阿部サダヲみたいに、町の人のいろんなお手伝いをして、つまり、ボランティアですな、やってはるわけです。その主人公に、チェン・ボーリン君が扮しました。「カンフー・ダンク」なんかで暴れてくれはった方ですが、イケてるお面、つまり、イケメンであります。よく見ると、同じ台湾出身の金城武みたいに見える時もあり、また、大河ドラマ「天地人」の妻夫木聡クンに見えたりするのであります。

チャン・ツィイーと金城武となりますと、「LOVERS」の仮想再演であります。あの時もちょっとだけいい雰囲気になりましたけど、今度は完璧にチョー深くて濃いラブ・ストーリーとなりました。でも、心の交流的に濃いのでありまして、ヤバイ・シーンはなし。だから、家族みんなで安心して楽しめる恋愛映画です。

こんなこと申してアレなのですが、最近のハリウッド映画ではとんと見られなくなってしまった、「慕情」や「風と共に去りぬ」みたいな、心にクル愛の形がココにあります。

中国の奥地のポストマン家族を描いた「山の郵便配達」のフォ・ジェンチィ監督の新作だけに、アットホームな感覚は終始、スクリーンからそよ風のように吹いてきます。さらに、立体的な作り、つまり、鏡やすだれを通して、また、車や電車の窓の外から映して、窓に映る風景を見せていったりと、奥行き、遠近感が素晴らしいので、まるで動く風景画を鑑賞しているような錯覚も覚えます。

大げさかもしれませんが、「ローマの休日」みたいな、さわやかさな鑑賞後感に、酔ってしもたんどすえー。アレ、いつの間に京都弁やねん。大変、失礼おば致しました。

Ⓒ2009 北京博納影視文化交流有限公司、“台北に舞う雪”製作委員会、博納影視娯樂有限公司

« 2010年1月 | トップページ | 2010年3月 »